約 147,395 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6205.html
特別編 清澄高校麻雀部の人々 いつもと大分違った特別編です 1週目とも2週目ともまた別の世界で、とあるゲームのパロです 京太郎は清澄の麻雀部にいます。時期は年末くらいです ※キャラ崩壊などアリ、そういうのがNGな人は数レスほどスルーでお願いします バサッ 京太郎「ん?なんだこれ?」 年末の、大掃除前 みんなより先に来て早めに掃除をしていたら、それを見つけた 棚の牌譜やノートの整理中、端っこの方に隠すように置かれたいたそれは、他の物を動かした拍子に倒れていた 表紙は見えなかったが、ページが開いた状態で出てきたそれは大学ノートのようで、何か書かれていた ○月○日 久 最近須賀くんに雑用を任せっぱなしになってる 今度なにか奢ってあげよう ○月○日 まこ 京太郎がうちの店の手伝いまでしてくれた 給料多めにするよう言うとこう 京太郎「……先輩たち、いや、女の子の日記か日誌か?」 それは竹井先輩、染谷先輩、和、優希、咲の5人みんなで書き込む日記のようなもので、主に俺のことが書いてあった ○月○日 優希 京太郎がタコスを作ってくれたじぇ! 最近また美味くなってる!! ○月○日 和 ☆ 須賀くんがまた私の胸を見ていました 夏服になってから、以前より視線を感じます ちょっと控えてほしいです ○月○日 咲 ☆ 京ちゃんに迷子から見つけてもらった 嬉しかったけど、帰り道に私がいると教えてもらったという女の人にお礼に行っていた 迷子になったのは私のせいだけど、女の人の胸を見て鼻の下を伸ばさないでほしい 京太郎「……こんなこともあったなー」 女の子の日記を読むことに多少いけないとは思うが、書いている内容にその時のことを思い出し、懐かしく思う なんでこういう風に書いているのかは分からないが、あの時ありがたかった、嬉しかった、と書かれているのは悪い気はしない 京太郎「さて、こっそり書いてる物っぽいけど、あんまり見てると悪いし……アレ?」 無言でページをめくる ノートには、まだ続きがあったようだ ○月○日 久 ☆☆ 最近須賀くんに他校の知り合いが増えたみたいだ 美穂子やゆみからもよく話を聞く いつの間に連絡先を交換したのかしら ○月○日 まこ ☆☆ ここ数日京太郎が店の手伝いをしてる時、高校生の客が多い気がする 今日なんて鶴賀の妹尾や風越の吉留、龍門渕の沢村まで来ていた 執事服にしたせいか? ○月○日 優希 ☆ クラスの人から京太郎のことを聞かれた いっそウチの部のマネージャーに欲しいとか言われたけど、渡す気はないじぇ ○月○日 和 ☆☆☆ 玄さんから須賀くんのことを聞かれました 玄さんと胸の話をしていたらしいです そんなに胸がいいんですか ○月○日 咲 ☆☆☆ 東京で京ちゃんと出かけようとすると、用事があると言われて断られた 和ちゃん達と出かけると、他校の女の人達と仲良さそうな京ちゃんを見つけた 他校の人と仲良くなるの早くないかな? ○月○日 久 ☆☆☆ 東京に来てから須賀くんを訪ねる他校の女の子が多い 東京でナンパでもしたのかと思ったが、女の子達の様子からして違うらしい 何をやっているのかしら ○月○日 まこ ☆☆☆ 京太郎に冗談半分で執事服を渡したら、見事に着こなしおった そのせいか、何人もの女子が来た 写真まで取って、有料にすりゃ良かったか ○月○日 優希 ☆☆ 京太郎のタコスを花田先輩に渡したら、かなり評判が良かったみたいだじぇ ただ、わざわざ新道寺の人、それ以外の学校の人もレシピを京太郎に聞きに来た 京太郎はわざわざ全員に振る舞っていた。おかげで私の分が無くなった くうくうおなかがなった ○月○日 和 ☆☆☆☆ 須賀くんが他校の胸が大きい女の子たちといました 視線は明らかに胸にいっていた。なのに女の子たちは気にしていない様子でした 宿舎の戻ってきても、私の胸を見ていまいした なんともいえない気持ちになりました ○月○日 咲 ☆☆☆☆☆ 京ちゃんがお姉ちゃんと、お姉ちゃんの学校の人達と仲良さそうにしていた お姉ちゃんと、お姉ちゃんのとこの大将の人は京ちゃんの腕にわざとらしく抱き着いていた 許せない 何かに急かされるようにページをめくる 危険だ この先は見てはいけない 今すぐノートをしまって、何も見なかったことにしないといけないと俺の本能が言っている でも、ページをめくる手が止まらない ○月○日 久 ☆☆☆☆ 須賀くんは他校の3年生と盛り上がっていた わざとらしくうちに転校しないか?なんて言われてて悩んでいる様子だった 冗談なのに、何を言っているのかしら ○月○日 まこ ☆☆☆☆ 次鋒戦で当たった奴らと飯を食っていた 似顔絵か何か書いてもらってデレデレしよって 胸とかわしと差無いじゃろ ○月○日 優希 ☆☆☆ 他校のちっこいのと京太郎が話していた いきなり抱き着かれて、慌てて赤くなりながら振り払っていた 私の時はそんな素振り見せなかったくせに…… ○月○日 和 ☆☆☆☆☆☆ 今日の須賀くん 2人でテレビの試合を見ながら真面目な話をしているのに胸を見てきます やんわりと注意をすると、テレビで試合に出ている胸の大きい選手を見ていました 許せません ○月○日 咲 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 今日の京ちゃん わざわざお姉ちゃんとそのチームメイトにお菓子を作っていた 私には試作品というをくれた でも許せない ○月○日 久 ☆☆☆☆☆ わざとらしく体を寄せてくるプロ相手にもデレデレしていた 許せない ○月○日 まこ ☆☆☆☆☆ 他校の眼鏡を掛けた巨乳の娘と眼鏡を外すかどうかの話 許せない ○月○日 優希 ☆☆☆☆ ちっこい奴らに囲まれていた なんで私だけ扱いが適当なんだ 許せない ○月○日 和 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ また胸を見てきます 胸の大きい娘の試合ばかり見ています 許せません ○月○日 咲 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 今日の京ちゃん 迷子になっていたお姉ちゃんを見つけて手をつなぐ 転びそうになったお姉ちゃんを抱き留める 絶対に許さない 須賀くん(許せない) 京太郎(許せない) 京太郎(許せない) 須賀くん(許せません) 京ちゃん(絶対に許さない) 許せない許せない許せない許せません絶対に許さない許せない許せない許せない許せません絶対に許さない許せない許せない許せない許せません絶対に許さない ノートを閉じる その表紙を、俺は今、やっと見た りゅうもんふちグループ発行、よいこのめっさつしりーず、ジャ●ニカ暗殺帳「ふくしゅう」 そして、やっと気付く 背中に感じる、5人の気配を…… なんてこった 俺に伝統の不条理デッドエンドが用意されていたなんて――― 「須賀くん?」「京太郎?」「京太郎?」「須賀くん?」「京ちゃん?」 カンッ!! 京太郎「……はっ!?」 不意に飛び起きる どうやら俺は麻雀部のベッドで寝てしまっていたらしい 時間は、まだみんなの来る前だ 早めに来て、掃除を先に始めようと思ってはいたが 京太郎「……うわ、なんだこのすごい汗」 全身に冷や汗をかいている 変な夢でも見たか? 京太郎「……やめとこ、ロクな夢じゃない気がするし。顔洗って、掃除でもやっとくか」 俺は起き上り、顔を洗うために部室の外に出る まだみんなは来ていない 早いとこ、済ませてこよう 「ふふっ」「ははっ」「あはっ」「くすっ」「ふふふっ……ねぇ、京ちゃん?あんまり、悪いことしちゃ、駄目だよ?」 カンッ!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6202.html
特別編、永水ver とある執事との交流 ハギヨシ『こうやって話すのも久しぶりですね』 京太郎『そうですね。新しい学校やらでこっちも忙しくて』 ハギヨシ『いえいえ、私の方こそ連絡ができず申し訳ない限りです。ところで、今は鹿児島でしたっけ?』 京太郎『はい。元女子校の永水にいます』 ハギヨシ『ほほう、永水ですか……去年のインターハイにお供した時に何度か見ましたが……』 京太郎『……巫女服ですね』 ハギヨシ『巫女服です。それを着ている方々も素晴らしかったです。それを機会に巫女ものが数冊増えたものです』 京太郎『分かります。それと、こっちは暑さからか薄着になるのが早くて』 ハギヨシ『いいですねぇ、こちらはまだまだ長袖の方が多いですよ』 京太郎『こっちで仕入れた素人ものでも今月は送りましょうか?』 ハギヨシ『ふむ、ではそれと水着ものを是非。そちらでなら良質のものが手に入るととある筋からの情報が』 京太郎『水着もの……確かに少し探しただけで良作が多いです。分かりました』 ハギヨシ『ではこちらは巫女ものと……そうですね、個人的なおススメをいくつかご用意しましょう』 京太郎『ええ、ではまたいつものように。品名は「参考書で」』 ハギヨシ『はい、こちらの品名は「月刊誌」でよろしくお願いします』 漢達の友情は決して途切れない こうやって月1でエロ本をまとめて貸し借りしている2人であった カンッ!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6414.html
朝 京太郎「照と打ちたい」 京太郎「憩さんと咏と打ったときみたいに」 京太郎「何が変わるのかわかんねえけど」 京太郎「昨日は何とか辻垣内さんから逃げ切れたけど、照の場合は和了することが怪しいし」 京太郎「まずは特訓するか」 京太郎「おはようございまーす」 憩「お、京太郎くんか」 京太郎「憩さん、早いですね」 憩「まあね、どや?一緒に打たへん?」 京太郎「別に構いませんけど、他の面子はどうするんですか?」 憩「もう集まってるからはやくはやく」 京太郎「はいはい」 憩「連れてきましたよーぅ」 郁乃「お、来た来た~」 エイスリン「キョウタロー!ナマケ!」 京太郎「何を言っているんですか」 郁乃「京太郎くんには強くなってもらうで~」 結果 一位 憩 二位 エイスリン 三位 京太郎 四位 郁乃 京太郎「うむむ……」 郁乃「ラスってもうたか~あはは」 エイスリン「ケイ、ツヨイ!」 憩「たまたまやで、結構危なかったし」 京太郎「エイスリンさんと憩さんに和了られっぱなしでしたよ」 郁乃「みんな強いな~」 憩「いや、あんたはワザと振り込んでたやろ」 郁乃「あれ~?そう見えた~?」 エイスリン「キョウタロー!ゲンキダシテ!」 京太郎「はい、ありがとうございます」 エイスリン「ヨカッタ!」ニコッ 京太郎(いっつも元気だなぁ) 昼 京太郎「バイトでもするか」 京太郎「今日はどんなバイトがあるのかなー」 京太郎「遊園地スタッフ、か」 京太郎「結構近いところにあったんだな」 京太郎「規模はあまり大きくないみたいだけど」 京太郎「よし、行ってみるか」 「ハハッようこそダイスニーランドへ」 「DISNEYLANDと書いてダイスニーランドだよ」 京太郎「スペル同じですよね、東の夢の国パクってますよね」 「ハハッそんなわけないじゃないか、大体あそこだって騙してるじゃないか、何が東京だよ千葉じゃないか」 京太郎「そりゃあそうですけど!いくらなんでもダメだと思うんですよ」 京太郎「あそこのマスコットの黒の部分を赤で塗りつぶしただけのマスコットは」 「とにかく、うーん、まずは園内の掃除をしてもらおうかな」 「ゴタゴタ言ってねえでさっさと行けよ」 京太郎「いきなり口調変わりすぎでしょ!」 「おう、帰ったか」 京太郎「もうキャラ壊れてますよね、それ素ですよね」 「るっせーな、キャラなんてそんなもんだよ」 「常時笑ってるネズミもウヒョウヒョ言ってる犬もよくわかんねえ言葉しゃべってるアヒルも全部猫被ってんだよ」 「ま、実際被ってんのは着ぐるみだけどな、ハハッ」 京太郎「笑い方はそれが素だったんですか」 郁乃「ただいま帰ったで~」 「おう、荷物ならそこに置いとけ」 郁乃「あれ?今日来るバイトって京太郎くんやったん?」 京太郎「そう言う郁乃さんこそ」 「なんだ?二人とも知り合いなのか?」 「イチャイチャしやがって」 京太郎「知り合いですけど、イチャイチャはしてないですよね」 「男女が喋ってたらイチャイチャ、そうとしか言えねえ」 「そろそろ終業だから帰っていいぞ」 京太郎「えっまだ16時ですよ?」 郁乃「この人が趣味で開いた遊園地やからな~」 「そういうことだ、とっとと帰れ」 郁乃「遊園地ん中綺麗やな~って思っとったけど、京太郎くんやったんやな」 京太郎「まあ掃除とかは得意な方なんで」 郁乃「どうせなら京太郎くんと一緒に働きたかったな~」 郁乃「あ、今日は買い物行くからここまでや」 郁乃「ほなまた~」 京太郎「お疲れ様でしたー」 夕 京太郎「雀荘に行くか」 京太郎「この前みたいな賭けは見つかると困るからな」 京太郎「いつも通りノーレートで行こう」 憩「あ、京太郎くーん」 京太郎「憩さんも来てたんですか?」 憩「まあね」 おっさま「おっ、須賀ちゃん、どうや久しぶりに打とうやないか」 おっさん「げっげっげっ、けちょんけちょんにしたるわ」 京太郎「は、はあ、よろしくお願いします」 一位 京太郎 二位 憩 三位 おっさま 四位 おっさん おっさん「飛ばされてもうた……」 憩「今回は調子よかったみたいやね」 京太郎「流石に二回も負けるわけにはいかないので」 おっさま「やっぱり須賀ちゃんも荒川ちゃんも強うなったわ、また打とな」 京太郎「はい、負けませんからね」 おっさま「おお怖い怖い」 憩「ほな帰ろか」 京太郎「はい、それではまた!」 おっさん「楽しみにしてるでー」 おっさま「バイトにも来てなー」 京太郎「五か月前と同じ面子でしたね」 憩「せやったな」 京太郎「今朝のことでもわかりましたよね?憩さんは強いです」 憩「この前はほんま、おおきに」 京太郎「別にいいですよ、それじゃあスーパーかどっかに寄って帰りましょうか」 憩「せやね、行こか」 夜 京太郎「最近は月が綺麗だな、流石は秋」 京太郎「今年も月見団子作ろうかな、みんなを呼んでみるのもいいかも」 京太郎「散歩でもしてくるか」 京太郎「今日はあんまり寒くないな」 京太郎「人もぽちぽち見かけるし」 京太郎「ここに来てもう五か月、か」 京太郎「学校まで歩いてみるか」 ウーウーウー 京太郎「救急車か、近くの病院っていうと……荒川病院」 京太郎「憩さんの病院か、やっぱり何回見ても大きいよな」 京太郎「憩さんは親元を離れて生活したいからこっちに住んでるんだっけか」 京太郎「風邪になったら来てみるか」 憩「あれ?京太郎くん?」 京太郎「憩さん、どうしてここに?」 憩「んーちょっとな、京太郎くんは散歩?」 京太郎「はい、一緒に帰りましょうか?」 憩「あーうん、そうしよか」 憩「もう秋やなー」 京太郎「秋ですねー」 京太郎「月が綺麗ですよ」 憩「……はぇっ!?」 京太郎「どうかしましたか?」 憩「うっううん!何でもないで!」 憩「気にせんといてや!」 京太郎「は、はあ……」 夜 京太郎「憩さんを送り届けてきたぞ」 京太郎「今度は駅の方にでも行ってみるかな」 京太郎「夜の街、やっぱり長野とも東京とも違うな」 京太郎「そういえば、戒能さんは今どこにいるんだろうか」 京太郎「学校でまだ働いてんのかな」 竜華「~♪」 京太郎「あ、竜華さーん」 竜華「あ、京くん、何しとるん?」 京太郎「それはこっちの台詞ですよ、何してるんですか?」 竜華「怜の家に泊まっとるんや、来る?」 京太郎「行きませんよ、お家の人に迷惑じゃないですか」 竜華「あはは、それもそうやな」 京太郎「それでその買い出しのため、と」 竜華「せやで!」 京太郎「買い出しはいいですけど、気を付けてくださいね」 京太郎「ここいら辺不審者が出るらしいので」 竜華「大丈夫大丈夫」 京太郎「……だといいんですけどね」 京太郎「それじゃあまた」 竜華「じゃあねー!」 【9月第1週 平日】終 【9月第1週 休日】 京太郎「今日で夏休みも最後か」 京太郎「宿題は……まあ、大丈夫だろ」 京太郎「今日も楽しもう!」 京太郎「…………大丈夫だよな?」 京太郎「朝の散歩とでも行くか」 京太郎「今日はどこに行こうかなー」 ガチャ バタム 京太郎「んーっ!」ノビー 京太郎「いい天気だなー!」 バタム エイスリン「キョウタロー?」 京太郎「エイスリンさん、おはようございます」 エイスリン「オハヨッ!」 京太郎「エイスリンさんも散歩ですか?」 エイスリン「コレ!」バッ 京太郎「何も描かれてないですけど……?」 エイスリン「コレカラ!」 京太郎「ああ、これから描きに行くってことですか」 エイスリン「」コクッコクッ エイスリン「イコッ!」 京太郎「いいですね、行きましょうか」 京太郎(なんやかんやで絵のモデルになることになった) エイスリン「ウゴカナイデ!」 京太郎「すみません!」 エイスリン「」ジーッ 京太郎(でも、一生懸命描いてるな……) エイスリン「」カキカキ 京太郎(完成が楽しみだ) エイスリンの好感度が上がった! 昼 京太郎「誰かの部屋に遊びに行くか」 ピンポーン 京太郎「うーたーちゃん、あっそびーましょ」 ピンポーン 京太郎「あっそびーましょ!」 シーン 京太郎「咏ー?」 シーン 京太郎「…………」 シーン 京太郎「別のことをしよう」 京太郎「勉強するか」 京太郎「誰か呼んでこようかな」 憩「京太郎くんおるー?」 京太郎「はーい、何ですか?」 憩「一緒に勉強せえへん?」 京太郎「今俺から呼ぼうかと思ってたんですよ」 憩「そうなん?ま、ええわ、まずは何からやろか?」 京太郎「じゃあ最初は国語から、でいいですか?」 憩「ええでーほな始めよか」 京太郎「そういえばあと3週間後に中間試験なんですよね」 憩「中間試験はきっついでー、ウチの高校の試験やる度に難しくなっていくんや」 京太郎「え、そうなんですか?」 憩「せやから頑張らんとな」 京太郎「ですねー……」 憩「ま、ウチがおるから任せといてや!これでも学年一位なんやから!」 京太郎「そうだったんですか!?」 憩「あれ、知らんかったん?」 京太郎「ええ、でもすごいですね」 京太郎「麻雀できて、勉強もできて、それに可愛いんですから」 憩「かっ、かわええ?」 京太郎「憩さんは十分可愛い人だと思いますよ?」 京太郎「笑顔は特に可愛いと思いますよ?」 憩「ぁぅ……お、おおきに…っ…」カァァ 憩「う、ウチ用事思い出した!」 京太郎「??」 ガチャ バタム! 京太郎「なんだったんだ?」 京太郎「……あーあ、また一人、か」 京太郎「頑張ろ」 夕 ピンポーン 霞「京太郎くん、いいかしら?」 京太郎「どうぞー」 ガチャ バタム 霞「京太郎くんの担任の先生から連絡があって、夏休みの宿題が増えてたそうよ」 京太郎「えっ」 霞「社会の宿題が増えちゃったらしくってね」 京太郎「それをどうして夏休み明け前日に言うんですか」 霞「忘れちゃってた、てへっ☆」 京太郎「…………」 霞「…………」 京太郎「に、似合ってました、よ?」メソラシ 霞「…………ごめんなさい」 霞「ここは……こうね」 京太郎「なるほど、流石は霞さんですね!」 霞「まあ、これでも一教師だから」 京太郎「じゃあここはわかります?」 霞「そこは……えーっと……」 霞(わ、わからない……どうしましょう) 霞(京太郎くん期待してるし……あーもう、かすみんまいっちんぐ!」 京太郎「えっ」 霞「えっ」 京太郎「………えーっと」 霞「声に出てた?」 京太郎「」コクッ 霞「」ブワッ 霞「私なんて!私なんて!」 霞「うええええん!」 京太郎「か、霞さん!?」 霞「もう嫌あああ!」 霞(京太郎くんにも年増って思われたし、絶対) 霞(何でもう京太郎くんには知られたくないことばかり!) 霞(前だって……!) 霞(前だっていきなり私にキス………した…り)カァァ 京太郎「泣き止んだ……か?」 霞「も、もう嫌!」 京太郎「えええっ!?」 ガチャ バタム! 京太郎「な、何だったんだ……」 京太郎「今日はどっかに食いに行くか」 京太郎「バイト代もあることだし」 京太郎「そういえばそろそろ国麻の選考会とかあるんだっけか」 京太郎「高校生男子の部はなぜか無いらしい」 京太郎「……なんでだろう」 華菜「なーにさっきからぶつぶつ言ってんだ?」 京太郎「…………いや、まあ少し」 華菜「ま、私には関係ないことだし」 華菜「ところで、一緒に食わないか?」 京太郎「は、はあ……」 京太郎(この人……誰?) メニュー のんびり定食 ゆっくり定食 さっさと定食 いそがば定食 はやめに定食 京太郎「速っ!頼んで5分も経ってないぞ」 華菜「ここの定食は名前によって出てくる速さが違うんだ」 華菜「のんびりは出てくるまでに約30分、ゆっくりは1時間」 華菜「さっさとは7分、いそがばは5分、はやめには1分」 京太郎「1分て、人間業じゃないでしょう」 京太郎「あれ?あなたさっきゆっくり定食頼んでませんでした?」 華菜「そうだけど?」 京太郎「はふっはふっはふっ!」 京太郎「ごちそうさまでした」 華菜「お、おい?」 京太郎「さすがに1時間も待ってられないので、すみません」 華菜「おーい、須賀ー?」 京太郎(……結局誰だったんだ?)ウーン 京太郎(確か……池?)ウーン 京太郎(そうだ、小池さんだ!)ピコン 京太郎(解決解決)ウンウン 夜 京太郎「暇だし、することないし」 京太郎「咏にメールでもするか」 京太郎『咏ってどうやってあんな火力を出せるようになったんだ?』 京太郎「アイツは郁乃さん並にわかんないことが多いからな」 京太郎「送信」ピッ ヴーッ ヴーッ 咏『火力?あー私にもわっかんねーんだよな』 咏『気づいたらできるようになってたっつーか、まあとにかくわっかんねー』 京太郎「適当すぎるだろ、っていうかこっちもわかんねえよ」 京太郎『でも俺に教えられたくらいなんだから何かあるんじゃないのか?』 咏『あーあれなんとなく』 咏『こんな感じかなーって教えたら京太郎が簡単にできるようになっておっどろいたよ』 京太郎「?余計わからなくなってきたぞ?」 京太郎『つまりあれは適当だった、と』 咏『そゆこと』 咏『あの打ち方でインターハイ優勝してくれて誇らしかったぜ、知らんけど』 咏『それになんか嬉しかった』 咏『何言ってんだろうな、もう寝るわ』 京太郎「……嬉しかった、か」 京太郎『寝る子は育つって迷信だったんだな』 京太郎「よし」ピッ 京太郎「本当にどこまでもわからないやつだ」 咏の好感度が上がった! 京太郎「もう一人くらいメールしてみよう」 京太郎「戒能さんに送ってみるか」 京太郎「これが初メールだな」 京太郎「ってかそもそもあまりメールをしてない気がする」 京太郎『須賀京太郎です、初メールですね』 京太郎「最初はこのくらいで」 十分後 ヴーッ ヴーッ 京太郎「お、やっと来たか」 良子『ありがとう!』 京太郎「それだけ!?」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「もう一通来たな」 良子『すまない(笑)、先走って(笑)出してしまった(笑)』 良子『嬉しかったものでつい(笑)』 良子『あと、私はもう松山に帰ったから学校では会えないと思う(笑)』 良子『国麻(笑)の選考会(笑)にはまたそっちに行くから(笑)会えたらいいな(笑)』 京太郎「笑いすぎだろ!」 京太郎「必要なの最後だけでいいじゃん!国麻(笑)って馬鹿にしてるみたいじゃん!」 京太郎「まああまり慣れてなかったんだろう、こっちから話題でも……」 京太郎「戒能さんと言えば……あのおもち、だよな」ゴクリ 京太郎『おもちについてどうおもいますか?』 京太郎「よし」ピッ 京太郎「よし、じゃねえだろ!」 京太郎「うわぁ、送っちゃったよ、どうしようもう取り返しつかないよ」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「やっと返ってきた」 良子『おもち、ricecakeはやはり磯辺焼きがfavoriteだ』 良子『きなこはどうしても口の中がパサついてしまってな』 良子『そっちはどうなんだ?』 京太郎「今度は笑わなくなってる」 京太郎「おもちなんて使ってるのあの部屋と俺くらいだからな、そりゃそうか」 京太郎「でも戒能さんの口の中、か……」ゴクリ 京太郎『俺も磯辺焼き派ですね』 京太郎『納豆とかもいいですよ』 ヴーッ ヴーッ 京太郎「お、今度は早いな」 良子『納豆はあまり、な』 良子『入れた後口の周りがネトネトするし、なんだか好きになれないんだ』 良子『茨城にもあまりいいfeelingが持てないんだ』 京太郎『小鍛治プロですか?』 良子『いつも私ばかり狙ってくるんだ』 良子『困ったものだよ』 良子『もうすぐmeetingだから、good night』 京太郎『お疲れ様です』 京太郎「送信」ピッ 京太郎「納豆の件さぁ……」 京太郎「無意識?無意識なのか?」 京太郎「さて、次は何をしよう」 夜1 京太郎「」モゾモゾ 京太郎「いやいやいかんいかん」 京太郎「戒能さんは友だちなんだ、ダメだダメだ」 京太郎「煩悩を払おう」 京太郎「えいっ!えいっ!」ブンッブンッ 華菜「うるさいぞー須賀ー」 京太郎「えいっ!えいっ!」 華菜「須賀ー?何やってんだー?」 京太郎「あ、小池さんじゃないですか」 華菜「小池じゃないし!池田だし!」 京太郎「少し特訓をしてましてね」 華菜「特訓?」 京太郎「ええ、小池さんは何を?」 華菜「池田華菜だ、お前がうるさいから注意をな」 京太郎「そうですか、すみませんでした」 華菜「どうってことないし!それじゃあまた明日な」 京太郎「はい、おやすみなさい」 【9月第1週 休日】終了 【9月第2週 平日】開始 京太郎「あー今日から学校か……」 京太郎「行くしかないよな」 朝 京太郎「……だるい」 郁乃「同じく~」 京太郎「ああ、郁乃さん」 郁乃「この道も懐かしいな~」 郁乃「はぁ」 京太郎「はぁ」 郁乃「そういえば前~」 京太郎「何ですか?」 郁乃「京太郎くんとデートしに行くとか~」 郁乃「行かないとか~」 京太郎「ああ、そんな約束してましたね」 郁乃「忘れとったん~?」プクーッ 京太郎「いつ言い出そうかと思ってただけですよ」 京太郎(実は忘れてたなんて言えない) 京太郎(どうにかして話題を変えないと……) 京太郎「飯、ちゃんと食ってるか?友達は出来た?たまには実家に顔だせよ。仕送りは足りてるか?」 郁乃「え?え?え?」 京太郎「飯、ちゃんと食ってるか?友達は出来た?たまには実家に顔だせよ。仕送りは足りてるか?」 郁乃「二回も言わんでええから!」 郁乃「ご飯は霞ちゃんと当番制にしてあるし、友だちは善野ちゃんがおるし」 郁乃「仕送り、というか私、親もおらへんから~」 京太郎「そう……ですか、なんかすみません」 郁乃「ええってええって~ほな早く行こ~」 京太郎「はいはい」 京太郎(なんとか逸らせたな) 京太郎「やっと昼か……」 京太郎「どこで食べようかな」 京太郎「毎度毎度おなじみ!屋上!」 京太郎「案外人いないんだよな」 京太郎「さーて、誰かいないかなー」 京太郎「お、あそこに郁乃さんがいるぞ」 京太郎「おーい郁乃さん!」タッタッ ビチョ 京太郎「……どうして犬の糞があるんだ……」 京太郎「メゲるわ……」 キーンコーンカーンコーン 京太郎「さて、放課後はどうするかな」 京太郎「よし、公園にでも行くか」 京太郎「部活は、まあ女子の大会が近いから邪魔をしないようにする」 京太郎「誰かいないかなーっと」ブチョ 京太郎「…………」 犬の糞「」ワタシダ 京太郎「…………」 京太郎「おかしいだろ!」 京太郎「なんで一日に二回も犬の糞踏むの!?」 京太郎「…………帰ろ」 夕 京太郎「街に行くか」 京太郎「朝以来誰とも会えてない気がする……」 京太郎「図書館に来てみたぞ」 京太郎「勉強勉強っと」 淡「あ!京太郎だー!」 京太郎「淡!?」 「図書館ではお静かにお願いいたします」 京太郎「はい、すみません」 京太郎「で、どうしてここにいるんだ」ヒソヒソ 淡「それは女のヒミツというヤツだよ」ヒソヒソ 淡「京太郎はここで何してるの」ヒソヒソ 京太郎「それは男のヒミツというヤツだ」ヒソヒソ 淡「わかった!お宝本だね!」 京太郎「違うわ!全く以て違うわ!」 「静かにしろと言いませんでしたか?」 京太郎「はい、すみません」 淡「京太郎じゃあねー」 京太郎「またなー」 京太郎(結局何しに来たんだよあいつ……) 京太郎「照にでもメールすっかな」 京太郎「今日は何て送ろう……」 京太郎『学校が始まったんだけどさあ……』 京太郎「送信っと」ピッ ヴーッ ヴーッ 照『始まったんだけど、何?』 京太郎『犬の糞二回踏んじまったんだよ……』 京太郎『どうしよ』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『知るか』 京太郎『俺の幼馴染は冷たいなー』 京太郎『冷たすぎて投資しちゃうなー』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『投資してどうする気?』 京太郎『……逃避?』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『さて、どうしてくれようか』 京太郎『許してくださいごめんなさい』 ヴーッ ヴーッ 照『許してほしくばプリンをおくれよ』 京太郎『口調変わりすぎだろ、焼きプリンでいいか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『口調じゃない、これはメールだからメール調』 照『牛乳プリンで』 京太郎『誰もおごるとは言ってねえよ』ピッ 京太郎「あれ、来なくなったか?」 ヴーッ ヴーッ 照『ばか』 照『おやすみ』 京太郎『今度会ったらおごってやるよ』ピッ 京太郎「あたりさわりのないメールだったな」 京太郎「俺も寝るかー」 照母「照ー風呂空いたわよー」 照「わかった」 照母「メール、終わったの?京太郎くん」 照「なっ、なんで」 照母「だってずっとにやけてるんだもん」 ヴーッ ヴーッ 照「……京」ニヘラ 照母「ほらまたー、好きなんだったら早く告っちゃえばいいのに」 照「京はそういうのじゃない……っていうか……その……」 照母「じれったいわねー、思ったことはぱぱっと言っちゃえばいいのよ」 照「それで喧嘩して別居までしてるくせに」 照母「あーあー聞こえなーい、それじゃあ私仕事行ってくるわね」 照「勝手だなぁ」 照母「おやすみってきまーす」 ガチャ バタム 照「行ってらっしゃい」 照「咲とモモ……」 照「にやけてる?」 ヴーッ ヴーッ 照「京」ニヘラ 照「……またにやけてた?」 照「どうしたんだろ……」 照母『好きなんだったら―――』 照「」ブンブンブン 照「どうせ京は私なんて……」 照「でも……」 照「好き、なのかな」 照「……わからない」 照「ばか」 ――――――――――― 「ごめん、遅れた」 「もう三人で始めちゃったからちょっと待っててなー」 「それ、ロンっす」 「うげっ」 「お姉ちゃんは本でも読んでて、借りてきておいたから」 「わかった」 コンコン 「宮永さん、ああ上級生の方よ」 「ちょっと来てくれるかしら?」 「……わかりました」 「なんで他の人のぶんまで……」 「あれ?」 『先に帰ってるね』 「……はぁ」 ――――――――――― 照「私は、必要なのかな」 【9月第2週 平日】終了 【9月第2週 休日】 京太郎「やっと一週間が終わった~」 京太郎「久しぶりの学校となると結構きついな」 京太郎「今朝は何をしようかな」 朝 京太郎「ここに来るのも久しぶりだな」 京太郎「まずはどこから行こうか!」 京太郎「水族館に来てみたぞ」 京太郎「どこから見ようかなー」 恭子「ん?君はたしか……」 京太郎「あ、えーっと、末原先輩でしたっけ?」 恭子「君は……須賀くん、やったか」 恭子「まあなんでもええ、ちょっとええか?」 京太郎「はい」 絃「すぅ……すぅ……」 恭子「さっきこの人とぶつかってもうて、気ぃ失ったみたいなんや」 京太郎「は、はぁ……」 京太郎「なんで霜崎さんがここに……」 恭子「なんや、知り合いなんか?」 京太郎「ええ、まあ」 恭子「とりあえず、運んでくれるか?」 京太郎「よっこらせっ、と」 京太郎「さ、行きますか」 恭子「んで、須賀くんとその……」 京太郎「霜崎さんです」 恭子「霜崎さんはどういう関係なんや?」 京太郎「関係……ですか」 京太郎「そうですね……」 京太郎「ただの友人ですよ」 京太郎「確かひっかけ橋で会って、東京の浅草で買い物をしたりしましたね」 恭子「ふーん」ジトッ 京太郎「な、なんですかその目は」 恭子「由子も主将も……ふーん」ジトッ 恭子「あ、ここやで」トントン 絃「う、ぅーん」パチッ 絃「あれ、須賀さん、に……さっきぶつかった人?」 恭子「お、目ぇ覚めましたか?」 絃「こ、この度は迷惑をおかけして申し訳ありません!」 絃「誠に申し訳ありません!」 恭子「いや、ぶつかったんこっちですし」 絃「いえいえ、何もかも私が悪いのです、すみませんすみません」 恭子「え、えっと……」アセアセ 恭子「ど、どうすればええんや?」ボソボソ 京太郎「じゃあ…………」 京太郎「後は俺が引き受けます」 恭子「頼むで」 絃「っひっく、ひっく」シクシク 京太郎「霜崎さん、末原先輩が困ってるので、もう泣き止みましょう」 絃「ですが、私のせいで……」シクシク 絃「うわぁあぁああん!」 京太郎「ど、どうしましょう」ボソボソ 恭子「私にわかるか!」ボソボソ 京太郎「電気街に来てみたぞ」 京太郎「大阪にはいろんなところがあるんだなー」 京太郎「あ、あの人……」 もこ「…………」ブツブツ 京太郎「対木さん、だったっけ?」 もこ「!」ビクッ もこ「貴様はゴールデンフレ「違う」」 もこ「如何にして我の居場所を突き止めた……?」 京太郎「は、はあ……」 京太郎「で、何をしてるんだ?」 もこ「…………我暗黒に囚われし者、故に道無からずとも……」グスッ 京太郎「迷子になったんだな」 もこ「」コクッ 洋榎「お、京太郎やん!」 もこ「!」ビクッ 京太郎「ど、どうも」 洋榎「こんな所でなにしとるんや?」 洋榎「あ……デ、デート中やったか?」 もこ「否、断じて否!」クワッ 京太郎「そこまで強調する!?」 京太郎「この人、対木さんが迷子になってしまったんですよ」 洋榎「そ、そうなんか……」メソラシー 洋榎「それで、どうするつもりなんや?」 京太郎「……そうだ!」 京太郎「洋榎さんと絹恵さんに手伝ってもらおう」 洋榎「き、絹か?」 京太郎「あれ、そういえば絹恵さんはいないんですか?」 洋榎「え、えーっと、その、なんというかー」 洋榎「うーん、せやなー」 京太郎「はぐれたんですか?」 洋榎「ぎくっ」 京太郎「携帯電話の充電もなくなって連絡ができない、と」 洋榎「ぎくぎくっ」 京太郎「はぁ……対木さんの目的地はどこなんだ?」 もこ「古を打ち破りし白き鬼の交錯する地」 もこ「希望が響き、白き光ある場所」 京太郎「新大阪駅な、洋榎さんは?」 洋榎「ま、まずは対木ちゃんを連れていこ、な?」 京太郎「洋榎さんは?」 洋榎「あ、その……新大阪です」 京太郎「じゃあ俺が絹恵さんに連絡しとくので一緒に行きましょう」 洋榎「でなーそれでなー」 もこ「」コクッコクッ 京太郎(二人とも仲良くなったみたいだ) ワイワイガヤガヤ 京太郎(ん、人が多くなってきたな) 京太郎(はぐれたら困る……どうしよ) 京太郎「対木さん」ニギッ もこ「!?」ビクビクッ 京太郎「はぐれると危ないから、な?」 もこ「」コクッ 洋榎「なんや、ウチははぐれてもええんか」プクーッ 洋榎「可愛くてかよわい乙女にようやるわ」 京太郎「どこがかよわいんでしょうかね……」 洋榎「ふんっ」プイッ もこ「」カァァ 絹恵「あ!お姉ちゃーん!」 洋榎「絹ー!」 絹恵「よかったぁ、あえたぁ……」 洋榎「ごめんな、絹」 絹恵「京太郎くん、おおきに!」 京太郎「いえ、どういたしまして」 もこ「」コクッコクッ 絹恵「あれ、その子……彼女さん?」 もこ「」ブンブン! 京太郎「ああいや、違うんですよ」 絹恵「でも、手ぇ繋いどるし」 もこ「」パッ 京太郎「この人も迷子だったんですよ」 絹恵「あ、なんや、そんなんなんか」 洋榎「よっしゃ!絹!新世界いくで!」 絹恵「今度ははぐれんようにね」 洋榎「またなー」 絹恵「おおきにー」 京太郎「さよならー!」 京太郎「さてと、ここまででいいか?」 もこ「」コクッ 京太郎「じゃあまたな、もう迷うなよ」 もこ「」コクッ もこ「……ありがとう」 京太郎「おう、んじゃなー」 もこ「」ブンブン! 夕 京太郎「帰ってきたことだし、散歩でも行くか」 京太郎「今日はどこに行こうかなー」 京太郎「ま、適当に回るか」 「お、アンタあれやろ!」 「インターハイチャンピオンやないか!」 「すごいな!」 「握手握手!」 「サインしてください!」 「ちょーうれしいよー」 京太郎「地元ともなるとやっぱり知名度が段違いだな、感動感動」 夜1 京太郎「……」 京太郎「インターハイから竜華さんと同じ部屋、洋榎さんと同じ部屋」 京太郎「……そろそろ出すか」 京太郎「お、咲からメールだ」 京太郎「なになに」 咲『ふぇぇ、京ちゃんが男の人と寝てる夢見ちゃった、どうしよう』 京太郎「俺はホモじゃねえっての!」 京太郎「……男といえば、龍門渕の井上さんってかっこいいよな」 京太郎「でもあの人も脱いだら女の人なんだよな……」モゾモゾ 京太郎「ダメだ……やっぱりおもちがないと」 京太郎「そういえば戒能さん……」 京太郎「……よし」モゾモゾ 夜2 京太郎「ふぅ……」 京太郎「少し散歩に行ってくるか」 京太郎「~♪」 竜華「京くーん!」 京太郎「あ、竜華さん、こんばんは」 竜華「京くんはまた散歩?」 京太郎「はい、最近は専らですね」 竜華「そっかー、今日はセーラの家に泊まってるんや、ちょっと急いどるからまたな」 京太郎「さよーならー」 京太郎「さーてと、もう帰るかなー」 「なァ、そこの兄ちャんよ」 「これ、キレイか?」バサッ 京太郎「」 「くくく、いいねェその顔」 「いいもん見させてもらッたぜ、じャあな」 【9月第3週 平日】 京太郎「なんだったんだよアレ」 京太郎「でもああいう趣味だから竜華さんとかには行かないんだよな」 京太郎「そう考えれば……まだ」 京太郎「……はぁ」 エイスリン「ドウシタノ?」 京太郎「ああ、エイスリンさんですか」 エイスリン「……」カキカキ バッ |ガリガリの人の絵| 京太郎「元気がないように見えます?」 エイスリン「」コクッ 京太郎「少し、嫌なことがあったので」 エイスリン「……ソッカ」 京太郎(嫌な雰囲気だな……) 京太郎(話題を変えないと) 京太郎(そういえば美術の宿題があったような……) 京太郎「エイスリンさんの絵って上手ですよね」 エイスリン「ソ、ソウカナ?」 京太郎「はい!エイスリンさんの絵は大好きです!」 エイスリン「ダ、イスキ……」カァァ 京太郎「もしよければ、絵の描き方教えてくれませんか?」 エイスリン「……ウン、イイヨ」 京太郎「いいんですか!ありがとうございます!」 エイスリン「……エヘヘ」ニヨニヨ 京太郎「あれ、エイスリンさん?」 エイスリン「ダイスキ……」ニヨニヨ 京太郎「エイスリンさん?おーい」 エイスリン「エヘヘ……」ニヨニヨ 京太郎「んーっ、昼だー!」 京太郎「今週から試験勉強か」 京太郎「前みたいに誰かにご褒美とかねだってみようかな……」 京太郎「そんなことより昼飯昼飯」 京太郎「屋上に来てみたぞ」 京太郎「今日は誰もいないみたいだな」 京太郎「……ほんとに誰も来ないな」 京太郎「そういえば、今日で試験二週間前か」 京太郎「今日から部活動制限じゃねえか……」 京太郎「雀荘に行くかー」 京太郎「勉強なんて前と同じ要領でやればいいんだから楽勝楽勝!」 京太郎「あれ?竜華さんに……戒能さん!?」 京太郎「週末までこっちには来ないんじゃ?」 良子「少しワークを済ませてきたんだ」 良子「この子は須賀くんの知り合いなのか?」 京太郎「ええ、まあ」 竜華「し、清水谷りゅりゅかと言いまひゅっ!」カチカチ 京太郎「ちょ、緊張しすぎじゃないですか!?」 良子「ぁ、戒能……でしゅ」 京太郎「あーもう人見知り!噛むのはやってるんですか!?」 京太郎(そんなわけでいざ打ち始めてみました) 良子「チー」カクッ 良子(プロフェッサー熊倉の紹介で打ったミス赤土の阿知賀ールズたちの打ち筋) 良子(そして以前の合宿で盗み取ったシューターの打ち筋) 良子(試させてもらう!) 京太郎(にしてもドラが集まらない……) 京太郎(高いのが作れねえし……) 京太郎(戒能さんなんて赤ドラ混じりの三副露) 京太郎(ここ、なら)トン 良子(君ではない) おっさま「~♪」トン 良子「それだ」 良子「ロン」 良子「三色ドラ4」 良子「12000」 京太郎「うげっ、和了られた……」 良子「流石に高校生二人に負けるわけにもいかないので」 良子「連荘」 竜華(なんで京くんは戒能プロとあんなに自然に話してるんやろか?) 東一局一本場 親 良子 37000 竜華 25000 おっさま 13000 京太郎 25000 同コンマのため、流局 良子(今度は鳴き一通) 良子(……どうだ?) 竜華(戒能プロはもう聴牌か……) 竜華(確か今年の大阪選抜のコーチは戒能プロやった) 竜華(ウチがどこまで通用するか!) 竜華(気張ってくで!) 京太郎(とりあえず振り込まないようにしないと) 東一局二本場 親 良子 37000 竜華 25000 おっさま 13000 京太郎 25000 竜華(きたでー!) 竜華(最高状態やないけど、ノッてるノッてる!) 竜華(これは何て言えばええんやろ)ウーン 竜華(準最高状態?) 竜華(怜みたいに言うと……99年生状態か?) 竜華(なんか米寿みたいやな……) 京太郎(うへぇ、聴牌できね)トン 竜華「ロン!16600や!」 東二局 良子 37000 親 竜華 41600 おっさま 13000 京太郎 8400 京太郎(えぇ……) 京太郎(よりによって倍満……) 京太郎(取り返さないと、低くても!)ギィン 京太郎「ロン!8000!」 良子(ふむ……まだパーフェクトでは使えないようですね) 東三局 良子 37000 竜華 41600 親 おっさま 5000 京太郎 16400 良子(今回も狙ってみましょうか……) 竜華(負けられへん!) 京太郎(こっから一気にまくってやるぜ!) 良子(…………ポテンシャル) 良子(可能性を見せてもらいましょう) 良子(ん、来ましたか) 良子「ツモ、2000・4000」 オーラス 良子 45000 竜華 39600 おっさま 1000 親 京太郎 14400 同コンマのため、流局 良子(テンパイ……しかしこの巡目で、ですか) 良子(この打ち筋もまだまだですね) 良子(あと一つは制約無しだと異様に扱いやすいですね) 良子(データも取れましたし、あとは) 竜華(テンパイきたで!)グッ 京太郎(ようやくテンパイ!)グッ 良子(この二人を見るだけです) 良子(それにしても……) 良子「テンパイ」 竜華「テンパイや……」ヘナァ おっさま「テンパイ」 京太郎「テンパイ……」ヘナァ 良子(なんでこんなに仕草が似てるんでしょうか……) 良子(フレンドリーだからでしょうか?) 良子(ちょっぴりジェラシーです)プクーッ オーラス一本場 良子 45000 竜華 39600 おっさま 1000 親 京太郎 14400 良子(倍満テンパイ) 良子(客人と京太郎を狙えば飛んでしまう) 良子(可能ならばそんなことはアンウォンテッド、ならば)カクッ 良子(あなたを狙わせてもらいましょう)ギィン 竜華(!)ゾクッ 竜華(なんやこの感じ……ウチが狙われとる?) 竜華(関係あらへん!) 竜華(前に進むで!)トッ… 竜華(あれ、そういえば泉が言うとったな) 竜華(それに、戒能プロの打ち方は確か……)…ッン 良子「ロン」 良子「16000」 良子(二回で気づきましたか、十分パッシングマークです) 良子(楽しませてもらいました) 終局 良子 61300 竜華 23300 京太郎 14400 おっさま 1000
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2245.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363548712/ 京太郎「いや、お前何を言ってんの?」 優希「照れるな照れるな! この美少女たる優希ちゃんに求婚されて本当は嬉しいくせに!」 京太郎「何この子すごいムカつく」 優希「それに片岡京太郎っていい名前だと思うだろ?」 京太郎「それが俺にさえ関係してなかったらな。 つーかマジで婿扱いなのか」 優希「結婚したら私がプロになって稼ぎまくるから、京太郎は家でタコスを作って待っていてくれ!」 京太郎「しかも俺が主夫かよ! あのな優希、俺は結婚するなら家庭的で胸の大きい女の子がいいんだ」 京太郎「悪いけどお前ではその条件にまるで当てはまらない」 優希「それでそれで、子供はだな……」 京太郎「おい、だから人を使って変な事考えるな、なんだそのにやけ面は!」 優希「のどちゃんで変な事考えてる京太郎っていつもこんな感じだじょ」 京太郎「……マジか」 【片岡優希はタコス娘】 京太郎「ほら、タコス買ってきたぞ」 優希「おお、ご苦労! タコスタコス~♪」 京太郎「……」 優希「タコスウマー♪」モグモグ 京太郎「お前って本当タコス好きだよな」 優希「好き? ふう、これだから素人は嫌になるじぇ」 京太郎「なんだよ、違うのか?」 優希「京太郎、お前は酸素が好きか?」 京太郎「は? いや、そんなの考えた事もねえよ」 優希「そういう事だじょ」 京太郎「意味がわからないんだが」 優希「察しが悪いな…タコスはな私にとっていわば酸素、好き嫌いを超えて私の血と肉とDNAを形成するなくてはならないものなのだ!」 京太郎「お前は何者なんだよ!?」 優希「タコス好きの呪われし血族って前に言わなかったか?」 京太郎「メキシコに謝れ! つーか好きって自分で言ってんじゃねぇか!」 【須賀京太郎はマネージャーじゃありません、部員なんです】 久「須賀君、買い出しお願いできるかしら」 京太郎「はい、わかりました!」 咲「えーっと、この前の牌譜どれだっけ……?」 京太郎「あー、それは確かこっちのファイルに……」 和「あ、あら? 卓の調子が……」 京太郎「どれどれ、ちょっと見せてみ……ああこれくらいなら俺でもなんとかなるかも。 工具、工具っと……」 まこ「おっ、京太郎が一番乗りか」 京太郎「おはようございます染谷先輩。 ちょっと待ってて下さい、もうすぐ掃除終わるんで」 京太郎「あっ、もうすぐお茶なくなるな……今の内に買ってくるか」 優希「京太郎」 京太郎「なんだ優希? ああ、タコスならそこの袋に入ってるから」 優希「いや、そうじゃなくて……京太郎は麻雀部のなんなんだじょ」 京太郎「なんだ今更、俺は麻雀部唯一の男子部員だろ。 悪い、これから買い出し行くから話の続きがあるなら後で聞く!」ガチャッ 優希「あ」 優希「……それなら牌磨き以外に牌触ってないのってどうなんだじょ」 【ステルス京の独壇場!】 京太郎「うーん」 優希「どうした京太郎、悩みがあるなら私が聞いてやってもいいじょ」 京太郎「いや、部長に言われて全国出場校の牌譜を集めてたんだけどよ」 優希「牌譜って各校の部室にあるんじゃないのか?」 京太郎「そうなんだよ、だから俺も素直にもらえるか半信半疑だったんだけど」 優希「女子校もあるのによく入れたもんだじぇ」 京太郎「校門に警備とかいたけど意外にすんなり通してくれたぜ?なぜか普通に扉開けて入った時中の人達にビックリされたけど」 優希「……ん?」 京太郎「誰も何にも言わないから問題ないのかって思いつつもある牌譜全部写してきたんだけどさ」 京太郎「挨拶もなかったのはちょっとショックだったな」 優希「……」 京太郎「あー、でも宮守と永水だけは入れなかったな」 京太郎「永水はお札貼られたし、宮守はなんかお婆さんにすっげえ見られて入りにくくてよ」 優希「京太郎……」 京太郎「ん?」 優希「今日は帰りに私がタコスおごってやるじょ」 京太郎「えっ、いいのか? それじゃありがたくいただくぜ」 優希「……私はちゃんと見てるからな」 京太郎「んん? なんかよくわからないけど、サンキューな」 【ごく自然に受け入れられた風潮被害】 優希「京太郎、タコスを買ってくるんだじょ!」 優希「京太郎、放課後タコス屋につきあえ!」 優希「京太郎、今度の休みにタコス巡りをするじぇ!」 優希「京太郎ー、タコスはまだかー!」 京太郎「ええい、今作ってるから少し落ち着け!」 咲「あれ?」 和「どうしました咲さん?」 咲「いや、ちょっと……優希ちゃん?」 優希「なんだじぇ、咲ちゃん?」 咲「最近京ちゃんの事、犬って言わないんだね?」 優希「えっ」 和「あっ、言われてみれば最近聞きませんね」 和「人を犬呼ばわりなんて注意しなきゃいけないとは思ってましたけど、ちゃんと直したんですねゆーき」 優希「いや、あの」 咲「どうしたの?」 優希「私、京太郎を犬扱いした事なんか一、二回くらいしかないじぇ……」 咲「あれ、そうだったっけ?」 和「おかしいですね、ゆーきは頻繁に須賀君を犬扱いしてた気がしたんですが」 優希「ひどい風潮被害だじぇ……」 【東風の神片岡優希】 優希『ここからは私の連荘で終わらせる。 この試合に東2局はこない!』キリッ 優希『ここに山を築く。 誰にも賽は振らせない……!!』キリッ 優希「」 京太郎「いやー、さすがに全国優勝校の先鋒は言う事が違うな」 優希「お、お前、なんで、これ!」 京太郎「姫松の監督代行って人から麻雀部宛てに送られてきたんだよ」 優希「あのデコのところか! えっ、麻雀部宛て……?」 京太郎「ああ、だからみんなももう聞いてるぞ」 京太郎「部長とか染谷先輩は『これも若さゆえのなんとやら』って言ってたし、咲は苦笑いくらいで何も言わなかったし……」 京太郎「だからまあ、そんなに悪くは思ってないだろ」 優希「な、な、な……」 京太郎「問題は和なんだよなあ。 あいつ『なんですかこのトラッシュトークは!』ってすっげえ怒ってたぞ」 優希「あ、あわわわ、麻雀関係で怒ったのどちゃんには会いたくないじぇ。 今すぐ逃げ」 ユーキ、ドコニイルンデスカユーキ!! 優希「ひぃっ!?」 京太郎「あー……ご愁傷様」ポンッ 優希「いやあああああ……!」 ちなみにこの世界での決勝はこんな感じになっております 優希(咲ちゃんのお姉さんでチャンピオン、相手にとって不足なしだじぇ!)ゴッ 照(準決勝は10万点で二位、だったらここで20万点奪い取る……)ギギギ 玄(もう準決勝みたいにはさせない。復活のドラゴンロード、松実玄に今度こそおまかせあれ!)ゴッ 漫(なにこの卓こわい) 番外『この世界での決勝大将戦』 咲(なにこれ、カンが出来ない……!?) 淡(またやられた……せっかくテルが稼いでみんなが繋いでくれたのに!) 穏乃(いける、今なら私達阿知賀が……!)タンッ 末原「ロン」 穏乃「えっ……」 末原「国士無双、48000。 Wありなら十三面待ちやったから阿知賀のトビ終了やったな……これで姫松がトップや」 穏乃「そんなっ……」 末原「さっきから黙って見てれば人をほったらかしにしてお互いの顔色を窺ってばかり」 末原「そりゃあんたらには色々見えて私には見えんかもしれんけど」 咲「す、末原さん……?」カタカタ 末原「だけどなあ、あんまり私ら凡人を舐めるなよ魔物共」 淡(なにこいつ、能力とかないはずなのに、怖い……!)ビクッ 末原「私は麻雀をしに来たんや、やれ支配だのやれ能力だのこれ以上――」 穏乃「っ……!」ゾクッ 末原「――お前らにつきあってられるか」 末原さん……というより姫松高校にはおそらく唯一残ってる無能力者のみの高校らしく麻雀をして戦っていただきたい所存 【のどっちからは逃げられない】 優希「どうしようどうしようどうしよう、このままじゃのどちゃんのスパルタ麻雀教室がああ……!」 京太郎「そんなに怯えるほど怖いのか?」 優希「……卓に座らされて配牌から和了るまで常に最善手を打たなきゃいけないんだじぇ」 京太郎「うわ、それはキツいな……でも1局分ならいつかはなんとかなるだろ」 優希「大会と同じ半荘二回分、上級者編は一回でも間違えたら東1局からやり直しでもか?」 京太郎「」 ユーキ、ココニイルンデスカ!? 優希「ひいっ、来たじぇー!」バッ 京太郎「お前何してんだ……」 優希「シー! 私はベッドの中に隠れてるからのどちゃんが来たらまだ私は来てないって言ってくれ!」 京太郎「はあ、わかったよ」 京太郎(ベッドが盛り上がって不自然なんだよなあ) 和「ゆーき!」 京太郎「よ、よぉ、和」 和「須賀君……ゆーきはどこですか?」 京太郎「いや、まだ来てないぞ?」 和「そうですか……」チラッ 京太郎(あっ、ベッド見た) 和「……」ジー 京太郎(すっげえ見てる……優希、俺は何も出来なかったよ) 和「……」カツカツ 和「何をしてるんですか、ゆーき?」バサッ 優希「あっ」 和「ゆーき……」 優希「の、のどちゃん……」カタカタ 和「今日は上級者編です」ニッコリ 優希「いやあああああ! 」ズルズル 京太郎「優希、すまん……へ?」ガシッ 和「須賀君もゆーきと共犯だったみたいですし、ちょうどいいですから一緒に勉強しましょう?」ニッコリ 京太郎「」 和「さあ、2人共行きましょうか」ズルズル 京太郎「う、うわあああああ!!」 優希「誰か助けてえええええ……!!」 バタンッ、ズルズル…… 【誰しも休息は必要です】 優希「一番乗りだじぇ! おっ?」 京太郎「むにゃむにゃ」 優希「京太郎、探してもいないと思ったらこんなところで寝てたのか」 京太郎「すー……」 優希「マヌケな寝顔だじょ。 これはイタズラをしなさいというタコスの神様の導きだな!」 優希「それじゃあまずこのペンで落書きするじぇ!」 優希「えーっとまずは額にっと。 うーん、インパクトが足りないじぇ。 なら頬に……あとはー……」カキカキ 京太郎「んっ……ふぁぁ、よく寝た」 優希「タコスタコスー」 京太郎「なんだ優希来てたのか?」 優希「お目覚めか京太郎! なら早速タコスを買ってくるのだ!」 京太郎「今まさに食おうと持ってんじゃねえか、まだ必要ないだろ……」 優希「ちいっ、失敗か」 京太郎「失敗?」 優希「あっ! な、なんでもないじょ!」 京太郎「怪しいな……」 咲「こんにちはー」 京太郎「よっ、咲」 咲「こんにちは、京ちゃ……」 京太郎「んっ、どうした?」 咲「え、えっとその顔」 京太郎「顔?」 咲「て、手鏡貸すから見てみればわかるよ……」 京太郎「どれどれ……」 『片岡優希専用』 『発情期なので近づかないでください』 『大きなおっぱいが大好きなので気をつけてください』 京太郎「」 咲「き、京ちゃん?」 京太郎「ゆ・う・き……」 咲「あっ、優希ちゃんなら今走って出て……」 京太郎「逃げやがったなあの野郎!」ダッ 咲「あっ、京ちゃん待って、落書き落とした方が……」 ユウキドコダー! ス、スガクンナンデスカソノカオハ! ゲッ、ノドカコレハ…… アラアラ、タノシソウナコトシテルジャナイスガクン? ブ、ブチョウ!?ヤメテ、シャメハヤメテクダサイ!イヤアアアアア…… 咲「き、京ちゃん……」 【京太郎の癒やし】 京太郎「買い出しは別にいいけどこんな頻繁にする必要ってあるのか……?」 優希「気にしたら負けだじぇ」 京太郎「つーかお前なんでついてきてんの?」 優希「食堂のタコスが売り切れてたからだじょ!」 京太郎「言っとくけど奢んねえぞ」 優希「えー」 京太郎「えー、じゃないからな……あっ」 優希「んっ?」 子猫「ニャー」 京太郎「子猫だ、よしよし」ヒョイ 子猫「ニャー」ペロペロ 京太郎「おいおい、くすぐったいって! はは、人懐っこいなあ」 優希「首輪ついてるから飼い猫じゃないか?」 京太郎「おっ、本当だ」 優希「京太郎って動物好きなのか?」 京太郎「好きというか動物と戯れてると癒されるというか……家のカピなんか手もかからないしなあ」 優希「まるで他に手のかかる動物を相手してるみたいな言い方だじょ」 京太郎「……」 咲『き、京ちゃん、迷っちゃった……なんかここ変な音してるし、助けてぇ……』 優希『さあさあさあ、早くタコスを渡すんだじぇ、タコスタコスタコスー!』 京太郎「ああ、すっげえ手のかかるのが2人いるわ」 優希「そうか、大変なんだな京太郎……」 京太郎「……」 【魔境清澄高校】 優希「うむむ」 京太郎「どうした?」タンッ 優希「この前咲ちゃん達と染谷先輩の雀荘に遊びに行ったら麻雀だけはするなと言われたんだじぇ」タンッ 咲「私はいいけど優希ちゃんと和ちゃんはダメなんだって」タンッ 和「はい……」タンッ 京太郎「雀荘で麻雀するなってのも変な話だな……」タンッ 優希「京太郎、それロンだじぇ!」 京太郎「うおっ、狙い打ちかよ! これでラス転落かあ」ジャラッ 和「須賀君はもう少し捨てる牌に気を使った方がいいですね」タンッ 京太郎「あはは、教えてもらってるのに面目ない」タンッ 優希「話を続けるじぇ。 それで理由を聞いたんだけど」タンッ 京太郎「聞いたんだけど?」タンッ 咲「知らない方がいいって教えてもらえなかったんだ。 私達何かしちゃったのかなあ」タンッ 和「見当もつきませんね……ツモ、4000オールで連荘です」 京太郎「ひええ、やっぱり強いなあお前ら」ジャラッ 優希「京太郎には負ける気はしないじぇ!」 京太郎「言ってくれたな!」 和「2人共落ち着いてください」タンッ 京太郎「ふっ、ダブルリーチだ!」タンッ 優希「なぬっ!?」タンッ 咲「うわあ、京ちゃんすごいすごい!」タンッ 和「まだ和了ったわけじゃないんですから……」タンッ 京太郎「へっへっへ、一位は俺がいただくぜ!」タンッ 咲「あっ……ごめん京ちゃん、カン」 京太郎「うげっ!?」 咲「も、もういっこカン、もういっこカン」 優希「うわあ……」 咲「もういっこカン……」 和「これは……」 咲「り、嶺上開花……責任払いで京ちゃんのトビ終了、だよ」 京太郎「オーマイガー……せっかくの役満が夢と消えたぜ……」ガクッ 久「まこ、店で優希と和の麻雀を禁止したんですって?」 まこ「あいつらと打ったらせっかくの客がトラウマ抱えて逃げてしまうんじゃ。 手加減が出来る咲ですらあんまり入れたくないわ」 久「でも須賀君はあれだけやられて普通よ?」 まこ「あれはあいつがおかしいんじゃよ」 【自販機の謎飲料】 京太郎「カフェオレカフェオレと……」ピッ 京太郎「あ、売り切れたな。 最後の一個買えてよかっ……ん?」 『新発売、濃厚タコスジュース!!』 京太郎「これはまたピンポイントで誰かを狙ってるというか何というか……」 優希「京太郎ー!」 京太郎「噂をすればだな」 優希「何の話だ?」 京太郎「いや、これお前が好きそうだなーって思ってさ」 優希「これ? うおおおっ!?」 京太郎「うわっ、すごい食いつきだな」 優希「タ、タコスジュース……まさかこんな夢のようなアイテムが実在していたとは」 京太郎「んな大げさな」 優希「何を言う、これさえあれば私の長年の夢『タコスを飲んでタコスを食べる』が実現するんだじょ!」 京太郎「なんだそのよくわからん夢は」 優希「早速買うじぇ! えっと二百円と……」 京太郎「自販機のものにしては高いな」 優希「こ、これがタコスジュース……すごい重量感だじぇ」ズシッ 京太郎(なになに、『具材80%』……まさかこれタコスがそのまま入ってんのか?) 優希「いただきまーす」ジュルジュル 京太郎「どうだ?」 優希「……」 京太郎「優希?」 優希「うええ……」 京太郎「お、おい!」 優希「マズい、話にならないくらいマズいじょ……昔食べた京太郎のタコスミタコスよりマズいじぇ」 京太郎「マジか……いやな予感はしてたけど」 優希「京太郎にやるじょ」スッ 京太郎「タコスの名前があってもお前が拒否するような代物を飲めってか!?」 優希「いいから飲んでみろ!」 京太郎「むごっ!?」 優希「えいっ!」ギュッ 京太郎「むぐっ、むぐっ、むぐっ……」ゴクッ 優希「ふう、処分完了だじょ」 京太郎「……意外に美味いぞ、これ」 優希「えっ」 【結果オーライ?】 京太郎「さーて、今日の部活も終了っと」 優希「京太郎!」 京太郎「んー? なんだよ優希」 優希「これからタコスを買いに行くから付き合え!」 京太郎「おいおい、まさか俺に奢らせる気か?」 優希「ふふん、まだまだだな京太郎! 今日の私はいつもとは一味違うじぇ……」 優希「今日はこの優希ちゃんがお前にタコスを奢ってやろう!!」 京太郎「……よし、あるな」 優希「なんで急に鞄を見てるんだじょ?」 京太郎「いや、今日は夕立か嵐になりそうだから折り畳み傘を確認してたんだよ」 優希「……どういう意味だコラー!」 ――…… 優希「……」ズーン 京太郎「あー……優希?」 優希「こ、こんなのおかしいじぇ……なんで今日に限って売り切れとか臨時休業とか……」 京太郎「慣れないことはするなって事じゃね?」 優希「こんなはずじゃなかったのに……うー」 京太郎「……なあ」 優希「なんだじょ……私は今落ち込んでるんだじぇ」 京太郎「なんなら、家来るか?」 優希「……え?」 ――…… 京太郎「ただいまー……って靴ないからいないみたいだな」 優希「お、お邪魔します!」 京太郎「なにお前、緊張してんのか?」 優希「き、緊張なんかしてないじぇ!! 私がどうして緊張しなきゃ……ゴニョゴニョ」 京太郎「まっ、いいけどな。 飲み物持ってくるからリビングで待っててくれよ」 優希「お、おう!」 優希「……」 優希「まさか、京太郎の家に来れるなんて思わなかったじょ」 優希「な、なんか落ち着かない……」 京太郎「お待たせ、ってお前なんで正座してんの」 優希「そ、そういう気分なんだじぇ」 京太郎「ふーん。 じゃあ早速作るとしますか」 優希「本当にタコス作ってもらっていいのか?」 京太郎「よくなきゃ誘わねーよ。 やっぱりお前の感想聞きたいしな」 優希「そ、そうか」 京太郎「じゃあちょっと待ってろなー」スタスタ 優希「……放課後デートは出来なかったけど、結果オーライだじぇ」 優希「えへへ……」 【片岡優希の日記1】 ○月×日 今日は咲ちゃん、のどちゃん、京太郎と一緒にお昼を食べた。 京太郎がのどちゃんで不埒な妄想をしてたから、罰として肉まんを奪ったら勢いで押し倒された。 思わず今はダメって言っちゃった……後ならいいのかってつっこまれなくて本当に良かったじぇ。 だって、そう言われたら私は、京太郎を…… 優希「……ううう」 優希「あああ! もうこんなのこれ以上書けるわけないじぇ!」 優希「だいたい言われたらなんなんだ! べ、別に私は京太郎の事なんて……」 優希「……どう、思ってるんだ?」 優希「のどちゃんを見てデレデレしてるのは腹が立つけど、それ以外はいいやつだし……」 優希「私のわがままも口では色々言うけどちゃんと聞いてくれる」 優希「京太郎を見てると胸がキュンキュンしちゃうし……やっぱり、私は……」 優希「――京太郎が好きなのかな……」 【ごく自然に受け入れられた風潮被害・京太郎の場合】 教師「須賀! またお前はそんな金髪に染めてきたのか!」 京太郎「これは地毛ですよ!」 京太郎「あっ、ハンカチ落としましたよ?」 モブ女子「えっ、ありが……ひっ、き、金髪……もしかして不良?」 京太郎「あのー?」 モブ女子「あ、ありがとうございます!」タタッ 京太郎「えっ、ちょっと……なんで逃げるんだ」 京太郎「おっ、それ新巻か。 読み終わったら貸してくれよ」 モブ男子「ひいっ!」 京太郎「えっ」 モブ男子「べ、別に今貸してもいいよ! か、返すのはいつでもいいから!」タタッ 京太郎「お、おい! また逃げられた……」 京太郎「ええっとタコスタコスっと……」キョロキョロ 不良「おいこら、そこの金髪!」 京太郎「へっ?」 不良「お前今ガンつけたよな、ええ?」 京太郎「ご、誤解だ!」 不良「とぼけてんじゃねえ、その金髪見る限りどこかの所属なんだろ……ちょっとこっち来いや!」 京太郎「じ、冗談じゃねえー!」ダダダッ! 不良「あっ、待てやこらあ!」 京太郎「はあ、はあ……なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだよ!」 優希「帰ってきたか京太郎! さあタコスを補給させるんだじぇ!」 京太郎「悪い、絡まれて逃げてきたからまだ買ってねえ……」 優希「なにぃ!?」 風潮『須賀京太郎の金髪だけなぜか不良扱いされる』 【ステルスは1人じゃない】 優希「今日も京太郎のタコス作りの技術を極めるためにタコス屋巡りをするじぇ!」 優希「京太郎には頑張ってタコス界の頂点にたってほしいからな!」 優希「えっ……そ、そうか?」 優希「わ、わかった、今度作ってきてやるじぇ」 優希「私のタコスを食べて自信をなくしても知らないからな!」 ゆみ「全く蒲原の奴にも困ったものだ……やっぱりモモもそう思うか?」 ゆみ「……確かになんだかんだ言ってもあいつには部長としての器はあるしそれを認めてないわけじゃない」 ゆみ「いや、私は未熟さ……なんだ、否定してくれないのか?」 ゆみ「待て、確かにあれは今振り返ればとんでもない事をしたと思う」 ゆみ「だがあれくらいしなきゃモモは麻雀部に入ってくれなかっただろう?」 ゆみ「な、何を言ってるんだ!」 優希「ん?」 ゆみ「おや?」 優希「誰かと思えば鶴賀の部長じゃないか!」 ゆみ「私は部長じゃないんだが……そういう君は清澄の先鋒か、合宿についての話を清澄でした時にもいたな」 優希「おお、覚えてたか! えっ、なんだ京太郎……うん、あの時はお菓子も食べられると思ってたからな!」 ゆみ「ん? いや違うんだモモ、その時は久や龍門渕、風越のキャプテンも一緒だったんだ、決して2人きりというわけじゃ……」 優希「……」 ゆみ「……」 優希「と、とりあえず私達はこれからタコス屋に行くんで失礼するじぇ! 次の全国大会でまた会おう! 行くぞ京太郎!」 ゆみ「私は卒業だし鶴賀は部員集めからしなければいけないがな……ああ、頼んだぞモモ」 京太郎「なあなあ、優希」 優希「なんだ?」 京太郎「さっきの鶴賀の人、時々何もない所見て話してなかったか?」 優希「言うな! きっとあの鶴賀の部長には見えてはいけないものが見えてるに違いないじぇ……!」 京太郎「マジかよ」 モモ「先輩」 ゆみ「どうしたモモ」 モモ「あのタコスさん、時々何もない所見て話してたっすけど……」 ゆみ「あの子はもしかしたら見えてはいけないものが見えるのかもしれないな……」 モモ「ひえっ、本当っすか」 京太郎「それは怖いな……」 モモ「それは怖い話っすね……」 【変わる顔】 京太郎「ふんふんふん」 優希「ジー」 京太郎「ん、なんだよ優希? 人の顔じっと見て」 優希「いや、京太郎の顔が変わったような気がしたんだじぇ」 京太郎「はあ? おいおい、俺は産まれてから今に至るまでこの顔だぞ」 優希「いや、それはわかってるんだけど」 京太郎「じゃあどういう意味だよ」 優希「初めて会った時は普通に男だったのに、今は女と言っても不思議じゃない気がするじょ」 京太郎「ええっ、俺そんな女顔じゃねえだろ?」 優希「昔はそうだったけど……」 優希「でも考えてみれば京太郎は咲ちゃんがいなきゃ女装して出場させられてたはずだし、今の女顔が正しい姿なのかもな」 優希「今の京太郎は下手したら龍門渕のノッポより女の子っぽいじょ」 京太郎「嬉しくないぞ、それ」 優希「まあ安心しろ、たとえ京太郎が女だったという衝撃の事実が発覚しても私は一緒にいてやるからな!」 京太郎「不吉な事を言うんじゃねえ!」 『変わる顔・優希の場合』 京太郎「だいたい人にはそんな事言うけどお前はどうなんだよ!」 優希「何の話だ? 私はずっと美少女のまんまだじょ」 京太郎「ふん、確かに黙ってれば可愛い部類だろうけどな。 だけどお前が変わってないとは言わせねえぞ!」 優希「えっ、かわ……」 京太郎「まあ、これを見てみろ」 優希『ここに山を築く。 誰にも賽は振らせない……!!』キリッ 優希「これはこの前私をのどちゃん地獄教室に引き込んだアレじゃないか」 京太郎「この時のお前は可愛いというよりかっこいい部類だ。 お前も人の事言えないくらいに変わってるってこった!」 優希「ふむ、つまり女顔になってる京太郎とかっこよくなってる私、バランスがよくなってるわけだ!」 京太郎「お前のそのポジティブさはどこからくるんだよ……あっ、そういえばお前咲が初めて来た時何を思ったか敬語使って……」 優希「それは言うな!」 京太郎「なんだよ、そんな怒るなよ」 久「やっほー、まだ2人しか来てないの?」 京太郎・優希「……」 久「な、なに? 2人してそんな見ないでよ、恥ずかしいじゃない」 京太郎「いや、俺達はなんて不毛な会話をしてたんだろうなって」 久「へっ?」 優希「変わったといえば一番変わった人を忘れてたじぇ……昔の部長はまるでムー……」 久「喧嘩なら買うわよ」 京太郎・優希「ごめんなさい」ドゲザー 【もしも優希が敬語キャラだったら】 優希「学食でタコス買ってきましたー」 優希「確実に勝つなんてありえません」 優希「天才なんですけどねっ! 集中力が持続しないんです」 優希「私の得意な東場が――またやってきました!!」 優希「よくやりました! あなたは使える犬です!」 優希「えっ、あなたもタコス好きの呪われた血族なんですか!?」 優希「なんだか、みんなを馬鹿にされたみたいです……」 優希「うちの県が弱いかどうか――今見せてあげます!」 優希「その程度で消える勢いなら――最初から願い下げです!」 優希「ここからは私の連荘で終わらせます。 この試合に東2局はきません!」 優希「ここに山を築きましょう。 誰にも賽は振らせません……!!」 優希「い、今はダメです……いやぁ」 優希「ほら、パンチラです」 京太郎「……」 優希「ど、どうだった?」 京太郎「若干和と被らんでもないな……というかいつものお前と過ごしてると誰だこれ感が否めない」 優希「そうか……」 京太郎「まっ、お前はいつも通りでいいんじゃね?」 優希「じょ?」 京太郎「正直こんなキャラだったら俺も調子狂うしなー。 今みたいに気安く話せる気がしないわ」 優希「そ、そうか……なら、よかったじぇ」 【須賀京太郎タコス布教作戦】 京太郎「新作ランチ、ウマー」モグモグ モブ男子「俺はそのために咲ちゃんや原村、片岡との飯の誘いを蹴ったお前が理解できない」 京太郎「だって今の内に食べとかないとなくなるかもしれないだろ? 三人との飯はまだ二年はできるんだし」ズズー モブ男子「はあ、こういうところが理解できないんだよ……普通気になる女子と飯が食えるならそっちを優先するだろうに」 京太郎「まあ、な」 京太郎(正直和はもう目がないのわかりきってて積極的にいく気になれないんだよなあ……) 京太郎(俺、もしかしたら逃げてるだけなのか?)ヴーヴー モブ男子「須賀、携帯鳴ってるぞ」 京太郎「ん、本当だ……優希か、もしもし?」 京太郎「は? タコスの危機? ああ、なるほどなるほど……そういう事か」 京太郎「ああいいぜ、わざわざコンビニまで行かされるのもめんどいしな」ピッ モブ男子「どうした?」 京太郎「優希の奴がこのままだとタコスがなくなるかもしれんから広めてほしいんだと」 京太郎「まああいつくらいしか食ってる奴いないしなあ」ガタッ モブ男子「広めるってどうやって?」 京太郎「そりゃまあ……実際に食ってもらうしかないだろ」スタスタ モブ男子「は?」 オバチャーン、タコスコレデカエルダケクレー ハイヨー、マタカノジョサンノタメカイ? アイツハソンナンジャネーッテ! 京太郎「ほら」ドサッ モブ男子「えっ」 京太郎「ここにいるお前の知り合いに配ってくれよ。 ついでにお前も食べて気に入ったなら今後も買ってくれると嬉しい」 モブ男子「それはいいけどお前……わざわざそのためにこんなに買ったのか?」 京太郎「コンビニで買わされるよりは安いから問題ないだろ。 じゃあ俺も行ってくるから頼むなー」 モブ男子「……」 ナアナア、チョットコレタベテクレヨ。オレノオゴリダカラサ……ウマイカ、ジャアコンゴモココノタコスヲゴヒイキニー モブ男子「やっぱりあいつは時々理解できない……」 【片岡優希の日記2】 ○月□日 今日は咲ちゃん、のどちゃんの三人で屋上でお昼ご飯 京太郎は私達を見捨てて学食の新作ランチを食べに行ったらしくていなかった 全く美少女三人とのご飯を蹴るなんてあいつはおかしい! でもちょうどいいから最近私以外買ってくれないと食堂のおばちゃんがぼやいていたタコスを広めるように言っておいた やってくれないのも覚悟はしてたけどどうやら本当に頑張ってくれたらしい、タコスは好評だったって言ってた! やっぱり京太郎はいいやつだな! 優希「おばちゃんも喜んでたし、タコスは続いていくしいい事尽くめだじぇ!」 優希「本当に京太郎はいいやつだじょ!」 優希「だから私は京太郎が……」 優希「な、なんか顔が熱いじぇ……早く寝よう、うん」 優希「今日は本当にありがとうな、京太郎……おやすみなさいだじぇ」 【京優捕物帖】※咲日和ネタ 京太郎「さてと今日は買い出しもないし少しは打てるかな……」 猫「ニャー」タタタッ 京太郎「猫? なんでこんなとこに」 優希「待てー!」 京太郎「優希、どうしたんだよ?」 優希「京太郎、こっちに猫が来なかったか!?」 京太郎「ああ、今通り過ぎてったぞ。 なんだ、あの猫お前が連れてきたのか?」 優希「そんな事はどうでもいいんだじょ! 早くあの猫を捕まえないと……麻雀が出来なくなってしまう!」 京太郎「はいぃ!?」 ――…… 京太郎「なるほど、つまり染谷先輩の雀荘を繁盛させるために猫雀荘をしようとしてお試しに猫を部室に連れてきたのか」 優希「そういう事だじぇ。 だけど思った以上に猫がやんちゃ揃いでな!」 京太郎「牌やら点棒やらくわえて逃げ出したと……つーかさ、一応麻雀部員なのに俺には何の話もなかったんだけど」 優希「来たら話す予定だったんだじょ。 昼は京太郎いなかったし」 京太郎「連絡してくれてもバチは当たらないと思うんだが……まあいい、とりあえず今は猫だ」 優希「中をくわえた奴さえ捕らえれば全ての牌は揃う! 協力を求む京太郎!」 京太郎「しかたねえな、いっちょ張り切っていきますか!」 ――…… 京太郎「おい優希、そっち行ったぞ!」 優希「任せろ! てりゃああ!」スカッ 京太郎「ダメじゃねえか!」 ――…… 優希「捕まえたー!」 京太郎「本当か!?」 優希「ほれ!」 池田「いったいなんなんだし!」 京太郎「すいませんすいません! 優希、猫違いだバカたれ!」 ――…… 優希「ふう、一休み一休み。 タコス補給っと」 京太郎「サボるなあ!!」ゴチンッ 優希「あいたあ!」 ――…… 京太郎「と、言うわけで……」 優希「見事捕まえて牌を取り返してきたじぇ! ミッションコンプリートだじょ!」 久「あ、ありがとうね、2人共」 京太郎「いてて、ひっかかれたせいで傷だらけだぜ」 優希「私もだじょ……玉のお肌がボロボロ、タコスを食べなきゃ治りそうにないじぇ」 京太郎「それで治るのか!?」 久(予備の牌があった事は言わない方がよさそうね……うん) 【タコの付くものパワー】 京太郎「たこ焼き、タコさんウインナー、タコライス……」カキカキ 咲「何してるの京ちゃん」 京太郎「いやほら、県予選決勝で優希がタコス食べられちまった時があっただろ?」 咲「うん、龍門渕の井上さんに食べられちゃって優希ちゃん泣いちゃったんだよね」 京太郎「あの時は風越の福路さんがお弁当のタコさんウインナーを分けてくれたから助かったけど」 京太郎「いつもそんな助けがくるとは限らないって部長が言ってな」 咲「確かに……」 京太郎「だから今の内にタコの付くもののレシピを覚えておいて、優希がタコス切れになった時に備えようって話になったわけなんだ」 咲「京ちゃん、料理できたの?」 京太郎「簡単なのならともかく凝ったのは出来ねえけど、でもこういう事で少しでも役に立てるなら俺も嬉しいし」 咲「京ちゃん……」 京太郎「それにちゃんと用意してやらないと優希の奴うるさいしなー。 まっ、頑張ってみるさ」 咲「そっか……じゃあもし私に手伝える事があったら言って。 家庭料理なら一応一通り出来るから」 京太郎「おっ、サンキュー。 じゃあさっそくで悪いんだけどタコのつく料理出来る限り教えてくれよ」 咲「うん、いいよ」 京太郎「いっそ自分でタコス作れるようになったら楽なんだけどな」 咲「あはは、それを言ったら元も子もないよ」 京太郎「違いない」 優希「……」ジー 優希「京太郎と咲ちゃん、何楽しそうに話してるんだ?」 優希「……なんか胸がモヤモヤするじぇ」モグモグ 【いつの間にか自然に受けいられた風潮・京太郎の場合その2】 京太郎「全国大会も終わって最近部の空気が緩くなってきたな」 京太郎「よし、ここは1つドッキリでも仕掛けて皆をシャキッとさせるか!」 京太郎「そうと決まれば早速ロッカーに隠れてっと……おっと携帯の電源は切っておかないとな」 京太郎「さあて最初は誰が来るかなー」 ――30分後―― 京太郎「遅いな……」 京太郎「部長は学生議会、染谷先輩は家の用事ってところか?」 京太郎「だけど咲達はもう来てもいいはずなんだけど……もう少し待ってみるか」 ――1時間後―― 京太郎「あれ、もしかして今日って休みだったか?」 京太郎「いや、でもそんなの聞いた覚えないし……」 京太郎「きっとなんか用事で遅れてるだけだろ……うん」 ――4時間後―― 京太郎「結局誰も来ず……何やってんだ俺、馬鹿みたいだな……」 京太郎「もう帰ろう……ああ、一応電源入れとかないと」ピッ ヴーヴー! 京太郎「あれ、メールと着信が……もしもし?」 優希『京太郎!!』 京太郎「うわっ!? な、なんだよ優希……」 優希『お前今どこにいるんだじぇ!』 京太郎「いや、部室だけど」 優希『はあああ!? 今日は染谷先輩の雀荘に集まって麻雀部員みんなで慰労会をやろうって話だっただろ!』 京太郎「そ、そんなの聞いてないぞ!?」 優希『いーや言った! この前京太郎がタコスを作ってる時にちゃんと私は伝えたじょ!』 京太郎「タコス作ってる時……あ」 ――…… 優希「京太郎、今度みんなで慰労会をやろうって話になったんだけど京太郎も来るよな?」 京太郎「んー」 優希「それは肯定なのか?」 京太郎「んー」 優希「わかったじぇ、じゃあ参加って事で○日の○時に染谷先輩の雀荘に集合だからな!」 京太郎「んー」 ――…… 京太郎「わ、悪い……」 優希『謝ってる暇があるならさっさと来い! みんな京太郎を待ってるんだからな! 』 優希『咲ちゃんなんか何かあったんじゃないかって、な、泣きそうに、なって……』 京太郎「本当にすまん! 今すぐ行くから!」 優希『早く来い、バカァ……』 風潮【須賀京太郎は清澄麻雀部で集まる時連絡すらされずハブられて気にもされない】 【ごく自然に受け入れられた風潮被害・優希の場合その2】 京太郎「優希、ちょっと話があるんだ」 優希「どうしたんだ? そんな真面目な顔、京太郎らしくないじぇ」 京太郎「実際真面目な話だからな……」 優希「そうなのかー。 で、話って?」 京太郎「ああ実はな、俺……」 優希「うんうん」 優希(あれ、待てよ……夕日の射し込む教室で向かい合って真面目な話……) 優希(これって咲ちゃんから借りた本にもあった告白のシチュエーションに似てるじょ) 優希(……告白!?) 京太郎「な、なんだか改めて言うとなると緊張するな……」 優希「ま、待つから落ち着くまで深呼吸でもすればいいんじゃないか?」 京太郎「そうだな……すう、はあ……」 優希(京太郎が私に告白……ゆ、夢みたいだじぇ! ど、どうしよう、答えは決まってるけどなんて返せば……) 京太郎「よし、もう大丈夫だ。 優希」 優希「は、はい!」 京太郎「俺な……」 京太郎「――咲と付き合う事になったんだ」 優希「――えっ」 京太郎「だからな、今までみたいに放課後つき合えないし、誘うのも自重してほしいんだ」 優希「うっ、えっ」 京太郎「言いたい事はそれだけだ……じゃあな」 優希「京太郎、ま、待って! 私、私は……!」 ガラガラッ、ピシャンッ 優希「あっ……」 優希「こ、こんなのってないじぇ……うっ、ううっ……うわああああん!!」 ――…… 優希「あ……ゆ、め?」 優希「よかった、じぇ……」 ――…… 京太郎「……」スタスタ 優希「……」トテトテ 京太郎「なあ、なんでさっきからついてきてんだ?」 優希「別になんでもないじょ」 京太郎「いや、なんでもないって事はないだろ」 優希「なんでもないんだ!」 京太郎「なんなんだよ……」スタスタ 優希「……」トテトテ 風潮【片岡優希は須賀京太郎との恋愛において高確率で噛ませ犬になる】 【キングエトペンの王冠と翼は誰が受け継ぐか?】※咲日和ネタ 優希「むう、何がいけなかったんだじょ」 京太郎「……お前、王冠と翼なんかつけて何してんだ」 優希「のどちゃんのエトペンを全国に備えてこれをつけたキングエトペンに強化したんだけど、なぜか返されてしまったんだじぇ」 京太郎「そりゃそうだろう……その王冠とかそれなりの大きさあるし刺さってもろ痛そうじゃないか」 優希「おお、そう言われればこの王冠ではのどちゃんのキングおっぱいには耐えられそうにないな!」 京太郎「キングおっぱい……なんだ、このアホなような響きなのになぜか心ときめく単語は……!」 ――奈良県―― 玄「むむっ、キングおっぱいよりおもちキングの方がロマンを追求してる気がするのです!」クワッ 宥「ひいっ! く、玄ちゃんが壊れちゃった……」 ――…… 京太郎「それにしてもお前がつけてると妙に似合うな、それ」 優希「そうか? まっ、この優希ちゃんの高貴なオーラにかかれば……」 京太郎「すっげえ子供っぽい」 優希「んなあっ!?」 京太郎「今のお前なら小学校の劇に混じってても違和感ないぞ……ぷふっ!」 優希「ええい、笑うな笑うな! そんな奴にはこうだじぇ!」 京太郎「うおっ!」 優希「キング京太郎だ! ぷっ、似合わないにも程があるじぇ!」パシャッ 京太郎「今写真撮りやがったか!?」 優希「同時にメールでみんなに一斉送信だじょ! よし、今度は翼をつけた姿も撮ってやろう!」 京太郎「やめい! お前、よくもやってくれたな!」 優希「あはは、悔しかったら私を捕まえてみろ!」トテテッ 京太郎「逃がすか! 王冠と翼つけたお前の写真撮って小学生ですって周りに送ってやる!」スタタッ 優希「きゃー!」 和「楽しそうですね2人共」 咲「本人たちは本気なのかもしれないけど、端から見たらじゃれあってるようにしか見えないよね」 【京太郎はお金持ち?】 優希「ううう……」 京太郎「どうした、財布見てうなり声なんかあげて」 優希「タコスを買う軍資金が底をついたんだじぇ……お小遣いまでまだ3日はあるのに」 京太郎「後先考えずに調子に乗って買いまくるからだろ」 優希「そんな事言ったってタコスを食べなきゃ私人の形を保てないし……」シュン 京太郎「……ったく、しょうがねえな」ゴソゴソ 優希「京太郎?」 京太郎「ほら、五千円貸してやるからこれで3日間なんとかしろ」 優希「うえっ!? さ、さすがにこんな大金受け取れないじょ!」 京太郎「別にいいんだよ、どうせ今小遣い余ってるし」 優希「……ちなみに、月いくらくらいもらってるんだ?」 京太郎「うーん、昼飯代合わせて月4万くらいか?」 ※ちなみに高校生のお小遣いの平均は5600円 優希「」 京太郎「俺ほとんど学食とか購買だし肉体労働が多いから、それなりにもらっとかないとやってけないんだよ」 優希(わ、私でさえタコス代込みで月2万円なのに……上には上がいたのか) 京太郎「今月は意外に使わなかったからちゃんと返してくれるなら貸すぞ?」 優希「……じゃあ、お言葉に甘えるじぇ」 京太郎「了解、返すのはいつでもいいからな」 優希「京太郎に貸しを作るのはアレだから早めに返すじょ」 京太郎「まっ、そこは好きにしてくれ」 優希(京太郎って意外にお金持ちなんだな……新しい発見だじぇ) 【優希は幼児体型?】 優希「タコスウマー♪」モグモグ 京太郎「毎日毎日そんなに食べてよく飽きないな……」 優希「ん、なんか言ったか京太郎?」 京太郎「なんでもない、強いて言うならよくもそんなに食べて太らないなって思っただけだ」 優希「むぐっ……」 京太郎「優希?」 優希「わ、私は太らない体質だからな……」 京太郎「……なんかすまん」 優希「な、何を謝ってるんだ? 意味がわからないじょ」 京太郎「いや、気にしてるなら謝るべきだろうなと」 優希「……ええい、もうこの話は終わりだ終わり!」 優希「だいたい女の子に向かって体重関係の話をするなんてデリカシーがなさすぎる!」 京太郎「だ、だから謝ってるだろ。 そんな怒るなよ……」 優希「ううー……」 優希(最近確かにおなか周りがプニプニしてきたけど、まだ取り返しがつかないわけじゃないじぇ……うん、大丈夫) 京太郎(こいつの体型ってモロに幼児のそれなんだよなあ……その手の人が見たら結構たまらないんじゃないか?) 優希「……」モグモグ ※ちなみにタコスのカロリーは164kcal 優希は普段タコスを3つは食べるため合計は492kcal、高1女子の1日に必要な平均カロリーは2250kcal 意外に普段の優希のタコス消費量には問題がないのかもしれません 【須賀京太郎の日記】 ○月△日 いよいよ全国大会本番 優希に必要なタコス屋を探して動いていたら長野で会った執事服の人にまた会って店を教えてもらった 店は会場から結構遠くてどうしたもんかと悩んでたら、 さっきの執事さんがタコスを自作できるらしくて明日から作り方を教えてもらえる事になった! これでわざわざ買いに行かなくてもよくなるかもしれない! 待ってろよ優希、お前が驚くくらい美味いタコスを作ってやるぜ! それにしてもあの執事さん、龍門渕の人だったんだな……だったら県予選の時は塩送られたって事か、なんか悔しい 京太郎「ふう」 京太郎「本当によかった……ついてきたはいいけど全く役に立たないなんてごめんだからな」 京太郎「これで、俺も少しはみんなの役に立てればいいんだけどな……」 京太郎「よし、明日から頑張って修行開始だ!」 【掃除も雑用の内】 久「今日はみんなで大掃除と荷物整理をしましょう」 まこ「ここは色々あるからのう……やるとしたら1日がかりになりそうじゃ」 和「そもそも関係ない物が多すぎる気がします……」 咲「そういえば最近ここの本読めてないなあ」 優希「よし、私は外のビーチチェアーが壊れてないか実際に寝てチェックを……」 京太郎「露骨にサボるフラグを立てるなよ!」 久「はいはい、それぞれ何をするかは任せるけど出来るだけサボらないようにね? じゃあ始めましょう!」 咲「あっ、この本、日に焼けちゃってる……背表紙も擦れてるし古い本なのかな」 咲「……ちょっと中身を確認するだけなら、いいよね?」 咲「……」ペラッ、ペラッ…… 京太郎「ええっとこの箱はこっちに……」 和「あら、ベッドの下に何か……これ、エトペンのキーホルダー……」 優希「おお、それ前に私が持ってきてなくしたやつだじぇ。 そんなところにあったのかー」 和「……」キラキラ 優希「のどちゃん、欲しいならあげるよ?」 和「えっ、いいんですか!?」 優希「のどちゃんなら大切に扱ってくれそうだしな! 私が持ってるよりはそいつも幸せだじぇ!」 和「あ、ありがとうございますゆーき!」 京太郎「窓ガラスもだいぶ汚れてんな……雑巾、雑巾っと」 まこ「おんや、これは……」 久「まこ?」 まこ「ああ、見てくれ部長。 随分と懐かしい写真が出てきたんじゃ」 久「それまこが入部してきた時に撮った……」 まこ「この頃はまさか全国出場どころか優勝するなんて思いもせんかったわ」 まこ「正直お前さんが築いたここを引き継ぐというのは相当なプレッシャーじゃが……」 久「まこならできるわよ、私が保証する。 私が卒業した後の麻雀部をお願いね?」 まこ「うむ、精々努力はさせてもらう」 京太郎「自動卓も汚れてんな、ほとんどタコスのソースのせいっぽいけど」 ――…… 京太郎「なんで俺しか分担終わってないんですか!?」 久「ご、ごめんなさい……つい思い出話に花が咲いちゃったわ」 まこ「すまん、やってしもうた……」 和「エトペンのキーホルダーに夢中になってしまいました……ごめんなさい」 優希「そ、掃除は何か見つけちゃうとはかどらないものなんだじぇ……」 咲「結局本一冊読みきっちゃった……ごめんね、京ちゃん」 京太郎「ダメだこりゃ……」ガクッ 【猫蛇セアミィの謎】 優希「るんたった、るんたった♪」 京太郎「随分とご機嫌なこって……そんなにタコス食えるのが嬉しいのか?」 優希「まーなー♪」 優希(休みに2人で出かけるなんてまさしくデートに違いない! これが楽しくないわけないじょ!) 京太郎「ふーん……そういえばさ」 優希「なんだー?」 京太郎「お前私服でもその猫?蛇?だかのアクセサリーつけてんのな」 優希「おお、これか。 これはのどちゃんが私のために選んでくれたお気に入りだからな! 出来る限りつけるようにしてるんだじぇ」 京太郎「へえ、確かにあのペンギンといい和の趣味っぽいな」 優希「ふふふ、美少女たるこの優希ちゃんにのどちゃんの見立てたこの猫蛇セアミィが加わればまさに最強! 」 優希「向かうところ敵なしだじぇー!」 京太郎「自信過剰な気もするが……まあ、確かに似合ってはいるんじゃね?」 優希「あはは、京太郎が素直に褒めるなんて珍しい事もあるな。 なんだか照れちゃうじょ」モジモジ 京太郎「何言ってんだか……ん?」 セアミィ「///」 京太郎「」 京太郎(えっ、なにあれ。 さっきまで普通のぬいぐるみだったセアミィ?」 京太郎(だったかなんだかが今見たら優希みたいに照れてるんだけど) 優希「京太郎?」 セアミィ「?」 京太郎(また優希に合わせたみたいに顔変えた!? なんなんだよ、まさかアレ生きてるのか!?) 優希「おーい、無視するんじゃない!」 セアミィ「」プンプン! 京太郎「あ、ああ悪い……」 京太郎(聞くべきか、いや、でもそんなバカな話があるわけ……) 優希「よろしい! じゃあ早くタコス屋に行くじぇ!」トテテッ 京太郎「あっ、待てよ!」タタタッ 京太郎(気のせい、だよな。 うん、そうに決まってる……和じゃないけどそんなオカルトありえないって) セアミィ「」ニコニコ 【本にあるからといってそれが正しいとは限らない】 優希「うぐぐ、京太郎め。 いつになったら私の魅力にメロメロになるのだ。 色々試してるのにな……」ペラッ ・男女に友情なし、ぐいぐい行けば必ず落とせる! 優希「京太郎!」 京太郎「どうした優希」 優希「新しいタコス屋が出来たらしいから明日の休み、私につきあえ!」 京太郎「なんで休みにまでつきあわされなきゃ……わかったわかった、行くからそんな目で俺を見るな」 優希「よし、約束だからな!」 優希(休日デート、これで京太郎も少しは私を意識するはず!) 京太郎(仲のいい妹とかいたらこんな感じなのかね……おごらされる未来しか見えないから財布に補充しとこ) ・意識させるような発言を繰り返してみよう! 京太郎「今日は俺達以外まだ誰も来てないのか」 優希「2人っきりだじぇ、あなた♪」 京太郎「はいはい、俺はネトマしてるからタコスでも食べておとなしくしてなさい」 優希「京太郎が食べさせてくれないのか?」 京太郎「お前なあ……」 優希(焦ってる焦ってる♪) 京太郎(まるで子供だな……なんで今の内に父親体験をしなきゃならんのだ) ・男は狼、セクシーに迫ればいける! 優希「き、京太郎……」 京太郎「どうした? おい、なんでお前スカートの裾なんか握って……」 優希「わ、私京太郎になら見せてもいいんだじょ……」チラッ 京太郎「は、はあ!? ちょっと待て、いくらなんでもそれは……」 優希「京太郎……」 京太郎(マズい、この前のメイド服と違って恥じらってるからなんかくるものが…いやいや、そんなわけない! 俺がこいつにそんな……) 和「こんにちは」ガチャッ 京太郎「」 優希「あ」 和「……」 スガクン、ユーキニナニヲヤラセテルンデスカ! ゴカイダ、キイテクレノドカ!コレハユウキノヤツガ、マッテケイサツハヤメテ! 優希(後少しだったのに……) 京太郎(なるほどね……優希の奴、和が来るのわかっててやりがったのか……) 京太郎(ちくしょう、気の迷いとはいえあの時ちょっとドキッとした俺がバカだった!) 優希「今日も失敗……なんでうまくいかないんだろ」 ・男の子を落としてアラサーにならない方法 著者 小鍛治健夜 健夜「えっ、なにこれ、書いた覚えないよ」 恒子「私がやりました、テヘペロ♪」 健夜「こーこちゃん!?」 【もし京太郎が京子だったら】 京子「やっほー、咲」 咲「あっ、京ちゃん」 京子「ねぇねぇ、食堂一緒に行かない?」 咲「えっ、私今本読んでるんだけど……」 京子「本は食堂でも読めますよー。 1人一個限定のデザートがどうしても食べたいの、お願い!」 咲「ええ、普通そのためだけに食堂に誘う?」 ――…… 咲「中学で同じクラスなだけですから! 嫁さん違います!」 京子「まっこう否定ですか」 咲「えっ」 ――…… 京子「和って家庭的だよねー」 咲「そうだね」 京子「……」 和『おかえりなさい、京子さん』 京子「ふふ、うふふ……」 咲「き、京ちゃん……」 ――…… 京子「メイド服着た和、見たかったなあ……」 優希「そう言うと思って着てきたじぇ!」 京子「……」 優希「ほれ、パンチラ」 京子「いらない」 ――…… 久「先鋒優希、次鋒まこ、中堅私、副将和、大将咲!」 京子「部長、私は!」 久「京子は応援、以上!」 京子「ですよねー」 ――…… 京太郎「」 優希「うわあ」 咲「京ちゃん、女の子だったら色々すごいね」 京太郎「なにこれ、ひどい」 優希「これはのどちゃん以上のわかりやすいガチガチのアレだじぇ」 和「あはは……ゆーき、後でお説教です」 優希「ひいっ」 咲「しかも京ちゃんったら私の嫁さん違いますって言葉にあんな事言ったくせに」 咲「麻雀部に入ったのが和ちゃん目当てだったり妄想したりって節操ないよね」 京太郎「なんということだ……なんということだ……」 結論【須賀京太郎が実は女の子な場合、当初の描写のガチレズ度が指なめをした和と同等かそれ以上になる】 『よく考えると京子ちゃんだった場合』 京子「私も麻雀部に入ります!」 久「やった、これで団体戦に出られる!」 京子「すいません、私初心者なんですけど……」 久「安心しなさい、私達でちゃんと教えてあげるから!」 京子「あっ、はい!」 ――咲ちゃん加入後…… 久「京子、あの……今度の団体戦のオーダーなんだけど」 京子「私はレギュラー落ち、ですよね」 久「ごめんなさい……入ってくれた時にはあれだけ持ち上げておいて」 京子「あはは、いいですよ……私みたいな初心者より咲が入った方がいいに決まってますから」 京子「私は、みんなの分も雑用とか頑張ります!」 久「本当にごめんなさい……」 こんな事が起きるわけですね まあレギュラー落ちはしても合同合宿には参加させてもらえるでしょうから…… 京子「はあ……合宿に参加させてもらえはしたけど周りのレベルが高すぎてついていけないよ」 京子「私なんかとやって他の人は何か得るものあるのかなあ……」 京子「ダメだ、変な事ばかり考えちゃう。 早く戻ろう……あれ?」 咲「……」 和「……」 京子「咲と和だ……なんでこんなところに」 咲「じゃあ戻ろっか和ちゃん」 和「そうですね、咲さん」 京子「――えっ」 京子「咲と和が下の名前で呼び合ってる……なんで」 京子「――私はまだ、【須賀さん】なのに」 京子「なんで私より後に会って関わった時間も短い咲が、なんで、なんでなんで!?」 京子「咲……私は弱い、咲より麻雀やってきた時間も短いからレギュラーは妥当だと思うしまだいいよ」 京子「でもあんたは、私が麻雀部に入る前から好きな人も、奪うっていうの……」 京子「そんなの、あんまりだよ」 優希「京子……」 結論【京太郎が女の子なだけで清澄1年組が大変な事になります】 「須賀京子の憂鬱」 清澄高校に入学後、同級生の原村和に一目惚れして麻雀部に入部した京子。 ちょうど京子が五番目の部員で団体戦に出場できるようになると部長の久に歓待された京子は、 自分の入部動機がまさか和への恋情であるとは言えず大して興味もなかった麻雀に従事する事に。 しかし全国大会への熱意から久を筆頭に麻雀部員達に熱心に教えてもらったり、対局を繰り返して 麻雀の楽しさを知っていった京子は皆のためにもインターハイで頑張ろうと心に決める。 そして入部してから数週間後、京子は中学からのクラスメート宮永咲が麻雀の経験者であると知る。 家族麻雀でお年玉を巻き上げられていたと語る咲に彼女が初心者だと思った京子。 周りがベテランだらけであり、初心者の自分への教育に時間をとられて練習も出来ない。 それだけ時間を使わせても大会で自分が足を引っ張るのが確実な状況なのも手伝って、 初心者仲間欲しさに咲を勧誘した京子は彼女を麻雀部の部室へと連れていく。 それが自分のレギュラー転落と失恋を呼び込む行動とも知らずに…… 安価なしでスレ立てするとしてあらすじはこんな感じですかね 京太郎が京子ちゃんになるだけで不憫、寝取られ、戦犯にもなれないレギュラー落ちなどの属性がつくという…… 【京太郎のたこ修行】 京太郎「ほっ、ほっ……」 優希「到着ー! 京太郎、何してるんだ?」 京太郎「見てわからないか、たこ焼き焼いてんだよ」クルックルッ 優希「たこ焼き! ほほう、私の好物だじぇ!」 和「部室でたこ焼きを焼く意味がわかりません」 京太郎「しょうがないだろ、たこ焼き器しか持ってこれなかったんだよ」 和「答えになってません!」 優希「ジー」 京太郎「あんま近いと跳ねて火傷するぞ?」 優希「なら早く食べさせるのだ!」 京太郎「もうちょっと待てって」 咲「うわ、どうしたのこれ?」 和「須賀君がなぜだかたこ焼きを焼いてるんです、部室で卓の上にたこ焼き器を乗せて……理解できません」 京太郎「ここ電源少ないんだよ……だからといってパソコンの方だとちょっと遠いし」クルックルッ 優希「早く早く! 今日はタコスが売り切れてたからタコのつくものを食べなくては私は人の形を保てない!」 京太郎「わーってるって! ほら、一丁あがりっと」 優希「ヒャッハー!! タコだ、タコのつく食べ物だじぇー!」 和「あっ、ゆーき! そんなに慌てて食べたら火傷しますよ!」 優希「おっと……ふう、危うく美味しく食べられなくなるところだったじぇ」 京太郎「逃げやしねーからゆっくり食べろよな。 あっ、咲と和もどうだ?」 咲「これ、タコスがなくなった時のために作ったんだよね?」 京太郎「おう、今日は昼の時点でタコスがなくなってたからな。 」 京太郎「まさに前に話したタコスがなくなるシチュだったから他の物を作る事にしたんだよ」 咲「じゃあもらおうかな……京ちゃんがちゃんと美味しく作れてるか確認しないと」 京太郎「そういう言い方するなら俺は優希に食べてもらうだけでいいんだぞー?」 咲「……美味しそうだから私も食べたいです」 京太郎「素直でよろしい」 和「……」ゴクリ 京太郎「和はどうする?」 和「……わ、私は」チラッ 優希「むぐむぐ……京太郎が作ったにしてはなかなか……」 咲「あっ、美味しい……」 和「……私にもください」 京太郎「了解」 優希「京太郎、おかわりだ!」 咲「京ちゃん私も私も!」 和「わ、私もお願いします……」 京太郎「あいよー!」 久「えっ、なにこれ」 まこ「ここはいつから料理部になったんじゃ……」 【優希も本くらい読むんです】 優希「暇だじぇー。 みんないつになったら来るんだー」モグモグ 優希「うーむ……ここは1つ本でも読んでみよう!」 優希「面白い本はあるかなーっと……これにするか。 タイトルは【隣の家の少女】?」 優希「きっと隣の家の女の子を好きになっちゃうみたいな話だな!」 優希「ふふふ、これで優希ちゃんも文学少女だじぇ。 もう子供っぽいとは誰にも言わせん!」 優希「……」ペラッ 優希「……」ペラッ 優希「……」 優希「うーん、字ばっかりで飽きたじょ……もっと面白いのはないのかー?」 優希「【狂鬼降臨】、【問題外科】、【暗い森の少女】、【骨餓身峠死人葛】……」 優希「なんだかタイトルだけで頭が痛くなりそうだじぇ。 最後のなんかタイトル読めないし……」 優希「おっ、漫画みっけ! これなら私も退屈せずに読めそうだじぇ! えーっとタイトルは【ミスミソウ】? 」 優希「タイトルはよくわからないけど漫画なら面白いのは確実だじょ!」 ――…… 京太郎「ちわーっす」 優希「……」 京太郎「おっ、まだ優希だけか?」 優希「……」 京太郎「優希?」 優希「すいませんすいません、なんか生きててすいません」ガタガタ 京太郎「何があった!?」 【そういうところが好きなんです】 優希「うう、昼間は酷い目にあったじぇ……なんで部室にあんな本があるんだ。 まさか咲ちゃんの趣味じゃないだろうな……」 優希「今日は親も帰ってこないし、眠れなくなりそうだじょ……」 ガタッ! 優希「ひっ!?」 優希「か、風……?」 ガタガタッ! 優希「やあっ!?」 優希「やだやだ……誰かに電話して朝までつきあってもらいたいじょ……」 優希「でも、そんなののどちゃんには怒られるだろうし、咲ちゃんは途中で寝ちゃう気がするし……」 ガタガタガタンッ!! 優希「いやあっ!? ううう……京太郎ぉ……」 ピンポーン 優希「えっ……」 ピンポーン 優希「だ、誰だじょ……? まさか誰かが火をつけに来たとか……ひいっ」 京太郎「おい、優希ー?」 優希「――京太郎?」 京太郎「ふーむ、今日は様子が変だったから見にきたけどもう寝たのか……?」 ドタドタドタッ、ガチャッ! 優希「京太郎!」ガバッ! 京太郎「うおっ!?」 優希「京太郎京太郎……!」ブルブル 京太郎「ど、どうした? なんか怖い夢でも見たのか?」ナデナデ 優希「ううう……」 ――…… 京太郎「うん、うん……ああ、わかってるって。 じゃあ口裏合わせは頼むな」ピッ 優希「……」 京太郎「家には他のやつの家に泊まるって連絡して、そいつに口裏合わせも頼んどいた」 京太郎「で、部室でも変だったけど何かあったのか?」 優希「……部室で怖い本を読んだんだじょ。 夢にも出てきそうなくらい怖くて、今日は親もいないから……」 京太郎「心細かった、と……そういえば咲の奴がお前と全く同じ状態になった事があったわ」 京太郎「あそこヤバい本が色々あるらしくてさ、全部読んじゃったらしいあいつはもっと酷かった」 優希「そうなのか……」 京太郎「まっ、泊まるまでになったのはお前くらいだけどな」ナデナデ 優希「んっ……」 京太郎「今日は朝まで一緒にいてやるよ、お前が暗いと調子狂うしな」 優希「京太郎……」 京太郎「よし、今日は俺が夕飯作ってやるよ! ちょっとキッチン借りるな」 優希「京太郎は優しいじぇ……」 優希「――そういうところが私は好きなんだ……」 京太郎「なんか言ったか?」 優希「なんでもない!」 【それはとてもシンプルな理由】 京太郎「さて、そろそろ寝るか?」 優希「そうだな……京太郎のおかげで今日は眠れそうだじぇ」 京太郎「それは一安心だ。 じゃあ悪いけどソファー借りるな」 優希「えっ、なんで」 京太郎「なんでって……ソファーにも寝かせてくれないのかよ?」 優希「一緒に寝てくれないのか?」 京太郎「はあ?」 優希「朝まで一緒って言うからてっきり一緒のベッドで寝てくれると思ったのに……」 京太郎「……あのなあ優希。 お前自分がとんでもない事言ってる自覚あるか?」 優希「そう、か?」 京太郎「そうだよ。 いいか、もしそんな台詞を誰彼構わず言おうものなら間違いなくお前襲われるぞ? 」 京太郎「俺はそんな気にならないからまだいいけどな、世の中には色んな趣味のやつがいるんだから……」 優希「……京太郎以外に、こんな事言わないじぇ」ボソッ 京太郎「えっ? お前今なんて……」 優希「いいじゃないか。 京太郎は私を襲わないんだろ? それとも一緒にいてくれるって嘘だったの……?」 京太郎「うっ、そうきたか……はあ、わかったよ」 優希「やった!」 ――…… 京太郎「……」 優希「……」ドキドキ 優希(京太郎と一緒に寝るなんて夢みたいだじょ。 心臓の音、聞こえてないかな……) 京太郎「なあ、優希」 優希「な、なんだ!?」 京太郎「お前さ、どうして俺と一緒に寝ようなんて思ったんだ?」 優希「えっ……」 京太郎「自分で襲わないとか言いはしたけどさ……」 京太郎「普段の俺って和の事結構そういう目で見てたりするような奴だし、はっきり言ってそういう信用ある気がしないんだよ」 優希「……」 京太郎「お前が俺を信頼してくれてるなら嬉しいけど、どうしてそこまで俺を信用できるのか、ちょっと気になった」 優希「それは……」 京太郎「……悪い、なんか変な事聞いた。 もう寝ようぜ、明日は休みだけど早めに起きた方がいいしな」 優希「うん……」 ――…… 優希「京太郎、もう寝た?」 京太郎「zzz……」 優希「……さっきの質問の答えだけど、私は別に京太郎なら襲わないとか信頼してるわけじゃないんだじょ」 優希「いや、信用してないわけでもないけど」 優希「ただ、そうただ――」 優希「京太郎なら襲われてもいいって思ってるだけ」 優希「それだけだから……おやすみなさい」 京太郎「……ばかやろ」 【小さな変化、大きな前進】 優希「んっ、朝……?」 優希「あれ、京太郎……?」 京太郎「……」トントントン 優希「京太郎?」 京太郎「あっ……よ、よぉ、おはよう優希」 優希「おはようだじぇ」 京太郎「今朝飯作ってるから顔洗ってこいよ。 あっ、腹減ってると思ってまたキッチン借りたけどいいよな?」 優希「うん、お腹ペコペコだじょ……顔洗ってくる」 京太郎「おう」 京太郎「まっずいなあ……昨日のあいつの言葉聞いたせいか、まともに顔が見られないぞ」 京太郎「はあ、さすがにアレは反則だろ……」 優希「反則って何がだ?」 京太郎「なっ!? は、早いんだな?」 優希「えっ、さっきから数分は経ってるしそんなに早くないだろ?」 京太郎「あっ、そうなのか……そりゃ確かに早くないわ」 優希「京太郎、なんか挙動不審だじぇ」 京太郎「いや、そんな事はないぞ!?」 優希「そうかー?」 京太郎「そうなんだって! いいから向こう行って待ってろ、今朝飯持ってくから!」 優希「はーい」トテテ 京太郎「……くそっ、人の気も知らないで」 ――…… 京太郎「……ってな事があったわけなんだが、俺はどうしちまったんだと思うよ?」 咲『……』 京太郎「咲ー? 黙ってないでなんか言ってくれよー」 咲『京ちゃんってさ』 京太郎「おっ、なんかわかったのか?」 咲『バカでしょ』 京太郎「はああ!? お前言うに事欠いてそれはないだろ! おいこら待て、まだ話は終わってない、切るなって、おい咲!」 京太郎「切れた……なんなんだよ、もう」 【片岡優希の日記その3】 ○月◇、☆日 昨日は京太郎が泊まりに来たから書けなかった分も書く 昨日部室で怖い本を読んだ。 読み終わった後もすごく気分が暗くなってのどちゃん達にも心配をかけちゃった……当分火とボウガンは見たくない。 昨日は親が遠出してて帰ってこないから1人きりで留守番してたけど、すごく心細くて泣きそうになって。 だけど上に書いた通り、京太郎が心配して泊まりに来てくれた。 それからはドキドキしっぱなしで怖いとかほとんど関係なくなってた…… 渋られたけどなんとか押し通して一緒に寝られたしいい事づくめだった! だけど今日の朝、京太郎はちょっと様子が変だった……何かあったのかな? 優希「ふう……京太郎、どうしたんだろ? 心配だじぇ」 【端から見たらわかりやすい】 京太郎「はあ……」 咲「京ちゃん、ため息なんてついてたら幸せが逃げちゃうよ?」 京太郎「ああ……」 咲「聞いてないし」 京太郎「なあ咲……」 咲「どうしたの? この前の事( 214)でまだ悩んでるの?」 京太郎「最近優希の事が頭から離れない……俺はどうしちまったんだ……」 咲「まだこんな事言ってるよ……あのね京ちゃん、それは京ちゃんが優希ちゃんを好きって事……」 京太郎「それはない」 咲「そこ、はっきりと即答しちゃうんだ……根拠は?」 京太郎「だってあいつは俺の好みとはまるで正反対だし、和みたいに感じる事もないんだぞ?」 咲「うん」 京太郎「そりゃあ、優希だって女の子なんだなー」 京太郎「とは思うようにはなったけど、だからといってそれがイコール好きに繋がるかといったらそれは違うだろ」 咲「……」 京太郎「ああ、もう、なんかモヤモヤすんな……誰かこの気持ちをうまく説明してくれよ……」 咲(それ、和ちゃんへのは憧れで優希ちゃんへの気持ちが恋なんじゃないの?って言ったらすごい事になりそう……) 京太郎「ちくしょう、それもこれも優希があんな事言いやがったのが原因だ……どうしてくれようか、あのタコス娘……」 咲(端から見たら優希ちゃんに恋してるようにしか見えないんだけどなあ。 優希ちゃんは苦労しそうだね、今までもこれからも) 京太郎「はあ……」 咲(ため息つきたいのはこっちだよ、もう……) 【されど互いは気付かない】 優希「はあ……」 和「ゆーき? ため息なんてついて何か悩み事でもあるんですか?」 優希「のどちゃん……私、もうどうしたらいいかわからないじぇ」 和「ゆーきがそこまで言うなんてよっぽどの事があったみたいですね……よかったら聞かせてくれませんか?」 優希「実は……」 ――…… 和「須賀君に避けられてる、ですか」 優希「今までだって相手にされない事はあったけど避けられるのは初めてで……」 和「確かに、らしくはない気もしますね。 何か避けられる心当たりは?」 優希「うーん、様子が変になったのは京太郎が私の家に泊まった日からだったような……」 和「その時に何かありましたか?」 優希「一緒に寝た以外はいつも通りだったじょ」 和「一緒に寝た!? ゆーき、あなた須賀君とそんな事をしたんですか!?」 優希「えっ、ダメだったかな? 一緒の布団で眠っただけなんだけど……」 和「……それなら、いいんです」 優希「のどちゃん、何を想像したんだ?」 和「何でもありません! とにかく、須賀君がそこを分岐点に変わったとするなら一番可能性が高いのはゆーきを意識しているとか……」 優希「それはないじぇ」 和「根拠はあるんですか?」 優希「だって京太郎の好みと私は噛み合ってないし、それに……」 優希(京太郎が好きなのはのどちゃんだし……) 和「それに?」 優希「なんでもないじぇ……とにかく京太郎が私を意識してるって事はないと思う」 和「そうですか……」 優希「のどちゃん、私何かしちゃったのかな……ぐすっ」 和「そ、そんな事ありません! きっと何か行き違いがあるんだと思います。 だから泣かないでゆーき……」 優希「のどちゃあん……」 和(悔しいですがこれ以上は1人でどうにかできそうにありません……咲さんに相談してみましょう) 【ごく自然に受け入れられた風潮・京太郎の場合その3】 ハギヨシ「須賀君はなかなか筋がよろしいですね」 京太郎「そうですか?」 ハギヨシ「ええ、タコス作りを教えるようになってからまだ時間はたっていないのに随分成長しました」 京太郎「それはたぶん先生がいいからですよ」 ハギヨシ「ふふっ、そう言っていただけるとこちらとしてもお教えしたかいがありますね」 京太郎「これからもご指導よろしくお願いします」 ハギヨシ「もちろん」 京太郎「さて、時間も時間だし帰るとするか」 ハギヨシ「家までお送りしましょう。 車を出しますので少しお待ちください」 京太郎「あ、ありがとうございます! やっぱりハギヨシさんはいい人だなあ」 「あら、そこにいるのは……」 京太郎「あっ、あなたは確か和の対戦相手だった……」 透華「龍門渕透華ですわ」 京太郎「あっ、俺は……」 透華「清澄高校の須賀京太郎、でしょう? ハギヨシの交友関係くらい把握しておりますわ」 京太郎「あっ、そうなんですか……いつもハギヨシさんにはお世話になってます」 透華「別に構いませんわ、最近のハギヨシはいつにもまして楽しそうに過ごしていますもの」 京太郎「楽しそう? ハギヨシさんがですか?」 透華「ええ、正確に言えばあなたに色々指導するようになってから、ですわね」 透華「ここにいるのは女性ばかり、ハギヨシとしても同性の知り合いが出来た事が嬉しいんでしょう」 京太郎「いえ、そんな……」 透華「だからこそはっきりさせておきたい事があります」 京太郎「なんですか?」 透華「あなたはハギヨシと、懇ろな仲なんですの?」 京太郎「」ピシッ 透華「わ、私が気にしているわけではありませんわよ!? 」 透華「ただ屋敷のメイドが噂していましたから、衣の教育によろしくない関係か確かめる義務が私には……!」 京太郎「ないですないです! 俺はちゃんと女の子が好きです!」 透華「それならいいんですわ。 これからもハギヨシと仲良くしてやってくださいな」 京太郎「は、はい」 透華「それでは、ごきげんよう」 京太郎「……すごい事聞かれたぜ」 ハギヨシ「お待たせしました須賀君、行きましょう」 京太郎「あっ、はい」 京太郎(だけど、なんで俺は龍門渕さんの言葉を否定した時……) 『京太郎!』 京太郎(あいつの顔、浮かんだんだよ?) 風潮【須賀京太郎はホモである】 【傍観者達は何を思う】 和「……というわけ、なんですが須賀君はいったいどうしてしまったんでしょうか?」 咲「優希ちゃんはそんな事になってるんだ……そういう意味ではお似合いなのかな」 和「それはどういう……まさか」 咲「うん、間違いないよ。 京ちゃんと優希ちゃんは両思いなのに変なところですれ違ってるの」 和「須賀君は散々邪険にしてきた負い目から今さら自分の気持ちを認められず」 和「ゆーきは須賀君の好みとは違う自分が好かれている自信がない、といったところですか」 咲「たぶんね」 和「なんという……少し話せばあっさり解ける誤解なのに」 咲「それはしょうがないよ、京ちゃんはフレンドリーなのに肝心なところで臆病だから」 和「ゆーきも、これが須賀君でなければ当たって砕ける覚悟も出来るんでしょうね」 咲「苦労するね、お互いに」 和「全くです……ところで、いいんですか?」 咲「なにがかな?」 和「いえ、私の勝手な想像ですけれど、咲さんはそれなりに須賀君を好いていると思ってましたから」 咲「私が、京ちゃんを?」 和「気分を害されたのなら謝ります」 咲「いいよ、気にしないで……そもそもそんな事ありえないし」 和「そうですか?」 咲「うん。 確かに私にとって京ちゃんはお友達だし、一番仲のいい男の子だよ」 和「だけどそれがイコール好きに繋がるかと言ったらそうじゃないと思う」 和「……」 咲「まあ、京ちゃんは単純だし、エッチだし、馴れ馴れしいところもあるし」 咲「髪の毛のせいで軽く見られちゃうし、子供っぽいし、すぐに人をからかってくるし」 咲「わざわざレディースランチのためだけに人を連れ回すし、胸の大きな子にはデレデレしちゃうし」 咲「1つの事に集中しちゃうと周りが見えなくなるし、こういう時へたれちゃうような人だしね」 和「あの咲さん、さすがに言いすぎ……」 咲「――だけど」 咲「悪いところも確かにあるけどそんなの気にならないくらい、いい人でもあるんだよ」ニコッ 和「……!」 咲「だから早く付き合っちゃえばいいのにね、2人共」 和「そう、ですね」 和(あなたは、本当にそれでいいんですか咲さん……) 咲(……) 【まだ賽はふられてない】 優希「京太郎、今日の放課後……」 京太郎「き、今日は俺用事あるから!」 優希「あ……」 京太郎「くそっ、なんでこんな事になったんだ……」 「そうねぇ、天罰ってやつじゃないかしら?」 京太郎「それじゃあ俺が何かしたみたいじゃないですか」 「自覚ないの? 優希もかわいそうね」 京太郎「そんなの――」 京太郎(ん? ちょっと待て、俺さっきから誰と話して……)バッ 久「お疲れ様、須賀君。 なんか大変な事になってるみたいね」 京太郎「竹井先輩……別にそんな事は」 久「須賀君は嘘が下手ねぇ。 その顔見て何もないなんて信じられるわけないじゃない」 京太郎「……そんなに酷いですか?」 久「今にも死にそうね……ここは1つ元部長に相談してみない?」 京太郎「……実は」 久「へえ、優希がそんな事を言うなんてねえ」 京太郎「あんな事言われたらこれからどう接していいのか……」 久「あら、話を聞く限り簡単だと思うけど」 京太郎「えっ」 久「だって優希は須賀君が好きで、須賀君も優希が好きなんでしょう?」 京太郎「あの、俺の話聞いてました? あいつを好きとかそういうのじゃないって……」 久「須賀君、私にはあなたがそう言い聞かせるふりをして、優希と自分の気持ちを見ないようにしてるようにしか見えないわよ」 京太郎「なっ……」 久「和の時とは違う、だから自分は優希を好きじゃありませんって自分で言ってる事おかしいと思わない?」 京太郎「っ……」 久「好みが正反対なんてそれこそ根拠にもなってない愚論よ」 久「世の中の人が全員自分の好みと完璧に一致する人しか好きにならないなんて、和じゃないけどそんなオカルトありえません」 京太郎「う、ぐっ」 久「まあ須賀君は優希のアピール散々無下にしてきてるし、気まずいのかもしれないけど……」 久「いつまでも優希の好意に甘えるのはよしたら?」 京太郎「俺は!」 久「いいから黙って聞きなさい。 須賀君、ヒントをあげる……自分以外の誰かと優希が付き合ってるところ想像してみて」 京太郎「えっ」ズキッ 久「デートして、あの子が笑顔で好きって言って、言われて照れて、手を繋いで……」 京太郎「あ、つう……!」ズキッ、ズキッ 久「腕を組んで、キスして、最後にはその身体をあなた以外に襲われてもいいって……」 京太郎「やめてくださいっ!!」 【持つものにないもの、持たないものにあるもの】 優希「京太郎、今日の放課後……」 京太郎「き、今日は俺用事あるから!」 優希「あ……」 優希「どうしてこんな事になっちゃったんだじぇ……」 まこ「元気ないのう、優希」 優希「あっ、染谷先輩……」 まこ「何があったかはわからんが、いつも元気なお前さんがそこまで落ち込んどるいう事は今逃げていった奴が関係しとると見ていいか?」 優希「……」コク まこ「もしよければ悩みを詳しく聞かせてもらえんか?」 優希「……わかったじょ」 まこ「なるほどのう。 それは確かに不安にも感じるじゃろうな」 優希「私どうしたらいいかもうわからないじぇ……」 まこ「しかし優希、なぜ京太郎のやつがおんしを好きだという可能性を最初から否定するんじゃ?」 優希「だって京太郎はのどちゃんが……」 まこ「確かに京太郎が麻雀部に入った目的は和じゃし、そう思う気持ちはわからんでもないが……じゃが本当に可能性はないのかの?」 優希「えっ……」 まこ「わしはな優希、お前さんが次にツモれる聴牌をわざわざ崩しにいってるように見えるんじゃよ」 優希「聴牌をわざわざ……?」 まこ「そうじゃ。 色々な客を見てきた身から言わせてもらうなら京太郎はお前さんを好いとると思う」 優希「京太郎が、私を……」 まこ「優希、確かにお前さんになくて和が持っているものはたくさんあるじゃろう」 まこ「じゃがそれは逆もしかり、優希にあって和にないものだって同じくらいたくさんあるんじゃ」 優希「のどちゃんになくて、私にあるもの」 まこ「そうじゃ、優希はそれで勝負すればいい」 まこ「たとえどんなに削られても、心を支える点棒が尽きなければお前さんは戦えるはずなんじゃ」 優希「……」ギュッ まこ「優希、わしの言葉をどう捉えるかはお前さん次第じゃ。 それを踏まえた上でどうしたいか決めんしゃい」 優希「私、私は……京太郎と一緒にいたい。 今みたいなのは、もう嫌だ!」 まこ「ならどうすればいいか、わかっとるな?」 優希「……ありがとう、染谷先輩! 私、いってくるじょ!」タタタッ まこ「……頑張れよ、優希」 優希「はあ、はあ……」 優希「京太郎、私は決めたじぇ……私は、今日お前に告白す――」 咲「それは通らないよ、優希ちゃん」ゴッ 【もう自分に嘘はつかない】 久「やめてください、ねぇ……どうしてかしら?」 京太郎「それはっ……」 久「あなたは優希を好きじゃないんでしょう? だったらあの子が誰と付き合う事になろうと文句は言えないはずよ」 京太郎「それとも、何か心境に変化でもあったのかしら?」 京太郎「お、俺は……」 優希『私は片岡優希! よろしくな京太郎!』 優希『初心者が私に勝とうなんてまだまだ甘いじぇ!』 京太郎(あいつは、出会った時から偉そうで、その癖ちょっと気に入らない事があるとだだをこねて) 優希『京太郎! 私はタコスを所望する!』 優希『そこにいる全員にタコスを食べさせるのだ』 優希『よくやった! お前は使える犬だ!』 京太郎(人を使いっぱしりにして散々振り回す、まるで子供みたいなやつ) 優希『京太郎京太郎……!』 優希『……京太郎以外に、こんな事言わないじぇ』 優希『京太郎なら襲われてもいいって思ってるだけ』 京太郎(だけど間違いなく優希は女の子で、そんなあいつを俺は、俺は――) 京太郎「いや、です」 久「何が?」 京太郎「俺は、優希を誰にも渡したくないです。 あいつの笑顔も照れた顔も独占してしまいたい」 久「どうして?」 京太郎「俺は、優希が好きだから」 久「……手間がかかるんだから」 京太郎「すいません」 久「謝るくらいならさっさと告白でもしてきちゃいなさい! あなたのお姫様が待ってるわよ?」 京太郎「そうですね……俺、学校に戻ります!」 久「行ってらっしゃーい……本当に、ややこしいくらい素直になれないんだから、【3人共】」 京太郎「戻ったはいいけどあいつどこにいるんだ? しらみつぶしに捜すしか……」 和「何をしてるんです」 京太郎「和! ちょうど良かった、優希を見なかったか?」 和「……教えるのは構いませんがその前にいいですか?」 京太郎「お、おう」 和「――今度ゆーきをこんな形で傷つけたら私はどんな手を使ってでもあなたとゆーきの仲を引き裂きます」 京太郎「……!」ゾクッ 和「私が言いたいのはそれだけです……ゆーきは屋上に行きましたよ」 京太郎「和」 和「なんですか?」 京太郎「優希を大切に思ってくれてありがとうな。 お前のそういうところも好き【だった】よ!」タタタッ 和「……」 和「ゆーきを、お願いします須賀君」 【たとえ今は勝てなくても】 優希「咲、ちゃん」 咲「優希ちゃん……今のあなたを京ちゃんの所に行かせるつもりはないよ……」 優希「な、なんでそんな!」 咲「優希ちゃん、私ね京ちゃんの事をとっても大切な友達だと思ってるの」 優希「……」 咲「だからね、京ちゃんがもし不幸になるのなら私はそうさせる人を認めない」 優希「私がそうだって言いたいのか?」 咲「どうかな……優希ちゃん、あなたは京ちゃんをどれだけ知ってる、理解してる?」 優希「……」 咲「私は京ちゃんの悪いところを10はあげられる、だけどいいところならその倍以上あげられる自信があるよ」 咲「優希ちゃんはなんで京ちゃんが好きなのかな? 」 咲「もし京ちゃんがわがままを聞いてくれる便利な存在だから、なんて欠片でも思ってるのなら……」ゴッ 優希「っ!」 咲「――私は全力で優希ちゃんを排除するよ」 優希(咲ちゃん、もしかして……) 咲「それで? 優希ちゃんはどれだけ京ちゃんを理解してるかな?」 優希「……咲ちゃんには勝てないじょ」 優希「私は京太郎と出会ってまだ半年くらい、どうしても咲ちゃん以上に京太郎を理解なんて出来てない」 咲「そう……」 優希「だけど!」 京太郎『須賀京太郎、よろしくな優希』 京太郎『うおおっ、初心者相手に容赦ねえ!?』 優希(初めて出会った時からわかってた。 目の前の男子はのどちゃんがお気に入りなんだって) 京太郎『またかよ、お前タコスで身体が出来てんのか?』 京太郎『しょうがねえな……タコスを食わせればいいんだな?』 京太郎『犬って……』 優希(どうしようもなく鈍感でスケベで馴れ馴れしい奴) 京太郎『ど、どうした? なんか怖い夢でも見たのか?』 京太郎『今日は朝まで一緒にいてやるよ、お前が暗いと調子狂うしな』 京太郎『よ、よぉ、おはよう優希』 優希(それでも私は京太郎が好きなんだ) 優希「今は咲ちゃんに勝てなくてもいい、私はいつか必ず京太郎の理解者になる!」 咲「!」 優希「咲ちゃんが京太郎のいいところを20出すなら私は30あげられるようになってみせるじょ! だから咲ちゃん……私を行かせて!」 咲「――良かった」 優希「えっ?」 咲「優希ちゃんは本当に京ちゃんを想ってくれてるってわかったから。 行って、京ちゃんは屋上にいるはずだよ」 優希「咲ちゃん……ありがとう」タタタッ 【その嶺に花は咲かない】 咲「……あーあ、本当に世話の焼けるカップルだなあ」 咲「これは今度しっかりお礼してもらわないとね」 咲「……」 京太郎『えっと俺、須賀京太郎って言うんだ。 よろしく宮永さん』 京太郎『うーん、なんか友達にしてはよそよそしいよな俺達……』 京太郎『よし、これから宮永さんの事は咲って呼ぶからそっちも京太郎って呼んでくれよ!』 咲(……そう、これで良かった) 京太郎『まだ須賀呼びかよー……じゃあなんなら呼べるんだ?』 京太郎『き、京ちゃん? それはちょっとハードルが高いんじゃないかなー……ああ、わかったわかったから泣きそうな顔するなって!』 咲(じゃあなんで、私は今こんなに胸が痛いんだろ、泣きたいんだろ……) 京太郎『咲は高校どこにするんだ? 清澄か……じゃあ俺もそこにするわ』 京太郎『咲を1人で行かせたら大変な事になりそうだからな!』 京太郎『怒るなって、ジョークジョーク!』 咲(あ) 京太郎『咲、ノートありがとうな』 京太郎『咲、レディースランチを恵んでくれ!』 京太郎『咲、これからもよろしくな』 咲(そう、だったんだ) 和「咲さん、こんな所にいたんですか?」 咲「……」 和「咲、さん?」 咲「和ちゃん、私……」 咲「――京ちゃんの事、好きっ、だった……みたい」ポロポロ 和「咲さん……」 咲「あは、ははは……京ちゃんを散々鈍感とか言ってたくせに、私も気づいてなかったんだ、自分の気持ち……!」ポロポロ 和「……」 咲「よく考えてみたら私、京ちゃんと同じような言い訳してたよ……なに、やってるんだろうね?」ポロポロ 和「咲さん……」ギュッ 咲「今さらわかってもさあ! もう私はスタートラインにすら立てないんだよ! 」 咲「やましい心がないのかって優希ちゃんを邪魔したくせに、誰よりも私がやましい心を持っちゃってる!」ポロポロ 和「もういいです、もういいですから……!」 咲「なんで今頃わからせるの!? なんで何もかも手遅れになった後で、こんな気持ちに気付かせたの……」 和「咲さん、いいんです。 苦しまなくていいですから……思いっきり気持ちを吐き出してください」 咲「やだ、やだやだやだあ! 京ちゃんを渡したくない、私だって京ちゃんに見てほしいよぉ……!」 和「……」ナデナデ 咲「うわああああああんっ!!」 【花が散った日、風が吹いた日】 優希「はあはあ……あれ、京太郎いない……」 ガチャッ 京太郎「あっ」 優希「あっ」 京太郎「……よぉ」 優希「……なにしてたんだ、バカ」 京太郎「バカな自分に喝を入れてた。 悪かったな、待たせちまって」 優希「別に、待ってないじぇ」 京太郎「今って意味じゃなくて、もっと前からって意味だよ」 優希「……」 京太郎「俺さ、やっとわかったんだ……」 優希「なに、を」 京太郎「俺、お前に惚れてる」 優希「あ……」 京太郎「好きなんだよ優希、お前の事が」 優希「……」ポロ 京太郎「えっ」 優希「ふっ、ひっく、っ……」ポロポロ 京太郎「えっ、えっ!? な、なんで泣くんだよおい!」 優希「だって、京太郎は私の事、見てくれなかったし、何しても相手にしてくれないし……!」 京太郎「……ああ、そうだったな」 優希「みんなに言われても、私不安でっ、怖くてっ……」 京太郎「ごめんな、不安にさせて……」 優希「わ、私も京太郎が好き、好き、好きだじぇ……!」 京太郎「そうか……」 京太郎「だったら俺と――」 優希「だから私と――」 京太郎・優希「――付き合ってください」 久「あっ、まこ? これから空いてないかしら? うん、うん……ええ、私達でもう1人のお姫様を慰めてあげたいのよ」 まこ「了解じゃ、じゃあ迎えに行くか……わしらで頑張ったなって言ってやらんとな」 和「あっ、先輩方。 はい、ありがとうございます……ええ、泣き疲れて眠っちゃってますから移動はタクシーにしましょう」 咲「京、ちゃん……すう、すう……」 京太郎「……帰るか、行こうぜ優希」スッ 優希「うん!」ギュッ 京太郎「さて、これからどうするかね……」 優希「京太郎」 京太郎「なんだ?」 優希「だーい好きだじぇ!」ニコッ 【須賀京太郎と片岡優希の日記】 ○月◎日 今日は俺にとって色々激動の1日だった。 なんせ初めての彼女が出来た日だからな! 竹井先輩には感謝してもしきれないぜ……今度お礼しないと それにしても俺が優希と、か……今でも少し信じられない気もするけど夢じゃないんだよな…… 頑張ろう、あいつの彼氏だって恥じる事なく胸を張れるようにな 京太郎「今日は本当に色々あったなあ……」 京太郎「彼女、か……く、くくっ、やべえ、にやけが止まらねえ!」 京太郎「ふう……優希、何してんのかな」 ○月◎日 き、き~~~~(波線部分は文字が滲んでよく読めない) 今日京太郎と付き~~事になったた ま、まだま手を~~~らいだどいずれは~~~ 相談にのってくれたのどちゃん、背中を押してくれた染谷先輩、そして咲ちゃん、ありがとう 優希「うわああ、前半部分が酷い事になってるじぇー!」 優希「ううう……今でも心臓がドキドキ言ってるじょ」 優希「京太郎もドキドキしてくれてるのかな……」 番外【ごく自然に受け入れられた風潮被害・和の場合】 咲「――京ちゃんの事、好きっ、だった……みたい」ポロポロ 和「咲さん……」 和(ああああ!! 咲さん咲さん咲さん、泣き顔も素敵です、美しいです!) 咲「あは、ははは……京ちゃんを散々鈍感とか言ってたくせに、私も気づいてなかったんだ、自分の気持ち……!」ポロポロ 和「……」 和(だけど咲さんを泣かせた罪は許しませんよ、2人共……!) 咲「よく考えてみたら私、京ちゃんと同じような言い訳してたよ……なに、やってるんだろうね?」ポロポロ 和「咲さん……」ギュッ 和(よっしゃあああ!! 自然に咲さんに抱きつけたあああ! 咲さんの髪の匂いクンカクンカ! 涙もペロペロしたいですう!) 咲「今さらわかってもさあ! もう私はスタートラインにすら立てないんだよ! やましい心がないのかって優希ちゃんを邪魔したくせに、誰よりも私がやましい心を持っちゃってる!」ポロポロ 和「もういいです、もういいですから……!」 和(今はあんな男より私の感触を感じてくださいよ! ああ、忌々しい男、早くこの手で八つ裂きにしてやりたい!) 咲「なんで今頃わからせるの!? なんで何もかも手遅れになった後で、こんな気持ちに気付かせたの……」 和「咲さん、いいんです。 苦しまなくていいですから……思いっきり気持ちを吐き出してください」 和(一番吐き出してほしいのは私への愛なんですけどね!) 咲「やだ、やだやだやだあ! 京ちゃんを渡したくない、私だって京ちゃんに見てほしいよぉ……!」 和「……」ナデナデ 和(だけどこれで邪魔者は消えました、後は私がじっくり咲さんを……2人への天誅はその後にしましょう……) 咲「うわああああああんっ!!」 和(ふふふ!) ――…… 久「……なんて考えてたりしてね、あはは」 和「今すぐ卓に座りなさい部長! 麻雀で泣かせて差し上げます!!」 まこ「お、落ち着くんじゃ、和!」 和「私がそんな事を考えるわけがないでしょう! だいたい須賀君はゆーきの大切な……あ」 咲「……」 和「あ、あの咲さん、その……」 咲「大丈夫だよ、和ちゃん。 あの時泣かせてもらって少しスッキリしたから……」 和「咲さん……」 風潮【原村和は咲狂いで結ばれるためには平気で周りや親友の優希すらも踏みにじる】 番外【ごく自然に受け入れられた風潮被害・咲の場合】 咲「やだ、やだやだやだあ! 京ちゃんを渡したくない、私だって京ちゃんに見てほしいよぉ……!」 和「……」ナデナデ 咲「――あっ、そうだあ」 和「えっ」 咲「そうだよ……なんで気づかなかったんだろう……ふふふふふ」 和「さ、咲さん……?」 咲「京ちゃんと結ばれないなら優希ちゃんを排除すればよかったんだあ……」 和「さ、咲さん!? 何を……」 咲「カン」ドグシャア!! 和「あうっ!?」 咲「ごめんねぇ、和ちゃん……私これから京ちゃん、優希ちゃんと麻雀をしてこなきゃいけないから」 咲「待っててね京ちゃん……優希ちゃんを消したら、その心を壊して家で大事に大事に飼ってあげるからね!」 和「ゲホッ、ゲホッ、咲、さん……」ガクッ 咲「あっはははははははは!!」 ――…… 久「咲はこれくらいアグレッシブでも……」 咲「それもうアグレッシブじゃないですよ!」 和「ただの頭おかしい人じゃないですか!」 まこ「あんたは何がしたいんじゃ……?」 久「んー、さすがにやりすぎたか。 まあ、でもこれで少しは気が紛れたんじゃない?」 咲「えっ……」 久「すぐに吹っ切れなんて言わない、でも少しずつこの失恋を乗り越えていきましょう……」 久「咲は泣き顔もかわいいけど笑顔の方がもっとかわいいんだから」ナデナデ 咲「部長……」 久「ふふっ、私はもう部長じゃないわよ?」 まこ「ええじゃないか、わしを含めた麻雀部員達にとって部長はやっぱりあんたなんじゃよ」 久「しょうがないわねぇ……これじゃいつまでも卒業ができないじゃない」 咲「ごめんなさい……」 久「謝らなくていいわ。 じゃあ卒業までは頑張って先輩やらせてもらおうかしら?」 まこ「今だって入り浸ったとるじゃろうが……」 久「まあね!」 和「……いい話にしようとしてますが、私はさっきの妄想を許す気はありませんよ?」 久「あはは、別に打つのは構わないわよ? 泣かされるのは和かもだけどね」 和「言いましたね!」 久「まこと咲も入りなさい! 今日は徹夜で打ちまくるわよー!」 まこ「しょうがないのう、じゃあちょっくら揉んでやるか!」 咲「……」 咲(みんな、私を元気づけようとしてくれるのがわかる……嬉しいなあ) 和「咲さん?」 咲「あっ、今行くよ!」 風潮【宮永咲はヤンデレ魔王】 【新しい1日の始まり】 優希「……んふぁ……よく寝たじぇ」 優希「……」パカッ 『須賀京太郎 グループ……恋人』 優希「……夢じゃない」 優希「えへ……へへへへ///」コロン 優希「私、もう京太郎の彼女なんだ……」コロコロ 優希「にやけが止まらないじぇー!」コロコロコロコロ ドサッ! 優希「あいたっ!?」 優希「えっと……あっ、いた! 京太郎! お、おはよう!」 京太郎「ああ、おはよう優希」 優希「待っててくれたのか?」 京太郎「まあな。 一緒の登下校とかいかにも恋人っぽいだろ」 優希「こ……」 京太郎「な、なんだよ」 優希「は、恥ずかしい事言うな、バカ!」 京太郎「べ、別に恥ずかしくないだろ! 本当の事、なんだからよ」 優希「そういうのが恥ずかしいって言ってるんだじょ!」 京太郎「……んだよ、じゃあお前には俺達の関係は恥ずかしい事なのか?」 優希「えっ、そ、そんなんじゃ……」 京太郎「ふーん、いいよいいよ。 俺は恥ずかしいなんて別に思ってなかったんだけどお前がそう思うなら、俺達合わないのかも……」 優希「そ、そんな……ちょっと待って! 私はそんなつもりは……あれ?」 京太郎「くっ、くく……」 優希「……おい」 京太郎「お、お前がまさかそんな……ちくしょう、かわいいじゃねえか!」 優希「このやろ! よくも人を笑い物にしたなあ!」 京太郎「ははは! せっかくつき合えたのに俺が合わないのかもなんて考えるかよ!」 優希「むうう……!」 京太郎「ほら、さっさと行こうぜ。 学校遅刻しちまうからな」 優希「……おりゃ!」ギュッ 京太郎「のわっ! 優希、お前何を……」 優希「さっきのはどうしても許せん! 罰として私を背負って学校に行くのだ!」 京太郎「は、離れろよ!」 優希「いーやーだー! おやおや、京太郎……顔がなんだか赤い気がするじょ」 京太郎「なあっ!?」 優希「ふふん、私の魅力的なボディにメロメロになってきたんだな! よしよし、たっぷり堪能させてやろう!」ギュウッ 京太郎「うおおお、やめろぉ!」スタタッ! 優希「あはははは、早い早い! そらそら超特急で行くのだー!」 京太郎「ちくしょうううう!!」 【須賀京太郎の女子力】 優希「お昼だじぇ!」 京太郎「屋上は風が気持ちいいもんだなー……そういえば他に誰か誘ったか?」 優希「のどちゃんや咲ちゃんは部長達とどこか行ったらしいじょ」 京太郎「ふうん、じゃあ今日は2人きりってわけか」 優希「そういう事だな! さあ、存分にいちゃつこうじゃないか!」 京太郎「じゃあ食べさせあいでもするか?」 優希「」 京太郎「あれ? おーい優希?」 優希「……はっ!」 京太郎「おっ、戻ってきたか」 優希「ま、また変な事を……」 京太郎「いちゃつこうって言いだしたのはお前じゃん」 優希「そ、そうだけど……」 京太郎「まあ、それは後でにするとして弁当食うか」 優希「弁当? なんだ京太郎、お弁当を作れたのか?」 京太郎「お前のために料理勉強したんだからな……少し食うか?」 優希「もちろんいただくじぇ!」 京太郎「おう、食え食え」 優希「おっ、タコさんウインナー! タコめしにタコのやわらか煮、タコの和え物もあるじぇ!」 京太郎「須賀京太郎特製タコ尽くし弁当だ! とくとご賞味あれ!」 優希「いただきまーす! モグモグ……」 京太郎「どうだ?」 優希「うまい! よくやるじゃないか京太郎!」 京太郎「そうかそうか! まだまだあるからたくさん食べていいからな」 優希「言われずとも!」 京太郎「さて俺も食うか。 うん、我ながらよくできた!」 優希「タコスにタコ料理に幸せなご飯だじぇー♪」 京太郎「これはまだまだ改善出来るか……メモっとこ」 優希「……」 京太郎「ん、どうした?」 優希「なんでもないじぇ」 優希(なんだろう……美味しいんだけどなんか女子力的な意味で負けた気がするじぇ。 私も作れた方がいいのか……?) 京太郎「今度はタコライスでも作るかー」 優希(……でもとりあえずは今目の前にあるお弁当に集中するじぇ!) 優希「タコさんウインナーいただき!」 京太郎「おおい!? 人のまで取るなよ!」 優希「早い者勝ちだじょ! お弁当うまー!」 京太郎「ええい、やめんか! このタコ好き娘がー!」 【最後のわがまま】 京太郎「部活、行くかあ」 優希「相談したんだし、みんなに報告した方がいいのか?」 京太郎「どうだろうなあ……聞かれたら答えるって感じでいい気もするけど」 優希「じゃあ私はのどちゃんと染谷先輩には言っておくじょ」 京太郎「だったら俺は部長と咲に……」 優希「京太郎、その事なんだけど……」 ――…… 京太郎「ちーっす」 優希「来たじぇ!」 咲「あ」 優希「あ」 京太郎「なんだ、咲だけか?」 咲「う、うん……」 京太郎「そうか、じゃあ俺は出とくわ」 咲「えっ、京ちゃん?」 京太郎「優希、とりあえずみんな来たら止めとくから」 優希「……頼んだ」 京太郎「任された」ガチャッ、バタンッ 咲「あ、あの優希ちゃん?」 優希「咲ちゃん……私、京太郎と付き合う事になったじょ」 咲「あっ……そ、そうなんだ、よかったね!」 優希「……1つ聞きたいんだけど、もしかして咲ちゃんもだった?」 咲「えっ、あっ…………うん」 優希「やっぱり、そうだったんだ」 咲「気付いたのは……優希ちゃんを行かせた後、だったけどね」 優希「はは、まるで京太郎みたいだじぇ」 咲「自分でも、そう思うよ」 優希「咲ちゃん」 咲「なに、かな?」 優希「ごめんとは、言わないじょ。 京太郎が好きな気持ちに関しては咲ちゃんに負けてるつもりはないから」 咲「うん……私も謝ってほしくはないかな」 優希「だから、その、言いたいのは1つだけ……ありがとうだじぇ、咲ちゃん」 咲「うん……ねえ優希ちゃん、私友達としてだけど優希ちゃんが好き」 咲「だから甘い考えかもしれないけどこんな顔色窺うみたいにギクシャクしたくない」 優希「私も、咲ちゃんは大好きな友達だから……ギクシャクなんてイヤだじぇ」 咲「だから優希ちゃん、もしよかったら1つだけ私のわがまま、聞いてくれる?」 優希「わがまま?」 咲「――今度、京ちゃんの家に一緒に泊まってくれないかな?」 優希「えっ……えええええっ!?」 【須賀京太郎と片岡優希と???の日記】 ◆月○日 俺の知らない間に何が起こったか、優希と咲が今度泊まりに来る事になった。 しかもいつの間にか家にも許可を取ってたらしいし…… いったいどういうつもりなんだ、2人して? 京太郎「……なんなんだろうな、本当に」 京太郎「わからねー、女の子の考える事なんて全くもってわからねー」 京太郎「……寝よ」 ◆月○日 今日、咲ちゃんと話して1つの計画を立てた。 最初に一緒に京太郎の家に泊まろうと言われた時はビックリしたけど、咲ちゃんを見たら断るなんて選択肢にもなかった。 今度の休みは忙しくなりそう…… 後お昼に食べた京太郎のお弁当になんだか女の子として自信がなくなったのはここだけの秘密 優希「咲ちゃん……」 優希「……寝るじぇ」 ◆月○日 今日優希ちゃんに最後のわがままだってお願いをした。 それは優希ちゃんと一緒に京ちゃんの家にお泊まりする事……優希ちゃんは驚いてたけどすぐにいいって返事をくれた。 ありがとう優希ちゃん……私、頑張るからね。 咲「……これで、きっと私は吹っ切れるよ」 咲「京ちゃん……」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6231.html
特別編 ふたりの日記、由暉子ver ※本編とは完全に別のものです。別の世界線とかそういうのです side京太郎 4月×日 麻雀部に入部した 男子が少ないこの学校でどうしようかと悩んでいたが、 『そこゆく1年男子。そう、そのスケベそうな君。どーよ?ちょっと麻雀打ってみない?今ならアイドル目指すいい子いるよ?』 という謎の勧誘を受けた。何この人、と思ったが、隣に同じクラスのロリ巨乳がいたので試しに、ということでやってみた 麻雀自体も中々面白かったし、他によさげな部もない 何よりロリ巨乳とお近づきのチャンス、ということで入部した あのおもちのために、やってやるぜ!! side由暉子 4月×日 正式に麻雀部に入部しました まぁ、今まで通っていたので何が変わるという訳ではないでしょうけど 早速新しい衣装を着て『よし!部員勧誘だ!形だけでもやっとかなきゃな!!』という爽さんに連れられ廊下へ たまたま男子が通りがかり、声を掛けてみると本当に入部したのはビックリでしたね よく胸を見てますが、話やすい人ですし、先輩達も男子がいると色々助かるということで結構みんな抵抗なく受け入れてました いきなり雑用とかなの確定ですかとも思いましたが、男子本人も特に気にしてないみたいです なんにせよ、これから楽しみです side京太郎 5月○日 麻雀のルールや役は大体覚えたが……勝てねぇ 成香さん、誓子部長、揺杏さんはともかく、由暉子とか勝てる気がしないし、爽さんなんか意味わからん。 なんだアレ別の生き物か やるなら勝ちたいんだけどなー しかし最近、大会に向けて、とか言って由暉子の新しい衣装が増えてる あのちっこさであの立派すぎるおもち……そりゃ大胆で可愛い衣装なら人気出るわ 畜生、打ってる最中にどーよ?とか聞いてきやがってありがとうございます side由暉子 5月○日 最近は京太郎くんもルールや役を覚えたようでよく打ってます でも私や爽さんには全く勝ててません。特に私と打つ時、胸ばっかり見てるから負けるんです 見るのはいいんですが、ちゃんと麻雀に集中しないと それでも大半の雑用や力仕事を引き受けてくれるのはありがたいです これから忙しくなってきますし、何かお礼をするべきですよね そう先輩達に言ったら、新しい衣装を着て見せればいいと言われました その通りにやったら確かに喜んでましたけど、こんなのでいいんでしょうか? side京太郎 6月△日 麻雀部がまさかの団体戦優勝、そして全国へ 軽い感じかと思ってたけど、全国でってのはマジだったのか…… 俺なんて全然だったのにな これからはもっと頑張ろう それと、最近由暉子が呼び出されることが多くなった 大会で活躍して目立つようになってからか、つまらん男が寄ってくる、と爽さんと揺杏さんが言っていた 由暉子もさすがに変な男についてったりしないだろうけど、大丈夫か? side由暉子 6月△日 かなりきつかったけど、団体戦は勝てました これから全国、先輩達は全国デビューだ!って言ってました 全国……私達がどこまで行けるかはわかりません でも、やれるだけのことはやりたいです それと、最近男子に呼び出されることが多くなりました 告白されたり、連絡先聞かれたりとちょっと困るので先輩達に相談すると、京太郎くんが彼氏ということにすればいいと言ってくれました 実際そう言うとすぐに終わりますし、これはいい解決法です side京太郎 7月□日 最近クラスでよく男子に無意味に叩かれたり、女子に由暉子と二人きりにされたりする なんだ?何かやったのか? 男子はリア充爆発しろ!とか言ってくるし 麻雀部にいるからか?確かに女子ばっかりだが、2人くらい小学生男子みたいなのがいるけど 成香さんは小動物みたいだし、由暉子は抵抗しない、誓子部長は保護者? よく分からん、何もやってないはずなのに ま、由暉子や部に迷惑かかってないならいいか side由暉子 7月□日 学校ではすっかり私と京太郎くんが付き合ってる、ということになってました 2,3回くらいしか言ってませんけど、噂ってすごいですね おかげで呼び出されたりもなくなりました ただ、他の女子から色々聞かれるのがちょっと大変です 付き合ってないのにどこまでいった、どうやって落とした?とか聞かれても困ります 適当に返せばいい、と爽さん達が言うので、『ご想像にお任せします』と返すようにしました 何か余計に騒がれてる気もしますが、大丈夫でしょう。悪い気もしませんし side京太郎 8月●日 ま、まさかの全国制覇だああああああ!! マジで?マジなのか!? 本当に全国制覇するなんてすげーよ!! みんな泣いてたわ、感動で 俺も、もっと頑張ってみるかな…… side由暉子 8月●日 ほ、本当に全国制覇しちゃいました!! 流石の爽さんも最後は茫然としてましたし、揺杏さんも、成香さんも誓子さんも泣いてました 去年は麻雀なんてほとんどやってなかったのに、いいんでしょうか まさかのことにあんまり現実味がありません でも、それでもすっごく嬉しいです!! side京太郎 9月◇日 最近やたらと由暉子に取材やらなんやらが増えた アイドル路線、とか言ってたけどマジでアイドルになりそうな勢いだ 1回、マジで瑞原プロが来てて、次期牌のお姉さんにとかって話があったとか 由暉子には他校からまで野郎から告白とかが増えたとかだし 大変そうだなー しかし、クラスの女子がいいのか?とか聞いてくるのはなんだ? 俺がなんだというんだろうか? side由暉子 9月◇日 最近は色んな人がくるようになりました 雑誌等の取材からグラビアまで本当にやるとは思いませんでした 特に瑞原プロが本当に来たのは驚きました 次期牌のお姉さん……面白そうではありますが、まだ高校1年生ですから決められません それと、そういうのを抜きに卒業後プロに興味ないかとも聞かれました 他校の男子からも色々増えましたし、アイドルって実際は大変なんですね 少し部に顔を出す時間が減ったのが、少し寂しいです side京太郎 10月▽日 今日は由暉子の誕生日だったので、みんなでお祝いをした 俺は手編みのマフラーと手袋をプレゼントした 衣装とかじゃなく、普段使えるようなデザインにしたものだったが、由暉子は喜んでくれた 秋の大会も近く、最近忙しいのに俺の指導だってしてくれてるし、これくらい当然だ 最近は由暉子や爽さんと打っても前みたいにすぐ飛ばされたり焼き鳥だったりも減ってきたし 次の大会は俺だってやってやるぜ! side由暉子 10月▽日 今日は私の誕生日で、みんながお祝いしてくれました すっかり忘れていて、サプライズのような形で驚きましたが、とても嬉しかったです みんなからプレゼントを貰いました。でも爽さんがくれたプレゼント、派手な下着はなんでしょうね? 京太郎くんからは手編みのマフラーと手袋を貰いました 普段使えるものを、ということでしたのでさっそく明日から使います 最近は練習も頑張ってるのに。ありがとうございます、京太郎くん side京太郎 11月■日 今日はとんでもない話を聞いた 俺が由暉子と付き合っている、という話だった 6月に由暉子自身がそう言った、と告白して玉砕した男子から聞いた すぐに部室で聞くと、『……やっべ、忘れてた』と爽さんが言った アンタが元凶か! 一応由暉子の負担を減らすため、という理由があったからいいが、せめて一言言えよ 由暉子にも確認を取り、今後はそういうことは無い、ということで話が付いた side由暉子 11月■日 今日、部室で京太郎くんがいきなりとんでもないことを言ってきました 『俺と由暉子が付き合ってるって、どういうことですか!?』 成香さんは驚くし、揺杏さんはお茶を吹くし、それが誓子さんが勉強しているノートにかかるしで大変でした 『……やっべ、忘れてた』と爽さんが言い、京太郎くんに噂の件を伝えることを忘れていた、ということでした 京太郎くんもちゃんと分かってくれたみたいで良かったです でも、なんでしょうね 『そういうことは無い、ってことでな』と京太郎くんに言われた時、少し胸が痛かったです side京太郎 12月◎日 今日はクリスマス、なので麻雀部でクリスマスパーティーをした 正直、有珠山でこういうことやっていいのか疑問でもあるが 『楽しければいいじゃん?』という爽さんの一言で解決した プレゼント交換では、由暉子のブロマイドが当たった 部屋に飾るか、と冗談半分で言うと、じゃあ撮り直そう!ということで由暉子とのツーショット写真を撮ることになった 由暉子も言われるがままに、俺の腕に抱き着くような形になり、俺は腕の柔らかい感触のせいで何も言えなかった 後日、ツーショット写真は焼き増しするとか。俺としてはみんなで撮るのもいいんだが、ま、いいか side由暉子 12月◎日 今日はクリスマス、なのでみんなでクリスマスパーティーをしました 多少やっていいものかの疑問はありますが、爽さんが言うように、楽しいからいい、です プレゼント交換では、京太郎くんの用意した可愛らしいマグカップとテディベアでした 結構良いものですし、大事にします それと、京太郎くんに私の写真が当たってしまい、それから流れで京太郎くんと2人で写真を撮ることになりました もっと寄って、等と言われたので、思い切って腕に抱き着いちゃいました 京太郎くんの腕、思ったより逞しかったです。写真を早めに送ってもらえるよう頼みましょう side京太郎 1月☆日 新年あけましておめっとさん 今日はみんなで初詣に出掛けた 由暉子は着物を着ていて、なんと今回は揺杏さんが用意したものじゃないらしい 自分で着てみたかったからレンタルしてみたとか。似合ってていいと思う。綺麗だ それからお参りを済ませ、おみくじを引いた。結果は吉。ま、いっか 爽さんや揺杏さんが大凶引くまでやるとか小学生みたいなこと言ったりしてた。気持ちは分かるけど女子高生のやることじゃなねーよ 何故か由暉子は見せてくれなかった。あんまりいいこと書いてなかったか? side由暉子 1月☆日 新年あけましておめでとうございます 今日はみんなで初詣に出掛けました せっかくだからと着物をレンタルしてみました。みんな、京太郎くんからも綺麗だ、似合うと言われて嬉しかったです お参りを済ませた後、おみくじを引きました 爽さん達は何か騒いでいましたが……正直、仏教とか神道?のことなのにいいんでしょうかね 結果は小吉……恋愛、自分でも気付かない想い、はやく自覚するべし……なんでしょうか 恋愛なんて、相手はおろか男子だって京太郎くんしかいないのに…… side京太郎 2月▲日 今日はバレンタイン、という訳でチョコを貰って、そしてあげた。逆チョコって奴だ 普段のお礼も兼ねて、いいだろう でも爽さんと揺杏さんのジョークグッズみたいなチョコは許さん。無駄に高い技術でチョコとわさびを組み合わせるな 他のみんなもくれたが、由暉子がやけに凝ったチョコをくれた アイドルがそういうことしていいのか?と聞くと少し機嫌を損ねたようにそっぽ向かれた 後で何か埋め合わせでもするべきか? ホワイトデーに何かやるかな side由暉子 2月▲日 今日はバレンタイン、なので普段のお礼も兼ねてチョコを作りましたが、京太郎くんからももらってしまいました しかも誰よりも美味しかった……料理、勉強し直すべきでしょうか 京太郎くんに渡す時、頑張って手作りしたのに、『アイドルがそういうことしていいのか?』って言われました 別にいいじゃないですか。ちょっとムッっときたのでしばらく話してあげません でも、アイドルだからって。私だって1人の女の子で……アレ? 女の子として……なんでしょう。私、何を考えて? 分かりません、京太郎くんのことを考えると、変な考えばかり浮かぶのも、分からないことだらけです side京太郎 3月◆日 今日はホワイトデー、バレンタインの時のお返しも兼ねて、由暉子と2人で出かけることに 正直、爽さんや誓子さんが卒業して少し落ち込んでいるかとも思ったが、そんなことはなかった むしろ、今まで以上に頑張ろうという感じだった お互いにお返しのものを選ぼうと色々な店を回ったが、中々これというものがなかった 昼を適当なところで済ませた後、無理に今選ばずいいものがあれば、ということになり、そのまま午後は遊ぼうという話になった 映画やゲーセンなど、色々なところを回っていると、すぐに日も暮れてしまった 最後にいい景色が見れる場所があると由暉子に案内され、向かった場所は人気のない公園だった しかしそこは、夕日が綺麗に見えるいい場所でもあった しばらく2人で静かに夕日を見ていると、不意に由暉子から袖を引っ張られた なんだと思いながら由暉子の方を向くと、不意打ちでキスされた 唇はすぐに離れ、正直状況が全く理解できなかった が、それは何故か由暉子も同じようで、キスしてきた由暉子の方もかなり困惑した様子だった そのまま由暉子は走ってどこかへ行ってしまった そうしてしばらく経ち、今に至る まさかとは思うけど、由暉子の奴…… side由暉子 3月◆日 今日はホワイトデー、なのにとんでもないことをしてしまいました…… お互いにバレンタインのお返しをするため、京太郎くんと出かけました 初めは色々な店を回っていたのですが、あまり良いものがなく、午後は遊ぶことに そのまま色々遊んだ後、前に先輩から聞いた綺麗な夕日が見える公園に行きました 話に聞いてはいましたが、そこで見る夕日はそれ以上に綺麗でした しばらく見ていてふと隣を見ると、京太郎くんの横顔が見え、そこからは正直無意識でした 京太郎くんの服の袖を掴み、こっちを向かせて……私からキス、しました 京太郎くんも驚いていたと思いますが、私の方がもっと驚きました どうして、なんで……そんなことばかり考え、気付けばそこから走っていました そのまま家に帰っても、顔が熱いのもやけに鼓動が早いのも、いくら経っても収まりません だって、私から……でも……嫌じゃ、なかった? じゃあ……私は……京太郎くんのことが…… 京太郎「あー、この日のことは忘れられねーわ」 由暉子「私もです。ずっと前からだったとはいえ、自覚する前から無意識にキスなんて……」 京太郎「お前部室で翌日会うなり即行キスしてきただろ」 由暉子「確認したかったんです。本当に好きなのか、勢いじゃなかったのか」 京太郎「で、確認できたから?」 由暉子「押し倒しちゃいました」テヘ 京太郎「テヘ、じゃねーよ。真顔でやんな」 京太郎「ったく、後から来た成香さんは真っ赤になるし、揺杏さんはノリノリで根掘り葉掘り聞いてくるし」 由暉子「ガッツリ見せつけるかのごとく語ったからいいじゃないですか」 京太郎「揺杏さんが『私が悪かった、だからもういい。マジで砂糖吐く。げっろ』って言っても止めなかっただろ」 由暉子「愛が抑えられなくて……そういう京太郎も今、抑えてないですよ?」 京太郎「……ま、同意できるしな」 由暉子「結局こうなりますね。私からでも、最後はされるがままになりますし」 京太郎「嫌か?」 由暉子「むしろ、もっとお願いします」 カンッ!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2246.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363548712/ 【3人の初デート】 京太郎「結局色々わからないままこの日を迎えてしまった」 京太郎「ったく、都合よく泊まりが親がいない日になるなんてそんなの考慮できますかってんだ……」 京太郎「つーか泊まりに来る話だけだったのに、なんで俺達朝から待ち合わせして電車に揺られてんの?」 優希「さっきからブツブツうるさいじょ、京太郎」 咲「そうだよ京ちゃん、せっかくなんだから楽しまないと!」 京太郎「何が起こるかわからないのに楽しめるか! いや、もうどうしようもないのはわかってるけどさ」 優希「言わなかったか? 今日は京太郎の家に行く前に3人でデートなんだじぇ!」 咲「私、遊園地なんて久しぶりだから楽しみ!」 京太郎「マジっすか……」 京太郎(くそ、本当に2人が何を考えてるかが読めない! なんで初デートがこんな胃が痛みそうな状況なんだよぉ!) 優希「京太郎はせいぜい両手に花の状況を楽しめ! 大丈夫、取って食べたりはしない……たぶん」 京太郎「おいなんだ、今のたぶんって!」 咲「あっ、優希ちゃん、タコス作ってきたけど食べる?」 優希「おお、咲ちゃんのタコスは久々だじぇ! 食べる食べる!」 京太郎「なんなんだよ、このアウェイ感……」 【楽しむ事が一番いい】 優希「着いたー!」 咲「まずはどれに乗ろうか?」 優希「そうだな、まずはやっぱり……」 京太郎「楽しそうだなあいつら……」 京太郎(確かに気にしてたってしょうがないっちゃしょうがないんだよな……) 京太郎(優希と咲の2人が俺に何かやらかす気ならなんとなくわかるだろうし、少し頭を切り換えるか) 京太郎「……2人共、どこ行くか決まったか?」 優希「おう、ジェットコースターに行くぞ京太郎!」 京太郎「お前乗れんの? 身長制限的な意味で」 優希「失礼な奴だな京太郎は! 私だってこれくらい余裕だじぇ!」 咲「ええっと、優希ちゃん……本当にジェットコースター乗るの?」 優希「なんだ、怖じ気づいたのか咲ちゃん」 咲「そ、そういうわけじゃ……」 京太郎「無理しなくていいんだぜ? 咲が耐えられるとは思えないしなー」 咲「むっ……わかった、乗るよ。 行こう優希ちゃん!」スタタッ 優希「それでこそ咲ちゃん!」トテテッ 京太郎「意地になったな、ありゃ……大丈夫なのかね」 咲「や、やっぱりやめとけばよかったかも……」カタカタ 優希「今さら何を言うんだ咲ちゃん、もう後戻りは出来ないじぇ!」 京太郎「そろそろてっぺんだぞー」 咲「えっ、ちょっと待って、まだ心の準備が……」 ガタンッ 咲「きゃあああああああ!!?」 優希「わああああ!」 京太郎「うおおおお!」 ――…… 咲「はへ、ほへ……」フラフラ 京太郎「だから無理すんなって言ったのに……」 優希「咲ちゃん大丈夫かー?」 咲「だ、大丈夫だよ~……ちょっと地面が揺れてるだけだから~……」 京太郎「ちょっと休憩させた方がいいな、これは」 優希「同感だじぇ」 咲「うう、ごめんねぇ……」 【それはトラウマなんです】 咲「ご迷惑をおかけしました」ペッコリン 京太郎「気にすんなって。 じゃあ次は……定番のお化け屋敷でも行くか!」 咲「え゛っ」 優希「じょ!?」 京太郎「えっ、なに咲だけじゃなくて優希もダメなのか?」 優希「そ、そんなわけないだろ!」 咲「わ、私だって苦手なわけじゃないもん! だいたいお化けなんて、SOAだよSOA!」 京太郎「SOAってなんだよ?」 咲「そんなオカルトありえません!」 優希「全くだ! そんなオカルトありえないじょ!」 京太郎「麻雀ではオカルトの塊みてえな奴らがよくもまあ言えたもんだな……じゃあ問題ないだろ、作り物しかないなら余計に」 咲「優希ちゃん……も、もしかして墓穴を掘ったって言うのかな、これ」カタカタ 優希「だ、大丈夫だよ咲ちゃん……京太郎の言う通り作り物しかないなら臆する事はないじぇ」カタカタ 咲「そ、そうだよね!」 京太郎「あっ、そういえば言い忘れてたけどお化け屋敷は今期間限定でなんかコラボしてるらしいぜ」 咲「そ、そうなんだ」 優希「い、いったい何とコラボしてるんだ?」 京太郎「ええっと確か……【ミスミソウ】だったかな」 咲「」 優希「」 【悲劇は繰り返される】 優希「ごめんなさいごめんなさい……」カタカタ 咲「あうあうあう……」カタカタ 京太郎「歩きにくい……お前らもうちょっと離れて……」 ガタンッ! 優希「じぇぇぇ!?」ギュッ 咲「うひゃう!?」ギュッ 京太郎「……ダメだこりゃ」 ――…… 京太郎「もうすぐ出口か。 なんか怖いというより虚しさとかがあって、あっさりな感じだったな」 優希「ふ、ふふん! 大したことなかったじぇ!」ウルウル 咲「ほ、本当だよ! やっぱり作り物は作り物だよね!」ウルウル 京太郎「散々泣いておきながらどの口が言うか……ん?」 優希「ど、どうした京太郎?」 京太郎「今なんか聞こえなかったか?」 咲「ふえっ!? き、京ちゃん冗談はやめてよ……」 京太郎「いや本当なんだって、ちょっと耳澄ましてみろ」 優希「……」 咲「……」 ……パーイ、…コス…カー… 優希「ひいいっ!?」 咲「ほ、本当になにか聞こえるよぉ!?」 京太郎「だよなあ……まさか最後の最後にこんなのがあるとは油断してたぜ」 ……キセン……イ…… 優希「な、なあ京太郎、なんかこの声近づいてきてないか?」 京太郎「あー、そういえばさっきより声が大きくなってる気が……」 咲「や、やだあ……」 アッ、チョウドイイトコロニ!オーイ! 優希「あ、足音が……」 咲「だんだん近づいてきて……」 京太郎「背後に……」 モモ「リンシャンさん、タコスさん、ちょうどいいところにいたっす! 加治木先輩を……」ポンッ 優希「ぎにゃああああああっ!!」 咲「いやああああああっ!!」 京太郎「うわっ、引っ張るな! 痛い痛い、ぶつかってるから、おいこら落ち着けえええ!」 モモ「……」ポツーン ゆみ「な、なんだ、今のこの世のものとは思えない叫び声は!?」 モモ「……先輩」 ゆみ「モモ!? まさかお前鶴賀祭みたいに誰かを……モモ?」 モモ「わ、わたわた、私……金髪の幽霊を見たっす……!」カタカタ 【回る回る】 京太郎「いてて……」 咲「ご、ごめんね京ちゃん。 さっきは本当に怖かったから……」 京太郎「別に気にしてないから安心してくれ」 優希「いやあ、あのお化け屋敷はなかなかのなかなかだったな!」 京太郎「お前は少し反省しような!?」 咲「あはは、ねぇねぇ、お昼食べたら次はどうしよう?」 京太郎「なるべく疲れないので頼む。 そっちも走り回って少し疲れてんだろ?」 優希「ふむふむ、じゃあこれにするか!」 ――…… 優希「……」 京太郎「……」 優希「……」バッ! 京太郎「させるか!」ガシッ! 優希「ちいっ、やるな京太郎!」 京太郎「お前にだけは触らせねえ、今の平穏を守るためには絶対にな!」 優希「ぐぎぎ……!」 咲「ほ、本当に私が回す役でいいの?」 京太郎「もちろんだ咲! このタコス娘にそれを触らせたら最後、俺達は昼飯をリバースする事になるぞ!」 優希「お前は何もわかっていない京太郎! コーヒーカップに乗ったのなら最大速度で回すのは礼儀であり、義務なんだじぇ!」ギリギリ… 京太郎「そんな義務があってたまるか……!」ギリギリ…… 咲「えっとこんな感じでいいのかな?」グルグル 京太郎「うぐぐ、なんでこんな時だけ力が強いんだよお前……!」 優希「ふふふ、麻雀部員である以上この程度の力は最低ラインだじぇ……!」 京太郎「それ、絶対おかしいだろうが……!」 優希「何とでも言え、最後に勝つのはこの優希ちゃんだじょ……!」 咲「うーん、加減がわからないよ」グルグルグルグル 京太郎「……おい、なんか周りの景色がすっげえスピードで回ってないか?」 優希「そういえば……おおう、目が回るじぇー!」 咲「なんだか楽しくなってきたかも!」グルグルグルグルグルグル!! 京太郎「お前もか、お前も触らせちゃいけない人種だったのか咲ぃ!?」 優希「うっ、もうダメ……」ガクッ 京太郎「優希っ!?」 咲「コーヒーカップって楽しいよね!」グルグルグルグルグルグルグルグル!! 京太郎「やめろぉぉぉぉぉぉ!!」 【楽しい時は早く過ぎ去る】 京太郎「ううう……」 優希「気持ち、悪いじぇ……」 咲「ごめんなさいごめんなさい!」 京太郎「さすがにもうあの手のは無理だ、うぐっ」 優希「同感だじぇ、うぷっ」 咲「本当にごめんなさーい!」 ――…… 京太郎「はあ……なんだか今日の三分の一は休憩に費やしてた気がするぞ」 優希「情けない奴だ」 京太郎「誰のせいだ、誰の!」 咲「……」 京太郎「……咲!」 咲「えっ……あっ、なに?」 京太郎「いや、今優希とも話してたんだけどそろそろ帰ろうと思うんだよ」 咲「……そうか、もうそんな時間なんだ」 優希「おーい京太郎! どうせなら最後にアレに乗ろうじぇ!」 京太郎「観覧車か……確かに締めには相応しいかもな。 行こうぜ、咲」 咲「うん……」 ――…… 優希「おぉ、見ろ京太郎、咲ちゃん! まさに絶景だじょ!」 京太郎「ゴンドラが揺れるから落ち着けっつーの」 咲「……」ボー 京太郎「咲? どうした、気分でも悪いのか?」 咲「ううん、大丈夫……ただ」 京太郎「ただ?」 咲「楽しい時間は本当にあっという間なんだなって……」 京太郎「……まだ1日は終わりじゃないぞ」 咲「そうなんだけどね……京ちゃん、今日なんで私と優希ちゃんが京ちゃんの家に行くのか気になってるよね?」 京太郎「まあな……結構唐突だったし、気になってなかったってのは嘘になるな」 優希「……」 咲「その理由を今話すよ、それで1つの区切りにしたいから……」 京太郎「区切り?」 咲「うん……京ちゃん、その前に大前提になるお話をするね」 京太郎「お、おう、って優希?」 優希「……」ギュッ 咲「――私、京ちゃんが好きなの」 【彼女の中の1つのけじめ】 京太郎「は……?」 咲「言っておくけど友達としてとかじゃないよ?」 京太郎「いや、まあ、それは、わかるけどよ……」 優希「……」ギュウッ 咲「京ちゃん、人って手が届かなくなった時に初めてその存在の大きさに気付くんだ」 咲「お母さんやお姉ちゃんと離れて暮らす事になった時も、東京に行ってお姉ちゃんに拒絶された時も」 咲「私は後になってなくしたものの大きさに気付いたよ」 京太郎「……」 咲「それと同じ感覚を久しぶりに感じた。 そう、あの日……京ちゃんに告白しに行く優希ちゃんの背中を押したあの日に」 京太郎「なっ……」 優希「咲ちゃんは、その時わかったんだよな?」 咲「そう、私は京ちゃんが好き。 意地悪だけど優しくて」 咲「中学の時に塞ぎ込んでた私の友達になって引っ張ってくれた、私にまた麻雀を始めるきっかけをくれた京ちゃんが、大好き」 京太郎「咲……」 咲「後からこんな事言うなんておかしいよね? でも抑えられなかった……」 咲「信じられないかもしれないけど、私にとって京ちゃんは結構大きな存在なんだよ」 京太郎「……」 咲「だから優希ちゃんにお願いしたの。 1日だけでいいから優希ちゃんと一緒に京ちゃんと過ごさせてほしいって」 京太郎「なんで、優希も一緒に?」 咲「見たかったんだ、京ちゃんと優希ちゃんがどんな会話をして、どんな風に遊ぶのか」 咲「ごめんね、優希ちゃん……デートの邪魔しちゃって」 優希「一歩違ったら、たぶん咲ちゃんの立場は私だった……だから気にしないでほしいじょ」 咲「ありがとう……京ちゃん」 京太郎「……」 咲「京ちゃんの答えはわかりきってる。 そういうところも私が好きになった京ちゃんのいいところだから」 京太郎「それでも、お前は言えたんだ……強いな、咲」 咲「違うよ、強くないから耐えられなくてこんな事してるの……私は、はっきり言われなきゃわからないんだよ、きっと」 京太郎「そう、か」 咲「京ちゃん……だからお願いします。 答え、聞かせて?」 京太郎「……」ギュウッ 優希「あっ……」 京太郎「――咲の気持ちを俺は受け入れられない」 咲「あ……」 京太郎「俺は、こいつが、優希が好きだから。 わがままも言うし、子供っぽいところもあるけど優希じゃなきゃ俺はダメなんだ」 優希「京太郎……」 京太郎「だから、ごめんな」 咲「……ありがとう、京ちゃん」 【まだ1日は終わらない】 咲「ふう……ちょっと悲しいけど、なんだかそれ以上に清々しい気分だよ」 京太郎「そうか」 咲「でも京ちゃんも酷いよねー」 京太郎「えっ、なにがだよ」 咲「ただ断ればいいのにわざわざ優希ちゃんとの惚気をサービスしてくれちゃうんだもん」 京太郎「んなっ!?」 優希「あうっ!?」 咲「今だってしっかり手つないでるし……あーあ、独り身には目の毒だなあ」 京太郎「お、お前なあ! さっきまでのしおらしさはどこ行った!?」 咲「残念でした、あれは好きな人にだけ見せる乙女型咲ちゃんなんだよ! 私をフッた京ちゃんは二度と見られないんだからね!」 京太郎「へぇへぇ、そうですか……じゃあ今のずいぶん頼もしそうな咲さんはもう迷子にならないだろうから、助ける必要ないよな?」 咲「そ、それとこれとは話が別だよ!」 京太郎「聞こえない聞こえない」 咲「き、京ちゃんのバカ! 優希ちゃんも何か言ってあげてよ!」 優希「……///」 咲「……優希ちゃん?」 京太郎「あ、これフリーズしてるわ」 優希「///」 咲「……かわいいね」 京太郎「やらんぞ」 咲「いや、奪わないよ……」 ――…… 優希「うーん、帰ってきたじょ!」 京太郎「そろそろ七時か……って咲どこ行くんだ?」 咲「えっ、帰るんだよ?」 京太郎「帰るってお前……」 咲「だってもう私のけじめはついたし、泊まる必要はないよね?」 咲ふふっ、京ちゃんは優希ちゃんだけを泊めてあげなよ。 彼氏なんだからさ」 京太郎「お前、部長に似てきてないか……」 咲「あっ、酷い! まあ、とにかく……もうお泊まりはいいから帰……え?」ギュッ 優希「……ダメだじぇ、咲ちゃん。 まだ1日は終わってないんだ、ここまで来たら付き合ってもらうじょ」 咲「えっ……で、でも優希ちゃんはいいの?」 優希「構わん! 片岡優希、交わした約束は最後まで守るのだ!」ニコッ 京太郎「……だ、そうだが?」 咲「……京ちゃんはどう思う?」 京太郎「俺、客2人分のもてなす用意しちゃってるんだよ、だから来てくれないと困るんだよなー」 咲「……」 京太郎「来いよ咲、友達が泊まっちゃいけない道理はないぜ?」 優希「行こう、咲ちゃん!」 咲「……うん、お邪魔します!」 【三人寄れば騒がしい】 京太郎「いらっしゃい」 咲「お邪魔しまーす」 優希「邪魔するじぇ!」 カピ「キュー」トコトコ 京太郎「ただいま、カピ」ナデナデ 優希「おぉ、あれが京太郎のペットのカピバラか」 咲「京ちゃん、あの子の事すごいお気に入りなんだよね。 毎日帰ってきたら一緒に遊んでたんだって」 京太郎「さてと、カピに新しく餌やったら俺達も夕飯にするか」 咲「あっ、手伝うよ」 優希「私も私も!」 京太郎「咲はともかく優希は料理できるのか?」 優希「タコスなら作れるじぇ」 咲「……優希ちゃんは私と一緒にやろうか」 京太郎「そうしてくれ……俺は別口でやっとくわ」 優希「なんか馬鹿にされてる気がするじょ!」 ――…… 京太郎「今日はタコライスでも作るか……材料はタコスに似てるからいけるだろ」 咲「優希ちゃん、私達は……」 優希「タコス以外作れない私なんて……」ブツブツ 咲「と、とりあえず簡単なのをいくつか作ろう、ね!」 優希「うん……」 京太郎「ふんふん……」 ――…… 咲(とりあえず出来る限り優希ちゃんの様子を見ながら肉じゃがとか作ったけど……どうしても) 咲(優希ちゃんの作った玉子焼きだけこの場から浮いてる……!) 京太郎「と、とりあえずいただくとするか……いただきます」 咲「そ、そうだね、いただきます」 優希「う、うむ! いただきます!」 京太郎(さて、あの浮いてる玉子焼き……やっぱり俺がいくべきだよな……よし) 京太郎「ま、まずはこれからいくか……」ヒョイッ、パクッ 京太郎「……」ジャリッ、ガリッ、モゴッ、ブチュッ 咲(なんか音がおかしいよ!?) 優希「き、京太郎、どうだ?」 京太郎「……」ニコッ 優希「あ……」 京太郎「」ドサッ 咲「京ちゃん!?」 優希「京太郎!?」 京太郎「甘辛苦酸っぱしょっぱい……」カタカタ 咲「京ちゃん、しっかりして!」 優希「京太郎ー!」 【命の洗濯】 優希「京太郎、大丈夫かな……」 咲「京ちゃん、青白い顔してたもんね……」 京太郎『ちょっと横になってれば治るから、お前達はお風呂にでも入っといてくれ……』 優希「ううっ、さすがに落ち込むじょ。 私才能ないのかなあ……」 咲「だ、大丈夫だよ! 私だって最初は失敗ばっかりだったし!」 優希「そうなのか……?」 咲「うん。 そうだね、一番酷かった失敗はお父さんもお母さんもいなくって」 咲「お姉ちゃんと2人でお留守番してた時に作った、間違えて卵の殻が半分以上入っちゃった卵焼きかな」 照『お、おいしいよ咲、歯ごたえがあって……』ガリッ、ガリッ 咲「あの時はお姉ちゃんに悪い事したなあ……お姉ちゃんはレンジでゆで卵やろうとして爆発させてたけど」トオイメ 優希「あはは、咲ちゃんでもそんな失敗するんだな!」 咲「それはそうだよ、私だって麻雀もお料理も初心者で失敗した事はたくさんある」 咲「京ちゃんだって昔はタコスなんてまともに作れなかったでしょ?」 優希「そういえば……」 咲「だから優希ちゃんも練習すればきっと美味しいお料理が作れるようになるよ」 優希「……そうだな、私諦めないじょ! タコスが作れて他のが作れないなんて事ないもんな!」 咲「その意気だよ優希ちゃん、頑張って!」 優希「うん!」 ――…… 優希「そういえば咲ちゃん」 咲「どうしたの優希ちゃ……ひゃわあ!?」 優希「やっぱり……咲ちゃんの胸が少し大きくなってる!」ムニュムニュ 咲「ちょっと優希ちゃ……だめだよぉ!」 優希「むむむ、悔しいじぇ……私と同じ小さい胸同盟の一員でありながら成長するなど!」ムニュムニュ 咲「そ、そんなの知らないよぉ……いいから離して……」 優希「おおっと、ごめんごめん。 危うくダークサイドに堕ちるところだったじょ」パッ 咲「はあはあ……もう酷いよ優希ちゃん……」 優希「うぐぐ、それにしてもなぜだ、なぜ私は大きくならないのだ?」 咲「私に聞かれても……」 優希「今まで散々調べて試してきたけどどれもこれもダメだった。 こうなったら最終手段に打って出るしかないか……!」ザバァ 咲「さ、最終手段? えっ、優希ちゃんどこ行くの!?」 【普通は逆】 京太郎「あー、やっと腹が落ち着いてきた……しかしこれは急いで改善させないと俺の命に関わるな」 優希「京太郎!」 京太郎「お、出たのか? ちょうどこっちも話が……」クルッ 優希「私の胸を揉め!」 京太郎「ぶっ!? いきなり何を言い出してんだ! つーかパジャマを着ろ、バスタオル一枚でうろうろするな!」 優希「この方が揉みやすいだろ、さあ遠慮するな!」 京太郎「バカやめろ、その格好で俺に近付くな、ちょっと咲、助けてくれ!」 咲「ゆ、優希ちゃんダメだってば!」 京太郎「本当に来たか……ってお前もパジャマ着ろやあ!」 咲「あっ、わっ、きゃああああ!」 京太郎「悲鳴をあげたいのはこっちだ、さっさと戻って服着てから出直してこーい!」 ――…… 京太郎「はい、それじゃあちょっとそこに正座しろ」 優希「……」 咲「……」 京太郎「お前らさあ、俺をいじめて楽しいか?」 京太郎「 普段和と関わってるせいで自分達じゃわかってないかもしれないけど、お前らは十分美少女の部類に入るんだよ」 咲「そんな美少女だなんて……///」 優希「照れちゃうじぇ……///」 京太郎「モジモジしてる場合か!」 京太郎「そんな奴らにバスタオル一枚でうろうろされる思春期男子の苦痛を少しは鑑みてくれよ! 本気で襲うぞ、こら!」 優希「私は別にいつだって構わないと言ったはずだ!」キリッ 京太郎「咲がいるって事を考えろ! つーか普通そういうの嫌がるのはそっちだろうが!」 咲「だ、大丈夫! なるべく見ないようにするよ!」 京太郎「そういう問題じゃない! フッた子が見てる中でやるとか何の拷問だ、恥ずかしさで死ねるわ!」 優希「やるなんて、京太郎ってばエッチだじょ……」 京太郎「そこを恥ずかしがるならさっきの行動を見直してくれよ、頼むから!」 咲「き、京ちゃん、とりあえず落ち着こう? あんまり大声出すと近所迷惑だし……」 京太郎「誰のせいだと思ってるんだよ、ああん?」 咲「京ちゃん怖い……」カタカタ 【わざととしか思えない】 京太郎「はあ……そんな怯えるなよ。 まるで俺が悪者みたいじゃねえか」 優希「か弱い女の子にこんな拷問を強いてるんだからあながち間違ってないじぇ」 京太郎「ちょっと正座させたくらいで大げさすぎるだろ! ああ、もういい……よけい疲れるし俺はシャワー浴びてもう寝る」 優希「じゃあ私達も一緒に寝るか、咲ちゃん」 咲「いいのかな……?」 京太郎「ああー、別にいいんじゃね?」 優希「ほら、京太郎もこう言ってるし行こう!」 咲「あっ、優希ちゃん引っ張らないで……」 京太郎「元気なもんだ……さて、2人は一緒に寝るみたいだし俺は1人でゆっくりするか」 京太郎「」 優希「遅いじぇ、京太郎!」 咲「お、お邪魔してます……」 京太郎「絶対わざとだろ、お前ら……」 ――…… 京太郎「なんでこんな事になった……」 京太郎(女の子に挟まれて眠る……それは男の夢の到達点の1つだ、俺だって夢想した事がないわけじゃない) 咲「な、なんか緊張するね」 優希「安心しろ、咲ちゃん。 ここは京太郎の隣で眠った先輩の私が色々教えて……」 京太郎「優希だってまだ二回目だろ」 優希「うっ」 京太郎(だけどそれがまさか優希と咲相手に現実になるとか……人生ってわからんもんだ) 優希「京太郎、狭い」 京太郎「3人一つのベッドに入ってりゃそうなるに決まってるだろ、我慢しろよ」 優希「いいや、我慢できん! だから……」ゴソゴソ、ピトッ 京太郎「……おい」 優希「んふふ、京太郎あったかいじぇ」スリスリ 京太郎(こいつ、本当にわざとじゃないのか……それにしてもなんかいい匂いするな、家にあるシャンプーこんないい匂いしたっけ?) 咲「いいなあ……ねぇねぇ京ちゃん、私もちょっとだけ寄るね」モソモソ、ピトッ 京太郎「は?」 咲「えへへー……」 京太郎(咲までおかしくなった……これ、眠れるのか俺……) 【彼は知らない秘密の話】 京太郎「くかー……」 優希「京太郎の奴、あっさり寝ちゃったじぇ」 咲「本当に早かったね……そんなに疲れてたのかな」 優希「だとしてもこんな美少女達に囲まれてこの反応は失礼にも程があるじょ」 咲「あはは、そうかもね」 優希「全くだ」 咲「……優希ちゃん」 優希「咲ちゃん?」 咲「今日は本当にありがとうね。 おかげで楽しい思い出ができたよ」 優希「それは約束したし、気にしないでって言ったはずだじぇ」 咲「だけど本当は優希ちゃんがこんな提案受ける必要なかったんだよ?今日は結局私のわがままにただつき合わせてただけで……」 優希「それは違うじょ、咲ちゃん。 私だって今日は楽しかった、この3人で出かけた事なんてなかったしな」 咲「そういえば、そうだね」 優希「咲ちゃんは色々気にしすぎなんだじょ。 もっとドーンと来てもいいんだじぇ」 咲「そう言われてもなあ……」 優希「簡単に揺らぐほど私達は甘くないぞ?」 咲「優希ちゃんはすごいね」 優希「何が?」 咲「私だったら不安でそこまで言えないよ……ねぇ、どうしてそこまで言えるの?」 優希「うーん、私も京太郎と一緒になる前はスッゴくやきもち妬いてたんだけど……今はあんまりそういうの感じないんだじょ」 咲「なんで?」 優希「こんな好みと正反対でも私を選んでくれた京太郎を信じてるのが半分で……」 優希「――咲ちゃんならそんな事はしないってわかるのが半分だじぇ」 咲「えっ」 優希「咲ちゃんだってなんでわざわざ私に約束を取り付けたんだ?」 優希「その気になれば私には内緒で京太郎と2人きりのデートができたかもしれないのに」 咲「そ、そんなの無理だよ!」 優希「咲ちゃん、京太郎が起きちゃうじぇ。 なんでできないんだ?」 咲「……だって、京ちゃんは確かに好きだけど、優希ちゃんだって私にとって大切な……」 優希「そこ、そういうところが、私が咲ちゃんを信じられる根拠」 咲「あっ……」 優希「私、これでも人を見る目はあるんだじぇ。 尊敬する先輩は麻雀で捨て駒にされてもそれを全うするいい人だし」 優希「後輩達は素直ないい子ばかり、のどちゃんだって厳しいのは思ってくれてるからだってわかってるし――」 優希「私が恋した人はちょっとスケベだけど、すごく優しい人だから」 咲「優希、ちゃん……」 優希「だから、私は咲ちゃんもいい子だって信じられるんだ」ニコッ 【少女達の絆の話】 咲「あは、ははは……優希ちゃんこそ、いい子すぎるよ……」ポロポロ 優希「咲ちゃん、また泣いて……泣き虫すぎるじぇ」 咲「だって、だってぇ……」 優希「京太郎の服使っていいからまずは泣き止んでほしいじょ」 咲「う、うん……」 優希「落ち着いた?」 咲「……うん、もう大丈夫」 優希「よかった、咲ちゃんを泣かせたら京太郎にも怒られちゃうじぇ」 咲「あはは、ごめんね。 最近の私、どうも涙腺が弱くて」 優希「迷子とかになったらすぐ泣くって京太郎は言ってたじょ」 咲「……ひ、ひどい。 京ちゃんってばそんな事まで話してたの?」 優希「他にも咲ちゃんがカピバラをおっきいハムスターだって言って抱きついてあまりの毛の堅さに泣いちゃった話とか色々聞いた」 優希「京太郎って咲ちゃんの話も結構するんだじぇ……それはもう羨ましいって思えるくらいに」 咲「そ、そうなんだ……///」 優希「咲ちゃん、喜んでるのが丸わかりだじょ」 咲「あう、ごめん」 優希「別にいいじぇ、そこにやきもち妬くほど私は狭量じゃない!」 京太郎「んっ……」 咲「ゆ、優希ちゃん、京ちゃんが起きちゃうよ!」 優希「あわわ! 枕で口を押さえれば……」 咲「死んじゃうからダメだよぉ!」 京太郎「すう……」 優希「なんとか寝たじぇ」 咲「危なかったね」 優希「そろそろ私達も寝た方がいいかもな」 咲「そうだね……優希ちゃん。 私、京ちゃんが好き」 優希「うん」 咲「だけどね、優希ちゃんも大好き……だから、私とこれからもお友達でいてくれる……?」 優希「えっ、ええっ?」 咲「ダ、ダメ……?」ウルウル 優希「……はあ、京太郎やのどちゃんが咲ちゃんをほっとけない理由がよーくわかったじぇ」 咲「へっ?」 優希「そんな事言われなくても、私はこれからもずっと咲ちゃんと親友でいたいんだけど……」 咲「あ……よかったあ」 優希「咲ちゃんは天然すぎるじぇ。 私がもう咲ちゃんは友達じゃないとか言うと思ったか?」 咲「ご、ごめん……えへへ、でも今日は本当に最高の1日だったよ!」 優希「それは違うぞ、咲ちゃん。 私達が親友でいる限りもっと最高の日が来るに決まってる! そうでしょ?」ニコッ 咲「優希ちゃん……うん!」ニコッ 京太郎(全く、騒がしくて寝れやしない。 けどまあ、いいか……よかったな、2人共) 【ガーネット】 咲「んっ、ふぁぁ……もう、朝?」 優希「むにゃむにゃ……」 咲「優希ちゃん、まだ寝てる……あれ、京ちゃんは……?」 ――…… 京太郎「……」ズズッ 咲「京ちゃん」 京太郎「起きたのか、咲」 咲「うん、京ちゃんも早いね?」 京太郎「なんでか早く起きちまったんだよ……コーヒー飲むか?」 咲「う、うん」 京太郎「砂糖とミルクは多めに入れとくからな」 咲「……」 京太郎「……」カチャカチャ 咲「ねぇ、京ちゃん。 私達が初めて会った時の事覚えてる?」 京太郎「唐突だな……もちろん覚えてるぜ」 咲「私ね、その時から京ちゃんがちょっと怖かったんだ」 京太郎「金髪だから不良に見えたってか? その手の話は聞き飽きたぞ」 咲「違うの、最初はそれもあったけど私が怖かったのはもっと別の事」 京太郎「なんだよ?」 咲「――私が何よりも怖かったのは、京ちゃんが私の中から麻雀を消しちゃうんじゃないかって事だった」 京太郎「……」 咲「京ちゃんが優しいのはすぐわかったし、過ごした日々はわざわざ思い出す必要がないくらい胸に焼き付いてる」 咲「だから怖かったんだ……京ちゃんと一緒にいた私に麻雀は必要なかったから」 咲「お姉ちゃんとの最後の絆を、私は自分から手放しちゃうんじゃないかって」 咲(たぶん……だから私は京ちゃんへの恋心を見て見ないふりをしたんだ) 咲(もし恋人になったらきっと私は京ちゃんを優先して二度と麻雀に関わろうとしなかったから) 京太郎「……なるほどね」 咲「だけどそんな心配いらなかった」 咲「麻雀を楽しむようになったのは色々な人達のおかげで、その最初の一歩は京ちゃんがいたから踏み出せた」 京太郎「今から考えたら身の程知らずもいいとこだったけどな」 咲「それはしょうがないよ……だから京ちゃんはね、私の恩人でもあるんだよ」 京太郎「恩人か……そんな大層なもんじゃなくてもいいだろ」 咲「えっ」 京太郎「俺達は親友だ、男女とか関係なくな。 ただそれだけじゃダメなのか?」 咲「……京ちゃんはやっぱり優しいね」 京太郎「なんだそりゃ」 咲(私がもし、他の誰かに好きになったとしても……京ちゃんはきっと特別で大切な……) 咲「京ちゃん!」 京太郎「なんだ、咲」 咲(やっと私も……前に進めるよ。 ありがとう京ちゃん、優希ちゃん……) 咲「私達、ずっと親友だからね!」 【麻雀がメジャーになった世の中で雑用が得意な普通の少年須賀京太郎を待っていたのは……】 咲「京ちゃん!」 優希「京太郎!」 咲・優希「私とつきあってください!」 京太郎「……どうしてこうなった」 なんと2人の少女からの告白だった! 咲「京ちゃん、お弁当作ってきたよ!」 優希「京太郎、タコスを作ってきたぞ!」 京太郎「……俺、弁当あるんだけど」 様々な手練手管でアピールしてくる2人にたじたじな京太郎 そして2人のアピールはどんどんエスカレートしていき…… 京太郎「お前ら、人の家でなにしてんの?」 咲「京ちゃん、私達……」 優希「今日からここに住む事になったじぇ!」 京太郎「はあああ!?」 対決の舞台はとうとう須賀家に移行、わざとなのかそうじゃないのかわからない ハプニングも連続し京太郎の胃はボロボロになっていくばかり しかし一緒に住むにつれ京太郎は2人の真剣な気持ちに向き合っていく事になる 咲「京ちゃんは私にとってかけがえのない人だから」 優希「年月とか関係ない、私は京太郎が好きなんだ!」 京太郎「……」 まるで対称的な2人の違う魅力にそれぞれ惹かれ始める京太郎……しかし1人しか選べないというジレンマが彼の足を鈍らせる 悩む京太郎に無理強いは出来ないと咲と優希が途方に暮れていたそんな時、ある人の言葉が閃きを生み出した 久「いっそ2人共恋人になっちゃえば? なーんて冗d」 咲・優希「それだ!!」 久「えっ」 倫理や常識などゴッ倒すと言わんばかりに2人揃ってのアピールを始めた咲と優希 少女達は止まらない、ひたすら想い人に好かれるために加速していく 京太郎「ちょっと待て、それはおかしいだろ!」 咲「京ちゃん、大切なのは当人同士の気持ちだよ!」 優希「そうだそうだ! 両手に花のなにが不満なんだ、諦めてお縄につけい!」 京太郎「むちゃくちゃ言うなー!」 はたして京太郎は2人の思惑通り両手に花になってしまうのか? それともあくまで1人だけを貫くのか? これは1人の少年と2人の少女達のある意味熱い戦いの記録である! 咲「京ちゃん!」 優希「京太郎!」 京太郎「もう勘弁してくれ!」 【時々出てくる風潮被害・3人の場合】 咲「私達、ずっと親友だからね!」 京太郎「……」 咲「京ちゃん?」 京太郎「うーん……なあ、咲?」 咲「なあに?」 京太郎「もしお前がいいなら、優希に隠れてつきあうか?」 咲「……えっ?」 京太郎「いや、なんか今のお前見てたらよ」 京太郎「すっげえフッたのが惜しく思えてさ……なあ、優希にはバレないように立ち回るから俺とつきあわない?」 咲「き、京ちゃん!? 自分がなに言ってるかわかって……」 京太郎「わかってるよ、なあダメか咲?」 咲「そ、そんなのダメに決まって……」 京太郎「優希に遠慮してんのか? いいじゃないか、バレなきゃあいつが泣く事なんてないんだ……」 京太郎「俺達がうまくやれば俺もお前もあいつも幸せなままだ」ギュッ 咲「あ……ダメ、ダメだよ京ちゃん……」 京太郎「――好きだぜ、咲」 咲「――!!」 京太郎「答えは?」 咲「……バレなきゃ、みんな幸せ?」 京太郎「そうだ」 咲「……うん、いいよ」ギュッ 京太郎「そうか、ありがとうよ咲……」ニヤァ 咲(バレなきゃいいんだ……そうすればみんな幸せになれるんだ……) ――…… 優希「京太郎! これからデートしようじぇ!」 京太郎「あ、悪い優希……今日は親に早く帰ってこいって言われてるんだ」 優希「あ、そうなのか……」 京太郎「悪い、埋め合わせは必ずするから!」 優希「家の用事ならしょうがないから謝るな! それじゃあ今度のデートできっちり埋め合わせしてもらうじぇ!」 ――…… 咲「家の用事だなんて京ちゃんもずいぶん平気で嘘をつくようになったよね……」 京太郎「はっ、あいつがあんな単純な嘘でも信じるから悪いんだよ」 咲「……本当に、これでいいのかな?」 京太郎「今さらそりゃないぜ咲……お前だって今の状況を受け入れたんだからここにいるんだろ?」 咲「……」 京太郎「まあ、せいぜい楽しもうぜこれからも」 咲「……うん」 ――…… 照「もしこんな事になってたら許さない」ギュルルルル 咲「なるわけないでしょ! 変な妄想しないでよ、お姉ちゃんの馬鹿!」 風潮【須賀京太郎が恋愛において屑化する】 風潮【須賀京太郎と片岡優希がつきあってる時、宮永咲が浮気相手として存在する】 風潮【片岡優希は須賀京太郎をNTRされる】 【雑用サポート魂は麻雀にも影響するか?】 優希「あっはっはっはー! 圧倒的一位のまま逃げ切るじぇー!」タンッ 京太郎「ぐぎぎ……まずい、トぶ、トんでしまう……!」タンッ 和「2人共、少し落ち着いてください」タンッ 和(まずいですね……須賀君はゆーきからの直撃で点棒がほとんど残っていない……) 和(ゆーきから逆転するには須賀君に影響しない安いツモでは意味がない……ここはゆーきを直撃狙いでいきます) 咲「き、京ちゃん、しっかりして!」タンッ 咲(京ちゃんの口からなんか白いのが出てきてる……) 咲(南場だから優希ちゃんは落ち着いたけど、ここは差し込んで京ちゃんを一回浮上させないとマズいかも) 優希「むむむ、調子が悪い……やっぱり南場は得意じゃないじぇ」タンッ 京太郎(ふ、ふふふ……優希のやつめ、俺が死に体だからって油断してやがるな……だけど舐めるなよ!) ・京太郎手牌 一一一m 222p ⑧⑧⑧s 北北 中 白 ツモ牌北 京太郎「くふっ、ふふ……!」 京太郎(張った張った張った! 四暗刻、張らせてもらったあ! まだまだ逆転劇のチャンスは残ってるぜ!) 優希(京太郎、高いの来たな) 和(バレバレです……) 咲(これ、差し込んだら私がトんじゃうかも……どうしよう) 京太郎「さあ、ここから逆転といきますか!」タンッ 打牌・白 優希「京太郎、それポン!」 京太郎「なにっ!?」 京太郎(いや待て、下家の優希が鳴いたおかげですぐにまた俺のツモ番が来た! 和了る可能性はむしろ増えたはず!) 京太郎「っ、違う!」タンッ 優希「それもポン!」 京太郎「んなっ!?」 京太郎(う、嘘だろ……二回連続で優希に鳴かせちまった……いや、だけどまさか) 京太郎「……」タンッ 優希「それもポンだ!」 京太郎「」 和(まずい、須賀君とゆーきにしか番が!) 咲(な、なにも出来ない……) 京太郎(ありえない、ありえない! いくら普段が無茶苦茶だからってこんな、こんな……!) 京太郎「そんなの……!」タンッ 優希「……京太郎、それもだ、ポン」 京太郎「あ……」 京太郎(そんな、アホな……) 京太郎「……」タンッ 優希「ロン、7700。 京太郎のトビ、だじょ」 京太郎「は、ははは……なんだ、これ」ガクッ 久「……あれも才能なのかしら?」 まこ「さすがにあれが京太郎の才能だったらあんまりすぎるわ」 【ただの惚気】 京太郎「」チーン 優希「京太郎ー!」 咲「京ちゃんが真っ白になっちゃったよ……」 和「さすがにあれはショックだったでしょうからね……役満を崩してでも回避なんて考えられなかったでしょうし」 久「それにしてもさっきのはすごかったわねー……さしずめ相手の有効牌を必ずひく能力ってやつかしら」 まこ「なんじゃそのイジメみたいな能力は……いや、場合によっては相手の当たり牌を握り潰すからアリか?」 京太郎「……はっ!?」 優希「京太郎、目を覚ましたか!」 京太郎「俺は……ああ、そうか。 役満張ってイケると思ったら粉砕されたんだっけか」 優希「あ、謝りはしないじぇ……」 京太郎「謝罪なんかこっちもいらねえよ、勝負事なんだしな。いや、あれはむしろ優希がすごかったって褒め称える場面だな」ナデナデ 優希「京太郎ー……」フニャア 久「さすが私が鍛えただけの事はあるわね須賀君、人によってはトラウマを植え付けられそうな中なかなかタフじゃない」 まこ「それは褒めるところじゃないじゃろ……」 京太郎「よっし、もう一回やるか!」 咲「だ、大丈夫なの京ちゃん?」 京太郎「はっ、トビで一々落ち込んでたらお前らの相手なんかできるかよ! 優希、今度こそリベンジしてやるぜ!」 優希「ふん、またトバしてやるじぇ!」 京太郎「そうはいくかっつーの!」 和「心配は杞憂だったようですね?」 咲「そうだね……」 ――…… 京太郎「よっし、カン! 嶺上……なわけはないよなっと」タンッ 優希「ツモ! ドラ乗って倍満、8000オール!」 京太郎「ぐあっ、カンが裏目に出た!」 久(今の、須賀君が鳴いてずらさなきゃ優希ツモれなかったんじゃないの?) 京太郎「通らばリーチ!」 優希「通らん! ロン、1600!」 京太郎「だああ!?」 咲(親番流されちゃったよぉ……) 京太郎「それっ」タンッ 優希「ポン!」 京太郎「げっ!?」 和(有効牌が……) 久「で、まるで須賀君が優希のサポートしてるようにしか見えなかった今の半荘から出た結論は?」 咲「さっきのあれも含めてこれは明確な惚気です」 和「遠回しな惚気にしか見えませんね」 まこ「これは惚気じゃろうなあ」 京太郎・優希「何が!?」 【世の中には知らなくていい事がある】 咲「じゃあ私達こっちだから」 和「また明日です、2人共」 京太郎「おーう、また明日なー」 優希「咲ちゃん、のどちゃんバイバーイだじょ!」 京太郎「うああ、今日も勝てなかったなー」スタスタ 優希「今日も京太郎のサポートのおかげでバカ勝ちだったじぇ! ご苦労様だったな!」トテテ、トテトテ 京太郎「やめて、別にしたくてしてるわけじゃないんだからそれ言うのやめて」スタスタ 優希「まあまあ、もしかしたらコンビ打ちで最強になれるかもしれないぞ?」トテテ、トテトテ 京太郎「だったら俺にも和了らせてくれ……ん?」ピタッ 優希「どした?」 京太郎「いやなんでもない、行こうぜ」トテトテ 優希「そうか」トテトテ 京太郎「あーあ、いつになったら背中くらい見えるようになるんだか」 優希「ははっ、寝言は寝て言え」 京太郎「ひでえ」 優希「そんな事より京太郎」 京太郎「そんな事って……なんだよ」 優希「私、1つ気になってた事があるんだけど」 京太郎「気になる事?」 優希「私とのどちゃんは高遠原時代からの同級生だじぇ」 京太郎「そうだな、まるで俺と咲みたいだ」 優希「そう、京太郎と咲ちゃんも中学の同級生だったわけだ」 京太郎「それが?」 優希「普通に考えたら私とのどちゃん、咲ちゃんと京太郎の家の方が近いはずなのに」 優希「なんで一緒に帰る時咲ちゃんとのどちゃん、私と京太郎って組み合わせに分かれるんだ?」 京太郎「優希……」 優希「おぉ、わかるのか?」 京太郎「世の中には知らなくていい事があるんだよ」 優希「えっ」 京太郎「大人の都合とか色々あるんだよ……深くつっこまないのが皆のためなんだ」 優希「そ、そうなのか……」 京太郎「そうなんだ……こんな話よりもっと楽しい話をしようぜ」 優希「わ、わかった!」 優希(私は危うく開けてはいけない扉を開けるところだったのか……危なかったじぇ) 京太郎(うーん、ちょっと脅かしすぎたか? 別に深く考えた事なんてないけどちょっとからかってみただけなんだが……) 【もしも立場が違ったら】 京太郎「ほれ、今日のタコス」 優希「ご苦労様だじぇ!」 咲「京ちゃんもすっかり優希ちゃんのお世話が板についたよね」 京太郎「そうか? ああ、優希口元にソースついてるぞ」フキフキ 和「ええ。 ゆーきとの付き合いは私の方が長いのに、まるで須賀君の方が昔からの付き合いみたいに感じる時もありますし」 優希「ふむふむ、つまり私と京太郎、咲ちゃんとのどちゃんが同じ中学だったらという話だな!」 京太郎「いや、違うから。 つーか優希と俺がねぇ……」 ――…… 優希「おい京太郎! ちょっと私に付き合え!」 京太郎「なんだよ優希、付き合うってまたタコス屋か?」 優希「違う違う、今日はこれから麻雀部に行くから一緒に入部してほしいんだじょ」 京太郎「いや、なんで俺が」 優希「私いるところに京太郎ありってやつだ!」 京太郎「意味分からんわ……麻雀なんて俺やった事もないのに」 優希「だったら優希ちゃん専属マネージャーとして……」 京太郎「今と変わらないじゃねえか!」 優希「なあなあ、ダメかー? 私が1から教えるから一緒に入ろうじぇー」 京太郎「……はあ、しょうがねえな」 京太郎「ぐあ、また焼き鳥……初心者に容赦なさすぎだろお前!」 優希「ふははは! これで京太郎が私に作るタコスは3つになったな!」 ――…… 優希「あっ、京太郎……」 京太郎「おつかれさん。 残念だったな、インターミドル」 優希「あの人、強すぎるじぇ……悔しいじょ」 京太郎「原村だっけか? 確かにお前が東場で手も足も出ないのは初めて見たな……まあ高校でリベンジ、だな」 優希「うん……」 ――…… 京太郎「優希は高校どこ行くんだ?」 優希「清澄に行こうと思う」 京太郎「清澄? 麻雀なら風越か去年インターハイ出場の龍門渕の方がよくないか?」 優希「だって清澄にはタコスがあるんだじぇ! それに、清澄以外だと京太郎と一緒に通えないし……」 京太郎「あー……そう、か」 ――…… 京太郎「うーん、咲の時以上に苦労しそうだ」 優希「なんでだ!?」 咲「私達は関わってるかどうかもわかんないね」 和「私も清澄に来ていたかどうか……」 京太郎「まっ、結論から言うならやっぱり今が一番って事だな」 優希「質問に答えろー!」 【清澄麻雀部の黄金世代】 優希「タコスうまー」 京太郎「優希からの評判もいいし俺のタコス作りも上達したな……これも師匠のおかげだぜ」 咲「文化祭でクラスでタコス喫茶やらないかって意見もあるよね」 優希「なぬっ!? タコス喫茶だって!?」 京太郎「それ俺ばっかり働かされるフラグじゃね? 後優希、食ってる途中で叫ぶなよ、牌につくだろ」フキフキ 優希「京太郎! もしタコス喫茶を実現させたら私は終わりまでいるからな!」 京太郎「店としては助かるのか迷惑なのか悩ましいところだな」 優希「なんだとー!」 咲「あはは……そういえば部長、麻雀部では何もやらないんですか?」 久「うーん、なんせ私が議会長としての役目に追われそうだから、何かやるにしてもあんまり見られないのよね」 まこ「別にわしが責任者をしてもええんじゃが……」 久「ちなみに皆はなんかやりたい事ってある?」 和「実際の対局を含めた初心者用の麻雀教室とかどうですか?」 京太郎「麻雀やめるかトラウマになる奴が増えるな」 和「そんなオカルト……ありえるのが問題ですね」 咲「ここの本を使って読書会とか」 優希「やめてください、しんでしまいます」 咲「そうだね、ごめん……」 京太郎「メイド喫茶とか」 咲「ええー、またあの格好するの恥ずかしいよ」 和「……私はそれもありかと」 咲「ええ!?」 優希「ここはやっぱりタコス喫茶を!」 和「ゆーきが食べてしまってお客様に出す分がなくなる光景が容易に想像出来ますね」 優希「のどちゃん、それを言ったらおしまいだじぇ……」 京太郎「いや、我慢する努力しろよ」 久「うーん、やっぱりすぐには決まらないか。 だけど何かしらしたいわよね……この6人でいられるのは今年だけなんだし」 まこ「またらしくない事を……悪いもんでも食ったのか?」 久「私だってたまにはセンチになるわよ……夢が叶った後だと余計にね」 京太郎「よし、咲の中学時代の自作小説を印刷して配るか」 咲「なにを言い出すの!? ダメだよ、絶対やめて!」 優希「ここは来た人にタコスを作らせて私が審査を……」 和「ゆーきはまずタコスから離れましょうか」 優希「そんなご無体な!」 久「――本当、最後の年がこんな楽しい麻雀部になってよかった」 【言葉が無粋な時もある】 京太郎「今日は皆来ないのか……俺はネトマしてるけど優希はどうするよ?」 優希「とりあえず京太郎の対局を見てるとするじぇ」 京太郎「そっか、わかった」 ――…… 京太郎「よっしゃ、また一位!」 優希(さすがに半荘何回も見てるのも飽きたし暇だじぇ……)ジー 京太郎「今日は調子がいいなー……よしもう一度」 優希(タコスうまー……京太郎、楽しそうだじぇ。 声とかかけづらいな)モグモグ 京太郎「リーチっと……よし、一発ついた!」 優希(早く終わらないかな……京太郎、ネトマばっかりだ)クルクル 京太郎「うがっ、捲られた!? 油断しちまったなあ……」 優希(ベッドは気持ちいいじぇ……寝ちゃおうかな)パタパタ 京太郎「よしっ、対局終了っと」 優希(あっ、終わった?)ガバッ 京太郎「次はもうちょっと上でやってみるか」 優希(なーんだ、まだやるのか……)ポスンッ 京太郎「うわ、やっぱり上は強い……げえっ、【のどっち】って和が相手かよ!?」 優希(京太郎、京太郎ー、かーまーえー)コロコロ 京太郎「くそっ、やってやる!」 優希「……むう」 京太郎「あっ、無理だ、勝てないこれ」 優希「……」トテトテ 京太郎「ううっ、すごすご逃げる羽目になるなんてついてない……次はここ辺りでやるか」 優希「……」ギュッ 京太郎「えっ、優希? どうかしたか?」 優希「……」 京太郎「黙ってちゃわからないんだけど……あっ、部屋しめきっちまった」 優希「……」スリスリ 京太郎「……はあ」 優希「……」ビクッ 京太郎「……」ナデナデ 優希「あ」 京太郎「……」ナデナデ 優希「……///」モジモジ 京太郎「……」ナデナデ 優希「京太郎……」フニャフニャ 京太郎「……」ギュッ 優希「……えへへ///」ニコニコ 京太郎「……ったく///」 【片岡優希専用充電器須賀京太郎】 優希「京太郎ー」パタパタ 京太郎「どうした?」 優希「ちょっとベッドに座るんだじぇ」 京太郎「えっ、なんで」 優希「いいから座れ!」 京太郎「なんなんだよ……これでいいか?」 優希「うむ、そのままじっとしてろよ」ギシッ 京太郎「はいはい……って」 優希「おぉ、これはなかなか……」 京太郎「……あの優希さん、いきなり人の膝に座ってきましたけどこれはどういう事でしょうか?」 優希「充電だじょ!」 京太郎「充電って、何を?」 優希「……何をだろう?」 京太郎「わかんねえのかよ!」 優希「だって見たのを真似してるだけだし……」 京太郎「こんな事してたのが実際にいるのかよ……」 ――…… 白望「くしゅんっ……」 胡桃「くちゅん!」 塞「あらら、2人共風邪?」 白望「だからダルいのか……」 胡桃「それいつもでしょ!」 ――…… 京太郎「で、何を充電してるかもわからないのにこんな事してて何か意味があるのか?」 優希「何かがわからなくても充電してるのは間違いないから問題ないじぇ!」 京太郎「ふーん……そんなもんか」 優希「そんなもんだ! というわけでちょっと腕借りるじぇ」 京太郎「ああ、もう好きにしてください」 優希「京太郎の腕を私のお腹に回して……これでよし! 充電なんだからしっかり固定しないとな! 」 優希「さあ存分に充電頼むじぇ、充電器京太郎!」 京太郎「俺はお前の充電器なのか……本当いったい何が出てるんだろうな」 優希「うーん、それは……」ポクポクポクポク…… 京太郎「……」 優希「そうか!」チーン! 京太郎「わかったのか?」 優希「わかったじぇ! 充電器京太郎から充電されるのはこの優希ちゃんへの愛情……」 京太郎「恥ずかしい事を……優希?」 優希「ううっ……///」 京太郎「……恥ずかしくなるくらいなら言わなきゃいいじゃねえか」 優希「う、うるさいうるさいうるさい!///」 【京太郎の中の人は麻雀が上手い】 京太郎「ふははは!」 優希「京太郎、気をしっかり持つんだ京太郎!」 咲「京ちゃん落ち着いて!」 和「この高笑い、どこかで聞いたような……」 久「……えーっと、これは何事?」 まこ「いや、いつも通り一年達に打たせてたんじゃが……京太郎がトビになってからあんな風に」 久「とうとう壊れてしまった、と……耐えきれなかったのね須賀君」 京太郎「……もう一回だ。 今度は負けはしない」 和「休んだ方がいい気もしますけど……部長、どうしますか?」 久「うーん、とりあえずやらせてみたら?」 ――…… 京太郎「……」タンッ 咲「ロン、2400だよ」 京太郎「やはりゲームと同じようにはいかないな……」 和(なんででしょう、今の須賀君に妙な既視感が……) 京太郎「条件はクリアされた、リーチ……ツモ、跳満3000、6000」 咲「今日の……ううん、今の京ちゃん、何か変……」 京太郎「うはははははっ!! やれるじゃないか! やれる、やれるぞ」 和(聞けば聞くほど何かが頭にちらつきますね……なんなんでしょうか?) 優希「ずいぶん好き勝手やってくれたな京太郎……だけどそれもここまでだ!」 京太郎「ふん、戦術的勝利などいくらでもくれてやる」 優希「むかっ……だったら全力で潰すまでだ! ツモ! 6000、12000!」 咲「今の京ちゃんはいつもの京ちゃんじゃない……だから私が、私達が止めるよ! カン! 嶺上開花、4000、8000!」 京太郎「ほわあっ!?」 和(思い出せないというのはなかなか辛いですね……あっ) 京太郎「制圧された? こんなに簡単に……ゲームにすらなっていないぞ!」 咲「京ちゃん、もう終わらせるよ!」 優希「目を覚まさせてやるじぇ!」 和「須賀君」 京太郎「くっ、ここから逆転するには……んっ?」 和「ロン、大三元、48000です」 ――…… 京太郎「……条件が同じならば負けはしなかった」 優希「負け惜しみはやめろ!」スパーン! 京太郎「痛っ! あれ、俺は……」 咲「き、京ちゃん、元に戻ったんだね!」 京太郎「な、何の話だ!?」 久「……これならいけるかも」 まこ「おい久、なんか変な事考えとりゃせんか?」 和「あの既視感は何だったんでしょう……」 【つく嘘にも限度がある】 優希「京太郎……」 京太郎「なんだよ優希、元気ないじゃないか」 優希「私、京太郎に言わなきゃいけない事があるんだじぇ」 京太郎「まじめな話っぽいな……改まってどうした?」 優希「実は……デキちゃった」 京太郎「……は?」 優希「もう3ヶ月だってこの前病院で……」 京太郎「な、なに言ってんだよ」 優希「……ごめん」 優希(慌ててる、慌ててる♪ 京太郎、エイプリルフールの嘘だって全然わかってないみたいだじぇ!) 京太郎「ふ、ふざけてるんだろ? だって、そんな、ありえない! 俺達、まだそんな事してないじゃないか!」 優希(あ、そうだった……) 京太郎「なんなんだよ、たちの悪い冗談はやめてくれよ……」 優希「……ひっく、ううっ」 優希(くそう、なんて初歩的ミスを……情けなくて涙が出てくるじぇ) 京太郎「!?」 京太郎(な、なんで泣くんだよ……冗談じゃ、ないって言うのかよ……) 京太郎「ま、まさか……嘘、だろ?」 京太郎(この反応、とんでもない事があったとしか思えない……だけど、もし優希が今頭に浮かぶそんな目にあったんだったら……!) 優希「うっ、ううっ……」 優希(ああ、嘘ってバレちゃった……ダメダメだじぇ……) 京太郎「無理やり……」 京太郎(馬鹿か俺は!? 優希が本当にそういう目にあったのなら口に出すべきじゃないだろ!!) 優希「京太郎の、言う通りだじぇ……」 優希(今年は上手くいかずか。 確かに京太郎の言う通り無理やりで現実味のない嘘だったな……もっと練っとくんだったじょ) 京太郎「そう、か……」 京太郎(優希……くそっ、俺は何をやってんだよ! 優希を守ってやれなかった) 京太郎(今も泣かせちまった、思い出すだけで辛いだろうにそれを口に出させちまった!!) 優希「もう帰ろう、京太郎」 優希(来年はもっと凄い嘘をついてやるから覚悟しとくじぇ!) 京太郎「……わかった」 京太郎(……許さねえ、優希をそんな目にあわせた奴を俺は絶対に許さねえ……!) ――数日後…… 京太郎「……」ギュウッ 優希「京太郎、もう許して……」 京太郎「うるせえ、あんなふざけた嘘で俺の寿命は縮んだんだ、黙って抱きしめられてろ」 優希「ううっ///」 優希(まさかそんな勘違いしてたなんて思わなかった……) 京太郎(嘘でよかった……本当に、よかった……!) 【しっぺ返しは痛いもの】 京太郎「よぉ、優希。 急に学校に呼び出してどうしたんだよ」 優希「京太郎……」 京太郎「んっ?」 優希「今まで黙ってたんだけど実は私、タコスがあんまり好きじゃないんだじょ……」 京太郎「はっ?」 優希「むしろ毎日食べてたから見るのも嫌いなんだ……だから作ってくる京太郎もあんまり快く思ってないんだじぇ」 京太郎「な、なんだよそれ……」 優希「だから、私達もう終わりにしよう……」 京太郎「ま、待てよ優希! そんな急に言われても……」 優希「さようなら京太郎……」スタタッ 京太郎「優希!」 ――五分後…… 優希「……驚いたか京太郎!」 京太郎「優希……」 優希「今日はエイプリルフールだじぇ、京太郎! だからさっきのも全部嘘だったのだ! 」 優希「私がタコスを嫌いになるなんてありえないし、京太郎と別れるなんてもっとありえないじぇ!」 京太郎「……」 優希「あれ、どうした? 」 京太郎「優希、いい事教えてやるよ」 京太郎「――エイプリルフールってな、午前中までなんだよ」 優希「えっ」 京太郎「あの時計見てみろ……逆算してお前がさっき別れを切り出したのが12時5分過ぎになる計算……」 京太郎「つまりアレをエイプリルフールの嘘だって事には出来ないんだよ」 優希「そ、そんな、嘘だよな!?」 京太郎「だいたいさ、こんな酷い嘘つく奴をこれから先も好きでいられると思うか?」 優希「あ、いや、それは……」 京太郎「お前には失望したよ、優希……じゃあな」 優希「ど、どこ行くんだ!」 京太郎「どこだっていいだろ、俺達はもう赤の他人なんだからな」 優希「あ……」 京太郎「……」スタスタ 優希「そんな、こんなのってないじぇ……でも、自業自得、なのか……うっ、ううっ」 京太郎「えっ!?」 優希「うっ、京太郎っ……やだ、やだやだやだあ……別れるなんていやあ……!」 京太郎「!」スタタッ 優希「京太郎……?」 京太郎「すまん、やりすぎた! お前も半分わかっててノってたもんだと……!」 優希「どういう、事だじぇ」 京太郎「いや、お前が何かすると思ってあらかじめあの時計の時間を進めてたから まだ12時にはなってないんだよ。 すっかりわかってるもんだとばかり……」 優希「……」プルプル 京太郎「優希、さん?」 優希「こんの、バカバカバカアアアア!」 【清澄高校麻雀部の弱点】 京太郎「うおお、また負けたあ!」ガクッ 久「うーん、上達はしてるはずなんだけど」 まこ「さすがに相手が悪すぎるんじゃないか? ネト麻なら安定した成績を出せているんじゃし」 久「だけど一番時間を割いてる部内で勝ててない現状で須賀君は自分の成長を実感できてるのかしら……」 まこ「難しい、ところじゃな」 久「どうしよう…来年になれば初心者もそれなりに来るだろうし、今の内にみんなの指導スキルもアップさせておきたかったんだけど……」 京太郎「うおおお! ツモ来いツモ来い……ちくしょう、来ねえー!」 和「須賀君、ちょっとうるさいです」 京太郎「あ、はい、すいません」 久「本当にまいったわね……全国を制覇した私達清澄高校麻雀部にこんな弱点があったなんて」 まこ「圧倒的なまでの指導力不足か……」 久「指導に向いていない咲と優希はもちろん、和も麻雀に関しては堅物だから萎縮する恐れがあるのよね」 久「能力持ちなんか指導させたら……考えただけで酷い事になりそう」 まこ「わしも部長職があるけぇ、付きっきりではできんし……」 京太郎「ツモ! 2600オール!」 優希「むっ、京太郎に和了られたか!」 京太郎「いよっしゃあ! ここからの連荘で逆転してやるぜ!」 咲「あっ、京ちゃんそれロン。 12000の一本付けで12300」 京太郎「」 久「となると、一番初心者に指導できそうなのが須賀君なのよねぇ……だけど」 まこ「今年の夏は雑用ばかりやらせてきた京太郎に来年も自分の精進より初心者指導に時間を割け、というのはさすがにな……」 京太郎「ふいー、なんとか三位か」 優希「ぐぎぎ、親被りで最下位なんて……!」 京太郎「悪いなあ優希」ニヤニヤ 優希「むきー! そのにやけ面腹立たしいじぇ!」 咲「ど、どうどう優希ちゃん……」 和「須賀君もあまりゆーきをからかわないでください」 京太郎「悪い悪い、えーっとこれで今日は半荘4回やって最下位2回、三位2回か」 京太郎「 トバなかっただけマシだな、途中優希にぶち当ててトップに立ったし」 優希「その後咲ちゃんに責任払いさせられて一気に最下位になったくせに」 京太郎「それを言うなよ!」 咲「あはは……」 久「……それにしても、本当によく折れないわね須賀君」 まこ「不思議なもんじゃな」 【彼が折れない理由】 京太郎「今日も打った打った」 優希「相変わらず負けてばっかだけどな!」 京太郎「うっせー、人が余韻に浸ってんだから水差すなっつうの」 優希「負けて余韻に浸るなんて聞いたことないじょ」 京太郎「だからそういうのをやめろって言ってんだよー」グリグリ 優希「いたた……でも京太郎はよく投げ出さないな」 京太郎「何が?」 優希「普通これだけやって一位が全然取れなかったら嫌になって辞めても不思議じゃないじょ」 優希「私だって勝てないとやっぱりつまんないし」 京太郎「うーん、そんなもんか? 」 京太郎「正直入った時からみんなとのレベルに差がありすぎて、負けた悔しさよりこいつらすげえって思う方が強いんだよなあ」 優希「確かに京太郎は完全に初心者だったからな。 少しでもやってた方がキツいのかもしれないじぇ」 京太郎「それに一時期はほとんど牌に触ってなかったしな。 その時に比べたら対局できるだけありがたい話だ」 優希「ふむふむ」 京太郎「それにさ、全国優勝のお前ら相手に和了ったり一時的にでもトップに立てたりするだけですっげえ嬉しいんだよ俺」 京太郎「だからなんつうかあれだ……実力差で勝てないのは当たり前なんだから、勝つ以前にまずは和了る事だけ考えとくかって感じ」 優希「一位への欲とかないのか?」 京太郎「そりゃもちろんあるさ、やるからには一位狙いに決まってる」 京太郎「だけどそんなの今の俺にはまだまだ高望みなんだって理解もしてるんだよ。 京太郎「だから今一番意識してるのは和了る事と振り込まない事の2つくらいだな」 優希「むう、やっぱりそうなる思考回路がよくわからないじょ」 京太郎「ははっ、お前はそれでいいんだよ」 優希「うーん……」 京太郎「そんな事で悩んでるとあっという間に俺がお前を追い越しちまうぞ?」 優希「ふっ、馬鹿も休み休み言え! 清澄高校エースのこの私が京太郎に抜かされるなんてそんなオカルトありえないじぇ!」 京太郎「はいはい、せめて咲と和に勝ち越してからエースを名乗ろうな」 優希「馬鹿にするなよ! 見てろ、京太郎が惚れ直すくらい鮮やかに勝ってやるからな!」 京太郎「期待しない程度に楽しみにしとく」 優希「やっぱり馬鹿にしてるだろ、京太郎ー!」 京太郎(まっ、もし俺が簡単に折れないのに理由があるんだとしたら……) 京太郎(それはきっと、負け続けてもいたいくらい麻雀部の日常が楽しいから、なんだろうな) 【いったい何がしたいのか】 優希「暇だじぇ」 京太郎「暇だな、皆は打ってるしパソコンはメンテで使えないし」 優希「正直対局見ててもあまり参考にならないし……もう2人でイチャイチャする?」 京太郎「アホ、皆が真面目に麻雀してるのにそんな事出来るか。 時と場合を考えなさい」 優希「むう、じゃあしりとりでもするじょ」 京太郎「まあ、小声でやるなら構わないぜ」 優希「じゃあ私からだな……タコス」 京太郎「スイカ」 優希「カマキリ」 京太郎「リンゴ」 優希「ゴーカート」 京太郎「トナカイ」 優希「インターネット」 京太郎「またトか……トイレ」 優希「レンタカー」 京太郎「カピバラ」 優希「ライオ……じゃなくてラーメ……でもなくてラジオ!」 京太郎「おっぱ……いや待て、変えるからそんな目で睨むな……オランダ」 優希「だし巻き卵」 京太郎「ゴルフ」 優希「風紀委員……会!」 京太郎「上手く避けたな……インテリア」 優希「アーモンド」 京太郎「ドーナツ」 優希「ツバメ」 京太郎「めかじき」 優希「……京太郎」 京太郎「どうした、お前の番だぞ?」 優希「今言った。 次は【う】だじょ」 京太郎「……おい、人名はさすがに」 優希「早くしろ」 京太郎「……ウーロン茶」 優希「チャイム」 京太郎「昔馴染み」 優希「味噌汁」 京太郎「ルーキー」 優希「京太郎」 京太郎「おい」 優希「早く」 京太郎「……牛」 優希「醤油」 京太郎「……優希」 優希「!」 京太郎「……早くしろよ」 優希「京太郎」 京太郎「牛」 優希「醤油」 京太郎「優希」 優希「京太郎!」 京太郎「優希!」ギュッ 優希「京太郎!」ギュウッ 咲・和・久・まこ「うるさいそこ!」 【風潮被害……?】 優希「今日は京太郎とデートだじぇ♪」 優希「準備に手間取ってたらもうこんな時間だじょ……早く行かないと!」 ガチャガチャ 優希「あれ、扉が開かない……なんでだ?」 ガチャガチャガチャガチャ 優希「鍵は確かに開いてるのにどうなってるんだ……あれ、ドアになんか時計とボタンと紙が……」 優希は扉を コンマ01~50…開けられない コンマ51~98…開けられる ぞろ目…京太郎から来ました 優希「」 優希「……えっ、なんだこれ」 優希「コンマ……つまりストップウォッチみたいにこのスイッチを押してコンマ51以上で止めればいいのか?」 優希「ふん、誰だか知らないけどやってやるじぇ!」タンッ 優希「……そこだ!」 コンマ21……開けられない 優希「んなっ!? ええい、もう一度!」タンッ コンマ24、コンマ13、コンマ04…… 優希「なんで、なんで上手くいかないんだ! もうこれで10回以上試してるのに!」 優希「このままじゃ間に合わない……京太郎にメールしないと……えっ」 優希が送ったメールは コンマ01~50…通信障害で届かない コンマ51~98…無事に届く ぞろ目…おや、誰か来たようだ 優希「携帯にまで変な文章が……っ、やるしかないのか!」タンッ コンマ26…通信障害で届かない 優希「なんでだあ!? この、この、このー!」 コンマ03、コンマ42、コンマ15、コンマ10…… 優希「もう、やだあ……待ち合わせ時間も過ぎちゃったじぇ……」 ヴーヴー! 優希「あっ、京太郎から電話……」 優希が電話に出ると コンマ01~10…そこには怒り狂った京太郎が! コンマ12~50…京太郎は呆れながらも苦笑いしている コンマ51~98…京太郎は心配しているようだ ぞろ目…京太郎が迎えに来ている途中らしい 優希「……まあ、わかってたじぇ」 優希「でもこれならいくらなんでも上手くいくはず……」タンッ コンマ01…そこには怒り狂った京太郎が! 優希「」 ――…… 優希「はっ!?」 優希「ゆ、ゆめ……?」 優希「ううっ……コンマなんか、コンマなんか大っきらいだー!」 風潮というか事実【片岡優希はコンマの神に愛されていない】 【たまには静かにゆったりと】 優希「うわーうわー! 遅刻遅刻遅刻ー! すっかり寝坊だじぇ!」 優希「ただでさえテスト赤点でいい印象もたれてないのに! 急がないと留年の危機だじょー!」 ――…… 優希「はあ、はあ、はあ……ま、間に合った~……」 京太郎「なんだ、今日はやけに遅かったな」 優希「ね、寝坊しちゃった」 京太郎「まあそれは見りゃわかるけどな……もしかして朝飯も食ってないのか?」 優希「それどころじゃなかったからな!」ドヤッ 京太郎「なんで偉そうなんだよ……昼の分は減るけど一個食うか?」 優希「いただくじぇ」 京太郎「ちなみに今日は一時間目自習だからここまで急ぐ必要もなかったんだぜ?」 優希「なにぃ!? 走ってきて損したじぇ……」ガクッ 京太郎「ははっ、髪もクシャクシャでやんの」 優希「笑うな笑うな! くそう、いくら美少女たる優希ちゃんでもこんな身だしなみでは魅力が半減だじぇ」 京太郎「自分でそういう事を言うなって……櫛持ってるし髪くらいなら直してやろうか?」 優希「なんだ、京太郎櫛なんか持ってたのか?」 京太郎「ハギヨシさんから教えてもらったんだよ。 男たるものいざという時のためにハンカチと櫛は最低限持ち歩けってな」 優希「へぇ……それならお願いするじぇ!」 京太郎「それじゃあ椅子にお座りくださいお姫様?」 優希「へっ、変な事言うな!」 京太郎「悪い悪い、髪留め外すぞ?」 優希「おー」ファサッ…… 京太郎「……」 優希「んっ、どうしたんだ?」 京太郎「あっ、いや、なんでもない……始めるからな」 京太郎(髪留め外して髪おろしただけでちょっとドキッとしたなんて言えるかよ……) 優希「ふぁ……んっ……」 京太郎「結構サラサラしてんな……なんか特別な事やってんの?」 優希「いや、特にはやってないじょ。 あふっ、くすぐったいけど気持ちいいじぇ……」 京太郎「それはようござんした」 優希「……」ウトウト 京太郎「眠いのか? じゃあ寝ていいぞ。 髪は整えとくから」 優希「……だったらお言葉に甘えて、少し寝るじぇ……」 京太郎「おやすみ、優希」 優希「おやすみだじょ……」 京太郎「……」 優希「すー……」 京太郎「いいもんだな、こういうのも」 咲「教室なのを忘れてなければね……」 京太郎「……あ」 【その温もりは特別なもの】 京太郎「むにゃむにゃ」 優希「部活に来てみたら京太郎がベッドで寝てたじぇ」 京太郎「Zzz……」 優希「前にもこんな事あったな。 その時には確か顔に落書きしたんだっけ」 京太郎「んんっ……」 優希「きっとこれはまたタコスの神様が悪戯をしなさいと言っているんだじぇ!」 優希「でも今度はどうしようかな……同じ事は芸がないから別の事をしてやりたいじょ」ポクポクポクポクポクポク…… 優希「そうだ!」チーン! ――…… 咲「こんにちはー」 咲「あれ、まだ誰も来てないのかな……京ちゃんと優希ちゃんが先に来てると思ったんだけど」 京太郎「くかー……」 咲「あ、京ちゃん寝てるの?」ヒョイッ 京太郎「んう……」 優希「すうすう……」 咲「」 咲(えっ、ええええええっ!? なんで京ちゃんと優希ちゃんが一緒にベッドで寝てるの!?) 京太郎「Zzz」 咲(いや、京ちゃんと優希ちゃんの関係を考えれば一緒に寝てるのは不思議じゃないんだけど! ) 咲(でも、でも部室でそういうのはおかしいというか、そもそもまだ早いんじゃないかなって私は思うよ!) 優希「Zzz」 咲(と、とにかく起こした方がいいよね……他のみんなが来たら騒ぎになっちゃう) 咲「き、京ちゃん、優希ちゃん起きて……」ユサユサ 京太郎「Zzz……んあ?」 咲「お、おはよう京ちゃん」 京太郎「あー……おはよ、咲……」 咲「京ちゃん、2人が恋人なのは理解してるけど、私こういう事はあんまり感心はできないよ?」 京太郎「はぁ? なに言って……」 優希「Zzz……京太郎……」 京太郎「どわああああああっ!?」ドスンッ! 咲「き、京ちゃん大丈夫!?」 京太郎「いたた……な、なんで優希が一緒に寝てるんだよ!」 咲「京ちゃんが連れ込んだんじゃないの?」 京太郎「んなわけねえだろ! こちとらキスだってまだ……」 咲「えっ」 京太郎「やべっ、今のは忘れてくれ!」 咲「京ちゃん……」 京太郎「やめろ、そんな情けない奴を見る目で俺を見るなぁ!」 優希「えへへ、京太郎暖かいじぇ……Zzz」 【だから何がしたいのか】 京太郎「また暇だな、今日は皆が来てないってだけだけど」 優希「暇だじぇ……パソコンはいつになったら直るんだ?」 京太郎「俺に聞くなよ……壊したのはネト麻しながらタコス食ってソース機械の内側に入れたお前と変な操作した咲だろ」 優希「うっ、か、過去の事をチクチクつついてたら大物にはなれないじょ」 京太郎「お前は過去を振り返らなさすぎなの」 優希「ああ言えばこう言う……それで今日はどうする?」 京太郎「なんかしりとり禁止されたからな……」 優希「暇つぶしになるゲームとかちょっと調べてみるじぇ」カチカチ 京太郎「おー、頼む」 優希「……おっ、これとかどうだ!」 ――…… 咲「今日もいっぱい打とうね和ちゃん!」 和「そうですね、先に誰か来てたら早速始めましょうか……あら?」 久・まこ「……」 咲「何してるんですか、部長と染谷先輩。 部室の扉に耳を着けて……」 久「あっ、2人共、ちょっと静かにして。 中に気付かれちゃうから」 和「須賀君とゆーきですか……今度は何をしてるんですかあの2人は」 まこ「聞いてみればわかる……ちょっと耳を澄ましてみい」 京太郎『優希、愛してる』 優希『あうっ///』 京太郎『なんだ、照れてんのか?』 優希『て、照れてなんかいないじぇ! 私も愛してる京太郎……』 京太郎『うっ……』 優希『京太郎こそ、照れてるんじゃないのか?』 京太郎『そんなわけ、ないだろ……愛してるぞ優希』 久「この調子で何回も愛してるって言い合ってるのよ、あの2人」 まこ「仲がいいのは構わないんじゃが……」 和「な、な……」 久「あっ、和何を……!」 和「何をしてるんですかあなた達は!」バーン! 京太郎「おわっ!?」 優希「のどちゃん!?」 和「別にするななんて言いませんし、仲がいいのは喜ばしいですけど、ここは皆が来る部室なわけで……」 京太郎「落ち着け和! 何を勘違いしてるか知らんけど俺達はゲームをしてただけだぞ!」 優希「そ、そうだじぇ! 2人で愛してるって言い合って照れた方が負けってゲームを……」 和「……あなた達はそうやって紛らわしいまねをして! ちょっとお話があるのでそこに座りなさい!」 京太郎・優希「えっ、なんで怒って……ひいいっ!?」 咲「三麻しましょう」 久「そうね」 まこ「じゃな」 【エースの座はまだまだ遠い】 京太郎「ロン、8000!」 優希「捲られたー! ううっ、南場はやっぱり苦手だじぇ!」 和「須賀君に直撃を受けるようではまだまだ南場のゆーきには課題が多そうですね」 京太郎「さりげなくバカにされてる気がする」 咲「そ、そんな事ないよ京ちゃん」 優希「京太郎が下家なら連続ポンから和了れるのに……京太郎、早く私の右側に座れ!」 京太郎「ざけんな! 俺にまた思わず上家と下家( 352)を間違えるような目にあえっていうのか!」 優希「うー!」 久「こんな時南場の不調を補う力があればいいんだけどねぇ。 龍門渕の井上さんの麻雀も少しは参考に出来はしたけど……」 和「だから能力とかそんなオカルトありえません!」 京太郎(俺からしたら和も十分オカルトなんだが……) まこ「そうじゃのう……いっそ東場で決着がつくような能力が優希にあったらいいんじゃが」 和「だからそんなオカルト……」 咲「ま、まあまあ和ちゃん、話が進まないから落ち着こう?」 和「むう……」 京太郎「東場で決着が着く……阿知賀の先鋒の人とかみたいにですか?」 優希「ドラのお姉さんか! 確かにあのお姉さんにはいっぱいドラが集まるからな」 久「優希の東場速攻とドラが集まる能力か……」 京太郎「数え役満連発されて相手のトラウマになる未来しか見えません」 久「そうね……咲のお姉さんにボロボロにされてたせいで」 久「ドラが使えない事からの点数低下ばかり注目されるけど、あの子本当に恐ろしい能力持ちよ」 和「玄さんのアレは別にそんなオカルトじゃないんですが……」 優希「ほほう、つまりあのお姉さんから能力を頂けば私は名実共に最強というわけか!」 まこ「能力を頂戴なんて出来んじゃろう、さすがに……」 咲「マホちゃんなら平気でやっちゃいそうですけどね……」 京太郎「ん、マホって誰だ?」 優希「私の後輩だじぇ! 将来は私達清澄の名を受け継ぐものになるだろう逸材だ!」 和「人の打ちまねより、未だにチョンボしてしまうのを何とかした方がいいと思うんですけどね」 久「まあ、言ってはみたけど結局ないものねだりでしかないし、とにかく優希の集中力を伸ばすしかないのよね……」 久「このままじゃ優希、須賀君に負けちゃうわよ?」 優希「ううっ、それは嫌だ!」 京太郎「やっぱりバカにされてるよな、これ」 咲「き、気のせいだよ……」 【そこは彼女の特等席】 京太郎「うーん……」ペラッ 優希「京太郎、何してるんだ?」 京太郎「見ればわかるだろー……和から渡された麻雀テストやってんだよ。和曰わくそろそろ次のステップに進んでもいいだろうって」 優希「なるほど、それでやってみたはいいけど全然わからくて唸ってたわけだな!」 京太郎「だってこれ難しすぎるんだもんよ……本当にちんぷんかんぷんだ」 優希「困ってるなら手伝ってもいいじぇ」 京太郎「ああ、そりゃありがたい。 少しこの暗号文解読を手伝ってくれよ」 優希「その代わりに今度のテスト勉強を手伝ってもらうじぇ!」 京太郎「俺に出来る範囲なら別にいいぞ」 優希「じゃあ早速手伝ってやろう!」 京太郎「……おい」 優希「んっ?」 京太郎「なんで人の膝に座ってんだよ。 また充電とでも言うつもりか?」 優希「これが一番やりやすいだろ?」 京太郎「いや、隣でいいじゃねえか」 優希「私はこれがやりやすいんだじょ! ほら、さっさとわからないところを言うじぇ!」 京太郎「わかったよ、ったく」 京太郎(俺が集中出来ないんだけどわかってんのか、優希の奴……) 優希「これはだな……」モゾモゾ 京太郎(ええい、モゾモゾ体を動かすな! 色々危ないだろうが!) 優希「それでここはー……」 京太郎(くそっ、優希の体が密着して話が耳に入ってこない! こいつが誘ってるとかじゃないのがわかる分余計にキツい!) 優希「……京太郎?」 京太郎「……えっ、どうした?」 優希「手が止まってたけど、もしかして私の話わかりにくかったか?」 京太郎「い、いやそんな事ないぞ?」 優希「それならよかったじぇ。 ほれほれ、続きだ続き」 京太郎(いかんいかん、見返りありとはいえ優希は本当に親切で教えてくれてるんだ……まじめに聞いてやらないと申し訳ないだろ) 優希「ここは……うーん」 京太郎(……だけど、まあこれくらいは許されるだろ)ポンッ 優希「じょ?」 京太郎「それで続きは?」ナデナデ 優希「うっ、えっと、たぶんこう……///」 京太郎「たぶんって大丈夫なのかー? 頼りにしてるんだから頼むぜ優希先生?」ナデナデ 優希「ま、まかせろ!///」 【アンバランスで似たもの同士な2人】 優希「うー、手が届かない、じぇ!」ピョンピョン! 咲「どうしよう……」 京太郎「何してんだ優希、咲」 優希「あの棚の、上の、箱が取りたいんだ、じょ!」ピョンピョン! 咲「脚立持ってこなきゃいけないね……私ちょっと取りに行ってくるよ」 京太郎「いや、普通に取れるだろ……よっと」ヒョイッ 咲「あっ、最初から京ちゃんに頼めばよかったんだね……」 京太郎「お前、やっぱりどこか抜けてるよな……」 優希「むぐぐ……私は京太郎みたいに無駄にでかくないんだ!」 京太郎「別に無駄じゃねえし!」 ――…… 京太郎「優希、待て! よくも俺の弁当を食ってくれたな!」 優希「あんな風に出されてたら食べてくださいと言ってるようなものだじぇ!」 京太郎「その食い意地を矯正してやる! 待てや、こらー!」 優希「お断りだじぇ!」 京太郎「くっ、狭い路地に逃げられた……体格差があって俺じゃ通れないし回り込むしかないか」 優希「はっはっはー! ざまあみろだじぇ、京太郎!」 和「ゆーき、何してるんですか?」 優希「」 京太郎「あっ、和! そいつ捕まえといてくれ、俺の弁当食いやがったんだ!」 和「……ゆーき、そういうのはやめなさいとあれほど……」 優希「じょぉぉぉ!?」 ――…… 優希「ふえー、今日も麻雀漬けで疲れたじぇ」グデー 京太郎「雑用もしてる俺に比べたらマシじゃんかよー」グデー 優希「最近は買い出しなんてほとんどしてないだろ」グデー 京太郎「まあなー」グデー まこ「あんたら、部室のベッドでグダグダするくらいなら家に帰らんかい!」 ――…… 京太郎「うーん、やっぱり上級者卓となるとネト麻でもなかなか勝てないな……」 優希「京太郎は脇が甘いんだじぇ。 例えばこことか……」 京太郎「あー、確かにこれは凡ミスだったな……」 咲「優希ちゃん、なんの躊躇いもなく京ちゃんの膝の上に座ってるね」 和「もう一々注意するのも疲れました……」 まこ「仲がいいのはいい事じゃ、いい事なんじゃ……」 久「体格とかは凸凹コンビなのにああいうところは似たもの同士よね、あの2人って」 京太郎「やった、上級者卓初一位だ!」 優希「よくやったじぇ、京太郎!」 【信頼できるからするんです】 京太郎「疲れた……さすがに1日ぶっ続けでネト麻はキツいわ」グデー 優希「おぉ、京太郎よ、死んでしまうとは情けない」 京太郎「疲れた原因のほとんどが今膝に乗ってる誰かさんに振り回されたからなんだが、そこんとこどう思います優希さんや」 優希「全く京太郎をここまでボロボロにするなんて不届き千万だじぇ!」 京太郎「お前の事だよ、こんにゃろめ」 優希「なんと!? 衝撃的すぎて言葉が出ないじょ!」 京太郎「むしろなんでお前はそんなに元気なんだよ……」 優希「京太郎と一緒だからな!」ニッコリ 京太郎「……」 優希「ん?」ニコニコ 京太郎「なんでもない……」ギュッ 優希「おわっ、急に抱きしめたらビックリするだろー!」 京太郎「知らん知らん」ポテッ 優希「頭にあご乗せたらおーもーいーじぇー!」 京太郎「ああ、こりゃ楽だわー」グリグリ 優希「あごでグリグリするなー!」 京太郎「いいだろー、マッサージだマッサージ」グリグリ 優希「そんなマッサージはいらな……んにゃー!」 京太郎「そういえば部長から聞いたんだけどなー……こうしてあごを乗せるのはそれだけ相手を信頼してるからなんだってよー」 優希「……」 京太郎「いつの間にかそこまで深みにはまってたんだな、俺って……ふぁぁ、眠い……」 優希「……京太郎」 京太郎「んー?」ウツラウツラ 優希「し、しょうがないから私の頭を少しだけ貸してやるじぇ。 あごを乗せるのも好きにしていいじょ」 京太郎「……どういう風の吹き回しだ?」ウツラウツラ 優希「べ、別にちょっとした気まぐれだ! 京太郎のあごが頭にあるくらいで私は困らないってだけだじょ!」 京太郎「ふうん……だったら好きにさせてもらうわ……つーかちょっと寝るかも」 優希「えっ、ちょっと待っ……」 京太郎「……ぐう」 優希「本当に寝ちゃった……ま、全く卑怯にもほどがあるじぇ、あんな事言われたら邪険になんかできるわけないじょ」 京太郎「……Zzz」 優希「寝息がくすぐったいじぇ……あっ、こら、私の髪の毛は食べ物じゃない!」 京太郎「カピ、逃げるなよー……」 優希「私はカピじゃないじぇ! ええい、だから髪の毛を食べようとするなー!」 【相手だけ見たら主人公レベル】 京太郎「牌譜牌譜っと……あった、これだ」 京太郎「優希のやつ、こんなところにしまいっぱなしにして……」 京太郎「勉強のために全国大会の牌譜貸してくれんのは嬉しいけどちゃんと整理しとけよ」 京太郎「それにしてもやっぱりあいつの牌譜は東場と南場で全然違う様相だな……」 京太郎「えーっと全国で清澄が打ったのが永水、宮守、姫松、有珠山、臨海、阿知賀、白糸台……」 京太郎「それで優希の相手が……」 京太郎「……」 京太郎「よくよく見たらなんだ、このムリゲー」 京太郎「二回戦の相手は確か神を降ろすとか言われてる神代さん」 京太郎「準決勝は去年全国三位の辻垣内さん」 京太郎「で、決勝は咲の姉ちゃんでチャンピオンの宮永照さん……」 京太郎「全国はすごいとか先鋒にエースが多いって言っても限度があるだろ……他の高校も決して弱くはなかったし」 京太郎「だけど優希も+はほとんどないけどなんだかんだで酷い」 京太郎「大量失点もしてない……むしろ最初はハイペースで和了りまくってる」 京太郎「思い返せばあいつが東場で全く和了れなかったのって県大会決勝くらいなんだよな……」 京太郎「うーん……」 優希「京太郎、牌譜見つかったか?」 京太郎「優希、お前実はすごい奴だったんだな」 優希「い、いきなりなんだ!?」 【勘違いは往々にしてあるもの】 京太郎「いくぞ、優希」 優希「う、うん……痛いのは嫌だからな?」 京太郎「わかってるって……んっ」 優希「ひゃうっ!」 京太郎「大丈夫か?」 優希「だ、大丈夫だじぇ……続けていいじょ」 京太郎「じゃあちょっと奥まで行っても大丈夫かな……」 優希「はぁ……ふっ……」 京太郎「どうだ、気持ちいいか?」 優希「あっ、うっ……そこ、擦れて気持ちいいじょ……」 京太郎「そうかそうか、それはよかった」 優希「京太郎……そこ、そこもっと……!」 京太郎「ここか?」 優希「ひゃあんっ! うん、そこ……そこが一番っ……」 京太郎「確かにここが一番アレみたいだな……ちょっと強くいくぞ」 優希「はぁ、ぁ……んんっ!」 京太郎「もう少しで終わるからな、ちょっとだけ我慢してくれよ」 優希「あっ、っ……つうっ……!」 京太郎「ふうっ……終わったぞ優希」 優希「はぁ……はぁ……」 京太郎「おいおい、まだ終わってないのにそんなにクタクタになってどうすんだよ」 優希「だって、京太郎上手すぎるじぇ……」 京太郎「そうなのか? そんなに経験ないからわかんないんだけど……」 優希「間違いないじぇ! 店を開いてもいいレベルだじょ!」 京太郎「はいはい、わかったから続きやるぞ。 逃げてたらいつまでも終わんないからなー」 京太郎「自分でやると痛いからって人に耳掃除させたのお前なんだから。 言ったからには最後までおとなしくやられろよな」 優希「そんなの言われなくてもわかってるじぇ……」 ドタンッ、バタンッ! 京太郎「んっ?」 優希「なんだ?」 久「あいたたた……」 まこ「メガネが飛んでってしもうた……」 和「きゅう……」 咲「……和ちゃん、胸が、胸が顔に当たって息が……」ジタバタ 京太郎「何してるんだ、みんな……」 優希「なんだか楽しそうだじぇ!」 京太郎「1人死にそうだけどな……微妙に羨ましい」 優希「むっ、今のは聞き捨てならないじょ!」 咲「誰か助け……むぐうっ!」 【染められる心】 京太郎「今日は随分雨が降るな」 優希「警報も出てるみたいだじぇ」 京太郎「マジか。 こりゃ外は危ないな……」 京太郎「優希、家には連絡しとくからお前今日は泊まってけ。 さすがに警報まで出てる中で帰らせるわけにはいかない」 優希「じょ? でも着替えとか持ってきてないじぇ」 京太郎「俺のジャージ貸すからそれ着てくれ。 大きいだろうけど我慢してくれな?」 優希「しょうがないな……じゃあおじゃまするじぇ」 京太郎「それじゃあ俺は電話してくるからそこのタンスからジャージ取り出しておいてくれ、確か下から二番目の棚に入ってるはずだ」 優希「わかった」 ガチャッ、バタンッ 優希「えーっと下から二番目、二番目……あった! ちょっと試着してみるか」ゴソゴソ 優希「うーん、やっぱり大きいじぇ……袖はブカブカだし、これなら下を履く必要もないな」 優希「そういえばこれ、京太郎が着てるやつなんだよな……」 優希「……」クンカクンカ 優希「……はっ!? わ、私は何をしてるんだじょ! 匂いを嗅ぐなんてまるで変態だじぇ!」 優希「こ、こういうのは京太郎の専売特許で……」 優希(でも、なんだかこの匂いを嗅いでると落ち着く気がする……) 優希「……」キョロキョロ 優希「京太郎はまだ帰ってこない、誰も見てないんだ……なら、我慢なんて意味ないじょ」 優希「……」クンカクンカ 優希(京太郎の匂い……前に一緒に寝た時を思い出すじぇ。 まるで抱きしめられてるみたいで落ち着くじょ……) 優希「……でも、物足りないじぇ」 優希「あ、あー、そういえば、少し眠くなってきたかもしれないじぇ……だからベッドに入ってもそれはしょうがないよな!」 優希「お、おじゃまするじぇ……」モソモソ 優希「あうっ……これは予想以上に、強烈だじょ……」 優希(全身が京太郎に包まれてる……胸がドキドキして、おかしくなっちゃいそう……) 優希「ううっ、なんだか身体が切ないじょ……」モジモジ 優希「……」ドキドキ 優希「す、少しだけなら……いい、よね?」ソー… 京太郎「戻ったぞー」 優希「わひゃあ!?」 京太郎「あれ、どうした? ベッドに入って具合でも悪いのか?」 優希「べ、別にそんなんじゃないじぇ!」 優希(わ、私何しようとして……ううっ、恥ずかしくて京太郎の顔が見られないじょ……) 京太郎「?」 【知らず知らずに深みに堕ちていく】 優希「……」 優希(どうしよう……京太郎のジャージ持って帰ってきちゃったじぇ。 せっかくだから洗濯して返すってほとんど無理やりだったけど……) 優希(これを着たら、昨日みたいにおかしくなっちゃうのか……?) 優希「……」ゴクッ 優希(怖いのに、身体がそれ以上に期待してる……こんなの、おかしいじょ) 優希「ダメだダメだ! あんなの私じゃない、私じゃない……!」 優希(タンスの奥にしまっておこう……そうすればもう誘惑に負ける事はないんだじぇ……!)ゴソゴソ 優希「はあ……」ボスッ 優希(これでいいんだ、これで私と京太郎は元通り馬鹿やってじゃれあういつもの日常に戻れ、る……) 優希「あれ……?」 優希「そういえば私達、つきあってるのに、何かそれらしい事したっけ……?」 優希(京太郎は前以上に私に構ってくれるし、デートだってしてるけど……似たような事は前からしてた) 優希「ほとんど昔と変わってないんだ……私達の間には決定的な何かが足りないんだじょ……」 優希「なんだじぇ、何をしてないんだ……? 私と京太郎がつきあってからしてない事……」 優希「――あ」 優希「そうだ、私達まだ……キス、してない」 優希「もう何ヶ月も経つのに一回もキスをしてないんだじぇ!」 優希「くうっ、ラブラブなカップルを自称していたのに基本すらこなしていなかったなんて、私はまだまだだった!」 優希「よし、決めた! 私は近い内に京太郎と絶対にキスしてやるじぇ!」 優希「待ってろよ京太郎! 私は必ずやお前の唇を奪って今以上にメロメロにしてやるからな!」 優希(それで、そうしたら私は京太郎と……)ゾクッ 京太郎「はっくしゅんっ!」 京太郎「なんだ、なんか寒気がするぞ……」 京太郎「何もなきゃいいんだがなあ……」 【優希空回り最前線】 優希「よし、行くじぇ!」 京太郎「ふぁぁ……結局寒気が気になって眠れなかったな」 優希「京太郎ー!」 京太郎「んっ? よぉ、優希おはよう」 優希「おはようだじぇ! ところで京太郎、ちょっと話があるんだけどいいか?」 京太郎「話?」 優希「うん、あのな……私と、その……」 京太郎「優希と?」 優希「……な、なんでもないじぇ!!」スタタッ!! 京太郎「えっ、おい優希!?」 優希(言えるか言えるか言えるか! 私とキスしろーなんて言えるわけないじょ!) 優希「うわああああああ……」 京太郎「な、なんだったんだいったい……」 ――…… 優希「ムシャムシャ!」 和「ゆ、ゆーき、そんな食べ方をしたら危ないですよ?」 優希「そっとしておいてくれ和ちゃん! 私は今情けない自分に喝を入れてるんだじぇ!」ガツガツ! 咲「京ちゃん、何かしたの?」 京太郎「俺にもわかんないんだよ……優希、どうしちまったんだ?」 優希「タコスおかわり! もういっこおかわり! さらにもう一つおか……」 和「もう! いい加減にしなさいゆーき!」 ――…… 優希「ロン、12000!」 京太郎「ぐえっ!?」 優希「ロン、24000!」 京太郎「ぎゃあ!?」 優希「ロン、48000ー!」 京太郎「ぐわああああ……!」 まこ「おお、なんとえげつない……」 和「どうやら今日のゆーきは須賀君を徹底的に狙い打ちするみたいですね」 久「喧嘩でもしたのかしら?」 咲「そういうわけじゃないみたいですけど……」 優希「ロン、1500! ロン、1500の一本付けで1800! ロン、1500の二本付けで……」 京太郎「点数が低い分余計なぶられてる気分になる、うおおおおおお!?」 優希(そもそも私がこんなに悩む事になったのも全ては京太郎がヘタレなせいだじぇ! 」 優希「この根性なしめ、ボコボコにして鍛えてやるじょー!) 京太郎「もうトんでる、トんでるからやめ……」 優希「うるっさい! ロン、ロン、ローーン!」 京太郎「誰か優希を止めてくれー!」 【背中を押されて向き合って】 京太郎「」プスプス 優希「ガルルルルル」 咲「京ちゃんが焼き鳥状態になっちゃったよ……」 和「ゆーき、もう須賀君は戦えません! これ以上いたぶるような真似はよしなさい!」 優希「フー、フー……」 優希(ああ、何やってるんだ私は……こんなの自分の思い通りにいかない鬱憤を京太郎に八つ当たりして発散してるだけだじぇ……) 京太郎「くっ……」 久「須賀君、生きてるー?」 京太郎「大丈夫ですよ、部長。 これくらいの惨殺は今までの部活で何度も味わいましたから」 まこ「それは笑顔で言う事じゃないんじゃないかのう……」 京太郎「ははは、まあ今回は優希の気迫もすごかったし、正直ちょっとビビりましたけど……」 優希「……」 京太郎「――彼女がこんなに強いなんて、彼氏冥利につきますよ」 優希「……あ」 京太郎「だけど今度はこうはいかねえからな! 覚悟しとけよ優希」ワシャワシャ 優希「……ひっく」 京太郎「えっ」 優希「うっ、うわあああああん……!」 京太郎「」 咲「あー、京ちゃんが優希ちゃんを泣かせた!」 和「須賀君……ゆーきを悲しませたらどうなるか忠告しましたよね?」 まこ「すまんが味方はできんのう、許せ京太郎」 久「これは色々聞かなきゃいけないわねー?」 京太郎「」 ――…… 久「つまり、須賀君がキスしてくれないから不安になっちゃったのね?」 まこ「それで色々やろうとしたが空回りして、結果さっきのアレになったと」 優希「そうだじぇ……」 和「咲さん、どう思います?」 咲「京ちゃんが悪いね、まさかまだしてないなんて思わなかったよ」 京太郎「うぐうっ!?」 京太郎(なんでだ、なんでいつの間にか俺が裁判の被告みたいになってるんだ!? ) 京太郎(いや、確かにちょっとスローペースかなと思わないでもなかったけどまさかこんなに思い詰めてるとか思うか、普通!) 久「須賀君ってガツガツしてそうに見えて意外に純情だったのね?」 まこ「大切にしたいといったところじゃろうが、それで不安にさせては世話ないぞ?」 和「ゆーきも今回はやりすぎでしたし、思うところがあるなら私からは何も言いません」 咲「京ちゃん、不幸になるなんて私は許さないよ?」 京太郎「……もう、わかった、わかりました!」 京太郎「そんなに言うなら、この場でキスしますよ!」 優希「えっ」 【レモン味とはほど遠いけれど】 久「えーっと、それ本気で言ってるの?」 京太郎「えぇ、もちろんです!」 咲「京ちゃん、自棄になってるんじゃ……」 京太郎「自棄になってなんかいねえよ! ここまで不安にさせたならちゃんとした方がいいだろ!」 和「だ、だからといってここでやる必要は……」 京太郎「今さらするななんて言わせねえぞ! こうなったら見せつける勢いでやってやる!」 まこ「落ち着かんかい、京太郎! 優希だってみんなに見られながらなんて望まんはずじゃろう!」 京太郎「そうなのか優希」 優希「えっ、えっと……」 京太郎「否定しないって事はOKなんだな。 じゃあするぞ」 優希「き、京太郎……」 久「ダメだわ、まるで聞く耳持ってない……このままだと優希のファーストキスが衆人環視の羞恥プレイになってしまう」 まこ「どうするんじゃ、久!」 久「しょうがない……ここは優希のためにも退くしかないわね。 外に出ましょう、みんな」 和「そうですね……優希だって今の状況は好ましいはずがありません」 まこ「部室を変な事には使うなよ2人共!」 咲「……京ちゃん、上手くいったね」 バタンッ 京太郎「……やっぱり咲にはバレてたか」 優希「京太郎? それどういう……」 京太郎「あのな、いくらなんでもみんなが見てる中でキスなんか出来るわけないだろ……」 京太郎「ああ言えば気つかって出てってくれると思ったんだよ」 優希「な、なんだそうだったのか……ホッとしたじぇ」 京太郎「……でだ、とにかくこうして2人っきりになったわけだけど」ギュッ 優希「う、うん……」 京太郎「ごめんな優希。 まさかあそこまで不安がってたなんて、思ってもなくてさ。 こんな形じゃムードもクソもないけどよ……いいか?」 優希「いちいち、聞かないでほしいじぇ……///」 京太郎「……それもそうだな」スッ 優希「あっ、京太郎……」 京太郎「優希……」 「んっ……」 京太郎「……ぷはあっ!」 優希「……///」 京太郎「息止めちまった……やっぱり上手く出来ないもんなんだな……」 優希「顔が熱いじぇ……///」 京太郎「俺も心臓バクバク言ってる……」 優希「……///」 京太郎「……///」 優希「か、帰ろうじぇ! 京太郎!」 京太郎「そ、そうだな! 今日はもう帰るか優希!」 【思春期には刺激が強い】 京太郎「……」ポケー 京太郎「キス、したんだよなあ……」 京太郎「はあ……」ポケー カピ「キュー」トコトコ 京太郎「おぉ、カピー、ちょっと聞いてくれよ」ダキッ カピ「キュー?」 京太郎「俺な、今日優希とキスしちゃったんだよ」 京太郎「ほら、最近家にもよく来るようになった俺の彼女、お前もタコス食わされかけたあいつ」 カピ「キュー」コクコク 京太郎「それでな……そのせいかなんだか知らないけどあいつの顔が今まで以上に頭の中ちらつくんだ」 カピ「キュー」フンフム 京太郎「心臓はうるさいし顔も熱いまんま、母さん達にも心配されちゃって正直困ってるんだよ……なんとなく電話もかけづらいし」 カピ「キュー」 京太郎「俺って確かにあいつが初めての彼女だけど、ここまでになるとはさすがに思ってなかった……」 京太郎「恋は盲目ってこういう事を言うのかもな」 カピ「キュー」 京太郎「でも本当、どうしたらいいんだろうなー……明日どんな顔してあいつに会えばいいんだか」ナデナデ カピ「キュー」 ――…… 優希「……」 優希「……うう」 優希「うわあああああああ!」ゴロゴロ! ユウキ、シズカニシナサーイ! 優希「あっ、ご、ごめんなさーい」 優希「ふうっ……」 優希「とはいっても落ち着くなんて無理だじょ……」 優希「長期戦覚悟の戦いが1日で終わるなんてさすがの私も予想してなかったじぇ」 優希「まさか京太郎とこんな早く、キス……」 優希「あうっ、また顔が熱いじぇ……///」 優希「うー、あー……なんだかソワソワして落ち着かないー!」ゴロゴロ 優希「京太郎に電話しようかな……でも今声を聞いたら頭真っ白になっちゃう気もするし……」 優希「ううっ、私はどうしたらいいんだー!」 ユウキ!イイカゲンニシナイトオコルワヨ! 優希「ま、またやっちゃったじぇ! ごめんなさーい!」 優希「……もう寝るか」 優希「動揺してるのバレるのも嫌だし、明日なんて声をかけようか考えとくじぇ……」 【京太郎、風邪をひく】 京太郎「う、あ……朝か……」 京太郎「なんだ、身体ダルい……起き上がれねえ……」 京太郎「母さーん、ちょっと来てくれー……」 ――…… 咲「えっ、京ちゃんが風邪?」 優希「そうだじぇ、熱も結構高いらしくて電話でもうんうん唸ってた」 咲「あんな事があった次の日に風邪って京ちゃんらしいと言えばらしいね……」 優希「あんな事……うっ///」 咲「あっ、変な事言ってごめんね」 優希「べ、別に構わないじぇ! それより咲ちゃん、今日私部活休むからよろしく頼む!」 咲「えっ、なんで……って聞くのは野暮かな。 うん、いいよ」 咲「部長が来てくれるから練習はなんとかなるし、みんなには私から伝えておくよ。 京ちゃんによろしくね」 優希「ありがとう、咲ちゃん!」 ――…… 京太郎「38度5分……まだまだ引きそうにない、か。 最近ネト麻やってそのまま机で寝ちゃう事も多かったからな……」 京太郎「それにしても、一昨日からの寒気とか昨日顔がずっと熱かったのは熱があったからだったのかよ……」 京太郎「よりによって昨日じゃなくてもいいだろうに……変に悩んだ俺が馬鹿みたいじゃないか」 京太郎「ダルいなあ……どうせ何も出来ないんだし寝るとするか」 京太郎(優希のやつ、どうしてるんだろうな……) ――…… ピンポーン 京太郎「Zzz……」 ピンポーン 京太郎「Zzz……」 ……ガチャッ 京太郎「……んうっ?」 パタパタ 京太郎「母さんか?」 ガチャッ、ギィィ…… 京太郎「母さん、どうかした……あ」 優希「えっと、お、お見舞いに来たじぇ」 京太郎「優希、来てくれたのか……あれ、まだ部活やってる時間じゃないか?」 優希「京太郎が心細いと思って休んできた! どうだ、誰もいなかったし愛しの優希ちゃんが来て嬉しいだろう!」 京太郎「……ああ、嬉しいな」 優希「えっ!?///」 京太郎「なんだよ、その反応」 優希「い、いや、まさか素直に答えられるとは思わなくて……」 京太郎「病気の時くらい素直になるさ……照れ隠しする余裕もないからな。 そういえば誰もいないってお前どうやって入ったんだ?」 優希「京太郎のお母さんから緊急用の鍵の隠し場所を教えてもらってるからな!」ドヤァ 京太郎「なにそれ、俺知らない」 【ただ遊びたかっただけ】 優希「京太郎、頭なんか抱えてどうしたんだじぇ。 もしかして頭が痛いのか?」 京太郎「いや……確かに頭の痛い問題は発覚したけど、本当に頭が痛いわけじゃないから心配するな」 優希「本当に? どこか痛むとかそういうのはないのか?」 京太郎「大丈夫だって。 まあ熱はまだあるし身体もダルいけどさ……あっ、体温計取ってくれないか?」 優希「これか?」 京太郎「サンキュー」 優希「そういえば京太郎、ご飯とかはどうしたんだ?」 京太郎「さっきまで寝てたから何も食べてない。 食欲もあんまりないしな」 優希「それはよくないじぇ! こういう時はちゃんと食べなきゃダメだってのどちゃんも言ってたじょ!」 京太郎「わかってはいるけどさ……んっ、38度ちょうどか」 優希「まだ高いな……よし、わかった。 ここはこの私が京太郎のご飯を作ってやろう!」 京太郎「え゛っ」 優希「遠慮はいらないぞ、これでも少しは練習したからな! 京太郎はせいぜいお腹を空かせて待ってるんだじぇ!」 京太郎「いや、待て、待ってくれ……!」 バタンッ、パタパタ…… 京太郎「マズい…今の弱ってる体で前に食べたようなの食わされたら、俺死ぬかもしれない。そ、それだけはなんとか回避しないと…!」 カピ『キュー』 優希『あっ、カピじゃないか! どうしたんだ、スカートくわえられたら先に進めないからはなしてほしいじぇ』 カピ『キュー……』 京太郎「カピ!? そうか、カピのやつ俺を助けるために優希を止めようとしてくれてるんだな」 京太郎「恩に着るぜカピ、元気になったらいつもよりいっぱい餌をあげるからな……!」 カピ『キュー、キュー!』グイグイッ 優希『うわわわっ!? そ、そんなに引っ張っちゃダメだじぇ、カピ!』 カピ『キュー!』 京太郎「よし、いいぞ。 そのまま優希を引き止めるんだ……母さんさえ帰ってくれば優希が料理をする必要もなくなる!」 優希『まるで私を行かせたくないみたいだじぇ……だけど諦めるほど私はヤワじゃない!』 カピ『キュー!?』 優希『ははは、乗っちゃえばこっちのものだじぇ! おっ、なんだカピ、私をキッチンに連れて行ってくれるのか!』 カピ『キュー♪』 優希『じゃあ出発進行ー!』 カピ『キュー!』 京太郎「……」 京太郎「ははっ、カピはただ遊びたかっただけだったのか……」 【たがはとうに外れてる】 京太郎「どうする、どうすればいい……このままだと俺が腹をこわすのは確定だ」カタカタ 京太郎「布団にくるまってるせいで部屋の外で何が起きているのかわからないのがさらに怖さを引き立たせるぜ……」 優希「京太郎ー、おかゆ持ってきたじぇ!」 京太郎「ああ……」 京太郎(もう覚悟を決めるしかないのか……あれ?) 京太郎「見た目は、美味そうだなこれ……」 優希「むっ、今のはどういう意味だじぇ! 言っただろ練習したって、私は日々成長しているのだ!」 京太郎「確かに見た感じは成長したな……だけどやっぱり食べてみない事には」 優希「なら食べてビックリすればいいじぇ!」 京太郎「わかったわかった……んっ、レンゲがないぞ?」 優希「レンゲならここにあるじぇ」 京太郎「ああ、じゃあそれをこっちに……」 優希「あーん」 京太郎「」 優希「ほれ、早く口を開ける」 京太郎「別に自分で食え……」 優希「いいや、ダメだ! さっき布団に潜ってたしキツいんだろ? こんな時くらい私に甘えるんだじぇ!」 京太郎(こりゃお前の料理にビビってたとか言えないな……) 京太郎(かといって他に上手いいいわけも思いつかない……というかわざわざ拒否する意味もないか……) 京太郎「じゃあ、あーん……」 優希「あーん」 京太郎「んっ……あむっ」モグモグ 優希「ど、どうだ?」 京太郎「……美味い」 優希「本当か!?」 京太郎「嘘ついたってしょうがないだろ……美味しいぞ優希」ナデナデ 優希「え、えへへ……///」 京太郎「……で、これは本当にお前だけで作ったのか?」 優希「……」 京太郎「……」 優希「……帰ってきた京太郎のお母さんに手伝ってもらったじぇ」ガクッ 京太郎「……どうせさっきまで覗いてた母さんに自分が全部作った事にでもしろって言われたんだろ」 優希「えっ、京太郎のお母さんいたのか?」 京太郎「扉の陰にな……いつの間にか帰ってきてたと思ったら何してんだ、そんなに人の彼女に興味津々なのかよ」 優希「み、見られてたのか……なんか急に恥ずかしくなってきたじぇ」 京太郎「別に来たら見せつけてやればいいだろ……それより水くれないか?」 優希「見せつける……わかった水だな、ちょっと待って」ングッ 京太郎「えっ」 優希「……」スッ 京太郎「優希、お前何を――」 チュッ 【ある意味熱が上がる看病】 京太郎「んぐっ!?」 優希「んっ……」 京太郎「……!」ゴクッゴクッ 優希「はぁ……」 京太郎「お、お、おおまおまお前何して……!」 優希「み、水を飲ませただけだじぇ///」 京太郎「だけってなあ!」 優希「騒ぐと治る病気も治らないじょ」 京太郎「誰のせいで……はあ、もう風邪移っても知らねえぞ」 優希「大丈夫だ、私は風邪をひかないと親に太鼓判を押されてるくらいだからな!」 京太郎(それって健康体だって褒めてるのか、それともなんとかは風邪をひかない理論でバカにされてるのか……後者だな) 優希「むっ、今バカにされた気がするじぇ」 京太郎「気のせいだ」 優希「……」ジー 京太郎「そ、それよりご飯の続きをくれないか?」 優希「こっちも口移しにするか?」 京太郎「頼むからやめろ、熱が余計上がって死ぬ」 優希「はーい、じゃあ口を開け京太郎!」 京太郎「あーん……」 ――…… 京太郎「ごちそうさま……えっと水」 優希「水か! 今準備するからちょっと待って……」 京太郎「またやる気か!? そのままペットボトルで俺によこせばいいだろ!」 優希「えー、だって間接キスになっちゃうじぇ……」モジモジ 京太郎「自分がさっきやった事思い出せや!」 優希「あれは看病のためだからしょうがないんだ! さあ、覚悟を決めろ!」ングッ 京太郎「いや、だから俺にだって心の準備が――」 ――只今色々アレな事になっているので見せられません―― 優希「んちゅ……はぁ」 京太郎「お、おい優希……もう、水とか関係なくなってないか? それに冗談抜きで風邪移るぞ……」 優希「……」ポフッ 京太郎「優希……?」 優希「……別に移ったっていいじぇ」 京太郎「へっ?」 優希「京太郎のいない学校で食べるタコス、美味しくないんだじぇ」 優希「前だったらまだ耐えられたけど一歩進んだ矢先にこれなんてあんまりじゃないか……」 京太郎「……」 優希「だから、早く京太郎に元気になってほしいじょ……移して治るなら、それでも私は――」 京太郎「優希」 優希「えっ……」 チュッ 【その気持ちが特効薬】 優希「あ、えっ……///」 京太郎「……今は、それで我慢しとけ。 後そんな事言うなよ」 優希「京太郎……」 京太郎「なるべく早く治すようにするから。 万が一お前が風邪ひいたら、俺もなんか気が抜けるしそれに……」 優希「寂しいのか?」 京太郎「お前なあ……」 優希「違うの?」ウルウル 京太郎「……悪いのかよ、寂しいのが」 優希「そんなわけないじぇ! むしろ京太郎が私にメロメロだってわかって大満足だ!」 京太郎「っ、調子に乗るなっての!」グリグリ 優希「じぇぇ! 頭をグリグリするのはやめろー!」 京太郎「ああ、もうお前今日は帰れ! これ以上いたら本気で風邪移すぞ!」 優希「それはいけないじぇ! 私が風邪で休んだら京太郎が寂しくて泣いちゃうもんな!」 京太郎「このやろ、言わせておけば言いたい放題言いやがって……お前治ったら覚悟しとけよ」 優希「期待しないで待ってるじぇ! じゃあ私は帰る、また明日な!」 京太郎「……おう。 今日はありがとうな」 優希「いいってことだじぇ!」 パタンッ、パタパタ…… 京太郎「全く、これはさっさと治さないとな……」 優希『あっ、京太郎のお母さん! 今日はもう帰りますじぇ!』 優希『えっ、京太郎の事……も、もちろん! 私は京太郎の彼女だから!』 優希『明日? 京太郎が来ないならまた……えっ、京太郎が家で私の事を?』 優希『明日来たら教えてもらえる……了解しましたじぇ!』 京太郎「おい、待て、優希の奴母さんと何を――」 優希『京太郎の秘密本の隠し場所? それは気になる、いや、気になりますじぇ!』 京太郎「おい……!」 優希『そ、そんなところに隠してたのか……京太郎』 京太郎「教えたのか、おい、マジで教えたのか? というか母さん気付いてたのかよ!?」 優希『えっ、これがその中の1つ……?』 京太郎「!?」 優希『あ、うっ……節度さえ守れば別にいいって……』 京太郎「何吹き込んでんだあの親はあああ……」 優希『わ、わかった、じゃなくてわかりましたじぇ! これ読んで勉強して京太郎と……』 京太郎「なんて、事だ……!」 優希『さようならー!』 ガチャッ、バタンッ…… 京太郎「絶対治す、今日中に、治す……!」 【血は争えない】 優希「た、ただいまだじぇ……」 優希「誰もいない……今の内に部屋に戻ろう」パタパタ 優希「……京太郎のお母さんからもらったこれ、どうしよう」 優希「どうせ京太郎の事だからおっきいおっぱいの女の子がいっぱい載ってる本なんだろうな……」 優希「なんかムカつくな……このまま捨ててやろうか。 でもそんな事したらきっと京太郎怒るじぇ……」 優希「……敵を知ればなんとやら、ちょっとだけ、見てみようか?」 優希「こ、これはっ!?」 京太郎「くそっ、どれだ、どれを持ってかれた!? ある、ある、ある……あれ?」 京太郎「俺のコレクション一冊も減ってない……どうなってるんだ?」 優希「ち、小さな女の子ばっかりだじぇこの本……!」 優希「うわ、うわ、うわわわ……///」 ペラッ、ペラッ…… 優希「こ、こんな事して大丈夫なのか!?」 ペラッ、ペラッ…… 優希「~~~~!?」←声にならない パタンッ 優希「あうう、全部読んじゃったじぇ……///」 優希「き、京太郎がなんでこんな本を……あいつ巨乳好きに見せかけたロリコンだったのか……?」 優希「いいや、そんなはずない! そうだったら私のアピールは早い内に実を結んでたはずだじぇ!」 優希「でもこれ、実際京太郎の家にあった本らしいし……も、もしかして京太郎、私とこういう事したいのか……?」 優希「そ、そんなの無理だじぇぇぇ……///」プシュー ――…… 京太郎「……母さん」 須賀母「京太郎、起きてきて大丈夫なの?」 京太郎「汗かいたせいかだいぶよくなった気がする……それより聞きたい事があるんだけど」 須賀母「なあに?」 京太郎「母さん、優希が帰る時本渡してたよな?」 須賀母「あらら、気付いちゃった? ふふ、京太郎のコレクションの中でも一番喜びそうなのを渡しておいたから安心しなさい」 京太郎「いや、何を渡したんだ? 俺のコレクションは一冊たりともなくなってなかったけど」 須賀母「えっ……じゃあ、あのコミックLOって本は……」 京太郎「……たぶん、父さんが俺の部屋に隠したやつだろ。 ほら、父さん……母さんみたいな小さい子好きだし」 須賀母「」←135cm 京太郎(父さんがあんなだから俺は巨乳好きになったはずなんだけどな……血は争えないのか?) 【執念と誤解】 京太郎「……んー、よし! 熱も下がった、身体も支障が出るほどダルくない!」 京太郎「須賀京太郎、完全復活だ!」 京太郎「おはよー」 須賀母「おはよう」 須賀父「」チーン 京太郎「……母さん、父さん魂抜けてるけど」 須賀母「知りません!」プクー 須賀父「俺の秘蔵品がぁ……なんでちゃんと隠してくれなかったんだ京太郎!」 京太郎「知らねえし! つうか息子の部屋に自分の趣味のエロ本隠すなよ!」 須賀父「別にいいじゃないか、京太郎だってこっちに目覚めたんだろう?」 京太郎「違う、俺は小さい子がどうとかじゃなくて優希が好きなだけだよ!」 須賀母「京太郎、よく言ったわ! 父さんみたいに小さい子なら誰でもいいような人にはなっちゃだめだからね?」 須賀父「ゴフッ!?」 京太郎「自業自得だし俺は助けねえからな……じゃあ俺部活あるし早めに出るから!」 須賀母「行ってらっしゃーい」 カピ「キュー」 須賀父「……」ヘンジハナイ、タダノシカバネノヨウダ ――…… 京太郎「さて、急いで優希と合流しねえと……あいつの事だからとんでもない勘違いしてる気がする」 優希「あ」 京太郎「おっ、優希! おはようさん」 優希「あ、う、お、おは……///」 京太郎(あっ、これ完全に勘違いしてるわ) 京太郎「あ、あのな優希、昨日母さんに本渡されたと思うんだけど」 優希「じょ!?」 京太郎「あれはその、なんて言うか……」 京太郎(い、言えねえ……あれは俺の父親の趣味とかそんな事言えるわけないだろ……!) 優希「京太郎……?///」ドキドキ 優希(京太郎、言いにくそうだじぇ……やっぱり京太郎、私とあの本に描いてあったみたいに……) 京太郎「え、えっとだからつまりだな!」ガシッ 優希「ひゅいっ!?」ビクッ! 京太郎「ゆ、優希……あ、あれは!」グイッ 優希「あ、あわわわ……ダメーー!」ドンッ! 京太郎「おわあっ!?」 優希「わ、私あんなの無理だじぇ、無理! だからその」 京太郎「ま、まて優希、話を……」 優希「~~~~!!///」ダッ! 京太郎「あっ、待て優希! 頼むから話だけでも聞いてくれよー!」ダッ! 咲「……相変わらず2人共仲いいなあ」 【2人の歩みはまだまだ続く】 京太郎「な、なんとか誤解が解けた……」 優希「わ、私は京太郎を信じてたじぇ!」 京太郎「どの口が言うんだよ……まあ、そんなわけだから家に来ても父さんには絶対近づくなよ?」 優希「わかったじょ……後これ」 京太郎「ああ、この本はきっちりこっちで処分しとくから」 優希「助かった……正直どうすればいいのか途方に暮れてたじぇ」 京太郎「本当に悪いな、父さんは母さんにしっかり締めてもら……いや、母さんもある意味同罪だから俺から2人にはしっかり言っとく」 優希「うん……と、ところで京太郎?」 京太郎「なんだよ」 優希「京太郎は、私とそういう事したいのか?」 京太郎「はあ?」 優希「い、いや、さっきは逃げちゃったし今だって出来る気はしないけど……も、もし京太郎がしたいなら」 京太郎「ばかやろ」ピンッ 優希「あうっ!? い、いきなりデコピンなんて酷いじぇ!」 京太郎「そりゃしたいかしたくないかって聞かれたらしたいに決まってるけどな」 京太郎「別にお前に無理させて今すぐどうこうしたいとは思わねえよ」 優希「そうなのか……?」 京太郎「まあ、時間はまだまだあるんだし俺達のペースで進めばいいんじゃないか?」チュッ 優希「んっ……」 京太郎「……少なくとも俺は、今はこうしてるだけで満足だぞ?」 優希「……京太郎、顔真っ赤だじぇ///」 京太郎「うっせ、お前に言われたくねえよ///」 和「……」ピクピクッ 咲「の、和ちゃん、落ち着いてね?」 和「わかっています、今何を言ったところで無駄なのは……」 和「だけど誰が来るかわからない屋上であんな事をされたら注意の1つくらいしたくもなります……!」 優希「京太郎」 京太郎「ん?」 優希「やっぱり京太郎は私の婿だじぇ!」 京太郎「は? なに言ってんだお前」 優希「えっ……」 京太郎「お前が俺の嫁になるんだろ、優希?」 優希「じぇ!?///」 京太郎「いやか?」 優希「……いや、じゃないじぇ///」 京太郎「そうかそうか」ニヤニヤ 和「もう誰かあの2人を止めてください……」シクシク 咲「もうあれは言っても治らないと思うなあ……」トオイメ 京太郎「いいか優希、お前は俺の嫁だからな!」 優希「も、もちろんだじぇ、京太郎!」 【ちょっとした未来のお話】 実況『さあ、第1回ペア麻雀大会もとうとう決勝! はたして栄冠を掴むのはどちらのペアなのか!』 咲「はあ……」 照「どうしたの咲?」 咲「私決勝棄権したい……」 照「どうして?」 咲「だって……このペア麻雀大会で勝てる気が全くしないんだもん」 実況『さあ、既に卓についている宮永姉妹に少し遅れて現れたのは今回全試合をトビ終了させた優勝候補!』 ?「緊張、するな」 ?「ここで勝てば初めてのタイトル獲得だから?」 ?「それもあるけど、相手が咲とそのお姉さんだからな……俺達のやり方が通用するかどうか」 ?「……大丈夫」ギュッ ?「えっ?」 ?「私達が負けるわけがない。 私達はこの大会を皮切りにペア麻雀無敗神話を築くんだからな!」 ?「……そうだな」 ?「頼むじぇ、あなた!」 ?「おっ、その舌っ足らずな喋り方も学生時代以来で懐かしいな……任せとけ奥さん」 実況『その麻雀はペアでこそ真価を発揮する! 』 実況【個人ではタイトルこそ取れないものの、初心者への指導力から今やテレビで見かける事も多い【牌のお兄さん】!』 実況『差し込み率はプロ内トップ! 麻雀界屈指の名サポーター! 須賀京太郎!』 京太郎「嬉しくねえ紹介だなおい!」 実況『そのパートナーは今年オリンピック東風戦部門を大会記録を大幅に塗り替えて優勝した期待のルーキー!』 実況『今回のペア麻雀大会も須賀京太郎プロのサポートで全ての対戦相手を東場でトバしてみせたその姿はまさに【東風の女神】!』 実況『この大会で夫婦そろってタイトルホルダーとなれるか! 須賀優希!』 優希「今日はいつも以上に暴れてやるじぇ!」 咲「久しぶりだね、京ちゃん、優希ちゃん」 京太郎「おう、オリンピック以来だったか? 相変わらずのほほんとしてるな咲」 咲「むっ、それどういう意味!」 優希「……こうして戦うのはインターハイ以来だな、チャンピオン!」 照「そうだね」 優希「あの時の雪辱今こそはらす! 今度は負けないから覚悟するんだな、宮永照!」 照「今度も、負ける気はない……」ギュルルルル 京太郎「積もる話は後にしとくか……やるぞ優希!」 優希「おう、サポートは任せた京太郎!」 京太郎・優希「それと言わせてもらう……」 京太郎・優希「この試合、南場は来ない!」 【えげつないプロ雀士】 実況『さあ、今回の対局もいよいよ南3局! 一位はモブAプロ! 』 実況『次いで須賀プロと続き、モブCプロ、モブBプロが大差をつけられてラスという形になっています!』 京太郎(さて、と……そろそろやるか) 京太郎「カン」 実況『おっと、ここで須賀プロがカンをしました! しかし、これはむしろモブBプロの手牌のドラを増やしてしまっていますが……』 京太郎(モブAプロの当たり牌はたぶんこれだから握り潰して……次にやる事はと……) 京太郎「ポン」 実況『須賀プロ、鳴いてモブAプロのツモ番を飛ばしました! しかしこれで須賀プロはますます和了りにくく……』 モブBプロ「あっ……ツ、ツモ! 三倍満、6000の12000!」 実況『なんとここでモブBプロが三倍満をツモ和了りで二位に浮上! 』 実況『親被りでモブAプロは三位転落、須賀プロが棚ぼたで一位に浮上しました!』 モブAプロ(くそっ、須賀プロがカンしなけりゃここまでの痛手にはならなかったのに……!) 京太郎「……」 モブCプロ(というか、須賀プロがさっき鳴かなかったらモブBプロはツモれなかった……やばくねこれ) モブBプロ(やった、二位浮上! このまま須賀プロをまくってやる!) 京太郎「ん、ツモ。 300、500」 モブBプロ「んなあっ!?」 モブAプロ「おう……」 モブCプロ「やられた……」 実況『し、試合終了! なんと棚ぼた一位だった須賀プロが最後にゴミ手を和了ってそのまま逃げきりましたー!』 京太郎「お疲れ様でした!」 モブプロ「……お疲れ様でした」 京太郎(ふう……やっぱり東場でメチャクチャにひっかき回されたり) 京太郎(デジタルの極致で早和了りされたり、嶺上開花で責任払いさせられまくる事がない卓は楽でいいわ) 京太郎「弱い奴は弱いなりの戦いをさせてもらいますってな……おっとそろそろ麻雀教室の時間だ、急がないと!」 【こっちもえげつない】 優希「ダブルリーチ!」 実況『プロ大会東風戦部門はまさに波乱の展開となっております! 』 実況『ただいま東一局四本場、ここまで和了っているのは片岡……失礼しました』 実況『須賀優希プロただ1人! 他の面子はただひたすらに須賀プロに点棒を支払わされ続けています!』 優希「ツモ! 跳満6000オールの四本付けで、6400オール!」 実況『またもや須賀プロが和了りました! いくら宮永プロなどが参加していないとはいえこれはまさに圧倒的な戦いとなっております!』 優希「ポン、ポン!」 実況『須賀プロ、連続で中と白をポン! これは来るのか、来てしまうのかー!』 優希「ツモ、大三元。 16000オールの五本付け、16500オール!」 実況『決まったー! 須賀プロ、役満を和了って他三家をトバし、見事勝利を勝ち取りました!』 優希「ありがとうございました!」 モブプロ「」チーン 優希(やっぱり京太郎がいないと速さがちょっと落ちちゃうな……) 優希「私は、私達は咲ちゃん達みたいな魔物になれないならこうやって地道に頑張るしかない……今日も京太郎と特訓しよう」 優希「あっ、京太郎の麻雀教室が始まっちゃう! 急がないと!」 ――そして、時は経ち 京太郎「いよいよ今日か……長野県予選の解説とか緊張するなー、優希も一緒とかよけいに緊張するよ」 優希「でも一番緊張してるのは……」 京太郎「やっぱりあいつらかな?」 優希「私達、この前つい本気出しちゃったし……」 京太郎「あいつらときたら人のコンビ打ちを真似するんだもんなー、あれに焦ってつい昔みたいな事しちまった」 優希「……あの子達勝てるかな?」 京太郎「勝つさ、だけどまあ……解説する時は贔屓目なしでな?」 優希「もちろん! むしろ下手な打ち方したらお説教!」 京太郎「怖い怖い……それじゃ行くか」 優希「うん!」 実況『さあインターハイ長野県予選がいよいよ始まります!』 実況『前大会は名門風越がインターハイ過去5連覇の清澄をくだし全国へのキップを手にしたが、落ち目の清澄はどうなるのか!?』 京太郎「好き勝手言うよ……清澄は元々5連覇を始めたあの時代がすごすぎたんだ。 その後も正直あの時代には到底及ばなかった」 優希「でも今年はきっと違う。 だって今年の清澄には」 京太郎「身内びいきなしでも強い俺達の子供達がいるんだからな」 カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6418.html
夕 京太郎「打ち上げに行くか、っと場所は―――」 京太郎「遅れましたー……あ」 怜「お、男子チャンピオンさんや」ヒュードロ 竜華「よお来たなー」ヒュードロ 京太郎「ど、どうも、なんで二人とも白装束なんですか?」 竜華「ふっふっふーそれはなぁー」 咏『やめろ!その服だけはやめろおおおお!』 浩子『ええやないのええやないの』 咏『嫌だあああああ!』 京太郎「あ、ちょー嫌な予感」 京太郎「文化祭で使った衣装のまんまパーティーって正気ですか」 郁乃「私はそこまで恥ずかしい恰好やないからな~」 京太郎「まさかここまで計算して!?」 郁乃「さ~どうやろな~」 京太郎「ぐぬぬ……」 郁乃「着替え終わったことやし、どっか適当なテーブル行って食べてきや~」 京太郎「言われずともその気でしたよ」 郁乃「ん~なんか傷つくな~」 憩「お肉もらいますーぅ!」 エイスリン「ワタシモ!」 霞「エイスリンちゃん、袖危ないわよ」 エイスリン「アッ」 京太郎「ここ、座ってもいいですか?」 霞「ダメって言ったらどうするの?」 京太郎「他のテーブルに行きますけど」 エイスリン「ダメ!」 京太郎「えっ」 エイスリン「キョウタロー、コッチ!」 京太郎「なんだそういうことですか」 憩「せやったら京太郎くんはウチの隣やな」 エイスリン「ワタシノ!」 霞「エイスリンちゃんの隣は私なのだけれど」 エイスリン「アッ」 霞「ナチュラルに酷いわね」 京太郎「これで鍋終了ですか」 霞「はやかったわねー」 エイスリン「マンプク!」 憩「これで何かデザートでもあればええんやけど」 霞「この後の二次会で頼めばいいんじゃないの?」 京太郎「二次会なんてあるんすか」 霞「今日文化祭に来てた人とかともいるかもしれないけどね、結構大きい店よ」 京太郎「へー、あ、デザートと言ってはなんですけど」 京太郎「きのこの○山買ってきたんですよ、いります?」 霞「はぁ?」 憩「きのこ!ちょうだい!」 京太郎「はいどーぞ」アーン 憩「ん~おいしいわぁー」 エイスリン「ア○ルフォート……」 霞「ちょっといいかしら?何?きのこ?京太郎くんはきのこ派だったの?」 京太郎「派ってわけではないっすけど」 霞「きのこ派じゃなかったらたけのこも買ってくるでしょ、なのにたけのこ買ってこないって貴方の目は節穴なのかしら?」 京太郎「えっ、ええぇぇぇ」 憩「えーきのこおいしいやないですかー」ブー 霞「きのことか笑止千万、あんな棒っきれ一掴みで粉々よ」 京太郎「そりゃ掴んだら粉々でしょうよ」 霞「じゃあ貴方たちはきのこのどこがいいのか教えてくれるかしら?」 京太郎「だから俺はきのこ派でもたけのこ派でもないですから」 霞「はっ、どうだか、憩ちゃんは?」 憩「ウ、ウチは……あの形が……」ゴニョゴニョ 霞「不潔ね」 憩「」ガーン 霞「エイスリンちゃんは……ああ、ア○ルフォートとか言うぽっと出だったかしら」 エイスリン「ア○ル!オイシイ!」グスッ 京太郎(なんでこんな険悪な雰囲気になってんだよ……) 郁乃「とうちゃ~く」 京太郎「ここですか、結構大きいですね」 雅枝「よく千里山の打ち上げでも使っとるからな、お得意様やで」 咏「んじゃーさっさと入ろーぜー」 ガチャ やえ「たけのこだ!」 菫「いやきのこだ!」 咏「……失礼しましたー」 菫「ほれ照、牛肉だぞ」 照「アイスが食べたい」 菫「栄養もしっかり摂れよ」 憩「」ジーッ 菫「何を見てるんだ?」ポヨン 憩「ハムッ、ハフハフ、ハムッ!」ガツガツ 京太郎「ちょっ、そんなに食べたら危ないですよ」 憩「食べないと大きくなれないんや!」ガツガツ 京太郎「えぇぇ……」 照「……京」クイクイ 京太郎「どうした?」 照「アイス持ってきて」ボソボソ 京太郎「わかった、味は?」 照「……なんでもいい」 京太郎「了解」 京太郎(とは言ったものの、他の二人の分も持っていくか) 京太郎(どれがいいかな……) 照「……京はわかってない」 菫「……サク○レか……」 京太郎「ええっ、どっちもおいしいじゃないですか!」 菫「そう言いながら○ガリ君を食べてるのがお前という男だ」 憩「ウチは梨味大好きやで!」 京太郎「そういってくれるのは憩さんだけです、ありがとうございます」ナデナデ 憩「えへへ~」 照「……」ムッ 照「やっぱり京はわかってる」 照「だからなでなでして」 京太郎「ごめんどういう理屈かさっぱりわからない」 京太郎「俺も梨味好きですよ」ナデナデ 憩「梨味ナンバーワンやな~」 照「むむむ……」ズーン 菫(えっ、何なのカップルなの?) 京太郎「打ち上げ終わり、今日も疲れたな」 京太郎「今日の〆は何をしようか」 夜 京太郎「寝る前にメールでもするか」 京太郎「照辺りにするかな」 京太郎『今日は楽しかったか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『すまない、照は寝ている』 照『後で返信させるから待っていてくれ』 京太郎「いや、じゃあ……」 京太郎『誰なんだよアンタ』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『弘世菫だ』 京太郎『整理させてください』 京太郎『弘世さんは寝ている照の携帯を見て』 京太郎『俺に返信した、と』ピッ ヴーッ ヴーッ 照『つまりは照に変身したわけだ』 ヴーッ ヴーッ 照『すまない忘れてくれ』 照『それではまた会おう』 照『おやすみ』 京太郎『おやすみなさい』ピッ 京太郎「まだ新幹線なのかな……いやそれにしても友だちの携帯なんて見るかふつー……」 京太郎「なんとなく怜さんにメールしよ」 京太郎「そうと決まれば……」 京太郎「とりあえず憂さ晴らしでも」 京太郎『チャンピオンなので今度そっちにお邪魔しますね(ドヤッ)』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『うわ、なんか腹立つわ』 怜『練習やなくて雑用にこきつかったる』 京太郎『嘘です嘘です冗談です!』 京太郎『練習させてくださいお願いします何でもしますから!』ピッ 京太郎「あっ、咄嗟に変なもん書いちまった」 ヴーッ ヴーッ 怜『何でもかーまあ考えとくわ』 怜『そうそう、千里山は女子高やから』 怜『今日のコスプレ似合っとったでー』 京太郎『……つまりまた女装しろと』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『そうやないと校内入れへんからな』 京太郎『マジですか……』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『でもアレやで、ハーレムやで』 怜『右手に正妻、左手にオトコ系美少女』 怜『背中に爽やか美少女、膝に超絶病弱美少女』 怜『どや、最高やろ?』 京太郎『……ですね!』 京太郎『よっしゃー今から楽しみだー!』ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『ほなそろそろ寝るわ、おやすみ』 京太郎『おやすみなさい』ピッ 京太郎「……おお」 京太郎「なんか知らないけど興奮してきた!」 京太郎「明日からも頑張るぞー!」 【10月第2週 休日】終 【10月第3週 平日】 京太郎「文化祭終わり!」 京太郎「今週末は選抜の合宿か、そろそろオーダー決めとかするのかな?」 京太郎「今週も頑張って行こう!」 京太郎「今朝も相変わらずのぼっちだったんだぜ!」 咏「ふーん」 和「そうですか」 京太郎「あれ、二人とも冷たいなー」 咏「お前が誰と来ようと知らんし」 和「同感です」 京太郎「うわっ辛辣」 昼 京太郎「ご飯の前には手洗いっていうけどそんなんあんまり気にしないよな」 京太郎「とりあえずトイレトイレーっと」 京太郎「あっ」 和「あっ」 和「またお手洗いで弁当ですか……」 京太郎「ち、違わい!トイレだよトイレ!」 和「でも、友だちいないんでしょう?」 京太郎「憐れみの目で見ないで、ちょっと辛い!」 和「よろしければお昼を一緒に、というのもやぶさかではないのですが」 京太郎「だからただのトイレだから!大きい方だから!」 和「えっ……」ドンビキ 京太郎「あっ」 京太郎「…………」 京太郎「」ダッ きょうたろう は にげだした! 京太郎「なんかもう、なんだかもう疲れた……」 京太郎「もう帰ろっかな……」 放課後 京太郎「今日も練習に来たぞ」 絹恵「あ、京太郎くーん」 京太郎「絹恵さん、こんにちはー」 絹恵「うん!ええ挨拶やな!」 京太郎「今日も一緒に頑張りましょうね」 絹恵「京太郎くんこそな!」 京太郎(相変わらず何もすることがなくて困る) 良子「やあ、また来てたんだね」 京太郎「良子さんに会うためですよ」 良子「ふむ、ずいぶんとグラッドなことを言ってくれるね」 京太郎「紅茶かコーヒー、いりますか?」 良子「それじゃあ今日は紅茶で」 京太郎「了解です」 京太郎「アールグレイ?ですね」 良子「うん、ありがとう」 良子「そういえばキャンプの件なのだけれど、場所は東京になったよ」 良子「最近できたばっかの旅館を取っておいた」 京太郎「東京ってことは……白糸台と、ですか?」 良子「というよりは関東選抜の最終候補+αといったところだね」 良子「こちらも同じく最終候補14名で向かう、オーケー?」 京太郎「オーケーです」 良子「よし、それじゃあ事務連絡も終わったことだし、何か話さない?」 京太郎「いいんですか?コーチともあろうお方が」 良子「京太郎と話すのは楽しいからね」 京太郎「大丈夫なのか選抜……」 京太郎(良子さん、元気そうだけど友だち出来たのかな) 京太郎(まさか俺以外に友だちがいないとか……なんか嬉しいけど悲しい) 京太郎(聞いてみるか) 京太郎「良子さん、最近は友だち出来ましたか?」 良子「よく聞いてくれた!」 良子「実はこの前初めて針生アナと福与アナと食事をしたんだよ!」イキイキ 良子「お二人ともいい人で本当に楽しかったよ」 京太郎「そういえば針生アナの連絡先は持ってたんでしたっけ」 良子「インターハイのときにお世話になったからね」 京太郎(同年代で同性の友だちが出来たのか、とすると俺はもうお払い箱かな、なんだか複雑な気持ちだけど) 京太郎(良子さん嬉しそうだし、なんて言えばいいんだろう) 京太郎(なんかちょっぴり悔しい気がする……) 京太郎「じゃあ!じゃあですね!」 良子「ん?どうした」 京太郎「俺とも今度食事に行きませんか?」 良子「えっ?」 良子「そっそれって……デート?」 京太郎「デートじゃないですよ、友だちとしてです」 良子「だ、だよね!」アセアセ 京太郎「それで、いいですか?」 良子「うん、もちろん!いつにする?」 京太郎「そうですねー……」 京太郎「この練習が終わった後でいいでしょうか?」 良子「了解、楽しみに待ってるよ」 京太郎「はい、それではまた後で」 京太郎(良子さんと食事かー楽しみだな) 京太郎(そろそろ対局に入ってみよう) 京太郎「さて空いてる卓はーっと」 雅枝「須賀、こっち入れ」 霞「私たちと打ちましょうか」 洋榎「京太郎が最後の一人かーウチの勝ちも同然やな!」 雅枝「須賀ー洋飛ばしたらなんかご褒美やるわ」 洋榎「えっなんで!?」 霞「ツモ、4000・8000」 京太郎「」ズタボロ 洋榎「京太郎大丈夫かー?」 京太郎「あはは……」 雅枝「よーし、ほなもう一局いくでー」 霞「監督、京太郎くんはもう……」 雅枝「うーん……それじゃあ戒能コーチ入ってや」 洋榎「どんだけウチを虐める気なんや!おかしいやろ!」 京太郎「あはは……」 京太郎「練習終わり……ああ、なんかへこむな……」 良子「ごめん、遅れたね」 京太郎「いえ、いいですよ」 良子「それじゃあ行こうか、どこに連れて行ってくれるんだい?」 京太郎「えーっと、ここですね」 京太郎「ここですね」 |ワグナ○リア| 良子「ワグナ○リア?」 京太郎「最近人気があるみたいですよ」 良子(……ワグナ○リア) 良子(そういえばこの前……) 恒子『ここの近くにワグナ○リアっていうレストランがあるらしいよ!』 えり『それがどうかしたんですか?』 恒子『あっれー針生アナ知らない?最近このへんのカップルに大人気なんだってさ!』 良子『だったら私たちが行くことはないのでは?』 恒子『いやーでも一回は行ってみたくない?』 恒子『戒能プロは彼氏ができたらしいし針生アナだって……』プクク えり『だから彼はそんな人じゃないですから!』 良子『ボ、ボーイフレンドなんていませんから!』 恒子『ええ~ほんとに~?』 良子(やっぱり京太郎は私のこと……)カァァ 京太郎「良子さん、どうかしましたか?」 良子「どうもしていないノーウェイノーウェイ」 良子「それじゃあ何を頼もうかな!」 京太郎「結構迷いますね……」ウムム 「ご注文はお決まりでしょうかー?」 京太郎(なんで刀なんか下げてんだこの人……) 京太郎「俺はこのえびフライプレートで、良子さんは?」 良子「私も同じので」 「はい、それでは彼女と食べよう!タルタルソース付えびフライプレートがお二つ、でよろしいでしょうか?」 京太郎「えっ」 良子「えっ」 「えっ?どうかなさいましたか?」 京太郎「なんでもないです、お願いします」 「かしこまりましたー」 京良(品名ちゃんと呼んでなかったー!) 京太郎(やばいやばいよ、良子さんに変な目で見られるよ!) 良子(京太郎……私なんかが彼女……)プシュー 京太郎「…………」 良子「…………」 京太郎(気まずい!気まずいぞこれ!) 京太郎(どうにかして空気を変えないと!) 京太郎(どうしようどうすればいいんだ!) 京太郎(でも、良子さんも同じのを頼んだんだよな) 京太郎(ということは良子さんもちゃんと品名を読んでいなかった?) 京太郎(なーんだ、そんなことだったんだな) 京太郎「つまり……そういうことです」 良子「そ、そういうこと……って」 良子(京太郎は私を彼女だと思っている?) 良子(でもさっきはデートじゃないって……) 良子(決心したってことなのか?)カァァ 良子「わ、私も……」 良子「これから、よろしく///」カァァ 京太郎(よろしく?よくわかんないけどわかってもらえたみたいだ) 「お待たせいたしましたー、どうぞごゆっくりー」 京太郎「それじゃあ食べましょうか」 良子「うん……」カァァ 良子(私が彼女……でも彼女って何をすればいいんだ?) 良子(この前買った本によると……) 良子(あーん、だっけ?) 良子(…………) 良子(こんなパブリックなところでやるのは……恥ずかしい) 良子「……」モグモグ 京太郎「……」モグモグ 良子「きょ……京太郎」 京太郎「なんですか?」 良子「そ、その……だな……」モジモジ 良子「あ……」 京太郎「あ?」 良子「あ!アイス!アイスがほしい!」 京太郎「ですね、ここいら辺ちょっと暑いですし」 京太郎「頼みましょうか」ピンポーン 良子「……ありがとう」 良子(なんでヘタれるんだ私のバカ!) 京太郎(良子さん楽しんでくれてるみたいだな) 【帰り道】 京太郎「えびフライおいしかったですねー」 良子「うん……そうだね」 良子(緊張しすぎて味なんてわからなかった……) 京太郎「それじゃあ俺はここまでですね、良子さんはまたビジネスホテルに泊まってるんですか?」 良子「なかなかいいホテルだよ、京太郎も来る?」 京太郎「いやいやいや!そんなことしたら流石にまずいですって!」 京太郎「もしサタデーとかに撮られたらどうするんですか!」 良子「そうだね、京太郎に迷惑がかかるし」 京太郎「他の人にもそんなこと言っちゃだめですからね、誤解して襲ってくるかもしれませんし」 良子「……うん」 京太郎「夜遅くなると危ないですし、そろそろ行きますね」 良子「グッナイ」 京太郎「今度は合宿でー!」ブンブン 良子「じゃあねー!」ブンブン 良子「……ふぅ」 良子「京太郎が心配してくれている……ハッピーな気分だよ」 良子「あと二年か……」 京太郎「合宿は東京って言ってたよな」 京太郎「なら挨拶でもしておくべきだよな」 京太郎「でも誰にしよう……」 京太郎「照とか淡にしてもあんまり意味ないし、弘世さんか小走さんか辻垣内さん?」 京太郎「いや、ここは渋谷さんにしよう」 京太郎「気楽な内容で行こう」 京太郎「ここは丁寧にあいさつからいくか」 京太郎『突然のメールすみません、須賀です』 京太郎『今度の合宿よろしくお願いします』 京太郎「送信っと」ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『こんばんは』 尭深『こちらこそよろしくね』 尭深『それはそうと、どうして須賀くんが挨拶なんて?』 京太郎「部外者から見ればわからないよな、説明しておくか」 京太郎『一応俺もその合宿についていくことになってるんですよ』 京太郎『だから挨拶を、と思いまして』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『そういうことなんだ』 尭深『それなら弘世部長か小走先輩の方がよかったかもね』 京太郎「そういえばそうだよな……」 京太郎「渋谷さんは照と淡の間の学年なんだよな」 京太郎「そこいらへんも訊いておくか」 京太郎『ところで、照と淡が面倒かけてませんか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『宮永先輩も淡ちゃんも私のお茶菓子食べてくれるし』 尭深『二人ともいい子だよ』 尭深『須賀くんは心配性なのかな?』 京太郎『心配性というか、まあそうですね』 京太郎『バカ二人がお世話になってます』 ヴーッ ヴーッ 尭深『まるで二人のお兄ちゃんみたいだね』 京太郎『そう見えますか?』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『とっても、ね』 尭深『そういう人がいるのってちょっといいかも』 京太郎『ふっふっふ、別に俺を頼ってもいいんですよ?』ピッ ヴーッ ヴーッ 尭深『じゃあそうしてみようかな』 尭深『悪いけどそろそろ寝るね』 尭深『合宿でも頑張ろうね、お兄ちゃん』 尭深『おやすみ』 京太郎「渋谷さんからお兄ちゃん……かぁ」 京太郎「いいね!」 京太郎「あのメンバーのなかで一番のおっぱいだったし、なんか燃える」 京太郎「俺もそろそろ寝るかな」 【10月第3週 平日】終 【10月第3週 休日】 【合宿1日目】 雅枝「説明は以上や」 雅枝「合宿中は各自自分の実力のために尽力するように」 雅枝「あー、そうそう合宿中テレビの密着取材が入るさかい、そこんところよろしく」 雅枝「ほな各自対局開始!」 京太郎「あのー、良子さん?」 良子「何かな京太郎」 京太郎「良子さんこの前東京のホテルって言いましたよね?」 良子「ここも十分立派な東京のホテルじゃないか」 京太郎「立派ですとも、ええ立派です、立派ですけども!」 京太郎「なんで、なんでこんな山奥なんですか!?」 京太郎「新大阪から東京まで来たぞ!って浮かれてたら電車に乗って」 京太郎「どこで降りるんだろうなーとか考えてるうちに終点まで来てるし!」 京太郎「まあまだそれは良しとしてですね」 京太郎「ここって旅館じゃないですか!」 良子「旅館もホテルじゃないか?」 京太郎「なんか違うんですよ!」 良子「な、なるほど……」 良子(よくわからない) 京太郎(あれ、俺って何が言いたかったんだろ……) 京太郎「大体の人にも挨拶したし、何しよう」 良子「京太郎、暇なの?」 京太郎「良子さん……そうなんですよ、よかったらまた特訓してくれますか?」 良子「うん、私におまかせあれ!だよ」ムネハリッ 京太郎「おおぅ……」 京太郎「シャープシュート」ゴッ 良子「いいぞ、雰囲気でてる!」 京太郎「それじゃあ次ですね」 京太郎「カン!カン!もいっこカン!」 京太郎「麻雀って楽しいよね!」ニッコリ 良子「うん、いいよ」グッ 良子「うまく私の真似ができるようになってるね、流石は京太郎だよ」 京太郎「えへへ、そうですか?」 良子「それじゃあ次に行ってみようか」 京太郎「今度は負けませんからね!」 良子「ふふん、どうかな」 良子「ねえ、京太郎、よかったら私の力を身に着けてみない?」 京太郎「身に着ける、ですか?」 良子「うん、本家に伝わる簡単な儀式なんだけど、どう?」 京太郎「うーん……なんか怪しいですけど」 良子「大丈夫だよ、三十分でもあれば終わるし、疲れるのは私だけだから」 京太郎「それも少し……悪い気が」 良子「やっぱり……ダメ?」ウワメヅカイ 京太郎(唐突に可愛いんですけどなにこれ!) 良子「京太郎?」 京太郎「わかりました、ただし安全にお願いしますよ」 良子「うんっ!」 【儀式終了】 良子「儀式終わり!どうかな?」 京太郎「」ハナヂドバァ 良子「あれ?京太郎?京太郎?」ユッサユッサ 京太郎(お互い裸になって体を寄せ合う儀式とか……)チラッ 良子「京太郎?」タユンタユン 京太郎(そんなん考慮しとらんよ……)ドバァ 昼 憩「おーい、京太郎くーん!」 淡「こっち来なよ!」 京太郎「うげっ」 淡「なんだようげってー!」ウリウリ 憩「せやでーこっち来て一緒に打とうやー」 尭深「あ」 京太郎「あっ渋谷さん助けて!」 尭深「お茶入れたけどいる?お兄ちゃん」ニコッ 京太郎「」ブフォッ 憩「お……お兄ちゃん?」 淡「なるほどー京太郎はそういう趣味なんだ……」 京太郎(あれっ、なんかやばい感じ) 憩「ほなこっち来て打と!お兄ちゃん!」ニコッ 淡「お兄ちゃんは私のだよ!ね?お兄ちゃん」ニコッ 尭深「お茶熱いから気を付けてね、お兄ちゃん」ニコッ 京太郎(何この状況どうすりゃいいの……) 京太郎「ロン、これで俺の勝ちだな」 淡「あわわわわ」 淡「まさかお兄ちゃんに負けるなんて……」 京太郎「いつまで続けるんだそれ」 尭深「はい、お茶」 京太郎「渋谷さんはもどったんですね」 憩「ウチがトップやー」 尭深「うん、言葉にすると恥ずかしいから」 淡「ねーねー京太郎!お昼食べに行こうよ!」 京太郎「はいはい、勝手に行ってこい」 憩「ウチ!ウチがトップやで!」 淡「むぅ、京太郎酷いよ!」 京太郎「ふふん、俺に勝ってから言うんだな!」 淡「わかったよ!じゃあもう一局だ!」 京太郎「受けて立つ!」 京太郎「昼でも食いに行くかなーってここいらへんで食べられる店ってないんだよな」 京太郎「食堂行こ」 「なあ!みんなでプール行かねえか?」 「この前できたあそこっすか?」 「そうそう!タダ券もらったから、どうだ?」 「……私なら大丈夫」 「お姉ちゃんも泳げないでしょ」 「……泳げるもん」 「じゃあ決まりっすね、みんなで行くっす!」 雅枝「須賀、どないした?」 京太郎「はっはい!なんでしょうか!」 雅枝「飯食べ終わったんやったら練習や練習」 京太郎「いやーまだデザート頼んでなかったんで」 雅枝「ほな話しながら食べよか」 京太郎「おっ、いいですね」 雅枝「なんか聞きたいこととかあるやろ、どや?」 京太郎「そういえば……」 雅枝「なんや?」 京太郎「監督の旦那さんって一体どんな人なんですか?」 雅枝「旦那……」 雅枝「……はぁ」 京太郎「あっ、すみません」 京太郎「踏み入ったこと聞いて……」 雅枝「いや、別にええんや」 雅枝「あの男はほんまに……最悪や」 京太郎「あれ?お亡くなりになったとかじゃ?」 雅枝「そうなってくれたらええんやけどな、もう離婚したわ」 京太郎「やっぱりすみません……」 雅枝「いつかは話すことになるかもしれんから別にええわ」 京太郎「……いつかは?」 雅枝「私が須賀にお義母さん呼ばれるかもしれんからな」 京太郎「あ……あー」 雅枝「絹も洋も、泣かせたら承知せんで、ええな?」 京太郎「いつかは監督を鳴かせるかもしれませんよ?」 雅枝「はっはっは、後で覚えとけよ」ニッコリ 雅枝「私は先戻るわ、ほなまた」 京太郎「さよならー」 恒子「ほうほう須賀京太郎くんは熟女にまで手を出している、と」 みさき「これは大スクープですね」 京太郎「ちょーっと待ってくださいそこのお二人さん」 恒子「ありゃ、ばれちゃった?」 京太郎「ばれるも何もないですよ」 みさき「この子が有名な須賀京太郎くんですね……」 えり「有名も何もインターハイ優勝者でしょうが」 みさき「あ、そうでしたね」 えり「村吉アナはツッコミ側だと思ってたんですけど」 みさき「針生アナがいるのでまあ多少は」 京太郎「どうしてお三方がここにいるんですか……」 恒子「聞いてなかったかな?ここに取材が入ってるって」 京太郎「でも別々の局ですよね、それに三日もいるつもりですか……」 恒子「そのくらい話題性があるってことだよ、あ、私たちも練習に参加したりとかもするから」 京太郎「麻雀できるんですか?」 えり「ルールとセオリーは十分覚えてますから」 みさき「だてにアナウンサーやってませんからね」 京太郎「まあそういうことなら」 恒子「そーそー、その意気だぞ少年!後で麻雀教えてねー」 京太郎「えっ?」 えり「そういうことなので失礼します」 みさき「これ私の名刺です、どうぞ」 京太郎「あっはい」 恒子「そんじゃねー」 えり「失礼します」 ガララ 京太郎(なんだよこの合宿ー!) 昼 京太郎「食後の腹ごなしにちょっと打つか」 京太郎「どの卓が空いてるかなー」 智葉「須賀、ここにいたのか」 京太郎「辻垣内さんじゃないですか、どうしたんすか?」 智葉「うちの監督が用があると言ってな、とりあえずついてこい」 京太郎「は、はあ……」 智葉「監督、連れてきました」 臨海監督「おっ、来たか」 京太郎「初めまして、須賀京太郎です」 臨海監督「初めまして、うむ中々にハンサムじゃないか」 京太郎「どうも、監督さんこそスーツが似合っててかっこいいですよ」 臨海監督「世辞がうまいな、気に入ったよ」 臨海監督「そんなに硬くならなくていい、そこに座ってくれ、サトハも」 臨海監督「前から常々君とは打ってみたいと思っていたんだ、興味を持つと我慢できないタイプでね」 臨海監督「三麻もいいが、あと一人誰か欲しいな……」 明華「私が入りましょうか?」 臨海監督「ミョンファか、よろしく頼む」 明華「須賀さん、よろしくお願いします」 京太郎「いえこちらこそ」 智葉「それでは始めましょうか」 京太郎(臨海の監督さんにレギュラー二人ってなんか緊張する……) 臨海監督(スガ……カイノウに似ている打ち手だ) 臨海監督(地区予選ではアラカワ、インターハイではミヒロギと似た打ち方をしていたがこれは一体どういうことなんだ) 臨海監督(そして、これで終わりだ) 臨海監督(……パールハーバー) 臨海監督「ツモ、海底面清、4000・8000」 臨海監督「三人ともトビだな」 智葉「」チーン 京太郎「」チーン 明華「」チーン 臨海監督「面白い対局だったよスガ、来年はうちに来ないか?」 明華「またですか監督……」 智葉「面白いも何も一方的なタコ殴りだったのですが……」 京太郎「そもそも臨海って女子校じゃないんですか?」 臨海監督「大丈夫大丈夫、金さえかければ何とでもなるから」 京太郎(絶対ダメな大人だよこの人……) 夕 臨海監督「午前の様子を見るに、スガは暇なそうだが、どうだ?私と特訓でもしないか?」 京太郎「まあ確かにやることないですね」 臨海監督「よし、なら早速取りかかろう」 京太郎「そういえば監督さんはメジャーで活躍していたんでしたっけ?」 臨海監督「活躍、というほどではないがな」 臨海監督「あそこの卓が空いたようだ、入っていてくれ」 臨海監督「まあ、今日はこんなところかな」 臨海監督「欧米流の麻雀なんだが、理解はできた?」 京太郎「……ほんのちょっと」 臨海監督「そうか……物事最初はこんなものさ」 京太郎「そうですよね……」 京太郎(世界って広いんだよな、考えてみれば明華さんだって世界ランカーらしいし) 京太郎(でも俺だって日本一の男子高校生なんだ!) 京太郎(まだまだ負けてられないよな!) 臨海監督「ふっ、まだ続けてみるか?」 京太郎「……はい!どうせなら時間ギリギリまで!」 臨海監督「うん、いい意気だ。それでは次は……」 雅枝「これで今日の練習は終了や!」 雅枝「各自部屋で休むように!ほな解散!」 「ありがとうございましたー!」 京太郎「結局あの後もわからないまんまだったな……」 京太郎「後二日もあるんだからのんびり行こう」 京太郎「さてと、俺の部屋は……ここか」 京太郎「どうせ一人部屋なんだろうな……」ガチャ 「赤阪さんお帰りなさ……い……」 京太郎「あ……えーっと」 京太郎(この人確か……多治比さん、だっけ?) 真佑子「ど、どなたでしょうか?」ガクガク 京太郎(ってのんびりしてる場合じゃねえ!) 京太郎「すみません、部屋間違えました!」 真佑子「ちょっ、ちょっと!」 バタム! 京太郎「部屋番……401だよな、良子さんに文句つけないと……」 郁乃「あっれ~京太郎くんここで何しとるん~?」 京太郎「実は部屋の場所がわからなくて……」 郁乃「でも京太郎くんと私は同じ部屋やろ~?」 京太郎「えっ」 郁乃「ほな入るで~」 真佑子「多治比です……どうも」 京太郎「須賀京太郎です、よろしくお願いします」 郁乃「二人とも仲良くな~」 京太郎「さっきはなんかすみませんでした」 真佑子「いいですよ、着替えを見られたってわけじゃないんですから」 真佑子「顔上げてください、ね?」ニコッ 京太郎「は……はい」カオアゲ 京太郎(多治比さん、優しい人だな……) 真佑子「この私の優しさに感謝して一生跪いてろこの下等が」ボソッ 京太郎「……はい」 京太郎「…………」 京太郎「ええっ!?」 京太郎(急にキャラ変ったよ何この人!?) 夜 京太郎(ちょっと気まずいから他の人の部屋にでも行くか) 京太郎(誰の部屋に行こう……) 京太郎「適当に歩いてきたけど、ここは誰の部屋かな?」コンコン 京太郎「失礼しまーす」ガチャ 雅枝「……須賀?」 京太郎「……あ」 雅枝「私の部屋に何の用や?」 京太郎「そ、それはですね……」 京太郎「えーっと、ここは誰の部屋だ?」 ガチャ 臨海監督「スガ?こんなところで何をしているんだ?」 京太郎「ここ監督さんの部屋だったんすね」 臨海監督「いかにもそうだが、どうしたんだ?」 京太郎「それはですね……」 京太郎「ちょっと部屋の居心地が悪かったのでお話でも、と思いまして」 臨海監督「ん……そうか、いいぞ上がれ」 京太郎「失礼しまーす」 臨海監督「それで何の話をしようか、私はなんでもいいよ」 京太郎「ううん、そうですね……」 京太郎「じゃあ監督さんの過去の経歴について……とか?」 臨海監督「経歴、か」 臨海監督「知っての通り私は元メジャーの選手だったんだがあまり活躍と言う活躍はなくてね」 臨海監督「コカジさん相手にはズタボロだったよ、まあ恋人がいたというのもあったんだろうけど」 臨海監督「そんなこんなで限界を感じてメジャーから身を引いたんだ、そんなところにかかってきたのが臨海からの声だった」 臨海監督「どうやら私は人に教える方が向いているみたいでね、内心複雑だったよ」 臨海監督「話していて自分でもつまらないな、今度はスガの話を聞かせてくれるか?」 京太郎「俺の方が退屈ですよ、まだまだ」 臨海監督「ふむ、そうか」 臨海監督「そういえばスガはミヤナガと幼馴染らしいけど、そこはどうなんだ?」 臨海監督「噂に聞くに遠距離恋愛だとか」 京太郎「俺と照が遠距離恋愛!?誰がそんなことを!」 臨海監督「私が」 京太郎「根も葉もなかったよ!」 臨海監督「でも結構そんな噂は聞くぞ、それこそアラカワと付き合ってる、とかミヒロギと付き合ってるとか」 京太郎「そもそもなんでそんなことを初対面の監督さんが知ってるんですか」 臨海監督「さっきも言っただろう、私は興味を持つと我慢できないタイプなんだ」 京太郎「えぇぇ……」 臨海監督「そういえば最近はカイノウやハリウアナと関係を持っているとも聞いたがそこのところは?」 京太郎「ないない、なんでもないですから」 臨海監督「そうか……つまらないな」ボソッ 京太郎「聞こえてますからね!」 【脱衣所】 京太郎「風呂は確か温泉って言ってたよな、楽しみだ」 京太郎「そういえば霞さんから……」 霞『ここの温泉は混浴だから、京太郎くんは11時から入ってね、その前に他の子を入れちゃうから』 京太郎『つまり11時前に入れば混浴ができる、と』 霞『そんなことしたらどうなるか……わかるわよね?』ニッコリ 京太郎『イエス!マム!』ビシッ 京太郎「というわけで用心をして11時半」 京太郎「誰か入ってないかな……」 京太郎「いるわけないよな……」 ガララ カポーン 京太郎「うん、わかってた」 京太郎「ちょっとの希望はあったよ、洗面所の前の髪の毛とか、石鹸の匂いとかで期待してたよ」 京太郎「でももうなんか……寂しいよな」 京太郎「気を取り直して飛び込んでみるか」 京太郎「イィィィィッヤッホオオオオオウ!」 バッシャーン 【そのころの脱衣所】 良子「……ふぅ」ヌギヌギ 良子「今日はあまり京太郎と喋れなかったな……」 良子「恋人……なんだよね」※違います 良子「もっとアグレッシヴにならないといけないよね、よし」 イィィィッヤッホオオオオオウ! バッシャーン 良子「まだ誰か入っているのか?」 良子「いや、この際中の人とも仲良くなろう!私ならできる、私ならできる!」 良子「こんばんはー」ガララ 京太郎「あー!気持ちいいー…………」 良子「…………」 良子「これはドリームだ、そうに違いない」ホッペツネル 良子「いたっ!」 良子「ってことは……夢じゃない?」 京太郎「え……っと、どうして良子さんがここに……?」 良子「……それは……だな……」 良子(そういえばカスミに言われてた気がする……) 良子(このまんまだと私は京太郎の風呂に入りに行った淫乱女だと思われるんじゃ……)ガクガク 良子(どうすればいいんだ……) 京太郎(なにこれどうしよう……なんで良子さんがここにいるんだよ) 京太郎(一応腕で隠れてはいるけど……ナイスな……)ブフォッ 良子「京太郎、鼻血出てるぞ!」 京太郎「えっ、うわ本当だ」 良子(京太郎がのぼせてる……のぼせたときってどうすればいいんだっけ……) 良子(えっと、確か……) 良子(膝枕……か) 良子(縁に座って……)チャポン 良子「きょ、京太郎!///」カァァ 良子「膝枕……するよ」 京太郎「えっ」 京太郎(現状を整理しよう) 京太郎(俺は温泉に入っている、当然裸だ) 京太郎(そして今、良子さんに膝枕してもらっている……良子さんも裸だあそこは腕で隠しているけど) 京太郎(どうすればいいんだよ……良子さんの肌やわらかいし白いし……) 良子「京太郎、落ち着いた?」ナデナデ 京太郎(頭、撫でてくれるし……怜さんとかいつもこんな気分なのかな……) 京太郎「はい、ありがとうございます」 良子「よかった、どうしたのかと思ったよ」ホッ 京太郎「……っておかしいでしょう!」ガバッ 良子「」ビクッ 京太郎「どうして良子さんがここにいるんすか!」 良子「……ごめん、入る時間を間違えたんだ……」 良子「私は……京太郎と入っても、その……嬉しいんだけど」 良子「迷惑だよね……もう上がるよ、ごめん」ショボン 京太郎「そ、そんなことないです!俺も嬉しいです!もっと二人で楽しみましょうよ!」 京太郎(何言ってんだ俺ぇぇぇえ!) 良子「そう……なの?」パァァ 京太郎(ええいままよ!) 京太郎「もちのろんですよ」 良子「じゃあまずは何する?体洗いっこする?それとも一緒にお風呂に入る?」 京太郎「え、えーっと……」 京太郎(何その選択肢……おかしいでしょ……) 京太郎「じゃあ……良子さんの身体を洗いますね」 良子「いいのか?」 京太郎「俺だけされてばっかりっていうのは少しなんなので」 良子「……わかった」 京太郎「まずは髪から洗いますね」 良子「うん」 京太郎「どうですかー?」ワシャワシャ 良子「気持ちいいよ」 京太郎「おかゆいところはありませんかー?」 良子「ふふっ、サロンみたいだな」 京太郎「俺もそう思いました、あははっ」ワシャワシャ 良子「痛っ!」 京太郎「ど、どうしました!?」 良子「ごめん、ちょっとシャンプーが目に入ったみたいで……」 京太郎「ごめんなさい、もうちょい丁寧にやります」 良子「ごめんね……」 京太郎「次は体洗いますね」 良子「よろしくね」 京太郎(流石に前はできないよな……) 京太郎「良子さん、髪もそうでしたけど肌も綺麗ですよね」 良子「そうかな?意識したことはなかったけど……嬉しいな」 京太郎「はい、背中終わりです。あとはご自分でどうぞ」 良子「えっ……前は?」フリムキ 京太郎「俺から言ったことですけど、前はダメでしょう」 良子「ダメ……でも……」 良子「……京太郎なら……ううん」 良子「京太郎に、洗ってほしいんだよ」ウワメヅカイ 良子「それでも、ダメかな?」ウルウル 京太郎「」ドキッ 京太郎「どうなってもしりませんからね!」 良子「京太郎になら、どんなことでも……」モジモジ 京太郎(腕が終わってついに最初の関門……胸) 京太郎(確かに触りたいとは思ってましたよ、揉みたいと思ってましたし顔もうずめたいと思っていました) 京太郎(でも何でこのタイミング……) 京太郎(腹くくるしかないよな…………ぐへへ)ワキワキ 京太郎「失礼しますね」モミッ 良子「んっ……」 京太郎(やわらけぇー!やわらけえよぉー!)ムニョンムニョンモミモミモミモミモミ 京太郎(感動!感動した!俺ぁ感動したよぉぉぉぉおお!)モミモミモミモミモミモミ 良子「きょ、うたろぉっ、!そ、そのくらっ!ああっ!」 京太郎(ふぅ……満足した、次はへそか)チョン 良子「んぁっ!」ビクン 京太郎(へそが弱いのかな?)クニクニ 良子「あんぅ、やぁっ!」ビクンビクン 京太郎(……エロい) 京太郎「これで洗い終わりですね、そろそろ入りましょうか」 良子「……ぅん」ビクンビクン 【そのころの脱衣所】 霞「戒能プロ、どこ行ったんでしょうね」 善野「一緒に来ればよかったんやけどねー」 健夜「ここの温泉って若返り効果があるんですよね!」 雅枝「せやで、年寄りに優しいやろ」 臨海監督「コカジプロには特にね」 健夜「どういうことですかね?」ピキピキ ワーワー キャーキャー 良子「…………」 良子(あの声は小鍛治プロ?ということは……) ソロソロハイローカー ガララ 良子「京太郎、潜って!」 京太郎「えっ、何を!?」 健夜「あれ?戒能プロいたんだ?」 霞「呼びに行ったんですけど、もう来てたんですね」 良子「が、我慢できなくてね」 良子(どうしよう、このままだと京太郎が痴漢にされてしまう……) 良子(そういえばあっちに……) 良子「あっちの方にもう一つ大浴場がありましたよ」 善野「あっちってどこ?」 良子「別の脱衣所から入るんですよ、こっちは疲労回復の湯であっちが若返りの湯らしいです」 雅枝「あ、あっちやったんか、ほな行ってくるわ」 臨海監督「私も行きますかね」 善野「小鍛治プロも石戸さんも早くいかへん?」 霞「私はまだ10代ですし……」 健夜「」ギロッ 霞「ひっ、行きますね!」 健夜「私も行こうかな」 良子「私も後から行きますね」 雅枝「ほなまたー」 ガララ 良子「……はぁ」 良子「京太郎、大丈夫か?」 京太郎「」マッサオ 良子「京太郎?京太郎?」 京太郎「」マッサオ 良子「京太郎ー!」 京太郎(現状を整理しよう) 京太郎(俺は温泉に入っている、当然裸だ) 京太郎(そして今、良子さんに膝枕してもらっている……良子さんも裸だあそこは腕で隠しているけど) 京太郎(って、何このデジャヴ) 良子「京太郎、起きた?」 京太郎「おかげさまで、どうもすみません」 良子「ううん、よかったぁ」ホッ 京太郎「こう二回も膝枕してもらってると悪いっすね」 良子「心配したから……いいよ」 京太郎「そう言われても……じゃあ俺も何かしてあげますよ!」 京太郎「何しましょうか?」 良子「何って……なんでも?」 京太郎「俺にできることなら、なんでも」 良子「じゃ……じゃあ……それじゃあ……」モジモジ 良子「充電……してもらってもいいかな?」 京太郎「……充電?」 京太郎(充電って……充電ってまさか……) ここから妄想―――――――――― 良子「京太郎の電気、私に流してほしい!」 良子「しびれさせて?」 京太郎「良子さん!」ガバッ 良子「きょうたろぉ、激しいよ……」 京太郎「流し込むぜ!俺の電気!」 ――――――――ここまで妄想 京太郎(ぐへへ……) 良子「京太郎、どうかした?」 京太郎「いえいえなんでもないですよ、それで、充電とは?」 良子「……エクスプレインよりもやってみた方がはやいと思うから、京太郎は浴槽の縁に座って」 京太郎「はい」 京太郎(……座ると俺の息子がやばいことにならないか?) JR京太郎「呼んだ?」 京太郎(ちょっとすっこんでろ!間に挟まってろ!) 良子「それで私がそこに座る、と」ストン 良子「充電充電!」 京太郎「充電充電!」 良子「チャージチャージ!」 京太郎「チャージチャージ!」 京太郎(どんなプレイ!?) 京太郎(何が悲しくて現役で美人で巨乳な若手プロと疑似挿入して充電充電言わないといけないの!?) 良子「……京太郎」 良子「疲れた」 京太郎「声が涸れるまで叫んでたらそうなりますよ」 良子「だよね……」 良子「……京太郎」 京太郎「何ですか?」 良子「国麻、頑張ろうね」 良子「私は地区選抜のコーチとして、京太郎は個人の部で、一緒に勝とう」 京太郎「……はい、絶対に負けませんからね」 良子「ふふっ、楽しみだね」 京太郎「俺もですよ」 良子「……もう少し、このままでいいかな?」 京太郎「もう吹っ切れましたよ……」 良子「……ありがとう」 良子「京太郎」 京太郎「なんですか?」 良子「私、京太郎といると……毎日が楽しいんだ」 良子「京太郎はどう?」 京太郎「俺もですよ、良子さんや照や憩たちがいて毎日が楽しいです」 良子「……うん、そうだよね」 良子「それじゃあ私は小鍛治プロたちの方に行くから、京太郎は後で出てきて」 京太郎「はい、おやすみなさい」 良子「おやすみ」フリフリ ガララ 京太郎「よし、出てきていいぞ息子よ」 JR京太郎「我慢できねえぜ!」 京太郎「温泉はちょうど白濁!此処ならできる!いくぞ我が息子よ!」 JR京太郎「ヒャッッッッハアァァァ!」 【合宿初日】終
https://w.atwiki.jp/gatihomo/pages/18.html
ホモ太郎イメージ図
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6435.html
憩「おそいで、京太郎くん」 京太郎「えっ?憩さん?どうして……ここに?」 憩「へっへー、ウチだけやないでー」 照「……寒い」ガクガク 郁乃「レディーを待たせるなんて悪いオトコノコやな~」ムギュッ エイスリン「京太郎、ハヤク!」 咏「掃除なら言えば手伝ってやったのによ~」 霞「まあまあ、京太郎くんも来たことですし、仲良く帰りましょうね」 清々荘のみんなが、待ってくれていた 京太郎「みんなでお迎えなんて豪華っすね」 照「今日は帰ったらクリスマスパーティーだから」ムフー 郁乃「京太郎くんがおらへんやったら始まらんやろ~?」ムギュー 京太郎「い、郁乃さんは背中に抱き着くのやめてください」 郁乃「お姉さんの温もりが味わえるんやから満足やんか~」フニュッ 温もりとか意識したら、背中の柔らかい感触が…… とか思ってる間に、前からも何かが抱き着いてきた 咏「早く歩けよなー」ギュッ 京太郎「赤ん坊かよ……誰か助けてー」 憩「ほなウチは右手もらうなーぁ」ギュッ エイスリン「ヒダリテ!」 照「……霞、私は?」 霞「照ちゃんは私と手を繋いでいきましょうか」 照「ありがとう」ジワッ 京太郎「ちょ、なんで涙目になってんの」 照「決して京が構ってくれなくて悲しいから泣いたんじゃない、目が乾いただけ」 京太郎「はいはい」 ふと空を見上げると、そこは星で満ちていて、目を凝らしてみれば一条の光が流れたのが見えた 京太郎「……あ」 咏「どうしたんだぃ?」 京太郎「なんでもねー、早く降りろ」 咏「んだよー減るもんじゃねーんだしー」 咏「それによ、こんぐらい顔が近けりゃ……私の唇、奪い放題だぜぃ?」 京太郎「い・ら・ねー」 照「京、私のは?」 憩「う、ウチは……?」 エイスリン「…………」ジーッ えぇ、何この質問責め エイスリンさんまで物欲しげに見てるし…… 郁乃「私は~さっきの流れ星にお願いしたからええかな~」 郁乃「京太郎くんも見てたやろ~?何お願いしたん~?」 京太郎「な、何も願ってませんよ!」 郁乃「え~嘘や~ん」 エイスリン「ナガレボシ?」 憩「流れ星が落ちる間に三回お願いすると叶うんやって」 エイスリン「ホント?!」 照「そんなの迷信、お子様が信じること」 エイスリン「ゥ……」シュン 京太郎「たべっこどうぶつ食べてる高校三年生が何言ってやがる」 照「たべっこどうぶつは至高のビスケット菓子」 霞「ビスケットと言えば、今日はビスケット生地のチーズケーキとショートケーキを用意しておいたわよ」 京太郎「……誰が買いに行ったんですか?」 霞「みんな試合会場に行ってたから、華菜ちゃんに頼んでおいたのよ」 京太郎「華菜……?」 照「……誰?」 エイスリン「ンー……?」 憩「そんな子、ウチのクラスにおったっけ……?」 霞「それ、知ってるって言ってるのと同じじゃないの」 ……本当にわかんねぇ 咏「んで、何お願いしたんだよ」 京太郎「結局その話になるのかよ、ってか早く降りて」 郁乃「あ、また流れ星や~」 エイスリン「ワァ!」 照「…………」ブツブツ 憩「…………」 思いっきりお願いしてるじゃねえか あ、もう一個流れた 霞「今日は多いわねー」 照「こぐま座流星群だとか、久が言ってた」 京太郎「ああ、道理で」 京太郎「え゙っ、だったら今って」 咏「もうすぐ22時ぐらいじゃねーの、知らんけど」 京太郎「ぁ……なんかすんません」 霞「そんなこと気にしなくていいのよ」 照「みんなで帰りたかったから、そうしただけ」 エイスリン「サムカッタケド!」 咏「ま、流れ星も見れたし良かっただろ」 郁乃「せやね~こうして京太郎くんにもおぶってもろてるしな~」 京太郎「あんたもいい加減降りてください」 憩「ふふっ……みんなでずっと、こうしてたいなぁ」 言って、憩さんが眺めた星空には、幾つもの光が流れていた 高い建物の無い三箇牧では、空は果てしなく見えて、 みんなと繋がっていると、夜の闇も星の輝きも鮮やかに見えた ずっとこんな風にみんなで過ごしたい そう、聖夜の空を走る星に願った 霞「はーい、それじゃあみんな、準備はいいかな?」 「「「「「「「いいともー!」」」」」」」 霞「年末恒例、清々荘のクリスマスパーティーを始めまーす!」 エイスリン「カンパーイ!」 「「「「「「かんぱーい!」」」」」」 京太郎「ってかなんでチューハイとかあるんですか!未成年しかいないんですよ!」 郁乃「私の中身は大人やも~ん」フラフラ 京太郎「もう酔っぱらってる!?」 郁乃「せやから~京太郎くんに座らせてもらうで~」ストッ 京太郎「違うわ、この人いつもこんな感じだったわ」 郁乃「京太郎くんも一杯どうや?」 京太郎「遠慮しておきます!」 郁乃「も~京太郎くんのいけず~」 京太郎「行かず後家予備軍の郁乃さんよりはマシですぅー」 郁乃「京太郎くんが貰ってくれるから大丈夫やろ~」 照「」ピキッ 憩「」ピキッ エイスリン「」ピキッ 咏「」ピキッ 華菜「ハンバーグ食べないならカナちゃんが食べちゃうぞ!」 霞「じゃんじゃん食べて頂戴ね」 華菜「カナちゃんにお任せあれ!だし!」 照「京は私を養ってくれる、郁乃のものじゃない」 憩「京太郎くんはウチの病院で一緒に働くんですーぅ」 咏「京太郎は私とプロ入りして男女のトップになるんだよ!」 エイスリン「京太郎ハ、ワタシトクラス!」 京太郎「さっきも思ったんですけど、エイスリンさんの発音上手くなってませんか?」 エイスリン「ベンキョーシマシタ!」エッヘン 郁乃「エイちゃん偉いな~ご褒美にジュースあげるわ~」 エイスリン「アリガトウ!」ゴクゴク 京太郎「いや、ちょ、郁乃さん、それって……」 郁乃「照ちゃんも憩ちゃんも咏ちゃんも~」 京太郎「ストォーップ!」 霞「今日はこれでお開きね」 華菜「御馳走様でした!」 京太郎「ご馳走様でした」 郁乃「ごちそうさま~」 霞「私と華菜ちゃんはお片付けしてくるから、京太郎くんはその子たちの片づけをお願いね」 京太郎「えぇぇ……」 憩「きょぉたろぉくぅん……きもちぇぇで……」 照「すぅ……」Zzz 咏「だからそこで私が言ってやったんだよねぃ、にょれろーんってよ!」 憩「もっとぉ、もっと突いてぇ……」 京太郎(照は寝ちゃてるし、咏は狸の置物に話しかけてるし、憩さんの夢も気になるし……) エイスリン「京太郎、ンー」ズイッ 京太郎(エイスリンさんはずっと俺にキスしようとしてきてるし!正直魅力的過ぎてたまんないんだよ!天使か、天使なのかこの人は!) 咏「お前も話聞いてばっかじゃねーで何か話せよー!」ドカバキ 照「ぐごー」ポリポリ 憩「おなかのなか、いっぱいやぁ……」 京太郎(咏、なんであいつ置物と喧嘩してんだよ……照は服がめくれてアレだし、憩さんはもう既にアレだ) エイスリン「京太郎ぉー」ズイーッ 京太郎(そういや、俺今夜この人と寝るんだよな……) 京太郎(え?このキス魔と化したエイスリンさんと同じ布団ってぇことだよ……な) 京太郎(そんなん間違いが起きてもおかしくないよーな……) 京太郎(イヤイヤダメだ、ありえないだろ!) 京太郎(明日の朝からどうすればいいのかわっかんねーよ!) 京太郎(エイスリンさんのことは好きだけど、同じくらいに照も憩も咏も郁乃さんも好きだし、良子さんとかも……) 京太郎(誰か一人だけなんて選べない……よな」 郁乃「せやったらみんなを選べばええや~ん」 京太郎「ああ、そうかみんなでいいんだ!」 京太郎「みんなで暮らしてみんなでずっと幸せにいれば誰も不幸にならないよな!ハーレム万歳!よし、俺の将来決定!」 郁乃「おめでとさ~ん」 京太郎「ってちっがーう!」 京太郎「何それハーレムとかどうなのよ人間として!非常識にもほどがあるだろ!大体なんで俺の思考に語りかけてきてんですか郁乃さん!」 郁乃「まあまあ、この際みんな寝とるんやからお持ち帰りすればええやんか~」 京太郎「それは本当のゲスの考えです」 霞「あら、もうみんな運んできてくれたのね」 京太郎「照は涎垂らして、咏は暴れて、憩さんはエロかったです」 京太郎(エイスリンさんに首元にされたときはヤバかった……) 霞「京太郎くんには、将来の夢はあるのかしら」 京太郎「夢は……特にまだ」 霞「それなら、選択肢の一つとして考えていてほしいのだけど……」 霞「将来、ここに住んでみないかしら?」 京太郎「そっ、それはつまり霞さんと同居ということでよろしいのでしょうか!」 霞「そうじゃなくて、私の代わりに、ということよ」 京太郎「霞さんの代わりにここの大家さんになれ、ってことですか?」 霞「そういうこと、姫様が正式にお世継ぎになられたら、六女仙の私は呼び戻されることになっているの」 霞「ここ、案外住み心地もいいから、どうかしら?」 京太郎「では……一応考えておきますよ」 霞「よろしくね」 霞「あ、あと……」 京太郎「何ですか?」 霞「あの子たちの気持ちも、答えてあげるようにね」 霞「もう、気づいているんでしょう?」 京太郎「……あそこまで露骨にされれば気づきますよ」 京太郎「俺って、結構気遣い得意なんで」 京太郎「あっち側の気持ちはわかってるんですけど、俺がそれに応えられるかどうかわからなくて」 京太郎「女の子が泣く顔なんて、見たくないんですよ」 霞「気障な台詞ね」 京太郎「昔、ちょっとあったんで……」 霞「まあいいわ、話はそれだけよ」 霞「明日からは当分部活無しだから、ゆっくり休んで頂戴」 霞「それじゃ、おやすみなさい」 俺は惚れやすい男だ 照に笑いかけられれば胸がざわつく 初めて出会ったときの憩さんの笑顔がいつまでも忘れられない 咏がいない授業がとてつもなく退屈だった エイスリンさんの悲しそうな顔なんて、考えるだけでも嫌だ 郁乃さんの悪ノリに付き合うのがたまらなく心地よかった 良子さんや、怜さんや、咲、淡も たった八か月で惚れたのが九人もいるんだ、これを惚れっぽいと言わずして、何と言えばいいんだろう そして、俺の勘違いでなければ、みんなは俺に好意を持っている ……こう言うと、ナルシストみたいだけれど いつかはこの気持ちを整理しなければならない いつかはみんなの気持ちに応えなければならない ずっとこの関係のままでいたいけれど、いつか誰かいなくなる 来年の春には照とエイスリンさんがいなくなって、再来年には憩さんが…… みんなを繋ぎ止めるのに、どうすればいいのかはわからない 我ながら都合がいい考えだとは思う、ただの夢だ それでも時は進むし、人の心は変わっていく わからない未来や変えられない過去より、確実で、変えられる現在 俺はまだ、その夢を頭の片隅に置いて生きるしかない 俺には過去から未来を予想をする力も、暇もない、それほどまでに今を生きるのに精一杯なんだ だから、俺は―――― 京太郎「エイスリンさーん、入りますよー」 漢になる! エイスリンさんは制服のまま布団の上で既に寝ていた パーティーの途中で「アツイ……」と言って外していた第一ボタンと第二ボタンのおかげで白い上着の間からは肌色が覗いていて 横向きに寝転がっているものだから、こちらからはエイスリンさんのハイソックスに包まれたふくらはぎと太もも、そしてめくれかかったスカートが見えていた Q.彼女は天使ですか? A.いいえ、女神です 女神なら襲っちゃあいけないな、うん どれだけ今のエイスリンさんが性的であろうとも、漢として絶対に我慢しなければいけないのだ 霞さんにバレれば一巻の終わりであることは間違いない 何はともあれ、このままエイスリンさんを寝かせておけば風邪を引いてしまうかもしれないので、起こしてみる 鎖骨の上辺りを叩いて、優しくエイスリンさんに呼びかける これは中学の頃に救命講習で教わったものの応用技で、これを使えばほぼ確実に相手は起きてくれる必殺技なのだ 二回目に呼びかけたところでエイスリンさんが徐に瞼を開けた エイスリン「京太郎……?」 京太郎「制服で寝てたら風邪引きますよ」 京太郎「俺もシャワー浴びてくるんで、その後で一緒に寝ましょう」 エイスリン「ネ、ル……?」 エイスリンさんは可愛らしく小首を傾げて思案すると、急に頬を赤らめて小さく口を開いた エイスリン「京太郎……イッショニ、ハイル?」 Q.彼女は天使ですか? A.いいえ、女神です 京太郎(いかんいかんいかんいかん!)シャアー 京太郎(エイスリンさんに魅せられたら駄目だ!)シャァー 京太郎(間違いなど起こしてたまるものか!)キュッ 京太郎(お互いにシャワーを浴びる、ということで逃げてきたけど……) 京太郎(風呂上りのエイスリンさんの隣で寝れるのか、俺?) 京太郎「」ブルッ 京太郎「……寒いな」 京太郎「パジャマ、パジャマー……」 近藤さん「…………」 京太郎「……………」 京太郎(……あー、買ったなー、こんなの) 京太郎(間違えて買っちゃったんだよなー) 京太郎(まあ、二度あることは三度あるって言うし、俺とエイスリンさんが間違いを起こすことだって十分有り得るわけで) 京太郎(だったらこいつを持って行っても悪いことは無いよね!) 京太郎(って、あるから!悪いこと思いっきりあるから!俺悪いことする気マンマンじゃん!下心しかないじゃん!) 京太郎(近藤、お前の出番はまだ後だ……) 近藤さん「…………」 京太郎「…………」 近藤さん「…………」 京太郎「…………」 京太郎(迷う!) 近藤さんと共に、俺はまたエイスリンさんの部屋の扉を叩く 年末ともなると、寒さは日に日に増していくばかりで、夜であれば殊更のものだった 俺は自分自身の深層心理を悟り、近藤さんをポケットに潜めていた 使わない、使わないけどね 三回目のノックをしようかとしたところで、シャワーを浴びていたら返事ができない、ということに気付き、ドアを開ける 部屋にはシャンプーの香りが漂っていて、奥の浴室からはまだシャワーの音が聞こえる 自室から持ってきた布団をエイスリンさんの布団の隣に敷いて、エイスリンさんが上がるのを待っている間、勉強机に目をやる 机の上にあったのは国語用のジャポニカ学習帳と漢字ドリルだ。名前欄には不慣れな平仮名で持ち主の名前が書かれている 内容は気になったが、見るのは紳士的でないのでやめておくことにする 特にすることもないので、布団の上で寝転がり、今日の出来事を整理する 朝は郁乃さんを連れ戻すために謎の組織のアジトに乗り込んだ 昼はエイスリンさんと遊んで、この約束をさせられた それからプロ・アマ交流戦が始まり、俺たちは見事優勝することができた そして、華菜さんを除く清々荘のみんなで帰って来た クリスマスパーティーはどんちゃん騒ぎで、霞さんの手料理はいつも通りおいしく、郁乃さんの酒で照たちは酔っ払いと化した などと思い出していると、耳元にゆっくりと足音が近づいて来たので目を開けて声をかける 京太郎「エイスリンさん……っ!?」 エイスリン「……?」 とろん、と微睡んだ眼で俺の顔を見下ろすエイスリンさんは、桃色の下着以外に何も纏っていなかった 京太郎「どうしてあなたは下着しか着けてないんですか!」 エイスリン「ふぁ……」 京太郎「聞く気ないだろこの人」 エイスリン「京太郎、エランデ……」 いや、選んでって言われましても…… とりあえずタンスの中身を見てみよう 京太郎「普通のパジャマに、猫耳つきの可愛いパジャマ」 京太郎「んで、これは確か、ネグリジェ?にベビードール?」 京太郎「……すっけすけじゃねえか」 京太郎「エイスリンさん?これらは一体どこで買ったんですか?」 エイスリン「……イク……ノ……」ウツラウツラ 京太郎「やっぱりか……」 エイスリン「きょうたろ、きょうたろ……」クイクイッ 京太郎「どうしました?」 エイスリン「きょうたろうノY-shirtキタイ……ダメ?」 京太郎「えっ」 京太郎「えっ」 京太郎「……えっ?」 京太郎「Yシャツって俺の、ですか?」 エイスリン「……」コクン 京太郎「了解……です」 部屋からYシャツを持ってきて、下着姿のエイスリンさんに着せてあげた。もちろん、心臓に悪いのでボタンはしっかり締めた エイスリンさんの酔いは大分醒めてきたらしいが、眠そうで蕩けた顔をしている その蕩けた顔で微笑みながらドライヤーや歯磨きを頼まれて断る男はいないだろう、少なくとも俺はそうだった 組んだ脚の上にエイスリンさんを乗せてドライヤーをかけている間、ゆっくりと左右に傾く頭が可愛かった 膝の上に頭を乗せて歯磨きをしてあげているときも、「アー」「イー」と声を出しながら歯を開く様子が可愛かった 子どもができたらこんな風なものなのかな、と将来の家庭を想像しながらエイスリンさんを寝かしつける 将来の嫁さんと、寝かせたわが子を挟んで、他愛もないことを話して、一緒に笑って寝る ああ、いいな、これ最高、最高に平和 京太郎「まあ、こんなこと考えても寝れるわけないんだけどな……」 隣のエイスリンさんが立てる静かな寝息が耳にほのかに触れてくすぐったい それ以上にエイスリンさんは寝ながらも俺の右脚に両脚を絡めて来ているのがまずい、非常にまずい エイスリンさんの太ももは竜華さんほど肉付きが良いわけではないのだが、丁度よく柔らかく、丁度よくすべすべしていた 女の子の肌を触るだけで興奮してくるのってなんだろうねあれ とりあえず、もう一度適当なことを考えながら寝ることに挑戦する テーマは巨乳と貧乳の感度について、よし、頑張ろう 京太郎「寝れない……」 かれこれ一時間ほど思考を続けた結果 京太郎(それならエイスリンさんの胸を触れば済むんじゃないか?) 京太郎(触っただけで起きたら感度良好、B地区まで触っても起きなかったら感度悪し) という疑念を持ったまま眠れずにいた 体力的にも精神的にもすっかり疲れているはずなのに何故眠れないのか ……そういうことを考えてる時に限って眠くなってくるんだよね 腰のあたりに重みを感じたので、目を見開く 窓からは優しい月明かりが注ぎ込まれているおかげで眼が部屋の暗さに慣れるのにそう時間はかからず 重みの正体も、すぐに目視することができた 京太郎「……エイスリン……さん?」 俺の腰に乗っていたのは、裸Yシャツのエイスリンさんだった 京太郎「えっ、ちょっ、何すか」 エイスリン「京太郎ハ……ワタシ、スキ?」 胸が、チクリと痛んだ その問いにしっかりと答えられない自分に嫌気が差す 京太郎「……まだ、酔ってるんですか?」 エイスリン「ソウ、カナ……」 エイスリンさんの秘所が、俺の息子の上で少し動く 布越しで 京太郎「俺だって男なんですから、襲われたって知りませんよ」 京太郎「いいですか、エイスリンさん」 京太郎「そうして誘っていいのは、あなたの彼氏に対してだけ、です」 淡のときのような二の鉄を踏まないように、エイスリンさんを説得する このままでいれば、彼女を襲ってしまいかねないからだ 俺の気持ちを隠しながら、突き放すように言う エイスリン「…………」 京太郎「布団に入らないと、風邪引いちゃいますよ」 肩を抱いて、そう促す 月光に照らされたエイスリンさんの顔は、憂いを浮かべているように見え、気づかぬ間に、その顔が近づいてきていた 閉じられたエイスリンさんの目が迫ってくる そして、エイスリンさんの柔い唇が、俺の唇と繋がった 背中の力を抜いて、布団に倒れこむと、繋がっていた唇が離れる 気付くと、胸の上ではエイスリンさんがまた寝息を立てていた 京太郎「……寝ぼけてたのか」 状況を確認、納得、目を閉じて、俺もまた眠りに落ちていった こうして、俺の長い一日が終わった 【冬休み 11日目】終 番外編の【12日目】 野菜を刻んだ包丁がまな板を叩く音 鍋の中で沸騰するお湯の音 測定が終わったことを知らせる体温計の音 それに表示された数字を見て嘆息する音 エイスリンさんよりも先に目覚めた朝、俺は風邪を引いていた 頭に痛みが走り、喉が焼けるように痛くて、寒気がして、頭が熱くて、なんかもういろいろと酷かった とりあえず最後の力を振り絞ってエイスリンさんが起きないように自分の部屋まで撤退したわけなのだが…… 朝 憩「何度やった?」 京太郎「38度2分です」 憩「酷い声やねぇ、昨日は夜更かしでもしてたん?」 京太郎「いや、寝付けなかっただけですよ、けほっ」 憩「無茶はせんようにねぇ」 京太郎「わかってます、けほっ、けほげほっ、げほっ、ぐへおぁっ!」 憩「風邪のときは生姜を煎じたお茶を飲めば、身体があったまるんやで、はい」 京太郎「すいません」 憩「あとお粥と、お味噌汁やで、ゆっくり食べてな」 憩「……あ!」 京太郎「どうかしたんで、けほっ?」 憩「えっとな……」 憩「あ、熱いから、冷まそか?」 京太郎「そんな、わざわざいいっすよ」 憩「喉潰れてるから何言ってるんかわからないで」 憩「ほな一口目……ふー」 京太郎(憩さんの顔、こんなに近くに) 京太郎(顔も、唇も小っちゃいし……可愛い) 憩「はい、どうぞ」 京太郎(……そう簡単には食べさせてくれない、か) 京太郎「んっ……」モグモグ 京太郎(こっ、これは……っ!?) 京太郎「おいしい!」テーレッテレー 憩「お、おいしい?ほんま?」 京太郎「おいしいですよ、野菜も小さくて食べやすいです」 憩「それならよかったわぁ、ほな二口目やねぇ」 京太郎(一口ずつこんなことしてたらかなり時間を食うんじゃないか……?) 憩「~♪」 京太郎(朝食を食べ終わった後、俺はこうして寝かされていて、憩さんは食器を洗っている) 京太郎(そんでその尻はこっちを向いて踊っている……) 京太郎(やばっ、鼻血出そう) 京太郎(……そういや、なんか忘れてるような) 京太郎「……」モゾモゾ 京太郎「!」 京太郎(いない……!) 京太郎(近藤さんが、いないんだ……っ!)ガバッ 憩「きょ、京太郎くん?」 京太郎「すいません、憩さん」 京太郎「俺には、行かなきゃいけないところがあるんです!」 憩「風邪はひき始めが肝要なんやから、寝てた方がええって!」ガシッ 京太郎「大丈夫です、風邪は学校を休むように都合よくできているのだから!」ウゴゴ 憩「鼻声で言われても信じられんわ!」ギューッ 京太郎(……うっ、頭が) 京太郎(クラクラする……) 京太郎(倒れる……前に憩さんがいるのに) 京太郎(このままじゃ……) ドスン 京太郎(……うわーい) 憩「京太郎くん……大丈夫?」 京太郎「あはは……」 京太郎「…………すみません」 憩「何に急いでるのか知らんけど、無茶はせんようにな」 京太郎「……はい」 京太郎「痛かった、ですよね」 憩「いきなり押し倒されたら、そら痛いやろ」 憩「……まあ、京太郎くんの顔を近くで見れてよかったわ」 憩「……風邪の人、って脈が少し速くなって、呼吸も少し荒くなるらしいんやで」 憩「今のウチは、京太郎くんに負けへんくらいドキドキしてるんや」 憩「なんでか、わかるか?」 京太郎「それ……は……」 憩「…………」 エイスリン「京太郎、ドウシタノ?」 エイスリン「……ケイ?」 エイスリン「京太郎、ケイ、ドウシタノ?」 エイスリン「ダキアッテル、ミタイ」ゴッ 京太郎(エイスリンさんの背後からどす黒い何かが!?) 憩「京太郎くんが倒れてきたんやで、あはは……」 京太郎(憩さん思いっきり苦笑ってるし……ここ、退かないと) 京太郎「二人とも、そんな心配しなくても大丈夫ですから……」 エイスリン「京太郎、キノウイッショニネタ」 憩「……は?」 京太郎(あ、これアカンやつや) 憩「京太郎くん、どういうこと?」ゴッ エイスリン「ドウイウコト?」ゴッ 憩「たーっぷり、お話聞かせてなーぁ」 京太郎「お、俺、病人なんだから、もうちょっといたわりましょうよ」 エイスリン「 」ニッコリ 京太郎「え、いや、ほんと、怖いですって」 憩「正座」 エイスリン「ハヤクシロ」 京太郎「嘘だろ……」 京太郎「もうすぐ昼か……」 京太郎「いいとも、もうすぐ終わるんだよな……」 京太郎「風邪と言えばストレッチマンと笑っていいとも、ドラマの再放送だったのに……」 京太郎「……もういっちょ寝よ」 コンコン 京太郎「……はー、けほっ、げほっ」 京太郎(誰だろ?) 昼 霞「お昼を作りに来たわよ」 京太郎「そんなこと、しなくていいのに……」 霞「いいのよ、することもなかったからちょうどよかったわ」 霞「ほら、病人さんは寝てなさい」 京太郎「……はい」 京太郎(やっぱり霞さんの割烹着姿は安定だな) 京太郎(憩さんのエプロン姿ももちろん可愛かったけど、この年齢不相応な安定感が他とは違うんだよ) 京太郎(おっぱいは全国でも最大級……ヤれたらヤりたいよなぁ) 霞「鼻の下伸ばして、どうしたのかしら?」 京太郎「な、なんでもありませんよー」 京太郎「って、もうできたんですか?」 霞「簡単なおうどんよ、どうぞ」 京太郎「じゃあ、いただきます」ズズッ 霞「どうかしら……?」 京太郎「おいしい!いやーやっぱり……」 京太郎「霞さんの作る料理はおいしいですよ!」 京太郎「この間の鍋焼きうどんももちろん、このうどんもおいしいです!」 京太郎「黒七味も丁度よくあってますし、野菜も特にこの白菜は堅すぎず軟らかすぎずシャキシャキで、そんでもって甘い!」 霞「もうすっかり元気になってきたみたいね」 京太郎「朝から憩さんのお粥食べて、寝て、霞さんのうどんを食べたんで、元気いっぱごほっ、げほっ」 霞「食べ終わったらしっかり風邪薬飲んで寝なさいね」 京太郎「はい……」 霞「あと、りんごを剥いておいたのと、みかんを置いておくから食べて頂戴」 霞「冷蔵庫にはポカリスエットも入ってるから、喉が乾いたら飲んでね」 京太郎「本当にありがとうございます、霞さんが大家さんでよかった……」 霞「もう、現金な子ね」 京太郎「霞さんみたいに家庭的な人と結婚したいと思いました!」 霞「そう言ってしまう辺りが軽いのよねぇ」 京太郎「いやーそれほどでもー」 霞「まったく褒めてないわよ」 霞「それじゃあ私は戻るから、何かあったら連絡して頂戴」 京太郎「はーい」 京太郎「りんごおいしかったなー」 京太郎「うさぎりんごがある辺り霞さんらしいや」 京太郎「つーわけでもう三時くらいだけど……やることないなー」 昼2 京太郎「あっ!」 京太郎「近藤さんを奪還するのを忘れていた!」 京太郎「なんという不覚……!」 京太郎「なんとしてでも奪還しにいかないと!」ガチャ エイスリン「京太郎?」 京太郎「エイスリン……さん」 京太郎(つい勢いを失ってエイスリンさんを上がらせてしまった!) エイスリン「…………」モジモジ 京太郎(エイスリンさんは何やら落ち着いていない様子……正直気まずい) 京太郎(人差し指同士をくるくる回したり、目を泳がせたり、ときどき脚を組み替えるのは可愛い) 京太郎(でも気まずい) エイスリン「京t「エイスリンさん」」 エイスリン「ア……」 京太郎「う……」 エイスリン「…………」 京太郎「…………」 京太郎(ちょー気まずい) 京太郎(かなり気まずい) 京太郎(めちゃ気まずい) 京太郎(字余り) 京太郎「エイスリンさん、先、どうぞ」 エイスリン「ウン……」 エイスリン「京太郎……コレ」 京太郎(近藤さぁぁぁぁぁああああん!) エイスリン「Internetデシラベタ」 エイスリン「京太郎…………」カァァ エイスリン「……」ウルウル 京太郎(い、今にも泣きだしそうじゃねえか……) 京太郎(多分、調べている最中に変な動画を見てしまって……) エイスリン「……ワタシト」カァァ エイスリン「……ワタシト、シタイ?」 京太郎「えっ」 エイスリン「京太郎……コレツカッテ、ワタシトシタカッタ?」 京太郎「えっ」 エイスリン「……ワタシ、イイヨ」 エイスリン「京太郎、ナラ……」カァァ 京太郎(何これおかしくない?普通だったら赤面ビンタになるレベルだよね!?) 京太郎(それがどうしてこんなピンク色の方向へ進んでいるの?) 京太郎(きっとどこかで郁乃さんが見張っているはず!) 京太郎(そしてドッキリ大成功とか言って飛び込んでくるはず!) 京太郎(こんな天使でも、心の裏では小悪魔なはずだ!) エイスリン「ふぇふぁふふぁふぃふぁへへほ、ひひほ?」(滅茶苦茶にされても、いいよ?) 京太郎(小首を傾げつつ咥えゴムで誘ってくる天使なんて聞いたことねえよ……) 京太郎「え、エイスリンさん?」 京太郎「初めては痛い、って言いますし、ゴムをしてても妊娠する可能性があって、もしそうなったらお互いに損なことにしかならないですよ」 エイスリン「京太郎ノコドモ、ホシイ」 エイスリン「京太郎ノコトスキナノデ、京太郎トシタイ」 エイスリン「コレデモ……ダメ?」スッ フニッ 京太郎(俺の右腕が、控えめな谷間にーっ!?) 京太郎(服越しだけど、Tシャツ越しだけど!) エイスリン「ドキドキシテル、ワカル?」 エイスリン「……シテ、ホシイノ」 エイスリン「…………」カァァ 京太郎(こんな、こんなことされたら……) 京太郎(こんなの…………っ!) 顔を朱に染めながら、自分を誘うエイスリンさんを前に、俺に理性の歯止めがかかることはなかった なされるがままに押し倒され、昨夜ぶりの唇に触れる エイスリンさんが目を閉じているのを見て、こちらも目を閉じて、軽く互いの唇に触れあう そんな優しい口づけを何度も繰り返す エイスリン「っ……ヘヘ……」 照れくさいのか、ときたま口を離した際に笑いかけてくる それに応えて、頭を優しく撫でてあげるとくすぐったそうにまた微笑む 今度は俺の方から迫り、唇を触れ合わせる エイスリン「んっ、っ……!?」 エイスリンさんの唇に舌を這わせて、小さな蕾の中へ滑り込ませる 柔らかくて、少しざらついている舌に、俺の舌を絡ませて、幾度となくエイスリンさんの唇の中を蹂躙する 京太郎「れろっ、んっ、ちゅっ……ぷはっ」 エイスリン「んっ…………」 息が苦しくなってきたので、唇を離す 下に突き出た小さな舌から、上を向く口の中へと唾液が一筋の糸となって零れ落ちる 冬の夕日に照らされて金色に輝く糸を見て、 京太郎「これ、本当に俺たちが繋がってるみたいですよね」 エイスリン「……ウン」 ……呟くと、またエイスリンさんははにかんで答える いつものエイスリンさんは元気な少女だ だが、最近の彼女は……俺が見る姿は、どこか物憂げで、彼女らしくないと思ったこともあった しおらしい彼女は正直アリだと思ったが、それと同時に、あんな彼女は見たくないとも思った 涙を流す彼女も、下を向く彼女も、絶対に見たくないと思った その気持ちがきっと、俺からエイスリンさんへの好意の証だったんだろう、とようやく自覚できた 俺は、エイスリンさんが好きだ ……だから、ここから先の行為には責任を持たなければならない 自分に言い聞かせて、承諾した そして、ディープキスを数回繰り返したあと、エイスリンさんの肩を持ってタンマをかけた 私と京太郎は、フトンの上で向かい合ってセイザをしていた 二人ともハダカになって、私は恥ずかしくて京太郎の顔が見られなかった 顔を下げていると、必然的に京太郎のコックが目に入ってしまう 昼に見た動画を思い出して、また顔が熱くなって、逃げ出したくなっちゃう だけど、これに京太郎を誘ったのは私、京太郎としたいと思ったのは私だということを思い出す ここでは私の方が年上で、オネエチャンだから、リードしなくちゃいけないんだ 張り切って、京太郎にヨツンバイで近づいてコックを触ると、「あっ!」と変な声が聞こえた エイスリン「京太郎、キモチイイ?」 京太郎「エイスリンさんの手が冷たくて……はい」 エイスリン「エヘ」 彼を悦ばせられたわずかな達成感に、思わず笑みがこぼれる 動画で見た通り、コックを上下に扱いていると、見る見るうちに赤く、大きくなっていった エイスリン「京太郎、イタクナイ?」 京太郎「むしろ気持ちいいですよ」 彼に頭を撫でられるのはいつもくすぐったくて、京太郎の優しさを感じられる それが嬉しくて、私はいつも目を細めて笑いを返してあげる。そうすると彼も私に微笑み返しをしてくれて、それがまた嬉しいと思うんだ 京太郎「そろそろ……挿れましょうか」 エイスリン「……ウン」 ゴムに包まれた京太郎のコックはジョーギみたいに長くて、太くて、大きかった これが私の中に入るのかと考えると、とても恐くて、不安になった 京太郎「ここまで濡れていれば大丈夫ですよ」 エイスリン「ひゃっ……京太郎!」 京太郎のコック……日本語でちんちんを扱いている間に、私の……股、から液が溢れ出ていた そこをいきなり触られて、怒ってしまう 私がエッチだと言うかのように、京太郎が触って来たのが恥ずかしかった……から エイスリン「京太郎、ウゴケル?」 京太郎「できればエイスリンさんが動いてくれると助かります」 エイスリン「ワカッタ……」 アグラをかく京太郎を抱きしめられるように、脚の上に座って対面する 京太郎「これ、対面座位って言うんですよ」 エイスリン「タイメン、ザイ?」 京太郎「はい、この体位ならお互いの顔が見れるんですよ」 エイスリン「……コレデ、ウエカラ」 京太郎「恐いですか?」 エイスリン「……ウン」 京太郎「……俺が付いているから、安心してください」 京太郎「エイスリンさんが決めるまで、こうしていますね」 私の恐怖心と不安を察してくれた京太郎が優しく抱きしめてくれる オトコノコらしい硬い筋肉が私を包んでくれる 京太郎はいつも気遣いが上手で、私に優しくしてくれる 私は彼のそんなところが大好きなんだ 京太郎の胸元で深く息を吐いて、上に顔を向ける エイスリン「ガンバル!」 エイスリン「んっ……ひっ、うぅ……」 お腹の中に、何かが入り込んでくる感じがする 股が張り裂けそうに痛んで、とても苦しい エイスリン「んっ、ん~~!」 京太郎「大丈夫っ、ですかっ?」 エイスリン「ダイジョウブ……んっ!」 痛みに耐えながら、京太郎を私の奥まで迎え入れる エイスリン「はぁ……はぁ……っ!」 京太郎「落ち着くまで、深呼吸してください」 エイスリン「っ……ふぅ……」 京太郎「……よく頑張りましたね」 京太郎が、ずっと年下の子を褒めるようにほっぺを撫でてくれる その新しい心地よさに痛みもいつの間にか少しだけひいていってくれて、少しだけ楽になった これでやっと、京太郎を悦ばせることができるんだ エイスリン「……ウゴクネ」 私はそう言って、ゆっくりと腰を上下させた 京太郎に抱かれて身体を動かすのは気持ちが良かった おなかの中では京太郎のちんちんが擦れ、身体がムズムズするような感覚が湧いてくる それに加えて、京太郎と抱き合って体を密着させているから、私の胸が京太郎の厚い胸板になすりつけられて、先端に快感が生まれる 風邪を引いている京太郎は苦しそうだけれど、私を優しく抱きしめてくれている そのおかげか、京太郎の、胸の下から響く早めの鼓動と、真っ赤な唇から吐き出される荒い吐息を感じられる エイスリン「きょぅ、たろぉ……」 わからないようなおねだりを、京太郎に唇を向けてしてみる 下の口では足りないから、上の口も満たしてほしい 京太郎「わかってますよ」 私の意思が通じたのか、京太郎が私の顔を抱いて、唇を密着させる そのまま京太郎の舌が私の中にまた入り込んできて、私もそれに舌を絡め返してあげる これで完全に京太郎と繋がっているんだ 他の誰にもしたことのない初めてを、京太郎にしてもらった それが嬉しくて、満足感を抱いた そうしてトースイしていると、唇が離された エイスリン「っは……」 エイスリン「京太郎……ナンデ……」 京太郎「いえ……少し、俺も動けるかと思ったので」 京太郎「ここからは、俺に任せてください」 私が答えるよりも先に、京太郎はまた、私の顔を抱き寄せた 私たちの呼吸が共有されるのと同時に、下からおなかが押し上げられた 京太郎の動きは激しく中を刺激して、唇の中も同じくかき乱される 唇の間から漏れた唾液が身体の合間に落ちて、その感覚が私の快感を加速させる 中でも、おなかの奥まで突かれのがとても気持ち良くて、次第に私も動くのを再開した ―― 傾く陽の光が満ちる部屋には、二人が奏でる水音が響いていた エイスリンさんの愛液が、俺の肌で弾かれる音 舌に絡みつく互いの唾液が、唇の間から発する音 零れ落ちた唾液と滴り落ちる汗が源となり、身体が動く度に打ち出される音 目が滲む代わりに、聴覚だけが優れていく エイスリンさんの髪の匂いがしなくなっていく代わりに、皮膚に伝わる感覚が強調されていく 京太郎「エイスリンさん、大丈夫ですかっ?」 エイスリン「きょぉたろぉ……フシギ」 エイスリン「スゴク、キモチイイ……アト、チョット」 京太郎「……そう、ですか」 腰の動きを早く、力強く、エイスリンさんの奥へと押し付ける ピストン運動の速さに比例するかのごとく、エイスリンさんから預けられる重みが増していく エイスリンさんが感じているフシギな感覚……それは…… 京太郎「エイスリンさん、それ、何て言うか教えてあげますよ」 エイスリン「はぁっ、はぁ、ナ、ニ……?」 京太郎「イクっ、って、言うんです、よっ!」 自分の絶頂とともに最後の一突きをエイスリンさんに打ち込む エイスリン「ああっ、あぁぁぁあぁっ!」 自分の息子が膨張し、ゴムの中へ吐き出すのを感じながらエイスリンさんも絶頂する様子を観察する エイスリンさんの身体は痙攣して、膣口から大量の愛液が吹き出していく 胸にもたれかかった顔は今までにないほど紅潮して、呼吸もままならないようだ 京太郎「ッ――――!」 頭が、くらくらする ああ、そうか ……俺 風邪、引いてたんだっけ ドサッ エイスリン「はぁ、はぁ」 エイスリン「んっ……はぁ」 エイスリン「京太郎……?」 京太郎「」 エイスリン「ネチャッタ?」 エイスリン「…………」ジーッ 京太郎「」 エイスリン「umm...」 エイスリン「京太郎、ネテルンダヨネ?」 エイスリン「ソレ、ナラ、モウスコシ……」 エイスリン「ヤレルダケヤッテミヨウカ!!」 _,、= ニ;‐、、--――‐y、,_ ,,r;;;;''''=―--、、,_ /´ ヽ,ヽ,.゙'l,.゙Y;--',r'゙'ヾ;'V.j /∠,,.r_;'゙-‐-,<゙゙ヽ,'i、'‐、, ./_ .,,_j ゙l l,. Y/゙'ヾ、;、ノ,r;'| /jフ,r-、ヽ、 _,, .゙'ー;゙' ーi,. |'i, j.ヾ! ト‐! | .| .|,_ ./,.〈. 〉| ./ .(゙ _>゙'゙ r''゙´'i,゙l, ,j レ! .| | .|il, __ j .j゙ .l ト,゙',/ j.゙ r;| .レ'゙''‐ニ'''゙r''゙´ .゙l,ヽ,. ,ノ ゙ r''1.jノ .|.l,゙l, ゙ー゙.ノノ / / ゙l ゙l,ヽr',r'l ゙;| .ト、,. /./´゙ヽ;.、 ノ ,゙rッ .,Y';V | l,.゙ヽ--'゙ ,ノ / l, ゙'゙,,.l, ,j ゙| l,ヾ,、--、,,,、'_, r''゙ l / li,;) l,. ゙'i, / ,rシ-、,ィ) l,゙i,V/゙j゙ /゙,,、、、,_ ゙\!.レ゙ .| Y゙ ゙l゙i,・ヾi, ,/ィl、・_ノ ,; ゙シ'i.l,ノ ./゙ \ ゙Y .l / | `ラ´゙'''´ ''"'´ .| | .r'`V'''" ̄`゙ヽ、 ゙'i, |. ' / ゙'i, .j |./ ∧、, ゙̄ヽ、. \ ゙l. |\ ./ ゙i,. r、,,,.、,_ / ノメ、 .j |ヾヽ,゙'ー---‐'''''ヾ-、,‐' .゙i,ヾ'-'ニワ. / ./ノ .V j゙ |'i,. ヽ;-‐-、,_ __ .. / l,〈` //‐'´ ./.ヽ/ .j.ノ . ヾ、; ) ゙'i `ヽ、 / |ヾ‐;<;/__,、r'´ ./ .)='゙ .. ,ソ .( _,,r‐''゙⌒`゙ヽ、, / l; Y゙人゙l; . .,/,r'ニ゙ _,、r''´ .. ゙ヾ、 ヽ, l /,r | j‐゙''l; ゙ニー‐'゙ (`l.(_,r‐'''゙´__,, .... .`ヽ、,.... .. ゙l, .!. .l゙l゙レ' ‐゙ | ト;゙i,l、ノ,r;;'ニ゙/´゙Y .,r'゙ ̄ ..... .゙ヽ、 l, | 'ー;l.'i,.l゙ ,j 'シ'‐-ヘ;'V゙./ ゙l, ヽ, ...... ..ヽ, ゙l .|._,rラl,.| / ,i l, .ノ , ゙i, .゙ィ,.レ' .゙l, .| / / ゙l l,゙l,/./ .l, l, ././ .゙l,゙l、 /.,ィ´ ,.r''ニ'' ヾ, . l, j゙ .,rl´.'-‐ニ, .,、 L,,,,,゙l, V / ヽ,゙'´/.| .l゙/;=iミ;゙'i,. [ . Y゙ .,r',、 「゙´ | .| jヾ、--、ヾl, /,、 ゙l,.゙l、-';j;ノ ゙レ゙lj゙ ........ | / ./.| .レ-‐' 'ソ l,゙l, ./.∧、ヽ、,,/,/,,゙'i,,゙L、‐'゙ / // j゙ レ '二i .i''゙゙´| .| )、V.l゙ ゙l,.゙'V / ゙'i, ゙V゙ /ノ゙ /゙L,___,,,_ l..゙T´ .| | ,.| .| / ゙'i,゙l, `i , l, 〉,,.〈/ .ヽ、,,,,,、、-―‐-、ヽ、 .. . / 京太郎「ふぁぁ……」 京太郎「……外、暗いな」 京太郎「時間は……もう19時!?」 京太郎「風邪のときに童貞卒業してそのまま気絶……か」 京太郎「全裸だけど布団までかけてくれてありがたい」 京太郎「……俺、エイスリンさんとヤった、のか」 コンコン 京太郎「はーゲホッゲホッ!」 咏「よっ、元気かぃ?」 京太郎「あぁ、段々よくなってきたよ」 咏「そっかそっか……ん?」 京太郎「どうした?」 咏「イカでも焼いてんのか?イカ臭えけど」 京太郎「バッ!ま、まあな、霞さんがスルメイカ持ってきてくれてたんだよ、あーおいしかったー」 咏「ほへぇー……ならいいけどよ」 京太郎「で、何しに来たんだ?」 咏「あー、そうだった」 咏「晩飯食わね?」 京太郎「おう、いいぜ、何作って来てくれたんだ?」 京太郎「へぇー、これがサムゲタンか」 咏「そーそー、一日中暇だったから挑戦してみたってわけよ」 京太郎「薬膳料理で体にいいんだっけか、わざわざ俺のために調べてくれたのか?」 咏「ちっ、ちげーよ!たまたま、たっまたま暇だったから作ってみたんだっつーの!」 咏「たまたま買い物に行こうと思ったら霞に会ってお前のこと聞いて、そんでたまたま材料が売ってたんだよ!」 咏「わかったらとっとと食えよ京太郎」 京太郎「そんなとっとこハム太郎みたいに言われてもなぁ」 京太郎「まあいいや、いただきます」 咏「なあ、美味いか?」 京太郎「まだ食ってねえよ」 咏「そうだったよねぃ~」 京太郎(何言ってんだこいつは) 京太郎「なあ、お前どうしてそんなに元気そうなの?」 咏「どうして、ってそりゃあ、まあ……」 咏「京太郎とこうしてると、夫婦みたいかな……って」カァァ 咏「あっ、ししし知らんけど!」 京太郎「あー……確かに」 京太郎「けど俺と咏の子どもってどうなんだよ、絶対小っちゃくなるじゃんか」 咏「うっせー!私はまだまだ発展途上なんだよ!」 京太郎「…………」モグモグ 咏「せめて一言返してくれよ!?」 京太郎「…………」ゴックン 咏「ど、どうだった……?」 京太郎「これは……」 京太郎「うまいな」 咏「反応薄くねーか?私の気のせいか?」 京太郎「いや、疲れたっつーか、まだ元気出ない」 咏「んーそうかぃ……」 京太郎「けど、こんな晩飯だったら毎日食べたいな」 咏「ひゃぇっ?」 京太郎「もちろんサムゲタンじゃなくて、だぞ」 咏「わっ、わーってるよ!このスカポンタン!」カァァ 咏「そんなに作ってほしかったらいつでも作ってやるよバカ!」 咏「そんときは!……そんときは……また、二人で食おうな」 京太郎「おう、楽しみにしてるぜ」ニカッ 京太郎(つーわけで食後なんだけど……) 咏「~♪」シャー 京太郎(なんかデジャブだ) 京太郎(憩さんはあの小ぶりなお尻を振ってるのが良かった) 京太郎(咏はちょくちょく背伸びしようとしてつま先立ちするのが可愛いな) 京太郎(咲とかモモと一緒だとあいつらも料理上手くて三人で作って三人で片づけてたから、こんな風に後ろから見ることはあんまなかったんだよな) 京太郎(そう考えると、新鮮だ……) 咏「あ、うわわっ!」 京太郎「……え」 咏「京太郎、危ねぇ!」 京太郎「ナ、ナベ……?」 京太郎(えっ、なんで鍋?咏は自分の部屋で作って来たんだよね、じゃあなんで鍋なんか落ちてくるの?) 京太郎(それっておかしくねぇ?) 京太郎「ずがーん」 咏「京太郎ぉー!!」 京太郎「」ピクピク 咏「京太郎、おい、京太郎!」ペチペチ 京太郎「」チーン 咏「京太郎ぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」 京太郎(起きたら咏に泣いて謝られた) 京太郎(痛かったのは確かだけど、こっちも申し訳なかったから) 京太郎『泣き止まねえと舌入れてキスするぞ』 京太郎(って言ったらしばらくフリーズして泣き止んだ……はぅっ!)ズキッ 京太郎「たんこぶできてるよ、まったく」 京太郎(なんで今日はこんなに疲れるんだ?) コンコン 夜 憩「お邪魔するなーぁ」 京太郎「とはいっても、何しに来たんですか?」 京太郎「夕食ももう食べましたし、憩さんの手を煩わすようなことは何もないはずですが……」 憩「京太郎くんは冷たいなぁ、用事がないと来たらあかんの?」 京太郎「いやいや!そんなことはないっすよ!」 京太郎「憩さんがまた来てくれて嬉しいです!」 憩「ふふっ、最初っからそう言ってくれればええんやで」 憩「……ほんまは用事があって来たんやけど」 京太郎「結局あるんかい」 憩「京太郎くん、もうお風呂入った?」 京太郎「いえ、まだですけど」 憩「まだ、やったら……その、な……」 憩「身体拭くの手伝うで」 京太郎「……えっ?」 憩「ほら、京太郎くん風邪引いとるからお風呂入るのも大変やろ?」 憩「せやから、背中だけでも拭いたろか?」 京太郎「確かに……よく母さんにもしてもらったような」 憩「せやろー?そんなわけで、憩お姉ちゃんにお任せや!」 憩「ほな当てるで、熱かったら言ってな」 京太郎「ぅあ……」 憩「拭くでー」 京太郎「……おお、これは、なかなか」 憩「せやろー流石やろー♪」ゴシゴシ 京太郎「ちょっとくすぐったいですけどね」 憩「そういえば、みんなで銭湯に行ったんやって?」 京太郎「あのときは咏と憩さんがいませんでしたね」 憩「次行くときは、みんなで行けたらええな」 京太郎「そうっすね、俺は一人でゆっくりしたいです」 憩「だーめ、今度も混浴やで」 京太郎「いや、ほんと、耐えられないんでやめてください、まじで」 憩「にしても京太郎くんの背中おっきいなぁ」 京太郎「そうですかね?」 憩「ふふ……京太郎くんの背中、ウチの手でおっきくなってるで」 京太郎「微妙に言いなおした!?そしてなんで色っぽくなってるんですか!?」 憩「ふーっ」 京太郎「ふきゅっ!」 憩「あはは、変な声やなーぁ」 京太郎「そっちがいきなり息吹きかけるからでしょうが!」 憩「背中で気持ち良かったんやったら、耳にもしたろか?」 京太郎「遠慮します、次は俺の番ですからね!」クルッ 憩「あっ……」 憩「ん……」 京太郎「ん……ぅ!?」 京太郎(エイスリンさんも淡のも小さくて柔らかかったけど……憩さんのは、何か違うような) 京太郎(匂いが……歯磨き粉かな?) 京太郎(これは新鮮だな……って違うわ!) 京太郎「ぷはっ……すっ、すみません!」 憩「俺の番……って、そういうことやったんやな」 京太郎(この雰囲気は怒ってる!断言できる、ニコニコしながら怒ってくるに決まってる!) 憩「京太郎くんがその気なら、ウチやって……」 京太郎(やべっ、憩さんの手が俺の頬に!) 京太郎(これはビンタか?) 憩「すぅー……」 京太郎(ビンタなのかぁー!?) 憩「はぁぁぁぁ……」 京太郎(気合入れてるからビンタだね!) 憩「うぅ……えいっ!」チュッ 京太郎「んむっ」 憩「んっ」 京太郎(あれ、両手ほっぺに添えられてるじゃん) 京太郎(ってか、またキスしてるじゃん) 京太郎(……俺、この二日で何回キスしたんだ……?) 憩「っはぁ……」 憩「今度いきなりしたら怒るで、ええな?」 京太郎「キスしてキス仕返されるなら大歓迎です!」 憩「そういう問題とちゃうんやけど……」 憩「……まあ、これで偶然やないファーストキスになったわ」 京太郎(偶然じゃ、ない) 京太郎(ああ、そういや、校門の前で誰かにぶつかられて……) 憩「今のは今までの感謝の気持ちと、さっきのお返しやさかい、特別なんや」 憩「次は……もっと、すごい仕返しにしてまうからな」カァァ 京太郎「はい、あーん」 憩「あー……ん」モグモグ 京太郎(なんで霞さんからもらったみかんを食べさせ合いっこしてるんだ、俺たち) 京太郎(身体を拭く、という憩さんの用事が済んで、なんとなく……) 京太郎「こたつもあれば風情があって良かったですね」 憩「んふふ~ちょっとごめんなー」バサッ 憩「こうして二人でお布団にくるまる方があったかいで?」 京太郎「そんなに近づいたら風邪がうつりますよ」 憩「風邪は誰かにうつした方が早く治るらしいで」 憩「京太郎くんの風邪やったらうつってもええし、かまへんよ」 京太郎「それで憩さんが風邪になったら、俺が憩さんの風邪をもらいますからね」 憩「もう堂々巡りやないか……」 京太郎「そーっすねー」 憩「……こう、京太郎くんの隣におるとあったかくなるなぁ」 京太郎「そりゃあ熱出してる人と同じ布団に入ってたらそうなるでしょう」 憩「ムードもへったくれもないなぁ」 京太郎「じゃあ、こうしますか?」ギュッ 京太郎「キスに加えて手まで握れば、すぐ風邪がうつりますよ」 京太郎「……あ、みかんどうしましょこれ」 憩「右手で食べさせてー」 京太郎「いや、筋とかも剥かないと……」 憩「バナナとかみかんの筋は栄養が入ってるから食べた方がええんやで」 憩「ほらもういっこー」 京太郎「わかりましたよ、あーん」 憩「あーん」モグモグ 憩「ん~おいしいなぁ」 京太郎「俺にも食べさせてくださいよ」 憩「京太郎くんは部長さんに尽くすべきやと思うなー」 京太郎「これからもこんな調子なのか……」 憩「……ええやん、こんな調子で」 憩「京太郎くんはウチを手伝ってくれて、ウチも京太郎くんと一緒に頑張る!」 憩「このまま、二人で頑張ればええやろ?」 京太郎「今の憩さんは思いっきり怠けてますけどね」 憩「それは……臨機応変って言うヤツや」 京太郎「調子いいなぁ」 憩「……ま、何にしてもや」 憩「不束者やけど、これからもよろしうな」 京太郎「こちらこそ、まだお世話になります」 憩「……なんか、照れくさいなぁ」 京太郎「そう……っすね」 憩「そろそろ遅いし、帰るなぁ」 京太郎「今日は一日、ありがとうございました」 憩「ええよ、ご近所さんやし、後輩さんやからな」 憩「明日も長引いとるみたいやったら、また看に来るで」 京太郎「憩さんが毎日来てくれるんなら風邪なんて引きっぱなしでもいいかもしれませんね」 憩「さっきも同じようなこと言ったような気がするわ……」 京太郎「ですね……」 ヒュウウ 憩「くしゅん!」 京太郎「身体冷えちゃいますから、早く部屋に戻ってください」 憩「もうちょっと一緒に話していたいんやけど、女の子にそんな言い方してまうんやなぁ」 京太郎「俺だって、憩さんが俺のことを大切に思ってくれる以上に――――」 京太郎「ずっと、ずっと、憩さんのことが大切なんですもの」 京太郎「……っと、すみません、臭いこと言っちゃって」 憩「ううん、嬉しい」 憩「……京太郎くんは、なんでこんなに嬉しいこと言ってくれるんやろ」 憩「言葉も、麻雀も、料理も勝てないなんて、ずるすぎるわ」 京太郎「そんなこと言ったら、俺も憩さんの笑顔や学力に敵わないですよ」 憩「せやったら、ウチらが一緒におれば最強やない?」 京太郎「一緒にいれば……って、結構大胆なことを言いますね」 憩「京太郎くんに負けないくらいにしてみたつもりなんやけどね」 京太郎「……これからも一緒にいれるかどうか、なんてわかんないっすけど」 京太郎「今なら、こうすれば……」ギュッ 京太郎「一緒になってる、って感じがしませんか?」 憩「冬の夜やから、余計にな」 憩「……せや、クリスマスプレゼントまだあげてんかったやろ?」 京太郎「そんなのいいですよ、今日一日のお世話で十分です」 憩「年上としてそういうわけにもいけへんのや」 憩「せやから、これが、ウチからの誕生日プレゼントやで」 憩さんの両手が顔に添えられた 柔らかい指が顔を撫で、そこまで続く腕は、身体と身体を密着させるために曲げられる 憩さんはほんの少し背伸びをして、ゆっくりと顔をこちらに近づけてきた 目はもちろん閉じられていて、それが何を意味しているのか、なんて容易に想像することができた 唇が触れ合い、甘い歯磨き粉の香りが口の中に広がる 本日三度目の香りが、憩さんの舌によってさらに押し込められたのだ 甘い粘液をまとった舌が絡みついて来たので、こちらも絡め返して、互いの唾液を共有する 風に吹き付けられる寒さよりも、風邪がもたらした熱よりも、このキスの気持ち良さが遥かに勝る 快楽に浸っている間に、この一年の記憶が、脳裏に浮かんできた 初めて霞さんに挨拶をしに行った時のこと 登校初日に照と再会したこと 憩さんの涙を見て、手助けをしたいと思ったこと 憩さんと雀荘へ行って、たこ焼きを食べたこと エイスリンさんと初めて会話をしたときのこと 清々荘のみんなで歓迎会を開いて、お祝いをしてもらったこと 雀荘で怜さんと出会って、怜さんが倒れたこと ゲーセンで郁乃さんを助けたこと 他にも、まだまだある そんな日常の思い出や、非日常の思い出がこの一瞬のうちに思い起こされる 時間というものはあっという間に過ぎ去って、思い出は風化しながらも脳の片隅で生き続ける 俺が清々荘で過ごした八か月間は、どうやっても忘れることのできない思い出だ そして、それはこれからも積み重ねられるんだ 憩「……もう、激しくしすぎや」 京太郎「そっちから仕掛けてきたんでしょうが」 京太郎「クリスマスプレゼントの交換もし終えたんですから早く帰って寝てくださいよ」 憩「うん、ほな帰るな」 京太郎「おやすみなさい」 憩「おやすみー」フリフリ 憩「……あ」 京太郎「まだ何か、忘れ物でも?」 憩「んー……ちょっと一言、な」 京太郎「?」 憩「えー……コホン」 {{{ . .-――-. . . . ´ .` . / ヽ . . / / l ヽ ヽ . / / / / l l l . ′ . . . ′/ | ハ ト、 ヘ i l |. | 1 | .|{ ‘. ヽ\_ ; | | | | | | |-―.lハ{\ fヾ\` i l |l | | | | | |{ ヽ \ { \ \ | 八 | | | レ _ 、 `r==ミx } ∧ . 八 ヽ | r㌃⌒` ムイ } ヽ / \ヾ ,,,,,,,, , '' | ノ \ / 八 ハ .... 、 「 ヽ > / / >-、 ( ノ イ l l ヾ \ -=≦ / ゝ ー ' < l ∧ |` ー---` 「京太郎くん、大っ好きやで」 ∠ イ ∧ ト、 ≧=r-- 1 /レ' .V / \ { ヾr‐ァ' トヘ/ ___/ \ __ / \_____ / \ /ー一ヘ / ハ ハ \/ }/ ̄} / i ヽ } } | У } ∨ .| ′ / } } .. { . / { } } . | | } ,. i i ハ } ' . | }} 憩「いつも、おおきに」 【冬休み12日目】終了
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6423.html
京太郎「洋榎さん、帰ってます?」 洋榎「んー、おるでー」 京太郎「そっちはどうでした?」 洋榎「快調快調!飛ばしたったで」 京太郎「やっぱりすごいっすね」 洋榎「せやろーさすがやろー」 京太郎「凄い凄い」ナデナデ 洋榎「えへへ~」ニヘラ 洋榎「って、なにしれっと頭撫でとんねん!」 京太郎「えー、気持ちよさそうだったじゃないっすかー」ブー 洋榎「まあ確かに気持ちよかったけど……ってちゃうわ!ちゃうちゃう!」 京太郎(何が違うんだろう……) 京太郎「今日はものまね合戦でもしましょうか」 洋榎「ものまね?」 京太郎「例えば俺だったら……コホン」 京太郎「闇の炎に抱かれて消えろォ!」 京太郎「……とか?」 洋榎「」キュン 京太郎「どうでした?」 洋榎「もう一回!もう一回!」 京太郎「闇の炎に抱かれて消えろォ!」 洋榎「」キュン 洋榎(何やろ……この声) 洋榎(……かっこええ) 洋榎(いつもの京太郎とちゃうからかごっつかっこよく見える……) 洋榎「きゅぅ……」バタン 京太郎「洋榎さん!?」 コンコン 霞「失礼するわよー、ってあら」 霞「京太郎くん、まだ行ってなかったの?」 京太郎「あ……」 霞「まあそうだろうとは思ったわよ、途中まで送っていくわね」 京太郎「すみません、お願いします」 霞「お願いされました」ポンポン 洋榎「……むへへぇ……」 京太郎「今度は444号室か……なんか不吉じゃないか?」 「あーおーい、つきーあかーり」 京太郎「誰かいるのか?」コンコン 「!」ビクッ もこ「…………」ガチャ 京太郎「あっ対木さん!」 もこ「…………」カァァ もこ「///」ササッ バタム 京太郎「えっちょっ!」 京太郎「対木さん!開けて!」ゴンゴン もこ「……」ガチャ もこ「……聞いてた?」 京太郎「聞いてた……さっきの歌?」 もこ「…………」 もこ「///」ササッ バタム! 京太郎「……はぁ」 もこと同室になりました 京太郎「というわけで今日からよろしく!」 もこ「…………」 京太郎「あのー、対木さん?」 もこ「…………」ブツブツ 京太郎「とりあえず何かして遊ぶ?」 もこ「……許可する」 京太郎「じゃあ何しよっか」 もこ「我ら模擬となり演劇に興じる」 京太郎「?」 京太郎「じゃあごっこ遊びにするか」 もこ「」コクッ 京太郎「よし、それじゃあ始めだ!」 もこ「うっ……」 京太郎「どうした?」 もこ「左腕が……疼く」 京太郎「痛いのか?」 もこ「再び聖法具を巻かなければ、左腕に封印されたオルトロスが……うっ!」 京太郎(何を言ってんのかさっぱりわかんねえ……) 京太郎「ならお医者さんごっこでもするか」 もこ「」コクッ 京太郎「はい、左腕出してー」 もこ「……」 京太郎「包帯巻いていきますねー」 もこ「……よろしゅう」 京太郎(腕綺麗だな……細いし、白いし) もこ「如何した?」 京太郎「いや、なんでもない」シュッシュッ 京太郎「はい、終わり」 もこ「有難う、疼きが収束した」 京太郎「対木さんって綺麗な腕してるんだな」 もこ「……そう?」 京太郎「ホントホント」 もこ「…………」 もこ「有難う」 もこ「初めて言われた」 京太郎「誰でも言いそうなことだけどな」 もこ「……同志など存在しないから」 京太郎「……ああ、なるほど」 【六日目】終了 【七日目】 京太郎「ふぁぁ……」 京太郎「アパートで慣れてるからか畳ってのが気持ちいいな」 京太郎「昨日までは洋榎さんと同じベッドで少し緊張したけど、対木さんならまだ気が楽だ」 京太郎「……とは言うものの」 もこ「すぅ……ん……」 京太郎「なんで布団がくっつけてあるんだ……」 もこ「お早う……」ネムネム 京太郎「おう、朝ごはんもうあるからな。ルームサービスだけど」 もこ「大地の慈悲なる恵みに感謝を」 京太郎「宗教染みてるな……」 もこ「これは宗教などという聖なる文化ではない、闇との契約を更新するための黒儀式」 京太郎「はいはい、さっさと食べろ。30分後に取りに来るってさ」 もこ「ひょひ(御意)」ハムハム 京太郎「対木さんはこの後何か用事とかある?」 もこ「……特筆すべきものは何も」 京太郎(特筆って言うのか?) 京太郎「そっか、じゃあ俺と遊ばねえか?」 もこ「遊戯?」 京太郎「まあ、そうだな」 もこ「何するの?」 京太郎「んー……じゃあ 65で」 もこ「ポーカー……」 京太郎「やったことあるか?」 もこ「私を誰だと思っている?」ニヤリ 京太郎「対木さん」 もこ「…………」 もこ「そういえばそうだった」 京太郎(対木さん、よくわかんねえ人だな) 京太郎(咏あたりだったらぱぱっと友だちになっちゃいそうだけど) 京太郎(とりあえずはツーペアか……) もこ「……」ジーッ 京太郎(フルハウスシャボ待ちだな)スッ もこ「……」スッ 京太郎(四枚捨て!?) 京太郎(余程手札が悪かったのか?) 京太郎(まあいい、これで勝負だ!)スッ 京太郎「うっ……」 京太郎(やっぱりそう簡単に来るわけねえよな……対木さんの方は……) もこ「」ニコニコ 京太郎(めっちゃ笑ってる!?) 京太郎(いや待て、四枚捨てでいい手になるなんてそうそうないはず) 京太郎(ここは押す!) 京太郎「勝負!」 もこ「ふっ」 もこ「括目せよ、これこそが私の能力≪チカラ≫」 京太郎「こっ、これは……!」 ロイヤルストレートフラッシュ もこ「王 門 ☆ 閃 光!」 京太郎「嘘……だろ」 もこ「えへへっ、私の勝ちっ!」 京太郎「素に戻ってるぞ」 もこ「えっ……わわっ!」 もこ「これが私の暗黒魔術だ、恐怖を身に焼くが良い。くっくっく」 京太郎(やっぱりよくわかんねえ) もこ「」グッ 京太郎(でもガッツポーズしてるあたり嬉しかったんだろうな) もこ「須賀……楽しかった」ニコッ 京太郎「……ん、そりゃ良かった」 京太郎(ここまでいい笑顔できるんだな、この子) 京太郎「よろしくお願いします!」 菫「よろしく」 塞「こちらこそよろしくお願いします」 胡桃「お願いします!」 胡桃「いやー、でもまさか大阪でシロと打ってた人がチャンピオンだったなんてね」 塞「トヨネも自慢げに話してたもんね。今日はよろしく、須賀君」 京太郎「ええ、こちらこそ」 菫(なんだこの蚊帳の外の感じは……) 菫(だが別に構わん) 菫(私はただ、射抜くだけだ) 東一局 親 胡桃 25000 菫 25000 京太郎 25000 塞 25000 塞(弘世さんはわざと待ちを寄せて狙い撃ちをする) 塞(須賀君は……よくわかんないけど) 塞(まずは胡桃から和了ろうっと!) 京太郎(テンパイまではこぎつけたけど……)スチャ 京太郎(カスりもしねえな……)トン 菫(ぐぬ……まだ一向聴か) 菫(ここはオリるか)トン 胡桃(サエがテンパってそうだけど……これなら通るかな?)トン 塞「ロン、2000」 塞「胡桃もまだまだだね~」 胡桃「う、うるさいそこ!たまたまなんだからね!」 塞「好きに言ってな~」 東二局 胡桃 23000 親 菫 25000 京太郎 25000 塞 27000 菫(…………) 菫(ここは須賀を狙っておきたい……だが今はトップに立つのが先決だろう) 菫(故に狙うのは……)キュッ 塞(!)ビクッ 塞(今の殺気は……?) 塞(まあいいや、これでテンパイ)トン 菫「……ロン」 菫「12000」 東二局一本場 胡桃 23000 親 菫 37000 京太郎 25000 無関係点数移動:14000 塞 15000 京太郎(少しモモを意識して影薄めにしてきたけど……) 京太郎(このまんまだとやばそうだからな) 京太郎(低かろうと和了りにいく!) 京太郎「ロン、1300は1600!」 塞「うぁっ……」 京太郎(とりあえずこれで連荘回避) 京太郎(次の親番で勝負だ!) 東三局 胡桃 23000 菫 37000 親 京太郎 26600 無関係点数移動:14000 塞 13400 京太郎(よし、良い手だ) 京太郎(まずはこのまま波に乗る!) 京太郎「カン!」 京太郎「嶺上……なわけないか」トン 塞(宮永さんの試合見てたからなんか心臓に悪い) 胡桃(ホントホント!) 塞(こいつ、直接脳内に……!) 京太郎「あっ、ツモ、4000オールです」 菫「なにっ!?」 京太郎「逆転っすね」 東三局一本場 胡桃 19000 菫 33000 親 京太郎 38600 無関係点数移動:14000 塞 9400 塞(うっわ、やばいやばい) 塞(もう一万点切っちゃったよ、まだ親番あるからいいけどさ) 塞(うぬぬ……どうしよう)チラッ 京太郎「……」 塞(やや真剣な面持ち……こりゃ振り込んだら大変かも) 塞(いいや、これで当たって砕けろ!)スッ 塞(って、いやいや砕けちゃダメでしょ)トン 京太郎「ロン、7700は8000」 塞「はっ、8000……って」 胡桃(確かに須賀君強いけど、サエが抉られすぎてる……!) 胡桃(どうしよう、何か言った方がいいのかな……) 東三局二本場 胡桃 19000 菫 33000 親 京太郎 46600 無関係点数移動:14000 塞 1400 菫(13600点差か) 菫(覆せないこともない点差……) 菫(ここは、射抜く!)キュッ 菫「…………」トン 菫(須賀、お前には負けない!) 京太郎(なんかさっきから凄い視線を感じる……) 京太郎(ここまで来ればある程度は大丈夫だろ)トン 菫「ロン、2000は2600」 京太郎「くっ……」 菫(どこまでも追いつめてやる!) オーラス 胡桃 19000 菫 35600 京太郎 44000 無関係点数移動:14000 親 塞 1400 塞(いいねいいね!萬子の清一色!) 塞(このまま押してこっと)スチャ 塞(……およ?) 塞(んー……でもここは確実に行きたいよね) 塞(ダマでいこっか) 胡桃(サエが張った?) 菫(見え見えの染め手か、とりあえず振り込まないように……)トン 塞(う……リーチかけておけばよかったかも……) 塞「ツモ!6000オーッル!」 オーラス一本場 胡桃 13000 菫 29600 京太郎 38000 親 塞 27400 京太郎(臼沢さんの逆転の一歩の派手な和了り、助かったぜ) 京太郎(これで……ようやく……) 京太郎(…………消えられる) スゥ [ステルスモード]に移行しました 塞(これで私は二位、次に和了れば一位確定で勝ち抜け) 京太郎「リーチ」 塞(なるべく振り込まないように、かつ早く和了るように……) 菫(このまま逃げ切れば勝ち抜け) 菫(流局まで逃げると臼沢に捲られる可能性が高い) 菫(ここは、攻めるしかないだろう) 胡桃(すっかり置いてけぼり……) 胡桃(いやいや!まだ負けたとは決まってないよ私!) 胡桃(確実じゃないけど、でっかいのを和了る!)トン 胡桃(…………) 胡桃(あれ?なんで卓に三人しかいないんだっけ) 胡桃(誰か、だれか忘れてるような……) 京太郎「ロン、12000は12300」 胡桃「ッ!」 菫「リーチだと!?」 塞「待って、いつリーチなんてかけたの」 京太郎「いつ、って一巡前ですけど?」 胡桃「えっ……?」 終局 京太郎 50300 菫 29600 塞 27400 胡桃 700 京太郎「お疲れ様でした!」 塞「どこに隠れてたの、おかしいでしょ」 胡桃「ズルしないそこ!」 京太郎「どんだけ卑怯に見えてんですか!」 塞「なーんてね、私は楽しかったから満足だよ」 胡桃「焼き鳥で敗退なんてなんか釈然としない……」 胡桃「今度は赤子の手をひねるように負かすから覚悟してて!」 京太郎「鹿倉さんの方が赤ちゃんみたいな気がしますけど……」 胡桃「うるさいそこ!」 塞「うん、立場逆転しちゃうね」 胡桃「うるさいそこ!」 菫「ん?なんで幼稚園児がここにいるんだ?」 胡桃「乗らないくていいから!」 菫「……いい思い出になった、ありがとう」 京太郎「お礼を言われるようなことは何もしてませんって」 菫「いや、お前だからこそだったんだ」 菫「照と打ってくれ、今度は観戦していたい」 京太郎「はい、勝ってみせますよ!」 菫「ふふっ、楽しみだな」 塞「ねねっ、須賀君須賀君!」 京太郎「何すか?」 塞「これ私と胡桃のメルアドだから、暇なときに送ってきて!」 塞「こっちも不幸のメールとか送るから!」 京太郎「嫌ですよ何ですかその嫌な交換条件」 塞「あははっ!冗談冗談!そんじゃねー」 胡桃「次会うときはトヨネよりおっきくなってるから!」 塞「寝言は寝て言いましょうねー」 胡桃「引っ張らないそこ!」 ワーギャー バタム 菫「それでは私も行くよ、じゃあな京太郎」 京太郎「はい、またどこかで!」 ガチャ バタム 京太郎「俺も次の対戦相手見に行かないとな」 京太郎「……京太郎?」 京太郎「えっと、次は……末原先輩に上重さん、安河内さん……は九州の人か」 京太郎「まっ、次も勝てるだろ」 京太郎「一旦宿舎に帰るか」 京太郎「他の人の部屋に行ってみるか」 京太郎「つっても知らない人のところに行っても気まずいだけだよな……」 京太郎「ここって確か中部選抜とかの人たちが泊まってんだよな」 京太郎「じゃあモモとか咲とかもいるのか?」 桃子「呼んだっすか?」スゥ 京太郎「モモ!?」ビクッ 桃子「うっ……何もそんなに驚かなくてもいいじゃないっすか……」 京太郎「いきなり後ろから囁かれたらこえーっての」 桃子「そんなもんなんすか?」 京太郎「特にお前はな、咲だったら……」 咲『あ、京ちゃ』コケッ 京太郎「とか言ってこけそうだし」 桃子「……それもそうっすね」 京太郎「そうだ、モモの部屋に遊びに行ってもいいか?」 桃子「私の部屋っすか?」 京太郎「ちょっと暇なんでな」 桃子「まあ別にいいっすよ、こっちっす」 桃子「ただいま帰って来たっすよー」 京太郎「お邪魔しまーす」 智美「ワハハー、モモ、その男子は誰だー?」 京太郎「モモが見えてる!?」 桃子「私の幼馴染っすよ、今日は一緒に遊ぶっす!」 智美「そうか、じゃあ私も遊んでもいいか?」 桃子「京太郎、いいっすよね?」 京太郎「いいっていうか、むしろお願いします」 智美「私は蒲原智美だ、よろしくなーワハハ」 京太郎「俺は須賀京太郎です、よろしくお願いします」 桃子「それじゃあ始めるっすけど、何するんすか?」 京太郎「そうだな……」 桃子「花札……?」 京太郎「モモは知らなかったっけか?」 桃子「聞いたことはあるっすけど……そもそもできるんすか?」 智美「花札なら持ってるぞー」 桃子「そもそもルールがわからないっす」 京太郎「説明は……めんどくさいからちょっと見ててくれ」 京太郎「猪鹿蝶で俺の勝ちですね」 智美「やられてしまったなー、ワハハ」 京太郎「とまあこんな感じなんだが」 桃子「少し麻雀に似てるっすね」 京太郎「麻雀ほどメジャーじゃないんだよな、これが」 京太郎「それじゃあ三人でやってみよう」 智美「ワハハー雨四光だー」 京太郎「早くないっすか?」 智美「これも運だからなー、モモはわかったか?」 桃子「ん……まだよくわかんないっす」 智美「まあゆっくり覚えていけばいいぞー」 京太郎「…………」 京太郎「ちょっと、いや凄く気になったんですけど、どうして蒲原さんはモモが見えるんですか?」 智美「なんでだろうなー、モモは良い匂いがするんだ」 京太郎「匂いって……」クンクン 桃子「なに嗅いでるっすか!」 京太郎「確かに良い匂いだ……そうか、それは盲点だったな」 智美「そうだろーすごいだろーワハハ」 京太郎「モモをちゃんと見える人なんて久しぶりですよ!」 智美「そ、そうなのか?」 京太郎「モモは結構寂しがり屋なんで、適度に見つけてやってくださいね!」 桃子「私はペットじゃないっすよ!」 京太郎「いやーなんか気が晴れましたよ」 智美「ワハハ、須賀は心配性なんだな」 京太郎「大事な幼馴染ですからね」 智美「なんだかお兄さんって感じがするけどなー」 京太郎「そうですかね?」 智美「そうとしか見えないぞ」 桃子(うぅ……二人だけの雰囲気になってるっす) 桃子(なんかもやもやするっす……) 夜 京太郎「夜も遅いし他の人だと迷惑だろうから対木さんと遊ぼう!」 もこ「クックック、宵の王と戯れようなどとは良い意気だな」 京太郎(心なしかテンション上がってるな……) もこ「今宵は何を以て過ごすのかや?」 京太郎(口調安定しないな……) ~MOCO Sキッチン~ もこ「今宵の馳走は何ぞや?」 京太郎「口調おかしいだろ、今日の夕飯はこれだ!」 【ビーフストロガノフ】ババーン もこ「かっこいい……」 京太郎「よし、じゃあぱぱっと作るぞ!」 京太郎「切って、煮込んで」 京太郎「よし、完成だ!」 もこ「美味しそう」 京太郎「だがこれだけじゃないぜ!」 京太郎「来たれよ我が従者!」つオリーブオイル もこ「……え?」 京太郎「これで真の完成だあああああ!」ドバドバドバドバ もこ「あ、あああぁぁ……」 京太郎「これがロシアの豪商ストロガノフ一族の味だ!」 もこ「…………」モグモグ 京太郎「どうだ?おいしいか?」 もこ「ストロガノフ……緑油……豪商……」モグモグ もこ「……かっこいい」モグモグ 京太郎「そっかそっか、もっと食べてくれよ!」 もこ「…………」 京太郎「んー、口に合わなかったか?」 もこ「……」コクッ 京太郎「やっぱり朝の番組の真似なんてするんじゃなかったな」 京太郎「後は俺が食うよ」 もこ「…………構わない」 京太郎「いいのか?」 もこ「食すに値しないこともない味、故に」 京太郎「そっか、ありがとな」ナデナデ もこ「……うん」 もこ(少し、安らぐ) 【七日目】終了 【八日目 準々決勝】 もこ「ん…………」 京太郎「いつも通り早起きだぜ!」 京太郎「って騒いじゃ起きちゃうよな」 京太郎「とりあえずルームサービスを頼もう」 もこ「……んぅ…………」 京太郎「対木さんも洋榎さんも幸せそうに寝てるよな」 京太郎「……無防備だよな」 京太郎「久々にやるか」 【須賀京太郎の!寝起きドッキリ大成功!part13】デデーン! 京太郎「おはようございまーす」ヒソヒソ 京太郎「今日は愛知県出身の対木もこさんに、ドッキリを仕掛けたいと思いまーす」ヒソヒソ 京太郎「それでは準備を始めまーす」ヒソヒソ 京太郎(まずは布団に潜って)ススッ 京太郎(後ろから抱きしめる)ギュッ もこ「っ……」 京太郎(モモとは違うけどいい匂いだな) 京太郎(って違うわ!今はドッキリに集中集中!) もこ「ん……ぅ……」 京太郎「もこ、聞こえてるか?」ボソボソ 京太郎「……好きだよ」ボソボソ もこ「……ん」 もこ「……そ……か」 京太郎(起きたか……?) もこ「魔城門が……遂に……」 京太郎(なんだこの寝言) 京太郎(まあ続行だよな) 京太郎(対木さんの髪綺麗だな……) 京太郎(少し緑っぽい金髪なんて俺とは大違いだ) 京太郎(それに柔らかいしいい匂いもするし)サスサス 京太郎(ってやべっ!) もこ「……ぅ……」 京太郎(起きたか……?) もこ「……須賀君?」 京太郎「お、おはよう」サスサス←布団の中でもこを後ろから抱きしめつつ髪を梳いている もこ「……」 京太郎(凄く凄い気がする、この状況は……嫌な予感しかしない!) 京太郎(話題は……逸らすしかない!) 京太郎「えっと、いつから起きてた?」 京太郎(逸らせてなかったぁぁぁああ!) もこ「……須賀君が頭髪に触れたその瞬間から」 京太郎「わかりやすい表現で助かる」 もこ「…………須賀君」 京太郎「……俺が悪かった」 もこ「違う、そうではなく……そう、か……」 京太郎「?」 もこ「そ……その」 京太郎「何だ?」 もこ「もっと、愛撫、して……」カァァ 京太郎(その言い方はおかしい) 京太郎(この体勢でその言い方はおかしい) 京太郎(耳まで赤くなってるのが見えるよ……) もこ「ねぇ、早く」 京太郎「わかったよ、やればいいんだろやれば」サスサス もこ「…………京太郎」ボソッ 京太郎「何か言ったか?」サスサス もこ「無用!」 京太郎(顔が見えないのが残念だな)サスサス もこ「…………」カァァ 京太郎(いよいよ準々決勝か、こっからが勝負だな) 恭子「三日ぶりやな」 京太郎「あ、もう来てたんですか」 恭子「漫ちゃんもおるで」 漫「がるるるる!」 京太郎(そういえば前に豆撒いたんだっけか) 美子「よろしゅうお願いします」 京太郎「はい、こちらこそお願いします」 漫(須賀京太郎……絶対に飛ばしたる!) 東一局 親 恭子 25000 美子 25000 漫 25000 京太郎 25000 同コンマのため、流局 美子(三人ともテンパイ……) 美子(ここはオリて殴り合ってもらうとすっかね) 恭子「テンパイ」 美子「ノーテン」 漫「テンパイ」 京太郎「……テンパイ」 京太郎(様子見は……終わった)ゴッ 【照魔鏡】発動! 京太郎(上重さんは圧倒的な爆発力) 京太郎(安河内さんと末原先輩は……よくわかんねえ) 京太郎(安河内さんは早和了りを目指してるのか?) 京太郎(とにかく、これでピースは揃った) 東一局一本場 親 恭子 26000 美子 22000 漫 26000 京太郎 26000 同コンマのため、流局 恭子「テンパイ」 美子「ノーテン」 漫「ノーテン」 京太郎「テンパイ」 漫(……アカン) 漫(高めをぶち当てようなんて考えん方が良かったか……) 漫(結局二向聴のまま進んどらんし) 漫(このままやったら何もできんまま終わる……) 東一局二本場 親 恭子 27500 美子 20500 漫 24500 京太郎 27500 同コンマのため、流局 恭子「テンパイ」 美子「ノーテン」 漫「ノーテン」 京太郎「テンパイ」 京太郎(なんでこんな作業で一万点も勝ってんだろ……) 東一局三本場 親 恭子 29000 美子 19000 漫 23000 京太郎 29000 漫(ツモで7700) 漫(積み棒含めば逆転もできるけど……末原先輩に親っ被りやん)スチャ 漫(……あ、ツモってもうた) 漫(せやけどここで須賀京太郎に和了られるのも嫌やし……) 漫(……もう和了ってまえ!) 漫「ツモ!2300・4200!」 東二局 恭子 24800 親 美子 16700 漫 31800 京太郎 26700 漫「カン!」 恭子「ひぃっ!」 漫「ツモ!1500・2900!」 漫(圧倒的!圧倒的やん私!) 漫(このまま勝つ!) 漫(勝てる……勝てるんや!) 京太郎「……っ」 京太郎(俺は、負けるわけにはいかない) 京太郎(まだ負けない) 京太郎(勝つんだ、必ず) 東三局 恭子 23300 美子 13800 親 漫 37700 京太郎 24200 美子(まずは速攻で流れ作って、次に賭けんと) 美子(やけん軽か手で……) 京太郎(……どうすればいいんだ) 京太郎(上重さんに届くまでの手が作れねえ) 京太郎(このままだと……負ける?) 京太郎(いや、まだ諦めねえ) 京太郎(今は前へ進むだけだ!)トン 美子「ロン、1300です」 京太郎「うっ……」 京太郎(……親番) 京太郎(勝たないとダメなんだ!) オーラス 恭子 23300 美子 15100 漫 37700 親 京太郎 22900 京太郎(俺は……勝つ!)ゴッ 美子「!」 恭子(……須賀?) 恭子(須賀にこないに迫力あったか?) 恭子(どうしたんや一体……) 京太郎(集まれ、集まれ!) 京太郎(この一手で勝つ!)スチャ 京太郎(…………) 京太郎「ツモ」 京太郎(どうやら俺は、最高にツイてるみたいだ) 京太郎「4000オール!」 漫「んなっ!」 京太郎「終わりです!」 終局 京太郎 34900 漫 33700 恭子 19300 美子 11100 京太郎「お疲れ様でした!」 美子「お疲れ様でした」 恭子「ありがとうございました」 漫「お疲れさんでした……はぁ」 漫「勝てると思うたんやけどなぁ……」 京太郎「はっはっは!俺を甘く見すぎたんですよ!」 京太郎「いやでもホントこの前はすんませんでした」 漫「ああ、別に気にしてへんよ。もうすっきりしたし」 京太郎「そうですか、すみません」 漫「ふふっ、なんでまた謝るんや」 京太郎「なんででしょうかね?あははっ」 美子「焼き鳥やった……」 恭子「私もですよ、ホンマ世知辛いですわ」 美子「世知辛いの使い方間違っちるような……」 美子(あいが部長の言うてたん人か……) 美子(私も勝てなかったな……) 恭子「あ、せや須賀君」 京太郎「何ですか?」 恭子「せっかくやし連絡先交換しとかへん?」 京太郎「はい、いいですよ」 漫「せやったら私も!」 美子「わ、私も……」 京太郎(何かすっげえモテてる気がする) 京太郎「順調に電話帳が埋まっていくな」 京太郎「さてと、次の対戦表を見に行くか」 京太郎「次の相手は……っと」 京太郎「咲んとこの竹井さんと阿知賀の新子さんと鷺森さんか」 京太郎「見事なまでに全員知り合いだな」 京太郎「もう帰ろっと」 京太郎「またどっか他の人の部屋で遊ぼうかな」 京太郎「ホテルの中ぶらついてたら誰かしらいるだろ」 京太郎「さーて、誰かいないかなーっと」キョロキョロ ゆみ「ん?須賀君じゃないか」 京太郎「あ、加治木さん!」 ゆみ「私たちの宿舎で何をしているんだ?」 京太郎「俺もここに泊まってるんですけど暇で暇で、だから他の人と遊ぼうかなーって」 ゆみ「ふむ、そうか……」 ゆみ「なら私たちの部屋はどうだ?」 京太郎「良いんでしたらいきますけど」 ゆみ「よし、ついてこい」 ゆみ「ただいま帰った」 久「もーゆみ遅いわよー」グデー ゆみ「来客なんだからしゃんとしろ」 久「来客?」 京太郎「あ……ども」 ゆみ「ここで遊んでも構わないだろう?」 久「んー別にいいけど……まさか明日の相手と会っちゃうとはね」 京太郎「明日はよろしくお願いします」 久「こちらこそ」 ゆみ「それで、何をして遊ぶんだ?」 京太郎「じゃあリアルおままごとでもしましょうか」 ゆみ「リアル?」 久「いいじゃないそれ!採用!」 ゆみ「なあ久、リアルおままごととは何なんだ?」 久「まあやってみればわかるわよ」 京太郎「結構楽しいですよ」 ゆみ「そうか……わかった、やってみよう」 京太郎「ゆみ、次はいつ会える?」 ゆみ「いつでもいいよ、明日でも来週でも、三時間後でも」 京太郎「いつも嬉しいことを言ってくれるなぁゆみは!」ワシャワシャ ゆみ「か、髪を撫でるな!」 京太郎「んーやっぱやり足りないからもう一回戦やるか?」 ゆみ(一回戦?) ゆみ「……ああ、いいぞ」 京太郎「じゃあまた頑張ってくれよ」 ゆみ「う……ん」 久「きょう……たろう……」 久「ゆみ……?」 久「二人とも、何してるの?」 京太郎「ひ、久!違う!これは違うんだ!」 ※設定上全裸 ゆみ「そっ、そうだ!京太郎は怪我をした私を運んできてくれただけなんだ!」 ※設定上全裸 久「…………」 久「……あー、そっか、そうだったんだ」 久「ごめんね、私てっきり勘違いしちゃってた、うん、そうだよね……」 久「ちょっと買い物行ってくるから、ゆみはゆっくりしてってね」 タッタッ ガチャ バタム 久「あ、あははっ」 久「そっか、そうだよね」 久「京太郎は私よりゆみの方が好きなんだ」 久「何結婚したからって喜んでたんだろ私、ふふっ」ポロポロ 久「あれ、なんでだろ、なんで、なんで」ポロポロ 久「なんでこんなにおかしいのに……泣いてんだろ私」ポロポロ 久「とまあこんなもんかしらね」ケロッ 京太郎(全部演技だったのかよ……) ゆみ(よくわからんやつだ……) 久(妻役の気持ち考えたら、なんか……)チラッ 京太郎「じゃあ次行きましょうか」 ゆみ「疲れるからもうやめてくれ」 久(ちょっと気になっちゃったかも?) 夜 京太郎「竹井さんの演技力おかしすぎるだろ……」 京太郎「ただいまー」 もこ「プログラムアドバンス!ドリームソード!」 京太郎「またやってるのか」 もこ「…………」 もこ「よく帰ったな、000」 京太郎「おう、ただいま、晩飯はもう食べたか?」 もこ「」フルフル 京太郎「じゃあ一緒に食べるか」 もこ「」コクッコクッ 京太郎(妹ができたらこんな感じなのかな) 京太郎「じゃあまたポーカーでもするか」 もこ「今宵も勝利は私の手にある」ドヤッ 京太郎「はいはい、んじゃ始めるぞ」 京太郎(そういえば一対一だったらインディアンポーカーとかもあるんだよな……) 京太郎(まあ俺あんま強くないしいっか) 京太郎(うわ、ワンペアかよ……) もこ「クックック」スッ 京太郎(また四枚捨てとか正気かよ、じゃあ俺も) 京太郎(勝負の三枚捨てだ!)スッ 京太郎「……ワンペア」 もこ「ストレートフラッシュ」 京太郎「いやいやおかしいだろ絶対!こんなの!」 もこ「卑怯だと?」 京太郎「一体何やったんだー?」ムニムニ もこ「ひゃへへー(やめてー)」 京太郎「ほっぺやわらかいな……」ムニムニ もこ「ひょうはほーひゃへへー(京太郎やめてー)」 京太郎「憂さ晴らしだ!えいっえいっ!」ムニムニ もこ「うぅ……」 京太郎「その、なんだ、すまなかった」 もこ「京太郎の……バカ」プイッ 京太郎(あ、なんか可愛い) 【八日目】終了 【九日目 準決勝】 京太郎「ふぁぁ……」 京太郎「結局十戦十敗ってどうなってんだよ、もう」 もこ「ぇへへ……」 京太郎「……」プニプニ もこ「すぅ……ぅ……」 京太郎(……何しよ)プニプニ 京太郎「適当に散歩でもしてくるか」 京太郎「書置きして……っと」 京太郎「よし行くか」ガシッ 京太郎「?」 もこ「きょ……行かない……で……すぅ」 京太郎「つってもすることがないから、ごめんな」ナデナデ もこ「すぅ……」 京太郎「東京みたいな古書街とかって大阪にはあんまないらしいんだよな」 京太郎「とりあえずぶらぶら見て回るか」 京太郎「良さそうなところがあったら入ってみよ」 【高天原古書店】 京太郎「入ってみたはいいけど、別に咲みたいに本に興味があるってわけじゃないしなー」 京太郎「どうしよ……!?」 衣「こまきー!こっちだぞー!」ピョンピョン 小蒔「天江ちゃん、待ってくださいー」ゼェハァ 淡「テルー、いい本あったー?」 照「はい」つ【ぐりとぐら】 淡「そこまで子どもじゃないよ!」 恭子(何や……何なんやこれぇ……)カタカタ 京太郎(なんでただの古書店にこんなに知り合いがいるんだよ……) 淡「あ!京太郎だー!」 照「えっ、どこどこ」 京太郎「うげっ」 小蒔「お久しぶりです、須賀さん!」 衣「久方ぶりだな、きょうたろー!」 京太郎「本屋なんですからもっと静かにしましょう」 小蒔「すみません……」ショボン 衣「すまない……」ショボン 淡「京太郎はここで何してるのー?」 京太郎「ちょっと散歩をな」 恭子(ホンマに何なんやこれ、魔物だらけやないか……) 衣「そうだ!きょうたろーも一緒に来ないか?」 淡「あ!そだね、この後みんなで打ちに行くんだけど、来る?」 京太郎「別にいいけど……あ!末原先輩もどうですか?」 恭子「!」ギクッ 恭子(なんでこっちに話振るんや!) 京太郎「みんなでやれば楽しいですよ!」ニコッ 恭子(アカン、悪魔の笑顔にしか見えへん) 照「六人……誰か二人抜けないと」 京太郎「じゃあ俺が抜けますよ」 衣「いいのか?」 京太郎「俺が邪魔するのもあれですし」 淡「だったら最後の一人はくじで決めよう!」 小蒔「割りばしで作ってみました!」 恭子(なんでこないに楽しそうなんやろ……) 淡「よし、せーのっ!で引くよ!」 五人「「「「「せーのっ!」」」」」 恭子(アカン……) 衣「衣の親からだな!リーチ!」 淡「リーチ!」 小蒔「…………リーチ」ゴゴゴゴゴ 恭子(ダブリー三連とかおかしすぎるやろ) 照「……京」 京太郎「なんだ?」 照「絶対に負けないでね」 京太郎「それはこっちの台詞だっての」ナデナデ 照「むぅ……」 京太郎「今まで俺がお前との約束を破ったか?」 照「…………」 京太郎「俺を信じろ、絶対にまたお前の前に立つ」 照「……わかった」 照「頑張ろう」 京太郎「よし、っともう終わったみたいだな」 小蒔「ロン、32000」 淡「三家和ありだよね!ロン!32000!」 衣「ロン!48000!」 恭子「」 久「やっほー、昨日ぶりね」 京太郎「今日は負けませんよ」 久「そうね、楽しみにしてるわ」 久「あ!新子さん!」 憧「うわっ、清澄……」 灼「久しぶり」 京太郎「お久しぶりです、今日はよろしくお願いします」 灼「うん、よろしく」 憧「清澄にチャンピオンって色んな意味で最悪……」 久「まーまーそう言わずにー」 京太郎「もっと仲良くしようぜー」 憧「ちょっあんま近寄んないでよ!」ボコッ 京太郎「ぶへっ」 東一局 親 京太郎 25000 憧 25000 灼 25000 久 25000 憧「ポン」 灼(憧、相変わらずはや……) 久(二萬に二筒……三色か) 久(だとしたらこの二索危ないかも……) 久(いえ、これは通る!)トン 憧「ロン!12000!」 久「あ……はい」 東一局 親 京太郎 25000 憧 37000 灼 25000 久 13000 京太郎(親流されて跳満リードとかきついって!) 京太郎(まずは新子さんの親を流す!) 京太郎「チー!」 久(やっばい、どうしよう) 久(須賀君はまだ安そうだけど……) 久(やっぱここは和了りにいく!)トン 京太郎「ロン!1300!」 東三局 京太郎 26300 憧 37000 親 灼 25000 久 11700 憧「ロン、2000」 京太郎「はい」チャラッ 憧「どうも」ピトッ←指先が触れ合う 京太郎「あ」 憧「……~~っ!」カァァ 憧「は、はやく!次!」 久「初々しいわね~」ニヤニヤ 憧「う、うるさい!」 東四局 京太郎 24300 憧 39000 灼 25000 親 久 11700 同コンマのため、流局 久「テンパイ」 京太郎「テンパイ」 憧「テンパイ」 灼「ノーテン」 京太郎(半荘で良かった……) 京太郎(今はどうやって逆転するかを考えないとな)チラッ 憧「」ビクッ 憧「……///」 京太郎「?」 東四局一本場 京太郎 25300 憧 40000 灼 22000 親 久 12700 灼(…………) 灼(憧と18000点差、ここからならまだ勝てる) 灼(直撃で点差を縮めない、と) 京太郎(テンパイできねぇ……) 京太郎(不要牌ばっかじゃねえかよ、早く新子さんに追いつかねえといけねえのに!) 久(今日はツイてないわねー) 久(……まだ四局以上あるんだから巻き返せるわよね) 久(次は和了らないとね!) 憧(面前一通、これなら和了れる!) 憧(まだ一向聴なんだけどね……)トン 灼「ロン、6700」 灼(まず一歩) 南一局 親 京太郎 25300 憧 33300 灼 28700 久 12700 京太郎(親番なんだし、攻めていかねえと!) 憧「リーチ」 京太郎(この状況でリーチかよ!) 京太郎(どうする、何切ればいいんだよ!) 京太郎(テンパイはとっておきたい、でも嫌な予感が……) 京太郎(くそっ、行っちまえ!)トン 憧「ロン」 京太郎「うっ」 憧「24000」 京太郎「な……っ!」 南二局 京太郎 1300 親 憧 57300 灼 28700 久 12700 京太郎(何……やってんだ俺) 京太郎(こんなところで終わってたまるかよ……) 京太郎(こんな点差つけられて、全然和了れなくて) 京太郎(負けねえよ、負けたくねえよ) 京太郎(勝つんだよ!) 京太郎(……どうするこの状況) 京太郎(リーチでツモれば倍満、もう少し待てば三倍満だって見えてくる、あわよくば数えだって……) 京太郎(素直にツモるか、悪あがきをするか) 京太郎(どうすればいい……) 京太郎(照や咲だったら、どうするんだ) 京太郎(……ツモったか) 京太郎(平和清一色の三門張……) 手牌:一二三三四五六七七八八八九 ツモ:八萬 京太郎(ここは一盃口か一通を待つ、だから!) 京太郎(遠回りでも可能性を残して、勝ちに行く!)トン 八萬 憧(張ってそうな感じね……でも染め手っぽいし……) 灼(振り込まないように……) 久(ここもオリようかしら……) 京太郎(よし、来た!) 京太郎(あれこれさっき三萬捨てといたほうが良かったんじゃ……) 手牌:一二三三四五六七七八八八九 ツモ:九 京太郎(まあいい、三面張を捨てて三・六萬待ち) 京太郎(これって平和も入るんだっけか?) 京太郎(まあいい、これでリーチ清一色一通一盃口) 京太郎(ツモか一発で三倍満、裏も乗れば数えだって行ける!) 京太郎「リーチ!」トン 八萬 憧(何、この気迫!) 灼(……危な) 久(へぇ、諦めないんだ) 京太郎(これで決まればいいんだけどな……っ!) 京太郎(来てくれ!)スチャ 京太郎(よし!) 京太郎「……ツモ!」 京太郎「リーチ一発清一色一盃口一通、裏裏!」 京太郎「8000・16000!」 南三局 京太郎 33300 憧 41300 親 灼 20700 久 4700 京太郎(よし!三色混じりの満貫手!) 京太郎(これで追いついてやる!) 京太郎「リーチ!」 灼(またリーチ……) 久(流れ持ってかれちゃったかな……) 憧(須賀……なんで諦めないんだろ) 憧(ここまで私が勝ってるのに……) 灼(まだ私も、諦めない) 灼「リーチ」 京太郎「ロン!8000!」 京太郎「これで同点だ!」 オーラス 京太郎 41300 憧 41300 灼 12700 親 久 4700 久(ラス親でテンパイ、か) 久(悪い待ち……はしなくていいかしらね) 久(和了れなさそうだし……) 京太郎(これで……この手で……!) 久(私が和了っても困るだろうし、ね) 京太郎「リーチ!」 憧(負けそうなのに、追いつかれてるのに) 憧(悔しいのに……) 憧(もう、あそこまで必死だったら応援するしかないじゃない) 憧(須賀、か……) 灼(和了られてばかり……) 灼(須賀君、会場で会った時とは全然違う) 灼(少し……昔のハルちゃんみたいだった) 京太郎(これで止めだ!) 京太郎「ツモ!3000・6000!」 終局 京太郎 53300 憧 38300 灼 9700 久 -1300 京太郎「おっ、お疲れ様でしたぁ!」 灼「お疲れ」 久「お疲れ、あー飛ばされちゃったかー」 京太郎「なんか、すんません」 久「いいわよ、決勝頑張ってね」 京太郎「はい!」 灼「憧、行こ」 憧「ちょ、ちょっと待って!」 灼「?」 憧「す、須賀!」 京太郎「なんだ?」 憧「え、えっと、その……お、お疲れ!」カァァ 京太郎「おう、また今度打とうな」 憧「あ、あと!」カキカキ 憧「これ、これ!」 京太郎「……メアド?」 憧「わ、私ってほら、男が苦手でさ、だからたまに話し相手になったりしてくれると、その、助かるなって」 灼「じゃあ私も」 久「じゃあ私もー」 京太郎「竹井さんはむしろ扱いが上手そうですけどね」 久「えーひどくない?」 京太郎「身の回りの男をこき使ってそうなイメージです」 久「なんか失礼ね」プクー 灼「それじゃ、また」 京太郎「はい、お元気で!」 京太郎「……また、あいつらと打てるのか」 京太郎「勝って、あいつらの隣に立つんだ」ギュッ 夕 京太郎「ただいまー」 もこ「京太郎!京太郎!」 京太郎「どうした?」 もこ「黒と朱と赤の卓、不屈の京太郎!」 京太郎「?さっきの試合?」 もこ「すごかったぁ!」ニコッ 京太郎「そっか、ありがとな」ナデナデ もこ「京太郎、夕刻は如何にして過ごす?」 京太郎「んー、疲れたし部屋出たくないし……遊ぶか」 もこ「御意!」 京太郎「それ敬語じゃなかったか?」 京太郎「じゃあ今日はインディアンポーカーでもするか」 もこ「胤禰闇峰袈厭?」 京太郎「そそ、インディアンポーカー」 京太郎「まずお互い一枚ずつカードを取っておでこにつける」 京太郎「それで勝負するかしないかを選ぶ、簡単に言うとこんな感じだな、わかったか?」 もこ「」コクッ 京太郎「よし、じゃあ一ゲーム目だ」 京太郎「……」ジーッ←正座 もこ「……」ジーッ←正座 京太郎(対木さんは7か……微妙だな) 京太郎(確率的には負けやすい……ここはオリか?)ジーッ もこ「……」ジーッ 京太郎(あ、目が合った) もこ「……」メソラシ もこ「……」チラッ 京太郎「またこっち見た」 もこ「…………」カァァ もこ「み、見ないで」テレテレ 京太郎「勝負なんだからしょうがないだろ」 もこ「ぅぅ……」カァァ 京太郎(何だこの小動物的な可愛さ……) もこ「……厠」 京太郎「江戸時代!?」 もこ「……ん」スクッ ビリッ もこ「あっ」コケッ 京太郎「危ねっ!」ガシッ ポスン 京太郎「い、つっつ、正座なんかするんじゃなかったな……!?」 もこ「痛い……」 京太郎(あれ、何これ、俺押し倒されてんの?) 京太郎(目の前に対木さんの顔あるし……って顔小っちゃくねえか?) 京太郎(またいい匂いがするし……) 京太郎「つっ対木さん?とりあえず離れてくんないかな?」 もこ「あ……ぅ」 京太郎「対木さん?」 もこ「…………もこ」 京太郎「え?」 もこ「初名で呼称しなければ退かない」 京太郎「初名?……ファーストネームのことか?」 もこ「」コクッ 京太郎「じゃあ、もこ、退いてくれないか?」 もこ「……もう一度」 京太郎「もこ?」 もこ「……」カァァ もこ「……もう一度」 京太郎「いい加減にしなさい」ペシッ もこ「あぅ……」 【一時間後】 京太郎「もこ、そろそろ離してくれないか?」 もこ「……あと十度」ギュゥ 京太郎「はぁ……」 夜 京太郎「もこ、離さないと遊ばないぞ」 もこ「それは嫌」 京太郎「じゃあ離れろ」 もこ「……御意」 もこ「次は反転し合う白黒≪モノクロ≫の盤上」 京太郎「オセロな、今から借りてくるから、シャワーとか浴びとけ」 もこ「うん」 京太郎「持ってきたぞ」 もこ「ありがとう」ホクホク 京太郎「もこはどっちの色がいい?」 もこ「灰」 京太郎「黒か白だ」 もこ「黒」 京太郎「じゃあ俺が白だな」 京太郎「角三つ取ったのに負けたかー」 もこ「ふぁ……ん」 京太郎「眠いのか?」 もこ「」コクッ 京太郎「ならさっさと片付けないとな、手伝ってくれるか?」 もこ「」コクッ 京太郎「よし、もうちょい頑張れ」 もこ「……」ペラッ ペラッ 京太郎「そういや、今夜でここで寝るのも最後なんだよな」 もこ「……」ポロッ 京太郎「落としたぞ?」 もこ「……京太郎」 京太郎「ん?」 もこ「帰郷しても、友だち、だよね?」 京太郎「おう、もちろんじゃねえか」 もこ「!」パァァ もこ「ありがとう!」ニコッ 京太郎「当然だろ、普通だよ」ナデナデ もこ「えへへ……」 【九日目】終了