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「蒼穹の絆2-6」 ―風の種を撒く者― 朝。まだ太陽は昇らない。整備ピストの片隅で筋力トレーニングをしている俺。徐々に身体が汗ばんできた。 湯気が上がる。空が明るくなってきた時点で、ランニング。背中にはM1ガランド小銃を背負い、両手に バックを持っている。往復5キロを終えたとき、時間は6時前。皆も起床した時刻。そのまま、射撃場に 行き射撃練習を始める。 シャーリー「おはよー。今日も頑張るね」 俺「おはよう。グラマーちゃん。ルッキーニの探索かい?」 俺の周りは空薬莢と空クリップで埋まっている。イアマフを取り外し、銃を置く。 シ「うん。あいつ、今朝は何処で寝ているんだろうな?」 俺「流石に寒いから中だろ?てっきりシャーリーに抱きついて寝ていると思ったけど」 シ「居なかったんだよ~。樹じゃないよなあ、幾らなんでもなあ」 射撃場も一面雪で覆われている。まさか。 シ「整備ピストとかハンガーとか見てみるよ。ありがとう。じゃ!」 ああ、と手を振る。新しいクリップを込める。膝撃ち。皮のスリングはビンと張られている。 8発を速射。クリップが蹴りだされる。手探りでクリップを押し込み、器用に指を抜いた。自動的に ボルトが閉まる。構えを戻し撃つ。繰り返すうちに、銃身ガードが焦げた匂いを発していく。尻尾が ないから、ノーマル状態だ。 射撃練習を終え、空薬莢等をバックにしまった俺はまた駆け足でテントに戻る。 急げばシャワーを浴びる時間はある。のんびりすると、女性隊員と鉢合わせる。 着替えを持って風呂場へ。誰も居ない。今のうち。 ヒゲもあたってさっぱりした顔でテントにぶらりと戻る。と、シャーリーが中に居た。 ベッドの下を覗いている。 俺「どうした?シャーリー?」 シャーリー「シッ! ここ見てみろよ」 ベッドの真下。本を積んだところにルッキーニが寝ている。何時から居たんだろう? 俺「ありゃまー。寒かっただろう。俺のベッドに潜り込めばいいのに・・・」 ガスヒーターを持ってきて点火。 シャーリー「おーい。こんな子供でも狙うのかよw」 俺「妹だw!妹と寝るなら文句ねーべ?俺も暖かいだろww?」 くすくすと笑いあう。椅子をヒーターの脇に置く。 俺「シャーリー、ここに座れよ。あと、背中に毛布掛けとけよ、ホレ。コーヒー淹れるわ」 コールマンのガソリンコンロに点火した。初めはとろかったが、ポンプで活を入れると結構な轟音と共に 蒼い炎となる。 パーコレーターを用意して、コンロに掛ける。 俺「ルッキーニちゃん、ここで一晩寝たのかねえ?」 シャーリー「多分ねー。あの本を読んでいたのかな?」 指差したところには、俺が持ってきた海生動物図鑑。カラーの奴だ。 俺「あー。読んでいて寝ちまったかw」 シャーリー「昆虫とか大好きなんだよ、あいつw」 女の子が?そうなんだよ、と二人でくすくす笑う。お、沸いてきた。火を少し弱める。 シャーリー「男の子みたいだよ。活発でさ、怖いもの知らず。オッパイ大好きだしww」 俺「おー!将来が楽しみだ!スタリオンズに引っ張るかなw」 シャーリー「いやー!お前んちだと完全に変態にされちゃうよ!」 思わず爆笑。ひでぇな! ルッキーニがそれで目を覚ましちまった。ごめん! ルッキーニ「んァ?・・・・おはよ、シャーリー、ラスカル。あれ?起きれない??」 俺「おいおい。コットベッドの布に頭ぶつかってるよw。そのまま這い出して来いよ」 匍匐前進で出てきた。例の本は抱えている。そしてシャーリーの胸に抱きついた。ほんと、シャーリー ラブだね。シャーリーも少女というより母の顔になってるし。 俺「コーヒー、ミルクと砂糖は?」 シャーリー「お、サンキュ♪わたしブラック、砂糖なしで」 ルッキーニ「ミルクタップリー!砂糖もタップリー!」 それならば、とコンデンスミルクの缶を銃剣で穴を開け、コーヒーにタップリいれる。テーブル代わり に薬莢の木箱を持ってきて、それにカップを置いた。ビスケットの缶詰も出す。 シャーリー「お、美味い!」 ルッキーニ「甘くておいしーぃ!」 よかった。俺も啜る。 俺「ルッキーニは動物が好きなんだ?」 両手に持ったビスケットを齧りながら『うん!』と頷く笑顔が可愛い。 俺「じゃあ、それもっていって読めよ。他にも図鑑はあるはずだ。それもいいぞ?」 シャーリー「よかったなぁ。ルッキーニ」 わーい!とはしゃぐ姿は・・・本当に子供。ちと胸が痛くなる。こんな妹がいたらなあ。妹にしちまうか?ふむ。 リーネ、ペリーヌ、エーリカにサーニャ。エイラもいるなw。シャーリーは・・・ちと微妙?胸が立派過ぎ? ミーナは2歳下だな。ああ、トゥルーデも居るし。ミオは・・・うーん。 まあいい、全員まとめて妹だ!わお。家族が増えた!でも。俺のスタイルにはなあ?今までどおりで外面飾る としよう。うん。海兵はエロく無くてはいかん!伝統の海兵隊スタイル! シャーリー「しかし!奥までぎっしりだな!本の虫なのw?」 俺「ああ。本は好きだな。将来は、歴史小説を書いてみたいと思ってるんだけどさ」 オオーッと二人が驚く。何でだよw シャーリー「戦争小説じゃないのか?経験を積む為に海兵隊にはいったのかと一瞬思った」 俺「うんにゃ。ヒューマンドラマは悪くないけど、あまりに血なまぐさすぎる。みんなの悲しい思い出を ダシにするのは、嫌なんだ。今の戦争は駄目だ。500年とか200年とか時間が経たないと、さ?」 ルッキーニ「家族が死んだ人や、仲間を喪った人も多いから、でしょ?」 そうだよ、それは哀しい事だろう?と思わずルッキーニの頭を撫ぜてしまう。解るか?妹よ。 俺「海兵隊に入ったのは、冒険ができると思ったからさ。これは正解だった。けど、仲間が死ぬことが こんなに多いとは・・・・大誤算だった・・・・」 「子供の頃から、天才だのなんだの言われてな。こっちはそう思わない。只のガキなのに。それに反発 して、みんなと同じことをやって見たかったんだ。それだけ」 「だから。魔力を偶然手にしたときには嬉しかった。金や権力の為じゃあなく、純粋な目的で周りに 奉仕できることになったからね・・・」 シャーリー「・・・今の生活は楽しい?」 俺「楽しくは無い。苦しい。哀しい。でも、一人のウィッチとして行動した結果、何人かを救えたら。 それで満足だよ。仲間を喪うくらいなら、俺が身代わりになる。それでいいんだ。約束だから」 ルッキーニ「誰と約束したの?」 俺「死んだ仲間と」 三人とも黙りこくる。コーヒーの湯気だけが動いている。 ******************************************* ―新装備― リベリオンから補給を積んだC-47が着陸した。ハッチから資材がどんどん運び出される。一端ハンガー脇 に積み上げられ、補給部将校と俺が相互にチェックリストを確認する。 俺「あ!隊長!いいものが届きましたよ。皆喜ぶでしょう。誰か回してください」 ミーナ「ええ。手配しますね。中身は?」 俺「新鮮な果物!最近欠品だったでしょう?」 あっという間に隊員が押しかけ、ワッショイワッショイと運び去られた。 一方、俺は武器弾薬関係の箱を飛び回る。弾薬、予備兵器と交換部品、そして・・・。 にんまり笑うと、細長い木箱を抱えて室内へ。戻ってきて、比較的小さい箱をまた運ぶ。 昼食の席で、ミーナから全員に午後1時からの新兵器講習会が告げられる。全員参加。 * 俺「では、始めますか。今日は新兵器、というか、新装備の講習会です。まず最初にこれ」 2挺の短機関銃を掲げる。M3だ。皆によく見えるように体を回す。 俺「こっちの傷だらけの奴は私が使っているもの。口径45だね。で、こっちは海兵隊クォンティコ基地の 武器担当者が皆さんへのプレゼントとして作ったもの。口径9ミリ。30発弾倉。レシーバーもプレスでは なく、軽合金を削り出した特製。グリップやトリガー位置などを皆さんの手のサイズに合わせて握り やすくリサイズ。銃身は予備兵器として携帯するのに邪魔にならないサイズに。 では、皆に配るから実際手にとって見てくれ」 机の前から後ろに回してもらう。弾無しのマガジンとスリングが装着されている。ミーナも受け取った。 俺「皆さん全員が携帯しろとは言わないよ。自分で判断してくれ。さて、操作は簡単。一緒にやって みて?マガジンを抜くにはここを押す。引っ張ると抜ける。入れるときは強くまっすぐ押し込む。オケ? ボルトカバーをあける。これは安全装置も兼ねているよ。このフタを閉めれば撃てない。開けて見える ボルトに開いた穴、これね、ここに指を入れて後ろに引っ張る。後ろで止まったら指を離す。これで 射撃準備完了。蓋を閉めれば安全装置が掛かる、と。ここまでいいかな? どう?滑らかに動くだろう?俺のはゴキゴキ動くんだけどさw ストックは引っ張るとでてきてロック される。ここを押して収納と。なんだよ、ここも俺のより出来がいいな!」 皆笑う。よく見れば、相互の違いがわかる。形が同じに見えるだけで、完全に別物だ。 俺「乙女たち専用と聞いて、野郎共気合入れまくったな。さて、蓋を開いて。では、念のために銃口を上に 向けて引き金を引いてみて。 はい。感じはどう?」 ボルトも引き金もとてもスムーズ。何度試しても同じ。しっかり作られている。ボディの側面には打刻で 『口径9m/m Para.』そして『Present for you! From Marine s.』 ミーナ「質問してもいいかしら?なんで口径を変えたの?」 俺「欧州で手に入りやすいこと。反動が弾頭重量できつくなる45口径より扱いやすいだろうこと、皆さんも 9ミリのサブマシンガンを使った経験のある人は多いでしょ? あと、携行弾数が重量と比較して有利。 最後に、発射レートを反動などの面で9ミリなら上げることができ、移動目標を主目的とするウィッチに 有利と判断。それをクォンティコに提言して、乙女のファンな変態武器担当が皆さんのために必死になって 実用化してくれたわけ」 ミーナ「俺さんが?有難う!」 皆も口々に礼を言う。男用に作られた兵器ばかり渡されてきた彼女達。勲章もこういう使い方がある。 俺「愛する彼女達の為ならば!任せとけっ!」 バルクホルン「・・・・このスリングは?一本じゃないね」 俺「俺の発明w。こう使うんだ」 実演開始。携帯時には邪魔にならず、プラスチックで出来たフックをワンタッチで外すと、銃だけぶら下 がる。両手どちらでも振り回しは自在。 俺「あとで撃ちまくってもらうから。それで各自判断して。個人的には、サーニャとリーネは持って欲しい。 今は大型専用兵器だけだろ?あれで小型とかを相手にするのは無理がある。これを持っていれば心強いかな と、ね」 ミーナ「そうね。大型に対する武装しか持っていないから・・・」 サーニャとリーネも真剣に聞いている。既に胸に抱き締めている。 俺「では次。大型ネウロイに使う特化兵器。これだ」 木箱から、長いパイプを取り出した。1メートルちょっとか。下にグリップと引き金が付いている。 俺「軍からの試供品w。89ミリ・スーパー・バズーカ。口径89ミリ。炸薬量500グラムの成型炸薬。分厚い装甲 のネウロイ用特製品。一般兵の有効射程は200ヤード。でも、ウィッチなら600ヤード以上。ざっくり550メートル 以上。最大射程は1マイル弱、約1.5キロ。信管は魔力対応の近接及び衝撃。最大射程で自爆するから高度さえ あれば下は気にしないでいいだろう。こいつの一番の特徴は、再装填が簡単に出来る」 皆、前に出て手にとって見ている。中を覗き込んでもただの筒。これが新兵器? 俺「開発の理由は、シシリー島での陸戦。60ミリのバズーカが今ひとつでね。まあ、一般兵が使用してだが。 アフリカでも使っている筈だ。まあ、不満が出た。もっと俺たちを活躍させろってね。 それで、より大口径高威力にして、一般兵の戦力を高めてウィッチ隊の負担を減らす目的で開発中。 その試作をベースにウィッチ専用の特製とした。ロケット砲弾も特製のきつい奴」 別の箱から、全体が黄色くぬられた訓練弾を取り出した。 俺「ロケット砲弾がこれ。ここから先が爆薬。後ろは推進薬。これをケツからこう入れながら、ここにある クリップ付きの電線を引き出す。これをここに差し込む。後ろが同じ高さになるまで入れたら発射準備オケ」 「この照準装置で狙う。落差計算が出来るウィッチ専用の照準装置だね。あとはトリガーを引く。電気信号で 発射される。二人で射手と装填手に分担すれば、一分間に8発以上撃てる。一般用は鉄製だけど、航空ウィッチ は優しい扱いをしてくれるから特殊軽金属でボディが作られているよ。魔力で正確に狙えるから、全長も 一般兵用よりぐっと短く出来た。魔力様様だね。本体の重さは6ポンド、ざっくり3キログラム弱、砲弾は一発 2ポンド、900グラムだね」 シャーリー「使用はどのように仮定して?」 俺「サーニャのフリーガーハマーで難しい相手」 エイラ「でも、フリーガーハマーは9発だゾ?一発一発装填するよりいいんじゃないか?」 俺「そう。最大の利点だ。欠点は一発あたりの破壊力の差。まとめて同弾着とする必要が出ると厳しい。あとは 再装填が事実上難しいことだろうな。なんで、両方を適宜使い分けるのがいいかなと思う」 バルクホルン「サーニャに持たせる?厳しいんじゃないか?さっきのM3も携帯するんだろう?」 俺「ああ。厳しいね。なんで、他のものに持たせる。例えば俺、エイラ等など。撃つときに手渡す」 「まあ、一番ロケット砲になれているのがサーニャだからね。射手はサーニャ、携帯したものが装填役が理想 かな?まあ、テストしてから考えよう。使えないなら倉庫に放り込めばいいさw」 押し付ける言い方を一切しないので、全員気楽に笑う。 早速、射撃場へ。M3を撃ちまくる。合間に45口径のオリジナルも撃って比べる。みなの前には装填済み の弾倉が山と積まれている。皆、尻尾が楽しげに揺れている。 ミーナ「9ミリのほうが、やっぱり私には扱いやすいわね。グリップも手頃だわ!」 サーニャ「楽です・・・・撃ちやすいし、軽いです」 エイラ「いいな、コレ。ストックが邪魔にならないネ。軽いシ」 リーネ「不恰好ですけど、当たりますね!」 ペリーヌ「木をまったく使わないというのは・・・リベリオンだからでしょうか?でも、コンパクトですね」 ルッキーニ「キャハー!これ!たっのしーぃ♪」 シャーリー「トンプソンより小さくていいな!気に入った!」 バルクホルンは片手撃ちで遊んでいる。ハルトマンはアクション付きでやっている。 俺「あはは。流石俺の彼女達だ!どんどん撃て♪銃のスペアも沢山有るぜ!」 ミーナが首をかしげる。私達全員彼女?さっきも何か言っていた。新手のリベリアンジョークかしら? 次は海上にポンツーンで設置された大口径用の的に移動。距離500メートル。浮きの上部に着いた赤い的 が波に揺られている。 俺「サーニャ。俺が装填手やるよ。肩を俺が二度叩いたら、装填及び発射準備ヨシと考えて撃ってくれ」 膝撃ちでサーニャが砲を水平に構える。魔導針に耳と尻尾が出た。肩の当たり位置などを修正し終わった のを見て、俺が後ろでゆっくりと作業。 サーニャの尻尾を踏まないように注意して左後ろに体をずらし、後ろを最終確認。覗き込んでみていた エイラとルッキーニを引っ張って真横に退ける。 俺「言わなかった俺が悪い。ここには絶対居ちゃ駄目だw 死ぬぞ。皆も砲尾から左右直角以降に出ない でな。体が千切れる」 もう一度確認してから、肩をぽんぽんと叩く。 鋭い轟音。砲がかすかに持ち上がる。砲の背後をバックブラストが吹き抜ける。 ルッキーニ「キャォー!すっごい!」 全員、急いで砲弾の行方に目を移す。急速に加速していった砲弾がポンツーンの右手前に着弾。 凄まじい水柱を吹き上げる。水柱が収まるときには、水蒸気だらけ。 皆、唖然としている。フリーガーハマーの9発の同時着弾より凄いぞ!サーニャは尻尾をパタパタ。 青くなっているのはルッキーニ達。ヤバかった! 俺「サーニャ。次行くぞ?」 俺がスピードアップして装填開始。後方確認も含め、8-9秒でサーニャの肩を叩いた。 鋭い発射音と爆風。命中!赤的だ。ドラム缶のポンツーンが歪な姿で空高く吹き上げられる。 大歓声。皆サーニャを褒める。初めて撃つ砲を二発で覚えた!脇でエイラが踊っている。 俺「サーニャ。すごいな。修正ばっちりじゃないか!」 サーニャ「いえ・・・・フリーガーハマーで慣れていますから。加速がよくてまっすぐ飛びますね。 ・・・・あとは魔導針で先に補正して・・・/////これ、凄い。気に入りました」 俺「いや、見事だった!サーニャ、流石おれの恋人だ!そうか!気に入ってくれたか!」 エイラ「やめろォォォ!サーニャに触るなァ!ラスカル!ドサクサ紛れに訳解んないこと言うなァァァ!」 俺に握手を求められ、真っ赤になって応じるサーニャ。エイラがラスカルに文字通り噛み付いた。 周囲から口笛や冷やかしが笑いを交えて飛ぶ。 バルクホルンが硬い表情をして横目で見ているのをハルトマンが気付いた。ハテ?何か問題で? どれ。 ハルトマン「私もラスカルの彼女でしょ?ほれ、握手握手♪」 リーネ「私も・・・・////握手してください」 ちらりとトゥルーデを見る。目が怒ってるね。あららー。悪い病気が・・・。 皆、我先にと練習する。射手と装填手を交互に。気が付いたときには、四回交換したポンツーンの影も 形も無い。最高の射手はサーニャ、装填手にはエイラがよい、と結論が出た。二番手はバルクホルンに ハルトマン。 発射後、顔面に吹き付けるブラストが怖い、という人ほど順位が落ちる。 ペリーヌ「だって!あれで髪型が滅茶苦茶になっちゃうんですのよ!」 俺「乱れた髪形も野生的で好きだぜ?ペリーヌ♪どれ、こうすれば・・・・」 言いながらぺりーヌの髪を手で梳いてやる俺。真っ赤になるがされるがままのペリーヌ。 全員爆笑。 いや、一名だけ笑いが引き攣っている。心配げにみるハルトマン。 * 夕食。昼も補給されたばかりの果物に人気が集中したが、今も人気だ。皆、新鮮な果物を欲していた。 シャーリー「この!オレンジは!私のだ!」 バルクホルン「いや!私が先に触ったから!グググ!私のだ!手を離さんか!リベリアン!」 ハルトマン「はいはい。お姉ちゃん?仲良くしてね?」 ビクッと手を引っ込めた瞬間、シャーリーがオレンジをゲット。 シャーリー「いっただきーぃ♪ああ、うめー!フロリダの味だぁ!」 バルクホルン「ハルトマン!余計なことを言うな!大体私はあんな下品な妹を持った覚えは無い!」 シャーリー「あれ?私のほうがお姉ちゃんだろ?ほれほれ」 オレンジを咥えたままで、胸を上下させるシャーリー。周りから笑いが漏れる。 バルクホルン「!ぐぬぬっ!」 俺「ほら。まだあるから。皮剥いておいたぞ?バルクホルン」 顔を赤くしたままで受け取るバルクホルン。三つも剥かれている。パイナップルのざく切りも。 渋々、食べだした。 テーブルでは皆がオレンジ、バナナ、葡萄、パイナップル等に舌鼓を打っている。皆笑顔。 バルクホルン「有難う。ラスカル」 俺「ん?可愛い俺の彼女達が喧嘩するのは心が痛むw。俺は罪な男だwww」 エイラ「エー!こんな変態ガ?サーニャは違うゾ!駄目ダ!私もナw」 テーブルが笑いに包まれる。否、バルクホルンだけは真面目な顔をしている。 ミーナ「エイラさん?駄目ですよw?『変態だ』なんて言っては」 エイラ「エー。ラスカル弄ると楽しいんダ。ね、サーニャ?」 サーニャ「ウン・・・・お兄さん・・・・」 エイラが安心した顔で激しい同意を示す仕草にまた笑いが起きる。 俺「嗚呼!またふられたw!お兄さん?フム。妹? それもいいじゃないか!あはは!」 一同笑う中、バルクホルンがツイと席を立った。余り気にするものはいない。ハルトマンだけ 心配そうな目で見送る。 ************************************************************************
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889 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/06(土) 22 44 25.81 ID DvwweW+80 ~早朝、基地滑走路~ タッタッタッタッタッタッタッタッ グレース「I don t want no teen-age prince~♪(スカした美男子 もういらない )」 坂本「あーいどんうぉんのーてぃーんえいじぷりーんす~♪」 グレース「I just want my Striker~♪(私の彼氏はストライカー)」 坂本「あいじゃすうぉんまいすとらいかー~♪」 タッタッタッタッタッタッタッタッ シャーリー「ふぁ~あ、朝から頑張るねぇ・・・ さて、私も朝のメンテにしようかなぁー」 そう言うとハンガーに戻っていくシャーリー。 カチャカチャ・・・ シャーリー「ん、魔道インジェクターも綺麗だ。 点火プラグも問題ないな」 890 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/06(土) 22 47 54.69 ID DvwweW+80 ガチャ シャーリー「ん?リーネじゃないか。 どうしたんだこんな所に?」 キョロキョロと周りを見回すリーネ。 何かを気にしているようだ。 リーネ「あのー・・・グレース少佐は・・・?」 シャーリー「ああ、それならさっき滑走路を坂本少佐と走ってたぞ。 ホラ、丁度戻ってきた」 リーネ「!」 ビクリとするリーネ。 スタスタ 坂本「―――なぁグレース少佐、風呂に行かないか?」 グレース「風呂、か?」 坂本「ああ、ここには扶桑式の風呂があるんだ」 グレース「ロマーニャにか?そりゃ意外だな」 891 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/06(土) 22 49 04.10 ID ZwwFt16m0 ボイントンの手記は見応えが有りますよね 日の丸を“怒り狂ったミートボール”と表現したり 俘虜になった時の炊事係のおばちゃんの話とかやけに詳しく綴られてたりw 892 名前:Semper Fidelis Pt.3 891そうそう、いろいろエピソードがあるんでキャラは作り易かったwww[] 投稿日:2010/11/06(土) 22 51 39.35 ID DvwweW+80 坂本「ああ、扶桑海軍の設営班が作ってくれたんだ」 グレース「ほぉ・・・じゃぁ行くか。 ってリーネとシャーリーか、おはよう。 いい朝だな」 シャーリー「いやー、グレース少佐も朝から頑張るねぇ」 グレース「私の魔法は体力が資本だからな。 ・・・どうした、リーネ?」 ピクリ、と肩を震わせるリーネ。 リーネ「な、何でもありません、グレース少佐!」 グレース「―――? まぁとにかく風呂にいこうか、坂本少佐。 それじゃぁ後でな、二人共」 シャーリー「後でなー、少佐ー」 リーネ「・・・・・・・」 スタスタスタ――― 893 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/06(土) 22 54 55.83 ID DvwweW+80 シャーリー「どうしたんだ、リーネ?」 リーネ「実は―――カクカクシカジカ」 シャーリー「ふぅん・・・グレース少佐が私のストライカーを・・・」 リーネ「はい、夜中にこっそりと・・・」 シャーリー「変だな、何もおかしいところなんて無かったぞ?」 リーネ「ほ、本当ですか?」 シャーリー「ああ、いまチェックしてたけどなんにも問題は無かったぞ」 リーネ「で、でも本当にみたんです、シャーリーさん!」 シャーリー「別にリーネのことを疑っちゃいないよ。 ・・・いったい少佐はなんでそんな事を」 リーネ「わかりません・・・ でも隠れてやってたってことは・・・・」 シャーリー「―――私達には知られたくない、ってことか」 894 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/06(土) 22 58 41.07 ID DvwweW+80 シャーリー「・・・少佐が何をしてるのかは私にも分からないな。 でも私達に知られたくないって事は―――そう振舞ったほうが都合はいい」 リーネ「で、でも・・・」 シャーリー「後で中佐にも言ったほうがいいかもしれないな。 とにかく今は事を大きくしないで様子を見てみたほうがいいんじゃないかな」 リーネ「は、はい・・・ でもシャーリーさんは不安じゃないんですか?」 シャーリー「あたしかい? そりゃ隊の中でよく分かんないことが起きてるのは不安だけど・・・ でもグレース少佐はあたしたちと同じウィッチだ。 同じ空を飛んでいるんだ、危ない奴だったら分かるはずだ、と思う・・・」 リーネ「そうですね・・・グレースさんも501の仲間になるんですよね。 とりあえず様子を見てみましょう」 895 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/06(土) 22 59 13.07 ID ZwwFt16m0 「おはよう」と挨拶されて「俺はオハイオ出身じゃねぇよ!」って言い返した所とか 可愛過ぎますよねw 896 名前:Semper Fidelis Pt.3 895部隊内のオッサンポジってのもなかなか面白いよね[] 投稿日:2010/11/06(土) 23 02 01.32 ID DvwweW+80 ~同時刻、大浴場更衣室~ 坂本「いやーいい汗をかいたな、グレース少佐」 グレース「朝はランニングに限るな!」 坂本「それにしてもリベリアンなのに風呂が好きとは意外だな」 グレース「実は以前扶桑海軍に世話になったことがあってな、その時に」 坂本「ほう、そうなのか」 そんな話をしつつ二人は着衣を脱ぎ始めた。 モスグリーンのジャケットを脱ぐと、下には半分ほどボタンの外れたカーキのシャツだけだ。 煩わしいネクタイは付けてないので、深い谷間がよく見える。 グレース「ん・・・」 残ったボタンを一つ一つ外していくと、無駄なく鍛え上げられ滑らかな曲線を描く腹部が顕になる。 そのシャツも脱ぎ捨てると、長身の褐色の肢体が現れた。 日頃の訓練で鍛え上げられた一切の余計な肉付きのない締まったシルエット。 シャーリー程とは行かなくても、リーネとほぼ互角な豊かだが張りのある胸。 そしてその間に垂れる「一枚」のドッグタグ。 897 名前:Semper Fidelis Pt.3 895部隊内のオッサンポジってのもなかなか面白いよね[] 投稿日:2010/11/06(土) 23 05 35.25 ID DvwweW+80 坂本(・・・妙だな。リベリオンの認識票は二枚式では・・・?) そう、二枚組を身元の識別に遺体には一枚だけを残すのがリベリオンの認識票の使い方だった。 つまり一枚だけ付けて歩くのは死人と同じ、ということだ。 だが最も坂本の目を引いたのはそのドッグタグでは無かった。 ピンと真っ直ぐに伸びた広い背中に、大きな傷跡が走っていた。 左肩から右腰にかけて褐色の肌に白い傷跡が生々しい。 普通なら致命傷になりかねないほど大きな傷だったのだろう。 坂本が注視している間にも、グレースはリベリオン海兵隊支給のオリーブドラブのズボンを脱いで振り返った。 グレース「さぁ、いこうか坂本少佐」 坂本「お、おお。先に行っててくれ」 グレース「分かったよ」 ガラッ 浴場へ通じるドアを開けてグレースが出て行った。 坂本(―――アレは相当な猛者か・・・ 古兵(ふるつはもの)―――いや、武士(もののふ)の貫禄だな・・・) 898 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/06(土) 23 08 03.85 ID DvwweW+80 グレースの体に残る歴戦の爪痕に多少圧倒されたが、気を取り直して風呂に入ることにした。 ガラッ グレース「遅いじゃないか、坂本少佐」 坂本「ああ、すまんすまん」 ザバァッ 坂本「ふぅー、いい湯だなぁ」 グレース「ああ、全くだ・・・」 両「・・・・・・・・・」 しばし流れる沈黙。だが決して気まずい類ではなく、リラックスした静寂。 ふと気になった坂本が問う。 坂本「その・・・少佐、つかぬことを聞いても構わんか?」 グレース「・・・背中の傷、か」 坂本「あ、いや・・・もしよければ、だな・・・」 グレース「すまないが、少佐。これはあまり話したくない事なんだ」 今度こそ気まずい沈黙が流れた。 899 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/06(土) 23 13 06.41 ID DvwweW+80 ザバァッ グレース「先に上がるよ」 坂本「あ、ああ」 ガラッ 坂本は戸を開けて脱衣所に戻っていくその背中から目を離すことができなかった。 いつになく気圧されてしまった―――坂本は不思議な違和感を覚えた。 坂本も扶桑海事変から戦っている古参兵だが、それを凌ぐ何かがグレースからは感じられた。 坂本(一体あいつは戦場で何を見たんだ・・・?) 模擬戦で坂本を任して見せる辺り、相当に腕も立つ。 だがどこか危なげな印象を受けた。 坂本(なんだ、この引っかかる感じは・・・? ・・・まぁいい、少し気をつけて見てみるか) ザァ そう結論づけると坂本も上がることにした。 900 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/06(土) 23 15 24.42 ID InFsn2XO0 背中の傷はなんとかかんとか 901 名前:Semper Fidelis Pt.3 900そこは気にしたらダメだ![] 投稿日:2010/11/06(土) 23 16 22.05 ID DvwweW+80 ~さらに同時刻、隊長室にて~ ガチャ ミーナ「さてと、今日も書類を片付けちゃわないと・・・あら?」 ふと壁際のファイルキャビネットに眼をやると、引き出しがわずかに開いている。 ミーナ「おかしいわね・・・?」 あのキャビネットの中身は501での各隊員の行動、及び評価をまとめたファイルだ。 めったに開けるものではない。 ミーナ「なにかしら?」 立て付けが悪くなるほど古くは無かったはずだが、と気になって引き出しを開けてみた。 ミーナ「別に何も無いわねぇ・・・」 確かに、別に何かが無くなっているわけでもなく異常はないように見えた。 引き出しを閉めようとしたその瞬間、何かがミーナの目に止まった。 ミーナ「あら、これは・・・?」 何か茶色い紙片のようなものがシャーリーのファイルの隅に引っかかっていた。 拾ってよく観察してみると、それは紙片ではないことが分かった。 902 名前:Semper Fidelis Pt.3 900そこは気にしたらダメだ![] 投稿日:2010/11/06(土) 23 21 21.94 ID DvwweW+80 一見紙片ようなそれだったが、手触りが違った。 よりザラッとしていて硬い。 そして何よりも匂いが違った。 ミーナ「これは・・・タバコの葉っぱ・・・?」 自身は喫煙しないミーナはタバコ等には詳しくない。 だが、今この基地内で喫煙者は一人だけ。 否が応にも答えは出た。 ミーナ「グレース少佐・・・?」 ヴゥ~~~~!ヴゥ~~~~! 『敵襲!敵襲!総員航空歩兵発進用意急げ!!全ウィッチは司令室へ!!』 ヴゥ~~~~!ヴゥ~~~~! 警報を聞くと同時にミーナは駆け出した。 今は疑う時ではない、戦う時だ。 501の、いや人類の為に。 疑念は頭の隅に追いやって指揮官としてのマインドセットに切り替えた。 903 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/06(土) 23 25 45.94 ID DvwweW+80 ~司令室~ ミーナ「敵はっ?」 レーダー監視員「はっ、小型ネウロイが二機。 速度から恐らくラロス改級の低脅威度級と思われます」 ミーナ「小型が二機・・・それなら全機出動はいらないわね」 ダダッ シャーリー「中佐っ!」 ミーナ「シャーリーさん、大丈夫。 今回はそう大物じゃないわ」 ルッキーニ「え~、なんだつまんなーい!」 ミーナ「とにかく私はここで指示を出すわ。 今回はハルトマン中尉とバルクホルン大尉に出撃を―――」 グレース「―――待った。 俺も出る」 ミーナ「えっ?」 904 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/06(土) 23 28 38.82 ID DvwweW+80 グレース「いいから俺も出させろ」 ミーナ「・・・いいですけど、あの二人が出れば十分よ?」 グレース「構わん。ここに来た以上出れる戦闘には全て出してもらう」 坂本「・・・まぁ手数が大いに越したことはない。気をつけろよ」 ミーナ「それでは、三人は出撃を。 シャーリーさん、ルッキーニさんは戦闘待機、残りの皆も非常待機ね」 全「了解!」 エイラ「イヤな予感がスルゾ・・・・」 ペリーヌ「あら、じゃぁきっと問題なく済みそうですわね」 エイラ「どういう意味ダヨー!」 ペリーヌ「あなたの占いが当てにならないと言ってるんですわ」 エイラ「ナンダトー、このツンツンメガネ!」 リーネ「エイラさん、ペリーヌさん、落ち着いてください!」 宮藤「そうですよ、今は非常待機中ですよ!」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 906 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/06(土) 23 31 48.66 ID DvwweW+80 ~ハンガー~ ダダッ! 出撃組三人がなだれ込んでくる。 ヒュゥン・・・ピコッ それぞれストライカーを装着し、離陸に備えて回転数を安定させる。 整備班長「ウェポンクレート、開け!」 整備班「クレート、アンロック!!」 ガチャン、プシュー、ガガッ ストライカー格納ユニットに着いたそれぞれの武器を収めたクレートが開き、中から武装が飛び出す。 エーリカ、バルクホルンのMG42に比べてグレースの4連装M2は遥かに重武装だ。 だがストライカーの積載能力と固有魔法も相まって軽々と持ち上げ、弾薬パックを背負った。 ジャキッ、ガチャ 三人がそれぞれの武装に初弾を装填する。 それぞれ口径は違えど、明確な拒絶の表明としてネウロイに振りまかれる鉛の意志。 7.92mmと.50Calという名の人類の代弁、これを持ってまねかれざる訪問者にはお引き取りいただく。 908 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/06(土) 23 33 19.89 ID DvwweW+80 エーリカ「カラヤ・アイン、準備よし!」 誘導員「離陸許可、飛ばしていけ!」 ガチャン、ブァァァァ―――!!! ロック解除と同時にDB-605の軽やかな旋律を響かせて加速、ハルトマンは大空に飛び込んだ。 ゲルト「バルクホルン機、いつでも行ける」 誘導員「離陸良し!」 ガチャン、バババァ―――!! バルクホルンのフラックウルフ Fw190D-9が搭載するJuma213-A液冷エンジンが1700呪力の離陸力を滑走路に叩きつけて離陸していった。 黒羊1 グレース「ブラックシープ・ワン、レディ・トゥ・ローンチ!」 誘導員「ラジャー、クリアフォーローンチ!ぶちかましてこい!!」 ガチャン、ドドドドドォォォォォ――――!!!! カールスラント製魔道エンジンの繊細な音とは全く異なる野太い咆哮。 パワー嗜好のリベリオンを体現するような、正にコルセア=海賊の雄叫びのような野蛮なエンジン音を上げてグレースは飛び立った。 グレース『ブラックシープよりコントロール、全機上がった。これより迎撃に向かう』 ミーナ『こちらコントロール、スペードのエース。了解、そのまま進路260、高度3000で直進してください』 917 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/06(土) 23 53 01.60 ID DvwweW+80 グレース「おいハルトマン、バルクホルン」 ゲルト「何だ、少佐?」 グレース「コイツは俺が喰う。下がっててもらえるか?」 ゲルト「構わないが・・・」 グレース「よし、それじゃぁ俺が先行する」 そう言うとF4Uのスロットルを開けグレースが加速した。 ドドッ、ドドドドドドド―――!! 濃い排気エーテルを残してあっという間に二機を置いて先行していった。 エーリカ「良かったの、トゥルーデ?」 ゲルト「・・・坂本少佐と対等の格闘戦をあのコルセアでやってのけたんだ、大丈夫だろう」 エーリカ「そうじゃなくってぇ~」 ゲルト「分かってる、アイツは確実に死にたがってる」 エーリカ「分かってるのになんで止めないのさ」 ゲルト「言っても無駄だ・・・以前の私のようにな」 エーリカ「ふ~ん・・・」 919 名前:Semper Fidelis Pt.3 支援感謝、さるさん解けたし時間も変わるよ![] 投稿日:2010/11/06(土) 23 57 49.34 ID DvwweW+80 グレース(さぁ掛かって来い、ネウロイ共。 まとめて俺が墜してやる!) 先行していたグレースの目に地平線の上に黒点が二つあるのが目に入った。 ネウロイだ。 グレース『コントール、こちらブラックシープ・ワン。 タリホー!敵ネウロイを発見、ラロス改で間違いない。 エンゲージ これより交戦に移る!』 ミーナ『わかりました。 気をつけてね、グレースさん』 グレース『ラジャー、エンゲージング』 「さぁ、いっちょブチかましてやるか!」 敵はこちらにまっすぐ向かってくる。 ガチャ、ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!! 牽制として.50口径の弾幕を送り込む。 ラロス二機がブレイクした。 921 名前:Semper Fidelis Pt.3 [] 投稿日:2010/11/07(日) 00 03 04.08 ID 8AzpUjqF0 それぞれ斜め上方にブレイクしたネウロイ二体。 そのまま上昇を続けようとする両機にグレースもインメルマンターンで機体を反転させ喰らいつく。 ドドドドド、ドドド、ドドドドド!! 両手のブラウニーM2が野太い銃声をあげながら大口径弾の火線を叩き込む。 ラロスも回避に入って、右、左、と不規則な旋回で振り切りにかかる。 そのうち一機が大きく左に離脱した。 グレース(っち、挟まれると面倒だ) ヒュゥン その一機に気を取られているうちに、もう一機を追い越してしまった。 急旋回で速度を殺してオーバーシュートを狙われ見事に引っかかってしまった。 グレース(クソッ!) ダ、ダ、ダ、ダ、ダ! 背後のラロスから機銃弾が放たれた。 ブァ――ン! 急降下に移ってそれをかわすグレース。 922 名前:Semper Fidelis Pt.3 [] 投稿日:2010/11/07(日) 00 06 11.62 ID 8AzpUjqF0 ブァ―――――――!!! そのまま急降下で一気に高度を下げる、そしてそれに続くラロス。 グレース(っ・・・リバウのラロスより頭がイイぞ、コイツら) 機首を起こして水平飛行に移るが、振り切れない。 前方に眼をやると、もう一機のラロスが2時方向から接近していた。 このままだとヘッドオンだ。 グレース(おもしれぇ・・・ネウロイ如きが俺にヘッドオン挑んでくるたぁここに来た甲斐があった) ラロスと向かい合ったグレースは真っ直ぐ敵に向かって加速した。 ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ! ラロスの機銃弾が真正面から飛来する。 グレース「ンなもん当たるかぁぁぁ!!!オラァァァ!!!」 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!! フルオートでM2を撃ちまくる。 火線が収束してラロスの胴体にヒット、あっという間に装甲を剥がしとって露出したコアまで粉砕した。 グレース『っしゃぁ!ブラックシープ・ワン、一機撃墜!!』 925 名前:Semper Fidelis Pt.3 [] 投稿日:2010/11/07(日) 00 08 03.87 ID 8AzpUjqF0 その勢いで今度は後ろの残り一機を振り払おうと急上昇に持ち込む。 パワーで勝るコルセアが大きく距離を稼いだ。 そのままぐいと機首を挙げて背面飛行に移る。 ラロスもグレースめがけて上昇して飛び込んでくる。 ゴォ――――!! 背面のまま一気にネウロイめがけて降下を掛ける。 ダ、ダ、ダ、ダ、ダ! 飛び込んでくるラロスからの火線をバレルロールで交わし、M2の狙いを付ける。 グレース「これでも喰らえ、黒スケ共!!」 ドドドドドドドドドドドドドドドド!! すれ違い様にミートチョッパーの連射を叩き込む。 胴体表面の装甲が削れて、赤い12面体が現れる。 グレース「そこだっ!!」 振り返って最後の一連射をラロスの胴体の叩き込んだ。 ピキッ、パァーン! 926 名前:Semper Fidelis Pt.3 [] 投稿日:2010/11/07(日) 00 10 19.87 ID 8AzpUjqF0 コアに数発の銃弾が命中して砕け散ったとともに、ネウロイ自体も白い破片へと飛散した。 グレース『スペードのエース、こちらブラックシープ・ワン。敵機全機撃墜!』 ミーナ『お疲れ様、グレースさん。それじゃ、バルクホルン大尉とハルトマン中尉と一緒に帰投してください』 全『了解!』 無事、撃墜スコアに二機追加したグレースも大きく旋回して進路を帰投方向に合わせた。 グレース(良かった、俺はまだやれる。 仲間の代わりに戦えるんだ・・・) いつになく蒼空と白雲のコントラスが鮮やかに感じた。 が、突然穏やかな雲海を割って何かが飛び出てきた。 ネウロイ―――それもラロス級やケファラス、トゥーパリェフとすら比較にならない巨大なネウロイ。 501が普段相手にするX-級だ。 大海を渡る航続能力をもち、大きさも攻撃力も防御力も頻出する中小型ネウロイとは一線を画し、各個体がX-付きの固有番号を持つ正に「規格外」のネウロイ。 それが雲を割って飛び出てきた。 グレース「なんだ・・・アレは・・・」 そう、カールスラント陥落後北方へのネウロイ侵攻を防いでいたリバウでは大海を渡るような規格外のネウロイはそう見られなかったのだ。 927 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/07(日) 00 11 31.15 ID 4gHB0dqK0 バーン ネウロイは爆発した。障気()笑 928 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/07(日) 00 11 57.18 ID 2oVx/wQ80 スイーツやめれwww 929 名前:Semper Fidelis Pt.3 927単体や移動中だと殆ど瘴気の影響はないそうです[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 13 16.15 ID 8AzpUjqF0 応答せよ グレース『コントロール、カムイン!コントロール!』 ミーナ『どうしたの、グレースさん?』 グレース『新手だ!それもバカでかい!!これより交戦に移る!』 ミーナ『待ちなさい!今応援を―――』 グレース『待ってられるか!』 ブツッ ミーナ「ああっもう!レーダーに反応は?!」 観測員「反応あり、定期的に襲来する超大型クラスの模様!」 ミーナ「総員出撃準備を―――!」 『トゥルーデ、聞こえる?!』 ゲルト『ああ、大体聞こえた。もう向かってる』 ミーナ『急いで!グレースさんが危ないわ!!』 ゲルト『分かってる!』 エーリカ『ミーナ、皆もよこして!』 ミーナ『もうシャーリーさんとルッキーニさんが出たわ!私達も直ぐに行くわ!!』 930 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/07(日) 00 13 50.93 ID lcpd5VjD0 バーン!ネウロイは砕け散った。って公式であるんだぜ…… 931 名前:Semper Fidelis Pt.3 930 おっと、南房さんの悪口は(ry[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 15 24.05 ID 8AzpUjqF0 一方、グレースは件のネウロイから発射されるビームの弾幕相手に苦戦していた。 どの位置から近づいても撃ってくるので容易に近づけない。 グレース「くっ・・・まだまだぁ!」 海面近くまで急降下すると水面ギリギリを蛇行してネウロイのビームをかわす。 真下まで来ると機首を引き上げてネウロイめがけて上昇に移った。 キュゥゥゥ、キュゥゥゥ、キュゥゥゥ ネウロイのビームが幾筋も飛んでくる。 グレース「ナメるなっ!」 ドゥッ 防御力の高いコルセアのシールドでビームを受け止める。 グレース「ダァァァァァァ!!!」 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!! .50口径弾をありったけネウロイの下っ腹に叩き込んだ。 ガチガチガチガチン! 4つのチャージングハンドルが全て前進位置で止まる。弾切れだ。 932 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 20 04.05 ID 8AzpUjqF0 グレース「クソッ、ツイてねぇ!」 カチャ、バッ 弾薬バッグを止めている胸のハーネスを外すと、バッグごと4連装M2を投げ捨てた。 そして左右のホルスターからソードオフしたM1ガーランドライフルを二挺抜いて左右に構えた。 グレース「まだ終わってねぇぞ!」 ヴォォォォォ―――――――――!!! 今度は上方から急降下で仕掛ける。 パンパンパンパンパンパンパンパン、キーン! 右手のガーランドの8発のクリップを空にすると独特の金属音と共にクリップが排出された。 パンパンパンパンパンパンパンパン、キーン! 同様に左手のガーランドも撃ち尽くしたが、殆どネウロイには効いていない。 グレース「くぅ・・・!」 ゲルト「少佐っ!」 グレース「バルクホルン!何しに来た! 俺が仕留めると言っただろう!!」 934 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 22 48.56 ID 8AzpUjqF0 バルクホルン「少佐一人じゃ無理だ!」 グレース「いいから下がってろ!」 キュゥゥゥ ドンッ ネウロイの紅い光線がバルクホルン達に気を取られた隙にユニットに命中した。 グレース「しまっ―――うおぁぁぁぁぁ!」 バランスを崩したグレースはそのまま海面まで真っ逆さまに落ちてしまった。 ザパーン! シールドが盛大な水しぶきを上げてユニットごと海中にぶち当たった。 ゴポゴポゴポ・・・ グレース(ま、まだ・・・俺が戦わないと・・・ならな・・いんだ・・・・・・) 海中に沈みながらふと自分の方に向かってくる黒い影をを頭上に見た気がしたが、はっきりと捉える前に意識は遠のいて気を失ってしまった。 ――――――――――――――――――――― ―――――――――――― ―――――― 935 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/07(日) 00 26 21.12 ID 4gHB0dqK0 930 ありゃ、砕け散っただったか 後、今宵のエイラ・イルマタル(ry もな… 936 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/07(日) 00 27 21.52 ID DJxROUoW0 そういや書いてるやつらどれくらい書いてるんだ・・・? 俺はまだようやっと8kなんだが・・・。 937 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 27 44.06 ID 8AzpUjqF0 ――――――――― ――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― 気がつくとグレースはベッドの上に横たえられていた。 グレース(医務室・・・か? どうやらまだ生きてるみてぇだな・・・) 立ち上がろうと上半身を起こしてみる。 グレース「うっ・・・」 体中が痛む。 ドサッ 結局ベッドに倒れこんでしまった。 ガラッ シャーリー「お、気がついたか少佐」 グレース「私は・・・どうなったんだ。 大型に撃墜されて・・・」 938 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 29 58.86 ID 8AzpUjqF0 シャーリー「ああ、それでハルトマンとバルクホルンが回収した」 グレース「ネウロイ!ネウロイはどうなった!」 シャーリー「あたし達で落としたよ」 グレース「アレをか・・・」 シャーリー「ここじゃいつもの事だよ。 それよりも、だ―――」 ガタッ シャーリーが椅子を引き寄せて背もたれを前に跨ってグレースと向き合った。 「―――なんでそんなに一人で戦う事に拘るんだ? 少佐は飛行隊の隊長だったんだろ?」 グレース「放っておいてくれ」 シャーリー「そういう訳にもいかないな。同じ隊で戦う『仲間』なんだ。 聞かないわけにはいかないよ」 グレース「そんなに知りたいか?じゃぁ教えてやる。 俺は『仲間』を殺しちまったんだよ」 941 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/07(日) 00 35 04.54 ID 4gHB0dqK0 イチャイチャしそうなふいんきなのでグレースの目玉殴っておきますね 942 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/07(日) 00 35 56.41 ID DJxROUoW0 940 うへぇ・・・。そんなストーリー性なんて俺にはないぜ・・・。 キャラとかもあいまいだし・・・。orz それはそうと・・・ルーデルさんの話が書いてほしいなー(チラッ 943 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 36 12.67 ID 8AzpUjqF0 シャーリー「―――どういう事だ」 グレース「これだよ」 チャリ そう言ってグレースが掲げたのは「一枚」のドッグタグ。 シャーリー「なんだよ、それは」 グレース「認識番号23-215-625 エリザベス・アシュマン大尉。 1944年1月3日 KIA(戦闘中死亡)。 俺の相棒だったウィッチだ」 シャーリー「・・・・・・」 グレース「忘れもしないあの日、俺達は船団護衛任務に出た。 リバウの基地から北上した海上でネウロイと交戦に入った。 敵は約70機、こっちは二個飛行隊で30機。 とても勝てるような戦いじゃなかった。 だけど俺達は味方の増援が来るまで粘らにゃならんかった。 その船団が無事にオラーシャ側の前線に物資を届けなけりゃ前線が崩壊しかねない」 947 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 38 36.23 ID 8AzpUjqF0 グレース「だから俺達は無茶と分かってても戦った。敵味方入り乱れての大乱戦だ。 数機落としたところで俺はリズに別れろと指示を出した。それが間違いだった。 俺はエリザベスなら出来ると思ったが、それは俺の思い違いだった。 第一エリザベスも反対したんだ。なのに俺は押し切って散開した。 あっという間だったよ。俺もエリザベスも直ぐに被弾して撃墜された。 それっきりだ。 俺はしばらく漂流して扶桑の潜水艦に拾われた。 でもエリザベスは見つからなかった。 唯一見つかったのはストライカーの残骸とライフル、そして『これ』だけだ」 グレースはそう締めくくると例のドッグタグを改めて掲げた。 少しだけ歪んだ金属の板、それが今やエリザベス・アシュマンという一人のウィッチが存在したことを物語る全てだ。 グレース「俺の過信があいつを殺したんだ。 だから俺は一人で戦う。別にお前らが信用できないわけじゃない。 ただ俺が戦うことで誰かが戦わないくていいなら、その分俺が全力で戦う。 それだけの話だ」 949 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 43 59.37 ID 8AzpUjqF0 シャーリー「そっか・・・、良かったよ」 グレース「何がだ。ちっともいいことなんか無い」 シャーリー「あるさ。 少佐が無理して戦ってるっことはあたし達を失いたくない仲間だ、って認めてくれたって事だろ? それだけであたしには十分いい事だよ」 グレース「フフッ、何だそりゃ」 それまで沈んでいたグレースの顔がようやく緩んだ。 シャーリー「あたしは楽天家なのさ!」 そう言うと笑ってウィンクしてみせるシャーリー。 グレース(あいつも・・・エリザベスもこんな笑い方の出来るやつだったな・・・) 目の前で笑うシャーリーの顔にエリザベスの顔が重なって見えてしまった。 シャーリー「とにかく、これでしばらくネウロイの襲撃は無いと思うからしばらく安静にしててくれよ。 いざ任務というときに動けないと困る」 グレース「分かった。 ・・・ところでイェーガー、国に帰りたいと思ったことはあるか?」 951 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 45 59.62 ID 8AzpUjqF0 シャーリー「国、かぁ・・・そりゃいつかはね。 でも今ここには私の仲間がいて私がするべき事がある。 帰るのはそれが終わってからでいいよ」 グレース「そうか・・・そんなものか。 仮に・・・仮に、だ。上からの命令で帰れと言われたらどうする?」 シャーリー「少佐はジェンタイル大尉を知ってるかい?」 グレース「ドミニカ・ジェンタイル大尉か? 随分広報部がご執心みたいだからな、噂には聞いてるよ」 シャーリー「あたしはここに来る前あいつと同じ第8空軍にいたんだ。 その時聞いた話なんだけど、ジェンタイル大尉も同じようなことを上層部に言われたらしい」 グレース「ああ、また広報部の宣伝戦略って奴だろ? 帰ったら戦時国債キャンペーンに国中ツアーに行かされるらしいな。 それで?」 953 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 50 52.77 ID 8AzpUjqF0 シャーリー「それで、だ。どうしても残りたかった大尉は司令部に辞表を叩きつけてこう言ったんだ。 『帰るくらいだったらいっそやめて義勇軍として残ってやる!』ってね。 その時はむちゃくちゃだと思ったけど、今のあたしなら同じことをするよ。 ここの仲間を残して国へは帰れない」 グレース「確かにムチャクチャだな・・・。」 シャーリー「だろ、でも上層部もエースにやめられちゃ叶わないってんで結局統合戦闘航空団派遣にして前線に残したのさ。 ・・・なんでそんなこと聞くんだ、少佐?ひょっとして国に帰りたいとか?」 グレース「まぁ・・・そんなところだ。深い意味はない」 シャーリー「ふーん・・・ まぁとにかくしっかり休んでくれよ、少佐!」 グレース「ああ、ありがとう」 ガチャ、バタン (『ここには私の仲間がいて私がするべき事がある』、か・・・) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― ――――――――――――――― ――――――――― 954 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 52 41.40 ID 8AzpUjqF0 ~同日、ブリーフィングルーム~ ミーナ「―――さて、今日皆さんに集まってもらったのは・・・」 ゲルト「グレース少佐の事だろう」 ミーナ「え、ええ・・・ 今回の戦闘での事もそうだけど、グレース少佐は少し危なっかしい気がするわ。 そのことに付いて皆と話し合っておこうと思って」 ゲルト「同感だ。 少佐の戦い方は不安定すぎる」 ミーナ「それに・・・もう一つ。 グレースさんはこの数日間この基地内で何かをしてるみたいなの・・・隠れて、ね」 芳佳「あっ、私も見ました! 始めてグレースさんが来た日の夜通信室で誰かと話してました」 リーネ「わ、私も昨日の夜グレースさんがシャーリーさんのストライカーをいじってるところを・・・」 ミーナ「―――! なぜそれを報告してくれなかったのかしら?」 956 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 54 51.42 ID 8AzpUjqF0 シャーリー「あー、リーネの方に関しては私の責任だ。 私のところに報告に来てくれたんだけど、私が後で伝えておくって言ったんだ。 直後に出撃で忘れちゃったけどな・・・ スマン、中佐」 芳佳「わ、私は・・・その、別に悪いことじゃないんだからいいかなー、って思って・・・」 ミーナ「はぁ・・・ まぁとにかく、グレースさんの件についてはいろいろ怪しい部分があるの・・・ 私もなんとか調べてみようとは思うけど、このまま作戦が発動するのは不安だわ。 だから皆の意見を聞いておきたいの」 ゲルト「私はあんな自暴自棄な戦い方をする奴とは一緒に戦えないな。 こっちにまで危険が及ぶ」 エーリカ「宮藤が来るまで自暴自棄だったのはどこの誰だっけな~ でもわたしもトゥルーデに同意かな。 少佐の今の戦い方じゃ危ないと思う。 それになんか隠し事をされるのは好きじゃないな」 958 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 00 56 56.12 ID 8AzpUjqF0 シャーリー「うーん・・・あたしも少佐と話してみたけど、どうもそんな風には思えないんだよなぁ・・・ ストライカーの件にしたって別に何かしてあった訳じゃないし」 ルッキーニ「アタシもー! 最初はちょっと怖かったけど悪い人じゃないと思うー!」 エイラ「―――『運命』の逆位置。意味は『情勢の悪化』ダナ。 ワタシもアンマリ安心は出来ないナー」 サーニャ「そんなことないわよ、エイラ・・・」 ペリーヌ「あら、たまにはエイラさんと意見が合いますのね。 私もあの方は信用できないと思いましてよ」 坂本「まぁそう言うな、ペリーヌ。私は別になんてことは無いと思うぞ」 リーネ「わたしもグレースさんは悪いことをするような人じゃないと思います」 丁度半々と言ったところか、501のグレースに対する印象は割れた。 だがやはり懐疑的な者もそうでない者も多少の疑いは持っていた。 ミーナ「それじゃぁ宮藤さんはどう思うかしら?」 芳佳「えーと私は―――――――――」 960 名前:Semper Fidelis Pt.3[] 投稿日:2010/11/07(日) 01 02 31.13 ID 8AzpUjqF0 さてここで流れぶった切ってアンケートだ この先のストーリーを決める上で芳佳の態度が重要になる さぁここで芳佳はどう身を振るのかお前らで決めてくれ 961 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 01 03 09.92 ID QRElvK2YP 好意的な態度で 962 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/07(日) 01 04 42.81 ID DJxROUoW0 行為的で 963 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/07(日) 01 04 56.58 ID /Cd8cDYt0 おっぱいがおっきい人は正義 967 名前:Semper Fidelis Pt.3 961-962好意的把握[] 投稿日:2010/11/07(日) 01 09 02.48 ID 8AzpUjqF0 芳佳「私は――――グレースさんを信じます。 おかしいですよ、同じウィッチ同士なのに疑りあったりするのは」 ミーナ「そう・・・ どちらにしろこれでは安心出来ないから私も調べてみるわ。 ・・・・なにも無いといいのだけれども」 Semper Fidelis Pt.3 End To be Continued - -
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501基地 廊下 今日も今日とて雑用雑用。心なしか私の一日は掃除から始まることが多い気がする。 何時も通りにミーナの執務室前まで掃除を終えると、これまた何時も通りに背伸び。 私「んー……」 カチャン 背後から扉の開く音。 振り向くとミーナが何やら悩んでいるような表情で出てきた。 私「どうかしたか?」 ミーナ「あら私さん。……それがね、今日一般人のお客様が来るのよ」 私「珍しいな」 結構な時間を基地で居候しているが、基地にやってくるのは輸送機と軍の高官のみ。 そんな中で一般人が来るとは、一体何者なのだろう。 ミーナ「あ、正確には元ウィッチの一般人の方よ」 私「なんだそうか」 数日後の私はこう答える あの時気が付くべきだったと ミーナ「以前に宮藤さんとリーネさん、そしてペリーヌさんがお世話になったの」 私「お世話になった?」 ミーナ「3人は一度ストライクウィッチーズを解散してから再結成するまで、少しの間戦線から離れていたの。それで、一時期鍛え直してもらってたのよ」 頭の中の以前巣で記憶した資料に再結成をしたと書かれていたのを思い出す。 確かにここは最前線基地、一週間程度ならまだしも、半年や一年も前線から遠ざかっているとカンも鈍るだろう。 私「鍛えてもらった人がよかったんだな」 ミーナ「美緒もお世話になった人よ」 私「坂本もか……私も昔ある人に散々しごかれてな」 ミーナ「そうなの?」 私「厳しかったが優しい人だった。今は何をしてるんだろうな」 窓から外を見ると青々とした空が広がっている。 確か妹と一緒に訓練を頼みに行った日もこんな天気だった。 ミーナ「私さんにもそういう時期があったのね」 私「まあな。いい思い出……とはいいにくいがな」 主に妹的な意味で。 私「さて、今日は私が夕飯を作るか」 ミーナ「でも今日は宮藤さんが当番のはずだけれど……」 私「恩師が来るんだ。仲が悪いなら別だが、積もる話もあろうだろうさ」 ミーナ「……そうね。じゃあわたしから宮藤さんに伝えておくわ」 私「頼んだ」 ミーナは私に背を向けて宮藤を探しに向かう。 私は師匠の顔を思い浮かべながら、教えられた通りに箒にまたがってみる。 魔力をコントロールする。ふわり、と体が宙に少しだけ浮かんだ。 私「まだ何とかなるもんだな」 魔力を止めて床に足を付ける。 箒を元の場所に戻すため、私は自室へと戻ることにした。 台所 夕食までまだ相当時間があるが、いざ作る時になって何もありませんでした。では笑い話にもならない。 なので冷蔵庫の中身を確認することにする。 扉を開くとひんやりとした空気が漂ってきた。 私「……ふむ」 一通り冷蔵庫の中身を確認したが、これなら問題ないだろう。 確かこの間倉庫の方に補給物資も届いていたし。 冷気が漏れ出さないうちに手早く扉を閉じる。 夕飯の準備までまだ時間がある。偶には部屋で昼寝でもするのもいいかもしれない。 そう思いながら振り返る。 ルッキーニ「やっほー」 シャーリー「やー」 そこには椅子に座って待機している二人の姿があった。 一体どうやって音も立てずに椅子に座っていたのかはこの際考えないことにする。 私の注意力散漫ということにしておこう。 私「……何が食べたい?」 尋ねると二人は顔を見合わせた。 ルッキーニ「まだあたし達なにもいってないよ」 シャーリー「まあ正解なんだけどさ」 私「お前達が台所に来る時は大抵おやつか何かを食べにくる時だ」 ため息をつきながら、手を洗うために服の袖をまくりあげる。 私「ちょっと待ってろ。……期待はするなよ」 何を作るか考えながら、とりあえず冷蔵庫の扉を開いた。 数十分後、オーブンから取り出されたのはアップルパイ。 少し焦げ目が付いてしまったがこのくらいは問題ないだろう。 熱いうちに包丁を入れると、サクサクとパイ生地のいい音と、シナモンの香りがした。 切ったそれを白い皿に移して、フォークも一緒に乗せて二人へ持っていく。 私「出来たぞー」 ルッキーニ「わあい!」 ルッキーニは両手を上げて喜ぶ。やはり笑っている時が一番可愛らしい。 って何考えてるんだ私は。 シャーリー「アップルパイにしては早かったんじゃないか? パイ生地とか作るの大変だろ?」 私「あ、ああ。昨日はペリーヌが食事当番だったろ? その時、作りすぎて余ったから私が貰って冷蔵庫に入れておいたんだ」 右片手で左腕軍服の袖を直しながら、左手で椅子をひきルッキーニの隣に座る。 既にルッキーニは黙々と食べ始めていて、切り分けた分が半分無くなっている。 私「美味しいか?」 ルッキーニ「うん! すっごく美味しい!」 私「そうか。ならよかった」 普段のあいまいな感情ではなく、間違いなく凄く嬉しいと感じた。 だがこの感情も裏切った時全て無くなってしまうと考える。 嫌、だな。 凄く嫌だ。自分がそんな感情を持つことは、許されないと思っても。 私「……」 シャーリー「どうしたんだ? 急に黙ったりして」 シャーリーの声にハッとして顔を上げる。 どうやらいつの間にか俯いていたようだ。 私「何でもない。ちょっと考え事してただけだからさ」 シャーリー「そうか。ナニか悩みがあったら遠慮なくいってくれよ」 シャーリーはアップルパイをフォークで一口くらいの大きさにして、それを突き刺すと私の前まで持ってきた。 シャーリー「遠慮するなよ。親友」 歯を見せてシャーリーは笑う。 私「……」 少し、本当に少しだけ泣きそうになって、全てを洗いざらい吐いてしまおうとも思った。 けれど心の中で言ってはいけないと叫んでいる。 感情と言葉を飲み込むと、こちらも少しだけ笑みを浮かべる。 私「そのうちな。親友」 ルッキーニ「ねえねえあたしは!? あたしは!?」 少し不満そうにルッキーニが声を上げる。 シャーリー「んー、なんていうかな」 シャーリーは右の人差指を額に当てた。 ルッキーニ「何?」 シャーリー「あたしはルッキーニのことを親友だと思ってるし、妹みたいにも思ってる」 それは周知の事実だろう。一体どこを悩む必要があると言うのか。 シャーリー「でも私はそれに加えて別の感情持ってるんじゃないか?」 私「……は?」 思わず反応が遅れた。 シャーリー「違うのか?」 私「違う!」 いや違わないけど。 私「それに前にもこんな話を――」 ルッキーニ「違うの?」 目に涙を浮かべつつ、ルッキーニは私を上目づかいで見てくる。 反則だろうそれは色々と。 私「う、うぐぬぬぬ……」 散々うめいた後、ため息をついた。 私「……私もシャーリーと同じ気持ちだ」 ルッキーニ「ホント?」 私「ホントだ」 シャーリーはニヤニヤしながら私を見ている。 ああもう親友って呼ぶんじゃ無かったよちくせう。 ルッキーニ「ね、ね、ね。シャーリーが言ってた別の感情って?」 体をこっちに向けて身を乗り出すように顔を近づけてくる。 私「あ、そ、それはだな……」 返答に困る私に救いの神は降臨した。 ガチャッ 扉の開く音に、私を含めた全員の視線が扉へ向かう。 坂本「おお、お前達こんなところにいたのか」 現れた坂本は私には女神のようにも見えた。 坂本「そろそろ客人がくるから知らせておこうとおもってな」 シャーリー「もうそんな時間かー」 ルッキーニ「まだ食べてるのにー」 私「皿ごと部屋に持っていっていいぞ。ただしあとで皿は後で返してくれよ」 その言葉に二人は皿を抱えて食堂から飛び出して行った。 こういう時の行動はとんでもなく早いな。 坂本「……もうちょっとあの行動の速さを訓練に生かしてくれればいいんだが」 私「やることはやってるし問題はないだろうさ」 坂本はため息をついた。が、直ぐに顔を上げて立ち直る。 坂本「さてわたしは滑走路に迎えに行かなきゃな」 私「ところで、誰が来るんだ? お前や宮藤達がお世話になってたと聞いたんだが」 坂本「ああそれはくs……」 ゲフンゲフンと咳払いをした。 坂本「アンナ・フェラーラ。元ウィッチで今も時々ウィッチの訓練をしてくれている人だ」 私「そうかアンナ・フェラーラか……アンナ……?」 どこかで聞いたことがあるような。 私(アンナ……アンナ……アンナ・フェラー……ラ……――あっ) 私「……」 坂本「どうした? 急に顔色が悪くなったようだが……」 私「ナンデモアリマセンナンデモアリマセン」 思わずカタコトになってしまう。 ダラダラと背中に嫌な汗が流れているのがわかる。 坂本「そうか? じゃあわたしは行くからな」 坂本が扉から出て行ったのを確認すると、頭を抱えて机に突っ伏した。 私(やばいよやばいよ今までで一番やばいよ……) アンナ・フェラーラ。 忘れもしない、私達姉妹を鍛え上げたクs……ではなく、師匠。 そして自分の正体を知っている人物。 一体どうやって誤魔化そうか。 冷や汗を流しながら私はとりあえず台所の後片付けを済ませることにした。 食堂 私「……ちょっと塩気が足りないかな?」 一度小皿に移したスープの味を確かめると鍋をかきまぜる。 夕食はシチューにすることにした。今回は肉が無いので魚介類を使った。 塩を鍋の中に入れ、再び少量を小皿に移し味見をする。 私「ん、これなら問題ないな」 我ながらうまくできたと思う。 ちなみに魚介類はイカとタコはいれていない。シャーリーが苦手と聞いたからだ。 物足りない人は茹でてあるものを用意しているのでそこから個別でとってもらえばいい。 鍋のふたを閉め、エプロンを外し椅子に座る。 私「ふぅ……久々にこんなに長く厨房に立ったな」 ???「ねねね! できた!?」 私「ああ出来たよ……って」 ルッキーニ「味見していい?」 これで何度目かわからないが、再びルッキーニの接近に気付くことなく背後を取られていた。 やはり私は何かに集中をしていると周りが消えてしまうらしい。 私「……ちょっとだけだぞ?」 ルッキーニ「うん!」 下ろした腰を再びあげると、ふたを開け小皿にシチューを移す。 火を止めたのが先ほどだったのでまだ暖かいシチューは少量でも湯気を立てている。 私「火傷するなよ?」 ルッキーニ「大丈夫大丈夫! いただきまーす!」 皿を渡すとすぐにルッキーニは小皿の縁に口を付けシチューを飲む。 私(……そういえば) あの小皿は、何度も何度も私が味見をしたので恐らく縁部分に私が口づけてない場所はないはず。 つまり―― 私(……間接キス?) そう思った瞬間、顔の温度が急上昇していくのを感じた。 何を考えているんだ私は! その考えだといつも食事で使っている箸やスプーンだってある意味間接キスじゃないか! ――ってああもうそう考えたら余計熱くなってきた! 落ち着け私落ち着け私。私はできる子私はできる子。 私(びーくーるびーくーる……) 何度も壁に頭をぶつけたい衝動に襲われたが、今の状態でこれをやると壁を粉砕する可能性もあるので何とか抑えることができた。 ルッキーニ「ごちそうさま!」 ルッキーニの声になんとか現実へと戻ることができた。 私「どうだった?」 ルッキーニ「んー……美味しいけどちょっと甘いかもしれない」 少し唸ってからルッキーニは答えた。 私「少し甘いか……」 ルッキーニ「あまり気にならないからあたしはこれでいいと思うよ」 私「まあ少し塩を足す程度だから直ぐに終わるさ」 調味料を取るために棚を漁る。 ルッキーニ「ところで私に聞きたいことがあるんだけど」 私「なんだ?」 ルッキーニ「その格好……どうしたの?」 現在の私の格好は、髪を下ろして黒くて四角いフレームのメガネを付けている。 ちなみにこの眼鏡は私が先ほどネウロイの能力を使い作りだした。 とはいっても本当に眼鏡として作りだしたので、意思を持ってるとかコアがあるとかそんなことはない。 なお度も僅かだが入っている。 私「えらく今更だな……。まあ、いわゆるイメチェンというやつだ」 手で眼鏡をクイッと上に軽くあげる。 かけていないときはわからなかったが、かけてみると無性にやりたくなることに気付いた。 ルッキーニ「へー」 私「……似合わないか?」 ルッキーニ「ううんすっごく似合ってると思う」 私「そうか」 ルッキーニの頭を撫でる。 今回は師匠の目を誤魔化すためにやったが、偶には格好を変えるのもいいかもしれない。 満足するまで撫でた後、本来の目的である塩を再び探そうとした時。 ガチャン ミーナ「私さんもう夕飯の準備は出来てるかしら」 扉を開いてミーナが入ってきた。 耳を澄ますと、扉の前から何人かの喋る声が聞える。 塩を入れたかったところだが、これでは間に合わないだろう。 私「ルッキーニが美味しいと言ってくれたからな。大丈夫だ」 ミーナ「そう。なら問題ないわね……ってどうしたのその姿」 ルッキーニ「イメージチェンジだって」 ミーナ「へえ……似合ってるわね」 私「そうか? 実はまだ鏡見てなくてな。どんな姿しているかまだ確認できてないんだ」 ミーナ「じゃあ夕食前に一度姿を確認してきたら? 多分そのくらいの時間はあるわよ?」 ミーナの提案に私はあることを思いついた。うまくいけば少し顔を見られる程度で済むかもしれない。 私「そう、だな。じゃあ私は少し部屋に戻らせてもらおう」 エプロンを外すと、外したエプロンをルッキーニに着せる。 ルッキーニ「うじゅ?」 私「私は少し疲れたから自室に戻って休んでいる、後はルッキーニに任せる。まあ、皿にシチューを入れるだけだし問題ないだろ?」 ルッキーニ「うん!」 私「いい返事だ」 私は頬が緩むのを感じた。 決してルッキーニのエプロン姿が可愛らしかったからとかそんな理由ではない。絶対にだ。 私「じゃあ後は頼んだぞルッキーニ」 ルッキーニ「また後でね!」 ミーナ「お疲れ様私さん」 二人に見送られながら食堂の扉を開ける。 廊下に出る前にもう一度だけルッキーニのエプロン姿を目に焼き付けた。 廊下 私「あっ」 全員「あっ」 食堂から出た私は既に待機していた他の連中とばったり遭遇してしまった。 私(しまったぁぁぁぁぁ! ルッキーニのことで頭がいっぱいで集まってるの忘れてたあああああああああ!) 食堂に戻ろうにも、任せると言ってしまったので今更のこのこ戻るわけにもいかない。 私「や、やあ」 宮藤「私さんどうしたんですかその格好」 私「あー私っていつも同じ格好だろ? だから気分転換にイメージチェンジをだな」 リーネ「そうなんですか」 数名はどうやら普通に受け止めてくれたようだが、残りは疑った、というより変な物を見るような目で私を見ている。 まあ普段眼鏡なんてかけていないので変に思われるのは仕方が無いが結構辛いものがある。 サーニャ「そ、その似合ってる……と思います」 私「は、はははは……ありがとう」 サーニャのフォローに少し泣きそうになった。今度サーニャのデザートは多めにしてあげよう。 シャーリーところで私は夕飯は食べないのか?」 私「私は味見で結構食べたからな」 エーリカ「えーずるいー」 バルクホルン「お前は寝ていただろう」 私「客人が来てるらしいから多めに作ってる。心配するな」 幸いまだ師匠は坂本と一緒にいるようでここにはいない。 顔を合わせることにならなくてよかった。師匠はかなり勘がいいのでちょっとしたボロで直ぐにばれる危険がある。 私「あ、今日の夕食は具は各自で入れてくれ」 ルッキーニに言い忘れたことを伝え、私は部屋に戻るため早足でその場を後にした。 再び数時間後 部屋の中には私とルッキーニ、そしてシャーリーがいる。 先ほどまでは宮藤達がいなくて暇だからとエイラとサーニャもいたが夜間哨戒に向かった。 ルッキーニ「うゆー……」 ルッキーニはベッドで眠っている。 私のベッドだが今日は手伝ってもらったことだし寝かせようと思う。 そして私とシャーリーはというと、テーブルを挟んで向かい合っていた。 私「どうする?」 シャーリー「んむ……」 互いの手には5枚のカード。所謂ポーカーをやっている。 ちなみに先ほどまではジェンガだった。(カードゲームだとエイラが無双するので) 私「私は少々手が悪いので……1枚交換だ」 手札を1枚捨て、山札から1枚持ってくる。 やってきたのはクローバーのクイーン。 私「どうやら運は私側に向いてるようだ」 ジェンガでは肝心なタイミングでクシャミをしてしまい、崩してしまう失態を見せてしまった。 それを取り戻すかのように手札はいいものが揃っている。 私(罰ゲームは勘弁願いたいのでな) シャーリーが開始前に負けた方は罰ゲームと言ったので、シャーリーも真剣な表情をしている。 ここまでの結果は6戦3勝3敗とありがちな展開と言える。 なので、この勝負で決着がつく。 私(私の手は……ストレートフラッシュ。しかも手の大きさから同じストレートフラッシュでも9から開始なら負けることはない……) もはやシャーリーの勝つ可能性は零に近い。 そうだな罰ゲームを考えよう。多分シャーリーのことだろうから服をバニーガールに変えるとかは余り意味が無いだろう。 シャーリー「じゃああたしは3枚……頼む!」 よしいいこと思いついた。 明日エーリカに料理作ってもらってシャーリーに食べさせよう。 何かよくわからないが、シャーリーのせいで何かを漏らしたような記憶もあるから憂さ晴らしも含めて。 私「じゃあいくぞ覚悟はいいな?」 シャーリー「へへーんそっちこそ」 私「強がらなくてもいいんだぞ? 私はこれだ」 シャーリーに手札を見せる。 私「クローバーの8からクイーンのストレートフラッシュだ」 一瞬、シャーリーが動揺したのを私は見逃さなかった。 嬉しさで顔が緩みそうになるのを必死にこらえる。 シャーリー「ま、まさかストレートフラッシュなんて……」 私「罰ゲームはもう考えてあるから安心しろ」 シャーリー「ストレートフラッシュなんて……なーんてな」 私「……は?」 シャーリーが私に手札を見せる。 そこにはハート、クローバー、スペード、ダイアそれぞれの5、そしてジョーカー。 シャーリー「ファイブ・オア・アカインド……ファイブカードって言ったほうがわかりやすいか?」 私「う、うしょ……」 ショックのあまり呂律が回らない。 計画が、私の計画が……。 シャーリー「勿論、ストレートフラッシュより役は高いからあたしの勝ちだな!」 私「しょ、しょんなあああああああああ……」 我ながら情けない声を上げながら、テーブルに突っ伏す。 シャーリー「じゃー罰ゲームは何が良いかなー」 突っ伏しているので顔は見えないが声の様子から笑っているのがわかる。 多分彼女が好きな人なら一撃でノックアウトされそうな笑顔だろう。 ただし私にとっては悪夢への案内人の笑顔だが。 シャーリー「うーんうーん……」 やめろ悩まないでくれ。悩めば悩むだけろくな罰ゲームしか出ないような気がする。 私(あばばばばばばばば) シャーリー「そうだ思いついた!」 と言ってシャーリーが手を叩いたのと同時に、 トントン と部屋の扉がノックされた。 私にはノックの音がまるでウェディングベルのように聞えた うまくいけばこのままうやむやになってシャーリーも忘れるかもしれない。 シャーリー「部屋の主は死んでるけどいるぞー」 私「勝手に殺すな」 既に死んでるのは内緒だ。 扉を開けて入ってきたのは宮藤だった。 私とシャーリーを見た瞬間、殺気の様なものを感じたが多分気のせいだろう。 宮藤「……はっ!? す、すいませんちょっとぼーっとしてて」 慌てて宮藤は袖で口元を拭う。 シャーリー「で、どうしたんだ? お客さんとはもういいのか?」 宮藤「はい。色々と話せましたし……。あの、私さんに伝言なんですけど……」 私「私に? 誰から?」 体は机に突っ伏しているが、首をひねって宮藤の方に顔を向ける。 宮藤「アンナさん……あっお客さんの名前ですよ。アンナさんが私さんにお礼を言いたいって」 私「お礼?」 宮藤「はい。夕食のシチューが美味しかったらしくて」 それくらい伝言だけでいいだろうに。 どうしてわざわざ私に直接会おうとするんだあの人は。 宮藤「直接会ってお礼をした方が心が伝わるって言ってました」 私「んーあー……お礼言われるだけに行くのもなぁ……」 シャーリー「別に会うだけなんだしいいだろ?」 私「でもあの人もう高齢だしこの時間には寝たほうがいいと思うんだよなあ」 宮藤「……あれ? 私さんアンナさんに会ったことあるんですか?」 私「い、いやないぞ」 宮藤「そうですか……なんでアンナさんがお婆さんってこと知ってるのか気になっちゃって」 しまった。私はまだ師匠に会っていないということにしておいたんだった。 恐らく宮藤達は滑走路から師匠と一緒にいるので、降りてきたときに話しかけたというのも通じない。 しかも私は台所にこもって料理を作っていたというのを、部隊の全員が知っている。 私「あ、あーその、ミーナだ。ミーナが教えてくれたんだよ」 その場かぎりだが、多分これが一番ばれないとおもう。 ――今更ながら遠くから姿を見たって手も思いついたが。 宮藤「そうなんですか」 幸い宮藤は信じたようだ。私に寿命と言うものがあったら多分半年ほど縮んでいたと思う。 宮藤「場所ですけど、少ししたら滑走路に行くって言ってたので今から向かえば多分丁度だと思います」 私「で、でもなぁ……」 シャーリー「行ってきたらどうだ? ロマーニャとはいえ夜は冷えるし、待たせるのもどうかとおもうぞ」 私「う、うう……わかったよ行くよ」 二人に言われて重々しい体を起きあがらせる。 ああいやだいやだ会いたくない。高確率でばれるよあの人、超勘がいいから。 私「……ルッキーニはそこで眠らせてやってくれ」 ふらふらとした足取りで私は滑走路へと向かった。 滑走路 滑走路の一番先端に師匠はいた。 背中に手を回し、海を見つめるその姿は、私が教えてもらった時に比べて少し縮んでいた。 ――寂しさ、なのだろうかこの感情は。 感情の整理がつかないままゆっくりと近づく。 アンナ「……来たかい」 私「はい」 師匠は振り向くと私の目をじっと見つめてきた。 ああ、間違いない。師匠は私のことをわかっている。 アンナ「……同じだったからね」 私「同じ?」 アンナ「アンタと妹二人に訓練をしてやった最後の日に、あんたが作った夕食のシチューと同じ味だった」 私「……そんなこと覚えてたんですか」 アンナ「自慢じゃないけど、あたしは今まで鍛えたウィッチのことは忘れちゃいないさ」 私は出会いがしらに殴られるかと思っていたがそんな様子はない。 私「師匠……」 アンナ「……昔、ずっと昔にアンタと同じ目をした軍人がいた」 私「同じ目をした……?」 アンナ「そいつは言ったよ。ウィッチが傷つくのは嫌だと、ウィッチが戦わなくても済むようにするのが自分の仕事だとね」 師匠はそこで一呼吸ついた。 その目は昔を懐かしむような、悲しむような目をしている。 私「……その人は今どうしてるんですか?」 アンナ「……さあね。つい一年前にウォーロックとかいう兵器を勝手に作り出して、ウィッチに対してクーデターを起こしたんだけど、兵器が暴走、失敗してそれからは知らないよ」 私「そう、ですか」 アンナ「あいつは劇薬を選んだのさ。その兵器がうまくいけばウィッチは戦わなくてよかったかもしれない。でも、急ぎ過ぎた」 確かにその兵器がうまく行ったなら願い通りウィッチは傷つくことはなかっただろう。 ウィッチを傷つけたくないという気持ちが先走り過ぎて、同意を得る前に行動を取り失敗というところなのかもしれない。 アンナ「アンタの目はそんなあいつと同じ目だった」 私は実験の材料となる子供たちを救いたかった。 だからもう実験をしなくて済むようにネウロイの巣を破壊しに隊を率いて、殺されて、殺し返した。 結果として子どもたちは助かったが、彼らを守る軍は無くなり国は無くなった。 私も急ぎ過ぎたのかもしれない。 一度死んだからといって怒りにまかせた復讐の前に、もう一度だけ話せばよかったのかもしれない。 ――もう全ては遅いけれど。 アンナ「アンタのいた国のことと、基地のことを考えればアンタがどんな存在になったか直ぐに分かったさ」 私「……はい」 アンナ「あたしはもう何も言わない。でもこれだけは言っておくよ」 私「……」 アンナ「他人を傷つけたなら今度は他人を見を呈して守りな。でもアンタが死ぬことで責任取れると思ったら大間違いだよ。確かにアンタは人を殺したけれど、あんたが居なくなったら悲しむ人も間違いなく居るのさ」 私はその言葉に、ただ一回無言で頷くことしかできなかった。 師匠は知っていた。 私がネウロイだということも、近いうちに死ぬ気だったことも。 私「……師匠」 私は師匠の肩に手を乗せる。 確かに私は師匠の言葉は受け止めた。しかし、これだけはやらなければならない。 私「今日の……いえ、ずっと昔の記憶まで含めて、私のことを忘れてもらいます」 返事を聞く前に記憶を読みとり、書きかえる。 一瞬の静寂の後に師匠は口を開いた。 アンナ「……はて、あたしはなんでここにいるんだったかね」 私「お忘れですか? アンナさんは私にシチューのお礼がしたいって言ってここまで来たんですよ?」 アンナ「ああ、そうだった、そうだったね。とうとう物忘れが激しくなってきたのかねえ」 私「……いえいえアンナさんはまだ若いですよ。そろそろ戻りませんか? 夜も更けてきましたし」 アンナ「じゃあそうさせてもらおうか」 師匠、いやアンナさんが滑走路から去るのを、私は彼女が見えなくなるまでその場から動かずにずっと見ていた。 私「……ありがとうございました」 翌日 昼 部屋には再びシャーリーとルッキーニ、そして珍しくハルトマンがいる。 なんでも絵本を読み終わったので暇でしょうがないらしい。 なので4人でできるゲームということでババ抜きをすることにした。 順番はルッキーニ→私→ハルトマン→シャーリー。 ルッキーニ「あのお婆さんいっちゃうね」 私「そうだなあ……っと揃った」 ハルトマンから取ったカードはスペードの2。手札にクローバーの2があったので捨てる。 ハルトマン「げっ、運いいね私」 そんなことを言いつつ、シャーリーからカードをひいたハルトマンもハートのキングとダイヤのキングを揃えていた。 シャーリー「今頃はミーナ隊長と坂本中佐が見送ってる頃だな……よし上がりっ!」 カードを捨てると両手を上げてガッツポーズをした。 相変わらずカードゲーム強いな。 ルッキーニ「うじゅ……」 私の手札は3枚。そのうちの真ん中をルッキーニは選ぶ。 ルッキーニ「やったー!」 喜びの声と共にルッキーニもあがる。 これで私とハルトマンの一騎打ちになった。 ハルトマン「さーて私どっちを取る?」 ハルトマンの手札は2枚。 私手元にジョーカーは無いので間違いなくハルトマンが持っている。 私(……右だ!) 心の中で叫びカードをひく。 私「……」 来た。来てしまった。憎らしい笑みを浮かべる道化師の姿が描かれたカードが。 ハルトマン「じゃあわたしはこれ!」 取ったカードは勿論ジョーカーではなくスペードのエース。 また負けた。 私「うっがあああああああ!」 叫びつつ昨夜と同じようにテーブルに突っ伏す。 シャーリー「じゃあ私は罰ゲームだな。昨日の分も含めて2つだ!」 ハルトマン・ルッキーニ「「イェー!」」 しかも昨日のこともバッチリと覚えていた。 不思議と嫌な気持ちはなくまるでじゃれ合っているような気分。 結局のところ、私は彼女達といるのが好きなのだろう。 私(……守るかぁ) 口にするのは簡単だが行動に起こすには難しい。私が人間ではないとばれてしまうから。 もう少しだけ考えたい。 私はどうしたいのかを。 彼女達と生きて守りたいのか、死んでで償うべきなのか。 きっと時間はもう僅かしか残っていないから。 どんな結果になってもいいように、この時間は大切にしておこう。 シャーリー「じゃあバニーガール姿で一週間過ごすな!」 私「一週間はおかしいだろう!?」 ルッキーニ「昨日の分と合わせてだよ」 ハルトマン「おとなしくおなわにつけー!」 私「うあああああああああああああああああああああああああああ!」
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── 翌日、ハンガー内 エーリカ「これが俺のストライカーユニット?」 俺「うん。紫ちゃん」 宮藤「ゆかりちゃん?」 俺「紫電改だから、紫ちゃん。可愛いでしょ?」 シャーリー「なー、チューンしてたりするのか?」 俺「少しだけなら」 シャーリー「ほぼノーマルでそんなスピードが出せるとは思えないけどなー」 俺「俺の固有魔法はストライカーに作用するものではないですからね。要は、誰かに引っ張ってもらってるようなものです。ストライカーの性能はあまり関係ないんですよ」 シャーリー「なんだよ。つまんないなー」 ミーナ「はいはい。無駄話はそこまで! 今日は俺さんの実力を見る意味も兼ねて実践訓練を行います」 坂本「飛行訓練の方は、」 シャーリー「はーい! それ、私がやるよ!」 坂本「む、そうか? では、俺にはシャーリーに付いて飛んでもらう」 俺「了解」 シャーリー「へへ、昨日あんな大口叩いたんだ。ちゃんと私に付いてこいよー?」 ストライカーに足を通しながら彼女はニヤリと笑う。エンジンの振動に合わせて胸がたゆんたゆんと揺れていた。 俺「……イエスおっぱい」 シャーリー「え?」 俺「ん?」 宮藤「おっぱい!」 リーネ「……芳佳ちゃん?」 シャーリー「まあいいや。ほら、行くぞ!」 俺「らじゃー」 俺「あの、これって固有魔法使って良いんですよね?」 シャーリー「うん?」 俺「いや、俺、固有魔法ないとThe 平均☆ って感じの能力なんで……イェーガー大尉に付いていくのは厳しいかなー、なんて」 シャーリー「あはは、正直な奴だな。もちろん使いたいなら使って良い。それも含めて俺の能力だからな」 俺「ありがたやー」 シャーリー「……そろそろ始めるぞー」 俺「了解……反応速度4、敏捷性3、速度3」 ―――― 坂本「どうだ?」 ミーナ「ええ、飛行技術は問題ないわね」 エーリカ「スピードも申し分無し。シャーリーも結構飛ばしてるのに、まだ余裕があるみたい」 バルクホルン「だが、戦闘で使えるかは別の話だ」 坂本「ふむ……おい、俺、シャーリー、そろそろ戻って来い」 俺「戻って来いって言ってますよ?」 シャーリー「ああ……なー俺、ちょっとスピードに全部割り振ってみてくれよ」 俺「え……」 シャーリー「勝負しよう」 俺「えー」 シャーリー「私に勝ったら胸触らせてやっても良いぞ」 俺「その勝負のった!」 シャーリー「そうこなくっちゃ!」 シャーリー「ここからあっちの岩まで約5kmある。そこで折り返して基地まで。先についた方が勝ちだ」 俺「良いでしょう。その胸、もにゅんもにゅんに揉みしだいてやりますよ」 シャーリー「ははは、そういうことは私に勝ってから言いなよ」 シャーリー「それじゃあ行くぞ……3」 俺「2」 シャーリー「1」 宮藤「あれ、帰ってきませんよ?」 坂本「あいつら……」 ミーナ「まったく、困ったものね」 坂本「まあ良い。今のうちに次の模擬戦の相手でも決めておこう」 エイラ「はいはーい! 私がやるゾ!」 エイラ(同じ被弾数0でも私の方が凄いっテことをサーニャにみせてやるんダ!) バルクホルン「いや、私がやろう」 エイラ「エっ」 坂本「……そうだな。ここはバルクホルンに頼もう」 エイラ「えェッ!?」 坂本「すまんな、エイラ」 エイラ「うぅ……」 サーニャ「エイラ、元気出して」 エイラ「サーニャぁ」 シャーリー「どうした俺、それが全力か?」 俺は彼女のやや後方の位置を飛んでいた。 上は青、下も青。前方には形の良い尻。脚から伝わるエンジンの振動も悪くない。 俺「いいや、ここから本気です。速度10!」 グッと速度が上がる。 シャーリー「お、やるじゃないか」 軽口を叩きながら彼女もスピードもあげる。 俺「うぇ、まだ上がるのかよ」 速度はほぼ同じ。いや、わずかにあっちが速いか。 その速度故か、あっという間に折り返し地点に到達してしまう。 シャーリー「ははは!」 彼女は軽やかに笑いながら綺麗に折り返していく。俺も一瞬遅れてターンをかけた。 俺「笑ってられるのも今のうちですよ!」 突然だが、この世界には慣性というものがある。それ故に、当然速度が速ければ曲がりづらくなってしまう。そう、今が正にそれだった。 普段は速度だけでなく、敏捷性や反応速度に能力をふっているからある程度速度が出ていても曲がり切れないなんてことはない。 だが、今はそれらの能力の底上げしていない。 俺「うぇぇっ!?」 しかも、今はそれらの能力を強化している時よりも速度が出ているのだ。ストライカーもほぼノーマルといって良い。 当たり前のことだが、俺は曲がりきれずに大きく引き離されることになった。 大きな半円を描きながら旋回した俺はため息をつきながらシャーリーを追う。綺麗なお尻はすでに遥か彼方だった。 シャーリー「おー俺、おかえり」 俺「……」 シャーリー「ははは、俺もなかなか速かったが、ちょっと足りなかったなー」 俺「……」 シャーリー「ま、私の胸を好きにしたかったら、ちゃんと曲がれるようになるんだな!」 ルッキーニ「ダメだよ! これは私のなんだからね!」 胸という言葉に反応したのか、いつのまにかルッキーニ少尉が現れていた。大きな胸に顔を埋めながら、そんなことを宣う。 ぐっぞー……すっげぇ羨ましい……! 俺「くっ、いつか揉みしだいてやりますからね!」 シャーリー「ははは、楽しみにしてるよ。あ、なー俺」 俺「なんです?」 シャーリー「私のことはシャーリーで良いよ。敬語も別に使わなくて良い。堅苦しいのは嫌いなんだ」 俺「……じゃあ改めて。シャーリー、そのおっぱいいつか揉ませてもらうからな!」 坂本「おい俺! 馬鹿なことを言ってないで次だ!」 俺「え?」 俺「次って今度は何だよ、もっさん少佐」 ミーナ「俺さんには1対1の模擬戦をしてもらいます」 俺「模擬戦? 相手は?」 バルクホルン「私だ」 俺「げっ、大尉!?」 バルクホルン「……ふん。お前の実力、見せてもらう」 規則正しい足音を響かせながら自身のストライカーへと歩いて行く大尉。 いきなりエースと一騎打ちかよ。素晴らしい洗礼だな、まったく。 エーリカ「俺、わかってるよね?」 俺「んなこと言ったって、模擬戦だぜ? いったいどうやって仲良くなるんだよ」 エーリカ「……みんなー、ちょっと聞いt」 俺「うわわ、やります! 超頑張ります!」 この悪魔め……スパルタにも程があるわ! エーリカ「うん、頑張って!」ニコッ ちくしょう! それでも可愛い! 坂本『俺、バルクホルン、聞こえるか?』 俺「はい」 バルクホルン「ええ」 坂本『バルクホルンはペイント弾、俺は模造刀を相手に当てた場合撃墜判定とする。良いな?』 俺「了解」 バルクホルン「依存はない」 俺「……大尉」 バルクホルン「なんだ」 俺「俺が勝ったら、もう少し仲良くしてくれません?」 バルクホルン「……私に勝ったら、だと? ふん。まずは口だけじゃないことを見せてみるんだな、中尉」 坂本『それでは、始め!』 俺「反応速度5、敏捷性5」 合図とほぼ同時に掃射された弾丸を距離を取りながらかわす。 大尉を中心にして大きく旋回しながら模造刀を鞘から引きぬいた。 俺「反応速度3、速度7」 加速しながら大尉の弾丸をバレルロールで回避。一息のうちに距離を詰めると、模造刀を振り抜いた。 が、それは空を切る。大尉は俺の攻撃を読んでいたのか、体をそらしてこちらの攻撃を回避していた。 バルクホルン「避けるのが得意なのは貴様だけじゃなんだ、中尉!」 距離を取りながら大尉は銃口をこちらに向ける。 バルクホルン「私だってネウロイの攻撃を掻い潜ってここまで生きてきた。貴様の攻撃を避けることなど造作も無い!」 小さく舌打ちする。断言されちゃったよ。やっぱりこの人超強い。 俺「反応速度5、敏捷性5」 ロールをしながら上昇。ギリギリを掠めていった弾丸達に冷や汗をかきながら左に反転。斜めにスリップしながら急降下に入る。 数メートルの距離をあけながら、大尉とすれ違った。大尉は旋回しながら再びこちらに銃を構えようとしている。 俺「……これ、絶対俺が不利だろ」 小さくぼやきながらも銃口の位置から弾丸の軌道を見極める。ばら撒かれた弾をかわしながら、少しずつ距離を詰めた。 だが、彼女も同時に俺と距離を取る。こちらには模造刀しか無いのだから、当然の判断だろう。 逆にこちらが距離を取ると追いすがってくる。どうやら、ゆっくり体勢を整えることも許してくれないらしい。このままじゃじわじわと嫐られるだけだ。 俺「反応速度4、敏捷性3、速度3」 ぐん、と速度が上がる。進路を右へ切ると、相手も右へ切った。すぐに左へ切り返す。そのまま旋回に入り、大きく回りこむ。 どうせこのままジリ貧で負けるなら、特攻にかけるしかない。 相手もこちらの意図に気付いたのか、同じように旋回し始めた。綺麗なrを描いた彼女はまっすぐこちらに銃口を向ける。俺も模造刀を構えてそれに応じた。 接近。放たれた弾丸を最小限の動きでかわし、急上昇をかける。銃弾が追いかけてくるが、それは無視。 弾幕が止んだのと同時に推力を切って体全体を持ち上げる。慣性に耐えながら、少し待ってからストライカーの推力を全開にする。 気持よく吹け上がるエンジンの振動と共に、頭は下を向く。 相手から見たら、急にバク転したように見えたはずだ。現在出せる最高の速さで突っ込みながら、軌道をわずかに調整する。 斜めにスライドしながら再び接近、大尉がこちらに照準を合わせているのが見えた。だが、もう距離はそうない。 俺「このまま……!」 バルクホルン「終わりだ、中尉!」 放たれた弾丸は3発。1発目を体を捻って避ける。2発目は運良くギリギリを掠めていった。3発目を模造刀で叩き落す。 大尉はもう目前だ。だが、彼女はまた引き金を引いていた。 俺「っ!」 模造刀を振り上げる。弾丸を弾いた模造刀はすでにペイントでべちゃべちゃになっていた。 銃声と共にさらにもう1発。それを腰から引きぬいた鞘で跳ね上げる。そのまま体を回し、裏拳を叩きこむようにして模造刀を振るった。 潰れた刃が風を切る。大尉にそれが当たる直前で俺は動きを止めた。 俺の刃はピタリと彼女の首筋で止まっている。しかし、彼女の銃口も寸分違わず俺の頭を狙っていた。 俺「……引き分け、ですか?」 バルクホルン「不本意だが」 俺は小さく息を吐いて彼女から少し距離を取る。模造刀を真下に強く振った。付着したペイントが飛んでくれるかと思ったが、案外そう上手くはいかなそうだ。 バルクホルン「中尉」 俺「はい?」 バルクホルン「なぜ、刀を途中で止めた?」 俺「それを言うなら、大尉こそどうして撃たなかったんです?」 バルクホルン「……」 俺「……まあ俺は、大尉の可愛いお顔やお体に傷が付いたら大変かなって思っただけですよ」 バルクホルン「かっ……そ、そうか」 坂本『俺、バルクホルン、そこまでで良い。戻って来い』 俺「ただいまー」 シャーリー「おかえり。お前、速いだけじゃなくて強いんだなー」 俺「だろ? はっはー、惚れたか?」 シャーリー「ぶはは、残念だがそれは無いな!」 エーリカ「俺!」 俺「げっ、悪──」 エーリカ「むっ……あ、シャーリー知ってる? 俺ってさー」 俺「うぉぉぉぉ! こんなところに天使様がー! エーリカマジ天使! EMT! EMT!」 シャーリー「お、なんだなんだ? 楽しそうだな!」 俺「EMT! EMT!」 バルクホルン「おい、俺中尉」 俺「EM……大尉」 バルクホルン「さっきのことだが」 俺「さっき?」 バルクホルン「お前が勝ったら……ってやつのことだ」 俺「あー、仲良くしてくれるんですか?」 バルクホルン「ぅん、あー、いや、その、なんだ……お前の実力は認めよう。大したものだ」 俺「ありがとうございます」 バルクホルン「それから、この短期間で宮藤にリベリアン、それからハルトマンとも仲良くなったようだな」 俺「まあ……そういうことになるんでしょうか」 1人は少し違う気もするが。 バルクホルン「つまり、お前はわずか1日で3人の信頼を得たというわけだ。坂本少佐とも旧知の仲らしいな。だから、あー……」 エーリカ「もうまどろっこしいなー。言いたいことがあるならはっきり言いなよ」 バルクホルン「うるさいぞハルトマン!……だから、その……お前を信頼している4人を信頼すると言っているんだ」 俺「あ、はぁ」 エーリカ「めんどくさいなー。俺のことを仲間と認めるってはっきり言えば良いのに」 バルクホルン「ハルトマン!」 バルクホルン「ともかくそういうことだ! だがな、俺!」 ギロリ、と彼女は俺を睨みつける。 バルクホルン「風紀を乱すようなことをしたら、容赦はしないからな」 俺「怖っ、いえ、はい!」 ふん、と鼻を鳴らして大尉は歩いて行った。 シャーリー「ははは、あいつも素直じゃないな。まあ良かったじゃないか、俺」 俺「……」 シャーリー「どうした?」 俺「いや、存外あっさり済んだなーと思って」 シャーリー「?」 俺「おい、エーリカ。これでミッション完了で良いのか?」 エーリカ「まあ及第点かなー」 俺「ひゃっほう! これで晴れて自由の身」 エーリカ「ではないよ?」 俺「えっ」 エーリカ「私、『"まず"は、トゥルーデと仲良くなってもらおうかな!』って言ったでしょ?」 俺「」 エーリカ「次は何してもらおうかなー」 俺「この悪魔め……」 エーリカ「……嫌、なの?」ナミダメウワメヅカイ 俺「うっ、ぐぅ……仕方ないな」 どのみち弱み握られてるし。 エーリカ「ありがとう、俺!」ニコッ ちくしょう、可愛い!
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── 翌日、ハンガー内 エーリカ「これが俺のストライカーユニット?」 俺「うん。紫ちゃん」 宮藤「ゆかりちゃん?」 俺「紫電改だから、紫ちゃん。可愛いでしょ?」 シャーリー「なー、チューンしてたりするのか?」 俺「少しだけなら」 シャーリー「ほぼノーマルでそんなスピードが出せるとは思えないけどなー」 俺「俺の固有魔法はストライカーに作用するものではないですからね。要は、誰かに引っ張ってもらってるようなものです。ストライカーの性能はあまり関係ないんですよ」 シャーリー「なんだよ。つまんないなー」 ミーナ「はいはい。無駄話はそこまで! 今日は俺さんの実力を見る意味も兼ねて実践訓練を行います」 坂本「飛行訓練の方は、」 シャーリー「はーい! それ、私がやるよ!」 坂本「む、そうか? では、俺にはシャーリーに付いて飛んでもらう」 俺「了解」 シャーリー「へへ、昨日あんな大口叩いたんだ。ちゃんと私に付いてこいよー?」 ストライカーに足を通しながら彼女はニヤリと笑う。エンジンの振動に合わせて胸がたゆんたゆんと揺れていた。 俺「……イエスおっぱい」 シャーリー「え?」 俺「ん?」 宮藤「おっぱい!」 リーネ「……芳佳ちゃん?」 シャーリー「まあいいや。ほら、行くぞ!」 俺「らじゃー」 俺「あの、これって固有魔法使って良いんですよね?」 シャーリー「うん?」 俺「いや、俺、固有魔法ないとThe 平均☆ って感じの能力なんで……イェーガー大尉に付いていくのは厳しいかなー、なんて」 シャーリー「あはは、正直な奴だな。もちろん使いたいなら使って良い。それも含めて俺の能力だからな」 俺「ありがたやー」 シャーリー「……そろそろ始めるぞー」 俺「了解……反応速度4、敏捷性3、速度3」 ―――― 坂本「どうだ?」 ミーナ「ええ、飛行技術は問題ないわね」 エーリカ「スピードも申し分無し。シャーリーも結構飛ばしてるのに、まだ余裕があるみたい」 バルクホルン「だが、戦闘で使えるかは別の話だ」 坂本「ふむ……おい、俺、シャーリー、そろそろ戻って来い」 俺「戻って来いって言ってますよ?」 シャーリー「ああ……なー俺、ちょっとスピードに全部割り振ってみてくれよ」 俺「え……」 シャーリー「勝負しよう」 俺「えー」 シャーリー「私に勝ったら胸触らせてやっても良いぞ」 俺「その勝負のった!」 シャーリー「そうこなくっちゃ!」 シャーリー「ここからあっちの岩まで約5kmある。そこで折り返して基地まで。先についた方が勝ちだ」 俺「良いでしょう。その胸、もにゅんもにゅんに揉みしだいてやりますよ」 シャーリー「ははは、そういうことは私に勝ってから言いなよ」 シャーリー「それじゃあ行くぞ……3」 俺「2」 シャーリー「1」 宮藤「あれ、帰ってきませんよ?」 坂本「あいつら……」 ミーナ「まったく、困ったものね」 坂本「まあ良い。今のうちに次の模擬戦の相手でも決めておこう」 エイラ「はいはーい! 私がやるゾ!」 エイラ(同じ被弾数0でも私の方が凄いっテことをサーニャにみせてやるんダ!) バルクホルン「いや、私がやろう」 エイラ「エっ」 坂本「……そうだな。ここはバルクホルンに頼もう」 エイラ「えェッ!?」 坂本「すまんな、エイラ」 エイラ「うぅ……」 サーニャ「エイラ、元気出して」 エイラ「サーニャぁ」 シャーリー「どうした俺、それが全力か?」 俺は彼女のやや後方の位置を飛んでいた。 上は青、下も青。前方には形の良い尻。脚から伝わるエンジンの振動も悪くない。 俺「いいや、ここから本気です。速度10!」 グッと速度が上がる。 シャーリー「お、やるじゃないか」 軽口を叩きながら彼女もスピードもあげる。 俺「うぇ、まだ上がるのかよ」 速度はほぼ同じ。いや、わずかにあっちが速いか。 その速度故か、あっという間に折り返し地点に到達してしまう。 シャーリー「ははは!」 彼女は軽やかに笑いながら綺麗に折り返していく。俺も一瞬遅れてターンをかけた。 俺「笑ってられるのも今のうちですよ!」 突然だが、この世界には慣性というものがある。それ故に、当然速度が速ければ曲がりづらくなってしまう。そう、今が正にそれだった。 普段は速度だけでなく、敏捷性や反応速度に能力をふっているからある程度速度が出ていても曲がり切れないなんてことはない。 だが、今はそれらの能力の底上げしていない。 俺「うぇぇっ!?」 しかも、今はそれらの能力を強化している時よりも速度が出ているのだ。ストライカーもほぼノーマルといって良い。 当たり前のことだが、俺は曲がりきれずに大きく引き離されることになった。 大きな半円を描きながら旋回した俺はため息をつきながらシャーリーを追う。綺麗なお尻はすでに遥か彼方だった。 シャーリー「おー俺、おかえり」 俺「……」 シャーリー「ははは、俺もなかなか速かったが、ちょっと足りなかったなー」 俺「……」 シャーリー「ま、私の胸を好きにしたかったら、ちゃんと曲がれるようになるんだな!」 ルッキーニ「ダメだよ! これは私のなんだからね!」 胸という言葉に反応したのか、いつのまにかルッキーニ少尉が現れていた。大きな胸に顔を埋めながら、そんなことを宣う。 ぐっぞー……すっげぇ羨ましい……! 俺「くっ、いつか揉みしだいてやりますからね!」 シャーリー「ははは、楽しみにしてるよ。あ、なー俺」 俺「なんです?」 シャーリー「私のことはシャーリーで良いよ。敬語も別に使わなくて良い。堅苦しいのは嫌いなんだ」 俺「……じゃあ改めて。シャーリー、そのおっぱいいつか揉ませてもらうからな!」 坂本「おい俺! 馬鹿なことを言ってないで次だ!」 俺「え?」 俺「次って今度は何だよ、もっさん少佐」 ミーナ「俺さんには1対1の模擬戦をしてもらいます」 俺「模擬戦? 相手は?」 バルクホルン「私だ」 俺「げっ、大尉!?」 バルクホルン「……ふん。お前の実力、見せてもらう」 規則正しい足音を響かせながら自身のストライカーへと歩いて行く大尉。 いきなりエースと一騎打ちかよ。素晴らしい洗礼だな、まったく。 エーリカ「俺、わかってるよね?」 俺「んなこと言ったって、模擬戦だぜ? いったいどうやって仲良くなるんだよ」 エーリカ「……みんなー、ちょっと聞いt」 俺「うわわ、やります! 超頑張ります!」 この悪魔め……スパルタにも程があるわ! エーリカ「うん、頑張って!」ニコッ ちくしょう! それでも可愛い! 坂本『俺、バルクホルン、聞こえるか?』 俺「はい」 バルクホルン「ええ」 坂本『バルクホルンはペイント弾、俺は模造刀を相手に当てた場合撃墜判定とする。良いな?』 俺「了解」 バルクホルン「依存はない」 俺「……大尉」 バルクホルン「なんだ」 俺「俺が勝ったら、もう少し仲良くしてくれません?」 バルクホルン「……私に勝ったら、だと? ふん。まずは口だけじゃないことを見せてみるんだな、中尉」 坂本『それでは、始め!』 俺「反応速度5、敏捷性5」 合図とほぼ同時に掃射された弾丸を距離を取りながらかわす。 大尉を中心にして大きく旋回しながら模造刀を鞘から引きぬいた。 俺「反応速度3、速度7」 加速しながら大尉の弾丸をバレルロールで回避。一息のうちに距離を詰めると、模造刀を振り抜いた。 が、それは空を切る。大尉は俺の攻撃を読んでいたのか、体をそらしてこちらの攻撃を回避していた。 バルクホルン「避けるのが得意なのは貴様だけじゃなんだ、中尉!」 距離を取りながら大尉は銃口をこちらに向ける。 バルクホルン「私だってネウロイの攻撃を掻い潜ってここまで生きてきた。貴様の攻撃を避けることなど造作も無い!」 小さく舌打ちする。断言されちゃったよ。やっぱりこの人超強い。 俺「反応速度5、敏捷性5」 ロールをしながら上昇。ギリギリを掠めていった弾丸達に冷や汗をかきながら左に反転。斜めにスリップしながら急降下に入る。 数メートルの距離をあけながら、大尉とすれ違った。大尉は旋回しながら再びこちらに銃を構えようとしている。 俺「……これ、絶対俺が不利だろ」 小さくぼやきながらも銃口の位置から弾丸の軌道を見極める。ばら撒かれた弾をかわしながら、少しずつ距離を詰めた。 だが、彼女も同時に俺と距離を取る。こちらには模造刀しか無いのだから、当然の判断だろう。 逆にこちらが距離を取ると追いすがってくる。どうやら、ゆっくり体勢を整えることも許してくれないらしい。このままじゃじわじわと嫐られるだけだ。 俺「反応速度4、敏捷性3、速度3」 ぐん、と速度が上がる。進路を右へ切ると、相手も右へ切った。すぐに左へ切り返す。そのまま旋回に入り、大きく回りこむ。 どうせこのままジリ貧で負けるなら、特攻にかけるしかない。 相手もこちらの意図に気付いたのか、同じように旋回し始めた。綺麗なrを描いた彼女はまっすぐこちらに銃口を向ける。俺も模造刀を構えてそれに応じた。 接近。放たれた弾丸を最小限の動きでかわし、急上昇をかける。銃弾が追いかけてくるが、それは無視。 弾幕が止んだのと同時に推力を切って体全体を持ち上げる。慣性に耐えながら、少し待ってからストライカーの推力を全開にする。 気持よく吹け上がるエンジンの振動と共に、頭は下を向く。 相手から見たら、急にバク転したように見えたはずだ。現在出せる最高の速さで突っ込みながら、軌道をわずかに調整する。 斜めにスライドしながら再び接近、大尉がこちらに照準を合わせているのが見えた。だが、もう距離はそうない。 俺「このまま……!」 バルクホルン「終わりだ、中尉!」 放たれた弾丸は3発。1発目を体を捻って避ける。2発目は運良くギリギリを掠めていった。3発目を模造刀で叩き落す。 大尉はもう目前だ。だが、彼女はまた引き金を引いていた。 俺「っ!」 模造刀を振り上げる。弾丸を弾いた模造刀はすでにペイントでべちゃべちゃになっていた。 銃声と共にさらにもう1発。それを腰から引きぬいた鞘で跳ね上げる。そのまま体を回し、裏拳を叩きこむようにして模造刀を振るった。 潰れた刃が風を切る。大尉にそれが当たる直前で俺は動きを止めた。 俺の刃はピタリと彼女の首筋で止まっている。しかし、彼女の銃口も寸分違わず俺の頭を狙っていた。 俺「……引き分け、ですか?」 バルクホルン「不本意だが」 俺は小さく息を吐いて彼女から少し距離を取る。模造刀を真下に強く振った。付着したペイントが飛んでくれるかと思ったが、案外そう上手くはいかなそうだ。 バルクホルン「中尉」 俺「はい?」 バルクホルン「なぜ、刀を途中で止めた?」 俺「それを言うなら、大尉こそどうして撃たなかったんです?」 バルクホルン「……」 俺「……まあ俺は、大尉の可愛いお顔やお体に傷が付いたら大変かなって思っただけですよ」 バルクホルン「かっ……そ、そうか」 坂本『俺、バルクホルン、そこまでで良い。戻って来い』 俺「ただいまー」 シャーリー「おかえり。お前、速いだけじゃなくて強いんだなー」 俺「だろ? はっはー、惚れたか?」 シャーリー「ぶはは、残念だがそれは無いな!」 エーリカ「俺!」 俺「げっ、悪──」 エーリカ「むっ……あ、シャーリー知ってる? 俺ってさー」 俺「うぉぉぉぉ! こんなところに天使様がー! エーリカマジ天使! EMT! EMT!」 シャーリー「お、なんだなんだ? 楽しそうだな!」 俺「EMT! EMT!」 バルクホルン「おい、俺中尉」 俺「EM……大尉」 バルクホルン「さっきのことだが」 俺「さっき?」 バルクホルン「お前が勝ったら……ってやつのことだ」 俺「あー、仲良くしてくれるんですか?」 バルクホルン「ぅん、あー、いや、その、なんだ……お前の実力は認めよう。大したものだ」 俺「ありがとうございます」 バルクホルン「それから、この短期間で宮藤にリベリアン、それからハルトマンとも仲良くなったようだな」 俺「まあ……そういうことになるんでしょうか」 1人は少し違う気もするが。 バルクホルン「つまり、お前はわずか1日で3人の信頼を得たというわけだ。坂本少佐とも旧知の仲らしいな。だから、あー……」 エーリカ「もうまどろっこしいなー。言いたいことがあるならはっきり言いなよ」 バルクホルン「うるさいぞハルトマン!……だから、その……お前を信頼している4人を信頼すると言っているんだ」 俺「あ、はぁ」 エーリカ「めんどくさいなー。俺のことを仲間と認めるってはっきり言えば良いのに」 バルクホルン「ハルトマン!」 バルクホルン「ともかくそういうことだ! だがな、俺!」 ギロリ、と彼女は俺を睨みつける。 バルクホルン「風紀を乱すようなことをしたら、容赦はしないからな」 俺「怖っ、いえ、はい!」 ふん、と鼻を鳴らして大尉は歩いて行った。 シャーリー「ははは、あいつも素直じゃないな。まあ良かったじゃないか、俺」 俺「……」 シャーリー「どうした?」 俺「いや、存外あっさり済んだなーと思って」 シャーリー「?」 俺「おい、エーリカ。これでミッション完了で良いのか?」 エーリカ「まあ及第点かなー」 俺「ひゃっほう! これで晴れて自由の身」 エーリカ「ではないよ?」 俺「えっ」 エーリカ「私、『"まず"は、トゥルーデと仲良くなってもらおうかな!』って言ったでしょ?」 俺「」 エーリカ「次は何してもらおうかなー」 俺「この悪魔め……」 エーリカ「……嫌、なの?」ナミダメウワメヅカイ 俺「うっ、ぐぅ……仕方ないな」 どのみち弱み握られてるし。 エーリカ「ありがとう、俺!」ニコッ ちくしょう、可愛い! 戻る / 次へ 被弾数0の俺TOP
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登録日:2012/04/10 (火) 09 58 06 更新日:2021/10/26 Tue 00 35 14 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 クラフト 必殺技 技 時々カオス 英雄伝説 軌跡シリーズ クラフトとは、RPG『英雄伝説 軌跡シリーズ』における“技”や“必殺技”に該当する物の呼称である。 プレイヤーは各キャラ毎に固有のこれらを駆使して戦いに臨むことになる。 【概要】 技である以上、基本的に各々が得意とする武器を通して繰り出されることが多い。 そのため、設定的に戦闘を得意とするキャラであれば直接的な攻撃力に富んだものを、そうでない者や導力魔法に長けたタイプならサポート系統のものを多く覚える傾向にある。 各キャラが戦闘でどのような役割を担うかは、 最大HPや攻撃力などの各種パラメータ 戦術オーブメントのライン配列(最大EPの多寡やアーツの使用適性に影響) などと並び、このクラフトの性能に大きく左右される。 大まかな分類と共に、いくつかの例を挙げてみよう。 《攻撃型》 まんま攻撃タイプ。状態異常、遅延、能力値変動などの追加効果を持つものも。 ○金剛撃(エステル・ブライト) 敵一体(強化後は対象が範囲に変わる)にダメージを与えつつ、準備中のアーツやクラフトを強制解除。 ○双連撃(ヨシュア・ブライト) 一度の行動で二度のダメージを与える。 《回復・防御型》 体力や状態異常などを回復したりするタイプ。 ○バイタルカノン(ティータ・ラッセル) 回復効果のある砲弾を打ち上げ、範囲内の味方を治療。 《サポート型》 敵味方の能力値を変動させたり、行動順を入れ替えたりと様々。 ○掛け声(エステル・ブライト) 自分を中心に、範囲内の味方の攻撃力を増加させる。 ○ケンプファー(クローゼ・リンツ) 愛鷹ジークの攻撃(?)により、敵一体の攻撃力・防御力を激減させる。 これらはあくまで一例に過ぎず、他にも様々なクラフトが存在する。 どこぞの剣帝は分身を作り出すクラフトを使い、挙句、その分身が本体と同様に攻撃してきたり……。ホント勘弁してください。 【CP(クラフトポイント)】 戦闘中に頻繁に増減する各キャラのパラメータとして、HP、EP、CPがある。 このうち、クラフトの使用時に消費されるのがCP(最大値は200で固定)となっている。 他のパラメータにも少し触れておくと、 HP:残り体力。最大値がレベルアップで成長 EP:アーツ使用時に消費される、各自所有オーブメントの残存導力。最大EPは店でスロットを改造することで増大 といった具合である。 CPは敵に攻撃を当てる、または敵から攻撃を受けることで少しずつ回復する性質を持つ。 大体の目安として、一体の敵に通常攻撃を当てた時の回復量は10程度。ただし“弱すぎる敵を攻撃しても回復量が少ない”という仕様もあるので、0から満タンを目指すのはちょっと面倒。 ちなみに、広範囲アーツなどで複数の敵を攻撃すれば一度での大量回復が見込める。上手くいけば、そのアーツ後に続けてSブレイク(後述)発動も可能になるかも。 【Sクラフト】 CPを全て消費して発動する、いわば超必殺技。条件が少々ややこしいが、通常のクラフトとは一線を画した性能を持つ。 仕様は以下の通り。 CPが最低でも100必要で、しかも使用後は必ずCPが0になる CPを200まで溜めている時のみ最大級の威力を発揮する(または何がしかの追加効果を得られる) 必ず命中する(『シャイニングポム』という、メタルスライム的なモンスターの狩りにうってつけ) CPが100以上あるキャラは常に入力待ち状態にあり、他キャラの行動に割り込んでいつでもSクラフトを発動可能(この発動形態を『Sブレイク』と呼ぶ) 特にSブレイクの意義は大きく、 弱っている敵に先回りして止めを刺す 戦闘中に度々発生する『STRボーナス』などを横取り可能(敵の邪魔をしつつ、自身の攻撃の威力をさらに増大させられる) ピンチでも割り込んで回復や防御ができる など、上手く活用すれば様々な恩恵を受けられる。 当然ながら、Sクラフトは行動順が回ってくるのを待って通常クラフト同様に使用することもできる。 ただし、Sブレイクで使用できるSクラフトはメニュー画面で事前登録した一つだけに限られる。 攻撃特化、回復・防御特化……といった別方面のSクラフトを持つキャラは、どちらを登録するかで運用方法が大きく変動することとなる。 【コンビクラフト】 零の軌跡で新登場したクラフト。 味方2人のCPを100消費し放つ連携攻撃。 Sクラフトより総じて威力が高く範囲も広い傾向にあり、雑魚の殲滅からボスの削りまで非常に役立つ。 消費CPは合計200であるものの、Sクラフトのように一人がすっからかんになることもないのでその後のケアがしやすいのも魅力。CPMAXからならコンクラ→Sブレイクなんてことも可能。 一方で2人同時行動なため、AT落ちの影響には注意。下手するとずっと敵のターン!になりかねない。 Sブレイクのような割り込み使用も不可能なので、使用タイミングには注意。 また一人用のSクラフトと違い、能力強化やマスタークオーツ効果の参照先が面倒なので把握しておく必要がある。まぁ片方だけ強化すればいいので楽と言えば楽だが。 碧の軌跡から追加されたバーストとも親和性が高い…と思いきや、バーストゲージを二枠使ってしまうので微妙。 バースト前にラッシュをかける時か、バーストゲージ最後の1枠を使うと効率的。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 味方を殴って回復させるクラフトや、時の結界でアーツ駆動を早めるクラフトなど、シリーズを重ねるほどにどんどん強くなってきてるな。 -- 名無しさん (2014-09-23 12 58 47) シャロンさんの回復クラフトが、めっちゃシュールで吹いた。お茶会かよ。 -- 名無しさん (2014-10-02 02 12 32) 名前 コメント
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839 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 19 27 32.66 ID DnWMDGta0 あらすじ [赴任→出来心でメイド服着てみる→シャーリーに見つかる→にやにや] シャーリー「で、なんだって?」 バルクホルン「今後の訓練の話だ。新米なら1からきたえてやらないとな。」 俺「なるほど。」 シャーリー「おいおいあんまり厳しいことするなよ?俺はあまり体力ないからな。」 バルクホルン「なんでお前が言うんだ、保護者かお前は。」 シャーリー「ああ。」 俺「断言するなよ。まあ確かに俺は体力に自信がないけど。」 バルクホルン「宮藤だって鍛えたんだ。お前だって鍛える。」 シャーリー「そういや俺、固有魔法とかはないのか?」 俺「固有魔法というか、情報処理かな。敵の位置を察知して処理する能力。」 シャーリー「なんかお前らしいな。」 841 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 19 29 22.16 ID DnWMDGta0 バルクホルン「そんなものがどれほど役に立つものか。とにかく鍛えなければ話にならん。」 俺「そうですね。」 シャーリー「はあ、堅物はおそろしいなあ。」 バルクホルン「うるさい。とにかくまずはストライカーユニットを見に行くぞ。」 俺「え、今からですか?」 バルクホルン「ああそうだ、行くぞ。」 俺「ちょちょ、着替えてから!」/*宮藤と一緒の格好なう*/ シャーリー「しゃあねえ行くかあ。」 俺「シャーリー!止めて!」 バルクホルン「騒ぐな行くぞ。」 俺「きゃー。」 843 :人見知り 840イージス!イージス![sage]:2010/10/28(木) 19 32 45.68 ID DnWMDGta0 ──ハンガー バルクホルン「見慣れないストライカーユニットだな。」 俺「はい。これは橘花、ジェット機ですね。」 シャーリー「ほお、扶桑がそんなものをな。速いのか?」 俺「まあ速いんだけど、こいつは速く飛ぶためというより、武装を積むための高出力なんだよ。ほら。」 バルクホルン「なんだこの武装。多すぎないか?」 俺「40mm多薬室砲1門、12.7mm機関銃2丁。あと背中に担ぐ用の20mm機関砲2門、こいつは魔力で照準をつけます。 40mm多薬室砲は主に遠距離用なんで、近接戦闘になった場合は捨てることもありますが。貴重ですけどね。あとはまだ試作段階を出ていませんが、魔道誘導噴進弾もかつぎます。」 シャーリー「じゃあ速度は出ないのか?」 俺「まあ普通のストライカー並みには出るけど、音速を超えるなんてことは武装全部捨てないとないかな。」 シャーリー「よし、ちょっと飛んでみようぜ。」 俺「え!?」 バルクホルン「そうだな、許可を取ってくる。」タタタ 844 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 19 35 01.77 ID DnWMDGta0 俺「じゃあその間に着替えに。」 シャーリー「駄目だ。」ガシ 俺「はあ……シャーリー、どうしたんだよほんと。」 シャーリー「いいじゃないか、久々に合えたんだからさあ。」サッ 俺「な、なんで近づいてくんの。」 シャーリー「ははは。」 俺「ち、ちかい!(こここれはキスの距離っ)」 シャーリー「じーーー。」 俺「ぐぬぬ……。」 バルクホルン「おい許可を取って……ってこらこの馬鹿共!」 シャーリー「ちっはええなあ。」ササ 俺「あ……。」 シャーリー「んー?なんださびしいのか?」ニヤニヤ 俺「ち、違うわ!」 845 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 19 37 05.73 ID DnWMDGta0 バルクホルン「こほん。飛ぶぞ。(ほんとこいつらは……ピキピキ)」 俺「フル武装ですか。」 バルクホルン「ああ、どんなものか見ておきたい。」 俺「ちょっとこの格好ですとなんか。」 シャーリー「ほらほら、早くしないと誰か来ちゃうぞ。」ニヤニヤ 俺「!い、いきます!」ゴオォキイイイン シャーリー「いい音だ。」ブロロロ バルクホルン「ふん、機体がな。」ブロロ ──上空 シャーリー「その武装でそれだけ飛べるなんてなあ。」 俺「まあ、いい機体だからな。」 バルクホルン「それなりに使えるようだな。」 俺「ありがとうございます。」 846 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 19 39 33.62 ID DnWMDGta0 シャーリー「俺もそんな固くなるなって、こいつ相手に畏まる必要なんてないぞ?」 バルクホルン「おい……。ん、通信?ミーナから?」 ミーナ『トゥルーデ、ネウロイよ。海上から来てるわ、迎撃して。一応美緒と宮藤さんに出てもらったわ。』 バルクホルン「了解した。」 俺「え、少佐たちが……こんな格好なのに。」 シャーリー「大丈夫だって似合ってるから。」 俺「それに、実戦か……。」 シャーリー「ああ、初戦になるのか。まあ安心して後ろで見ててくれよ。」 バルクホルン「そうだな、ここで無理をする必要も無い。」 俺「ん……いえ、敵の位置も速度も確認しました。距離的にもこいつでやれます。」ガシャ シャーリー「ほー多薬室砲か。まだまともに敵の姿も見えないが大丈夫なのか。」 バルクホルン「うむ……長距離射撃ならいいだろう、外れても私たちがどうにかするだけだ、ただしはずしたらすぐに後退しろ。」 俺「了解。(速度は……そんなに速くない、110m/sで接近、よし当てる!)」ドドンッ シャーリー「うわ、すげー音!」 バルクホルン「弾速も速いな。」 847 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 19 41 19.70 ID DnWMDGta0 俺「よし……弾着、今!」 バルクホルン「……む、当たったか。」 ミーナ『ネウロイ消失したわ、早かったわね。』 シャーリー「俺やるじゃん。」ダキ 俺「わわっ。」 バルクホルン(またいちゃつきおって)ピキピキ 坂本「なんだ、遅かったか」ブロロロ 芳佳「俺さんが落としたんですか、すごいなあ」 俺「うわやばっ!」サッ シャーリー「おいおい隠れるなよ。」 坂本「ん、どうした俺?なんでシャーリーの影に隠れてるんだ。」 芳佳「んー?あれ?」 坂本「どうした宮藤?」 芳佳「なんか俺さんの格好が……。」ブロロ 俺「うわっ。」 849 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 19 42 18.79 ID DnWMDGta0 シャーリー「そんな恥ずかしがるなよ俺。」グイ 俺「ちょっ!」 芳佳「ああ!やっぱり!」 坂本「俺、なんだその格好!」 俺「あ……その……。」 芳佳「わあ、お揃いですね!」ギュ 宮藤さんが手を握ってきた。 俺「あの……。」 坂本「うむ、似合ってはいるがどうしてそんな格好を?」 俺「それは……。」 芳佳「いいじゃないですか坂本さん、細かいことは。」ダキ 俺「な、宮藤さん!」 シャーリー「む……。」 坂本「はっはっは。」 850 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 19 43 35.74 ID DnWMDGta0 ──夜 俺「やれやれ、大変な一日だった。」 芳佳「あれ俺さん、服戻しちゃったんですかあ?」 俺「あ……はい。」 エーリカ「えーなになに?どんな格好してたの?」 芳佳「それは。」 俺「あーほんと、それは秘密でお願いします……。」 エーリカ「なんだよ俺、教えてよ。」 俺「無理です、すいません。」 エーリカ「ふーん…………。」 俺「…………。(会話途切れたどうしようどうしよう)」 エーリカ「…………で宮藤、今日のご飯何?」 芳佳「今日はお芋です。」 俺(そうして会話から外れていくっと……。) 俺(ほんとなに話せばいんだろうな……。) 852 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 19 45 11.41 ID DnWMDGta0 ──夜 俺「やれやれ、大変な一日だった。」 芳佳「あれ俺さん、服戻しちゃったんですかあ?」 俺「あ……はい。」 エーリカ「えーなになに?どんな格好してたの?」 芳佳「それは。」 俺「あーほんと、それは秘密でお願いします……。」 エーリカ「なんだよ俺、教えてよ。」 俺「無理です、すいません。」 エーリカ「ふーん…………。」 俺「…………。(会話途切れたどうしようどうしよう)」 エーリカ「…………で宮藤、今日のご飯何?」 芳佳「今日はお芋です。」 俺(そうして会話から外れていくっと……。) 俺(ほんとなに話せばいんだろうな……。) 861 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 19 56 36.59 ID DnWMDGta0 バルクホルン「あ、俺。」 俺「あ……大尉。」 バルクホルン「なんだ、もとの格好に戻ったのか。」 俺「ええ、そりゃ……。」 バルクホルン「残念だな……。」 俺「え?」 バルクホルン「!ああいや、なんでもない!それよりリベリアンと一緒じゃないのか?」 俺「ああ、シャーリーならハンガーにいるそうですよ。」 バルクホルン「なんだ、機械でもまたいじってるのか。」 俺「ええ、たぶん。」 バルクホルン「ふむ……。」 俺「…………(またか)」 バルクホルン(話さないな……困ってるようだ) 俺「……。」アセアセ バルクホルン(このまま観察してみようか……じー。) 862 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 19 59 24.75 ID DnWMDGta0 俺「…………(な、なにか話題を)」 バルクホルン(困ってる困ってる。なんか……かわいいなあ。) 俺「……あ、あの!大尉!」 バルクホルン「なんだー?」 俺「えーっと……ご趣味は?」 バルクホルン「いもうt……訓練だ。」 俺「そうですか……えっと…………。」 バルクホルン「じーーーー。」 シャーリー「おいこらバルクホルン、俺をいじめるな。」 バルクホルン「!!」 俺(シャーリーきた!助かった!) シャーリー「俺も俺だぞまったく。」 俺「あ、ああ……。」 シャーリー「ほら飯行くぞ。」 俺「おーけー。」 864 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 20 02 33.70 ID DnWMDGta0 俺「うん、おいしい。」 芳佳「ありがとうございます。」 リーネ(なんか芳佳ちゃん俺さんに近づきすぎてないかな) 坂本「はっはっは。宮藤の飯はうまいからな、これからも期待しておけ。」 俺「はい。」 シャーリー「ほら俺、あーんしろ。」 俺「な!?え?」 シャーリー「ほらほら。」 俺「あ、あーん。」パク シャーリー「うまいだろ。」 俺「あ、ああ。(なんかシャーリー、攻めて来るな)」 バルクホルン(ピキピキ) 俺「さて、風呂です。」 ミーナ「俺さんはすまないけどみんなが入った後ね。」 俺「わかりました。」 865 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 20 05 01.50 ID DnWMDGta0 シャーリー「覗くなよ?」 俺「覗かんわ!」 シャーリー「そんなこといって、ほんとは一緒に入りたいんだろ?」 俺「んなわけないわ!」 シャーリー「え……ないのか……そうか……。」 俺「え!?あ……いや、べつに入りたくないってわけじゃないんだぞ。」 シャーリー「なんだ、入りたいのか。まったくしょうがない奴だな。」ニシシ 芳佳「あー俺さんも入りますかあ?」 俺「え!?いやっ。」 バルクホルン「だ、駄目だぞ!あいや、でも俺ならあー、でもだめだ!」 エイラ「駄目ダカンナー」 俺「入りませんって……。」 坂本「はっはっは。」 866 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 20 08 13.02 ID DnWMDGta0 カコーン 俺「ふう……やっと風呂だ。」ザバア 俺「……ここなら、やっていけるかな……シャーリーもいるし。」ブクブク ガララ 俺「!?」 シャーリー「よ、俺!」 俺「なななな、シャーリー!?なにやってんだ!」 シャーリー「なにって……一緒に入ってやろうかと。」 俺「バカかお前!」 シャーリー「そんな連れない事言うなって。」 俺「な……こっちくるな!」 シャーリー「いいじゃんいいじゃん。」 俺(うわ、おっきい……いやいやいやいや。) シャーリー「顔真っ赤にして、やらしいなあ。」ニヤニヤ 俺「しょ、しょうがないだろ!(昔より、成長してる……)」 869 :人見知り[映画化まじかよソース探しまくったまじかよ][sage]:2010/10/28(木) 20 12 20.44 ID DnWMDGta0 シャーリー「それで……ふむ……。」じー 俺「な、なんだよ……あ。(隠してないや)」 シャーリー「……まあ、扶桑サイズ?」 俺「うわあん!」ザバアン シャーリー「はは、今さら隠すなって。」 俺「シャーリーのばか!変態!俺は傷ついたぞ!」 シャーリー「大丈夫だって、そんな俺も好きだからさ。」 俺「え……!?(好きって?)」 シャーリー「なあ俺、俺はどうなんだ?……私の事、好きか?」ズイ 俺「え……どうって……そりゃ……。(ち、ちかい)」 シャーリー「ん?」ジー 俺「そりゃ……好き……だよ。」 シャーリー「はは、そうかそうか。じゃあさ、いいことしないか?」 俺「い、いいこと?」 872 :人見知り[映画化ってでもまだ先かな?][sage]:2010/10/28(木) 20 15 45.26 ID DnWMDGta0 シャーリー「そうそう、こうやって……。」 俺「ひあ!……。(マ、マイサンッ)」 ガラ バルクホルン「こんらリベリアン!」 シャーリー「はあ……こんなときに。」 バルクホルン「不健全なことをするんじゃない!上がれ!」 シャーリー「ちぇー堅物はこれだから。」ザバア バルクホルン「こ、こら隠さんか!俺も見るな!」 俺「あっ!」サッ シャーリー「なんだ俺、見たいなら見せてやるぞ?」 バルクホルン「ええいこっちにこい!」グイ シャーリー「わかったよー俺―また後でなー。」 俺「あ、ああ……。」 俺「……行っちゃった。俺もしばらくしたら上がるか。」 877 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 20 19 33.77 ID DnWMDGta0 ガラ 俺「いい湯だった……さて……。」ピタ 俺「……あれ?」 俺「服が……あれ?なんで……え、これは……。」 俺「昼間着た……セーラー服…………シャーリーか……。」 俺「え、どうすんのこれ。他に服は……ない!ああもう!」 俺「おいっシャーリー!?いないのか!おい!」 俺「……いない……。」ヒヤリ 俺「その後私は体感時間30分ほど苦悩した。だが解決策を見つけることは出来なかった。苦悩の末に私はただ覚悟を決めた。すなわち、女装をするという覚悟である。」ガサゴソ 俺「……リアルにひざが震えてきた。誰かに会ったらどうしよう。」ガクガク 俺「ええいままよ!」ガラ 俺「前方確認進路クリア、よーそろお。」タタタ 俺「敵影なし、進路そのまま微速前進。」タタ ──このとき俺は勝利を信じていた。だが今にして思えばそれは全くもって無根拠な、いわば宗教的信仰に過ぎなかったのである。 881 :人見知りひゃっほおおおおおおおおおおおおおEMT!EMT!EMT!EMT![sage]:2010/10/28(木) 20 24 14.65 ID DnWMDGta0 俺「いけるっ!」 ミーナ「ふう、疲れたわ。」ゴキッゴキ 俺「あ。」 エイラ「夜間哨戒気をつけるんダゾサーニャ。」 サーニャ「うん、大丈夫よ。」 俺「ああ。」 エーリカ「いやー悪いねーこんな時間に作ってもらうなんて。」 リーネ「ううん、ちょうどキッチン行くところだったから。」 俺「あああ。」 ルッキーニ「はははー捕まえてみなよペリーヌっ。」 ペリーヌ「お待ちなさい!」 ──その無根拠な信仰の結果が、かのような絶望的状況であった。 883 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 20 28 49.37 ID DnWMDGta0 一同「「!?」」 俺「……ああ……あの……。」 一同「「こ、これは……。」」 俺「いやこれは……その……シャーリー……が。」 一同((可愛い!)) 俺「うわあん。」タタタタ エーリカ「あ、にげた。」 ミーナ「あらあら。」 俺(見られた見られた見られた見られた。)タタタタ ガラッバタン 俺「はあ……はあ……。」 シャーリー「おお、遅かったじゃないか。どうしたんだそんなにばてて?」 俺「シャーリーのバカ!みんなに見られたじゃんか!」 シャーリー「んー?ああ、その格好か。やっぱりそっちのほうが似合うよ。」 俺「これじゃあ変態扱いじゃないか!」 シャーリー「大丈夫だって。」 885 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 20 32 58.26 ID DnWMDGta0 俺「いったいどういうつもりだよ!」 シャーリー「どういうって……昼に約束したじゃないか。」 俺「昼?……あ。」 シャーリー「うん、その格好で一緒に寝るっていったよな。」 俺「言ったけど!なにも風呂場の着替えを。」 シャーリー「はいはい、いいからこっち来いよ。」グイ 俺「あ……うん。」ドサ シャーリー「よし……やっと二人きりだな。」 俺「そうだな……。」ダキ シャーリー(俺のほうから?なかなか積極的じゃないか。ようし)ギュウ 俺「んー……。」 シャーリー「俺、目とじな。」 俺「ん。」 シャーリー「うん、よし。」ちゅ 俺「んん……。」 888 :人見知り 私は変態だ それ以上でも以下でもない[sage]:2010/10/28(木) 20 37 13.16 ID DnWMDGta0 シャーリー(もっといくか)れろ 俺「ん!?……んん。」じゅる シャーリー(おいしい……。) 俺(なんか……気持ちいい。) シャーリー「ぷは……おいしいよ。」 俺「あ……うん、俺も。」 シャーリー「はは……俺のこれ、固くなってるな。」 俺「あ……そりゃ。」 シャーリー「うん、でも一緒になるわけには行かないから。こうしようか。」サス 俺「ぬ、脱いだほうがよくないか。」 シャーリー「だめだ、その格好がいいの。」サスサス 俺「でもなんか……足りないというか。」 シャーリー「ほう、じゃあまず指舐めてくれ。」 俺「ん?むぐ……ちゅる。」 シャーリー「そうそう、もっと舐め回すように。」サスサス 890 :人見知り 私は変態だ それ以上でも以下でもない[sage]:2010/10/28(木) 20 39 49.42 ID DnWMDGta0 俺「れろ……。」 シャーリー「うん…………よし。」 俺「あ……。」 シャーリー「ははん、寂しくなったか、でも大丈夫すぐに。」チュク 俺「はうっ!?そ、そっちちがうっ。」 シャーリー「大丈夫だ、力抜いて。」 俺「ん……だめ怖いって。」 シャーリー「安心しろ、ほらもっと抱きついて。」 俺「ん。」ギュウ シャーリー「入れるぞ……うん、大丈夫。」チュルリ 俺「あ……。」 シャーリー「ほら、入ったぞ。私の指締め付けてくるぞ。」 俺「そ、そんなの。」ギュ シャーリー「それで……ここかな。」 俺「!!な、なんか。」 894 :人見知り 私は変態だ それ以上でも以下でもない[sage]:2010/10/28(木) 20 46 22.37 ID DnWMDGta0 シャーリー「いいか?ほらもっと。」サスサス 俺「はあっシャーリー!」ちゅ シャーリー「ん!(び、びっくりした)」 俺「はあ、好きだよシャーリー。」 シャーリー「ああ、私も大好きだ。」 俺「だ、だめもうっ。出ちゃう。」 シャーリー「ほらほら出しな。そんなに私の指がいいんだなあ。こんなに締め付けて。」 俺「それ、ん!んん!出る!」ドピュピュどくんどくん 俺「は、はあ……はあ……。」 シャーリー「おお……。(これが……。)」 俺「はあ……シャ、シャーリー……。」 シャーリー「ははは、よかったろ。」 俺「うん。でも……今度は俺が攻める。」ガバ シャーリー「おっ男らしいなあ。」 イチャイチャキャッキャ [通常セクロスは書き手の性嗜好に合わないので省略されました] 898 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 20 52 28.75 ID DnWMDGta0 チュンチュン 俺「ふわー。朝か。」 シャーリー「おはよう俺。」 俺「!?シャーリー!?あ……あーそうかそうか。しかし早起きだなシャーリー。」 シャーリー「んー俺の寝顔がかわいくて。」 俺「んな///お、おきるぞ!」ガバ シャーリー「でもまだ朝早いぞ?もっとゆったりしていこうぜ。」グイ 俺「うおっと……。ま、いっか。」ダキ シャーリー「うむうむ。」ギュ 俺「ふう……。」 ガラッ バルクホルン「ここかリベリアン!」 シャーリー「うお!?なんだよバルクホルン。私になんか用か?」 バルクホルン「んな///!お前ら……っ。用も何も、現行犯だ!俺もだ!」 俺「はあ……まあ、言い逃れも出来ないか。」 シャーリー「お、男らしいなあ。」 900 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 20 55 43.88 ID DnWMDGta0 バルクホルン「ええいいつまで抱き合ってる!離れろ!」 シャーリー「あー。」 バルクホルン「ぐ……。手短に聞くか、やましいことはしていないだろうな?」 シャーリー「やましいことってなんですかー?」 バルクホルン「んな!///そ、それは決まってるだろう!その……。」 シャーリー「んー?」ニヤニヤ バルクホルン「///と、とにかく!問題を起こすんじゃない!」 シャーリー「起きてないってー。」 バルクホルン「本当か俺?」 俺「あー大丈夫です。」 バルクホルン「む……怪しいな。」 シャーリー「ふつうだって。」 バルクホルン「貴様は黙っていろ。ふむ……俺、私の目を見ろ。」 俺「は、はい……。」 バルクホルン「じーーー。」 901 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 20 58 31.78 ID DnWMDGta0 俺「……。」サッ バルクホルン「なぜ目をそらすんだ!」 俺「いや、人と目合わすのはあんまり……。」 シャーリー「そうそう、そんなやつなんだよ。あれ、でも意外とこの堅物と話せてるじゃないか。」 俺「あ……そうですね。」 バルクホルン「そ、そうなのか?」 シャーリー「うんうん。いい傾向だ。」 俺「まあ……バルクホルン大尉はなんか話しやすいですし。」 バルクホルン「そうか、お、おお。」 シャーリー「よかったじゃないかバルクホルン。」ニヤ バルクホルン「な、べ、べつに喜んでなんかいないぞ!!」 シャーリー「ははは。さあて朝飯でも行こうか、行くぞ俺。」 俺「ああ。あ、ちょたんま!着替える!」 シャーリー「えー。」 902 :人見知り[sage]:2010/10/28(木) 20 59 26.70 ID DnWMDGta0 俺「えーじゃない!さてと。」ゴソゴソ バルクホルン「えー。」 俺「た、大尉!?」 バルクホルン「……はっ!?な、なんでもない!先に行っている!」 シャーリー「行ってらっしゃい~。……ごまかせたな。」 俺「そうだな……単純な人だな。」 俺「よし、着替えるから。」 シャーリー「うん。」 俺「……あの?」 シャーリー「どうした?」 俺「シャーリーも着替えるでしょ?」 シャーリー「みたいか?構わないぞ。」 俺「ああ……うん、じゃいっか。」ヌギ シャーリー「そういうこと。」ヌギ 人見知り3へ
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―4― 第七格納庫地下。 強化コンクリートで補強され、冷たく油臭い空気が漂うそこは鋼機の地下格納庫になっていた。 そこには久良真由里、シャーリー・時峰の2人だった。 彼女たちの前にはパスを持っているものしか開くことの出来ない大きな扉がある。 この扉の向こうに『雪華』は安置されている。 「司令より許可が降りたようだ、さっさとこの邪魔な扉を開けてくれないか?敵はもうそこまで迫ってきているんだ。」 そうシャーリーに催促するように言ったのは真由里だった。 「わかった。」 そういってシャーリーは扉にある網膜認証装置にパスカードを入れた後、自分の瞳を押し付けた。 機械が動作し、シャーリーの網膜パターンを読み取る。 電子音と共に認証装置のディスプレイにOPENの文字が表示され巨大な扉のロックが外れていき自動で開かれていく。 久良真由里は待ち望んでいた時に、目の前に現れるであろう機体に期待を寄せる。 CMBUの技術の粋を集めてカスタムされた初の対鋼獣を想定された鋼機。 横の糞のような女が言ったようにそれゆえの癖があるだろうが、これでも自分はシャーリー・時峰と比較してもそれを超えた操縦技術を持っていると自負している。 多少のじゃじゃ馬なら乗りこなしてみせるという自信が久良真由里にはあった。 扉が開き、暗い一室にライトが照らされそこに鎮座する機体が光を浴びる。 真由里は目を輝かせてその紫の鋼の巨人を見つめた。 そして、その数十秒後そのまばゆいばかりに光らせていた目は黒く淀んだ。 「これは…どういう事ですの?」 真由里の目の前には確かに雪華がある。CMBUの技術の粋を使って作られた対鋼獣決戦用鋼機。 だが、それを見た真由里の声は失望の色が色濃く現れていた。 信じられないものを見たとでも言わんばかりに…。 「見ての通りだよ。これが雪華という機体だ。」 シャーリーはそう答える。 真由里の反応は当然だ。誰だって実戦で鋼機を動かした事があるなら同じ感想を抱く。 つまりは――― 「CMBUはこんなスクラップで奴らと戦う気でしたの!」 真由里はそうまともな神経の感想を狼狽するように叫ぶ。 スクラップ、これほど正鵠を得た評価もない。 この機体を作った人間は頭のネジが間違いなく飛んでいる。 何故ならば、この機体はまともに動くことを想定して作られた機体ではないからだ。 CMBUの技術の粋そういって最新技術を惜しみなく使われた機体である事は確かであり、その際に注ぎ込めるだけの技術をつぎ込んで作られた機体である。 それが意味する所はまともに動かすどころか、強引に詰め込めるだけ詰め込んでその上でなんとか体裁を保っているというバランスの悪さであった。 真由里は一つだけ勘違いをしていた。この機体はそもそも実戦配備のなかった予定の機体なのだ。 CMBUが実用実験をあまりせずにデータのみを取った後、廃棄にする予定だったものを時峰九条が横から強引にかっさらってきたのだから…。 「だが、それが全てだ。これが雪華なんだ。だから言っただろう久良、雪華はお前の期待するようなものではないと…。」 「でも…。」 「だが、確かに今この事態を解決出来る可能性があるとするならば、こいつだけだ。それもお前ならわかるだろう?」 「あなたが乗ればいいじゃない!私は死ぬ覚悟はあっても犬死にする覚悟なんてないわ!」 「ふざけるなよ久良ァ!」 真由里の襟元を掴みあげるシャーリー。 「さっき切った啖呵はなんだ!私達を生かす為に死んでいったお前の部下たちはなんだ!その為にも戦わなければならないといってお前はあいつらの命を捨てさせたんだよな?なのにお前はここで急に覚悟を失って彼らの死を無駄にしようとしている!その意味、お前は本当にわかっているのか!」 「わかっていますわ?だから何?彼らが死んだから、私も死ねと?そんな無意味な行動になんの意味がありますか?可能性があるのならば、私はこれに乗りましょう。ですがね乗ったら死ぬとわかる機体になんて私は乗る気は無いんですよ!そんなに彼らの死を無駄にしたくないのならばあなたがあのスクラップに乗ればいいじゃない!」 「出来るならやっている!」 「ああ、そうでしたわね、あなた、もう鋼機乗れない無能でしたわね…!トラウマ?笑わせる、ふざけた話も大概にして欲しいですわ。」 黙りこむシャーリー。 鮮明には思い出せないが、体が震え動かなくなり、声も失い、動機が激しくなり意識を失ったその感覚はおぼろげだが覚えている。 死者が自分の元に来るのを見た。自分に恨みを言うのを聞いた。自分の体を強く掴むのを感じた。 今、この雪華を見ているだけでも呼吸が荒くなり、汗が大量に流れ出しているのだ。 シャーリーは自分にもう鋼機を動かす事は出来ない事を再び思い知らされている。 無能、真由里のいうことは何も間違っていない…そうシャーリーは思った。 「まったく、なんですか大体、あなたは…今更、人の死に耐えれなくなって鋼機にのれなくなる?アハハ、そうなるのが遅すぎでしょう。あなたがそんなんだから―――――」 地下に大きな音が響き振動する。 地上で今、何かが起こっている。 そしてその何かは2人には容易に想像が付いた。 『奴』が、あの蠍の姿をした『鋼獣』が来たのだ。今自分たちのいる施設を破壊する為に…。 「くそくそくそくそくそくそくそくそ、なんでなんでこんな事になった。なんでこんな風になった。こんな筈じゃない、こんな筈じゃなかった筈なのに…。」 取り乱す髪をかき乱す真由里。その顔は涙でもうぐしゃぐしゃになっている。 もう逃げられない。敵はすぐそこにいる。 迫り来る死。死神は足音を隠さずにすぐそこに鎌を振るいに来ている。 今地上に出るのは得策ではないだろう。見つかってしまえば生存の可能性は限りなく少なくなるし、破壊行動に巻き込まれて死ぬ可能性まである。 確かに真由里の言っている事は一理ある。 目の前にある機体は言うまでもなく欠陥機だ。鋼機として必要なものを削ぎ落とされてしまっている。 こんなものに乗った所で犬死にするのが普通だろう。 だからこそせめて生きるためにここで隠れる。勝ち目のない戦いなどするべきではない。 そう考える。 だが、だからといって地下でやりすごしほとぼりが冷めるまでここで隠れている事が生きる為の本当に最善だろうか? この考え方はここにいるシャーリーと真由里の2人しか生存の勘定に入っていない。 地上にいる他の仲間たち、逃げ遅れた人、死んでいった仲間たち、自分たちを信じて命を投げ捨てた仲間たち…それを捨てるという事だ。 ここに隠れ続けるということは、もしかするとどこからともなく増援が現れて自分たちを救ってくれるかもしれない。 もしかすると地下には近づかずここから去ってくれるかもしれない。 そんな確証のない祈りを捧げ、呆然と立ち尽くし迫り来る死が来る可能性に無力に怯える。 死んでいった仲間たち、死んでいく仲間たちから目をそらして、ただ一人生き延びる道を選ぶ。 つまりはそういう事である。 だが、疑問として――――である。 疑問として― ―――――果たしてそれはシャーリー・時峰に容認できる選択なのか? 答えは明白で、単純で、そして簡潔だった。 そう答えは―――――― 「私には―――無理だ…。」 そう泣くように呟いてシャーリーは雪華の方へと歩を進める。 「あなた何を――――。」 シャーリーの方を見つめて目を見開き弱々しい声で尋ねる真由里。 彷徨うようにしてシャーリーは雪華へと歩を進めていく、真由里の声も聞こえていないようだ。 繰り返される破壊行動に地下が大きく揺れ、鼓膜を破壊しかねないような破壊音が聞こえる。 手が震える、胸が既に恐怖で締め付けられそうになっている、吐き気を覚える、 目からは涙が流れ始め、幾度も体がそこへ行くのを拒むように硬直する。 だが、乗り越えなければならない。 でなければ自分を生かすために送り出してくれたあの3人に報いる事は出来ない。 自分に求められてるのは彼らの死を無駄にしない為にも、この雪華を駆って戦う事だ。 だから、この体が動かない事、この体がもうボロボロで自分の意思ではどうにも出来ない事なんてどうでもいい。 こんな体でも戦場に立つ事ぐらいは、少しぐらいは時間は稼いで他の人が逃げる時間ぐらいは作れる筈だから…。 胃からなにかせり上がるものを感じ膝をついて嘔吐する。 食べたものが逆流して、口に胃液の味が広がり吐瀉物が床に撒き散らされる。 ひとしきり吐き終わった後、袖でそれを拭って再び震える足に力を入れて歩み出す。 体が鉛のように重く堅い。一歩一歩を踏み出すのに尋常ならざる程の精神力を消耗していく。 雪華のある方から逆風が吹き荒れて、体が後方へと吹き飛ばされそうな錯覚を覚える。 久良真由里が自分の背後で何か言葉を言っているようだ、だがその言葉はもう認識できない。 瞼が重い、すぐにでも瞼を閉じてしまいたくなる衝動にかられる。 なんでだ、なんでこんな無茶をしなきゃいけないんだ? 諦めよう、最初から無理な話だったんだ。ここに閉じこもって隠れて生きるべきなんだ。そう心身共に悲鳴をあげる。 それにシャーリーは弱々しくも抵抗した。 嫌だ。そんなのは嫌だと…。 そうして雪華の元にたどり着く。 そして雪華に触れるその瞬間、それは起こった。 何かが足を掴む感覚。 何かが手を掴む感覚。 何かが頭を掴む感覚。 何かが指を掴む感覚。 何かが肩を掴む感覚。 何かが腰を掴む感覚。 何かが髪を掴む感覚。 何かが鼻を掴む感覚。 何かが口を掴む感覚。 何かが目を掴む感覚。 おぞましくて、重くて、痛くて、痒くて、臭くて、気が狂いそうで心がもうくちゃくちゃになって―――― そして何故さきほどまで体が鉛のように硬く重かったのかを知った。 ――――声が聞こえた。 真由里の声はもう聞こえない程消耗しているというのにその声だけは鮮明でそれでいて怨嗟に満ちている。 “隊長、なんで俺たちを見捨てたんですか…” “隊長、僕ら死なないっていったじゃないですか?” “隊長、何故あなただけ生きているんですか…” そう怨嗟を込めて昔幾度も聞きそしてもう聞こえない筈の声が聞こえる。 まともに呼吸は出来ない。 乗り越えなければならない。振り切らなければならない。確かに自分はいろんな犠牲を出してしまった無能な人間だ。 けれど、だからこそ、今、彼らの為にも乗り越えて戦い、彼らの死が無駄ではなかった事を示さなければならない。 彼らを振りきって生きて戦わなければならない。 それが生きたものの義務であり――――― “そんなのあなたの勝手な理屈じゃないですか…” 囁くように声が言う。 そしてもっと多くの手がシャーリーの全身を掴む。 そしてシャーリーの視界が白く染まり、意識が―――――― 白く― 白く――――― 白く―――――――――――― ―5― あ、 小さなオルゴールがなっている。 曲名は覚えていない。数世紀の前の著名な作曲者が作った曲なのだという。 父が10歳の誕生日祝いの時にくれたこのプレゼントのオルゴール。 私は何回もハンドルを回して流れだす音楽を聞いた。 たどたどしく流れる曲はとても優しくて切なくて、それを聞く度に私はなんとも言えない嬉しい気持ちになって心地よかった。 その後、母が腕をふるって作ってくれた鳥料理を食べた。これも今までに食べたどんなものよりおいしくて幸せだった。 それは今も覚えている。 こんな幸せな時がずっと続けばいいのに…そうずっと思っていた。 けれどそんな願いはすぐに無残に打ち捨てられた。 父と母はそれから10日後に死んだ。 家族旅行先のホテルでテロリスト達に銃口を向けられ無抵抗に見せしめで殺されたのだ。 当たり前だと思っていた日常は終わりを迎え、考えた事もなかった死が目の前に歩み寄ってくる。 テロリスト達は肉塊となった父と母を背に天井に向けて笑いながら銃を乱射する。 このままここにいたら殺されてしまう。 私はそう思いはしたものの、父と母を殺された悲しみと恐怖で思考がぐちゃぐちゃになってパニックになっていた。 もう終わりだ。死んでしまう。お父さんとお母さんみたいに死んでしまう。 怖い怖い怖い。 死にたくないよ、死にたくないよ、死にたくないよぉ! そう叫びたくなるのを必死でこらえた。声を漏らしてしまえばテロリストたちに目を付けられて次の生贄は自分にされてしまうかもしれない。 そう思い恐怖に体を震えさせていた時、一人の老婆が現れた。 老婆は黒いジャケットの下に白いTシャツ、黒いスカートをはいていた。体は服の上から見ても茎のように細く、顔は木の年輪のようにしわが多かった。 どこからどうみてもみずぼらしく、よれた頼りない老人、それが最初の老婆の印象だった。 老婆は枯れ枝のように細い体でテロリスト達の前にたった。 誰もがその時思っただろう、殺されると…。老婆は何かテロリストと話した後、呆れたようにため息を吐いた。 それは死を目の前にした人間のする事では無かった。 大きな音が外でなる。それに一瞬気を取られたテロリスト達と人質達は老婆の姿を見失った。 その一瞬、その間にテロリスト達は次々と手にもった銃を落とし膝をついていく。 私には、いや、たぶんその場にいた誰にも何が起こったのは理解できなかった。 ただ老婆はその中で一人だけ立っていた。 「怪我人はいないかい?」 とあたりを見渡す老婆を見て次第に理解が追いついてく。 この老婆がやったのだと…この場にいる誰よりもか弱そうですぐにでも折れてしまいそうな体をした老婆がやったのだと理解する。 テロリスト達は全て無力化され、私は自分が助かったのだと知った。 思わず我慢していた声が漏れる。視界は涙でぐしゃぐしゃになった。 もう誰もいないのだ。助かったけれどいつも一緒にいてくれた父と母はもう私の近くにはいないのだとそれを理解して泣き叫んだ。 泣き叫ぶ私に老婆は歩み寄って抱きしめる。 「怖かったね。大丈夫かい?お嬢ちゃん。お父さんかお母さんはいるかい?」 そう聞いた。 私は首を振って、父と母が殺されてしまった事を老婆に告げる。 老婆はそれを聞いて私を強く抱きしめた。 「ごめんね、お嬢ちゃん。お婆ちゃん遅くてさ…。」 心底自分の不甲斐なさを呪うように責める口調でいう。 私はそうだと思った。お婆ちゃんがもっと早く来てくれればお父さんとお母さんは死ななかったかもしれない。 そうしたら、明日も明後日もまた明々後日も一緒に幸せな時間を過ごせたかもしれない。 なんで、なんでもっと早く来てくれなかったの? なんで、なんでもっと早く助けてくれなかったの? 私は老婆に酷い言葉をたくさん投げつけた。それは老婆からしてみれば理不尽この上ない事であったけれど老婆はそれをじっと受け止めて私を抱きしめる。 その時、外で大きな音がなった。 外部で警戒に当っていたテロリストの鋼機がホテルの中の異常に気づいたのだ。 老婆はそれを感じ取って私の頭を撫でて 「本当はもう少し責められてあげたいけど、時間だ…。」 そう告げて、立ち上がる。 その顔には決意の表情があった。 私は老婆が何を考えているのかを察して老婆の裾を掴む。 「ダメだよ、お婆ちゃん次こそ死んじゃうよ…。」 鋼機に挑もうとしているのだろう…。けれどそんなの敵うわけがないと私は思う。 だからこそ、行かせたくはなかった。もう人が死ぬのを見るのは嫌だ。誰かが死ぬのなんてもう見たくない。 けれど老婆そうする私に苦笑して、頭を撫でて言う。 「大丈夫さ、お婆ちゃんはね、無敵なんだ。」 そういって老婆はホテルの外に向かう。 その時、私には戦いに赴く老婆の華奢で今にも朽ちてしまいそうな背がとても雄大に見えた。 そうして人質達の非難を笑い飛ばして、老婆は行く。 戦いはそう長くはかからなかった。老婆は鋼機の攻撃を回避しながらコックピットハッチを強制解放し無力化した。 信じられない光景だった。 まるで映画のヒーローでも見ているかのような出来事。 私もお婆ちゃんのように強ければよかったのに…お婆ちゃんのようになれればお父さんもお母さんも失わないですんだかもしれないのに…。 そういう思いが私の胸を巡った。 強く…強くなりたい。そして――――もう何も失わないようにしたい。 戦いから戻ってきた老婆に私は尋ねた。 「お婆ちゃんはなんでそんなに強いの?」 老婆は笑って答えた。 「それはね、あたしが色々なものを背負っているからさ。」 「背負う?」 意味が理解できずに首をかしげる私の頭を老婆は撫でた。 「お嬢ちゃんの命、ここにいる皆の命、あたしをここまで生かしてくれた人たちの命、そして私をここに送り出してくれた人たちの願い。そんなものが私の背中にある。いいかい、これからお嬢ちゃんも色々辛い目に遭うこともあるだろう…けれどね、お嬢ちゃん。それから目を背けたら駄目だ。それをしっかり背負って、辛くてもその足に力を入れて踏ん張って前に進むんだ。そしたらあたしなんてすぐ超えれるぐらい強くなれるさ。人間は背負いこんだ分だけ強くなれるんだから…。」 老婆はそういってまだ難しいよねと苦笑して去っていく。 それは姿があまりに眩しくて、あまりに高潔で、あまりに優しくて…私はああいう風になりたいと思った。 その姿は私にとって呪いであり、そして憧れになったし、父と母を失って失意の中にあった自分を支える柱になった。 小さなオルゴールがなっている。 その思い出はこの音色と共に今も私の心に刻まれている。 ―6― 走馬灯は終わりを告げ、シャーリーの視界はもはや何も写さない。 体が倒れていくのを感じた。 まるで体が空中を浮いているような感覚。 体が少しづつ斜めになり、床が近づいてくる。 (結局、こうなるのか…。) 過去を乗り越えようとして、過去に押しつぶされつつあるのを感じる。 倒れたらもう二度と立てない。 一生このままだと思う。 けれど、私は過去を乗り越える事なんて出来そうにない。 私はここで終わり…。 乗り越える事なんて―――― 乗り越える? ふと浮かぶ疑問。何かがおかしい。 何かが決定的に間違っている。そうシャーリーの中で何かが叫ぶ。 それはなんだったか…そうさっきも聞いた筈だ。 老婆があの日、あの時かけてくれた言葉。 老婆は、時峰九条はあの時、 ―――人間は背負いこんだ分だけ強くなれるんだから そう――――言ったのだ。 それが人の強さになると…強さとはそういうものだと…。 そうだ間違えていた。 シャーリーは後ろを見る。自分と共にいて命を失ってきた死者の群れがそこにいる。 シャーリーの足を掴み、手を掴み、頭を掴み、指を掴み、肩を掴み、腰を掴み、髪を掴み、鼻を掴み、口を掴み、目を掴んで、必死に訴えかけている。 “私達を置いて行かないでくれと” 目に涙を浮かべて、嘆願するように必死に叫んでいる。 ああ、何故これを乗り越えようなどと思ったのか…。 乗り越えるとはつまりは彼らを過去にして、その全てから目を背ける事だ。 それは今まで自分に託された願いと怒りと悲しみの全てを無に返してしまう事だ。 それでは先の久良真由里と何も変わらないではないか…。 自分がしなければならない事は、彼らを乗り越えるのではなく背負う事…そして背負った上で前に歩き出さなければならない。 それこそが――死んでいった彼ら対して出来る唯一の事なのだから!! 倒れかけていた体を前に足を踏み出し力を入れ支える。 全てが崩れていく音。自分の限界。シャーリー・時峰は時峰九条のように強くはない。 何故ならシャーリー・時峰は時峰九条ではないのだから…。 だが、それが一体なんだというのだ? だからといってそれが諦めていい理由になるのか? 全身に力を入れる。 息は切れ切れになり死者達は重石のように背に覆いかぶさるような感覚。 その重みにすぐに潰されてしまいそうになるのを下唇を噛み締め、踏ん張った。 視界が色を取り戻し始める。 目の前には雪華の紫の機体があった。 体調はまるで改善された感じはなく、むしろ悪くなったように感じる。 だが、シャーリーはそれで構わないと思った。これから先もずっとこんな感覚が自分をつきまとうだろう。だが、それでいい。 シャーリーの耳に死者の声は聞こえなくなった、けれどかわりに視線が監視するように刺さっているのを感じる。 彼らは私が何をするかそれをじっと見ているのだ。 その重責を背にシャーリーは雪華のコックピットブロックに昇り、操縦室に入った。 鋼機の操縦室は狭く閉塞感がある。 雪華は中に入ったシャーリーを認識し網膜チェックの後セキュリティが解除された。 シャーリーは座席に座りゴーグルを付け起動の操作を行う。 エンジンの駆動音と共に機体が少し揺れる。 制御系が動き出しゴーグルディスプレイに明かりがついた。 ディスプレイの中に文字列が走り始めた。 それはまるで無機質なこの機体に命が吹きこまれていくようだった。 ―Standard21 Custom plan Legionater ―AMBW connected -3D thruster connncted ―Demon c.r .sys run -System all green 起動準備が完了。 レバーを握り、シャーリーはまだそれぐらいの力が自分には残されている事に安堵した。 自分の状態は最悪だが、それでもまだ戦うだけの力は残っている。 ならば、この力使わないわけにはいかない。 「いくぞ、雪華。お前からすれば私は頼りないだろうが、まあ、こんな所で何もせずに朽ち果てるよりはいいだろう?」 そう語りかけるように言った後、シャーリーはコンソールを操作し、起動の操作を行う -雪華 wake up そうして、雪華の2つの瞳に光が灯った。 To be continued 結
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D.H.N俺 第4話「謹慎処分明け」 後半部 俺『こちら、俺。敵の進路に依然代わりはないですか?』 坂本『進路変わらず、だが速度を上げてきているぞ』 俺『まったく、めんどうだな』 シャーリー『俺!見えたぞ!』 俺『今から戦闘に入る!敵の進路を阻みつつ、確実に撃墜する!』 シャーリー『俺、どうするんだ?』 俺『まずは敵の速度に合わせつつダメージを与え速度を落とすぞ。その後にコアを破壊する。ああ、あと……』 シャーリー『なんだ?』 俺『ネウロイ化せずに倒す。まだ敵がいるかもしれないしな』 青空に一点の黒粒から微かな赤い線が流れる。 その赤い線は周りの空気を跳ね除けながら俺の横をぐっと通り過ぎた。 いくつも続くその線の流れがだんだんと正確になりはじめた頃に、シャーリーに目で合図を送る。 俺『敵の攻撃に注意を払いながら、装甲を剥いでいけ!俺は進路を妨害しつつ攻撃をしかける!』 シャーリー『わかった!無理するなよ!』 シャーリーは上に、俺はネウロイの正面から速度を合わせ仕掛ける。 一気に距離をつめたネウロイが俺をまず第一の標的と定め、致命傷を狙うビームの乱射。 それに対し、俺はBARで敵のビーム門を確実に狙っていく、もちろんビームをすべて避け通して。 俺『くそっ!火力が足らねぇな』タタタタタタ! シャーリー『じゃあ、二倍だ!』タタタタタタタ! 俺『フリーガーハマーでも借りるんだったな!』 シャーリー『でもこの速さじゃあまり当たらない気もするけどな!』 俺『違いない!このネウロイ、大型と聞かされていたが大きさは大型の幕下だ!』 シャーリー『だけど速いぞ!』 俺『それに余裕でついていってるみたいだが?』 シャーリー『あたしのほうがもっと速いってことさ!』 俺の方に向かってくるビームの軌道を一目で把握し偏光ぐあいも兼ねて大きく避ける。 仕返しにと弾丸の雨を一気にふらせる、銃口から重厚な音をたてて。 さらにカウンター気味のあらゆる方向からのビームを目もくれずシールドで体を守り、後方、前方、横すべての攻撃を無力化する。 3つの黒点がとてつもない速さで空を入り乱れ、駆け巡る。 ヒュン……ビシュゥィィン……タタタタタ!タタタタタタ!パキィィィン! シャーリー『おし!あそこがコアだな』 俺『ネウロイの速度も少し落ちている。完全に再生を済ます前に集中して攻撃するぞ!』 シャーリー『了解!』 俺『俺が一発でコア上装甲の一部分を叩き飛ばす。そこを狙え、できるな、シャーリー?』 シャーリー『まかせろー!』 俺『おねんねしろ、ネウロイ』キュィィィィン… シャーリー『何をするつもりなんだ?』 俺『コアを活性化させ人間ではありえない規格外の一撃を食らわせてやるんだよ。かまえろ、シャーリー』ビキビキ シャーリー『ま、待てって!俺の体は持つのか!?』 俺『直接俺の拳を食らわせるわけじゃ……ない!』ヒュン 右腕に血管がびきびきと浮かび上がり腕に流れる血液量が早まる。その腕にBARを逆にして持ち変える。 少しだけ速度の落ちたネウロイとの距離を素早く詰め、一箇所を狙い見定め……強靭な握力を加えた。 赤いビームを空へと走らせながら、2つの黒点が急所を狙うために何度も交差。 その側でその光景を見据えながら一瞬の時を見逃すまいと、シャーリーはまばたきをせずBARを構える。 ネウロイ〈キィィィィィシュゥゥゥゥゥゥン〉 俺『(雲の中に逃げる気がだろうが……)』ヒュン シャーリー『俺!ネウロイは雲の中で私たちを離す気だ!』 俺『いつだって逃げるやつは、狩られるんだよッ!雑魚がッ!』 一瞬の逃げの姿勢を見逃さず距離を肉薄まで近づいた、狙う一部分のもとへと。 そのチャンスを逃す俺ではない。 力を凝縮、さきほどの間の戦闘でこれだけの衝撃を与えれれば装甲が砕けるであろう程度の。 剛力のみちた両腕に握りしめたブローニング自動小銃を振りかざす。 俺『砕けろ』ヒュン ネウロイ〈―――キュィィィィィィンッ!!〉ズゴッシャアアアアアアアン! 本来の用途を超えた使用方法。ハンマーの如く振り下ろされた物体。 少量の血が拡散、小銃は粉砕、甲高い悲鳴が上がる。 それは敵の殻を豪快な音を立てて打ち砕き、響き渡る金属音とともに白塵をめいっぱいに散らせた。 内には真っ赤な敵の心臓―――コア。 俺『いけぇっ!』ピッ シャーリー『終わりッ!』タタタタタタ! ガガガガガガガガガガガッ……ピシッ! パキィィィィィィィィィィィィィィィィィィン―… 確実な状況を得た、シャーリーのコアを目掛けた射撃。 流し込まれた銃弾により見事敵のコアを破砕。 それと同時に、体裁を保てなくなった敵はまばゆい光とともに爆発するように砕け散った。 シャーリー『よっしゃぁー!!』 俺『よしっ!!』 パァァンッ! そこで高い音を空に響かせてハイタッチ。 気分の高揚が実に心地いい。 シャーリー『お~、結構手間はかからなかったな~』 俺『敵は速いだけだったからな。……最後、よく狙い撃てたな』 シャーリー『ん?』 俺『高速度でコアだけをめがけて撃ち通すのはなかなか難しいんだぞ。よくやった』グッ シャーリー『そりゃ一応訓練してるからな。まぁ俺がチャンスを作ってくれたから、ミスするわけにもいかないしな!』 俺『そりゃ、ありがたいな』 ザザッ― 坂本『シャーリー、俺。こちらでもネウロイの消滅を確認した。お疲れ様だ』 俺『じゃあ今から帰投します』 坂本『ああ、気をつけてな』 俺『ふぅ。じゃあ帰るか、シャーリー』スッ シャーリー『へ?』 ふと手を伸ばす。 なんとなく信頼の意味も含めて握手でもしたかったのだろうけども。 少し違う意味に捉えられたのかもしれない。 シャーリー『え、えっと手をつないで帰るのか?』 俺『あ……えーと。あー……まぁ、それでいいか』 強引だ、と言われて少し怒られるかもしれないが、俺はシャーリーの手をとった。 そのすべすべの手(軽く汗ばんでいるが)を軽く握りしめ、基地へと向けゆっくりと飛び出す。 若干照れ隠しに微笑むシャーリーの表情が可愛かった。 シャーリー『あ、あははっ……ち、ちょっと汗かいたし帰ったらシャワーでもあびるか~』 俺『じゃあ俺はそのあとで浴びるか』 シャーリー『今日も一緒にはいるか~?』 俺『ぜひ……じゃなくて、はいらないぞ。絶対に入らないぞ』 シャーリー『あははっ!でも坂本少佐が裸の付き合いは必要だー!っていってたぞ』 俺『それは同性同士の話だ』 シャーリー『そういえば俺はまだ生身でも戦えるんだな~、いったいどこに魔法力があるんだ?』 俺『人体拡張反応コアが基本的に魔法力を補充している。たぶん近々詳しい話をすると思うぞ』 シャーリー『近々ってどういうことだ?』 俺『なんとなくそんな気がしてな。勘は当たる方なんだ』 シャーリー『よし!じゃあそんときにしっかり聞くからな。ちゃんと包み隠さず話すんだぞ』 俺『そうは言われても機密事項もあるからなぁ』 シャーリー『みんな密かに知りたがってるんだぞ』 俺『はぁ……言えることだけ話すさ。それにしてもなんでそんなに知りたがるんだ?』 シャーリー『あ、いや、なんとなくだよ!』 あたふたするシャーリーを見つつ、基地が見えてきたので少しずつ減速させる。 表情がころころと変わって見てて飽きないやつだ。 最初はどうなるかと思ったが、なんとかここでやっていけそうな気がする。 最後まで。 それから一日経って宮藤とリーネ、ペリーヌの三人が無事?修行を終えて帰ってきた。 少々愚痴でも垂れるのかと思いきや、またアンナさんのとこいきたいね、などと話していた。 端っこでその様子を伺っていた俺は二度と行きたくないと思っていたのだ。 宮藤「基地が懐かしいな~」 ペリーヌ「基地を離れてからそんなに経っていないでしょうに」 俺「あのばあさん、めんどくさかっただろう?」 宮藤「あ、俺さん。全然いい人でしたよ!」 リーネ「いい人っていえばちょっと違うかもしれないけど……」 ペリーヌ「ふん、二度と見たくありませんわね」 坂本「まぁそういうな、ペリーヌ。で、全員修行の方はちゃんとできたのか?」 リーネ「はい!ちょっと時間がかかっちゃいましたけど」 坂本「ふむ。じゃあ明日からまた訓練に戻るぞ」 宮藤「えぇ!?少しは休ませてくださいよ~……」 坂本「何を怠けたことを言ってるんだ。お前たち三人はただでさえ戦線を離れていたというのに」 俺「今日はゆっくり休むといい。ご飯はシャーリーたちがつくってくれてる」 ペリーヌ「今日は疲れましたからすぐに寝たほうがいいですわね」 坂本「ペリーヌ、今日はしっかり体を休めておけよ」 ペリーヌ「はいぃ、少佐!よければ今日もお風呂にご一緒してもよろしいですか!?」 坂本「おっ、全然かまわないぞ。みんなで入るほうが楽しいからな」 宮藤「あ、じゃあ私も一緒に~」 ペリーヌ「くっ……この豆狸……私と少佐のひとときを邪魔しにかかるなんて」 宮藤「べ、別にいいじゃないですか~」 リーネ「それじゃあ私も一緒にはいろうかな……」 ペリーヌ「リーネさん!あなたまでも!?」 俺「じゃあ俺も―――はい、冗談だ、坂本。そんなに睨むな」 坂本「言っておくが、入ってくるなよ?」 俺「この間のは気づかなかっただけだ!別に悪意はない!そ、それにシャーリーは許してくれたからな」 宮藤「え?何をですか?」 俺「あ、いやなんでもない」 宮藤「え~、教えて下さいよ~!いいじゃないですか」 俺「言えるか!」 宮藤「なんでですかぁ?もしかしてやましいことなんじゃ……」 俺「べつに俺はやましいとは思ってないぞ。あれはミスだ、ミス」 宮藤「じゃあ教えてくれてもいいじゃないですか~」 しつこく俺から聞き出そうとしてくる宮藤を若干避ける。 シャーリーと一緒に風呂にはいったなんてこの三人に聞かれたらたまったもんじゃない、例えそれがわざとじゃなくても。 シャーリー「おーい!みんなー、ご飯できたぞー」 俺「おっ!夕食ができたみたいだからいくぞ、宮藤」 宮藤「あ!俺さんってば!あとで教えて下さいよ!」 俺「めんどうだ」 坂本「宮藤、そのことならシャーリーに聞くといい」 俺「おい、坂本!よ、余計なことをいうな」 坂本「ふっ、私とて口がすべることがある」 俺「何を白々しそうに―――」 ―――…… …… 第4話「謹慎処分明け」終わり 第5話「憂愁のロマーニャ」へ