約 14,405 件
https://w.atwiki.jp/nkysclub/pages/53.html
木系統 初期素材:垂直尾翼(製造・卓上電動糸鋸) 等級 作りたい物 副系統 レシピの例 説明 22 射日の赤弩弓? 草,ナイロン 垂直尾翼+赤兜ローブ+荊棘仮面の服 不明 23 黒竜の下駄 毛皮 垂直尾翼+魔の皮帽子 SPD+17,MATK+5 24 紅木のスタッフ? 赤鉄 垂直尾翼+獣骨赤鉄剣+本Ⅰ MATK+28,ATK+20 25 金絹の靴 金 黒竜の下駄+金のメイス DEF+15,SPD+10
https://w.atwiki.jp/gspink/pages/45.html
御剣×真宵① 「御剣検事……」 真宵君が潤んだ目つきで私を呼ぶ。私が近づくと、彼女はそっと目を閉じた。 私は彼女に羽毛のように軽いキスをする。 そのまましばらくその柔らかい唇を味わったが、段々と触れるだけのくちづけがもどかしくなった。 私は感情の昂ぶりを抑えきれずに、彼女の閉じられた上唇を優しく食む。 未知の体験に恐れたのだろうか、僅かに彼女は震えた。私はそれを無視して──しかし最新の注意をもって窺うように──舌で唇の隙間をつついた。 恥らうように真宵君の口唇が開く。 ゆっくりと、だが堪えきれない激情を込めて、私は彼女の舌を絡め取る。 甘やかな真宵君の吐息と、それよりももっと甘い唾液を私は飲み干したいと思った。 私も彼女もすでに衣服は着ていない。 それを少々不思議に思いもしたが、それを深く考える余裕はすでに私には無い。 掌に収まってしまいそうな柔弱なふくらみの感触を楽しんだ。 真宵君はどこもかしこもひどく柔らかく甘い。 私の手は胸を下り、薄い繁みに触れた。そうして彼女の潤んだ秘唇に指を…………………… 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 飛び起きた私は、荒い息で肩を上下させている。 私は……なんという夢を……。 そう慙愧の念に悶える私の目に、屹立した布が映った。 ……………………思考が停止する。そして一瞬の後、思い直す。 いや、これは男ならば抑制のしようのない朝の現象だ。そうだ、生理現象なのだ。 うん、生理現象には人間逆らえぬからな。 そうだ、トイレだ。トイレに行こう。そうすればこの理性に反する生理的現象など雲散霧消するというものだ。 ザー ゴポゴポゴポ────。 うム、すっきりした。これが本来の私だな。 人間睡眠中には己が思いもしない夢を見るもの。それに少々動じてしまった事は私もまだまだ若輩者ということか。 さて本日の予定を確認しておこう。 今日は土曜日だ。 昨日はコーヒーの懸賞でアメリカ旅行を当てたとかいう成歩堂を見送りに行った。 今にして思えば、メイも成歩堂を憎からず思っているようではあったから……、まぁヤツに運があれば鞭のフルコースを前菜くらいで済ませてもらえるだろう。 私は彼女の弟弟子のようなものだが、幼いメイを妹のようにも思っていたのだ。だから彼女が幸せならばそれでいい。 もし成歩堂とメイがうまくいったとしたら、…………多少複雑な気持ちはするだろうが。 それにしても昨日の真宵君は、見ているこちらも辛かった。 成歩堂の乗るジェット機が飛び立つまで、いや、糸鋸刑事と春美君がいなくなるまで見事に笑顔で通したのだ。 私が声をかけなければ、家に帰るまで……おそらくはひとりきりになるまで、彼女はああして笑っていただろう。 肩を震わせ、しがみついてくる彼女を思い出せば、心の奥から『愛しい』という気持ちが湧き出てくる。 !? 『愛しい』だと!? いや、愛しいとは小さきものを慈しむ、そういう愛しさであって、決して邪な思いを持った訳ではない。 そうだ、年若な彼女が精一杯堪えながら、それでも抑えきれずに幼子のように泣く彼女の背中を撫で、少しでも彼女の悲しみを流してやりたいと思っただけなのだ。 震える肩、涙に潤んだ瞳、しがみついてくるまだ薄い身体を、宥める為に抱きしめた。 小刻みに揺れる髪の香り、悲しくも甘い彼女の吐息。そうして流される涙のなんと美しかったことか。 …………いかんな、どうも今朝は妙な方向へ思考が向かってしまう。あんな夢をみたせいだろうか。 そんな思いを振り切ろうと、頭を振る。 ? その時私は妙な感覚を覚えて、視線を下へずらした。 !! そこには先程と同様に着衣の脹らみが──あった。 く…私としたことが、何という醜態だ。 まぁいい、まだ朝の5時だ。この様な物は時間が経てば治まる。 そうだ、脱線してしまったが、今日の予定を確認していたのだった。 気を取り直して私は、スケジュール帳を見た。 うム、午前中は予定を入れていないな。休みくらいはクラシックでも聴きながら、ゆっくりとした時間を過ごしたいものだ。 「ようし、午後は……と」 午後のスケジュールを確認した私は、血の気が一気に引いていくのを感じた。 ……13時真宵君達とトノサマンの映画を見る、だと!? そういえば、真宵君を何とか少しでも元気づけたいと思って、春美君と糸鋸刑事も一緒に誘ったのだった。 私とした事がすっかり失念していた。 いくら何でも『コレ』は、午後には治まるだろう。 しかし──どうも今日の私はオカシイ。己にも自覚できる程に──。 もしも真宵君がいる時に、こんな事になってしまったら……。 ────悪夢だ。 それを回避するには、どう対処すべきか、私は沈思黙考する。 暫しの後、私は『ソレ』しかない事に思い至り溜息を吐いた。 「仕方が…ない」 私はベッドルームへ戻り、一冊の雑誌をサイドテーブルの下から取り出す。 「この私が何故こんな……」 言葉に出すと妙に滑稽で、それでいて虚しい。 私はパジャマのズボンを脱いだ──下着まで。 ソレは私の意に反して、異常に元気な様を見せつけている。 そのまま雑誌を開き、横になりそれに軽く触れた。 己の茎を握り、その手をゆっくりと上下に動かす。 雑誌には、媚びた笑みを顔に貼りつかせた裸の女性が、煽情的なポーズをして写っている。 それを眺めながら私は、暗澹たる思いで自分の手に更なる上下運動を命じた。 数ページ進み、それなりに自分の中に欲望の高まりを感じてはいるのだが、いまひとつ盛り上がりに欠けているような気がする。 忙しさのあまり自分でそういった欲望を処理する必要もない故に、めったにしない事をしているという緊張感があるのだろうか。 「おかしいな、先程真宵君の事を思った時は……!!」 『真宵君』と呟いたとき、脳髄まで痺れる様な電流が走った。 これは、かなり、まずい状態と言わざるを得ない。私は彼女の名前に反応している…のか? そんな訳は無い、頭を振って、私はその雑誌を読み進める。 雑誌の中の女性達は美しい裸身を存分に私に提供してくれている。 ──にもかかわらず、私自身はそれに応える欲求を覚えず、精神的局所的苦痛だけが増えてきた。 真宵君の事を考えれば、この虚しい行為も早く終るかもしれない。 すでに目的と手段が判らなくなってしまった私は、一縷の望みを托して雑誌から手を離し、そそり勃った自分自身を両手に預けた。 目を瞑り、空港での彼女を思い出す。 ──震える肩を抱きしめた。すぐにそれは嗚咽に変わり、私の胸へとダイレクトに伝わってきた。 それを思い出しただけで、これまでの疲労と苦痛が痺れるような感覚へと変わった。 ゆっくりと上下する片手と、もう一方は先端を探る。 今度はまだ生々しく感触を覚えている、今朝己の見た夢を頭の中で再現する。 ──彼女の唇の柔らかさ。そのちいさくふくらむ双丘。 頂上から粘り気が込みあがる。それを掬い取り、根元へ向かって塗りこめる。 ──細く柔らかい繁み、そして触れかけた潤んだはずの……。 我知らず速くなる手の動きに、私は激しい快感と昂ぶりを覚え、ティッシュを求めた。 「くっ…ま…よい…くん……」 思わず呟いて私は、その愚かしい欲望を吐き出した。 なぜだ! 私は何故あのような事をしてしまったのだ。 つい数分前の己の所業が恨めしい。 今日、午後には真宵君と会わなければならないというのに、あのような事をしてしまって、彼女にあわせる顔があるだろうか。 彼女の目をまともに見る事はできないだろう……罪悪感故に。 私は頭をかかえた。 こんな状態で真宵君に会えるはずがない。 ────しかし、約束を反故にする訳にもいかない。 何しろ弱々しく泣く彼女がまがりなりにも笑顔を見せたのは、トノサマンの映画で気持ちを少しでも浮上させたからなのだ。 それを私の個人的感情で消すことはしてはならない。 そうだ、こんな最悪の気分は熱いシャワーで流してしまおう。そして熱く苦いコーヒーで、私の理性的思考を叩き起こすのだ。 幸いまだ時間はある、ゆっくりと気持ちを切り替えて、第一に真宵君の事を考えるのだ。 そう、あの少女にこれ以上悲しい思いをさせてはならないのだ。 そう念仏のように何度も繰り返し、何とか気持ちを切り替え(ようと)、御剣は風呂場へと消えた。 しかし彼は、シャワーを浴びている最中に思わず真宵の事を考えてしまい、再びひとりで切ない声をあげるハメになってしまったのだった。 待ち合わせの喫茶店に時間より15分ほど早く着いてしまった私は、気だるい身体を背もたれに預ける。 今朝の悪夢は──いや、現実にあった事ではあるのだが──精神のみならず、私の身体をも蝕んでいた。 全身を疲労感が襲う。結局起きてから出かけるまでに……3回も…私は…………。 とてもではないが、真宵君に会わせる顔が無い。 ──しかし、会わない訳にはもっといかない。 強烈なジレンマを感じ、深い溜息を吐いたとき、賑やかな声が聞こえた。 「ここッスよ。待ち合わせの店は」 「わー、すてきー」 「ま、真宵さま、わたくし喫茶店なるものに入るのはじめてですー」 「ああ、御剣検事はもうお待ちになってるッスね」 ── 来た! ── 落ちつけ、落ちつくのだ、御剣怜侍。 所詮今朝の出来事を知るのは、私ひとり。真宵君達にはもちろん知る由もないのだから、己さえしっかりと持っていれば、何の事はない。 糸鋸刑事が私の隣、向かい側に真宵君と春美君が座った。 私はできるだけ自然に話しかける。 「糸鋸刑事が遅刻もせずに時間通りに来るとは珍しいことだな」 そう笑って話し掛けたつもりだったのだが、糸鋸は神妙な顔つきで私を見た。 「……御剣検事、どうかしたッスか? 何か顔色がお悪いッス。目の下にうっすらとクマも……」 「あれー、ほんとだ! みつるぎ検事どうしたんですか?」 そう、私の顔色が今現在よくないのは、自分自身が一番よく解っている。 だからちゃんとその質疑応答についても対策はたててきていた。 「うム……いや、昨夜は過去の事件の調書などを読んでいて、遅くなってしまってね」 本当は忌々しい事に朝から体力を使ってしまったからなのだが……。 「さぁ、早くシアターへ行こう。チケットは手配してある」 私が立ち上がると、真宵君と春美君は嬉しそうに笑った。……なぜか糸鋸までが一緒になってはしゃいでいるが、放っておこう。 とにかく真宵君との約束さえ果たしてしまえば、後は家に帰るだけだ。 私はそれだけを考えつつ、できるだけ真宵君の方を見ないようにしていた。 ──悪夢だ……。 一体何故この様な状況に陥ってしまったのだろう。 何事もなく映画を観終え、そうして何事もなく私は帰宅するはずだった。 それなのに────!! 午前0時現在、私の家のリビングのTVにはトノサマンのTVシリーズ第10話が映し出されており、春美君はその前でうつらうつらしている。 真宵君も春美君の隣で眠たそうに目をこする。 糸鋸はソファで横になり、テーブルの上に酒を広げたまま大きないびきをかいている。 ……何をどうして今、この様な事態になってしまったのか……。 映画を観終わって、シアターから出ると、真宵君が頭をさげた。 「みつるぎ検事ありがとう。トノサマンの映画、すっごく楽しかったです」 やや興奮した面持ちで春美君も言う。 「ええ、本当に楽しい時間を過ごさせていただきました。わたくし、トノサマンがこんなに面白いものだとは思っておりませんでした」 「ねー、言ったでしょうハミちゃん。……あーまたトノサマンのTVシリーズ見たくなっちゃった!」 昨日とはうって変わって、真宵君はご機嫌のようだ。何とか私の苦労も報われたというところだろうか。 「真宵様、わたくしもぜひテレビシリーズが見たいです」 「うーん、そうだね、今度レンタルでみよっか。…………でもう~~~ん、今映画見たばっかりだからかなぁ、すぐ見たいな~~~」 「じゃあじゃあ、今日れんたるして帰りませんか?」 子供同士の無邪気なやりとりが微笑ましい。そんな光景を見ると余計に今朝の我が身の罪深さが身に染みる。 しかし、こんな子供らしい姿を見れば、今後二度とあの様な事にはならないだろう。 ふと見ると、真宵君は少々複雑そうに、誰に言うともなく笑った。 「大きなスクリーンでトノサマン見たら、オートロの家にあったテレビとか思い出しちゃった。……あの時はあんな画面で見れたら死んでもいい、なんて思っちゃったんだよね~」 二ヶ月程前、彼女は誘拐された。その時の事を思い出しているらしい。 それ以前にも彼女は二度も殺人犯として留置され、その度に肉親との別れを余儀なくされた。思えば辛い体験をしてきた少女だ。 しかも一度は私が担当した事件だった──。 そんな彼女の境遇を思い、つい口にしてしまったのだ。 「家にはTVシリーズが全てある。王都楼ほどのAVシステムではないが、そこそこ楽しめると思う…よければ明……」 そこまで言って、真宵君と春美君はキラキラとした瞳に言葉が途切れた。そしてやはり何故か糸鋸までが……。 「「「トノサマン見たい トノサマン見たい トノサマン見たぁい」」」 やめろ、糸鋸。真宵君と春美君はともかく、貴様が瞳を光らせ、両拳を口元に持っていく姿には異議あり! だ。 そうして今の状況がある。 明日来るといい、という言葉を私が言う前に、三人の中では本日訪問、が決定していた。 この私が結局、『待った!』も『異議あり!』も言う隙さえなかった。 視線をTVの前に戻すと、ついに沈没してしまった真宵君が目に入る。 仕方がない、春美君と真宵君には寝室を使ってもらおう。 真宵君を起こさないよう、春美君を抱え上げる。 そのまま寝室へ運び、ゆっくりとベッドへ下した。 布団をかけるとき、ふと目に入ったゴミ箱に、今朝の己を思い出し赤面する。 本当に、何故こんな事に……。 そのままにしておくのも躊躇われ、とりあえずゴミ箱を持って寝室を出た。 ゴミ箱をキッチンに置き、リビングへ戻る。 ──糸鋸はあのまま転がしておけばいいだろう。 真宵君の邪気の無い寝顔を見ると、再び己の所業に胸が痛んだ。 そっと抱き上げ、寝室へ向かう。 ベッドへ下したとき、真宵君が呟いた。 「なるほどくぅん……」 成歩堂、この少女は眠る時でさえ、お前を想っているのだ。それをお前は知らない。 勿論ヤツに責任があるわけではない。それは解っているが、思わず知らず成歩堂への怒りが込み上げる。 だが、寝室の扉を閉めながら、怒りとはまた別種の感情が私の中に生まれつつあることに気づく。 それを自覚したくない私は、糸鋸がテーブルに広げた酒のひとつを苦い思いと一緒に飲み下した。 小一時間もした頃、寝室の扉が小さな音と共に開いた。 視線をやると、真宵君が立っている。 「ごめんなさい、あたし、眠っちゃったんですね」 我ながら呆れるほど早いペースで飲み続けたアルコールで、私の妙な気持ちはどうにか封じ込められているようだ。 「構わない。ゆっくり眠るといい」 できるだけ優しく笑うと、真宵君も笑った。 「あのー…みつるぎ検事……」 「?」 「のど渇いちゃったんですけど、何かもらっていいですか?」 「ああ、冷蔵庫にミネラルウォーターがあるはずだ。持って来よう」 「すみません」 私は立ち上がり、キッチンへ向かう。冷蔵庫のドアを開け、ボトルを取り出した。 「あー、お水、こっちにあるみたい。これもらっていいですかー?」 そう真宵君の声が聞こえた。──そうだったろうか……覚えがないが……。 「それはかまわないが、今冷えたのを持って……」 そこまで言って、私は思い出した。 「真宵君、それは水では……」 テーブルには確かに水のボトルがあった。しかしそれには量り売りで買った泡盛が入っていたはずだ。 水のボトルを手に私がリビングへ戻ると、真宵君は激しく咳き込んでいた。 まさか酒だとは思わず、一気に飲み込んでしまったらしい。 咳き込む背中を何度か叩き、冷蔵庫から出してきた水を渡す。 真宵君は急いでそれを飲み干した。 だが度数の高い酒を少なくない量飲んでしまったらしく、顔はすでに真っ赤になっている。 「これー…お水じゃなかったみたい~」 「ああすまない。これは泡盛だ。こんなボトルに入れておくべきではなかったな──真宵君大丈夫か?」 「うー、何かからいっていうか…あついっていうか……」 真宵君の目がとろんとしてきた。 「…………みつるぎ検事……」 「どうした、気持ち悪くなったのか?」 私は焦って聞いた。 「あたし、オンナとして魅力ない?」 「い、いきなり何を……」 「だって…なるほどくん……アメリカ行っちゃったもん…………あたしを置いて……行っちゃった…」 真宵君の心の傷は、未だ生々しく開いているのだろう。 「真宵君、安心しなさい。成歩堂に見る目がなかっただけだ」 したたか酔っていたせいもあって、私は空港で言った言葉をかけるしかできなかった。 だってだって、と繰り返す真宵君を宥めて寝室へ連れて行く。 春美君の眠る側に横たわらせ、私は笑う。 「とにかく、ゆっくり休みなさい」 そう言って立ち上がりかけた私の腕を真宵君が掴んで引っ張る。 「ねぇ、あたし、そんなにオンナの魅力ない?」 何度も繰り返した言葉を口にする。 「いいや、君はとても魅力的な女性だ。それが解らない成歩堂が愚かなのだ」 そう言う私を真宵君の瞳がまっすぐ貫く。 「異議あり! 証拠もなしに、そんな事言わないでよ みつるぎ検事」 上気した頬と、ごく近くにある真宵君の吐息。アルコールで思考の痺れた私には、それ以上の抑制がきかなかった。 真宵君の唇を私の唇で塞いだ。柔らかくけれど弾力のある唇に触れる。 無理やり口唇を開かせ、私は舌を侵入させた。 躊躇う彼女の舌を己の舌で絡めとリ、夢よりもなお甘い、彼女の唾液を吸い尽くそうとキスを続けた。 これ以上続けると、本当に理性が消えてしまう。そう思って唇を離すと、急に寒くなった。 「これが証拠だ。君は男にこんなキスをしたいと思わせるほど、魅力的な女性だ」 やっとそれだけ言って、私はベッドから離れた。 何とか格好をつけて、真宵君から離れた私だったが、私自身はかなり欲望に忠実だったようだ。 今朝の如く痛いほどに屹立した自分を認める。 「…………」 寝室には真宵君と春美君、リビングには糸鋸。 この状態の私が向かうべき場所は、最早トイレかバスルームのみ。 しかしトイレではあまりにも情けない。 結局私にはバスルームへ行くしか道は残されていなかった。 こうして朝同様、バスルームへと消えた御剣怜侍に、果たして幸せは訪れるだろうか。 それはまだ、誰にもわからない。
https://w.atwiki.jp/gspink/pages/258.html
御剣怜侍が午前中に狩魔冥の執務室を訪ねた時、部屋の隅にある有名デパートの紙袋が目に入った。 そっと見ると、その中には派手な包装紙に包まれた小さな包みが、いくつも入っている。 御剣はそしらぬふりで用件だけを述べ、必要な書類を受け取った。 そのままつっ立っていると、早くも別の仕事に取りかかろうとした冥が、御剣を見上げる。 「まだ、なにかあるかしら」 御剣は首を横に振り、そのまま執務室を出た。 …もらえなかった。 あいかわらず忙しい、2月14日の検事局である。 予定の時間に検事局を出てくる御剣の肩が寂しげに見えたのは、糸鋸刑事の気のせいだっただろうか。 その日、夕方まで事件の捜査を指揮した御剣は、糸鋸のオンボロ車で検事局まで戻ることにした。 出発したとたん、冬の短い日が沈んだばかりだというのに、糸鋸の腹が驚くほどでかい音で鳴る。 じろりと横目で見ると、困ったように肩をすくめる。 相変わらず、ろくなものを食べていないのだろう。 計ったように車はのれんを出したばかりの寿司屋の前を通りかかり、御剣はそこで車を止めるように指示した。 「寿司なんて、十年ぶりっス!検事に後光がさして見えるっス!!」 「誰も、ここに入るとは言っていない」 子犬が飼い主を見るような目をした糸鋸が、涎を垂らさんばかりの様子でエンジンを切る。 「わかってるっス!御剣検事は腹を鳴らした自分にそんな意地悪はしないっス」 御剣は一つだけ釘を刺した。 「寿司屋で検事、と呼ぶな。いろいろ面倒だ」 遠慮なしに、糸鋸が十年ぶりの寿司を腹に詰め込む。 常に食生活の貧しい糸鋸に、土産の折を注文してやる頃には、御剣も冥の部屋にあった紙袋のことを忘れかけていた。 店を出て車に乗ると、御剣は運転席でご機嫌にハンドルを握る糸鋸の薄汚れたコートのポケットから、赤いリボンがはみ出しているのを見つけた。 「…なんだ、これは」 リボンを引っ張ると、見覚えのある青い包装紙に包まれた小さな箱がぽろっと落ちた。 「あ、あ、落としちゃダメっス!狩魔検事にもらったチョコレートっス!!」 「…なに?」 御剣の表情が厳しくなるが、前を見て運転している糸鋸は気づかない。 「あれ、忘れてるっスか?今日はバレンタインデイっスよ。狩魔検事はちゃんと日本の風習を勉強してるっスねぇ。 自分、今年はマコくんからももらったから2個っス。もちろん、御剣検事には遠く及ばないっス。 あ、検事あてのチョコレート、ダンボールに入れて総務に置いてあるらしいっスよ?」 寿司など食わせてやるのではなかった、と御剣は後悔した。 世間がにぎわうバレンタインデイなど、この男には無縁だろうと同情したのがバカバカしい。 「糸鋸刑事。来月の給与査定を楽しみに…」 御剣の決めセリフは、対向車のやかましいクラクションにさえぎられて、糸鋸の耳には届かなかった。 「あ、でも今日が何の日か忘れてるってことは、まだ狩魔検事からチョコレートもらってないっスか? 自分にはでっかい紙袋から一個出して渡してくれたっス。きっと、本命チョコは別に隠してあるっスねぇ」 …そうかもしれない。 少なくとも、糸鋸と同じ扱いだとは思えない。 きっと、さっきはタイミングが悪かったのだ。 仕事終わりに渡してくれるつもりだったのかもしれない。 出かけてしまうと伝えておいた方がよかっただろうか…。 検事局に到着すると、糸鋸は押収物や資料の入った箱などを運んでから警察署に戻っていった。 さっき、職員出入口で確認したところによれば、冥はまだ検事局に残っているようだ。 …しかし、そこまでして私は冥からチョコレートが欲しいのか? 御剣は、誰もいない執務室でそうつぶやいてみた。 答えは、考えずともわかっていた。 欲しいのだ。 デスクの脇には、糸鋸が運んできた検事局の女性職員からのチョコレートがダンボールに山と入れてあった。 ふう、と息をついた時、ドアがノックされた。 「御剣検事」 冥の声だ。 御剣は、返事と同時に立ち上がる。 開いたドアの向こうで、ちょっと照れくさそうに冥が一人で立っていた。 両手で、赤い包装紙の箱を胸に抱えている。 期待していたとはいえ、御剣はどぎまぎし、それに気づいていないふりで冥を執務室に入れた。 「捜査に出ていたのですってね、御剣怜侍?」 執務室に御剣以外誰もいないのを確かめるようにして、冥は口調を変える。 「ウ、ウム。糸鋸刑事と一緒だった」 「そう。順調にいって?」 よく見れば、冥はうっすら頬を赤くしている。 「ウム…、そうだな」 御剣は冥の抱えている箱を見ないように、なにげなく運び込んだ資料の箱に視線を落とし、一番上に積んである折詰 に気づいた。 糸鋸に渡すのを、忘れていた。 つられたように床の上のダンボールに目をやった冥が、その脇にあるチョコレートの箱に気づいてさっと顔色を変えたことには、気づかなかった。 「ああ、さっき糸鋸刑事と寿司を食べたのだが、キミも夕食はまだだろう。よかったら」 折詰を差し出そうとして、この上なく不機嫌な顔をした冥と目が合う。 「め、冥?」 いきなり様子が変わったのを見て、御剣はたじろぐ。 「そう、さぞかし見ものね。バレンタインに男二人でお寿司を食べるなんて。デザートもたくさん届いていることだし」 そこで初めて、御剣は自分が失敗したことを知った。 冥は胸に抱えていた箱を、乱暴に御剣に押し付けた。 「みんなに配った義理チョコが余ったから、あなたにあげるわ。たくさんあって、もういらないでしょうけど」 …もらえた。 手放しで喜べないこの状況で、思わず御剣はニヤつきそうになった。 「キミが義理チョコなんていう習慣を守るとは思わなかったな。アメリカにはないだろう」 叩きつけた言葉を、御剣が難なく受け止めたことで、冥は勢いを削がれる。 「し、失礼ね。私だって、国の風習や伝統を頭ごなしに否定するわけではないわ。これくらいで今後の人間関係が潤滑に進むなら安いものよ」 御剣が受け取ったチョコレートの箱は、糸鋸のコートから落ちたものとは比べ物にならないほど大きく、重かった。 「ありがとう。とても、嬉しい」 箱を手に持ったまま、御剣は素直に冥に気持ちを伝え、冥は耳と首まで真っ赤になった。 「あ、余ったからよ。勘違いしないでちょうだい」 真っ赤になった顔で強がりを言っても、効果がない。 「ウム。それでも、嬉しいものだ」 返事に困った冥が、空いた両手の置き場所に困って、御剣がデスクに置いた折詰の箱に印刷された店名を指でなぞった。 「ど、どこにあるお寿司屋さんだったの?」 御剣は簡単に場所を説明した。 「初めて入った店だったが、なかなか良かった。今度、キミも連れて行こう」 あまりにさらっと言ったせいで、言ったほうも言われたほうも照れた。 「…ヒゲが一緒じゃ、イヤよ?」 これ以上赤くなれないほど赤くなった冥が、それでもまだ口を尖らせるようにして言うのがあまりにかわいくて、御剣は冥の代わりにチョコレートの箱を潰れそうなくらい強く抱きしめた。 「ウム。週末にでも、出かけないか?」 今度は、冥がどぎまぎする番だった。 御剣には、冥が義理チョコの、さらに余り物だと強調した上に、誘われて明らかに動揺しているのまでがかわいらしい。 そういえば、冥と二人でプライベートで出かけたことはない。 そもそも、13歳で検事になった冥は、今までまともに男性とデートなどしたことがないのではなかろうか。 「じゃあ、あのね」 わざとそっぽを向いて、冥が言った。 「行ってみたいカフェがあるの。新しく出来たんだけど、ちょっとのぞいたらインテリアが素敵で。あと、見たい映画があるし、美術館に好きな画家の展示が来ていて」 そこで、はっとしたように口をつぐむ。 すらすらと出てきたところを見ると、以前から考えていたのだろうか。 冥が一度伏せた目をそっと上げるまで、御剣は微笑んで冥を見つめていた。 「わかった。そして、最後に寿司だな」 * 土曜の朝、冥のマンションの前に車を止めて5分ほど待っていると、中から白いコートを羽織った冥が走り出してきた。 「待った?コートを赤にするか白にするか決まらなくて」 御剣が運転席から降りて手を上げると、冥が駆け寄ってきて心配そうに御剣を見上げる。 コートの中は、淡いオレンジ色のワンピースだった。足元は、いつもより少しヒールの低いブーツ。 御剣は助手席のドアを開け、冥を上から下まで眺めて言った。 「とても、かわいい」 冥が、嬉しそうに笑う。 きっと、前日からなにを着ようかさんざん悩んだに違いない。 どんな服も冥自身の魅力にはかなわない、という言葉を、さすがに御剣は照れて口に出来なかった。 ゆっくりと美術館を見て歩く途中で、自然に冥は御剣の腕に自分の腕をからめてきた。 御剣は冥に画家の作品を使った絵葉書を買い、インテリアの素敵なカフェでランチを取り、映画館で寄り添うようにして映画を見た。 御剣の隣で、冥は終始嬉しそうだった。 この笑顔の大安売りはいったいなんということだろう。 夕方になると、気温が下がってきた。 御剣は表通りのショップで、カシミヤの柔らかなストールを選んで冥の肩にかけた。 ひとつひとつが楽しく、時間があっという間に過ぎた。 最後に、小さな寿司屋の前に車を止めるまでは。 引き戸が開きっぱなしになっており、割烹着姿の女性があわただしく出てくる。 「あ、あの」 女性は御剣と冥を見て足を止め、声を掛けた。 ただ事ではないな、と一瞬御剣は検事の顔になる。 「すみません、ご予約してくださったお客様でしょうか」 御剣が名前を告げると、女性は申し訳なさそうに頭を下げた。 「今、ご予約いただいたお客様にご連絡をしていたところなんですが、店主が今日、交通事故にあいまして」 ひどい怪我ではないが、今日は寿司を握ることができないと言う。 当人たちには不幸な出来事に違いはないが、事件性がないということに御剣はほっとした。 しかたないな、と物分りの良いところを見せて車に引き返そうと冥を見た。 何度も頭を下げる女性から見えない角度で、冥はぷんぷんにむくれていた…。 「不測の事態ではないか」 「そうだけど」 車のドアを開けて、御剣が小さくため息をつく。 「だって、今日はあなたがここへ連れてきてくれるって言うからっ」 見ると、冥はうっすら目に涙までためている。 「たいした怪我ではないというし、店を再開したらまた次に来ればよいではないか」 また次、の言葉に冥は黙ってうつむいた。 「それ、いつよ…」 なるほど。 冥は別に、寿司が食べたかったわけではないのだな。 楽しくて嬉しくてたまらなかった一日が、こんな風に終わってしまうのが悲しかったのだ。 御剣は携帯を取り出し、電話をかけた。 電話を終えると、しょんぼりと膝に置いたバッグをいじっている冥に言う。 「イタリアンの店だが、席が取れた。行こう」 冥は驚いたように顔を上げた。 「怒ってないの?」 「なにをだ?」 車を発進させながら、御剣はつい笑った。 こういうところは、冥もまだまだ齢相応の女の子だ。 「…だって」 「キミがすねたり泣いたりするたびに、怒っていてはこっちの身がもたない」 「なによ、子ども扱いしてっ」 冥がストールに顔をうずめ、御剣は黙って微笑んだ。 車で来ているから、とワインを断った御剣の目の前で、冥はソムリエからメニューを受け取った。 オードブルが来る前から、どんどんグラスを空にする。 「大丈夫か?そんなに強いほうではないだろう」 「フランスじゃ、ワインなんか子供でも飲むわ」 日本の風習を大事にするのではなかったのか、と言うのを諦めて、御剣はただ冥を見つめた。 目元をほんのり赤くして、運ばれてきた皿を見ては盛り付けがきれいだと喜び、焼きたてのパンを細い指でちぎって口に運び、おいしいと笑う。 フルーツ盛り合わせが来ると、御剣の皿に乗っているイチゴまで欲しがったり、最後のコーヒーが濃いと顔をしかめたりする。 食事が終わり、そろそろという空気になると、冥はちょっと失礼と断って席を立った。 化粧室に向かって歩き出す前に、くらりと体を傾ける。 ウェイターが駆け寄るより先に、席を蹴って御剣が立ち上がって冥を抱きとめた。 「…言わんこっちゃない」 酔いの回った冥が、御剣に体を預けて、目を閉じていた。 抱き上げた体は、思ったより軽く華奢で、暖かかった。 * ソファで寝たせいで、体が痛い。 御剣は近くのパン屋で買ってきたベーグルサンドをテーブルにおいて、寝室のドアを見た。 冥はまだ眠っているようだ。 夕べ、イタリアンレストランで酔いつぶれてしまった冥は、呼んでも揺すっても目を覚まさず、やむを得ず自分の部屋に連れ帰り、ベッドへ寝かせたのだ。 出かけたのが土曜でよかった。 もし酔いつぶれたのが日曜の夜だったら、欠勤届を出さねばならないところだった。 しばらく新聞を読んでいると、静かにドアの開く音がした。 振り向くと、ぶかぶかのパジャマを着た冥が、不機嫌そうにドアに寄りかかっていた。 「おはよう。大丈夫か?」 声を掛けると、冥はぎゅっと眉根を寄せた。 「頭、いたい」 「それは、二日酔いというのだ」 額に手を当てて、冥はそこにしゃがみこんだ。 新聞を置いて、隣に膝をつき、背中に手を乗せる。 「自分の部屋に帰るのなら、送っていく」 弱弱しく、首を横に降った。 「今、車に乗ったら、酔うわ」 それもそうか。 パジャマのままソファに座らせて、薬と水を取ってくる。 「パンを買ってあるんだが、少しでも食べてから薬を飲むといい」 「…二日酔いのお薬?」 「ただの頭痛薬だ」 隣に腰を下ろすと、芯のない人形のように倒れてくる。 「きもちわるい…」 まったく、世話が焼ける。 しかし、それも嫌な気がしない。 しかたなく薬だけを飲ませると、冥はそのまま横倒しになって御剣の膝に頭を乗せた。 手を伸ばさなくても触れられる位置に、冥がいた。 「…まだ痛い」 冥が不満そうにつぶやき、御剣はそっと髪を撫でた。 「そんなにすぐは効かない」 本当に具合が悪そうに冥は目を閉じる。 顔色が悪いせいか、白い肌がますます透き通るようだ。 「…私の服は?」 眠っているのかと思っていたら、冥が呟くように言った。 御剣のパジャマに着替えた記憶がないらしい。 「クローゼットのドアに吊るしてあっただろう」 「……」 疑わしそうな目で冥が見上げてくる。 「見ては、いない」 それは本当だった。 …見たかったが、見なかった。 御剣は、なけなしの理性を振り絞ったのだ。 冥は返事をしなかった。 またそっと冥の髪を撫でた。 別に、むやみに触れているわけではない。 膝をふさがれては身動きできないではないか。 両手を下ろすと、自然に触れてしまうのだ。 御剣が自分の中でしきりに言い訳していることなどお構いなしに、冥はじっと身を横たえていた。 30分ばかりも御剣が冥の寝顔を眺めていると、やがて冥は手を上げ、口元を押さえて小さなあくびをした。 「…効いてきたわ」 「そうか、良かった…」 正直なところ、少し残念なくらいだ。 体を起こすのに手を貸すと、暖かで柔らかな塊が御剣から離れていく。 「ん…」 冥が両手を上げて伸びをした。 パジャマの袖口が落ちて、か細い二の腕までがあらわになる。 目が合って、御剣は思わず視線をそらした。 この無防備さはどんなものなのだろう。 まったく男として扱われていないということなのだろうか。 「シャワー借りていい?」 いきなり聞かれて、御剣があいまいにうなずくと、冥はさっと立ち上がってバスルームに入って行く。 やや痺れのきた膝を手のひらで撫でながら、御剣は息をついた。 遠くで、シャワーの水音が聞こえてきた。 昨夜、冥を抱きかかえて帰ってきた時は、一瞬よからぬ誘惑に駆られた。 それをなんとか抑えて、ワンピースの背中のファスナーに手を掛けたときに、思いがけず目にした白い背中とピンクの下着。 あわててパジャマで覆い、ボタンを留めてからワンピースを下に引き抜いた。 冥は安心しきったように眠っており、ズボンをはかせようと足首をそっと掴んだときも目を覚まさず、掛け布団を掛けるにいたっては、気持ちよさそうに膝を抱えて丸くなった。 かわいかった。 バスルームが開いて冥の出てくる気配に、御剣は表情を引き締めた。 「ドライヤーがどこかわからなかったのだけど」 「ああ。それなら…」 そこで、言葉を失う。 洗い髪の冥は、昨日の化粧もすっかり落とし、少し子供っぽくも見える素顔で御剣を見ている。 大きなバスタオルをざっくりと胸に巻きつけて手で押さえているだけのせいで、脇から背中まで滑らかな素肌が丸見えになっていた。 「ふ、服はどうしたのだ?」 「クローゼットにかかってるのだったかしら?でも」 冥はぷくっと頬を膨らませた。 「下着の換えがないわ」 あるわけなかろう!! がっくりと肩が落ちた。 「洗濯すればよかろう」 「手洗いコースついてる?」 しかたなく、御剣はバスタオルを半分引きずるようにした冥を洗面所へつれて行き、彼女が下着をタオルに包んで洗濯機に入れるのを見ないようにして、スイッチを押した。 「どれくらいかかるの?」 終わるまで、この格好でいるつもりだろうかと不安になりながら、御剣はちょっと考える。 「乾燥までいれて2時間くらいではないか」 「乾燥はだめなのだけど」 「…なに?」 「だって、ブラが型崩れしちゃうもの」 そういうものなのか? 動き始めた洗濯機を見下ろしながら、冥が唇を尖らせて頬を染めた。 もしかして、大事なものなのだろうか。 いわゆるその、勝負用なのだろうか。 見ておけばよかった、と御剣はよこしまな後悔をした。 「まあ…、いずれ乾くだろうが、その」 リビングに引き返しながら、御剣は目をそらしたまま言葉を濁した。 「なに?」 隣にならんで、冥が御剣を見上げてくる。 御剣と同じシャンプーが香った。 「いや、その格好は、ちょっと」 「だって」 ああ、昨日から、過去10年分くらいに匹敵するほど、冥は頬を膨らませているのではないだろうか。 まずい。 かわいい。 「ガウンを持ってこよう。そのほうがいいだろう」 感情を顔に出さないように、寝室のドアに手を掛けると、背後で冥が何か言った。 「なんだ?」 「…でしょ?」 ぷっくりと頬を膨らませたまま、冥がうつむいていた。 「え?」 「…見たって、平気なんでしょ?」 どういう意味だろう。 「いや、見なかった」 「うそつき」 「見ていない。目をつぶっていた」 言いながら、ずり落ちるバスタオルを両手でかき合わせている冥を見つめる。 ドライヤーも貸してやらねばならない。 近づいて、湿った髪に指を入れる。 そのまま、両手で冥の頬をはさみこんだ。 「本当だ、見ていない」 「……」 「…見たら、襲ってしまうではないか」 冥が目を上げた。 もう、だめだ。 御剣は冥の頬をはさんだまま、軽く唇を重ねた。 柔らかく、ぷるんとした感触が伝わってきた。 下唇を挟み、舌を這わせると冥が逃れようとする。 一度、離した。 「…い、息できない」 冥が恥ずかしそうに言う。 「鼻で」 背中と腰に腕を回して引き寄せ、今度は深く口付けた。 舌を押し込むと、びくりと震えたものの、おそるおそる差し出してくる。 それを絡めとる。 片手で、むき出しになった背中を撫でた。 唇を離して、真っ赤になった冥の顔を見つめる。 洗濯が終わるまでに、まだ時間はたっぷりある。 御剣はバスタオルの隙間からのぞく冥の胸の谷間に、唇を押し当てた。 「言っただろう。見たら、襲ってしまうと」 そのまま抱き上げ、寝室のドアを開けた。 さっきまで眠っていたベッドに下ろされて、冥が不安げに御剣を見上げる。 バスタオルはほとんど用を成していなかった。 大きすぎず、形のいい胸がこぼれだす。 その下に、すらりとした体とウエスト、腰が続く。 脇のラインを指先でなぞると、冥がくすぐったそうに身をよじった。 もう一度キスをしてから、御剣は自分の服を脱いだ。 冥の耳から首筋、鎖骨へと唇を這わせながら、片手で乳房を包み込んだ。 「や、ん…」 下から揺さぶると、冥の手が御剣の腕を押さえた。 確認するまでもなく、初めてだろうと思われた。 もしかして、これから何をされるのかもよくわかっていないかもしれない。 抵抗しようというほどでもない冥の手をあっさりと押し戻して、御剣はその乳房に口付けた。 周囲からねっとりと頂上に向けて舐め、乳首を捕らえる。 もう片方の手も同じように全体を揺らしつつ、先端をつまんだ。 まだ柔らかい桃色の突起を、舌先でつついたり押したりする。 時間をかけて体中を愛撫していくと、強張っていた冥の体から力が抜ける。 冥の額にこぼれかかる髪の一筋を御剣がそっと払ったとき、冥が閉じていた目を開けた。 はにかんだような、笑みが浮かんだ。 その目元に口付ける。 御剣がそのまま頬に口付け、耳たぶを甘噛みすると、冥が御剣の腕に手を掛けた。 「ね…、怜侍」 冥の耳を食みながら、御剣は息を吹きかけるようにささやいた。 「なんだ」 「あの…、私、どうしたらいいの?」 一瞬、意味がわからなかった。 つまり、冥は本当によくわかっていないのだ。 このままセックスをするのだろう、ということは察していても、自分が何をすればよいのかわからないのだ。 「そのままでいい。力を抜いて」 背中に手を入れて抱き起こし、座ったまま抱きしめた。 「怜侍?」 「少しこうしてくれ」 とにかく、冥を感じたかった。 抱きしめて、腕と体全部で冥を確認したかった。 冥の腕が、そっと御剣の背中に回された。 御剣が冥の肩に伏せていた顔を上げると、冥が唇を御剣のそれに当てた。 初めて、冥がしたキスだった。 体の奥に火がついたような気がして、御剣はまた冥を押し倒した。 腰を撫でた手が太ももにさしかかる。 内側を撫で上げ、薄い茂みに触れる。 膝に手をかけて少し開かせると、そこに指を差し入れた。 初めて他者の進入を許すその場所を、縦にゆっくりとなぞる。 何度も繰り返すうちに、かすかに濡れてくる。 片手で乳房をつかんだり、かたくなってきた先端を舐めたりしながら、染み出した愛液を広げるようにこすりつける。 だんだんとあふれ出る量が増えてはきたものの、指先で入口に触れると、そこはまだ固く閉じている。 じっくりと弄っていくと指先が埋まるようになった。 顔を横に向けて目をぎゅっと閉じている冥の耳元で、御剣が言う。 「痛いか?」 冥の顔が泣きそうにゆがんだ。 開いた目が、うるんでいる。 「…痛いこと、するの?」 なにか、とてもいけないことをしようとしている気分だ。 思わず苦笑して、御剣は冥の頬を撫でた。 「いい子にできたら、新しい下着を買ってやる」 「…バカ」 奥まで入った指が、中で動く。 「んっ」 冥がぴくんと震えた。 その場所をずっと擦っていると、中からあふれてくる。 「あ……」 冥が甘い吐息を漏らす。 その恍惚とした表情は、指を二本にしたところで、また苦痛にゆがむ。 挿入は無理かも知れないと思いつつ、御剣自身はすでにパンパンに張っている。 指を抜くと、ねっとりと愛液が流れ落ちた。 「冥…、いいか?」 「ん…」 わかっているのかどうか、けなげに頷く。 脚を大きく開かせ、先端を当てる。 わずかに怖がるような表情を浮かべた冥を、一度抱きしめてキスをする。 「無理ならやめるから」 先端をあて、しばらく周囲を刺激してから挿入を試みる。 冥が枕に顔を伏せるようにしてこらえる。 押し広げるようにして、ゆっくり少しずつ進み、カリの半分くらいが入ったところで一度止まる。 「大丈夫か?」 冥は進入が止まったことでほっとしたのか、顔を上げて御剣を見た。 「痛い…」 すねたような言い方に、御剣はふっと笑った。 「やめるか?途中だが」 「途中なの?」 わずかに広げられただけで相当痛みがあったものか、驚いたような顔をする。 「途中、というより序盤だ」 「そうなの?」 「だが、キミが痛いというなら」 冥が腕を伸ばして御剣の首に絡めた。 「…がんばる」 冥は本当にがんばった。 何度も中断しながら、それでもようやく御剣は冥の中に自分自身をすべて収めた。 すでに、破瓜の血を見ている。 御剣はなるべく動かないようにして、額に汗をにじませた冥の顔に手を当てた。 「全部、入ったぞ」 「…おしまい?」 ほっとしたように言う。 御剣は小さく苦笑し、そのかわいいことを言う唇にキスをした。 「終わるか?」 「違うの?」 「ウム」 しかし、十分冥が辛い思いをしているのはわかっている。 ここで終わりにしても仕方ないと御剣は思っていた。 冥を傷つけたくは、なかった。 「じゃあ、続けて」 冥が御剣の手に自分の手を重ねた。 「しかし」 「いや、やめないで」 まるで、ここで終わってしまえばそのまま御剣がいなくなってしまうとでも思っているのか、冥は御剣にすがりついた。 その自分の動きで痛みがあったのか、きゅっと眉をひそめる。 御剣はゆっくり、動き始めた。 冥も御剣も疲れ果てた。 なんとか御剣は射精にこぎつけたが、痛がらせているという思いから時間がかかり、逆に冥に長く耐えさせた。 冥の顔に汗で髪が張り付いていた。 目が合うと、冥がぷっと小さく吹き出した。 「おしまい?」 御剣も、苦笑した。 「ウム。そうだな」 冥が御剣の汗ばんだ胸に顔を寄せた。 「こんなんだと思わなかった」 「…どんなだと思っていたのだ?」 抱き寄せながら、御剣が聞く。 「だって…、痛かった」 目尻にはまだ、涙の後が一筋残っていた。 御剣はそれを指でぬぐい、くしゃくしゃになった冥の髪に指を通す。 「そうか…」 「怜侍は、痛くないの?」 「む…」 冥の中の暖かさときつきつの気持ちよさを思い出す。 組み敷いた体、突き上げるたびに揺れる胸、こらえてもこぼれる声。 「…ずるい」 そういう問題だろうか。 髪を梳かれるのが気持ちいいのか、冥はうっとりと目を閉じる。 「あのね」 「む?」 「ずっと、初めては怜侍だったらいいなって思ってたわ」 動かしていた手を止めて、御剣は冥の頭を自分に押し付けるように抱いた。 「ほんとは」 冥が子猫のように、擦り寄ってくる。 「ずっと、怜侍がいいのだけど…」 胸がきゅんと音を立てる、とは、こういうことをいうのだと御剣は思った。 「……まだ痛むか?」 「…ん」 「その、なんというか…、すまない」 冥が顔を上げた。 息が掛かるほどの距離でその顔を見つめると、かわいそうではあるが欲望が沸き起こる。 「あの、でもね、痛かったけど、なんていうか、ちょっと、変な…、そういう感じ」 言って、また顔を伏せる。 「だから、きっと、あの。次はだいじょうぶだと、思うの」 御剣は冥の息がつまるほど、強く抱きしめた。 昨日、自分が「また次」と言って冥をすねさせたことを思い出す。 もどかしい、どうしていいかわからないほど愛しい。 まだ痛いと言っているのに、このままもう一度抱きたくなった。 いつかわからない、また次、など待てるだろうか。 くしゅ、と冥が小さくくしゃみをした。 汗が冷えて風邪を引くかもしれない。 シャワーを使って、なにか食べさせたほうがいい。 御剣は、冥を抱きかかえたまま体を起こした。 冥が、キスをねだった。 数日前に、チョコレートをもらっただけであれほど嬉しかったのが、遠い記憶のようだった。 御剣は今、腕の中に比較にならないほど欲しかったものを抱いているのだった。
https://w.atwiki.jp/zensensyu/pages/407.html
逆転裁判 670 名前:水先案名無い人 :04/12/28 19 42 36 ID IBZu2kTw 全逆転裁判入場!! 般若は生きていた!! 更なる妄執を積み髪の毛星人が甦った!!! 鬼母神!! 綾里 キミ子だァ――――!!! 突っ込みスタイルはすでに若き日のワシが完成している!! 膨満弁護士 星影 宇宙之助だァ――――!!! ミスをやらかししだい減棒されまくってやる!! 下っ端警官代表 糸鋸 圭介だァッ!!! 素手の取っ組み合いなら私の正当防衛がものを言う!! 悲劇の敏腕プロデューサー ヤクザとお友達 姫神 サクラ!!! 死のフランス料理を知らしめたい!! 吐麗美庵 本土坊 薫だァ!!! 武道一般は数十段制覇だが犯罪なら全階級オレのものだ!! 俳優かスーツアクターかはっきりしろ 王都楼 真吾だ!!! 裁判対策は完璧そうでグダグダだ!! コナカルチャー 小中大!!!! 全裁判のベスト・逆転は私の功績にある!! 弁護の神様が来たッ 綾里 千尋!!! 卑劣さなら絶対に敗けん!! エセ令嬢の非道を見せたる 特攻怨霊 美柳 ちなみだ!!! バーリ・トゥード(なんでもあり)ならこいつが怖い!! 予測不能のピュア・絵本作家 矢張政志だ!!! アメリカ検事局から炎のムチ使いが上陸だ!! 二代目 狩魔 冥!!! 節操の無い創作がしたいからディレクター(プロ妄想家)になったのだ!! オタクの発想力を見せてやる!! 宇在 拓也!!! めい土の土産にメイド服萌えとはよく言ったもの!! 達人のフェチズムが今 殺人現場でバクハツする!! 紋職人 五十嵐 将兵先生だ―――!!! ネオ・エドシティのヒーローこそが地上最強の代名詞だ!! まさかこの男がきてくれるとはッッ 大江戸戦士 トノサマン!!! 償いたいから葉桜院まで来たッ キャリア一切不明!!!! 綾里分家のシークレット(秘密)尼僧 葉桜院 あやめだ!!! オレは裁判の天才ではない ギャグキャラの天才なのだ!! 御存知狩魔流 御剣 怜侍!!! 闇金の本場は今や関西にある!! オレの変装を見破れる奴はいないのか!! 芝九蔵 虎ノ助だ!!! デカァァァァァァいッ説明不要!! 推定2m40!!! 100kg!!! 尾並田 美散だ!!! 柔術は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦柔術!! 本家日本から本部以蔵の登場だ!!! 勝訴はオレのもの 邪魔するやつは思いきり邪魔し思いきり感電させるだけ!! えげつない検事統一王者 狩魔 豪!! ダジャレを試しにアメリカへ行っちゃったッ・・・・ オヤジギャグ全世界チャンプ 富田 松夫!!! 不幸に更なる磨きをかけ ”縁切り”須々木 マコが帰ってきたァ!!! 今の自分に視覚はないッッ!! オプティック・ブラスト 神之木 荘龍!!! 綾里数千年の霊媒がなぜか法廷でベールを脱ぐ!! 倉院の里から 綾里 真宵だ!!! シャッターチャンスの前でならウチはいつでも全盛期や!! 燃えるワタアメ ジャネットさん 間違えられた名前で登場だ!!! ナースの仕事はどーしたッ 車好きの炎 未だ消えずッ!! 治すも殺すも思いのまま!! 葉中 未実だ!!! 特に理由はないッ 主役だからって増長しないのは当たりまえ!? 視聴者にはないしょだ!!! ヒメサマンの中の人! どうやって入ってるんだ 荷星 三郎がきてくれた―――!!! 撮影所で磨いた実戦マネジメント!! 高菱屋のデンジャラス・ドジッ娘 華宮 霧緒だ!!! ょぅι゙ょだったらこの人を外せない!! 超A級霊媒師 綾里 春美だ!!! 超一流マジシャンの超一流の素顔だ!! 生で拝んでオドロキやがれッ 田舎の鋼鉄人!! 山田 耕平!!! 逆転裁判のネーミングセンスはこの男が完成させた!! 自称「一流」の「ほぼ大学生」!! 諸平野 貴雅だ!!! 古き女王が帰ってきたッ どこへ行っていたンだッ 宇宙人ッッ 俺達は貴方を待っていたッッッオバチャンの登場だ――――――――ッ 殺人事件被害者発生にそなえ 超豪華なリザーバーを4名用意いたしました!! 「腹黒怪盗 天杉 優作!!」 「伝統派探偵 星威岳 哀牙!!」 「鹿羽組組長息女 鹿羽うらみ!!」 ……ッ どうやらもう一名はカゼの治療が遅れているようですが、 到着しだい皆様に御紹介いたしますッッッ 関連レス 674 名前:水先案名無い人 :04/12/28 19 54 12 ID 7GSWAyNr 主人公が遅れてんのか 675 名前:水先案名無い人 :04/12/28 19 57 27 ID IBZu2kTw すいません、脳内差し替えよろしくお願いします・・・・ 柔術は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦柔術!! 本家日本から本部以蔵の登場だ!!! ↓ 毒薬は殺人に使えてナンボのモン!!! 超実戦薬学部生!! 勇盟大学から呑田 菊三の登場だ!!! 676 名前:水先案名無い人 :04/12/28 20 05 25 ID XoG5UbO9 スマンが本部で吹いた。 コメント 名前
https://w.atwiki.jp/rubberbandgun/pages/251.html
木材・金属などを切断する電動鋸の一種。ジグソーブレードと呼ばれる刃が毎分3千回転程、上下にストロークする。直線切りの精度や切断速度は丸鋸盤より落ちるが、ブレードの奥行きが短いため曲線切りも可能。また切断可能な板厚は糸鋸盤よりも優る。 リョービ マイジグソーMJ-300
https://w.atwiki.jp/yamatosakura/pages/28.html
御剣怜侍が午前中に狩魔冥の執務室を訪ねた時、部屋の隅にある有名デパートの紙袋が目に入った。 そっと見ると、その中には派手な包装紙に包まれた小さな包みが、いくつも入っている。 御剣はそしらぬふりで用件だけを述べ、必要な書類を受け取った。 そのままつっ立っていると、早くも別の仕事に取りかかろうとした冥が、御剣を見上げる。 「まだ、なにかあるかしら」 御剣は首を横に振り、そのまま執務室を出た。 …もらえなかった。 あいかわらず忙しい、2月14日の検事局である。 予定の時間に検事局を出てくる御剣の肩が寂しげに見えたのは、糸鋸刑事の気のせいだっただろうか。 その日、夕方まで事件の捜査を指揮した御剣は、糸鋸のオンボロ車で検事局まで戻ることにした。 出発したとたん、冬の短い日が沈んだばかりだというのに、糸鋸の腹が驚くほどでかい音で鳴る。 じろりと横目で見ると、困ったように肩をすくめる。 相変わらず、ろくなものを食べていないのだろう。 計ったように車はのれんを出したばかりの寿司屋の前を通りかかり、御剣はそこで車を止めるように指示した。 「寿司なんて、十年ぶりっス!検事に後光がさして見えるっス!!」 「誰も、ここに入るとは言っていない」 子犬が飼い主を見るような目をした糸鋸が、涎を垂らさんばかりの様子でエンジンを切る。 「わかってるっス!御剣検事は腹を鳴らした自分にそんな意地悪はしないっス」 御剣は一つだけ釘を刺した。 「寿司屋で検事、と呼ぶな。いろいろ面倒だ」 遠慮なしに、糸鋸が十年ぶりの寿司を腹に詰め込む。 常に食生活の貧しい糸鋸に、土産の折を注文してやる頃には、御剣も冥の部屋にあった紙袋のことを忘れかけていた。 店を出て車に乗ると、御剣は運転席でご機嫌にハンドルを握る糸鋸の薄汚れたコートのポケットから、赤いリボンがはみ出しているのを見つけた。 「…なんだ、これは」 リボンを引っ張ると、見覚えのある青い包装紙に包まれた小さな箱がぽろっと落ちた。 「あ、あ、落としちゃダメっス!狩魔検事にもらったチョコレートっス!!」 「…なに?」 御剣の表情が厳しくなるが、前を見て運転している糸鋸は気づかない。 「あれ、忘れてるっスか?今日はバレンタインデイっスよ。狩魔検事はちゃんと日本の風習を勉強してるっスねぇ。自分、今年はマコくんからももらったから2個っス。もちろん、御剣検事には遠く及ばないっス。あ、検事あてのチョコレート、ダンボールに入れて総務に置いてあるらしいっスよ?」 寿司など食わせてやるのではなかった、と御剣は後悔した。 世間がにぎわうバレンタインデイなど、この男には無縁だろうと同情したのがバカバカしい。 「糸鋸刑事。来月の給与査定を楽しみに…」 御剣の決めセリフは、対向車のやかましいクラクションにさえぎられて、糸鋸の耳には届かなかった。 「あ、でも今日が何の日か忘れてるってことは、まだ狩魔検事からチョコレートもらってないっスか?自分にはでっかい紙袋から一個出して渡してくれたっス。きっと、本命チョコは別に隠してあるっスねぇ」 …そうかもしれない。 少なくとも、糸鋸と同じ扱いだとは思えない。 きっと、さっきはタイミングが悪かったのだ。 仕事終わりに渡してくれるつもりだったのかもしれない。 出かけてしまうと伝えておいた方がよかっただろうか…。 検事局に到着すると、糸鋸は押収物や資料の入った箱などを運んでから警察署に戻っていった。 さっき、職員出入口で確認したところによれば、冥はまだ検事局に残っているようだ。 …しかし、そこまでして私は冥からチョコレートが欲しいのか? 御剣は、誰もいない執務室でそうつぶやいてみた。 答えは、考えずともわかっていた。 欲しいのだ。 デスクの脇には、糸鋸が運んできた検事局の女性職員からのチョコレートがダンボールに山と入れてあった。 ふう、と息をついた時、ドアがノックされた。 「御剣検事」 冥の声だ。 御剣は、返事と同時に立ち上がる。 開いたドアの向こうで、ちょっと照れくさそうに冥が一人で立っていた。 両手で、赤い包装紙の箱を胸に抱えている。 期待していたとはいえ、御剣はどぎまぎし、それに気づいていないふりで冥を執務室に入れた。 「捜査に出ていたのですってね、御剣怜侍?」 執務室に御剣以外誰もいないのを確かめるようにして、冥は口調を変える。 「ウ、ウム。糸鋸刑事と一緒だった」 「そう。順調にいって?」 よく見れば、冥はうっすら頬を赤くしている。 「ウム…、そうだな」 御剣は冥の抱えている箱を見ないように、なにげなく運び込んだ資料の箱に視線を落とし、一番上に積んである折詰に気づいた。 糸鋸に渡すのを、忘れていた。 つられたように床の上のダンボールに目をやった冥が、その脇にあるチョコレートの箱に気づいてさっと顔色を変えたことには、気づかなかった。 「ああ、さっき糸鋸刑事と寿司を食べたのだが、キミも夕食はまだだろう。よかったら」 折詰を差し出そうとして、この上なく不機嫌な顔をした冥と目が合う。 「め、冥?」 いきなり様子が変わったのを見て、御剣はたじろぐ。 「そう、さぞかし見ものね。バレンタインに男二人でお寿司を食べるなんて。デザートもたくさん届いていることだし」 そこで初めて、御剣は自分が失敗したことを知った。 冥は胸に抱えていた箱を、乱暴に御剣に押し付けた。 「みんなに配った義理チョコが余ったから、あなたにあげるわ。たくさんあって、もういらないでしょうけど」 …もらえた。 手放しで喜べないこの状況で、思わず御剣はニヤつきそうになった。 「キミが義理チョコなんていう習慣を守るとは思わなかったな。アメリカにはないだろう」 叩きつけた言葉を、御剣が難なく受け止めたことで、冥は勢いを削がれる。 「し、失礼ね。私だって、国の風習や伝統を頭ごなしに否定するわけではないわ。これくらいで今後の人間関係が潤滑に進むなら安いものよ」 御剣が受け取ったチョコレートの箱は、糸鋸のコートから落ちたものとは比べ物にならないほど大きく、重かった。 「ありがとう。とても、嬉しい」 箱を手に持ったまま、御剣は素直に冥に気持ちを伝え、冥は耳と首まで真っ赤になった。 「あ、余ったからよ。勘違いしないでちょうだい」 真っ赤になった顔で強がりを言っても、効果がない。 「ウム。それでも、嬉しいものだ」 返事に困った冥が、空いた両手の置き場所に困って、御剣がデスクに置いた折詰の箱に印刷された店名を指でなぞった。 「ど、どこにあるお寿司屋さんだったの?」 御剣は簡単に場所を説明した。 「初めて入った店だったが、なかなか良かった。今度、キミも連れて行こう」 あまりにさらっと言ったせいで、言ったほうも言われたほうも照れた。 「…ヒゲが一緒じゃ、イヤよ?」 これ以上赤くなれないほど赤くなった冥が、それでもまだ口を尖らせるようにして言うのがあまりにかわいくて、御剣は冥の代わりにチョコレートの箱を潰れそうなくらい強く抱きしめた。 「ウム。週末にでも、出かけないか?」 今度は、冥がどぎまぎする番だった。 御剣には、冥が義理チョコの、さらに余り物だと強調した上に、誘われて明らかに動揺しているのまでがかわいらしい。 そういえば、冥と二人でプライベートで出かけたことはない。 そもそも、13歳で検事になった冥は、今までまともに男性とデートなどしたことがないのではなかろうか。 「じゃあ、あのね」 わざとそっぽを向いて、冥が言った。 「言ってみたいカフェがあるの。新しく出来たんだけど、ちょっとのぞいたらインテリアが素敵で。あと、見たい映画があるし、美術館に好きな画家の展示が来ていて」 そこで、はっとしたように口をつぐむ。 すらすらと出てきたところを見ると、以前から考えていたのだろうか。 冥が一度伏せた目をそっと上げるまで、御剣は微笑んで冥を見つめていた。 「わかった。そして、最後に寿司だな」 * 土曜の朝、冥のマンションの前に車を止めて5分ほど待っていると、中から白いコートを羽織った冥が走り出してきた。 「待った?コートを赤にするか白にするか決まらなくて」 御剣が運転席から降りて手を上げると、冥が駆け寄ってきて心配そうに御剣を見上げる。 コートの中は、淡いオレンジ色のワンピースだった。足元は、いつもより少しヒールの低いブーツ。 御剣は助手席のドアを開け、冥を上から下まで眺めて言った。 「とても、かわいい」 冥が、嬉しそうに笑う。 きっと、前日からなにを着ようかさんざん悩んだに違いない。 どんな服も冥自身の魅力にはかなわない、という言葉を、さすがに御剣は照れて口に出来なかった。 ゆっくりと美術館を見て歩く途中で、自然に冥は御剣の腕に自分の腕をからめてきた。 御剣は冥に画家の作品を使った絵葉書を買い、インテリアの素敵なカフェでランチを取り、映画館で寄り添うようにして映画を見た。 御剣の隣で、冥は終始嬉しそうだった。 この笑顔の大安売りはいったいなんということだろう。 夕方になると、気温が下がってきた。 御剣は表通りのショップで、カシミヤの柔らかなストールを選んで冥の肩にかけた。 ひとつひとつが楽しく、時間があっという間に過ぎた。 最後に、小さな寿司屋の前に車を止めるまでは。 引き戸が開きっぱなしになっており、割烹着姿の女性があわただしく出てくる。 「あ、あの」 女性は御剣と冥を見て足を止め、声を掛けた。 ただ事ではないな、と一瞬御剣は検事の顔になる。 「すみません、ご予約してくださったお客様でしょうか」 御剣が名前を告げると、女性は申し訳なさそうに頭を下げた。 「今、ご予約いただいたお客様にご連絡をしていたところなんですが、店主が今日、交通事故にあいまして」 ひどい怪我ではないが、今日は寿司を握ることができないと言う。 当人たちには不幸な出来事に違いはないが、事件性がないということに御剣はほっとした。 しかたないな、と物分りの良いところを見せて車に引き返そうと冥を見た。 何度も頭を下げる女性から見えない角度で、冥はぷんぷんにむくれていた…。 「不測の事態ではないか」 「そうだけど」 車のドアを開けて、御剣が小さくため息をつく。 「だって、今日はあなたがここへ連れてきてくれるって言うからっ」 見ると、冥はうっすら目に涙までためている。 「たいした怪我ではないというし、店を再開したらまた次に来ればよいではないか」 また次、の言葉に冥は黙ってうつむいた。 「それ、いつよ…」 なるほど。 冥は別に、寿司が食べたかったわけではないのだな。 楽しくて嬉しくてたまらなかった一日が、こんな風に終わってしまうのが悲しかったのだ。 御剣は携帯を取り出し、電話をかけた。 電話を終えると、しょんぼりと膝に置いたバッグをいじっている冥に言う。 「イタリアンの店だが、席が取れた。行こう」 冥は驚いたように顔を上げた。 「怒ってないの?」 「なにをだ?」 車を発進させながら、御剣はつい笑った。 こういうところは、冥もまだまだ齢相応の女の子だ。 「…だって」 「キミがすねたり泣いたりするたびに、怒っていてはこっちの身がもたない」 「なによ、子ども扱いしてっ」 冥がストールに顔をうずめ、御剣は黙って微笑んだ。 車で来ているから、とワインを断った御剣の目の前で、冥はソムリエからメニューを受け取った。 オードブルが来る前から、どんどんグラスを空にする。 「大丈夫か?そんなに強いほうではないだろう」 「フランスじゃ、ワインなんか子供でも飲むわ」 日本の風習を大事にするのではなかったのか、と言うのを諦めて、御剣はただ冥を見つめた。 目元をほんのり赤くして、運ばれてきた皿を見ては盛り付けがきれいだと喜び、焼きたてのパンを細い指でちぎって口に運び、おいしいと笑う。 フルーツ盛り合わせが来ると、御剣の皿に乗っているイチゴまで欲しがったり、最後のコーヒーが濃いと顔をしかめたりする。 食事が終わり、そろそろという空気になると、冥はちょっと失礼と断って席を立った。 化粧室に向かって歩き出す前に、くらりと体を傾ける。 ウェイターが駆け寄るより先に、席を蹴って御剣が立ち上がって冥を抱きとめた。 「…言わんこっちゃない」 酔いの回った冥が、御剣に体を預けて、目を閉じていた。 抱き上げた体は、思ったより軽く華奢で、暖かかった。 * ソファで寝たせいで、体が痛い。 御剣は近くのパン屋で買ってきたベーグルサンドをテーブルにおいて、寝室のドアを見た。 冥はまだ眠っているようだ。 夕べ、イタリアンレストランで酔いつぶれてしまった冥は、呼んでも揺すっても目を覚まさず、やむを得ず自分の部屋に連れ帰り、ベッドへ寝かせたのだ。 出かけたのが土曜でよかった。 もし酔いつぶれたのが日曜の夜だったら、欠勤届を出さねばならないところだった。 しばらく新聞を読んでいると、静かにドアの開く音がした。 振り向くと、ぶかぶかのパジャマを着た冥が、不機嫌そうにドアに寄りかかっていた。 「おはよう。大丈夫か?」 声を掛けると、冥はぎゅっと眉根を寄せた。 「頭、いたい」 「それは、二日酔いというのだ」 額に手を当てて、冥はそこにしゃがみこんだ。 新聞を置いて、隣に膝をつき、背中に手を乗せる。 「自分の部屋に帰るのなら、送っていく」 弱弱しく、首を横に降った。 「今、車に乗ったら、酔うわ」 それもそうか。 パジャマのままソファに座らせて、薬と水を取ってくる。 「パンを買ってあるんだが、少しでも食べてから薬を飲むといい」 「…二日酔いのお薬?」 「ただの頭痛薬だ」 隣に腰を下ろすと、芯のない人形のように倒れてくる。 「きもちわるい…」 まったく、世話が焼ける。 しかし、それも嫌な気がしない。 しかたなく薬だけを飲ませると、冥はそのまま横倒しになって御剣の膝に頭を乗せた。 手を伸ばさなくても触れられる位置に、冥がいた。 「…まだ痛い」 冥が不満そうにつぶやき、御剣はそっと髪を撫でた。 「そんなにすぐは効かない」 本当に具合が悪そうに冥は目を閉じる。 顔色が悪いせいか、白い肌がますます透き通るようだ。 「…私の服は?」 眠っているのかと思っていたら、冥が呟くように言った。 御剣のパジャマに着替えた記憶がないらしい。 「クローゼットのドアに吊るしてあっただろう」 「……」 疑わしそうな目で冥が見上げてくる。 「見ては、いない」 それは本当だった。 …見たかったが、見なかった。 御剣は、なけなしの理性を振り絞ったのだ。 冥は返事をしなかった。 またそっと冥の髪を撫でた。 別に、むやみに触れているわけではない。 膝をふさがれては身動きできないではないか。 両手を下ろすと、自然に触れてしまうのだ。 御剣が自分の中でしきりに言い訳していることなどお構いなしに、冥はじっと身を横たえていた。 30分ばかりも御剣が冥の寝顔を眺めていると、やがて冥は手を上げ、口元を押さえて小さなあくびをした。 「…効いてきたわ」 「そうか、良かった…」 正直なところ、少し残念なくらいだ。 体を起こすのに手を貸すと、暖かで柔らかな塊が御剣から離れていく。 「ん…」 冥が両手を上げて伸びをした。 パジャマの袖口が落ちて、か細い二の腕までがあらわになる。 目が合って、御剣は思わず視線をそらした。 この無防備さはどんなものなのだろう。 まったく男として扱われていないということなのだろうか。 「シャワー借りていい?」 いきなり聞かれて、御剣があいまいにうなずくと、冥はさっと立ち上がってバスルームに入って行く。 やや痺れのきた膝を手のひらで撫でながら、御剣は息をついた。 遠くで、シャワーの水音が聞こえてきた。 昨夜、冥を抱きかかえて帰ってきた時は、一瞬よからぬ誘惑に駆られた。 それをなんとか抑えて、ワンピースの背中のファスナーに手を掛けたときに、思いがけず目にした白い背中とピンクの下着。 あわててパジャマで覆い、ボタンを留めてからワンピースを下に引き抜いた。 冥は安心しきったように眠っており、ズボンをはかせようと足首をそっと掴んだときも目を覚まさず、掛け布団を掛けるにいたっては、気持ちよさそうに膝を抱えて丸くなった。 かわいかった。 バスルームが開いて冥の出てくる気配に、御剣は表情を引き締めた。 「ドライヤーがどこかわからなかったのだけど」 「ああ。それなら…」 そこで、言葉を失う。 洗い髪の冥は、昨日の化粧もすっかり落とし、少し子供っぽくも見える素顔で御剣を見ている。 大きなバスタオルをざっくりと胸に巻きつけて手で押さえているだけのせいで、脇から背中まで滑らかな素肌が丸見えになっていた。 「ふ、服はどうしたのだ?」 「クローゼットにかかってるのだったかしら?でも」 冥はぷくっと頬を膨らませた。 「下着の換えがないわ」 あるわけなかろう!! がっくりと肩が落ちた。 「洗濯すればよかろう」 「手洗いコースついてる?」 しかたなく、御剣はバスタオルを半分引きずるようにした冥を洗面所へつれて行き、彼女が下着をタオルに包んで洗濯機に入れるのを見ないようにして、スイッチを押した。 「どれくらいかかるの?」 終わるまで、この格好でいるつもりだろうかと不安になりながら、御剣はちょっと考える。 「乾燥までいれて2時間くらいではないか」 「乾燥はだめなのだけど」 「…なに?」 「だって、ブラが型崩れしちゃうもの」 そういうものなのか? 動き始めた洗濯機を見下ろしながら、冥が唇を尖らせて頬を染めた。 もしかして、大事なものなのだろうか。 いわゆるその、勝負用なのだろうか。 見ておけばよかった、と御剣はよこしまな後悔をした。 「まあ…、いずれ乾くだろうが、その」 リビングに引き返しながら、御剣は目をそらしたまま言葉を濁した。 「なに?」 隣にならんで、冥が御剣を見上げてくる。 御剣と同じシャンプーが香った。 「いや、その格好は、ちょっと」 「だって」 ああ、昨日から、過去10年分くらいに匹敵するほど、冥は頬を膨らませているのではないだろうか。 まずい。 かわいい。 「ガウンを持ってこよう。そのほうがいいだろう」 感情を顔に出さないように、寝室のドアに手を掛けると、背後で冥が何か言った。 「なんだ?」 「…でしょ?」 ぷっくりと頬を膨らませたまま、冥がうつむいていた。 「え?」 「…見たって、平気なんでしょ?」 どういう意味だろう。 「いや、見なかった」 「うそつき」 「見ていない。目をつぶっていた」 言いながら、ずり落ちるバスタオルを両手でかき合わせている冥を見つめる。 ドライヤーも貸してやらねばならない。 近づいて、湿った髪に指を入れる。 そのまま、両手で冥の頬をはさみこんだ。 「本当だ、見ていない」 「……」 「…見たら、襲ってしまうではないか」 冥が目を上げた。 もう、だめだ。 御剣は冥の頬をはさんだまま、軽く唇を重ねた。 柔らかく、ぷるんとした感触が伝わってきた。 下唇を挟み、舌を這わせると冥が逃れようとする。 一度、離した。 「…い、息できない」 冥が恥ずかしそうに言う。 「鼻で」 背中と腰に腕を回して引き寄せ、今度は深く口付けた。 舌を押し込むと、びくりと震えたものの、おそるおそる差し出してくる。 それを絡めとる。 片手で、むき出しになった背中を撫でた。 唇を離して、真っ赤になった冥の顔を見つめる。 洗濯が終わるまでに、まだ時間はたっぷりある。 御剣はバスタオルの隙間からのぞく冥の胸の谷間に、唇を押し当てた。 「言っただろう。見たら、襲ってしまうと」 そのまま抱き上げ、寝室のドアを開けた。 さっきまで眠っていたベッドに下ろされて、冥が不安げに御剣を見上げる。 バスタオルはほとんど用を成していなかった。 大きすぎず、形のいい胸がこぼれだす。 その下に、すらりとした体とウエスト、腰が続く。 脇のラインを指先でなぞると、冥がくすぐったそうに身をよじった。 もう一度キスをしてから、御剣は自分の服を脱いだ。 冥の耳から首筋、鎖骨へと唇を這わせながら、片手で乳房を包み込んだ。 「や、ん…」 下から揺さぶると、冥の手が御剣の腕を押さえた。 確認するまでもなく、初めてだろうと思われた。 もしかして、これから何をされるのかもよくわかっていないかもしれない。 抵抗しようというほどでもない冥の手をあっさりと押し戻して、御剣はその乳房に口付けた。 周囲からねっとりと頂上に向けて舐め、乳首を捕らえる。 もう片方の手も同じように全体を揺らしつつ、先端をつまんだ。 まだ柔らかい桃色の突起を、舌先でつついたり押したりする。 時間をかけて体中を愛撫していくと、強張っていた冥の体から力が抜ける。 冥の額にこぼれかかる髪の一筋を御剣がそっと払ったとき、冥が閉じていた目を開けた。 はにかんだような、笑みが浮かんだ。 その目元に口付ける。 御剣がそのまま頬に口付け、耳たぶを甘噛みすると、冥が御剣の腕に手を掛けた。 「ね…、怜侍」 冥の耳を食みながら、御剣は息を吹きかけるようにささやいた。 「なんだ」 「あの…、私、どうしたらいいの?」 一瞬、意味がわからなかった。 つまり、冥は本当によくわかっていないのだ。 このままセックスをするのだろう、ということは察していても、自分が何をすればよいのかわからないのだ。 「そのままでいい。力を抜いて」 背中に手を入れて抱き起こし、座ったまま抱きしめた。 「怜侍?」 「少しこうしてくれ」 とにかく、冥を感じたかった。 抱きしめて、腕と体全部で冥を確認したかった。 冥の腕が、そっと御剣の背中に回された。 御剣が冥の肩に伏せていた顔を上げると、冥が唇を御剣のそれに当てた。 初めて、冥がしたキスだった。 体の奥に火がついたような気がして、御剣はまた冥を押し倒した。 腰を撫でた手が太ももにさしかかる。 内側を撫で上げ、薄い茂みに触れる。 膝に手をかけて少し開かせると、そこに指を差し入れた。 初めて他者の進入を許すその場所を、縦にゆっくりとなぞる。 何度も繰り返すうちに、かすかに濡れてくる。 片手で乳房をつかんだり、かたくなってきた先端を舐めたりしながら、染み出した愛液を広げるようにこすりつける。 だんだんとあふれ出る量が増えてはきたものの、指先で入口に触れると、そこはまだ固く閉じている。 じっくりと弄っていくと指先が埋まるようになった。 顔を横に向けて目をぎゅっと閉じている冥の耳元で、御剣が言う。 「痛いか?」 冥の顔が泣きそうにゆがんだ。 開いた目が、うるんでいる。 「…痛いこと、するの?」 なにか、とてもいけないことをしようとしている気分だ。 思わず苦笑して、御剣は冥の頬を撫でた。 「いい子にできたら、新しい下着を買ってやる」 「…バカ」 奥まで入った指が、中で動く。 「んっ」 冥がぴくんと震えた。 その場所をずっと擦っていると、中からあふれてくる。 「あ……」 冥が甘い吐息を漏らす。 その恍惚とした表情は、指を二本にしたところで、また苦痛にゆがむ。 挿入は無理かも知れないと思いつつ、御剣自身はすでにパンパンに張っている。 指を抜くと、ねっとりと愛液が流れ落ちた。 「冥…、いいか?」 「ん…」 わかっているのかどうか、けなげに頷く。 脚を大きく開かせ、先端を当てる。 わずかに怖がるような表情を浮かべた冥を、一度抱きしめてキスをする。 「無理ならやめるから」 先端をあて、しばらく周囲を刺激してから挿入を試みる。 冥が枕に顔を伏せるようにしてこらえる。 押し広げるようにして、ゆっくり少しずつ進み、カリの半分くらいが入ったところで一度止まる。 「大丈夫か?」 冥は進入が止まったことでほっとしたのか、顔を上げて御剣を見た。 「痛い…」 すねたような言い方に、御剣はふっと笑った。 「やめるか?途中だが」 「途中なの?」 わずかに広げられただけで相当痛みがあったものか、驚いたような顔をする。 「途中、というより序盤だ」 「そうなの?」 「だが、キミが痛いというなら」 冥が腕を伸ばして御剣の首に絡めた。 「…がんばる」 冥は本当にがんばった。 何度も中断しながら、それでもようやく御剣は冥の中に自分自身をすべて収めた。 すでに、破瓜の血を見ている。 御剣はなるべく動かないようにして、額に汗をにじませた冥の顔に手を当てた。 「全部、入ったぞ」 「…おしまい?」 ほっとしたように言う。 御剣は小さく苦笑し、そのかわいいことを言う唇にキスをした。 「終わるか?」 「違うの?」 「ウム」 しかし、十分冥が辛い思いをしているのはわかっている。 ここで終わりにしても仕方ないと御剣は思っていた。 冥を傷つけたくは、なかった。 「じゃあ、続けて」 冥が御剣の手に自分の手を重ねた。 「しかし」 「いや、やめないで」 まるで、ここで終わってしまえばそのまま御剣がいなくなってしまうとでも思っているのか、冥は御剣にすがりついた。 その自分の動きで痛みがあったのか、きゅっと眉をひそめる。 御剣はゆっくり、動き始めた。 冥も御剣も疲れ果てた。 なんとか御剣は射精にこぎつけたが、痛がらせているという思いから時間がかかり、逆に冥に長く耐えさせた。 冥の顔に汗で髪が張り付いていた。 目が合うと、冥がぷっと小さく吹き出した。 「おしまい?」 御剣も、苦笑した。 「ウム。そうだな」 冥が御剣の汗ばんだ胸に顔を寄せた。 「こんなんだと思わなかった」 「…どんなだと思っていたのだ?」 抱き寄せながら、御剣が聞く。 「だって…、痛かった」 目尻にはまだ、涙の後が一筋残っていた。 御剣はそれを指でぬぐい、くしゃくしゃになった冥の髪に指を通す。 「そうか…」 「怜侍は、痛くないの?」 「む…」 冥の中の暖かさときつきつの気持ちよさを思い出す。 組み敷いた体、突き上げるたびに揺れる胸、こらえてもこぼれる声。 「…ずるい」 そういう問題だろうか。 髪を梳かれるのが気持ちいいのか、冥はうっとりと目を閉じる。 「あのね」 「む?」 「ずっと、初めては怜侍だったらいいなって思ってたわ」 動かしていた手を止めて、御剣は冥の頭を自分に押し付けるように抱いた。 「ほんとは」 冥が子猫のように、擦り寄ってくる。 「ずっと、怜侍がいいのだけど…」 胸がきゅんと音を立てる、とは、こういうことをいうのだと御剣は思った。 「……まだ痛むか?」 「…ん」 「その、なんというか…、すまない」 冥が顔を上げた。 息が掛かるほどの距離でその顔を見つめると、かわいそうではあるが欲望が沸き起こる。 「あの、でもね、痛かったけど、なんていうか、ちょっと、変な…、そういう感じ」 言って、また顔を伏せる。 「だから、きっと、あの。次はだいじょうぶだと、思うの」 御剣は冥の息がつまるほど、強く抱きしめた。 昨日、自分が「また次」と言って冥をすねさせたことを思い出す。 もどかしい、どうしていいかわからないほど愛しい。 まだ痛いと言っているのに、このままもう一度抱きたくなった。 いつかわからない、また次、など待てるだろうか。 くしゅ、と冥が小さくくしゃみをした。 汗が冷えて風邪を引くかもしれない。 シャワーを使って、なにか食べさせたほうがいい。 御剣は、冥を抱きかかえたまま体を起こした。 冥が、キスをねだった。 数日前に、チョコレートをもらっただけであれほど嬉しかったのが、遠い記憶のようだった。 御剣は今、腕の中に比較にならないほど欲しかったものを抱いているのだった。
https://w.atwiki.jp/nonnbirimattya/pages/18.html
①雪だるま 見たとおりの雪だるまです。かわいいですよね。家には電動糸鋸があるので、母親が作ってくれました♪ ②ガチョウさん これも母親が作ってくれました。本当は首に水色のスカーフがくっついてたんですけど取れちゃいました・・・(泣き) ③犬マグカップ 引っくり返すと犬に返信するマグカップです。ののほほ~んとした表情がお気に入りです♪
https://w.atwiki.jp/nouryoku/pages/563.html
錆宮一族の四女、鋸使い。【丸鋸】【糸鋸】など、様々な鋸を作り出すことが出来る。 別大陸(詳しくは分かっていない)から錆宮 鎖が連れて来た少女で、もともと血縁関係の無い錆宮一族の中でも、唯一人種が違う。 どうやら言葉を教わる相手を間違えたらしく、片言の上に言葉遣いがおかしい。 そのせいかは分からないが、考えてることが分かりにくく、唯一分かっているのが錆宮 鎖に懐いており、一緒にいることが多いということだけである。
https://w.atwiki.jp/pakemon/pages/358.html
独房からの脱出 ◆独房 装備が無い状態で独房からスタートします。 鏡を調べて「糸鋸」を入手しよう。 格子を調べてLRボタンを交互に押し、ロックを解除しよう。 解除したら左の方へ進もう。(突き当たりの扉に入るとレーションがあります。) あとは敵に見つからないように注意しながら先へ進み、警戒レベルが警戒フェイズ(緑)の状態で独房を抜け出そう。 (途中の扉に入ると装置があり、牢を開放したり拷問の電圧を下げたりできます。) 【ミッションリザルト】
https://w.atwiki.jp/rubberbandgun/pages/155.html
プロクソン製の小型電動糸鋸盤。3種類あり、それぞれの特徴は以下のとおり。 No.28086 最安価。刃のスピード:2,700回/分(固定)、刃の上下ストローク:6mm、切断可能厚さ6mm No.28089 刃のスピード:600~2,000回/分(無段電子コントロール付可変)、刃の上下ストローク:9mm、切断可能厚さ9mm No.28082 刃のスピード:500~1,700回/分(無段電子コントロール付可変)、刃の上下ストローク:12mm、切断可能厚さ9mm 平行ガイド、角度ガイドの取り付けは不可