約 6,645 件
https://w.atwiki.jp/atogefan20110504/pages/220.html
「お二人に依頼があります」 ローズとフェインのもとへ到着したクレイルがテンペストを魔道書に収め、放った第一声がそれだった。 「クレイルと、青いのはレオルス? だっけ?」 ローズに向かってレオルスが頷く。 「何か探し物でも? ……って雰囲気じゃないわよね」 不穏な気配を察してか、ローズの声のトーンが落ちる。 普段のクレイルを知っている人物であればなおさら、目の前のクレイルの余裕の無さは何かが起きていることを予測させるだろう。 「レオルス、ミミックを出してくれるかい」 「あぁ」 レオルスがティファレットから受け取った強欲のミミックを取り出す。 ミミックは既に箱の状態になっていた。 「? 初めて見る箱だわ。フェイン、どう?」 窓際にやってきたフェインも、レオルスの手の上にある箱を見る。 「でしょうね、これは特殊な箱です。見ていてください、今からこの箱を開けてみます」 クレイルがレオルスに鍵を一本手渡す。 レオルスはそれを箱に近づけた瞬間、箱は鍵を吸い込んだ。 「なっ!? 箱が生きてる!?」 ぎょっとしたフェインが思わず声を上げる。 フェインとローズの前で、ミミックは大きく宝箱本体を開いてゆく。 そこには<ガーネットハーブ>が複数枚入っていた。 真っ赤な葉を持つこのハーブは少量では全く効果を発揮しない。 枚数が多ければ多いほど、他の素材と混ぜ合わせた時の効果を増加させる。 「ガーネットハーブ、確かに本物っぽいな」 「えぇ、間違いないでしょう。だが、これではまだまだ足りません」 ハーブを見る4人の前で、開いた箱がさらに変化を起こす。 小さく振動したミミックがもとの姿に変わり、二つに分裂してレオルスの手に収まった。 今度は他人の手に渡る前、箱から舌を出している小さな魔物の状態である。 「ワーオ、何? 何かのマジック?」 「い、生きた箱なのか……?」 フェインが恐る恐る、箱を凝視する。 「今お見せしたのは、<強欲のミミック>と言う、率直に言えば生きた箱です」 クレイルが説明する間に、レオルスがローズとフェインに一つずつミミックを手渡した。 瞬間、二人の手の上で箱の姿が変わる。 「箱が変化した……なになに、今度は違う鍵が必要?」 ローズが手の上にある箱をつついて言う。 「それが強欲のミミック。箱の欲を満たせば、代わりに報酬を授けてくれるのです」 レオルスの手にしたハーブをクレイルが受け取る。 「その箱から必ず出現するこのハーブが、大量に必要なんです。パピメルを救うために……」 その言葉に、フェインとローズが改めてクレイルを見る。 「あんた、妹に何かあったの?」 ローズの問いにクレイルが頷きながら言う。 「えぇ、病に倒れました。これから秘薬を作るために素材を集めにあちこち飛び回ります。その間に、お二人に何とかガーネットハーブを増産しておいていただけないかと……」 クレイルの言葉にローズとフェインが目線を合わせる。 が、何を悩むこともなく二人の返答は同じだった。 「大丈夫、任せてください」 「困ったときはお互い様。それに可愛い女の子が苦しんでいるなら、助けないわけにはいかないわ」 笑顔で返答する二人に、クレイルが頭を下げる。 「ありがとうございます、助かります」 よかった、とそれを見ていたレオルスも一安心した。 クレイルが再びテンペストを召喚する。 すぐにクレイルとレオルスがそれに飛び乗る。 「よろしくお願いします」 最後に一言そう言い残し、クレイルとレオルスを乗せたテンペストは全速力で空高く飛び立つ。 二人を見送ったフェインとローズは早速準備に取り掛かるのだった。
https://w.atwiki.jp/giwfp/pages/16.html
フィンドニールの頂上(沈淪、氷風) 仲夏の庭園(雷怒、尊者) 孤雲凌霄の処(悠久、逆飛び) 山脊の見守り(千岩、蒼白) 山間幽谷(辰砂、余響) 無妄引責密宮(火魔女、火渡り) 熔鉄の孤砦(水仙、花海) 熟眠ノ庭(華館、海染) 紅葉ノ庭(しめ縄、絶縁) 緑覚の塔(深林、金メッキ) 華池岩岫(血染め、旧貴族) 赤金の廃城(楼閣、楽園) 銘記の谷(翠緑、少女)
https://w.atwiki.jp/atogefan20110504/pages/225.html
全身が翠色で身長は約二メートル、逆立つ髪の毛に血管の浮き出る身体、背中には二枚の翼を持ち、真っ赤な瞳は仕留めた獲物を凝視している。 先ほどまで幸せに包まれていた家族の空間は、一匹の翠色の魔獣によって粉々に破壊されたのだった。 クレイルの気配に気づき、魔獣の瞳が動く。 その瞳を見て、少年は一つだけ理解した。 この獣は魔力が強い母を最優先にして狙ったんだ、と。 今この場で母の次に魔力が強いのはクレイルだ。 魔獣が刃を引き抜こうとしたその時―― 「……させない……!」 小さく言葉を発したイヴが自分の身体を貫通しているその翠色の刃を両腕で押さえる。 魔獣が腕に力をこめるが、華奢なイヴの両腕が押さえ込む刃は、不思議なことに微塵も動かすことが出来なかった。 刃と化した片腕を押さえ込まれた魔獣は当然身動きを取れない。 「いや……」 突然声を上げたのは恐怖のあまりその場に座り込んでいたフラメル。 「あぁぁぁッ!!」 だが、フラメルのか細い声をかき消すように、続けて叫び声を上げたのはパピメルだった。 「パピメル!?」 妹の叫び声を引き金に、クレイルは自分の足が何かの呪いから開放されたかのように感覚が戻るのを感じる。 妹たちのもとへ全力で走り寄り、動けないフラメルの変わりにパピメルを抱きかかえた、その時だった。 クレイルが触れたパピメルのうなじには、先ほど彼を襲ってきた魔力と同じ波動が発生している。 すぐにそれを確認すると……首の後ろに浅く、だが確かに魔獣の刃による翠色の傷があった。 「まさか、斬られたのか!?」 クレイルの問いに声を上げることもなく、目を閉じたパピメルの小さな身体から力が抜ける。 必死でパピメルの身体を支えるクレイルは、困惑し焦燥に駆られていた。 ところが、少年に追い討ちをかけるように、抱きかかえた妹の頭部に変化が訪れる。 「!? そんな……!」 再度、目の前の出来事を信じられなかった。 もはや信じられない連続的な出来事を拒絶したかったともいえる。 傷跡と同じ翠色が、妹の髪と瞳を染めていく。 魔界の魔力を帯びた刃で斬られた傷がもたらしたのは、魔力による侵食だった。 フラメルの目の前で、自分とお揃いだった桃色の髪色は容赦なく翠色に変色していく。 「や、だ……! パピちゃん! パピちゃん!!」 クレイルの隣で気絶したパピメルに触りながら、フラメルが必死の思いで泣き叫ぶ。 その時――辺り一帯を異なる魔力の波紋が襲った。 白金に輝く魔力の波動。 放ったのは目の前で魔獣を捕らえていた母のイヴだった。 その場の兄妹以外、魔力を受けた一帯の全ての動きが減速する。 クレイルが抱きかかえる腕の中でその波動を受けたパピメルの髪色の侵食も減速し、止まる。 不思議な現象の中で「大丈夫」と、耳ではなく頭の中に直接囁きかけてきた声は、優しい母の声だった。
https://w.atwiki.jp/discstation/pages/113.html
発売時期:1996年7月5日/収録号数:DS11号 対応機種:PC-98/メディア:CD-ROM 発売時期:2016年2月5日/収録号数:DSRe#02 対応機種:Windows/メディア:CD-ROM ジャンル:アドベンチャー/シリーズ名:あっぷるそーすシリーズ 概要説明 攻略情報
https://w.atwiki.jp/alokonpeito/pages/23.html
https://w.atwiki.jp/atogefan20110504/pages/242.html
「レオルス、急いで森へ向かう準備をしましょう」 「わかった」 レオルスが頷き、クレイルがさらに続けて怪訝そうな顔をして言う。 「先ほどの話にあった『空気が赤かった』とは……負の魔力が蔓延してきている可能性があります。こちらの世界に影響を及ぼし始めているかもしれない」 「ねぇ、お兄ちゃん。その影響なのかは分からないんだけど……」 フラメルが割り込むように、二人に自分が目にした二冊の本の話をする。 一冊は急に浮遊した白い魔導書。 もう一冊は、恐らく子供の頃のパピメルの持ち物であろう飛び出す絵本。 そしてその二冊は本棚以外の場所から部屋に現れた可能性があると言うこと……。 話を聞いたクレイルが何かを考える様な仕草をするが、すぐに答えが出るわけではない。 「レオルス、何か分かります?」 「いや、お前に解らなかったら俺にもわかんねーよ!」 悩んだクレイルにそう聞かれたレオルスは即答した。 「その本の事は後で確認しよう。フラメル、もう少しパピメルの側にいてあげてくれ」 クレイルの言葉にフラメルが頷き 「うん、レオ君もありがと。パピちゃんと一緒に待ってるね」 そう言って、急いでパピメルの部屋へと戻っていった。
https://w.atwiki.jp/atogefan20110504/pages/233.html
大粒の雨と共に雹までもが山頂にいるレオルスを襲ってきた。 雷雨の中、木の根元に避難するわけには行かない。 木に直撃した雷は、幹を伝って周辺にいる動植物を感電させてしまう。 しかも、まばらに木が立ち並ぶこの山の上では、どの木に避雷するか全く予想ができない。 地面に立っているだけで感電する可能性があるこの状態を回避するには、一刻も早くこの場から離れるしかない。 周りには木があるとはいえ、その身長は湖のある麓(ふもと)の木よりも低い。 稲妻が木々を無視して、レオルスに直撃する可能性もゼロではなかった。 (どうする……!) その時だった。 何に後押しされる訳でもなく、五感で感じた訳でもなく、ただ彼の直感が落雷を知らせた。 無意識に、レオルスがセフィラから脳に刷り込まれた一つの詠唱を口にする。 「カイロス――リグマ!」 大声で叫んだレオルスが同時に地を蹴る。 瞬間的に脚力を増強し、目に見えない速度で移動する魔術。 詠唱を口にした刹那、魔力は瞬時に術者の両脚を覆い、強化された脚力がレオルスの意思に応える様に、身体を斜めに跳ね飛ばした。 「――ッ!!」 その動作と同時に、青白い稲妻がレオルスの隣に立っていた木を襲撃した。 空中へ舞ったレオルスは耳をつんざく轟音に襲われる。 直撃した落雷は発火し、生い茂った青葉を容赦なく燃やす。 跳ねたレオルスはその一部始終を空中で見守る。 まるで周辺の速度がスロー再生の様に感じ始めたその時、ようやく地面に着地した。
https://w.atwiki.jp/atogefan20110504/pages/222.html
暖かい春の陽射しの中、柔らかい葉が揃う草原に穏やかな風が流れる。 風は草を撫で、側にある森へと吸い込まれていく。 ゆっくりと時の流れる空間に、幼い子供の笑い声が響き渡る。 白い髪の少年と桃色の髪の少女が仲良く草原を駆け回っていた。 側に、母親と思わしき女が一人。 顔を覆う白い大きな帽子から長い髪が優しく地へ降りている。 闇を寄せ付けないような輝く白の装いが彼女を包む。 人々は皆、その者を<白金の魔女>と呼んだ。 魔女は人と恋に落ち、やがて三人の子を授かった。 魔女と人の血が混ざり合う存在。 禁忌の存在とも思われたその子らが世に受け入れられたのは時代の助けがあったとも言える。 当時、世に晒されることの無かった「魔女」と言う存在が明らかになり、魔女は共存を望み、魔術は人へと提供された。 人が知識を駆使し、科学の力によって生み出された錬金術は純粋な「魔術」を取り入れることに成功する。 二つの術師がそれぞれを助け合い相乗していった結果、「合成術」と言う新たな術を創造した。 合成術師は世を助ける希望となり、その術を広める者と学ぶ者は次第に増えていった。 同時に、合成術の間に様々な派閥が出来あがり、術師たちは個々の派閥によって分散していくことになる。 その後、強力な力を持てるのは純粋な魔女の血を引く者のみ等と言う話も広まり、合成術師は人々の希望であると同時に、仲間からの憎悪の対象にされることも少なくなかった。 白金の魔女「イヴ」は自分の子供たちをなるべく人目に晒さないように育ててきた。 三人目の子、パピメルと名付けた女の子が生まれる前に街を離れ、静かな山里へと移り住むことにしたのは、錬金術師である夫も賛成していた。 人目に付かない静かな山中の家は、山小屋や別荘に近い。 こうして、父の錬金術の才能と母の魔術の力が混ざり合う極めて純粋な血を持つ兄妹は、両親からの確かな愛情を受け、大きく成長していった。
https://w.atwiki.jp/ooyamanaofumi/pages/9.html
コメントプラグイン @wikiのwikiモードでは #comment() と入力することでコメントフォームを簡単に作成することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/921.html#id_476878da たとえば、#comment() と入力すると以下のように表示されます。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ooyamanaofumi/pages/2.html
メニュー トップページ プラグイン紹介 メニュー 右メニュー リンク @wiki @wikiご利用ガイド ここを編集