約 1,837,573 件
https://w.atwiki.jp/k2727324602/pages/403.html
<no image...> 「自分の能力に自信を持つことは結構だ。だが過信してはいかんよ。 いいかね。これはいつも言うことだが、3人の堅い堅いチームワークがなければ、強大な敵を倒すことはできない!分かるか?」 (早乙女博士/TVアニメ・第5話) <リンク集> 位置づけとしては「教科書・参考書」。 ゲッターロボ-TOEI ANIMATION(公式):http //www.toei-anim.co.jp/lineup/tv/getter/ Wikipediaゲッターロボ <作品概要> <◆基本情報> 本ページの対象作品ゲッターロボ(TVアニメ) <◆主要人物> 人類(地上人)サイド早乙女研究所所員とその関係者流竜馬(声:神谷明):主人公1。 神隼人(声:山田俊司):主人公2。 巴武蔵(声:西尾徳):主人公3。 早乙女ミチル(声:吉田理保子):ヒロイン。 早乙女元気(声:菊池紘子) 早乙女博士(声:富田耕生) 早乙女和子(声:菊池紘子 ※千々松幸子[20]) 早乙女達人(声:野田圭一):早乙女博士の長男。第1話で死亡。 ジョーホー(声:富田耕生):武蔵の柔道部の後輩。 大枯紋次[おおがらし もんじ](声:矢田耕司):早乙女研究所の近所に存在する「世界発明研究所」の所長。 朝太郎(声:緒方賢一):紋次の開発した助手ロボット。 神明日香(声:菊池紘子):隼人の姉。 神大造(声:矢田耕司):隼人の父。神重工業社長。 流竜作(声:神弘無):竜馬の父。 主要ゲストジャック・キング(声:井上真樹夫):第21話。テキサスマックの操縦者。 メリー・キング(声:中谷ゆみ):第21話。ジャックの妹。 早乙女ミユキ / ゴーラ皇女(声:つかせのりこ):第22話。ゲッターQのパイロット。 勝田博士(声:?):第28話。ゲッター線第2発電所の責任者。 サオリ(声:?):第39話。脳腫瘍に冒された少女。 恐竜人(恐竜帝国)サイド幹部帝王ゴール(声:神弘無) バット将軍(声:緒方賢一) ガレリイ長官(声:山田俊司[キートン山田]) 大魔神ユラー(声:矢田耕司) :第27話から登場。恐竜帝国の真の支配者。 主要キャプテンキャプテンラドラ(声:緒方賢一) :第9話に登場。シグザウルスのパイロット。 地竜族シック(声:) :第16話に登場。早乙女研究所をすんでの所まで追い詰める。 キャプテンザンキ(声:野田圭一) :第18話に登場。バット将軍の甥 女竜戦士ユンケ(声:菊池絋子) :第34話に登場。竜馬の妹に変装する <◆使用楽曲> OPテーマ:ゲッターロボ! / ささきいさお EDテーマ:合体!ゲッターロボ / ささきいさお、コロムビアゆりかご会 劇中歌・挿入歌ゲッターロボわが命 / ささきいさお 平和の戦士たち / 水木一郎 カムオンゲッター1・2・3 / ささきいさお、コロムビアゆりかご会 [34話他] <◆シナリオ時系列> TVアニメ 第1部 帝王ゴール地上侵攻篇(※管理人による便宜上の分類)第1話 無敵! ゲッターロボ発進 第2話 決戦! 三大メカザウルス 第3話 恐竜帝国レインボー作戦 第4話 燃ゆる血潮の南十字星 第5話 闇をつらぬけゲッターチーム 第6話 恐竜!東京ジャック作戦 第7話 悪を許すな突撃ラッパ 第8話 危機一髪ゲッター2 第9話 栄光のキャプテンラドラ 第10話 急降下!ゲッター3は行く 第11話 激突!ドリル対ドリル 第12話 吠える!不死身のウル 第13話 一本勝負!大雪山おろし 第14話 紅の空に命を賭けろ!! 第15話 悠子に捧げるバラード 第16話 恐竜帝国の謎を追え 第17話 狙われた設計図 第18話 恐竜帝国のすごい奴 第19話 リョウ最後の出撃! 第20話 大空襲!突然の恐怖 第21話 アメリカから来たロボット 第22話 悲劇のゲッターQ 第23話 浅間山の大発明狂 第24話 大要塞に向って撃て 第25話 合体!風速100m 第26話 帝王ゴール大噴火作戦 第2部 大魔神ユラー出現篇(※管理人による便宜上の分類)第27話 大魔神ユラーの怒り 第28話 襲撃!地竜族三人衆 第29話 洪水地獄の死闘 第30話 不死鳥の甦る時 第31話 危機! ハヤトよ立ち上がれ 第32話 恐怖! 赤い霧の罠 第33話 果てしなき大空に誓う! 第34話 女竜戦士ユンケの涙 第35話 ムサシ! 男はつらい 第36話 要塞撃滅! トロイ作戦 第37話 悪の指令! 博士を狙え 第38話 魔の海からの脱出!! 第39話 悲しみは流れ星の彼方に 第40話 日本列島凍結作戦! 第41話 姿なき恐竜空爆隊 第42話 北極に進路をとれ! 第43話 奪われたゲッターロボ 第44話 ムサシ! 怒りの海底 第45話 脱出! 宇宙の墓場 第46話 恐るべき氷竜族の侵略 第47話 帝王ゴール地上に現わる! 第48話 マグマの恐竜帝国へ突入! 第49話 大爆発! くたばれ恐竜帝国 第50話 帝王ゴール決死の猛反撃 第51話 恐竜帝国のほろびる日 (Fin) <◆参戦済スーパーロボット大戦リスト> 関連ページ:スーパーロボット大戦 No 作品 略称 発売日 ハード 備考 ※ スーパーロボット大戦α外伝(ゲームアーカイブス) α外伝AS 2011/12/21 ※ 表示略 ※ スーパーロボット大戦α(ゲームアーカイブス) αAS 2011/12/21 ※ 表示略 ※ スーパーロボット大戦F完結編(ゲームアーカイブス) F完AS 2011/11/9 ※ 表示略 ※ スーパーロボット大戦F(ゲームアーカイブス) FAS 2011/11/9 ※ 表示略 ※ 第4次スーパーロボット大戦S(ゲームアーカイブス) 第4次AS 2011/7/6 ※ 表示略 ※ スーパーロボット大戦EX(ゲームアーカイブス) EXAS 2011/1/26 ※ 表示略 ※ 第3次スーパーロボット大戦(ゲームアーカイブス) 第3次AS 2011/1/26 ※ 表示略 ※ 第2次スーパーロボット大戦(ゲームアーカイブス) 第2次AS 2011/1/26 ※ 表示略 45 スーパーロボット大戦A PORTABLE AP 2008/6/19 PSP 表示略 ※ スーパーロボット大戦i(A) i(A) 2006/2/6 iモード 表示略 38 スーパーロボット大戦MX PORTABLE MXP 2005/12/29 PSP 表示略※ 36 第3次スーパーロボット大戦α -終焉の銀河へ- 3次α 2005/7/28 PS2 ※ 33 スーパーロボット大戦MX MX 2004/5/27 PS2 ※ 32 スーパーロボット大戦Scramble Commander SC 2003/11/6 PS2 29 第2次スーパーロボット大戦α 2次α 2003/3/27 PS2 26 スーパーロボット大戦IMPACT IMPACT 2002/3/28 PS2 25 スーパーロボット大戦COMPACT for WonderSwanColor WSC 2001/12/13 WSC 表示略 24 スーパーロボット大戦A A 2001/9/21 GBA 23 スーパーロボット大戦α for Dreamcast αDC 2001/8/30 DC 表示略 22 スーパーロボット大戦α外伝 α外伝 2001/3/29 PS 21 スーパーロボット大戦COMPACT2 第3部 銀河決戦編 COM2-3 2001/1/18 WS 20 スーパーロボット大戦COMPACT2 第2部 宇宙激震編 COM2-2 2000/9/14 WS 19 スーパーロボット大戦α α 2000/5/25 PS 18 スーパーロボット大戦COMPACT2 第1部 地上激動編 COM2-1 2000/3/30 WS - スーパーロボット大戦EX EXPS 2000/1/6 PS 表示略 - 第3次スーパーロボット大戦 第3次PS 1999/12/22 PS 表示略 - 第2次スーパーロボット大戦 第2次PS 1999/12/2 PS 表示略 17 スーパーロボット大戦64 64 1999/10/29 N64 16 スーパーロボット大戦リンクバトラー LB 1999/10/1 GBC 原作なし 15 スーパーロボット大戦コンプリートボックス CB 1999/6/10 PS 14 スーパーロボット大戦COMPACT COM 1999/4/28 WS 13 スーパーロボット大戦F完結編 F完PS 1999/4/15 PS 表示略 12 スーパーロボット大戦F FPS 1998/12/10 PS 表示略 - 全スーパーロボット大戦 電視大百科 電視 1998/10/29 PS 原作なし 11 スーパーロボット大戦F完結編 F完 1998/4/23 SS 10 スーパーロボット大戦F F 1997/9/25 SS 7 第4次スーパーロボット大戦S 第4次S 1996/1/16 PS 表示略 6 第2次スーパーロボット大戦G 2次G 1995/6/30 GB 5 第4次スーパーロボット大戦 4次 1995/3/17 SFC 4 スーパーロボット大戦EX EX 1994/3/25 SFC ※ 3 第3次スーパーロボット大戦 3次 1993/7/23 SFC 2 第2次スーパーロボット大戦 2次 1991/12/29 FC 1 スーパーロボット大戦(初代) 初代 1991/4/20 GB ※:主役機(ゲッターロボ)が登場しない作品。 (参考)スパロボ採用楽曲ゲッターロボ!(OP曲)スーパーロボット大戦(初代)(戦闘BGM)、他 合体!ゲッターロボ(ED曲)スーパーロボット大戦Scramble Commander(必殺技BGM)、他 <関連情報、その他雑感> <◆イベント時系列表>作品の主要事項を時系列順に整理。ネタバレには注意。 ゲッターロボ イベント時系列表恐竜帝国キャプテン一覧 メカザウルス一覧 主なできごと(参考:SRWでの採用状況) <◆管理人一押しポイント> ◆TVアニメ ・一押しの見どころ 22話~早乙女ミユキの涙(同順)23話~前話から一転してのコメディ回 ・最もお気に入りのキャラクター (男)ゲッターチーム3人(女)早乙女ミユキ/女竜戦士ユンケ <◆鑑賞記録> 2010年5月以降に鑑賞した分。◆TVアニメ(2011/9視聴完了) ゲッターロボ 鑑賞備忘録
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/347.html
王の下に駒は集まる ◆VvWRRU0SzU ユーゼス・ゴッツォは合理的な人物である。 信じるものは数字、実績、記録といった目に見えて確かなものだけ。 愛や友情、気合や根性といった精神的な言葉がもたらすこのなど何一つないと考えている。 その男からすれば、今目前で繰り広げられている茶番はまったく持って不可解、不条理、不愉快なものだった。 (理解できん……やつらは状況が分かっているのか? 殺し合いの真っただ中で、人目も憚らず無防備に抱き合うなどと) 飛び去る二機を発見しアキトと別れて以降、彼らの追跡を続けたユーゼス。 起伏に富んだ草原の一角にラーゼフォンの巨体を隠し、彼が見ているのは一組の恋人たち。 何を思ったか機体を降りて悠長に睦言を交わしているようだった。 ユーゼスとしては現状の戦闘力が些か盤石でないこともあり、接触は慎重に慎重を重ねた上で行うつもりだった。 しかし、この様子では―― 青い騎士のような機体と、20m前後の白い機体。ともに少年と少女からは均等に20m程の位置だ。 ふわり、とラーゼフォンが舞う。遮るもののない草原でこの巨体を晒せばすぐに発見されるだろう。 拡大したモニターの中で少年がこちらに気付く。だが抱き合ったその体勢から瞬時に反応できるはずもなく。 滑空の勢いのまま、ラーゼフォンを青い騎士へと激突させる。 ラーゼフォンより一回り小さいその機体は軽々と吹き飛んだ。土埃を上げて停止したその距離は実に100mは空いた。 ユーゼスはその様子に目もくれず、白い機体へとラーゼフォンを旋回させた。 自身の半分ほどのその機体を抱え上げ――介入から僅か数秒で無力化に成功した。 通信回線をオープンに。眼下で愕然としている少年少女に向ける言葉を探す。と、 「その機体、あ、あんたは……生きてたのか!? 生きてて――くれたのか!」 少年が体を震わせながら叫んできた。傍らの少女は彼の腕に縋りついている。 生きていてくれた――その言葉の対象はラーゼフォンに乗っていたあの遺体のことだろう。 アキトはこの少年が下手人だと言っていた。なら、自分が殺した相手のことを心配していた、ということになる。 少年の狼狽する様子。 どうせ確たる覚悟もないまま殺人へと及び、その罪を認めたくないから生きていてくれて嬉しい、というところか。 少年の良心を満足させるため芝居を打ってやるか――だが、あの遺体は骨格からして女性だった。 自分の野太い声ではさすがに気付かれるだろう。嘆息して、一つ息を吸う。 「少年、残念だが君の願いは叶わない。この機体に乗っていたパイロットは確かに死亡していた」 少年が、ビクリと震えた。正体不明の人物の声に加え、罪から逃げることはできないと改めて突き付けられたからだろう。 そんな少年を庇うように赤毛の少女が前に出た。 「アンタは一体誰!? アタシ達に何の用があるのよ!」 「用も何も、私達が行っているのは殺し合いだ。つまりは、そう」 ラーゼフォンの片足を持ち上げ、彼らの目と鼻の先へ踏み下ろす。轟音。一拍、足を引き上げるとそこには深い足跡が刻み込まれていた。 彼らは引きつったような顔で見上げてきた。堪らない――その顔だ。弱者を蹂躙する愉悦。 「己の立場はわかったかね? 質問するのは私の方だ。君らは黙って従えばいい」 「誰がアンタの言うことなんか……!」 「情報交換は一人いれば事は足りる。恋人を引き裂くのは忍びないが……どうするね?」 「ッ……!」 「待て、テニア。ここは俺が話す」 少し落ち着いたらしい少年が少女を背中へと隠す。 睨みつけてくるその顔は中々に精悍で、まさしく姫を守る騎士といったところ。 「で、何が聞きたいんだ。俺達が知ってることはそう多くないぞ」 「ふむ……ではまず、君達の名前と関係から聞こうか。まあ、後者については聞くまでもないかもしれんが」 「……俺は紫雲統夜、彼女はフェステニア・ミューズ。俺は、俺達は……二人で生き残るんだ」 「二人で、ね。この戦いのルールを聞いていたかね?」 「知ってる。でも、生き残るためにテニアを殺すことなんて……俺には、もうできない」 「あ、アタシもだよ!」 「具体的にどうするつもりだ? 主催者は勝ち残った一人を求めているのだぞ」 「それは……だから、主催者を倒すとか、ここから逃げるとか。とにかく、優勝って道はもう選ばない」 「ではもし、君らが襲撃されたらどうする? この場合は私だが、たとえばその少女を殺したら、君はどうするのだ?」 「――決まってる。どんな手を使ってもアンタを殺してやる」 絶対的不利な状況でもそう告げた少年の目には怯えはない。 少女は僅かに涙ぐんだ――この分では彼女も少年と同じだろう。 互いが互いを必要とし、それだけで完結する関係。 ユーゼスは思案する。 今己に必要なもの――ナデシコの設備、未知の技術、AI1を進化させる膨大なエネルギー、そして王を守る駒。 アキトは強力かつ貴重なカードだが、扱い辛い。もっと手軽に、いつでも切り捨てられる手札が欲しい。 その点、彼らは。 生還を目的とし、強固な絆で結ばれた二人。 必ずしも戦う訳ではないが、一番に優先するのはお互いの命。かかる火の粉を払うことに躊躇いはない。 条件は十分だ。 「統夜――と、呼ばせてもらうよ。君たちの決意はわかった。礼を失したようだが、私は君たちの力になれると思う」 「何だって……?」 「私は主催者に抗う仲間を求めている。君達がともに戦ってくれるのなら、無事に生還できることを約束する」 ラーゼフォンの手を掲げ、コクピットからそこへ乗り移る――信用させるためのポーズ。 少年達を見下ろす。自らの首輪を指でトントンと叩き、続いて引き千切るようなジェスチャーを加える。 「私は『これ』ができる方法を所持している。協力を得られるなら君達にも提供しよう」 目に見えて少年が動揺する。 二人で生き残る。その理想の着地点がどうあれ、首輪はネックにしかならない。 恐らく誘いに乗るかどうか、その脳裏で激しく議論が交わされているのだろう少年を尻目に少女が声を上げる。 「アンタを信用できるっていう根拠は? 裏切らないって保証はあるの?」 「ない。そもそも君達はお互いしか信用する気がないのだろう? そしてこれが肝要なのだが、私としては必ずしも君達である必要はないのだ。 この先誰かと出会えばその誰かにも同じ取引を持ちかける。恐らくこれができるのは生存者の中でも私だけだろう。 モノを考えられる相手ならば断られる確率は低い。つまり、君達が断るならば私はここを去るだけだ」 「見逃してくれる……気はあるの?」 「まさか。不確定要素はできるだけ排除しておきたい。君達がいつ優勝を狙いに回るかもわからんしな」 「じゃあ選択肢なんてないじゃない!」 「そんなことはない。生きる道を選ぶか、ここで死ぬか。その二つは選べるだろう」 押し黙る少女。 やれやれ、と嘆息する。アキトと合流するためにもあまり時間をかけたくはない。 二人の排除を真剣に検討し始めたところ、思案に耽っていた少年が顔を上げた。 「わかった。アンタの話に乗る」 「統夜!?」 「テニア、どのみち俺達は敵を作りすぎた。仲間は必要なんだ。 ガウルンとはいずれ戦うことになるだろうし、Jアークってやつらも多分そうだ。 最悪なのがナデシコだな。ガウルンが少しでも削っていてくれればいいんだけど……」 「ナデシコ? 待て、君達はナデシコと接触したのか?」 「接触したも何も、さっきまで戦ってたよ。今は仲間が……いや、『元』仲間が残って戦ってる」 つまり、アキトが向かった方にナデシコはいた。そこでは今戦っている。 出遅れた、と半々の確率を選んだ自分を悔やむ。ここからでは間に合うかどうか。 「統夜、その残っているやつの情報を教えろ。危険なやつか? 行動目的は?」 「え……ああ、危険って意味では多分集められたやつの中でもトップクラスだ。 ガウルンって名前で、傭兵って言ってたけど戦うことを楽しむようなやつだし。優勝狙いっていうか、戦いそのものが目的だと思う」 「ガウルン――チッ、まったく面倒な!」 その名は聞き覚えがある。薬の後遺症に苦しむアキトが何度もうわ言で呟いていた名だ――怨嗟とともに。 アキトの仇というのはそのガウルンのことなのだろう。そいつがナデシコを襲っている。 彼が間に合えばいいが、ある意味それは煮え滾る鍋にさらに爆薬を投げ込むようなものかもしれない。 ナデシコの重要性は認識しているだろうが、あの様子では殺意を制御する気などなさそうだ。 急行し、ナデシコから引き離さなければならない。 「統夜、済まないが話はまた後だ。ナデシコが墜ちれば先程の話も水泡に帰することになる」 「ナデシコを助けに行くのか? その……協力するとは言ったが、俺達は行けないぞ。 アンタを信用するのも、あそこにいるやつに会うのも、今はまだ早い」 「フン……まあ、いいだろう。では、そうだな――次の放送までにA-1の市街地で合流しよう」 「A-1だな、わかった。俺達は今から向かって待機しておく」 ラーゼフォンを飛行させ、だがふと気づく。丸腰で向かったところで大したことはできない。 青い騎士を見やる。ちょうど良いことに、中々の大剣を佩いている。 「統夜、剣を借りておく。次に会った時に返す」 言い捨て、倒れ伏す青い騎士の剣を強引に剥ぎ取った。 統夜が何か喚いている――だが今は聞いていられない。 五大剣をその左腕にしっかりと握り締め、ラーゼフォンは猛スピードで飛び去って行った。 騎士の象徴たる剣をを奪われ、憤慨する少年の罵声を聞き流しながら。 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス(+ラーゼフォン) パイロット状態:若干の疲れ 機体状態:全身の装甲に損傷(小)、両腕・両脚部欠落、EN残量80%、自己再生中 機体状態2:右腰から首の付け根にかけて欠落 断面にメディウス・ロクスのコクピットが接続 胴体ほぼ全面の装甲損傷 EN残量40% ヴァイサーガの五大剣を所持 現在位置:G-1 第一行動方針:ナデシコ、アキトと合流。危険人物(ガウルン)の排除 第二行動方針:ナデシコの捜索、アキトと合流、AI1のデータ解析を基に首輪を解除 第三行動方針:他参加者の機体からエネルギーを回収する 第四行動方針:サイバスターとの接触 第五行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 第六行動方針:キョウスケにわずかな期待。来てほしい? 第七行動方針:次の放送までにA-1に向かい統夜、テニアと合流 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る 備考1:アインストに関する情報を手に入れました 備考2:首輪の残骸を所持(六割程度) 備考3:DG細胞のサンプルを所持 備考4:謎の薬(希釈されたDG細胞)を一錠所持 備考5:AI1を通してラーゼフォンを操縦しているため、光の剣・弓・盾・音障壁などあらゆる武装が使用不可能 備考6:ユーゼスに奏者の資格はないため真理の目は開かず、ボイスの使用は不可 備考7:ラーゼフォンのパーツ部分は自己修復不可】 【紫雲統夜 登場機体 ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A) パイロット状態:精神的に疲労 怒り 機体状態 左腕使用不可、シールド破棄、頭部角の一部破損、全身に損傷多数 EN80% 五大剣紛失 現在位置:H-1 第一行動方針:A-1に向かい待機。戦闘は避ける 第二行動方針:ユーゼスに協力。でも信用はしない 最終行動方針:テニアと生き残る】 【フェステニア・ミューズ 搭乗機体:ベルゲルミル(ウルズ機)(バンプレストオリジナル) パイロット状況:幸福 機体状況:左腕喪失、左脇腹に浅い抉れ(修復中) 、シックス・スレイヴ損失(修復中、2,3個は直ってるかも) EN60%、EN回復中、マニピュレーターに血が微かについている 現在位置:H-1 第一行動方針:統夜についていく 第二行動方針:ユーゼスに協力。不審な点があれば容赦しない 最終行動方針:統夜と生き残る 備考1:首輪を所持しています】 【二日目14 45】 BACK NEXT かくして漢は叫び、咆哮す 投下順 怒れる瞳 かくして漢は叫び、咆哮す 時系列順 怒れる瞳 BACK NEXT 驕りと、憎しみと ユーゼス 怒れる瞳 Stand by Me テニア 怒れる瞳 Stand by Me 統夜 怒れる瞳
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/202.html
死亡者名鑑 第一回放送までの死亡者名鑑 第二回放送までの死亡者名鑑
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/54136.html
SDガンダム勢も生身…らしい -- 名無しさん (2013-08-12 18 39 20) ↑あれどうやって宇宙で息しているんだ・・・? -- 名無しさん (2013-11-15 21 06 09) ↑剣司「大丈夫なんですか?・・空気とか」張飛「誰が空気武将だコラ」ってレベルで平気らしい。 -- 名無しさん (2013-11-15 21 27 04) ここ最近のDS系スパロボには毎回居る -- 名無しさん (2013-11-15 23 29 24) 生身ユニットと巨大ユニットが理想的な形で共存している「スーパー特撮大戦2001」(スパロボの派生作品)のゲームシステムは発想は良かったが、ゲームバランスが悪すぎた。よっぽどパラメーターの設定が難しいらしい。 -- 名無しさん (2013-11-16 00 08 00) テッカマンは素で下手なスーパーロボットよりつええからな・・・持久力が無いから波状攻撃に弱いとか段々肉体に負荷がかかって寿命が短いとかの致命的な弱点はあるが、Ⅱで再フォーマットされたブレードはそれすらなくなったし -- 名無しさん (2013-11-16 05 54 30) ワルキューレなんかの場合参戦作のサイズ差のダメージ減が無い(または緩い)好条件もある -- 名無しさん (2013-11-16 09 52 08) まあ三璃沙の皆さん、実は赤壁の時に宇宙に出てるし、水中でもなんて事ないような感じだったからな。ガンダムだし -- 名無しさん (2013-11-16 11 47 59) パワード夏美も入るのか? -- 名無しさん (2013-11-16 11 51 34) メダロットの参戦は… -- 名無しさん (2013-11-17 07 21 54) Wのブレードは序盤から主人公格の上に黒歴史扱いな続編を上手く組み直し、クロスオーバーでも優遇で報われ抜いたDボゥイが見れた。 -- 名無し (2013-11-17 17 24 17) ロボットガールズZとかいう作品 -- 名無しさん (2014-03-07 01 00 34) セーラームーn...ベガさん強かったな -- 名無しさん (2014-03-07 11 10 34) そのうち超者ライディーンやエグゼリカも参戦しそう -- 名無しさん (2014-03-07 11 16 06) 東方不敗が生身のほうが強いというのはガセネタなので修正誰かよろしく -- 名無しさん (2014-03-07 15 24 00) ↑MFが拘束具とか言ってた気がするけど、それもガセなの? -- 名無しさん (2014-03-07 15 27 30) ↑↑G何回か見直して来い -- 名無しさん (2014-03-07 15 29 09) ↑×3 師匠の着ている導着は旧式のファイティングスーツで、ドモンたちが着ているものよりフィードハック性能に劣るという設定が存在する。つまりマスターガンダムは生身の師匠に比べて体捌きが悪くなるということ。また師匠曰く「今さら何でメカに頼ろうものかぁっ!」 -- 名無しさん (2014-03-22 17 36 16) デンドーのベガとかフルメタのボン太くんとか、普通の作品のユニットの中にちょっといる程度ならさほど気にならないけど、テッカマンやイクサーみたいに生身系を全面に押し出してるものの参戦はロボット大戦としてどうなのかなーと思ってしまう -- 名無しさん (2014-04-27 10 05 57) ↑テッカマンブレードはSFヒーローもの、イクサーは巨大ロボこそ出るが、あれはスーパー戦隊のシメの巨大戦よろしく特撮パロディの性質が強いからな。しかし、それでいてボン太くんはOKという感性はまったく解せない。あれは原作時点で本筋と混ざらないようわざわざ専用のギャグ編に隔離してあった存在なのに。 -- 名無しさん (2014-06-07 20 09 41) そしてそのブレードとボン太くんはスパロボでは同期という現実 -- 名無しさん (2014-06-07 20 18 40) ↑そうなんだよ・・・w 特にWじゃテッカマン(ソル・Ⅱの面子含む)&オーガン&ボン太くんで出撃枠全部埋めて生身大戦争デフォにしても縛りプレイどころかむしろ楽にクリアできるという現実・・・! -- 名無しさん (2014-06-07 20 21 44) ボン太くんを見て地球製テックシステムかー!?には吹いたな。生身同士で笑える -- 名無しさん (2014-06-07 20 42 45) ↑5 だがちょっと待ってほしい。ブレードはペガスに乗ってるじゃないか -- 名無しさん (2014-06-07 20 45 54) ↑見た目も刺々しい金属の外殻に覆われててビジュアル的な違和感は特に無いのも大きいね。戦闘能力が弱すぎて参戦をあやぶまれるってんならともかく下手なスーパーロボットが裸足で逃げ出すチートスペックだしw -- 名無しさん (2014-06-07 21 22 35) まぁ、ケロロ軍曹がスパロボで暴れまわった今となってはぶっちゃけボン太くんがフルメタ本編から隔離させたギャグ編だから~なんて理屈はもうどうでもいいよねw -- 名無しさん (2014-06-07 21 31 29) ヴァンが乗っているのを見て「レゴブロックの人形か!?」とおもったな。 -- 名無しさん (2014-06-07 21 32 52) 記念すべき初の生身ユニットは、2Gの東方不敗…なのだが、実はドモンも同着一位だったりする。ただしイベント中のマップアイコンだけだけど。 -- 名無しさん (2014-06-07 21 55 06) ↑3 そのOEも原作再現率低めでとにかく多作品から主要メンバーだけ集めてドンパチしようってどっちかというとA.C.E.に近いやりかただから違和感が減ってるってだけで本道のスパロボでケロロ参戦はまだ敷居高いって -- 名無しさん (2014-06-07 21 59 15) ↑さすがにそこまでは言ってねーよw -- 名無しさん (2014-06-07 22 11 15) ケロロ軍曹を -- 名無しさん (2014-11-28 13 03 13) ↑失敗した。ケロロ軍曹を参戦させたことが異常なんだよ。 -- 名無しさん (2014-11-28 13 04 52) そしてバスターマシン7号参戦! -- 名無しさん (2014-12-15 11 05 25) Zでクラン生身復活しないかなぁ…微妙性能でもフル改造で良いパーツ付けて使うのに…乳揺れもするしな! -- 名無しさん (2014-12-15 12 19 58) イクサー登場の影響で生身ユニット=イクサーとよばれだしたねw -- 名無しさん (2014-12-15 12 32 30) クロスアンジュが参戦したら一応生身枠だよな、ガーランドが非常に近い。 -- 名無しさん (2014-12-18 18 19 20) もしもロックマンが参戦した場合、生身ユニット扱いなんだろうか…? まあ、ロボットやレプリロイドだったり、デコイや人間ベースの一部サイボーグや電波人間にネットナビだったりするが…クロスフュージョンは? -- 名無しマン (2015-01-17 23 01 23) バスターマシン7号も追加でよろしく -- 名無しさん (2015-02-15 23 37 33) こうして見るとそのうちアニメ版キカイダーとかも参戦しそうな気がする -- 名無しさん (2015-03-14 15 25 58) 次はどんな奴が出てくるんだろうかとわくわくしている俺がいる -- 名無しさん (2015-03-14 16 13 38) ケロロ軍曹の中身丸見え云々だとキングゲイナーのガチコも入るのだろうか -- 名無しさん (2015-03-14 16 19 14) G -- 名無しさん (2015-03-14 16 30 24) ↑みすったGFの方々は本当に化け物だよなあ・・・師匠に至っては生身でモビルスーツ倒してるうえに石破天驚拳うてるし!またアルベルトと師匠の大戦をスパロボでみたいな~ -- 名無しさん (2015-03-14 16 32 18) SD三国伝の皆さんは「(ムシャジェネの設定が生きてるなら)生命体に進化した元機械」。UXでの設定はそのムシャジェネのを拾ってラインバレルで味付けした感じ。ちなみに昔からSDガンダムはちょくちょく生身で宇宙に行ってる(飛駆鳥大将軍とかスーパーGアームズの面々とかガンドランダーほぼ全員とか) -- 名無しさん (2015-04-06 01 40 57) ↑ラスト外宇宙に向かった人達がメタルせっちゃんみたくなって環境に適応するため体をMSに似せていったのがSDガンダムの祖になったって勝手に妄想してた -- 名無しさん (2015-04-06 07 38 57) ↑何かイバリューダーみたいだな、って思ってしまったり -- 名無しさん (2015-04-06 07 51 59) ケータイじゃ編集できんが天獄編にバスターマシン七号が出たな。 -- 名無しさん (2015-04-07 15 24 41) 太陽の子の人も生身ユニットだよな、アレ -- 名無しさん (2015-04-07 19 58 52) Fのカラオケモードのデモでドモンと師匠を見たのが俺の初生身ユニットです -- 名無しさん (2015-04-17 21 51 03) エスカフローネの定義に合わせると、クロスアンジュも生身ユニット扱いになりそうだなw -- 名無しさん (2015-04-17 22 06 10) 等身大ロボット大戦が出てもおかしくなくなってきた。 -- 名無しさん (2015-06-16 12 43 22) ガイオウ様もありだったよね。 -- 名無しさん (2015-06-29 09 26 45) 武者は昔コミックワールドで「心なしか息が苦しいような…」って言ってなかったっけ? -- 名無しさん (2015-06-29 11 22 44) アドヴェントとSDガンダム外伝の方達の追記よろしくお願いします。 -- 名無しさん (2015-06-29 15 26 14) ガンダムフォースがさを -- 名無しさん (2015-07-06 21 02 30) ガンダムフォースが参戦する日も近いかも。 -- 名無しさん (2015-07-07 12 58 37) 地球製オーガンは生身枠とは違う気がするな・・・メカに憑依みたいな形で一体化するのが生身に入るならジョウに託された後の飛影も含まれるはず。 -- 名無しさん (2015-07-07 13 06 17) 戦闘獣やメカザウルスなどもサイボーグみたいなものだから生身ユニット?バジュラや宇宙怪獣などは生身というよりなまものかな。 -- 名無しさん (2015-09-25 16 36 11) クロスアンジュが参戦したら、戦闘機?形態がエスカフローネと同じパイロット剥き出しだな。 -- 名無しさん (2015-09-25 16 56 43) あれ?ゼウスもある意味生身ユニットじゃね? -- 名無しさん (2016-01-26 21 21 31) 生身ユニット限定の作品が本当に作られそうだ。 -- 名無しさん (2016-02-20 17 06 46) スパロボGC・XOのJ9-III号(サスライガーの列車形態)も砲撃手が生身で機体外に出る演出有り。宇宙でも使えるけどJ9シリーズは原作の時点で人間が生身で宇宙に出ても大丈夫と言う設定。 -- 名無しさん (2016-02-20 17 32 36) ネオゲ竜馬も使わせてくれませんかねえ… -- 名無しさん (2016-02-20 17 34 40) コンレボとアクティヴレイド参戦希望 -- 名無しさん (2016-04-16 21 41 52) ファイバードとダグオンもスパロボ参戦したら、生身ユニット出せるな。 -- 名無しさん (2016-07-19 23 20 06) 生身ユニット限定の作品が作られた場合の参戦作予想。アニメ化しているSDガンダム作品。テッカマンブレードシリーズ。ヒーローマン。アイアンリーガー。メタルジャック。フェイHD。 -- 名無しさん (2016-07-20 23 01 32) X-Ωでメロウリンクがバイクに乗って参戦 -- 名無しさん (2016-07-30 21 57 57) X-Ω期間限定参戦のゴジラもある意味生身 -- 名無しさん (2016-07-30 22 24 59) ベルクロスさんが参戦したら生身ユニット扱いになりますか?・・・怪獣枠ですか、そうですか -- 名無しさん (2016-08-29 20 01 54) 東方不敗いないんだな。意外っちゃ意外 -- 名無しさん (2016-08-29 20 05 36) 師匠は生身の方が強いってのは今川自身が否定してたよ -- 名無しさん (2016-08-29 20 24 54) アンジュがキリコの後継者になるとは誰が予想しただろうか -- 名無しさん (2016-11-26 03 31 25) もうヤマトが参戦しちゃうご時世だし、『終わりのクロニクル』とか『境界線上のホライゾン』参戦もいけちゃうんじゃない……? -- 名無しさん (2017-02-18 00 15 21) 生身ユニット大戦が作られた場合、戦艦に困りそうだ。 -- 名無しさん (2017-02-28 22 25 44) 生身ユニット大戦が制作された場合、ビーストウォーズシリーズも参戦してくれたら嬉しい。 -- 名無しさん (2017-03-07 23 55 13) 個人的に、パワードスーツやら変身やらでメカメカしい外見になっている奴らは生身ユニットというより「等身大(人間大)ユニット」というべきだと思う -- 名無しさん (2017-05-02 21 24 21) 生身ユニット大戦が制作された場合、史上初のスパロボオリジナル生身ユニット主人公が誕生するな。 -- 名無しさん (2017-06-15 23 59 47) ゴジラはちょっと違う? -- 名無しさん (2017-06-16 13 34 15) そのうち最終兵器彼女のちせが出てくるかもしれない、多分ないだろうけど -- 名無しさん (2017-07-13 09 48 33) 生体ユニットかと思った -- 名無しさん (2017-07-13 10 27 33) ↑3 基本的に人間台のユニットのみをさし、また、普通に身体能力がスーパーロボットと同等の巨大生物は基本的に生身ユニットとは呼ばれない。敵も含めれば宇宙怪獣やバジュラなど数多く、メカザウルスや戦闘獣もサイボーグなのでそれに近い存在と言える -- 名無しさん (2017-07-13 12 15 28) 生身ユニット大戦の題名は、FB(flesh and blood)か、LS(life‐size)になりそう。 -- 名無しさん (2017-07-22 18 42 51) スパクロのロボガ勢も生身ユニットになるのかな -- 名無しさん (2017-08-24 06 42 34) ロックマン…。 -- 名無しさん (2017-12-18 23 19 57) 今回のアンジュ天元突破する可能性出て来たぞ -- 名無しさん (2018-01-18 19 10 36) スパクロで恐竜兵士とソルジャーにバスターマシン7号がイナズマキックをかましたのはいくら相手が人外とはいえオーバーキルにもほどがあるのではないだろうか -- 名無しさん (2018-01-18 23 40 38) キリコさん原作で生身でAT二機同時に相手にして破壊するというスパロボ以上の荒業やってるんだが・・・ -- 名無しさん (2018-01-18 23 51 36) ファイバードは火鳥兄ちゃんはアンドロイドだから生身というには微妙。ダグオンたちはパワードスーツだからこれまた微妙 -- 名無しさん (2018-03-10 20 56 00) Xではアンジュの生身射撃は見れなくなったと思ったら救世主ワタルが龍王の剣で原作再現+天元突破で生身アンスパに立ち向かってるのが容易に想像できちゃう展開に -- 名無しさん (2018-04-19 23 39 21) おい!X-Ωに『宇宙刑事ギャバン』が参戦したぞ! -- 名無しさん (2018-09-10 11 01 44) スパロボVのパラメイルは一応『宇宙戦闘に対応しましたよ』って説明があったけど、髪が靡いていたり搭乗席から直接射撃したりしているから説明になってなかったり -- 名無しさん (2018-09-10 11 45 05) イクサーっていっぱいいるんだなー(錯乱) -- 名無しさん (2018-09-10 12 23 43) 漫画のULTRAMANクルー? -- 名無しさん (2018-09-10 13 49 36) ついに全員生身のデビルマン勢まで参戦か -- 名無しさん (2018-12-29 20 10 37) くろがね五人衆とアーマーマグナムがお休みしたと思ったら竹尾ゼネラルカンパニーとハーロックがかよォ?! -- 名無しさん (2019-03-28 20 57 17) デビルマンも入るかな? -- 名無しさん (2019-09-22 18 45 40) 明「オレは!入って!いないのか!」 -- 名無しさん (2019-09-22 19 04 18) テッカマンとかイクサーみたく主役ユニットがきちんと等身大で戦い抜くならグラフィックも大きめになるが、ちょっとしたシャレ止まりの演出なら顔も判別できない小人になる -- 名無しさん (2019-11-02 19 09 04) 牙狼の魔界騎士の皆さん(といっても初代だけだから暗黒騎士キバ含め3人だけ)もこのカテゴリかな。さらに言えばあの人達鎧来てない時のがアクション激しい時があるしw -- 名無しさん (2020-10-01 19 27 08) デビルマンは? -- 名無しさん (2020-12-08 18 49 51) メダロットはパワードスーツに該当するんじゃないの?本体はメダルだし -- 名無しさん (2021-03-06 01 08 23) 30での新規参戦は…漫画ULTRAMANは確定としてハイパーエージェントはどこかに入るのだろうか -- 名無しさん (2021-12-31 09 15 49) スーパーロボット(と戦えれば生身でも参加できる)大戦 -- 名無しさん (2022-01-29 13 18 01) ISやスカイガールズなどメカ娘・メカ少女系も参戦してほしい -- う (2022-04-09 22 28 36) そもそもロボット=操縦系大型兵器って固定概念なのがアレよ。ロボコップやターミネーターも参戦出来るんだぞ -- 名無しさん (2022-04-10 00 47 24) ログ化を提案します -- 名無しさん (2022-07-29 21 36 40) デモンベインのマスターテリオンは生身ユニットやってないのか、意外。原作でやってるんだけど。 -- 名無しさん (2023-02-12 10 06 57) ↑ヒーローマンが悪いよ、ヒーローマンが(シナリオ上では原作ではいないヒーローマンが出てきたせいで「いつもとは趣向を変えねばなるまい」と言ってまだ4話なのにリベル・レギスを呼び出した) -- 名無しさん (2023-02-12 10 15 30) コメントをログ化しました -- (名無しさん) 2023-05-15 10 37 55 広義ではここに挙がってるキャラ全員イクサーの可能性…?(錯乱) -- (名無しさん) 2023-05-18 10 58 09
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/150.html
心、千々に乱れて ◆7vhi1CrLM6 あくびをし、寝ぼけ眼を擦りながらカテジナー=ルースは起き上がった。 暗い闇の中手探りで灯りをつけるとレーダーを覗き込む。 何かが近づいてくる。そういう気がしたのだ。 根拠は何もない。ただ感じただけ、そういう気がしただけ、それでもそれは確信に近いものだった。 レーダーに映し出された二つの光点によって、程なくそれが正しいものだったと証明される。 レーダー類の不調のせいで距離はそう遠くない。 最初はかなり速い速度で接近してきていたのが、暫くして静止した。 おそらくはこちらの姿が見えない為警戒をしているのだろう。あるいは迷っているのかもしれない。 彼女は今湖の底に隠れていた。 「迂回をしてくれるようなら楽なのだけれどね」 あくびを一つ噛み殺してぼやく。 疲れが抜け切っていないのか、どうにも眠たかった。 接触を図るよりも今はまだもう少し寝ていたい。それが本心だ。 しかし、そんな思いを裏切るかのように光点がすっと接近を始める。 「やっぱりほうっておいてはくれないわよね」 女の見栄というか、習性のようなもので身支度を整えながら、思案を練り始める。 今の動きで分かったことがある。 まずは二人組という点でおそらくは好戦的な相手ではないということ。 そして、二対一という局面において一度動きを止めたということは、用心深い性質の持ち主がいるのか、あるいは戦力に不安が残るということ。 にも関わらず接近していたということは、捻じ伏せるか、逃げ切るか、どちらかの自信があるという現われ。 それを念頭において逃げるべきか、接触すべきかを考える。 逃げようと思えば逃げることは可能だった。 なにしろまだ互いに姿を見せてない上に、こちらは視界の悪い水中だ。 一度レーダーのレンジ外に抜けてから物陰に身を潜めれば、相手を撒くことは難しくない。 「だけど……接触すべきでしょうね」 いかにも乗り気でないといった態度。緩慢な動作でシートに腰を掛けなおす。 何かを潰したような感触があった。驚いて腰をずらしてみると、三種の樹脂マスクが出てきた。 あの核ミサイルに乗った男から得たボイスチェンジャー付きのそれは、正体を隠しつつ交渉するという点において、これほど都合の良いものはない。 だが、それを何の躊躇もなしにぽいっとコックピットの後方へ投げ捨てる。 理由は特にない。強いて言えば似合わないからである。 そういえばこのマスクを持っていたのも二人組だった。 核ミサイルなどというふざけたものを乗り回し、追い回してくれたことは、今思い出しても頭にくる。 だが、その二人はもういない。 カテジナ=ルース、彼女自身が手を下し核の炎で葬った。 理由は単純。必要ない、利用する価値もない存在だと判断したから。 その点、最初に出会った二人は違った。 ギャリソン時田とユウキ=コスモ。この二人は外れ機体引いた自分の盾になってくれたという面で非常に役に立った。 そして、熱気バサラと彼を知る一人の少年。彼らもまたラーゼフォンを運んできてくれたという点と、その性能を試させてくれたという点において役に立っている。 ならば、と彼女は思う。 ならば今度の二人組は何をもたらしてくれるのか、それを思うと気持ちが僅かに上向きに修正された。 既に距離はかなり近い。 いきなり攻撃を仕掛けられてもつまらない、と思い、ラーゼフォンをゆっくりと上昇させる。 湖面を抜け開けた視界に二機の人型機動兵器の姿が飛び込んできた。 「こんばんは。こんな夜更けに若い女の子に会いに来るものではないわよ」 眉間に皺を寄せて不機嫌を装い、口を尖らせる。 それで相手が機嫌を取ろうとすれば御の字。主導権を握ることができる。 だから殊更に嫌悪感を露にして言葉を続けた。 「もっとも、夜這いにでも来たって言うのならば話は別でしょうけどね」 むっとした様子を年若い方が顔に出すのが見えた。対して年嵩の男のほうの顔色は変わらず判断が難しい。 機体間の距離は遠くはない。しかし、不意をつけるほど近くもない。 そして、左右に分かれている。それもごく自然な動作でその配置についていた。 場慣れしているといっていい。 「何か不機嫌を買うようなことをしたのなら謝ろう。キョウスケ=ナンブという」 「カミーユ=ビダンです」 「カテジナ=ルースよ。何の用かしら?」 「単刀直入に聞く。敵か? 味方か?」 「敵よ。生き残れるのはただ一人なのだから、この世界にいるのは全員敵。 でも今のところ交戦の意志はないわ。あなたたちの出方によるけど……」 言い切り、動きを伺う。 嘘は言っていない。考え方にも不自然なところはないはずだ。 そのうえでどう出てくるのか、それに少し興味があった。最悪戦闘になる覚悟は出来ている。 「こちらにも交戦の意思はない。情報の交換を行いたいのだが構わないな?」 「構わないわよ」 そうして暫く情報の交換が行われる。 受け取った情報は、補給ポイントとG-6基地で交戦したという複数の機体、それに獅子を模した胸部装甲の機体について。 対して提供した情報は、ギャリソン・コスモ・バサラ、そして最初に交戦した黒いガンダムについて。 もちろん、情報に手は加えてある。 コスモ・バサラという味方を装った二人組に騙されて襲われ、同行していたギャリソンさんは死亡。自分も命からがら逃げ出した、といった塩梅にだ。 そうすることで二人と距離を置いている理由が説明できる。同時に争いの扇動にもなる。 見たところこの二人は戦闘慣れしている。そんな人間を二人も相手取るよりも、どこかであの二人と潰しあってくれたほうが得という算段だった。 「カテジナさんも一緒に来ませんか?」 「えっ?」 突然、予想外の言葉をかけられてはっと顔をあげる。 その言葉は青い髪の少年――カミーユ=ビダンのものだった。 「まだG-6基地には二人の仲間がいます。 そこのほうが一人より安全だし、上手くいけば殺し合いをしなくてすむかもしれない」 言葉を探す。 答えは決まっていた。しかし、頭の中に言葉が浮かんでこない。 何故――迷っているとでもいうのか? ちらりとキョウスケという男の顔を盗み見る。 相変わらずの能面面。人工的な笑みの一つくらい浮かべてみせても損はないだろうにと思う。 だが、黙っているということは、黙認するということだろう。 基地に仲間がいるというのは、この男があえて伏せていたはずの情報だ。 それを口走っても止めない程度の信用は築けたということか。十分だ。これ以上の深入りは望むものではない。 「一緒に行きましょう、カテジナさん。あなたは殺し合いなんかしちゃいけない人なんだ」 何を根拠にそんなことを、と思う。 そう思った後で、ウッソに似てるなとふと感じた。 何処がではない。このカミーユと名乗る少年の容姿・性格はウッソのそれとは大きく異なっている。 纏っている空気も雰囲気も違う。 それでもこの少年から受けるプレッシャーは何処となくウッソに似ていた。 となると迷っている心はウーイッグに対する里心。未練か? ――馬鹿らしい。 それで合っているのかは分からなかったが、ようやく胸の内に言葉が浮かんできた。 「無理だよ。少なくとも私はあなたたちを完全には信用できはしない。 そんな相手と一緒にいれるはずがないだろう?」 「何故ですか?」 そう。目の前の少年が放つ気はウッソのそれに似ており、私を惑わせ、苛立たせる。 この少年と同行するのは危険だ、と直感が告げている。 「甘い言葉を使って騙してくる者もいる。ここでは自分以外を信用できるはずがない。 お別れだよ、坊や。次は敵同士だ」 そう言い残し、逃げ出すようにラーゼフォンはその場から飛び去る。北に向かってただ一直線に、ただひたすらに。 煩わしい、と思う。何故私が逃げなければならないのか、とも思う。 だが、あの場から逃げ出したかったのは事実なのだ。 ――この私がいたたまれなくなったとでもいうのか? 馬鹿らしい。 情報は得た。 奴らはG-6の基地を本拠に行動している。ならばやることは決まっている。 これから出会う参加者全てに情報を吹き込み、送り込めばいい。善良そうな奴には危険人物が潜んでいると、危険な奴には参加者がいるとただ吹き込む。 それだけで奴らは勝手に潰しあい、やがて全滅するだろう。 そんなことを考えつつ十数分ほども飛んだときだろうか、唐突に一つの考えが頭を過ぎった。 「地球クリーン作戦やギロチンと同じ?」 腐らすものは腐らせ、焼くものは焼く。汚い大人たちは潰して地球の肥やしにしてしまう地球クリーン作戦。 そして、リガ・ミリティアのような反目するものを黙らせるためのギロチン。 この二つはザンスカール帝国が掲げるマリア主義の為の必要悪。 ならばこの殺し合いも危険因子を摘み、黙らせ、古いものを次代の肥やしにする必要悪? だったら何故―― 「何故、私が巻き込まれている?」 分からない。分からない。分からない。 頭の中が混乱し、思考にノイズがかかる。不愉快極まりない。 そして、ドンッと何か重くて巨大な塊に体当たりされたかのような衝撃が奔った。 ◆ そこは真っ白くてなにもない空間だった。 何故ここにいるのか? ここは何処なのか? 不思議に思い、あたりを見回しているうちにテーブルが現れ、椅子が現れ、そして日常の風景が姿を現した。 黒髪の少女が金髪の少女を叱っている。 またコックピットにチョコでも持ち込んだのかと思わず苦笑いが漏れた。 やがて黒髪の少女を諌めるように軽い感じで赤毛の少女が割って入り、涙目になっていた金髪の少女がほっとした表情を見せる。 そんな日常の風景。 三人の少女が文字通り空から降ってきてここに飛ばされるまでの僅かな間に、幾度となく繰り返され、すっかり馴染んでしまった光景。 それが眩しくて思わず立ちすくむ。 不意に声をかけられた気がして振り向くと、二人の女性がそこに立っていた。 二人はただ笑い。ただ立っていた。 いや、よく見るとその口元は動いている。 だけど言葉は届かない。何故だか分からないが声は届いてこなかった。 でも、と統夜は思う。 そんな顔で俺を見ないでくれ、と。 俺はカティアもメルアも救えなかった。助けられなかった。 いや、助けようとすら思わなかったんだ。 そりゃ、気にはなったさ。 だけど、自分のことで頭が一杯で! あんた達のことまで気が回らず!! ただ……自分が生き延びることしか……選ばなかった。 仕方ないだろう。 一人しか、一人しか生き残れないんだ。 だから…… だから…… 頼むから、そんな優しい顔でうれしそうにこっちを見ないでくれ。 そんな顔される資格なんて俺には……ないのだから……。 目の前の黒髪の少女は少し驚いたような表情を浮かべて、何かを口走り、そして深々と頭を下げた。 だけれども、言葉はやはり泡となって大気にとけ、届いてくることはなかった。 ◇ 目を開けると目の前にぼやけた壁があった。 右手は毛布を掴み、体は猫のように丸まっている。 寝てたのかと思い、体を起こすと頬を伝って涙が零れ落ちた。 それを見て、我ながら女々しいと思う。 何故こんな夢を見たのか。 おそらくは覚悟が足りないのだろう。 一人生き残ることを誓いつつも、誰一人殺せず。未だに迷ってあんな夢を見る。 覚悟が足りない証拠だ。 お前は生き残りたいのだろう? 生き残ると決めたのだろう? 違うか? 大きく長く息を吐く。顔を上げ宙空の一点をぼんやりと見つめる。 「違わないさ……」 ポツリと呟いた。 ――そうだ。何も違わない。 周囲を埋め尽くしている水の振動が伝わり、機体が震える。 レーダーが接近してくる何かを捕らえた。 ――ならば、どうする? 上空にゆっくりと何かが接近してくる。 ――決まっている。 「斬ろう……敵も……迷いも……」 気取られぬようゆっくりと機体を起こすと体勢を整え、しっかりとした足場を探す。 慎重に、慎重にだ。 足場が整うと今度はオープンチャンネルのスイッチを入れた。 通信する気はない。だから身は潜め、呼吸の音にすらも気を使う。 やがて独り言を漏らす女の声がコックピットに響いた。ほっと一息。 テニアではない。声が違った。 懸念が晴れる。同時に、またどうにもならない事に拘っている、と自分を叱り付ける。 だが、後はやることをやるだけ。目の前のことに集中するだけだ。 敵機が直上に迫る。 頼む。気づかないでくれ、と念じている自分に気づいた。 同時に大丈夫だと理性が囁く。 夜の湖底。月明かりも届かぬそこは決して湖上から見えないはず。 仮に見えたとしても、微動だにしないヴァイサーガは暗礁のようにしか映らないはずだ。 そして、レーダー。恐らくは敵のレーダーもこちらを捉えているだろう。 だが、オープンチャンネルで漏れてくる言葉を聞く限りは、こちらに気づいたそぶりはない。 何に気を取られているのかは知らないが、運はこちらに傾いている。 大丈夫。この奇襲は成功する。そう念じて心を落ち着かせる。 やがて、敵機はゆっくりと上空を通過する。不審なところは何もない。 落ち着け。落ち着けと自分に言い聞かせて、逸る心を抑えた。 パネルを引き出しゆっくりとコードを入力する。 一撃でかたをつける。そのために入力したコードは―― ――『光刃閃』―― 掌に刃の重さを感じ、足場を踏みしめ、ヴァイサーガは音を超え、一筋の閃光となって突撃した。 瞬く間に水中を抜け、闇夜に飛び出る。 風を斬り、鞘から解き放たれた居合いの一撃は深々とラーゼフォンに食い込んだ。 背後のからの虚を突いた不意打ち。防ぐ術はない。 轟音が遅れてやってくる。同時に硬く重い衝撃が伝わる。 咄嗟に感じ取る、このままでは刃が止まると。 いかにヴァイサーガ最大の攻撃である光刃閃といえど、50m級の機体を一刀の元に両断するのは容易なことではない。 深々と食い込みはすれど、その屈強で頑丈な装甲が刃を止める。 それを力ずくで抜くには、片手の居合いでは腕力が足りなかった。 ――重い。凄く重い。これが断ち切ろうとしているものの重み。 鞘に添えていた手を離す。 刀の勢いが完全に止まってしまう前に柄へと手を伸ばす。 ――これをここで断ち切る!! 片手から諸手へ。両の手に力がこもり、男は獣のような咆哮を挙げる。 そして、一刀の元にラーゼフォンは両断され、刃が抜けた。 止まらぬ勢いのまま上空に投げ出された無防備なヴァイサーガの中、統夜はラーゼフォンを睨む。 ラーゼフォンの傷口は狙った正中線を逸れ、右腰から入り上へ。そして、右肩殆ど首の付け根といってもいいあたりから抜けていた。 ショートした回線が火花を散らし、潤滑油にでも引火したのか、濛々と黒煙が噴き上げている。 その様を見て統夜は小さくガッツポーズをした。全身にじっとりと汗をかいている自分に気づく。 緊張が解けて、ぐったりとシートに沈み込む。そして、何かが聞こえた。 思わず顔をあげて周囲を見回す。 不審なものはないもない。あるのは夜空に浮かぶ月と黒煙を上げて燃え盛る大型機。 ――今の声は一体どこから? そう思ったとき、統夜は思い出した。通信回線を開いたままにしていたということを。 ということは――。 全身を怖気が襲った。通信から漏れてくるのは生きながらに焼かれる人の声。 大きく損傷した機体のせいか、よくは聞き取れない。 だがしかし、これは悲鳴だ。人の叫び声だ。 それが『熱い』と言っている。『助けて』と言っている。 咄嗟に耳を両の手でふさぐ。それでも脳髄に叩き込まれた声は消えない。 通信を切ろう。そう思い、手を伸ばした。 だが、まるで真冬の悴んだ手のように震え、言うことを聞かない。そしてその手は統夜の望むことと反対のことをした。 映像通信のスイッチが入り、通信が繋がる。 そして、目に飛び込んできたのは、焼け爛れ、熱に溶けた皮膚がビニールか何かのように両の腕から垂れ下がり、黒く燃え、火に包まれた何か。 だがそれでもそれは生きている。のたうち、転げ周りながらも苦しさを訴え、助けを求めている。 ――助けよう。 ここに来て始めてその言葉が脳裏に浮かんだ。 目の前で苦しんでいる人がいる。助けを請う人がいる。 惨状を目の前に、そ知らぬ顔で見ないふりが出来るような神経を紫雲統夜は持ち合わせてはいなかった。 「待ってろ! 今、助けてやる!!」 声をかけ励ます。ヴァイサーガをラーゼフォンに寄せると切り口の断面から装甲に手をかけた。 コックピットの位置は分からない。 だが、火の手が回っていることから、切り口に近い場所に位置していることは予想が付く。 だから、断面から指を食い込ませ、コックピットを探して力ずくで装甲を剥がす。 これ以外に方法が思いつかなかった。 モニターをチェック。動きが先ほどよりも弱い。 だが、声は聞こえる。 急がなければと焦りが体を支配する。 声をかけ続け、励まし続ける。 装甲を掴む。掴む。掴む。 強引に剥がす。剥がす。剥がす。 何度それを繰り返しただろう。既に装甲というより内部を掻き分けている状態に近い。 モニターの向うの動きはもうほとんど見えなくなった。 だが、たまに掠れた様な声が聞こえる。 それを希望に作業を続ける。焦りはますます体を支配していた。 そして、モニターに巨大な指のようなものが映り、鮮血が飛び散った。 一瞬の出来事に思わず呆然とする。 暫くは焦点が噛合わず、ようやく合ったときには、モニターに飛び散り、乾き焼け焦げた黒い血痕だけがそこに残っていた。 「あ……あぁ……」 声をかけようとして言葉は出ず。奥歯がカタカタと震える。 支えていたヴァイサーガーの腕が離れ、焼け焦げたラーゼフォンが水面に落下して大きな水柱を上げた。 「ちが……違う。俺は悪くない! 殺そうとしたんじゃない! 助けようとしたんだ!! 助けたかったんだ!! なのに!! なのに!!!」 涙を浮かべ、だらしなく鼻水を垂らし、誰に言うでもなく言い訳をただひたすらに繰り返す。 しかし、それを聞くべき人間はもうこの世に存在しない。 そのことに少年が気がついたとき、持って行き場のない感情は悲痛な叫びとなって、闇夜に呑まれて消えた。 「うあ……ああ……あぁぁぁぁぁぁぁぁああああっっっっっっ!!!!!」 【紫雲統夜 搭乗機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A) パイロット状態:精神不安定 機体状態:無傷、若干のEN消費 現在位置:G-8 第一行動方針:逃げ出したい 第二行動方針:他人との戦闘、接触を朝まで避ける 第三行動方針:戦闘が始まり、逃げられなかった場合は殺す 第四行動方針:なんとなくテニアを探してみる(見付けたとしてどうするかは不明) 最終行動方針:優勝と生還】 【カテジナ・ルース 搭乗機体:ラーゼフォン(ラーゼフォン) パイロット状況:死亡 機体状況:大破】 【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・SボーゲルⅡ(マクロス7) パイロット状況:良好、マサキを心配 機体状況:良好、反応弾残弾なし 現在位置:G-8補給ポイント 第一行動方針:キョウスケの護衛でG-8補給ポイントへ向かう 第二行動方針:マサキの捜索 第三行動方針:味方を集める 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊 備考:ベガに対してはある程度心を開きかけています】 【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2) パイロット状況:頭部に軽い裂傷、左肩に軽い打撲 機体状況:胸部装甲に大きなヒビ、機体全体に無数の傷(戦闘に異常なし) 背面ブースター軽微の損傷(戦闘に異常なし)、背面右上右下の翼に大きな歪み EN60%、スプリットミサイル残弾ゼロ、オクスタンライフル残弾B2発W1発 現在位置:G-8補給ポイント 第一行動方針:G-8で補給を完了する 第二行動方針:首輪の入手 第三行動方針:ネゴシエイターと接触する 第四行動方針:信頼できる仲間を集める 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?) 備考:アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています】 【残り27人】 【二日目2:50】 BACK NEXT 吼えろ拳/燃えよ剣 投下順 これから ・――言葉には力を与える能がある 時系列順 吼えろ拳/燃えよ剣 BACK NEXT 暗い水の底で 統夜 決意と殺意 星落ちて石となり カテジナ 謀 ―tabakari― カミーユ これから 謀 ―tabakari― キョウスケ これから
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/75.html
東北東に進路を取れ ◆eK/Y5OG4jw 「あ、あの・・・すみません。あなたはこのゲームに乗った人ですか? 乗っていないのなら・・・よければなんですけどこのゲームから逃げるために協力しませんか?」 Jアークに相対する白い機動兵器、そのパイロットが発した言葉に驚いたというより呆れ返って、 ジョナサン・グレーンは返事代わりに鼻を一度鳴らして見せた。 周囲に敵影は無し。だからというのでは無いだろうが、随分と暢気なことを言うものだと脱力する。 あの少年とて見ただろう。あの異形の化け物の幻影を、主催者の楯突いた女の無残な死に様を。 それを踏まえた上でそんな考えに至るとは、度胸があるのか考え無しなのか。 こちらを欺く策かとも思ったが、正面からノコノコ顔を出した地点で策としては下の下だ。 ならばあの少年は、生まれついてのお人好しか――もしくは、人の善意で世界が救えると思っているような偽善者か。 どのみち、ジョナサンの好むところではない。 いっそ回線を開かぬままミサイルでもぶち込んでやろうかと思った矢先、トモロが声を掛けてきた。 『どうするつもりだ、ジョナサン・グレーン』 「黙っていろよ計算機、俺はあやつにいかにして現実の厳しさを教えてやるかを考えるのに忙しい」 『コンピューターから計算機への格下げとは、随分な物言いだな』 「ハッ、機能不全のコンピューターに他の使い道などあるものかよ」 その後のトモロの反論とその他諸々を無視し、ジョナサンは考える。 もしもあの少年がこのゲームを壊す為の人身御供にでもなるつもりなら、それは賞賛に値する。なんなら花の一つも贈ってやっていい。 それとも脱出の為の策でもあるのか。それならそれで、協力した上でそのお零れに預かるのも悪くない。 だが、そうでは無かったら。ただ浮ついた理想論だけでそういうセリフを吐くのなら。 そんな奴に振り回されるのは迷惑だ。むしろ足手まとい以外の何者でもない。 それにここで自分が手を貸さなくても、いずれ他の誰かに騙された上で裏切られて無様に死ぬだろう。 それこそ、ジョナサンの知ったことでは無いが。 ただ――ふと、気紛れが起こった。 「おい、計算機」 『トモロ0117だと言っている。いい加減に旧時代の電子機械と一緒にするのはやめてもらおう』 「気を悪くしたのか? そいつは済まなかった。ところでトモロよ、対地レーザー、照準だ」 『あの機体を狙うのか?』 「命まで奪ってやる気は無い。あいつの正義感とやらがどれだけで音を上げるか、試してやるんだよ」 『照準は僅かに外す、ということか』 「お、物分りがいいじゃないか。確かに計算機と呼ぶには少しばかり気が回るなぁ?」 『…………』 「おっと、拗ねるなよ。まずは砲門を向けてくれ……そら、第一射、撃てよ!」 まずは小手調べ。これで逃げ出すか、あるいは襲い掛かってくるようでは話にならない。 レーザーは狙いあやまたず白い機体の足元から僅か5メートルの位置に着弾してその地面を抉った。 モニター越しに、相手の驚きと緊張が伝わってくる。 続けて第二射を放とうとして、ジョナサンはふと素朴な疑問に思い当たった。 「……トモロよ。もしあやつが打ち返してきて、そのまま俺が花畑を駆け回るような羽目にはなり得るか?」 『お前なら花畑より紅蓮の釜がお似合いだが……生憎、このJアークを舐めて貰っては困る』 「……あー、そうかよ」 口ぶりから察するに、相手の攻撃でこちらが一撃でお陀仏という事にはならないらしい。一安心といったところだ。 ついでにトモロの発言の前半部分は聞かなかった事にしてやる。俺という男は実に心が広い。 「さて、改めて第二射ぁ!」 先ほどとは逆に右側4メートル。さっきよりも狙いは絞ってある。 すでに威嚇射撃の意図は先方にも伝わったはずだ。 さて、どう動くか…… 通信。 「待って下さい! 話を、話を聞いて下さい!」 ジョナサンの眉間に皺が寄る。 どうやらこのまま説得を続けるつもりか。妙に気分が悪い。 ならばいつまで持つか、付き合ってやろう。 「トモロ、等間隔で連続砲撃! 少しずつ狙いはあやつのマシンに近づけていけよ!」 『機械遣いが荒いぞ、ジョナサン・グレーン』 連続して放たれるレーザーが、F91周辺に集中する。 脚部を掠め、アンテナのすぐそばを通過し、ボディの僅か2、3メートル脇の空間が撃ち貫かれる。 白い機体は反撃無しには飛び立つ事すら出来ないはずだ。 続けてミサイル。恐怖感を煽る為、あえて狙いを大きく外して爆煙で視界を遮る。 目を塞がれた状態でレーザーに狙われ、それでもまだ言葉を投げ掛ける元気があるか―― その疑問が晴れるのに、そう時間は掛からなかった。 「駄目なんだ……僕達は、いや僕達だけじゃない! このゲームに連れて来られた誰だって、このゲームに乗せられたまま殺し合うべきじゃないんだ! 確かに僕達はあの化け物の掌の上で踊らされるしかないのかも知れないけど……それでも、何か方法があるはずです! 闇雲に憎しみの連鎖を繰り返すだけじゃ駄目なんですよ! 僕達にだって、何かやれる事が!」 説得、というより自分の底から言葉を吐き出しているような少年の声に、ジョナサンはしばし呆然とする。 発言から察するに、本当に奴は無策らしい。何一つ主催者に抗う術をもってはいないのだ。 それなのに何故、奴はあそこまでゲームを止めるという意思に疑いを持たない? 分が悪すぎる。誰が考えたって、あの化け物に相対するよりは大人しく従ってやった方が賢明というものだ。 それなのに、何故? そこまで考えて、急に先ほどから感じていた不快感の正体にジョナサンは思い当たった。 あやつは、ユウの奴に似ているのだ。 欠陥品のブレンパワードに乗ってオルファンを飛び出し、ノヴィス・ノアの一員となってリクレイマーの敵となったユウに。 何の考えも無いくせにオルファンを止めると言い、リクレイマー以外のやり方を見つけようとしているユウに。 奴の真っ直ぐさが気に食わなかった。理想を語るところが気に食わなかった。 それでも、あの雪山の一件……リバイバルのチャクラ光の中から生還してから、奴の何かが変わった。 まるで自分の道を見据え、迷わずに一歩一歩前進する、そういった「覚悟」を感じるようになったのだ。 そして、その覚悟に似た何かを目の前の少年からも感じる。 ユウに対してそうであるように、ジョナサンは彼の事は好きになれそうにない。 それでも、少しは興味が湧いた。ユウと似たあの少年が、この状況下でどういう道を選ぶのか。 「……トモロ、砲撃は止めだ」 本日二度目の気紛れ。ジョナサンは、白い機体との通信回線を開いた。 まずは威嚇射撃の詫びを入れ、それからジョナサンは少年――キラ・ヤマトというらしい――の話を聞いていた。 どうやら彼には知り合いの少女がいるらしく、まずは彼女との合流を果たしたいらしい。 それから、仲間を集めてなるべく死者を出さずにゲームを止める方法を探す。 彼は言った。殺して殺されて、それを繰り返すだけでは何も生まれないと。 青い、実に青臭い理想論だとジョナサンは思う。 だから、こう言ってやった。 「俺は理想論というものに何の興味も持っちゃあいないし、綺麗事を吐くだけの能無しなど死ねばいいと思っている」 キラもそんな事を面と向かって言われるとは思っていなかったらしく、口をだらしなく開けている。 ただ、ジョナサンも少し言い過ぎたかと思ったのもあり、言葉を付け足した。 「だが、ちょうど俺も探し人がいるのでなぁ、クインシィ・イッサーというのだが…… オルファンのクイーンにはしかるべき座に付いてもらわねば、バロンに選ばれたこの俺の名折れというものだ。 貴様の品定めはその道中でも遅くはあるまい?」 「え!? それじゃ……一緒に来てくれるんですか!?」 「勘違いするな、お前が俺についてくるなら構わないと言ったんだ。 まぁ乗れよ、オーガニックなるものの加護を持たないただのマシンでは、空をあても無く飛び続ける訳にもいかないだろうが」 「は……はいっ!」 ホバリングを繰り返したF91が、Jアークの艦上部に着陸する。 「まずはこの箱庭とやらの中央の市街地を経由した上で、北西の都市エリアを目指す。 人探しは人が集まりそうなところからが基本だ。異論は無いな?」 「はい。それと……ありがとうございます、ジョナサンさん」 「なっ……別に俺は礼を言われるようなことなどしていない!」 『照れるものではないぞ、ジョナサン・グレーン』 「うるさい! 黙っていろよ計算機が!」 白い箱舟は、こうして東北東の市街地へと飛び立った。 Jアークの艦上。キラ・ヤマトは、安堵の息をついていた。 敵艦からの砲撃を受けた時はどうなるかと思ったが、それでも最終的には共に行動する事が出来るようになった。 あのジョナサンという人は自分の事を決して好意的に見ているばかりではないようだが、 それでも同行を許してくれたことは純粋に嬉しかった。 楽観的すぎる見方だとは分かっているが、これなら他の参加者とも分かり合える気がしてくる。 そう、一度は互いに銃を向け合った親友とも分かり合えたのだ。希望を捨ててはいけない。 決意の宿る瞳で、キラは遥か進路上の空へと視線を延ばす。 (待ってて、ラクス……今、迎えに行く!) これから5時間後の放送で何を知ることになるのか、この時の少年は何も知らなかった。 【ジョナサン・グレーン(ブレンパワード) 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー) 現在位置:Bー4上空 パイロット状態:健康 機体状態:良好 (キングジェイダーへの変形は不可) 第一行動方針:クインシィの捜索 第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする 最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先)】 【キラ・ヤマト(機動戦士ガンダムSEED) 搭乗機体:ガンダムF-91( 機動戦士ガンダムF-91) 現在位置:B-4・Jアーク艦上 パイロット状態:健康 機体状態:良好 第一行動方針:ジョナサンと共にラクス及びクインシィを捜索する 第二行動方針:ジョナサンの信用を得る 第三行動方針:ゲームに乗ってない参加者を見つける 最終行動方針:なるべく死者を出さずにゲームを止める】 【初日:12 55】 BACK NEXT 核ミサイルより強い武器 投下順 死活問題 Power trip 時系列順 若い、黒い、脅威 BACK 登場キャラ NEXT 人とコンピューター ジョナサン 彼らの乗機は強力です 人とコンピューター キラ 彼らの乗機は強力です
https://w.atwiki.jp/wiki3_mh2/pages/47.html
スパロボW攻略wiki
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/228.html
Withdrawal Symptoms ◆7vhi1CrLM6 暗い闇が視界を満たしている。何一つ見当たらない漆黒の闇。 しかし、無明ではない闇。瞳が捉えることの出来る闇だ。 久方ぶりに自らの目で確認するそれは輪郭の定まらないぼんやりとしたもので、いつになく優しく見えた。 「ふっ……」 笑いがこぼれる。 滑稽だった。闇を優しいと感じているのだ。 人が有史以来、怖れ、常に遠ざけようと努力してきたそれをだ。 心が昂る。機速が増す。 この程度の暗さなど闇の内に入らない。少なくともアキトは知っている、光を奪われた視界というものを。 不意に眩い光が奔り、慌てて機体を止めた。 心の昂りを押さえ込み、努めて冷静にグルリと周囲を一望する。 南と東は湖。北は平原。西は湖と平原が半々の湖岸。不審なものはなにもない。 湖岸沿いに南下してきて来た。それが湖にぶちあたり、水面で照り返した月明かりが目に入った。 気のせいか? そう自問した次の瞬間、視界が回り強烈な吐き気を催した。続けて口中に嫌な苦味が奔る。 咄嗟に口を押さえたときには、胃酸と混じりあったドロドロの茶褐色を吐き出していた。 指の隙間からボタボタと垂れ下がり、床に溜まりを成す。鼻を突き咽返るような臭気が立ち込める。 呼吸が荒い。口内の粘つき苦みばしった唾液に辟易しながらも呼吸を整え、咽て咳き込んだ。 同時に船酔いのように視界が揺れ動き、吐瀉物の中に頭から倒れこんだ。 世界が回っている。 起き上がろうとコックピットシートを掴み、腕に力を込める。縋りつくようにして身を起こし、再び倒れこむ。 グチャリと吐瀉物が顔に押しつぶされるのがわかった。 咽返る臭気とニチャリとした口内の感触に胃が逆流する感覚に襲われ、また吐く。 体は動かない。全身の筋肉が痙攣を起こし動けない。 寒気がした。同時にぬるま湯に浸かっているような暖かさも感じた。 耳は甲高く鳴り響き、ぼんやりと焦点を失い始めた視界はなおも回り続けている。 自分の体が縦なのか、横なのか。それすらも壊れた三半規管は教えてはくれない。 薬で強引に働かせるという無理に無理を重ねた五感が、叛旗を翻していた。 気をしっかり持て。そう自分に言い聞かせる。 正直、予想外ではあった。痛覚に訴えてくるものだと思っていたのだ。 痛みなら耐えられる。正常を保てる。そういう自信があった。 だがこれは痛みではない。 体の中身が壊れた。形はそのままに機能が狂ってしまった。そういう苦しみだ。 かつて体を弄り回されたときの再現でもある。 理不尽なまでに一方的な力。意志の力でどうこうなるのは正気を保つことだけだった。 だが、皮肉にも正気を保とうとすればするほど体は精神を蝕んでいく。 もぞっと手の甲で何かが這った気がした。思わず払いのける。 しかし、もぞもぞと何かが這い回る感触は離れない。鼓動が早鐘を打つ。 視線がゆっくりと動き、それを見た。 手の甲に浮かんだ蒼白い血管。そこで小さな腫瘍のような膨らみが、動いていた。 血管の中で何かが蠢いている。 蜘蛛。咄嗟に思い浮かんだのはそれだった。 小蜘蛛がゆっくりとゆっくりと血管を這い登っている。疼くような感覚を伴いながら膨らみが手首に差し掛かる。 耐え切れなくなり思わず手首を掻き毟り―― ぷちゅ 柔らかい小蜘蛛が血管内で潰れた。流れ出した白い体液が血液に混じり、体中に循環していく。 全身を掻き毟りたい衝動に襲われ、そして、今度は逆の手首と首筋で小蜘蛛が蠢いた。 ◆ それは夜の色だった。闇夜に溶け込む深い青。 もし自分が夜間迷彩を施したとしたらこんな色にしただろう。 そういう色をしたアルトだった。 だがそれはありえない色だ。 人類初のPTゲシュペインスト。アルトアイゼンはその三号機タイプTを母体に改造された機体だ。 母体が一機しか存在しない以上、アルトアイゼンもまた一機のみ。 ユーゼスの乗っていた赤いアルトがある以上、この青いアルトの存在はありえないである。 「中尉、あの機体は……」 「アルトだ、多分な。だが俺の知らないアルトだ」 質問に歯切れ悪く答える。今のところ自分でも結論がついていないのだ。 赤いアルトと青いアルト、それに元の世界で乗っていたリーゼ。この三機の相違の意味を未だ見出してはいない。 「カミーユ、接触するぞ」 「……」 返事はなく。若干俯く姿がモニター越しに映し出される。 「どうした?」 「いえ……分かりました」 釈然としない返事がなされる。 カミーユもカミーユであの機体をいぶかしんでいるのだろうか。 そう思いつつ隼は、文字通り飛ぶように距離を縮めていった。 ◆ 手に何かが触れた。 はっとして顔を上げる。 白い艦長服に身を包んだ葵い髪の少女がそこにはいた。 「……ユリカ」 思わず声が漏れる。錯乱した脳がまとまらない呟きを浮かべる。 「何でお前が死ななければならなかったんだ? 少なくともあの戦争が終わり……までは生きる権利も意味もあったはずだ……なのに」 彼女は何も返さない。 いつも人一倍にぎやかな彼女に似合わずただ静かに微笑みかけている。それだけだった。 「俺は? 俺はここで何をしている?」 俯き、束の間目を離した。その隙に彼女の幻影は跡形もなく消え去ってしまった。 どうしようもない喪失感が胸に穴を空け、そして――黒い壁。全身の身の毛がよだつ。 「悪いな。ついうっかり踏んじまったか」 陰湿な声。その向うに奴が居た。 瞳に殺気が宿る。噛み締めた歯が音を立てる。 「くくく……憎いか? 俺が憎いか? そうだ俺を憎め! さあ! さあ!! さあ!!! 」 空いた穴を憎悪が埋めていき、貴様だけは生かしておけない、そう思った。 「ガウルウウウゥゥゥゥゥゥンンンンンンンンン!!!!!!!!!」 絶叫と同時に跳びかかる。 しかし、膝に力はなく伸ばした手は空を切り、アキトは崩れ落ちた。 足の筋肉が痙攣していた。投げ出された人形のように床に転がりながら、それでもアキトは睨め付ける。 薄ら笑いを浮かべたガウルンが背を向ける。 まてッ! そう思った。 行くなッ!! そう願った。 殺してやるッ!!! そう念じた。 「くくく……ははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!」 しかし、高笑いを残してガウルンは跡形もなく消え去って行った。無力感が体を押し包む。 そして、小蜘蛛は再び蠢きはじめる。 ◆ 青いアルトアイゼンに取り付いたキョウスケは、手際よくコックピットハッチの開放手順を踏んでいた。 位置・形状、共に自身の知るアルトと何の相違も見られない。システム的にも全くの同一。 ゆえにその動作はキョウスケ=ナンブにとって手馴れたものであり容易であった。 音を立てて腹部のハッチが開放される。 警戒して身構えたキョウスケを、異臭が包み込んだ。その余りの匂いに思わず一歩退く。 中には一人の青年が吐瀉物に塗れて倒れていた。 「大丈夫か?」 声を掛け踏み出した一歩が吐瀉物を踏みつけずるりと滑る。構わずに詰め寄り、抱え挙げるとシートに座らせた。 観察の目を奔らせつつ再度呼びかける。 「聞こえるか? 何があった?」 反応はない。表情は弛緩し目は虚ろ、体は悪寒に震えている。 右の手を取り袖をたくし上げる。針跡こそ無いものの無数の引掻き傷がそこにはあった。 薬物か――そうキョウスケは判断した。 現実に中毒者を見た経験はない。しかし、耳にする禁断症状の幾つかと目の前の青年の症状は重なっている。 そして、それを疑う材料は何も無かった。視線を青年の右腕から首元へと移す。 『道中にこれも取ってきてもらおうか』 ユーゼスの声が脳裏に蘇ってきた。 カミーユからそれを取るつもりは自分にはない。他の敵対しない者たちに対しても同じである。 ではこの青年はどうだ? 確かに敵対者ではない。しかし、正気を保った健全者でもない。 保護を行なう理由は何もなく、首輪が必要なことは明白な事実として眼前に存在している。 ユーゼスならば躊躇無くこの男を殺せと言うだろう。だが、俺は―― どうする? 不意に、驚くほどしわがれた声が空気を震わせた。 「ユ……リカ」 思わず持ち上げた視線が青年のそれと絡み合う。 いや、僅かに力強さを増しつつも未だ虚ろなその瞳はキョウスケを捉えてはいない。 何か別の、違う何かをここに見据えている。そんな感じの目だった。 乾きひび割れた唇が動く。かすれた切れ切れの声が耳朶を打つ。 「……は? 俺…は……何を……?」 何を言っているのかはよく分からなかった。だが、何となく理解できた。 これは謝罪だ、護りたかった者への。 これは後悔だ、自身の不甲斐なさへの。 同じだ。そう思った。 こいつは俺と同じだ。こうなったかもしれない自身の一つの形だ。 頬が弛み、漏れた笑い声が狭い空間を満たす。首輪を取ろう等という考えはもう霧散していた。 突然の笑い声に驚いたのか、警戒中のVF-22の外部スピーカーから声が飛んで来る。 「キョウスケさん?」 「いや、すまない。何でもない。機内には病人が一人乗っている。保護するぞ」 「そうですか……」 ハッチを潜り、コックピットカバーを足場にして立ち上がったキョウスケの目の前にVF-22は立っていた。 気乗りの無い声が気にかかる。思えばこの青いアルトとの接触を決めたときからそうだった。 「どうした?」 「いえ……」 歯切れの悪い返事。 ちょっと考えるような間が空き、再びVF-22の外部スピーカーが声を伝える。 「先行して基地に戻ります。あの男と二人きりベガさんが気にかかりますし、それに嫌な予感がする」 「そうか……分かった先行しろ。ただし無茶はするな」 「大丈夫ですよ。子供じゃないんだから言われなくても分かっています」 「そうだったな。それと放送後一時間以内に帰還しなければ俺は死んだものとして動け」 「分かりました。放送一時間以内に生還ですね。必ずですよ」 キャノピー越しに目が合い視線が交わされる。一拍置いて表情が緩んだ。 「そうだな。放送一時間以内に必ず戻る」 「了解。ではカミーユ=ビダン行きます」 轟音と熱風を残してVF-22が飛び上がる。 それは上空で瞬く間に戦闘機へと姿を変えたかと思うと、数瞬後には北の空に飲み込まれて消えていった。 【テンカワ・アキト 搭乗機体:アルトアイゼン(スーパーロボット大戦IMPACT) パイロット状態:マーダー化 薬の副作用によるバッドトリップ 機体状態:胸部に軽度の損傷。3連マシンキャノン2発消費、スクエアクレイモア1発消費 現在位置:G-8 第一行動方針:正気を保つ 最終行動方針:ユリカを生き返らせる 備考:・首輪の爆破条件に“ボソンジャンプの使用”が追加。 ・謎の薬を一錠使用。副作用の残り時間は10分】 【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2) パイロット状況:頭部に軽い裂傷、左肩に軽い打撲、ユーゼスに対する不信 機体状況:胸部装甲に大きなヒビ、機体全体に無数の傷(戦闘に異常なし) 背面ブースター軽微の損傷(戦闘に異常なし)、背面右上右下の翼に大きな歪み 現在位置:G-8 第一行動方針:アキトの保護 第ニ行動方針:基地へ戻る 第三行動方針:首輪の入手 第四行動方針:ネゴシエイターと接触する 第五行動方針:信頼できる仲間を集める 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?) 備考:アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています】 【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・SボーゲルⅡ(マクロス7) パイロット状況:良好、ベガとマサキを心配 機体状況:良好、反応弾残弾なし 現在位置:G-8北部 第一行動方針:基地へ戻る 第二行動方針:マサキの捜索 第三行動方針:味方を集める 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊 備考:ベガ、キョウスケに対してはある程度心を開きかけています】 【二日目 4 15】 BACK NEXT ヘヴンズゲート 投下順 それぞれの思惑 何をもって力と成すのか 時系列順 解し得ぬ存在 BACK NEXT 決意と殺意 アキト アキトとキョウスケ これから キョウスケ アキトとキョウスケ これから カミーユ 穴が空く
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/65.html
貫く、意地 ◆a1WpzCXC9g 木々をなぎ倒しがら森を駆け抜ける黒い竜巻の姿があった。 その名はブラックゲッター、幾多ものゲッター線の可能性の中から生まれた攻撃力に特化した機体である。 その能力は1対1の戦いならこのロワイアルの中でも五指に入るだろう。 無論、パイロットが使いこなしていればの話だが。 そしてそのパイロット、バーナード・ワイズマンは酷く焦っていた。 先程攻撃を仕掛けたガンダムがあれほどまでの攻撃力を有していたことは計算違いだった。 端から新兵同然の自分にあのガンダムが倒せるとは思ってはいなかったが、手傷一つ負わせることすらできないとは。 それどころかマントを失ってしっぽを巻いて逃げる始末だ。 きっとあのガンダムはすぐに自分を追ってくるだろう。 何をしに。勿論、とどめを刺しに、だ。 未だブラックゲッターを使いこなせていない今、自分に勝てる見込みはあまりに少なすぎる。 ミサイルの群れに爆散するブラックゲッターと自分の姿を想像して、バーニィは汗の滲む手で操縦桿を握りなおした。 「ちくしょう!ちくしょう!」 恐怖、そして強力な力を得ながらも、それを使いこなせない自分への歯がゆさにバーニィは更に機体を加速させた。 最大速度のゲッターは音の壁すら越える。 並みのMSなら到底追いつくことも叶わないのだが、今のバーニィにそのことに気づける余裕はなかった。 気がつけば目前に真紅の機体がいた。 いつの間にここまで接近されたのだろうか。 センサーはとっくに警告音を発していたようだったが、まったく気づかなかった。 それでも敵であることだけは確かだ。 敵は全て倒す。そして優勝する。そう決めたのだ。 誰であろうと敵は倒すだけだ。 「おい、そこの黒い機」 真紅の機体から回線が繋がったが、 「うおおおおぉぉぉぉぉ!!」 バーニィはそれを無視してゲッタービームを放った。 赤い閃光が宙を走り、真紅の機体へと襲い掛かる。 「問答無用で攻撃とは、厄介なやつに声をかけたな……!」 コックピットでキョウスケ・ナンブは独りぼやいた。 バーニィの咆哮と共に放たれたゲッタービームをすんでのところでかわしたビルトファルケン。 旋回しつつスプリットミサイルを放ち、オクスタンライフルで反撃するものの、ゲッター合金の厚い壁の前に全て弾かれてしまう。 (典型的な特機か、つくづく厄介だ) 後方支援における遠距離射撃をコンセプトに開発されたファルケン。 装甲が分厚く、接近戦で畳み掛けてくる機体とは一番相性が悪いと言える。 「このぉ!当たれぇぇぇぇぇ!!」 「ちっ、ブースト!」 特にあの高出力のビーム兵器。 当たればファルケンの脆弱な装甲では一たまりもあるまい。 まともにぶつかりあって、勝ち目はないことをキョウスケは感じていた。 だとすればできることは一つだけ。 直接コックピットを叩いて、パイロットを黙らせる。 (あれだけの出力、炉心から直接エネルギーを供給しているのか?だとしたら……) 恐らくコックピットは胸部か、それより上の部分。 狙うとすればそこ以外になかった。 もし違っていればボン、だ。 だがまあ、 「分の悪い賭けは嫌いじゃない……!」 ここで若干時間は遡る。 「……ままならんな」 と独りごちて、キョウスケは支給された真紅の機体を見上げた。 まだ計画書でしかその存在を知らなかったのだが、既にロールアウトしているとは驚きだ。 ひとまず機体の状態をチェックをすることにしてコックピットに乗り込み、コンソールを叩きながら計器類を睨みつける。 流石に最新型といったところか、諸々の出力はヴァイスやアルトのそれを上回っている。特に背部に装備された新型テスラ・ドライブの出力は驚異的だ。 本当に計器が示す速度が出せるとしたら、とんでもないじゃじゃ馬である。 他にも様々な新型装備が施してあるが、それらのスペックになんら不満はない。……不満はないのだが。 問題は主に近接攻撃を得意とするキョウスケにとって、援護射撃用の機体はどうも性に合わないことだ。 せめて同様に開発段階であった愛機であるアルトの後継機ならば使い勝手も良いのだろうが。 近接用装備がハンマー一つだけというのももしかしたら主催者側の嫌がらせだろうか。 一旦モニターから目を離し、溜息をつく。 「文句ばかりいっても始まらんか……」 せめてと思い、ブーストの出力を変更してアルトのそれに近づけた。 接近して射撃戦か、我ながら分の悪い賭けだな、とキョウスケは自嘲する。 そしてふと思い当たることがあった。 計画段階ではアルトとヴァイスのコンビネーションを元に構築した、攻撃用プログラムがあったはずだが……。 そしてコンソールを操作すること数分、キョウスケは予測通り目当てのものを見つけた。 『MODE:TwinBirdStrike』 恐らく、本来は対になる機体―――アルトの後継機だろう―――とのコンビネーションで真の力を発揮するのだろう。 キョウスケはそれをファルケン一機でも起動できるようにプログラムに変更を施していく。 (テスラ・ドライブのフル稼働による無軌道飛行。これがジョーカーになればいいが) その時、センサーが猛スピードでこちらに接近しつつある敵機を補足した。 無機質なアラーム音に否が応でも気が引き締められる。 コンソールから手を離して操縦桿を握る。 せめてこのゲームに乗っていない人間であってくれ、とキョウスケは切に願い、 “槍”の名を関するライフルと一振りのハンマーを携え、真紅のビルトファルケンは発進した。 戦闘開始から何時間経っただろうか。 ほんの数十分だったが、バーニィにはそれぐらい長く感じられた。 遂にバーニィはゲッタービームの射程内にビルトファルケンを捕らえたのだ。 そしてそれはファルケンを貫き、爆散させるはずだった。 勝った……!今度こそ勝ったぞ! この時、バーニィは今度こそ確かな勝利を確信した。 だがそれは、 「すまないが、俺も切り札を出させてもらう」 キョウスケが待ち望んでいた時でもあった。 相手は完全に詰んだと思い油断している。 仕掛けるなら、今しかない。 「はっ、負け惜しみを……」 「ファルケン、モードチェンジ『TBS』!シングルモード!」 「言うんじゃないっっっっ!!」 キョウスケの命令に応じて翼が展開され、遂にファルケンの真の力が発揮された。 ゲッタービームは確かにファルケンを貫いたが、それは残像として静かに消えた。 「なっ!?」 ゲッターを遥かに超えるスピードでファルケンが大空を舞い、ブラックゲッターを翻弄する。 想像を超えるGにキョウスケの意識は飛びそうになったが、何とか耐えて操縦桿を握り締める。 「これが俺の……」 「く、来るなぁ!来るなぁぁぁぁ!!」 ブラックゲッターがゲッタービームを乱射するが、それらもことごとく残像に命中して宙に消えてしまう。 ファルケンも負けじと高速軌道でオクスタンライフルをWモードで乱射。 数発しか命中しなかったものの、空中でぐらりとブラックゲッターの体制が崩れた。 「ジョーカーだ!」 背後に接近したファルケンがブーストハンマーを振るう。 狙いはただ一点、頭部のみ。 そしてそれはブラックゲッターに綺麗に命中した。 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 凄まじい衝撃がバーニィを襲う。 このまま地面に叩きつけられて自分は死ぬのだろうか……。 ぼんやりとした頭でそんなことを思う。 徐々に地面が迫ってくる。 そして、目の前が真っ暗になって、彼の意識はここで途絶えた。 「……俺を甘いと笑うか、エクセレン」 キョウスケの前にはあちこちが弾痕でへこんだブラックゲッターが鎮座している。 あの時、咄嗟に狙いをわずかに外し、胸部を狙ったのだ。 どうやらコックピットは頭部にあったようだ。 恐らくあのままハンマーで頭部を狙っていれば、加減していてもパイロットの命はなかっただろう。 パイロットは衝撃で気絶しているのか、こちらの通信に応じる気配はない。 だが生きていることには間違いなさそうだ。 (やはり、念のために殺しておくべきか) そんな考えが脳裏を過ぎるが、そのまま放置していくことにした。 どのみち、この腕で生き残ることは難しいだろう。 ひとまずブラックゲッターは土を掘り下げて、地中に隠していくことにした。 ここまでしてやる義理はないのだが、まあいいだろう。 キョウスケはこのゲームを戦い抜くと決めた。 だがそれは、優勝するために殺戮者になるという意味ではない。 優勝してエクセレンを生き返らせる、そのことを考えなかった訳ではないが、考える価値もない。 ゲームに乗った連中には悪いが死んでもらうが、飽くまでも狙いは主催者打倒ただ一点。まずは仲間を集めよう。 特にあの男―――ネゴシエイターと呼ばれていたあの黒づくめの男だ。 彼がこんな馬鹿げたゲームに乗るような人間でないことは、あの場にいた誰もが知っているだろう。 あのネゴシエイターと接触しよう、そう決めたキョウスケは戦場の跡地から離れることにした。 アルフィミィ、もしお前がまた元の操り人形に戻ってしまったというなら、全力で止めてみせる。 それはきっとエクセレンの意思でもある。 今はなき彼女の意思が、彼女と最も一緒にいたキョウスケにはわかる気がした。 だが安心してくれエクセレン、全てが終わったら俺はお前の所へいく。 だから、それまで待っていてほしい。 「貫かせてもらうぞ、俺の意地を」 本当にキョウスケってば不器用ねえ。 そんな風に傍らでエクセレンが笑っていてくれる気がした。 【キョウスケ・ナンブ (スーパーロボット大戦IMPACT) 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION2) パイロット状況:良好 機体状況:ブーストハンマー所持 スプリットミサイル数発消費、オクスタンライフルを半分程消費 現在位置:E-5から移動 第一行動方針:ネゴシエイターと接触する 第二行動方針:信頼できる仲間を集める 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?)】 【バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争) 搭乗機体:ブラックゲッター(真(チェンジ!)ゲッターロボ 地球最後の日) パイロット状況:気絶 現在位置:E-5(地中に埋もれている。起動していないのでセンサーでも発見しにくい) 機体状態:地中、あちこちがへこんでいるが、戦闘に支障はない マント損失 、エネルギーを半分程消費 第一行動方針:ブラックゲッターを使いこなす 最終行動方針:優勝する】 【初日 15 30】 BACK NEXT お姉さんと一緒 投下順 インターミッション お姉さんと一緒 時系列順 死活問題 BACK 登場キャラ NEXT opening キョウスケ 出会いと再会 若い、黒い、脅威 バーニィ 楽勝!
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/144.html
Unlucky Color ◆7vhi1CrLM6 時計の針はまだ十時をわずかに回ったばかりだというのに、眼下の街は不気味なほど静まりかえってた。 『ゴーストタウン』、その言葉がぴたりと当てはまる静けさ。明り一つない街並み。 人がいなければ、灯りをともす者もいない。その必要もない。 ――まるで我々の置かれた状況そのものだな。 人という生き物だけが奇妙にも明りを求め、必要とする。暗闇を嫌い、怖れる。 サイバードを一度大きく旋回させ、周囲を見渡す。どこまでも続く無明の闇。 何も見えはしない。 ――今の我々は暗い闇の中に放り出された迷い子。 右も左もわからず、ただ明りを求めてさ迷っている。だが―― 機首を右に切り、進路を南へと取った。 南北に市街地を縦断する大きなストリート沿いに機体を走らせる。しばらく飛ばすとずっと遠くに小さい光が見えた。 ――私は明りを見つけてみせた。例え小さくとも、美しく輝く一筋の光を。 近づいていく。ビルの壁面の一部が崩れている。そこに一体の戦闘機が体の半分ほどを隠していた。 光は隙間から漏れている。 機体を変形させ、漏れた光を隠すように着陸させる。サイバスターから降りると、隙間からビルの内部へと潜り込んだ。 内部は意外と広く、何よりも吹き抜けになっている為に天井が高かった。本来は百貨店か何かのロビーなのだろう。 視線を動かしてみる。一番明るいところで、カウリングを外され、剥き出しとなったVF-1のエンジンルームが鈍い光を反射していた。 その前に男が一人立っている。オイルに塗れた作業着を着込み、右腕にはラチェット・レンチを持っていた。 声をかけようと近づいていく。既に気づいていたのか、先に向うの口が開いた。 「状況は?」 「周囲20kmに人はいないようだ。何も見つからなかったよ」 答えながら右手のラチェット・レンチに視線を落とす。 「ああ、これか? 作業着と一緒に8階の売り場から貰って来た」 「それは盗ってきたというのではないかな?」 「買ってきたのさ。代金は出世払いでね」 おどけてみせたアムロに対してふっと頬を緩める。これはまあ礼儀みたいなものだ。 「それで?」まじめな顔を作り直して続きを促す。 「エンジンは突貫作業でどうにかなるだろう。幸い工具も見つかったし、思ったほど痛んじゃいなかった。 だけど、残弾が心もとないな。次の戦闘を乗り切るのに十分な量が不足している」 「それならば心配はいらない。私の地図にはB-1の補給ポイントが記されている」 「そうか……なぁ、ブンドル」 「ん?」 「君の考えはさっき聞いた。戦いに向かない者を助け、首輪を外し、あの化け物に叛旗を翻す。 それ自体は俺の考えと食い違っちゃいない。だが、具体的にはどうするつもりだ?」 「そうだな。まずは殺しあうことを良しとしない者たちを集め、三四人程度の集団を複数形成する。 それで好戦的な者から受ける被害は大分減るだろう」 「三四人程度に留める訳は?」 「肥大化した集団は身軽さを失う。 それに互いが互いを把握できる人数であったほうがいい。内部崩壊を目論む者が動きにくくなる」 「なるほど。しかし、そこまでする余裕があるのか? この勝負、スピードが命だ。時間を置けば置くほど事態は悪化するぞ。最悪手詰まりになる可能性も低くはない」 アムロの言ったことは重々承知している。だからこそ自分のみで全容を掴むことは既に諦めていた。 全てが出来るとも思ってはいない。だが、最善は探求し続けるべきだろう。 「小集団を遊ばせておくつもりはない。情報収集を担当して貰おうかと思っている。 具体的には首輪と技術者、設備、最初に実験台となった女性の知己である男、他あらゆることに関してだな」 「現状であの化け物に関する情報を持っているのは、おそらくあの男だけというわけか。 それで君自身はどうする?」 「私は単機で行動し、集団を作って回る。だが、一先ずは君の護衛だな」 せっかく見つけた技術者。現時点で最も優先しなければならないことは、その保護である。 再び単機で動き出すのは、アムロを中心に小集団を作り上げてからの話であった。 その言葉に目の前の男は苦笑いをこぼし、次の瞬間、西を向いて緊張の色を浮かべた。 「どうした?」いぶかしんで聞いてみる。 「近づいてくる。この感じ、あのギンガナムとかいう男か」 「あの品位に欠ける男か……確かか? いや、待て。君は何故それがわかる?」 「感じる。直感のようなものだ。根拠はなにもない。この感覚を人に上手く伝えることも難しい。 だが、嘘は言っていない。だから、俺を信じてくれとしか言いようがない」 互いの視線がぶつかり合う。決して反らさず、真っ直ぐ射抜くような視線。 嘘をついている者のする目ではないな。それにここで嘘をつく意味もあまりない。 「間違いないのだな」 「この無邪気な敵意、奴に間違いない」 「いいだろう。君に賭けているこの身だ。信用しよう」 「助かる」溜息とともに言葉は吐き出された。 「サイバスターで出てくる」 「……すまない。僕も補給を済ませたらすぐに駆けつける」 「ふっ……期待はしておくよ。だが無理はするな」 「お互いにな」 一瞬だけ頬を緩ませ、すぐに表情を引き締め直した。 「補給ポイントの情報は転送しておく」 踵を返し、壁面の隙間をすり抜けて、路上に出る。室内の明りになれた目に、夜の闇は暗かった。 その暗がりの中にサイバスターだけがぼんやりと白く浮かび上がっている。 それを一度見上げ、一歩を踏み出した背中に声が飛んできた。 「死ぬなよ」 「このレオナルド=メディチ=ブンドル、ここで朽ち果てる気は毛頭ないさ」 一体のバルキリーがビルの谷間を縫うように疾走する。 ――時間がかかり過ぎだ。 時刻は午後十一時を既に回っている。ブンドルが動いてから既に三十分以上が経過していた。 エンジンの調整、それに時間をとられすぎた。 いや、全工程を合わせて一時間程度で仕上げたことは称賛されてしかるべき速さだろう。 だがしかし、遅すぎる。 B-1に急行。補給を済ませて、ブンドルの応援へ。どう考えても一時間遅れではすまないだろう。 一際大きな通りに沿って直進。三つ先の交差点を左折。直ぐに右折。 徐々に速度と高度を上げていき、大きな高層ビルの脇を滑るようにして左に折れた。 突如、視界が開ける。 崩れたビル。ところ構わず散乱する瓦礫の山。 何かが爆発した跡。 ――戦場跡だな。 眉を顰めるも、構うことなく上空を突っ切っていく。 前方に遠いところにそれぞれ青と黄色の20m強の機動兵器。そしてさらに遠いところに赤い奴がもう一機。 見覚えがある。あの時、遠距離から核を狙った奴だ。そいつだけが起動している。 補給ポイントが近い―― ――邪魔だ!! 横目で残弾を確認。一戦を交える量はない。 ファイター形態――戦闘機へと変形させて降下。ビルの谷間へ滑り込んでいく。 風を切る音。急速に接近する地面。高度五。機首を持ち上げて機体を水平に保つ。 すれ違う道路、ビル、車。 轟音が聞こえた。降り注ぐガラスと瓦礫の雨。 構うことはない。 エンジンが爆発的に吹き上がり、すり抜ける。 両側に迫るビルの壁面。その先に赤い機体――見えた! トリガーに指をかける。どんどん加速する。 ―― 一瞬だ。一瞬に全てを叩き込んでみせる。 真っ直ぐにビルの間を走り抜けていく。 反応。敵機が向きを変える。だがもう―― 「遅いっ!!」 叫ぶ。引き金を引く。 ガンポッドにマイクロミサイル。残弾の大多数を叩き込んだ瞬間に、操縦桿を倒して上昇。 そして、離脱。上空で旋回に入った。 爆発の中心。まだ煙が立ち込めるそこから三発のミサイルが姿を現す。 「ちぃっ!!」 舌打ち一つ。同時に再加速。 旋回軌道から抜け出し、再び街並みへ潜り込む。 一発がビルの壁面で爆発。後二発。 上昇。フルスロットル。加速しろ。もっと早く。 後方を振り返る。さし迫る二基のミサイル。 3・2・1。タイミングを計る。いまだ!! バトロイド形態――人型に変化。空気抵抗が急激に増し、速度が一気に殺がれる。 体が前に大きく流され、ベルトが食い込んだ。 飛びそうになる意識を堪える。 二基のミサイルが両脇をすり抜けて、前方に躍り出た。 ガンポットが火を吹き、ミサイルが爆発。 周囲を見渡す。 ミサイルがさらに数基。数を確認している暇はない。 だが、予想通りだ。 目まぐるしく舵を切り、回避。そのまま狙いを定め、一つずつ迎撃。 最後の一基の結果を見ずにファイターへ移行。急降下。 高度二十で中間形態――ガウォークへと姿を変えると、ビルの谷間へと姿を隠した。 レーダーを確認。敵機の反応は消えてはいない。 「くそっ! 仕留め損なった!!」 腹立たしげに吐き捨てる。 初撃で片をつけるつもりだった。つけなければならなかった。それが出来なかった。 残弾はもう空に等しい。 だが逃げるという選択肢はなし。 もう一度、レーダーに目を向ける。敵機に動きがないことを確認して、ハッチを開けて、ビルに飛び移った。 屋上に上がる。肉眼で赤い機体を確認できた。 ビルの谷間に隠れるように陣取りながらも、その特徴的な長い砲身を展開させている。 おそらくはこちらが顔を出したその瞬間を狙っているのだろう。 厚い装甲に、俊敏さに欠ける重い体。戦車の延長上のその姿からも、そういう気がした。 ビルの谷間に潜む赤い機体――ラーズアングリフの中で、クルツはガナドゥールに通信を続けていた。 H-1に向かうと言ったエイジのガナドゥールがここに横たわっている。 そのことから返答がないおおよその理由は検討がついていた。だがそれでも通信を続ける。 そうしなければならないほど、クルツの置かれた状況は切羽詰っていた。 「エイジ! エイジ!! 聞こえていたら返事をしろ……クソッ! 駄目か」 補給ポイントを求めてやってきたここで突然、赤い小型機に襲われた。 以前、こっちから攻撃を仕掛けた相手だ。 その機体は、ビルの谷間を縫い、信じられない速さで接近してきた。こちらの施した防御策をものともせずに。 舐めるように低空を飛んできたあの動き、今思い出してもゾッとする。 ジャマーで相手の火力を半減できたのは幸いだった。それがなかったら、間違いなくお陀仏だった。 無論、転んでもただで起き上がるクルツ君じゃねぇ。 上空へ離脱した相手に向かって追撃をかけ、対応に追われて動きを止めた瞬間を見計らい、ありったけの有り金をつぎ込んだ。 そこが大枚叩いた賭け所だったわけだが、これが見事に大負け。 賭け金全部持ってかれちまって、財布の中にははした金が少々。 これじゃ、可愛い娘ちゃんをお茶にも誘えやしねぇ。 今は見栄えばかりは取り繕って、空のFソリッドカノンで牽制をかけちゃいるが、エイジ大先生にでも頼らないと、どうにもならないといった感じだ。 もっともその望みもたった今潰えたばかりなのだが……。 「クソッ……あの馬鹿。俺の努力を無駄にしちまいやがって……」 あいつを逃がすためにしてやったお膳立ても、あいつにかけた言葉も、全てが徒労に終わった。 『一発殴り返す』それもまた夢に消えた。 拳を握り締める。噛合った奥歯が音を立てる。脇腹が……鈍く痛んだ。 しばしの静寂。そして―― 「だああぁぁぁあああ!!! 悩むのは終わり! 止め!! 終了!!! こんな辛気臭いクルツ君、女だって向うから逃げちまう。 まずはこの状況をどうにかする! 全てはそっからだ!!」 今、奴は動く気配がねぇ。考えるなら今のうちだ。 赤だ。赤が悪い。今日の俺は赤と徹底的に相性が悪い。 赤鬼に始まり、赤マフラー、戦隊ヒーロー物のレッド、今対峙している小型機。 挙句の果てには、乗ってる機体からはいてるパンツまで全部真っ赤だ。って、何考えてる。 そういうことじゃねぇ。冷静に、落ち着いて考えろ、クルツ。 弾は? まだ少しだけ残っている。シザースナイフだってある。この空の砲身だっていざとなれば、鈍器にくらいはなる。 ほらみろ、まだまだ戦いようはあるじゃねぇか。今にギャフンと言わせてやる。 だから―― 「この赤い機体を捨てる。そこから始めるか……」 時刻はやや前後して、アムロがクルツに接触する少し前、A-1地区では二つの機体が対峙していた。 一人の男が怒声を上げている。 「アムロ=レイを何処へ隠した!!!」 通信機を通じて流れ込んできた大音量のがなり声に眉を顰める。 しかし、割とあっさりとブンドルに返答をよこした。 「ここから南東の方角。彼は中央の廃墟を目指した……とでも言っておこうか」 「それは本当なんだろうなぁ」 「無論、嘘だ」 『単純な奴め』そう思いつつ、あっさりと言葉を翻す。 ギンガナムの顔に皺が寄り、鬼のような表情に変わっていくのが見えた。 「貴様、小生を愚弄するつもりか!!」 「気に障ったのなら謝ろう。だが君のような者に、巧緻に長けた情報戦の機微を期待しても無駄なこと。 だから、分かりやすく説明させてもらったまでだ。どうする? 私の吐く事全てが本当のこととは限らんぞ」 「知れたこと。貴様を捕らえて吐かせる!! それだけだ!!!」 挑発するように頭を指先で指し、あからさまに不愉快な表情を浮かべてみせた。 「なるほど。見くびっていたよ。一応使える頭は残っていたようだな。 だが、それは最も醜悪な答えだ。実に美しくない」 「ならばどうする?」 「そうだな……では、私は逃げるとしよう。君と話をするのは不愉快だ」 「逃すと思うか!! このギム=ギンガナムがなああぁぁぁぁああああああああああ!!!」 ギンガナムがビームソードを抜き放ち、裂帛の気合と共に急加速で突撃してくる。 それに応じるようにして西洋風の幅広の剣を抜き放ち、構える。 赤味懸かった燐光の軌跡が夜空に浮かび上がる。高速で叩きつけられるビームソード。 月光を反射して一瞬白銀に煌き、受け止める刃。 両者の間で火花が散る。押し合い。そして、鬩ぎ合い。 「さあ! アムロ=レイの居所、吐いて貰うぞ!!」 腹部に蹴りが入り込み、相手を遥かに上回る体格を誇るサイバスターが、弾き飛ばされた。 体勢を立て直す間もなくギンガナムが襲い掛かる。それを剣を逸らして受け流す。 剛剣と呼ぶに相応しい太刀筋。まともに受けていてはサイバスターの方がもたない。 さらに二撃、三撃と受け流し、四撃目で懐に飛び込んだ。相手の出頭を抑えた相面。 しかし、剣先で絡め取られ、弾かれる。そして、そのまま圧するような一撃が伸びてくる。 それを半身になってかわし、ぱっと退いた。退き際に籠手を打つ早業。だが浅い。 一拍置いて息をゆっくりと吐く。 やはり一朝一夕にいく相手ではない。 「君は少し品性といったものを身に着けるべきだな」 「武門の家柄にお行儀の良い作法など不要。そのようなものはなぁ。 人の顔色伺ってこそこそ生きていく奴だけが見につけていればいいんだよ」 「獣め。どうやら君と私は相容れぬ存在というわけだ」 「同感だ、レオナルド=メディチ=ブンドル」 闇夜に蒼と赤、二つの燐光が浮かび上がり、二機は突撃する。 大振りな、しかし、極めて俊敏な一撃が頭上から降ってくる。 それに臆することなく踏み込み、擦れ違い様に抜き胴を放った。手ごたえが軽い。空を斬ったような頼りない感触が手元に残る。 だが、それに構うことなくブンドルはスラスターを噴かせると、その場からの離脱を始めた。 瞬く間に後方へとガンダムの姿が遠ざかったかに思えたその瞬間、一際大きな燐光が浮かび上がる。 「小生から逃げ切れると思うなよおおおぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!」 耳を劈くような大音量。あまりの不快さに、思わず通信機を切った。 大きく溜息を吐き、ホッと一息をつく。獲物は針にかかった。後はどこまで引っ張れるかが勝負だった。 瓦礫に埋もれた街並み。その廃墟の路地裏を青年は駆けていた。走りながらも、横目で敵機を確認する。 赤い小型機がビルの隙間から姿を現したり、隠れたりしていた。動く気配は今のところない。 「いいか。頼むから、そこから動くんじゃねぇぞ」 戦況が膠着状態を見せている今しかチャンスはない。再び戦況が動き出せば、生身で路地を走り回っている自分など一瞬でおしゃかである。 いいとこ瓦礫の下に身を隠し、潰されないように祈っているのが精々であろう。 だから、クルツは全速力で駆けている。折れ曲がった鉄筋を潜り、巨大なコンクリートの塊を飛び越え、必死で駆けているのだ。 路地を右に曲がる。ゴミ箱を足に引っ掛けて、盛大に中身が撒き散らされた。だが、気にも止めない。 このまま真っ直ぐ。 路地の奥。見えた。 あと少し。駆け込む。 目的地に到着したとき、シャツは汗でぐっしょりと濡れ、息は切れ切れだった。 だが、休んでいる暇はない。 振り返る。赤い小型機はまだ動いてはいない。 ――良し! 良い子だ。 目の前の黄色い機体に這い上がる。コックピットに飛び降り、ハッチを閉めた。 一瞬、脳内に様々なイメージが湧き上がり、体を奮わせた。 「クッ! 今のは……操縦方法? こいつのか!!」 疑問を持つよりも先に起動させる。全ては後回しだ。 周囲覆うパネルに次々と外部の映像が映し出されていく。赤い小型機はまだ動かない。 「いいぞ、気づくなよ」 ストレーガの射撃武器は二つ。中距離武装のライトニングショットと中遠距離武装のエレクトリックキューブ。 ここでクルツはエレクトリックキューブを選択した。 ストレーガの両手の間に雷が迸る。やがてそれは形を変え、キューブ状の物体に固化した。 準備は整った。相手はまだこちらに気づかない。 「エイジ、お前の置き土産使わせてもらうぜ!!」 一度深呼吸。心を落ち着かせる。 さあ、第二ラウンドの始まりだ。 跳ね起き、牽制のライトニングショット。逃げ場を奪う。 そして、ワンテンポ遅れてエレクトリックキューブを撃ち出した。 キューブはゆっくりと赤い小型機に吸い込まれていき、中央で爆発。稲光を撒き散らしながら溜め込まれた稲妻が放出される。 ――無茶をするのは一度きりだ。ここに賭ける。 乗り込んだ時点で理解していた。 ストレーガの本質は格闘戦。自分には合わない。 だからここで確実に止めを刺す。そのためには、苦手だろうがなんだろうが拳を叩き込む必要があった。 キューブが消滅するタイミングで突撃。 黒焦げになった敵機を左腕で掴み、コックピットに右拳を叩き込む。 装甲を突き破ったその先で放電。爆発が起こり、赤い小型機は四散した。 「ああ~、やっとこさ終わった。 んじゃ、ま、早いとこラーズアングリフの補給を始めて、休憩っと行きますかね」 踵を返して、ラーズアングリフに近づき、乗り移る。自分向きでないストレーガに乗り続けるつもりはなかった。 補給ポイントに向けて一歩踏み出した瞬間、目の前のストレーガが吹っ飛んだ。 二条の蒼白い閃光。 訳が分からない。 振り返る。青い機体――ガナドゥールの姿見えた。 訳が分からない。 全速で後退。今のラーズアングリフに交戦する能力はない。 おそらく応戦しないことで、こけおどしのFソリッドカノンも見抜かれただろう。 でも、こいつは一体なんだ? 何処から現れた? 距離が詰まる。ガナドゥールの肩口から何かが射出されるのが見えた。 小型の機械が無秩序な軌道を描きながら接近してくる。 ビルを盾にしてそれを避ける。 ――分かった。こいつはあいつだ。 さらに距離が詰まる。赤銅色の厚いビームの刃をその手にそいつは迫って来る。 ――こいつ、俺と同じことを考えていやがった。 小型の機械に足場を崩され仰向けに倒れこむ。 理解したところでもう遅い。死の時は眼前まで迫っていた。 足元まで迫ってきたガナドゥールが、仁王立ちでこちらを見下している。 妙に冷めた気持ちになっている自分がいることに気づいた。 冷静に自分の死を観察している自分がいる。 「早くやれよ。打つ手なし……お前の勝ちだ……」 言葉が通じたのか、ガナドゥールが刃を大きく振りかぶる。 心が落ち着いている。視野が広い。 ラーズアングリフの背中に潰されている瓦礫の形、大きさ。ガナドゥールの向うに見える大きな月。 そこに影を落としている一つの機体。みんな見える。 そうあの機体のシルエットは―― 振り下ろされる刃。それを轟音と共に弾いた。 ガナドゥールを蹴飛ばし、起き上がり、そして、空に通信を繋げる。 そうあの機体のシルエットは―― 「来るな!! 逃げろ、ラキ!!!」 体当たり。受け流され、前のめりに倒れこむ。 起き上がろうとした瞬間、二本の角を生やした拳が降ってくるのが見えた。 ああ、ここで俺は本当に死ぬんだな――そう思った。 拳が『轟』と唸りをあげて地面に叩き込まれた。 それは岩盤を砕き、砂柱を現出させたが、肝心なものの姿はそこにはなかった。 いびつな音を立てて、間に何か別の機体が割り込んできた気がした。 アイビスの乗っていたブレンに似ていた気がする。だが、あまりに一瞬のことで確信はなかった。 大きく息を吐く。 気持ちを切り替えるとコックピットの後部を振り返った。 一人の青年がそこに横たわっている。 動く気配はない。動くはずもない。 おそらくは破片が跳ねたのだろう。後頭部に穴が開いている。 そこから脳漿と血液の入り混じったピンクの液体が流れ出していた。 【アムロ・レイ 搭乗機体:ガナドゥール (スーパーロボット大戦D) パイロット状況:疲労、喪失感 機体状況:頭部全壊、全体に多大な損傷 現在位置:B-1 第一行動方針:ブンドルの応援 第二行動方針:アイビスの捜索 第三行動方針:首輪の確保 第四行動方針:協力者の探索 第五行動方針:首輪解除のための施設、道具の発見 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している シャアの死亡を悟っています】 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL) パイロット状態:良好、主催者に対する怒り 機体状態:サイバスター状態、ダメージ微少 現在位置:B-2西部 第一行動方針:ギンガナムを見当違いの方向に連れて行く 第二行動方針:アムロと合流 第三行動方針:A-1周辺の参加者を捜し、保護する(特に技術者を) 第四行動方針:基地の確保のち首輪の解除 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ 備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能】 【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状態:テンション最高潮(気力150) 機体状態:右腕肘から先消失、胸部装甲にヒビ、全身に軽度の損傷 現在位置:B-2西部 第一行動方針:ブンドルを捕まえてアムロの居場所を吐かせる 第二行動方針:倒すに値する武人を探す 第三行動方針:アムロ・レイ、アイビス=ブレンを探し出して再戦する 最終行動方針:ゲームに優勝 備考:ジョシュアの名前をアイビス=ブレンだと思い込んでいる】 キャノピーを開けるとクルツはラーズアングリフから飛び降りた。 何をどうやったのか、そこは周囲一面の砂地で、市街地は見る影もない。 正面に鎮座している機体を見上げる。 ラキのブレンに非常に似ていた。似ていたが、良く見ると違うことが分かった。 おそらくは同系の機体なのだろう。 エイジはラキの機体ごといなくなったとき、跳んだと表現していた。 たぶん、俺が助けられたこれがそうなのだろう。 あれこれ考えているうちに、コックピットから少女が降りてくるのが見えた。 赤毛のショートカット、胸はないがスレンダーな体形で、美人に分類されてもいいレベルだろう。 「助かった。礼を言う。クルツ=ウェーバー軍曹だ。よろしく」 にっこりと笑って右手を差し出す。 次の瞬間、差し出した右手は音を立てて弾かれた。 「なっ!」驚く間もなく、胸倉を掴まれ機体の装甲に背中を打ち付けられる。 肺が潰れて息が一瞬止まり、蛙の潰れたような声が出た。そして、咳き込む。 文句を言おうとして、言葉を呑み込んだ。 今にも噛み付きそうな、餓えた狂犬のような顔をした女がそこにはいた。 歯を剥き出しにして、肩を怒らせ、鋭い目線で睨みつけている。鬼のような顔というのは、きっとこういうのを言うのだろう。 この行動は、クルツがVF-1を撃墜する場面を見られていたことに起因しているのだが、そのことに気づくはずもない。 鬼の形相のまま彼女は言う。低く、ドスの利いた声で。 「別にあんたを助けたわけじゃない。あんたにはラキについて知っていること全部話してもらう」 【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A) パイロット状況:疲労 機体状況:左腕消失、胸部損傷、リニアミサイルランチャー残弾わずか マトリクスミサイル・ファランクスミサイル・Fソリッドカノン残弾0 現在位置:B-2 第一行動方針:状況把握 第二行動方針:補給を行う 第三行動方針:ラキの探索 第四行動方針:ゲームをぶち壊す 第五行動方針:駄目なら皆殺し 最終行動方針:ゲームから脱出】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ヒメ・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:憔悴、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない) 機体状況:ソードエクステンション装備。機体は表面に微細な傷。 バイタルジャンプによってEN1/2減少。これ以上の長距離ジャンプは不可。 現在位置:B-2 第一行動方針:クルツからラキのことを聞き出す 第二行動方針:ラキを探し、ジョシュアのことを伝える 第三行動方針:寝るのが怖い 最終行動方針:どうしよう・・・・・・ 備考1:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません。 備考2:アムロはクルツに殺されたと勘違いしてます】 【初日23 40】 BACK NEXT 未知との遭遇 投下順 謀 ―tabakari― 未知との遭遇 時系列順 鍵を握る者 噛合わない歯車 BACK NEXT 失われた刻を求めて アムロ 吼えろ拳/燃えよ剣 失われた刻を求めて ブンドル 吼えろ拳/燃えよ剣 爆熱! ゴッド晩ごはん!! ギンガナム 吼えろ拳/燃えよ剣 Take a shot クルツ Shape of my heart ―人が命懸けるモノ― 死人の呪い アイビス Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―