約 30,345 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3685.html
キョンの完全犯罪 涼宮ハルヒの記憶 涼宮ハルヒの軌跡 絶対に… 卒業式の約束 キョン100%(2) 涼宮ハルヒの逆転(キョンの消失) すれ違う想い 家出少女 Love Letter from …? 好感日記 好感日記Ⅱ アルバム巡り 「涼宮ハルヒの憂鬱」改 (欝エンド) Park Golf in Summer !! 北高生の告白ラッシュ 二人、夕立、遊具にて やりすぎた嘘 儚い想い出 where Justice... 裏切り者 涼宮ハルヒの再会 神が手にした力のリスク まとめ 涼宮ハルヒの時駆 雛見沢・SOS (クロスオーバー) ツインズパニック! キョンは別れを惜しむようです キョンがアンケートから情緒不安定になりました 扇子 涼宮ハルヒの盗賊 キョンのその後 (MGS4とのクロス) トナカイからのプレゼント Am I father? ロマンティックが止められない(※ホモ・百合ネタ注意) 情報統合思念体と機関が総力を上げて俺を潰そうとしている件(キョン) 新・孤島症候群 北高生人気投票 ラジカルメッセージ 北枕の憂鬱 QUANTUM TELEPOATATION 涼宮ハルヒの団結 リバーシブル 朝倉涼子の再構成 『朔』-Distorted pain- DoublePlay とある休日 SOS団の非日常 涼宮ハルヒの留学 涼宮ハルヒのエアロスミスーッ! parallel-day 勘違いLOVERS B+ 偽りの世界で 涼宮ハルヒのゆううつ 妖魔夜行ver. I don t choose, but decide. 涼宮ハルヒの喪失 俺の事情と彼女の事情 宇宙刑事キョン さよならSOS団 きっとまた会えるから 朝倉涼子の挑戦 アインザムカイト・ツヴァイザムカイト Option Ultimatum -Another Parallel World- 田舎ライブス―キョン×キョン子― マヨナカテレビ 涼宮ハルヒの誰時 涼宮ハルヒの誰時 通常ルート メイド注意報 涼宮ハルヒの箱舟 涼宮ハルヒの逆転 星色パノラマ SOS団マフィア 涼宮ハルヒの戦国 When we are 17 -May- 予告げぇむ キョンは歴史に欠かせない人物でした ドリーミング・ガール 故意のキューピッド 涼宮ハルヒの憂鬱ってタイトルか・・・ 「涼宮ハルヒの憂鬱ってタイトルか・・・」ってタイトルか はるひ「すずみやはるひ」 スノー・フィナーレ 失ったもの・得たもの (キョンイジメ) チョコレートケーキの誘惑 第〇七〇七小隊SOS団 キョン「絵文字くらい使えよな」 (ハルヒ キョン) とある宇宙人のゲーム目録 oneday in the autumn 今夜はブギー・バック 涼宮ハルヒの困惑 乙女な神様と平凡少年の話 揺れる心と、ブレない関係 気持ち 神の領域 アナタノ声 酒と思い出 ミントの香り(ハルヒ×ロッテACUO) 七夕シンドローム 涼宮ハルヒの天啓 涼宮ハルヒの切望―side K― 葉桜の季節 しあわせ (微鬱注意)
https://w.atwiki.jp/kskani/pages/102.html
◆qYuVhwC7l. 氏 氏が手がけた作品 話数 タイトル 登場人物 001 マジカル小砂たん第1話「ネコミミモードで空を飛べ!」 小泉太湖(小砂) 032 果タシテ、無知トハ罪ナリヤ?(前編)果タシテ、無知トハ罪ナリヤ?(後編) ゲンキ、キョンの妹 044 Triple 『C』 ~超人/超能力者/超…生物?~優しい隣獣 古泉一樹、トトロ、アシュラマン 053 本の森の中で…/CODE N 心に愛が無ければ、スーパーヒーローじゃないのさ キン肉スグル、ヴィヴィオ 187 彼等彼女等の行動 (01~02)彼等彼女等の行動 (03~04)彼等彼女等の行動 (05~07)彼等彼女等の行動 (08)彼等彼女等の行動 (裏) リナ=インバース、ドロロ兵長、朝倉涼子、ヴィヴィオ、雨蜘蛛、深町晶、スエゾー、水野灌太(砂ぼうず) 191 炎のキン肉マン他人の話はちゃんと最後まで聞きましょう類は友を呼…びすぎてませんかちょっと?詐欺師兎は奇妙なパソコンを前に頭を捻る詐欺師兎は脱出に至る鍵を手にして笑う キン肉スグル、ゼロス、タママ二等兵、ハム、川口夏子 193 将軍様へのGE・KO・KU・ZYO 悪魔将軍、ジ・オメガマン 登場させたキャラ 2回 ヴィヴィオ、キン肉スグル 1回 小泉太湖(小砂)、ゲンキ、キョンの妹、古泉一樹、トトロ、アシュラマン、リナ=インバース、ドロロ兵長、朝倉涼子、雨蜘蛛、深町晶、スエゾー、水野灌太(砂ぼうず) ゼロス、タママ二等兵、ハム、川口夏子、悪魔将軍、ジ・オメガマン 作品に寄せられた感想 第一話を見事に飾ってくれたお方。ダディ渋いね! -- 名無しさん (2008-09-10 19 02 13) 果タシテ、無知トハ罪ナリヤ?で熱いロリコン魂を発揮した方。本スレにて一度は訂正したもののやっぱりロリコンだったw通称ロリコンの人 -- 名無しさん (2008-09-20 02 18 24) 未知数というある意味難しいトトロの戦闘シーンを書ききったお方。ユニコーン古泉もかっこよかったが、何よりトトロの優しさに全住民は大喝采。あと俺にももふもふさせろ! -- yななし (2008-09-24 04 09 07) ネコミミ小砂を宣言通り産み出し、キョンの妹にたっぷりサービスさせ、トトロ古泉アシュラマンのカオスバトルを熱く描いた! -- 名無しさん (2008-10-31 22 46 13) スエゾ―はどこに行った?水野VS朝倉たちの激闘がみたい。 -- 名無しさん (2009-08-15 10 00 17) ついでに水野が朝倉たちを巻き添えにして心中してほしい。 -- 名無しさん (2009-08-15 10 07 42) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/3103.html
キョン 初登場話 006:この発想はあった 現データ 006:この発想はあった 生死 生存中 スタンス 生存優先 現在状況 【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】[状態]健康[装備][道具]KS×1、RS(1~3)[思考]基本:生きて帰る1:皆を探そう2:仲村と行動 涼宮ハルヒ 朝比奈みくる 長門有希 初登場話 020:嘘や偽りのある信念なんて 現データ 020:嘘や偽りのある信念なんて 生死 死亡 スタンス × 現在状況 【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱:OUT】[備考]支給品は武藤カズキにより持ち去られていきました 朝倉涼子
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1433.html
「だから…あなたを殺して、涼宮ハルヒの出方を見る」 そう言って繰り出された朝倉のナイフを、俺はすんでの所でかわしていた。 おい、コレ何の冗談? もしあのナイフが本物なら、かすっただけで 首筋から血がぴゅーって噴き出すぞぴゅーって。 いやホント、恐いからそんな物騒なモノしまってくださいお願いします朝倉さん。 「うん、それ無理♪」 いかん、なんだか分からないがこいつは本気だ。本気と書いてマジだ。 その考えに至った時にはもう、俺は脱兎のごとく走り出し、 そして――不可思議な壁に激突していた。ええ? ウソだろ教室の扉が! 「無駄なの。この空間はあたしの情報制御下にあるんだもの。 ふふ…分かったら、死になさい」 うわ反則くせえ。なにこの日本vsブラジル戦? 正直、俺は死を覚悟せざるを得なかった。そして、恐怖に頬を引きつらせた俺とは 対照的に、晴れやかな笑顔を浮かべた朝倉は大型ナイフを片手に突進し―― ――3歩目で何もない所で足をもつれさせて、派手にコケた。 おや? 「いったぁ! もう、何なのよ!」 赤くなった鼻先をこすりこすり、涙目で起き上がる朝倉涼子。そりゃ、 あれだけ全力ダッシュで前にすっ転んだらそうなるわなあ。 いやでもだからって俺を睨まないでくれよ。俺、なんにもしてないし。 「うっさいうっさい! キョン君がさくっと殺されてくれないのが悪いのよ!」 そう怒鳴り散らして、片手を俺に向かってかざす朝倉。すると、俺はたちまち 身動きが取れなくなっちまった。なんてこった、まばたきすらできねえ。 「さ、最初からこうしておけばよかった。うふふふ、ちょっと手間取っちゃったけど、 これでもう…あなたは…何の…抵抗…も…」 ん? どうしたんだ? 朝倉のセリフがだんだんスローモーに、唇の動きや動作も コマ送りみたいになってくぞ? と思ってる内に、彼女は完全に停止してしまった。まるで電池の切れたロボットだよ。 おーい、朝倉さーん? 「ぷはっ! い、いけない、キョン君の周りだけのつもりが、うっかり この教室全体の時間を止めかけちゃったわ。 あ、あやうく心臓から何から機能停止しちゃうとこだった…」 と、いきなり動き出した朝倉は膝から床に崩れ落ち、四つん這いの状態で ぜーはー大きく息を吐くじゃないか。 なんだかよく分からないが、とにかくずいぶん苦しそうだな。 「おい、大丈夫か朝倉? すごい脂汗だぞ?」 「な、何なのよそれ! あたし、あなたを殺そうとしてるのよ!? なんで あたしの心配なんかしてんのっ!」 「ん~、じゃあ死ぬ前に、ひとつだけ質問させてくれ」 「…何よ」 「お前の本性って、もしかして………ドジっ娘?」 瞬間、朝倉はかっと顔全体を紅潮させた。う~む、この状況でそんな彼女を カワイイと思っちまう俺って、変か? いやしかし、という事はアレだな。最初の一撃をかわせたのも俺の反射神経が 優れていたからではなく、単に朝倉の狙いが外れまくってただけか。 いやはや、まったくお恥ずかしいことで。 苦笑いで頭をかく俺を、朝倉はなぜだか憎悪の絶頂な目で睨みまくっていた。 「よ、よくも人間の分際で情報統合思念体の一部であるこのあたしを コケにしてくれたわね? 楽に死ねると思わないでよ!」 って、いまさら凄まれてもなあ。俺が心底困った表情で頬をぽりぽり掻いていると、 不意にドカーンと教室の天井が吹っ飛んだ。おいおい、今度は何だ? 「一つ一つのプログラムが甘い。だからわたしに気付かれる。侵入を許す」 「…有希お姉ちゃんッ!」 おー、長門か。今日は友人知人の意外な側面を発見しまくりな日だな。俺も既に だいぶ麻痺してきたみたいで、いちいち驚く余裕もないぞはっはっは。 って、なんだ? 有希お姉ちゃん? お前ら姉妹だったのか!? 「彼女はわたしの後に造られた。私のバックアップ用の個体。血縁はないが 人間でいう姉妹関係ではある」 そういえば朝倉の奴、さっき自分の事を『情報統合思念体の一部』とか 言ってたな。って事はこないだ長門のマンションで聞かされた話は大マジで、 この不思議時空も宇宙パワーの成せる業かよ? うへえ。 「邪魔しないでよお姉ちゃん! キョン君を殺せば、涼宮ハルヒは 確実に動くのよ? 分かるでしょ!」 「あなたはあくまでわたしのバックアップ。わたしに従うべき」 「また、そうやって頭ごなしにッ…」 いつもの如く鉄面皮な長門に対して、情感豊かに反論する朝倉。宇宙の なんとか端末も人生いろいろなんだな。というか…。 今、朝倉の目に切なそうな寂しそうな色が見えたように思えたのは、 俺の気のせいか? 「ふ、ふふ、そうよね。言って分かってくれる人なら、最初から 強行手段を取る必要なんかないんだもの…。 有希お姉ちゃん! 今日こそ決着を付けさせて貰うわ!」 「どうしてもと言うのなら…情報結合を解除する」 「やれるかしら? この教室は私の情報制御空間。私の方が有利よ!」 言うなり、朝倉は手近な机を引っ掴んで、ひょいと持ち上げた。たちまち、 それは巨大な槍のように変化する。おいおい、そんなの刺さったら 痛いじゃ済まされないだろうが。 さすがに圧迫感に押されて後ずさる俺。そんな俺をかばうように、 長門が緊迫した表情で――パッと見にはいつも通りの表情なんだが―― 間に割って入ってくる。 そんな俺達を朝倉は冷酷な瞳で見つめ、一言だけ言い放った。 「死になさい!」 ぶん、と巨大な獲物が唸りを上げる。狙いは俺か。そして、次の瞬間。 えーとほら、長門が入ってきた時に幾つも破片が散らばっただろ? 手にした槍を投げようと一歩踏み込んだ際、その内の一つに足を乗せてしまった 朝倉はバランスを崩して、えらい勢いで後方にひっくり返っていた。 「きゃあっ!?」 そりゃもう、一瞬スカートの中身が見えちまった程さ。うん、白か。白だな。 ごちん!という鈍い炸裂音。でもって朝倉は、両手で後頭部を押さえながら 無言でごろごろ教室の床を転げ回っていた。 分かる、分かるぞ。本当に痛い時ってのは言葉も出ないもんだ。なんだか 見てるこっちの方が苦しくなってくるぜ。しかしこいつ、本当に天然なんだなあ。 などと俺が思っていると、今度は長門が、こちらも無言のまま前に歩きだして、 朝倉の眼前に仁王立ちに立ちはだかる。 一瞬、朝倉の顔に怯えの表情が浮かんだ、ような気がした。 「パーソナルネーム朝倉涼子を敵性と判定。当該対象の有機情報連結を解除する」 「う…くっ…」 奥歯をぎりりと噛み締める。が、それはほんの僅かのこと。 次の瞬間にはもう、朝倉は、晴れやかとさえ言える笑顔を浮かべていた。 「あーあ、残念。しょせんわたしはバックアップだったかあ…。 わたしの負け。良かったねキョン君、延命できて」 そう言う朝倉の身体が、端から次第に光の粒子になって散っていく。おい、長門? 有機なんとかの解除って、お前まさか? 「じゃあね、キョン君。涼宮さんとお幸せ…に…?」 なんでだろうな。正直、あの時は深く物事を考えてなかったんだが。 まあとにかく、俺は長門と朝倉の間に、朝倉をかばうように両腕を広げて 割り込んでいたのさ。 「その辺にしといてやろうぜ。なあ、長門」 瞬間、長門が眉をひそめた。ように思えた。 そりゃそうだよなあ。守りにきた対象=俺が、攻撃してきた敵=朝倉を かばったりしたら、おかしいを通り越して不快に感じるか普通は。 「なぜ? あなたには朝倉涼子を保護する理由がない」 「そうだな。自分でもなんでこんな事してんだって思うよ。でもな…」 ちら、と後ろを振り返ると、朝倉はあり得ないといった表情で 俺の顔を見上げていた。 「朝倉はお前の妹分なんだろ? 姉妹ゲンカで相手を消しちまうってのは、 そりゃちょっと乱暴すぎじゃないか?」 「それは――」 「ちょ、ちょっと! なに勝手なこと言っちゃってんの!?」 長門のセリフを遮り、憤慨の声を上げたのは、当の朝倉だった。 「私はね、私の都合であなたを殺そうとしたのよ! その私をどうして かばおうとするの! 憐れみのつもり? 偽善者ぶっちゃって!」 「憐れみって言うかな、うーん、なんとなくこう見てらんないんだよ。 ほら、俺にも妹いるからさあ」 俺の一言に、朝倉はぎくりとしたように凍りついた。 「確信はないんだけどな。でもまあ、おおよそ察しはつくっていうか」 「…やめて」 「朝倉、お前は別に俺が憎くて殺そうとしたわけじゃないんだろ? ただ単に 手段として、俺を殺すのが一番手っ取り早かっただけで」 「やめてってば…」 「知らない内にお前に迷惑かけてたんなら謝るけどさ。けど本当の所、お前は」 「やめてって言ってるでしょ!」 光の粒になりかけの朝倉に、抑止力はない。だから俺は、おもいっきり意地悪に 核心に触れてやった。 「長門と、情報統合思念体とやらに、見せつけられる成果を上げたかっただけだろ。 そうしたらきっと、自分の事をものすごく気にかけて貰えるもんな?」 俺の指摘に、長門がちらりと朝倉の方を見やる。手足の先は既に消失して、 ほとんど胸像状態の朝倉は、その視線から目を逸らす事もできない。 するとそんな朝倉の両の瞳から、不意に大粒の涙がぽろぽろこぼれ落ち始めた。 「どうして…どうしてそんな事、有希お姉ちゃんの前で言うのよ!? バカ! キョン君のバカぁ! 今度は…ぐすっ、絶対ホントに殺してやるんだから…お、覚えてなさい!」 やれやれ、まるっきりいたずらのバレた子供だな。 しかし、ちょっとイジメすぎちまったか。俺は朝倉に気付かれないように、 長門にこっそり目配せしてやった。朝倉が一体何を求めていたのか、 今はもうお前にも分かってんだろ、長門? はたして、長門は膝を畳んで朝倉と同じ目線に立つと、抑揚のない声でこう言った。 「あなたは、とても優秀」 「え…?」 「わたしという個体も、あなたを喪失することを残念に思っている。もしあなたに、 今後の活動方針について協議の余地があるのなら――」 何事か、まるで聞き取れない呪文みたいな言葉を長門がささやく。すると、 光の粒になりかけてたはずの朝倉が、あっさり元の姿に戻っていった。 ついでに荒れ果てた教室の中身も。でたらめだなあ、もう。 「――また、一緒にカレーを」 「うわあああん!」 またまた長門の言葉を遮って、朝倉は長門の胸の中に飛び込んでいた。 「バカ! バカ! キョン君も有希お姉ちゃんも、なんで、そんなに…。 嫌い嫌い、二人とも大っ嫌い!」 あとはもう、嗚咽で言葉にならない。仕方がないなあと俺と長門は顔を見合わせ、 苦笑する他なかった。…いや、長門は無表情なままだな。 「あなたには、感謝している」 「うん? なんだよ長門、いきなり」 「“妹”を、失わずに済んだ」 真顔でそう言う長門に、俺は思いっきり大げさに肩をすくめてやったね。 「俺は自分で自分を守ろうとしただけさ。朝倉の後任に、もっとヤバい奴が 来たりしたら困るだろ? それなら美人の分だけ、朝倉の改心に期待した方がお得ってもんさ」 見事に似合わないキザったらしいセリフの後も、長門はじーっと 俺の顔を見続けていた。ん? いまこいつ笑ったか? いや、気のせいだな。 まあしかし、この宝石のように貴重な穏やかな空気は、いきなり大きく開かれた 教室の扉の音によって、見事にぶち壊されちまうんだけどな。 「WAWAWA わ~すれ~もの~♪ 忘れ…うおっ!?」 「谷口?」 「す、すまん! ごゆっくり!」 アホの谷口は、俺の話も聞かずツチノコみたいに去っていった。何なんだあいつは。 この状況を一体どう理解したんだか。 …俺が朝倉を泣かせるようなマネをして、それを長門がなぐさめてる。う~む、 微妙に合っているな。つか俺、ひどい悪者? 「仕方がないわね。彼の事はあたしに任せて」 気が付くと、朝倉涼子が本当の意味で復活していた。 「情報操作は得意だもの。有希お姉ちゃんと違って、ソフトな情報操作が、ね♪」 そう言って、ぱちりと蠱惑的にウインクしてみせる。ああ、確かにそれはそうだな。 どう考えても長門にクラス委員長は務まらないだろう。 と、朝倉の発言を挑戦と受け取ったのか、長門がぽそりと呟いた。 「あなたは、戦闘系情報操作をもう少し学ぶべき。あれでは話にならない」 「はい? またそうやってお姉さん風吹かすつもり?」 見えない火花を散らす女と女。やめてくれよ、もう。お前ら二人がケンカすると、 俺なんか百万人くらい余裕で死ねるんだぞ? 「な、なあ朝倉。もし気が向いたら、お前もSOS団に…いやハルヒに こき使われる事になるかもしれないが、そうすれば毎日、長門と」 「ううん、それはやめとく」 なんとか場を和ませようと慌てふためいた俺の発言を、しかし最後まで言わせず、 朝倉はきっぱりはっきり言い切った。 「私の役目はやっぱり、長門有希のバックアップだもの。長門有希と同じ現場に 居合わせて、同じトラブルに巻き込まれるわけにはいかない、でしょ?」 言い含めるような口調で、ちょんと人差し指の先で俺の唇を塞ぐ。やれやれ、 今まで通りの委員長然とした態度、そして極上の笑顔だ。 ドジっ娘涼子ちゃんもそれはそれで可愛かったけれども、やっぱり俺は見慣れた こっちの朝倉の方が落ち着くね。 そうして安堵の息を吐いた俺はふと、斜め後方からの視線を感じた。 「長門、なんとなくだがお前、不機嫌そうな顔してないか?」 「…していない」 ふい、と目線を逸らせてしまう長門。そんな長門と俺のやり取りを、なぜだか 朝倉はくつくつと、楽しそうに笑いながら見ていたのだった。 不機嫌な朝倉たん もしかしたらHAPPY END
https://w.atwiki.jp/hiroki2008/pages/15.html
長門有希の暴走 長門編: 最近デートしてないと気が付いたのは、部長氏が久しぶりに電話をかけてきてからだった。 部長氏は国立に進学することになったので塾通いをはじめたらしい。 僕はそんなに学力高くないからたいへんなんだよ、と苦笑した。 さらに部活の機材調達のためにアルバイトもしており、週末でもなかなか時間がとれないことが続いていた。 二人とも野暮用で忙しく、なかなかタイミングが合わない。 「有希、クリスマスにはうちに来ないか。家族に会わせたいんだ」 部長氏は突然家族に会わせるという。なにが目的なのか。 「・・・その日はSOS団の予定がある」すでにSOS団主催のキリスト生誕を祝う催しが決まっていた。 「そうなのか。残念だな。じゃあ年が明けるまでに、時間作って会おう」 「・・・分かった」 わたしには家族の絆というものがない。朝倉涼子と喜緑江美里は、友人であり、肩書きは同僚でしかない。 家族とはいったいどういう付き合いをするのか、わたしには分からなかった。 その週末にも、少しでもいいから会おうと誘われていたのだが、 SOS団の食料及び催し用資材の仕入れに呼ばれてしまった。 ところが買い物しているところを部長氏と遭遇してしまったのだ。 ちょうどクリスマスグッズ売り場で飾り付けの品定めをしていた。 「長門、あれコンピ研の部長氏じゃないか?」振り向くと彼の向こうに部長氏がいた。 「・・・」 部長氏はわたしと彼とを交互に見て、プイと顔をそらして歩み去ってしまった。 「なんだあれ・・・愛想悪いな」 実は彼はわたしと部長氏の関係を知らない。 これは悪いことが起きる予感がする。 その日の夜、部長氏から電話がかかってきた。 「昼間のあれ、どういうことなのかな?」 「・・・何を指して質問しているのか分からない」 「昼間、彼といたことだよ」 「あれはSOS団の買出しに出かけていた」 「へえ。なんで彼なんだ?涼宮ハルヒとか朝比奈さんとかでもよかったじゃないか」 「彼と同行したのは涼宮ハルヒの命令。特別な意味はない」 「僕よりそっちのほうが大事なんだ」 「・・・そうではない」 「僕がクリスマスに誘っても断ったじゃないか」 「あれはしょうがない。先に予定が決まっていた」 「僕との時間は取れないってわけかい?」 「・・・」 わたしはつい、ため息を漏らしてしまった。 「なんだいそのため息は。僕が悪いのか?」 「少しうんざりしている。わたしにはわたしの都合もある」 「そうかい、じゃあこれまでだね!」 部長氏は怒って電話を切った。鼓膜がツンとした。 「・・・」 かけなおしたが、電源を切っているか電波が届かないか、らしい。 遠隔操作で強制的に電源を入れさせてかけてみた。 「電源切ってたはずなのに!キミとは今話したくないんだよ!」 逆効果だった。こんなことで情報操作をするとは、わたしもどうかしている。 わたしには優先しなければならない任務がある。 観察対象である涼宮ハルヒにあらぬ情緒不安定を引き起こしてはならない。 部長氏にそれを打ち明けられたらどんなにか楽だろう。 一度正体を明かしてしまったため情報操作をやむなくされた。 部長氏の記憶すら改竄せざるをえない結果となった。 なるべくなら、それは避けたい。 あの一件以来、禁則事項の厳守を徹底させられている。 不必要な情報操作は控えるよう、情報統合思念体により釘を刺された。 部長氏も疲れていて機嫌が悪いだけだろう。しばらくそっとしておくのがいいかもしれない。 そう思っていたのだが、考えが甘かった。すぐにでも出かけていって和解するべきだったのだが。 それから数日間、部長氏から連絡はなかった。 わたしも彼が落ち着くのをしばらく待とうと考え、コンピ研部室には行かなかった。 壁一枚向こうで、彼はいったいどんな気持ちでいるのだろう。 週末、図書館に本を返しに行った。 部長氏に見られると関係悪化につながると考え、最近はひとりで行動している。 その帰り、図書館の隣の棟にある百貨店に入った。 ここの4階にある書店はかなり広い。新刊はいつもここで買っている。 2階の駅通路に向かおうと、下りのエスカレータに乗ったところで知った顔に遭遇した。部長氏だった。 後ろに知らない女がいる。これはいったい、誰。 そのときわたしは不可解な行動を取った。 なにか見てはいけないものを見てしまったような気がして、うつむいてしまった。 部長氏は気が付いたようだった。声をかけられなかった。 昇りと下りのエスカレータがすれ違う時間を不思議と長く感じた。 エスカレータを降りた後、部長氏の行方を調べた。いちばん上にある喫茶店に入ったようだった。 そこでなにを話しているのか気になっている自分に気が付いた。 わたしはいったい、なにをコソコソしているのだろう。 その夜、わたしはこたつに座ってじっと電話を待った。ちょうど9時を過ぎたところで鳴った。 わたしの活性化指数が急速に上昇する。 「・・・長門有希の携帯」 「僕だけど、ちょっと話したいことがあるんだけど。今、いいかな」 「いい」 「言い出しにくくてずいぶん迷った。しばらく距離を置きたいんだ」 「あなたの家とは5キロメートルほど離れているが、その距離のことか」 「いやそうじゃなくて、僕らの精神的な距離」 「・・・曖昧でよく分からない。具体的に言ってほしい」 「つまり、」部長氏は言いあぐねている様子だった。 「付き合っている関係をしばらく休みたい」 一瞬だけ、思考が停止した。「そう・・・」 「あなたがそう言うなら、それでいい」 「ほんとに?僕はてっきり泣いて責めたてられるとばかり思っていた」 「・・・ひとつだけ、教えて」 「何?」部長氏は焦っている。 「・・・今日、後ろにいた人は誰」 「あ、あれは・・・同じクラスの子で、前からいろいろ相談に載ってもらってた人で、 ただの友達というか。なんでもないんだ」 そういうことか。わたしがいくら恋愛に疎くてもそれくらいは分かる。 「分かった。関係を解消する」 「あっさりしているね・・・」 「あなたが望まないなら関係は継続できない」 それから何を話したか、エラーの蓄積に追われて覚えていない。 「・・・問題ない。なにも問題ない」 それが最近のわたしの口癖になった。まるでマントラを唱えるように。 その日、英語の授業の時間、途中で思考停止に陥った。 わたしは英語の小論文を読んでいるはずだった。 「長門さん?どうしたの?」教師の声がした。 「・・・」わたしは今なにをしているのか、どこにいるのか。確認のため記憶を数秒まき戻した。 「・・・問題ない。なにも問題ない」 「じゃあ続きを読んでもらえる?」 どこまで読んだのかまったく覚えていない。こんなことが・・・。 体育の時間、障害走でハードルを飛んでいた。 視角の端、グラウンドの水飲み場に部長氏の姿が目に入った。 わたしは顔から転んでしまった。男子生徒が笑っている。 なにもおかしいことはない。着地時の摩擦係数を計算ミスしただけだ。 再計算にミスはないはず。わたしは起き直り、被った土も払わずに走った。 次の授業の前にわたしは具合が悪いと言って保健室に行った。校医がいた。 頭痛がするのでしばらく休ませてほしいと言うと、頭痛薬あげようかと言った。 わたしは薬物反応が出るから処方薬しか飲めないと断った。人間の薬はわたしにはまず、効かない。 ここでしばらく寝ていよう。 わたしは記憶を再チェックした。チェックサムエラーが多く発生している。 ここ数ヶ月のうち特定の個所だけにエラー源が集中している。部長氏との記憶が著しく損傷していた。 これはいったい、なぜ。 関係は解消した。ただそれだけのはずだった。メモリに支障を来たすはずはない。 エラーを消去できない。蓄積が幾何級数的に増えつづけた。 喜緑江美里に連絡した。 「大丈夫?」 「・・・問題ない。綿密なセルフテストを行いたいだけ」 「そう・・・できることがあったら何でも言ってね」 喜緑江美里にわたしのシンボリックコピーを用意してもらい、SOS団にはそっちを出頭させた。 リモートで監視してもらうことにした。 体が重い。わたしはそのまま帰宅した。エラーがエラーを生み、動作に影響が出ている。 部長氏との関係を再考した。いったい何が原因だったのか。 わたしは人間のように複雑な感情を出力することができない。それがわたしの仕様。 部長氏はときどき感情を吐露することがあった。「キミが僕と付き合っていて楽しいのかどうか不安になるよ」 確かに一般の人間の男女のような関係ではなかった。でもうまくいっていると思っていた。少なくともわたしは。 情報生命体時代にはすべてが計算するだけで解決できた。 すべての情報は共有され、誰かが犯した同じ過ちを二度目に繰り返す者はいなかった。 しかしこの状況は、過去の記憶をたどっても前例がない。参考にする資料もない。 朝倉涼子がいたら、きっと朝倉涼子なら、彼女ならアドバイスをくれただろう。 「長門さん、大丈夫?」朝倉涼子の声がした。 ありえない。振り返っても誰もいない。 これはいったい、何。ヒューマノイドインターフェイスには妄想など存在しない。 わたしは、朝倉涼子に会いたかった。 その夜、わたしは夢を見た。 「ほんとはキョン君のこと好きなんでしょ。分かってるんだから」 朝倉涼子が言った、この言葉が何度もエコーを繰り返す。 彼女は正しい。わたしは彼に特別な感情を持っていた。だがそれは任務を遂行する上で障害となる。 彼に感情を寄せることは涼宮ハルヒの情緒不安定を誘発しかねない。それは許されないこと。 わたしは自我を消し、コンピ研部長と特別な関係になることを望んだ。 部長氏はそれに応えてくれた。やさしかった。支えになってくれた。 それを失った今、わたしの何かが崩壊しはじめる。 部長氏に会って謝りたい。いや、謝ってももう許してくれはしまい。 許してくれなくても気持ちは通じるはず。いや、壊れてしまったものは修復できない。 朝倉涼子に会いたい。いや、もうこの地球には存在しない。 死んだわけじゃない、会えるはず。いや、わたしの手によって消滅した。 この中途半端な願望の奔流はわたしを翻弄した。 わたしには、この大量の感情を情報として処理する能力がない。 それならばいっそ、わたしは人間として存在するほうが楽なのではないか。 人の脳のほうが苦しみに耐える造りになっているのではないか。 この苦しみから開放されるなら、なんでもする。たとえ情報統合思念体を消し去ろうとも。 宇宙を作り変えてしまおうとも。 わたしがもし、人間だったなら。コンマ2秒、わたしはシナリオを書いてシミュレーションした。 この宇宙を改変した結果起こりうる事変を、10年先まで計算しはじめた。 もう、止められなかった。 そしてわたしは、今、やっと理解した。3年前の7月7日、あの日にあったことを。 今日この日のわたしがなぜエラーの蓄積を止められなかったのかを。 午前4時18分。北高正門前。ここで閉鎖空間が発生する。 彼と朝比奈みくるから情報を得ていたわたしは、この時間と場所を知っていた。 軽い衝撃とともに異空間が広がった。わたしには空間内部が見える。 青く光る神人が周辺の建物を破壊していた。 「・・・美しい」 わたしはそう呟いていた。 わたしは閉鎖空間に向かって呪文を唱えた。 情報統合思念体が消えた。涼宮ハルヒの属性情報を書き換えた。 SOS団、北高の生徒全員、それから周辺の歴史を書き換えた。 世界のすべてを変えてしまおう。それで楽になる。結果がどうなろうとわたしの知ったことではない。 そのとき、わたしは怒りという感情を知った。なにもかもが嫌いだった。 この宇宙も、情報統合思念体も、SOS団も、涼宮ハルヒも。 暴れ狂う神人は、まるでわたしの感情を表しているようだ。 この詠唱を終えたとき、向こう側が通常空間になり、こちら側は存在しなくなる。 わたしは、涼宮ハルヒの思念エネルギーを利用して宇宙を入れ替えた。 ついに宇宙は裏返った。ただひとり、彼の記憶を除いて。 ここから先に起こったことは、わたしの記憶にはない。
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/1189.html
暗黒長門は南春香の始末をアーマゲモンに任せ、朝倉と消失長門を殺しにかかる。 暗黒長門は空間に複数の槍を出現させ、消失長門に発射する。 「くたばれ。」 「させないわ。」 だが朝倉が消失長門の前に立ちはだかり、バリアで飛んできた槍を防御する。防御しそびれた槍はアカギが拳銃で撃ち落す。 「この長門さんは守る。貴方も倒す。両方こなさなくちゃいけないのが、私の辛いところね。まぁ覚悟はできてるけど。」 アカギは拳銃を構えながら消失長門の側に立つ。 「朝倉さん。長門さんの護衛は俺に任せろ。アンタは敵の撃破に集中してくれていい。」 「ありがとう赤木君。」 そして朝倉は暗黒長門へ向かっていく 「バックアップ風情が…めちゃめちゃに叩き潰してやるよ!!」 「長門さんはそんなこと言わないわよ。二次創作の世界にすぎないのよ貴方は。消えなさい。」 「…黙れ。私はお前にとっての長門ではない。私は…『彼』のための長門有希だ…!! あの消失長門を殺して…私が本物の長門有希になる。」 暗黒長門の言う『彼』がキョンのことなのか…それとも彼女を認めてくれたアーマゲモンのことなのかは本人にすら分からなかった。 朝倉涼子と暗黒長門の戦いを見ていた消失長門はやるせない気持ちにおそわれていた (私は朝倉さんに守られてばかり。学校に通っていた時だって、この殺し合いの時だって。 昔も今も…私は朝倉さんに迷惑をかけてばかり。自分では何もできないのか。) 涙が溢れてきて嗚咽を漏らし始めた。そんな消失長門の様子を赤木は察したのか 「アンタは気にしなくていい。今は生き残ることを考えろ。」 「…はい。」 【二日目・8時50分/幕張メッセ近く】 【暗黒長門@ニコニコ動画】 [状態]対有機生命体コンタクト用インターフェース [装備]不明 [道具]不明 [思考]基本:優勝してキョンを生き返らせる。機を見て過激派を殲滅する。 1:消失長門と長門を殺し、自分が長門有希になる 2:異端組を殺す。朝倉と長門を優先 3:アーマゲモンにやや好意。南春香は彼に任せる 【朝倉涼子@ハルヒシリーズ】 [状態]多少の疲労、対有機生命体コンタクト用インターフェース [装備]不明 [道具]支給品一式 [思考]基本:カオスロワを潰す 1:消失長門と籍を入れることができて嬉しい 2:消失長門のことを赤木に任せて暗黒長門に対処 【消失長門@涼宮ハルヒの消失】 [状態]多少の疲労、 [装備]不明 [道具]不明 [思考]基本:朝倉についていく。殺し合いには乗らない。 1 朝倉さんの力になれなくて悔しい… 【赤木しげる@アカギ】 [状態]強運、神域、悪漢、多少の疲労 [装備]刀、拳銃 [道具]支給品一式 [思考]基本:ゲーム転覆。 1:同じく対主催の仲間を探し、準備が整ったら主催本拠に突撃 2:暗黒長門の攻撃から消失長門を護衛。アーマゲモンは海馬たちに任せる 3:戦闘後はとりあえず幕張メッセ前で様子を見る予定
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2668.html
Report.22 長門有希の憂鬱 その11 ~涼宮ハルヒの手記(前編)~ わたしは観測対象の内面、『心情』を理解する上で超一級の資料を入手した。観測対象が自ら書いた、個人的な心情を綴った文書。 その中から、今回の一連の出来事に関連する部分を抜粋して報告する。 本文書の内容にわたる部分は、すべて原文を記述した観測対象本人の思考によるものであるが、内容の理解及び構造の把握に資するため、報告者が小見出しを付加するなどしている。誤字脱字その他の、通常の日本語の文法に即していない記述は、すべて原文に起因するものである。 (涼宮ハルヒの序文) キョンもすなる書き物を、あたしもしてみむとてするなり。 な~んてね。『土佐日記』風の書き出しにしてみたけど、毎日書くつもりはない。だから、「日記」というよりは「手記」かな。 題して、『涼宮ハルヒの手記』! ……別に誰かに見せるわけでもないのに、なんでこんなに言い訳がましいことを色々書いてるんだろうね、あたしは。あ、でも、有希にはちょっと見せてみたいかも……?(んなこたぁーない。) でもまあ、普通に書くのもつまらないので、小説風に書いてみることにする。文芸部の会誌を作ったときにキョンが書いた話みたいに、あたしが普段考えていることをそのまま文章に書き出して書くことにしようと思う。 後から聞いた話になるけど、キョンはあの話を書く時に、普段考えていることをそのまま文章にしたら良いって古泉くんに言われたらしい。 それじゃ、まずは序文ってことで、これを書くに至った経緯から。 この手記を書くことを決意した日、あたしはとんでもなく恥ずかしい思いをした。 気が昂ってイライラした時なんかに、あたしは紙切れに色々なことを書き付けていた。最近の議題は、「有希への想い」かな。 なんとその紙切れを、あろうことか有希本人に見られちゃった! しくじったわ。ちゃんとゴミ箱に捨てないから…… おまけに、その現場を見て混乱したあたしは、同じく混乱してる有希を突き飛ばして怪我させちゃった。涼宮ハルヒ、一生の不覚! なんてね。そのあとあたしはもっと酷いことをしてしまったけど…… そんなわけで、このような失敗を二度と繰り返さないために、今日からは、書き付けるのはこの日記帳だけにすることにした。鍵も掛かるしね。 『日記帳』を使ってるけど、先に書いた通り、毎日書くつもりはない。もちろん、毎日書くことがあれば別だけど。 (長門有希の消失) 「あ゛~~もう!! 何であんなことしちゃったんだろ!!」 あたしは頭を抱えて部屋中を転げ回る。激しい自己嫌悪。 今日、部活後の部室で、有希にあたしが書いた恥ずかしい紙切れを見られてしまった。 あたしは、つい恥ずかしさから心にもないことを口走り、有希を突き飛ばしてしまった。すると運の悪いことに、有希が本棚にぶつかった拍子に本が落ち、そのうちの一冊が有希の頭に当たり、その血が額に垂れてきた。 正直、血の気が引いたわ。 そして混乱したあたしは、とんでもないことをした。 苦しい言い訳。そして怪我をした有希を、あろうことかそのままにして、逃げるように立ち去った。いや、逃げるようにじゃないな。文字通り逃げ出した。 最低だ。 それくらい、恥ずかしかった……なんて、言い訳にもならないわね。でも、でも……! まさか、よりによって、『アレ』を有希に見られるなんて…… 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~!!」 いけない。考えたら、また恥ずかしさがぶり返してきた。もう、死にたい。明日……一体どんな顔して有希に会えば良いっていうのよぉ!! 「お゛お゛お゛お゛お゛……」 頭を抱えて足をジタバタさせながら、あたしは長い夜を過ごした。 「あああああああ! 有希にだけは会いたくない!」 ……祈りが届いたのかしらね。こんな祈り、届いてほしくなんかなかったけど。 翌日、有希は学校に来なかった。 聞いた話によると、有希は身内のごたごたがあって、急遽学校を休んで遠方に出掛けているらしい。不謹慎にもあたしは、『当分、有希と顔を会わせなくて済む』と安堵してしまった。 べ、別に有希が嫌いってわけじゃないわよ!? ただ、昨日あんなことがあったから、ちょっと顔を合わせ辛いってだけなんだから! それに、有希もそんなに長く学校を休むわけにもいかないだろう。せいぜい一週間くらい? それぐらい時間が経てば、あたしも気持ちの整理ぐらい付く。ていうか、付ける。それで、「ごめん」って謝って、喫茶店で何か甘いものでも奢って、仲直り。それで良いじゃない。 (朝倉涼子の邂逅) 今日はすごいニュース! 朝倉涼子が帰ってきた! って、これ、前にも書いたっけ……ああ、書いたってのは、紙切れ時代のことね。 何でも、カナダから一時帰国しているらしい。 そんなに長く日本に滞在していられないらしいけど、懐かしくて北高に顔を出したそうだ。たちまち元・1年5組の女子達に囲まれる彼女。 そういえば、キョンが何やら青い顔をしていた。朝倉も、キョンを複雑そうな顔で見ていた。二人の間に一体何があったんだろう。 今度キョンを締め上げて問い詰めてやるか。 【ここから先はしばらく、初めて出会った時からの、わたしとの思い出を回想している記述が続く。既に報告済みの内容と重複するので割愛する。】 (涼宮ハルヒの遭遇) 今日はすごいニュース! 朝倉涼子が帰ってきた! あの、突然カナダに転校していった朝倉よ! ↑これは、前に書き付けてた紙に書いたもの。朝倉が帰ってきたことで思い出したので、再録。 この時の記述は実は誤りで、朝倉涼子本人じゃなかった。正しくは、こうなる。 長門有希と朝倉涼子のそっくりさんに遭遇!! もう、びっくりしたわ。他人とは思えないくらい、よく似てる……というより、生き写し! しかもこの二人、なんと従姉妹同士なんだって! 全然顔も性格も似てないけどなあ。 面白いことにこの二人、あたしが知ってる二人と姿かたちがそっくりでも、性格が全然違う。 有希似の彼女は、はきはきとした、笑顔が似合う可愛い娘。 朝倉似の彼女は、無口な、引っ込み思案で神秘的な娘。 なんと声までそっくり! 有希似の娘は、声こそ高めで、有希の低めの平坦な声とは似ても似つかないけど、あたしは知っている。例えば歌うとき、有希は高めの声も出す。試しにその声のまま、喋ってもらったことがある。その時の声とよく似てる。意外ときゃぴきゃぴした声になるのよね、有希って。それと……感じてる時の声…… って、きゃ――――!! 何を考えてるんだ、あたしは!! でも、有希似の彼女のそんな声も聞いてみたいかも……いかんいかん! あたしはノーマルだ! あ、でも、「ノーマル」ってことは、「普通」ってことか。むむむ…… 「普通」であることは、あたしにとっては何よりも不名誉な称号。でも、だからといって「レズ」ってのもいかがなものか。相手が、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者っていうなら、男でも女でもEverything OK! なんだけどね。 そういえば、前にキョンが言ってたっけ。『長門は宇宙人が作った有機アンドロイドだ』って。つまんない冗談だったけど、この際、そういうことにしちゃうのもアリかも。 そうすると、宇宙人謹製アンドロイドと、あたしはデートしたことになるのか……今度、みくるちゃんも誘って、三人でデートしよっかな? みくるちゃんは、キョン曰く『未来人』だったかな? ということは、宇宙娘と未来娘の両手に花! ……どんな女だ、あたしは。宝塚の男役スターかっちゅうねん!? とか思ってたら、有希似の彼女が、有希の口調を真似して喋った。 マジそっくり! とかやってたら、今度はあたしの有希が、有希似の彼女の口調を真似して喋った。無表情で。 有希、それは反則だよ。 正直、くらっと来たわね。 朝倉似の彼女の反応も、なんか新鮮だった。 あたしが知ってる朝倉は、いつも明るくてクラスの中心にいたから。そういえば、クラスに溶け込んでいないあたしを心配してか、しょっちゅう声を掛けてきてたな。正に学級委員の鑑。もっとも、その頃のあたしは憂鬱の塊みたいなもので、ずっと無視してたけど。その後急に転校しちゃうなんて思わなかったから、今にして思えばもっと話しとけば良かったかな? 転校して以来、何の便りもないけど、どうしてるかな。「便りのないのは元気な証拠」って言うけど。みんなも、もう忘れちゃってる? 今度聞いてみよう。 以上が、この時に思っていたこと。 この時のあたしは、まさか本当に朝倉と再会することになるとは、夢にも思わなかったでしょうね。 【ここから数枚、ちぎった跡がある。ちぎった跡からは、何の情報も読み取ることはできなかった。そしてここから先は、わたしが情報操作を行い、涼宮ハルヒからわたしへの想いを消去した日より後の日付となっている。この間に何が起こったのか。何を書いていたのか。分からない。】 (朝倉涼子の戦闘) 【ここは、過激派による襲撃に関する部分の記述。当該記憶は消去したはずだが、本人は『夢』と認識した状態で記憶を保持していたと思われる。】 ありえない。 朝倉……あんまり激しく動くと、ぱんつ見えるわよ。いや、既に見えたんだけどさ。 朝倉は縞パン……か。可愛いの穿いてるじゃない。スカートの丈が短いから、激しい動きをすると、ちらちら見えちゃうのよね。ほら、また見えた…… うー、とっても眩しいぞ。むっちりした太ももとセットで、すごい破壊力だわ。男子がここにいたら、さぞや大喜びするシチュエーションなんだろうな。 とか言いつつ、女のあたしが何で喜んでるんだろうね。 そういえば、スカート丈の短い北高の制服着てるあたしも、激しく動いた時は、ちらちら見えちゃってるってことか。当たり前のことなんだけど、改めて他人がそうなってるのを見ると、実感するものね。 さて、何であたしが、こんなに「ぱんつ」を連呼してるかというと、そうでもして現実逃避しないと、やってられないから。 何が起こってるのか分からないから、見たままを書くわ。 鉄筋を持った朝倉と、ストッキングを被った変態超能力者が対決してる。 以上。説明終わり。 ……意味が分からない。そこ、首をかしげて良いわよ。あたしにも意味不明だから。 ←Report.21|目次|Report.23→
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4927.html
注意! この作品には「オリジナルキャラクター」 「キャラ設定が崩壊」 「他作品ネタ」が盛り込まれています。 オリキャラとかダメって方は見なかったことにしてスルーしてください。 そんなの気にならない方はどうぞ キョン視点 いつもの帰り道、SOS団のメンバー全員で歩く姿は普通の高校生だ。 まぁ、神様とか宇宙人とか未来人とか超能力者なんだけどな。 珍しく長門もハルヒや朝比奈さんの会話に入っている。 ずいぶん人間らしくなったなぁ、とか成長する娘を見る父親のように見ていると 「あ!忘れ物した!」 いきなり大声で叫んだハルヒ、コイツが忘れ物するなんて珍しい。 「ちょっと教室に取りに戻るから、みんなは先に帰って」 一言そう言い残してハルヒは走って来た道を戻っていってしまった。 走るハルヒの後姿を見た後、振り返ると朝比奈さんと長門、古泉が俺を見つめていた。な、なんだ? 「追いかけないんですか?」 古泉、毎回言ってるけど顔が近い。いい加減殴るぞ 「キョンくん、早くしないと涼宮さん見失いますよ?」 朝比奈さん、何で俺がハルヒを追いかけなきゃ行けないんですか? 「「はぁぁ…」」 え?何で古泉も朝比奈さんもため息つくんだ?俺なんかしたか? 「鈍感」 待て長門、何故俺がお前に冷たい目で鈍感と言われなきゃならんのだ。 一体何がなんだか訳が分からない。なぜ俺は三人から冷たい視線を浴びさせられてるんだ? ああもう!わかったよ!追いかければ良いんだろ? 「頑張ってください」「頑張ってくださいね!」「頑張れ」 三人から意味不明のエールを頂いた俺は走って学校へと向かった。 まぁ、この後トンでもないことが起きるんだが、その辺は俺じゃなく本人に語ってもらおうか。 ハルヒ視点 帰り道、課題のノートを教室に忘れたあたしはみんなに先に帰ってと伝えて学校に向かった。 今の時間、部活も終わって先生が戸締りをしている頃だろう。 一度ぐらい課題を忘れたって別に困らないがなんとなく気に入らないから取りに戻る。 運のいいことにまだ戸締りはされておらず、教室まで簡単にたどりつけた。 教室のドアを開けると中は夕日で真っ赤に染まり、恋愛ドラマなんかのワンシーンみたいだ。 ドアを開けると好きなあの人が居て…なんてあるわけ無いし、今時そんな古臭い真似をする奴も居ないだろう。 少しでもそんな事を考えた自分に呆れつつ自分の席まで歩き出したその時 カラン 何かに躓いた。躓いた物は机の脚に当たって跳ね返り、あたしの前に現れた。 太い黒い柄に日に照らされ銀色に輝く鋭くて大きな刃の目の前にサバイバルナイフがあった。 「なんでこんな物が教室に?演劇部のかしら」 本物の訳が無いと手にとって見たが重く、明らかに本物のサバイバルナイフだ。 「あら、まさか貴女が拾ってくれるとは思わなかったわ」 突然、どこからか声がした。聞いた事のある声…でもどこから? 「うふふふ、誰でもよかったけど貴女が拾ってくれるなんて運が良いわ」 何処からとも無く聞こえる声にあたしは身構えた。 誰!何処に居るの! 「どこって…貴女の手の中よ?それにクラスメイトのこと忘れるなんて酷いわ」 恐る恐る手に持つサバイバルナイフを見ると、北高の制服を着た女の姿が見えた。 良く見るとそれは、去年に突然カナダに引っ越した朝倉涼子だった。 「貴女の体、貰うわよ!」 突然、目の前が真っ白になった。体を貰う?冗談じゃない!誰がアンタなんかに! そう思った瞬間、真っ白だったのが晴れてさっきの教室に戻った。 「はぁはぁ…一体…何だったの?」 床にひざと手を突いて倒れたあたしは一体何が起きたのか分からなかった。 『ああもう…抵抗するから中途半端に融合しちゃったじゃ無い!』 朝倉の声がしてあたしは立ち上がって周りを見渡す。 しかし、朝倉の姿どころか先程のサバイバルナイフも見当たらない。一体何処から? 『貴女の中よ、涼宮さん』 また朝倉の声がした。確かに、頭の中に直接聞こえている気がしないでもない。 ガラ あたしが混乱していると教室のドアが開き、キョンが現れた。 「キョン!」 突然の異常現象に混乱していたあたしはキョンの姿を見るなり、駆け寄って抱きついた。 しかし、キョンはあたしの顔を見てかなり困惑した表情をしている。 一体どうしたのだろうか?あたしがキョンに尋ねようとした瞬間、トンでもないことを言われた 「あの…どちら様ですか?」 何言ってるのかしらコイツ?というかなんでここにキョンが居るのよ? あたしはキョンを睨みつけながら言ってやった。 「キョン、今なら謝るだけで済むわよ?」 しかし、あたしの言葉にキョンは本気で困惑した表情を見せる。一体何なの? 「あたしよキョン!あたし!涼宮ハルヒよ!アンタあたしのこと忘れたわけ?」 あたしはイライラしてキョンに怒鳴ってしまった。 「ハルヒ…?でも身体つきも髪型も違う…いや、顔はハルヒそっくりだが…」 キョンがあたしをじろじろと見て困った表情で言う。 はぁ?なにいってんのかしらコイツは…大体、そんな数分で身体つきや髪型が変わるわけ無いじゃない。 そんな事を思いつつ脚や腕を見てみると、太い…というよりムチムチした感じになってる。特に太もも。 しかも心なしか胸も大きくなってる気がする。髪の毛に関しては背中に掛かるくらい伸びている。 一体全体、何がなんだかさっぱり分からない。 あたしはカバンから鏡を出して自分の顔を確認してみた。うん、いつものあたしだ。 でも髪の毛が長くなってるし、明らかに体格が変わってる。 まるで朝倉とあたしを足して2で割ったような… 『中途半端に融合したからそれで合ってるわね。半分貴女で半分私よ』 また頭の中から朝倉の声がする。どうやら本当に朝倉と融合してしまったらしい。 とりあえず、目の前に居るバカキョンにあたしが涼宮ハルヒだって事を認めてもらわないといけない。 「キョン、まったくの別人みたいに見えるけどあたしは涼宮ハルヒよ?」 「お、おう…信じるよ」 自信の無い返事ほど信用できないものは無いけど、とりあえずさっきあったことを話そう。 正直、信じてもらえないでしょうけど… あたしは適当に椅子に腰掛けて、手短にキョンにこうなった経緯を話した。 教室にサバイバルナイフが落ちてたこと、それを拾った事。 その中に朝倉が居て、身体を貰うとか言われた瞬間に目の前が真っ白になったこと。 気がついたら床に倒れてて、混乱してるところにキョンが来て今に至ること… 「ざっとこんな感じね…信じてもらえそうに無いけど…」 「まぁ、完全に信じろって言われても無理あるなぁ」 「でも!あたしは…涼宮ハルヒよ?」 「それは信じるよ」 キョンはいつものゆるい表情でそう言ってくれた。それだけでも今のあたしにはありがたい。 夕日に照らされたキョンの顔に不覚にもカッコいいと思ってしまった自分が恥かしい。 これからどうしようとか色々考えているとまた声がした。 『良い雰囲気のところ悪いけど、大事な話があるわ』 朝倉の声だ。一体、誰のせいでこんな目に… そんなこと思いつつ顔を上げると、キョンの顔が青くなっていた。まるで恐いものでも見た子供のように。 「な、なんだ!何処に居る!」 急に立ち上がって回りを見渡すキョン。一体何なの? 『ここよ、ここ!あなたの後ろ』 「な!後ろか!…っていねぇじゃねぇか」 『下よ、下!』 キョンとあたしが床に視線をやると、そこにはちっちゃい朝倉がいた。 いつの間にあたしの中から出てきたんだろう?というか、元に戻して欲しいんだけど? そんな事を考えていると朝倉が『悪いけど机に運んでくれない?』と言って来たので机の上に運んだ。 『すごいでしょこれ。そのまま小さくなった私でしょ?』 「そんな事どうでもいいのよ。せめてあたしを元に戻してから出て行きなさいよ」 笑う朝倉を睨みつけながらあたしは言った。 『私の意識体をこの人形の中に入れただけだから、貴女と私の肉体は融合したままなの』 『貴女だって、頭の中に私が住みついたままでいいの?考えてる事が全部、私に筒抜けよ?』 それは困るわね…自分の考えが他人に筒抜けになっているほど恥かしいものは無い ところでその人形は何処から持ってきたのよ?まさか自分で作ったんじゃ… 『この身体?これね、山根くんが密かに私の身長とかスリーサイズとか調べてたみたいで、 私をそのまま1/6したサイズで作ったみたいなの。なんと、下着の色とかまで一緒なのよ』 気持の悪い奴だとは思っていたけど…真性だったのね 『もうストーカーよあれは』 「なぁ…そろそろ、大事な話とやらをしてくれんか?」 今すぐにでも帰りたそうな顔をしたキョンが会話を遮る様に言った。 そうだ、朝倉が大事な話があるとか言ってたわね。 『ああ、そうね。あのね、涼宮さんを元に戻す方法は…』 元に戻す方法は? 『今のところ無いの。ごめんね』 「「えええええええええええええええええ!!!」」 あたしとキョンは同時に驚愕の声を上げてしまった。 「元に戻す方法は無いって…いくらなんでも無茶苦茶だろ」 キョンが朝倉に向かって言う。しかし朝倉は可愛く困った顔をして言った。 『だって元から完全に乗っ取るつもりで居たから、元に戻す方法なんて考えて無いの』 なんだろう…目の前の動く人形を思いっきり窓から投げ捨てたい衝動に駆られている。 みくるちゃんに負けないくらいの魅力的な身体を手に入れたとは言え、嬉しくない。 なぜなら、今のあたしは涼宮ハルヒと朝倉涼子を足して2で割ったらこんな感じって状態なのだから。 それに、家に帰っても両親があたしを見ても誰か分からないだろうし、学校のみんなだって… 「安心しろハルヒ。長門に頼めばなんとかしてくれる」 『あ、それ無理。無理に引き剥がすと私も涼宮さんも死んじゃうもの』 つまりずっとこのまま…あははははは 「お、落ち着けハルヒ。だったら俺の家に来ればいい」 え?キョンの家に? 「着替えやらを用意するくらいなら親御さんに顔を合わせずに出来るだろう?」 まぁ、二人とも仕事で居ないし出来ない事も無いけど…良いの? 「むしろ大歓迎だ!」 すごく嬉しそうな笑顔でキョンはあたしに言う。 こんなにあたしに優しいキョンは初めて見るから、戸惑ってしまう 『涼宮さん、空気に流されちゃダメよ!キョンくん、すっごく下心が見えてるわ!』 朝倉が必死にあたしに呼びかけてくる。 確かに、いつものキョンとは何かが違う。なんというか気持悪い。 「おいおい失礼な事言うなよ。困ってる女の子を助けるのは男として当然だろう?」 うん、いつものキョンなら絶対言わないわね。 古泉君と谷口を足して二で割ってキョンの皮を被っているみたいだ。 「ところでハルヒ、髪邪魔じゃないか?」 確かに、いきなり朝倉並に髪の毛伸びちゃったから邪魔ね。 あたしはいつもポケットに入れている髪ゴムを取り出し、髪を結った 髪を切ってちゃんと出来なかったポニーテールも今の髪の長さなら出来るからやってみよう。 「久しぶりだったから手間取ったけど、どう?キョ…ン?」 顔を上げてキョンを見ると、某羅王の最後みたいなポーズで固まっていた。 「生きてて…生きてて良かった…俺はついに理想のポニーテールに…」 なんかブツブツ言ってるキョンから危険な気持悪いオーラが出ている。 ここまで気持悪いと思ったのは初めてだ。 『涼宮さん、今のうちに逃げるわよ!このままじゃ貴女が危険だわ!』 いつの間にか私の肩に乗っていた朝倉があたしに叫んだ。 あたしも今のキョンからは身の危険を感じたので、カバンを持ってダッシュで教室から出た。 教室から雄たけびが聞こえてきたような気がするけど、きっと気のせいだと思う。 「で、これからどうするのよ朝倉?」 正直、行く当てが無いのでどうしようもない。 有希の家に行くにしても、朝倉のことをどう説明したらいい分からないし、みくるちゃんは家知らないし… 古泉君は悪いけど完全に信用は出来ないからダメで、キョンに関しては自殺するようなものだ。 『とりあえず私の住んでた部屋に行きましょう」 カバンに隠れている朝倉が頭を出してあたしに言った。 引越して今は誰も住んでいない部屋に行ってどうするのよ。 『実はいつでも戻ってこられるように荷物とかはそのままなの』 部屋の中が空だったのは情報操作で云々と説明してくれたけど、色々ありすぎて頭に入らない。 朝倉の部屋に向かう途中、男の視線がいつもよりすごかったのがなんか悔しい。 なんか女性からの視線もすごかった気がするけど気のせいだろう。 特に変なツインテールの娘とショートカットの娘を何度も見かけた気がするけど気にしたらダメだ。 ようやく朝倉の部屋に着いたあたしは倒れるように朝倉のベッドに寝転んだ 寝転んだまま部屋の中を見渡すと、有希とは違って何処にでも居るような女の子の部屋であることに気がついた。 しかし、本棚だけは異常で、ナイフやら拷問に関する本においしいおでんの作り方、ストーカーを撃退方法なんて本ばかりだ。 後者は良いとして、前者は女の子が読むような本ではないはず。一体どんな趣味してるんだろう? 『ふぅ…危なかったわね。キョンくん、完全に貴女の事を襲う気で居たわよ?』 床に置いたカバンから出てきた朝倉があたしに言う。 確かに、あれは人を襲う獣の目だった。襲うは襲うでも性的な意味で襲うケダモノの目だけど。 朝倉があの時叫ばなかったらきっとあのケダモノキョンに襲われていただろう。 しかし、朝倉はなんであたしを助けたの?笑って眺めてそうなイメージがあるんだけど? 『涼宮さん、私に対してなかなか失礼なイメージを持っているのね…』 だって普段は優等生の仮面被ってて、裏で鬼畜な事してるドSな女って感じがプンプンするし。 『…まぁいいわ。言っておくけど、その身体の半分は私のなのよ?あんなケダモノに蹂躙されるなんて嫌だわ』 そんな事言う人に限って蹂躙されると… 『悔しい…でも感じちゃう…なんて絶対言わないわよ?』 元に戻ったら意地でも言わせてやるわ。 再びキョン視点 「うおおおおおおおおおおぉ!!」 あっさりと理想のポニテっ娘に逃げられて怒りの咆哮を上げてしまった。 しかし、中身はハルヒだ。行くところなんて限られてくる。 とは言ったものの、長門の家は朝倉が居る以上行かないだろうし、朝比奈さん家は知らないだろう。俺も知らないが。 外見が恐ろしく変化してしまったせいで阪中に頼ることも出来ないだろうし、一体何処に行ったのだろうか? トボトボと街中を歩いていると人とぶつかってしまった。 「オイ、テメェ!何処見て歩いてんだ!」 ぶつかった相手は運が悪い事にヤンキーだった。 しかし、ポニテっ娘に逃げられて傷心気味な俺は目障りなそいつの顎に目掛けて強烈なフックを入れてやった。 足から崩れて倒れるそいつを無視して俺は、明日は学校にハルヒは来るんだろうか?なんて考えていた。 清清しい朝だ 珍しく妹にボディプレスで起こされる事無く目覚めた俺は窓から空を見て思った。 とても気分がいい。学校に行くのがこんなに楽しみなのは人生で初かもしれない。 なぜ俺がこんなに機嫌が良いかと言うと、理想の女性に会えるからだ。 あの朝比奈さんすら凌駕する素晴らしい女性、涼宮ハルヒに。 正確に言えば、涼宮ハルヒと朝倉涼子が一つになった、涼宮涼子…朝倉ハルヒ?まぁ、朝倉は1/6サイズで居るからハルヒで良いや。 朝食を取り、着替えを済ませていつもより早く家を出た俺はニヤニヤしながら学校へと向かった。 いつものように、駅前の駐輪場に自転車を止めて駐輪場を出た俺は数人の男に囲まれた 「よう、昨日はよくもやってくれたな!」 顎に湿布を貼った男が俺の胸倉を掴んで怒鳴って来た。 俺は反射的に顎に湿布あ貼ってある方とは逆側にフックを入れて、怯んだ隙に走って逃げてしまった。 せっかく良い気分だったのに台無しになってしまった。 早くポニーテールのハルヒに会いたい。 色々とイレギュラーな出来事があったが、無事に教室に着くことが出来た。 俺はそりゃあもう、戦場の真ん中でドンパチやってる連中をそこに居るだけで戦意喪失させるくらいの輝かしいオーラを出している。 いつもなら朝一に絡んでくる谷口が絡んでこなかったり、阪中や成崎たちが微妙な表情をしているのも、そのせいだろう。 残念なのが後ろの席の女神がまだ登校して来ていない事だ。 まぁ、俺がいつもより早く登校して来ているから来ていないだけだな。 谷口「お、おい…キョンから異様な気持悪いオーラが出てんぞ国木田」 国木田「すごい笑顔だなぁ、今なら古泉君並にモテそうだよね?」 谷口「いや、女子はドン引きしてるぞ…国木田」 山根「僕の…僕の朝倉さんが…居ない」 少し周りに耳を向けてみたが、いつもどおり平和だ。素晴らしいな平和って そんなこんなで教室でハルヒを待っていると、ギリギリの時間に登校してきた。 昨日の姿は夢ではなく、女性の誰もが求める理想の体型にポニーテールという姿 「おはようハルヒ!」 今までに無い、輝かしい笑顔で俺はハルヒに挨拶する。しかし… 「ふん!」 素っ気無い態度に俺は入学当初のハルヒを思い出して凹んだ。買ったばかりの新車を電柱にぶつけたくらい凹んだ。 それからずっとハルヒは俺に喋りかけるなこっちを向くなと言わんばかりの空気を出し続けていた。 何とか話をしようと授業後なんかに振り向くと瞬間移動でもしたかのように姿を消してしまう。 放課後のSOS団の活動にも姿を現さない。俺はもう死んでしまいそうだった。 ハルヒが…ハルヒが俺を避けるんだよぉ… 結局、ハルヒが黙って帰ってしまい今日一日の心の傷を癒すために文芸部室に来ている。 しかし、天使であるはずの朝比奈さんも今は普通の女の子にしか見えない。 「理由は分かりませんが、涼宮さんの外見が変わってしまった事と何か関係が?」 知らねぇよ…ハルヒ分析はお前の得意分野だろ古泉 相変わらず気持の悪い笑顔を崩さずに話す古泉に俺はぼやく。 「関係は大いにある。朝倉涼子が無差別に身体を乗っ取ろうとした際に偶然にも涼宮ハルヒが選ばれた」 突然話し始めた長門に不意を突かれた俺と古泉は長門の方を向いた。 「朝倉涼子が涼宮ハルヒを乗っ取ろうとした際に涼宮ハルヒの力が反発し、中途半端に融合してしまったために両者の肉体を足して2で割った形となった。 しかし、涼宮ハルヒの力が大きかったために涼宮ハルヒが融合した肉体の主権を得た」 「現在の涼宮ハルヒの肉体は朝倉涼子をベースとし、胸の大きさは朝比奈みくるより若干小さいが全体的な体型が良いため魅力的に感じる。 私は彼女を見ると異様なほどのエラーが出る。涼宮ハルヒ排除の許可を」 長々と私怨入りの説明してくれた長門の表情には負のオーラがにじみ出ており、同時に朝比奈さんからも同様のオーラが出ていた。 「待て長門、なんでエラーが出るのか知らんが間違っても排除はするなよ?」 「完全に了承する事は出来ない。朝比奈みくるなら私の今の気持が分かるはず」 「ええ、長門さん。とってもわかりますよぉ…今の涼宮さんは魅力的ですからねぇ…」 ダメだ。長門も朝比奈さんも殺気の混じった負のオーラを全開で放出している。 古泉が笑ったまま青ざめてガタガタ震えているくらいだ。 凍りついた空気に耐えられなかった俺は荷物を纏めてさっさと帰宅した。
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/885.html
【ひぐらしのなく頃に】 [[前原圭一]] [[竜宮レナ]] [[園崎詩音]] [[北条沙都子]] [[古手梨花]] 【学校であった怖い話 アパシー版】 [[坂上修一]][[日野貞夫]] [[新堂誠]] [[風間望]] [[岩下明美]] 【ドラえもん】 [[ドラえもん]] [[野比のび太]] [[剛田武]] [[出来杉英才]] 【らき☆すた】 [[柊かがみ]] [[柊つかさ]] [[高良みゆき]] [[小早川唯]] [[泉そうじろう]] 【涼宮ハルヒの憂鬱】 [[涼宮ハルヒ]] [[キョン]] [[朝比奈みくる]] [[古泉一樹]] [[朝倉涼子]] 【ブラッディ・マンデイ ドラマ版】 [[高木藤丸]] [[九条乙也]] [[高木遥]] [[折原マヤ]] [[神崎仁(J)]] 【ローゼンメイデン】 [[桜田ジュン]] [[真紅]] [[翠星石]] [[水銀燈]] [[柏葉巴]] 【銀魂】 [[坂田銀時]] [[神楽]] [[近藤勇]] [[土方十四郎]] 【おおかみかくし】 [[九澄博士]] [[摘花五十鈴]] [[櫛名田眠]] [[賢木隼一郎]] 【天空の城ラピュタ】 [[リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ]] [[パズー]] [[ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ]] 【めだかボックス】 [[黒神めだか]] [[人吉善吉]] [[宗像形]] 【金色のガッシュ!】 [[高嶺清麿]] [[パルコ・フォルゴレ]] これより下はねたばれあり! 【ひぐらしのなく頃に】 前原圭一 ・竜宮レナ ・園崎詩音 ・北条沙都子 ・古手梨花 【学校であった怖い話 アパシー版】 坂上修一 ・日野貞夫 ・新堂誠 ・風間望 ・岩下明美 【ドラえもん】 ドラえもん ・野比のび太 ・剛田武 ・出来杉英才 【らき☆すた】 柊かがみ ・柊つかさ ・高良みゆき ・小早川唯 ・泉そうじろう 【涼宮ハルヒの憂鬱】 涼宮ハルヒ ・キョン ・朝比奈みくる ・古泉一樹 ・朝倉涼子 【ブラッディ・マンデイ ドラマ版】 高木藤丸 ・九条乙也 ・高木遥 ・折原マヤ ・神崎仁(J) 【ローゼンメイデン】 桜田ジュン ・真紅 ・翠星石 ・水銀燈 ・柏葉巴 【銀魂】 ●坂田銀時 ・神楽 ・近藤勇 ・土方十四郎 【おおかみかくし】 九澄博士 ・摘花五十鈴 ・櫛名田眠 ・賢木隼一郎 【天空の城ラピュタ】 リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ ●パズー ・ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ 【めだかボックス】 黒神めだか ・人吉善吉 ・宗像形 【金色のガッシュ!】 高嶺清麿 ・パルコ・フォルゴレ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4212.html
公園に居た。 目の前に両手でダンボールを持つ女の子 しかし彼女は石に躓いてバランスを崩してしまう 私はダンボールの中から散らばった荷物を手に取る そこで私は言うのだ 「私も手伝おう」 と しかし女の子は私の手を退けながら言う 「うるさい人殺し」 と 私を冷たい目で見上げる 憎悪 直感がそう教えた 彼女の目に篭る感情を しかし私にはそれを理解することができなかった 散らばった荷物を集める 最後の荷物を集めると、女の子はそこには居なかった。 変わりに現れたのは男 見覚えが無かった。 男は私に尋ねる あなたが長門有希かと 私がそうだと告げると ニヤリと笑った。 私が首を傾げると彼はなんでもないと言い しかし、その瞬間。男はみるみるその容姿を変化させ 人間が畏怖すべき対象として見るものへと姿を変えた 「朝倉涼子は消えるべきではなかった」 「消えるのは、長門有希。おまえだ」 * 目が覚める、目が覚めた事で先程の事は夢なのだと認識した。 午前5時45分23秒--まだ登校には早かった。 有機生命体が夢と呼ぶもの、先程の映像と音声の残骸がフラッシュバックする。 朝倉涼子、急進派のインターフェイス、私のバックアップだった。 暴走により連結解除した事は仕方ない事だった---仕方ない事、だった。 キッチンへ行くと、私は作り置いておいたカレーを温め。 少し早いが学校へ向かうことにした。 「おう、長門。どうしたんだこんな時間に?」 坂道の途中意外にも、彼が居た。 「目が覚めたから」 私はそう言うと彼も同じ返事を返してきた。 「なんか最近同じ夢を見るんだよ、不思議とよく覚えてないんだけどな。こう…なんていうか居心地の悪いというか、ムナクソの悪い夢でな」 「そう」 こういう事を人間の言葉で夢見が悪いというらしい。 彼に教えてもらった。 また一つ、データが刻まれる。 嬉しい事。 「にしてもこんな早くに登校した事ないからさ、まさか長門も毎日この時間に来てるのか?」 「今日はたまたま」 「そっか、まさか長門も変な夢みたのか?」 変な夢---何が変な夢で、何が変では無い夢なのかという事を考えたが。 夢というのはそもそも深層心理の表れとも言われている、だから自分の欲望や願望といった類の事が夢の中だけ現実のものとなる。 といった解説をしている本の事を思い出した。 それを踏まえた上で 「変な夢は見ていない」 という返事をした。 それには彼に心配をかけたくなかったという考慮もある。 彼は守るべき対象---いや、それ以上の存在。 もはや有機生命体が持つ言葉では表現ができない程の。 それから10分ほどで学校へと辿り付いた。 彼はまだ眠いらしく、欠伸をしながら教室へと入って行った。 もうすぐ期末考査がある、彼の普段の授業を受ける態度では恐らく今回も赤点を取るだろう しかしそんな事はさせない、情報操作は得意。 しかしそれでも、私が進言すると彼はこう言うのだろう 「それは反則だから、やめておこう」と。 私はそんな彼が好きだった。 コンピュータ研とのゲーム勝負でズルは無しだと言われた時、私は考えた。 どうすれば彼の役に立てるのだろうかと、その当時の記録では私は24時間のうち85%をその考察に当てている。 そうして導き出した答えがあれだった。 彼は喜んでくれた。 彼が喜ぶことには、私も喜ぶ。 彼が悲しむ事には、私も悲しむ。 彼が嫌だといえば、私も嫌だと言う。 だから、やはりこの情報操作は行うべきではないのだろう。 * 放課後 いつもの様に文芸部室の鍵を開けて入室する 驚いた事に、既に室内には彼が居た。 私はつい---その容姿を見て 警戒を緩めた 目の前の彼はニヤリと口の端を上げ--次の瞬間、情報封鎖が行われた。 極彩色の情報の羅列が空間を覆う 「こんにちわ、長門有希。はじめましてでいいのかな?」 疑問系で投げられた言葉が耳に届く前に私は戦闘態勢を取った。 目の前の彼の表情は変わらない 「あなたは、誰」 「俺だ、長門有希、キョンだよ」 「彼は私の事をフルネームで呼ばない」 容姿だけ似せた、偽者。 その判断は間違ってはいなかった。 「そうなのか、では次からはそうする事にしよう」 「もう一度訊く。あなたは、誰」 「不思議な質問をされる人だ」 目の前の彼は不敵な笑みを浮かべ 瞬間、胸を鋭い痛みが襲った 私は距離を取ろうとした 情報封鎖が行われている空間の戦いはこれが初めてではなかった。 思い出されるのは、朝倉涼子。 私は瞼の裏で笑う彼女の姿を忘れようと頭を振った。 部室にある本や机が変容して槍になり私に襲い掛かる 私は片腕でそれを防ぎながら、しかし、彼と一定の距離を取っていた。 もう片方の腕で槍を構成し、放つ。 しかしそれも、目の前の男は片腕で防いでいた。 決定的にこの状況を打開するには情報が不足していた。 「ふむ、能力は同等という事か」 目の前の彼が言った。 「あなたは、誰」 私は同じ質問をぶつける。 解析能力を限界まで上げた 「さぁ、誰なのでしょうね。そんな事より、そろそろ時間切れの様です。目的は顔見世ですし、今日はこれくらいにしておきますよ」 目の前の彼は、そういうとフワリと浮き、空間の切れ目へ姿を消した。 追うことも考えたが、深追いすべきではないという考えが私を支配した。 * 扉が開かれる 現れたのは涼宮ハルヒと朝比奈みくる、古泉一樹、そして彼だった。 情報は再構成した。 問題は無い。 私は普段通りに小説を開いた。 いつもなら文字の世界へと旅立てる時間だったが 今日ばかりはそうもいかない様子だった。 考えを巡らせるのは先程のこと 統合思念体からは何も情報が寄せられない、おそらく、混乱しているのだ。 不備の事態に。 ならば私が今すべき事は、静観であろう。 不用意に彼に不安を与えるべきではない、それは古泉一樹にも朝比奈みくるにも言える事だ。 通常通り涼宮ハルヒの観察に徹する。 私の判断は、間違っていたのだろうか。 下校時 「長門」 彼に呼び止められた、瞬間、全ての思考が停止した。 「長門、おい。聞いているのか?」 わたしは首を縦に振った。 「どうしたんだ?今日のお前、少し変だぞ」 私は--驚いた 彼が私を見ていた事に。 いや、見てくれていた事に。 「変、とは」 しかし、あえてぼかした返答をしよう。 「う~ん・・・上手くいえないんだが。朝から少しおかしかったんだよなぁ・・・、こう、いつもと違うというか、考え込んでいるというか」 打ち明けるべきなのだろうか 既にそこまで知られているとしたら、黙っている方がおかしいのではないか いや--しかし 5秒ほど沈黙した私 前を歩く涼宮ハルヒ、その隣で朝比奈みくるは何やらしたり顔でこちらを見ていた。 目線を動かせばこちらを見てニコリと笑う古泉一樹 何から何までお見通しというわけだ。 私は口を開いた 「話がある」 * 「つまり、正体不明の敵に襲われた。という事ですね」 「簡潔に言えば」 「そ・・・それ以外の情報はないってことですかあ?」 「現時点では」 彼は畜生と呟いて腕を組んでいた。 古泉一樹は携帯電話を取り出すと、すぐ戻りますといって席を外した。 上部へと報告をするのだろう。 「何か心当たりは無いのか、長門?」 彼が訊ねる。 私は首を横に振り---しかし、思い出した事があった。 「夢」 「夢?」 二人は声を揃えて復唱した 私は、続けて口を開く 「ここ10日、同じ夢ばかり見る様になった」 すると、みるみる彼の表情が曇る。 何か、思い当たる節があるのだろうか。 「ちょっと、待ってくれ・・・、それって」 「わ・・・、わたしもそうなんです」 「俺もここんとこずっと、そう。同じ夢を見てるんだ」 「女の子と、男の人がでてくる夢・・・」 驚いた 彼だけでなく、朝比奈みくるも、というのだ。 という事は古泉一樹も、という事なのだろうか。 「統合思念体も、今回のことに混乱している。敵の意図すらつかめていない」 彼は悔しがり、そして続けた。 「長門、何か俺にできる事はないか。お前の役に立ちたいんだ」 私はその気持ちだけで嬉しかった、しかし 「敵の意図が掴めない以上、こちらから動くのは得策と言えない」 私は、彼を諭すように話しかけた。 彼を危険な目に合わすわけにはいかない。 「そうか…、何かあったらいつでも言ってくれ。何もできないが…相談くらいは乗るからさ」 彼の言葉がありがたかった。 古泉一樹が戻った。 彼が夢の事について訊ねる。 やはり、というべきだろう。 結果は同じだった。 「これは、偶然の一致というわけではなさそうですね」 古泉一樹の言葉で場の空気が重くなる。 「これは何かのメッセージなのかもしれません」 「何かって、何のだ?」 「おかしな事に、僕達は同じ夢を見ています。しかしその夢について何か覚えている事はありませんか?僕は残念ながら思い出せないで居ます」 「・・・」 朝比奈みくるがおずおずと口を開いた。 「そういえば・・・、そうですね。わたしも、同じ夢は見るんですが、それが何だったのか、よく覚えていないんです、男の人と、女の子が出てくるという事以外は」 「俺も、ぼんやりと」 私は-- 「私は、覚えている」 「そうなのか?長門」 彼の問いに首肯で応える 「お聞かせ願いませんか?」 「いい」 そして今朝も見た夢の内容を、3人の前で話した。 * その日、黒塗りのタクシーにてそれぞれの家まで送られた。 それだけでなく、もしもの時にそなえて機関で各々の家を見張るというのだ。 願わくば、何事も無く朝を迎えられる様に。 家に着くと、何も無い部屋が私を迎える。 無機質な空間で、わたしは一人。 しかし、と。 お茶を煎れようとした手を止めた。 あれは何だったのか、本日1523回繰り返した問いを、今一度繰り返す。 そして、なぜ私だけ夢の内容を覚えているのか 答えは出なかった 統合思念体からは、何も返答が得られない。 そんな情勢に少し苛立つ 何かしたいが、何もできない 思い出すのは、暴走行為をした朝倉涼子 彼女も、こうだったのだろうか 何も変化が無い日々を、ただ待機し、バックアップのみを命令された彼女の気持ちは。 今の私と同じだったのだろうか。 エラーを探知、隔離。 そんな気持ちを無理矢理抑え 瞼を閉じる 何か解るのではと 淡い期待を胸に * 瞼の裏の世界 昼間の男が言う 「消えるのは、長門有希。おまえだ」 キエルノハ、ナガトユキ、オマエダ。 キエルノハ、ナガトユキ、オマエダ。 キエルノハ、ナガトユキ、オマエダ。 キエルノハ、ナガトユキ、オマエダ。 キエルノハ、ナガトユキ、オマエダ。 キエルノハ、ナガトユキ、オマエダ。 キエルノハ、ナガトユキ、オマエダ。 キエルノハ、ナガトユキ、オマエダ。 頭の中でリフレインがとまらない うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい 何回も繰り返す 終わることの無い一方的なやり取り 吐き気が私を襲う 朝倉涼子の映像が頭の中で繰り返される 笑顔の彼女 クラスメイトと談笑する彼女 クラスでは委員長を務めていた彼女 私に、おでんを作ってくれる彼女 私に、 私に。 私に、だ。 わたしに。そう 私はそんな彼女を消した デリートした 仕方ない事だった ソレシカホウホウハナカッタノダカラ 本当に? 本当に? 本当に? 本当は、彼女が恐かっただけではないのか 彼に近づいた彼女が 私より彼の近くにいた彼女が 頭を振る 彼女は私の頭から離れない しかも、私の頭の中の彼女は笑っているのだ とても幸せそうに 私に消されるなどという事は毛頭知らないというふうに とても、自然に笑う その笑顔は彼に、クラスメイトに、先生に、近所の人に、そして 私にも向いていた。 彼女がこちらを見ていう 「私、殺されちゃうんですよね。長門さん、あなたに」 ニコリと笑う彼女 私は、私は頭を抑えた。 そして走り出す 逃げる 何から? 逃げる 逃げる 何から? どこへ? どこから どこへ? イキガクルシイ アシガアガラナイ ウデガイタイ 胸が熱くなって 私は声を上げて泣いた ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい 人殺し? そう わたしは、人殺しだ 公園に居た。 目の前に両手でダンボールを持つ女の子 しかし彼女は石に躓いてバランスを崩してしまう 私はダンボールの中から散らばった荷物を手に取る そこで私は言うのだ 「私も手伝おう」 と しかし女の子は私の手を退けながら言う 「うるさい人殺し」 と 私を冷たい目で見上げる 憎悪 直感がそう教えた 彼女の目に篭る感情を しかし私にはそれを理解することができなかった 散らばった荷物を集める 最後の荷物を集めると、女の子はそこには居なかった。 変わりに現れたのは男 見覚えが無かった。 男は私に尋ねる あなたが長門有希かと 私がそうだと告げると ニヤリと笑った。 私が首を傾げると彼はなんでもないと言い しかし、その瞬間。男はみるみるその容姿を変化させ 人間が畏怖すべき対象として見るものへと姿を変えた 「朝倉涼子は消えるべきではなかった」 「消えるのは、長門有希。おまえだ」 しかし 現れたのは少女だった 少女は「待って」と言うと、呼吸を吸い込んで私を見据た。 「早く、キョン君の元へ」 「・・・」 「いいから、早くいってあげて」 「あなたは、誰」 昼間と同じ質問を繰り返した。 「私は、あなた自身。昼間の彼もあなた自身です」 返答が返ってきた、そして 「お願いです、彼を止めてください。このままではキョン君が危ない」 そう懇願した。 そういい残すと少女は空間の切れ間へと消えた 私はすぐさま彼の元へと駆け出した。 * 情報の切れ間から進入すると 男はいままさに彼に襲い掛かろうとする瞬間だった 私は呪文を唱えると、左手で彼を隠すようにして男の攻撃を防いだ。 彼は気を失っているのだろうか、ぐったりとしていた。 しかし、命に別状は無い様子で、それだけが安心材料だった。 「おや、随分早く感づかれましたね。情報がリークしましたか」 「あなたは、私自身」 少女から聞いた台詞を復唱した。 男は少しだけ驚いて見せた 「…、今更気がついたんですか。そうです、僕はあなた自身ですよ」 男は続けた 「彼を殺せば涼宮ハルヒは間違いなく何らかの行動にでる。おそらく大きな情報爆発が観測できるはず」 「させない」 「なぜです?これ以上の情報を得るにはそれしかないのですよ?」 「あなたは、私自身。身内の不始末は自分で決着を着ける」 「不始末・・・ですか。やれやれ、これはあなたが望んだ事なのですよ」 「これ以上好き勝手は許さない」 私がそういうと彼は攻撃を再開した 彼を庇いつつ、それを全て回避する 一撃でもくらってしまったなら、相当の負荷がかかるのは前回の交戦で理解していた。 していたはずだったが 「く・・・」 足に一撃くらってしまった。 「おや、この程度ですか」 まだ大丈夫だと強がってみせた。 しかし、もう動き回る事は叶わないだろう。 襲い掛かる槍 全てを防ぐには、多すぎた。 目の前の男は不敵に笑う 私は動けない。 男は、槍を振り上げた。 目を瞑る 彼を守ると約束、したのに。 「じゃあ、死んでください」 「うん、それ無理」 男の動きが止まった。 私の目の前に現れたのは、朝倉涼子だった。 「ごめんね、長門さん。ちょっと遅れちゃった」 彼女は、以前と変わらぬ笑顔で言う。 「なっ・・・、あさくら・・・りょうこ、だと・・・」 男は不意を突かれ動揺している、背中に彼女が刺したらしいサバイバルナイフが突き刺さっていた。 「私の長門さんをよくもこうしてくれたわね、死になさい」 情報連結解除開始。 彼女がそう言うと、男の体は光る結晶となり、やがて消えていった。 くるりとこちらを向き、朝倉涼子はニコリと笑う。 「どうして」 「どうして?私はあなたのバックアップだもの、ピンチの時は馳せ参じるものでしょう?」 「私は--あなたを」 「もういいの、長門さんは悪くないもの。悪いのは暴走したわたし、長門さんは、当然の事をしただけよ」 「でも」 「いいのよ、もう。だから何も言わないで、ね?」 「・・・」 「うん、その方が長門さんらしいわよ」 彼女はニコリと笑う、私はそんな朝倉涼子が好きだった。 だから、彼女を消した事を、ずっと悔やんでいた。 それを全て 許すと言う 私は その一言に どれだけ救われただろうか 「ほら、泣かないで?」 「ひっく・・・えっぐ・・・」 「よしよし、いい子いい子、いい子だから、ね?」 諭すように彼女は私の頭を優しく撫でた 本当は彼女が居なくなってからというもの 心のどこかで不安が蓄積していたのかもしれない それが、いくつもの私を造ったのかもしれない でも、そんな事はもう どうでもよかった * 登校途中。 相変わらず長い坂道を 今日は、彼と一緒に登っていた 「おはよう、キョン君」 「はよ、朝倉。日直か?」 「うん、朝の当番だからね。長門さんも、おはようっ」 彼女は日常へと溶け込んでいった。 彼は最初かなりの抵抗があったみたいだが、私が説得すると納得してくれた。 もう二度と暴走はしない、そして、させないと誓った。 彼はそんな私をみてやれやれと呟き、信じると言ってくれた。 情報操作により、カナダから舞い戻った委員長は、クラスにも問題なく馴染んだ。 もともと人気があるのだ、不思議ではあるまい。 私はそのことに胸を撫で下ろし、彼女がいる生活を楽しいものだと認識していた。 しかし、懸案事項が発生した。 「キョン君、今日お昼一緒に食べない?」 「あぁ、別に俺はかまわんが」 朝倉涼子が彼に急接近したのだ どうして 彼女は私のバックアップのはず…っ!