約 30,345 件
https://w.atwiki.jp/hu-ten/pages/27.html
解説役(ストーリーテラー) やる夫こと 1の代理として、スレの随所に出てきて物語の進行、解説を行う。 以下は歴代の担当キャラ。()内は元ネタのアニメ、ゲーム名。数字はスレの順。 1 ちゅるやさん(同人サークル『うつらうららか』←元ネタ:涼宮ハルヒの憂鬱の鶴屋さん) 2 同上 3 シエル(月姫) 4 ちゅるやさん 5 坂上智代(CLANNAD) & 1 6 琥珀(月姫) 7 ちゅるやさん 8 朝倉涼子(涼宮ハルヒの憂鬱) 9 真宮寺 さくら(サクラ大戦) 10 ちゅるやさん 11 ちゅるやさん 12 金糸雀(ローゼンメイデン) 13 同上 14 ちゅるやさん 15 水無 灯里(ARIA) 16 アメリア先生(マジックアカデミー) 17 ククリ(魔方陣グルグル) 18 ちゅるやさん 19 アナ・コッポラ(苺ましまろ) 20 エルルゥ(うたわれるもの) 21 同上 22 ちゅるやさん 23 リナ=インバース(スレイヤーズ)
https://w.atwiki.jp/niko2/pages/445.html
第六回放送までの死者 お前ら 何故殺たし 時間 名前 殺害者 死亡作品 死因 朝 キョンの妹 阿部高和 194 ゆっくりしていってね!!!194 ゆっくりした結果がこれだよ!!! 刺殺 午前 伊吹萃香 阿部高和 196 Ontology 胴体破壊 午前 阿部高和 永井博之 196 Ontology 失血死 昼 天海春香 涼宮ハルヒ 204 D-2草原大炎上戦(前篇)204 D-2草原大炎上戦(中篇)204 D-2草原大炎上戦(後篇)204 ラストバトル 閣下VS神204 残酷な神が支配する204 本物の神様 圧殺 以上5名 おまけ 名前 最後の言葉 キョンの妹 「わたし、みんなに会えて……ほんとに…よかった……」 伊吹萃香 「阿……部!!!!」 阿部高和 「…下、とびっきりのをたのガハガハッ! 俺のケツにその太いのをた……」 天海春香 『十中八九、貴方が魅音を殺したんでしょうけど、私は以前貴方に助けてもらった。だから今度は私が助ける番。 以前は挫けそうになったけど、私は絶対に貴方を見捨てない。この木刀を使って!お願いだから罪滅ぼしをして!』 殺害数ランキング 順位 加害者 殺害人数 被害者 スタンス 生死 1位T 柊つかさ 4人 いさじ、ストーム1、ゴマモン、園崎魅音 暴走→対主催 ○ 1位T 阿部高和 4人 キョン、鈴仙・優曇華院・イナバ、キョンの妹、伊吹萃香 無差別 ● 3位T 竜宮レナ 3人 [外山恒一、前原圭一、TASさん 対主催 ○ 3位T TASさん 3人 イチロー、ピカチュウ、友人 無差別 ● 3位T サトシ 3人 如月千早、越前リョーマ、永井浩二 無差別 ● 3位T フシギダネ 3人 道下正樹、オメガモン、フシギダネ 無差別 ● 3位T クラモンA 3人 菊地真、富竹ジロウ、ロールちゃん 皆殺し ○ 8位T ムスカ 2人 ワドルドゥ、スパイダーマン 無差別 ● 8位T エアーマン 2人 琴姫、ロックマン 無差別 ● 8位T 暗黒長門 2人 福山芳樹、朝倉涼子 奉仕(キョン) ● 8位T YOKODUNA 2人 お覇王、霧雨魔理沙 無差別 ● 8位T クラモンC 2人 水銀燈、泉こなた 無差別 ● 8位T 天海春香 2人 白石みのる、エアーマン 対主催 ● 14位T 八意永琳 1人 インセクター羽蛾 皆殺し ○ 14位T 日吉若 1人 [ドラえもん 対主催 ○ 14位T キョンの妹 1人 小笠原祥子 対主催 ● 14位T 園崎詩音 1人 園崎詩音 無差別 ● 14位T 伊吹萃香 1人 高町なのは 対主催 ● 14位T KAS 1人 谷口 対主催 ○ 14位T 博麗霊夢 1人 YOKODUNA] 対主催 ○ 14位T クラモンD 1人 高槻やよい 無差別→? ○ 14位T ロールちゃん 1人 ニート 対主催→暴走 ● 14位T 高槻やよい 1人 削除番長 対主催 ● 14位T 削除番長 1人 永井けいこ 無差別 ● 14位T 朝倉涼子 1人 暗黒長門 ステルス ● 14位T ゴマモン 1人 柊かがみ 奉仕(柊つかさ) ● 14位T 外山恒一 1人 サトシ 対主催 ● 14位T 富竹ジロウ 1人 ティアナ=ランスター 暴走(雛見沢症候群発症) ● 14位T 武藤遊戯 1人 ムスカ ステルス対主催 ○ 14位T ピッピ 1人 ピッピ 対主催 ● 14位T ヨッシー 1人 ヨッシー 対主催 ● 14位T 永井博之 1人 阿部高和 対主催 ○ 14位T 涼宮ハルヒ 1人 天海春香 皆殺し ○
https://w.atwiki.jp/ln_alter2/pages/17.html
第一回放送までの本編SS オープニング No. タイトル 作者 登場人物 000 今からはじまる終焉――(今よりはじまる終演) ◆EchanS1zhg 朝比奈みくる、西東天 深夜 No. タイトル 作者 登場人物 001 盤曲の台は食い違い ◆LxH6hCs9JU インデックス、ヴィルヘルミナ・カルメル、フリアグネ 002 忍者月影抄 ◆F0cKheEiqE 如月左衛門 003 彼と彼女の歩む道 ◆oUz4tXTlQc 高須竜児、島田美波 004 裸の出会いにご注意ください ◆bVLQ9jn0aM 上条当麻、北村祐作 005 一文字違いの獅子 ◆b8v2QbKrCM 白純里緒 006 伊賀の散歩者 ◆F0cKheEiqE 筑摩小四郎 007 紅蓮への懇願 ◆LxH6hCs9JU シャナ、櫛枝実乃梨、木下秀吉 008 たいがーころしあむ ◆EA1tgeYbP. 逢坂大河、零崎人識 009 The prince of darkness ◆hwBWaEuSDo シズ 010 明久のパーフェクトえいご教室 ◆EA1tgeYbP. 吉井明久、テレサ・テスタロッサ 011 龍虎の拳 ◆MjBTB/MO3I 師匠、朝倉涼子 012 Noblesse Oblige-王族の義務とその意味- ◆O1Af7pV8lA トレイズ、川嶋亜美 013 人間臨終図巻 ◆F0cKheEiqE キノ、薬師寺天膳 014 二人の選択 ◆oUz4tXTlQc クルツ・ウェーバー、土御門元春 015 栞――(死因) ◆EchanS1zhg 紫木一姫、長門有希 016 酔っ払いの話 ◆UcWYhusQhw キョン、メリッサ・マオ 017 学校の会談 ◆mk2mfhdVi2 いーちゃん、古泉一樹 018 バロール ◆EA1tgeYbP. 浅上藤乃、甲賀弦之介 019 どこにでもある、普通の出会い ◆NQqS4.WNKQ 黒桐幹也、吉田一美 020 女怪 ◆h3Q.DfHKtQ 黒桐鮮花、朧 022 ネコの話 ―― Girl meets Girl ―― ◆76I1qTEuZw 白井黒子、ティー 023 魔女狩りの王 ◆EA1tgeYbP. ステイル=マグヌス 024 死線の寝室――(Dead room) ◆EchanS1zhg 玖渚友 025 零~zero~ ◆MjBTB/MO3I 朝比奈みくる、土屋康太 026 long name ◆UcWYhusQhw リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ、相良宗介 027 姫路に忍びあり ◆h3Q.DfHKtQ 姫路瑞希、筑摩小四郎 028 あの夏は終わらない ◆hwBWaEuSDo 浅羽直之 029 そして2人は殺し合いに乗った ◆76I1qTEuZw フリアグネ、トラヴァス 030 鬼畜眼鏡 ◆MjBTB/MO3I 水前寺邦博、島田美波 031 星をみるひと ◆MjBTB/MO3I 伊里野加奈 032 須藤晶穂の憂鬱 ◆mk2mfhdVi2 逢坂大河、須藤晶穂 033 Sleeping Beauty ◆EA1tgeYbP. 榎本、アリソン・ウィッティングトン・シュルツ 035 人間考察 ◆NQqS4.WNKQ 両儀式、坂井悠二 036 とある舞台の人間失格 ◆RC.0aa1ivU 御坂美琴、零崎人識、ガウルン 040 CHALLENGER ◆MjBTB/MO3I キョン、メリッサ・マオ 051 摩天楼狂笑曲 ◆76I1qTEuZw 朧、黒桐鮮花、玖渚友、白井黒子、ティー 黎明 No. タイトル 作者 登場人物 021 Parallel daze――(平衡幻覚) ◆EchanS1zhg いーちゃん、涼宮ハルヒ 034 忍法 魔界転生(にんぽう しにびとがえし) ◆76I1qTEuZw 如月左衛門 037 mother ◆UcWYhusQhw 榎本、アリソン・ウェッティングトン・シュルツ、シズ 038 虎と機関銃(前編)虎と機関銃(後編) ◆76I1qTEuZw 浅羽直之、逢坂大河、須藤晶穂 039 勝者なき舞台 ◆EA1tgeYbP. 白純里緒、黒桐幹也、吉田一美 041 ハローグッバイ ◆UcWYhusQhw 上条当麻、千鳥かなめ、北村祐作 042 ドラゴンズ・ウィル(前編)ドラゴンズ・ウィル(後編) ◆76I1qTEuZw 高須竜児、古泉一樹、水前寺邦博、島田美波、紫木一姫 043 バカと誤解とボン太くん ◆RC.0aa1ivU キノ、吉井明久、テレサ・テスタロッサ 044 NINJA GAIDEN ◆MjBTB/MO3I 薬師寺天膳 045 戦場という日常 ◆EA1tgeYbP. クルツ・ウェーバー、土御門元春 046 凶る復讐心 ◆LxH6hCs9JU 浅上藤乃 047 朝比奈みくると土屋康太のバカテスト ◆LxH6hCs9JU 朝比奈みくる、土屋康太 048 COGITO_ERGO_SUM ◆76I1qTEuZw インデックス、ヴィルヘルミナ・カルメル 049 ART OF FIGHTING――(作法) ◆EchanS1zhg 朝倉涼子、師匠 050 天より他に知るものもなし ◆EA1tgeYbP. 浅上藤乃、坂井悠二、両儀式、榎本 053 粗悪品共の舞踏会 ◆LxH6hCs9JU アリソン・ウェッティングトン・シュルツ、シズ、キョン、メリッサ・マオ、リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ、相良宗介、フリアグネ、トラヴァス、坂井悠二 054 奇々怪界 ◆MjBTB/MO3I シャナ、櫛枝実乃梨、木下秀吉 056 what a beautiful people ◆UcWYhusQhw 伊里野加奈 057 丑三つ時(――苦死満つ刻――) ◆EA1tgeYbP. ガウルン、如月左衛門 058 神威 (無為化) ◆76I1qTEuZw 涼宮ハルヒ、いーちゃん 066 破と獣と炎の狂想曲 ◆UcWYhusQhw 朧、ステイル=マグヌス、白純里緒 067 超難易度(レベルベリーハード) ◆LxH6hCs9JU 白井黒子、ティー、黒桐鮮花、クルツ・ウェーバー、土御門元春 068 みことマーダラー ◆olM0sKt.GA 御坂美琴、零崎人識 早朝 No. タイトル 作者 登場人物 052 silky heart ◆UcWYhusQhw トレイズ、川嶋亜美 055 Triangle Wave ◆UcWYhusQhw 須藤晶穂、逢坂大河、テレサ・テスタロッサ 059 ユケムリトラベル(上) 人類五名温泉宿の旅ユケムリトラベル(下) 人類五名温泉宿の旅 ◆LxH6hCs9JU 朝倉涼子、師匠、北村祐作、筑摩小四郎、姫路瑞希、黒桐幹也 060 はじまりの森 ◆MjBTB/MO3I キノ、吉井明久 061 二輪車の乗り手 ◆LxH6hCs9JU 上条当麻、千鳥かなめ、シャナ、櫛枝実乃梨、木下秀吉 062 南の島 (前編)南の島 (後編) ◆76I1qTEuZw 朝比奈みくる、土屋康太、榎本、伊里野加奈 063 泥の川に流されて ◆ug.D6sVz5w 浅羽直之、薬師寺天膳 064 化語(バケガタリ) ◆LxH6hCs9JU ガウルン、如月左衛門 065 SIDE BY SIDE ◆MjBTB/MO3I 水前寺邦博、島田美波 069 コロシアムをもう一度 ◆ug.D6sVz5w キョン、アリソン・ウェッティングトン・シュルツ、シズ、メリッサ・マオ 070 ラスト・エスコート (前編)ラスト・エスコート (後編) ◆MjBTB/MO3I 姫路瑞希、黒桐幹也 071 いつか、届く、あの空に。 ◆UcWYhusQhw キョン、アリソン・ウィッティングトン・シュルツ 072 弛緩思考 Roundabout Speculation ◆76I1qTEuZw 両儀式 073 本当はずっと、子供のままで、幼いままで ◆UcWYhusQhw リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ、相良宗介 074 彼らの常識、非常識 ◆ug.D6sVz5w 古泉一樹、紫木一姫 075 明日の君と逢うために ◆UcWYhusQhw 黒桐鮮花、クルツ・ウェーバー、土御門元春 076 ウソツキエゴイスト ◆ug.D6sVz5w 朧、涼宮ハルヒ、いーちゃん 077 明日のきみと逢う為に ◆UcWYhusQhw 白井黒子、ティー 078 銃と刀(前編)銃と刀(後編) ◆76I1qTEuZw シズ、メリッサ・マオ 079 ルドラの秘宝 ◆MjBTB/MO3I 坂井悠二 080 罪人のペル・エム・フル(前編)罪人のペル・エム・フル(後編) ◆ug.D6sVz5w インデックス、ヴィルヘルミナ・カルメル、島田美波、水前寺邦博、零崎人識、御坂美琴 081 「曲がった話」― Analyzing Device ― ◆02i16H59NY 朝倉涼子、師匠、浅上藤乃 第一回放送 No. タイトル 作者 登場人物 082 第一回放送――(1日目午前6時) ◆EchanS1zhg 西東天
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4793.html
さて、では現在の私の状況を説明する。 特筆すべき事態は皆無の状況を維持していたのはこの放課後までだった。即ち、この放課後に特筆すべき事態が発生したということにほかならない。 珍しく沈黙を守っていた涼宮ハルヒが突然再起動し、この文芸部室にまで引きずられた。 容姿・生体的基礎能力、そして性格が他を非常に大きく逸脱したこの女子生徒は私の高校生活最初の日から私の後ろの席に居座っていたのだが、彼女は他を拒絶 してるようであったし、私も興味はなかったので、これまでと同じように時々友人(補足すると中学から異性としての要素を考慮にいれない付き合いをしていた国木田君や高校から話すようになった数人の女子生徒だ)と話をしながらも大半では黙々と読書にふける学校生活を送っていた。 どうやらそれがいけなかったらしい。 私は客観的に見れば、正にという無口文学少女だろう。しかし私は一人の人間であり、全く話さないわけではない。少々口下手なのを自覚してるのも合間って自発的に話し掛けないだけで、話が始まれば無口なりに話すし、常に無表情というわけでもない。友人もそれなりにいる。 だが、彼女の他を大きく逸脱したエキセントリックな感性に対して私というキャラは見事にマッチしてしまったらしい。 『あんた、気に入ったわ!今度からあんたのこと、有希って呼ぶから!』 『……そう』 そして、クラスで唯一彼女とコンタクトをとれるという理解に苦しむレッテルが追加されて数日が経ち、かくかくしかじかなことがありつつも、新しい部活を作ればいい、と叫ばれ、現在に至る。 確認しよう。私は彼女に特別干渉するようなことはしていないし、影響を与える可能性が高いことも言っていない。 なら何故、私はここにいるのだろう。 【もしもシリーズ壱号作:長門とちぇんじ】 さて、前述のように私はこの涼宮ハルヒという人物によって私の在学する通称北高の果てに存在する部室棟の三階にある文芸部室にまでつれてこられたわけなのだが、 「これからこの部屋が、我々な部室よ!」 「……少し待って欲しい。ここは文芸部室のはず」 現に、窓側にパイプ椅子を置いてそこに座り、片手に文庫本を持ってぼうっとしたようすでこちらを見つめる、文芸部員らしき男子生徒がいる。 「そ。でも今年の春に三年生が卒業して部員ゼロ。新たに誰かが入部しないと休部が決定していた唯一のクラブなのよ。で、こいつが一年生の新入部員」 予想は当たったらしい。 「……では休部になっていないはず」 「似たようなもんよ。一人しかいないんだから」 似て非なるものだと思う。 「しかし、あの人はどうするの」 「別にいいって言ってたわよ」 「……本当?」 「ええ。昼休みに部室貸してって言ったら、好きにすればいいさって。ゆっくりできればそれでいいらしいわ。高校生にあるまじきグータラぶりは、相当変わってるわよねぇ」 変わってる、という事に関して貴女が言える事は無いと思う。 「ま、そーゆーことだ。俺はキョンと呼ばれている。一つ適当によろしく頼むよ」 「……長門有希。こちらこそよろしく」 その声は、落ち着いて堂々とした声だった。容姿は一見して普通、しかしよく見ると結構高い水準にある。しかし、これはこの際関係無い。 「彼女はこの部屋を理解するに困難な部活動の部室にしようとしている。それを、許可するの」 「ああ、別に構わん」 「……しかし、恐らく多大な迷惑をかけると予想される」 「それはそれでいい」 「……そのうちこの部屋の専有権の放棄を迫られる可能性もある」 「そんときはそんときさ。なるようになる」 「…………」 思わず、絶句。よく考察すれば、彼の目的に当該の部室の絶対的必要性は著しく低い。故に生じる無関心さなのかもしれない。 「ま、そういうことだから。これから放課後、この部屋に集合ね! 絶対来るのよ!! 来なかったら、死刑だから!!!」 「…………了解した」 むしろ、圧し負けたというに近い。しかし、死刑は嫌。 そして翌日。 彼女は私に先に行くよう指令を下し、廊下へと消えた。 部室に到着した私だが、既に彼は来ており、少々行儀の悪い体制で文庫本を片手にしていた。そして、私も読書家だ。珍しく、興味が沸いた。 「何、読んでるの」 「ん、よう長門。本か、伊坂幸太郎の『重力ピエロ』だよ」 眼鏡を通して彼の文庫本を確認する。確か、若い層に人気のある作家だ。 「面白い?」 「ああ、中々ユニークだ。ジョークのセンスも話もな」 「本、好き?」 「暇つぶしの手段として優秀だな。地球人類の創りだした文化の極みだよ」 「……そう」 とりあえず、読書仲間が増えるのであれば先の狼藉も有益かもしれない。 そこから、同性の私からみてもかわいらしいと評価できる朝比奈みくるという先輩がかつての治安維持法も驚愕するような理不尽な理由で強制召喚され、色々あったのちに傍観に徹していたキョン(これで通すことにする)をしばし見詰めてから入部したり、男子生徒が一人追加されたりしたが、割愛する。 むしろ、重要なのはこちらの方。 「おお、そうだ長門。これ、読んでみろよ」 そういう彼に渡されたのは、伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』という一般的なハードカバーの小説。読んだことはない。 しかし彼が奨めるのだから面白いのだろう、と判断して素直に受け取る様を彼が少し神妙な顔でみていたことが少し気になった。 結局、私は今読んでいる本を読み切っておきたかったので借りた本はまだ手を付けていない。 それを読んでいたかのように、彼が私に催促した。私は違和感を覚える。彼は自発的理由から他人に余計な干渉はしない。私や朝比奈みくるの世話などはしてく れるが自らの考えからの行動は少ない。 私は帰り次第、妹をなだめてすぐに本を開いた。そして30分程読んで、挟まれていた栞の存在に気が付いた。 《午後七時、光陽園駅前公園で待っている》 時計を見て、素早く財布を持って、妹に用件を託し、タイミングよく来たタクシーをつかまえ駅前公園へ向かった。時間と距離的にその方がよい。滅多に使わないため、余裕があった。 公園に到着した私は、小走りで公園を回り、ベンチを横になる彼を視認した、と同時にそれを知っていたかねような悠然とした動作で彼が起き上がる。時間にはまだ少し余裕があったようだ。 「今日で、よかった?」 「ああ」 「……もしかして、昨日も?」 「まあな。別に気にしなくていいぞ」 「……何故、ここに?」 「なにかと都合がいいからな。さて、こっちだ」 数分喋るでもなく歩いた先にあったのは、この辺では知れた高級マンションだった。エントランスを抜け、玄関をくぐり、エレベーターで上がって、着いたのは少し殺風景な部屋だ。そしていま、私達は彼のいれたお茶を挟んでこたつを介し、向き合って座っている。 「…………」 「…………ふぅ、少し熱いな、失敗だ。気をつけてくれ」 「……家の人は?」 「いないぞ」 あまり健全な状況ではない。流石に動揺してしまう。 「……お出かけ?」 「いや、最初からいねえよ。俺しかな」 一人暮らしだろうか、初耳だ。 「ん~、まあそうなるな」 少し曖昧な返答をした彼は、再びお茶を注いだ。 「それで、用は?」 すぐには答えず、注ぎ終えたお茶をさしだして、「飲んでくれ」と、彼は言った。従って、飲む。 「うまいか?」 首肯する。事実、美味しかった。彼は、「そうか」とだけいって、こちらを見詰めてくる。 「じゃあ、なんでお前をここに連れて来たかなんだが、」 一拍おいて、 「涼宮。涼宮ハルヒのことだ。んで、俺のことでもある。お前に教えておこうと思ってな」 「……涼宮ハルヒと貴方が、何」 パターンからいえば恋愛沙汰だろうが、この場合役者が明らかにおかしい。私という人選もまた然りだ。 「そうじゃねーよ。うまく言語化できんな。情報伝達に齟齬が発生するかも知れんが、でも聴いてくれ」 それが、思えば実質的な『それら』の全ての開始だったのかもしれない。 「涼宮と俺は、普通の人間じゃないんだ」 「……前者はわかる。しかし、貴方は……」 「ああ、いや、そうじゃないんだ。性格に普遍的な性質を持っていないだとか頭の中が年中ハレハレのパラダイス状態だとかそういうんじゃなくてだな、文字通りの意味で、あいつと俺はお前のような大多数の人間と同じとは言えないんだ」 結構散々に言っている。しかし、本番はここからだったようだ。 「この銀河を統轄してる情報統合思念体によって創られた、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェイス、それが俺ってわけだ」 「………………?」 「あ~、通俗的な用語を使うとだな、宇宙人に該当する存在に当たるな」 「……宇宙……人……?」 二つの意味で、信じられなかった。 話自体もそうだが、彼はこんな小学生も信じないような嘘をいう人ではないし、そのためにわざわざ呼び出すなど尚更、更にいちいち難しい言い回しをするようなこ ともないはずだ。 現在の状態は、困惑。 「俺の仕事は涼宮ハルヒを観察して、入手した情報を情報統合思念体に報告することなんだ」 「………?」 「生み出されてからこの三年間、俺はずっとそうやって過ごしてきてた。この三間は特別な不確定要素もなく、至って平凡だったよ。しかーし、最近になって無視のできんイレギュラー因子が涼宮ハルヒの周囲に現れた。それが、お前だ」 「情報統合思念体にとってだな、銀河の辺境に位置するこの星系の第三惑星に特別な価値なんかなかったんだ。ところがどっこい、現有生命体が“地球”と呼称するこの惑星で進化した二足歩行動物に“知性”と呼ぶべき思索能力が芽生えたことによってだ、その重要度は増大したんだな。ひょっとしたら、自分らが陥っている自立進化の閉塞状態を打開する可能性があることを否定できんからだ。宇宙に遍在する有機生命体に意識が生じるのは有り触れた現象だったんだが、高次の知性を持つまでに進化した例は地球人類が唯一だったんだし。 情報統合思念体は注意深くかつ綿密に観測を続けていたんだが、三年前に惑星表面に他では類を見ない異常な情報フレアを観測した。弓状列島の一地域から噴出した情報爆発は瞬く間に惑星全土を覆って、惑星外空間に拡散したのさ。その中心にいやがったのが涼宮ハルヒで、そっから三年間色んな角度から涼宮ハルヒという個体に対して調査を行ったんだが、まだよくわかってないんだ。 それでも情報統合思念体の一部はあいつこそが人類の、んでもって情報生命体である手前等にも自立進化のきっかけを与える存在として涼宮ハルヒの解析を絶賛実行中ってわけだ。 情報生命体であるやつらは、有機生命体と直接的にコミュニケートができん。話せんからな。人間は言葉抜きに概念を伝達できんだろ。んだから俺みたいな人間用のインターフェイスを創ったんだな。情報統合思念体は俺を通して人間とコンタクトできるんだよ」 一気にそこまで喋ったためか、彼が唇を湿らすように湯飲みを口へ運ぶ。 「つまりだ、涼宮ハルヒは自立進化の可能性を秘めてる。まぁ大方、あいつは自分の都合の良いように周囲の環境情報を操作する力があるんだろうよ。それが俺がここにいる理由、んでもってお前がここにいる理由って筋書きだ」 「待って。理解しがたい」 「信じてくれ」 ……それは乱暴すぎる。 「そもそも何故、私なの。……いや、百歩譲って貴方の情報統合思念体云々という話を信用したとして、何故私に正体を明かすの?」 「お前は涼宮ハルヒに選ばれたからな。あいつは意識的か無意識的かはわからんが、手前の意思を絶対的な情報として環境に影響を及ぼしてる。お前が選ばれたのにも何かしら理由はあんだろ」 「……無い」 「あるな。お前と涼宮ハルヒが全部の可能性を握ってる」 「……本気?」 「勿論、えらくマジだ」 同じクラスの「谷口」と呼称される男子生徒のように口数が多いわけでもなく、基本的に現実しか見ないリアリストのような彼が、唐突に私に饒舌になったかと思うと、延々と非現実的なSF話を聞かされた。このように特殊な思考回路を有する人物だとは、想像もつかなかったというのが正直な感想。 「まず、そのような話であれば涼宮ハルヒ自身に話したほうが喜ばれると思われる。私はSF的な話題を好んでいないわけではないが、現実的でない話を現実に反映させるようなものには着いていけない」 「情報統合思念体の意識の大部分はな、涼宮のヤツが自分の存在価値と能力を自覚しちまうと、予測のできん危険が生んじまう可能性があると認識してんだ。今はまだ様子を見るべきだな」 「私が今聞いたことを、涼宮ハルヒに伝える可能性がある」 「まぁ確かに、あいつはお前からもたらされた情報を重視するだろうよ。だがあいつの思考回路はともかく知識は結構常識的でな、早々鵜呑みにしたりはしない。これは大多数の人間にも言えることで、現にお前だって今の内容を信じ込んではいないだろう?」 ……悔しくも、理に適っている。 「情報統合思念体が地球においているインターフェースは、俺一つじゃない。情報統合思念体の意識の一部は、積極的な行動を起こして、情報の変動を観測しようとしてやがる。んでもって、お前は涼宮のヤツにとっての鍵みたいなもんだ。危機が迫るとしたら、まずお前だな」 …………。 それから、某男子生徒の登場や、朝比奈みくるから前述の話と類似した、加えて言うなら属性が宇宙から未来へと変更されたかのような話をさせられ、それに起因して彼の話が少し信じられるような気がして来たと伝え、図書館へ行き、などという探索があったのだが、その辺りは原作を想像で改変してから自らの脳内で展開させておいて欲しい。結果はどちらにしろ同じ。ちなみにその後、某男子生徒改め古泉一樹より超能力的話も聞いた。以上。 そして、舞台は世界を朱へと染める太陽の断末魔が出番となった時間帯の教室へと跳ぶ。基本的にこれは電波小説だ、しっかりと着いてきて欲しい。 団活終了後、私は朝に下駄箱より確認した手紙に従い、教室のドアを開け、そこにいた人物を目にし、非常に意表をつかれた。 ――朝倉涼子 私の所属するクラスの委員長を務め、その任を見事にこなしてクラスを纏め挙げている、中々の手腕を有した女子生徒だった。 彼女は私と目を合わせてから、ゆっくりと教室の中心へと歩き出す。彼女の足音が異常なほど良く聞こえた。 「入ったら?」 穏やかな微笑と共に私の入室を促す。若干の驚きの意味を込め、私も言葉を返した。 「……あなたが?」 「そ。意外でしょ?」 意外だ。放課後に教室を呼び出すほどの用事が、彼女にあるとは思えない。近日中に何らかのイベントも無く、前提として私は何の役員にも属していない。 「用は?」 「用があるのは確かなんだけどね……、ちょっと訊きたい事があるの。涼宮さんのことね、……どう思ってる?」 また、涼宮ハルヒ。しかし彼女は涼宮ハルヒの孤立を警戒して幾度かコンタクトを試みようとしていた、その話だろうか。だがそうであれば、俯いてもじもじとする必要性は見つからない。 「人間はさ、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔するほうがいい』って言うよね。これは、どう思う?」 「よく言うかどうかは知らない。しかし、言葉どおりの意味であると思われる」 「じゃあさ、例え話なんだけど、現状を維持するだけではジリ貧になることはわかってるんだけど、どうすればいい方向に向かうかわからないとき、あなたならどうする?」 「……話の意図を理解できない。日本経済の話?」 「とりあえず、何でもいいから変えてみようと思うんじゃない? どうせ今のままでは何も変わらないんだし」 「……そういうことも、あるかも知れない」 「でしょ? ……でもね、上の方に居る人は頭が固くて着いていけないの。でも、現場はそうもしてられない。手をこまねいていたら、どんどんよくないことになりそうだから。だったら、もう現場の独断で強行に変革を進めちゃってもいいわよね?」 ……本格的に話が理解できない。どっきり、といわれるものだろうか。掃除道具入れにでも、誰かが隠れているのかもしれない。 「何も変化しない観察対象に、わたしはもう飽き飽きしてるのね。だから、」 そして朝倉涼子は、一拍を置いて、嬉しそうに、 「あなたを殺して、涼宮ハルヒの出方を見る」 ――瞬間的な本能だったのかもしれない。 私は妙な気配を感じた瞬間に僅かに体をずらし、紙一重に朝倉涼子の持つナイフから逃れた。かすった部分の制服や、リボンが見事に切断されている。 思わず、息を呑んだ。朝倉涼子はナイフを持ち、私と対峙している。 この状況は何。何故私が朝倉涼子にナイフを突きつけられなければならないのだろう。彼女は何と言った。『私を殺す』? 何故。 「……冗談は止めて欲しい。本当に危ない。実際に切れているところから本物であると推測される、正直に言えば怖い」 こんな状況でも、何気に冷静でいられて且ついつもどおりの平坦な声が出る事に、内心流石に呆れた。 「冗談だと思う? ふ~ん……」 理解に苦しむ、といった表情で彼女はナイフを弄び始めた。理解に苦しむのはこちらの方。 「死ぬのっていや? 殺されたくない? 私には、有機生命体の死の概念がよく理解できないんだけど……」 「意味が理解できない上に面白くもない。いいからその危険物をどこかに置いて欲しい」 笑顔で言われた。 「うん、それ無理。だって私は、本当にあなたに死んで欲しいんだもの」 言うが早いか、朝倉涼子は素早くナイフを逆手から順手へと持ち直し、こちらへ飛び込んできた。かなり速い。しかし、直線的な動きだったおかげで何とかかわすことができた。直線的な動きは次の行動へと支障を生じる、その隙に教室外への逃走を試みたが、何故か扉は消えていた。 「無駄なの。今この空間は、わたしの情報制御下にある。出る事も入ることもできない」 もはや何も理解できない。理解できた人間はこの場へ来て、私に説明して欲しい。困惑していた。 「ねえ、諦めてよ。結果はどうせ、おんなじなんだしさ」 できないことをいう彼女と一定の距離を取る。 「……あなた、何者?」 しかし彼女は答えず、変わりに回りの机や椅子が跳んできた。反射的に反対方向へと逃げる。 教室の隅に来た時には、教室は手榴弾が暴発したかのような凄惨な状況へと変貌し、瓦解した壁からは幾何学模様の渦巻く空間が露出していた。 私は悪あがきとして、手近な椅子の足を握って、彼女の方へと投げる。 「むだ」 予想に反して勢い良く跳んで言った椅子が、彼女の目前で不可視の壁にはばかられたように空中に静止して、何故かプラズマのようなものを放出している。 「言ったでしょ、今この教室は私の意のままに出来るって」 いい終えると同時に静止していた椅子が弾かれた。さながら某絶対恐怖領域だ。 ふざけている場合ではない。私を殺して涼宮ハルヒの出方を見る? また涼宮ハルヒ。彼女は人気者のようだ。しかし、何故それで私が死ななければならないのだろうか。 「最初から、こうして置けばよかった」 正にそうだ。体が金縛りを受けたかのように動かなくなっている。神経接続の切断などではなく、感覚的には物理的に締め付けられているに近い。これは反則。 「あなたが死ねば、必ず涼宮ハルヒは何らかのアクションを起こす。多分、大きな情報爆発が観測できるはず。またとない機会だわ!」 ……そんなことは知らない。 しかし悪態をつく事もできずに、私は高々に降りあげられるそのナイフを眺めるしかできなかった。 「じゃ、死んで♪」 そして彼女が腰を落として体勢を作り、動き始めた瞬間に、私は砂塵によって視界を失った。聞こえるのは爆音。思わず頭部の保守体勢をとった。……保守体勢をとった? つまり、体が動く。恐る恐る目を開くと、 「っ!?」 目の前にはナイフの切っ先、そしてそれをつかみ痛々しい血を流している手と、 「……キョン……?」 文芸部の少年を確認した。息遣いから、朝倉涼子が息を呑むのを察することができる。彼――キョンは、ゆっくりと喋り始めた。 「一つ一つのプログラムが甘いな。それと側面部の空間封鎖、あと情報封鎖も甘い。だから俺に気付かれちまって、侵入も許す」 「邪魔する気? この人間が殺されたら、間違いなく涼宮ハルヒは動く。これ以上の情報を得るには、それしかないのよ?」 「お前は俺のバックアップだろうが。独断専行は許可されてないってんだよ。俺に従うべきじゃないのか?」 「嫌だと言ったら?」 「仕方ねぇから情報結合でも解除してやるよ」 「やってみる? ここではわたしの方が有利よ? この教室はわたしの情報制御空間」 「はいはい、言ってろ。んじゃ、情報結合の解除を申請するぞ」 適当にあしらうように彼が言った直後、忌々しいナイフが切っ先から光の粒子へと変貌して分解されていく。質量保存の法則は何処で迷子になってしまったのだろうか。 それに気付いたらしき朝倉涼子は常識はずれにも五メートルほど高く跳躍して交代した。オリンピック選手が馬鹿馬鹿しくなりそうだ。私は既に、この2人が人間ではないのだと、本能から悟った。 朝倉涼子の右手が閃光を発した瞬間、よくわからないが『何か』が跳んできた。しかしそれは彼の張ったらしいバリア的な『何か』によって受け止められたらしく、消滅した。安心したのも束の間、即座に多重一斉攻撃が開始されていた。そして、肉眼で確認出来ないほどに速く動かされている彼の腕がそれらに対抗していた。 唐突に、彼の反対側の手が私の頭に乗せられた。 「離れるなよ」 言うと同時に彼の手に力が込められ、私はそれに従って自然にその場へ座りこんでいた。視点を変えたからか、朝倉涼子の攻撃は見えないまでに加速された槍状のものであると、本能的に察した。生態的危機からか、脳の本能的部分が通常より機能しているらしい。だがすぐさま、背後で爆発が起きた。防ぎきれなかった攻撃によるものだろう。 「この空間では私には勝てないわ」 ベタな戦闘系フィクションの悪役が一度は言いそうなことだ。彼は答えずに、私には聞き取ることのできないような速度で何かを呟いた。高速詠唱と言うものだろうか。 「パーソナルネーム朝倉涼子を適正と判定する。当該対象の有機情報連結の解除を申請するぞ」 つまり、お前に勝つぞということ。 「あなたの機能停止の方が早いわ」 つまり、勝つのはこっちということ。しかし彼女の方は実態が何処にいるかがつかみにくいようなエコーがかかっている。 気がつくと、先ほどの朝倉涼子のように高く跳躍した私がいた。違う、跳躍した彼に私が小脇に抱えられているようだ。上空から、先程まで私がいた場所が爆発に飲み込まれているのを確認した。 「危ね。危機一髪だったな」 やれやれ、などと彼は悠長に溜息をついていた。緊張感のなさに頼っていいのか、穿っていいのか、判断しづらい。 「その娘を守りながらいつまで持つかしら」 朝倉涼子の高速詠唱と共に先程の高速槍状物体による多重攻撃が開始され、彼はそれを避けながらそれでも当たりそうなものを弾いている。 一瞬、視界がぶれたかと思うと私たちは彼女の背後にいた。高速移動か、空間歪曲による瞬間移動だろう。Gを感じなかったところから見て、後者だろうか。などという考察を終える前に彼女はこちらへと向き、次の瞬間には攻撃を放っていた。 ……これは、当たった。 そう、私は思った。これまで見えなかった槍状物体が、今度はハッキリと見えた。目を閉じる。 覚悟した衝撃は訪れず、感じ取ったのは私の眼鏡が落ちたことと、 「……!!?」 幾つもの槍に体を貫かれた彼の姿だった。それを見てから、私は彼に庇われたのだと初めてわかった。 「……ぁ……」 思わず、声が漏れる。刺さった箇所は医学的に見て、肺や胃をはじめ肝臓や気道をも貫いている。人体急所諸々だ。出血の量もおびただしい。しかし、彼は安心したかのようにゆっくりとため息を吐いた。 「……お前は動かなくていいからな。大丈夫、平気だ」 穏やかな微笑を浮かべる彼だが、滴り落ちる彼の血液の雫が、ぴちゃん、という音を鳴らしているのが、嫌に生々しく、おぞましかった。少しも平気に見えない。普通は死亡確定コースだ。 彼は刀を抜くかのような動きで、気道部分に刺さった槍を抜き、捨てた。捨てられた槍は少し間をおき、机の姿へと回帰していった。机でできているらしい。 「それだけダメージを受けたら、他の情報に干渉する余裕はないでしょ? じゃ、とどめね」 さも嬉しそうにいってくれる。振り下ろされた彼女の袖口からは、白く光る触手が伸びていた。その姿は、さながらシャムシエル。 「死になさい」 即答で拒否できそうな命令をいってくる朝倉涼子だが、彼女の触手と化した腕は彼の両胸を貫いた。衝撃から飛び散った彼の血液が、私の顔へと引っかかる。肺どころの騒ぎではなく、もう心臓を壊している。本来即死コースだ。 即死コースにもかかわらず、彼は動いて右手で光る触手へと触れた。 「はい、終了だ」 「何のこと? 貴方の三年あまりの人生が?」 「違うぞ、むしろそれはお前のほうだな。……情報連結解除開始だ」 彼が呟くと同時に、教室、いや元教室にある全てのものが光の粒子になって分解され始めた。さて、質量保存の法則はまだ迷子センターにも行きついていないらしい。 「そんな……」 「お前はまあ結構優秀だ。だからこの空間プログラムを割り込ませるのに今までかかったんだ。でも、もう終わりだな」 「……侵入する前に、崩壊因子を仕込んで置いたのね。道理で貴方が弱すぎると思った、予め攻性情報を使い果たしていたというわけね」 「まあな。おかげさんで、割とダメージを受けちまったが確実な方向で行きたかったしな」 「じゃあ、もし最初にあなたの言う通りにしてたら?」 「俺が見誤ると思うか?」 「……あ~あ、悔しいなぁ。全部お見通しだったんだね。所詮わたしはバックアップだったかぁ……。膠着状態をどうにかするいいチャンスだと思ったのにな」 「やかましい、待てないからって無理やり行動すんのはどこかのアホか、子どもぐらいなもんだ。大人しくしてりゃあよかったものを……」 「ふふっ、同情してくれるんだ。嬉しいなぁ……。うん、そうね。わたしも、もういいわ。負けたんだし」 朝倉涼子は、そのあどけない笑顔をそのままにこちらへと向いた。……そう、彼女は『子ども』だったのだろう。 「よかったね長門さん、延命できて。でも気を付けてね? 統合思念体はこのようにいくつも相反する意識を持ってるの。いつかまた、私みたいな急進派が来るかもしれない、それか、キョン君の操り主が意見を変えるかもしれない」 「従わんがな」 「そうかもね」 彼の言い分に、朝倉涼子がおかしそうにころころと笑った。 「それまで、キョン君や涼宮さんとお幸せに」 崩壊が首元まで進んでいた。そして、最後に彼女は、明るく笑った。 「じゃあね」 そして、朝倉涼子は『消えた』。それと同時に、彼が膝から崩れる。 「キョン……!」 私はほぼ無意識的に素早く彼の元に寄り、 「……しっかりして。今、救急車を」 読んでどうする。この状態は普通死んでいるはずだ。自らの焦り具合に再び内心で呆れた。 「いや、いい。肉体の損傷は大したことないからな。正常化せねばならんのは、まずこの空間のほうだな。不純物を取り除いて教室を再構成する」 見ると、360度砂漠な空間だった。しかし突如爆発が起こったかと思うと、回りの砂が失せていき、いつのまにか夕暮れ時の教室へと回帰していた。 彼は床に倒れ、私はそのそばに跪いている。 「……本当に大丈夫?」 「処理能力を情報の操作と改変に回したからな、このインターフェースの再生はあと回しだ」 彼が身じろぐ。反射的に私は彼の後頭部をとり、反対の手で彼の手を動かして私と組ませ、起き上がるのを補助していた。 「今、やってる……って、お?」 彼が動きを止めた。 「どうか、した?」 私が言い終わるや否や、彼は私の顔を軽くぺたぺたと触りだした。少し、くすぐったい。 「っと、すまん。眼鏡の再構成を忘れちまった」 「……いい。貴方には、眼鏡属性はなさそう」 「眼鏡属性って何だ?」 「……ただの妄言。忘れるべき」 「……そっか、なら忘れたほうがいいな」 「いい」 この瞬間、不測の事態が起こった。……教室のドアが、 「うぃ~っす。WAWAWA忘れ物♪~……のぅわっ!!!?」 …………私は無口に該当されるが、この沈黙は痛いと感じる。 そしてこの体勢は、私の方から『致そう』としているようにも見えなくないわけで。 「……すまん」 何が。 「ごゆっくりっ!!!!」 だから何が。 「……面白いヤツだな」 「…………どうしよう」 「ん? ああ、任せろ。情報操作は得意だ」 記憶でも消せるのだろうか、と期待したのも束の間、 「朝倉のやつは転校した事にする」 「……そっち?」 などと冷静につっこみを入れている場合ではない。もしかすると私は、とんでもない体験をしてしまったのではないだろうか。先日、彼の語った非現実的な話を信用するしないの問題ではない。先ほどの事態は、私に本当の危険さとは何かを身を以て体験させた。これでは、彼が宇宙人であると言う事に納得せざるを得ない。真実か否化の論争を越え、事実としてやってきたのだから。 だが、このポジションは美味しくもある。なんだかんだいいつつも、常に彼に意識を置かれ、時に守られるという完全なヒロイン的ポジションで―――――― ………………… ……………… ………… ……… …… … 「…………ダメ」 「いいじゃないか長門。なにやってたのかを訊いてるだけなんだし」 まさか、現在の状況を構成する上で彼と私のポジションを入れ替えた場合の設定でシミュレートした結果を文字に引き起こし、本にして窓辺で読もうだなんて考えていることを、彼には言えない。しかもその結果がもう間違いなく『長キョン』といわれるルートをたどると見て、嬉しくて身もだえしてしまいそうだとも言えるわけがない。 「なにか打ち込んでるようだったが、今度は小説か?」 ……迂闊、彼は地球人類で唯一私の表情を完全に読む事に出来る存在。無敵の無表情でも、彼には通じず、些細な真情の変化をも読まれてしまう。熟年夫婦のようだ。…………それはそれでいいかもしれない。 「……人間は、好奇心から進歩を続けてきた。しかし故に壊滅した存在も多くある。多大な詮索は推奨しない」 「…………言い訳か「ちがう」 …………。 「ちがう」 「ああ、わかったよ、違うんだよな」 「そう。あなたは賢明」 「そりゃあんがとよ」 禁じえない、と言った様子で苦笑を浮かべる彼を、私は恨めしそうに見詰めているだろう。彼の手が私の頭に乗せられた。勿論、撫でるために。 「よし、図書館にでもいくか。ハルヒは風邪、古泉はそれゆえのバイトで、朝比奈さんは鶴屋さんのとこだし、何もせずに帰るのも面白くないだろ?」 「いく」 しかし、先程の設定では彼が様々な危ない目に合う。それは好ましくない。このままであれば私は彼を守る事ができるし、彼も私を守ってくれる。現在のままでは彼の件での敵性存在は多くあるが、他にはないポジションである事も否定出来ない。私は、彼を守る事ができるのだ。それが、私がここにいる理由。 「貴方は」 「ん?」 「貴方は、私が守る」 彼の手を捕まえて、強く、握る。 「信じて」 「信じてるぜ、長門」 「……そう」 ――読了―― 【……ユニーク】 朝倉「ねえ、わたしって明らかに消され損よね。ぴょこんと出てきて情報連結解除されただけじゃない」 喜緑「そのとおりですね。でも、貴女は少しでもキョンさんと絡む事ができた上に、ちょっといい雰囲気にも包まれていたじゃないですか。十分、折檻ものです」 朝倉「(ビクビク)で、でもさ、喜緑さんだって、あの設定だと好き勝手できるわよね!だって穏健派の喜緑さんは鍵たる存在であるキョン君との接触は最低限に限られてるけど、あれだと主流派のキョン君じゃない?プライベートにお付き合いできるじゃない!! ね、ね!!?」 喜緑「まあ……まあまあまあ!!! 何と素晴らしいんでしょう、つまり強引に《禁じられたワード》を進めちゃったりとか、思い切って《禁じられたワード》して《禁じられたワード》にしてもいいってことなのですね? あらあらあら、とても素晴らしい世界ですこと。では早速、涼宮さんから『力』のほうを頂きに……」 九曜「――私……も――冬に――彼を――……うれ……しい―――」 天蓋「可愛い妹と私自身のために! 情報統合思念体にはこの件に関しては協力するわ!」 朝倉「……じゃ」 喜緑「行動は」 九曜「――素早く」 天蓋「進めるべきね!さあっ、続きなさい!!」 (注意兼あとがき:この件に関しては続きません。よい子のみんなは期待しないでくださいね♪ もし続きが欲しければ、ご自分でお書きになるのが得策かと♪ それでは、次のキョン君は誰とちぇんじするのかな? 気長に待とう!! See you again!!) 裏会合 ハ「あたしたちって、何だったのかしら?しかもここですら簡略化されてるし、さっきより」 古「いえ、我々の名字では字数を統一できません。僕たちは二文字ですが、朝比奈さんは三文字だ」 み「で、でもぉ、三人とも名前の方は三文字なんですけどぉ……」 ハ「そうよね。つまりこういうことも可能なのかしら。……えい!」 ナルシスホモ「……おーけー、落ち着きましょうか涼宮さん。僕はリリンです」 ハ「似たようなもんよ。(その属性は互いに)一人しかいないんだから」 み「首ちょんぱですぅ」 ナルシスホモ「神人にですか?」 ハ「神人って何?」 ナルシスホモ「何でもありません。ただの妄言です」 み「ナ……古泉君、心証のなんとやらですかぁ?」 ハ「言いかけたわね。まあいいわ、とりあえず言いたいことは色々あるでしょうね、読んでる奴ら。有希って、キョンをキョンって呼ばないわよね」 み「デフォルメでしゅ」 ハ「2人とも、何か喋った?」 み「いえ……。あ、でもポジションがころころ変わるみたいですねぇ」 作「しかしながら気分によって書くんで、必ずしも続編が出るとは言いがたいんです。短編連作、何処から読んでも大丈夫。途中で切れても大丈夫。連載を途中でブツるよりマシでしょう」 ハ「作者が乗り込んでくるの、ちょっと痛いかしら。長いし。でもそれって逃げてるだけね、周りから、何より自分から」 作「うん」 み「最後だけ少し、綺麗でしたねぇ」 作「私は元々シリアス畑。そっちが本職です。電波と言うのは副職のようなものです。賛否両論あるとは思い……たいのですが、これにて終わりです。ではまた。 ……あと、そこに転がってるの何です?」 キ「リリンのタブリスだろ」
https://w.atwiki.jp/rakirowa/pages/79.html
【名前】真・長門有希 【所属】カオスロワ 【性別】女 【外見】無表情、無口な女子高生 【内面】大人しく、機械的だが人間的な一面も垣間見せる。 【詳細】 本家長門、ニコニコの暗黒長門、原作4巻の消失長門が合身したもの。 性格、話し方、能力などは本家と消失が混ざったようなものである。 キレた時は敵に対して一切容赦しない。(基本的に仲間を傷つけられた時) 参戦時期により赤ん坊だったりロリっ子だったりする。 生還後では一家を支えるサラリーマンと化す。 エピローグでは情報操作で性k(禁則事項です)で朝倉との間に子供をもうけている。 産んだのは朝倉さん。 【参加者との関係】 南春香→6/の全裸を見た仲、戦友。 南千秋→序盤から行動、戦友。 6/→全裸を目撃、戦友。 赤木しげる(13歳)→序盤から行動、戦友。 アナゴ→6/の全裸を見た仲、戦友。 武藤遊戯→6/の全裸を見た仲、同じカード使い、戦友。 柊かがみ→6/の全裸を見た仲、戦友。 Dボゥイ→Dボゥイの方から片思いされていた、途中で死に別れたが戦友。 朝倉涼子→嫁
https://w.atwiki.jp/yaranaio/pages/83.html
ヒロイン短編企画 - 第六回 期間 2011/02/01 0 00 ~ 2011/02/14 24 00 場所 やらない夫板Ⅱ ヒロイン 自由 レス数 100レス以内 お題 「鬼」「チョコが無いバレンタイン」「黒髪」「梅」「冬の海」から自由選択 酉 付けても付けなくても自由 その他条件 やらない夫またはやらない夫派生キャラをメインキャラとして起用する事 魔法の言葉 ヒロイン:岳羽ゆかり(ペルソナ3) 選択したお題:- 備考:開催前 珈琲 ヒロイン:朝倉涼子(涼宮ハルヒの憂鬱) 選択したお題:- 備考:開催前 テーマ全載せ ヒロイン:種島ぽぷら(?)(WORKING!!) 選択したお題:「鬼」「チョコが無いバレンタイン」「黒髪」「梅」「冬の海」 「鬼」 ヒロイン:黒井ななこ(?)(らき☆すた) 選択したお題:「鬼」 鬼と男と旨い酒 ヒロイン:星熊 勇儀 (東方project) 選択したお題:「鬼」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2391.html
第1話 a Re-Birth in the Best Dream 四月。 先だっての学年末テストにおいて、ハルヒ大先生のお力で何とかそれなりの好成績を修めた俺は、クラス分けを発表する張り紙で同じクラス内に俺とハルヒ、そして何と長門の名までもを発見して愕然とし、とりあえず退屈だけはしないだろうと半ば現実逃避をしながら教室へ向かっていた。 やっぱりこれはハルヒの変態的パワーによるものなのか、それとも長門が情報操作でもしたのだろうかと考えを巡らせていると、 「…ん?」 職員室の前、見知らぬ女子生徒とすれ違う。…いや、違うな。知り合い…だったのか? 「…まぁ、考えても仕方ないか」 とりあえず、教室へ急ぐ。新学期からいきなり遅刻したら目も当てられないからな。 「ちょっとキョン、遅いじゃないの! 新学期からいきなり遅刻したら目も当てられないわよ!」 開口一番、相も変わらず俺の真後ろに陣取ったハルヒは、教室に入ってきた俺を見るなり怒鳴りつけやがった。 頼むから心を読むのはやめてくれ。プライバシーも何もあったもんじゃない。 逃げるように視線を巡らせると、教室の隅のほうでこちらも今まで通りに読書をしている宇宙人モドキを発見した。 目が合った。 「………」 その目は俺に何かを伝えようとしている風でもあったが、なあ長門よ、頼むから言いたいことがあるときは地球の言語を使ってくれ。あいにくと俺はアイコンタクトを読み取る術は習得してないぜ。 「ちょっと、聞いてんの!? こっち向きなさいよ!」 なんて事をどうにかして視線に乗せられないかと試行錯誤していると、我らが団長様の馬鹿力によって強制的に首を捻られた。こいつめ、俺が鞭打ちにでもなったらどうしてくれるんだ。 「知らないわよそんなの。それよりね、キョン。スクープだわ! ビッグニュースよ!!」 わかったから耳元で叫ぶな。 「何と、このクラスに今日から転校生が来るらしいの! ねえキョン、転校生ってどんな奴かしら? 宇宙人? 未来人? 超能力者だったりして!?」 はしゃぐのはいいが、その3種類は全員SOS団にいるだろうが。 しかし、だ。転校生ねえ…。古泉みたいな奴は勘弁してほしいが、それ以外なら別にどんな奴だって構わないさ。SOS団に引きずり込まれる前に他の部活に引き取られることを祈るのみだ。 俺のためにも、な。 「今日は転校生を紹介するぞ」 去年に引き続き俺とハルヒの担任になった岡部は朝のHRで元気よく言った。 ハルヒは意外とこの体育教師のことも気に入っていたのかね。 「入ってきてくれ」 そう促され、教室に入ってきた生徒の顔を見た瞬間、室内の空気が一変した。 それはそうだろう。俺だって、反射的に立ち上がりそうになるのを何とか堪えるので精一杯だったからな。 思わず長門のほうを振り返る。その黒耀の瞳には、今度こそ簡潔な 心配ないから というメッセージが込められていた。 壇上に視線を戻す。僅かに蒼みがかった黒い髪、少し太めの眉がチャームポイントのとびきりの美人は、 「朝倉涼子です。皆さん、また一年間よろしくお願いします」 宇宙に座する情報統合思念体、その対人類コミュニケート用ヒューマノイドインターフェース。 長門のバックアップにして俺を昇天させかけた急進派、朝倉涼子その人で間違いなかった。 NEXT?
https://w.atwiki.jp/anisonsetlist/pages/264.html
開催日:2009年04月29日 会場:東京厚生年金会館大ホール 出演者 本田聖嗣(Piano) 由良浩明(Violin) Philip Chu(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団 ゲスト平野綾 茅原実里 司会白石稔 松元恵 SOS団仮団員 神前暁 セットリスト 第一部 恋のミクル伝説 いつもの風景~激烈で華麗なる日々 最強パレパレード 悲劇のヒロイン~非日常への誘い~ビ-チバカンス 好調好調~みくるのこころ~小さくても素敵な幸せ~おいおい~コミカルハッスル 冒険でしょでしょ? / 平野綾 交響曲第7番ハ長調作品60「レニングラード」 第一楽章より 第二部 素直な気持ち~ある雨の日~ハルヒの想い ザ・ミステリアス?~朝倉涼子の真実~冬の足音 Lost my music / 平野綾 SOS団始動!~何かがおかしい 雪、無音、窓辺にて。 / 茅原実里 のどかな商店街~ユキ登場~ピンチっぽい!~ミクル変身!そして戦闘!~大団円 ハレ晴レユカイ アンコール God Knows... / 平野綾
https://w.atwiki.jp/kaitakuou/pages/22.html
バビロン王国 移民 アルトマー王国 デンジャラスデイナー KSKST バビロン王国 国王(自称):やる夫 副官:秋月涼 錬金術師 エルフィール・トラウム 筆頭武官:ジャギ 移民 魔術師:エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル 拿捕した女の子を洗脳して思うがままの人格に改造してしまう魔術師 なにやら目的があって移民に紛れてこの国に来たらしいが…? 目的のアイテム、不死殺しを譲渡。仇の吸血鬼を倒したらバビロン王国に協力してくれるようだ 冒険者?:ロバート・E・O・スピードワゴン 燃える水についての噂をききつけてバビロン王国に来た 吟遊詩人:鏡音リン 忘れられた神:羽入 剣士:リオン・マグナス 課金兵へ誘う事務員:千川ちひろ 大聖堂の責任者:女僧侶 アルトマー王国 国王:トニー・スターク 外交の使者:レン デンジャラスデイナー 大族長:妲己 大族長の息子:ブロントさん 朝倉氏当主:朝倉涼子 魔神:QB KSKST 女教皇:天海春香 枢機卿:エンリコ・プッチ ウィザードにして魔剣使い:柊蓮司 外交官:シオニー・レジス
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/388.html
「聖少女領域」(前編) ◆LXe12sNRSs つまらん。実につまらん。 もはやアーカードが少女に抱く感想は、それのみだった。 恐怖に屈し、反抗の意を捨て、気迫は無に消える。 足掻くという行為を放棄し、死を受け入れてしまった人間ほど愚かなものはない。 目の前で気を失った少女――朝倉涼子は、アーカードにとってはもう死んだも同然だったのだ。 見逃したところで、かつての弓兵のように舞い戻ってくる可能性は無に等しいだろう。 生きることを放棄し、抗うことをやめた存在など、それはもはや価値のない人数合わせの代替物に過ぎない。 残したところで、何の得もない。アーカードは鈍器と化したジャッカルを振り被り、朝倉涼子にトドメを刺そうした。 同時進行で行われていた放送では、禁止エリアと死者の数が発表される。 どうやら、今アーカードがいる場所は午後三時をもって禁止エリアとなるらしい。 戦乱での死を望むアーカードは、このようなゲームを成り立たせるためのつまらないルールで死ぬつもりはない。 この人間をさっさと始末し、早々に他の場所へ移るとしよう――そう結論を出し、ジャッカルを振り下ろそうとした、その時だった。 「絶影!」 アーカードの下に、高速で伸びる触鞭が飛来した。 ◇ ◇ ◇ 第二回の放送内容について――死者は九人。前回よりもずっと少ない数で済んだのは、喜んでいいことなのだろうか。 幸運はこれだけではなく、真紅、翠星石、蒼星石らドールたちもまた、この度の放送を乗り越えたようである。 ジュンは安堵し、ホッと息をつく――正に、それと同じタイミングだった。 劉鳳と共にホテルへ向かう道中、二人は市街地ド真ん中で赤いコートの男に襲われる少女を発見――ジュンにとっては、発見「してしまった」と言い表した方が適切だろうか――した。 何やら鈍器らしき長物を振り翳し、今にも少女の身体に振り下ろそうとしている。 ジュン自身も「危ない!」と思いはしたが、視界に捉えただけで距離は離れていたし、何をしても間に合いはしないだろうと本能的に悟っていた。 だが、隣を歩くこの男は違う。 背中に絶対正義の信念を背負い、悪を断罪するに適した力と行動力を秘めた、この男なら。 考えるよりも先に、身体が動いた。悪に駆逐されようとしている少女を救うため、瞬時に絶影を発現させ現場に急行する。 本能が『正義』と断定すれば、疑いなくそれに従う。 HOLY所属のアルター能力者、劉鳳とはそういう男だった。 ジュンがパチパチと瞬きを数回済ませる間に、事態は厄介な方へと変わっていった。 気づけば劉鳳は赤コートの男と対峙し、あっという間に一触即発のムードを漂わせている。 戦闘が始まる――ジュンは、ひと目でそう察した。 同時に、胃が痛くなった。 またか? また、巻き込まれるのか……? いい加減うんざりしたくなるほど、展開は少年を置いて加速し続ける。 「やはり、どこの世にも悪党というものはいるものだな。貴様のような分かりやすい社会不適合者は、もはや希少だと思っていたのだが」 劉鳳、そしてその隣に立つは、彼の持つ自立可動型アルター能力『絶影』。 未知なる存在、未知なる強豪と相対しても、アーカードはまったく変化を見せなかった。すぐには。 初めてアルター能力を見た人間は、大概が驚くか畏怖を示す。 では、人間でない者がアルターを見たら、どんな反応を示すだろうか。 前例がないため明確な返答は出てこない、が、少なくともこの男は、この吸血鬼は。 「……おもしろい!」 アルターを『異』に扱ったりなどはしなかった。 何故ならば、自らこそが絶対的な『異』であるから。 「この私を悪党と、社会不適合者と罵るか! ククク……大したヒューマンだ。期待していいのだろうな?」 「戯言をほざくな毒虫が……ッ! 絶影ッ!!」 アルター能力者、劉鳳。吸血鬼、アーカード。二対の強者に、無駄な会話はいらなかった。 正義と悪、簡単に分類するならそう分かれるだろう。しかし、二者の対立はそんな単純なものではない。 断罪と闘争、二つの目的は不協和音を奏で交わり、すぐに激戦へと昇華する。 高速機動を見せる絶影は容赦なく触鞭を振るっていき、アーカードの笑みを誘う。 弁解、状況分析一切なし。劉鳳は自らの意思でアーカードを悪と断定し、攻撃を続けた。 仮に、アーカードのしていた行為が正当防衛だったとして。 その時は、劉鳳はいったいどうする気なのだろう……ジュンは頭を抱えつつ、遠くから二人の戦いを見守る。 「桜田! お前はその少女を保護しておけ! 俺はこの男を断罪する!」 遠くから劉鳳に声をかけられ、ジュンはビクつきながらも倒れた少女の下へ向かう。 すぐ傍で行われている戦争紛いのスペクタルに高揚を覚えるのは、男の子ゆえの性だろうか。 本当ならすぐにでも逃げ出したいはずなのに、脚は不思議と止まろうとしない。 ひょっとしたら、あの傍迷惑なドールたちの影響かもな。ジュンは失笑しつつ、少女を抱え上げた。 「おい、大丈夫か!? おい!」 気を失っているのか、少女からの返事はない。 いくら声をかけても、結果は同じ。もしかしたら、頭かどこかを打っているのかもしれない。 ジュンは彼女の安全を確保する術を模索し、とりあえずこの場から移動することを選んだ。 劉鳳のアルター、絶影の詳細は先ほどの接触の際に見せてはもらったが、その本質の全てを掴んでいるわけではない。 あの赤コートの男が何者かも分からない以上、戦闘の規模がどこまで拡大するかも不明なのだ。 少女を担ぎ、移動する。ほとんど無我夢中だったためか、彼女が表面的に別人へと成り代わっていたからかは分からない。 とにかくジュンはこの時、少女の顔に若干の違和感を覚えながらも、なんの戸惑いも見せずに避難を実行したのだった。 ◇ ◇ ◇ 放送が、流れた。 九人の参加者が死んだという事実と、自分の今いる場所がもう間もなく禁止エリアに指定されるという事実と、悪友が死んだという事実を知らせる放送が。 「なに二度も死んでんだよ……君島…………」 彼――カズマの仕事仲間であり友人、君島邦彦は、HOLYの連中から受けた傷が原因で死亡したはずだった。 それがどういうわけかこの殺し合いの場に呼ばれ、参加者の一人として存在していた。死んだはずの人間なのに。 理由や経緯などはどうでもいい。そこにいるというのであれば、とにかく会って話がしたかった。 君島が死んだのは、HOLYの奴らのせいだ。だが彼等を呼び込んだのは、他ならぬカズマ自身が原因。 君島は無茶をするカズマに文句をたれながらも、いつもなんだかんだで付き合ってきてくれた。 掛け替えのない、仲間だった。カズマは、そんな大切な仲間を二度も失ってしまった。 ……悔しい。悲しいよりも、悔しい。 自分はひょっとして、一世一代のチャンスを棒に振るってしまったのではないか。 かなみの死にしても君島の死にしても、カズマがもう少し早く行動を起こせていたら。 クーガーのように迅速かつ無駄のない動きが出来ていたら。 二人の死は、防げたのではないだろうか。 「遅ぇよ、俺…………なにもかも、遅い」 そう! お前は遅い! お前はスロウリィだ! お前には決定的に速さが足りない!――クーガーがいたら、きっとこんな自分を叱咤していたに違いない。 後悔というものは、いつも後からじわじわとやってくる。ねちっこくてイライラする、どうしようもなくムカツク感情だった。 そんなもの、忘れ去ればいい。話は簡単なはずだった。なのに、カズマにはそれが出来なくて。 結局、こんな気分になった時はいつものように怒ることしか出来ない。 適当にムカツク奴を見つけて、片っ端から殴り飛ばして、大概はそれで気が済むはずだから。 気持ちの整理をつかせるためには、「闘う」ことが一番簡単だった。 この、カズマという男にとっては。 不意に、耳を劈くような轟音が聞こえてきた。 何かが崩れる音――東の方角を見ると、土煙を上げながら幾つかの建物が倒壊する様が見れた。 きっと、どこかの馬鹿がどんちゃん騒ぎでもやっているのだろう。カズマには関係のないことだった。 ……関係がないからこそ、ウサ晴らしにはもってこいだ。 「ムカツクな。何もかもがムカツク。ムカついてムカついて、とてもじゃねぇが腹の虫が治まりそうにねぇ」 カズマは歩く。陰湿だが滾り満ちているオーラを漂わせて、騒動の震源地へ。 彼の歩みにより、事態はさらに混乱を深めることになろうとも。 カズマには、まったく関係ない。 ◇ ◇ ◇ 吸血鬼の高笑いと、コンクリートの砕け散る音が鳴動を繰り返す。 劉鳳対アーカード――アルター能力者と吸血鬼という常軌を逸脱した者同士の対戦カードは、平和そうな市街を一瞬で死の街へと作り変えていった。 「凄まじい。小柄な身体を生かした精密なる高速機動と、二本のウィップを駆使したトリッキーな攻撃……貴様が繰る下僕は実に素晴らしいモノを持っている」 その内拍手でも送るのではないだろうか。そう思えるほどにアーカードは自身の対戦者――劉鳳とその従者である絶影に、賛美を与えた。 虚仮にしているのか、それとも余裕を見せて油断を誘っているのか。 絶影の触鞭を回避しながら笑うアーカードに怒りを覚え、劉鳳は顔を強張らせた。 「やはりお前は社会に必要のない人間だ。故に、俺と絶影が貴様を断罪するッ!」 劉鳳の怒りに同調するかのように、絶影のスピードが加速した。 二本の脚だけを機敏に動かし、撹乱動作も交えつつアーカードに接近していく。 急な接近に一瞬だけ怯んだアーカードの隙を縫い、伸ばした触鞭でその身体を拘束。 身動きの取れなくなったところをそのまま放り投げようと力を込めるが―― 「――スピードと攻撃の変則性、この二点の素晴らしさは認めよう。だが、この私を相手にするには決定的に……パワーが足りないようだ!」 拘束状態においても微笑を崩さないアーカード――その笑みは、やはり自信から来る余裕の表れであるようだった。 両腕を縛られているにも関わらず、アーカードはそのままの姿で身体を旋回。絶影ごと螺旋の弧を描き、自身を縛る触鞭を振りほどいた。 反動で吹き飛ばされた絶影が、近くの定食屋に音を立てて突っ込む。吸血鬼の暴慢なる怪力の前では、さすがの絶影といえど抗うことは難しかったか。 しかし、劉鳳は怯まない。それどころかアーカードのように微笑を作ってみせ、迫る吸血鬼に真っ向から立ち向かった。 「お前の下僕は中々におもしろい。肉を砕き、心の蔵を貫くほどのパワーがなかったのは残念だがな。では、主であるお前自身はどうかな――?」 「絶影のスピードを軽視しなかったことは褒めてやろう。だが、あれしきのことで勝ち誇っているようではまだまだだな」 「ほう。ではヒューマン、お前はもっと強いと? それとも、まだ何か私を楽しませてくれる要素を隠し持っているというのか?」 「――俺の同僚には一人、常軌を逸脱して変人とも取れるほどのスピード狂がいてな。その男は、お前のような奴に会うと決まってこう叫ぶ」 「?」 ツカツカと接近してくるアーカードに怯えるでも反抗するでもなく、劉鳳は無駄話をしながらただ悠然に待ち構えた。 明らかに何かを狙っている。アーカードは敵の狙いを察知しながらも、歩むことをやめない。 なにせ、こんなところで終わるようではつまらない。まだ何かあるというのであればそれを見せてみろ、と。 不気味に微笑み、劉鳳の半径4メートル付近まで近づいて―― 「貴様には、速さが足りんッッ!!」 「――ッ!?」 突如、アーカードの背後から先ほどとは比較にならないほどの速度で触鞭が伸びてきた。 以前までの鞭のようなしなやかさは失われ、まるで別物のように硬度を増したそれは、形容するなら槍。 復帰した絶影の触鞭は、そのまま鋭さの光る先端を突き出し、アーカードの背中を裂いた。 速度の向上に感嘆の意を示したアーカードは、そのまま跳躍して第二撃に備える。 だが絶影は空中戦にも万能であり、その攻撃速度と命中率は相手が動いていようが衰えることを知らない。 絶影はアーカードの倍以上の跳躍を見せ、体操選手のように美しく腰を捻って上空から触鞭の槍を投下する。 アーカードも身を捩りこれを回避するが、その鋭さは掠っただけでも十分に脅威と成り得た。 絶影の容赦ない攻撃が幸いしてか、アーカードは反撃を見せることなくそのまま近くの住居に落下。 盛大な地響きを立てて、一時的に姿を消失させる。 その間、劉鳳は絶影を傍に呼び戻し、アーカードが再び姿を現すのを待った。 戦況は劉鳳が優勢。まだ決定的なダメージは負わせていないが、今のところアーカードは絶影のスピードに追いつくのがやっとの様子。 仮に相手がまだ実力を隠し持っていたとしても、こちらとて絶影の真の姿が残っている。 敗北の要因は一切存在しない。罪なき少女の命を摘もうとした悪は、劉鳳という正義の下に潰える。 そう信じて疑わなかった。だが、イレギュラーは起こった。 「――衝撃のファーストブリット…………ッ!」 その声を、劉鳳は聞かず。故に、すぐには何が起こったか理解できない。 敵の復帰を待ち構えていた劉鳳の眼前で、突然アーカードの落ちた住居が吹き飛んだ。 爆発の類による衝撃ではない。何か、強引な力で粉砕されたかのような吹き飛び方だった。 周囲の建造物、アスファルトの地面、絶影の眼前、いたるところに木片やコンクリート片が弾け飛び、雨となって降り注ぐ。 そして、その火中から徐々に姿を現していくのは、忘れることの出来ないあの男。 無理やり名前を刻み込まれた、ことあるごとに劉鳳に突っかかってきた、あのアルター使い。 その名は―― 「随分と派手にドンパチやらかしてるじゃねぇか。ちょうどいいや、俺も今ムシャクシャしてたところなんだ。水臭いこと言わず俺も仲間に入れ――な!?」 男二人、互いの顔を見つめ合い、驚愕する。 その展開の意外さに、こんなところ出会うという数奇な宿命に。 「お前は!」「テメェは!」 声が重なり、そして闘争心が高ぶりを見せる。 二人の因縁には正義も悪もない。ライバルがぶつかるのに、無駄な理由はいっさい必要ないのだ。 「カズマ!」「劉鳳!」 ――出会った瞬間、闘争が生まれる。 今までがそうであった。これからもきっと、それは変わらない。 カズマと劉鳳。その二人は共に宿命を背負い、戦いの中に身を投じる限り、出会い続ける。 たとえ、それが殺し合いの舞台だとしても―― ◇ ◇ ◇ 適当に見つけた女性向けブティックを避難地としたジュンは、外で轟音が鳴り止まないことに頭を悩ませながらも、静かに少女の覚醒を待った。 少女は未だ眠っている。よほど怖い目にあったのか、それとも相当神経が図太いのか。後者ならば、ぜひ見習いたいほどの寝入りっぷりだった。 冷静に考えて、自分の家が大人気テーマパークのど真ん中に建設されていたとして眠ることが出来るだろうか。 普通なら眠れない。何故なら外では騒音が鳴り響いているから。ジュンは今、正にそんな状況に陥っているのだ。 ……思うに、あの遊園地で破壊活動を行っていたのは劉鳳ではないだろうか。 外で起こっている戦闘風景を想像すれば、彼がそれを可能にするだけの力を保有していることは確実だろうし、 何の躊躇もなく自分の信念のみを貫いてアーカードに突っ込んでいた様子を考えれば、衝動的に軽率な行動を取ったとしても不自然ではない。 つくづく、自分は運がないということを自覚させられる。 この殺し合いのゲームを渡り歩いて早半日、ジュンは捜し人(形)であるドールたちはおろか、ろくに良心的な人物と遭遇していない。 行く先行く先戦乱ばかり。せっかくできたと思えた仲間も、根は相当な短気であるらしく、それでいて無鉄砲。 ホテルにいるであろう留守電の主は、もう少しまともな人間であればいいが……ジュンは溜め息をつきながら、再び少女の方を見た。 正に、目を向けたちょうどその時。 念願叶って、少女はゆっくりと瞼を開いていき―― ◇ ◇ ◇ 『あなたはとても優秀。でももう終わり』 長門有希との対決。それが、朝倉涼子にとっての初めての敗北だった。 煮え切らない状況を急進させるべく使わされた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス朝倉涼子は、 あの日あの時間、涼宮ハルヒにとって大きな存在であったキョンという人間を殺すことにより、強引な事態の改変に挑んだ。 結果は、失敗。 事態の急進を望まなかった長門有希は朝倉涼子の狙いを事前に察知し、妨害。事件は朝倉涼子の消滅をもって終結した。 あの時、朝倉涼子は『死』を恐れただろうか。 答えは否。あの頃の朝倉涼子に死という概念は存在していなかったし、自分の存在を、所詮はバックアップと重んじていなかった。 自分の身を、あくまでも大掛かりな機械の一パーツとして認識し、それ以上の価値を見い出そうとはしない。 朝倉涼子は、その点では実に優秀な存在であった。何よりも彼等との繋がりを重要視していた長門有希とは違い、どこまでも組織に従順。 それ故他者に付けいれられる隙も生じやすく、結果、彼女は情報統合思念体の意思とは別の道を選択してしまった。 蘇った今でも、あの選択が間違っていたとは思わない。これは、単純に自分の否を認めたくないからではなく。 例えば、長門有希の存在をAとしよう。ならば、Bがあるのも当然。この場合のBというのが、朝倉涼子のことである。 情報統合思念体という管轄下に置かれながらも、それらは人間のように独自の個性を持ち、独自の手段を用いる。 そうでなければ、複数のパターンを検証することなどは出来ない。結果が最悪になったとしても、それは運が悪かったとしかいいようがないのだ。 Aが正解でBが間違いだとしても、それは答えが出るまでは分からない事実。もしかしたら、Bが正解でAが間違いだったかもしれなかったのだから。 命運を分けたのは、やはり長門有希との戦いだろうか。あの時、外部から長門有希が介入してくることを予測し切れていれば、朝倉涼子は敗北することはなかったかもしれない。 そしてキョンは死亡し、涼宮ハルヒに莫大な変化が起こり、世界は別の変革を迎えていたかもしれない。 全ては、仮定。仮定ゆえに、知りたい。 Bが正解だった場合のルートを。朝倉涼子がキョンを殺した場合の、世界の動向が見たい。 そのためにも、恐怖という概念は邪魔にしかならない。 しかし、朝倉涼子は既に学習してしまった。簡単に拭いきれないからこその恐怖――それに繋がる有機生命体の終焉、死。 これらが、絶対的なまでに恐ろしい。どうすれば恐怖を、死を回避できるのか。今となってはそればかり考えてしまう。 そこに、優秀だった頃の朝倉涼子の姿はない。 対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイスは、ただの臆病な情報思念体に成り下がった。 「――おい、大丈夫か!? おい!――」 声が、聞こえる。どこかで聞いたことがあるような、少年の声。 まずは、自己のデータ状況を解析――損傷はあるが、大きな問題はない。まだ、死は訪れていない。 次に、目の前にいるこの声の主――少年のデータをチェック。過去の記憶と照らし合わせる。 結果。該当件数一件。今から約7時間前。対象の名称――野原ひろし。 「……のは、ら…………ひろし…………」 瞼を開いた少女の口から、かつてジュンが自分の存在を偽るために使用した名が零れる。 そして同時に、少女の顔が見る見る内に青ざめていくのを確認した。 身体はガクガクと震えだし、口は金魚みたいにパクパクと開け閉めが繰り返される。 ジュンはそれを不審に思いながらも、確かに耳にした。どこかで聞いた覚えのある少女の声帯と、「いや、いや」と何かを拒むように怯える彼女の脆弱な吐息を。 「お――」 あまりに異常なその状態を見かねて、ジュンが声をかけようとした、次の瞬間だった。 「嫌ぁああああああああああああああああああああああああああぁぁぁ!!!」 少女は突然発狂し、力任せにジュンの身体を突き飛ばした。 それは女の子らしからぬ馬鹿力で、ジュンは軽く後方5メートルまで吹っ飛ばされ、尻餅をつく。 その間また耳にした彼女の声と、今までに感じていた違和感が重なり、ジュンは気づいた。 彼女は、目の前でマネキンの後ろに姿を隠した彼女の正体は―― 「おまえ…………長門有希!?」 ◇ ◇ ◇ この二人に、状況説明や情報交換などの行為は必要ない。 なにしろ何回か顔を合わせているにも関わらず、日常会話すらままならない関係なのだ。 このような混乱の舞台で遭遇したとして、悠長に言葉を交わすなどという選択肢は持たない。 まず、拳で語る。この二人に限っては、それが当たり前だった。 「撃滅の、セカンドブリットォォォォォ!!!」 カズマの右肩に備えられた羽のような装飾具――その三枚中の二枚目を消費し、右拳にパワーを宿す。 殴る。ただこの一点のみに重点を置いたカズマの融合装着型アルター能力、『シェルブリット』第一形態。 その爆発力は銃弾をも打ち弾き、大木をも薙ぎ倒す。 分厚いコンクリートの壁をぶち破ることも、容易。 「くっ!!」 正面から襲ってくるカズマの右拳を絶影でガードしつつ、劉鳳は後退。 間に小さなビルが一軒挟まれたが、当然の如くカズマの一撃によって倒壊された。 破片の雨が舞う中、廃墟と化してきた市街地で、因縁の二人がついにまみえる。 「――天下のHOLY隊員様ともあろう奴が、白昼堂々と市街破壊か? はっ、いいご身分だなぁ。えぇおい」 「場の空気も読めない無能なクズが。だから貴様は社会に適応できない毒虫だというのだ、カズマぁ!」 シェルブリットのカズマ、絶影の劉鳳。 この二人の衝突は、もはや必然ともいえた。 顔を合わせれば喧嘩ばかり、常に意見が食い違い、絶対に相容れることがない。 そんな良きライバル同士という風にも思える二人だったが、当人たちにとってはたまったものじゃない。 こいつは嫌いだ。こいつはムカつく。こいつはゆるさねぇ。こいつは邪魔だ。 滾ってくるのは負の感情ばかり。この関係は改悪される余地もなければ、改善される余地は天変地異が起ころうとも絶対にあり得ない。 要するに、カズマと劉鳳はそれだけ仲が悪いのだ。 「抹殺の、ラストブリットォォォ!!!」 「奴を撃ち滅ぼせ、絶影ッッ!!!」 戦闘を始めることに、両者とも異議はない。第三者がそれを唱えたところで、雑音に消えるのがオチだろう。 息を吸うのと同じくらい当たり前に、拳を振るう。それが全て。 最後の羽を消費して繰り出すカズマの拳による突進は、絶影の触鞭で絡め取ることができるほどの勢いではなく。 元より、劉鳳もカズマ相手にそんな小細工を使うつもりはない。 正面から絶影の触鞭を構え、硬質化した槍として突き刺した。 拳と絶影の触鞭が衝突を起こし、周囲の建造物の残骸を一片に吹き飛ばす。 ミサイルとミサイルがぶつかり合った、そんな映像をイメージさせる凄まじさだった。 数秒続いた衝突は何の前触れもなく崩れ、同極同士の磁石を反発させたような勢いを伴って両者は距離を取る。 決着は、一度や二度の交差ではつかない。つくはずがないのだ。 「へへっ、さすがにやるじゃねぇか。こうでなくっちゃ面白くねぇ」 「貴様もな。どうやら、以前戦った時よりもだいぶ腕を上げたらしい。だが!」 ガラにもなくカズマを称える劉鳳、そしてその傍に付く絶影に、突如異変が起こった。 まず、両腕を拘束していた機具が弾け解放。次に顔の左半面を覆っていた部分が開き、その容姿を全開にする。 そして小柄だった身体は全体的に角ばりながら拡張されていき、脚は大蛇を思わせるような尾に変化していった。 絶影が隠密機動を得意とする兵士だとするならば、この『真・絶影』は豪快な攻撃を主軸とした重戦士。 しかしそれでいてスピードは絶影を遥かに凌ぐという――劉鳳のアルター、その真の姿がここに君臨した。 「絶影が真の姿を見せた以上、貴様に勝ち目はない。無駄だとは思うが、大人しく降伏した方が身のためだぞ」 「出しやがったなついに。おもしれぇ……俺はそれを待ってたんだ。あの時散々俺を痛めつけてくれた、そいつをよぉ……」 劉鳳が真・絶影を解き放ったのを確認し、カズマの周囲に散乱していた廃棄品の数々が弾け消える。 同時に形成されるは、やはり右腕。右腕全体を覆う篭手のような形状を形作り、右肩には一枚に収束した羽の装飾具が現れた。 「もっとだ! もっと、もっと、もっと輝けェェェェェ!!!」 虹色の流煌が、廃墟を壊しながら照らしていく。 そして、形成は終わりを告げた。カズマが持つアルター能力、その奥に位置する、いわば第二形態。 「貴様、そのアルターは……!」 「こいつとやるのは初めてか? ならしっかり刻んどけ。俺の、カズマの! カズマ様のアルター、シェルブリットを!!」 盛大な雄叫びと共に、カズマの右肩に備えられた羽が回転。生み出された遠心力がそのまま身体を持ち上げ、飛翔する。 「プロペラ……いや、羽虫か!」 「シェルブリットだァァァ!!!」 妙な方法で飛行するカズマを見て、劉鳳は率直に感想を述べた。 同時に、攻撃も行う。もしカズマの新型アルターが飛行能力を身につけただけのものであるというのであれば、真・絶影の敵ではない。 むしろ、身体制御の難しい空中ではただの的に成り下がる恐れすらある。 「――剛なる右拳、伏龍ッ!!」 劉鳳の甲高い命令と共に、真・絶影の右手が本体から離脱。切断面からブースト放射が巻き起こり、加速してカズマに向かっていく。 まるで、というよりも、見たまんまロケットパンチだった。これまでとは根本的なバトルスタイルも違ってくる第二のアルター、『剛なる右拳・伏龍』はその一部にしか過ぎない。 だがしかし、これしきの攻撃ではカズマの虚を突くことはできない。それにロボットなら、既に真・絶影より何倍も大きなヤツを倒した後だ。 空中まで伸びるロケットパンチを右拳で殴り弾き、そのまま加速して劉鳳本体を狙いにいくが、 「――剛なる左拳、臥龍ッ!!」 今度は左手――残された二発目のロケットパンチが飛び、再度カズマを襲う。 さらには迎撃したと思われた一撃目、『剛なる右拳・伏龍』もいつの間にか再動を果たしていた。 二発の拳が、カズマの右拳と衝突を起こす。単純なパワーのぶつかり合いならカズマに分があったが、これが二発同時ともなれば話はうまくいかない。 威力は相殺され、飛翔していたカズマの身体は緩やかに降下した。 その間、真・絶影は両腕を引き戻し、次の衝突に備える。 攻撃を繰り返し、体勢を整え、何度もぶつかりあって果てを待つ。 これこそがカズマと劉鳳の戦いであり、二人の真髄だった。 「驚いたぞ。まさか、絶影の攻撃を正面から受けてまともに相殺できるとはな」 「気にいらねぇ。やっぱ気にいらねぇなお前。人を見下したその眼、その仕草、その態度! 全部が気にいらねぇ!」 「知ったことか! 貴様のような奴はアルター能力者の恥! カズマ、貴様がいるから世間はアルター能力者への見方を変えない!」 「ああっ!? そりゃいったいどういう八つ当たりだよ! ムカツク、やっぱムカつくぜあんた!」 カズマは拳を、劉鳳は真・絶影を。 それぞれ構え、三たび戦闘を開始するために準備を整える。 「クククク…………ハァーハッハッハハハハハハハハ!!!」 その時だった――二人の戦意を損なわせるほど不快な高笑いが木霊し、視線を奪われる。 血気盛んな二人の闘争者の瞳が追う先……そこには、瓦礫の山から這い出した赤いコートの吸血鬼、アーカードの姿があった。 「素晴らしい! 実に素晴らしいぞヒューマン! この盤上の遊戯、これまでにも幾人かの人間を見てきたが…… 私をここまで高ぶらせ、楽しませたのは諸君等が初めてだ! さぁ、戦いを続けようではないか! HURRY! HURRY! HURRY! HURRY! HURRY! HURRY! HURRY! HU――」 このゲーム内において、ジョーカー的なまでに圧倒的な存在感を誇る至高の吸血鬼。その名をアーカード。 強きを好み、闘争を好み、人間の抗う様を好む――その再生能力の反則さゆえ、天性のマゾヒストとも捉えられる狂気の怪物は、二者の戦いに巻き込まれながらも依然健在を貫いていた。 暫しの傍観で知り得たアルター能力の性能にも、恐れは湧いてこない。この男にとってはむしろその逆、興奮をそそる材料にしかならなかった。 我、この者たちとの戦いを望む。アーカードは走り、カズマと劉鳳の二人に襲い掛かった。 真の邪魔者が、誰であるかも分からず。 「テメェは……」「貴様は……」 カズマが右拳を、真・絶影が両手を構える。 標的は重なった。矛先はもちろん、この一対一の戦いを邪魔しようとする無粋な吸血鬼に向けて。 「「引っ込んでろオオオオオぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」 シェルブリットの衝撃と、伏龍・臥龍の計三撃がアーカードに命中する。 正面からそれを受け止めたアーカードは衝撃に耐え切れず、廃墟の果てへと派手に吹き飛んでいった。 しばしの間、静寂が訪れる。この静寂は、今度こそ邪魔者がいなくなったという確認のために。 両者構え直し、拳を向け合う。 「さぁ、続きだ。アレの続きをしようぜ」 「望むところだ。今度こそ、二度と俺の前に姿を現さぬよう容赦なく叩き潰す」 邪魔者がいない以上、もはやそれ以上の言葉は必要なく。 同じタイミングで駆け出した両者は、互いのアルターを前に押し出し決戦に躍り出た。 ここで全ての決着をつけるために。この腐れ縁に、終止符を打つために。 戦いは続く――だが、終わりはもう間もなく。そのはずだった。 「カズマァァァァァ!!!」 「劉ゥゥ鳳ォォォォォ!!!」 互いの名を叫びあった次の瞬間、周囲が紅い閃光に包まれなければ。 ◇ ◇ ◇ 時系列順で読む Back ――は貴方の/あたしの中にいる Next 「聖少女領域」(後編) 投下順で読む Back ――は貴方の/あたしの中にいる Next 「聖少女領域」(後編) 157 いつか見た始まり カズマ 171 「聖少女領域」(後編) 146 彼は信頼を築けるか 劉鳳 171 「聖少女領域」(後編) 158 圧倒的な力、絶対的な恐怖 アーカード 171 「聖少女領域」(後編) 146 彼は信頼を築けるか 桜田ジュン 171 「聖少女領域」(後編) 158 圧倒的な力、絶対的な恐怖 朝倉涼子 171 「聖少女領域」(後編)