約 644,325 件
https://w.atwiki.jp/prememo_2ch/pages/20.html
正確には「プレシャスメモリーズ -Precious Memories- Wiki」。 プレシャスメモリーズのWikiである。 http //www37.atwiki.jp/preciousmemories/ カードの効果を記載し、それについて閲覧者が自由にコメントできることから人気は高い。 だが、稀に「~は4枚必須である」や「(色や作品が異なるのに)~の上位互換である」など支離滅裂なコメントもあるので注意。 「プレメモ購買」というページはアフィリエイトが導入されていることもあり、時に非難されることがある。 なお、管理人は本スレ民である。
https://w.atwiki.jp/yuri48moe/pages/50.html
出典:AKB48で百合萌えPart2 レス:862-864 久しぶりに足を踏み入れたグラウンドの脇、その木は相変わらず風に揺られていた まだ3月なのに満開に近いくらい咲き乱れた花びらが、ふわり浮いて鼻先を掠める 私がこの街を離れてから、もう五年も経っているのに、あの日一緒の帰り道での約束を忘れた日は無かった 「やっと折り返し、か」 十年後の3月31日、15時にグラウンドの桜の木の下――――― 自分で言った約束をなぞるように頭の中で唱える 正しくは、まだ五年しか経ってない、だった あの約束までは、あと五年も残っている 少しフライングしすぎたか、と空を仰ぐとより一層強い風が吹いて花びらを巻き上げながら去って行く すぐそばのブランコが揺れて、錆びた鎖がギイギイ鳴いた 学校の周りの景色は変わっていたけど、一歩門をくぐればすぐに私はタイムスリップした あの日聞こえていた野球部の掛け声も聞こえない、夕暮れに染まっていた空の色も全然違う、けど あの自転車置き場に行けば彼女が私の自転車のそばで待ってる気がして 覗いた場所には彼女も自転車すらも無かったけど 踏みつける砂利の音すら懐かしくてくすぐったい笑顔が零れた すぐそばまで近づいた桜の木は、最後に見た時より太く大きくなっている気がした あまり服が汚れなさそうな所に背中を預けて、校舎の時計は15時11分を指していた …今日で最後ですね 不意に耳の奥から聞こえる声に、意味もなくあたりを見回す 当たり前のように人気はなく、錆びた金網が私たちを囲むように並んで あの日、彼女に踏み出せなかった私を嘲笑うかのように小さく軋んだ 「今頃何してんだろ」 私がこの街を離れる日、一緒に帰った彼女は、ずっと泣きそうな顔をしていて 夕焼けのせいにしようと太陽を見つめては俯いていた その理由が分からない程、私も馬鹿ではない 自転車置き場で待っていた理由も 突然返されたCDの意味も 切なさを押し殺しての笑顔も 私は、分かってた 「好き、だったから」 あの帰り道、お互い自分の感情と戦いながらの通学路で 結局理性が勝ってしまった私たちは、まだ先輩と後輩のままだった 本当に、タイムスリップ出来たなら、私はきっと出会う前に戻るんだろう 私の横で金網が大きく軋んで不愉快に音を立てる 怪訝な顔でそちらを見やると、何もかもが五年前に引きずり込まれた 締め付けられる胸はあの日より苦しくて 軽い目眩すら覚えてしまいそうだった 風に舞う花びらの幕の向こう、人気のない道路で 「せ、んぱい」 変わってない呼び方は、私たちの距離を示していた もし、もし出会わなければ あの日も、そして今日も 「明日香…」 こんなに切ない顔をする彼女を見ずに済んだのに 呟いた名前に、金網の外の彼女はまた俯いた もう一度呼ぼうと息を吸ったけど、上手く声にして吐き出す事が出来ない 校舎の時計はもう、15時30分を過ぎていて空の色がほんの僅かにあの夕暮れへと近づく ゆっくりと彼女の方へ、顔を上げて目が会えばやっぱり眩しい振りして眉間に皺をよせる 車が彼女の後ろを通り過ぎて、未だ黒い髪が宙に浮く 触れようの伸ばした人差し指に、一つ花びらが舞い降りた 「まだ、五年しか経ってないですよ」 「それくらい分かってるよ」 網目から二本だけ通した指に、恐る恐る彼女が触れる 季節のせいか、他の理由か、そこはすぐに熱を持って指先が脈打った もしかしたら、今この指を絡めて歩く相手がいるのかもしれない もしかしたら、零れ落ちそうな涙を拭いてくれる人がいるのかもしれない もしかしたら、私への思いなんてとっくの昔に燃え尽きているのかもしれない それでも、私は彼女がずっと 「明日香」 「い、わないで下さい」 「私も、好きだった」 彼女の涙に、短い指はもちろん届かなかった 靴の先への小さな衝撃に、私も泣いていると気付かされた 春の陽気にこの涙は冷たくて、拭った指先から彼女の熱はすぐに消えた また一層強く吹き付ける風、桃色のかけらの中辺りを見回すと、遠くに見える自転車置き場 私の赤い自転車は置かれてないけど、まだ彼女が待っているような気がして その先に、あの日と同じ帰り道は用意されているだろうか 思い出に忘れて来たものを取りに行こうと、自転車置き場へ歩き出す カシャン、と鳴った金網に、涙を一粒噛み殺して振り返った 「明日香」 呟いた名前に、金網の外の彼女は俯かなかった ざわめく桜の木がじわりと歪んで、視界がほぼ桃色に染まる もしかしたら、私への思いなんてとっくの昔に燃え尽きているのかもしれない、だけど 「一緒に帰ろ」 「…はい」 私はずっと、彼女が愛しかった END
https://w.atwiki.jp/yuri48moe/pages/29.html
出典:AKB48で百合萌え レス:843-846 緩いエアコンの風に部屋が包まれる さっきから漫画ばっかり読んでるぽっちゃんの髪がたまに揺れて何だか面白い 携帯越しに盗み見る俯きがちの顔は何かに熱中する子供そのもので 新刊が出たからと漫画を渡した事を少しだけ後悔した 小さい機械音と私が押すボタンの音のみが行き来する部屋 ベッドの上と部屋の中心の丸机、距離にしてにめーとるとちょっと その間に会話なんて勿論ない訳で、珍しく退屈を味わっている私 全く気付かず読み続けているぽっちゃん 少し喉が乾燥し始めて何かしら水分が欲しくなってきた しかし一歩部屋を出ればそこは11月も中旬のフローリング、その上現在21時 おーおーさむいさむい、と縮こまる自分が安易に頭に浮かんだので諦める事にした ぽっちゃんがあったかいココアでも買って来てくれればなぁ いや、むしろ私をほったらかしなんだから買ってくれなきゃ割に合わない おつかいに行かせようそうしよう なんて意地悪考えて、ぽっちゃんの方にキチンとむき直す ベッドが軋んだのとぽっちゃんが漫画を閉じたのは同時だった 「お散歩行こ」 「は?」 口を開いたのは、僅かにぽっちゃんのが先で あまりにも突拍子もなく言われた外出希望にさっきの私が頭の中リピートする 何言ってんの、絶対寒いって 「今から?」 「うん」 「絶対今から?」 「うん」 こうなると私が折れるしかないのが悔しい 良く年上に見られる癖に時折ずっと年下みたいな頑固さと意地っ張り なんだかんだ言いながらそれに毎回乗る私も一つの原因だろうか 今出来る限りの厚着をしていざ部屋を出る、まだ外じゃないのにもう部屋に戻りたいくらいだった そんな事お構いなしにどんどん進むぽっちゃんはもうスニーカーを履いて準備万端 いよいよ本格的に諦めて私もブーツを履く、開きかけた玄関から入り込む風は何年経っても容赦ない 「うっわ寒っ!!」 「だからやだったのにー」 「いーじゃんいーじゃん」 大袈裟に寒がったあと二人で一緒に歩き出す 街灯に照らされながら吐き出す息はうっすら白く染まってすぐ風にさらわれて それを面白がって何度もハッハッて息を吐くぽっちゃんがホントに子供みたいで可愛くて 道路に二人分の靴音、私の笑い声、ぽっちゃんの息、時々車のエンジン音 少し風が強く吹く度に口元までマフラーに埋めた 手袋を忘れたのでコート中に両手を隠して未だはしゃいでいる元気すぎるゲンキングの半歩後ろを歩く 等間隔で並ぶ街灯の光を不意に乱す別の光 色とりどりのサンプルが並ぶ自動販売機が仲良く二台 二台もあればさっき飲みたかったココアだって二種類もある訳で あ、でも駄目だ 私が財布を忘れたのとぽっちゃんがそれの存在に気付いたのは同時だった 「お、明日香ココア飲もーよ」 「私財布ないもん」 「いーからいーから」 いつの間にかぽっちゃんのポケットから五百円玉 ガシャンガシャンと落ちてきたココア二本、一本はもちろん私に手渡される 久しぶりに外の空気に触れた掌が冷たく鳴る前に受け取った 「ありがと」 「どういたしまして」 「あーあったかーい」 そーだねーってほっぺにココアをあてて笑うぽっちゃん、見事にそこだけ赤くなって私も笑った 一口飲むために視線を上げた時、夜空にぽっかり空いた穴に初めて気付く 空自体久しぶりに見上げたのに、その時が満月なんて少しロマンチックかな、とか考えながら ちょっぴり減ったココアを両手で包んだまま餅つくうさぎに見とれていた 「やっと気付いた?」 「満月?」 「うん、綺麗だから外で見たくて」 漫画ばっかり読んでたのにいつ気付いたんだろう、それ以前にカーテン閉めてたし まあ考えても仕方ないか、ともう一度ココアを飲んだ あったまった?の問いに頷くとぽっちゃんは帰ろっかと私の手を取り歩き出す さっきまでココアを持っていた掌同士は当たり前だけど暑いくらいにあったかい ゆっくり歩く私よりちょっと高い横顔は少しドキドキするくらい大人びてて いつもならブンブン振り回す手はゆっくり指先を絡め始めた あ、そーか 「ぽっちゃん」 「ん?」 「手繋ぎたかっただけでしょ」 「なんだよバレてんじゃーん」 途端にブンブン振り回される掌、単純で分かりやすくて それに合わせて私もブンブン手を振った 道路には二人分の靴音、二人の笑い声、遠くから聞こえるエンジン音 ぽかぽかあったかい両手、やっぱり少し寒い風、家まで後10分ちょっと 月明かりがふんわり私達に落ちる END
https://w.atwiki.jp/yuri48moe/pages/36.html
出典:AKB48で百合萌えPart2 レス:102-104 ノースリーブスでの活動が忙しくてなかなかりなてぃんに会えてない。 寂しいなんて思ってたら電話が…。 「今度お弁当持ってドラマの撮影見学しに行ってもいい?」 りなてぃんのお弁当美味しいから大好き。 「いいよ。楽しみにしてる。」 って言ったものの、レイとのキスシーンが。 オンエアで見られてしまうのは仕方ないけどやっぱり見られたくない。 他の女とキスするとこなんて。 だからと言ってキスシーンあるなんて言えないし。 複雑だ…。 男装した姿を見て「くすっ」と笑うりなてぃん。 「何かおかしい?」 「だって…似合いすぎて…」 「そうかな?」 そんなやりとりを遠くで見てるこじはるとみぃちゃんがクスクス笑う。 「たかみな男のほうがいいよ~」 なんてみぃちゃんが言うから、またりなてぃんが笑う。 「男だったら…りなてぃんと…」 「え?」 「なんでもない…撮影始まるからまた」 気持ちを切り替えてレイとのシーンにのぞんだ。 これからキスシーンだってことすっかり忘れてた。 必要以上にドキドキする。レイに対してじゃなく、りなてぃんに見られてるということに対して。 お願いだから見ないでいてほしい、そう願ってた。 するとりなてぃんは仕事の電話でその場を離れた。 運よくキスシーンは見られなかった。 「今日は一発オッケーだったね」 「そうですね」 そういえばいつもは緊張しちゃってNGばかりだ。レイはちょっと不服そうだった。 「あ~撮影疲れたよ。今日はもう終わりだから帰ろう」 撮影終わるの最後まで待っててくれてた。 「たかみな~キスシーンどうだった?」 あ…何で今そんなこと言うの?りなてぃんに知られてなかったのに…。 わざとなのか? 「ん?あ~」 言葉を濁した、りなてぃんの顔が見れなくなる。 こじはるの意地悪…ちょっと泣きたくなった。 「え?キスシーンなんてあったの?」 頭の中が真っ白になるりなてぃん。 「ごめん…何も言ってなくて…」 気まずい空気の中2人で帰る。 「仕事なのはわかるけど、やっぱり嫉妬しちゃうよ…」 「ごめん…」 「好きだから嫉妬しちゃうの」 涙目になるりなてぃん。 「愛してる…りなだけを愛してる…」 唇を重ねたぎゅっと抱きしめた。 抱きしめたつもりがりなてぃんに包み込まれてる。 この感触がすごく好きでずっと一緒にいたいって思った。 男だったらって思うのはやめた… だってりなてぃんは今の私を好きでいてくれてるから。 頑張りすぎてダメになりそうなときは優しく包み込んでいて。 りなてぃんのことは私が支えるから。
https://w.atwiki.jp/yuri48moe/pages/24.html
出典:AKB48で百合萌え レス:716-717 「遊ぼう」って言った張本人がなんで寝ちゃってるんだよー おーい渡辺さぁーん?って起きるわけないか…… 時は早いもので、ついこの間夏休みが始まったと思えば、もう10月になってて… 外を歩くには薄着じゃ少し肌寒い。 そんな中その格好で眠れる人を尊敬するよ、麻友……。 寒いだろうなと思って一応薄めの毛布を掛けておいた。 (こんな華奢な体でよく倒れないよなぁ……) いつも見ているはずなのに、今日のこの子の背中は余計に小さく感じた。 「いつもお疲れ様」 私は小さな背中にむかって呟いた。 その瞬間、「うぅーん」と小さな唸り声が聞こえ、華奢な体が起き上がった。 「…なっちゃん?」 不安そうな、でも少し眠そうな声で私を呼ぶ麻友に思わず笑みがこぼれそうになる。 「どうしたの麻友?」 返事を返すと、隣にいる小動物みたいな彼女は、安心したかのように私の手をそっと握った。 その可愛さは反則だよ。 少し照れたように俯く麻友が愛しくて愛しくて… 彼女の細い指に自分の指を絡ませた。 指先から伝わってくる麻友の体温が妙に心地よかった。 ――この幸せがずっと続くといいな…… END
https://w.atwiki.jp/yuri48moe/pages/59.html
出典:【外交】AKB48で百合萌えPart3【歓迎】 レス:243-255 高校三年の夏だった。 卒業まであと数ヶ月。受験は目前に控えている。 そんな大事な時期なのに、いまだダンスチームのリーダーとして活動する彼女。 中庭でメンバーとダンスしているところを幾度となく見かけたことがある。 彼女はいつも無駄に元気で騒がしくて。自分とは正反対。 同じクラスなのに、ほとんど話したことはない。 でも仲良くなるつもりなんかなかったし。 そもそも向こうは私のことなんて眼中にないだろう。 そう、思っていたのに。 某アイドルグループの歌とダンスを披露するという文化祭のイベント。 受験勉強が忙しいのに、なぜか参加することになってしまって。 断ろうと思えば断れたはずだ。それなのに私はそうしなかった。 戸惑いながらも周りの子たちと一緒になって練習を開始したのだ。 「…あ~、もう見てらんない。そこはそうじゃなくて…」 見よう見まねで踊っていた私たちに見かねて、彼女はやってきた。 そして文化祭当日に向けて、ダンスの特訓を引き受けたのだった。 それからの毎日は忙しかった。だって本番まで二週間しかない。 昼休みや放課後はみんなで集まって練習。帰宅後はその日覚えたことの復習。 受験勉強はまともにできなかったけど…たかが二週間だし、大丈夫だと思ってた。 それにこんな風に充実した毎日を送るのは初めてだったから。 それまでまともに話したことのなかった彼女と話せるようになって。 最初は名字で呼び合っていたけど、そのうち下の名前で呼び合うようになって。 びっくりするくらい、彼女はすんなりと私の中に入ってきた。 ダンスはなかなか覚えられなかったけど…。 私はそんな毎日に少し戸惑いながらも、心のどこかでは楽しさを感じていた。 けれど、あれは本番まで残り一週間という頃。 模擬試験を受けに来ていた私は絶望的な気持ちになっていた。 覚えていたはずの公式や、単語の意味、熟語を思い出せない。 一生懸命思い出そうとすればするほど焦って頭が真っ白になる。 今まで必死にやってきたはずなのに、どうして。 確かに最近いつも勉強する時間をダンスの練習に割いていたのは事実だ。 でも、たった一週間だし…。そこでふと思った。 この一週間、私はいったい何時間受験勉強したのだろう? あと一週間、私はいったい何時間受験勉強できるだろう? 私は怖くなった。たかが二週間じゃない。 姿の見えないライバル達に、二週間分もの差をつけられることになるんだ。 「敦子、おはよーっ!」 模擬試験の次の日。 暗い気持ちのまま登校した私の後ろから聞こえてきた元気な声。 振り向かなくても声の主が誰なのかすぐにわかった。 「あ…佐江ちゃん…おはよう」 「だーかーらっ、佐江でいいってば」 「あ、うん…」 「てかなんか暗いんだけど、どした?」 ん~?、と言いながら私の肩を抱き、顔を覗き込んでくる。 私は「てか近いよ」って、そう言おうと思ったのに。 彼女の視線が真っ直ぐすぎて、思わず私は言葉に詰まってしまった。 同時に肩に回された彼女の体温を急に意識してしまって、ますます言葉が出てこない。 「敦子?だいじょぶ?」 「え、あ、うん、大丈夫。昨日勉強頑張りすぎちゃって」 嘘だった。 昨日は勉強に全く身が入らなかった。ダンスの復習だってしていない。 ずっと胸の中がもやもやして、やろうと思っても何も手に付かなかったのだ。 「まぁじで~勉強しすぎだよ敦子はぁ~」 がしがしと頭を撫でられたかと思うと、突然彼女は笑いだして。 「ごめん思ったより髪型ぐちゃぐちゃになっちゃった」 「ええっ、ちょっと…」 「ごめんって。いま直すから」 そう言って、今度は優しく両手で髪の毛を梳かすように撫でられた。 …だからさ、近いんだって。私は妙に恥ずかしくなって俯いた。 今までまともに話したことなかったのに。 絶対仲良くなれないと思っていたのに。 こんな風に距離が近くなるなんて、想像すらしていなかった。 「よっしゃ、オッケ可愛い!じゃあ今日の練習も頑張ろうぜぃ」 「え……う、うん…」 彼女はなぜか照れくさそうに笑いながら、「先行ってんね」とその場を後にした。 「あっ…」 小心者の私は彼女に言い出せなかった。もう辞める、と。 だってそうしたら、彼女と接点がなくなってしまう。 同じクラスでも今まで話したことがほとんどなかったというのに。 …って、それがどうしたっていうんだよ…。 別に元に戻るだけじゃん。そうだよ…うん。 その日の放課後、しょうがなく練習に向かう。 だけど明らかに練習に身が入らなくて。帰宅後の勉強にも、やっぱり集中できなかった。 そんな私に、彼女は付きっきりで根気強く教えてくれた。 本番はどんどん迫ってくる。 それなのに一向にやる気を見せない私に、ついに彼女は切れた。 言われて当然だった。だってみんな真剣にやっている。 中途半端な気持ちなのは私だけだった。 でも今こんなことしてて、いったい何が残る? 内申が上がるとか、いい大学に入れるとでも言うの? …私、間違ってないよね。 だって、こんなことより受験のほうが大事じゃん。 みんな結局、受験から逃げてるだけなんじゃないの? 頭に血がのぼって、気づいたら私は思い切り彼女の頬を叩いていた。 彼女もカチンときたのか、やり返してくる。 取っ組み合いになったところをみんなに止められて、無言のまま彼女と視線がぶつかる。 そして、私は逃げ出すようにその場を後にした。 それからまともに彼女と話すこともなく、ついに文化祭当日を迎えた。 私は校内を一人で歩いていた。 どのクラスも飾り付けがすごい。凝ってるっていうか…女子高だからかな。 冷めた目でぼんやりと見つめながら、私は人が少ない場所を求めて歩き続けていた。 途中で一人の女の子とぶつかった。 あれは確か…イベントのメンバーの子だ。私に声をかけてきた内の一人。 すごく急いでいたようで、私に気づくことなく「すいません」とその場を走り去った。 携帯で時間を確認する。もうすぐイベント開始の時間だった。 胸の奥がちくりと痛んだのは…気のせいだ、きっと。 その後も歩き続けて、私は周りに人がいない非常階段に腰を下ろした。 騒がしいところにいると、惨めな気持ちになってしまって。 だから一人になりたいところを探してここに来た。 それなのに、一人になったら彼女のことを思い出してしまう。 ―みんなで一つの作品を作りたいから― あの時の彼女の言葉。真剣さが痛いくらい伝わってきた。 それなのに私は…逃げ出した。 受験を言い訳にして、しかも彼女に「まじめに教えてるのか」なんて言い放って。 「…最悪じゃん」 一人呟き、溜息をつきながら膝に顔を埋めた。 イベントに参加することになったとき、なんで断らなかったのかというと…。 …わくわくしたんだ、すごく。楽しそうだなって、そう思ったんだ。 高校三年のこの時期になってこんな体験ができるなんて思ってなかったから。 そして途中から彼女が参加することになって。 気軽に話しかけてきてくれる彼女に戸惑いながら、本当は嬉しかったんだ。 あたしは彼女に対してずっと冷めたふりをしていたけれど…。 本当はずっと、気になって、気になってしょうがなかったんだよ。 みんなより覚えるのが遅い私に、彼女は一生懸命教えてくれた。 太陽みたいな笑顔で、みんなを盛り上げてくれた。 私にないものをたくさん持っている彼女が、私にはすごく眩しかった。 眩しすぎて…私とは違いすぎて…。 幾度目かの溜息をついたとき、手に持ったままだった携帯が震えた。 …彼女からのメールだった。ふと時間が目に入る。 イベント開始時刻ちょうどだった。 そんな忙しいときに、わざわざメールなんて…何が書かれているんだろう。 私が来なかったことに対して…だろうな。それしかないもん。 怖かったけど、思い切ってメールを開く。 「…あれ?」 文章は何もなかった。 拍子抜けしていると、画像が添付されていることに気づく。 そこにあったのはイベントメンバーみんなで撮った画像だった。 みんな笑顔だった。もちろん彼女も、私も。 その画像だけで彼女の言いたいことが全てわかって。 ずっともやもやしていた胸の中がすうっと晴れた気がした。 数秒見つめた後、私は自然と走り出していた。 走りながら思い出すのはやっぱり彼女の笑顔だった。 ステージに飛び上がる。 私を見て笑う彼女。それを見て私も自然と笑顔になる。 やらなきゃいけないことなんて、山ほどある。 こんなことしてたって、いい大学に入れるわけじゃないけど。 だけど、私の中には確かに残ったものがある。 そして新しく生まれようとしている気持ちも。 勉強だけの毎日よりも、ずっと楽しくなりそうな…。 そんな予感がした。 高校三年の夏だった。
https://w.atwiki.jp/hrhminnade/pages/13.html
投票開始 ∧∧ ミ _ ドスッ ( ,,)┌─┴┴─┐ / つ..投票開始 │ ~′ /´ └─┬┬─┘ ∪ ∪ ││ _ε3 ゛゛'゛' 投票終了 ∧∧ ミ _ ドスッ ( ,,)┌─┴┴─┐ / つ..投票終了 │ ~′ /´ └─┬┬─┘ ∪ ∪ ││ _ε3 ゛゛'゛' 受付中 . _ ∧,,∧ ┌─┴┴─と(・ω・` ) ..|.受 付 中.|` つC□ └─┬┬─┘( . ノ ││ `(ノ) '''''"""""~~'''''"""""~~'''''"""""~~ お、終わったようだ、留守番色々 (・ω・) (つc□ ∧_∧ ( ・ω・ )∫ //\ ̄ ̄旦\-(/※ \___\\\ ※ ※ ※ ※ヽ \`ー―――――ヽ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ∧_∧ ( ・ω・ ) ( ) / ̄ ̄ ̄(;;゚;;)./\ /..ノ|,,ノ|目_ / \ /... 、 ノ / / | ヽ ノ / (___ノ、 \ ノ  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ∧_∧ _∠(´・ω・)_ `ノ\  ̄ ̄ ̄ \ (\※\______\ .ヽ\※ ※_∧_∧※λ \`ーγh・ω・`)、※) ` ̄ゝソー|\ニニ\ ― | |==B=| / |\Ll@_、」 | | ̄ ̄) \L__(」 〃∩ ∧_∧ ♪ ⊂⌒( ・ω・) `ヽ_っ⌒/⌒c ⌒ ⌒ (´・ω・) ♪ (つ旦と) と_)_) / ズンズンズンズンズンズン♪\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | レヽ___________ ∧_∧ ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ( ´∀) / ̄ヽ (・∀・ ) < ( `つ 日 凸 ( つと )ヽ \_____________ (_ ⌒./ 凵ヽ | | | |ヽ.凸| | 「 (_/Y ヽ _(__) | |\| | ┗┳━| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| \|. │ | ┻\| .| \.| │
https://w.atwiki.jp/yuri48moe/pages/17.html
出典:AKB48で百合萌え レス:637-639 乗客十数人のバスの中、中途半端に真ん中の席で 意味もなく携帯の時間をチェックして、また意味もなく外を見渡す あと二つ先の停留所で、きっと彼女は待っている 少しでも早く辿り着きたい思いとは裏腹に、バスは週末の渋滞に巻き込まれているようで もしもし亀よと進むバスを、颯爽と追い越す自転車が恨めしい ――――――気持ち、聞かせてね 長袖に少し隠れた指が握る手紙、可愛らしいお菓子の柄の封筒 俗に言う”ラブレター”を、彼女から貰ってしまった 予想外のことすぎて、まさかの連続で 初めて気づいたまさかの両想いと、消極的だった自分への後悔 きっと彼女の気持ちがそうなる前から 私の気持ちなら決まっているのに もしかしたら二つ先の停留所で、時計を気にしながら 私を、私だけを待っている人がいるかも知れないのに ようやく見えた一つ目の停留所、まだまだ車の量は減る気配は無い 迷ってる暇はなく、むしろ迷う前に体は動いていて 鞄に大切にしまった手紙、立ち上がれば乗客の意識が一瞬こちらに向いた 適当に運転手さんに渡した500円玉、お釣りなんて声は聞こえていなかった 走るんだ、全速力で あまり運動神経には自信がない、それでも小さな体はどんどん車を追い越して行く 夕焼けに照らされて影は私より常に3歩先を走っていた それがもどかしくて追いつこうと必死になればなるほど、彼女への愛しさが大きくなって 赤信号に制され立ち止まれば、息する度に脈打つ鼓動 空を仰げば心地よい風が首筋を撫でた 深呼吸を一つして青色に変わる信号、また一目散に駆け出して 止まることを忘れた足と、爆発しそうな心臓 いっそ風になって彼女のもとまで一直線に飛んで行ってしまいたかった T字路を曲がって翻るスカート、気にせずかけるラストスパート 下校途中であろう学生や、仕事終わりのスーツを何人も追い越して 人より少し低い位置の視界ははっきりと彼女を捉える 額の汗が涙のように頬を伝い落ちた時、彼女は私の存在に気づき手を振った 振り返す余裕もなく、走る速度を落としながら辿り着いた停留所 彼女の前で足を止めた2秒後、さっきまで乗っていたバスが到着した 一気に訪れた脱力感にもう一度空を仰ぐ 「来てくれたんだ」 「そりゃ、もちろん」 何処か安心したような声に目を合わせる そこには声とは裏腹に、いつもの彼女からはあまり見られない不安げな表情 「それで…手紙の返事だけど」 「うん」 乱れた呼吸を整えて深呼吸を二回 私たちの周りを何も気にせず通り過ぎていく人々 私も人の多さなど気にしていなかった この声は彼女にだけ届いてくれればそれでいい そんな不安そうな顔しなくても 気持ちなら決まっているのに 「私で良かったら、よろしくお願いします」 それはきっと、彼女にとってまさかの返事 予想外の出来事にこぼれた笑顔が、たまらなく愛しいと思った END
https://w.atwiki.jp/yuri48moe/pages/12.html
出典:AKB48で百合萌え レス:548-550 下校のチャイムが学校全体に響き渡る 一緒に帰ろう、そんな友達の誘いを適当にあしらって教室に一人溜め息一つ グラウンドから元気な野球部の声が聞こえ始めた頃、ようやく重い腰をあげた 爪先を軽く地面に叩きながら靴を履き、外に出れば逆に不安になるくらいの雲一つない曖昧な色の空 野球部は太陽に照らされ見えにくいボールを追っていた 一度深呼吸をして歩き出す、その先には自転車置き場 真っ先に一番隅を見れば、まだ赤色の可愛らしい自転車はそこにあった 意味もなく恐る恐る近づき、壁際にもたれる その後数分となく、その自転車の持ち主は現れた 「あ、くらもち?」 声の方向に顔を向ければヒラヒラ手を振りながら近づいてくる彼女 控えめに手を振り返せばライオンのあだ名に似つかわしくない笑顔で隣に並んだ 鞄から少しはみ出ている色紙は、きっとクラスメイトからの寄せ書きだろう そのまましばらく無言の状態が続く、少し空が橙に色付き始めた頃 「…今日で最後ですね」 そう、小さく呟くのがやっとだった 「って、言われてもそんな遠くないんだけどね」 前を向いたまま彼女もまた呟く 遠くを見ている横顔に、ここに来た目的を思い出した 今日で、最後、なんだ 私と彼女の時間は、今日で終わってしまう 距離は関係ない、彼女は明日から 明日から、私の前には居なくなる 先輩が好きでした――――― 最後に、一番伝えなくちゃいけないこと 鞄の紐を握り締めて、深めに息を吸えば ふいに彼女が振り向き、否応なしに視線が合わさり絡む 途端、風に吹かれたように胸の奥がざわめいた 喉の所で台詞が引っかかり、声を出すのすら困難になってしまった 捕まえられた瞳に、フラッシュバックにも似た感覚に襲われる 「くらもち?」 不思議そうに首を傾げる仕草が 時折照れくさそうに笑う表情が 柔らかい声で呼んでくれる名が 放課後にある二人きりの時間が 「せ、んぱい」 泣きそうになるくらい、愛しくて 光が反射するプールより、眩しくて 今なら言えるのに 今しか言えないのに 飲み込んだ言葉の代わりに、涙が溢れそうだった 夕焼けが眩しいフリをして俯く 結局言葉にならない想いが宙を舞い 先輩と後輩でしかなかった時間が、錆び付いた金網のように軋む 「どした?」 「ぁ、これ」 とっさに鞄から取り出した、借りっ放しだったCD 彼女は、貸した事すら忘れていたような顔でそれを受け取る 私も、思い出にこのまま持っておくつもりだったんだけど だけど 別に良かったのに、と笑って私の髪を撫でた 「ありがとね」 CDを鞄に入れると、いよいよ自転車を動かしこの場を後にしようと歩き出す まだ今日に縛られている足が、彼女へ、明日へと進む事を拒んでいた また一つ、思い出に大きな忘れ物をしてしまった気がした 先輩、と心が叫んだと思えば ふと自転車を押す体が止まり、振り返る 「明日香」 手招く彼女に引き寄せられるように体が動いた 初めてのその呼び名は、思っていたよりずっと鼓動を大きくさせる 赤らんだ顔とこらえた涙は夕焼けに混じって見えないはずだ 少しぼやけた視界に彼女の笑顔が浮かぶ 「一緒に帰ろ」 きっと最後の帰り道 切なさと心の中を気づかれないよう微笑んだ――――― END
https://w.atwiki.jp/yuri48moe/pages/15.html
出典:AKB48で百合萌え レス:583-585 公演前の騒がしい楽屋 それぞれ思い思いの行動をしていて統一感の欠片もない中 「さーやーかー」 間延びした気の抜ける呼び声 いい加減聞き慣れすぎた声の方向に体を向ければ 妙に嬉しそうに近づいてくるあまり変わらない身長の彼女 目線をギリギリ合わせず、座ったまま適当に返事をする 「どしたの?」 「じゃじゃーん!見て見て」 いつも通りやたら高いテンションで足元を指差す その足には昨日プレゼントしたばかりのピンクのブーツ 気に入ってくれたんだ… 自然と緩みそうになる口元を必死にこらえた 当の本人は何か言って欲しそうな瞳でこちらを見つめてくる こんな時は逆に言葉が邪魔をする もっと、伝えなくちゃいけないことがありそうで 訳の分からない思考回路が心を掻き乱す 「せっかくあげたんだから汚しちゃ駄目だよ」 「分かってますよーだ」 可愛くないな、あたし 何故か目を見るのが恥ずかしくなって前を向いた が、鏡越しにばっちり視線合ってしまう、これは予想外です そのままの状態が続く、なんだかもどかしくなって佐江の方をもう一度向いた 跳ねていた心臓を落ち着けるために深呼吸を一つ いつもは、佐江のペースに振り回されちゃうから 「何、そんな見つめて」 「べ、べーつーにー」 だからたまには、あたしが振り回してもいいと思うんだ 立ち上がれば、少し下から見上げられる 僅かになにかが崩れた気がした 大きめに一歩踏み出してお互いの距離はほぼゼロ 後ずさろうとするブーツは肩に置かれたあたしの手に制される 周りのメンバーは自分の事に忙しくてこちらなんか気にもしない 完全に佐江を、捕まえた 「そんなに人の事見てたら」 言いながら鼻先が付く寸前まで近付く 反射的に閉じられた瞳につい見とれる 数秒経って恐る恐る開かれる瞼はどこか不満げで それがなんだか可愛くて笑いながらまた椅子に座った 「チューでもすると思った?」 やっぱりあたし、可愛くない それでも意地悪な笑みが消えない中隣の椅子にちょっと乱暴に座る まっすぐ見つめられる、あたしにしか聞き取れないであろう声で 「…チューしてほしいと思った」 それは反則だろう宮澤さん 思わず胸を抑えそうになる、詰まった息をなんとか飲み込んだ 結局あたしは佐江の主導権を握れないらしい お互い示し合わせたように顔を近づける、鼻先を自然に交差させて 「楽屋だっつーの」 デコピンを一つお見舞いした END