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入学式の日の教室の中はとても重苦しい。 小学校から中学校に上がったときは、なんだかんだでほとんど見知った人たちばかりだったため入学式でも騒がしかったのだが、 高校での同じクラスにいる知り合いはキョンぐらいであり、他はほとんど知らない人たちばかりで、あまり積極的に友達を作るようなタイプでない僕は少し緊張していた。 皆お互いを伺うみたいにして席に座っているので、僕もキョンと話すのをやめて自分の席へとついた。 「おはよう、なんて名前?」 突然、隣の席から声をかけられて僕はぎょっとして振り向いた。 決して大きい声ではなかったのだけれど、今の静かすぎる教室に彼女の声はよく響いたのだ。 「国木田・・・えっと、そっちは?」 「朝倉涼子。せっかく隣の席だし、仲良くしてね」 そういって、朝倉さんはにこりと笑った。僕は慌てたように頷いた。 すると、堰をきったみたいに教室内は少しずつ騒がしくなりはじめた。皆僕たちを見て緊張がほぐれてきたのだろう、 おかげで皆に聞かれてるみたいで恥ずかしかった朝倉さんとの会話も少しずつ盛り上がっていった。 どこに住んでいるのか、中学校はどこだったのか、他にも色々他愛もない話をした。 ぎこちなく話をする僕に、彼女はずっと微笑みかけていてくれた。 それは彼女にとっては社交辞令のようなものだったのかもしれないけど、それでも僕は安心できた。 それから、席が隣のせいか授業で何かグループを組めと言われれば朝倉さんと組むことが多かった。 おかげで彼女の色んな場面を見ることが出来た。 調理実習での料理の手際のよさ、暑くて髪をかきあげる仕草、ふとした瞬間に無表情になること、 寝る前になると彼女のそんな一挙一動がまぶたの裏に浮かんだ。 朝倉さんは誰とでも仲良く話せる人だったけれど、その中でも一番彼女に近いのは僕だと思っていた。 けれど、それはただ単に彼女と席が近くて、話す回数が多いだけだった。 そのことに気付いたのは朝倉さんの友達の会話が耳するりと入ってきたときだった。 彼女たちが話していたのはよくある恋愛話で、いつもならどうでもいいと思うのだけれど、 朝倉さんの名前が出た途端彼女たちの会話が自然と耳について離れなくなった。 「涼子ちゃんの好きな子って、」 その後に続いた名前は僕のではなく、キョンの苗字だった。 もちろん彼女たちには確信はなく、「かもしれない」なんていう内容で、よくよく聞いてみるとただの噂話だった。 けれど、考えてみると納得できるような部分がいくつか思いあたった。 朝倉さんはいつも「涼宮さんに伝言」という理由でキョンに話しかけていた。 最初こそは本当に「伝言」なのだけれど、その伝言はどんどんあたりさわりもない会話に変化していくのだ。 そう、授業が終わった瞬間や始まる前に僕たちがよく話していたような。 わざわざ理由をつけて話にいくような物でもない些細な話を、朝倉さんはキョンにだけしていた。 同じような内容でも、きっと彼女にとっては僕に対しては暇潰しのためのものであり、キョンに対しては友好を深めるためのものだったのだ。 けれど、キョンが好きなのはきっと涼宮さんだ。 そんなんじゃない、なんてキョンは言うけど、僕にはそうとしか思えなかったし、何より中学のときだって似たような女子といつも一緒にいたのだ。 もしかしたら本当に好きとまではいっていないのかもしれないけど、朝倉さんよりは涼宮さんのほうに惹かれているのは確かだ。 だから、キョンが朝倉さんと付き合うのはほとんどないに等しいことに嬉しく思う反面、悲しくもあった。 彼女の悲しんでいる表情なんてみたくはない。複雑な思いはぐるぐると胸の内を占める。 そして、一番心に重く圧し掛かっているのは彼女の眼中に僕はいないという事実だった。 その日、仕上げないといけない提出課題を学校に忘れていた僕は、少しだけ早めに来なければならなかった。 まだ重いまぶたをこすりながら坂道を登る。 学校に着いて、靴箱のところで朝倉さんの姿が見えた。 後ろからおはよう、と声をかけようと思ったが、それはすぐ喉元まで来て止まり、吐き出されることはなかった。 彼女はなにか手紙のようなものをキョンの靴箱へ入れていた。 その光景をぼうっと見ていると、朝倉さんのほうが僕に気付いて、声をかけられた。 「あ・・・」 「あ、あっあの、これはね、そういうんじゃなくて・・」 慌てて弁明しようとする彼女の顔はほのかに赤かった。 それを見てやっぱり朝倉さんの友達の会話は本当だったんだ、なんてことをぼんやりと思い浮かべていた。 けれど、キョンはきっと、 「それじゃ、教室行こう?」 僕は彼女の言葉には頷かなかった。 代わりに彼女の腕をつかんでその場から駆け出していた。 そういえば朝倉さんに触れることなんてこれが初めてだった。 あんなに近くにいて、あんなに話をしたのに彼女に触れたことなど、ただの一度もなかったのだ。 靴箱を離れて、人気のない廊下の隅まで僕は朝倉さんを連れてひたすら走った。 行き止まりの壁が近づくにつれてどんどん速度を落として、しだいにぴたりと足は止まった。 後ろを振り返ると、朝倉さんは肩で息をしながら不審そうな目で僕を見ていた。 「一体どうし・・」 「キョンは駄目なんだ」 唐突すぎる僕の言葉に彼女はよりいっそう困ったような顔をした。 「何の話・・?」 「さっきの手紙、キョンの靴箱に入れてたよね、でも、きっと失敗する。 失敗したら前みたいに戻れないよ、今までのが嘘みたいに崩れるんだ。 たとえまた同じように話せたとしても、言葉の一つ一つに少しずつ作り物が混じってる。 だからさ、それなら今までの関係をずっと保ってようって思わない?これくらいの距離のほうが心地いいなんて思わない? 僕はそう思う。だって僕は・・・」 そこまで言いかけてはっと息を呑んだ。気付いてしまったのだ。 僕は同じように叶わない恋をしている朝倉さんと自分を知らぬ間に重ね合わせていたのだ。 彼女が悲しい表情をするのは見たくないなんてただの建前であり、 僕であればしないようなことを彼女は実行に移そうとしたから止めたのだ。 けれど、僕は僕であって朝倉さんではない。 自分自身の感情を抑える権利はあっても、彼女の感情を止める権利などどこにもないのだ。 「・・・ごめん、戻ろう」 ずっと掴んでいた腕を放して、僕は元来た道を早歩きで辿っていった。 朝倉さんが何か僕に声をかけてきたかのように思うけれど、全て遮断して一度も後ろを振り返らなかった。 結局、その日一日は気まずい思いをして過ごした。 授業が終わるたびに彼女は何かいいたげにちらちらとこちらを見てきたけれど、机に突っ伏すかすぐさま谷口やキョンのところへ行った。 全部自分が悪いことなのに、何故か僕は彼女にイライラして仕方がなかった。 そしてそんな自分にさらにイライラした。こんなに頭に血がのぼるような日は久しぶりかもしれない。 後編 w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3260.html
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長門「………もち巾着」 長門「………今日の夕食はおでん」 長門「………♪」 長門「………私は長門有希」 長門「………あ」 朝倉「あら。お久しぶりね」 長門「………ひさしぶり」 朝倉「お元気そうね。どう? あのSOS団とかいう集団とは、その後も仲良くやってるかしら?」 長門「………もち巾着」 朝倉「……そう」 長門「………そう」 朝倉「……もち巾着なの」 長門「………もち巾着」 長門「………なぜあなたがここに」 朝倉「ふふふ。驚いた? そうよね。1年近く前に情報連結を解除された自分のバックアップが、こうしてまた有機生命体として存在しているんだものね」 長門「………あなたの目的は何」 朝倉「そう質問してくると思ったわ。でも安心してくれていいわよ。私の目的は彼の命ではないんだから」 長門「………」 朝倉「疑ってるの? じゃあ情報統合思念体にアクセスしてみるといいわ。私がキョンくんの命を狙って復活したわけではないことを確認すれば?」 長門「………本当に?」 朝倉「嘘なんてつかないわ。彼を狙ったところで、どうせまたあなたに阻止されるだけだもの。成功確率の低い行動を優先するなんて合理的じゃないでしょ?」 長門「………ならいい」 朝倉「私の目的はただひとつ」 長門「………来て」 朝倉「え? 場所をかえるの? どこに行くのかしら?」 長門「………私のマンション」 朝倉「まあ長い話になるかもしれないし。ゆっくりお茶でも飲みながらっていうのも悪くないわね」 長門「………あなたは、ダシを取る係り」 朝倉「……だし?」 長門「………そう。私はご飯を炊く係り」 朝倉「あの、長門さん? 話がみえないんですけど」 長門「………喜緑江美里は野菜を切る係り。準備は万端」 朝倉「だから、何の話なの?」 長門「………もち巾着」 朝倉「……ああ。おでん」 長門「………そう」 朝倉「……そうなの」 ~~~~~ 長門「………もぐもぐ」 朝倉「ほら、長門さん。ちゃんと口元ふいて。汁がたれるわよ」 喜緑「朝倉さん、ご飯のおかわりをよそっていただけるかしら」 朝倉「それくらい自分でしてよ。はい」 喜緑「ありがとうございます」 朝倉「だめよ、ご飯ばかり食べちゃ。ご飯とおかずを交互に食べないと。効率が悪いでしょう」 喜緑「ご飯を食べていると、ついついご飯ばかり食べてしまうの。ご飯もおかずも同時に食べられるなんて、朝倉さんは器用ね」 長門「………もぐもぐ」 朝倉「長門さん、はんぺんとかもち巾着ばかり食べてちゃダメよ。ちゃんと野菜も食べないと。はい、大根」 長門「………いや」 長門「………もぐもぐ」 喜緑「まあまあ、朝倉さん。いいじゃありませんか、野菜を食べないくらいでそんなにかりかりしなくても」 長門「………朝倉涼子はもっと喜緑江美里をみならうべき」 喜緑「うふふ。長門さんったら」 朝倉「こいつら……」 朝倉「ま、まあいいわ」 朝倉「私はね、あなたたちと仲良くおでんをつつくために還ってきたわけじゃないの」 長門「………醤油をとって」 喜緑「はい、どうぞ」 朝倉「私はね。涼宮ハルヒの情報観測をのんびり見守るあなたたちに愛想つかした急進派から、ある特命を帯びて再派遣されたのよ」 長門「………喜緑江美里はおでんにからしをつける派?」 喜緑「私は辛い物が苦手なので、からしはつけませんわ」 朝倉「涼宮ハルヒの情報観測を阻害する存在、谷口を抹殺するためにやってきたのよ!」 長門「………からしをつければ、味のアクセントが強調されて食が進む」 喜緑「でも、辛い物を食べると舌や唇が痛くなって、熱いお料理が食べられなくなるじゃないですか」 朝倉「進化の可能性の幅を広げる涼宮ハルヒに精神的ストレスを与えてそのチャンスを奪う存在、下衆谷口。あれがいなくなれば、より効果的に情報が収集できるのよ!」 長門「………このすり身おいしい」 喜緑「朝倉さんの作ったダシ汁がよくしみているんですね。とてもおいしいですわ」 朝倉「ちょっと2人とも。さっきから熱弁している私を無視して何を淡々とおでん食べているのよ」 長門「………無視とは心外。ちゃんとあなたの話は片手間に聞いている」 朝倉「片手間に!?」 喜緑「長門さんの言うとおりですわ。私たちは、朝倉さんのお話を聞いていなかったわけではないのですよ? ただ単に興味がなかっただけなのですのよ」 朝倉「興味がなかっただけ!?」 長門「………まあまあ。落ち込まないで」 朝倉「……落ち込んでなんかいないわよ。私は冷徹な殺人マシーンなんだから」 長門「………自虐的になるのはよくない。そんな時は、この料理」 朝倉「おでん食べてもこの不愉快感は……って、鍋に大根しか残っていないじゃない!? 私まだこんにゃくしか食べてないのよ!? これじゃただの大根の煮物じゃない!」 喜緑「まあまあ。そう言わず。朝倉さんの作ったダシはとてもおいしいですよ。騙されたと思って召し上がってごらんなさいな」 朝倉「騙されたと思って!? 誰が栄養配分にまで気を配って作ったと思ってるのよ!」 長門「………今夜は朝倉涼子との、実に一年ぶりの再会を祝しての食事会。大らかな心で許してほしい」 朝倉「私との再会を祝した食事会? ダシ係に命じただけでなく、食器配膳係やご飯をよそう係、お茶くみ係、挙句の果てにカセットコンロに点火する係やテレビのチャンネルを変える係まで私に押し付けておいて、私との再会を祝う!?」 長門「………そう」 朝倉「そう、じゃないわよ! あなた私のことを馬鹿にしてるんでしょ? ねえ、そうでしょ!? 人畜無害な女の子みたいな涼しい顔してるくせに、腹の底では実力で劣る私を見下してからかってるんでしょ!? 分かってるわよ、それくらいこと! そうならそうとはっきり言いなさいよ!」 長門「………そうじゃない」 朝倉「そうじゃない!? だったらどうだって言うのよ! なんのつもりで私をからかって遊んでるのよ!」 喜緑「ちょっと待って、朝倉さん」 長門「………」 朝倉「黙ってちゃ分からないわよ! なんとか言いなさいよ、この厚顔無恥な主流派め!」 喜緑「朝倉さん!」 朝倉「!? な、なによ……」 喜緑「ご飯おかわりです。よそってくださいな」 朝倉「……空気よめ」 長門「………怒らないで」 朝倉「怒らないで? 誰のせいで怒るはめになったと思ってるのよ!」 長門「………そんな時は、これでも食べて落ち着いて。はい大根」 朝倉「いらないって言ってるでしょ!」 パシッ 長門「………あ……」 喜緑「お大根が……」 朝倉「ちゃんと真面目に話を聞きなさいよ」 長門「………」 長門「………頑張って、野菜切ったのに……」 長門「………ぅうう」 ダッ 喜緑「あ、待って長門さん!?」 朝倉「な、なによ。大根をたたき落としたくらいで。泣きたいのはこっちよ」 喜緑「朝倉さん」 朝倉「な、なに?」 喜緑「ちょっとそこに座りなさい」 朝倉「最初から座ってるんですけど」 喜緑「口答えするんじゃありません」 朝倉「いや、口答えじゃなくて。もう座ってるんですけど」 喜緑「朝倉さん。あなたは長門さんのお姉さんでしょ? もっと寛大な心で接してあげないといけませんよ」 朝倉「私の方が年下なんだけど。外見的には判断できなかもしれないけど、長門さんが長女なのよ」 喜緑「そんな言い訳は聞きたくありません」 朝倉「言い訳を聞きたくないんじゃなくて、あなたが自分に対する反対意見を聞きたくないだけじゃない」 喜緑「姉として、妹の言うことはちゃんと聞いてください」 朝倉「このタイミングで開き直らないでよ」 喜緑「確かに長門さんは感情の起伏を表に出さない人だから気づきづらかったかもしれないけれど。でも彼女は、本当はあなたが帰ってきて喜んでいたのよ?」 朝倉「まさか……」 喜緑「本当よ。確かにあなたに対して冷たく当たっていたかもしれません。いじわるなことをしたかもしれません。でも、それは愛情の裏返しなの。嬉しくて、ついついやっちゃった、そんなかわいらしい子ども心なのよ」 朝倉「………」 喜緑「長門さんだけじゃないわ。私だって嬉しかったわ」 朝倉「喜緑さん……」 喜緑「本当に嬉しかった。久しぶりにカレー以外の物が食べられたんですもの。あなたが帰ってきてくれたおかげで、久しぶりにご馳走が食べられた」 朝倉「長門さんよりあなたの方がたちが悪いわね……」 喜緑「あなたには分からないのよ。お料理のできない長門さんは、カレー以外のものを食べたくなっても作ることができない。だから仕方なくレトルトカレーに走ってしまう。それがあなたに責められて?」 朝倉「責めることはできないけれど……じゃあ、あなたが作ってあげなさいよ」 喜緑「もちろん私だって長門さんの力になってあげたかったわ。でもできないのよ。私には」 朝倉「……穏健派は、見守ることしか許可されていないから、かしら?」 喜緑「私はハヤシライスしか作れないの」 朝倉「最悪の組み合わせじゃない」 ~~~~~ 朝倉「あの……長門さん……?」 長門「………」 朝倉「………」 朝倉「ほら。いつまでも押入れに立てこもってないで。出てきなさいよ」 長門「………やだ」 朝倉「はあ……」 朝倉「悪かったわよ。怒ったりして。謝るから、許してよ。仲直りしましょ? だから、そこから出てきてよ」 長門「………うそ」 朝倉「本当よ。なんなら、情報統合思念体にアクセスしてみたら?」 長門「………」 長門「………」 ガラ 朝倉「やっと出てきた」 長門「………」 朝倉「ごめんね。ちょっと頭に血が上っちゃったわ。インターフェースらしくもなかったわ。反省してる」 長門「………」 フルフル 長門「………ちがう」 朝倉「え?」 長門「………ちがう。謝らないといけないのは、あなたじゃない。私の方」 朝倉「長門さん……」 長門「………ごめんなさい」 朝倉「……ううん。いいのよ。やっぱり悪いのは私。長門さんは何も悪くない。私が短気だっただけのこと」 長門「………ちがう。ちがう、ちがう。私がいじわるしたから。だから、朝倉涼子が怒ってしまった。私が悪い」 朝倉「そう」 朝倉「長門さんは、私が怒ったこと、許してくれる?」 長門「………うん」 朝倉「よかった。私も、長門さんが私にいじわるしたことを許してあげる」 朝倉「これでおあいこ」 長門「………うん」 ~~~~~ 朝倉「きれい。1年ぶりだけど、やっぱり屋上からの景色は変わっていないわね」 長門「………ここにいると、自分がインターフェースであることなど忘れてしまいそうになる」 朝倉「本当に」 長門「………」 朝倉「………」 長門「………あなたは、行くの?」 朝倉「うん。それが、私が還ってきた理由だから」 長門「………そう」 朝倉「うん」 長門「………また、一緒におでんを食べよう」 朝倉「うん」 長門「………谷口を刺したら、またここに帰ってきて」 朝倉「もちろん。谷口を刺し終えたら」 長門「………」 朝倉「………」 朝倉「今度は、どんなご馳走を作ってくれるのかしら?」 長門「………今度?」 朝倉「そうよ。今日は私、結局こんにゃくしか食べてないんだもの。食事会なんて呼べるものじゃなかったでしょ?」 朝倉「だから、今度こそ。おいしいご馳走でお出迎えしてよ」 長門「………私のレパートリーはカレーとおでんだけ」 朝倉「料理のレパートリー2つしかないの? なによ、そんなんじゃ彼のハートは射止められないよ」 長門「………大きなお世話」 朝倉「あら。怒った?」 長門「………別に」 朝倉「今度は、私が作ってあげる」 朝倉「日頃食生活に偏りのあるあなたたちのために、私が腕によりをかけてご馳走を用意してあげるわよ」 長門「………本当?」 朝倉「もちろん! 長門さんにもお料理を教えてあげるから。ちゃんとお勉強するのよ?」 長門「………する」 喜緑「お話は終わったかしら?」 朝倉「うん。あなたにも悪いことしたわね。怒鳴ったりして」 喜緑「いいえ。結構ですわ。それより」 朝倉「ん?」 喜緑「私のおかわりはいつになったよそってもらえるのでしょうか」 朝倉「空気よめ」 長門「………応援している。がんばって」 朝倉「ええ。絶対に谷口の息の根をとめてくるわ!」 ~~その頃、谷口は~~ 谷口「ふひふひひ」 谷口「この漫画おもしれ」 谷口「ほっほほほほ」 谷口「うへ? おほ、やべえwwww」 谷口「屁が出るぞぉ! 屁が出るぞぉ!」 谷口「放屁注意報発令でござる!」 谷口「スリー! トゥー! ワン!」 谷口「チューリッ!」 プゥ 谷口「………」 谷口「……………」 谷口「……………………やべえ」 谷口「実まで出ちゃった……」 もらしていた。 つづく
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プロローグ 第1話~a Re-Birth in the Best Dream~ 第2話~Selfish Desire~ 第3話~False Happiness~ 第4話~a Farewell in the Worst Nightmare~ 第5話~then...Happy End?~ エピローグ ※朝倉×キョン(←ハルヒ)のSSです。 一部『~分裂』のネタバレありなので注意。 本編とプロローグ、エピローグあわせて全7話構成になる予定。 甘さひかえめ、かといってビターなわけでもなし。 ヤンデレ・ツンデレ分は皆無です。 萌えはありませんが、時々燃え(バトル)描写ありかも。
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キョン「……朝倉、これ…」 朝倉「えっ…?」 キョン「メリークリスマス(ニコッ)」 朝倉「あ……」 キョン「開けてみろよ」 朝倉「……うん」(パカッ) キョン「サイズは多分合ってると思う」 朝倉「これは、指輪?」 キョン「あぁ、これを左手の薬指にはめてくれるか?」 朝倉「それって……プロポーズ?」 キョン「そういう意味で送ったんだがな、はは……………朝倉、結婚しよう」 朝倉「キョン君……」 ・ ・ ・ ・ ・ チュンチュン…… 朝倉「(ガバッ!!)……ゆ、め……?……キョンくん」 朝倉涼子のグサデレ ~クリスマス編~ 第1話 第2話 朝倉「ふぅ……」 キョン「朝から浮かない顔だな、どうした?」 朝倉「ちょっとね…(あなたが夢なんかに出てきたからよ……)」 キョン「そうか…あっ、そうだ朝倉」 朝倉「ん、なぁに?」 キョン「クリスマス」 朝倉「(ドキッ!?)」 キョン「ケーキってホールを一人で食えると思うか?あれを一人で食べるのには 憧れるよな」 朝倉「…そ、それはちょっと多いんじゃない?」 キョン「やっぱり多いか…それでクリスマス」 朝倉「(ドキッ!?)」 キョン「ツリーって松の木じゃ代用できないか?」 朝倉「………それはちょっと無理があるんじゃない?」 キョン「そうか……で、クリスマs」 朝倉「もうっ!!しつこいわね!!なんなのさっきからクリスマスクリスマスって!勝手に一人でパーティでもしてればいいじゃない!!」 キョン「な、なに怒ってるんだよ」 朝倉「うるさいわね、あたしは今日虫の居所が悪いの!だから…じゃ死んで♪」 キョン「ちょww怒ってるからって殺すなwww」 朝倉「あなたがあまりにしつこいからよ」 キョン「(やっぱり刺されないと始まらない…はぁはぁ)グフッ」 第3話 キョン「朝倉はクリスマスどうやって過ごすんだ?」 朝倉「そうねぇ、うちで一人寂しくすごしてみようかしら」 キョン「そんな悲しいこというなよ」 朝倉「ふふ、ちなみにキョン君は?」 キョン「俺は、そうだな…このままだと家族団欒のクリスマスが待っているな」 朝倉「あら、素敵じゃない」 キョン「しかし、高校生になってまで家族と過ごすのもなぁ」 朝倉「仲が良いのは素敵なことよ♪……でもまぁ、誰か他の人と過ごしたいなら…あたs」 ハルヒ「キョン!!今年のクリスマスは部室で鍋よ!!ちゃんと予定を空けておきなさいよ!?」 キョン「今年もか?」 ハルヒ「文句は言わせないわ!じゃああたしは部室に先に行ってるわ」 キョン「やれやれ」 朝倉「……よかったわね、予定ができて」 キョン「何一つうれしくないがな。朝倉、さっき何を言いかけたんだ?」 朝倉「え?……あぁ、なんでもないの……」 キョン「よかったら朝倉も参加するか?」 朝倉「あ、あたしは遠慮しておくわ。あたしなんか団員でもなんでもないんだもの……」 キョン「気にすることないと思うぞ。あいつらも喜ぶだろうしな」 朝倉「ほんと大丈夫だから。キョン君だけで楽しんできたらいいわよ。ね?」 キョン「そうか………あ、じゃあ俺はあと部室に行くよ。もたもたしてたらまた ハルヒにどやされちまう。じゃあな朝倉」 朝倉「うん……ばいばい」 朝倉「くすん……」 第4話 朝倉「くすん……ひっく…」 ?「あらあら、そんなに泣いてしまってはせっかくのかわいい顔も台無しですよ?」 朝倉「え…?」 喜緑「ね?これで涙をふいてください」 朝倉「う、うん…ひっく…ありがとう」 喜緑「何かあったんですか?」 朝倉「……」 喜緑「ふぅ…彼に何か言われたんですか?」 朝倉「別にそんなんじゃないわ…(ぷいっ)」 喜緑「強がっていては何も進展しませんよ?あなたはいつも強がってばかりなんだから…」 朝倉「…」 喜緑「…」 朝倉「ぅ……ひっく、だって、だってキョン君が…キョン君がぁっ……ひっぐ、ひぐ…」 喜緑「よしよし…」 朝倉「い、今までずっと…ひぐ、一緒にいたのに……春も、夏も…秋も…えっぐ……」 喜緑「うんうん……」 朝倉「だから、キョン君と…ぐすっ、一緒に…ク、クリスマス…過ごしたかったのにぃ……うっ…」 喜緑「……」 朝倉「っく、あたし、どうしたらいいのかな……?」 喜緑「今からでも遅くはありませんよ」 朝倉「ほんと?」 喜緑「彼の気持ちがまだあなたのほうに残っているなら、もしかしたら…」 朝倉「でも」 喜緑「『でも』なんて言ってたらあなたは絶対後悔しますよ」 朝倉「……うん、そうね。あたしがんばってみるわ」 喜緑「涙も止まったようですし、もう彼を追いかけられますね?」 朝倉「えぇ。ありがとう」ダッ 喜緑「ふふ……」 第5話 ガチャ 朝倉「キョン君はいる!?」 ハルヒ「な、なによ!あんたいきなり人の部室に入ってきて!!」 朝倉「キョン君は!?」 みくる「キョンくんは1人でおでかけしましゅたよ?」 朝倉「え!?」 ハルヒ「さっき、クリスマス用の買い物に行かせたのよ。買い物が済んだら帰宅しても良いって言ってあるから今日はもう部室に来ないと思うわよ」 朝倉「そんな……どこに買い物へ行ったの?」 ハルヒ「そんなの部員じゃないやつに言うはずないじゃない」 朝倉「ッ!……そ、そうよね…ごめんなさい。じゃ、あたし帰るわね、勝手に入ってきて本当ごめんなさい」 ハルヒ「わかればいーのよ。」 朝倉「…」ガチャ 朝倉「ふぅ、どうしよう…」 ガチャ みくる「(キョンくんなら商店街に行きましゅたよ)」 朝倉「え?」 みくる「(しぃー…ふふふ、しゅじゅみやしゃんには内緒でしゅよ?がんばってくだしゃいね)」 朝倉「ありがとう。え、えーっと……空気の人!!」ダッ みくる「ふふ、わざわざ教えてあげたのに空気の人でしゅか。ふふふ…」 第6話 商店街 朝倉「キョン君、どこにいるの?」 朝倉「キョン君…」 キョン「朝倉じゃないか、こんなところでなにやってるんだ?」 朝倉「ひっ!」 キョン「なんつう驚き方だ、らしくないな。どうしたんだ?」 朝倉「え、その…」 キョン「お前の家はこっちじゃないだろ?」 朝倉「えーっと、なんて言うか……そう!涼宮さんに言われたのよ。キョン君の手伝いをして、ってね♪」 キョン「手伝い?あのハルヒがお前に頼んだのか?」 朝倉「そ、そうよ?だから手伝ってあげるわね。まったく…どうしてあたしがこんなことしなくちゃならないのかしら」 キョン「それはうちの団長がすまないことをしたな。俺のほうは1人でも大丈夫だから朝倉は帰ってもいいぞ?」 朝倉「そんなことできるわけないじゃない!」 キョン「ッ!?」 朝倉「あっ!…だ、だから。ほら、頼まれたことを投げるなんてあたしにはできないってことよ♪」 キョン「あぁ、そういうことか。なら手伝ってもらわないといけないな」 朝倉「そういうこと♪」 キョン「だが、もう買い物は終わっちまったからな。あとはうちまで荷物を運ぶだけなんだが、それでも良いのか?」 朝倉「ふふ、あたしが手伝うって言ってるでしょ?」 キョン「そうか。じゃあお言葉に甘えて…お願いしますよ、っと」 朝倉「はいはい♪」 キョン宅 キョン「ふぅ!すまなかったなこんな遅くまで」 朝倉「そんなの気にしないで(結局話せなかったまま着いちゃった…)」 キョン「じゃあうちまで送るから待ってろよ、家の中に荷物を置いてくるから」 朝倉「あ…いいのよそんな、1人でも帰れるわよ」 キョン「何か話したいこともあるんだろ?」 朝倉「!?」 キョン「表情に出てたぞ。だからちょっと待ってろ」 朝倉「うん……」 ・ ・ ・ ・ ・ 朝倉「……」 キョン「……」 朝倉「何か話したら?」 キョン「話があるのはお前だろ?だから俺からは何も話さないよ」 朝倉「……あの、その、クリスマスの話なんだけど…」 キョン「ん?やっぱり俺らのパーティに参加することにしたのか?」 朝倉「そ、そうじゃなくて……クリスマスを…その、」 キョン「?」 朝倉「あたしt」 谷口「よぉっ!キョン!!何やってんだこんなところで?」 キョン「なんだ谷口か」 谷口「なんだとはなんだ、失礼な。あれ?なんで朝倉と歩いてるんだ? まさかお前らwww」 キョン「そ、そんなんじゃねぇよ!なぁ朝倉?」 朝倉「(ズキッ)……」 キョン「朝倉?」 朝倉「……」 キョン「どうしt」 朝倉「触らないで!!!!」 キョン「!?」 朝倉「キョン君の、バカ!!!!!あんたなんかあんたなんか死んじゃったらいいのよ!!」グサッ キョン「グフッ」 朝倉「あなたも変なとこに現れないで!!!!」グサッグサッ… 谷口「ぐぼぁ」 朝倉「うわぁぁぁん……」 キョン「はぁはぁ、朝倉…今日はいつもに増して鋭さが違うな……谷口大丈夫か?」 谷口だったもの「……」 朝倉「ひっぐ…うっぐ……キョン君の、バカ!!キョン君の……ばかぁ!!!!!」 第7話 朝倉宅 朝倉「えぐ、うっ……もう知らないッ!キョン君なんか…キョン君なんかぁ……ふぇぇぇん」 長門「……」 朝倉「うっ…うっ……」 長門「カレー食べる?」 朝倉「うわぁぁぁぁん!!!」 長門「……そう」 キョン宅 キョン「なんだって朝倉のやつあんなに怒ってたんだ…?」 キョン「あいつ、そういえば泣いてたな……」 キョン「腹でも痛かったのか?」 第8話 12月24日 SOS団部室 ハルヒ「さぁて鍋も煮えてきたことだし、早速始めるわよ!!!」 古泉「盛り上がってきましたね」 みくる「おいしそうでしゅねぇ」 長門「……(ウズウズ)」 キョン「……」 ハルヒ「どうしたのよキョン、有希みたいに黙っちゃって。あんたなんか変よ?」 キョン「ん、あぁ。なんでもないんだ、さぁ始めようぜ」 朝倉宅 朝倉「結局、一人でクリスマスを迎えることになっちゃったなぁ…あはは……」 朝倉「さみしくなんか、ないもの……」 部室 ハルヒ「キョン!なんかやりなさい!!」 キョン「無茶振りすぎるだろ!」 「「あははは……」」 朝倉宅 朝倉「……」 朝倉「もうこんな時間…買い物に行こうかしら……」 部室 みくる「うーん、もう食べられないでしゅ……」 長門「…(ガツガツ)」 ハルヒ「有希もやるわね(ガツガツ)」 古泉「二人でババ抜きもいいですね」 キョン「楽しさが見出せんがな」 朝倉宅 朝倉「……」ガチャ キィー……バタン―――― 第9話 朝倉「綺麗な空……クリスマスにはいい夜ね…ふふ、あたしには関係ないか……」 部室 「「zzz……」」 キョン「みんな寝ちまったのか」 古泉「それでは二人しかいないことですし…」 キョン「な、なんだよ?」 古泉「ふふふ…」 キョン「気持ち悪いぞ」 古泉「高校生らしく、いわゆるぶっちゃけトークをしましょうか」 キョン「はぁ?」 古泉「ずばりあなたは誰が好きなんですか?」 キョン「お前は中学生か?」 古泉「僕も男子高校生ですからね。そういうことには一応興味はありますよ。で、誰なんですか?もちろん僕と言う選択肢もありますよ?ふふ」 キョン「黙れ。しかし…あまり考えたこともなかったな」 古泉「おや、彼女ではなかったのですか?」 キョン「誰のことだ?」 古泉「あなたといつも一緒にいる人ですよ」 キョン「朝倉のことか?」 古泉「あなた方はいつだって一緒にいたではないですか、ちょっぴり嫉妬してしまうくらいにね、ふふ。そのような感情があるからだと思っていましたけどね」 キョン「それは……」 朝倉『キョン君♪』 キョン「朝倉は……」 朝倉『じゃ死んで♪』 キョン「あいつは…」 朝倉『キョン君の、バカ!!』 朝倉『ひっぐ…うっぐ……キョン君の……ばかぁ……』 キョン「朝倉っ!?……」 古泉「?」 キョン「すまん古泉、急用を思い出した。ちょっと出てくる」 古泉「ふふふ、そうですか。こっちのことは任せてください」 キョン「すまん!」ダッ 古泉「クリスマスには何があるかわかりませんね……」 第10話 キョン「畜生!俺はバカか!?あんなにも朝倉は俺の側にいてくれたのに…朝倉はあんなにも俺とのクリスマスを望んでくれたのに……朝倉、どこにいるんだ!?」 朝倉「……」 キョン「朝倉!いるか!?」ドンドンッ キョン「家にいない?……どこへ、行ったんだ?」 キョン「くそっ…考えても仕方がない……その辺を探すか」 朝倉「……」 キョン「朝倉…どこだ!!」 朝倉「……」 キョン「朝倉ぁぁッ!!」 朝倉「…?今、誰かの声が……」 キョン「朝倉ぁぁぁぁぁ!!!!」 朝倉「やっぱり聞こえる。誰かしら?」 キョン「朝倉どこにいるんだよ……」 朝倉「誰…?」 キョン「朝倉ぁぁぁぁあぁあぁぁぁ!!!!!」 朝倉「え?キョン君!?」 キョン「朝倉ぁ…」 第11話 朝倉「キョン君!!」 キョン「ッ!?」 朝倉「……」 キョン「はは…公園にいたのか…はぁはぁ」 朝倉「……どうして?」 キョン「随分探したぞ?」 朝倉「ねぇ……どうして?」 キョン「どこに行っちまったかと思っt」 朝倉「どうして!!??今更何しに来たの!?」 キョン「朝倉…」 朝倉「涼宮さんたちと一緒にパーティしてればいいじゃない!こんなところに来る理由なんかないじゃない!!」 キョン「朝倉…」 朝倉「さっさと戻ればいいじゃない!!」 キョン「朝倉……」 朝倉「なによなによ!!あたしのことは放っておけばいいじゃない!!!!」 キョン「朝倉ッ………涙が、出てるぞ?」 朝倉「え……?こ、これは……」 キョン「随分待たせたな。すまなかった」 朝倉「別にあたしはここであなたを待ってたわけじゃないわよ……」 キョン「そうじゃないんだ………おまえの気持ちに気づくまでに随分と待たせてしまったな」 朝倉「……」 キョン「俺は極度の鈍感のようだな、はは…」 朝倉「…いわよ(ぼそっ)」 キョン「え?」 朝倉「遅いわよって……言ったのよ、ばかぁ……ふぇぇぇぇん……」 キョン「……」 朝倉「ばかばかばかばか……あたしを、ひっぐ、い、いつまで待たせる気なのよぉ……」 キョン「すまなかった…」 朝倉「ずっと、ずっと待ってたのに、っく、キョン君のこと…こんなにも好きなのに……キョン君のことが大好きなのに!!!」 キョン「俺もだよ…」 朝倉「……今、なんて……?」 キョン「俺も朝倉が好きだ…笑ってるおまえが、ナイフ振り回してるおまえが……いつも俺の横にいてくれるおまえが、俺は好きだよ」 朝倉「キョン君……うわぁぁぁぁぁあぁあぁぁん……ふわぁぁぁぁあん」 キョン「おいおい……泣き虫だな」 朝倉「えっぐ、うっぐ、本当に、本当にあたしのこと好き?」 キョン「あぁ大好きだ」 朝倉「よかった…あたしのこと、そんな風に考えてくれてるなんて思わなかったから」 キョン「そんなことないさ、その証拠にほら、これ」 朝倉「なぁにこれ?」 キョン「クリスマスプレゼントってやつだよ」 朝倉「え?」 キョン「ちゃんとおまえのために買っておいたんだ。受け取ってくれるか?」 朝倉「うん…」 キョン「じゃあ開けてみてくれ」 朝倉「……」パカッ キョン「サイズは多分合ってると思うんだが…」 朝倉「これって、指輪……」 キョン「はめてみないのか?」 朝倉「そうね。ふふ」 キョン「その指は…」 朝倉「この指にはめる意味がわかるでしょ?」 キョン「あぁ。どうやら俺は告白と同時にプロポーズまでしてしまったようだな」 朝倉「そうよ、あなたはこれからいつまでもあたしといることになったんだからね?ふふ」 キョン「一生俺はお前に刺され続けるって事か?」 朝倉「そのとおり♪」 キョン「やれやれ」 朝倉「キョン君、」 キョン「ん?」 朝倉「……メリークリスマス」チュ キョン「!?」 朝倉「あたしからのプレゼント♪」 キョン「もうくれないのか?」 朝倉「考えておいてあげる♪さぁうちに行きましょ、今日はクリスマスなんだからね♪」 キョン「ふふ、やれやれ」 朝倉「(サンタさん、最高のプレゼントありがとう♪)」 朝倉涼子のグサデレ ~クリスマス編~完
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あの日交わした貴方との言葉。あれは嘘じゃなかった。 貴方が抱いた期待。それも、嘘じゃなかった。 だけど、流れていた指令の中で、それは変わった。 言いたくないし、やりたくなかった。でも、仕方なかった。 「じゃあ、死んで」 その言葉から、全てが嘘になった。それが、私の ――過去形真実。 それはある木々も枯れ果てた冬のこと。 そんな私が、再構成された今日。新年の賑わいも去った冬のある日。 なぜか、冬だって言うのに雪じゃなくて雨が降っていた。 ここら周辺は冬場には雪が降るぐらい寒い。雨なんて降らないはずなのに。 地球温暖化のせいだろうか。 「はぁ・・・」 そんな事を考えながら私は、公園の遊び場から空を見る。 傘を構成できないかと考える。結果、無理。その権限さえくれないから。 だから、こうして遊具の中で雨を凌いでいる。 雨は凌げても、寒さだけは凌げない。なんて酷いもんだろう。 直接、雨には触れてないものの、雨が降ると普段より肌に感じる気温は寒い。 「・・・寒いよ・・・」 感情なんて無いのに、何故か凄く悲しいと思える。 優しさに包まれたってなんとも無いはずの私なのに優しさが欲しかった。 「キョンくん・・・」 自然と心が彼を欲する。 彼の笑顔が、何よりも見たかった。 エラー検出、等と出ているけどそんなものはどうでも良かった。 「会いたいよ・・・キョンくん・・・・・」 あの日、殺そうとした大好きな人。ずっと好きだった人。 長門さんが彼を好きになるよりももっと前から彼を好きだった。 それは今ではもう叶う事の無い夢。だって、ナイフを向けちゃったから。 許してもらってさらに付き合うなんて高望み。それ以前に、きっと許してはくれないだろう。 でも会って言いたかった。ごめんなさい。 私は、ただそれだけが望みだった。 「・・・・・!?」 だから、突然後ろから肩に掛けられたジャンパーの温かみが優しく思えて、すごくびっくりした。 普段なら、冷静で居られるはずなのに。 「寒いだろ、その格好じゃ」 彼が、微笑んでいた。 「・・・キョンくん」 「寒そうに震えてるなよ・・・ほら、ココア」 「ありがとう・・・」 封を開けると、湯気が暖かそうに上がった。一口飲むだけで、体が随分と温まる。 「ねぇ・・・私が怖く、ないの?」 「どんな奴であれ、寒さで震えているのを見て黙っていられると思うか?それが美少女であれば尚更だ」 「・・・ごめんね」 「え?」 「あの日、殺そうとしちゃって・・・」 「気にするな。過ぎた事はそんなに考えない方なんだ」 そう言って、彼は微笑んだ。 「・・・」 その笑顔に思わず涙がゆらりと揺れて、ぽろりと零れた。 止めようと思っても、止まらない。拭いても止まらない。 笑おうとすればするほど、余計に視界が濡れて滲む。 「朝倉・・・」 彼はそんな私をぎゅっと抱き締めてくれた。 「キョンくん・・・暖かいね」 「お前の体が冷えすぎてるんだよ・・・」 「そうだね・・・あはは・・・・・」 彼と、一緒に笑う。信じられないような、幸せだった。 今、この瞬間にしか、きっと気持ちを言えない。 そう思った私はぽつりと口を開けた。 「私ね・・・キョンくんのこと、ずっと大好きだった・・・」 「・・・朝倉?」 「だから、あの時・・・凄く辛かった」 彼は無言で私の顔を見つめる。 「殺したくなかった。だからね、長門さんに情報連結の解除をしてもらった時、凄く安心したの」 「・・・・・」 彼は、目を大きく見開いて私を見ていた。 まさに絶句。そんな言葉が似合うような表情。 「あはは・・・ごめんね、こんな話しちゃ―――」 「朝倉・・・俺も、お前に言いたかった事がある」 「・・・なに?」 「・・・好きだ」 「え・・・」 「俺は気付いてた。お前の笑顔は下手だったからな。凄く、悲しそうな顔をしていたのに気付いてた」 「キョンくん」 「それに、殺しに来ることも知っていたんだ」 「うそ・・・」 「手紙に使ってた紙。あそこに消しゴムで消された跡があったんだ。『大好きな彼を殺したくない』ってな」 「あ・・・!!」 次々と語られる真実。それはまさに、 「まさかの展開、だろ?つまりは行かなきゃいいのに俺はそこに出向いたんだ」 そう、まさかの展開だった。まさか、彼が知っていたなんて。 「でも、どうして・・・」 「お前になら殺されても良いかなと思った俺も居たのさ。何せ、始業式の頃から気になってたしな」 彼はそこで一呼吸をおいて、 「もう一回言う。好きだ」 そう言った。 「でも・・・私は・・・・・」 「昔の事を気にするな」 そうは言われても、私は不安で仕方が無かった。 「でも、いつまた貴方を殺そうとするか・・・」 そんな言葉に、彼は笑顔でこう言った。 「それでも、俺はお前が欲しい」 「・・・あ・・・あ・・・キョンくん・・・!!」 私は、彼の胸の中で、泣いた。 今が嬉しくて、昔が悲しくて、あの時が悔しくて。 「ごめんなさい・・・」 「・・・もう良いんだよ、本当に」 「キョンく・・・んふっ」 私達は、そっと口付けをし合った。 ・・・そして、 「キョンくーん!!朝倉さんが迎えに来たよー!!」 「今行くから待ってろよー!」 私達はこうして一緒に学校を登下校している。 涼宮さんには見付からないように。 長門さんにはバレないように。どうやってバレないようにしているか。 彼女に気付かれないように私が違うクラスに最初から居るように情報を書き換えたの。 情報統合思念体は、そういう情報は聞かれない限りは知らせる事はない。 こうすれば、彼女と出会わない限り気付かれる事は無くなるの。 「さて、行こうか・・・えっと・・・涼子」 「うん・・・」 手を手を繋いで、一つのマフラーを二人でつけて。 そんな普通の女の子のような生活がこれから始まる。 嬉しくて、彼にいつもよりもくっついた。 その頃、長門。 「朝倉涼子の幸せを私は願っている」 「・・・強くなったわね。でも、顔が泣きかけよ?」 「喜緑江美里・・・私は、泣いてもいいだろうか?」 「・・・ええ」 「・・・ぐすっ・・・うぅ・・・・・」 「有希ちゃん・・・」 「・・・ぐすっ・・・ん?」 「泣いてる顔もかあいいよー!お持ち帰りー!!」 「!!??」 「はぅ~!!かぁいい!!かぁいいよー!!」 「ちょっと、んふっ・・・ふぁっ!」 「感じてるの?耳が弱いんだー!!あははははは!!もっと舐めてあげる!!」 「やめ・・・んふっ・・・あっ・・・・・・・」 その頃の谷口。 「っ・・・やはり、岡部は強い・・・・・!!」 「ふはは・・・」 「地鶏家の長男・・・やはり、ベジータじゃなきゃ倒せないか!!」 「・・・呼んだか、谷口」 「!!ベジータ!!」 「仕方ない・・・ここは俺に任せるが良い・・・・・」 「なんだ貴様は・・・お前も、スーパーハンドボールキャノンの餌食になるか・・・?」 「ふっ・・・笑わせるな、虫けらが。必殺・・・ギャリック砲!!」 「な、なんだ、このエネルギーは・・・うわぁぁぁあああああっっっ!!」 「勝ったな・・・ん?」 「まだだ・・・まだ終わらんよ!!」 「た、タイガー蝶野に進化した!?」 「ここからが・・・本当の地獄だ」 「助けてやろう・・・ベジータ!!」 「お、お前は・・・!!」 「新川!!」 「ふははははは!!この超人デカマラ男たる俺が来たからにはもう安心だ!!」 「「(正直変態で来ても安心できねーよ・・・)」」