約 758,432 件
https://w.atwiki.jp/discstation/pages/558.html
発売時期:1991年2月19日/収録号数:DS98#02 対応機種:PC-98/メディア:FLOPPY DISK ジャンル:鑑賞/シリーズ名:その他 概要説明 攻略情報
https://w.atwiki.jp/asagaolabo/pages/3723.html
[終末の序曲 ~オワリノハジマリ~] 【しゅうまつのじょきょく オワリノハジマリ】 [Metamorphose] ハイライト発生箇所 収録作品 関連リンク ポップンミュージック ラピストリアで登場した楽曲。 担当キャラクターはジズ(15-1P-LT絵)。 終末の序曲~オワリノハジマリ~ / フレディ波多江とエレハモニカ BPM 150 新難易度 EASY NORMAL HYPER EXTRA 8 23 35→【エクラル途中】30 42 ハイライト EASY NORMAL HYPER EXTRA 3 3 3 3 古参のプレイヤーにとっては馴染みのある、アーティスト名義および担当キャラクターの曲である。ジャンル名としては「ダークネス」のシリーズ第4弾に相当し、恒例ともいえる不気味な笑い声は曲中で多用されている。すべての事象には始まりがあれば終わりがあるというものだが、変化を受け入れようという作者の意図が感じられる。ハネリズムになっているサビ前とそれ以降でリズムが変わるのが面白い。また、サビ直前の英語ボイスはALTが使われており、いかにも聖夜ならではの手法だ。イントロのリズムがどこかしら水中家族のテーマを髣髴させるような。 N譜面はBメロパートで縦連打と階段の複合という、レベル表記の割には明らかに逸脱した配置があるのが問題。ハイパーは離れた同段2個同時と単押し中心で、癖のある配置がほとんどなく見切りやすい配置になっているため、Lv35にしてはクリア難度はかなり低く、Lv31くらいの実力でも挑戦する価値はあるだろう。難所といえそうなのがサビ前の緩いスライド階段と、サビ後半の左右で縦連打を行いながらのもう片方の手での単押しくらいだが、後者の連打地帯は単押し側が歌に合わせているためわかりやすい。EXはイントロの同時押しが3個になっているため、リズムを覚えればここでゲージを大きく稼げる。Bメロの階段+αや、サビ以降の同時押し・縦連打に混じる16分はレベル相応とも言える配置。 ハイライト発生箇所 番号 5Buttons / EASY NORMAL HYPER EXTRA 1 2 3 収録作品 AC版 ポップンミュージック ラピストリアからの全作品 CS版 関連リンク ダークネス(シリーズ) 村井聖夜 楽曲一覧/ポップンミュージック ラピストリア
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16162.html
○ ――金曜日 今日は澪が私の家に泊まりに来ていた。 いやいや、別に友達以上恋人未満として、色んな事をしようと思ったわけじゃないぞ。 澪が私とパジャマフェスティバルをしたいと言ってきたからってだけだ。 ムギ達との話をした時には平静を装ってたけど、 本当は澪も参加したくてしょうがなくなってたらしい。 そういや、前に私がムギと二人で遊んだ時も、 「私もムギと遊びたかった」って、誘ってたのに文句を言われたな。 今も昨日、ムギとどうやって過ごしたのかとか訊いて来てるし……。 澪の奴……、ひょっとして、私よりムギの事を好きだったりするんじゃないか? ちょっとだけそんな考えが私の頭の中に浮かぶ。 ……はっ、いかんいかん。 それじゃ、何だか私が澪にやきもち妬いてるみたいじゃないか……。 私はそんな照れ臭い気持ちを隠すために、立ち上がってラジカセのスイッチを入れる。 幸い、そろそろ紀美さんのラジオの時間だ。 軽快な音楽が流れる。 「胸に残る音楽をお前らに。本当の意味でも、ある意味でも、とにかく名曲をお前らに。 今日もラジオ『DEATH DEVIL』の時間がやって来た。 この番組も、今回入れて残り二回。 日曜休みだから、土曜が最後の放送って事になるわね。 勿論、お付き合いするのは、いつもの通り、このアタシ、クリスティーナ。 終末まではお前らと一緒! 後二回、ラストまで突っ走ってくから、お前らも最後までお付き合いヨロシク! ……いやあ、にしても、思えば遠くに来たもんだ。 飽きたら早々に打ち切ってもらおうと思ってたのは内緒の話だけど、 これまたやってみると中々コクがあって、濃厚なのに、不思議と飽きが来なかった。 って、料理番組の感想みたいだけど、でも本当にそんな感じ。 一ヵ月半って短い間だったけど、この番組もリスナーのお前らもアタシの宝物。 残り二回の放送が心底名残惜しいわよ。 でも、勘違いしないでよね、お前ら。 終わるのはラジオ『DEATH DEVIL』の終末記念企画だからさ。 来週からはラジオ『DEATH DEVIL』の終末後記念企画が始まる予定なのよ。 超絶パワーアップ予定でさ。 そんなわけで、来週月曜から新装開店なんで、引き続き本番組をヨロシク。 あ、ディレクターがそんなの聞いてないって顔してる。 そりゃそうよね、言ったの今が初めてだもん。 いいじゃんか、ディレクター。 言ったもん勝ちだし、まだこの番組続けたいじゃん? リスナーの皆も望んでると思うし、誰も損しない素敵企画だと思うけど? ……お。 苦笑いしてるけど、ディレクターからオーケーサインが出たわよ、お前ら。 おっし、これで本決まり。 ラジオ『DEATH DEVIL』破界篇は次回で終了。 来週からラジオ『DEATH DEVIL』再世篇にパワーアップして再開予定って事で。 ちなみに破界篇の『かい』は世界の『界』で、 再世篇の『せい』は世界の『世』って書くからお前らもよく覚えといてね。 何でかって? いや、あんのよ、そういうゲームが。 深い意味は無いから、それ以上はお前らも気にしないで。 分かってるって。 別に終末の事を忘れてるわけじゃないよ。 日曜日の陽が落ちる前には、終末が……、世界の終わりがやって来る。 誰も望んじゃいないけど、とにかく足音響かせて、まっしぐらに終わりがやって来る。 でもさ、未来の事は誰にも分かんないじゃない? 九分九厘世界が終わるらしいけど、それは確定した未来じゃない。 『未来』ってのは、『今』になるまで永久に『未来』なんだから、 それがどうなるか不安に推論してたって無意味でしょ? 日曜日に世界がどうなるかは、結局は日曜になってみるまで分からない。 だったら、別に来週の事を予定してても、悪くないんじゃない? 馬鹿みたいだって自分でも分かっちゃいるけどさ。 え? どしたの、ディレクター? 九分九厘じゃ全然決まってないも同然だって? 九分九厘……、あ、ホントだ。 九分九厘じゃ一割にもなってないじゃん。 こりゃ失礼。 いや、アタシの友達がさ、99%の事を九分九厘って言うのよ。 ついその口癖が感染しちゃったみたいね。 馬鹿みたいと言うか、ホントに馬鹿で申し訳ない。 正確には九割九分九厘終末がやって来るって話だけど、 それにしたって確定してないのは確かなんだし、確率の話をしててもしょうがないわよ。 ……確率を思いっ切り間違えてたアタシが言うのもなんだけどさ。 あははっ、まあ、勘弁してちょうだい。 話はちょっと変わるけど、お前らパンドラの箱の話って知ってる? 有名な話だから知らない人は少ないと思うけど、 その箱を開けたら、世界にあらゆる災厄が飛び出して来たって話ね。 箱を開けたら、艱難辛苦、病別離苦、そんな感じの四苦八苦が世界に蔓延しちゃった。 四苦八苦は仏教用語だけど、それは今は置いといて。 それだけ災厄が一気に飛び出たけど、 一つだけパンドラの箱の中に残ってた物があったらしいのよ。 それは『希望』……、なーんて言い古された話をしたいわけじゃない。 箱の中に残ってた物が何なのか色んな説があるみたいだけど、 一説によると残ってた物は『予知能力』なんだって説もあるらしいのよね。 確かに人が『予知能力』なんて手に入れちゃったら、最高の災厄だと思わない? 先の事が分かんないから、人生ってやつは面白いし、人は生きていけるんでしょ? 馬鹿みたいって言うか馬鹿だけど、 アタシ達は先の事が分かんないから、どうにかながらでも生きて来られた。 終末が近付いてても、馬鹿話どころか来ないはずの来週の話までできる。 未来の事が分からないから……、そういう事ができるのよね。 人間って、そういう馬鹿な生き物でいいんじゃないかって、アタシは思うのよ。 だから、思う存分、未来の話をしようじゃない? 例え存在しない未来でも、『現在』を生きられるならそれもアリでしょ? ……しまった。 やけに真面目な話になってしまった。 ひょうきんクリスティーナと呼ばれるくらい、 ひょうきんに定評のあるアタシとした事が……。 ま、アタシはそう思うってだけの個人的な意見よ。 お前らはお前らの思うように生きてくれれば、それでオーケー。 自由を求めて、自由に生きてくのがロックってやつだしね。 さってと、そろそろ今日の一曲目といきますか。 今日の一曲目も終末っぽいって言ったら、終末っぽいのか? 歌詞を見る限り、内容が全然理解できないけど、 もしかしたら終末の曲なのかもしれない……と思わなくもない曲。 そんな変わり種の今日の一曲目、愛知県のジャガー・ニャンピョウのリクエストで、 サイキックラバーの『いつも手の中に』――」 ○ 「りっちゃんが着たがってたあの高校の制服、お友達から借りられたのー」 それなりの楽器の練習の後、お茶の準備をしながら、 いつもと変わらないほんわかとした柔らかい表情でムギが微笑んだ。 「えっ? マジで? ホントに?」 少し大袈裟に私はムギに尋ねてみる。 勿論、疑ってるわけじゃない。 確かあの高校の制服の話をしたのは、確か『終末宣言』前の約一ヵ月半前の事だ。 言い出しっぺの私ですら半分忘れ掛けてたのに、 ムギがその約束をずっと覚えてくれれたって事に私は驚いていた。 それもただの一ヵ月半じゃない。 世界の終わりまで残り少ない時間の中で、 ムギは私との約束を果たそうとしてくれてたんだ。 「ありがとな、ムギ!」 申し訳ないんだか、嬉しいんだか、 何とも言えない気持ちになって、私はお茶の準備をするムギに後ろから軽く抱き着いた。 「ちょっと……、危ないよ、りっちゃん」 叱るような口振りだったけど、口の端を笑顔にしながらムギが言った。 お盆にお茶を乗せたムギに抱き着くのが危ないのは分かってる。 でも、抱き着きたかったんだ。 それくらい私の胸は色んな気持ちでいっぱいだった。 ムギはいい子だな、本当に……。 「おい律……、危ないぞ?」 「わーってるって、み……」 その言葉に返事しようと顔を向けた私は、一瞬言葉を失った。 そこには嫉妬に燃えてるってほどじゃないけど、若干不機嫌そうな顔の澪が居たからだ。 昨日友達以上恋人未満になっておいて、 よりにもよってそいつの前で他の子に抱き着くのは、確かにあんまり褒められた事じゃないよな……。 別の意味でも危なかったか……。 「ごめんごめん、ちょっと危なかったな」 「気を付けろよ、律」 「ああ、分かってるって」 言いながら私がムギから離れた直後くらいに、 澪が不機嫌そうな顔から軽い苦笑に表情を変えていた。 少しは嫌だったんだろうけど、不機嫌な表情は半分演技だったらしい。 ムギ相手にやった事だし、澪自身もそんなに心が狭い奴ってわけじゃない。 軽い警告の意味で不機嫌そうな演技をしたんだろう。 澪自身が嫌だからと言うより、 将来的に深い仲になる誰かの前でそういう事をするなって事を、私に教えてくれたみたいだ。 やれやれ。 澪は私の母さんかよ……。 そう思わなくもないけど、私を心配してやってくれた事だし、悪い気はしなかった。 まあ、将来的にそんな深い仲になる予定があるのは、今は澪しかいないんだけどな。 「でも、あの高校の制服が着られるのは嬉しいよな。 ありがとう、ムギ」 澪がムギに軽く微笑み掛ける。 「いえいえ」とお盆に置いたお茶をそれぞれの机に置きながら、ムギが会釈した。 その二人の様子はとても仲の良い友達そのもので、 澪がムギに対して嫉妬してるって事もやっぱりなさそうだ。 心なしかムギが私達を見る目も、いつもより生温かく見える。 ひょっとして……、私と澪の関係、気付かれてる……? いや、別に隠す事じゃないんだけどさ……。 「遂に私達があの高校の制服に袖を通す時が来たか……」 「何を大袈裟に言ってるんですか、唯先輩」 「えー……。 あずにゃんはあの高校の制服を着るの楽しみじゃないの?」 「楽しみですけど、そんな大袈裟に言うほどじゃないです」 「もー。あずにゃんのいけずぅ」 「何がいけずですか……」 不意に顔を向けると、唯と梓がこれまた仲が良さそうに会話していた。 先輩と後輩としては少しどうかと思うが、 それでも久しぶりにそんな唯と梓の姿を見るのは純粋に嬉しかった。 私がボケて、澪が注意して、ムギが皆を思いやって、唯と梓が子供みたいにじゃれ合う。 そんな時間を取り戻せた事が、今は本当に嬉しい。 「ところで、その制服は何処にあるんだ? 明日持って来てくれるのか?」 笑顔になりながら、私は目の前のムギに訊ねてみる。 お茶の準備を終えたムギも軽く微笑みながら返す。 「ううん、あの高校の制服はもう持って来てあるの。 さわ子先生の衣装と一緒に、ハンガーで掛けてあるんだ。 本当は制服を着るのは明日がいいかなとは思ってたんだけど、 今日の方がいいかもって思い直したんだ。 多分、明日はさわ子先生の衣装をたくさん着る事になると思うし……」 「だろうなー……」 少し呆れながら、私は小さく呟いた。 昨日、土曜日にライブを開催する事を皆に伝えると、 即座に部員全員が手を上げて快くライブへの参加を決めてくれた。 皆ならそうしてくれるだろうと思ってはいたけど、やっぱり嬉しかった。 その時、少し泣き出しそうになってたのは、誰にも内緒だ。 ついでに言えば、昨日家に帰った後、 広辞苑で『役不足』の意味を調べた時の私の表情も誰にも内緒だ。 とにかく、ライブに部員が全員参加する事が決まった後、 私達は信代やいちご、聡や憂ちゃんとか、そんな思う限りの知人に連絡を取った。 観に来てはくれなくてもいい。 ただ私達が最後にライブを開催する事だけは、皆に知っておいてほしかったから。 でも、全員とは言わないけど、 多くのクラスメイトや友達が私達のライブを観に来てくれると言ってくれた。 こんな時期なのに、私達の最後のライブを観てくれる……、そんな皆に心から感謝したい。 勿論、さわちゃんも私達のライブを観に来てくれると言っていた。 「最後のライブに相応しい、素敵な衣装を持ってくわよ!」と余計な言葉まで添えて。 いや、余計な言葉って言ったら、すごく失礼だとは思うんだけど……。 思いはするだけど……さ。 それでも、澪と梓が珍しくそのさわちゃんの衣装を着る事を反対しなかった。 むしろ自分から進んでその衣装を着たいって言い出したくらいだ。 当然、そのさわちゃんの衣装を心から着たいわけじゃなくて、 その衣装を着る事で、これまでさわちゃんにお世話になった感謝の気持ちを示したいからだ。 その気持ちは私だって同じだった。 澪と梓が反対しないんなら、 私だって最後の……高校最後のライブくらいは、さわちゃんの好きにさせてあげたいんだ。 そんなわけで、ムギの言葉は本当に正しい。 確かに今日の内に着ておかないと、 明日あの高校の制服を着るどころか、目にできるかどうかすら危うい。 早めに、今すぐにでも着ておかないと、 折角のムギの努力を全部水の泡にしちゃう事になる。 「じゃあ、お茶飲んだらすぐにあの高校の制服に着替えようぜ、皆。 練習もあの高校の制服でやろう。 急がないと、衣装合わせとか言って、さわちゃんが来るかもしれないしな」 少し焦って私が言うと、皆が非常に神妙そうな表情で頷いた。 私達の心は今こうして一つになった。 一つになり方が、非常に微妙だが。 34
https://w.atwiki.jp/epicofbattleroyale/pages/368.html
「中々の趣味の御殿よな、異郷の鬼を統べる王よ」 この場に姿を見せるなり茨木は、プロトスと立香、そして彼女自身が現在身を置いている王の間を見渡しながらそう口にした。 「眩いばかりに輝く金に銀、壁に床に天井にと敷き詰められた宝玉。弁財天に媚を売らねば、斯様な物は作れまい」 カルデアには、黄金律、と呼ばれるスキルを持つサーヴァントが複数存在する。 黄金律、それは即ち、己の人生において、どれだけ財貨に愛されているかを示すスキルである。 財宝に『魅入られた』、ではない。その逆だ。『財宝に魅入られている』事を示すスキルとも言えるだろう。 このスキルを保持するサーヴァントは、『金』と言う概念に一生困る事がなく、そしてその恩恵(おこぼれ)をマスター自身も与る事が出来る。 正に、貧する者にとってはこれ以上となく羨むべきスキルであろう。ただし、こんな夢の如きスキルであっても、QPに限っては対象外なのが泣き所であるが。切実に。 初めて、立香がこの宮殿に招かれた時、彼はプロトスが黄金律を保持したサーヴァントなのではと考えた。 余りにも、彼の保持する宝具の威容が凄まじかったからだ。城の外観は、純金・純銀で構成され、其処に夜の星空を切り取ってそのままペーストしたかの如く、 拳大の大きさの宝石が至る所に鏤められていたからだ。ダイヤ、ルビー、サファイア、エメラルド、メノウ、オパール、ヒスイ……。 立香が連想しうる様々な宝石が外壁と言う外壁にはめ込まれたその様子は、色取り取りの鉱玉が鏤められた山の如く。星をまき散らせた空の如く、であった。 宮殿内部には、龍や虎、大蛇に象、鷹に鷲に亀に猪など、様々な動物を象った大理石の彫像が至る所に設置されており、 しかもその大きさたるや下手な高層ビルよりもずっと巨大。だが、特に驚くべきだったのはその精巧さだ。 その精緻さたるや今にも動き出してそのダイナミズムを立香に示さんばかりのそれ。ただの彫像の癖に、命すら宿っているのではと立香は思った程である。 床も、天井も、壁も、柱も扉も窓枠も。全部が純金・純銀で構成され、その全てに当然の如く宝石が鏤められ、そしてその全てが、 神がノミを使って生み出したような精巧さを誇っていると言うのだから、この宮殿は別の意味で恐ろしい。 勿論、一般開放されていると思しき所ですらこんな様子なのだ。勿論、プロトスの間がこんな調子ではない、筈がない。 野球やサッカーが出来て余りある程広大な一室、その全てに、貴金属の閃きと鉱玉の煌めきが瞬いている。此処では宝石も金銀も、露程の価値もない、陳腐な代物なのではないかと、ひねくれさせる程の力が満ち満ちているのだ。 「欲しいのであれば、このようなもの、飽きる程くれてやる。喜捨に理解が無いわけではない。それ、拾え」 言ってプロトスは、開いた右の掌に、無数の宝石を転移させ、それを茨木の方目掛けて放り投げた。 本当に、欲しいのならくれてやる、程度の投げ方だ。相手を殺すとか、傷付けるとか言う意図が一切ない。欲しそうだったから、恵んでやる。そんな意図が、ありありと見て取れる程だった。 ――そしてそれを茨木は、手に持った骨刀を残像が見える程の速度で一薙ぎ、尽く打ち返した。 その全ては、プロトスの方に超高速度で飛来して行き、これを彼は右腕一本を乱雑に動かす事で、全て弾き飛ばしてしまったではないか。 「鬼は貧する者、浅ましい獣。それ故に、喰らうもの、侵すもの、奪うものをえり好みする」 「だが、今は」 「汝の放り捨てた宝石よりも、汝の首の方が、億万倍の価値があると思っておるのでな。その素っ首、我が伊吹酒呑御殿の厄除けにでも飾ってやろうぞ」 「――ふはっ、フハハハハハハ!!」 茨木の啖呵を聞くや否や、プロトスは、顔を抑えて哄笑を張り上げる。 部屋全体が振動する程の、大爆笑。床も壁も、天井から釣り下がる数多の蝋燭を従えるシャンデリアも。魔王の呵々大笑に怯えるが如くに、震えを上げていた。 音源近くにいる立香は、余りの大音に思わず耳を塞ぐ。鼓膜が、馬鹿になりかねない程の大きな音であったからだが、茨木だけは、動じずにプロトスの顔を睨みつけていた。 「日の出づる国の子鬼は、大言壮語をしておらねば死んでしまう宿業を埋め込まれているようだ。いやはや、愚かを通り越して、哀れでならん」 其処までプロトスが口にした瞬間だった。 プロトスの身体から発散される鬼気や敵意が、幾何学的に増大して行き、王の間を塗り潰して行ったのは。 茨木とプロトスのやり取りに呑まれていたか、無言を貫いていた他の鬼達が後退り、怯えた目付きでこの場の主君であるプロトスを見つめている。 彼らは知っているのだ。この巨躯の大鬼が、その気になればどれだけの暴威を発揮出来るのか。知っているからこそ、その筋骨隆々の体躯に、怯えを宿してしまっているのだ。 「苦行(タパス)に瞑想、ヨーガも耐えられんような小娘如きがこの羅刹王の首を斬り落とすなど、冗談にしても不遜が過ぎる。地獄の何たるかを味合わせた後に、貴様の柔肌、剥がして鞣して我が足の敷物にしてくれるわ」 「ほざけ、地獄を見るのは汝の方よ。吾一人で戦うなど、吾は言った覚えはないぞ」 茨木がこの言葉を発するのと同時に、先程のプロトスの大笑で、鼓膜がイカれかけていた立香の聴覚が回復。 そして、彼女の発言を聞くだに、えっ? と反応する。まさか、他にもいるのか? この空中宮殿に、侵入出来たサーヴァントが。 「二人で千軍に匹敵すると謳われた、大江の山の双首魁。茨木童子と『酒呑童子』の双名を、相手取れる幸運を喜ぶが良い。さあ、出番ぞ、酒呑!!」 そう茨木が大喝する。ビリビリと空気が震え、音の塊が壁に叩き付けられる。 ……が、威勢良く声を張り上げた割には、此処にいると言う酒呑は、一向にその姿を現してくれない。 そんな事態が、五秒程続く物だから、茨木は額から汗を流し出す。「あ。焦ってんなコイツ」、と言う事が立香にも伝わってくる。一方で、怪訝そうな目で茨木の方を注視するのは、プロトスの方だった。 「酒呑!! いるのだろう、なぁ!! 酒呑、しゅてーん!!??」 ――あ、こいついつもの調子に戻ったな―― 普段ならば涙目で酒呑の名を叫ぶ姿を微笑ましく見れたのであるが、事今の状況でそれは出来ない。と言うか、カリスマがぶっ壊れるのが早過ぎる。 一分半程度しか保てていなかった。セミみたいに儚いカリスマだ。マジで腹括るしかないのか? と、立香がいよいよ覚悟を決めようとしていたその時であった。 果たして茨木の言った通り、プロトス配下の鬼達と、それに化けていた茨木が出て来た、彼ら専用の通用口から、腹を抑えて涙目の状態の、小柄な少女が姿を見せた。 額から生える一本角が特徴的な女性だ。この時点で、彼女が人間であると言う選択肢が立ち消える。それに、服装も凄い。 服と言うか適当に布を切って局所局部に張り付けただけの露出度の高い衣装に、着崩すにも限度があろうと言う改造和服。 そして、身の丈程もありそうな両刃の直剣に、『酔』の一文字の書かれた赤提灯、そして、玻璃製と思しき大きな瓢箪を腰に抱えた、伊達の権化のようなこの小女を、立香はよく知っている。そう、彼女もまた、茨木同様カルデアで契約したサーヴァントであるからだ。 アサシン・酒呑童子。 一度戦闘となればカルデアの中でも特に強力で頼れる特記戦力が、この場にやって来てくれたのだ。 ……だが、どうにも様子がおかしい。腹を抑えて涙目、と言うのもそうなのだが、何故か笑いを堪えているのである。一体全体、何があったと言うのか。 「だ、旦那はん……お、おもろいカッコし過ぎやろ……おっかしいわぁ……」 爆笑を堪えるのに酒呑は必死らしく、腹に力を込めながら、何とか言葉を発している様子であった。 あぁ、と。そう言えばそうだったな、と立香は再認する。自分の服装の、余りの愉快さを、茨木が此処に来たせいですっかり頭から抜け落ちていた。 そうだ、今の藤丸立香の姿は、スケスケピンクのベビードール。その上下着はやらしいビキニだ。とてもではないが、関係者には見せられない恰好なのだ。 成程、これは笑わない訳がない。立香ですら、他人が自分と同じ立場に陥っているのを見たら、不覚にも噴出してしまうかもしれないのだ。 酒呑が、今の自分の姿を見て、勤めて笑わないような努力をするようなサーヴァントであるとは、立香は思っていない。と言うか現に笑っている。 恐らく茨木が何度叫んでもその呼び声に応じなかったのは、間違いなく、立香の姿を見て笑いまくっていたからなのだろう。 「あ、あかんわ……其処のライダーさんと戦う前に、笑い死んでまうわ……」 「しゅ、酒呑!! し、死ぬな酒呑!! 置いてかないでくれ!! お、オイマスター!! お前がそんな変な恰好してるから酒呑が死にそうなんだぞ!! 何とかしろ!!」 >>死にたいのは俺の方なんだよなぁ…… 生き恥同然の恰好を晒された挙句、それを見て笑われ、何故かあらぬ存ぜぬの責任を此方に転嫁されてしまえば、立香の希死念慮も爆上げすると言う物。 自分の両目から変な液体が出そうになるが、グッと堪えた。自分の心は人よりちょっと強いのだ。こんな事に挫けちゃいけないぞ立香、と自分を励ます。 「……成程。面白い。その体躯と、雅な姿からは想像もつかぬが……貴様、根の所から完全なる『鬼』だな」 「そちらの方こそ、噂通りの大層な『ワル』みたいやねぇ。鬼を知り尽くし、その上で伊達と雅を追い求める、ほんまもんの悪鬼羅刹やわぁ」 酒呑の口から、笑いが消えた。 普段立香達と話す時に浮かべる、いつもの微笑みを浮かべながらプロトスと喋っているが、立香には解る。笑みの質が違う。 それは酒呑が、殺しても咎めのない敵と相対した時に浮かべる、鬼とは何かを理解せしめる兇悪な笑みだった。 相手を甚振っても良いと言う嗜虐心、徹底的に破壊しても良いと言う残虐心。それらが綯交ぜになった今の酒呑の笑みは、見る者の心胆を寒からしめる、恐ろしいまでの威力で満ち満ちているのだった。 「うちの事はあんたはん知らんやろうけど、そっちの悪名は、大陸渡って天竺まで歩いてた時に聞き及んでてなぁ? 是非に逢って、酒呑み交わしたい思うとったんよ」 >>このサーヴァントの名前を知ってるのか!? 「勿論よ、旦那はん。旦那はんが召喚した、ラーマの坊やから話も聞いとるやろ? 苦しい修行の果てに、神をも超える神通力を会得した悪鬼……羅婆那王。『ラーヴァナ』っちゅうんは、其処にいる大旦那の事よ?」 「……見事。儂の名を当て得るか」 真名判明 終末のⅠ ライダー・プロトス 真名 ラーヴァナ 「日の出づる国の、さぞ名のある蛇神(ナーガ)の化身(アヴァターラ)と見た。彼の国では、神が鬼の姿をとるらしい」 「そない結構なもんでもあらへんよ、お褒めになるのがお上手やねぇ」 「酒呑は汝が思う何十倍も強いぞ!! 汝の命運、尽きたものと思え!!」 と茨木は、腰巾着の台詞のテンプレートのようなセリフを全くの無意識の内に口走るが、これを本心、心から言っていると言うのだから性質が悪い。 茨木に対して一瞬苦笑いの表情を向ける酒呑だったが、直にライダー・プロトス、もとい、ラーヴァナの方に目線を送る。 「どうりで、我が眷属たるラクシャーサ共が、其処の子鬼が正体を明かしても襲い掛からんと思った。蛇の鬼よ、貴様の手引きだな」 「うちは仲よぉく、美味い酒を飲もう思っとったんやけどなぁ。もう少しこまめに宴会開いて、部下をお酒に強うしといた方がええよ? 立派な身体つきの割に、皆すーぐ潰れて……。だらしのうてしょうがなかったわぁ」 「忠言として頂いておこう」 「酒呑は酒にも強いぞ!! 汝が思う何十ば――」 「茨木、うるさい」 立てているつもりだったのに、突然梯子を外され、「えっ、えっ……?」と困惑気味の表情を隠せない茨木を尻目に、酒呑はラーヴァナと言葉を交わし続ける。 ここまでの酒呑の言葉を聞いて、立香も理解する。冷静に考えれば、思い浮かんで当然の疑問だった。 何故茨木童子がこの場で正体を明かしてもなお、ラーヴァナの部下と思しき鬼達は、彼女を排斥しようとしなかったのか。 答えは単純だった、酒呑童子が秘密裏に鬼達を操っていたからに他ならない。酒呑が保有するスキル、『果実の酒気』。 あの羅生門での一件の時は人々や鬼達を暴走させる程、酒気には見境がなかったが、酒呑がその気になれば、このスキルを応用してある種の洗脳を行う事が出来るようだ。 言ってしまえば現状鬼達は、酒呑によって催眠、或いは言いなりに近い状態にあるのだろう。改めて、味方にすると心強いサーヴァントだと、立香は強く思った。 「ほいでなぁ、ラーヴァナの旦那。うちらが此処に来たのは他でもなくてな。ほら、今大旦那が可愛がってる、其処の愛らしい、カルデアのマスター。おるやろ?」 「うむ」 「うちらの所のマスターを、返して欲しいんやけど、宜しいな?」 「よかろう」 うむ、と肯じるラーヴァナ。これに驚いたのは立香と、茨木だ。 絶対に断る物だと思っていて、これを前提にしてこれから立ち回ろうとしていたのだから、この即答に驚かぬ筈がない。 「金も取らぬし、代わりとなる魔力や、虎の子である宝具も寄越せと言わぬよ。誓って、マスターは無傷で返してやろう」 ハッハッハ、と、豪放磊落とした笑いを上げ、ラーヴァナは一同を見渡すが――酒呑だけは、剣呑な笑みを隠しもしていなかった。 犬歯を見せ付けるようなその笑みは、酷く獰猛で、眼を離せば食い殺されかねない程の狂的な何かが渦を巻いていた。 「――うちらの命は?」 短く、酒呑が問うた。笑みを、浮かべたままだった。 「――置いて行って貰う」 ラーヴァナもまた、危険な笑みを浮かべた。 性別と年齢、そしてラーヴァナ自身の体格もあって、見た目上で感じられる脅威性と危険性は、酒呑の比ではなかった。 「普段なれば、お前のような好き鬼とは酒を飲み交わしたい所ではあるのだがな……蛇の化身は、気に入らぬのよ。その化身に、愚息を殺されているのでな」 「要するに、八つ当たりやね。あぁ、厭や厭や。羅刹王たる男が、牛女見たいな事言わんといて欲しいわぁ」 「気に入らぬ者の命を、気分一つで焼き尽くす。鬼の在り方から外れてないであろうがよ」 「ま、それもそか」 ヘラヘラと笑いながら、酒呑が肯定する。 鬼の価値観を有した者同士のやり取りは、立香にとっては、異次元の住民同士のやり取りにしか見えなかった。 気分次第で人を殺し、財を奪い、犯し、そして友すら裏切る、天性の魔。それが、鬼であると言ったのは茨木童子であったか。 自分がサーヴァントとして従える、この二人の鬼は、その価値観に頭までどっぷりと浸かった、恐るべき反英雄である事を、今更ながらに立香は思い知っていた。 「カルデアのマスターを相手に、寝台で汗をかくのも悪くはなかったが……。やはり、阿修羅や鬼(ラクシャーサ)の本懐は、戦いよ。異郷の鬼を相手に戦いに興じられるなど……、これ以上の贅沢もあるまい」 目線を、酒呑童子から茨木童子の方にラーヴァナは向ける。ピクッ、と、茨木が反応し、手にした大刀を構えた。 だが直に、酒呑も茨木も、ラーヴァナの目線が金髪の子鬼の方ではなく、その背後で怯えたように構えていた、配下のラクシャーサの方に向いている事に気付いた。 「女の色香に絆される、苦行と修行の足りぬ鬼は儂にはいらぬ。死んで出直せ」 「――茨木、避けや!!」 酒呑が一喝すると同時に、茨木は殆ど反射的に、酒呑の方へと跳ね飛んで行く。 それと、全く同じタイミングだった。ラーヴァナの双眸から、黄金色の光線が射出され、それがラクシャーサの一団を貫いたのは。 苦悶の叫び声が、王の間を震わせる。レーザーに貫かれた鬼は、レーザー自体が内包させる超高温で一瞬で蒸発、灰の一握りも残さず消滅し、 その周りの鬼達にしても、光線の余熱で火達磨の状態に成り果てていた。炎上する火の棒の如き有様になっていた鬼達は、狂ったように苦しみの踊りを続けていたが、 それを行うだけの生命力もとうとう尽きたか、地面に倒れ込み、その命を使い果たしてしまった。 >>ぶ、部下を…… 「あの蛇鬼の意思次第で、どうせ儂に対して武威を向けるであろう事は容易に想像がつく。予め消した所で、何の支障もありはすまい」 其処までラーヴァナが言うや、立香の傍から、風のようにラーヴァナが消え失せる。 彼は、立香から見て二十m程先の地点に瞬時に移動し、その位置で、童子の名を冠する鬼二名に向き直っていた。 恐るべき速度であった。その巨躯からは想像も出来ない程、軽捷な動きをライダーは行う事が出来るようであった。立香は、ラーヴァナが近くから消えたと気付くのに、二秒程も時間が必要であった。 「旦那はん」 此処で、酒呑が立香の方に目線と意識を向けた。 「うちらが時間稼ぐさかい、此処から旦那はんは逃げておくれやす」 >>逃げるって、此処空の上だよ!! そう、ラーヴァナの宝具と思しきこの宮殿は、そもそも地上ではなく、地上から数百m以上も上空地点を浮遊しているのだ。 宮殿自体が何か強靭なワイヤのような物で吊り上げられているとか、ではない。不思議な力で確かに浮いているのだ。 勿論宮殿の近場には、この建物に準ずる高さを誇る建物や、地上へと繋がるタラップのような物もない。完全に、高高度でこの宮殿は独立しているのだ。 そんな条件下で、どうやって逃げると言うのか。いやそもそも――其処までの高さでありながら、どうやって酒呑も茨木も、『この宮殿にやって来れたのだ?』 「安心しいや。うちらの他にも、協力者がいるんよ。『ヤマアラシの兄貴』に、『ファラオの兄さん』……癪やけど『牛臭い女』。それに――」 酒呑が全てを言い切るよりも前に、立香の背後に広がる、広大な純金製の壁が、ボオン、と言う音を立てて砕け散った。 何だ何だと思いながら、バッと、皆が音源の方に顔を向ける。酒呑、茨木、ラーヴァナの三名は、それが何であるのかを理解したが、立香だけは理解出来ずにいた。 精確に言えば、理解するよりも速く、壁を壊してこの場にやって来た何かに、ベビードールの襟首を掴まれ、そのまま何かの上に乗せられてしまったからだ。 「後は首尾よくな、『このーとの奥方』さん」 「はいはーい」 やる気のない返事を酒呑に送りながら、それは、王の間から立香を連れて逃走した。 鎧を纏った、黒光りする獣毛が特徴的な巨牛に引かれた戦車。その上に腰を下ろす、桜色の美しい髪が特徴的な美女。 即ち、カルデアに於いて『女王・メイヴ』と呼ばれるライダーのサーヴァントは、そのままの吶喊の勢いで、王の間の壁を破壊し、この場を去って行ったのであった。 ―――― 「? マスター、何でそんな恰好してるの? そう言う趣味がおあり?」 キョトン、とした表情で、戦車内部で仰向けになった状態の立香に顔を向け、メイヴはそんな事を問うて来た。 後頭部をしたたかに打ち付けられて、目が回る。戦車を引く牛にベビードールの襟を咥えられ、そのまま器用に戦車内部に投げ入れられたのだ。 運よく戦車の中にシュートインされたからよかったものの、これで失敗していたら文句なしの即死であった事は想像に難くない。 >>あのオッサンの趣味で着させられました…… 不可抗力だよメイヴちゃん 「そうなの。てっきり、マスターもそんな趣味に目覚めたのかと。お望みなら、私が男役になってベッドの上でリードしても良いのですよ?」 うーん総受け体質 >>安易に生やそうとするのはNG 「ノーマルな体位とか性癖ばかりだと女の子も飽きますよ? もっとほのかなアブノーマルさもないと、ね」 女装趣味のアブノーマルさはちょっと別なんじゃないかと思いながら、何とか体勢を整え、メイヴの下まで近づこうとするも、彼女に止められる。 一応ここは敵地である。無暗に外にマスターが露出するべきではないと彼女は説明して来た。彼女の宝具であるチャリオット・マイ・ラブの内部は、 一種の亜空間・閉じた世界であるらしい。つまり、外部からは隔絶された空間と説明出来る。空間ごと破壊する程の超高威力の宝具攻撃でもなければ、 牛は兎も角戦車部分はビクともしない程の強度を誇る。ならば、内部に閉じ籠っていた方が安心安全。こう言う理屈であった。 >>結構理に適った戦略が練れるんだね 「当然。これでもケルトの女王よ。多少なりの戦闘の心得はあります」 実際戦闘においても、鞭を振ったり、バリバリの膝蹴りを繰り出す事もあるのだから、確かに、間違ってはないだろう。 「ふふん。感心したかしら? したのなら、ホラ。言うべき事があるのではなくて?」 >>メイヴちゃんサイコー!! 「そう。その挨拶と心構えを忘れないようにね!!」 実際問題、淫蕩で、わがままな面が強い事を除けば、メイヴはまだ話が通じる方だと立香は思う。 現にこうして、方法こそ荒っぽかったとは言え立香の事を救出してくれたのであるから、どうあれ、マスター思いな面もある事は間違いない。 褒めて気を良くしてくれるのであれば、言い方は悪いが、御しやすい方とすら言えるだろう。尤も、助けてくれた事については心から感謝をしているが。 >>メイヴちゃんや 「なぁに?」 >>どうやって此処に来れたの? ラーヴァナ達との一件の際は、バタバタした状況であったが為に、聞くに聞けなかったが、先程も言った通り此処は空に浮かぶ宮殿だ。 必然的に此処にコンタクトするには、空を飛ぶ何らかの手段がなければ不可能な事なのである。 今の所立香がであった、茨木や酒呑、そしてメイヴも、空を飛ぶ手段は有していない。此処には通常、足を踏み入れられぬ筈なのだ。 それなのに、如何様にして彼女らは、この空中宮殿に侵入する事が、出来たのか。其処が疑問であった。 「もうすぐクーちゃんとライコウ達との合流場所だから、詳しい説明は省くけど、手引きがあったのよ」 >>……手引き? 「此処から脱出したらしっかり教えるわ。さ、もう到着よ」 そう言って、戦車を引く二頭の巨牛に指示を飛ばし、ブレーキを掛けさせるメイヴ。 其処は宮殿の玄関とも言うべき所である。立香も、ラーヴァナに拉致された時は最初に此処を通された。 馬鹿みたいな広さと奥行き、そして高さを誇る広大な空間で、勿論例にもよって、此処もまた純金と純銀、その他貴金属に宝石宝玉類で満ち溢れていた。 「成金趣味ねー、あの男」、と、趣味が合わなそう、と言う事が一見して理解出来る声音でメイヴは玄関の方を見渡し――疑問気な表情を浮かべる。 >>どうしたの? 「……打ち合わせどうりなら、あそこから皆で飛び降りて此処から逃げ出す算段だったのだけれど……」 え、マジで!? と言うような表情を浮かべる立香。 メイヴが鞭で指示した所は、外へと通じている巨大な入口部なのであるが、其処から一歩足を踏み出せば、其処はもう雲の上。 つまり、完全なる外なのだ。メイヴの言った通り、入口まで走って跳躍すれば、一気に高度千m弱の地点をフライ・アウェイ出来る。 当然、人の身でこの紐なしバンジーをやれば、その結果は語るに及ばず。サーヴァントですら、最悪の結果が待ち受けているだろう。 本当に、こんなダイナミックなやり方で逃げるつもりだったのか、とメイヴに訊ねようとするが……言葉が、引っ込んだ。メイヴの表情が、想定外の事態に出くわしたようなそれになっていたからだ。不穏な空気が、誰もいない玄関を支配する。 「変ね……。クーちゃんも、ライコウも、此処で待機――」 其処まで言った、瞬間だった。 メイヴから見て左百m先に広がる、純銀と純金がマーブル模様を織りなしている壁が、ドロドロに溶け始め、液化した金銀のファウンテンを何かが突き破り、 この玄関の方に姿を現した。この場に現れたのは、二名。傷と怪我を負っている、バーサーカー・『クー・フーリン』と、『源頼光』であった!! 「く、クーちゃん!?」 「メイヴか……。マスターを救出した役目を果たした所悪いが……想定外の奴と接敵した。備えろ」 「まぁマスター……。御無事で何よりです……が、今は再開を喜べる状況では御座いません。悪いのですが、私共を指揮して動かして欲しいのです」 衣服の所々が破れ、水どころか油すらも弾きそうな玉の如き肌を、立香やクー・フーリンに露出してしまっている、と言う事態すら、頼光は気にしていなかった。 それ程までに、融解している純金と純銀を、ガス蒸発させて此方に迫る存在が強すぎると言う事なのだろう。 長く伸ばした金髪、世の女性の魂すら恋の炎で焦がさんばかりの絶世の美貌。そして、焔を思わせるような橙色の軽鎧を装着し、 その背から炎と光で構成された二対十二枚の翼を展開させていると言う、神威に満ち溢れたその姿。立香は、その姿をしたサーヴァントを知っている。 何故ならば、つい先程夢の島で会話をした、終末のⅡこと、セイバー・ゼフテロスその物であったからだ。 「――新手が一人。そんなにも、審判の日が待てぬと言うのか? なれば、よかろう」 セイバーがその手に握っている、剣身が激しく燃え上がっている刃渡り一m弱の長剣の その剣身を包む焔が、セイバーの意志に呼応するが如く、より熱く、より烈しく。松明の如く燃え上がり始めたではないか。 「罪ありし者が堕ちる場所は、いつだって地獄であったと言う事を。このセイバー・ゼフテロス……いや、『ウリエル』が思い出させてくれる」 真名判明 終末のⅡ セイバー・ゼフテロス 真名 ウリエル .
https://w.atwiki.jp/saikyoumousou5/pages/60.html
【作品名】終末のワルキューレ 【名前】ゼウス 【属性】神側の2番手 【大きさ】成人男性の倍くらい 【攻撃力】宇宙の支配者・クロノスを討ち斃したので単一宇宙破壊並み 【防御力】自身の威力をコピーした殴り合いで数十回は殴られてもギリ立っていた 【素早さ】0秒行動可能 【特殊能力】 時を超える拳 クロノスと戦ったときに習得した技 ここでは考察前行動とする 【長所】アダム以外なら瞬殺できてた可能性が高い 【短所】もっと特殊能力あっただろ 14◆n0qGxROT0Q 2022/06/11(土) 17 47 26.23ID Sp/eR1Ru ゼウス(終末のワルキューレ)考察 大きさ3.4m程度の人外、宇宙破壊攻防、0秒行動、考察前行動 攻防速が高いので連敗はしないだろう、相手の防御が高くても相手が無時間行動か常時能力がなければ攻撃などをされず0秒行動で分けがとれるし 考察前行動の壁あたりから ×単純テンプレキラーⅢ 能力負け ×最強の異能者 攻防無効化負け (考察前行動の壁) ○ボス>自律テンプレ=ミスターサタン 先手勝ち ×ダメージの化身 実態なし、テンプレ破壊負け ○*19 VIPPER~古賀潤一郎 先手勝ち (考察時行動の壁) ×アビス 防御高い、コンバット化負け ○CLANNADは人生 先手勝ち ×上条理科雄 防御高い、消去負け ○作者 先手勝ち ×オーバーロード 防御高い、雷負け ○ナマン3 先手勝ち ○機械仕掛けの神 ○*7 反転者~∀ガンダム 先手勝ち ×*3 ディゴール・サンクフェル~リーテ・レーテベルト 防御高い、何らかの攻撃で負け ×長谷敏司 ダメージ無効負け ○SCP-650-JP SCP-2662 先手勝ち ○未定 ○皇帝フランツ ×インチキおみくじ テンプレが短いので負け ○ひろし 先手勝ち ○敗北召喚ジジイ ○終焉の王 ○ちょっと待ってよ ○川藤優 ×神裂綾子 防御高い、テンプレ破壊負け ○郷ひでき 先手勝ち ×旧支配者C 攻撃が届かない ○*8 考察考慮考査考案キラー~対戦相手の持ち物次第で勝敗が決まる人 ×英雄王ギルガメッシュ 防御高い、天の鎖負け ○蓮舫 先手勝ち ×すぺりおる☆ひよりん 防御高い ×次元がひとつ多い人 防御高い ○まだ終わらない 先手勝ち ×タイムパラドキシア 物理無効負け ○*7 毒島~アレ・グリ・ア 先手勝ち ここから下も勝てるだろう 最強の異能者>ゼウス(終末のワルキューレ)>(考察前行動の壁) 482◆n0qGxROT0Q 2022/10/21(金) 18 56 15.62ID LxCWnvh6 ゼウス(終末のワルキューレ)再考察 考察開始の少し前には先手取れるので上がる ○『最強の異能者』 考察の僅か先に発動なので先手で攻撃して勝ち ○単純テンプレキラーⅢ 考察の直前に発動なので先手で攻撃して勝ち ○アマガエル 同上 ○1000兆円持ってる成人男性 同じ考察前でも0秒行動なので先手が取れる ×語学堪能な成人男性 同じ考察前でも行動と発動なら行動のほうが少し遅れる。コピーと書いてあるので負け ×蟹優先 優先順位が狂って負け ×神の一団 時間無視。負け 蟹優先=語学堪能な成人男性>ゼウス(終末のワルキューレ)>1000兆円持ってる成人男性
https://w.atwiki.jp/ygoorika/pages/173.html
《終末(しゅうまつ)の屍人形(ドール)-白詰草(クローバー)》 エクシーズ・効果モンスター 星4/闇属性/アンデット族/攻2500/守2100 アンデット族レベル4モンスター×2 「終末の[[屍人形]]-白詰草」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。 (1):X素材を1つ取り除き、除外されている「屍人形」モンスター1体を選択して発動できる。 そのモンスターを特殊召喚する。 この効果は相手ターンでも使用できる。 (2):このカードが除外されたとき、ゲームから除外されている「屍人形」モンスター2体を選択して発動できる。 このカードを特殊召喚し、選択したモンスターをこのカードのX素材として下に重ねる。 屍人形
https://w.atwiki.jp/maroku/pages/279.html
ダンジョン攻略 注意モンスター 宝箱 ボス攻略 コメント ダンジョン攻略 全部で4箇所に分かれているダンジョン。 鉱山1から2内部と4前のマップへ、 鉱山2から3前のマップへ、 鉱山3及び4前のマップから時計塔へと移動可能。 トロッコ及びつるはしによるクリスタル破壊ギミックがあるが、それほど難しくないため 何度かやれば問題なく先に進めるだろう。 + クリスタル地帯の抜け方 一つ前のマップでつるはしを入手して真ん中の扉から入る。 上と左のクリスタルを砕き、左へ進んでつるはしを入手。 一つ戻って上へ。 右のクリスタルを砕いて進む。 下のクリスタルを砕いてつるはしを入手。 一つ戻って右のクリスタルを砕いて進む。 右上から次のマップへ。つるはしはもう一度使用するので余計な破壊はしないように。 ただし、鉱山2の奥の稼ぎポイント、及び鉱山4内部へは鉱山3のつるはしを 使わずにそのまま持ち込む必要がある点にだけは注意。 鉱山1・2は火弱点、鉱山3は水弱点の敵が多めだが、それ以外の属性を弱点とする 敵もいるため、なるべく魔以外の属性はカバーできる構成が望ましい。 少なくとも、鉱山系モンスターの弱点である地が使えると攻略難度はかなり下がる。 また、多くの敵に即死が効くため範囲即死が使える式神がいるならぜひ連れて行こう。 欠片や上級素材他、強力な装備を落とす敵も多く、そろそろ逃走が失敗しやすくなることもあるため この辺でPTの強化を図るのもいいだろう。 なお、鉱山3奥の方で玄爺が仲間になるので忘れずに連れて行こう。 注意モンスター + ... 銀山の町 鉱山の村の上位種。 ベネブランス・ウォールにマイティ・シールドウォールと やってることは鉱山の村とほとんど同じなのだが、非常に硬くタフなため倒すのには苦労する。 プロバケイションも併用してとにかく自分に攻撃を集めようとするため 思うように他の敵を攻撃できず、たたみこまれるケースも多数。 おまけにサクリファイス・ボムによる自爆で一瞬でPTが壊滅状態になることも。 地属性や耐性弱化からの属性攻撃で集中して沈めると安定する。 パーティーで最も素早いキャラに土属性の強力な全体魔法を使わせよう。ベネブランス・ウォールをしてきたらこちらの思うツボ。 また、こいつを含め鉱山の敵は粉砕耐性を持たないものが多いため、豊姫を育てておくと難度が格段に下がる。 金山の都市 銀山の町のさらに上位種。 銀山の都市がさらに硬くなり、ベネブランスやシールドウォール使用後に2回行動で ストーンシャワーや脱力、コンクリート(全体石化)をぶっ放してくる問題児。 鉱山4の戦闘では高確率でこいつが含まれる構成となるため非常に厄介である。 対応方法は銀山の都市と同じとなるが、危険性は一気に上がっているため、 なんとしても1ターン目で沈めたい。 2体含む構成で登場することも多いため、豊姫が銀山の町以上に活躍する。 エンペラーサラマンダー クイーン・ウンディーネ ノームキングやシルフ・プリンセス同様火と水の上位種。 2回行動に全体攻撃・異常な再生力と厄介なところも共通だが、 特にエンペラーサラマンダーのぶちかましは壊滅の危険をはらんでいるため 属性攻撃で一気にしとめてしまいたい。 ダーク・デュミナス デュミナスプリンセスの上位種。 デュミナスプリンセス同様味方を強化しまくることに加え、各種弓攻撃が苛烈。 特にスターライトアローは全体に300以上与えることもあるため危険。 闇属性や取得済みなら完全超悪剣でさっさと葬りたい。 ギガンテス 800超のフェイタルヒットを2回行動で放ってくる。 よほど対策を採らない限り戦士系でも一撃必殺の威力のため、1ターンに二人脱落することに。 斬と地が弱点であるため、強力な技で速攻をかけたい。 宝箱 + ... ■鉱山1 ダマスカス鋼 要石 オリハルコンの欠片×3 金塊 神秘の竹 鉄塊 アダマンタイトの欠片×3 デーモンスレイヤー インプレグナブルニューセンス ■鉱山2 ダマスカス鋼 オリハルコンの欠片×3 金塊 神秘の竹 鉄塊 アダマンタイトの欠片×3 素材セットD、E のレシピ 魔光石 避来矢 鬼神の魔槍 ■鉱山2出口~鉱山3入り口 綺麗な腕輪 要石 ■鉱山3 オリハルコンの欠片×3 魔光石 金塊 アダマンタイトの欠片×3 大きな鏡 ルコルドンダルジャン 鉄塊 ダマスカス鋼 古代の円盤 ■鉱山3出口~時計塔前 大きな鏡 アダマンタイトの欠片 ■鉱山1出口~鉱山4入り口 オリハルコンの欠片 魔界磁鉄鉱 ■鉱山4 大きな鏡 フレイルオブウィックネス エメラルド オリハルコン ダマスカス鋼 古代の円盤、夜のヴェール、魔光石、水晶の髑髏、エメラルド、ダイヤモンド、賢者の欠片 のレシピ アダマンタイト ボス攻略 + ... コメント 鉱山2の回復ポイントの稼ぎ場 -- 名無しさん (2012-05-31 22 04 45) はお勧めできない。はぐれは再エンカウントでも出るが高確率で不意打ち→逃走。スタプラ2体出ると逃げれない事も多い。ついでに剣士系が不動明王を撃ってくるので逃走に時間がかかる。 -- 名無しさん (2012-05-31 22 13 03) 鉱山4にいけない・・・ -- 名無しさん (2012-06-02 10 09 10) ホントどうでもいいんだけど鉱山2でけーね先生等身大石像発見したwwwwwwwミニマップ出してるとわからない位置にあったwwwwwwwww -- 名無しさん (2012-06-02 18 13 34) ↑↑第弐の終末の時計塔前から右下に向かうように移動すればいけますよ -- 名無しさん (2012-06-03 13 37 23) 金山の都市ってこれ高槻とおやぢとスピアードとランシアだよなwww -- 名無しさん (2012-06-09 14 29 46) 全部の稼ぎマップに言えることだけど、即死がほぼ決まるからスタプラさん未加入の人は即死撒きつつスタプラを魔属性で仕留めれば良いんでね -- 名無しさん (2012-06-10 12 07 33) 銀山の自爆はソーンバインドでミスらせることができる。哀れなり -- 名無しさん (2012-06-11 01 51 34) 鉱山3に金塊もあります、修正おねがいします -- 名無しさん (2012-06-15 01 18 44) そういや、最初に手に入るつるはしを次のつるはしを手に入れることなく間違えて壊してしまったんだが、そしたらもう諦めるしかない? -- 名無しさん (2012-06-16 17 42 51) ↑自己解決しました。すみません。 -- 名無しさん (2012-06-16 17 45 31) 張り紙調べると一応つるはしの説明?書いてあるんだな -- 名無しさん (2012-06-21 11 47 48) ここのRomanticとWitchingのアレンジがむっちゃワクワクする -- 名無しさん (2012-06-21 15 19 24) ↑めっちゃわかるw -- 名無しさん (2012-06-24 01 31 25) 銀山の町、即死耐性あるだろ。効かないわけじゃないが、他の敵と比べてあからさまに即死しないぞ -- 名無しさん (2012-06-29 12 58 15) 抵抗というものがあってだな・・・ -- 名無しさん (2012-06-29 13 56 04) 鉱山4にあるピッケルってどうとるの? -- 名無しさん (2012-07-04 16 23 49) FAQ(EX)より、鉱山3でつるはしを使用せずに持ってきましょう。だってさ。 -- 名無しさん (2012-07-04 16 33 57) アキダクトが落とすアゾットは魔法のダメージ +10% 消費MP-33%と、かなり高性能。これがあると探索がとても楽になるので是非拾っておきたい。 -- 名無しさん (2012-07-05 19 30 16) つるはしが見つからずかれこれ1カ月。クリスタル地帯ってどこの鉱山のどこを指すのでしょうか?とりあえず1~4まで入る事は出来ます。 -- 名無しさん (2012-12-02 15 27 49) ↑自己解決しました。スレ汚しすみません。 -- 名無しさん (2012-12-02 16 31 39) つるはしは逐一復活するから手順間違えで時間かかっても詰むことはない -- 名無しさん (2013-10-26 10 44 03) ひとつ前のマップとは具体的にどこのことでしょうか? -- 名無しさん (2013-11-29 22 37 57) すげーどうでもいいけど鉱山の町にいるのおやぢじゃね? -- 名無しさん (2014-04-13 18 49 46) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16178.html
「もう……、仕方ないですね……。 では、改めてご紹介しますね。ギターの平沢唯先輩です。 見ての通り、唯先輩はだらしないし、楽譜もろくに読めないし、 律先輩以上に遊び回ってるし、お菓子の事しか考えてないし、 すぐに抱き着いて来るし、変なあだ名付けてくるし、すごく困った先輩です」 また客席から笑い声が上がる。 よく見ると憂ちゃんがハラハラした様子で梓の言葉を見守っていた。 大好きなお姉ちゃんについての紹介がどうなるか心配でしょうがないんだろうな。 唯も何処まで自分の悪い印象を語られるのか、別の意味でハラハラしてるようだった。 私も少し不安を感じなくはなかったけど、当事者ほどハラハラしてはいなかった。 梓が苦笑を穏やかな笑顔に変えて、唯の傍に近寄って行っていたからだ。 そうして、唯の傍で梓が小さく口を開いた。 「でも、唯先輩の演奏はすごいんですよ。 毎回ギターが上手くなってて、私の演奏を引っ張る技術も持ってて……。 どんどん進化する唯先輩の姿に、いつも驚かされます。 それに……、私、唯先輩の困った行動……、嫌いじゃないですよ」 最後には少し照れた様子になっていた。 そうだ。言葉こそ厳しいけど、梓が唯を悪く思っていない事を私はよく知ってる。 傍から見ていると、よく分かる。 唯が梓の事を大好きなように、梓だって唯の事が大好きなんだって。 感極まったんだろう。 唯が梓に抱き付こうと飛び掛かろうとして、でも、何とか自制した。 流石の唯もギー太を肩に掛けたまま、 むったんを肩に掛けている梓に抱き着くほど馬鹿じゃない。 感激した様子で、唯が梓に顔だけどうにか寄せる。 「ありがとう、あずにゃんー!」 「嫌いじゃないってだけですよ! それにこれからの演奏、さっきみたいに失敗したらケーキ抜きにしますからね!」 「うう……、あずにゃん厳しい」 そう言いながらも、唯の顔は笑っていた。 梓も笑顔だった。 何だか夫婦漫才を見せられた感覚だ。 いや、私と澪のやりとりもよく夫婦漫才と言われるが、それは置いとくとして。 「それでは、最後のメンバー紹介になります。 ベース担当の秋山澪先輩です!」 寄せてくる唯の顔を手で押し退けながら、梓が大きな声を出す。 大きな声を出したのは、少し緊張し始めたからだろう。 最後のメンバー紹介……。 この澪のが終わると、ついに私達のライブが本当の始まりを告げる事になる。 終わりの始まりが訪れようとしているんだ。 私も自分の鼓動が激しくなってくるのを感じていた。 もう迷いはない。 泣くつもりもない。 後はできる限りの精一杯の演奏を講堂に響かせればいいだけだ。 でも、不安はある。 皆を満足させるに足る演奏が私にできるのかって思う。 特に軽音部の中で一番皆の足を引っ張りそうなのは私だ。 もしも演奏を失敗してしまったら……、 そう思うと今更だって分かってるけど不安になってくる。 「澪先輩はですね。 放課後ティータイムでベースを担当してるんですけど……」 澪の紹介が続く。 紹介されている澪の表情は分からない。 ドラムからは距離があったし、フードを被ってるから横顔が少し見える程度だ。 もう少し澪の表情が見てみたいな……。 私がそう考えた瞬間だった。 澪がメンバー紹介を続ける梓を手で制した。 自己紹介は自分でするって事なんだろう。 梓は素直に引き下がり、じっと澪の次の言葉を待つ。 私も固唾を飲んで、澪の次の言葉を静かに待っていた。 と。 澪が被っていたフードを脱いで、一瞬、私の方に視線を向けた。 それの澪の視線はライブで不安がってる視線じゃなくて、 病気や怪我なんかで弱ってる時の私を見守ってくれる視線だった。 それだけで私の不安は何処かに吹き飛んでいた。 そうだったな。 私のドラムはあんまり上手くないけど、 澪のベースと一緒なら、安心して土台を組めるんだったな……。 すぐに客席に視線を向ける澪。 でも、十分だ。 私には一瞬の澪の視線だけで勇気が湧いてくる。 それはきっと、澪も同じ。 客席の方を向いた澪が大きく口を開く。 大勢の客の前で緊張しているだろうに、勇気を出して、逃げずに、力強く。 「皆さん、今日はありがとうございます。 放課後ティータイムのベースの秋山澪です。 こんな時なのに、こんなにたくさんの人達に集まってもらえるなんて、嬉しいです。 あの、私……、これから新曲を演奏する前に、皆さんに話しておきたい事があるんです。 すみませんけど、少しだけ私の話を聞いて下さい。 明日……、終末が訪れますよね。 明日、私達の積み上げてきた物も、未来も、何もかも失われてしまうんでしょう。 正直、恐いです。 これまでも何度も逃げ出しそうになりました。 ライブを投げ出そうと思った事も、一度や二度じゃありません。 考えてみれば『終末宣言』以来、 ずっと終末の恐怖から逃げる事ばかり考えていたように思います。 でも、私の仲間達は、私を逃げさせてくれませんでした。 実を言うと、皆が居なければ私は終末よりも先に自殺していたかもしれません。 それくらい恐かったんです。 こんなに恐い思いをしてまで、生きていたくないとも思っていました。 だから、逃げさせてくれない仲間……、律を恨んだ事もあります。 律は死ぬ事だけじゃなくて、違う逃避も許してくれませんでした。 誰かの温かさに甘えて、誰かと傷を舐め合って生きていく事さえも……。 どれだけ律は私に意地悪をすれば気が済むんだろうって、 りっちゃんはそんなに私の事が嫌いなの? って、子供の頃みたいに考えたりもするくらいに。 今は感謝しています。 律や放課後ティータイムの皆は勿論、多分、終末にも……。 変な話ですけど、終末には少しだけ感謝してるんです。 だって、突然には来なかったじゃないですか。 幸か不幸か、『終末宣言』から終末まで一ヶ月半の猶予がありました。 その猶予が嫌で自殺しようとしてた私が言うのもおかしいかもしれませんが、 今考えると何の前触れもなく終末を迎えるよりはよっぽど幸せな気がします。 この一ヵ月半……、私は律達のおかげで何度も自分を見つめ直せました。 当然だと思ってた日常を失われる事になって、 本当に大切な物や好きな人を見つける事ができました。 覚悟のようなものもできたように思います。 いえ、覚悟というほどではないかもしれないですけど、すごく当たり前の事に気付けたんです。 結局、遅かれ早かれ私達は死ぬんだって事に。 例え明日に終末を迎えなくても、私達はいつかは必ず死ぬ事になります。 分かってたつもりで、分かってませんでした。 分かっていなかったから、思い出に逃げ込んだり、約束を信じたりしてたように思います。 勿論、思い出や約束は大切な物です。 それらがあるから、私達は生きていけます。 でも……、もっと大切な物があるんだって律に教えてもらいました。 律は過去や未来にこだわらないタイプの人でした。 『終末宣言』より前はそんな律の姿に呆れる事もありましたが、今は違います。 律は『現在』を大切にしてる人なんだって、今の私は思います。 明日……、いいえ、 多分、『終末宣言』が宣言された瞬間、私達は過去も未来も失ったんだと思います。 積み上げてきた物が消え去って、未来は永久に訪れない事を知りました。 だけど、私達にはまだ残ってる物があります。 『今』、私達が生きてるって事。 『現在』、私達が感じてる事。 それだけはまだ奪われてませんし、奪わせたくありません。 それに気付けただけでも、私達は幸福だったんだと今は思えます。 だから、終末には少しだけ感謝しています。 当然、完全に感謝できてるわけじゃありませんけど。 嬉しいけど、嬉しくない。 ありがたくないけど、ありがとう。 何はともあれ、私達は今を生きていく。 そんな気持ちも込めた新曲を、これから皆さんにお送りしたいと思います」 言って、澪が左手を身体の右側から左側に振りしきる。 新曲演奏の合図だ。 五人で視線を合わせ終わった後、大きく頷き合う。 始める。 私達が『現在』生きている証をこの世界に刻み込んでやる演奏を。 澪がマイクに口元を寄せ、大きく口を開く。 「聴いて下さい。 私達、放課後ティータイムの新曲……、 『No, Thank You!』」 ○ 静かで穏やかな曲調から私達の新曲……、 『No, Thank You!』の演奏は始まる。 新曲も普段の私達の曲とあんまり変わらないと、観客の皆も一瞬感じるだろう。 だけど、すぐに転調する。 力強く、激しく、荒々しく。 私達の想いを身体中で相棒達にぶつけていく。 思う。 明日、世界は終わる。 多分……、じゃない。きっと確実に世界は終わる。 私達は終末を迎え、一人残らずこの世界から消え去ってしまう。 死んでしまうんだろう、間違いなく。 私は……、私達は、ずっとそれが恐かった。 いや、終末なんて関係なく、 いつか自分がこの世界から消え去ってしまうって現実が恐かったんだろうと思う。 何かを残せるなら死ぬ事も恐くない……、 って考えもするけど、本当に何かを残せる人は数少ない。 夢は武道館なんて話はしてたけど、それがどれだけ大変な事か私は知ってる。 武道館を夢見るミュージシャン志望の子は数多いし、 実際に武道館で演奏できるバンドなんてその中のほんの一握りなんだ。 きっと私は何も残せない。 人は二度死ぬって澪が言ってたけど、 何も残せない私の二度目の死はかなり早く来そうだなって思わなくもない。 澪の歌が始まる。 恋に憧れる女の子の甘い想いを歌っていた澪の『現在』の歌。 今を生きる私達の願いや叫びを込めた歌。 過去や未来じゃなくて、 『現在』を生きてる……、 『現在』以外生きられない私達の精一杯の想いの歌だ。 今、私達は此処に生きてるんだ。 今、私達は強く皆の事を想ってるんだ。 今、お互いに想い合ってるんだって……。 澪は歌う。 喉を震わせて、想いを叫ぶ。 作詞した澪の想いだけじゃない。 私達放課後ティータイムの想いだけでもない。 講堂中の皆の想いを代弁し、それを澪が歌として終わる世界に響かせていく。 世界が終わる事自体はどうしようもない。 過去や未来を奪い去っていくのも気にしない。 でも、私達の『今』だけは絶対に奪わせない。 過去に逃避せず、未来に絶望せず、私達は最期まで笑顔で生き抜いてみせる! 思う。 私は何も残せない。 もしも終末が来なくたって、私の二度目の死は多分早い。 世界の皆はすぐに私の事なんて忘れちゃうんだろう。 私が居なくても、世界は何事もなく廻っていくんだろう。 だけど、構わない。 私は今を生きた。生きられたんだから。 傍目には何の価値も無い人生だったとしても、 少なくとも私の仲間達は……、澪は私の事を憶えていてくれるだろう。 私だって、澪の事は私が死ぬまで心のど真ん中に居てもらい続ける。 何をしてても、何をしてなくても、あいつの事を忘れる事は絶対に無い。 忘れてやるもんか。 私にはそれで十分だ。 偶然に過ぎないんだろうけど、私は澪と出会えて、音楽にも出会えた。 放課後ティータイムを組めて、本当に楽しくて仕方が無い高校生活を送る事もできた。 今だって、終末の前日だってのに、 こんな多くの観客の前でライブをやれてるし、 明日死ぬってのに、笑顔でドラムを叩けてるんだぜ? すっげー嬉しい……。すっげー嬉しいよ! 唯が何度もミスをした難所を楽しそうに弾き終わる。 梓が何百回も練習したんだろう技巧で確実な演奏に徹する。 ムギが私好みに組あ上げてくれた曲を笑顔で弾いてくれる。 私が皆のリズムを支える。 今回ばかりは皆のために確実なリズムを叩いてみせる。 特に澪はベースと歌の両方を同時にこなさなきゃならないんだからな。 澪の腕前なら問題ないと思うけど、 少しでも澪の負担を減らしてやりたいし、一つ個人的な我儘を通したかった。 澪の歌声をもっと綺麗な音色にしたい。 澪には私のドラムのフォローに回る事を考えず、より完全な形でこの新曲を歌ってほしい。 その見事な歌声をもっと響かせてほしいから。 もっと聴いていたいから。 だから、私はできる限りの精一杯のリズムをドラムで刻むんだ。 私達の演奏は融合し、一つの大きな旋律になる。 その旋律に澪が聴き惚れるような歌声を、想いを、魂を乗せていく。 演奏中、一瞬だけ澪が私の方に視線を向けた。 いつも必死な形相で歌うくせに、その時の澪の表情は満足気な笑顔だった。 多分、私も笑顔を浮かべてると思う。 こんな最高の演奏は初めてだった。 いや、ライブでの演奏はいつも最高の演奏だけど、 今回の最高はこれまでの最高の何倍も最高の演奏だった。 観客の皆も私達の新曲に聴き入ってくれているみたいだ。 「あんまり上手くないですね」と唯に言われた私達の演奏が此処まで来れるなんてな……。 勿論、それは練習を続けてたからってのもあるんだろうけど、 それよりも私達の絆が深まったから私達は此処まで辿り着けたんだって私は思いたい。 この演奏は私達の絆の形なんだって。 そうして、演奏が終わる。 メンバーの誰もが自分に奏でられる精一杯の音楽を響かせた。 私自身も含めて、それぞれに自分達の想いを世界に刻み付けられたはずだ。 私達の絆を見せ付けてやれたはずだ。 沈黙が講堂を包み、私は少し不安になった。 この新曲は求められていた物と違ってたんだろうか? 今の演奏は私達の自己満足だったんだろうか? 観客の皆に私達の想いを届ける事まではできなかったんだろうか? 不意に。 澪が少しだけ私の方に顔を向けながら、左目を閉じて小さく舌を出した。 アッカンベーってやつだ。 それは私に向けられたものじゃない。 唯にも、ムギにも、梓にも、観客の皆にも向けられたものじゃない。 それはきっと終末に向けてのアッカンベーだ。 結局、私達は終末には勝てなかった。 だけど、きっと負けもしていない。 色んな間違いや失敗はあったけれど、 最終的に私達は絶望には囚われなかったし、恐怖から逃避する事もしなかった。 こんなに多くの観客の皆の前でライブだって開催できてる。 だから、「どうだ!」って、澪は言ってるんだ。 勝てない戦いにしても、 この勝負は引き分けだって終末に言ってやってるんだろう。 澪の予想外の行動に観客の皆は呆気に取られてたみたいだったけど、 その数秒後には、歓声を上げて、講堂を包むような大きな拍手を始めていた。 終末や絶望を吹き飛ばしそうなくらいの大きな歓声と拍手だ。 その歓声と拍手は長い間続き、私達に新しい勇気とやる気を与えてくれていた。 もう一曲、皆に曲を届けたい。 ううん、一曲と言わず、十曲でも二十曲でも演奏し続けたい。 何度だって響かせてやるんだ。 私達の旋律と。 私達の想いを。 50
https://w.atwiki.jp/epicofbattleroyale/pages/366.html
拝啓、お父様、お母様。カルデアの頼れるスタッフと、頼れるサーヴァント。そして、一番頼りにしてる後輩、マシュ・キリエライトへ。 貞操の危機です。助けて下さい。本当に。マジで。マジで!! ヤバいよこのオッさん!! ―――― 立香の身に何が起こってしまったのか。それを説明するだけなら、何て事はない。 夢の島を脱出し、都道306号線方面に出たと同時に、拉致られてしまった。要するに、こう言う事である。 だが、誰が、何の為に? 実を言うと立香ですら、この二つの理由はまだ判別出来てない。確かなのは、一つである。 「おう、おう。儂の見立て通りであったか。その服装は良く似合っておる。愛い奴よの、藤丸立香」 カカカ、と笑いながら、男は、立香の尻を撫でていた。手つきが凄まじくいやらしい。完全に女相手にセクハラを敢行する狒々親父のそれであった。 身の丈優に三mには達する程の、褐色の肌を持った凄まじい巨漢だった。短く刈られた短髪に、体格に相応しい厳めしい顔つきは、凡そ堅気のそれであはありえない。 巨躯の持ち主だが、肥満体(デブ)、と言う訳ではない。その身体つきはデブと言うよりは寧ろ、力士のそれに近い。しかも、脂肪分はほぼゼロで、殆どが筋肉である。 城壁を思わせるが如き厚みの胴体と、丸太を思わせる程の太さを誇る鍛え上げられた四肢。こんな手で頭を撫でられれば、ヒトの頭蓋骨など直に粉々だろう。 だが、側頭部に生えている、一対のねじくれた巨角を見てしまえば、彼が纏う金糸と銀糸で編まれたガウン状の外套が与える印象など一瞬で吹っ飛んでしまおう。 そう、この巨漢は、人間ではないのだ。と言うより、自らを男はサーヴァントであると豪語した。 ――『終末のⅠ』、『ライダー・プロトス』。男は自身を、確かにそう名乗ったのである。 「多少足が筋肉質な所も、また良いな。『女の恰好』をさせる時に不格好だとほざく輩もおるが、これはこれで乙なものぞ」 ――結論から言う。 藤丸立香は現在、『女装』をさせられていた。特異点と化した新宿で、燕青を迎え撃つ為にアラフィフが考案した作戦の事を思い出す。 あの時も立香は女装をさせられてしまったが、あの時の恰好はまだ、燕青がパーティー会場と言うTPOを重視する場を拠点としていた為か、 立香の恰好も極めてフォーマルなそれで――あくまで女性にとって――、死ぬ程恥かしい、と言う程でもなかった。 後でマシュによって一斉送信された女装の画像を見たメディアから、「もう少し、こう、カッチリしたものじゃなくて、フリフリの物とか着てみない?」と提案されたのも今となっては懐かしい。死んでも着るか。 だが、今現在、ライダー・プロトスを名乗るサーヴァントに着ろと強制された衣服は、ハッキリ言って新宿で着させられたそれの比じゃないくらいヤバかった。 それはそうだ、端的に言って今現在立香がプロトスに着させられている服は、スッケスケでピンク色の『ベビードール』である。オイオイ娼婦か何かか。 カルデアから支給されている礼装であるところの、あの制服の下に着用していた下着であるトランクスは脱がされ、ビキニパンツ状の下着を、今現在立香は装着されている。 ナニがとは特に言わないが、この手の下着は初めて着させられたせいか、ナニのポジショニングが気になってしょうがない。今すぐにでもなおしたいか、そもそも下着その物を脱ぎ捨てたい気分だった。 お前は何処の男娼だ、と言いたくなるような立香の恰好であるが、勿論この格好は、彼自身が望んで選んだものではない。 着る事を、強要されているのだ。「貴様に似合うような服装を見繕ってやった」、と言われて、この服を着る事を、ライダー・プロトスに強制されていた。これが、今の恰好の真相である。 都道306号線に出るや否や、藤丸立香の目の前に、この巨漢。ライダー・プロトスが姿を現した。 今現在好色親父として振る舞っている装いからは想像も出来なかろうが、初めて立香がこの男を見た時に、イメージした者は『破滅』と『死』だった。 今を以っても、断言出来る。立香は、あの場で抵抗をしていたら、本当に殺されていたのではないか、と。それ程までに、プロトスから送られる殺意の量の桁が違った。 ――儂と共に来い。よもや、断れるとは思わなかろうな―― 現状、サーヴァントの一人もいない今の立香に、プロトスの脅迫に首を横に振れる筈もなく。 断腸の思いで彼の提案を呑み、拉致された先は、立香がこの特異点にやって来て最初に目についた、最大の異常点。即ち、『空に浮かぶ宮殿』であった。 其処からの光景は、正にある種の悪夢のようなそれだった。空中宮殿そのものが、信じられない程の速度で立香達のいる地点のほぼ真上まで空を移動し始めたのだ。 そして、周辺の建物よりも少し高い程度の高度にまで降下して行くや、プロトスに立香は抱えられ、巨躯からは信じられぬ程の身軽さで、ライダーは跳躍。 一瞬で周辺に建っているビルの屋上まで着地するや、また更に跳躍を始め、宮殿内部までライダーはいとも簡単に侵入して見せた。 そう、宮殿内部に足を踏み入れた事で、漸く立香は気付いたのだ。この宮殿こそが……ライダーの宝具なのだ、と!! 宮殿内部に拉致された立香は、死を覚悟していた。これは、此処に来てから二度目の覚悟だ。 一度目の覚悟は、セイバー・ゼフテロス達と邂逅した時だ。結局あの時は、彼らの行動を縛っていると言う約定に、立香は救われた。 だが、その約定が本当のものであるのか、と言う保証は何処にもない。立香を騙す為の方便、と言う見方だってあり得るのだ。 何れにしても、此処までの強硬手段を取るような相手だ。無事で済まされるとは思えない。良くて幽閉か、悪くて拷問、最悪処刑の可能性すら考えられる。 何時だったか、キャスターの側面で召喚されたクー・フーリンが、自分には天運のような物があると言ったが、正に今回は、その天運に縋るしかない状況だった。 そして今回もまた、立香は天運に愛された。そして、命すらも無事に済んだ。 ……その代わり、とでも言うつもりだろうか。命と引き換えに、後ろの方の貞操が失われかねないのは。 今までの幸運を、尻の初めてを失う事で帳消しにする、とでもするのか? 成程、大した天運もあった物だ死ね。 と言うより冷静に考えて、あの巨漢に相応しいサイズのモノを受け入れたら、身体が裂けて死ぬのではなかろうか。 此処で初めて、命の危機が全く去った訳ではない事を立香は理解してしまった。最悪である、死に方にしても、もっとマシな奴があっただろうに。 ラピスラズリで出来た杯を下手に持ち、これ見よがしにふらふらさせるプロトス。 つい先程まで其処には、乳白色の酒がなみなみと注がれていたのだが、今現在それは、プロトスが飲み干した為、すっかりカラとなっていた。 「注ぐのが遅いぞ、カルデアのマスター。お前の国では、小姓に仕来りを教える習慣もないのか」 >>自分未成年何でそこら辺の機微が…… すいませんゆるして下さい何でもしますから!! 「何、今の御代では子供は酒を飲めぬのか」 立香は、近くにおいてあった、乳白色の酒が注がれている、木製のポッドを大儀そうに持ち上げる。 ラピスラズリの杯と簡単に言ったが、実際上のサイズはプロトスの体躯に合わせたそれの為、非常に大きい。優に一リットルは入る巨大な杯なのだ。 そして、それに酒を注ぐ為のポッドもまた、非常に大きい。二十kgは平気である。これを、立香は持ち上げ、必死にプロトスの杯に注いでいるのだ。 つくづく、身体を鍛えておいてよかった。これで酒も注げなかったら、何を言われたか、されていたか。解った物ではなかった。 「カルデアのマスターよ。酒は良いぞ。あれを最初に創造した存在は、誰であろうと神になる。酒を造った先駆けは、その時点で神としての資格を得る。それ程までの発明ぞ」 グビグビと、酒を飲みながらプロトスは語り始める。 ライダーの飲む酒は、例えて言うならヨーグルトに似た爽やかな香りが漂って来て、成程、香りだけなら確かに立香も味わっていたいものだった。 語りながら、プロトスが尻を撫で続けているせいで、全く話に集中できないが。 「過去の屈辱、未来への不安、そして、今宿す激情。これらを酒は忘れさせてくれる。あの雷神(インドラ)ですら、嘗ては神酒(ソーマ)で己の哀しみを慰めていたものよ」 語り続けるプロトス。 「お前ももうすぐ、大人になろうが? カルデアのマスターよ。酒の味と魔力を知るべきであろう」 そう言うや、ライダー・プロトスは、自身が座る玉座の横に備え付けてあった、鐘の下がった台を、指で軽く小突いた。 それだけで、その純金で出来ていると思しき大鐘は、荘厳な音を鳴り響かせ、これを受けて、立香とプロトスのいる『王の間』に、 人間ではそもそも比較する事すら無礼に当たる程に、肉の付き方もその質も違う鍛えられた筋肉を搭載した、身の丈二m程もある朱色の肌を持つ人間達が颯爽と現れた。 いや、人ではない。彼らもまた、形こそ違えど、その側頭部から角を生やしていた。そう、彼らはいわゆる、鬼であった。 恭しく、鬼の一人が、プロトスに対して何かを献上した。 杯である。プロトスが握る物と同じ、ラピスラズリを削って加工して作ったそれ。 捨て値で売っても数千万は下るまい価値を誇るその杯の大きさは、人間が保持するには常識的なサイズであり、プロトスがもつそれを縮小させたようなものだった。 「どれ、お前も飲んで見ろ。案ずるな、毒はない。苦くもないぞ。寧ろ甘い位だ、お前の口にも合うだろう」 そう言って、プロトスに対して、杯を差し出したままの姿勢を維持する鬼の杯に、プロトスが目を向け、それを立香に手渡そうとしていた、その時である。 「だが、その前に――不遜の輩には死んで貰わねば、な」 好色な親父が浮かべる様なだらしのないにやけ面を浮かべていたプロトスの表情が、一瞬にして、剣呑なそれへと変わるや、 血走った双眸から黄金色の光線を射出させ、『杯を差し出している鬼』を貫こうとする。しかしこれを、鬼は後方宙返りで簡単に回避。 光線が誰も立っていない床を貫く。避けた鬼が持っていた落としたラピスラズリの杯が、済んだ音を立てて砕け散る。 その音と同時に、地面に着地した鬼の姿が茫乎と霞み、その姿を露にした。額の辺りから伸びる立派な角。後ろに伸びた立派な金髪。 金色の生地を拵えて作った、裾の短い改造和服を、その少女は着崩して身に着けていた。――いや、少女ではあるが、彼女は人間ではない。 そう、立香は彼女をよく知っていた。知っていて、当たり前だ。何せ彼女は、カルデアに所属するサーヴァントの一人であり、立香が契約しているバーサーカーのサーヴァントであったからだ。 「ほう……? 儂が撫でれば骨も肉も拉げそうなか弱い身体つきをしておると言うに……見た目では解らぬ物よ。その肉も骨も魂も、疑いようもなく鬼のそれ。貴様、何処の羅刹(ラクシャーサ)だ? 許す、名乗りを上げよ」 「よかろう。同じ鬼のよしみ……そして、これからくたばる汝の儚い運命を憐れんで、吾の名を教えておこう」 その言葉と同時に、少女は何処からか、やや反りのある剣身を持った己の背丈ほどもある長大な剣を取り出して握り締め。 その身体から炎を放出させ、兇悪な笑みを浮かべて、玉座に大儀そうに座るライダー・プロトスに啖呵を切った。 「大江の首魁にして、龍神の力を継ぐ鬼に並び立つ者。人界に生きる者共は、吾の名である『茨木童子』の名を聞くや、大層恐れたものぞ?」 「恐れたのではなく、笑っていたのであろうよ。名は体を表すとはよくも言ったものよ。その名の通り、身体も精神も『童子』と来たか」 口角を吊り上げ、ゆっくりと玉座から立ち上がるプロトスの姿を見て、短気の性情を持った茨木童子の身体から、 恐るべき怒気が発散されて行くのを、立香は感じ取った。決戦の時は近い。そして、これから起こるであろう激しい死闘によって、自分の命も危うい事も。 数多の特異点を巡った事で培われた危機察知能力が、告げているのであった。
https://w.atwiki.jp/relatetrekker/pages/254.html
基本データ 【終末の獣戦士】アッシュ B043 -画像- 種族 イヌ 打点 1 攻撃力 4D1600 防御力 4D1200 アビリティ このキャラクターが相手の赤のキャラクターとバトルする時パワーを+300 フォロー このカードが相手の山札攻撃により山札から直接捨て札に置かれた時、このカードの効果を発動する。自分のキャラクター1体を選ぶ。そのキャラクターをスタンドする。 コメント 「」 公式紹介ツイート