約 758,484 件
https://w.atwiki.jp/ggenewars/pages/96.html
シナリオ攻略 シナリオ クリア ボーナス CAPITAL ACE POINT CLEAR BREAK1 BREAK2 1位 2位 3位 20000 25000 30000 +70 +60 +50 勝利条件 敵軍ユニットの全滅 敗北条件 マスターユニットが撃破 自軍が全滅 キラ、アスランが撃破 ラクス、マリューが撃沈 ウォーズトリガー アークエンジェル(マリュー)がドミニオン(ナタル)を撃沈 キラとクルーゼが交戦 初期配置 自軍 機体 パイロット(艦長) 出撃数 備考 エターナル アンドリュー・バルトフェルド 1 副長 ラクス・クライン通信 マーチン・ダコスタ L M フリーダムガンダム(ミーティア) キラ・ヤマト 1 出撃済 L ジャスティスガンダム(ミーティア) アスラン・ザラ 1 アークエンジェル マリュー・ラミアス 1 通信 ミリアリア・ハウ操舵 アーノルド・ノイマン整備 コジロー・マードック L エールストライクガンダム ムウ・ラ・フラガ 1 出撃済 クサナギ レドニル・キサカ 1 副長 カガリ・ユラ・アスハ L M1アストレイ アサギ・コードウェル 1 リーダーはアサギ出撃済 マユラ・ラバッツ 1 ジュリ・ウー・ニェン 1 敵軍(ザフト軍)MAP上 機体 パイロット(艦長) 出撃数 ポイント 備考 ローラシア ザフト士官 4 L シグー ザフト兵 4 各艦1機ずつ ジン 8 各艦2機ずつ ゲイツ ザフト兵 15 シグー 6 ジン 9 ナスカ ザフト士官 2 L ジン ザフト兵 6 各艦3機ずつ 第三軍(地球連合軍)MAP下 機体 パイロット(艦長) 出撃数 ポイント 備考 ドミニオン ナタル・バジルール 1 ゲスト ムルタ・アズラエル L ストライクダガー 地球連合兵 3 カラミティガンダム オルガ・サブナック 1 連携 レイダーガンダム クロト・ブエル 1 フォビドゥンガンダム シャニ・アンドラス 1 ストライクダガー 地球連合兵 10 敵軍増援 WB1 マリュー(アークエンジェル)がナタル(ドミニオン)を撃沈 ザフト軍 MAP上 機体 パイロット(艦長) 出撃数 ポイント 備考 プロヴィデンスガンダム ラウ・ル・クルーゼ 1 ゲイツ ザフト兵 6 国連軍 MAP下 機体 パイロット(艦長) 出撃数 ポイント 備考 GN-X セルゲイ・スミルノフ 1 連携 ソーマ・ピーリス 1 国連兵 12 WB2 キラとクルーゼが交戦 アクシズ軍 MAP上 機体 パイロット(艦長) 出撃数 ポイント 備考 ノイエ・ジールII シャア・アズナブル 1 グワダン アクシズ士官 1 L リック・ドムII アクシズ兵 3 ムサイ後期型 アクシズ士官 2 L ザクII改 アクシズ兵 3 ゲルググJ アクシズ兵 6 国連軍 MAP下 機体 パイロット(艦長) 出撃数 ポイント 備考 GNフラッグ グラハム・エーカー 1 超強気で出現 攻略 WBを発動させるたび、MAP上下に敵が出現してくる。 初期配置の味方がMAP上を向いているためMAP下にいる連合軍に注意。配置を変えずに放っておくと三馬鹿+ドミニオンからゲストのエターナルが集中砲火を食らう。 せめて三馬鹿を落としてドミニオンを撃沈しない程度にダメージを与えてやると良い。 ウォーズトリガーのドミニオンとアークエンジェルが直線上にないので発生に時間がかかり面倒(最低でも3ターン。1ターン目でアークエンジェルを回頭し2ターン目で右方へアークエンジェルを動かす。これでやっと攻撃可能。) クサナギを回頭させておくと支援を頼める(確認済み)。 また、ドミニオンはラミネート装甲のせいでビームライフル等での削りが効かない。 原作のように途中でムウがいなくなることはない。 フリーダムに執着するグラハムがここでも出現。出現時から超強気。 ノイエ・ジールⅡのアクシズ版シャアはデモ以外ではここでしか登場せずギャラリーにも登録されない。専用カットインは必見。 なお、ノイエ・ジールIIの攻撃力は51まで強化されているため、脆いユニットをむやみに近寄らせないように。 味方に強力な機体がいない場合、MAP兵器や戦艦の多段ミサイルなどで削ってから倒そう。 GNフラッグはいきなり超強気ということもあり、一機だからと侮っていると痛い目に会う。 サーベルの射程に入ると大ダメージであるがトランザムライザーでなら回避できるので1機は作りたい。射程外から攻撃してもかなり回避してくる。 また、防御されるとディフェンスロットの効果のせいで、ダメージが低くなってしまう。 単独で挑むには危険な相手なので、シャアに戦力を割きたいかもしれないが、複数機で畳みかけよう。 あえてグラハムを超一撃にして被弾させてクールダウンを狙うのも手。方法はまずいったん誰かを生贄にして(ミーティアがいいかも)自ターンに撃墜、脱出させ、その後遠距離から叩いてクールダウンさせた後適当に料理する。 ちなみにグラハムの攻撃がどのくらい強烈かと言うと・・・超強気状態でストライクが防御しないと即死、超一撃状態でフリーダム、ジャスティス(脱出後)が防御しないと即死、ミーティアでも3分の2ほど削られてしまう。M1にいたっては、超一撃ならば防御しても即死の有様。 なお、捕獲可能MSは多いものの全部捕獲するときはWB1で下にいかせたアークエンジェルを連れ戻す手間がいる。 ターン数が多くなるのは覚悟しよう。 戦闘前会話 パイロット vsパイロット 発生数 備考 オルガ・サブナッククロト・ブエルシャニ・アンドラス 任意 1 オルガ、クロト、シャニが先攻 キラ・ヤマト 1 アスラン・ザラ 1 ナタル・バジルール マリュー・ラミアス 1 ラウ・ル・クルーゼ キラ・ヤマト 1 1 WB後 アスラン・ザラ 1 ムウ・ラ・フラガ 2 セルゲイ・スミルノフ 任意 1 セルゲイが先攻 キラ・ヤマトアスラン・ザラ 1 セルゲイが先攻 ソーマ・ピーリス 1 ソーマが先攻 シャア・アズナブル 1 シャアが先攻 グラハム・エーカー 1 グラハムが先攻
https://w.atwiki.jp/cfvg/pages/2222.html
ラストカード ギルティ シャドウパラディン - ヒューマン グレード〈3〉 ノーマルユニット (ツインドライブ!!) パワー 11000 / シールド - / クリティカル 1 自【V】【LB4】:[CB1-《シャドウパラディン》,あなたの《シャドウパラディン》のリアガードを2枚選び、退却させる]このユニットがアタックした時、コストを払ってよい。 払ったら、そのバトル中、このユニットのパワー+3000/クリティカル+1。 自【V】:あなたのターン中、あなたの《シャドウパラディン》のリアガードがドロップゾーンに置かれた時、そのターン中、このユニットのパワー+1000。 永【V/R】:盟主(共通するクランがないあなたのユニットがいるとアタックできない) フレーバー:それは常闇の剣、終焉の始まりを告げる刃。 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 弱いと思う 1 (100%) 2 使ってみたいと思う 0 (0%) 3 強いと思う 0 (0%) 4 面白いと思う 0 (0%) その他 投票総数 1 コメント
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16131.html
玄関の靴箱まであと数歩という距離にまで近付いた時、急に後ろから声を掛けられた。 聞き覚えのある声だった。 って、私と唯を知ってる人なんだから、その声に聞き覚えがあるのも当然なんだけど。 自分で自分に突っ込みながら振り返ってみると、そこに立っていたのは信代だった。 「あ、信代ちゃんだ! おひさー!」 久しぶりの同級生との再会が嬉しかったのか、唯が信代に駆け寄っていく。 唯が軽く手を上げると、信代も手を上げてお互いに軽く叩き合う。 当然、私も信代と久々に会えて嬉しかったんだけど、 それよりも信代が学校に居る事の方が意外で唯に一歩出遅れる形になってしまった。 それも仕方がないと言えば仕方ないと思う。 『終末宣言』の直後、誰よりも先に学校に来なくなったのは、この信代だった。 見る限りでは学校が嫌いなわけでもなさそうだったし、 友達を大切にする面倒見のいいタイプの信代が真っ先に学校に来なくなったのは、私としても気になるところだった。 もしかしたら、何かの暴動に巻き込まれて……、なんて嫌な想像もしていたくらいだったし。 携帯電話で連絡を取ろうかとも思ったんだけど、 もし繋がらなかったら、って思うと、情けないけどその一歩を踏み出せずにいた。 でも、とりあえずは元気そうな信代を見て、私は心の底から安心した。 親友と呼べるほど親しいわけじゃないけど、それでも同じクラスで友達なんだ。 無事でいてくれて、本当に嬉しかった。 唯と違い、その場で黙ったままの私の様子を不思議に思ったのか、信代が首を傾げながら言った。 「どうしたの、律? ひょっとして私と会えなくて寂しかったとか?」 心情を見透かされた気がして、私は目を逸らしながら、違うやい、と返してやった。 くそー、信代のくせに生意気な……。 悔しいからこのまま信代と唯を置いてムギを迎えに行こうかとちょっとだけ思ったけど、 やっぱり信代が今まで何をしていたのか気になって、私はその場から立ち去る事が出来なかった。 悔しがっている事が分からないよう声のトーンを少し変えて、結局、私は信代に訊ねてみる事にした。 「そんな事より本当にどうしたんだよ、信代。 急に学校に来なくなったと思ったら、いきなりそんな私服で学校に登校してきて。 色気づいて指輪なんかもしちゃってさ。校則違反だぞ、校則違反ー!」 学校外で会う事が少ないから、私は信代の私服姿をそんなに見た事がないからはっきりとは言えない。 だけど、今日の信代の私服姿は、妙に色っぽいというか艶っぽいというか、とにかく色気があった。 服自体はしまむらで見かけるような普通の服装なのに、どうにも輝いてる感じがする。 普段は私と同じく、可愛いのとか興味ない感じだったのにさ。 何だよー。さわちゃんにキラキラ輝く方法でも教えてもらってたのか? ひょっとしたら、この見慣れない信代の指輪の魔力とかだったりして。 この指輪をはめただけで志望校に合格、宝くじにも当たり、身長も伸びてお肌もツヤッツヤー! ホントもう次々と幸運が舞い込んで来て、今ではあの頃の悩みが嘘のように! なんてな。 特に左手の薬指にはめる事で幸運が舞い込む確率が更に倍とか? ……って、あれ? 左手? そんでもって、薬指……? えっ……? 「まあまあ、指輪くらいいいじゃん、りっちゃん。 いいなー。その指輪可愛いなー。その指輪、信代ちゃんが自分で買ったの?」 何も気付いていない唯が、羨ましそうに信代の指輪を見つめる。 私はと言えば固唾を呑んで、信代の次の言葉を待つ事しか出来なかった。 まさか……だよな? ラブリングとかそういうの……だよな? それはそれで、結構衝撃的ではあるんだけど。 そして、しばらく後、信代は照れた顔で頭を掻きながら、ある意味私の予想通りの言葉を言った。 「ははっ。校則違反は勘弁してよ。これ旦那から貰ったもんなんだからさ」 「えっ……? 信代……ちゃん……? 旦……那……?」 流石の唯でも事態が呑み込めてきたらしく、静かに深刻に信代に訊ねていた。 唯の質問に答えるために、ゆっくりと信代が口を開く。 その瞬間、もう確定している、と私は思った。 これから信代はもう確定している事を口にするだけだ。 それを私は分かっている。何を言うかも分かっている。分かり切っている。 だから、私は驚かないようにしよう。 これから多分叫ぶ唯を、大声で叫ぶな、と説教する役に徹しよう。 大丈夫。私は冷静だ。今更、信代の言葉なんかに驚かない。 私はクールに定評のあるりっちゃんだ。 しまった。 唯を説教するつもりが私も唯と一緒に一緒に叫んでしまった。 でも、それも仕方が事だった。 会話の流れからある程度予想してはいたけど、実際本人の口から聞くとやっぱり衝撃的だ。 これまでそんな素振りを全然見せなかった信代が結婚なんていきなり過ぎだろ。 「何? 私が結婚した事がそんなに意外?」 怒ってる様子じゃなく、普段見せる豪快な笑顔で冗談交じりに信代が言った。 さっきの私達の反応は失礼だったかもしれないけど、信代はそんな事なんか全然気にしていないみたいだった。 凄い余裕だ。 まさかこれが主婦の余裕ってやつか? 「いや、意外っつーか……。何つーかさ……」 私は頬を掻きながら言葉を探してみたけど、中々いい言葉が見つからなかった。 何て言うべきなんだろう。 友達が結婚した事自体が初体験なんだ。 この様子を見る限り、信代の結婚は嘘とか冗談じゃないみたいだし。 やっぱりこういう時は笑顔で祝福するのが正しい反応なんだろうか。 いや、それだと普通過ぎるから、少し冗談交じりに反応するべきなのか? あー、分からん! そうして私が悩んでいると、私が何を言うより先に唯が信代の両手を握って微笑んだ。 「凄いね、信代ちゃん! おめでとう!」 「ははっ、ありがとう、唯」 そう言って、いつも豪快な信代が照れた表情ではにかむ。 そうか。唯の反応が正解だったのか。 私はつい一人で感心して頷いてしまう。 前から思ってるんだけど、こういういざという時の唯の行動は間違いがない。 物怖じもしなくて、感じるままに行動してるだけなんだけど、 そんな風に単純だからこそ、正解までの最短距離を見つけられてるって感じだ。 私もそんな唯の単純さを見習う事にした。 「うん、そうだな。結婚おめでとう、信代。 先を越しやがってー。こいつめー!」 言いながら、信代に駆け寄って肩を軽く叩いてやる。 本当はチョークスリーパーを仕掛けてやりたかったんだけど、 私と信代の身長差じゃ信代にチョーキングを仕掛けるのは無理があった。 「律もありがとう。 私なんかあんた達みたいに可愛くないから、先に結婚しちゃって申し訳ないね」 「お、言うようになったな、こいつー!」 私が笑いながら何度も肩を叩くと、信代は更に気持ちいいくらいはにかんだ。 その笑顔は本当に眩しくて、信代だって十分可愛いよ、と私は思った。 確かに信代は体格もよくて、女子高生って言うより肝っ玉母さんみたいだけど、 それでもその笑顔や照れた仕種は女の私から見ても本当に魅力的だった。 会った事もない人だけど、信代の旦那さんも信代のそんなところに惹かれたんじゃないかな、と何となく思う。 「ねえねえ」 信代の手を取ったままの唯が、聞きたくて仕方がないといった素振りで信代に訊ねた。 「信代ちゃんの旦那さんって一体誰なの? 私達の知ってる人? 年上? 年下? ねえねえ、教えてよー」 信代より年下だと日本の法律では結婚出来ないんだが……。 突っ込もうかと思ったけど、今それを言うのも何だか無粋な気がした。 私はその唯の言葉をスルーして、信代の返事を待つ事にする。 「三歳年上だよ。幼馴染みの腐れ縁でさ。 元々、旦那が大学を卒業したら結婚するつもりだったんだけど、こんな状況だしね。 今の内にって事で、一ヶ月前に婚姻届けを出したんだ。 受け付けしてないんじゃないかと思ってたけど、意外と役所も開いてて律儀なおじさんが受理してくれたんだよ。 ちゃんと戸籍にまで反映されてるかは分かんないけど、でも、受け取って貰えただけでも気分的に嬉しかったな」 ほんの少し顔を赤くして、信代が語ってくれた。 本当に嬉しそうに。 幼馴染みか……。 一瞬、私の頭の中に澪の顔が浮かんだ。 他に幼馴染みがいないわけじゃないけど、私にとって一番近い幼馴染みはやっぱり澪だった。 傍に居なくちゃいけない。居て当たり前の私の幼馴染み。 勿論、そんな事を本人に伝える事はないだろうけど。 と言うか、伝えたらあいつの中の感情が一周回って「恥ずかしい事を言うな!」と逆に殴られそうな気がする。 あいつに殴られ慣れているせいか、どうしてもそんな気がする。 非常にそんな気がする。 私の思い過ごしならいいんだけど……。 「おー! 幼馴染み! いいなー! 私も幼馴染み欲しいなー」 そうやって声を上げたのは、勿論唯だった。 私と違って、唯の方は自分の幼馴染みを思い浮かべなかったらしい。 おいおい。この事を知ったら、和泣くぞ。 いや、泣く……かな? どうにも和には何かで泣くイメージが無いな。 和の事だから、冷静に何も聞かなかった事にするだけのような気がするし。 それはそれで長い付き合いの幼馴染みの姿ではあるんだろうけど。 「だけど、水臭いぞ、信代ー。 幼馴染みと付き合ってるなんて、一言も言ってなかったじゃんかよー」 私が頬を膨らませて言ってやったけど、それでも信代は穏やかな表情のままで続ける。 「ごめんって。聞かれなかったし、自分から言うのも何か恥ずかしくってさ。 大体、嫌じゃん? 聞いてもないのに自分から彼氏が居るって言い出す奴って」 それは確かに嫌だな……。 信代から見ても嫌そうな顔をしていたんだろう。 苦笑しながら、信代は話題を変えた。 「でも、こんな時期だからって、本当はこんなに急いで結婚するつもりじゃなかったんだ」 「え? そうなのか?」 私が信代の顔を覗き込みながら訊ねると、軽く信代は頷いた。 頷いたその信代はこれまでの照れ臭そうな笑顔じゃなくて、 そうだな……、何て言うんだろう……、 何かを懐かしそうに考えているみたいな……、『郷愁』……だっけ? とにかくそんな静かで優しい表情をしていた。 「卒業したら進路はどうするつもりか、確か唯には話した事あったよね?」 「うん、覚えてるよ。酒屋さんのお手伝いだよね?」 信代が訊ねると、間髪入れずに唯が自信満々で応える。 てっきり「そうだっけ?」と首を捻るもんだと思ってたんだけど、 意外に覚えてる事は覚えてるんだな、と私は唯の記憶力に感心した。 と言うか、普段から私と唯自身の言った事も覚えておいてくれると助かるんだけどさ。 とにかく、その信代の進路については私も知っていた。 信代自身から直接聞いた事はないけど、 信代の家が酒屋だって事は聞いた事があるし、 卒業後はそこを手伝うらしいという話も、又聞き程度で聞いた事はあった。 「先月に『終末宣言』があったじゃん。 それでさ、私はこれからどうしたいのか考えたんだよ。 これからどうなるか分からないし、 テレビで言ってる通りなら一ヶ月半後には死んじゃうわけだし」 死んじゃう。 何気なく言ったんだろうその信代の言葉に、少しだけ私の心臓が高鳴る。 だけど、それを顔に出さないように、黙って信代の言葉の続きを私は待つ。 今はまだ、誰かが死ぬとか自分が死ぬとか、そういう事を考えたくなかったから。 「それで単純だけど、私はやっぱりうちの酒屋を手伝いたいって思ったんだ。 欲を言うと日本一の酒屋になりたかったんだけど、流石にこんな短期間じゃね……。 でもさ、だったらせめて少しでも日本一の酒屋に近付いてやりたくってさ。 それで長いこと、学校に来てなかったんだよ。 ずっと家で酒屋の仕事をやっててさ。大変だけど、とてもやりがいがある仕事なんだ。 こんな時期でも、うちの常連の飲んだくれのおっちゃんとかが毎日来るしね。 どんだけ飲むんだよー、って感じだけどね」 「信代ちゃん、カッコイイ!」 茶化すわけではなく、本気の表情で唯が拍手していた。 釣られて私も拍手してしまう。 唯の言うとおり、そう語った信代の姿は本当にかっこよかったから。 少なくとも、色んな事を考えないようにしてる私より数十倍は。 ……って、そんな卑屈になってる場合でもないか。 私は頭を振って気を取り直して、信代に話の続きを催促する事にした。 卑屈になる事はいつだって出来るからな。そういうのは一人ぼっちの時にするべきだ。 「それで信代? 酒屋さんの手伝いをしてたのは分かったけど、 結婚するつもりはなかったってのはどういう事なんだ? 何か旦那さんに不満でもあったのか?」 そう私が訊ねると、また顔を赤くして信代が笑った。 「いやいや、旦那に不満なんてないよ。 そもそも私を嫁に貰ってくれるだけで感謝ですよ。 小さい頃から、嫁の貰い手があるかお父さんにはよく心配されてたからね」 「じゃあ何で?」 「まだ結婚する前の旦那にさ、 学校を辞めてうちの酒屋を手伝いたいって伝えたんだ。 少しでも酒屋って仕事を経験しておきたいって。 そうしたら、あいつ、言ってくれたんだよ。 『俺もお前と酒屋をやる。お前のやりたい事が俺のやりたい事だ』ってさ。 気障だよね。言ってて自分で恥ずかしいよ」 確かに気障だった。 気障で気恥ずかしいけど、素敵な話だった。 信代はそういう最後の時まで一緒に居られる相手を見つけられたって事なんだ。 それはとても素敵な話だ……、けど、つい私の背中が痒くなってしまっていたのは内緒だ。 いや、分かってはいる。 分かってはいるんだけど、そういう気障な話とかメルヘンな話とかはどうにも痒くなる。 それは私の持って生まれた性格で、どうにも変えようがないんだよなー。 申し訳ないけど、この辺は本当に勘弁して頂きたい。 だけど、羨ましかったのも確かかな。 私にも最後の瞬間まで一緒に居たい誰か、居てくれる誰かは出来るんだろうか。 その時、またも一瞬浮かんだのは澪の顔だった。 我ながら色気無いな、と思いながらも、澪だったらどうだろうと私は考える。 澪なら最後まで居てくれる……とは思うけど……、いや、多分……。 腐れ縁の関係ではあるけど、あいつも私と一緒に居たいとは思ってくれているはず。 それが世界の最後までかどうかは分かんないけど、少なくとも私の方はまだあいつと離れたくなかった。 でも、もし……。 もしもあいつが誰か違う人と一緒に居たいと言い出したら、 私は気持ち良くあいつを送り出してやる事が出来るだろうか……? それはまだ、考えても仕方がない事だけどさ。 と。 「信代ちゃん、いいなー。私も結婚したいなー」 そんな私の思いに完全に気づいてないだろう唯が信代に向けて憧れの眼差しを向けていた。 やっぱりこいつの方はずっと変わらないんだな。 「はいはい。 唯ちゃんは結婚するよりも先に彼氏を作りまちょうねー」 からかう感じで私が言ってやると、 唯はまた頬を膨らませて「りっちゃんだってそうじゃん」と呟いた。 それはそれとして、そんな変わらない唯の姿にとても安心している私が居た。 色んな事が変わっていく。 世界も、人も、終わりに向けて変わっていく。 それは多分、必要な事なんだろうけど……。 でも、変わらない誰かが居てくれるってのは、何だかとても嬉しかった。 「それでさ」 急にまた信代が続ける。 私は苦笑して唯を見ながら、信代の言葉に耳を傾けた。 「そんな感じであいつがうちを手伝ってくれる事になったんだ、それも住み込みでさ。 もうこの際だから、入籍して夫婦で酒屋を盛り上げようって事になってね。 それでずっとうちを手伝ってて忙しくてさ、つい皆に連絡を取り忘れてたんだよ。 律も唯もごめんね」 私は軽く頭を振って、いいよ、とまた信代の肩を叩く。 そういう事情なら怒るに怒れないじゃないか。 そもそも怒ってたわけでもないけどさ。 「でも、今日はどうにか時間が出来たから、学校に来てみる事にしたんだ。 しばらく皆と会えてなかったし、それに……」 「それに……?」 私が先の言葉を催促すると、何処か寂しそうな顔で、でも、何かを決心した顔で、信代は言った。 あくまで明るく、いつも通りの肝っ玉の太い信代の声色で。 「今日はお別れの言葉を伝えに来たんだよ。 友達とか、先生とかにさ。もう皆と会えるのも最後かもしれないからね」 そんな今生の別れでもあるまいし、と私は明るく軽口を叩こうと一瞬考えたけど、やめた。 そうだったな。 本気で今生の別れになるかもしれないんだよな。 もう、そんな時期なんだよな……。 ほんの少しの沈黙。 唯も少し視線を落として、何となく寂しそうに見える。 私も何を言えばいいのか分からなくて、どうしようかと少し迷ったけど……。 それでも私は信代の背中側に周って、背中から飛び付いてチョーキングの体勢を取っていた。 信代もちょっと驚いたみたいだったけど、私を振り落としたりはしなかった。 やっぱりと言うべきなのか、その体勢はチョーキングと言うより、 私が信代におんぶされてるみたいになってて、それを見てた唯が軽く笑った。 「あはは。二人とも何やってんのー?」 「いやいや、私は何もやってないし。律が勝手に飛びついて来ただけだよ」 「うるへー。考えてみりゃ、信代にチョークスリーパー掛けた事無かったからな。 折角だから、存分に味わっとけい!」 「うわ、無茶苦茶だ」 顔は見えないけど信代が苦笑したらしく、 信代の背中越しに見えた唯もそれに釣られてまた笑っていた。 私も多分笑っていた。 その顔は三人とも寂しさを含んではいただろうけど、今出来る最高の顔だったと思う。 そうして一分くらい信代の背中におんぶされて、 私は存分に信代をチョーキングしてから身体を離した。 唯の隣に戻って、信代の表情をうかがってみる。 ずっと私をおんぶしていたのに、信代は疲れた様子を全然見せずに笑っていた。 流石は信代。桜高最強の女(多分)。 「さてと……」 3
https://w.atwiki.jp/genz/pages/707.html
更新履歴 部品構造 部品定義部品 EV116生還記念の懐中時計 部品 犬の印章 部品 機械式懐中時計 部品 開閉式の表蓋 部品 幸運の弾除け 部品 恩寵の時計の流用実績 提出書式 インポート用定義データ 更新履歴 2017/8/18 流用実績部品を追加しました。 2017/8/19 竜宮・司@詩歌藩国様の流用実績を追加しました。 2017/8/20 黒霧@土場藩国様の流用実績を追加しました。 2017/8/20 城 華一郎@レンジャー連邦様の流用実績を追加しました。 部品構造 大部品 恩寵の時計 RD 6 評価値 4部品 EV116生還記念の懐中時計 部品 犬の印章 大部品 懐中時計 RD 3 評価値 2部品 機械式懐中時計 部品 開閉式の表蓋 部品 幸運の弾除け 部品 恩寵の時計の流用実績 部品定義 部品 EV116生還記念の懐中時計 A世界シーズン1イベント116「第2波」火星沖艦隊戦の戦勝記念品。ネックストラップのついた懐中時計。お洒落である。なお、再生産はしなく、プレミアもついてるという。 部品 犬の印章 表蓋に可愛らしい犬をモチーフにしたデザインがなされている。大変可愛いと評判で、ふとした時に取り出すとつい笑顔になる。 部品 機械式懐中時計 電池などの動力を使わず、バネやゼンマイ、歯車の構造で動き続ける仕組みを利用した懐中時計。数年に一度のメンテナンスは必要となるが、概ね正確に時を刻み続ける。 部品 開閉式の表蓋 アナログ時計の文字盤はガラスで保護しているが、それ自体割れやすいため、更にそれを保護するために表蓋が付いている。竜頭の先にボタンがついており、そこを押すとパカッと開く仕組みになっている。精緻な細工が施されていることが多く、インテリアとして使用することもある。 部品 幸運の弾除け 懐中時計というだけあり、左胸のポケットにしまうことが多い。心臓の位置に近いことから、銃弾よけ…… のお守り程度に使用している人もいる。 部品 恩寵の時計の流用実績 このアイドレスは利根坂凪巳@無名騎士藩国によって製作された流用可能アイドレスです。 竜宮・司@詩歌藩国さんの【竜宮・司・ヒメリアス・ドラグゥーン】に流用されました。 黒霧@土場藩国さんの【図書館を得た後の黒霧】に流用されました。 城 華一郎@レンジャー連邦さんの【城 華一郎】に流用されました。 提出書式 大部品 恩寵の時計 RD 6 評価値 4 -部品 EV116生還記念の懐中時計 -部品 犬の印章 -大部品 懐中時計 RD 3 評価値 2 --部品 機械式懐中時計 --部品 開閉式の表蓋 --部品 幸運の弾除け -部品 恩寵の時計の流用実績 部品 EV116生還記念の懐中時計 A世界シーズン1イベント116「第2波」火星沖艦隊戦の戦勝記念品。ネックストラップのついた懐中時計。お洒落である。なお、再生産はしなく、プレミアもついてるという。 部品 犬の印章 表蓋に可愛らしい犬をモチーフにしたデザインがなされている。大変可愛いと評判で、ふとした時に取り出すとつい笑顔になる。 部品 機械式懐中時計 電池などの動力を使わず、バネやゼンマイ、歯車の構造で動き続ける仕組みを利用した懐中時計。数年に一度のメンテナンスは必要となるが、概ね正確に時を刻み続ける。 部品 開閉式の表蓋 アナログ時計の文字盤はガラスで保護しているが、それ自体割れやすいため、更にそれを保護するために表蓋が付いている。竜頭の先にボタンがついており、そこを押すとパカッと開く仕組みになっている。精緻な細工が施されていることが多く、インテリアとして使用することもある。 部品 幸運の弾除け 懐中時計というだけあり、左胸のポケットにしまうことが多い。心臓の位置に近いことから、銃弾よけ…… のお守り程度に使用している人もいる。 部品 恩寵の時計の流用実績 このアイドレスは利根坂凪巳@無名騎士藩国によって製作された流用可能アイドレスです。 竜宮・司@詩歌藩国さんの【竜宮・司・ヒメリアス・ドラグゥーン】に流用されました。 黒霧@土場藩国さんの【図書館を得た後の黒霧】に流用されました。 城 華一郎@レンジャー連邦さんの【城 華一郎】に流用されました。 インポート用定義データ [ { "id" 1315, "title" "恩寵の時計", "description" null, "part_type" "group", "created_at" "2017-08-20 01 59 26.230482", "updated_at" "2017-08-20 01 59 26.230482", "character_id" "75", "children" [ { "id" 1316, "title" "EV116生還記念の懐中時計", "description" "A世界シーズン1イベント116「第2波」火星沖艦隊戦の戦勝記念品。ネックストラップのついた懐中時計。お洒落である。なお、再生産はしなく、プレミアもついてるという。", "part_type" "part", "created_at" "2017-08-20 01 59 26.232796", "updated_at" "2017-08-20 01 59 26.232796", "character_id" "75", "children" [] }, { "id" 1317, "title" "犬の印章", "description" "表蓋に可愛らしい犬をモチーフにしたデザインがなされている。大変可愛いと評判で、ふとした時に取り出すとつい笑顔になる。", "part_type" "part", "created_at" "2017-08-20 01 59 26.244653", "updated_at" "2017-08-20 01 59 26.244653", "character_id" "75", "children" [] }, { "id" 1318, "title" "懐中時計", "description" null, "part_type" "group", "created_at" "2017-08-20 01 59 26.252289", "updated_at" "2017-08-20 01 59 26.252289", "character_id" "75", "children" [ { "id" 1319, "title" "機械式懐中時計", "description" "電池などの動力を使わず、バネやゼンマイ、歯車の構造で動き続ける仕組みを利用した懐中時計。数年に一度のメンテナンスは必要となるが、概ね正確に時を刻み続ける。", "part_type" "part", "created_at" "2017-08-20 01 59 26.253278", "updated_at" "2017-08-20 01 59 26.253278", "character_id" "75", "children" [] }, { "id" 1320, "title" "開閉式の表蓋", "description" "アナログ時計の文字盤はガラスで保護しているが、それ自体割れやすいため、更にそれを保護するために表蓋が付いている。竜頭の先にボタンがついており、そこを押すとパカッと開く仕組みになっている。精緻な細工が施されていることが多く、インテリアとして使用することもある。", "part_type" "part", "created_at" "2017-08-20 01 59 26.260476", "updated_at" "2017-08-20 01 59 26.260476", "character_id" "75", "children" [] }, { "id" 1321, "title" "幸運の弾除け", "description" "懐中時計というだけあり、左胸のポケットにしまうことが多い。心臓の位置に近いことから、銃弾よけ…… のお守り程度に使用している人もいる。", "part_type" "part", "created_at" "2017-08-20 01 59 26.26724", "updated_at" "2017-08-20 01 59 26.26724", "character_id" "75", "children" [] } ], "expanded" true }, { "id" 1322, "title" "恩寵の時計の流用実績", "description" "このアイドレスは利根坂凪巳@無名騎士藩国によって製作された流用可能アイドレスです。 \n竜宮・司@詩歌藩国さんの【竜宮・司・ヒメリアス・ドラグゥーン】に流用されました。\n黒霧@土場藩国さんの【図書館を得た後の黒霧】に流用されました。\n城 華一郎@レンジャー連邦さんの【城 華一郎】に流用されました。", "part_type" "part", "created_at" "2017-08-20 01 59 26.281284", "updated_at" "2017-08-20 01 59 26.281284", "character_id" "75", "children" [] } ], "expanded" true } ]
https://w.atwiki.jp/clocksumata/pages/19.html
グッとガッツポーズしただけでスマタが10回入った スマタ一つで50人以上の信者を3日以内に生み出した 霊力的に大丈夫だろうと相手が油断したところに攻撃読んでカウンターで5000は日常 湾岸戦争が始まったきっかけは時計さんのスマタ 時は200X年、世界はスマタの炎に包まれた 試合が終了してもスマタで死体殴りのファンサービス 1R目が始まるよりスマタを出すほうが早かった 時計さんが「スマタ」と言うだけで国を動かせる スマタのスペカを見た瞬間に相手は死ぬ 時計さんがホストをすると威圧感で誰も入れない スマタだけで街一つをまるごと飲み込んだ 宇宙から見える唯一のスマタ 全一の人にも楽々とスマタをしていた キャラ選択だけで相手プレイヤーが泣いて喜んだ、心臓発作を起こすプレイヤーも 時計さんは、いつも上手い魔理沙動画を羨ましく眺めるVEランクの少年をPhスマタうどんげ使いに育てあげたことがある あまりにスマタが決まるので最初から相手がダメージ受けてた時期も 2試合連続スマタKOは「今日はカレーが食べたい」という暗号 病気の子供にスマタを約束 対戦をしてない休憩中でも2スマタ 他の兎使いがスマタをする場合は時計さんの許可が事前に必要 時計さんが落ちてきたリンゴにスマタして万有引力を発見したのはあまりにも有名 冥王星が太陽系から外れた原因は時計さんのスマタ 1Rに5スマタは当たり前、1Rに8スマタすることも 時計さんは動物占いで狼、まさに兎の皮を被ったケダモノである 広辞苑で「スマタ」と引くと載ってる 時計さんが街中で生スマタを披露したら見てた人が全員信者になった 学校の特別教師として子供たちにスマタを披露、PTAまでもが絶頂した スマタがコマンド技だったりB射がスマタだったりすることもある
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16145.html
○ 朝、軽音部の部室で私は一人座っていた。 ほんの少し曇っているけど、雨は降りそうにない空模様を私は見上げる。 太陽にたまに雲が掛かる程度のよくある天気。 確か数日前に天気予報で聞いた限りでは、世界の終わりの日まで雨は降らないらしい。 雨が好きなわけじゃないけど、もう体験できないと思うと何だか名残惜しかった。 でも、空模様に関しては私には何もできない。 何となく溜息を吐くけど、別に憂鬱ってわけでもない。 ただちょっと寂しかっただけだ。 それにできない事を考えていても仕方が無かった。 私にできない事はいくらでもある。 多分、できる事よりもできない事の方が遥かに多いだろうな。 でも、そんな事より、今の私にできる事を考えるべきだろう。 それは憂ちゃんのためでもあるけれど、それ以上に私のためでもあるんだから。 夜、話が終わり、和と一緒に家に帰る直前、 「梓ちゃんの事、助けてあげてください」と憂ちゃんは言った。 唯の事が大好きだけど、唯の事ばかり考えてるわけじゃない。 憂ちゃんはちゃんと友達の事にも目を向けられる子だ。 だから、自分が唯と二人で過ごすのが申し訳なくて、嬉しくて辛かったんだろう。 私の家に来る前、憂ちゃんが梓の家を訪ねた時、 頭を下げる憂ちゃんに梓は笑顔で答えたらしい。 「大丈夫だから」と。 「でも、唯先輩がいなくて、 全員が揃わない中で律先輩がちゃんと練習するか心配だな」と。 普段と変わらない様子と口調で笑っていたらしい。 泣きそうな顔で、笑っていたらしい。 梓の親友の憂ちゃんにも、その梓の表情をどうにかする事は出来なかった。 本当に大丈夫なのか、 悩み事があったら何でも言ってほしい、 そんな事を何度伝えても、梓は微笑むだけ。 今にも泣き出しそうな顔で微笑むだけ。 軽音部の皆にも、親友にも、誰にも、本心を見せずに辛そうに笑うだけ。 そんな梓を見て、憂ちゃんは一日も唯を独占してしまう自分に罪悪感を抱いてるみたいだった。 心の底から唯を必要としてるのは梓じゃないかと思うのに、 憂ちゃん自身も唯から離れたくないし、 唯と最後に一緒に過ごせる一日がどうしようもないくらいに嬉しくて……。 だからこそ、罪悪感ばかりが膨らんでいるみたいだった。 でも、それは憂ちゃんが悪いわけじゃない。 唯が悪いわけでもない。 唯だって梓の異変には気付いていた。 梓の悩みを何とかしてあげたいと考えていた。 だけど、梓は自分の悩みを一言も口にしなかったし、 その気遣い自体を誰にもしてほしくないみたいに見えた。 梓がそう振る舞う以上、 唯には何もできないし、憂ちゃんにも、誰にも何もしてあげられない。 どんなに辛い事でも、口にしない限りは他人には何もしてあげられないんだから。 それで迷った末に唯はこの水曜日って中途半端な時に、憂ちゃんと過ごす事に決めたんだと思う。 梓の悩みを解決したいとは勿論、思ってる。 でも、梓の悩みはいつになれば解決するのか分からないし、 下手をすれば世界の終わりの時に至っても解決する事はないかもしれない。 だから、その前に妹と過ごしたいと考えたんだ。 梓の事も大切だけど、妹の憂ちゃんの事だって同じくらい大切だからだ。 それに憂ちゃんと過ごすのが水曜日だけなら、 まだ木、金曜、土曜日と三日間を梓のために使えるから。 それで水曜日を選んだんだ。 いや、本当にそこまで考えてたのかどうかは分からないけど、 私の中では唯はそういう事を考えて行動する奴だった。 きっとそうなんだろうと思う。 だから、悪いのは梓なんだ。 自分の抱えている何かを隠し通そうとする梓が一番問題なんだ。 どんなに辛くても、恐くても、誰かに伝えるべきなんだ。 私に何ができるかは分からないけど、それでも伝えてほしかった。 例えその悩みが人の生死に関わるような重大な問題でも……。 それを想像すると震えてしまうくらいに恐いけど……。 だけど、それでもいいと思う。 そんな問題を梓が抱えてるとしても、私はそれを梓の口から聞きたい。 最後に部長として梓のために何かできるんだったら、私はそうしたいんだ。 困った後輩を持って災難だよな、まったく。 でも……。 「部長だからな」 自分に言い聞かせる。 そうだ。 私が部長。五人だけの部だけど、部長は部長だ。 それにドラマーでもある。 皆の背中を見ながら、何かを感じ取れるパートでもあるんだからな。 そういや前に唯が言ってたっけか。 「大丈夫。りっちゃんならできる。 部長だし、お姉ちゃんだし、ドラマーだし!」って。 何の保障にもなってないし、何の説明にもなってないけど、 それでも何かができそうな気になってくるから不思議だ。 よし、と私は一人で拳を握り締めて頷く。 と。 急に何の前触れもなく軽音部の扉が開いた。 「おはよう。早いね、りっちゃん」 自分だけでなく、周りまで優しい気分にさせてくれる声色が部室に響く。 顔を上げて確認するまでもなく、それはムギの声だった。 いや、そもそも何の前触れもなく扉が開いた時点で、 部室に来た人の選択肢はムギかさわちゃんの二人に絞られてたけどな。 足音も立てずに部室にやってくるのはこの二人くらいだ。 二人とも神出鬼没なんだよなあ……。 まあ、ムギの方はお嬢様的な教育か何かで、 足音を立てないよう歩く練習をしているとしても(勝手な推測だけど)、 さわちゃんの方はマジでどうやって足音も立てずに現れてるんだろうか。 ……別にどうでもいい事だった。 私は顔を上げてムギの顔を見つめ、「おはよう、ムギ」と言った。 部室に入ったムギは長椅子に自分の鞄を置きに行く。 私はムギに気付かれないよう、少しだけ微笑んだ。 ひとまずは安心した。 下手をすれば、今日は誰も軽音部に来ないかもと思わなくはなかったんだ。 憂ちゃんの話では、唯が来なくても梓は登校して来るつもりみたいだったけど、 それにしたってちゃんとした確証がある話じゃないしな。 だから、嬉しかった。 ムギが部室に顔を出してくれた事が、私は本当に心から嬉しい。 「ムギと部室で二人きりってのも珍しいよな」 胸の中だけでムギに感謝しながら私が言うと、 鞄を置き終わったムギが顔を上げて応じてくれた。 「そうだね。りっちゃんと二人きりなんて、何だかとっても久し振り。 ひょっとしたら、夏に二人で遊んだ時以来じゃないかな?」 「そうだっけ?」 夏に二人で遊んだ時……、確か夏期講習が始まる前日くらいの事だ。 まだ四ヶ月くらいしか経ってないはずなのに、随分と前の出来事の様な気がする。 『終末宣言』以来、この一ヶ月半、本当に色んな事があった。 世界が終わるなんて夢にも思わなかった事が現実になったし、 変わらないと思ってた私と澪の関係も、今更だけど大きく動き出そうとしている。 目眩がしそうなくらい多くの事があった。 でも、それも終わる。もうすぐ終わる。 その終わりがどんな形になるかは分からないけど、 少なくとも最後のライブだけは私達の結末として成功させたい。 ……ムギはどうなんだろうか? 不意に気になって、私の胸が騒いだ。 そうやって人の考えが気になってしまうのは、私の悪い癖かもしれない。 でも、考え出すとどうにも止まらなかったし、胸の鼓動がどんどん大きくなった。 琴吹紬……、ムギ。 合唱部に入ろうとしてたところを私が引き止めて、軽音部に入ってもらったお嬢様。 キーボード担当で、放課後ティータイムの作曲のほとんどを任せてる。 いつも美味しいお茶とお菓子を振る舞ってくれて、 それ以外にも合宿場所とか多くの事で助けになってくれる縁の下の力持ち。 実際にもキーボードを軽々と運べる力持ちでもある。 『終末宣言』直後から、ムギが軽音部に顔を出す事は少なくなった。 深く踏み込んで聞いた事はないけど、どうも家の事情が関係しているらしい。 世界の終わりが間近になったと言っても、いや、間近だからこそ、 名家と言えるレベルのムギの家にはやるべき事がたくさんあったみたいだ。 眉唾な話だけど、人類存続のためにそれこそSF的な対策への協力も行われたんだとか。 人類の遺伝子を地下深くに封印するとか、 超強力なシェルターを急ピッチで開発したりとか、 できる限り多くの人達を宇宙ステーションに避難させてみたりとか、 とにかくムギの家はそういう冗談みたいな世界の終わりへの対抗策に追われていたらしい。 家族思いのムギはこの約一ヶ月のほとんどを、 それらの対抗策に追われる両親の手伝いをする事で過ごしてたみたいだ。 「心配しないで」と月曜日に久し振りに会えたムギは言った。 「これからはずっと部活に顔を出せるから」と笑ってくれた。 家の事情で大変だったはずなのに、 登校するのもやっとの状況のはずなのに、 ムギは疲れを感じさせない笑顔でそう言ってくれた。 それ以来、ムギは一日も欠かさずに登校して来てくれている。 対抗策が成功したのかどうかは聞いてない。 国もやれる事はやったみたいだけど、それ以上の事はムギも分からないみたいだった。 まあ、名家とは言え、ムギの家も協力程度で深くは関わってないんだろうし、 もしも対抗策が成功していたとしても、庶民の私達には多分関係ない事だろう。 だから、それに関してはそれ以上の話をしない。 聞いたところで、ムギが困るだけだろうしな。 そんな事よりも、私はムギが登校してくれる事の方が嬉しかった。 それだけで十分だ。 それに最後のライブなんだけど、ムギは誰よりも成功させたいと思ってる気がするんだ。 家の手伝いをしている時でも、メールで澪のパソコンに新曲の楽譜を送って来てくれてたし、 久し振りに合わせたセッションでも全くブランクを感じさせなかった。 きっと時間を見ては練習をしてくれてたんだろう。 今でこそ何としても成功させたいと私も思ってるけど、 憂ちゃんと話すまではムギほど最後のライブに熱心じゃなかった。 軽い思い出作り程度にしか考えてなかったんだ。 考えてみれば、ムギは『終末宣言』前から軽音部の活動に本当に熱心だった。 いつも一生懸命に楽しんで、練習も、練習以外も楽しそうで、 そんなムギの楽しそうな姿が私には嬉しかった。 それだけで軽音部を立ち上げた甲斐があったって思えるくらいに。 私達の軽音部が、この五人の音楽が一番なんだって思えるくらいに。 だから、私はムギに訊ねる。 五人揃っての放課後ティータイムの今と先を考えるために。 「ムギは私と二人で寂しかったりしない?」 持って回った言い方だったかもしれない。 でも、それ以上の言葉は思い付かなかったし、 思い付いたとしても口に出しては言えなかっただろう。 ムギは自分の椅子の前まで移動しながら、私の言葉に首を傾げる。 「どうして? 私、寂しくなんかないよ? どうして、そんな事を聞くの?」 「いや……、折角家の用事も終わって、 部活に顔を出してくれてるのに、今日は全員揃えないじゃんか。 一番忙しいムギが参加してくれてるのに、何か悪いなって思ってさ」 私が頭を掻きながら言うと、ムギがまた微笑んだ。 優しい笑顔で、「心配しないで」と言ってくれた。 言葉自体は最近梓が泣きそうな笑顔で言う物と同じだったけど、 ムギのその言葉は梓の言葉とは優しさとか、想いとか、色んな物が違う気がした。 「大丈夫よ、りっちゃん。 勿論、今日唯ちゃんと会えないのは残念だけど、それは仕方の無い事だもの。 私だってずっと部活に来れなかったじゃない? そんな事で唯ちゃんを責めたりしないし、それならむしろ責められるのは私の方。 ずっと出て来れなくて、私の方こそごめんね、りっちゃん……」 自分の椅子に手を置きながら、 それでも自分の椅子に腰を下ろさないままで、ムギが困ったように笑った。 困らせないようにしようと思っていたのに、 結局は私の行動がムギを困らせてしまったみたいだ。 私は自分の馬鹿さ加減に大きく溜息を吐いて、椅子から立ち上がった。 ムギが立って謝ってくれてるのに、私だけ座ったままじゃいられなかった。 立ち上がって目線をムギと合わせて、私は真正面からムギに頭を下げた。 「謝らないでくれよ、ムギ。 こっちこそ変な事を言っちゃったみたいでごめんな。 だけど、気になったんだ。 唯もそうなんだけど、今日は……、澪も来ないからさ」 今日は澪も来ない。 それはとても言いにくい事だったけど、伝えないわけにもいかなかった。 「澪ちゃんも? 何かあったの?」 ムギが残念そうな声を上げる。 昨日、唯はムギの家に行った後、澪の家を訪ねたと憂ちゃんが言っていた。 例え澪が唯に今日登校しない事を伝えていたとしても、 それが唯からムギに伝える事は時間的にもできなかったんだろう。 結局、夜から携帯電話の電波も、ラジオ電波も、 それどころかテレビ回線と家の電話の電話回線も切れていて、復旧されていなかった。 連絡手段が無い私達は、お互いの出欠確認もままならなかった。 信じるしかなかったんだ。皆で交わした約束を。 部室に集まるって約束を。 だからこそ、私はムギの顔を見るのがとても恐かった。 唯も澪もいない軽音部に、ムギはがっかりしてるんじゃないだろうか。 約束を果たせなかった軽音部に、少なからず失望してるんじゃないだろうか。 しかも、それは澪が悪いわけでも、唯が悪いわけでもない。 この場合、梓だって悪くない。 梓に嫌われてると思えて仕方なくて、梓の悩みから逃げ出した私が無力だったんだ。 今日、全員が揃えない責任は全部部長の私にある。 だから、私はムギの顔を見られないんだ。 「ごめんな……」 顔を上げられないまま、私は絞り出すようにどうにか言葉を出した。 「澪に何かあったんじゃない。 澪が来ないのは私のせいなんだ。 こんな状況なのに、もう時間も残り少ないのに、 それでも答えが出せなくて、悩まずにはいられない私の責任なんだ。 本当にごめん……」 実を言うと、澪の件に関しては私の中で一つの答えが固まりつつあった。 今からでもそれを澪の家に行って伝えたなら、 もしかすると澪の悩みは晴れるのかもしれない。 今日の昼過ぎからでも、登校して来てくれるかもしれない。 だけど、私はそれをしたくなかった。 それを澪に伝えるのが恐いって事もあるけど、 曖昧なままでその答えを伝えたくなかったし、 こう言うのも変かもしれないけど、私は悩んでいたかった。 澪にも今日一日は悩んでいてほしかった。 悩んでいたいなんて、滑稽で無茶苦茶にも程がある。 きっとそれは私の我儘なんだろうと思うけど、簡単に答えを出したくないんだ。 世界の終わりも間近なのに、 とても自分勝手で、周りにすごく迷惑を掛けてしまってる。 勿論、ムギにだって……。 だから、私はムギに謝るしかないんだ。 頭を下げる私に、ムギはしばらく何も言わなかった。 何を思って私を見てるのかは分からない。 胸の中で私を責めているのかもしれない。 でも、責められても仕方ないし、私はムギのどんな言葉でも受け入れようと思う。 17
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16134.html
また急に澪が立ち止まって喋り始める。 私も足を止めて、澪の言葉に耳を傾けた。 目を少し伏せながらも、力のこもった言葉で澪は続けた。 「昨日の事……なんだけどさ」 「……梓の事か?」 「うん……。ごめん。私、先輩らしくなかったと思う」 「そうかもな……」 「頭では分かっててもさ、焦っちゃって自分じゃどうにもならなくて、苛立って……。 それで……」 澪が少し口ごもる。 私は黙って澪の次の言葉を待つ。 黙ってはいたけど、私は嬉しかった。 澪も澪で梓の事を考えてないわけじゃないって分かったから。 いや、むしろ梓の事を考えていたから、澪も苛立ってしまってたんだろう。 それを澪自身も分かっているんだ。 だから、口ごもりながらも言葉を続けてくれた。 「梓が何か悩んでるのは分かる。何とかしてあげたいと思う。 思う……んだけど、梓は何も言ってくれなくて、それ以上私には何も出来なくなって……。 梓に苛立っちゃってる私に一番苛立っちゃって……。 昨日……、ううん、ここ最近、先輩として最低だったと思う……」 「自分で分かってるんなら大丈夫だよ、澪。 後はそれを梓に伝えてあげればいいんだよ。 分かってても、難しい事だけどさ……」 「そうだよな……。そうなんだよな……」 「そうだよ」 そう言いながらも、私は次の言葉を言い出す事が出来なくなった。 自分の言っている事は正論だと思うし、間違ってないと思う。 澪も私の言葉に納得してくれてるだろうし、難しい事だけどそれを実行しようと思ってくれてるはずだ。 だけど。 私は考えてしまう。 自分で言っておいて、それを自分で実行出来ているのか、って考えてしまう。 既に澪に我儘を押し付けてしまってる私にそんな事を言えるのか。 言ってしまっていいんだろうか……。 と。 その沈黙は急に破られた。 耳を澄ませば聞こえるくらいの微かな声が校舎の廊下に響いたからだ。 普通に話してたら気付かなかっただろうけど、 黙っていたおかげと言うべきか、その呻くような声は妙に私達の耳に響いた。 しかもその呻き声は長く続いて、一度気にしてしまうともう耳から離れなくなってしまった。 「な……、何?」 さっきまでの様子とは一転、別の意味で不安そうな表情を浮かべて澪が呟く。 こんな時でも性格の本質的なところは変わらないらしい。 私はちょっと嬉しくなって、からかうように言ってやる。 「さあなー。お化けかもなー」 「お、お化けって……、そんな非科学的な……」 「世界の終わりの方が十分に非科学的じゃんか。 呻き声の正体、確かめに行ってみようぜ」 「いやいや、もしかしたら誰かが腹痛で苦しんでるだけかも……」 「そっちの方が大変じゃんか。 もしそうだったら、保健室に連れて行ってあげないといけないだろ」 「あっ……、しまった……」 自分の言葉が墓穴を掘ってしまった事に気付いた澪が、 不安一杯という感じの表情を見せる。 私はそれに苦笑して、多分、澪の言葉が当たりだろ、 とフォローしながら、呻き声の発生源を探してみる事にした。 周囲を見渡しただけで、発生源は案外に簡単に見つかった。 見つかった……んだけど、その発生源の場所が普通過ぎたから、 つい私はガッカリして呟いてしまっていた。 「何だ、オカルト研かよ……」 いや、別にオカルト研が悪いわけじゃないんだけど、もっと意外な展開を期待してた私的には拍子抜けだった。 オカルト研の部室からなら呻き声が聞こえてもおかしくないからなあ……。 うん、おかしくない……か? まあ、いいや。 「ほら澪、何か大丈夫そうだぞ。 呻き声が聞こえるの、オカルト研の中からだし」 「何が大丈夫なんだよ!」 「いや、病人や怪我人が居なさそうって意味で。 一大事じゃなくて何よりじゃないか」 「その代わり、呻き声の正体がお化けの可能性がぐっと高くなったじゃないか…」 「私としてはそれでも全然オッケーだぜ?」 「私は嫌だ!」 「でもほら、もしかしたらお化けじゃなくて宇宙人の方かも……」 「どっちにしろ嫌だ!」 相変わらず我儘な幼馴染みである。 だけど、やっぱり安心した。 そういえば澪をこんな感じに弄るのは、すごく久しぶりな気がする。 何か落ち着くな。 こういうのが好きなんだよなあ、私って……。 私はその落ち着いた表情を澪に見せないよう、わざとらしく笑いながら言った。 「まあまあ。とりあえずオカルト研の様子だけ見てみようぜ? チラッと見るだけにしとくから、澪も来いよ。 呻き声は何かの魔術っぽい儀式の声だよ、きっと。 ベントラーベントラーみたいな」 「儀式……ね……。それなら、まあ、ちょっと見るだけなら……。 もしかしたら腹痛とかの可能性も少しは残ってるわけだし……。 でも、儀式だったら邪魔しちゃ駄目だからな。ちょっと見て終わりだぞ。 あとベントラーは魔術の儀式じゃないけどな」 「わーってるって。……って、恐がるくせに詳しいな、おまえ」 突っ込んだ後、あれだけ騒いでおいて今更だけど、 オカルト研の子達に気配を悟られないように、私達は静かにオカルト研の部室に近付いていく。 勿論、その動機の半分はオカルト研の身を心配しての事だ。 学園祭をきっかけに折角仲良くなれたんだ。 あの子達にも何かあったら心配じゃないか。 いや、純粋な好奇心からって動機も半分あるけどさ。 だけど、お化けとか宇宙人とか、そんな贅沢は言わないから何か面白い儀式が見れればいいなあ。 その程度のほんの少しの不純な期待を持って、私はオカルト研の部室の扉をそっと開いた。 おはようございまーす、ってね。と、そんな本当に軽い気持ちで。 でも、そんな不純な思いを持っていたのが悪かったのかもしれない。 オカルト研の中では、私には思いも寄らなかった衝撃的な光景が広がってた。 死体が転がっていたとか、宇宙人が居たとか、チュパカブラが背びれを振動させて飛び回っていたとか、 そういう非常事態は幸いにと言うべきか起こってはいなかった。 それでも。 その時、私が目にした光景はそういうのを目撃するのと同じくらい、衝撃的なものだった。 「ぶふぉっ!」 オカルト研の部室の扉の間からその光景を目にした瞬間、私は思わずむせてしまっていた。 自分でも不細工だと思う酷い声が漏れてしまう。 それも仕方が無かった。 と言うか、これでむせない人間なんているか! 誰だって驚くよ! 私だけじゃなくて、絶対誰だって驚くって! こんなの想像もしてなかったし! 普通なら自分の目を疑うし! はっきり言って、おかしーし! ……とにかく。 オカルト研の部室の中には二人の女子が倒れていた。 一瞬、病気か怪我で倒れてるのかと思ったけど、そうじゃなかった。 勿論、事件に巻き込まれているようでもなくて、二人は元気そうに動いていた。 そうなんだよ。動いてるのが問題だったんだ。 何をしてるんだろうって少し不審に思ったけど、その疑問もすぐに解決した。 解決してしまった。 何でかって、その答えは簡単だ。 何故なら二人とも半裸だったからだ。 いやいや、半裸っていう表現は大人しかった。 正確に言うと、申し訳程度に下着を着けているっていうほぼ全裸の姿で、 二人の女子生徒が抱き合うような距離でお互いに動いてたんだ。 つまり……、その……、あれだ。 お互いに動くって言うのは……、 えっと、お互いにお互いを触り合ったり、お互いの唇を重ね合ったり、 何か舌とか出してお互いの舌に触れ合ってたり、つまりそういう事をしてたんだよ! 何だよ、もう! しかも、よく見たらその女子ってオカルト研の子達じゃないし! 他人の部室で鍵も閉めずに誰だよ、ちくしょう! ああ、もう……。 いいや、もう。 何か疲れた……。 こんな他人の、しかも女子同士のなんて見てられないよ。 そりゃ私だって女子高に通ってる身だし、そういう関係の女子がいるって噂を聞いた事もあった。 誰と誰がそれっぽいかって話題で盛り上がった事もある。 別に女同士でそういう関係になっても、いいんじゃないかなとは思う。 ほら、私ってロックな女のつもりだし。 だけど、聞くと見るとじゃ大違いだ。 何だか見ちゃいけないものを見てしまったって気になってしまう。 私は大きく溜息を吐いて、その場から去ろうとして……、その動きが止まった。 それは私の意思で止めたわけじゃなかった。 私の動きを止める誰かが居たからだ。 私の服を掴んで離さない誰かが居たからだ。 当然、その誰かが誰なのかは分かり切っていた。 澪だ。 澪は私の服を掴んで、食い入るみたいにオカルト研の中の女子二人を見つめていた。 その表情はとても……、その二人の姿をとても羨ましそうに見ているみたいだった。 「ちよっと……、離せよ、澪……!」 オカルト研の部室の中の二人に気付かれないよう私は囁いたけど、 その言葉を聞いていないのか、聞いていて拒否しているのか、とにかく澪は私の制服を掴んだまま離さなかった。 何処までも澪は裸で絡み合う二人をずっと見つめていて、 その表情は前に一度、澪以外の人間が浮かべた事のある表情によく似ている気がした。 それは一年の頃のムギの表情だ。 さわちゃんと唯が接近して、その二人の様子にうっとりしていたムギの表情。 多分、それは憧れだ。自分では手の届かない場所に居る人達への届かない想いだ。 詳しく話した事はないんだけど、ムギはそういう女の子同士の関係が好きらしかった。 ムギ自身が女の子同士の関係を誰かと築き上げたいのかどうかは分からない。 単にそういう関係の女の子同士を見ているのが好きなだけなのかもしれないし、それはどっちでもいい事だ。 ムギが何を好きだろうと、何を望んでいようと、ムギは私の大切な親友なんだから。 だけど。 そう思っている私でも、今の自分の胸の鼓動は止められそうになかった。 誰かの濡れ場を初めて目撃したからじゃない。 女同士の関係が現実にある事を知ってしまったからでもない。 勿論、それらが原因でもあるけど、それだけじゃなかった。 それ以上に胸が痛いほどに騒ぐ理由があった。 私は躊躇いながら、オカルト研の部室の中の二人に視線を戻す。 「お姉さま……」 「ほら、タイが曲がっていてよ」 裸の二人(よく見ると一人は長い黒髪で、もう一人はショートヘアで眼鏡を掛けていた)は抱き締め合い、 お互いに愛おしそうな表情で囁き合って、お互いの肉体を弄り合っていた。 そんな格好でタイとかそういう問題じゃないだろ! しかも、何だよ、その演技掛かった口調は……。『お姉さま』だし……。 まあ、部室に鍵が掛かってなかった事から考えても、 例え誰かに見つかっても見せつけてやろうというくらいの感覚なんだろうな。 それで多少演技臭くても、そういう自分達に酔ってるんだろう。 ……いやいや、そんな事は関係ない。 そんな事よりも重要なのは、その二人を澪がずっとムギに似た表情で見つめ続けている事だ。 幼馴染みだからって、澪の全てを知ってるわけじゃない。 私の知らない澪の姿だって、沢山あるんだろう。 だけど、こんな状況で澪がこんな行動を取るなんて、私の知らない澪にも程があった。 あんな甘々な歌詞を書くだけあって、澪は恋愛に対して人一倍敏感だ。 自分だけじゃなく、他人の恋愛にも敏感で、誰かの恋の話題が出るだけで赤面するくらいだった。 なのに、そんな澪が今、他人の、しかも女同士の濡れ場を目撃して、憧れる様にじっと見つめている。 違うだろ、澪。 そこは部室の中の二人の見物を続けようとする私を、 「失礼だろ!」ってお前が赤くなりながら殴るところだろ。 何だよ……。そんな私の知らないお前を見せないでくれよ……。 でも、それだけならまだよかった。 それだけなら幼馴染みの知らない一面を見てしまって、私が少し寂しくなってしまうだけの事だった。 気付かれないように、もう一度私は澪の表情をうかがってみる。 ムギに似た表情。だけど、ムギとも少し違う澪の表情。 もしかして……、と思う。 胸の奥に秘めていた私の考えが浮かび上がってくる。 だから、私の胸は痛んでるんだ。 「あっ……」 気付かれないようにしていたつもりが上手くいかなかったらしい。 視線に気付いた澪と私の目が合って、その一瞬後に澪は赤くなって視線を逸らした。 気が付けば私も視線を伏せていた。何だか顔が熱い。私も赤くなっちゃってるんだろうか。 正直に言うと、今までそれを考えてなかったわけじゃない。 でも、そんな事、誰にも言えるもんか。 澪が私の事を好きなんじゃないかって。 そんなの自意識過剰過ぎる。 こんな私が同性の幼馴染みに好かれてるって考えるなんて、それ自体恥ずかしくて口に出せるか。 ただ、噂になった事は何度かあった。 いつも傍に居て、皆にコンビとして認められている私と澪。 悪気は無いんだろうけど、そんな関係を見て、私達二人の恋愛関係を想像する子は少なくなかった。 特に下級生かな。 曽我部さんから聞いた話によると、 澪ファンクラブの中には澪の恋人が誰なのかという派閥があって、 それには唯やムギ、梓に果てはさわちゃんや和まで候補が居て、誰が澪の恋人なのかで争ってるんだそうだ。 いや、勿論、極一部の話なんだろうけれども。 と言うか、女同士なんだが……。 そして、その派閥の中で一番大きいのが澪の恋人は田井中律派……、つまり私の勢力らしかった。 ちなみに曽我部さんも私の派閥なんだそうだ。 それは何と言うか……、ありがとうございます……? 当然だけど、本来ならそれは笑い話の一つだ。 少し不謹慎だけど、何事もない生活の中で自分達で想像するだけなら何の問題も無い事だ。普段なら。 だけど、今は世界の終わりの直前っていう非常事態だった。 前にクリスティーナこと紀美さんがラジオで話してたけど、 『終末宣言』以来、自分の特殊な趣味や性格、性癖を告白する有名人は増える一方だ。 勿論、それは有名人だけの話じゃなくて、私の周りの人達でもそうだった。 私の友達の中ではボーイズラブってのが好きだって告白した子が居たし(皆、知ってたけど)、 父さんも友達(男)が急に好きだって告白してきたから驚いたって言っていた(妻を愛しているからって断ったらしい)。 皆、最後くらいはありのままの自分で居たいんだ。 ひょっとすると、オカルト研の中の二人も『終末宣言』後にこういう関係になったのかもしれない。 私にもその気持ちは分かる。 私には特に隠している性癖とかはないけど、 あればきっと誰かに言っておきたいと考えてたと思う。 澪はどうなんだろう……って、私は思う。 澪は追い込まれないと本当の実力を出せないタイプだし、 追い込まれないと本音もあまり口にしない。 でも今は……、人類全体が追い込まれてる状況だ。 まさか、だよな。 澪は別に私の事を好きとかじゃないよな? 澪はただ初めての女同士の濡れ場に驚いて、目を離せなくなってるだけだよな? あの『冬の日』の歌詞も私の事を書いてたわけじゃないよな……? そう考えてしまうから、私の胸は痛いほど鼓動しまっている。 澪に好かれるのが嫌なんじゃない。 澪の事は好きだ。 当然、恋愛対象としてじゃない。親友として、幼馴染みとして、大好きだ。 女同士の関係に抵抗があるわけでもない。 ムギの台詞じゃないけど、本人同士がよければいいと思う。 それが自分自身の事になると分からないけど、 もし誰かに告白されたりしたら本気で考えてみてもいいとも思う。 だけど、その誰かがもしも澪だったら……。 そう考えると、どうしても私の胸は痛くなる。 痛いんだ、とても。 6
https://w.atwiki.jp/cfvg/pages/2223.html
ラストカード ヴェイグ シャドウパラディン - フレイムドラゴン グレード〈3〉 ノーマルユニット (ツインドライブ!!) パワー 11000 / シールド - / クリティカル 1 自【V】【LB4】:[CB2-《かげろう》]このユニットがリアガードをアタックした時、コストを払ってよい。払ったら、このユニットがアタックしているユニットを退却させ、このユニットをスタンドする。 自【V】:[CB1-《かげろう》]あなたのバトルフェイズ中、相手のリアガードがあなたの《かげろう》の効果によって退却した時、コストを払ってよい。払ったら、そのターン中、このユニットのクリティカル+1。 永【V/R】:盟主(共通するクランがないあなたのユニットがいるとアタックできない) フレーバー:永久の業火に包まれ、世界は終わりを迎える。 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 使ってみたいと思う 0 (0%) 2 弱いと思う 0 (0%) 3 強いと思う 0 (0%) 4 面白いと思う 0 (0%) その他 投票総数 0 コメント
https://w.atwiki.jp/ggenew/pages/165.html
シナリオ攻略 勝利条件 敵軍ユニットの全滅 敗北条件 マスターユニットが撃破 自軍が全滅 キラ、アスランが撃破 ラクス、マリューが撃沈 ウォーズトリガー アークエンジェル(マリュー)がドミニオン(ナタル)を撃沈 キラとクルーゼが交戦 初期配置 自軍 機体 パイロット(艦長) エターナル アンドリュー・バルトフェルド フリーダムガンダム(ミーティア) キラ・ヤマト ジャスティスガンダム(ミーティア) アスラン・ザラ アークエンジェル マリュー・ラミアス エールストライクガンダム ムウ・ラ・フラガ クサナギ レドニル・キサカ M1アストレイ アサギ・コードウェル M1アストレイ マユラ・ラバッツ M1アストレイ ジュリ・ウー・ニェン 敵軍(ザフト軍)MAP上 機体 パイロット(艦長) ポイント ローラシア×4 ザフト士官 シグー(艦載)×1 ザフト兵 ジン(艦載)×2 ザフト兵 ゲイツ×15 ザフト兵 シグー×6 ザフト兵 ジン×9 ザフト兵 ナスカ×2 ザフト士官 ジン(艦載)×3 ザフト兵 第三軍(地球連合軍)MAP下 機体 パイロット(艦長) ポイント ドミニオン ナタル・バジルール ストライクダガー(艦載)×3 地球連合兵 カラミティガンダム オルガ・サブナック フォビドゥンガンダム シャニ・アンドラス レイダーガンダム クロト・ブエル ストライクダガー×10 地球連合兵 敵軍増援 ウォーズブレイク1発動 敵軍(ザフト軍)MAP上 機体 パイロット(艦長) ポイント プロヴィデンスガンダム ラウ・ル・クルーゼ ゲイツ×6 ザフト兵 敵軍(国連軍)MAP下 機体 パイロット(艦長) ポイント GN-X セルゲイ・スミルノフ GN-X ソーマ・ピーリス GN-X×12 国連兵 ウォーズブレイク2発動 敵軍(アクシズ軍)MAP上 機体 パイロット(艦長) ポイント ノイエ・ジールII シャア・アズナブル グワダン アクシズ士官 リック・ドムII(艦載)×3 アクシズ兵 ムサイ後期型×2 アクシズ士官 ザクII改(艦載)×3 アクシズ兵 ゲルググJ×6 アクシズ兵 敵軍(国連軍)MAP下 機体 パイロット(艦長) ポイント GNフラッグ グラハム・エーカー 攻略 初期配置の味方がMAP上を向いているためMAP下にいる連合軍に注意。 ウォーズトリガーのドミニオンとアークエンジェルが直線上にいないのも面倒。 原作のように途中でムウがいなくなることはない。 フリーダムに執着するグラハムがここでも出現。出現時から超強気。
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16146.html
どれくらい経ったんだろう。 突然、普段より低い声色で、ムギが深刻そうに呟いた。 「りっちゃんは……、澪ちゃんと喧嘩したの?」 何て答えるべきか少し迷ったけど、私は大きく頭を横に振った。 「いや……、喧嘩じゃ……ないな。 喧嘩じゃないんだけど、今日は会えないんだよ。 変な事を言ってるとは思うんだけど、悩んでるんだよ、お互いに……。 悩まなきゃ……、駄目なんだよ、私達は。 こんな状況で何を悠長な、って思われても仕方ないのは分かってる。 でも……、でもさ……」 上手く言葉にできない。 自分の中でも曖昧にしか固まってない考えなんだ。 そんな考えを人に上手く伝えられるはずなんてない。 だけど、上手くなくても私はムギに伝えなきゃいけなかった。 ムギも当事者だ。軽音部の仲間なんだ。 そんな私の我儘や曖昧な考えで振り回してしまってる事だけは、謝らなきゃならない。 勿論、まだムギの表情を見るのが恐くて堪らなかったけど、私は顔を上げた。 謝り続けたくはあったけど、単に頭を下げ続けるのも逃げの様な気がしたからだ。 これから責められるにしても、 私はムギの顔を見ながら責められるべきなんだと思うから。 だから、私は伏せていた視線をムギの顔に向ける。真正面から見つめる。 「やっと顔を上げてくれたね、りっちゃん」 視線を合わせたムギは微笑んでいた。 さっきまでの困ったような笑顔じゃない。 安堵……って言うのかな。 すごくほっとしたみたいな笑顔だった。すごく意外な表情だった。 「よかった……。喧嘩じゃなかったんだね。 りっちゃんと澪ちゃんが喧嘩してるわけじゃないなら、私はそれで十分よ。 勿論、今日澪ちゃんと会えないのは残念だけど、 誰よりも澪ちゃんと付き合いの長いりっちゃんが言う事だもん。 きっとりっちゃんも澪ちゃんも今日は悩まなきゃいけない日なんだよね。 だったら、私も応援する。応援したいの、二人の事を」 責められると思ってた。 責められるだけの事はしたと思ってたし、今でも思ってる。 だけど、ムギは笑顔で私を見守ってくれている。 ムギの笑顔は本当に温かくて、それが辛くて、私はまた呟いた。 「でも……、それは私の我儘で、こんな状況なのに……。 それなのに応援してくれるなんて……、こんな私の我儘を……」 「ねえ、りっちゃん? りっちゃんは優しくて、誰のためにでも一生懸命になってくれるよね? 私はそれが嬉しいし、そんなりっちゃんが大好きよ。 でも……、でもね……、 私、りっちゃんにはもっと自分に自信を持ってほしい。 我儘だって、もっと言ってほしいの」 「自信って……、だけど私は……」 「学園祭の時だってそう。 メンバー紹介の時、りっちゃんの自分の紹介がすごく短かったじゃない? 私、それがとても残念だったの。 私達の軽音部の部長なんだって、自慢の部長なんだって、もっと皆に紹介したかったな」 「それは……、確かにそうだったけどさ……」 学園祭の時は夢中で記憶はあんまりないけど、何となくは覚えてる。 ムギの言葉通り、学園祭のメンバー紹介の時、私は自分の自己紹介を早々に切り上げた。 それは照れ臭かったからってのもあるけど、 私よりも他のメンバーの紹介をした方が観客の皆も喜んでくれると思ったからでもある。 部長ではある私だけど、 私自身を目当てにライブに来てくれた人はあんまりいないはずだと思ったんだ。 だから、皆の紹介を優先した。 その方が多くの人に喜んでもらえると思ったんだけど、ムギはそれを残念だと言った。 自慢の部長だって言ってくれた。 私はそのムギの言葉にどう反応したらいいのか分からない。 自慢の部長だと言ってくれるのは嬉しいけど、 私にそう言われるだけの価値があるのか自身が無かったからだ。 自身が無い……か。 考えていて、気付いた。 ムギが言うように、確かに私は自分に自信があんまり持ててないみたいだ。 それはもしかすると無意識の内に、 部のメンバーと自分を比較してるからかもしれなかったけど、それは別の問題だった。 ムギが私に自信を持ってほしいと言ってくれている。 今はそれを優先的に考えるべきなんだろう。 少し声を落として、小さな声でムギに訊ねる。 「私、自慢の部長かな……?」 「勿論!」 即答だった。 迷いがなく、お世辞でもなく、ムギは強い瞳でそう言った。 拳まで握り締めて、強く主張してくれた。 元々、ムギは嘘が吐けるタイプでもないし、本気でそう思ってくれてるんだろう。 でも、その理由が私にはどうしても分からなかった。 悪い部長ではなかったと思うけど、 ムギに力強く主張されるほどいい部長だったとも思えないんだ。 私のその疑問を感じ取ってくれたのか、ムギがまた珍しく強い語調で続けた。 「さっきも言ったけど、りっちゃんは部員の私達の事を考えてくれてる。 自分よりも優先して考えてくれてるよね。 いつも明るいし、楽しませてくれるし、 軽音部の皆もそんなりっちゃんの事が大好きだと思うわ。 この高校生活、途中で終わっちゃう事になっちゃったけど……、 それはすごく残念だけど……、 でも、これまでずっとずっと楽しかった。 本当に本当に嬉しくて……、楽しくて……、 それは軽音部の部長でいてくれたりっちゃんのおかげよ。 だから、りっちゃんは自慢の部長よ。 何度でも自信を持って言えるわ。 りっちゃんは私達の自慢の部長なの」 嬉しかった。 そのムギの言葉が心から嬉しくて、舞い上がってしまいそうだった。 私はそんな部長でいられたんだな……。 それだけで軽音部を立ち上げた意味があったと思える。 だけど、同時にそれでいいのかって思ってしまう自分もいた。 ムギが軽音部を楽しんでくれたのは本当に嬉しい。 でも、それは……、それは……。 「ありがとう、ムギ。 私の事、自慢の部長って呼んでくれて嬉しい。 楽しんでくれて、私も嬉しい。 だけど……、それもさ……、私の我儘なんだ……」 私は言ってしまった。 言わない方がいい事だったんだろうけど、私はそれを伝えたかった。 ずっと心の中に引っ掛かっていた事、 皆と笑顔でいながらも少しの罪悪感に囚われてしまっていた事を。 伝えたかったんだ、ずっと。 「私はさ、皆にはいつも楽しんでほしいし、笑っててほしいよ。 そのためには何だってしてあげたいし、そうしてきたと思う。 さっきムギは私が優しくて、皆のために一生懸命になれるって言ってくれたけど、 それは全部、皆のためじゃなくて自分のためなんだよ。 私は皆が楽しんでるのが嬉しくて、自分が喜びたくて、皆を楽しませてるんだ。 軽音部の部長をやってるのも、自分が楽しみたかったからで……。 ごめんな……。 私はそんな自慢の部長なんかじゃなくて……。 澪との事でもムギに迷惑掛けてる自分勝手な奴なんだよ……」 私の言葉はどんどん小さくなって、最後には止まった。 こんな事を伝えてもムギが困るだけって事は分かってたのに、 私は何でこんな事を言っちゃってるんだろう。 でも、ずっと気になってる事だった。 皆の……、特にムギと唯の笑顔を見ると、たまに不安になってたんだ。 私は私のために軽音部をやってて、 自己満足のためにムギや唯を楽しませてて、 そんな自分勝手な私の姿を知られたくなくて……、 でも、知ってほしかった。 謝りたかったんだ、それだけは。 急にムギが歩き始める。 手を伸ばせば私に届く距離にまで近付く。 誰かのために一生懸命のようで、 その実は自分の事ばかり考えてた私にムギは失望したんだろうか。 平手打ちの一つでも来るんだろうか。 それも構わない、と私は思った。 平手打ちの一つどころか、好きなだけ叩いてくれていい。 ムギが私の目の前で両腕を上げ、勢いよく振り下ろす。 衝撃に備え、私は覚悟を決めて瞼を閉じる。 一瞬後、私の両側の頬に衝撃が走った。 だけど……。 その衝撃は私の想像していたそれとは、痛みが全然違った。 平手打ちなんてものじゃない。 友達を呼び止める時、ちょっと勢いよく肩を叩く程度の衝撃だった。 「もう……。駄目よ、りっちゃん」 ムギの穏やかな声が響き、閉じていた瞼を開いてみて、気付く。 ムギが私の頬を両手で優しく包んでいる事に。 気が付けば、私は絞り出すように呟いていた 「何……で……?」 「いいんだよ、りっちゃん。 恐がらなくても、大丈夫。恐がる必要なんてないわ。 だからね、そんなに自分を責めちゃ駄目よ、りっちゃん」 「私が恐がってる……?」 私の言葉にムギがゆっくり頷く。 そのムギの頷きを見て、 そうか、私は恐かったのか、と妙に冷静に私は考えていた。 世界の終わりは勿論恐いけど、それ以外の事も多分恐かった。 澪との関係に答えを出す事も恐かったし、梓の問題を解決できるかも不安でたまらない。 これからの事に不安は山積みだ。 でも、何より恐いのは、最後のライブを成功できるのかって重圧かもしれなかった。 それは聡や憂ちゃんのせいじゃない。 ライブを楽しみにしてくれる人が想像以上に多かった事を、自分一人で恐がってたんだと思う。 「そうだな……。恐かったのかもな……」 軽く私が頷くと、「うん」とムギもまた頷いた。 それから困ったような笑顔を浮かべる。 微苦笑とでも言うんだろうか。私が困らせてしまった時、ムギが浮かべる表情だ。 「私もね……、本当はすっごく恐かったの。 この一ヶ月、私、お家のお手伝いをしてたじゃない? 詳しい事は分からないんだけど、でもね、ずっとお手伝いをしてると実感してくるの。 家族や、お手伝いの皆や、色んな人が必死に頑張ってる姿を見てると、感じるの。 世界の終わりの日は冗談なんかじゃなくって、本当に来るんだって。 それを皆、分かってるんだって……。 私、恐かったわ。 世界の終わりも恐かったし、私の大好きな皆も消えちゃうのがすっごく恐かった。 だからね、私、お家で何度も泣いちゃったわ」 「泣いちゃったのか?」 「うん。自分で言うのは、ちょっと恥ずかしいね……。 でも、本当よ? 毎日、お家のお手伝いが終わったら、ベッドの中でずっと泣いてたの。 お手伝い中、泣かないように我慢してた涙を全部流しちゃうくらい、大声で泣いてた。 しばらくの間、朝起きたらすごい顔してたな」 そう言うと、ムギの微苦笑から苦笑が消えた。 簡単に言えば、普段の優しい微笑みに戻ってた。 こんな時だけど、私は気が付けば軽口を叩いていた。 「そっか……。見たかったな、その時のムギの顔」 「駄目よ。その時の顔だけはりっちゃんにも見せられないわ」 「そりゃ残念だ」 わざと悪い顔になって私が言うと、「もう」とムギは軽く私の頬を抓った。 いや、これも抓ったってほどじゃない。 指に少し力を入れただけなのが、どうにもムギらしい。 そう感じがら、私は安心してる自分に気付いていた。 この一ヶ月、泣き過ぎてすごい顔になってたとムギは言った。 毎日じゃないだろうけど、学校に来なかった日にはそういうすごい顔をしてた日もあったんだろう。 だけど、少なくとも今のムギはそんなすごい顔をしてなかった。 今のムギは私達を安心させてくれる優しい顔をしてる。 つまり、ムギは泣かなくなったんだ。 世界の終わりに対する恐怖は完全には消えてないにしても、泣く事だけはやめたんだ。 笑顔でいる事に決めたんだ、最後まで。 「ムギはいい子だな」 言いながら、私も右手を伸ばしてムギの頬を触る。 柔らかく、温かいムギの頬。 ムギは首を傾げながら、少しだけ赤くなる。 もしかしたら、珍しい私の言動に照れてるのかもしれない。 顔を赤くしたまま、またムギが優しく微笑んで言った。 「りっちゃんだって素敵よ。 とっても素敵な私達の自慢の部長。 だって、世界の終わりの日が恐くなくなったのは、りっちゃんのおかげだもの」 「私の……? でも、私は何も……」 してない、と言うより先に、ムギは首を横に振った。 癖のある柔らかいムギの髪が私の手をくすぐる。 その後に私に向けたムギの顔は、これまで見たどんなムギの顔より綺麗に見えた。 「ううん。 りっちゃんの……、りっちゃん達のおかげで私は恐くなくなったよ。 確かに『終末宣言』の後、りっちゃん達と話す機会は少なかったけど、 私の中のりっちゃん達が私を励ましてくれたの。 離れていたけど、ずっと傍にいてくれたの」 「ムギの中の私達……?」 「うん。私の中のりっちゃん達が……。 あ、でもね、妄想とか、妖精さんとかね、そういう事じゃないの。 泣いてた時、本当に恐かったのは世界が終わる事より、 りっちゃん達ともう会えなくなるって考える事だったんだ。 あんなに楽しかったのに、あんなに夢中になれたのに、 その時間がもうすぐ終わっちゃうなんて、とっても辛かった。 りっちゃん達が私と同じ大学を受けてくれるって聞いて、 まだ楽しい時間を続けられるって思ってたのに、それができなくなるのが嫌だったの。 だから、何度も何度も泣いちゃった」 「私も……、そうだよ、ムギ……。 自分が死ぬとかより、皆と会えなくなる事の方が辛かった」 「でもね、泣きながら気付いたんだ。 離れてても、りっちゃん達が私の中にいる事に。 勿論、離れてても平気って事じゃなくて、 上手く言えないけど、上手く言えないんだけど……」 ムギが言葉を失う。 何か大切な事を伝えようとしてくれてるんだろうけれど、いい言葉が見つからないに違いない。 でも、それをムギには言葉にしてほしいし、私もそのムギの言葉を聞きたかった。 その手助けをしてあげたかったけれど、私はどうにも無力だった。 自分の想いすら曖昧にしか表現できない私には、ムギのその言葉を導いてあげられない。 くそっ……、何やってんだ、私は……! どうにか……、どうにかしたいのに、してあげたいのに……! 左手で頭を抱え、私はつい唸り声を上げてしまう。 瞬間、ムギが笑った。 これまでの優しい微笑みとは違う、何かが楽しくて浮かべる様な笑顔だった。 「もう、りっちゃんたら……。 また私のために一生懸命になっちゃうんだから……。 本当に優しいよね、りっちゃんは」 「あっ……」 今度は私が赤くなる番だった。 ムギの頬から手を放して、視線を逸らす。 その私の様子をムギは嬉しそうに見てたみたいだったけど、 しばらくしてから、「そうだわ」と何かを思い付いたように言った。 「ねえ、りっちゃん? これから新曲を合わせてみない? 微調整をしておきたい所もあるし、私、りっちゃんのドラムが聞きたいな」 18