約 5,047,566 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1103.html
武装神姫のリン 鳳凰杯篇 その5 あちらはマスター同士、こっちは神姫同士ということで私は部屋から逃げ出てしまったミカエルを追います。 互いに死力を尽くした(精神的に言えば彼女はもっと苦しかったと思います…)バトルの直後で"疲れ"が出ている頃。 それほど遠くには行けないと解っていてもミカエルとの距離が一向に縮まらないことでやはり私は焦りを感じてしまいます。 身体の状態など気にしないほど悲しみは彼女の心を支配しているはずです。 なぜなら、その悲しみは想像しただけでも恐ろしく神姫にとっての絶望そのものなのですから。 彼女をそのままで終わらせるのは"約束"をした仲の自分が許せない。だからこそ私ももう一度気を引き締めて必死に彼女を追います。 とその瞬間ミカエルが通路を横切ったスタッフにぶつかりました。 「うわ!」 その拍子にスタッフの持っていた工具箱。そこから無数の工具がバランスを崩し、ミカエルに向かって落ちていくのです。 ミカエルはぶつかった弾みで腰が抜けたのか、動きません。落ちてくる鉄塊を見上げることしかできないのです。 「届いて!」 私は渾身の力を込めてミカエルに向かって飛びかかります。 ほんの少しでも彼女の身体をかばう。もしくは押すだけで致命傷は避けられるはず。 自身の安全を優先するプログラムが動きを妨害しようとしますが、瞬時にそれを解除。 そうして…ミカエルの身体に私の手が… "ガシャン" そんな音を聞いたのを最後に、私の意識はそこでとぎれてしまったのです。 私が目を覚ましたのはそれから数時間後、会場に設営された神姫のメンテナンスを行う"救急救護室"のベッドの上でした。 「気分はどうだ?」 マスターがいつものように、でもやっぱり心配そうな瞳で声をかけてくれました。 「心配したんだからね~」 「寿命が縮みましたわ」 「…おかあさん、よかったぁ!!!」 花憐が飛びついてきます。どうやら家族全員に心配をさせたみたいで…そこでミカエルの無事が気になりました。 「マスター、ミカエルは?」 「ああ…」 みんなの表情がすこし曇ります、まさか… 「いや、リンが思っている様な最悪の事態にはならなかったんだけどな」 「なら…」 「記憶が…無くなってるんだ。」 その言葉を聞いた瞬間、私の"心"が痛みを感じました。 心の中に何かの間違いだとそれを拒絶する自分が居て、でも一方で現実を受け入れている冷静な自分も存在している… その2つがぶつかった様な、そんな感じでした。 「そんな…全て忘れてしまったのですか?」 「いや、自分の名前と事故の直前のこと。つまりリンが助けようとしてくれたことは覚えてるらしいんだけど他のことがさっぱりだ」 「自分のマスターが誰であったかさえも分からないのですね」 「…そういうことだ。」 「では、彼女はどうなるんでしょうか」 「引き取り手が無い場合は…施設行きだろうな」 「それも彼女にとっては悪いことではないと思うんだけどね…」 「茉莉の言うことも正論だと思いますが、でも!」 「リンの言いたいことは分かってるよ、あの子をティアみたいに引き取れって言うんだろ?」 「そこまで分かっているなら!」 私が次の言葉を発する前に救護室のドアが開かれた 「失礼します。」 それは映画やTVで見たことのあるSPそのままの人だった。 その人は、かけていたサングラスを外してお辞儀をしました。 「あんたは…」 「はい、鶴畑家の直属のSPを努めております。 岩原と申します。」 「何の用ですか?鶴は他のSPともあろう人が。」 茉莉もあの人を少々警戒しているようでした。 マスターも、茉莉も、もちろんティアも。時間が結構経ったとはいえあの騒動を皆忘れてないのです。 しかし岩原の口から出た言葉は意外なものでした。 「今回は、お願いがあってお伺いしたのです。」 「なに…?」 「ミカエル…彼女を引き取っていただきたいのです。」 「どういうことだ?」 「全ては、大紀様の願いです。大紀様は今までのことを反省しております。よほどあなたの説教が効いたのでしょう。」 コレにはみんなが驚きました。なんというか、あの人に対してはみんな「イヤミな金持ちのボンボン」というイメージしか無かったためにマスターの説教(まあ、これはマスターの癖というか性格なんでしょう。マスターは極上のお節介ですから。)を素直に聞くようには思えないのですが… 「あ、そういえば最後にそれらしいこと言ってたな。その後すぐにリンとミカエルが大変だって聞いて忘れかけてた。」 「亮輔、もしかしてすごいことしちゃったんじゃない?」 「…そうかも。」 「おとうさんすご~い」 花憐はマスターに飛びつきました。全く、この子は…とも思いつつ私マスターに抱きつければなぁなんて思ったり。 「大紀様は一からやり直そうと思っておいでです、そのためにもしミカエルが自分を認めてくれるのであればと最後の望みをかけておりましたがこのような事態になり…そして唯一残っている記憶に関連のある、あなたたちに彼女を任せたい。とおっしゃっています。」 「…話は分からなくもないのですが、ではなぜ本人が出てこないのかしら?」 そのことについてはちょっと気になっていましたが、その疑問をティアが岩原さんにぶつけました。 「もうしわけございません、先に仰っておくべきでした。 大紀様は「彼女への自分なりの償いだ」と仰いまして今までの武装データをディスクメディアにコピーする作業に没頭しております。そのディスクメディアはあなた様に渡すためとも仰っておりました。」 「で、自分の神姫はどうするんだよ」 「今までのように大量に起動させた中から能力だけで選ぶのではなく、自分で町を歩き、これだと思うパートナーを見つけるそうです。」 「今までのランクポイントは?」 「廃棄されると。」 「…なら、なおさらミカエルを受け取るわけには行かないな。」 マスターはそう岩原さんに告げます、それは私が今言おうか迷った言葉でした。 「なぜですか? 彼女にはあなた様の元で幸せになって欲しいと…それが」 「記憶が消えた…それがどうした。 外的損傷も無いし機能も正常。ならきっと思い出せる。そして全てを思い出した時にマスターが居なくてどうするんだ!」 「ですが…」 「とりあえす本人を連れてくるんだな」 マスターが岩原さんに食ってかかる寸前。 「その必要は、無い。」 鶴畑大紀がこの部屋に入ってくるなり、マスターの正面に立って言いました。 「あんた、さっきの話はつまり俺に"ミカエル"ともう一回最初からやれってことか」 「そうだ。それが一番、あの子にとって良いはずだ。」 「…」 鶴畑大紀は黙ったままどうするべきか考えているようでした。 そうして部屋野中は無音に、誰もが口を開けない…そんな中 「じゃあ、本人に決めてもらおうか」 急に茉莉が言い出したのでマスターも、ほかのみんなもびっくりしてしまいます。 「ああ、それが一番手っ取り早いかな」 「ですね。」 私もそれに賛同します。 そうしてミカエルが寝ている部屋に皆で行くことに。 記憶に残っている唯一の"知人"ということで最初に声をかけるのは私ということになりました。 眠っているミカエルのそばに寄り添い、優しく声をかけます。 「ミカエル、起きて。」 ゆっくりとミカエルのまぶたが開き、意識が覚醒していくのが分かりました。 「…リン」 「そう、リンです。あなたの友達の、リンです。」 「なんの、用?」 「それなんですが、あなたは私の子と以外を忘れていると聞きました。本当にそうですか?」 「…うん、何も思い出せない」 そうだと分かっていても本人から肯定の言葉を聞いたことでショックを受けました。でも私にはまだやるべきことが残っています。 「そうですか、私の家族や友達も来ているのですが、部屋に入ってもらってもいいですか?」 「うん、いいよ。リンの友達なら」 私の合図でマスター達が部屋に入ってきました。 「こんにちは、リンのマスターの藤堂亮輔です。よろしく。」 「私は亮輔の家族の茉莉、そしてこっちが」 「ティアですわ、よろしくおねがいしますわね。」 「花憐です~よろしくおねがいします~」 「あ、はい。よろしく」 ミカエルは一見すると感情が無いような、そんな目でマスター達の後ろにいる鶴畑大紀を見つめています。 彼女の反応次第でミカエルが私たちとともに来るのか、元のマスターの元へと戻るのかが決まるため、みんな固唾を飲んで見守っています。 1分ほど見つめた後、ミカエルの口が不意に開きました。 「そっちのお兄ちゃんたち…は、だれ?」 『やはりダメだったのか』そんな雰囲気が部屋中を覆おうとします。 しかしミカエルの言葉はまだ続いていました 「なんだか、見た目は怖いのになぜかお兄ちゃんのことが怖くないって分かる。後ろの男の人も。」 「…み、ミカエル。」 鶴畑大紀はその言葉に、人目もはばからずに目に涙を浮かべています。 なぜか後ろにいる岩原さんまでサングラスごしにハンカチを目尻に当てている。 「なあ、ミカエル。 俺と一緒にいてくれないか?」 「なんで?」 「えっと、俺が、一緒にいたい、から」 「…」 ミカエルは少々困った顔をして私に聞いてきます。 「私、どうしたらいいいんだろう?」 「ミカエルの思う通りにすればいいんですよ。」 「…わからないよ。そんなの~」 この状況は予想していませんでした、今のミカエルなら私が誘えば絶対に私たちについてきます。 でも、マスターがさっき言った様にそれはミカエルにとって最善のこととは思えないのです。だからこそ、心を鬼にして私は彼女を突き放します。 「…リン!?」 「世界はそこに生まれたモノを拒んだりしません、それは人、動物、神姫どれも同じです。だからあなたが望むままに生きて、そして自分で決断する勇気を持ってください。あの人について行くか否か。この選択はその最初の一歩です。どっちを選んでも誰もあなたを責めたりしません。だから。」 私は思いの丈を彼女にぶつけました。 あとは彼女次第です。私たちはミカエルの決断を待ちます。2分、3分、5分と時が過ぎて… 「決めた、私。そのお兄ちゃんと一緒に行く。」 「…ありがとう、ミカエル。」 その一言と同時に鶴畑大紀は泣き崩れ、岩原さんは彼を支えています。 そしてマスター達もミカエルがちゃんと決断できたことを喜んでいます。 「な、大丈夫だって言ったろ?」 「私が言い出さなかったら今日中にここまでいかなかったんじゃない?」 さりげなく茉莉がマスターにご褒美をねだっていますね、私には分かりますよ。だって家族ですから。 とりあえず、私もがんばったのでご褒美をもらっても良いはずです。だから私もさりげなく茉莉に便乗させてもらいます。 「茉莉、でもそれは私も考えてたのですが、突然茉莉が言ってしまってみんなをびっくりさせてのですよね…私は皆さんを動揺させずに言えるか結論をだした瞬間に」 「え!? ホント?」 「私は嘘は言いませんよ、ですよねマスター?」 「あ、ああ。ソウデスネ」 マスターはこの後の子とを考えて頭がフリーズしてしまったみたいですね。 今日の夕食とデザートは豪勢なものになる予感がします。 「あ~~~~~~~!!!!しまった!!」 突然マスターが大声を上げました。 何かだいじなことを忘れていたのかもしれない、それが致命的なことだったら…そんな怖気が身体を駆け巡り、私は強い声でマスターに聞いたのです。 「マスター!? なにが!?」 しかしマスターの表情はすぐさま軟らかい?というか負い目を感じてるようなものに変化。そして。 「リン、すまない。鳳凰杯の次の試合だったんだけど連絡もしてなくて棄権扱いになったw しかも連絡してないから俺のランクポイントが10減少っていうペナルティ付きでなorz」 こんな一言で返すのです。 そこで茉莉が思い出したように手をたたきました。 「あ~、あの放送ってやっぱり亮輔のこと呼んでたんだ」 「お姉様が心配するあまり、先にやるべきことを忘れてしまう…ご主人様の悪い癖ですわw」 「あ、そうか鳳凰杯の予選とミカエル戦でポイントは8稼いでたはず…マイナス2ポイントなら我慢できるな…」 「マスター、私はミカエルを救えただけで十分に満足です。ですから…今度からはそういうことは早く言ってくださいね。」 ミカエルに関することで無くて安心しつつも、こっちも十分に大事なことだったのでやんわりとマスターをしかってあげました。 そして私は茉莉にウィンクを。それで事情を察した茉莉も 「そうそう、ハッピーエンドってことでみんなでご飯食べに行きましょう~全部亮輔のおごりね」 「…ああ、ヨソウハツイテイマシタカラゴジユウニシテクダサイ」 準備を終えた鶴畑大紀の肩に乗っていたミカエルが私に声をかけました。 「リン、また遊んでね?」 「はい。ミカエルもお元気で。」 「うん、また。」 これは私とミカエルの始まり。そして 「今回は、世話になった。 いや。なりました。地道にがんばります。」 「ああ、がんばれよ、兄貴に負けるな。」 「でわ…」 マスターと鶴畑家との奇妙な関係の終わりであり、言い方を変えればこれも始まりかもしれません。 こんな感じでいつも通り、何かしらの騒動に巻き込まれてそれを解決(?)して私とマスター、そしてみんなの鳳凰杯は幕を閉じたのです。 マスターの財布の中身が一気に3桁台になるという悲劇?いや喜劇ですね。と一緒に… ~武装神姫のリン 鳳凰杯篇 Fin~
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2289.html
5th RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~4/4』 頑張ったのに報われない。 頑張ったから報われない。 『頑張る』 という言葉が肯定的だからこそ。 結果はただ、虚しさを残す。 その後。 エルとメル含む反過激派が過激派を沈静化し、混沌としていた神姫コーナーがひとまずの落ち着きを取り戻した。 散らかっていた神姫コーナーはあっという間に片付けられ、今は通常営業に戻っている。 売り子の神姫達が一体もいないことを除けば。 レミリアとフランドールは攻撃を受けた後、目を覚まさなかった。 それが一時的なものなのかそうでないのかは、店員に持ち去られた今となっては分からない。 二人は何を思って互いが動かなくなるほどの攻撃を放ったのだろうか。 言葉通り、フランドールに手を差し伸べようとしたのか。 言葉通り、レミリアへの劣等感に苛まれていたのか。 どれもこれも、やはり、二人がいない今となっては分からない。 ちなみに、姫乃の携帯電話も動かなくなってしまった。 こっちは期待の余地もなし。 電源ボタンを長押ししようが連打しようが、ウンともスンとも言わない。 「うぅぅ、買い換えたばっかりだったのに……」 レミリアは目を覚まさない、携帯は壊れる、泣きっ面に蜂で泣きべそをかく姫乃にとって今日は厄日だったのかもしれない。 神姫を買いに連れてきた手前、いささかの罪悪感があった。 「あ、あの……」 「うん?」 エスカレータ近くの休憩場所に設置されたベンチに座って姫乃を慰めていると、下の方向から声をかけられた。 なるほど、神姫を持つとこんな方向から話しかけられるのか、なんてどうでもいいことを考えながら、ベンチの上に立つエルとメルに目を向けた。 「ここにいていいのか? 事後処理だとか色々あるんだろ」 「私とメルは計画には加担しませんでしたから大丈夫です。 ――レミリア姉さんも、フランドール姉さんも、メルも、私も、お二人に助けられました」 ぺこり、と二人が頭を下げた。 「姉達は動かなくなっちゃったからさ、ボク達が二人の分もお礼を言うよ」 「……やめてくれ。 むしろ俺は謝らなきゃいけないんだ。 あの二人が動かなくなったのは俺の作戦のせいみたいなもんじゃないか」 もっと他にやりようがあったはずだ、なんて今更後悔したって二人が目を覚ますわけではない。 それでも頭の中ではずっと、後悔の念が反響して止まない。 こんなことになるのなら、俺が警備員や店員を突き飛ばしてでも、レミリアの意思を無視してでも、フランドールを無理矢理黙らせるくらいのことをすべきだった。 自惚れと言われようが、結果が悪いものであった以上、俺は何処かで間違えた。 俺が……彼女達を…… 「レミリア姉さんとフランドール姉さんを自分で殺してしまったようなものだ、なんて言わないで下さいよ。 二人ともきっと、あなたに感謝しています」 「レミ姉は友達を止めることができた。 フラン姉も、本当はレミ姉に自分を止めて欲しかったはずだよ」 「そんなこと――」 分かるはずがない、なんて、それこそ俺には分からないことだ。 エルとメル、姉を失った二人に八つ当たりをしようとした自分がたまらなく恥ずかしい。 「あの二人はいっつも言い争いばかりしてるけど、仕事が終わった後は必ず二人一緒にヂェリーを飲むんだ」 「…………」 「だからホラ、そんな辛気臭い顔してないでさ、今日はここに何を買いにきたのさ」 「あ、ああ……神姫を買いに来たんだ。 俺まだ自分の神姫持ってないんだよ」 俺が今日ヨドマルカメラを訪れた目的。 神姫の神姫による神姫のための春闘。 姫乃の “白” 。 神姫達の戦い。 いろいろな事があって忘れかけていたのだが、撹乱のためのホイホイさんを買った時に思い出した。 俺が神姫を買うと聞くや、エルとメルは何が嬉しいのか、手を取り合って飛び跳ねた。 その仲睦まじい二人に、レミリアとフランドールの影が重なったような気がした。 レミリアが戦った理由はきっと、フランドールを止めるためだけではなかった。 この二人を見ていると、そう思えてくる。 そんな考えも悪くないと思えるくらい、二人の仲の良さに元気付けられる自分がいた。 「ほらエル姉、言うなら今だよ。 さあさあさあさあ!」 「う、うん……あ、あの、そういえば、まだお二人の名前を聞いてませんでした」 「そういやそうだな。 俺は背比弧域。 んでこっちが」 「一ノ傘姫乃よ。 私はニーキっていうストラーフを持ってるわ。 エル、メル、改めてよろしくね」 「こちらこそです。 …………と、ところで背比さん、どの神姫を購入するのか、もう決めちゃってますか?」 「いや、まだだけど。 ここで現物見て選ぼうとしてたけどそれどころじゃなかったし」 第一候補にアーンヴァルを考えてはいたが、今はとてもじゃないがそんな気にはなれない。 ストラーフも同様だ(ニーキと被るのがイヤってのもあるが)。 マオチャオは論外。 ハウリンは貞方と被るからパス。 武士と騎士は……顔が濃い…… 「そ、それではですね、ア、ア、アル、」 「エル姉ファイト!」 「アル、ア、アルトレーネ型なんふぇろうれひょう!!」 なんてどうでしょう。 両拳にグッと力を入れたアルトレーネ型神姫エルは、噛みながらも早口で叫んだ。 それから一気に自分のことを捲くし立てるように話した。 「一ヶ月とちょっと前に “Dione Corporaton” から発売された最新の戦乙女型MMSなんです! 私のデザインは一般応募から練られたもので、見てください、この品の良いデザインと大人の魅力溢れるボディを!」 エルがそのご自慢のボディを強調するように胸を張り、俺の隣で姫乃がムスッとしたのが雰囲気で分かった。 「さらにですよ! アルトレーネ型専用の武装は “Arms in Pocket” という別の会社が開発してまして、フル装備するともう、戦乙女の名に恥じない戦いをご覧にいれちゃいます! だ、だから、その――」 「いいよいいよエル姉、あと一歩!」 「私を、エルをもらってくれませんか!」 「悪い。 金が無い」 「「まさかの金欠!」」 エルは膝と手をついてがっくりとうなだれ、コメディアン型神姫メルは完璧なフォームでヘッドスライディングを決めた。 ずっこけた、とも言う。 「お兄さん神姫買いに来たんじゃなかったの!? 何しにここに来たのさ! ほらエル姉も床にのの字なんて書いてないでなんとか言ってやりなよ!」 「いいんです……私なんて一生、ヂェリーの売り子がお似合いなんです……」 ここまで言わせておいて申し訳ないと思うが、先立つものがなければ話は始まらない。 「ほら、新型ってやっぱ高いだろ。 いろいろと最新の部品が使われてるらしいし、それに加えてさっきコイツ――」 鞄からところどころ破損したホイホイさんを取り出した。 内部に問題は無さそうだが、使おうとするならば腕などの修理が必要だ。 今思えば、陽動のために買ったってのも我ながら酷い話だと思う。 「――を買ったからな、もうどの神姫を買う金も残ってないんだ。 だからまた金を貯めるまで神姫はお預けだな」 しかしアルトレーネ型か……うん、悪くない選択のように思う。 ネットでどの神姫を購入しようか物色していたとき、アルトレーネ型が武装して剣を構えている動画を見たときは素直に 「かっこいい」 と思った。 今目の前にいるアルトレーネの哀愁漂う姿はともかく、武装も素体同様に白を基調としており、パーツの各所の機械をシールドするための青いクリアアーマーは全体のシルエットを引き締めて見せる。 素体とは別に第二の腕として取り付けられたアームパーツはレミリアが装備していたものとは違い素体の腕より一回り大きい程度だが、背丈ほどもある大剣を片手で軽々と扱っていた。 脚部も強化パーツが取り付けられ、羽のついたハイヒールはエルの言うとおり上品なイメージがある。 翼のような、鎧のような、腰を覆うスカートは変形自在らしく、背中に装備すればそのまま翼として機能し、空を飛ぶこともできるらしい。 個人的には、アームパーツを取り付けずにスカートパーツとレッグパーツだけを装備させている姿が一番グッときた。 肝心の素体のほうは口を “への字” に曲げた気難しそうな印象のある動画ばかりだったが、エルのどこか “ほんわか” とした雰囲気を見る限り悪い神姫ではなさそうだ。 いいところずくめ。 気に食わない部分が無い。 ここまで気に入ってアルトレーネ型を選ばない理由が無い。 ……値段を見るまでは、確かにそう思っていた。 「……次にお金が貯まるのはいつですか」 「さあ、どんなに早くても一ヶ月ってところか」 「一ヶ月!? そんなに待てません!」 そう言って飛び上がったエルは鼻息を荒くして (神姫って息するのか?) 勇み立った。 「じゃあ、じゃあ、もし私が背比さんでも買えちゃうくらい安かったら、私を買ってくれますか? 買ってくれますよね!」 「え? あ、ああ、うん」 強引さに押されてつい頷いてしまった。 悪い奴じゃなさそうだし、まあいいかな、とは思うが。 そもそもエルは売り物なのか? 「それでは、ちょっとお財布の中身を見せて下さい」 「え? あ、ああ、うん」 取り出した財布を奪い札の枚数を数えたエルは 「ふむふむ……それじゃ、ちょっと待ってて下さいね!」 と一人玩具コーナーへ走っていってしまった。 ぽかんとして見送る俺と姫乃の横でメルが、「エル姉、成長したんだね」 と訳知り顔で頷いている。 なんとなくエルがやりたい事は分かるが、そう簡単に上手くいくのか? 「こちらのお客様?」 「そうです! 私のことを買いたいと熱望されてるんです! それはもう熱すぎてやけどしそうなくらいです! 私もこの方にもらって欲しいんです!」 エルが連れてきたのは四十歳くらいの店員だった。 この人がエルとメルを世話しているのだろう。 「あー、はい。 このエルさんを是非頂きたいなあと」 熱望した覚えはないのだが、とりあえずエルに話を合わせておいた。 なんだか 「娘さんを僕に下さい!」 なんて挨拶に行ったような気分だ。 将来は一ノ傘家の大黒柱にこの台詞を……流石にまだ早いか。 「いやぁ、しかしですね、こちらの神姫はちょっとワタクシどものほうに仕事を持っておりまして、」 「大丈夫です! 私がいなくなっても、第二第三の私がまだ箱の中で眠っているんです。 私が出来たんですから、その子達もきっとすぐに仕事を覚えます!」 「それとこの神姫が店の情報を記録している可能性がありますので、」 「それも心配いりません! 私がしゃべらなければいいだけですから! それにこの方にマスター登録してもらいますから、どうせ悪いことは出来ません!」 「あーわかったからちょっと静かに。 こちらの神姫はしばらく働いていましたから新品よりも若干傷などがあって――」 「そこです! そこで提案があります!」 ズビシィ! と真犯人を宣言する名探偵のように、エルが店員を指差した。 さっきから俺が口を挟む余地がまったく無い。 「この際ですから、ヂェリーコーナーの神姫を新品にしませんか? この方に中古品の私とメルを買い取ってもらって、フレッシュなアルトレーネ型とアルトアイネス型に任せてみてはどうでしょう! うん、すごくいいアイデアだと思います!」 自分を中古呼ばわりするって、どんだけ捨て身なんだ。 というか、 「待て。 さすがに二人は――」 「もう私とメルに付属してたパーツなんてクレイドルくらいしか残ってませんし、しかも中古ですから、ここはズバッと半額でどうですか?」 ついに自分を値切り始めた。 しかも半額って……もう滅茶苦茶だ。 「弧域くん、この短い間に随分と懐かれたのね」 「あ、いや、これは不可抗力でだな」 「ふぅん、そんなに鼻の下を伸ばしておいて? 胸の大きな神姫は好き?」 「っ!?」 「冗談よ、もう」 冗談の割にはジト目がチクチクと突き刺さる。 だが姫乃は一つ勘違いをしている。 姫乃のそれは緩やかな曲線を描く美そのものだ。 不自然な流れの変化がなく、そこに僅かだが見え隠れする二十年の成長の証に触れることは適わない、そこに存在していることを認めるのは難しく、だがそれを認められないからこそ、その証の存在は一層引き立つこととなる。 そう、外面に一切の歪みを許さないそれは内面にメビウスリングのような矛盾を孕んでいるのだ。 にもかかわらず空間に占める割合を最小限に抑え、すなわち混沌を抑えこむ蓋の役割を果たし、我々にその蓋の中を想像させて飽きさせることがない。 そしてその蓋を開けることができるのは俺一人だということが、さらに想像に拍車を掛ける。 稀少価値、と言ってもいいかもしれない。 ステータス、と表現してもいいかもしれない。 これらの意味を含んだ混沌は加速の中にさらなる加速を生み、しかし時間の下で不変というその強固な外壁は不確かさを内包したまま、法則の中に確かな意味を持って存在しているのだ。 ――それはそれとして。 半額になったところで二人を買うとなると結局ひとり分の値段になってしまう。 「だから待てってエル。 半額でも二人は買えないっての。 さっき俺の財布見ただろ」 「え? …………あ」 本気でそのことに思い至らなかったらしい。 「じ、じゃ、じゃあさらに値引きして――」 「お客様、申し訳ありませんが、この神姫はこう言っておりますが、新型の神姫ですので半額というのはちょっと」 「あ、そこは分かってます」 「ですがこちらのアルトレーネ型だけでしたら、部品不完全の中古品となりますし、ここまでお客様に懐いておりますので、幾らかお勉強させて頂きますが、よろしいでしょうか」 「そ、そんな……」 「分かりました。 エルを引き取ります」 「ありがとうございます。 ですが今回はあくまて特例という形になりますので、くれぐれも他の方にはご内密にお願いします。 では少々お時間を頂けますでしょうか。 こちらの神姫はワタクシどもがマスター登録しておりまして、その変更に時間が掛かりますので」 そう言って店員さんがエルに手を伸ばそうとすると、 「メルと、離れ離れになってしまうんですか……」 気落ちする、なんて言葉が生やさしく聞こえるほど、エルは苦しそうにその言葉を呟いた。 店内に繰り返し流れ続けるヨドマルカメラの歌がどこか遠くから聞こえてくるかのようだ。 俺も、姫乃も、店員も、メルの気持ちに引き摺られるように黙り込んだ。 「……同じ場所で一緒に目覚めて、最初は私のことを認めてくれなくって、でもだんだん私のことを認めてくれるようになって、今では私のことをエル姉って呼んでくれて――」 「もういいよ、エル姉はよく頑張ったよ」 それまで黙っていたメルはエルに近づき、そっと腰に手を回した。 俯くエルを支えるように、エルより少しだけ背の低いメルは、姉を抱きしめる。 「ありがとう。 エル姉にそんなに思われてるだけでお腹いっぱいだよ。 でもエル姉はいいマスターに出会えたんだから、いつまでもボクなんかと一緒にいちゃ駄目だよ」 「で、でも」 「それに会いたくなったらいつでも会えるしさ、お兄さんにこっそり連れてきてもらえばいいんだから――だからほら、そんな泣きそうな顔しないでさ、目一杯喜ぼうよ!」 エルの顔は髪の影に隠れて見えない。 メルは本当に心の強い神姫だと思う。 人間ですらここまで強くなれる人はそういない。 エルとメル、二人が一緒に過ごした時間がどんなものだったか、俺には想像がつかない。 俺が二人を引き離すなんてことをしちゃいけないことくらい分かる。 いや、それは嘘にもならない嘘だ。 エルだけを引き取るような真似は、俺にはできない。 そんな強引な真似は、俺にはできない。 俺に力(主に財力)が無いばかりに、この姉妹はこんなにも苦しんでいるんだ。 姫乃はまた泣きそうになるのを必死で堪えている。 姫乃に金を借りるか? いや、それこそ論外だ。 泣き顔を他の誰にも見られないように抱きしめてやりたかったが、俺も姫乃につられて泣いてしまいそうなのを我慢するので精一杯だ。 店員も神妙な顔をして抱き合うエルとメルを見下ろしていた。 エスカレーター横の休憩場所。 この場に相応しくない陰鬱で沈鬱な空気に奇異の目を向ける買い物客と、それを遠巻きに見ている店員。 この救いようのない空気を――――唐突にやって来た間抜けな声が打ち破った。 「あれ、背比とイチカ、一ノ傘さ……どうしたんだ、ここだけ通夜みたいになってるぞ」 そして間抜けな顔をしてこっちに近づいてきた貞方はエルとメルを見て 「……マジでどんな状況だよ、これ」 本気で混乱していた。 「うるせぇ。 てめえ何しにここに来たんだよ」 「ヨドマルにフットサルしに来るバカが何処にいるんだっつーの。 ハナコの新しい武装買いに来た。 お前こそ何しに来たんだ? っつーか何やってんだ? このアルトレーネとアルトアイネス、お前とイチカササ……一ノ傘さんのか?」 「アルトレーネは俺の……になりかけてる。 今ちょっとこの二人の未来を案じてたんだよ」 今は忙しいから帰れ、と手でシッシッと追っ払ったのに、それを無視した貞方はさらにエルとメルを覗き込んだ。 さっきから姫乃の苗字を噛みやがってこのクソ野郎。 「ふうん。 アルトレーネは見たことあったけど、アルトアイネスは生で見るのは初めてだな」 突然の珍入者にジロジロと不躾な目で見られたメルはエルを抱きながら少し身を引いた。 「ネットで見るよりも、現物は可愛いんだな」 「んなっ!?」 「はきゃん!」 ボッ! と顔を赤くしたメルはエルを突き飛ばしてさらに飛びすさった。 「な、な、なななななななななななな!?」 「へえ、照れた顔はもっと可愛いじゃん! 写真取っ……ちゃ駄目だったな、店の中は」 そう言ってメルに手を伸ばしたが、メルはそれをぺしんと弾く。 それでも貞方は手を伸ばして、はたかれ、手を伸ばして、はたかれ、面白がって何度もそうしていた。 回を重ねるごとにはたく力が強くなっているが、可愛いとストレートに言われたのがそんなに嬉しかったのか、メルも満更でもなさそうだ。 ぺしんぺしんぺしんぺしんぺしんぺしんと、貞方がはたかれる小気味よい音がテンポ良く響く。 出会ってまだ一分程度なのに、二人の息はぴったり合っていた。 「決めた。 俺、このアルトアイネス買うわ。 いいよな?」 「ふぇ!?」 とメル。 「ほぇ!?」 とエル。 「はぁ!?」 と俺。 姫乃と店員は唐突すぎる発言に頭がついてこないらしく、首を傾げている。 「そろそろハナコも一人じゃ寂しそうだし、かといって同じケモテックのマオチャオだと頭がアレすぎるだろ。 だからどの神姫にしようか丁度迷ってたんだ」 「いや、お前、金あんの? パーツ買いに来ただけだろ」 「カード使えばいいじゃん」 何言ってんだコイツ、みたいな目で見られた。 クソブルジョワめ、破産して蟹工船で働け。 「で、でも、あなたがメルを買っちゃったら、私とメルは離れ離れに……」 「ふうん、メルっていうんだ。 いい名前じゃん。 でもそれなら俺と背比って大学も学科も一緒だし、君とメルはほぼ毎日会えるぜ」 「そ、そうなのですか……!」 エルの顔に生気が戻った。 姉の了承は得られたが、さて、妹の意思はどうだろうか。 「ボ、ボクはまだ認めてないよ! だってそんな、いきなり出てきて、その…………か、可愛い、だなんて、そんな」 もじもじと、まるで武士に襲われた後のエルのようにしおらしくなってしまった。 どうでもいいところで似ているな、この姉妹は。 「そうだぞ、コイツは危ないぞ。 なんてったって自分の神姫に “ショウくん” って呼ばせるくらいだからな」 「てめっ、言わなくてもいいことを!」 「ふうん、ショウくんっていうんだ、ふうん……」 ショウくんショウくんと唱えながらメルはちらちらとショウくんのほうへ目をやっていた。 それはどう見ても、心を射抜かれた女の子の顔だった。 メル、あっさりと陥落。 こんなことなら最初から貞方を呼び出してレミリアとフランドールを買い取らせればよかった、なんて馬鹿馬鹿しい考えを頭から放り投げた。 「大変な一日だったわねぇ。 まだ昼間だけど」 しみじみと姫乃はそう呟いて、スカートの上で大人しくしているニーキの頭を撫でた。 休日の大学構内にはちらほらと人影が見えるだけで、図書館前の一本桜を俺達だけで占有することができた。 普段は益荒男共が騒がしい構内も、こうして静かに過ごせるのなら良い場所だと思えてくる。 天気は朝と変わらず絶好の花見日和。 強くもなく弱くもない風が、桜の花を乗せて穏やかに流れている。 一本桜を一周するベンチには、俺と、姫乃と、不愉快にも貞方まで座っている。 そしてニーキと、ハナコ、エル、メルは初めての花見を満喫していた。 エルとメルがニーキと初めて対面した時はレミリアと同じ外見にしんみりとしていたが、その低く抑えられた声を聞いてすぐに別人と認識し、二人で質問攻めにしていた。 真面目なハナコは突然できた妹にも丁寧にお辞儀をして、メルがハナコのことを “ハナ姉” と呼ぶのにそう時間はかからなかった。 「あそこまで動きにブレが無い神姫は珍しいよ。 温和そうだけど、ハナ姉は只者じゃないね」 だそうだ。 それにしても、今日は姫乃と二人っきりで花見をするつもりだったのだが、まさかこんな人数になろうとは。 「ふふっ、残念そうな顔をしてますね、マスター?」 いつの間にか俺の膝の上に乗っていたエルが、豊かな金髪を風に靡かせ、俺を見上げていた。 「……まさかエルも俺の心が読めたりするのか?」 「なんのことです?」 「いや――ま、たまにはいいんじゃないか、こういうのも」 「そうですよ。 私達は長い長い付き合いになるんですから」 花が咲くように、桜に負けないほど眩しく、エルは俺に微笑んでくれた。 「これからもずっと大切にしてくださいね、マスター」 NEXT RONDO 『愛しています、私のバカマスター ~1/3』 15cm程度の死闘トップへ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2196.html
闇の中。 静寂に包まれた心地好い暗闇の中。 深く深く、意識がその闇の中へと溶けてゆく。 何物にも代えがたい至福の時。 そんなささやかな幸せを、突然鳴り響いた甲高いメロディーが容赦なく奪い去った。 「うあー……」 再び闇の中に戻ろうとする抵抗も虚しく、俺の意識は一気に呼び起こされる。誰だ、俺の安眠を妨げる奴は。 やかましく鳴り響く携帯を手探りでたぐり寄せ、この諸悪の根源との通話を繋げる。 「もしも……」 『はーやーとー! いつまで寝てんのー!?』 寝惚けた頭に飛び込んでくる怒鳴り声に、思わず俺は電話を遠ざける。こちらの返事も待たずに、あいつはあからさまな不機嫌さをぶつけてきた。 「なんだよ、朝っぱらからうるっせえな」 横目に時計を見るとまだ午前10時。とてもじゃないが健全な高校生が休日に起きる時間ではない。 『なっ、あんたが神姫見たいから付き合えって言ったんでしょー!? それなのにうるさい? そーゆーこと言うの?』 まだ頭がハッキリしないと言うのに、一息にまくしたてられる。えーと、神姫……? あ、そうか。 西暦2036年。 第三次世界大戦も、宇宙人の侵略もなかったこの平和な時代において開発された、全長15センチの自律型AI搭載ロボット、MMS(Multi Movable System)。 その中でも、最も一般的なのが『彼女』達。 オーナーに従い、様々な装備に身を包み戦場へと赴く彼女達。 そんな彼女達を、人はこう呼んでいる。 『武装神姫』と。 『武装神姫ーPRINCESS BRAVEー』 「うわぁー……」 想像以上の光景に、俺は思わず声をあげた。 都内某所にそびえるこの巨大なビル、通称神姫センター。このビルは部品や関連書籍の販売、更にはサポートセンターにバトルスペースまで、全てが武装神姫を取り扱う施設となっている。 そして俺はその中の販売コーナー、神姫本体の売り場に来ているのだが。 「これ全部そうなの?」 フロア全体に渡って所せましと陳列された神姫。カブトムシ型やコウモリ型、騎士型にセイレーン型、更には戦車型にシスター型とかなりの種類が並んでいて、あまり知識のない俺にはなにがなにやらまったくわからなかった。 「うん、すごいでしょー? もう随分シリーズも続いてるし、タイプ別に色々出てるからね」 舞はどこか嬉しそうに――おっと、そういえば自己紹介がまだだったな。 俺は新藤隼人。健全な男子高校生だ。以前からバトルに興味があり、ちょうど身近に神姫オーナーがいた為、俺も同じ武装神姫のオーナーになる事にした。 そして、その身近なオーナーというのが彼女、比々野舞(ヒビノ マイ)。家が近所だった事もあり、小さい頃からの腐れ縁を現在進行形で続けている。 後ろに結い上げたセミロングの黒髪と、丸い大きな瞳。 起伏の乏しい体を黒いボーダーラインのロングTシャツと袖のないパステルブルーのパーカーで覆い、青いキュロットから伸びる細身の足元には水色のスニーカー。 好きな青い色を基調としたその服装は若干の幼さを感じるが、露出した肢体は健康的に締まっていて、活発そうな印象を受けるだろう。 悪くない。うん、決して悪くない。 「……イヤラシイ目で見ないでよ、えっち」 「イヤラシクないですー。ちょっと客観的に観察してやっただけだよー」 舞はわざとらしく体を隠すと、冷ややかな目で俺を睨む。長い付き合いだが、そんな恥じらいがあったとは知らなかった。 「ふーん、変なの。ま、別にいいけどさ。隼人なんかに見られたって」 その発言は誤解を招くぞ。見てもいいのか?いいんですか?それとも異性としての意識が無いという事だろうか。うん、まったく興味が沸かない。 とにかく、舞はずいぶん前から神姫を所有しているので、初心者の俺としては色々意見を聞けるのは助かる。 ついでにこいつの神姫、天使型アーンヴァルのヒカリも紹介しておこう。片側だけ編みこんだ髪を耳の後ろに垂らしているのがトレードマーク。生真面目で大人びたアーンヴァルタイプには珍しくちょっと子供っぽいが、元気で可愛らしい娘だ。 このヒカリが俺も神姫を買おうってきっかけを作ったんだが、その辺りはいずれまた。二人は姉妹のように仲がよく、今日もヒカリは舞の肩に座って足をブラブラさせている。 「んで、どれ買ったらいいんだ?」 「自分で選ばなきゃしょーがないでしょー?どんな性格がいいかーとか、どんな戦い方したいーとかないの?」 舞は立てた指を左右に振りながらいくつかの選択肢を示していく。しかし、その動きに釣られてふらふらと頭を揺らすヒカリが気になって、話の内容はほとんど聞こえてこなかった。 「だいたいこんな感じかな?どう?」 「え?ああ、格闘戦がいい」 話は聞いていなかったが、戦い方ならそれしかないだろう。男だったら拳で語ってこそ。戦うの俺じゃないし、神姫は女の子だけど。 「アーンヴァル!天使型アーンヴァルがいいと思うの!」 舞の肩で話を聞いていたヒカリが、未だにふらふらしながら棚の白い箱を指差した。酔うぞ、お前。 さて、アーンヴァルか…… 確か高機動射撃タイプ、だったハズだ。初心者でも安定した勝率を狙えるとネットでの評判もなかなかだが、どうも俺の性には合わない。 「あすみん先生自重。そもそもアーンヴァルは格闘向きじゃないだろ?舞ともかぶるし、ややこしくなるって」 「むー、妹が欲しかったのに……」 「なんだ、そーゆー事か。ま、そうガッカリすんなって。後輩には違いないし、それなら妹みたいなもんだよ」 「んー、そっか。ならいいや!へへー、楽しみだなー♪」 頬をふくらませてすねていたかと思えば、もう屈託のない笑顔を見せている。幼さすら感じさせる彼女だが、俺も舞もそんなヒカリの笑顔が大好きだ。俺の神姫になる娘も、こんな笑顔を見せてくれるだろうか。 「あっ、ねぇこの子なんかどうかな?あんたにぴったりだと思うんだけど」 辺りを物色していた舞は一体の神姫を手に取ると、俺に差し出した。パッケージには獣の耳を模したヘッドギアと大きな手甲、そして焼ける様な橙色の瞳が印象的な少女が描かれている。 「犬型、ハウリン?」 「そ。いわゆる万能型なんだけどメインは近接格闘戦だし、防御力も高めだからあんたの要望にもぴったりでしょ?そーれーに……」 舞はぴっと指を立て俺に向き直ると、からかうように微笑みながら言葉を続けた。 「この子の性格。誰かさんみたいな、熱っ苦しい熱血感」 「誰が熱苦しいんだよ?失礼なヤツだな。でもまあ、たしかに悪くはないかもな」 僅かに胸が高鳴る。舞の手からハウリンの箱を受取ると、自然と俺も微笑んでいた。 「決まりだな。俺の相棒」 「なぁ、こーゆーパーツも買った方がいいのか?」 武装神姫、犬型ハウリンの会計を済ませた俺達は、別フロアのパーツ売り場に来ていた。 ここは剣やライフルなどの武器や、アーマー類他神姫用の服、装飾品などのパーツを扱っているフロアだ。基本セットにも武装は同梱されているのだが、戦略の幅を広める為にもこういった物が必要になってくるらしい。 「んー、まだいいんじゃない?実際に戦わせてみないといろいろわかんないでしょー?」 なるほど、もっともなご意見。確かに数さえ揃えればいいというワケでもないだろうしな。値段もバカにならないし、必要最小限に抑えたいトコロだ。 「ね、隼人。それよりちょっと上、覗いてみない?」 「上?」 なにやらそわそわした様子の舞からの提案。この神姫センターは七階建てで、一階から五階の各フロアが販売スペースになっている。そして、その上にあるのは―― 「うわぁー……」 俺は今日何度目かの驚嘆をあげた。 舞に連れられて見学に来たのは、武装神姫を所有する上では特に重要な場所。俺にとっては一番の目的であり、これから幾度となく訪れるであろう場所。 『神姫センターバトルスペース』 そこにいたのは思い思いにセッティングされた神姫と、そしてそのオーナー達。普段に比べれば空いているらしいのだが、それでもかなりの賑わいを見せている。 各対戦ポットには観戦用のモニターが設置され、中央の巨大なスクリーンにも今まさに行われている対戦の模様が映し出されていた。 「すげぇなぁ……」 「ふふん、びっくりしたー?大会の時とかはもっとすごいんだよー?」 後輩が出来て嬉しいのか、ただただ感心する俺に、ヒカリはなだらかな胸を張りながらあーでもない、こーでもないとの解説を始めた。曖昧でおおざっぱな説明なのでほとんど理解出来ないが、微笑ましいのでよし。 「へーぇ。ヒカリもここでがんばってるのか?」 「うん!あたし、すっごい強いんだから!隼人にも見せてあげるね!」 「そっか、よしよし。楽しみにしてるからな」 指先でぐりぐりと頭を撫でてやると、ヒカリはくすぐったそうに顔を綻ばせた。 「えへへー。ね、舞。せっかく来たんだからバトルしてこうよ!」 「今日はダーメ。武装持ってきてないもん。それだけじゃバトルは無理でしょー?」 すっかりご機嫌になったヒカリ。余程いいトコロを見せたいのか、戦いたくて仕方ないらしい。が、今日の彼女は飛行用のフライトユニットをしょっているだけ。神姫のパーツにはバトル以外、日常生活に使えるものも多く、ヒカリも普段はこれで飛び回っている。サイズの小さな神姫には人間の生活スペースでも広すぎる為、普段からこういったパーツを付けた神姫は多く見られる。 「えー、ヤだー!隼人にかっこいいとこ見せるのー!ねー、舞、武装取りに行こ!」 「ダメったらダメ。ヒカリー?今日はいい子にしてるって約束したでしょ?わがまま言わないの」 「でも……」 「今度また準備してから来ようぜ?そしたら俺も神姫連れて来れるし、ヒカリはその時カッコいいトコ見せてくれよ。今日はここの事を教えてくれればいいからさ」 俺も見かねて口を挟む。俺のせいで怒られたのでは可哀想だ。なんとか興味を他に移そうとするが、ヒカリはなかなか納得してくれなかった。 「むー……ヤだ!あたしは今がいいのー!」 「あっ、こら!」 ヒカリは舞の肩から飛び降りると、そのまま人混みの中へと飛んでいってしまった。 「ヒカリ!あぶないから……」 「きゃあっ!」 舞が言い終わるより先にヒカリが悲鳴をあげた。 「ってーな!なにすんだよ!」 続けて聞こえたのは男の怒声。どうやら急に飛び出した為に、誰かにぶつかったらしい。舞と一緒に慌てて声が聞こえた方に駆け付ける。人とぶつかっただけだとしても、僅か15センチ程しかない神姫にすれば破損の原因には充分すぎる。 「ご、ごめんなさい……」 「すみません!大丈夫でしたか?」 ヒカリは……うん、無事みたいだ。心配したような事故には到らなかったようで、怯えながらもぶつかった相手に頭を下げていた。 「なんだよ、お前の神姫か?どうしてくれんだよ、これ!」 ぶつかった時にぶちまけたのか、男は染みのついた上着と潰れた紙コップをいかにも不機嫌そうに舞に突きだした。 「あの、えっと、あたし……」 「ほら、ヒカリもちゃんと謝って」 涙目でうろたえるヒカリをなだめながら、舞が深々と頭をさげる。 「本当にすみませんでした。あの、クリーニング代はお出ししますので」 「ご、ごめんなさい!」 「謝って済んだら警察はいらねぇよ!それより……」 男はそこで言葉を切ると、舞をじろじろと舐めるように見始めた。とても人格的に優れた人物には見えないが、まだ言い掛かりをつけるつもりだろうか。 「そうだな。ちょっとオレに付き合うなら許してやってもいいぜ」 あまりにもセオリー通りの絡み方。オヤクソク、というヤツだろうか。今時こんなヤツがいるとは思いもしなかった。国に天然記念物として保護してもらえよお前。 「え?そ、そんなこと言われても……」 舞もヒカリも、ちゃんと頭を下げて謝っている。既に出来うる限りの礼を尽しているのだから、今更そんな筋合いは無い。 「お前、いつの時代のチンピラだよ?」 異性に対しては人見知りの激しい舞。そんな舞を、これ以上黙って見ている事は出来なかった。こういうタチの悪そうなのは早めにお帰り願うのが一番だろう。 「なんだ、お前?」 「その娘らのツレだよ。お前こそなんだ?こっちは充分謝ってんだろ?」 俺はとにかく威圧的に言葉を放つ。このテのヤツは強気に出られるのには弱いハズだ。 「ぶ、ぶつかって来たのはそっちだろ!?」 やっぱりオヤクソクだ。もうどもりだした。こうなったらもう一押し。この調子で続けてやれば適当な捨てセリフでもはいて退散するハズ。 「だからさっきから謝ってんだろ?しつこいんだよ、大の男が」 「だ、だったら……だったら神姫バトルでケリつけようぜ!」 そう、セオリー通りにこれで退散……しないのか。いや、そんな事より。 「ち、ちょっと待て!なんでそうなるんだよ!?」 「お前らだって神姫オーナーだろ?だったら決着はバトルでつける!公平な条件だ!」 どんな理屈だ。この野郎、開き直ったな。 「おれが負けたら全部チャラにしてやるよ!ただし、そっちが負けたらおれの言う通りにしてもらうからな!」 言いながら舞を見るといやらしい笑いを浮かべる。ちくしょう、時代劇の悪代官みたいなヤツだ。 「舞、隼人。ごめんなさい、あたしがわがまま言ったから……」 「いいんだよ。ヒカリはちゃんと謝ったんだから」 「隼人、でもどうしよう……」 舞はもう泣きだしそうな顔だった。こんな顔を見るのはいつ以来だろうか。子供の頃から泣き虫で、しょっちゅう慰めてやったっけ。そしてその頃の気持ちは、まだ俺の中に残っているらしい。 「大丈夫。心配すんな」 俺は出来るだけやさしく微笑んで、そっと舞の頭をなでてやる。舞の泣き顔も、ヒカリの泣き顔も見たくない。沸き上がる感情はもう抑えられなかった。 「こいつを泣かせたヤツは、昔から俺か姉ちゃんに凹まされる決まりになってるんだ。俺が相手してやるよ。文句はないだろ?」 「別にどっちでもいいぜ。なんなら二人まとめてかかってくるか?」 かなりの自信があるようで、男はニヤけ顔で余裕を見せている。今のうちに笑っておけばいい。すぐに笑えなくしてやる。 「隼人!?相手してやるって言ったって……」 「ああ、俺と……コイツでな」 目を白黒させる舞に、俺は持っていた荷物を軽く掲げる。余程驚いたのか、その表情のまま一瞬凍りついてしまった。女の子がそんなおもしろい顔するもんじゃないぞ。 「コ、コイツってさっき買ったハウリン?無理だよ!まだセットアップもしてないでしょ!?」 「今からやる」 「でも!」 「大丈夫だって、いい子で待ってろ。さて、それじゃセットアップしないとな。手伝ってくれ」 「……いつもそうだよね、隼人は。ごめんね、頼ってばっかりで」 未だに納得いかないようだったが、説得は無理だと悟ったらしく、舞は少し困り顔で微笑んだ。 「いいからまかせとけって。ほら、それよりセットアップ教えてくれよ」 「うん。セットアップって言っても、必要なのはCSC(Coar Setup Chip)のセットとオーナーの認証の二つだけなの。コアユニットの胸を開いてみて」 パッケージを開くと、文字通り『小さな』女の子が眠るように横たわっていた。その寝顔はまるで本物の少女のようだったが、肩や膝等、間接の可動部分が彼女がロボットだという事を思い出させる。 舞の指示に従い、小さな少女の胸部をそっと取り外す。するとちょうど心臓にあたるその部分に、三つの穴の空いた円環状の回路が走っていた。 「そこにCSCを三つセットするの。その組み合わせで神姫の特性が決まるものだから、慎重にね」 「このちっちゃい宝石みたいのがCSCだよな?」 BB弾より更に小さな色とりどりの球体。これが神姫に『命』と『心』を宿らせる為の物らしい。 「そう。赤いルビーが攻撃特性、黄色のトパーズが命中特性で……」 「全部赤」 「ちょっ、慎重にって言ったでしょ!?ちゃんと考えなさいよ!」 「おばあちゃんが言っていた。やられる前に殺ればいい!それにほら、主人公的にも色はやっぱ赤だろ?」 あくまで舞の意見は参考にして、赤く透き通った珠を神姫の胸に填めこんだ。三つ全て取りつけると仄かな光が回路を走り、CSCがうっすらと点滅し始めた。 「もう、おばあちゃんそんな人じゃないでしょー?知らないからね?……じゃあ胸の回路を閉じて……そう。さ、起動するよ」 「え、もう?」 キューンという小さな電子音をあげると彼女は静かに眼を開き、深い眠りから目覚めようとしていた。少し間をおいてゆっくりと起き上がると、正面にいた俺を見上げ、始めての言葉を発した。俺の神姫が、起動した瞬間だった。 「あなたが、私のオーナーですか?」 「ほら隼人。オーナー認証して」 「え?あ、ああ。そう、俺がオーナーだよ」 「……認証しました。これからよろしくお願いします、マスター」 そう言うと彼女は深々と頭を下げた。礼儀正しい性格のようだ。うん、こういうことは最初が肝心だ。 「こちらこそ、よろしく」 俺は掌ほどしかない小さな彼女に手をさしだす。一瞬戸惑いを浮かべた彼女だったが、すぐに指先を両手で握り返し、嬉しそうな笑顔を見せてくれた。 「はいっ!」 「オイ、いつまで待たせるんだ?それとも逃げ出すための相談でもしてるのか?」 「誰が逃げるか。すぐ相手してやるから待ってろ」 「こっちはいつでもいけるぜ。なあ、アル?」 男が腰のポーチに声をかけると、そこから小さな影が飛び出してきた。赤を基調とした体のペイントに、緑色の髪を頭の両側で結い上げた神姫。なんだかリンゴっぽい。 「もちろん!実力の差を思い知らせてやるんだから!」 「サンタ型ツガル……高機動狙撃型よ」 舞が小さな声でつぶやいた。先程の説明を聞いた限りでは、とても相性がいいとは言えない。どうやら楽に戦える相手じゃあないようだ。それにしても、サンタ型ってなんだろう。色? 「あの……マスター?」 考え込んでいると、ハウリンが不安そうに声をかけてきた。今の状況が把握しきれていない様子だ。 「ああ、そっか。実はいきなりで悪いんだけど、お前に戦ってもらいたいんだ。起動したばっかりだから無茶だとは思うけど……大丈夫か?」 「確かに、通常ですと起動直後の各モーメント制御、及び演算機能の最適化などは日常生活のような負荷の少ない状態で行っていくのが最善です。起動直後の、しかもバトル中に行うというのは少なからずリスクも伴います。ですが――」 彼女はあくまで簡潔に、そして淡々と俺の問いに答える。それはそうだ。どんなに精巧に出来ていても彼女は人工物、『ロボット』なんだ。でも彼女は―― 「私は『武装神姫』です。いつ、いかなる時であっても、マスターの為に戦ってみせますよ」 彼女の眼は、その燈色の瞳は、たしかに力強い光を放っていた。凛とした闘志をみなぎらせて。 「よし、凛だ」 「え?」 きょとんとした顔の彼女を掌に乗せ、もう一度呼び掛ける。名前、俺の武装神姫の、その名前。凛々しく、力強くあって欲しいと願いを込めて。 「お前の名前。『凛』。お前は今から凛だ」 「『凛』……」 「さあ、そんじゃあ頼むぞ凛!」 「はいっ!任せてください!」 俺と凛。俺達二人の物語が、今始まろうとしていた。
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/118.html
かつて「武装神姫 アーマードプリンセス バトルコンダクター」が設置されていたものの、既に撤去された神姫センター(店舗)。 そこには各センター毎に閉店もしくは廃業、あるいは「チェイスチェイスジョーカーズ」稼動開始(2022/12/21)前の筐体コンバートなど様々な理由がありますが、いったん撤去された後再び設置されるような事も極稀にありますので、あくまでも参考記録としてお読み下さい。 有志による設置店舗一覧 神姫センターマップ20210102 有志のGoogleマップ全店舗ピン立て(バトコン稼動開始直後、2021年1月2日当時)。 ※既に撤去済みの店舗については下記も参照。 北海道 (調査以前に撤去済) ラウンドワン札幌すすきの店 2022/12/20 ディノスパーク札幌手稲 ラウンドワン函館 ディノスパーク帯広 2024/3上旬 GiGO 札幌駅西口(旧MAXIM HERO) 東北 青森 2022/12/20 ユーズランド下田店 ラウンドワン青森店 岩手 2022/12/20 テクノワールド ラウンドワン盛岡店 2024/08/25 チャットタウン北上店 宮城 2021/05/09 仙台レジャーランド一番町 2022/09 遊楽館ジョイフル 2022/12/20 スーパーノバ仙台一番町 ラウンドワン仙台苦竹店 2024/04/14 スーパーノバ仙台利府店 (調査以前に撤去済) ラウンドアミューズメントシティ郡山 秋田 2022/12/20 ラウンドワン秋田店 山形 2023/06/27 ゲームゾーントレジャー新庄店 2023/11~2024/2 ゲームゾーントレジャー吉原店 福島 2022/12/20 スーパーノバ会津 ラウンドワン福島店 ラウンドワン郡山店 タイトーFステーション郡山オリエントパーク店 namcoイオンタウン郡山店 関東 茨城 2022/09 ピンクパンサー那珂店 2022/12/20 ゲームパニックつくば ゲームパドックプラスワン ピンクパンサーつくばみらい店 ピンクパンサー下妻店 ピンクパンサー土浦店 ピンクパンサー日立店 ユーズランド水戸内原店 2023/06/26 AMジャムジャムひたちなか本店新館 栃木 2021/03/31 ラウンドワン 栃木樋ノ口店(※閉店) 2022/04 スタジオプリモ宇都宮店 2022/12/20 インターパークプラスワン ラウンドワン宇都宮店 シーサイドリゾート ドラマ足利店 群馬 (調査以前に撤去済) ユーズランド太田店 2022/12/20 群馬レジャーランド伊勢崎店 ラウンドワン前橋店 群馬レジャーランド太田店 群馬レジャーランド渋川店 2023/12前後? 群馬レジャーランド藤岡店 2024/05/上 ユーズランド高崎店 埼玉 2021/09/17 埼玉レジャーランド川越店(※廃業) 2021/09/18 タイトーF川越店 2022/06 ラウンドワン草加店 2022/11/末 ギガステーション戸田店 2022/12/18 Spica大宮南銀店(※2023/01/05閉店) 2022/12/19 ビデオゲームミュージアムロボット深谷店 2022/12/20 ビッグボウル杉戸 ウェアハウス三橋店 ゲームパニック三郷 埼玉レジャーランド春日部店 シルクハット川口店 タイトーステーション大宮店 ユーズランド越谷 ラウンドワン上尾店 ラウンドワンさいたま栗橋店 ラウンドワン朝霞店 2023/06/04 ラウンドワン大宮店 (2→0→1台2024/04/16再設置) 2024/03/11 ユーズランド春日部店 2024/06/中(※破産による閉店) モンテカルロ深谷店 千葉 2022/?? タイトーステーション柏駅 2022/12/07 イスカンダル五井金杉店(※閉店) 2022/12/18 namco松戸店 千葉レジャーランド稲毛店 千葉レジャーランド野田店 千葉レジャーランド成東店 タイトーFステーション市川妙典 2022/12/19 ウェアハウス南流山 セントラル浦安(※元・交流会開催店舗) 2022/12/20 アミューズメントエース津田沼 アミューズメントパレスワンダーヴュー成田店 シルクハット津田沼 スポーツウェーブ鉄腕24稲毛長沼店 ラウンドワン市原店 レジャランビバホーム新習志野 2023/08/07 ゲーム ダ・カーポ(※閉店) 2023/09/05 ラッキーバッティングドーム 2024/07/上 柏駅前ヤングボウル (調査以前に撤去済) スポーツウェーブ鉄腕24浜野店 東京 2021/06/30 アムネット五反田(※閉店) 2021/09/20 セガ池袋GiGO(※閉店) 2021/12/15 アムネット小岩(※閉店) 2022/05 THE 3RDプラネット多摩センター店 クラブセガ新宿西口 2022/06 アピナ荻窪店 2022/12/18 シルクハット八王子 シルクハット蒲田西口 タイトーステーション町田 ユーズランド日の出店 2022/12/19 セントラル八王子(※元・交流会開催店舗) ASO VIBA!(恵比寿駅前) ラウンドワン府中本町駅前店 ラウンドワン南砂店 2022/12/20 GiGO大森 GiGO秋葉原3号館 タイトーステーション立川北口 タイトーFステーションオリナス錦糸町 東京レジャーランド秋葉原2号店 東京レジャーランド亀有店 ハイテクランドキューデン(西新井駅前) 2023/07/30 フォルム武蔵境(※閉店) 2024/05/01 ゲームサファリ池袋 2024/07/21 ラウンドワン池袋 (調査以前に撤去済) タイトーステーション新宿南口ゲームワールド店 namco池袋店 神奈川 2021/11/14 シルクハット川崎DICE(※過去ロケテストが何度も行われた店舗) 2022/04 ららぽーと湘南平塚店 シルクハット横須賀中央 2022/08 シルクハット伊勢佐木町 2022/12/18 シルクハットモアーズ川崎 2022/12/19 ゲームコスモ金沢文庫(※2024/03/31閉店) タイトーステーション溝の口店 タイトーステーション戸塚西口店 タイトーステーション藤沢店 神奈川レジャーランド厚木店 2022/12/20 シルクハット大船 ラウンドワン川崎大師店 2024/03/31 ジョイランド中原店(※閉店) (調査以前に撤去済) シルクハット本厚木 小田原メトロポリス タイトーステーション横浜西口五番街店 中部 新潟 2022/12/20 ラウンドワン新潟店 2023/05/31 スターフィールド(※閉店) 2023/06/27 上越レジャーランボウル (調査以前に撤去済) タイトーFステーション上越 富山 2022/12/20 アピナ富山豊田店 (調査以前に撤去済) ユーズランド高岡店(2024/09/13再設置を確認) ユーズランドとなみ店 石川 2022/12/20 バイパスレジャーランド藤江新館 福井 2022/11 ジョイランド大和田店(※廃業) フクイレジャーランドワイプラザ店 2022/12/21 福井レジャーランド板垣店 山梨 2022/07/?? スタジオプリモ甲府店 2022/12/20 ゲームパニック甲府 2024/03/31 ラウンドワン山梨・石和店(※閉店) 長野 2022/12/?? アピナ長野大橋店 2022/12/20 ラウンドワン長野店 岐阜 2022/03/21 GAMEタカラ島可児店(※閉店) 2023/05/07 ゲームゾーン各務原店(※閉店) 2024/04/07 ファンタジアン精華店(※閉店) (調査以前に撤去済) A.C.グランド 岐阜レジャーランド穂積店 静岡 2022/12/20 アップルグランリバー 大井川店 アップル新北街道店 アピナ焼津店(元・シートピアYAZ) ラウンドワン富士店 2023/06/下 ザ・サードプラネットBiVi沼津店 愛知 2022/11/01 ゲームファンタジーランドナイル(※閉店) 2022/11/01 WAVE豊川白鳥店(※廃業) 2022/11/20 M'Sパーク三郷店西館(※閉店) 2022/11/30 VAMP中川店 ラウンドワン中川一号線店 2022/12/20 ADXマミー春日井出川店 M'Sパーク刈谷店 M'Sパーク豊田店 タイトーステーション大須 コムテックプラザ赤池 コムテックタワー名駅 コムテックスクウェア金山 名古屋レジャーランド内田橋店 名古屋レジャーランド大高店 ラウンドワン半田店 ラウンドワン鳴海店 ラウンドワン名古屋西春店 2023/02/26 GREA(※閉店) 2023/02 La・Fiesta 2023/05/21 ゲームゾーンR一宮店(※閉店) 2024/08/31 スペースシャトル塩釜口店(※閉店) (調査以前に撤去済) 小牧メトロポリス 半田メトロポリス ゲームファンタジアン長久手 三重 2022/12/20 ゲームチャオ松坂 近畿 滋賀 2022/12/20 滋賀レジャーランド大津店 ラウンドワン浜大津アーカス店 2024/04/19 コミック広場甲西三雲店(※元イベント店/契約上の問題が発生したため他ゲーム共々使用禁止措置となる) 京都府 2021/08/22 ゲームパニック京都(※閉店) 2022/12/20 THE 3RDプラネットBivi京都二条店 ラウンドワン京都河原町店 (調査以前に撤去済) ラウンドワン京都伏見 大阪府 2022/06/?? タイトーFステーションあべの 2022/12/20 GiGOあべのアポロ GiGO難波アビオン ゲームパニック堺 namco梅田 namco大阪日本橋店 タイトーステーション大阪日本橋店 ラウンドワン梅田店 天王寺パスカ ラウンドワン堺中央環状店 ラウンドワン岸和田店 ラウンドワン高槻店 2024/4/27 フタバボウル関大前 2024/07/上 フタバボウル泉大津店 兵庫 2022/12/18 遊・スペースマジカル 2022/12/20 アルゴ ホムスタ玉津店 ラウンドワン伊丹店 (調査以前に撤去済) ラウンドワン 姫路飾磨店 奈良 2023/10/2 アミューズメントCUE大和高田 和歌山 2023/08/下 ユーズランド和歌山 (調査以前に撤去済) ラウンドワン和歌山店 鳥取 - 島根 2022/12/25 G-para出雲 岡山 2022/12/20 ラウンドワン岡山妹尾店 2024/05/上 ユーズランド倉敷店 広島 2021/08/31 ギガゾーン広島駅前(※閉店) 2022/06 ラウンドワン福山店 2022/10/30 シネパーク広店(※閉店) 2022/12/20 アルティランドアルパーク北棟店 ブラックジャックアクア 山口 2023/03 アミパラ周南久米店 四国 徳島 2022/06 ラウンドワン徳島万代店 香川 2022/06 ラウンドワン高松店 2022/12/20 マックスプラザ善通寺 愛媛 2022/12/20 アミューズメントパークMG東予店 2023/08/下 アミパラ松山 (調査以前に撤去済) プレイドーム松山 高知 - 九州・沖縄 福岡 2022/06 楽市楽座福重店 2022/12/20 namco博多バスターミナル店 タイトーステーション福岡天神店 ラウンドワン大野城店 2023/12/中 最後の5$ 2024/05/上 楽市楽座イオンモール伊都 2024/08? 楽市街道003箱崎店 (調査以前に撤去済) ラウンドワン小倉店 佐賀 2023/12/中 FASボウリングセンター 2024/08? 楽市楽座303佐賀大和店 (調査以前に撤去済) ラウンドワン佐賀店 長崎 2023/03 G-Pala時津 2023/08? アミパラ佐世保 熊本 2022/12/20 パスカワールドグリーンランド 2023/05/14 リッチモンド(※閉店) 大分 2022/12/20 ゲームラボサイドセブン ラウンドワンスタジアム大分店 宮崎 2022/12/20 ラウンドワン宮崎店 鹿児島 - 沖縄 - コメント 石川のレジャラン藤江は当初から本館と新館の両方に4台ずつ稼働してて、コンバートを機に新館はゼロになったので単純に撤去でよいのでは?注記の意図が知りたい。 -- 名無しさん (2023-01-12 11 28 45) 書いた者ではありませんが修正しておきました。ついでに閉店・廃業店は注記を赤字にしました。 -- 名無しさん (2023-01-12 21 56 01) 一度、コンバートで無くなった店がまた再設置した場合、撤去から消して良いのかな? -- 名無しさん (2023-07-21 22 01 28) それでいいと思います。また撤去されるような事がありましたら、その時の日付で再びこちらに記載する感じで -- 名無しさん (2023-07-22 01 09 08) 山形のゲームゾーントレジャー新庄店、閉店まえに確認が取れてないのだが此方に記載の場合、閉店の日を書くべきか?確認した最終日を書くべきか? -- 名無しさん (2023-08-11 16 50 21) 弐寺方面からの情報ですが、ゲームゾーントレジャー新庄店は一旦閉店後9月中旬に新店舗としてリニューアルオープンするとの事です。神姫筐体の方はそれ以前の6月下旬から公式にて確認出来ない状況ですので、撤去とみなして過去の表記例(埼玉のSpica大宮南銀店など)に準拠でいいと思います -- 名無しさん (2023-08-11 19 38 37) 具体的な日にちは分からないが、私はタイステ川越の撤去後に最後のプレーをレジャラン川越でしたので日にちが後になる筈はないのだが… -- エルレス (2023-08-21 10 54 41) 公式情報が意外と正確でない分現認情報は重視すべきですが、明確なソースがないと反映のしようがありませんのでとりあえずこのままで。なおレジャランの閉店日は公式が明言しているので間違いないです。 -- 名無しさん (2023-08-21 21 50 41) ラウンドワン金沢(2022.12.21撤去)について、再設置の現認情報が得られましたので移動しました。 -- 名無しさん (2023-12-26 15 21 16) モンテカルロ深谷店(埼玉)について。弐寺方面からの情報によると運営会社のHPが閉鎖されており(Xも休止状態)、実態は破産との事ですので2024/06/中閉店扱いとし、念のためあちらはコメント状態にしておきました -- 名無しさん (2024-09-05 20 51 10) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/516.html
戦うことを忘れた武装神姫 その17 ・・・その16の続き・・・ ・・・リゼは、始めから劣勢だった。 気持ちの整理が付かぬまま、サイトウに威嚇されるかの如く急かされて、 ひとまずの武装とその他の袋を持たせただけで試合開始となってしまったの だ。徐々に防戦一方となるリゼを、久遠は腕を組んだまま、黙ってモニター 席で見ていた。 リゼの戦い方に、久遠は勘づいていた。 リゼが、本気で戦えない理由に。 -リーダー、なぜそんな姿で戦うのですか? ・・・相手は、リゼのかつての仲間、リーダーであったストラーフ・・・。 しかし、そこにはリゼの知るリーダーの姿は無かった。アームどころか搭載 できる限界をはるかに超えているであろう様々な武装から、雨あられの如く 繰り出される、力任せとも取れる技と砲撃。地に足を着ければ、建物に仕掛 けられた爆薬で、降り注ぐ瓦礫。 ここまで攻撃されても、直接相手の「本体」へダメージを与えるような攻撃 を、一切しないリゼ。装備品を狙い投擲、砲撃と、手を変え品を変え、でき る限りの反撃はしているようにも見えたが。。。 相手の反撃に、かけらも 役に立たず。 逃げ回る形になったリゼが呟いた。 -私のことを忘れてしまったんですか? 美しさのかけらもない、がむしゃらな攻撃。ついに、リゼの左リアアームに 炸裂弾が命中し、ちぎれ飛んだ。 衝撃で飛ばされ、壁にたたきつけられる。 敵のストラーフは、背後の建物に大量のミサイルを撃ち込み・・・ 「うわああぁあぁっ!!」 リゼは、瓦礫の中へと埋没してしまった。文字通りの、瞬殺とも言える早技。 勝利を確信したのか、妙な盛り上がりを見せるサイトウ側。対して、静まり 返る久遠側。 埋もれてしまったリゼは、目に涙を浮かべ・・・動けなくなっていた。 -暗い・・・ あの頃の記憶が・・・ あの頃の、哀しい記憶が・・・ -だからこそ、リーダーとは戦いたくなかった・・・ -こんな姿のリーダーを見ることになるなんて・・・ 「もう・・・だめだよ・・・」 瓦礫の中から、久遠に呟くような声で、通信を送るリゼ。 「やっぱり・・・ 戦うことを忘れたい・・・ こんなに、痛くて悲しい だけの事なんて・・・」 しばらくの沈黙のあとに、久遠は静かに言った。 「なぁ。 なんでお前はあの日、記憶を残してもらったんだ?」 -今、それを後悔している- 「まさか、今のように昔を思い出して、悲しむためだったのか?」 -それは、違う- 「何か、大事なモノがあったんじゃないのか?」 -大事なモノ。。。 あの日の暖かい言葉- 「それに、今のお前は『名無し』じゃないだろう?」 -今のあたしは、リゼ- 「あの日の、俺たちとの約束を忘れたのか?」 -!! 忘れるもんか!- 「忘れたなら、ここで終わりにしてしまう。 忘れていなければ・・・」 -そうだ。 あたしは、まだ、いける・・・!!!- 「『リーダー』に、表舞台に立てるようになった姿を見せつけてやれ。」 -・・・! あたしは・・・ あたしは・・・!! しおれていたリゼの目に、光が戻る。 「負けない・・・絶対に負けない・・・!」 瓦礫の下敷きになったリアアームの右腕に、全電力が注がれる。瓦礫が持ち 上がり、状況確認をしに登ってきていた「リーダー」の足下が揺れる。 「あたしは、リゼなんだ! 『名無し』のストラーフなんかに、絶対に負け ないっ!!」 瓦礫が吹き飛び、リゼが現れた。飛び退いていったん待避する敵ストラーフ。 「あたしは、世界一カッコイイ神姫になるんだっ!!」 大きく叫ぶと、リゼは今までにない素早い動きでセットポイントへ戻った。 その姿に、ギャラリーが沸いた。 間近で観戦していたかえでとティナは、 涙すら浮かべている。 瓦礫の山に立つリゼは、今までとはうって変わった 強い意志を持った -あの日、CTaに「記憶を消さないで」と頼んだときと、 同じ強さの- 紅い瞳に変わっていた。 その姿に、サイトウも少しは驚いたようだったが、自らのストラーフの強さ に自信があるのだろうか、 『・・・ふん、こうでないと。 よーし。お前もいったん下がれ。あいつが 装備を整えて出直すまで、ちょっと待ってやれ。』 と、余裕の表情で、サイトウはストラーフに命じた。 「了解しました、Mr.サイトウ。」 相手ストラーフも、一旦セットポイントへ。 「よくできました。 しっかり覚えていたね。」 セットポイントへ戻ったリゼに、久遠が声をかけた。 「へっ、忘れるもんか。 ・・・ありがとうよ、ヌシさん。」 ちょっと嬉しそうな目つきをしたリゼの耳に、 「そうでなくちゃ。あたしが治した神姫じゃないぞ。」 と、別の声が入ってきた。 「CTaのねーちゃん!?」 そう、久遠のモニター席に突如やってきたのは・・・白衣姿のCTaであった。 「いつの間に来たんだ?」 「ついさっき着いたばっかりだよ。」 久遠に訊かれたCTaは、答えながら一体の騎士子-先に逃げ出した、ディサ- を取り出した。 「あっ! 何で姉様がもっているんですか?」 その姿に、イオが驚き尋ねる。 「詳しいことはあとだ。 ・・・リゼ、よく聞け。」 通信用のマイクを久遠からひったくり、CTaはリゼに伝えた。 「いいか。 今の『リーダー』には、プロテクトをかけて無理矢理サイトウ をオーナーと認識するようにしてあるらしい。 その所為で、本来の性能の 半分も出せていない- 、その分を武装とトラップで補っているだけなんだと。 ・・・何が言いたいか、解るな?」 「ふっ、よ〜く解ったよ、CTaのねーちゃん。」 「その呼び方は止めろ。 それから、だ。今まで一度も伝えていなかったけ ど、お前の身体、換えられる所は、全部特殊アラミド樹脂に置き換えてある から。関節も合金入れて強化済みだよ。」 「へっ?」 リゼも、そして久遠も、目が丸くなった。 「確かに・・・言われてみればエルガなんかに比べても、若干とはいえど、 重かった気がするなぁ。」 久遠がエルガを手にとって呟く。 「考えてみ。あれだけの攻撃喰らって、今のお前の身体・・・」 CTaに言われて、今一度自分の身体にチェックをかけるリゼ。 -損傷箇所、 本体には・・・ 「無傷だ・・・。」 驚きを通り越して、リゼは感動すら覚えた。 「あんたを最高にカッコイイ神姫にするって言った以上は、それ相応のこと はしてあげないとねー。」 そう言うと、CTaは一息ついて、一言二言久遠に耳打ち。にやり笑みを浮か べた久遠は、マイクを受け取ると、改めてリゼに声をかけた。 「さぁて・・・ リゼ、ここからが本番だろ?」 その声に、リゼは・・・黙って頷いた。 目に貯めた涙に感づかれないよううつむき加減のまま、自らの背中に着けた リアアームを外した。 さらには、身体の各部に取り付けていた装甲パーツ も捨てた。 ギャラリーがざわめく。 自らの装備を捨てるなんて・・・ 本当に勝負を 諦めてしまったんだろうか・・・ ぐっと涙を拭いたリゼは、傍らに無傷で残っていた自らの装備袋の中から、 妙な物体を取りだした。見た目は、何かのエンジン模型。しかし、妙な配線 がゴテゴテとくっついている。 それをリアアームを外したハンガーへ取り 付け、配線類を自らのボディへ接続。 接続が終わり、再び顔を上げたリゼ。そこには、小悪魔のような笑みを口元 にたたえた、いつもの姿の・・・ 久遠の「リゼ」が立っていた! ・・・>続くっ!!>・・・ <その16 へ戻る< >その18 へ進む> <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/248.html
コメントなど適当にどうぞ -- (ドキドキハウリンの中の人) 2006-11-05 23 34 31 ライダーネタがあったので、次は超星神ネタかあればいいですね。 -- (名無しさん) 2007-01-04 17 18 59 というわけで、超星神ネタで一つやってみました。 -- (名無しさん) 2007-01-05 15 19 26 超星神ネタ、ありがとうございます。ゴルドさんの活躍、すばらしかったです。 -- (名無しさん) 2007-01-05 18 35 16 超星神ネタを希望したものです。ゴルドさんで来たのは意外でした。これからも特撮ヒーローネタをやっていただけると嬉しいですね。 -- (名無しさん) 2007-01-06 17 23 48 魔女っ子神姫 ドキドキ☆ハウリン[Birth]を大変楽しみにしています。更新大変でしょうけれどもよろしくお願いします。 -- (アークス) 2007-06-29 01 37 00 ぼちぼちとやって行きますので、今後ともよろしくお願いします。さしあたり4話上げました -- (ドキ(ryの人) 2007-07-02 18 00 51 祝!連載?再開! -- (かな) 2008-11-26 01 47 15
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/504.html
戦うことを忘れた武装神姫 その15 ・・・その14の続き・・・ 今までにない、変則的なスタイルで勝ちを収める久遠の神姫たち。 そして久遠の付近へ群がるギャラリー。シンメイを迎えに行こうにも、 近づくことが出来ず、店員の手を借りてなんとかフィールドへ到達。 「モードB・レベルF+、解除。および、モードBに音声ロックを。」 セットポイントへ戻ったシンメイに久遠が命じると、右目の色が元に戻り、 動作音も収まった。全能力を対戦闘に投じるモードを解除したシンメイは ふっと一息つくと、 「・・・所要時間6分55秒でした。 目標達成です。」 と言いながら、久遠の手の上へ。 「その計算能力には毎度毎度助けられるよ。 本当にありがとう。」 「べ、別にどうって事はないです。私の出来ることを、いつも通りにこな しただけですから。。。」 ちょっと顔を赤らめるシンメイ。しかし、しっぽはうれしさをストレート に示しており、パタパタと動いている。 久遠、思わず目尻が下がる。 その様子に、取り巻くギャラリーからも、多数ため息が漏れる。ツンデレ の威力、ここに極まれり。。。 「申し訳ございません、マスター。」 ギャラリーも避ける程の重苦しい雰囲気を漂わせるサイトウの元へ戻った コリンが、深々と頭を下げた。 「しかしながら、あのような戦闘は経験した事がな・・・」 「言い訳は聞きたくない。負けは負けだ。お前に付いた黒星は二度と消す 事は出来ない。 解ってるだろうな?」 そう言うと、セットポイントでうなだれるコリンの頭をつまみ上げ、その ままキャリアボックスへ放り込んだ。 まだ目を覚まさないアスタにぶつ かり、コリンは大切な右腕の関節を破損してしまった。 「・・・。 マスター。」 -痛い-。 しかし、その言葉を言うことが出来ない。。。 最後の試合に向け、普段は使うことのない真っ黒なボックスを取り出した サイトウに、コリンが声をかけた。 「なんだ?」 「もう止めましょう。この試合の、マスターの負けは決まっています。」 「・・・。」 「これ以上、私たちに恥をかかせないで下さい・・・。」 「恥、だぁ? 俺に言わせればお前らのせいで俺が恥かいてるんだよ! 俺にはここのトップという立場があるんだ。あのオッサンの黒い奴、あれ 一体だけでも破壊しねぇといけないんだよっ!」 「ま、マスター・・・」 どう声をかけていいか分からず、言葉に詰まるコリン。 「こうなったら・・・こいつで勝負をかけてやる。。。」 と、取り出したるは・・・黒子。しかし、最初のデモンストレーションで 出てきた黒子とは、明らかに雰囲気が違う。 サイトウはもう一体、黒子 を持っていたのだ。。。 「それはダメです!」 目を覚ましたアスタが、その黒子を見て叫んだ。 「どうなっても構わないさ。あの・・・黒い奴を破壊できれば。」 頬に蠍のマーキングが施された黒子を、サイトウは静かに目覚めさせた。 「さぁ・・・行ってこい。 どんな手を使っても構わない。 勝て。」 「ラジャー、Mr.サイトウ・・・。」 サイトウと目を合わせることも、「マスター」と呼ぶこともなく、また、 サイトウがその名を呼ぶこと無く、影のような黒子は起動した。。。 サイトウ側から、負けは決まっていても4回戦をとの申し出があり、急遽 対戦が行われることが決まった。 「てっきり決着付いたし、終わりだと思ってたんだけど・・・」 3勝した時点で試合は終わりかと思っていたた久遠たちは、急いで支度を 整える。 今度のフィールドは、ゴーストタウン。 どんな装備にするか、 リゼの前に装備や得物を並べる久遠。 リゼも、ちょっと面倒くさそうに しながらも、自分にもきっちり出番が廻ってきたことで、甚く上機嫌。 きれいに磨き上げ、整備がされた各種装備をならべ、迷うそぶりを見せる。 「えっこらしょっと。 もうちょっと軽量化しないといかんなー。」 まずはリアユニットを装着し、動作確認をする。 いわゆるフル装備では あるものの、刃物絡みは一切無し。・・・ユニット接続を終えると、久遠 の特製1/6ステアーもどきをいじりながら、リアユニットのアームを器用 に使い、ぼりぼりと腹を掻いている。 「・・・はしたないことは止めなさい。」 その姿を、他の装備を揃えていた久遠がたしなめる。 「だってかゆいんだもん。」 「あのなぁ、一応はお前女だろが。恥じらいを持ったらどうなんだ?」 「ヌシさん、性別も何も、ウチらって機械人形なんだけど。」 「そう言う問題じゃないだろ。」 「えー・・・。」 「確かにお前のアーム捌きの腕前は認めるけど、場所をわきまえよう。」 「ちぇー。」 久遠とリゼがそんなやりとりをしている脇のサイドテーブルでは、仕事を 終えた3人がかえでやティナ、他のギャラリーと歓談中。 リゼと久遠の 漫才に笑うものがあれば、イオとシンメイの姿を写真に収めるものあり、 キッチンモードのエルガとじゃれる神姫あり・・・。まったりと、穏やか な、なごやかムードの久遠サイド。 と、久遠がサイトウ側に、同じ黒子がセットされたのに気づいた。 「うむ・・・ リゼ、相手は同じストラーフだぞ。」 「そうなの?」 と、その黒子を見た瞬間。 リゼの表情が・・・ 凍った。 「お、おい、どうした? リゼ、おいってば!」 久遠の呼びかけにも、リゼはしばらく返事をしなかった。 「ぬ、ヌシさん・・・。」 「フリーズしたかと思ったぞ。 大丈夫か?」 「大丈夫じゃないよ・・・ ダメ・・・ 戦えない・・・勝てない!」 呟くように弱々しく言うと、リゼはその場に座り込んでしまった。久遠は 慌てて手に乗せると、かえでから見えない位置に移動。 「何があったんだよ。」 「あの娘・・・ あたしの・・・ あたしの・・・昔の仲間なんだよぉ!」 ・・・>続くっ!>・・・ <その14 へ戻る< >その16 へ進む> <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinki_ss/pages/70.html
※このページは、各投稿者様の神姫紹介【五十音・ヤ&ラ&ワ行】ページです。 五十音順で配置。読み仮名違いなど、ソートにご意見あれば まとめwiki管理人のメールアカウントに直接投げてください。 素体略称は、以下の略号で表記します。 ヘッドと素体が異なる場合(例「頭・犬/素体・兎」)は「ヘッドの素体名を記入」して 紹介本文にて素体構成を書いていただくようお願いします。 【略号一覧】 天使:アーンヴァル 悪魔:ストラーフ 忍:フブキ 猫:マオチャオ 犬:ハウリン 兎:ヴァッフェバニー 騎士:サイフォス 侍:紅緒 津軽:ツガル 花:ジルダリア 種:ジュビジー 砲:フォートブラッグ 鳥:エウクランテ 魚:イーアネイラ 海豚:ヴァッフェドルフィン 黒天:アーンヴァルbk 白悪:ストラーフwh 寅:ティグリース 丑:ウィトゥルース 建機:グラップラップ 水猫:マオチャオ(リペ) 水犬:ハウリン(リペ) HST:アーク HMT:イーダ 蝶:シュメッターリング 戦車:ムルメルティア 戦闘機:飛鳥 火器:ゼルノグラード 黒鳥:エウクランテbk 黒魚:イーアネイラbk 白HST:アーク 白HMT:イーダ カブト:ランサメント クワガタ:エスパディア サソリ:グラフィオス コウモリ:ウェスペリオー 天コマ:ウェルクストラ 夢魔:ヴァローナ ナース:ブライトフェザー シスター:ハーモニーグレイス フェレット:パーティオ リス:ポモック 【投稿フォーマット(追記用)】 ●神姫名(アンカーを挿入)/素体型:(ヘッドの略号)/投稿者:(「武装紳士録」投稿者アンカーへリンク) オーナー:(設定上のオーナー名です) / 所属:(組織所属であれば記入をお願いします) 投稿者紹介: オーナー様のコメントです。 コメント: 投稿者様以外の方で、この神姫嬢に対するコメントをお願いします。 コメントの最後に、お名前を付記してください。【CainEdge】 【ヤ・ラ・ワ行】 八千代 千華音(花) 万年睡眠不足 八千代 千種(種) 万年睡眠不足 ユウ(遊)(悪魔) 雪見 ユーティライネン(天使) セイロン ユキ(天使) 蓮吻(レンウェイ) 雪奈(天使) とっきー 百合華(犬) とっきー ライラ(花) ゆーげん 嵐凰(鳥) 我闘 リーネ(砲) セイロン リーン(鳥) 比呂雪 リオナ(猫) 比呂雪 リコ(花) 雪冠(ゆきかんむり) リコ(猫) Yukari リツ(律)(忍) 雪見 リディア(白悪) シン=アカツキ リディアス(悪魔) 風雷坊 リデル(猫) 蓮吻(レンウェイ) リファ(忍) 雪冠(ゆきかんむり) リューネ(魚) タイガ リン(犬) 蓮吻(レンウェイ) リン(犬) 雪冠(ゆきかんむり) 林檎(津軽) ぱぴこん ルゥ・ガルゥ(犬) 白羽 ルキ(犬) タイガ ルクス() 比呂雪 ルッキーニ(猫) セイロン レナイヤ(騎士) 我闘 レラ(鳥) ゆーげん ロスヴァイセ(天使) 白羽 ロゼ(騎士) タイガ ロラン(騎士) 白羽 ●八千代 千華音(ヤチヨ チカネ) / 素体型:花 / 投稿者:万年睡眠不足 オーナー:万年睡眠不足 / 所属: 投稿者紹介: 一人称 ちかちゃん オーナーの呼び方 マスター 性格 純真無垢天真爛漫爆裂お騒がせ娘・妹 コメント: ===== ●八千代 千種(ヤチヨ チグサ) / 素体型:種 / 万年睡眠不足 オーナー:万年睡眠不足 所属: 投稿者紹介: 一人称 ちーちゃん オーナーの呼び方 マスター 性格 純真無垢天真爛漫爆裂お騒がせ娘・姉 コメント: ===== ●ユウ(遊) / 素体型:悪魔 / 投稿者:雪見 オーナー:雪見 / 所属: 投稿者紹介: 雪見家のツッコミ担当。クール。物事をやや斜めから見る節がある。 オーナーに対してはツンツン全開。 コメント: ===== ●ユーティライネン / 素体型:天使 / 投稿者:セイロン オーナー:セイロン / 所属: 投稿者紹介: 略称ユーティ。バルクホルンの妹、隠れた策士でもあり、家での重大な事件には 必ず関係している。ハルトマンに対しては異常なほど強気に出ることがある。 コメント: ===== ●ユキ / 素体型:天使 / 投稿者:蓮吻(レンウェイ) オーナー:沙耶 / 所属: 投稿者紹介: リンの幼馴染で、よき親友。ハンターによって一度機能停止に陥ったが 沙耶たちの治療が実って見事に復帰。なんでも一生懸命に取り組むがんばりや。 コメント: ===== ●雪奈 / 素体型:天使 / 投稿者:とっきー オーナー:とっきー / 所属:とっきー家 投稿者紹介: 温和でおとなしい性格、面倒見が良い。やや天然ボケ気味? あまりバトルには興味がないようで、空を飛ぶことが趣味。 一人称は「わたし」 コメント: ===== ●百合華 / 素体型:犬 / 投稿者:とっきー オーナー:とっきー / 所属:とっきー家 アツい性格、一番忠誠心が高い。 無類の刀剣マニアで、また剣道有段者でもある。 一人称は「私」、口癖は「ほえ?」「きゃうん!」など。 コメント: 投稿者紹介: ===== ●ライラ / 素体型:花 / 投稿者:ゆーげん オーナー:ゆーげん / 所属:ゆーげんズ・ガレージ 投稿者紹介: 三女。自意識過剰で高飛車っぽいが、その実、芯は割としっかりしている。 特技は野外での植物の擬態。 コメント: ===== ●嵐凰(らんおう)/ 素体型:鳥 / 投稿者:我闘 オーナー:闇代悪怒 / 所属:元“ブラッド・レイ” 投稿者紹介: 傭兵団“ブラッド・レイ”に所属していた傭兵の一人。緋い藤(あかいはな)にて、 フブキの命令で緋藤に出向、現在は悪怒がオーナーとなっている。 コメント: ===== ●リーネ / 素体型:砲 / 投稿者:セイロン オーナー:セイロン / 所属:第9空挺特殊兵装試験旅団 投稿者紹介: バルクホルンらと共にやってきた、神姫達の中では比較的落ち着いた性格、 武装の手入れが趣味。最近ではサーニャと縁側で将棋を指している。 愛読書は週刊砲子マガジン コメント: ===== ●リーン / 鳥 / 投稿者:比呂雪 オーナー:比呂雪 / 所属:(ストーリー「防衛隊のお仕事」では:連邦宇宙軍・第4防衛艦隊・大尉) 投稿者紹介: 真面目な朴念仁。最近では「ガンキッシュ」メイン。 名前の由来はリーンフォースではなく。偶々見ていたアニメ「リーンの翼」から頂きました。 コメント: ===== ●リオナ / 猫 / 投稿者:比呂雪 オーナー:今は比呂雪 / 所属:なし 投稿者紹介: 捨てられていたのを拾ってきた娘(No.11796参照)。のんびり屋で言語機能が壊れているのか 語尾に「にゃ」をつける コメント: ===== ●リコ / 素体型:花 / 投稿者:雪冠(ゆきかんむり) オーナー:雪冠 所属:神姫TV所属雪冠プロダクション 投稿者紹介: 正直、が口癖。 自分はお色気担当だと思ってるが、周りは認めていない様子。 未だに巫女としてデビューはしていない。 コメント: ===== ●リコ / 素体型:猫 / 投稿者:Yukari オーナー:Yukari / 所属: 投稿者紹介: Yukari家の六女。 輝くドリル(愛称:ぴかどり)が大のお気に入り。 明るく素直で誰とでも仲良くなれる、Yukari家のムードメーカー。 コメント: ===== ●リツ(律) / 素体型:忍 / 投稿者:雪見 オーナー:雪見 / 所属: 投稿者紹介: 雪見家のいじられ担当。その素直で真面目な性格から、最も遊ばれやすいキャラ。 それでも前向きな性格でその状況をさほど苦にしてない様子は幸か不幸か。 コメント: ===== ●リディア / 素体型:白悪 / 投稿者:シン=アカツキ オーナー:? / 所属:不明 投稿者紹介: (オーナーの紹介がありません 【CainEdge】) コメント: ===== ●リディアス / 素体型:悪 / 投稿者:風雷坊 オーナー:風雷坊 所属:防衛庁直属機動神姫課第10課(通称ファントムクロス)・電子戦部隊シャドウダイバーズ 投稿者紹介: 最近設置された電子戦部隊シャドウダイバーズの隊長。 主に後の二人の護衛が任務なので、シャドウダイバーズの中では飛びぬけて 戦闘力が高い。最近は氷雨の毒舌トークに突っ込みを入れることが多くなり、 『ら○☆す○』の柊か○み化してきている。 コメント: ===== ●リデル / 素体型:猫 / 投稿者:蓮吻(レンウェイ) オーナー:? / 所属: 投稿者紹介: 神隠し事件の被害者にして唯一の生き残り。 戦闘力は高くどこか能天気な話し方をするが常に状況を見極めている。 コメント: ===== ●リファ / 素体型:忍 / 投稿者:雪冠(ゆきかんむり) オーナー:雪冠 / 所属:神姫TV所属雪冠プロダクション 投稿者紹介: オーナー前では真面目だが、手を抜く時はとことん手を抜く。 いつの間にかキャスターを降板した様子。やる気ない巫女さん担当。 コメント: ===== ●リューネ / 素体型:魚 / 投稿者:タイガ オーナー:タイガ / 所属: 投稿者紹介: 巨乳。公式SS板にはあまり現れないけど、ブログの方で活躍中。 お姉さん的な雰囲気から「リュー姉さん」と呼ばれている。 コメント ===== ●リン / 素体型:犬 / 投稿者:蓮吻(レンウェイ) オーナー:蓮吻 / 所属: 投稿者紹介: 困ってる人を助けなければ気が済まないお人よし、 そして、大切なものは守り抜くと強く誓っている。 ユキとハルがよく彼女をめぐって喧嘩をするのが悩みの種。 コメント: ===== ●林檎 / 素体型:津軽 / 投稿者:ぱぴこん オーナー:天才子役小学生(男) / 所属: 投稿者紹介: ノワール達が住むエリアの神姫バトル(非公式試合)では、 『悪夢の林檎』の通り名で有名な神姫。 ドSぷりを発揮するバトルは相手に精神的苦痛を与え、 対戦した神姫の多くは引退を余儀なくされる。 初めて、自分に痛手を与えたビアンカ(天使型)に復讐 するため、付きまとう様になる。 最近では寝ても覚めても、彼女のことを考えているとか。 コメント: ===== ●リン / 素体型:犬 / 投稿者:雪冠(ゆきかんむり) オーナー:雪冠 / 所属:神姫TV所属雪冠プロダクション 投稿者紹介: 元気の良さをとりえに撮影に臨む子。最近はめっきり出番が減ったらしい…。 戦える巫女さんでもある コメント: ===== ●ルゥ・ガルゥ / 素体型:犬 / 投稿者:白羽 オーナー:白羽(前のオーナーは鬼(キサラ ギ)) / 所属:中央神姫協会 投稿者紹介: 白羽の耳っ娘の同志で親友の形見の神姫。 前のオーナーの遺言で白羽の元に来た。故にマスターと呼ぶのに抵抗がある ためご主人と呼んでいる。戦闘形態変化用OS『ウェアビースト』搭載。 性格は忠犬。でも溜りまくると不満を言うww コメント: ===== ●ルキ / 素体型:犬 / 投稿者:タイガ オーナー:タイガ / 所属: 投稿者紹介: ドジっ子。公式SS板にはあまり現れないけど、ブログの方で活躍中。 真面目に頑張っているけど、いつもどこかでポカする娘。真夜にからかわれている。 コメント: ===== ●ルクス / 戦闘機 / 投稿者:比呂雪 オーナー:比呂雪 / 所属:なし 投稿者紹介: 優等生タイプ。だけどマンガやアニメが大好き(しかも百合系) コメント: ===== ●ルッキーニ / 素体型:猫 / 投稿者:セイロン オーナー:セイロン / 所属: 投稿者紹介: 略称ルー。典型的な猫型、性格の切り替えが得意で、お姉さま系からロリっ子 まで幅広くカバーできるため、どれが本当の性格か不明、 バルクホルンと一緒にいることが多い。 コメント: ===== ●レナイヤ / 素体型:騎士 / 投稿者:我闘 オーナー:闇代悪怒 / 所属:フリー 投稿者紹介: 悪怒の所有神姫。彼女の実力は並みの神姫より少し強め。 体の中には切ちゃんがいる。たまに切ちゃんに体を貸す。 ちなみに切り裂くものを“切ちゃん”と名づけたのは彼女である。 コメント:いや、能力全開したらレナイヤさんも鬼だって!!【CainEdge】 ===== ●レラ / 素体型:鳥 / 投稿者:ゆーげん オーナー:ゆーげん / 所属:ゆーげんズ・ガレージ 投稿者紹介: 十一女。一人称が“俺”のボーイッシュで物怖じしない性格。彼女のサポメカ であるプレステイルのバロンは、何故かニワトリの鳴き声(しかも横文字)で話す。 コメント: ===== ●ロスヴァイセ / 素体型:天使 / 投稿者:白羽 オーナー:白羽 / 所属:中央神姫協会 投稿者紹介: 白羽の神姫の古参。多重情報システム『エインフェリア』搭載 性格は基本的に博愛だが敵には容赦が無い。 コメント: ===== ●ロゼ / 素体型:騎士 / 投稿者:タイガ オーナー:タイガ / 所属: 投稿者紹介: いじられキャラ。いつも真夜のうっかりに巻き込まれる哀れな娘。 いつか真夜に逆襲しようと考えているツッコミ担当。 コメント: …イ㌔。 【CainEdge】 ===== ●ロラン / 素体型:騎士 / 投稿者:白羽 オーナー:白羽 / 所属:中央神姫協会 投稿者紹介: チーズケーキ好きの聖騎士。最近白羽に一番愛されてる気がするww 出力無視起動システム『パラディン』搭載。弱点は泳げない事とお化け コメント:
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1451.html
天より降りし、白霜の竜(前編) まずは順調な滑り出しと言えた。私・槇野晶の前で簡易充電を受けている “妹”達の長女、アルマの話だ。剣の神姫を、先程見事に撃破せしめた! この快挙は、ロッテとクララ達にも非常によい刺激となっている様だな。 「──と……射撃管制プログラム、アジャスト完了ですの。準備OK!」 「こっちも“魔術”用アーカイブのチェック完了、問題ないみたいだよ」 「すぅ……すぅ……えへへ、マイスターそんな所なでなでしちゃ……♪」 「そうか。にしてもアルマめ、どんな“夢”を見ているのか……むぅぅ」 幸せそうな寝顔を浮かべて簡易クレイドルに身を任せているアルマを、 私はそっと撫でてやる。流石に初めてだけあって、意識していない所で アルマに負荷が掛かったらしい。健気な娘……と、放送が聞こえるな。 『槇野晶さん。ロッテの対戦相手が見つかりました、オーナー席へ~』 「む……出番ですのっ!マイスター、わたしも頑張ってきますの~♪」 「有無、往こう!クララや、アルマの面倒を見ながら観戦出来るか?」 「構わないんだよ。キャリアの上から、十分フィールドは覗けるもん」 という訳で再度キャリアを引きずってオーナー席へ付き……先程同様に サイドボードへコンテナを搭載、ロッテをエントリーゲートに降ろす。 パステルカラーの“フィオラ”を翻して、彼女は華咲くが如く笑った。 ……この笑顔に弱いのだ、私は。力強く親指を立て、“妹”を見送る! 「よし、存分に蹴散らしてこい!普段とは違う環境、遠慮は要らぬ」 「はいですの♪精一杯華麗に、カゲキなワルツを踊ってきますの!」 「ちょっと表現が意味不明だけど頑張ってね、ロッテお姉ちゃん?」 程なく全てのセットアップは完了し、ゲートの扉がゆっくりと開く……。 その先は……なんと青空だった!そう、ゲートの外は高々度空域なのだ! 調べてみると、気弱そうな少年がオーナーの相手神姫は“バイザー”派。 しかも空の王者“ストームバイザー”の後継機を元とした改造品なのだ! 恐らくはロッテも飛行型と判断されて、“大空”が選ばれたのだろうな。 『ロッテ、万一墜落してしまったらリングアウトになる。気を付けろ』 「はいですの~。でも、ダイビングも楽しませてほしいですのっ♪」 『ダイビングだと?お前、まさか……!?』 『ロッテvsハニエル、本日の重量級リーグ第6戦闘、開始します!』 「ふふ、久しぶりの大空……満喫しますのッ!」 『3……2……1……GO!!』 私が窘めるより早く、ドレスを靡かせてロッテは大空へと撃ち出された! 彼女がゲートを通過した瞬間に入口は消え失せ、雲海と僅かな浮島のみが 在る蒼穹の空間が、ロッテを迎えた。彼女は気持ちよさそうに降下する。 その姿はまるっきり、スカイダイビングのそれであった……暢気な娘め。 「ふふ~ん……♪この浮遊感、狭いお店だとあまり体感出来ませんの♪」 『ロッテ、あまり遊びすぎるなよ?相手が迫ってきて……危ないッ!?』 「──────ッ!」 『“W.I.N.G.S.”……Execution!』 だが、優雅なスカイダイビングは一瞬で終わった。レーザーがロッテを 狙って撃ち放たれたのだ!ロッテは一瞬で“フィオラ”から、戦闘用の “セイクレール”付き“シルフィード”に換装して、そこに内蔵された 急速移動用ブースターを活用しつつレーザーを回避……まるで曲芸だ。 「っとと、流石にここからは本気でいかないとダメですの……」 「そうですよ“先輩”ッ!アタシは本気ですから、困りますッ!!」 『せ、先輩だと!?待てロッテ、相手の神姫と知り合いなのか?』 「い、いえ知らないですの~……とりあえず、ウィブリオっ!」 「キュィィッ!」 初撃を回避したロッテは、翼竜タイプである相棒の“プルマージュ”…… 霜天龍ウィブリオを招喚し、背に跨る。脚をファフナー同様にロックして 竜の胸と背にマウントされていた小型盾と槍型のマシンガンを装備して、 相手を迎え撃つ準備は整った。だが、空中戦ならば待つだけではダメだ! 「……相手のお尻を捉えますの。大丈夫、ウィブリオならできますの!」 『キュイ……キュィッ!!』 「来ましたね!先輩は越えるべき壁……手合わせ、お願いします!」 そう!ドッグファイト(闘犬)という通称がある様に、高機動飛翔体同士の 戦いでは相手のバックを取る事が重要なポイントだ。本来は天使型である ロッテもそこは重々承知しているらしく、飛竜の機動力をフルに活かして バイザーの後ろを狙う。そして、ストームバイザーを土台としたと思しき “超音速戦闘機”型のバイザーに跨る海豚型神姫は、振り解こうとする。 この駆け引きこそが、空中戦の醍醐味と言えるだろう……にしても、だ。 「せ、先輩ってどういう事ですの~?わたし、貴方と会った事……」 「はい!でもアタシは、勝ち上がっていく先輩を見ていたんですっ!」 「う、う~ん……とりあえず名前とか、教えてもらえますの?」 「“天空騎士(パラディン・ダイバー)”のハニエルです!」 「ハニエルちゃんですの?……“後輩”でも、手加減はしませんのっ!」 『キュイィ~ッ!!』 暫く追いつ追われつの“ダンス”を披露した後、いよいよ本格的な戦闘が 開始される。先に仕掛けたのはロッテだった……“ウィブリオ”の胴体に 仕込んでおいた多目的ランチャーを開いて、高機動型マイクロミサイルを 無数に斉射したのだ!白線と共に迫る弾から、ハニエルが必死に逃げる! 更に追い縋る様にして、ロッテは右手のマシンガンから弾丸をバラ撒く。 「くっ、ミサイル!?こっちの装甲が薄いと見ましたか……!」 「はいですの。ストームバイザー系列は、機動性重視ですからっ!」 「なら、その特性を見せてあげますっ……奥義、竜鳥飛びッ!」 「え……!?自由落下で、ミサイルをかわしていますの……ッ!」 「先輩、まだ驚くのは早いです……よッ!!!」 だが逃げてばかりではいなかった。相手は乱気流に身を任せて、正確に 飛来するミサイルを誤導し、結果的に直撃せず回避してしまったのだ! そしてその隙を狙ってアフターバーナーを噴かしたハニエルは、急激な 旋回軌道を描いて一気にロッテの背後へと回る。バイザー付属の大口径 レーザーキャノンが、ウィブリオに照準を定めた……これは、拙いな。 「うわぁ……無茶な機動で混乱しないのは流石、海戦型神姫ですの」 「空も海も、三次元の自由空間である事は変わりませんからっ!」 「ふふ……ですけど、わたしだってこのままじゃ済ませませんの~♪」 『キュ、キュィッ!』 ──────天を舞い踊る姫達は、何処までも可憐だね。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1627.html
呪いと嘆きの縛鎖を、断ち切って(その三) 第六節:奇跡 嘆きが、悲鳴が聞こえる。それは、アタシ・エルナの叫びでも……無論、 茫然自失としているロッテお姉ちゃんの声でもない。そう、僅かに機能が 生き残っていた外部マイクが拾った、マイスター……晶お姉ちゃんの涙。 それは、アタシを説得していた時の“強さ”ではない。彼女の“弱さ”。 『いや、やだぁっ!!アルマぁ、クララぁっ!お願い、消えないで!』 『ォォ──────!?』 『ロッテとエルナを遺して逝かないでッ!私、私……!!』 『ォォォォォ──────ッ!?』 多分、実空間での彼女はトレーニングマシンに向かって泣き叫んでいる。 ……そうよ。この人にとっては彼女らも……ロッテお姉ちゃんも、そして アタシも等しく、同じ“感情”で接する“神姫”なのよ。それは……!! 『“愛している四人の妹”を、喪いたくない──!!!』 「マイ、スター……それが、あなたの本心……ですの?」 “愛”。“ラグナロク”では、表だって誰も口にしなかった言葉。でも、 アタシも実際には、かつて感じていた……そして、“姉”に抱き留められ 再び感じる事が出来る様になった切なる想い。それを示す、純粋な言葉。 大事に仕舞い今まで言わなかった……神姫への、そして“妹”への想い! 「……今、言われても……どう反応すればいいのよ……って!?」 『ォァ──────ァァァァァァ──────!?』 「こ、これは……防壁が、消えていきますのッ!」 それは確かに、力を持った“魔法の言葉”だったわ。“悪夢”を覆う、 闇のヴェールに白いノイズが走り始めたの。まるで、急に劣化し始めた データの様に、存在自体が脆くなり始めたのが……アタシにも分かる! 「バリアが弱まった……やるなら、今よ!ロッテお姉ちゃん!!」 「はいですの!ふぅ……せぁあああああっ!!!」 『ォォ……ォァァァーッ!!???』 それを感じたロッテお姉ちゃんは、全身の損傷を感じさせない動きで、 奴に向かって跳躍したのよ!その手に持っていた“魔剣”ライナストは 純白の稲妻を放って、翼の様に彼女を“悪夢”の元へと運んでいくわ! 「大切なモノを傷つけた罪は重いですの……はぁっ!!」 『ォォォォォッ!?』 「これは……!なんて……計算外なの!」 アタシの常識では推し量れない、壮絶な戦いが始まったわ。“悪夢”は、 その禍々しい爪と爆風を伴った“魔術”で、ロッテお姉ちゃんを消そうと 猛追を仕掛ける。だけど雷の翼で華麗に飛び回る“雷神の姫”は、それを 紙一重の所で……しかも、アタシの方へ飛ばない様に回避していくのよ! 「これは……エルナちゃんの分ッ!!」 『ォッ──────ォォォァァァ……!?』 それどころか剣を推進機関として飛んでいるにも拘わらず、擦れ違い様に ロッテお姉ちゃんの一閃は、“悪夢”の醜悪な鎧を切り刻んでいくのよ。 決して致命傷という程の大ダメージではないけど……流麗な連撃は確実に “悪夢”の力を鈍らせ始めていたわ。何故、彼女はここまで出来るの?! 「更にこれは、クララちゃんの分ですの……ふっ!!」 『ォォッ!!!ォォォォォ──────!!!』 「きゃっ!?せ、せめて流れ弾を受けない様にしないと……ね」 今のアタシに、ロッテお姉ちゃんへと追い付く術はない。ならばせめて、 戦いの巻き添えにならない位置で、可能な限りの支援をするしかないわ。 と言っても、あの“悪夢”が放つパワーは異常。逃げ場なんて、ないの。 それでもアタシは、瓦礫の影から様子を窺うわ……目を逸らせないから! 「こっちは、アルマお姉ちゃんの分ですの!“強く、穿て”!」 『ォォ──────ォォォッ!!?』 奴に抉られた幾多の傷。その交差点に剣を突き込み、ロッテお姉ちゃんが 白い雷を解き放つ。さしもの“悪夢”も、防御を失いかけた今の状態では 苦しいみたい。遮二無二ロッテお姉ちゃんを振り解いて、黒い球体を三度 凝縮させ始めたの……しかもそれは、先程よりも遙かに巨大。拙いわね。 「……ッ!!」 「ロッテお姉ちゃん!何してるのよ、今攻め込めば勝てるのに!?」 「アレが解き放たれたら、エルナちゃんは確実に巻き込まれますの!」 「何言ってるのよ!アタシなんか……“なんか”じゃないのよね」 「はいですの♪エルナちゃんも今は大事な“姉妹”ですから……!」 『ォォォォォォォォ──────ッ!!!』 でも、アタシを見捨てれば問題ない程度。その筈、なのに……この人は、 輪に迎え入れたばかりのアタシを護ろうと、敢えて防御姿勢をとったの。 アタシを背にして、あの球体を真正面から受けきる気よ!それは、絶対に “大切なモノ”を護りきる……ただそれだけの、しかし強い意思の為に! 「……お姉ちゃんの、バカっ……!」 「わたしは不器用ですから……でも、一意専心ですの!」 分かる。ロッテお姉ちゃんに、そして彼女を慕う三人のお姉ちゃん達に、 何故アタシが惹かれたのか。それは、きっと……この一途な想いなのよ。 彼女らに止めてもらってよかった……こんな窮地で、アタシは思ったわ。 でもだからこそ、絶対に……絶対に皆で生きて帰るの。負けたりしない! だからかもしれないわね。アタシの放った“防御魔術”が、冴えたのは。 『ォォォォォ─────ッ!!!!!』 「う、ぐ……ぐぅ、くうぅううっ……!!!」 「死なせたり、しないわ!だから、お姉ちゃん達……力を!」 ──────奇跡は、思うからこそ起きる物なのよ。 第七節:希望 炸裂した黒球は、地面もビルも……仮想空間の街に出来た全ての構造物を 吹き飛ばしながら拡大していくわ。アタシは“防御魔術”で、盾になった ロッテお姉ちゃんを、全力を込めて護りきるの!意識が飛びそうな位に、 全てのエネルギーを振り分けて、砕けそうになる“魔術”を維持したわ。 「ふ、ぅ……耐え切れた、かしら……お姉ちゃん?」 「……はいですの。御陰で、勝利が見えてきましたの」 『ォォ──────!?』 どうやら、アタシはロッテお姉ちゃんを護り切れたみたい。聞こえるわ、 覇気を喪わない彼女の声と、“悪夢”の狼狽振りが。見えるのよ、空中を 粉雪の様に漂う、白い煌めきが。それは“約束の翼”と同じ、聖なる光! 「……これ、ひょっとして。アレと同じ性質の……!?」 「そうですの。わたしには分かりますの……“心”に溢れる力が!」 『ォォ……ォォォォォ──────!?』 白い煌めきは、徐々に密度を増していく。そして、程なくそれらは純白の 嵐となって、ロッテお姉ちゃんの全身をくるんだわ。アタシはその中で、 確かに見たの。“約束の翼”を、再び纏った彼女を!しかもそれは三対の 翼と、豪奢な全身鎧に輝く白の外套……そして双振りの巨大な槍を纏った “神なる姫”。お姉ちゃん達全員の“約束の翼”を継承した、真の姿よ! 「……そして、単なるノイズの貴方には分からないですの!」 「ロッテお姉ちゃん……補強するわ、アタシが!」 「この……皆の思いを受けた“希望”から溢れる、純粋な力が!!」 『ォォォォォ──────ッ……!!?』 でも、それはデータ的に不安定だった。だから、アタシは遺された全ての 力と意識を、“約束の翼”の補強に用いたのよ。簡単ではなかったけど、 “魔術”で掴んだデータ処理の“感覚”を元にして、必死に支えたわッ! 「……勝負は一撃、この“光輝の羽槍”で……全てを決めますの!」 『ォォ──────ッ!!!!』 ロッテお姉ちゃんが、優雅な動きで巨大なスピアを構える。“悪夢”は、 その姿に恐怖か敵愾心か……只ならぬ物を感じ、一気に駆けてきたのよ! そして“光輝の女神”は、六枚の翼を強くはためかせて……舞ったわ!! 「これは、名も無き神儀!“悪夢の終焉”に捧げる、最期の技ですの!」 『ォォォォォッ……ォォ──────ッ!!!?』 「はぁぁあああああああッ!!!!」 突き出される、闇の爪。彼女の手から、射出される様に飛び出す光の槍。 凄まじい爆音と共にそれらは交錯し、互いに向き合う形で、止まったわ。 ……奴の腕がロッテお姉ちゃんを、貫通している様にも見えるけど……! 「ぅ、くぅ……」 『ォォ……ォォ………』 「お姉ちゃん……ッ!?」 急激に“巻く”様な挙動で、奴の爪をかわしていたロッテお姉ちゃん。 左腕を掠めたけど、でもそれだけ。双子の槍は、奴の両胸に深々と…… そう、取り込まれた二人の“お姉ちゃん達”に届く様にして、真っ直ぐ 突き立っていたわ……そして、更に激しくなる“悪夢”のノイズ……! 「……ノイズに還してあげますの。さぁ、二人を離して……!」 『ォォッ……ォォォォォォォォ──────!!???』 そして、極端な電磁嵐が巻き起こり……激しい爆発がフィールドの全てを 覆い尽くしたのよ!ロッテお姉ちゃんも、アタシも……“悪夢”さえも、 膨大な爆発の圧力に呑み込まれて、地面だか壁に強く叩き付けられたわ。 「きゃううっ!?……う、うぅ……痛ぁ……ロッテ、お姉ちゃん?」 「……槍と鎧は、吹き飛んじゃいましたの」 そう言ったロッテお姉ちゃんは、本当に全ての装備を失って……厳密には まだ六枚の“翼”が残っていたけど……着ていたドレスさえ完全に燃え、 裸身のままボロボロの姿で、アタシの隣に横たわっていたわ。なのに…… まだ、それでも。魔剣さえ何処かに飛んでいった状況でも、立ち上がる。 「ちょ、ダメよ!奴はもう、倒したんじゃないの!?」 「倒しましたの。でも、まだもう一仕事……残っていますの♪」 そう言って痛々しい姿になった手足を引きずり、ロッテお姉ちゃんは前に 歩き始めたわ。アタシは彼女の“翼”越しに、何故まだ立ち上がるのかを 認める事になるの。そう、吹き飛んだ“悪夢”の代わりにいたのは……! 「アルマお姉ちゃん……クララお姉ちゃん!?」 「……やっと、取り戻せますの」 ──────“悪い夢”から、皆で解き放ってあげるわ。 第八節:至宝 爆心地に立っていたのは、ロッテお姉ちゃんと同じく裸身の二人。そう、 アルマお姉ちゃんとクララお姉ちゃん。でも『立っていた』というのは、 正確じゃないわね。彼女らの躯には黒い炎がまとわりつき……その所為か 吊されているかの様に、地面から少しだけ浮き上がり制止しているのよ。 「……アルマお姉ちゃん」 「ロッテ、ちゃん……?」 どうやら、彼女らの意識は少しだけ復旧しているみたい。でも、その顔に 生気はなく……哀しげな表情で、アタシとロッテお姉ちゃんを見下ろす。 クララお姉ちゃんの方も同様に、譫言の様な“罪”を呟き始めたわ……。 「……ロッテお姉ちゃん。ごめんなさい、だよ……」 「何が、ですの?謝られる事は、してないですの♪」 それでも、ロッテお姉ちゃんは明るい声を崩そうとしない。ううん、もう 哀しむ必要も、怒る必要もないかの様に。明るさを隠そうともしないの。 「……あたし達が強くなかったから二人を……傷つけたんです……」 「ボクらが、影に抗えなかったから……マイスターを泣かせた……」 それは、最初“悪夢”に乗っ取られていた事への謝罪に聞こえたわ……。 でも、そうじゃなかったの。もっと深い所に、彼女らの後悔はあったの。 「ロッテちゃんに甘えて、ボクらは……自分の想いを言えなかった……」 「同じだって、言い聞かせて……あたしの言葉を告げられなかったのに」 「……告げる前に、とても傷つけちゃった……悪い娘だよ……ボクらは」 「こんないくじなしじゃ、マイスターに愛してもらう資格……ないです」 ……それは、とても深い自責の念。自分達が弱いから、皆を傷つけたと。 自分達の想いを明かせないままに、皆を傷つけてしまったと……だけど、 アタシは“おかしい”と思ったわ。だって、あの時現れた幻影は……!! 「……だったら。あの時わたし達を護ってくれたのは、何故ですの?」 『ぁ……』 「悪いと分かっていても、マイスターに想いを告げたいからですの!」 『ぁ、あ……ッ』 自分達を責めても“想い”だけは隠せない。それを、ロッテお姉ちゃんは 分かっていたのね。だから“悪夢”の残滓に影響されてしまっている今の 二人に対しても、掛けるべき言葉を持っていたのよ。敵は“悪夢”だけ。 謎めいた“呪い”と自分達の弱さ以外を、打ち砕く必要はなかったのよ。 「影は……神姫も人間も皆が持っている、でもそれでいいですの」 「ロッテちゃん……悪い娘のあたし達を、赦してくれるんです?」 「わたしは何とも思いません。さ、還っておいで……“姉妹”達」 「マイスターも、赦してくれるかな……大丈夫、なのかな……?」 「勿論、“姉妹”全員がいればOKですの♪ね、エルナちゃんっ」 アタシは、ロッテお姉ちゃんの優しい呼びかけに一瞬応えられなかった。 それはアタシが吹き飛ばした列車にいた、あの娘の事を思いだしたから。 爆弾をセットして逃げ出す瞬間に、一瞬だけ目があった……“神姫”を。 だけど彼女なら赦してくれそうな、そんな気もしたわ。理由なんてない。 でもそう思った瞬間、アタシは遺された力で飛び……皆を抱きしめたの! 「うん……うんっ!お姉ちゃん達、勝手に離れたら赦さないわよ!」 「“妹”になって数時間なのに、すっかり甘えん坊さんですの~♪」 「だって……それだけの濃密な出来事が、ありましたからね……?」 「そう。ボクらの超AIでは、数年とも思える程の……深い事だよ」 二人を包む闇は消え失せ、その瞬間にアタシ達は“宝物”を手に入れた。 皆と共にある事こそ、何物にも代え難い……“姉妹全員の至宝”なのよ。 もう、離さない。アタシに幸せを与えてくれるだろう“姉”を、絶対に! それはそう、今この仮想空間に居る三人だけじゃなくて……外の実空間で 帰りを待っている、とても大事な“マイスター”も同じ“姉”なのよッ! 『皆、無事で良かった……本当、無事で……よかったよぉ……ッ』 「ああもう、マイスター?そんなに泣いてちゃダメですの~っ!」 「ふ、ふふ……マイスターの“別の横顔”が、見えちゃいました」 「多分、アレが地なのかな?こんな声、聞いた事もなかったけど」 「だらしないわよ、マイスター!しゃんとしてよ、姉なんだから」 咳払いが、天空から聞こえてくる。それと同時に、暗雲がたれ込めていた 空に“天使の梯子”が掛かったわ。漸く、長かった様で短い“悪夢”から 目覚める時が来たのよ……消耗が、一気に実感出来てきたわ。ふぅ……。 「う、有無。さぁ、皆……還ってこい、暖かい“日常”へと!」 『はいっ!!!!』 ──────幸せに、なれるかしら……ううん、なるわ。 次に進む/メインメニューへ戻る