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登録日:2015/07/19 (日) 19 02 10 更新日:2024/06/26 Wed 22 50 25NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 5年もすれば客がいない うっかり くびれ のんびり イイ女 カフェモナ・リザ グータラ→でも店ではやり手 コルセット シャーリー ブロンド ベネット・クランリー 大人の女 女店主 謎の多い過去 森薫のマンガ「シャーリー」に登場するメインキャラクターの1人。 主人公であるメイド、シャーリー・メディスンの雇主である。 上流階級の生まれで年齢は28の独り身、好物は鳩のパテとティプシーケーキ。 両親は既に他界しているらしく、現在はカフェ「モナ・リザ」を一人で切り盛りしている。 やってくるお客は常連の老人ばかりで5年もすれば客がいなくなるんじゃないかなどと考えていたりもする。 お嬢様育ちということもあって大らかで楽観的、人付き合いの良い性格だがズボラでうっかりな面も。 独り暮らしということもあって屋敷の掃除、選択、その他諸々の家事が行き届いておらず、 その現状を何とかする為にメイド募集の広告を出し、それを見てやってきたのがシャーリーである。 (因みにシャーリーが来たのもベネットが広告に年齢制限を書き忘れたからだったり) 自分が雇わなかったら行く充てが無さそうだの、好物のティプシーケーキを作れることに釣られるだのといった理由を踏まえてシャーリーを採用。 初日から家事全般をそつなくこなしてみせたシャーリーに涙を零してまで感動していたりもした。 以降はシャーリーとの2人暮らしでお互いに強い信頼関係で結ばれるようになる。 長くて綺麗なブロンドの髪にコルセットの似合うくびれたウエストなど、外見もバッチリ。 尤も、ベネットとしては自分のブロンドの髪を羨むシャーリーに対してブルネットの方がいいなどと言ったりしているが。 前述した性格も合わせてシャーリーが失敗をしても、あまり声を大にして叱ったりはしないが、 流石に客人相手にカッとなってしまった時には強い言葉で咎めている。 家の中ではシャーリー相手にグータラな一面を見せることも多いが モナ・リザにいる時はそういった部分は鳴りを潜め、シャーリーが見惚れる程の手際の良さを発揮。 大量の客相手に手早く料理を差し出し優雅に紅茶を振る舞うデキる女に変貌する。 彼女の出す紅茶はメイドとしての技能を十分に備えたシャーリーが、自分の淹れる紅茶よりもずっと美味しいと思うくらいに。 そんなこんなでシャーリーとのほのぼのとした日常を謳歌している彼女であるが、 実は5年前まで付き合っていた婚約者がいたこともあった。 その婚約者とは仕事が忙しいことを理由に疎遠になってしまい、今ではスッパリ気持ちを割り切っているものの、 逆に婚約者の方は「言わないで後悔はもうしたくない」と漏らすほどにベネットに未練を抱いている。 婚約者が明かしたところによれば、 シドナムに行った時に気球に乗ろうとして最初は嫌がっていたが、いざ乗ると1人で大はしゃぎした挙げ句、手持ちの日傘を落として危うく人死にを出す所だった。 植物園で周りの風景に目を奪われて上ばかり見ていたら、躓いて近くの池にカバンを落としてしまい慌てて飛び込もうとしていた。 ブライトンで揚げたてのフィッシュ&チップスを買い食いしようとはしゃいでいたら、買った矢先に地面に落としてしまった。 などなど、その楽観的で大らかな性格は昔からのものであるという様々な逸話があるようだ。 ただ、前述したようにベネットの方は完全に気持ちが冷めてしまっているので、 元婚約者に会う度に冷ややかな態度を見せている。 そしてその元婚約者と会った時だけ、シャーリーが困惑してしまうくらいに普段とは真反対の大人の女の顔を覗かせることも。 人の良い大らかな主人、器量良しな店主、時折覗かせる大人の女性としての一面など、 多くの魅力を併せ持ったキャラクターと言える。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] マニアックな項目すぎて一瞬誰のことか気付かんかった…俺「シャーリー」大好きなのに…。っていうかシャーリーの項目ないじゃん!! -- 名も無き熊 (2015-07-19 20 04 16) 以下、コマンドーネタ禁止 -- 名無しさん (2015-07-19 20 05 30) てっきり「野郎ォブッ殺してやるゥ!」の方かと・・・ -- 名無しさん (2015-07-20 09 17 29) ↑そっちのベネットの方はフルネームは明かされてないのよねw -- 名無しさん (2015-07-20 10 31 24) お嬢様でカフェの店主で大らかで少女メイドと仲のいい28歳独身とか殺傷力高すぎる...流石は森先生 -- 名無しさん (2015-07-24 22 48 37) 名前 コメント
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シャーリグラーマ No.345 種別 アルカナ 聖霊力 Lv5 レアリティ Sレア 勢力 ローゼンベルク 効果 相手に500か1000か1500のダメージを与える illustrator イラストレーター 戻る
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おれが1945年に転移してきたから十数日後 おれ「・・・・・・」(フラフラ) シャーリー「おーいおれー・・・朝っぱらからそんなにボロボロで大丈夫か?」 おれ「大丈夫です・・・」 坂本「大丈夫と言ってもそうは見えないが・・・また俺にしごかれたみたいだな。そろそろ俺にいい加減もう少しやり方を考えろと言ってやるか」 シャーリー「そうしたほうがいいかもしれないなー。最近おれがボロボロじゃなかった所なんて見たことないぜ」 おれ「本当に大丈夫ですから心配しないで、母さんにシャーリーさん」 坂本「おれが私のことを母だと思っていてくれているならなおさら私は止めなくてはならないな。」 俺「おー、みんなそろって何やってるんだ?」 坂本「丁度いいところに来た・・・俺、そろそろいい加減にやり方を変えろ!おれを見て何も思わないのか?」 俺「何を思うっていうんだ?昔の俺を見ているようなだけで特に何も思わないな。それに美緒ちゃんにはこの間言ったろう?俺は俺が今までしてきた方法でやるってね」 シャーリー「自分がそれで成功したからって他の奴も同じ方法で成功するわけじゃないとおもうぜー?」 俺「大丈夫さ。おれは俺の息子なんだ・・・この方法でいい。前に比べて随分マシにもなってきたからな」 おれ「父さんの言うとおりです。おれも今の方法で大丈夫ですから・・・」 坂本「おれがそう言うなら無理には止めないが・・・」 シャーリー「なら限界だとおもったら無理にでも止めればいいさー」 俺「何言ってるんだ。限界が来てからが大事なんだよ全く・・・けどそろそろ修行漬けってのもダメだし息抜きが必要だな」 坂本「息抜きか・・・ロマーニャの町にでも息抜きに行かせてみるか」 シャーリー「それならあたしが送っていってやるよ。ロマーニャに行く予定もあったしね」 俺「それじゃ俺も。ちょっと買い物があんだよ」 坂本「おれも一緒に行ってくるといい。ゆっくり羽を伸ばす事も必要だ」 シャーリー「そういうことだよ一緒に行こう。けどそんなボロボロの状態で連れていくワケにもいかないし、一旦シャワーを浴びて着替えてこいよー?」 おれ「はいそうします」 ミーナ「あら、みんなでロマーニャへ行くのね?」 坂本「そこの3人が。だがな」 ミーナ「美緒も行ってきたらいいじゃない。親子水入らずでロマーニャの街でゆっくりしてらっしゃい」 坂本「親子水入らずと言ってもまだまだ先の事だぞ・・・?それに間違っても俺となんてそんなことになるとは思えない」 俺「ひっどいなー。そんな事言わないでよ、俺泣いちゃうよ?」 坂本「勝手に泣けばいいだろう!」 ミーナ「あらあら・・・」 おれ「・・・・・・」 坂本「どうしたおれ。私の顔に何かついているか?」 おれ「ねえ、母さんも一緒に行こう?」 坂本「う・・・おれがそう言うのなら一緒に行ってやるか」 ===== === = ロマーニャの街に到着 俺「よっし、それじゃー俺はちょっと所用を済ませるとするわ。また後で落ち合おうぜ」 坂本「おい俺、勝手な行動をするな!」 俺「美緒ちゃん子供じゃあるまいし迷子になんてならねえよ。ちょっと急ぐからそれじゃまた後でなー」 坂本「全く・・・足並みを揃えない奴だ」 シャーリー「仕方ないなー。少佐、あたしたち3人で周ることにしようよ」 坂本「そうだな・・・おれはどこか行きたい場所はあるか?」 おれ「おれですか?出来れば1本刀が欲しいんだけどロマーニャでどこか手に入る場所なんてありますか?」 シャーリー「刀かー。多分手に入るとは思うけどそこまでいい刀があるかはわからないぜ?」 坂本「確かにその童子切や虎徹のような国宝、最上大業物のようなものが手に入るとは思えないな」 シャーリー「けど、昔に海外に持ち出されたものがどこかに眠っているかもしれないけどねー」 おれ「別に凄い刀が必要なワケじゃなくて普通のでいいんです」 坂本「それなら多分ロマーニャでも手に入るだろう。取り扱っていそうなところを探してみるか」 シャーリー「それなら確かあっちのほうにそれっぽい店が前にあった気がするよ。行ってみようか」 ===== === = 俺side 俺「確かここだな・・・すみませーん誰かいないか?」 老人「これはこれは、ウチにお客さんとは珍しいものだ」 俺「ロマーニャ人が刀なんて欲しいなんて思わないでしょ。アンティークとしての置物は別としてさ」 老人「ほっほっ。そして客人、何をお探しか?」 俺「力のある刀が欲しい」 老人「ほっほっほっ、力のある刀と来ましたか。そんな刀はウチにはございません、お引き取りください」 俺「隠さなくてもいいんだぜ。ここに何本かあるってのは分ってるんだ。じーさんあんたが只物じゃないってこともな」 老人「ほっほっほっ。それはそれは・・・」(シュパッ!) 俺「おっと、遅え遅え。無理するなよじーさん。老体で無茶すると腰を悪くするぜ?」(キンッ) 老人「ほっほっほっ。ワシの剣を受け止めたか・・・なるほどなるほど・・・口先だけではないみたいじゃの」 俺「ったりまえだ。俺を誰だと思ってる、こう見えても剣聖が1人、童子切安綱を受け継いだ者さ」 老人「ほっほっほっ。まさかわしの前に童子切を持つ者が訪れるとは・・・」 俺「で、どうなんだよ。まだお引き取りくださいか?」 老人「ほっほっほっ。いいでしょう幾つか準備しましょう」 俺「一番イイ奴を頼むよ」 ===== === = おれside 坂本「シャーリー、本当にこっちであっているのか?街のはずれまで来てしまったぞ」 シャーリー「大丈夫大丈夫、ほら見えてきた。あそこの小汚い店さ。確か前にルッキーニと来た時に刀がいっぱいあって坂本少佐が好きそうな店だなーって話してたんだよー」 おれ「・・・あの店から何か力のようなものを感じます。これは闘気・・・?」 坂本「何かありそうな雰囲気か。行ってみよう」 ===== === = 坂本「・・・店主はいるか?」 おれ「ごめんくださーい」 シャーリー「な、沢山刀があるだろう?」 俺「あれ、美緒ちゃん達どうしてここに来てるわけ?」 坂本「俺!?」 おれ「父さんも刀を探しに来ていたの?」 俺「まーな。けど残念だな、ここの店で一番いい刀は俺が手に入れる事になるからな」 おれ「別におれは一番いい刀でなくてもいいから1本欲しいから来たんだ」 俺「そうかそうか。見渡す限り刀刀刀・・・1本位はお前にあうのもまぎれてるだろう」 坂本「ふむ・・・本当に大量の刀が置いてあるな・・・良く見るとちらほら業物もまぎれているようだが?」 俺「そうだね。何本も業物がまぎれてるけど俺が欲しいのはただの業物じゃないんでね」 坂本「となると・・・良業物・大業物・最上大業物それに準ずるものと言ったところか」 俺「そうだねー。最低でも童子切とバランスが取れる刀が欲しい。二刀の技を使う時は今までは友人の三日月を、ついこの間はおれからもう1本の童子切を借りなきゃならなかったからな」 坂本「成程な・・・おれは最上大業物の虎徹があるから、童子切の力に拮抗できていたわけか」 おれ「はい。多分おれの腕じゃ大業物クラスの刀をもってもバランスをとることが出来ないかもしれないです」 老人「待たせたな客人。・・・今日は客人のバーゲンセールじゃな。そこの3人も刀を探しにきたのか?」 シャーリー「探しているのはあたしたちじゃなくてこの子だけだよ」 おれ「そこまで力のある刀じゃなくていいので、おれがまともに扱える位の刀を探しています」 老人「ほっほっほっ。自分の実力を過小評価する必要はないぞ童」 俺「それで、俺が頼んだブツは?」 老人「ほっほっほっ、あわてるでない。慌てる乞食は貰いが少ないといわれて居るじゃろう。この中から好きな物を持っていくといい」 俺「どれどれ・・・なあじーさん。どうしてこんないい刀がこんなところに置いてあるんだよ。国宝クラスも混じってるじゃねえか!」 おれ「凄い・・・本当なら博物館に飾ってあってもおかしくない物ばかりだよ・・・」 坂本「私もぜひ1本欲しいくらいだ・・・」 シャーリー「そんなに凄いのか。おれはどれにするか決めたのか?」 おれ「あっ、そうだった・・・おれも1本探さないと・・・」 老人「童もこの中から選んでもいいんじゃぞ?」 おれ「いえ、おれはそこの中以外から選びます。まだどこかにおれにあった刀がありそうな気がするんです・・・さっきから呼ばれている気がするんです」 老人「(ほう・・・気づいたか)」 俺「んー。中々しっくりこないなあ。次次!」 おれ「どこだろう・・・さっきからおれを呼んでいる刀は・・・」 坂本「よし、一緒に探してやろう。刀を見る目は私も少々持ち合わせているからな」 シャーリー「あたしも探してやるよ~。ビギナーズラックでいいのを探し当てるかもしれないからね」 おれ「ありがとう、母さん、シャーリーさん」 俺「よし、じーさん。俺はこれにするぜ!」 老人「ほっほっほっ。やはりそれを選ぶ事になったか」 俺「太刀 銘備前国包平作。名物大包平。童子切をもってりゃこいつを選ばない訳にはいかないからな」 老人「ほっほっほっ、代金は要らんもっていくといい」 俺「まじで!じーさんありがとうよ。ありがたく使わせてもらうぜ」 老人「久しぶりに良いものが見れたお代じゃ。連れの童はまだかかっているようじゃね」 俺「まだまだ正宗とか髭切とかあるのになあ・・・」 老人「ほっほっほっ。童は別のを探していたようじゃからな」 俺「別の物ねえ・・・」 坂本「おれ、これなんかどうだ?小烏丸。平家の家宝がなんでここにあるかは知らないが良い物だろう?」 シャーリー「俺ーこれなんてどうだー?なんとなく選んでみたけど結構よさそうな物だとおもうぜ?なんかひんやりしてるし」 おれ「村雨・・・!?本当になんでもあるな・・・」 坂本「びっくりするような物ばかり置いてあるな・・・」 シャーリー「細かい事なんてどうでもいいさー。おれはまだ見つけられないのか?」 おれ「・・・沢山ありすぎてその中から探すのが大変で」 坂本「確かさっきは闘気を感じるといっていたな?それを感じ取ればいいだけではないのか?」 シャーリー「確かセンサー代わりにも使えるんだよな?何か分るんじゃないか?」 おれ「盲点でした・・・一度やってみます・・・・・・・・・・・・・・・あった!」 おれ「多分、これだ・・・」 老人「ほっほっほっ。それを見つけたか童」 俺「じーさん、それを見つけたってどういうことだ?あの刀何か特別なもんなのか?」 老人「ほっほっほっ。感覚を研ぎ澄ませばあの刀の凄さが分かるとおもうぞ?」 俺「感覚をねえ・・・・・・・・・!?なんだありゃ・・・なんつー物騒なもんがあるんだよ」 老人「ほっほっほっ、あれが何かわかったようじゃな」 俺「本当に何でもあるな・・・どうしてこんなところに国宝級のものがごろごろしてるんだよ」 老人「それはじゃな・・・わしがまだ剣聖と呼ばれていた頃、道場破りみたいなものをしていたんじゃ。持っていったのは看板でなく刀・・・だったというわけじゃ」 俺「納得。」 おれ「それでおじいさん、父さん、この刀は一体どんなものなの?」 俺「おいおい・・・それが一体どんだけ凄いものかわかってないのかよ!?」 おれ「なんだか凄そうなのはわかるんだけど・・・」 老人「それは霊剣・布都御魂じゃよ。まさか見つけられる者がいるとはおもわなんだ」 坂本「国宝のバーゲンセールだが扶桑は本当に大丈夫なのだろうか・・・」 シャーリー「何だか凄そうなのはわかったよ。んー、あたしも何か1つ記念に買っていこうかな~」 坂本「シャーリーもこれを機に剣術でも学んでみるか?」 シャーリー「それもいいかもしれないな。なんたって3人も先生がいるんだからな~」 おれ「おれは先生なんて出来るような柄じゃ・・・」 シャーリー「それじゃああたしはもう少しこの店で物色するとするよー」 おれ「おれももう少しここに居ます」 坂本「なら私ももう少しここを見ているとするか」 俺「えっ今からてっきり美緒ちゃんと二人っきりでデートの予感って思ったんだけど違うの!?」 坂本「何をばかなことを言っている。ありえないな」 おれ「せっかくロマーニャに来たんだから父さんと母さんは二人で楽しんでこればいいと思います」 坂本「おれまで何を・・・」 シャーリー「そういうことなら・・・よーしおれ。あたしたち二人でデートとしゃれこもうか」 おれ「シャーリーさんわかりました」 シャーリー「とういうわけさ、坂本少佐」 俺「2人ともGJ。さあ俺達は行こうか美緒ちゃん。かわいい息子のデートを邪魔するわけになんていかないだろう?」 坂本「くっ・・・なら私は一人でロマーニャを回る」 俺「そんなこと言わずに一緒に回ろうよ。美緒ちゃんにはプレゼントも買ってあげたいしな」 坂本「そんなものなどいらん」 俺「そんなこと言わずにさ。ちょっと早い誕生日プレゼントだと思って貰えればいいのさ」 坂本「!?」 俺「ふふん。その位はリサーチ済みさ。だから大人しく俺についてきて貰おうか」 おれ「・・・・・・」 シャーリー「・・・・・・」 坂本「二人も私をそんな目で見るな!わかった今日だけだからな」 俺「よし、それじゃあ・・・」 「うわああああ・・・ネウロイだ!」 「どうしてこんなところに!早く逃げろ!」 坂本「ネウロイだと!?」 俺「どうしてこんな街中にネウロイが現れたんだ!」 シャーリー「あたしたちで迎撃するしかない。トラックにストライカーユニットは積んであるから急ごう」 ===== === = おれ「急いでネウロイを迎撃しなきゃ・・・」 坂本「おれはここで待機だ」 おれ「どうして?ネウロイが来てるっていうのに・・・」 坂本「こんな人の目が多い場所でお前のストライカーユニットを晒す訳にはいかない。それにお前のストライカーユニットは持ってきていない」 おれ「・・・・・・」 坂本「シャーリー。おれを見ておいてやってくれ。ネウロイは私と俺で迎撃する」 シャーリー「了解」 俺「・・・美緒ちゃん。美緒ちゃんは市民の誘導の手伝いに回ってくれ」 坂本「何を言っている?まさか一人で迎撃するつもりか?」 俺「これから美緒ちゃんとのデートだってのに空気の読めないネウロイのせいでタイムリミットがガリガリ削れてるんだ・・・久々に切れちまいそうだぜ」 俺「おれ、そっから俺の戦い方を見てろ。俺達がどう戦うべきかわかるはずだ・・・とっととあのネウロイ共をぶった斬って俺はデートをするんだ!」 坂本「な、何を言っているんだ!一人で5体のネウロイの相手をするというのか?無謀にも程がある」 俺「・・・たった5体程度、本気になれば俺一人で十分だ。そして・・・今がその本気になる時だ」 おれ「父さん・・・動機が不純すぎるよ」 ===== === = 坂本「結局俺一人で出て行ってしまったな」 おれ「はい・・・父さんはおれに戦い方を見せてやるって言ってました。けど本当に大丈夫かなあ・・・」 シャーリー「本人が大丈夫だっていってるんだから大丈夫なんじゃないか?」 坂本「そうだな・・・俺がやられてしまったら私とシャーリーで迎撃に向かえばいいな」 おれ「母さんもさらりと怖いこと言わないで!」 ===== === = 俺「さてと・・・大包平の試し切りといきますか。後は出来る限りおれの奴に色々と見せてやる必要もあるな」 俺「ネウロイは5体。大型は最後まで取っておくとして・・・まずは周りの4匹からだ」 ===== === = 坂本「まずは大型以外から倒すみたいだな・・・」 おれ「もう1匹倒した!すれ違い様に抜刀して斬り捨てた・・・?」 シャーリー「これなら案外本当に一人で大丈夫なんじゃないか?みろよ、ネウロイの攻撃も当たる気配がないし、あたりそうになっても刀で弾いてるぜ?」 坂本「刀に魔法力を纏わせているんだろう」 おれ「魔法力と闘気をうまい具合に扱うとあんなことができるのか・・・」 ===== === = 俺「まずは一匹!大包平・・・やっぱり噂に違わない名物だ」 坂本「次のネウロイはどうするつもりなんだ?ネウロイも警戒を強めて攻撃の頻度を上げてきたぞ・・・」 おれ「近づけれないなら近づかないで攻撃すればいい・・・?」 シャーリー「そんなことが出来るのか?」 おれ「おれにはできません・・・でも父さんになら・・・」 ===== === = 俺「めんどくせー。懐には入れてあげませんってか!無駄なあがきだけどな!」 俺「・・・刃を飛ばしてやればいいだけだ。斬り裂け、両断・飛燕剣!」 ===== === = おれ「関係ないところで刀を振ったと思ったらネウロイのビームが斬り裂かれてる!?」 坂本「わたしも烈風丸でビームを斬り裂く事はできるが・・・あれは何が起こっているんだ」 シャーリー「さっきおれが言ったみたいに近づかない攻撃をしたんじゃないのか?」 おれ「闘気と剣圧と魔法力を見えない刃にして飛ばしてる・・・?」 坂本「俺ならそれが出来るというわけか・・・これで2匹が沈んだな。残り3匹だ」 ===== === = 俺「残り3体!ちっ・・・更に警戒を強めてきたか。あの大型の攻撃なんつー密度だよ。だけど・・・」 ===== === = 坂本「あの攻撃は避けられないぞ!?」 シャーリー「坂本少佐、そろそろあたしたちも準備をしたほうがいいかもしれないぜ?」 おれ「大丈夫・・・多分あの攻撃は当たらない」 坂本「攻撃を捻じ曲げ、一部を消滅させているだと・・・?」 おれ「父さん、ピンチの時には自身に纏わせればいいんだね・・・」 ===== === = 俺「無駄無駄ァ!そんな攻撃じゃ俺には届かねーぞ!」 俺「そんななめた攻撃、気合いでいくらでも掻っ消してやるよ!残り2体は一気に決める!」 俺「分身からの飛燕剣・二重!」 ===== === = 坂本「なあ・・・私は疲れているのだろうか」 おれ「?」 坂本「今、俺が2人に見えたんだが・・・」 シャーリー「あたしもそうみえたなー」 おれ「はい。分身してました。多分片方は気合いの塊だとおもいます・・・多分。もうおれにもわけがわかりません」 坂本「私もだ・・・」 シャーリー「まあいいんじゃないか・・・?残りはあの大型だけになったわけだしな」 俺「残るはあの大型1つ。おれの奴は今までの俺の動きややってきた事はちゃんと見てただろうか?」 俺「だけど・・・息子の心配よりも今は美緒ちゃんとのデートの事が最優先だ!」 ===== === = おれ「父さん、今度は何をおれに伝えようとしてくれるんだろう・・・」 坂本「しかし残るは大型、本当に大丈夫か?」 おれ「父さんは一人で大型を倒してきてるはずだから大丈夫。それに父さんが死ぬかもしれないのはもう少しだけ先だから今日は多分大丈夫・・・」 坂本「そうなのか・・・。なら大丈夫か・・・?」 シャーリー「俺も本気出すとか言ってたし大丈夫なんじゃないか~?」 おれ「今の父さんは多分誰にも止められません」 ===== === = 俺「いい加減ネウロイも気づかないものかねー。今の俺にはそんなビーム撃っても効果ないって事がさ。テンション最高潮の俺は誰にも止められないぜ!」 ===== === = おれ「ネウロイがかわいそうになってきました・・・。ああも簡単に攻撃を斬られたり捻じ曲げられたり消滅させられちゃあ・・・」 シャーリー「けどどうして俺はネウロイに攻撃を仕掛けないんだ?さっきみたいにビームを切り裂きながら進む真空刃みたいなのを飛ばせばいいじゃないか」 坂本「さっきのは小型だったからあれでよかっただろうが今度の相手は大きい。コアの位置がわからない以上無駄な消耗は控えようとしているのだろう」 シャーリー「なるほど!なら少佐がコアの位置を俺に教えれば直ぐにでも戦闘は終わるんじゃないか・・・?」 おれ「あっ」 坂本「多分教えたところで私の言う事を今日は聞きなどしないだろう」 おれ「きっと母さんの前で良い格好見せたくて、一人で何とかするとか言い出しそうです・・・」 シャーリー「な、なるほどなー・・・」 ===== === = 俺「コアの位置はわからない。美緒ちゃんに聞けば教えてくれそうだけど一人で大丈夫と言った手前格好悪くてそんな事できない・・・。未完成だけどあれをやるか」 「今回は訓練用の刀でなく大包平・・・童子切と大包平の2本でなら100%とは言わないけど50%程度はやれるはず」 「これが剣聖が生涯に1つ作る奥義・・・今代剣聖俺の奥義!」 ===== === = おれ「父さんは何かをやるつもりだ・・・」 坂本「何か・・・?」 シャーリー「なんだか凄い事をやってのけるんじゃないか~?」 おれ「多分、剣聖になって1つ作る奥義・・・父さんは今ここで編み出すつもりかもしれない」 坂本「奥義と言うとあの烈風斬を斬って消滅させたあれではなかったのか」 おれ「あれは前代剣聖の奥義で・・・父さんのお父さん、おれのおじいさんの奥義のはずです」 俺「今回は特別版をかましてやるぜ?美緒ちゃんにアッピルするには丁度良い機会・・・!」 「・・・いくぜ?」 「奥義」 「無」 ===== === = おれ「えっ!?何が起こったの・・・?」 坂本「ネウロイが消えた・・・?」 シャーリー「ちょっと待った!ネウロイが居た所少し変じゃないか・・・?」 坂本「言われてみれば・・・歪のようなものができているような気がするな」 おれ「あっ、その歪が消えました。父さん一体何をしたっていうんだ・・・」 俺「あー!!しくじった、やりすぎた・・・思った以上にこの2本の組み合わせは凄い事になってるのな」 「せっかくネウロイのド真ん中をハート型にくり抜こうと思ってたのに・・・けどそんな事はどうでもいいね!今から美緒ちゃんとデートだひゃっほぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉぉおおおう!」 ===== === = おれ「お帰り父さん、色々ありがとう。これでどうすればいいのか大分わかったような気がします」 俺「そうかそうか、少しでもわかったならそれでいいや。さあ美緒ちゃん、デートデート!さっさと行こう」 坂本「俺、デートはしてやろう。けどその前に最後にお前は何をした」 俺「最後?ああ、空間ごとネウロイを斬り取った。本当はネウロイのど真ん中をハート型にくり抜こうかと思ったんだけどさー、失敗しちゃった」 坂本「・・・そうか。お前が化け物と言う事だけはわかった」 俺「じゃあ時間が勿体無いから俺達は行こうか」 坂本「今日だけだぞ?」 俺「連れない事言わないでよ」 ===== === = シャーリー「行っちゃったな。あたし達もロマーニャを見て回ろう」 おれ「はい、先輩・・・いやシャーリーさん」 シャーリー「先輩ぃ?」 おれ「シャーリーさん、今のは忘れてください」 シャーリー「人には知られたくない事もあるだろうし、おれの時代の人と間違えちまっただけだろ?」 おれ「はい、その通りです。行きましょう?」 シャーリー「よーし、それじゃ案内はあたしに任せてくれよ」 ===== === = 3時間後 おれ「シャーリーさん、色々連れて行って貰ってありがとうございました」 シャーリー「いいってことよ。にしても俺と坂本少佐おっそいなー」 おれ「街中で喧嘩でもしているんでしょうか・・・」 シャーリー「あの二人なら無くもないかもな~」 おれ「あっ。噂をすれば父さん達も戻ってきたみたいです」 シャーリー「なーおれ。あの二人この3時間でやけに仲良くなってないか・・・?」 おれ「そういえば腕なんて組んで歩いてますね」 シャーリー「何があったんだろうな」 おれ「わかりません。でもあの二人には仲良くなってもらわないと困るからどんな理由で仲良くなったかなんてこの際どうでもいいんです」 シャーリー「そうだったなー。あの二人がくっ付かないとおれが生まれてこないんだったな」 おれ「はい。後は3日以内におれを仕込んでくれればいいだけです・・・」 シャーリー「なんで3日以内になんだ?」 おれ「予定では3日後に父さんが死んじゃうんです。ネウロイとの戦闘で・・・」 シャーリー「それってかなり重要な事じゃないか。俺や坂本少佐には伝えたのか?」 おれ「これ以上は父さん達には何が起こるかを伝えないつもりです・・・。けどおれがどうにかして父さんを死なせないようにします」 シャーリー「そうかー、ならあたしもこの事は少佐達には伝えないよ」 おれ「ありがとうございます・・・」 おれ「おかえり、父さん母さん。何かいいことあったの?」 俺「まーな!」 坂本「ちょっとな」 シャーリー「何があったんだよ。あやしいな~」 おれ「デートに行く前は全然仲良くなかったのに3時間で何があったの?」 俺「ふっふっふっ・・・色々あったんだよ色々」 坂本「本当に色々な」 シャーリー「聞いても何があったか教えてくれそうにないし諦めようぜ~。さートラックに乗った乗った、ぐずぐずしてると置いてくよ?」 俺「それは勘弁」 おれ「待ってよシャーリーさん」 坂本「ほら、二人も早くトラックに乗らないか」 ===== === = back
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501基地 廊下 今日も今日とて雑用雑用。心なしか私の一日は掃除から始まることが多い気がする。 何時も通りにミーナの執務室前まで掃除を終えると、これまた何時も通りに背伸び。 私「んー……」 カチャン 背後から扉の開く音。 振り向くとミーナが何やら悩んでいるような表情で出てきた。 私「どうかしたか?」 ミーナ「あら私さん。……それがね、今日一般人のお客様が来るのよ」 私「珍しいな」 結構な時間を基地で居候しているが、基地にやってくるのは輸送機と軍の高官のみ。 そんな中で一般人が来るとは、一体何者なのだろう。 ミーナ「あ、正確には元ウィッチの一般人の方よ」 私「なんだそうか」 数日後の私はこう答える あの時気が付くべきだったと ミーナ「以前に宮藤さんとリーネさん、そしてペリーヌさんがお世話になったの」 私「お世話になった?」 ミーナ「3人は一度ストライクウィッチーズを解散してから再結成するまで、少しの間戦線から離れていたの。それで、一時期鍛え直してもらってたのよ」 頭の中の以前巣で記憶した資料に再結成をしたと書かれていたのを思い出す。 確かにここは最前線基地、一週間程度ならまだしも、半年や一年も前線から遠ざかっているとカンも鈍るだろう。 私「鍛えてもらった人がよかったんだな」 ミーナ「美緒もお世話になった人よ」 私「坂本もか……私も昔ある人に散々しごかれてな」 ミーナ「そうなの?」 私「厳しかったが優しい人だった。今は何をしてるんだろうな」 窓から外を見ると青々とした空が広がっている。 確か妹と一緒に訓練を頼みに行った日もこんな天気だった。 ミーナ「私さんにもそういう時期があったのね」 私「まあな。いい思い出……とはいいにくいがな」 主に妹的な意味で。 私「さて、今日は私が夕飯を作るか」 ミーナ「でも今日は宮藤さんが当番のはずだけれど……」 私「恩師が来るんだ。仲が悪いなら別だが、積もる話もあろうだろうさ」 ミーナ「……そうね。じゃあわたしから宮藤さんに伝えておくわ」 私「頼んだ」 ミーナは私に背を向けて宮藤を探しに向かう。 私は師匠の顔を思い浮かべながら、教えられた通りに箒にまたがってみる。 魔力をコントロールする。ふわり、と体が宙に少しだけ浮かんだ。 私「まだ何とかなるもんだな」 魔力を止めて床に足を付ける。 箒を元の場所に戻すため、私は自室へと戻ることにした。 台所 夕食までまだ相当時間があるが、いざ作る時になって何もありませんでした。では笑い話にもならない。 なので冷蔵庫の中身を確認することにする。 扉を開くとひんやりとした空気が漂ってきた。 私「……ふむ」 一通り冷蔵庫の中身を確認したが、これなら問題ないだろう。 確かこの間倉庫の方に補給物資も届いていたし。 冷気が漏れ出さないうちに手早く扉を閉じる。 夕飯の準備までまだ時間がある。偶には部屋で昼寝でもするのもいいかもしれない。 そう思いながら振り返る。 ルッキーニ「やっほー」 シャーリー「やー」 そこには椅子に座って待機している二人の姿があった。 一体どうやって音も立てずに椅子に座っていたのかはこの際考えないことにする。 私の注意力散漫ということにしておこう。 私「……何が食べたい?」 尋ねると二人は顔を見合わせた。 ルッキーニ「まだあたし達なにもいってないよ」 シャーリー「まあ正解なんだけどさ」 私「お前達が台所に来る時は大抵おやつか何かを食べにくる時だ」 ため息をつきながら、手を洗うために服の袖をまくりあげる。 私「ちょっと待ってろ。……期待はするなよ」 何を作るか考えながら、とりあえず冷蔵庫の扉を開いた。 数十分後、オーブンから取り出されたのはアップルパイ。 少し焦げ目が付いてしまったがこのくらいは問題ないだろう。 熱いうちに包丁を入れると、サクサクとパイ生地のいい音と、シナモンの香りがした。 切ったそれを白い皿に移して、フォークも一緒に乗せて二人へ持っていく。 私「出来たぞー」 ルッキーニ「わあい!」 ルッキーニは両手を上げて喜ぶ。やはり笑っている時が一番可愛らしい。 って何考えてるんだ私は。 シャーリー「アップルパイにしては早かったんじゃないか? パイ生地とか作るの大変だろ?」 私「あ、ああ。昨日はペリーヌが食事当番だったろ? その時、作りすぎて余ったから私が貰って冷蔵庫に入れておいたんだ」 右片手で左腕軍服の袖を直しながら、左手で椅子をひきルッキーニの隣に座る。 既にルッキーニは黙々と食べ始めていて、切り分けた分が半分無くなっている。 私「美味しいか?」 ルッキーニ「うん! すっごく美味しい!」 私「そうか。ならよかった」 普段のあいまいな感情ではなく、間違いなく凄く嬉しいと感じた。 だがこの感情も裏切った時全て無くなってしまうと考える。 嫌、だな。 凄く嫌だ。自分がそんな感情を持つことは、許されないと思っても。 私「……」 シャーリー「どうしたんだ? 急に黙ったりして」 シャーリーの声にハッとして顔を上げる。 どうやらいつの間にか俯いていたようだ。 私「何でもない。ちょっと考え事してただけだからさ」 シャーリー「そうか。ナニか悩みがあったら遠慮なくいってくれよ」 シャーリーはアップルパイをフォークで一口くらいの大きさにして、それを突き刺すと私の前まで持ってきた。 シャーリー「遠慮するなよ。親友」 歯を見せてシャーリーは笑う。 私「……」 少し、本当に少しだけ泣きそうになって、全てを洗いざらい吐いてしまおうとも思った。 けれど心の中で言ってはいけないと叫んでいる。 感情と言葉を飲み込むと、こちらも少しだけ笑みを浮かべる。 私「そのうちな。親友」 ルッキーニ「ねえねえあたしは!? あたしは!?」 少し不満そうにルッキーニが声を上げる。 シャーリー「んー、なんていうかな」 シャーリーは右の人差指を額に当てた。 ルッキーニ「何?」 シャーリー「あたしはルッキーニのことを親友だと思ってるし、妹みたいにも思ってる」 それは周知の事実だろう。一体どこを悩む必要があると言うのか。 シャーリー「でも私はそれに加えて別の感情持ってるんじゃないか?」 私「……は?」 思わず反応が遅れた。 シャーリー「違うのか?」 私「違う!」 いや違わないけど。 私「それに前にもこんな話を――」 ルッキーニ「違うの?」 目に涙を浮かべつつ、ルッキーニは私を上目づかいで見てくる。 反則だろうそれは色々と。 私「う、うぐぬぬぬ……」 散々うめいた後、ため息をついた。 私「……私もシャーリーと同じ気持ちだ」 ルッキーニ「ホント?」 私「ホントだ」 シャーリーはニヤニヤしながら私を見ている。 ああもう親友って呼ぶんじゃ無かったよちくせう。 ルッキーニ「ね、ね、ね。シャーリーが言ってた別の感情って?」 体をこっちに向けて身を乗り出すように顔を近づけてくる。 私「あ、そ、それはだな……」 返答に困る私に救いの神は降臨した。 ガチャッ 扉の開く音に、私を含めた全員の視線が扉へ向かう。 坂本「おお、お前達こんなところにいたのか」 現れた坂本は私には女神のようにも見えた。 坂本「そろそろ客人がくるから知らせておこうとおもってな」 シャーリー「もうそんな時間かー」 ルッキーニ「まだ食べてるのにー」 私「皿ごと部屋に持っていっていいぞ。ただしあとで皿は後で返してくれよ」 その言葉に二人は皿を抱えて食堂から飛び出して行った。 こういう時の行動はとんでもなく早いな。 坂本「……もうちょっとあの行動の速さを訓練に生かしてくれればいいんだが」 私「やることはやってるし問題はないだろうさ」 坂本はため息をついた。が、直ぐに顔を上げて立ち直る。 坂本「さてわたしは滑走路に迎えに行かなきゃな」 私「ところで、誰が来るんだ? お前や宮藤達がお世話になってたと聞いたんだが」 坂本「ああそれはくs……」 ゲフンゲフンと咳払いをした。 坂本「アンナ・フェラーラ。元ウィッチで今も時々ウィッチの訓練をしてくれている人だ」 私「そうかアンナ・フェラーラか……アンナ……?」 どこかで聞いたことがあるような。 私(アンナ……アンナ……アンナ・フェラー……ラ……――あっ) 私「……」 坂本「どうした? 急に顔色が悪くなったようだが……」 私「ナンデモアリマセンナンデモアリマセン」 思わずカタコトになってしまう。 ダラダラと背中に嫌な汗が流れているのがわかる。 坂本「そうか? じゃあわたしは行くからな」 坂本が扉から出て行ったのを確認すると、頭を抱えて机に突っ伏した。 私(やばいよやばいよ今までで一番やばいよ……) アンナ・フェラーラ。 忘れもしない、私達姉妹を鍛え上げたクs……ではなく、師匠。 そして自分の正体を知っている人物。 一体どうやって誤魔化そうか。 冷や汗を流しながら私はとりあえず台所の後片付けを済ませることにした。 食堂 私「……ちょっと塩気が足りないかな?」 一度小皿に移したスープの味を確かめると鍋をかきまぜる。 夕食はシチューにすることにした。今回は肉が無いので魚介類を使った。 塩を鍋の中に入れ、再び少量を小皿に移し味見をする。 私「ん、これなら問題ないな」 我ながらうまくできたと思う。 ちなみに魚介類はイカとタコはいれていない。シャーリーが苦手と聞いたからだ。 物足りない人は茹でてあるものを用意しているのでそこから個別でとってもらえばいい。 鍋のふたを閉め、エプロンを外し椅子に座る。 私「ふぅ……久々にこんなに長く厨房に立ったな」 ???「ねねね! できた!?」 私「ああ出来たよ……って」 ルッキーニ「味見していい?」 これで何度目かわからないが、再びルッキーニの接近に気付くことなく背後を取られていた。 やはり私は何かに集中をしていると周りが消えてしまうらしい。 私「……ちょっとだけだぞ?」 ルッキーニ「うん!」 下ろした腰を再びあげると、ふたを開け小皿にシチューを移す。 火を止めたのが先ほどだったのでまだ暖かいシチューは少量でも湯気を立てている。 私「火傷するなよ?」 ルッキーニ「大丈夫大丈夫! いただきまーす!」 皿を渡すとすぐにルッキーニは小皿の縁に口を付けシチューを飲む。 私(……そういえば) あの小皿は、何度も何度も私が味見をしたので恐らく縁部分に私が口づけてない場所はないはず。 つまり―― 私(……間接キス?) そう思った瞬間、顔の温度が急上昇していくのを感じた。 何を考えているんだ私は! その考えだといつも食事で使っている箸やスプーンだってある意味間接キスじゃないか! ――ってああもうそう考えたら余計熱くなってきた! 落ち着け私落ち着け私。私はできる子私はできる子。 私(びーくーるびーくーる……) 何度も壁に頭をぶつけたい衝動に襲われたが、今の状態でこれをやると壁を粉砕する可能性もあるので何とか抑えることができた。 ルッキーニ「ごちそうさま!」 ルッキーニの声になんとか現実へと戻ることができた。 私「どうだった?」 ルッキーニ「んー……美味しいけどちょっと甘いかもしれない」 少し唸ってからルッキーニは答えた。 私「少し甘いか……」 ルッキーニ「あまり気にならないからあたしはこれでいいと思うよ」 私「まあ少し塩を足す程度だから直ぐに終わるさ」 調味料を取るために棚を漁る。 ルッキーニ「ところで私に聞きたいことがあるんだけど」 私「なんだ?」 ルッキーニ「その格好……どうしたの?」 現在の私の格好は、髪を下ろして黒くて四角いフレームのメガネを付けている。 ちなみにこの眼鏡は私が先ほどネウロイの能力を使い作りだした。 とはいっても本当に眼鏡として作りだしたので、意思を持ってるとかコアがあるとかそんなことはない。 なお度も僅かだが入っている。 私「えらく今更だな……。まあ、いわゆるイメチェンというやつだ」 手で眼鏡をクイッと上に軽くあげる。 かけていないときはわからなかったが、かけてみると無性にやりたくなることに気付いた。 ルッキーニ「へー」 私「……似合わないか?」 ルッキーニ「ううんすっごく似合ってると思う」 私「そうか」 ルッキーニの頭を撫でる。 今回は師匠の目を誤魔化すためにやったが、偶には格好を変えるのもいいかもしれない。 満足するまで撫でた後、本来の目的である塩を再び探そうとした時。 ガチャン ミーナ「私さんもう夕飯の準備は出来てるかしら」 扉を開いてミーナが入ってきた。 耳を澄ますと、扉の前から何人かの喋る声が聞える。 塩を入れたかったところだが、これでは間に合わないだろう。 私「ルッキーニが美味しいと言ってくれたからな。大丈夫だ」 ミーナ「そう。なら問題ないわね……ってどうしたのその姿」 ルッキーニ「イメージチェンジだって」 ミーナ「へえ……似合ってるわね」 私「そうか? 実はまだ鏡見てなくてな。どんな姿しているかまだ確認できてないんだ」 ミーナ「じゃあ夕食前に一度姿を確認してきたら? 多分そのくらいの時間はあるわよ?」 ミーナの提案に私はあることを思いついた。うまくいけば少し顔を見られる程度で済むかもしれない。 私「そう、だな。じゃあ私は少し部屋に戻らせてもらおう」 エプロンを外すと、外したエプロンをルッキーニに着せる。 ルッキーニ「うじゅ?」 私「私は少し疲れたから自室に戻って休んでいる、後はルッキーニに任せる。まあ、皿にシチューを入れるだけだし問題ないだろ?」 ルッキーニ「うん!」 私「いい返事だ」 私は頬が緩むのを感じた。 決してルッキーニのエプロン姿が可愛らしかったからとかそんな理由ではない。絶対にだ。 私「じゃあ後は頼んだぞルッキーニ」 ルッキーニ「また後でね!」 ミーナ「お疲れ様私さん」 二人に見送られながら食堂の扉を開ける。 廊下に出る前にもう一度だけルッキーニのエプロン姿を目に焼き付けた。 廊下 私「あっ」 全員「あっ」 食堂から出た私は既に待機していた他の連中とばったり遭遇してしまった。 私(しまったぁぁぁぁぁ! ルッキーニのことで頭がいっぱいで集まってるの忘れてたあああああああああ!) 食堂に戻ろうにも、任せると言ってしまったので今更のこのこ戻るわけにもいかない。 私「や、やあ」 宮藤「私さんどうしたんですかその格好」 私「あー私っていつも同じ格好だろ? だから気分転換にイメージチェンジをだな」 リーネ「そうなんですか」 数名はどうやら普通に受け止めてくれたようだが、残りは疑った、というより変な物を見るような目で私を見ている。 まあ普段眼鏡なんてかけていないので変に思われるのは仕方が無いが結構辛いものがある。 サーニャ「そ、その似合ってる……と思います」 私「は、はははは……ありがとう」 サーニャのフォローに少し泣きそうになった。今度サーニャのデザートは多めにしてあげよう。 シャーリーところで私は夕飯は食べないのか?」 私「私は味見で結構食べたからな」 エーリカ「えーずるいー」 バルクホルン「お前は寝ていただろう」 私「客人が来てるらしいから多めに作ってる。心配するな」 幸いまだ師匠は坂本と一緒にいるようでここにはいない。 顔を合わせることにならなくてよかった。師匠はかなり勘がいいのでちょっとしたボロで直ぐにばれる危険がある。 私「あ、今日の夕食は具は各自で入れてくれ」 ルッキーニに言い忘れたことを伝え、私は部屋に戻るため早足でその場を後にした。 再び数時間後 部屋の中には私とルッキーニ、そしてシャーリーがいる。 先ほどまでは宮藤達がいなくて暇だからとエイラとサーニャもいたが夜間哨戒に向かった。 ルッキーニ「うゆー……」 ルッキーニはベッドで眠っている。 私のベッドだが今日は手伝ってもらったことだし寝かせようと思う。 そして私とシャーリーはというと、テーブルを挟んで向かい合っていた。 私「どうする?」 シャーリー「んむ……」 互いの手には5枚のカード。所謂ポーカーをやっている。 ちなみに先ほどまではジェンガだった。(カードゲームだとエイラが無双するので) 私「私は少々手が悪いので……1枚交換だ」 手札を1枚捨て、山札から1枚持ってくる。 やってきたのはクローバーのクイーン。 私「どうやら運は私側に向いてるようだ」 ジェンガでは肝心なタイミングでクシャミをしてしまい、崩してしまう失態を見せてしまった。 それを取り戻すかのように手札はいいものが揃っている。 私(罰ゲームは勘弁願いたいのでな) シャーリーが開始前に負けた方は罰ゲームと言ったので、シャーリーも真剣な表情をしている。 ここまでの結果は6戦3勝3敗とありがちな展開と言える。 なので、この勝負で決着がつく。 私(私の手は……ストレートフラッシュ。しかも手の大きさから同じストレートフラッシュでも9から開始なら負けることはない……) もはやシャーリーの勝つ可能性は零に近い。 そうだな罰ゲームを考えよう。多分シャーリーのことだろうから服をバニーガールに変えるとかは余り意味が無いだろう。 シャーリー「じゃああたしは3枚……頼む!」 よしいいこと思いついた。 明日エーリカに料理作ってもらってシャーリーに食べさせよう。 何かよくわからないが、シャーリーのせいで何かを漏らしたような記憶もあるから憂さ晴らしも含めて。 私「じゃあいくぞ覚悟はいいな?」 シャーリー「へへーんそっちこそ」 私「強がらなくてもいいんだぞ? 私はこれだ」 シャーリーに手札を見せる。 私「クローバーの8からクイーンのストレートフラッシュだ」 一瞬、シャーリーが動揺したのを私は見逃さなかった。 嬉しさで顔が緩みそうになるのを必死にこらえる。 シャーリー「ま、まさかストレートフラッシュなんて……」 私「罰ゲームはもう考えてあるから安心しろ」 シャーリー「ストレートフラッシュなんて……なーんてな」 私「……は?」 シャーリーが私に手札を見せる。 そこにはハート、クローバー、スペード、ダイアそれぞれの5、そしてジョーカー。 シャーリー「ファイブ・オア・アカインド……ファイブカードって言ったほうがわかりやすいか?」 私「う、うしょ……」 ショックのあまり呂律が回らない。 計画が、私の計画が……。 シャーリー「勿論、ストレートフラッシュより役は高いからあたしの勝ちだな!」 私「しょ、しょんなあああああああああ……」 我ながら情けない声を上げながら、テーブルに突っ伏す。 シャーリー「じゃー罰ゲームは何が良いかなー」 突っ伏しているので顔は見えないが声の様子から笑っているのがわかる。 多分彼女が好きな人なら一撃でノックアウトされそうな笑顔だろう。 ただし私にとっては悪夢への案内人の笑顔だが。 シャーリー「うーんうーん……」 やめろ悩まないでくれ。悩めば悩むだけろくな罰ゲームしか出ないような気がする。 私(あばばばばばばばば) シャーリー「そうだ思いついた!」 と言ってシャーリーが手を叩いたのと同時に、 トントン と部屋の扉がノックされた。 私にはノックの音がまるでウェディングベルのように聞えた うまくいけばこのままうやむやになってシャーリーも忘れるかもしれない。 シャーリー「部屋の主は死んでるけどいるぞー」 私「勝手に殺すな」 既に死んでるのは内緒だ。 扉を開けて入ってきたのは宮藤だった。 私とシャーリーを見た瞬間、殺気の様なものを感じたが多分気のせいだろう。 宮藤「……はっ!? す、すいませんちょっとぼーっとしてて」 慌てて宮藤は袖で口元を拭う。 シャーリー「で、どうしたんだ? お客さんとはもういいのか?」 宮藤「はい。色々と話せましたし……。あの、私さんに伝言なんですけど……」 私「私に? 誰から?」 体は机に突っ伏しているが、首をひねって宮藤の方に顔を向ける。 宮藤「アンナさん……あっお客さんの名前ですよ。アンナさんが私さんにお礼を言いたいって」 私「お礼?」 宮藤「はい。夕食のシチューが美味しかったらしくて」 それくらい伝言だけでいいだろうに。 どうしてわざわざ私に直接会おうとするんだあの人は。 宮藤「直接会ってお礼をした方が心が伝わるって言ってました」 私「んーあー……お礼言われるだけに行くのもなぁ……」 シャーリー「別に会うだけなんだしいいだろ?」 私「でもあの人もう高齢だしこの時間には寝たほうがいいと思うんだよなあ」 宮藤「……あれ? 私さんアンナさんに会ったことあるんですか?」 私「い、いやないぞ」 宮藤「そうですか……なんでアンナさんがお婆さんってこと知ってるのか気になっちゃって」 しまった。私はまだ師匠に会っていないということにしておいたんだった。 恐らく宮藤達は滑走路から師匠と一緒にいるので、降りてきたときに話しかけたというのも通じない。 しかも私は台所にこもって料理を作っていたというのを、部隊の全員が知っている。 私「あ、あーその、ミーナだ。ミーナが教えてくれたんだよ」 その場かぎりだが、多分これが一番ばれないとおもう。 ――今更ながら遠くから姿を見たって手も思いついたが。 宮藤「そうなんですか」 幸い宮藤は信じたようだ。私に寿命と言うものがあったら多分半年ほど縮んでいたと思う。 宮藤「場所ですけど、少ししたら滑走路に行くって言ってたので今から向かえば多分丁度だと思います」 私「で、でもなぁ……」 シャーリー「行ってきたらどうだ? ロマーニャとはいえ夜は冷えるし、待たせるのもどうかとおもうぞ」 私「う、うう……わかったよ行くよ」 二人に言われて重々しい体を起きあがらせる。 ああいやだいやだ会いたくない。高確率でばれるよあの人、超勘がいいから。 私「……ルッキーニはそこで眠らせてやってくれ」 ふらふらとした足取りで私は滑走路へと向かった。 滑走路 滑走路の一番先端に師匠はいた。 背中に手を回し、海を見つめるその姿は、私が教えてもらった時に比べて少し縮んでいた。 ――寂しさ、なのだろうかこの感情は。 感情の整理がつかないままゆっくりと近づく。 アンナ「……来たかい」 私「はい」 師匠は振り向くと私の目をじっと見つめてきた。 ああ、間違いない。師匠は私のことをわかっている。 アンナ「……同じだったからね」 私「同じ?」 アンナ「アンタと妹二人に訓練をしてやった最後の日に、あんたが作った夕食のシチューと同じ味だった」 私「……そんなこと覚えてたんですか」 アンナ「自慢じゃないけど、あたしは今まで鍛えたウィッチのことは忘れちゃいないさ」 私は出会いがしらに殴られるかと思っていたがそんな様子はない。 私「師匠……」 アンナ「……昔、ずっと昔にアンタと同じ目をした軍人がいた」 私「同じ目をした……?」 アンナ「そいつは言ったよ。ウィッチが傷つくのは嫌だと、ウィッチが戦わなくても済むようにするのが自分の仕事だとね」 師匠はそこで一呼吸ついた。 その目は昔を懐かしむような、悲しむような目をしている。 私「……その人は今どうしてるんですか?」 アンナ「……さあね。つい一年前にウォーロックとかいう兵器を勝手に作り出して、ウィッチに対してクーデターを起こしたんだけど、兵器が暴走、失敗してそれからは知らないよ」 私「そう、ですか」 アンナ「あいつは劇薬を選んだのさ。その兵器がうまくいけばウィッチは戦わなくてよかったかもしれない。でも、急ぎ過ぎた」 確かにその兵器がうまく行ったなら願い通りウィッチは傷つくことはなかっただろう。 ウィッチを傷つけたくないという気持ちが先走り過ぎて、同意を得る前に行動を取り失敗というところなのかもしれない。 アンナ「アンタの目はそんなあいつと同じ目だった」 私は実験の材料となる子供たちを救いたかった。 だからもう実験をしなくて済むようにネウロイの巣を破壊しに隊を率いて、殺されて、殺し返した。 結果として子どもたちは助かったが、彼らを守る軍は無くなり国は無くなった。 私も急ぎ過ぎたのかもしれない。 一度死んだからといって怒りにまかせた復讐の前に、もう一度だけ話せばよかったのかもしれない。 ――もう全ては遅いけれど。 アンナ「アンタのいた国のことと、基地のことを考えればアンタがどんな存在になったか直ぐに分かったさ」 私「……はい」 アンナ「あたしはもう何も言わない。でもこれだけは言っておくよ」 私「……」 アンナ「他人を傷つけたなら今度は他人を見を呈して守りな。でもアンタが死ぬことで責任取れると思ったら大間違いだよ。確かにアンタは人を殺したけれど、あんたが居なくなったら悲しむ人も間違いなく居るのさ」 私はその言葉に、ただ一回無言で頷くことしかできなかった。 師匠は知っていた。 私がネウロイだということも、近いうちに死ぬ気だったことも。 私「……師匠」 私は師匠の肩に手を乗せる。 確かに私は師匠の言葉は受け止めた。しかし、これだけはやらなければならない。 私「今日の……いえ、ずっと昔の記憶まで含めて、私のことを忘れてもらいます」 返事を聞く前に記憶を読みとり、書きかえる。 一瞬の静寂の後に師匠は口を開いた。 アンナ「……はて、あたしはなんでここにいるんだったかね」 私「お忘れですか? アンナさんは私にシチューのお礼がしたいって言ってここまで来たんですよ?」 アンナ「ああ、そうだった、そうだったね。とうとう物忘れが激しくなってきたのかねえ」 私「……いえいえアンナさんはまだ若いですよ。そろそろ戻りませんか? 夜も更けてきましたし」 アンナ「じゃあそうさせてもらおうか」 師匠、いやアンナさんが滑走路から去るのを、私は彼女が見えなくなるまでその場から動かずにずっと見ていた。 私「……ありがとうございました」 翌日 昼 部屋には再びシャーリーとルッキーニ、そして珍しくハルトマンがいる。 なんでも絵本を読み終わったので暇でしょうがないらしい。 なので4人でできるゲームということでババ抜きをすることにした。 順番はルッキーニ→私→ハルトマン→シャーリー。 ルッキーニ「あのお婆さんいっちゃうね」 私「そうだなあ……っと揃った」 ハルトマンから取ったカードはスペードの2。手札にクローバーの2があったので捨てる。 ハルトマン「げっ、運いいね私」 そんなことを言いつつ、シャーリーからカードをひいたハルトマンもハートのキングとダイヤのキングを揃えていた。 シャーリー「今頃はミーナ隊長と坂本中佐が見送ってる頃だな……よし上がりっ!」 カードを捨てると両手を上げてガッツポーズをした。 相変わらずカードゲーム強いな。 ルッキーニ「うじゅ……」 私の手札は3枚。そのうちの真ん中をルッキーニは選ぶ。 ルッキーニ「やったー!」 喜びの声と共にルッキーニもあがる。 これで私とハルトマンの一騎打ちになった。 ハルトマン「さーて私どっちを取る?」 ハルトマンの手札は2枚。 私手元にジョーカーは無いので間違いなくハルトマンが持っている。 私(……右だ!) 心の中で叫びカードをひく。 私「……」 来た。来てしまった。憎らしい笑みを浮かべる道化師の姿が描かれたカードが。 ハルトマン「じゃあわたしはこれ!」 取ったカードは勿論ジョーカーではなくスペードのエース。 また負けた。 私「うっがあああああああ!」 叫びつつ昨夜と同じようにテーブルに突っ伏す。 シャーリー「じゃあ私は罰ゲームだな。昨日の分も含めて2つだ!」 ハルトマン・ルッキーニ「「イェー!」」 しかも昨日のこともバッチリと覚えていた。 不思議と嫌な気持ちはなくまるでじゃれ合っているような気分。 結局のところ、私は彼女達といるのが好きなのだろう。 私(……守るかぁ) 口にするのは簡単だが行動に起こすには難しい。私が人間ではないとばれてしまうから。 もう少しだけ考えたい。 私はどうしたいのかを。 彼女達と生きて守りたいのか、死んでで償うべきなのか。 きっと時間はもう僅かしか残っていないから。 どんな結果になってもいいように、この時間は大切にしておこう。 シャーリー「じゃあバニーガール姿で一週間過ごすな!」 私「一週間はおかしいだろう!?」 ルッキーニ「昨日の分と合わせてだよ」 ハルトマン「おとなしくおなわにつけー!」 私「うあああああああああああああああああああああああああああ!」
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「蒼穹の絆2-6」 ―風の種を撒く者― 朝。まだ太陽は昇らない。整備ピストの片隅で筋力トレーニングをしている俺。徐々に身体が汗ばんできた。 湯気が上がる。空が明るくなってきた時点で、ランニング。背中にはM1ガランド小銃を背負い、両手に バックを持っている。往復5キロを終えたとき、時間は6時前。皆も起床した時刻。そのまま、射撃場に 行き射撃練習を始める。 シャーリー「おはよー。今日も頑張るね」 俺「おはよう。グラマーちゃん。ルッキーニの探索かい?」 俺の周りは空薬莢と空クリップで埋まっている。イアマフを取り外し、銃を置く。 シ「うん。あいつ、今朝は何処で寝ているんだろうな?」 俺「流石に寒いから中だろ?てっきりシャーリーに抱きついて寝ていると思ったけど」 シ「居なかったんだよ~。樹じゃないよなあ、幾らなんでもなあ」 射撃場も一面雪で覆われている。まさか。 シ「整備ピストとかハンガーとか見てみるよ。ありがとう。じゃ!」 ああ、と手を振る。新しいクリップを込める。膝撃ち。皮のスリングはビンと張られている。 8発を速射。クリップが蹴りだされる。手探りでクリップを押し込み、器用に指を抜いた。自動的に ボルトが閉まる。構えを戻し撃つ。繰り返すうちに、銃身ガードが焦げた匂いを発していく。尻尾が ないから、ノーマル状態だ。 射撃練習を終え、空薬莢等をバックにしまった俺はまた駆け足でテントに戻る。 急げばシャワーを浴びる時間はある。のんびりすると、女性隊員と鉢合わせる。 着替えを持って風呂場へ。誰も居ない。今のうち。 ヒゲもあたってさっぱりした顔でテントにぶらりと戻る。と、シャーリーが中に居た。 ベッドの下を覗いている。 俺「どうした?シャーリー?」 シャーリー「シッ! ここ見てみろよ」 ベッドの真下。本を積んだところにルッキーニが寝ている。何時から居たんだろう? 俺「ありゃまー。寒かっただろう。俺のベッドに潜り込めばいいのに・・・」 ガスヒーターを持ってきて点火。 シャーリー「おーい。こんな子供でも狙うのかよw」 俺「妹だw!妹と寝るなら文句ねーべ?俺も暖かいだろww?」 くすくすと笑いあう。椅子をヒーターの脇に置く。 俺「シャーリー、ここに座れよ。あと、背中に毛布掛けとけよ、ホレ。コーヒー淹れるわ」 コールマンのガソリンコンロに点火した。初めはとろかったが、ポンプで活を入れると結構な轟音と共に 蒼い炎となる。 パーコレーターを用意して、コンロに掛ける。 俺「ルッキーニちゃん、ここで一晩寝たのかねえ?」 シャーリー「多分ねー。あの本を読んでいたのかな?」 指差したところには、俺が持ってきた海生動物図鑑。カラーの奴だ。 俺「あー。読んでいて寝ちまったかw」 シャーリー「昆虫とか大好きなんだよ、あいつw」 女の子が?そうなんだよ、と二人でくすくす笑う。お、沸いてきた。火を少し弱める。 シャーリー「男の子みたいだよ。活発でさ、怖いもの知らず。オッパイ大好きだしww」 俺「おー!将来が楽しみだ!スタリオンズに引っ張るかなw」 シャーリー「いやー!お前んちだと完全に変態にされちゃうよ!」 思わず爆笑。ひでぇな! ルッキーニがそれで目を覚ましちまった。ごめん! ルッキーニ「んァ?・・・・おはよ、シャーリー、ラスカル。あれ?起きれない??」 俺「おいおい。コットベッドの布に頭ぶつかってるよw。そのまま這い出して来いよ」 匍匐前進で出てきた。例の本は抱えている。そしてシャーリーの胸に抱きついた。ほんと、シャーリー ラブだね。シャーリーも少女というより母の顔になってるし。 俺「コーヒー、ミルクと砂糖は?」 シャーリー「お、サンキュ♪わたしブラック、砂糖なしで」 ルッキーニ「ミルクタップリー!砂糖もタップリー!」 それならば、とコンデンスミルクの缶を銃剣で穴を開け、コーヒーにタップリいれる。テーブル代わり に薬莢の木箱を持ってきて、それにカップを置いた。ビスケットの缶詰も出す。 シャーリー「お、美味い!」 ルッキーニ「甘くておいしーぃ!」 よかった。俺も啜る。 俺「ルッキーニは動物が好きなんだ?」 両手に持ったビスケットを齧りながら『うん!』と頷く笑顔が可愛い。 俺「じゃあ、それもっていって読めよ。他にも図鑑はあるはずだ。それもいいぞ?」 シャーリー「よかったなぁ。ルッキーニ」 わーい!とはしゃぐ姿は・・・本当に子供。ちと胸が痛くなる。こんな妹がいたらなあ。妹にしちまうか?ふむ。 リーネ、ペリーヌ、エーリカにサーニャ。エイラもいるなw。シャーリーは・・・ちと微妙?胸が立派過ぎ? ミーナは2歳下だな。ああ、トゥルーデも居るし。ミオは・・・うーん。 まあいい、全員まとめて妹だ!わお。家族が増えた!でも。俺のスタイルにはなあ?今までどおりで外面飾る としよう。うん。海兵はエロく無くてはいかん!伝統の海兵隊スタイル! シャーリー「しかし!奥までぎっしりだな!本の虫なのw?」 俺「ああ。本は好きだな。将来は、歴史小説を書いてみたいと思ってるんだけどさ」 オオーッと二人が驚く。何でだよw シャーリー「戦争小説じゃないのか?経験を積む為に海兵隊にはいったのかと一瞬思った」 俺「うんにゃ。ヒューマンドラマは悪くないけど、あまりに血なまぐさすぎる。みんなの悲しい思い出を ダシにするのは、嫌なんだ。今の戦争は駄目だ。500年とか200年とか時間が経たないと、さ?」 ルッキーニ「家族が死んだ人や、仲間を喪った人も多いから、でしょ?」 そうだよ、それは哀しい事だろう?と思わずルッキーニの頭を撫ぜてしまう。解るか?妹よ。 俺「海兵隊に入ったのは、冒険ができると思ったからさ。これは正解だった。けど、仲間が死ぬことが こんなに多いとは・・・・大誤算だった・・・・」 「子供の頃から、天才だのなんだの言われてな。こっちはそう思わない。只のガキなのに。それに反発 して、みんなと同じことをやって見たかったんだ。それだけ」 「だから。魔力を偶然手にしたときには嬉しかった。金や権力の為じゃあなく、純粋な目的で周りに 奉仕できることになったからね・・・」 シャーリー「・・・今の生活は楽しい?」 俺「楽しくは無い。苦しい。哀しい。でも、一人のウィッチとして行動した結果、何人かを救えたら。 それで満足だよ。仲間を喪うくらいなら、俺が身代わりになる。それでいいんだ。約束だから」 ルッキーニ「誰と約束したの?」 俺「死んだ仲間と」 三人とも黙りこくる。コーヒーの湯気だけが動いている。 ******************************************* ―新装備― リベリオンから補給を積んだC-47が着陸した。ハッチから資材がどんどん運び出される。一端ハンガー脇 に積み上げられ、補給部将校と俺が相互にチェックリストを確認する。 俺「あ!隊長!いいものが届きましたよ。皆喜ぶでしょう。誰か回してください」 ミーナ「ええ。手配しますね。中身は?」 俺「新鮮な果物!最近欠品だったでしょう?」 あっという間に隊員が押しかけ、ワッショイワッショイと運び去られた。 一方、俺は武器弾薬関係の箱を飛び回る。弾薬、予備兵器と交換部品、そして・・・。 にんまり笑うと、細長い木箱を抱えて室内へ。戻ってきて、比較的小さい箱をまた運ぶ。 昼食の席で、ミーナから全員に午後1時からの新兵器講習会が告げられる。全員参加。 * 俺「では、始めますか。今日は新兵器、というか、新装備の講習会です。まず最初にこれ」 2挺の短機関銃を掲げる。M3だ。皆によく見えるように体を回す。 俺「こっちの傷だらけの奴は私が使っているもの。口径45だね。で、こっちは海兵隊クォンティコ基地の 武器担当者が皆さんへのプレゼントとして作ったもの。口径9ミリ。30発弾倉。レシーバーもプレスでは なく、軽合金を削り出した特製。グリップやトリガー位置などを皆さんの手のサイズに合わせて握り やすくリサイズ。銃身は予備兵器として携帯するのに邪魔にならないサイズに。 では、皆に配るから実際手にとって見てくれ」 机の前から後ろに回してもらう。弾無しのマガジンとスリングが装着されている。ミーナも受け取った。 俺「皆さん全員が携帯しろとは言わないよ。自分で判断してくれ。さて、操作は簡単。一緒にやって みて?マガジンを抜くにはここを押す。引っ張ると抜ける。入れるときは強くまっすぐ押し込む。オケ? ボルトカバーをあける。これは安全装置も兼ねているよ。このフタを閉めれば撃てない。開けて見える ボルトに開いた穴、これね、ここに指を入れて後ろに引っ張る。後ろで止まったら指を離す。これで 射撃準備完了。蓋を閉めれば安全装置が掛かる、と。ここまでいいかな? どう?滑らかに動くだろう?俺のはゴキゴキ動くんだけどさw ストックは引っ張るとでてきてロック される。ここを押して収納と。なんだよ、ここも俺のより出来がいいな!」 皆笑う。よく見れば、相互の違いがわかる。形が同じに見えるだけで、完全に別物だ。 俺「乙女たち専用と聞いて、野郎共気合入れまくったな。さて、蓋を開いて。では、念のために銃口を上に 向けて引き金を引いてみて。 はい。感じはどう?」 ボルトも引き金もとてもスムーズ。何度試しても同じ。しっかり作られている。ボディの側面には打刻で 『口径9m/m Para.』そして『Present for you! From Marine s.』 ミーナ「質問してもいいかしら?なんで口径を変えたの?」 俺「欧州で手に入りやすいこと。反動が弾頭重量できつくなる45口径より扱いやすいだろうこと、皆さんも 9ミリのサブマシンガンを使った経験のある人は多いでしょ? あと、携行弾数が重量と比較して有利。 最後に、発射レートを反動などの面で9ミリなら上げることができ、移動目標を主目的とするウィッチに 有利と判断。それをクォンティコに提言して、乙女のファンな変態武器担当が皆さんのために必死になって 実用化してくれたわけ」 ミーナ「俺さんが?有難う!」 皆も口々に礼を言う。男用に作られた兵器ばかり渡されてきた彼女達。勲章もこういう使い方がある。 俺「愛する彼女達の為ならば!任せとけっ!」 バルクホルン「・・・・このスリングは?一本じゃないね」 俺「俺の発明w。こう使うんだ」 実演開始。携帯時には邪魔にならず、プラスチックで出来たフックをワンタッチで外すと、銃だけぶら下 がる。両手どちらでも振り回しは自在。 俺「あとで撃ちまくってもらうから。それで各自判断して。個人的には、サーニャとリーネは持って欲しい。 今は大型専用兵器だけだろ?あれで小型とかを相手にするのは無理がある。これを持っていれば心強いかな と、ね」 ミーナ「そうね。大型に対する武装しか持っていないから・・・」 サーニャとリーネも真剣に聞いている。既に胸に抱き締めている。 俺「では次。大型ネウロイに使う特化兵器。これだ」 木箱から、長いパイプを取り出した。1メートルちょっとか。下にグリップと引き金が付いている。 俺「軍からの試供品w。89ミリ・スーパー・バズーカ。口径89ミリ。炸薬量500グラムの成型炸薬。分厚い装甲 のネウロイ用特製品。一般兵の有効射程は200ヤード。でも、ウィッチなら600ヤード以上。ざっくり550メートル 以上。最大射程は1マイル弱、約1.5キロ。信管は魔力対応の近接及び衝撃。最大射程で自爆するから高度さえ あれば下は気にしないでいいだろう。こいつの一番の特徴は、再装填が簡単に出来る」 皆、前に出て手にとって見ている。中を覗き込んでもただの筒。これが新兵器? 俺「開発の理由は、シシリー島での陸戦。60ミリのバズーカが今ひとつでね。まあ、一般兵が使用してだが。 アフリカでも使っている筈だ。まあ、不満が出た。もっと俺たちを活躍させろってね。 それで、より大口径高威力にして、一般兵の戦力を高めてウィッチ隊の負担を減らす目的で開発中。 その試作をベースにウィッチ専用の特製とした。ロケット砲弾も特製のきつい奴」 別の箱から、全体が黄色くぬられた訓練弾を取り出した。 俺「ロケット砲弾がこれ。ここから先が爆薬。後ろは推進薬。これをケツからこう入れながら、ここにある クリップ付きの電線を引き出す。これをここに差し込む。後ろが同じ高さになるまで入れたら発射準備オケ」 「この照準装置で狙う。落差計算が出来るウィッチ専用の照準装置だね。あとはトリガーを引く。電気信号で 発射される。二人で射手と装填手に分担すれば、一分間に8発以上撃てる。一般用は鉄製だけど、航空ウィッチ は優しい扱いをしてくれるから特殊軽金属でボディが作られているよ。魔力で正確に狙えるから、全長も 一般兵用よりぐっと短く出来た。魔力様様だね。本体の重さは6ポンド、ざっくり3キログラム弱、砲弾は一発 2ポンド、900グラムだね」 シャーリー「使用はどのように仮定して?」 俺「サーニャのフリーガーハマーで難しい相手」 エイラ「でも、フリーガーハマーは9発だゾ?一発一発装填するよりいいんじゃないか?」 俺「そう。最大の利点だ。欠点は一発あたりの破壊力の差。まとめて同弾着とする必要が出ると厳しい。あとは 再装填が事実上難しいことだろうな。なんで、両方を適宜使い分けるのがいいかなと思う」 バルクホルン「サーニャに持たせる?厳しいんじゃないか?さっきのM3も携帯するんだろう?」 俺「ああ。厳しいね。なんで、他のものに持たせる。例えば俺、エイラ等など。撃つときに手渡す」 「まあ、一番ロケット砲になれているのがサーニャだからね。射手はサーニャ、携帯したものが装填役が理想 かな?まあ、テストしてから考えよう。使えないなら倉庫に放り込めばいいさw」 押し付ける言い方を一切しないので、全員気楽に笑う。 早速、射撃場へ。M3を撃ちまくる。合間に45口径のオリジナルも撃って比べる。みなの前には装填済み の弾倉が山と積まれている。皆、尻尾が楽しげに揺れている。 ミーナ「9ミリのほうが、やっぱり私には扱いやすいわね。グリップも手頃だわ!」 サーニャ「楽です・・・・撃ちやすいし、軽いです」 エイラ「いいな、コレ。ストックが邪魔にならないネ。軽いシ」 リーネ「不恰好ですけど、当たりますね!」 ペリーヌ「木をまったく使わないというのは・・・リベリオンだからでしょうか?でも、コンパクトですね」 ルッキーニ「キャハー!これ!たっのしーぃ♪」 シャーリー「トンプソンより小さくていいな!気に入った!」 バルクホルンは片手撃ちで遊んでいる。ハルトマンはアクション付きでやっている。 俺「あはは。流石俺の彼女達だ!どんどん撃て♪銃のスペアも沢山有るぜ!」 ミーナが首をかしげる。私達全員彼女?さっきも何か言っていた。新手のリベリアンジョークかしら? 次は海上にポンツーンで設置された大口径用の的に移動。距離500メートル。浮きの上部に着いた赤い的 が波に揺られている。 俺「サーニャ。俺が装填手やるよ。肩を俺が二度叩いたら、装填及び発射準備ヨシと考えて撃ってくれ」 膝撃ちでサーニャが砲を水平に構える。魔導針に耳と尻尾が出た。肩の当たり位置などを修正し終わった のを見て、俺が後ろでゆっくりと作業。 サーニャの尻尾を踏まないように注意して左後ろに体をずらし、後ろを最終確認。覗き込んでみていた エイラとルッキーニを引っ張って真横に退ける。 俺「言わなかった俺が悪い。ここには絶対居ちゃ駄目だw 死ぬぞ。皆も砲尾から左右直角以降に出ない でな。体が千切れる」 もう一度確認してから、肩をぽんぽんと叩く。 鋭い轟音。砲がかすかに持ち上がる。砲の背後をバックブラストが吹き抜ける。 ルッキーニ「キャォー!すっごい!」 全員、急いで砲弾の行方に目を移す。急速に加速していった砲弾がポンツーンの右手前に着弾。 凄まじい水柱を吹き上げる。水柱が収まるときには、水蒸気だらけ。 皆、唖然としている。フリーガーハマーの9発の同時着弾より凄いぞ!サーニャは尻尾をパタパタ。 青くなっているのはルッキーニ達。ヤバかった! 俺「サーニャ。次行くぞ?」 俺がスピードアップして装填開始。後方確認も含め、8-9秒でサーニャの肩を叩いた。 鋭い発射音と爆風。命中!赤的だ。ドラム缶のポンツーンが歪な姿で空高く吹き上げられる。 大歓声。皆サーニャを褒める。初めて撃つ砲を二発で覚えた!脇でエイラが踊っている。 俺「サーニャ。すごいな。修正ばっちりじゃないか!」 サーニャ「いえ・・・・フリーガーハマーで慣れていますから。加速がよくてまっすぐ飛びますね。 ・・・・あとは魔導針で先に補正して・・・/////これ、凄い。気に入りました」 俺「いや、見事だった!サーニャ、流石おれの恋人だ!そうか!気に入ってくれたか!」 エイラ「やめろォォォ!サーニャに触るなァ!ラスカル!ドサクサ紛れに訳解んないこと言うなァァァ!」 俺に握手を求められ、真っ赤になって応じるサーニャ。エイラがラスカルに文字通り噛み付いた。 周囲から口笛や冷やかしが笑いを交えて飛ぶ。 バルクホルンが硬い表情をして横目で見ているのをハルトマンが気付いた。ハテ?何か問題で? どれ。 ハルトマン「私もラスカルの彼女でしょ?ほれ、握手握手♪」 リーネ「私も・・・・////握手してください」 ちらりとトゥルーデを見る。目が怒ってるね。あららー。悪い病気が・・・。 皆、我先にと練習する。射手と装填手を交互に。気が付いたときには、四回交換したポンツーンの影も 形も無い。最高の射手はサーニャ、装填手にはエイラがよい、と結論が出た。二番手はバルクホルンに ハルトマン。 発射後、顔面に吹き付けるブラストが怖い、という人ほど順位が落ちる。 ペリーヌ「だって!あれで髪型が滅茶苦茶になっちゃうんですのよ!」 俺「乱れた髪形も野生的で好きだぜ?ペリーヌ♪どれ、こうすれば・・・・」 言いながらぺりーヌの髪を手で梳いてやる俺。真っ赤になるがされるがままのペリーヌ。 全員爆笑。 いや、一名だけ笑いが引き攣っている。心配げにみるハルトマン。 * 夕食。昼も補給されたばかりの果物に人気が集中したが、今も人気だ。皆、新鮮な果物を欲していた。 シャーリー「この!オレンジは!私のだ!」 バルクホルン「いや!私が先に触ったから!グググ!私のだ!手を離さんか!リベリアン!」 ハルトマン「はいはい。お姉ちゃん?仲良くしてね?」 ビクッと手を引っ込めた瞬間、シャーリーがオレンジをゲット。 シャーリー「いっただきーぃ♪ああ、うめー!フロリダの味だぁ!」 バルクホルン「ハルトマン!余計なことを言うな!大体私はあんな下品な妹を持った覚えは無い!」 シャーリー「あれ?私のほうがお姉ちゃんだろ?ほれほれ」 オレンジを咥えたままで、胸を上下させるシャーリー。周りから笑いが漏れる。 バルクホルン「!ぐぬぬっ!」 俺「ほら。まだあるから。皮剥いておいたぞ?バルクホルン」 顔を赤くしたままで受け取るバルクホルン。三つも剥かれている。パイナップルのざく切りも。 渋々、食べだした。 テーブルでは皆がオレンジ、バナナ、葡萄、パイナップル等に舌鼓を打っている。皆笑顔。 バルクホルン「有難う。ラスカル」 俺「ん?可愛い俺の彼女達が喧嘩するのは心が痛むw。俺は罪な男だwww」 エイラ「エー!こんな変態ガ?サーニャは違うゾ!駄目ダ!私もナw」 テーブルが笑いに包まれる。否、バルクホルンだけは真面目な顔をしている。 ミーナ「エイラさん?駄目ですよw?『変態だ』なんて言っては」 エイラ「エー。ラスカル弄ると楽しいんダ。ね、サーニャ?」 サーニャ「ウン・・・・お兄さん・・・・」 エイラが安心した顔で激しい同意を示す仕草にまた笑いが起きる。 俺「嗚呼!またふられたw!お兄さん?フム。妹? それもいいじゃないか!あはは!」 一同笑う中、バルクホルンがツイと席を立った。余り気にするものはいない。ハルトマンだけ 心配そうな目で見送る。 ************************************************************************
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―4― 第七格納庫地下。 強化コンクリートで補強され、冷たく油臭い空気が漂うそこは鋼機の地下格納庫になっていた。 そこには久良真由里、シャーリー・時峰の2人だった。 彼女たちの前にはパスを持っているものしか開くことの出来ない大きな扉がある。 この扉の向こうに『雪華』は安置されている。 「司令より許可が降りたようだ、さっさとこの邪魔な扉を開けてくれないか?敵はもうそこまで迫ってきているんだ。」 そうシャーリーに催促するように言ったのは真由里だった。 「わかった。」 そういってシャーリーは扉にある網膜認証装置にパスカードを入れた後、自分の瞳を押し付けた。 機械が動作し、シャーリーの網膜パターンを読み取る。 電子音と共に認証装置のディスプレイにOPENの文字が表示され巨大な扉のロックが外れていき自動で開かれていく。 久良真由里は待ち望んでいた時に、目の前に現れるであろう機体に期待を寄せる。 CMBUの技術の粋を集めてカスタムされた初の対鋼獣を想定された鋼機。 横の糞のような女が言ったようにそれゆえの癖があるだろうが、これでも自分はシャーリー・時峰と比較してもそれを超えた操縦技術を持っていると自負している。 多少のじゃじゃ馬なら乗りこなしてみせるという自信が久良真由里にはあった。 扉が開き、暗い一室にライトが照らされそこに鎮座する機体が光を浴びる。 真由里は目を輝かせてその紫の鋼の巨人を見つめた。 そして、その数十秒後そのまばゆいばかりに光らせていた目は黒く淀んだ。 「これは…どういう事ですの?」 真由里の目の前には確かに雪華がある。CMBUの技術の粋を使って作られた対鋼獣決戦用鋼機。 だが、それを見た真由里の声は失望の色が色濃く現れていた。 信じられないものを見たとでも言わんばかりに…。 「見ての通りだよ。これが雪華という機体だ。」 シャーリーはそう答える。 真由里の反応は当然だ。誰だって実戦で鋼機を動かした事があるなら同じ感想を抱く。 つまりは――― 「CMBUはこんなスクラップで奴らと戦う気でしたの!」 真由里はそうまともな神経の感想を狼狽するように叫ぶ。 スクラップ、これほど正鵠を得た評価もない。 この機体を作った人間は頭のネジが間違いなく飛んでいる。 何故ならば、この機体はまともに動くことを想定して作られた機体ではないからだ。 CMBUの技術の粋そういって最新技術を惜しみなく使われた機体である事は確かであり、その際に注ぎ込めるだけの技術をつぎ込んで作られた機体である。 それが意味する所はまともに動かすどころか、強引に詰め込めるだけ詰め込んでその上でなんとか体裁を保っているというバランスの悪さであった。 真由里は一つだけ勘違いをしていた。この機体はそもそも実戦配備のなかった予定の機体なのだ。 CMBUが実用実験をあまりせずにデータのみを取った後、廃棄にする予定だったものを時峰九条が横から強引にかっさらってきたのだから…。 「だが、それが全てだ。これが雪華なんだ。だから言っただろう久良、雪華はお前の期待するようなものではないと…。」 「でも…。」 「だが、確かに今この事態を解決出来る可能性があるとするならば、こいつだけだ。それもお前ならわかるだろう?」 「あなたが乗ればいいじゃない!私は死ぬ覚悟はあっても犬死にする覚悟なんてないわ!」 「ふざけるなよ久良ァ!」 真由里の襟元を掴みあげるシャーリー。 「さっき切った啖呵はなんだ!私達を生かす為に死んでいったお前の部下たちはなんだ!その為にも戦わなければならないといってお前はあいつらの命を捨てさせたんだよな?なのにお前はここで急に覚悟を失って彼らの死を無駄にしようとしている!その意味、お前は本当にわかっているのか!」 「わかっていますわ?だから何?彼らが死んだから、私も死ねと?そんな無意味な行動になんの意味がありますか?可能性があるのならば、私はこれに乗りましょう。ですがね乗ったら死ぬとわかる機体になんて私は乗る気は無いんですよ!そんなに彼らの死を無駄にしたくないのならばあなたがあのスクラップに乗ればいいじゃない!」 「出来るならやっている!」 「ああ、そうでしたわね、あなた、もう鋼機乗れない無能でしたわね…!トラウマ?笑わせる、ふざけた話も大概にして欲しいですわ。」 黙りこむシャーリー。 鮮明には思い出せないが、体が震え動かなくなり、声も失い、動機が激しくなり意識を失ったその感覚はおぼろげだが覚えている。 死者が自分の元に来るのを見た。自分に恨みを言うのを聞いた。自分の体を強く掴むのを感じた。 今、この雪華を見ているだけでも呼吸が荒くなり、汗が大量に流れ出しているのだ。 シャーリーは自分にもう鋼機を動かす事は出来ない事を再び思い知らされている。 無能、真由里のいうことは何も間違っていない…そうシャーリーは思った。 「まったく、なんですか大体、あなたは…今更、人の死に耐えれなくなって鋼機にのれなくなる?アハハ、そうなるのが遅すぎでしょう。あなたがそんなんだから―――――」 地下に大きな音が響き振動する。 地上で今、何かが起こっている。 そしてその何かは2人には容易に想像が付いた。 『奴』が、あの蠍の姿をした『鋼獣』が来たのだ。今自分たちのいる施設を破壊する為に…。 「くそくそくそくそくそくそくそくそ、なんでなんでこんな事になった。なんでこんな風になった。こんな筈じゃない、こんな筈じゃなかった筈なのに…。」 取り乱す髪をかき乱す真由里。その顔は涙でもうぐしゃぐしゃになっている。 もう逃げられない。敵はすぐそこにいる。 迫り来る死。死神は足音を隠さずにすぐそこに鎌を振るいに来ている。 今地上に出るのは得策ではないだろう。見つかってしまえば生存の可能性は限りなく少なくなるし、破壊行動に巻き込まれて死ぬ可能性まである。 確かに真由里の言っている事は一理ある。 目の前にある機体は言うまでもなく欠陥機だ。鋼機として必要なものを削ぎ落とされてしまっている。 こんなものに乗った所で犬死にするのが普通だろう。 だからこそせめて生きるためにここで隠れる。勝ち目のない戦いなどするべきではない。 そう考える。 だが、だからといって地下でやりすごしほとぼりが冷めるまでここで隠れている事が生きる為の本当に最善だろうか? この考え方はここにいるシャーリーと真由里の2人しか生存の勘定に入っていない。 地上にいる他の仲間たち、逃げ遅れた人、死んでいった仲間たち、自分たちを信じて命を投げ捨てた仲間たち…それを捨てるという事だ。 ここに隠れ続けるということは、もしかするとどこからともなく増援が現れて自分たちを救ってくれるかもしれない。 もしかすると地下には近づかずここから去ってくれるかもしれない。 そんな確証のない祈りを捧げ、呆然と立ち尽くし迫り来る死が来る可能性に無力に怯える。 死んでいった仲間たち、死んでいく仲間たちから目をそらして、ただ一人生き延びる道を選ぶ。 つまりはそういう事である。 だが、疑問として――――である。 疑問として― ―――――果たしてそれはシャーリー・時峰に容認できる選択なのか? 答えは明白で、単純で、そして簡潔だった。 そう答えは―――――― 「私には―――無理だ…。」 そう泣くように呟いてシャーリーは雪華の方へと歩を進める。 「あなた何を――――。」 シャーリーの方を見つめて目を見開き弱々しい声で尋ねる真由里。 彷徨うようにしてシャーリーは雪華へと歩を進めていく、真由里の声も聞こえていないようだ。 繰り返される破壊行動に地下が大きく揺れ、鼓膜を破壊しかねないような破壊音が聞こえる。 手が震える、胸が既に恐怖で締め付けられそうになっている、吐き気を覚える、 目からは涙が流れ始め、幾度も体がそこへ行くのを拒むように硬直する。 だが、乗り越えなければならない。 でなければ自分を生かすために送り出してくれたあの3人に報いる事は出来ない。 自分に求められてるのは彼らの死を無駄にしない為にも、この雪華を駆って戦う事だ。 だから、この体が動かない事、この体がもうボロボロで自分の意思ではどうにも出来ない事なんてどうでもいい。 こんな体でも戦場に立つ事ぐらいは、少しぐらいは時間は稼いで他の人が逃げる時間ぐらいは作れる筈だから…。 胃からなにかせり上がるものを感じ膝をついて嘔吐する。 食べたものが逆流して、口に胃液の味が広がり吐瀉物が床に撒き散らされる。 ひとしきり吐き終わった後、袖でそれを拭って再び震える足に力を入れて歩み出す。 体が鉛のように重く堅い。一歩一歩を踏み出すのに尋常ならざる程の精神力を消耗していく。 雪華のある方から逆風が吹き荒れて、体が後方へと吹き飛ばされそうな錯覚を覚える。 久良真由里が自分の背後で何か言葉を言っているようだ、だがその言葉はもう認識できない。 瞼が重い、すぐにでも瞼を閉じてしまいたくなる衝動にかられる。 なんでだ、なんでこんな無茶をしなきゃいけないんだ? 諦めよう、最初から無理な話だったんだ。ここに閉じこもって隠れて生きるべきなんだ。そう心身共に悲鳴をあげる。 それにシャーリーは弱々しくも抵抗した。 嫌だ。そんなのは嫌だと…。 そうして雪華の元にたどり着く。 そして雪華に触れるその瞬間、それは起こった。 何かが足を掴む感覚。 何かが手を掴む感覚。 何かが頭を掴む感覚。 何かが指を掴む感覚。 何かが肩を掴む感覚。 何かが腰を掴む感覚。 何かが髪を掴む感覚。 何かが鼻を掴む感覚。 何かが口を掴む感覚。 何かが目を掴む感覚。 おぞましくて、重くて、痛くて、痒くて、臭くて、気が狂いそうで心がもうくちゃくちゃになって―――― そして何故さきほどまで体が鉛のように硬く重かったのかを知った。 ――――声が聞こえた。 真由里の声はもう聞こえない程消耗しているというのにその声だけは鮮明でそれでいて怨嗟に満ちている。 “隊長、なんで俺たちを見捨てたんですか…” “隊長、僕ら死なないっていったじゃないですか?” “隊長、何故あなただけ生きているんですか…” そう怨嗟を込めて昔幾度も聞きそしてもう聞こえない筈の声が聞こえる。 まともに呼吸は出来ない。 乗り越えなければならない。振り切らなければならない。確かに自分はいろんな犠牲を出してしまった無能な人間だ。 けれど、だからこそ、今、彼らの為にも乗り越えて戦い、彼らの死が無駄ではなかった事を示さなければならない。 彼らを振りきって生きて戦わなければならない。 それが生きたものの義務であり――――― “そんなのあなたの勝手な理屈じゃないですか…” 囁くように声が言う。 そしてもっと多くの手がシャーリーの全身を掴む。 そしてシャーリーの視界が白く染まり、意識が―――――― 白く― 白く――――― 白く―――――――――――― ―5― あ、 小さなオルゴールがなっている。 曲名は覚えていない。数世紀の前の著名な作曲者が作った曲なのだという。 父が10歳の誕生日祝いの時にくれたこのプレゼントのオルゴール。 私は何回もハンドルを回して流れだす音楽を聞いた。 たどたどしく流れる曲はとても優しくて切なくて、それを聞く度に私はなんとも言えない嬉しい気持ちになって心地よかった。 その後、母が腕をふるって作ってくれた鳥料理を食べた。これも今までに食べたどんなものよりおいしくて幸せだった。 それは今も覚えている。 こんな幸せな時がずっと続けばいいのに…そうずっと思っていた。 けれどそんな願いはすぐに無残に打ち捨てられた。 父と母はそれから10日後に死んだ。 家族旅行先のホテルでテロリスト達に銃口を向けられ無抵抗に見せしめで殺されたのだ。 当たり前だと思っていた日常は終わりを迎え、考えた事もなかった死が目の前に歩み寄ってくる。 テロリスト達は肉塊となった父と母を背に天井に向けて笑いながら銃を乱射する。 このままここにいたら殺されてしまう。 私はそう思いはしたものの、父と母を殺された悲しみと恐怖で思考がぐちゃぐちゃになってパニックになっていた。 もう終わりだ。死んでしまう。お父さんとお母さんみたいに死んでしまう。 怖い怖い怖い。 死にたくないよ、死にたくないよ、死にたくないよぉ! そう叫びたくなるのを必死でこらえた。声を漏らしてしまえばテロリストたちに目を付けられて次の生贄は自分にされてしまうかもしれない。 そう思い恐怖に体を震えさせていた時、一人の老婆が現れた。 老婆は黒いジャケットの下に白いTシャツ、黒いスカートをはいていた。体は服の上から見ても茎のように細く、顔は木の年輪のようにしわが多かった。 どこからどうみてもみずぼらしく、よれた頼りない老人、それが最初の老婆の印象だった。 老婆は枯れ枝のように細い体でテロリスト達の前にたった。 誰もがその時思っただろう、殺されると…。老婆は何かテロリストと話した後、呆れたようにため息を吐いた。 それは死を目の前にした人間のする事では無かった。 大きな音が外でなる。それに一瞬気を取られたテロリスト達と人質達は老婆の姿を見失った。 その一瞬、その間にテロリスト達は次々と手にもった銃を落とし膝をついていく。 私には、いや、たぶんその場にいた誰にも何が起こったのは理解できなかった。 ただ老婆はその中で一人だけ立っていた。 「怪我人はいないかい?」 とあたりを見渡す老婆を見て次第に理解が追いついてく。 この老婆がやったのだと…この場にいる誰よりもか弱そうですぐにでも折れてしまいそうな体をした老婆がやったのだと理解する。 テロリスト達は全て無力化され、私は自分が助かったのだと知った。 思わず我慢していた声が漏れる。視界は涙でぐしゃぐしゃになった。 もう誰もいないのだ。助かったけれどいつも一緒にいてくれた父と母はもう私の近くにはいないのだとそれを理解して泣き叫んだ。 泣き叫ぶ私に老婆は歩み寄って抱きしめる。 「怖かったね。大丈夫かい?お嬢ちゃん。お父さんかお母さんはいるかい?」 そう聞いた。 私は首を振って、父と母が殺されてしまった事を老婆に告げる。 老婆はそれを聞いて私を強く抱きしめた。 「ごめんね、お嬢ちゃん。お婆ちゃん遅くてさ…。」 心底自分の不甲斐なさを呪うように責める口調でいう。 私はそうだと思った。お婆ちゃんがもっと早く来てくれればお父さんとお母さんは死ななかったかもしれない。 そうしたら、明日も明後日もまた明々後日も一緒に幸せな時間を過ごせたかもしれない。 なんで、なんでもっと早く来てくれなかったの? なんで、なんでもっと早く助けてくれなかったの? 私は老婆に酷い言葉をたくさん投げつけた。それは老婆からしてみれば理不尽この上ない事であったけれど老婆はそれをじっと受け止めて私を抱きしめる。 その時、外で大きな音がなった。 外部で警戒に当っていたテロリストの鋼機がホテルの中の異常に気づいたのだ。 老婆はそれを感じ取って私の頭を撫でて 「本当はもう少し責められてあげたいけど、時間だ…。」 そう告げて、立ち上がる。 その顔には決意の表情があった。 私は老婆が何を考えているのかを察して老婆の裾を掴む。 「ダメだよ、お婆ちゃん次こそ死んじゃうよ…。」 鋼機に挑もうとしているのだろう…。けれどそんなの敵うわけがないと私は思う。 だからこそ、行かせたくはなかった。もう人が死ぬのを見るのは嫌だ。誰かが死ぬのなんてもう見たくない。 けれど老婆そうする私に苦笑して、頭を撫でて言う。 「大丈夫さ、お婆ちゃんはね、無敵なんだ。」 そういって老婆はホテルの外に向かう。 その時、私には戦いに赴く老婆の華奢で今にも朽ちてしまいそうな背がとても雄大に見えた。 そうして人質達の非難を笑い飛ばして、老婆は行く。 戦いはそう長くはかからなかった。老婆は鋼機の攻撃を回避しながらコックピットハッチを強制解放し無力化した。 信じられない光景だった。 まるで映画のヒーローでも見ているかのような出来事。 私もお婆ちゃんのように強ければよかったのに…お婆ちゃんのようになれればお父さんもお母さんも失わないですんだかもしれないのに…。 そういう思いが私の胸を巡った。 強く…強くなりたい。そして――――もう何も失わないようにしたい。 戦いから戻ってきた老婆に私は尋ねた。 「お婆ちゃんはなんでそんなに強いの?」 老婆は笑って答えた。 「それはね、あたしが色々なものを背負っているからさ。」 「背負う?」 意味が理解できずに首をかしげる私の頭を老婆は撫でた。 「お嬢ちゃんの命、ここにいる皆の命、あたしをここまで生かしてくれた人たちの命、そして私をここに送り出してくれた人たちの願い。そんなものが私の背中にある。いいかい、これからお嬢ちゃんも色々辛い目に遭うこともあるだろう…けれどね、お嬢ちゃん。それから目を背けたら駄目だ。それをしっかり背負って、辛くてもその足に力を入れて踏ん張って前に進むんだ。そしたらあたしなんてすぐ超えれるぐらい強くなれるさ。人間は背負いこんだ分だけ強くなれるんだから…。」 老婆はそういってまだ難しいよねと苦笑して去っていく。 それは姿があまりに眩しくて、あまりに高潔で、あまりに優しくて…私はああいう風になりたいと思った。 その姿は私にとって呪いであり、そして憧れになったし、父と母を失って失意の中にあった自分を支える柱になった。 小さなオルゴールがなっている。 その思い出はこの音色と共に今も私の心に刻まれている。 ―6― 走馬灯は終わりを告げ、シャーリーの視界はもはや何も写さない。 体が倒れていくのを感じた。 まるで体が空中を浮いているような感覚。 体が少しづつ斜めになり、床が近づいてくる。 (結局、こうなるのか…。) 過去を乗り越えようとして、過去に押しつぶされつつあるのを感じる。 倒れたらもう二度と立てない。 一生このままだと思う。 けれど、私は過去を乗り越える事なんて出来そうにない。 私はここで終わり…。 乗り越える事なんて―――― 乗り越える? ふと浮かぶ疑問。何かがおかしい。 何かが決定的に間違っている。そうシャーリーの中で何かが叫ぶ。 それはなんだったか…そうさっきも聞いた筈だ。 老婆があの日、あの時かけてくれた言葉。 老婆は、時峰九条はあの時、 ―――人間は背負いこんだ分だけ強くなれるんだから そう――――言ったのだ。 それが人の強さになると…強さとはそういうものだと…。 そうだ間違えていた。 シャーリーは後ろを見る。自分と共にいて命を失ってきた死者の群れがそこにいる。 シャーリーの足を掴み、手を掴み、頭を掴み、指を掴み、肩を掴み、腰を掴み、髪を掴み、鼻を掴み、口を掴み、目を掴んで、必死に訴えかけている。 “私達を置いて行かないでくれと” 目に涙を浮かべて、嘆願するように必死に叫んでいる。 ああ、何故これを乗り越えようなどと思ったのか…。 乗り越えるとはつまりは彼らを過去にして、その全てから目を背ける事だ。 それは今まで自分に託された願いと怒りと悲しみの全てを無に返してしまう事だ。 それでは先の久良真由里と何も変わらないではないか…。 自分がしなければならない事は、彼らを乗り越えるのではなく背負う事…そして背負った上で前に歩き出さなければならない。 それこそが――死んでいった彼ら対して出来る唯一の事なのだから!! 倒れかけていた体を前に足を踏み出し力を入れ支える。 全てが崩れていく音。自分の限界。シャーリー・時峰は時峰九条のように強くはない。 何故ならシャーリー・時峰は時峰九条ではないのだから…。 だが、それが一体なんだというのだ? だからといってそれが諦めていい理由になるのか? 全身に力を入れる。 息は切れ切れになり死者達は重石のように背に覆いかぶさるような感覚。 その重みにすぐに潰されてしまいそうになるのを下唇を噛み締め、踏ん張った。 視界が色を取り戻し始める。 目の前には雪華の紫の機体があった。 体調はまるで改善された感じはなく、むしろ悪くなったように感じる。 だが、シャーリーはそれで構わないと思った。これから先もずっとこんな感覚が自分をつきまとうだろう。だが、それでいい。 シャーリーの耳に死者の声は聞こえなくなった、けれどかわりに視線が監視するように刺さっているのを感じる。 彼らは私が何をするかそれをじっと見ているのだ。 その重責を背にシャーリーは雪華のコックピットブロックに昇り、操縦室に入った。 鋼機の操縦室は狭く閉塞感がある。 雪華は中に入ったシャーリーを認識し網膜チェックの後セキュリティが解除された。 シャーリーは座席に座りゴーグルを付け起動の操作を行う。 エンジンの駆動音と共に機体が少し揺れる。 制御系が動き出しゴーグルディスプレイに明かりがついた。 ディスプレイの中に文字列が走り始めた。 それはまるで無機質なこの機体に命が吹きこまれていくようだった。 ―Standard21 Custom plan Legionater ―AMBW connected -3D thruster connncted ―Demon c.r .sys run -System all green 起動準備が完了。 レバーを握り、シャーリーはまだそれぐらいの力が自分には残されている事に安堵した。 自分の状態は最悪だが、それでもまだ戦うだけの力は残っている。 ならば、この力使わないわけにはいかない。 「いくぞ、雪華。お前からすれば私は頼りないだろうが、まあ、こんな所で何もせずに朽ち果てるよりはいいだろう?」 そう語りかけるように言った後、シャーリーはコンソールを操作し、起動の操作を行う -雪華 wake up そうして、雪華の2つの瞳に光が灯った。 To be continued 結
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異世界のウィッチその3 ――――――――― ドタドタ ルッキ「シャーリー!」バーン! シャーリー「お、やっぱり来たか」 俺「・・・あんたの差し金かよ」 シャーリー「まあな。良かったな、ルッキーニ」 ルッキ「うん!あ、シャーリーもしよー」 シャーリー「ああ、いいぞ」 ルッキ「うん!・・・じゃ、探しにいこー!」 シャーリー「おおー!」 ・・・いや、ちょっと待て。 俺「おい」 ルッキ「ん?なにー?」 俺「三人で鬼やるのか?」 ルッキ「うん!」 ・・・マジかよ。 ―――――――――基地内 ルッキーニは先行してどっかに行っちまったので、 俺とシャーリーの二人で隠れている奴ら(宮藤・リネット・ペリーヌ・ハルトマン)を探すことにした。 俺「・・・あいつら、隠れるの上手いな」 5分は隠れそうなところを探しているのに、影すら見えない。 シャーリー「ま、普段からルッキーニに絡まれてつき合わされてるからな。自然に上手くなったんだろうな」クスッ 俺「・・・ったく・・・」クスッ シャーリー「・・・お、今笑ったな」 俺「・・・」 あんたにつられて出た苦笑みたいなもんだけどな。 シャーリー「二ヶ月ぶりじゃないか」 俺「・・・笑うような出来事がなかったからな」 シャーリー「中に入れば笑えるような出来事があっても、それに入り込もうとしなかったんだろ」 俺「・・・」 ・・・そう、なのだろうか。 シャーリー「ハルトマンも言ってたろ、お前は笑ってるほうがいいってさ」 俺「・・・」 シャーリー「・・・なあ、俺」 俺「なんだよ」 シャーリー「悩みがあるなら相談しろよ。私たちは仲間だろ?」 俺「・・・俺の場合は相談したって解決するような悩みじゃないんだよ。それに、俺は」 シャーリー「俺はお前らのことを仲間だなんて思ってない、とでも言うつもりだろ?」 俺「・・・」 やっぱり、魔女って人の心を読めるのか? シャーリー「残念だけどな、私たちの中でお前のことを仲間じゃないなんて思ってる奴はいないぞ」 俺「・・・そうなのか?」 シャーリー「ああ。それに、ぶつくさ言いながらでも一緒に戦ってくれるお前のこと、私は嫌いじゃないぞ」 ・・・ シャーリー「あとな、初めから解決しないって決め付けるのはどうかと思うぞ」 俺「・・・なにか、方法を知ってるのかよ?」 シャーリー「いや、知らないけど」 俺「・・・ハッ、なんだよそれ・・・馬鹿じゃねーのか」 シャーリー「・・・やっぱり、お前は笑ってるほうがいいぞ」ニコッ 俺「・・・余計なお世話だ」クスッ シャーリー「・・・なあ、俺?」 俺「なんだよ」 シャーリー「答えたくないならいいけど、お前、元の世界でやり残したこととか、あるのか?」 俺「・・・」 考えてみた。やりのこしたこと・・・。 俺「・・・両親」 シャーリー「え?」 俺「・・・両親に、別れの言葉を言えなかった」 シャーリー「・・・」 俺「それだけが、心残りだ」 ・・・言われて思った。俺は、本当に元の世界に帰りたいのだろうか。 それだけのことを、切実に思っていたのだろうか。 両親にたった一言言いたいがために、周りをギスギスさせてしまっていたのだろうか・・・ ―――――――――――― 外で大声が聞こえた。 ルッキ「あー!中尉みっけー!」 シャーリー「おっ、行ってみるか」 俺「ああ」 ――――――――― 声の方向へ駆けつけてみた。 エーリカ「ありゃ~、見つかっちゃったか~・・・ふぁーぁ・・・ん?やあ、俺」 俺「・・・どこに隠れてたんだよ」 エーリカ「木の上」 俺「は?」 ルッキ「中尉、寝てたよね」 シャーリー「あー・・・」 エーリカ「うん、かくれんぼのついでに昼寝しようと思ってさ」 ・・・どんだけ自由人なんだよ。 俺「・・・そこで寝て大丈夫なのか?身体痛くなるだろ」 エーリカ「大丈夫大丈夫。さて、他の人も探さないとねー・・・俺、一緒に探そ」 俺「わかった」 ルッキ「じゃあシャーリー、一緒に探そ」 シャーリー「ああ」 ―――― またもや探すこと3分。 エーリカ「いや~、見つかんないねぇ」 俺「・・・どこに隠れたのか見当はつかないのか」 エーリカ「みんなバラバラに隠れないと意味が無いからねぇ。まったく見当つかない」 俺「・・・はぁ」 俺は溜め息をついた。 エーリカ「溜め息は幸せが逃げるよ」 その迷信ってこの時代からあったのか? 俺「溜め息程度で逃げる幸せなんかいらねーよ。それに、あんただって溜め息くらいつくだろ?」 エーリカ「まあ、そうだけどね。・・・君の場合、その溜め息程度が積み重なって、 こんな異世界に飛んじゃうなんて不幸が起こっちゃったのかもしれないよ?」 俺「・・・」 エーリカ「・・・でも、君みたいな良い人が不幸になるなんて、納得いかないねぇ」 はぁ? 俺「・・・お前、俺の何を見てきたんだよ。俺が良い奴になんて見えるか?」 エーリカ「見える見える。・・・この基地の中じゃ、誰も君の事を悪い奴だなんて思ってないよ」 俺「・・・」 エーリカ「悪い奴だとは思ってないけど・・・」 俺「・・・なんだよ」 エーリカ「このままだと、嫌な奴に格下げされちゃうかもしれないよ」 俺「・・・それでいいのに。そのほうが楽だよ。元の世界に帰るとき、なんの後悔も無く帰れるのに」 エーリカ「ダメだよ。君が良くても、私達がよくない」 俺「・・・」 エーリカ「そんな別れ方じゃなくてさ、どうせなら、もっと、惜しむような別れかたをしようよ。 私は、そんな、お前が居なくなってせいせいするぜ、みたいな別れ方はしたくないんだ。 だからさ、俺。お互い、爽やかな別れかたをするために、君には私達を受け入れて欲しい」 俺「・・・受け入れてるさ」 嘘を付いた。・・・二ヶ月経った今でも、俺はこの世界の何も受け入れてなんていない。 エーリカ「嘘付け」 ・・・やっぱり・・・魔女って、心読めるんだな。 俺「・・・バレたか。俺って、そんなにわかりやすいか?」 エーリカ「うん。凄く。・・・で、どう?」 俺「・・・考えておく」 エーリカ「うん。それでいいんだよ。・・・まあ、ようするにさ、 無理して突き放そうとしないで、今を楽しく、気楽に生きようよってことだよ」 俺「あんたみたいにか?」 エーリカ「あ、それはやめといたほうがいい。口うるさい軍人にしょっちゅう説教を食らうことになるから」 俺「ハハッ」 エーリカ「・・・あ」(ようやく笑ってくれた・・・) 俺「どうした?」 エーリカ「なんでもないよ。・・・あっ」 エーリカ「リーネ見っけ!」 ――――――――― リーネ「見つかっちゃいましたか・・・ってあれ?」 俺「なんだよ?」 リーネ「俺さんもやってるんですか?」 俺「・・・まあな」 タッタッタッ ルッキ「あ!リーネ見つかったの!?」 エーリカ「うん」 ルッキ「そっかー・・・じゃあ、次は、俺!一緒に芳佳を探そ!」 俺「わかったわかった、わかったから引っ張るな!」 シャーリー「じゃ、私たちも三人で探すか」 リーネ・エーリカ「了解!」 ―――――――― ルッキ「うじゅ~・・・芳佳見つかんない・・・」 さっきからそればっかりだな。お前ペリーヌのこと忘れてるだろ。 俺「・・・こういう場合、意外な場所にいたりするんだよな」 ルッキ「そうなの~?」 俺「・・・例えば、・・・どこだろ」 ルッキ「じゃあ、談話室行ってみる?」 ・・・意外とあるかもしれないな。 俺「行ってみるか」 ルッキ「うん!」 ・・・ ふと、疑問に思った。 俺「おい、ルッキーニ」 ルッキ「なぁに?」 俺「なんでお前、俺をかくれんぼに誘ったんだ?」 ルッキ「ん~?えとねー、一緒に遊びたいから!」 ・・・ 俺「・・・なんで、俺と一緒に遊びたいんだ?」 ルッキ「もっと、俺と仲良くなりたいから!」 俺「なんで、俺と仲良くなりたいんだ?」 ルッキ「仲が悪いよりは良い方がいいでしょ? それに、えと、仲良くなって、もっともっと、俺のことを知りたいの!それに・・・」 俺「それに?」 ルッキ「俺、ずっと怖い顔してばっかりだったから・・・ 一緒にかくれんぼして、笑ってくれたらいいなって、思ったの」 俺「・・・そうか」クスッ ルッキ「あ、笑った!」 ―――――――― 本当に宮藤は談話室にいた。ルッキーニ達がいなくなったのを見計らって談話室に戻ったらしい。 宮藤「よくわかりましたね!見つからない自信あったのに」 灯台下暗しってやつだな。 ルッキ「俺が言ったんだよ!意外なところに隠れてるかもって」 宮藤「俺さんが?」 俺「・・・まあな」 俺はそっぽを向いた。 宮藤「・・・良かった。俺さん、元気になったみたいで」 俺「は?」 再び宮藤のほうを向いた。 宮藤「みんな、俺さんが元気ないって心配してたんですよ」 俺「・・・」 宮藤「・・・俺さん。辛いことがあるなら、私達が支えてあげますよ。遠慮なく頼ってください。 ・・・だから、私達が辛いときは、私達を支えてくださいね、俺さん。私達、俺さんのこと、信頼してますから」 ・・・この世界の奴らは、わけがわからない。 俺「・・・俺はそんなに大したことはできないけどな。ま、考えとくよ」 宮・ル「!」 これでルッキーニは満足したようで、シャーリー達を探した後、かくれんぼの終了を宣言した。 おい待てルッキーニ。だから誰か忘れてるだろ。 ペリーヌ「・・・」 ――――――― ミーナ「ルッキーニさんと遊んであげたんですって?」 夕食の後、ミーナから尋ねられた。 俺「まあな」 ミーナ「・・・ふふっ、良かった」 俺「良かった?」 ミーナ「ええ。少しは打ち解けてくれたみたいで嬉しいわ」 ・・・本当に、この世界の奴らは、わけがわからない。 俺「なあ、教えてくれないか」 ミーナ「なにかしら?」 俺「なんで、みんな、俺なんかに、こんなに良くしてくれるんだ?」 ミーナ「・・・どうしてかしらね。私にもよくわからないけど、放っておけないっていうか・・・ とにかく、みんなあなたのことは単なる戦力とだけ考えてるわけじゃないのは確かよ。私も含めてね」ニコッ ――――――――俺の部屋 俺「・・・」 一体、この世界のウィッチってのはなんなんだ。 俺はそのうちいなくなる存在なのに、どうしてそこまで俺に関わろうとするんだ。 分かれるときに辛いだろ。 ・・・待てよ、よく考えたら、俺は本当に元の世界に帰れるなんて保障はないのか。 帰れるとしても、いつになるのかわからないのか。 だったら、あいつらの言うとおり、あいつらの気持ちを受け入れてもいいのかもしれないな。帰る、そのときまで。 仲が悪いよりは良い方が、良いんだよな。・・・辛かったら、相談してみていいんだよな。 ・・・気楽に、前向きに考えてみた。 ・・・不思議と、嫌な感じが俺の胸から消えていた。 コンコン またドアがノックされた。 俺「誰だ?」 サーニャ「私です」 またあいつか。 ―――― ガチャ 俺「・・・」 サーニャ「・・・俺さん」ニコニコ サーニャは、何故か微笑んでいる。嬉しいことでもあったのか? 俺「なんだ?」 サーニャ「・・・俺さん、表情が少し柔らかくなってます」 俺「あ゛?」 ・・・ 俺「そんなに、硬い表情してたか、俺」 サーニャ「はい。・・・みんな、心配してました。エイラも」 あいつが?・・・サーニャ以外には興味なさそうなあいつが? 俺「・・・そうか」 ・・・心配かけるのは、よくないな。心配かけてちゃ、お互い楽しく過ごせないよな。 俺「気をつけるよ」ニコッ サーニャ「あ・・・」 俺「どうした?」 サーニャ「い、いえ!なんでもありません!///」タッ そう言って、どっかに行っちまった。 ・・・今日は、久しぶりに熟睡できそうな気がした。 異世界のウィッチその5
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48.俺「ストライクウィッチーズじゃねえの?」 478~485 ミーナ「はい皆さん、注目!」 パンパン、とミーナさんが手を叩くと、何人かの視線が俺に集まる。 何人か、というのは大抵の人は席についているけど、机の上に寝そべっている人や殆ど眠り込んでいる人もいるからだ。 ミーナ「今日から新しく、皆さんと共にストライクウィッチーズとして戦うことになった俺さんです。 男性のウィッチだけど、皆さん仲良くね。階級は伍長になります」 そういうと、ミーナさんは俺に自己紹介を促した。 俺「どうも、俺って言います。趣味はのんびりすることかな・・・・よろしく」 ミーナ「・・・・俺さんに質問とかはありますか?」 ルッキーニ「はいは~い! ムシ好き!?」 元気良く質問してきたのは黒髪の、日焼けした少女だった。見た感じこのメンツだと一番小さいのかな。 最初の質問が「虫が好きか」ということで拍子抜けしたけど子供の言うことだしな・・・・ 答えにくい質問ってわけでもなかったからいいか。 俺「虫? まあ、虫に限らず動物は好きかな」 ルッキーニ「じゃあ今度虫取り行こうよ!」 俺「ん、いいね」 ミーナ「他には?」 他に誰も質問がないか確認して、坂本さんが手を挙げた。 坂本「私からいいか? 昨日も気になっていたが、姓がないというのはどういうことだ? 何かやむを得ぬ事情があるのならば無理に言わなくてもいいが」 答えにくい質問だ。やっぱりそこを突かれたな。 無理強いされているわけではなさそうだし、簡単に説明するといいかな。 俺「・・・・俺の家系はあることを生業にしてるんだけど、それを継ぐ者は必ずその姓を名乗るんだ。 俺はその家業が嫌になって飛び出してきた、だから姓を名乗る資格がないってこと」 坂本「そうか・・・・嫌な質問をしてしまったかな」 俺「いつか聞かれるかなって思ってたし、気にしてないよ」 ミーナ「それじゃあ、質問はこれで終わりね。必要な物資・・・・認識票とかはここにあるから」 机の上に置いてある大きな箱。そして、その上には拳銃が置いてあった。 この世界ではどうかは知らないけど、俺の世界ではこんなものを持てる人は限られる。 そのため、生で拳銃を見るのは初めてだった。 人殺しの道具・・・・ 俺「これはいらないや」 初めて見ることもあり、暴発とかを過剰に意識しながら丁寧に渡す。 ミーナ「もしもの時のために持っておいたほうがいいと思うけど・・・・」 俺「俺には使えないよ」 そのやり取りを見て、坂本さんが大いに笑った。 坂本「あっはっはっは! 去年の宮藤を思い出すな!」 宮藤「さ、坂本さん・・・・」 ペリーヌ「全く! 宮藤さんといい、どうしてこう綺麗事を!」 綺麗事、か。 銃の扱い方がイマイチ分からないってのもあるんだけど、綺麗事とか関係なしに俺は自分の手が血に染まることが怖い。 だから、ミーナさんのいうもしもの時に遭ったとしても相手に害を及ばさずに逃げ切るつもりでいるし、 それができなければ死ぬだけだとさえ思っている。まあ、それでも傍から見れば綺麗事にしか見えないんだろうけど。 ミーナ「それじゃあ、これは預からせてもらうわ。あとは・・・・これで終わりかしら。 まだ紹介とかが済んでない人は早めにお願いね。それじゃあ、解散!」 全員が一斉に立ち上がり、ミーナさんが鋭い表情で辺りを見据える。そして、ちょっとしてから立ち去っていった。 これで終わったんだな。毎日こんな感じだと慣れるの大変そうだなァ。 俺も明日からは寝ながら受けようかな、でも新入りがいきなりそんなことすると顰蹙買うかな、とか考えていると ルッキーニ「隙あり!」 と、後ろから手を差し込まれ、胸を触られた。 この声は、虫っ子だっけ(さっき「虫好き?」って質問してたから)。 シャーリー「どうだった?」 ルッキーニ「うじゅじゅ・・・・超残念賞・・・・」 エイラ「当たり前ダロー、男なんだから」 俺「超残念賞かー、これでも鍛えてあるんだけどな」 ルッキーニ「そうじゃなくてー! やわらかさ!」 柔らかさ? こっちでは胸が柔らかい方が優れているのか? シャーリー「あっはっはっは! 紹介がまだだったな。私はシャーロット・E・イェーガー。シャーリーって呼んでくれ」 俺「よろしく、シャーリー」 ルッキーニ「私はフランチェスカ・ルッキーニ!」 エイラ「私はエイラ・イルマタル・ユーティライネン。こっちはサーニャ・V・リトヴャク」 そのサーニャは、エイラに支えられて大きく首を振りながら立っている。 まだ眠っているのか・・・・器用だな。 俺「みんな、よろし――」 エイラ「サーニャに変なコトするんじゃネーゾー!」 握手しようと手を差し出したら、敵意剥き出しの表情で睨みながら警戒された。 俺「別に食ったりしないよ・・・・」 エイラ「ソンナこと言ってるんじゃないんだけどナ」 シャーリー「はっはっは! 面白いヤツだなー」 坂本「よし、この後は新しく俺を入れて宮藤とリーネ、三人で午後から訓練だ。 その前に、二人は基地を案内してやってくれ」 芳佳、リーネ「はいっ!」 ◇ ◇ ◇ 芳佳「俺さんって優しいんですね」 俺「ん、どゆこと?」 二人に基地を案内してもらいながら雑談をしている。 食堂と、ハンガー・・・・格納庫のことらしい。 色々と主立った場所を教えてもらって、あとは俺の個室だけだ。 芳佳「さっき拳銃を返してたじゃないですか。私、感心しちゃいました」 リーネ「私も、去年の芳佳ちゃんを思い出しちゃったな」 俺「俺のは優しい、ってのとは違うかな」 リーネ「え?」 俺「相手を傷つけたくない、って気持ちがあるんなら優しいのかもしれないな。 でも、俺は相手が傷つくことよりも単純に自分の手が血に染まることが嫌なだけ。 結局自己中心的な考え方なんだよ」 芳佳「それでも―」 俺「穢いことを他人にやらせて自分は高見の見物、とも言い換えれる。 芳佳は本当に心から相手が傷つくのが嫌だから銃を返したんだろ? そっちの方が何十倍も立派だと思うよ俺は」 芳佳「俺さん・・・・」 俺「まあ、俺のことは気にしないで。それより俺の部屋まだかな?」 リーネ「あっ、通り過ぎてた! すみません!」 それから少しだけ通った所を引き返した。 ◇ ◇ ◇ 俺に用意された部屋は、ベッド以外には何もないけど一人分には十分なスペースの部屋だった。 リーネ「空っぽ・・・・ですね」 芳佳「私の時と同じだね」 俺「部屋を与えてもらえるだけでもありがたいよ。おまけにベッドが付いてくるなんて」 そう言ってベッドにごろんと寝転んだ。 俺「ふぅ~っ、ちょっと寝よっかな。飯の時間になったら起こしてくれ」 芳佳、リーネ「はーい! ごゆっくり」 二人がいなくなったのが分かると、俺は寝転んだまま右の手を握り締めて目の前にかざす。 ここにいる皆は、この世界を守るという大義を持って戦っている。 俺はまだこの世界に来て間もないし、この世界に対して義理だとかそういうものがない。 でも、ここの人たちは良い人たちだ。腹が減って死にかけていたところを助けてもらった恩がある。 その恩を返すために、この手で報いなければならない。 ただ、相手が誰であろうとやっぱりこの手を血に染めることが怖い。 俺が俺でなくなってしまう、そんな気がしてならない。 だから雑用係に落ち着いてそれで恩が返せればと思ったけど、なんか違うんだよなァ・・・・ じっちゃんから「恩は忘れるな」って教えられてきたし、雑用程度では恩返しにならないと思っている。 ・・・・どうすればいいのかな。
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/*/ 芝村: ここは宇宙だ エステルは地上の電波を拾おうとチューニングしている 時雨: 「……………どうしました?」 エステル: 「別に」 芝村: エステルは作業やめた。 エステル: 「別に何でもありません」 時雨: Q もしかして和平交渉の進捗が気になってるのでしょうか? 芝村: A:そう言うふうにはみえないなあ 時雨: うーん 「そうですか」 ちょっと悲しそうな顔で後ろから抱きしめます。 エステル:「 新しい軍艦の話ですか?」 時雨: 「いえ」 「こうしたかっただけです」 エステル: 「・・・」 芝村: エステルは黙ってる 時雨: 頬にキスをします。 芝村: エステルは横目で見た 冷たい目だ エステル:「 どうしたのですか」 時雨: 「いえ……」 エステル: 「そうですか」 #なんかすごい。いじけてるきがするぞ 時雨: #・・・・・・もしかしてPLACEがGENZさんのゲームで「女なんてー」とか言ってたのはエステルが最近こんな調子だからでしょうか しばらく抱きしめたまま、じっとしています。 エステル: 「・・・・」 エステルは目をつぶった 時雨: 唇にキスをします。 「愛してます」 エステル: 「嘘ばかり」 顔を背けられた 小さく丸まってる 時雨: 「違います」 もう一度キスします。 芝村: 地上から、ネーバルウイッチときこえる 時雨: 放送の大体の意味はわかりますか? 芝村: 宇宙の敵はネーバルウイッチであり、おそらく帝國は勝てるだろうと やるならいまだと 時雨: 「…………和平交渉の話も出ています」 エステル: 「知っています」 時雨: 「はい」 抱きしめたまま、髪をなでます エステル: 「意外に、へこんでますね。私」 時雨: 「僕がいますよ」 耳元でささやいて、キスをします エステル: 「嘘ばっかり」 芝村: エステルは逃げた 時雨: 追いかけます 芝村: 自室に閉じこもった 時雨: #ぎゃーまたこのパターン エステル: 「寝ます。近づかないでください」 時雨: 「じゃあ、僕も一緒に寝ます」 エステル: 「・・・」 鍵を閉められた。 マイクも切れた 巨大な地雷を踏んだきになった 時雨: orz 部屋の前で、ずっと待っています。 /*/ 芝村: はい。おつかれさまでした 時雨: お疲れ様でした 芝村: うむ。いつか見た風景だ 時雨: 何かもうかなり凹みます どうしたらいいんでしょうか 芝村: うむ やはりあれか。 この間軍事話→エステルだんだんへこみでる→本日勘違い発言 大爆発だー。ダダッダ 時雨: orz 参謀解体以来の大失敗な気がします 芝村: いやまあ あれよりはるかに、でかい気がする 時雨: 取り敢えず評価変動と累積伺っていいですか? 芝村: 3-3 今4、4 時雨: うわあああああ もう本当に泣きそうです 芝村: うむ 時雨: どうしましょう。部屋の前で待ってたいですが いったん冷却期間をおいた方がいいんでしょうか 芝村: わからん。俺なら全力であやまる 時雨: うーん しばらく、部屋の前で話を聞いてくれそうになるまで待ちます。 聞いてくれそうになったら、謝ります。 芝村: はあい 時雨: しばらく待っても駄目なら、通信か何かで。 どうにかして戦争も避けたい感じですが 芝村: ああい 時雨: 以上をrと言う形でお願いできますか? 芝村: ああい。 では解散しましょう。おつかれさまでしたー
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ギウラスの肝いりで実現した?社外コラボ。 ファルコムより9月26日に発売予定の「英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ」とのコラボである。 登場人物の「リィン・シュバルツァー」と、「アリサ・ラインフォルト」にそれぞれなりきることができる。 両者は前作(英雄伝説 閃の軌跡)でも登場しているので、発売前でもキャラの把握には困らないだろう。 しかしながらアリサは堀江由衣氏ボイスがあるのでまだしも、リィンは内山昂輝氏がイメチェンサービスにラインナップしていないので完全再現はできない。解せぬ 4カラーの防具と、彼らの武器をモチーフにした太刀と弓が付属している。 G強化券は5枚付いてくるがこれだけではフル強化不可能なので一応注意。 武器 俗に言う「準G級武器」のGR5段階まで強化が可能。 シジルの取り外しは任意だがスロットが2個しかない。 紅蓮Ⅱ 火(太刀) 火属性の太刀。抜刀時に刀身が輝くエフェクトがあるようだ。 攻撃力・属性・ゲージのバランスは良好。GR5武器の中では優秀な方。 紅蓮Ⅱ 闇(太刀) こちらは闇属性の太刀。 微弱だが会心率があり、コーレマグナートを単純スペックで上回る。(あちらは烈種武器故直接比較はできないが) プリンシパリティⅡ 火(弓) 原作では「導力弓」と呼ばれる弓。 オーラアロー使用時にギミックがある? プリンシパリティⅡ 闇(弓) こちらは闇属性。 ちなみに弓はどちらも拡散型/切断曲射である。 防具 カーマインシリーズ/サジタリオシリーズ 男用装備がリィン、女用装備がアリサをモチーフにしている。 明確に言及されているわけではないが、初音ミクキット同様女性装備は体型が絞り込まれている。 ただしミクや後のまどマギほど極端ではないため、他の装備と組み合わせても違和感は小さい。 なお、腰防具とへそ出し防具を組み合わせるとスカートの一部がお腹に埋もれるという珍現象がおこる。 同様の事象が起こっていたまどマギの方(オルロジュ腰)は修正されたがこちらは修正されていない。 剣士用は全部位に達人・一閃・怒がある。そのため一閃と見切りを両立させやすい。 真打の発動を前提としているためかどの部位にも匠と剛撃はなく、怒が標準であるためソル剣珠GX5などと相性が良い。 また、頭はいたわり+10・耐状態異常+10が、胴腕には剣術+5、腰脚には溜め短縮+5が付いている。 胴以下の残りのスキルは上から順に三界の護り、体術、痛撃、吸血。 腰部位が痛撃+5&溜め短縮+5となっており、武器種を問わず非常に強力。 頭の+10スキルが状況によってはネックとなるため一式での利用にはあまり向いていないが、 パーツ単位で見るとどれも強力であり、真打+3一閃+3を組むときの強力なアシストとなるだろう。 なお頭はHSでもいたわり+10・耐状態異常+10があるので、ラスタ用としてもなかなか優良。 ガンナーは達人・一閃・怒は同じく共通で、頭には気力回復+10と耐状態異常+10、 胴腕にはスタミナ、腰脚には連射と弓向き。 胴以下の残りのスキルは上から順に三界の護り、射手、痛撃、吸血。こちらも腰がかなり優秀。 扇射の装飾品を使う場合はソル射GX5やディス射GX2など痛撃が付いているものが良いかも。 (適応撃とセットにしないとガンナーでは使いにくいスキルだが・・・) 余談だが女性脚は縞パンです本当にありがとうございました