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【種別】 宗教団体 【元ネタ】 イギリスの イングランド国教会 (イギリス国教会)。 【初出】 一巻 【解説】 十字教旧教三大宗派のひとつ。 英国の命令系統三本柱の一角(清教派)。 制度上のトップは国王だが、最大主教が実質的な指導者。 本拠はカンタベリー大聖堂だが、実質的な頭脳は聖ジョージ大聖堂。 元々はヘンリー8世の時代、当時ヨーロッパを支配していたローマ正教から脱するために、 「ローマ正教に従わずとも十字教の教えに則っている」「イギリスは国王をトップとして他の外部勢力から不可侵である」という口実を作るために設立された。 つまり、「英国独自の十字教」という政治の道具として生み出された教会。 そのため当初は王室派や騎士派よりも下位に位置する組織だったのだが、その後勢力を拡大して逆に王室派に対して命令できるほどの実権を握るようになった。 しかし、騎士派とは設立当初からの上下関係が続いており、三すくみの命令系統となっている。 この経緯上、騎士派が有する『騎士団』とは非常に仲が悪い。 魔術の国イギリスに発した「悪い魔術師から市民を守る」という方向性の極まりすぎた結果、 他の十字教勢力と比較して、魔女・異端狩りや宗教裁判などの対魔術師文化や技術が特に発達している。 魔術対策で様々な術式や文化を取り込むことに積極的なため信仰の制限は緩く、異教でも枠組みを保ったまま入信が可能。 第零聖堂区『必要悪の教会』を始めとする数多くの部署から成り立っている。 魔術サイドでは中小組織の部類に入りながらも数多くの精鋭を持ち、 他の宗派とは違い学園都市との繋がりが僅かながら存在する。 現在急速に勢力を拡大しており、20億の教徒を有するローマ正教に互する可能性すら持ち合わせている。 名前が判明している所属メンバー 最大主教(アークビショップ) ローラ=スチュアート→ダイアン=フォーチュン 必要悪の教会(ネセサリウス) 禁書目録(インデックス) ステイル=マグヌス 神裂火織(かんざきかおり) 土御門元春(つちみかどもとはる) シェリー=クロムウェル ジェーン=エルブス テオドシア=エレクトラ リチャード=ブレイブ フリーディア=ストライカーズ トーキー=シャドウミント マリーベート=ブラックボール メアリエ=スピアヘッド メルヴィナ=ベイリー(未編集) グレンシア=ベイリー(未編集) ニクス=エヴァーブラインド アンジュ=カタコンベ キュティア=バージンロード 傘下組織 天草式十字凄教 建宮斎字 浦上 五和 牛深 香焼 諫早 野母崎 対馬 ほか天草式の面々計50人 ローマ正教 オルソラ=アクィナス アニェーゼ=サンクティス ルチア アンジェレネ アガター カテリナ ほかアニェーゼ部隊の面々計200人 その他、外部の協力者・関係者として、 スラッパール スマートヴェリー レイチェル ツアーガイドの少女 ジーンズ店主 エーラソーン 烏丸府蘭(からすまふらん) などがいる。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/投稿者 「なナナ」 ななくご(27-982)氏 ななに(6-314)氏 ナナ氏(20-146)氏 ナヒるハ(6-192)氏 ▲ ななくご(27-982)氏 小ネタ ▲ ななに(6-314)氏 小ネタ コタツの中の戦争 ▲ ナナ氏(20-146)氏 それでも私は、きっとアンタに生きて欲しいんだと思う 1 それでも私は、きっとアンタに生きて欲しいんだと思う 2 それでも私は、きっとアンタに生きて欲しいんだと思う 3 神(上)の見えざる(右)手 1 神(上)の見えざる(右)手 2 神(上)の見えざる(右)手 3 神(上)の見えざる(右)手 4 月と彼方と私とサクラ 1 月と彼方と私とサクラ 2 月と彼方と私とサクラ 3 月と彼方と私とサクラ 4 月と彼方と私とサクラ 5 杏仁豆腐に浮かぶクコの実 FはMになる。MはFになる (無題) (無題)1 (無題)2 (無題)3 (無題)4 (無題)5 (無題)1 (無題)2 (無題)3 (無題)4 (無題)5 フリーズ・オクトーバー (無題) 1 (無題) 2 ▲ ナヒるハ(6-192)氏 ミコトラプソディー 1 狂想曲1 [上条当麻] ミコトラプソディー 2 狂想曲2 [禁書目録] ミコトラプソディー 3 狂想曲2.5 [御坂美琴] ▲ 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/投稿者 Back
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イ・ノ・ケ・ン 魔女狩りの王 イノケン イ・ノ・ケ・ン 魔女狩りの王 イノケン Burning On! イ・ノ・ケ・ン 魔女狩りの王 イノケン イノケンティウース! 迫り来る恐怖の罠 魔術師の野望の影 空は闇に包まれる 僕達はどうすればいい? 瞳閉じて耳を済ませば 最大主教の声が聞こえるよ 強くなれと励ましてる イ・ノ・ケ・ン 魔女狩りの王 イノケン 燃え上がれ イ・ノ・ケ・ン 魔女狩りの王 イノケン 正義の炎と 運命に導かれて 今 冒険の旅へ ohイノケンティウース 彼女が叫びをあげる 魔術師が襲ってくる 逃げ惑う仲間達を 救うにはイノケンティウス! 炎の巨人は僕等の 未来に愛を運ぶ鍵 Fortis931 イノケンティウース! イ・ノ・ケ・ン 魔女狩りの王 イノケン そびえ立つ イ・ノ・ケ・ン 魔女狩りの王 イノケン ルーンカードをバラまけ 追撃戦は弱いけど 防衛戦なら無敵の 炎皇神 ohイノケンティウース どんなに消されそうになっても 負けるもんか 歯を食いしばれ 守り抜けよ 禁書目録 イノケン そびえ立つ イ・ノ・ケ・ン 魔女狩りの王 イノケン イ・ノ・ケ・ン 魔女狩りの王 イノケン Burning On! イ・ノ・ケ・ン 魔女狩りの王 イノケン oh year!Burning on! イ・ノ・ケ・ン 魔女狩りの王 イノケン On!イノケンティウース (元ネタ、「GAIKING」サイキックラバー。歌、ステイル・マグヌス)
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【種別】 魔術・霊装 【初出】 とある魔術の禁書目録SS番外編 【解説】 マーク=スペースが得意とする、タロットカード(小アルカナ)を元とした魔術。 エースから10までの数字の札と、 従者、騎士、女王、王様の絵札(コートカード)で構成されるワンセット。 『黄金』系組織の中で術式を発動するために、象徴武器として最適化された一品。 その司る属性から、『黄色の短剣』とも表記される。 マークが得意とするのが『風の14枚』というだけで、 大アルカナや他属性の小アルカナ14枚の霊装も存在するようだ。 その名の通り、風と空気の属性を操る力が込められている。 エースから10までの数字は『何という現象が関わるか』を、 4枚の絵札は『誰という人物が関わるか』を示す。 数字の違う14枚の札はそれぞれ別の力を発現させるため、 全ての札が均一な力・現象を操れるわけではない。 儀式系魔術であるため発動の速度には劣るが、単発の威力は高い。 しかし、カードの1枚1枚は「その場のノリで何も考えず引く」物であり、 単発使用での効果的な威力を生み出すのは難しい。 その本質はやはりタロットであり、発動する魔術はその布石でしかない。 カードの魔術を放つことで『タロットカード』として場に配置し、 「カードをめくり、複数枚のカードを並べたテーブル」という儀式場を作り上げることで、 『儀式魔術』という時間のかかる大技の準備を短縮する側面も持つ。 『風の14枚』のように放つ属性を限定すれば、場の持つ力の方向性は自ずと一つに定まり、 術者の力量によっては、集めたテレズマを利用した天使の虚像を呼び出す事も可能。 それぞれのカードの判明している能力は エース 空気から現れるようにしてカードの位置に移動できる 二 相手の胸にカードを近づけ心と体を切り離し意識を落とす 三 カードの軌道に合わせて空気の刃が出現し、通路の端まで一気に切断する 四 カードの中に体を隠し、ひらりとした動きで攻撃をかわして再び出現し奇襲する 五 相手の体(砂の分身)を大きく切り裂く 六 物を隠す? 七 不明 八 風の壁を生み出し敵の火炎放射を撒き散らす(逆位置) 風の壁が外側へ拡散し攻撃の剣となる 九 不明 一〇 天使の召喚。ただし事前にエース~九のカードを使い、場を作り出す必要あり その力は鋼鉄でできた内壁を障子のように破り、魔術師の一人二人を造作もなく吹き飛ばす 騎手、従者、王女、王 召喚した天使のテレズマを利用し、海水に膨大な気泡を混ぜ込みその爆発力を使い、五〇〇メートル級のタンカー三隻分の調査船を僅かに浮かべる。
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学園都市。 別名実験都市とも呼ばれるその街は、能力者達が集まっている都市だ。 無能力者(レベル0)から、超能力者(レベル5)まで、様々な人達が集まる場所。 故に、非現実など存在するはずのなかった都市。 しかし、禁書目録(インデックス)の来訪によって、そんな基盤もゆがみ始めた。 そして、新たなる噂が流れ出す。 「ねぇ知ってる?」 「魔術と能力を両方使える人がいるらしいよ」 そんなはずはない。 魔術と能力とでは、頭の回路が違うはずだから。 曰く、魔術師ながら能力者としての回路も持ち合わせているらしい。 曰く、能力としては水を操る力で魔術は何を使用するのかは不明らしい。 曰く、そいつに勝てる相手は誰一人としていないらしい。 いるはずのない存在で、二つの回路を持ち合わせていることから、 「プライラルサーキット」 という異名をもつらしい。 実力で言えば、一方通行(アクセラレータ)よりも上とのことだ。 将来、絶対能力(レベル6)になるのも夢ではないとのことだ。 そして、そいつを使ってある人物を殺させようとしているとのことだ。 再び始まる惨劇。 何も知らない街の人々。 開幕するは、殺人事件。 それらを食い止めるべく、上条当麻は再び戦いの渦の中へと入りこんでいくのであった。 そして、当麻を取り巻く様々な人達も、この戦いの中に巻き込まれることになるのだった・・・。
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【初出】 禁書SS自作スレ>>999 やべェな、素敵にきまッちまッたぞッ、ぎャッはははは!!前衛的なオブジェにしてやるよォ三下がァ!!」 「お姉さんはまだまだイケルわよ、坊や」 「間に合わない!? とりゃああああああああ」 「お、お姉様、いくらなんでもそれは!?」 「奇遇だね、僕も君とは馴れ合うつもりこれっぽっちもないのさ、出番だ・・・[魔女狩りの王]」 「指先に電気を集めて・・・・ばーん、ミサカは新必殺技を披露してみます」 「よければ一緒に昼食をいかがですか?」 「いやぁ、それは助かります丁度場所を探していたところでして、あははは」 「あらあら、刀夜さんたら、どこにいってもこんな感じ一体どうして欲しいのかしらバスケットごとお弁当を投げつけて欲しいのかしら?」 「いろいろと事情がありけるのよ、いろいろとね」 「お、おいちびっ子、そっちはあぶないぞ!なんていうかとにかく危険が危ない!!不幸の気配がする」 「ダー!!ミサカはミサカはこれで世界が取れるかもって戦慄してみる」 「ゲブゥ、カミやん、それはアカンやろ・・・パタ」 「あ、青髪ィィィ、お、オリアナ=トムソン・・・・まずは貴様のその腐った幻想を打ち殺す!」 「フフフ。また出番無し・・・・本当に救われない・・・」 次回 Festival of large star IF 第24話 「フェイク ザ エスケープ」
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学園都市の第七学区にある、上条当麻の通う高校。正式名称不明。 幾度となく登場しているのに、学校名が未だに出てこない理由は謎。 平均~やや下層の方にランクされている学校で、レベル0~2くらいの生徒が多いらしい。 変則的な造りの学校が多々ある学園都市においても、あくまでスタンダードを極めようとしているらしく、余りに平凡すぎて個性がない。 学校が経営する料金が馬鹿高いスクールバスの利用を推奨し、電車通学は校則で禁止されている。 生徒は1年生の上条のクラスに土御門元春、青髪ピアス、吹寄制理など。 二学期から姫神秋沙が転入。上級生(2年か3年?)に雲川芹亜がいる。 上条のクラスの担任は月詠小萌、隣りのクラスの担任が黄泉川愛穂。 他に教師として親船素甘、災誤が所属。 とある魔術の禁書目録 Indexより引用 http //www12.atwiki.jp/index-index/pages/2439.html •教師 アーロン=アボット 端場教夫 天城玲 桃園星太 •生徒 1年 月森瑠唯 古城優真 柾木桐香 御社宮神乃至 公田翠 夜本彩香 羽瀬木真心 影魅紗夜 工口紳士 出若銘助 北見塵 村前菖蒲 比我奨太郎 2年 押風通過 福百紀長 赤堀椿 淡路風基 椋橋京博 夜潟衛麟 滑子進ノ助 浦嶋遊鯉 鍬枷刃 3年 兜仲明 石墨雫 八丈衛事 鬼瓦仁平 土柴光来 学年不明 闇城降魔
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~~♪~~♪~~~ 初めて知った、真実の重さ。 時を超え刻まれた、悲しみの記憶。 過去の痛みは、心の中に静かに溶かれ――、 あの日、胸に灯った炎を消さなねェように――、 深い闇に、消えないように――、 無限の絆を守るために――、 今、未来へ向かう扉を開く――。 魔砲少女リリカル・カナミンA‘s 始まりまるぞォ。 ~~♪~~♪~~~ 学園都市一〇区。 学園都市内で唯一墓場や実験動物などの廃棄場が存在する学区。 その人気の無い街中は、今や空爆にでもあったかのようにめちゃくちゃになっていた。 立ち並ぶビルは軒並み崩れ、辛うじて建っている建物にも無数の亀裂が見え、もはや使用には耐えられないのは明らかである。 そのビル群が損壊している地区の中心点、爆心地のようなところはアスファルトが捲られ、その下の向き出しの地面も大きく抉れ、 クレーターのようになっていた。 暴走した禁書目録の防衛プログラムを止めるべく空中で死闘を繰り広げた一方通行の渾身の一撃、風のベクトルを操ってのプラズ マ弾の直撃を受け、上空から叩き落されたヒューズ・カザキリの墜落地点である。 その傍らにはその恐るべき所業を成し遂げた一方通行が佇み、更に離れた所には禁書目録の内部空間に閉じ込められていた御坂美 琴がやや疲弊しながらも立っている。 その後方、やや離れた所には一方通行と同じグループのメンバーである結標淡希と、御坂美琴のパートナーである白井黒子が幾分 緊張しながら身構えている。 その時、近くに取り付けられている広報用のスピーカーから音声が出てくる。 『禁書目録の主、防衛プログラムと完全に分離しました!』 『皆さん! 前方の白い澱みが、暴走が始まる場所になります。ステイルさんが到着するまで、むやみに近づかないでください!』 上空に待機していた学園都市の飛行船『アースラ』内からの初春飾利からの通信であった。 「オッケー!」 「チッ、しょうがねえなァ」 その声にそれぞれ答えるレベル5の二人。 二人共、未だ緊張感は解かず、目の前を厳しく見続けている。 その視線の先には、上空からの落下の後に光る繭のようなものに包まれたままの球体がある。 直径はおよそ四〇メートル。直径が七〇メーター程のクレーターの中心に不気味な存在感を漂わせながら浮かんでいる。 その光は白くはあるが、まるで太陽からの自然光の中で見る蛍光灯の輝きのようにどこまでも人工的、異質なものであった。 そして――――。 #12 夜の終わり、旅の終わり そして、白い、不気味な光の球体があるクレーター、その斜面に落ちていくギリギリ縁のところに、それとは別の光があった。 目の前にある白い光とは真逆の、しかし、磨き抜かれた黒曜石のような、新月の夜の星の光さえ届かない闇のような、どこか見る 者の目を引き付ける輝きの、その内部で――――。 「管理者権限を発動するんだよ――――」 黒い闇の中、ゆったりと浮かんでいるインデックスが囁く。 それに答えるように、 「ぼ、防衛プログラムの進行に、割り込みを掛けれたよ。数分ぐらいだけど、暴走の開始を遅らせると思う、よ」 禁書目録の管理プログラムであり、インデックスから『かざきりひょーか』の名前を与えられた友人がたどたどしくもそれに答える。 「うん。それだけあったら、十分なんだよ。 ――リンカーマナ、送還。水属性(ウンディーネ)の守護天使による治癒魔術を開始――――」 そう呟くと同時に、インデックスが今まで入院していた病院の屋上に倒れ伏したままの四人の魔術師たちの上に光が灯り、その体 に吸い込まれていく。 ダメージから回復し、一人、また一人と立ち上がる魔術師たち。 「――来て、私の保護者たち――」 そうインデックスが語った直後、クレーターの縁から天に向かって凄まじい勢いで黒い光の柱が立ち昇る。 クレーターの周囲にいた一方通行ら四人が一瞬目を庇い、慌ててクレーターの方を見直すと、そこには――――。 「「!!」」 目を見張る一方通行と御坂美琴。 その視線の先には――――。 「我ら、禁書目録の主の側(そば)に集いし保護者たち――」 神裂火織が――――、 「主ある限り、私たちの魂は尽きることは無いのでございますよ――」 オルソラ=アクィナスが――――、 「この身に命がある限り、私らはあんたの側にいるんだよ――」 シェリー=クロムウェルが――――、 「ウチらが保護する者、禁書の王、インデックスの名の下に――」 アニェーゼ=サンクティスが――――、 輝きを強める黒い光の周り、四人の魔術師が背中合わせにそれぞれの方角を向いて静かに宣言する。 そして、その黒い光の中で、 「ひょーか、私の杖と甲冑を――」 「う、うん!」 インデックスの声に風斬氷華が応じ、その身に新しい装束を出現させる。 白い修道女の服に身を包んだインデックスが目の前に現れた蓮の花の飾りが付いた杖を握る。 次の瞬間、黒い輝きが粉々に砕け、インデックスがその姿を現す。 「白ィの!!」 そう叫ぶ一方通行に向かってインデックスは笑顔を浮かべると、手に持つ杖を高々と掲げ、大きく叫ぶ。 「禁書の知識、私に集まって! 氷の華、かざきりひょーか、セーーット・アーーーップ!!」 杖の先から黒い輝きが迸り、見る間にインデックスの衣装に安全ピンが付け加えられる。 「インデックス……」 そのインデックスを見てアニェーゼが上目遣いに名前を呼ぶ。 「うん……」 頷くインデックス。 「すみません……」 「あの……インデックスさん、私たち……」 神裂が、オルソラが謝ろうとするのを制して、 「いいんだよ。みんな分かってる。ひょーかが教えてくれたんだもん。……けど、細かいことは後で――――。 今は―――お帰りなさい、みんな」 そう笑顔で言うインデックスに対し、堪え切れなくなったアニェーゼが泣きながら飛びつく。 「あ、ああ、うわぁぁぁぁぁぁ!! インデックス! インデックス! インデックスーーー!!」 インデックスにしがみ付いて泣き続けるアニェーゼと、その背中をやさしく撫でるインデックス。 その背後から、一方通行と御坂美琴の二人が近づいてくる。 「白い人も短髪もごめんね。私の保護者たちが、いろいろと迷惑を掛けちゃって……」 「けっ、アンなもン、どオってこたァねェよ」 「べ、別に気になんかしてないわよ。っていうかその呼び名はやめなさい!!」 三人が話していると、そこに別の人間が加わる。 「すまないね」 「アァ?」 長髪長身で全身を赤く染めた神父が口を挟む。 「水を差してしまうんだが……。イギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』ステイル=マグヌスだ。時間が無いので簡潔に説明させて もらうよ? あそこにある白い澱み、禁書目録の防衛プログラムが、後数分で暴走を開始する。僕らはそれを、何らかの方法で止め ないといけない。 停止のプランは現在二つある。一つ、きわめて強力な獄炎魔術で灰にする。二つ、上空三千メートルで待機している飛行船『アース ラ』にいる『幻想殺し(イマジンブレイカー)』で消滅させる。 これ以外に、何かいい手は無いかい? 禁書目録の主とその保護者たちに聞きたい」 懐からルーンが刻まれたカードを見せながら説明をするステイル。 それに対して、 「ええーっと、最初のは多分、難しいと思います。主の無い防衛プログラムは、魔力の、塊みたいなものですから……」 「灰にしても、コアがある限り、再生機能は止まりません……」 オルソラと神裂の二人が答える。 さらに、 「『幻想殺し(イマジンブレイカー)』もぜったいダメ!! そんな上空から『幻想殺し(イマジンブレイカー)』撃ち下ろしたらインデックスの家の 家主が死んじまうじゃないですか!!」 大きく両手を交差させて反対するアニェーゼ。 「よォ、ここへ撃ち込むのってそンなにやべェのか?」 その様子に何気なしに尋ねる一方通行。 「半径百数○センチの範囲内なら右手で触れるだけでいかなる異能も完全に消滅させるんだけど、それ以外は生身の人間と変わらな いから……」 「チッ! オイ、俺も反対だぞ。アイツにはまだ借りがアるからなァ!」 「ちょ、ちょっと、私だって反対よ! 何考えてんのよ!!」 一方通行と美琴の両方から詰め寄られるステイル。 「僕も小萌先生も出来れば使いたくは無いよ……。でも、あれの暴走が本格的に始まったら被害はそれより、遥かに大きくなるんだ」 「暴走が始まると、周囲にあるものを無差別に破壊して、無限に稼動していくみたいですのよ」 「…………」 ステイルの説明に補足する黒子の言葉に、一同が押し黙る。 『皆さん!! 暴走臨界点まで、後十五分切りました! 代理プランはお早めに決めて下さい!』 初春からの通信に焦る様にステイルが尋ねる。 「何か無いのかい!?」 「すみません、あまり役に立てそうには無いです……」 「暴走に立ち会った経験は、私らにも殆ど無いからねえ……」 「でも、何とか、止めないといけませんねぇ……。インデックスさんの居候先のお家が無くなっちゃうの、困りますしねぇ……」 「いや、そういうレベルの話じゃ、無いんだけどね……」 神裂、シェリー、オルソラの口からも芳しい意見は出てこない。 「発射地点をもっと降下させてからは出来ませんの?」 「今から飛行船を降下させても暴走開始には間に合わないでしょう。ビル群を無視した射角を取ろうとした事が裏目に出てしまいま したね……」 黒子の発案も神裂によって棄却される。 「「「…………」」」 重苦しい雰囲気がその場を包み出す。 「あーもう! なんかごちゃごちゃうっとぉしいわね! 皆でズバッとぶっ飛ばしちゃえばいいじゃないのよ!」 イライラした様子で喋る結標。 「あのね、これはそんなに単純な話じゃ無いんだよ……」 「ふん!」 場を混乱させるだけのように思える発言にステイルも苛立ちを見せれば、意見をあしらわれた結標もそっぽを向く。 「ズバッと、ぶっ飛ばす……、か――――」 「ここへ撃ったら、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』の被害が大きいから撃て無いんだよね――――」 「じゃあ、ここじゃなければ――――」 結標の発言に対して呟く一方通行、インデックス、美琴の三人。 「「「あ――――、!!」」」 次の瞬間、三人は顔を見合わせて何かを思い付く。 「オイ! そこの赤イの! 『幻想殺し(イマジンブレイカー)』ってのはどこへ向けても撃ち出せンのかよ?」 「どこでもって……、例えば?」 ステイルの疑問に、美琴とインデックスは勢い込んで答える。 「今、『アースラ』のいる場所」 「上空三千メートル、同じ高度上に向けて!」 『学園都市の科学力、舐めてもらっちゃ困りますよー。撃てますよー。同一高度上だろうが、宇宙にだって!!』 上空に待機中の初春からの通信が響き渡る。 「おい! ちょっと待ちたまえ君たち! ま、まさか!!」 その意図に気付き、慌て出すステイルに対して三人は得意そうに笑顔を見せるのだった。 □ □ その頃、第七学区の上条たちの高校の屋上から第一〇学区の方を眺めながら話す二人の少女たちの姿があった。 「光、収まった?」 「うん。小さくはなったけど。まだ。黒いのがあるみたい……」 「一体何なの? まさかこんなのが、このままずっと続いたりはしないわよね?」 「何となくなんだけど。大丈夫な気がする」 「え……?」 「きっと。戦ってくれてるから……」 「レベル5の二人が?」 「うん」 「姫神さんに真顔で言われると、なんかそんな気がするから、怖いわ……」 上条当麻のクラスメイト、吹寄制理と姫神秋沙の二人である。 「まぁ、それにしても、よ……。 あーー、もう!! 訳が分からないわよ!! 楽しいクリスマスイブに、一体どういう事態なの!? 何を摂ればいいの? カルシウム? イソフラボンなの!?」 「吹寄さん。あの。落ち着いて……」 若干テンパリ気味の吹寄とそれを宥める姫神の視線の先には、未だ収集の付かない事態の中心がある。 □ □ 上空三千メートル、待機中の飛行船の指揮所の中で、 「何とも、まぁ……、相変わらず物凄いと言うか、ですねー」 どことなく頭を抱える様子の小萌先生に対して、初春が話しかける。 「計算上では、実現可能ってのがまた、怖いですよねー」 更にパネルを操作した後、地上に向かって通信を繋ぐ初春――――。 『ステイルさん! こっちの準備はオッケイです! 暴走臨界点まで、あと十分です!!』 初春からの通信を聞いたステイルが全員を見渡しながら語りかける。 「実に個人の能力頼りで、ギャンブル性の高いプランだけど、まぁ、やってみる価値はあるだろうね」 それを受けて説明するインデックス。 「防衛プログラムのバリアは、魔力と物理の複合四層式で出来てるんだよ。まずは、それを破らないとだね!」 それを美琴が引き継ぐ。 「バリアを抜いたら、本体に向けてわたしたちの一斉攻撃でコアを露出させるのよね!」 続いて一方通行が、 「そしたら結標たちの座標移動で、『アースラ』の前に、転送させるんだな」 最後に、上空の小萌先生が結ぶ。 「あとは、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』で消滅させるんですねー」 「上手くいけば、これがベストですね!」 いいプランが見つかったためか、初春の声も弾んでいた。 それまでのムードから一転、対処の方法が見つかったことによって明るくなった一同から少し離れた位置からクレーターの中心、 光の繭を見つめるステイル。 咥えたままの煙草を燻らせながらポケットから携帯電話を取り出すと、おもむろにある番号に向けて掛けはじめる。 「アウレオルス、見えているかい?」 ステイルからの電話に応じている人物は、そこから十数キロ離れたとある進学塾の一室にいた。 「当然。すこぶる鮮明に映っている」 はるか上空、飛行船『アースラ』から送られてくる監視映像のモニターを見ながら、アウレオルス=イザードは答える。 その背後に控えているのは、この学園都市にいる学生たち。 性別も、年齢もバラバラなはずの少年少女たちはだがしかし、何故か皆一様に同じような表情をしていた。 「禁書目録は、呪われた、魔道書だった……。その呪いは、いくつもの人生を喰らい、それにかかわった多くの人の人生をも、狂わ せてきた。あれのおかげで、僕も小萌先生も……他の多くの人間も、本来関わる筈も無かった人生を進まなきゃならなくなった……。 それはきっと、君も、三沢塾の生徒たちも……」 携帯で会話をしながらおもむろにポケットからルーンのカードを取り出すステイル 「失われてしまった記憶は、取り戻すことは出来ない。――――だから、今を戦って、僕らは未来を変えるんだよ」 そう言い切った次の瞬間、ルーンのカードが光を帯び、次の瞬間『魔女狩りの王(イノケンテイウス)』が姿を現す!! それをモニターを通して眺めているアウレオルスは、深く息を吐きながら瞠目するのだった――――。 「『幻想殺し(イマジンブレイカー)』、出撃準備を始めてくださいなのですよー」 「「「はい!!」」」 飛行船『アースラ』内の全スタッフが返答をする。 作戦開始まで、あと、少し――――。 C M _ _ _ ゝ ,´ノ从 ヽ , ´ `ヽ / ビリビリ! ノノリ从从〉 リソリノ"゙从 ∠ / ソ(lリ゚ ー゚ノリ ノjid゚ ヮ゚ノ / /i,ミ彡i く) Y iつ ┣ l. T l! く/_|j〉 ┃ |__l_j し ノ C M クレーターの中心で不気味に震動を始める白い繭。 『暴走開始まで、あと二分です!!』 上空の初春からの通信に、改めて気を引き締める一同。 そんな中、インデックスがふと気が付いたように一方通行と美琴を見て、後ろにいるオルソラを呼ぶ。 「オルソラ」 「はい、お二人の疲労回復ですね」 インデックスの呼びかけに、オルソラが返事をしながら近づいてくる。 そして、どこからとも無く取り出した水筒から中身をコップに空けて二人に手渡し、更にタッパーを取り出して蓋を開く。 「ハーブティーとレモンの蜂蜜漬けでございます」 唐突な流れに軽く驚く二人に向かって、オルソラは言う。 「イギリス清教預かり、オルソラ=アクィナス。魔道書の解析と料理が本領でございますよ」 受け取って口に運ぶ二人は素直に口に運んで感想を述べる。 「あ、この香り、ブレンド? なかなかいい組み合わせね」 「ふん。まァまァだな」 そんな美琴と一方通行の反応にもにこやかに微笑むオルソラ。 そうした光景をよそに、結標淡希は傍らにいる白井黒子とシェリーに向かって呼びかける。 「あたしたちはサポート班よ、あのウザいバリケードを上手く止めるからね」 「はいですわ」 「わかってるよ」 各々が準備を済ませていると、目の前のクレーターにある光の球体から、一本、また一本と光が解れ、まるで触手のように天に向 かって伸びていく。 「始まる!!」 それを見た一同は更に緊張を高める。 「禁書目録を、呪われた闇の書と呼ばせたプログラム……。禁書目録の、闇……」 そして、光の繭を覆う輝きが一層濃くなった次の瞬間、ついに繭が全て解け、触手の光が一斉に蠢き出す。 そこに現れたのは一方通行と戦っていた時の女子高生の姿をした『ヒューズ=カザキリ』ではない。 頭上には発行する輪のような物があり、そこから周囲に向かってジャカジャカと音を立てながら細かい棒が伸縮を繰り返している。 触手のような翼を背中から無数に生やし、虚ろな目をどこへ向けるとでもなく開いている。 それが本格的に動き出す前に、結標淡希と白井黒子が同時に動く。 「座標移動(ムーブポイント)!!」 「空間移動(テレポート)!!」 結標が手に持つ軍用ライトを素早く動かして周囲にある瓦礫の塊を転送させる。 その周囲では黒子が小刻みに空間転移で跳んでは手に触れた瓦礫を転送させる。 それらの目的地は防衛プログラムの周りでのたうっている翼。 その羽の密集部分に転移させられた瓦礫の塊は、座標を重ねる部分の羽を食い込みながら出現する。 「ははっ、崩れな!!」 ビュバン!! その直後、シェリーが手に持つオイルパステルを抜刀術のように振るって周囲に魔法陣を描くと、それらの瓦礫が一斉に泥のよう に崩れ落ちる。 その身に食い込ませた羽が消失し、断ち切られていく。 「ちゃんと合わせてくださいよ! 一方通行(アクセラレータ)さん!!」 「はっ、おめェの方こそなァ!!」 防衛プログラムの周囲を覆う光の羽に穴が開くと、待ち構えていたアニェーゼと一方通行がそれぞれの攻撃を繰り出す。 「イギリス凄教預かり、アニェーゼ=サンクティス! ――――万物照応。五大の素の第五。平和と秩序の象徴『司教杖』を展開!!」 彼女の呼び声に応じて手に持つ杖、その先端にある天使の六枚の羽が開いていく。 「偶像の一。神の子と十字架の法則に従い、異なる物と異なる者を接続せよ!!」 完全に展開した杖を大きく振りかぶりながら詠唱を続けるアニェーゼ。次いで、それを渾身の力を込めて振り下ろす。 「『蓮の杖(ロータスワンド)!!』」 何も無い眼前に振り下ろされた杖。 しかし、遥か離れた防衛プログラムからは、とてつもない重量の物がぶつかった時のような破砕音が響き渡り、その周囲に展開さ れていた不可視のバリア、その一層目が粉微塵に砕け落ちる! 「学園都市、レベル5、一方通行(アクセラレータ)。いくぞォ!!」 高々と宣言する一方通行。その両手は頭上に掲げられ、周囲から膨大な空気が圧縮されて突風が渦を巻いていく。 立て続けに攻撃を加えられた防衛プログラムが周囲に展開する者達を漸く敵と認識したのか、断ち切られずに残った羽の何枚かを 一方通行に向かって振り下ろそうとする。 「はっ、遅っせェンだよォォ!!」 それに対し一方通行はベクトルを操作、圧縮させた空気の一部を叩きつける。 その暴風を受けて動きが止まった防衛プログラムに対し、一方通行が頭上に圧縮した空気の中心点にあるプラズマをぶち当てた。 閃光が辺りを焼き、大音響が響き渡る。だが、それに伴う熱波や衝撃波すらベクトル操作されて攻撃と化し、ついにバリアの二層 目が消し飛ばされた! 「Aaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」 防衛プログラムが金切り声を上げる。 それを見たオルソラが声を張り上げる。 「次、神裂さんと御坂美琴さん!!」 その声を受けるのはいつの間に回り込んだのか、クレーターを挟んで一方通行たちとは真逆の位置にいる神裂達である。 「イギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』、神裂火織。魂に刻み込んだ名を、七天七刀と共に」 語りながら腰に差した大太刀の柄に右手を添え、左手は鯉口を切る。 「フェイクである『七閃』の奥に隠された、真の一刀を」 その彼女に対して未だ残る羽の残骸が襲い掛かる。周囲にある瓦礫を崩して神裂に当てようとする。 しかし、彼女が繰り出す鋼糸の『七閃』により悉く弾き飛ばされ、次いで裂帛の気合と共に彼女の魔法名が唱えられる。 「『救われぬ者に救いの手を(Salvere000)』!!」 宣誓と同時に膨れ上がった魔力と共に彼女の持つ真の奥義『唯閃』が戦場を奔り、防衛プログラムにぶち当たる。 一拍を置いた後に激しい震動と共にバリアの三層目が砕け散る! 「学園都市、レベル5、御坂美琴。いくわよ!!」 次に攻撃に出たのは美琴。その体からは周囲に紫電の火花が溢れている。 その音色が、重く鋭く変化していき、音階がどんどん上がっていき、それと共に上空には黒く重たい雷雲が立ち込める。 「貫け、雷刃!!」 音の変化が最高潮に達したとき、遂に美琴から雷撃の槍が発射される。 それが着弾したと同時に、天から今度は本物の雷が降り、防衛プログラムに直撃する。 ドォォン!! という腹の底を揺さぶる音が響き渡り、最後のバリアが破られる! 「Kyaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」 度重なる猛攻の直撃、バリアの無効化という事態に、防衛プログラムが絶叫を上げながら背中に残る羽、その一際太い二本を大き く振り上げる。 と、その二本の羽の間に青白い光が瞬き始め、見る間に光球が発生する。 「イギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』、シェリー=クロムウェル。砲撃なんか撃たせるもんかい!!」 それを見たシェリーが再び手に持つオイルパステルを再び振るう。 「『我が身の全ては亡き友のために(Intimus115)』――――。エリス!!」 先の多重召喚による作為的な崩壊とは違い、今度作り出すゴーレムは一体のみ。 その十メートルの巨体はたちどころに全身を形作ると両手を防衛プログラムに向かって突き出し、放電に似た現象を起こし始めた 羽を鷲掴みにする。 見る間にゴーレムの両手が崩れていくが、一時的に攻撃手段を封じられた防衛プログラムに対して更なる攻撃がなされる。 「インデックスさん!!」 オルソラの声に対してインデックスはその小さな口から言葉を紡いでいく。 「――――囁く声、噂の風よ、彼の者の心を暴き立て、その矛盾を糾弾せよ。――――『魔滅の声(シェオールフィア)』」 呪文が唱えられ、魔術が発動すると、ビクン!! と身じろぎする防衛プログラム。瘧にかかったかのように体を震わせていたが、 その体と翼のあちこちからスパークが起こり、いたる所で体が爆ぜる。 「Cuoooooooooooooooooo!!」 絶叫を上げながら体を崩壊させていく防衛プログラム。 しかし、ひとしきり爆発が収まった後に姿を現したのは今までよりも更に姿を変えたものだった。 頭はグラリと垂れ、半開きの唇からは半端に舌が飛び出している。見開かれた眼球は不規則に揺れ続け、涙と涎が混ざり合ってそ の胸元をベットリと濡らしていた。 「うわーーーー」 「な、何だか、もの凄いことになっているのでございますよー」 顔を顰める結標とオルソラ。 上空で監視している『アースラ』からも初春の通信が入る。 『やっぱり、並みの攻撃じゃ通じません! ダメージを入れた側から、再生されちゃいます!!』 しかし、地上で戦っている人間たちはそれでも逃げない。 「だが、攻撃は通っている。プラン変更は無しだよ」 咥えた煙草を揺らしながら言うと、ステイルは手に持つルーンのカードを目の前にかざす。 「いくぞ、『魔女狩りの王(イノケンテイウス)』。――――焼き尽くせ!!」 その命令に従ってヒトガタの炎が防衛プログラムに組み付き、燃え盛る我が身を使ってその体を拘束する。 「――――神裂がいて助かったよ。限られた時間と枚数でここまで火力が上げられたんだからね」 その言葉どおり、『魔女狩りの王(イノケンテイウス)』の姿は常のそれとは違い、炎の密度が違い、威圧感が違う。全身から放たれる熱波 は周囲の空気を歪め、その背中から巨大な翼が生えていると錯覚させるほどだ。 だが、それほどの熱量を持った攻撃を受け続けても、防衛プログラムは尚も稼動し続ける。 攻撃と再生を続ける『魔女狩りの王(イノケンテイウス)』なればこそ、その体を抑える付けることが出来ているが、それでは決定的では無い。 その身に『魔女狩りの王(イノケンテイウス)』を組み付かせたまま暴れようとする防衛プログラムを前にして、最後の三人が動く。 「いくぞォ、第三位ィ、白イのォ!」 「うん!」 「了解なんだよ!」 一方通行の呼びかけに応じる御坂美琴とインデックス。 一方通行はその場にしゃがむと無造作に右手を地面に突き入れ、アスファルトの塊を掴み取りながらその演算能力を行使する。 地球の自転エネルギーをベクトル変換しながら大きく振りかぶる――――、 「全開でいくぞォ! ――――『天体制御(アストロハインド)ォォォ――――」 御坂美琴は右手をポケットに突っ込むとそこからゲームセンターのコインを取り出す。 ただし、その数は通常の一枚限りではない。ポケットに残るコイン、その数七枚を右手に握り締めたまま叫ぶー―――、 「――――雷光一閃、――――『超電磁砲(レールガン)――――」 インデックスは暴れようともがく防衛プログラムを見ながら涙を滲ませて呟く。 「ごめんね……。お休み、なんだよ……」 その目に去来するのは如何なる思いか。 しかし、数瞬目を閉じ、迷いを振り切るように開くその瞳に映るのは決意の色。 「特定魔術『聖ジョージの聖域』の発動。――――現れよ、絶対なる守護者――――」 彼女の唱える呪文に呼応して目の前に二つの魔方陣が出現、そして、その二つの中心から空間を引き裂いて暗黒の闇が顔を覗かせる。 「――――『竜王の殺息(ドラゴン・ブレス)――――」 その亀裂の奥から『何か』が覗き込んで――――、 「――――ブレイカーーーーーー』!!」 「――――ブレイカーーーーーー』!!」 「――――ブレイカーーーーーー』!!」 三者の声が同時に響く。 そして、それぞれから自身が持つ最大の攻撃が放たれる。 一方通行からは天体運行のエネルギーを変換したベクトル攻撃が、 御坂美琴からは弾核を束ねたレールガンによる収束攻撃が、 インデックスからは蓄えられた魔道の書十万三千冊の知識全てを駆使した魔術攻撃が、 三方から防衛プログラムに向かい、直撃する。 瞬間、音が消えた。 別系統による同時多重一斉攻撃を受けた防衛プログラムが、今度こそ押し潰される! その外殻を構成していたプログラムが弾け飛び、中にあるコアが露出されるのを見た瞬間、オルソラが手に持つロープを勢い良く 投げつける。 如何なる魔術の働きによるものか、真っ直ぐにコアに向かって飛んでいくロープ。そして、 「本体コア、――――捕まえました、ですよ!」 ロープがコアを絡め取ると、すぐさま次の行動に入る結標淡希と白井黒子。 「長距離転送!」 「目標、上空三千メートル!」 共に大能力者である二人による一一次元計算式は直ぐに終了し、直ちに次なる手が打たれる。 「座標移動(ムーブポイント)!!」 「空間移動(テレポート)!!」 結標は手の軍用ライトを大きく振り上げ、白井はオルソラが飛ばしたロープの端を握り締めて同時に叫ぶ。 三人がかりによる強制転送により、防衛プログラムの本体コアが天高く飛ばされていく。 「コアの転送、来ます!」 上空で待機していた飛行船『アースラ』ブリッジ内に緊張が走る。 「転送されながら、外殻データを修復中。すごい速さです!」 次々と寄せられる報告を処理しながら、初春が指示を出す。 「『幻想殺し(イマジンブレイカー)』、射出バレル展開!」 飛行船の前面、その先端に突き出ていたパーツが真ん中から分離し、二つに離れていく。さらに、それぞれのパーツが伸張して 十メートルほどの滑走用レールが現れる。 「ファイヤリング・ロック・システム、オープンなのですよー」 命令する小萌先生の前に卓上のパネルが展開、無骨なスイッチがせり上がってくる。 「命中確認後、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』を安全圏にて回収します。準備をよろしくですー」 「「了解」」 全ての準備を整えた『アースラ』の前に、地上から転送された防衛プログラムの本体コアが現れる。 外殻データから剥き出しにされたコアが、その三角柱の身を回転させながら処理を行ない、元に戻ろうとしている。 「『幻想殺し(イマジンブレイカー)』、出撃!」 復元処理の為に動きが止まったそれに対して、遂に『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が出撃する。 それは、滑空用レールから勢い良く飛び出すと、空中で機動翼を展開、メインエンジンを吹かしてあっという間に距離を詰める。 その身に纏っているのは頭の上から足の先まで覆うスマートな黒の装束だが、唯一、右手だけが違っていた。 正確にはその肘より先、腕の中頃から先は一回り大きな機械に覆われている。 そうして飛来する『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が迫る時には何とか最低限の外殻データが修復し終わる本体コアは、己の手足だけ を武器にして迎え撃とうとする。 と、近づいてくる『幻想殺し(イマジンブレイカー)』の右手を覆う機械が勢い良く開き、そこから剥き出しの拳が姿を見せる。 「Aaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」 落下しながらも腕を振り上げ、叩きつけようとする。 対する『幻想殺し(イマジンブレイカー)』も右手を後ろに引いて構えながらその懐に飛び込んでいく。 突き出される拳と拳。互いの攻撃が相手に届いた瞬間、しかし、結果はあっけないものだった。 その右手が触れた瞬間防衛プログラムの腕は瞬時に消し飛び、それに驚いて目を見開いた顔面にそのままの勢いで拳が突き刺さる! そのまま外殻データをまとめて吹き飛ばした右手が本体コアに叩きつけられると、コアを形作っていた三角柱は霧散した。 「「「――――!!」」」 地上では、上空を見つめる実働メンバー。 「――――」 三沢塾では、『アースラ』からの映像を見つめるアウレオルス。 それぞれが、それぞれの胸の内に思いを抱きながら見つめている。 そして、観測班からの報告が寄せられる。 「効果空間内の物体、完全消滅! 再生反応、ありません!!」 「はいなのですー。準警戒態勢を維持、もうしばらく反応空域を観察しますよー。それと、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』ちゃんの回 収、よろしくなのですよー」 「了解! …………ふぅ」 まだ警戒中とはいえ、殆ど終わったようなものなので緊張を解いて大きく息を吐き出す初春。 地上に向けて通信を入れる。 『というわけで、現場の皆さん、お疲れ様でしたー。状況、無事に終了しました!』 その報告を聞いて安堵する一同。 「――――ふふっ」 「――――へへっ」 顔を見合わせて笑顔を浮かべ合う結標、白井、オルソラ。 ルーンのカードを操作し、『魔女狩りの王(イノケンテイウス)』が正常に終了されたことを確認するとそのまま懐から新しい煙草の箱を取 り出して早速一服し始める。 『この後、残骸の回収とか、市街地の修復とか色々ありますけど、皆さんは『アースラ』に戻って一休みして下さい』 大きく息を吐いてへたり込みそうになるアニェーゼ。 まだ警戒は解いていないが、それでも緊張を和らげる神裂とシェリー。 そして、美琴とインデックスは手を打ち合い、一方通行は差し出された手を見て鼻で笑ってインデックスに飛び掛られ、それを見 る美琴は呆れ返っていた。 「――――アァ、そオいやァ市街地にイた一般人はどオなったんだァ?」 ふと気付いた様子の一方通行からの質問に、情報を検索した初春からの返答がすぐさま返ってくる。 『被害が酷い場所以外の封鎖は解除されていますので、元いた場所に戻れると思いますよ』 「ふン、そォかイ」 首をぐるぐると回しながら気の無い相槌を打つ一方通行。既にその関心は別の事へと向いているようである。 「――――えっと、ステイル、さん? お、お疲れ様……」 「――――ああ、とっさの申し出にも良く応えてくれたね。ありがとう、御坂美琴、さん」 異なる世界に属する者同士の間でも事態の終息、といった空気が流れる中、 「インデックス!?」 「インデックスさん!?」 突然響き渡る悲鳴。 皆の視線が集まるそこには、突然倒れたインデックスを抱きかかえる神裂火織とそこに心配そうに詰め寄るアニェーゼとオルソラ の姿だった。 「インデックス! インデックス! インデックス!! インデックスゥゥゥゥ!!!」 突然の出来事に皆が呆然とする中、アニェーゼの悲痛な叫び声だけが無残にも響き渡っていた……。 「…………白イ、の?」 ~to be continued~ ~~♪~~♪~~~ そして、禁書目録事件が終わりを迎えます。 出会ったヤツ、触れ合ったヤツ等皆に、笑顔と感謝を。 それから、旅立ちと、別れと。 新しい道を進むとき――。 次回、魔砲少女リリカル・カナミンA‘s 最終話 「スタンバイ・レディ」 ――終わりじゃなくて、きっと、始まりなんだよォ――。
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【種別】 人名 【初出】 十五巻 とある科学の超電磁砲 第八十二話扉絵で本名・能力が判明 【CV】 広瀬裕也 【解説】 暗部組織『スクール』所属の能力者。 能力は大能力(レベル4)の念動能力(サイコキネシス)だが、 本人は超能力(レベル5)相当だと考えており、格付けに不満を抱いている。 360度にプラグが挿してあり無数のケーブルを腰の機械に繋げている、 土星の輪のように頭全体を覆う特殊ゴーグル(ヘッドギア)が特徴。 このゴーグルは情報の分析・抜き取り・転写が可能な上、 能力のスイッチの役目も果たしている、地味に高機能なもの。 彼は通常の念動力の他、このゴーグルを精神的スイッチにすることで、 念動力を応用して発火・透明化・無音化・電子操作などの多彩な力を包括的に扱う事ができる。 作中では、護送中の人材派遣(マネジメント)を襲撃し殺害。 その後、第一八学区の素粒子工学研究所における『アイテム』との戦闘において、 おそらく麦野沈利によって殺害された。 麦野が持っていた、彼が身に着けていたと思われる特殊ゴーグルから伸びるケーブルは途中で千切れ、 ゴーグルには血がべっとりと付着していた。 「超電磁砲」第八十二話扉絵では彼が『スクール』に所属するまでの経緯が明かされている。 それによると、かつて超能力者(レベル5)を目指そうと、 「汎用性でキャラがかぶる(原文ママ)」垣根帝督に下克上を挑むも返り討ちに遭い、その際懐柔されて『スクール』入りした。 その際、垣根から何らかのトラウマを植え付けられたようで、 私怨に駆られる弓箭猟虎を黙らせた垣根の威圧を目の当たりにして、トイレに駆け込み嘔吐していた。 「未元物質」でも吐いていることから余程のしっぺ返しをもらったようである 【口調】 心理定規や垣根帝督に対しては「~っス」と話す。下部組織の人間に対してや、心理描写では冷静な口調。 「それは確かな筋の情報なんスか?」「・・・悪い癖が出てないといいっスけど」 「・・・仕方ない あの女を向かわせるか」 【備考】 初登場から実に八年もの間本名不明だったため、ファンからは「ゴーグルの少年」と通称されていた。 アニメ『禁書目録Ⅲ』には声なしで登場。 原作十五巻中では一言しか話していないことから、台詞がカットされた。 そのためCV付きで登場したのはアニメ『超電磁砲T』第1話が最初となった。 また、原作ではヘッドギアは「腰の機械にケーブルで繋がっている」と描写されていたが、 アニメでは腰の機械が一切描かれず、ケーブルが足元の高さまで垂れ下がっているのみとなっている。
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【種別】 霊装 【元ネタ】 北欧神話に登場する、同名の魔剣(杖)から。 Wikipedia「レーヴァテイン」 【初出】 とある魔術の禁書目録SS第三話 【解説】 リチャード=ブレイブが所持している、主神の槍と並ぶ北欧神話最強クラスの武具の名を冠した霊装。 もちろん霊装(レプリカ)であり本物ではない。 形状はルーン文字が刻まれた西洋剣。 刻まれた文字は「sowulb」「gebo」「kenez」「ansuz」「laguz」「uruz」などが確認でき、 文字列を強引に読むと「sgkalu」(スグクアンウ)、『魔術を使って太陽を得た松明』という意味を持つ。 剣をベースにしているが、リチャード自身は神話になぞらえて「剣」ではなく「枝」と呼ぶ。 全てを焼き尽くすという神話を再現しているのか、 この霊装を振るうことで起こされる炎は、本来燃えないはずのものまで可燃物のように燃焼させる。 作中ではアスファルトやコンクリートのような不燃物を始め、 ステイルの放った魔術の「炎」や「暴風」、湖の「水」まで燃焼させた。 (水は蒸発して水蒸気にならず、水のまま燃えてしまう) そのためあらゆる防御は意味をなさず、炎に触れずとも撒き散らされる火の粉に触れただけで即死する。 ただし本当にあらゆるものを燃焼させるため、意図せず危険なものを燃やしてしまい自爆する危険性もある。 例えばステイルは大量の「水蒸気」を燃やさせることで水蒸気爆発を誘発し、反撃を見舞った(撃破には至らなかったが)。 特性上、燃焼にかかる時間は材質に関わらず常に一定で、灰や骨なども焼き尽くすため、燃焼後に燃え滓は残らない。 その威力の秘密はビタミンB2で標的に刻印した、 「木材(eihwaz)」「白樺(berkana)」「干草(wunjo)」などのルーン。 それらを別途用意した霧吹き等でスタンプのように刻むことで、 どんな物質でも「極端に燃焼しやすく」し、 そこに着火させることであたかも万物を焼き尽せるかのように装っていた。 霊装自体は炎を発生させる以外にも、 「不可視の塗料を用いて記されたルーンを紫外線で照らし出し、起動させる端末」の役目を持つ。 なお、「sgkalu」のルーンが用いられているのは、 あくまで「紫外線によってビタミンB2の刻印を適時浮かび上がらせる」ためであり、 「sgkalu」の文字自体には炎の威力を上げるような効果は無い。 リチャードが自身の全てを賭けていたほど強力な霊装だが、 ルーン印可に用いるビタミンB2の仕組みが「科学サイドの領分を侵した」と見なされ、 イギリス清教上層部から『条約』違反として処分対象となってしまう。 この事が彼がイギリス清教を離反する原因となった。