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出典:八月のシンデレラナイン、アカツキ(開発・運営)、KADOKAWA(プロモーション協力)、2017年6月27日配信開始 【設定】この世界の女子高校生野球選手は、平然と投手が時速160kmの球を6回くらいまで投げ続け、その投手相手にコールド勝ちや盗塁もモブですらできるなど どう低く見積もろうとも男子プロ野球選手並みの身体能力があるためそれ相応とする。 当然御厨もコールド勝ちや盗塁は可能である。 【作品名】八月のシンデレラナイン 【ジャンル】アニメ化された野球のソシャゲ 【名前】御厨あや音 【属性】鈴風高校のエース 【大きさ】女子高生並み 【攻撃力】【防御力】大きさ相応の男子プロ野球選手並み。野球バット所持 【素早さ】御厨は【設定】の身体能力を持つ彼女たちの中でも走塁が自慢であり、鈴風高校最速であるとされる。 そのため移動速度は大きさ相応の男子プロ野球選手トップ層並みはあるか。 それ以外は男子プロ野球選手並み。 【長所】実は京言葉の茶人。あと胸が大きい 【短所】早くプレイアブルキャラとして実装してほしい 【戦法】バットで殴る 【備考】ライバル校のエース 参戦:vol.106 600 画像:vol.106 600 vol.106 600格無しさん2020/12/30(水) 15 06 12.11ID +Sdyg32M 自己考察 要するにバットを持ったちょっと背の小さいプロ野球選手 移動速度だけちょっと速い ○針麗、しんじ、朝倉涼子 先手撲殺勝ち ○謎の仮面の剣士 反応で勝っているのでいけるか ×ルイジーニョ・エメルソン 反応同じなので飛び道具で失神負け ×竜宮レナ 似たようなものだがでかい鉈の方が上か、負け ×カイゼル・フォン・バッハブルグ 蹴られて負け ×エミリー・ドーン 催眠負け ルイジーニョ・エメルソン>御厨あや音>謎の仮面の剣士
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ちょっといじわる 結婚記念日 長門とアイス キーワードは恋愛 甘える キョンの告白 長門さん、へい! 涼宮ハルヒの願望 涼宮ハルヒの奇跡 涼宮ハルヒの理想 甘いプリンの秘密 涼宮ハルヒの決意 夏の夜の・・・ 不治の病 未来 お揃い 『居眠り』 涼宮ハルヒの発熱 おとめごころ 長門と古泉 Strawberry Of Shortcake それって迷信じゃないのか? カンケリ 進路 年明けバカポー 凡人に泣いた日 ニチジョウ 従順なハルヒ 寒中暖あり ONE DAY ON THE SNOW ツンデレマフラー ピロートーク Pretty Devil Remedy of love 桜風 俺の右隣には アル雨ノ日ノコト 日常じゃない日常 4月1日の長門 結婚後の橘キョン アフター ザ ナイトメア ミッドナイト・コーリング アニマル涼宮(旧題動物シリーズ) バカップル保守 胸焼けプリン 朝倉涼子のグサデレ 魅惑の王様ゲーム 最後の王様ゲーム 喜緑さんinハワイ 頑張って朝倉さん 喜緑さんその3 喜緑さんその2 喜緑さんその1 犬を飼ってみた喜緑さん アホな会長さん Sな喜緑さん 森園生の電子手紙(森さんと国木田) 霊なのか夢なのか 霊なのか夢なのか現実なのか あついたたかい キョンの病欠 涼宮ハルヒの病欠 絆創膏(ハルキョン) 柔い痛みに絆創膏 待たせたな。 お待たせしました。 有希化粧 きみろりさん 素直になれたら ハカセ君の愛妻 時々夏、ところにより冬。そして… 涼宮ハルヒの回転式機関砲 (ハルキョン) キョンの欲望 (ハルキョン微エロ) ハルヒが顔に怪我しちゃった保守 月曜日 ハロウィンという名の 筆談騒動 新川さんちで晩ご飯 義務=権利? 落葉樹 キョンとハルヒの入院生活 キョンとハルヒの事実婚生活 初冬の月夜 キョンフィルター強制解除 一足遅いクリスマス 初詣で初冗談 未熟なフタリ カッターの刃と鮮血の呪い She loves him. バレンタインイブ 夢の中なら 想い出の場所で 聖バレンティヌスに乾杯 二人で… kick start, my heart. ハルキョンのグダデレ ササッキーの『キョンとラブラブ大作戦』 Think of K 熊と魔法使い
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長門有希は文芸部員兼SOS団の団員である。そして、宇宙人の作ったヒューマノイドインターフェースでもある。 今日もいつものように放課後の文芸部部室で、人を撲殺出来そうな厚さの本を読んでいた。 部室には有希の他に、SOS団団長、涼宮ハルヒ。 超能力者で、機関の構成員の副団長の古泉一樹。 未来的萌えマスコットキャラ朝比奈みくるが居た。 3人は今日、ある共通の話題を話していた。 ハルヒは不機嫌そうに、一樹は笑顔の奥に不安を隠し、みくるは俯き一樹の様に不安を隠せずに。 「さて、彼が来なくなって一週間以上が経った訳ですが・・・」 「キョン君・・・本当にどうしちゃったんでしょうか・・・?」 先週から4人以外の団員、本名は不明の団員であるキョンという名の男子生徒が学校に来なくなっていた。 そのことについて3人は話していたのだ。有希は本を読みながら3人の話を聞いていた。 「電話をしても出ないし・・・風邪じゃ・・ないですよね・・・?」 「あの馬鹿が風邪なんか引くわけ無いでしょ!馬鹿は風邪を引かないって学会で証明されてるのよ・? きっと、そう、あれよ!キョンは暗いところがあったからヒッキーになっちゃったのよ 許せないわね、学校はともかくSOS団を無断欠席するなんてSOS団に有るまじき許されない行為だわ! これからキョンの家に行って引き摺りだして来るわよ!?いいわね?」 「そうですね、何かあったのなら家族の方にも事情が聞きたいですしね」 「有希も行くでしょ?」「……………」 コクリと、有希は無言で頷いて分厚い本を閉じた。 SOS団一行は学校から真っ直ぐにキョンの自宅に向かった。 「しかし・・・彼も全く困ったものですね 彼のお陰で涼宮さんの閉鎖空間の発生確率が通常の3倍です。 最近は落ち着いてきて安心しきっていたらこれですからね」 「涼宮さんもキョン君が居ないとなんだかイライラしてて落ちつかないようですからね・・・」 「えぇ、僕も彼の顔を見ないとムラムラして来ますよ」 「「………」」 「・・・・・・時に長門さん、彼について何かご存知な事はありませんか? 例えば長門さんとは別の派閥の者が動いていた事は無かったか、等です。 何かがあったにしても彼なら何かしらの連絡をくれるでしょうし 学校を休む、それも無断でです。今までの彼なら有り得ないことです。 何か異常事態が発生して、彼は連絡と取れない状況下にある。 また、あるいは彼自身に何かが起こっている・・・」 「わからない。……異常は検知出来ていない」 「・・・そうですか。 長門さんにもわからないとなれば本当に涼宮さんの言うとおり塞ぎ込んでいるだけかもしれません・・・、ね」 ハルヒはムスっとした顔のまま3人と話そうとはしなかった。 その後一行は無言のままキョンの自宅に着いた。 ハルヒは物凄い勢いでインターホンを押した。 少し待っているとキョンの妹が出て来た。 「あっ!ハルにゃん!それに有希ちゃんにみくるちゃんに阿部さん!」 「古泉です」 「こんにちは妹ちゃん、ねぇ、キョンいる?」 「・・・キョン君ね、ずっと前から部屋の中から出てこないの・・・ でね、声かけると『うるさい!』って怒鳴って怖いの・・・なんだかキョン君じゃないみたいなの・・・ ねぇ・・・ハルにゃん・・・キョン君どうしちゃったのか知ってる?」 「そう・・・ちょっと上がらせてもらうわよ。みんなも一緒に来て!」 一行はキョンの妹を加えてキョンの部屋前に来た。 最初ハルヒがドアを開けようとしたが内側から鍵がかかっていて開かなかった。 「ちょっとキョン!あけなさい!妹ちゃんまであんたの事心配してるのの? あんた何とも思わないの?聞いてるんでしょ?四の五の言わなくてもいいから開けろ!」 「キョンくーん、あけてー・・・」 「ほら、あんたの大好きなみくるちゃんも言ってるでしょ?開・け・な・さ・い!」 そう言うとドアの内側から鍵の外れる音がして、ドアが開いた。 ドアの向こうにはキョンと思われる人間が立っていた。 「・・・キョン・・・・・・?」 ドアが開いた先には痩せこけ、全身からは生気が一切感じられないキョンが居た。 ハルヒたちは最初、それがキョンでは無く橋の下でうろついているホームレスが キョンの代わりに部屋に居座っていたと思ってしまったぐらいだった。 恐らく一週間以上部屋から出ていなったのだろう。 臭いの元を想像したくないほどの臭いが漂ってきていた。 「・・・なんだよ、うるさいだろハルヒ わざわざ大声出さなくてもちゃんと聞えてるぞ」 「あんた・・・キョンよね?・・・大丈夫なの?」 ハルヒはキョンを見て、文句を言うよりも先に今の姿を心配してしまった。 流石のハルヒも今のキョンの状態が異常である事に気付いてのだ。 「何言ってんだ?大丈夫なわけないだろ? もうな、疲れたんだよ。お前に振り回されるのも。 後ろの3人のくだらない相手をするのもな・・・ってこれは禁則だったか? ま、どうでも良い事だがな。いい加減迷惑だ、俺は一般人なんだ、お前らと居るのにはうんざりなんだよ・・・」 「…」「そんな、キョン君・・・うそ・・・」 「わかったらさっさと帰ってパトロールでも何でも勝手にやってくれ 俺を巻き込むのはもうやめてくれ、ほら、帰れよ」 キョンは涙の後のある血走った目で、4人を睨んだ。 「お前ら・・・そう、お前らのせいだよな。 お前らのせいで俺は何度も殺されそうになった。 わがままに付き合わされて、奴隷の様にも使われた。 俺が何かしたか?お前らに迷惑の1つでもかけたか? 俺が悪いのか?そうなのか?お前らにそういう扱いをされなきゃいけような事、してたか? ・・・疲れた。もうどうでもにでもなりやがれ。世界が終わろうが俺には関係無いね」 「そ、そんな事無いです・・・キョン君は・・・その・・ごめん・・なさい・・・ 私のせいですよね。あなたを巻き込んで・・・うぅ・・・っ・・・」 「朝比奈さん、謝らなくていいんですよ。ただ俺の前から消えてくれればいいだけなんです」 「ちょっとキョン、あんた何よ!言いすぎじゃないの? だいたい何よ、世界が終わるって、変な小説の読みすぎで頭おかしくなったんじゃないの?」 「お前が言うなよ。何度も言わせるな、帰ってくれ」 「・・・あなたらしくはありませんね。 あなたは何だかんだと言いながら今までの状況を楽しんでいたはずです。 それが急にこの心変わり、何かあったのでしたらお話をききますが?」 「気付いただけだよ」 「…………失望した」 「あぁ、そうしてくれた方が俺も楽だ、さぁ、帰ってくれ!」 その後キョンはドアを閉め鍵をかけ、また部屋にとじこもってしまった。 キョンの妹は兄の突然の変化に驚き、困惑し、訳もわからず泣いた。 4人は同じように泣いているみくるを連れてひとまずキョンの妹も一緒に喫茶店に行った。 「ねぇ、有希、古泉君・・・。 あいつをあそこまで追い詰めたのって・・・あたし・・・?」 「………違う。私のせい」 「涼宮さんのせいなどではありませんよ。 ・・・いささか僕も彼に無理をさせていたかもしれません。 ですが納得がいかない部分が大きすぎませんか? 突然です、ある日突然彼がああなってしまうとは普通考えられませんよ」 「わたしが・・・キョン君を・・・『禁則事項』なのに・・ もう・・・ごめんなさい・・・ごめ・・・」 「朝比奈さんも気に病む必要はありませんよ 何故、彼がああなってしまったのか調べるのと 彼を正気に戻す方法を考えるしかありません 今はそれを優先すべきではないでしょうか?」 「・・・キョン君・・ごめんなさ・・ごめ・・・ごめんなさい・・・」 「・・・長門さん、朝比奈さんと涼宮さんと、あと妹さんもですね。 お願いできますか?急用が入りました」 「……解った」 有希はまず、3人を鶴屋さんの家に連れて行った。 鶴屋さんの所ならば色んな意味で安全だと判断したからだ。 みくるとキョンの妹は泣くだけでまともに歩く事もままなら無い状態。 それにキョンの妹をこの状態のままであの家に1人置いておく事は出来ないからだ。 幸い、鶴屋さんは快く受け容れ。とりあえずは、2人を床で寝かせてくれた。 「深くは聞かないけど何があったのかは教えてくれないかなぁ。 流石のあたしもみくると妹ちゃんがあの状態になってるの理由を聞かないわけにはいかないよっ」 「あたしが・・・キョンを壊しちゃったの・・・だから・・・」 「あのキョン君が壊れた・・・?うーん、あのキョン君がねぇ・・・?」 「あなたに責任は無い。全てはわたしが彼を守りきれなかったせい。 だから彼は重度のストレスにより精神を異常を来たした。 全てわたしの責任……」 「まぁまぁ、有希っこも自分も追い詰めちゃいけないよ。 何が原因なのかあたしはわからないけど・・・なんていうのかな。 キョン君が何かを抱えて、壊れてしまっててもその彼を支えて力になってあげるのが 友達の役目だと思うにょろよ。今は責任とか難しいことを考えるよりも。 キョン君をそっと包んであげるのが一番だと思うにょろよ」 「・・・そうよね、キョンを元に戻してあげないと、そうよね!うん!」 「……」 コクリと、長門は頷いた。 落ち着きを取り戻したハルヒはひとまず自宅に戻った。 その後有希はみくるを鶴屋さんに頼み、キョンの妹を聞いた親の勤め先に送った。 有希はそのままマンションに戻った。 有希は鶴屋さんの家ではああは言ったが、後悔していた。 キョンに言った一言を。自分の今までの行動を。 『…………失望した』 失望され、叱責されるべきは自分だ。 彼を追い詰めた。 彼の悩みに気付けなかった。 彼は私を気遣い、いつも見てくれていたのに・・・。 『…………失望した』 「…そう」 『…………失望した』 「私に」 『…………失望した』 「…………」 有希の携帯に、古泉から電話が来た。 【長門さん、もしもし、僕です。 閉鎖空間が全世界に展開されてもうダメかと思いましたよ。 数は半端じゃなく規模も今までの物とは桁違いでした。 ですが、先ほど突然自己収縮をし全て消えてしまいました。 これは涼宮さんが・・・なるほど、流石鶴屋さんですね。 ですが問題はこれからです、彼をこれからどうするか・・・。 具体的な方法は僕には思いつきません。何か名案はありませんか? そうだ、彼は愛情に飢えてるんですよ!!そう考えるなら納得がいきます。 恐らく彼の心は枯れた川のようになっていると考えられます。 その渇きのストレスを他人に意味も無くあてているのでしょう。 そうとわかれば僕がここで一度彼に最大級の】 プツ 「………」 男は、笑っていた。 計画通りに事が進んでいる。 前々から種を蒔いていた甲斐があった。 これで満足の行ける結果になるだろう。 次の日、キョンを除く4人は放課後SOS団部室に集まっていた。 ハルヒは団長席座りどこかウキウキしたようで。 古泉は合いも変わらず。 みくるはメイド服は着ないでイスに座り俯き。 有希はページもめくらずただ本の一点を見つめて。 「今日はここで解散、みんな帰って良いわよ! あたしはこれから1人でキョンのうちに行くから! 3人は着いて来なくても良いからね」 そう言い残しハルヒは団員を残してダッシュで部室から出て行った。 ハルヒは考えた、キョンに謝ろう、そして抱き締めよう。 きっとそうしたら正気に戻ってくれる、何故かそんな確信があった。 謝って、謝って、心から謝れば、絶対キョンは許してくれる。 許してくれないはずは無い。許してくれるに決まってる。 「だって・・・キョンだもん・・・」 ハルヒはキョンの家につくとキョンの妹に挨拶もせずキョンの部屋に向かった。 ドアを開けようとするがやはり鍵がかかってあかない。 「キョン、昨日はごめんね、あたしが悪かったわ。 ねぇ、だから開けて、謝りたいのよ」 「・・・帰れ、帰ってくれ」 「もうあんたを扱き使ったりなんかしないわ。 今までやった事全部謝る・・・だから・・・」 「あ・・・・・俺は・・・っ!?なんだこれ、逃げろハルヒ、来るな!」 「・・・キョン?」 「ハル・・・に・・・・・・帰ってくれ」 「どうしたのよ?・・・キョン・・・?」 「帰れ」 「開けて、謝らせてよ・・・」 「帰らないと」 「・・・?」 「殺す」 その声は、ハルヒの知っているキョンの声には聞えなかった。 その声は、本気で自分を殺すつもりの声だった。 あぁ、もうキョンはダメなんだ。手遅れなんだ。 もうキョンは今までのキョンじゃないんだ、もうキョンは死んじゃったんだ。 自分が殺しちゃったんだ。キョンを殺したんだ。 ハルヒは、そう悟った。 ハルヒはそのままキョンの家から出て行った。もう二度と来ないと心に誓って。 そもそもどうしてこんな事になってしまったんだろう。 どうしてキョンが壊れてしまわなきゃいけなかったんだろう。 どうしてキョンにもっと優しくしてあげられなかったんだろう。 どうして、どうして。どうして? 「でも・・・全部あたしが悪いわけじゃない・・・」 ハルヒは誰かのせいにしてしまわないと、心が押しつぶされそうに思った。 そう考える自分を、さらに嫌に感じていた。 …そうよ、あたし1人が悪いわけじゃない・・・。 みくるちゃんも、一樹君も・・・そう、有希だって・・・。 有希・・・。有希? そういえばキョンはいつも有希の事を見ていた。 そうよ・・・。有希が悪いのよ・・・・・・・・・。 感情の矛先は有希に向いた。ハルヒは、こう考えた。 キョンはいつも有希の事を見ていた。 それはきっと有希の事を好きだったからだ そして、一週間前有希にその気持ちを伝えたんだ。 でも、有希はキョンを振った。そして、キョンはショックで死んだ。 そうに違いない。そうとしかハルヒは考える事が出来なくなってしまっていた。 「キョン、キョンの苦しみをあたしが晴らしてあげるわ。 そして、あたしもキョンの所に行くわ。 でもその前に有希を・・・有希には・・・」 ハルヒも、壊れた。 だがハルヒは笑っていた。 いつかのように。 ハルヒは学校には普通どおりに登校していた。 前の席は詰められ、ハルヒはキョンの座っていたイスに座る事になった。 クラスメイトは、ハルヒにとって唯一の親しい友達と言えるキョンが学校を辞めてしまって またハルヒが以前のようにイライラして、そのとばっちりが自分にかからないかと戦々恐々だったが、意外にもハルヒはそんな事にはならなかった。 むしろ以前よりもよく笑い、活動的になっていた。 「あたし部活に行くから、またね!」 「じゃあね涼宮さん!」 「それにしても涼宮さん、前からは考えられないくらい変わったよね」 「うんうん、ky・・・誰だっけ?いつも彼女と一緒にいた紐が退学してどうなるかと思ったもん」 「彼がやめてこうなったのなら彼に感謝しなきゃね(笑)」 「名前なんか忘れたけど(笑)」 文芸部室には有希と一樹が居た。 有希は相変わらず分厚い本を読み、一樹は普段とは打って変わり真面目な顔していた。 「思っていたよりも事態は深刻のようですね」 「……彼の存在が北高生徒において異常なまでに希薄化している。 これは学校外でも同様かと推測される」 「これは、涼宮さんが無意識に彼の存在を独占しようとしているから、そうですね? 今までは微量にその兆候がありましたが涼宮さんは踏みとどまっていました。 それは彼女が内面では一般的、常識的理性を持っていたからです。 ですがここで急にその理性のたがが外れた・・・。 これは言ってしまえば巨大ダムが崩れたくらいに危険です。 彼女の理性がもはや意味を成さないとされば。 世界の法則が文字通り変わってしまいかねません」 「……今はその兆候は見られないがその可能性は大」 「ではその危険を回避する方法はないのでしょうか? 例えば長門さんの力で涼宮さんの力に一時的なロックをかけるとか・・・?」 「無理。涼宮ハルヒの能力は私たちの能力とは別次元。 その力の元に干渉し改変することは不可能。 出来たとしても情報統合思念体は許可しない」 「そうですか・・・」 「………それに、私の廃棄も検討されている」 「それはどういうことです? 長門さんまで居なくなってしまってはまた涼宮さんが不安定になって不利なのd」 「私はあれから、何度も涼宮ハルヒに消されかけた」 「消されかけた・・・?涼宮さんが・・・?」 「おそらく涼宮ハルヒは私を邪魔と考えている。 私への興味を無くしている、だから」 「あの涼宮さんが・・・何かの間違いという事は無いんですか?」 「私の存在を消す事を出来るのは情報統合思念体と私と同じインターフェースと涼宮ハルヒのみ」 「ではやはり、情報統合思念体があなたを消そうとしたのでは?または別の派閥が・・・」 「……この話はおしまい。涼宮ハルヒが来る いつものように、そう、いつものように大きな音を立てて部室のドアをハルヒは開けた。 「遅くなってごめーん!あら、今日もみくるちゃんはまだなの? もう、しょうがないわね・・・」 「涼宮さん、今日も元気そうでなによりです」 「一樹君も良い男で結構なことだわ、それと比べて・・・」 ハルヒはこれ以上無いというくらいの憎しみを込めて有希を睨んだ。 一樹はそのハルヒの目を見て、一瞬笑顔を崩してしまったほどだ。 有希はただ黙々と本を読んでいた。 「……」 「有希はあいさつも無しなの?無愛想にも程があるわ。 キョンでも・・・キョンでも一言は言葉をくれてたわよ?」 「………」 「・・・・ねぇ有希」 ハルヒは、自分でもぞっとするくらい冷たい声で言った。 「どうしてあんたがここに居るの?」 一樹はもう有希とハルヒを一緒の場所に居させてはいけないと考えた。 このままだと双方にとって良い方向になど向かわないだろう。 何より、今この空間に居る事で一樹の胃はキリキリと悲鳴を上げていた。 「ねぇ、なんでいるのよ? キョンが死んじゃったのはあんたのせいなのに・・・どうして平然としてるの? 罪悪感の欠片も無いの?・・・もともと感情の少ない子だと思ってたけど・・・。 あんた・・・人間じゃないんじゃない?」 「ちょっと、待ってください、涼宮さん。 長門さんは彼には何も・・・」 「古泉君は黙ってなさい」 「ですg」 「 黙 っ て ろ っ て 言 っ て る で し ょ ! ! 」 「・・・・・・」 「……そう、全て私の責任」 「ならどうしてここにいるの?キョンが居ないSOS団なんていらないわ!! 有希もいらない、どうして消えてくれないの!?」 「……」 有希は本を閉じて部室から音も無く出て行った。その背中にはハルヒの刺すような視線が突き刺さっていた。 有希は部室から出た後、そのまま自宅のマンションに向かった。 その帰路の途中、一樹から携帯に電話がかかった。 【長門さん、先ほどはすみません。 実は、お願いと言ったらいいのでしょうか。忠告とお願い半分です。 今度一切涼宮さんには近づかないで頂けますか? これはあなたのためでもあります。 これ以上長門さんと涼宮さんを接触させてはいけないと僕は判断しました。 上も同意してくれました。 お願いです、涼宮さんの視界に入らないでください。 それが今は一番なんです、えぇそう、彼が居ない以上、今は・・・。 冷たい事を言うようですが・・・そうですか、すいません】 「………そう」 その夜、長門はキョンの豹変の調査をするためキョンの部屋に忍び込んだ。 それは長門にとって最後の任務だった。 この任務が終われば有希は完全に消される予定だった。 自分の体にシールドを施し、キョンの部屋に潜入した。 キョンはベッドの上で体育ずわりをしてずっと虚空を見つめていた。 その表情は、見たことも無いような安らかな笑顔だった。 「………」 やはり、自分が彼をこんなにしてしまったのだ。 そして今日その責任を取って私は消える。 最後に彼の顔を見て、彼の側で消える事は、私には許されるのだろうか。 「…!」 一瞬、キョンの姿がぼやけた。 まるでカメラのピントあわせをする時のように。 瞬間、微量の情報改変を有希は確認した。 その改変パターンに有希は見覚えがあった。 有希はシールドを解き、姿をキョンの前に現した。 「長門・・・こんな所に来ても・・・」 「…………やはりあなたの詰めは甘い」 「・・・ふ、何のことだ?」 「あなたは彼の体を乗っとった、朝倉涼子。 恐らくあなたの目的は彼を乗っ取る事でSOS団の人間関係を破壊し涼宮ハルヒの情報フレアを観測すること」 「やっぱりあなたには」 その瞬間キョンが身体が崩れるように、朝倉涼子がキョンの中から現れた。 「敵わないわね」 「でも今回はあなたも頑張った、でもわかったからには彼を取り戻す」 「あ、それ無理♪」 「私だって無駄に時間かけてきた訳じゃないもの。 あの時一度あなたに消されたとき、私は私を構成する情報の一部をキョン君に仕込んだの。 それからじっくり、私の情報を培養して、彼を構成する情報と入れ替えてたの。 もう彼の痕跡は無いわ、家族もほぼ完全に手中に収めてあるし。 もちろんあなたにばれないようにずっと注意して、ね。 そうそう、この子可愛いかったのよ。あなたの事を・・・あ、これ禁則だったぁ♪」 「……」 「で、どうするの?何をするにももう手遅れよ? 私を消しても、私の勝ちには違い無いもの」 「……」 有希は絶望した。 自分の甘さが、あの時気付いていれば・・・。 キョンを殺さずにすんだ。 そのキョンも、もうこの世の存在していない。 有希は、初めて涙を流した。 いつも自分を見て、気遣い、優しくしてくれ彼は。 図書館に連れてってくれた彼は。図書カードを自分のために作ってくれた彼は。 もう居ない。 朝倉涼子に乗っ取られ、消されてしまった。 自分も知らないうちに、おそらく自覚も無いまま意識が入れ替わり そのまま彼は身体ごと、精神ごとこの世から消えてしまった。 「あら泣いてるの?長門さんが涙を流すとこなんて始めて見ちゃったぁ ねぇ、悲しい?ねぇねぇ、自分の好きな人が死んじゃって悔しい? うふふ、そんな事無いわよね。長門さんにそんな感情なんて元々無いもんね」 「……ち……ぅ……ちが………」 「何が?気のせいでしょう? きっといつかみたいにエラーがたまってバグっちゃってるのよ。 あの時は流石私も焦っちゃった。でも面白い物が見れて楽しかったわ」 もう有希の顔は涙で濡れ、目は真っ赤になっていた。 心は、もう崩れていた。 有希は涙を拭いて、朝倉涼子を睨んだ。 せめて、この女だけは消さないと、気がすまない。 「私は、あなたを消して、私も消える」 「なぁに、敵討ち?そんなの今時流行らないわよ? 大人しく引き下がって学校で本でも読んでたほうがあなたも・・・」 朝倉涼子の足が砂のように輝き、さらさらと崩れていく。 有希が朝倉涼子の情報連結を強制解除したのだ。 「………」 だが、突然朝倉涼子は笑い出した。 まさに上手く行き過ぎてこれほどおかしい事は無いと言うように。 「気付かないの?もしかして私が言ってた事本気で真に受けてた? キョン君の身体を乗っ取っているのは本当だけど。 実際は彼の情報の表面を変質化させてるだけ。 まだ、私の中で生きてるのよ?たまに正気に戻って困ってたんだから。 でもどっちにしろ彼は死ぬ、私と一緒に。 ・・・この情報結合解除はもう手遅れでしょ? せめて最後くらいは彼と話させてあげる・・・うふふ」 腰のあたりまで消えていた朝倉涼子の上半身が、キョンの姿に変わる。 「………!!」 「長門・・・悪かった・・・」 そこには彼が戻ってきた。 間違い無い、本物の彼がここにいる。 でも、またすぎに消えてしまう。 私が消す。 キョンは有希をじっと見つめていた。 その眼差しはまるで娘を見るような優しいものだった。 「長門、お前が気に病む必要は無いぞ。 俺が油断してただけだからな。 ・・・お前には辛い思いをさせて本当にすまない。 これだけは言わせてくれ。 俺はお前たちと居て迷惑だなんて思ったことは一度も無いぞ。 確かに色々と面倒ごとには巻き込まれ方かもしれん。 だがそれは俺だって自分から首を突っ込んでいったからだ。 ・・・本当にごめんな長門。 お前にはやっぱり最後まで世話をかけてばっかりだな・・・」 「嫌………駄目…」 「どうにもこうにもならないようだしな、まぁ、元々ここまでだったんだろう。 後悔は無い事も無いが・・・あ、お前を責めてるわけじゃないからな!」 有希はもう胸までしか無いキョンを抱き締め、耳元で何度も何度も謝った。 「だからお前が気に病むな・・・頼む」 キョンも有希を抱き締め返そうとするが腕も砂ようにさらさらと崩れた。 有希はそうしてるうちも色々な手を打っていたがどれもキョンが崩れるのを止める事は出来なかった。 恐らく朝倉涼子自身がこの情報結合解除をキャンセルできないようにロックしてあるのだろう。 有希は、いっその事自分も消えてしまおうと考えた。 それくらいの事は簡単に出来た。 有希の身体はザラザラとキョンが崩れるよりも早いスピードで崩れていった。 「・・・!?長門、馬鹿よせ!」 「大丈夫……」 そう言い、有希はもう首だけのキョンの唇に自分の唇を合わせた。 「・・・・・・」 キョンは有希の意図を理解し。 思っていたよりもずっとやわらかいな、という感触を感じた。 そして白く輝く、まるで白雪姫のような有希を見て、消えた。 有希はキョンだった砂を抱き締め。 どこか笑顔に見える表情のまま崩れて消えた。 最後に、最後だからこそ有希は笑えたのかもしれない。 鍵は消えた。まさに消失した。 もう二度と扉は開く事はないだろう。 鍵は消え、そして扉も開く事無く壊れてしまった。 いつか新しい鍵が表れようとも、その扉は開く事は無い、永遠に。 そう、ハルヒが、望んだからだ。 ----おわり----
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キョン無題1 キョン無題2 キョン無題3 キョン無題4 キョン無題5 キョン無題6 キョン無題7 キョン無題8 キョン無題9 キョン無題11 涼宮ハルヒの消失(偽) ハルヒ能力喪失・SOS団解散編 キョンいじめ 超能力テスト 朝倉涼子の逆襲 改造人間キョン サイレント・ホスピタル ワークテイカー・ラヴァ―ズ ハルヒの想い ~アニメ版エンディングの延長版~ 記憶喪失 影の世界 (BADEND注意) 王様ゲーム キョンの決意 想い 試験勉強 北斗のキョン 残された時間 洞窟にて 俺とハルヒと古泉の生きる道 (BADEND) 許婚と最愛の人 Another Story 涼宮ハルヒの変質 ストレンジデイ イン ザ レイン キョンの死、そしてその後 クリスマスイブ 憂鬱アナザーエンド 涼宮ハルヒの旅路 グラップラーキョン ハルヒが残した希望 1枚の写真 涼宮ハルヒの海遊 Verywhiteday お見舞い 一つの選択 『ComebackAvenger』 キョンの憂鬱 もしもの世界 看病 ある夏の日の夕暮れ 涼宮ハルヒの変貌 愛すべき日常 涼宮ハルヒの我侭 殺人鬼はそこに (グロ・BADEND注意) 10歳児 6歳児 涼宮ハルヒの退行 ディサイデッド・フェイト キョンの苦難 涼宮ハルヒの永遠 涼宮ハルヒの交替 涼宮ハルヒの日常 犬キョン キョンの告白記 変わらない世界 ハルヒが母さん!? 冗談から恋 Sleepingbeauty 解けない難問 涼宮ハルヒのトランプ 涼宮ハルヒの邂逅 涼宮ハルヒの蹴撃 箱の中 キョンとハルヒの距離 青い鳥 修学旅行の陰謀 誤解 ゲーセンに行こう 暗闇 Lost smile 余ったピース・足りない欠片 緊急脱出プログラム もしもシリーズ(勝手に) World of mind 鳥人間コンテスト 涼宮ハルヒの追憶 涼宮ハルヒの笑顔 黒キョン 【キョンの苦悩】 『涼宮ハルヒの退屈Ⅱ』 涼宮ハルヒの就活 また明日。ある晴れた日のこと。 endlessdate 「キョンの消失(仮)」 「異変」 「涼宮ハルヒの忘年(仮)」
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基本情報表紙 タイトル色 その他 目次 裏表紙のあらすじ 出版社からのあらすじ 内容 登場人物 刊行順 基本情報 涼宮ハルヒシリーズ第1巻及び、2006年、2009年に放送されたアニメのタイトル。2003年6月10日初版発行。 表紙 通常カバー…涼宮ハルヒ 期間限定パノラマカバー…キョン、涼宮ハルヒ タイトル色 通常カバー…赤 期間限定パノラマカバー…赤 その他 本編…293ページ 形式…長編 目次 プロローグ…P.5 第一章…P.9 第二章…P.47 第三章…P.101 第四章…P.138 第五章…P.161 第六章…P.204 第七章…P.250 エピローグ…P.294 あとがき…P.301 解説 スニーカー文庫編集部…P.304 裏表紙のあらすじ 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに着なさい、以上」 入学早々ぶっ飛んだ挨拶をかましてくれた涼宮ハルヒ。そんなSF小説じゃあるまいし……と誰でも思うよな。俺も思ったよ。 だけどハルヒは心のそこから真剣だったんだ。それに気づいた時には、俺の日常は、もうすでに超常なっていた――。 第8回スニーカー大賞<大賞>受賞作、ビミョーに非日常系学園ストーリー! 出版社からのあらすじ 校内一の変人・涼宮ハルヒが結成したSOS団(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団)。 ただ者でない団員を従えた彼女には、本人も知らない重大な秘密があった!?第8回スニーカー大賞〈大賞〉受賞作登場! 内容 登場人物 涼宮ハルヒ キョン 長門有希 朝比奈みくる 古泉一樹 朝比奈さん(大) 鶴屋さん 朝倉涼子 谷口 国木田 キョンの妹 岡部 管理人 刊行順 第2巻『涼宮ハルヒの溜息』>
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登場話候補作 № タイトル 登場人物 身体 29 だって「シン」だもの ウルトラマン@シン・ウルトラマンメフィラス@シン・ウルトラマン 本郷猛@シン・仮面ライダー風祭真@真仮面ライダー・序章 32 その身を獣の牙として ジュウガ@SSSS.DYNAZENON ジョージ・狩崎@仮面ライダーリバイス 36 悪魔に宿る影 ミスト@ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者イレブン@ドラゴンクエストXI 39 名は体を表してたまるか 由崎星空@トニカクカワイイ小仏珍子@炎の闘球女 ドッジ弾子 熱田充瑠@魔進戦隊キラメイジャー橘ありす@アイドルマスターシンデレラガールズ 44 かわいいは正義 ジェイク・マルチネス@TIGER BUNNYモモンガ@なんか小さくてかわいいやつ 野原ひろし@クレヨンしんちゃんモモンガ@ONE PIECE 48 戦争はヒーローの顔をしていない 内海将@SSSS.GRIDMAN少佐@HELLSING 内海成彰@仮面ライダービルドウォーズマン@キン肉マン 51 豪運対不運 団長の手刀を見逃さなかった殺し屋@HUNTER×HUNTER鷲巣巌@アカギ ウェカピポの妹の夫@ジョジョの奇妙な冒険白菊ほたる@アイドルマスターシンデレラガールズ 52 人でなくなったとしても 由崎司@トニカクカワイイ 竈門禰豆子@鬼滅の刃 53 勇者と魔王 魔王オディオ@LIVE A LIVE 勇者ソロ@ドラゴンクエストIV 54 不死身の二乗 照井竜@仮面ライダーWフェニックス@仮面ライダーウィザード ヒュンケル@ドラゴンクエスト ダイの大冒険ヘラクレス@Fateシリーズ 55 橋本陽馬は止まらない 橋本陽馬@岸辺露伴は動かない ファットガム@僕のヒーローアカデミア 58 私が私を見つめてました 朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱あちゃくらさん@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱 ※意思持ち支給品 浅倉威@仮面ライダー龍騎ベノスネーカー@仮面ライダー龍騎 ※意思持ち支給品 64 忌まわしき体 草加雅人@仮面ライダー913 木場勇治@仮面ライダー555 69 ヴァンパイア・クロス アーカード@HELLSING ロナルド@吸血鬼すぐ死ぬ 75 悪夢のヒーロー 仲村叶@トクサツガガガオールマイト@僕のヒーローアカデミア鷹岡明@暗殺教室 深海カノン@仮面ライダーゴースト響裕太@SSSS.GRIDMANオールマイト@僕のヒーローアカデミア 81 呉越同舟! 両津勘吉@こちら葛飾区亀有公園前派出所ルパン三世@ルパン三世 朝加圭一郎@快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー夜野魁利@快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー 87 負けない敗者 球磨川禊@めだかボックス 勝利マン@とっても!ラッキーマン 88 人間でいられなかった怪物 辻斬りナギリ@吸血鬼すぐ死ぬ 黒死牟@鬼滅の刃 93 「無法松」ってそういうことじゃねえんだよ 松野十四松@おそ松さん初瀬亮二@仮面ライダー鎧武 無法松@LIVE A LIVE松野おそ松@おそ松さん 99 イケメン無罪貫通 黒井ななこ@らき☆すた木村先生@あずまんが大王 犬山あおい@ゆるキャン△キューン@仮面ライダーギーツ 107 神父と信徒 アレクサンド・アンデルセン@HELLSING戌井番神@るろうに剣心(実写映画版) ハーゴン@ドラゴンクエストII泉京水@仮面ライダーW 120 違う月を見ている! ピカ@ポケットモンスターSPECIAL サトシのピカチュウ@ポケットモンスター(アニメ版) 125 ブラックホールになったやつがいる アーノルド・ベックマン@Fate/Grand Orderアヅマ@仮面ライダーリバイス 間桐少佐@コハエースGO 帝都聖杯奇譚自来也@NARUTO 129 我が心は仮面ライダーと共に ケケラ@仮面ライダーギーツ 滝和也@仮面ライダーSPIRITS 131 わからないから教えて! 藤丸立香@藤丸立香はわからない ぐだお@教えてFGO! 139 またおまえか 救星主のブラジラ@天装戦隊ゴセイジャー 剣崎一真@仮面ライダー剣 140 転生(?)してもスライムだった件 イムラ@ポンコツクエスト ぷにる@ぷにるはかわいいスライム 153 違う世界の大魔王 ピッコロ大魔王@ドラゴンボール魔王タソガレ@魔王城でおやすみ ゾーマ@ドラゴンクエストIII嘴平伊之助@鬼滅の刃 161 同じアナのムジナ サカズキ@ONE PIECEムジナ@SSSS.DYNAZENONゴルドバーン@SSSS.DYNAZENON ※意思持ち支給品 クザン@ONE PIECEアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ@ドリフターズフリーザー@ポケットモンスターシリーズ ※意思持ち支給品 176 消せない記憶 少年シドー@ドラゴンクエストビルダーズ2 もょもと(ローレシアの王子)@ドラゴンクエストII 177 キミは淫らな夜のヒーロー ショウダ マサミ@淫獄団地 八百万百@僕のヒーローアカデミア 198 死せる父達 マース・ヒューズ@鋼の錬金術師鳴海壮吉@仮面ライダーW ロイ・マスタング@鋼の錬金術師バルトス@ドラゴンクエスト ダイの大冒険 本編 № タイトル 登場人物 場所 時間帯 02 ウルトラマニアック 内海将 F-4 森 深夜 10 岸辺露伴、温泉宿へ行く 岸辺露伴、ちいかわ+チャカ、桜井景和 B-7 刀鍛冶の里の宿 深夜 13 今宵は化物(わたし)たちが主役 アーカード、黒江 C-4 街 南部 深夜 17 1シャンク去ってまた1シャンク シャンクス、浅倉威 F-6 街 深夜 27 支給品になったおまえが悪い 朝倉涼子、あちゃくらさん G-7 街 ロナルド吸血鬼退治事務所付近 深夜 30 森は人を迷わせる 少佐 E-4 森・川の南側 深夜
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1. 俺が北高に入学し、SOS団とかいう世にも奇妙な団体に入団してから、いや、拉致されてからと言ったほうが正しいだろうか、まあそんな感じで早々と時間は過ぎ去り、二回目の夏休みを迎えていた。その間にもいろいろと、古泉発案の第二回SOS団夏合宿やら、その古泉が真っ青になり、朝比奈さんがおろおろとし、長門が奔走しまわった事件などがあったのだが、ここでは語らないでおこう。それはまたいつか他の機会があれば話そうとおもう。 さて、俺は今、クーラーがきいた自室で朝から久々の惰眠を貪っている。 両親と妹は商店街の抽選で当たったとかいう三泊四日温泉旅行の三名様用チケットとやらを使って今朝早くから出かけてしまった。俺を置いてな。 全く酷い家族だぜ。母親いわく、あんたは涼宮さん達と合宿に行ったでしょうが。だったらあんたは行かなくてよし、なんだそうだ。 悔しいから見送りなんてしないで寝てようとしたのだが、朝早くから妹のフライングボディープレスを喰らって起こされ、結局見送りをする羽目になった。 何が悲しくて自分が行かない家族旅行の見送りなどせねばならんのだ。 はぁ。それにしても何も変わってないな、マイシスターよ。 学年が一つ上がって六年生になったんだ。そろそろ毎朝の過激な起こし方はやめてくれないか?お前だって成長して大きくなってるんだぞ、お兄ちゃんの身体がそのうち壊れちまうじゃないか。起こしてくれるのは助かるがもっと静かに起こしてくれ。少しはミヨキチでも見習ったらどうだ? はぁ。それにしても何にも分かってないな、マイマザーよ。 合宿とは名目上のものでしかないのが何故わからんのだ。終業式当日にいきなり明日から合宿と言われ、強制連行同様に連れて行かれたんだぞ。去年もそうだったではないか。 これで俺の長い夏休みの最初の数日くらいは誰にも文句を言われず昼過ぎまで寝続ける日々を送ろうという周到な計画は二年連続で失敗に終わった。 ・・・予想していたことだがな。ハルヒのことだ、どうせあいつは夏休み初日から厄介事を持ってくるのだろう。そう思って何も予定を入れてなかった自分もいたりした。万が一予定を入れてたとしても合宿に強制連行されていたと思うが。 そうそう、言い忘れていたが今日はSOS団の第二回夏合宿の次の日なのだ。 どうやらあのハルヒでさえ少しは来たらしく、 「明日と明後日はSOS団はお休みよ。だからこの合宿の疲れを完全に取り去っちゃいなさい。明々後日からは忙しいんだからねっ」 と解散前に言っていた。 「どうせキョンは寝てるだけなんでしょ?だったらあんたはこの二日間で宿題を全部終わらせときなさい。去年みたいなことになったらあんた死刑じゃ済まさないわよ?」 というありがたいお言葉まで頂戴したがな。生憎俺は宿題は最後の最後までとっておくタイプなんだ。知ってるか?宿題ってのは出すまでが宿題の期間なんだよ。だから提出前に国木田あたりにでもちょちょっと写させてもらえばいいんだ。今年の宿題はそこまで多いもんでもないからな。ん?谷口?そんなの俺の知ったこっちゃねえや。あいつのことだからどうせ宿題は学校にでも置いてあるんだろ。終業式の帰りにまるで中に何も入っていないかのように鞄を振り回してたしな。 まあそんなわけで俺は一言多い団長様からのお言葉にあやかって数日遅れののどかな生活を送っているわけだ。あのハルヒが休みをくれたんだ。これを棒に振ったらもったいない。 誰も邪魔することのない平和な朝。これこそが俺の求めていたものである。 そのなかでもやっぱりクーラー+柔らか布団は最高だな。俺はこれのために夏休みを迎えたといっても過言ではないだろう。できることならば、この平穏な時間がずっと続いてほしいものだ。 よし、午前中はずっと布団の中で過ごそう。幸い朝飯は見送りのときに食っちまったからな。シャミセンはいるが・・・そうか、お前もここで寝たいか。うんうん、お前も分かる奴だなぁ。それでは一緒に寝ようではないか、とまどろみ始めたころだった。 とんとん。何者かが俺の肩を小さく叩く。それが誰かなんて考えるまでもない。 こらシャミセン、やめなさい。俺は寝たいんだ。 とんとん。なんなんだよ、しつこいなあ。そう思って寝返りを打つと、何か暖かくて毛むくじゃらなものの中に顔を突っ込ませてしまった。 むっとして目を開けるとそこには丸くなったシャミセンが。 俺は一気に眠気がすっ飛んだ。 考えてみろ。俺とシャミセンしかいないこの家で叩かれた肩。しかしシャミセンは俺の横でぐーすか寝ているときた。 じゃあ・・・・・・ 一体俺の肩を叩いているのは誰なんだ? そう考えてるときに声が聞こえてきた。 俺はその言葉に一番驚かされたね。いや、誰だって驚くだろう。全く実に覚えがないのにこんな言葉を聞かされた日にはな。 「…ねぇ、おきてよ?おとーさん!」 イマナントイッタ? 「おきてってば、おとーさん」 恐る恐る声のする方向へ顔を向ける。 ・・・誰だ、こいつ。そこには白いワンピースを着た髪の長い見知らぬ女の子が立っていた。 いや、正確言うと、どっかで見たことあるような気がするんだが・・・ 駄目だ。思い出せん。 それはいいとしてだな。これはどういうことだ?一体何が起きている?この状況が分かる奴、全部説明しろ。 ねえ、君はどこから入ってきたのかな?どうしてここにいるのかな?パパとママが心配してるから早く帰りなさい。それと俺とどっかで会った事あるか? 「なにいってるの?おとーさん。ここおとーさんのおうちでしょ?」 ・・・・・・へ?どうなってるんだ? 「ちゃんとしてよね、もう」 あぁ。そういうことか。きっと俺が寝てる間に誰かに襲われるか襲うかしてだな・・・ どっかで見たことあるのはその相手の面影なんだな、うん。 ・・・・・・ってそんなことあるか。あれだ、あれ。どうやらハルヒの神様パワーとやらで世界が改変されちまったらしい。この歳で父親だなんてありえないからな。ネタが分かっちまえばもう何も驚くことはない。さっさと長門に連絡してどうすればいいのか聞くとしよう。やれやれ、結局俺には心休まる日というのは無いってことなのかねえ。 「おとーさん、なんかへんだよ?どうしたの?」 心配そうに聞いてくるマイドーター。どうせもとに戻ったらこいつは消えちまうんだ。少しの間だが可愛がってやるとしよう。 「ん?何でもないぞ。娘よ。」 そう言って頭をぽんぽんやさしく叩いてやると、猫を膝に抱いて背中を撫でているような笑顔で笑った。はて、なんでだろう。何故か脇腹が痛むんだが。 まあいいか、ひとまず長門に電話しよう。 携帯の電話帳から長門の自宅番号を選んで電話をかける。1コールもしないうちに長門がでた。いつも思うことなのだが、こいつはいったいどんだけ電話に出るのが早いんだ?まさか家ではいつも電話の前にいるんじゃないのか? 「もしもし、俺だが長門か?」 「…そう。あなたが危惧しているような世界改変は起こっていない」 そうか、起こってないのか・・・ってちょっと待てよ?じゃあこいつは何なんだ?まさか本当に俺の娘だとでもいうのか?とういうか長門よ。何故お前は俺がまだ聞いてもいない事の答えを言えるんだ?もしかしてこいつは人の心が読めるのではないだろうか? 「…大丈夫。そこにいるのは貴方の子供ではない」 そうか、お前がそう言うのなら確実だな。だが長門よ。人の心を勝手に読むのはよそうな。俺は娘のことはまだ一言もお前に言っていないぞ。 「…善処する」 「んで、長門よ。お前は俺にここにいるこの子は俺の子ではないといったよな?じゃあ誰なんだ?朝比奈さんみたく未来からきたのか?」 ぽんぽんとベッドに座って電話をかけている俺の横でシャミセンをいじっている女の子の腰の辺りまでありそうな長い髪の毛を撫ぜてる。するとその子はふふっと笑った。うん、癒される。俺も親になるんだったらこんな娘を持ちたいものだ。 「…そうではない。付け加えるならば古泉一樹関連の事柄でもない」 ハルヒでも朝比奈さんでも古泉でもないだと?じゃあ一体なんで俺のところにいるんだ? 「…電話では情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない。だからその子を連れてわたしのマンションに来て欲しい」 分かった。すぐに行くから待ってろよ。 「…それと」 なんだ?長門でも言い忘れるようなことがあるのか? 「…なんでもない」 お前がそういうふうに言うなんてめずらしいこともあるもんなんだな。なんだか声に少し緊張した色が混じっていた気もするが、本人が言いたくないのなら仕方ない。気になるがマンションに行くまで我慢するとしよう。 「…それでは待っている」 分かった。またお前に助けられちまったな。 「…いい。今回のことはわたしも原因因子の一つだから」 どういうことだ?それは。まあマンションで聞けばいいか。 「それじゃあ切るぞ」 「…分かった」 そう言うと俺は電話を切った。今日の長門はどこかおかしい。三点リーダはあいつの十八番だが、今の会話の中にはありすぎではないだろうか?何か悩んでいるようにも見えたが・・・。声だけではちゃんとは分からん。 「ねー、おとーさん、なんのおでんわだったの?」 ん。何でもないぞ。だがちょっと用事ができちまった。 「ごようじ?おとーさんどこかおでかけしちゃうの?」 そう悲しそうな顔をするな。ちゃんとお前も連れていってやるからな。 「ほんとに?ふふっ。おでかけだ~!」 さっきの顔から一変して笑顔になった。変わり身の早い奴だ。そういえば妹もこのくらいの時はこんな感じだったな。もっとも、今もそう大差は無いように思えるが。兄として心配極まりないぞ。 「ちょっとリビングで待ってなさい。俺はまだ着替えてないし、行く準備ができてないからな」 「は~い。リビングでまってるね」 そう言うとたたたっと走っていった。こら、女の子が廊下を走っちゃいけません。 「は~い」 返事が聞こえてからは走る音が聞こえなくなった。うん。よろしい。聞き分けのいい子だ。 妹よ。お前もこれくらい聞き分けがよければいいのだが、それは無理な相談なのだろうか? さて、着替えるとするか。 俺はパジャマを脱いで、ジーンズと半そでのシャツを装着する。準備完了。 ・・・我ながら早いな。それじゃ、出かけるか。さらば、布団よ。あの子には悪いがこのままじゃいろいろとまずいからな。早くなんとかしないと。 着替えが終わった俺はリビングに向かった。部屋に入ると、我が娘はソファーで姿勢を正して静かにちょこんと座っていた。 「あ、やっときた!どう?おとーさん。わたし、ちゃんとおんなのこらしくできてた?」 俺がリビングに入るとてくてくと近づいてきた。さっき言ったことを気にしてたのか?うん。ちゃんとできてたぞ。よしよし、いい子だ。 そう言って頭をくしゃくしゃと撫でてやる。あ、ちょっと照れてる。さっきも言ったがこんな娘を俺も持ちたいもんだ。まあ仮にも今は俺の娘なんだが。 「じゃ、出かけるぞ」 「うんっ!」 元気いっぱいに答える娘。こっちまで元気になってくる。 ・・・あれ?もしかして俺、親馬鹿になってる?いやいや、そんなことないって。多分。 そんなわけで家を出た俺たち。長門のマンションへは歩いていくことにした。自転車のほうが早いんだが危ないからな。もし振り落とされでもしたら大変だ。 それにしても暑い。なんせ今は夏の昼近く。道にはほとんど人影がない。それはそれで好都合なんだが。夏は暑いもんなのよ、とどっかの団長様は言っていたが、まさかこの暑さもハルヒが作り出してるんじゃないだろうな。もしそうだとしたら迷惑極まりない。さっさと止めさせなければ。 なんて考えていると、 「・・・ねぇ、おとーさん、あとどのくらい?」 という言葉で思考がこちら側に戻ってきた。みると我が娘がぐったりしてるではないか! これはピィィィィンチッ!!!と某教育番組の黄色いタイツ男のように心の中で叫ぶと娘をそばの公園の日陰のベンチに置いて近くの自販機まで全力疾走。俺の分と娘の分の二本のスポーツドリンクを買うと疾風のようにもとの場所へ戻った。別にこのくらい普通だよな?全然親馬鹿じゃないよな? そんな事は置いといて娘にスポドリを渡すと、ありがとー、ちょっと疲れた笑顔で言って受け取った。俺も飲むとするか。 ゴクゴクゴク。ぷっはあ!!!暑いなかでスポドリ一気飲み。家の中やスポーツ後に飲むのもいいが、これはこれで旨い。疲れてればなおさらだ。 早々と飲み終わった俺に対して娘は缶を両手で抱えてコクコクと少しずつ飲んでいる。 そういえば昔、親父とまだ小さかった妹と一緒に出かけたときに今と似たような場面があったが、確かあの時の親父がなんともいえない表情をしていたな。今ならそれも分かるような気がする。なんか癒されるというか、和むというか、まあなんとも言い難い感じだ。 だから俺もあのときの親父と同じことを言ってやろうと思う。 「さ、父ちゃんの肩に乗れ。疲れたろ?肩車してやるぞ」 と言ってしゃがみこむ。じゃないと乗れないからな。 「え?いいの?おとーさん、つかれちゃわない?」 子供が親の心配をするもんじゃありません。こうみえてもおとーさん、若いんだぞ。なんてったってまだ十七歳だからな。 「うんっ。分かった。ありがとーね、おとーさん」 よし、じゃあさっさと乗りなさい。ほれ、その缶、一旦こっちによこしな。乗るときに邪魔だろ? 「いいか?立つぞ。・・・よっこらせっと」 そう言って俺は立ち上がった。ここで一つ誤解して欲しくないところがあるのだが、俺は決して親父くさいわけではない。ただ暑いから自然と口に出ちまっただけだ。そこんところを間違えないでほしいね。・・・って俺は誰に説明してるんだか。 「それじゃ、行くとするか」 おー、という娘の声援を耳に俺は長門のマンションまでの道のりをさっきよりも少し早足で、かつ上に乗っている娘が落ちないように注意しながら歩き出した。 それからしばらく何の他愛も無い話をしながら歩みを進めたわけだが、ん?どんな話をしたかだって?そりゃあ相手が小さい子だからな。あの雲はなになにに似てる、とか、これはなんて名前か、とかまあそんなもんだ。特筆すべきことは無かったように思う。おとーさんおとーさんと連呼されていれてるのをどこかの奥さんに聞かれて白い眼で見られたのが数回あったこと以外はな。 はぁ、こんなのがハルヒに知られた日には、 「あんた、死刑だから」 の一言で殺されちまうんだろうな。もしかしたら、何やってんのよ、このロリキョン!かもしれないが。どっちにしても俺の死は免れないだろう。俺ができることはこれ以上誰かに見られないうちに長門のマンションにたどりつくことだけだ。 頼むぞ、仏様。俺を導いてくれ。普通ならばここは神に祈るところだとおもうのだが、古泉いわく、神とやらはハルヒらしいからな。神には祈れん。ばれちまったら大変だ。 とまあ娘と適当に会話をしつつ、そんな事を漠然と考えてるうちに長門のマンションまでついていた。ウィーン、と音をならして自動ドアが開くのと同時に冷たい空気が流れ込んでくる。ふう、涼しい。やっぱりクーラーはいいなぁ。 「ねぇ、おとーさん。いつまでかたぐるましてるの?もうついちゃったよ?」 ああ、すまん。すっかり忘れてた。今降ろしてやるからちょっと待ってなさい。 と言ってしゃがみ、中腰くらいになったときだった。 「とうっ」 という掛け声とともに俺の肩を蹴って後ろに飛び降りた。何ぃ!?俺を踏み台にした!?・・・じゃなくって、 「危ないだろうが。怪我でもしたらどうする。そんなことやっちゃいけません!」 振り返ってみると、一、二メートルくらい後ろにくったくのない笑顔を浮かべて立っていた。着地の瞬間は見ていないが、転んだりしてないように思う。 まあひとまず一応は軽くでも叱っておかないとな。どっかの誰かさんみたいになっちまう。 「ごめんなさい。でもざんねん。おとーさん、おどろくとおもったのにな」 十分驚いたぞ。この運動能力は目を見張るものがあるからな。その証拠に、すでに俺よりいいんじゃないか、とか、この歳でこんなに飛べるなんて人間じゃないみたいだな、とか、思っちまったし。 いかんいかん、ここに来た目的を忘れてた。俺は708号室を呼び出した。ぷつん、という相手がインターホンに出たことを示す音を確認すると、マイクに言った。 「長門か、俺だ。入れてもらっていいか?」 「…入って」 かしゃんと音がして玄関の鍵が開く。興味津々、といった感じで辺りをきょろきょろしている娘に、行くぞ、と声をかけ、ちょこちょことこっちにくるのを確認してからエレベーターに乗り込む。 「今から父ちゃん大切なお話があるから、その間ちゃんといい子にしてるんだぞ」 「うん。分かった」 「いい子にできてたらあとでアイス買ってやるからな」 そういうと目を輝かせてさっきより元気に、うんっ、と言って膝の前に手をそろえて気をつけの姿勢をし始めた。おいおい、まだ早いぞ。 チーン、と目的の階に到着したことを知らせる電子音がして、エレベーターから出た。 708、708は、と。あ、ここだここ。ドアのネームプレートに長門有希と書かれているのを確認すると、ドアの横についているチャイムを鳴らす。 ピンポーン。長門、俺だ。そういうが早いか、かちゃんとドアの鍵が開き、中から小柄な宇宙人が出てきた。 「…入って」 とデジャビューかと疑いたくなる返事を聞いて、うながされるままに俺は長門の部屋へ上がりこんだ。そういえば、俺が初めて長門の家に呼ばれてからずいぶんたつが、これで通算何度目なのだろうか?数えてみると結構な数になる気がするが・・・まあいいか。 娘のほうを見ると、動きが少しぎこちないようだった。そりゃそうだ。いきなり知らない人の家に連れてこられたんだからな。男だったら気にせずに騒いでいたかもしれんが、こいつは女の子だ。ちなみに俺がガキのころは騒いでいた・・・・・ような気がする。 なんて少し懐かしいことを考えながら玄関に入り、靴を脱いで部屋に上がると、今までどおりに俺はちゃぶ台へと進んだ。長門が話しをするときは大抵このちゃぶ台だからな。 「なぁ。」 後ろにいる長門に振り向きながら話しかける。 「こいつはどうすんだ?違う部屋に連れて行ったほうがよくないか?それとも一緒に話を聞かせてもかまわんのか?」 「どちらでもかまわない。恐らく彼女の今の状態では恐らく理解することが不可能であると推測される」 あのですね、長門さん。いつも普通に理解できない俺はどうすればいいのでしょうか? 「………」 長門は少し困ったような顔をした。はい、すみませんでした。俺は、心の中で手を合わせてそっと謝りながらちゃぶ台の前に座った。 さてと、こいつはどうするかな。俺の横に正座している娘をみる。ちゃんと手をそろえて膝の上に乗せ、唇を真一文字に結んで少し下を向いている。やっぱりいっちょまえに緊張してたのか。なら少しその緊張をほぐしてやるか。俺は今一度頭をくしゃくしゃと撫でてやる。家で撫でたときにうれしそうにしてたからな。きっと頭を撫でられるのが好きなんだろう。案の定娘は俺のほうを向いてにこっと笑い、落ち着いたようだった。 本題に入ろうと思って長門のほうを向くと、長門と目が合った。 「どうした?そんな珍しい光景か?」 「……なんでもない」 どうしたんだ、こいつ。長門鑑定家を自称する俺でもその目から真意は読み取れなかった。 もしこれが妹だったら羨ましがってるんだろうが、流石に長門でそれはないだろう。うーん、俺もまだまだ修行が足りないな。おっと、話が脱線しちまった。 「んで、話ってのは何なんだ?」 「……………。」 少し話しにくそうな顔をしてお得意の三点リーダを放つ。俺は俺が娘を撫でてやっていた間に入れてくれたのであろうお茶をすすりながら返答を待った。ずずず・・・。おっ、こいつまた腕を上げたな。もう少しで朝比奈印のお茶レベルになるのではないだろうか。 「…情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない。でもできるだけ簡単に離すから聞いて」 長門の言葉で我に返る。おう。いいぞ。何でも聞いてやるよ。俺だって伊達に今までSOS団やってる訳じゃないんだ。多少のことでは驚かんぞ。まあ長門が俺個人に話をするときはほとんどが凄い代物なんだがな。 「…情報統合思念体全体の意思として、朝倉涼子の再構成が決定した」 脳裏に一瞬ナイフを俺の腹にねじ込んできたときの冷笑を浮かべた朝倉の顔が浮かび上がる。冗談じゃない。きっと今のは俺の聞き間違いだ。そうに違いない。 「すまんな、よく聞こえなかった。悪いがもう一度だけ言ってもらえるか?」 「情報統合思念体全体の意思として、朝倉涼子の再構成が決定した」 聞き返して得られたものは冷酷な現実だった。あの殺人鬼・朝倉が復活する。 そう考えたとたん、向こうの世界で刺された脇腹に鈍い痛みが走り、俺はうっと声をあげて顔をしかめた。ちょんちょん、と俺の腕がつつかれる感触がし、その方向を向くとそこには娘が不安そうな顔をしていた。 大丈夫だ、ありがとな、という意味をこめて微笑を浮かべると、娘もそれを理解したのか手を引っ込めて目線をもう一度自分の膝に向ける。ほんとありがとな。助かった。 「大丈夫?」 長門のその目に俺を心配しているようなオーラが宿っていた。お前もありがとな、長門。 「もう大丈夫だ。続けてくれ」 コクッと頷くと淡々と話を再開した。 「朝倉涼子は優秀なインターフェイス。情報操作能力はわたしに少し劣るものの、戦闘能力に関して言うならばほぼ互角をいっても差し障りは無い。それゆえバックアップとしての価値はかなり高いクラス。去年の冬の山荘での事件も朝倉涼子が存在していればすぐに解決できたはず。それに今のわたしにはバックアップが存在しない。天蓋領域のインターフェイスがこの時間平面上に存在する今、それはとても危険。そう考えて情報総合思念体は朝倉涼子を再構成することにした」 つまりだ、おまえの手助けのために復活する、ということか? 「その危険というのはわたしだけでなく涼宮ハルヒやあなたにも及ぶ可能性がある。もしそのような事態が起きたときにわたしが自立行動不能の場合の保険、という意味も含まれている」 でもどうして朝倉なんだ?喜緑さんや他のインターフェイスとやらじゃ駄目なのか? 「わたしを除いて一番あなたや涼宮ハルヒに近いインターフェイスは朝倉涼子。彼女が急に戻ってくれば恐らく涼宮ハルヒは強い興味を示し、観察を始めるはず。そうなればこちらも観察が楽になる、というのが情報統合思念体の考え。それに穏健派は常に一定の距離を保つことが義務付けられているので緻密な交流を良しとしない」 そうなのか・・・。んで、一つ聞かせてもらえるか?朝倉はいつ復活するんだ? 「もう再構成は済んでいる」 「なんだって!?どこだ!あいつはどこにいるんだ!?」 「おとーさん、落ち着いて。おねーちゃんがこわがってるよ?」 娘の言葉で正気に返る。どうやら俺は興奮のあまり、長門に掴みかかって大声で叫んでいたようだ。大丈夫か、長門。本当にスマン。お前に当り散らすなんてお門違いもいい所だな。 「わたしは大丈夫。あなたも気にしないで」 お、おう。そうは言っても気になるもんなんだが。 「改めて聞かせてもらうが、結局朝倉は今どこにいるんだ?以前にあんなことがあったから気が気じゃないんだが」 「彼女はここにいる」 そう言って長門は一旦口を閉じた。俺はごくりと唾を飲み込んだ。 「朝倉涼子は………」 言いかけてもう一度口を閉じた長門の三点リーダの時間が何時間にも感じられる。実際は十秒あるかないかなんだろうが、今の俺にはその何十倍もの時間が過ぎているように思われた。 突如長門が腕を上げてある一点を指差す。まずその指を見て、次に指の指す方向に視線を移していく。そしてその直線はあるものにぶつかったのだ。それは俺の思考能力を奪うのには十分な衝撃を持っていた。信じたくはなかった。だが、次の長門の言葉の前に、俺はただ呆然と眺めるしかできなくなってしまったんだ。 「…………朝倉涼子はその子」 プロローグへ 第二章へ
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響け終焉の笛 ◆FbVNUaeKtI ギガゾンビの声が途絶えてから、数刻ほどの後。 グリフィスはいまだ、遊園地内で体を休めていた。 「身動きの取れない者、か」 先程の放送で死者の名や禁止区域と共に告げられた、動けない状態にある参加者の存在。 足に怪我を負ったのか、意識を失ってしまっているのか・・・ どちらの理由にしろ、その人物を目指して他の参加者達が集まる可能性は高い。 自分のように仲間を探す者や博愛精神にあふれた者、そして殺し合いに乗った者までも。 現に先程、遊園地の北―おそらくは放送で言っていたE-4の方向から、巨大な爆発音等が響いた。 そのような場所に、策も無く手馴れた武器も無い状態で赴くつもりは、 たとえ、そこにキャスカやガッツが居るのだとしても、グリフィスにはなかった。 さて、この二回目の放送により参加者の大移動・・・・・・特に禁止エリアへと向かう動きが起こるはずだ。 つまり北方にE-4、東方にF-8がある遊園地近辺は、そこを目指す者が通過する可能性が高い。 さらに、今しがたの大砲を使用したような数度の爆発音。 命を捨てようと考えないかぎり、その音を聞いたものはE-4方面に行くのを避けようとするはずだ。 西に行くにしろ東に行くにしろ、今しがた爆発の起こった場所を大きく迂回しようとすると、 山側を越えてゆくか海岸線側を抜ける可能性が必然的に高くなる。 ならば、ここで他の参加者を待ち伏せたほうが効率がいい。 ではどこで待ち伏せる? 西門や北門はE-4に近すぎる。あの爆発を起こした者が現れては本末転倒だ。 やはりF-8側に近い東門か、もしくは南の防波堤で西方の島からの来訪者を待つか。 しばらく悩んだ末に、南方へと足を向ける。 一応、防波堤を確認し、誰も居ないようならば東門へむかう事にしたのだ。 『おそらく誰も居ないだろうがな』というグリフィスの考えをよそに。 防波堤の上を歩く少女の姿を彼が発見したのは、海岸に到着後、すぐの事だった。 そして待ち続ける事、一時間。 「ようやくの到着か」 桃色の髪をした少女が防波堤を渡りきり現れる。 歳は十代前半だろうか。黒い外套を羽織ったその少女は、 まるで大切な物を守るように――実際、彼女にとっては大切なのだろうが――男の首を抱きかかえていた。 掛け替えのない者。愛する者の死に、精神が耐えられなかったか。 狂気しか感じないその様は、グリフィスにとっては珍しくもない光景だった。 それよりも目を引いたのはもう一方。少女が反対の手に握り締めた、無骨な武具。 『戦槌か。少し小さいが・・・・・・無いよりはましか』 思案は一瞬。銃を構えながら、建物の影からその身を曝けだす。 そして、首にしきりに話しかけながら歩く、鉄槌を持った少女に声をかけた。 「少し尋ねたい事がある」 突然の言葉に驚き、振り向く少女。少し浮かせかけた槌をグリフィスは手で制する。 「女を一人探している。褐色の肌に黒い・・・」 「知らない」 そっけない言葉に軽く苦笑すると、その態度が気に障ったのか、幾分硬化した語調で少女は言葉を続けた。 「朝倉涼子って女を知ってる?」 「悪いが、知らないな」 「そう・・・」 しばらくの沈黙の後、少女が再び口を開く。 「じゃあ、死になさい」 言葉と共に、少女の目前に鉄球が現れる。 危険を感じたグリフィスが引き金を引くのと、中空に浮いたそれが動き始めたのは、ほぼ同時だった。 広大な遊園地に今日、幾度目かの爆裂音が響く。 繰り返されるその震えを間近に感じながら、グリフィスは銃を片手に駆ける。 放たれた鉄球はUZIの弾幕を使い防いだものの、その初撃は彼の皮膚を炙り、両耳の聴力を低下させていた。 新たに起こった爆発により、空気が震える。 『その一撃一撃が砲弾並の威力か・・・あの、“不死のゾッド”に負けず劣らずの化け物だな』 心中でそう呟きながらも、グリフィスの顔には笑みが浮かぶ。 「おもしろい、実におもしろいな、ここは!」 煙の向こうに気配を感じ、叫びと共に銃弾を放つ。 連射された鋼鉄は黒煙を貫き、穴を穿ち、その向こうに居る者へと襲い掛かった。 「フライ!」 しかし、その弾丸は敢え無くかわされる。少女が中空へと飛翔したのだ。 「ほう、空まで飛べるのか・・・」 呟きは、少女にまで届くことなく消える。 飛来してくる少女に、グリフィスは後退しながら銃撃を加えていく。 が、同じく放たれた鉄の砲弾により、その弾丸は爆炎と共に対消滅した。 そして、それに続けて、薬莢の排出が軽い音を残して停止する。 舌打ちと共に再び駆ける。彼の笑みはいまだ、消えていなかった。 やがて、その進行方向に一棟の建物が現れる。 グリフィスはそれが何の建物かを確認する事もなく、その内へと飛び込んでいった。 銀髪の男が建造物に逃げ込むのを確認し、ルイズは静かに建物の入り口近くに降り立った。 どうやら、ここは何らかの施設らしい。 出入り口にはドレス姿の娘と共に、“白雪姫のコースター”と大きく書かれた看板が下げられている。 「どうする、サイト?」 建物の扉をじっと見つめながら、ルイズは愛しい少年に問いかけた。 ・・・無論、返事はない。けれども、彼女にはその返事が聞こえた気がした。 「そうだよね、深追いはしないんだったよね」 少年の身をひしと抱きしめながら、小さく呟く。 彼女の目的はあくまでも、朝倉涼子だ。こんな所で、時間を費やす必要は無い。 おそらく、この中で待ち伏せしているのだろうあの男に、無駄に付き合う必要も無いのだ。 「・・・これごと壊しちゃおっか。朝に壊した建物みたいに」 ルイズは再度の問いかけ・・・呟きと共に手にした鉄槌を振るう。 現れた鉄球は、まるで砲弾のようにドレスを着た娘へと襲い掛かった。 数分、いや数秒もしないうちに、一階建ての建物は瓦礫の山へと姿を変えた。 「じゃ、行こうか、サイト」 腕の中の少年に声をかけて、ルイズはその場を離れようと身を翻し・・・ 「フライ!」 叫びと同時に飛翔、背後から子供ほどの大きさをした物体――小人が飛来し、地面に打ち付けられる。 振り返りざまに、瓦礫の上に出現した者へ向けてシュワルベフリーゲンを放つ。 高速で虚空を走る鋼鉄が、唸りをあげて頂上の人影――白雪姫の人形を襲い、無残な姿へと変える。 ルイズの表情が驚きに変わると同時、その真下にある穴――コースターの入り口から男が現れた。 男は手にした長い紐状の何かを、空中に居る彼女へと向けて投げつける。 先端に人形の腕を巻きつけたそれは、少女の身体へと絡みつき、そして宙空の一点でその端を静止させた。 「残念だったな、ここでは俺も空を飛べる」 言葉と同時に、グリフィスは飛ぶ。目指すは手前に見える小さな広場。 その中心へと降り立ち、そのままロープを引く。 そして、空中に固定された端が外れると同時、少女の身を地面へと引き擦り落とす。 「ガッ!」 地面に叩きつけられた衝撃に、少女から悲鳴が上がった。 手にしていたものはすべて飛び散り、その表情は絶望へと変わる。 だが、グリフィスはまだ、その手を緩めない。 勢いをつけてターザンロープを振り回すと、遠心力を乗せたまま樹木へと叩きつけた。 全身を襲う二度目の衝撃に、少女はかっと目を見開き・・・そして、そのまま意識を失った。 「終わったか。だが・・・これでは、予定を変更せざるを得ないな」 焼け野原と化し、黒煙の上がる遊園地を見ながら、小さく呟く。 そして、しばらくの思案の後・・・グリフィスは、少女の落とした荷物を拾い集め始めた。 「う・・・あ・・・?」 かすかな肌寒さを感じ目を覚ます。 ルイズの目の前には、オレンジに染まった天井があった。 横たわっていたソファーから起き上がり、周囲を見回す。 そこは夕日の差し込む、狭い部屋だった。もちろん、学院の自分の部屋ではない。 もしかすると、すべて悪い夢だったのかもしれない。 そんな淡い期待が裏切られ、視線を落とす。 「っ!」 そして彼女はようやく、肌寒さを感じた理由に気が付いた。 身につけていたはずのマントとブラウスが消えていた。 スカートは身につけているものの、上半身は申し訳程度に巻きついた白い布地だけ。 露出した肩が部屋の空気に直接あたり、ルイズは身を震わせた。 「どうやら、気が付いたようだな」 部屋の片隅から、突如として響いた声に慌てて振り返る。 そこには、笑みを浮かべた銀髪の男が居た。 「ころす!ころしてや・・・」 思わずあげた怒声は、身体を貫く痛みに妨げられる。 自らの身を抱きしめ苦しむルイズに、男の言葉が届く。 「無理に動かさないほうがいいぞ。骨は折れていないが、全身を打撲している」 楽しそうにそう言いながら、男は足元の鞄を開ける。 そして、その中から水を取り出すと、ルイズにむかって投げてよこす。 目の前に落ちたそれを見ることもせず、少女は男に向けて叫んだ。 「サイトはどこ? サイトを返して!」 「・・・ああ、“彼”なら俺が大切に預かっている」 言葉と共に、男は鞄を指し示す。 その姿を見ると同時に、ルイズは立ち上がり・・・痛みに声を上げ、再びうずくまる。 そんな彼女の様子を見つめながら、男は手にした物を投げる。 ルイズの目前に落ちたもの、それは緋色の鉄槌。 それを即座に拾い上げ、ふらつきながら構える。 そして、目の前の男に向かってシュワルベフリーゲンを放とうとして・・・ 男が、鞄を胸元にまで持ち上げている事に気が付いた。 持ち上げていた鉄槌が、地面へと落ちる。座り込んだルイズに向かい、男が言葉を紡いだ。 「交換条件だ、俺の物として働け」 男の――グリフィスの笑みはいまだ、消えていなかった。 【G-5店舗内/1日目/夕方】 【グリフィス@ベルセルク】 [状態]:全身に軽い火傷 [装備]:マイクロUZI(残弾数50/50)、耐刃防護服 [道具]:ターザンロープ@ドラえもん、支給品一式×2(食料のみ三つ分) 平賀才人の首、平賀才人の左手、ヘルメット [思考・状況] 1:ルイズを利用し優勝を目指す 2:やっぱり剣が欲しい 3:手段を選ばず優勝する。殺す時は徹底かつ証拠を残さずやる 4:キャスカを探して、協力させる。 5:ガッツ…… 【ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔】 [状態]:全身打撲(応急処置済み)、左手中指の爪剥離 [装備]:グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのはA s (強力な爆発効果付きシュワルベフリーゲンを使用可能) [道具]:なし [思考・状況] 1:グリフィスに従う 2:グリフィスが隙を見せたらサイトを奪い返した後に殺す 3:朝倉涼子を殺す 4:3のために、朝倉涼子の情報を集める 5:サイトと一緒に優勝して、ギガゾンビを殺す。 手段は問わない 6:サイトに会いに行く 時系列順で読む Back 「ミステリックサイン」 Next どうしようか 投下順で読む Back 白地図に赤を入れ Next ヒステリックサイン 157 いつか見た始まり グリフィス 193 調教 163 二人だけの第三楽章~復讐の炎は地獄のように胸に燃え~ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 193 調教
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――明日まで残り1時間、現在23時00分。 また明日も毎日の様に死んだ世界戦線メンバー達と一緒にどこかへ連れられる日になるのだろう。 いつも巻き添えをくらっている形になっているが俺は今の生活が好きになってきている。 明日はどんな1日になるのだろうか? また、日向と一緒に嫌な仕事をゆりに押し通されるかもしれない。 また、みんなと武器を用いて戦いへ参加させられるかもしれない。 また、奏と一緒に話しながら新たな一面が見られるかもしれない。 無限に広がる明日の可能性。 ――だが俺達の日常は、狂った世界が干渉し合いやがてそれは絶望が始まる事を告げるのだった。 It is a very dazzling night. 『それはとても眩しい夜』の物語。 ――――― 「ここはどこだ?」 俺が目を、いや意識を覚ましたのは暗い外のグラウンドの様な場所に立っていた。 目の前にはそびえ立つ学校。 そこではじめて死後の世界に来た日の事を思い出す。 あの日も夜中にグラウンドで目を覚ました。 あの時みたいに自分の名前を忘れていないか整理をしよう。 俺の名前は音無結弦。 よし大丈夫名前はきちんと覚えていた。 だが、今とあの夜の時とで決定的に違う事が2つあった。 1つは自分が倒れていた事。 これ自体は特にどうとでもない。 2つは周りにたくさんの人物が居る事。 しかも世界戦線メンバーでは見かけた事がないというか知らない人達が溢れかえっていた。 「なんだよここ?」 「あれこんなところに来た記憶なんかないんだけど……?」 「たくさん人が居るな」 口々とたくさんの男女の声がする。 大体の人は俺達みたいな学生が多いがチラホラと大人の人が居たり、武装した人が居たりと共通点はあまりないみたいであった。 そこで俺はみんなの共通点に気付く。 なんだみんなが付けている銀色の首輪は? 見渡す限りの人全員が同じ首輪がある。 誰1人付けていない人物は居ない。 新たなオシャレかもと思ったがどうやら違うらしい。 なぜなら俺にも首輪がはめられている感触に気付いたからだ。 なんだ、この首輪は? その首輪に触ろうと手を伸ばしたが……、結果的に首輪には触れなかった。 理由はグラウンドに取り付けられていたライトが一部のみを照らし、全員が全てを忘れてその方向を向いたからである。 ――――― みんなが目線を向けた先のライトが照らされた場所には1人の人間か立っていた。 まるで中世ヨーロッパの貴族を傍観させる老人に近い人物だった。 それでいて貴族らしい上品なイメージはなく、人を見下す王――むしろ殺人者や独裁者、侵略者に近い目をしている。 「我が名はシャルル・ジ・ブリタニア。 貴様らは明日からはじまる儂が主催するゲームに参加してもらう権利を得たのだ」 それは高く、響く、貫禄のある声であった。 まるでみんなが彼の言葉に従う様に黙り込んだ。 逆らってはいけないのではないだろうか? そんな気がしてならなかった。 そんな中、主催者に反逆する様な声がグラウンドいっぱいに広まった。 「ふざけるなシャルル・ジ・ブリタニア! 貴様はアーカーシャーの剣と共にマリアンヌと消えたはずだっ!」 「それは悪かったなルルーシュ。 なら貴様とは違う世界から来たという事だよルルーシュ。 それを言うならば、儂の世界ではお前は儂とマリアンヌに屈したはずだよ」 「なっ!?そ、そんなパラレルワールドの様な世界の存在を認めろとでも言うのか!?」 「真実は1つではないのだよ、ルルーシュ」 そう言うとルルーシュと呼ばれた高校生ぐらいの少年は黙り込む。 おそらくだが口振りから見てお互いは知り合い同士である事が誰でもわかったであろう。 他の皆もそれには気付いたであろう。 それを気にした様子もなくシャルルは話を進める。 「少し話が脱線してしまった様だな。話を戻そう。 君達は儂のゲームのチェスに参加をしてもらう。その名もバトルロワイアル」 『バトルロワイアル』。 その単語が出た瞬間辺りがザワザワと騒ぎだした。 ――――― 「なっ!?バトルロワイアルだって」 驚いたのは俺だけではなかった。 辺りは騒然。 誰もが嘘だろと言いたげな顔であった。 冷静そうに見えていた『ルルーシュ』という少年もポカンとした顔になっている。 「では詳しい話は進行係である2人にお願いしてもらおう」 そう言うとシャルルの奥から2人の女性が歩いて来た。 1人は眼鏡をかけたエリートの様な女性で女社長という様なキャリアが見える40前後の女性。 もう1人は優等生の様な髪の長い少女。シャルルや前者の女性と比べると不釣り合いに見えなくもなかった。 「はじめまして郷田真弓です」 「朝倉涼子です。よろしくお願いします」 と2人が名乗る。 俺は今から語られるバトルロワイアルの単語に嘘くさいと感じながらも何故か嫌な予感が離れなかった。 死んでも蘇ってしまう自分も果たして死んでしまうのかはわからない。 意味はわかっていてもどうか破滅する未来が待っていない事を願いながら。 「あなた達は現在103人の人が居ます。 この103人に、私達で用意するランダム支給品や自分の力で殺し合ってもらい最後の1人になるまで続けさせてもらいます。 無事優勝した暁にはあなた達に優勝賞金の20億円と元の世界に帰還させる権利を保証します。 その20億円を使えば望みすら叶えて差し上げましょう」 「制限時間は無制限です。 しかし24時間誰も死ななかった場合は全員を失格にして殺害致しますので平和なハッピーエンドは期待しないでください」 2人は笑顔なのか無表情なのかよくわからない表情を浮かべている。 そして自分達を考えさせる間もなく話を続けられる。 「次は首輪の話をしようかしら」 郷田と名乗った女性は手からみんなや俺に付けられているだろう首輪を手に持っていた。 「単刀直入に言うならこの首輪は爆弾です。 どんな人物であっても必ず死んでしまいます。この首輪が爆発する条件は3つです。 1つはこの首輪を外そうとする事。 2つはこの首輪に大きいショックを与える事。 3つは禁止エリアに侵入する事です」 「では禁止エリアの説明をします。そのままの意味ですが侵入したら30秒だけ警告音を鳴らします。 その警告音が止んだ瞬間爆発します。まぁお手本を見せましょうか」 ピピピーと無機質な音が鳴り響く。 音源はよくわからないが俺は郷田が持っていた首輪が爆発すると思っていた。 だが、その考えは平和的なご都合主義に過ぎなかった。 パーン! 「え……?」 『首元』が砕け、『赤』が飛び散る。 飛んだ首から外に出たがっていたかの様に飛び散る。 溢れる血がなくなる頃には小、中学生くらいの少女が2人一緒に血溜まりに倒れていた。 俺より小さい子が2人も……。 みんな時間が止まったのだろう。 見慣れた死であっても、こんなにも呆気なく醜い死を見た俺は思考すら止まっていた。 他の人達も悲鳴を上げない。 何故なら首が飛んだ事を信じられないで居たから。 悲鳴を上げる事を忘れていた。 いや、この皆は声の出し方すら忘れてしまっていたのだ。 「不意打ちすみませんね。 この私の手にある首輪には火薬が入っていませんでしたので爆発を証明する為、ランダムで首を飛ばしました」 「でも考えようによってはどうせ今から親しき人に裏切られ無常に殺される未来がなくなっただけ一番幸せ者かもしれませんね」 狂ってる……。 主催のシャルルも、進行役の郷田も朝倉も。 「説明に戻します。 禁止エリアは1回目からの定時放送で発表され、2時間後と4時間後に発生されます。 これは人が少なくなっていった時に参加者同士の遭遇率を上げる為の処置なのでご了承くださいね。因みに禁止エリアの解除はありません」 「その定時放送というのは1日の6時間事、つまり6時12時18時24時に発表されます。 内容はさっき郷田さんが言った禁止エリアの位置とその間に亡くなった参加者の名前を呼び上げます。重要な放送なので絶対に聞き逃さないでね あとさっきさらりと触れた支給品の事だけどこれには食料1日ぶん、水、デバイス、地図、参加者の名簿、筆記用具、ノート、ライトとランダムに配られるランダム支給品を3つをデイパックに入れて配ります 皆さん張り切ってこのゲームに参加してくださいね」 語られた事が今までのミッションが子供騙しだと思えるほど酷い内容でみんな黙ってしまっていた。 ただ1人を除いて。 「そんなくだらない事をさせると思うか?」 黒い肌で筋肉質の男が刃向かいの声を上げた。 「シャルル・ジ・ブリタニア!郷田真弓!朝倉涼子!みんなをふざけた事に巻き込ませようなんて俺がさせない!」 腕が変形をし、力がその拳に集まっていく。 「今みんなを解放すればこの技は出しはしないぞ。首輪にショックなど与えていないし、どうせ首輪を爆発させるのに30秒かかるのだからな。 さぁみんなを解放しろっ!」 「愚か者。すぐにでも首輪なぞ爆発出来るわ」 「何っ!?」 パーン! また同じ光景が繰り返される。 ――あまりにも現実離れした現実だった。 「その程度も予想も出来ぬバカ者には負けぬわ! それと言い忘れおったが死神やサーヴァントや未確認生物などのたくさんの個性豊かなメンバーが揃っておるが彼らは能力や力を制限されておる。 儂らの発見がした未知の力によってな。ある程度どのくらい制限されたかは理解出来るであろう」 フフフと笑うシャルル・ジ・ブリタニア。 その瞳に映る人々の表情はどんなのであろうか? 人々をどんな目で見て、どの様に見えるのか。 俺は到底理解出来ない。 「それでも一般人なんかよりは遥かに強いがな。だが儂らにとってはみんな同じくチェスの駒に過ぎんがな。3人が死に、生き残った100人の者達よ殺しあうのだ!」 俺は『自分もNPCの1人に過ぎなかった事』を実感し、皮肉にも笑ってしまっていた。 ――もう後戻りは出来ない。 ――――― 23時15分。 長いと感じた時間はまだ15分しか経過していなかった。 「0時ちょうどに貴様らは起床する事になる。 ――では優勝時にまた会おう」 そう主催者に言われ俺の意識はまた唐突に消えた。 これも未知の力の力なのかと疑問を抱きながら……。 闇へ……。 【持田由香@コープスパーティー 死亡】 【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に 死亡】 【茶渡泰虎@BLEACH 死亡】 【主催者 シャルル・ジ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュ】 【進行役 郷田真弓@シークレットゲーム-KILLER QUEEN-】 【進行役 朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】 ※キャラクターの能力制限は、どの程度制限されているのか自分でわかる様になっています。一応仕様となっています。 時系列 001 アナタは恋人を殺せますか? 投下順 001 アナタは恋人を殺せますか? START 音無結弦 010 その男ら、凶暴につき START ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア 026 Angel Meets! START シャルル・ジ・ブリタニア [[]] START 郷田真弓 037 悪がもう一人の自分をつくる(前編) START 朝倉涼子 079 第1回定時放送【『脱出を目指しているあなたに問います。』『ゲームに乗っているあなたに問います。』】 START 持田由香 DEAD END START 北条沙都子 DEAD END START 茶渡泰虎 DEAD END
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No.034 涼宮ハルヒ 夏服ver.(Haruhi Suzumiya Summer Uniform Ver.) 情報 作品名 涼宮ハルヒの憂鬱 定価 2,500円(税込) 発売日 2009年04月29日 商品全高 約135mm 付属品 表情:笑顔、怒り顔 手首:×12(握り手×2、開き手×2、持ち手×2、平手×2、指差し手×2、サムズアップ・右、デジカメ持ち手・右) 頭部:通常頭部、ポニーテール頭部 共通付属品(スタンド、スタンド用アーム、収納袋) その他:デジカメ、団長卓上サイン、名探偵腕章 画像 投稿できる方がいらっしゃいましたらお願いします。 キャラクター概要 涼宮ハルヒ 制服ver.を参照。 商品解説 制服ver.から1年を経て発売された。 本体は腕部が新造になっており、ポニーテール頭部の付属でシチュエーションの幅が広がっている。 ただ表情は制服ver.の補完的な面がある為汎用性があるとは言いがたく、卓上サインも肝心の机が無い等単独ではいささか中途半端な面がある。 これは10月末発売のみくる(大)で補うといいだろう。 初回製造分には「新入学おめでとうキャンペーン」特典として、ブルー/カーキ/レッドの3色のスクールバッグの内いずれか一つがついてくる。 良い点 ポニーテールの頭部が付属している。 悪い点 通常顔といえる表情がない。 鳥足が改善されていない。 注意点・不具合情報 関連商品 涼宮ハルヒ 制服ver. 涼宮ハルヒ チアガールver. 涼宮ハルヒ 中学生ver. 涼宮ハルヒ 光陽園学院ver. 超勇者ハルヒ 長門有希 制服ver. 長門有希 悪い魔法使いver. 朝比奈みくる 制服ver. 朝比奈みくる チアガールver. 朝比奈みくる 戦うウェイトレスver. 朝比奈みくる 大人ver. キョン 制服ver. 古泉一樹 制服ver. 鶴屋さん 制服ver. 鶴屋さん 文化祭メイドver. 朝倉涼子 制服ver. figmaスクールバッグ コメント 名前 コメント