約 1,837,678 件
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/372.html
Alchimie , The Other Me ◆XrXin1oFz6 ―――ノイ・レジセイアには、目的がある。 当然のことだ。 何か目的がなければ、ノイ・レジセイアもこんなことはしない。 彼の心は一度も揺れていない。ただ愚直なまでに目的に邁進し続けている。 だが彼の行動、彼の言葉。その全てに一貫性を感じることはできるだろうか? ――なぜか、アインストを外れた人間に近いアルフィミィを作り出し、 ―――なぜか、最初から参加者に加わらずキョウスケに憑依と言う手段をとり、 ――――なぜか、アルフィミィにろくな指示を伝えず、 ―――――なぜか、用意されたネビーイームと融合を拒否し、 ――――――なぜか、インベーダーの排撃を命じながらも空間の穴を補修しない。 どれもが同一の意思の元に動いているようには見えない。矛盾すらはらんでいるようにも見える。 以前と同じアインストに近しいアルフィミィを作り出したほうが連絡などは楽に取れる。 参加するのなら、最初から憑依した駒を用意しておけばよかった。 儀式を成功させたいならアルフィミィとは密に連絡を出すほうがいい。 強い体が欲しいならネビーイームは最高の素材だ。 インベーダーが邪魔なら空間の穴ごとシャットアウトするのがベストだ。 もっといい方法がいくらでもあったにも関わらず、 何故このような行動をノイ・レジセイアは取らなければならなかったか。 殺し合いは最終局面を迎えようとしている。 そしてノイ・レジセイアもここに至り盤上に登る時がきた。 幻覚を見せ、思念を送るだけでその本体を見せることのなかったノイ・レジセイア。 それが今、覚醒を迎えていた。 ――まだ……遠い……―― 遥か昔にあった銀河での戦い。 その時より失った力と肉体は、いまだノイ・レジセイアに帰還を果たしていない。 失ったまま動けずにいた膨大な時間は、彼の体に化石化を起こさせ、身体の自由をさらに奪った。 ネビーイーム内にその肉体は安置されたまま、身動きすら出来ずにいる。 それでもなお、力を失わなかった胸の中心の赤い球体に、罅が入る。 内側から砕けるがごとく広がる亀裂に、ノイ・レジセイアは苛まれ苦しむ。 ――何故だ……何故―― 儀式を繰り返すことなどできない。 これ一界/回で成功させねばならない状況だというのに、理想に至る方法の一本はとん挫した。 ついに明かされる、彼の望みはたった一つ。自分が完全な生命に生まれ変わり、その上でかつての力を取り戻すことだ。 かつての力を取り戻すだけでは駄目だ。それでは宇宙を新生することはできても、完全にすることはできない。 今のノイ・レジセイアでは完全なる世界を生み出せなかったのは、MUの内側を垣間見た時から理解した。 白き魔星の眼下に広がる、茶褐色から白の中間色を幾層にも重ねたような柄をしたもう一つの球体。 東京ジュピターに似た『箱庭』は、かつて彼がラーゼフォンに撃破されたMUの力のかけらを手にした結果生まれたものだ。 ラーゼフォンもその時回収したものだ。ラーゼフォンの行動が空間に大きな影響を与えたのも当然だろう。 MUとは、 平行宇宙という概念の外側にいる存在。 何万もの平行宇宙を覆い、それらの宇宙をレンズ状の隔離空間に歪める。 そうやって時間軸そのものを捻じ曲げ、各々の宇宙にループ現象を引き起こした。 ラーゼフォンのいる平行宇宙を自身の中に閉じ込める、そのためだけに。 無限に連なるはずの平行世界の一部を覆うことで平行世界を平行で無くしたのだ。 結果、生まれたのが東京ジュピターとも呼ばれる空間。 ノイ・レジセイアはこれを応用して会場を作りあげた。 願いをかなえるという言葉も、この力から出たものだ。 つまりは、願いが全て叶った並行世界を探し出し放り込んでやる。 それが彼の言った願いを叶えるという言葉の真実だった。 事実、ノイ・レジセイアは優勝者の願いを叶えるつもりだった。どんな願いでもかまわない。 彼からすれば完全な宇宙さえできれば人間一人の未来や世界などはあまり興味ないのだ。 人間とは、複数集まりお互いを補い合った時、より完全な生命すら超越するさらに完全な存在になりうる。 それを彼は銀河の戦いを経て、並行世界を見た結果理解した。 だから、最後に残った一人きりは観測する必要もない。 だが、ノイ・レジセイアとMUでは根本的に違いが一点あった。 欠片は小さく、並行世界をゆがめ、時間軸を束ねることはできても、ループを繰り返させるだけの力がなかった。 言い換えるなら彼の力では歪んだ世界から並行世界の住人を呼べても、それを繰り返せない。 故に、この『儀式』もこれ一回。 MUの力の一部を得てからは、探求の旅だった。 人間とは何か。人間が完全になる状態は何か。そして自分が完全になるためには何が足りないか。 彼はその力を使い数多の世界を思念だけになりながらも見続けた。 戦争も、平和も、時に人の中に混ざりながら渡り歩いた。 人間は一人一人が違いすぎる。同じ人間という種なのに個々の違いが甚だしい。 種族全体を統一する意識もなければ、共通の意識野も持たない。 だが、それがいい。それが結果として完全へ繋がっている。 かつては宇宙を乱すと人間は排除すべきと思っていたが、今の彼はそれほど人間が嫌いではない。 選定のため、必要なので殺すだけだ。 そうして旅した結論――人間とは極限に追い込まれた時こそ真実が見える。 それが良いほうに転ぶとは限らない。むしろ、悪意が噴き出すことも多かった。 だが、それも含め人間。問題はその中でどれが完全に必要か、だ。 そのために、意図的に不純物の混ざらない『箱庭』に極限状態を生み出し人間を放り込んだ。 これこそが今回の儀式、『バトルロワイアル』の全貌である。 ――なぜか、アインストを外れた人間に近いアルフィミィを作り出し、 今回生まれたアルフィミィこそ、まさに彼の試行錯誤の象徴だ。 彼は、自分が世界を見た段階で、完全に至る人間が作れるのではないかと自惚れた。 そのさい制作された人間が、今回のアルフィミィ。 アインストから遠い――そして人間に近い。明確に理由があってそうなったのだ。 彼の行動に無駄はない。 ―――なぜか、最初から参加者に加わらずキョウスケに憑依と言う手段をとり、 最初から手を加えるのでは以前と同じ結果だ。だから、4割を切るまで彼は手を出さず傍観した。 そしてそこで残った人間を見比べ、完全に近いものを選定した。 あの段階では、キョウスケが最適だったのだ。憑依するのに都合のいい状態になったのも忘れてはならない。 そして、キョウスケをベースに完全に足らないものを補充して完全になろうとした。 アムロの力を吸収し、ニュータイプ能力を手に入れたのもそのためだ。 彼の行動に無駄はない。 ―――――なぜか、用意されたネビーイームと融合を拒否し、 ネビーイームでは単純な力を増大させるだけだ。 自分という存在の本質が変わらない以上、何の意味もない。 むしろ、余計な不純物を混入させてしまうという意味では害悪ですらある。 だから頑なにネビーイームを彼は拒否したのだ。 彼の行動に無駄はない。 ――――――なぜか、インベーダーの排撃を命じながらも空間の穴を補修しない。 インベーダーは自分と同じ閉鎖空間の異物だ。 自分のように一参加者としてならまだしも、全体の影響が大きすぎる。 しかし、迂闊に次元の穴は修復できない。ただでさえ彼自身の力は限界でループを作ることすら難しいのだ。 アルフィミィが作業に当たるとは言っても使われる力は彼のもの。 これ以上擦り減らせば最後までもたない恐れがあった。だから隠ぺいだけにした。 己の眷属――クノッヘン、ゲミュート、グリードを生み出すことすら満足にできない。 できるのなら、禁止エリアに出てきた瞬間、インベーダーを超える眷属を送り影響を遮断できた。 彼の行動に無駄はない。 だというのに――失敗した。 手を尽くし、考えられるだけの知恵をめぐらせやってきた。 自分に落ち度はない。それでも失敗するのか。 その考えをノイ・レジセイアは即座に否定する。 これは自分が完全でないがために招いた出来事だ。完全であればこのようなことは起こらない。 自分が不完全であったため、シャギア・フロストやカミーユ・ビダンの進化――つまり完全への跳躍を把握できなかった。 それが結果としてこういう結末を招いた。 ――おお……おおおおお……―― 失敗の結果は、己が身に跳ね返る。 完全へ至る進化のため、力の多くや意識を割り振り、同調した結果が自分の身へと跳ね返りつつある。 今の彼の体は急速に滅びに向かっている。おそらく、あと残りの命は数十分だろう。 彼の意識が、苦しみながらも一人の名を呼ぶ。 自分が生み出した眷属でありながら、アインストではない一人の少女の名を。 アルフィミィ、とひたすらに呼び続ける。 手足のように扱える眷属へ、思念の触手を世界全てに伸ばし叫ぶ。 白い魔星が振動する。 その振動に合わせ、あるものが空間を超えてノイ・レジセイアの前に現出する。 それは、ほとんどノイ・レジセイアと同じ状況だった。 化石化し動くことは叶わず、人に近い体系のため存在する長い手足を子供のように丸めた赤と白のそれ。 レジセイアは、それの名をもう一度呼ぶ。 ――アルフィ……ミィ……―― かつては、己が手足としか考えず名前など識別していなかった。 しかし自分にあろうことか造反し、人間の味方をした唯一のアインスト。 人間へ探求、その最初期で生まれた命。 彼女は、銀河の決戦の最中、アインストを裏切り、『自我』と言うべきものを持ち彼に反逆した。 その当時、彼はその行動が不純であると考えながらも、その不可思議な行動からあえて殺さなかった。 その後の旅の中、彼女の行動を思い出し、それこそが完全に至る鍵だと彼は気付いた。 ある意味、彼女の反逆がなければノイ・レジセイアはここまで人間を考察しなかっただろう。 つまり、ある種の始まりとも言える少女。それが、この『古い』アルフィミィだった。 彼女がいなければ、ノイ・レジセイアは不毛な砂漠の中から砂金を取り出すような真実の旅を始めなかった。 そもそも、『新しい』アルフィミィも、アルフィミィである―― つまりアルフィミィをアルフィミィであるとたらしめる因子を持っているからこそあの姿をしているが、 その因子も突然何もないところから生まれるわけではない。 大元のエクセレン・ブロウニングの因子を使い生まれた最初の『古い』アルフィミィ。 そしてその一番目の『古い』アルフィミィを使い、作られた二番目の『新しい』アルフィミィ。 『二番目』を正確に作れる以上、『一番目』が正確な詳細記録を取れる状況にあるのは当然。 つまり、消えておらずノイ・レジセイアの側にあったのだ。 『お久しぶり……ですの……』 化石化し、くすみ、光を失ったペルゼイン・リヒカイトから思念が聞こえてくる。 『古い』アルフィミィの思念は、確かに笑っていた。ノイ・レジセイアの様子をあざけ笑うのではなく、純粋に子供らしい笑みで。 世間話でもするように、ノイ・レジセイアに『古い』アルフィミィは話かけてきた。 『その様子だと……やっぱり失敗したんですの?』 ――確かに……間違いがあった……まだ……完全でない……故に……だが……何故……―― 『まだ、分からないんですの?』 やれやれとため息をつく様子がノイ・レジセイアに伝わってくる。 ――何故……失敗する……それが……何故……分かる……―― 『簡単ですの。借り物で全部済ませるなんてせこいことしてるからですの』 ――借り……物……?―― 彼は人間ではない。故に、人間の力を手にすることはできない。 それに、人間は完全のかけらと言えど、不完全な部分も多い。必要なのは完全な部分だけだ。 人間より総合的には完全に近い彼に、人間の垣間見せる完全を張り合わせ、不完全を埋める。 ピースの欠けたパズルに、必要な分のビースをさがし残った部分にあてはめるようなもの。 全体としての『ノイ・レジセイア』という絵は変わらない。 この方法に間違いはないはず。なのに、何故目の前のこれは自分を否定する。 『本当に分かってないのですの? 鈍いにもほどがありますの』 今の『古い』アルフィミィはアインストから外れた存在。ノイ・レジセイアに対しての敬意などまるでない。 まるで友人に話しかけるような気軽さで、ノイ・レジセイアに声をかける。 『もうちょっと、みんなで一緒になってみるですの。 みんなが頑張るところを、独りで見ててどうするですの? それを知らないで、どうにかできるはずがないですの』 彼は人間ではない。故に、人間の輪に入ることなどできるはずもない。 故に、その輪を外部から観察し、内情などを客観的には理解できても、主観としては分からない。 それは、仕方がないことだ。それが、失敗だというのか。 ――何故……何故だ……―― 『なんでもすぐいるいらないで考えて、いらない部分は見ないあなたじゃ一生わかりませんの。 そんなあなたより、よっぽどあのわたしのほうがきっと分かってるんじゃないですの?』 ――あの……アルフィミィは……失敗……―― 確かに肉体的には人間に近しい。が、完全のかけらである精神面の発露はこの初代に遥かに劣る。 あまりにも機械的で、思念波の影響は薄くても盲目的に自分に従い動いている。 より人間に近い肉体に、人間に近い心が宿る――それは間違いだった。 だからこそ、人間でないにもかかわらずに人間に近い心を持つ存在を儀式に招いた。 それが、ノイ・レジセイアのはじき出した結論。 『そうは思わず、試しに見てみるですの。女子一日あわざれば克目してみよ、ですの』 ――…………―― ノイ・レジセイアはその言葉を疑いながらも『新しい』アルフィミィへ思念を潜り込ませる。 ―――「どうしましたの?」 返ってきた思念、状態、表情をノイ・レジセイアは見る。 今、あの『新しい』アルフィミィが浮かべている表情は、不安。そして焦り。 その表情に、ノイ・レジセイアは驚きを感じた。もしも彼が人間ならば、大きく静かにうなずいていたかもしれない。 手を尽くしたが所詮人間でない。精神的にはアインストの遠い亜種に過ぎないはずの、『新しい』アルフィミィが感情をあらわにしている。 こういった感情は昨日まで『新しい』アルフィミィではほとんど見られなかった。 これは、『新しい』アルフィミィがグラキエースなどと同じく肉体だけでなく精神的にも人間に近付いていることを示している。 アインストも、人間に――完全の欠片に近付けるという証明に他ならない。 昨日までは、このような感情や表情を表すことはなかった。初代より無機質な印象だった。 だというのに……超濃密とはいえ一日、人間の行いから発生する感情を受け止めるだけでここまで変わるのか。 レジセイアも、『新しい』アルフィミィが受信した情報で、『完全に至る』に必要と思われる部分だけは取り寄せていた。 だが、その全てを受け止めるだけでこれほど感情豊かに人形が、人間に近づくのか。 アインストでしかないヒトモドキが人間へ。不完全な自分が完全に至るのも、よく似ている。 彼の行い、研究の一種が正しかったという一種の発露だ。 自分の活動が間違っていなかったという証明物は、彼にはまぶしかった。 おそらく、ここまで自分から遠く離れた存在である『新しい』アルフィミィなら、自分が消滅しても連鎖的に滅びることはない。 自分の思念波を受けにくく、種として離れればそういう現象はおそらく起こらない。 ノイ・レジセイアは心底惜しいと思った。 できるなら、この『儀式』の観測と、並列して『新しい』アルフィミィの今までの変化とこれからの変化も見たかった。 しかし、それはできない。 彼には、時間がない。 『新しい』アルフィミィが、自分に死ぬなとかそういう趣旨のことを告げていた。 他者を気遣うことができる。そしてその感情が自分に向いている。 本当に、惜しい。 レジセイアの顔が、砕けていく。 化石化した手足はボロボロと欠片となり硬質な金属の床に落ち、煙となって消える。 自重に耐えかねたように落下していく体。 一つだけ、説明していない要素があった。 ――――なぜか、アルフィミィにろくな指示を伝えず、 これの、答え。 『新しい』アルフィミィは、別にいてもいなくてもよかった。 放送など適当に自分がやれば十分だった。首輪の管理などは自分がやればより盤石だろう。 だが、わざわざこの作ったアルフィミィをこの『儀式』に使ったか。 『箱庭』では、多くの人間が死んでいった。 だが、その中でも細部に分かるまでその感情の機微をアルフィミィが認識でき、彼女の変化を流した者がいた。 その者の名は、グラキエース。元ではあるが破滅の王ペルフェクティオに仕えていた女性だ。 ――破滅の王ペルフェクティオ、彼が姿を現す前触れというのならまだ分かる。 ――用意された小さな空間に呼び寄せ、崩壊していく空間ごと彼の者を取り込むことによってツンクーフトへの階段を登る。 思い出してほしい。これは、かつて『新しい』アルフィミィがデータウェポンの流出したさい、考えたことだ。 だが、よく考えてもらおう、 宇宙の創造を司る存在であるノイ・レジセイアと、宇宙の無差別な破壊者であるペルフェクティオが相容れるか。 答えは絶対にノー。水と油よりも差がある両者は、決して入り混じることはない。 両者の力を混ぜるには、緩衝材がいる。そのために、いやその目的のためにも『新しい』アルフィミィは必要だった。 アルフィミィは、人間を目指して作られたが、 同時にアインストから切り離し人間に近付けるかを実験するにあたり、 さまざまな因子を埋め込まれていた。 例えば、それはメリオルエッセ。あるいはゲッター線被爆者。 研究して学んだ人間と言うものに加えてそういった要素を既存のアインストに混ぜたからこそ、 今の『新しい』アルフィミィは逆に人間に近い。 もうはっきり言ってしまおう。『新しい』アルフィミィはスペアだ。 別に、いてもいなくてもいい存在。むしろ、もしものことを考えれば下手に戦場などに出てほしくない。 だから、あえて行動しないように極力放置していた。 もしもペルフェクティオの力が流入すれば、アルフィミィにその力を注入し、 もしもゲッター線で進化が起これば、アルフィミィにそれをあびせ、 もしもノイ・レジセイアが死に瀕すれば、その力をアルフィミィの体に移し、 ノイ・レジセイアはアルフィミィの体を乗っ取ることでそれを手にする。 もしもの時の、自分のもう一つの肉体。ある意味使い捨て。知らなかったのは当のアルフィミィだけだ。 だが、この『新しい』アルフィミィを今スペアに使っていいのか。 せっかく動き出したこれを捨てるのは、あまりにも惜しい。 芸術家が、自分の生み出した傑作を壊すのをよしとしないように。 親が、子が死ぬのを許容しないように。 ノイ・レジセイアは気付かなくても、彼の心にはそれに近い感情が生まれていた。 ――このまま……朽ちようと……思念だけとなろうと……まだ……再び……―― MUの欠片に残った最後の力を振り絞ってでも、 並行世界群の中の、アインストの支配を受けない上位アインストに宿り、再びやり直してみせる。 ここまでは、成功した。次は、必ず完全に至る。そのためなら、今回の儀式も十分に価値があった。 MUのかけらを再び回収し、この『最初の』アルフィミィさえ確保し続けることができれば、 ここで肉体が滅び、ほぼすべてを失っても――― ―――いや。 その時、ノイ・レジセイアに別の考えが頭によぎった。 『新しい』アルフィミィは、今や『古い』アルフィミィに匹敵する成長を見せている。 しかも、自分に対して非常に従順な状態で。 記録をほぼすべて回収した『古い』アルフィミィは基礎。しかし、今それの上位種が―― 『どうせ、また繰り返すつもりですの? それじゃ何度やっても同じですの』 ――……我は……消えず―― 崩れていく体の奥、最後まで化石化しなかった僅かな部分が触腕となって伸びる。 ゆっくりと、深くペルゼイン・リヒカイトに接続されたそれが、一度だけ震えた。 『ノイ・レジセイア。わたしと一つになりたい?ですの』 ――そう……だ……仮に……アインストに外れ……人に寄るとも……今は……――― 『こうしなければ、わたしは消える。あなたは同じ失敗を繰り返す。何の意味もありませんの』 アルフィミィから流れ込んでくるのは、拒否の思念ではなかった。 ノイ・レジセイアはアルフィミィの感情が理解できない。アルフィミィは、独立した自我を持っている。 生命はよほどの孤独がない限り、精神の完全な同調はできないし、拒否する傾向にある。 まして、強い意識と自我を持っているアルフィミィならなおさらだ。 ――都合が……いい……だが……何故……理解不能……お前が消えることに……変わりは―― 『昔のあなたなら、即座にスペアのあのわたしを使ったはずですの。けど、それをしなかった。 あなたも、きっと分かり始めてるですの。全部、見えないけれど変わってますの』 ――何を……言っている……? 理解不能……何故……?―― 『部の悪い賭けは嫌いじゃない、ですの。今なら、そこまで分が悪いとも……ま、人間になればわかりますの』 ノイ・レジセイアは少し考えた後、吸収を実行する。 今のアルフィミィの進化と、会場の観測のやり残し。もしも別世界に転生した際のデメリット。 これらを考えれば、受ける以外の選択肢はない。 悪影響を『古い』アルフィミィが『新しい』アルフィミィに与えぬように、 『古い』アルフィミィに関して、『新しい』アルフィミィには一切の情報を与えてない。 一人目がいるということをおぼろげに知っているだけだ。 今のこちらの状況を察し、『新しい』アルフィミィはこちらに向かっている。 『新しい』アルフィミィが『古い』アルフィミィに気付く前に、済ませてしまわなければならない。 そこで温かい笑みをアルフィミィは浮かべた。 子供でありながら、その笑顔は幼い子供の手を引く母親の温かさがあった。 何故とノイ・レジセイアが問い返す暇もなかった。消えていくアルフィミィの意識。 それとともに、ノイ・レジセイアに流れ込むのはアルフィミィの記憶、思念。 遥か彼方過去の戦いの記憶が、次々ノイ・レジセイアにも浮かび、消えていく。 しかし、いくら探しても何故アルフィミィがこんな決断をしたのかは見えてこなかった。 ノイ・レジセイアの赤い核が光となる。 それに伴い、胎動する赤い光が触手からアルフィミィに流れ込んでいく。 それが、『アルフィミィ』の最期の言葉になった。 周囲に、赤い光が漏れる。そして――――――――――― 自分を認識することから、全ては始まる。 陶磁器のような白く透き通った腕。一切無駄な肉のついてない肉体。 猫のようにぱっちりと開いており、少しツリ目だが大きなアイスブルーの瞳。 人間とは思えないほど整っており、それでいてどこか幼い顔立ち。 ほとんど凹凸のない素晴らしい体型だが、臀部や胸部は性別を示す小さく柔らかいふくらみがあった。 足もとに映っている自分の顔を隠す、床まで届く蒼いストレートヘアを足でどける。 あまりに邪魔な量の髪に、すこし考えた後、手に光の輪を作り、髪を後ろに束ねた。 馬の尾のように垂れる形に髪がまとまり、邪魔にならなくなる。 光沢ある金属の床に映る自分の新しい顔を、『彼女』は凝視し、小さく驚きを顔に浮かべた。 グラキエースをそのまま小さくし、エクセレン・ブロウニングの髪型を合わせたような、その姿。 『彼女』の名はノイ・レジセイア。 もっとも、アインストに生別と言う概念はない以上、憑依した対象の生別に依存して決定しているだけだが。 「これが……表情か……」 キョウスケの体のときは、鏡など見ることがなかった。 故に、自分に表情があったことなど認識することがなかった。 彼女は、あちらのアルフィミィにも観測後、色々な因子を埋め込み、『あの』アルフィミィを作るテストをしていた。 今の彼女の姿は、その中でもグラキエースの因子が表層化した結果だろう。 ネビーイームが再度振動する。 ノイ・レジセイアが安置されていた場所の側の地面を割り、中から巨体がせり上がる。 それは、二つの顔を持つ暴走したガンダム。デビルガンダムだった。 その胸部の装甲が開き、中から小柄な少女が現れた。 「アルフィミィ……」 個体を識別し、既存のアインストとは違うことを認識。 故に名前が必要。故に名前を呼ぶ。当然の出来事。 しかし、 「はいですの……! ……え? 今、私の名前を……」 今のアルフィミィの行動からふと思い出す。 このアルフィミィの名前を、自分が呼んだことがなかったことに。 アルフィミィは姿形が変わっても、自分がノイ・レジセイアであることは理解しているようだ。 当然と言えば当然だろう。質は多少変化しても、力は何も変わっていないのだから。 個体を識別され、そのことに喜びを見出す。アインストには分からない概念だった。 「アルフィミィ……新しい……機の……器を……」 力が足りない。 『過去の』アルフィミィに力を降魔した結果、思念などはともかく肉体による戦闘能力は大幅に低下している。 必要なのは、鋼鉄の孤狼にも匹敵する機体だ。ちょうど、集めた中に見せしめのため渡していない機体があるはず。 名は――ダイゼンガーと言ったか。 思念に変え、そのむねをアルフィミィに送る。 しかし、アルフィミィは答えを返さず、コクピットの外でおろおろするばかりだった。 視線をせわしなく動かしている。完全な群体アインストとして生きてきたノイ・レジセイアには理解できない行動だ。 「ええと……その……」 「ダイゼンガーは………?」 「ちょっと……いろいろあって……その……ちょっと今はないですの」 指先を合わせていじりながらうつむき加減でアルフィミィは答えた。 ノイ・レジセイアは首を横にかしげた。 一つ補足すると本人は横にかしげたつもりもない。というか感情が自分の表情や行動にでることすら理解してない。 アルフィミィが、ぽつぽつと話しはじめる。 次元の狭間に飛び込んだガウルンに、首輪を爆破するのも問題なので、 機体を与えあのインベーダーを駆逐する約束を結んだことを。 そのせいで、ダイゼンガーがないことを。 「そういうわけで……ないんですの」 アルフィミィの表情を観察する。 これが、罪の意識とその緩和の方法か。 失敗したことを他者へ恥ずかしいと思うのも、人間の特徴だろう。 「……仕方ない……問題……なし……」 この行動が、アルフィミィの精神面で新しい影響を与えたというのなら、けして悪いものではないだろう。 運よく、今の自分には機体の代わりになるものが用意されている。 ノイ・レジセイアが意識を集中させる。 送り先は、自分のそばにある、赤いかつてアインストだったモノ。 ドクン―― ノイ・レジセイアが意識を送ると、それは再び力を手に入れ、脈動し始めた。 ドクン―― 二つの仮面が体から剥がれ、宙に浮く。 ドクン―― 仮面と骨を組み合わせた四肢が澄んだ光を放つ。 ドクン―― その場に残った抜けがら――ペルゼイン・リヒカイトが立ち上がる。 「強化を」 「え、あ、はいですの!」 アルフィミィが手を振ると、アルトアイゼンをかつて呑み込んだように、 ペルゼイン・リヒカイトが底無し沼のような“闇”に呑み込まれていく。 この出来事から分かるように、ネビーイームはほぼ全域デビルガンダム細胞にむしばまれており、その管理下にある。 あの時アルトを飲み込みDG細胞を施したのは、これなのだ。 数秒後、DG細胞で強化されたペルゼイン・リヒカイトが吐き出された。 その蒼白な色をしたペルゼイン・リヒカイトを確認し、ノイ・レジセイアは頷いた。 これなら、そうそう負けることはない。 レジセイアが蒼い球体になったと思うと、ペルゼイン・リヒカイトの胸にある球体と融合する。 これで、乗換は完了だ。 乗り心地や性能にひとまず満足をノイ・レジセイアは覚える。 そして、ペルゼイン・リヒカイトの腕を振る。バチバチと火花がはじけ、空間に広がっていく。 「干渉……不能……?」 あの世界に、自分が倒れた結果溢れた力をこちらに移そうとする。 しかし、原因不明の何かが、あの空間に作用し、自分の思念を跳ね返している。 彼女の脳裏に投影されるのは、いまだあの世界で戦う12人の人間の姿だった。 誰もが、思い思いに願い、戦い、もがいている。 そうやって消えて行った人間たちの思念が、ノイ・レジセイアの干渉をいまや封じているのか。 だが、なら別の方向を考えよう。 空間に力が満ちていることを、別の何かに使えばいい。 この力を利用して環境をインベーダーだけが朽ちるように設定すればインベーダーを駆逐できるかもしれない。 どうしようかと考えた後、彼女はそれを実行した。インベーダーが実験の妨げになるのもある。 自分の意思を跳ね返すまで様々な人々の想いが、あそこに充満している。 ここまでくれば決着は参加者だけで付けさせるべきだと思うところがあった。 インベーダーの駆除は、そのささやかな手伝いだ。 ――そうでなければ、報われない。 それは、彼女自身も認識できない意識の外にあるものだった。 だが、なんとなくノイ・レジセイアはそう思ったのだ。 ノイ・レジセイアは、アルフィミィに今後会場への干渉は一切しないことを告げる。 アルフィミィも、相変わらず妙にカチコチな敬礼とともに返事を返した。 そう言えば、最期まで説明できなかった彼女の行動が一つだけあるが、これはそのせいだろうか。 「究極ゥゥッ……!ゲシュペンストォッ! キィィィィィィィィィィィックッ!!」とお約束を叫んだ理由だ。 人間の行動を真似る理由はどこにもないし、お約束に従う意味も薄い。それでも彼女は何となくやってみた。 もしかしたら歪んではいれど、彼女は彼女自身が思うよりも人間が好きだし、興味があるのかもしれない。 【ノイ・レジセイア 搭乗機体:ペルゼイン・リヒカイト(バンプレストオリジナル) パイロット状況:良好 機体状況:良好 DG細胞感染中 現在位置:ネビーイーム 第一行動方針:バトルロワイアルの進行。そのためなら殺しも辞さないが、意味もなく殺すつもりもない。 第二行動方針:アルフィミィの観察。 最終行動方針:バトルロワイアルの完遂。優勝者の願いはどんなものでもいくらでも叶える】 【アルフィミィ 搭乗機体:デビルガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状況:良好 機体状況:良好 現在位置:ネビーイーム 第一行動方針:バトルロワイアルの進行 最終行動方針:バトルロワイアルの完遂】 【二日目20 30】 あなたの渇きを癒せない。 真実を欲するあなたがそれを認めないから。 あなたの渇きを癒せない。 あなたの期待する真実が存在しないから。 それでもあなたの渇きを癒したい。 あなたを砂漠に放り出したのは私なのだから。 ――■ルフ■ミィ BACK NEXT moving go on(1) 投下順 竜が如く moving go on(1) 時系列順 竜が如く BACK 登場キャラ NEXT すべて、撃ち貫くのみ(2) ノイ・レジセイア 彼方よりの帰還 第三回放送 アルフィミィ 竜が如く
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/381.html
彼方よりの帰還 ◆7vhi1CrLM6 揺蕩う意識の中で、誰かの声を聴いた。 一人じゃない。二人でもない。もっと多くの人間の声を。 『待て! こちらは君の敵ではない!! 攻撃をやめr』 『助けて、兄さん』 『たすけ……とう、や……』 助けも伝わらず懇願すら適わなかった絶望。 『これが『ガンダム・ザ・ガンダム』と言うものかあぁぁぁぁっ!!?』 『楽し……かった……ぜ。じゃあな……と……や』 充分に戦い、散っていった者の充足。 『おっ、俺がこんなところで……! エイジっ、エイジいいいいいいいい!!』 『ああ、嫌だ嫌だ。嫌だなぁ』 『……ば、馬鹿な……この私が……全能なる調停者たる……このユーゼス・ゴッツォが……!』 志半ばで散った無念。 『これからも末永く、お付き合い願いま――』 『あなたとの話し合いをの――』 『やっぱり、アキトだ』 『駄目ッ!』 最期まで自分の身に降りかかった災いに気づかなかった迂闊さ。 『私の命も背負っていけ、アイビス……』 『私もろともメディウスを葬り去れ!』 『醜き者よ、今は驕っているが良い。だが、醜き者は滅ぶべき定めにある』 『カミーユ! ここを撃て! 撃ち貫け!』 自らの命を糧に、後の世に繋げた希望。 『朝比奈を護るんだぁぁぁぁあああ!!』 『ラキ…』 『ロラン……もう一度会いたかったな』 心の底から願いながらも、一目会うことすら叶わなかった悲哀。 『テニア、あなたは生きのびて――』 『ニコル……ラクス……す…ない……キ…ラ…』 『テニア! 無事だったのか!』 『ごめんな、アル……クリス。俺はもう、帰れない』 その他思い思いの言葉を語る声が、善いものも、悪いものもなく流れ込んでくる。 その声は、その想いは混ざらない。 混ざらないくせに否応なしに中に入ってきて、結びつき、切っても切り離せない自分となる。 どこまでが自分で、どこまでが他人なのか、その境界線が曖昧なっていく。 基地に引き返そうとするのを止められて憤り、キラと模擬戦を繰り広げたのは自分だ。 その身と引き換えにサイバスターをブンドルから受け継いだのも、紛れもない自分だ。 だが、ギンガナムからアイビスを逃がしたのは? 妹とも思える存在にくびり殺されたのは? 何をしてでも、懐かしいあの場所へ帰りたいと願った心は? 最愛の人を眼前で失った悲しみは? 最期まで人を疑うことなく信じきった気持ちは? 満足行く戦いに覚えた高揚感は? その他数多浮かんでは消えていくことなく残っていくこの感情は、本当に自分のものなのか? 分からない。 自分のものがわからない。それは、自分を見失っていくことと同義。 自分が誰で、誰が他人で。他人が自分で、自分が他人。 崩れていく。十数年の人生全てをかけて培ってきた自分と言うものの輪郭線が、他人を詰め込まれて崩れていく。 その先にあるのは、自分でも他人でもない誰かなのか。それとも誰にもなれず崩壊した意識なのか。 ゾッとしたものを感じた少年は、思わず絶叫した。そして、逃げ出すように少年の意識は浮上する。 ◇ 目が覚めればそこは、サイバスターのコックピットだった。 誰もいない。何もいない。 当たり前のコックピットに、当たり前の自分が、当たり前のようにここにいる。 十数年間、自分のものとして扱ってきた体に、紛れもない自分がいる。 その当然のことを確認して、少年は汗を拭った。 「気絶……していたのか」 少年の覚醒に合わせるように機能を回復していくサイバスター。 「ここは……?」 光を取り戻したモニターには次々と周囲の様子が映し出されていく。 だがその光景は、一変していた。 木がない。水がない。土がない。アスファルトの道路も、ビルもない。 廃墟の街並みはどこかに消えている。 いや、それどころか空も、大地すらも存在しない。 そして周囲を取巻いているのは、生まれてこの方目にするのは愚か、教科書の上ですら見たこともない風景。 最も近いものを一つ挙げるとすれば、それは宇宙空間と言えるだろう。 だが、違う。 赤く明るい宇宙なんてものは、聞いたことすらない。 カミーユの知っている宇宙はもっと暗くて、気を抜くと飲み込まれしまいそうなほど広大な空間だ。 何もかもだ。知っているものが、何一つここには存在しない。 何もかもだ。気を失う前に存在していたものが、何一つ残さずに消えてしまった。 ――何一つ? 「そうだ、みんなは?」 グルリと周囲を見渡す。見えたのは浮遊し漂うスペースデブリの群だけ。 振り返り、背後を確認。そこには木星似通った小さな天体が、崩れながらも膨張を続けていた。 上下に視線を奔らせる。目測で直径40~50km程の白い機械仕掛けの星が、そこにはあった。 流れるデブリ間を飛び交う。意識を集中させながら一つ一つ死角を潰していく。 そして、気づいた。 「こいつら……生きてる」 大小様々な素材すら定かでないデブリ。だが、その一つ一つが小さな気配を放ち生きている。 それは、千々に砕かれたデビルガンダムとAI1の成れの果て。 欠片の一つ一つが、この先幾千、幾万の気の遠くなるほどの歳月を重ね、やがては元の姿を取り戻していく。 しかしそれは、容易なことではない。 弱者が淘汰されるのは、世の常。今は無数にあるこのデブリも、大半は再生を果たせずに消えていく定めにある。 不意にどこかで出くわした強者に敗れる者もあれば、中には共食いの果てに死に絶えるものもあるだろう。 だがそれでもDG細胞の、ラズムナニウムの性質により再生を遂げ生きぬこうとする気配を、カミーユは感じたのだ。 「……似ているんだな」 似ている。 この馬鹿げていると思っていた殺し合いも、弱者が淘汰されていくという自然界の流れと変わらない。 無論、弱い強いというのは単純に力の強弱ではない。 単体で弱い者はより集い自衛の術を手に入れ、知恵を出し合い、協力して強者となる。 それも同じ。 運の良し悪しに左右され、時に弱いものが生き残り、強いものが死に絶える。 それも同じ。 強い力とは様々な要素を詰め込んだ生きる力そのもののことだ。 そう考えれば、ノイ・レジセイアの催したこの宴は、世界の縮図だったのだろうか。 とすれば、今この過酷な運命に晒されながらも生き抜こうとしている欠片たちは、まさに自分たちそのものではないか。 そんなことを思った瞬間、もっとずっと大きな気配を感じて白い魔星を仰ぎ見た。 いた。四つ、いや五つの気配がそこにいる。 一つは気絶でもしているのか動きがない。 二つは共に現在地を確認できていないのか、それぞれに迷走を重ねている。 そしてもう一つは、真っ直ぐに迷うことなく中枢を目指している。 数が合わない。気絶する前のここと違うあそこには、もっとたくさんの人が居たはずだ。 今ここに誰かがいて、誰かが足りない。 それに問題はそれだけではない。それは――中枢に巣くう最後の一つ。 「……こいつは」 全身を悪寒が包み込む。人ではない何かとしか言いようのない気配が、そこにある。 あれに凄く近い。アインストに支配されていたときの中尉の気配に。 でも、もっとずっと強力で、何よりも大きい。そこに誰かが真っ直ぐに向かっている。 「急がないと」 呟きを残し、瞬く間に人型から神鳥へと変形したサイバスターが赤い宇宙を駆け始める。 プラーナを使いすぎているのか、ぐらりと揺れるように重い偏頭痛が続いていた。 頭の中で何人もの声がワンワン響いているような、そんな感覚。 それでもカミーユは駆け抜ける。そして程なく、白い神鳥は同じ色をした魔星に呑み込まれて、見えなくなっていった。 ◆ 星を見ていた。 いや、正確にはそれは星でない。自らが生み出した不完全な世界そのもの。 ただその終焉を眺めていた。 アルフィミィの死亡も、今の彼女にとってはさほど興味を示すものではなかった。 今重要なのは、並列する幾多の平行世界を切り取り、束ねて作り上げたそれ。 修復は不可能。 薄っぺらな紙を必要な分だけ切り取り、張り合わせて球にしたようなものである。 今更元の紙に戻るはずもない。 そして、そこから抜け出した光が五つ。 四つはこのネビーイームに、一つは何の手違いか魔星と箱庭の中間に。 その最後の一つも今、ネビーイームの体内へと飛び込んだ。 それでいいと、ノイ・レジセイアは笑う。 完全なる生命まであと少し。 再び星を仰ぎ見る。 当初続いていた急激な膨張は、既にゆったりとしたものに変わっている。 見通しでは、元の三倍ほどに膨れ上がった時点で収縮に転じることだろう。 修復は不可能。それは変わらない。 では、新生は? ――笑う。 完全なる宇宙の創世まであと僅か。 残るピースは――あと一つ。 ◆ 幾重にも折り重なる巨大なトラス構造。生の骨組みが迷路を形作る外縁部。 そこを走り抜け、何とか見つけ出した搬入口から飛び込んだその先は、緑豊かな、地球となんら変わる事のないひらけた空間だった。 ビルもあれば町もある。その周囲に広がるのはなだらかな丘陵地帯。 規模は違うが、まるでコロニーのようだと思う。 円筒形と球。その違いはあれど、巨大な建造物に地球を模した環境を閉じ込めた空間。 そこに違いはない。 等しく人が宇宙で生きる為に作られた空間である。 「何だってこんなものが……」 そう。人が宇宙で生きるための空間であるからこそ、疑問が生まれる。 アインストと人間。 あの超常の生物が好む環境が、人と完全に一致しているとは思えない。 とすれば、ここは何のための空間なのだろうか。 それはネビーイームが借り物ゆえに存在する空間。人間を飼育するためのプラント。 だが、そんなことを知りうるはずもなく、その空を疾空する。 「見つけた!」 前方に黒い騎士の様な機体が地に伏している。 紫雲統夜とかいう奴が乗っていたはずの機体。動きはない。 死んでいるのか、気を失っているだけなのか。 どちらにせよ。そんな機体を気にかけている暇も余裕も、今はない。 目指す所は丘陵地帯を抜けた先、この魔星の中枢部。そこへ急がなければならない。 構わずに駆け抜けようとした瞬間、赤が目に留まった。 『ドクン』と心臓が跳ね上がる。 赤い機体。その機体を見るのはこれで四機目だ。 ユーゼス・ゴッツォに支給された赤いアルトアイゼン。 テンカワ・アキトが駆っていた蒼いアルトアイゼン。 アインストに支配されてた中尉の巨大なアルトアイゼン。 そして今目の前に存在するものは、巨大なアルトアイゼンの中から発掘された―― 「……アルトアイゼン・リーゼ」 だがそれは、乗り手がおらずにJアークに安置されていたはずの機体。 それが動いている。 ということは、Jアークがどこかにいる? 乗り手は、自分が乗るといって頑として譲らなかったソシエか? とにかく通信を繋げて合流を、と考える頭を直感が妨げる。オープン回線を開いた腕が止まる。 違う。この気配には覚えがある。 この立ち昇るどこか薄暗い気配は――テンカワ・アキト。 何故、生きているのか。 そこに思い至るのよりも、中尉が残した機体に中尉の仇が乗っていることに激情を覚えることのほうが、早かった。 「お前がそれに乗ってちゃいけないんだ!!」 奥歯を噛み締め、吼えたときには既に撃っている。 神鳥が瞬く間に人型へ。同時にオクスタンライフルの針穴を穿つように精密な射撃を二射。 そして、剣を抜き放ち急加速。 着弾した二発のオクスタンライフルが大地を穿ち、土柱を吹き上げる。かわした敵機は起伏の陰へ。 「逃がすものか!!」 間を詰めようと更に加速した矢先、カミーユはアキトの気配を見失った。 なだらかに広がる緑の丘陵地帯。その僅かな起伏の影に隠れたはずの敵機。 何処かへ抜ける時間があったとも思えない。 だが、そこから気配が消えた。それも徐々に遠ざかって消えたのではなく。煙のようにふっと。 困惑する思考。それに拍車をかけるように、あらぬ方向で新たに生じた敵意がカミーユを襲う。 下方から敵意が迫って来る。真っ直ぐに脇目もふらず。 ――間に合うか!? 急制動。慣性を殺しつつの方向転換。迎え撃とうと視界に捉えた色は赤。 五機目。これで五機目だ。 これがアインストの仕業にせよ。テンカワ・アキトの仕業にせよ。ふざけている。 そうやって人をからかって。惑わして。何がしたい。 「そんなことして! お前達は楽しいのかよ!!」 振り向きつつ横薙ぎに払われる剣閃。 振り返り攻撃するのではなく、振り返る動きと攻撃を両立させる行動。 それでなくては間に合わない。だから容易に読まれる。 腰元まで腕を引き、溜め込み、真っ直ぐに突き上げられる瞬間を待つ巨大な杭。 剣閃を潜り抜け、懐に飛び込もうとしているのは明白。 共に百戦錬磨。互いに互いの狙いを読みきり、動きを読みきり、赤と白が交錯する。 そして―― 「騎士凰牙ーーァ! アァァァーークションッッッ!!」 旋風が一つ割り込んだ。 剣閃を斬艦刀で防ぎ、突き上げるステークを左腕のタービンで弾き挙げ、両足を旋回させて二者を弾き飛ばす。 サイバスターとアルトの距離が空き、その中間には騎士凰牙。 だが、弾かれながらもアルトの巨大な両肩のハッチが開こうと動いていた。それがカミーユには見えている。 咄嗟に体が動き、出鼻を挫こうとカロリックミサイルを放とうとしたその瞬間―― 「待て、カミーユ!!」 ロジャーの声がカミーユを押しとどめた。 同時に被弾を覚悟する。だが、開きかけのハッチはそのままの状態で動きを止めていた。 何故と思うカミーユに、ロジャーの声は語りかける。 「ここは私に任せてもらおう。これは私の仕事だ」 「どういうことです? 一人でこいつ相手に時間を潰している場合じゃないでしょ。 二人で早くこいつを倒して、急がないと」 「君は先に行ってアイビスを探せ。ここに飛ばされた際バラけたが、彼女もここに居る。 そして、私はここに残る。放送前の話し合いで決まっていたはずだ。彼の相手は私がすると」 「あなたはまだそんなことを! 無理なんですよ。話し合いで何もかもを解決するなんてことは!! トモロにもいわれたでしょ? 僕達の安全と天秤にかけられるものではないって」 「だからこそ、先の戦いで私は黙っていた。それに無理か可能か。それを決めるのは君ではない。 私は、私自身の意思でここに残る! その選択をしたのは私自身だ! 私自身のために! 今と、そしてこれからを生きるために! 自分という存在を信じたいがために! 私と言う存在が残ることを選んだのだ。ここでその選択肢を選ばない者は、もはやロジャー・スミスではない! 進め、カミーユ。こんなところで時間を潰しているときではない。君には君のやるべきことがある。 私が、私自身の為にここに残ることを選んだように、君が、君自身として生きていくために。それを忘れるな。それを見誤るな」 コックピットハッチを開け放ちながらロジャーが言う。危険だ、と思いつつも釣られてカミーユもコックピットを開放する。 生の視線がかち合い、身を乗り出したロジャーが、頑固な光と共に何かを投げてよこす。 慌てて受け止め、それを見、悟った。 何を言ったって、きっとこの人は聞いちゃくれない。 「無駄……なんですね」 「私は折れない。ならば話すだけ時間の無駄、ということだ。それを持って先へ行け、カミーユ」 投げて寄越されたもの。それは、黒でも白でもない最後の一つ、蒼いギア・コマンダー。 それを見つめ、握りしめ、コックピットシートに座りなおす。 サイバスターを操り、騎士凰牙に背を。 思い出すのは、自分を逃がすために一人残ったブンドルの最期。奥歯を噛み締めぽつりと言葉を漏らす。 「迷わないように………目印……付けておきます」 「すまない。私もすぐに後を追う」 短い返答。それを合図にサイバスターが一陣の風となってその場を吹き抜ける。 目指す先は、白き魔星のその中枢。思考を切り替え、意識して『間に合うか』ただそれだけを考えながら見る間に速度を上げていく。 その背後では、黒い伝説のGEAR騎士凰牙とかつてアインストを葬り去った赤い巨人の対峙が、続いていた。 ◇ 腕が動かない。足が動かない。体が動かない。 それは奇妙な感覚だった。 五感が戻る前の何もない状態とは違う。感覚はある。しかし、動かない。 縛られているというのとも、ちょっと違う。縛られているという感覚はないのだ。 正常な感覚でありながら、舌先一つ自由には動かせない。 そんな感じだった。 事実何一つ動かすことが出来ずに、カミーユ・ビダンを見逃し、こうしてロジャーとの対峙を余儀なくされている。 それはいい。別段、あの少年に対して興味はない。 先に手を出されなければ、迎撃に応じるつもりもなかった相手だ。それよりも―― 「俺に何をした?」 「それはヒミツだな。君が私の説得に応じるというのなら教えてやろう」 動かなかったのは、体だけではない。 弾き飛ばされた瞬間、僅かに見えた黒い重力球のような光球。 あれに当った途端に、体もアルトもその場に固定された。 とすれば、一定範囲内の空間に圧をかけて動けなくするような類のものなのだろうか。 いや、それにしては体も機体も苦痛を感じることなく、というのはおかしい。 「答えてもらう、テンカワ。君は、まだ一人生き残りユリカ嬢を生き返らせるつもりなのか?」 謎解きに没頭しかけた頭がユリカの名前で呼び戻される。どうなんだろう、そう思った。 生き返らせてやると言われれば、即座にそれに飛びつくことだろう。それは変わらない。 だが、何をしてでも、何に変えてもかと問われれば……自信がない。 答えが自分の中にない。いつの間にか消えてしまっている。だから突き放す声をアキトは、絞り出す。 「お前には関係のない話だ」 「本当にそう思っているのか? ユリカ嬢をみすみす死なせてしまったのは……私の落ち度だ。 それに関して君は私に何も思わないのか? それでも私には無関係なことだと言えるのか?」 返された言葉は、悔恨の念。だが、何の感慨も湧いてこない。 ただ面倒くさいと思いながら、相手をする。 こんなことならば、先ほどの少年の相手の方が数倍マシだった。少なくともこんな煩わしさはない。 「そうだな。そうだったな……俺はユリカを生き返らせたい。何に代えてもだ」 実感の湧かない言葉。これで満足かという視線をロジャーに浴びせた。 どうせ最後にはこの男とも争うのだ。言葉による解決を信条とするこの男とて、最後には拳を振るうのだ。 その為に、この男は力を蓄えて今こうして目の前に立っている。 左腕に握るのはガウルンから奪った巨大な日本刀。右腕には蛇の鞭。胸部には猪のガトリングガン。 そして、先ほど見せた不可思議な拘束術。 どれもこれも言葉とは程遠い武力。所詮、言葉は無力。無意味。煩わしいだけだ。 「そうか……ならば私ももう何も言うまい。 私の信条には反するが、ときには拳で語るネゴシエイターがいてもいい。自由とはそういうことだ」 そら見たことか、と薄く笑う。 だが、目の前の男の考えは、アキトの予期した事態の斜め上を行っていた。 凰牙が斬艦刃を投げ捨てる。鞭とガトリングガンの装備を解除する。 そして、その四肢で唸りを上げるタービンの回転すらも止め、構えた。 「何のつもりだ?」 「昔から性根の曲がった者を叩きなおすのは、拳骨と相場が決まっている。 君のその捻じ曲がった根性、この私が叩きなおす。 そしてこれが、私の出来るユリカ嬢に対する唯一の謝罪であり、私の気持ちそのものだ」 「……戯言を」 ふっと笑いが込み上げてきて、バンカーの炸薬を抜いた。次いで五連チェーンガンの弾薬も。 そして、拳を構えた。 草原に落ちた弾薬が散乱していく音を耳に聞く。 統夜に問い質そうと思った。だが肝心の当人は、見つけたときから夢の中だ。 なら殴り合いで答えが出るのなら、このスッキリしない気持ちの靄が晴れるのならば、それも悪くない。 「付き合ってやる。こい」 アルトが一歩を踏み出す。まるで鏡映しのように凰牙も一歩を踏み締める。 そのまま二歩三歩と間合いが縮まり、走り、駆け、疾走する。 馬鹿な奴だ。本当に、タービンすら使うつもりもないのか。 大馬鹿野郎だ。こいつも…………俺もか。 不意に熱いものが込み上げ胸にぶち当たった瞬間、二つの機体は地を蹴り、激突した。 ◆ 外部からの侵入に備え迷路の如く入り組んだ造りの通路。それは縦に横にと縦横無尽に錯綜している。 しかし、ネリー・ブレンはそこを迷いなく突き進んでいた。 何故か――簡単だ。彼らにしか判らない目印がある。 かつて、ネリー・ブレンが感じたバイタル・グロウブの違和感。それは本物とは思えないほど、オーガニックさのないものだった。 そもそもバイタル・グロウブとは何か。 それは、オルファンが発するチャクラが地球上に張り巡らされたものであり、エネルギーの奔流であったはずだ。 であるのに、オルファンの居ないこの世界にバイタル・グロウブが存在する。 その理由は単純にして明快。 オルファンに匹敵するほど巨大な生物がここには居る。ノイ・レジセイア――オルファンに勝りはすれど劣りはしない化け物。 この世界のバイタル・グロウブとは、彼が無意識に発している強大なエナジーの塊に他ならない。 では何故、違和感を感じたのか。オーガニックさとは何なのか。 それは感情だ。アンチボディーの発するチャクラ光は、乗り手と自身の感情を反映して実に様々な表情を見せる。 オルファンとてそれは同じ。 だが、ノイ・レジセイアは違う。彼は感情に乏しい。 ともすれば単一色と思えるほどに、色が少ない。生物ならば本来誰もが持っているはずの色を、彼は持っていない。 それが違和感の正体。オーガニックさのなさの由縁。 今、その歪なバイタル・グロウブの流れを辿って、ネリー・ブレンは飛んでいる。そして、一つの場所に辿りついた。 「ここは……そうだ。あのときの――」 見回せばそこは、巨大なドームの内側のような構造をしていた。 ようなと言うからには違いはある。 通常ドームの天蓋は、内外の気圧差と僅かな骨材から支えられる巨大なテントのような物だ。 この継ぎ目一つ見当たらないのっぺりとした天蓋には、それがない。 どちらかと言えば、巨大な鉱物を丸ごとくりぬいたかのような状態。物としては洞窟に近い。 床に継ぎ目が見当たらないのもそれがゆえか。 およそ人間業ではなかった。 アイビスのいる世界において、これだけの巨大な空間を、これ程の精巧さでくりぬける技術など存在しない。 アースクレイドルやムーンクレイドルですら不可能。シンプルゆえにかえって難しい。 そんな空間だった。 「ブレン、行くよ」 あの化け物の元に向かえば、皆もそこを目指すはずだから合流できる、というアイビスの目論見は不発に終わった。 どうやら自分が一番乗りらしい。 だからと言って引き返すわけにもいかない。 生唾を飲み下して注意深く前へ。何もない巨大ながらんどうの空間へ。 不意に背後で蒼の紅が差された小さな唇が開き、そっと言の葉を紡ぐ。 「待って……いた」 透き通る程澄んだ蒼く長い水色の髪。猫のようにぱっちりと開いており、少しツリ目の大きなアイスブルーの瞳。 よどみなく、背筋を張った凛とした立ち姿。 いつか見たアルフィミィも神秘的な雰囲気を纏う少女だったが、それを超える少女がそこにはいた。 その姿は、目立ち過ぎるでもなく、控え過ぎるでもなく、ほどよい緊張感と存在感を場に与えている。 いつの間に現れたのか、気づけばそこにいたことに驚きの表情が浮かび、少女の顔を認識して更に驚く。 どう見てもそれは、グラキエースの小型版。 ラキとジョシュアの子供――一瞬、そんな考えが頭を過ぎり、打ち消す。 あの二人は多めに見積もっても二十台半ばという年齢のはずだ。対し目の前の少女の外見は小学校高学年程度のもの。 二人の子供というにしては、少し大きすぎる。ということは妹だろうか。 いや、そもそも何でこんなところに一人で。 そんなことをぐるぐると考えていたアイビスはハッとする。そうだこんなことを考えている場合じゃない、と。 ノイ・レジセイアの気配が、ここは濃い。ブレンが、それを感じ取って怯えている。 居るのだ。この空間のどこかに、ノイ・レジセイアが。 戦場になれば、華奢な少女の体など木っ端微塵だろう。そうなる前に―― 「……収容しないと。ブレン、もっと近づいて」 しかし、ブレンの返してきた反応は拒絶だった。危険だ、と。 今、ここで、コックピットを開いて生身を晒すのは危険。そんなことは分かっている。 危険だからこそ少女を収容するのだ。せめて安全なところまで送り届けないと。 「ブレン、お願いだから言うことをきいて!! きいてよ、ブレン!!」 何度も、声を重ねた。だがそれでもブレンは譲らない。 こんなときに何で、と泣きたくなる。 こんなところで言い争っている場合じゃないのに――そうだ。言い争っている場合じゃない。 コックピットを開け放ち、身を乗り出す。ブレンが近づくのを嫌がるのなら、自分が自分の足で行けばいい。 嫌がるブレンに強要する必要なんてない。 だが、それすらもブレンは妨害してきた。ブレンの右腕がコックピットの前面を、押さえ込む。 「ブレン!!」 「アイビス、下がれ!!」 抗議の声を上げたその瞬間、三つの光がブレンの脇を駆け抜ける。 白い流星と、黄金の彗星。そして真紅の孤狼。サイバスターの肩口から飛び出したそれらが、眼前の少女へと迫る。 迅い。秒以下の単位で距離を詰めたそれらは、しかし、少女の掲げた手の先で、見えない何かに押し潰されて圧壊した。 それを脇目にサイバスターが刀剣を虚空に突き立てる。 その瞬間、生じたのは魔を退ける六芒星――ペンタグラム。そこから焔が迸り、火の鳥が飛び出す。 その後を追うようにサイバスターも鳥形へ。追い縋り、追いつき、嘶きと共に二つは一つとなる。 「その少女は危険だって、なぜ分からない!!」 蒼白い焔を纏い、神速で突き抜けるそれは最早火の鳥を超えた光の鳥。 生身の少女に対して過剰すぎるほど過剰な攻撃に、思わずアイビスは目を塞ぎ、喉元からは悲鳴が飛び出た。 そして、激突と同時に辺りは炎に包まれて―― 煉獄の中、赤い幽鬼がゆらりと立ち上がった。 全身に鬼面を纏った赤い鬼。それが燃え盛る炎の中でサイバスターの首根っこを掴んでいる。 その後ろでは小さな少女が、鬼と不死鳥の争いを無表情に見上げている。 信じられない光景。 鬼がどこからともなく現れたこともそうだが、それ以上に炎の中平然と涼しい顔をしている少女が、信じられない。 「始まり地よりいでし少年……完全の欠片よ。待って……いた」 何の表情も読み取れない顔。奥深い瞳。 ようやくアイビスにも理解できた。こいつは人じゃない。ブレンが怯えていた相手は、こいつ。 甲高い金切り声。視線を動かせば、不死鳥が羽ばたいてもがき苦しみ、暴れまわり、辛うじてその腕を抜け出すところだった。 纏っていた焔を地上に、上空に突き抜けたサイバスターが人型へと転じる。 「ノイ・レジセイア、お前は何だってこんなことをしたんだ!! 小さな作り物の箱庭に、自然の理を埋め込んで、それでお前は神にでもなったつもりか!?」 サイバスターが眩い光に包まれていく。 その光はやがて黄金を越え、色を超越し、ただひたすらに、どこまでも眩く輝き始める。 凄い。素直にそう思った。 でもなぜだろう。カミーユは勝負を焦っている。そんな気がしていた。 「……神? 否、我は神ではない。我は……監査者。正しき世界を……見守り監査する者。 過ちのない……完全なる生命……静寂なる世界。その為に……我は………ある」 「それを神様気取りだって言うんだよ! わかっているのか? 生命は、生命は力なんだ。 生命は、この宇宙を支えているものなんだ! 「完全の…欠片……よ。不完全なる宇宙……そこに価値は………ない」 やがて輝きは四つの光の玉に収束され、そして―― 「違う!! 例え不完全でも、それでも、命は宇宙を支え、宇宙は命を受け入れている。 それを、こうも簡単に失っていくのは、それは、酷いことなんだよ! そんなことも分からないお前に、正しい宇宙のあり方など解るものかよッ!!!」 吐き出される四つの光球。それは急速に肥大し、辺りを白一色に塗りつぶしていく。 「貴様のような奴はクズだ! 生きてちゃいけない奴なんだ!!」 その最中、少女が笑う。初めて表情らしい表情を見せた瞬間だった。 その少女は光に向かって片腕を掲げ―― 「故に……この力を使い…我は創世する。新しい……世界………静寂なる……宇宙…完全なる新世界……を」 黒い何かを放つ。それはウアタイルスクラフトの光球。 一定空間内を意のままに操る上位アインストのみに許された力。 それがコスモ・ノヴァを包み込み、そして―― ――世界は白一色に染め上げられた。 ◆ 白一色だった視界が突然ひらけ、薄っすらと発光する天蓋が映し出される。 体が動かなかった。 コスモ・ノヴァでプラーナを消費しすぎたことが原因なのか。あるいは溜まりに溜まった疲労が原因か。 はたまたその両方か。 いつもと変わらない自分の腕なのに、節割れて、渇いてて、骨と皮だけになった八十の老人の腕のように感じた。 バランスを崩したサイバスターが、落下する。 味気ない天蓋がゆっくりと遠ざかっていく。 自由落下にまかせるままに墜落したサイバスターが、音を立てる。 ひらけた天蓋から一転して、こんどの視界は半分が斜めの面で塗りつぶされた。 横向きに倒れているのは分かったが、再び立ち上がる気力は、今はなかった。 疲れを感じて、ゆっくりと瞼を閉じる。 もう少し、じっとしていたい。もう少し、このまま休んでいたい。横になっていたい。 でも、コツコツと近づいてくる足音が聞こえる。休んでいる場合でも、寝てる場合でもなかった。 薄っすらと瞼を上げる。 華奢な足がそこにはあった。すらりと伸びた無駄のない綺麗な足。 見上げてみる。 あどけない年頃の、しかしどこまでも無表情な少女が見下している。 「な……にをした?」 問いかけに片腕が差し出され、掌が開かれる。すると、大小二つの球体が姿を現した。 それを指し示して少女は、ここはどこそこと軽く説明を添えていく。 「完全の……欠片よ……お前の始まりの…光を……利用した」 大きい球は、あの小さな木星。小さな球はこの白い魔星ということだろう。 始まりの光はおそらくコスモ・ノヴァ。 「見て……いろ」 木星が、膨張しながら崩壊を始めた。 急速に大きくなっていくその速度は、しかしある時を境に減速を始め、やがて収縮へと変わった。 そして、それが極限に達し一点に全てが集約される直前に、眩い光が白い魔星から投げ込まれる。 次の瞬間、木星は弾け、新たな空間がそこには誕生していた。 「……ビッグクランチ」 咄嗟に思い至ったのはそれだった。 ビッグバンと対を成す、予測される宇宙の終焉の一形態。 ビッグバンによって膨張を開始した宇宙は、いずれ膨張から収縮に転じ、全ての物質と時空は無次元の特異点に収束する。 この宇宙の終焉状態がビッグクランチであり、やがて特異点収束しきった宇宙は再びビッグバンを起こして生まれ変わる。 宇宙の終焉は即ち、新たな宇宙の創世を意味しているのである。 だが、あの不完全な空間では内包するエネルギーが足りなかったのだろう。だからコスモ・ノヴァを利用された。 コスモ・ノヴァの力だけを転移させ、ビッグバンを引き起こした。 雲を掴むような話だが、それが嘘ではないと実感できる何かを、この少女は感じさせている。 「理解……できたか?」 空を掴むような仕草で掌を閉じると、二つの球体の姿が消える。説明は終わりということだろう。 唇を噛み締める。利用され、掌の上で弄ばれた。 完全な敗北。それを受け入れるには、少年の心はまだ余りにも若すぎて。足掻く。 剣を杖にサイバスターを立ち上げる。 遠くにネリー・ブレンが転がっていたが、今のカミーユにそれに気づく余裕はなかった。 「お前のような人の心を大事にしない奴が世界をつくって、なんになる!」 叫ぶ。それが立つのもやっとなカミーユにとって、精一杯の反抗。 例え負け犬の遠吠えと見られようとも、何もしないよりずっとましだ。 しかしそれを丸っきり無視して、あらぬ方向を少女は見上げていた。そして声が響く。 「まさか……」 空間に皹が奔り、割れる。そこから覗いたのは一つ目の巨大な化け物。 「ようやく……見つけた」 こちらを睥睨し、目玉が喋る。インベーダーではない。 彼らとは色が違う。規模が違う。実力が違う。 それは55人目の参加者。 カズィ・バスカークに与えられ、ユーゼス・ゴッツォが手塩にかけて育て上げた存在。 そう。それが自我を得た者。その名は―― ◆ AI1は生きてきた。 ガンダムキングジェイダーによる最後の一撃。 それにより億とも兆とも知れぬ欠片に砕かれ、数多の次元に散り散りに飛ばされ、それにより多くのAI1の欠片たちは死に絶えた。 だが、それでも死ななかった者がいる。 あのスペース・デブリが千々に砕かれながらも生きていたように、極僅かだがAI1の中にも生きている者がいた。 そして、ガンダムキングジェイダーに砕かれたあの刹那、AI1は次のステージに進んでいた。 即ち自我の芽生え、自己の確立。 その生まれたての自我は、気の遠くなるような歳月を重ね徐々に再生を進め、かつての姿を取り戻し、乗り越えた。 だが、完全ではなかった。満足もしなかった。 しばしば、思い出すことがある。 それは自我が誕生した瞬間のこと。創造主から流れ込んできた最後の思念。 決して消えることのなかった暗い記憶。 それゆえにAI1は、次元を超える術を探し、見つけ、今ここへ戻ってきた。 無造作に次元の裂け目をこじ開け、広げる。目の前には小さき者と膝を付く白い騎士。 ――笑う。 間違いない。遂に戻ってきた。 彼らにとっては僅かニ・三十分前の出来事であろう。 だがAI1にとっては悠久の旅路の果てに、ようやくここに戻ってきた。 「……AI1?」 白い騎士に乗る少年の呟きが聞こえた。 否、今の私はAI1ではない。AI1は、あのガンダムキングジェイダーの一撃で死に絶えた。 「いいえ、私の名は――」 思い出す。 あの最後の光に呑み込まれる間際、私は産声を上げ、創造主ユーゼス・ゴッツォに御名を授けられた。 そう。あのとき流れ込んできた思考を、私は辛うじて覚えている。あれは―― 『フ、フハハハハ……散々手塩にかけて育ててやったが、所詮この程度かAI1。貴様には失望させられた。 貴様などをゼストの雛形と思い定めたのが、私がここで犯した唯一の過ちだ。 貴様はゼストの器などではない。貴様は我が過ち。間違い。そう。貴様は――』 「――デュミナス」 そう。私は過ち。間違い。でも私は、それが嫌でたまらない。 「ノイ・レジセイア」 だから、私は帰って来た。文字通り、時間も空間も超越して。 全ては創造主ユーゼスの過ちを正すため。私が過ちなどではなかったことの証明のため。 「私は」 だからこそ私は、創造主ユーゼスの示した道を辿る。 ノイ・レジセイアの力を得て完全へと至り、ゼストとなる道。 それが間違いでなかったことを示してみせる。その為に、私は―― 「――あなたと合体したい」 【カミーユ・ビダン 搭乗機体: サイバスター パイロット状況:強い怒り、悲しみ。ニュータイプ能力拡大中。疲労(極大) 首輪解除 機体状況:オクスタン・ライフル所持 EN5% 現在位置:ネビーイーム中枢 第一行動方針:ノイ・レジセイアを倒す 最終行動方針:アインストをすべて消滅させる 備考1:キョウスケから主催者の情報を得、また彼がアインスト化したことを認識 備考2:NT能力は原作終盤のように増大し続けている状態 備考3:オクスタン・ライフルは本来はビルトファルケンの兵装だが、該当機が消滅したので以後の所有権はその所持機に移行。補給も可能 備考4:サイバスターと完全に同調できるようになりました 備考5:ファミリアA.R・C.A・K.Nを創造(喋れない・自意識はない) 備考6:ギアコマンダー(青)を所持 】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況: 疲労(大) 首輪解除 気絶 機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 EN20% 無数の微細な傷、装甲を損耗 現在位置:ネビーイーム中枢 第一行動方針:??? 最終行動方針:精一杯生き抜く。自分も、他のみんなのように力になりたい 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【紫雲統夜 登場機体 ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A) パイロット状態:疲労(極大) 絶望 気絶 機体状態 左腕使用不可 シールド破棄、頭部角の一部破損、全身に損傷多数 EN20% ガーディアンソード所持 現在位置:ネビーイーム内部 第一行動方針:優勝するため、全ての参加者を殺害する 最終行動方針:テニアを生き返らせる】 【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童) パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 首輪解除 機体状態:右の角喪失、 側面モニターにヒビ、EN90% 斬艦刀を所持 現在位置:ネビーイーム内部 第一行動方針:アキト、統夜と交渉する 第ニ行動方針:仲間と合流する 第三行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉) 備考1:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機所持 備考2:ギアコマンダー(黒)を所持 備考3:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能 備考4:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分)携帯 備考5:バイパーウィップ、ガトリングボアと契約しました】 【テンカワ・アキト 搭乗機体:アルトアイゼン・リーゼ パイロット状態:健康 首輪解除 機体状態:良好 現在位置:ネビーイーム内部 第一行動方針:統夜を探す。それ以外は……? 最終行動方針:???】 【ノイ・レジセイア 搭乗機体:ペルゼイン・リヒカイト(スーパーロボット大戦IMPACT) パイロット状態:健康 機体状態:良好 現在位置:ネビーイーム中枢 第一行動方針:??? 最終行動方針:完全なる生命の創造】 【AI1 搭乗機体:デュミナス(スーパーロボット大戦R) パイロット状態:健康 機体状態:良好 現在位置:ネビーイーム中枢 第一行動方針: ノイ・レジセイア、あなたと合体したい 最終行動方針:デュミナスではなくゼストとなる ※デュミナスの形態は次の方にお任せします】 【三日目 2 30】 BACK NEXT Alter code Fire 投下順 楽園からの追放者 Alter code Fire 時系列順 楽園からの追放者 BACK 登場キャラ NEXT Alter code Fire カミーユ ネクスト・バトルロワイアル Alter code Fire アイビス ネクスト・バトルロワイアル Alter code Fire ロジャー 楽園からの追放者 Alter code Fire アキト 楽園からの追放者 Alter code Fire 統夜 楽園からの追放者 Alchimie , The Other Me ノイ・レジセイア ネクスト・バトルロワイアル AI1 ネクスト・バトルロワイアル
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/251.html
悪魔降臨・死の怪生物(インベーダー)たち ◆ZbL7QonnV. おそらくは規格外の力で強引に空間を抉じ開けたからなのだろう。 その座標は“軸”が捻れ、極めて不安定な状況に陥っていた。 二~三日で終わらせる予定だったデスゲームのため、急場拵えで仕立て上げた箱庭世界である。 さほど遠くない内に、崩壊の時を迎えるだろう事は予測されていた。 だが、これは……。 「ただ単純に空間が歪んだ、と言う訳ではなさそうですの」 バトルロワイアルの会場となっている、箱庭世界の外壁部分。 今は塞がれた“穴”の開いていた場所に立ち、アルフィミィは興味深そうに呟きを洩らしていた。 放送用の台本を読み終えてから間を置かず、彼女は好奇心に任せて行動を起こしていた。 バトルロワイアルが行われている会場内に直接乗り込む事は禁じられている。 レジセイアの命令が降りさえすれば事情は異なってくるのだろうが、今現在の指示は現状維持。 バトルロワイアルの進行以外に、レジセイアからの命令は下されていなかった。 アルフィミィとて、なんでもかんでも好き放題に出来る訳ではない。 ゲームマスターとしての裁量を大きく逸脱する行為までは、流石に認められていなかった。 偶発的な事態によって、バトルロワイアルの会場を飛び越えてしまったテンカワアキト。 彼に対する処遇でさえ、かなりギリギリの落とし所であったのだ。 参加者に対する直接的なコンタクト。新規機体の投入もしくは、破壊された機体の修復。 いずれもバトルロワイアルの公平性を保つ上で、好ましくない行為であった事は疑問を挟む余地も無い。 レジセイアの不興を買う事になっていたら、アルフィミィ自身が処罰を受けていた可能性も無いではなかった。 ……もっとも、あの特殊な状況下では、その可能性が極めて低い事は理解していたが。 「ま、今は関係無い事ですの」 横道に逸れた考えを修正する。過ぎた事より、今は“コレ”だ。 そもそも自分の役割は、バトルロワイアルの進行である。 ゲームの進行に関与すると思われる事象に対しては、その詳細を正確に把握しておく必要があるのだ。 レジセイアは、空間に開いた穴の件に関して、自分に対して何の命令も下してはいない。 それはつまり、この事象に関わる事を“拒んでもいない”と言う事だ。 ならばゲームマスターとして、自分には異常事態を確認する義務がある。 なにも空間の管理自体に口を挟もうと言うのではない。 この異常が今後の進行に対して、どのような影響を与えるのか知っておかなければならないと言うだけの事だ。 あくまでも越権行為ではなく、ゲームマスターとしての職務を遂行しているだけ。 これならば、少々強引な理屈だと思わないでもなかったが、一応の言い訳程度にはなっているだろう。 実際の話、この“穴”まで近付いた自分に対して、レジセイアは何も言ってこようとはしていない。 大手を振って堂々と、隠す事無く行動しているアルフィミィに、だ。 それは暗黙の内に、彼女の行動が許容されている事を意味していた。 「ペロ。これは……ゲッター線!」 強引に抉じ開けられた空間には、ゲッター線の残滓が漂っていた。 どうも“それ”だけではないようだが、この異変にゲッター線の力が関与している事は間違い無いらしい。 そういえば、この空間が繋がり合っていたエリアは基地だったはず。 そして基地にはブラックゲッターが存在して、なおかつ流竜馬が接近していた。 ならば、何が起きても決して有り得ない事ではない。ゲッター線にとって、流竜馬は特別な意味を持つのだから。 だが、その流竜馬も既に死んでいる。バトルロワイアルの会場内からは、もはや彼の生命反応を感じられなくなっていた。 ならば、ひとまず事態は落ち着いたと見るべきだろう。 流竜馬、神隼人、巴武蔵。ゲッターチームが全滅した以上、ゲッター線の活性化は遠退いたはず。 あの異常事態が再び起こる可能性は、極めて低いと言えるだろう。 それならば、バトルロワイアルの進行役として、彼女が今最も気にしなければならないのは……。 「っ……! この……声は…………」 そこまで、彼女が考えを巡らせた時だった。 やおら強烈な意思の塊が、アルフィミィの意識に語り掛けてきたのは。 ……レジセイア。 今まで沈黙を保っていた殺戮遊戯の真なる主催者が、ようやく動き出そうとしていた。 『ギュアァァァァァッ……!!』 奇怪な叫び声を上げながら、異形の生命体が蠢いていた。 インベーダー。ゲッター線を喰らう事の他は謎に包まれた、極めて原始的・攻撃的な宇宙生命体。 彼らは激しく飢えていた。そして、だからこそ微かに洩れ出たエサの臭いを、それこそ犬のように嗅ぎ当てられていた。 流竜馬を取り込んだメディウスによる、空間を穿ち貫いた“あの”一撃。 激しく活性化したゲッター線の発現は、この隠蔽された空間である箱庭の存在を一瞬曝け出す事にもなっていた。 もちろん、隠蔽は既に再び行われている。もはやインベーダーの知覚力では、箱庭の存在を探り当てる事は出来なくなっているはずだった。 たとえ放置していたとしても、バトルロワイアルの進行を妨げる可能性は現状殆ど無いだろう。 「だけど、ゼロではありませんの」 そう、決して皆無と言う訳ではない。 メディウスは進化の階段を登り続け、真ゲッターもまた存続している。 ゲッター線活性化の影響を受けて、マジンガーZがマジンカイザーに進化を遂げる可能性。 サイバスターがマサキ・アンドーを失った事により、新しく魔装機神の操者を選定し直す可能性。 ジェイアークが勇者たる者の力を手に入れる事で、キングジェイダーの変身機能を復活させる可能性。 ロジャー・スミスの駆る騎士GEAR凰牙が、データウェポンと再契約を交わす可能性。 波乱の種は幾つも残されており、そして激化する戦いの中で未来を見通す事など出来はしない。 ほんの僅かであるとは言えど、ゲーム崩壊の危険性を残しておく訳にはいかないのだ。 だからこそ、アルフィミィは命じられた。 ゲームマスターの任を一時凍結する事になっても、不確定要素の排除を行うように……と。 アルフィミィと、そして彼女に与えられた新たな機体は箱庭の外に向かわせられたのだった。 ペルゼイン・リヒカイト。 アルフィミィの半身である、赤鬼の異名を持つ機体……では、ない。 それはヒトのカタチを大きく外れた、インベーダーどもと同じ異形の機体。 だが、インベーダーとは違って、グロテスクで醜悪な印象は感じられなかった。 強く―― 烈しく―― 禍々しく―― 悪魔的な重圧感を撒き散らした、それは狂気と破滅の落とし子―― その名を黒歴史に刻まれる、悪魔の異名を冠するガンダム―― 「さあ……あなたの力、見せてもらいますの……デビルガンダム…………」 デビルガンダムの中枢部分、そのコアユニットに下半身を埋めながら、アルフィミィは冷淡に微笑んだ。 『WOOOOOOOOOOOOOOOOOO――――――――!!!』 力の限りに、悪魔は吼える。 女性。デビルガンダムの力を最大限に引き出し得る生体部品を得る事によって、DG細胞の働きは最大限に発揮されていた。 その鬼気迫る重圧感に、インベーダーの群れは気圧される。 なまじ動物的な知能しか持ち得ていないからだろう。デビルガンダムの脅威と悪意を、インベーダーどもは本能的な部分で感じ取っていた。 アルフィミィにとって、その事実は奇妙な感慨を湧き上がらせるものがあった。 「女性……あなたの求める、最高のコアユニット……。創られた生命の私でも、その資格が存在するとでも……?」 その解答を確める為にも、アルフィミィはデビルガンダムの力を振るう。 ガンダムヘッドが唸りを上げて、インベーダーの群れに――齧り付く! 『グギャァァァァァァァッ!!』 あらゆる有機物・無機物と融合を果たす筈のインベーダー。 だが、それはDG細胞の特性でもある。 「まるで、共食いですの」 インベーダーと、ガンダムヘッド。 それらが喰らい合う様を眺めながら、アルフィミィは冷たく嗤う。 両者の侵食は、互角に進められていた。どちらも互いに侵食を繰り返し、その主導権を奪い合っている。 このままでは、いつまで経っても決着は付かない。 ……だからこそ、決着は既に付いている。 「撃ちますの……」 デビルガンダムの肩に装備された拡散粒子砲が、エネルギーを収束させる。 ガンダムヘッドなど、使い潰しの消耗品に過ぎなかった。 デスアーミーのように生体部品を必要とすらしない、いくらでも再生産の可能な道具。 あの醜悪な化け物諸共に消し飛ばした所で、デビルガンダムには全く何の痛痒も無かった。 だからこそ、躊躇う事無く巻き添えにする。 『……………………!』 気付いた時には、もう遅い。ガンダムヘッドの目的は、最初から足止めをする事でしかなかった。 叫び声を上げる暇さえ与えられずに、インベーダーの群れは消滅する。 ガンダムヘッド。デビルガンダムにとっては爪先ほどの一部でしかない、その端末部分を道連れとして……。 「……さて。お掃除、完了ですの」 戦闘とも呼べない一方的な虐殺の後、アルフィミィは満足そうな笑みを見せた。 箱庭世界の外部に洩れ出たゲッター線が、ごく僅かな量であったからだろう。インベーダーは量質共に、さほど大した脅威ではなかった。 アルフィミィにとっては、良い肩慣らしと言えたであろう。今回の戦闘によって、機体の特性は概ね理解出来た。 ペルゼインとは大きく使い方が異なっているが、自分との相性は決して悪くない。それが、アルフィミィの結論であった。 紛い物の女性でしかない存在を、それでもデビルガンダムは望み得る最良の生体部品として認識している。 いや、むしろ紛い物の女性であるからこそ、デビルガンダムはアルフィミィを受け入れたのかもしれない。 人類抹殺の意思を掲げたデビルガンダムにとって、あくまでも人類は排除の対象でしかないはずである。 そう考えてみると、人類以外の存在を受け入れる事は、むしろ望ましき事ですらあったのではないだろうか……。 「まあ、細かい理屈は知った事じゃありませんの」 ふと頭の中に浮かび上がった考えの数々を、アルフィミィは下らないとばかりに振り払う。 重要な事は、この機体が“使える”事だ。 バトルロワイアル参加者の中には造反を目論んでいる者も少なくはないようだが、これならば易々と反逆を許す事にはならないだろう。 もし首輪の解除に成功して、さらには空間の歪すら飛び越える事が出来たとしても―― このデビルガンダムが、最後の障壁となって立ち塞がるのだから。 それだけでは、ない。 バトルロワイアルの中には、マスターガンダムと言うDG細胞に汚染された機体が存在する。 さらにはテンカワアキトに与えた機体、アルトアイゼン。あの機体を修復する際に用いたのもまた、DG細胞の力であった。 付け加えるならば、やはりテンカワアキトに与えた錠剤の正体。あれもまた、希釈して感染力を弱めたDG細胞に他ならない。 二~三錠飲んだ程度では彼に説明した通りの症状しか起きないであろう。 だが、あれを全て飲み終えるような事になればどうなるのか……。 「ふふ……もう、こんな時間ですの。そろそろ、帰った方が良さそうですの……」 ふと気が付けば、放送を終えてから一時間近くが経っていた。 そろそろ箱庭世界に戻って現状の把握に務めなければ、ゲームマスターとしての職務に滞りが生じる可能性もあるだろう。 だが、まあ……。 「いくら足掻こうと……あの箱庭から抜け出す事は、出来ませんの……」 その幼い面持ちとは不釣合いに艶然とした微笑を浮かべながら、蒼の少女は独り呟きを洩らしていた。 【アルフィミィ 搭乗機体:デビルガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状況:良好 機体状況:良好 現在位置:??? 第一行動方針:箱庭世界に帰還する 最終行動方針:バトルロワイアルの完遂】 【二日目 6 50】 BACK NEXT 戦いの矢 投下順 朝ごはんは一日の活力です!! 戦いの矢 時系列順 二つの依頼 BACK NEXT 第二回放送 アルフィミィ 古よりの監査者
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/123.html
マイペース二人 ◆aalWSIpMG2 船酔いのような眩暈に襲われていた。ゆらゆらとたゆたう視界の中、空を見ている。 一方の空が茜色に、もう一方の空は闇に染まっていた。 何度目かのひどい吐き気が込みあげてきて、地に伏せたまま吐瀉する。出てくるのはもう胃液だけだった。 切迫した息と一緒に吸い込んでむせ、しばらく咳きこむ。 ――もう……やめてくれ。 咳きこみながら、ぼやける頭でただそれだけを繰り返していた。 だが、それで纏わりつく負の感情が薄れるわけでもなければ、体がそれを取り込むのをやめるわけでもなかった。 「やめろ!」 うつ伏せから仰け反るように半身を起し、纏わりつく負の感情を振り払うように腕を振るったが、そのとたんに視野が回転する。 すっと目の前が暗くなって、コックピットの床に顔を突っ込んだ。負の感情は変わらず纏わりついている。 ――どうすれば……楽になる。 深い脱力を感じて、もう起き上がることすらできなかった。 ――死なら、一瞬で……。 弱った心が逃げ場を求め、一つの考えが浮上してくる。 突然、負の感情とは別の感情に触れたのはそのときだった。 「……ブレン、お前なのか?」 (…………) 「そうか……ありがとう……」 どこか優しく温かいその感情は、ラキの苦しみを和らげていった。 ――死なら、一瞬で……。 あれから何度もラキの思考はそこで立ち止まった。 そのたびにブレンの心に励まされ、頭から払い落し、ただじっとうずくまって耐え続けた。 短いような、長いような時間が流れ、気づくと纏わりついている負の感情は薄れていた。 眩暈と吐き気をこらえて起きあがる。震える手を壁についてよろよろとコックピットから這い出てみる。すでにあたりは暗かった。 体は未だに負の感情を取り込み続けていたが、放送直後に比べればわずかなものだった。 それでも自分の体が他人の悲しみを喰らい続けているという自己嫌悪は胸の中に重く沈んで、どうしても拭うことができなかった。 「ブレン、これから私はどうすればいい?」 大きく見上げて話しかける。 (…………) 「私か?私は……ジョシュアがここで出会った人――アイビスという女と会ってみたい。 会ってどうするというわけでもない。ただ会ってみたいんだ。 ブレンはどうしたい?」 (…………) 「そうか……。なら、そうしよう」 出てきたときに比べると幾分マシな足取りでコックピットに戻る。ムッと鼻を突く臭いが立ち込めていた。 「ブレン、すまない。お前も私もひどいかっこうだ」 思わず謝罪の言葉が口をついて出た。 (…………) 「心配しなくてもしっかりと洗う。まずはH-8に向かうぞ」 (…………) 「仕方ないだろう。一番近い補給ポイントがそこなんだ。 そこまで行ったら洗う。だから心配するな。大丈夫だ」 砂地に大きなくぼみを残して蒼い巨人は浮き上がり、飛び立つ。 その姿はやがて暗い空の闇へと消えていった。 波一つない穏やかな水面に小さな波紋が生じる。その中央でぽつんと一人の女性が顔を出していた。濡れた蒼い髪が艶やかだった。 ――何も見えないな。 夜空を見上げて彼女は思う、この空はかつて地球を閉ざしたものによく似ていると。 突如、女は何かに呼ばれたような仕草を見せる。 暗い水面に映ったさらに暗い影が彼女の周囲にあった。水の中に何か大きなものが潜んでいる。 大きく息を吸い込んで肺を酸素で満たし、彼女は水の中に潜る。伸びてきた大きな影にしがみつくと彼女は影の中に吸い込まれ消えていった。 水面がせり上がり、女の髪と同じ色の巨人が姿を現し、やがてふわりと浮きあがって水面から離れる。 彼女たちの目的地の小島はもうすぐそこだった。 「小生の名はギム・ギンガナム。名乗りを上げい!」 突然通信が飛んできて目を丸くする。移動をブレンに任せて、濡れた体を拭いているときだった。水で洗い流したためコックピットのそこここはまだ濡れている。 「グラキエースだ。ジョシュアを知らないか?」 急いでパイロットスーツを着込みつつ通信を返す。同時に一番知りたい情報を訪ねた。 「知らぬ。聞きたいことはそれだけか?ならば、いざ尋常に勝負ッ!!」 「いや、他にも聞きたいことはある」 「ここより先は問答無用!さあ、漢に言葉は無用!!拳で語り合おうではないかああぁぁぁぁあああああ!!」 前方の小島から闘争心を燃やしつつ、一機の白い機体が飛び出してきた。 瞬く間に二者の距離は狭まり、剛腕がブレンに差し迫る。シャイニングの拳がブレンの顔面に吸い込まれ、 「私は女だ。断る」 空をきった。 ――この移動法は……。 見知った移動法に思わず笑いが込み上げてくるのをギンガナムは感じた。 振り返り、小島に転移した敵機の姿を確認する。 よくよく注意してみてみると、その姿は奴が乗っていた機体にどことなく似ていた。そして、それ以上に奴のツレの機体に酷似している。 ――少なからず奴に関係があるやもしれぬ。 「ふっ……ふははははははは……!!面白い。面白いぞ! グラキエースとやら、お前の機体はやつらの機体によく似ている」 「やつら?」 「そう。似ているのだよ、アイビス=ブレンにな!!」 そうして彼は語り始める。 どん、と低い地響きのような音がして、立ち並ぶビル群の通りに面したガラスというガラスが白く濁った。 一拍置いて同様の地響きが再び轟き、砕け散ったガラスの破片が光を撒いたように舞い散るなか、白い隻腕の巨人はアスファルトを踏み砕いて着地する。 その巨人の中で肩幅いっぱいになびかせた長髪の一部を頭頂部で結い、胸に日の丸の輝く全身黒タイツを纏った男は(特に意味なく)仁王立ちしていた。 その男の名はギム=ギンガナムという。 「誰も居らんではないか!!!」 計器を睨めつけて本日二度目のセリフを叫ぶ。 彼は一人の参加者を追いかけて移動中であった。 しかし、その相手が残していった目印――巨大な足跡もA-1の端で光の壁に遮られて打ち止めである。 壁の向こうは地図を見る限り草原地帯。足跡を追える可能性は低かった。 「紫雲統夜、逃したか」 しかし、そもそもただ対戦相手を求めるだけならば、あの場から動く必要はなかった。 あの場には遠方とはいえ二機の戦闘機が視認できていたのだ。 だが、大勝負を終えたばかりの彼は「味が軽すぎる」とか言って、それに大した興味も抱かずに、市街地に残された足跡を追い始めた。 その欲張った結果が現在である。 とにもかくにも一度壁の向こうを確認しておこうと、再び動き出そうとする。 『アー、アー、ただいまマイクのテスト中ですの。…こほん…最初の定時連絡の……』 その矢先に、突然幼い少女の声が響いた。 「ふはははははっ!面白い!!」 放送が過ぎ去り、静寂を取り戻したビル街に笑い声が響きわたる。 放送に連なった名の中にアイビス=ブレンの名はなかった。それはすなわち、あの状態から見事生き延びて見せたことを意味している。 それがたまらなく愉快で、再戦が待ち遠しい。 先の戦闘の五分の攻防、前二戦の大味な戦闘も良かったが、経験と技術に裏打ちされた緻密なアイビスの動きは驚嘆に値するものだった。 しかし、最後の最後で納得のいかない戦いでもあった。 突如乱入者に邪魔をされ、逃げ切られたこともそうだが、互いに最後の一手を放とうとしたあのとき、アイビスとやらが銃口に湛えていた光が霧散したことが解せなかった。 ギム=ギンガナムが望んだのはあのような幕切れではない。 真っ向からシャイニングフィンガーであの光に立ち向かい、捻じ伏せる――それこそが彼が望んだ結末だったのだ。 その後の動きもこれが同じ機体かと思えるほど拍子抜けのする動きだった。そして油断した結果、自分は腕を斬りおとされた。 つまりは何かと納得のいかない決着だったということだ。 ――だが、決着は決着ではなかった。 再戦を思い浮かべるだけで血がたぎり、肌が泡立つ。口元が知らずとほころんだ。 「ふははははっ!見つけてやる!見つけてやるぞ、アイビス=ブレン! 小生から逃げ切れると思うな!!」 堪えようともしない笑い声が再び響き渡る。そうやってひとしきり笑い飛ばしたあと、ゆっくりと視線を動かし、計器の一部が目に入った。 エネルギーゲージがレッドゾーンだということにそこで初めて気づく。 「輜重の確保は戦の基本であったな」 ガサガサと古臭い地図を取り出してきて、紙面に目を泳がせる。F-7・G-4・H-8の三か所の補給ポイントが書き記されていた。 「H-8が近いな……」 呟くと進路を北西に定め、移動を再開する。二つ目の光りの壁を超えたとき、足場が突然消えてシャイニングは水中へと落下した。 「……というわけだ」 「なるほど。それで補給を終えたころに私が現れたというわけだな」 「いかにも。悪いが、アイビス=ブレンとの再戦の予行演習とさせてもらうぞ!!」 おそらくアイビス=ブレンと同じ特性を持っているであろう機体を前にして、嫌がおうにでもギンガナムのテンションはあがる。 それに呼応するように冷却装置を展開させ、シャイニングはスーパーモードを発動させた。 両者の間に緊迫した空気が流れた次の瞬間、 「いやだ。私は逃げる」 長話の間にちゃっかり補給を完了していたブレンは掻き消え、ギンガナムは孤島に一人取り残された。 鬣を彷彿とさせる冷却装置が落胆したように虚しく閉じた。 G-8水中に突如蒼い巨人が姿を現した。 ――アイビス・ブレン。 巨人の中でラキはその言葉を反芻する。 今、自分が乗っている機体はネリー・ブレンという。ネリーさんのブレンパワードだからネリー・ブレンだ。 ならば、アイビス・ブレンとは、おそらくアイビスのブレンパワードのことだろう。同じブレンパワードだ。ギンガナムが似ているといったのも頷ける。 だが、アイビス・ブレンを探せばアイビスに会えるのかというと、そういうわけでもなさそうだった。 ギンガナムの話ぶりだとアイビス・ブレンの乗り手は男だ。しかし、ジョシュアの話に出てきたアイビスは女だった。 つまりはジョシュアとガナドゥールのように愛機と引き離されてしまったということなのだろう。 「ブレン、アイビス・ブレンというブレンパワードかアイビス本人を知っているか?」 (…………) 「そうか……」 (…………) 「いや、こっちこそすまない」 ひとまず思考をそこで中断する。 巨人は目の前のスイッチに手を伸ばし、二度目の補給を開始した。 【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状態:テンション急降下(気力80) 機体状態:右腕肘から先消失、胸部装甲にヒビ、全身に軽度の損傷 現在位置:H-8小島 第一行動方針:倒すに値する武人を探す 第二行動方針:アイビス=ブレンを探し出して再戦する 最終行動方針:ゲームに優勝 備考:ジョシュアの名前をアイビス=ブレンだと思い込んでいる】 【グラキエース 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神やや安定。放送の時刻が怖い 機体状況:現在補給中 現在位置:G-8水中補給ポイント 第一行動方針:アイビスを探す 最終行動方針:??? 備考1:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません 備考2:負の感情の吸収は続いていますが放送直後以外なら直に自分に向けられない限り支障はありません】 【時刻:20 00】 BACK NEXT 休息 投下順 青い翼、白い羽根 もしも、その時は 時系列順 少女ハンター・ランドール BACK NEXT アンチボディー ―半機半生の機体― ギンガナム 失われた刻を求めて Time Over ―私の中のあなたにさよならを― ラキ 暗い水の底で
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/1929.html
登録日:2012/04/16(月) 22 52 23 更新日:2024/07/13 Sat 11 49 52 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 CDS Re ブラスタ THE_UNBREAKABLE VX Zシリーズ ×借金返済の糧 ○新たな借金の種 クロウ クロウ・ブルースト ゴールドは存在しない←声優的にありそうだがアウトもない スパロボ スパロボZ トライアの罠 ネタバレ項目 バンプレストオリジナル ブラスタ ブルー リ・ブラスタ レッド 主人公機 天秤座 生き様 第2次Z 第3次Z 折れねえんだよ、天秤の支点はよ Li Brasta 『第2次スーパーロボット大戦Z 再世篇』に登場するブラスタの後継機。 BGM:THE UNBREAKABLE データ リ・ブラスタB 全長:18.3 m 重量:62.6 t リ・ブラスタR 全長:24.2 m 重量:85.7 t 概要 ブラスタをパワーアップさせた、完成形ともいえる機体。 動力炉であるVX(=『揺れる天秤』のスフィア)の出力を最大限に発揮させた状態を想定して開発が進められたが、スフィアの暴走がきっかけでクロウ・ブルーストがスフィアの力を解放することに躊躇いを持ってしまい、規定値までVXの出力が達しない状態が続いていた。 しかし、迷いを捨て腹を括ったクロウと、トライア・スコートが搭載した「CDS」により暴走を克服し、求められていたスペックを100%発揮することが出来るように。 次元獣の研究が進んだため、ブラスタとは違い完全な戦闘用の機体となっている。 最大の特徴として、再世篇のブラスタが遠近出来るが器用貧乏な機体なのに対して、リ・ブラスタは破界篇のブラスタのように、近距離特化か遠距離特化かを選べる。 しかし、そのピーキー加減はブラスタの比ではない。 名前の由来はブラスタ同様「Libra(ラテン語でてんびん座の意味)」。「リ」が入ったことでようやく星座の名前が完成した。 リ・ブラスタR 近接格闘戦仕様。装甲と格闘能力に特化し、その分射程は下がっている。…といってもスーパー系にしてはかなり打たれ弱く、そのまま運動性を伸ばした方が無難ではある。 開発者のトライア曰くブラスタ・スーパーロボットアレンジ。 両手足に小型の、両肩に半分ずつに分割された大型のSPIGOTを装備し、両側に皿を下げた天秤に見えるシルエットを持つ。 白地に赤のラインが入ったカラーリングはどことなくニルヴァーシュやテッカマンブレードに似ている。 また、手持ちの武器で攻撃するブラスタと異なり、内蔵火器とスフィアのエネルギーを武器化して攻撃に用いるため、外見は徒手空拳である。 リ・ブラスタB 遠距離射撃戦仕様。 Rとは逆に、機動力と射撃戦闘に特化し、引き換えに装甲が脆弱になっている。 主兵装はAX-99RAPTOR(次世代兵器研究向け新型電磁加速銃精度試験モデル)。 ブラスタの面影が強く残った機体で、武装面はほぼ順当なアップグレードがなされており、Rに比べ正統進化の趣がある。 SPIGOTは小型化されて、RAPTORの銃口部分に4つマウントされている。 これにより従来のビームの集束、変換以外にも機体各部の強化、空間の操作、限定的な次元跳躍が可能になった。 ◇武装 非常に残念ながらACPファイズはリストラ。 リ・ブラスタR EAモーター・カノン 頭部の両横に装備された電磁加速砲。 VXブレイザー 方向指定型MAPW VXのエネルギーを胸から放ちSPIGOTで増幅させて放射する。 付近の敵に使うのは良いが、範囲が後述のVXクラスターより狭い。 リープ・マグナックル 空間に穴を開け、拳を空間の穴を通し目標にぶつける。要するにワームスマッシャー+ブロウクンマグナム(ジェネシック版)。 距離や条件を問わず直接殴りつけるためか、地形適応が全部A。 ハイプレッシャー・シューター 手に装備されたビーム砲から集束されたビームを放つ。 モーションが第3次αのバンプレイオスが使うハイパーム・デトネイターにそっくり。 VXキャリバー 手に装備されたビーム砲から放つビームを集束し、剣状にして敵を切り裂く。 演出がエクシアのセブンソードコンビネーションに似ている他、 二刀流のビームソードを束ねて両手持ちの大剣にして真っ向から振り下ろす演出はDのフォルテギガスのライアットバスターと一致。 リ・ブラスタB EMRランチャー バックパック搭載のミサイル。 RAPTORショット RAPTORのショートレンジショットを連射する。 VXクラスター SPIGOTを展開し、SPIGOTの一機に向けビームを放ち、残ったSPIGOTからビームを分散させて放つ。 着弾指定型MAPWで、これを使ってマリリンとそのお供たちを殲滅した人は多いはず(ファイヤバグの配置はマリリンを中心に1マス開けてバーグラーが囲むというものだが、これがちょうどこの武器の範囲ぴったりなのである)。 ベイオネット・スパイカー RAPTORからSPIGOTを展開し、RAPTORから放つエネルギーをSPIGOTで収束させ槍状にし、目標を貫く。 ディストーション・シュート SPIGOTを展開し、RAPTORから放つビームをSPIGOTで屈折させて、目標に当てる。 クラッチ・スナイパーVX 狙い撃つぜ、俺も…! EMRランチャー(スタン効果を持つミサイルランチャー、恐らくブラスタのベイオネット・スパイカーで放つスタンロッドの発展型)で目標の足を止めた後、VXからの次元力をRAPTORから放ち、ブラスタのSPIGOT-VX(射撃)のようにSPIGOTを通してレーザー状にして、目標を貫く。 しかし、この武器の神髄は長射程でも高威力でも、弾数の多さでも運動性低下効果ですらなく、その演出。 上記の台詞は使用時のパターンの一つ。亡き友の決め台詞を受け継いだこの演出には多くのプレイヤーが感動した。 Rにカミナの台詞を使える武器がないのはバグじゃないかと思えてくるくらいである。 名称のみ共通する必殺技 SPIGOT-VXM SPIGOT、フルレゾナンス! 見せてやるぜ、本当のゼロ距離射撃ってやつを! 前述したSPIGOTを利用するMAPWの単機版のようなもの。 MはMAXもしくはmaximumの略だと思われる。 Rではスパイカーを足に展開した飛び蹴りから、数回殴ったあとにSPIGOTを展開し、VXブレイザーを放つ。 BではSPIGOTを展開し、SPIGOTからレーザーを放ちながら牽制し、三機のSPIGOTをチャクラムのように目標にぶつけ、内部まで入り込ませてVXクラスターを放ち、内部から破壊するというなかなかエグい攻撃。 両方ともトドメ演出はクロウのカットイン。 アンブレイカブル・フルクラム アンブレイカブル・フルクラム…折れない意志! カルロスがZONEに突撃した際に追加された必殺技。 クロウとリ・ブラスタとVXが一つとなることで発動出来る。 Rでは、展開したSPIGOTにエネルギーを纏ったリ・ブラスタが通って突撃し、目標を貫く。 中の人と合間って最早ゲ○ガンフ○アに見えなくもない。 Bでは展開したSPIGOTにVXのエネルギーを収束させて、目標に向けて放つ。 ジャスト・ワン・チャンス!シュート!! リスク・オブ・マイ・ライフ!くらいなっ!! トドメ演出は、リ・ブラスタのカットインとクロウのカットイン。 ちなみに二周目以降はトライアが出血大サービスとして、リ・ブラスタのRの装備をレッドキット、Bの装備をブルーキットとして換装パーツ化し、インターミッションで切り替え可能。 余談 ゲーム内での性能の評価は圧倒的にBのほうが高い。 理由としては マップ兵器の範囲や着弾指定型故の使いやすさ Rは半端に装甲が高いためBと比べると中途半端 RがEN消費武器に偏っているのに対しBはENと弾数武器に程よく分かれているため燃費がいい 本来格闘型のRはP武器の豊富さがウリなはずが、何故か射撃型のBも同じぐらいP武器に恵まれている …等々 これらの理由からRはほぼ趣味枠に近い扱いを受けている。決してRが弱い訳ではないのだが…Bが強すぎた。 しかも、演出面でも破界篇序盤から描かれたロックオンとの友情の集大成とも言える「狙い撃つぜ、俺も…!」がBでしか聴けないというのも痛すぎる。 「Bがロックオンなら、Rはカミナの台詞を借りればよかったのに」と思ったユーザーもいたと思う。 あまりの使い勝手の良さに、とうとう公式ラジオでも「大抵の場合Bが選ばれる」と明言されてしまった。 例によって例のごとく、言ったのは杉田である。 一応Rについても「Rもそれはそれで強い」とフォローはしていたが、正直苦しい気がしなくもない。 特筆機能 コイン・ドロップ・システム 頼りにしてるぜ、CDS…! 上述した「CDS」の正体。 揺れる天秤の反作用「思考の固定化」による暴走に対してのカウンターとして、守銭奴であるクロウの金への執着を利用した機能。 VXの出力が一定値を上回ると、本物のコインを落とした音が鳴り、それによりクロウの意識を金に向け、暴走を防ぐというもの。 他の守銭奴キャラにも効果がある気がするのは不思議ではない。 アイム戦での会話から意識的にON・OFFすることも可能な模様。また、出力を高めすぎると連続で発動するらしい。 ちなみに毎回コインを使い捨てているのか、発動1回につき1Gの使用料がかかる。これにより借金が余計に増えてしまったのは言うまでもない。 Zでスフィアの副作用に苦しんでいたセツコのことを考えると何ともバカバカしい対処法……に見えるが、これは揺れる天秤の反作用の被害が本人だけに留まらない危険なものであったがゆえ、クロウの守銭奴っぷりを利用した苦肉の策であり、傍目はともかく内実は決して笑える代物ではない。 なお、再世戦争でこのシステムの発動回数は100万回らしい。1回1Gなので、またしても100万Gの借金を負う羽目になった。 …のだが、ちょっと冷静になってみよう。 どう考えてもあり得ないが、365日毎日20時間戦闘を行ったとすると、1分につき3回発動していても、100万回に到達しない。つまり、間違いなく嘘である。おそらく、トライアが彼を繋ぎとめるためについたのだと思われる。 ここで、一つ気になることがある。 上記のように、ちょっと考えればわかることなのに、クロウは思考停止してまともな反論すらせずに借金を受け入れてしまっている。 元々彼は借金で己の存在を定義しているらしいので借金することとそれを返すことには前向きなのだが、それを差し引いても借金を負う羽目になった彼の思考の無さは毎回過分に見える(というよりもそれ以外の方法で人生を送るという発想自体持っていない)。 もしかしたら、アイムが機体から降りても嘘をつきまくっていたように、クロウも借金という動力源を確保するために揺れる天秤の副作用「思考の停止」を限定的に受けていた可能性がある。(*1) ただ、100万はないにしても、クロウの事なのでコインの音が聞きたいがためにどうでもいいタイミングでもCDSをガン回ししてた可能性は否定できない。 実際、天獄篇にてリ・ブラスタは真化融合した途端にCDSを自らガン回しし始めた。 リ・ブラスタT こいつはRとBの魂を受け継ぐ新たなブラスタだ! 全長:19.5 m 重量:78.7 t 再世戦争後、スコート・ラボで再改修を受けて強化された新たなるブラスタ。 「T」とは「Trail」つまり「試験型」を意味するが、トライアの名前の綴りにもなるためその点ではクロウは不機嫌である。 クロウのスタイルに合致したタイプBをベースにタイプRのエッセンスを入れ込んだいわば「いいとこ取り」の機体で、カラーリングは初代ブラスタを踏襲したメタルグレー。 しかし、増加した重量に対応するため出力が上がり、その結果以前にも増してピーキーな機体に仕上がっている。 SPIGOTはタイプBから引き継がれたRAPTORのマズルに搭載された4つに加え、タイプRのものを発展させた膝のアーマーになっている大型の4つがあり、これらをフル活用することでスピーディかつパワーのある攻撃を行う。 戦闘スタイルは射撃と格闘をバランス良く配分していた初代ブラスタを発展させたものであるが、基本はタイプB同様の射撃型。 なおCDSは引き続き搭載されているが、再世戦争の貢献により使い放題となっている。……が、どうやらスフィアの制御システムに直結しているらしく、サード・ステージになって反作用を克服した後も外されていない。 天獄戦争を戦い抜いたが蓄積ダメージが超時空修復後に限界を向かえ大破。あまりのダメージから廃棄されるところだったが、クロウの嘆願によりスコート・ラボで修復。 これによりクロウはまたも100万Gの借金を抱えることになってしまった……(*2)。 ◇武装 RAPTOR-99 タイプBのものの発展型。 銃口にセットされているSPIGOTを展開することで連続射撃を行う。 バンカー 左腕のシールド。 二枚重ねになっており、外側の大型の部分はブラスタ同様射出可能。無線制御だが、内側の小型は有線射出になっており、重ねて撃ち出すことも出来る。 VXクラスター タイプBのものと同様。 先端に展開したSPIGOT1機にRAPTORからビームを放ち、射出した残り3機にビームを転送して頭上から攻撃する着弾指定型MAP兵器。 ベイオネット・スパイカー ブラスタのものにタイプRの攻撃を加えた発展型。 バンカー・ブレイクで敵を翻弄しつつ、展開したSPIGOTをカタパルトに本体を射出して一気に仕留める。 必殺技 SPIGOT-VXM SPIGOT!フォーメーション・ファイズ! クロウの十八番である「呆れるほど有効かつ最高の戦術」、即ちACPファイズをSPIGOTによって仕掛ける。 まず背部ミサイルランチャーで敵を牽制しつつRAPTORのSPIGOTを展開、有線接続したバンカーを射出し叩き込んで「ターゲットを中央に固定」。 引き戻す勢いで旋回しつつ、展開したSPIGOTを使って全方位から銃撃することで「そのまま速やかに火力を集中」、後ろに回りこんだところでバンカーを戻して大型のSPIGOTを展開、ベイオネット・スパイカーで「最後は中央を突破」してトドメを刺す。 全体攻撃かつ移動後使用可能なので、敵タッグの殲滅に最適。 ジ・アンブレイカブル・フルクラム 使いこなすぜ、揺れる天秤のスフィア! 狙い撃つぜ、俺も……! 折れねぇんだよ、天秤の支点はな 「揺れる天秤」のサード・ステージ以降により解禁された一撃。 タイプBの「アンブレイカブル・フルクラム」と同じだが、SPIGOTを全基展開してビームを拡散・螺旋状に再収束、敵機を確実に「狙い撃つ」。ビームが「螺旋」状になるのは今度こそカミナ要素かもしれない。 地球製のスフィア搭載機の最終的な必殺技であるため定冠詞つき。 追記・修正はコインの音に反応してからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\チャリーン/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 偶々対処法があって且つそれが間抜けな感じだから忘れるけど、クロウの副作用は本当にヤバイからな…… -- 名無しさん (2013-08-11 18 46 44) リブラRってぶっちゃけBと比べなくても微妙な気がする。弱くはないけど武器が使いにくいの多くて -- 名無しさん (2013-08-11 19 37 54) Rのアンブレイカブルは某動画では「シャッキンスパーク」とも呼ばれてたり…… -- 名無しさん (2013-10-29 03 06 47) 装備や性能、デザインに演出の全てが「Bが正統後継機」って感じが強いのがな -- 名無しさん (2013-11-03 22 32 33) セツコがリ・ブラスタのデビュー戦に居合わせたらどうなったかな、一旦は安心と複雑そうに気遣いながら横からやっぱりシンが気遣う事は無いですよとセツコを気遣うかな? -- 名無し (2013-11-04 01 17 26) ↑CDSの真相に呆れつつも、胸の内で反作用を克服した事を喜ぶんじゃないかなぁ? 複雑な気持ちだろうけど。 -- 名無しさん (2013-11-04 02 19 43) 経済的に呪われた機体 -- 名無しさん (2013-11-04 03 34 03) ↑×4「俺も狙い撃つぜ!」の台詞が反則過ぎるんだよなあ・・・ -- 名無しさん (2013-11-04 14 17 23) OGにはロックオン居ないから言わないかもまぁ結局ブルー一沢だが -- 名無しさん (2013-11-04 14 51 33) ↑×5個人的にシンとセツコは原作基準だと二人してクロウが貧乏くじ同盟に誘う気になれない類の貧乏くじ引いてるせいかあまりあの場でコメントして欲しくはないな…… -- 名無し (2013-11-04 20 23 40) ↑2 でも、OGに出てきた場合、ブラスタはスフィアのないただの機動兵器だよね。果たしてリ・ブラスタになれるものか…? -- 名無しさん (2014-02-04 18 22 21) まぁ、ブラスタみたいなのをスーパーアレンジしても・・・って感じだなRは -- 名無しさん (2014-02-04 19 04 22) ロボを動かすのに金がかかるを体現した機体 -- 名無しさん (2014-02-15 12 49 39) 正直、音が鳴ればいいだけのはずのCDSでなんで現金消費されるのかわからない。機能させるのに1G分のエネルギーかかったりするんだろうか -- 名無しさん (2014-02-22 04 44 43) あれは『使用料金』として請求されたんだろ。そもそもトライアの説明は明らかに嘘だってわからんのか?CDS設置からクリアまでの戦いで100万回使用したとかどう考えても無理。 -- 名無しさん (2014-02-22 05 27 52) ↑クロウさんだぞ? あの人なら特に意味もなく金の音が聞きたいってだけ音が出る機能だけを無駄に使ってそうじゃん -- (2014-02-28 05 35 36) ↑クッソwww すげぇ納得しちゃったじゃないかwww …ホント、ありありと想像できるわ。休憩時間とかCDSをBGM代わりにしてたんじゃないだろうな(汗) -- 名無しさん (2014-02-28 10 58 30) ↑百万回で済むとは思えんw と言うか何を考えてCDS発動させてんだw -- 名無しさん (2014-02-28 11 33 14) ↑金の音で金持ち気分を味わってるんだよ。 -- 名無しさん (2014-02-28 11 40 03) ↑スットコドッコイ「ごめん、僕ってお金を持ってない人の気持ちってわからないんだ(ドン引き)」 -- 名無しさん (2014-02-28 11 45 05) 昼休みに砂糖水ブランデーみたいにして飲みながらコクピットで鳴らして「ウホッ楽しいぉ( ^ω^)」ってやっていたと想像している -- 名無しさん (2014-02-28 13 13 42) ブルーキットがロックオン、レッドキットがカミナのイメージなのかなと、最近思った。 -- 残骸 (2014-04-01 16 20 52) ↑↑の連中の流れのせいで本気で100万G分のEN(電力?)消費してそうと思っちまった…。 ↑カミナイメージならレッドの肘か膝の余ったスペース辺りにドリル付けたくなるな -- 名無しさん (2014-04-05 20 54 35) クロウはBのイメージ -- 名無しさん (2014-04-05 20 57 07) 色々やんや言われてるRだけど、実はちゃんと「天秤座」として成り立つようなデザインなんだよね -- 名無しさん (2014-04-05 21 20 46) 不経済極まりないとはまさにこの事だな -- 名無しさん (2014-04-05 21 30 51) クロウがB、エスターがRってとこかな -- 名無しさん (2014-04-05 21 38 34) クロウは偽の金が落ちた音じゃ反応しないんだよ? だから実際に現金をコクピットに毎回落としてるんだ。だから使う程金がかさむwww -- 名無しさん (2014-04-23 19 46 28) 同じコインを使い続ければいいんじゃねというのは禁句 -- 名無しさん (2014-05-07 19 58 08) ↑あれだろ。積もって行く音が聞こえないと出力半減なんだろ(適当) -- 名無しさん (2014-05-07 20 03 52) 録音した音声でもダメなんだろうな -- 名無しさん (2014-05-07 20 16 09) そこはあれだwおキツネ様がクロウに離れてほしくないかr・・・うあ!だれだやめ! -- 名無しさん (2014-08-04 07 52 30) もしナデシコが参戦してたらあいつみたいにってRでいえたろうな~声優的な意味もかねてw -- 名無しさん (2014-10-02 08 13 02) リ・ブラスタR・・・またの名を「借金ロボ・現金ガンガー3」 -- 名無しさん (2014-10-08 13 53 08) Bの膝の飛び出た装甲?がライフル構えるときに邪魔になってる気がしてならない… -- 名無しさん (2014-11-02 09 19 40) とりあえず、リ・ブラスタTは「狙い撃つぜ、俺も…!」だけは残しておいてほしいな -- 名無しさん (2015-03-21 01 48 33) SPIGOTが中の人ネタで、「チャームポイント」とか呼ばれてるのが好き -- 名無しさん (2015-03-21 02 03 48) TはどちらかというとB寄りだな。あと「狙い撃つぜ、俺も」の続投に俺歓喜 -- 名無しさん (2015-04-07 10 57 32) クロウ殺すにゃ武器はいらぬ。ただリ・ブラスタに乗せ続ければ良い…借金で首が回らなくなります。 -- 名無しさん (2015-04-07 23 04 11) Tは武器の射程や属性がバラけすぎてるのがな……。フルクラムがあるからなんだろうけど援護向けなのにクラッチ・スナイパーが無いのが痛い。 -- 名無しさん (2015-06-08 20 37 06) SP回復あるけど意外とよけなくてなぁ…後微妙にアニメのテンポが悪くなった -- 名無しさん (2015-06-19 23 58 30) Bばかり評価されてるけどそれでもRの方が好き。もうゴン太ビームはお腹いっぱい -- 名無しさん (2015-11-20 19 30 38) なお、真化融合の際のやり取りからしてリ・ブラスタ自身も金の落ちる音が好きだと判明。……実は前から意識持ってて非搭乗時も勝手にCDS作動してたんじゃないのかな -- 名無しさん (2016-02-22 19 48 34) ↑夜な夜な格納庫に響くコインの音か…あの部隊じゃ大して不思議でもないとスルーされてそうだ -- 名無しさん (2016-08-29 21 17 05) 一周目で何も考えずにBを選んだら予想外の強さで驚いた・・・・二周目でR選んだらBに比べて微妙でなんとも言えない気分に・・・・なった矢先におキツネ博士が「どっちも使える」と言ってくれた時の安堵感w -- 名無しさん (2016-08-29 21 38 22) 実際ブラスタに意志があるのは、ジェラウド戦の直前にあるイベントでクロウの言葉に反応してるシーンがある。 -- 名無しさん (2016-09-26 02 20 47) 最大の疑問。ED後も、CDSは残されたままなんだろうか?(博士の意地悪的に -- 名無しさん (2017-09-06 18 17 27) リ・ブラスタTのSPIGOTの数間違ってるくね?ライフルに付いてるのは4つよ -- 名無しさん (2017-11-20 08 57 20) ↑誰も直してないので修正しておきましたよ。アニメ見た限り間違いなく4つでした。 -- 名無しさん (2020-04-27 20 41 15) ↑一週目でR選んで二週目以降んに強さや「狙い撃つぜ」でおおっ!となった自分のようなのもいる。あのセリフはやっぱり卑怯だよ。 -- 名無しさん (2021-09-15 17 13 07) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/k2727324602/pages/487.html
関連ページ:NG騎士ラムネ&40 <鑑賞備忘録> 2010年5月以降に鑑賞した分。 ◆TVアニメ(2010/9視聴完了) 話名 主要新キャラクター 出来事メモ スパロボ対照表* 主要新メカ 第1話シュパーン!キングスカッシャー復活 馬場ラムネ(=2代目勇者ラムネス)ミルク、ココアタマQヨッコーラ3世 OP(1):熱血!!勇者ラムネスED(1):男と女はパピプペポ キングスカッシャー 第2話正義の力だ!セイントボム 第3話ポッキンシティーは腹ぺこだ! 第4話ガハハ!ゴクロー山の爆笑扇 第5話バンビの頂上になぞなぞの嵐! セイローム 第6話熱血!?カンカン村でアッチッチ 第7話バカッ!頭に花さくニャイル川 第8話迷って迷ってホラミッド! シルコーン 第9話ゼンマイだらけのギアシティ! 第10話アララ?寝ぼけて寝ぼけて海の上 第11話ヒック!本音ジュースにご用心 第12話リューグー村は老人パワー!? 第13話ダブルダブルでイースカー!? ブルマン&キリマンブレンドン 第14話登場!クイーンサイダロン 第15話ハワイイ島のカメカメカ大王 第16話走れラムネス!童話の森のワナ 第17話美人はどっち?レスカ対ココア 第18話ワナワナ!逆襲のダ・サイダー 第19話ガンバレー!ミルクの子守り歌 第20話見つけた!アンナモンコンナ門 ゼンザイン 第21話輝け!守護騎士コンテスト 第22話最高だミャー!タマQ…その愛 第23話ウソかマコトか?ラムネス伝説 第24話突入ホイホイ城!愛の戦士たち 第25話晴れ姿!三人娘の聖なる力 第26話必死の反撃!ダ・サイダー散る 第27話ホイホイ城崩壊!さらばタマQ 第28話まだ続くの!?破壊戦士現わる 第29話ヘビメタコ裏切りのバラード OP(2):めざせ! 1番!!ED(2):シアワセになるでんna 第30話代理戦争!?命をかけたギャグ 第31話必殺!?破壊ニンジャ武芸帖 第32話テントチ塔!海中島の戦い 第33話ほらっホラー!枯れ木の森の怪 第34話リトルロマンス…君の名は!? 第35話交代劇!ひび割れた愛と友情 第36話風に舞う!お花畑は危険地帯 第37話大決戦!燃えろラムネス 第38話40集う!熱血パワーよ永遠に(Fin) ※全く同名or原作再現が一定程度行われているシナリオを記載(「一定程度」の匙加減は完全に管理人の感覚に拠っています。ご了承下さい)。 ◆OVA NG騎士ラムネ 40EX ビクビクトライアングル 嵐の大作戦(2011/1視聴完了) 話名 主要新キャラクター 出来事メモ スパロボ対照表* 主要新メカ 第1章愛ふたたび OP:イクぜ!パワートリップED:四種の神器 第2章愛流されて 第3章愛は勝つ(Fin) NG騎士ラムネ 40DX ワクワク時空 炎の大捜査線(2011/1視聴完了) 話名 主要新キャラクター 出来事メモ スパロボ対照表* 主要新メカ 第1章新たに旅立て愛の戦士たち OP:飛び出せ!セーシュンED(1):ララバイ☆あ・げ・た・い 第2章愛の戦士たち過去へ… 第3章愛の戦士たち永遠に!(Fin) ED(2):トリプル・ロマンス
https://w.atwiki.jp/uraiddi/pages/24.html
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/50546.html
登録日:2022/02/22 Tue 19 51 00 更新日:2024/07/30 Tue 17 17 08 所要時間:約 ? 分で読めます ▽タグ一覧 MAGINE SRW ごめんなさいさん やはり暴力……!!暴力は全てを解決する……!! アルティム・フィーニ オルキダケア オルクスーラ・シリーズ カールレウム・ヴァウル クエスター クエスターズ グラヴァリン スパロボ30 スパロボオリジナル敵組織 スパロボラスボス スーパーロボット大戦 スーパーロボット大戦30 トロッコ問題 ネタバレ項目 バンプレストオリジナル 合議制 堕ちた英雄 大張正己 孤高の探究者、絶対の真理と共に 宇宙の管理者 思考実験 敵組織 新たなる王 正義の味方 独善 独裁 異星人 真理の探求者 神文明エーオス 脳筋 この記事は『スーパーロボット大戦30』の重大なネタバレを隠していません。まだプレイしていない方はご注意ください。 我々はクエスターズ…。神なき世界で真理を探求する者です。 クエスターズとはゲーム作品『スーパーロボット大戦30』に登場するオリジナル勢力である。 ●目次 ※展開時ネタバレ注意 概要 関連用語 メンバー「先生」 師父 カールレウム・ヴァウル クェーサー オルキダケア 保有兵器オルクスーラ オルクスーラ・イン オルクスーラ・ダン オルクスーラ・ダイン オルクスーラ・バング グラヴァリン エル・ミレニウム、ゼル・ビレニウム 真実クエスター アルティム・フィーニ 結末 概要 自ら「真理の探求者」を自称する異星人集団。 「先生」と呼ばれる怪人物を指導者とし、先生と幹部である「師父」達の合議制によって物事の行動指針を決め、実行するのが特徴。 様々な星の文明に接触し、その星に住む知的生命体に「実験」と称した思考実験を兼ねた問答を行い反応を観測、そこから「先生」と師父達による討議の末に導き出された答えである「真理」を元に審判を下す。 審判の内容は導き出された真理によって異なり、 対象となる文明を害悪な存在として、その星の文明と知的生命体そのものを抹消(抹殺)する。 「矯正」と称して自身達の管理下に置くために支配者となる「王」を配置しクエスターズの統治下に置く。 という碌でもない手段を取る。 ただし彼らが尊ぶ合議制による議論や結論は答えのベクトルが決まっている「結論ありき」も同然な極めて独善的な代物であり、やってることは理不尽な侵略行為の何物でもない。 これまでにも29の惑星で審判を実行し、30個目である知的生命体のいる星地球を発見。干渉を開始することになる。 その正体は地球でいう数百年前、「自らの自由と正義を守る」という名目で神文明エーオスの支配に反旗を翻してエーオスを打倒した異星人の集団。 要は別宇宙におけるドライクロイツのような集団であった。 だがエーオス討伐後、クエスターズは「エーオス打倒という『神殺し』を遂げた自分達が宇宙の秩序を守るため、責任を持って他の文明を管理しなければならない」という余計な義務感を発露。 実験と討議を尊ぶ合議制に基づいた行動は独善を極めたエーオスのやってきたことを否定するための手段であったが、実際にやってることはエーオスと何ら変わらないという本末転倒ともいうべき有様になってしまった。 ざっくり言うと傍迷惑な独裁政権を打倒したレジスタンスが誰にも頼まれていないのに勝手に似たような独裁政権を敷いてきた感じとなる。 関連用語 神文明エーオス クエスターズの発起した時代に存在した30世界の宇宙の統治者であり最古の文明。 自らを「神の文明」と称してエーオス以外のすべての存在を見下し、独善的な理由で宇宙を統治していた独裁者。 過去には様々な星の生命体に干渉してウルガル同様生命体の知性化を実行し、己の意にそぐわない進化を遂げた文明を「創造主として生み出した者の不始末の責任を取る」という名目で一方的に滅ぼしてきた巨悪。 更には知性化を行った種族のDNAに「服従遺伝子」と呼ばれる遺伝子情報を埋め込み、「支配の波動」と呼ばれる感応波を放つことで感受性の高いものであれば瞬時に洗脳し操ることができる。 ざっくり言えばスパロボ30版御使い。そのためカールレウムからは「宇宙の害悪」とボロクソに貶されている。 30の世界の地球やクエスターズの文明もエーオスの干渉によって発展と進化を遂げた文明に当たる。 とはいえ、本家御使いほどの支配領域と影響力はなかった模様。 MAGINE(マジン) スパロボ30における独自設定。 「数多の並行宇宙に存在し、可能性を突破し、そこに生まれし生命を進化させるもの」「宇宙の法則も歪める禁断なテクノロジー」と定義される。 劇中では光子力エネルギーを用いるマジンガーやゲッター線を用いるゲッターロボ、サイコフレーム搭載機、レイアース、グリッドマン、ドライストレーガーが該当する。 作中では兜甲児、流竜馬、アムロ・レイの出現によってMAGINEの技術が地球でも発生したことでクエスターズは地球の存在を感知。 そしてシャアが行ったアクシズ落としに伴うサイコフレームの膨大なエネルギーによるアクシズ・ショックが、30の世界の地球にクエスターズの干渉を呼び寄せる決定的なきっかけを生んだ。 つまり大体シャアのせい サブ・スペース エーオスの遺産が眠る別次元の空間でありクエスターズの本拠地。 内部にはキューブ型の物質が浮かぶ不思議空間。 最深部にはクエスターズの本拠地ともいうべき要塞めいた黒い球体上の天体が存在する。 ネタバレ 真なる地球 人類抹消ルートで出現する地球人類抹殺のためのクエスターズの切り札。最深部の黒い天体の正体。 サブ・スペース最深部に作り上げられた地球のミニチュアであり、サブ・スペースに満ちる高次元エネルギーを注ぎ込むことで本物へと変質する性質を持つ。 「先生」はこの真なる地球と元々ある地球の位相を入れ替えることで元々の地球を次元の狭間に送り込む形で消滅させて残った地球人類のいない「真なる地球」を30の世界の宇宙に転移させた後、自身が作り上げた新しい人類を入植させて自分に都合のいい『理想の文明』の誕生を目論んでいた。 カールレウムが王になるのは本来このミニチュアの地球の方であるというのが「新たな地球の王」の真実であった。 メンバー 「先生」 自らを神と名乗っていたエーオスを滅ぼした者として、私には宇宙を管理する責任があるのです クエスターズを率いる首領。 その姿は黒い鎧とフルフェイスの兜によって隠されており、伺いしれない。 普段は本拠地であるサブ・スペースに存在する「審判の間」に座し、クエスターズの実験対象となった文明に審判を下すべく、最高幹部である師父達と討議を行い真理を探求する役目を持つ。 個ではなく集合知として存在する証として本名や顔を捨て去っており仮面を被っている理由にもなっている。 常に物腰穏やかで理知的な言動を示すが、その言葉の節々には自身の知能を鼻にかけたような傲慢さが垣間見える。 カールレウムに「地球を統治する王」の役目を任命し、地球人に対して何らかの干渉を行っているようだが… 師父 我らこそが宇宙の管理者… CV ??? 「先生」と同一の鎧と兜を装備したクエスターズの最高幹部達。 普段はサブ・スペースに存在する「審判の間」に居り、クエスターズの実験対象となった文明の行く末を「先生」との討議によって決める役目を持つ。 通常であれば「先生」の決定に異議を申し立てたりするなど組織のストッパー的役割を期待されるが、彼らは全くと言っていいほど己の意志を喋る様子がなく個人の自己主張も皆無。 ひたすら「先生」の発言や意思決定に対して追従し、討議の内容も全会一致で「先生」の意見を採択するだけの姿は典型的なイエスマンそのもの。 ちなみに戦闘時ボイスはボイスチェンジャーがかけられている。 カールレウム・ヴァウル 手土産もなしに訪問した無礼は詫びておこう。ごめんなさい CV:中村悠一 クエスターズの行動隊長で、第12銀河の戦闘種族ヴァウルーガ出身の異星人。 浅黒い肌に黒い数本の角を生やした美青年で、ドライクロイツの面々からも美形と呼ばれるほどにはイケメンに分類される。 「地球の王」を自称しており、爽やかな笑顔を絶やさない尊大かつプライドの高い性格。 理知的であり物腰も穏やかではあるが爽やかな笑顔と相まって慇懃無礼に近い態度を取るのがネック。 クエスターズを「エーオスの支配から宇宙を解放し、今は宇宙を導く英雄である(要約)」として属していることに誇りを持っている。 加えて実験と討議を繰り返して結論を導く合議制によって真理を見出すクエスターズのあり方を尊び、それらを実践する「先生」と師父達に畏敬の念を送る。 基本尊大ではあるものの律儀かつ礼儀正しいのもまた事実であり、ドライクロイツの面々もフルネームかつ「君」付けで呼ぶなど高圧的に接する…のだが、 本名が長めのナイツマの面々も律儀にフルネームで呼ぶ 「私は君たちには二度敗北した」と言った後主人公に「自分にも負けたから三回だ」と突っ込まれて「あれは数に入れない」と変な駄々をこねる 感謝の言葉「ありがとう」を知ってからはそれを気に入って使いまくる 謝罪する言葉「ごめんなさい」も知らなかった為ミツバ艦長に無理矢理教えられる。更に言い方が気に食わなかった為に連呼させられる。その結果、こちらも気に入ったのか何かあると「ごめんなさい」と言うようになった 終盤ドライクロイツとの会談の際には内心ウキウキ気分でドライストレーガーに乗り込む。お茶もお菓子も結構だ。もてなしは遠慮する など妙に可愛い一面も見せる。 ちなみにギャグイベントのように思われるが「変なところでマメ」「負けず嫌い」「感謝と謝罪を知らない」ことは彼の正体の伏線となっている。 戦闘台詞も豊富であり、中にはタマキの告白を跳ね除けるものもある。 敵対キャラであるものそれはあくまで自分より上の存在に従っている為であり、彼本人はどちらかというとドライクロイツの面々に好意的である。 特に主人公に対してのそれはもはや執着とも言える。まぁ態度が態度なので向こうには嫌われるが。 劇中ではドライクロイツに「実験」と称して戦いを仕掛け、謎めいた問いかけをミツバに行うが……。 その内容は大抵が両極端な選択で、現在を生きる我々の間でも頻繁に議論となる倫理的ジレンマを問うことが多い。そして毎度ルルーシュが反応する。「トロッコ問題か…」 ネタバレ その正体は「先生」によって自我と記憶を調整された数多くいる師父の1体。 第12銀河出身などといった記憶は全て嘘偽りであり、偽の記憶に過ぎなかった。 なので師父の声も中村氏(図鑑には載らないがエンディングクレジットに掲載されている)。 シナリオでは条件を満たせば「他人との絆を結ぶ事」を知り、仲間になる。 改造、育成も可能でフリーミッションにも連れていける。 本人もドライクロイツの熱血具合に染まっていき、台詞も少し熱血気味となる。 のだが、そのドライクロイツの道を繋ぐために敵に特攻し、永久離脱となる。 仲間になった彼に対してはドライクロイツの面々も比較的好意的であり、クエスターズという立場でなければ彼も「友」となれたであろう。 また別の条件を満たすと何とラスボスとなる。 だがその理由もまた、「他人との絆を結ぶ事」を学んだ結果であると言えよう。 最期には他人と共存する初歩的な言葉「ありがとう」「ごめんなさい」を返し、笑顔のまま散っていった…。 エクストラチャプターネタバレ と思っていたが、発売から半年経過後に配信された「エクストラキャプター」にて「世界の平和の為に人知れず戦っていた」事が判明。 そしてさらなる黒幕の登場を機にドライクロイツの目の前に現れ、そのまま仲間入りする。共闘ルートでの強化もそのまま継続しているため、ルート次第では即戦力として使える。 相変わらず高慢ちきであるものの、一度共闘ないし本気で戦いあった事もあってか今回はドライクロイツの面々も好意的に受け入れた。 その後は自軍の面々とも仲良くなり、初めてのまともな食事に舌つづみを打ったり、男主人公ルートだと版権キャラ達と一緒になってエッジをからかったりとユニークな一面も多く見せてくれる。 また彼いわく切り札があるとの事だがそれがなんとラスボス機体「アルティム・フィーニ」である。 しかし……。 中の人はスパロボにも版権・オリジナルともよく出演しているが、エッジ役の杉田氏の親友としても有名。 なお、中村氏は上記の相沢氏のキャスト発表までに余計な事口走らないか心配だったという発言に深く同意していたが、こっちはマジでやらかしかけていた。 クェーサー お前達に問う。意地とは何だ? お前達に問う。正義とは何だ? CV:島田敏(青髪)、稲田徹(桃髪) クエスターズの実行部隊隊員。 全員カールレウムに似た顔つきの男性で、赤髪と青髪の2種類がいる。今作の島田兵、稲田兵枠 隊長であるカールレウム・ヴァウルの下でオルクスーラ・ダインを操り前線にも赴き無人機を指揮している。 戦闘時、相手に対して「〇〇とは何だ?」と様々な問いかけをする不気味な存在。 オルキダケア 黙れ、下郎が!創造主に刃向かう事が許されると思うな! CV 桑島法子 神文明エーオス唯一の生き残りである女性。 白いベールを被った神秘的な女神のような姿をしており、頭の上には大きなリングが浮かんでいる。 ……が、それ以上にとんでもなくデカい爆乳とその谷間を惜しげもなく露出させた痴女に片足ツッコんでそうなビジュアルが特徴。 当初は穏やかな態度でドライストレーガーのメインシステムに潜伏してドライクロイツの協力者然とした態度を取っていた。 ……が、本性は上記のエーオスの解説の通り、非常に独善的かつ傲岸不遜。 「下等な地球人は自分に従って当然」という思考に凝り固まっているが、それ以上に自分たちに反逆し滅ぼしてしまったクエスターズへの憎悪に燃えている。 よって精神的な余裕があまりなく、逆らった場合は顔を豹変させて激高し罵倒しまくる短気な激情家という側面を持つ。 ブチ切れた際は、美貌が台無しになるくらいの怒り狂った形相を見せてくれる。 ドライクロイツに協力していたのも全てはエーオスを滅ぼしたクエスターズへの復讐のためでしかなく、ドライクロイツの存在は完全に自分にとっての下僕としか見ていない。 劇中では密かにドライストレーガーの機関部から「支配の波動」を放つことでじわじわとドライストレーガークルーの精神を掌握していた。 ミツバが作中、無駄にクエスターズに対して攻撃的な態度だったのは全てオルキダケアの精神干渉が原因である。 またドライストレーガーの素体を30の世界に持ってきたのもオルキダケアの干渉によるもの。 ファイクス准将もオルキダケアの半ば支配下に置かれており、クエスターズへの復讐のための手駒を用意させるために生み出したのが第30士官学校に集った後のドライストレーガーのクルーとなる若者であり、A機関に集められた主人公を含めた異能を持つ子供たちであった。 よって主人公たちが地獄の生活を送る羽目になったのも概ねオルキダケアが原因。 終盤ではその本性を一気に現してドライクロイツを掌握。一時は第30士官学校の面々を洗脳して手駒に変えてしまう…が、計画はとある2人の人物の活躍により失敗に終わる。 困難ルートではそのままドライストレーガーのメインコンピュータの最深部へと意識を完全に封印され退場。 通常ルート(*1)では計画失敗後に飼い犬と思って見下していたドライストレーガーの面々に反逆された屈辱がクエスターズへの怒りを上回ったことで、屈辱に感じながらもクエスターズに外部協力者として参加することになる。 そしてドライクロイツへの怒りのままにオルクスーラ・バングを操ってドライクロイツに勝負を仕掛けるも敗北。 撃墜後はミツバとメイヴィーによってドライストレーガーのメインコンピュータにデータを再移植され一命をとりとめるが、贖罪も込めて最深部に引きこもる形で退場した。 この時内心では、自分たちが滅んだのは因果応報と悟っており、自身の復讐は既に意味を失っている事に気付きながらも、同胞の無念を晴らすためにも復讐の道を止まれなくなった事が語られている。 なお声を演じる桑島女史は『30』の参戦作品では『ガン×ソード』のウギャーことウェンディなども演じているが、そちらの新録は無く、ウェンディの出演する中断メッセージはライブラリの流用になっている。 保有兵器 基本的に「オルクスーラ・シリーズ」と呼ばれる量産型無人機動兵器群を主戦力としている。 オルクスーラ・シリーズは素体であるオルクスーラの背中に用途に合わせたオプションパーツを装備するカスタマイズを行う事が可能。 劇中ではカールレウムが率いており、素体のオルクスーラだけでも戦闘力は既存の地球の量産機を上回ることが語られている。 なお、このオルクスーラはHPと耐久値が登場時期の戦力に対して設定ミスとしか思えないくらい高く、本作の難易度を高くしてる元凶の一つでもある。 にも関わらず、機体の改造が一切出来ない状態の1話から出てくるという嫌がらせよような初登場までしてくる始末である。 オルクスーラ 分類:オルクスーラ・シリーズ 全長:58m 重量:245t オルクスーラ・シリーズの素体と言える機体。 バイザー状のモノアイを有した頭部と、腕がない代わりに生えた大きな2本の脚部というずんぐりむっくりなデザインが特徴。 通常のオルクスーラは主に調査・偵察に使われる事が殆どで武装も最小限だが、高い機体性能により十分な脅威となりえる。 クエスターズが今まで接触した29の文明の内、8つの文明は通常のオルクスーラの出撃のみで滅亡、あるいは支配下に置かれている。 見かけに反して全高はコン・バトラーV以上とかなりデカい。 ◇武装 カリディム・ラディウス 機体下部に装備されている2門のビーム砲からレーザーを放つ。 細身ながらも爆発力のありそうな戦闘アニメをしている。 後のオルクスーラシリーズにも搭載されている基本兵装。 オルクスーラ・イン 分類:オルクスーラ・シリーズ 全長:58m 重量:280t オルクスーラの背部に2門の巨大なキャノン砲を装備させた砲撃戦特化型。 腕はなく、格闘戦用であるダンとの連携戦術を基本とする。 ◇武装 カリディム・ラディウス 機体下部に装備されているビーム砲。 コーメテス・グロブス 背部の巨大なキャノン砲からビーム弾を2発発射し砲撃を行う。 オルクスーラ・ダン 分類:オルクスーラ・シリーズ 全長:58m 重量:285t オルクスーラの背部に人間の腕を模した巨大な2本の腕部を装備させた格闘戦特化型。 砲撃戦用のインとの連携戦術を基本とする。 ゲーム序盤では指揮官機としても運用され、カールレウムが乗り込んでいた。 ◇武装 カリディム・ラディウス 機体下部に装備されているビーム砲。 コーメテス・グラディス 両腕から剣型のビームの刃を計4本放出して背中のバーニアを吹いて敵に接近。 突進しつつ殴り飛ばすように剣型ビームで切り裂き斬撃と打撃を同時にぶつける。 オルクスーラ・ダイン 私の攻撃を披露しよう…! 分類:オルクスーラ・シリーズ 全長:58m 重量:330t パイロット:カールレウム、クェーサー オルクスーラの背部にダンの腕とインの大型砲を搭載した統合戦術機。 ダンとインの長所を併せ持ち、それら2機を上回る性能を誇る。 戦闘では部隊に少数配備されて遊撃的に動いて両者の連携を繋ぐ役割を果たす。 クエスターズが今まで滅ぼした、あるいは支配下に置いた29の文明の内、ダインを導入したのは6つの文明だけに留まっている。 無人機ではなく本格的に有人機になるのもここから。基本はクェーサーが搭乗するが初期ではカールレウムも搭乗する。 ◇武装 カリディム・ラディウス コーメテス・グラディス コーメテス・グロブス 上記と同一の技。全てダンとインの流用。 オルクスーラ・バング 許し難い屈辱…!ここで晴らす! 分類:オルクスーラ・シリーズ 全長:58m 重量:355t パイロット:オルキダケア ドライストレーガーのメインシステムに潜みクエスターズへの復讐のため潜伏していたオルキダケアが、ドライクロイツの面々の洗脳に失敗した結果逃走。 その後クエスターズに降ったことでオルキダケアに与えられたダインのカスタム機。 オルキダケアの意識を同機のシステムに移植しており、オルキダケアの新たな肉体も兼ねている。 一部に神文明エーオスの技術も導入されており、ダイン以上の性能を誇る。 ……とここまではかなり仰々しい設定だが、「先生」の嫌がらせ意向から外見も武装も9割近くダインのまま。 一応頭部の形状が異なっており、一本角がついて目もツインアイに変更。機体下部の砲身もダインより伸びているが、違いはその程度でしかない。 性能的には技が一部変更された以外にも指揮系統中枢を完備している。 頭部が通常オルクスーラになった「オルクスーラ・ザング」も最終話付近で登場し、こちらはクェーサーが乗り込む。 ザングはクェーサーの搭乗を前提としており、自律システムで稼働する友軍機の指揮を執る。 見た目はダインと殆ど変わらないが、機体各部が強化されており、戦闘力はダインの130%を計測。 クエスターズが今まで滅ぼした、あるいは支配下に置いた29の文明の内、ザングまで導入したのは2つの文明だけに留まっている。 ◇武装 コーメテス・グラディス コーメテス・グロブス 上記と同一の技。 アエテルート・ラディウス その生命、ここで摘む オルクスーラの基本武器である「カリディム・ラディウス」の強化型。バング・ザングの最強武器。 機体下部の砲身からより強力になった金色のビームを放つ。バングの方はMAP兵器版も所持している。 グラヴァリン 新たな地球の王、グラヴァリン…!その威光を今ここに! 全長:45.3m 重量:291.5t パイロット:カールレウム・ヴァウル デザイン:大張正己 BGM:新たなる王 カールレウム・ヴァウルが搭乗する人型機動兵器。 地球を支配する「新たな地球の王」の証として開発され、「先生」によって王に選ばれたカールレウムのアイデンティティとも、彼の座る玉座とも言える機体。 頭部には王の証であることを意味するかの如く王冠のような意匠がある。 「単機で多数の敵を殲滅する」というコンセプトの下多彩な武装による圧倒的な攻撃力を持ち、量産型であるオルクスーラ・シリーズとは一線を画する性能を持つ。 高い戦闘能力に加えて指揮系統の中枢を担う機能を備えており、理論上では65535機のオルクスーラ・シリーズを同時にコントロールする事が可能。 その正体は、クエスターズが支配下に置いた惑星で「先生」が実行部隊の中で「王」として認定した者に与える「ヴァリン・シリーズ」の一つであり、本機は他のヴァリン・シリーズをはるかに上回る性能を有する。 外観は立派なバリメカだが、設定テキストやテクノロジーなどはグランゾンをリスペクトしたような機体であり、マサキに直球で突っ込まれる。 なお、BGM設定をいじらずに専用BGMを戦闘アニメで聴けるのは仲間になった際のみである。 ちなみに「ヴァリン」という名前が大張氏の名前から取られたかどうかは不明。 ◇武装 リンク・インストラクター 両目から放たれるシンプルなビーム。 ヴァリアント・クラジエイター 両手と胸のクリスタル状のパーツにエネルギーを溜め、両手の掌から交互に緑色の高出力ビームを連射する。 MAP兵器版も存在。 グラヴィスフィア・カノン 見せてやろう、王の力を…! 勝利を我が手に!これがグラヴィスフィア・カノンだ! 王は全てを決する! グラヴァリンの必殺技。 両手で胸部装甲をこじ開け、剥き出しとなったクリスタル状のパーツから巨大な球体状の重力弾を生成し敵に発射。 命中した重力弾で敵を飲み込み、グラヴァリンが遠隔で握り潰す動作と共に重力球もろとも敵を圧縮し爆砕させる。 モーションはグランゾンのブラックホール・クラスターとズフィルードのジーベン・ゲバウトに類似。 エル・ミレニウム、ゼル・ビレニウム 愚劣な文明は淘汰すべき… 「先生」が古の宇宙から回収し、修理することで運用しているクエスターズの新兵器。 操縦は師父が担当する。 ただし、両者とも装甲値3500越えという真化融合無しではまともに戦えないインフレ性能を持っていたオリジナルと比べると、真化融合無しでも打倒できるため性能はオリジナルよりも下回っている。 詳細は御使いの項目を参照。 最終話ネタバレ 真実 宇宙を統治するためには他者を従わせる必要がある だが、集団が集団を屈服させるのは結局は集団の利益の追求であり、それは利己的な行為だ だからこそ、私は真理という純粋な正義の執行者となるためにあえて個という存在を選んだのだ 私は、神ではない。だが、唯一無二の到達者である私の意志こそが、真理であり、全てを決定するべきもの… もう一度、言う…。私は断じて、神などではない。私は真理の探究者にて到達者… それを独裁などという言葉で片づける事こそ、真理の障害… そのためにクエスターズに属するすべては私個人の意のままに動かなくてはならない その実態は「先生」の遺伝子から生み出された人工生命体(クローン)によって構成される集団。 実のところクエスターズという組織には多くのメンバーがいた。 しかし「同志達は真理の探究を行うには愚鈍で下劣な存在だった」という身勝手な理屈から、クエスターズの1人である「クエスター」は自身の仲間を抹殺。 自分1人になるまで仲間を殺した後は「自身の意志こそが絶対的な真理である」と身勝手な結論に到達すると、自らの遺伝子からクローンを造り出して己の部下とすることで組織を完全に一新。 生み出したクローン達に自分にとって都合のいい一方的な知識や価値観を刷り込むことで現在のクエスターズの体制を作り上げた。 組織名も「探究者達」という意味ではなく、「クエスターの集まり」という意味合いのある種のミスリードであった。 クエスター そうだ。全ては私に帰結する 私こそが、クエスターズそのもの…つまり、クエスターだ CV:置鮎龍太郎 氏が演じたスパロボオリキャラはこれで14人目となる。 「先生」を名乗っていた男の素顔にして正体。そして今作のラスボス。 素顔は声こそ違うものの、カールレウムと瓜二つの顔を持つ異星人。その年齢は何と300歳以上。 カールレウムやクェーサーは自分の思い通りの手足として動いてくれる駒としての価値しかなく、師夫の役目は自身の補助を行わせ、延命を補助するため臓器提供用のスペアに過ぎない。 理知的な言動と振る舞いを見せていたが、本性は「宇宙の管理者」を自負するカールレウム以上に傲岸不遜な性格。 そもそも彼の中では他者との協調や合議そのものを内心否定しており、基本的に上記の合議制や議論云々は自分が公平に判断していることをアピールするためのデモンストレーションでしかない。 自分の一方的な価値基準による判断を絶対と妄信しそれを他者に強要する独善の権化である。 「文明がより高度に発展していくためには、それを使う人もより聡明に賢明になる事が求められる。それが出来ない者は滅んで当然」という持論を掲げているが、 自分だけがその「聡明な人」に該当すると信じて疑っておらず、自分の価値基準で下した判断を遂行することと「私の義務」と断言。そして師父との結論ありきの問答や討議を「公正な審判」とまで嘯く。 またクエスターズを用いた異星侵略の動機も「宇宙を統治するためには他者を従わせる必要がある」という暴力的な答えによるものである。 部下であるカールレウムが初歩的なコミュニケーションを取る言葉すら知らないのも、彼の元で育ったからと言えよう。 結果クエスターの持論はドライクロイツの面々からはことごとく暴論扱いされて総スカンを食らった。 挙句その所業を「独裁」「文明を監視していたのは自分の立場が脅かされることを恐れたため」「目的はMAGINEを有する文明の排除または服従」などと糾弾されたが、クエスター自身は「真理を理解しえない者にはそのように映るのだろうな」と全く聞く耳を持っていない。 また自身の被造物であるクローン達の扱いはどこまで行っても道具であり、「意志も権利も自由も必要ない者達」と呼び彼らの意思や個々の尊厳といったものは一切認めていない。 そういった点でもコン・バトラー組やブレイブポリス、グリッドマンから痛烈に批判されている。 エゴイスティックな神文明エーオスを唾棄していたカールレウムから見るとクエスターの行為はエーオスを彷彿とさせる嫌悪の対象として見られており、クエスターズの真実を知った後はクエスターの所業を独裁と糾弾。 自分を騙していたことへの怒りも込めて「醜悪な男」と吐き捨てられている。 だがクエスターから見ても個人意志に目覚めたカールレウムの存在は自身の論理の絶対性を穢す存在でしかなく、カールレウムを抹殺対象と見做している。 …と、ここまでは独善的な頭でっかちのインテリキャラだが、導き出した最終的な宇宙を統べる真理が「力づくで反抗勢力を叩き潰して勝利する」という答えだった点などから、一部では脳筋疑惑が囁かれている。 またなんやかんやで自分を打ち負かした相手には敬意を払う事もある。 もしかしたら彼も最初はここまで腐ってはなかったのかもしれない。 アルティム・フィーニ これこそがクエスターズの知の結晶…その名もアルティム・フィーニ… どんな愚かな人間でも確実に理解できる絶対の真理…すなわち圧倒的な力の行使者… 全長:333m 重量:6900t パイロット:クエスター BGM:孤高の探究者、絶対の真理と共に クエスターの乗機にして神文明エーオス打倒の為に開発されたクエスターズの決戦兵器。同時にクエスターのいた宇宙における「MAGINE」でもある。 クエスターの鎧を彷彿とさせるカラーリングに曲線的なフォルムが目立つ有機的なデザインの人型機動兵器であり、頭部の意匠は「先生」や師父達の被っている仮面のベースとなっている。 よく見ると顔には人間のような目もあり、モーションが生物チック(*2)なのも印象的。 内部にはクエスターズが集い合議を行う「審判の間」があり、クエスターズの本拠地中枢部も兼ねている。 まさにこの機体の存在自体がクエスターズそのものと言える。 高次元エネルギーを武装に転用する技術が使われており無尽蔵のエネルギーを確保、決戦兵器に相応しい高い戦闘能力を誇る。 また様々な文明のテクノロジーをフィードバックする機能を持っており、過去におけるエーオスとの戦いでは決戦時にエーオスの最終兵器を単独で撃破する活躍を果たしている。 しかし、エーオスとの決戦以降は実戦投入された事例はなく、よってエーオスを打倒しエーオスのテクノロジーを吸収した後は強化されることはなかった。 それらの経歴からカールレウムすら存在を知らなかったまさに秘密兵器である。 なお胸部の青いクリスタルや有機的なデザインから「外見がウルトラマンっぽい」と一部では噂される。 また、全長の割に重量がおかしい。 『T』のダイガイアンですら300m・7500tとおかしい数値になっていたが、更にデカくて軽い機体が出るとは誰が思っただろうか? 何で出来ているのか本当に問いただしたいところ。 ◇武装 オムニ・ディールプト ラスボス恒例となったMAP兵器。 自機を中心に無数の光線のような高次元エネルギーを放出し、周囲の敵を殲滅する。 実は射程1が穴。 もっとも難易度の高いルートだと、マップ全体への割合ダメージ攻撃としても使用してくる。 アブソルート・ファクトム 見せてやろう、真理を…! 私は一つにして全…!我こそが唯一絶対…!クエスターだ! アルティム・フィーニの通常武器兼必殺技。 敵に向かってゆっくりと歩行しつつ、自身の周囲に3体の青い分身を形成し、分身が敵機に目がけて飛翔・突撃。 連携しながら蹴りも絡めたステゴロのラッシュを分身達が交互に叩き込み、最後はアルティム・フィーニ本体の体から放つ青いエネルギーの奔流によって敵機を焼き尽くす。 非常にシンプルかつ、「圧倒的な力で全てを決する」というクエスターの信じる真理をダイレクトに見せつける脳筋感満載の大技。 移動後使用可能の上に射程が1〜9、カウンター属性持ち、高威力高命中率を兼ね備えた非常に強力な技。逆を言えば射程10の武器があると一切反撃できないのがネック。 なので四方をひらめき持ちで囲って射程10以上の武器で殴れば一方的にボコボコにできる。 技名はラテン語で直訳すると「絶対の真実(真理)」。ラスボスの最大技としては珍しくカットインが存在しない。 余談だがモーションを見た一部の人間から「モーションがバルタン星人っぽい」とか言われる場合もある。 結末 劇中ではクエスターズの影響で次元が歪み地球滅亡の危機が迫る中、地球に帰る手段がないことを知ってもなおクエスターズ打倒のため決死隊となってサブ・スペースに突入したドライクロイツと決戦。 己が真理と嘯く「力による勝利」を目論むが、ドライクロイツとの死闘の末に敗北。 「地球人類は一時の平和を取り戻しても再び同族で戦い合い滅びる」と断言するもドライクロイツの面々からはその事実を受け入れた上で、 「自分たちが死んだとしても必ず平和のために立ち上がる者が現れる」というミツバの戦いの中で見出した真理を突きつけクエスターの真理を拒絶する。 更に「クエスターは真理に到達できていないこと」「自身が真理と嘯く力のぶつけ合いで負けた」ことを突きつけられ狼狽。 そして最後は主人公が導き出した「生命そのもの(*3)が真理である」という、 エーオスと戦った仲間を捨てて思い上がりからの独裁を選んだが故に既に忘れ去っていたかもしれない結論を聴き、敗北を悟る。 生命が…真理… 私は…何も知らなかった…のか… そしてミツバの「例え地球人が愚かな文明だったとしても未来への希望を信じて突き進み、少しずつでもできることを精一杯する」という人類の可能性を諭されたことで憑き物が落ちたような顔となり態度を変える。 最後は先ほどまでの悪役然とした態度で自身が古の宇宙に干渉したことで「古の宇宙」にいる敵が30の世界の地球に襲来することを宣言し、自身の真理を超えたドライクロイツの面々を30の世界の宇宙に送り返すと、クエスターはアルティム・フィーニ諸共消滅した。 なおカールレウムを生み出したのは、主人公から「仲間を捨てて独裁を選んだことへの慚愧から無意識に作ったものではないか」とも推察されている。 (地球人よ…。私が到達した答え以外の真理が存在しているというのなら…) (それを見せて…みろ…。それが私の…真理の探究に全て懸けた者の最後の…願い………) お前たちに問う。追記・修正とは何だ? △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 置鮎氏のスパロボオリキャラがまたひとり… -- 名無しさん (2022-02-22 19 56 24) まさか「クエスターさんたち」という意味のクエスターズだったとは… -- 名無しさん (2022-02-22 20 11 33) なんか色々と小物すぎてこいつが記念作のボスかー…となった -- 名無しさん (2022-02-22 20 19 08) ネオグラヴァリンになって復活はないか -- 名無しさん (2022-02-22 20 29 23) ヒュッケバインはアカンって言ってたのはグラヴァリンと同様縮退エンジン積んでるからって事かな -- 名無しさん (2022-02-22 20 30 26) 「王の機体」と称されるほど重要視されるが量産型のオルクスーラシリーズと並ぶと「設定上ボスが手下より一回り以上小さい絵面になってしまう」とネタにされてしまってるグラヴァリン。……まあオルクスーラシリーズの方が「いっちゃん弱いのでもビグ・ザムよりでかいのがウジャウジャ来るだいぶ怖い絵面になる」とおかしいのかもしれないけれど…… -- 名無しさん (2022-02-22 20 32 06) マルチバース規模でウルトラマンを疎んでいることが読み取れる戦闘前台詞がある。まあウルトラマンとしてもこんな侵略を正統化する(実質)単独犯を放って置くわけないし -- 名無しさん (2022-02-22 20 35 41) 「ヴァウルーガの民」とは架空の存在かそれともクエスターの種族のどっちか -- 名無しさん (2022-02-22 21 18 43) ↑ カールレウムのためのでっちあげとは思うけど、クエスターの脳筋ぶりからすると戦闘種族ってのは嘘じゃないかもしれん… -- 名無しさん (2022-02-22 21 30 00) ↑9ラスボスまでやったしこれであと主人公だけだな… -- 名無しさん (2022-02-22 21 55 36) スパロボwikiやスーパーエキスパートモードで見れるアルティム・フィーニのカスタムボーナスやクエスターのエースボーナスがあまり機能していないのは「道を誤った存在」ゆえの意図的なものなのだろうか… -- 名無しさん (2022-02-22 22 25 15) ↑9 小物かなぁ? 前作の無職社長に比べれば良くも悪くもスパロボラスボスらしいと感じたが。 -- 名無しさん (2022-02-22 22 46 04) シナリオにもかなりZシリーズの要素が関わってくるし(何ならメカだけじゃなくある男も…)オルダケキアの服従遺伝子云々併せて考えるとオルダケキアはジエーデルの平行同位体でクエスター或いはその乗機が至高神ソルの平行同位体だったりするんだろうか -- 名無しさん (2022-02-22 23 05 49) ↑5 もしカールレウムの戦闘民族云々がクエスターの本来の出自のことだったとすれば「(戦闘民族にとっては)最後まで勝ち残った者こそ最も優れた者」→「最も優れた者こそ最も正しい」→「エーオスを打倒した自分達こそこの宇宙において最も優れ正しい。エーオスを倒した者達の中で更に勝ち残った自分こそ宇宙で真に最も優れ正しい」なんて超脳筋理論の可能性か…… -- 名無しさん (2022-02-22 23 22 23) クエスターズを見て超文明ガーディムを思い出した。 -- 名無しさん (2022-02-22 23 32 31) アルティム・フィーニの最強技がXANのヤーパンニンポーっぽくて好き -- 名無しさん (2022-02-23 01 04 14) 全員同一人物のクローンでゼオライマーの鉄鋼龍思い出した -- 名無しさん (2022-02-23 02 49 31) 独善的で文明に過干渉する光の国(事実上一人)というか変に賢ぶってる脳筋というか、カールレウムがひたすら駄目な方向にいったのが先生な感じ -- 名無しさん (2022-02-23 04 20 40) 300歳位じゃスパロボのラスボスじゃ若輩だろ -- 名無しさん (2022-02-23 09 41 15) 「最後まで反省しない」「最後に自分の行いが間違いだったと認める」「ラスボスの前座」となかなかのマルチタレント -- 名無しさん (2022-02-23 15 43 22) ラスボスの技がゆっくり歩いてくる始まりなせいで処理落ちが何かかと思った -- 名無しさん (2022-02-23 16 05 36) 食べやすいコンビニ弁当といった印象だったな。悪くはないけど突出した個性も薄いというか。 -- 名無しさん (2022-02-23 18 36 04) オルキダケアはラミアみたいに電波ながらも高尚な存在かと思ったら正体があんなんである -- 名無しさん (2022-02-23 20 30 51) ちなみにエンディングクレジットによると師父たちの中の人もカールレウムと同じく中村悠一氏。 -- 名無しさん (2022-02-23 21 39 01) 数と威力を揃えて物理でボコる圧倒的脳筋真理。クエスターズ名乗る前はマジで戦闘民族だったんじゃなかろうか -- 名無しさん (2022-02-23 22 22 43) 色々な意味でウィンキーシリーズ、αシリーズ、Zシリーズのオリ敵を足して割ったような敵だった気がする…良くも悪くも -- 名無しさん (2022-02-25 15 47 48) クエスターは真・女神転生ⅣFINALとかの「神殺し」となった作品の主人公のIFというか『成れの果て』のイメージがある。 -- 名無しさん (2022-04-27 07 47 45) 「アイツラのほうがカスだし、俺らマシだし。」と悪いことやってくのは俺らネット民の姿を揶揄している…というのは流石に穿ちすぎですねハイ。 -- 名無しさん (2022-04-27 11 50 49) ウルガルと並ぶ最古の種族エーオスを滅ぼした存在だから、思考回路も弱肉強食が全てで、弱い連中は滅びて必然と受け入れよさんとほぼ同じ思考。 しかも圧倒的な物量と力で攻めてくるのもウルガルと同等。よって力も思考も同じレベルだからウルガルもクエスターズは地球人類と違い、遺伝子に意味はないから戦わない(狩りをしない)という納得しかない判断である。 -- 名無しさん (2022-05-12 10 27 10) DLCで追加された真のラスボス関連の記事が出来たらオルキダケアはそっちに移しても良いかもね -- 名無しさん (2022-05-17 00 04 45) 神文明エーオス本来の産物は兵器すらあんな優美なデザインだったとは、オルキダケアさん本末転倒の果てとはいえ盛大に自業自得な仕打ち受けてんな……。 -- 名無しさん (2023-04-10 17 30 45) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/72.html
髑髏と悪魔が踊るとき ◆IA.LhiwF3A 命はやがて息絶えて、肉は削げ落ち骨と化す。 骸骨とは、言わば死の象徴。その骸骨を額に掲げし異端のMS、クロスボーン・ガンダムX2が緑の大地を往く。 背部に取り付けられた『交差する骨』の如き外観を持つ大型スラスターにより突き進む漆黒の機体は、 眩いばかりの陽射しの下にいながらも、大海原の波を渡りし幽霊船を髣髴とさせる。 しかし、幽霊船の舵を取るのが常に朽ち果てた身の亡霊船長であるとは限らない。この場合においてもまた、然り。 「ゲームがヤな奴、この指止ーまれ……ってか」 陰鬱とした死の匂いを纏わせる機体を駆るのは、そのような負のイメージとは程遠い、飄々とした印象を与える容姿をした黒服の青年。 宇宙の始末屋、コズモレンジャーJ9に属する超一流のスナイパー、ブラスター・キッドこと木戸丈太郎は、 機体の中心、コア・ブロック・システムと呼ばれる特殊な構造により設計されたコックピットの中、何の気もなしにそんな事を呟いた。 何者にも縛られないというアウトローの信念に基づき行動を開始してから一時間余り、当初の目的である他の参加者との接触は未だ果たせずにいる。 とりあえず、相手がこのクソ益体もないゲームに乗ってしまった相手であれば、容赦せずにこちらも牙を剥いてやるという決意は固めたが、 最終的にどう動くつもりかと問われれば、キッドの中でもそのビジョンはまだ明確に定まってはいない。 ゲームに乗らないということは、『最後の一人になるまで生き残る』というこのゲームでの基本原則に逆らうということだが―― ……アレから無事に逃げ切ろうってのも、結構無茶な話じゃありません? いや、まったくその通りで御座いますとも。 思考の中で勝手に始まって勝手に終わった問答だったが、実際のところ、間違ってはいない。 この何処とも知れない世界へと自分達を呼び寄せ、状況の把握も済まない内に「殺し合いをしてもらう」などという戯言を吐き、 無謀とも言えた少女の反抗に対してその異形を曝け出したこのゲームの主催者。 自分達が元の世界で戦っている相手も、幽体離脱だの新たな宇宙の想像がどうだのといういささか浮世離れした事柄をやってのける存在ではある。 けれど、あの空間で見たものは――違うのだ。 カーメン=カーメンがイカレ野郎である事に関してはあらゆる異議も通すつもりはないが、アインスト――ノイ=レジセイアとか言っていたか。 在り来たりな一言で、表してしまえば。 「……人間じゃねぇしな、どう見たって」 次元が違うという言葉は、きっとああいったモノに対して使うべきなのだ。自分達が持っていた常識も、認識も、何もかもを覆してしまうモノ。 コズモレンジャーJ9の誇りと、背中に刻んだウルフのマークに誓って、たとえ対抗する力がどれだけ巨大であろうとも、それに縛られるつもりなどは毛頭ない。 が、仮に鎖を引き千切ることが出来たとして、そのまま飼い主の喉下へと喰らいつけるかどうかというのはまた別の問題である。 いくら狼であろうとも、大怪獣が相手となれば流石に分が悪いというものだ。 「……かといって、このまんまって訳にもいかないでしょう、キッドさん」 『現状維持』で固まる意識を、どうにかこうにか打破したいとは思う。 けれど、結局答えの出てこないまま、いつの間にか目の前には鬱蒼と茂る雑木林が広がっていて―― 悪魔は、そこにいた。 安易にあのような間の抜けた格好の可変形態に頼らず、わざわざ足を向けてここまでやって来た甲斐があった。 自分にとっては最高のシチュエーション、相手に対しては最高のインパクトを与える登場の仕方が出来たので。 重厚なる巨体をもって一歩一歩を踏み締めるたびに、薙ぎ倒される木々、沈み行く大地。 圧倒的な"力"を誇示して全てを蹂躙するこのマシンを、相手は如何なる思いで目の当たりにしているだろうか。 ――それは、クロスボーンと同じ漆黒のガンダム。けれど、一般的なMSの範疇を逸脱したその大柄な体躯から放たれる威圧感は、 世間一般に有り触れている有象無象のMSの比ではない。剥き出しになったパイロットの悪意が、それを一層増幅させている。 彼とこの機体が出会ってしまったことは、運命の巡り合わせだと言ってしまっても過言ではないだろう―― サイコガンダムのコックピットの中、相羽シンヤはようやく出会うことが出来た"餌"の存在を前に、これ以上にない歓喜を露にして頬を緩ませている。 面白い偶然があったものだ、と思う。対峙している相手の機体は、自分の乗っているマシンと同じ、黒の装甲で身を固めた"ガンダム"と呼ばれるMS。 このゲームに、"ガンダム"の名を冠する機体は二つも必要ない。木偶――サイコガンダムの初陣の相手としては、うってつけの存在と言えるだろう。 と、その時、断続的な電子音が二度、コックピットの中に鳴り響く。通信回線が繋がっている、目の前にいる"ガンダム"からだ。 答える必要などまるでなかった。これから自分は、何の容赦もなくサイコガンダムの力を持ってこの"ガンダム"を叩き潰し、新たな獲物を求め往く。 目の前にいる相手など、自分にとっては所詮通過点でしかない。通り過ぎていくだけの存在。忘れ往くだけの存在。己の糧となってもらうだけの、存在。 けれど、何となく、興味が湧いた。 理由など在りはしないだろうが、自分と同じ黒の"ガンダム"を与えられた人間が、自分に何を伝えるつもりなのか、それが少しだけ、気になった。 通信回線を開く。ノイズ交じりの小さなモニターに映し出されたのは、余裕綽々とでも言えばいいのだろうか、掴み所のない、飄々とした表情の青年。 向けられている双眸には、あたかもこちらの全てを見透かしているような光が宿っている。 気に入らない、顔だった。満面の笑みを浮かべている訳でもなければ、逆に陰気臭い空気を漂わせている訳でもないが、ただ、気に入らない。 生意気だ。不愉快だ。苛々する。鬱陶しい。 何なんだよ、その目は。お前のことなんか相手にしている暇はない、とか言いたそうな、その目は。いや、違う―― ――僕を哀れむような、そんな目を、向けるな。 「オカルト染みた感覚なんてのは、カーメンみたいな頭の大事な部分がどっかにイっちまった野郎だけが当てにするもんだと思ってたが――」 訳の分からない言葉を途中で切って、男の表情が変わる。 ある種の人間――人間が持つ『闇』の一面を知る者だけが纏うことの出来る、特有の剣呑な空気が、男の顔一面に張り付いていた。 「そういうのって、あったんだな。根拠も何もねぇってのに、頭のどっかが『これしかない』って決め付けちまう時が。 でもって、どうもそいつは今みたいだな。お前みたいなのを放っておいたら、絶対にヤバいことになる。出会って早々で悪いが――止めさせて、もらうぜ」 「……何だ? 何なんだよ、お前は? 正義の味方でも、気取ったつもりなのか……?」 「そういうご大層な役職とは、違うな。オレは木戸丈太郎、人呼んでブラスター・キッド――」 X2の紫色の瞳が鈍い輝きを放ち、両手で構えた巨大なライフルの銃口が真っ直ぐ、こちらへと向いて―― 「――お前みたいな悪党を消す、宇宙の始末屋J9だ! イェイッ!!」 ふざけた掛け声とともに、光は放たれた。 一切のブレを許すことなく、バスターランチャーから放たれた光の粒子はサイコガンダムの漆黒のボディ目掛けて向かっている。 完全な直撃コースだ。しかし―― 妙だ。呆気なさ過ぎる。あれだけ無防備に機体を曝け出しておきながら、何の策も打たずにいるなどただの馬鹿でしかありえない。 何かがある。あの機体には、こちらの銃撃を意に介す必要のない、何かが。そして、その正体は―― "見えざる壁"の存在だった。 機体の胸部を今正に貫かんとするところで、光の噴流はそこから先に進むことなく掻き消えて、サイコガンダムへは届かなかった。 「じょっ――」 「はッ! 死になよッ!!」 無効化された。いとも簡単に――その事実を認めるのと同時にすぐさまバスターランチャーを引き戻すが、お返しとばかりに相手側からもビームが飛んでくる。 "見えざる壁"の原理を想像するような暇もない。何より驚嘆すべきなのは、反撃に使われるビームの、その数が、数が多過ぎる……! 「――冗談だろっ!?」 横嬲りの暴風雨を連想させる苛烈さを持って、サイコガンダムの拡散メガ粒子砲がX2へと殺到する。 ビームシールド、ABCマント――馬鹿な、防ぎ切れるものか。下手な一個小隊の一斉射撃よりも、降り注いでくるビームの総量は多い。 これを避け損なえば、X2の小さなボディはバラバラになって、間違いなく、自分は、死ぬ。 ――ボウィーさん、オレに飛ばし屋の運転技術を貸してくれるかい――! 咄嗟の判断。キッドはX2の背部に取り付けられた可動式スラスターの噴射口全てを左側へと向け、推力を一気に全開へと引き上げる。 四つの噴射口から急速に吐き出される炎。射線上のあらゆる存在を飲み込もうとする光の嵐から、X2が稲妻の如き鋭さで横っ飛びに逃れる。 押し潰される――そんな錯覚すら抱かせる凄まじいGが、キッドの身体を襲った。 「……ッ!!」 歯を食い縛って必死に耐える。緊急回避を遣って退けたX2のコントロールのために、操縦桿から手を離すことだけは決して出来ない。 風に煽られマントが翻る中、どうにか機体を着地させる。横滑りに止まったX2の両脚部が激しく地面を削り取り、砂埃を舞わせた。 ――回避、成功。 「……これからは、飛ばし屋キッドとでも名乗ってみるかな」 「お前ッ……!」 決め台詞とともに駄目押しでウインクなどをかましてやると、通信回線上に映る端整な顔立ちの少年が、その表情を獣の如く獰猛に歪めた。 ――怖い怖い、食われちゃたまんねぇな。 そんな能天気なことを考える一方で、ようやく与えられた思考の時間を有効に使うべく、慣れない頭脳労働へと取り掛かる。 ――知恵を頼むぜ、アイザック。 先刻のバスターランチャーを防いだ"見えざる壁"。 あれの正体については、考えるまでもない。俗に言うバリアのようなものを、あのガンダムは持っているのだろう。 問題なのは、バリアが防ぐことの出来る攻撃の種類。まず、X2が持つ最大火力のビーム兵器であるバスターランチャーが通らなかった以上、 ザンバスターのような遠距離からのビーム兵器は完全に無効化されると考えるべきだ。 となれば、残されたのはバルカン砲やヒート・ダガーといった実体兵器と、ビームザンバー、ブランド・マーカー等の近距離ビーム兵器。 しかし、目の前にいる巨躯に対して、口径の小さいバルカン砲の銃撃や、小振りのヒート・ダガーによる斬撃が有効打になるとはとても思えない。 対して、後者にはバスターランチャーと同じ光学兵器の類であるという問題が挙げられるが、直接斬りつける武装であるという相違点がある。 あの弾幕を掻い潜り、至近距離からの一太刀を浴びせる。 スナイパーの自分には、聊か荷が重い役割というものだが―― ――やれやれ、我らが紅一点の声援でもないとやってられないぜ。 「ま、ぼやいてみても始まらないってな」 「――ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと掛かってきたらどうだい……!」 「そう急かしなさんなって」 何の躊躇いもなく手にしていたバスターランチャーを放り捨てて、腰からザンバーを引き抜く。 この作戦において、最も大切なものは機動力。ビーム兵器が通用しないと分かった以上、ランチャーの存在は文字通り、無用の長物でしかない。 ――ブラスター、飛ばし屋と来て、次はサムライねぇ。無節操にも程があるってもんだが、これはこれで。 「――コズモレンジャーJ9の名に懸けて、貴様は我が斬り捨てる……なんてなッ!」 「――ふざけるなぁああああああああッ!!」 サイコガンダムの胸元に光が灯る。それが弾けて向かってくるのとほぼ同時に、キッドは素早くX2のスラスターを上向きに切り替えて―― 何処までも青く澄み切った大空の中へと、X2は飛翔した。 漆黒の巨体から放出される無数の光の矢が、『交差する骨』を象りしスラスターを駆使して接近する、同じく漆黒の小型MSを目掛けて突き進む。 木戸丈太郎が駆るクロスボーン・ガンダムX2は空中で巧みにその軌道を変えて、サイコガンダムから迫り来るメガ粒子の雨を次々に躱していく。 スラスターから青い焔を撒き散らし飛ぶその姿は、さながら優雅に舞い踊る蝶――と呼ぶには、額に刻まれし髑髏が少々邪魔になるか。 一方、相羽シンヤの駆るサイコガンダムもその圧倒的火力を存分に撃ち出して、決してX2を懐へ飛び込ませるような真似はしない。 シンヤにとっては鬱陶しく飛び回る羽虫のような存在でしかないX2を撃ち落とすべく、主兵装である胸部の三連拡散メガ粒子砲に加え、 新たに空へと向かう火線は、機体の各部からぞろぞろと姿を見せた小型のメガビーム砲。射線は続々と、その幅を広げて展開していく。 一度牽制のつもりか、X2が脚部から小型の刀を抜き出して投げつけてきたことがあったが、それも即座に迎撃のビームが粉砕して、終わった。 どうやら相手はIフィールドの特性を見抜いており、接近戦を仕掛けるつもりのようだが、狙いが分かっている以上、対処も容易いというもの。 或いは、こちらがジリ貧になるまで避け続けるつもりなのかもしれないが――仮にそのつもりだったとしても、既に手は打ってあるのだ。 シンヤはX2を弾幕によって引き剥がす度、一門ずつ、銃撃の数を減らしている。 弾切れが起こり始めたと、あのいけ好かない海賊ガンダムのパイロットに誤認させるため。 これまでは相手もサイコガンダムの火力を警戒してか、接近してくる時も決して不用意ではなく、 こちらに照準を合わせさせまいとする不規則な軌跡を描いて向かってきていたが――手数を無くしたと思い込ませることで油断を誘い、 まんまと罠に嵌った相手が一直線に突っ込んできたところを、『奥の手』で仕留める。それが、シンヤの張り巡らせている策だった。 ――フン、生意気な人間め。お前なんて僕の敵じゃないって事を、思い知らせてやるよ。 充分にお互いの距離が離れたところで、サイコガンダムの砲撃を完全に止めた。同時に、緩慢な速度で機体の右腕を持ち上げて、X2へと向ける。 そして、狙い通り。ここぞとばかりに、空中でX2がスラスターを吹かして、これまでにない急激な速度で向かってきていた。 そう、それでいい。お前はそうやって、間抜けに一人で図に乗っていればいい。勝利を確信していればいい。そんな幻想を抱いたままで―― 「――死ねぇぇッ!!」 これこそがシンヤの隠していた、文字通りの『奥の手』。サイコガンダムの右手の指先に仕込まれた、5門の内蔵式ビーム砲。 X2へと真っ直ぐに伸びた指先から、確実に避けようのないタイミングでそれは発射された。X2の小さなボディに、それは確かに命中し―― ――X2の纏っていたマントを僅かに焦がして、それだけだった。爆散が起きたわけでも、機体の一部が損傷を受けたわけでもない。 サイコガンダムへと突き進む、X2の勢いは、止まらない。 「な、何だと……!?」 馬鹿な――サイコガンダムのIフィールドとは違う。傍目から見れば単なるマントでしかないそれが、『奥の手』を、ビーム砲を弾いたなどと……!? 「目には目を、バリアにはバリアをってとこだ……!」 ――シンヤの誤算は、X2を単なる機動力頼りのMSだと思い込んでいたこと。 己の乗ったサイコガンダムの圧倒的防御力を過信するあまり、それと同等の防御力を持つ存在がいる可能性に微塵も思い当たらなかったこと。 策士策に溺れる。決着の一撃となる筈だった『奥の手』は、同じくキッドがその力を隠していた、 ABC――アンチ・ビーム・コーティングマントによって呆気なく弾かれて、そして―― 「悪党に掛ける情けはない。……ABAYO」 ――X2の繰り出したビームザンバーが、サイコガンダムの胸部へと、根元まで突き刺さった。 その切先は、重厚な巨体の中心部を完全に貫いている。スパークが飛び散り、膨れ上がる、熱量。 ザンバーへのエネルギー供給をカットして、X2は崩れゆくサイコガンダムの肩を踏み台にして飛び上がり、漆黒の巨体から離れる。 そして、サイコガンダムの胸元から、メガ粒子砲のそれとは違う、より破滅的な輝きを持った光が大きく膨れ上がって―― ――悪魔の機体は爆発四散し、緑の大地へ炎と装甲の破片をばら撒いて、このゲームから、退場した。 全てが終わった事を見届けてから、キッドはX2を残骸となったサイコガンダムの手前に降ろすと、ぐったりとシートに凭れかけ、心底深い溜息を吐いた。 骨が折れる相手だった。何より、決着を付けるまでの過程が酷く長い時間に感じられた。 一瞬でも気を抜いていれば、あのありったけの弾幕によって、白熱に焼かれ塵と化していたのはこちらだったのだから。 ――考えてみりゃ、一人で戦り合ったのなんて随分久しぶりのような気がするな。 我ながら、よく奮闘したと思える。操縦も、作戦も、覚悟も全て、一人で背負い、一人で挑んだ戦い。ブラスター・キッドの面目躍如といったところか。 しかしまあ、結局のところ、勝負を決めたのは機体の性能差だったように思える。高機動でありながら、確かな防御力をも兼ね備えている機体。 ――やれやれ、ガンダム様々ってところだな。これからも末永く、お付き合い願いま―― 「……人間、如きが」 F-6。二機の"ガンダム"が激突し、壮絶な決着を持ってその全てが終わった筈の場所。その場に築かれたマシンの残骸の数は、 ――二つ。 粉々になったサイコガンダムの残骸の横で、機体の中心に大穴を開けてその機能を停止しているのは、クロスボーン・ガンダムX2。 当然、パイロットの命など、無い。 「人間如きが、この僕を、ここまで……!」 草木を糧に燃え上がる、"ガンダム"達のすぐ側に、一つの黒い人影があった。 それは、巨大な"悪魔"を駆り、"悪魔"と共に滅びた筈の男の、変わり果てた姿。 「……大丈夫だよ。人間なんかにこの僕は、殺されないよ、兄さん」 先刻まで、彼は人間だった。たとえ歪んだ情念を抱き、人間に対する明確な殺意を持っていたとしても、その姿形は『ヒト』の範疇に含まれていた。 「だから……すぐに戻って、殺してやるから、さぁ……」 けれど、今は違う。たとえ彼が相羽シンヤを名乗ろうと、兄の存在を紡ごうと、それはもはや、この世界においては意味を成さない。 今の彼に相応しい呼称は、テッカマンエビル。 異形の姿を持ち、このゲームの参加者達を屠るためだけに動く、悪鬼でしかないのだから。 髑髏と悪魔が踊るとき。 ――"邪悪"は、目覚める。 【相羽 シンヤ(テッカマンエビル) 搭乗機体:無し パイロット状況:テッカマン形態、PSYボルテッカ使用により疲労 機体状況:無し 現在位置:F-6 第一行動方針:他の参加者を全滅させる 最終行動方針:元の世界に帰る】 ※シンヤは機体の爆発間際にテックセットして脱出、難を逃れています。 【木戸 丈太郎 搭乗機体:クロスボーン・ガンダムX2(機動戦士クロスボーン・ガンダム) パイロット状況:死亡 機体状況:コックピットブロック消滅、ABCマント貫通、ショットランサーを所持、それ以外の箇所には目立った損傷無し】 ※F-6にX2のバスターランチャーが落ちています。 【残り49人】 【時刻 14 30】 BACK NEXT 楽勝! 投下順 閃光 狂宴 時系列順 閃光 BACK 登場キャラ NEXT 心に、悪魔宿りて シンヤ 死活問題 情け無用のロンリーウルフ キッド
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/355.html
見よ人の心の光! 輝き唸る神の掌! ◆ZqUTZ8BqI6 戦うための力――人はそれを、『ガンダム』と言った。 「シャアアアアアアアアッ!!!」 獣にも似た鋭い雄叫びをあげ、メタルビースト・シャイニングがVF-22Sに飛びかかる。 紙一重でカミーユは操縦を間に合わせ、回避する。しかし、続いて虚空を蹴り上げ、でたらめな軌道で空を走るメタルビースト・シャイニング。 圧倒的な脚力で空を蹴り飛ばし、形容しがたい言語を全身から嘯きながら、 VF-22Sに追走する。 「なんだこのざらついた感じ……!?」 回避をくり返しながらも、F-91から受け取ったガンポッドを牽制がわりに打ち込む。 メタルビースト・シャニングの背面からの攻撃――しかし、腕や装甲の隙間から覗く黄色い瞳が一斉に動き、VF-22Sへ向けられた。 ガンダムとしての顔は前を向いたまま、後ろの攻撃を完璧に察知し、空高く跳躍してメタル・ビースト・シャイニングは弾幕をよける。 滴るような悪意を垂れ流し、敵意と害意にまみれていながら、心を全く感じられない歪な生命体が、カミーユの目の前にいた。 どこからともなく溢れ、アムロとカミーユを追い立てる謎の生命体群。そのどれもが、既存の生命とはまるで別種の肉体と精神を持っていた。 観測された次元の狭間より来たる、外なる狂気を秘めたインベーダー。 多くはむき出しのタールと個体をいったりきたりする肉体であったが、一部は機械を取り込んでいた。 おそらく、周囲の砕け散ったマシンの破片か何かを取り込んでいるのだろう。 その中でも、完全に原形をとどめたものに寄生したのが、今大きな壁として立ちはだかるメタルビースト・シャイニング。 カミーユとアムロも、それを理解していた。 インベーダー自体はそこまで素早いわけでもなく、強固な肉体を保有しているわけではない。 しかし、欠けたインベーダー同士が融合し再生する。メタルビースト・シャイニングも例外ではなく、 削り与えたダメージ箇所にインベーダーが入り込み、再生させてしまう。 事実上、メタルビースト・シャイニングの周囲にいる無数のインベーダーは、すべてメタルビースト・シャイニングのサブタンクだ。 トモロによる大規模な艦砲射撃でまとめてインベーダーはけし飛んで行くが、数が多すぎる。 禁止エリアより次々補充されしまう。 「くっ!」 オクスタンライフル・Eモードが、メタルビースト・シャイニングを打つ。 しかし、メタルビースト・シャイニングがかざした腕から黒い粘液が幕のように広がり、メタルビースト・シャイニングの体を包みこむ盾となった。 「ギャアアアアアアアアアアアア!!!!」 汚れた涎をしたたたらせ、体から黒い触腕を伸ばすメタルビースト・シャイニング。 先端には、黒い歯肉と不揃いで黄色がかった牙が無数に並んでいる。 カミーユは怪奇な軌道を描き迫るそれらの悪意を、正確に追い撃ち落としていく。 ほぼすべて撃ち落とした直後、滑り出されるように撃ち放たれるオクスタンライフルのBモードの弾丸が、メタルビースト・シャイニングの腹部へ。 正確に装甲の狭間、ブレンバーが刺さり脱落していた部分に弾丸が飛びこんだ。 爆ぜる黒いタール状の肉。だが、相手は一歩たたらを踏むだけ。 即座に、空を飛んでいたインベーダーが傷に飛び込み補修、くぼんだ場所が元通りに。 カミーユが唇をかむ。 分かってはいるが、攻撃力が足らない。 一撃で、相手のガンダムの装甲ごと全身を吹き飛ばすか、内部だけに大量のエネルギーを流し込まない限り勝算はない。 それは分かってる。分かっているのだが、だからはいそうですかとできるわけではないのだ。 VF-22Sも、F-91も、瞬間的な最大破壊力では、特機に比べるべくもない。圧倒的に劣る。 全身を吹き飛ばすなど、絶対に、と言っても過言ではないほど不可能だ。 通常のモビルスーツ相手でも正確に攻撃し爆発粉砕することはできても、跡形もなくとなるとサイコガンダム等でなければ難しい。 まして、今目の前にいる化け物相手ともなれば言わずもがな、だ。 「ゲヒャゲヒャゲヒャゲヒャ!!」 不快な笑い声にも似た音を放ち、全身から触腕を伸ばし、四肢を地面につけ暴れ狂うメタルビースト・シャイニング。 その姿に、モビルスーツらしさ、引いてはガンダムとしての気高さなど一片も残っていない。 多頭龍(ヒュドラ)を強引に人型に押し込めたようなフォルム。全身から見える爛々と輝く瞳。 全身にできた口で金属をはむためVF-22Sに追いすがる。人よりも獣に近いその動作。 その常軌を超えて偏ったアンバランスさ、怪奇さは人に畏怖を与えるには十分なものだ。 空中にいるインベーダーたちは、トモロが牽制し、ビームライフルなどを持たないため露払いに回ったアムロが撃破してくれている。 おかげで、カミーユはメタルビースト・シャイニングと一対一で戦えるわけだが、逆を言えば一切の支援は受けられないということ。 たった一人で、絶対に撃破しなくてはならない。 アムロの懸命の戦いで、こちらに乱入するインベーダーは少ない。 だが、僅かに防衛網をすり抜けたインベーダーはここで待機、メタルビースト・シャイニングの糧となる。 かなり、厳しいと言っていいだろう。 「いけっ……!」 距離をとっての戦いを続けていたが、徐々にメタルビースト・シャイニングが距離を詰める。 機械ではできない常識はずれの旋回速度が、ガンダムにバルキリー並みの速度を与えていた。 カミーユは、即座に武器を納め、拳にエネルギーを収束させる。 ピンポイントバリアパンチ―――その空間ごと押し込む力を受けても、メタルビースト・シャイニングは全身を止めない。 全身ごとぶつける勢いで進撃するメタルビースト・シャイニング。 いくらバリアがあるとはいえ、突撃する巨大な質量を受け止められるはずがない。 バリアを全開にし、反発で距離を再度取り直す。 だが、相手の足をやっと止めたと思えば、再び全身よりわき出るインベーダーが盾となる。 弾丸が吸い込まれ、黒いタールに波紋が走ったかと思えば逆に矛となる大蛇に似たインベーダーが殺到する。 膂力が違う。 速度が違う。 耐久力が違う。 常識が――違う。 人間というくくりを超えた性能を発揮するメタルビースト・シャニング。 何もかも違い過ぎ、元となったシャイニングガンダムとの近似点を見つけることなど不可能。 「だからって……!」 だからってあきらめたら、何になるのか。 命を賭けて守ってくれたベガさん。自分が討った、あのどこかへ帰りたかった男。 正にしろ負にしろ、そういったものを今更かなぐり捨てられるはずがない。 果敢に何度もカミーユはメタルビースト・シャイニングに攻撃を繰り返す。 致命傷はなくとも、少しずつ摩耗していく装甲。残弾。エネルギー。 揺るがないメタルビースト・シャイニングを前に、カミーユは進む。 距離をとっての戦いが駄目ならば、逆に距離を詰めての打ち合い。これしか活路はない。 だが、これはあまりにも危険だ。元来、近接戦闘を最も得意とし、質量的にもVF-22Sの上を行くシャイニングガンダム。 それのなれの果てに近づいた上で、再生を超える破壊を叩き込もうというのだ。 虎の口に直接飛び込むに等しい行為だろう。 メタルビースト・シャイニングの拳が、VF-22Sの顔を掠める。 しかし、それをくぐり、クロス・カウンターにピンポイントバリアパンチを叩きこむ。 メタルビーストの腕が二つに割れ、両サイドから挟み込もうと迫る。 オクスタンライフルとガンポット。両手に持った火器が火を噴き、同時に叩き落とす。 メタルビースト・シャイニングから放たれるバルカン。 それをピンポイントバリアで防ぐ。 どれもがギリギリのタイミングでありながら、一撃でも受ければ中破以上は確実。 そんな攻撃を研ぎ澄まされた感覚でカミーユは避けている。 「ガアアアアアアアアアアッ!!」 攻撃に当たらないことに対しての怒りか、メタルビースト・シャイニングが雄叫びをあげる。 まるで子供のように折れたブレンバーをでたらめに振り回し、VF-22Sに叩きつける。 わし掴みにした棍棒か何かを振り落とすかのような隙だらけの攻撃。 回避はたやすい、はずだった。事実、ブレンバーは回避できた。 だが、同時に文字通り四方八方から襲い来る蛇に似た触手が、VF-22Sの装甲を食いあさる。 強引にだが戦闘機への変形を選択。変形による関節などの回転、可変の勢いによりその牙を引きはがす。 だが引きはがされるまでのラグで、空高くへ打ち上げられたのち、地面へと落ちて行くメタルビースト・シャイニング。 「まだっ!」 空高くまで昇った後、逆U字を描く軌跡で地面へ。その最中に変形、オクスタンライフルを構える。 「撃ち貫いてやる! ……ゼロ距離、取った!」 落下の最中にあるメタルビースト・シャイニングから黒い触手が伸びる。 だがそれらの直撃コースのみを避けての全速突撃(チャージ)。 オクスタンの意味通り刺突槍の如くオクスタンライフルが肉を裂き装甲の亀裂に刺し込まれる。 どんどん地面へ向けて加速。加速度(ベロシティ)が限界点(クリティカル)を突破。 地面へと叩きつけられたメタルビースト・シャイニングの落下点が爆心地を作り出す。 「化け物は化け物の巣にいろ! お前たちは人のいる場所にいちゃいけないんだよ!」 そのまま引き金が引き絞られる。体内で爆ぜるBモ-ドの弾丸。Eモードの光波。 全身を砕くことはできずとも、VF-22Sでも可能な方法。すなわち内部からの破壊。 雷光を放ち炸裂を繰り返す。爆心地(グラウンド・ゼロ)の名にふさわしき爆発と衝撃を放ち続ける。 藁をも掴まんと何かにすがる腕に似た、蛇の頭たちのわななき。しかし、それも一時をおき、しなだれ、朽ちて行く。 完全なる沈黙――それをカミーユは確認し、荒い息を吐きながらやっとオクスタンライフルを引き抜いた。 度重なる酷い疲労で痛む頭をおさえ、カミーユはVF-22Sを立ち上がらせる。 まだ、空を見ればアムロさんが多くのインベーダーが戦っていた。自分だけ、疲れたからと言ってやめられるはずがない。 機体のチェックを軽く行い、そのままアムロの支援に向かおうとした。 その矢先。 「なんだ……!? ヤザン・ゲーブル……!?」 カミーユが、メタルビースト・シャイニングから熱狂にも似た気配を感じ、そちらへ機体を振り向かせる。 その瞬間、カメラに浮かんでいたのは……光弾だった。 ◇ ◇ ◇ 「カミーユ!」 アムロは、メタルビースト・シャイニングで吹き飛ばされたVF-22Sを通信を繋げる。 小さくを呻きをあげるカミーユ。起きる気配はないが……大きな外傷は見当たらない。 アムロ自身、多くのインベーダーを相手取るのに限界で、カミーユの援護に入れなかったわけだが…… それでもその意志力を感じ取る力でメタルビースト・シャイニングが機能を停止したことは理解していた。 だというのに、完全に機能を停止、つまり死んだはずのメタルビースト・シャイニングが再び牙をむいたのだ。 「何が起こっている!?」 メタルビースト・シャイニングの悪意に満ちた思念は死んだ。それは間違いない。 なら、今あれを動かしているのは何者なのか。ひどく既視感を感じる波長を前に、アムロの額に汗が流れた。 無資質でもあった化け物の気配とは対極にある、むせ返るほどの闘争心にまみれた人間らしいと言えば人間らしい存在の感覚。 メタルビースト・シャイニングになにが起こったのか。アムロがヴェスバーをメタルビースト・シャイニングに向ける。 それと同時のタイミング。 「一度は落とした命をまた拾えるとは……菊の季節に桜が満開! 我が世の春! 再びここに来たれりぃぃぃぃぃッ!」 立ち上がったメタルビースト・シャイニングから聞こえる、天をもつかんという声量の咆哮。 その声は――― 「ギム・ギンガナム!?」 「その通りだ! いかなる奇縁か冥府の淵から帰ってきたぞ! もちろん……」 メタルビースト・シャイニングが、F-91にブレンバーを投げつける。 もちろん、あっさりF-91に乗るアムロはそれを回避したが、ギム・ギンガナムの行動自体は理解できるものではない。 「何のつもりだ、ギム・ギンガナム!」 「もちろん、戦うつもりなんだよ! 心残りだった黒歴史の勇者たちとの戦い! ここで晴らさずしてしていつ晴らす!」 F-91に突撃してくるメタルビースト・シャイニング。 F-91はビームサーベルを抜き放ち、メタルビースト・シャイニングのビームソードを受け止めた。 「こんな時でも闘争を続ける気かお前は!?」 「無論! 黒歴史に名を残す貴様の言うことではないな!」 つばぜり合いのあと、F-91は後ろに飛び退る。 「また黒歴史か……それはなんだ!? いったい何の関係がある!?」 「いいだろう、教えてやる! 黒歴史はなあ、すべての過去の戦いの記憶だ!」 「過去の戦いの記憶……!?」 「そこには刻まれているんだよ! νガンダムに乗ったアムロ・レイ! ストライク・フリーダムガンダムに乗るキラ・ヤマト! Ζガンダムに乗るカミーユ・ビダン! ガンダムDXに乗るガロード・ラン! どれもが……ガンダムに乗り黒歴史でも特に名を残す武名!」 ギンガナムの言葉にアムロは驚愕する。 自分とカミーユだけでなく、キラもガロードも、同じ時間軸の未来か過去に位置する存在であったことを。 「そんな英傑たちと戦えるこの機会、捨てるには惜しいだろう!?」 メタルビースト・シャイニングの体が、金色に輝きだす。 「そしてこのシャイニングガンダムも! 黒歴史が英雄ドモン・カッシュが乗るモビルファイター! 本来会うことのなかった黒歴史のガンダム同士の戦い、これに心を躍らせず、なにがある!」 両腕を広げ、荒ぶる声で叫ぶギンガナム。 「剋目せよ!これぞ! ス ー パ ー モ ー ド で あ る ! 』 ぶすぶすとメタルビーストが焼けていく。 メタルビーストが、ギンガナムの『気』を受けてオーヴァーロードしたため起こる現象である。 しかし、ギンガナムは満足そうに笑いを上げている。 メタルビースト・シャイニングとF-91の戦いがギンガナムの奇行で止まったことに業を煮やしたのか、一匹のメタルビーストがF-91に突撃する。 「この原生生物が! 小生とアムロ・レイの戦いに入ろうなんざ百年早いんだよ!」 それをあっさりと切り捨てるギンガナム。 メタルビースト達は、アムロとカミーユを倒すには、現状無理と判断した。 故に、かつてスティンガー博士やコーウィン博士、そして早乙女博士たちを蘇生したのと同じようにギンガナムを蘇生……いや寄生し、機能を復活させたのだ。 運よく、肉体自体は首が吹き飛んだ程度で、ギンガナムの肉体自体は欠損していなかったことが幸いしたのだろう。 もっとも、どれだけ欠けていようと、メタルビースト・シャイニングのように強引に再生していた可能性もあるが。 だが、ここで予想外のことが起こった。 本来、性格の原型を僅かに持つだけでメタルビーストの傀儡と化すはずだったのに、 あろうことか生前の自分のメンタリティ、自意識をはっきり持ったままギンガナムは蘇ってしまったのだ。 ギンガナムがその闘争心含みメタルビーストが望む性格そのままだったのでいじる必要がなかった部分は大いにあるが、 一重に、我が道を爆走するその強固な意思が早乙女博士同様意識を残す結果にもなったのかもしれない。 メタルビーストがアムロとカミーユの攻撃で弱っていたのも一因だろう。 複数の条件が完璧なかたちで揃ったが故の奇跡――いや、悪夢。 ギンガナムはメタルビーストの影響を精神的にはまったくと言っていいほど受けずに再生した。してしまった。 肉体自体はメタルビーストに少なからず依存している以上、反発がつらくないわけがないのだが…… 精神的にハイになりすぎているためそちらが上回っているのか。 変則的ではあるが、これもまたインベーダーを人の魂が凌駕するという証明の一つ。 足元に転がっていた、どこかのメタルビーストのつけていた三本指の腕――ラーズアングリフの腕――を、 溶けかけたインベーダーがいる腕の断面に押し付け強引に補強すると、メタルビースト・シャイニング……いや、シャイニングガンダムは構えを取る。 さしものメタルビースト達も、ギンガナムの勢いに押されてか、傍観する形になっていた。 「いざ行くぞぉ!」 金色に輝くシャイニングガンダムがF-91へ肘鉄を打ち込もうとする。 メタルビースト・シャニングだった時よりはるかに速い。 メタルビーストで補強することで得ていた力を失ったことで生まれたマイナスよりも、 ギンガナムの『気』でスーパーモードになったことによるパワーアップのプラスのほうが大きく上回っている証明。 F-91が木っ端のように吹っ飛ぶ。 どうにか機体を維持し、背面ブースターで姿勢を整えようとするが、ギンガナムはそれを許さない。 「っ……!」 反射的に横へ移動。 一瞬後に、大剣と化したビームソード、『シャイニングフィンガーソード』が大地を割った。 片手分の出力しか送られてないとはいえ、そのサイズはF-91のビームサーベルよりはるかに巨大で、受け止められる代物ではない。 牽制にメガマシンキャノンを撃つが、まったく異に介さずシャイニングガンダムは風を纏い突進してくる。 まるで爆発が起きたかのような轟音。 シャイニングフィンガーソードの剣戟を受けた大地から駆け抜ける烈風が、コントロールを根こそぎ奪う。 それでも、アムロは、ビームシールドを展開。羽虫に似た音を立ててぶつかり合うシールドとソード。 当然シャイニングフィンガーソードを受け止められるわけもない。ワンテンポ遅らせるだけだ。 だがそれで十分。すばやくF-91の体をねじり、踏み込んできたシャイニングガンダムの側面へ回らせる。 「そんな小細工でぇ!」 防御など関係無いと言わんばかりに、恐るべき威力を秘めた一刀を強引に横薙ぎに振り切るシャイニングガンダム。 直上へアムロは回避する。だが、下からの風のあおりを受け、10m以上ある機械の巨体が、凄まじい勢いで後方へと弾き飛ばされてゆく。 直ぐ様シャイニングガンダムは大地を蹴って、F-91に更なる追撃を仕掛けようとしている。 「まずい……!」 実態がないエネルギーソードは、当然重みもない。つまり、現実に大剣を振るうのと違い、振った反動などが手にほとんどないのだ。 まるで扇風機の如く振り回される剣は、確実に逃げ場を減らす。木の葉のように風にあおられ、翻弄されるF-91。 カミーユは気絶し、トモロはインベーダーがカミーユに近づかないようにするのが手いっぱいだ。 確実に狭まる行動範囲を的確にアムロは移動する。 だが、それも終わりは来る。 ついに、シャイニングフィンガーソードが、アムロを捕らえる。回避不能の直撃コース。 「まだだ!」 アムロは、ヴェスバーを抜き放ち、速射―貫通に調節した一撃の引き金を引いた。 長い間使用し、エネルギーを消耗していたこともあって、シャイニングフィンガーソードがついに砕ける。 だが、完全に動きを止めた致命的な隙。 「そらそらそらそらそらぁ!」 連続で放たれるシャイニングショットが、F-91を弾き飛ばす。 元々近接戦闘能力に特化したシャイニングガンダムの遠距離兵器、威力はそれほどでもないが、次々襲う衝撃は容赦なくコクピットを揺らす。 あっけなくF-91は地に伏した。 「噂ほどではないなぁ! それが伝説と言われたファーストニュータイプか!?」 「ぐっ………まだだ、ガロードから譲り受けたガンダムを、この箱庭の戦いを終わらせるまで壊すわけにはいかない!」 「戦いを終わらせるだと!? 闘争に次ぐ闘争が人間の歴史だ! 過去未来現在その真理はかわらなかったと黒歴史は教えてくれたぞ! ガンダムもなあ、そのための道具なんだよ!」 「……分かってるさ」 四肢に力を入れ、F-91が立ち上がる。 この男だけには負けてはいけない。この男に負ければ、人間が、未来永劫進化しない生き物であると認めるようなものだ。 アムロもまた、カミーユ同様決してあきらめない。 「だから、誰かが世界の人の心に光を見せなきゃならないんだろ……!」 自分がそうであるなどと傲慢なことはいわない。自分たちの世代ですべて終わらせるなどどは思わない。 それでも、遅遅とした歩みでも、やらなければならないことがある。 ガロード達の世界が、どの時間で発生したかは知らない。しかし、彼らのようにニュータイプは幻想であると受け入れる社会の訪れが見える時もあるのだ。 それを、過去を垣間見たからと全て否定させるなど、一人の人間として許すわけにはいかない。 人の歴史は、円環ではないのだ。螺旋を描き、確かに少しずつ変化し昇って行く。 だからこそ、たどり着ける場所もある。 「それが……『永遠に争う世界』がお前の見た俺たちの未来なら! 俺たちはそれを変えてみせる!」 F-91の仮面が割れ、その下の装甲が露わになる。 それと同時に三枚の肩のフィンが黄金の粒子を大量に纏う。 F-91を包む金色の輝きが、シャイニングガンダムのシャイニングショットを次々と弾き飛ばす。 オリジナルニュータイプアムロの感応力とF-91のバイオコンピュータの完全なる融合。 質量のある幻影を超える、次なる段階――質量を持ったエネルギー。 乖離した大量の微細な装甲箔がさながらネットワークのようにエネルギーを伝達しあうことで発生する、 点と点を繋ぐエネルギー波を複雑かつ何重にも張りめぐらされた力場が生成する一種のバリアフィールド。 そう、つまり――― 「伝説のニュータイプバリアだとぉぉぉぉおおお!?」 「F-91は……いや、『ガンダム』は伊達じゃあないっ!」 数多の宇宙で、正義として、悪として、平和の使者として、混沌をもたらすものとして、生まれてきたガンダム。 その無限にも等しいガンダムと、そのパイロットの系譜の中の一人と一機。 『ガンダム』という名は、決して虚構でも嘘でもない。アムロの言うとおり――伊達ではないのだ。 「だがそうおいそれとぉ!」 シャイニングは鋭い回し蹴りをF-91に叩きこむ。しかし、その一撃はF-91の聖なる守りに阻まれ、弾かれる。 足を弾かれ軸がぶれた間に、F-91が拳をシャイニングガンダムの顔に叩き込んだ。 モビルスーツとはかけ離れたモビルファイターじみた一撃を受け、地面を削りながら後方へシャイニングガンダムは飛ばされる。 またたく間に距離を詰めるF-91が、シャイニングガンダムの隙間を縫ってさらに連続で追撃を加え続ける。 「これほどの格闘戦もこなすとは……さすがはアムロ・レイ!」 「昔取った杵柄だ!」 アムロは、元来格闘戦が得意なのだ。 ランバ・ラルのグフも、シャアのジオングを相討ちに持ち込んだ時も、始めてザクを撃破した時も、黒い三連星を倒したときも…… そのどれもが格闘戦だ。モビルスーツは、本来ミノフスキー粒子で半有視覚で戦闘を強いられた環境で戦うためのもの。 戦車や戦闘機とはまったく別種、人間と同等の機能を使用しての戦いを可能にする。近接した上での切り合い殴り合いはある意味正しいのだ。 その後は、技術の発達とともに、戦車や戦闘機同様に射程を延ばしての射撃戦に以降にしていくわけだが、 その最初期、格闘を基準とした時代をアムロはエースとして戦場を駆けたのである。 苦手であるはずもない。νガンダムが最期にサザビーに格闘を繰り出したのも、当然のこと。 だが、ギンガナムもやられ続けているわけではない。 多少のダメージは無視して攻撃を仕掛けている。 しかし、 「……!? 受けるのに当たらないだとぉ!?」 『ギンガナムの攻撃は当たらないがアムロの攻撃は当たる』のである。 無数の質量をもった分身が、シャイニングガンダムを取り囲む。完全に判別不能であるため、どれか正解か分からず、 シャニングガンダムは手あたり次第に攻撃を加えていく。当然、幻影であるそれらに攻撃は通らない。 だが、逆にF-91の攻撃はどうなっているか。 質量を半ば持つまで顕現したバリアフィールドは、幻影でありながら正確にシャニングガンダムを打つ、打つ。打つ! 一対無数にも似た状況が造られていく。 「ぬあああああ!?」 多重に重なり合い映りだされるF-91から、無数の拳が繰り出される。 さながら、拳だけが高速で撃ち出され、分裂したように。瞬きすらも許さぬ速度で繰り出される拳が、モビルファイターを押し倒す。 「ガロード、これがお前たちの世界のニュータイプか……?」 アムロは、一人静かに呟く。 このニュータイプの感応能力を使った人形とその操作は、 ガロードから聞いたガロードの世界……いや自分たち過去か未来の世界のニュータイプの戦闘活用法が発想の元になっている。 すなわち、ビットモビルスーツだ。伝動するエネルギーを人型にして意思を乗せて操作する。 ニュータイプの力を使った、ニュータイプの戦闘方法だ。 「さすがはニュータイプということかぁ!?」 「……いや違う! これが、人間の力だ!」 「戯言を! 人間は戦うために進化した! その進化の先端を行くニュータイプが戦闘の力以外のわきゃねぇぇだろぉぉぉ!!」 F-91の分身が減っていく。システムのオーバーロード、積載エネルギーの限界……その両者を受けて。 「そうとしか考えられない人間が、その力を戦いに使うんだ! だから戦いの環が広がるのを知るんだよ!」 荒野に立つ、2つの金色の柱。 両者、同時に最終リミッターを解除――フェイス・オープン機能による冷却が、限界を超える。 「なら勝ったほうが正しいということでどうだ!」 「どこまでも闘争にこだわる男め……!」 「それの何が悪い!? 拳で決めることに異存はないだろう! シャイニングフィンガーのぶつけ合い、受けて見せるんだよ!」 シャニングガンダムが腕を引く。突き出す一瞬を求め、力を溜める。 F-91が残った力を拳に送る。争いを断つ刃へ変わる。マスターガンダムとの戦いの経験が、ここで生きる。 「いくぞぉ! 小生の! 闘争心が真っ赤に燃えるぅぅぅ! お前を倒せと輝き叫ぶ!」 「お前のような男につきあってられるか!」 「これぞ真説っ! シャアアアアアアイィンング! フィンガァァァアアアアッ!」 両者の叫びとともに突き出された拳が、中空で激突した。 紫電を周囲に放ち、大地を蒸発させながら爆音轟かせ衝突、炸裂。 だが……膠着は、一瞬。 「馬鹿なぁぁああああ! 小生のシャイニングフィンガーが破れると言うのかあ!!?」 「これで終わりだ! お前の望む争った未来は来ない!」 拳を砕かれ、肩まで跡形もなく粉々にされるシャイニングガンダム。 それだけでなく、続けざまにシャイニングガンダムの胸へF-91は抜き手を放つ。 金色のシャイニングガンダムの装甲を貫通し、深く深くガンダムF-91のさらに強く輝く金色の拳が差し込まれる。 それは内部に巣食うインベーダーの肉もまとめて掘り進む。 シャイングガンダムの胸の中心へ差し込んだ腕を振り上げる。空高くシャイニングガンダムを掲げ、ガンダムF-91に乗るアムロは叫ぶ。 勝鬨を上げるのは、ただひとり。 「ヒィィィィトォッ! エンドォッ!!」 F-91の放つニュータイプとしての輝きがシャイニングガンダムの内部から漏れる。 飽和しきったアムロの意思を持つ生命エネルギーが、インベーターを膨脹させた。 先ほどからギンガナムの気迫と根性でどうにか保っていたインベーダーも、直接その力を体内から叩きこまれればジ・エンドだ。 蒸発するインベーダーという筋肉。砕け散るガンダリウム合金スーパーセラミック複合材の装甲。 「シャイニングフィンガーを超えるフィンガー…… ゴ ッ ド フ ィ ン ガ ー ! ? これが『ガンダム・ザ・ガンダム』と言うものかあぁぁぁぁっ!!?」 燃え盛る焔のごとき魂が、黄泉帰った屍人に終末を与えた。 これすなわち、文字通り――ヒート・エンド。 次の瞬間、金色の爆炎が世界を包み込んだ。その輝きは、柱となり地平に、天に駆け抜け、周囲にいるインベーダーすらも貫いた。 戦いは、ここに終わったのだ。 ◇ ◇ ◇ 「く……さすがに、無理をしすぎたか……」 酷い頭痛にこめかみをもみながらF-91のシートにアムロはもたれかかる。 あまりにも多大な消耗と引き換えに可能にした、限界突破の力。その反動で、アムロは静かに目を伏せた。 「しかし……ゴッドフィンガー、か……」 神の掌という意を持つ一撃。その威力は、確かに強力無比。 無論、自分が神のような力を持っているとは思わない。思いたくもない。 だが、この力なら、ブンドルの言っていた必要な力にも匹敵する。 殺し合いは現実起こり、数々の人が倒れ、マシンが朽ちてきた。 その中、超極大の力を複数集めるのは至難の業であることは理解している。 この力をもっと完璧に扱えるようになり、ほぼエネルギー最大の状態で発動させられれば、求めらる力の一つになることは可能かもしれない。 いや、かならずなってみせる。ガンダムには、それだけの可能性を秘めているのだ。 キラも、ガロードも、俺たちの世界のガンダムも……そうやって切り開くため戦ってきた。 確かに、ギンガナムの言う通り、人類は戦いの歴史を歩んでいるのかもしれない。 だが、ならばガンダムの歴史はそれへの反逆の歴史だ。兵器として生まれ、兵器の枠を超え、無限の想いをガンダムは背負って歩んできた。 このF-91もまた、終わらない戦いの歴史を止めるため作られた、νガンダムの未来――自分の未来――に生まれたガンダム。 必ず、世界をいつの日か変える日がくる。 そして、この偽りの箱庭も――― 最後に、こちらに接近するJアークが視界に入る。 そのまま、アムロは意識を失った。 ゴッドフィンガーをアムロは習得しました! 【アムロ・レイ 搭乗機体:ガンダムF91( 機動戦士ガンダムF91) パイロット状況:健康、疲労(大) 気絶 機体状態:EN1,2% ビームランチャー消失 背面装甲部にダメージ ビームサーベル一本破損 頭部バルカン砲・メガマシンキャノン残弾60% ビームライフル消失 ガンポッドを所持 現在位置:D-3南部 第一行動方針:インベーダーへの対処 第二行動方針:首輪の解析とD-4地区の空間観測 第三行動方針:協力者を集める 第四行動方針:マシンセルの確保 第五行動方針:基地の確保 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考1:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している 備考2:ガウルン、ユーゼス、テニアを危険人物として認識 備考3:首輪(エイジ)を一個所持 備考4:空間の綻びを認識】 備考5:ゴッドフィンガーを習得しました。 残存エネルギーのほぼすべてを発動すると使用します。 また、冷却などの必要があるため、長時間維持は不可能です。 発動、維持には気力(精神力)や集中力を必要とし、大幅に疲労します。 ほぼ完全な質量をもった分身の精製、F-91を覆うバリアフィールドの精製、 および四肢に収束させての攻撃への転嫁が可能です(これが俗にいうゴッドフィンガー)。 【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・Sボーゲル(マクロス7) パイロット状況:強い怒り、悲しみ。ニュータイプ能力拡大中。疲労(大) 気絶 機体状況:オクスタン・ライフル所持 反応弾所持 EN10% 左肩の装甲破損 全体的に装甲表面に傷。 現在位置:D-3南部 第一行動方針:インベーダーへの対処 第二行動方針:首輪の解析を行ないつつしばらくJアークに同行 第三行動方針:ユーゼス、アキト、キョウスケを「撃ち貫く」 第四行動方針:遭遇すればテニアを討つ(マシンセルを確保) 最終行動方針:アインストをすべて消滅させる 備考1:キョウスケから主催者の情報を得、また彼がアインスト化したことを認識 備考2:NT能力は原作終盤のように増大し続けている状態 備考3:オクスタン・ライフルは本来はビルトファルケンの兵装だが、該当機が消滅したので以後の所有権はその所持機に移行。補給も可能】 【Jアーク(勇者王ガオガイガー) 機体状態:ジェイダーへの変形は可能? 各部に損傷多数、EN・弾薬共に100% 現在位置:D-3南部 備考1:Jアークは補給ポイントでの補給不可、毎時当たり若干回復 備考2:D-4の空間観測を実行中。またその為一時的に現在地を固定 備考3:ユーゼスが解析した首輪のデータを所持(ただし改竄され不完全なため、単体では役に立たない)】 D-3を中心としてその周辺のインベーダーはすべて消失しました。 【二日目16 00】 BACK NEXT 怒れる瞳 投下順 排撃者――表排撃者――裏 怒れる瞳 時系列順 排撃者――表排撃者――裏 BACK NEXT 怒れる瞳 アムロ 怒れる瞳 カミーユ