約 758,454 件
https://w.atwiki.jp/mihoyowikiunofficial/pages/2085.html
目次 性能ステータス スキル1 伝承の血 スキル2 律者の賜りもの 入手方法 説明 関連項目 性能 ステータス No. 名前 2437 終末の翼 種類 ☆ 神格覚醒 終末 6
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16173.html
取り残された私達は、とりあえずタイムカプセルに入れる物を選別する事にした。 梓の学生鞄の中から、唯が持って来た物と被ってない物を探し出していく。 ある程度選別した後、紙袋の中から金属の箱を取り出してみる。 唯が持って来たタイムカプセル用の金属の箱……、 って、よく見りゃこれ箱っつーかクッキーの缶じゃねーか。 こんなので下手すれば億単位の年月を経てまで、 缶の中身を風化させずに護れるもんなのか……? あ、でも、唯も唯で一応それは考えてたみたいだな。 箱というか缶を開いてみると、 中にはそれより小さい缶が、四重くらいに重ねられてしまわれていた。 缶一つじゃ不安だけど、四つくらい重ねれば何とか保つかなって思ったんだろう。 単純と言うか、何と言うか……。 一缶だけよりはそりゃマシだろうけど、 億単位の年月相手じゃ付け焼き刃もいい所って感じだ。 澪達もそれは気付いてたみたいで、缶を見ながら肩をすくめている。 でも、その表情に呆れはない。私も呆れてなんかない。 まったく唯の奴は……、って思わなくもないけど、 缶の中身を守れるかどうかは、私達には別に重要じゃないんだ。 実際問題、新しい人類ってやつが生まれる可能性がどれくらいなのか、私には分からない。 残念だけど、その可能性は途轍もなく低いんだろうなって思う。 宇宙は広くて、地球に似た環境の星も多いみたいだけど、 まだ宇宙人が見つかってない事から考えても、 人間みたいな生き物がこの宇宙に生まれる確率は本当に低いんだろう。 そんなに低い可能性なのに、 地球に人間みたいな生き物が二回続けて生まれるなんて奇蹟に等しいよな。 だけど、それでもいいんだ。 届かないタイムカプセルだとしても、無駄になる想いだとしても、 少なくとも私達の生きた証はこの世界に残る。残せるんだ。 残す事と、残そうって思う事にこそ、意味があるんだと思う。 それが誰の手に届かなくても、目に触れなくても私は構わない。 もしも本当に新しい人類なんかが生まれて、 私達のタイムカプセルを見つけてくれれば、それだけで御の字ってやつだ。 そんでもって。 その新しい人類がタイムカプセルの中身を調べながら、 「この時代の技術でこんな物が残せるはずが無い!」とか言ってくれると嬉しいんだけどな。 人差し指を立てながら私がそれを言ってみると、澪から呆れた声色の返答があった。 「どういうオーパーツだよ……。 と言うか、全部この時代の技術で作られてるものだし……」 何の面白味もない返答をありがとう、澪。 でも、澪の口からオーパーツって言葉が出てくるとはな。 キャトルミューティレーションやチュパカブラも知ってるし、 こいつって結構オカルトの事を勉強してんだよなあ……。 そういや、こいつ前に言ってたな。 恐いのを見るのは嫌だけど、恐い物の正体を知らない方がもっと恐いって。 律義と言うか、難儀な性格をしてる奴だよな、澪も。 確かに人間は分からない物を恐れる生き物だとはよく聞くけどさ……。 「でも、もしかしたら世界のオーパーツって、そういう物かもしれませんよね」 珍しく私をフォローするように梓が言った。 梓の口からオーパーツって言葉が出るのは別に意外じゃなかった。 何となく梓は色んな事にマニアックな印象がある。 いや、私の勝手な印象で悪いけど、何故だかものすごくそんな気がする。 私の考えを知らず、マニアック(仮)な梓が続ける。 「知ってます? 今の技術の機械を使えばすぐに作れる物なんですけど、 機械が無い当時の技術で、人力で作ったら五十年くらい掛かるオーパーツがあるらしいんですよ。 そのオーパーツを見つけた人達は、 「この時代の技術でこんな物を残せるはずが無い!」って頭を悩ませたんですけど、 後々詳しく調べてみると、本当に五十年掛けて作ってただけだったらしいんですよね。 何とも拍子抜けな話ですけど、何事もそんな物なのかもしれませんね。 もしかしたら、律先輩みたいな人が後世の人を驚かせるためだけに、 そんな風に五十年掛けて趣味で作ったオーパーツも多いのかもしれないなって思います」 「おまえは私を何だと思ってるんだ……」 「え? 律先輩ってそういう人だと思ってましたけど……」 「中野ー……、いや、否定はできんな……」 「否定しろ!」 顎に手を当てて首を捻ると、澪が私の後頭部を叩いて突っ込んだ。 そんな私達の様子を梓が楽しそうに見つめる。 明日世界の終わりが来るってのに、何とものんびりしてるよな、私達も。 まあ、それが放課後ティータイムだ。 放課後こそが私達の真骨頂。 世界の終わりだって、いつもみたいに穏やかに迎えてみせる。 「お待たせ、皆ーっ!」 不意に校庭に私達の中で一番マイペースな奴の声が響いた。 声の方向に視線を向けると、唯とムギがかなり大きな何かを持って歩いていた。 私は大きく手を振って、唯達に声を掛けてみる。 「お疲れ様ー。 目印って何だー……って、それ見覚えあるな」 「ふっふっふ……。皆さんももうお分かりですね。 何を隠そうこれこそ……、えーっと……」 首を捻りながら、唯が私達の立つ桜の樹の下にまで歩き寄って来る。 どうやらそれの正式名称を忘れたらしい。 突っ込もうかとも思ったけど、 それをわざわざ運んで来てくれた唯にそんな扱いをするのも申し訳なかった。 私は口を閉じて、唯がそれの正式名称を思い出すのをじっと待つ事にした。 実を言うと、私もそれの名前をよく憶えてないしな。 「えーっと……、何だっけ……? 何かの石で……、えっとー、何とかストーンって名前で……。 何ストーンだったっけ……?」 そうこうしている内に、唯達は穴の横まで辿り着いてしまっていた。 唯はムギと腰を下ろしてそれを地面に置くと、 何故かピースサインをしながら不敵に笑ってそれを指差して言った。 「そう! これこそ私達のタイムカプセルの目印……、 ジュリエットのお墓(仮)なのです!」 あ、こいつ諦めた。 これの名前、思い出すの諦めやがった。 「ジュリエットのお墓(仮)って……」 梓が呆れ顔で呟く。 まあ、唯の言う事も間違ってはいないんだが……、 いや、やっぱり間違っていた。 唯の持って来たタイムカプセルの目印は、 前に私達がロミジュリの劇を演じた時にオカルト研から借りた何かの模型だった。 あの時、ジュリエットのお墓の代わりに使ったから、 確かにその模型はジュリエットのお墓(仮)と言えるんだが、 せめて正式名称くらい憶えてないと、いまいち締まらないぞ、唯よ……。 私がそれを指摘すると、不機嫌そうに唯が頬を膨らませた。 「何さー……。 じゃあ、りっちゃんはこの石の名前、憶えてるのー?」 それを私に振るのかよ。 一度聞いた気はするけど、 私もあの時はジュリエットを演じるので精一杯だったからなあ……。 首を捻り、どうにか頭の中に浮かんだ名前を言ってみる。 「ロ……、ローゼンストーン……?」 「ロゼッタストーンだろ、律」 一瞬にして突っ込んだのは澪だった。 ロミオを演じてたのに意外と余裕があったのか、 それともオカルトに詳しいからこの石の名前を知ってたのか……。 どっちでもよかったけど、多分後者なんだろう。 澪に突っ込まれた私を指差して、唯が実に嬉しそうに笑った。 「りっちゃんだって憶えてないじゃん。 それでこそりっちゃんだよ!」 「ロゼッタのロの字も出て来なかったおまえに言えた事か!」 言いながら、私は唯の頬を軽く引っ張ってやる。 それでも、唯は笑うのをやめずに、嬉しそうににやけていた。 唯の奴は前々から私の事ばかり馬鹿にしてかかるが、 真面目な優等生が多い我が軽音部の中で、自分サイドの仲間が居る事が嬉しいんだろうな。 まあ、私も同じ様に唯に救われてる所は結構あるけどさ。 とは言え、馬鹿にばかりさせるのも腑に落ちない。 もう機会も無いかもしれないし、思う存分唯の頬を引っ張っておく事にしよう。 ある程度唯の頬を引っ張った後、私が唯の頬から手を放すと、 若干呆れた表情を浮かべてた澪が少し神妙な顔になって言った。 「でも、よかったのか? そんな高そうな物、オカルト研から借りて来ちゃって。 迷惑だったんじゃないか?」 それは確かに澪の言うとおりだった。 結構な大きさだし、本格的な造形だから、相当高価な物に違いない。 私が少し不安に思いながら唯の顔を覗き込んだけど、 唯は幸せそうに微笑んでから指でピースサインを形作った。 「大丈夫だよ、澪ちゃん。 オカルト研の子達、「新人類へのメッセージのためなら喜んで」って笑って貸してくれたもん」 あのオカルト研の子達が笑って……? 全然想像できないけど、嘘を言う必要も無いし、その唯の言葉は本当なんだろう。 学祭以来、唯はオカルト研の子達とかなり交流があったみたいだし、 無表情に見えるあの子達の笑顔を引き出せるくらい仲良くなってたんだろうな。 流石は唯だよな。 笑顔のまま、幸せそうに唯が続ける。 「このジュリエットのお墓(仮)を貸す代わりに、 タイムカプセルにオカルト研の研究レポートも入れてほしいって頼まれたけど、 別にいいよね、皆?」 「まあ、お世話になってる立場だし、 それくらいこっちも喜んで入れてあげようぜ、唯。 でも、『終末宣言』以来、会う機会が無かったけど、あの子達も元気そうでよかったよ」 私が返すと、珍しく唯が苦笑した。 苦笑される方ならともかく、唯が苦笑するなんて、何かすごい事があったんだろう。 「うん。元気だったよ、オカルト研の子達。 おしまいの日の後に生まれるはずの新人類の研究が忙しいって楽しそうにしてたし。 何だったかなあ……? 終末をちょ……ちょうえつ? したエク何とかって新人類が生まれるって言ってたよ」 「エク何とか……? よく分からんが、それはすげーな……」 「エクシードですか? 超越と書いてエクシードって読む」 私の言葉に続いたのは、マニアック(仮)な梓だった。 何でここでおまえが答えるんだ……。 私だけじゃなく、梓の事なら基本的に全肯定する唯も複雑そうな表情を浮かべた。 「す……、すごいね、あずにゃん! 確かそういう名前だったと思うけど、まさかあずにゃんが知ってるなんて……」 「前に本で読んだ事があったんですよ」 何の本だよ! そう突っ込もうかと思ったが、 何だか藪蛇になりそうだったからやめておいた。 それでも、私にはただ一つ思う事があります……。 多分その超越(エクシード)ってのは、 オカルト用語じゃなくて、少年漫画的な用語に違いないという事です……。 いや、深くは突っ込まないけどさ。 とりあえず、これから先は梓の枕詞のマニアック(仮)から、(仮)を取る事にしよう。 「それじゃあ、タイムカプセルの中身を入れちゃわない?」 タイムカプセルを埋めるのを一番楽しみにしてるはずのムギが、楽しそうに声を上げる。 私達の会話に割って入るなんてムギらしくないけど、早く埋めたくてうずうずしてるんだろう。 いつまでも雑談してるわけにもいかないし、私もそのムギの提案に異論は無かった。 見渡してみると、唯達にも異論は無さそうで、それぞれに頷いていた。 思い思いに色々な物を詰め込んでいく。 唯が預かったオカルト研のレポート。 放課後ティータイムのマークを描いたピック。 さわちゃんの作ったHTTのTシャツ。 新曲を含めた私達の全曲分の楽譜。 新入生歓迎ビデオのディスクの新旧二枚。 猫耳に虎耳にウサミミに犬耳に象耳。 予備で持って来てた私の白いカチューシャ。 ライブハウスで演奏した時以来、 皆の楽器のケースに貼っていたバックステージパス。 私が授業中に唯と回し合ってた手紙。 唯が憂ちゃんと制作した、一年の頃の私達と梓との合成写真。 『終末宣言』後、試しに何曲か演奏を録音してみたカセットテープ。 そして、その一番上には……。 「えっ……?」 梓が小さく声を上げる。 まさかこれをタイムカプセルの中に入れるとは思ってなかったんだろう。 半分泣きそうな表情になって、それを入れようとする私の右腕の袖を掴んだ。 「そんな……。それを入れちゃ駄目ですよ、律先輩……。 だって……、それを入れちゃったら……、先輩達の思い出が……。 私……、私のせいで……」 その声色は掠れてきていた。 泣きそうになっているのを、ぐっと堪えているんだろう。 私は私の右の袖を掴む梓の手を左手で優しく包んで伝える。 そうじゃないんだって。 梓のせいなんかじゃないんだって。 「違うぞ、梓。 これをタイムカプセルに入れようって思ったのは、梓のせいじゃない。 梓のおかげなんだぜ?」 「梓がさわ子先生に差し入れに行ってる間に、皆で話し合ったんだ。 こうするのが一番いいんだってさ」 私の言葉に続き、澪が梓の頭を軽く撫でながら言う。 私の包む梓の手が強く震え始める。 恐怖から震えてるわけじゃない。 いよいよ涙を堪えられなくなってきてるんだろう。 勿論、梓を泣かしたいわけじゃないけど、 私達のこの言葉だけは大切な後輩に伝えなきゃいけなかった。 「梓ちゃんが教えてくれたのよ? 私達は物に頼らなくても、絆を信じられるんだって」 母親みたいな優しい顔を浮かべながら、ムギがタイムカプセルにそれを入れる。 『い』という文字のキーホルダー……、 梓が居ない間に学生鞄から外しておいたキーホルダーを。 「そうだよ、あずにゃん? 私達は大丈夫。思い出のお土産が無くたって、心はいつまでも一緒だもんね」 『ん』のキーホルダーをタイムカプセルに入れ、 唯は涙をこぼし始めていた梓を後ろから強く抱き締める。 また梓の手が大きく震えるのを感じる。 「大切なのは物じゃなくて、物に込められた気持ちだからな。 梓がそれを信じてくれてるのに、 先輩の私達が信じないわけにはいかないだろ……?」 澪が『お』のキーホルダーを置く。 妹を見守るみたいに、置いた手を動かして梓の頭を撫でる。 「でも……、それはやっぱり……。 うっ……、ううっ……、私が……、 私がキーホルダーを失くしちゃった……、せいで……。 そんな私の……、ひっく……、馬鹿みたいな失敗に……、 先輩を付き合わせてしまうなんて……、私の……せいで……」 泣き声を混じらせながら、梓が声を絞り出す。 梓は責任感の強い子だ。皆への優しさから、責任を背負い込む子だ。 自分一人が耐える事よりも、周りの人達を巻き込む方を辛く感じる子なんだ。 だから、どうにか乗り越えた気でいたキーホルダーの事で、 また私達に迷惑を掛けてしまってる気になっているんだろう。 でも、私達には決してそれが迷惑じゃなかった。 それを示してやりたいと私は思った。 「前も言っただろ、梓? 私はおまえのおかげで私自身や軽音部の事を、深く考えられたんだよ。 私だけじゃない。 唯も澪もムギも、おまえの思い悩む姿を見て、色んな事を考えられた。 おまえが教えてくれたんだ。 私達がどれだけ軽音部の事が大切だったのかってさ。 だから……、大丈夫だ」 言って、私は『け』のキーホルダーをタイムカプセルの中に入れた。 『け』『い』『お』『ん』の配置で、キーホルダーがタイムカプセルの中に並ぶ。 そこに『ぶ』のキーホルダーが無い事は少し寂しかったし、 梓もそれを申し訳なく思ってるんだろうけど……、 その『ぶ』のキーホルダーの事を皆が忘れなければ、それでいいんだと思う。 澪の話じゃないけど、私達がキーホルダーの事を忘れなければ、 キーホルダーは私達の手元から無くなった事にならないんだ。 「私達はキーホルダーの事を憶えてる。絶対に忘れないよ、梓。 キーホルダーが無くても平気だし、何の心配もしてない。 梓が心苦しく思う必要は何も無いんだ。 でも、一つだけ心に残しておいてくれ。 私達はキーホルダーとおまえの事を憶えてる。忘れてやるもんか。 だから、おまえも憶えておいてほしい。 失くしたキーホルダーと私達の事を。 私達はおまえの事を憶えていて、おまえは私達の事を憶えていてくれる。 結局の所、それが私達の絆に繋がるんだって思うからさ。 その絆があったって事実だけは、世界が終わったって変わらないんだよ。 それだけは頼むぜ、梓」 「は……い……!」 「声が小さいぞ、中野!」 「はい……っ!」 涙を流しながら、梓が力強く宣言してくれる。 唯が梓を支えながら、その場に立たせてやる。 涙こそ流れていたけど、梓の瞳には強い光が宿っていた。 もう大丈夫だ。梓も、私達も。 穴の中に置いてから、皆でタイムカプセルを埋めていく。 土を完全に戻し終わった後、その上にロゼッタストーンを配置する。 未来の人達に届くかどうかは分からないけど、 少なくともこれで私達の生きた証は残せたと思う。 それだけで勇気が湧いて来る。 後は私達が今生きてるんだって、世界に向けて見せ付けてやるだけだ。 誰が言うでもなく、一人一人が音楽室に向けて駆け出していく。 世界最後の……、いや、高校最後のライブに向かって、突っ走っていく。 世界の終わりなんか関係なく、このライブだけは最高のライブにしてみせる。 絶対、歴史に残してやるんだ。 走っている途中、 ふと目に入った校舎の時計は、午後二時三十分を回っていた。 ライブの開演時刻は午後六時三十分。 ライブまで、残り四時間。 45
https://w.atwiki.jp/animan42133/pages/15.html
「失礼します、新米発掘者です!」 秘骸解剖局の資材部門に所属する16歳の少年。談話室の冷蔵庫に大量のジュースを持ち込んでいる。アメリカ支部の[新米執行者]とは幼馴染。 男の娘と異性装が大好きなまごうことなきド変態。霊薬で幼女化した(Part157)ことがきっかけに、性転換も嗜むようになった。ただし感性やメンタルは一般人と大差ない。 実家は400年前から大地を掘り続けている日本の魔術使い。魔術を含む掘削技術と富はあるが、逆に言えばただそれだけの家系。ただし何故か神體を保管していた。 容姿・服装 黒髪を肩の高さまで伸ばし、前髪の左側に「安全第一」と書かれた黄色い髪飾りをつけている。タレ目気味。 身長は179.7cmとかなり高く、あまり地上に出ないため肌は白い。胸にシリコンパッドを入れているため、コート越しでも僅かに膨らみがある。 黒いインナーの上から茶色のトレンチコートを羽織っている。ボトムスは細めのジーンズ、大きめのエンジニアブーツを履いている。 経歴 8年前に「先輩」と呼ぶ人物と出会い、女装の手ほどきを受けている。しかし何らかの理由で現在「先輩」と会うことはできない。 そしてPart160の時点から半年前のこと。実家で掘り進めていた穴が霊墓アルビオンと繋がり、静脈回廊オドベナに迷い込んでしまう。幸い発掘部門の青年に発見されたが、青年は【特急(エクスプレス)】と呼ばれる大百足の攻撃から発掘者を庇い、蒸気で殺害されてしまった。発掘者が単身で渡英したのは敵討ちのため。 魔術礼装 彼の制作した礼装は「安全性」と「互換性」が重視されている。また真エーテルを使用したものが多い。 【廻る魔眼】 [新米執行者]と協力して制作した礼装。宝石が嵌めこまれた掌大の歯車で、起動すると自動で回転し始める。宝石に映り込んだ対象に様々な影響を及ぼす、ある種の加工魔眼。 【キャメラ】 魔術刻印の存在を知らなかった先祖が、子孫に神秘を受け継がせるべく制作した。外見はレンズのないインスタントカメラ、Part160までは胸に移植していた。 刻印のような自動発動はできず、複製可能という魔術師からすれば致命的な欠点を抱えている。更に刻印ほどではないが拒絶反応があるため、時間を掛けて移植しなければ激痛の中で死に至る。 機能は礼装のストック。上限は27“種類”で、同じ礼装であれば幾つでもストック可能。更に神體をレンズのように嵌めることで、極めて限定的ではあるものの神代の魔術を行使できる。 Part160にて神體を使用した結果、その反動で修復不可能なレベルまで破損した。Part162で[時計塔医務室室長]に摘出され、その役割もバケットに取って代わられた。 【帯】 防御と捕縛に用いる黄色い帯。よく暴走した変態を縛っている。 【大釘】 [合成獣の研究者]から貰った投擲礼装を基に制作した、地形破壊用の礼装。装填された霊脈石から真エーテルを抽出し、その先端から炸裂させる。 【モデル・エクスプレス】 撃破した【特急】の遺骸を素材に、[半竜魔術師]との真剣勝負に向けて制作した黒い甲冑。普段はアタッシュケースに偽装しており、「Ready Set Go」の掛け声に反応して自動で装着される。 その能力は蒸気の操作。両肩や四肢の噴射口から蒸気を放ち、その反動を利用することで高速移動を実現としている。この時表面は赤く染まるほど熱せられるため、単純な突進でも脅威となる。また耐久性も高く、生半可な攻撃では傷一つつかない。 かなり重宝していたが、Part198にて実体化した闇に奪われた。最終的に自爆機能を作動させたことで木端微塵に吹き飛んでいる。 【突撃槍】 黒い突撃槍。その機能は装填した霊脈石から真エーテルを抽出し、穂先から解き放つというもの。こちらも【モデル・エクスプレス】と同時に失われた。 バケット Part159にて[魔獣使い]の【テイム・エッグ】から生まれた使い魔。見た目は金属バケツと融合した機械仕掛けの蟹。礼装をストックし、即座に取り出すことができる。また鋏で挟んだ【廻る魔眼】を起動することも可能。 Part175の時点で泡を吐く能力を獲得している。
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/95.html
第一回戦【時計塔】SSその2 俺は隣にぶら下がった大きな鐘を眺めるのをやめる。 この鐘は毎正時に鳴るらしいがこのデカさじゃとんでもない音が鳴るのだろう。 俺は鐘から離れると塔の縁から下を覗き込む。 ここはザ・キングオブトワイライト1回戦が行われる時計塔。 時刻は試合開始のちょっと前。 最上部に設けられた鐘楼はざっと地上32、3メートル。 屋根のてっぺんは40メートルには届かないってところだろう。 見下ろしたすぐそこには大きな時計の文字盤がある。4方向全部にだ。 塔自体が10メートル四方ってとこだったから時計は6メートル程度か。 その下、壁は地上まで大したでっぱりもないデザインで、素材はこれはコンクリか? 外の地面に触れたら場外、壁に張り付くのはOKってことらしいが俺には難しそうだ。 俺は外の確認を終えて1階下の機械室に戻る。 部屋の中央には歯車やらが組み合わさった時計の本体が鎮座している。 歩幅で測ると約2メートル四方。身近な時計と比べればはるかに大きいけど、 昔見た、泥棒が主役のアニメ映画の時計塔と比べると相当に小さくてシンプルだ。 たぶんあれは秘密の仕掛けの方が大掛かりだったんだろうな。 それとも水門からの動力伝達の仕掛けかな? まあ想像より小さいとは言っても部屋の半ばの高さで、 文字盤にシャフトが伸びていたりもするしで大いに邪魔だ。 ちなみに本体中央あたりの床には穴が開いていて下の階に振り子をぶら下げている。 その下の階には片道2秒で往復する巨大な振り子以外は何も無かった。 この機械室よりは暴れまわりやすいだろう。 で、それより下の階には何もない。 はるか1階の床までズドンと吹きぬけで、 目算で高さ3メートルごとに手すりの簡素な、ふたりで並べるぐらいの廊下が7層、 ぐるりと壁に張り付いていて、北側の壁に階段が設置されている。 1階の床から数えて3メートル×8=24メートルの吹き抜けってのは震えがくる。 もちろん武者震いだ。 入り口は南にある両開きの大扉がひとつだけ。 転送を使わずに来て入り口で鉢合わせってのは気まずいだろうな。 オホン 俺の肩口で誰かが咳払いをする。 誰かってこいつだ。我が肩に担がれし親愛なる相棒、知性ある槍のガングニル。 俺思いのいいやつだがちょっと口うるさくて浪漫を解さないのが玉に瑕。 どうやら今回もそうらしい。 「もう時間だが敵は姿を見せない。ふたりとも下にいるようだ。 この部屋の出入り口を封鎖すれば下で潰し合いになるだろう。 漁夫の利を得るべきだ」 なるほどいい考えだガングニル。だけどそれは男のやり方じゃないぜ。 それにまだ試合は始まってないんだ。 「それはなしだ。封鎖後にここに直接転送してこられたら逆に厄介だろ」 真野はバイクを持ってたはずだから転送は選ばないだろうけどな。 ガングニルに言ったりはしないけど。 とその時だ。部屋中央の機械からガチッと何かが噛み合う音がして、 天井に伸びたシャフトが動き出し、上からリンゴーンと鐘の音が鳴り響く。 試合の始まりだ。 「入り口を封鎖しろ」 すかさずガングニルが指示を出す。 結局対戦相手はふたりとも下からスタートしたってわけだ。 「まあ待てよガングニル。 敵さんはステルス系の技術とか能力を持ってるかもしれないぜ」 心にも思ってないが封鎖する気はないから言い訳は必要だ。 「そういえば相手はともに探偵だったか。ならば……いやしかし……」 ガングニルがぶつくさ言ってるけど知ったこっちゃない。 振り子の部屋へ降りる。居ない。耳を澄ます。下の方で音がする。 それはだんだん大きくなって戦闘音だと分かってくる。 じれったくなって階段を駆け下りる。 吹き抜けの最上部。8階北壁東端に飛び出した俺は辺りを見回し、 ……居た!逆サイドにある下り口からエプロンドレスの女の子が駆け上がってくる。 女にしては背は高め。リュックを背負って右手に包丁、左手に鋏。 残念。おっぱいは控えめに言うと控えめだ。 あの子が三重人格のミツコちゃんか。えっとお料理上手は確か、 「ふむ、中華料理の象形拳使い。長姉の蜜子だな。油断するな武志!」 そうそうお料理上手は上の子だよな。俺だってそれぐらい覚えてるって。 もうちょっと信頼しろよと口を開き掛けるが階段からもう一人飛び出してくる。 それは男。それは派手な全身タイツ。股間もっこり、もっこり股間。 おおぅ予想外だぜ。何だアレ? 呆気にとられてお口ぽかーんな俺を見てミツコちゃんが振り返る。 怪しい男(消去法で真野だ)は拳を固め、 「でりゃあッ(delicious:「お口に合うと嬉しいです」という意味の英語)」 気合一発殴りつける。 クロスさせた包丁と鋏で受けるも吹っ飛ばされてきたミツコちゃんを受け止めて、 「待て、悪いやつ!お嬢さんボクが着たからにはもう安心です!」 ぴしりと真野を指差す。……決まった。腹が熱くなる。 いやいや腹はおかしいだろ。熱くなるのは胸と決まってる。 「アハー!ごめんねェ!キモイから思わず刺しちゃったァー!!」 俺から飛び離れたミツコちゃんがこっちに包丁、真野に鋏を向けて叫ぶ。 オヤオヤ、ハサミノサキガマッカデスヨ? 「いつものことだが君は女性に弱いな」 慰めありがとうガングニル。だけど女性を守るのは男の努めだ。 俺はまだ警戒しているミツコちゃんに笑顔を向ける。 「ははは急に抱きつかれたらビックリするよね! でも大丈夫。ボクはあんな変態タイツと違って安心出来る男だよ。 こんな傷は気にすることないよ!」 実際俺にとっては大したことはない。 「力を合わせて一緒に戦おう!」 「ハァ?!アタシたちがあんたなんかと手ェ組むとかキモくてありえなァーい!! それにさァー、ミツコちゃんが多勢に無勢とか嫌いだしねェ! だいたいお嬢さんってさァ。これミツゴ君の体だから男だしッ! アハハハハハハハハハハ」 何……だと……結構可愛いのに男!残念だがさすがにまだ男はハードルが高いぜ。 真野の方から視線を感じるが哀れみなんかじゃないだろう。絶対。 あ、目が合った。あ、逸らされた。あ、見えなくなった。 ミツコちゃん改めミツコが視界に被ってきている。 「ヤーハー!続きだ続きだァー!!」 「おおっ、掛かって来い!」 突き出された包丁を真野の右手が上に弾き、その手をミツコの鋏が挟み込む。 しかし鋏が閉じられる前に真野の左がミツコの前襟をとる。 真野は深く息を吸い、くるりと回り腰を入れると、 「ほッ(hot:「熱々ですよ」という意味の英語)」 弾かれた包丁につられ上体が浮き気味のミツコは踏ん張りが効かずに投げられる。 「よっしゃ、いっけーーーーーーーー!!」 チャンス到来、俺はガングニルの狙いを真野に合わせ射出する! しかし思わず叫んだのはマズかった。 真野は半分こちらへ振り返り、手すりの向こうへ後ろ向きに飛び降りる。 落下する真野は1層下の廊下の手すりをすれ違いざまに両手で掴むと、 体を折りたたみ手すり下の腰下ほどしかない隙間を鉄棒のようにくるっとすり抜けた。 その勢いのまま体を伸ばし手すりの上で倒立、 片手を離し180度回転すると再び両手に持ち替えて、 上半身は立てたまま、腰から下を折り曲げ両手の脇の手すりに足裏を付けると、 吹き抜け側へ、くるりくるりと2回転。 そのまま手を放し空中で丸まり独楽のように回転を決め はるか向かいの南側廊下へ華麗にY字で着地する。 「ブラーヴォー!」 気付けば私は腰の前で縦に拍手していた。 なんたるシルク。シルク・ドゥ・ラーメン! 思わず、沸き立つ寸胴の中で軽やかに舞うラーメンを幻視していた。 拍手はいつまでも鳴り止まない。 「……武志」 おっと?いつまでも感嘆している場合じゃなかった。 俺は手すりに飛び乗ると、こちらも負けじと思い切り跳ぶ! 廊下の間、吹き抜けの幅は約5メートル。 助走なしじゃちょっとばかしきついが1階下だし問題ない。着地! だが真野は入れ違いで東側、最上階へと華麗に舞い戻る。 「武志、後ろ!」 ぐあっ!背中に衝撃。振り返ると俺を踏み台にしたミツコが真野を追って空中にいる。 どうやらミツコも一歩遅れてここへ跳び込んでいたようだ。 しかし硬い廊下や手すりと違って人体は踏み台には不向きだ。 残念ながらミツコは廊下の手前で放物線の頂点に達した。 キュルルッ 何かが高速で擦れる音がしてミツコの手元から手すりへと糸が伸びる。 ミツコは振り子みたいに揺れると、左回りで廊下を走る真野へ向かって糸を切り離す。 糸使いは末っ子ミツゴだったっけ? こうしちゃいられない。俺もふたりを先回りしようと向かい、北側廊下へ跳ぶ。 今度は1階上だから助走を付ける。1歩2歩、手すりを踏んで全力跳躍! なんとか届いたが着地は失敗。 壁際まで転がり込む俺の背後を真野とミツゴ?が攻撃を交し合い駆け抜ける。 立ち上がった俺もすぐに追いつく。 真野は英語による精密動作というやつなのか器用にも後ろ走りで、 2本のアイアンロッドを繰り出すミツゴと渡り合っている。 俺はミツゴを背後から襲うのもなんとなくアレなので横から真野に突きを繰り出す。 廊下の幅は槍を振り回せるだけあるがミツゴが邪魔だ。 「俺にやらせろよ。 突き 「多勢に 突き 「無勢は嫌なんだろ?」 「いや、その、先に戦ってたのは僕ですよ!?」 右のロッドを上から突き出し、左のロッドを下から振り上げミツゴが抗議する。 真野が立てた平手でこちらを招く。 さすがに無傷じゃないがクリーンヒットさせてくれない。 形の上では2対1とはいっても連携してなければこんなものか。あるいは 「探偵だからだ。 私は構わん(come-one:「1名様ご来店」という意味の英語) ふたりまとめて掛かって来い!」 「私は、お姉さまとみっちゃん以外の誰とも!組んだりしません!」 いつの間にか人格入れ替わってたミツコが激高。 懐から取り出した何か(マスクっぽいぞ)を顔に当てるやいなや、 ブシュッと音がしてもう一方の手元から白い煙が吹き出す! 近すぎて避ける間もなく煙に包まれる。 「グアァァァァ!」 途端に目鼻に強烈な刺激が加わり、涙と鼻水が止まらずとても目が開けていられない。 くっそ、なんかクスリ撒きやがった。何でもありだな! 「前へ!」 の声に一歩前へ出た俺の背中で風切り音と灼熱感。 「左へ!しゃがめ!4時へ突き!全力前進!……振り返って構え!」 ガングニルの指示で誰かの攻撃をなんとかやり過ごして、やっとこさ目を開く。 誰もいないじゃないか。おいガングニルさん? 「君を襲うミツコを真野が襲った。ミツコが逃げて真野が追った。下だ」 手すりから覗き込むとふたりはかなり下にいる。 2階から4階、はたまたいっきに1階。北西東北南。異様な身軽さで飛び回っている。 ミツコはまたミツゴに変わったらしく糸をうまく繰り、 そして真野は姿が変わっている。 上下黒尽くめに頭部を白いタオルで覆って、 口元は左右に「独」「立」と刻まれた面頬で隠れている。 ああイエス。ニンジャなんですね…… 流石はニンジャ、常識が通用しない変態機動で文字通り飛び回ってやがる。 ミツゴが移動に紛れて糸を張り巡らせれば、真野の手裏剣が切断し、 真野の手裏剣が飛べば、ミツゴの網が柔らかく受ける。 まずいな。すっかり蚊帳の外だ。 俺は一気に2階分を飛び降り手すりを掴む。慣性を殺してさらに2階降下。 空中でやり合っていた二人が弾け、 ミツゴは俺の向かいの廊下に着地。 真野は俺の3階下の手すりに腕を組んですっくと立つ。 突然ミツゴの手元から巨大な龍神が出現。身を縮めると真野に向かって開放! 手裏剣が飛び龍神を切り裂くがバラバラに解けたように見えた龍神は、 9体の小龍に変わって9方位から真野に殺到する! 龍が右上から襲い掛かり、真野の手裏剣が切り裂く! 龍が左から襲い掛かり、真野の手裏剣が切り裂く! 龍が左下から襲い掛かり、真野の手裏剣が切り裂く! 龍が上から襲い掛かり、真野の手裏剣が切り裂く! 龍が右下から襲い掛かり、真野の手裏剣が切り裂く! 龍が右から襲い掛かり、真野の手裏剣が切り裂く! 龍が左上から襲い掛かり、真野の手裏剣が切り裂く! 龍が下から襲い掛かり、真野の手裏剣が切り裂く! 龍が中央から襲い掛かり、真野の手裏剣が切り裂く! 龍をすべて糸くずに変えた真野は蹴りの構えを取るって跳び上がると、 紐で釣られたように重力に逆らいスーっとミツゴのところへ飛んでいく。 半歩ずれて避けたミツコは包丁を構えると、 「――喝(cut:「まずは具材を切ってください」という意味の英語)」 気合とともに切り込むと、真野が光に包まれシルエットになり何かがほどけていく。 光がおさまると真野は、探偵服に探偵帽をかぶりオカモチを持った姿になっている。 「ヒャッハー!アタシだってねェ、料理用の英語ぐらい使えるのよォー!」 うーむ、他の料理人の干渉でLa Amenの精妙なレシピが乱されたってとこか? 現在のラーメン発祥元ともされる中華の料理人ってのと、 浸透力のある英語を使ったのも効いてるか。 ガキンッ と金属音が響き包丁がオカモチに防がれる。 「料理を生み出すべき包丁が、料理を護るべきオカモチを破壊しては本末転倒だ。 ……しかし英語のグローバル力を知っていながら、 英検士が自分だけだと思い込んだのは私の不覚だ」 「アタシ英検なんて受けてないしィ。英語なんて喋れりゃいいのよッ!」 「確かにネイティブは産声から英語だ。それが言葉というものの本質! 英検など力の数値化の手段に過ぎないのを忘れていた。 次は油断しない。one sentenceお声合わせいただけるかな?」 「O.K.牧場!ヒーハー!!」 ふたりが深く息を吸い 真野がオカモチを頭上に振り上げ、 ミツコが包丁を箸に持ち替え腰溜めに構える。 「喰らいなッ!(cook-like-nurse:「愛を込めて調理します」という意味の英語)」 「ほっ!(hot:「辛いので入れすぎに注意しましょう」という意味の英語)」 ふたりの英語が激突し、膨れ上がった力が台湾島の形を取り、爆発する! 閃光の中から真野が吹き飛ばされ落下。 1階に叩きつけられ体があらぬ方向に折れ曲がる。 かすかに動いてまだ生きているようだがいくらなんでも戦闘不能だろ? そして俺の前。向かいの廊下にはミツコだけが立っていた。 「何故だ?純粋な英語力では真野の方が上回っていたはずだ。」 ガングニルの問いの答えはミツコの足元にある。 ミツコの足はいつの間にか生えた蔦によって手すりの支柱と繋がれていたのだ。 だが吹き飛ばされなかった分まともに威力を受けたふしがある。チャンスだ。 俺は向かいの廊下へ向かって跳び出し、ミツコに向かってガングニルを射出。 半歩ずれて避けたミツコは鋏を構える。 このままじゃ俺がお終いなので槍の柄を横向きに構えなおす。 顔面直撃予定の柄を避けるためミツコはバックステップ。 ミツコの着地とほぼ同時に俺も廊下に着地。再度ガングニルを射出する。 さっき避けられた時点で巻き取り始めていたのだ。 さすがにこれは当たるだろ?という願いも虚しく、 ミツコは着地の勢いそのままに深く沈みこみ間一髪で刃を避ける。 「ただいま武志。褒めてくれてもかまわないぞ」 もう一度巻き取られ再接合されたガングニルが何やらほざく。 と、立ち上がったミツコがバランスを崩す。 左の肩紐が切断されたリュックが右側にぶら下がっている。 それで重心がずれたわけだ。 なるほどなるほど完全には避けきれてなかったのか。 「ふっふふ、どうだガングニル俺の計算どおりだ!」 穂先に向かって片手をひらひら振ってやる。何か悪い? しかしミツコはあんなバランスの悪いものぶら下げて戦えるのか? ミツコの方へ視線を戻し、 「やあお嬢さん。お荷物はお預かりいたしましょうか?」 と言ったときにはミツコはリュックを捨ててさっさと逃げていた。 つれないお嬢さんだ。リュックはまた拾われても面倒だから下へ落としておこう。 そう思って近づきかけたときだ、 「戻れ武志!」 ガングニルの叫びを聞いた瞬間リュックが爆発! 咄嗟に吹き抜けに身を投げたが一瞬高熱に舐められる。 振り仰げばさっきまで居た空間に黄色や緑の炎が広がっている。 「こいつぁ……」 リュックに仕舞っていた薬品に火をつけたのか! だけど問題は火じゃなくて吹き抜けのど真ん中を落下中のこの有様だ。 絶体絶命大ピンチだけど、アドレナリン大量放出で加速した思考でまったり対応。 やあやあ壁がゆっくり昇っていくよ。色とりどりの炎も昇ってて花火みたいだ。 いいタイミングなのでガングニルを射出。廊下の裏に突き刺さる。 ガクンと衝撃を感じて一瞬落下が止まったけど穂が抜け落ちる。 幸いなことにその一瞬で横向きの力が働き3階ほど落ちて廊下にぶち込まれる。 ぐはっこれは死ぬ。あの一瞬は超重要だった。 あれでちょっととはいえ落下速度が弱まったわけでグゥァ全身が軋むぜ。 なんとか立ち上がって上を見上げるけどミツコの姿は見えない。 しかたない真野に止めでも刺すかと今やすぐ下の1階を見下ろす。 真野は、眩い光に包まれていた。 シルエットになりディテールは分からないけど、 体を覆っていたものがほどけて、代わりに新しい何かに包まれる。 折れ曲がっていた体もまっすぐになっていく。 そして光が晴れたとき、つなぎに身を包んだ真野が五体満足で立っていた。 「原子の転換再構成か。私のような人工生命の創造にも関わる力だな」 ラーメン野郎がラーメンに何を求めてるかは知らないけど、 そんなご大層なラーメンは俺はちょっと御免だなあ。 「や、元気?」 真野に一声掛けてガングニルに出撃命令。 病み上がりとは思えない動きで見事に回避。 代わりにスパナをプレゼントしてくれる。ありがたいね。 「残念。死んでくれたかと思ってたんだけどな」 「探偵は最後まで生き残るものだ。勝つのは私だ」 「なるほど一理あるけどどうだかな?」 俺は右手の人差し指を立て、 「第一に、探偵は死ぬことはなくても負けることはある」 あのホームズだって負けたことはある。 続けて中指を立て、 「第二に、最近じゃ探偵が死ぬことすら珍しくない」 セオリー外し自体がセオリーってことだ。 おまけで薬指も立てる。 「そして最後だ。これはミステリなんかじゃないんだぜ?」 うりゃっ、俺は手すりを飛び越え長く持ったガングニルを叩きつける! 横に避ける真野に薙ぎ払いで追撃。 今度はしゃがんで避けられたが1回転して低めにもう1撃。 一方的に攻撃出来るのが長物の良いところだぜ。 跳び上がってさらに避けやがるので、 慣性で流れるガングニルを強引に振り上げる。 さてさて足場のない空中でどう避けるって?! 答え:槍を足場にする。「私を踏み台にした!?」 でした。柄を踏んだ真野は俺の力を利用して3階へ跳躍。 「フハハハハ、さらばだ黒田君! 私は彼にラーメン(真実)を届けなければならないのだ!」 ばさりと存在しないマントを翻す勢いで、 むしろ怪盗っぽいセリフを吐いて階段へ駆けていく。 ノリがいいなあ。俺もああ在りたいものだ。 と感心しながらも追いかける。ぼっちは御免だ。 ぐんぐん登っていった真野に遅れること数秒、振り子部屋の前で追いついた。 真野はしゃがみ込んでノブの辺りをを調べている。 無防備さらしちゃって、俺って舐められてるのか? 暫く調べていた真野はつなぎのポケットから小さな薄い棒状の器具を取り出すと、 「鍵穴と糸のトリックとは古典的だ。探偵である私に通用するとでも?」 といって鍵穴を二、三度こじる。 途端に扉の向こうで何十本もの鞭を振るうような鋭い風切り音が鳴る。 音が止むのを待って扉を開けると壁や天井から無数の糸が垂れ下がっている。 なるほど迂闊に飛び込めば糸で切り刻まれていたってわけか。 「短絡的に真野を襲わなくて良かったというわけだ。 君にも多少の運はあったらしいな。安心した」 本気で言ってるのが恐ろしいな。 「何もないのに敵に無防備な背中晒し続けるわけないのは当然だろ? 運じゃなくてちゃんと頭使ったんだぜ。 「ところで真野さんよ。ミツコは見当たらないしここでふたりでやっちゃうかい?」 「私は構わん。と言いたいところですが、 今はあなたのような真実を蔑ろにする人は後回しだ」 そう言って階段を上り機械室への扉に向かう。 「聞き捨てならないな。俺がいつ真実を蔑ろにしたって?」 「例えば今だ」 訳知り顔で言う。 「ふむ、よしここには仕掛けはないようだ」 そして躊躇いなく扉を開く。 今度は何も起こらず真野は機械室へ消える。 当たり前に無視してくれちゃって、三つ巴で戦ってるんだって分かってるのやら。 俺はぼっちになる気はないって言ってるのに。 ……いや口には出さなかったけどさ。 「光吾くん。キミに言うべきことがある」 「ハァア?胡散臭いラーメン野郎にこのアタシがッ、 可ァ愛いミツゴ君の耳に変なこと吹き込ませると思ったァー?!死ねッ」 「やれやれしかたない。一旦けりをつけるしかないか」 機械室に入ると真野とミツコが時計の本体を挟んで対峙していた。 くっそ、いい雰囲気つくってやがる。 これ以上の脇役扱いは御免なので、 こっちに向けられた真野の背中に遠慮なく突きをぶち込む。 半ば避けられたけど左脇腹を抉ってやった。 俺を邪魔者みたいな目で見るが、主役を無視するからそうなるんだぜ? 真野は暫く時計の本体にもたれていたが急に上への階段へ駆け出す。 3段飛ばしで駆け上り鐘楼へ飛び出した俺は、 鐘の向こうへ逃げていく真野を見つけて追いかける。 だが突然、リーンゴーンと振れ始めた鐘が俺を塔の外へと弾き出す! 「馬鹿なッ、次の鐘が鳴るほどの時間は経ってないはずだ!」 ガングニルの驚愕は正しい。 だからこれはきっと人の手によるもの。そうだ真野の仕業だ。 さっき機械にもたれていた時に弄ってやがった! 今日はよく落ちる日だ。嫌になる。だけどお蔭様で対処法はばっちりだ。 俺は壁に向かって斜め下にガングニルを射出。 穂先ががっちり壁を穿つ。斜め下向きで刺されば簡単には抜けないはずだ。 俺は光のリボンに吊られて文字盤に激突。 デジャヴがほんと嫌になるが落ちて負けるよりましだ。 とはいえ文字盤より下まで落ちなかったのはラッキーだ。 壁と違って手掛かり足掛かりは十分にある。 登り始めた俺の上に鐘楼での会話が降ってくる。 「秘密は暴かれた」 風が強くて聞き取りづらいが、これは真野の声だ。 「ハアッ?秘密ゥ?」 「英語を交し合ったあの時、私には分かった。 光吾くん。キミのお姉さん達は既に亡くなっている。 今キミの中に住んでいる彼女たちはキミの心が作り出した偽者だ!」 「下劣な卑怯者!それでみっくんを動揺させる気!?」 「光吾くん。本当は分かっているんだろう? キミも探偵ならthing-the-true(真実という意味の英語)を受け入れるんだ!」 「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」 それきり風が強さを増して聞き取れなくなる。。 ようやく登り終えた俺の目に映ったのは一人佇む“ケルベロス”ミツコ だった。 今、どのミツコだ?真野は? 「真野はどうした!?」 「彼なら僕が倒しました。姉ちゃんと姉さんを侮辱したから」 塔の淵のその向こうを指差して、 「ほら、そこを落ちていきましたよ。 確認するならどうぞ。襲ったりしませんから」 俺は指された場所へ移動すると、ガングニルの穂先をミツコに向けて下を覗き込む。 なるほど遥か彼方の地面には真野がひしゃげて張り付いている。 さすがに死んでいるだろうけど、生きていても場外だ。 そしてこの時、真野を倒したことでミツコの能力が条件を満たし、 とある邪悪な映画があらゆる記録媒体から消滅していたのだけどそれはまた別の話。 「オーケー。あとは俺達が決着をつけるだけってことだ」 なっ! 俺はミツコに向けていたガングニルを射出。 向かって左、鐘の向こうへ回り込み避けられるが気にするな。 そのまま柄を左に振ってやると穂先がリボンに引っ張られて追撃。 「外した!」 という声と共に穂先が鐘の左から登場。とっとと引き戻して再接合。 続いて飛び出すミツコに向けて構えるが、 ミツコのすぼめられた口からキラッと光が迸る。 ガングニルを体の前で回転させて、飛んできた無数の光を打ち払うが数が多すぎる! 回転する柄の間を抜けて何かが俺の体にいくつも突き刺さる。 「くそっ」 一瞬怯んだ隙にミツコが逆向きに駆け出す。 追いながら確認すると刺さっていたのは縫い針だ。 小さい分ダメージは大した事はないが毒でも仕込まれてると厄介だな。 急いで勝負を決めようと追う速度を上げるが、剣山をマキビシのようにばら撒かれる。 軽く跳んで避けたところに網が飛んでくるのを切り裂いてさらに追うが、 距離が詰まると包丁が飛んできた。 打ち落とすのは簡単だがほんの一瞬わずかとはいえ速度が落ちるのは否めない。 「ああもう、小賢しい時間稼ぎを!」 距離を詰める度に、、 肉切り包丁、中華包丁、出刃包丁、柳刃包丁、菜切り包丁、 次から次へと飛んで来て鐘の周りを2~3周した頃、 ようやく手持ちが尽きたのか、また懲りずに網を放ってくる。 イライラしながらガングニルを振りかぶるが、 「待て、いくらなんでも単調すぎる!」 と警告。知ったことじゃないしもう間に合わない。 穂先が網をどんどん切り裂き、途中で硬い何かに邪魔される。 何だ?裂け目に目を凝らすと、網の裏に空の糸車が張り付いている! 断ち切れなかった網が絡みつくが、裂け目から強引に引き剥がす。 だがその隙にミツコが何かを一気に引いた。 その瞬間、鐘を取り巻くように十重二十重に糸の螺旋が立ち上がる! くっそ、これがやりたくてグルグル回ってやがったのか! 鐘楼中心に下がる鐘めがけて引き絞られる糸の螺旋と体の間に、 ガングニルの柄を立てて受けるが背中から鐘に叩きつけられ、 強力な締め付けで柄が体に押し付けられて、その両脇の肉が切り裂かれる。 力に耐えられなくなった糸が弾け飛び、ようやく開放される。 恐ろしいことにガングニルの柄にまで食い込んでいやがった。 そんな戦慄をする時間も禄にくれず両手に鋏を構えてミツコが襲ってくる。 左右別の鋏だが、俺にはそれが料理鋏なのか園芸鋏なのか断ち鋏なのか分からない。 分からないがどうでもいい。ようするに挟んで閉じるか突き刺すかぐらいだ。 リーチで上回るこっちが有利。まだなんとかしてみせる! 俺は鐘の下をくぐって反対側にまわりガングニルを構える。 相棒の視界は360度。どっちから来ても対応できる。 「左だ!」 の声に構えを修正。即射出! これぐらいは読まれているが、穂先をやり過ごしたミツコに柄を棍として殴りかかる。 右上から叩きつけ、逆に返して左下から石突で突く。 返した力に引っ張られ戻ってきた穂の茎がミツコの背を突く。 さすがに刺さりはしないが肉の一部を抉って跳ねた上げられた穂を再接合。 そのまま斬り下ろすが踏み込みが乱れ、穂が地面を叩く。 まずいな。ここまでの負傷の蓄積が効いてきた。いよいよ決着をいそが…… ジョギリ 今まで知ったことのない不気味な感触を受け、腹が切り割られる。 視線を下ろすと3つめの鋏が俺の腹を割っていた。 鋏を握るドス青い蔦植物の束は、ミツコのスカートの中から伸びている。 ジョギリ 左手の鋏が胸を裂く。 ジョギリ 蔦の掴む鋏が背後から首筋を断つ。 急速に力が失われ俺は膝から崩れ落ち、 ガングニルの柄にすがってかろうじて地に伏すのを耐える。 意識が遠い。 ゴギョリ 右手の鋏が柄を半ばから切り折る。 支えを失った俺は倒れ伏し、 カラン、ラン、カンと柄の片割れが地に跳ねる。 俺の右手には沈黙するガングニル。 うお、ぉぉ? 「うおおお!」 きさま 「貴様!!」 よくも 「よくも、ガングニルををををををををををををををををををををををををををを」 ををををををををををををををををををををををををををををををををををををを ををををををををををををををををををををををををををををををををををををを ををををををををををををををををををををををををををををををををををををを ををををををををををををををををををををををををををををををををををををを ををををををををををををををををををををををををををををををををををををを ををををををををををををををををををををををををををををををををををををを ををををををををををををををををををを!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 気付いたとき(それは実はほんの一瞬後のことだった) 俺は力を失ったはずの足で立ち上がり、ミツコの喉元に槍の穂先を突きつけていた。 射出した。首が半分千切れた。頭がぶら下がった。勝利した。槍は折れていた。 俺は勝った。 だが、決して失ってはならないものを失ったのだ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「…ってはならないものを失ったのだまる」 ターン!と音高くエンターキーを叩き、黒田は満足げなため息を漏らす。 ここは黒田の部屋。机の上にはノートパソコン。 今はザ・キングオブトワイライト一回戦を終えた夜。 黒田は終わったばかりの一回戦を元にして自伝小説を書いていたのだ。 傍に立て掛けてあったガングニルがモニタを覗き低く呻く。 「ひどい。捏造だ」 「おいおい人聞きが悪いだろ。脚色だよ脚色。 読者に楽しんでもらうためのちょっとしたサービスさ」 黒田は小首を傾げ、肩をすくめて両手を広げる。 「大きな流れは変えてないだろ。 俺が上にいてふたりが下から上がってきて始まった。 ふたりがどこでどんな順番で戦かったかとか、ふたりがどんな戦い方だったかとか、 なんてとこでは嘘はないぜ?」 黒田の名誉にかけて確かにその言葉には嘘はない。 だが誤魔化しがある。ふたりのという言葉が問題だ。 あの場にいたガングニルを誤魔化せると思うのは虫がいい。 「だが君は何度かちょっかいを出しただけ。 ほとんど戦う振りをしていただけの様なものだ」 (それに私はあんなにお喋りじゃない)という私的な問題への指摘は飲み込む。 そう、黒田自身は自伝小説とやらで書かれているほどまともには戦っていなかったのだ。 「ふむふむガングニル君。それは主観によるところが大きいのではないかね? 手数は少なくても戦局への影響度は大したものだったと推量しても良いのではないかと、 私などは愚考するところであるよ」 黒田が反論するが、残念なことに目が泳いでいては説得力に欠ける。 そわそわとして腰が落ち着かない様子だ。 「いいだろう。だが最後のあれはなん… 「おっとー!」 ガングニルの台詞が黒田の大声で遮られる。 「そういえばミツコちゃんたちとお食事の約束があったんだー。 わー大変だー。遅刻しちゃうー。ゴメン、話はまた今度!」 言い捨てて、黒田は脱兎のごとく部屋を飛び出した。 明かりが消され部屋は暗闇と静寂で満たされる。 「私が折れたのは君が何でもないのに何にもない場所で転んだせいじゃないか……」 ぽつりとこぼれたガングニルの嘆きを、モニターの中のあの原稿だけが聞いていた。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/16331.html
終末の海嶺鬼 アスル・ノヴァール UC 水/火文明 6 クリーチャー:リヴァイアサン/アーマロイド/ハルマゲドン 7000 ■マナゾーンに置くとき、このカードはタップして置く。 ■自分のコストが6以下の進化ではないクリーチャーは攻撃またはブロックされない。 ■このクリーチャーがタップした時、自分の手札にあるクリーチャー1体を相手に見せてよい。そうした場合、そのクリーチャーが持つEE能力を使う。見せたクリーチャーは裏向きにして山札の1番下に置く。 ■他のクリーチャーがバトルゾーンに出た時、カードを1枚引いてよい。 ■W・ブレイカー 作者:宇和島 フレーバーテキスト 「突然あたりに霧が立ち込めたと思ったら、そこに巨大な戦艦とそれを操舵しているのだろう操縦士が姿を現したんだ。」―――ある熱抗団員 収録 DMTend-03 「終末世界編 第3弾 災厄の魔龍(スクランブル・ドラゴン) 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/rn-server/pages/55.html
時計等嫌悪者 概要時計塔を知っているだろうか。国境都市アルデバランが有する機械仕掛けの時計塔である。その時計塔の屋上4Fにとある男がいる。彼はそこのmobにコテンパにやられ一人、泣きべそをかいている男だ。彼の無念を晴らしてやればなにかいいことがあるかもしれない。場所は時計塔4Fの納屋へいくくぅだ。 [部分編集]
https://w.atwiki.jp/runtimesaga/pages/91.html
[部分編集] 第44章 浮遊要塞ウトガルズ←前章 次章→終章 未来を紡ぐ意志 ページの情報補完は随時お願いします 秘密の店、闘技場の有無から会話情報まで、比較的ネタばれが多く含まれています。ネタばれが少なく、手っ取り早く攻略情報が知りたい方は、簡易攻略チャートを参照して下さい。 記載内容は、難易度「普通(易しい)」を基準にしていますが、高戦術点保持時や難易度「難しい」以上の情報もページ下部「高難度情報」にあります。 基本情報 敵情報 アイテム・イベント情報 店(バックパックのバックアップサービス) BGM 攻略のポイント 出撃ユニットについて ザガン戦について 動力炉の部屋解放まで オロバス戦 高難度情報 戦術点による変化 難易度「難しい」以上の場合 アヴェンジャーの使用武器について [部分編集] 基本情報 トレジャーは光る場所も含んでいます。調べるキャラが誰でもいいという以外、性質上トレジャーハントと同じためです。 勝利条件 ザガンの撃破→オロバスの撃破 敗北条件 イジュラン、ナッシュ、ヘレンの死亡 戦術点 ザガンを4ターン以内に撃破 出撃人数 15人 強制出撃 イジュラン 加入キャラ なし 秘密の店 トレジャー 敵情報 敵の情報は、戦術点・高難度限定の敵を除いた初期配置と増援で出現する敵のクラスと所持品・ドロップを載せています。戦術点による奇襲や高難度限定の敵については、ページ下部にある高難度情報を参照してください。 敵のステータスは、難易度により変化するため掲載していません。 ボス会話は、確認できたものだけ載せています。随時加筆をお願いします。 初期配置 【南側隔離空間】警備メカ 遠隔型(ビットシステム)×2【マップ北側】警備メカ 剣型(ビームソード)×6、警備メカ 槍型(スピアニードル)×6、警備メカ 斧型(ビームアクス)×5警備メカ 遠隔型(ビットシステム)×8、索敵レーダー(放電)×2【動力炉部屋】警備メカ 遠隔型(ビットシステム)×2 敵レベル 上級職15 増援 警備メカ全種類が2ターンごとに8箇所の階段から出現。スイッチ操作で止まる。 ドロップ なし 中ボス ザガン:ソードマスター/Lv20持ち物:モーンブレードザガン武器レベル:剣Sドロップ:なしスキル:三連撃、状態耐性、連撃 中ボス会話 イジュラン、ソフィア、ベイカー、ファビアン、ダリア(*1) ボス オロバス:ウォーロック/Lv20持ち物:ファールバウティ・回復の腕輪武器レベル:闇S/杖Aドロップ:なし スキル:死中に活、スキル無効、異常耐性、指揮Lv5、自動回復 ボス会話 イジュラン ▲ページ上部へ アイテム・イベント情報 情報収集のキャライベントやキャラ同士の会話は、無条件で発生するものと、特定のキャラの出撃回数を満たすと解禁されるものの二種類あります。確認できたものだけ載せていますので、情報提供・加筆をお願いします。 情報収集 バックパック 継続「バックパックのバックアップサービス」 キャライベント なし 闘技場 模擬戦 宝箱 北側南東の部屋左 広域回復の杖 北側南東の部屋中央 機人の剣 北側南東の部屋右 黄金の砂 会話 なし 店(バックパックのバックアップサービス) 品揃えは前章と同じです。 武器・道具の詳細はアイテム関連各ページを参照して下さい。 武器屋 道具屋 名前 耐久 値段 名前 耐久 値段 鉄の剣 40 150 フレイム 25 200 白銀の剣 20 1000 ウォーター 25 350 ダマスカス鋼剣 15 1500 クリメイション 20 650 鉄の槍 40 170 ソール 30 400 白銀の槍 20 1100 ゲフィオン 25 800 ダマスカス鋼槍 15 1500 アモン 30 400 鉄の斧 40 130 ナルヴィ 25 900 白銀の斧 20 9500 全快薬 3 300 ダマスカス鋼斧 15 1400 回復の杖 20 300 鉄の弓 40 140 大回復の杖 15 500 白銀の弓 20 1000 全回復の杖 10 700 ダマスカス鋼弓 15 1550 ▲ページ上部へ BGM 記載されている曲名は、サウンドルームで使用されている名称を記載しています。ただし、サウンドルーム未収録のものは、配布サイト様に記載されている曲名をそのまま使用しています。 キャライベント・戦術点ボス・高難度限定ボスなど、プレイ状況によって流れたり流れなかったりするBGMは掲載していません。また、キャラ会話時に流れるBGMは、会話発生に条件がないものも含めて全て掲載していません。 OP なし OPイベント 緊迫1緊迫2(OP会話) 出撃準備 出撃準備5 マップ マップ45章a、マップ45章b、マップ45章c、マップ45章d 通常戦闘 なし ボス戦 なし イベント 緊迫4 クリア後イベント 緊迫3 攻略のポイント 難易度易しい・普通、戦術点なしでのポイントを載せています。 高難度では敵のステータスがアップするだけでなく、新たな敵も出現しますが、 全体的な流れはあまり変わりません。 参考:簡易攻略チャート 初心者が多く見ることを想定して比較的丁寧に説明しています。長文いらない、ネタばれ嫌、ポイントだけでいい! という人は、簡易攻略チャートをどうぞ。 情報補完(加筆)は常に募集中です。 高難度・高戦術点保持での情報を追記する場合は、下部【高難度情報】のスペースにお願いします。 おそらく今までで最大の広さを誇るマップ。 配置されている敵は前章でも出ていた警備メカで、全体的に機械的な空間が描写されており、近未来的な雰囲気をかもし出している。 散在する赤と黄色の床のグラフィックは未見だが、機能は27章で出てきた魔法陣と良く似ている。 まとめると、以下の通り。 ▲ページ上部へ 赤い床:重力床。回避-40 黄色い床:結界床。回避+10、守備・魔防がそれぞれ+2 青い床:動力炉の部屋封鎖解除とHP13回復 さらに、マップはザガンがいる南側の隔離空間と北側の広大な空間に分かれており、 イジュランといずれかのユニット2人が隔離空間、他12名が東と西の階段に6名ずつ配置される。 出撃するとザガン戦が開始し、彼女を倒すまで北側は操作できない。 そして、4つの青い床全部に味方を待機させないと、オロバスとは戦闘できない。 まとめると、ザガン撃破→4つの青い床で動力炉部屋の封鎖を解除→オロバス撃破、という流れになる。 北側マップの道は複雑に入り組んでいるが、仕掛け自体はそれほど複雑なわけではない。 大まかには、北東・北西・南東・南西にスイッチと青い床があり、南中央が宝箱部屋、 北中央はオロバスのいる動力炉の部屋だが最初は確認できない。 南中央部屋のすぐ北西・南東の隔離された小部屋には、難易度「普通」以上で索敵レーダー(指揮Lv5持ち)がある。 あちこちに階段があるが、これまでと同じく増援が出る。 情報収集でヒューイが言っているとおり、2ターンごとに延々と複数種の敵がランダムに出続ける。 出撃前にまずはこれを頭に叩き込もう。 小ネタに近い話だが、雑魚のレベルは全て15なのに、武器レベルは剣と斧がAで槍はEになっており、設定ミスとも考えられる(作者様には未報告)。 出撃ユニットについて ザガンは間接攻撃が可能になっているので、今回は注意してかかる必要がある。 従って、ザガン戦に参加する二人はスキル無効持ち、間接攻撃可能な精鋭でないと厳しい。 (※ 筆者はロビンとフィリップ。間接攻撃と再移動可能、スキル無効が選出理由。ロビンは射程3のシェキナーを使えるのも理由の一つ。ちなみに、最終戦出撃ユニットは全員レベルMAX、主力武器のレベルをSまで育ててある。) ザガンの三連撃と連撃が発動すれば、瀕死又は撤退になる確率が高く危険すぎるので、上記条件を満たしたユニットの選択を強く推奨する。 もしもダリアとザガンの会話が見たければ、ダリアには「フラガラッハ」装備がほぼ必須だろう。 フラガラッハには、スキル無効と土壇場回避がついており射程も1~2あるため、ザガンと比較的戦いやすくなるからだ。 ダリアが「フラガラッハ」を装備できるほどに育っていなければ、ザガンとまともに戦闘することは難しいだろう。 残り12名は、始め3人ずつの小隊を組んで戦うことになるだろうが、厳しければ6人で行動しても構わない。 全員が精鋭であることはもちろんだが、各敵が全章と同様に同種武器を回避するスキルを持っているので、スキル無効持ちはできるだけ選ぼう。 ▲ページ上部へ あとは、回復と間接攻撃、複数武器が使い分けできるユニットがいる。 主力、補助、増援に対応するためにもう一人殿にも強いユニットをバランス配置しよう。 特に、北東・北西を攻略するユニットは、(残っているなら)転移の杖が使えるユニットと、 もしエーファが「空の源」を入手しているなら、彼女を入れるのが理想的。(理由は後述)。 それから、中盤で戦力的に厳しくなるが、盗賊を一人入れておくとオロバスから「回復の腕輪」を盗めるのでやってみてもいい。 初期配置は敵の武器を考慮すると、北東:複数種の武器使い、北西:槍使い、南東:斧使い、南西:剣士系を一人入れておくのがオススメ。 ザガン戦について 散在する重力床は上手く利用すれば有利に戦闘できるので、ユニット配置をよく考えながら進めよう。 警備メカ・遠隔型は始めての遠隔攻撃型。魔法攻撃し、守備より魔防が高く、状態耐性持ちで遠隔攻撃ができるが、武器の種類による回避はない。 物理攻撃のほうが有利なので、力の強い精鋭なら問題なく相手に出来るだろう。 以下、具体的手順の一例を記載する。 まず、イジュランの左右に配置する2人には強い間接攻撃武器を持たせよう。(筆者はロビンにシェキナー、フィリップにパルティジャーナを持たせた。) 操作可能になったら全員直進し、イジュラン以外の2人は警備メカ・遠隔型の攻撃範囲ギリギリに入る。(通常イジュランは目いっぱい直進しても敵の攻撃範囲には入れない)そして、敵ターンの反撃で撃破を試みよう。精鋭なら可能なはず。 初手で記載したとおりに動かした場合、マップ中央の結界床左上にはザガンがいるはず。重力床にザガンを誘導するため、重力床の左下と右上・右下の結界床に味方を配置。この時、イジュランには間接攻撃武器を持たせない。これでザガンを誘導できる筈(検証では成功率100%だった)。ただし、敵は最も撃破しやすい味方を狙う傾向があるので、味方が変わればこの通りに動かない可能性も高い。その場合は、誰を狙ってくるのかリセットしながら確認して動き方を考えよう。 あとはザガンを倒すだけだが、ユニットレベルが低い場合、苦戦は必至。射程が3の武器や三すくみで有利な槍の使用も試みよう。それでもキツイようなら自ターンでは回復し、敵ターンの反撃でHPを削るのがベター。撃破を焦らず、回復をキッチリとするのが勝利への一番の秘策かもしれない。 その2(※ 記載の都合上、例外的にこのスペースに一部高難度情報も載せています) 前提として、イジュランと共に出撃するユニットに飛行系と魔法系を入れる。お勧めはスキル無効持ちのドロテアとエーディト 飛行系で1ターン目に警備メカのみの攻撃範囲に入り、魔法系でザガンを長距離攻撃。 敵ターンで間接武器の反撃 2ターン目に飛行系はメカを破壊し離脱。魔法系はもう一度ザガンを長距離攻撃。イジュランでザガンを回復結界以外のマスへ誘導。 敵ターンで反撃し、3ターン目に撃破する(ドロテアの最強魔法があれば楽)。 高難度の場合、飛行系がイーグルナイトなら、ダンタリオンと交戦しなくても、西から逃げ出すルートがある(移動力11で脱出可)。 ザガンを倒すと重力床・結界床が消え、部屋の北に転送魔法陣が出現する。 調べると、北側マップの南中央に出る。 この時、弓ユニットの移動を一番最後にすると、敵ターンで的になりかねないので最初に移動させよう。 尚、ザガンとはイジュラン、ダリア、ソフィア、ベイカー、ファビアンで会話が確認されている。以下、ザガンの簡単なステータス。 ▲ページ上部へ ソードマスター/Lv20 持ち物:モーンブレード ドロップ:なし 戦闘能力:HP80 攻撃42 命中180 必殺35 回避75 必回13 守備16 魔防15 攻速29 スキル:三連撃、状態耐性、連撃 会話:イジュラン、ソフィア、ベイカー、ファビアン、ダリア 動力炉の部屋解放まで まず進軍の方法だが、増援と仕掛けを知れば自ずと優先させる方法が決まるので、それに従おう。 4箇所にあるスイッチを操作すると、その場所付近の階段が封鎖され増援が止まる。 同時に、対角位置にある場所の近道が出現し、重力床と結界床が消滅する仕組みとなっている。 厄介な索敵レーダーのある隔離された小部屋へは、北東・北西のスイッチを操作すると通路が出現し、行けるようになる。 その前までは、長距離魔法と射程が3の武器ならば攻撃が可能だが、それ以外は攻撃手段がない。 【北東・北西のスイッチ操作】 上記のように考えると、まずは北東・北西のスイッチ操作を最優先にするべきだろう。 北東・北西の各小隊に「空の源」所持のエーファ、転移の杖が使える杖使いがいると、 スイッチまでの到達が早くなるため、南東・南西のスイッチ操作が早くなり、難度が下がる。 【南東・南西のスイッチ操作と索敵レーダー破壊】 次に、南東・南西のスイッチ操作と索敵レーダー破壊となるが、これはどちらも優先することができない。 スイッチ操作が遅れれば敵がどんどん増え、索敵レーダーを残せば敵の能力が高いまま。 戦況により色々と対処法も変わるので、これなら絶対という方法がないのが一番正しい答えだろう。 しかし、索敵レーダーを優先させたくても最初は道がないので、スイッチを操作しに向かいつつ、 イジュランたちや北東・北西のスイッチを操作した部隊と協力して両方同時に進行させる方法がベターなのかもしれない。 南東は、転移の杖で安全にスイッチ前まで移動できる。 全てのスイッチを操作し、雑魚を全て片付けたら4箇所の青い床にユニットを待機させ、動力炉の部屋の封鎖を解除しよう。 この時待機させるユニットは、移動範囲の広い騎馬や飛行を選ぶと合流が早く、戦闘開始が早くなる。 【小ネタ】開始から動力炉部屋を解放するまで、目標を確認すると敵の顔グラはザガンだが、動力炉部屋解放後からオロバスに変わる。 ▲ページ上部へ オロバス戦 敵の全てが攻撃範囲に入らなければ動かないタイプなので、じっくり作戦を練ろう。 オロバスのスキルで注意すべきは「死中に活」だろうが、必殺無効の杖を使えば問題はない。 しかし、オロバスの攻撃には、味方の攻撃力を低下させる効果がある。 「異常治療の杖」や「万能薬」を使えば治療可能だが、短期決戦なのであまり悠長にはしていられない。 オススメは、射程3の武器で援護しながら、魔防の杖・必殺無効の杖で底上げしたユニットを中心に、 数人がかりで代わる代わる攻めること。 武器は最高レベルのものを使い、リアの再行動も使えば、おそらくそう苦労することはないだろう。 (筆者はランバートのナーガールジュナとロビンのシェキナー双方で必殺が出たので、あっさり撃破出来た。) ただし、それはあくまでも前哨戦だから、の話。 撃破するとオロバスは第二形態へと変化し、ここからが本番となる。 【第二形態・アヴェンジャー戦】 まずは、第二形態となったオロバスのステータスを記載する。 オロバス:アヴェンジャー/Lv20 持ち物:巨剣・魔槍・大斧・烈弓 武器レベル:剣・槍・斧・弓全てA ドロップ:なし スキル(武器スキル除く):スキル無効、指揮Lv9、自動回復、透過移動、反撃対応 以下、武器スキルとそれぞれの武器を装備したときのステータス。 巨剣装備時:HP300 攻撃55 命中200 必殺0 回避83 必回10 守備20 魔防20 射程1 攻速24 武器スキル・補正:スキル:防御貫通、幸運+5 魔槍装備時:HP300 攻撃57 命中200 必殺0 回避78 必回5 守備20 魔防25 射程1 攻速24 武器スキル・補正:吸収、魔防+5 大斧装備時:HP300 攻撃63 命中200 必殺0 回避78 必回5 守備25 魔防20 射程1 攻速25 武器スキル・補正:必殺無効、守備+5 烈弓装備時:HP300 攻撃50 命中200 必殺0 回避80 必回5 守備20 魔防20 射程2 攻速25 武器スキル・補正:全バリア、速さ+1 ▲ページ上部へ 第二形態時はオロバスから向かってくるので、こちらは迎撃体勢を取ろう。 特に危険なのは槍装備時の「吸収」、厄介なのは弓装備時の「全バリア」だろう。 反撃対応されるので優位に立てることはないが、弓と魔法はスキル無効さえあれば、 こちらが不利になる事はない。 尚、オロバスの使用武器に関しては下記【高難度情報】最下部にも記事があるので、よければ参考にして欲しい。 主力ユニットは守備を高めたスキル無効ユニットを中心に、ヒット・アンド・アウェイで畳み掛けるのが無難。 幸いにして必殺は0なので、必ず計算をしてから攻撃を仕掛けよう。 そしてやはり、射程3のシェキナーなどオロバスの攻撃射程外からの援護があると、やりやすさが変わってくる。 シェキナーがなければ、遠視ゴーグル+ヒットレンズ+ガーンデーヴァや長距離魔法など、 とにかく射程外から援護を仕掛けてリアで再行動させてみよう。 各々の威力は小さくとも、まさに「ちりも積もれば山となる」。 (ちなみに、筆者は全員LvMAXの精鋭で検証したため、1ターンで撃破した。ただし、延べ8人がかりぐらい。) かなり条件は限定されるが、もしもエーファをしっかり(Lv20以上)に育てていて、 空竜に変身可能なら、アヴェンジャーに対してかなり強い。 難易度「難しい」でさえほぼ無双状態になるので、「易しい」「普通」でも頼れるだろう。 もっとも、彼女を育てるのだけでも大変な上に、イベントをこなし竜玉を入手しなければならないので、 出来るプレイヤーは少ないかもしれないが……。 尚、オロバスが第二形態になると動力炉の部屋にある四つの宝玉から、 ブレイズドラゴン・ストームドラゴン・フォッシルドラゴン・アクアドラゴンのクローン(全てLv15、状態耐性持ち)が順次出現する。 倒しても倒してもすぐに復活するので、相手にするだけ無駄というもの。 オロバスとの戦闘に邪魔になったときだけ、竜特効武器で手早く倒そう。 高難度情報 戦術点による変化 戦術点が高いと中央の通路にマギのブエルがいる。 ザガン撃破後に確認できるようになり、索敵レーダーを一つ破壊するか、敵10ターン目を向かえると進軍を開始する。 防御貫通、自動回復、物理バリアと厄介なスキルを所持しているので、魔防の高いスキル無効持ちユニットを中心に手早く片付けよう。 射程3の弓があればかなり効果的。ロングボウや遠視ゴーグル+ヒットレンズなどがオススメ。 ▲ページ上部へ ブエルの簡単なステータスは以下の通り。 ブエル:マギ/Lv19 所持品:ビューレイスト・ヘイムダル 武器レベル:聖S/闇S ドロップ:なし 戦闘能力:HP71 攻撃44 命中143 必殺29 回避59 必回9 守備11 魔防19 攻速25 ※ 数値はビューレイスト装備時のもの。索敵レーダー2台の指揮により命中・回避に+30の補正あり。難易度「普通」でのステータス。 スキル:防御貫通、状態耐性、自動回復、物理バリア また、オロバスのいる動力炉の部屋に剣聖(眠りの剣)Lv19、右前・左前にドルイド(トキシック)Lv19がいる。 オススメは、中央の剣聖だけ誘い出し、あとは無視して部屋の外でオロバスとだけ戦闘すること。 オロバス第二形態時は、幸いにしてオロバスから向かってきてくれるので、部屋の中にさえ入らなければ、無視して戦える。 難易度「難しい」以上の場合 宝箱のある部屋の中央に索敵レーダーがあり、ブラックナイトの中ボス・ダンタリオンがいる。 ダンタリオンは攻撃半減持ちだが、厄介なことに剣に有利なパルティジャーナ(槍・射程1~2)を持っている。 そのため、イジュランがブルートガングで攻撃してしまうと、下手をするとゲームオーバーになってしまう。 多少時間はかかるが騎馬特効で畳みかけて仕留めたい。 射程3のシェキナーがあれば援護射撃し、ヒット・アンド・アウェイで逃れてリアで再行動させるのもオススメ。 シェキナーがなければ遠視ゴーグル持ちの弓歩兵や魔法ユニットのダウンバーストでもいいが、再移動できないので救出が不可欠。 長距離魔法の残りに余裕があるなら、それでも構わない。 ダンタリオンは範囲に入らなければ動かないので、先に2つレーダーを壊してから挑みたいが、注意点がある。 まず、ザガンと戦った部屋から転移する際、時間がかかっても1ターンに1人だけにしなければならない。 2番目の転移者が転移すると魔法陣の真上に出現するが、そこはダンタリオンの射程内ギリギリ。 戦闘したくないなら、絶対に避けなければならない。 また、周囲には警備メカが2体いるため、最初に移動したユニットは集中攻撃を受けることになる。 最初に移動するユニットは3人のうち最も守備が高いユニットを選ぶべきだろう。 当たり前だが、転移させる前にHPは全快させておこう。 高難度ではマップ全体で3つもレーダーがあり補正合計は+45になるため、警備メカとの戦いが厳しくなる。 指揮持ちキャラを多く出陣させる他、武器にスレイヤー系必須と言っても過言ではないだろう。 ダンタリオンのステータスは以下のとおり。 ダンタリオン:ブラックナイト/Lv16 持ち物:ソードスレイヤー、パルティジャーナ 戦闘能力:HP81 攻撃45 命中136 必殺34 回避58 必回4 守備23 魔防17 攻速27 ※ 数値はソードスレイヤー装備時のもの。命中・回避に索敵レーダーにより+45の補正あり。難易度「難しい」でのステータス。 スキル:状態耐性、攻撃半減、反撃対応、防御、再移動 ▲ページ上部へ アヴェンジャーの使用武器について アヴェンジャーは味方の攻撃に対して「反撃可能でかつダメージ期待値が(数値上)最も高くなる武器」で対応する。 アヴェンジャーの基礎命中率が非常に高いことや、大斧のダメージ値がとても大きいことにより、 味方(攻撃者)の回避率(支援値含まず)とアヴェンジャーの命中率(200%前後)の差が100%以上ある場合は、 こちらが斧で攻撃を仕掛けても、向こうは攻撃効果が最も期待できる「大斧」で攻撃してくる。 そのため、防御貫通がついている「巨剣」で反撃または攻撃されにくくなる。 支援なしでの回避率86%のソフィアが斧で攻撃する際に、大斧を使ってきた。 難易度「普通」や「易しい」よりも、敵のステータスが高い難易度「難しい」以上の場合に起こりやすいと考えられる。
https://w.atwiki.jp/worlfard-wiki/pages/82.html
LV 8 火 ユニット STR 6 VIT 4 AGI 2 天神 『天座』(・[HT≧3]の場合、[STR+1/VIT+1/AGI+1]を受け続ける。)・手札かハートからの召喚時、【タワー1基】の一番上のカード1枚を破壊する。!{コスト ソウル1枚破棄}【ユニット1体】に3点のダメージを与える。 [部分編集] 第2章「勇敢なる者:Brave Heart」(BH)で登場した火属性のユニット。
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16130.html
「りっちゃんが着たがってたあの高校の制服、お友達から借りられる事になったのー」 ほんの少しの楽器の練習の後、お茶の準備をしながら、いつもと変わらないほんわかとした柔らかい表情でムギが微笑んだ。 「えっ? マジで? ホントに?」 少し大袈裟に私はムギに尋ねてみる。 勿論、疑ってるわけじゃない。 三日前に何となく「あの高校の制服、着てみたいよなー」と雑談のついでに出した話題を、しっかりとムギが覚えていた事に少し驚いたからだ。 その私の驚きを分かっているのかどうなのか、それでもムギはいつもの優しい笑顔で続けてくれた。 「うん。中学の頃のお友達があの高校に通ってて、休日でよければ貸してくれるんだって」 中学の友達から借りられるとか、流石は相変わらずのムギの人脈の広さには驚いてしまう。 あの高校はかなりの進学校で、私なんかじゃ背伸びしても足下にも及ばない偏差値の進学校だ。 しかも、ついでに言うと県外だ。 それなのに、そんな進学校に通う友達が居るとか、どんな人脈だよ……。 「ムギちゃん、すごーい」 そう無邪気に感心した声を上げたのは唯だった。 もっとも、唯の場合はムギの人脈の広さに驚いているのか、何でも出来るムギ自体に驚いているのか、どちらなのかは微妙なところだけど。 「あの高校の制服か。私も着てみたかったんだよな」 普段、さわちゃんの衣装を着る時には、ほぼ確実に無駄な抵抗する澪も意外に乗り気な様子で呟いた。 まあ、あの高校の制服は流石に進学校の制服だけあって、別に露出度とか高くないしな。 最近では際限なく露出度の限界を極めようとしているさわちゃんの衣装を考えれば、あの高校の制服なら内気な澪でも百倍は気楽に着れるだろうし。 不意に視線をやると、何かを言いたそうにしながらも、言い出す機会を見失っている様子の私の後輩を見付けた。 悪戯に微笑み、私は座っていた自分の席から少しだけ身を乗り出して、ツインテールの後輩の頭を撫でてやる。 「大丈夫、大丈夫。成長の様子の見られない梓にもぴったりな制服があるって。なあ、ムギ?」 「なっ……! だから、律先輩には言われたくないです!」 ムギが応じるよりも先に、梓が自分の胸を押さえて赤面した。 胸の事は一言も触れてないのに、相変わらず可愛らしい反応を見せる後輩だ。 まあ、さっきの言葉は胸を見ながら言ったんだけどね。 その私達の伝統となりつつあるやり取りを見守った後、ムギがフォローの言葉を入れてくれた。 「大丈夫よ、梓ちゃん。私の友達にも、梓ちゃんくらいの身長の子がいるもの」 「そうですか……。安心しました。ありがとうございます、ムギ先輩」 本気で自分のサイズの制服があるか心配だったんだろう。 梓は本当に胸を撫で下ろすような表情をしていた。 「でも、ありがとな、ムギ。あの高校の服、女子高生のうちに着ておきたかったんだ」 私が言うと、ムギは給仕しながら、いえいえ、と微笑んだ。 学園祭が終わり、少し秋が深まり始めたこの頃、私達軽音部は受験シーズン真っ直中にも関わらず、ほとんど毎日部室に集合していた。 部室ではお茶をしたり、少し練習したり、やっぱりお茶したり、まあ、大体がそんなところ。 いやいや、勿論受験勉強だってしてるぞ? 私達は高校三年生で、やらなきゃいけない事とやるべき事があって、当然今やるべき事は受験勉強なわけで。 でも、私が、私達が大切にしたいのは、それだけじゃなくて。 こう言うのも照れるけど、放課後に部室に集まって、お茶をしたり、他愛もない事を話したり、 そんな時間が本当に楽しくて、とても大切な時間で、手放したくないくらい素敵な時間なんだと思う。 皆がそう考えているからこそ、こんな受験シーズンにも皆で集まっていられるんだろう。 自分で言うのも何だけど、本当にいい部だなって思う。 これも部長の人望の賜物だな。なんて自慢するわけじゃないけどさ。 「どしたの、りっちゃん?」 私が少しだけ黙っていたのが気になったのか、いつも隣の席に陣取っている唯が私の顔を覗き込んで首を傾げた。 何となく考えていた事を察された気がして、私は軽口を叩く事で誤魔化す事にした。 「いやー、梓くらいの身長の子はいるんだろうけどさ。 梓くらいのスタイルの子がムギの友達にいたらいいよなー、って部長として心配してあげてたんだよ」 そう言うと、やっぱり梓が胸元を押さえて、だから律先輩には言われたくありません、と頬を膨らませた。 ははっ、お約束お約束。 まあ、確かに私も梓の事を言えた立場じゃないのが、悲しいところなんだけど。 「おいおい、後輩をあんまりいじめるなよ、律」 幼馴染のくせに一人だけ嫌味なくらい成長した澪が、諌めるように言いながら肩を竦める。 何だよー、富裕層め。 持つ者には持たざる者の苦しみは分かるまい。 この私と梓のやり取りは、持たざる者同士の魂の触れ合いなのだ。 梓……、おまえだけはずっとこちら側の人間だと信じているぞ……。 そういう思いを込めて視線を移してみると、私の思いには一切気付いていないらしい梓が自分のポケットを探っていた。 こちら側の人間……だよな? そんな願いも込めつつ、私は梓に訊ねてみる。 「どうした、梓? 忘れ物?」 「あ、いえ、すみません。忘れ物じゃないです。どうも携帯が鳴ってるみたいで……」 「あー、マナーモードにして、制服のポケットとかに入れとくと結構気付かないよねー」 私の質問に答えた梓の言葉に唯があるある的な表情で腕を組んで頷いていたが、 着信音が鳴る状態にしておいても、休日は寝てて着信に気付かない事が多い唯が言っても説得力は無かった。 いや、そんな事は今はどうでもいいか。 ポケットの中から携帯電話を取り出した梓が液晶を見ると、あ、純だ、と小さく呟く。 「すみません、ちょっと電話に出させて頂きますね」 そう丁寧に断ると、梓は席から立って、私達の鞄を置いている長椅子まで歩いて行った。 純ちゃんか……。今度の日曜に遊ぶ約束でもするのかな? そう軽く考えていた私の耳に、それを打ち崩す非日常的な梓の会話が届いた。 「急にどうしたの、純。え? やっと繋がったって、何? 電波が悪いの? え? そうじゃないって? うん、今軽音部だけど……。え? 変な冗談やめてよ。 冗談じゃないって……。嘘でしょ? そんな……、世界が終わっちゃうなんて、急にそんな事言われても……」 世界が終わる? 映画かゲームの話か? だけど、梓の様子を見る限りとても冗談には……。 突然過ぎる会話の流れに、あまり出来が良いとは言えない私の思考回路ではついていけない。 と。 不意に私の携帯電話のバイブレーターが震え始めた。 いや、私のだけじゃない。 周囲を見渡すと、唯の携帯電話のバイブも震えているようだった。 唯と二人で携帯電話を取り出して、突然過ぎる不自然な着信に不安な面持ちでお互いの顔を見合わせる。 何だ……? 何が起こってるんだ……? 更に数秒後。 その携帯電話の着信を取るより先に、私達の日常を完全に壊す無慈悲な音が響いた。 それは聞き慣れた校内放送のチャイム。 だけど、その内容はあまりにも私達の日常とはかけ離れていて……。 それが私達の……、いや、人類の終わりの始まり。 そして、終末までの長くて短い最後の日常の始まりだった。 ――月曜日 自宅でドラムの練習をしていた私は手を止め、ラジカセの電源を入れる。 少し遅れたかと思っていたけど、ちょうど時間はぴったりみたいだった。 軽快な音楽が流れる。 「胸に残る音楽をお前らに。本当の意味でも、ある意味でも、とにかく名曲をお前らに。 今日もラジオ『DEATH DEVIL』の時間がやって来た。 まあ、時間がやって来たって言っても、休憩時間以外は適当に喋ってんのはお前らも知っての通りだけどね。 こんな人類滅亡の寸前で死の悪魔なんて縁起の悪い事この上ないけど、聴いてくれてる物好きなお前らに感謝。 そんな物好きなお前らには今更だけど、一応毎度の番組紹介から入らせてもらうよ。 日曜休みで一日空いたし、もしかしたら初めてこの番組を聴いてくれてる新顔もいるかもしんないしね。 知ってるお前らはトイレにでも行って、スタンバイしといて。 この番組は人類の終わりまでとにかく色んな曲を紹介し続けようって、適当でご機嫌なソウルフルラジオ。 それで、メインパーソナリティーのこのアタシがクリスティーナってわけ。 新顔のお前らがいたらよろしく。 クリスティーナって言っても、本当はガチで日本人なんだけど、その辺りは触れないのがお約束。オーケー? さてさて、前回の放送から、日曜挟んで遂に訪れちゃった人類最後の一週間。 日本政府が国家非常事態宣言……、誰が言ったか通称『終末宣言』を宣言して一ヵ月半。 宣言されての一週間は暴動やら何やらで、今思い出しても相当に騒がしかったよね。 変な宗教は出てくるし、自暴自棄に適当な暴動を起こす奴等もいるし、そりゃ騒がしかった。 芸能人なんかも海外に逃げ出す奴がいるかと思ったら、急に自分はロリコンだとか、同性愛者だとかってカミングアウトする奴までいる始末。 まあ、海外に逃げ出す奴より、カミングアウトする奴等の方がよっぽど信用出来るけど。 ただあの大御所がロリコンでショタコンでバイセクシャルだってカミングアウトしたのは、流石のアタシでも驚いたけどね。 でも、それだけ皆、最後くらいは偽らざる本当の自分を誰かに知っていて欲しいって事なのかもしれないね。 あ、期待しても駄目だぞ、お前ら。 残念だけど、アタシにはカミングアウトする様な秘密なんか持ってないからね。 強いて言えば、本当は日本人だってことくらい? それはさっき聞いたって? こりゃまた失礼。 とにかく『終末宣言』から約一ヵ月半、悟ったのか、飽きたのか、 最近は各地の暴動も沈静化してきたみたいで、ひとまずは一安心ってところだよね。 暴動なんかよりやるべき事が見つかったんならいいけどさ。 ただ最低限の警戒だけは忘れないでよ。 意味不明の暴動に巻き込まれて、終末より先に死んじゃうとかそれこそ馬鹿らしいってもんだ。 願わくば、お前らがこの番組を最後まで無事に聴き終えられますように。 週末まではお前らと一緒! それがこの番組の最後のキャッチコピーってね。 似合わないって? ほっといて。 さて、ラジオとは言え、アタシだけずっと喋ってても仕方がない。 そろそろお前らからのリクエストの一曲目といってみようか。 メールだけど、こんな状況でも届くもんだね。 さて、それじゃ今週の記念すべき一曲目、岐阜県のガンレックスからのリクエストで、 L Arc~en~cielの『Driver s High』――」 放課後、と言うべきなのかどうなのか、とにかく普通だったら全ての授業が終わっている放課後の時間。 私は一人、部室で軽くドラムを叩いていた。 『終末宣言』から約一ヵ月半、多くの同級生が学校に来なくなる中、私はといえばほとんど毎日学校に足を向けている。 勿論、勉強が好きなわけじゃないし、高校生なら学校に登校しなきゃって使命感に燃えてるわけでもない。 人類の終末が近付いているらしいけど、焦って何かをする気にはなれなかったし、この状況で何処かに旅行するのも危険だった。 それにもうすぐ世界が終わるとしても、終わりまではいつも通りの日常が続くわけで、下手に特別な行動を取れるわけでもないわけで。 だからというわけじゃないけど、私は平日休日を問わず登校している。 飽きっぽい私にしては、これは快挙なのかもしれない。 でも……、 「日常に逃げ込んでんのかなあ、私……」 ドラムを叩く手を止め、自分に言い聞かせるように呟いてみる。 世界の終わりが一週間後に迫ったらしい今になっても、私は未だにその実感が湧いて来てなかった。 そりゃあそうだ。 もうすぐ死ぬと言われても、私の身体に異変が起こっているわけでもなし、私自身は健康体そのものだし。 病気にかかっているわけでもないし、大怪我を負っているわけでもない。 これで死の実感を持てと言われても、誰にとっても無理な話だろう。 だけど、思う。 それを実感しないように、私は『終末宣言』前の生活を繰り返してるんじゃないんだろうか。 いつも通りに過ごしていたら、一週間後の世界の終わりなんて夢みたいに消えて無くなって、何事もなくいつも通りの生活に戻れる。 澪をからかって、唯とふざけて、ムギとお茶をして、梓をいじってやる。 そんな変わらない日常が戻って来る。戻れる。 心の何処かでそれを期待してるんじゃないか。 だから、こんな時期になってもしつこく登校し続けてるんじゃないかって、そう思えてしまう。 けれど、そう思えたところで、今更私には他にどうする事も出来ないんだけど。 少しだけ溜息を吐いて、ドラムの練習に戻ろうかと思った瞬間、部室の扉がゆっくりと開いた。 「りっちゃん、おいっす」 扉を開いたのは唯だった。 『終末宣言』以来、私に次いで登校数の多い唯は、やっぱりいつも通りの唯に見えた。 こいつも私と同じように、一週間後に世界が終わるなんて、そんな実感は無いんだろうか。 そんな考えを顔に出さないように、おいっす、と軽く私が返すと、長椅子に鞄を置いて唯が続けた。 「相変わらず早いね、りっちゃん」 「まあなー。家に居てもやる事無いしなー」 「駄目だよ、りっちゃん。時間はちゃんと使わないと青春の無駄遣いだよ」 「家に居ても大体ゴロゴロ転がってるだけのお前が言うな」 「甘いね、りっちゃん。それが私の充実した青春なのです!」 「うわっ、言い切りやがった……」 苦い顔で私が言ってやると、唯はいつもの、してやったり、といった感じの表情を浮かべる。 ホント、こいつはいつでも何処でも変わらんなー。 それが唯の持ち味であり、唯の強さでもあるんだろうな。 『終末宣言』直後、私は軽音部の活動は以降自由参加という形式に変更する事を提案した。 そもそもが自由参加に近い軽音部だけど、あえて言葉にする事で皆の自由意思を尊重する事を伝えたかった。 勿論、誰も欠席するつもりなんてないだろう。 それでも、こんな状況だし、家庭や色んな事情で仕方なく欠席する事も多くなるだろうと思ったからだ。 幸いなのか我が田井中家は放任主義で、 数日家族で過ごすだけで家族の時間は終わって、後は家族各々が自由に過ごすという形になっていた。 少しクール過ぎやしないかと思わなくもないけど、それがうちの家族だし、聡もそれで不満はないみたいだった。 とにかくそれ以来、軽音部の活動に参加する頻度は多い順に私、唯、梓、澪、ムギという順番になっている。 「それより、りっちゃん」 急に真剣な顔になって、唯が言った。 何を言い出すのかと思って身構えたが、次の唯の言葉は本当にいつもと何も変わらない普段通りの唯の言葉だった。 「今日は久々にムギちゃんに会える日だねー。 美味しいお菓子いっぱい持って来てくれるって言ってたし、すっごく楽しみだよねー」 まったく……、こいつは何にしろお茶とお菓子が行動の基準なんだな。 そう思いながらも、私は微笑んでしまっていた。 ムギに会えるのが楽しみなのは私も同じだし、久々のムギのお菓子が楽しみなのも確かだった。 「うん、そうだな……。楽しみだよな、やっぱり。うん……」 「ん? どしたの、りっちゃん?」 つい何度も頷いてしまう私の様子を、唯が不思議そうに眺めながら訊ねる。 自分でも上手くは説明できないけれど、何故だかとても嬉しかった。 多分だけど、こんな状況でも顔馴染みと変わらず顔を合わせられるという事は、きっと幸せな事なんだ。 勿論、そんな恥ずかしい事を私が口に出来るはずもない。 その代わりに私は立ち上がって、唯の近くにまで歩いてからその腕を軽く取った。 「よっしゃ、行こうぜ」 「行くって……、何処に?」 「校門だよ、校門。そろそろムギも来る時間だし、紬お嬢様をお迎えにあがろうぜ!」 「おっ、いいねー。私達で紬お嬢様をお迎えしちゃおう! あ、そうだ!」 「お、どした? 何か面白いアイディアでもあるのか?」 「メイド服を着てお迎えするのはどうかな? ちょうどさわちゃんの服があるし!」 「いや、そこまではせんでいい……。軽音部の負の遺産については触れてくれるな……」 「えー……」 不満そうに唯が頬を膨らませたが、それでもその表情は少し笑っているようにも見えた。 そして、それは私も同じ。 いつもの唯のボケに呆れた表情を浮かべるように演じながらも、こみ上げてくる笑顔を抑え切れない。 馬鹿みたいだけど、本当に心地良い二人の距離。 良くも悪くも、これが私と唯の関係なんだろう。 それは変わらず続くはずだと思う。 世界の終わりまで。 きっと。 ずっと。 「とにかく行こうぜ。お嬢様をお待たせしては、執事の名折れ。遅れるわけにはいかん!」 「あ、メイドじゃなくて、執事って設定だったんだ。じゃあ、さわちゃんの執事服を着るとか?」 少し深呼吸をしてから唯に向けて宣言すると、 途端に笑顔になった唯が、嬉しそうにまた天然なのか本気なのかよく分からない発言をしてくれた。 やれやれ。 まあ、執事とか言っちゃってる私も、唯の事は言えないんだけどさ。 「いや、服に関してはもういい。とにかく行くぞ」 「ラジャー!」 そうして二人で部室から出て、私達はゆっくりと校舎の中を歩く。 お待たせするのは執事の名折れとは言ってみたけれど、実のところムギが来る予定の時間まではまだ三十分近くある。 校舎を二人でゆっくり歩く時間くらいはあった。 さっきまでの騒ぎぶりは何処へやら、私の隣に居る唯は珍しく静かに歩いていた。 私もその珍しい唯の様子を横目に、何となく口を噤んでゆっくりと校舎を見回しながら歩いてみる。 世界の終わりまであと一週間。もう一週間。 来週の月曜日は来ない……かもしれない。 かもしれない、と思うのは私の弱さなんだろうけど、とにかく今週で世界は終わるらしい。 そう考えると三年間過ごした何の変哲もない校舎が、何処となく特別に見えた。 今現在、登校する生徒が全校生徒の三割くらいになってしまった、我らが桜が丘女子高等学校。 登校してくる同級生達も目に見えて少なくなってきていた。 ほとんどの同級生の顔は、よくて数日に一度しか見ない。 逆によく目にするのは和に清水さん、それに意外といちごくらいかな。 関係ないけど、いちごをよく見かけるのは本当に意外だ。 いや、いちごの真似をしているわけじゃないんだけど。 とにかく、そんな生徒の少なくなった私達の校舎を見ながら、私は思う。 勿体ないなあ、って、そう思うんだ。 この光景を見られるのは、あとほんの少しかもしれないのに。 多分、そう思ってるから、私はずっと学校に来てるし、唯もよく来てくれているんだろう。 だから、私と唯は目に焼き付ける。 例え世界が終わらなくて、何事もなく卒業する事になったとしても、それでも。 私達の校舎を大切に思い出せるように。 「あれ、唯に……律?」 2
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16159.html
○ 会わなかったのは一日だけだったけれど、澪と会うのはすごく久しぶりな感じがした。 たった、一日。だけど、一日。 特に世界の終わりが近くなった一日を澪と離れて過ごすなんて、 思い出してみると気が遠くなるくらい長い時間だった。 片時も澪の事を忘れなかったと言ったら流石に嘘になるけど、 それでも、心の片隅にずっと澪が居たのは確かだし、 誰かと話してる時にもまず最初に考えてしまうのは澪の反応だった。 私がこうしたら澪はどう反応するんだろう。 私がこの言葉を言ったら澪はどんな話をし始めるんだろう。 そんな風に、何をする時でもそこには居ない澪の反応が気になってた。 そうだな。そう考えると、澪が居たのは私の心の片隅じゃない。 澪は私の心の真ん中をずっと占領していたんだ。 だから、一日会わなかっただけで、澪の存在がこんなにも懐かしいんだ。 「よっ、律……」 言いながら、澪はまず自分の席に近付いて行く。 私の「久しぶり」という挨拶については、何も突っ込まなかった。 澪も私と同じように考えているんだろう。 こう考えるのは自信過剰かもしれないけど、 多分、澪も自分が何かをしようとする時には、私の反応を気にしてくれてるはずだ。 去年の初詣だったか、私が電話を掛けると急に澪に怒られた事がある。 「今年は絶対騙されないからな」と、意味も分からず私は澪に怒られた。 澪が言ってるのがそれより更に一年前の初詣の事だと気付いたのは、結構後にムギに指摘されてからだ。 そういえば一昨年の初詣の時、 私は澪に晴れ着を着てくるのか聞いて、澪にだけ晴れ着を着させた事があった。 晴れ着を着るかと私が聞けば、真面目な澪は皆が晴れ着を着るって勘違いすると思ったんだ。 私の狙い通り、澪は一人だけ晴れ着を着て来て、恥ずかしそうにしていた。 からかうつもりがあったのは否定しないけど、 そんな事をした本当の理由は澪の晴れ着が見てみたかったからだ。 勿論、そんな事を口に出す事は、これからも一生ないだろうけど。 例え澪と恋人同士になったとしても、な。 とにかく、去年の初詣の時、澪はそういう理由で私を怒ったみたいだった。 そんな事気にせずに好きな服を着ればいいのに、澪はどうしても私の反応が気になるらしい。 「澪ちゃんはいつもりっちゃんの事を気にしてるんだよ」って、 去年の初詣前の事情を話した時にムギが妙に嬉しそうに言っていた。 何もそこまで、とその時は思わなくもなかったけど、 今になって考えてみると、私も人の事を言えた義理じゃない。 小さな事から大きな事まで、私の行動指針の中央には確かに澪が居る。 和と澪が仲良くしてるのが何となく悔しくて、 澪に嫌われたかもって考えた時には、恥ずかしながら体調を崩しちゃったくらいだしな。 いや、本当に今思い出すと恥ずかしいけどさ。 どんな時でも、そんな感じで私達はお互いの事を意識し合ってる。 それくらい私達はお互いの存在をいつも感じてる。 いつからこうなったんだろう……。 嫌なわけじゃないけど、何となくそう思う。 最初は特別仲良しだったわけじゃない。 元々は正反対な性格だったし、澪の方も最初は私を苦手に思ってた感じだった。 それなのに少しずつ二人の距離は近付いていって、 一日会わなかっただけでお互いの存在が懐かしくなるくらい身近になった。 禁忌ってほどじゃないけど、女同士で恋愛関係にさえなりそうになるくらいに。 そんな中で私に出せた答えは……。 「梓の悩み、分かったんだな……」 自分の席に荷物を置きながら、小さく澪が呟いた。 その言葉からはまだ澪の真意や心の動きは掴めない。 「まあな。梓、おまえにも謝りたがってたよ。 後で会いに行ってやれよ」 「ああ……。 でも、まさかキーホルダーを失くした事で、 梓があんなに悩んでくれてたなんて思いもしなかったよ。 そんな小さな事であんなに……」 「小さな事に見えても、梓の中ではすごく大きな事だったんだ。 それに、人の事は言えないだろ? 私達も……さ」 「小さな悩み……か。 うん……、そうかも、しれない。 生きるか死ぬかって状況の時なのにさ、私は何を悩んでるんだろうな……」 少しだけ、澪が辛そうな表情をする。 ちっぽけな悩みやちっぽけな自分を実感してしまったのかもしれない。 死を目前にすると、悩みなんて何処までも小さい物でしかない。 勿論、私自身も含めて、だ。 私も『終末宣言』後、小さな事で心を痛め、死の恐怖に怯え、 声にならない叫びを上げそうになりながら、無力な自分に気付く。 その繰り返しを何度も続けるだけだった。 世界の終わりを間近にした人間がやる事なんて、何もかもがちっぽけなんだろう。 これから私がやろうとしている最後のライブだって……。 私は自分の席から立ち上がって、まだ立ったままの澪に近付いていく。 澪は動かず、近付く私をただ見つめている。 澪の前の……、いちごの席くらいにまで近付いてから、私はまた口を開いた。 「小さな悩みだよ、私達の悩みも。 すっげーちっぽけな悩みだ。 世界の終わりが近いのに、私達二人の関係なんかを悩んでる。 小さいよな、私達は……」 私の言葉に澪は何も返さない。 視線を落とし、唇を噛み締めている。 無力で弱い自分を身に染みて感じてるみたいに見える。 昔から、澪は弱い子だった。 恥ずかしがり屋で、臆病で、弱々しくて、 私より背が高くなった今でも何処までも女の子で……。 そんな風に、弱くて、儚い。 私の、 幼馴染み。 私はそんな弱くて儚い澪を、何も言わず見据える。 ちっぽけな私達を、もうすぐ終わる残酷な世界の空気が包む。 心が折れそうになるくらい、辛い沈黙。 言葉を失う私達……。 だけど。 不意に視線を落としていた澪が、顔を上げた。 強い視線で、私を見つめた。 辛そうにしながらも、言葉を紡ぎ出してくれた。 「でも……、でもさ……、律……。 小さい悩みだけど、その悩みは私にはすごく大きい悩みなんだ……。 終末の前だけど……、そんな事関係なくて、 ううん、終末なんかより私には大きい悩みでさ……。 馬鹿みたいだけど、それが私が私なんだって事で……。 上手く言えないけど……、上手く言えないんだけど……」 言葉がまとまってない。 言ってる事が無茶苦茶だ。 多分、澪自身も自分が何を言いたいのか分かってないんだろう。 でも、馬鹿みたいだと思いながらも、澪は自分の悩みを大きい物だと言った。 それくらい大きな……、大切な悩みなんだって、自分の口から言葉にして出してくれたんだ。 「そうだよな……。馬鹿みたいだよな……」 私は囁くみたいに言った。 でも、それは辛いからじゃなくて、全てを諦めてるからでもない。 上手くなくても、自分の想いを澪が口にしてくれたのが嬉しかったからだ。 私は沈黙を破り、澪に伝えたかった言葉をまっすぐにぶつける。 「馬鹿みたいだし、何もかも小さい悩みなんだって事は分かってる。 私なんて物凄くちっぽけな存在で、 多分、居ても居なくてもこの世界には何の関係も無いんだろうな、とも思うよ。 私はそれくらい小さくて、そんな小さい私の悩みなんてどれくらい小さいんだって話だよな。 でもさ……、やっぱりそれが私でさ。 小さくて、世界の終わりの前に何もできなくても、私は生きてるんだ。 誰にとっても小さくても、私だけは私の悩みを小さい悩みなんて思いたくない。 大きくて大切な悩みなんだって思って、抱え続けたいんだ。 勿論、澪の悩みもな」 澪は何も言わなかった。 これまでみたいに、言葉を失ってるわけじゃない。 多分、私の真意が分かって、少し呆れてもいるんだろう。 しばらくして、澪はいつも見せる苦笑を浮かべながら呟いた。 「……試したのか、律?」 「別に試したわけじゃないぞ。 澪の気持ちを澪の口から聞きたかったんだ。 澪ってば、自分の気持ちを中々口にして出さないからさ。 その辺の本当の気持ちを聞いときたかった。 ごめんなー、澪ちゅわん」 「何だよ、その口調は……。 私は律が思うほど、自分の気持ちを隠してるわけじゃないんだぞ。 律は昨日、私が律の事を思って、 ずっと泣いてたって思ってるかもしれないけど、お生憎様、そんな事は無いぞ。 そりゃ律の事は考えてはいたけどさ、でも、それだけじゃないぞ。 ちゃんと新曲の歌詞を考えたりもしてたんだ。 おかげで律が感動して泣き出しちゃうくらいいい歌詞が書けたんだからな。 後で見せてやるから、覚悟しとけよな」 多少の強がりはあるんだろうけど、澪のその言葉は力強くて心強かった。 昔から、澪は弱い子だった。 でも、それは昔の話だ。 今もそんなに強い方じゃないけど、弱さばかり目立ってた昔とは全然違う。 澪は強くなったと思う。高校生になってからは特にだ。 それは私のおかげ、と言いたいところだけど、私のおかげだけじゃないだろうな。 唯やムギ、和や梓……、 色んな仲間達との出会いのおかげで、澪は私が驚くくらい強くなった。 そうでなきゃ、私と恋人同士になりたいなんて言い出さなかっただろうしな……。 昔の澪なら、仮にそう思ったとしても、 言い出せずにずっと胸にしまい込んでるだけだっただろう。 強くなったんだな、本当に……。 私はそれが少し寂しいけれど、素直に嬉しくもある。 「私の事を一日中考えてたわけじゃなかったのは残念だが、その意気やよし。 それにさ、小さな悩みだって分かってても、 それが世界の終わりより大きな悩みだって言えるなんてロックだぜ、澪。 世界に対するいい反骨心だ。 それでこそ我等がロックバンド、放課後ティータイムの一員と言えよう。 褒めてつかわすぞよ」 「……なあ、律。 今更、こんな事を聞くのは、おかしいかもしれないんだけど……」 「どした?」 「放課後ティータイムってロックバンドだったのか?」 本当に今更だな! と突っ込もうとしたけど、私の中のもう一人の私が妙に冷静に分析していた。 実を言うと、前々からそう考えてなくもなかったんだ……。 軽音部で私がやりたいのはロックバンドだったし、 甘々でメルヘンながらも放課後ティータイムは一応はロックバンドだと思おうとしてた。 しかし、よくよく考えてみると、やっぱりロックバンドじゃない気がどんどん湧いて来る。 そういえば、今日の放送で紀美さんが言っていた。 ロックってのは、曲の激しさじゃなくて、歌詞や心根が反骨的かどうかなんだって。 ……やっべー。 放課後ティータイムの曲の中で、反骨的な歌詞の曲が一曲も無い気がする……。 いや、そんな事は無いはずだ。 いくらなんでも、一曲くらいはあってもいいはず。 えっと……、ふでペンだろ? それとふわふわ、カレー、ホッチキス……。 ハニースイート、冬の日、五月雨にいちごパフェにぴゅあぴゅあ……。 あとはときめきシュガーとごはんはおかず、U Iなわけだが……。 あー……。 見事なまでに反骨的な歌詞が無いな……。 作詞の大体を澪に任せたせいってわけじゃない。 ムギの作曲と唯の歌詞のせいでもある。 考えてみれば、放課後ティータイムの中で辛うじてロックっぽいのが私と梓しか居ない。 しかも、その二人が揃いも揃って、作詞も作曲もしてないわけだから、 そりゃ何処をどうやってもロックっぽい歌詞が出てくるわけが無いよな……。 そう考えると放課後ティータイムは、 ガールズバンドではあってもロックバンドとはとても言えんな……。 私は溜息を吐いて、澪の肩を軽く叩いた。 頬を歪めながら、苦手なウインクを澪にしてみせる。 「何を言ってるんだ、澪? 放課後ティータイムはロックバンドだぜ?」 「えっ……、でも……。 ほら、歌詞とか……さ。 私、ロックをイメージして作詞してないし、唯だって……」 「いや、ロックバンドなんだよ。 ロックバンドでありながら、反骨的な歌詞が無いというのが反骨的なんだ。 ロックに対するロック精神を持つロックバンド。 それが放課後ティータイムなのだよ、澪ちゃん……!」 「何、その屁理屈……」 澪が呆れ顔で呟く。 私だって、放課後ティータイムがロックバンドじゃないという事実は分かっている。 分かってはいるが、分かるわけにはいかん。 「まあ、律がそれでいいなら、それでいいけど……」 「そう。私はそれでいい。 ……って事にしといてくれれば、助かる」 「それより、律? 私の方の昨日の話はしたけど、そっちは昨日はどうだったんだ? どんな風に……、過ごしてたの?」 「気になるか?」 私が訊ねると、うん、と小さく澪が頷く。 私だって、澪が昨日過ごしたのか気になってたんだから、澪の言葉ももっともだった。 一日会わなかっただけだけど、その一日が気になって仕方ないんだよな、私達は。 ずっと傍に居た二人だから……。 私は澪の肩から手を放して、腕の前で手を組んで続けた。 「澪と別れてから、色々あったよ。 聡と二人乗りしたり、憂ちゃんと話したり、 ムギと二人でセッションしたり、梓と梓の悩みについて話したり……さ。 それに純ちゃんとムギと梓と私で、パジャマフェスティバルをしたりしたな」 「パジャマフェスティバル……?」 「いや、それはこっちの話。 まあ、とにかく色々あったよ。本当に目まぐるしいくらい、色々な事があった。 その分、ムギや梓……、純ちゃんともずっと仲良くなれたと思うけどさ」 「ムギと梓はともかく、律が鈴木さんと過ごしてたなんて意外だな……」 「私だって意外だったけど、話してみると楽しい子だったよ。 梓の親友だってのも分かるくらい、いい子だったし。 澪も苦手意識持ってないで、純ちゃんと仲良くしてあげてくれよ。 金曜日にジャズ研のライブがあるみたいだから、観に行ってあげようぜ。 純ちゃん、きっと喜ぶと思うよ」 「鈴木さんか……。 律がそう言うなら、もうちょっと話してみるのもいいかもな……」 「まあ、苦手なのも分かるけどな。 澪に憧れてるのは分かるんだけど、えらく距離感が近いもんなあ。 でも、いい子だよ。 それに話してみると、純ちゃんも現実の澪の姿に幻滅して、 少しはちょうどいい距離に落ち着くかもしれないしな」 「どういう意味だよ、律……」 「言葉通りの意味だが?」 言ってから澪の拳骨に備えてみたけど、意外にも澪の拳骨は飛んで来なかった。 その代わり、少しだけ寂しそうに、澪は呟いた。 「そっか……。 律は昨日、元気だったんだな……」 私が居なくても……。 とは言わなかったけど、多分、澪はそういう意味で呟いていた。 私が私の居ない所で楽しそうにしてる澪を見るのが辛かったみたいに、 澪も澪の居ない所で私が元気に過ごしているという現実が辛かったんだろう。 何処までお互いの事を気にしてるんだろうな、私達は……。 それは依存なのかもしれなかったけど、 多分、私達はその依存のおかげで、まだ正気を失わずに世界の終わりに向き合えてる。 私は軽く微笑んでから、澪の耳元で囁く。 「うん……、元気だった。 澪が居なくても元気だったけど……、でも、物足りなかったよ。 片時も澪の事を忘れなかったって言うと嘘になるけど、 でも、楽しいと思う度に、澪が傍に居たらな、って思った。 一緒に楽しい事をしたかったよ。 梓の悩みの件でも、澪なら私の言葉をどう思うか考えながら梓と話してた。 ずっと、澪の事が気になってた。 考えてたよ。澪の言葉をさ。 私は澪とどうなりたいのかってさ」 澪はじっと私の言葉を聞いていた。 澪が次の私の言葉を待っている。 私の答えを待っているのを感じる。 もうすぐにでも、私が澪の想いに対する答えを言葉にするのを、澪は多分予感している。 私も澪に向けて、私の答えを伝えようと激しく響く心臓を抑えて口を開く。 思い出す。 澪に恋人同士になりたいって言われた時の喜びを。 きっと澪なら、私には勿体無いくらいの恋人になってくれる。 また、思い出す。 私を抱き締めた澪の柔らかさと、私が重ねようとした澪の唇を。 澪と恋人同士として、そういう関係で世界の終わりを迎えるのも悪くないって思えたのを。 澪と恋人になるのは、私達に安心と喜びを与えてくれると思う。 だから、澪と恋人同士になるのは、きっと悪くないんだ。 私は言葉を出す。 澪と私の関係をどうしたいかを、震えながらもまっすぐに伝えるために。 私の本当の気持ちを澪に伝えるために。 「私はすごく考えた。考えてた。それで、答えが出たんだ。 これから伝えるのが私の答えだよ、澪。 なあ、澪……。 私はさ……、 私はおまえと……、 恋人に……、 恋人同士には……なれないよ」 31