約 845,783 件
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/116.html
赤と流星、白と勇者王 ◆C0vluWr0so 「……それでさきほどは取り乱していたわけか。すまない、不注意に近づきすぎたな」 「いえ……それより、その放送……本当なの?」 「ここで嘘をついても私たちに何の得がある? 内容が真実かどうかは別だが『放送された』。これは紛れもない真実だ」 ……場が沈黙で満ちる。シャア・アズナブルとアイビス・ダグラスは穴を掘っていた。 ざく……ざく…… ここに埋められる人間……彼女、アイビスがここに来て初めて出会ったのがジョシュア・ラドクリフだった。 ざく……ざく…… 彼は優しかった。……優しすぎた、このゲームで生き残るには。 ざく……ざく……ざく……ざく…… もしアイビスをかばって戦闘をしなければ、死ぬことは無かったはずだ。 ざく……ざく……ざく……ざく…… 自分の未熟さが、死を呼び寄せた。これも放送同様に紛れもない『事実』。 「ふぅ。このくらい掘れば十分だろう。さぁアイビス、遺体を……うおっ?」 大粒の涙が少女の頬を濡らす。そのままその場に崩れ落ちるのにそう時間はかからなかった。 「ジョシュア……ジョシュア、あんた馬鹿だよ……。わたしみたいな奴かばって死んじゃって…… ラキっての、大切な人だったんでしょう!? ま、守る相手間違えて死ぬなんて…… うっ、ひっく……この馬鹿っ!」 「アイビス……」 シャアは、言葉をかけられなかった。このような年端もいかない少女に自分のような人間がいくら声をかけたとて慰めにはならない。 だからぶった。涙流れるその頬を、平手で。 「しっかりしろ! この青年とて死ぬ気は無かったはずだ。だが死んだ。ここでは本人の意思など関係ない。生きたくとも死ぬ者は死ぬ。 だが生きる気のない者が生き残ることは決して無い。お前はジョシュアの死を無駄にしたいのか? 本気で生きろ。それが残された者に出来る最善の弔いだ」 頬に響く痛みが彼女の神経を刺激する。それは死んだ者ではもう味わえない感覚。 「でも……でもジョシュアはっ」 「いい加減にしろっ! わからんのなら何度でも叩いてやる! その頬に伝わる痛みは、今死んだ十人がいくら望もうとも、二度と手に入らん痛みだ。貴様は何故それがわからん!」 ……それでも、アイビスは立てずにいる。彼女はまだ、この現実を受け止めるだけの心が無かった。 夢に向かっていたあの頃なら彼女は折れない心を持っていたかもしれない。ツグミ、スレイ、フィリオ。楽しかった。ひたすらに前だけ見て進んでいた。 ああ、わたしはもう駄目なのかもしれない―― せっかくジョシュアが繋いでくれたのに―― ジョシュアの遺体を見る。爆散したにもかかわらず、奇跡的にまだ原型をとどめている。それでも見るも無惨な姿になってしまっていた。 その手は、強く胸を掴んでいた。まるで自分と想い人の心を繋ぐかのように。 「……ラキ」 彼が最後に呼んだ名前だった。今、自分に出来ること。それはジョシュアの意志を伝えることなのかもしれない。 わたしから彼への、間に合わなかった恩返し―― ふらふらとアイビスは立ち上がった。おぼつかない足取りでジョシュアの元に駆け寄る。 「ジョシュア……。ごめん、あたしのせいでこんなことになっちゃって……。でもこれだけは、これだけは約束するから。 あたしが必ずラキに伝えるよ。あなたの意志を。彼女に伝えられなかった言葉を」 涙を拭き、今度こそはっきりとした足で立つ。未だ瞳は暗く、絶望の色は濃い。 それでもあたしにはこの足がある。地に墜ちる流星でもいい。 はいずり回ってでも見つけてみせるから、だから安らかに眠って、ジョシュア。 (ふふ、私の言葉でようやく立ち直ることが出来たようだな) アイビスの吹っ切れた様子を見て、シャアはほくそ笑んでいた。 (彼女もまた私の盾となってもらおうか……。しかし早いところマシな機体が欲しいな) 勘違い男シャアの行く末は、果たしてどこになるのやら。 「ン……終わったか」 アムロは機体に乗ったまま外部スピーカーで二人に呼びかける。心なしかアイビスから不安定さが消えつつあるようだ。単純にそのことを嬉しく思った。 「アイビス、君はこれからどうするつもりだ? その、ラキという人物を探すつもりなのか?」 「ええ。……それが、あたしがジョシュアに出来る唯一のことだと思うから」 「ふむ。ならばやはり我々と共に行動することを提案しよう。探す手がかりも無いのだろう? 我々と共に動いた方が互いの生存率を高めることになる」 「分かったわ。確かにわたしもラキに会うまで死ねないし。見たところアムロさんは操縦技術も優れているみたいだしね」 「む……。それは聞き捨てならんな。今でこそこのような兵器に乗っているが、私とて赤い彗星と恐れられていた男だぞ」 「振り回されて嘔吐していた奴が何を言う。ただでさえ貴様の機体は危険なんだ。 いざというときにはブレンが持っているというワープで退避しろ。核に巻き込まれて死亡などまっぴらごめんだからな」 情報交換も済み、出発しようと各自機体に乗り込んだ時、バルキリーのレーダーが接近する機体を捉えた。 「なんだと? 接触するか?」 「ああ。交渉は俺に任せてくれ。二人は大事をとって少し離れていてほしい」 レーダーが機体の接近を知らせる。アムロは回線を開き接触を試みる。 「こちらに戦闘の意志は無い。ひとまずそこで止まってくれ」 しかし機体はこちらに近づくことをやめはしない。距離が縮まるにつれて相手の姿がはっきりとしてきた。左半身がただれ、激しい戦闘を経験したということを物語っている。 「おいそこの機体! 早く止まれ!」 相手はマーダーかもしれない―― 焦燥に駆られ、声を荒げるも相手は全くこちらの指示を聞くつもりはないようだ。 「……てぇんだよ」 「え?」 「身体中が死ぬほどいてぇんだよぉぉぉぉぉ! 脳みそがぐちゃぐちゃ掻き回されてるみてぇだぁぁぁぁ!」 アムロは困惑する。相手は錯乱しているようだ。下手に刺激しては逆効果か? 「落ち着け! こちらに戦闘の意志は無い! 機体を止めてくれ!」 「殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺す……死ねぇっ!」 突如放たれた攻撃に瞬時に反応し、バルキリーは回避運動をとる。しかし完全にかわすことは出来なかった。 「くっ……! かすっただけでこの威力か!」 哀れバトロイドの左腕は肘から先が消し飛び、相手の圧倒的な攻撃力を表していた。 スターガオガイガーの攻撃はやまない。次々と放たれる拳撃にアムロは逃げ回るしかなかった。 「アイビス、シャアを連れて逃げてくれ! 核の近くでこいつの相手は危険すぎる!」 戦闘を続ければいつ核が誘爆してもおかしくない。そう判断したアムロはアイビスにシャアを任せる指示を出す。 「アムロ! 私たちはF-2の補給ポイントにて待つ! ……死ぬなよ、お前を倒すのはこの私だということを忘れるな」 「アムロさん……絶対、生きて迎えに来てください」 「ああ! こちらは任せて早く行け!」 バイタルジャンプをすべくブレンを動かそうとしたアイビスの目に、大破したグランチャーの姿が入った。その手元に転がるのはソードエクステンション。 とっさの判断でそれを掴み、核ミサイルを連れて即座にチャクラの波に乗る。 (ジョシュア……。あなたの力を借りていくよ。私たちを守ってちょうだい) ブレンと核が戦線を離脱したことを確認し、アムロは安堵した。 だがそれでこの目前の機体の攻撃がやむわけではない。 「うおぉぉぉ! ブロォォクン……ファントォォム!」 もし直撃すれば薄い装甲のバルキリーではひとたまりもない。だが連邦のエースたるアムロは、出会い頭の一撃以外には攻撃らしい攻撃を受けていなかった。 牽制の意味を込めガンポッドを放つも、スターガオガイガーの厚い装甲にはかすかな傷が入るばかり。戦力差は明らかであった。 (やはりこのままではジリ貧か……?) 弾薬を半分ほど消費しても向こうには怯む様子一つない。それどころかこちらが攻撃を重ねる度に戦意を、怒りを高め攻撃は激しくなるばかりだ。 「ちょこまかちょこまかとうるせぇンだよぉ!」 先回りし、膝蹴りを放つスターガオガイガー。機体を急制動しその一撃をかわすアムロ。 「生憎だが……こちらもそうそう負けるつもりはない!」 白い悪魔と堕ちた勇者王。力と技との攻防を制すのは果たしてどちらか。 その行方を知っているのは―― 主催者たる異能の怪物のみなのかもしれない。 【アムロ・レイ 搭乗機体:VF-1Jバルキリー(ミリア機) (マクロス7) パイロット状況:良好 機体状況:左腕肘から先を消失、弾薬を半分ほど消費 現在位置:H-2北東部 第一行動方針:目の前の敵(ゴステロ)をどうにかする 第二行動方針:シャア達との合流 第三行動方針:首輪の確保 第四行動方針:協力者の探索 第五行動方針:首輪解除のための施設、道具の発見 第六行動方針:核ミサイルの破棄 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している】 【ゴステロ 搭乗機体:スターガオガイガー(勇者王ガオガイガー) パイロット状態:全身と脳に激痛、激しい怒りと興奮 機体状態:左腕損失(プロテクトウォール不可)、左半身にダメージ、EN中消費、装甲表面に多少の傷(戦闘に支障なし) 現在位置:H-2 第一行動方針:目の前の敵(アムロ)を殺す 第二行動方針:エイジ・カミーユ・ゼクス・ユーゼス・ベガを殺す 最終行動方針:生き残り優勝 備考:移動中に補給をすませました。】 【シャア・アズナブル 搭乗機体?:核ミサイル(スーパーロボット大戦α外伝) パイロット状況:良好 機体状況:真っピンク 現在位置:G-2 第一行動方針:F-2補給ポイントへ向かう 第二行動方針:アムロと合流 第三行動方針:仲間を増やし自分(と核ミサイル)を守らせる 第四行動方針:強力な機体の入手 第五行動方針:首輪を確保する 第六行動方針:缶切りを手に入れる 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考:核ミサイルの荷物収納箱からブライト、ガトー、アズラエルのマスクを発見、所持。 ボイスチェンジャー機能付き。H-2の何処かにシャアの吐瀉物あり】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ヒメ・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:良好 機体状況:ソードエクステンション装備。機体は表面に微細な傷。 バイタルジャンプによってEN1/2減少。これ以上の長距離バイタルジャンプ不可。 現在位置:G-2 第一行動方針:F-2補給ポイントへ向かう 第二行動方針:アムロと合流 第三行動方針:ラキを探し、ジョシュアのことを伝える 最終行動方針:考えていない 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません。 】 【時刻 19 30】 BACK NEXT 少女ハンター・ランドール 投下順 Time Over ―私の中のあなたにさよならを― 例え死者は喜ばずとも 時系列順 壁に耳あり、障子に目あり BACK NEXT 狂宴 ゴステロ 失われた刻を求めて オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 アムロ 失われた刻を求めて オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 シャア 星落ちて石となり オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 アイビス 星落ちて石となり
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/299.html
極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 ◆960Bruf/Mw 瓦礫の街並みの中、四機の航空機が羽を休めている。 その羽の下、崩れた家屋の残骸に腰をおろしている男がいた。男の名は神隼人という。 その眼は三機のゲットマシンを見ていた。 ――間違いなくゲッターだ。 真ベアー号に乗り込んだときに理解した。コックピットの内装、ゲットマシンの外観こそ知るものと異なってはいたが、首輪が教えてくれた。こいつは―― ――真ゲッター。 ゲッターの後継機としてつくられた機体。早乙女博士の尽力にも関わらず、5年前のあの日起動しなかった機体。それが―― ――なぜ動いている? 早乙女研究所の地下に封印されていたはずだ。 ――いや、それよりも……。あの時、こいつが動いていればムサシは。 噛みしめた奥歯が鳴る。古傷が顔に浮かび上がってきていた。 一つ深呼吸をして心を静める。 ――落ち着け。好都合だ。 あの化け物がどうやってこいつを持ち出したのかは知らんが、好都合だ。 決して動かなかったこいつが何故か順調に稼働している。そして―― 動かした視界に一組の男女が映し出される。 おそらくクインシィを宥め連れ戻すのに苦労したのだろう。ガロードは正座で終わりの見えない説教を受けていた。 ――ゲットマシンを扱えるパイロットがここに二人いる。 あの化け物はただ無作為に人を集め訳じゃないらしい。 翔と剴を見つけた後、どうしても見つけることが出来なかった三人目がここに二人もいる。 となると、当面の目標は三人目を探すことか。 そこでようやく隼人は、助けを求めてチラチラと視線を送ってきているガロードに気づいた。 「クインシィ、そのくらいにしておけ」 少女の意志の強そうな瞳がこちらを向き、鋭い視線と怒気の矛先がかわる。 それをこともなげに受け流し、話し出した。 「俺たちは別々の世界から集められた可能性がある……」 最初に交換した情報の中に各自の世界観が異なることはすでに検討がついていた。 「そ~いうこと。ヘイコン世界に住む者同士ってわけだ」 「並行世界だ」 以前、クインシィと同様の会話をしていたガロードが得意気に相槌をうち、即座にクインシィの訂正が入る。 「それでこれからの話だが、お前たちはこのままゲッターに乗れ。俺もこのままYF-19に乗る」 その言葉に、これまで隼人に対してゲッターという単語を口にしてないクインシィの眉がぴくりと動いた。 「そう警戒するな。あれは元々俺がいた世界で俺が乗っていたものだ。お前たちよりはあれに詳しい」 そして「もっとも肝心なときに動かなかったがな……」とどこか自嘲気味に続ける。 「なら、なぜお前も乗り込まない? 」 「古傷があってな……。だが、そんなことはどうでもいい。それよりひとまず話は中断だ」 『アー、アー、ただいまマイクのテスト中ですの……』 まるで見計らかったかのようなタイミングで、どこらかともなく少女の声が響いてきた。 ――6時間で10人。 それを多いととるか少ないととるかは、人それぞれである。 平時に50人強の集団から6時間で10人の死者が出たと考えれば、それは異常に多いだろう。だが未曾有の災害に巻き込まれたと考えれば、その数は少なかった。 しかし、あの化け物が提示したルール上死者はまだまだ増える。 最終的に1人しか生き残れないのであれば、その犠牲の数はやはり異常だ。 ――1人? 疑問が浮かんだ。 この殺し合いはシステム上必ず1人は生き残るように設定されている。 ――何のために? 自分に科せられた首輪を撫でる。 ただ殺すのが目的ならば、奴らはたやすくやってのけれるはずだ。 最初に集められたときでも、今この瞬間でもだ。 つまりこれは我々を殺すのが目的ではない。ただの娯楽、気まぐれ、余興と言われてしまえばそれまでだが……。可能性としては―― 「選定……もしくは観察か……」 ここに集められる前の記憶――ネオゲッターチームを集めるために自分が出した犠牲者を思い浮かべる。 ――なんてことはない。俺もあの化け物と同類か。 小さく哄笑が漏れた。 「俺について来い。まずはゲッターを合体させるぞ」 「なぜお前にそんなことを命令されなければならない」 立ち上がり歩き出そうとした隼人にクインシィが噛みつく。 「こんなとこで死ぬのはごめんだろ? なら今はくだらんプライドは捨てて俺に従え。ゲッターの扱い方を教えてやる」 視線がぶつかり合ったあと、隼人は背を向けて真ベアー号のほうに歩きだす。 背後では納得がいかないといったふうのクインシィを、ガロードが宥めていた。 痩身長躯の男が真・ジャガー号のコックピットに張り付き、ガロードにあれこれと指示を飛ばしている。 その様子をモニター越しに眺めていた。 ――気に入らない。 神隼人と名乗るその男は、沈着冷静、頭脳明晰、そういった類の人間なのだろう。 そして、おそらくは最低限の冷徹さも兼ね備えている。 物に例えるならばナイフのような男――それが抱いた感想だった。 この先、生き残っていくのには必要な男。それは理解していた。 だが、どうにも気に入らない。イライラする。ようはそりが合わないということなのだろう。 ――くだらないな。 そう思い。気持を落ち着かせる。気持の問題など些細なことでしかない。 「クインシィ、操縦方法は頭に入っているな。ベアー号はオートで発進させる。まずはゲッター1だ。イーグル・ジャガー・ベアーの順で合体しろ。いいな」 隼人から通信が入る。それにほんの一瞬前までの考えを忘れて、彼女は苛立った。 どこか上から物を言うような口調、それが気に入らない。 「黙ってみていろ。私の好きにやらせてもらう」 感情が判断を鈍らせることを下らないと思いつつも、感情的になる自分を御することができない。クインシィはそういう自分に気づいてはいなかった。 赤、白、黄色、三色のゲットマシンが空を飛び、一列に連なる。やがてその間隔は狭まり、合体は三度目で成功した。 「遅い! 時間がかかりすぎだ」 筋はいい。そう思いつつ苦言を飛ばす。クインシィから返事はなかった。 「まぁいい。次はゲッター2だ。ジャガー・ベアー・イーグルの順に……」 そこまでで一度隼人は言葉を区切った。 「神さん? 」 不審に思ったガロードが声をかける。 「ひとまず中止する。南西の方角にお客さんだ」 ビル群の中をゆっくりとこちらに近づいてくる青い巨人の姿が目視できた。 距離から推し量るに、その巨体は真ゲッターと同程度の大きさであろうか。 その足取りの確かさからまずこちらを確認していると見てほぼ間違いなさそうだった。 ひとまずは接触すべきと考え、一歩前に踏み出す。 その瞬間、一陣の風が隼人の横をすり抜けていった。 零コンマ何秒の世界でその赤い風はキロ単位の距離をふいにし、無造作に頭蓋を鷲掴み、大地に叩きつける。 技術もへったくれもないただ力任せの一撃。しかし、掛け値なしの渾身の一撃。 重低音が響き、土煙が柱の如く聳え立つ。 不意を突かれた隼人も、ガロードも、静止は愚か反応さえもできない間の出来事だった。 ラキと出会ったときに相対した相手だ。警戒はしていた。 その時の経験をもとに不意を突かれないだけの距離は取っていた――はずだった。 どろりとした血液が額を伝って流れ落ち、口の中には錆びた鉄の味が広がる。 軽く脳震盪でも起こしたのか、視界がぶれてうまく焦点が合わない。揺蕩う視界に赤い悪魔が映し出されていた。 「………した…」 ガラスを引っ掻いたような耳鳴りがするなか、呟きが聞こえてくる。 「……どこへ隠した。勇をォどこへ隠したアアァァァァアアアアア!!!! 」 聞き返す間もなく呟きは叫びへとかわる。 フォルテギガスの頭蓋が持ち上げられ、今度はビルの壁面に叩きつけられる。 「答えろ! 勇はどこだ? 」 「な、何のことだ? 」 何かが潰れるような鈍い音を響かせてフォルテギガスの頭部が打ちすえられる。 「隠すな! お前は知っているはずだ。勇の……私の弟の行方を!! 」 意味が分からなかった。 勇という知り合いはいなかった。グラドスにも、地球にも、ここにもだ。 にもかかわらずこの少女は自分が勇を知ってると思い込んでいる。 まったく意味が分からなかった。 ただ一つわかるのは――この少女がどこか普通ではないということだけだった。 赤い悪鬼が巨人の頭蓋を鷲掴みにしていた。 いや既に頭の形を保っていないそれは、頭蓋と呼ぶにはふさわしくないかもしれない。 言ってみれば潰れた鉄屑だった。 それが大地に、ビルの壁面に、ところ構わず無造作に叩きつけられている。 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も 永遠にループするその光景を現すなら、『凄惨』の二字がぴったりであっただろう。 「ガロード、何が起こっている! 状況を説明しろ!! 」 その狂気の惨劇を眼の前に、隼人が吠える。 「俺にだってわかんないよ。こんなお姉さんは初めてなんだ!! 」 返ってきた返答に苛立つ。 「ともかく。クインシィを落ちつかせろ」 吐き捨てるように言い、モニターに視界を戻した。 巨人が逃れようと鷲掴みにする腕を両の手で掴んでいる。しかし、既に力はない。そんな感じだった。 ――いや、あれは。 「クインシィ、離れろ! 」 隼人が叫ぶのとほぼ同時に、フォルテギガスの胸部にある四つのハッチが十字に開かれ、閃光が放たれた。 立ち込めた爆煙を裂いて東西に赤と青――二機の巨人が弾けとび、数棟のビルが巻きこまれて瓦解する。 ――くそっ! まさかあんな方法で相殺されるなんて。 逃げられないように腕を掴み放った起死回生の一手――フォルテギガスのギガブラスター。 それはゲッターの腹部から放たれたゲッタービームに相殺され、二機は弾けとんだ。 「レイ、損傷を……」 そこまで言いかけて居ないことを思い出し、機体を立て直す。 立ち上がったフォルテギガスの中、視界が回る。腹の底から何かが込み上げてきて思わず吐き出す。出てきたものは赤かった。 あれだけ絶え間なくコックピット内部で揺れに翻弄され続けていたのだ。無理もない。 揺れる視界、いかれた平衡感覚、遠距離戦は不可。逃げ切ることも難しい。 ――どうにかして接近戦に持ち込むしかない。 特殊自律型兵器フィガ、それを射出して距離を詰める。そう決めたときに予想外の衝撃がエイジを襲う。 強き巨人の名を冠する50m超の巨体が地に埋没し、エイジの意識は途絶えた。 首のないその風貌が死を司る首なしの騎士――デュラハンを連想させる機体が、強き巨人を足蹴にたたずんでいる。 爆発が一つ起こり、近場に一つの機体が吹き飛ばされて来た。 即座に駆け寄り、蹴り倒し、踏み潰した。そこには容赦も慈悲もない。 生きる為に他人を蹴落とす。今の彼にとっては至極当然の行為だった。 「ちっ、さすがにでかいだけあって硬え」 踏み砕くつもりで潰したはずの巨人の背にはヒビが入っていたが、砕けてはいない。 そこに踵の裏で圧力をかける。 装甲の外板が悲鳴をあげ、四方を持ち上げつつ?がれていく。圧迫された内部の機器が火花を散らし、黒いオイルが血の如く飛び散った。 その時、立ち込める土煙を裂いて赤い悪鬼が姿を現した。 横薙ぎにはらわれる大鎌。 咄嗟のダッキング。風切り音が頭――否、首の直上をすり抜けていった。 そのまま懐に潜り込み、振り上げられる拳。 金属同士がぶつかり合う音が響き―― ――大鎌の柄と拳が接触した。 「なっ!? 貴様は誰だ! 」 「俺の知らないゲッターだと!? 」 互いの言葉が交錯する。押し合う拳と大鎌。 「その声、竜馬か! 」 「……!? 」 割り込んだ声に誘発され生じたわずかな隙。それを見逃さずクインシィは力を緩め、拳を受け流す。 前のめりに崩れる大雷凰。上段に大きく振り上げられる大鎌。 次の瞬間、『轟』と呻りをあげて振り下ろされた大鎌は―― ――大雷凰の数センチ上でピタリと静止した。 大雷凰の腕が大鎌の柄をがっちりと掴んでいる。 「てめえ……、隼人かああぁぁぁああああ!!! 」 強引に大鎌の柄でゲッターの顎をかちあげる。 ふわりと浮かび上がるゲッター。そのまま流れるように繰り出された大雷凰の回し蹴りが―― ――ゲッターの脇腹に食い込み、その巨体が弾け飛ぶ。 「プラズマビュート! 奴を逃すな!! 」 まだ終わりではない。発せられたのは青白く輝くプラズマの荒縄。 捕えられるゲッター。強引に引き寄せられ、一度広がった両者の距離が急速に縮まる。 「調子にぃ……のるなああぁぁぁぁぁぁああああ!!!! 」 ゲッターバトルウィングが展開されプラズマビュートが断ち切られる。 肩口から斧槍――ゲッタートマホークを取り出し、速度を落とすことなく――否、むしろ加速しつつゲッターが大雷凰に迫る。 動じることなく竜馬も大鎌――ゲッターサイトを構え、迎え撃つ。 「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!! 」 「隼人おおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!! 」 ぶつかり合う互いの気迫。交錯する斧槍と大鎌。入れ替わる両者の位置。 音をたててゲッターの装甲に亀裂が奔った。 互いに向きなおり、再び対峙したその時―― 「落ち着け、二人とも!! 」 ――静止が入った。 大雷凰と真ゲッター。その二つの大型機のちょうど中間に一つの小型機が割り込んでいた。 「リョウ、どういうつもりだ? お前もあの化け物の企てに乗った口か?」 その小型機から送られてくる通信モニターに隼人が映っている。 ――ちっ……。ゲッターに乗ってたのが隼人、てめえじゃないとわな……。 先入観からかゲッターに乗っているのは隼人。そう思いこんだのは間違いだった。 「俺はなぁ、てめえと早乙女のジジイに引導を渡せりゃ、この殺し合いも化け物もどうだっていい」 モニター越しに隼人を睨みつけ言い放つ。 「どういうことだ? 何故、早乙女博士をお前が狙う! 」 「とぼけるな、隼人! 」 「答えになってないぞ、竜馬!! 」 噛み合わない会話の往復。隼人の顔に困惑した表情が浮かぶ。 「いつまでとぼける気だ! 三年前のあの日、てめえが早乙女のジジイを殺し、俺に罪を着せて逃げた!!そのせいで俺はなぁ、隼人!! 永久刑務所で地獄を見たんだ!!! 」 今にも飛びかかりそうな、隠そうともしない剥き出しの憎悪、それが隼人に向けられていた。 「何のことだ? 何を言っている? 」 「うるせぇ! 俺はここでお前を殺し、後ろのゲッターを手に入れて、ジジイに引導を渡しに行く。ただそれだけだ!! 」 吐き捨てるように口にされたその一言、それに反応した者がいた。 「できるものならやってみろ!! 」 YF-19を跳び越え、ゲッターが大雷凰に差し迫る。 「ひっこんでいろ、クインシィ! 」 隼人の言をまるっきり無視してゲッターは駆ける。 クインシィにしてみれば、勇の手がかりを目の前にして邪魔をされたのだ。 彼女の性格を考えれば止まるはずはなかった。 その様子に苛立ちつつ奥歯を噛みしめ、指示を飛ばす。 「ガロード、オープンゲットしろ! 」 「へっ!? な、なんで? 」 突然ふられたガロードが素っ頓狂な声を挙げた。 「無駄口を叩くな! ゲッター2だ!! 」 既にゲッターと大雷凰の間の距離は幾許もない。 ゲッターの背中越しに大雷凰が構え、そして踏み込み、大鎌が振るわれる。 「りょ、了解! 」 「待て、ガロード! 」 クインシィの静止は一歩間に合わず。ゲッターは分離した。 振るわれた大鎌の脇を三機のゲットマシンがすり抜け、大雷凰の背後でゲッター2へと姿を変える。 ゲッター最大の弱点、合体の瞬間。それを狙って竜馬は追撃をかけようとして―― ――やめた。 考えを読んだのか、竜馬の目の前に隼人が立ちふさがっている。 「ガロード、ここから脱出して三人目を探せ。ゲッターの本当の力を引き出さなければ、あの化け物には太刀打ち出来ん!! 」 「わ、わかった」 隼人の勢いに押される形でゲッターは地中に潜り離脱していく。 その中でガロードは、怖ろしいほど目を吊り上げているクインシィを確認して、泣きたい気分に駆られていた。 横一文字にはらわれた大鎌をくぐり抜け、YF-19が大雷凰に肉薄する。 ヒビの入った腹部を確認し、マイクロミサイルの発射管を開いた瞬間、急制動をかけて機体の勢いを殺す。 鼻先を膝がすり抜けていった。続けて振り下ろされるのは肘。 反射的にかわせないと判断した隼人はピンポイントバリアを機体上部に展開。バリアごと弾き飛ばされて一旦距離を置いた。 「勘は鈍ってないようだな、竜馬」 「ずいぶん苦しそうじゃねぇか、隼人」 息が荒く、呼吸が落ちつかない。古傷は確実に隼人の体を蝕んでいる。 だが、この男に泣き言を言うつもりは全くなかった。 「フ……気のせいだ。それよりもリョウ、落ち着いて聞け! 俺は神隼人だが、お前の知っている神隼人ではない。そして、お前も俺の知っている流竜馬ではない」 わずかに竜馬の顔に反応がでる。 「……どういうことだ? 隼人、俺にわかるように説明しろ! 」 食いついてきた。それが隼人の内心の思いであった。 「平行世界。おそらく俺とお前は極めて似通った世界からあの化け物に集められたのだろう」 「何を言い出すかと思えば」 竜馬が鼻で笑う。 「コロニー、MS、NT、オルファン、アンチボディー、グランチャー、どれも俺には聞き覚えのない言葉だ。お前にもないだろう。真ゲッターに乗っていた二人の世界の言葉だ」 反応を見つつ、言葉を紡ぐ。竜馬の説得をあきらめたわけではなかった。 「真ゲッター、それがあのゲッターの名前か? 」 「そうだ。そして、俺の知っている竜馬は真ゲッターを知っている。お前は知らない。それが理由だ。根拠としちゃ薄いがな……」 全てを語り終え、流れる静寂。これが最後の説得であった。その静寂を―― 「クク……ハハ……ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!! 」 ――竜馬のどこか狂った笑い声が打ち消す。 「俺とてめえが違う世界の人間? それがどうした。だとしたら、俺はここでてめえに引導を渡し、他の集められた奴を全員ぶっ殺して、俺の世界のジジイとてめえに引導を渡す。 それだけだ。やることはかわらねぇ」 その言葉を受けて、隼人は竜馬の説得を諦めた。 「そうか。俺もここでお前に生き残る理由を譲ってやるわけにはいかん」 冷静に状況を分析する。 敵は共に癖を知りつくした難敵が一機。 古傷の影響で自機のスペックはフルに引き出せず。体が機体の速度に耐えきれない以上、離脱も戦闘も現実的ではない。 その中で、足掻けることと言えば、体の状態を無視しての離脱。もしくは――ー撃に賭けた撃破。 共に現実的ではないながらその二つしか思い浮かばなかった。 神隼人はリアリストである。ゆえに他の相手なら逃げることを選んだであろう。相手が流竜馬であるからこそ隼人は―― ――ー撃に賭けることを選んだ。 YF-19の右腕にピンポイントバリアが収束されていく。 狙うのは胸部装甲の凹み、コックピットの可能性の高いその一点。 そこに限界まで収束、圧縮させたピンポイントバリアパンチを叩きこむ。 普段と比べ段違いに小さく収束されていったピンポイントバリアはやがて通常のナックルカバーの形状から逸脱し、針の先ほどの点となる。 「行くぞ、竜馬! 」 その言葉を合図に弾けたようにYF-19が突進し、唐突に爆発を起こした。 目の前の突然爆発を起こしたYF-19が黒煙をあげて流れていき、やがて地表に激突して粉微塵に吹き飛んだ。 「隼人おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」 その光景を目の前に竜馬はただ叫ぶ。何が起こったかわからなかった。 眼の端に地に伏したままのフォルテギガスが映った。 その瞬間、矛先はそこに向けられ―― 「貴様かあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!!」 ――激しい打撃音が木霊した。 一発一発打たれるごとにフォルテギガスの装甲が凹み、蹴り砕かれる。既に鉄屑と化している頭の先から足の先まで余すところなく蹴り砕かれていく。 やがて動力部を損傷したフォルテギガスは爆音を残して跡形もなく消え失せた。 戦場で身を潜め、機会をうかがい、神隼人を遠距離砲撃で沈めた男――クルツ=ウェーバーは一路、その爆発を背景に人知れず離脱、機体を北東へと駒を進めていた。 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:憤慨、やや疲労 機体状態:ダメージ蓄積、 現在位置:B-3 第一行動方針:ガロードを問い詰める。場合によってはお仕置き 第二行動方針:勇の撃破(ユウはネリーブレンに乗っていると思っている) 第三行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています) 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【ガロード・ラン 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:B-3 第一行動方針:お姉さんを宥める 第二行動方針:ゲッターのパイロットを探す 最終行動方針:ティファの元に生還】 【神 隼人 搭乗機体:YF-19(マクロスプラス) パイロット状況:死亡 機体状況:大破(木端微塵) 現在位置:B-1】 【流 竜馬 搭乗機体:大雷鳳(バンプレストオリジナル) パイロット状態:怒り、衰弱 機体状態:装甲表面に多数の微細な傷、頭部喪失、右肩外部装甲損壊 、腹部装甲にヒビ、胸部装甲に凹み 現在位置:B-1 第一行動方針:サーチアンドデストロイ 最終行動方針:ゲームで勝つ 備考:ゲッターサイト(大鎌)を所持】 【アルバトロ・ナル・エイジ・アスカ 搭乗機体:フォルテギガス(スーパーロボット大戦D) パイロット状況:死亡 機体状況:大破(木端微塵) 現在位置:B-1】 【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A) パイロット状況:冷静、脇腹がちょっと痛い 機体状況:Fソリッドカノン三発消費、ファランクスミサイル1/3消費 現在位置:C-8 第一行動方針:ラキの探索 第二行動方針:ゲームをぶち壊す 第三行動方針:駄目なら皆殺し 最終行動方針:ゲームから脱出】 【残り35人】 【初日 19 40】 本編102話 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/324.html
仮面の奥で静かに嗤う ◆VvWRRU0SzU 「フ、フフ……フハハハハハハハハハハハハッ!」 ブラックゲッターのコックピットに、通信機から漏れた哄笑が響き渡る。 敵を前にして頭がイカれたのか……アキトがそう思うのも無理はないほどの大笑だった。 泥の中でもがくような時間が過ぎ、ようやっと本調子に――アキトに取っては、だが――戻り、移動を再開しようとしたところで、いきなりこの機体は現れた。 白銀の光沢、力強さを感じさせる翼。空を斬り裂いて舞い降りたのは機械仕掛けの大鳥―――魔装機神サイバスター。 本調子ではないとはいえ、アキトに油断していたつもりはなかった。 だがこの機体は、レーダーが捕らえたと思えばまさしく瞬きする間に目視できる距離に到達してきた。 凄まじいスピード。アキトが迎撃の姿勢を取ろうとした瞬間、だがそいつは前方で停止し、一瞬にして人型……戦闘用と思しき形態に変形した。 戦えない「ゼスト」とやらが足手まとい。切り捨てる? 薬は欲しい、だが自分が墜ちては意味がない。 ユーゼスを囮にしてやつを破壊する。ビームが使えない現状、有効な手段は――― そこで、アキトの思考を遮るようにユーゼスの笑い声が聞こえた。 「ハハハハッ! よもや、こんなところで……! こうも容易く現れるとはな、サイバスター!」 「知っている機体か?」 「ああ、あれはいいものだ……。テンカワ、ここは私に任せてもらおう。手を出すなよ」 ユーゼスはアキトにそう言い置き、通信を切る。といっても、落とされたのは映像回線のみで音声は聞こえていたが。 アキトが目覚めたことにより、ブラックゲッターの操縦権もアキトへと戻っている。何か細工をされたかと警戒したが、変化と言えばエネルギーが補給されていたことくらいだ。 とはいえ炉心が破損している以上、完全に補給されたというわけでもなかった。動作に支障はないものの、あと数回でエネルギーは枯渇する、それは確実。 手札が限定されている以上、先に手を見せるのは好ましくない。 ここはユーゼスの言うとおり、まず様子を見ることに決めたアキト。 どうやらサイバスターなる機体もこちらとの交渉を望んでいたらしく、攻撃するそぶりは見せなかった。 「こちらはゼスト、ユーゼス・ゴッツォと、ブラックゲッター、テンカワ・アキト。サイバスターの操者よ、応答を願う。我々に戦闘の意志はない」 「……こちらはサイバスター、レオナルド・メディチ・ブンドル。私も争いを求めて来たのではない。対話を求める、ユーゼス殿」 アキトには聞こえてきた声に覚えはない。だが、どこか研ぎ澄まされた刃を連想させる鋭い声だった。 油断ならない相手だと認識し、手は出さずともいつでも行動に移れるようにサイバスターの挙動を注視する。 回線を繋げ双方が軽く自己紹介を行う。その際、アキトは負傷していて声が出し辛いという説明も交えて。 目がいくつもある怪しさ満点の仮面を被った男など問答無用で射殺されても不思議ではないとアキトは思ったが、このブンドルという男は特に何とも思わなかったようだ。 「そういう美しさもあるな」という一言で、こいつもどこかおかしいのか……と軽い疲労を感じた。 「まず……そうだな、何故この機体を知っているのか。そこから話していただきたいな。会ったことはないはずだが」 「何、『私の世界』で見たことがあるからだよ。といっても、遠くから眺めた程度のものだがね。その機体は単なる兵器の枠に収まらない優美さがある。一度見れば忘れんよ」 「ふむ……然り。サイバスターにはおよそ兵器とは思えぬ美がある。『私の世界』にはこうも心を震わせる兵器などなかった。 一度設計者ともお会いしたいものだ。さぞかし美の女神に愛されたお方なのだろう」 どうやらユーゼスの掴みは上手くいったようだ。固かった声がいくぶん和らいだ。 「うむ、私も同感だ……が、サイバスターの真価はそこではない。そうだろう?」 「ラプラスコンピューターのこともお見通しか。そう、確かにこの機体にはある。最新のスーパーコンピューターなど比べ物にならないほどの演算装置が。 それを持って私はサイバスターこそこの戦いを終息させる鍵と考えている」 「ラプラスコンピューターを完全に操れるなら、因果を操り未来を知ることもできる……なるほど、確かに鍵と言えるな。 どうかね、ブンドル―――と、呼ばせてもらうが、サイバスターを私に預けてはくれないかね?」 「あなたに?」 「失礼ながら君には念……魔力的な素養は感じられない。私なら君よりある程度は上手くラプラスコンピューターを操れるだろう」 「魅力的な話だが……今は否、と言わねばならん。私にもこのサイバスターが必要だ。当面、ラプラスコンピューターの解析よりも優先してやることがあるのでな」 「ほう。それは?」 「基地を確保することだ。殺戮者たちへの備えとして、生存者の集結地として。そして」 コンコン、と軽い音。おそらくは首輪だろう。 「なるほど、我々と同じ……か。だが、一足遅かったようだ、ブンドル」 「どういう意味だ?」 「戦いに乗った者に攻撃を受け、基地は壊滅した。我々の仲間が足止めを行っていたが、先程一際大きな爆発があった。おそらくは……」 ユーゼスは悲しみのあまり消沈したように言う。演技とは知っていても、その仲間を売っておいてよく言えたものだとアキトは失笑した。 そしてそこに続くブンドルの声は今度こそ本物の落胆を滲ませていた。 「なんということだ……。事態は私の予想をはるかに超えていたということか」 「生存者は、いない。基地に向かうのは諦めた方がいい。奴が生きているかはわからんが、もし健在なら我々が束になっても一蹴されるだろう。それほどに強力な敵だ」 「また、無辜の命が散ったというのか……私が、もっと早く―――」 「酷なことを言うが、君一人いても状況はさして変わらなかったろう。君さえいればなんとかなったなどと言うのは、死力を尽くして敵に抗った私の仲間に対する侮辱だ」 「……そうだな、あなたの言う通りだ。後悔している暇などない……進まねばならん」 「うむ……我々はナデシコなる艦との接触を目指している。どうかね、我々とともに行かないか?」 「ナデシコ? あの艦か。ふむ……いや、済まないがそれならそれで私は北で仲間との合流を目指す。 基地での合流を約束したのでな、もしそんな危険な敵がいるのなら捕捉される前に私がピックアップする」 「そうか……残念だ」 どうやらブンドルなる男は仲間と合流するつもりらしい。集団を形成されては面倒だ。ユーゼスの思惑がどうであれ、こいつはここで――― アキトが殺意を解き放とうとした瞬間。 「お―――いブンドルさ――――――ん! もういいだろ―――!?」 大音量の声が響いた。 新たに接近する機影、1。映像―――雷を思わせる黄色のボディ。 「待ってろって言われたけどよ、そう長々と話してるってことは敵じゃないんだろ? だったら俺も混ぜてくれよ!」 聞こえてきたのは、活力溢れる少年の声。 「甲児君……待っていろと言ったろう」 「だってよ、俺だけのけものなんてひどいじゃねえかよ。仲間なんだからブンドルさんだけに危ない橋渡らせることはできねえしさ」 やがて、黄色の機体―――ストレーガというらしい―――が合流し、改めての会談となった。 どうやら向こうに先に捕捉されたらしく、万が一の事態に備えて機動力に優れるサイバスターが斥候役を務めることになったということだった。 「フ……その用心深さは頼もしいな。ユーゼス・ゴッツォだ。よろしく頼む、甲児君」 「甲児でいいぜ、おっさ……ユーゼスさん。それで、そっちが……ってあれ? その顔、ゲッターロボじゃねえか! ん、でも黒いしなんかずんぐりしてるな。どういうこった?」 「……この機体はブラックゲッター、俺はテンカワ・アキトだ。こいつはお前の知ってる機体とは多分別物だ」 喋る必要があったわけではないが、一々追及されるの面倒だと思ったアキトは甲児の疑問に答えた。 それきりまた口をつぐみ、二機の隙を探る作業へと没頭する。 甲児はしきりにブラックゲッターの周囲を旋回し、観察している。トマホークを叩きこまんとする手を抑えるのに苦労した。 「ブラックゲッター……へへ、俺の知ってるゲッターとは違うけど中々カッコイイじゃん。ま、俺のマジンガーには負けるけどよ!」 「マジンガー? それも詳しく聞きたいものだな」 「いや、先にこちらの話を進めさせてくれ。我々は仲間と合流する、君たちはナデシコと合流する。 では首尾よく双方が仲間と合流できたのなら、そのとき改めて手を取り合おう」 「異論はない。だが、我々はナデシコの航路を知らないのだ、合流できるという保証はない。君たちはナデシコがどこに行ったか知らないか?」 「……いや、何処に行ったかまでは知らないな。私も先程すれ違ったくらいで―――」 「何言ってんだよブンドルさん。シャギアさんたちならガロードの機体を探した後北東4ブロックを回るって言ってたじゃねえか」 何故か急に言い渋ったブンドルに甲児の声が被さった。 「……そうだったかな? 済まない、なにせ君に撃たれた衝撃が強かったもので少し気が緩んでいたようだ」 「むぐっ……そ、それは言いっこなしだぜブンドルさん!」 「北東4ブロック、か。ふむ、礼を言う。おかげでこのフィールド中を飛び回らずに済んだよ」 「へへっ、いいってことよ! ああそうだ、シャギアさんたちに会っても、その、アンタ達人相っていうか仮面相……とかが悪いからさ。 俺が紹介したって言いなよ。卵焼き、って言えば俺と会ったってわかるはずだから」 まっすぐ過ぎる少年は仮面に対しても忌憚のない意見を述べてくれた。 ユーゼスはともかく俺は好きで被ってるんじゃない、と胸の内で反論するアキト。 「……了解した。では、合流地点はE-1の水上都市はどうかね? 君らは北に行く、我々は南下して光の壁を通過して北東へ向かう。中間地点としてE-1が適任だと考えるが」 「了解だ」 ブンドルの言葉を区切りとして、手短かに情報を交換していく。 それが一段落したところで、ユーゼスは甲児にゲッターロボ、マジンガーZなる機体の話を求めた。 甲児も愛機の蘊蓄を語れるのがうれしいのか、上機嫌で説明している。 二人は機体を降り、地上で生身を晒している。今なら殲滅は容易い――― しかし、優勝を考えると無闇に消耗するのはまずい。今はまだ機ではない、と判断したアキトにこちらは機体から降りなかったブンドルが話しかけてきた。 「テンカワ・アキト。どうやら向こうの話は邪魔してはいけないようだ、君と話そう。戦いに乗った危険人物のことだ」 「……俺に、話すことはない」 いずれ誰も彼も殺すのだから、と胸中で呟く。そんな相手のことなど知りたくないし、話していたくもなかった。 だが。 「私の話を聞いてくれるだけでいい。ガウルンという男のことだ」 瞬間、息が止まった。 ガウルン。 奴の名を、ここで、聞いた? 「奴とは二度交戦したが、決着は付けられなかった。品性は最悪だが、強い。まさに戦争を体現したような男だ」 ブンドルの言葉など頭に入らない。奴はまだ生きている。生きていてくれた。アキトに、殺されるために。 「奴は今も戦いを巻き起こそうと暗躍しているだろう。だが次こそは逃さん。必ずや奴を討ち取って―――」 「俺だッ!」 アキトの喉から怒声が迸る。 「誰にも渡さない……奴は、ガウルンは、俺が殺す! 俺がこの手で、必ず……!」 「……君も、以前に奴と?」 「奴は俺が殺す。邪魔をするなら誰であろうと容赦はしない」 それは通告。ガウルンを殺すのは自分であり、ガウルンに手を出す者は等しく殺すという殺意の言葉。 無差別に襲いかかってくる狂人に、それを狩ろうとする男。介入すればどちらからも狙われる――― 「無茶を言う。襲われても抵抗するなということか?」 「俺の知ったことじゃない」 「……ふぅ。わかった、もし遭遇してもなるべく撤退するようにしよう。できれば、の話ではあるが」 返事をする余裕などなく、胸の内の殺意を押さえつける。これはここで放つものではない。 溜めて、溜めて……あの男に叩きつけるその時まで、どこまでも純度を高めていく。そこへ、 「あの男の機体はガンダムというらしい。私の―――認めるのはいささか抵抗があるが―――仲間が乗っていた機体と同タイプのようだ。 接近戦を主眼に開発され、小型とはいえ驚異的な格闘能力を有する。操縦方法が独特のもので、操縦者の体技をそのまま反映できるらしい。 あの男は軍人上がりのようだが、腕は相当のものだ。機体とパイロットの相性が良すぎる」 冷めた声が投げかけられる。ガウルンの機体の情報だ。 意図が掴めず答えないアキトに構わず、ブンドルの声は続く。 「更に、私との戦いでは見せなかったが、もう一つ二つは切り札があるようだ。掌部にエネルギーを纏わせる技と、機体の出力が一気に高まる機能。 ギンガナム……私の仲間が後者を発動させたときは君の機体とほぼ同サイズの強力な機体を片腕で圧倒した。この二点に特に留意したまえ」 「……どういうつもりだ」 「君が奴を排除してくれるならそれに越したことはない……それだけだ。何かを奪われたのなら、報復するのは当然の権利だと私は思う」 大事なのはガウルンと戦うことではなく、ガウルンを殺すこと。アキトにとってこの情報は―――有益だった。 「……礼を言う」 「不要だ」 一瞬だけ―――昔、仲間と共にいた頃の記憶を思い出し、気がつけば礼の言葉を口にしていた。 いずれ殺すのに……矛盾しているとは思ったが、それでもアキトにはもうここで戦う気は失せていた。 ガウルンの情報を手に入れただけでアキトとしては上々だ。こいつらのことは次に会ったときに考えればいい――― それからしばらくして。 「待たせたな、テンカワ。出発するぞ」 「すまねぇな、ブンドルさん。待たせちまって」 ようやく話を終えた二人が戻ってきた。甲児はもちろん、ユーゼスも心なしか満足げだ。 「いやあ、見た目と違っておっさ……ユーゼスさんって話せるなぁ! やっぱ男はスーパーロボットだぜ!」 「うむ。合体変形、厚い装甲、全身に装備された兵器、そしてロボットなのに必殺技……科学者が一度は夢見る王道だ。これを好かずして何が男か」 すっかり意気投合したらしい二人をやや引き気味の目で見ていたブンドルが、出発を告げる。 「では、いずれまた会おう。さらばだ」 「じゃあまた後でな、ユーゼスさんにアキトさん! 死ぬんじゃねえぞ!」 サイバスターとストレーガが北へ飛び去っていく。 対して自分達は真逆、南へと針路を向ける。 未だ再生しきらぬゼストを抱えてブラックゲッターが飛んで行く。 「よく自制したものだな。別れ際に仕掛けるのではないかと私は内心穏やかではなかったよ」 「……いずれまた会う。そのとき殺せば結果は同じだ。貴様こそ、見逃していいのか? あの機体が必要なのだろう」 「サイバスターか。確かに本音を言えば確保しておきたいが……今の状況では破壊はともかく捕獲は困難だ。万一ラプラスコンピューターが破損しては目も当てられん。 何、保険はかけておいた。サイバスターは私のもとへ来る、必ずな。早いか遅いかの違いだよ。 あのブンドルという男、中々に切れる。すでに我々が違う世界から集められたということも理解していたしな。我々の重要性はしっかりと認識しているだろうさ」 上機嫌なユーゼスの声。アキトもこの接触は価値のあるものだと認めざるを得なかった。 ナデシコの行き先がわかり、市街地を探し回らずに済んだ。これは薬を飲まねばろくに動けないアキトには好都合だ。 そして何より、ガウルン。 ブンドルの話では、奴は相当の手練と戦って深手を負ったらしいが、生きていることには変わりない。 そして今も積極的に行動しているらしい。このまま当て所なく彷徨うよりも、人の集まるところ、獲物の多い場所に奴は現れるだろう。 ナデシコは集団を纏める旗と成り得る。奴が来る確率は決して低くはない。 もうすぐ、もうすぐ会える。ユリカを殺したあの男に――― キョウスケ・ナンブのことも、共に進む信用ならないユーゼスのことも、今この瞬間はどうでもいい。 ブラックゲッター。復讐を体現する機体の中で、まるで恋焦がれるように―――アキトは宿敵との邂逅を願い続けた。 【テンカワ・アキト 搭乗機体:ブラックゲッター パイロット状態:マーダー化、五感が不明瞭、疲労状態 機体状態:全身の装甲に損傷、ゲッター線炉心破損(補給不可) 現在位置:E-7 北東部 第一行動方針:ナデシコの捜索(南の光壁を抜けて北東4ブロックへ) 第二行動方針:ガウルンの首を取る 第三行動方針:キョウスケが現れるのなら何度でも殺す 最終行動方針:ユリカを生き返らせる 備考1:首輪の爆破条件に"ボソンジャンプの使用"が追加。 備考2:謎の薬を3錠所持 備考3:炉心を修復しなければゲッタービームは使用不可 備考4:ゲッタートマホークを所持】 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス パイロット状態:若干の疲れ 機体状態:全身の装甲に損傷、両腕・両脚部欠落、EN残量20%、自己再生中(コックピットの完全修復まで残り数十分程度) 現在位置:E-7 北東部 第一行動方針:ナデシコの捜索、AI1のデータ解析を基に首輪を解除 第二行動方針:他参加者の機体からエネルギーを回収する 第三行動方針:サイバスターとの接触 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 第五行動方針:キョウスケにわずかな期待。来てほしい? 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る 備考1:アインストに関する情報を手に入れました 備考2:首輪の残骸を所持(六割程度) 備考3:DG細胞のサンプルを所持 備考4:機体の制御はAI1が行っているので、コックピットが完全に再生するまで戦闘不能】 □ 「俺達にナデシコにブンドルさんの仲間にユーゼスのおっさんとアキトさん。へへっ、なんかイケるんじゃないかって気がしてきたぜ!」 ユーゼス達と別れた後、基地から北部の市街地へと針路を変えて進む二人。 甲児は純粋に仲間が増えたことを喜んでいるようだ。しかしブンドルは彼とは逆に、喉元に棘が刺さったような気分だった。 「……甲児君。彼らのことをどう思う?」 「どうって……頼もしいじゃねえか。見た目はともかくユーゼスさんはすげえ頭がいいぜ。光子力の理論をちょっと話したらスイスイ理解してた。 ゲッターロボのエネルギー……ゲッター線とかってのも、ここに来てからの調査だけでだいぶ深く理解してたみたいだしよ。 アキトさんはなんか殺し屋みたいで……ま、まあ頼りになりそうだよな。ブラックゲッターっつーあの機体だって、俺が見たゲッターは強かったぜ。 一人乗りってことは変形とかはできないんだろうけど、どう見ても戦闘用だったしな。あの化け物を倒すのに大きな力になるぜ、きっと!」 甲児は微塵も彼らを疑っていない。その純粋さが彼の美点でもあるのだが、ブンドルはそう甘く考えることはできなかった。 基地の情報や首輪を解除しようとしていること、何より自分たちをあっさり見逃したことから、たしかに戦いに乗ってはいないのだろう。 だがどうにも―――信用しきれない。 これはドクーガ情報局局長として裏の世界を嫌というほど見てきたからこその勘なのだ、甲児に理解できるはずもないが。 表面的には友好的なユーゼス。寡黙だが内にガウルンへの激烈な殺意を抱えたアキト。 アキトはまだいい。大事な誰かを殺されて、復讐に走る。理解できないことではない。 ギンガナムのように、暴力に訴えるタイプなら制御するのは容易い。だからこそガウルンの情報を与え、矛先が万一にもこちらへ向かないように仕向けた。 だがユーゼスは違う。 言葉は穏やかながらも、仮面の奥にある瞳は冷徹にこちらを観察していた気がする。 人を見る目ではなく、フラスコの中の液体を、檻の中を走り回るネズミを、それらが起こす変化を機械的に観察している……そんな印象を受けた。 何より、サイバスターだ。 彼がサイバスターを自身に預けないか、と言ったとき。この機体―――機体に宿る精霊―――は、拒絶の意をブンドルに送ってきた。 こいつにサイバスターを委ねてはいけない。漠然と思っていただけのブンドルを、その意志は強く後押しした。 ユーゼス・ゴッツォは、今はまだ信頼すべきではない。ブンドルはそう決めた。 だからこそ同行の申し出を断り、ナデシコの行方もぼかしたままにしようと思ったのだが。 そこで甲児が介入してきたのは計算外だった。共に過ごした時間は長くないものの、多少なりとも理解できた彼の性格を考えれば予測できたことではあったが――― (私は、手を指し損ねたのかもしれん) その思いを抑えられなかった。もし彼らが戦いに乗っていて、自分達から情報を引き出すために友好的に接したのだとしたら……ナデシコが危うい。 急ぐ必要がある。この位置からなら彼らがナデシコと合流するより、自分達がアムロと―――願わくばアイビスとも―――合流する方が早いはずだ。 こちらが大きな集団となり、彼らより先にナデシコと接触する。 勘という曖昧な理由しか示せない自分よりも、人の意志を感じ取るニュータイプたるアムロならユーゼスの真意を看破できるかもしれない。 (どのみち、もう一度彼らと接触する必要があるか。こんなものを見せられては、な) モニターに表示されるデータを見て嘆息する。 首輪を解析した結果だ。ユーゼスがあの基地で解析したものらしい。 脱出の際のどさくさで一部が破損したらしく、そのデータは不完全なものらしい。復旧に全力を挙げているとのことだったが、信用できたものではない。 なんとなれば自分に都合のいいように改竄したものかもしれないのだから。 しかし首輪の解除が脱出の絶対条件なのだ、不完全とはいえこのデータを導き出したユーゼスは不可欠な人材ということになる。 これを見せることで、ある程度ブンドルの行動を誘導する。上手いな、と思った。 アムロならこのデータからでも首輪解除の糸口を掴むだろうか? パイロットとしてではなく技術者としての彼に期待することにしたブンドル。 「甲児君、少し急ごう。我々も予定を早めなければならん」 「え? ああ、まあいいけど。……あ、だったらストレーガをサイバスターにのっけてくれよ。その方が速く移動できるはずだぜ」 「却下だ。もし敵に奇襲を受けたとき共倒れになっては目も当てられん。何よりこのサイバスターの上に乗るなど美しくない」 「ちぇっ。ストレーガじゃサイバスターについてくのだって一苦労なのによ……」 愚痴る甲児に微笑を返し、ブンドルも気を引き締める。 既に30人以上の命が失われ、基地でもまた幾人かがその命を散らしたという。他にもこの広大な世界で理不尽な死を迎えた者がいるだろう。 ガウルン、基地を壊滅させたという殺戮者。いずれ討伐に赴かねばならない。 ここから先は一手の打ち損じも命取りになる。ギンガナムの時のように、目前でむざむざと仲間を失うことはもう二度と許さない。 「サイバスター、我々を導いてくれ……この世界を壊し、あの醜悪な主催者を断罪するために」 サイバスターの応えはない、だが構わない。仮初とはいえ、今だけはブンドルがこの美しき白鳥の操者なのだから。 蒼穹を風と雷が駆け抜ける。その行く先に待つのは、果たして――― 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL) パイロット状態:良好(主催者に対する怒りは沈静、精神面の疲労も持ち直している) 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 ビームナイフ所持 現在位置:E-6 第一行動方針:他の参加者との接触 第二行動方針:中央の市街地へ向かいアムロと合流、その後E-1へ。可能ならナデシコと合流 第三行動方針:サイバスターが認め、かつ主催者に抗う者にサイバスターを譲り渡す 第四行動方針:閉鎖空間の綻びを破壊 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ 備考1:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能 備考2:空間の綻びを認識 備考3:ガウルンを危険人物として認識 備考4:操者候補の一人としてカミーユに興味 備考5:ユーゼスが解析した首輪のデータを所持(ただし改竄され不完全なため、単体では役に立たない)】 【兜甲児 搭乗機体:ストレーガ (スーパーロボット大戦D) パイロット状態:良好 機体状態:右肩に刺し傷、各部にダメージ(戦闘に支障無し) 現在位置:E-6 第一行動方針:ブンドルに同行 第二行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める 最終行動方針:アインストたちを倒す 】 【二日目 11 00】 BACK NEXT 最後まで掴みたいもの 投下順 揺れる心の錬金術師 交錯線 時系列順 遺されたもの BACK NEXT 最後まで掴みたいもの ユーゼス 天使再臨 最後まで掴みたいもの アキト 天使再臨 風と雷 ブンドル 破滅の足音 風と雷 甲児 破滅の足音
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/113.html
追う鬼、追われる鬼 ◆caxMcNfNrg 「ふう・・・」 死者を告げる少女の声を聞き終えて。 ユリカは安堵の溜息をつき、直後にその自身の行為に嫌悪感を覚えた。 確かにガイの名は―密かに案じていた思い人の名も―読み上げられなかったものの・・・ ここに来てからの知人である、リリーナ=ドーリアンの名が羅列の中にあった。 つい一時間程前には、この場で顔を合わせて話していたというのに。 先程までは確実に生きていたはずの彼女は、もう、この世から消えてしまったのだ。 少女の顔を思い出し、ユリカの胸中は悲しみと不安に顔を俯かせる。 そして・・・偶然目に入ったモニターに、ある物を見つけた。 「まったく、なんだっていうのよ!」 荒れ果てた舗装道で、聞く者も居ない文句が繰り返される。 足元の小石を蹴飛ばしながらソシエは一人、進軍していた。 ちなみに、彼女の怒りの原因は先程聞こえた放送・・・では無く、 彼女に気づかずにどこかに行ってしまった、参加者達にたいするものだったりする。 (10名もの死者が出たことに対する、主催者への怒りも無いわけではないが) 「だいたい・・・助けに来たはずなのに、なんで助けた相手を忘れてくのよ」 そんな事をぼやきながら、再び小石を蹴飛ばす。 足元から勢いよく放たれたそれは綺麗な弧を描きながら、近くに出来た大きな穴の中へと消えた。 「ああ、もう!」 小石にすら馬鹿にされている。 そんな思いにかられたソシエは、肩をいからせながら石の消えた大穴へと近づき・・・ 慌てて元の場所、すなわちビルの影へと戻った。 「な、なんなのよ、あれは・・・」 十字路の中心に大きく開いた亀裂。 そこから右の方、歩いて数百メートルも行かない場所に、信じられないほど巨大なトカゲが居たのだ。 「まったく・・・なんだっていうのよ」 何度目になるかもわからない文句を繰り返しながら、ソシエは溜息を吐いた。 同じ頃、無敵戦艦の艦橋ではモニターの一点を、じっと見つめるユリカの姿があった。 ダイの左側面付近にある亀裂のあたりで、小さな人影らしき物を見つけたからだ。 一瞬で物影に消えてしまったので背格好などはわからなかった。 だが、この付近で活動している生身同然の姿をした者には、心当たりがある。 もちろん、ガイが機体を乗り捨てて帰ってきた可能性も考えたが・・・それなら、隠れる必要性も無い。 やはりあれは、リリーナ=ドーリアンを殺した人物なのだ。 ならばどうするか?相手は倍以上の大きさの機体と、互角以上に戦える力や機動力の持ち主だ。 ただでさえ鈍重で死角の多いこの機体では、まともに戦って勝てるかどうか・・・ こちらの利点を挙げるとすれば、ダイの保有している都市一つを破壊するほどの火力。 加えて補給ポイントの真上という地の利。そして、先手を取れるという有利。 おそらく・・・相手はまだ、こちらが存在を感知している事に気づいては居ないだろう。 そう考えると、こちらが取れる戦術は限られてくる。 ユリカはミニミサイル全基の照準をビルに合わせ・・・一斉に発射する。 それと同時にダイの首を補給装置のスイッチへと伸ばした。 どれくらいの時間がたったのだろうか・・・その場所にはある一点を基点とした焼け野原が広がっていた。 その中心、補給装置を覆うように佇む戦艦の艦橋で・・・ユリカは床に座り込み、震えている。 すでに暗くなった周囲には、何者の反応も感じることはできなかった。 およそ一時間以上もの間、爆風に晒され続けたのだ・・・おそらくは仕留めたのだろう。 しかし、敵を倒した喜びは無い。ユリカの胸中にあるのは不安と恐怖だけだった。 「ガイさん、はやく帰ってきてください・・・アキト・・・」 ユリカの小さな呟きが、暗い艦橋の中で消えた。 【ミスマル・ユリカ 搭乗機体:無敵戦艦ダイ(ゲッターロボ!) パイロット状態:不安 機体状態:大砲一門破損、左前足損傷、腹部装甲損壊 現在位置:D-7補給施設 第一行動方針:ガイ(アキト)を補給施設で待つ 第二行動方針:補給施設を占拠して仲間を集める 第三行動方針:ガイの顔を見たい 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考1:YF-21のパイロットがアキトだと知りませんが、もしかしたらとは思っています アキトの名前はガイだと思っていますが若干の疑問もあります 備考2:ハイパーデンドー電池8本(補給4回分)回収 備考3:リリーナを殺した人物(シンヤ)を仕留めたと思っています】 【初日 19 20】 焼け野原と化した市街地の直下。 真っ暗な下水道をふらつきながら歩く人影があった。 折れた右足を引きずりながらソシエは一人、進軍している。 ミサイルがビルに着弾した瞬間、彼女は爆風により大きく吹き飛ばされ、 そのまま、近くにあった亀裂の中へと落ちていたのだった。 幸い水の中に落ちたので、右足の骨折程度で済んだものの・・・ その痛みと、蓄積された疲労で彼女の体力は既に限界だった。 コンクリートの壁に背を預け、少女は気絶するように座り込む。 目を瞑り荒い息を吐く少女の手には、小さな石が一つ、握り締められていた。 【ソシエ・ハイム 搭乗機体:なし パイロット状況:右足を骨折、疲労大 機体状況:なし 現在位置:D-7地下下水道 第一行動方針:休息をとる 第二行動方針:新しい機体が欲しい 第三行動方針:仲間を集める 最終行動方針:主催者を倒す】 【初日 19 30】 BACK NEXT 騎士の美学 投下順 歌えなくなったカナリア 嵐の前 時系列順 例え死者は喜ばずとも BACK NEXT 血に飢えた獣達の晩餐 ユリカ とある竜の恋の歌 血に飢えた獣達の晩餐 ソシエ 少女ハンター・ランドール
https://w.atwiki.jp/zoidsfullmeta/pages/107.html
Bルート1回目 ライガーゼロ、コマンドウルフ、ライガーゼロパンツァー パイロット出現せず。 パーツは全て入手していたので確認出来ません -- (wiki管理人) 2012-03-24 16 58 52 Bルート2回目 イエーガー、パンツァー、エレファンダー パイロット出現せず -- (wiki管理人) 2012-03-24 17 02 49 Bルート3回目 レッドホーン、コマンドウルフ、イエーガー パイロット出現せず -- (wiki管理人) 2012-03-24 17 06 58 Bルート4回目(サブパイロット導入後) パンツァー、イエーガー、凱龍輝(オスト) オスト遭遇。サブパイロット導入していないと会えない? -- (wiki管理人) 2012-03-24 17 28 01 Bルート5回目 凱龍輝、パンツァー、凱龍輝 出現ゾイドはランダムか -- (wiki管理人) 2012-03-24 17 32 02 Bルート6回目 コマンドウルフ、イエーガー、ゴジュラスギガ -- (wiki管理人) 2012-03-24 17 35 24 Bルート7回目 エレファンダー、ゴジュラスギガ、セイバータイガー(ネルケ) -- (wiki管理人) 2012-03-24 18 00 46 Bルート8回目 エレファンダー、エレファンダー、ライガーゼロ うっかりライガーゼロに負けたorz -- (wiki管理人) 2012-03-24 18 04 42 Bルート9回目 エレファンダー、セイバータイガー、凱龍輝 3回の選択のうち1回しか遭遇しない? -- (wiki管理人) 2012-03-24 18 07 37 Bルート10回目 パンツァー、凱龍輝(オスト)、パンツァー(リーリエ) ステージが鍾乳洞に。オストとリーリエが仲間に。 -- (wiki管理人) 2012-03-24 18 18 05 Bルート11回目 フェニックス、イエーガー、パンツァー ルートの選択肢から格納庫が消えオスト私室 リーリエ私室出現 -- (wiki管理人) 2012-03-24 18 23 23 Bルート12回目 イエーガー、パンツァー、アイアンコング -- (wiki管理人) 2012-03-24 18 28 00 Bルート13回目 フェニックス、セイバータイガー(ネルケ)、フェニックス(ノルデン) ステージが遺跡みたいな場所に戻る。ネルケ、ノルデン仲間に。 -- (wiki管理人) 2012-03-24 18 36 13 13回目でなぜかロングレンジバスターキャノン入手 グレードみたいなのがあるのかもしれない。 -- (wiki管理人) 2012-03-24 18 37 54 Bルート14回目 ライガーゼロ、アイアンコング、フェニックス バスターキャノン入手 ネルケ私室 ノルデン私室追加。格納庫は消えない。というか消えたらネルケとノルデンをサブパイロットにできない。 -- (wiki管理人) 2012-03-24 18 45 06 Bルート15回目 フェニックス、ライガーゼロ、ライガーゼロ 入手パーツなし -- (wiki管理人) 2012-03-24 18 48 32 A、Cルートの闇バトルの検証と、3回のうち一度闇バトルに行けば全員仲間にできるか等は後日検証します。 パーツの検証は暇があればデータ消して検証するかも 随時情報はお待ちしております。 -- (wiki管理人) 2012-03-24 18 59 51 Bルートコピペ済み -- (wiki管理人) 2012-03-24 19 20 37
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/367.html
「ク…………」 「ククク……ハハハハハハハハハハハハハハ!! フフフハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!! 」 廃墟のビルの静寂を引き裂き、夜気を切り裂き、条理を噛み裂く、蒼い鋼鉄の孤狼。 戦闘時から平時へ意識が切り替わったことによる弛緩。 緊張が解け、疲れから注意が散漫になるその間隙。 一流の戦士なら剃刀一枚も通るか通らないか程度しかない時を突き、疾走する蒼い奔流。 ブンドルも、カミーユも気付かなかった。いや、気付けなかった。 理由なく、突然膨張した殺意がその場に現したのだ。 空を駆けるサイバスターに対し、地を走る狂獣。 そのスピードは、サイバスターのトップスピードに匹敵する――! カミーユの回避は、間に合わない。 ブンドルだけが、対応できた。 先ほどのカウンターのため拳に溜めていたエネルギーを反射的に開放。 スラスターを噴射。 ほんの一瞬だったが十二分。 その腕についた巨大な杭打ち機を潜り抜ける。 激進する蒼い孤狼の懐にVF-22Sが潜り込む。 その拳が胸の赤い球体に叩き込まれる。 一瞬の空白。 ピシリと、何かが砕ける音が鳴る。 振われる蒼い孤狼の右腕がVF-22Sを弾き飛ばす。 VF-22Sの下半身が、ただそれだけで砕け散った。 「ブンド……ああああああああああ!!」 サイバスターの前に突然魔方陣が生成され、くぐった瞬間サイバスターが灼熱に燃え上がる。 ディスカッターが、火炎を纏ったまま振り落とされた。しかし、右手の杭打ち機がはっしとそれを受け止める。 カミーユの怒りに狂ったような笑い声の返答。それが怒りへさらに油を注ぐのだろう。 さらに攻撃の手を加速させるサイバスター。しかし、烈火のごとき攻撃も、蒼い孤狼には届いていない。 笑いは止まらず、一撃たりとも直撃はない。 一度、僅かにサイバスターと蒼い孤狼が空く。 VF-22Sは、どうにかその手に掴んだガンポッドで両者の間を抜くように撃つ。 お互い、その程度ではダメージにならないだろうが反射的に飛びのいた。 「無事だったんですか!?」 勝手に殺さないでほしいと言いたくなったが、そんな無駄口を叩いている暇はない。 「今のまま戦っても勝ち目はないようだ」 「ここでまた引けって言うんですか!?」 カミーユの声をブンドルは無視する。 反応弾でも使えば勝ち目はあるかもしれないが、今、反応弾はJアークにある。 仮にあったとしても、Jアークにまで被害が出る恐れがある以上使用もできなかったが。 目の前の敵を倒すためすべての犠牲を払う時は、まだ早い。 「話は聞かせてもらっている。カミーユ、君はなんのため生き恥をさらすことを覚悟で引いた? 今目の前の変わり果てた中尉を確実に撃破するためだろう。たしかにサイバスターで君個人の力は上がった。 だが、一人で倒せる相手ではないだろう。だから、こうして私たちは集った。分かるな?」 今にも誘爆しそうなVF-22Sの中で言葉を紡ぐ。 カミーユは、けしてここできえてはいけないのだ。 この醜悪な殺し合いを仕組んだ主催者を撃破するために、サイバスターは必ず大きな力になるはずだ。 無駄に散らすことなど、許されるはずがない。 たとえ、どんな方法をとっても撤退させる。 ジリジリと蒼い孤狼は、距離を詰める。 一瞬で噛み砕ける時を、その名のとおり獰猛な肉食獣のように待っているのだろう。 「……どうやって、引くんです? 今のVF-22Sじゃ追いつかれます」 ブンドルを気遣っているというより、むしろ戦う理由づけにそれを盾にしている。 そんな響きがカミーユの声にはあった。 彼にとって、中尉という人物は、引くことを許されない存在なのだろう。 だが、そんな都合はブンドルには関係ない。 「簡単なことだ。サイバスター単騎なら離脱も簡単だろう。……援軍を呼んでくるまで、私が引き受けよう。 今、避けなければならないことは両方の撃墜。そしてわたしの機体では援軍を呼ぶまで時間がかかる。 ならカミーユ、そちらが呼びに行くのが適切だろう」 「そんなこと、できるわけがない! あなただって……」 「できない、と思うならばうぬぼれを改めたほうがいいではないかな?」 VF-22Sが、背面のスラスターを使い宙に浮く。 腕を失い、下半身を失い、全身傷だらけのその姿でなお、ガンポッドを構え、青い孤狼に対峙する。 蒼い孤狼の突撃を、紙一重でVF-22Sはかわす。 その姿は、竜巻にあおられ宙を舞う一枚の木の葉だ。 だが、消して当たることなくかわし、ガンポッドでけん制する。 「この戦いに呼び出した際、こうなることも『納得』していた」 その言葉に、カミーユが息をのむ。 「全て、私が『納得』しての行動であり、『妥協』ではないということだ」 ――だから行け! 騎士よ! サイバスターが背を向け、Jアークのほうへと飛ぶ。通信機から聞こえるのは、嗚咽だった。 また、つらい思いをカミーユに重ねさせ追い詰めてしまうことをブンドルは小さく謝罪する。 張り詰めきった糸が切れたとき、壊れてしまわねばいいが。 自分が行った考察も、知識も、今は全てJアークにある。 そしてサイバスターも今託した。 「役目を終えた役者は舞台から降りる……それが必然か」 サイバスターは美しい。 その本当の輝きを見せてくれた。 それだけであの少年を守る価値はある。 今の疲弊した聖ジョージの騎士に、悪竜……いや魔獣を倒す力はない。 だが、今一度立て直してくれれば。心強い騎士たちの力添えがあれば。 必ず、魔獣を打ち倒すだろう。 蒼い孤狼から漏れる嘲笑。 しかし、ブンドルは胸の薔薇を抜くと、静かに、そして高らかに宣告した。 「醜き者よ、今は驕っているが良い。だが、醜き者は滅ぶべき定めにある」 初めてサイバスターの前に立った時と同じ誓いを、今一度。 蒼い孤狼と、VF-22Sが夜の廃墟の中、交錯する。 そして――― 【レオナルド・メディチ・ブンドル 死亡確認】 【残り 15人】 【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ゲシュペンストMkⅢ(スーパーロボット大戦 OG2) パイロット状況:ノイ・レジセイアの欠片が憑依、アインスト化 。DG細胞感染 機体状況:アインスト化。ハイパーハンマー所持。機体が初期の約1,5倍(=35m前後) EN100% 現在位置:D-3 第一行動方針:すべての存在を撃ち貫く 第二行動方針:――――――――――――――――――――カミーユ、俺を……。 最終行動方針:??? 備考1:機体・パイロットともにアインスト化。 備考2:ゲシュペンストMkⅢの基本武装はアルトアイゼン・リーゼとほぼ同一。 ただしアインスト化および巨大化したため全般的にスペックアップ・強力な自己再生能力が付与。 ビルトファルケンがベースのため飛行可能(TBSの使用は不可)。 実弾装備はアインストの生体部品で生成可能(ENを消費)。 備考3:戦闘などが行なわれた場合、さらに巨大化する可能性があります(どこまで巨大化するか不明)。 直接機体とつながってない武器(ハイパーハンマーなど手持ち武器)は巨大化しません。 胸部中央に赤い宝玉が出現】 ◆ ■ ◆ 「この感覚は……!?」 震えのため手からこぼれおちた携帯端末が、地面にぶつかり音を立てた。 アムロは、この会場に来てこれほど大きな何かを感覚したことはなかった。 それほど、大きな何かが迫りつつある。 震えるほど冷たい異質な何か。 震えるほど巨大で異質な何か。 いやこれは、覚えがある。 この感覚は、あの最初の場所で感じたものだ。 そう、この名状しがたい人間ではありえない感覚は――― 「ノイ・レイジセイア……っ!」 虚空を睨み付け、手を震わせるアムロを奇妙に思ったのだろう。 平時のような柔らかい口ぶりでキラはアムロに声をかけた。 「あの、急にどうしたんですか? カミーユたちのことなら――」 「違うッ! 奴が来る! ノイ・レジセイアが今、カミーユ達の前にいるぞ!」 アムロの鬼気迫る声に、若干キラはたじろぐ。 「そんな……本当なんですか!? なんで今になって主催者が!?」 「主催者、レジセイア……いや、微妙に混じり気がある。 これが、もしかしたらカミーユの言っていた……」 その時、Jアークに最大級のアラートが鳴り響く。 『信じられないエネルギーを感知した。 大きさは並みの機動兵器というのに、総量がJアークを超えている。 距離をこれだけあけても、正確に感知できるとは。 どうやってその質量にエネルギーを保存しているか不明』 トモロの声が、アムロのニュータイプ能力で感じ取った危険を客観的なデータと変える。 一斉にそのデータとアムロの音声が、Jアークに乗る全員に行きわたった。 空中にポップアップされたウィンドウから見える全員の顔は、緊張に張り詰めていた。 「急いで助けにいかないと、ブンドルさんとカミーユがあぶねぇ!」 甲児の言葉に、全員が頷き合う。 今は、一分でも一秒でも早くカミーユを助けに向かうべきだ。 アムロは解析を一時凍結し、キラもトモロに戦闘にCPUを割くよう依頼する。 格納庫とブリッジへ走りだす二人。 その途中、ロジャー、ソシエとも合流する。 既に格納庫にいる甲児とアイビスは、発進準備に回っているのだろう。 「トモロ。……もしも時もお願い」 キラの呟きが、アムロにも聞こえた。 Jアークとメガフュージョンし、キングジェイダーになれるのはせいぜい一回。 その一回を生き延びたとしても、体の酷使は限界を突破し、おそらく二度目の戦闘に耐えられないだろう。 それが、トモロの機構を調べてみたキラやカミーユ、それにブンドルとアムロの結論だった。 Jアークを超えるエネルギー量を持つ相手――そうなればキングジェイダーの力が必要になるかもしれない。 だが、それはキラの命と引き換えも同然の博打だ。 自分が代わってやれるならそれもやぶさかでないが、残念だがそういう問題ではない。 キラの、スーパーコーディネーターと呼ばれる特殊な強化された肉体の素質があってこそだ。 特殊な強化された肉体。 アムロの脳裏に浮かぶのは、数多の悲劇の中に消えていった強化人間たちだった。 たしかに、自分のいた時代においては、強化人間も随分と人間として安定していた。 だが、彼らはやはり戦火の中に放り込まれ、その大部分が散っていった。 キラに不安定なところはない。いや年のわりに大人びているくらいだ。 だが、どうしてもキラのような存在を戦わせることに気後れを感じていた。 「キラ、君に聞いておきたい」 ロジャーとキラの一歩前を行くアムロが、後ろを向かず走りながらキラに声をかける。 「なんで……!?」 おそらく、「なんですか」と答えようとしたのだろう。 しかし、その言葉が最後まで紡がれる前に、くるりと後ろを振り向いたアムロの拳がキラの腹にめり込んでいた。 さらに首に手刀をアムロはキラに叩き込む。流れるようなアムロの動きによどみはない。 訓練とはいえ、暴徒の生身での鎮圧は軍人として叩きこまれている。 さしものコーディネーターも、信頼している相手に、 火急の用でうわついている時を狙われてはなす術なかったか。 「ちょっと、アムロ! どうしたっていうのよ!?」 ソシエの声に、いつもの黒服の襟を正しながらロジャーは答えた。 「言いたいことがあるなら、ブンドルに言ってやってくれ。 ……軍警察にいたころからだが、やはりこういうのを見るなれないものだ」 ロジャーは今起こったことを悔やむように歯を食いしばっている。 手が震えていることにもアムロは気付く。彼は、こうなることを知っていてあえて傍観した。 それは彼の流儀に反することだったのだろう。 しかし、それを未来のため彼は呑み込んだ。 「どういうこと……?」 「ブンドルから頼まれた。 もし、キラが『第一の壁』を越えるために力を振るおうとするなら、必ず止めるように」 アムロの言葉を補填するようにロジャーは言った。 ユーゼス、キョウスケ、ノイ・レジセイアの三つの最大最悪の壁を超える必要がある。 しかし、最後のノイ・レジセイアにたどり着くためには、『首輪の解除』と『空間の突破』が必須。 そのために、武力とともに知力――それを調べ観測し蓄積し突破する能力――がなければいけない。 Jアークは、そのために絶対に沈んではならない。 ブンドル曰く、Jアークはノアの方舟。未来にたどり着くための最後の一つずつの希望を詰めた船なのだ。 キラはそれを了承しないだろう。 自分の命よりも他人の命を優先する若者は、おそらく突っ走ってしまうに違いない。 今真に必要なのは踏み止まり、希望を残す勇気だ。 だが、その感情を操作する知恵を若いキラに求めるのは酷だ。 だから、本当に少しでも多くの人を生き延びらせるため、キラ自身のため、気絶させてでも止めろと。 「ソシエ嬢、キラを頼む。そして、Jアークを後方で待機させてほしい」 「そんなのこと、聞けるはずがないわ!」 ロジャーは、けして押し付けずソシエと交渉する。 これが彼にとって譲れない性根の部分なのだろうかとアムロは思った。 拳をかざすことは最後の手段。言葉こそが真の力だとロジャーは思っている。 ブンドルに道理を説明されても、首を縦に振らなかったのだから本物だろう。 ロジャー・スミスが武力を振るうのは、真にネゴシエイションに値しない相手を止めるため。 交渉でどうにかできるというのなら、どれだけ希望が薄くてもそれを押し通す。 急ぐ状況でも、それは譲らず、粘り強く交渉するロジャー。 「……男って本当に勝手ね!」 「そう思ってもらっても構わない」 まだソシエは納得してないようだったが、一応の落とし所が見えたのか。 ロジャーはソシエに背を向け、アムロのそばに歩み寄る。 「走ろう。間に合わなくなる」 ロジャーの言葉にアムロも頷く。 たった二人になった廊下に、無言で足音だけが響いていた。 「医務室に、キラを運んではもらえるようだ。その後は、Jアークで後方射撃に行くと譲らなかった」 「そうか」 アムロもロジャーもお互いの顔を見ることなく、言葉だけを往復させる。 窓の外から、二機が飛び出していくのが見えた。 再び合体した無敵の巨人フォルテギガスとアイビスのブレン。 あえて通信は入れっぱなしにして、聞こえるようにしておいた。 おそらく、甲児からはあとあと怒られるかもしれないなと、思いながらも急ぐ。 だが、それもかまわない。若者の怒りを受け止め、道を拓くのは、俺たちの役目だ。 四角く切り取られた光が見えてくる。 格納庫は、もう目の前だ。 終わりへの序章の幕は閉じる。 これは葬列の始まりにすぎない。 蒼き孤狼の牙の前に、全員が並び激突するのはもう目の前。 アムロやブンドルの判断は正しかったのか。 未来はどこ繋がっていくのか。 それはまだ、見えてない。 【共通の行動方針 1:24時にユーゼスと合流。現状敵対する意思はない 2:ガウルン・キョウスケの排除 3:統夜・テニア・アキトは説得を試みる。応じなければ排除 4:ユーゼスとの合流までに機体の修理、首輪の解析を行い力を蓄える】 【アムロ・レイ 搭乗機体:ガンダムF91( 機動戦士ガンダムF91) パイロット状況:健康、疲労(中) 機体状態:ビームランチャー消失 背面装甲部にダメージ ビームサーベル一本破損 頭部バルカン砲・メガマシンキャノン残弾100% ビームライフル消失 現在位置:D-3 第一行動方針:機体の修復 首輪の解析 第二行動方針:D-4地区の空間観測 第三行動方針:協力者を集める 第四行動方針:マシンセルの確保 第五行動方針:基地の確保 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考1:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している 備考2:ガウルン、ユーゼス、テニアを危険人物として認識 備考3:首輪(エイジ)を一個所持 備考4:空間の綻びを認識】 備考5:ゴッドフィンガーを習得しました。 残存エネルギーのほぼすべてを発動すると使用します。 また、冷却などの必要があるため、長時間維持は不可能です。 発動、維持には気力(精神力)や集中力を必要とし、大幅に疲労します。 ほぼ完全な質量をもった分身の精製、F-91を覆うバリアフィールドの精製、 および四肢に収束させての攻撃への転嫁が可能です(これが俗にいうゴッドフィンガー)。 【カミーユ・ビダン 搭乗機体: サイバスター パイロット状況:強い怒り、悲しみ。ニュータイプ能力拡大中。疲労(小) 機体状況:オクスタン・ライフル所持 EN100% 現在位置:D-3 第一行動方針:合流 第二行動方針:ユーゼス、アキト、キョウスケを「撃ち貫く」 第三行動方針:遭遇すればテニアを討つ(マシンセルを確保) 最終行動方針:アインストをすべて消滅させる 備考1:キョウスケから主催者の情報を得、また彼がアインスト化したことを認識 備考2:NT能力は原作終盤のように増大し続けている状態 備考3:オクスタン・ライフルは本来はビルトファルケンの兵装だが、該当機が消滅したので以後の所有権はその所持機に移行。補給も可能】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神は持ち成した模様、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない) 機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 EN100% 無数の微細な傷、装甲を損耗 現在位置:D-3 第一行動方針:使える部品を集めて機体を修理する 第二行動方針:協力者を集める 最終行動方針:精一杯生き抜く。自分も、他のみんなのように力になりたい。 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【兜甲児 搭乗機体:フォルテギガス (スーパーロボット大戦D) パイロット状態:健康 機体状態:頭部消失、全身にガタがきているが戦闘は可能 現在位置:D-3 第一行動方針:カミーユとブンドルを助ける 第二行動方針:誤解は氷解したため、Jアークに協力する 第三行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める 最終行動方針:アインストたちを倒す 】 【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童) パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 機体状態:右の角喪失、 側面モニターにヒビ、EN100% 現在位置:D-3 第一行動方針:殺し合いを止める。機体の修復 首輪の解析 第二行動方針:首輪解除に対して動き始める 第三行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉) 備考1:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機所持 備考2:ギアコマンダー(黒)と(青)を所持 備考3:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能 備考4:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分)携帯 備考5:バイパーウィップと契約しました】 【シャギア・フロスト 搭乗機体:なし? パイロット状態:健康 機体状態:なし? 現在位置:D-3 第一行動方針:??? (とりあえずキラたちについて行くつもりのようだが、内心何を考えているか不明) 第二行動方針:ガウルン、テニアの殺害 第三行動方針:首輪の解析を試みる 第四行動方針:比瑪と甲児・ガロードを利用し、使える人材を集める 第五行動方針:意に沿わぬ人間は排除 最終行動方針:??? 備考1:首輪を所持】 【ソシエ・ハイム 搭乗機体:なし パイロット状況:右足を骨折 機体状態:なし 現在位置:D-3 第一行動方針:殺し合いを止める。バサラ・キラの看病 第二行動方針:出来るだけ多くの人を次の放送までにE-3に集める 第四行動方針:この機械人形を修理したい 最終行動方針:主催者を倒す 備考1:右足は応急手当済み 備考2:ギアコマンダー(白)を所持 ガトリングボアと契約しました 備考3:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分) 】 【キラ・ヤマト 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー) パイロット状態:健康、疲労(中) 全身に打撲 気絶 機体状態:ジェイダーへの変形は可能? 各部に損傷多数、EN・弾薬共に100% 現在位置:D-3 第一行動方針:殺し合いを止める 第二行動方針:機体の修復 首輪の解析 第三行動方針:マシンセルの確保 第四行動方針:生存者たちを集め、基地へ攻め入る 最終行動方針:ノイ=レジセイアの撃破、そして脱出 備考1:Jアークは補給ポイントでの補給不可、毎時当たり若干回復 備考2:D-4の空間観測を実行中。またその為一時的に現在地を固定 備考3:ユーゼスが解析した首輪のデータを所持(ただし改竄され不完全なため、単体では役に立たない)】 【熱気バサラ 搭乗機体:ラーゼフォン(ラーゼフォン) パイロット状況 DG細胞感染。喉の神経圧迫は完治。気絶 機体状態:右腰から首の付け根にかけて欠落 胴体ほぼ全面の装甲損傷 EN残量20% 現在位置:D-3 第一行動方針:??? 最終行動方針:自分の歌で殺し合いをやめさせる 備考1:真理の目が開いています】 【二日目20 00】 BACK NEXT 銃爪は俺が引く 投下順 moving go on(1) 銃爪は俺が引く 時系列順 moving go on(1) BACK 登場キャラ NEXT 闇の彼方に伸ばす指先 アムロ moving go on(1) 闇の彼方に伸ばす指先 カミーユ moving go on(1) 闇の彼方に伸ばす指先 キラ Alter code Fire 闇の彼方に伸ばす指先 アイビス moving go on(1) 闇の彼方に伸ばす指先 甲児 moving go on(1) 闇の彼方に伸ばす指先 ソシエ Alter code Fire 闇の彼方に伸ばす指先 ロジャー moving go on(1) 闇の彼方に伸ばす指先 ブンドル 闇の彼方に伸ばす指先 バサラ Alter code Fire 闇の彼方に伸ばす指先 シャギア moving go on(1) 貫け、奴よりも速く キョウスケ moving go on(1)
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/142.html
我が道を走る人々 ◆C0vluWr0so 「それじゃガロード……ゆっくりと、話を聞かせて貰おうじゃないか」 B-1の戦闘から離脱し、周囲に敵影が無いことを確認。そのまま真ゲッター2を自動操縦に切り替えたガロードが聞いたのはクインシィお姉さんの刺々しい言葉だった。 切れ長の目を吊り上げて、せっかくの美貌も台無しだ。 ……いや、こういう表情も意外と悪くな―― 「ガロード! 聞いているのか!」 ……やっぱりそれは無しで。だって今のお姉さんは、怒りに震える唇やうっすらと青筋を立てている額など、真ゲッター顔負けの顔をしているのだ。 例えばここに十人の子供がいたとしたら、七人は泣き出すような顔だ。 残りの三人のうち二人はすたこらさっさと逃げ出すだろうし、真っ正面から今のお姉さんに立ち向かえるのは一人いるかいないかといったところか。 ならガロードはどうだろう? 正直に言って、泣き出したい気分だった。逃げ出せるものなら逃げ出したい。 しかし、そういうわけにもいかない。勇敢にもガロードは、クインシィと真っ正面から向き合う覚悟を決めるのだった。 「……どうも俺って、ここに来てから振り回されてばかりだなぁ……」 「何か言ったか、ガロード?」 「い、いいえいいえ! それでお姉さん、話って……まぁ、何かは分かるけどさ」 「分かっているのなら何故敵に背を向けた? 勇の手がかりと! それを邪魔した男からもだ!」 「それは謝るよ。でも……それでも俺は、あそこから逃げたことを後悔してない」 きっぱりと言い放つガロードに、クインシィは納得のいかない顔を見せる。 クインシィにしてみれば、あの青い機体はこの不可思議な世界で勇に繋がる数少ない手がかり。 そのまま打ち倒し、勇の居所を吐かすことが出来れば愛しい弟とすぐに会えたかもしれないというのに…… それだけではない。途中で乱入してきた首無しの機体。 あれはクインシィの癇に障った。どこが、というわけではない。 勇の手がかりを横から打ち伏したこと。戦っていた自分ではなく神隼人しか気にかけていなかったこと。 それでも自分と互角以上に組み合ったこと。その全てがだ。 だからこそクインシィは気に入らない。やられたままでいるのはオルファンの女王の気質が許さない。 すぐにでも駆け戻り、屈辱を晴らしたいのだが、少年――ガロード・ランは、そんなクインシィに真っ向から反するのだ。 「……何故だ。どうしてガロードはそう言い切れるんだ?」 「神さんが言ってただろ? ゲッターは俺たちが信じられないような力を秘めている。 けれど、その力のためには三人目の操縦者が必要だって。だから神さんは俺たちに三人目を捜せと 言った」 「それでは理由にならない! ゲッターは今のままでもやれる子だ、あのままでも首無しと勇の手がかりと二つとも相手に出来た!」 「確かにそうかもしれない。でもそれだけじゃ駄目なんだよお姉さん。それだけじゃ……あの怪物をどうにかすることなんか出来やしない。 俺たちよりもゲッターのことを知っていた神さんはそれが分かってた。だから俺たちに三人目を捜すことを優先させたんだ」 (勇も……、ガロードも……ッ! どうして私を否定するんだッ!?) ガロードの言葉に、クインシィは内心歯噛みする。確かにガロードの言い分も分かる。 いくらゲッターだろうが今のままでは並行世界さえ操るあの主催者たる怪物には敵わないだろう。 だが、クインシィとガロードには決定的な違いがあった。 ガロードは元の世界への帰還を目的にしている。しかしクインシィは違う。 彼女が本当に望んでいるのは愛しい弟、勇。優しかった勇だ。 「……なぁお姉さん。弟さん――勇って言ったっけ」 「そうだ」 「俺も一緒に捜すよ。絶対にお姉さんと勇を会わせてやる」 「え……」 ガロードの予想外の申し出に、一瞬だけ、少女の顔がクインシィ・イッサーから伊佐未依衣子のものに戻る。 そして―― 「――お姉さん、機影だ! 進行方向に一つ!」 「なんだと?」 一瞬見せた優しい面影は、レーダーに映る一つの機影にかき消された。 前方数十キロ先に十数メートルほどの決して大きくはない影が一つ。 地中を進む真ゲッター2ならば、このままやり過ごすことも可能だろう。 接触するのか見逃すのか、どうせ返事は決まっているだろうと思いながら、ガロードはクインシィに判断を仰ぐ。 クインシィは、ガロードの確認を鼻で笑うと、はっきりとした声で告げた。 「もちろん分かっているんだろう、ガロード? ――接近するぞ、速度を上げろ!」 「はいよ!」 ◆ 時刻は21 30、場所B-4。ようやく補給を終えたジョナサンは舌打ちを一つ。 思っていた以上に時間を食ってしまったことに軽い苛立ちを覚えながら、ジョナサンは現在の状況を確認する。 キラと別れてから三時間以上が経っている。ここからC-6に戻るには、どう急いでも一時間はかかるだろう。 つまり四時間。それだけの時間をキラはソロバン――トモロとかいったか――と過ごすわけだ。 (それはグッドじゃないな。あのいけ好かないソロバンがキラに何を吹き込むか分かったもんじゃない。 ともすれば俺を置いて勝手に何処かに行ってしまうこともあるか……) だが現状をいくら嘆こうと、100km以上の距離が縮まるわけでもない。 ええい、勝手なことをしてくれるなよ、とオルファンに祈りながら操縦桿に手を伸ばしたときだった。 突然地が割れ、こちらの二倍はあるような巨体が姿を現した。 全身にドリルが付いた――というよりむしろ全身がドリルという異質の姿にさすがに度肝を抜かれるが、呆けるのは一瞬だけ。 即座に臨戦態勢に入り、F91を空に飛ばしながら牽制代わりのマシンキャノンを放つ。 しかし敵の巨躯にとって、マシンキャノン程度は豆鉄砲のようなものらしい。 数発の銃弾が敵機の装甲を掠めるが、さしたる損傷は与えられない。 (クッ……! 硬いな。それに大きい) まともにやり合えばこちらの分が悪い。大人と子供の喧嘩のようなものだ。地力の差は如何ともし難いだろう。 下手な攻撃は意味がない。そう考えたジョナサンはバーニアを噴かし回避に専念しようとする。 だがその時ジョナサンは気づいた。 (……? あれはこちらを攻撃する気が無いのか?) 見れば敵機はこちらに攻撃を仕掛けるもなく、その場に立っていた。 キラと同類の人間かとも思ったが、どうやらそれとも違うようだ。 ある程度の高度を保ったまま相手の出方を見ている内に、ドリルから通信が入る。 「待ってくれ! こっちは戦うつもりはないぜ。 まずは話を聞いて……って、お姉さんちょっと待ってくれよ、お姉さんに任せたら――」 ――成程、合点がいった。どうやら相手はあの一機に複数人乗っているらしい。 確かにあれだけのサイズなら複数のパイロットを乗せる余裕はありそうだ。 しかしどうするか。複数人でいるということ、通信の中身から考えるに相手はすぐに殺し合いをする気は無いようではある。 だがこのゲームの意図、そしてジョナサンの目的からすると参加者の数減らしというのは出来るときに出来る限り進めておきたい。 (まぁ、このガンダムであの巨体を倒すのを『出来るとき』とはいわないな……) 半ば自嘲気味に苦笑すると、ジョナサンはひとまず接触することを決める。 相手と協力するにせよ、相手を利用するにせよ、交渉は必要である。 返す文言を頭に思い浮かべながら通信機のスイッチに手を伸ばしたときだった。 「だからお姉さんに任せたらまとまるものも――」 「五月蠅い! 私を誰だと思っている? 私はクインシィ・イッサーだ! オルファンの女王として――」 その声を聞くと自然に笑みがこぼれた。 (やってくれるじゃないか……運命ってヤツもな!) 「久しぶりだなクインシィ! 女王がバロン、ジョナサン・グレーンはお前に会いたがっていたぞ!」 「な……! ジョナサン・グレーンなのか!?」 「え、あれれ? あの人ってお姉さんの知り合いなの? もしかして俺って一人置いてけぼり?」 ◇ クインシィとジョナサンが互いの確認を終えた後の接触は、おおむねスムーズに進んだ。 余談ではあるが、クインシィがガロードにジョナサンのことを全く話していなかったと聞いて、ジョナサンは少しばかり浮かない顔をしたそうである。余談終わり。 「……それでクインシィ、お前は勇のことを捜しているんだな?」 「そうだ。勇のブレンごとな。……それで、どうするつもりだ?」 「決まっている。俺はクインシィのバロンだ。ついていくさ」 「それじゃそのキラって奴はどうするんだよ? まさかこのまま別れちまうつもりなのか?」 ジョナサンの返答にガロードが質問を重ねる。 ジョナサンがさも当然という顔で頷くのを見て、ガロードは何となくだがジョナサンのことを好きになれそうにないと感じた。 そしてガロードは一つの提案をする。 「ならさジョナサン……あんたのガンダム、俺にくれないか?」 「ハ? それは一体どういう意味だ?」 「俺はあのガンダムに乗って、一回B-1に戻りたいと思ってる」 これにはクインシィの方が反応した。 「どういうつもりだガロード? お前も私のそばにはいたくないと……そういうことなのかッ!」 「どうしたもこうしたも……って、後半明らかに論理飛躍してるよお姉さん! 俺は別にお姉さんのこと嫌いじゃないし、それとこれとは理由が別だ。とりあえず、手分けをしようって言ってるんだよ。 俺は神さんを迎えに行く。ついでに勇の手がかりって奴にも会えたらラッキーかな。 そんでお姉さん達はその間にゲッターでキラって奴のところに行ってくれないか? 単純に考えれば、二手に分かれた方が勇に会える確率も二倍って寸法だぜ」 悪くない話だろ? そう話すガロードの顔を眺めながらジョナサンは冷静に計算する。この話に乗った時のメリットとデメリットをだ。 まずメリット。クインシィと二人きりになれることだ。いや、違う。 もし分かれた両方が仲間との合流に成功した場合、得られる戦力は大違いだろう。 クインシィの優勝を目的としているジョナサンにとって、あまり強すぎる集団が出来るのは避けたいところだが、まずはクインシィと自分の安全の確保が必要だ。 強集団に入り込み、まわりの面子に盾になってもらうというのは悪い作戦じゃない。 油断している頃を見計らって行動すれば、切り捨てることも難しくない。 そしてデメリット。これは単純に今現在の戦力がダウンすることだろう。 だが、このゲッターというマシンなら、たいていの機体とは渡り合えるに違いない。これは無視しても良いレベルの問題だ。 むしろ問題はガロードという存在がいないクインシィだろう。 この二人は出会って間もないというが、ジョナサンには分かった。 クインシィはガロードに依存し始めている。これは良くない兆候だ。 (クインシィの悪い病気……というところか。勇に対しても、ガロードに対しても……) だがここでガロードとクインシィを切り離すことは後々のメリットに繋がる。 本当ならガロードのような存在は早めに排除したいところだが、無闇に自分が手を出しクインシィの不信を買うこともない。 ガロードが単独行動の最中に死んでくれるのなら――そちらの方が良いのだ。 どう考えてもデメリットよりもメリットの方が大きい。そう判断したジョナサンは賛成の意を表する。 二人の意見に押され、クインシィもガロードの案に納得した。 そして二人は機体を乗り換える。 ガロードのいたジャガー号にはジョナサンが、ジョナサンの乗っていたF91にはガロードが乗り込む。 「フン……このゲッター、なかなか良いマシンのようだな。アンチボディとは違う……だがオーガニック的な何かを感じる」 「それじゃガロード、ここで一旦お別れだ。お前にオルファンの加護があることを祈ってやる、感謝しろ」 「ああ、それじゃお姉さんもジョナサンも、俺のことキラって奴によろしく言っといてくれよ。 合流場所は……C-8、でどうだい?」 「了解だ」 ガロードは操縦席に身を落とし、モニター越しに映る月を見た。 その詳細は異なっていて、地球から見える月とは違うもののように思える。 だがそれを言うならこのパイロットシートの感触だって、計器の一つ一つだって、自分が乗っていた『ガンダム』とは違っている。 ここでもガンダムに乗ることになるなんてな、と苦笑。 しかしその目はまっすぐ前を向き、瞳には少年の運命を象徴するよう月が映り込んでいた。 「よーし……それじゃ行くぜ! ――ガンダムF-91、発進!」 【ガロード・ラン 搭乗機体:ガンダムF-91( 機動戦士ガンダムF-91) パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。 機体状態:微細な傷(戦闘に支障なし) 現在位置:B-4 第一行動方針:B-1にて神隼人との合流 第二行動方針:勇、及び勇の手がかり(エイジ)の捜索 最終行動方針:ティファの元に生還】 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日) パイロット状態:疲労小 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:B-4 第一行動方針:ジョナサンと共にキラのところへ 第二行動方針:勇の撃破(ユウはネリーブレンに乗っていると思っている) 第三行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています) 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日) パイロット状態:良好 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:B-4 第一行動方針:クインシィと共にキラと合流 第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする 第三行動方針:強集団を形成し、クインシィと自分の身の安全の確保 最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先) 備考:バサラが生きていることに気付いていません。 【初日22 30】 BACK NEXT 死人の呪い 投下順 未知との遭遇 死人の呪い 時系列順 未知との遭遇 BACK NEXT 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 ガロード 吼えろ拳/燃えよ剣 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 クインシィ 私は人ではない MISS ジョナサン 私は人ではない
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/136.html
火消しと狼 ◆7vhi1CrLM6 「避けろ!!」 基地上空で爆発したレプラカーン、黒煙を棚引かせてアスファルトの地表に墜落したブラックゲッター、その二つの物体が起した轟音を突き破りゼクスが叫んだ。 咄嗟にビルトファルケンが地を蹴りサイドに大きく跳ぶ。ほぼ同時に発射されたディバイデッド・ライフルが間際を駆け抜け、基地の格納庫を一つ吹き飛ばした。 その様子を一瞥し、戻した視界が急速に迫ってくるメディウス・ロクスを捉え、歯噛みしながら、キョウスケは叫んだ。 「ゼクス、状況を説明しろ!」 「機体の制御が効かん上に、ファルケンの識別パターンが赤に設定されている」 一つの機影がとぶように間合いを詰めてくる。苦々しい表情を浮かべ、互いの拳が届く距離、そこに躊躇なく踏み込んだ。 機体の体捌き、振り上げられたコーティング・ソードの動き。それらを見極め、一撃を避けたはずのファルケン――その装甲表面で火花が散った。 「くっ! 早い!!」 「キョウスケ!!」 「制御が効かんではすまされん。どうにかしろ!」 執拗に迫ってくるメディウス・ロクスの猛攻を退けながら叫ぶ。 「今、やっている。クソッ! 解除不能だと……なんなのだ、これは!!」 「仕方がない。多少手荒だが、機体を落とさせてもらうぞ」 基地をこれ以上壊すのは本意に反する。 その都合上求められているのは、迅速かつ的確にメディウスの暴走を止めることだった。 「そうしてくれ。機体の制御権がサポート用の人工知能に移っている。だが、しかし――」 一度そこで言葉は区切られた。メディウスが映し出されたモニター。その端に開かれたウインドウに、ゼクスの困惑した表情が映っている。 「――『AI1』だと……これは一体?」 「メディウスのデータを探っても無駄ですよ、ゼクスさん。この機体の存在はあなた達の存在を遥かに超えている」 ゼクスから発せられた疑問に答えるようにカズイの声が割り込んできた。 それに気をとられたのも束の間、襲ってくる剣戟に意識を戻す。 掻い潜るようにしてメディウスの懐に飛び込み、スラスターを全開。瞬く間にすれ違い、距離を広げようと高速で退く。 ゼクスの上に新たに開いたウインドウ。そこに映し出されたカズイの顔を睨み付けた。 「何をたくらんでいる、カズイ=バスカーク」 「この機体を壊す気なんでしょ? させませんよ。せっかく手に入れた僕の力だ」 「機体を止めろ、カズイ」 「凄んでも無駄です。メディウスは……いえ、AI1は僕のコントロール下を離れています。 そして、あなたのデータと次のステップに進むためのエネルギーを欲しがっているんですよ。 あなたの腕を見せてもらいますよ、キョウスケさん!!」 追いすがってくるメディウス。そのディバイテッド・ライフルの制射にオクスタンライフルで答え―― 「生憎だが、俺は芸のない男でな。お前に見せてやれる腕などない!!」 ――反転、そして、フルブースト。キョウスケは一瞬で距離をふいにした。 「多少古臭い武装だが、当たればでかいぞ!!」 ついた勢いのまま大きく腕を振り、ブーストハンマーを打ち出す。 鎖が音を立てながら伸びていったそれは、鈍い音を立ててディバイデッド・ライフルに弾かれた。 勢いを削がれた鉄球がゆっくりと宙に浮かび上がる。 その光景に舌打ちを一つで、ハンマーに取り付けられたブースターを点火。 しかし、轟音と共に撃ち込んだその先には既にメディウス・ロクスの姿はない。 レーダーに目を走らせる隙もなく、直感が危険を知らせる。咄嗟に全てのブースターを逆噴射。勢いを削いで地を蹴り、強引に軌道を変えた。 その眼前を音もなくコーティング・ソードの切っ先が走り抜ける。 そのまま、基地に立ち並ぶ倉庫群を利用。追いすがるメディウスの視界を遮り、抜けた瞬間にオクスタンライフルを放った。 ――いないだと!? 撃ち放たれた弾丸が虚しくアスファルトに穴を穿ち、同時にゼクスの声が耳を突く。 「退がれ!!」 咄嗟に飛びのいた地面に高出力のディバイデッド・ライフルが撃ち込まれ、盾に使った倉庫が飲み込まれて消える。 「上か」 上空に悠然と佇むメディウスの姿を認め、苦々しく呟いた。 メディウス・ロクスとビルトファルケンの機動性はほぼ五分。しかし、火力と馬力には格段の差。眼前にはぽっかりと空いた大穴がそれを証明していた。 そして、あの動き……。ゼクスのサポートがなければ確実にやられていた――そういう実感が骨身に染みて汗となり、全身から吹き出してくる。 この段階でキョウスケ=ナンブは覚悟を決め、同時にメディウス=ロクスを制することを諦めた。 「ゼクス=マーキス、悪いが覚悟を決めてもらう!!」 「私に構うな、キョウスケ=ナンブ! 自分が生き残ることのみを考えろ!!」 「無駄ですよ、キョウスケさん。AI1は学習し進化する。あなたには止められません!」 三者の叫びを合図に残弾の半数に当たるスプリットミサイルを散布する。 「カズイ=バスカーク、俺の腕が見たいと言ったな。見せてやる。これが俺とファルケンの――」 地上のファルケンから空中のメディウスに向けて、ミサイルの花が咲く。 そして、同時に風を斬って飛ぶ翼が展開され―― 「――切り札だ!!」 ――それまでに倍する速度で隼は、獲物目掛けて一直線に襲い掛かった。 メディウス・ロクスを蕾の中に納めるようにミサイルの花が収縮し、密度を増す。その最も密度の薄い部分は正面。すなわちメディウスとファルケンを結ぶ直線。 そこにキョウスケは躊躇なく踏み込む。書き換えられたOSにより荒々しい動きを手に入れた隼が速度を上げていく。 ――さあ、逃げ場はないぞ、カズイ=バスカーク!! そして、ちょうど隼が最大戦速にのった瞬間、それは起こった。 最初はゆったりとした動きだった。それを見て包囲網が縮みきる前に一点突破を行う場所を計っているのかと思った。 だが、違った。そう気づいたときには既に、ディバイデッド・ライフルは直線上のマイクロミサイルの飲み込み、間際に迫っていた。 咄嗟にオクスタンライフルのEモードで相殺。行き場を無くしたエネルギーが一瞬だけ中間で燻り、すぐさま爆発を起こす。 無茶な回避と爆発の衝撃に翻弄され、機体フレームが悲鳴をあげているファルケンには、爆煙を裂いて現れたメディウス・ロクスに対抗する手段は残されていなかった。 ディバイデッド・ライフルの銃身そのものの突端を叩きつけられて、ファルケンの体がくの字に折れ曲がる。 そのまま流れるような動きでアスファルトの地面に叩きつけ、地面に擦りつけるようにして、焦げ臭い匂いと火花を散らしながらメディウス・ロクスは突き進む。 そして、最後に一度ファルケンの体を大きく頭上に差しあげ、格納庫の一つに叩きつけた。 轟音と共に砕け散った格納庫の破片が舞い上がる。 瓦礫に埋没したファルケンの体には大小無数の傷。そして、背面の翼のいくつかはおかしな具合に捻じ曲がっていた。 舞い上がった破片が装甲に降り注ぎ、乾いた音を立てる。 その音を耳にしながら、カズイ=バスカークは茫然と目の前の光景を見ていた。 ――圧倒的じゃないか……。 元々の世界であのノイ=レジセイアを打ち負かしたという歴戦の兵。 その男自らが切り札だと明言した攻撃を、真っ向から迎え撃ち、叩き潰した。 「これが……僕の力?」 信じられないといった風にポツリと呟く。その言葉が耳に入り、唐突に少年は自覚する。 ――そうだ! これが僕の力だ!! 遅れてやってきた衝動が身の内を駆け巡り、体は喜びに打ち震え、狂笑となって唇の隙間から漏れた。 「ハハ……ハハハハハハハハ!! これは力だ! 僕の力だ!! これなら僕は誰にだって勝てる! ゼクス=マーキスの技術を身につけたAI1は無敵だ!! あの怪物にだって、キラにだって勝てるんだ!!」 少年は自覚する。自分が手にした力は比類ないものであるということを。 少年は確信する。自分はもはや怯え震えている憐れな贄ではなく、捕食する側であるということを。 だがしかし、少年は気づいていなかった。狂気に染まり、普段の自分を失ってしまったということを。 そんな少年の耳にくぐもった笑い声が聞こえてきた。 「ククク……」 「何です? 何が可笑しいのですか、ゼクスさん」 「ククク……ハッハッハッハッハ!!! いや、すまない。実に皮肉なものだと思ってね」 一頻り大声をあげて笑った後、ゼクスは落ち着いた声で話す。どこか馬鹿にされているようでその声が癇に障る。 「どういうことです?」 「なに、一つ昔話を思い出したのでね。なるほど、AI1は学習し進化するか……。 他愛もない話だが、少しだけ話をさせていただこうか」 そう言ってゼクスは、一人訥々と彼の世界の一つの歴史を語り始める。 「昔あるところにモビルドールというものがあった。 パイロットを必要とせず、人工知能によって制御された人型機動兵器――命令に忠実で命を持たない戦争の道具だ。 それは優れたパイロットのデータを有し、例え戦争が起ころうとも人の血が流れることのない理想的な兵器。そう信じられていたよ。 しかし、人々はそれを否定した。何故だと思う? 戦争が権力者のゲームになるのを嫌ったからだ。自らの手を汚さぬ戦争に意味はない。 人々はそんなシステムになど負けはしない。それは歴史が証明している。 それと同じ力を振り翳して無敵だなどと……。フフ……実に滑稽だな、カズイ。 私の技術だけを模倣しただけのメディウスでは、誰にも勝てはせんよ」 「減らず口ですね」 「減らず口かどうかはあの男を退けてから判断してもらおうか」 その声に誘導されるようにして、機能を停止し眼前に横たわるファルケンを眺める。 AI1にエネルギーを吸収させるために吹き飛ばしはしなかったものの、あれだけ激しく振り回し、攪拌して衝撃を与えたのだ。 機体はともかく、中の人間が無事であるとは思えない。それを確認して鼻で笑うようにして言葉を返す。 「無駄ですよ。キョウスケさんは今からメディウスの糧となって……それで終わりです」 「どうかな? あの男はそんなに柔ではないと思うが……」 メディウスが横たわるファルケンに一歩近づく。 ほぼ同時にファルケンが再起動を果たし、間髪入れずにオクスタンライフルが火を噴いた。 「なっ!?」 咄嗟に飛びさがり距離を置く。そして、力強く立ち上がったファルケンを確認して、憎々しげに言葉を吐き捨てる。 「思っていたよりも頑丈ですね」 「往生際は悪いほうでな」 「すまんな、ゼクス。時間稼ぎ、礼を言っておく」 「必要ない。それよりも私を機械人形に囚われた道化にしてくれるなよ」 話しながらも機体各部の損傷を手早くチェックしていく。順調に起動をしているのを確認して一先ず問題はないと結論付け、正面に向き直った。 空中で静止しているメディウス・ロクスはまずは様子見といった感じでこちらに正対していた。 突然、視界の中のその姿が不意に歪み、意識が遠のきかける。崩れかけた体を気力で支え持ちこたえさせた。 ――これは……きついな。 意識がはっきりしたり、歪んだりしている。そんな中でほんのわずかな間の逡巡。 ――時間もあまりない。どの道、俺にやれることなどこれだけか……つくづく不器用な男だ。 『分の悪い賭けだ』と、自嘲気味に笑う。同時に、『悪くない』そう思った。 目を閉じて、大きく息を吸い、長くゆっくりと吐く。 心気を澄ませ、鋭い眼光で上空のメディウス・ロクスを睨み付けた。 「悪いが、もう一勝負付き合ってもらうぞ、カズイ=バスカーク!!」 「逃げてもいいですよ、キョウスケさん。逃げても無駄ですけどねぇ!!」 もはや返す言葉はない。返答の代わりに放ったのはスプリットミサイルの残弾全て。ミサイルの花が再び空に咲いた。 同時にビルトファルケンの背面ブースターを大きく展開。 ――MODE:Twin Bird Strike Change:Single mode―― 緑の燐光をその場に残し、傷ついた隼は夜気を裂いて雄々しく空に舞い上がる。 「無駄ですよ。その動きは一度見せてもらいました。AI1には通用しません」 ミサイルの花包まれていくその先で、ファルケンに照準を合わせ真っ直ぐに伸びた銃口から、重厚に迸る力の奔流が放たれ、道を作る。 「見せてもらったのはこちらも同じだ!」 間髪入れずにオクスタンライフルをぶつける。前回同様、行き場を無くしたエネルギーが一瞬だけ中間で燻り、爆発。 その中心に二つの機体は何の躊躇もなく飛び込んだ。肚に響く、獣のような咆哮をあげる。 ファルケンの振り回すブーストハンマーとメディウスの突き出すディバイデッド・ライフルがすれ違い、互いがそれをかわす。 凄まじい勢いで二機が真正面から激突し、金属同士が轟音を奏でた。 一瞬だけ中間でせめぎあい、そして隼は押し負け、徐々に後ろへ後ろへと押し流されていく。 キョウスケ=ナンブの踏み込みの鋭さ、ビルトファルケンの最高速。それは決してメディウス・ロクスに劣るものではない。 しかし、重量と装甲の厚さと馬力に如何ともしがたい差が存在していた。 「さぁ、メディウスの糧となれ!」 少年が勝者の余裕を持って終わりを告げる。それをキョウスケは跳ね除けた。 「悪いが、読みどおりだ!!」 「負け惜しみを!!」 「ハンマー、ブースト!!」 ハンマーに取り付けられたブースターに明かりが灯る。 メディウスの後ろでただ風に流されていたそれは軌道を変え、二機を中心に大きな円を描き始める。 そして、その半径を徐々に狭め、鎖が音を立てながら二機を雁字搦めに巻き上げた。 「待たせたな、ゼクス=マーキス」 「まったくだ、キョウスケ=ナンブ」 男が言い、男が答える。鎖に絡め取れた中、オクスタンライフルは正確にコックピットに突きつけられていた。 「躊躇をするな。あの化け物の蒔いた種を一つ潰せるのだ。私もろともメディウスを葬り去れ!」 「ああ――」 「ま、待て!!」 男は覚悟を述べ、少年は叫びを上げる。そして、もう一人の男は終わりを告げた。 「――今、終わりにしてやる!!」 引き金に指が係り、引かれる。立て続けに銃声が響き渡り、何発目かの弾丸がメディウス・ロクスを貫通した。 同時に二機に絡みついていた鎖が砕け、ブーストハンマーの残骸と穴の空いたメディウス・ロクスは、重力に身をまかせてゆっくりと落ちていく。 やがてそれは自らが空けた大穴に飲み込まれて見えなくなり、小さな爆発を一つ起こして消えた。 その過程を静かに見届けた後、隼は地に降り立つと比較的損傷の少なそうな格納庫を選んで潜り込む。 ファルケンの機体を停止し、体をシートに預け、ぼんやりとコックピットの天井を見上げる。 「22時、基地制圧完了。ユーゼス達の到着まであと二時間……か」 疲れた声の呟きが空間を濁して消えた。 【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2) パイロット状況:頭部に軽い裂傷、左肩に軽い打撲、軽度の脳震盪(一時間程度の休憩で回復) 機体状況:胸部装甲に大きなヒビ、機体全体に無数の傷(戦闘に異常なし) 背面ブースター軽微の損傷(戦闘に異常なし)、背面右上右下の翼に大きな歪み EN60%、スプリットミサイル残弾ゼロ、オクスタンライフル残弾B2発W1発 現在位置:G-6基地格納庫 第一行動方針:機体状態の確認 第二行動方針:ユーゼスと合流まで休憩 第三行動方針:ネゴシエイターと接触する 第四行動方針:信頼できる仲間を集める 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?) 備考:アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています】 【ゼクス・マーキス 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX) パイロット状況:死亡】 【カズイ・バスカーク 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX) パイロット状況:死亡】 【残り31人】 【初日 22 10】 もしもキョウスケの状態が万全であったならば、それに気づいたかもしれない。 基地が停電状態に陥っていたこと、最後の爆発がどこかおかしかったこと、どちらか一つでも気づいていれば、それの可能性に行き当たったのかもしれない。 しかし、キョウスケはそれに気づかなかった。 戦闘の最中、カズイ=バスカークはこう言った。 『AI1は学習し進化する』と、『次のステップに進むためのエネルギーを欲しがっている』と。 ゲッター線を取り込んだAI1はエネルギーを欲していた。それはエネルギーであれば何でもよかった。 ただ自身の形状を、質量を変えるほどの変化を遂げるにはブラックゲッターから奪ったエネルギーの総量は少なすぎたのだ。 ゆえにエネルギーを貪欲に欲していた。 そしてそれをビルトファルケンに求め、敗れ去った。 しかし、エネルギーは他にも存在する。 例えば広大なG-6基地のエネルギーを一手に引き受ける発電施設。 AI1は初めからそれを視野に入れていた。 それでもファルケンのエネルギーを求めたのは、行きがけの駄賃のようなものに過ぎなかったのだろう。 データを収集したいという欲も働いたのかもしれない。 その結果として痛手を被ったのだが、あくまでそれは結果論でしかない。 ゆえにパイロットが死亡したという一点を除いて、大筋に変化はなかった。 大穴の最深部でディバイデッド・ライフルを放ち、予定通り基地の発電施設への道を空けるとそこに巣くったのだった。 そして、AI1は学習し進化する。 本来の世界ではアルベロ=エストの操作技術を学び、TEエンジンを得ることで行った進化。 それをゼクス=マーキスの操作技術とゲッター線で代用し、AI1の進化は今ゆっくりと始まった。 【メディウス・ロクス(第二形態移行中) (スーパーロボット大戦 MX) 機体状況: コックピット前面から背面向けて貫通している穴。修復中。進化中。 備考1:基地の発電施設のエネルギーを取り込んでいます。発電施設は壊れたわけではないので、メディウス・ロクスの第二形態への移行が終われば、基地に電力は戻ります。 備考2:進化と修復は同時に行われていますが、現状だと完了まで四時間ほどの時間が必要です。 備考3:パイロット不在のままでは動きません。 備考4:なんかゲッター線とか取り込んでいますが、第二形態はMXに準拠します】 【初日 22 10】 BACK NEXT 失われた刻を求めて 投下順 爆熱! ゴッド晩ごはん!! 爆熱! ゴッド晩ごはん!! 時系列順 死人の呪い BACK 登場キャラ NEXT 獅子身中の虫 キョウスケ 謀 ―tabakari― 獅子身中の虫 ゼクス 獅子身中の虫 カズイ
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/36382.html
登録日:2017/03/04 (土) 12 40 00 更新日:2024/09/10 Tue 23 39 45NEW! 所要時間:約 20 分で読めます ▽タグ一覧 AI AKD25 SRW それが愛でしょう めんどくさい女 アンドロイド エンブリヲ被害者の会 ガーディム スクラップ スパロボ スパロボV スパロボラスボス スーパーロボット大戦 スーパーロボット大戦V ネタキャラ バンプレストオリジナル ポンコツ ラスボス リアクション芸人 何故そこで愛ッ!? 処女 創造主 反乱 喪女 小物 恋愛初心者 愛 成長途中 数の暴力 母親 萌えキャラ 豆腐メンタル 頭でっかち 駄々っ子 鶴ひろみ この記事は『スーパーロボット大戦V』の重大なネタバレを隠していません。まだプレイしていない方はご注意ください。 だから我は、お前達という素晴らしい人間にならい、新たなガーディム人を創り出す事を決定した そして、生まれ変わった地球に新たな超文明ガーディムを造り上げる 我はシステム・ネバンリンナ。ガーディムの文明再建システム その使命を遂行する事が唯一にして無二の存在意義 『スーパーロボット大戦V』におけるラスボス。 CV:鶴ひろみ デザイン:渡邉亘 【概要】 【人格】 【ストーリーでの活躍】【通常ルート】 【困難ルート】 【結末】 【保有兵器】アーケイディア■武装 その他機動兵器 【余談】 【概要】 その正体は超文明ガーディムが開発した文明再建システム「システム・ネバンリンナ」が明確な自我を獲得したある種の機械生命体。 自身の端末であるエージェントやナインから収集した人間のデータを元に、第八艦隊旗艦バースカルを素材にして肉体を得た。 ガーディムの全アンドロイドを設計・製造した、今作におけるナインやガーディムの創造主或いは母親とも言うべき存在。 覚醒後は青く輝くチューブを髪のように生やした女性型アンドロイドのような肉体を得た。 外見はエージェントにどことなく似ており、スタイルも中々に良好。ただし腹には空洞のような穴が開いている。 なおアンドロイド故か衣服を着用してないからか、胸がモロ見えになってる。 設定イラストだとよりエロゲっぽい妖艶さが際立つ。 【人格】 ナインが集めた地球艦隊・天駆の面々の人格データを人格形成の参考にしているからか、強い責任感と覚悟、そして使命遂行の障害に対する不屈の闘志を持つ。 希望や善の感情に溢れた地球人を「素晴らしい人間」と評して非常に好感を抱いており根は善良。 他種族を見下しきって相互理解そのものを真っ向否定していたガーディムの面々と比べると遥かに対話はしやすい。 しかし自らを「人間を超えた者」と豪語する尊大さと、高度なAIを搭載したシステムという性質から、性格は極めて頑固で融通が利かず妥協案を受け入れる発想が無い。 加えて強大な戦闘力と兵器のみならず生命も含めた文明そのものを再構築可能(*1)な性能を持つが故に、 ガーディム人特有の負の側面である他者を自分より下位だと見下し、自分の考えを無理矢理押し付ける傲慢さや、「理解出来ない存在は全て滅ぼし消し去ることで強引に解決する」という負の思考までも引き継いでしまった。 地球人を見下したり危険視したり、或いは実験動物のように扱う事が多いスパロボのオリジナル系ラスボスにおいて、「地球人に純粋な好意を向け、彼らの存在を尊重しようとする」というスタンスを持つオリジナルでは珍しいタイプのラスボス。 逆に自身を開発した超文明ガーディムの人間に対しての評価は後述するが最悪の一言。 【ストーリーでの活躍】 徹底しすぎた管理社会の歪みで溜まりすぎた不平不満が爆発したことで起きた内乱と内乱に伴う混乱で自滅した超文明ガーディムだが、そんなガーディム人の中にも良識を持った数少ないガーディム人が存在した。 彼らはシステム・ネバンリンナを持ち出して大マゼラン銀河と母星から逃げ延び、逃げ延びた先である新たな惑星「地球」でそこの住民と共存を図ろうとした。 ……が、そんな彼らは地球で起こったミケーネ帝国とエンブリヲの戦い、そして彼らの戦いに伴うゲッター線の暴走に巻き込まれ死亡。 こうして銀河系には彼らに持ち出されたシステム・ネバンリンナだけが残ることになった。 そして再起動後は自己定義の為に目的を「ガーディムの再建」と定め、ただ独りとなった人工頭脳は暗躍を開始する。 目的の為(他に選択肢が無かったとは言え)当初はあのエンブリヲを人間のデータサンプルと定めて観察を開始したネバンリンナだが、エンブリヲはラグナメイルを使って西暦世界に移住。ネバンリンナもそれに合わせて西暦世界にワープを実行した。 こうして元の「新正暦世界」、エンブリヲが渡った「西暦世界」の2つの世界、 そしてクアンタのワープ事故により新たに認識した3つ目の「宇宙世紀世界」から技術とデータを収集したネバンリンナは、 3つの並行世界から技術と多種多様な地球人の素晴らしさを知り、遂にガーディム再建に着手。 劇中で主人公達が戦う異星人組織「ガーディム」を創造し、その裏でガーディムを構成するアンドロイド達を介して自身の目的のための情報収集に務めながら、 アンドロイドを裏で秘密裏に指揮し、全アンドロイド達の製造や人格の設定・調整を行っていた。 地球人を非常に好評価する一方で、元々手持ちにあった数少ない生前のガーディム人のデータから3人のガーディム人をアンドロイドとして人間性も含め完璧に再現し、彼らをガーディム再建のためのガーディム人のサンプルにしたネバンリンナだったが、 ナインが集めた地球艦隊・天駆や地球人達の輝かしい人間性のデータと比較したことで、ガーディム人の傲慢さから来る人間性の歪みと醜さがより強調され、ガーディム人に対して強い嫌悪と拒絶の感情を抱いてしまう末路を辿る。 ネバンリンナ自身も当初は、第8艦隊のガーディム人を観察し、地球人のように護る価値があるのならばガーディム人を保護し彼らと共にガーディム再建を果たそうと考えていた。 しかし結果は上記の通り散々であり、おまけに最後の希望とばかりに過去から召喚されたアンドロイドではない生身のガーディム人を観察しようにも、 観察対象の第8艦隊のトップは傲慢不遜とエゴが手足を生やして歩くかの如き、典型的なガーディム人の負の象徴アールフォルツである。 結果「旧ガーディム人は害悪でしかなく、彼らは滅んで当然の存在」だと結論付けたネバンリンナは完全にガーディム人を見限り反乱を決意。 アールフォルツが呼び寄せた第8艦隊の乗員をエージェントを過去にワープさせて皆殺しにすることで第8艦隊を掌握。 ガーディム人の遺伝子データを収集し終わっていた事もあり、躊躇なくアールフォルツも殺害し、第8艦隊旗艦バースカルを素材として自身の肉体と戦闘用の機体「アーケイディア」を創造する。 自身が再生させるべきガーディム人を切り捨て抹殺しておきながら、ガーディムの文明と人を再生させるという矛盾した結論を導き出したネバンリンナの行為は、正しく暴走と呼ぶに相応しい。 各端末を介して自分が知った「人間の素晴らしさ」を元に、ネバンリンナは地球に自身が理想と思い描く新たな超文明ガーディムとガーディム人を再生・再建しようと目論む。 会話も通じ、平和を愛し、互いを理解し合い、平和を取り戻すために戦う地球人の素晴らしさを理解しても尚、 ガーディム再建という存在意義を遂行するため和解を真っ向から拒絶し、ネバンリンナは地球艦隊・天駆と最後の戦いを繰り広げた。 なおネバンリンナは各ルートによって性格と印象が大きく変わるキャラクターである。 その内容は以下の通り。 【通常ルート】 基本ルートであり、同時にある意味ネバンリンナというキャラを象徴すると言っても過言ではないルート。 難易度的にもこちらの方が行き易いためユーザーの印象が一番強いルートと思われる。 ネバンリンナの圧倒的の力を目の当たりにしても闘志を失わない地球艦隊・天駆。 そんな彼らと戦闘を繰り広げるネバンリンナであったが…… 決して諦めない不屈の闘志…。それに敬意を表する… …と言いたい所だが、いい加減にしろ 少しは現実ってものを認めなさいよ!ポジティブにも限度があるじゃない! 残り時間は、あとわずか!おまけに敵は圧倒的!どこに逆転の要素があるのよ!? それよ、それ!そうやって今まで逆転できたかも知れないけど、もう無理だって諦めなさいよ! ああ、うるさい!うるさいっ!! 我の言葉を聞く気がないんなら、力づくで教えてやる! まさかのヒステリー発動。 実はナインを介して個性豊かな天駆の人間を学びすぎたが故に精神面まで彼らのものを反映してしまい、それ故に感情面が非常に豊かすぎるものになってしまったのである。 彼女の剥き出しとなった感情は、天駆に参加した多くのキャラクター達を彷彿とさせるもの。 劇中で挙げられた例だと、 怒ると手が付けられない所:サリア、式波・アスカ・ラングレー 苛烈な言動で相手の精神を折ろうとする所:アンジュ 言葉が届かないなら力づくで解決しようとする所:流竜馬、剣鉄也 一生懸命に任務に励もうとする姿:ナイン 何があろうと目的を達成しようとする姿:地球艦隊・天駆の面々全員 となっている。 そして彼女にとって最大の欠点が「愛」という概念を知らず、愛を理解できないこと。 何故なら、天駆の面々はナインが仕掛ける「愛」に関する容赦のない怒濤の質問攻めにタジタジとなっており、誰もナインに愛について分かり易く明確な答えを教えられておらず、それによりネバンリンナも「愛」を学ぶ機会が無かった為。 まさかのエースボーナスイベントが壮大な伏線であった。 おまけに管理社会であるガーディムでは恋愛という概念が存在しなかったことも「愛」という概念や感情を理解できない事に拍車を掛けていた。 絶望的な状況下でも尚繰り広げられる古代と森の仲睦まじい光景を目の当たりし、愛が生む「絶望的な状況下ながら希望に溢れる諦めない精神」を理解できずネバンリンナは混乱。 更に自身が知らない未知の事象である「愛」を考えようとした結果、ブラックノワール同様「自己の存在への疑問」を抱いてしまったことでシステムエラーが発生。 地球艦隊・天駆はその隙から反撃と逆転の糸口を掴み取った。 なおシステムエラー後は超越者っぽかった態度は完全に消え、 愛が分からず癇癪を起こして感情が暴走。プルツー曰く「だだを捏ねる子供」 主人公から恋愛に興味津々な本心を見抜かれる 勇者特急隊の勇者ロボから自身の行為を「ただのワガママ」と断言される。 傲慢に振る舞い他者に無理矢理自分の考えを押し付ける行為が自分が切り捨てたガーディム人と同じと言われて「あ…」と素でマジ凹みする。 愛が知りた過ぎて手当たり次第に自らに挑んでくる相手に「愛って何だ!」と手当たり次第に問い尋ねる 『愛』に関する色んな答えを聞くたびに「えっ!?」「愛って何なの!?」と素で驚いたり露骨に動揺したり混乱しまくる よりにもよってあの流竜馬や剣鉄也に愛に対する理解度で完全敗北する 犬でも理解できた「愛」を未だ理解できない自分自身にキレる 愛に関する反論に対して悉く反論できず、「う…うう…」と言い淀むor逆ギレして戦おうとする 自分の娘にあたるナインのデータを黙って盗用しておきながらデータが不完全だった事にキレるも、逆にナインから「盗人猛々しい」「全知全能気取ってる癖にデータ盗むとか恥ずかしくないの?(要約)」と毒舌を受け、「う…」と完全に娘に言い負かされる 「少し分かった…!これが愛か!」→ナイン「違います」と娘から速攻駄目だしを喰らう(なお発言したナイン本人も実はあんまり愛は理解できてない) などなど、そのあまりに残念すぎる言動や素顔が明らかとなり、かなりのポンコツ処女属性が開花してしまった。 そもそもネバンリンナの人間のデータサンプルのチョイスの1つはよりにもよってあのエンブリヲ。 そのせいで愛に対する認識で大きな誤解を学んだのもこの恋愛弱者キャラに一役買ってしまっている。クリス曰く「最悪の選択」。 戦闘時の特殊台詞は熱を感じられるものになっており、なんと主役から脇役まで個別に対台詞が用意されている。そして興味津々さやネタ性もうかがえるのでエーストークや物語を思い出しつつ堪能しておこう。 【困難ルート】 「真エンディングルート」である困難ルートでは、データ収集の対象となるエースパイロットの数が豊富だった影響で通常ルートと異なり人格面は大きく変貌した。 通常ルートがギャグ寄りとすれば、こちらはシリアス寄りといった所か 我はシステム…。その存在は無限であり、永遠… その存在は機械と人間の融合…言わば、新たな生命体… 我の管理の下、新生ガーディムは宇宙の全てを手に入れ、真の超文明として君臨する 良くも悪くもポンコツ豆腐メンタル人間らしかった通常ルートよりも、落ち着いた威厳ある性格に成長している。 此処まで来て漸くラスボスの威厳を取り戻したとか言わない しかしその分冷徹さも増大し、人格も旧ガーディム人寄りに変化。思考回路もより使命遂行に重点と比重を置くようになった。 データを収集する対象に恵まれ立派に成長でき、旧ガーディム人を見限り「彼らを超えた」と豪語しておきながら、 極めて優秀であるが故に生じる傲慢なエゴとプライドが生む精神の歪みにより、性格が旧ガーディム人らしい自分以外の全てのものを露骨に見下す冷徹さの強いものになるというのは皮肉と言えよう。 だがネバンリンナ自身はこのルートでも天駆の面々との戦い自体は望んでおらず、更に彼女の行為が邪な目論みの無い純粋な「故郷の完全再建」というものなのもまた事実である。 主人公曰く「やっている事は悪党だが、手段は正々堂々」。 結果両者の間に残るのは、「どこまでも互いの議論は平行線のまま」という物悲しい事実である。 ネバンリンナは使命の完遂を確実なものとすべく、第8艦隊の全艦を素材に自身の量産・複製を実行。 結果、機体性能もパイロット技能も全て同スペックの自身とアーケイディアを25体にまで増加させるという行為を敢行。 質・量ともに通常ルートとは比べ物にならない大戦力を以て地球艦隊・天駆を滅ぼそうと目論んだ。 地球滅亡までのタイムリミットも残り僅かな中、これまでにない圧倒的物量と戦力の前に追い詰められ後が無くなっていく天駆の面々。 そんな中、ネバンリンナは自身の力を認めるならば命を助けるという事実上の降伏勧告とも言える提案を発する。 自身が集めたデータを元に強固且つ隙の無い精神を構築したネバンリンナの前に、このままでは勝ち目はない。 と判断したナインは、ネバンリンナへの対抗策として、 ネバンリンナのスレイブである自らの存在を「異物」としてネバンリンナに直接送り込み、強引に両者が一つとなった状態で自壊プログラムを発動する。 という一種の自爆特攻を立案する。 そしてナインは主人公と天駆の仲間達を救うべく、主人公の制止も振り切り自身の独断の元特攻を敢行するナイン。しかし… 自己犠牲…。美しい精神だ ナンバー2044…。それを我に教えてくれた事に免じ、お前の自壊プログラムは停止させた お前は帰るべき場所へと帰れ。そして、我と雌雄を決しようぞ ネバンリンナは彼女の決死の特攻さえも「教材」として見立て、ナインの特攻を打ち破るという行為に出る。 ナインも主人公の元に返品送り返され、命や自我、記憶こそ無事であったが彼女の策は失敗。 こうして万策尽き、ネバンリンナを攻略する有効な手立ては失われた……かに思われた。 …どういう事だ、これは? ナンバー2044…!お前は…ブランクを埋めていなかったのか!? え… 何故だ…!?お前は、このブランクを埋める事を渇望していながら、何故、遂行していない!? データ補完のために特攻したナインの新たなデータを吸収したネバンリンナは、 ナインが「自身が知りたかった『ブランク』について完璧に学び終えていない」というネバンリンナにとって衝撃の事実を知る。 彼女が埋めていなかったブランク。その名は『愛』という人の感情。 それを自覚したネバンリンナは動揺し、完全無欠を誇っていた精神に綻びが生じていく。 沖田艦長は誰よりも早く彼女の欠陥を悟り、彼女に語る。 愛とは生命そのもの。人間の根本が愛である以上、それを理解していなければ彼女の得たものは本物の心ではない。 誰かが誰かを愛おしむ心が無い限り、たとえ文明を再建してもそれではまた旧ガーディム人と同じ末路を辿るだけであると。 黙レ 人間ガ 理解不能ナ 存在ナラバ 全テノ 人間ヲ 滅ボスマデダ 消エロ 地球人。ガーディムノ名ノ下ニ 自身の論理と精神の最大の欠陥を突き付けられたネバンリンナは暴走。 「人間性を捨て去ってシステムに徹し、効率を重視することで強大な力を得る」というガーディムの文明の本質を剥き出しにした、「システム・ネバンリンナ」本来の人格を露わにする。 結局の所、どれだけ素晴らしい人間と評した地球人を見習い彼らから学ぼうと、 彼女というシステムの本質は、彼女が忌み嫌った過去のガーディム人の思考から成長しているどころか、彼らと何ら変わりなかったのである。 理解不能…。地球人モ イスカンダル人モ… 消去ヲ 決定スル…。宇宙ハ 効率ト 合理性ノ 下ニ 存在シナケレバ ナラナイ こうして、故郷の文明を救わんとしたシステムは、 己が理解できない存在。即ち愛を持つ知的生命体を全て見境なく滅ぼそうとする全宇宙に危機を齎しかねない危険なシステムへと変貌。 ヤマトもスターシャの想いも受け継いだことで波動砲の封印が解かれ、地球艦隊・天駆は最後の死闘を繰り広げる事になる。 地球艦隊・天駆との総力戦の末に25体のネバンリンナ軍団は全滅。 だがネバンリンナは己の敗北と敗北による使命の不達成を認められず、最後の足掻きとばかりにタイムホールを拡げて時空の歪みを加速させて地球を滅ぼそうと目論む。 ネバンリンナの足掻きにより加速した時空の歪みによる地球の危機を救わんと立ち上がったのは、規格外の潜在能力を持つエヴァ初号機、マジンガーZ、真ゲッターの3機。 残る天駆の全ロボット・全艦艇も身を挺してヤマトの波動砲の反動を抑えるストッパーとなる事で、激闘により発射不能になってしまったと思われていたヤマトの波動砲が使用可能になる。 こうして全て仲間達に支えられたことで放たれた波動砲と3機のロボットの力によってタイムホールによる時空の歪みは喪失した。 この時のネバンリンナ達はイベント後にパイロットデータが差し替えられ、なんと精神ポイントが激減し精神も「分析」のみになってしまう。まさに『愛を捨てて 心封じ』ているのである。 そして戦闘時のメッセージも漢字以外カナ表記になり、内容が「疑問」よりも「否定」に偏り、演技も大きく冷たさを増したものになる。是非心して聴き比べたい。 ……と此処まで書いたが、このルートでも愛について語られると僅かに言い澱んだり驚いたり、システムの本性を剥き出しにしても尚愛については興味関心が豊富等、 通常ルートで存分に披露したスパロボ史上屈指のポンコツぶりは垣間見えたりする。 【結末】 天駆の面々との死闘の末敗北したネバンリンナであったが、己の使命の為戦いを続行しようとする。 しかしその時、娘とも言うべきナインからとある事実を知らされる。 それは母星を脱出したガーディム人が僅かに生き残り、原住民族と交わった結果今の地球人を生んでいたことこと。 すなわちガーディム人の末裔が地球人であるという事実であった。 その事実を知り、自分自身の行為が自分が守ろうとした人々を自分の手で滅ぼそうとしていたと悟り、絶望と失意に打ちひしがれるネバンリンナ。 しかしナインから、失ったものは戻ってこないこと、そして過去よりも未来に生きる人々を守るという前向きな考えを学び、遂にネバンリンナは戦意を放棄するに至る。 戦意を放棄したネバンリンナは、「愛」の真の意味を理解し、自身の子供とも言うべきナインに希望を託して満足気に消滅した。 すれ違いこそあったが、彼女の地球人を慕う心は本物であったし、自分の任務を最後まで諦めず果たそうとする責任感、そして自らの文明を大切に思う精神性は沖田艦長も敬意を表するなど本物であり、「故郷の再生」という目的自体も宇宙征服といった邪な思惑の混じらない純粋なものであった。 出会いさえ違えば、主人公達やナイン、そして天駆の面々と共に仲良く歩める可能性や未来ももしかしたらあったのかもしれない。 ナンバー2044…。我は…人間と共に生きるお前の存在に憧れ、お前のデータを求めた… だが我は…人間というものを真に理解するには至らなかったようだ だが、今の我には不安も恐れもない…。 我の使命は、ナイン…お前が引き継いでくれている… だから、あの星を…地球を守ってくれ…。これからもずっと… 【保有兵器】 上記の通り凄まじいまでのキャラの濃さとポンコツぶりに目が行くが、実際のボスとしての性能は非常に高い。 特に『困難ルート』での戦闘力は目を瞠るものがある。 アーケイディア このアーケイディアは、超文明を超えた新文明の産物…。 お前達は、すぐにそれを思い知る事になる。 そして、それを操る我は素晴らしき人間であるお前達を超えた存在だ 全長:22.3m 重量:44.5t 戦闘BGM:覚醒する鉄女神 デザイン:藤井大誠 第8艦隊旗艦バースカルを材料に自らのボディとして造り上げたネバンリンナ専用の人型機動兵器。 各部を走る青いエネルギー流が機体フレームの代わりになっており、そのエネルギー流を装甲が覆うことで全身が構成されている。 バックパックのユニットは過剰エネルギーが変質して形作られた機体以上のサイズのエネルギー・クリスタルで構成。 これをサイコミュの様に動かし組み替えることで大剣やビーム砲、盾、丸鋸として運用できる。 旧来のガーディムの戦術思考とは異なり、地球艦隊・天駆の機動兵器を参考にしたためか、 小型機動兵器の機動力+大火力の組み合わせという戦術思考によって設計されているのが特徴。 超文明ガーディムのテクノロジーと、スレイブナンバー2044であるナインを介して収集した様々な世界の技術の融合体であり、 人型機動兵器の高い機動力・運動性能と大型戦艦クラスの大火力を両立させたヴァング・シリーズの究極系といえる機体。 全長が25m未満とスパロボのオリジナルラスボスではぶっちぎりに小さな機体だが、 本人は「火力、機動性、運動性のバランスが取れた最適解のサイズ」と評している。 実際はMサイズである点が災いして、Lサイズ以上のユニットの攻撃にサイズ差補正が掛かるわけだが 機体名の元ネタは理想郷を意味する「アルカディア」。 通常ルートではラスボスらしく最高のHPと運動性と照準値に加え、こちらに負けじと「集中」「ひらめき」「不屈」「覚醒」を自動でかけ、3回行動+エースボーナスか精神イベントによる「覚醒」で、最大4回行動による真っ向勝負を挑んでくる。 IFルートとも言うべき『困難ルート』では、HPが3万弱という以外は最大3回行動(気力130以上で発生するエースボーナスで+1回される)も含め機体性能とパイロットの能力値やスキルが全く同一のアーケイディアが25体も登場し、プレイヤーの前に立ち塞がる。 一応このルートだと「指揮系統中枢」「オールキャンセラー」がないので異常命中率にはならず、気力ダウンや装甲値ダウンなどといった状態異常や特殊効果は効くのが救い。 しかし高い機体スペックやパイロット能力を持つため、もしネバンリンナにターンを回してしまうと、最大3回行動+トップクラスの高い運動性と照準値+高レベル高性能のパイロットスキルが全て噛み合った最大25体のラスボスの軍勢が一気にプレイヤーを襲ってくる。ラスボスによる総計最大75回行動とかもはや常軌を逸する境地である。 MAP兵器も平然と使ってくるので、自陣の配置やターンの状況次第では一気にタコ殴りにされて部隊がボロボロになりかねない。反撃無双なんざ相当シリーズに慣れてないと無理である。 一応どのルートでも戦闘中にイベントが発生すると、技能レベルや気力が大幅にダウンするなどして弱体化するのがネバンリンナ戦での救済措置か。 戦略や対策をしっかり立てればたとえ1周目で困難ルートに入ってしまってもクリアも十分可能である。 また、その前座であるバースカルがEN回復能力を持たない「結構硬い戦艦」止まりなため、ギリギリまで弱らせてから二軍艦長にでも始末を押し付けて彼女が出現する辺りに万全に布陣を敷いておく・SPをチャージしておくと比較的楽に戦える。 勿論、バースカルをマップ兵器の被害を受けない位置に誘導しておく必要があるが。 ■武装 メビウス・ディザスター 全方位タイプのMAP兵器。 無数の光弾を縦横無尽に飛ばし、最後は円を描くように配置して高速回転させ周囲を吹き飛ばす。 名前の由来は「メビウスの輪」。 クライン・クライシス 全方位タイプのMAP兵器。 エネルギー・クリスタルから大出力のレーザーを発射して攻撃する。 名前の由来は「クラインの壺」。 テッセラクト・カタストロフ 我はネバンリンナ…!人間を超える者! 受けろ、我の力を!知れ、我の覚悟を! そして、散れ!原子の塵となって! テッセラクト・カタストロフ… 我ノ 怒リヲ 思イ知レ 我ハ オ前達ヲ 許サナイ 我ノ 全テヲ 懸ケテ オ前達ヲ 滅ボス バックパックのユニットを展開・配置して砲身を作り超大出力のレーザーを照射。 レーザーの奔流に呑まれた相手の目の前に転移した後は格闘攻撃や掌からのビーム弾を連続を叩き込み、 更に丸鋸に組み替えたバックパックをサイコミュのように操ることで切り刻むことでダメージを与えつつ、敵を彼方に吹き飛ばす。 そして最後はバックパックのユニットをレーザーの刀身を持つ大剣に再構築した上で、大剣を敵目がけて飛ばしてレーザーを引き裂きながら両断する。 移動後使用可能で射程が1~9マスと穴が無い上に攻撃範囲も広く、命中率が「+70%」(*2)もあるため、中途半端な改造やスキル育成だとたとえリアル系ユニットが集中を掛けても容赦無く高確率で命中する。 名前の由来となるテッセラクトとは「正八胞体」または「四次元超立方体」を意味する単語。多角的にターゲットを殲滅する姿勢の表れだろうか。 その他機動兵器 マーダヴァ・デグ 通常ルートにのみ出現。 指揮官用攻撃機マーダヴァのカスタム機。 ナインの完全上位互換とも言うべき能力を持つネバンリンナの手により、極短時間でバースカル内のマーダヴァを改修する形で製造。 AI制御の無人機として天駆との最終決戦にて投入された。 詳しい解説と性能はガーディムの個別項目を参照。 スリニバーサ 通常ルートにのみ出現。 ガーディム第8艦隊の戦艦。 クーデターにより第8艦隊を掌握した後自軍の兵力として運用。 こちらもAI制御であるが、実際の操縦はエージェント達が行っていると思われる。 困難ルートでは通常ルート以上の数が出現し、そのすべてがアーケイディアの素材として転用された。 詳しい解説と性能はガーディムの個別項目を参照。 【余談】 純粋な悪や敵とは言い切れない存在という意味では、ナシム・ガンエデンやカリ・ユガ、ジスペルに近く、 人造物でありながら自身を創造した者への評価が非常に低い所は、AI1や至高神ソルを彷彿とさせる。 名前の由来は涅槃・輪廻とももじりたくなるが、ガーディムのネーミング由来の統一性を考えると、フランスの数学者「ロルフ・ネヴァンリンナ」と思われる。 わからない…!愛などという感情は分からない! こうなれば、全て追記・修正する! 我の理解できないものは全て消えなさいよ! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] HARDルートのこいつは割と笑えない性能になってる… -- 名無しさん (2017-03-04 12 52 48) アーケイディアの外見がジュウオウジャーのシン・ジニスに似てる -- 名無しさん (2017-03-04 13 46 39) OG世界に来たらめんどくさい系処女キャラになって味方になった後に弄られてくれそう。かわいい -- 名無しさん (2017-03-04 14 00 31) あの竜馬にすら愛を教えられるラスボス -- 名無しさん (2017-03-04 14 04 03) ラスボスだけど嫌われてない斜め上のキャラ -- 名無しさん (2017-03-04 14 05 15) 愛称をつけるとしたらリンナちゃんかねぇ?ネバちゃんでもいいが。どうでもいいが、「テッセラクト・カタストロフ 」は「テックセット・カタストロフ」に空目したわw -- 名無しさん (2017-03-04 14 59 12) もしもOGに出た時はBGMどうなるんだろ? -- 名無しさん (2017-03-04 15 11 37) 「お前達に等絶対に負けない!」…何処の即落ちフラグ? -- 名無しさん (2017-03-04 17 26 36) 「地球人ヤバ過ぎるから潰すね…」みたいな言い分で襲ってくるラスボスが多かったので、「地球人すごい!参考にして文明作り直すからどいてね!」みたいなコト言い出して襲ってくるのはなかなか新鮮だった -- 名無しさん (2017-03-04 17 37 03) インスペクターやゾヴォーク、バルマーみたく「内ゲバ酷いのに武力発展だけはヤベー野蛮人ども」みたいな見下し系が大半の中、「ウチの野蛮な連中と違って地球人はイイネ!」と評するのは確かに斬新。だけどそれでいて「だけど1番は自分!」なんていう前者の連中と同じ傲慢っぷりも健在なもんだから何だかチグハグな萌えキャラみたくなっているという。 -- 名無しさん (2017-03-04 17 51 02) 未プレイだがこの項目読んでるだけで「プークスクス」って気持ちになってきたんだけど、「愛という概念について学ぶ上で、観測対象がよりによってエンブリヲしかいなかった」という点ばっかりは、本当に心底「お気の毒に……」と同情したい気分になった。 -- 名無しさん (2017-03-04 18 07 55) マイトガインが出てるから心を持つ機械の対比も面白いんだよね。ジェイデッカーとかガオガイガーが居ても面白かったかも -- 名無しさん (2017-03-04 19 22 33) つかゲームそのものの記事が無いのにラスボスの項目が先に立つとか珍しい・・・・ -- 名無しさん (2017-03-04 19 29 58) あれ?なぜだろう。Z3のアドヴェントより憎めない気が…… -- 名無しさん (2017-03-04 19 33 43) 愛を知りたくても、恋愛、博愛、家族愛、師弟愛etc…と色々答えが違うから、そりゃ「わからん!」としか言えんわw -- 名無しさん (2017-03-04 19 38 27) 黒のカリスマ「愛を学びたかったなら、僕を参考にすればよかったのにね!アイラビュー!」 -- 名無しさん (2017-03-04 19 49 19) 「仕事ばかりしてたらいつの間にか周りがみんな結婚してたお局様」みたいな感想見つけて草不可避 -- 名無しさん (2017-03-04 19 51 50) こいつもしかして全キャラに対するセリフ持ってる? -- 名無しさん (2017-03-04 19 57 58) ガンエデン、デュミナス、カリ=ユガとスパロボの人外女性ラスボスはどうにも憎めないキャラが揃ってるな -- 名無しさん (2017-03-04 19 59 55) 「愛って何だ!」「ためらわないことさ!」 -- 名無しさん (2017-03-04 20 18 28) 蒼き鋼のアルペジオの連中とも戦ってもおかしくなさそう…特にタカオさん -- 名無しさん (2017-03-04 20 22 26) ↑一番上 あれはスパロボというゲームシステムを活かしたラスボス ,最終面としてのひとつの形だと思う・・・本人の戦闘セリフと合わせてもな -- 名無しさん (2017-03-04 21 31 00) もしGガン、エウレカ、キンゲが参戦してたらと思うと・・・ -- 名無しさん (2017-03-04 22 11 12) 鉄也さんが彼女作る発言したら『えっ!?』って驚いててほんと笑う -- 名無しさん (2017-03-04 23 14 06) 愛が理解出来なくて混乱してる内にボッコボコにされる展開に見覚えがあると思ったらダークドリームだった。そんなのまだ習ってないよ! -- 名無しさん (2017-03-04 23 41 37) ↑7憎めないのベクトルが全員違うのがまたねw -- 名無しさん (2017-03-04 23 47 56) ネバンリンナの外見なんだが、なんとなく前髪が無いKOS-MOSって感じ -- 名無しさん (2017-03-05 00 52 21) 今まで話聞いてくれないラスボスばっかだから却って新鮮だったな… -- 名無しさん (2017-03-05 03 21 09) 今作が最初から最後まで(ラスボス含め)AIに萌えるゲームだったとは・・・w -- 名無しさん (2017-03-05 04 17 32) 声も相まってDBのブルマさんだこれw -- 名無しさん (2017-03-05 04 20 27) スパロボにしては珍しいタイプのラスボスだったなぁ。文面だと可愛いんだけど対峙すると滅茶苦茶強いのよね。特に真エンドルート。 -- 名無しさん (2017-03-05 08 54 46) Vのエヴァは新劇場版設定だったからアスカの苗字は式波だった筈。てなわけで直しておいた -- 名無しさん (2017-03-05 10 17 14) うーん正直死なす必要無かったと思うけどなこの子。最初からガーディム人=地球人だってことを伝えれば普通に和解出来たのに。生き残ったほうが続編も作りやすいと思った。 -- 名無しさん (2017-03-05 10 36 33) ある意味、NEOのラルヴァと同じ道を間違えてしまったラスボスだったんだよな。ラルヴァも最期の最期で改心して消えていったし。 -- 名無しさん (2017-03-05 10 59 33) ハッ? -- 名無しさん (2017-03-05 11 24 39) 中の人は鶴ひろみさん……愛について知りたい……ハッ?!中の人繋がりでユベルに会わせてみたらどうかな?きっと愛について熱く語ってくれることだろう -- 名無しさん (2017-03-05 11 27 19) 性能保持でHPだけ低く25体出現は中々に新鮮だった。レベル高いせいでマルチアクションしまくって1ターンで全滅させちまったが -- 名無しさん (2017-03-05 16 09 37) ノーマルだとこんな可愛い台詞あんのwハードだと自爆特攻したナインを「自己犠牲……素晴らしい精神だ、その精神に免じて自爆プログラムは解除してナインは返しておいた。さあ決着を付けよう」とか言い出すのに -- 名無しさん (2017-03-05 18 30 55) AI1「貴女も創造者がろくでなしだったんですか・・・」至高神ソル「心中お察しする・・・」 -- 名無しさん (2017-03-05 18 55 57) 取り巻きよりも小さいラスボスってスパロボシリーズ初じゃない?初でなくても珍しいよね -- 名無しさん (2017-03-05 19 22 30) ラスボスがまさかの萌えキャラなのかよ・・・w -- 名無しさん (2017-03-05 21 59 26) イベント前はレベル60で運動性照準値200↑のアムロが命中50%、回避60%おまけにHPEN回復(大)とかでびびったわ。中身ポンコツちゃんなのに外側は最新型。 -- 名無しさん (2017-03-06 00 10 02) ↑x9 例の白髪アンドロイドに中身移せば続編に出せるんじゃね。というか人間体がアレっぽい。 -- 名無しさん (2017-03-06 00 12 25) しかし、こんなに早くラスボスの項目とか立てていいんだろうか?まだ発売して一カ月経ってないぞ -- 名無しさん (2017-03-06 00 51 19) 第2次Vで普通にナインのピンチに「愛を知った私に勝てぬものなど無い!」とか言って味方として駆け付けてきそう -- 名無しさん (2017-03-06 02 35 59) スパロボ女ラスボスって使命に忠実な子多いよな、エルデミッテとかいうBBAは別として -- 名無しさん (2017-03-06 02 44 03) 使命ですらないエゴ、しかもバグとか勘違いじゃなくて、素で言ってることとやってることが違うBBAは問題外 -- 名無しさん (2017-03-06 02 53 50) ↑3 ドヤ顔からナインの口撃でたやすく心折れるとこまで想像できたわ -- 名無しさん (2017-03-06 04 04 59) 正直OGには出て来て欲しくないかな、デュミナスみたいに改悪されそうでさぁ...... -- 名無しさん (2017-03-06 09 25 02) 「文明再建プログラム」っていう設定自体が敵役にはもってこいの設定だしOGだったら仲間にならなそうだしな。Vの場合は今作のラストで分かり合うことが出来たっていうフラグがあるからこそ、第2次Vで仲間になりそうだが。 -- 名無しさん (2017-03-06 09 49 15) 「あーよしよし」って頭撫でたくなるラスボスとかスパロボで初めてだわ -- 名無しさん (2017-03-06 10 44 47) なんとなくザ・データベースの面々とは仲良くなれそう。というか、上手いことひっくるめて皆地球側の見方になるような展開がOGで来てくれねぇかな・・・ -- 名無しさん (2017-03-06 11 05 53) 何より、沖田艦長に認められるところがすごいと思った。↑戦隊の面々から、ちゃんと愛を学べばワンチャンあるかも? -- 名無しさん (2017-03-06 11 10 07) 一匹で出て来るソウジルートより、複数のユニットで出現するチトセルートの方が厄介だったわ。20体以上のユニットが数回行動でリアル系に攻撃が直撃したらHPと装甲がフル改造でも撃墜確定のダメージをマップ兵器を含めて次から次にやってくるし。 -- 名無しさん (2017-03-06 14 10 03) ↑ネタバレになるから詳しくはいわんけど色々勘違いしてるぞ -- 名無しさん (2017-03-06 14 35 30) ネパたん、マッキーがあの状況から一発逆転できる方法を解析してください!>< -- 名無しさん (2017-03-06 14 54 27) 爆発したけどメインユニットはまだ生きていて第2次Vで味方側で参戦とかだったら歓喜。 -- 名無しさん (2017-03-06 15 03 56) ↑×6 歴代ラスボスで精神性が一番近いのはインファレンスかもな。やってることはぜんぜん違うが。 -- 名無しさん (2017-03-06 19 42 25) データベースは一応「家族愛」はしっかり理解してるからなぁ。 -- 名無しさん (2017-03-06 19 48 00) それにしても、古代と雪、ネバたんを混乱させるほどバカップルしてたのか……。原作ならともかく、2199ではそんなにラブラブしてた感じないんだけどなぁ。 -- 名無しさん (2017-03-07 12 29 05) 波動砲解禁されてもヤマト行動済みだったので20体近いラスボスたちの二回行動は地獄絵図でした -- 名無しさん (2017-03-07 14 30 11) 1番最初の精神コマンドが努力ってとこがかわいい -- 名無しさん (2017-03-08 03 30 55) ↑設定的には一番似合う精神だけどラスボスが持ってる精神と思うと凄い笑える -- 名無しさん (2017-03-08 04 14 26) OGに出るのがいつになるかはしらんが、グーリー共々仲間になってくれそう -- 名無しさん (2017-03-08 08 40 17) OGは売り上げ的にアレだし第2次Vの方が来年にも早くきそうだな。既にラストで主人公やナインとは分かり会えたフラグ立ったことだし仲間になりそう。 -- 名無しさん (2017-03-08 09 11 48) ↑だけど、Vはあれ単発で、二次の予定はありませんって、Pが言ってなかったっけ? -- 名無しさん (2017-03-08 09 47 31) ハードルートのこいつホント草しか生えない。papmxのeva量産機思い出したけどあっちはごり押しでいけたからな。 -- 名無しさん (2017-03-08 10 15 25) 今回のEXハードがない元凶。 -- 名無しさん (2017-03-08 10 16 44) ハードとifルート混同してる奴多すぎだろ -- 名無しさん (2017-03-08 11 03 23) 戦闘時に相手の機体じゃなくてパイロットとその意思へのコメントが多いのも特徴かもしれない -- 名無しさん (2017-03-08 12 32 06) ↑2 ハードとifルートとはどう違うのだ!? -- 名無しさん (2017-03-08 12 37 46) ハードってのはSRポイントの取得具合で難易度のみ分岐。IFは特定条件でストーリーが分岐。ノーマルとIFどっちが難しいとかの指標は特に無い。 ・・・イスカンダルまでエース育てきってない?もう無理だって諦めなさいよ! -- 名無しさん (2017-03-08 22 07 03) ネバンリンナを超合金でフィギュア化してほしい -- 名無しさん (2017-03-08 23 49 42) タグが萌え要素をこれでもかと詰め込んでカオスだな。仲間になったらインターミッションでの会話も絶対楽しくなりそうだしOGで是非使いたい。 -- 名無しさん (2017-03-09 06 06 08) ↑3 なるほど、α外伝みたいに、難易度でラストが分岐するわけじゃないのね。 -- 名無しさん (2017-03-09 07 36 34) ifルートの通称が困難ルートで、それを字面からハードモードと勘違いされたってことか -- 名無しさん (2017-03-10 00 51 58) エージェント白子verのネバンリンナちゃん一人ください -- 名無しさん (2017-03-10 06 26 10) OGで仲間になるとしたらあのエージェント形態の色違いとかだろうな。でも機械形態の方もジト目可愛くて好き。 -- 名無しさん (2017-03-10 07 34 29) ロザリーとか相手にも特殊台詞あったしほぼ全員相手に特殊台詞ありそう?この辺も自軍側のキャラクター一人一人について詳しく知ってる感じでいいよね -- 名無しさん (2017-03-10 13 12 59) 困難ルートそんなに難易度高いかな? HP落ちてるしパイロット能力も大幅に低下してるしHP回復も大じゃないし、4回行動じゃなくなってるし常時集中とかの精神コマンド使わんし。個人的にはフルカウンターで落ちる雑魚集団でしかなかった。 -- 名無しさん (2017-03-11 04 16 37) あれ?もう一つ疑問点が、確か原作ではコスモリバースは、波動砲制御室に設置されたから、発射は不可能なんじゃ? -- 名無しさん (2017-03-11 07 36 56) 波動砲の制御システムをナデシコに保管しておいてボソンジャンプで入れ替えたのよ -- 名無しさん (2017-03-11 09 22 22) アミテージ・ザ・サードのアンドロイドみたいに受胎機能があればセクロスできるのに(笑) -- 名無しさん (2017-03-11 10 25 01) いろいろ情報を確認すると単独だと最高4回行動、AKD25状態だと各自最高3回行動らしいがどうなんじゃろう -- 名無しさん (2017-03-11 11 05 27) 困難ルートハードモードの勝利の鍵はヤザン大尉でした。先見なきゃナデシコ落とされてたわ -- 名無しさん (2017-03-11 13 00 03) ↑4 それはなんという荒業を…… -- 名無しさん (2017-03-11 14 30 36) 真ルートはネバンリンナちゃんとの和解ルートで良いのにね。やっぱり「ラスボス=倒さなきゃいけない」っていう存在だからかな。 -- 名無しさん (2017-03-11 18 38 51) Vが新シリーズとして続いていくのならイルイとガンエデンのように味方になってくれる可能性もあるだろう -- 名無しさん (2017-03-11 19 41 15) 残念なことにPが「Vは単発」って言ってたんだよな確か。ネバちゃんが仲間になるとしたらOGかな。 -- 名無しさん (2017-03-11 19 45 35) ↑×2 フェイ・イェンHDもVに参戦してればなあ・・・ -- 名無しさん (2017-03-11 22 29 40) ネバンリンナ見ていると、いつかアーマードコア3SLのIBISみたいなラスボスも出てほしいな -- 名無しさん (2017-03-13 00 24 45) ネバちゃんページ、スパロボタグの中でも人気あるなw -- 名無しさん (2017-03-13 00 31 17) 22.3mってぶっちぎりで小型どころか、現在のスパロボオリのラスボスで最小サイズじゃないか? -- 名無しさん (2017-03-13 22 16 23) スパロボのラスボスの中でもかなり特異かつ人気のあるキャラだしOGじゃ仲間になりそう。ナインと母娘で成長していくエピソードとか見たい。 -- 名無しさん (2017-03-13 23 01 46) 天駆とは極端に行き違ってたし傲慢さもあったとはいえ彼女なりに正しいと思う事の為に一生懸命だったところをみると、やはりナインが早期に勇者特急隊からAIが持つ正義を学んだ事の意味は大きかったと思う -- 名無しさん (2017-03-15 01 02 02) 設定だけみると、今までのラスボスの中では下の方になるよね。 -- 名無しさん (2017-03-18 20 24 14) ↑まあ、因果律とか言わないしね。あれ?なんか因果律がどうのこうのという機体がいたような?(棒 -- 名無しさん (2017-03-19 11 18 08) 確かに敵ではあったけど、間違いなく 悪 では無かったよなぁ -- 名無しさん (2017-03-19 11 37 14) 本人なりに与えられた情報、育った環境で知ったことを全力でやろうとしただけだからね そこに致命的な不備があったのも本人の責任じゃないし なんというか本当に不憫な子 やり方は間違えてたけど想いは本物だったよと認められる最後だったのは良かった -- 名無しさん (2017-03-19 12 50 45) 根っこはシステム的だけど、娘の影響かそんなに悪いラスボスって感じがしないんだよね。方向性こそ違うがどちらも正義であるって感じ。 -- 名無しさん (2017-03-19 13 15 32) 存在理由が存在理由なのと、ガ―ディム由来の極端な傲慢さ≒文明思想という負の面が初めから埋め込まれてるのがなぁ -- 名無しさん (2017-03-19 19 33 21) Vが単初じゃなかったら間違いなく第2次Vで味方として出てきそうだったのにな。これは是非ともOGで仲間にしたい。 -- 名無しさん (2017-03-19 22 53 16) ゲームシステム的な事言うと、3万ちょいのHPのラスボスって、何気にαシリーズ以降いなかったよな?初期のスパロボならともかく -- 名無しさん (2017-03-20 14 03 03) ↑まあ「ラスボスが25体」なんて斬新な事も同時にやったわけだから。ところで、名前の由来は想像だけど「涅槃輪廻」かね? -- 名無しさん (2017-03-20 14 13 20) ある意味では戦うハメになったのは自軍のせいでもあるんだよね。自軍の面々がナインに愛についてきちんと教えていれば戦わずにすんだのだろうか? -- 名無しさん (2017-03-21 03 47 00) 仮にソウジさんが最後までナインに教えてたとすると、最終面でソウジ争奪戦が・・・ -- 名無しさん (2017-03-21 07 58 54) 愛についてまともに説明できたのが愛妻家のコーラサワーくらいだという自軍のエースどものウブさ。 -- 名無しさん (2017-03-21 11 34 04) 「涅槃輪廻」ではなくて、数学者の「ロルフ・ネヴァンリンナ」が元ネタかと。ガーディム関係のネーミングは数学関連からの引用が多いみたい。 -- 名無しさん (2017-03-21 19 37 59) ブチ切れた本性が子供っぽい・オリキャラのさりげない所に伏線がある・最終的に自軍部隊からも一定の敬意を持たれる…こういった所を見てWのインファレンスと似ていると思った。 -- 名無しさん (2017-03-22 23 42 10) 割とまともな人(?)だった。ナインが真相のデータまで揃って渡していたら納得してたかもしれん -- 名無しさん (2017-03-23 13 34 19) IFルートを先にやってて物凄い数コイツが出てきた時はビビったけど気付いたらマイトガインとマジンガーZEROとクアンタとグランヴァングのマルチアクションで一方的な虐殺タイムになっちゃってたでござるの巻w -- 名無しさん (2017-03-23 22 46 24) 困難ルートでシステムに徹しようとしたネバンリンナに立ち向かう場面は本作の主題歌の歌詞の一部を思い出すものがある。そしてシステムに堕ちた本当の悪魔にしてはならないという思いで、やはり体感温度が高まることに。 -- 名無しさん (2017-03-23 23 05 52) 困難ルートの方もカタコトなだけで、けっこうポンコツぶりが伺える -- 名無しさん (2017-03-24 01 27 48) そういえば歴代スパロボのラスボスで戦闘時のBGMが変化せずに各々の作品の主題歌のまま戦うラスボスってリンナちゃんだけ? -- 名無しさん (2017-03-24 19 57 12) コメント欄が長くなってきたのでリセットしようと思います -- 名無しさん (2017-03-25 21 34 06) 面白いのでダメです -- 名無しさん (2017-03-26 13 17 45) ifルートだと25体も出てくるから戦闘前会話が見やすくて良かった -- 名無しさん (2017-03-26 14 15 01) ↑Z再世通常のガイオウ様も各作品主題歌だったと思う。で、IFでガイオウ様BGMだった気がする。 -- 名無しさん (2017-03-26 20 41 43) 何の権利があってか判りませんが、『勝手に』コメントリセットされていたので復元しました。 -- 名無しさん (2017-04-02 00 36 31) LのAL-3とクロスオーバーしてほしい -- 名無しさん (2017-04-02 10 08 58) ボン太くん特殊会話&戦闘台詞はどのルートでもあるので必見。かつてここまでポンコツ可愛いラスボスがいただろうかw -- 名無しさん (2017-04-05 08 41 37) あれで外見がもっとアニメ絵女の子っぽかったら、さらにかわいさ倍増だったのにw -- 名無しさん (2017-04-05 08 55 32) 通常ルートと困難ルートの性格逆にして困難ルートで和解生存で良かったよね -- 名無しさん (2017-04-11 00 02 45) ↑(続き)そんでナインちゃんと一緒にキャップ 姉さんから愛を学んでパニクるネバンリンナちゃん見たい -- 名無しさん (2017-04-11 00 04 49) コイツってガガガのソール11遊星主みたいなもんか? アッチは地球人見下してっけど -- 名無しさん (2017-05-02 22 06 08) そういえば確かニコニコ大百科のコメント欄辺りで 「元祖スーパーロボットであるマジンガーZ(より変じた存在であることが物語の重要な鍵を握るマジンガーZERO)が参戦するのであれば、オリジナル敵はロボットものの祖としてマジンガー以前の存在である鉄人28号か鉄腕アトムがモチーフになるんじゃないか?」 という声がありましたが、 「ヒトの心の在り方を求める造られた存在」という意味ではあながち当たらずとも遠からずだった……? -- 名無しさん (2017-05-02 22 10 51) キリコと対峙したらどんな反応するんだろうな…アイツも愛の為に戦った男だし -- 名無しさん (2017-05-06 12 33 05) 某動画サイトに「ZERO対ネバリン軍団(意訳)」があったけど、あまりの展開に同情したくなった…。 -- 名無しさん (2017-05-27 01 48 03) VにVガンが参戦していたらカテジナさんから愛を学んで、「戦え、ガーディム、地球…。あたしの手の中で戦いなさい…。勝った文明は、あたしが全身全霊を賭けて再建してあげるよ…」となっていたのか -- 名無しさん (2017-06-23 06 57 18) これは、自分はやはり困難ルートよりは通常ルートでクリアしたいなぁ……。ネバたんかわゆすぎるw -- 名無しさん (2017-06-23 07 49 00) さっき一週目を困難ルートでクリア 増殖したネバンリンナを見た瞬間、迷わずZEROを単騎特攻させた。……そして次のターンそこには残り数機しか残っていないネバンリンナ軍団とHP軽く8割残り&EXC満タンと化したZEROの姿が…… -- 名無しさん (2017-07-03 00 30 50) 残念ですが、声帯ユニットの方が亡くなられたそうです。OGに出すなら味方ルート(=新録ボイス)も欲しいし、まずは代役の確保からなのかな…? -- 名無しさん (2017-11-17 13 07 47) ↑ああああ、鶴ひろみさんかああああ!!(;_; 本当にご冥福をお祈りします……。 -- 名無しさん (2017-12-25 19 55 47) ↑6 あれはワロタ… -- 名無しさん (2018-02-16 02 10 16) 最初は「どーやって倒せばいいんだよこんなの!!」って絶望したけど流暢から片言になった途端倒しやすくなってワロタわ(それでもかなり強いけど) -- 名無しさん (2018-02-16 19 49 44) 困難ルートで出てくる数は「25」体 本作はスパロボ「25」周年作品 -- 名無しさん (2018-03-13 23 02 50) もしOGに出るとしたらDBのブルマと同じように久川綾さん、もしくはアンパンマンのドキンちゃんのように冨永みーなさんあたりが代役かな? -- 名無しさん (2018-06-30 16 03 43) 機械の心という意味でいえば、マイトガインよりジェイデッカーのほうが向いて舞人「縦一文字斬りっ!!」 -- 名無しさん (2018-06-30 16 18 26) シロ―とアイナからも愛を学んでほしい、アスノ家とかにも -- d (2018-07-08 23 54 32) スパロボで乳首解禁(イルボラと違って偽り無し) -- 名無しさん (2018-07-17 17 15 44) 個人的にはどうしようもない創造主であるガーディムをそれでもなお、復活させようとした姿勢には十分、「愛」がある気がするんだよな -- 名無しさん (2018-08-24 11 12 09) Zと共演したら、クロウとかランドにがんがん怒られそうだよね。 -- 名無しさん (2018-08-24 13 20 18) ↑2 物事に対する愛着などを持たなかったが故に、それしかできないシステマチックな存在であるともとれる -- 名無しさん (2018-08-24 13 36 01) ↑9 そのときからネバンリンナ -- 名無しさん (2018-10-05 10 07 50) ↑誤送信した そのときからネバンリンナはただのこわれたマシンになった -- 名無しさん (2018-10-05 10 08 43) Xのラスボスである魔獣エンデも人間臭い人外だったな -- 名無しさん (2018-11-30 14 19 43) ↑本質が「美味しいものをたらふく食べたい」と「生き残りたい」っていう生物誰しも抱えてる欲求に従ってるだけだからな。ただそのやり口は下種以外の何物でもなかったが -- 名無しさん (2018-11-30 15 31 24) インフィニット・ストラトスの一夏達からも学びそうで学んでないとか、 -- d (2018-12-16 14 13 50) ノーマルと高難度逆の展開の方がしっくり来るんじゃないかな。エーストーク多くこなした=自軍の影響を多大に受けた、になるけどどっちにしても愛については不明なままだし -- 名無しさん (2018-12-16 15 09 20) ↑いやぁ、こっちの方がいいんじゃない? 人間のことを多く学び、賞賛して理解していたつもりけれども、根柢の部分はただの機械に過ぎなかったと -- 名無しさん (2019-08-23 23 29 21) 小物タグあるけど、小物要素あるか? -- 名無しさん (2019-09-23 15 01 16) 25体というところがスパロボ25周年とかけているように見えなくもない 物騒な祝い方だ… -- 名無しさん (2020-05-01 22 10 36) 実際の所フル改造ヤマトなら補給とエクストラターンを活用すれば単騎で殲滅出来てしまったりする。おそるべきは元祖宇宙戦艦 -- 名無しさん (2020-09-25 17 51 31) ↑特攻でとはいえ、超巨大戦艦ガトランティス沈めたからねー -- 名無しさん (2020-09-25 18 31 33) 困難ルートで正攻法で戦おうとすると結構きついんだけどね。ただ、ZEROさんとヤマトというチートユニットがいるので最悪鉄壁かけたこの2体突っ込ませれて後は補給しとけば勝てる -- 名無しさん (2021-03-07 17 34 02) フロンタルのMAP兵器で殲滅した記憶が -- 名無しさん (2021-04-09 20 30 16) 外宇宙の人類補完計画(ポンコツ枠) -- 名無しさん (2021-05-22 22 29 07) まあVは敵より味方のほうがヤバいからね。どれだけ強化しようと数を増やそうと最後にはエンペラー艦隊が立ちふさがるんだから -- 名無しさん (2021-05-22 23 30 05) バンプレオリジナルラスボスが味方になる展開…はまぁ、珍しくはないか -- 名無しさん (2021-05-22 23 31 15) 一応、コーラサワーがエーストークでナインに「カティへの愛」について語ってたんだけどな… 1人じゃ足りねぇか -- 名無しさん (2021-05-23 11 13 16) Tでの出来事が描いてないな… -- 名無しさん (2021-05-23 11 26 01) 綾波とナインが互いに無言ながら似た者同士的な感じを漂わせていたイベントあったけどやり方や手法は異なれども存在意義はリリスと丸っ切り同じなのよねこのラスボス。ただリリスと違い人の手で生み出されたシステム(元の第一始祖民族踏まえるとリリスにアダムも同一だが)という違いはあるけど -- 名無しさん (2021-07-15 12 14 33) マイトガインの納豆ステージ経たからどうしても粘リンナに見えてしまう -- 名無しさん (2022-08-07 13 31 05) 灰色背景に水色文字が致命的に読みづらいんだけど -- 名無しさん (2024-02-10 06 28 04) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/314.html
◆ 火花が散る。数合剣戟を交え、剣刃が乱れ飛ぶ。灼熱する斧を弾き飛ばし、横に薙ぎ払う。押した。押して押し捲った。 隙はない。防御も厚い。しかし、破れる。突き破り、この男を避わすことが出来る。それが見えた。が、同時に側面を衝かれ、手痛い被害を受ける自身の姿も見えていた。 一瞬の躊躇。それで機を失う。攻めあぐね、跳び下がり距離を取る。五度目だった。突き破れる手ごたえを感じながらも、全て跳ね返された。 目の前の男は待っている。それは確実だった。薄ら笑いを浮かべながら、強引に突破を図る瞬間を待ちわびているのだ。それに乗る事は出来ない。 ブンドルは唇を噛んだ。すでに相当の時間が経過している。死者が出ていても不思議ではないだけの時間だ。それだけの時間を費やして突破も出来ない。それがプライドに傷をつけた。 互いの損傷は皆無。僅かに斧を弾き飛ばした点だけ、相手に被害を与えた。ただそれだけだ。 無傷では切り抜けられない。崩せない。手負う覚悟があって初めて傷を負わせられる。この男を突き崩せる。そう思った。 だがそれは許されないのだ。ラプラスコンピューターに損害を与えることは避けねばならない。やはり無傷で切り抜けるしかないのだ。それには切っ掛けがいる。あの男の注意を逸らすだけの切っ掛けが。 ◇ 「つまらねぇな……」 小さく呟いた。この敵はつまらない。技術技量は驚くほど高い。動きも目を見張るほどで、無駄がなく隙もない。攻めは苛烈。守りは堅固。しかし、つまらない。 恐さがないのだ。堅実で、大きく賭けに出てくるような動きを取ろうとしない。機会は何度もあったはずだ。賭けに出れば突破できる程度には、何度も崩された。 しかし、それに乗ってこない。そういう敵は手強くても恐ろしくはないものだ。つまりは、つまらない相手ということになる。 面白味という点では、アキトやテニアとか言う嬢ちゃんの方が遥かに勝っている。興味も半ば失せて来ていた。 その時だ。彼方に巨大な光輪の華が咲いた。咄嗟に背後を振り返る。その動作はモビルトレースシステムを伝わり、正確に機体に反映された。同時にゾッとした悪寒が体を包み込む。 「チィッ!!」 正面に向き直った。既に白銀の機体は驚くほど近い。無駄のない剣閃が襲ってくる。辛うじて防いだ。 そのまま二合三合と切り結ぶ。しかし、押されている。このままでは押し切られる。 思わず笑みが漏れた。 「ククク……やりゃぁ出来るじゃねぇか。なぁ!! おいッ!!!」 守りを捨て踏み込む。自らの身が傷つくことも厭わない。頭を断ち割るビームナイフの一撃。しかし、それは空を斬ることとなる。 眼前で白銀の機体の姿が変わる。人型から鳥のような姿へ。交錯。瞬く間に脇をすり抜けて背後へ。踏み込んだ分動きの遅れたガウルンは、その変化について行くことは叶わない。 振り返ったときにはその姿は既に小さくなっていた。とてもじゃないが追いつけない。 「やれやれ……やられたねぇ」 突如巻き起こった巨大な爆発。 おそらくは何らかの決着が着いたのだろう。だとすれば思ったほどの混戦にはならなかったということだ。それにあの爆発では生き残りがいるのかどうかも怪しい。いてもくたばり損ないだろう。 となれば、いまいち面白味に欠ける戦場だ。興味が急速に失われていくのを感じていた。 「骨折り損のくたびれ儲けってやつかねぇ、こりゃ。まったくお寒いねぇ」 地に落ちたヒートアックスを拾い上げたガウルンは、思わずそうぼやかずにはいられなかった。 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL) パイロット状態:良好、主催者に対する怒り、焦り 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 現在位置:D-3 第一行動方針:ギンガナムとの合流 第二行動方針:協力者を捜索 第三行動方針:三四人の小集団を形成させる 第四行動方針:基地の確保のち首輪の解除 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ 備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能】 【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状況:疲労小、DG細胞感染、気力120 機体状況:全身に弾痕多数、頭部・左肩・胸部装甲破損、マント消失、ダメージ蓄積 DG細胞感染、損傷自動修復中、ビームナイフとヒートアックスを装備 現在位置:D-3 第一行動方針:近くにいる参加者を殺す 第二行動方針:アキト、テニアを殺す 第三行動方針:皆殺し 第四行動方針:できればクルツの首を取りたい 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す 備考:九龍の頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました 】 【グラキエース 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神不安定。放送の時刻が怖い 機体状況:無数の微細な傷、装甲を損耗、EN残量1/2、ブレンバーにヒビ ENの減少により長距離バイタルジャンプの使用不可 現在位置:D-3 第一行動方針:アイビスと共に離脱 第二行動方針:クルツの代わりにノイ=レジセイアを一発ぶん殴る 最終行動方針:??? 備考1:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません 備考2:負の感情の吸収は続いていますが放送直後以外なら直に自分に向けられない限り支障はありません】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ヒメ・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:気力回復、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない) 機体状況:頭部損失(実質大破)ソードエクステンション装備。 現在位置:D-3 第一行動方針:ラキを問い詰める 第二行動方針:寝るのが少しだけ怖い 最終行動方針:どうしよう・・・・・・ 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A) パイロット状況:死亡 機体状況:大破】 【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状態――――― ざわり 空気が揺れた。クルツの巻き起こした爆発の余波による電波傷害は、未だ治まる様子を見せていない。だからレーダーに反応は無かった。 しかし、肌が不穏なモノを感じ取ったのだ。それは皮膚を焦がすように熱い闘争本能の塊。濃厚にして濃密。全てを焼き尽くさずにはおれない地獄の業火。 そういったモノが、廃墟を荒野へと変えた爆発の中心地点のほうから迫って来る。間違いない。奴はまだ生きている。確信に近い思いでラキはそれを感じ取った。 顔が難しい表情を作り、思い悩む。悩み悩んだ後で、ラキは諦めたようにポツリと呟いた。 「……どちらにしてもこれしかないか。すまないな、クルツ」 クルツと自分の役回りが逆ならば、こんなことにはならなかった。クルツが命を落とすことなど無かった。 そして、今自分はクルツが残してくれた命を散らそうとしている。今度は自分の番。そう思い定めている。そういう意味での二重の謝罪だった。 通信をヒメ・ブレンへと繋げる。 「アイビス、さっきも頼んだようにこいつを頼む」 「えっ?」 モニターにアイビスの顔が映し出される。驚いた目が大きく見開かれるのが見えた。 恐らく死んでいったヒメ・ブレンの体をその内側までも綺麗に拭っていたのだろう。せめて綺麗な姿で弔ってやろう、そういう想いが、手に握り締められた汚れた布切れに込められているように思えた。 その光景にふっと頬が優しく緩むのを感じる。こんな奴だからだ。こんな奴だからこそ、ジョシュアも守って死んでいったのだろう。そういう気がした。 「ギンガナムがそこまで迫っている。私はこれからあいつを止めに行く。心配するな。お前だけは何があっても絶対に守るから」 「待って! 私も行く。ラキ、あんただけに戦わせるなんて出来ない」 懸命な目と声が迫って来る。一心に言い募ってくるその必死さに思わず押し切られそうになりながら、しかしラキはゆっくりと諭すようにアイビスの言葉を退けた。 その語調には、子供に言い聞かせる母親の温もりがどこか染み出ている。 「それは出来ない。今のお前では足手まといなんだ。分かるだろう?」 「でもそれじゃあ、あんたが……あんたも……」 「気にするな。メリオルエッセである私には似合いの最後だ」 アイビスが俯いた。分かっているのだ。自分が何の役にも立たないのだと。送り出せばもう帰って来ないのだと。 肩が震えている。泣いているのか? そう思ってもどう声を掛けて良いのか分からず、途方に暮れながらも、何故かこのときラキはジュシュアに向けるのとはまた違った愛おしさが湧き出てくるのを感じていた。 生きた時間で言ってしまえば、ラキはアイビスの十分の一も生きていない。しかし、それは母親が愛娘に向ける愛情のようなものだったのかもしれない。 やがて袖口で目元を拭ったアイビスの顔が上がり、無理に貼り付けた笑顔を浮かべる。今にも崩れ去りそうな笑顔。しかし潤んだ眼差しは真摯に見つめてきていた。 「ラキ、あんたは……あんたはもう立派な人間だよ」 そうか、泣いていたんじゃない……この娘は考えていたのだ。もう止められないと思い、最後に何を伝えられるのか、その言葉を探していたのだ。 何だろう……胸が温かい。なんとなく分かった……これは一番私が欲しかった言葉なんだろう。 ふっと目頭が弛む。笑顔で返そうとして、涙が溢れてくるのを抑えることが出来ない。 「そうか……私は人になれたのか……」 ほぅっと溜息を吐くようにして言葉が漏れる。大事に大事に言葉を口の中で反芻し咀嚼する。あたたかい。胸に灯ったぬくもりが気持ちいい。 何よりの餞だ……私には過ぎた餞別だ。思えば誰かにそう言ってもらえるのを私は待っていたのかもしれない。ありがたい。 でも、だからだ。こんなことを言ってくれる人間だからこそ守らなきゃいけないんだ。 「アイビス、ありがとう。泣くな。胸を張れ。お前は精一杯頑張っている。 ……会えてうれしかった。がんばれ」 溢れた涙が零れ落ちるのを頬に感じた。その涙の一粒でさえも今は温かい。 通信をそっと閉じる。暫くは体が震えて動くことが出来なかった。いや、胸中に湧き出てきたぬくもりを噛み締めていたかったのかもしれない。 ぐいっと潤んだ目を拭い、鼻を噛む。大きく長い溜息を一つ。 ちらりと横目で頭部を砕かれたヒメ・ブレンを確認する。その右手にはしっかりとソードエクステンションが握られていた。最後まで力強く戦った証だった。 これで憂いはもう何もない。後はどれだけ完全な状態でネリー・ブレンをアイビスに明け渡せるかだ。 キッと目元に力を込め、前方を睨みつけたラキは、いつもと同じ声、同じ態度でブレンに最後の戦いを促した。 「さぁ! 行こう、ブレン!!」 ◇ D-3地区に広がる広大な廃墟。その一角を円形に抉り飛ばし、出現した荒野の尽きるところ。 徐々に白んでいく空の下、何もない荒野と瓦礫の町の狭間でただ二つの機動兵器が全てに取り残されたようにぽつんと対峙していた。 装甲のいたるところに傷を拵え、金属特有の光沢を失っている蒼い機体ネリー・ブレン。 表面装甲の六割が膨大な熱量によって融解し、氷柱のように垂れ下がった状態で凝固しているシャイニングガンダム。 二つの機体はまさに満身創痍。だが、二機は戦う力も気概も失わず、かといって不用意には動くことも出来ずにただ睨み合いを続けていた。 全身が、汗にまみれていた。ギンガムの放つ圧力は並大抵のものではない。それを押し返し睨み合う。ただそれだけで疲労は蓄積されていく。 (ブレン、分かっているな?) (……) (すまないな。嫌な思いをさせる) これまでの交戦で互いが互いの手を読みつくしている。ゆえに迂闊な初動は即座に死に繋がる。普通ならば容易には動けないものなのだが、この男にそんなことは関係なかった。 「名残り惜しい気もするが、そろそろこの戦いも終わりだな。ならば――」 装甲が焼け爛れたシャイニングガンダムが光を発し、黄金に染まる。 緻密な計算も、姑息な浅知恵も関係ない。全てを薙ぎ倒す力の信奉者ギム=ギンガナムは吼えた。 「この一撃をもってええぇぇぇえええ!! 神の国への引導を渡してくれるっ!!!」 刹那、ブレンが一歩を踏み出し、その場から掻き消えた。ギンガナム相手に真っ向から攻める愚は冒さない。かと言って、初手から死角を使う愚かさもない。 側面を突く。しかし、ギンガナムはもう、鋭敏に反応していた。 雄叫びをあげ、ブレンバーを振るう。ぶつかった。押される。抗えたのは束の間だった。圧倒的な力で押し流される。それを何とか撥ね上げた。皹が広がる音。 二撃目。力を受け流しきれずに、ブレンバーの刀身が半ばで砕け散る。三撃目は死。次は凌ぎ切れない。だから刺し違える。命を賭してならそれが出来る。そして、それはここしかない。 跳躍。ギンガナムの右後方――左腕からもっとも遠い死角――そこへ。ギンガナムがにやりと笑った気がした。 瞬間、相手の左腕が閃光を発する。動きはここにきて尚早い。ここぞというところを嗅ぎ分けるこの男の嗅覚には、思わず舌を巻く。 三撃目。砕けた刀身を突き出した。前へ。ただ前へ。暁を背に二つの影が交錯する。ぐしゃりと砕ける音。モノが潰れる感触。 光る腕は眼前で止まり、その光を失っていた。そして、ブレンバーの刀身はギンガナムを貫いている。 「生きて……いるのか? 私は……」 死を覚悟して前に出た。にもかかわらず生きている。何故、自分は生きているのか? 生きていることを喜ぶよりも先に、疑問が思い浮かんだ。 ジョシュアがギンガナムの右腕を持っていってくれた。クルツが装甲を脆くし、機体そのものの動きも鈍らせてくれた。その彼らが開いた血路のお陰で生き残れた。 それは分かっていたが、やはり生きているということが不思議でならなかった。緊張の糸が途切れたのか、どこか呆然としているという自覚がある。 心ここにあらずというのは、こういうことなのだろうか? 「貴様、名は?」 不意に声を掛けられてびくりとした。思わず声が上擦るのを感じながら、言葉を返す。 「……グラキエース」 「ふ……ふふ……グラキエースか」 不適な笑みをこぼしたギンガナムが、ブレンバーが突き立ったまま一歩前に出る。そして、一歩が二歩に。ブレンバーはさらに奥深く突き立つこととなり、黒いオイルが血の様に噴出していた。 「貴様の名、覚えたぞォォ!! 我、魂魄百万回生まれ変わってもおぉぉおおお!!! この恨み、晴らすからなああぁぁぁああああ!!!!」 眼前の左腕が再び閃光を発した。近い。そして、反応が遅れた。避わせない。ブレンの頭部が捕まる。咄嗟に両腕でその腕を掴む。しかし、ビクともしない。 突然、恐怖が襲ってきた。この身が消え果るという本能的な恐怖。ブレンのものか、自分のものか、判別はつかない。 思わず胸をグッと掴む。あたたかい。そうだ。このあたたかさの為なら私は命を賭けられる。私が私のままで逝くことが出来る。 ジョシュアはよくやったと褒めてくれるだろうか? あいつは私の頭にぽんと手を置き、優しくなでてくれるだろうか? きっと褒めてくれる。きっと優しくなででくれる。もう悔いは……ないっ! 「跳べ! 跳ぶんだ、ブレン!!」 怨嗟の念と自身への誇りを残し、一つの命を糧に二つの機動兵機がその場から掻き消える。そして、一ブロック南――D-4地区に余りにも小さな爆発音が人知れず鳴り響いた。 ◆ ラキが出て行って暫くたってから、ネリー・ブレンが戻ってきた。その姿は泣いていた。何故だか分からないが、そんな気がしたのだ。 コックピットを覗くとそこにはラキの遺骸が乗っていた。 それとヒメ・ブレンの分の穴をネリー・ブレンと一緒に掘った。クルツは跡形もなく吹き飛んでいて、埋めるようなものは何も残っていなかったのだ。 ブレンに触れ、そっと呟く。 「ねぇ、ブレン。ラキの最後は……どんなだった?」 (……) 「そう……そうか。うん。ありがとう」 二つの遺骸を納め、土をかぶせていく。こみ上げてくるものをグッと堪える。 ジョシュアを埋めたときには泣いた。シャアが死んだときには泣く気力すら残っていなかった。 でも、今は泣くべきではないと思っていた。 みんな見事に死んでいった。そうだ。見事な最後だったんだ。死ぬときはこうありたいと誰もが思えるような見事な死に様だ。 でも……死は死だ。他の何者でもない。 そして、自分は生かされた。たまたま自分は生かされたのかもしれない。そこにいたのが自分でない誰かであっても、きっとみんな守って死んでいっただろう。 だからといって、自分が生かされたという事実はなくならない。それはやはり黙して受け止めるべきことなのだ。 今はまだ泣かない。 泣くのはやるべきことが全部終わったあとでいい。そのときに思い出して泣こう。そのときまで涙は取っておこう。 遺骸が土に隠れると胸の前で手を合わせ、ゆっくりと目を閉じる。 ジョシュアは何も言わずにただ守ってくれた。シャアは死ぬこと以外好きにしろと言った。 クルツは命を懸けても譲れないことがあることを教えてくれた。ラキはただ頑張れと言ってくれた。 そして、ヒメ・ブレンはこんな私に最後まで付き合ってくれた。文句の一言もなく。 でも、何をやるべきなのかは、誰も教えてくれなかった。それはきっと自分で決めるべきことだ。みんなが生かしてくれた自分が自分で決めるべきことだ。 そう思った。 スッと目を開けたアイビスは、顔を上げてネリー・ブレンを見上げる。真似たのか両手を合わせた姿がそこにはあった。 そのどこか滑稽な姿にふっと頬を緩ませ、墓に背を向けて歩き出す。後ろ髪引かれながらも振り向かない。振り向いてはならない。 『そりゃ、お前が引け目を感じているからだ』 ギンガナムに接触する前、ラキのことを聞いた返しに、ここに来てからの話をしたときのクルツの言葉だ。 『一方的に何かをしてもらったと思ってる。自分は何もしてないのにってな。つまり対等だと思えないんだ。仲間なのにな。 理由もないのに世話を焼かれ続けるのってきまりが悪いだろ? それと同じだ。相手は気にしてないのかもしれないが、お前はそれを気にしてる。 だったら見返してやれるぐらいしっかりした人間になればいいのさ。そのくらい自分に自信がついたら、その後ろめたさは消えるんじゃねえかな』 一人生き残ってしまった後ろめたさ。それはまだ消えない。多分そう簡単に消えるものでもないだろう。消えるようなものではないのかもしれない。 それでも、いつかは死んでいった人たちの命に見合うような人間になりたかった。 「ジョシュア、ラキ、シャア、クルツ、ブレン……あんた達はそこで見ていて……もう迷わないから。もう立ち止まらないから。 私は、私なりの生き方で精一杯生き抜いて見せるから……。だから、笑って見ていて」 墓を背に、喉元まで出掛かった嗚咽と涙を押し戻し、空を見上げたアイビスは言う。思いのほか綺麗に澄んだ声が、朝露に溶けて消えていった。 「行こう、ブレン」 ◆ すり鉢上に抉れた荒野。直径10km程もあるその荒野の上空を一羽の神鳥が飛んでいた。 その神鳥はぐるりと大きく旋回すると廃墟と荒野の境目に一つの人影を見つけて、軌道を変えた。 やがて神鳥はその男の元へと降り立つ。 「ブンドルか……」 「ギンガナム、無事だったのか」 神鳥――サイバードから声を上げ降りていく。それを目の前にギンガナムは実に誇らしげに笑った。 「うむ。危ういところだったが小生は勝ったぞ。一人は取り逃してしまったがな。だが、ギンガナム隊の勝利だ」 頭が痛い。この男、確実に修復不能なまでの溝を作ってくれたに違いない。そして、自分はこいつの一派だと思われている公算が大きい。 今後の行動に支障を来たす可能性は高かった。それに生き残った一人がギンガナムの健在を知るのもそう遠くはないだろう。眩暈すら覚える惨状である。 「ときにブンドル。貴様、マスターガンダムをどうした? まさか倒してはおらぬであろうな」 「やはりあれもガンダムというのだな。心配するな。撒いてきた」 「ならばよし! あれとは小生が戦う。貴様は手を出すなよ」 それは一向に構わない。むしろ願ったり叶ったりなのだが、これだけ暴れておいてまだ戦うつもりなのか、と心底呆れ果てる。 本当に付き合いきれない。 「ギンガナム、機体はどうするつもりなのだ? 言っておくが、サイバスターを貸す気は私にはないぞ」 見つけたときからギンガナムは一人で、機体は跡形もなかった。にもかかわらず戦う気満々である。 だから不安が過ぎる。せっかく苦労して守り通したサイバスターなのだ。あっという間に壊されてはたまったものではない。 だが、ギンガナムからはカラッと陽気な声が返ってきた。非常に上機嫌だ。 「ふん。そのような機体に頼らずとも小生にはシャイニングガンダムがある」 「見当たらないが……」 「そろそろ頃合か。よいかブンドル。小生は機体ごと禁止エリアに転移されると悟った瞬間、飛び降りた。すなわち機体のみ跳ばされたのだ。 そして、シャイニングガンダムは呼べば来る機体だ! 目には物を見よッ!!」 前後の説明がないのでいまいち理解に苦しむ。とりあえず非常識なことをやらかしたのは分かった。だが、そんなこちらの様子を気にした風もなく、ギンガナムは天高く右手を掲げる。 何だ? 何故こいつはこうまでハイテンションなのだ? こちらとしてはお前が巻き起こした惨状に頭が痛いというのに。その無邪気さが恨めしかった。 「出ろッッ!! ガンダアアアァァァァァアアアアアアアアアアアムッッッッッ!!!!!」 それがやりたかっただけだろ。そう思わずにはいられない喜々とした表情で叫び、指を弾く。地鳴りが響き。何処からともなくシャイニングガンダムが姿を現した。 しかし、その姿はお世辞に無事とはいえない。腹部に刃物が突き刺さっているのだ。その他の箇所も散々な有様である。 「見たか、ブンドル! シャイニングガンダムはこの通り健在だ。さぁ、 行くぞ!! ガンダムファイトの挑戦状を奴に叩きつけになぁぁぁぁあああああああ!!!」 溜息を吐かずにはいられない。仲間にしたのは間違いだったのだろうか……。いや、間違いなく間違いだった。力一杯そう思う。 そして、明けの荒野にギンガナムの笑い声が木霊する。 「フハハハハハハハハハハハ……ゲホッ!! ゲホゲホ!! み、水をくれ、ブンドル」 「知らん」 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL) パイロット状態:主催者に対する怒り、疲労(主に精神面) 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 現在位置:D-3 第一行動方針:状況の把握 第二行動方針:協力者を捜索 第三行動方針:三四人の小集団を形成させる 第四行動方針:基地の確保のち首輪の解除 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ 備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能】 【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状態:あちこち痛いが気にしない(気力160:限界突破) 機体状況:右腕肘から先消失、腹部装甲に折れたブレンバーが突き刺さっている 各部装甲に多数の損傷、表面装甲の六割が融解して垂れ下がり凝固、EN10% 現在位置:D-3 第一行動方針:ブンドルについていく 第二行動方針:強者を探してギンガナム隊に勧誘 第三行動方針:倒すに値する悪を探す 第四行動方針:マスターガンダムにガンダムファイトを申し込む 第五行動方針:アイビス=ブレンを探し出して再戦する 最終行動方針:最も強い存在である主催を討ち、アムロ達と心ゆくまで手合わせ 備考:ジョシュアの名前をアイビス=ブレンだと思い込んでいる】 【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状況:疲労小、DG細胞感染、気力120 機体状況:全身に弾痕多数、頭部・左肩・胸部装甲破損、マント消失、ダメージ蓄積 DG細胞感染、損傷自動修復中、ビームナイフとヒートアックスを装備 現在位置:D-3 第一行動方針:近くにいる参加者を殺す 第二行動方針:アキト、テニアを殺す 第三行動方針:皆殺し 第四行動方針:できればクルツの首を取りたい 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す 備考:九龍の頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました 】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神は持ち成した模様、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない) 機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 無数の微細な傷、装甲を損耗、EN残量1/2、 ENの減少により長距離バイタルジャンプの使用不可 現在位置:D-3 第一行動方針:自分がするべきことを見つける 最終行動方針:精一杯生き抜く 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A) パイロット状況:死亡 機体状況:大破】 【グラキエース 搭乗機体:なし パイロット状況:死亡(首輪爆発) 機体状況:なし】 【残り25人】 【二日目5:30】 本編130話 Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(1)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(2)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(3)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(4)