約 1,858,853 件
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/3054.html
放射能汚染とデマ汚染に抗す 甲状腺被曝検査、福島の子ども946人「問題なし」 2011年4月2日20時17分 http //www.asahi.com/health/news/TKY201104020327.html 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、国の原子力災害現地対策本部は2日、福島県川俣町と飯舘村に住む15歳以下の946人について、甲状腺の被曝(ひばく)線量を調べた結果、「いずれも問題なかった」との見解を発表した。 対象は3月28~30日に調べた946人。のど付近に検出器をあてて放射線量を測ったところ、全員が、国の原子力安全委員会が定める基準値(1時間あたり0.2マイクロシーベルト)を下回った。最高でも、毎時0.07マイクロシーベルトだった。 このほか、26、27日にいわき市で、15歳以下の137人に実施した調査でも、毎時0.2マイクロシーベルトを下回った。 放射性ヨウ素は子どもの甲状腺にたまりやすく、がんの原因になるため、影響がないか調べている。 調査地は、福島第一原発の30キロ圏外だが、緊急時迅速放射能影響予測(SPEEDI)の試算で、甲状腺の被曝線量が比較的高いとされていた。 国の原子力災害現地対策本部によると、子どもの甲状腺被曝の調査では、3月25日以降、安全とされる基準が全身の健康を評価する毎時2マイクロシーベルトから、甲状腺だけを対象にした安全基準の毎時0.2マイクロシーベルトに変更になった。 放射能汚染とデマ汚染に抗す
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/31.html
子どもの権利委員会・一般的討議勧告:子どもの権利のための資源配分――国の責任 一般的討議勧告一覧 (第46会期、2007年10月5日採択) 原文:英語(ワード) 日本語訳:平野裕二 III.勧告 法的枠組み 22.委員会は、第4条において、条約で認められた権利を実施するために立法上の措置および他のあらゆる適当な措置をとる締約国の義務が強調されていることを想起する。子どものための資源が十分に優先されることを確保するため、一部の国は、とくに子どものためのものとして使途を指定された資源が十分に用意されるようにするため、国家予算のうち具体的に何パーセントを子どもに配分しなければならないか、国内法そのもので定めるところまで踏みこむに至った。公的機関が子どものための資源の利用について説明責任を果たすよう、子どものための予算配分について国内法に法的編入を行なうというこのアプローチを、子どもへの投資に対する各国のコミットメントを奨励すべく、委員会も支持するものである。 23.十分な法的枠組みを設けることが子どもに対する公正かつ効果的な資源配分の不可欠な前提条件であることを認め、委員会は、すべての国に対し、子どもに配分されるべき公的支出の具体的割合の法制化を検討するよう奨励する。このような立法とあわせて、子どもに関する公的支出の体系的かつ独立の評価を行なえるようにする機構も設けられるべきである。 「利用可能な資源」の概念 24.委員会は、条約が定義する子どもの権利を実施するために資源を配分するのはまずもって国の責任であることを再確認する。「利用可能な資源(手段)」には国際援助を通じて国際社会から入手する資源も含まれるが、これは国レベルで利用可能な資源を補完するべきものである。資源は、財源のみならず、経済的、社会的および文化的権利の実現に関連する他のタイプの資源(人的資源、技術的資源、組織的資源、天然資源および情報資源等)も包含するものとして理解されなければならない。資源はまた質的観点からも理解されるべきであり、量的観点からのみ理解されるべきではない。 25.委員会は、締約国に対し、子どもの権利を達成するために利用可能な経済的、人的および組織的資源ならびに子どもの権利の実施のために実際に利用されている資源を定期的に特定するとともに、利用可能な資源の評価において両者を結合させるよう奨励する。委員会はとくに、締約国に対し、子どもの経済的、社会的および文化的権利の実施に寄与する財政措置を超えて「利用可能な資源」の評価を行なうよう奨励するものである。これとの関連で、委員会は、子どもにとってもっとも重要な「利用可能な資源」に数えられる親および家族を体系的に支援することの重要性を強調する。 予算策定プロセス、社会政策および人権 26.委員会は、予算政策および金融政策を含む公共政策の究極的目的は権利の普遍的履行でなければならないこと、および、経済的成長および安定はそれ自体が目的なのではなく人間開発に向けた手段と見なされるべきであることを、強調する。委員会は、経済政策と社会政策との間でバランスを確保することがきわめて重要であると考えるとともに、社会投資は、社会サービスへのアクセスおよびその質の向上を達成することのみならず、長期的には、教育、健康および栄養への投資による人的資本の向上を通じて生産性および競争力の増進に直接的に比例することを、力をこめて強調するものである。 27.「子どもにふさわしい世界」において、各国は、国内的にも国際的にも新たな追加的資源を動員しかつ配分すること、ならびに、条約を指針としながら予算配分で子どもを優先することに対するコミットメントを再確認した。「子どもへの投資」は、公正かつ持続可能な人間開発を達成するための最善の保障として、またあらゆる政府の社会的および経済的優先順位の基本的要件として、広く受け入れられるようになった概念である。これとの関係で、委員会はまた、すべての人権は相互に依存しておりかつ不可分であること、ならびに、経済的、社会的および文化的権利の享受は市民的および政治的権利の享受と分かちがたく結びついていることも強調する。 28.委員会は、地方分権化の進行度、国および地方の計画プロセス、行政裁量ならびに市民社会の役割のような諸要素がどのような形で資源配分の大きな決定要因または影響要因になるか、ならびに、これらの配分がどのような形で実際に子どもに届き、かつその経済的、社会的および文化的権利の享受を増進させるかを、強調する。 29.委員会はさらに、よい公共財政管理システムはある国で十分な資源配分を行なうための前提であることを強調する。これとの関連で、締約国は、予算策定の方法論に関する適切なシステムおよび予算分析のための高い能力が自国の行政内に存在することを確保するべきである。 30.子どもへの投資は経済的見返りが大きいことに鑑み、かつ子どものために配分される投資その他の資源が子どもの権利を履行するための手段となることを確保するための努力の一環として、委員会は、締約国が以下のことをするよう勧告する。 (a) 利用可能な限られた資源が最大の見返りをもたらすことを確保するための手段として、予算配分において子どもを優先すること。また、子どもに配分される資源を詳細に積算することを通じ、国家予算において子どもへの投資を可視化すること。 (b) 権利を基盤とする予算のモニタリングおよび分析、ならびに、いずれかの部門への投資がどのように「子どもの最善の利益」にかなっているかに関する子ども影響評価の活用を検討すること。 (c) とくに、子どもに対応する省庁を特定し、かつ、他の省も自省の予算およびプログラムがどのように子どもの経済的、社会的および文化的権利の実現に合致しているかを実証できるようにすることにより、子どもの経済的、社会的および文化的権利に対して包括的アプローチをとること。 31.委員会はまた、経済成長を目的とした配分が社会部門支出を犠牲にして重視されないようにすることを勧告する。これとの関連で、成長目標に関するマクロ経済的枠組みは、子どもの権利条約ならびに差別の禁止、子どもの最善の利益、参加、普遍性および説明責任の原則を基盤とする人間開発枠組みと調和するものとされるべきである。この枠組みの策定においてはまた、ミレニアム開発目標(MDG)、「子どもにふさわしい世界」、権利を基盤とする貧困削減戦略書、および、条約にしたがって策定された国家的行動計画も考慮に入れることが求められる。 資源の配分・利用における透明性および説明責任 32.国家予算は政府の優先順位を反映する中心的政策文書であるから、予算がどの程度子どもの権利の実現のための手段として機能しているかは、予算がどの程度効果的かつ効率的に運営され、かつ子どものための投資を優先しているかということと密接に関係している。したがって、締約国が内部的にも外部的にも予算配分プロセスの透明性を一貫して確保することは、きわめて重要である。内部的透明性とは、歳入および歳出に関する情報が、支出に関する主要な決定がどのように子どもに影響する可能性があるかについての影響評価を実施しているすべての政府機関に利用可能とされることを含意する。外部的透明性とは、予算は市民社会を含むすべての関係者に対して公開されかつアクセス可能とされるべきであり、かつ、予算上の選択および配分に関する情報が、公衆に対し、子どもにやさしい方法により、包括的かつ理解が容易な言葉で利用可能とされるべきであることを意味するものとして理解される。 33.予算データは入手および検証が困難な可能性があり、かつ、場合によっては予算に関わる能力が貧弱なことによって、またときには汚職によって影響を受けている可能性もある。したがって、データおよび指標を正確に体系化し、かつ予算を効果的に分析することは、子どものための経済的、社会的および文化的権利の実現に向けた努力を監視するうえでとりわけ重要な要件である。 34.委員会は以下のことを勧告する。 (a) 締約国が国家予算に関する公の対話を奨励すること。予算プロセスは透明かつ参加型であるべきである。国家予算の編成および実施の指針となる基準(資源配分の指針となる優先順位を含む)についての情報は、説明責任および公の吟味を奨励するため、理解が容易な言葉で公に利用可能とすることが求められる。 (b) 資源の配分および利用に関する効果的な資源追跡システムならびに子どもに関する包括的なデータ収集システムを開発および実施すること(金融データ、および国際比較が可能でありかつ定期的審査の対象とされる共通指標も含む)。 (c) 締約国が子どものための予算策定をどの程度重視しているかについて委員会が十分に評価できるようにするため、条約に基づいて提出される締約国報告書に、さまざまな予算配分に関する分析的な統計情報を記載すること。これらの統計データにおいては、利用可能な資源および子どもへの配分率を部門別に示すことが求められる。このような情報においては、政府の他の優先課題(軍事予算の配分および軍事支出を含むが、これに限られない)に対する子どもに関する配分および支出の割合が明確に示されるべきである。 (d) とくに予算分析に関するリテラシーを促進および奨励するための努力を通じ、国レベルのあらゆる関係者が予算プロセスに関与するようにすること。 (e) 締約国、政府省庁および政府職員ならびに子どものための予算策定に関与している他の関係者の、一貫したかつ制度的な説明責任が確保されるべきであること。このような説明責任が一貫して適用されるようにするため、締約国は、非効率および資源の無駄を是正するための措置をとり、かつ公職者に対して自己の行動に関する説明責任を果たさせるための効果的機構を確立するよう、奨励される。 (f) 条約に基づく締約国報告書を委員会の前で説明する代表団に財務省の代表を含めること。 子どもその他の関係者の参加 35.委員会は、条約の他の規定の実施の不可欠な一部として条約第12条を実施する締約国の義務を再確認する。これとの関連で、委員会は、資源配分のプロセスができるかぎり参加型のものであること、および、子どもおよびその親が予算プロセスの策定、実施および監視に最初から関与することを確保することの重要性を強調するものである。委員会はまた、適切な場合には政策および予算の策定プロセスに市民社会が効果的に関与することの重要性も強調する。 36.「意見を聴かれる子どもの権利」に関する2006年9月の一般的討議に照らし、かつ、国家予算に関する透明かつ民主的な決定プロセスが経済的、社会的および文化的権利に与える肯定的影響を認め、委員会は、締約国に対し、とくに親、教員、養育者および子ども自身が予算上の決定に参加できるようにすることを通じて予算プロセスへの子ども参加を促進するよう奨励するとともに、参加型プロセスを通じて達成された結果について委員会に情報を提供するよう要請する。 37.委員会は、締約国が、第4条に関わる予算配分に関してのみならず、このような配分がどのようなプロセスを通じて行なわれたのか、および、子ども、親およびコミュニティが意思決定プロセスにどの程度関与したのかに関しても、委員会に報告するよう勧告する。報告書にはまた、子どものための国家的行動計画および子どもに関するその他の政策文書が国レベルの予算プロセスにどのように関連しているのかに関する情報も含まれているべきである。 資源の「最大限」の利用 38.委員会は、「利用可能な資源(手段)を最大限に用いることにより」が正確なところ何を意味するのか、および、それをどのように測定できるのかという問題が、締約国、子どものために活動している国際社会および委員会自身にとっての難問であることを認識する。委員会はまた、統計変数には限りがあり、かつ、人権指標ではさまざまな文脈における個々の人権の複雑性および個別性をとらえられないことも認識するものである。しかし委員会は、資源の利用における評価手段の重要性を強調するとともに、締約国が条約によって定められた子どもの権利の実施における進展を監視および評価することを援助するため、測定可能な指標を開発することの必要性を認識する。 39.委員会は、包括的かつ細分化された共通人権指標を開発するためにOHCHRが現在進めている取り組みを称賛しつつ、ユニセフに対し、子どもの権利を実施するための政策の策定、監視および評価を向上させることに関して各国を援助する目的で、子ども固有の指標を開発するよう促す。このような指標システムは、期限を定めた具体的目標(ミレニアム開発目標のような国際的に承認されたものを含む)とあいまって、人権にかかわる課題を明らかにするうえで役に立ち、かつ子どもの権利の実現における進展または後退の評価を可能とするであろう。 子どものための資源の配分・利用における優先順位 40.委員会は、条約に掲げられた差別の禁止の原則により、条約で保障されたすべての権利がすべての子どもに対して認められるべきであることが要求されていることを想起する。これとの関連で、委員会は、締約国が条約に基づいて受け入れた義務をいかなる意味でもないがしろにしまたは減殺することなく、周縁化された集団および不利な立場に置かれた集団の子どもを特定しかつ優先する必要があることを認識するものである。 41.委員会は、締約国が、それぞれの国内的文脈のなかで子どもの権利の実施を優先させるための努力を進めていくにあたり、資源配分に関して条約の4つの一般原則を指針とする国家的優先順位を定めることを検討するよう勧告する。このような優先順位は、もっとも周縁化された集団および不利な立場に置かれた集団の子どもに特別な注意を払いながら、権利基盤アプローチを用いて定められるべきである。 42.国は、子どもに関する国家的優先順位が、実際に効果を発揮するようにすべく、定期的に独立の立場から監視されうることを確保するべきである。議会審査の文脈でこのような監視を行なうことも可能であろうが、委員会は、国が、子どもが実施にどの程度権利を享受しているかとの関連で国家的優先順位の外部的審査を行なえるようにする監視機構を設置し、かつこれに勧告権限を与えるよう強く勧告する。国家的優先順位の審査の結果は、委員会に対する定期報告書に記載されるべきである。 子どもの経済的・社会的・文化的権利の裁判適用可能性 43.立法(前掲パラ22および23参照)に加え、国は、経済的、社会的および文化的権利を含むあらゆる人権に関して司法的救済が利用できることを確保することも要求されている。委員会は、条約で定められた経済的、社会的および文化的権利の多くが、法的に執行可能な権利としてすでに広く受け入れられていることに留意する。たとえば、無償のかつ義務的な初等教育は多くの国の国内法および実行に反映されている権利のひとつである。しかし、子どもの全面的発達およびウェルビーイングにとって根本的重要性を有する経済的、社会的および文化的権利の多くを、裁判所で適用可能なものとしてまだ認めていない国も多い。委員会は、条約で掲げられた子どもの経済的、社会的および文化的権利に全面的効果を与えるために、これらの権利が国内的かつ実際的に裁判適用可能なものとされなければならないことを認識する。 44.委員会は、締約国が、子どもの経済的、社会的および文化的権利の全面的実現を確保するため、国内の裁判機関がこれらの権利に全面的な裁判適用可能性を与えられることを確保するよう勧告する。 45.締約国は、司法手続が子どもに配慮しかつ子どもにやさしいものであること、および、適切な場合にはとくに子どもオンブズパーソンまたは国家人権委員会を通じ、アクセスしやすくかつ独立の立場からの法的助言を子どもおよびその代理人が利用できることを、確保するべきである。 漸進的実現 46.経済的、社会的および文化的権利の「漸進的実現」の問題に関して、委員会は、漸進的実現の原則がしばしば、これらの権利は即時適用されるものではなく希望的性質のものにすぎないことを意味するものとして誤解および解釈されていることに留意する。 47.委員会は、漸進的実現が、条約締約国に対し、子どもの経済的、社会的および文化的権利の全面的実現に向けて可能なかぎり迅速にかつ効果的に進んでいくために的を絞った措置をとる即時的義務を課すものとして理解されるべきであることを勧告する。委員会はとくに、利用可能な資源の水準に関わらず即時的実施が要求される義務、すなわちこれらの権利の享受において差別されないことを保障する義務およびこれらの権利の実施に向けて即時的措置をとる義務があることを強調するものである。また、経済的、社会的および文化的権利の享受を阻害する可能性があるいかなる後退的措置もとらない義務も、これらの権利の漸進的実現に向けた義務に内在すると考えられる。 48.漸進的実現の概念に並行して存在するのが、国の「最低限の中核的義務」という考え方である。中核的義務とは、少なくとも人が尊厳をもって生活できる最低条件を確保することを意図している。経済的、社会的および文化的権利に関する委員会(CESCR)はこの義務、すなわち不可欠な食料、プライマリーヘルスケアへの平等なアクセス、基礎的な居住場所および住居、社会保障または社会扶助の適用、家族の保護ならびに基礎教育の提供に関して最低水準の保護(最低限の中核的内容)をいかなるときでも保障する国の義務を系統だった形で強調してきた。すべての国は、その発展水準に関わらず、これらの義務を実施するために優先事項として即時的措置をとるよう要求される。利用可能な資源が目に見えて不十分である場合でも、当該国はなお、自国で支配的な状況下において関連する権利が可能なかぎり広く享受されることを確保するために尽力することを要求される。このように、権利の中核に関わる義務の遵守は資源の利用可能性に依存するものとして理解されるべきではない。 49.委員会は、締約国は少なくとも経済的、社会的および文化的権利の最低限の中核的内容を充足させる義務を負うと考えるとともに、締約国が、子どもの経済的、社会的および文化的権利を保護、尊重および充足するためにとった措置が「十分」であるかどうかの自己評価を行なうにあたり、経済的、社会的および文化的権利に関する委員会が「利用可能な資源の最大限の利用」に関する声明で定めた基準を綿密に検討し、かつ子どもとの関連でこれを適用するよう勧告する。 国際協力の役割 50.委員会は、第4条における国際協力への言及が国際開発援助、とくに第4条で述べられている権利の実現のための援助を行なう締約国の法的義務まで課すものかどうかについて、多様な意見が存在することに留意する。 51.委員会は、子どもの権利については先進国および開発途上国が責任を共有していると信じるものである。締約国は、例外なくすべての国の子どもの経済的、社会的および文化的権利を尊重および保護しなければならず、かつ――協力を行なう立場にあるときは常に――開発協力を通じてこれらの権利を充足するためにあらゆる可能な措置をとらなければならない。同時に、資源面で深刻な制約を有している国には、国際的な協力および援助を求める責任がある。このように、外部からの支援に依存しているというだけで不作為を正当化することはできないのであって、このような国は少なくとも、自国で支配的な状況下において関連する権利が可能なかぎり広く享受されることを(とくに社会でもっとも不利な立場に置かれたおよび周縁化された構成員または集団を対象として)確保するため、能力の及ぶかぎりであらゆる可能な努力を行なったことを実証する責任を負わなければならない。 52.委員会は、「条約の実施に関する一般的措置」についての一般的意見5号(2003年)[4] で述べた見解を想起および補強し、以下のことを勧告する。 (a) 締約国は、国際的に合意された目標(国内総生産の0.7%を国際開発援助に充てるという国連の目標を含む)を達成するとともに、開発途上国およびドナー諸国の共通の責任として、すべての人が最高度の質の基礎的社会サービスに持続可能な形でアクセスできることを達成する目的で、20/20イニシアチブの目標を追求するためにあらゆる可能な措置をとること。 (b) ドナーである締約国は、子どもに直接間接に関わる国際開発援助の枠組みとして条約を考慮すること。ドナー諸国のプログラムは権利を基盤としたものであるべきであり、かつ、国際支援の一定割合は子どもの権利の実施のために用いるよう使途指定が行なわれるべきである。これとの関連で、委員会は、締約国が行なう二国間および多国間の開発協力で対象とされているすべての部門で子どもの権利が尊重および保護されることを確保すべく、条約の原則および精神にしたがって国際的な援助および協力に関する立法が制定されることを歓迎および奨励する。 (c) 国際援助を受領している締約国は、優先課題として、その十分な部分をとくに子どもに対して配分すること。 (d) 国際金融機関は、恒常的かつ組織的に、その国際支援の一定割合を子どもの権利の実施のために用いるよう使途指定を行ない、かつコンディショナリティーを含むその活動が子どもの権利に与える影響を評価すること。また、その政策の策定および実施において子どもの最善の利益が第一義的に考慮されるようにすること。 (e) 国際金融機関その他の国際政府間機関ならびに非政府組織は、国家予算において子どもの権利を基盤とする予算策定を実施する受領国政府の能力を増進させ、かつ援助が効果的に調整されることを確保するため、受領国政府と協働するべきであること。 (f) 二国間および多国間の国際援助には、子どもならびに他の周縁化されたおよび不利な立場に置かれた集団の権利に否定的または有害な影響を及ぼす可能性のあるいかなる条件も付されるべきでないこと。 [4] 一般的意見5号(2003年、CRC/GC/2003/5)、パラ61-64。 委員会がフォローアップすべき勧告 53.委員会は、条約に基づく義務の実施についての報告に関して締約国を援助する目的で報告ガイドラインを発展させるため、継続的に尽力することの重要性を認識する。 54.委員会は、このイベント中に議論された問題に関わる条約第4条の実施に関連した問題について一般的意見を作成する可能性を追求する。 更新履歴:ページ作成(2011年6月11日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/315.html
一般的意見22(2017年):国際的移住の文脈にある子どもの人権についての一般的原則 一般的意見一覧 CMW/C/GC/3-CRC/C/GC/22 配布:一般(2017年11月16日)〔注1〕 原文:英語 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) 国際移住の文脈にある子どもの人権についての一般的原則に関する合同一般的意見: すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会の一般的意見3号(2017年) および子どもの権利委員会の一般的意見22号(2017年)〔注2〕 注1/技術的理由により2017年11月24日に発行し直されたもの。 注2/この合同一般的意見は、出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈における子どもの人権についての国家の義務に関する合同一般的意見(すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会の一般的意見4号〔2017年〕および子どもの権利委員会の一般的意見23号〔2017年〕)とあわせて参照されるべきである。 【訳者注】煩雑さを避けるため、以下の訳では、「すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約」は移住労働者権利条約、「すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する委員会」は移住労働者権利委員会と略称する。/なお、以下の目次は訳者が付け加えたものである。 I.はじめに(パラ1-10)A.背景(パラ5-6) B.合同一般的意見の目的および適用範囲(パラ7-10) II.国際的移住の文脈にある子どもを保護するための、移住労働者権利条約および子どもの権利条約の実施のための一般的措置(パラ11-18) III.国際的移住の文脈における子どもの権利に関わる両条約の基本的原則(パラ19-47)A.差別の禁止(移住労働者権利条約第1条および第7条;子どもの権利条約第2条)(パラ21-26) B.子どもの最善の利益(子どもの権利条約第3条)(パラ27-33) C.意見を聴かれる権利、自己の意見を表明する権利および参加の権利(子どもの権利条約第12条)(パラ34-39) D.生命、生存および発達に対する権利(移住労働者権利条約第9条;子どもの権利条約第6条)(パラ40-44) E.ノンルフールマン/集団的追放の禁止(移住労働者権利条約第9条、第10条および第22条;子どもの権利条約第6条、第22条および第37条)(パラ45-47) IV.国際協力(パラ48-51) V.合同一般的意見の普及および活用ならびに報告(パラ52-54) VI.条約の批准または条約への加入および留保(パラ55-56) I.はじめに 1.この合同一般的意見は、出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈における子どもの人権についての国家の義務に関する合同一般的意見(移住労働者権利委員会の一般的意見4号〔2017年〕および子どもの権利委員会の一般的意見23号〔2017年〕)と同時に採択されたものである。同一般的意見とこの一般的意見はいずれもそれ自体で独立した文書ではあるが、両者は相互に補完しあうものであり、あわせて参照しかつ実施することが求められる。これらの文書の起草過程では、2017年5月から7月にかけて、バンコク、ベイルート、ベルリン、ダカール、ジュネーブ、マドリードおよびメキシコシティにおいて、主要な関係者および専門家(子どもたちおよび移住者団体を含む)の代表の参加を得て一連の国際的・地域的協議も行なわれた。加えて、委員会のもとには、2015年11月から2017年8月にかけて、世界のあらゆる地域の国々、国際連合機関および関係組織、市民社会組織、国内人権機関ならびにその他の関係者から80件以上の意見書が寄せられた。 2.移住労働者権利条約と子どもの権利に関する条約には、国際的移住の文脈における子どもの権利の保護に一般的にも具体的にも関連する、法的拘束力のある一定の義務が掲げられている。 3.子どもは、国際的移住の文脈において、子どもであることで、かつ移住の影響を受けている子ども((a) 単身であるか家族とともにいるかにかかわらず、自らも移住者である子ども、(b) 目的地国において移住者の両親から生まれた子どもまたは (c) 親の一方もしくは双方が他国に移住しているあいだ出身国に残っている子ども)であることで、二重に脆弱な状況に置かれる場合がある。これに加えて、子どもの国民的、民族的または社会的出身、ジェンダー、性的指向もしくはジェンダーアイデンティティ、宗教、障害、移住者資格もしくは在留資格、国籍上の地位、年齢、経済的地位、政治的その他の意見またはその他の地位に関連する脆弱性が生じることもある。 4.両委員会は、相互に補完しあう任務を有しており、かつ国際的移住の文脈におけるすべての子どもの保護の強化に対するコミットメントを共有していることから、これらの合同一般的意見の作成を決定した。この一般的意見は両条約の規定に基づくものであるが、重要な点として、ここで明らかにされている人権規範は子どもの権利条約の規定および原則に立脚したものだということを強調しておかなければならない。したがって、この合同一般的意見に掲げられた有権的指針は、子どもの権利条約および(または)移住労働者権利条約のすべての締約国に平等に適用される。 A.背景 5.この合同一般的意見は、両委員会が多くの取り組みを通じて高めてきた、国際的移住の文脈における子どもの権利への関心に立脚するものである。このような取り組みには以下のものが含まれる。 (a) 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての、子どもの権利委員会の一般的意見6号(2005年)。ここには、出身国外にある移住者であって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもをとくに対象とする一連の勧告が掲げられている。 (b) 子どもの権利委員会が2012年9月にジュネーブで開催した、国際的移住の文脈におけるすべての子どもの権利に関する一般的討議。委員会は同一般的討議のためのバックグラウンドペーパーを起草し、かつ結論および勧告を付した報告 [1] を採択した。 (c) 移住労働者権利委員会が2016年に行なった、「移動する子どもおよび移住の影響を受けているその他の子どもに関する行動の指針とされるべき勧告的原則」[2] への支持表明。加えて、両委員会は「子どもの入管収容を終わらせるための機関間作業部会」のメンバーである。 (d) 国際的移住の文脈における子どもの権利に影響を及ぼすさまざまな人権問題に関して、近年、それぞれの条約の締約国に対して両委員会が行なってきたますます多くの勧告。 [1] www.ohchr.org/EN/HRBodies/CRC/Pages/Discussion2012.aspx 参照。 [2] www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CMW/Recommended-principle_EN.pdf より入手可能。 6.この合同一般的意見はまた、国際的移住の文脈にある子どもに関連する国際連合の他の決議および報告、国際連合人権機構のさまざまなアウトプットならびに国際連合、政府間機関および市民社会の取り組みにも立脚するものである。これには以下のものが含まれる。 (a) 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約に基づいて各国が難民および移住者に対して負う義務についての、経済的、社会的および文化的権利に関する委員会の声明(E/C.12/2017/1)。そのなかで同委員会は、とくに「差別からの保護について、ある個人が受入国で正規の在留資格を有していることを条件とすることはできない」ことを想起するとともに、「国内にいるすべての子ども(在留資格を有していない子どもを含む)は、教育を受け、かつ十分な食料および負担可能な保健ケアにアクセスする権利を有する」ことも想起している。 (b) 難民および移民のためのニューヨーク宣言。そのなかで、国家元首および政府の長は、難民および移住者であるすべての子どもの人権および基本的自由を、その地位にかかわらず、かつ子どもの最善の利益を常に第一次的に考慮しながら保護すること、および、子どもの権利条約に基づく自国の義務を遵守することを約束している [3]。 [3] 総会決議71/1、パラ32。 B.合同一般的意見の目的および適用範囲 7.この合同一般的意見の目的は、国際的移住の文脈にある子どもの権利を全面的に保護する両条約上の義務の全面的遵守を確保するためにとられるべき、立法上、政策上その他の適切な措置についての有権的指針を示すところにある。 8.両委員会は、国際的移住の現象が世界のあらゆる地域およびあらゆる社会に影響を与えており、かつ数百万人の子どもにますます大きな影響を及ぼしていることを認知する。移住は出身国、通過国、目的地国および帰還先の国の個人、家族およびより幅広いコミュニティに肯定的成果をもたらしうる一方、移住、とくに安全ではない移住および(または)非正規な移住のきっかけが人権(複数の人権条約、とくに子どもの権利条約で認められている子どもの権利を含む)の侵害と直接関連していることも多い。 9.この合同一般的意見では、子どもが親もしく主たる養育者とともに移住しているか、保護者がいないもしくは養育者から分離された状態にあるか、出身国に帰還しているか、通過国もしくは目的地国において移住者である親から生まれたか、または親の一方もしくは双方が他国に移住しているあいだ出身国に残っているかにかかわらず、かつ子ども自身またはその親の移住者資格または在留資格(移住者資格)にかかわりなく、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの人権について取り上げている。子どもの権利条約の差別の禁止の原則は、締約国に対し、子どもがとくに正規のもしくは非正規な状況にある移住者、庇護希望者、難民、無国籍者および(または)人身取引被害者であると考えられる(出身国への帰還または送還の状況にある場合を含む)か否かにかかわらず、また子どもまたは親もしくは法定後見人の国籍、移住者資格または無国籍にかかわりなく、すべての子どもに対して条約に掲げられた権利を尊重しかつ確保する義務を課すものである [4]。 [4] 子どもの権利委員会・一般的意見6号、パラ12参照。 10.この合同一般的意見は、両委員会が公にしてきた他の関連の一般的意見とあわせて参照されるべきである。この合同一般的意見はまた、これらの一般的意見および国際的移住の文脈において子どもたちが直面している課題の変遷に立脚したものとして、国際的移住の文脈にある子どもの権利に関して両委員会が示した有権的指針としても参照されるべきである。 II.国際的移住の文脈にある子どもを保護するための、移住労働者権利条約および子どもの権利条約の実施のための一般的措置 11.各国は、国際的移住の文脈にある子どもが何よりもまず子どもとして扱われることを確保するべきである。両条約の締約国には、子どもまたはその親もしくは法定後見人の移住者資格にかかわらず国際的移住の文脈にある子どもの権利を尊重し、保護しかつ充足する、両条約に掲げられた義務を遵守する責務がある。 12.両条約に基づく締約国の義務は、その管轄(国家が国境外で実効的支配権を行使することから生じる管轄を含む)の内にある子ども1人ひとりに適用される。これらの義務は、国家の領域から区域または地域を除外することによっても、特定の区域または地域(国際水域の区域または国が移住管理機構を設けているその他の通過区域を含む)について自国の管轄下にないまたは自国の管轄権は部分的なものでしかないと定めることによっても、恣意的かつ一方的に縮小することができない。これらの義務は国の国境内で適用されるのであり、これは当該国への入域を試みた際にその管轄下に入るに至った子どもについても当てはまる。 13.両委員会は、国際的移住の文脈においては子どもの権利が優越するのであり、したがって各国は移住関連の枠組み、政策、実務および(または)その他の措置に両条約を統合する必要があることを強調する。 14.両委員会は、締約国に対し、国際的移住の文脈にある子どもの権利に影響を及ぼす政策、実務および決定については、子どもの権利を担当する公的機関が、明確な決定権限を持って主導的役割を果たすことを確保するよう、奨励する。出身国、通過国、目的地国および帰還先の国も含め、国および地方のレベルに設置されている包括的な子ども保護制度においては、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの状況がプログラムの主流に位置づけられるべきである。子ども保護機関が有する任務に加え、移住担当および子どもの権利に影響を及ぼす他の関連の政策担当の公的機関も、政策の立案および実施のあらゆる段階で、国際的移住の文脈にある子どもへの影響およびこれらの子どものニーズについて体系的な評価および対応を行なうことが求められる。 15.締約国は、とくに移住管理の目的または他の行政上もしくは政治上の考慮事項に関わって、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利の充足を目的とする政策を策定するべきである。 16.締約国は、国際的移住の文脈にある子どもの保護を目的とする包括的政策の参考に供するため、このようなすべての子どもに関する質的・量的データの収集および公的普及に関する、権利を基盤とする体系的な政策を策定するべきである。このようなデータは、交差的差別を監視するため、国籍、移住者資格、ジェンダー、年齢、民族、障害および他の関連するあらゆる地位別に細分化することが求められる。両委員会は、安全性を欠いた子どもおよび(または)その家族の移住の原因に関するデータ収集および分析に対して人権を基盤とするアプローチをとること等も通じ、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利の実施状況を評価するための指標を開発することの重要性を強調する。このような情報は、プライバシー権および個人情報保護の基準を全面的に尊重したうえで子どもを含むすべての関係者に対して利用可能とされるべきである。市民社会組織および他の関係者がデータの収集・評価プロセスに参加できるようにすることが求められる。 17.子どもの個人情報(生体データを含む)は子どもの保護の目的のみに用いられるべきであり、そのためデータの収集、利用および保存ならびにデータへのアクセスに関する適切な規則が厳格に執行されるべきである。両委員会は、データシステムの開発および運用ならびに当局間および(または)国家間のデータ共有におけるセーフガードに関して相当な注意を払うよう促す。締約国は「ファイアウォール」を運用するとともに、他の目的(保護、救済、民事登録およびサービスへのアクセスなど)で収集された個人情報を出入国管理措置の執行のために共有・利用することを禁止するべきである。このことは、個人情報保護の原則を維持し、かつ子どもの権利条約に定められた子どもの権利を保護するために必要となる。 18.両委員会は、国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利を充足するため、以下の要素が、策定されかつ実行に移される政策および実務の一部とされるべきであるとの見解に立つ。その要素とは、(a) 子どもの保護および福祉を担当している機関とその他の主要な機関(社会的保護、保健、教育、司法、移住およびジェンダーの問題に関わる機関を含む)とのあいだならびに地域政府、国の政府および地方政府のあいだで定められる包括的かつ機関横断的な政策、(b) 政策およびプログラムの効果的実施の確保を目的とする十分な資源(予算資源を含む)、および、(c) 子どもの保護、移住および関連の問題に従事する職員を対象とする、子ども、移住者および難民の権利ならびに無国籍(交差的差別を含む)についての継続的かつ定期的な研修である。 III.国際的移住の文脈における子どもの権利に関わる両条約の基本的原則 19.子どもの権利条約の締約国は、そこに掲げられた原則および規定が関連の国内法、政策および実務において全面的に反映されかつ法的効力を有することを確保する義務を負う(第4条)。国は、子どもに関わるすべての行動において、総括的原則である差別の禁止(第2条)、子どもの最善の利益(第3条)、生命、生存および発達に対する権利(第6条)、ならびに、自己に影響を与えるすべての事柄について意見を表明し、かつその権利を考慮される子どもの権利(第12条)の原則を指針とするべきである。国は、これらの原則が実務上も維持され、かつ国際的移住の文脈にある子どもに影響を及ぼすすべての政策の主流に位置づけられること、および、出身国、通過国、目的地国および帰還国における、国際的移住の文脈における子どもの人権についての国家の義務に関する合同一般的意見(移住労働者権利委員会の一般的意見4号〔2017年〕および子どもの権利委員会の一般的意見23号〔2017年〕)で明らかにされた具体的義務の解釈および分析においてもこれらの原則が維持されることを確保するための措置(立法措置およびその他の政策手段を含む)をとるよう求められる。 20.両委員会は、子どもの権利条約第41条および移住労働者権利条約第81条の規定が適用されることを再確認するとともに、基準が異なる場合には、国内法および国際法の規定のうち国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利の実現にもっとも資する規定が適用されることをあらためて指摘する。さらに、両条約の効果的な実施、ならびに、移住によって子どもたちに突きつけられる課題がますます増える状況下でのすべての子どもの権利の尊重、保護および充足を確保するためには、子ども中心のアプローチを基盤として両条約をダイナミックに解釈することが必要である。 A.差別の禁止(移住労働者権利条約第1条および第7条;子どもの権利条約第2条) 21.差別の禁止の原則は、基本的な、かつ国際的移住の文脈にある子どもとの関連でそのあらゆる相において適用される原則である [5]。国際的移住に関与しまたはその影響を受けているすべての子どもは、子どもまたはその親、法定保護者もしくは家族構成員の年齢、ジェンダー、ジェンダーアイデンティティもしくは性的指向、民族的もしくは国民的出身、障害、宗教、経済的地位、移住者/在留資格、無国籍、人種、皮膚の色、婚姻もしくは家族に関わる地位、健康状態もしくは他の社会的条件、活動、表明された意見または信条にかかわらず、自己の権利を享受する資格を有する。この原則は、どのような理由で移動しているか、子どもに保護者が付き添っているか否か、移動中かもしくはその他の形で定住しているか、在留資格または他のいずれかの資格を有しているか否かにかかわらず、すべての子どもおよびその親に全面的に適用される。 [5] 子どもの権利委員会・一般的意見6号、パラ18参照。 22.差別の禁止の原則は、移住に関連するすべての政策および手続(国境管理措置を含む)の中心に、子どもまたはその親の移住者資格にかかわらず、位置づけられる。移住者の異なる取扱いは、いかなるものであっても、適法性および比例性を備え、正当な目的を追求し、かつ子どもの最善の利益ならびに国際人権法上の規範および基準に一致していなければならない。同様に、締約国は、移住者である子どもおよびその家族が、その人権の効果的実現および国民と平等なやり方によるサービスへのアクセスを通じ、受入れ社会に統合されることを確保するべきである。 23.両委員会は、締約国が、いかなる事由による差別とも闘い、かつ、移住プロセス全体を通じて複合的かつ交差的形態の差別(出身国における差別および出身国に帰還した後の差別ならびに(または)子どもの移住資格の結果として生じる差別を含む)から子どもを保護するための、十分な措置をとるよう勧告する。このような目標を達成するため、締約国は、排外主義、人種主義および差別と闘うための努力を強化し、かつこのような態度および慣行と闘うためにあらゆる適切な措置をとるとともに、この点に関わる正確な、信頼でき、かつ最新のデータおよび情報を収集しかつ普及するべきである。各国はまた、国際的移住の影響を受けている家族の、受入れ社会への社会的包摂および全面的統合を促進するとともに、国際的移住の影響を受けている子どもおよびその家族を暴力、差別、いやがらせおよびいじめから保護し、かつ両条約および各国が批准している他の条約に掲げられた権利へのこれらの子どもおよび家族によるアクセス [6] を充足する目的で、移住に関する知識を向上させるためのプログラムおよび移住者に関わるいかなる否定的な見方にも対応するためのプログラムを実施することも求められる。その際、交差的に生ずる可能性があるジェンダー特有の課題および脆弱性ならびに他のいずれかの課題および脆弱性に特段の注意が払われるべきである。 [6] 前掲、パラ70。〔訳者注/パラ76-78の誤りか〕 24.締約国は、移住政策および移住プログラムがすべてのジェンダーの子どもに及ぼす具体的影響について、確固たるジェンダー分析を実施するべきである。締約国は、法律上および実際上の移住制限であって、女子にとっての機会を限定し、または自分自身で決定を行なう女子の能力および自律性を認めないジェンダー差別的な制限がある場合には、これを見直しかつ改めることが求められる。 25.両委員会は、締約国が、移住者および難民である障害のある子どもへの差別的慣行の防止に関する政策および関連の規則、ならびに、移住者および難民である障害のある子どもが当該国の国民である子どもと平等な立場ですべての人権および基本的自由を全面的に享受することを、障害のある人の権利に関する条約に掲げられた規定を考慮しながら確保するための必要な政策およびプログラムの実施を、とくに重視するよう勧告する。 26.両委員会は、法律上の差別に対処するだけでは必ずしも事実上の平等が確保されるとはかぎらないとの見解に立つ。したがって締約国は、国際的移住の文脈にある子どもに対する事実上の差別を引き起こしまたは固定化する条件および態度を防止し、減殺しかつ解消するための積極的措置をとることにより、これらの子どもを対象として両条約に基づく権利を充足しなければならない。締約国は、国際的移住の文脈にある子どもおよび(または)その家族に対する差別事件を体系的に記録するとともに、そのような行為について適切かつ効果的な調査および制裁を行なうべきである。 B.子どもの最善の利益(子どもの権利条約第3条) 27.子どもの権利条約第3条(1)は、官民双方の領域、裁判所、行政機関および立法機関に対し、子どもに関わるすべての行動において子どもの最善の利益が評価されかつ第一次的に考慮されることを確保する義務を課している。子どもの権利委員会が一般的意見14号のパラ6で述べているように、自己の権利を第一次的に考慮される子どもの権利は実体的権利であり、基本的な法的解釈原理であり、かつ手続規則であって、個人としての子どもおよび集団としての子どもの双方に適用される。それ以降、締約国にとってこの問題に関する主要な指針と捉えられてきた同一般的意見において、委員会は子どもの最善の利益の原則の実施についても詳しく述べている。 28.委員会は、子どもの最善の利益が――いったん評価・判定された後に――他の(たとえば他の子ども、公衆および親等の)利益または権利と相反するおそれもあること、および、生じる可能性のある潜在的相反は、すべての当事者の利益を慎重に比較衡量し、かつ適切な折衷策を見出すことによって、事案ごとの状況に応じて解決が図られなければならないことを認め、一般的意見14号のパラ39において、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利とは、子どもの利益が高い優先順位を与えられるということであって、単に複数の考慮事項のひとつとして扱われるということではないと強調している。したがって、子どもにとって最善である対応がより重視されなければならない。委員会はさらに、パラ82において、子どもの最善の利益の評価および判定を行なう目的は、子どもの権利条約で認められた諸権利の全面的かつ効果的な享受および子どものホリスティックな発達を確保するところにあると指摘している。 29.締約国は、出入国関連法、移住政策の計画、実施および評価ならびに個別事案に関する決定において子どもの最善の利益が全面的に考慮されることを確保しなければならない。このような決定には、子どもの最善の利益が第一次的に考慮され、したがって高い優先順位を与えられなければならない、入国もしくは在留に関する申請の認容もしくは棄却、移住関連措置の執行に関する決定、子どもおよび(または)その親もしくは法定後見人による社会的権利へのアクセスの制限に関する決定ならびに家族の結合および子どもの監護に関する決定が含まれる。 30.とりわけ、子どもの最善の利益は、子どもの入国、在留もしくは送還、子どもの措置もしくはケア、または子ども自身の移住者資格と関連した親の拘禁もしくは追放に関わるいかなる行政上または司法上の決定においても、その不可欠な一部として、個別の手続を通じて明示的に確保されなければならない。 31.両委員会は、子どもに影響を及ぼす可能性のある移住関連の手続または決定において子どもの最善の利益の原則を実施するため、移住者である子どもに影響を及ぼす移住関連の決定その他の決定の一環としてまたはそのような決定の参考とする目的で、最善の利益評価・判定手続を制度的に実施する必要があることを強調する。子どもの権利委員会が一般的意見14号で説明しているように、決定が行なわれる際には子どもの最善の利益の評価および判定が実施されるべきである。「最善の利益評価」は、特定の子ども個人または特定の子ども集団について、特定の状況において決定を行なうために必要なあらゆる要素を評価しかつ比較衡量することから構成される。「最善の利益判定」とは、最善の利益評価に基づいて子どもの最善の利益を判定するために行なわれる、厳格な手続上の保障をともなう正式な手続をいう。加えて、子どもの最善の利益の評価は、個別の事案ごとに、かつそれぞれの子どもまたは子どもたちの集団の特有の事情に照らして行なわれるべき、独自の活動である。これらの事情には、年齢、性別、成熟度、マイノリティ集団への所属の有無ならびに子ども(たち)が置かれている社会的および文化的文脈が含まれる。 32.両委員会は、締約国が以下の措置をとるべきであることを強調する。 (a) 自国の立法、政策および実務において子どもの最善の利益に高い優先順位を与えること。 (b) 子どもの最善の利益の原則が、子どもに関連するおよび子どもに影響を与える立法上、行政上および司法上の手続および決定においては個別化された確固たる手続を通じて、かつ子どもに関連するおよび子どもに影響を与えるすべての移住政策および移住プログラム(領事保護に関わる政策およびサービスを含む)において、適切に統合され、一貫して解釈されかつ適用されることを確保すること。この原則が実際に適用されることを確保するため、十分な資源が用意されるべきである。 (c) 開発されかつ実施されるすべての最善の利益評価・判定において、子どもに影響を与える意思決定プロセスに際し、子どもの権利の――短期的および長期的な――充足が適切に重視されることを確保するとともに、適正手続の保障措置(無償の、有資格のかつ独立した代理人弁護士の選任権を含む)が確立されることを確保すること。最善の利益評価は、移住当局から独立した主体によって、子どもの保護・福祉の担当機関および他の関係者(親、保護者および弁護士代理人など)ならびに子ども自身の意味のある参加を含む学際的な方法で実施されるべきである。 (d) 移住関連の手続に関与するすべての関係者を対象として、入国、在留、第三国定住および送還に関する手続等において子どもの最善の利益を判定することおよび子どもの最善の利益を第一次的考慮事項として正当に重視することに関する指針を示すための手続の策定および基準の定義を図るとともに、実務における当該指針の適正な実施を監視するための機構を発展させること。 (e) 移住資格を理由とする親の拘禁または退去強制につながる可能性がある移住・庇護手続の諸段階で、子どもの最善の利益評価・判定を実施すること [7]。最善の利益判定手続は、家族からの子どもの分離につながるいかなる決定においても実施するものとされるべきであり、かつ、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されるべき子どもの監護の場合と同じ基準が適用されるべきである。養子縁組の場合、子どもの最善の利益が最高の考慮事項とされなければならない。 (f) 保護者のいない子どももしくは養育者から分離された子どもまたは親とともにいる子どものためのもっとも適切な居住形態を、必要な場合に、かつ子どもの代替的養護に関する指針 [8] にしたがって決定する目的で、個別事案ごとに最善の利益評価を実施すること。その過程では、コミュニティを基盤とするケアが優先されるべきである。子どもを保護する目的で子どもの自由を制限するいかなる措置(たとえば閉鎖型施設への措置)も、子ども保護制度の枠内で同一の基準および保障措置によって実施されるべきであり、厳格な必要性、正当性、および子ども個人を自傷他害から保護するという目的との比例性の基準を満たしているべきであり、ホリスティックなケア計画の一環であるべきであり、かつ、移住関連措置の執行に関する政策、実務および当局から切り離されているべきである。 (g) 移住者資格を理由とする移住者家族の追放につながりうる事案においては、退去強制が子どもの権利および発達(子どものメンタルヘルスを含む)に及ぼす影響を評価するため、最善の利益判定を実施すること。 (h) 国の管轄内にある国境管理所およびその他の出入国管理手続において子どもが速やかに特定され、かつ子どもであると主張するいかなる者も子どもとして取り扱われることを確保するとともに、これらの者が子ども保護機関その他の関連の機関に速やかに付託され、かつ、保護者がおらずまたは養育者から分離されている場合は後見人を任命されることを確保すること。 (i) 移住者である子ども(国内通過中の子どもを含む)を対象とする子どもの最善の利益の原則の運用に関する指針をすべての関連機関に示し、かつ、実務における当該指針の適正な実施を監視するための機構を発展させること。 (j) 保護者のいない子どもおよび家族とともにいる子どもとの関連で、包括的な、安定したかつ持続可能な解決策 [9](現在の在留国におけるさらなる統合および定着、出身国への帰還または第三国定住を含む)を特定しかつ適用することを目的とした最善の利益判定手続を開発しかつ実践すること。このような解決策には、中期的な選択肢、ならびに、子どもおよび家族が子どもの最善の利益にかなう安定した在留資格を取得できることの確保も含まれる場合があろう。最善の利益判定手続は、子ども保護制度の枠内において子ども保護担当機関が進行するべきである。考えられる解決策および計画は、意見を聴かれる子どもの権利についての子どもの権利委員会の一般的意見12号(2009年)にしたがい、子どもにやさしくかつ子どもに配慮したやり方で、子どもとともに議論しかつ策定することが求められる。 (k) 帰還が子どもの最善の利益にかなうと判定される場合、可能であれば当該子どもとともに、その持続可能な再統合のための個別計画が作成されるべきである。両委員会は、出身国、通過国、目的地国および帰還先の国が、政策実施のための専用の資源および包括的な機関間調整機構を備えた、包括的な枠組みを策定するべきであることを強調する。このような枠組みにおいては、子どもがその出身国または第三国に帰還する場合に、権利を基盤とするアプローチを通じた子どもの効果的な再統合が確保されるべきである。これには、即時的な保護措置および長期的解決策(とくに教育、保健、心理社会的支援、家族生活、社会的包摂、司法へのアクセスおよびあらゆる形態の暴力からの保護へのアクセス)が含まれる。このようなあらゆる状況において、すべての関係機関による、権利を基盤とする質の高いフォローアップ(独立した立場からの監視および評価を含む)が確保されるべきである。両委員会は、帰還および再統合の措置が、生命、生存および発達に対する子どもの権利の観点から持続可能なものであるべきことを強調する。 [7] 子どもの権利委員会「国際的移住の文脈におけるすべての子どもの権利についての一般的討議(2012年)の報告」、パラ73-74参照。www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Discussions/2012/DGD2012ReportAndRecommendations.pdf より入手可。 [8] 国連総会決議64/142付属文書。 [9] 包括的な、安定したかつ持続可能な解決策とは、子どもの長期的な最善の利益および福祉に可能なかぎり合致し、かつそのような視点から見て持続可能でありかつ安定している解決策をいう。その成果として、子どもが、そのニーズを満たし、かつ子どもの権利条約で定められた権利を充足する環境下で大人へと成長していけることを確保することが目指されるべきである。 33.締約国は、子どもの権利条約第3条にのっとり、子どもをその出身国に送還する旨のいかなる決定も、個別事案ごとに証拠に基づいて行なわれた検討を基礎として、かつ適切な適正手続の保障措置をともなった手続(子どもの最善の利益の確固たる個別的評価・判定を含む)にしたがって行なわれることを確保する義務を負う。この手続においては、とくに、子どもが帰還後ただちに安全を確保され、しかるべきケアを提供され、かつ諸権利を享受できるようにされることが確保されるべきである。一般的な移住管理に関連するもののような考慮事項が最善の利益に関わる考慮事項よりも優先されてはならない。両委員会は、帰還が、保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもならびに家族とともにいる子どもにとって、さまざまな持続可能な解決策のひとつに過ぎないことを強調する。帰還以外の解決策としては、在留国における、個々の子どもに事情に応じた――一時的または恒久的――統合、第三国定住(たとえば家族再統合を根拠とするもの)、または協力のための現行の機構(親責任および子どもの保護措置に関する管轄権、準拠法、承認、執行および協力に関する条約など)を参照することによって個別事案ごとに特定できる可能性があるその他の解決策などがある。 C.意見を聴かれる権利、自己の意見を表明する権利および参加の権利(子どもの権利条約第12条) 34.子どもの権利条約第12条は、子ども参加の重要性を強調して、子どもが自己の意見を自由に表明できるべきこと、および、子どもの年齢、成熟度および発達しつつある能力にしたがってその意見が正当に重視されるべきことを規定している。 35.子どもの権利委員会は、一般的意見12号において、意見を聴かれる権利を保障するための十分な措置が国際的移住の文脈においてとられるべきであると強調している。ある国にやってきた子どもは、とりわけ脆弱な状況または不利な立場に置かれる可能性があるためである [10]。そのため、自己の生活に影響を与えるあらゆる側面について意見を表明し(移住・庇護手続の不可欠な一環としての意見表明を含む)、かつその意見を正当に重視されるこれらの子どもの権利を全面的に実施することがきわめて重要となる。子どもには、移住に関する独自の企図および移住のきっかけとなった独自の要因がある場合もあり、これらの子どもの参加がなければ、政策および決定は効果的または適切なものとなりえない。委員会はまた、手続においてこれらの子どもの声に耳が傾けられかつ正当に重視されるようにするため、これらの子どもに対し、とくにその権利、利用可能なサービス、連絡および意思疎通の手段、苦情申立て機構、移住・庇護手続ならびにその結果に関するあらゆる関連の情報が提供されるべきであるとも強調している。情報は、手続においてこれらの子どもの声に耳が傾けられかつ正当に重視されるようにするため、子ども自身の言語で、適切な時期に、子どもに配慮した年齢相応のやり方で提供されるべきである [11]。 [10] 子どもの権利委員会・一般的意見12号、パラ123。 [11] 前掲パラ124。 36.締約国は、すべての子ども(親のケアを受けていない子どもを含む)に対して有資格の代理人弁護士を、また保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもに対しては訓練を受けた後見人を、到着後可能なかぎり早期に、無償で任命するべきである [12]。子どものための、アクセスしやすい苦情申立て機構を確保することが求められる。一連のプロセス全体を通じ、子どもが自己の母語で全面的に意見を述べられるようにするために通訳者を利用できるようにするべきであり、かつ(または)子どもの民族的、宗教的および文化的背景に通じた者による支援が受けられるようにするべきである。これらの専門家は、国際的移住の文脈にある子どもの特有のニーズ(ジェンダー、文化および宗教の側面ならびに他の交差的側面を含む)に関する訓練を受けていることが求められる。 [12] 前掲パラ123-124。 37.締約国は、自己またはその家族の事案に関連するいかなる行政上または司法上の手続(ケア、保護の場所または移住者資格に関するすべての決定を含む)において意見を聴かれる機会を提供することを含め、子どもの参加を全面的に促進しかつその便宜を図るために適切なあらゆる措置をとるべきである。子どもはその親とは別に意見を聴かれるべきであり、また家族の事案を検討する際には子どもの個人的事情もあわせて検討することが求められる。これらの手続においては最善の利益評価が別途実施されるべきであり、また移住に関する子ども特有の理由が考慮されるべきである。意見を聴かれる権利と子どもの最善の利益との重要な関係について、子どもの権利委員会はすでに、第12条の要素が尊重されなければ第3条の正しい適用はありえないと指摘している。同様に、第3条は、自己の生活に影響を与えるすべての決定における子どもの必要不可欠な役割を促進することにより、第12条の機能性を強化している [13]。 [13] 前掲パラ74。 38.締約国は、親に関わる出入国管理手続において、とくにその決定が子どもの権利(分離が子どもの最善の利益にかなう場合を除いて親から分離されない権利など。子どもの権利条約第9条参照)に影響を及ぼす場合に意見を聴かれる子どもの権利を確保するための、あらゆる適切な措置をとるべきである。 39.締約国は、国際的移住の文脈にある個人または集団としての子どもに直接間接に影響を及ぼしうる政策(社会政策・社会サービス分野の政策を含む)の立案、実施、監視および評価に、このようなすべての子どもが参加するための便宜を図ることに向けた措置をとるべきである。女子およびトランスジェンダーの子どもが、社会的、経済的、政治的および文化的リーダシップのあらゆるレベルで積極的に、効果的にかつ男子と平等に参加できるようにするための取り組みを進めることが求められる。出身国においては、子どもおよび(または)その親を移住に駆り立てる要因への対処およびこの点に関する政策の策定についての政策の策定〔原文ママ〕における、かつこのような対処および政策策定のためのプロセスにおける子ども参加がこのうえなく重要である。加えて、国は、国際的移住の影響を受けている子どもが、協議、協働および子ども主導の取り組みを通じてさまざまなレベルで参加できるようエンパワーメントを図ること、および、市民社会組織(子ども団体および子どもが主導する団体を含む)が、地方、国、地域および国際社会のレベルで、国際的移住の文脈にある子どもに関する政策対話および政策プロセスに効果的に参加できるようにすることを目的とした措置をとることが求められる。子どもの結社の自由(合法的に設置された結社を通じて行使される自由を含む)に対するいかなる制限も廃止されるべきである。 D.生命、生存および発達に対する権利(移住労働者権利条約第9条;子どもの権利条約第6条) 40.子どもの権利条約第6条は、子どもの生命、生存および発達(子どもの発達の身体的、精神的、道徳的、霊的および社会的側面を含む)に対する権利を確保する締約国の義務を強調している [14]。移住プロセスのいかなる時点においても、とくに組織犯罪の結果としての暴力、収容キャンプでの暴力、移住者を押し戻すこともしくは先に進ませないことを目的とする公的活動、国境管理機関による有形力の過度な使用、船舶による救援拒否、または極度に厳しい渡航状態および基礎的サービスへのアクセス制限を理由として、生命および生存に対する子どもの権利が危うくなる場合がある。保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもはさらに脆弱な状況に直面する場合があり、ジェンダーを理由とする暴力、性暴力その他の形態の暴力および性的搾取または労働搾取目的の人身取引のようなリスクにいっそうさらされる可能性がある。家族とともに渡航する子どもも、暴力を目撃しかつ経験することが多い。移住によって生活条件を向上させかつ人権侵害から逃れる機会が得られる可能性もある一方で、移住の過程で、身体的危害、心理的トラウマ、周縁化、差別、排外主義、性的搾取および経済的搾取、家族の別離ならびに入国管理当局による摘発および収容を含むリスクも生じうる [15]。同時に、教育、質的に十分な住居、十分な量の安全な食料および水または保健サービスへのアクセスに関して子どもが直面しうる障壁によって、移住者である子どもおよび移住者の子どもの身体的、精神的、霊的、道徳的および社会的発達に悪影響が生じる可能性がある。 [14] 子どもの権利委員会・一般的意見5号(条約の実施に関する一般的措置、2003年)、パラ12参照。 [15] 子どもの権利委員会・一般的意見20号(思春期における子どもの権利の実施、2016年)、パラ76。 41.両委員会は、子どもおよび家族が移住する正規のかつ安全な経路がないために、生命が脅かされかつ著しく危険な移住の途に子どもが就くことが助長されていることを認知する。移動の促進、調整および統制ではなく抑制に焦点を当てた国境管理・監視措置(収容および退去強制が実行されていること、時宜を得た家族再統合の機会がないことならびに正規化の経路が存在しないことを含む)についても同様である。 42.両委員会の見解では、子どもの権利条約第6条および移住労働者権利条約第9条に基づく締約国の義務には、生命、生存および発達に対する子どもの権利を危うくする可能性がある、子どもが直面する移住関連のリスクを――可能なかぎり最大限に――防止しかつ低減させることが含まれる。国、とくに通過国および目的地国は、在留資格を有していない子ども(保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもであるか、家族とともにいる子どもであるかを問わない)の保護、ならびに、庇護希望者である子ども、無国籍の子どもおよび越境組織犯罪(人身取引、子どもの売買、子どもの商業的性的搾取および児童婚を含む)の被害者である子どもの保護に特別な注意を向けるべきである。国はまた、移住のプロセス全体を通じ、移住者である子どもがそのジェンダーおよびその他の要因(貧困、民族、障害、宗教、性的指向、ジェンダーアイデンティティなど)を理由として直面する可能性があり、種々の人権侵害のなかでもとくに性的虐待、搾取、暴力に対する子どもの脆弱性を悪化させるおそれのある、特有の脆弱な事情も考慮することが求められる。これらの子どもが子どもとしての権利を全面的に尊重され、保護されかつ充足された状態で生活を再開できることの促進を目指しながらこれらの子どもを全面的に保護しかつ援助するために、具体的な政策および措置(子どもにやさしく、かつジェンダーに配慮した安全な司法的および非司法的救済措置を含む)が整備されるべきである。 43.両委員会は、子どもの権利条約第2条、第6条および第27条(1)の相互関連性を強調する。締約国は、国際的移住の文脈にある子どもが、子ども自身の地位または親の地位にかかわらず、その身体的、精神的、霊的および道徳的発達のために十分な生活水準を享受することを確保するべきである。 44.両委員会は、成人である移住者に対し、その国籍、無国籍、民族的出身または移住者資格を理由として基本的権利(労働権およびその他の社会的権利を含む)を否定しまたは制限する政策または実務により、生命、生存および発達に対する子どもの権利に直接間接の影響が生じうる可能性があることを懸念する。このような政策は、包括的な移住政策の立案および移住を開発政策の主流に位置づけようとする努力も阻害することにつながろう。したがって、子どもの権利条約第18条にのっとり、締約国は、子どもの親による社会的権利へのアクセスを規制するための政策および決定に関して、その移住者資格にかかわらず、子どもの発達および最善の利益が全面的に考慮されることを確保するべきである。同様に、非正規に在留している移住者の状況について国が一般的にまたは個別に対応する際にも(移住者である子どもおよびその家族の統合を促進し、かつその搾取および周縁化を防止する手段としての正規化手続の実施によるものを含む)、発達に対する子どもの権利および子どもの最善の利益を考慮することが求められる。 E.ノンルフールマン/集団的追放の禁止(移住労働者権利条約第9条、第10条および第22条;子どもの権利条約第6条、第22条および第37条) 45.締約国は、国際人権法、国際人道法、国際難民法および慣習国際法から派生するノンルフールマンの義務 [16] を尊重するべきである。両委員会は、ノンルフールマンの原則が、国際人権機関、地域人権裁判所および国内裁判所によって、人権を尊重し、保護しかつ充足する義務から生じる暗黙の保障として解釈されてきたことを強調する。この原則は、個人が帰還と同時に回復不能な被害(迫害、拷問、重大な人権侵害またはその他の回復不能な被害)を受けるおそれがある場合に、国が当該個人を(その移住者資格、国籍上の地位、庇護資格その他の地位にかかわらず)自国の領域から退去させることを禁じたものである。 [16] 難民の地位に関する1951年の条約第33条、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰を禁止する条約第3条および強制失踪からのすべての人の保護に関する国際条約第16条。 46.両委員会は、ノンルフールマンの原則についてあえて狭い定義を承認する締約国があることを懸念する。両委員会がすでに指摘したように [17]、子どもが、送還先である国またはその後送還される可能性があるいずれかの国において、子どもの権利条約第6条(1)および第37条で想定されているもの(ただしこれに限定されるものではけっしてない)のような回復不能な被害を受ける現実のおそれがあると考えるに足る実質的理由がある場合には、国は、国境で子どもの入国を拒否しまたは子どもをいずれかの国に送還してはならない。このようなノンルフールマンの義務は、条約に基づいて保障されているこれらの権利の重大な侵害が非国家的主体によるものであるか否か、またはこのような侵害が直接意図されたものであるかもしくは締約国の作為もしくは不作為の間接的結果であるかにかかわらず、適用される。 [17] 子どもの権利委員会・一般的意見6号、パラ27および移住労働者権利委員会・一般的意見2号(非正規な状態にある移住労働者およびその家族構成員の権利、2013年)、パラ50。 47.両委員会は、移住労働者権利条約第22条(1)ならびに他の国際人権文書および地域人権文書が集団的追放を禁じるとともに、最終的に追放につながりうる各事案を、適正手続に関わるすべての保障および司法にアクセスする権利の実効的充足を確保しながら、個別に審査しかつ決定しなければならないと定めていることを想起する。締約国は、移住者である子どもおよび家族の集団的追放を防止するために必要なあらゆる措置をとるべきである。 IV.国際協力 48.両委員会は、両条約を包括的に解釈すれば、締約国は、この合同一般的意見で展開されている指針を考慮に入れながら国際的移住の文脈にあるすべての子どもの権利を確保する目的で、二国間協力、地域的協力よび国際協力を発展させなければならないことを強調する。 49.両委員会は、出身国、通過国、目的地国および帰還先の国のあいだで取り組みの調整を図ることの重要性、ならびに、子どもの最善の利益を第一次的に考慮しながら国際的移住の文脈にある子どものニーズに対応しかつこれらの子どもの権利を保障していく際の、これらの国々の役割および責任を認識する。 50.両委員会は、国境管理および移住対応に関するすべての国際的、地域的および二国間協力協定において、そのような取り組みが子どもの権利に及ぼす影響を正当に考慮し、かつ子どもの権利を擁護するために必要な修正を図るべきであることを再確認する。両委員会は、移住制限に焦点を当てた二国間または多国間協力が増加しており、そのために子どもの権利に明らかに悪影響が生じていることを懸念するとともに、このような対応に代えて、人権が全面的に尊重される、安全な、秩序だったかつ正規の移住を促進するような協力を促すものである。 51.締約国はまた、この合同一般的意見にのっとって子どもに関わる移住政策を実施していくため、国際連合機関および地域機関によるものを含む国際社会の技術的協力も活用するべきである。 V.合同一般的意見の普及および活用ならびに報告 52.締約国は、この合同一般的意見を、国、広域行政圏および地方のあらゆるレベルすべての関係者、とくに議会、政府機関(子どもの保護および移住を担当している機関および職員を含む)および司法機関に対して広く普及するべきである。この合同一般的意見は、すべての子ども、ならびに、子どものためにおよび子どもとともに働く者(すなわち裁判官、弁護士、警察その他の法執行機関、教員、保護者、ソーシャルワーカー、公立または私立の福祉施設およびシェルターの職員ならびに保健ケア提供者)を含むすべての関連の専門家および関係者、メディアならびに市民社会一般に対して周知することが求められる。 53.この合同一般的意見は関連の言語に翻訳されるべきであり、また子どもにやさしい/適切な版および障害のある人がアクセス可能な形式でも利用可能とされるべきである。この合同一般的意見を実施する最善の方法に関する優れた実践を共有するため、会議、セミナー、ワークショップその他のイベントを開催することが求められる。この合同一般的意見はまた、あらゆる関連の専門家およびとくに専門職員ならびに子どもの保護および移住を担当する機関および職員を対象とする正式な就任前研修および現職者研修にも編入されるべきであり、かつ、国および地方のあらゆる人権機関ならびに人権問題に取り組む他の市民社会組織に対しても利用可能とされるべきである。 54.締約国は、移住労働者権利条約第73条および子どもの権利条約第44条に基づく定期報告書に、この合同一般的意見を指針として実施した措置およびその結果に関する情報を記載するべきである。 VI.条約の批准または条約への加入および留保 55.次の条約の批准またはこれへの加入をまだ行なっていない国は、批准または加入を行なうよう奨励される。 (a) 移住労働者権利条約(第76条および第77条に基づく拘束力のある宣言を行なうことも含む) (b) 子どもの権利条約 (c) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書 (d) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書 (e) 通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書 56.締約国は、国際的移住の文脈にある子どもが両条約に基づくすべての権利を全面的に享受できることを確保する目的で、批准または加入の際に行なった留保を再検討し、修正しかつ(または)撤回するよう奨励される。 更新履歴:ページ作成(2018年4月8日)。/目次を追加(5月11日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/33.html
欧州評議会・性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する条約(2007年) 原文英語(平野裕二仮訳〔日本語訳全文PDF〕)チャイルドフレンドリー版(PDF、英語) 解説:平野裕二「ヨーロッパで子どもの性的搾取・性的虐待に関する新条約が誕生~日本でも求められる包括的視点~」〔PDF〕(2007年執筆) 目次 前文 第1章-目的、差別の禁止の原則および定義第1条-目的 第2条-差別の禁止の原則 第3条-定義 第2章-予防措置第4条-原則 第5条-子どもに接して働く者の採用、訓練および意識啓発 第6条-子どもの教育 第7条-予防的介入のプログラムまたは措置 第8条-一般公衆を対象とする措置 第9条-子ども、民間部門、メディアおよび市民社会の参加 第3章-専門の公的機関および調整機関第10条-調整および連携のための国内措置 第4章-被害者に対する保護措置および援助第11条-原則 第12条-性的搾取または性的虐待の疑いの通報 第13条-ヘルプライン 第14条-被害者への援助 第5章-介入のプログラムまたは措置第15条-一般的原則 第16条-介入のプログラムおよび措置を受ける者 第17条-情報および同意 第6章-刑事実体法第18条-性的虐待 第19条-児童買春に関わる犯罪 第20条-児童ポルノに関わる犯罪 第21条-ポルノ的パフォーマンスへの子どもの参加に関わる犯罪 第22条-子どもを堕落させる犯罪 第23条-性的目的での子どもの勧誘 第24条-幇助または教唆および未遂 第25条-裁判権 第26条-法人の責任 第27条-制裁および措置 第28条-加重事由 第29条-過去の有罪判決 第7章-捜査、訴追および手続法(以下、CoE 子どもの性的搾取・虐待条約(2))第30条-原則 第31条-一般的保護措置 第32条-手続の開始 第33条-時効 第34条-捜査 第35条-子どもの事情聴取 第36条-刑事裁判手続 第8章-データの記録および保管第37条-有罪判決を受けた性犯罪者に関する国内データの記録および保存 第9章-国際協力第38条-国際協力のための一般的原則および措置 第10章-監視機構第39条-締約国委員会 第40条-その他の代表 第41条-締約国委員会の職務 第11章-他の国際文書との関係第42条-国際連合の子どもの権利に関する条約ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する同条約の選択議定書との関係 第43条-その他の国際文書との関係 第12章-条約改正第44条-改正 第13章-最終条項第45条-署名および発効 第46条-条約への加入 第47条-領域的適用 第48条-留保 第49条-廃棄 第50条-通告 前文 欧州評議会の加盟国およびこの条約の他の加盟国は、 欧州評議会の目的が、加盟国間におけるさらなる統一を達成することであることを考慮し、 すべての子どもが、その未成年者としての地位によってその家族、社会および国に対して要求されている保護措置に対する権利を有していることを考慮し、 子どもの性的搾取、とくに児童ポルノおよび児童買春、ならびにあらゆる形態の子どもの性的虐待(海外で行なわれる行為を含む)が子どもの健康および心理社会的発達にとってきわめて有害であることを認め、 子どもの性的搾取および性的虐待が、とくに子どもおよび加害者の双方が情報通信技術(ICT)をますます利用するようになっていることと関わって国内的にも国際的にも憂慮すべき割合に達してきており、かつ、このような子どもの性的搾取および性的虐待を防止しかつこれと闘うためには国際協力が必要であることを認め、 子どものウェルビーイングおよび最善の利益はすべての加盟国が共有する根本的価値であり、かついかなる差別もなく促進されなければならないことを考慮し、 第3回欧州評議会国家元首政府首班サミット(ワルシャワ、2005年5月16~17日)で採択された行動計画が、子どもの性的搾取に終止符を打つための措置の策定を求めていることを想起し、 とくに、子どもおよび若年成人の性的搾取、ポルノおよび買春ならびに人身取引に関する閣僚委員会勧告R(91)11号、性的搾取からの子どもの保護に関する勧告Rec(2001)16、ならびに、サイバー犯罪に関する条約(ETS No.185)(とくにその第9条)および人身取引と闘う行動に関する欧州評議会条約(CETS No.197)を想起し、 人権及び基本的自由の保護に関する条約(1950年、ETS No.5)、改正欧州社会憲章(1996年、ETS No.163)および子どもの権利の行使に関する欧州条約(1996年、ETS No.160)に留意し、 また、子どもの権利に関する国際連合条約(とくにその第34条)、子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春に関する選択議定書、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、とくに女性および子どもの取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書、および、最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する条約にも留意し、 子どもの性的搾取および児童ポルノとの闘いに関する欧州連合理事会枠組決定(2004/68/JHA)、刑事手続における被害者の地位に関する欧州連合理事会枠組決定(2001/220/JHA)、および、人身取引との闘いに関する欧州連合理事会枠組決定(2002/629/JHA)〔日本語訳PDF〕に留意し、 この分野における他の関連の国際的文書およびプログラム、とくに第1回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議(1996年8月27~31日)で採択されたストックホルム宣言および行動のための課題、第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議(2001年12月17~20日)で採択された横浜グローバル・コミットメント、第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議準備会議(2001年11月20~21日)で採択されたブダペスト・コミットメントおよび行動計画、国際連合総会決議S-27/2「子どもにふさわしい世界」、ならびに、第3回サミットで採択されかつモナコ会議(2006年4月4~5日)で正式に開始された3か年計画「子どものための、かつ子どもとともに進めるヨーロッパの構築」を正当に考慮し、 加害者が何者であれ性的搾取および性的虐待から子どもを保護し、かつ被害者に援助を提供するという共通の目標に効果的に寄与することを決意し、 あらゆる形態の子どもの性的搾取および性的虐待との闘いの予防的、保護的および刑事法的側面に焦点を当て、かつ具体的な監視機構を設ける、包括的な国際文書を作成する必要があることを考慮し、 次のとおり協定した。 第1章-目的、差別の禁止の原則および定義 第1条-目的 1.この条約の目的は、次のとおりである。 a.子どもの性的搾取および性的虐待を防止し、かつこれと闘うこと。 b.性的搾取および性的虐待の被害を受けた子どもの権利を保護すること。 c.子どもの性的搾取および性的虐待に対抗する国内的および国際的協力を促進すること。 2.この条約は、締約国によるその規定の効果的実施を確保するため、特定の監視機構を設置する。 第2条-差別の禁止の原則 締約国によるこの条約の規定の実施、とくに被害者の権利を保護するための措置の享受は、性、人種、皮膚の色、言語、宗教、政治的その他の意見、国民的もしくは社会的出身、国民的マイノリティとのつながり、財産、出生、性的指向、健康状態、障害またはその他の地位等のいかなる事由による差別もなく、確保される。 第3条-定義 この条約の適用上、 a.「子ども」とは、18歳未満のすべての者をいう。 b.「子どもの性的搾取および性的虐待」には、この条約の第18条から第23条までにおいて掲げられている行動を含む。 c.「被害者」とは、性的搾取または性的虐待の対象とされたすべての子どもをいう。 第2章-予防措置 第4条-原則 各締約国は、あらゆる形態の子どもの性的搾取および性的虐待を防止しかつ子どもを保護するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第5条-子どもに接して働く者の採用、訓練および意識啓発 1.各締約国は、教育、保健、社会的保護、司法および法執行の部門ならびにスポーツ、文化および余暇活動に関わる分野において子どもに日常的に接する者の間で子どもの保護および権利に関する意識啓発を図るため、必要な立法上その他の措置をとる。 2.各締約国は、1に掲げられた者が、子どもの性的搾取および性的虐待、それを特定する手段ならびに第12条第1項で述べられている可能性について十分な知識を有することを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 3.各締約国は、職務遂行が子どもとの日常的接触を意味する職に就くための条件において、これらの職に就こうとする者が子どもの性的搾取または性的虐待の行為について有罪判決を受けたことがないことが確保されるようにするため、その国内法に一致する方法で、必要な立法上その他の措置をとる。 第6条-子どもの教育 各締約国は、初等中等教育期間中の子どもが、性的搾取および性的虐待の危険性ならびに自衛手段に関する、その発達しつつある能力に適合する情報を受け取ることを確保するために、必要な立法上その他の措置をとる。適当な場合には親と連携しながら提供されるこの情報は、セクシュアリティに関する情報のより一般的な文脈の中で与えられるものとし、かつ、リスクの高い状況、とくに新しい情報通信技術の利用をともなう状況に特段の注意を払う。 第7条-予防的介入のプログラムまたは措置 各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を行なってしまうのではないかと恐れる者が、適当な場合に、犯罪実行の危険性を評価しかつ予防するための効果的な介入プログラムまたは介入措置にアクセスできることを確保する。 第8条-一般公衆を対象とする措置 1.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待の現象ならびにとりうる予防措置についての情報を提供する、一般公衆向けの意識啓発キャンペーンを促進しまたは実施する。 2.各締約国は、この条約にしたがって定められた犯罪を広告する資料の配布を防止しまたは禁止するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第9条-子ども、民間部門、メディアおよび市民社会の参加 1.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待との闘いに関する国の政策、プログラムその他の取り組みの策定および実施に、子どもがその発達しつつある能力にしたがって参加することを奨励する。 2.各締約国は、民間部門(とくに情報通信技術部門、観光旅行産業部門および銀行金融部門)ならびに市民社会に対し、子どもの性的搾取および性的虐待を防止するための政策の立案および実施に参加し、かつ自主規制または共同規制を通じて内部規範を実施するよう奨励する。 3.各締約国は、メディアの独立および報道の自由を正当に尊重しながら、メディアに対し、子どもの性的搾取および性的虐待のあらゆる側面に関する適切な情報を提供するよう奨励する。 4.各締約国は、適当な場合には基金を創設することも含め、性的搾取および性的虐待を防止しかつ子どもをこれらの行為から保護することを目的として市民社会が実施するプロジェクトおよびプログラムに資金が提供されることを奨励する。 第3章-専門の公的機関および調整機関 第10条-調整および連携のための国内措置 1.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待からの保護、その防止およびこれとの闘いを担当する諸機関、とくに教育部門、保健部門、社会サービス機関ならびに法執行機関および司法機関との間で国レベルまたは地方レベルでの調整が行なわれることを確保するため、必要な措置をとる。 2.各締約国は、次の機関を設置しまたは指定するために必要な立法上その他の措置をとる。 a.子どもの権利を促進しおよび保護するための、独立した、権限ある国または地方の機関。その際、これらの機関に対して具体的資源および責任が与えられることを確保するものとする。 b.子どもの性的搾取および性的虐待の現象を観察しおよび評価することを目的として国または地方のレベルに設けられ、かつ市民社会と連携して活動する、データ収集機構または担当部署。その際、個人情報保護に関わる要件を正当に尊重するものとする。 3.各締約国は、子どもの性的搾取および性的虐待の防止およびこれとの闘いを改善するため、権限ある国の機関、市民社会および民間部門間の協力を奨励する。 第4章-被害者に対する保護措置および援助 第11条-原則 1.各締約国は、被害者、その近親者およびこれらの者のケアに責任を負ういかなる者に対しても必要な支援を提供するために、効果的な社会プログラムを確立しかつ分野横断型の体制を設置する。 2.各締約国は、被害者の年齢が確定されておらず、かつ被害者が子どもであると考える理由があるときは、被害者の年齢の確認を待たず、子どもに対して提供される保護および援助の措置が当該被害者に与えられることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第12条-性的搾取または性的虐待の疑いの通報 1.各締約国は、子どもに接して活動することが求められる一定の専門家に対して国内法で課されている守秘義務の規則により、これらの専門家が、子どもが性的搾取または性的虐待の被害者であると考える合理的理由があるいかなる状況についても子どもの保護に責任を負う機関に通報する可能性が妨げられないことを、確保する。 2.各締約国は、子どもの性的搾取または性的虐待が行なわれていることを知っているまたはそのように善意で考えるいかなる者に対しても当該事実を権限ある機関に通報するよう奨励するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第13条-ヘルプライン 各締約国は、電話またはインターネットによるヘルプラインのような、相談者に対し、たとえ秘密裡にであってもまたは相談者の匿名性を正当に顧慮しながら助言を提供する情報サービスの設置を奨励しおよび支援するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第14条-被害者への援助 1.各締約国は、身体的および心理社会的回復の面で被害者を短期的および長期的に援助するため、必要な立法上その他の措置をとる。この項にしたがってとられる措置においては、子どもの意見、ニーズおよび関心事が正当に考慮される。 2.各締約国は、国内法で定められた条件のもと、被害者への援助に携わっている非政府組織、その他の関連の団体またはその他の市民社会関係者と協力するための措置をとる。 3.親または子どもを養育する者がその子どもの性的搾取または性的虐待に関与しているときは、第11条第1項を適用してとられる介入手続において以下の可能性も考慮する。 a.加害者とされる者を退去させること。 b.被害者をその家族環境から分離すること。当該分離の条件および期間は、子どもの最善の利益にしたがって決定されるものとする。 4.各締約国は、被害者に近しい者が、適当な場合には治療的援助、とくに緊急心理ケアから利益を受けられることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 第5章-介入のプログラムまたは措置 第15条-一般的原則 1.各締約国は、子どもに対する性的性質の再犯を予防しかつそのおそれを最小限に留める目的で、国内法にしたがい、第16条第1項および第2項に掲げられた者を対象とする効果的な介入のプログラムまたは措置を確保しまたは促進する。当該プログラムまたは措置には、国内法に掲げられた条件にしたがい、手続中のいずれの時点でも、刑務所内外でアクセスできるものとする。 2.各締約国は、国内法にしたがい、権限ある公的機関(とくに保健ケア・サービス機関および社会サービス機関)ならびに司法機関、および、第16条第1項および第2項に掲げられた者の事後対応に責任を負うその他の機関との間のパートナーシップその他の形態の協力の発展を確保しまたは促進する。 3.各締約国は、適切なプログラムまたは措置を発見する目的で、国内法にしたがい、第16条第1項および第2項に掲げられた者がこの条約にしたがって定められた犯罪をふたたび行なう危険性およびこの点について考えられるリスクの評価を行なえるようにする。 4.各締約国は、国内法にしたがい、実施されたプログラムおよび措置の有効性の評価を行なえるようにする。 第16条-介入のプログラムおよび措置を受ける者 1.各締約国は、国内法にしたがい、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を理由として刑事手続の対象とされた者が、被告人の権利および公正かつ公平な裁判の要件を害しまたはこれらに反することのない条件のもとで、かつ、とくに無罪推定の原則に関わる規則を正当に尊重されながら、第15条第1項に掲げられたプログラムまたは措置にアクセスできることを確保する。 2.各締約国は、国内法にしたがい、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を理由として有罪判決を受けた者が、第15条第1項に掲げられたプログラムまたは措置にアクセスできることを確保する。 3.各締約国は、子どもの性的行動の問題に対処する目的で、国内法にしたがい、性犯罪を行なった子ども(刑事責任年齢に達していない子どもを含む)の発達上のニーズに応じる形で介入のプログラムまたは措置が開発されまたは修正されることを確保する。 第17条-情報および同意 1.各締約国は、国内法にしたがい、第16条に掲げられた者であって介入のプログラムまたは措置の提案を受けた者が、当該提案の理由について十分に情報を提供され、かつ、事情を十分に承知したうえでプログラムまたは措置に同意することを確保する。 2.各締約国は、国内法にしたがい、介入のプログラムまたは措置の提案を受けた者が当該提案を拒否できること、および、有罪判決を受けた者の場合には拒否がどのような結果につながりうるかについて知らされることを確保する。 第6章-刑事実体法 第18条-性的虐待 1.各締約国は、故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.国内法の関連規定にしたがって性的活動に関する法定年齢に達していない子どもと性的活動を行なうこと。 b.次のいずれかの場合に子どもと性的活動を行なうこと。威迫、有形力または脅迫が用いられるとき。 子どもとの信頼関係、子どもに対する権威または影響力を有すると認められている立場(家庭内におけるものを含む)が濫用されるとき。 とくに精神的もしくは身体的障害または依存の状況を理由として子どもが置かれている特別に脆弱な状況が悪用されるとき。 2.1の規定の適用上、各締約国は、当該年齢に達していない子どもと性的活動を行なうことが禁じられる年齢を決定する。 3.1aの規定は、未成年者同士の同意に基づく性的活動の規制を意図したものではない。 第19条-児童買春に関わる犯罪 1.各締約国は、権限なしに故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.売春目的で子どもを募集し、または子どもを売春に参加せしめること。 b.子どもを威迫して売春させること、または当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること。 c.児童買春を利用すること。 2.この条の適用上、「児童買春」とは、金銭その他のいずれかの形態の報酬または対価が与えられまたはその供与が約束された状況で、子どもを性的活動のために用いることをいう。このような供与、約束または対価の提供が子どもまたは第三者に対して行なわれるかどうかは問わない。 第20条-児童ポルノに関わる犯罪 1.各締約国は、権限なしに故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.児童ポルノを製造すること。 b.児童ポルノの提供を申し出、またはその利用を可能にすること。 c.児童ポルノを頒布しまたは送信すること。 d.自己または他人のために児童ポルノを取得すること。 e.児童ポルノを所持すること。 f.情報通信技術を通じ、情を知って児童ポルノにアクセスすること。 2.この条の適用上、「児童ポルノ」とは、現実のもしくは擬似のあからさまな性的活動に従事する子どもを視覚的に描写したあらゆる資料または子どもの性器を主として性的目的で描写したあらゆる表現をいう。 3.各締約国は、1aおよびeの規定の全部または一部を、次のポルノ的資料の製造および所持について適用しない権利を留保することができる。 当該ポルノ的資料が、実際には存在しない子どもの擬似描写または写実的画像のみによって構成されているとき。 関与する子どもたちが第18条第2項を適用して定められた年齢に達しており、かつ、当該画像がその同意を得ておよび自分たち自身の私的利用のみを目的として製造および所持されるとき。 4.各締約国は、1fの規定の全部または一部を適用しない権利を留保することができる。 第21条-ポルノ的パフォーマンスへの子どもの参加に関わる犯罪 1.各締約国は、権限なしに故意に行なわれる次の行為が犯罪とされることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.子どもを募集してポルノ的パフォーマンスに参加させ、または子どもをそのようなパフォーマンスに参加せしめること。 b.子どもを威迫してポルノ的パフォーマンスに参加させること、または当該目的で子どもから利益を得ることもしくはその他の形態により子どもを搾取すること。 c.子どもが参加するポルノ的パフォーマンスの場に情を知って出席すること。 2.各締約国は、1cの規定を、子どもが1aまたはbに一致する形で募集されまたは威迫された場合に限って適用する権利を留保することができる。 第22条-子どもを堕落させる犯罪 各締約国は、第18条第2項を適用して定められた年齢に達していない子どもに故意にかつ性的目的で性的虐待または性的活動を目撃させることを、たとえ参加を強要しない場合でも犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 第23条-性的目的での子どもの勧誘 各締約国は、成人が、第18条第2項を適用して定められた年齢に達していない子どもに対し、情報通信技術を通じ、第18条第1項または第20条第1項aにしたがって定められたいずれかの犯罪をその子どもに対して行なう目的で会うことを故意に提案することを、このような提案後に実際に会うことにつながる実体的行為が行なわれたときは犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 第24条-幇助または教唆および未遂 1.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪の遂行を幇助しまたは教唆することを、当該幇助または教唆が故意に行なわれたときは犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 2.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪の未遂が故意に行なわれたときはこれを犯罪とするため、必要な立法上その他の措置をとる。 3.各締約国は、2の規定の全部または一部を、第20条第1項b、d、eおよびf、第21条第1項c、第22条ならびに第23条にしたがって定められた犯罪に適用しない権利を留保することができる。 第25条-裁判権 1.各締約国は、次のいずれかの場合において、この条約にしたがって定められたいかなる犯罪についても裁判権を設定するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.当該犯罪が自国の領域内で行なわれるとき。 b.当該犯罪が自国を旗国とする船舶内で行なわれるとき。 c.当該犯罪が自国の法令に基づいて登録された航空機内で行なわれるとき。 d.当該犯罪が自国の国民のいずれかによって行なわれるとき。 e.当該犯罪が自国の領域内に常居所を有する者によって行なわれるとき。 2.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪が自国の国民のいずれかまたは自国の領域内に常居所を有する者に対して行なわれる場合に当該犯罪について裁判権を設定するため、必要な立法上その他の措置をとるよう努める。 3.各締約国は、署名時または批准書、受託書、承認諸もしくは加入書の寄託時に、欧州評議会事務総長に宛てた宣言により、この条の1eに掲げられた裁判権に関する規則を適用しない権利または特定の場合もしくは条件においてのみ適用する権利を留保する旨、宣言することができる。 4.この条約の第18条、第19条、第20条第1項aならびに第21条第1項aおよびbにしたがって定められた犯罪の訴追のため、各締約国は、1dに関わる自国の裁判権が、当該行為がその遂行地において犯罪とされていなければならないという条件に服させられないことを確保するために、必要な立法上その他の措置をとる。 5.各締約国は、署名時または批准書、受託書、承認諸もしくは加入書の寄託時に、欧州評議会事務総長に宛てた宣言により、第18条第1項b第2インデントおよび第3インデントにしたがって定められた犯罪に関わるこの条の4の規定の適用を、自国民が自国の領域内にその常居所を有している場合に限定する権利を留保する旨、宣言することができる。 6.この条約の第18条、第19条、第20条第1項aおよび第21条にしたがって定められた犯罪の訴追のため、各締約国は、1dおよびeに関わる自国の裁判権が、被害者からの申告または犯罪実行地である国からの告発がなければ訴追を開始することができないという条件に服させられないことを確保するために、必要な立法上その他の措置をとる。 7.各締約国は、容疑者が自国の領域内に所在し、かつ容疑者の国籍のみを理由として他の締約国に当該容疑者の引渡しを行なわない場合においてこの条約にしたがって定められた犯罪についての裁判権を設定するため、必要な立法上その他の措置をとる。 8.この条約にしたがって定められた犯罪が行なわれたとされる場合において、二以上の締約国が当該犯罪についての裁判権を主張するときは、関係締約国は、適当な場合には、訴追のためにもっとも適した裁判管轄国を決定するため協議を行なう。 9.この条約は、国際法の一般規則を損なわないかぎりにおいて、締約国がその国内法にしたがって行使するいかなる刑事裁判権も排除するものではない。 第26条-法人の責任 1.各締約国は、個人としてまたは法人の機関の一部として行動するいずれかの自然人であって当該法人内部で指導的地位にある者が、次のいずれかの権限に基づき、かつ当該法人の利益のためにこの条約にしたがって定められた犯罪を行なう場合に、当該犯罪に関する責任を当該法人に負わせ得ることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.法人の代表権。 b.法人のために決定を行なう権限。 c.法人内部で管理を行なう権限。 2.すでに1で規定されている場合とは別に、各締約国は、1に掲げられた自然人による監督または管理の欠如により、法人の権限に基づき活動する自然人が当該法人の利益のためにこの条約にしたがって定められた犯罪を行なうことが可能になる場合に、当該犯罪に関する責任を当該法人に負わせ得ることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 3.法人の責任は、締約国の法的原則にしたがって、刑事上、民事上または行政上のものとすることができる。 4.法人の責任は、犯罪を行なった自然人の刑事上の責任に影響を及ぼすものではない。 第27条-制裁および措置 1.各締約国は、この条約にしたがって定められた犯罪が、その重大さを考慮に入れた効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁によって処罰されることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 2.各締約国は、第26条の規定にしたがって責任を負うものとされる法人に対し、効果的な、均衡のとれたかつ抑止効果のある制裁が科されることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。当該制裁には、刑罰としてのまたは刑罰以外の金銭的制裁を含むものとし、かつ、その他の措置、とくに次の措置を含むことができる。 a.公的な給付金または補助金の受給資格を停止すること。 b.商業的活動を行なう資格を一時的または恒久的に停止すること。 c.司法的監督のもとに置くこと。 d.裁判所による解散命令を発すること。 3.各締約国は、次の目的のために必要な立法上その他の措置をとる。 a.次のものの押収および没収について定めること。この条約にしたがって定められた犯罪を行なうためまたはその便宜を図るために用いられる物品、文書その他の道具。 当該犯罪から生じる収益または当該収益に相当する価額の財産。 b.この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪を行なうために用いられるいずれかの施設を、善意の第三者の権利を侵害することなく、一時的または恒久的に閉鎖できるようにすること、または、加害者に対し、犯罪が行なわれた過程で生じた子どもとの接触をともなう職業上の活動もしくはボランティア活動を行なうことを一時的または恒久的に禁ずること。 4.各締約国は、加害者に関して、親としての権利の喪失宣告または有罪判決を受けた者の監視もしくは監督のような他の措置をとることができる。 5.各締約国は、この条約にしたがって定められたいずれかの犯罪の被害者を対象とする予防プログラムおよび援助プログラムの資金とするため、この条にしたがって没収された犯罪収益または財産を特別基金に配分することができる旨、定めることができる。 第28条-加重事由 各締約国は、この条約にしたがって定められた犯罪に関わる制裁の決定において、次の事由を、当該事由がすでに犯罪の構成要件の一部となっている場合を除き、国内法の関連規定に一致する形で加重事由として考慮できることを確保するため、必要な立法上その他の措置をとる。 a.当該犯罪が被害者の身体的または精神的健康を深刻に損なったこと。 b.当該犯罪に先行しまたは並行して拷問または重大な暴力行為が行なわれたこと。 c.当該犯罪がとくに脆弱な状況にある被害者に対して行なわれたこと。 d.当該犯罪が、家族構成員、子どもと同居している者または子どもに対する権威を濫用した者によって行なわれたこと。 e.当該犯罪がともに行動する複数の者によって行なわれたこと。 f.当該犯罪が犯罪組織の枠組みのなかで行なわれたこと。 g.加害者が過去に同じ性質の犯罪を理由として有罪判決を受けていること。 第29条-過去の有罪判決 各締約国は、制裁の決定において、この条約にしたがって定められた犯罪に関わって他の締約国が言い渡した終局判決を考慮できるようにするため、必要な立法上その他の措置をとる。 CoE 子どもの性的搾取・虐待条約(2)へ続く 更新履歴:ページ作成(2011年7月28日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/19.html
子どもの権利委員会・一般的意見10号:少年司法における子どもの権利(中編) 前編 D.公正な審判のための保障 40.条約第40条2項には権利および保障の重要なリストが掲げられているが、これらはいずれも、刑法に違反したとして申立てられ、または罪を問われたすべての子どもが公正な取扱いおよび審判を受けることを確保するためのものである。これらの保障のほとんどは、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)第14条にも見出すことができる。同条については、自由権規約委員会が一般的意見13号(1984年)(司法の運営)において詳しい見解と意見を明らかにしているところである(現在、同一般的意見の見直しが進められている)。しかし、子どもを対象としてこれらの保障を実施することには若干の特有の側面があることも確かであり、本節ではその点について述べる。その前に、委員会は、これらの権利または保障を適切かつ効果的に実施するための鍵となる条件は少年司法の運営に従事する者の質であることを強調したい。警察官、検察官、弁護士その他の子どもの代理人、裁判官、保護観察官、ソーシャルワーカー等の専門家の訓練はきわめて重要であり、体系的かつ継続的に行なわれるべきである。これらの専門家は、子どものおよびとくに思春期の青少年の身体的、心理的、精神的および社会的発達について、ならびに、もっとも被害を受けやすい立場に置かれた子ども(障害のある子ども、避難民の子ども、ストリートチルドレン、難民および庇護希望者である子どもならびに人種的、民族的、宗教的、言語的その他のマイノリティに属する子ども等)の特別なニーズ(前掲パラ6-9参照)について、十分な情報を得ておくことが求められる。少年司法制度における女児の存在は、女児が少数しかいないために容易に見過ごされる可能性があるので、たとえば過去の虐待および特別な健康上のニーズとの関連で、女児の特別なニーズに特段の注意が払われなければならない。専門家および職員は、あらゆる状況において、子どもの尊厳および価値に一致し、他の者の人権および基本的自由に対する子どもによる尊重を強化し、かつ、子どもが社会に再統合しかつそこで建設的な役割を果たすことを促進するような方法で行動することが求められる(第40条1項)。第40条2項で認められている保障(以下で取り上げる)はいずれも最低基準である。すなわち締約国は、たとえば法的援助の分野および司法手続への子ども・親の参加の分野でより高い基準を設けかつ遵守することが可能であるし、そのように努めることが求められる。 遡及的少年司法の禁止(第40条2項(a)) 41.条約第40条2項(a)は、何人も、実行のときに国内法または国際法により犯罪を構成しなかった作為または不作為を理由として有罪とされることはないという規則が、子どもにも適用されることを確認している(自由権規約第15条も参照)。すなわち、いかなる子どもも、実行のときに国内法または国際法によって禁止されていなかった作為または不作為を理由として、刑法にもとづいて告発されまたは刑を言い渡されることはない。近年、多くの締約国がテロリズムを防止しかつこれと闘うために刑事法の規定を強化しかつ(または)拡大したことに照らし、委員会は、締約国が、これらの変更によって子どもの遡及的処罰または意図せざる処罰が行なわれないことを確保するよう勧告する。委員会はまた、何人も、犯罪が行なわれたときに適用されていた刑罰よりも重い刑罰を科されないという、自由権規約第15条に定められた規則が、条約第41条に照らし、自由権規約の締約国の子どもに適用されることを締約国が想起するよう求めたい。いかなる子どもも、刑法に違反したときに適用されていた刑罰よりも重い刑罰によって処罰されてはならないのである。ただし、行為後の法改正でより軽い刑罰が定められた場合には、子どもは当該改正の利益を受けるべきである。 無罪の推定(第40条2項(b)(i)) 42.無罪の推定は、法律に抵触した子どもの人権の保護にとって基本的重要性を有する。その意味は、子どもに対してかけられた容疑の立証責任は検察側にあるということである。刑法に違反したとして申立てられ、または罪を問われた子どもには灰色の利益が認められ、これらの容疑が合理的な疑いを超えて立証された場合にのみ当該容疑について有罪とされる。子どもはこのような推定にしたがって取り扱われる権利を有しており、審判の結果について予断を抱かないようにするのはあらゆる公的機関その他の関係者の義務である。締約国には、このような無罪の推定が実際に尊重されることを確保するため、子どもの発達についての情報を提供することが求められる。手続の無理解、未成熟、恐怖心その他の理由によって子どもは疑わしい行動を示す場合があるが、当局は、合理的な疑いを超えて有罪が証明されることなしに、子どもが有罪であると推定してはならない。 意見を聴かれる権利(第12条) 43.条約第12条2項は、子どもに対し、国内法の手続規則と一致する方法で、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても、直接にまたは代理人もしくは適当な機関を通じて意見を聴かれる機会が与えられることを求めている。 44.刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子どもにとって、意見を聴かれる権利が公正な審判のために基本的重要性を有することは明らかである。同様に、子どもには、それがその最善の利益に合致するのであれば、代理人または適切な機関を通じてのみならず直接に意見を聴かれる権利があることも、また明らかである。この権利は、手続のすべての段階において遵守されなければならない。それは審判前の段階から始まり、この段階において子どもは、黙秘権ならびに警察、検察官および予審判事から意見を聴かれる権利を有する。しかしこのことは、裁決の段階および科された措置の実施段階にも適用される。換言すれば、少年司法手続全体を通じて、子どもには自己の意見を自由に表明する機会が与えられなければならないし、その意見は子どもの年齢および成熟度にしたがって正当に重視されなければならないのである(条約第12条1項)。すなわち、子どもが手続に実効的に参加するためには、被疑事実のみならず(後掲パラ47-48参照)、少年司法手続そのものおよび科される可能性がある措置についても情報が提供されなければならない。 45.子どもに対しては、科される可能性がある(代替的)措置についての意見を表明する機会が与えられるべきであり、この点について子どもが有している具体的な希望または選択は正当に重視されるべきである。子どもに刑事責任があると主張することは、その子どもには、刑法違反の訴えに対するもっとも適切な対応についての意思決定に実効的に参加する能力が認められるべきであることを、言外に意味している(後掲パラ46参照)。言うまでもなく、決定を行なう責任を有するのは担当の裁判官である。しかし、子どもを受身の客体として扱うことは、子どもの権利を認めないことになるし、子どもの行動に対する効果的な対応に寄与することにもならない。このことは、科された措置の実施についても当てはまる。調査研究の示すところによれば、子どもがこのような実施に積極的に関与することは、ほとんどの場合、前向きな結果に寄与するのである。 手続に実効的に参加する権利(第40条2項(b)(iv)) 46.公正な審判のためには、刑法に違反したとして申立てられ、または罪を問われている子どもが審判に実効的に参加できることが必要であり、したがって子どもは、法定代理人に指示を与える目的で被疑事実ならびに生じうる結果および処罰について理解し、証人に異議を申立て、出来事について陳述し、かつ、証拠、証言および科されるべき措置について適切な決定を行なわなければならない。北京規則第14条は、手続が、少年の参加と自由な自己表現を可能とするような、理解に満ちた雰囲気のなかで行なわれるべきであると定めている。子どもの年齢および成熟度を考慮に入れるためには、審判廷における手続および慣行の修正も必要となる場合がある。 被疑事実に関する迅速なかつ直接の情報(第40条2項(b)(ii)) 47.刑法に違反したとして申立てられ、または罪を問われているすべての子どもは、自己に対する被疑事実を迅速かつ直接的に告知される権利を有する。迅速かつ直接的とは可能なかぎり早期にという意味であり、これは検察官または裁判官がその子どもに対して最初に手続上の措置をとった段階のことである。ただし、公的機関が司法的手続によらずに子どもを取り扱う旨の決定をしたときにも、子どもに対し、このようなアプローチを正当化するだけの被疑事実について告知が行なわれなければならない。これは、法的保障が全面的に尊重されなければならないという、条約第40条3項(b)の要件の一部を構成している。子どもは、その理解する言語による告知を受けるべきである。このため、情報を外国語で提示することのほか、刑事上/少年手続上の告発においてしばしば用いられる正式な法的専門用語を子どもが理解できる言葉に「翻訳」することも必要となろう。 48.子どもに公式書類を提供するだけでは十分ではなく、口頭による説明が必要なこともしばしばあろう。公的機関は、これを親もしくは法定後見人または子どもの弁護人その他の援助者に委ねておくべきではない。子どもが自己に対する各被疑事実を理解するようにすることは、公的機関(たとえば警察、検察官、裁判官)の責任である。委員会は、親または法定後見人に対する情報提供をもって、このような情報を子どもに伝達することに代えるべきではないとの見解に立つ。子どもおよび親または法定後見人の双方が、それぞれが被疑事実および可能性のある結果を理解できるような方法で情報を受け取るのであれば、それがもっとも適切である。 弁護人その他の適切な者による援助(第40条2項(b)(ii)) 49.子どもは、自己の防御の準備および提出にあたって弁護人その他の適当な者による援助を保障されなければならない。条約は子どもに援助が提供されることを要求しており、この援助は必ずしもあらゆる状況において法的なものである必要はないが、適切なものであることは求められる。このような援助がどのように提供されるかを決定するのは締約国の裁量に委ねられているが、当該援助は無償であるべきである。委員会は、締約国が、専門の弁護士またはパラリーガル職のような十分な訓練を受けた者による法的援助を、可能なかぎり提供するよう勧告する。その他の適切な援助者も考えられるが(たとえばソーシャルワーカー)、そのような援助者は、少年司法手続の種々の法的側面に関する十分な知識および理解を有していなければならず、また法律に抵触した子どもを対象として活動する訓練を受けていなければならない。 50.自由権規約第14条3項(b)で求められているとおり、子どもおよびその援助者は、子どもの防御の準備のために十分な時間および便益を与えられなければならない。子どもとその援助者との交渉は、書面によるものか口頭によるものかを問わず、当該交渉の秘密が、条約第40条2項(b)(vii)に定められた保障およびプライバシー・通信への干渉から保護される子どもの権利(条約第16条)にしたがって、全面的に尊重される条件下で行なわれるべきである。この保障(条約第40条2項(b)(ii))に関して留保を行なっている締約国が多いが、これは、当該保障がもっぱら法的援助、すなわち弁護士による援助の提供を要求しているとの理解に立つものと思われる。そのようなことはなく、これらの留保は撤回が可能であって、かつ撤回されるべきものである。 遅滞のない、かつ親の関与を得ての決定(第40条2項(b)(iii)) 51.国際的に、法律に抵触した子どものためには、犯罪遂行時と当該行為への終局的対応との間の期間は可能なかぎり短いべきであるという合意が存在している。この期間が長いほど、当該対応が所期の積極的かつ教育的影響を失う可能性は高まり、かつ子どもが負うスティグマも強いものとなろう。これとの関連で、委員会は、条約第37条(d)も参照するよう求めるものである。この規定により、自由を奪われたすべての子どもは、その自由の剥奪の合法性を争う訴えについて迅速な決定を受ける権利を有する。「遅滞なく」(条約第40条2項(b)(iii))という文言は自由権規約第14条3項(c)にいう「不当に遅延することなく」という文言よりも強いが、「迅速な」という文言はこれよりもさらに強い。自由の剥奪の重大性を踏まえれば、これは正当である。 52.委員会は、締約国が、犯罪の遂行から警察による捜査の完了、子どもを告発する旨の検察官(または他の権限ある機関)の決定ならびに裁判所その他の権限ある司法機関による終局処分および決定までの期間について期限を定め、かつこれを実施するよう勧告する。これらの期限は、成人について定められたものよりもはるかに短いものであるべきである。しかし同時に、遅滞なく行なわれる決定は、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重される手続の結果であることが求められる。このような遅滞なき意思決定手続には、弁護人その他の適切な援助者が立ち会わなければならない。このような立会いは、裁判所その他の司法機関における審判に限定されるべきではなく、警察による子どもの事情聴取(尋問)に始まる手続の他のあらゆる段階にも適用される。 53.親または法定保護者も、子どもに対して一般的な心理的および情緒的援助を提供しうることから、手続に立ち会うべきである。親が立ち会うからといって、親が子どもの防御のために行動し、または意思決定手続に関与できるというわけではない。ただし、裁判官または権限ある公的機関は、子どもまたはその弁護人その他の適切な援助者の求めにより、または子どもの最善の利益(条約第3条)にかなわないという理由で、手続における親の立会いを制限し、制約しまたは排除する旨の決定をすることができる。 54.委員会は、締約国が、子どもに対する手続に親または法定後見人が最大限どこまで関与できるかについて、法律で明示的に定めるよう勧告する。このような関与は、一般的には、子どもの刑法違反に対する実効的対応に寄与するはずである。親の関与を促進するため、親は、その子どもの逮捕について可能なかぎり早期に告知されなければならない。 55.委員会は同時に、子どもが行なった犯罪を理由とする親の処罰を導入する傾向が一部の国で見られることを、遺憾とするものである。子どもの行為によって引き起こされた損害に対する民事上の責任は、一部の限られた事案、とくに子どもが若年(たとえば16歳未満)である場合には適切なものとなりえよう。しかし、法律に抵触した子どもの親を犯罪者として扱うことは、親が子どもの社会的再統合における積極的なパートナーとなることに寄与しない可能性がきわめて高い。 自己負罪の強制からの自由(第40条2項(b)(iii)〔訳注/(iv)〕) 56.条約は、自由権規約第14条3項(g)と調和する形で、子どもが証言することまたは罪を自白しもしくは認めることを強制されないよう求めている。このことは、第一に――そして自明の理として――、自認または自白を引き出すための拷問、残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いは子どもの権利の重大な侵害であり(条約第37条(a))、まったく受け入れられないことを意味するものである。このようないかなる自認または自白も、証拠として認めることはできない(拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約第15条)。 57.他にも、これほど暴力的ではない形で、子どもが自白または自己負罪的証言をするよう強制しまたは誘導する方法は数多く存在する。「強制され」という文言は広く解釈されるべきであり、有形力その他の明らかな人権侵害に限定されるべきではない。子どもの年齢、子どもの発達、尋問の期間、子どもによる理解の欠如、どうなるかわからないという恐怖または収監の可能性を示唆されることによる恐怖が、真実ではない自白への誘導につながる可能性もある。このような可能性は、「本当のことを言えばすぐに家に帰してやる」のように報酬が約束される場合、またはより軽い制裁もしくは釈放が約束される場合には、いっそう高まることになろう。 58.事情聴取を受ける子どもは、弁護人その他の適切な代理人にアクセスできなければならず、かつ、事情聴取中に親が立ち会うことを要請できなければならない。状況を総合的に判断すれば証言が任意のものであって威迫によって引き出されたものではなく、かつ信頼できるものであることを確保するため、尋問手法に関する独立の立場からの検証が行なわれなければならない。裁判所その他の司法機関は、子どもによる自認または自白の任意性および信頼性を検討するにあたり、その子どもの年齢、勾留および尋問の期間、ならびに、子どもの弁護人その他の助言者、親または独立の代理人の立会いの有無を考慮に入れなければならない。警察官その他の捜査機関は、強制されたまたは信頼性を欠く自白または証言をもたらすような尋問技術および実務を回避するための、十分な訓練を受けているべきである。 証人の出廷および尋問(第40条2項(b)(iv)) 59.条約第40条2項(b)(iv)に掲げられた保障は、武器の平等(すなわち、防御側と検察側とが平等なまたは衡平な条件下にあること)の原則が、少年司法の運営においても遵守されなければならないことを強調したものである。「尋問し、または尋問を受けさせる」という文言は、諸法体系において、とくに弾劾主義的裁判と職権主義的裁判との区別が存在することを指している。後者においては、被告人は証人尋問を認められることが多いものの、被告人がこの権利を自ら行使することはめったになく、証人尋問は弁護人、または子どもの場合には他の適当な機関に委ねている。ただし、弁護人その他の代理人が、証人を尋問できることについて子どもに告知するとともに、子どもがこの点に関して意見を表明できるようにすることは依然として重要である。当該意見は、子どもの年齢および成熟度に応じて正当に重視することが求められる(第12条)。 上訴権(第40条2項(b)(v)) 60.子どもは、自己に対する被疑事実について有罪と認定された場合に、その決定に対し、かつこの有罪評決の結果として科される措置に対し、上訴する権利を有する。この上訴についての決定は、上級の、権限ある、独立のかつ公平な機関または司法機関、換言すれば第一審において事件を扱った機関と同一の基準および要件を満たす機関が行なうことが求められる。この保障は自由権規約第14条5項のそれと同様のものである。このような上訴権は、もっとも重大な犯罪に限られるものではない。 61.これこそが、少なからぬ締約国がこの規定に関して留保を行ない、このような子どもによる上訴権をより重大な犯罪および(または)収監刑に限定している理由だと思われる。委員会は、自由権規約の締約国に対し、同規約の第14条5項で同様の規定が置かれていることを想起するよう求めるものである。条約第41条に照らし、同条は、裁決を受けたすべての子どもに上訴権を認めるべきであるということを意味している。委員会は、締約国が、第40条2項(b)(v)の規定についての留保を撤回するよう勧告するものである。 無料の通訳の援助(第40条2項〔(b)〕(vi)) 62.少年司法制度で用いられる言語を子どもが理解できないときは、子どもは無料で通訳の援助を受ける権利を有する。このような援助は法廷における審判に限定されるべきではなく、少年司法手続のあらゆる段階でも利用可能とされるべきである。また、通訳が子どもとともに活動する訓練を受けていることも重要となる。子どもの母語の使用および理解は、成人のそれとは異なっている可能性もあるからである。この点に関わる知識および(または)経験の欠如により、自らに対して行なわれた質問を子どもが全面的に理解することが妨げられ、かつ公正な裁判および実効的参加に対する権利が阻害される可能性もある。「子どもが使用される言語を理解することまたは話すことができない場合は」として、「場合は」という限定が行なわれているのは、たとえば外国系のまたは民族的出身を有する子どもが――その母語とは別に――公用語を理解しおよび話せるときは、無料の通訳の援助を提供しなくてもよいということである。 63.委員会はまた、言語障害その他の障害を有する子どもに対して締約国の注意を促したいと考える。第40条2項〔(b)〕(vi)の精神を踏まえ、かつ障害のある子どもについて第23条で定められている特別な保護措置にしたがって、委員会は、言語障害その他の障害を有する子どもが少年司法手続の対象とされた場合に、十分な訓練を受けた専門家による、たとえば手話等の十分かつ効果的な援助を提供されることを、締約国が確保するよう勧告するものである(この点に関しては、子どもの権利委員会の一般的意見9号(障害のある子どもの権利)も参照)。 プライバシーの全面的尊重(第16条および第40条2項(b)(vii)) 64.手続のすべての段階においてプライバシーを全面的に尊重される子どもの権利は、条約第16条に掲げられた、プライバシーの保護についての権利を反映するものである。「手続のすべての段階」には、法執行との最初の接触(たとえば情報および素性の照会)から権限ある機関による最終決定、または監督、収容もしくは自由の剥奪からの解放までが含まれる。この権利は、このような特定の文脈において、不当な公表またはラベリングのプロセスによる害を回避するためのものである。罪を犯した子どもの特定につながる可能性がある情報は、いかなるものも公表されてはならない。このような情報には、スティグマを付与する効果があるとともに、罪を犯した子どもが教育、仕事〔および〕住居にアクセスし、または安全を保つ能力に影響を及ぼす可能性もあるからである。すなわち公的機関は、子どもが行なった疑いのある犯罪についての報道発表に関してはきわめて謙抑的な姿勢をとるべきであり、これをごく例外的な事件に限定するべきである。公的機関は、これらの報道発表資料を通じて子どもが特定されないことを保障するための措置をとらなければならない。法律に抵触した子どものプライバシー権を侵害するジャーナリストは、懲戒措置による制裁、および必要な場合には(たとえば常習犯の場合など)刑法上の制裁の対象とされるべきである。 65.子どものプライバシーを保護するため、ほとんどの締約国は、刑法を違反したとして罪に問われている子どもの、法廷その他の場所における聴聞は、非公開で行なわれるべきことを――例外の余地を残している場合もあるが――原則としている。このような規則は、裁判所の特別許可による専門家その他の専門職の立会いを認めるものである。少年司法における公開の聴聞は、詳細に定められた事件において、かつ裁判所による決定書面がある場合を除いて、認められるべきではない。当該決定に対しては、子どもによる異議申立てが認められるべきである。 66.委員会は、あらゆる締約国が、法律に抵触した子どもの法廷その他の場所における聴聞は非公開で実施される旨の規則を導入するよう勧告する。この規則に対する例外は、きわめて限定された、かつ法律で明確に述べられたものであるべきである。評決/量刑は、子どもの素性が明らかにされないような方法で、公開の法廷で宣告されるべきである。プライバシーについての権利(第16条)により、裁判所または他の権限ある機関がとる措置の実施に携わるすべての専門家は、外部とのあらゆる接触において、子どもの特定につながる可能性のあるあらゆる情報の秘密を保持するよう要求される。プライバシーについての権利はまた、罪を犯した子どもの記録は厳重に秘密とされるべきであり、かつ、事件の捜査および裁定ならびに事件についての判決言渡しに直接携わる者を除き、第三者に対して非開示とされるべきことも意味する。スティグマおよび(または)予断を回避するため、罪を犯した子どもの記録は、その後の事件で同一人物が罪を犯した場合の成人手続で利用されるべきではなく(北京規則の規則21.1および21.2参照)、またはそのようなその後の事件における量刑を加重するために用いられるべきではない。 67.委員会はまた、罪を犯した子どもが18歳に達すると同時にその犯罪記録が自動的に削除されるようにするための規則、または、一定の重大犯罪については、必要であれば一定の条件(たとえば最後の有罪判決から2年間、犯罪を行なわなかったこと)のもとで、子どもの申請に応じて削除が可能となるような規則を、締約国が導入するようにも勧告する。 E.処分(前掲IV章Bも参照) 審判前の代替的手段 68.刑法上の正式な手続を開始する旨の決定が行なわれたからといって、必ずしも、当該手続が、子どもに対する、裁判所による正式な刑の言渡しをもって修了しなければならないというわけではない。前掲Bで明らかにした所見にしたがい、委員会は、権限ある機関(ほとんどの国では検察官事務所)は裁判所による有罪判決に代わる手段の可能性を継続的に模索するべきであることを、強調したいと考える。換言すれば、前掲Bで挙げたもののような措置を提示することにより、事案を適切な形で終結させるための努力が続けられるべきである。検察機関が提示するこれらの措置の性質および期間はより過酷なものとなる可能性があり、その場合は子どものための弁護人その他の適切な援助を行なう者が必要となる。このような措置を遂行することは、刑法/少年法上の正式な手続を一時停止するためのひとつの手段であり、当該措置が満足のいく形で実施されればこれらの手続も終了することが、子どもに対して説明されるべきである。 69.裁判所による有罪判決に代わる手段を検察段階で提示する過程においては、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重されるべきである。これとの関連で、委員会は、前掲パラ27に掲げた勧告を参照するよう求める。これらの勧告はここでも同様に適用されるものである。 少年裁判所/裁判官による処分 70.条約第40条を全面的に遵守した公正かつ正当な審判(前掲IV章D参照)が行なわれた後は、申立てられた犯罪について有罪と認定された子どもに科すべき措置についての決定が行なわれることになる。法律は、裁判所/裁判官またはその他の権限ある、独立のかつ公正な機関もしくは司法機関がとりうる、施設ケアおよび自由の剥奪に代わる広範な手段について定めておくべきである。これらの手段は条約第40条4項に例示的に列挙されているが、その目的は、自由の剥奪が最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間でのみ用いられるようにするところにある(条約第37条(b))。 71.委員会は、犯罪への対応は常に、犯罪の状況および重大性のみならず、子どもの年齢、有責性の低さ、状況およびニーズ、ならびに、社会の種々のニーズおよびとくに長期的ニーズにも比例したものであるべきであると、強調したい。厳格に懲罰的なアプローチは、条約第40条1項に掲げられた少年司法の主導的原則に一致しない(前掲パラ5-14参照)。委員会は、制裁としての体刑が、これらの原則、および、あらゆる形態の残虐な、非人道的なおよび品位を傷つける取扱いまたは処罰を禁じた第37条に違反するものであることを、あらためて指摘するものである(委員会の一般的意見8号(2006年)(体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利)も参照)。子どもによる重大犯罪の事案では、罪を犯した子どもの状況および犯罪の重大性に比例する措置を、公共の安全および制裁の必要性に関する考慮を含む形で検討することができる。子どもの事案では常に、このような考慮よりも、子どもの福祉および最善の利益を保護し、かつその再統合を促進する必要性が重視されなければならない。 72.委員会は、刑事的処分が子どもの年齢と関連している場合であって、子どもの年齢について矛盾する、決定的でないまたは不確実な証拠しか存在しないときは、子どもには灰色の利益の原則を享受する権利があることに留意する(前掲パラ35および39も参照)。 73.自由の剥奪/施設ケアに代わる手段の面では、このような措置の利用および実施については幅広い経験が蓄積されている。締約国は、このような経験を役立てるとともに、それを自国の文化および伝統にあわせて修正することによって、これらの代替的手段を発展させかつ実施することが求められる。言うまでもなく、強制労働または拷問もしくは非人道的なおよび品位を傷つける取扱いに相当するような措置は明示的に禁じられなければならないし、これらの不法行為の責任者は司法により裁かれるべきである。 74.以上の一般的見解に続いて、委員会は、条約第37条(a)で禁じられている措置について、また自由の剥奪について注意を促したいと考える。 死刑の禁止 75.条約第37条(a)は、犯行時18歳未満だった者が行なった犯罪に対して死刑を科すことはできないという、国際的に受け入れられた基準(たとえば自由権規約第6条5項参照)を再確認したものである。この規定は明確であるが、この規則は18歳未満の者の処刑を禁じているにすぎないと考えている締約国が存在する。しかし、この規則における明示的かつ決定的な基準は犯罪遂行時の年齢である。すなわち、審判もしくは刑の言渡しまたは制裁の執行時に何歳であるかに関わらず、18歳未満の者が行なった犯罪に対して死刑を科すことはできない。 76.委員会は、いまなお18歳未満の者が行なったあらゆる犯罪について死刑を廃止していない少数の締約国が、このような廃止に踏み切るとともに、子どもの死刑を廃止する必要な立法措置が完全にとられるまで、これらの者を対象とするあらゆる死刑の執行を停止するよう勧告する。死刑が言い渡されているときは、条約に全面的に一致する制裁へと変更されるべきである。 仮釈放のない終身刑の禁止 77.犯罪を行なったときに18歳未満であったいかなる子どもも、釈放または仮釈放の可能性がない終身刑を言渡されるべきではない。子どもに科されるあらゆる刑について、釈放の現実的可能性があるべきであり、かつ当該可能性が定期的に考慮されるべきである。これとの関連で、委員会は、ケア、保護または治療の目的で措置されたあらゆる子どもに対して定期的再審査の権利を保障している、条約第25条を参照するよう求める。委員会は、釈放または仮釈放の可能性がない終身刑を実際に子どもに言い渡している締約国に対し、このような制裁を科すにあたっては条約第40条1項に掲げられた少年司法の目的を全面的に遵守し、かつその実現に向けて全力を尽くさなければならないことを、想起するよう求めるものである。このことは、とくに、このような収監刑を言い渡された子どもを対象として、その釈放、再統合、および社会において建設的な役割を果たす能力の構築を目的とした教育、処遇およびケアが提供されるべきであることを意味する。また、子どもの釈放の可能性について決定するために、子どもの発達および進歩を定期的に審査することも求められる。子どもに終身刑を科すことは、釈放の可能性があったとしても、少年司法の目的の達成を、不可能ではないにせよ非常に困難にする可能性が高いことを踏まえ、委員会は、締約国に対し、18歳未満の者が行なった犯罪についてあらゆる形態の終身刑を廃止するよう強く勧告するものである。 → 後編に続く 更新履歴:ページ作成(2011年4月24日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/18.html
子どもの権利委員会・一般的意見10号:少年司法における子どもの権利(前編) 一般的意見一覧 子どもの権利委員会 第44会期(2007年1月15日~2月2日)採択 CRC/C/GC/10(原文英語〔PDF〕) 日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)〕 目次 I.はじめに II.この一般的意見の目的 III.少年司法:包括的政策の主導的原則 IV.少年司法:包括的政策の中核的要素 A.少年非行の防止 B.介入/ダイバージョン(後掲Eも参照) C.年齢と、法に抵触した子ども D.公正な審判のための保障 → 中編 E.処分(前掲IV章Bも参照) F.自由の剥奪(審判前の勾留および審判後の収容を含む) → 後編 V.少年司法の組織 VI.意識啓発および訓練 VII.データ収集、評価および調査研究 I.はじめに 1.締約国は、子どもの権利に関する委員会(以下「委員会」)に提出する報告において、刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子ども(「法律に抵触した子ども」とも称される)の権利についてかなり詳細な注意を払うことが多い。委員会の定期報告書ガイドラインにしたがい、子どもの権利に関する条約(以下「条約」)第37条および第40条の実施状況が、締約国によって提供される情報の主たる焦点である。委員会は、条約にしたがって少年司法の運営を確立しようとする多くの努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら、たとえば手続的権利、法に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置の開発および実施、ならびに、最後の手段に限られた自由の剥奪の利用等の分野において、多くの締約国が、条約の全面的遵守の達成にはいまなおほど遠い状況にあることもまた明らかである。 2.委員会は同様に、子どもが法律に抵触することを防止するために締約国がとった措置に関する情報が欠けていることを懸念する。これは、少年司法分野で包括的政策が存在しないことによるのかもしれない。このことが、法律に抵触した子どもの取扱いについて多くの締約国が(きわめて)限られた統計的データしか提供しないことの理由である可能性もある。 3.少年司法分野における締約国の履行状況を検討してきた経験こそ、委員会がこのような一般的意見を作成した理由である。委員会は、この一般的意見によって、締約国に対し、条約にしたがって少年司法の運営を確立するための努力に関わるより詳細な指針および勧告を提示したいと考える。このような少年司法においては、とくにダイバージョンおよび修復的司法のような代替的措置の活用が促進されるべきであり、締約国はこれによって、法律に抵触した子どもに、これらの子どもの最善の利益のみならず社会全体の短期的・長期的利益にもかなう、いっそう効果的な方法で対応できるようになろう。 II.この一般的意見の目的 4.委員会は最初に、条約では締約国に対して包括的な少年司法政策の策定および実施が求められていることを強調しておきたい。このような包括的アプローチは、条約第37条および第40条に掲げられた具体的規定の実施に限定されるのではなく、条約第2条、第3条、第6条および第12条に掲げられた一般原則ならびに条約の他のあらゆる関連条項(第4条および第39条等)も考慮に入れたものであるべきである。したがって、この一般的意見の目的は次のとおりとなる。 条約にもとづいて、かつ条約にしたがって少年非行を防止しかつこれに対応するための包括的な少年司法政策を策定および実施するとともに、これに関わって、国連経済社会決議1997/30で設置され、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国連児童基金(UNICEF)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)および非政府組織(NGO)の代表が参加する「少年司法に関する機関横断パネル」の助言および支援を得るよう、締約国に対して奨励すること。 少年非行の防止、司法手続によることなく少年非行に対応することを可能にする代替的措置の導入、ならびに、条約第37条および第40条の他のあらゆる規定の解釈および実施にとくに注意を払いながら、このような包括的な少年司法政策の内容について締約国に指針および勧告を提示すること。 他の国際基準、とくに少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、自由を奪われた少年の保護に関する国連指針(ハバナ規則)および少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)が、国レベルの包括的な少年司法政策に統合されることを促進すること。 III.少年司法:包括的政策の主導的原則 5.条約の諸要件についてより詳しく展開する前に、委員会は、少年司法に関する包括的政策の主導的原則をまず挙げておきたいと考える。少年司法の運営にあたって、締約国は、条約第2条、第3条、第6条および第12条に掲げられた一般原則、ならびに、条約第37条および第40条に掲げられた少年司法の基本的原則を体系的に適用しなければならない。 差別の禁止(第2条) 6.締約国は、法律に抵触したすべての子どもが平等に取り扱われることを確保するために、あらゆる必要な措置をとらなければならない。事実上の差別および格差に対し、特段の注意を払わなければならない。このような差別および格差は、一貫した政策が存在しないことを理由として、ストリートチルドレン、人種的、民族的、宗教的または言語的マイノリティに属する子ども、先住民族の子ども、女児、障害のある子どもおよび繰り返し法律に抵触する子ども(累犯者)のような、被害を受けやすい立場に置かれた集団の子どもに関わって生じる可能性がある。これとの関連で、少年司法の運営に携わるあらゆる専門家の訓練(後掲パラ97参照)が、罪を犯した子どもの平等な取扱いを増進しかつ是正措置、救済および補償を提供する規則、規定または手順書の確立とともに、重要である。 7.法律に抵触した子どもの多くは、たとえば教育または労働市場へのアクセスを試みたときに、差別の被害者ともなる。とくに、かつて罪を犯した子どもが社会に再統合しようと努力するさいに適切な支援および援助を提供することによって、このような差別を防止し、かつ、社会において建設的な役割を担うこれらの子どもの権利(条約第40条1項)を強調する公的キャンペーンを行なうための措置をとることが必要である。 8.刑法に、浮浪、怠学、家出など、心理的または社会経済的問題の結果であることが多い子どもの行動上の問題を犯罪化する条項が掲げられていることは、きわめてよく見られる。とりわけ、女児およびストリートチルドレンがこのような犯罪化の被害者であることが多いのは懸念の対象である。地位犯罪としても知られるこれらの行為は、成人が行なった場合には犯罪とは見なされない。委員会は、締約国に対し、子どもと成人について法のもとにおける平等な取扱いを確立する目的で、地位犯罪に関する規定を廃止するよう勧告する。これとの関連で、委員会はまた、リャド・ガイドライン第56条も参照するよう求めるものである。そこでは次のように定められている。「青少年がさらなるスティグマ(烙印)、被害および犯罪者扱いの対象となることを防止する目的で、成人が行なった場合には犯罪と見なされないまたは処罰されないいずれかの行為は、青少年が行なった場合にも犯罪と見なされないまたは処罰されないことを確保するため、法律が制定されるべきである」 9.加えて、浮浪、路上徘徊または家出のような行動への対応は、親および(または)その他の養育者への効果的支援を含む子ども保護措置、および、このような行動の根本的原因に対応する措置の実施を通じて、行なわれるべきである。 子どもの最善の利益(第3条) 10.少年司法の運営との関わりで行なわれるすべての決定において、子どもの最善の利益が第一義的に考慮されなければならない。子どもは、その身体的および心理的発達ならびに情緒的および教育的ニーズの面で、成人とは異なる。このような違いが根拠となって、法律に抵触した子どもの有責性は軽減されるのである。これらのものをはじめとする違いこそが独立の少年司法制度を設けなければならない理由であり、そこでは子どもの異なる取扱いが要求される。子どもの最善の利益を保護するとは、たとえば、罪を犯した子どもに対応するさいには刑事司法の伝統的目的(禁圧/応報)に代えて立ち直りおよび修復的司法という目的が追求されなければならないということである。このような対応は、実効的な公共の安全にも注意しながら進めることができる。 生命、生存および発達に対する権利(第6条) 11.すべての子どもが有しているこの固有の権利は、締約国が少年非行の防止のための効果的な国の政策およびプログラムを策定するにあたり、指針および示唆の源とされるべきである。非行が子どもの発達にきわめて否定的な影響を及ぼすことは、言うまでもないからである。さらに、この基本的権利は、子どもの発達を支援するような方法で少年非行に対応するための政策につながらなければならない。死刑および仮釈放の可能性のない終身刑は、条約第37条(a)で明示的に禁じられている(後掲パラ75-77参照)。自由の剥奪の利用は、調和のとれた子どもの発達にとってきわめて重大な帰結をもたらすとともに、社会への子どもの再統合を深刻に阻害する。これとの関連で、条約第37条(b)は、発達に対する子どもの権利が全面的に尊重および確保されるよう、逮捕、拘禁または収監を含む自由の剥奪は最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間でのみ用いられるべきことを、明示的に規定しているところである(後掲パラ78-88参照)[1]。 [1] 自由を奪われた子どもに対して条約で認められている諸権利は、法律に抵触した子どもに対しても、ケア、保護もしくは治療(精神保健的治療、教育的治療および薬物治療を含む)のための施設、児童保護施設または出入国管理施設に措置された子どもに対しても適用されることに注意。 意見を聴かれる権利(第12条) 12.子どもに関わるあらゆる事柄について自由に自己の見解を表明する子どもの権利は、少年司法手続のすべての段階を通じて全面的に尊重および実施されるべきである(後掲パラ43-45参照)。委員会は、少年司法制度に関わった子どもたちの声がますます、改善および改革のための、かつ権利の充足のための、強力な原動力になりつつあることに留意する。 尊厳(第40条1項) 13.条約は、法律に抵触した子どもに与えられるべき取扱いについての一連の基本的原則を定めている。 尊厳および価値についての子どもの意識に合致した取扱い。この原則は、すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等であると定める世界人権宣言第1条に掲げられた基本的人権を反映するものである。尊厳および価値に対する固有の権利は、条約前文でも明示的に言及されているものであり、法執行機関との最初の接触から子どもに対応するあらゆる措置の実施に至るまでの、子どもに対応する手続全体を通じて尊重および保護されなければならない。 子どもによる、他の者の人権および基本的自由の尊重を強化する取扱い。この原則は、前文において、子どもは国際連合憲章に宣明された理想の精神のもとで育てられるべきであるとされていることと合致するものである。この原則はまた、少年司法制度において、子どもの取扱いおよび教育が人権および自由の尊重を発展させることを目的として行なわれなければならないということも意味する(条約第29条1項(b)および教育の目的に関する一般的意見1号参照)。このような少年司法の原則により、条約第40条2項で認められている公正な裁判のための保障が全面的に尊重されかつ実施されなければならないことは、明らかである(後掲パラ40-67参照)。警察官、検察官、裁判官および保護観察官など、少年司法における重要な主体がこれらの保障を全面的に尊重および保護しようとしなければ、このような貧弱な範しか示されなかった子どもが他の者の人権および基本的自由を尊重するようになることなど、どのようにして期待できるだろうか。 子どもの年齢を考慮に入れた、かつ、子どもが社会復帰しかつ社会において建設的な役割を果たすことを促進する取扱い。この原則は、法執行機関との最初の接触から子どもに対応するあらゆる措置の実施に至るまでの、子どもに対応する手続全体を通じて適用、遵守および尊重されなければならない。この原則により、少年司法の運営に携わるあらゆる専門家は、子どもの発達、子どもの力強くかつ継続的な成長、子どもの福祉にとって適切な対応、および、子どもを対象として蔓延している諸形態の暴力について、知悉していることが求められる。 子どもの尊厳が尊重されるようにするためには、法律に抵触した子どもの取扱いにおけるあらゆる形態の暴力が禁止および防止されなければならない。委員会が受け取ってきた報告によれば、暴力は、警察との最初の接触から、審判前の勾留の最中、および、自由剥奪刑を言い渡された子どものための処遇施設その他の施設での滞在中に至るまでの、少年司法手続のあらゆる段階で発生している。委員会は、締約国に対し、このような暴力を防止し、かつ加害者が裁判にかけられることを確保するために効果的な措置をとるとともに、2006年10月に国連総会に提出された「子どもに対する暴力に関する国連研究」報告書で行なわれている勧告を効果的にフォローアップするよう、促すものである。 14.委員会は、公共の安全の保全が司法制度の正当な目的のひとつであることを認知する。しかし委員会は、この目的の達成にもっとも役立つのは、条約に掲げられた少年司法の主導的かつ総括的な原則を全面的に尊重および実施することであるという見解をとるものである。 IV.少年司法:包括的政策の中核的要素 15.少年司法に関する包括的政策においては、次の中核的要素が取り上げられなければならない。すなわち、少年非行の防止、司法手続によらない介入および司法手続の文脈における介入、刑事責任に関する最低年齢および少年司法の適用年齢の上限、公正な審判のための保障、ならびに、自由の剥奪(審判前の勾留および審判後の収容を含む)である。 A.少年非行の防止 16.条約の実施におけるもっとも重要な目標のひとつは、子どもの人格、才能ならびに精神的および身体的能力の完全なかつ調和のとれた発達を促進することである(前文ならびに第6条・第29条)。子どもは、自由な社会において個人として責任のある生活を送るための準備ができるようにされるべきであり(前文・第29条)、そのような社会において、人権および基本的自由に関わって建設的な役割を担うことができなければならない(第29条・第40条)。これとの関連で、親には、条約において認められる権利を子どもが行使するにあたって、子どもの発達しつつある能力と一致する方法で適当な指示および指導を行なう責任がある。これらのものをはじめとする条約の規定に照らせば、犯罪活動に従事するようになるおそれを高めさせ、またはそのような重大なおそれを引き起こす可能性のある環境のもとで子どもが成長することが、子どもの最善の利益にそぐわないことは明らかである。十分な生活水準(第27条)、到達可能な最高水準の健康および保健ケアへのアクセス(第24条)、教育(第28条・第29条)、あらゆる形態の身体的もしくは精神的暴力、傷害または虐待(第19条)および経済的または性的搾取(第32条・第31条)からの保護、ならびに、子どものケアまたは保護のためのその他の適切なサービスに対する諸権利を全面的にかつ平等に実施するために、種々の措置がとられなければならない。 17.上述のように、少年非行の防止を目的とした一連の措置を欠いた少年司法政策には重大な欠陥がある。締約国は、少年司法に関する自国の包括的な国家政策のなかに、1990年12月14日に国連総会(決議45/112)で採択された少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)を全面的に統合するべきである。 18.委員会はリャド・ガイドラインを全面的に支持するとともに、とくに家族、コミュニティ、仲間集団、学校、職業訓練および仕事の世界ならびにボランティア組織を通じて、あらゆる子どもが社会化と統合を果たすことを促進するような防止政策が重視されるべきであるという点について同意するものである。このことはとりわけ、防止政策においては、とくに脆弱な立場に置かれた家族を支援すること、基本的価値観に関する教育(法律にもとづく子どもと親の権利および責任についての情報を含む)に学校が関与すること、および、危険な状態に置かれている若者に特別なケアおよび注意を向けることに焦点が当てられなければならないということを意味する。これとの関連で、学校から脱落した子どもまたはその他の形で教育を修了していない子どもにも、特段の注意が向けられるべきである。仲間集団による支援の活用および親の強力な関与が推奨される。締約国はまた、子ども(とくに繰り返して法律に抵触する子ども)の特別なニーズ、問題、関心事および利益に対応し、かつその家族に適切なカウンセリングおよび指導を提供するような、コミュニティを基盤とするサービスおよびプログラムも発展させるべきである。 19.条約第18条および第27条は子どもの養育に対する親の責任の重要性を確認しているが、条約は同時に、締約国に対し、親(または他の養育者)が親としての責任を果たすにあたって必要な援助を与えることも求めている。援助のための措置は、否定的な状況が生ずることの防止のみならず、親の社会的可能性の促進にもよりいっそうの焦点を当てるようなものであるべきである。親の訓練、親子の相互交流増進プログラムおよび家庭訪問プログラムのような、家庭および家族を基盤とする防止プログラムについては豊富な情報が存在しており、またこれらのプログラムは子どもがごく幼い段階から開始することができる。これに加えて、乳幼児期教育が将来の暴力および犯罪の発生率の低下と相関関係にあることもわかっている。コミュニティ・レベルでは、リスクに焦点を当てた防止戦略である「配慮に満ちたコミュニティ」(CTC)のようなプログラムによって成果が得られてきた。 20.締約国は、防止プログラムの開発および実施に、条約第12条にしたがって子どもが、また親、コミュニティの指導者その他の重要な主体(たとえばNGO、保護観察機関およびソーシャルワーク機関の代表)が参加することを全面的に促進および支援するべきである。このような参加の質こそが、これらのプログラムの成功の鍵となる。 21.委員会は、締約国が、効果的な防止プログラムを開発する取り組みを進めるにあたって「少年司法に関する機関横断パネル」の支援および助言を求めるよう勧告する。 B.介入/ダイバージョン(後掲Eも参照) 22.刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子どもに対応するにあたって、国の機関は2種類の介入策を用いることができる。司法手続によらない措置と、司法手続の文脈における措置である。委員会は、締約国に対し、これらの措置において子どもの人権および法的保障が全面的に尊重および保護されることを確保するために最大限の配慮がなされなければならないことを、想起するよう求める。 23.法律に抵触した子ども(累犯者である子どもを含む)は、子どもが社会に再統合し、かつ社会において建設的な役割を担うことを促進するような方法で取り扱われる権利を有する(条約第40条1項)。子どもの逮捕、拘禁または収監は、最後の手段としてでなければ用いてはならない(第37条(b))。したがって、子どもがその福祉にとって適切で、かつその状況および行なわれた犯罪のいずれにも見合う方法で取り扱われることを確保するための広範な効果的措置を――少年司法に関する包括的政策の一環として――発展させ、かつ実施することが必要となる。これらの措置には、ケア、指導および監督の命令、カウンセリング、保護観察、里親養護、教育および職業訓練のプログラムならびに施設内処遇に代わる他の代替的措置などの、多様な処分が含まれるべきである(第40条4項)。 司法手続によらない介入 24.条約第40条3項によれば、締約国は、適当かつ望ましいときは常に、刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置を促進するよう努めなければならない。罪を犯した子どもの大半は軽微な犯罪を行なったにすぎないことを踏まえれば、刑事/少年司法手続による処理からの除外およびこれに代わる(社会)サービスへの付託(すなわちダイバージョン)をともなう一連の措置が、ほとんどの事件において利用可能な、かつ利用されるべき実務として定着することが求められる。 25.委員会の見解では、法律に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置を促進する締約国の義務は、万引きまたは被害が限定されたその他の財産犯罪のような軽微な犯罪を行なった子ども、および初犯の子どもに対して適用される(ただし、もちろんこれに限られるものではない)。多くの締約国の統計が示すところによれば、子どもが行なう犯罪のかなりの部分(しばしば大半)はこれらの範疇に属するものである。このようなあらゆる事件を裁判所における刑事司法手続によらずに取り扱うことは、条約第40条1項に掲げられた諸原則に一致している。このようなアプローチは、スティグマの付与の回避につながるのに加えて、子どもにとっても公共の安全の利益にとっても望ましい結果をもたらすとともに、費用対効果もいっそう高いことが証明されてきた。 26.締約国は、法律に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置を自国の少年司法制度の不可欠な要素として位置づけるとともに、当該措置において子どもの人権および法的保障が全面的に尊重および保護されることを確保するべきである(第40条3項(b))。 27.法律に抵触した子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置の正確な性質および内容について決定し、かつその実施のために必要な立法上その他の措置をとることは、締約国の裁量に委ねられている。とはいえ、一部締約国の報告書で提供された情報にもとづき、コミュニティを基盤とする多様なプログラムが開発されてきたことは明らかである。これには、社会奉仕、たとえばソーシャルワーカーまたは保護観察官による監督および指導、ファミリー・コンファランス〔家族集団会議〕ならびにその他の形態の修復的司法措置(被害者に対する原状回復および賠償を含む)などがある。他の締約国はこれらの経験を活用するべきである。人権および法的保障の全面的尊重に関しては、委員会は条約第40条の関連規定を参照するよう求めるとともに、次の点を強調するものである。 ダイバージョン(すなわち、刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された子どもを司法手続によらずに取り扱うための措置)は、申立てられた犯罪を子どもが行なったこと、子どもが自由にかつ自発的に責任を認めており、かつ当該責任を認めさせるためにいかなる脅迫または圧力も用いられなかったこと、ならびに、最後に、子どもが当該責任を認めたことがその後のいかなる法的手続においても子どもの不利になるような形で用いられないことについて確証がある場合にのみ、活用されるべきである。 子どもは、ダイバージョンについて、自由なかつ自発的な同意を書面で与えなければならない。このような同意は、措置の性質、内容および期間、ならびに、措置に協力せず、これを実行せずおよび修了しなかった場合の対応に関する、十分かつ具体的な情報にもとづいて与えられるべきである。締約国は、親の関与を強化する目的で、とくに子どもが16歳未満である場合には、親の同意も要件とすることを考慮してもよい。 法律には、どのような場合にダイバージョンが可能かを明らかにする具体的規定が置かれていなければならず、またこの点に関わる決定を行なう警察、検察官および(または)その他の機関の権限は、とくに子どもを差別から保護する目的で、規制および審査の対象とされるべきである。 子どもに対しては、権限ある機関から提示されたダイバージョンの適切さおよび望ましさならびに当該措置の再審査の可能性について、弁護士その他の適切な援助を行なう者と協議する機会が与えられなければならない。 子どもがダイバージョンを完了したことをもって、事件の確定的および最終的終結とされるべきである。ダイバージョンについての秘密記録を行政上および再審査上の目的で保管することはできるが、当該記録は「犯罪記録」ととらえられるべきではなく、また過去にダイバージョンの対象とされた子どもが前科を有するものと見なされてはならない。ダイバージョンについていずれかの登録が行なわれるときは、当該情報へのアクセス権は、法律に抵触した子どもに対応する権限を認められた機関に対して専権的に、かつ期間を限定して(たとえば最大1年)認められるべきである。 司法手続の文脈における介入 28.権限ある機関(通常は検察官事務所)によって司法手続が開始されるときは、公正な審判の原則が適用されなければならない(後掲D参照)。同時に、少年司法制度においては、社会的および(または)教育的措置を活用することによって法律に抵触した子どもに対応し、かつ、最後の手段としての自由の剥奪(およびとくに審判前の勾留)の使用を厳格に制限するための豊富な機会が用意されるべきである。手続の処分段階においては、自由の剥奪は最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間でのみ用いられなければならない(第37条(b))。すなわち締約国は、指導および監督の命令、保護観察、社会内モニタリングまたはデイ・レポート・センター〔通所型保護観察施設〕、ならびに自由の剥奪からの早期釈放の可能性のような措置を最大限にかつ効果的に活用できるように、十分な訓練を受けた職員による保護観察機関を整備することが求められる。 29.委員会は、条約第40条1項にしたがって、再統合のためには、スティグマの付与、社会的孤立または子どもに関する否定的な情報公開といった、コミュニティへの子どもの全面的参加を阻害しうるいかなる行動もとられてはならないことを想起するよう、締約国に求める。法律に抵触した子どもが再統合を促進するような方法で取り扱われるようにするために、子どもが社会の完全かつ建設的な構成員になることが、あらゆる行動によって支援されるべきである。 C.年齢と、法に抵触した子ども 刑事責任に関する最低年齢 30.締約国によって提出された報告書が示すところによれば、刑事責任に関する最低年齢については広範な幅が存在する。7~8歳という非常に低い水準から、14~16歳という、賞賛に値する高い水準までさまざまである。刑事責任に関して2つの最低年齢を用いている国もかなり多い。法律に抵触した子どものうち、犯罪遂行時に低いほうの最低年齢には達しているものの高いほうの最低年齢に達していない者は、この点に関して必要な成熟度を有している場合にのみ、刑事責任を有すると推定されるのである。このような成熟度の評価は、しばしば心理学の専門家の関与を要件としないまま、裁判所/裁判官に委ねられており、そのため重大な犯罪の場合には低いほうの最低年齢を用いるという実務が行なわれている。2つの最低年齢を用いる制度はしばしば混乱を招くのみならず、裁判所/裁判官の裁量に多くが委ねられ、結果として差別的実務が行なわれる可能性が生ずる。刑事責任に関する最低年齢についてこのような広い幅があることに照らし、委員会は、刑事責任に関する最低年齢について明確な指針と勧告を締約国に示す必要があると感ずるものである。 31.条約第40条3項は、締約国に対し、とくに、刑法に違反する能力を有しないと推定される最低年齢の確立の促進に努めるよう求めているが、この点に関わる具体的な最低年齢は挙げていない。委員会は、この規定を、締約国が刑事責任に関する最低年齢(MACR)を設ける義務として理解するものである。このような最低年齢とは、次のことを意味する。 当該最低年齢に達しない年齢のときに罪を犯した子どもは、刑法上の手続において責任を問うことはできない。確かに(きわめて)若年の子どもでさえ刑法に違反する能力は有しているが、その子どもが罪を犯したときにMACRに達していなければ、刑法上の手続において正式に告発し、かつ責任を問うことはできないという反駁不能の推定が成立する。このような子どもについては、その最善の利益のために必要であれば、特別な保護措置をとることができる。 犯罪遂行時に(すなわち刑法に違反したときに)MACRには達していたが18歳未満であった子ども(後掲パラ35-38参照)は、正式に告発し、かつ刑法上の手続の対象とすることができる。ただしこれらの手続(終局的結果を含む)は、この一般的意見で詳しく述べられている条約の原則および規定を全面的に遵守するものでなければならない。 32.北京規則の規則4は、情緒的、精神的および知的成熟に関する事実を念頭に置き、MACRの始期はあまりにも低い年齢に定められてはならないと勧告している。この規則にしたがい、委員会は、締約国に対し、MACRをあまりにも低い水準に設定するべきではないこと、および、現行の低いMACRを国際的に受け入れられている水準まで引き上げることを勧告してきた。これらの勧告から、刑事責任に関する最低年齢が12歳に満たないときには、委員会はこれを国際的に受け入れられるものとは見なさないという結論を導き出すことができる。締約国は、これよりも低いMACRを12歳まで引き上げて絶対的最低年齢とし、かつ、これよりも高い年齢水準への引き上げを継続するよう奨励される。 33.委員会は同時に、締約国に対し、自国のMACRを12歳まで引き下げることがないよう促す。より高い、たとえば14歳または16歳というMACRは、条約第40条3項(b)にしたがい、法律に抵触した子どもを司法的手続によらずに取り扱う少年司法制度(ただし、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重されることを条件とする)に貢献するものである。これとの関連で、締約国は、自国の法律で定められたMACRに満たない子どもが刑法に違反したとして認定され、またはそのように申し立てられもしくは罪を問われた場合にどのように取り扱われるか、および、そのような子どもの取扱いがMACR以上の子どもの取扱いと同じぐらい公正かつ正当であることを確保するためにどのような法的保障が設けられているかについて、自国の報告書において、具体的な形で詳しく委員会に情報を提供することが求められる。 34.委員会は、MACRに関する例外を認める慣行について懸念を表明したい。これは、子どもがたとえば重大な犯罪を行なったとして罪に問われている場合、または子どもが刑事責任を問うのに十分な成熟度を有していると見なされる場合に、刑事責任に関するより低い最低年齢を用いてもよいとするものである。委員会は、締約国が、例外としてより低い年齢を用いることを認めないような形でMACRを定めるよう強く勧告する。 35.年齢の証明がなく、かつ子どもがMACRに達していることが立証できないときは、その子どもは刑事責任を有しないものとされなければならない(後掲パラ39参照)。 少年司法に関する年齢の上限 36.委員会はまた、少年司法の諸規則の適用に関する年齢の上限に対しても締約国の注意を促したい。これらの特別規則は――特別な手続規則ならびにダイバージョンおよび特別措置に関する規則のいずれの面でも――、その国で定められたMACRに始まって、犯罪(または刑法で処罰対象とされている行為)を行なったとされた時点で18歳に達していなかったすべての子どもに適用されるべきである。 37.委員会は、締約国が、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われ、または認定された場合に条約第40条の規定にしたがって取り扱われる、すべての子どもの権利を認めたことを想起するよう求めたい。このことは、罪を犯したとされる時点で18歳未満であったすべての者は、少年司法の諸規則にしたがって取り扱われなければならないことを意味する。 38.したがって委員会は、自国の少年司法の諸規則の適用を16歳(またはそれ以下の年齢)未満の子どもに限定している締約国、または16歳ないし17歳の子どもが例外的に成人犯罪者として扱われることを認めている締約国に対し、少年司法の諸規則が18歳未満のすべての者を対象として差別なく全面的に実施されるようにする目的で法律を改正するよう勧告する。委員会は、一部の締約国が、一般的規則としてまたは例外としてのいずれであるかに関わらず、少年司法の諸規則を18歳以上の者に対して(通常は21歳まで)適用することを認めていることについて、評価の意とともに留意するものである。 39.最後に、委員会は、とくにすべての子どもが出生後ただちに登録されることを求めた条約第7条の全面的実施のためには、いずれかの方法で年齢制限を定めることがきわめて重要であることを強調したい。これはあらゆる締約国にとって当てはまることである。生年月日を証明できない子どもは、家族、仕事、教育および労働に関して、とくに少年司法制度内で、あらゆる種類の虐待および不公正な取扱いをきわめて受けやすくなる。すべての子どもは、自分の年齢を証明するために必要なときは常に、出生証明書を無償で提供されなければならない。年齢の証明がない場合、子どもは、年齢を立証できる可能性のある、信頼できる医学的または社会的調査の対象とされる資格を有し、かつ、証拠に矛盾がある場合または決定的な証拠がない場合には、灰色の利益の原則の対象とされる権利を有する。 → 中編に続く 更新履歴:ページ作成(2011年4月24日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/21.html
子どもの権利委員会・一般的討議勧告:緊急事態下における子どもの教育への権利 一般的討議勧告一覧 (第49会期、2008年10月3日採択) 原文:英語〔ワード〕(日本語訳/平野裕二) III.勧告 [4] これらの勧告は、「緊急事態下における子どもの教育への権利」に関する一般的討議(2008年9月19日)への情報等の提供および当日の議論に基づいたものであり、これに尽きると主張するものではない。 23.委員会は、教育が他の基本的権利と分かちがたく結びついた奪うことのできない権利であり、緊急事態にあろうがなかろうがすべての子どもに保障されなければならないものであることを想起する。委員会は、この一般的討議の目的上、「緊急事態」(emergency situations)とは、人災または自然災害によって、子どもの生活、ケアおよび教育上の便益の通常の条件が短期間のうちに破壊されるあらゆる状況として定義されていることを想起するものである。緊急事態により被災した子どもたちは、世界でもっとも被害を受けやすくかつ周縁化された集団のひとつに数えられ、かつ就学していない子どもの集団としても最大のもののひとつを構成している。万人のための教育を現実のものとするためには、緊急事態下における子どもの教育への権利が尊重、保護および充足されなければならない。 24.委員会はさらに、緊急事態下における子どもの教育への権利が効果的に確保および実施されなければ、すべての子どもに初等教育の全課程を保障するという、2番目のミレニアム開発目標が達成されない見込みであることを強調する。 25.委員会は、教育への権利が緊急事態における優先事項であり、かつ人道救援対応の不可欠な構成要素のひとつであることを支持する、2008年の一般的討議を通底していた原則に同意する。 26.子どもの権利条約を批准した締約国は、その管轄内で子どもの権利を実施し、かつこれらの権利の世界的実施に貢献する義務を自ら引き受けた。委員会は、2008年の一般的討議の目的が、第28条および第29条に概略的に掲げられた教育への権利を尊重および保護する義務について、国その他の主体に対していっそう包括的な指針を提供することであることを想起する。したがって、以下の勧告は、締約国のみならず他の関連の主体にも宛てられたものである。これには、子どもの奪うことのできない権利(教育への権利を含む)が尊重、保護および充足されなければならない地域を実効支配している国以外の主体が含まれる。 27.委員会は、多くの組織、とくに「緊急事態下における教育のための機関間ネットワーク」(INEE)の傘下にある組織(とくにユニセフ、ユネスコ、国際救助隊〔IRC〕、国際赤十字・赤新月社委員会〔連盟〕、セーブ・ザ・チルドレンおよびワールド・ビジョンを含む)によって緊急事態下の子どもたちのために現地で実施されている貴重な取り組みおよびプログラムに、評価の意とともに留意する。 I.中核的義務 28.委員会は、緊急事態下における子どもの教育への権利の実施においては、条約第28条および第29条に掲げられた要件が制限なく満たされなければならないことを強調する。 29.委員会は、緊急事態下においては教育への権利を享受する子どものニーズが高まると考える。教育は、保護措置であると同時に、救援措置であり、かつ身体的、心理社会的および認知的保護を提供する救命措置だからである。教育は、正常性の感覚、安定感、構造性の感覚および未来への希望を与えることにより、紛争および災害の心理社会的影響の軽減につながる。したがって委員会は、緊急事態のあらゆる段階(緊急事態対策段階ならびに復興段階および緊急事態後段階を含む)を通じ、その管轄内にあるすべての子どもを対象として、いかなる差別もなく教育への権利を全面的に確保する自国の義務を全うするよう、締約国に対して求めるものである。委員会はまた、締約国、ドナーおよび救援機関に対し、教育を最初から人道救援対応の不可欠な要素のひとつに含めるよう求める。 30.条約の実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条第6項)についての一般的意見第5号(2003年、CRC/GC/2003/5)で、委員会は、条約に掲げられた経済的、社会的および文化的権利の漸進的実現および国際協力に関わるものも含む一般的実施措置を発展させる締約国の義務について、その概略を示した。「子どもの権利のための資源配分――国の責任」に関する一般的討議(2007年)の勧告では、漸進的実現とは、条約締約国に対し、子どもの経済的、社会的および文化的権利の全面的実現に向けて可能なかぎり迅速かつ効果的に進んでいくために的を絞った措置をとる即時的義務を課したものとして理解されるべきであると勧告した。委員会はまた、締約国には少なくとも、経済的、社会的および文化的権利の中核である最低限の内容を達成する義務があると考えていることも明らかにした。 31.委員会は、緊急事態下にあって教育への権利を充足させる責任は個々の国だけが背負わなければならないものではないことを、あらためて指摘する。いずれかの国が対応能力および(または)必要な資源を欠いているときは、他の国々、ドナー機関および国連機関を含む国際社会が、条約第4条第2項〔第2文〕にしたがい、教育への権利が普遍的に充足されることを確保するべきである。 32.委員会は、締約国、ドナー・コミュニティおよび人道機関に対し、緊急事態下で教育への権利を確保する努力を行なう際には、条約の4つの一般原則――差別の禁止に対する権利(第2条)、子どもの最善の利益(第3条)、生命、生存および発達に対する権利(第6条)ならびに意見を聴かれる権利(第12条)――を考慮に入れながら、権利基盤アプローチを適用するよう求める。 II.緊急事態下にあって教育にアクセスする子どもの権利を確保する国の義務――教育制度の継続/再建(第28条) 緊急事態対策 33.委員会は、条約第4条において、締約国は条約で認められた権利の実施のためのあらゆる適当な立法上、行政上その他の措置をとらなければならないと定められていることを想起しつつも、締約国に対し、緊急事態に耐える能力を高める目的で、国の教育制度、保護のための法的枠組みならびに保健サービスおよび基礎的社会サービスを強化するよう求める。 34.委員会は、すべての締約国、とくに自然災害に遭いやすい国または武力紛争の影響を受ける可能性が高い地域の国に対し、緊急事態下における教育への権利の保障のための体制整備に関する行動計画を作成するよう求める。これには、政府機関、市民社会、人道救援機関およびドナー間の調整担当窓口を教育省内に設けること、緊急事態が生じても教育への権利の充足を確保するための十分かつ持続的な資源を配分すること、カリキュラムを修正すること、緊急事態に対処できるよう教員を訓練すること、および、ボランティアを特定および訓練することが含まれるべきである。 緊急事態の最中 35.国際法に基づいて国が負っている民用施設(学校を含む)の保護義務に関して、委員会は、締約国に対し、学校が平和地帯でありかつ知的好奇心および普遍的人権の尊重が醸成される場であることを確保する義務、および、戦闘員による軍事的攻撃もしくは接収または徴募センターとしての利用から学校が保護されることを確保する義務を履行するよう促す。委員会は、締約国に対し、国際刑事裁判所ローマ規程第82条第2項(b)(ix)にしたがって学校への攻撃を戦争犯罪として犯罪化すること、ならびに、吹処罰を防止しかつこれと闘うことを促すものである。 36.委員会は、教育が周縁化された子どもも容易にアクセスできる真にインクルーシブなものであることを、締約国が確保するよう勧告する。このような子どもには、障害のある子ども、HIV/AIDSの影響を受けている子ども、難民および庇護希望者である子ども、国内避難民である子どもならびに乳幼児(乳幼児期発達教育プログラムを通じたアクセス)が含まれる。初等教育に留まらず、中等教育も、一般教育および職業教育ともに、子どもたちに対して利用可能とされるべきである。 37.委員会は、脆弱性および周縁化を悪化させる可能性がある緊急事態、人道援助および初期回復時の複雑なジェンダー力学によってジェンダーの平等がとりわけ課題となることを認め、締約国に対し、緊急事態の影響を受けたすべての男子および女子が安全、良質かつ妥当な教育に平等にアクセスできることを確保する目的で、ジェンダーの公正に配慮した政策およびプログラム介入を実施するよう促す。 38.委員会は、締約国、救援機関およびドナー・コミュニティに対し、その教育活動を調整しかつ責任の引き受けを促進する目的で、INEEの蓄積、とくに、緊急事態中に教育の提供に携わる可能性があるすべての主体に対して調和のとれた原則枠組みおよび行動方針を提示する「緊急事態、慢性的危機および初期復興における教育に関するINEE最低基準」(INEE最低基準) [5] を活用するよう勧奨する。委員会はまた、締約国、救援機関およびドナー・コミュニティに対し、常設委員会 [6] を支援するとともに、その蓄積ならびにIASC教育クラスタおよび(地元の人道団体および市民社会組織の能力構築を目的とした)「万人のための教育-ファスト・トラック・イニシアティブ移行基金」の蓄積を活用するようにも促すものである。委員会はまた、教育クラスタが、緊急事態下における教育ニーズを決定し、かつ調整のとれたやり方でこれに対応していくための適当な機構となるべきであるという、教育への権利に関する特別報告者の勧告 [7] をあらためて繰り返す。 [5] Report of the Special Rapporteur on the right to education, A/HRC/8/10, para.66. [6] 人道支援に関する常設委員会(Inter-Agency Standing Committee, IASC)は諸クラスタの主務機関をそれぞれ指定している。主務機関の任務は、特定の緊急事態に対応している国連機関および国連以外のパートナーの役割、責任および説明義務を明確にし、かつ受入れ国政府との意思疎通を合理化することである。(http //www.unicef.org/girlseducation/index_44882.html 参照) [7] Report of the Special Rapporteur on the right to education, A/HRC/8/10, para.84. 復興および緊急事態後 39.委員会は、締約国および他の関連の主体に対し、教育を和平協定および停戦協定の対象にするとともに、INEE最低基準を尊重する修了証明ならびに緊急事態中に受けた教育の認可および公的承認を付与することを通じて通常学校への円滑な移行を確保するよう、求める。 40.委員会は、受入れ国に対し、難民および庇護希望者である子どもが自己の言語で学ぶ権利および自己の文化について学ぶ権利を尊重するよう求める。委員会はさらに、国内避難の状況にあって避難民である子どもたちの言語が地元住民のそれと異なる場合、子どもたちの言語が考慮されなければならないことを強調するものである。 41.救援・復興機関ならびにドナーは、緊急事態下にある地域およびその周辺地域における教育の状況を考慮し、かつ、必要なときは、社会的緊張を防止する目的で、地元住民に対してもこの点に関わる援助を提供するよう促される。 III.緊急事態下において権利としての良質な教育を確保する義務:内容(第29条) 42.委員会は、社会的結束を高め、かつ紛争解決および平和構築を支える良質な教育の重要性を強調する。良質な教育はまた、国の脆弱性を緩和し得るとともに、社会の社会的、経済的および政治的安定を達成する役にも立ち得るものである。良質な教育は、誘拐、軍隊および(または)武装集団への子どもの徴募ならびに性的暴力およびジェンダーに基づく暴力を含む搾取および危害からの保護を提供することにより、生命を救うことにつながり得る。良質な教育はまた、衛生、地雷被害回避およびHIV/AIDS予防等の問題についての救命につながる情報を普及することにより、緊急事態を生き延びる知識およびスキルを提供することにもなる。 43.委員会は、一般的意見第1号で、条約に掲げられた教育の質、内容および価値観は平和な地域で生活している子どもにも関連するものの、「紛争または緊急事態の状況下で生活している子どもにとってはさらにいっそう重要となる」と述べていることを想起する。委員会は、教育の質については条約第29条1項が指針とされるべきであり、かつ、保護および救命の措置としての役割が果たされるようにするため、緊急事態下における教育に関して合意されたINEE最低基準が満たされなければならないことを強調するものである。 44.緊急事態下においては、良質な教育は子どもの具体的生活状況を反映するとともに、子ども中心であり、権利を基盤とし、保護の機能を果たし、適合させやすく、インクルーシブであり、かつ参加型のものであるべきである。 45.教育が憎悪を煽動してはならない。教育は、他者の権利の尊重および寛容を植えつけるものでなければならず、かつ、いかなる政治的または宗教的集団による偏見および一方的教化からも子どもを保護するものでなければならない。教育は、子どもの心理的または精神的状態に対応し、かつ、子どもが緊急事態、危険、脅威または操作的取り扱いに対処するのを援助しなければならない。教育は、子どもの文化、言語および伝統に対して敏感であるべきである。 46.学校から脱落した子どもたちのためのノンフォーマルまたはインフォーマルな教育(地域コミュニティの参加を通じて行なわれるものも含む)が支援および奨励されなければならない。委員会は、このような教育を、すでに公式の教育制度で学んでいない子どもたちの再編入を奨励する目的で、子どもたちのニーズに適合させるよう勧告する。 47.委員会は、子どもたちが良質な教育を受けることを確保するうえで教員が決定的に重要であることを想起する。最低基準を満たすため、教員は適切な訓練および監視の対象とされ、かつ必要な物資、支援および監督を受けなければならない。これとの関連で、教員が適切な報酬を受け取れるようにするための戦略がきわめて重要であり、担当公的機関が教員の雇用の効果的調整および監視を行なえない状況においてはこのことがとりわけ当てはまる。教員研修は、教員のスキルを向上させるとともに、緊急事態の最中に子どもたちを学校に留め、かつさらなるトラウマから保護する役割についての自信を備えさせる目的で、継続的プロセスとして実施されるべきである。 IV.子ども参加 48.委員会は、締約国その他の国際的パートナーが子ども参加を支援することによって、子どもたちが、自分たちが何を学ぶか(内容)およびどのように学ぶか(権利を基盤とした、子ども中心の積極的学習)に関して意見を表明できるようにし、かつ実際的意味を有する教育内容および積極的学習プロセスによってエンパワーされるようにすることを勧告する。委員会はさらに、子どもが学校から脱落しないようにするため、意見を聴かれる機会を子どもに与えるように勧告するものである。委員会は、よい学校とは子どもが敬意、活動、協力ならびに仲間、教員および親との関係を獲得できる学校であるという、ある子どもが表明した意見に賛同する。 49.委員会はさらに、子どもたちが、その親とともに、自分たちの状況および将来展望の分析への参加を奨励され、かつ参加できるようにされるべきことを勧告する。 50.委員会は、親と教員の組織、コミュニティ教育委員会およびこれに類するコミュニティの取り組みの創設および積極的関与を奨励する。 V.国際的援助および資金提供 51.締約国、国連機関、ドナーおよび救援機関は、教育を救援措置のひとつに採用し、かつそれを基礎救援援助の主要分野のひとつとして優先的に位置づけることによって、緊急事態下における子どもの教育への権利を確保するよう求められる。委員会は、すべての人道救援対応に当初から教育を含めることの決定的重要性をあらためて指摘するものである。 52.委員会は、締約国、国連機関、ドナーおよび救援機関に対し、緊急事態下における子どもの教育への権利を確保するため、人道救援対応のあらゆる段階でINEE最低基準が適用されることを確保するよう、あらためて促す。委員会はまた、〔人道支援に関する〕常設委員会に対する支援の重要性もあらためて指摘するものである。 53.委員会は、緊急事態下における子どもの教育への権利を全面的に実現するためには十分な人的資源および財源(国際協力によるものも含む)を配分することが重要であることを強調する。したがって委員会は、締約国、国連機関、ドナーおよび救援機関に対し、十分かつ継続的な資金を提供するとともに、緊急事態下における子どもの教育への権利を確保するための資金の獲得および適切な配分に関して国を援助するよう求めるものである。 VI.モニタリング 54.国レベル:すべての締約国は、この文書で概観した自国のコミットメントの実施を継続的にモニターするべきである。国際的レベル:国は、条約第44条の定めにしたがって条約の実施に関する報告を委員会に行なう際、これらの勧告の実施に向けて達成された進展も含めるべきである。 55.委員会はまた、締約国および国際的パートナーに対し、準備体制の向上を達成し、かつ緊急事態下における子どもの教育への権利の侵害の再発を回避する目的で、緊急事態が子どもの教育への権利に与える悪影響を最小限に留めることに関して得られた教訓を享有および普及するようにも奨励する。 56.委員会は、関連する場合には、条約および選択議定書の実施に関する締約国報告書に、INEE最低基準の実施に関する情報を含めることを勧告することも考慮する。 更新履歴:ページ作成(2011年4月24日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/324.html
子どもの権利委員会・一般的意見24号:子ども司法制度における子どもの権利 一般的意見一覧 参考:子どもにやさしい司法に関する欧州評議会閣僚委員会指針(2010年) CRC/C/GC/24 配布:一般(2019年9月18日)[注] 原文:英語 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) [注] 技術的理由により2019年11月11日に再発行されたもの。 子どもの権利委員会 子ども司法制度における子どもの権利についての一般的意見24号(2019年) I.はじめに 1.この一般的意見は、少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)にとって代わるものである。そこには、国際的および地域的基準、委員会の先例、子どもおよび青少年の発達に関する新たな知識ならびに効果的実践(修復的司法に関連するものを含む)に関するエビデンスの普及の結果として生じた、2007年以降の進展が反映されている。また、最低刑事責任年齢についての傾向および自由の剥奪の根強い利用などの懸念も反映されている。この一般的意見では、非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による徴募および使用の対象とされている子どもならびに慣習的司法制度、先住民族司法制度またはその他の非国家的司法制度における子どもに関連する諸問題のような、特定の問題も取り上げている。 2.子どもは、その身体的および心理的発達の面で、大人とは異なる。このような違いが、より低い有責性の認識、および、差異化された個別的アプローチをともなう独立の制度の根拠となる。刑事司法制度との接触が子どもにとって害となり、子どもが責任ある大人となる可能性を制約することは実証されてきた。 3.委員会は、公共の安全の保全が、子ども司法制度を含む司法制度の正当な目的のひとつであることを認知する。しかしながら、締約国は、子どもの権利条約に掲げられた子ども司法の原則を尊重しかつ実施する自国の義務を前提として、この目的を追求するべきである。条約が第40条ではっきりと述べているように、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われまたは認定された子どもは、常に、尊厳および価値についての子どもの意識を促進するのにふさわしい方法で取り扱われることが求められる。エビデンスの示すところによれば、子どもが行なう犯罪の発生件数は、これらの原則にのっとった制度が採択された後に減少する傾向にある。 4.委員会は、条約に合致した子ども司法制度を確立するために行なわれてきた多くの努力を歓迎する。条約およびこの一般的意見に掲げられた規定よりもいっそう子どもの権利に資する規定を有している国は称賛の対象であり、かつ、条約第41条にしたがい、いかなる後退的措置もとるべきではないことを想起するよう求められる。締約国報告書が示すところによれば、多くの締約国はいまなお条約の全面的遵守を達成するために相当の投資を行なう必要があり、このことはとくに防止、早期介入、ダイバージョン措置の開発および実施、多職種連携アプローチ、最低刑事責任年齢ならびに自由の剥奪の削減との関連で顕著である。委員会は、自由を奪われている子どもに関する国連国際研究を主導した独立専門家の報告書(A/74/136)に対し、各国の注意を喚起する(この報告書は、委員会が端緒となった国連総会決議69/157にしたがって提出されたものである)。 5.この10年の間に、司法へのアクセスおよび子どもにやさしい司法を促進するいくつかの宣言・指針が国際機関および地域機関によって採択されてきた。これらの枠組みは、犯罪の被害者および証人である子ども、福祉手続における子どもならびに行政審判所の審理の対象とされる子どもを含む、司法制度のあらゆる側面における子どもを対象とするものである。これらの進展は、貴重ではあるものの、この一般的意見の範囲には入らない。この一般的意見では、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われまたは認定された子どもに焦点を当てている。 II.目的および適用範囲 6.この一般的意見の目的および適用範囲は次のとおりである。 (a) 子どもの権利条約の関連の規定および原則に関する現代的なとらえ方を示すとともに、各国に対し、子どもの権利の促進および保護につながる子ども司法制度のホリスティックな実施に向けた指針を提供すること。 (b) 防止および早期介入の重要性ならびに制度のあらゆる段階における子どもの保護の重要性をあらためて指摘すること。 (c) 子どもの発達に関する知識の増進にのっとって、刑事司法制度との接触がもたらすとりわけ有害な影響を低減させるための主要な戦略、とくに次に掲げる戦略を促進すること。(i) 刑事責任に関する適切な最低年齢を定め、かつ子どもが当該年齢に達しているか否かにかかわらず適切に取り扱われることを確保すること。 (ii) 公式な司法手続からの子どものダイバージョンおよび効果的プログラムへの付託の規模を拡大すること。 (iii) 子どもの拘禁が最後の手段であることを確保するため、社会内処遇措置の利用を拡大すること。 (iv) 体刑、死刑および終身刑の使用をなくすこと。 (v) 自由の剥奪が最後の手段として正当とされる数少ない状況において、当該措置が年長の子どものみを対象として適用され、厳格な期間制限に服し、かつ定期的再審査の対象とされることを確保すること。 (d) 組織、能力構築、データ収集、評価および調査研究の向上を通じた制度の強化を促進すること。 (e) この分野における新たな進展、とくに非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による子どもの徴募および使用ならびに慣習的司法制度、先住民族司法制度および〔その他の〕非国家的司法制度と接触する子どもについての指針を示すこと。 III.用語法 7.委員会は、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われまたは認定された子どもに関連して、スティグマにつながらない言葉の使用を奨励する。 8.この一般的意見で使用されている重要な用語を以下に列挙する。 適切な大人(appropriate adult):子どもを援助できる親または法定保護者がいない状況においては、締約国は、適切な大人が子どもを援助することを認めるべきである。適切な大人としては、子どもおよび(または)権限ある機関によって指名された者も考えられる。 子ども司法制度(child justice system)[1]:罪を犯したとみなされる子どもにとくに適用される法律、規範および基準、手続、機構ならびに規定、ならびに、このような子どもに対応するために設置された制度および機関。 自由の剥奪(deprivation of liberty):いずれかの司法機関、行政機関その他の公的機関の命令によるあらゆる形態の拘禁もしくは収監または公的もしくは私的な身柄拘束環境への措置であって、対象とされた者がみずからの意思で離れることを許されないもの [2]。 ダイバージョン(diversion):関連の手続の開始前または進行中のいずれの時点であるかにかかわらず、子どもを司法制度から切り離して他の対応に委ねるための措置。 最低刑事責任年齢(minimum age of criminal responsibility):法律により、当該年齢に達していない子どもは刑法に違反する能力がないと判断される最低年齢。 未決拘禁(pretrial detention):逮捕の時点から処分または刑の言い渡しの段階までに至る拘禁(審理の全期間を通じて行なわれる拘禁を含む)。 修復的司法(restorative justice):被害者、罪を犯した者および(または)犯罪活動の影響を受けた他のいずれかの個人もしくはコミュニティ構成員が、しばしば公正かつ中立な第三者の援助を受けながら、犯罪から生じた問題の解決にともに参加するすべてのプロセス。修復的プロセスの例としては、仲裁、会議、調停および量刑サークルなどがある [3]。 [1] この一般的意見の英語版では、「少年司法」(juvenile justice)に代えて「子ども司法制度」という用語を用いる。 [2] 自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)、第11条(b)。 [3] 刑事事案における修復的司法プログラムの利用に関する基本原則、パラ2。 IV.包括的な子ども司法政策の中核的要素 A.子どもの犯罪の防止(最低刑事責任年齢に達していない子どもを対象とする早期介入を含む) 9.締約国は、「犯罪防止および刑事司法の分野における子どもに対する暴力の解消に関する国連モデル戦略および実務措置」ならびに刑事司法制度への子どもの関与の根本的原因に関する国内的および国際的比較研究を参照するとともに、防止戦略の策定の参考とするために独自の調査研究を行なうべきである。調査研究の結果、さまざまな社会制度(家庭、学校、コミュニティ、仲間関係)に存在する、子どもが示す深刻な行動上の困難を助長する側面に肯定的変化をもたらすことを目的とした、家庭およびコミュニティを基盤とする集中的な処遇プログラムにより、子どもが刑事司法制度に関与するようになるおそれの低減につながることが実証されている。防止および早期介入のプログラムにおいては、家族、とくに脆弱な状況にある家族または暴力が生じている家族への支援に焦点が当てられるべきである。危険な状況にある子ども、とくに通学しなくなった子ども、退学させられた子どもまたはその他の形で教育を修了していない子どもに対して支援を提供することが求められる。仲間集団による支援および親の強力な関与が推奨されるところである。締約国はまた、子どもの特有のニーズ、問題、悩みおよび関心に対応し、かつその家族に適切なカウンセリングおよび指導を提供するような、コミュニティを基盤とするサービスおよびプログラムも発展させることが求められる。 10.条約第18条および第27条は子どもの養育に対する親の責任の重要性を確認しているが、条約は同時に、締約国に対し、親(または他の養育者)が親としての責任を果たすにあたって必要な援助を与えることも求めている。乳幼児期のケアおよび教育への投資は、将来の暴力および犯罪の発生率の低下と相関関係にある。このような援助は、たとえば親としての能力増進を目的とする家庭訪問プログラムなどによって、子どもがごく幼い時期から始めることが可能である。援助のための措置は、コミュニティおよび家族を基盤とする防止プログラム(親子の相互交流向上プログラム、学校とのパートナーシップ、肯定的な仲間関係ならびに文化的活動および余暇活動など)に関する豊富な情報を活用することが求められる。 11.最低刑事責任年齢に満たない子どものための早期介入においては、子どもが最低刑事責任年齢に達している場合には犯罪とみなされるであろう行動の最初の兆候に対し、子どもにやさしい多職種連携型の対応をとることが必要となる。このような行動の背後にある複合的な心理社会的原因のみならず、レジリエンス(回復力)を強化する可能性がある保護的要因も反映した、エビデンスに基づく介入プログラムを発展させるべきである。介入に先立って、子どものニーズの包括的かつ学際的アセスメントが行なわれなければならない。絶対的優先事項として、子どもは家庭およびコミュニティにおいて支援されるべきである。家庭外への措置が必要となる例外的事案においては、そのような代替的養護はなるべく家庭的環境のもとで行なうことが求められる。ただし、必要とされる一連の専門家によるサービスを提供するため、一部の事案においては施設養護への措置が適切である場合もありうる。施設養護への措置は、最後の手段として、かつもっとも短い適切な期間でのみ用いられるべきものであり、また司法審査の対象とされるべきである。 12.防止に対する組織的アプローチには、貧困、ホームレス状態または家族間暴力の結果であることが多い微罪(学校の欠席、家出、物乞いまたは住居侵入など)の非犯罪化を通じ、子ども司法制度への経路を閉ざすことも含まれる。性的搾取の被害を受けた子どもおよび同意に基づく性的行為を行なう青少年も犯罪者として扱われることがある。地位犯罪としても知られるこれらの行為は、成人が行なう場合には犯罪とみなされない。委員会は、締約国に対し、自国の法令から地位犯罪を削除するよう促す。 B.最低刑事責任年齢に達している子どもを対象とする介入 [4] [4] 後掲IV.Eも参照。 13.条約第40条(3)に基づき、締約国は、適切な場合には常に司法手続によらずに子どもに対応するための措置の確立を促進しなければならない。実務上、このような措置は一般的に2つのカテゴリーに分類される。 (a) 関連の手続の開始前または進行中のいずれの時点であるかにかかわらず、子どもを司法制度から切り離して他の対応に委ねるための措置(ダイバージョン)。 (b) 司法手続の文脈でとられる措置。 14.委員会は、締約国に対し、双方のカテゴリーの介入に基づく措置を適用するにあたって、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重されかつ保護されることを確保するために最大限の配慮がなされるべきであることを想起するよう求める。 司法手続の利用を回避する介入 15.司法手続の利用を回避しながら子どもに対応する措置は、世界中の多くの法体系に導入されてきており、一般的にダイバージョンと呼ばれている。ダイバージョンにおいては、事案が公式な刑事司法制度から切り離されて他の対応(通常はプログラムまたは活動)に委ねられる。このようなアプローチは、スティグマが付与されることおよび前科がつくことを回避できることに加え、子どもにとって望ましい結果をもたらし、かつ公共の安全に適合するとともに、費用対効果も高いことが証明されてきた。 16.ダイバージョンは、事案の大多数において、子どもに対応する望ましいやり方とみなされるべきである。締約国は、ダイバージョンが可能な犯罪(適切な場合には重大犯罪を含む)の範囲を継続的に拡大するよう求められる。ダイバージョンの機会は、制度への接触後の可能なかぎり早い段階から、かつ手続全体を通じたさまざまな段階で、利用可能とされるべきである。ダイバージョンは子ども司法制度の不可欠な一部とされるべきであり、かつ、条約第40条(3)にしたがい、あらゆるダイバージョンの手続およびプログラムにおいては子どもの人権および法的保障が全面的に尊重されかつ保護されなければならない。 17.ダイバージョンの正確な性質および内容について決定し、かつその実施のために必要な立法上その他の措置をとることは、締約国の裁量に委ねられている。委員会は、社会奉仕、指定された職員による監督および指導、家族集団会議ならびにその他の修復的司法措置(被害者に対する原状回復および賠償を含む)など、コミュニティを基盤とする多様なプログラムが開発されてきたことに留意するものである。 18.委員会は次の点を強調する。 (a) ダイバージョンは、申し立てられている犯罪をその子どもが行なったこと、子どもが脅迫または圧力を受けることなく自由かつ自発的に責任を認めていること、および、子どもが当該責任を認めたことがその後のいかなる法的手続においても子どもの不利になるような形で用いられないことについて確証がある場合でなければ、利用されるべきではない。 (b) ダイバージョンに対する子どもの自由かつ自発的な同意は、措置の性質、内容および期間ならびに措置に協力せずまたは措置を修了しなかった場合の結果に関する、十分かつ具体的な情報に基づいたものであるべきである。 (c) 法律においてどのような場合にダイバージョンが可能かが明らかにされるべきであり、かつ、警察、検察官および(または)その他の機関による関連の決定は規制および審査の対象とされるべきである。ダイバージョンのプロセスに参加するすべての国の職員および関係者に対し、必要な研修および支援を提供することが求められる。 (d) 子どもに対しては、権限ある機関から提示されたダイバージョンに関連する法的その他の適切な援助を求める機会および措置の再審査の可能性が認められなければならない。 (e) ダイバージョンの措置に自由の剥奪が含まれるべきではない。 (f) ダイバージョンの修了をもって、当該事案は確定的かつ最終的に終結したものとされるべきである。ダイバージョンの記録は、行政上、再審査上、捜査上および研究上の目的で秘密が守られる形で保存することができるものの、当該記録は刑事上の有罪判決とみなされるべきではなく、または犯罪歴の記録とされるべきではない。 司法手続の文脈における介入(処分) 19.権限ある機関によって司法手続が開始されるときは、公正かつ適正な審判の原則が適用される(後掲D参照)。子ども司法制度においては、社会的および教育的措置を活用する機会、ならびに、逮捕の時点から、手続全体を通じ、かつ量刑において自由の剥奪の使用を厳格に制限するための機会が豊富に用意されるべきである。締約国は、指導および監督の命令、保護観察、コミュニティモニタリングまたはデイレポートセンター〔通所型保護観察施設〕ならびに拘禁からの早期釈放の可能性のような措置が最大限かつ効果的に活用されることを確保するため、十分な訓練を受けた職員による保護観察機関または同様の機関を整備することが求められる。 C.年齢と子ども司法制度 最低刑事責任年齢 20.犯行時に最低刑事責任年齢に満たなかった子どもは、刑法上の手続において責任を問うことはできない。犯行時に当該最低年齢に達していたが18歳未満であった子どもは、条約を全面的に遵守したうえで、正式な告発および刑法上の手続の対象とすることができる。ただしこれらの手続(終局的結果を含む)は、この一般的意見で詳しく述べられている条約の原則および規定を全面的に遵守するものでなければならない。委員会は、締約国に対し、適用される年齢は犯行時の年齢であることを想起するよう求める。 21.条約第40条(3)に基づいて締約国は最低刑事責任年齢を定めなければならないが、同条は具体的な年齢を明らかにしていない。50以上の締約国が条約批准後に当該最低年齢を引き上げており、国際的にもっとも一般的な最低刑事責任年齢は14歳である。にもかかわらず、締約国が提出する報告書によれば、受け入れられないほど低い最低刑事責任年齢を維持している国があることが明らかになっている。 22.子どもの発達および神経科学の分野で記録されてきたエビデンスが示すところによれば、12歳から13歳の子どもはその前頭皮質がいまなお発達中であるため、その成熟度および抽象的推論能力もなお発達途上にある。したがって、この年齢層の子どもが自己の行動の影響または刑事手続について理解できる可能性は低い。これらの子どもは、思春期に達しようとしていることからも影響を受けている。思春期における子どもの権利の実施についての一般的意見20号(2016年)で委員会が指摘しているように、思春期は、急速な脳の発達によって特徴づけられ、その後の人生のあり方を左右する人間発達上の特有の段階であって、このことがリスクをともなう行動、ある種の意思決定および衝動制御能力に影響を及ぼしているのである。締約国は、最近の科学的知見に留意するとともに、自国の最低年齢をしかるべき形で、少なくとも14歳まで、引き上げるよう奨励される。さらに、発達および神経科学に関わる証拠は、青少年の脳が10代を終えてもなお成熟し続けており、ある種の意思決定に影響を及ぼしていることを明らかにしている。したがって委員会は、より高い最低年齢(たとえば15歳または16歳)を定めている国を称賛するとともに、締約国に対し、条約第41条にしたがって、いかなる場合にも最低刑事責任年齢の引き下げを行なわないよう促すものである。 23.委員会は、最低刑事責任年齢を合理的に高い水準に設定することは重要であるものの、アプローチが効果的なものとなるかどうかは、当該年齢以上および当該年齢未満の子どもに国がどのように対応するか次第でもあることを認識する。委員会は、締約国報告書の審査においてこの点を引き続き吟味していく。最低刑事責任年齢に達していない子どもは、そのニーズに応じた援助およびサービスを提供されなければならず、刑法上の犯罪を行なった子どもと捉えられるべきではない。 24.年齢の証明がなく、かつ子どもが最低刑事責任年齢未満であるか否かが立証できないときは、その子どもは灰色の利益を認められなければならず、刑事責任を有しないものとされなければならない。 最低年齢の例外を設けている制度 25.委員会は、たとえば子どもが重大な犯罪を行なったとして申し立てられている事件において、より低い最低刑事責任年齢の適用を認める慣行があることについて懸念を覚える。このような慣行は、通常は公衆の圧力に対応するために設けられたものであり、子どもの発達に関する理性的理解に基づいたものではない。委員会は、締約国がこのような慣行を廃止し、その年齢に達していない場合には例外なく子どもの刑法上の責任を問うことができない、統一された単一の年齢を定めるよう強く勧告する。 2つの最低年齢を設けている制度 26.締約国のなかには、2つの最低刑事責任年齢(たとえば7歳と14歳)を適用し、低いほうの年齢には達しているものの高いほうの最低年齢には満たない子どもについて、十分に成熟していることが実証されないかぎり刑事責任を欠くという推定を設けている国がある。当初は保護のための制度として設けられたものだが、これが実際には保護につながらなかったことは証明済みである。刑事責任の個別鑑定という考え方を支持する声もあるものの、委員会の見るところ、これは裁判所の裁量に多くを委ねることになり、結果として差別的実務につながっている。 27.締約国は、単一の適切な最低年齢を定めるとともに、このような法改正が最低刑事責任年齢に関する立場の後退につながらないことを確保するよう、促される。 発達の遅れまたは神経発達障害に関連する理由で刑事責任を欠く子ども 28.発達の遅れまたは神経発達障害(たとえば自閉症スペクトラム障害、胎児性アルコール・スペクトラムまたは後天性脳損傷)がある子どもは、たとえ最低刑事責任年齢に達していたとしても、けっして子ども司法制度の対象とされるべきではない。このような子どもは、自動的に除外されない場合、個別鑑定の対象とされるべきである。 子ども司法制度の適用 29.子ども司法制度は、犯行時に最低刑事責任年齢に達していたものの18歳には満たなかったすべての子どもに適用されるべきである。 30.委員会は、自国の子ども司法制度の適用を16歳(またはそれ以下の年齢)未満の子どもに限定している締約国、または16歳ないし17歳の子どもが例外的に(たとえば罪種を理由として)成人犯罪者として扱われることを認めている締約国に対し、自国の子ども司法制度が犯行時に18歳未満であったすべての者に差別なく全面的に適用されることを確保するために法律を改正するよう勧告する(一般的意見20号、パラ88も参照)。 31.子ども司法制度は、犯行時に18歳未満であったものの審判または量刑言い渡し手続の間に18歳に達した子どもに対しても保護を提供するべきである。 32.委員会は、一般的規則としてまたは例外としてのいずれであるかにかかわらず、18歳以上の者に対する子ども司法制度の適用を認めている締約国を称賛する。このアプローチは、脳の発達は20代前半まで続くことを示す発達学上および神経科学上のエビデンスにのっとったものである。 出生証明書および年齢鑑別 33.出生証明書を持たない子どもに対しては、年齢証明のために必要とされるときは常に、国によって速やかにかつ無償で当該証明書が提供されるべきである。出生証明書による年齢の証明ができない場合、当局は、年齢を証明しうるすべての書類(出生届、出生登録抄本、洗礼証明書もしくはそれに類する書類または学校成績表など)を受理するよう求められる。書類は、別段の証明がないかぎり真正なものとみなされなければならない。当局は、年齢についての親の事情聴取もしくは親による証言を認め、または子どもの年齢を知っている教員もしくは宗教的指導者もしくはコミュニティの指導者による宣誓書の提出を認められるようにするべきである。 34.これらの措置が功を奏さないことが証明される場合にかぎり、専門の小児科医または発達のさまざまな側面の評価に熟達した他の専門家によって実施される、子どもの身体的および心理的発達の鑑別を行なうことができる。このような鑑別は、迅速な、子どもおよびジェンダーに配慮した、文化的に適切なやり方(子どもが理解できる言語による、子どもおよび親または養育者の事情聴取を含む)で実施されるべきである。国は、とくに骨および歯の分析に基づく医学的手法(これらの手法は、誤差が大きいために不正確であることが多く、かつトラウマにもつながりうる)のみを用いることがないようにするよう求められる。もっとも侵襲性の低い鑑別手法が適用されるべきである。決定的証拠がないときは、子どもまたは若者に対して灰色の利益が認められなければならない。 子ども司法措置の継続 35.委員会は、ダイバージョン・プログラムまたは社会内処遇措置もしくは施設内処遇措置を修了する前に18歳に達した子どもが、成人向け施設に送致されるのではなく、当該プログラム、措置または刑の修了を認められるべきであることを勧告する。 18歳を前後して行なわれた犯罪および成人とともに行なわれた犯罪 36.若者が複数の犯罪を行ない、その一部は18歳前に、一部は18歳に達した後に行なわれた場合について、締約国は、合理的理由があるときはすべての犯罪について子ども司法制度を適用できるようにするための手続規則の制定を検討するべきである。 37.子どもが1人または複数の成人とともに犯罪を行なった場合、審理が併合されるか分離されるかにかかわらず、子どもに対しては子ども司法制度の規則が適用される。 D.公正な審判のための保障 38.条約第40条(2)には、すべての子どもが公正な取扱いおよび審判を受けられるようにすることを目的とした一連の権利および保障が掲げられている(市民的および政治的権利に関する国際規約第14条も参照)。これらの権利および保障は最低基準であることに留意するべきである。締約国は、より高い基準を設けかつ遵守することが可能であるし、そのように努めることが求められる。 39.委員会は、これらの保障を維持するために、子ども司法制度に関与する専門家の継続的かつ体系的訓練が欠かせないことを強調する。このような専門家は、学際的なチームを組んで働くことができるべきであり、かつ、子どもおよび思春期の青少年の身体的、心理的、精神的および社会的発達ならびにもっとも周縁化された子どもの特別なニーズに精通しているべきである。 40.差別を防止するための保障措置が刑事司法制度との接触の最初期から審判全体を通じて必要であり、かつ、いかなる集団の子どもに対する差別についても積極的是正が要求される。とくに、女子に対しておよび性的指向またはジェンダーアイデンティティを理由に差別されている子どもに対して、ジェンダーに配慮した注意が払われるべきである。障害のある子どもに対する配慮も行なわれるべきであり、このような配慮としては法廷その他の建物への物理的アクセス、心理社会障害のある子どもへの支援、意思疎通の援助および文書の読み上げならびに証言のための手続的調整などが考えられる。 41.締約国は、制度との接触(職務質問、警告または逮捕の段階を含む)の時点から、警察その他の法執行機関による拘禁中、警察署、拘禁場所および裁判所間の移送中ならびに尋問、捜索および証拠物の収集の際において子どもの権利を保障する法律の制定および実務の確保を図るべきである。あらゆる段階および手続において、子どもの所在および状態に関する記録を保管することが求められる。 子ども司法の遡及的適用の禁止(第40条(2)(a)) 42.いかなる子どもも、実行のときに国内法または国際法によって犯罪とされていなかったいかなる犯罪についても、有罪とされない。テロリズムを防止しかつこれと闘うために刑法の規定を拡大する締約国は、これらの変更によって子どもの遡及的処罰または意図せざる処罰が行なわれないことを確保するよう求められる。いかなる子どもも犯行時に適用されていた刑罰よりも重い刑罰を科されるべきではないが、犯罪後の法改正でより軽い刑罰が定められた場合、子どもは当該改正の利益を受けられるべきである。 無罪の推定(第40条(2)(b)(i)) 43.無罪の推定により、どのような性質の犯罪であるかにかかわらず、被疑事実の立証責任は検察側に課されなければならない。子どもには灰色の利益が認められ、これらの被疑事実が合理的な疑いを超えて立証された場合にのみ有罪とされる。子どもの疑わしい言動は、手続に関する無理解、未成熟、恐怖心その他の理由によるものである可能性があるため、当該言動を理由として有罪の推定が行なわれるべきではない。 意見を聴かれる権利(第12条) 44.委員会は、意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)のパラ57~64において、子ども司法の文脈で意見を聴かれる子どもの基本的権利について説明を行なった。 45.子どもは、最初の接触の時点から始まる手続のすべての段階において、代理人を通じてのみならず、直接意見を聴かれる権利を有する。子どもには黙秘権があり、子どもが陳述を行なわないことを選択した場合に、いかなる不利な推論も行なわれるべきではない。 手続への実効的参加(第40条(2)(b)(iv)) 46.最低刑事責任年齢に達している子どもは、子ども司法の手続全体を通じて参加する能力を有しているとみなされるべきである。実効的に参加するために、子どもは、代理人弁護士に指示を与える目的で被疑事実ならびに考えられる結果および選択肢について理解し、証人に異議を申立て、出来事について陳述し、かつ、証拠、証言および科されるべき措置について適切な決定を行なうための支援を、すべての実務家から提供されなければならない。手続は子どもが完全に理解できる言語で進められるべきであり、また通訳者が無償で提供されなければならない。手続は、子どもの全面的参加を可能とする、理解に満ちた雰囲気のなかで進められるべきである。子どもにやさしい司法に関わる進展は、あらゆる段階における子どもにやさしい言葉遣い、子どもにやさしい面接空間および法廷の配置、適切な大人による支援、委縮につながる法服の廃止ならびに手続の修正(障害のある子どものための配慮を含む)を促進するきっかけを提供している。 被疑事実に関する迅速なかつ直接の情報(第40条(2)(b)(ii)) 47.すべての子どもは、自己に対する被疑事実を迅速かつ直接に(または適切なときは親または保護者を通じて)告知される権利を有する。迅速にとは、子どもが司法制度と最初に接触してから可能なかぎり早期にという意味である。親に対する告知を便宜上または資源上の理由で怠るべきではない。被疑段階でダイバージョンの対象とされる子どもは自己の法律上の選択肢を理解できるべきであり、また法的保障が全面的に尊重されるべきである。 48.当局は、子どもが被疑事実、選択肢および手続について理解することを確保するべきである。子どもに公式書類を提供するだけでは不十分であり、口頭による説明が必要となる。子どもは、いかなる書類についてもそれを理解するために親または適切な大人の援助を受けるべきであるが、当局は、被疑事実の説明をこれらの者に委ねるべきではない。 弁護人その他の適切な者による援助(第40条(2)(b)(ii)) 49.国は、手続の最初の段階から、防御の準備および提出において、かつすべての不服申立ておよび(または)再審査が尽くされるまで、子どもに対して弁護人その他の適切な者による援助が保障されることを確保するべきである。委員会は、締約国に対し、第40条(2)(b)(ii)に関して行なったいかなる留保も撤回することを要請する。 50.委員会は、多くの子どもが、弁護士による代理の利益を受けることなく、司法機関、行政機関その他の公的機関において刑事告発の対象とされ、かつ自由を奪われていることを、依然として懸念する。委員会は、市民的および政治的権利に関する国際規約第14条(3)(d)において、弁護士による代理を受ける権利はすべての者にとって刑事司法制度における最低限の保障であるとされており、これが子どもに対しても平等に適用されるべきであることに留意するものである。同条では自ら防御することが認められているものの、司法の利益のために必要とされるときは弁護士代理人が選任されなければならない。 51.以上のことに照らし、委員会は、子どもが成人を対象とする国際法上の保障よりも弱い保護しか提供されていないことを懸念する。委員会は、各国が、司法機関、行政機関その他の公的機関において刑事告発の対象とされているすべての子どもに対し、効果的な弁護士代理人を無償で提供するよう勧告する。子ども司法制度においては、放棄の決定が自発的に、かつ公平な司法的監督のもとで行なわれる場合を除き、子どもが弁護士による代理を放棄することが認められるべきではない。 52.子どもがプログラムへのダイバージョンの対象または有罪判決、前科もしくは自由の剥奪に至らない制度の対象とされているときは、十分な訓練を受けた職員による「その他の適切な者による援助」が援助の形態として容認される場合もある。ただし、すべての手続において子どもに弁護士代理人を提供できる国は、第41条にしたがってそのようにするべきである。その他の適切な者による援助が認められている場合、当該援助を提供する者は、子ども司法手続の法的側面について十分な知識を有しており、かつ適切な訓練を受けていなければならない。 53.市民的および政治的権利に関する国際規約第14条(3)(b)で求められているとおり、防御の準備のために十分な時間および便益が保障されなければならない。子どもの権利条約に基づき、子どもとその弁護士代理人またはその他の援助者との通信の秘密が保障されなければならず(第40条(2)(b)(ii))、またプライバシーおよび通信への干渉から保護される子どもの権利(条約第16条)が尊重されなければならない。 遅滞なく、かつ親または保護者の関与を得たうえで行なわれる決定(第40条(2)(b)(iii)) 54.委員会は、犯罪の遂行から手続の終結までの期間は可能なかぎり短いべきであることをあらためて指摘する。この期間が長くなるほど、対応によって所期の成果を得られない可能性が高まる。 55.委員会は、締約国が、犯罪の遂行から警察による捜査の完了、子どもを告発する旨の検察官(または他の権限ある機関)の決定ならびに裁判所または他の司法機関による終局決定までの期間について期限を定め、かつ当該期限を実施するよう勧告する。当該期限は、成人について定められたものよりもはるかに短いものであるべきであるが、それでも法的保障を全面的に尊重できるものであるべきである。ダイバージョン措置に対しても同様の迅速な期限を適用することが求められる。 56.手続全体を通じ、親または法定保護者が立ち会うべきである。ただし、裁判官または権限ある当局は、子どもまたはその弁護人その他の適切な援助者の求めにより、または子どもの最善の利益にかなわないという理由で、手続における親の立会いを制限し、制約しまたは排除する旨の決定をすることができる。 57.委員会は、締約国が、親または法定保護者が手続に最大限可能なまで関与する旨を法律で明示的に定めるよう勧告する。このような関与は、子どもに対する全般的な心理的および情緒的援助を提供し、かつ実効的成果に寄与する可能性があるためである。委員会は、親でも法定保護者でもない親族と非公式に暮らしている子どもも多いこと、および、親の援助が得られない場合には本当の養育者が手続において子どもを援助できるようにするために法律を修正すべきであることも、認識する。 自己負罪の強制からの自由(第40条(2)(b)(iv)) 58.締約国は、子どもが証言することまたは罪を自白しもしくは認めることを強制されないことを確保しなければならない。自認または自白を引き出すために拷問または残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いを行なうことは、子どもの権利の重大な侵害である(子どもの権利条約第37条(a))。このようないかなる自認または自白も、証拠として認容することはできない(拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約第15条)。 59.子どもに自白または自己負罪的証言を強要することは容認されない。「強制され」という文言は広く解釈されるべきであり、有形力に限定されるべきではない。虚偽の自白のおそれは、子どもの年齢および発達、理解の欠如ならびにどうなるかわからないという恐怖(収監の可能性を示唆されることによる恐怖も含む)ならびに尋問の期間および状況によって、高まる。 60.子どもは、弁護人その他の適切な援助者にアクセスできなければならず、かつ尋問の際には親、保護者または他の適切な大人による支援を受けられるべきである。裁判所その他の司法機関は、子どもによる自認または自白の任意性および信頼性を検討するにあたり、その子どもの年齢および成熟度、尋問または勾留の期間、ならびに、弁護人または他の独立の援助者および親、保護者または適切な大人の立会いの有無を含む、あらゆる要素を考慮に入れるよう求められる。警察官その他の捜査機関は、強要されたまたは信頼性を欠く自白または証言につながる尋問の技法および実務を回避するための十分な訓練を受けているべきであり、また可能な場合には視聴覚技術が利用されるべきである。 証人の出廷および尋問(第40条(2)(b)(iv)) 61.子どもは、自己に不利な証言を行なう証人を尋問し、かつ自己の防御を支援する証人の関与を得る権利を有しており、子ども司法手続においては、平等な条件のもと、弁護人による援助を受けた子どもの参加が望ましいものとみなされるべきである。 再審査または上訴の権利(第40条(2)(b)(v)) 62.子どもは、あらゆる有罪の認定または科される措置について、上級の、権限ある、独立のかつ公平な機関または司法機関による再審査を受ける権利を有する。この再審査の権利はもっとも重大な犯罪に限定されるものではない。締約国は、とくに前科または自由の剥奪に至る事件において再審査が自動的に行なわれる措置の導入を検討するべきである。さらに、司法へのアクセスはより幅広い解釈を要求するものであって、あらゆる手続的または実体的誤謬に基づく再審査または上訴が認められ、かつ実効的救済が利用できることが確保されなければならない [5]。 [5] 人権理事会決議25/6。 63.委員会は、締約国が、第40条(2)(b)(iv))についてのいかなる留保も撤回するよう勧告する。 通訳者による無償の援助(第40条(2)(b)(vi)) 64.子ども司法制度で用いられる言語を理解できずまたは話せない子どもは、手続のあらゆる段階において、通訳者による無償の援助を受ける権利を有する。当該通訳者は子どもとともに活動するための訓練を受けているべきである。 65.締約国は、意思疎通上の障壁を経験している子どもに対し、十分な訓練を受けた専門家による十分かつ効果的な援助を提供するべきである。 プライバシーの全面的尊重(第16条および第40条(2)(b)(vii)) 66.手続のすべての段階においてプライバシーを全面的に尊重される子どもの権利(第40条(2)(b)(vii))は、第16条および第40条(1)とあわせて解釈されるべきである。 67.締約国は、子ども司法の審判は非公開で実施されるという原則を尊重するべきである。この規則に対する例外は、きわめて限定された、かつ法律で明確に定められたものであることが求められる。評決および(または)量刑が法廷において公開で宣告される場合、子どもの身元が明らかにされるべきではない。さらに、プライバシーについての権利とは、子どもに関する裁判書類および記録は厳重に秘密とされるべきであり、かつ、事件の捜査および裁定ならびに事件についての判決言渡しに直接携わる者を除き、第三者に対して非開示とされるべきであることも意味する。 68.子どもに関連する判例報告は匿名で行なわれるべきであり、また判例報告がネット上に掲載される場合にもこの原則が順守されるべきである。 69.委員会は、締約国が、いかなる子ども(または犯行時に子どもであった者)についても、いかなる公的な犯罪者登録簿にもその詳細を掲載しないよう勧告する。非公開ではあるが再統合の機会へのアクセスを妨げる他の登録簿にそのような詳細を記載することも回避されるべきである。 70.委員会の見解では、子どもが行なった犯罪については生涯にわたって公表からの保護が保障されるべきである。公表を禁止する規則を設け、かつ子どもが18歳に達した後も禁止を継続しなければならない根拠は、公表が継続的なスティグマの原因となり、教育、仕事、住居または安全へのアクセスに悪影響を及ぼす可能性が高いところにある。これにより、子どもが再統合し、かつ社会において建設的役割を果たすことが阻害される。したがって締約国は、あらゆるタイプの媒体(ソーシャルメディアを含む)について、生涯にわたるプライバシーの保護が一般的規則とされることを確保するべきである。 71.さらに委員会は、締約国が、子どもが18歳に達したときにその犯罪記録を自動的に(または例外的場合においては独立の審査を経たうえで)削除することを認める規則を導入するよう勧告する。 E.措置 [6] [6] 前掲IV.Bも参照。 手続全体を通じたダイバージョン 72.子どもを司法制度の対象にする旨の決定がなされたからといって、その子どもが正式な裁判手続を経なければならないというわけではない。前掲IV.Bで述べた所見にしたがい、委員会は、権限ある機関――ほとんどの国では検察官――はダイバージョンその他の措置を通じて裁判手続または有罪判決を回避する可能性を継続的に模索するべきであることを強調する。換言すれば、ダイバージョンの選択肢が、最初期の接触の時点から審判が開始されるまでの間に提示されるべきであり、かつ手続全体を通じて利用可能とされるべきである。ダイバージョンを提示する過程においては、ダイバージョン措置の性質および期間は要求水準の高いものとなる可能性があり、したがって弁護士その他の適切な者による援助が必要であることを念頭に置きながら、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重することが求められる。ダイバージョンは、公式な裁判手続を一時的に停止するための手段であり、ダイバージョン・プログラムが満足のいく形で履行されれば当該手続も終了するものとして、子どもに提示されるべきである。 子ども司法裁判所による処分 73.条約第40条を全面的に遵守した手続が行なわれた後(前掲IV.D参照)は、処分についての決定が行なわれる。法律は、幅広い社会内処遇措置を掲げるとともに、自由の剥奪が最後の手段としてかつもっとも短い適切な期間でのみ用いられることを確保するため、社会内処遇措置が優先されることを明示的に定めておくべきである。 74.社会内処遇措置(修復的司法措置を含む)の利用および実施については幅広い経験が存在する。締約国は、このような経験を役立てるとともに、これらの措置を自国の文化および伝統にあわせて修正することによってその発展および実施を進めるべきである。強制労働または拷問もしくは非人道的なおよび品位を傷つける取扱いに相当するような措置は明示的に禁じられ、かつ処罰の対象とされなければならない。 75.委員会は、制裁としての体罰はあらゆる形態の残虐な、非人道的なおよび品位を傷つける取扱いおよび処罰を禁じた条約第37条(a)違反であることをあらためて指摘する(体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての委員会の一般的意見8号(2006年)も参照)。 76.委員会は、犯罪への対応は常に、犯罪の状況および重大性のみならず、個人的状況(子どもの年齢、有責性の低さ、状況、および、適切な場合には子どもの精神保健上のニーズを含むニーズ)ならびに社会の種々のニーズおよびとくに長期的ニーズにも比例したものであるべきであることを強調する。厳格に懲罰的なアプローチは、条約第40条(1)に掲げられた子ども司法の原則にしたがうものではない。子どもが重大犯罪を行なった場合、罪を犯した者の状況および犯罪の重大性に比例する措置を、公共の安全および制裁の必要性に関する考慮を含む形で検討することができる。第一次的考慮事項としての子どもの最善の利益および社会への子どもの再統合を促進する必要性が重視されるべきである。 77.委員会は、自由の剥奪が子どもおよび青少年に引き起こす害およびそれが再統合の成功の展望に及ぼす悪影響を認識し、締約国が、犯罪を行なったとして申し立てられた子どもを対象として、「もっとも短い適切な期間」の原則(子どもの権利条約第37条(b)を反映した刑の上限を定めるよう勧告する。 78.一定以上の量刑を義務づけることは、子ども司法における比例性の原則、および、拘禁は最後の手段でありかつもっとも短い適切な期間でなければならないという要件と両立しない。子どもに刑を言い渡す裁判所は白紙の状態から出発するべきである。裁量に基づく最低量刑制度でさえ、国際基準の適正な適用を阻害する。 死刑の禁止 79.条約第37条(a)は、18歳未満の者が行なった犯罪に対して死刑を科すことを禁じた慣習国際法を反映したものである。いくつかの締約国は、この規則は執行時に18歳未満である者の死刑執行を禁じているにすぎないと考えている。18歳まで執行を延期する国もある。委員会は、明示的かつ決定的な基準が犯罪遂行時の年齢であることをあらためて指摘するものである。ある者が犯行時に18歳未満であったという信頼できる決定的証拠がないときは、当該者には灰色の利益が認められるべきであり、死刑を科すことはできない。 80.委員会は、18歳未満の者が行なったすべての犯罪に関する死刑の言い渡しをまだ廃止していない少数の締約国に対し、緊急にかつ例外なく廃止の対応をとるよう求める。犯行時に18歳未満であった者に対して言い渡されたいかなる死刑も、条約に全面的に一致する制裁へと減じられるべきである。 仮釈放のない終身刑の禁止 81.犯行時に18歳未満であったいかなる子どもも、釈放または仮釈放の可能性がない終身刑を言い渡されるべきではない。仮釈放の検討までに経なければならない期間は成人よりも相当に短くかつ現実的なものであるべきであり、かつ仮釈放の可能性が定期的に再検討されるべきである。委員会は、釈放または仮釈放の可能性がない終身刑を実際に子どもに言い渡している締約国に対し、このような制裁を科すにあたっては条約第40条(1)の実現に向けて全力を尽くさなければならないことを想起するよう求める。このことは、とくに、終身刑を言い渡された子どもに対し、その釈放、再統合、および社会において建設的な役割を果たす能力の構築を目的とした教育、処遇およびケアが提供されるべきであることを意味するものである。また、釈放の可能性について決定するために子どもの発達および進歩を定期的に審査することも求められる。終身刑は、再統合という目的の達成を、不可能ではないにせよ非常に困難にするものである。委員会は、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰に関する特別報告者が、2015年の報告書において、終身刑および長期刑(累積刑など)は、子どもに対して科されたときは著しく比例性を欠いており、したがって残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける処罰にあたると認定していること(A/HRC/28/68、パラ74)に留意する。委員会は、締約国が、犯行時に18歳未満であった者が行なったすべての犯罪について、あらゆる形態の終身刑(無期刑を含む)を廃止するよう強く勧告するものである。 F.自由の剥奪(未決拘禁および審判後の収容を含む) 82.条約第37条には、自由の剥奪の利用に関する重要な原則、自由を奪われたすべての子どもの手続的権利ならびに自由を奪われた子どもの取扱いおよび環境に関する規定が掲げられている。委員会は、到達可能な最高水準の身体的および精神的健康を享受するすべての者の権利に関する特別報告者の、2018年の報告書に対して締約国の注意を喚起するものである。特別報告者は、同報告書において、拘禁および監禁の対象とされている子どもの苦痛の規模および甚大さに鑑み、コミュニティを基盤とするサービスへの投資の拡大と並んで、子どもを対象とする刑務所および大規模養護施設の廃止に対する世界的コミットメントが必要であると指摘している(A/HRC/38/36、パラ53)。 84.この一般的意見のいかなる記述も、自由の剥奪の利用を促進しまたは支持するものとして解釈されるべきではなく、自由の剥奪が必要と判断される少数の事案における正しい手続および環境を示したものとして解釈されるべきである。 主導的原則 85.自由の剥奪の利用に関する主導的原則は次のとおりである。(a) 子どもの逮捕、拘禁または収監は、法律にしたがって行なうものとし、最後の手段として、かつもっとも短い適切な期間でのみ用いられる。(b) いかなる子どもも、不法にまたは恣意的にその自由を奪われない。逮捕が未決拘禁の出発点となることは多く、各国は、逮捕の文脈において第37条を適用する明確な義務が法律で法執行官に課されることを確保するよう求められる。各国はさらに、子どもが移送留置または警察における留置の対象とされず(最後の手段としてかつもっとも短い適切な期間である場合を除く)、かつ成人とともに収容されないこと(そのような収容が子どもの最善の利益にかなう場合を除く)を確保するべきである。親または適切な大人のもとに速やかに釈放する手続を優先させることが求められる。 86.委員会は、多くの国で、子どもが数か月の未決拘禁に苦しんでおり、その期間が数年間に及ぶことさえあることに、懸念とともに留意する。これは条約第37条(b)の重大な違反である。未決拘禁はもっとも深刻な事案を除いて利用されるべきではなく、もっとも深刻な事案においても、コミュニティへの措置について慎重に検討した後でなければ利用されるべきではない。未決段階でのダイバージョンは拘禁の利用を少なくすることにつながり、たとえ子どもが子ども司法制度における審判の対象とされる場合でも、未決拘禁の利用を制限するために社会内処遇措置が注意深く目指されるべきである。 87.法律で未決拘禁の利用の基準について明確に定めておくべきであり、その利用は主として裁判所における手続への出頭を確保することを目的とする場合および子どもが他の者に差し迫った危険を及ぼす場合に限られるべきである。子どもが(自分自身または他の者にとって)危険を及ぼしていると考えられるときは、子ども保護措置を適用することが求められる。未決拘禁は定期的再審査の対象とされるべきであり、かつその期間は法律で制限されるべきである。子ども司法制度に携わるすべての者は、未決拘禁下にある子どもの事案に優先的に対応することが求められる。 88.自由の剥奪はもっとも短い適切な期間でのみ科されるべきであるという原則を適用するにあたり、締約国は、勾留(警察留置を含む)から早期に解放して親または他の適切な大人のケアに委ねられるようにする恒常的機会を提供するべきである。権限を認められた者または場所に出頭することのような条件を付したうえで釈放するか否かについては、裁量の余地を認めることが求められる。保釈金の支払いについては、ほとんどの子どもにとっては支払い不可能であり、かつ貧しい家族および周縁化された家族を差別することになるため、要件とされるべきではない。さらに、保釈について定められている場合には、子どもは釈放されるべきであるという裁判所の原則的認識が存在することを意味するのであって、他の手続を活用して出廷を確保することが可能である。 手続的権利(第37条(d)) 89.自由を奪われたすべての子どもは、弁護人その他の適切な者による援助に速やかにアクセスする権利、および、その自由の剥奪の合法性について裁判所または他の権限ある、独立のかつ公平な機関において争い、かつ当該訴えに対する迅速な決定を受ける権利を有する。委員会は、公共の安全または公衆衛生に関わる真正の懸念が存在する場合を除いていかなる子どもも自由を奪われないようにすることを勧告するとともに、締約国に対し、子どもの自由を合法的に剥奪することの年齢制限(16歳など)を定めるよう奨励する。 90.逮捕されて自由を奪われたすべての子どもは、当該自由の剥奪(またはその継続)の合法性について審査するため、24時間以内に権限ある機関に引致されるべきである。委員会はまた、締約国が、未決拘禁を終わらせることを目的とした定期的再審査が行なわれることを確保するようにも勧告する。最初の引見(24時間以内)のときまたはその前に子どもを条件付きで釈放することが不可能なときは、当該子どもは、可能なかぎり早期に、かつ未決拘禁が実行されるようになってから30日以内に、申し立てられている犯罪について正式に審判開始請求の対象とされ、かつ、当該事案の処理のため裁判所または他の権限ある、独立のかつ公平な機関の前に引致されるべきである。委員会は、裁判所による審理がしばしば複数回、かつ(または)長期にわたって行なわれる慣行があることを認識し、締約国に対し、審理継続の回数および期間の上限を定めるとともに、裁判所または他の権限ある機関が当該請求についての最終的決定を拘禁の開始日から起算して6か月以内に行なうことを確保するために必要な法律上または行政上の規定を導入するよう、促す。当該期限が守られなかった場合には。子どもは釈放されるべきである。 91.自由の剥奪の合法性について争う権利には、裁判所の決定に不服を申し立てる権利のみならず、行政決定(たとえば警察、検察官その他の権限ある機関によるもの)について再審査を求めるために裁判所にアクセスする権利も含まれる。締約国は、条約で要求されているように、迅速な決定を確保するため、不服申立ておよび再審査の終了に関する短期の期間制限を定めるべきである。 処遇および環境(第37条(c)) 92.自由を奪われたすべての子どもは、警察の留置房における場合も含めて、成人から分離されなければならない。自由を奪われた子どもは、成人用の施設または刑務所に措置されてはならない。成人用施設に子どもを措置することが、子どもの健康および基本的安全ならびに犯罪とは無縁の生活を維持しかつ再統合する将来の能力を損なうことについては、豊富な証拠があるためである。成人からの子どもの分離について条約第37条(c)で認められている例外――「子どもの最善の利益にしたがえば成人から分離すべきではないと判断される場合を除き」――は狭義に解されるべきであり、締約国の都合が最善の利益よりも優先されるべきではない。締約国は、自由を奪われた子どもを対象として、適切な訓練を受けた者が職員として配置され、かつ子どもにやさしい方針および実務にしたがって運営される、独立の施設を設置するべきである。 93.このような規則があるからといって、子どもを対象とする施設に措置された子どもが、18歳に達したらただちに成人用施設に移送されなければならないというわけではない。子どもを対象とする施設に引き続き留まることも、それがその子どもの最善の利益にかなっており、かつ当該施設の子どもの最善の利益に反しない場合には、可能とされるべきである。 94.自由を奪われたすべての子どもは、通信および面会を通じて家族との接触を保つ権利を有する。面会の便宜を図るため、子どもは家族の居住地から可能なかぎり近い施設に措置されるべきである。このような接触の制限につながりうる例外的事情は、法律で明確に定められるべきであり、当局の裁量に委ねられるべきではない。 95.委員会は、とくに、自由の剥奪のあらゆる事案において次の原則および規則が遵守されなければならないことを強調する。 (a) 隔離拘禁は、18歳未満の者については認められない。 (b) 子どもに対し、入所措置の目的である再統合に資する物理的環境および居住環境が提供されるべきである。プライバシー、感覚刺激、仲間と交流する機会ならびにスポーツ、身体運動、芸術および余暇時間活動に参加する機会に対する子どものニーズについて、正当な配慮を行なうことが求められる。 (c) すべての子どもは、そのニーズおよび能力(受験に関連するものを含む)に適合し、かつ社会復帰の準備を目的とした教育に対する権利を有する。加えて、すべての子どもは、適切な場合には、将来の就労の備えになると思われる職種についての職業訓練を提供されるべきである。 (d) すべての子どもは、拘禁施設または矯正施設への入所と同時に医師または保健従事者による診断を受ける権利を有し、かつ、施設に滞在する全期間を通じて十分な身体的および精神的保健ケアを提供されなければならない。当該保健ケアは、可能な場合には地域の保健施設および保健サービス機関によって提供されるべきである。 (e) 施設職員は、子どもがより幅広いコミュニティと頻繁に接触することを促進し、かつそのための便宜を図るべきである。このような接触には、家族、友人その他の者(定評のある外部の団体の代表を含む)との通信ならびに自宅および家族を訪問する機会が含まれる。子どもが、弁護士または他の援助者と、秘密が守られる形でかついかなるときにも通信できることについては、いかなる制限も課されてはならない。 (f) 抑制または有形力は、子どもが自分自身または他者に対する切迫した脅威となっている場合に限って、他のあらゆる統制手段が尽くされた場合にのみ用いることができる。抑制は従わせるために用いられるべきではなく、また意図的に苦痛を加えることはけっしてあってはならない。処罰の手段として用いられることもけっしてあってはならない。身体的、機械的、医学的および薬理学的抑制を含む抑制または有形力の使用は、医学および(または)心理学の専門家による緊密な、直接のかつ継続的な管理下に置かれるべきである。施設職員は適用される基準についての研修を受けるべきであり、また規則および基準に違反して抑制または有形力を用いた職員は適切な処罰の対象とされるべきである。国は、抑制が行なわれまたは有形力が用いられたすべての案件の記録、監視および評価を行ない、かつ抑制または有形力の使用が最低限に留められることを確保するよう求められる。 (g) 規律の維持のためのいかなる措置も、少年の固有の尊厳の擁護および施設ケアの基本的目的に合致したものでなければならない。規律の維持のための措置のうち条約第37条に違反するもの(体罰、暗室への収容、独居拘禁、または対象者である子どもの身体的もしくは精神的健康またはウェルビーイングを害するおそれがある他のあらゆる処罰を含む)は厳格に禁止されなければならず、かつ、規律の維持のための措置において子どもの基本的権利(弁護士代理人による面会、家族との接触、食料、水、衣服、寝具、教育、運動または他者との意味がある日常的接触など)が奪われるべきではない。 (h) 独居拘禁は子どもを対象として用いられるべきではない。子どもを他の者から分離するいかなる措置も、可能なもっとも短い期間で、かつ子どもまたは他の者を保護するための最後の手段としてのみ、用いられるべきである。子どもを分離して収容することが必要であると判断される場合、適切な訓練を受けた職員の立ち会いまたは緊密な監督のもとで行なわれるべきであり、かつ理由および期間を記録することが求められる。 (i) すべての子どもに対し、内容について検閲を受けることなく、中央行政機関、司法機関または他の適切な独立機関に要請または苦情申立てを行ない、かつその返答について遅滞なく知らされる権利が認められるべきである。子どもは、自己の権利について知るとともに、要請および苦情申立てのための機構について知り、かつこれらの機構に容易にアクセスできなければならない。 (j) 独立のかつ資格を有する査察官に対し、定期的に査察を実施し、かつ職権で事前通告なしの査察を行なう権限が与えられるべきである。査察官は、施設に措置されている子どもと秘密が守られる環境下で話をすることをとくに重視するよう求められる。 (k) 締約国は、子どもの自由の剥奪を促進する誘因、および、措置に関する腐敗または物品およびサービスの提供もしくは家族との接触に関する腐敗の機会が存在しないことを確保するべきである。 G.特定の問題 軍事裁判所および国家安全保障裁判所 96.軍事裁判所および国家安全保障裁判所による文民の裁判は、権限ある、独立のかつ公平な裁判所による公正な裁判を受ける逸脱不可能な権利の侵害であるという見方が広がりつつある。このような裁判は、常に専門の子ども司法制度によって対応されるべき子どもの場合、さらに懸念される権利侵害である。委員会は、いくつかの総括所見においてこの点に関する懸念を提起してきた。 非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による徴募および使用の対象とされている子どもならびにテロ対策の文脈で罪を問われている子ども 97.国際連合は、非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による子どもの徴募および搾取が行なわれた無数の事案を確認してきた。このような事案は、紛争地域のみならず非紛争地域(子どもの出身国および通過国または帰還先の国を含む)でも発生している。 98.子どもは、そのような集団の支配下にあるとき、複合的形態の人権侵害の被害を受ける可能性がある。強制的徴募、軍事訓練、敵対行為および(もしくは)テロ行為(自殺攻撃を含む)における使用、処刑の強要、人間の盾としての使用、誘拐、売買、取引、性的搾取、児童婚、薬物の輸送または売買における使用、または危険な任務(スパイ行為、見張り、検問所の警備、見回りまたは軍備の輸送など)を遂行させるための利用などである。非国家武装集団およびテログループとして指定されている集団が、忠誠心を示させることおよび将来の逃亡を抑止することを目的として、自分の家族に対してまたは自分のコミュニティのなかで暴力行為を行なうことを子どもに強制しているという報告も行なわれてきた。 99.締約国当局は、このような子どもに対応する際、多くの課題に直面する。締約国のなかには、子どもの権利をまったくまたはほとんど考慮しない懲罰的アプローチをとってきた国もあり、その結果、子どもの発達にとっての永続的影響および社会的再統合の機会への悪影響が生じ、ひいてはより幅広い社会にとって深刻な影響が及ぶ可能性も出ている。このような子どもは、紛争地域における行動、および、それほどの規模ではないものの、出身国または帰還先の国における行動を理由に、しばしば逮捕、拘禁、訴追および裁判の対象とされている。 100.委員会は、安全保障理事会決議2427 (2018)に対して締約国の注意を喚起するものである。理事会は、同決議において、あらゆる非国家武装集団(テロ行為を行なった集団を含む)と関係を有する子どもまたは関係があると主張されている子どもを子どもの保護に携わる関連の文民関係者に迅速に引き渡すための標準運用手続を確立する必要性を強調した。理事会は、軍隊および武装集団によって適用可能な国際法に違反して徴募されてきた子どもおよび武力紛争中に犯罪を行なったとして申し立てられている子どもについて、第一義的には国際法違反の被害者として主に扱われるべきであると強調している。理事会はまた、加盟国に対し、訴追および拘禁に代わる選択肢として再統合に焦点を当てた非司法的措置を検討することも促すとともに、軍隊および武装集団との関係を理由として拘禁されたすべての子どもを対象として適正手続を適用することも求めた。 101.締約国は、犯罪を理由に告発されたすべての子どもが、犯罪の重大性または文脈にかかわらず、条約第37条および第40条の規定にしたがって対応されることを確保するとともに、意見の表明したことを理由にまたは非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)と関係があることのみを理由に子どもの告発および訴追を行なわないようにするべきである。一般的意見20号のパラ88にのっとり、委員会はさらに、締約国が、テロ対策関連の安全保障理事会決議(決議1373 (2001)、2178 (2014)、2396 (2017)および2427 (2018)など)および総会決議72/284(とくにパラ18に掲げられた勧告)を実施する際にも、社会的要因および根本的原因に対処するための予防的介入ならびに社会的再統合措置を採用するよう勧告する。 慣習的司法、先住民族司法および非国家的司法 102.公式な司法制度と並行してまたはその周縁で運用される複数の司法制度と接触を持つことになる子どもは多い。このような制度には、慣習的司法制度、部族司法制度、先住民族司法制度その他の司法制度が含まれる場合がある。これらの制度は、公式な機構よりもアクセスしやすく、かつ、文化的特性に適合した対応を迅速に、かつ相対的に費用のかからない形で提案できる利点を有することがある。このような制度は、子どもに対する公的手続に代わる手段となりうるものであり、子どもと司法に関する文化的態度の変化に好ましい形で貢献する可能性が高い。 103.司法部門のプログラムの改革においてこのような制度に注意を向けるべきであるという合意が形成されつつある。手続的権利に関する懸念および差別または周縁化の危険性に関する懸念に加え、国家の司法および非国家的司法との間に生じうる緊張関係も考慮し、改革は、関係する比較可能な諸制度についての全面的な理解を踏まえた、かつすべての関係者が受け入れることのできる手法により、段階的に進められるべきである。慣習的司法の手続および結果については、憲法ならびに法的および手続的保障との一致を図ることが求められる。同じような犯罪を行なった子どもが並行的な制度または場において異なる形で対応される場合、不公正な差別が生じないようにすることが重要である。 104.子どもに対応するすべての司法機構に条約の原則が浸透させられるべきであり、締約国は条約が知られかつ実施されることを確保するべきである。修復的司法に基づく対応は、慣習的司法制度、先住民族司法制度または他の非国家的司法制度を通じて達成できることが多く、かつ公式な子ども司法制度にとって学びの機会を提供してくれる可能性もある。さらに、このような司法制度を認知することは先住民族社会の伝統の尊重を高めることにも貢献しうるのであり、そのことが先住民族の子どもにとって利益となりうる。介入、戦略および改革は特定の文脈に応じて立案されるべきであり、プロセスは国内の関係者によって主導されるべきである。 V.子ども司法制度の組織 105.これまでのパラグラフで述べてきた原則および権利の全面的実施を確保するためには、子ども司法を運営するための実効的組織の確立が必要である。 106.包括的な子ども司法制度においては、警察、司法機関、裁判制度、検察官事務所内に専門部署を設けること、ならびに、専門の弁護人その他の代理人が子どもに法律上その他の適切な援助を提供することが必要となる。 107.委員会は、締約国が、独立の部局としてまたは既存の裁判所の一部としてのいずれであれ、子ども司法裁判所を設置するよう勧告する。実際上の理由からこれが実現可能でないときは、締約国は、子ども司法関連の事件を取り扱う専門の裁判官が任命されることを確保するべきである。 108.保護観察、カウンセリングまたは監督のような専門のサービスが、専門の施設(たとえば通所型処遇センター、ならびに、必要な場合には子ども司法制度から付託された子どもの入所型ケアおよび処遇のための小規模施設)とあわせて設けられるべきである。これらのあらゆる専門的な部局、サービスおよび施設による諸活動の効果的な機関間調整を継続的に促進することが求められる。 109.加えて、子どもの個別鑑別および多職種連携アプローチが奨励される。最低刑事責任年齢に達していないものの支援が必要であると鑑別された子どもを対象とする、コミュニティを基盤とする専門のサービスに対して特段の注意が払われるべきである。 110.非政府組織は子ども司法制度において重要な役割を果たすことができ、かつ現に果たしている。したがって委員会は、締約国が、自国の包括的な子ども司法政策の策定および実施においてこれらの組織の積極的関与を求めるとともに、これらの組織に対し、このような関与のために必要な資源を提供するよう勧告する。 VI.意識啓発および訓練 111.犯罪を行なった子どもはメディアで否定的な取り上げ方をされることが多く、これがこうした子どもたちに対する差別的および否定的なステレオタイプの形成を助長している。このように子どもを否定的に取り上げまたは犯罪者扱いすることは、しばしば犯罪の原因に関する不正確な説明および(または)誤解にもとづいており、かつ、より厳しいアプローチ(ゼロトレランスおよび「3ストライク・アウト」アプローチ、義務的量刑、成人裁判所における裁判および第一義的には懲罰的性質を有するその他の措置)を求める声に帰結するのが常となっている。締約国は、子ども司法制度の対象とされている子どもについて条約のあらゆる側面が擁護されることを確保するための教育およびその他のキャンペーンを促進しかつ支援する目的で、議会議員、非政府組織およびメディアの積極的かつ前向きな関与を求めるべきである。子ども、とくに子ども司法制度に関わった経験を有する子どもがこれらの意識啓発の努力に関与することがきわめて重要となる。 112.子ども司法の運営の質にとって、関連するすべての専門家が条約の内容および意味について適切かつ学際的な訓練を受けることは不可欠である。このような訓練は体系的かつ継続的であるべきであり、関連する国内法および国際法の規定についての情報に限定されるべきではない。このような訓練には、とくに、犯罪の社会的その他の原因、子どもの社会的および心理的発達(現在の神経科学上の知見を含む)、一部の周縁化された集団(マイノリティまたは先住民族に属する子どもなど)への差別に相当する可能性がある格差、若者の世界の文化および傾向、集団活動の力学ならびに利用可能なダイバージョン措置および社会内処遇刑(とくに司法手続に訴えることを回避するための措置)に関してさまざまな分野から得られる、確立された情報および明らかになりつつある情報が含まれるべきである。ビデオによる「出廷」のような新たな技術の利用の可能性についても、DNAプロファイリングのような他の新技術のリスクに留意しつつ、検討することが求められる。機能するやり方に関する継続的再評価が行なわれるべきである。 VII.データ収集、評価および調査研究 113.委員会は、締約国に対し、子どもが行なった犯罪の件数および性質、未決拘禁の利用および平均期間、司法手続以外の措置(ダイバージョン)により対応された子どもの人数、有罪判決を受けた子どもの人数ならびにこれらの子どもに科された制裁の性質および自由を奪われた子どもの人数に関するものを含む細分化されたデータを体系的に収集するよう促す。 114.委員会は、締約国が、子ども司法制度の定期的評価が、とくにとられた措置の実効性について、かつ差別、再統合および再犯パターンとの関連で、実施されることを確保するよう勧告する。このような評価は独立の学術機関によって行なわれるのが望ましい。 115.子ども(とくに現に制度と接触している子どもまたはかつて制度と接触したことのある子ども)がこのような評価および調査研究に関与すること、ならびに、評価および調査研究が、調査研究への子どもの関与に関する既存の国際的指針にのっとって行なわれることは重要である。 更新履歴:ページ作成(2020年2月18日)。/パラ75「制裁としての制裁」を「制裁としての体罰」に修正(9月9日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/327.html
国連・子どもの権利委員会:新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する声明 関連ページ:新型コロナウィルス感染症と人権/CESCR 新型コロナ感染症と社会権 原文:英語 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) 子どもの権利委員会は、COVID-19パンデミックが子どもたちに及ぼす重大な身体的、情緒的および心理的影響について警告するとともに、各国に対し、子どもたちの権利を保護するよう求める。 子どもの権利委員会は、COVID-19パンデミックの影響による世界中の子どもたち(とくに、脆弱な状況に置かれている子どもたち)の状況について懸念を表明する。とくに緊急事態および義務的ロックダウンを宣言した国々において、多くの子どもたちが身体的、情緒的および心理的に重大な影響を受けている。 10の人権条約機関が発した宣言に加えて、委員会はさらに、各国に対し、COVID-19パンデミックが突きつける公衆衛生上の脅威に対処するための措置をとるうえで子どもの権利を尊重するよう促すものである。とくに委員会は、各国に対し、以下の措置をとるよう求める。 1.今回のパンデミックが子どもの権利に及ぼす健康面、社会面、情緒面、経済面およびレクリエーション面の影響を考慮すること。当初は短期のものとして宣言されたとはいえ、各国の緊急事態宣言および(または)災害宣言がより長期間維持され、人権の享受に対するさらに長期間の制限につながる可能性があることは明らかになっている。委員会は、危機の状況にあっては、公衆衛生を保護するため、一部の人権の享受の制限につながる可能性がある措置が国際人権法において例外的に許容されていることを認識するものである。しかしながら、このような制限は必要な場合にのみ課され、比例性を有しており、かつ最小限のものに限られなければならない。加えて、COVID-19パンデミックのために財源の利用可能性に相当の悪影響が生じる可能性があることは認知しながらも、これらの困難は条約実施を阻害するものとみなされるべきではない。このような困難にもかかわらず、各国は、パンデミックへの対応(資源の配分の制約および資源の配分に関する決定を含む)が子どもの最善の利益の原則を反映したものになることを確保するべきである。 2.子どもたちが休息、余暇、レクリエーションおよび文化的・芸術的活動に対する権利を享受できるようにするための、オルタナティブかつ創造的な解決策を模索すること。このような解決策には、社会的距離を保つための要領およびその他の衛生基準を尊重する監督下での野外活動(少なくとも1日1回)、ならびに、テレビ、ラジオおよびオンラインにおける子どもにやさしい文化的・芸術的活動が含まれるべきである。 3.オンライン学習が、すでに存在する不平等を悪化させ、または生徒・教員間の相互交流に置き換わることがないようにすること。オンライン学習は、教室における学習に代わる創造的な手段ではあるが、テクノロジーもしくはインターネットへのアクセスが限られているもしくはまったくない子ども、または親による十分な支援が得られない子どもにとっては、課題を突きつけるものでもある。このような子どもたちが教員による指導および支援を享受できるようにするための、オルタナティブな解決策が利用可能とされるべきである。 4.緊急事態、災害またはロックダウンの期間中、子どもたちに栄養のある食事が提供されるようにするための即時的措置を起動させること。学校給食制度を通じてしか栄養のある食事を得られない子どもたちも多いためである。 5.子どもたちへの、保健ケア、水、衛生および出生登録を含む基礎的サービスの提供を維持すること。保健制度への圧力の高まりおよび資源の欠乏にもかかわらず、子どもたちは保健ケアへのアクセス(検査および将来開発される可能性があるワクチン、COVID-19関連の治療およびCOVID-19とは関係のない治療、精神保健サービスならびに既存疾患の治療へのアクセスを含む)を否定されるべきではない。子どもたちはまた、緊急事態、災害またはロックダウンの期間中、清潔な水および衛生設備にもアクセスできるべきである。出生登録サービスは停止されるべきではない。 6.子どもの保護のための中核的サービスを必須サービスに位置づけ、これらのサービス(必要な場合の家庭訪問を含む)が機能し続けかつ利用可能とされ続けることを確保するとともに、ロックダウン下で暮らしている子どもたちに対し、専門家による精神保健サービスを提供すること。子どもたちは、外出制限により、家庭におけるいっそうの身体的および心理的暴力にさらされ、または過密でありかつ最低限の居住適正条件を欠いた家庭で過ごすことを余儀なくされる可能性がある。障害および行動上の問題がある子どもたちおよびその家族は、密室においてさらなる困難に直面しかねない。各国は、電話およびオンラインによる通報・付託制度ならびにテレビ、ラジオおよびオンライン経路を通じた注意喚起・意識啓発活動を強化するべきである。COVID-19パンデミックの経済的および社会的影響を緩和するための戦略にも、子どもたち(とくに貧困下で暮らしている子どもおよび十分な住居にアクセスできていない子ども)を保護するための具体的措置を含めることが求められる。 7.パンデミックが引き起こす例外的状況によって脆弱性がいっそう高まる子どもたちを保護すること。これには、障害のある子ども、貧困下で暮らしている子ども、路上の状況にある子ども、移住者・庇護申請者・難民・国内避難民である子ども、マイノリティおよび先住民族の子ども、HIV/AIDSを含む基礎疾患がある子ども、自由を奪われている子どもまたは警察の留置場、刑事施設、閉鎖養護施設、移住者拘禁施設もしくはキャンプに収容されている子どもならびに施設で暮らしている子どもが含まれる。各国は、COVID-19パンデミックに対処するための措置において差別を受けないすべての子どもの権利を尊重するとともに、脆弱な状況に置かれている子どもたちを保護するための焦点化された措置をとるべきである。 8.あらゆる形態の拘禁下に置かれている子どもたちを可能な場合には常に解放するとともに、解放することのできない子どもたちに対し、家族との定期的接触を維持するための手段を提供すること。多くの国は、施設で暮らしている子どもまたは自由を奪われている子ども(警察施設、刑事施設、閉鎖施設、移住者拘禁施設もしくはキャンプに収容されている子どもを含む)との面会および接触の機会を制限する措置をとっている。これらの制限は短期的には必要な措置とみなされうるものの、長期に及べば子どもたちに著しい悪影響をもたらすことになろう。子どもたちは常に、家族との定期的接触を、直接ではないにせよ電子的通信または電話を通じて維持することを認められるべきである。緊急事態、災害宣言または国の命令による外出制限の期間が延長される場合、このような面会を禁止する措置の再評価を考慮することが求められる。移住の状況下にある子どもたちは拘禁されるべきではなく、また親がいっしょにいる場合には親から引き離されるべきでもない。 9.COVID-19に関連する国の指導および指示に違反したことを理由とする子どもの逮捕または拘禁を行なわないようにするとともに、逮捕または拘禁されたいかなる子どもも直ちに家族のもとに帰されるようにすること。 10.COVID-19および感染予防法に関する正確な情報を、子どもにやさしく、かつすべての子ども(障害のある子ども、移住者である子どもおよびインターネットへのアクセスが限られている子どもを含む)にとってアクセス可能な言語および形式で普及すること。 11.今回のパンデミックに関する意思決定プロセスにおいて子どもたちの意見が聴かれかつ考慮される機会を提供すること。子どもたちは、現在起きていることを理解し、かつパンデミックへの対応の際に行なわれる決定に参加していると感じることができるべきである。 2020年4月8日 主な参考資料(訳者による) 声明のチャイルドフレンドリー版:子どもの権利と新型コロナウィルス感染症 かんたんな日本語訳(PDF、長瀬正子・畠山由佳子作成)【5月5日追加】 CRIN:Policy responses to Covid-19【7月9日追加】 国連事務総長:"Protect our children"(日本語による概要)【4月17日追加】 国連人権高等弁務官:Child Rights Connect - General Assembly 2020 Speech by Michelle Bachelet, UN High Commissioner for Human Rights【6月29日追加】 国連・子どもの権利委員会委員長:2020-11-16 Chair of the Committee on the Rights of the Child, Mr. Luis Pedernera Reyna(英語字幕日本語訳)【11月21日追加】 EU(欧州連合)・GRULAC(中南米諸国グループ)・子どもとSDGs関心国グループ(Group of Friends of Children and the SDGs):"Protect our Children" - Response to the UN Secretary-General’s Call on Countries to Prioritize Children's Education, Food, Health and Safety amid the COVID-19 Pandemic【5月9日追加】日本ユニセフ協会:新型コロナウイルス感染症 「子どもたちを守る」共同声明 169の国と地域が賛同【5月9日追加】 ユニセフ新型コロナウイルス 子どもの権利の危機を防ぐために 最も弱い立場の子どもを守り世界で連携して行動を【4月9日追加】 新型コロナウイルス 増加するネット利用時間とリスク ユニセフ、ネット上で子どもを守る指針作成【4月17日追加】 新型コロナが世界をどう変えたか~最貧困層の子どもに壊滅的な影響【5月20日追加】CCSA(統計活動調整委員会):How Covid-19 is changing the world a statistical perspective【5月20日追加】 新型コロナウイルス 貧困層の子ども8,600万人増加のおそれ ユニセフなど、家庭への支援訴え【6月2日追加】 ユニセフ/ILO:COVID-19 and Child Labour A time of crisis, a time to act【6月12日追加】(日本語による概要)ILO/UNICEF発表:新型コロナウイルスの影響によって児童労働に陥る子どもたちが数百万人増える可能(プレスリリース日本語抄訳)【6月12日追加】 WHO/ユニセフ:WHO and UNICEF warn of a decline in vaccinations during COVID-19【7月17日追加】予防接種率最新データ 三種混合(DTP)の接種率が初めて低下 パンデミックによるさらなる低下に警鐘【7月17日追加】 Immunization coverage Are we losing ground?【7月17日追加】 #後戻りさせない 新型コロナウイルス後により良い未来を築くために ユニセフ 東アジア・太平洋地域事務所 報告書発表【8月28日追加】Recover, Rebound, Reimagine - Building a better future for every child in East Asia and the Pacific, post COVID-19(PDF)【8月28日追加】(日本語による概要) 2019年の5歳未満児死亡数、過去最少520万人~COVID-19による今後の増加に強い懸念【プレスリリース】 世界で保健サービスが停滞【9月9日追加】(世界銀行):New child and youth mortality estimates show dramatic reductions, but progress is threatened by impact of COVID-19【9月18日追加】 ユニセフ/セーブ・ザ・チルドレン:Impact of COVID-19 on multidimensional child poverty【9月18日追加】新型コロナウイルス感染症 1億5,000万人の子どもたちが貧困状態に-セーブ・ザ・チルドレンとユニセフの共同分析【9月24日追加】 女性と子どもの健康を脅かす新型コロナ、紛争、気候危機 「Every Woman Every Child」新報告書【9月25日追加】 「子どものための世界サミット」30周年 30年の成果と新たに生じた課題 ユニセフ事務局長声明【10月1日追加】 From COVID-19 response to recovery What role for universal child benefits?【10月16日追加】 ユニセフ/世界銀行:子ども6人に1人が極度の貧困で暮らす ユニセフと世界銀行による分析【10月20日追加】 A six-point plan to protect our children【11月19日追加】 新型コロナ感染、9人に1人が子ども 失われた世代を生まないために ユニセフ、報告書発表【11月19日追加】Averting a lost COVID generation A six-point plan to respond, recover and reimagine a post-pandemic world for every child【11月19日追加】 12月1日は「世界エイズデー」 2019年、100秒に1人未成年が感染 新型コロナによるHIV治療中断も懸念【12月2日追加】 移民・難民の子ども 新型コロナ対応、対象から除外 不十分な遠隔学習環境など【12月22日追加】 2月9日はセーファーインターネットデー 子どものスクリーンタイム増加のリスクを指摘 より安全なオンラインの世界を【2021年2月9日追加】 子どものための世界の再構築を メンタルヘルス支援、情報格差の解消 ユニセフ事務局長による公開書簡【2021年2月17日追加】 新型コロナウイルス 7人に1人の子どもが外出制限下 深刻化するメンタルヘルス【2021年3月4日追加】 新型コロナウイルス パンデミックから1年、子どもへの影響 最新データ発表【2021年3月11日追加】 南アジア 母子の死亡数が23万9,000人増加 COVID-19で保健サービス減少【2021年3月19日追加】 新型コロナウイルス 子どもや若者のメンタルヘルス すべての国で支援が不足【2021年5月11日追加】 ユニセフ/ILO:ユニセフ・ILO報告書 児童労働、世界で1億6,000万人 過去20年で初の増加、新型コロナ影響でさらに増加予測【2021年6月12日追加】児童労働反対世界デー 世界の児童労働者数1億6,000万人に、20年ぶりに増加【2021年6月12日追加】 子どもの予防接種率低下 2,300万人がワクチン接種できず 2019年から370万人増加【2021年7月16日追加】 3 critical actions to finance an inclusive recovery for children【2021年7月19日追加】 新型コロナウイルス 親を亡くした子どもへのケアに懸念 事務局長声明【2021年7月20日追加】 世界子供白書2021 子どもたちのメンタルヘルス 10代の若者7人に1人が心に病かかえ【2021年10月5日追加】The State of the World's Children 2021 - On My Mind Promoting, protecting and caring for children’s mental health.【2021年10月5日追加】 子どもの拘留 拘留されている子ども、26万1,000人 子どもたちに優しい司法制度の実現を【2021年11月16日追加】 ユニセフ創設75周年 新型コロナ禍は子どもへの最悪の脅威 子ども最優先の行動を呼びかけ【2021年12月9日追加】 ユニセフ/世界銀行:新型コロナウイルス 子どもがいる家庭に広がる収入減少 ユニセフ・世界銀行報告書【2022年3月10日追加】 ユニセフ・イノチェンティ研究所:Children and COVID-19 Research LibraryEthical Considerations for Evidence Generation Involving Children on the COVID-19 Pandemic【6月9日追加】 COVID-19 and children, in the North and in the South【6月9日追加】 A rapid review of economic policy and social protection responses to health and economic crises and their effects on children Lessons for the COVID-19 pandemic response(PDF)【6月2日追加】 Digital contact tracing and surveillance during COVID-19. General and child-specific ethical issues【6月9日追加】 Does COVID-19 Affect the Health of Children and Young People More Than We Thought?(PDF)【7月16日追加】COVID-19 may pose greater risk to children than originally thought【7月16日追加】 The Evolving Epidemiologic and Clinical Picture of SARS-CoV-2 and COVID-19 Disease in Children and Young People【7月20日追加】 Impacts of Pandemics and Epidemics on Child Protection Lessons learned from a rapid review in the context of COVID-19【7月17日追加】 5 Questions on the Impact of Pandemics and Epidemics on Child Protection Unpacking new research synthesizing available evidence【7月23日追加】 Addressing the Multiple Impacts of COVID-19 on Children Beyond Masks【11月20日追加】 先進国の子どもの貧困 今後5年間はコロナ前を上回るレベル ユニセフ新報告書【12月11日追加】 The power of play in the pandemic【2021年7月16日追加】 Mind Matters Lessons from past crises for child and adolescent mental health during COVID-19【2021年8月2日追加】 人道行動における子どもの保護のための連合(Alliance for Child Protection in Humanitarian Action)などTechnical Note Protection of Children during the Coronavirus Pandemic (v.1)(PDF)/日本語訳:ガイダンス・ノート:新型コロナウイルス下での子どもの保護(PDF) Technical Note COVID-19 and Children Deprived of their Liberty 【4月13日追加】 Guidance Note Protection of Children during Infectious Disease Outbreaks(PDF)【4月26日追加】 COVID-19 Protecting Children from Violence, Abuse and Neglect in the Home v.1(PDF)【5月5日追加】(日本語による概要) COVID-19パンデミック中の子どもの保護 子どもと代替養育 緊急対応の方法(PDF)(原文PDF)【5月31日追加/9月5日・日本語訳と差替え】SOS子どもの村インターナショナル:A Call to Action Protecting Children wihtout or at Risk of Losing Parental Care(PDF)【5月31日追加】 子どもに対する暴力関係子どもの売買・性的搾取に関する特別報告者/子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表ほか:UN experts call for urgent action to mitigate heightened risks of violence against children(日本語による概要)【4月8日追加】 子どもに対する暴力に関する国連機関間作業部会:Agenda for Action 8 United Nations entities launch roadmap to protect children from violence in response to COVID-19【4月28日追加】(日本語による概要) WHOAddressing violence against children, women and older people during the covid-19 pandemic Key actions【6月24日追加】 COVID-19 response measures and violence against children【9月1日追加】 子どもの売買・性的搾取に関する国連特別報告者COVID-19 Urgent need for child protection services to mitigate the risk of child sexual abuse and exploitation worldwide【5月6日追加】 Impact of coronavirus disease on different manifestations of sale and sexual exploitation of children【2021年3月29日追加】 COVID-19 pandemic has amplified the risks of vulnerable children to trafficking and sexual exploitation, Special Rapporteur on the sale of children tells Human Rights Council【2021年4月8日追加】 World Tourism Day - 27 September 2021 Protect children from exploitation as tourism resumes - UN expert【2021年9月25日追加】 UNODC(国連薬物犯罪事務所):COVID-19 UNODC warns of increased risks to human trafficking victims【5月7日追加】 Safe to Learn:Reopening Schools Safely Recommendations for building back better to end violence against children in and through schools(PDF)【6月17日追加】 Europol:Exploiting isolation Offenders and victims of online child sexual abuse during the COVID-19 pandemic【6月22日追加】 OECD:Preventing a child marriage pandemic【11月6日追加】 Joining Forces:Policy Brief Ending Violence Against Children and COVID-19【7月6日追加】 セーブ・ザ・チルドレン/プラン・インターナショナル:Because We Matter Addressing COVID-19 And Violence Against Girls in Asia-Pacific(PDF/日本語による概要)【8月6日追加】 ユニセフ:新型コロナウイルス 子どもへの暴力、防止や対応の中断 南アジアなど104カ国で【8月18日追加】Protecting children from violence in the time of COVID-19 Disruptions in prevention and response services【8月18日追加】 ユニセフ・イノチェンティ研究所:5 Questions on Research on Violence against Children during the COVID-19 Pandemi【10月15日追加】Research on violence against children during the COVID-19 pandemic【10月15日追加】 ユニセフ:UNICEF and Microsoft launch improved, scalable technology to protect vulnerable children and women amid rise in domestic and gender-based violence due to COVID-19【2021年1月21日】 ユニセフ/UNFPA:2月6日は女性性器切除(FGM)根絶の日 新型コロナによりFGM増加のおそれ UNFPAとの共同声明【2021年2月5日追加】 ユニセフ:3月8日は国際女性デー COVID-19による児童婚増、10年で1千万件 休校や貧困増大で加速【2021年3月8日追加】 EU上級代表/子どもと武力紛争に関する国連事務総長特別代表:International Day against the Use of Child Soldiers Joint statement by EU High Representative Josep Borrell SRSG for Children Armed Conflict Virginia Gamba【2021年2月12日追加】 ニューサウスウェールズ大学:The impact of COVID-19 on the risk of online child sexual exploitation and the implications for child protection and policing【2021年5月29日追加】 Amiya Bhatia et. al:Violence against children during the COVID-19 pandemic【2021年10月21日追加】 女子に対する暴力の問題については、新型コロナウィルス感染症と人権 参考資料のジェンダーの項も参照。 教育関係ユネスコEducation From disruption to recovery【7月15日追加】 COVID-19 What you need to know about refugees' education【7月13日追加】 COVID-19 threatens to set aid to education back by six years, warns UNESCO【7月17日追加】 Education in a post-COVID world Nine ideas for public action【7月20日追加】(日本語による概要) COVID-19 and Higher Education The Path Forward After the Pandemic【8月17日追加】 As a new academic year begins, UNESCO warns that only one third of students will return to school【9月2日追加】 Act now reduce the impact of COVID-19 on the cost of achieving SDG 4【9月5日追加】 Why the world must urgently strengthen learning and protect finance for education【10月20日追加】 UNESCO and Education International call on governments to consider teachers and school personnel as a priority group in COVID-19 vaccination efforts【12月15日追加】ユニセフ:新型コロナ教育危機 教師のワクチン接種が学校を守る 5人に1人が学校に通えず【12月16日追加】 On International Day of Education, UNESCO promotes learning recovery for students affected by COVID-19【2021年1月27日追加】Message from Ms Audrey Azoulay, Director-General of UNESCO, on the occasion of the International Day of Education, 24 January 2021【2021年1月27日追加】 UNESCO calls for investment in quality physical education to support COVID-19 recovery【2021年2月7日追加】 100 million more children under the minimum reading proficiency level due to COVID-19 - UNESCO convenes world education ministers【2021年3月29日追加】Pandemic-related disruptions to schooling and impacts on learning proficiency indicators A focus on the early grades【2021年3月29日追加】 Pandemic-related disruptions to schooling and impacts on learning proficiency indicators a focus on the early grades【2021年6月18日追加】 ユニセフ/WHO/国際赤十字赤新月社連盟:学校におけるCOVID-19予防と制御のための重要なメッセージと行動(PDF)【4月26日追加】 INNE(緊急時の教育に関する機関間ネットワーク)Learning Must Go On COVID-19 Advocacy Brief【5月2日追加】 INEE Technical Note on Education During the COVID-19 Pandemic【5月5日追加】 Quality ECE fosters stronger links with families and communities while setting young children on the path to lifelong success.【6月12日追加】 Call for action to address the threat by the COVID-19 pandemic to the education of those left furthest behind【6月19日追加】 COVID-19 Gender and EiE - Key Points to Consider【6月26日追加】 COVID-19 and school closures What can countries learn from past emergencies?【6月29日追加】 Weighing up the risks School closure and reopening under COVID-19【7月16日追加】 INEE Technical Note on Measurement for Education during the COVID-19 Pandemic【11月20日追加】 New Report - Refugee education during COVID-19 Crisis and opportunity【2021年1月23日追加】 OECDOECD 2020年 新型コロナウイルス感染症パンデミックへの教育における対策をガイドするフレームワーク(仮訳)【6月14日追加】 コロナウイルス・パンデミックに教育が対応するためのチェックリスト【4月15日追加】 Early childhood education and care in the face of coronavirus【7月27日追加】 It takes a village How coronavirus can strengthen partnerships between parents and schools【7月28日追加】 The shadows of the coronavirus education crisis【9月11日追加】 Teacher collaboration in challenging learning environments【9月25日追加】 Advancing schooling beyond coronavirus - new insights from PISA【9月30日追加】 How regional collaboration can help improve education outcomes during coronavirus【10月16日追加】 学校閉鎖期間中のオンライン学習の拡充:新型コロナウイルス感染症危機時の生徒支援における家族と教員の役割【11月4日追加】 Learning about a pandemic - and for a more uncertain world【11月11日追加】 Lessons for education from PISA for Development during the coronavirus crisis【12月2日追加】 Education funding and COVID-19 what does the future hold?【12月3日追加】 Acting on lessons from COVID to bring about deeper change in education【12月16日追加】Lessons for Education from COVID-19 A Policy Maker's Handbook for More Resilient Systems【12月16日追加】 COVID has worsened student adversity and trauma - how can schools help?【12月21日追加】 The role of school heads and why they matter during the COVID pandemic【2021年2月10日追加】 Ten Principles for Effective and Equitable Educational Recovery from COVID【2021年9月8日追加】 A long road to recovery National education responses to COVID reveal key equity concerns【2021年7月14日追加】 What's Next? Lessons on Education Recovery Findings from a Survey of Ministries of Education amid the COVID-19 Pandemic【2021年9月7日追加】 ユネスコ/ユニセフほか学校の再開に向けた新ガイドライン発表 ユニセフ、ユネスコ、WFP、世銀共同で【5月1日追加】(日本語訳PDF) Building Back Equal Girls Back to School Guide【8月26日追加】(日本語による概要) Considerations for school-related public health measures in the context of COVID-19 Annex to Considerations in adjusting public health and social measures in the context of COVID-19【9月16日追加】 (WHO):More research needed into COVID-19 effects on children, says WHO head【9月18日追加】WHO Director-General's introductory remarks at the press briefing with UNESCO and UNICEF【9月18日追加】 (ユニセフ/EU):新型コロナウイルス 子どもの半数がいまだ学校に通えず 学校の再開優先を【9月24日追加】 World Teachers' Day Joint Statement fromAudrey Azoulay, Director-General of UNESCOGuy Ryder, Director-General, International Labour OrganizationHenrietta H. Fore, Executive Director, UNICEF David Edwards, General Secretary, Education Internationalon【10月6日追加】 新型コロナウイルス 学校再開や遠隔授業に格差 ユニセフなど報告書発表【10月29日追加】Children in the poorest countries have lost nearly four months of schooling since start of pandemic – UNESCO, UNICEF and World Bank report finds【10月29日追加】 What have we learnt? - Findings from a survey of ministries of education on national responses to COVID-19【10月29日追加】 (ユニセフ/WHO):All schools in Europe Central Asia should remain open and made safer from COVID-19, say WHO and UNICEF【2021年8月30日追加】(日本語による概要) Save Our Future Averting an Education Catastrophe for the World's Children【10月26日追加】(日本語による概要) ILO:ILO産業別概況:COVID-19と教育セクター【7月18日追加】 TTF(国際教職員タスクフォース)Response to the COVID-19 Outbreak Call for Action on Teachers(PDF)【10月5日追加】 Supporting teachers in back-to-school efforts - Guidance for policy-makers【6月23日追加】(日本語による概要) Supporting teachers in back-to-school efforts A toolkit for school leaders【6月23日追加】 ユニセフ/WFP(世界食糧計画):新型コロナウイルス 休校で給食を得られぬ子ども3億7,000万人 「学校は子どもたちの生命線」と警鐘【4月30日追加】新型コロナウイルス 休校で40%の給食を逃す 子どもたちに迫る栄養危機【2021年1月28日追加】 WFP:State of School Feeding Worldwide 2020【2021年2月25日追加】(UN News):COVID-19 imperils 'historic advances' in children's access to school meals UN report【2021年2月25日追加】 ユニセフ新型コロナウイルス 子どもたちを分断する教育危機 遠隔教育の環境に格差【6月5日追加】 Guidance on Distance Learning Modalities to Reach all children and Youth during School Closures【7月3日追加】 ユニセフ事務局長:It's time to reopen schools【6月21日追加】 Ensuring an inclusive return to school for children with disabilities UNICEF East Asia and Pacific Region COVID-19 technical guidance【7月6日追加】 新型コロナウイルスの影響 就学前教育を逃す子ども、4,000万人 ユニセフ調査レポート発表【7月22日追加】 ユニセフ/WHO:水と衛生 43%の学校で、石けんと水で手洗いできず ユニセフとWHO共同監査報告書発表【8月13日追加】 COVID-19 At least a third of the world's schoolchildren unable to access remote learning during school closures, new report says【8月28日追加】COVID-19 Are children able to continue learning during school closures?【8月28日追加】 ユニセフ/ITU:教育危機 自宅でネット使えない子ども、13億人 デジタル格差が引き起こす教育格差【12月2日追加】 新型コロナ教育危機 世界の休校、11月に再び急増 5人に1人が学校に通えず【12月8日追加】 教育危機 休校が子どもに及ぼす深刻な影響 事務局長声明【2021年1月12日追加】 教育危機 世界の休校 1年続く 1億6,800万人の子どもが学校に通えず【2021年3月3日追加】 世界の学校教育状況を追跡 ユニセフ、ジョンズ・ホプキンス大、世界銀行 新ツールを共同発表【2021年3月30日追加】 新型コロナウイルスと教育 現在も19カ国で学校閉鎖 早期再開訴え共同声明【2021年7月13日追加】 新型コロナウイルスと教育 3分の1の国が補習教育未実施 2020年、平均で授業日数の40%を喪失【2021年7月15日追加】 (UN News)COVID-19 Education replaced by shuttered schools, violence, teenage pregnancy【2021年7月28日追加】教育危機 学校閉鎖、いまも6億人に影響 アジアでも8,000万人が遠隔教育受けられず【2021年7月31日追加】 教育危機 1億4,000万人の初登校日が延期 対面授業を1年以上待つ子どもも【2021年8月25日追加】 教育危機 失われた18カ月の学び 今も一部で続く学校閉鎖に警鐘【2021年9月16日追加】 教育危機:1兆8,000億時間の学習損失を表す時計~国連総会期間中、ニューヨークに設置【2021年9月18日追加】 教育危機 2億人が遠隔学習の体制整わず 将来の学校閉鎖に備え、高まる必要性【2021年10月29日追加】 Situation Analysis - COVID-19 and Education Effects of and responses to COVID-19 on the education sector in Asia【2021年11月12日追加】 教育危機 生涯年収17兆米ドルを失う危険性 深刻な新型コロナによる学習損失【2021年12月10日追加】 (ユニセフ事務局長)Even as Omicron variant takes hold, school closures must be a measure of last resort【2021年12月18日追加】COVID-19 オミクロン株が猛威ふるうも学校閉鎖は最終手段であるべき【2021年12月20日追加】 (ユニセフ事務局長/世界銀行総裁)Reversing the Pandemic's Education Losses【2021年12月18日追加】 1月24日は教育の国際デー COVID-19による教育危機は悪化の一途 学習損失は取り戻せない程に【2022年1月24日追加】 新型コロナ禍の教育危機 子どもの学習崩壊を防ぐ対策を ワクチン接種を対面授業の参加条件にしないよう呼びかけ【2022年1月31日追加】 (ユニセフ・ユネスコ・世界銀行):Less than half of countries are implementing learning recovery strategies at scale to help children catch up【2022年3月31日追加】 COVID-19 教育危機 いまだ23カ国で学校閉鎖続く 教育が不平等化の最大要因に【2022年3月31日追加】 ユニセフ・イノチェンティ研究所Promising practices for equitable remote learning Emerging lessons from COVID-19 education responses in 127 countries【6月9日追加】 Parental Engagement in Children’s Learning Insights for remote learning response during COVID-19【6月9日追加】 Digital Connectivity during COVID-19 Access to vital information for every child【6月11日追加】 COVID-19 How are Countries Preparing to Mitigate the Learning Loss as They Reopen Schools? Trends and emerging good practices to support the most vulnerable children【8月12日追加】 COVID-19 How prepared are global education systems for future crises?【8月21日追加】 COVID-19 A reason to double down on investments in pre-primary education【9月17日追加】 COVID-19 Effects of school closures on foundational skills and promising practices for monitoring and mitigating learning loss【10月8日追加】 In-person Schooling and COVID-19 Transmission【12月11日追加】 Reopening with Resilience Lessons from Remote Learning during COVID-19【2021年9月21日追加】 教育に対する権利に関する国連特別報告者:Impact of the COVID-19 crisis on the right to education; concerns, challenges and opportunities(Word)【6月16日追加】(日本語による概要)Expert COVID-19 has caused an "education crisis"【7月10日追加】 国連事務総長"The future of education is here"【8月4日追加】 「教育とCOVID-19に関する政策概要」の発表に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長ビデオ・メッセージ(ニューヨーク、2020年8月4日)【8月7日追加】Policy Brief Education during COVID-19 and beyond(PDF)【8月4日追加】(日本語による概要) Classroom crisis Avert a 'generational catastrophe', urges UN chief【10月23日追加】 教育の国際デー(1月24日)に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長ビデオ・メッセージ【2022年1月24日追加】 国連人権高等弁務官:Leadership Dialogue Series of the Brookings Center for Universal Education and the World Bank Education during the COVID-19 pandemic Statement by Michelle Bachelet, UN High Commissioner for Human Rights, 21 September 2020【9月22日追加】 世界銀行Simulating the Potential Impacts of the COVID-19 School Closures on Schooling and Learning Outcomes A set of Global Estimates【6月26日追加】 Realizing the Future of Learning From Learning Poverty to Learning for Everyone, Everywhere【12月3日追加】 Urgent, Effective Action Required to Quell the Impact of COVID-19 on Education Worldwide【2021年2月1日追加】 We are losing a generation The devastating impacts of COVID-19【2022年2月4日追加】 Lancet:Generation coronavirus?【6月26日追加】 UNHCRUNHCR報告書:コロナ禍で難民の教育に深刻な脅威~世界の難民の子どもの半数が学校に通えず【9月3日追加】 COVID-19 Refugees Return to Schooling Guidelines【12月29日追加】 難民の中等教育、学校に行けない3分の2の子どもたちに平等なアクセスを【2021年9月7日追加】 大谷美紀子弁護士(国連・子どもの権利委員会委員):学校再開にあたり、日本の先生方へのメッセージ【5月27日追加】 ワールド・ビジョン:Policy Brief COVID-19 Disruptions to Education【7月6日追加】 セーブ・ザ・チルドレンSave Our Education【7月15日追加】Save Our Education Protect every child’s right to learn in the COVID-19 response and recovery【7月15日追加】(日本語による概要) The Hidden Impact of Covid-19 on Child Education(PDF)【12月3日追加】 最貧国の子どもたちに安全な復学を 生徒1人あたり370米ドルの投資が必要【2021年2月4日追加】 ヒューマン・ライツ・ウォッチImpact of Covid-19 on Children's Education in Africa【8月29日追加】 新型コロナパンデミックが教育に及ぼす深刻な影響【2021年5月17日追加】 A Generation of Children Impacted by Covid-19 School Closures【2022年3月10日追加】 UN News:The virus that shut down the world Education in crisis【12月29日追加】 WHO(世界保健機関)Health experts concerned about indirect effects of COVID-19 on women and youth【6月14日追加】 Breastfeeding and COVID-19 scientific brief, 23 June 2020【7月9日追加】 FAO(国連食糧農業機関)・ユニセフほかThe State of Food Security and Nutrition in the World 2020【7月17日追加】 Child malnutrition and COVID-19 the time to act is now(The Lancet)【7月29日追加】Impacts of COVID-19 on childhood malnutrition and nutrition-related mortality(PDF)【7月29日追加】 ユニセフ:新型コロナウイルス 消耗症の子ども、670万人増加のおそれ ユニセフなど国連4機関が新報告書【7月30日追加】 国連グローバル・コミュニケーション局:子どもたちと家族、COVID-19の最中にグローバルな視野を広げる【6月26日追加】 OECD新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が子供に与える影響に対処する【11月26日追加】 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが移民とその子どもたちに与える影響【2021年2月25日追加】 欧州評議会人権コミッショナー:Member states must give renewed impetus to children's rights【11月20日追加】 EU基本権庁:Pandemic underscores why child protection is critical for our future【11月20日追加】 ENOC(European Network of Ombudspersons for Children):ENOC Bureau Statement on Children's Rights in the context of the COVID-19 outbreak(PDF)【2021年2月7日追加】ENOC/ユニセフ:ENOC-UNICEF Report on Ombudspersons and Commissioners for Children's Challenges and Responses to COVID-19(PDF)【2021年2月7日追加】 ヒューマン・ライツ・ウォッチ新型コロナウイルス感染症で大打撃を受ける子どもたち【4月13日追加】 COVID-19 and Children's Rights【4月16日追加】 セーブ・ザ・チルドレン【新型コロナウイルス感染症】報告書『Protect A Generation』発表 パンデミックが子どもたちやその家族に及ぼす影響が明らかに【9月10日追加】 新型コロナウイルス感染症への対応-すべての子どもの社会的保護の権利の実現に向けて【9月24日追加】 新型コロナウイルス感染症 さらに50万人の少女が児童婚の恐れ-報告書『世界ガールフットレポート2020:新型コロナウイルス感染症が世界中の少女に及ぼす影響』発表【10月1日追加】 新型コロナウイルス感染症 経済的支援を受けられていない子どもは約6億人―報告書『子どもの貧困を終わらせるための基盤』を発表【10月15日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Children A Global Research Series【12月3日追加】The Hidden Impact of Covid-19 on Child Poverty(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Child Protection and Wellbeing(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Child Rights(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Children's Health and Nutrition(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Child Education(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Gender Equality(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Children Research design and methods(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Children Study sample numbers and characteristics(PDF)【12月3日追加】 The Hidden Impact of Covid-19 on Children and Families with Disabilities(PDF)【12月3日追加】 新型コロナウイルス感染症の影響で今後2年間、毎日153人の子どもたちが栄養不良で亡くなる可能性 -報告書『栄養の危機』を発表【12月17日追加】Nutrition Critical Why we must act now to tackle child malnutrition【12月17日追加】 DCI (Defence for Children International)Child rights violations in the context of the quarantine to contain the COVID-19 outbreak【4月30日追加】 Spotlight on Covid-19 and children deprived of liberty(子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表)【12月22日追加】 IPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会):危機的状況における遊び:子どものくらしに関わる人のガイド(IPA日本支部訳)【4月30日追加】 Centre for Sport and Human Rights:An Overview of the Sport-Related Impacts of the COVID-19 Pandemic on Children(PDF)【6月25日追加】 ノーベル賞受賞者等(Laureates and Leaders for Children)Joint Statement by Laureates Leaders for Children(PDF)【5月20日追加】 A Fair Share for Children Preventing the loss of a generation to COVID-19【9月13日追加】 ワールド・ビジョンCash and Voucher Programming during COVID-19【7月6日追加】 COVID-19 Risks to children's health and nutrition【7月6日追加】 Policy Brief COVID-19 Child Protection in Fragile and Humanitarian Contexts【7月6日追加】 ワールド・ビジョンほか:Policy Brief COVID-19 Conflict Sensitivity【7月6日追加】 コロナ禍で児童婚が2倍以上に増加、さらに400万人の少女に危機が迫っています ~国際NGOワールド・ビジョンが報告書を発表~【2021年5月21日追加】 EurochildほかTime to re-think our societies and economies - Why we need to prioritise early childhood【5月27日追加】 Call to action to protect vulnerable families and children in alternative care【5月29日追加】(日本語による概要) RAY (Research-based analysis of European youth programmes):The impact of the Corona pandemic on youth work in Europe【9月9日追加】 Terre des hommes:#CovidUnder19 Life Under Coronavirus - results of the survey【12月21日追加】(日本語による概要)子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表:SRSG Maalla M’jid highlights the importance of protecting children’s mental health and wellbeing during the recovery from the COVID-19 pandemic at launch of #CovidUnder19 initiative【12月29日追加】 International Journal of Children s RightsLaura Lundyほか:Life Under Coronavirus Children's Views on their Experiences of their Human Rights【2021年6月18日追加】 ※その他の参考資料は新型コロナウィルス感染症と人権参照。 更新履歴:ページ作成(2020年4月10日)。/~/第1文の「重大な身体的、情緒的および身体的影響」を「~および心理的影響」に修正し、日本語訳PDFも差し替え(5月29日)。/~/主な参考資料にユニセフの資料を追加(2021年12月9日)。/主な参考資料(教育関係)にユニセフの資料を追加(12月10日)。/主な参考資料(教育関係)にユニセフの資料を追加(12月18日)。/主な参考資料(教育関係)にユニセフと国連事務総長の資料を追加(2022年1月24日)。/主な参考資料(教育関係)にユニセフの資料を追加(1月31日)。/主な参考資料(教育関係)に世界銀行の資料を追加(2月4日)。/主な参考資料にユニセフ(ユニセフ/世界銀行)の資料を、主な参考資料(教育関係)にヒューマン・ライツ・ウォッチの資料を追加(3月10日)。/主な参考資料(教育関係)にユニセフの資料を追加(3月31日)。
https://w.atwiki.jp/childreninfukushima/pages/127.html
(情報掲載日:2011.06.01) 更新情報(2011-06-13) 6/10に実行委員会を開催し、第2次募集を実施することといたしました。人数は50名、キャンセル待ちの方から随時ご連絡いたします。 目的 福島原発事故の影響で福島原発事故の影響で、福島の子どもたちは外での活動は禁止され、室内にいることが強制されています。こうした中で、この計画では、 今年の夏休みを迎える子どもたちに「室内避難」を押し付ける形ではなく、この機会を生かして、子どもたちの学びと育ちを支援する教育事業を実施し、多様な 体験や人とのコミュニケーションを作り出して行くことを目的としています。 福島の子どもたちに伸び伸びした時間を過ごしてもらい、せめて夏休みは、なんの心配もなく、思いきり「子どもをやってもらう」ことが我々の願いです。 参加資格 福島原発放射能で不安を抱え、この事業計画に賛同する福島県在住の家庭の子どもたち小学1年生~中学3年生(兄弟での参加の場合は幼児も可、障害のある児童・生徒の場合と同じく保護者同伴での参加とします) 親の参加も可能。ただし往復引率責任及び現地活動支援ボランテイアとして関わることを条件とする。また、参加を希望する子どもと親は、事前説明会に出席を条件とします。 実施地域 北海道・大沼を中心に全道で受入れ 募集期間 6月6日 10 00受付開始 ※200名定員になりしだい締め切ります 期間、日程 7月25日~8月28日 参加は1週間単位とし、最長活動期間は5週間とします スケジュールはこちら 参加費 一般参加の方: (子ども)………………………一人30,000円(交通費相当分)、滞在費はすべて無料 ※乗車駅や子どもの年齢で交通費が異なるので、参加費を交通費相当分としてすべて同一費用としています 保護者が参加される場合……一人30,000円(交通費相当分)、滞在費は1日4,000円をご負担頂きます 生活保護家庭の方: 子ども…………………………全額無料 保護者が参加される場合……一人30,000円(交通費相当分)、滞在費は1日4,000円をご負 担頂きます ※生活保護受給者証をご提示いただくことがあります 障害児とその保護者: 子ども…………………………全額無料 保護者(保護者か専門性を持ったサポート役の同伴を参加条件とします) また交通費相当分は無料、滞在費は他の保護者同伴時の半額とします(滞在費1日2,000円) ※障害児手帳及び受給者証及び診断書をご提示いただくことがあります その他、詳しい募集要項についてはこちらをごらんください。 引用元・情報元リンク 福島キッズ夏期林間学校ホームページ http //fukushima-kids.org/ この情報に付けられたタグ 一時避難 北海道・東北地方 夏休み疎開 子どものみ 山村留学 林間学校 母子疎開 罹災証明あり 自主避難 避難指示区域