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とある仮面の多重幻想 1 雨上がりの空、地平の向こうに掛かる虹がはっきりと見える。しかし、誰もそれを気にかける者はおらず、『風紀委員』『警備員』の合同会議中の貼り紙がされた扉の向こうの大ホールは騒然としていた。 「先日から頻発している『人間灰化事件』ですが、原因究明を急いでいる最中です。もし何か情報を手に入れた場合は、即刻私に通達してください」 壇上の最高責任者が、学園都市の風紀委員・警備員全員に命じた。これほどまでに大規模な会議なのには理由があった。 未確認生命体やファンガイアの活動や報告は皆無であり、『風紀委員』に復帰した黒子は今の落ち着きに安らいでいた。 「はぁ…平和ですわ」 「つい先日までは連続して怪人が出現したりで大変でしたから……」 第一七七支部に備え付けられたPCを弄り倒す初春が黒子の呟きに答えた。彼女も仮面ライダーと未確認生命体の戦闘の目撃者だが、距離が離れ過ぎていた為に詳しいことはわからないままなのである。 「あれ?」 「どうしました?」 「これ見てください」 気になる何かを初春が見つけたようで、黒子は彼女の椅子の後ろからディスプレイを覗き込める位置へ移動する。薄型の液晶に映るのは、背景が薄い灰色にの黒い文字、匿名掲示板のスレッドのひとつ。学園都市の都市伝説Part9スレと銘打たれている。 「んなオカルトな…」 「まあまあ、気にしたら負けですよ」 「そうですわね」 「これです。ここ」 目の前をゆらゆら揺れる花が邪魔だったので後ろの方に飛ばしておいた。空いた椅子を陣取り、スレを読み進める。 「人間灰化……?」 そこには、こう書かれていた。 灰色の体の怪人に襲われた人間は、一部はその怪人の仲間になり、なれなかった人間は灰になって消滅する、と。 勿論、そんなことを出来る能力者は学園都市には居ない。だが、都市伝説と言われているだけあってか、胡散臭さ全開と黒子は呆れた目つきで下にスクロールする。 「証拠に写真もうpされてるんです」 「どうせ合成の類じゃありませんの?」 「解析した結果、本物だったみたいです」 「何を根拠にそんなこと……。でもまぁ、最近の事案もありますし、頭の片隅にでも置いておきましょうか」 部屋の電話が鳴る。二人は緊張に体を強ばらせ、部屋の奥に居た固法美偉が通報の知らせを受けた。 「未確認生命体が出現したそうよ。…白井さん」 「…わかりましたわ」 太もものホルスターに金属矢を装填し、PCの前には再び初春が就き、黒子は支部を文字通り『飛び出した』。 柵川中学の校門の先へと空間移動し、正規の道を使わず空中から空中へと跳び、現場へ急行するのだ。 『そこを東に30メートル行った先にあるコンサート・ホールが通報場所です』 「了解ですの」 三次元座標を十一次元座標に置き換えて演算し、その場へと着地する。 「何もありま…あら?これは……」 『どうしました?』 ヘッドセットから初春が説明を求めた。 周囲に人影は無く、静寂に包まれているというところだ。しかし、奇妙なものがあった。 「初春、先程の『人間灰化』はあながち間違いでは無いのかもしれませんわ……」 いくつか点在する灰の山。未確認生命体の出現で、先日は怪我人が多数出たのだが、今日は違った。 人気すら無いのだ。その代わり、人が居たと思しき感覚距離に灰の山があるのだ。 「…上条さんなら、何か知っている筈……」 風が吹き灰が流れ行く。黒子の口からは自然と上条当麻の名が零れた。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少年の告白成就 <第三章> ――常磐台中学 学園都市の中でも5本の指に入る名門お嬢様学校であり、全生徒がレベル3以上の超エリート校でもある。 ここで『常磐台のエース』と呼ばれ、『常盤台の女王』食蜂操祈と双璧を成していたのが 上条当麻が散々スルーし続けた少女、御坂美琴なのである。 プライドの高かった彼女の、これまでの心苦を思うと胸が痛くなる。ずっと片思いの人からの返事を待っていたのだ。 さぞかし辛かっただろう、苦しかっただろう…。 でも上条は決心したのだ。 彼女の元へ行き、今度こそこの思い、この感情の全てを伝えようと…。 同じ第7学区に位置する常磐台中学学生寮に着いた。 来る途中何度も階段から転げ落ちそうになったり、車に轢かれそうになったりもした。 だが美琴の味わった悲しみに比べれば、今の上条にとってこのくらいの苦労は何ともなかった。 「来たのはいいが……、どうやって呼ぼうか」 携帯は電池切れ。近くに公衆電話なし。 そもそも美琴の電話番号すら覚えていない。 「…仕方ねぇか」 合掌をする。 パァン、という高い音が辺りに響くのと同時に、上条の姿が次第に消えていく。 ――幻想を殺す少年が、まさか幻想の世界における透明人間のようになれるとは誰が予想できただろう。 (つっても、俺の周りに存在する能力者のAIM拡散力場とかいうのに干渉しているからできるらしいがな…) AIM拡散力場 能力者が「無自覚」に発してしまう微弱な力のフィールド。 これにより、能力者の心や『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』を調べることも可能である。 またAIM拡散力場を利用して能力者の位置を探ることを可能とする能力者『能力追跡』なども存在するが、 上条の今行っている作業はその逆であり、他人の放つAIM拡散力場を逆手に取り、体内に取り込むことによって その能力者と全く同じ『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』 を構築する。 非自己と自己の区別が付けられなくなるパラドックスの対象になることで、 能力開発を受けた者は上条を、「認識を逸らさなければ自壊させられる存在」として無自覚に認識の外に追いやってしまう… その点で視覚阻害(ダミーチェック)や偏光能力(トリックアート)などとは一線を画す。 だが確固たるパーソナルリアリティを持つ者、――レベル5にはこの業は通用しないらしい。 (時間制限があるのは難点だが…あとは、恐い寮監と監視カメラに気を付ければ…) 美琴のいる部屋の窓が見えてきた。午後1時頃なので昼食を取りに留守している可能性も考えたが、 美琴の持つパーソナルリアリティを感じる。間違いなく美琴がそこにいる。 (白井は留守か?風紀委員(ジャッジメント)やってても、今日は流石に非番のはずだろ?) 白井の持つパーソナルリアリティが感じ取れない。それを不信に思ったが上条にとっては好都合だった。 その足で美琴の部屋の窓まで壁を垂直歩行していき、最後には窓を念動力でこじ開けようとした。 その瞬間、窓の中を覗いた光景に目を疑ってしまう。 ―――誰一人住んでいる気配のしない、もぬけのからだったのである。 (あれ…、部屋…間違えたっけ?) そんなはずはない。一度この部屋に入っているし、何より美琴のパーソナルリアリティを感じたのだ。 今日は祝日。さらに、寮全体を見てここだけ改築をしているとは考えづらい。 (さては認識操作系の能力者の仕業か) 「あの」常盤台である。そんな能力の持ち主がいても可笑しくはないが、今の上条を騙すほどの能力者はそうそういない。 第一美琴の部屋にだけこんなカモフラージュをしているとは考えられなかったが、 そう考えざるを得なかった…。 窓を乱暴にこじ開けてみてもその光景は変わらなかった。 だが感じる。美琴のパーソナルリアリティを、つい先日までここに美琴がいたことを… 上条に不吉な予感が走る。 「どこ行っちまったんだよアイツ…」 ◆ ◆ その後は、いつも二人でだべっていた思い出のある場所 美琴がいつも蹴りを入れた自販機のある公園や何度も出くわした通学路、セブンスミスト… 全て足を運んでみたが、結局彼女は見当たらなかった。 実家に帰省していることも考えたが、海外に行っていたアイツも出席日数の関係上あまり 学園都市外に出る機会は与えられていないだろう。 「…」 美琴がどこにもいない。絶望感だけが彼を支配している。 ・ ・ ・ セブンスミストから帰る途中 花の刺繍がされたハンカチを落とした人がいた。 頭に花を乗せた少女で、お気に入りの品物なのだろうと思い、そっと声をかけた。 「あの、ハンカチ落ちましたよ」 「あっ!すいません。ありがとうござぃ……あれ、あなたは…」 どこで会ったか知らないが、彼女は俺に見覚えがあるらしい。 そしてうんうん唸っている内に思い出してくれたようだ。 「…あぁ~!御坂さんと一緒に借り物競争に参加していたツンツン頭の人!」 「えっ…」 思い出したのがツンツン頭という事は余計だったが、彼女はどうやら美琴を知っているらしい。 「あの、ひょっとして御坂と知り合いだったりする?」 「知り合いも何も…御坂さんとは立派な友達です!(あれ、でも友達ってお呼びしていいのかな…)」 「友達……、決して怪しい者じゃないから俺の話にちっと付き合ってくれないか?」 「う~~ん、風紀委員の立場で困った人がいたら助けてあげたいのは山々なのですが… ひとまず支部の方に来てもらえませんか?念のため確認を取らせてください」 彼女の言うことにも一理ある。彼女に連れられて俺は風紀委員第一七七支部に行くことにした。 ◇ 「どうもお待たせしました。改めて自己紹介させていただきます。 柵川中学1年の初春飾利と言います。初めまして、上条さん」 「ああ、一応確認取れたと思うが念のため…ゴホン、 とある高校1年の上条当麻だ。よろしく」 第一七七支部へと来てみたが、出迎えてくれた者はいなかった。 彼女によると今日は白井は怪我のため休み、他の風紀委員は巡回に出ているらしく、情報処理専門の彼女は番をしていたと言う。 「あれ、でも君セブンスミストの周辺にいたんじゃなk「何のことですか?」…いや何でもありません」 それはさておき、 「俺、御坂を探してるんだ。でもアイツがどこにも見当たらないんだよな… アンタ何か知ってたら教えてくれないか?」 「御坂さんですか?…うーん、先日お会いしましたが今日はまだ見てませんね」 「そうか…今御坂がどこにいるか調べることはできないのか?」 「う~ん、個人情報の漏洩は固く禁じられているのですが…条件付きでならば調べてあげられますよ」 (…さっきのといい、風紀委員もこんな奴しかいねえのかよ…俺が学園都市第一位倒したっつう情報も ここから漏れたんじゃないのか?) 「……分かった」 その条件とは、御坂との出会いやその後・現在の関係について包み隠さず喋ってもらうというものだった。 「何でそんなこと話さなならんのだ?」と聞いてみたが、相手は溜息を付いて「これは御坂さん、駄目でしたか…」 と俺にわざと聞こえる声で独り言を漏らすと、小一時間パソコンの前に座ってアイツの行きそうなところの 監視カメラをチェックしてくれた。 ・ ・ ・ しばらくして初春は上条にモニターを見ながら質問し始めた。 「上条さん、もしかして御坂さんに告白されたんじゃないですか?」 「…もう何が来ても上条さんは驚きませんのことよ?ちなみにどうして知ってるのかな?」 「ほ、本当なんですか!御坂さん何にも教えてくれないから分からなかったんですよ~」 「しまったあぁぁぁ!!!嵌められたぁぁぁ~~~!!!」 上条!…墓穴を掘る!……痛恨のミス! ◇ ◇ その後根ぼり歯ぼり聞かれて、げっそりしている上条に朗報が入った。 「いました!いましたよ!上条さん!」 「本当か、場所はどこだ!」 「これは…第七学区の公園でしょうかね?多分上条さんすれ違ったんだと思いますよ」 「ありがとう、世話になったな…また連絡する!」 「はい!どういたしまして~」 ――俺は走った。そこに、俺の知っている『美琴』はもういないのに… 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少年の告白成就
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雨上がりの空、地平の向こうに掛かる虹がはっきりと見える。しかし、誰もそれを気にかける者はおらず、『風紀委員』『警備員』の合同会議中の貼り紙がされた扉の向こうの大ホールは騒然としていた。 「先日から頻発している『人間灰化事件』ですが、原因究明を急いでいる最中です。もし何か情報を手に入れた場合は、即刻私に通達してください」 壇上の最高責任者が、学園都市の風紀委員・警備員全員に命じた。これほどまでに大規模な会議なのには理由があった。 未確認生命体やファンガイアの活動や報告は皆無であり、『風紀委員』に復帰した黒子は今の落ち着きに安らいでいた。 「はぁ…平和ですわ」 「つい先日までは連続して怪人が出現したりで大変でしたから……」 第一七七支部に備え付けられたPCを弄り倒す初春が黒子の呟きに答えた。彼女も仮面ライダーと未確認生命体の戦闘の目撃者だが、距離が離れ過ぎていた為に詳しいことはわからないままなのである。 「あれ?」 「どうしました?」 「これ見てください」 気になる何かを初春が見つけたようで、黒子は彼女の椅子の後ろからディスプレイを覗き込める位置へ移動する。薄型の液晶に映るのは、背景が薄い灰色にの黒い文字、匿名掲示板のスレッドのひとつ。学園都市の都市伝説Part9スレと銘打たれている。 「んなオカルトな…」 「まあまあ、気にしたら負けですよ」 「そうですわね」 「これです。ここ」 目の前をゆらゆら揺れる花が邪魔だったので後ろの方に飛ばしておいた。空いた椅子を陣取り、スレを読み進める。 「人間灰化……?」 そこには、こう書かれていた。 灰色の体の怪人に襲われた人間は、一部はその怪人の仲間になり、なれなかった人間は灰になって消滅する、と。 勿論、そんなことを出来る能力者は学園都市には居ない。だが、都市伝説と言われているだけあってか、胡散臭さ全開と黒子は呆れた目つきで下にスクロールする。 「証拠に写真もうpされてるんです」 「どうせ合成の類じゃありませんの?」 「解析した結果、本物だったみたいです」 「何を根拠にそんなこと……。でもまぁ、最近の事案もありますし、頭の片隅にでも置いておきましょうか」 部屋の電話が鳴る。二人は緊張に体を強ばらせ、部屋の奥に居た固法美偉が通報の知らせを受けた。 「未確認生命体が出現したそうよ。…白井さん」 「…わかりましたわ」 太もものホルスターに金属矢を装填し、PCの前には再び初春が就き、黒子は支部を文字通り『飛び出した』。 柵川中学の校門の先へと空間移動し、正規の道を使わず空中から空中へと跳び、現場へ急行するのだ。 『そこを東に30メートル行った先にあるコンサート・ホールが通報場所です』 「了解ですの」 三次元座標を十一次元座標に置き換えて演算し、その場へと着地する。 「何もありま…あら?これは……」 『どうしました?』 ヘッドセットから初春が説明を求めた。 周囲に人影は無く、静寂に包まれているというところだ。しかし、奇妙なものがあった。 「初春、先程の『人間灰化』はあながち間違いでは無いのかもしれませんわ……」 いくつか点在する灰の山。未確認生命体の出現で、先日は怪我人が多数出たのだが、今日は違った。 人気すら無いのだ。その代わり、人が居たと思しき感覚距離に灰の山があるのだ。 「…上条さんなら、何か知っている筈……」 風が吹き灰が流れ行く。黒子の口からは自然と上条当麻の名が零れた。
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Date 2010/01/29(Fri) Author 雨上がりの空、地平の向こうに掛かる虹がはっきりと見える。しかし、誰もそれを気にかける者はおらず、『風紀委員』『警備員』の合同会議中の貼り紙がされた扉の向こうの大ホールは騒然としていた。 「先日から頻発している『人間灰化事件』ですが、原因究明を急いでいる最中です。もし何か情報を手に入れた場合は、即刻私に通達してください」 壇上の最高責任者が、学園都市の風紀委員・警備員全員に命じた。これほどまでに大規模な会議なのには理由があった。 未確認生命体やファンガイアの活動や報告は皆無であり、『風紀委員』に復帰した黒子は今の落ち着きに安らいでいた。 「はぁ…平和ですわ」 「つい先日までは連続して怪人が出現したりで大変でしたから……」 第一七七支部に備え付けられたPCを弄り倒す初春が黒子の呟きに答えた。彼女も仮面ライダーと未確認生命体の戦闘の目撃者だが、距離が離れ過ぎていた為に詳しいことはわからないままなのである。 「あれ?」 「どうしました?」 「これ見てください」 気になる何かを初春が見つけたようで、黒子は彼女の椅子の後ろからディスプレイを覗き込める位置へ移動する。薄型の液晶に映るのは、背景が薄い灰色にの黒い文字、匿名掲示板のスレッドのひとつ。学園都市の都市伝説Part9スレと銘打たれている。 「んなオカルトな…」 「まあまあ、気にしたら負けですよ」 「そうですわね」 「これです。ここ」 目の前をゆらゆら揺れる花が邪魔だったので後ろの方に飛ばしておいた。空いた椅子を陣取り、スレを読み進める。 「人間灰化……?」 そこには、こう書かれていた。 灰色の体の怪人に襲われた人間は、一部はその怪人の仲間になり、なれなかった人間は灰になって消滅する、と。 勿論、そんなことを出来る能力者は学園都市には居ない。だが、都市伝説と言われているだけあってか、胡散臭さ全開と黒子は呆れた目つきで下にスクロールする。 「証拠に写真もうpされてるんです」 「どうせ合成の類じゃありませんの?」 「解析した結果、本物だったみたいです」 「何を根拠にそんなこと……。でもまぁ、最近の事案もありますし、頭の片隅にでも置いておきましょうか」 部屋の電話が鳴る。二人は緊張に体を強ばらせ、部屋の奥に居た固法美偉が通報の知らせを受けた。 「未確認生命体が出現したそうよ。…白井さん」 「…わかりましたわ」 太もものホルスターに金属矢を装填し、PCの前には再び初春が就き、黒子は支部を文字通り『飛び出した』。 柵川中学の校門の先へと空間移動し、正規の道を使わず空中から空中へと跳び、現場へ急行するのだ。 『そこを東に30メートル行った先にあるコンサート・ホールが通報場所です』 「了解ですの」 三次元座標を十一次元座標に置き換えて演算し、その場へと着地する。 「何もありま…あら?これは……」 『どうしました?』 ヘッドセットから初春が説明を求めた。 周囲に人影は無く、静寂に包まれているというところだ。しかし、奇妙なものがあった。 「初春、先程の『人間灰化』はあながち間違いでは無いのかもしれませんわ……」 いくつか点在する灰の山。未確認生命体の出現で、先日は怪我人が多数出たのだが、今日は違った。 人気すら無いのだ。その代わり、人が居たと思しき感覚距離に灰の山があるのだ。 「…上条さんなら、何か知っている筈……」 風が吹き灰が流れ行く。黒子の口からは自然と上条当麻の名が零れた。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/memories 非日常の世界 PM09 23 御坂美琴は夜の街を全速力で走っていた。 街灯が織りなす光や街のBGMとなっている人々の会話とは裏腹に、美琴の日常はすでに終わりを迎えていた。かすかだが聞こえるサイレンの音をたどり、携帯電話で友人と連絡を取りながら、美琴は走り続けた。 「初春さん。次はどっち?」 『二つ目の路地を抜けてください。少し狭いですが、一人分の大きさなので問題ないと思います。それと、白井さんにも連絡しました。距離は離れているので少し時間がかかりますが、ほとんど同時、もしくは若干早く御坂さんの方が早いかもしれません』 携帯越しから聞こえる飴玉を転がすような甘ったるい声には、真剣さと焦りがにじみ出ていた。電話の相手、初春飾利の指示を聞き、美琴は二つ目の路地を曲がり全力で走り抜ける。 『御坂さん。警備員(アンチスキル)からの連絡です。どうやら、魔術師と交戦中の模様です。ですけど、あくまで時間稼ぎ程度しかならないと思います。急いでください』 美琴はわかってるわよと思いながら、電話越しから聞かされる情報に耳を傾ける。初春の情報網はほとんど完璧だ。しかも今回は、バックアップとして白井と初春の上司に当たる固法美偉もいる。少なからず、今の学園都市の情報に関しては、この二人が全て拾い上げてくれている。ある意味、書庫(バンク)顔負けのメンツだった。 そして、その固法から連絡が入った。 『御坂さん。相手は一連の事件の犯人であるのは確定なようよ。残念ながら学園都市の人間じゃないからデータはないんだけど、それを肝に銘じておいて』 「いいえ。それで十分です。あと初春さん、黒子は今どこ?」 『白井さんは御坂さんと約1キロ離れてます。そろそろ合流できるんじゃないでしょうか? あ、路地を出たら右に曲がって大通りをまっすぐに走ってください』 美琴は指示通り、右に曲がり人が少なくなった大通りを走っていく。 『御坂さん、警備員だけど…銃声がやんだみたい。もしかしたら…』 固法の情報に、美琴はさらに走るスピードを速くする。その時、後ろからお姉様と言う声が聞こえ、後ろを振り向くと、『空間移動』(テレポート)しながら近づいてきた白井黒子と目が合った。 「申し訳ありません。遅くなりました」 「気にしないでいいわ。それよりも、戦う前に合流できたから上出来よ」 美琴は走りながら、白井にそういうと、また新しい情報が電話越しから流された。 『御坂さん、白井さん。どうやら地下に潜ったみたい。警備員も追ってるようだから、とりあえず合流して。その先を真っ直ぐ走れば警備員の車が見えてくるはずよ』 という固法の情報に相槌を打ち、二人は真っ直ぐ大通りを走り抜けた。それから一分も経たずに、その車のサイレンが二人の視界を捉えた。 PM08 24。 話はこの頃までさかのぼる。 風紀委員活動第一七七支部、学生だけで構成された風紀委員(ジャッジメント)の支部の一つ。ここでは夜遅くだというのに、昼以上の能力者がここに集結していた。 「それで、情報は?」 特には、と美琴の質問に首を振ったのは初春飾利。第一七七支部に所属する新人の風紀委員だ。来月、彼女はに中学二年に上がり、後輩を持つことで新人免除となるが、その扱いは新人免除となるか微妙である。だが情報収集・処理能力、ハッカーとしての腕はこの中では一番の腕を持つ。 初春はパソコン上に出ているいくつもの情報が表示されているが、その中に美琴が探している情報は今のところはない。 「ま、そう簡単には見つかりませんわね。なにせ相手は何日も逃げているお方ですし、学園都市のことを少しばかりは知っておられるようですの」 常盤台中学一年、御坂美琴のルームメイトであり、初春の上司(年齢ではなく地位)である白井黒子は、情報のない理由を補足した。 「そちらはどうですか、固法先輩」 初春のほうには情報がないと知った白井はその向かい側に座るのは、高校一年、来月には二年になる固法美偉に声をかけた。今この三人で仕切られている第一七七支部では、この固法が一番の上司だ。 固法は首を横に振って、お手上げよと手を上げた。そこで糸が切れたように、美琴はため息をついた。 「わかってるんだけどさ…やっぱ、急ぎたくなんのよね」 そういって、壁に寄りかかった時、美琴の携帯電話が鳴った。誰かなと、ポケットから出してディスプレイに表示されたのは、『上条当麻』の名前だった。 「ななななななななななんであいつの名前が!!!」 「あら? 誰からですの?」 興味ありそうに白井は、美琴の携帯のディスプレイを見た。そして、その名前を見た白井はなっ! と驚きを隠せなかった。 「あ、あの殿方からですの?! 上条さん、目が覚めたのですか、お姉様!!!」 「うん。昨日来なかったでしょ? その理由はこいつってわけ」 白井の動揺に、初春も固法も興味がそそられたのか誰? と美琴に問いかけてくる。そして、美琴は電話のこともあるしこの際だからいいかと、諦めたように言った。 「上条当麻…って言えばわかりますよね。ずっと寝てたんですけど、昨日起きてずっと世話してたんです。すいません、出ていいですか?」 "上条当麻"の名前は二人も知っていた。だが寝ていたという言葉は良く理解できなかった。これに関しては、美琴と白井など上条と繋がりを持つ人間にしか知らない情報だったが、ややこしいので説明しなかった。 「もしもし、私だけど」 『やっと出やがったか、馬鹿彼女。普段からこれだけ待たないとお前は出ないのか?」 「そんなわけないでしょ! こっちにはこっちの事情ってものがあるのよ」 彼女と言われたのは嬉しいが、馬鹿がついていたのでまったく嬉しくない。美琴は、どうしたの? と電話の経緯を聞くと上条は話を続けた。 『いや、お前の部屋をノックしてもまったく返事がなかったからさ。んで、気になって電話してみたってわけ。 ん? もしかしてお前、外にいるのか?』 うん、と言って美琴は周りを見渡すと、真剣にこちらを見ている三人の視線に逃げ出したくなった。 白井は、心配したと思ったらあの類人猿がァァああああ!! と悔しそうに叫んでいる。初春はニヤニヤしながら、どこから取り出したのかボイスレコーダーのスイッチをオンにしている。そして、残った固法はパソコンを見ながらもチラチラとこちらを見ていた。 やはり三人とも男と電話しているのは気にするんだ、と美琴は出たくても出られない雰囲気の中で心の奥でため息をついた。 「まあね。ちょっと用事があってね」 『だったら悪かったな。それで、用事ってのはいつ終わるんだ?』 「わかんないけど、朝には戻ってるわ。もしかして、何か用事があったの?」 『いや、そこまで大きな用事じゃないんだけど、暇だったから一つ教えて欲しいことがあっただけだ』 「教えて欲しいこと? 今は特に何もないから、聞いてあげても問題ないけど、重要なこと」 ああ、と上条は相槌を打つと電話越しからパラパラと、紙の音が聞こえた。そして、あったあったと言って上条は聞きたかったことを聞いた。 『能力者以外の存在が発覚。学園都市を襲った二月の悲劇……って記事なんだけど』 その記事の名に、美琴は頭が真っ白になった。 『ちょうど一ヶ月前だし、能力者の欄にお前の名前と俺の名前があったんだ。なあ、これってさ』 「そう、よ。………その、事件よ」 美琴は言葉を紡いでいく。知られてしまったと、胸の中にあった何か砕かれたような錯覚に陥った。同時に息苦しさと眩暈に膝ががくんと崩れそうになったが、唇をかみ締め崩れそうな身体を何とか持ち直した。 『………………………………悪い。それだけだ。細かいことは読んでみる』 「ううん。もう知っちゃったようだからね。明日説め」 と言おうとした時、固法から情報よ! という大きな声がここにいる一同と上条の耳に届いた。 「ごめん、またあとで!」 美琴は半ば強引に電話を切った。そして、そこには『超電磁砲』としての顔が浮かび上がっていた。 PM08 58。 白井はあるビルの中にいた。第一七七支部からかなり離れた位置に存在するが、『空間移動』を駆使すればそう長い距離ではない。 情報が入ったといわれて、三十分が経過しているがすでにそこはもぬけの殻だ。あるのは、壁に残る何かの爪あとと割られたガラスのあとだけだった。 すでにここにいた人は避難し終え、今ここには白井しかいない。警備員の到着はまだだったため、さきにこの現場に入ることが出来たのは幸運であった。 「初春、固法先輩。データを送りますわ。解析のほうをよろしくお願いしますの」 白井は荒らされた現場を携帯で撮影し、送信した。そして、自分なりにも手を加えようと思ったが、荒らされた現場と相手の存在を思い出し、あまり調べても意味ないですわねと判断した。。 「あと初春。お姉様の方はどうなっておりますの?」 『御坂さんは、まだ現場についてません。走っているので白井さんとはスピードが違いますよ。それと、ガラスのデータが出たんですが』 聞きますわ、と白井は初春にさきを促しながら、現場を進んでいく。 『そこのガラスですが、このビルで使われたものじゃありません。白井さん、ガラスを手にとって、潰してみてください』 「??? とりあえず、潰せばいいのですわね」 白井は床に落ちていたガラスを取って、言われたとおり潰してみると、パリッと言う音ともにガラスが砕けた。 「砕けてしまいましたわ。どういうことですの、初春?」 『このビルのガラスは少し特殊で、並大抵のことじゃ割れないんです。特徴としてガラスに少しばかり黒を混ぜて、中の様子を見えにくくしているんです』 「つまり、簡単には割れるはずはない、と」 はい、と初春は相槌を打つ。白井は割れたガラスの破片を落として、さらに奥へと進んでいく。 『それにそのガラスは現場に必ず落ちてるんです。ですからそれが魔術師の持ち物だと考えてもいいんじゃないんでしょうか?』 「同感ですの。ガラスを持ち歩く、お姉様の『超電磁砲』と同じに考えればいいことですわ」 ガラスを持つ魔術師、ならばこれも魔術というもので? と白井は考えながら、壁に残った謎の爪あとをつたっていく。長く大きな爪あとは動物のようだが、動物にはつけられない大きさを放ち、以前大きな石の石像と戦った時のことを連想させた。 そして、壁の爪あとが切れた場所まで来た。そこにあったのは…。 「ガラスの………花?」 大きなガラスに破片の上にあったのは、小さなガラスの花。芸術品と言ってもおかしくない輝きと形は一瞬だけ、白井の意識を飛ばすほどの美しさを放っていた。言葉で表すなら、神秘というべきか。だが同時に甘い罠を思い浮かばせもした。白井は触れたくなったが、寸前で思いとどまり、このガラスの花もデータとして送った。 「………まさか、これが」 魔術、と言おうとした瞬間、花はいきなり光を放った。そして、白井は今までの経験が、ここにいては危険だと叫び、背後へ『空間移動』を繰り返すように促した。ヒュン、ヒュンと冷静にかつ迅速な『空間移動』を繰り返し、最後にガラス窓の向こうに『空間移動』し、落下した。 そして、落下して数秒後に、花があった場所は爆発し火の海に包まれた。白井はその光景を見ながら、近くにあった屋上に『空間移動』して膝をつき、爆発した場所を見た。 『白井さん?! 白井さん!! 大丈夫ですか!!??』 「はぁ…はぁ…危なかった、ですの」 緊張が一気に抜けそうになったが、まだ白井はここで止まる訳には行かない。すぐさま白井は携帯で初春、固法先輩と呼び、安否を知らせながら、燃えるビルを後にして、美琴の向かった方向へと消えていった。 PM09 31 白井はその後の現場は警備員に任せ、美琴と合流した。そして、現場の状況と初春たちのサポートの元、地下へと潜った。 「魔術師が地上に出れば、初春と固法先輩が調べた情報はこちらにやってまいりますの。それに警備員は総力で魔術師捕獲にあたってますわ。ですからわたくしたちは、魔術師を地上に追いやることを優先しましょう」 「ええ、もう逃がさないわ」 美琴は情報だけの魔術師をにらむように言った。白井はその顔を見て、少しだけ寂しそうな表情を見せたが何も言わなかった。 「初春、固法先輩。地下に潜るのでしばらく切りますわ。情報のほうは、お任せしますの」 『わかったわ。それじゃあ、地上に出た際は連絡してちょうだい』 わかりましたわと白井は通話を切って、美琴の後の続いた。 「この先の地下鉄に逃げこんだそうよ。黒子、任せていいかしら?」 美琴は白井にそういうと、白井はお任せをと美琴の肩を掴み、『空間移動』した。そして明かりの一切ない地下に足を踏み入れた。 美琴と白井は警備員からもらった懐中電灯であたりを見渡した。破壊の後が特には見当たらなかったため、二人は線路をたどるように走った。 「たしかあの時も、魔術師はここにおりましたわね」 「…………ああ、九月の話ね」 九月一日、魔術師シェリー=クロムウェルが学園都市にやってきた日。あの時に初めて魔術師という存在と戦った白井と、魔術に遭遇した美琴。あれからすでに半年以上が経つ。思えば、あの時から二人の運命は魔術世界へと向かっていたのかもしれないが、とっくに魔術に関わってしまった二人からすれば、それは過去の話だ。それに、魔術に関わるのは二人も承知の上での行動だった。 「そして、二月の事件。………お姉様、上条さんには」 「うん。色々あったからまだ言えてない」 白井はかすかな光の中で、美琴の横顔を覗いた。暗くて表情の全ては見えなかったが、それでも何かに耐えるような苦しそうな表情は、闇の中でも悲しそうに浮かび上がっていた。 白井にはその表情の理由はわかっても、その苦しみだけはどんなに努力しようが理解できない。だがそれもそのはず。白井には美琴が上条当麻を失った時の苦しみや悲しみ、そして実際に見た光景がどんなものかわからなかった。何を思い、何に苦しんだかは口に出せば単純ではあったが、感情の痛みはその人、個人のもの。理解など出来るはずもなかった。 「でも、きっとアイツはもうわかってるから。だからあとは…」 『能力者以外の存在が発覚。学園都市を襲った二月の悲劇』という記事はきっと上条は読んだ後だ。そこで表面上の事実を知ることとなったはず。だが美琴と白井は知る真実は、それとは少し違っている。 世間では真実を移し返すことが、混乱を防ぐことなどに繋がるように、学園都市でも表面上の事件は、無事に終わっていると報道されている。だがそれは大きな間違えだ。現に、美琴と白井は魔術を追いかけている。表では事件が起きたことでの影響下はほとんどないと言っているが、裏ではこのように魔術が科学に介入してしまっている。これが今の学園都市の現状であった。 「今回の相手は絶対に捕まえないと。もし、アイツと会ったりなんてしたら」 美琴が魔術師関連の件で首を突っ込む理由は、それであった。 美琴は一人の少年の安息を守りたくて、巻き込みたくなくて、そのために彼女は自分で魔術師を処理し、少年を守ろうとしていたのだ。当然、少年はそんなことも知らない。だが、知らなくていい、知ったら自分に怒り、代わりに戦うのは目に見えていたからだ。 「……………………」 白井はそのことを知るただ一人の友人であった。そして、陰ながら見守り、彼女の願いを守ろうとするために、白井は美琴と付き添ってきた。だから彼女は何も言わず、少年のためだけに自分を投げ出す憧れ(あね)についていくと決めた。もう自分の願いが叶わない願いだとして…そのために白井は、自分も犠牲になる覚悟だった。 (上条さんは…幸せ者ですわ) ただ一人の少年のために、自分を犠牲にする美琴は白井にはまぶしすぎる。好きだと言って、守りたいから守るその感情はすでに、愛情という名の願い。 (お姉さまは、貴方の為だけに傷つき、自分を犠牲にしておられるのですの。そして、貴方のために、何事もなく笑って一緒にいる………羨ましいですわ) だから白井は、その願いを守るために、美琴の言葉に答えた。 「そうですわね。上条さんは魔術にも精通した存在ですから、会ったら会ったで厄介ですの」 「ええ。絶対に…会わせる訳にはいかない。絶対に……」 美琴は念を押して自分に言い聞かせた。 PM09 37 トンネルに入ってすでに五分以上が経過した。走る先々にはさきほど白井にしかけられた罠は一切なく、不気味な静寂を保っていた。 「さすがにこのような場所では電波がありませんの。お姉様は?」 「私も……やっぱり情報がないのは痛いわね」 「通話が出来なくとも、電波があれば出来ることはございますのに」 美琴と白井は、何もないこの状況に疑いを持ち始めていた。なんらかの妨害工作があっても良いはずなのに、それがない。まるで、追っていると思い込まされている、または追う場所を間違えているかのような不安があった。 少なくとも、情報が入ればそれを打ち消すことが出来るが生憎の圏外。携帯の電波は届くはずもなかった。 「警備員も風紀委員も追っている相手だから、簡単な情報さえ入ればこっちのも来るんだけど……って愚痴ってる場合じゃないか」 追っている魔術師は美琴と白井だけではなく、警備員や風紀委員も追っている相手の一人だ。この魔術師以外にも指名手配されている魔術師がいるが、追っている魔術師は破壊が専門であったため、街にも被害が起きていることが報告されていたので優先順位として追っている、また破壊専門ということもあり、追いやすい傾向のも理由の一つだ。 「ですが、解せませんわね。魔術師同士ならば、他の魔術師に協力をするべきだと思いますのに」 「たぶん、指導者がいないからよ」 指導者? と白井は聞き返すと、美琴は思い出しながら話を続けた。 「二月のあの出来事ってさ、指導者・事件を起こした本人が起こしたものじゃない? でも起こしたのは指導者本人じゃなく、指導者が指揮していたグループ団体たちが起こしたもの。だけど、その指導者はもう捕まって、魔術教会だっけ? そこに受け渡したじゃない。 指導者がいないってことはグループが成り立たない。つまり、統一性がなくなり、個人は個人のしたいことを自由に行う」 「国家と同じですわね。今の日本という国には天皇、アメリカには大統領がいるのと同じで、頂点に君臨する存在がいなくなれば、国家は崩壊してしまいますの。法律ですって指導者がいてこそ成り立つものですもの」 「言うなれば、私たちが追っている魔術師は崩壊した国家の人間。頂点がいないから、自分したいことを自由に行う人間よ。こういった人間って自分で自分を止めないものだから、捕まえないと厄介なものよ」 美琴の説明に白井も納得がいった。言うなれば、今の魔術師は自由主義者の人間であり、規律や法律に左右されない存在。学園都市にはそれらが存在するが、外からやってきた魔術師の目的が破壊にあるのであれば、そんなものを守る義理はない。 そして、守る義理がないからこそ、さきほど白井を殺そうとしたガラスの花を仕掛けることに、戸惑いはなかったはず。こういった相手は白井からしても厄介であり、『超電磁砲』にしても簡単には抑えられない相手だと理解している。 上条当麻、彼なら細かいことを抜きにして魔術祖を捕らえ、これ以上の破壊活動を阻止してくれるだろうが、首を振ってそれを否定した。 (こういった相手はあの殿方向きだと思いますが…わたくしもあの方にもう無理はさせたくありませんの) 白井も、上条には負目を追っている。それはあの場で戦った一人としてではなく、一人の少年を心配する年下の後輩としての配慮であるが、心配されている本人はそんなことを知る由もないだろう。いや、知っているはずはないと白井は思い出して訂正した。 「今は、魔術師だけを捕まることを考えましょう、お姉様」 白井は美琴だけではなく、自分にも言い聞かせるように言った。真っ暗なトンネルは…まだまだ続いていた。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/memories
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とある禁断のSRS 「とある魔術の禁書目録」・「とある科学の超電磁砲」の二作品を SRSでやってしまおう! というレギュレーションです。 使用チャンネル 雑談用「#エロと禁裏 セッション用」「#エロと禁」 ● GGM : 悪魔憑き ● GM : 希望者 ● 開催頻度 : GMが居ればいつでも ● 突発セッションの有無 :歓迎 ● 1人あたりの制限数 :特に無し ● 制限人数 : なし ● 新規参入 : 締切りました ● エロ方針 : エロ要素あり。応相談で。 ● 禁止事項 : 相手がNGな行為。 ● 時間帯 : 主に夜 使用するルールはトリニティーヴィーナスSRS(略称TxVSRS)を基本とします。 追加として、ALF+AVAおよび、ALG+ALAによる作成、混合も可能とします。 また、と禁世界はアルシャードガイアでもトリニティーヴィーナスでもないので、全てのデータは 適宜世界観に沿うよう読み替えてください。 この為それぞれのデータを変えない限り、いかなる表現も自由、という相当品を全面的に適用します。 極端な話、予知能力をリターナーのクラスで表現する「微妙に不自然だけどまだありそう」なもの、 あるいは、異世界出身者を表すクラスであるオーヴァーランダーで、単に能力をコピーする能力を 表現するなど、明らかに本来の設定を無視するモノであってもかまいません。 なお、上記使用可能サプリは過剰なデータによって、参加者の把握が困難になる事を避けるために GGMとしても断腸の思いで決めたレギュレーションなので、必ず守ってください。 独自設定 原作でもジャッジメント・アンチスキルはかなりの権限を持って、様々な事件に対処しています。 しかし、逆に一般人やスキルアウトがシナリオに関わるには、相応の動機が必要となります。 また、ジャッジメントが校外で活動するのは越権行為ですし、アンチスキルは教師なので、生徒を 危険にさらせません。 こう言った制約をシナリオ的に外すために、シナリオの舞台となる一部地域ではジャッジメントと アンチスキル、そしてスキルアウトの間で協定が結ばれており、よりよい生活環境を維持する為の 組織「トリニティー」が存在するものとします。 この組織は学園生活を維持するために超法規的な権限が与えられているものとします。 所属するかどうかは各PC(PL)の判断に任せます。 1.ALF・ALGのみをもつ方へ。 全PCは【肉体】+5点分のVIPブーストというヒーローポイントをもちます。 1点の消費で判定の振り直し・BSの回復・ダイスロール(判定・ダメージ)に+1d6が可能です。 (複数消費で効果も上昇しますが、達成値・ダメージのみが上昇し、クリティカルには無関係です) この効果は加護と同じ扱いとし、ブレイクしても消費します。 なお専門分野を決めて、判定の際の演出に使うとアジが出るでしょう。 加護の使用には、2点のVIPブーストを消費しなければなりません。 TxVSRSとの兼ね合いから、クラスに寄らず、任意の加護を選択し習得してもかまいません。 (TxVSRSを持つ人に頼んで作ってもらうのも良いでしょう) また、GMが特に断らない限り、任意ブレイク制とします。 常備化0の住居として学生寮/職員寮を追加します。生活環境・警備状況は任意に設定できますが データは一切ない住居として扱います。 2.TxVSRSをもつ方へ。 加護は全て、TxVSRSにおいて2点のVIPブーストを消費するアドヴァンスドVIPとします。 ブラキはアドヴァンスドVIP一つの使用可能回数を回復し、3点のVIPブーストを回復します。 フレイは3点までのアドヴァンスドVIPをコピーします。 ツクヨミは2点までの使用強制効果があります。 またアドヴァンスドVIPは自由に作成してかまいませんが、消費2~4点以内に収めたほうが 良いでしょう(対象:場面にするときは射程:視界にしなければなりません。念の為)。 なお、このレギュにおいて、覚醒はVIPブーストを消費せず、任意に行えるものとします。 また、HPの現在値が体力基本値以下しかないとは、覚醒を宣言して体力基本値まで回復する 事が出来ます。 ちなみに、自宅は基本学生寮/職員寮となります。取り立ててルール上の効果はありません。 ALGでは情報収集に使える財産点が設定されています。 経済状況を表す『ライフスタイル』を常備化できます。 1で中流、2で工作員、3で当主、5で富豪、7でエグゼクティブ、10で大富豪となります。 他に+2する事で副業や仕送りなどの臨時収入が設定できます(重複可)。 取らない場合、貧乏や風来坊となりますが、学生や教職員は、学園都市から生活費が支給される ので、生活には困らないでしょう。 ちなみに、アンチスキル・ジャッジメントは教職・学生活動の一環なので、報酬はありません。 (上司や同僚が奢ってくれたり、休出手当が出たりはするでしょうが) ライフスタイルを常備化したPCは、プリプレイ時に常備化ポイントと同額の財産ポイントを獲得し、 アフタープレイで失います。臨時収入に限り、一つとるたびに財産ポイント+1となります。 情報収集の際、判定後に1点使用するたびに達成値を+1できます。 3.ALGとTxVを両方持ってる人に。 種別:魔と種別:特は同じものとします。 加護・アドヴァンスドVIPは、『総合レベル個』まで作成しておくことができます。 これはセッションごとに作り直してもかまいません。 勿論、実際に使うにはVIPブーストを消費しなければなりません。 4.試験導入のハウスルール 後半どうしても成長が遅くなります。 GMなどで稼いでもらいたいのですが、なかなか難しいのも事実です。 よって、以下のアドヴァンスドVIPを試験導入します。 それに伴い経験点の算出も「倒した敵の経験点」の項目を [PCが倒したエネミーのレベルと、VIPブーストの総合計÷PCの数]に変更します。 オーバースキル 基礎コスト:75 タイミング:[A] 対象:[B] 射程:[C] 真の力を解放したり、力を与えたりするVIPフレーム。 対象は[F]の間だけ、このアドヴァンスドVIPを作成した時に指定したあなたが取得できる 特技一つを使用できるようになる(実際に取得している必要はない)。 なお、対象を自身・単体以外にした場合、A・B・C・Fに必要なコストが二倍になる。 専用オプション:コスト+ 50:使用時に取得できる特技を決定する。 専用オプション:コスト+100:上記にくわえ、対象ごとに取得出来る特技を決定する。 専用オプション:コスト+n×50:特技を[n]個取得できる(nが1だと基本と同じなので注意) 専用オプション:コスト+100:クラス一つを選択する。そのクラスの1レベル特技を選択できる(重複可) 専用オプション:コスト+200:クラス一つを選択する。そのクラスの5レベル特技を選択できる(重複可) PC作成:経験点30点で作成してください。 邂逅は感情をそのままに、対象をと禁の登場人物とします(オリジナルキャラもアリ)。 また、出自・覚醒などはと禁やキャラの設定に合わせて、適宜読み替えてください。 [部分編集] PCリスト 名前 (PL名) 外見年齢(実年齢)・性別 種族 一言イメージ 玄碕 槇 御影 17歳・男 人間 不良学生 叢摩 獅軌 御影 13歳・男 人間 格闘魔術師 フィリマール=加賀見 御影 23歳・女 人間 ふたなりハーフ英語教師 式形紫 御苑生広見 23歳・女 人間 教員/アンチスキル アリシア 御苑生広見 6歳・女 人間 小学生 薫 御苑生広見 16歳・女 人間 高校生 八十神 疾風 ジン 17歳・男 人間 料理が得意なバイト学生 暁月 悠 ジン 17歳・男 人間 風紀委員の男性生徒 シリウス 孤狐 大人・雄 犬 おっきなわんこ 天宮愛 孤狐 6歳・女 人間 深窓の令嬢 月見里 朋明 い~ぐる 16歳・男 人間 生徒・LV4 来宮 一実 い~ぐる 40?・男 人間 性別不定の薬物使い。 真浜 百合 悪魔憑き 17歳・女 人間 剣術小町なジャッジメント 天宮 刹那 悪魔憑き 30代・男 人間 禁断の芸術家 不知火真尋 謡井 15歳・男 人間 特に語ることの無い一般生徒 鏑木つぐみ 謡井 13歳・女 人間 M気味なジャッジメント ノラ=ヤガミ 謡井 14歳・女 人狼 お気楽人狼 岩永此花 謡井 18歳・女 人間 第一印象の悪いロリ 石上一人 謡井 20代・男 人間 義手剣客 蓬幡野 謡井 17歳・女 人間 謎のガスマスク女 多良木誉 たれ 16歳・女 人間 世界征服を企むアホの子 鏡見志郎 きゅうび 16歳・男 人間 肉体変化しか出来ない能力者 北白雷夏 きゅうび 21歳・男 人間 十字正教の魔術師、礼装のほうが本人より強い 安堂留美 まや 20代・女 人間 学園都市の教師にして警備員ロリ ブランクシート・超能力者用 [部分編集] セッション予定/参加募集 セッションタイトル:テンプレート (GM:) 開催日: 推奨PC: 追記: 参加希望者は、以下のコメントでどうぞ セッションタイトル:『襲撃』(GM:御苑生広見) 開催日:未定 応相談。いつ頃が良いのか解らないので……。 推奨PC:PC1/アンチスキル PC2/ジャッジメント PC3/とある高校所属 PC4/魔術師 でお願いしたい 追記:ザコ戦→FW→ボス戦→FW の短いシナリオです。 参加希望者は、以下のコメントでどうぞ 名前 コメント セッション履歴(シナリオタイトル/参加PL:配布経験点) GM:い~ぐる/PL悪魔憑き・御影・HM3691:33点 -- 混沌の城塞 (2010-02-11 01 36 47) GM:悪魔憑き/い~ぐる・孤狐・ジン(中途抜けのため11):20点 -- 「真円描写(ナインス・ゼロ)」 (2010-02-14 00 59 31) GM:枷/たれ・きゅうび・謡井:経験点18点 -- 「第一七七支部襲撃計画」 (2010-08-14 01 53 04) GM:枷/たれ・きゅうび・悪魔憑き:経験点29点 -- 「世紀末第一七七支部伝説」 (2010-09-09 19 54 58) 名前 コメント
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梓「ところで初春もあなたなら、料理…できます?」 唯「もちろんだよ!…多分」 梓「…不安だ」 唯「できたよー」 梓「………」モグモグ 梓「あぁ…先輩………」 唯「………何?」 梓「確かにありました。目玉焼きにも美味しい不味いが…」 唯「だね…」 唯「おかしいなぁ…調理法は知識として頭に残ってるのに…」 梓「本番に強い先輩らしくないですね」 梓「今日からは私が作ります…」 唯「おねげぇします」 梓「あ…!そういえば…」 唯「どしたの?」 梓「学園都市に来てから初春以外にも確か懐かしい感覚?を感じたことがあったような」 唯「………いつ?」 梓「そこまでは…覚えてません」 唯「そっか」 梓「でも確か来てすぐだったと思います」 唯「…そっか」 【登校中】 唯「とりあえず学園都市に来てから寄ったところを順に回ってくしかないか…」 梓「そうですね…えっと最初行ったところは…」 バサッ 唯「………」 唯「???!?!?///」 佐天「やっほー」 佐天「あれ?初春?どしたの?」 唯「………」 梓「固まってるね…」 佐天「え?梓が初めて行った場所?」 佐天「確かジャッジメントの第一七七支部だったはずだよ」 梓「あ、そういえばぎゅうに…固法さんは元気?」 唯「うん、あずにゃ…中野さんに会いたがってたよ…ですよ?」 佐天「………?」 唯「…あははは」 梓「じゃあ今日行ってみよっか」 唯「ちょうど今日は仕事があったはず」 梓「元気にしてるかな…牛乳女…」 【放課後、第一七七支部】 固法「おおーっ!よく来たわね」 梓「はい、ご無沙汰してます」 固法「まぁ座りなさいよ、何飲む?牛乳?」 梓「あ、紅茶お願いします」 固法「ミルクティーね」 梓「あ、いえ…やっぱもうそれでいいや」 黒子「初春?どうしたんですの?」 唯「ゆび…指つった………」 唯(知識はあるのに体がPCに追いつかない) 梓「…牛乳の割合、多くないですか?」 固法「ティーオレよ、知らないの?」 黒子「初春、何をやってますの?」 唯「PCに…ポチッ…文字を…ポチッ…打ってます…ポチッ…」 黒子「体調が悪いんですの?」 唯「そんなことは…ポチッ…無いです…ポチッ…」 唯「まさかジャッジメントを追い出されるとは…」 梓「ま、仕方がないですね」 唯「次は…っと、病院か…」 梓「ん?病院?」 唯「どうしたの?」 梓「何かひっかかります」 唯「ま、とりあえず行こっか」 梓「…はい」 唯「あずにゃんは病院に行ってから誰かに会った?」 梓「私があったのは蛙顔のお医者さんと同居人の春上さん…あ、思い出した」 唯「何が!?」 梓「春上さんと一緒にいた子だ…」 唯「まさか…枝先絆理ちゃん!?」 唯「で、そのばんりちゃんは誰なの?」 梓「それは…分からないです」 唯「そんな…」 唯「ん?じゃあ何で私の時は分かったの?」 梓「そ、それは…///」 唯「まぁ、とりあえず会ってみよっか」 梓「…はい」 梓「失礼します」コンコン 「は~いなの」 唯「また来たましたよ!」ガラガラ 春上「あ、初春に中野なの!」 梓「や、やぁ」 唯「ねぇ枝先さんどこにいるか分かる?」 春上「え?多分自分の…右隣の部屋だと思うの」 唯「そっか!ありがとう春上さん!じゃあ行こっか、あず…中野さん」 梓「あ、…え?」 春上「え?」 唯「じゃあねぇ、また来るよ」 春上「………?」 梓「先輩…、部屋くらい受付で聞きましょうよ、春上さんに失礼です」 唯「え?そうなの?」 梓「そうなんです」 唯「ま、いいや」コンコン 「はい」 唯「………」ガラガラ 枝先「え?」 唯「やぁ、ばんりちゃん」 枝先「あの…えりいちゃんは隣の部屋ですよ?」 唯「いや、分かってるよ」 唯「今日はばんりちゃんに会いに来たんだ」 枝先「私に…?」 唯「あずにゃん、どう?」ボソボソ 梓「あ、はい、間違いないです」ボソボソ 唯「そっか」チラッ 枝先「??」 唯「少し…話そっか」 枝先「…はぁ」 枝先「私に会いに来たって、何か用があったんですか?」 唯「いや、ただ顔が見たくなって…あははは」 枝先「…はぁ」 枝先「確か初春さんはジャッジメントでしたよね、非番なんですか?」 唯「いや、…今日は何というか」 唯「追い出された…みたいな?」 枝先「追い出された?」 唯「うん、実は…」 ……………… 唯「どう?酷いと思わない?」 枝先「いえ、皆さん暖かいと思います」 唯「え?どうして?」 枝先「多分ですけど、それは調子の悪い初春さんを気遣ったんだと思いますよ」 唯「え?」 枝先「あんまり無理はするなってことじゃないですかね?」 唯「う~ん」 枝先「まぁでも初春さんが嫌われて追い出されたって事は無いと思います」 唯「…どうして?」 枝先「それは…」 枝先「だって初春さん、私たちの為に頑張ってくれたじゃないですか」 唯「………」 枝先「そんな人が嫌われてるなんてとっても思えないですよ」 枝先「きっと皆さん」 枝先「初春さんのことが大好きですよ」 唯「!!!」 「ミンナユイノコトガダイスキダヨ」 「皆、唯のことが大好きだよ」 唯「…りっちゃん?」 枝先「え?」 唯「もしかしてあなたは…田井中律?」 枝先「………」 枝先「うわあああああああああああ!!!」 唯「りっちゃん!!!」 枝先「ぐぬううあああああ…」 唯「だい…じょうぶ?」 枝先「…心配かけたな、唯隊員」 唯「りっちゃ…りっちゃん!りっちゃん隊員!!!」 唯「うわあああああああああん!!!」ポロポロ 梓「律先輩でしたか…」 律「梓!梓も久し振りだな!」 梓「全く、何日振りかも分からないですよ」 律「ははっ、それもそうだな」 梓「笑い事じゃないです」ジワッ 律「あぁ、それもそうだな。心配かけた、悪いな」ギュッ 梓「まったくです」 梓「うわああああああああん」ポロポロ ……………… 唯「りっちゃん、結局入院したままなんだね」 梓「仕方ないですよ、いきなり退院なんてできないでしょ」 唯「そっかぁ、まぁすぐに会えるもんね!」 梓「はい、すぐに会えます」 唯「他の皆はどうしてるんだろ」 唯「そもそも学園都市にいるんだろうか」 梓「手がかりも無くなっちゃいましたしね」 【初春宅】 唯「もしかしたら元々3人だけだったのかも」 梓「ギター2人にドラムですか?」 唯「はっ!ギー太は!ギー太はどこっ!?」 梓「私のギターも初めからありませんでしたし」 梓「ちゃんと帰らないとギターもお預けですね」 唯「そ、そんな…」 … アレイスター「よし、順調だ…」 ヒュン 「こんな時間に呼び出してなんのつもりだ」 アレイスター「来たか、土御門」 土御門「何の用だ?仕事か?」 アレイスター「あぁ、実は…」 ……… 土御門「お前、ふざけてるのか?」 アレイスター「これも任務の一つだ、頼んだぞ」 土御門「チッ、糞が…」 【翌日】 土御門「実はカミやんの手持ちフラグを見込んでのお願いがあるんだにゃ~」 上条「何だ?手持ちフラグ?」 土御門「詳しい事情は言えないんだが、JCだけを8人、週末のカラオケに誘ってほしいんだにゃ~」 上条「JC8人?てめぇ何を企んでやがる!」 土御門「いや、だから詳しいことは話せないんだ」 上条「流石の上条さんも8人も知り合いがいないですよ」 土御門「そこを何とか頼むぜよ!」 上条「まぁ頑張ってみるけど…」 【放課後】 上条「はぁ、不幸だ…」 「あんた、何やってんのよ」 上条「あん?あぁお前か…下校してるだけだよ」 御坂「だから何で不幸だとか言いながら下校してんのかって聞いてんのよ」 上条「ん~上条さんにも色々悩みがあるんですよ」 御坂「へぇ、今度はどこの女を助けに行くのよ?」 上条「何だそれ?いや、まぁこればっかりは御坂には解決できないんだよ」 御坂「はぁ?この常盤台のレベル5に解決できない問題なんてないわよ!」 上条「………あれ?」 上条「………」 御坂「な、何よ」 上条「週末、カラオケにでも行かないか?」 御坂「…え…は?///」 上条「そうか…なるほど!幸運だ…」 御坂「べ、別に、行ってあげてもいいけど」 上条「おおーっ!流石は御坂様!」 御坂「何よそれ」 上条「じゃあ後7人、女の子連れてきてくれ、ただし中学生に限る」 御坂「………は?」 御坂「ふ、ふ、ふざけんじゃないわよ」 ビリビリーッ 上条「のわっ!」バシュッ 御坂「私を利用する気!?」 上条「そんなんじゃねぇ!」 上条「ただお願いだ!後7人、何とか呼んでくれ」 御坂「………」ピタッ 御坂(後7人呼んだらこいつとカラオケ…) 上条「?」 御坂「し、仕方ないわね、呼んであげるわよ」 上条「流石だぜ御坂!うっひょーっ!」 唯「結局今日も手がかり無しだったね」 梓「まぁ仕方ないと言えば仕方ないんですけどね」 ギンギラギンニサリゲナクッー 梓「何?この音…」 唯「あ、メールだ」 梓「着うただったんですか…」 唯「御坂さんからだ」 唯「週末カラオケ行こう!だって」 梓「ま、最近、根を詰めすぎてましたし丁度いいでしょ」 唯「じゃあ行くって返信するね~」メルメル 【週末】 上条「よう御坂、ちゃんと面子は揃えたか?」 御坂「もちろんでしょ、そっちはどうなのよ」 上条「実はというと俺もまだ誰が来るかは分からん」 御坂「は?どういう意味?」 上条「俺の友達が集めとくってさ」 上条「先に入っててくれだとよ」 御坂「じゃあもう少ししたら入りましょうか」 上条「そうだな」 佐天「御坂さん、お待たせしました」 梓「久し振りです」 唯「…はは」 御坂「あら皆、久し振りね」 佐天「そちらは?」 上条「あぁ、俺は上条当麻、よろしくな」 佐天「よろしくお願いしま~す」 唯・梓「お願いしま~す」 黒子「お姉様~」 湾内「ま、待ってください白井さん」 黒子「な、…!なぜ…なぜ類人猿がここに!?」 上条「類人猿って…」 黒子「きーっ!黒子は黒子は!今日は徹底的に監視させてもらいますの!」 上条「何もしねぇよ…」 御坂「ははは…」 「ちょっと、急に走っていくなんてどういうつもりかしら?」 梓「…え?」 唯「………」 4
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TRINITYxVENUS CHARACTER SHEET/とある魔術の禁止目録Ver. 【基本情報】 【アドバンスドVIP】 【ライフパス】 【レベル】 【能力値】 【アイテム】 【装備】 【戦闘値表】 【特技】 【設定】 【メイドシスターズ】 【セッション履歴】 [部分編集] 【基本情報】 PL名:たれ PC名:多良木 誉(たらぎ ほまれ) 性 別:女 年 齢:16 カバー:世界征服を目指すニート 所 属:天草式十字凄教/あまくさしきじゅうじすごいきょう 身 長:156cm 体 重:??kg 瞳の色:深緑 髪の色:黒 肌の色:黄 【能力名】 ・vitalis231 ・生ある限り我が心のままに [部分編集] 【アドバンスドVIP】 |チェック|ADV・VIP名|コスト|タイミング|対象|射程|代償|効果|参照P| | | トール | 2 |ダメージ前|自身| | |神ダメ+10D6| | | | フレイヤ | 2 |イニシアチ|自身| | |即行動| | | | ネルガル | 2 | 行動前 |単体|シーン| |対象シーン選択化| | [部分編集] 【ライフパス】 ・出自:資産家 特徴 /購入判定+3 ・覚醒:親友 /エキストラ(親友)取得 ・邂逅:忘却 ・コネ:関係 / ・イカなんとかさん:忘却/忘れられたでゲソ ・ / ・専門分野:ルーン魔術 [部分編集] 【レベル】 ・使用経験点: |キャラクター(総合)|LV6 |《加護》| |クラス:ファイター |LV3 | | |クラス:OVL |LV2 | | |クラス:ガンスリンガ|LV1 | | [部分編集] 【能力値】 | |1 |2 |3 |B |[基本値] 能力B| |[体力]|6 |6 |4 |1 |17 ( 5)| |[反射]|5 |5 |4 | |14 ( 4)| |[知覚]|4 |4 |5 | |13 ( 4)| |[理知]|2 |2 |4 | | 8 ( 2)| |[意思]|3 |3 |4 | |10 ( 3)| |[幸運]|4 |4 |3 | |11 ( 3)| ・[VIPブースト]:10点(【体力ボーナス】+5) ・[登場判定]([幸運]) =3 ・[コネつき]([登場判定]+2)=5 [部分編集] 【アイテム】 ・富豪(5) ・小型住宅(1)+個室(1)+パーソナルコンピューター(5) ・隠れ家(2) ・時空鞘(5) ・エキストラメイド(5) ・エキストラ親友(-) ・時空マント(5) ・アダマンピストル(30) ・爆裂弾*2(15) ・氷結弾*2(15) [部分編集] 【装備】 |装備箇所 |装備名称 |種別|必要体力|命中|回避|攻撃力 | 射程 |手持ち|抵抗|行動|斬/刺/殴|その他| |武器:右手|ルーン狙撃銃| 銃 | 19 |-1| | 雷 +10| 40M | 両手 | | |-/-/-| | |武器:左手| | | | | | + | | | | |-/-/-| | |防具 | PAジャケ |防具| | |-1| + | | |-1|-3|6/6/3| | |アクセサリー | Aリング |AC| |+1| | + | | | | |-/-/-| | |アクセサリー |グロウアップ|AC| | | | +4| | | | |-/-/-| | |その他 1| | | | | | + | | | | |-/-/-| | | 2| | | | | | + | | | | |-/-/-| | [部分編集] 【戦闘値表】 | | |(クラス№) |武器|武器| | | | | | |[戦闘値]| ベース B|1+2+3=素|右手|左手|防具|装飾|他1|他2|[合計値] | |[命中値]|([反射]+[知覚])÷2=4|3+2+2=11|-1| | |+1| | |[命中値]11 | |[回避値]|([反射]+[幸運])÷2=3|2+0+0=5| | |-1| | | |[回避値]4 | |[心魂値]|([理知]+[知覚])÷2=3|1+2+0=6| | | | | | |[心魂値]6 | |[抵抗値]|([理知]+[幸運])÷2=2|2+2+0=6| | |-1| | | |[抵抗値]5 | |[行動値]| [反射]+[理知] =6|2+0+2=10| | |-3| | | |[行動値]7 | |[耐久力]| [体力基本値] =17|9+4+2=32| | | | | | |[耐久力]32 | |[精神力]| [意思基本値] =10|4+4+1=19| | | | |-3| |[精神力]16 | |[攻撃力]|右 =-|3+2+1=6|10|--|--|+4|+3| |[攻撃右]雷+23| |[攻撃力]|左 =-| + + = |--| |--| | | |[攻撃左] + | |[防御力]| | | 斬 | | 6| | | | 斬 6 | | | | | 刺 | | 6| | | | 刺 6 | | | | | 殴 | | 3| | | | 殴 3 | ・[戦闘移動]([行動値]+5) =12 ・[全力移動]([戦闘移動]×2)=24 |[戦闘値]|アダマンピストル装備時|1+2+3=素|右手|左手|防具|装飾|他1|他2|[合計値] | |[命中値]|([反射]+[知覚])÷2=4|3+2+2=11|-2| | |+1| | |[命中値]10 | |[回避値]|([反射]+[幸運])÷2=3|2+0+0=5|+1| |-1| | | |[回避値]5 | |[攻撃力]|右 =-|3+2+1=6|+7|--|--|+4|+3| |[攻撃右]殴+20| [部分編集] 【特技】 | 《特技名称》 |LV|種別|タイミング|判定|難易|対象|射程|代償| 効果 | | 戦士の手 |1| 自 | パッジヴ | | | | | |物理攻撃C-1| |ヘヴィウェポン|1| | パッジヴ | | | | | |必要体力+CL| | なぎ払い |2| | メジャー |命中|対決|範選|武器| 2MP|対象に物理攻撃| | 戦士の目 |3| | パッジヴ | | | | | |物理攻撃C-1| | 銃腕 |1| 自 | パッジヴ | | | | | |銃の必要体力ーCL| | 携帯許可 |1| | パッジヴ | | | | | |ガンスリ専用武器購入可能| |クイックドロー|1| | オート |自動|なし|自身|なし| 3MP|即座に銃を装備| | 異界の武器 |1| | パッジヴ | | | | | |モンスターライフルの属性:雷| | 戦闘技術 |1| | パッジヴ | | | | | |物理攻撃ダメージ+3| | 異界の業 |2| | パッジヴ | | | | | |剣王の城取得、精神力ー3| | 剣王の城 |1| | セット |自動|なし|自身|なし| 3MP|グロウアップアミュレット装備| | | | | | | | | | | | [部分編集] 【設定】 さび色のイヤリングを常にしている、黒髪ベリーロングな女の子。お風呂に2時間余裕です。 学園都市から離れた街にある、とある資産家の娘にして、天草式十字凄教に属する一人。 でも頭のかわいそうな子なので、十字凄教を「じゅうじすごいきょう」と読んでいたりする。 また、本人は野心家(のつもり)なので、十字凄教なんぞの枠に収まらず、将来は魔術関係を統括し、ついでに科学関係も統括して世界征服してみせようとか思ってる。 でもやってることは、近所のガキを集めて秘密基地作ってみたりとか、そんな感じのことばっか。 現在、メイドと一緒に学園都市に一軒家を建てて住んでいる。 ちゃんとゴミの分別したり、上記のガキを集めて、とかで、近所のおばちゃんとかからは、子供思いのいい子扱い。 お気に入りは商店街にあるとある個人運営のお好み焼き屋のお好み焼き。ただし焼くときは自分で焼く。こだわり。 ちなみに近寄られると何も出来ないので、とりあえず素手でぽこぽこ殴りだす。 使う魔術はルーン魔術。見た目はスナイパーライフルながら、実はルーン魔術によって強化されたレールガン。 また、弾丸にもルーン魔術が刻まれており、使う弾丸によっては氷塊や炎弾を飛ばすことも可能。 性能的に言えば劣化超電磁砲とも言われることもしばしば。 あと、普段から装備を着込んだ上で、ルーン魔術で不可視にしたりしてます。 そんな彼女には12人のフォックステイルなメイドたちがいる。 [部分編集] 【メイドシスターズ】 長女:睦月。アホの子な誉を側近として全般をサポートする、パーフェクトで瀟洒でスーパーなメイド。 屋敷内の家事全般も執り行う、メイドシスターズの中のメイド長。 長男:如月。睦月と同じく、誉のサポートとして優秀ながら、普段はどちらかというとより外のことを行っている。 実家への報告などは睦月ではなく、如月の仕事。美形。たまに誉への忠誠心が鼻から出る。 二女:弥生。誉一家の台所を任されている。曰く「一週間の献立を考え続けることができる程度の能力」の持ち主。 彼女がいないと台所が回らない、とは睦月の言。なぜか三女・四女より幼く見える。 三女:卯月。やたら潔癖症で、掃除からベッドメイクまでなんでもござれ。汚れ発見即掃討。 ちなみにGなんて出た日には「汚物は消毒だぁぁぁぁぁ!」と言いだして狐火を放つ。 四女:皐月。おもに諜報、情報伝達が仕事のメイドとは程遠いメイド。彼女より上は全員これを行えるが、彼女はそれ特化している。 ゆえに家事はあまりできない。あと、口が悪い。敵味方構わず毒を吐く。 五女:水無月。誉とほぼ同年齢。詳しい情報はなぜかない。シークレットメイド? 六女:文月。葉月とは双子の姉。文月とともにマイペースな自分の世界を展開し続ける。 メイドとしての仕事はやるものの、上があまりに出来すぎてて、どちらかというと下の世話が主な仕事。 七女:葉月。文月とは双子の妹。葉月とともにマイペースな自分の世界で漂い続ける。 文月同様、メイドとしてより下の世話が仕事。文月と一緒に、長月をいじめることがあるのはご愛敬。 二男:長月。男の娘。本人は執事服を着たいのだが「まずは美貌で相手をだませる技術を養え」という教えからメイド服での奉仕を義務づけられている。 長男如月曰く、昔自分も通った道だが、長月は自分より才能があるから執事服に移行するまで長そうだ、とのこと。 八女:神無。まだ人の姿になれるようになって日の浅いメイド見習い。言葉もあやうく、よくきゅーきゅー泣いてる。 コケて泣いて皆から慰められて、はよくある光景。 九女:霜月。まだ狐のままの女の子。基本は神無や誉と遊んでる。 三男:師走。まだ狐のままの男の子。霜月同様、神無や誉と遊んでる。 [部分編集] 【セッション履歴】 「第一七七支部襲撃計画」 経験点:18点 経験点1点使用:ライフスタイル・富豪固定化、住宅の一般住宅にパーソナルコンピューター追加 現時点での残り経験点:17点 「世紀末第一七七支部伝説」 経験点:29点 経験点5点使用:メイド/執事10人分固定化 経験点13点使用:アダマンピストル、爆裂弾*2、氷結弾*2、アタックリング固定化 経験点20点使用:総合レベル6に上昇、ファイタークラス2→3へ 現時点での残り経験点:8点
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~第十八学区・結標淡希の部屋~ 結標淡希は後ろ手に紐のような物で縛られ床に転がされていた。 いつも通りの桜色のサラシを胸に巻き、短めのスカートに霧ヶ丘女学院の制服を羽織っただけの姿のまま。 結標『ちょっと姫神さん!?どういう事なのこれは!今すぐこれを解きなさい!』 何故だか座標移動が出来ない。演算が働かない。 そんな虜囚も同然の結標を、姫神秋沙は温度を感じさせない眼差しで見下ろしてくる。 ピンクを基調としたベッドに腰掛けながら足を組んで。 姫神『駄目。こうしないと。貴女は私から離れて行く。本当は鎖に繋ぎたかった。けれど貴女の肌を傷つけたくはないから』 這い蹲う結標の元に膝をつき、クッとその白魚のような指先を結標の顎に添えて上向かせる。 愛玩動物を慈しむように、屈辱に歯噛みする結標をなぶるように。 結標『貴女っ…!何を言ってっ…!!』 姫神『私は。鎖も。他の物も。自分で使ってすら貴女を傷つけるのが許せない』 結標のシャープな輪郭を猫の喉でもくすぐるような手つきで撫でる。 その滑らかな指先に一瞬、嫌悪感とは異なる鳥肌が結標を泡立たせる。 姫神『だから。私が貴女を壊すの。綺麗なまま。硝子細工は砕けた方がより光を輝かせるから』 結標『巫山戯けないで!いい加減にしないと本当に怒るわよ!!』 姫神『無駄。私が縛っているのは。貴女の心。これは魔法の縄。貴女が心の底から望まない限り。決して解ける事はない』 姫神の指先が結標の頬から首筋を伝ってサラシの巻かれた胸元まで優しく滑り…そして乱暴に、引き裂くように毟り取る。 結標『やっ、やめて!やめて姫神さん!どうしてこんな事するのよ!どうして!』 姫神『キツく締めすぎ。大きさに合ってない。でも…とても。綺麗』 肌蹴られた胸元に姫神の手指が、叫ぶ口元に姫神の唇がそれぞれ迫る。 違う。自分は同性愛者でも被虐嗜好の持ち主でも何でもない。なのに 結標『ひ、姫神さん!』 姫神『無駄。貴女にかかった魔法は決して解けない。何故なら』 逆らう心が、抗う魂が、それすら姫神の手の上で転がされているような 姫神『――私は魔法使いだから――』 そして、姫神の唇が結標に重なって――― ~第十八学区・結標淡希の部屋2~ 姫神「痛い」 結標「!?」 そこで結標淡希は跳ね起きた。カーテンの隙間から射し込む初夏の陽射しに照らされたベッドの上で。 結標「えっ!?えっ?!」 姫神「痛いから。下りて欲しい」 結標「ご、ごめんなさい!」 気づけば跳ね起きた際に姫神の黒髪に思いっ切り手をついて下敷きにしてしまっていた事に気づく。 姫神「おはよう」 結標「おっ…おはっ、よう」 慌てて手をどけると姫神は手櫛で乱れた黒髪を直して行く。 眠たそうな顔立ちに似合わず、小萌並みの目覚ましいらずの体質なのか起き抜けといった素振りすら見せない。しかしそれよりも先に思い当たるのは…先程の 結標「(なんて夢見てるのよ私は!会ったばかりの!!それも女の子の!!!)」 昨夜SだのMだの話をした影響が夢にまで出たかと思うと、髪の手入れを始めた姫神とは対照的に頭をかきむしらずにはいられない。 それを姫神はポカンとした顔付きでこちらを見やり、結標はその口元をついつい見やってしまう。 姫神「どうして。そんな特殊な性癖が暴露された性犯罪者のような顔をしているの」 結標「貴女と会ったのこれで二回目のはずよね!!?」 その手合いの嗜好品は全てクローゼットの中に座標移動させたはずだ。 そうだ。読心能力者や透視能力者でもない限りバレるはずは――― ガタンッ!バサバサ…ドサッ 結標「」 昨日の二の舞。絶好のタイミングで限界を迎えたクローゼットから再び飛び出す、未だ年端の行かぬ美少年が睦み合う表紙の本が飛び出し床に散乱する。 そして隠していたインスタント食品も転げ落ち、結標は考えるのを止めた。 姫神「新発見。また一つ。貴女という人間を知る事が出来た」 ベッドから下り、結標の夢が詰まった本を拾い上げられ、パラパラとページを手繰られ、綺麗に纏められ、テーブルに置かれるまで十秒と経っていないのに、それが永遠のように長く感じられた。 姫神「朝ご飯。緑のタヌキ」 そして姫神は結標と一度も目を合わせる事無く部屋を後にした。 声を殺して泣く結標を置き去りにして、インスタント食品を回収して行って。 ~結標淡希の部屋・リビング~ 結標「………………」 姫神「何か。食べる?」 結標「食欲ないわ…」 姫神「吹寄さんからもらったルイボスティー。淹れてくる。それなら。飲める?」 結標「わからないけどお願い…」 初夏の晴天広がる窓辺を見上げながら結標の表情は梅雨入りのように曇っている。 頬杖をつきながらキッチンでお湯を沸かし直す姫神の背中を見やりながら。 自分の着ている服を他人が着ている後ろ姿は何とも言えない気持ちにさせられる。 結標「テレビつけよ…もうニュース終わっちゃってるかしら」 時刻は8 20分と微妙な時間だ。座標移動でリモコンを手にしチャンネルを回す。 単純に気を紛らわす音が欲しかっただけだ。 『第七学区の復興状況は未だ…』 『大規模な戦闘のため倒壊した建築物の撤去作業が…』 『全学連は学生、能力者によるボランティアを募っており、発起人でありリーダーを務めるレベル5第七位、通称“ナンバーセブン”削板軍覇君の懸命な…』 『――などが多発しており、これに対し風紀委員活動第一七七支部は注意を呼び掛けており…』 結標「(第七学区…ね。昨日入ったファーストフードもほとんど難民の炊き出しみたいだったもの)」 右から左に受け流すようにボンヤリとテレビを見つめている結標。 未だ実感は沸かないが、あの夜確かに起きた戦闘…いや戦争はまさに死力を尽くした総力戦であり… 学園都市全体の機能は兎も角、激戦地となった第七学区の復興の目処は未だ立たない。 姫神「お茶。熱いから。気をつけて」 結標「あっ、ありがとうね」 少し考え込んでしまった結標の後ろから、更に思い詰めて見える姫神がお茶を出してくれた。 その香る湯気を見つめながら、結標は姫神の胸中に思いを巡らせる。 どんな思いでこのニュースを見つめているのか、無事だと言うが小萌は今どうしているのか… 結標「ねえ…姫神さん…今日、どうしようかしら?」 本当なら買い出しを予定していた。自分一人ならまだしも、姫神も共になると足りない物はまだまだあると昨日実感した。 女は女で色々と物入りなのだ。だが今結標が問い掛けたのは“質問”ではなく“確認” 姫神「小萌先生を。安心させてあげたい。私はもう。大丈夫だって」 結標「…決まりね!」 出会ってまだ一日足らずだと言うのに、呼吸がピッタリだ。 そして結標は一気にお茶を呷り、席を立ち上がった。 ~第七学区・とある高校跡地~ 小萌「結標ちゃん!姫神ちゃん!」 姫神「小萌先生。3日ぶり」 結標「久しぶりね小萌。いつぶりかしら」 小萌「結標ちゃんはメールばかりでちっとも顔を出してくれないのですー。でも良かったのですよー姫神ちゃんを助けてくれてー…先生の力が足りないばかりに」 瓦礫の山、いくつものテント、何とか無傷の体育館には長蛇の列。 座標移動を繰り返し辿り着いた姫神の通う高校のグラウンドで三人は顔を合わせた。 これだけの生々しい破壊の痕がありながら、一人の学生も死なせる事なく避難させた『第三勢力』の金髪の男…名は確か…『浜面仕上』だったと結標は伝え聞いた。 結標「そんなに痩せちゃうまで頑張っといて何言ってるのよ…」 小萌「ダイエットなのですー!結標ちゃんは細すぎだからもっとお肉をつけなきゃダメなのですよー」 結標「…そうね。落ち着いたらまた焼肉しましょう…私が奢るから」 同時に、流石の小萌もやつれて見えた。それでも気負いを見せないその笑顔に、結標は“大人”というものを感じた。 今の結標ではまだ持てない、能力とは関係ない、能力では手に入らない“強さ”を 姫神「ありがとう。小萌先生…そうだ。“上条くん”は。まだ?」 小萌「上条ちゃんはまだ行方不明なのですよ…ただ、シスターちゃんが“とうまは絶対帰ってくるんだよ!”って笑って、神父さんが“僕が塵や灰にした訳でもないのにあの男が死ぬはずがない”って言ってたから大丈夫なのですー」 小萌の安否を確認し、姫神と話し込み始めたのを見届けると目を切りもう一度辺りを見渡すと―― 結標「(本当に…なんなのかしらね)」 見渡す限りの瓦礫の山。これが自分が暗躍していた学園都市なのかと思うと何とも言えない気持ちになる。 良い思い出より悪い記憶の方が比重は高いし、そもそもそんな事を考える事すらなかった。ゆとりも余裕も暇も。 結標「(こんなセンチメンタルな気分になるなんて)」 ならこの胸を締め付ける寂寥は、寂寞は何処から来るのだろうか…そう思っていると ?「あら?貴女は…」 結標「!!貴女は…」 背後からかかった声に、聞き覚えがあった。思わず振り返る。 ?「お久しぶりですわね…ですが、わたくしここで貴女と“旧交”を温めるつもりはございませんの」 その年の割に大人びた声、お嬢様らしい口調。 結標「そう…初めて気が合ったわね。私も今そういう気分じゃないのよ」 特徴的なリボンにツインテール、結標が所属する霧ヶ丘女学院と対を為す常盤台中学の制服。 ?「お話が早くて助かりますわ。結標淡希さん」 そして何より――その腕に取り付けられた『風紀委員活動第一七七支部 JUDGMENT』の腕章。 白井「ジャッジメントですの――と名乗る必要はございませんこと?」 風紀委員活動第一七七支部、JUDGMENT 177 BRANCH OFFICE所属…『空間移動』白井黒子であった。 ~第七学区・とある高校グラウンド~ 結標「風紀委員の巡回ね…こんな何もかもメチャクチャになってる時にご苦労様だ事」 白井「こんな時だからこそ、ですの」 結標淡希と白井黒子はひしゃげたグラウンドの金網に並んで腰掛けていた。 『残骸』事件以来だったか?などとその邂逅を結標はどこか他人事のように感じていた。 自分に能力で一太刀浴びせ、言葉で一矢報いた同じレベル4、同じ空間移動能力者…にも関わらず 白井「学園都市の機能は未だ回復していない事はご存じですわね?それにかこつけて能力者を狙う外部の輩が彼方此方で見受けられますの…治安維持に注ぐ力は以前とは比べ物になりませんの。責務も激務も」 白井黒子に敵意を向けられない自分が自分で信じられないのだ。 それはこの瓦礫の山と化した街並みを目の当たりにしたからか、その瓦礫の山の中にあってすら己の身を投じる白井の真摯な横顔を見たからか。 白井「そしてよからぬ輩を全てふん捕まえ、学園都市の治安を回復させた暁にはお姉さんの控えめなお胸に飛び込み、思いの丈をぶつける事もやぶさかではございませんの!その日までわたくしは戦い続けますの!うっふっふ、えっへっへっあっはーっ!!」 結標「(…こんな娘にこの私が追い込まれただなんて…)」 軽い頭痛を指先でほぐし目を瞑りながら結標は嘆息した。 同時にはたと気づく。この白井黒子が居るならば、もう一人の姿在るべき人間の姿が見受けられない事に。 結標「超電磁砲(レールガン)…第三位…御坂美琴は一緒じゃないのね」 白井「お姉様はこの第七学区全域の電力を賄う仕事に従事しておりますの。七人…いえ、今は『八人』しかいないレベル5ですから…これをノブレス・オブ・リージュ(高貴なる者の責務)と人は言いますのね…」 やや寂しそうに、しかし我が事のように誇らしそうに白井は語る。 この第七学区全ての電力から電気系統全てを掌握しその能力を行使するなど確かにレベル5でなくては務まらない仕事であろう。 結標「(レベル5ね…最も近いレベル4だなんて言われてたのはいつの話だったかしら)」 だが、今はそんな事すらどうでも良いとすら思える。 かつて白井と交わした舌戦、少年院での戦いを経て乗り越えたトラウマ、それが結標の中のいくつかの部分を占めているのだから。 白井「他のレベル5の面々も駆り出されているようでしてよ?行方不明だった第六位(ロストナンバー)まで姿を表したとかなんとか…あら?失礼しますの」 そこで区切ると白井はいやに前衛的なデザインの携帯電話を取り出し話し始める。 漏れ聞こえた『初春』という単語が聞き取れたがなんの事かはわからなかった。 結標「お仕事かしら?」 白井「一度戻りますの。貴女は――どうしますの?」 結標「どうする…って――」 白井「“この後”どうするかではありませんの。“この先”どうするかですの」 金網から空間移動で飛び降りた白井がこちらを見上げてくる。 その眼差しは問い掛けていた。真摯な光を称えた、迷う事を知らない瞳。 ――結標と戦った時と同じ、あの眼差しだ―― ~第七学区・とある高校グラウンド2~ 白井「結標さん。わたくしは貴女を認めた訳ではありませんの。あの時申し上げたように」 結標「………………」 白井「ですが、もしわたくしに貴女のような力があったなら…と同じ能力者として思いますの。特に今のような状況であればあるほど」 この眼差しだ。この言葉だ。身体にコルク抜きを、鉄矢を突き立てらるより何より―― 白井黒子の迷いのない光が、どんな痛みより激しく心を殴りつけてくる。 白井「あと数メートル長く飛べ駆けつけられたなら、あと数キロ重く人を抱えられたならと…ふふっ、自分のいたらなさを棚に上げて無い物ねだりだなんて…わたくしも疲れてますのね」 結標「相変わらず言いたい放題ね…人の事情も知らない癖に」 結標淡希は思う。こんな目を自分も持てたら少し羨ましいのにと。 白井「そうですわね…これではあの類人猿…いえ殿方のようですわ。失礼いたしましたわ」 白井黒子は想う。あんな力を自分も持てたら少しでも多くの人を救えるのにと。 白井「…学生、能力者によるボランティア募集、御存知ですの?」 結標「…例のナンバーセブンがやってるアレの事?ならニュースで見たわ」 金網から見下ろす結標、地面より見上げる白井。 しかし――もし何か一つ選ぶ道が、嵌る歯車が合えば、二人は同じ場所を対等の目線で見れただろうか。 白井「…そろそろ行きますの。貴女もお達者で。結標淡希さん」 結標「…私も戻らなくちゃ。貴女こそ元気でね。白井黒子さん」 結標・白井「「お互いに」」 そして二人は同時に空間移動した。本来交わる事のなかった道から、再び各々の歩む場所へと帰って行くように。 分かたれた光と影の双生児のように ~第十八学区行きモノレール内~ 結標「小萌、思ったよりやつれてたわね」 姫神「うん。随分と無理していた」 第七学区のモノレールは完全に壊滅していたため、小萌と別れた後の二人は再び座標移動を繰り返して一度第八学区まで出、そこから乗り直し帰路についていた。 時刻は昼過ぎ、昨日二人が出会ったのと同じ時間帯であった。 姫神「私達は。子供だね」 結標「…そうね」 車内は閑散としていた。目的地までノンストップの特別便のため、乗り込んで来る乗客も下りて行く乗客もいない。 だからこそ姫神の短い言葉が、自分の声音が、ことのほか響く気がする。 姫神「小萌。一緒に住んでた時はいっぱいビールも飲んでいたし。たくさんタバコも吸っていた」 結標「私が転がり込む前からああだったのね…なんだか懐かしいわ」 姫神「正直な気持ちで言えば。少しだらしないなって。思った時もあった。でも」 結標「でも…今日、初めて小萌が大きく思えたわ」 姫神「うん。大きい。私達より。ずっと」 出会ってまだたったの二日。知り合ってまだたったの二日。 住んでいた世界すら異なり性格も違う二人の共通の話題はまだ少ない。 しかし…月詠小萌という一人の人間が、二人を結び付けた。 姫神「だから。今日から少しでも大きくなりたい。背伸びじゃなくて。大きく」 スッ…と結標の身体が姫神の腕で、肩に寄せられた。 姫神は結標と白井の会話を知らない。確執も因縁も遺恨も知らない。 しかし戻って来た結標の様子がひどく疲れて見えた事は感じられた。だから。 姫神「着いたら。起こすから」 結標「…そうしてちょうだい。能力を使い過ぎて疲れたわ」 この程度のテレポートの連発でくたびれるほど弱くない。 修羅場鉄火場を潜り抜けて来た身体はこの程度で疲れるほど脆くない。 だが…その心は、預けた頭を受け止める肩から離れてくれなかった。 結標「(焼きが回ったものね。私も)」 そして結標淡希は姫神秋沙の肩で少し眠った。 今度は、夢を見なかった。
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―風紀委員第一七〇支部― 学園都市の中でも治安が最悪な第10学区に位置する特別な風紀委員支部。 第10学区の治安の悪さは、配送業者がわざわざ迂回して目的地に向かうといった逸話があるほど。 そんな伝説がある第10学区に配置される第一七〇支部。 この支部の風紀委員はもともと別の支部にいた風紀委員で形成されている。理由は下記。 この支部に配属される条件というものが存在し、条件に満たない風紀委員は配属されない。 主に教師や学校の推薦であるが、自ら志願して、審査が通れば配属される場合もある。 支部のほとんどの人間がパトロールに出かける状況が多い。 まず、第一に男であることが条件であり、いくら風紀委員といえど所詮は学生。 ましてや風紀委員という立場の女というのは第10学区は危険すぎるとの判断。 第二に、配属される風紀委員は高校生以上であり、理由は上記と同じで 中学生では危険ということ。 最後の条件は、風紀委員を三年以上経験している風紀委員であること。 支部の全員が経験年数三年以上の人間なら、どんな状況でも対処できると期待を込めてのこと。 一見すると治安の悪い学区を任されたようにも見えるが、条件の通り、 風紀委員を三年以上勤め尚且つ、危険な第10学区に配属されるということは さまざまな人からの期待がある、といってもいい。そのため、配属されることに対し喜ぶ風紀委員もいる。 もちろん、その逆の感想を抱く風紀委員もいる訳で、推薦を断られることも少なくない。 そんな第一七〇支部の異名は『Expectation or Hell』、他支部の風紀委員がつけたという。 通称EOH(イーオーエイチ)。 支部の人間もこの通称を使う。