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前回の話 『提督を信じてた僕が、とても馬鹿みたいだよ』 …………。 『あんなに提督を慕っていたのに、最低ですわ』 ……五月蝿い。 『私、感情表現は苦手ですけど、もう提督には嫌悪の感情しか出ないわ』 五月蝿い。 『大井っちが言った筈だよね? 裏切ったら沈めるって。まあ今の提督には弾薬使うのも勿体無いんだけどさ……』 五月蝿い! 『だからさ、沈んだ大井っちのいる海は触らないで、どこかで飛び降りてよ』 五月蝿いっ!! …………………… ………… …… 「……っ! ……っ」 口をぱくぱくさせるが、思うように声が出なかった。 自分の意識が静かに浮上した今、既に動悸は不健康なまでに著しく激しい物になっている。 自分の中では悪夢に分類されたそれは、不本意ながら脳に深く刻み込まれてしまった。 大勢の艦娘らに糾弾され、下衆を見るかのように酷く濁らせた目で自分を見限ったのち向こうへ行ってしまう夢。 背景もまた自分の今の精神状態を表すような、荒んだ灰色であった。 勿論これは実際に起きた事ではないのだが、これから起きる正夢と言う奴なのではないかと勝手に恐怖する。 ――唯の夢じゃないか。馬鹿馬鹿しい―― 精一杯の虚勢を張ってそう自分に言い聞かせ、 目から距離のある真っ暗闇が広がる天井から逃げるように寝返りを打ち、布団を頭まで被る。 明日も仕事なのだ。睡眠時間は今しかない。 それなのに……。 ――"飛び降りてよ"―― 虚勢は虚勢にしかならなかった。 布団を被ろうが瞼を閉じようが、夢の余韻は絶たれず、瞼の裏で尚再生し続ける。 寝付こうと数分そうしていても動悸は収まらない。 耐え切れなくなった自分はやがて飛び起きて軍服を羽織り、 私室を飛び出し執務室箪笥の一番動きの悪い引き出しに組み付く。 その中のまた一番奥の陰った隅に置いている物に手をつけた。 そして、多くの艦娘が眠る庁舎を抜け出した。 …………………… ………… …… 「……あら?」 大破入渠から復帰し、どうせなら添い寝でもしてあげようかと思い立ったがマルヨンマルマル。 支援艦隊として敵艦隊の隅から忍び寄るくらいに気をつけて一切の音を殺して扉を開けたが、 その向こうにはまず音を立てる物が何もなかった。 ベッドの中がもぬけの殻だ。 その文字通り脱皮でもしたみたいに、布団が乱雑に床に放られている。 今の時間はマルヨンマルマルを過ぎた頃。 休養の時間真っ只中のこの時間に私室にいないとなると。 ――いた―― 魚雷発射管を外した代わりに足に装着した探照灯が、寂れたベンチを照らす。 誰もいない、空高くそびえる敷地内の明かりが届かないそのベンチに、その人はくたびれたように腰掛けて項垂れていた。 軍帽を被らない提督が、面倒臭そうに座ったままでゆっくりとこちらへ振り向く。 「…………」 元からなのか、探照灯が眩しすぎるのか、提督は弾薬よりも目を細めて眉間の皺の明暗を強く表していた。 背もたれからは紫煙がくゆり、一層この人の今の状態が良くないことを表す。 「修復が終わったなら寝なさい」 口を開けば、普段の調子に靄がかった声が発せられた。 そんな声の提督の追い払う命令は、私の耳には届かない。 傍まで近づくと足に装備した探照灯がこの人を照らさなくなり、 月明かりさえも雲で塞がれているので視界はほぼ漆黒の青に染まるが、 見下ろすとベンチの上で小さな火が灯っているのが分かるので、それを取り上げるのに難はなかった。 案外この人は抵抗しない。 私はそれを地面に叩きつけて、艦底である丈夫な靴で踏みにじる。 「何のつもりだ」 この人の声に静かな憤りが含まれた。 玩具を取り上げられただけでそんな声に変わるなんて、子供みたい。 「また買ったんですか」 「……さあね」 この人は私の追求には応じようとしない。 斜に構えている、ように見せかけている証拠だ。 「提督が煙草なんか吸っているようじゃ、私達が提督を守る意味がなくなるんですよ」 「お前等が守っているのは国民だろ」 「提督は国民ではないと言うんですか?」 立って向き合おうとしない提督に追求はやめない。やめてはいけない。 確かに国民を守るのが私達の使命だけど、それ以上に守りたいものがあってもいいじゃないですか。 駄目だと言うのならそれは私達艦に自我を持たせた神様にでも言って欲しい。 理論の伴っていない言葉しか返せないこの人は今虚勢だけで保っている。 この姿勢を撃ち崩すべく、私は敢えて辛辣な言葉を並べ立てる。 「提督のこんな姿を他の艦が見たら、どう思うんでしょうね」 「五月蝿い」 「悩むのは誰しもあると思いますけど、それを誰にも打ち明けないで自分の体を傷つける提督は、軟弱で臆病者です。 なんでこんな人が提督なんかやっているのか甚だ疑問です」 「……っ」 斜に構えているというか、この人は逃避しているだけ。 遂にはこうして顔さえも逸らして再び項垂れてしまったこの人は、ただ臆病なだけなのだ。 この人のこういったところは呆れるし腹立たしいけど、一番気に入らないのはまた別のところにある。 「結婚までしたのに水臭くありませんか」 「お前にぶつけたって何もならん」 「提督にとって結婚とはなんなんですか。強い絆を結んだのは私の思い上がりだったんですか」 「…………」 「……はあ」 溜息が零れる。 以前からも度々提督のこうしけた姿は見てきたけど、 今のような関係ではないそれまでは煮え切らない思いのままあまり注意してこなかった。 しかし今は違う。 もうそれまでとは違い、嫌な事悲しい事をぶつけ合っても何ら問題はないはずですよね。 もっと私を頼ったらどうなんですか。 仕事の補佐をするだけの秘書以上に頼ったらどうなんですか。 「こっちを向いてください」 「……? んむっ……」 …………。 「ぷぁっ、おま、いきなり……!」 「何かあったら煙草に当たるのはもうやめてください」 「キスの味が煙草臭いのは嫌ですから」 悲しみに暮れる夜もそろそろ更けてきた。 水平線から顔を出そうとする日の淡い光の下、 隙だらけな提督の驚いた顔を尻目に、提督のポケットの中の紙の箱を力の限り握り潰した。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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「はい、提督。頼まれてた資料だよ」 「お疲れ最上、先に休憩してくれ。冷蔵庫に飲み物があるから飲んでいいぞ」 「へへ、ありがと。 どれにしようかな~、あ、これ貰うね」 「遠征の編成はこうで…」 「てーいとくっ!」 「うぉ!?なんだ最上!? まだ仕事中なんだからふざけ…」 「提督はぁ…僕のことどう思ってるのさぁ?」 「はぁ…? どうって…よくやってくれてる…。 ってお前、お酒臭いぞ…。まさかジュースと間違えて…」 「違うよ! 秘書艦としてじゃなくて、女の子として…どうなのさってことだよ…」
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前回の話 「入渠しろ」 何を考えているのか。 どのような采配を取るつもりでいるのか。 気に食わない。 持っている紙の束ばかりに意識を奪われながらそう命令する提督に、 私は艦体を動かすのも多大な労力を持って詰め寄った。 「進軍すれば勝てたのよ! 仮に私が沈んでもっ、設計図がある以上もう一度建造できる!」 「…………」 「こんな指揮ばかりやっていては、燃料弾薬が!! ぐっ……、資材には、限りがあるんですよ!」 悲鳴を上げる艦体を抑え、一方で昂る激情は抑えずにできる限りの最大出力で声を張り上げる。 しかし提督の装甲は紙ではないのか怯んでいなくて、それがまた気に食わない。 紙の束から私へ視線を移した提督は、口だけを動かした。 「馬鹿だな」 「は?」 私は呆然とした。 開口一番で返ってきたのは買い言葉ではなかった。 顔を合わせた当初からずっと維持している冷静沈着な姿勢だが、 包み隠そうともしない悪態を聞いたのはこれが初めてだったと思う。 「またここまで育てなければならん手間を考えろ。その方が非効率的だ。 それに、大井が大打撃を受けた状態では進軍しても敵主力殲滅は不可能だ」 私は少し頭が冷えた。 提督の言う通り、私が沈んでから再度建造したところで一から訓練を重ねる必要がある。 だからそれはいい。 だが後者には異論を唱えたい。 戦艦や空母といった大型艦に対してその理屈を当てはめることは納得できるが、 私はどちらでもない軽巡から派生した重雷装艦なのだ。 形式的に持った小さな主砲の火力が大きいわけがなく、 唯一の武器である四問五基の計二十問の魚雷も当たればいいものの命中率は見るに堪えない。 「そんな事も分からんとは、練習艦の経歴十年なんてのはビッグマウスだったのかね」 嘆息しながらそう呟いて紙の束にまた視線を落とす。 言い争いをしようとか貶そうという目論見も見えず私に失望するだけの提督の態度で、私はまた頭に血が昇るのを感じた。 ――練習艦時代は軽巡であって雷巡じゃないのよ!―― 私の煮えた頭は、そんな反論くらいしか言語化できない。 しかし口に出すことはしなかった。 中途半端にそう的外れな反論だけをしては更に道化になるだけだからだ。 話にならない。 そう思う事にしておいて私は踵を返した。 「入渠はしろよ」 ――うるさい!―― …………………… ………… …… 「大井っちも入渠?」 いた。 北上さんは私が出撃する前に艦隊に召集され中破したので、壁際の湯船に浸かっている。 上部に掲げられた近代的な時計はもうあまり長い時間を示していなかった。 あの男との雲を掴むような対話を切り上げてきて正解だった。 入渠時間があまり長くないことを知っているから私は足早にここに来たのであって、一番の目的は入渠ではない。 ないったらないのよ。 北上さんの姿だけを確認した私は早速不満を打ち明ける。 「聞いてよ北上さん!! あの男ときたら!!」 「ひ、響く……」 しまった。北上さんが耳を抑えている。 音が反響するドックである事も忘れて声を荒げればそうなるのも当然だ。 私は北上さんが顔を歪ませたのを見て頭の血が引いた。 「ごっ、ごめんなさい!! お耳壊れちゃった!? 私が直す!?」 「あーもうなんともないから!」 北上さんに両手で拒絶されて我に帰ったとき、私はお湯の海域に進入して北上さんに詰め寄っていたのだった。 大破しているはずなのに俊敏に動くことに私自身驚いた。 北上さんの指摘で理性を幾分か取り戻したので、ひとまず忘れていた湯かけに取り掛かる。 凝り固まった艦体が、四肢が、適温のお湯で解されてゆくのが分かる。 石鹸を泡立てたタオルで、こびり付いた煤を落としていく。 「で、なんだっけ?」 「そう! 提督ときたら、敵の主力手前の海域で帰投命令なんか出してきたのよ!」 「あー……」 湯に浸かっていっそう気だるげになった声がドックに響いたので、 即座に首を反転させて事のあらましを告げると北上さんは思い当たる点があるように嘆息した。 ドックの換気能力を超える濃霧の中でも呆れているような顔が視認できる。 北上さんのことならこれくらい分かって当然よ。 「私たちを人間と勘違いしてるんじゃないのかしらね!」 艦娘は兵器であって人間ではない。 それは艦娘の共通認識であり常識である。私はそう思っている。 人間みたいに扱って敵を海で遊ばせておくなんてのは言語道断だ。 "前"のときにそんな軍人の存在を耳にしたことはない。耳という器官なんか持ってはいなかったけど。 だからあの男の存在は顔を合わせて間もない頃からとても不自然に見え、違和感を覚えたのだ。 やがてそれが大きくなった今では、軍にそぐわないので排除すべき存在としか見えない。 消極的な命令ばかりを出し、今日になってやっと少しは進軍を覚えたと思ったらこれだ。 そして渋々帰ってきてみれば反省のないあの態度。 腹立たしい。 あの男の存在を頭から振り払うように髪をがしがしと洗浄する。 「別にいいんじゃないの、好きにやらせておけば」 「もう! またそんなこと言う……」 北上さんらしい適当な感想だ。 それでも私は釈然としないのだ。 がむしゃらに敵を沈めてなんぼではなかったのか。 そそくさと煤を落とし、次にもやもやした気持ちを流すために私は湯船に浸かった。 無論北上さんの隣だ。 煙った天井を眺めて煮え滾った艦橋を整備する事に努める。 一つ溜息を漏らすと、それとも、と隣から声がかかる。 「大井っちは提督がクビにならないか心配なのかな?」 「やめてよ。冗談じゃない」 笑い話にもならない。 私があの男の行く末を心配する妄想なんて、身の毛がよだつ。 私と北上さんが気に入らない、 今のように怯えてまともな指揮ができない人間でなければ、提督なんて誰だっていいのだ。 軍艦とは敵の船を沈めるために生み出されたのだ。近海で遊ばせていては艦底が錆びる。 それを分かろうとしないあの役立たずは無用だ。 岸壁で呑気に黄昏ていようものなら後ろから突き落とすのもいいのだけど、 その怯えっぷりからかそのような隙を見せない。 「ま、提督がどうなろうと、こっちは関係ないからさ」 要するに、北上さんはただ無頓着なだけなのだ。 北上さんのその心の持ちようが羨ましいが、北上さんは北上さんで、私は私。 私の個性の短所に悶々とするうち、修復を終えた北上さんはドックを出て行った。 北上さんは私より先に建造されたらしい。 私が建造されて艦隊の一角に三つ編みを垂らしたその姿を確認したときは喜んだものだが、 それよりも提督の在り方の方が気に入らなかった。 既にその艦隊の旗艦に戦艦がいたのだが、聞けば鎮守府近海を彷徨いているだけだというのだ。 その次の海域への進軍を果たしたのも記憶に新しく、思えばそれは私たちが軽巡でなくなったばかりのはずだ。 "南西海域を制圧せよ"とかいう任務に駆り出されたのも最近で、 演習で相手になる別鎮守府の艦隊から聞く近況と比べれば遅い。 しかしあの男は口で言ったところで聞く気がないようなので、不満を心の中で燃焼させる。 それでもその燃焼は不完全で、この修復ドックに立ち込める白い湯気とは違い煤塗れだ。 「はあ、不幸だわ……」 温かなお湯に身を委ねて提督への不満を紛らわせていると、ドックの引き戸が開けられた。 いつもの口癖を呟きながら入ってきたのは艦隊旗艦の山城さんだった。 濃霧の中でも科白だけで誰か分かってしまうのはこの鎮守府に馴染んできた証拠なのかもしれないが、 その頂点にいるのがあの男では素直に喜べない。 山城さんはドックに足を踏み入れたところで私の存在に気づいたようで、互いに会釈した。 提督の指定か、山城さんは私の隣の湯船に浸かる。 "前"のときも、そして今も、扶桑型とは特に縁はない。 ないが、今この山城さんは主力艦隊の旗艦なのだ。 だから私は声をかけた。 「あの提督、また撤退命令を出したんですか?」 山城さんは私の質問に肯定した。 今度は旗艦が中破したから進軍はやめろと言ったらしい。 タフな装甲の戦艦が大きな損害を被るほどの海域でもないから、あの男の指揮が間違っていたのだろう。 それにだ。 この旗艦の考え方は分からないけど、"もう"中破ではなく"まだ"中破なのだ。 それに、戦艦の中破ならまだそれなりの攻撃はできる。 敵艦隊が徘徊している地点も多くはないから進めばいいのに。 「あの男、少し腰抜けが過ぎませんか?」 「え? ……ああ、確かに、提督は駆逐艦一隻犠牲にしようとしたことはないわね」 「ですよね。やっぱり私達を人間と勘違いしてるんじゃないかしらね……」 「秘書なんかやったって、あの提督の考えていることは分からないわよ」 やろうとも思わない。 作戦指揮に口を挟めるかもしれないけど、それ以上に精神不衛生だ。 山城さんに向ける義理は特にないが、それでもあの男の秘書として拘束されたことは少しだけ同情する。 それにしても、補佐をしても考えていることが分からないとはますます食えない男のよう。 これ以上秘書艦に訪ねても湧いた好奇心――ほんの少しだ――を満たすことはできないようなので、 会話を終わらせ黙って湯船に背を預ける。 直後どこからか機械音が響いた。 上を見れば、天井の梯子染みたレールに沿って吊るされた緑色のバケツが運ばれてくる。 それが逆さにされると、私の隣の湯船に中身が投入される。 艦隊旗艦である以上仕方がないとはいえ、入渠する暇さえ与えられないなんて殊更同情するわ。 即座に修復を終えドックを出ていく山城さんを私はそれを横目で追い、耳に意識を集中させる。 やがて向こうの脱衣所さえも物音がしなくなったことを確認してから、私はこっそりドックを抜け出した。 聞いた話によるとこの執務室の壁には防音加工が施されているらしいが、 扉は少々凝った作りになっているだけのただの木製だ。 多くある他の扉とは木の材質も違うようだけど、結局は音を遮断する能力はない。 用心しているのかそうでないのだか。 私は扉に耳を当て、内部を盗聴する。 まだ出撃はしていなかったようで、内部からは提督と山城さんの声が伺える。 脱衣所で装甲を纏う時間を圧縮してきたことが功を成した。 淡々と遂行中の任務消化について提督が山城さんに一方的に伝えている。 その最中"遂行の仕方がおかしいでしょう"などと異論を唱えたい衝動に何度も駆られるが飛び込むわけにもいかない。 なんとか黙って聞いているうち一通り云いたいことが済んだようで沈黙が訪れたが、直後。 『ある艦が"提督は艦娘を人間と勘違いしてるんじゃないか"と言っているのを聞きました』 『……それで?』 『"替えは利くんだからもっと進軍しろ"ということだと思いますけど……。 提督は少し撤退命令が多いんじゃないですか?』 思わぬ展開だが、いい機会だ。 指揮官の根幹を確かめるべく、私は提督の回答を待つ。 やや長い沈黙が流れ、やがて扉越しに声が伝わる。 『人間でなく機械ならぞんざいに扱うべきなのか』 『…………』 『仮に私が先の戦争の時代にいたとしても、犠牲を出さない事に尽力するだろうね』 『いずれにせよ私は私のやり方で行く。考えを改める気はない』 その声はしっかりとした芯があるように聞こえた。 それを聞いて何故か私は悪いことをしているような気分に陥ったので、扉から耳を離してその場をあとにした。 ――ドック、戻らなきゃ―― …………………… ………… …… 時は流れる。 あれからも結局のところ私は海に呑み込まれることなく、二度目の大規模改装を迎えてしまった。 提督の階級や戦果は緩やかにしか上がっておらず、この鎮守府に上から表彰状が贈られたこともない。 工廠を出てみれば装甲と艤装が一変した私と違って質素なままの制服を纏う提督が待ち受けていたので、 私は早速口を開く。 「私が建造されてから随分経つのに、練度向上は牛歩のようですね」 「……ん?」 「提督は腰抜けが過ぎるんですよ」 あら提督。何故首を傾げているんですか? とは聞かなかった。 自分も内心では首を傾いでいるから。 提督と顔を合わせても不思議と精神に乱れの波がない。 それに私、提督に対してここまで本音を包み隠さず言えたかしら……。 「……改装不備でもあったか口が悪くなったな? もう一度工廠に行った方がいいんじゃないか?」 「今までの提督のど素人な指揮に苛々してきた結果です。 こんなことを艦に言わせる提督の方こそ改装してもらったほうがいいんですよ。 二回の改装で直ります? 直りませんよね」 しかし私の方は直った。 実のところタービンの設計が特殊なため扱い辛く不調を多発させたから、私は練習艦にされたのだ。 だがそれも過去に捨てた。 "前"からの、そして再び建造されてからの、扱い辛かったあのタービンはもうない。 これで私は北上さんの足を引っ張ることもないし、心置き無く提督に横槍を入れられる。 一方の提督はと言えば、そんな私の横槍を避けることなく珍しいことに真っ向から受けた。 私がこのとき初めて見た提督の笑みは、挑戦的な含み笑いだった。 「……面白い。早速だが、大井は暫くの間秘書に任命しよう」 「へえ……」 「覚悟してくださいね。私が秘書になったからには撤退三昧のクソみたいな指揮、もうさせませんよ。提督?」 ――この魚雷火力、うまく使ってほしいな―― これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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前回の話 時刻はマルハチマルマル。 鉄や鋼が金槌に鍛えられ押し込まれる、耳をつんざく音が響く。 上から日課とされている開発任務の催促を消化しにやってきたのだが、 それについて自分は起床時から全く思考の一枚も重ねておらず、形式上終わらせる事しか考えていなかった。 と言うのも、艦に必要な装備は一通り揃い、 資料に登録出来ていないものといえば酷く製造が難しい極一部の精密な設計のものだけだからである。 そういったものは製造コストが資源に嵩むので、それなら今あるものでやりくりする方針で行く。 空母を例に挙げれば、普通の彗星やら流星やら烈風だけでも十二分な戦力となり得るのだから、 震電とかいうものを製造してみる気はない、という事だ。 冒頭に話を戻すと、そういった理由で自分は端から大井に適当な砲を作らせて報告書をでっち上げるつもりでいた。 時間もかからずに中型艦以下にはお馴染みの十四サンチ単装砲が一丁仕上がり、 大井も反論する様子は見受けられなかったので本題に入る。 話の内容が内容なので、自然と自分の口調は堅い物になる。 「検討した結果、大井は単装砲を捨て、九三式酸素魚雷を従来の二十発から三十発に換装してもらう。異論は……」 「あの。他の艦も、強くしてあげて?」 あるか、と問おうとしたのだが、大井から帰ってきたのは通論とも異論とも判断しかねる言葉であった。 至極穏やかでふわりとした控え目の笑みを浮かべて傾げる艦首、 そしてわざととしか思えない素っ頓狂な論点のずらし方に、たちまち自分の口調も崩れる。 「……他の艦の事よりも、第一に自分の事を気にしてくれ」 「私はもう充分強くなったからいいんです。それよりも北上さんや木曽ちゃんにあげた方がいいと思うんですよ」 確かにそういう選択肢もある。 しかし、兵装実験も兼ねて最先端を走るこの装備こそ、魚雷の扱いの練度が一番成熟した大井に託したいのだ。 それともう一つ。 身も蓋もない事なので口には出さないが、世のあらゆるところで特化型はバランス型よりも有利になるのだぞ。 大井は富士山にも届く程どんどん尖らせて行きたい。 「……そういうことなら、喜んで頂きます」 意外と素直に受け入れた大井は、早速装備換装の為奥のカーテンに向かい手をかけ、何事か振り向く。 綺麗な長髪を予兆なく さら、と揺らして振り向く大井の顔は、 その笑みに楽しげな成分がよく見ないと伺えない程度に盛られていて……。 「私の着替え、覗きます?」 阿呆な事を言ってないでさっさと済ませてきなさい。 両腕両足の装備を変えるだけだろうが。 「っふふ」 数分後、大井は戻ってきた。 魚雷は九三式酸素魚雷のままに、発射管を零式五連装発射管へと姿を変え、 それを両足に四基、両腕に二基搭載している。 大井は初めての五連装発射管が新鮮なようで、それらを手で撫でながら呟く。 「この魚雷火力、うまく使って欲しいなぁ……」 これらの発射管は開発したものではなく、 この鎮守府の戦果功績が認められて試験運用の名目で上から支給された物だ。 試験運用と言っても返す義務はないそうなので気楽なものだ。日々の報告書の作成は一枚増えるだろうが……。 自分もこの目で見るのは初めてで、大井が腕の発射管を眺めている傍で跪き、足の発射管を眺めて弄くり回す。 さわさわ。さわさわ。すりすりすりすり……。 「提督も気になります? 更にいっぱい付きましたよね、って……。 触りすぎなので提督に三十発、撃っていいですか」 「提督が艤装の検査をするのがそんなに悪いか」 「途中から艤装じゃなくて足触ってますよね」 「ついでに船体も磨こうと思ってな。お前はいつでも綺麗でいて欲しいからな」 「いい加減にしてくれないと私、本気にしちゃいますよお?」 状況によってはこの科白は昂りの材料になりそうだが、声色が威圧感を含んでいたので仕方なく離れる。 優しい目尻を貼り付けた笑みはそのままに、 眼力を強めるという器用な顔が出来る大井はいつまで経っても照れ屋だ。全く。 「朝からこんなところで盛らないで下さいね」 その言葉の裏を突こうものなら、局部に魚雷が飛んで来かねない事も考えて自粛しておく。 スキンシップを拒まれた自分は、単細胞生物の如く深く考えずにこのような科白をのたまった。 「足触っただけなのに、水臭いね」 …………………… ………… …… 「…………」 この人のセクハラを止めながらも、長い月日の付き添いの下、 昔の私が知ったら怒り狂いそうな気持ちを私は秘めていた。 私からあっさり離れながらも恥も捨てて愚直に不満を漏らす提督に、私は距離を再び縮めようと一歩前に出る。 「もう少しだけなら触っ……」 「提督!」 提督以外の者には聞こえないように発した小さな声は、大きな声に叩き伏せられた。 提督の向こうにいた声の主は、大本営からの任務通達を担当する軽巡大淀さんだった。 大淀さんが探しに来るという事は、何か緊急の通達があったに違いない。 だから、提督が即座にそちらへ意識の全てを向けるのは何ら間違っていない。 間違っていないのだが、腑に落ちない。 「大淀? どうした」 せっかく縮めた距離も、また開いてしまう。 よく考えれば私は秘書なのだから、提督と同じように私も大淀さんの知らせを聞きに行けばいい筈なのだが、 提督との戯れを妨害された挙句に一人取り残されたような処遇で、その場に立ち尽くしてしまった。 「……ああ。……ああ。分かった、ありがとう」 最後にいくつかの書類を渡してから、大淀さんは凛とした面持ちを崩さぬままその場を立ち去った。 戻ってきた提督も、気を引き締めた面持ちに切り替わっていた。 「急で悪いが、用事が出来たから留守番を頼む。午前の演習は休みになるそうだ」 「……分かりました」 何か良くない事でも起きたのかと思ったら、そんな事はなかった。 でも、午前の演習がお休みになるって事は、用事は午後までかかるという事よね。 演習が出来ない。せっかくの五連装魚雷が試せない。 残念だなあ……。 …………。 ぎゅ。 「え……?」 暫く思考が止まり、次に我に返った時には強い力で暖かいものに包まれていた。 目前にあるのは、提督の肩? 抱き締められている? 「ほら、出かけるからって悲しそうな顔しない」 「……し、してませんよ。自意識過剰も程々にしてください」 口では微動だにしない姿勢を演じつつも、 本当のところは間近で感じるこの人の匂いだとか熱だとか、 私の腕と肩をいっぺんに包むこの人の腕、押さえるように腰に添えられた手の感触が気になって仕方がなかった。 「そうか? それにしてはさっき何か言いかけてなかったか」 「提督の空耳ですっ」 「……ふうん」 ここはうるさい工廠なのに。 まして小さい声だったはずなのに。 確かに全く聞こえないような声だったら口に出す意味がないとはいえ、聞こえていたなんて。 あそこで大淀さんが来ていなければ、 多分私は勇気が羞恥心を上回ったままこの人の好きにさせていたかもしれないけど、 あの戯言をこんな形で受け止められてしまっては、時間差も手伝って羞恥心が勝る。 私は何を言っているんだろう、という自己嫌悪に滅多刺しにされるのだ。 そんな私の心情などお構いなしに、この人はいっそう抱擁の力を強める。 「勝手にするけどね。何せ昼過ぎまで帰って来られないんだから、私も補給しておかないと」 「はぅ……」 「あー、暖かい……」 急な用事ではないんですか。 こんな事をしている場合ですか。 秘書として言える事は沢山あるのに、 締まらなくなった蛇口のようにそんな事をのたまうこの人の離す気配のない抱擁に、私は……。 「……熱くなってきてないか、お前」 「っ!」 この人の声色から、口の端が天に向かっているのは容易に想像が付くのだけど、 とうに突っぱねる選択肢を失っていた私は何も出来なかった。 昼過ぎまで、出撃も演習もなく、この温もりもないのだから。 それからは提督の気の済むまでそうしていた。 それから惜しむ間なく別れて、自室に戻ろうとして私は不意にある事を思いついた。 ――そうだわ。昼過ぎまで帰って来られないって言ってたんだから、お弁当でも―― 食事なんかしている時間はないかもしれない。 手に余らせて迷惑がられるかもしれないけど、知った事か。 思いついてしまった以上、ここで何もしないという選択はない。 実のところ土曜日のカレー以外は殆ど料理はしていないけど、 カレーが作れるなら不味い物は出来ないはずだ。 そう気を持って、朝食時を過ぎた厨房へ向かう。 私の運の悪さが災いしたのか、単に食材の仕入れ作業にでも行ってしまったのか、 頼みの間宮さんは不在だった。 勝手ながら厨房を借り、何とか残っていた少ない食材を駆使して、一つの包みの開発に成功する。 成功……したのかしら。 時間もないし簡単なもので仕上げたけど。 兎に角、提督の身仕度が終わっていないかが心配だ。 包みを抱えて小走りで玄関口へ向かうと、あと少しのところで大淀さんを見つける。 「はぁ、大淀さん! 提督もう行っちゃいました!?」 「ええ、今し方出ましたけど」 何てこと。 ということは、大淀さんは提督を見送ったところか。 一方の大淀さんは、私の手に持っているもので察したようで、どう反応すべきか困ったように苦笑する。 「あら、残念でしたね……」 「作戦が悪かったわ……」 あるいは私の運が悪かったか。 机に突っ伏して腕を枕にしてそう嘆いても、提督の手元にこの包みは渡らない。 自動車だから、空母に頼み込んだところで航空機の燃料が持たないだろう。 そうして行き場を失ったこの包みを持ち、私は執務室で一人退屈の渦中に巻き込まれる事となっていた。 こういう時って、駆逐艦は他の艦と違って大人数で集まって好きに動くのよね。 でも騒がしいのはどちらかといえば好きじゃない私は、それを見習う気にはならない。 それは私だけでなく、北上さんや木曽ちゃんもまた同じ。 北上さん、大丈夫かな……って、そういえば早い昼寝と洒落込んだんだった。 普段の招集頻度は高い方だから、こういう時があれば身を休めようとするのは己の為になるだろう。 ああ、炬燵に突っ伏してぼんやりつらつらとそんな事を考えているうちに、私も睡魔に襲われていく。 姿勢が悪かろうと、こうなると今更自室まで体を動かすのは億劫だし……。 大人しめな色合いの包みを穴が空くほどじっと睨んでいたが、私の意識は段々と低下していった。 …………………… ………… …… 不定期に開かれる軍の会議にやっと終わりの鐘が鳴り響いた時、時計の時針は無慈悲にも正午を通り過ぎていた。 議題の一つ一つの話が回りくどいし長ったらしい。 おかげで尻が痛い。 正午は現代日本人にとって二度目の食事時だというのに、 鎮守府の門を通った時、時計の時針はその重要性を吐き捨てるように大幅に過ぎ去っていた。 庁舎に入り、まず持って行くように言われた書類を置いてくる為に真っ先に執務室へ向かう。 歩く足を止めず扉を叩きもせずに開けたが、自分はそれを反省する事になる。 「おっと……」 畳の中心に設置した机で大井が突っ伏していたからだ。 自分がいない執務室にまさかいるとは思わず、反射的に姿勢を正す。 それから自分は音を立てないよう細心の注意を払って扉を閉め、畳に上がり込んだ。 手持ちの書類を机にそっと置き、大井の傍に置かれている包みに意識を向ける。 これは何だろうか。 外からの手触りからこれは弁当箱だと察した。 ではこれは誰のだろう。 こんなものを執務室に持ってくる時点で候補は大幅に絞れるが、確信もない。 食事なら食堂を使えばいいのだから、大井が弁当を持つ意味が分からない。 まずこれを作ったのが大井という確信もないから、大井が寝ている手前誰に聞けばいいかも分からない。 自分が出かける直前、自分は大井から何も言われていないのだ。 どうしたものかと何気無く大井の寝顔を見やった。 「すー……、すー……」 朝の工廠で見せた、あの悲しむような寂しがるような顔はなかった。 大井は絶対否定するだろうが、 自分が出かけると言った時に見せた口角を落とした顔、気落ちした様子を表す声の抑揚のなさは、 落ち込んでいるという事が手に取るように分かりやすいものだった。 それだけにこの安らかな寝顔を見ると安堵するものだ。 その安眠を邪魔しないよう、普段よりも慎重に頭を撫でる。 「ていとくぅ……、んふふー……」 するとどうだろう。 大井は目を瞑ったまま突然口の幅を大きく広げ、大井らしからぬ間抜けな声を漏らしたではないか。 寝息がそのまま続いているから、起きてはいまい。 「おい、しい……ですか……、すー……」 夢でも見ているのか。 寝言で大体察した。 そこの弁当は手をつけてしまっても問題なかろう。 大井なりに男が持つのに合う物を選んだ気遣いが伝わってくる包みを解いてゆく。 箱を露わにし、黒塗りの箸を手に取った。 思えば、大井にさせている料理の殆どは土曜日のカレーであった。 なので大井はカレーに関しては高い練度を発揮出来るが、カレー以外ではそうはいかない。 あまり余計な負担をかけないようにと思っていたが、これはこれであまり良くないのでは、と思ってしまった。 カレーは毎週少しずつ出来が良くなっていったが、変化したのはカレーだけだったようだ。 大井の作ったであろう弁当は、不味い訳ではないが、とても美味しい、とも言えないものだったのだ。 カレー以外は殆ど演習させていないから、恐らく下ごしらえだとか、調味料だとか、火の通し方をまだよく知らない。 レパートリーが不足しているのだ。 これはいけない。 自分の為に出してもらえる飯が美味いに越した事はないのだ。 そうだ。それなら演習をしよう。 興味があって人並みに出来るくらいまで勉強した自分が少し口出ししようかと、 持ち帰ってきた書類を仕分け、少しでも時間の許す限り執務を進めながら考えていた。 勿論大井の寝息を聞きながら。 「んっ、んんん~……!」 筆を置き背を伸ばす。 もうヒトヨンマルマルだ。 午後に演習があるため、あまりのんびりしてはいられない。 「大井、起きろ」 呼びかけて肩を揺する。 大井が瞼をゆっくりと半分開いた。 起動し切っておらずという具合に、顔を上げるにも時間をかける。 「あ……、ていとく……」 目を覚ますにはまだ時間がかかりそうだが、自分は構わず用件を口にする。 「さて、時間もあまりないから、少し私と演習しようか」 「……分かりました」 本当に分かっているのか。 顔でも洗わせに洗面所へ向かわせた方がいいだろうか。 とか考えている間に、何やら大井は行動を見せる。 一体全体どういう理屈か、大井はこちらへ四つん這いで近付き、私の首に両腕を巻き付けてきた。 突然の事に自分は後ろに倒れかけたが、間一髪両手を畳に付き事なきを得る。 しかしこれは同時に、抵抗する手段を失っていた事に自分は気づけないでいた。 そして。 「んんっ!?」 なんなんだ。 何故自分は大井に唇を奪われ、好き勝手に弄られているのだ。 「ちゅ、ちゅぱ、……んん~、んぅんぅ、ちゅる……ぅ」 しかも舌を差し入れ、私の口を開けさせようと歯茎を舐め回し、歯を突つく。 混乱した自分は素直に口を開いてから後悔した。 阿呆か、自分は。 頭の中で反省文を原稿用紙に長々と書かせる暇がある訳なく、 立てこもり犯のようにいとも簡単に舌を同じものに捕まえられてしまう。 「んっ、はむ、ちゅく、んぁ、ちゅる、ふぅ……、えへへー……」 大井らしからぬ間抜けな声を漏らす辺り、まだ寝呆けているに違いない。 そんな調子の大井相手に情けない事だが、碌に抵抗もできずに気の済むまでされてしまった。 こんな事をする意図があったつもりは毛頭ないので、さっさと息を整えて止めにかかる。 大井は言っていた。朝から盛るなと。 どっちが。 「はぁ、はぁ。おい、目を覚ませっ」 口を離した時が隙と見て、倒され気味だった体勢を直す。 畳に付いていた両手を大井の肩に置いて揺らすという少々強引な手を使う。 「……ぁ、あら? 提督、帰っていたんですね」 やっと目を覚ましてくれたらしい。 これで妙な展開は静まると安堵したが、その油断が自分の落ち度だったのかもしれない。 「提督、どうして口の周りをべとべとにしてるんですか。汚いので早く拭いてくださ……」 「お前の所為だ馬鹿」 「……え? あれ、だって、提督、夜戦の演習って……」 「……お前は白昼から何の夢を見ていたんだ」 「……夢?」 大井のその呟きを最後に、見つめ合う事数秒。 きょとんと垢抜けた顔はぼっと赤くなり、困ったように目尻と口角が下がる。 大井が目を下に逸らす。 何やら口を動かしているようだが、よく聞こえない。 大丈夫か、と問おうとするその直前。 「提督の馬鹿ーっ!!」 バチコーンッ!! 「ぐふっ、大井……、私が何をした……」 Oh, ジーザス。 艤装を付けていない艦娘の底力を渾身の平手打ちで表現された自分は、盛大に体を壁に叩きつけられる。 理不尽さとデジャヴと、大井の柔らかかった唇の感触を走馬燈のように思い出しながら、意識を失ってしまった。 …………………… ………… …… その晩。 床に就いた自分は眠るまでに多少の時間が必要そうなので、 駆逐艦イ級の数を数えるのに必死でいた。 リラックスしないと眠りには就けないのに必死とは、寝る気あるのかと突っ込まれても反論一つできない。 そう自嘲していると。 もぞもぞ……。 「!」 「夜戦……、しないんですか?」 ジーザスは言っている。 ここで引くべきではないと。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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66 :42 ◆JW9jyZQchc:2014/05/22(木) 07 22 12 ID GxrBdYJY 予告通り投下です。 比叡、金剛、提督。エロなし。2レス。 某スレの比叡時報ネタより。 お前さん、若い女ばかりの職場にいる俺が羨ましいって? そんないいもんじゃねえ、自分で言うのもなんだがここはヤバイ職場だ。 仕事内容もヤバけりゃ上司もヤバい筋、うっかり手出ししたらコンクリ詰めじゃ済まねえ。 そんなところで薄着の若い女を四六時中見る羽目になってみろ? お前さんがホモでないなら拷問だよ。そして俺はホモじゃない。 潮の香りに力仕事を終えた女たちの汗の臭い、それに風呂上がりの石鹸の匂いとくらぁ。 後先考えずに済むならとっくに押し倒しているさ。 金やカオには困ってないだろうって? まあ、そうだな。金や容姿で困っているわけじゃないし仕事を離れりゃ誰を抱こうが勝手だ。 人事権も一任されているから、その気になれば抱きたい女に解雇通知を突きつけながら押し倒せばお咎めはない。 だが手間ひまかけて実戦と訓練で育て上げた部下たちを手放せるかい? 「仕事」の方がダメなら怖い上司から電話がかかってきて俺の首と胴体は泣き別れだ。 つまりどんだけ誘惑が強くてもそんな無茶はできやせんのさ。 同業者には仮採用の子供に唾つけて抱いているロリコンもいるらしいが俺はおっぱい大きいのが好きなんだよ。 こんだけ喋らせたんだ。お前さんには愚痴のひとつも聞いてもらうぜ。 ある日のことだ、当番の部下に夕食のまかないを命じたんだ。まかないは当番の仕事だからね。 その当番はショートカットから覗くうなじが素敵な子で当番を務めるのは初めてだった。 いつもはそいつの姉に当番を任せていたんだが事情があってね。 姉の方は海外帰りで優秀なやつなんだが、いつもストレートに好意をぶつけてくるんで困っていたのさ。 当て付けに当番を命じた妹はちょっと世間知らずな所があるが、カレーくらいは作れるだろうと思ったんだよ。 厨房から漂ういい匂いに期待を膨らませたさ。出来上がりを食べるその時まではね。 19時の時報が鳴って当番のそいつが執務室に入ってきた。 白飯が湯気をあげていて、器に入ったカレーからは実に美味そうな匂いが立ち上がっていた。 一口目にはでっかい牡蠣が入っていてこりゃ贅沢だなと思った。これがお嬢様育ちの感覚ってやつかね。 ニンニクで香りづけされたカレーはよく炒めた玉ねぎの甘みで食べやすく、ニラの食感も気にならない。 ところがその下から出てくる出てくる。 ホタテに豚肉、オクラとチーズにうなぎ、ルーからは山芋をおろしたものの味までする。 おいおいどういうことだよ。どれもこれも精がつく食材ばかりじゃないか。 聞くと彼女が育った上流階級では普段から精をつけるのが普通なんだってさ。 社交ってやつは案外体力を使うもんらしい。 俺も上層部のお偉いさんと飲むと疲れるもんな。 ともあれ彼女に悪意があるわけじゃないとわかって安心したが問題はこれからだ。 俺だって健康な若い男だ。若い女とメシを食ってりゃ衝動に襲われる。 まして若い恋人たちが聖夜に食べるようなスタミナカレーを食ったばかり。 あっという間に血が下に集まって行くのがわかった。 それでどうしたかって? 当番の女にカレーの感想も言えずに執務室から逃げ出したよ。 だってそうだろう。若い女が何も考えてない顔を近づけ、いい声で晩飯の感想を尋ねてくるんだぜ? 相手にその気がないとわかっていても、いやだからこそ理性が持たない。 女も走って追ってくるがこちらも捕まるわけにはいかない。 こんな状況でいつものように腕を抱え込まれて無防備な顔を近づけられたらどうするよ? お前さん、まだわかってねえな。チキンとか言うなよ。 そいつに手を出したら上層部の前に妹思いの姉にバーニン一発ぶち込まれるんだぞ!? 仕事場の廊下を走りに走り、逃げに逃げたが1時間近く走ると流石に息が上がる。 追ってくる方は若い女とは言え力仕事の職場でエース級を務めるような奴だ。 他の部下たちの目もはばからず逃げまわったが次第に当番の声が近づいてくる。 とうとう他に逃げ場がなくなり、宿舎の一角に追い詰められてしまった。 行き止まりの廊下で辺りを見回すと宿舎の扉の一つが少し開かれている。 その隙間から手招きしている白い手になんだか見覚えがあったが俺の頭は混乱していた。 藁にもすがる思いで扉に飛び込んだ。それが運の尽きだったんだがね。 逃げ出してからきっちり2時間後、当番の部下に見つかって怒られたよ。 なんでこんな夜遅くに姉の部屋にいるんだってな。 姉の海外帰りが取りなしてくれたがなかなか当番の部下は収まらない。 寝るまでの1時間、正座させられてさんざん怒鳴られた。 もっともこっちはそれどころじゃなかったよ。だって……ね? 俺はバックルの位置を直しながら明日からどうやって生き延びていくか考えてた。 さ、ここまで聞いたんだ。お前さんには俺の高飛びを手伝ってもらおうか。嫌とは言わせないぜ…… おしまい これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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429 :名無しの紳士提督:2015/07/18(土) 15 18 08 ID tYVietT2 比類なきテクニックを誇る龍田おねえさん VS 底無しの精力を誇るショタっ子 ファイッ! 1発目 「あらあらぁ、まだ手でしてあげだだけなのに、もう出しちゃったんですか? 我慢の出来ないおさるさんですね」 「手だけでこんなに溢れさせちゃうなんて……フフ、お口でしてあげたら、どんなになっちゃうんでしょう♪」 2発目 「ん……すっごく濃ゆい童貞せーえき、頂いちゃいました♪ 御馳走様」 「腰がくがく震わせちゃって、可愛い♪ もーっと可愛がってあげますねぇ」 3発目 「2回出した後なのに、すぐ出しちゃって……。堪え性の無いお○ん○んさんには、せっくすはお預けです」 「ふふふ、そうですねー、あと2回頑張れたら、ご褒美あげますよ~?」 5発目 「はぁ~い5発目、よく頑張りました♪ えらいえらい」 「ぐすぐす泣きじゃくってるお顔、きゅんってきちゃいます♪」 「ほんとはお預けしちゃおうかと思ってたんですけど、特別に、『せっくす』、してあげますね」 「さ、そこに横になってください。お姉さんが挿入れてあげますからね~」 6発目 「やぁん♪ アソコが触れただけで出ちゃうなんて、そんなに私とせっくすしたかったんですか?」 「ゆっくり、ゆっくり挿入れてあげますから……初めてをお姉さんに食べられちゃう感覚、たっぷり味わって下さいね~♪」 7発目 「はぁい、ここがお姉さんの終点、大事な大事な、赤ちゃんの部屋の入り口ですよぉ」 「ここまで吐き出さずにいられたご褒美に……子宮口でお○ん○んにキス、してあげます、ねっ!」 「ふふふ、出てる出てる……子宮の入り口にびゅーびゅーしちゃってます♪」 「で・も、これだけで済むと思わないでくださいね?」 「精嚢がカラっぽになるまで、お姉さんが何度でも搾り取ってあげますから♪」 15発目 「よく頑張りましたけど……そろそろ限界でしょう?」 「さ、お姉さんの目を見ながら、『僕はお姉さんのモノです』って誓ってごらんなさい? そしたら許して……ひゃんっ!?」 「だ、だぁめ! クリちゃんはお触り禁止です! まったくもう……」 21発目 (い、一体何発出せばおさまるんでしょう、このおさるさんち○ぽ……) (膣壁に特濃せーえき擦り込まれて……それにもうずっと子宮でキスしちゃってます……) (まずいですね……そろそろ子宮が我慢できなくなっちゃいそうです) 「そ、そろそろ疲れたでしょう? お終いにしましょうか……え? まだ出来る?」 (うそぉ……ぁ、あ、また射精ぇ♥) 25発目 「そんなにクリちゃん触りたいんですか? ……どうしても?」 「し、仕方のない子ですねぇ……ここまで頑張ったご褒美に、特別ですよ?」 「こ、こぉら、がっつかないの! 包皮は自分で剥きますから……」 「いいですか? ここは女の子のお○ん○んのようなもので、とってもとっても敏感なんです」 「けっして乱暴にはしないように……優しく、優しくですよ?」 26発目 (ふぁ、ぁ……この子のゆび、きもちぃ♥) (たどたどしいのに、必死に私の感じる触り方探って) (私のクリちゃん滅茶苦茶にしたいって気持ちと、私を気持ち良くしてあげたいって気持ちが、せめぎあってて) (分かっちゃいます。この子の優しいところ、男の子なところが、陰核への刺激で伝わってきちゃって……それに) 「――おちんちん膨らんでます、ね。また、射精しちゃうんですね」 「お姉ちゃんも、ね、イっちゃいますから……だから、クリちゃん、いいですよ」 「思い切りいじって、たくさん気持ち良くして……あ、あーーーーーっ!!!」 27発目 「ふふふ……お姉ちゃんも、一緒にイっちゃいました♥」 「ほんとにもう♪ まさかおさるさんにここまでされちゃうなんて……え?」 「う、嘘……まだこんなに硬い……ち、ちょっと待って!」 「わ、私、ホントにイって、腰抜けちゃってて……少し休ませてぇ!」 「ゃ、やだ、押し倒すなんて、もう! 本気で怒っちゃいますよ!?」 「あ、ひ、ひぃぃぃいん!? や、なんで、なんでこんなに濃いのぉ……!?」 38発目 「ぁ、ぁ、ぁ、あ、ひ……うあああぁん♥……また、また出てるぅ……」 「もう、もう許して、ね? お姉ちゃんの負けです。最初にいぢめたことなら、謝りますから」 「そ、そんな……また動いて、っ!? ひゃうぅん!?」 (ぁ、駄目、見つかっちゃ駄目ぇ……そこ、そこGスポットぉ……) 39発目 (もう一時間以上Gスポット擦られてる……丁寧に、丁寧に。雁首で、こりゅこりゅってぇ……) (駄目、擦られ過ぎておしっこ、漏れちゃいそぉ……) 「あ、あのね? おトイレ、行かせてください。そしたらまたシてあげますから、ね?」 「こ、此処でって、そんなこと出来る訳無いでしょう!?」 「あっ!? 駄目、おしっこの穴、指で撫でちゃ……ダメ、漏れちゃう、もれちゃうぅ」 「だ、出したいって……駄目っ! 今射精は絶対駄目ですから!」 「今出されたら、ほんとに我慢できなく……や、やだ、お○ん○ん膨らんでるぅ……」 「せ、せめて顔、見ないで、ね? 射精されて漏らしちゃってる顔、みないで、堪忍してぇ……ぁ、ふぁ、ふあぁぁぁん」ジョロロロ…… 40発目 「ふぇ、ぐすっ…ひっく」 「……怒ってますっ!!! まったくもう……お姉さんをこんなに辱めるなんて。いけないおさるさんち○ぽなんですから」 「……え? 改めて話がある、ですか?」 「『お姉さんとケッコンしたい』って……じゃあ今日は、それを言うために?」 「ふふふ、まったく、とんだおばかさんですね♪」 「もう、私はとーっくに貴方に、モノにされちゃってるじゃないですか♪」 「そもそも、私が断ったらどうするつもりだったんですか」 「まさか、この私にあれだけ恥ずかしい思いをさせて、責任取らずにすたこら逃げるつもりだったんですか?」 「そんなのは許しませんよぉ。それに、ホラ……」 「気付いてましたか? 私の子宮、完全に下まで降り切って……。それに入り口も、とろっとろに蕩けちゃってます」 「ほぉら、亀頭が沈み込んで……そのまま腰を進めたら、きっとナカまで挿入っちゃいます」 「あなたがこうしたんですよ? 何度も何度も精液吐き出して、擦り込んで、お姉ちゃんの子宮を子作り準備万端にしちゃったんです」 「だからほら、こうして…んうっ!……ぁは、これで、赤ちゃんの部屋、挿入っちゃいましたね♥」 「さ、このままびゅーびゅー射精して、龍田を孕ませてくださいな……旦那様♥」 +後書き 長くなりすぎたかな まとめてtxt形式でうp出来るところとかあると便利なんだが これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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夜の鎮守府は昼とは打って変わって静まり返る。 昼間は鎮守府内はどこもかしこも騒がしく、近海でも訓練でこれまた騒がしいのとは対照的に動いているものと言えば警備の連中と、 時折夜戦訓練に向かう部隊が葬式の様に静かに出航することがあるぐらいで、誰もいなくなったかのように静かなものだ。 そんな夜、艦娘用営舎の一室で物音をたてないように伊勢は起き出した。 (日向は……寝てるね) 隣で寝ている妹は自分に背中を向けているが耳を良くすますと静かな寝息が聞こえてくる。 (よし…) 寝付きの良い妹を起こさないように慎重に布団を離れ、物音ひとつ立てずに扉を開けると、これまた細心の注意を払って扉を閉める。 廊下では意外に響くチャッという扉が閉まる際の音に一瞬どきりとするが、誰も気づいていないのか、世界は静まり返ったままである。 消灯時間から一時間も経っていない筈だが、何とも寝付きの良い艦隊である。 そんな寝付きの良い艦隊の唯一の例外は足音を忍ばせ営舎の端にある女子便所に向かっている。 当然と言えば当然だが、途中誰にも見られることなく女子便所に辿り着いた伊勢は、中に誰もいないのを確認すると個室に潜り込んで鍵をかけた。 さて、普通夜中に用を足すだけでなら、ここまでこそこそと盗人のように忍んだりはしない。 せいぜい迷惑にならないように大きな音をたてないようにするぐらいだろう。 こそこそ忍ぶにはそれなりの理由がある。 (これは不調を直す為に仕方なくだ。あくまでそれだけの為だ……) 伊勢は己にそう言い聞かせながら下を脱いでその場にかがみこむと、右手の人差指をゆっくり自分の秘所に這わせる。 「んっ…!」 突き刺さるような衝撃が股間から脳髄へ迸る。その衝撃は今の伊勢にとって競走馬に鞭をくれたのと同じ。指を這わせ、こすり、くすぐるスイッチとなった。 「くふっ……はぁ、はぁ……提督……」 息を荒げて愛しい者の名を呟きながら自慰を続ける。彼女がこれを提督で行うのは今回で二回目となる。 今まで自慰をした事は何回かあったが、その際に提督の姿が頭から離れなくなってきてからは暫く禁欲していた。 それは踏み込んではならない聖域の様に思えていたし、艦隊の中では既に古株である自分を信頼してくれる提督への背信の様に思えたし、 何より愛しく思えば思う程にそうした行為に対して不潔だと思うようになってきた。 最初はそれで良かった。 しかし伊勢は仙人ではない。欲求を忘れていることなど、そう長くは出来ないものだ。 そしてある時、欲望は理性を超え、いてもたってもいられず他の一切が手につかなくなり、 溜まりに溜まったものをぶちまけてそれまでとはケタ違いの快楽と、凄まじい後悔の念とに苛まれることとなった。 その二つのどちらが大きかったのかは、同じ言い訳をしながら再び行ったことで説明できるだろう。 「んっく……ふっ…うん」 右手が股間を往復しながら、左手で自分の胸を愛撫する。この手が提督のそれだったらどれほどよいか等と思いながら。 「うっ……提督……私は変態です」 右手の指についた液体がぬるりと指の付け根にたれるのを感じながら伊勢は呟く。 「はぁ、はぁ、……申し訳ありません」 荒い息をつきながら虚空に詫びる。 しかし興奮の後に来た脱力感の中で、聖域を侵犯したという罪の意識ですら今は快楽となっていた。 いつまでもこうしていたかったが、流石にそんな訳にもいかない。 頭が急激に醒めていくにしたがって、脱力感が興奮とは反比例に大きくなって行く。 「……寝るか」 けだるい体を引きずり起こして自室へ戻り、これまた日向を起こさないように慎重に布団に潜り込むと脱力感が後悔に変わる前に眠りに落ちた。 伊勢が執務室に呼ばれたのはその翌日の夕方の事である。 「失礼します。伊勢出頭いたしました」 普段なら秘書艦もいる筈の執務室には提督ひとり、西日でオレンジ色に染まる室内に黒い柱の様に立っている。 「……よく来てくれた」 いつにもまして重々しい口調でそう言うと、伊勢を近くに呼び寄せる。 「ちょっとお前に聞きたい事があってな」 「えっ、はい。何でしょうか」 伊勢は違和感を覚えた。 この若い提督は、普段はその性分なのかかなりフランクに彼女達に接しており、軽口をたたき合う事もあり、今の様に緊迫した空気を出す事は作戦行動中以外にはありえない事だった。 「女にこんな事を聞くのは失礼だし、気を悪くするかもしれないが、お前昨日の夜便所で何してたんだ?」 「!?」 伊勢は目の前が真っ暗になった。 どうして提督は昨夜の事を知っている?あり得ない。あり得る筈がない。 確かに営舎の艦娘用の女子便所には併設された男子便所があるが、あそこを使う者など誰もいない。 第一、執務室のすぐ隣に男子便所がある。何故提督があそこにいる? 伊勢の頭の中で様々な言葉が回り始める。 「なっ、何言ってるんですか!?トイレでする事なんて一つしかないじゃないですか!!」 「お前、用を足すときに俺を呼ぶ癖があるのか」 「!!!!!!」 「お前は知らないかもしれんが、あの便所は壁が極めて薄くてな、隣の音が筒抜けになっている。 もっとも、男子便所は基本的に誰も使わないから放置されていた訳だが、ここの隣が昨日から壊れていてな」 提督は昨夜伊勢が自慰している時に営舎の男子便所を使用し、伊勢の声を聞いている。 提督だって子供では無い、用をたす以外に便所でする行為と言えば何の事かすぐに分かるだろう。 「なんだ……知ってたんだ」 伊勢は呟いて、自分を見つめている提督の顔を見つめ返し、無理やりに笑顔を作った。 「そうです。私は、多分提督が今考えている様な事をしました。その……提督で」 「…」 「ごめんなさい。私こういう奴です。折角信頼してくれた提督をそんな風に考えている様な変態です」 「なあ伊勢」 「こうなった以上覚悟は出来ています。どんな処分だろうと異論はありまむぐっ!」 「聞いてくれ」 ぎこちない笑顔のまま泣きながら告白する伊勢の口を手で塞ぎ、若い提督は語りかける。 「俺は昨日、お前の声を聞いた後自室に戻ってお前と同じ事をした。その……お前で」 「えっ…」 「お前があれをやっている姿を妄想してな。お前が変態だというのなら、俺はそれに輪をかけた最低野郎だ。申し訳ない」 深々と頭を下げる提督と、きょとんとしている伊勢。 「その、何だ。お前さえ嫌でなければなんだが、ある意味ではお互いの気持ちも分かった訳だ。だから……変態同士付き合ってくれないか」 お互いがお互いのおかずだったからお付き合いましょうという、おそらく人類史上初めての告白。 これに対し伊勢は何も言わず俯きながら提督の胸元へ飛び込んだ。 「無言は肯定ととってもいいか?」 何も言わず首を縦に振る。髪の毛の間から覗いている耳は端まで真っ赤になっていた。 執務室の奥は扉一枚で提督の私室と繋がっているが、当然ながらここに普段艦娘達が入る事はない。 初めて入った提督の私室は、予想以上に質素なものだった。 若い独身男の一人暮らしらしくやや乱雑ではあるものの、伊勢が思っていたよりは整っている。 「本当に良いんだな?」 「……はい」 二人でベッドに腰掛けると、提督は伊勢に最後の確認をする。 伊勢が返事をすると、彼女の両肩をつかんでベットに寝かせ、そのまま上に乗る様に彼女の唇を奪う。 最初は伊勢の柔らかな唇を楽しむように、そして次には口から一体化しようとするように舌を滑り込ませ、お互いの舌を絡み合わせる。 やがて、最初はされるがままだった伊勢が提督の背中に腕を回して彼を求め始めた。 暫くの後、二人の口が離れると伊勢は閉じていた目を開き、熱がある様なうるんだ瞳で提督を見つめた。 提督は一度身体を離すとカチャカチャとベルトを外すとズボンを下げて一物をさらけ出す。 伊勢はぼうっとする頭で目の前の現象から判断し、スカートを脱ぐ。 「下穿いてないのか」 「戦闘で蒸れたり濡れたりしても作戦行動中は着替えられない事も多いですから、気持ち悪いまま長時間つけておくよりは…って」 白い直垂を脱ぎ、インナーシャツに手をかけながら説明する。 「成程、それは夢が拡がるな。ああそうだ、それは脱がないでくれ。そっちの方が好みだ」 「……変態」 「お互い様だろう」 二人は顔を見合わせて少し笑い、再びベッドに倒れ込む。 「うふっ……ふひゃ!」 先程濃厚なキスをした提督の舌は、今度はシャツをたくし上げた伊勢の胸を舐め上げるとその頂を舌先で弾くように触る。 その間、右手は伊勢の股間に滑り込み、彼女が昨晩していた行為を再現しはじめる。 「くぅ!…ひぅ…てい……と…ひゃん!!」 あるいは舐め、あるいはこすり、あるいは弾き、あるいは入れ、 玩具を与えられた子供か、はたまた楽器の調律のように伊勢の反応を都度確かめる提督。 「そろそろ頃合いか」 いきり立つそれを伊勢のピンク色の入口にあてがうと、ピクンと伊勢の身体が動く。 「行くぞ」 「はい……お願いします」 ゆっくりと伊勢の中に挿入する。 指で十分いじったからか強張ってはいないが、吸いつくように締められている。 「ッッ~~~~~!!!」 脱いだ直垂を口にくわえ、伊勢は無言の絶叫を上げる。下手に叫び声をあげれば、誰か来ないとも限らない。 血が潤滑油のように二人の隙間に拡がって、滴り落ちる。 「ぷはっ!あっ、ああ!あんっ!」 再び口が開いたのを再開の合図に、提督は伊勢を突き、中で動かし始める。 やがて―― 「ありがとう。伊勢」 「やめてくださいよ提督。お礼だなんて」 伊勢は既に来た時の姿に戻り、提督もまたいつもの姿に戻って執務室への扉の前に立っている。 「また今度お願いしますね」 「勿論だ」 扉を開け、既に暗くなった執務室へ出るとそこからはもういつもの関係だ。 もっとも、「また今度」はすぐに訪れる事になるのだが。 終
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みんな駆逐艦は好きか? 俺は大好きだ。 ふくらみかけた船体のライン、並んだ時の身長差、上目遣いの純真無垢な瞳……憲兵がうるさいからほどほどにしておくが、 まあその他いろいろだ、わかるだろう。あの初々しい魅力は何ものにも代えがたい。 ゆえに、念願の提督として着任した俺は、脇目もふらず駆逐艦娘ばかりを重点的に育成した。 分け隔てなく愛を注ぎ、均等にレベルを鍛え、近代化改修を重ねて彼女らを強化するのは当然。 少しでも損傷を受けた子は入渠させ、決してムリはさせず疲労が溜まらないように気を遣って、心身共にケアする。 3-2海域なんかも誰ひとり犠牲を出さず楽々突破で、他の提督が苦戦しているという噂がまるで信じられない。 その甲斐あり、いつしか司令官として、そして頼れる大人の男として彼女たち全員からの信頼を勝ち得た俺は、 手に入る全駆逐艦娘のレベルが80を越えたあの日、慰労祝賀パーティの壇上でかねてよりの心中を告白した。 「今まで黙っていたが、俺は君たちのことが性的にも大好きなのだ。ぜひエロいことをさせてほしい!」と。 そう、土下座しながら。 俺は立場を盾に行為を強要するのは死んでも嫌だったし、全員を分け隔てなく愛していたから、 特定の子へのお願い(暗に強要と取られる可能性もある)は避け、こうしたストレートかつ愚直な手段に出たのだ。 意外にも、予想した罵声や幻滅の反応は思ったほどではなく(もちろんドン引きした視線も何本か突き刺さったが)、 彼女らのリアクションはおおむね「この可哀想な人をどうしたものか」といった同情的なものだった。 「きっと提督はそういう病気なのです」「あらあら、じゃあ仕方ないわね~」「ちょ、アンタたちそれでいいの!?」 などといった会話が、床に頭をこすりつけた俺の前で飛び交っていたのをよく覚えている。 あと、性的な知識がない子がほぼ皆無だったのも意外といえば意外だった。最近の駆逐艦は進んでいるなあ。 ともあれ、そこから再三にわたる「説明」と「説得」、そして彼女たちの間での「協議」の結果、 「それぞれが嫌じゃない範囲のことを提督にしてあげよう。あと本番はNG」という形で合意が成立した。 積み重ねた信頼と実績、一種の正直さが功を奏したらしい。いやー言ってみるものだ。 これでだめならすっぱり諦めて任務に戻る(あるいは辞表を出すor社会的に死ぬ)つもりではあったが、なんとも嬉しい誤算だ。 ―――そして今夜も、元気なノックが鎮守府執務室の扉を叩く。 「おまたせー司令官。準備してきたよー!」 キラキラした笑顔で真っ先に入ってきたのは、雷。 「まったく、なんで私がこんなことしなくちゃならないのよ……」 一人だけ不満そうな表情の叢雲がそれに続く。 「強制任務じゃないんだ。嫌なら無理に参加しなければいいじゃないか」 最後はいつものクールな表情を崩さない響。今晩、俺の相手をしてくれるのはこの三人だ。 なにせ駆逐艦は計46隻、毎朝と毎晩に3~4人ずつでやっと一週間サイクルのローテーションが完成する計算になる。 「そ、それは、べつに嫌ってわけじゃ……って、アンタなんでもう全裸なのよ!?」 いや、待ってるうちにテンションが上がってつい。赤面して顔をそらす叢雲が可愛い。 「わわっ。えっと、雷たちも脱いだ方がいいのかな?」 あ、いえ、むしろそのままでお願いします。いつも見てる服装の方が興奮するからね! 「やれやれ。司令官は本当に変態だね」 ありがとうございますご褒美です。響にそう言われるとそれだけで主砲の仰角がちょっぴり上を向いてしまうぞ。 おいでおいでをして、三人を招き寄せる。わーい、と楽しそうに走ってくる雷と、目をそらしたままの叢雲が対照的だ。 そのまま小柄な体をまとめてぎゅうっと抱きしめると、いい香りのブレンドがふわっと柔らかな髪から漂ってくる。 「司令官にぎゅってされるの好きー」「同感だね。悪くない」「ちょ、硬いのが当たってるんだけど!?」 そりゃこんな至福の状態でフル勃起しないわけがない。 あー、ぷにぷにして柔らかいけど、所々未発達で骨っぽい部分もある、これが駆逐艦だけの至高の抱きごこちだ。 「ねーねー司令官。キスしようよ、キス!」 おお、雷は積極的だなあ。でもせっかくだから……と、きょとんとしてる三人をベッドの上に立たせる。 だいぶ身長差があるから、これで俺が少し中腰になってやっと顔の高さが揃う感じだ。 んちゅ、れろっ……と、俺を中心に寄せられた顔の間で奇妙な水音が響く。 「うう……三人いっぺんにキスとか、よくもこんな変なこと考えつくわね……」 「ん……奇妙なпоцелуй(パツィェルーイ:接吻)だね。嫌いじゃないよ」 「もう、最初は雷だけにしてほしかったんだけどなー。まあいいけど!」 口づけというより、限界まで伸ばされた俺の舌に三人の小さなそれが、三方向から伸ばされ舐めているといった形だ。 向かって左側が叢雲、右側が響。そして先端に向かい合う形で雷。 みっつの刺激が踊ると同時に、彼女らの、いい匂いのする吐息が唾液と共に混じり合い、俺の鼻孔をくすぐる。 おずおずとためらいがちに伸びる舌、静かだが熱心に動く舌、積極的に先っぽをついばむ舌と、積極性の違いも面白い。 細くて抱き心地のいい体を三人分まとめて抱いている感触もたまらない。 ややあって、間に銀色の糸を引いてそれぞれの唇が離れる。名残惜しいが、油断するとこれだけで射精しそうだ。 「いつものアレをしてほしいんだね、司令官」 ベッドにごろりと横になった俺に、そっと身を寄せながらささやく響。 声はいつものやや低いトーンだが、その瞳はほんのわずかだけ期待感に濡れている。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。 「はいはーい、じゃあ雷は右側担当するよー!」 ころんっ、と俺を挟んで響の反対側に横たわる雷。ぺろっ、とその健康的なピンクの舌が再び伸ばされる。 両サイドから迫る駆逐艦たちの可愛い舌、その目標は、俺の両乳首だ。 ぺちょ、くちゅっ……っとふたつの柔らかな感触が同時に到達し、うほぉお……! と思わず声が漏れてしまう。 「ふふ。女の子みたいな声が出てるよ、司令官」 「ね、かわいいよねー」 すぐに恥ずかしく勃起してしまう突起を舌でねぶりながら、いたずらっぽさを含んだ上目遣いふたつが俺を見上げる。 それぞれの髪の毛が胸板に落ちかかって、さわさわと撫でくすぐる感触も、いいアクセントだ。 「んっ……ちゅ、れろろっ……いつもお仕事おつかれさま、司令官」 「雷たちがいっぱい癒してあげちゃうねっ……ちゅっ、ぺろれろっ、んりゅりゅっ……!」 突起に強く吸い付きしゃぶりながら、ちゅうちゅうとミルクでもねだるように吸い上げる雷の舌。 響は舌先を硬くとがらせて、乳首を何度もはじくように刺激してくる。 体温の違いからか、雷のあったかさに比べ響の舌はやや冷たく、 その差もまた俺の敏感な部分にビリビリとたまらない快感を送り込むスパイスだ。 ああ溶ける、気持ちよすぎて脳が溶ける。俺はいま天国にいる! 生きてて本当に良かった、駆逐艦好きでよかった! ふと、一人だけ出遅れた叢雲が、ベッドに投げ出された俺の足の横で所在なげにしているのに気付く。 もちろんそれを見過ごす俺ではない。みんな仲良く平等に、がうちの艦隊のモットーだ。 「あっ……!? す、すごい、あんなに脈打ってる……っ」 ビキビキに勃起した肉砲塔をこれ見よがしに上下させると、叢雲の凛とした美貌に興奮と情欲の朱がさした。 おずおずと、引き寄せられるように近付いたその白い指が、太い血管の走ったグロテスクな太筒に添えられていく。 そして、ぷっくりと先走り玉を浮かばせた先端、その凶悪な砲口にちいさな唇が近付き―――。 「んうっ……ちゅぷ、ぬ、ちゅううぅぅぅっ……!」 「あー! 叢雲ったらひとりでおちんちんしゃぶってる、ずっるーい!」 「おや……意外だね。ずいぶん積極的じゃないか」 真っ赤になった顔を伏せ、控えめな動作で俺の肉砲をフェラ奉仕する姿に、ようやく気付く二人。 もちろん雷も本気で怒っているわけじゃなく、響と同じで叢雲の反応をからかっているようだ。 「う、うるさいわね……! 戦場(いくさば)で指をくわえて見てるだけなんて私のプライドが許さないだけよ!」 だから別のものをくわえてるわけですね、と言うと殴られそうなのでやめた。 しかしこれは気持ちいい! 乳首とチンポをちっちゃな舌でトリプル刺激される快感、このまま死んでもいい! 至福の快楽に少しでも感謝の意を示そうと、響と雷の頭を優しく撫でる。 「わーい、なでなでされるの大好きー」 「じゃあお返しにもっと頑張らないと、だね」 小動物のように嬉しがりつつ、二人はいっそう熱心に俺の乳首におしゃぶり奉仕をしてくる。 雷の尖った八重歯が、時々ひっかくように膨れあがった先端をかすめ、それすら新鮮な快感を生み出す。 股間では、下から上へと、何度も肉幹をしゃぶりあげる叢雲。態度とは裏腹に愛情深い熱心なフェラが感激だ。 自分だけなでられる位置にいなくてちょっと寂しそうなので、あとでたくさん撫で撫でしてあげよう。 うっ、と我慢できないうめき声が漏れ、ひときわ反り返った肉棒が小さな口からあふれて、 叢雲の頬に先走りと唾液の混合液がぽたぽたとしたたり落ち、いやらしい匂いを振りまく。 「あっ、ぷぁ……!? ま、まだ大きくなるの……? そ、それに砲身みたいに熱くて硬い……!」 「ん。そろそろイキそうなんだね、司令官」 「えっもう? じゃあ雷が受け止めてあげるわ!」 射精を察し、ふやけた乳首から離れて股間の両脇に移動する響と雷。六つの幼い視線が今にも暴発しそうな砲塔に集まる。 いやいや、ちんちん担当の叢雲が頑張ったんだから優先権は譲ってあげようね雷、と諭す俺は空気の読める提督だ。 「べ、べつに譲られても嬉しくないし! で……でも、あんたがそう言うならしてあげる、わよ……」 「素直じゃないね。まあいいや雷、我々第6駆逐隊コンビは両弦からの刺激で司令官を射精に導こう」 「はーい了解。よいしょっ、んちゅっ……こうすると、なんだかハーモニカみたいで楽しいわね!」 まさにその言葉どおり、ぱんぱんに張った俺の肉砲塔の両脇を、きめ細かな幼い唇がぬりゅぬりゅと滑り、柔らかく圧迫。 ぷるぷると揺れる赤黒い先端には、どこか吹っ切れた叢雲が淫らなキスを振らせ、鈴口をれろれろと舌でほじくる。 愛情のこもった、しかし容赦ない三重の刺激に、高まる射精感をおさえられない。 「は、はやくイキなさいよ……! 私たちみたいな駆逐艦相手にこんなに勃起させて、ほんと変態っ……!」 「かまわないよ司令官。顔も服も汚していいんだ。いや、むしろそうしてほしい……!」 「我慢しなくていいからねー? 雷たちで、いっぱいいっぱい、せーえき、びゅーってして!」 いつもは見せない甘えたトーンや、年齢にそぐわない雌の情欲を交えた声が、どろどろに混ざって俺の脳を溶かす。 グツグツ煮えたぎり肉筒を上がってくる欲望の塊にあわせて、雷と響の唇が優しく根元から先端へとしごきあげ、 同時に叢雲の舌が射精口から栓を外すようにぬぽっと抜かれ……絶妙のコンビネーションの前に、ついに砲門が決壊した。 ―――びゅるぅっっっ! びっ、ぶぴっっっ!! 「きゃ、や、ちょっ……!? い、イクならイクって、っぷあっ!?」 「わ、わわっ。すっごい出てる、射精(だ)されてる!」 勢い良く射出された白い砲弾は、叢雲のきりりと結ばれた眉に、透き通った髪の毛に、形のいい頬や額に、次々と着弾。 「司令官、こっちにも……!」 びゅるるるうぅっ、びゅるっっ! どぷぷぅっ、べちょおぉっっ……! そのまま左右に照準を動かし、響のクールな、しかし上気した顔といわず軍帽といわず第二斉射を浴びせかける。 べちょん、とその白い頬を無遠慮に汚れた肉棒が叩いても、どこかうっとりした表情でそれを受け入れているのが艶めかしい。 「すごいすごい、元気いっぱいだね司令官っ……うわ、服どっろどろだよぉ」 胸元のトレードマーク、錨のエンブレムめがけびゅるびゅると放たれるザーメンを、雷がびっくりした顔で見つめてくる。 駆逐艦たちのキラキラした視線に見られながら射精する瞬間は、 大切なもの、純粋なものを汚すという背徳感もあいまって、何度経験しても実際たまらない。 自然と量も濃さもとんでもないことになってしまう。そしてやはり、思いっきり服ごと汚すのが俺のポリシーだ。 「Супер(スパー:凄い)……! 今日は……いちだんと濃い、ね」 なおも衰えない勢いの噴射は、駆逐艦たちのセーラー服に白濁した染みと精液だまりをいくつも作っていく。 左右にぶれながら響と雷を何度も汚したため、当然真ん中にいる叢雲には、ひとりだけ倍近い精液が放たれたことになる。 「な、何考えてるのよぉっ……め、眼が、開けられないじゃないっ……えううっ」 こってりと、何重にも精液でマーキングされた叢雲の顔を、どこか羨ましそうに眺める雷と響。 「毎日みんなに出してるのに、絶倫だなあ、司令官は」 「お疲れ様っ! あっ、お掃除してあげるわね! ……ん~、ちゅうぅっ!」 ぷるぷるした精液をあちこちに付着させた顔のまま、ちゅるちゅると管に残ったぶんまで吸い出す雷は本当にいい子だ。 響が、そして片眼を閉じたままの叢雲がそれに続き、ほかほかと湯気をたてる半勃ちの肉砲塔に濡れた舌がむらがる。 後始末が終わったら、まずは風呂に入って皆をきれいにしないとな。 続きはその後でたっぷりと……いや、湯船の中でイチャつくのも捨てがたい―――。 まったく、駆逐艦は最高だぜ! =========
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325 名前:幼妻大鯨ちゃん[sage] 投稿日:2015/03/03(火) 21 41 49 ID UK87oIHg 桃の節句なので非エロですが投下します 326 名前:ほ・ろ・よ・い 幼妻大鯨ちゃん[sage] 投稿日:2015/03/03(火) 21 42 48 ID UK87oIHg 今日は3月3日。女の子を祝う楽しい雛祭りの日である。 鎮守府には艦娘と呼ばれるたくさんの女の子がいるため、男の俺にも無関係というわけではない。 だが元々は古代中国の上巳節と呼ばれるもので、それは男女の関係なく行われるものであった。 唐の時代に日本に伝わり上巳の節句となり、様々な過程を経て女の子を祝う雛祭りとなったのだ。 季節の行事には目敏い俺だったが、雛祭りが元々女の子だけのものではなかったと知ったのは最近の事だった。 準備なんてできるはずもなく、今年は雛祭りとして艦娘を祝う為の祭りに終わることになるが 来年はきちんと準備しておいて女の子だけでなくみんなの健康を祝う行事を行いたい。 鎮守府での雛祭りを楽しみに足早に出張から帰ってきた俺は意外な出迎えに驚いた。 「おっ帰りなさぁ~い」 「ッ!?」 その場にいたみんなも驚いていた。大鯨が高いテンションで俺に抱き着き、キスしたからだ。 しかもそのキスはなんだか酒臭い気がした。 「まあ、大鯨ちゃんったらダ・イ・タ・ン、大胆ね」 「んんっ…………っはあっ、のんきに大鯨の声真似してる場合か!?一体どうしたというのだ!?」 やっとのことで口を離した俺は思わず如月に怒鳴り散らすような口調で言ってしまった。 「あ、あの……」 「なんだ?」 電が恐る恐る話しかけてきた。俺はとりあえず落ち着いて聞いた。 「実は…私が大鯨さんに雛祭り用に用意した甘酒がたくさんあまったからそれを飲ませて… そうしたらあんな調子になっちゃって……」 「甘酒で酔うなんて……お酒とっても弱いのかしら!」 「そんなはずないよ。大鯨はあまりお酒には強くないけど、提督と同じくらいには飲めたはず……まさか!?」 「どうやらそのまさかみたいだな」 隼鷹が何かに気付いた時、俺は転がっていた酒瓶を確認した。 「こりゃ甘酒じゃない。白酒だ」 「やっぱりね…」 「司令官、白酒ってな・あ・に・」 いつもの調子…だが必死にいつもの調子でいようとしているような感じだった。 「白酒は甘いから甘酒と混同しやすいけど、アルコールがほぼない甘酒は酒税法上はお酒じゃないけど、 白酒はアルコール度数が9もあってリキュール、つまりれっきとしたお酒なんだよ」 さすがは隼鷹だ。酒が絡んだ時の速さときたら天下一品だろう。 「じゃあ私達子供が雛祭りに白酒と思って飲んでいたのは…」 「酔わなかったのなら甘酒と勘違いしていたのさ」 「つまり白酒は甘酒の一種ではなかったのですか…」 「そういうことだ……電、このことはよく覚えておいて、これからは気をつけるんだ」 「わかりました……」 電がすまなさそうな顔をしながら答えた。 「で、これからどうするのかしら……?」 「そうだな……」 如月が目をやった先にはすっかり出来上がっていた大鯨の姿があった。 「さっきまではこんなんじゃなかったけど提督が帰ってきた途端こうなのよ…」 「このままじゃ雛祭りに参加させられないな…」 「司令官さんは大鯨さんと一緒に休んでいてください。後は私達が……」 「…わかったよ鳥海。君達に任せる」 「そうよ司令官、私達に頼ってもいいんだからね!」 俺は鳥海や雷達に全てを任せ、大鯨と共に司令室に戻った。 「提督ぅ…雛祭りに行かないんですかぁ…」 「大鯨、今の君じゃ何をしてしまうかわからない」 「隼鷹さんだって酔っ払いながら任務に勤めている時があるじゃないですかぁ」 「彼女は酔っ払っていてもそれなりにしっかりしているから大丈夫だけど、 君はここまで酔ったことなんてないからどうなるのかわからないし」 彼女は酒に少しは付き合える程度には強く、いつもこうなる前には飲むのをやめる。 だから彼女は酒を飲んでいても悪酔いすることはなかった。 彼女がこれほどまでに酔っていたのは、甘酒という思い込みのもとでかなりの白酒を飲んでしまったからであろう。 「とにかく俺達の今日の仕事は終わりだ。ゆっくりと休もう」 「そうですかぁ……だったら!」 「おいっ!?」 彼女がいきなり押し倒してきた。 「何を…」 「いいじゃないですか、夫婦なんですし……それに……私……寂しかったんですよ……長い間あなたと会えなくて」 長い間といっても一週間のことである。しかし俺達は結婚してからそれほどの期間離れ離れになったことはなかった。 俺が大鯨を雛祭りの料理の準備の為に鎮守府に残したのが原因だろう。 ……ふと見せた悲しげな顔は艦娘大鯨ではなく一人の女としての顔だった…… 「だからしましょ。久しぶりに、たーっぷりと…ね」 「い、いや…」 俺が彼女を拒む理由なんて全くない。だけど彼女は酔っている。 酔っている人に対してそういった行為に及ぶ事は悪い事だからだ。 彼女なら及んでしまってもわかってくれそうだと思う一方、 どこか頭の中でやっちゃいけないと叫ぶ自分がいた。 「私はいつでも準…でき…………」 そういって彼女は俺に倒れ込んだ。そして聞こえてきたのは安らかな寝息だった。 ふう…一時はどうしようかと思ったがとりあえず一安心か。 俺はこのままだと二人とも風邪をひいてしまうだろうと思い布団を敷き、 彼女を布団に寝かせて俺も一緒の布団に入った。 彼女の顔はとても安心しきった表情だった。さっきまでの寂しげな表情はもうなかった。 俺はそんな彼女の寝顔をいつまでも、彼女の手を握りながら見つめていた。 「き、昨日はその、ご、ごめんなさいっ!」 彼女は起きて早々昨日の事について謝った。 「せっかくお寿司やはまぐりの潮汁を作っておいたのに…… それにあんなはしたない真似をしちゃって……」 はしたない真似なら今までにもなくはなかったが…… もしかしたら酒に呑まれてしまっての事を恥じたのかもしれない。 「いや、過ぎたことはいいんだ。これから気をつけたらいいから」 「ごめんなさい……」 「……この話はここまでだ。さて、今日は何をするか……」 「今日は……あなた確か出張帰りだから休みでしたね」 「君も雛祭りの準備をさせていたから今日は休みだな………… そうだ、せっかくだから料理を教えてくれないかな」 「料理、ですか?」 「俺だってちょっとは料理を作れるようにならないとな。 ラーメンスープとかうどんつゆとか、煮卵風のゆで卵とか…… お世辞には料理とはいえないものばかりだからな、俺ができるのは」 「はいっ!わかりました!一生懸命教えてあげますね」 昨日の失態を挽回しようとするかのように張り切る彼女の姿を見て頼もしさを感じた俺だった。 「そうだ、ついでに一ついいか?」 「なんですか?」 「その……君が酔っ払っている時に…そういったこと、してみても……いいかな……」 「…………はい…………別に構いませんよ……昨日だって、しても文句は言いませんでしたよ……」 彼女は恥ずかしそうに許可してくれた。 そんなことに許可を求める俺もちょっとアレだろうが、 親しき仲にも礼儀あり…ってこの場合に当てはまるかわからないが、 言っておかないと不安になる性格な俺なのであった。 ―続く― これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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前回の話 「北上さん! 明けまして、おめでとうございます! こ、今年もっ……あ、提督? 提督も、今年もどうぞ、よろしくお願い致します」 「よろしく」 「はい」 年が変わっても、大井は少しも変わらなかった。 何を錯覚したか私の体にまとわりつくようにぺたぺた触る。 正気に戻ったらそれもなくなって軍人らしく直立し頭を下げる。 対して自分は極めて簡潔に返したが、 これは脳内で再生されている映像を鑑賞しているところを悟られないようにした結果なのだ。 IFの世界とは人なら誰しもが考えるだろう。 『提督! 明けまして、おめでとうございます! こ、今年もっよろしくお願いします!』 その世界では、大井は私が姿を現すなり突然、顔を病的なまでに綻ばして飛び込んで来るのだ。 そして、体中を隈なく揉んだり触ったりして、早速姫始めしましょぉぉ等と……。 「あの、私の顔に何か付いてます?」 いや何も。 元旦。 早いものだ。 怠惰な暮らしに身を投じているなら未だしも年末年始でさえ休みのないこの暮らしなら殊更で、 少し気を抜けば時の流れに置いていかれそうだと自分は年甲斐もない事を感慨深く思っていた。 人間は意味のない思考に耽る事の出来る唯一の動物だが、それを許さないかのように北風が吹き飛ばした。 自分は直ちに身を縮こませ、上着の中に冷たい空気が入り込むのを阻止しようとする。 「寒そうですね」 背を丸める自分と違って、 大井が定規でも差し入れたようにしゃんと背筋を伸ばし、着せた上着のポケットに手を突っ込む事もしていないのは、 寒さにとんでもなく高い耐性を持つ艦娘であるからだ。 それは重々承知で、上着を着せたのは周囲から浮く事がないようにとか、艦娘である事をカモフラージュする為である。 他人事の調子で此方に流し目を向ける大井の身体が少しだけ羨ましいと思う。 「私は、むしろ寒さを感じてみたいと思いますが」 無い物強請り、だとか、隣のしばふは青い、と言うな。 自身には無い物が隣の人間にあると好奇心をくすぐられるだろう。 然し不便なことの方が多いぞ。 この場合だと、手が言う事を聞かなくなってまともに筆を操れなくなったりするのだ。 だから庁舎に帰っても執務に差し支えないように、こうしてポケットに手を潜ませているのだよ。 「それなら……」 大井は無造作にぶら下げるその手を、私の上着のポケットに入れた。 定温を保つ大井の手の感触に自分の手は驚き、その隙に掴まれてポケットから出されてしまう。 冷たい空気が自分の手を刺すが、自分より一回り小さい大井の手が前方の風から守るように私の手を握った状態を保つ。 「これはどうですか?」 良いか悪いかと問われれば、断然良い。 上着は北風から守ってくれるだけだが、この場合は熱源が熱を供給してくれるのだ。 単純に暖かいし、それだけでなくもっとこう、文字通りでない別の何かも不思議と暖まる。 それは大井も同じようで、暗い夜道にぽつりと立つ電灯の下で無いと分からない程度に頬に朱が入っている。 「これくらいのことでそんな気持ちになれるなら、やっぱり私も寒さは感じてみたいです」 一見人間を見下した皮肉のようだが、大井はこれを本心から言っている。 その願いが叶うとしたらそれは大井が艦娘をやめた時だろうな。 先の御参りではそれをお祈りしてきたのか? 「そんなわけないでしょう。提督は何をお祈りしたんです?」 私か。 提督として無難に安全祈願を願っておいた。 他にもあると言えばあるが、人間が沢山いる以上神様は一人一つまでしか聞いてはくれないだろうしな。 「それは提督の手腕にかかっているのであって、神頼みは意味のないことだと思います」 それもそうだ。手厳しい。 で、大井は何を願ったのだ? 「秘密です」 神のみぞ知るのか。 この言い分だと大井の願い事は私と異なる物なのだろう。 帰ったら神棚にだけでも安全祈願は願っておけよ。 気休めにしかならないだろうが、やって損はない。 「提督は気を休めてばっかりではないですか」 馬鹿を言うな。 やる時は気を引き締めているじゃないか。 先の十一月に行った庁舎の拡張工事だって更なる戦力を……。 「いででででっ!?」 「……他の子がどうしたって?」 大井は突然握っていた私の手を締め上げた。 それは艦娘が持つ潜在能力をあらん限りに出力して、私がそれ以上口を利く事を許さない程の力だ。 防衛本能によって大井の手から離れようと身を捩らせるが、大井は出力を維持したまま容易に付いて来る。 「止めろッ!!」 「はい」 案外素直に従ってくれた。 乾燥した空気に冷やされた手へのダメージは思いの外大きい。 力を抜いてくれた隙に離したその手を擦って 慰める。 艤装がないのになんて力だ。 此奴の思考回路では庁舎を拡張工事する事が不倫にでも直結しているのだろうか。 だとしたらそれは些か短絡的過ぎると思うのだがどうだろう。 全く信用がないな。 私が誰かに色目を使った事でもあったか? ほぼ常に傍にいるお前が、そんなところを見た事があったか? 「あっもう着いちゃいましたね。ちょっと岸壁のところへ行きましょう?」 人の話を聞け。 それと、お前は平気かもしれんが、こっちは寒いんだ。 庁舎に戻らせろ。 「いいですね?」 大井はまたもや私の手を握って痛みを感じない程度に力を込めたので、自分は不戦敗として白旗を上げるしかない。 分かった分かった。だからさっきのはもうやめろ。 温かい缶を握り締め、岸壁のベンチで黄昏る。 先は嫌がったが、寒空の下で月を肴に甘酒を啜ると悪くないと思えるのは何故だろう。 「それ、美味しいですか」 美味いし懐炉にもなる。飲んでみろ。 大井に飲みかけの甘酒を渡す。 甘酒は健康にも非常に良いから、人間にはありがたい物だ。 少し風が吹くだけでこうも金をかけねばならんのだから、人間ってのは面倒臭い。 それでも参拝は鉛の弾でもない限り何が降っても行く気だったからそれを後悔はしない。 寒いと言う理由だけで外に出ない程堕ちてたまるかと言う意地もあるし、偶には肩に背負った責務の事も忘れて 「おい! 誰が全部飲んで良いと言っ、た……?」 小さな缶を一気にぐいっと呷った大井に突っ込みを入れようとしたが、自分はその任務を達成できなかった。 横に座る私に突然まとわりついてきたからだ。 上半身を捻り私へしがみつくように腕を回す。 自然と大井の頭頂を見下ろす形になる。 「懐炉……です」 深夜。 人気もなく潮風がそのまま吹き付ける岸壁。 結局のところ大井がこんな場所で黄昏る訳は考えても分からないが、 寒さの中こうして熱を感じると有難みが増すようだ。 とか何とか気取っているがそれは嘘ぴょんで、 自分は人目がないのを良い事に此奴へ抱いた邪な感情を抑えているだけだ。 自分は理性が渦潮に飲み込まれないよう堪えている事をおくびにも出さず、乾燥した唇を開く。 「甘酒の方がいい」 「またさっきの力で抱き締めてあげましょうか」 だからそれはやめろ。 兎角こうされるのは自分も満更ではないが、まずは庁舎に戻らせてくれ。 自分はこの体勢のまま動かない大井を、引きずるようにして庁舎に戻った。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/