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pic.twitter.com/ECl1OKTewS — Tiger 猫柱🐯Revengers (@3yhORts0BH9NqUF) June 3, 2023 コロナ🧠はよく誰に染したとか誰から染されたとか言うけど、ほんとアホだよね。そんなのわかるわけないのに。 「志村けんさんにコロナをうつした」…「感染源」にされた女性、デマ投稿26人を提訴(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース https //t.co/gxv3vXpNDJ — 注文の多いコロ屋さん (@nekosan_nyao) May 18, 2023 【レムデシベル】 🐹レムデシベルこそアメリカのコロナ症状患者の大半を死においやった薬毒。アメリカで、多臓器不を起こすとわかっていて使用された劇薬。アメリカでは即座にコロナ症状が収まるクロロキン、ヒドロキシクロロキン、イベルメクチン等の投与が禁止され意図的に人体を痛める薬が使用され、病気を捏造した。 — スーパーお花畑の、ねこ⭐代官 (@nekodaikan1) April 26, 2022 志村けんは律儀に発熱不調→四日ルールを守って症状悪化させたんだからな。ついでに医者のたらいまわし→都合よく木偶がきたから死んでもらって利用したんだろ西村だって埼玉からなぜかクールジャパン関連で繋がってた連中つかってアドバルーンあげてたし殺人政権安倍政権。ナチズム安倍 https //t.co/JylXPEl8s6 — 魔法少女ティロ・フィナーレ@魔法少女隊 (@mu_kaoru) March 31, 2020 俺も1/4だかユダ公だからさーナチスの真相もそれなりに知ってるし優勢論もわかってるけど、アホのナチズムだけは容認しねえぞ。機関には安倍は中共に食い込まれた赤化極左だって報告済みだその証拠がプーチン皇帝の戦勝祭参加だしな。オリンピック飛ばしてやっても運命を理解できないらしいな https //t.co/Jxc5WP2aB8 — 魔法少女ティロ・フィナーレ@魔法少女隊 (@mu_kaoru) March 31, 2020 ■ これ本当なのかな。拾いもの。でも集団免疫が正しいね。死ぬやつはしょうがない。 「二階堂ドットコム(2020/03/31 13 33)」より / 日本人は逃げ回ってもしょうがないということに気づけ。死ぬやつはしょうがない。集団免疫で効果を上げてるドイツを見習うべきだ。公衆衛生の観念がないアメリカやドイツ以外のヨーロッパを含む国は汚いんだから。 以下は本当かね。まぁどうでもいいよ。集団免疫が重要。国民は一人一人が免疫力を上げて無茶をしないべきだね。過労や過度の飲酒は免疫力を下げる。規則正しく生活して良く寝て運動して、食事はニンニクを食べ、きちんと糖質もとることが重要だ。 以下転送モノ。ホントかどうかはしらん。違う店からの嫌がらせという話もある。でも面白いから載せておく。いつもいってますね「常に疑え」と。 (※mono....以下略、詳細はサイト記事で) 志村けんさんの兄、知之さんの言葉をよく聞いてほしい。けんさんは、感染予防の為に最後まで家族に看取られる事無く、通夜,本葬も無く、そのまま火葬場に行ったと(親戚の参列無し)。こんな悲しい最後 安易なコロナ疎開や帰省の結果、親や祖父母が亡くなり、その原因が自分だったら‥よく考えてほしい pic.twitter.com/UZTDnPmDBS — @camomillem0703 (@camomillem0703) March 30, 2020 ■ 【訃報】「ドリフターズの最終兵器」「バカ殿さま」「パンくんの恋人」志村けんさん逝く!享年70歳。ご冥福をお祈りいたします。 「Kazumoto Iguchi's blog 3ブログトップ(2020年 03月 30日)」より / みなさん、こんにちは。 今年一番の訃報が入ってきたようだ。 やはり私が予想していたとおり、武漢肺炎で治療中のタレントコメディアンの志村けんさんがご逝去された。享年70歳。ご冥福を心からお祈りしたい。 芸能界は中国共産党、習近平や二階俊博、安倍晋三夫妻に復讐すべきだろうなあ。 志村けん世代、つまり、我々昭和の世代には、昔の日本の偉さやエロさが残っていた。 男女の「色恋」、恋物語、こういったものが粋だとか風流だという文化伝統が残っていた。 だから、すくなくとも1990年代まではこういう番組をやっても問題なかった。 (※mono....埋め込み動画多数、詳細はサイト記事で) ■ 志村けんさん、最後のブログ投稿に反響 「信じたくないです…」 「SIRABEE(2020/03/30 13 00)」より / 70歳という若さでこの世を去ったタレントの志村けんさん。訃報を受け、公式ブログ「Ken’s Blog」にはファンによる数々のコメントが相次いだ。 ■最後のブログ投稿 ブログでは共演者たちとのツーショットをアップすることが多かった志村さん。最後の更新である2月13日の投稿では、同月27日に放送された『志村けんのだいじょうぶだぁ〜春一番爆笑SP〜』(フジテレビ系)の告知を兼ねて、お笑いコンビの千鳥や、歌手の丘みどり、フリーアナウンサーの加藤綾子、タレントの小島瑠璃子とのツーショットを投稿していた。 いずれの写真も共演者たちは笑顔で、志村さんが愛されていたことが良くわかる。 関連記事:研ナオコ、志村けんにエール 「メッセージ最後の絵文字」に注目集まる けんちゃん、早く治してまたバカ殿一緒にやりましょうね🙋♀️🥚 — 研ナオコ (@naokoken77) March 25, 2020 志村けんさん死去 蔡英文総統が追悼「たくさんの笑いをありがとう」 https //t.co/q06B4Z1u3m 投稿には、満開の桜に雪が積もった風景の写真が添えられ、「志村さん、たくさんの笑いをありがとう!心からご冥福を祈ります」と日本語と中国語のメッセージがつづられた。 — 台湾ニュース@中央社フォーカス台湾 (@focustaiwanjapa) March 30, 2020 { 優香 志村さん死去に「いまだに信じられず、どう言葉にしていいかわかりません」/芸能/デイリースポーツ online https //t.co/k1R9XD5mxw#志村けんさん #DailySports — デイリースポーツ (@Daily_Online) March 30, 2020 ] 【ドリフメンバーが志村けんさん追悼コメント】 加藤茶さん「ドリフの宝、日本の宝を奪ったコロナが憎いです」 仲本工事さん「一番若い志村が長さんの次になるとは」 高木ブーさん「志村早すぎるよ、俺より先に逝くなんて」https //t.co/6E9McCIbmB — 産経ニュース (@Sankei_news) March 30, 2020 . 駄目だ…泣きながらこのページを更新している。辛いス。悲しいです。
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夕焼けに空が染まる頃、ウエストウッド村の台所から小さな鼻歌が聞こえてきた。 「~♪」 声の主はティファニア、彼女は久しぶりにマチルダが帰ってきてるので、とても機嫌が良かった。 家族の命を奪われてから、ずっと面倒を見てくれていたマチルダは、年に何度も仕送りを送ってくれていた。 自分の家族は皆失ってしまったけど、サウスゴータの太守だったマチルダの一族が、家族代わりになって自分を助けてくれている。 それは返しきれないほどの恩だった。 以前に一度、自分と母親のせいでマチルダの一族にまで迷惑がかかってしまった……と謝ったことがある、しかし、マチルダはそれを怒った。 間違っているのは王の方だ、と言って、決して自分を蔑んではいけないと、何度もティファニアに言い聞かせた。 小さい頃から姉のように慕っていたマチルダが、そのとき本当の姉になった気がしたのは、けっして気のせいではないだろう。 火箸で釜戸の灰を軽くかき分けると、昼に使った薪(たきぎ)の、炭化したものがちょこんと姿を見せた。 それを種火として利用し、よく乾いた小枝に火を移し、薪を燃やし…手慣れた様子でお湯を沸かしていく。 「夕食の分か。薪は足りているかい?」 ティファニアが振り向くと、そこにはワルドが立っていた。 どこか気遣うように釜戸の様子を見ている。 「ええ、大丈夫ですよ。ワルドさんのおかげです。薪割りもあんなに沢山やってもらって、本当に助かります」 「世話になっているんだ、これぐらい当然だよ」 ワルドが笑みを返すと、踵を返して台所を出て行った、ティファニアほほえんだままそれを見送る。 ティファニアは家族と、珍しいお客さんのために、美味しい料理を作るべくよし!と気合いを入れた。 「………」 台所を出たワルドは、夕方の見回りをしに外へと出た。 空を見上げて竜騎兵がいないことを確認する、年には念を入れ、木々の影を縫うように素早く、音もなく森の中へと移動していった。 風系統のスクエアたるワルドは、風の流れに敏感で、気配を消すことも感じ取ることも得意としている。 更に、ウエストウッド村に滞在している間、『土くれのフーケ』として盗みを働いていたマチルダから、山や森の知恵をいくつか教わっている。 マチルダは時々、暇つぶしの雑談に混じって、猟師が如何に気配を消して獲物に近づくのだとか、獣の踏みしめた地面の見分け方を語る。 それらの知恵は、王族の親衛隊を勤める魔法衛士隊ではほとんど発揮される事は無かった、そういった索敵の技術は基本的に使い魔が有しているものであるからだ。 メイジがそれを行うのは、花形部隊では忌諱されがちですらあったが、大いに参考になる知恵であり、戦いを有利に進めるため学ぶものも少なくはない。 その一人がワルドだった、母を失い、トリステインの内情を知るにつれて歪んでいったワルドは、裏切りを正当化するための材料として己のプライドを肥大させた。 泥臭い猟師の知恵など下賎なものだと思いつつも、それを習得して数多くの任務を成功させ、それでいて自分は崇高な理想を持ってトリステインを裏切り、いやむしろトリステインを「見限ってやった」とすら考えていた。 それを打ち砕いてくれたのがルイズだった。 ルイズは、己の能力をよく理解し、それを有効活用する術をしっかりと考えている。 虚無の系統とか、公爵の血筋だとかそんなものではなく、ルイズは己の今と、これからの生き方によどみない自信を持っていると思えた。 だからこそ、ワルドは自分が矮小だと気づき、ルイズに忠誠を誓った。 そして今、このウエストウッドという小さな村で、子供達の相手をする時間が、とても安らかなものだと思えていた。 以前なら平民の子供や、落ちぶれた貴族の子供には、作り笑顔で接していたことだろう、しかし今は違う。 マチルダ、ティファニア、ルイズが子供の相手をしているのを見ると、なぜだろうか、とても安らぐ…… 「…?」 ふと、周囲を警戒していたワルドに、何か人の気配のようなものを感じた。 手入れのされていない森は、獣道でもない限り歩いて通ることはできない、背の高い草で木々の隙間が埋められてしまう。 その草の向こうから、ガサガサ、という葉擦れの音が聞こえてきた。 「……」 血が冷めていく。 ワルドは短剣状の杖を手に持ち、腰を低くして木の陰に隠れた。 ガサガサ、ガサガサと近づいてくるその音だけでなく、周囲360度を警戒する。 敵か、動物か、第三者か、陽動か、疎開か、迷い子か、斥候か…… 考えを巡らせていくうちに、その音は間近まで迫ってくる。 ザッ、とかき分けられた草の向こうから姿を現したのは、全裸で、しかも胸と腹に陥没した痕の残るルイズの姿だった。 「!」 驚いて目を見開いたワルドは、そっとルイズに見えるよう顔を出した、左手で口を覆う仕草で『誰かに聞かれていないか?』という意図を伝える。 ルイズはさして驚きもせず、ワルドの仕草を見て口を開いた。 「大丈夫、追われてはいないわ…」 「どうしたんだ、大丈夫なのか?その怪我は?」 ワルドは『レビテーション』で身体を浮かせると、すぐにルイズに近寄り抱き上げた、右膝を曲げてそこにルイズを座らせ、足跡をつけぬようゆっくりと森の中を移動していく。 「ちょっと…手強いやつがいたのよ、けっこう、だめね、疲れたわ」 「血は必要か?」 「いい…」 ルイズの返事はどこか弱々しかった。 ワルドは、ティファニアや子供達に気づかれぬように注意しつつ、マチルダの部屋へとルイズを運んだ。 自室で裁縫をしていたマチルダが、ルイズの姿に驚いたのは言うまでもない。 「何があったのさ…あんたがそんな怪我を負うなんて」 「火のメイジよ、トライアングルか、それ以上よ。とんでもない熱だったわ…焦げるなんてもんじゃない、胸の肉が一瞬で炭になったもの」 「とんでもないね。ところで、そいつらは?」 「ダメージが大きすぎて、殺せなかった…詠唱する暇がないぐらい正確に火が飛んでくるのよ、記憶を消すのがやっとだったわ」 マチルダはルイズをベッドに寝かせようとするが、ルイズはその手を払った。 「すぐに行かなきゃ、あいつら、トリステインに向かってる」 「え?」 そのとき、がちゃりと扉が開かれワルドが入ってきた。 ワルドはデルフリンガーを、ルイズの座るベッド脇に立てかける。 「食事が出来たそうだ…食べる余裕は、あるか?」 「ごめんなさい、食事の時間も惜しいわ…ティファニアには悪いけど。ワルドよく聞いて、トリステイン魔法学院が狙われてるわ、とても強力な火のメイジの、傭兵達によ」 「!」 とたんにワルドの表情が険しくなった、思い当たるものがあるのか、ワルドは跪いてルイズに顔を近づけ、声を荒げぬよう気をつけて問いかけた。 「それは、この間デルフリンガーが言っていた奴か? 長距離から気配を探られたとか言う…」 「ええ」 頷くルイズに、マチルダがはっとした表情になった。 「まさか、白炎のメンヌヴィルじゃないだろうね」 ワルドもまた何かに気がついたように目を見開き、ルイズに問いかけた。 「…ルイズ、そいつは盲目では無かったか」 「顔に大きな火傷の痕があったわ。目じゃなくて…熱を感じてるみたい、そのせいで苦戦したのよ」 マチルダとワルドが顔を見合わせた。 「間違いないね、そいつがメンヌヴィルさ。とんでもない火の使い手だよ」 「メンヌヴィル?」 「とにかく、人でも亜人でも、焼いていたぶるのが好きなキチガイだって聞いたね、そんな奴に狙われるなんて…」 腕を組み、眉間に皺を寄せ考え込むマチルダだったが、ふと何かを思いついたのか顔を上げる。 「陽動ってことは無いのかい?この孤児院が狙われる可能性は?臭いや魔法で追跡されるとか…とにかく、一度調べるよ」 そう質問しながらマチルダがディティクトマジックを唱え、ルイズの身体を調査する。 ルイズの身体には何も仕掛けられている様子は無かった。 「尾行の可能性はごく低いわ。十分注意してた。森の中を移動する途中、何度か動きを止めて周囲の音を観察したの。 蟻の足音も、鳥の羽音も、地下の音も疑ったけど、それらしい音は感じられなかった」 「そう…それだけ注意してれば何とか大丈夫だと思うけど。魔法学院の件はどうするのさ」 沈黙が流れる。 時間にして数秒のことだったが、答えを決めかねているルイズにとって、それは一分よりも長く感じた。 「どちらにせよ、すぐ報告せねばならないだろう。 今の時期、アルビオンはラ・ロシェールを離れ、ガリア寄りになる。…遍在を繋ぎの取れる場所に飛ばすのは無理だ。僕が直接飛んでいこう」 ワルドの言葉に、ルイズ瞳が揺れた。 「……私も、私も行くわ」 ルイズの言葉に、ロングビルが血相を変えて叫ぶ。 「正気かい!? 言ったろう、シエスタって嬢ちゃんは吸血鬼殺しの英才教育を受けてるんだよ!」 「魔法学院に乗り込むつもりは無いわよ、可能ならメンヌヴィルって奴を迎え撃つ…もしくは、奴らの奇襲を奇襲してやるわ」 「あんた…! ああ、いくらなんでも、そこまで魔法学院に義理はないだろう?いくら王宮と繋がってるとはいえ、タダじゃ済まないかもしれないんだよ」 「義理なんて無いわよ。私はただ、あいつらの思い通りにさせたくないだけよ」 キッ、とマチルダを睨む。 その視線は極めて鋭いものだったが、恐怖は感じなかった、怒りではなく純粋な決意がそこに秘められており、マチルダはルイズの言葉に納得するしか無かった。 「マチルダ、悪いがティファニアに説明しておいてくれ。急用が出来たとな」 「わかったよ」 マチルダが部屋を出るのを見ると、ワルドはポケットからアルビオンの地図を取り出した、それは四つに畳まれた羊皮紙であり、広げると幅三十サント四方になる。 焼き付けられているのは地図と、ハルケギニアとアルビオンの周回図だった。 「ルイズ、場所と時間を教えてくれ」 ルイズはここ数日の間に知り得たことを、簡潔に述べた。 メンヌヴィルと接触した場所、時間、ウエストウッドへと移動した経路など… 馬車で移動した時に見た街道の風景や、町中の様子から、アルビオンの民が過酷な環境に置かれていると言うこともハッキリした。 できればクロムウェルを暗殺したかったが、それは『可能ならば』という但し書きがつくので、重要度はそれほど高くない。 ルイズも、またトリステインで待っているウェールズ達もそれが可能だとは思っていないはずだ。 話をしながらもルイズは、目立ちにくいくすみとムラのあるオリーブ色に染められた服に身を包む。 飾り気のないシャツ、足首を縛れるズボン、フード付きのマント、そして…デルフリンガーに手をかけようとしたところで、ルイズの動きが一瞬止まった。 ルイズはデルフリンガーの柄に手を触れず鞘を掴んだ、それはデルフリンガーに触れるのを恐れているようにも感じられた。 コツコツ、とドアがノックされる。 ワルドは地図を懐にしまい込みつつ、「どうぞ」と呟いた。 「お食事、食べていかれないんですか?」 扉を開いたのはティファニアだった、心配そうな表情をしていると、一目で分かる。 「ごめんね、せっかく準備してくれたのに…」 「いえ、いいんです。あ、でもパンがありますから、お弁当代わりに持って行ってください」 「ああ、そうか…ありが」「ごめんなさい、急ぐから食べていられないの、道中食べる暇も無いし…」 ワルドが、パンの入った小さな包みを受け取ろうとした時、ルイズがそれを遮った。 「そうでしたか…ごめんなさい」 「いいのよ。私たちが無駄にするより、みんなで食べた方がいいでしょう? ワルド、そろそろ行くわよ」 「ああ」 ワルドとルイズが、ティファニアの横を通り過ぎる。 「あ…」 その時、ティファニアはルイズの横顔を見て、記憶の中にある在りし日の母と重なった気がした。 兵士が屋敷に殺到したとき、生き残ることは不可能だと思いながらも、生き残るために毅然とした態度を崩さなかった母に。 「マチルダ姉さん…」 ティファニアは寂しげな瞳で、マチルダの顔を見上げた。 「なんだい?」 「二人とも、大丈夫、かな。何か危険なことをしに行くんでしょう?」 「心配しなくても大丈夫さ、あの二人なら大丈夫だよ」 「でも……石仮面さん、何か辛そうな気がする」 マチルダは顔を上げ、ルイズの後ろ姿を見送った。 一抹の不安があったが、それは口に出さず心の中だけで処理をした。 それから半日ほど後、すでに太陽は姿を隠し、二つの月が空高く上がっている。 ルイズとワルドの二人は森を越え、街道を越え、首都ロンディニウムとは逆方向になる川へと出ていた。 「ワルド。悪いけど強行軍になるわよ。川から流れ落ちる水に紛れるよう『イリュージョン』を使うわ。そこから雲を突き抜ければ、今の時期はガリア寄りの海上に出るわね」 「僕はそこから『フライ』を使って、トリステインまで飛べばいいのだな?」 「ただし高度は私の言うとおりに維持して貰うわ……哨戒に出ている竜騎兵に見つかる可能性もあるし」 「わかった、君の目を信用している」 二人は小声で会話をしながら、川沿いの道から獣道へと入り、岩場を歩いていく。 早ければ朝日を迎える前に、川の終点にたどり着けるだろう。 「パン、食べたかったな」 川沿いの岩場を歩いていたルイズが、不意に呟いた。 「今更どうしたんだ、貰ってくれば良かったじゃないか」 「歩きながらでも食べたかったわよ、でも、気を利かせてたっぷりバターを入れてくれたんでしょうね、臭いがしたわ」 「バターの香りが?」 「そうよ、あの臭いじゃ目立って大変だわ。私にだって50メイル離れていても分かる臭いだもの」 「なるほどな…そうか、臭いか。すまない、そんなことにも気がつかないなんて、僕も気が緩んでいたかな」 「攻める訳じゃないわ。それに、逆に考えるのよ、子供達に囲まれて良い休暇だったでしょう?」 「ふふ、まあな。生意気な奴がいたが、木の実を拾うときなんか、年下を庇ってよく動いていたよ」 どこか清々しいはにかみを見せて、ワルドが呟く。 ティファニアを母として、姉として慕う孤児院の子供達は、ティファニアのお陰かマチルダのおかげか、家族を守るという意識が小さいながらも根付いている。 「皆、血は繋がらなくとも兄弟のようだ……領民は皆我が子であると、先々代の王は言っていたそうだが、その通りかもしれん。新しい世代が育つのを見届けるのは、いいものかもな」 魔法を行使する貴族の、魔法によって領地を守るという観念の元になった、慈愛と勇気の意識。 それこそがティファニアの持つ精神であり、皆その影響を受けて育っている、そうワルドは感じていた。 ぴたりと、ルイズが足を止めた。 「…子供」 不思議に思ったワルドが、ルイズの顔を覗き込もうとするが、ルイズはミシリと音が立つほどに拳を握りしめて、ワルドに顔を見られぬよう早足で歩き出した。 「ルイズ?」 「なんでもないわ、急ぎましょう」 気を抜くと、歩くのを止めてしまいそうになる。 まるで体中を鎖でがんじがらめにされたような、過度の閉塞感を感じていた。 ルイズは、なぜ自分から『子供』という単語を使ってしまったのかと、ひどく後悔している。 ウエストウッド村の子供達は、皆素直で、小さくてもティファニアを守ろうという意識があって、とても眩しい。 そう、ルイズは子供達を見て、元気を分けて貰っている。 昨日、街道脇の森で、たまたま見つけた親子もそうだった。 自分のことを心配してくれた上、死体をケモノに食い荒らされぬよう、土に埋めようとしてくれた。 それなのに自分はその親子を『食った』。 ウエストウッドの子供達は、とても可愛いと思える。 しかしあの親子もまた、とても美味しかった。 子供を可愛いと思えるのも美味しそうだと思えるのも、どちらも偽りのない自分の意識。 石仮面を被り、吸血鬼となったときは、人間は餌に過ぎないと思っていた、合法的に殺人と吸血ができる傭兵を選んだのは、ただの気まぐれに過ぎなかったはずだ。 しかし今は、そんな自分が恐ろしい。 ふと…何かの拍子で、それこそ枯れ葉が風に舞うような、ごくごく小さな何かがきっかけで、ウエストウッドの子供達を『美味しそうだ』と思えてしまうのではないだろうか。 そうなってしまったら、次は? 『美味しかった』となってしまったら……… ルイズは、鎖で縛り付けられた体が、ゆっくりと海の底へと沈んでいく気がした。 震えそうな手を、力を込めて必死で押さえ、カチカチと鳴りそうな歯を、食いしばって必死に耐える。 そこでふと気がついた。 デルフリンガーは心が読める。 『だから自分は、デルフリンガーを恐れていたのか』と。 デルフリンガーを握れば、自分のしでかしたことすべてを見透かされてしまうかもしれない。 永遠に近い寿命を、共に過ごしてくれるかもしれないデルフリンガーに、嫌われてしまうかもしれない。 もし、ワルドにも嫌われたら? もし、マチルダにも嫌われたら? もし、ティファニアにも嫌われたら? もし、アンリエッタにも、ウェールズにも、姉様にも… ルイズの後ろを歩くワルドの目に、力強く映るルイズの足取り。 その芯は今にも崩れそうなほど危うかった。 To Be Continued→ 67< 目次 69
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16: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 01 37 ※ 本作には残酷な表現が存在します。また、本作はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません ――西暦1945(昭和20)年8月17日 北海道 増毛沖 「左舷に雷跡2つ!方位42距離300!」 「取り舵一杯!」 艦橋での反応は迅速だった。 病み上がりであるとはいえ、この艦を操るものは海軍軍人である。 祖国の激変とともにいささか怪しくはなっているが、いまだに階級章はそのままであるし、こうして海に出ることもできている。 「何が…」 「攻撃ですよ!」 艦長であるところの山田三郎大佐は苛立ちながら「お目付け役」にどなった。 もちろん英語である。 だいたいお坊ちゃんであるところのこの民生局からやってきた若手官僚はとっさの引き揚げ命令に際してもなにかと口を挟み邪魔をしてばかりだったから口調も荒くなる。 「誰が攻撃するというんだ!」 「決まっているでしょう。ロスケ(russki)の潜水艦ですよ!」 ああ、いやだいやだという風に首を振る御年25歳のGHQ係官殿!あなたはまだ現実認識を自分の脳が作り変えることができるとお考えなのですな。 そういった嫌味を口にしそうになるも喉元でこらえた山田は、大きく傾斜しながら左へ曲がり始めるこの艦がとった行動を思い返していた。 これがいわゆる走馬灯なのかと思いながら。 そもそも、太平洋戦争(実は閣議決定されていた大東亜戦争よりもGF司令部はじめ海軍はこちらで呼ぶきらいがあった)終結後の北方情勢は極めて複雑な経過をたどっている。 6月1日の降伏文書調印の後速やかに日本「本土」に進駐した米英中をはじめとする連合軍は当然ながら北海道やそのさらに北の南樺太、そして千島列島にも進駐していた。 当然ながら日本軍は武装解除し復員することになるはずだった。 が、ここで「連合国」の一員でありながらも対日宣戦布告がついに間に合わなかったソヴィエトがクレームをつけた。 原因は1943年のテヘラン会談に伴ういわゆる「テヘラン宣言」だった。 ソ連対日参戦の暁には「日本軍国主義によって獲得されたすべての領土の放棄がなされる」という宣言に対し、ソ連は日露戦争以前、すなわち明治新政府成立以後の侵略によって獲得されたという北方諸島嶼における民族自決の権利確保を主張し自国による進駐と進駐軍との交代を提案してきたのである。 これは完全に無視された。 大戦終結に際して暴露された「限りなく黒に近い白」といわれる「真珠湾の裏切り」(これは山田は眉唾だと思っている)やレッドセルといわれる共産主義シンパの策動にアメリカ政界が大混乱に陥っている中でスターリンが慌てて分け前確保に走ったとしか思えない話だったからだ。 その時点で米軍は南樺太に1個連隊を揚陸させており、樺太守備についていた第88師団は国境警備隊とともにすでに武装の封印処置を開始していた。 だが、対独戦を勝ち抜いた軍勢がシベリア鉄道を通って極東へ、それもカムチャッカ半島に揚陸艇とともに現れているという情報が世界を駆け廻り、北緯50度線の国境地帯をソ連軍が越えようとしてからは事情がかわった。 このとき、千島列島占守島には対岸のペトロパブロフスク・カムチャッキーからの軍使が到来し武装解除と進駐を一方的に通告してきていた。 東京のGHQは困惑した。 ワシントン・ポトマック河畔にて宣言された戦後処理方針において、条件付き降伏をした日本はまずその「本土」すなわち「内地」を分割しないと約していたからだ。 そして日本は、1943年に南樺太を内地に編入し内務省の管轄下としている。さらには日本人がいうところには樺太は幕末以来ロシアの継続的な侵攻によって奪われた領土だとさえいっていた。 しばし悩んだGHQ参謀2部は決断した。 「北方・満州方面においては暫定的に『連合国軍の監督のもと』日本軍を『境界』警備の任につける。あくまで暫定的な処置であり、以後の『境界』の曖昧さについては『我ら連合国』が決定する」 こう述べ、連合国軍同士の緩衝地帯に軽火器で武装した日本人を残し、自らは占守島や北海道、そして朝鮮半島の北緯38度線沿いに兵力を展開した。 欲に目がくらんだロシア人が「我ら連合国」といって自分達の主張が通ったと考えるなどとはまったく考えなかった。 そういったわけで、国境を突破したソ連軍に対して陸軍第88師団や中華民国軍から有形無形のいやがらせを受け続けていた関東軍が発砲したときにソ連軍は大義名分を得たと考えたし、GHQは完全に驚愕したのだった。 17: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 03 20 あとに残されたのは大混乱だった。 引き揚げを前提に遼東半島へと集結しつつあった満州はまだよい。 南樺太においては、「本土」であり「内地」ゆえに一般市民がいつもの通りの生活をしていたのだから。 独断で反撃を開始した日本軍を監督役の米軍が追認し弾薬庫の鍵を開けたのも当然だっただろう。 (なお、朝鮮半島北側や満州へ進駐し、勝者ゆえの暴虐を課した中華民国軍も生存本能には忠実でありこれと同様の動きをとっている) たまたま樺太に残留していた海軍第5艦隊所属艦の反撃で沿海州からの樺太西岸の恵須取上陸を企てた舟艇舞台が叩き出されたことから戦況は互角で推移。 攻勢を急ぎ過ぎたのか、それとも満州方面を優先したのかはわからないが、南樺太に投入されたソ連軍は2個歩兵師団にとどまっていた。 しかも、東部敷香に残存していた臨時独立戦車第53連隊(97式中戦車改二にて編成)による伏撃を受けた第214戦車旅団は大打撃を受けて後退。 この時点で樺太庁は50万近くの邦人の北海道への緊急疎開を決定し、全方位に救援を要請するに至っている。 GHQ参謀2部および日本軍艦艇を抑留管理していた在日米海軍部はこれを追認。 保管状態であった船舶が大慌てで宗谷海峡へ向かいつつあったわけだが―― ここで横やりが入った。 民生局およびアメリカ国務省だった。 いわく、偶発的な戦闘状態を速やかに収拾するためにも軍艦の派遣、それも日本艦の派遣はのぞましくない。 米艦艇の派遣まで住民の移動などの過剰反応は行うべきではない―― すったもんだの末に妥協案としてこの「艦」が派遣され、優先的に15歳未満の少年や乳幼児を移動させることが決まるまで6時間が空費された。 さらには現在位置を連合国軍およびソ連軍にも通知しながらの航海が義務付けられている。 そうした手続きをこの若い男は日本人乗組員を文字通り「虐待しつつ」ねちねちとこなさせていたのだった。 ああ、これは走馬灯というやつか。と山田大佐は納得した。 これは、たすかるまい。 あまりに至近すぎる。 復員船指定されて以来、本艦の聴音器は整備されていない。 もとが徴用艦であるからして、民生用としては極めて珍しい英国製聴音器を使うとしても部品が存在しなかったのだ。 噂の三式探信儀や三式聴音器があれば別だったのだが… 「もはやこれは戦争です。そんな中で満天下に位置をしらせながらいけば良い獲物になるのは当然でしょう。」 通信士にSOS発信を素早く命じた山田は、せめてこれだけはいってやろうと乱暴に言い捨てた。 そのくせ、口調は江田島で習った通りの流ちょうな英国英語(キングスイングリッシュ)であるのはしまらないな、とも思ったが。 「そんなわけがあるか!パールハーバーやレイテで無抵抗の相手を焼くのが趣味のジャップとロシア人は違うんだ!!」 ああ、なるほど。このお目付け役はそういう… と山田は納得した。 それでなければ手当たり次第に日本人乗組員をMPを使って銃床で殴りつけたり、延々と蹴り続けたりする子供じみた虐待行為になど手を染めないだろう。 個人的な怨恨を喜んで晴らすような性質の人間ではないはずなのだから。 逆説的にではあるが、艦内神社へガーランドを撃ちこみ落ちてきた御神体を踏みにじる様子を艦橋に見せつけ首にかけたロザリオにキスをするという彼の行為はその敬虔さを顔つきとともに証明しているのだから。 その時だった。 突き上げるような衝撃が2つ。 床が波打ち、山田をはじめ艦橋に立っている者たちはそろって宙に浮き、ついであらゆる方向に叩きつけられる。 「左舷後部、機関室付近に2発命中!」 開きっぱなしの伝声管からの悲鳴と笛というにはあまりに大きな不協和音が聞こえてきた。 平衡感覚が狂い、頭痛が襲う。 三半規管が轟音で狂わされたらしい。 そして考えるまでもなく、罐がやられた。悲鳴と怒声は、生きながら機関員が焼かれている断末魔である。 畜生め。やはり幸運の源を自ら潰した艦はこうなるか。 「総員、退艦!」 はいずっていき、伝声管に向けて怒鳴る。 この艦は基準排水量3800トンあまり。そこへ2発の魚雷を受けたのだ。もはやもつまい。 前方に閃光が見えた。 なんてことだ。あの潜水艦、浮上砲撃してやがる。 楽しんでいやがるな。 ああ、連中は知らないだろうが、本艦の来歴からすればよい意趣返しでもあるわけか。 契約の不備でソ連に引き渡されそこなった砕氷船なんて… 「お前のせいで…」 地獄の底から這い寄るような声が隣から聞こえる。 「ジャップ!血まみれの殺人者が!」 ああ。哀れな。 何が起こっているのかわからないらしい。 「早くいけ!」 いまだ艦橋に残っていた操舵手に向けて怒鳴る。 さて…どうやって生き残ったものだろう。 18: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 04 04 ――この日、樺太への救援へと向かった特務艦は2発の雷撃と15発の砲弾、そして無数の機銃弾を受けて日本海に沈没した。 船体を白く塗り、側面に巨大な赤十字マークを描いていたにも関わらず行われた攻撃に、対日理事会をはじめGHQや米国務省は驚愕した。 何かの間違いかというものは、現地に急行した海防艦「占守」に救助された米国務省職員からの報告と聞いて黙らされた。 短いながら幾度かの通信の応酬の後、舞鶴湾から一群の戦闘用艦艇が錨を上げ、北方へ向かう。 彼女の名を「信濃」。随伴にアーレイ・バーク大佐率いる米駆逐艦を伴う戦後日本初の「艦隊」は、賠償船指定されていたはずの優良船舶を伴って樺太へと急行したのである。 戦史は、同時期に遭難した稚泊連絡船2隻とともにこの事件を「三船殉難」と称している。 ――西暦1955(昭和30)年2月20日 石川島播磨重工 東京第一工場(造船所) 「お久しぶりです。『艦長』」 老年にさしかかって久しい山田三郎元大佐は、相手の声を思い出すのに1秒ほどかかった。 「ああ。『航海長』。君も来ていたのか」 にっこり笑った『航海長』は、「はい」と何度も頷いてみせる。 「どうやら、あそこにいた全員が呼ばれているようなのです。ほら」 意地の悪そうな表情で、ちらりと3つほど隣の空席を彼は見やった。 そこに記されていた名前と役職を見て、ああ、と山田は得心する。 「いやはや。彼も呼ぶとはね。 まぁ、『いろいろと』協力してもらったから縁はあるともいえるのだが」 「噂では、ソ連大使館にも招待状を送ったそうですよ。 いちおうはご同業になるわけですからね」 「それはすごい。意趣返しといってもこれ以上はないだろう。」 驚くというよりは、呆れた。 どうも上の連中のあからさまなやり口は好きにはなれないが、これくらいしなければ外国人は意図に気付かないのかもしれない、そんなことがちらと頭をよぎる。 あの事件により、山田は「帝国海軍で最後に艦を失った男」として新聞にその名を記された。 当時はあの樺太侵攻がソ連軍の警察行動だ、また日本側の先制攻撃によって戦端がひらかれたと公言する人々が多かった時代だ。 そんな中にあって山田は多くを失った。 彼は従容としてそれを受け入れた。 海軍で最後の戦死者を出した、それも「山田が愚かにも無電で位置を知らせながら航行した」のだから当然だ。 おかげで、彼は階級をそのままに軍を追われる。 死亡した乗組員の家族が連れてきた新聞記者の前で土下座をさせられる様子が全国に配信されたことで、同期はもちろん近所からは歩きざまに唾をはきかけられ、妻は黙って出て行った。 親戚からは罵倒の言葉とともに「族譜から抹消する」という手続きの紙のみがやってきた。 試作品だという抗生物質によって病から恢復したときは泣いて喜んでくれた相手からされた仕打ちは身を苛んだが、それも脅迫じみたGHQからの口止めを考えれば耐えることができた。 風向きが変わったのは、事件から1年後のことだった。 海上警備隊に幹部を連れた『航海長』をはじめ乗組員たちがあばら家(自宅は親戚一同の手にわたっていた)を訪ねてきて、ことの次第を二三聞くと、その足で帝都の第一生命館へと彼はいざなわれた。 そこで待っていたのは、グルー民政長官と、パットン元帥。 山田は、あのゴミを見るような目で自分へ命令を伝えた米国の官僚たちとは正反対の態度でことの次第に遺憾の意を表され、『誤報』を詫びられた。 19: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 04 50 完全に政治的な儀式であったのだろう。 何か要望を問われた山田は、「あの艦がいたことを忘れないでほしい」とだけ述べた。 翌日の全国紙の一面すべてにあの事件の詳細が掲載されたことで今の日本を支配するものが何かを知り空恐ろしくなるおまけもあったが… ともあれ、名誉回復を果たした山田は、嘱託として海上警備隊と名を変えた古巣へと呼び戻されて現在に至ることになる。 かの艦の艤装委員長をつとめていた頃からのその道の専門家であることが理由であったが、それは事態を見過ごすこととなった海軍からの謝罪でもあった。 以来、陸軍特殊船であった「高津丸」の改装にはじまり、現在に至るまで山田は造船畑と現場とを取り持つ中間管理職として過ごしている。 今回の任務にあたって、「高津」や青函連絡船の転用ではなく新造艦の建造を提案したのも山田だった。 あのとき自宅を訪ねてきた幹部はさらに怪しげな権力をもっているらしく、上司から漏らされたところによると新造艦の建造にあたって大きな役割を果たしたということだった。 「これは、決まりでしょうか?」 「まだわからないよ。」 期待するような『航海長』の言葉を山田は遮る。 だが、心の奥底では完全に同意していた。 見世物として海外へ飛び、会いたくもない国務省の「あの」スキャンダルを隠したがっている自分を射殺さんばかりの目をした役人と握手をし、そしてアメリカ海軍の最新鋭艦を同僚でありあの「大和」を作った設計者と視察までしたのだ。 あの「訂正記事」以来掌を返した世間に再び傷つけられ、猫なで声で手記出版をすすめてきた親戚への吐き気をこらえてまで山田が欲したもの、それは―― 「本艦を、『宗谷』と命名する!」 国防大臣がマイクロフォンに向かって宣言し、臨席した人々から拍手が沸き起こる。 東京 豊洲のこの石川島播磨重工東京第一造船所は船台式である。 山田は、用意された斧を振り下ろして支綱を切断した。 シャンパンが舳へぶつかって割れ、久寿玉が華やかな飾りと鳩を放つとともに、朝黴の浮いた船台が海面へ滑り降りていく。 その上に載っているのは、早期艤装と呼ばれる船台上で先に細々とした船体構造物や機械類を備え付ける作業が済まされた基準1万トンあまりの幅広の船体。 1957年に迫った国際地球観測年を前に一時は就役が危ぶまれながらも、ようやく完成の時を迎えたこの砕氷艦は、10月の就役後直ちに南極へと向かうことになっている。 残念ながら山田の姿はそこにはない。 だが… 「失ったものは…」 「艦長?」 山田は、自分が滂沱の涙を流していることに気が付いた。 「おかえり。宗谷。」 すべてを引き換えにして、再会した艦(フネ)へ向ける言葉は、それだけで十分だった。 ――砕氷艦「宗谷」は、この後20回の南極観測業務に従事。 後継艦となる「白瀬」の就役とともに引退。 記念艦として保存されている。 20: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 07 17 【あとがき】――というわけで、「戦後夢幻会ネタSS番外編 『失っったもの、そして』」をお送りしました。 かの船のファンの皆様、ごめんなさい。でも書き始めたらとまらなかったんだ… 21: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 09 06 19 修正。 ×山田雄二大佐 → ○山田三郎大佐 で。 22: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 23 34 「失ったもの、そして」ですね。「っ」がひとつ多いです。誤字失礼しました。 25: ひゅうが :2018/02/21(水) 11 04 50 はい。 こちらでは偉大なる戦果として赤旗勲章を受賞プロパガンダ映画も作られています 本来は、国際法無視して先制攻撃した艦長がデタントに従い失脚破滅するとことか、平和的収拾に失敗する原因を作ってしまった国務官僚の苦悩とか乗り込んできた若手官僚が公民権運動進展と共に自らの過去の神社差別行為をひたかくしにしようとするところとか考えてましたが、あまりにジメジメしてるのでさくりとカットしています 42: ひゅうが :2018/02/21(水) 17 38 18 なお、御神体の鏡は修理されて二代目に再設置されております 国務省の格好いいところとか次は書くべきでしょうかねw ただ戦後すぐの頃は史実と同じく道化にならざるを得ないのです この頃の史実でもわりとひどいですからね 輪をかけてひどいのがキッシンジャーですが
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登録日:2023/08/30 Wed 16 00 00 更新日:2024/05/27 Mon 02 42 44NEW! 所要時間:約12分で読めます ▽タグ一覧 CROSS DIMENSION イフリート ガンダム ガンダム・ピクシー ガンダム外伝 ゲームオリジナル サイドストーリーズ かつて火を使った戦士は、 もう動くことも、 ふたたび大地を踏むことも ない。 わすれてはならない。 死にゆくもの達への祈りを 『死にゆくもの達への祈り』とはSFCソフト『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』に収録されたオリジナルストーリー。 後にPS3ソフト『サイドストーリーズ』でも収録され、『SDガンダム GGENERATION GENESIS』でも採用された。 ●目次 概要 あらすじ 登場人物連邦軍「アルバトロス隊」 ジオン軍「ウルフ・ガー隊」 登場機体 戦いの結末 概要 『CROSS DIMENSION』には初代『機動戦士ガンダム』をモチーフとした第1部があり、それをクリアすると遊べるオリジナルストーリー。 モチーフの一つは『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』であり、同作のような戦争の片隅で起こった小さくどこかやるせない物語を描く。 ガンダム・ピクシーやイフリートの初出なのだが、ゲーム自体がマイナーということもあって知名度は低かった。 本来は4部構成の物語で1~3部で3機のピクシーのそれぞれの奮闘が描かれ、最終章でピクシーが集結する…と考えていたそうなのだが、ゲームでの完全オリジナルストーリーは敷居が高かったことやSFCの容量的な都合もあり、第2部に相当する本作のみに収録になったそうだ。 後にゲームでのオリジナルストーリーは『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』で好評となり、ガンダム外伝シリーズとして定着していくこととなる。 新規モビルスーツのデザインはお馴染み大河原邦男。 オリジナルキャラのデザインは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』や『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の川元利浩。 『CROSS DIMENSION』では連邦側、『サイドストーリーズ』ではジオン側の視点で物語が進行していく。 あらすじ ガルマ・ザビが戦死し5日後の宇宙世紀0079年10月5日のゴビ砂漠に一つの連邦軍基地があった。 砂漠の基地とは思えない物々しい警備をしたその基地には連邦軍の新型MS「ガンダム・ピクシー」が輸送されていたのである。 ちょうどその頃、隊長機に「イフリート」をもつジオンの敗走部隊「ウルフ・ガー隊」は補給を求め連邦軍基地を強襲する。 基地の警備を請け負った「アルバトロス隊」はガンキャノンのみの現状で防衛は不可能と判断し、ピクシーを起動させる。 様々な思いが渦巻く中、多くの命が散っていく…。 登場人物 連邦軍「アルバトロス隊」 主に左遷された士官からなる「はぐれ部隊」。 なぜかゴビ砂漠の真ん中にある連邦軍基地に駐屯する。 その目的は新型MS「ガンダム・ピクシー」をホワイトベース隊に届けること。 「こいつ・・・まだやるのか!どうしてだ!どうして、ここまでやるんだ!」 ボルク・クライ 声:東地宏樹 連邦軍側の主人公の青年。大尉。 『CROSS DIMENSION』では茶髪だが、近年では金髪。 良くも悪くも現場のたたき上げ軍人気質であり、何度も上官に反抗的な態度を取ったため左遷され砂漠の基地にいる。(*1) 現在の状況を「まるでアラモだな」と称するなど勉学にも明るいが、ニュータイプの存在もその目で見てないためか懐疑的。 部下思いではあり、部下には比較的慕われている。 基地にあるガンキャノンだけでは白兵戦で不利であり防衛は不可能と考え、命令違反とわかりつつピクシーを起動し敵を撃退していく。 元々はガンキャノンのパイロットなのでピクシーとは相性が悪そうだが、ピクシーのコンピューターのおかげで次第に乗りこなせるようになった。 だが、ノクト少佐の無理な命令や幾度にも渡る襲撃に神経をすり減らしていき、最終的には見殺しにされるも同然の任務を請け負ってしまう。 「ザクを先に落とせ!」とよく言うがザクになんか恨みでもあるのか…(*2) ダバ・ソイ 声:高橋伸也 ボルクの部下のガンキャノンのパイロット。 黒髪のモブ顔。地味。 元は香港で警官をしていたが、徴兵されてMSパイロットとなった経緯がある。 ボルクの事は慕っているもののどこか頼りない男である。 ヤーマン王家とは無関係。 サナ・ニマ 声:山本祥太 ダバとは対照的に金髪の濃い顔。近年では茶髪。 気弱な性格でかつては敵前逃亡をかましたらしいが、人手不足ということで釈放されている。 ボルクがピクシーに搭乗した後にガンキャノンのパイロットとして戦う。 敵が来た時に伝えに来る役目も務めているため一部では「時報」と呼ばれているとか。 ノクト・ガディッシュ 声:喜山茂雄 アルバトロス隊隊長。少佐。 元はジャブローにいたエリート士官だったが左遷され(*3)砂漠の基地に就任している。 エリートコースを外れてなお強いエリート意識の塊で、現場判断を一切聞きいれない、部下をクズと言う、戦力が足りないことを「貴様らがだらしないから」と罵る、ピクシーが必要と判断しても「使わせてほしければクズな私にピクシーを使わせてくださいと言い、私の靴をなめろ」と言うなど典型的なダメ軍人というか人としても最底辺。 ニマには「最低」とつぶやかれてしまっている。 ボルクを謀殺するために一人残そうとするなど、軍人としても無能な印象が強い。 こんな有様なのに『CROSS DIMENSION』では確実に生き残る。しかし、『サイドストーリーズ』では…? ちなみに彼の親戚はかのエルラン中将で「失態は揉み消してもらえる」と考えているらしく(*4)、エルランの顛末を考えると生還しても先行きは真っ暗だろう。 中の人は後のランバ・ラル。 ジオン軍「ウルフ・ガー隊」 犯罪者で構成された懲罰部隊。 本来は偵察と後方撹乱が主任務だが、中央アジア前線でに敗走したことで、砂漠をさ迷っている「はぐれ部隊」。 そのため、補給目的に基地を襲撃する。 「さいこうに、たのしいぞ、新型!やっとみつけたんだ!こんなところで、おわっちゃあ、もったいない!」 ヘンリー・ブーン 声:てらそままさき ジオン軍側の主人公の壮年。ボルクと同じく大尉。 かつてはキシリア閣下の配下の特殊部隊に所属し、ランバ・ラルに匹敵する軍人と称されていたが、クーデターの発起人の疑惑をかけられ、ウルフ・ガー隊の隊長となった。 冷静沈着で部下思いであり、虐殺任務にも反対するなど良識的な軍人。 だが、その本質は… 実は極秘裏に新型MS破壊任務を受けており、敗走も偽装。 マーチン以外の部下には「心が弱いため、真実を知らせると成功率が下がる」と思い黙っていた模様。 その根には「強い敵と戦いたい」という戦闘狂にも近い思いが渦巻いており、ピクシーと真正面から戦うために起動前のピクシーを見逃したり他の部隊と合流せず新型の様子見にしたりしている。 しかし、自分の欲のために部下や他の部隊が死んだことは流石に後悔していた。 この辺の下りは人間として問題があるように見えてしまうためか、『サイドストーリーズ』以降は「部隊員の犯罪歴を抹消させるために処刑任務に近い新型破壊命令を受けており、新型が起動したのも計算外。戦いたいマーチンやサキのみが生き残ったため、自分も戦いへの欲望に素直になった」という描写になっている。 こんどこそ「はぐれ者」から脱却できると思い、ピクシーとの最後の戦いに挑む。 マーチン・ハガー 声:三宅健太 どことなくサンダース軍曹似の褐色肌の男。 気性が荒く、補給も「飯より弾」と言うなどバトルマニアの気があるが、ピクシーの動きから「パイロットはまだ機体になれてない」ことを見抜くなど洞察力もある。 レイとレスタを気遣ったり、彼らを殺したピクシーを目の敵にするようになる事から部下思いのように見えるが、実際は新兵教育係の際に8人の新兵を死に至らしめた経歴があるなど両極端な人物である。 結果的に彼はその怒りからほぼ狂ったような状態で死んでしまう。 SFCの最終戦では設定ミスで届かない距離からしか攻撃してこないが、それもまた狂気を引き立てている…。 サキ・グラハム 声:浅野まゆみ 紫髪の紅一点。 冷静で洞察力が高く、下記二人より肝が据わっている。 元々はランバ・ラル隊に所属することを希望していたらしい。 兄をルウム戦役で失い、復讐のためウルフ・ガー隊に志願する。 そのため、隊員の中で唯一の犯罪歴がない。 最終決戦では爆発するザクからなんとか脱出するが…? レイ・ハミルトン 声:豊永利行 童顔の金髪。自分を同性愛者と揶揄した同僚2名を殺害したという恐ろしい裏設定があるらしい。 軟弱な性格なのか、良く弱音を吐いている。 アルバトロス隊との三回目の戦いで敗れて死亡した。 とある伝説のパイロットと同じ名前を持つが、残念ながら彼のようにはなれなかった。 レスタ・キャロット 声:烏丸祐一 アゴが目立つ男。家族を疎開させる為の金目当てに殺人を犯した元銀行強盗。 こちらもビンタされそうな軟弱男。 レイと同様に死亡。 ウルフ・ガー隊とは別の敗走部隊も登場するが名実ともにピクシーの噛ませ犬である。 登場機体 ガンダム・ピクシー 陸戦型ガンダムの派生機。 重力下での白兵戦に特化した機体であり、本来はホワイトベース隊に渡される予定だった。 二本のビームダガーとサブマシンガンを装備。このマシンガンのせいでウルフ・ガー隊に弾薬を補給されてしまったのでは…おのれユニバーサル規格!! MPUも優れており、初めて搭乗したボルグでも十分戦える上に、戦闘データの蓄積により戦うほど強くなる。 『CROSS DIMENSION』では第1部のガンダムのレベルを引き継ぐ。 ガンキャノン ピクシー搭乗前のボルクやサナ、ダバが搭乗。 本来は高火力・重装甲の強力な機体だが支援機なので近接攻撃手段がほぼ無いことから本作では低く見られがちで、元々は基地に6機あったが、激しい戦いで4機は落とされてしまったらしい。ノクト曰くクズなモビルスーツ 『CROSS DIMENSION』では第1部のガンキャノン2機のレベルを引き継ぐ。 そのため、育てていないと詰んでしまう可能性も。 余談だが、カイやハヤト搭乗のガンキャノンより技がないなど弱く設定されている。あの二人もエースであるという演出だろう。 ミデア ノクト逃走時に使用。 イフリート ヘンリーの搭乗機。 グフとドムの中間に当たる機体で、ヒートソードで武装した白兵戦向けの機体。 一時期はイフリート改の方が有名だった感がある。 ちなみに『CROSS DIMENSION』ではヒートソードを1本しか使わないが、『サイドストーリーズ』以降は他のシリーズに準拠して2刀流で使用している。 『サイドストーリーズ』ではこの機体を操作して戦いに挑むこととなる。 ザクⅡ ヘンリー以外のウルフ・ガー隊の機体。 ゲーム的な事情もあるが、『CROSS DIMENSION』では全員結構強い。 また、同作ではパイロットによって使用武器を変えてきている。 グフ ピクシーの噛ませにされた部隊がザクと共に使用。 戦いの結末 ノクトの嫌がらせによりボルクのピクシーは単機で出撃させられるも、イフリート以外のウルフ・ガー隊を撃墜する。 しかし、ヘンリーのイフリートもミデアの護衛をさせられていた2機のガンキャノンを破壊。 さらにノクト少佐はピクシーを置いてミデアでそのまま離脱してしまった。 もはや単機になっても向かってくるイフリートに疑問を持ちながらも戦うボルク。 部下への弔いや戦闘への歓喜に打ち震えながら戦うヘンリー。 ピクシーを駆る連邦の「はぐれ者」とイフリートを駆るジオンの「はぐれ者」の意地を賭けた最後の戦いが始まろうとしていた。 『CROSS DIMENSION』ではマルチエンディングとなっており、ボルクの勝敗によってエンディングが異なる。 ボルク勝利エンド 最終的に勝ったのはボルクだった。 戦いを楽しめたことに満足しつつも、死んでいった部下への謝罪や最後まではぐれ者であったことへの自嘲をつぶやきながらヘンリーは逝った。 ボルクも素晴らしい戦士への敬意をどこか感じていたのだった。 その時、ボルクは倒れているサキを発見する。 ボルクはサキを保護し、誰もいなくなった連邦軍基地で手当をするのだった…。 彼らの戦いは、 まだつづく・・・ TO BE COUNTINUED・・ (*5) ヘンリー勝利エンド イフリートはピクシーを倒した。 ボルクの最後の言葉は自分をここまで追い込んだノクトへの恨み節だった。 強敵を倒せたヘンリーは散っていった部下達へウルフ・ガー隊の強さを誇ったのだった。 その後、 ヘンリー・ブーン大尉は ソロモン防えい戦に、 さんかした。 が、その後のゆくえは わかっていない。 『サイドストーリーズ』では最終的に必ずボルクが勝つようになっておりエンディングも『CROSS DIMENSION』と異なる。『GGENERATION GENESIS』もこちらに準拠。 アナザーエンド 撃墜されたサキはノクトの乗ったミデアに搭乗していた。 「今までありがとう」と言い残し彼女はミデアもろとも爆死した。 最後の一撃はピクシーからだった。 ヘンリーは連邦のパイロットに称賛を送り、部下へ謝罪する。 だが、彼ははとても満たされていた。 残されたピクシーのボルク。 自分以外誰もいなくなった基地で「一体何のための戦いなんだぁーー!」と一人叫んだのだった。 戦いが人を狂わせるのか…? 人が戦って失い、戦いを憎み、戦いを否定し、 それでもなお戦うしかない。 人が戦いで得るものなどないと、 それが無意味だと誰に非難できよう。 生きることそのものが戦い。 戦いこそ全て。 我々は忘れてはならない…そんな、 死にゆく者たちへの祈りを。 その後、一隻のミデアがピクシーを回収していくのだった。 追記・修正ははぐれ者にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 新型ガンダムに加えてガンキャノンが6機もある基地ってかなり豪勢に思えるんだけど……まあそういうバランスって作品次第か -- 名無しさん (2023-08-30 16 42 27) これはエピソード項目的にはセーフなん? いや悪いって言ってるんじゃなくて線引きようわからんなあってだけなんだけど -- 名無しさん (2023-08-30 23 52 49) ジャック・ヒギンズの小説のパロみたいなタイトルだな -- 名無しさん (2023-08-31 05 54 58) ↑普通に哀戦士の一節だと思ったのだが違う? -- 名無しさん (2023-08-31 14 25 09) まあ一年戦争開戦時から従軍してるような奴は大なり小なりザクにトラウマあるだろうな -- 名無しさん (2023-08-31 15 16 47) ガンキャノンが近接戦のできないクズモビルスーツとか許されざる暴言、確かにこのゲームでは格闘攻撃を持たないけどアニメでは普通に格闘してるし、ガンダムと同じルナチタニウム合金製だから弱い訳がない。だからボルク達がヘボいか、あのガンキャノンはジ・オリジンに出てくる初期型ガンキャノン的な奴だと解釈してる -- 名無しさん (2023-09-01 01 11 27) 「何の為の戦いなんだ」ってピクシーを守り通してWB隊に届けるのが任務でしょ?その防衛対象で勝手に前線に出てぶっ壊したボルクは軍人としてクズで間違ってないわな -- 名無しさん (2023-09-01 02 54 50) 2023-09-01 02 54 50 軍人としてはそうかもしれんが、上司に延々いびられつつ・左遷or懲罰された者同士で・戦略的な重要性もほとんどない不毛な戦闘が続いた挙句、曲がりなりにも(一部違反を犯してでも)作戦を達成し、同僚を生かすためにやってたのに報いも手元に残るものも何もないんじゃ「組織も信じられないし仲間はみんな死んだ!俺は何をやってんだ!もうやってられるか!」ってなっても仕方ないような気がする -- 名無しさん (2023-09-02 18 48 06) ↑×2 ノクト少佐、僻地勤務ご苦労様ッス -- 名無しさん (2023-09-02 20 12 58) なんというか、部隊自体が捨て駒だったんじゃないかな無いかといいたくなるな。 -- 名無しさん (2024-05-27 02 27 49) ピクシーは「陸戦特化型」になったガンダム(RX-78)の派生機であって、「陸戦型ガンダム」(RX-79G)の派生機では無いぞ。そもそも原典のSFC版は08小隊のリリースより大分前に発売されてるし -- 名無しさん (2024-05-27 02 42 44) 名前 コメント
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2011/03/30 更新 2011/03/23 更新 2011/03/16 更新 2011/03/09 更新 2011/03/02 更新 2011/02/23 更新 2011/02/16 更新 2011/02/09 更新 2011/02/02 更新 2011/01/26 更新 2011/01/19 更新 2011/01/12 更新 最新 2011年4月~6月 2010年10月~12月 2010年7月~9月 2010年4月~6月 2011/03/30 更新 【WEEKLY NEWS】ハンターオフィスによるカンパニー支援の一環として、倉庫容量の拡張が成された模様です。広範囲で活動するカンパニーへの大きな支援として、更なる開拓・探索活動の活性化につながる事が見込まれます。 【通販生活ディオス】今度のメタルくじの特等は、「白黒ナース袋」! その姿は神か悪魔か!? 癒されるのか否か、それはこれを身に纏う者の気分次第。敵対するモンスターとの決着に白黒つけます! 【週刊スターフォール】特集「噂の新天地を徹底追跡!!」第一弾!! ハンターオフィスで慌しく動き出したとの情報がある新天地調査! 本誌がその真偽について徹底追跡レポート!! 【ギルド通信】大幅に倉庫を拡張したぞ! これで各カンパニーの活動をわずかながら支援する。皆の更なる活発な活動を期待する!! 【計画停電に伴うサービスの影響について】この度の地震の影響による計画停電の為、急遽サービスが停止になる場合がございます。ご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご理解とご協力の程宜しくお願い申し上げます。サービス提供の状況に関しましては、順次お知らせいたします。 ●2011年04月06日 03時00分よりメンテナンスを予定しております。メンテナンス中はプレイができなくなりますので、あらかじめご了承下さい。 2011/03/23 更新 【WEEKLY NEWS】遠方の地で発生しました大災害に対し、ハンターオフィスはその支援に乗り出しました。第一弾として販売されました「義援金寄付の証」は、カンパニーの積極的な協力により大きな支援となりました。被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。 【通販生活ディオス】今度のメタルくじの特等は、「TC袋Part1」! ついに解禁! ハンターオフィス・オフィシャル装備が登場! 憧れの制服を身に纏い、荒野を縦横無尽に駆け抜けろ!! 【ギルド通信】各カンパニーの協力に感謝する! 皆の支援は被災地の復興に大きな援助となるだろう。 【計画停電に伴うサービスの影響について】この度の地震の影響による計画停電の為、急遽サービスが停止になる場合がございます。ご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご理解とご協力の程宜しくお願い申し上げます。サービス提供の状況に関しましては、順次お知らせいたします。 【運営からのお知らせ】義援金募集に深いご理解と多大なるご協力を賜りましてありがとうございます。当募集に関しましては、3月23日(水)12 00をもって受付を終了させて頂きました。集められました募金は、日本赤十字社を通じて、被災者支援のために役立てられます。 2011/03/16 更新 【運営からのお知らせ】東北地方太平洋沖地震等の災害において、被災地の皆様の安全と一日も早い復興を心よりお祈り致しますと共に、犠牲になられました方々およびご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。 当コンテンツの一部アイテムの収益を被災地の皆様の救援や被災地の復興に少しでもお役立て頂く為、災害義援金として寄贈致します。 集められました義援金は、日本赤十字社を通して、被災者の方々の為に役立てられます。 改めて、皆様の安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。 【計画停電に伴うサービスの影響について】この度の地震の影響による計画停電の為、急遽サービスが停止になる場合がございます。ご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご理解とご協力の程宜しくお願い申し上げます。サービス提供の状況に関しましては、順次お知らせいたします。 2011/03/09 更新 【WEEKLY NEWS】各地で「空を飛行する生物」の目撃証言が相次いでおります。ハンターオフィスはこの未確認生物の調査に乗り出しました。 【通販生活ディオス】今度のメタルくじの特等は、「対空戦車装備P1」! 空を飛ぶモンスターに絶大な効果を発揮!! 上空を飛び交う目障りなモンスターも、これさえあればもう大丈夫!! 【週刊スターフォール】特集「記者は見た! 追跡! 謎の生命体!!」第二弾!! ついに被害が!? 謎の生命体の襲撃から生還した本誌記者が恐怖の瞬間を告白! 衝撃の瞬間を捉えた映像も公開!! 【ギルド通信】みんなも既に耳にしているだろう。空を飛ぶ謎の生物の目撃が相次いでいる。既に被害も出始めているとの事だ。各カンパニーにこれの調査と討伐を要請する!! 【GWタイムズ】鉄道警備隊広報部からの情報によると、鉄道警備隊統治エリア内で、飛行生命体による襲撃被害が相次いでいるとの事。カンパニーによるテロ行為に加え今回の襲撃被害により、防衛網の再編を余儀なくされている模様。 【運営からのお知らせ】 初心者保護期間中は、カンパニーショップでの出品が出来ません。 ※初心者保護については公式サイトをご参照下さい。 【運営からのお知らせ】 メンテナンス後はブラウザのキャッシュを削除してからお楽しみ頂くことをお薦め致します。 2011/03/02 更新 【WEEKLY NEWS】製菓会社より大量に盗難された「カカオモドキ」が無事各カンパニーの協力により回収されました。ハンターオフィスでは、謎となっているごろマザーたちの犯行動機を検証していく模様です。 【通販生活ディオス】今度のメタルくじの特等は、「古風な服袋Part1」! その清らかな姿には、どんな悪漢も思わず懺悔してしまう事でしょう。大いなる加護をその身に感じられる至高の一品です。 【週刊スターフォール】特集「記者は見た! 追跡! 謎の生命体!!」第一弾!! 「おらは見ただよ! 空を横切る大きな怪物をよ!!」 本誌記者A氏が震えるその手でついに撮影に成功!? 謎の飛行生命体を徹底検証!! 【ギルド通信】「カカオモドキ」の回収ご苦労!! ごろマザーたちもこれに懲りてしばらくは静かにするだろう。 【GWタイムズ】鉄道警備隊広報部からの情報によると、鉄道警備隊統治エリアが、カンパニーにより網羅され、情報が公開されているとの事。鉄道警備隊総本部は本件について、ハンターオフィスに対し遺憾の意を表明した。 【運営からのお知らせ】 初心者保護期間中は、カンパニーショップでの出品が出来ません。 ※初心者保護については公式サイトをご参照下さい。 【運営からのお知らせ】 メンテナンス後はブラウザのキャッシュを削除してからお楽しみ頂くことをお薦め致します。 2011/02/23 更新 【WEEKLY NEWS】製菓会社より大量に盗難された「カカオモドキ」の犯行グループは、真・ごろマザーが指揮する女性盗賊団によるものであると、ハンターオフィスが発表しました。各カンパニーの協力により「カカオモドキ」の回収が順調に進んでいます。 【通販生活ディオス】今度のメタルくじの特等は、「ヤクート袋Part1」! 技術の粋を結集し完成したスーパースーツ!! その驚くべきパフォーマンスを体感せよ!! 【週刊スターフォール】特集「I LOVE ごろマザー!」第二弾!! ごろマザーの家系はなんと代々スーパーモデルだった!? 彼女のビフォー・アフターを図解入りで徹底検証!! 【ギルド通信】「カカオモドキ」を盗難した犯人が判明した! 真・ごろマザーが指揮する5人グループだ!! 引き続き盗難品の回収を行ってくれ!! しかし何故「カカオモドキ」だけ盗んだのか・・・。訳が分からん。 【GWタイムズ】鉄道警備隊広報部からの情報によると、カンパニーの鉄道警備隊管轄エリアでのテロ活動が、一時的に沈静化している事を発表した。それにより警戒態勢は一旦見直される模様。 【運営からのお知らせ】 初心者保護期間中は、カンパニーショップでの出品が出来ません。 ※初心者保護については公式サイトをご参照下さい。 【運営からのお知らせ】 メンテナンス後はブラウザのキャッシュを削除してからお楽しみ頂くことをお薦め致します。 2011/02/16 更新 【WEEKLY NEWS】チョコレートの原料となる「カカオモドキ」が大量に盗難されるという事件が発生しました。製菓会社の被害は甚大なものとなっており、ハンターオフィスが事件解決に乗り出しました。 【通販生活ディオス】今度のメタルくじの特等は、「ナース袋Part1」! 戦場に天使降臨!? その介護姿に敵味方問わず高鳴る鼓動! あなたのハートにラブ注入!? 【週刊スターフォール】特集「I LOVE ごろマザー!」!! ごろマザーをこよなく愛する記者が、彼女に密着取材!! 本誌だけに明かされた彼女の親族たち! 【ハンター白書】賞金首「鬼」の最終討伐報告。赤鬼独角 965社5860体 赤鬼双角 409社1110体 青鬼独角 513社1971体 青鬼双角 247社1870体 【ギルド通信】一難去ったと思ったらまた一難だ! チョコレートの原料となる「カカオモドキ」が大量に盗まれたらしい。目撃証言によると、犯行はどうやらごろマザーらしい。現在はバラバラに潜伏中とのことだ。各カンパニーに討伐を要請する!! 【GWタイムズ】鉄道警備隊広報部からの情報によると、製菓会社での盗難事件の被疑者の1名が、鉄道警備隊管轄エリアに潜伏しているとのこと。本件に関して、鉄道警備隊は干渉しない方針との事。 【運営からのお知らせ】 初心者保護期間中は、カンパニーショップでの出品が出来ません。 ※初心者保護については公式サイトをご参照下さい。 【運営からのお知らせ】 メンテナンス後はブラウザのキャッシュを削除してからお楽しみ頂くことをお薦め致します。 2011/02/09 更新 【WEEKLY NEWS】各カンパニーと「鬼」との一進一退の攻防が続いております。周辺地域では被害を逃れる為、遠隔地へと疎開する住民が後を絶ちません。 【通販生活ディオス】今度のメタルくじの特等は、「ネコ改袋」! 出ました、待望のネコ装備!! 今回は新色で勢ぞろい!! 可愛い装いに社長もまっしぐら! 【ハンター白書】賞金首「鬼」の討伐報告。赤鬼独角 861社3040体 赤鬼双角 351社686体 青鬼独角 440社980体 青鬼双角 215社942体 【ギルド通信】「鬼」討伐ご苦労!! 激しい攻防だが、なんとか戦況は優位に進んでいるぞ! 引き続き「鬼」退治に注力してくれ!! 【運営からのお知らせ】 初心者保護期間中は、カンパニーショップでの出品が出来ません。 ※初心者保護については公式サイトをご参照下さい。 【運営からのお知らせ】 メンテナンス後はブラウザのキャッシュを削除してからお楽しみ頂くことをお薦め致します。 2011/02/02 更新 【WEEKLY NEWS】各地で「鬼」なる新生物の目撃情報があがっています。各カンパニーがそれら「鬼」の討伐の為、急ピッチで準備をしている模様です。 【通販生活ディオス】今度のメタルくじの特等は、「Pz.bis袋」! 初期型を改良し、その性能UPはさる事ながら、見栄えにも力を入れた秀逸の一品! 中にはG.S.を思わせる一品も!? これは手に入れるしかない!! 【週刊スターフォール】限定特集! 「レジェンド オブ 鬼」~すばらしき鬼が島 前編~ 伝説の魔物「鬼」の絢爛豪華な生活ぶりに密着! 前編は、海岸リゾートをクローズアップ!! 【CM】人気のドキュメンタリ映画「国境なきカメラマン」シリーズ第五弾! 「出発を夢見て・・・」絶賛上映中! 【ギルド通信】ついに謎の生物が判明した! 「鬼」という異国では伝説の魔物だそうだ! 不思議な力があるらしく、特定の属性攻撃しか効かない。 念入りに準備の上、早急に討伐に向かってくれ!! 【GWタイムズ】鉄道警備隊広報部からの情報によると、異国の地より飛来した「鬼」なる生物により、カンパニーの攻勢が一時的に治まっているとの事。カンパニーの再侵攻に備え、部隊再編を実施している模様。 【運営からのお知らせ】 初心者保護期間中は、カンパニーショップでの出品が出来ません。 ※初心者保護については公式サイトをご参照下さい。 【運営からのお知らせ】 メンテナンス後はブラウザのキャッシュを削除してからお楽しみ頂くことをお薦め致します。 2011/01/26 更新 【WEEKLY NEWS】遠い異国の地より、赤と青の巨大生物が近づいているという情報が入りました。その影響による各地での混乱を懸念し、ハンターオフィスは早急に各カンパニーへの協力要請を打診している模様です。 【通販生活ディオス】今度のメタルくじの特等は、「動物武器袋Part2」! バイオアニマルが飛躍的に強化!! これを持てば、皆から羨望のまなざしを受ける事間違いなし!? 【週刊スターフォール】特集「もし弱小賞金首のごろチーフがドラ●●●の『マネジメント』の本を読んだら」を徹底検証!! 著者ごろカルテットにより、賞金首マネジメントを分かりやすく解説した本書。その効果やいかに!? 【ギルド通信】気になる情報を入手した! 遠方よりこっちの方面に謎の巨大生物が接近しているとの事だ! 何もなければいいが、なぜか胸騒ぎがする。各カンパニーは準備をしておいてくれ!! 【GWタイムズ】鉄道警備隊広報部からの情報によると、膨大な防衛費を投じて配備された無敵列車砲が、52社のカンパニーによって攻略され、その防衛線を大きく崩されているとの事です。 【運営からのお知らせ】 初心者保護期間中は、カンパニーショップでの出品が出来ません。 ※初心者保護については公式サイトをご参照下さい。 【運営からのお知らせ】 メンテナンス後はブラウザのキャッシュを削除してからお楽しみ頂くことをお薦め致します。 2011/01/19 更新 【携帯ミニゲームランキング】 ※ドラム缶おせ! 1位・・・174.17m 2位・・・172.77m 3位・・・172.59m ※戦車でバンバン! 1位・・・16,400 2位・・・15,500 3位15,400 【WEEKLY NEWS】各カンパニーの活躍により、ごろカルテットの反乱も収束を向迎えた模様です。長期間続いた混乱が収まり、ハンター達はひとまずの休息を満喫しております。 【通販生活ディオス】今度のメタルくじの特等は、「バレニソ袋Part1」! 不動の人気を誇るあの「バトルレオタード」に、何と「ニーソックス」がついた至高の一品! その立ち姿に興奮のボルテージもMAX!! 【週刊スターフォール】ミケラングルメ特集第4弾!! 今週のミケラングルメは「ぴちぴち触手とヤドカリの白身の香草焼き」! ぴちぴちとした食感と、ヤドカリ特有の甘い香りが食欲をそそります! ★★☆ 【ハンター白書】ごろカルテットの討伐報告。弱 396社685体 中 379社989体 強 916社5306体 超 485社2232体 激 202社1739体 【ギルド通信】バスタードに続き、ごろカルテットの討伐ご苦労!! おかげで大きな混乱は回避出来た。引き続き有事に備えて準備はしておいてくれ。 【運営からのお知らせ】 初心者保護期間中は、カンパニーショップでの出品が出来ません。 ※初心者保護については公式サイトをご参照下さい。 【運営からのお知らせ】 メンテナンス後はブラウザのキャッシュを削除してからお楽しみ頂くことをお薦め致します。 2011/01/12 更新 【ハンター白書~その2~】ごろカルテットの討伐報告。弱 184社308体 中 146社307体 強 265社1070体 超 172社783体 激 55社188体 【WEEKLY NEWS】イエローバスタードの亜種が掃討されはしたものの、ごろカルテットの蛮行は依然衰えません。各カンパニーの対応に期待が掛かっております。 【通販生活ディオス】今度のメタルくじの特等は、「新春バニー袋」! おめでたい新春にぴったり!? セクシーな装いで貴殿ももうメロメロ! 秘められた能力でモンスターも「イ・チ・コ・ロ」!! 【週刊スターフォール】新春特集! 最近のイケてる賞金首は? 第一位は「ブラックバスタード」!! 程よい強さと豊富な経験値、そしてドロップ品が魅力的! マルチな魅力で堂々の1番人気です!! 【ハンター白書~その1~】イエローバスタード亜種の討伐報告。ホワイト 537社2310体 グリーン 660社4500体 ブラック 1542社28132体 レッド 166社2199体 【運営からのお知らせ】 初心者保護期間中は、カンパニーショップでの出品が出来ません。 ※初心者保護については公式サイトをご参照下さい。 【運営からのお知らせ】 メンテナンス後はブラウザのキャッシュを削除してからお楽しみ頂くことをお薦め致します。 【運営からのお知らせ】「メタルサーガ・ニューフロンティア」をご愛顧下さいまして誠にありがとうございます。より良いサービスを提供すべく努めて参りますので、2011年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。 【ごろカルテットからのお知らせ】 ひゃっは~!! あけましておめでたいなぁ! 今年もよろしくな!! だがおれたちは暴れてるがなあ!! 名前 コメント
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前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略) 「……にわかには信じられませんわね。これは」 学院長室でテーブルに置かれた砕けた煉瓦を前にして人差し指を額に 当てるエレオノール。その煉瓦はオスマンの言葉を信じなかった彼女に 真実を伝えるもの――厳重な『固定化』と『硬化』が施されていながら 中心を貫く一条の穴から真っ二つになっている。トリステイン王国が誇る 魔法研究の最先端を自負する王立魔法研究所、通称『アカデミー』の 主席研究員であり、そこで土魔法の研究を行っているエレオノールには、 それが常軌を逸する結果としか思えなかった。 「お前さんもアカデミーの主席を務めるならいい加減理解せんかい。 お前さんの妹が呼び出した使い魔の持っとる銃は、スクウェアメイジが 束になってかかっても防げん。ワシが生徒を傷つけんよう約束させとらん かったら、決闘をふっかけたミスタ・ロレーヌが蜂の巣になっとるところじゃ。 ことがことだけに手紙には詳しく書くわけにはいかんかったが、 お前さんの妹の爆発はぐずぐずになったところの最後の一押しでしかないわい」 そう言って溜息をつくオスマン。いったい何度目だろうか。 ヴァリエール家は決闘を受けて立った側に過ぎず、ルイズも故意に本塔を 破壊したわけではないことは理解してもらえたが、その原因を エレオノールは頑として認めようとしなかった。 (まぁ、ワシでも実際にあの銃を見とらんかったら信じられんがの。 しかし、妹は妹で頑強な理想家じゃが、姉も姉じゃったのぉ…… すっかり忘れとったわい) オスマンは内心嘆息する。それほどふがくが持つ機関短銃は、この ハルケギニアにおいてオーバーテクノロジーなのだ。それこそ動作不良を 起こしている『破壊の杖』、そして聖地でまれに見つかる『場違いな 工芸品』が実際に稼働している状態だといえる。オスマンはエレオノールが 変な研究意識を出してふがくの機嫌を損ねないかだけを心配していた。 銃どころかふがくを解体して研究する、などと言い出したが最後、 この国はそこに住む人間ごと瓦礫の山にされかねない。 そんなオスマンの心境を知ってか知らずか。エレオノールは小さく 溜息をつくと人差し指で眼鏡をついと持ち上げた。 「……とにかく、2、3日で戻ってくるらしい『姫殿下のお願い』で 出払っている妹が戻ってから直接話を聞くことにします。それまでここに 滞在させてもらいたいと思いますが……妹の部屋を使わせてもらっても?」 「まぁ、ミス・ヴァリエールの部屋はお前さんにとっては懐かしい部屋 じゃろうがの。 姫殿下が使っていた貴賓室を使うとええじゃろう。今のお前さんは ラ・ヴァリエール公爵の名代。誰も文句は言わんよ」 「ありがとうございます」 「世話には姫殿下からもご指名を受けたメイドをつけよう。お前さんの 妹とも懇意にしておるからの。暇があれば話を聞いてみるのもええじゃろ」 「おちびと……?」 オスマンからその話を聞いたエレオノールは驚きの表情を隠せなかった。 彼女の妹、ルイズが平民と親しくするなど、ラ・ヴァリエール領にいた ときには考えられなかったからだった。 それから時をさかのぼり、払暁のニューカッスル―― 突如として城に舞い降りた3人に、城内は騒然となった。たちまちルイズたちは 杖を構えるアルビオン兵に取り囲まれ、その騒動は一人の年老いたメイジが 彼女たちの前に姿を現すまで続いた。 「……トリステイン王国よりの密使、とは貴殿らのことか?」 ウェールズ皇太子の侍従を務めるパリーと名乗った老メイジは、ルイズの 言葉の真贋を確かめるような視線で3人を見る。 「証拠を!証拠をお見せします。 ……これは、アンリエッタ姫殿下からお預かりした『水のルビー』です」 そう言って、ルイズは制服の内ポケットから透き通った水色に輝く 大粒の宝石がついた指輪を取り出す。『水のルビー』を見たパリーの顔が 一変し、ルイズたちを包囲していた兵を直ちに下がらせた。 「戦時故、大変失礼を致しました。大使殿。 皇太子殿下は現在不在にて、しばしお待ちいただくことになります。 ささ、こちらへ」 礼を失したことを詫びるように深々と頭を下げるパリー。パリーに 案内されるまま歩を進めるルイズとギーシュ。しかし、ふがくがさっきの 騒動の最中から全く動かないことにルイズがようやく気づく。 「……ふがく?」 「……全部躱したと思っていたんだけど……一発掠ってたみたいね」 ふがくがそう言うと、かしゃんと乾いた音を立てて金の額飾りが石の 床に落ちる。頬を伝う赤いオイル。がくりと膝をつくふがくに、ルイズたち のみならずパリーたちも騒然となった。 「水メイジを!急ぐのだ!」 「……それで?大使殿は今どうしている?」 「大使殿を運んできた『フガク』というガーゴイルの側に。 いやはや。人間そっくりなガーゴイルでして。『癒し』の魔法がある 程度は効果を及ぼしたようで出血……と言えばよいのでしょうか? とにかく損傷も回復しつつあるようです」 ニューカッスル城郭直下の秘密洞窟港より城内へ続く通路の途上。 侍従のパリーからウェールズ皇太子が不在中の状況について説明を受ける。 パリーの話から、東の空で自身が見たあの不可思議な流星群がその 『フガク』であると確信したウェールズ皇太子は、アンリエッタ姫からの 密書を携えたルイズたちについて考えを巡らす。 「トリステイン魔法学院からラ・ロシェール上空を経由してニューカッスルまでを 一晩で飛ぶ人間そっくりなガーゴイル、か。大使殿は確かにラ・ヴァリエール 公爵家の者だと?」 「はい。それにグラモン元帥のご子息も。密書の内容は殿下にお会いした ときに明かす、とのことで」 「分かった。すぐに会おう」 「……もう大丈夫だって!掠ったのだってちょっと油断してただけだし!」 頭に包帯を巻かれ強制的に椅子に座らされたふがくが抗議の声を上げる。 なお、翼は治療を受ける際に外している。オイルの流出自体は自動漏洩 防止装置の働きですぐに止まったが、ルイズたちにはほぼ同時にかけられた 治癒魔法の効果だと思われていた。 「し、心配したんだからね!いきなり血を流して膝をつくから……椅子 じゃなくてしばらく横になってなさい!」 「だからそんな必要ないってば!」 言い合う二人。そんな二人に挟まれておたおたするしかないギーシュも、 ノックの後に部屋に入ってきた二人の人物の姿に気づかなかった。 「これはまた元気なことだな」 唐突に聞こえたその声に背を向けていたルイズが振り返る。そこには 短銃を収めた革製のホルスターと長剣としての機能を併せ持った杖を佩き、 青を基調に金ボタンと金糸で飾られたアルビオン空軍の士官服を着た 金髪の青年と、先ほどの老メイジ、パリーがいた。 「遠路はるばるようこそ。ノックはしたが気づかなかったようでね。 入らせてもらった」 そう言ってさわやかに笑う青年。整った顔立ちに青い瞳が涼風のような 印象を与える。ルイズは一瞬誰かと思ったが、今ここに来るべき人間に 思い当たって小さくあっと声を上げた。 「勝手に入った非礼を詫びよう。 私は……アルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官……と言っても 本国艦隊はすでに戦列艦『イーグル』号しか存在しない、無力な艦隊 だがね。まぁ、その肩書きよりこちらの方が通りがいいだろう」 そこまで言って、青年は一度言葉を切る。そして威風堂々、名乗った。 「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」 ギーシュは口をあんぐりと開けた。ふがくは礼を失しない程度に興味 深そうに皇太子を見つめる。 ウェールズ皇太子は、にっこりと魅力的な笑みを浮かべると、 ルイズたちに席を勧めた。 「改めて、アルビオン王国へようこそ。大使殿。さて、御用の向き伺おうか」 唐突のことに心の準備ができていなかったルイズ。しかし、すぐに 気を取り直して制服の胸ポケットからアンリエッタ姫の手紙を取り出すと、 恭しくウェールズ皇太子に近づき、一礼をして手紙を手渡した。 ウェールズ皇太子は、愛しそうにその手紙を見つめると、封蝋に接吻する。 それから慎重に封を開き、中の便箋を取り出して読み始めた。 ウェールズ皇太子はしばし真剣な顔で手紙を読み、そのうちに顔を上げた。 「姫は結婚するのか?あの、愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……従妹は」 「そ……そのとおりです。皇太子さま」 ルイズの肯定の言葉を聞き、再びウェールズ皇太子は手紙に視線を落とす。 最後の一行まで読み終えると、ウェールズ皇太子はルイズたちに微笑んだ。 「了解した。姫は、以前渡した手紙を返して欲しいとこの私に告げている。 何より大切な、姫からの手紙だが、姫の望みは私の望みだ。そのように しよう」 その言葉にルイズの顔が輝いた。 「手紙は私の部屋にある。一緒に来てもらいたい」 ルイズたちは、ウェールズ皇太子に付き従って城内の彼の居室へと 向かった。城の一番高い天守の一角にあるウェールズ皇太子の居室は、 敗走する現状を反映してか、王子の部屋とは思えない質素な部屋だった。 飾りの一つもない木製の粗末なベッドに、古ぼけた椅子と机が一組。 壁に飾られた、戦の様子を描いたタペストリーが、ほぼ唯一の装飾品とも いえた部屋――それはルイズたちに『戦に負けるということ』の事実を 何よりも雄弁に語りかけている。 ウェールズ皇太子は椅子に腰掛けると、古ぼけた机の引き出しを開いた。 そこに入っていたのは、この場には似つかわしくないとも思える宝石が ちりばめられた小箱。ウェールズ皇太子は首にかけられたネックレスを 外し、小さな鍵になっているその先端部を小箱の鍵穴に差し込んだ。 開かれた蓋の内側には、アンリエッタ姫の肖像画が描かれている。 今よりも少女らしさが残るその絵をルイズたちが覗き込んでいることに 気づいたウェールズ皇太子は、はにかんで言う。 「宝箱でね」 箱の中には一通の手紙が入っていた。それがアンリエッタ姫のもので あるらしい。ウェールズ皇太子はそれを取りだし、愛しそうに接吻する。 「アンリエッタ……」 ルイズはその様子に胸が痛くなる。果たしてそれを受け取って良いもの なのだろうか……いや、アンリエッタ姫があの密書に記したことは、 もっと他にあったのではないか?ルイズの思いをよそに、ウェールズ 皇太子は手紙をルイズに手渡す。 「さ……これが以前姫からいただいた手紙だ。このとおり、確かに返却したぞ」 「ありがとうございます」 ルイズは深々と頭を下げると、その手紙を受け取る。 (すごいボロボロ。何度も読まれたのね……) トリステイン王家の百合の紋章が記されたその封筒は、何度も折り 返された上質な紙が傷み丁重に扱わないと破れてしまいそうだ。手紙を 丁寧に制服の内ポケットにしまい込んだルイズに、ウェールズ皇太子は 優しく語りかける。 「明日の朝、非戦闘員を乗せた『イーグル』号がここを出港する。それに 乗ってトリステインへ帰りなさい」 「あの、殿下……。王軍に勝ち目はないのですか?」 ルイズは躊躇うように問うた。至極あっさりとウェールズ皇太子は答える。 「ないよ。我が軍は三百。敵軍は五万。万に一つの可能性もあり得ない。 我々にできることは……はてさて、勇敢な死に様を連中に見せること だけだな。討ち死にするときには真っ先に死ぬつもりだよ」 はたでやりとりを見ていたふがくは溜息をついた。もはや抵抗ですら なく、塗りつぶされるだけの最悪の玉砕戦。万歳突撃を敢行する指揮官で あるウェールズ皇太子にいささかも取り乱した風がないのは、すでに 覚悟を決めているということ。非戦闘員にも玉砕を命じないだけ立派ね ……そう考えるふがくの横で、ルイズが深々と頭を垂れて一礼する。 言いたいことがあるらしい。 「畏れながら申し上げます! 何故……負けと分かっているのに戦うのですか!? 姫様の手紙には亡命してほしいと書かれているはず。姫様がご自分の 愛した人を見捨てるわけがございません!」 ウェールズ皇太子は微笑んだ。ルイズが言いたいことを察したからだ。 「きみは……従妹のアンリエッタと、この私が恋仲……だと?」 ルイズは頷く。 「そう想像いたしました。とんだご無礼を、お許し下さい」 ウェールズ皇太子は額に手を当て、言おうか言うまいか、少し悩んだ 仕草をする。そして……静かに言った。 「愛し合っていた。そう。あの手紙はきみが想像しているとおりのものさ。 確かにアンリエッタが手紙で知らせてきたように、この恋文がゲルマニアの 皇室に渡っては、まずいことになる。なにせ、彼女は始祖ブリミルの名に おいて、永久の愛を私に誓っているのだからね。 知ってのとおり、始祖に誓う愛は、婚姻の際の誓いでなければならない。 この手紙が白日の下にさらされたならば、彼女は重婚の罪を犯すことに なってしまうだろう。ゲルマニアの皇帝からは、重婚を犯した姫との婚約は 取り消され、同盟相成らず…… トリステインは一国にて、あの恐るべき貴族派に立ち向かわなければ なるまい」 ウェールズ皇太子は窓から外を見る。そこに見えるのはニューカッスル城と 大方の疎開も終わり人気の絶えた城下の街、そしてそれらを取り囲む城郭と、 そのすべてを包囲する叛徒の軍――だが、ルイズにはその向こうに ウェールズ皇太子が別な姿を見ていると確信していた。 「……だが問題ないよ。始祖ブリミルの名において、永久の愛を私に 誓ったのはずいぶん前のこと。 そう。昔の話さ」 「殿下、亡命なされませ!トリステインに亡命なされませ!」 熱っぽい口調でウェールズ皇太子にそう言ったルイズ。そこにギーシュが よってきて、すっとルイズの肩に手を置く。しかし、ルイズの剣幕は 収まらない。その様子に、ウェールズ皇太子は笑いながら言った。 「――それはできんよ。 それに、そのようなことは、一行も書かれていない。 私は王族だ。嘘はつかぬ。姫と、私の名誉に誓って言うが、ただの 一行たりとも、私に亡命を勧めるような文句は書かれていない。 そして、アンリエッタは王女だ。自分の都合を、国の大事に優先させる わけがない」 その口調には苦しみがにじみ出ている。その口ぶりから、ルイズの 指摘が当たっていたことがうかがえた。ウェールズ皇太子は、そっと ルイズの肩を叩く。 「きみは、正直な女の子だな。ラ・ヴァリエール嬢。正直で、まっすぐで、 いい目をしている。 一つ忠告しよう。そのように正直では大使は務まらぬよ。しっかり しなさい」 ウェールズ皇太子は微笑んでいる。白い歯がこぼれる、さわやかで 魅力的な笑み――アンリエッタ姫が心奪われた笑みだった。 「しかしながら、亡国への大使としては適任かもしれぬ。明日にも滅ぶ 政府は誰より正直だからね。何故なら、もはや名誉以外に守るものが ないのだから」 それから机の上に置かれた、ある意味ここには不似合いなほど精巧に 作られた水が張られた盆の上に載った針を見つめる。形からそれは時計 であるとふがくにも分かった。 「そろそろパーティの時間だ。きみたちは、我らが王国が迎える最後の 客だ。是非とも出席してほしい。 さあ、広間へ案内しよう」 そう言って扉を開けるウェールズ皇太子。だが、ルイズは一瞬ふがくに 目を向けた後、きっぱりと言った。 「……叛徒を退ければ、亡命していただけますか?」 「ルイズ?」 ギーシュがそう口にするやいなや、ルイズは今度はしっかりとふがくに 向かい合う。 「ふがく、命令……」 「却下」 「な、どうして!」 命令を途中で却下したふがくに憤るルイズ。だが、ふがくはそれには お構いなしに言い切る。 「アンタね、ここで私たちが武力介入したらどうなると思っているの? それも分からないの?」 「そうだよ、ルイズ。僕たちは、ここにいないことになっている人間なんだ。 まさかラ・ヴァリエールやグラモンの旗をここで掲げるわけにはいかないんだよ?」 ギーシュもふがくと同様に、ルイズが何を言いたいのか理解していた。 確かにふがくならば、5万の敵兵を焼き払うこともできるだろう。 だが、それは同時にトリステイン王国のアルビオン王国内乱への介入を 世間に知らしめることにもなる。ニューカッスルを包囲する軍勢が貴族派 ――『レコン・キスタ』の全勢力であるはずがない。そして、それは ゲルマニアとの同盟を果たさぬまま、トリステイン一国での宣戦布告に 他ならないのだ。しかし、それでもルイズは食い下がる。 「なら……すべて焼き払えばいいじゃない!敵兵も、あの艦隊も!報告 すらできないように! ふがく!」 そう言ってルイズはふがくの千早の袖にしがみつく。顔を伏せ、その 声は涙混じりになっている。ふがくもルイズの言いたいことは分からない でもない。だが、それでも実行してはならない命令はあるのだ。ふがくが それを告げようとしたとき、扉の方から別の声がした。 「いいんじゃない?それ。私も手伝ってあ・げ・る」 ルイズが振り返る。その視線の先には…… 「ル、ルーデル!?」 そこには――鋼の翼を背負い漆黒の軍服に身を包んだドイツの鋼の 乙女、急降下爆撃機Ju-87スツーカのルーデルが、にこやかに手を振っていた。 前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略)
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登録日:2014/06/27 Fri 20 52 04 更新日:2024/06/27 Thu 09 05 31NEW! 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 FE FEエピソード項目 どうあがいても絶望 みんなのトラウマ アルヴィス シグルド ターニングポイント ドラクエではない ネタバレ項目 バッドエンド バーハラの悲劇 バーハラの戦い ファイアーエムブレム ファラフレイム メティオ ラグナロク 世代交代 全滅エンド 凱旋 失意の果て 悲劇 愛しい人 戦争の転換点 聖戦の系譜 衝撃の結末 謀略 負けイベント 運命の扉 騙し討ち 黒い任天堂 バーハラの悲劇とは、『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』5章クリア後のイベント。 多くのエムブレマーに多大な絶望を与えた、みんなのトラウマでもある。 以下、先のイベントで負ったトラウマに直接塩を抉りこむような展開につき注意。 ◇これまでのあらすじ 主人公・シグルドは、王子殺しの汚名を着せられながらも自らの無実を証明するため、 大陸最高戦力であるグランベル正規兵を相手に最後の戦いを仕掛け、父バイロンから聖剣ティルフィングを継承し、 同じ聖戦士の末裔である仇敵のランゴバルド卿、宰相レプトールに勝利する。 かつてシグルドに銀の剣を与え、レプトールとの戦いの時にも加勢してくれたアルヴィス 率いるヴェルトマー軍。 その側近であるアイーダの手筈のもと、シグルド軍は念願だったバーハラ王都への凱旋を果たす。 ここまでの道のりは決して勝利の勢いのまま進んでいたわけではなかった。シグルドは勝利の度に大きな犠牲を生んでいた。 自身にとって唯一の肉親であるバイロン卿を失い…… 共に国を担うものとしての将来を誓い合ったキュアン、さらに妹であるエスリンを失い…… 戦渦に巻き込まないために、子供のオイフェとシャナン、息子セリスを疎開させる別離…… 仲間たちも最愛の人との幸せを噛みしめつつも、悲報の数々に動揺を隠せなかった。 大切の人を想う反面、どこか不安を抱えながらもシグルドと共に王都へと向かう。 ※ここから先は悲劇が待っています。 知りたくない人、心の準備ができていない方はブラウザバックして下さい。 刺激が強すぎる恐れがあります、本当に覚悟はいいですか…? ――バーハラ王都郊外 アルヴィス率いるヴェルトマー軍は、王都郊外にてシグルド軍を迎え入れる。 シグルドは、主君であるグランベル王アズムールに戦いの真相を伝えようとするが、 国王は病気で動けず、側近であるアルヴィスが全ての代理を引き受けると言い出す。 あとで王宮で直接お詫びを申し入れようとして、そのまま凱旋式は何事もなく終わるはずだったのだが―― 「それにはおよばぬよ」 「えっ?」 アイーダより聞かされていた話から一転し、シグルドは父バイロン卿と共謀して国家転覆を企てた反逆者として処刑を宣告される。 さらに、今まで行方不明となっていた妻ディアドラと、目の前にいる首謀者の妻として再会を果たす。 しかし、彼女は全ての元凶である大司教マンフロイの術に掛かり、今までの記憶を全て失っていた。 絶望的な状況の中でも、お互い魅入るように言葉を交わすシグルドとディアドラ。 アルヴィスは、ディアドラをこれ以上シグルドに逢わせることに本能で危険を感じ、従者に命じて彼女を城内へと戻す。 そして、シグルド軍の公開処刑を全軍に告げた。 「アルヴィス……きさま!」 弁明の余地もなくアルヴィスの指揮の下、自軍の周りにいたバーハラ王国の同盟軍(緑)の色が変わり、敵軍である赤色に染め上がる。 自軍全体に降り注ぐ隕石を落とす炎魔法メティオによる殲滅戦が始まり、王都バーハラ郊外は戦渦に包まれた。 「シグルド、もはやこれまでだ」 そして、聖戦士の末裔の一人であるアルヴィスは、神の炎とも呼ばれるファラフレイムをシグルドに向けて放つ。 数々の悲劇と死闘を乗り越えて来たシグルドと聖剣ティルフィングを以てしても、完全には避けられず大きなダメージを受けてしまう。 薄れる意識の中でアルヴィスに深手を負わせるも、シグルドは複雑に感情が入り混じったまま再び炎に包まれ、聖剣を残して絶命してしまう。 その他にもチート神器フォルセティを持って挑んだレヴィンが、マンフロイに挑むも敗北している。 分断された状況で指揮系統が乱れる中でも善戦したものの、大将のシグルドが討ち取られたことでシグルド軍は敗走。 仲間達はほとんどが戦死、および生死不明となってしまう。 大陸の象徴でもあり絢爛豪華な王城の郊外を舞台に行われたこの一戦は、後にバーハラの戦いと呼ばれ、 ひとつの時代の終わりとして語り継がれることとなった……… ●プレイヤーに与えた影響 今まで苦労して育ててきたユニットが、7章で再加入するフィン以外は、全て次の章から使えなくなってしまうこと。 そのため、お気に入りやエース級だろうと強制的に物語上から離脱してしまうので、感情移入は大きくなる。 NTR、裏切り、そして全てを失ったまま主人公が死亡してしまう展開。 主人公+伝説の武器による最強の組み合わせの敗北。 まるで映画ワンシーンのように長いBGMが自動セリフに合わせて流れる演出。 赤く染まる画面とセピア色に変わる画面の色による悲劇性の強調。 それこそ、バッドエンドと見間違えるような、重苦しい展開の数々…… ちなみにこのイベントはエンディングの扱いとなるため、スタートボタンでスキップすることはできない。 ゲーム全体を通してもこれほど悲劇性を強調したイベントはそう簡単には見つからない。 このイベントは本作のテーマの一つである『戦いのむなしさと悲惨』を、今まで育ててきたユニットが物語上全滅する形で強烈に伝えている。 次の戦いからは再びレベル1から始まる子世代編に移行することも相まって、セーブデータを間接的に消去するような絶望感も同時に味わうことになる。 また、リアル世代のエムブレマーには衝撃すぎる結末に「泣いた」との報告がいろいろな場所で聞かれている。 ●物語に与えた影響 当代の聖戦士の血族が敵味方問わず、ほとんどが戦死してしまったこと。 真の謀反人であるランゴバルド、レプトールの二名もかつて世界を救うために戦った正義の聖戦士の末裔であり、 言い方を変えればライダーバトルのような戦いによって次々と倒れていったのだ。 ◇バーハラの戦いで犠牲になった聖戦士の血族 シグルド(バルド直系・聖剣ティルフィング) ブリギッド(ウル直系・聖弓イチイバル) アンドレイ(ウル傍系) レックス(ネール傍系) アゼル(ファラ傍系) ランゴバルド(ネール直系・聖斧スワンチカ) レプトール(トール直系・雷魔法トールハンマー) レヴィン(セティ直系・風魔法フォルセティ) クロード(ブラギ直系・聖杖バルキリー) ◇先の戦いで倒れた聖戦士の血族 エルトシャン(ヘズル直系・魔剣ミストルティン) エスリン(バルド傍系) キュアン(ノヴァ直系・地槍ゲイボルグ) 合計で10人もの聖戦士の血族が、そのうち神器を継承した直系に限っても8人と半分以上が戦いの中で命を落としている。 なお、形式上はアイーダに話しかけてクリアなのだが、 実はこの章の勝利条件は『バーハラ城の制圧』であるため、本当は達成できていない。 しかも、アルヴィスの治めているヴェルトマー城も制圧していない。この章は、ゲーム的に見ても本当の意味での戦いには負けているのである。 グランベル王は、仮病ではなく本当に病に伏せて動けなくなっていた。 バーハラの悲劇によって、国を治める成人の有力者がいなくなったことで数少ない生き残りであるアルヴィスが全権を握るようになった。 特にこれから総仕上げに制圧する国の大半も、シグルド軍が先に戦っていたことが仇となってしまい、 守備軍はボロボロで国力も疲弊しきっており、今や無敵のグランベル軍を止められるはずもなく制圧されてしまう。 大陸全土がグランベル軍によって統治され、王国はグランベル帝国へ名前を変えた。 そんなアルヴィスにも弱みがあり、大陸を絶望に陥れた暗黒神の末裔の血を実は引いており、そのことを世間に暴露されることを一番恐れていた。 暗黒神の秘密を握る暗黒教団を表向きでは抑えつつも、裏では完全に踊らされていたのであった。 傷ついた体でバーハラ城内に戻り、ディアドラの治療を受けるアルヴィス……。 この二人を見てほくそ笑む暗黒教団。 多くの人々は誰も気づいていなかった…悲劇の裏側では暗黒神の復活が近いことを、 そして、大陸が再び絶望の闇に包まれようとしていることも―――――― そして、光は……… … + 回避方法? 実はこのイベント、見ないで済む方法があるのはご存じだろうか。 通常、5章ではヴェルトマーがフリージを裏切って中立になり、フリージの大将レプトールを倒してアイーダに話しかけるとクリアとなり、上記の流れが綴られる。 しかし、クリアの方法は実はもう1つある。それはヴェルトマーがフリージを裏切るより前にヴェルトマー城を制圧してしまうことである。 裏切って以降はアイーダがヴェルトマー城に立つが、レプトールはヴェルトマー城には一度も立たず、フリージ軍も誰一人城周辺を塞いでいないので、 裏切る前の城はガラ空き。そのスキを突いて一気に制圧してしまうのである。 方法としては、フリージ軍の進軍開始エリアに進入したそのターンのうちにヴェルトマー城まで行き、制圧する事。 そのターンを終了するか、フリージ軍の誰かと戦闘するとヴェルトマーの裏切りのイベントが入ってしまうので、これらはNG。 レスキュー、及びレッグリング又は踊るのいずれかが必要となりハードルは高いが、これらがあれば理論上誰でも達成は可能。 この方法で制圧すると、その後のイベントが全部飛ばされ、いきなり子世代の6章の開始まですっ飛ぶ。 もちろん、この悲劇が無かった事になる訳ではないので、いきなりこの方法を取るとプレイヤー視点では話が見えなくなってしまう。 ただ、プレイ時間としては大幅の短縮が可能なので、特にRTA等をやる場合では必須のテクニックになる。覚えて損は無い。 + ... このイベント中に出てくる敵ユニットには一応内部データが設定されているのだが、あのファイアマージ軍団は実は内部データではメティオを持っていない。 あのメティオの雨は何だったんだ。 チートを使ってバーハラの戦いを戦ってみた動画でなら見ることが出来るが、ここの軍団には能力自体は設定されているがジェネラルもファイアマージもマージナイトもイベント専用ユニットなので「動く設定」が全くされておらず、序章のデータを使いまわしているアルヴィスだけが動いて襲ってくるという設定。誰が呼んだか通称ニートリッター。 所属はもちろんバーハラ軍だがロートリッター(ヴェルトマーの騎士団)である。 追記・修正は親世代達の装備継承を吟味してからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] このイベント見た後に改めて5章のBGM聴くとホントに泣ける。辛いイベントだけど、これも含めてドラマ性とストーリーっていう点では聖戦はFE最高傑作だと思うわ。 -- 名無しさん (2014-06-27 22 30 26) アルヴィスってディアドラがシグルドの妻だって知ってたんだっけ? -- 名無しさん (2014-06-28 00 05 31) ある意味ラグナロクだよなあ -- 名無しさん (2014-06-28 12 56 23) ↑↑薄々は勘付いてたようだけど、最後のシグルドとディアドラが再会するシーンで確信したって感じだったはず。だからアルヴィスも少なからず動揺してた。 -- 名無しさん (2014-07-01 23 06 28) 推敲せずにシリアス語りゃギャグになる代表例みたいな記事 -- 名無しさん (2014-07-01 23 11 20) とりあえずこれだけは言わせてくれ。直径ってなんだ直径ってwww -- 名無しさん (2014-07-01 23 21 45) Q:このイベントで一人だけ4回焼かれてるキャラがいます それは誰でしょう -- 名無しさん (2014-07-01 23 29 29) A:アーダン……です…… -- 名無しさん (2014-10-02 23 01 18) 全ての元凶はマンフロイ含む暗黒教団。 -- 名無しさん (2014-10-30 20 20 19) 暗躍系キャラとしてはマンフロイの有能さは最高峰だな -- 名無しさん (2015-09-15 22 51 34) このイベントのために用意されたバーハラ~ヴェルトマー街道 -- 名無しさん (2015-09-15 23 00 54) ↑3 けどランゴバルドやアルヴィスの欲望は暗黒教団無関係の人間の業に過ぎないし、教団にしても王国から弾圧された恨みがあったりしたんだよな。悲劇の火種を用意したのは教団でも、人間自身にも邪悪な要素があるのだ… -- 名無しさん (2015-09-15 23 18 15) ↑ でも小説とかの後付かもしれんがロプト教団めちゃくちゃやってたしなぁ。そのころと教義変わってないんだからそりゃ迫害もされるよ -- 名無しさん (2016-12-14 09 27 43) 最初は暗黒教団自体は別に大した力を持ってなかったんだし、付け入れられて暗躍を許した連中が元凶だろ -- 名無しさん (2017-05-15 23 26 48) 大沢版ではアルヴィスがさらに卑劣になっている。しかもディアドラが記憶を取り戻したうえで目の前でシグルドを惨殺されるのでさらに悲惨に -- 名無しさん (2017-05-16 01 27 29) なお、後にマンフロイ痛恨のマヌケプレーでユリウスにバーハラで悲劇が繰り返されるのでした… -- 名無しさん (2018-04-19 21 40 52) もしは許されないがエルトシャンの死を防げてたら後の展開はもっと変わっていたかもしれない -- 名無しさん (2018-07-15 22 48 32) エルトシャン(や関係者)が暗躍してる連中のことを知らない時点で無理やろ。またすぐ別の火種が投入されるだけ -- 名無しさん (2019-05-08 13 18 12) シルヴィアやティルテュなど生き残ったキャラもいたがその後の末路は…。 -- 名無しさん (2020-01-23 22 01 12) 現在の仮面ライダーゼロワンがまさにこの路線をいってる -- 名無しさん (2020-03-30 05 30 46) レスキューの杖を使って強引にヴェルトマー城を制圧すればこのイベントをすっ飛ばして第6章を始められるけど、コレをやるとストーリーが訳わかんなくなるねw -- 名無しさん (2020-03-30 06 14 45) 起きた当時は「~の変」だったのが時代の経過によって見直されて「~の悲劇」と改題されたとかいう経緯があったりしそう -- 名無しさん (2020-03-30 06 16 45) 超豪華なやっつけ負けで納得させた -- 名無しさん (2020-07-28 20 36 11) まあ抵抗しまくって敵の7割ぐらいは殲滅したと思いたい -- 名無しさん (2020-07-29 00 01 37) ↑OPデモのレヴィン見るとかなりいいところまで反撃してたっぽい -- 名無しさん (2022-01-18 17 13 51) 普通にゲーム的に戦うとどうあがいてもシグルド軍による一方的な惨殺が待ってるだけだからね。因みにステータスで見ればティルフィングを手に入れたシグルドには普通に育ててもアルヴィスではよほど運が味方しないと先制できてもまず一騎打ちでは勝てない。 -- 名無しさん (2022-09-16 15 55 04) 「自分でシグルド軍を操作できれば負けなかったのに!」って思う人は多いと思うが、実際アルヴィスもシグルド軍の強さには最大級の警戒を払っていたと思われる だからこそ確実にシグルドを始末するために抵抗する(=プレイヤーに操作権を渡す)ことを許さずに卑劣な騙し討ちまで使う必要があったわけだ -- 名無しさん (2023-03-31 01 28 38) 何が良いかってこれが公式名称じゃなくファンによる通称だってこと -- 名無しさん (2023-12-30 10 36 40) コメアウト見たけど擁護意見としてはツッコミどころが多いし弱いと思うよ、シグルド軍には弟のアゼルがいて三章終わりから一年近くたっていたこと、シグルドに対して客観的な証拠がないことは完全無視、アルヴィスに権力がないなら第二部に出てきた子孫たちを敵に回す結果になりかねないこと、意見の中に書かれてもいない先制攻撃とか書いてあること。もう少し論証が欲しいね。 -- 名無しさん (2024-06-27 04 06 41) そもそもランゴバルドやレプトール倒してからイザーク行けば良かったとあるけどクルト暗殺容疑がより固まるだけだし、仮にランゴバルト達を放置出来てもシレジアに居た時と同じく追い詰められるだけなのでその場しのぎぐらいにしかならない。 -- 名無しさん (2024-06-27 06 09 17) ↑「ランゴバルドやレプトール倒してからイザーク行けば良かったとあるけど」←まったく書いていないよ? -- 名無しさん (2024-06-27 06 35 01) コメアウトに何か追加されていたけれどなんで「信用したとしても」と断っている文章の反論が「信用するのはおかしくはない」になるのかよくわからない。信用をした上でそれでも凱旋式に行くべきではないと書いているんだよ? -- 名無しさん (2024-06-27 08 47 11) ↑書いた者です。確かに文章的におかしかったのでその部分は消しました。 -- 名無しさん (2024-06-27 08 55 01) いやそれでもおかしくなるんだよ、汚名を晴らすことが目的であってそれが達成されている以上、真っ先にやるべき事は息子の安全の確保のはず凱旋式が終わった後でセリスがダナンに殺されていたら後悔しきれないのでは? -- 名無しさん (2024-06-27 09 05 31) 名前 コメント
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第十四話 東京の休日 五月上旬、小笠原父島。 亜熱帯気候の太陽は既に夏めいており、湿度も80パーセント近い。ここを拠点にするセラン諸惑星連合の将兵は空調の効いた設備で暮らす宇宙生活者のため、湿度と焦熱にあてられて体調を崩す者が続出していた。 それでも海洋調査に船体の修理と、野外活動の機会は多い。ユリウス・パトリキオス艦長も急遽しつらえた半袖の三種軍装を着用してはいるが、それでは頬のやつれまでは隠せない。 1ヶ月前にダイガストの巨砲で穿たれたディアマンテの修理が問題だった。装甲と電路の修理だけでも頭の痛い問題であるのに、艦載機格納庫まで吹き飛ばされたものだから、工具を筆頭に様々な整備用の設備まで失われていた。 既存品の注文になるが、なにしろ地球は銀河帝国文明圏にとっては辺境である。機材の到着は遅れに遅れ、日本国との三度目の限定攻勢を間近に控えるにもかかわらず、万全の修理状態とは言い難い。 しかもこれらの再建に関して一々ちょっかいをかけてくるのが、統制官と呼ばれる資源庁から出向している文民達で、これに納得させるための資料作りがパトリキオスの神経を更に苛むのだった。 『民主主義を掲げた星間貿易国家であるセラン諸惑星連合にとって、スペースレーン(航宙交通路)の確保は安定した貿易を続ける上でも重要な要素である。この崇高な使命を監督する統制官は文民統制の象徴であり、野蛮な王政や開発独裁を掲げた他の列強とは一線を画すうんぬんかんぬん。』 …どこの頭でっかちが言ったのだか知らないが、お陰で現場に実務者以外の意見が罷り通って大迷惑だ。 あわや報告書の文面にそう書き出しそうになり、パトリキオスは慌てて携帯端末の内容を訂正する。木陰で浜風を浴びながら、書類の入っていないファイル程度に見える携帯端末をいじっている姿は、侵略者が優雅な午後を愉しんでいる様に見えるだろうが、内実はISO関連書類や役所への届出に四苦八苦する中間管理職みたいなものだ。 そんな事を考えている折に副官が近づいてきたものだから、パトリキオスは露骨に顔をしかめるのだった。 「なんだい、また統制官殿が新しい報告書を御所望なのかい?」 「いえ…」 副官の眉間の皺は深く、それなりの厄介事であるとは察することが出来た。しかしながら彼が差し出した情報ボードの画像は、パトリキオスの予測の斜め上を1パーセクで飛び去る類のものだった。 それは北海道でルドガーハウゼン大剣卿を唸らせた、あの旭日の光を帯びた宇宙船と同じものだ。 パトリキオスは盛大に溜息を一つ吐くと、それから何かに憑かれた様に猛烈に報告書の整理を再開する。いつもなら皮肉の一つでも言ってサボろうとする艦長の豹変に、副官は思わずたじろいでいた。 「あー、艦長?」 「やって来るのは銀河帝国の近衛艦隊だ。誰が乗ってるにしたって、しばらくは我々『下々』はご機嫌伺いで戦闘行為も自重しなければならないだろう。だったら、今のうちに艦の修理を徹底的に行う。改装も含めてだ。工期の問題で後回しになっていたプランを持ってきてくれ。もう一度練り直す」 「諒解しました!」 副官はやる気の艦長に軽い感動を覚えつつ、背筋の通った敬礼を見せる。 「他に必要な物はありますでしょうか?」 「ふむ…」 パトリキオスは一寸考えて、それからひどく汗をかいている事を思い出し、 「飲み物も頼むよ。缶コーヒー、甘いやつ」 彼もまた日本に馴染み過ぎたガイジンの一人であった。 地球全土で列強の五月前半攻勢が突如延期となり、原因の判らない地球人達を困惑させた。 進駐した兵士達が元気なのは確認されているので、H・G・ウェルズのSF作品の様に微生物に負ける宇宙人という大どんでん返しは期待できなかった。 例えば北海道に潜入中である防衛省の情報本部や警視庁公安部の方々、また、小笠原沖の海底で息を潜める潜水艦乗組員達の地道な観測によって、ツルギスタンやセランの航宙船から頻繁に内火艇が空へと駆け上がって行く事例が報告されていたが、宇宙空間にまで追跡の目は向けられないため、最終的な行き先までは掴めなかった。 緊張の持続というのは難しいもので、異星人との茶番戦争を目前に控えていた国々の将官達は、隷下の兵達の士気に頭を抱えた。うっかり休みを与えて羽を伸ばして来いと言おうものなら、ここを先途と脱走をする輩が出そうな国もあり、そういったお国柄の基地では戦闘前よりも基地の警備が物々しくなるという有様だ。 風見鷹介は脱走――彼の知っている言葉では脱冊――という言葉とは無縁ではあるが、降って沸いた休みには戸惑う類の社会不適合者であった。とりあえず休みの過ごし方に思い付く事が無かったのだが、パイロット過程を落第してからこっち、大江戸研に殆ど拉致同然に詰めていたので、ふと東京の実家に帰ろうかと思い立つ。 そうなると幼馴染――設定を忘れがちであるが――である透もじゃあ一緒に、とか言い出そうとするのだが、遠近法を無視して伸びてきた大江戸博士の手が彼女の頭をぐわしと掴むや、 「君はそろそろ卒論の骨子を提出してくれないかね。調度時間も出来た事だし」 「いーやー!?」 ここのところ実体の無い女子大生だった透は、大江戸博士のデスクの隣に蜜柑箱を机にして、書いてゆく先から添削される超濃縮卒論の荒行に連行された。 一度だけ合掌した鷹介は、そんなわけで久方ぶりの里帰りを果たすのだが、実家というのがこれがまた居場所が無い。航空学生になって家を飛び出したっきり、その道からも転げ落ちて、今では細々と小型機を飛ばしていると親兄弟に伝えている秘密の身分であるからして、針のむしろでジュリアナダンスを踊るようなものだ。 父に収入を気にされ、母に健康を気にされ、弟はなんか反抗期で、妹も二次性徴期の始まりでむつかしいお年頃とくれば、難易度は最上級である。 気の休まらぬままに父の晩酌に付き合った後(いつもは発泡酒なのにプレミアムモルツだった)、ようやく自室で一息吐くと、家を出た時のままで保存されていた部屋が目に入ってまた痛々しい。本棚の航空雑誌とか、やけに気合を入れて作ったF-15Jのプラモデルとか、当時の意気揚々とした自分を思い出すと、思わず窓から投げ捨てたくなる。 しかしコンビニ等に逃避するのも鬼門だ。同級生にランダムエンカウントしたら目もあてられない。そうなったら同級生達に身分を偽るのが嫌というより、もう隔世観みたいなものだった。華の学生や、社会人のルーキーをやっているであろう同級生の輝かしさと比べたら、硝煙ならぬ航空燃料の臭いが身に染み付いた自分はどうだ。昔と変わらない自室の学習机に備え付けの椅子よりも、あの硬いコクピットシートの方が馴染んでいる自分はどうだ。 ならば『飛行適正ナシ』と判断されるのをひたすら恐れた、あの訓練の日々こそが真実なのだろうか。 いや、それも無い。めくるめく濃密な日々を耐え抜いた仲間達も、じきに速成でF-2のコクピットにおさまって飛び発つのだ。その時、自分は異星の技術で固められた分厚い装甲に守られて、あの仲間達の足下を這いずり回っているに違いない。 鷹介は自罰的な焦燥感に身を焼かれて煩悶する。誰に責められている訳でも無いだろうに、自分がひどい卑怯者に思えた。それは若さゆえの潔癖であったが、鷹介がその事に自ら気付ける道理は無く、また同年代の同性のような打ち解けられる者がいない職場であるため、必要の無い罪悪感は彼の目に見えぬ芯の部分をぐずぐずと蝕んでゆくのだった。 野郎がベッドにうつ伏せになってのたうつと云う誰得映像を披露した後、鷹介は整理し切れない『私』の部分に目を背け、駄目人間の見本のように『公』の方に逃避する。 将来家庭を持ったら減点パパになるタイプである。 ともかく何かから逃れるように、研究所の技術者連中に『東京土産なにが良いですか』とメールをうつと、『レシートがあれば実費精算するよん』と軽い口調で、やけに重い目録が送られてくる。その殆どは家電製品やゲームにDVDで、娯楽が限られる研究所生活が偲ばれた。 もうAmaz○nで注文しろよとも思うが、よく考えれば研究所の入口で警備員が配達業者を止めて積荷をチェックする光景は日常茶飯事だった。それで軍艦の酒保開けの合図じゃあるまいが、注文の品を受け取るために列を作る異星の技術者というのもお馴染みの光景だ。 並べば目的は達せられると理解しているのだから、まったく日本によく慣らされた異星人達である。本当に彼等は故郷奪還の折には凱旋が出来るのだろうか。 「そんなわけで秋葉原にやってきたのだ、と」 ウホ、いいオタクの街、と誰が言ったかは知らないが、日が変わって平日の秋葉原に降り立った鷹介は家電やDVDや玩具の宅配の手配に没頭する。 「えぇと…アオモリズ・ブートキャンプに、ダーウィンが来たの海洋惑星特集、モンスターアーツのドラグリヲ、ロボット魂イグザクセン、スーパーロボット超合金リベジオン、figmaティマ、エクセレントモデルCORE一条遥…もう電化製品ですら無いな」 近年ではすっかり趣味に生きる高等遊民の街となり、メインストリートに二次元美少女のイラストやメイド喫茶のチラシ配りであるアルバイト・メイドが溢れ返れば、それを物見遊山するカタギの人々までやってきて、駅前を小奇麗に再開発するというプロジェクトまで立ち上がる始末。電気コードとハロゲンランプのうらぶれたイメージは、既に表通りからは駆逐されつつあった。 今しもメインストリートに面したアニメショップの店先では、現行放映中の美少女がロボットで戦うアニメのPVが垂れ流されていた。 『シンブレイカーにマーラが顕現します!』 『なに召喚しとるんじゃ、あんたらはー!!』 一見して好況のようではあるが、しかしながら銀河列強諸国の来寇を受けて加工国にも野火の如く広がる戦火は、エレクトロニクス部品の供給にも影響を与え始め、パソコンショップ等の店頭には品切れや値段高騰のポップが踊っていた。降伏間近と言われている台湾の影響が最も顕著であり、各国のパソコンや液晶ディスプレイの部品供給が滞っているのだ。 太平洋のフタのひとつである台湾の地政学的重要性は言うを待たないが、エレクトロニクス産業においても掛け替えの無い一部門を担っている。この辺り、中華人民共和国のような加工国と違い、研究・開発能力をもった企業を持つ国の混乱というのは、非常に重たい意味を持っていた。 単純な加工国でも、その生産能力に大いに頼っていた企業は大打撃を被っていた。中華人民共和国産の100円ショップ商品や、半島産のハードディスクがそれだ。 本邦でもツルギスタンの本州上陸からこちら、東北地方の工場が疎開を始めた事により、車のエレクトロニクス部品の供給に混乱が生じ、各車会社は生産調整を強いられている。 別の視点としては、違法星間商人の介入と思われるアデン湾の海賊騒ぎが北アフリカからシナイ半島へと延焼し、いくつかの国で独裁政権の打倒を掲げた内戦を惹起させていた。これにより海賊対策を嘲笑うかのごとく原油価格は高騰し、日本でも燃料代が不安定になってきている。 目に見えぬところで、人々は戦争の影響を肌で感じる様になっていた。 そういう国際情勢が原因でもなかろうが、人がまばらなのはむしろ平日だからという理由の方が大きいだろう。表通りから一本も路地を入れば休日の盛況が嘘のように閑散となる。それゆえに、その椿事は目立っていた。 ありていに言えば一人の白人女性が、三人の黒服に囲まれていた。 なんだ、これ?曲がり角の向こうで出会い頭に広がっていた光景に、鷹介が最初に抱いたのはそんな疑問だった。 黒服は揃いも揃ってミラーシェードで表情が読めないが、どいつも屈強な体躯をしていた。頭髪に金髪の者が混じっていて、どうにも日本でお目にかかる光景では無さそうだった。 さらに凄いのはもう一方の白人女性で、淡い水色のワンピースに薄手で短いカーディガン。それもワンピースは最近のデザインでなく、ふわっと広がる長くてレトロなやつだ。それに編んだ銀髪を後頭部でクルクルと巻いてシニヨンにした、ハッと目を引く美人の貌が乗っているとなれば、どこの絵に書いたお嬢様ですかという話である。いや、ここは秋葉原なので、どこの二次元から彷徨い出たのですか、か。 それが何やら鷹介に理解できない言語で言い争っているとくれば、怪しさもひとしおだった。 と、不期遭遇の衝撃に面食らっている鷹介の姿を認めるや、女性は動き辛そうな格好と裏腹に存外な速さでもって彼に駆け寄って、その背に隠れるように回り込み、 「悪いヤツに追われておるのじゃ。助けてたも」 何とも古体な口ぶりで窮状を伝えると、鷹介越しに黒服達に『あかんべー』をしてみせた。 いかにも可愛らしい訣別の意思表示をされた黒服達は、いささか狼狽した風で鷹介に歩み寄り、 「君、我々は怪しい者ではない。その方をこちらに返してくれないか」 自分で怪しくないと言っていれば世話は無いが、それよりも今の一瞬のやり取りが流暢な日本語である事の方が、鷹介を警戒させる。どう見ても日本人でないのに日本語を口にし、そのくせお嬢様と黒服なんて世間じゃ有り得ない光景を現出させる。 そういうのには覚えがあった。鷹介は苛立ちをおぼえつつ、 「どこの御家騒動か知らないが、そういうのは地球に持ち込まないでくれよ…」 皮肉のつもりだったが、それが拙かった。 反射的に黒服達から張り詰めたものが発せられる。後ろの二人がポケットから警棒のようなロッドを取り出し、音も無く伸張させた。御丁寧に金属の打撃部には青白い電流まで確認できる。 「そこまで知っているのなら、タダで返すわけには行かない!」 「常識でモノを言え、この侵略者ども。見た目がコーカソイドの集団が皆して流暢に日本語を喋るか?電磁警棒なんて日本じゃアニメの産物だぞ?」 鷹介の突っ込みに黒服は若干たじろぐ。宇宙ヤクザの時とは違う反応に、意外にまともな連中なのかも、と共感のようなものを覚えたが、しかし彼もダイガストのパイロットという――今のところは――秘密の身分であるため、こんな所で明らかな列強の関係者にお世話になるわけにも行かない。例え原因が自分の軽口であっても。 鷹介は僅かに腰を落とし、どの様な事態にも動けるように身構える。口じゃどう言おうが、彼の体は荒事に慣れ切っていた。 そして彼の身体の重心移動を、渦中の人であるお嬢様は興味深げに観察している。鷹介の背中越しに聞こえる声には、どこか状況を愉しんでいるような弾んだ節すらあった。 「あの悪いヤツらは腕が立つぞ。そなた、歯が立つのかえ?」 「判らない。だから君は、隙を見て逃げればいい」 「それでは流石にそなたに『目』が無い。そなた、剣は使えるか?」 「剣?…まぁ、真剣じゃない程度なら」 鷹介は高校と航空学生とで続けていた剣道の事を思い出す。二段には手が及ばなかったが、初段は取っていた。 「つかわす。存分に振るうが良い」 そう言って左の脇から差し出されたのは、鈍い輝きを放つ金属製の剣の柄だ。鍔や護拳は無く、柄頭には精緻な彫刻がされている。 受け取り、深く考えずに以前の習いで腰間から抜くようにして正眼に執ると、柄が伸張して拳二つ半に形を変え、更に鍔元からは眩い白銀の奔流が噴き出した。ほんの一瞬、それは液体のように振舞ったかと思うと、見る間に形を変えて二尺五寸(約75センチ)ほどのゆったりとした反りを持つ刃に固まる。 要は刀だ。おそらく鷹介のイメージを汲み取って、そのような形になったのだろう。何しろ長さに反して重量配分は絶妙で、刃が自分の腕の延長にあるようだ。借り物でこんな事は有り得ないだろうし、ダイガストの制御に組み込まれた思考を汲んで機体を制御する技術が、銀河列強のゲーム機から取り外した代物である事を思えば、そう考えたほうが不思議は無い。 鷹介は手の内の握りを確かめる間こそあれ、こちらが出した刀に何らかの躊躇いを見せる黒服へと、先手必勝で打って出る。スニーカーと素足では勝手が違うから、ともかく短期決戦だった。上段へと刀を振りかぶって正面の黒服に殺到し、敵が身構えた瞬間にはその脇をあっさりと駆け抜けて、後ろの二人へと向かう。 矢面の一人を無視した不意打ちに、黒服が躊躇いから狼狽へと変わったのを見逃さず、上段からの小手打ちというフェイントを交えて警棒を狙うと、刃は恐るべき切れ味で警棒を断ち切って青白いスパークを弾けさせた。 続け様にいま一人へと左足で踏み出し、体ごと向きを変えて刃を跳ね上げるや、こちらも過たず警棒が寸断される。 そこから出足を軸に体の上下動無く半回転し、振り返りざまに刃を突き出すと、最初に素通りした黒服の喉元へと剣先が突きつけられた。 う、と黒服が呻くのが聞こえた。 鷹介は騙し手が上手い具合に嵌った事に内心でひどく緊張していた。『思いっきり本身じゃねーか!?』とか切れ味に驚嘆したのもあるが、所詮は相手が白刃に驚いた所に付け入った奇策だ。それが判っているから、優位を突きつけている内に顎をしゃくって黒服達にお帰りを促す。 黒服達は後ろ歩きで距離を取ると、未だ未練たらたらの様子だったもので、鷹介が再び刀を振り上げて脅かして、初めて算を乱して逃亡に入った。 ふぅと一息つき、緊張の糸が切れると、銀の柄へと刃が引き戻る。矢張り使用者の意図を汲む類のメカニズムなのだろう、その出来に感心していると、 「見事!誉めて遣わす」 ご満悦のお嬢様がお褒めの言葉をかける。そういう態度に慣れているのか、たいそう大様であったが、鷹介は悪い気はしなかった。というか一寸言葉を失った。 彼女が柳のような腰に手を当て、僅かに背を反らせば、たわわな二つの盛り上がりが自己主張をしていた。アップにした髪型から覗くうなじとか、スカートから出た足とか、眩いくらいに白い。年の頃は自分より少し下だろうか。貌からは幼さが抜け切らないが、切れ長の目の中には強い意志を感じる瞳が据わり、長いまつ毛がそれを飾っていた。よく整った顔貌からはお嬢様じみた出で立ちも含め、『やんごとなき』という言葉が思い起こされる。 要は鷹介が我知らず見惚れていた訳だが、彼女はその不躾な視線を気に止めるでもなく、 「礼を言うぞ、悪い奴ばらは去った。妾はセシリアンダ。親しい者はセシルと呼ぶ。訳あって家名は明かせぬが、そなたもセシルと呼ぶことを許そう。そなた、名は?」 流れるように仰々しい台詞を吐いた。 家名などと言うからには銀河列強の上流階級なのだろう。しかし明らかに上からの物言いのわりに、彼女の立ち居振る舞いは実に自然で反感が沸かない。人を従わせるのに慣れている、というよりは人に愛される事に慣れている、というべきだろうか。そう素直に思ってしまうのは癪であり、鷹介は美人とは得なもんだ、と捻ねた事を考えながらセシルの問いに答えるのだった。 「風見鷹介」 「ヨースケ!そなたはこの国の戦士の家柄であろか?見事な剣ばたらきじゃ。その剣は褒美に取らすぞ」 貴人が手持ちの剣を褒美にくれるのはよくある話で、それ用に手放しても惜しくない量産品の脇差を持ち歩いた天下人の話なんてのもある。だから鷹介は、ああ普及品なんだな、と納得して白銀の柄をジーンズのポケットに落とし込んだ。 「有り難き幸せ、とか跪いて言うべきなのかな」 「気にするでない、妾の臣民であるわけで無し。それともそなた、銀河共産主義などと標榜する、貴き者の義務を否定する輩かや?」 そういうのは何処にでもいるんだなぁ、とか鷹介は妙な事に感心しつつ、セシルの口調がはきはきとしていたもので、それに乗って――大江戸博士の受け売りだが――悪ふざけをしてみた。 「暴君であれば貴き者という前提は成り立たず、圧政が無ければ革命家は迷惑な扇動屋に過ぎないな」 「…その心は?」 「正義は個人にしか宿らない」 「君主は常に孤独であれ、か。帝王学じゃな…出先で教えられるとは思わなんだが」 そう呟いたセシルの表情はひどく真面目で、状況を面白がっているような雰囲気は消え去っていた。それは妙齢の乙女が自発的に得る様なものでなく、何か余人には理解し得ない重責の存在を感じさせるのだった。 こりゃ透とは大違いだ。鷹介があのお気楽極楽な――と極力思っている――幼馴染を思い浮かべたのは、このやんごとなきお嬢様の醸し出すものに呑みこまれ、その信奉者になって仕舞わない様にする自己防衛だ。もちろん鷹介本人は意識していないが、だからセシルが再び、あのいかにも人に愛される笑顔を見せた時には、何とは無しの高揚感を憶える始末だった。 「のぅ、ヨースケ」 更に追い討ちとばかりに、セシルはいかにも抗い難い上目遣いで彼に要求する。 「礼ついでにな、妾をウエノにまで案内(あない)してくれぬか?」 もちろん鷹介は百戦錬磨のジゴロであるまいし、まして鉄の意志力を持つ訳でもない。いい様に巻き込まれるままに、自らの女性免疫の無さに呆れながら、彼女を上野までエスコートする事が決まっていた。 そして彼は最後まで気付かなかった。二人の遣り取りを、ビルの陰に潜むようにして監視する、別の黒服がいた事に。 山手線秋葉原駅の利用は追い散らした黒服と再遭遇する恐れがあるため、鷹介はタクシーを探す事にした。しかし前述の通りガソリン価格の不安定化に伴って、昼の裏路地界隈にまでやってくる奇特なタクシーはおらず、結局、徒歩で秋葉原を離れ、神田の外れから上野に向かうと言う地方在住者に優しくない経路を執る羽目になった。 オフィス街のビルの合間を縫って歩くと、頭上の空は遥か遠くに感じる。梅雨を間近に控えた5月の空は抜けるように青く、目に染み入るようだ。 「ヨースケ、この辺りは人影も少ないようじゃな。これも戦争の影響かえ?」 セシルは人気の少ない昼のオフィス街をキョロキョロと見回している。ただでさえ美貌の白人女性で目立つのだから、挙動不審な行動は謹んでほしいと願う鷹介の眉間には、自然と深い皺が寄っていた。 「今は就業時間。サラリーマンはオフィスでお仕事中だ」 「残務処理かの?殿軍を買って出るとは見上げたものじゃな」 「何でまた『しんがり』の話に?」 「トウキョウのオガサワラはセラン諸惑星連合に奪われているのじゃろう?奴ばらが雪崩を打って攻め込んでくる前に、企業は疎開をしているのではないか?」 「あ”ー…」 鷹介は濁点交じりの納得の唸りをあげる。小笠原は離島であるが、確かに日本国の首都の一部が敵国に切り取られている認識に間違いは無い。だからと言って今更東京に集中した政治経済のシステムを一気呵成に関西にでも退避というのは、どだい無理な話だった。用地買収と周辺インフラの整備だけで何年かかるだろうか。 それに国場総理は政府が引く姿勢を見せる事によって、国民へと劣勢が印象付けられるのを恐れていた。 議員の中には国会さえ終われば一刻も早く東日本から離れたいと考えている者もいるようで、東京堅守派との角逐突き合わせる睨み合いが始まっている。東日本からの逃亡派には野党民権主体党の超大物――東北地方が選挙地――の名も挙がっており、冷笑の種となっていた。 とまぁ、ここまでは政府中枢の疎開に関する話であるが、なら民間はと言えば、市街地に地上げ獣が出たところで災害時の避難プログラムが精々というのが現状である。 戦時にどこまで国民が協力するのか?これは九十年代にも問題になったが、例によって斜民強酸といった野党の反対と、マスコミの神学論争で沙汰止みとなっていた。溺者の救出には時に殴りつけても大人しくさせる必要があると言うが、非常時の取り決めすらも難色を示すのがポピュリズムの恐ろしさである。 なお、今上天皇は宮内庁内でも度々上がる京都御所への避難を断り、東京で公務を続けていた。この辺りの判断根拠も国場総理のものに近い。 総じて言える事は、大多数の日本人は差し迫った危機が目に見えない限り、今の生活を墨守する習性があるという事だろう。 鷹介はその辺を掻い摘んでセシルに言って聞かす。 「はぁ、何ともまぁ健気な人々じゃの。列強の市民とか言う奴ばらに、爪の垢でも煎じて飲ましてやるが良いわ」 セシルは苦笑交じりにそう言った。 「…近頃の列強諸国は野放図な拡張と、鼻につく善意の押し付けばかりじゃ。それが通じぬと口を揃えて野蛮、野蛮と。知っておるか?今やこの星は文明を受け入れぬ暗黒の星扱いぞ」 その急先鋒な鷹介であるからして、そう言われると心の奥底の悪餓鬼の様な部分が、何ともこそばゆい。本来なら言われの無いヘイトなのだから、そんな事を思っていては駄目なのだろうが、鷹介も基本は 日本の現代っ子なので、相手の自省のような雰囲気には弱い。だから、思わず出た台詞ときたら、 「でも、君みたいに思っている人も居るわけだろう?」 「ヨースケ…正義の独立性を妾に説いた者が、その言い草はどうなんじゃ?」 「む…」 セシルの指摘に鷹介はぐぅの根も出ない。喉に何か詰まったみたいな顔になる彼に、セシルは優しげな笑みを浮かべるのだった。 「よいよい、そなたは優しい人間のようじゃ。されど今の時代、それだけを頼りにしておっては、国敗れて何とやらじゃの。まさに国と国で対峙するなら、そこに正義はあるまい。詰るところ、力無きは悪じゃ」 悲しい事じゃの。セシルの笑みが寂しげに変わった。 それは為政者に近しいであろう人物のあくまで個人的感情であり、国というシステムに反映される事はない。鷹介とセシルが見解の一致を見たとて、それは個人の正義の合致に過ぎないのわけだ。 「こうやって各々の思考を交える事はできても、文字通りの相互の理解にしか過ぎぬ。国へ、集団へ帰れば、相互いの意見なぞ大海へ投じられた砂糖の如くじゃ。幾ら言葉を交わそうとも、海は甘くはならぬ」 「どちらかと言えば、君はその砂糖を大量に持っている人に見えるけど」 「然りじゃな。そこいらの今更のように植民地獲得競争に腕まくりして参加を始めたような慮外者よりは、妾の掌(たなごころ)は大きいじゃろう。されど、民衆を家畜と呼ばうようなGBCの経営者連中と比ぶれば、妾の握りこんだ物は童子の砂糖菓子みたいなものじゃ」 そう言ってセシルは小さな手を軟らかく握りこんで鷹介に突き出す。 「それよりもじゃ、ヨースケ。この手の中に有るであろう砂糖菓子を欲するのなら、淑女に払うべき相応の礼が要ると思わぬか?勲(いさお)しをたてた武人の箔か、はたまた典礼に長じた識者の知恵か、大身貴族のパトロンとなるような商人の力か。妾も未婚の乙女ゆえな、この指を取って解くのならば、よほど気を許さねば、な」 「他人様の助力を得るには、自分自身の力を認めてもらう必要もあるわけか」 「全面的な庇護下に置くというのであれば、列強の植民地と変わらぬであろ。最低限、自分の身は守れることを証明せねばな。国と国の間に正義が無くとも、益があるならば信にも代わろう。ただの紙を通貨となす担保じゃな。それしきの威勢も技術もハッタリも無いならば、国としての交流に益を求めるのも無理な話じゃ」 「世知辛いな」 「見返りもあろう。太陽系の経済は閉塞状態にあるようじゃが、そこに新たな外貨の獲得先を設けられる。例えばツルギスタンやセランと敵対的な国ならばどうじゃ?敵の敵は目先の話なら味方となろう」 「それって率先して銀河列強同士のパワーゲ-ムにコミットしろって事かい?」 「まだ、そのメはあると言う事じゃ、生き残るためにの。しかし負ければ選ぶことすら出来なくなる」 世知辛い。鷹介は今度は心の中でそう呟く。 彼は知る由も無いが、国場政権は列強からの亡命者から銀河帝国文明圏のパワーバランスを聴取し、彼等の細い伝を手繰って交戦国の後背を衝く手段『も』模索していた。 それに鷹介自身が所属する大江戸先進科学研究所も幾つかの省庁の財団法人としての顔を持っており、宇宙の非交戦国と物々交換に近い直接貿易を細々と行っている。不況によって荒廃した地球の市場で磨り潰される資源と考えれば、多少のレートの不利も計算の内だった。 実に消極的ではあるが、負けぬ戦のために様々な手が打たれていた。だが、いずれの行動も明確な休戦への筋道が無い以上、ただの悪足掻きに過ぎないのかも知れない。政治の季節は、未だ濃い戦争の霧の向こうだ。 道筋が見えない点に関しては、もっと根本的な疑問もあった。 結局のところ銀河列強諸国は何がしたいのか、である。 GBCの言う未開惑星を舞台にした陣取りゲームや、列強の根底にある膨張主義という説明を鵜呑みにするのなら、地球がリングである限り地球の各国は今後も防衛を強いられ続ける。しかし防戦に地球の資源を濫費させる事が、列強の植民地政策の意図であるのか。それならば彼等は戦時協定に星を傷つける戦略兵器の使用の禁止する、との謳い文句をわざわざ付けまい。 「君達は、この地球で何がしたいんだ?」 鷹介がそんなマクロな疑問を抱いたわけではない。何のかんの言っても行動による解決を是とする、いわゆる脳筋の類であるからして。だが彼の漠然とした問いかけを、セシルは深い洞察が内包されている様に感じた。…いや、本当にありはしないのだけれど。 「諸戦争を終わらせる戦争…」 言い置いて、セシルはすぐさま付け加える。 「世迷言じゃ。銀河帝国の不徳に端を発し、未だにしぼむ気配も無い。列強は皆が皆、次なる銀河帝国にならんと欲しておる。されど往時の威勢を失ったりとはいえ、老いた帝国は未だに一大勢力じゃ。列強が一国で相手取るには、ちと荷が重い。しかもガップリと四つに組もうものなら、途端に別の列強に後背を討たれるじゃろう」 そう言って彼女は指鉄砲を撃つ仕草を見せると、何やら人の悪い微笑を見せた。 「群れ固まって攻めて来れば話は違おうが、事を成したあかつきには群れの親玉争いが始まるな。すりゃ、いまの列強の拡大方針は、猿山の親玉を決める代理戦争となるわけじゃ。それも次の戦争の下準備の、じゃ」 「とばっちりじゃないか、それじゃ」 鷹介はむしろ呆れて言った。 「だいたい、君らにとって地球はどの程度の価値があるって言うんだ?」 「これまで後回しにされておった辺境じゃな。他の宙域での睨み合いに業を煮やした列強が、次なる版図を描くために見つけた真っ新な画布。そんなところじゃな」 「矢っ張りとばっちりじゃねぇか!」 『まぁ、それだけではないのじゃがな』 セシルはある可能性を思い浮かべたが、口には出さなかった。 そうこうしている内に外神田のオフィス街を抜けて御徒町に入り、またも人通りが増えてくる。年末の風物詩でお馴染みな、アメヤ横丁の買い物客だ。狭い通りに人が溢れかえるのが容易に想像できるが、逆に衆人の目の中ならセシルにちょっかいを掛けるのも難しいだろう。いわゆる人遁の術だ。 幸いアメ横は上野まで続いている。人ごみと言っても休日でもなし、早足で抜けられるだろう。 「セシル、ここを通れば直ぐに上野だ」 鷹介は至極常識的な未開惑星の現実を突きつけられて腐した気持ちを切り替え、ウナギの寝床のような狭い路地に詰め掛けた人ごみを指差す。さすがのセシルもこれには面食らったようで、 「ハハハ、こやつめ。冗談にしては笑えぬの」 と、笑い話で流そうとする。ところが鷹介も右から左に流す気は毛頭無く、 「大丈夫だ。テルモピュライの隘路を300人で塞ぐ程度の話だ」 「大丈夫じゃないからな、それ最後全滅するからな」 「詳しいじゃないか」 「メタな処に突っ込むでない!大体、こんな人混みに連れ込もうなど、妾を何と心得る!?」 「家名不明のセシリアンダさん」 「ふかーっ!」 不毛な遣り取りをひとしきり繰り返して奇声を発したところで、彼女もようやく落ち着いてきた。はぁ、とか細く溜息をつくと、なにやら諦念の色を顔に出して、 「…野戦病院を慰問した時にすら、このような絶望的な光景には遭わなんだが」 「その点、アメ横の買い物客は自分の用事を済ませに来ただけで、君にお目に掛ろうとして来ているわけじゃない」 「妾もまた後ろ盾なくば、この人々と変わらぬわけじゃな。ヨースケ、そなたは恐ろしい事を口にするな。銀河に冠たる権威を、衆人の中にあれば無意味と説く。いや、それもまた真じゃ」 え、そうなの?セシルの心の琴線に触れたらしき反応に、鷹介の方がむしろ戸惑う。勿論、そんな意図で口にした訳もなく、今も彼女が何処の誰様であるか知る訳でもない。 だがセシルは鷹介に――何割かの勘違いを含めて――先ほど列挙した箔か、知恵か、権力かを見出したようで、その白魚のような手を彼に伸ばすのだった。 「特別に許す。ヨースケ、妾の手を取り、ウエノ公園に行くのじゃ」 「仰せのままに」 と気の効いた風な台詞を吐いた鷹介だったが、貴人の手を取る作法を知らなければ、美人と手を繋ぐ経験も無い。差し出された手をおっかなびっくり取り、ずいぶん昔に透の手を引いた要領で彼女の指を掌に包み込むと、押し潰してしまいそうに細くて、そしてひんやりとしている事に驚いた。 意識すれば、子供染みた気恥ずかしさに頬が熱を帯びてくる。鷹介は瞑想でも始めるつもりで人だかりの中に飛び込んだ。 失敗だった。上背のある身ごなしの鋭い若者と、それに手を引かれた外人の令嬢とくれば、まるで騎士とお姫様のようで、人々の好奇の目を曳く事しきりだ。しかもセシルときたら鷹介の羞恥に沸騰しそうな頭の事など露知らず、露店の品揃えにいちいち目をキラキラと輝かす。蟹に鮪の切り身、乾物に果物。露天商が『よっ、そこの美人の外人さん』とか言おうものなら、何事かと視線が集まってくるのは自明の理。 コクピットにあっては練磨の戦士である鷹介も、こうなっては駄目である。きっとハニートラップなんぞは彼にとって恐ろしい威力を発揮する事だろう。 ともかく鷹介は妻の手を引いて冥府の出口を目指したオルフェウスか、根の国で亡妻の手勢に追われた伊邪那岐の神か、アメ横の人ごみをただ一文字に駆け抜けるのだった。 梅雨を目前にした上野公園の桜並木は若葉の時期を終え、目も冴えるような緑のトンネルになっていた。 その木陰がたまらなく心地好いのは、強行軍による筋肉の発熱だけでなく、頬の火照りも含まれる。こういうのは駄目だ、俺のキャラじゃない。鷹介はひどく安上がりな心臓の早鐘が収まるのを、仏頂面で待っていた。 対してセシルは此処までの言の通り、衆目の視線など何処吹く風だ。男の早足につき合わされた事だけが動悸を早めたのだろう、わずかに上気した美貌に悩ましげな微苦笑を浮かべ、 「此度のエスコートは落第点じゃ。これよりは武張ってばかりでなく、紳士の振る舞いも学ぶが良い」 と、辛口の採点をするも、口調は穏やかなもので、むしろ鷹介の朴訥さをやんわりと揶揄しているようだ。 「それにしても大した活気であったな。あのおかしな家電の街も、最前の市場も。人々はまるで戦時と思っていないようじゃ」 実際思っていないのだろう。そう口にしないくらいの分別は鷹介にもある。 国場政権は戦時内閣への組み替えを行っていないが、戦時体制への急速な移行は、日本国内での混乱が大きすぎて断行できないという判断に基づいている。戦火の混乱を最低限に統制すべき戦時体制であるが、産業界、ひいては国民生活への影響を懸念して、強権を振るえないと言うのも本末転倒だった。 しかし『軍靴の音が聞こえる』の新聞ではないが、戦時内閣というだけで拒否反応を示す人々もいるだろう。敵の軍靴はとっくに本州にまで足を掛けているのであるが。 いわんや、鷹介の前に立つ何処かの列強の令嬢らしきセシルをや。しかも首都東京の上野恩賜公園で。 流されるままに、この1時間半ほどをセシルと過ごした鷹介であったが、思いなおしてみれば彼女の振る舞いは追われる者にしては余裕綽々に過ぎる。都合、お家騒動なんて言葉を使って荒事になってしまった訳だが、未だ独立を保つ日本こそ銀河列強人にとっては敵地ではあるまいか。 「…それで、君はここで何をするつもりなんだ?」 疑惑のフィルターをかけた目をセシルに向ける鷹介であったが、彼女は相も変わらず気にした風も無く、思案顔で周囲を見渡す。 「うむ、ウエノで待ち合わせておるのじゃが…」 セシルがそう口にしたのを待っていたように、葉桜の陰からまさに影から沸くが如く、ダークスーツの人物が現れた。鷹介が知る由も無いが、そいつは秋葉原で彼に最後まで気付かれる事の無かった黒服であり、順当に考えるのならば、上野公園までそれは継続していた事になる。 鷹介はとっさにセシルを背中に庇い、黒服の前に立って、そこで初めて黒服の線が細い事に気づいた。 ミラーシェードで表情は隠れているが、アップにした長いブルネットの髪や、唇を朱に彩るリップクリームは、紛れもなく黒服が女性である事を物語っていた。それに背広では隠し切れない極めてメリハリの付いた身体の稜線も。 しかし鷹介はこれまでに感じたことの無い威圧感に、嫌な強張りを覚えるのだった。それはモンタルチーノ商会の宇宙ヤクザとも、民間軍事会社の教官とも違う、ピンと張り詰めた、しかし其処に在るのは当然という、不可解な不自然さだった。 平日という事もあるが、桜並木に不思議と人通りは無い。その事実に遅まきながら気づいて鷹介は戦慄する。 人払いをした上で、途轍もない手練れが送り込まれたのだ。 そう理解するや否や、黒服の女は無造作に踏み出した。腰の上下動の無い、人間が知覚し辛い動きだ。気付いた時には『ぬるり』と指呼の距離に入り込んでくる。倒れる足を前に出すという生物として当然の動きを行いながら、害意のない筈のその踏み足は、即座に突き出される右腕へと大地の反動を伝え、凶器へと変えた。 路面を靴が撃つ心地好い音が、遅れて鷹介の耳に届く。女の拳が反射的に身を反らした目の前を行きすぎてゆく。親指と中指を柔らかく握りこんで、第二関節を立てているのが確認できた。人体の急所に容赦なく捻り込んでくる型だろう。 そんな判断が出来るのは余裕ではなく、ただの隙であり、次の瞬間には鷹介の顔は苦痛に歪んだ。途切れることなく繰り出された左のフックが、彼の視界の外縁から襲い来て、脇腹を突き刺したのだ。続け様にフックによって前に出た左足に代わって後方に下がった女の右足が、鷹介の懐に開いた僅かな間隙を縫って跳ね上がる。 鷹介の視界が強制的に上向き、口に中に金属の臭いが溢れた。後ろに倒れこむのに任せるのと、ズボンのポケットの中の存在を意識したのは、ひとえに、荒事慣れした暴力への耐性だった。 片膝立ちに堪え、セシルから貰った銀の棒を横に振り抜く。 履物が舗装をこする擦過音が耳についた。 血の華が咲くやと見紛う会合の後、次の瞬間には両者の距離は開いていた。鷹介は膝立ちに液体金属の太刀を抜き付けた姿で、女はその抜き打ちをかわして跳び退った姿で。 「やめよ!」 たまらずセシルが語気を強めた制止の声をかける。すると最前までの威圧感も嘘の様に雲散霧消し、黒服の女は拳を解いてセシルへ歩み寄っていった。 何だって言うんだ、全く。膝を伸ばして、悪態のひとつも吐こうとした鷹介だったが、頬の内側だろうか、じりじりとした焦熱と通電したような嫌な痛みを感じて言葉を飲み込んだ。 蹴り上げられた際に歯で頬の内側を切り裂いてしまったのだろう、想像だにしたくないが、口の中に出血と思われるヌルつきが広がってくる。例え傷が塞がっても口内炎は併発するだろう事に思い至れば、なんとも情けない気分になってきた。 と、そこへセシルがつかつかと寄って来て、 「許せ、ヨースケ。しかし、こっぴどくやられたモノじゃな。カナイは妾の筆頭警護女官ゆえな、腕前は帝国でも指折りじゃ。そなたが自信をなくす必要は無いぞ?」 僅かに愁眉を寄せている辺り、侘びるような節は感じ取れた。そもそも鷹介にしてみれば、なんで襲われたのかが判らない。ナンデ?と口を開きかけると、それを制するようにカナイと呼ばれたあの黒服女がズイと前に出てきて、なにやらチューブから軟膏らしきものを指先に塗り、容赦なく彼の口に突っ込んできた。 傷口に指先が触れる刺激が脳天にまで駆け抜けていった。 鷹介は目を白黒させ、それでも喉の奥で呻きを押し殺し、開いたままの口から変な悲鳴になってこぼれ出るのを堪える。そういう『男の子』な反応を好ましく思ったものか、セシルに筆頭警護女官と呼ばれた女は口元を僅かにほころばせて言った。 「細胞賦活ジェルを塗りました。傷口は明日には塞がるでしょうが、急激な細胞分裂で発熱する可能性があります。辛い様なら市販の解熱剤でも服用してください」 落ち着いた、大人の女性の声だった。それに嗅ぎ慣れぬが、不思議と心地好いエスニックな芳香がした。思わぬ接近遭遇は最前の立会いよりも鷹介の思考を圧迫する。 どぎまぎする内にはカナイは体を離し、セシルに向かって居住まいを正して報告を始める。 「殿下、お迎えに上がりました」 「まことにご苦労。しかし、もそっと待てはせなんだか?」 「限界までお待ちして、且つ、小職の任務を遂行した結果、このような仕儀と相成りました」 「是非もなしじゃな」 「なおトラクタービーム到着まで30秒です」 「よく出来た女官殿じゃ」 セシルが最後についた言葉は皮肉であろう。 蚊帳の外の鷹介にもそれは判った。それに、何が何だか判らないうちに、この邂逅が終わろうとしている事も。だから鷹介は一寸考えて、結局、出てきたのは気の効いた台詞ではなく、 「悪漢に追われている女の子はいなかった…そういう事で良いんだよな?」 「それで構わぬ。安心せよ。お陰で良い視察になった」 「…君はツルギスタンやセランの人間なのか?」 セシルは不敵な笑みを浮かべて何か答えた。しかし、その時には暖色の光が天から差し込み、声が聞こえるより早く二人の女性を空へと引き上げていった。 後に残されたのは呆けた顔の鷹介だけ。 非現実的な出会いは、これまた非現実的な終わりを迎えたわけだ。 彼女は何者で、何を視察していたと言うのか。或いは…鷹介は刹那浮かんだ自意識過剰な推測を、苦笑でもって笑い飛ばした。口の端を曲げると、まだ中の傷が痛んだ。 「或いは、感付いたやも知れぬな」 トラクタービームで収容された白亜の小部屋でセシルは唐突に呟いた。 「何がでありましょう?」 後ろに侍るカナイが即座に問うてくる。彼女の培ってきた直感は、それが主の独り言ではない事を感じ取っていた。 「妾が何を視察に出向いたのか、その本人が、じゃ」 「非時(ときじく)の歯車と、それを廻す者ですか」 「ダイガストとやら…それを理解して使っているとは思えぬが」 「操縦者に徹するのであれば、それは意味を成さない事かと」 「然るべき時に、然るべき者が知っておれば良いわけか…」 その時なぜか大江戸先進科学研究所や国会議事堂で盛大なくしゃみをした人物がいた訳だが、それは当事者達にも故が判らぬお話。 会話を続けながらカナイはミラーシェードを外した。隠す必要の無くなった容貌は、凛と引き締まった美女といって差し支えないが、筆頭警護女官なるお堅い役割のためか喜怒哀楽を感じさせない。 能面じみた美女はネクタイを解き、更にダークスーツまで脱ぎ捨てる。シャツの下にあったのは女性らしい下着ではなく、ウェットスーツのような全身を覆うインナーだった。肢体にピッタリと張り付くようなデザインだが、悩ましげな稜線に目を奪われるうちには、下半身を覆うスカートがインナーの腰からスルスルと伸びてきたり、襟元や袖口を思わせる部品が出てきたりして、衣服の体裁を整える。そこに何処から取り出したのか、フリルの付いたヘアバンドを頭に乗せれば、なるほど、侍女であった。 続けて彼女は『失礼いたします』とセシルに断りをいれるが早いか、そのお仕着せの示す如くに、彼女の衣服を流れるような早さで脱がせ始める。セシルも衣服の着替えまで人任せである事が当然なのだろう、時折肩を上げたり、腕を引いたりして脱衣に協力しているが、基本的にはされるがままだ。 「それで、筆頭女官殿の御目がねには適ったのであろか」 脱ぎかけのワンピースからまろび出た肩は、矢張りぴっちりとしたインナーに包まれていた。 「ダイガストの操者はの?」 「小職が女であろうと、勝てないのなら武器を手に取った、あの思い切りは評価できます。このままツルギスタンと小競り合いを続ければ優秀な戦士になりましょう。しかし殿下の剣を下賜するには、些か現状認識が甘いように見受けます」 「然り。不特定の悪意を相手取るには、善良ですらあるな」 「ならば飼い馴らしませ。大義を与え、誇りを安堵し、帝国の剣として存分に奮わせましょう」 「それで満足するほどに、あの国は未だ窮しておらぬ。帝政ツルギスタンもセラン諸惑星連合も、歩兵を擁するような本格の戦はしておらぬからな。ゆえに目に見える被害は少なく、街は平穏を保っておる。そして、おそらくはあの国の為政者も、それを維持する事に腐心しておる。まだ、その時ではないのじゃ」 セシルの時節を窺う発言にカナイは声にならない程度の溜息をついてから、主の肩に薄衣をかける。暖色で向こうが透けて見えそうな薄絹だが、不思議と袖を通してもセシルの肢体が垣間見えることはない。それを三枚も重ねてカナイが飾布で腰に留め、最後に陣羽織にも見える長衣を着せる。 「では殿下は今しばらく宮廷動物園の狐狸の御相手を続けねばなりませんね」 カナイの言葉は警護官として常に付き従う自分にも言えることであり、最前の溜息とはつまりは主従の難儀な前途に吐いたものであった。 常日頃から鉄面皮である優秀な警護女官殿のやや疲れた様子に、セシルは微笑を浮かべて問うた。 「なれば、此度の視察の供廻りは気晴らしになったであろ?」 「お戯れを」 一言のもとに切り捨てたカナイは、これまた何処から取り出したものか、勲章の類を取り出してセシルの上衣の左胸に取り付けてゆく。彼女が最後に羽織った陣羽織のような衣服の肩口には、金糸の線が幾本も曳かれており、そうやって勲章の類を添えてゆくと軍装なのだと理解できた。 それからカナイは主のメイクが崩れていないか点検し、鷹介に連れ廻されてほつれた編み込みに微かに目尻を動かしてから、金の髪止めを挿してそこを糊塗した。何しろ多忙な主が、スケジュールの合間を縫って強行した視察であるからして、身支度の時間がなかった。 「出来上がりで御座います」 言外に『不本意ですが』と注釈がつきそうな具合で告げると、セシルもカナイのように音にならない程度の溜息を吐いた。しかし次に顔を上げた時には、それをおくびにも見せぬ貴人の仮面を着けている。 「ご苦労。さて地球に関する介入であるが、今しばらくは戦況を見定める。妄想狂のフィクシオン連合王国や、人を人とも思わぬルドヴィコ人民発展委員会どもに深宇宙への橋頭保をくれてやるのは業腹ではあるが、あくまで我等は人類領域の護持が命題じゃ。これが危ぶまれるまでは、第五惑星近傍で好機を見図ろう」 「御意」 「それとな」 続ける言葉にセシルの頬がにわかに緩んだことをカナイは見逃さない。 「ダイガストの操者な、あれを、カナイが暇な時で良いから鍛えてやってたも」 「筆頭警護女官が暇な時という前提に疑問を感じますが、承りました。殿下に剣を下賜される事がどういう意味か、しっかりと解らせておきます」 「怖や怖や」 その時、地球では鷹介が唐突な寒気に襲われていたのだが、これも当事者には与り知らぬお話。 手短かに今後の方針を定めた主従は、今度こそ居住まいを正して壁の前に立った。そうすると白亜の壁に四角く切れ込みが入り、音もなく上方へとスライドして道が開く。 と、小部屋がつながった先から眩い灯りが差し込んできた。ホールを照らす照明の輝きだ。そこでは様々な恰好をした老若男女が談笑をしていた。その出で立ちが一目に高級である事と、笑顔と言っても目までは笑っていない者が多い事が共通項か。 山海の珍味がよそわれたテーブルが居並び、その間をカナイと同じお仕着せに身を包んだ侍女が行き来して、客からの飲み物やら何やらの要求に応えていた。ホールの隅には楽団が控え、地球で言うところのバロック調の楽曲を奏でていたが、こういう席なので音は控えめだった。 詰めかけた客達は地球に押し寄せた銀河列強の高官達である。彼らはある一人の人物のご機嫌伺いに、彼らの戦争計画を止めてまで訪れている。それはカナイがよく通る声で大音声に告げた貴人の事であり、 「銀河帝国近衛艦隊提督、セシリアンダ・アウロラ・プラエトリオ・ガラクシア皇女殿下である」 銀河に広がる汎人類種による文化圏の中芯たる斜陽の帝国。その末に連なる美姫は、外行きの微笑を浮かべると、形ばかりの恭順を示す旧領よりの使者の輪の中へ歩を進めるのだった。 午後の訓練を終えた柘植隼人准尉は、駐機場までF-2戦闘機を何とかタキシングすると、機付きの整備士に引っ張って貰い、這う這うの体でコクピットから出てきた。 まだまだ半人前なパイロットが狭い操縦席に収まり、極度の緊張下でもって教官に追いまくられるのだから堪ったものではない。耐Gスーツの中は汗で蒸れに蒸れ、頭から湯気が立ち上りそうだ。装具やヘルメットを投げ捨てて、その場に崩れ落ちたい程の疲労を感じていたが、すぐにデブリーフィングという駄目出しが待っている。寝転がるような贅沢は出来なかった。 速成の決まった隼人達教育隊への訓練は、必然、苛烈なものになった。連日のように空に上がり、クタクタになるまで飛行訓練を続けると、着陸次第の駄目出し。これを午前と午後で繰り返し、日によっては夜間飛行も行われる。各基地の航空隊でもフライトになれば日に三度、四度と飛んで訓練に明け暮れるが、地上勤務やアラート待機の日だってある事を考えれば、隼人達は限界まで締め上げられ、鍛え上げられているわけだ。 それでも圧倒的に足りない飛行時間を補うため、F-2複座型の後部座席からはシートや計器が取り外され、『大江戸研』との怪しげなプレートのついた黒いボックスが収まっている。黒箱の中身は列強の航宙機にも使われる電子機器が詰まっているそうで、F-2内のセントラルコンピューターに増設――どちらが主体かは、この際問題ではない――され、離着陸や航法、火器管制のサポートはおろか、データリンク機能まで付与されていた。 至れり尽くせりだが、そんな便利な物も後部座席を占拠するサイズであり、まして複座型として機首を延長して機材を積み込んだ分の重量増加がチャラになるわけではない。むしろ単座のF-15やF-2に積めるサイズでは無いので、隼人達のような若鷲の手を引くために用意されたようなものだ。 そこまで御膳立てされて、果たして自分達の出番は何時になるのか。 夜毎に実戦への恐怖に押し潰されそうで眠れない、なんて繊細な悩みはない。幸いにして毎日のシゴキのお陰で疲れ果て、布団に入れば泥のように眠るだけだ。 だが漠然とした不安はある。自分は戦闘機パイロットとして役に立てるのか。それとも過酷な訓練の甲斐もなく、いつかくる初陣で何の戦果もなく撃墜されるのか。 死という曖昧なものより、ここまでの自分の全てが無為に終る事の方が堪えられなかった。 それなのに空に上がれば、今日も教官に苦も無く捻じり伏せられる。挙句、上官に付けられたTACネーム(空自パイロット間での愛称)がブービー…最下位の意味だが、この場合はドンケツあたりが的確か――だ。現に僚翼達の中で教官に追い回されてしごかれる時間は、どう考えても自分が一番長い。 これでは不安は募り、自信は消えてゆくばかりだ。 倦んだ思考に陥りがちな若人の目に、格納庫に横付けしたトラックからコンテナが下ろされているのが見えた。そろそろ四発の対艦ミサイルに増槽を付けたフル装備での飛行訓練をやるとか聞いていたので、訓練用の模擬弾だろう。 望む望むまいに関わらず、訓練は進んでゆく。あの後部座席に居座る物言わぬコンピューターは、自分達に落伍する選択すら与えない。 イカレタ宇宙人達に対抗する術が有るだけマシじゃないかと言われそうだが、当事者にとっての悩みはまた別だ。 だから、結局は、やるしかない。 隼人は日に幾度も思いつく科白を自分に言い聞かせ、疲労で重さが割り増し感の装具を引きずりながら、ブリーフィングルームを目指して足を進める。 次々と格納庫に積まれてゆく機材が、後に自分達にどのような厄介事となって降り掛かるか、露と知らないままに。 それはASM-2…93式空対艦誘導弾の模擬弾などではなく、宮城県松島基地へと送られるはずの無人電子戦機だった。前回セラン小惑星連合に一泡吹かせた、誘導弾の弾頭をジャミング装置に置き換えた物だ。 もはや直接の原因は解らない。青森の占領と共に三沢基地から松島基地へと後退したF-2の飛行隊に届けられる筈の物が、本来松島で訓練を受ける筈だった隼人達に届いてしまった。 悪いことに、東北各地の自衛隊の基地では北海道と青森からの後退組の受け入れと業務割り振りで混乱が発生し、日々、意味の有るのか無いのか解らない書類が乱発されていた。教育隊の整備士達も実戦部隊の、それも外部から持ち込まれた急増の装備にまで知識がある訳もなく、コンテナの中の数が合っているのを確認すると、後は格納庫のオブジェとなってしまった。 それはまるで時限爆弾のように不気味な沈黙の中に潜み、時が来るのを待つのだった。 つづく
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ラストウィズリプレイ06_04 GM では次、シーンプレイヤーは千夏です。 千夏 あ、あ、あ、あ、あ、あたしはちなつー。 た、たぶん大丈夫。 彰人 レーヴァテインにテレポートー、でしたねー。 GM しました。激震が走ってます。 千夏 激震? GM パール「魔法が効かないなら――――イナヅマ、キーーーーック!!」 どがしゃーん。 150mの機体が500mの船体に戦闘を仕掛けてるので。 千夏 「うわわわ!?」 GM なお、精霊獣は ハスター「きゅおーん…」 プラーナドレインで死にました。 千夏 うおおう。 な、何が起きてるのか、さっぱり。 彰人 えーと、まず何処からわからないんだw 千夏 えーと、レーヴァテインにきた。 彰人 で、今レーヴァテインはガンパールから攻撃を受けてる。 千夏 なんでかっていうと、ええと、あれだ。要塞のプラーナドレインを止めるため! おうおう。 彰人 そこから忘れてたのかw で、私はもう引っ込むぞ。いいな?w 千夏 う、うん。 彰人 (ぽむ)まぁー、レーヴァテインは傷つけられても片っ端から再生してるんでしょうけどー。 GM パール「ガンパールはグレートパールの護衛機だからドレインは平気だけど… 母船が本格起動したらこれ以上意味ないわね…燃料も少ないし… 今日はこれくらいで勘弁してやるわ!」 千夏 おお、パールさんは撤退してくれた! GM レーヴァテインもうぼろぼろです、ドレイン食らってるし。 彰人 ドレイン無効処理やってないのに要塞起動したんですかーw GM 要塞が落ちそうだったからですw 千夏 要塞のドレインは、レーヴァテインにも効果を及ぼしてるんだ……。 GM で、千夏はどうしますか? 千夏 とりあえず、ええと、ねがいさんを探す! GM ともあれ、ねがいを探すと。知覚ジャッジどうぞ。 千夏 あ、はい。 むむ。プラーナを使う! GM あ、ごめん。まって 千夏 おう? GM 先に柊に見つかりますw 千夏 なんだってー!? GM 柊「坂上……千夏か」 千夏 「!? ひ、柊さん!?」 GM 千夏が現れたのは展望台としましょう。絵的にもw 入り口のひとつから、満身創痍の柊が。 柊「グレートパールを、止めに来たのか…」 千夏 「ごめんなさい! 今忙しいんで!」 と、ダッシュ逃げ! 「って、逃げられない!」 逃げられないの? GM いえ、逃げれますがw 千夏 じゃあ、逃げる! 無用な争いはしない! たったったー! GM 柊「…要ねがいなら」 千夏 「!?」 止まる! GM 柊「殺した…もう用済みだったからな」 千夏 「!!???」 GM 柊「あれも…魔王だ。意向を変えたとはいえ、な」 千夏 「ほ、ほんとに……? ほんとに、殺したんですか……?」 GM 柊「お前は…アンゼロットなのか? ならばどうして、魔王が死んで、動揺する」 千夏 「あたしの質問に答えてください!」 GM 柊「ああ、殺した。 要塞を止められては…困るからな」 千夏 「……そう、ですか……」 GM 柊「こんな偽物の世界は、壊れてしまえばいい。 こんな、世界など…俺は、大嫌いだ」 千夏 「あたしにとっては本物です。 あたしは、大好きです」 GM 柊「アンゼロットにとっては違う。 お前は……まだ、目覚めていないのか?」 千夏 「分かりません」 GM 柊「それとも俺が……失敗したのか?」 千夏 「分かりません」 GM 柊「アンゼロットの肉体を取り込むとは予想外だった。 ……ただの人間に戻れる機会を、どうして放棄した?」 千夏 「分かりません」 GM 柊「そうか…」 街が飲まれていく。ビルが倒れていく。 奈落の奥に、根元からプラーナに分解されて。 千夏 「確かに、あそこで、ただの人間になれれば、一番楽だったんですけどね」 GM 柊「ならば、どうして」 千夏 「このまま、終われないと、多分、思っちゃったんです。きっと」 GM 柊「背負うべきものが多すぎては…人は疲れ果て、狂い死ぬだけだ」 千夏 「それでもいいです。ぎりぎりまで、やれるとこまで、やるだけです」 「うわあああ、俺の、俺の腕があああ!」 「馬鹿野郎、早くこっちにきやがれ!」 GM 柊「お前は何者だ?」 千夏 「坂上千夏です」 GM 柊「自分が何者か、本当にわかっていて、 そんな無責任な言葉を吐けるのか?」 千夏 「分かりません」 GM 柊「お前はアンゼロットだ。アンゼロットに、自ら選んでなったのだ。 ならば…世界の守護者たる義務がある」 千夏 「なら、世界を守ります」 「おかーさーん、おかーさーん!」 子供が一人、燃える街の中をなきながら歩いている。 美香 せんせー。香港は疎開終わってたはずですw 彰人 ですねーw GM きっと子供のウィザードだったんだよ9歳児め!w 美香 戦場にくんな!w GM 柊「お前が救うのはこの世界ではない、元の世界だ!」 千夏 「なら、どっちも救います」 GM 柊「アンゼロットならば、守るべきもの以外は切り捨てる。 自分に何ができるのかもわからぬくせに、切り捨てる勇気もないくせに、 知った口を効くな坂上千夏!」 千夏 む。デジャブしようかな。 要ねがいの居場所を、デジャブしたいです。 GM A.レーヴァテイン艦内。脱出ポッドで気絶しています。 千夏 よし! 当たった! GM ちえーw 彰人 ではー、そろそろ登場しますからー、逃げ出してくださいーw 千夏 「柊さんだって、切り捨てられないくせに!」 GM 柊「今も人が死に続けている。お前は何をしに来たか、言ってみろ!」 千夏 「死なないようにしに来た!」 GM 柊「ならば何をすべきかわかるはずだ!」 千夏 「プラーナドレインを止める!」 「くそ、侵食がとまらん!このままじゃ…」 「諦めるな!ラグナロクがきっと何とかしてくれる!」 GM 柊「プラーナドレインを止めるには、 ヴィオレットを倒して権限をお前に戻すしかない。 お前にそれができるのか」 千夏 「他の方法があるから」 ダッシュで逃げ出す! GM 柊「!? 逃がさんっ!」 彰人 「すみませんがー、一歩も動かないでくださいねー」 と、柊艦長さんにアースバインドー。 千夏 というか、テレポートで、脱出ポットまで行けない? GM 行けますがw 千夏 じゃ、さっさと行こう! びゅーん! テレポート! ねがいさんのところまで! 彰人 「足止めしときますからー。 千夏お姉ちゃんはさっさと自分のお仕事してきてくださいねー」 千夏 「ありがとうあきとくん!」 といって、消えました。 GM じゃあ千夏は置いておくとして。彰人のほうやりましょう。 柊「どういうつもりだ、彰人…」 柊が彰人を暗い片目で見ます。 彰人 「いーえー?ただ今回はやりすぎですのでー。 取り返しつかなくなる前に止めに来ただけですよー?」 GM 柊「既に取り返しなどつかない。俺は地獄の蓋を開いた。多くの人間が死んだ。 そしてこれからも殺す。意のままにならないものは、すべて。 坂上千夏、あいつも。彰人、お前もだ」 彰人 「でしょうねー。でもですねー、残念ながらー、 ボクの『任務』を達成するにはー、ちょっとこれじゃダメなんですよー。 あとー、あんまり大きくしすぎるとー、準備ができる前に『起きちゃい』ますしねー」 美香 ああ、ロイスが消えたんでジャーム化したか… GM ヴぁいたるあっぷ!w 千夏 うう、あたしのせいじゃん。 美香 もしくは因縁昇華しそこねて修羅化?w GM 柊「やはりお前はラストウィザードでいられなかったか… だが、俺も既に…」 消えました。 美香 消え!? GM テレポートです。 ガーディ 何!? 千夏 え!? 柊さん、風属性だったの!? ガーディ あ、柊風火だから… 美香 …よく使えたなw アイテムで補強してるだろw GM まあ、超巨大武器+魔器でなかなかw 美香 あ~なるほどw 千夏 ううー。 美香 なんや、うちと一緒かw 彰人 「……違いますよー。ボクの任務は最初から一つですー。 『この世界を元に戻す事』 その為にはー、まだ艦長さんの力が必要なんですけどねー。 ともあれー、少し急ぎましょうかー」 と、ボクも向かいますよー。 GM では千夏の方に移ります。 狭いポッドの中では、ねがいが気絶してますね。 ねがい「……」 椅子に縛り付けられています。 千夏 「ねがいさん! ふう、よかった。生きてる……」 さささーっと、縄を切りましょうか。 GM ヴィオレット「HAHAHA,OH,WAIT!」 千夏 「!?」 GM 音声が響き、そこのコンソールからヴィオレットが実体化します。 ヴィオレット「この姿ではハージメマシテデスネー。 レーヴァテイン中枢制御AI,ヴィオレットでーす!」 千夏 「えーと、ヴィオレットさん?」 いいながら、縄をほどこうとしよう。 GM ヴィオレット「OH,人の話を聞かない困ったチャンでーす、HAHAHA」 縄は解けます。 千夏 「ごめんなさい! すごく急いでるんです!」 ねがいさんを背負って、テレポート! 戻る! GM ヴィオレット「知ってマース! HAHAHA,ダカラ結界強化したデース!」 戻れませんでした。 千夏 「!? テレポートが発動しない!?」 ガーディ ぬう! 彰人 それはボクにも感知できますかー? GM できます。 ヴィオレット「フォートレス間の移動は、 テレポートでは不可能な場合があるのデース。HAHAHA!」 彰人 ではー、『破界』を発動しますー。 ガーディ いけえ彰人! GM うわあw 千夏 おお! そうすれば、テレポートで飛べる! 彰人 幾つ消費ですー? GM ルーラーは15レベルです。 彰人 ではー、MPから50消費しますー。 びいいいぃぃぃぃん 弦を鳴らす音が響いたかと思うとー、結界が破壊されまーすw GM レーヴァテインそのものに大穴が開きましたw 美香 おいw ガーディ 気合入れすぎ!w GM いや、レーヴァテインは一種のフォートレスなんでw ガーディ セントテクタイト製の装甲が!? ファー・ジ・アースとミッドガルドの魔術の粋を集めた結界が!?W GM ヴィオレット「OH,SHIT!?」 千夏 「!? もう一度、テレポート!」 GM それは可能です。 千夏 要塞に戻る! あの場所に! ねがいさんといっしょに! GM はい。では千夏はシーン退場。 ガーディ ところで…いのりは? GM いのりは下で何も知らずに戦ってるよ!w 柊「……彰人」 彰人 「うふふー。世界を戻す為にはー、まだ千夏お姉ちゃんにもー、 柊艦長さんにもー、退場してもらうわけにはいきませんからねー」 GM 柊「やってくれたな…」 ガーディ だあ GM 柊「彰人……どんな人間にも、生きる権利があると思うか?」 彰人 「いいえー。あるのは『生きる義務』ですー」 GM 柊「どんな外道にもか?」 彰人 「ええー。それにー、権利なんて、後から勝手についてくるですよー」 GM 柊「………帰投する」 彰人 「はいー。そうしましょうかー」 ここで千夏離脱 GM では、グレートパールブリッジにシーンを移しましょう。 美香 うい ガーディ おーらい GM あ、それからついでに。千夏。 千夏 おう? GM いまさらですが、貴女のエクスかリバーの名称が 『昼子命』(ひるこのみこと)に変更されます。 千夏 おうう。 美香 おお! ガーディ ほほう! 千夏 よく分からないんだけど。 彰人 跳梁跋扈が使えるですかー?w GM 追加能力は、『神殺15LV』『破界3LV』です。 詳しくは彰人に聞いてくださいw 彰人 うわー、ASCLと同じ性能ですーw ガーディ おおー! GM まあゆうかをぶっ殺したしねw ガーディ 言うなあ!(涙) 千夏 ううう。 GM ではブリッジ。 ブリッジはラグナロクが雪崩れ込んできて一触即発です。 ガーディ 「…もう一度言う…千夏が、これを止められるるねがいをつれて戻る。 無駄な争いはしたくない。だから…頼む、待ってくれないか。」 美香 「確かなものは何一つ無い。 せやったら、自分が信じれるものはどこにあるんやろなあ。 ほんとに、最初に、信じて戦ったものは。 その信じるものがうちの、ガー公の、千夏の屍の先にあるってんなら、 仕方あらへん。やるしかないやろなぁ」 「……信じていたものなんて……守りたかったものなんてもう壊れかけているもの! それでも!どんな壊れかけていても! どんなに罅が入っていても!もう戻らない欠片があっても! 守りたいから!信じたいから!だから!だからっ!」 ボロボロと涙を零し。ボロボロの篝は哭く。 「だから……戦うしかないんじゃないの…」 守りたい者を消せと言われ、守りたかった者を守れなかった、葛藤、後悔、無力感。 それでも『それ』を手放したくないから、ボロボロに傷ついた少女は立とうとする。 もう決して戻るはずのない、皆が『いた』学校。もう、戻らないものの為に。 彰人 というわけでマサト辺りが抱き締め慰めようかw GM マサト「篝…」 彰人 篝は泣き崩れましたw 美香 うむ、そうしてろやw ガーディ ああ。 GM じゃあ篝はリタイア? 彰人 精神的な柱はもう折れかけてるから、篝はw 美香 マサトも一緒に行け、上司と恋人で上司選ぶなら別だがなw GM じゃあマサトもリタイアw 美香 よし、カリスマに愛が勝ったw GM マサト「もういい、もういいんだ、篝…」 彰人 篝「何が正しいのかなんてわかんないよ… 皆と、皆と一緒にいたかった、それだけ、それだけ、だったのに……」 ぎゅうっと抱きついて胸に顔を埋めている。 美香 「ま、んな時はも一度最初に戻って見ることやな。 ほれ、マサト。頼んだで~」 GM じゃあ、代打が来ますね。 美香 くんなー!!! ガーディ こら!? 美香 せっかく敵戦力減らしたこっちの身にもなれぃ!(くわっ GM リオン「運命は……決まっている」 と、ダンガルドローブ着た二人組が リオン「お前の秘密を…知っている」 とガーディをさす リオン「空回りが多いくせに……サディスト」 ガーディ 「……」 GM リオン「お前の秘密も…知っている」 と美香をさす リオン「面倒くさがり屋で……バトルツンデレ恐怖症」 美香 「…殺すで」 彰人 その傷は抉るなw ガーディ すまない… GM リオン「お前の秘密も…」 ベル「私はいいのよ!?」 美香 GM~ちょっとぷっつんきかけたぞ~w GM 恐るべしw 彰人 一言「……地蔵」と言っておくだけでも良かったのにw 美香 地の分でならまだしも、キャラにそれを言わせるなや~(笑顔 ちぇ、せっかくベルとタイマンでも張ろうかと思ってたのに… GM じゃあもう一人も自己紹介しますね(明後日の方向見ながら 「くおらー!」 とガーディをさす ガーディ え?! 誰!? GM 「よくもワイの妹分苛めてくれたなー! ワレー!」 彰人 待て、その口調はまさかっ!? GM マルコ=ヴァンスタインです。 ガーディ ヴァンスタインて!?w に、似合わない苗字をw 彰人 人狼ダンガルドに入れるなー!!!!wwwwwwwwwwww 美香 わははははw GM だからダンガルドローブを着てるw が、燦然と輝く知力5!w 美香 ま、ここまできたら何があっても不思議は無いやろw 彰人 何がしたいんだお前はー!!!!!!!!!!!wwww GM マルコ「な、なにわらっとんじゃー!」 美香 彰人、中の人が激しく反応しとるぞw 彰人 今は彰人じゃないから良いのだっ!!w ガーディ 「…すまない。」 きっぱりと真正面から謝る。暴れたのは事実だ。 GM 以降、マルコのロールは彰人に任すw 美香 ああもうw おい!www 彰人 わーい! 美香 喜ぶなぁ!w GM 喜んでもらえて大変に結構w 彰人 マルコ「魔術師じゃけんね!強力なウィザードじゃけんね!! だからなんなんよその目はー!!!」 ガーディ 「…悪かった。」 もう一度、謝る。 彰人 さっきから誰に謝っているのかわからんのだがw GM ベル「もういいから行くわよ! シュヴェル、リオン、マルコ!」 美香 え、え~っと、で、どうすんだw GM 戦闘ですw 美香 待て、二人でやれと!? GM 2ラウンド目に千夏が来ます。3ラウンド目に彰人が来ます。 それまではがんばれ!w 美香 つーかだったら増援も時間かかってから登場させろやーーー!!! GM そうだったねえw しかしいまさらだし千夏も留守だしw P○○敵 という位置関係でございます。 美香 ええい、このGMにそんな機微を期待する方が間違いか、やったらぁ!!! 死なす!殺す!絶対ぶちのめしたるわーーー!!! GM いや、本当は千夏は柊倒してもらわなければいけないんで、もっときつかったw 美香 唐突な増援の方がむかつくわ!!! ガーディ 逸るな、美香。 美香 いっつもはやっとるやつが言うでない!!! ガーディ 全員集合まで持たせることを考えよう。その、なんだ。 …今は、あんまり争いたくねえな(シドの声で) 美香 黙っとれ!知った事か、殺したる!特にリオンはな!!!
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帰還! 魂の還る場所 日食が終わり――太陽がその姿を現す。 アルビオン艦隊の沈んだ空は、まさに青一色。どこまでもどこまでも晴れ渡っていた。 その青い空の中を、彼等は、彼女等は探す。 あの竜は何処。竜の羽衣は何処。承太郎とルイズは何処。 そして――すでにこの空にはいない事を知る。 「とりあえずトリステイン軍が勝ったけど、これから本格的に戦争が始まるわね。 トリステインにいると危ないかもしれないけど……どうする? よかったら私と一緒にゲルマニアに来ない? 疎開ってやつよ」 「いい」 「あら、そう? どうして?」 「しばらく学院で待ってみたい」 「……そう、そうね。それも悪くないわ。私もつき合う、文句は無いわよね?」 「うん」 「どうしたんだい? なぜそんなに泣いているんだい?」 「ごめんなさい。今は、泣きたいんです。泣かせてください」 「……女の子の涙を止めるのも、薔薇の役目だ。 彼が行ってしまってさみしいのも解るが、なぁに、きっとすぐ――」 「いいえ、きっと、もう、あの人は……帰ってきません。 お爺ちゃんの故郷へ行ったんです。二人で行ってしまったんです。 もう、私達の手の届かない所へ……遠い遠い……月がひとつの空へ……」 「……友達が泣いているのに、何もできないというのは、つらいなぁ」 「ありがとうございます。私を友達と呼んでくれる皆様がいらっしゃるから、 私はあの人を待ち続ける事ができます。できると思うんです」 こうして――ハルケギニアでの物語は終わった。 では、承太郎とルイズは――? 真っ白い光の中から飛び出した先は、空だった。 「うっ……?」 「気がついたか、ルイズ」 承太郎の膝の上で目を覚ましたルイズは、周囲を見回した。 「……ここ、どこ? タルブの村?」 「下を見てみな」 見てみる。 変な形の建物がいっぱい並んでいて、灰色の道の上を色取り取りの箱が走ってる。 これは、何だろう。どこだろう。ハルケギニアにこんな街並あったっけ? 「日本だ。やれやれ、何とか無事帰ってくる事ができたらしい」 「あ――そ、そうなんだ。よかった、よかった」 それってつまり自分も異世界に来ちゃった訳で……どうしよう? かなり頭が混乱していて、ろくに物事を考えられない。 喜ぶべきか、悲しむべきか、怒るべきかも解らない。 そんなルイズを膝に乗せたまま、承太郎はゼロ戦を降下させる。 「ジョータロー、どこ行くの?」 「学校の校庭に着陸させる。燃料タンクをやられたからな、 あんまり長くは飛べねーし、近場で広い場所は学校くらいだ」 「学校って、あんたの通ってた学校?」 「そうだ。ラッキーなのかアンラッキーなのか、俺の故郷の街の上に出てきたらしい」 そう言って承太郎は、一際大きな建物のある場所へゼロ戦の機首を向ける。 トリステイン魔法学院ほどの大きさはないが、どうやらそれが学校らしい。 校庭の隅へと車輪を下ろしたゼロ戦は、速度を落としながら校庭の反対側まで走る。 「ちょっと、ちゃんと止まれるの? ……って、何してるの?」 見れば、承太郎はメモ帳を取り出し、何かを書き込んでいた。 「陛下じゃあなく、国の所有物になるだろうが、 これでシエスタの祖父の魂は故郷に還ってきたって事になるかな」 そう言うと承太郎はメモ帳のページを一枚めくると、風防を開けてルイズを担ぎ上げた。 「ちょっ、何すんのよ!?」 「騒ぎに巻き込まれるのはゴメンなんでな。とっとと逃げるぜ」 空いた座席にメモ用紙を放ると、承太郎はゼロ戦の前に回り込んで、 スタープラチナで受け止めてブレーキをかけた。 おかげで校庭の反対側を突き抜けずにすむ。 「さて、さっさとズラかるとするか」 「きゃっ、わあ!」 目立つルイズの桃色の髪を隠すべく、承太郎はルイズの身体を自分の学ランで覆った。 それはある意味抱き合うような形でもある。 そして一目散に校庭から走り去り、近場の竹林へと逃げ込んだ。 学校では、授業中突然校庭に降りてきた戦闘機の姿に生徒達が大騒ぎを始め、 授業どころではなくなってしまった。 しかもパイロットらしき黒ずくめの男は、とっととどこかへ逃げてしまった。 服装が学生服っぽかったように見えたが、みんな校舎から見ていたため、 正確な服装を把握する事はできなかった。 警察に通報しつつ、ゼロ戦の様子を見に来た教師達は、 コックピットの座席に落ちている一枚の紙きれを発見する。 そこにはこう書かれていた。 『天皇陛下ヨリ預カリシ零戦ヲ 遅レバセナガラオ返シシマス 海軍少尉天田史郎』 後日、第二次世界大戦中行方不明になった天田史郎少尉の存在が明らかになり、 時代を越えて還ってきた謎の戦闘機として日本中に知れ渡る大ニュースとなった。 どうやら平日の昼間らしく、住宅街を歩く人影はほとんど無かった。 たまに通る車からも、承太郎はうまく陰になってルイズの髪を隠す。 ルイズは日本の建築物やコンクリートの地面に驚きつつ、 案内されるがまま空条家へと向かう。 貴族の屋敷に比べると小さいが、他の一般家屋に比べると広い敷地を持つ空条家を見て、 実は承太郎もこの世界じゃそれなりの家柄の人間なのではと見直したりもした。 久方振りに我が家へと帰宅した承太郎は、とりあえずルイズに玄関で靴を脱がせ、 スリッパを履かせた後、居間へと案内する。 「とりあえずここで待ってな。茶でも淹れてきてやる」 「あ、あの。ジョータロー……」 居間から出て行こうとする承太郎を、ルイズは不安げに止めた。 「わ、私、帰れるかな……? ハルケギニアに」 「……さあな……もう一度日食に飛び込めば帰れるかもしれねーが……正直解らん。 とりあえず小型飛行機の類ならじじいを頼れば調達できるだろうし、 スピードワゴン財団って組織の協力も仰げば何とかなるかもしれん」 「そ、そう」 「……すまないな、巻き込んじまって」 承太郎の謝罪なんていうとんでもないものを聞かされたルイズは、 大慌てで返事を考え、思いつくがままに喋る。 「こ、こんなのヘッチャラよ! それに、あんただって、その、 召喚された時は結構余裕見せてたじゃない? だったら、ご主人様の私も、これくらい余裕よ余裕! あははのはよ!」 「……そうだったな。光の中で怖くないとか言ってたのを忘れてたぜ」 「あっ……」 突如硬直するルイズ。あの時、ええと、何て言ったっけ? 『ジョータローと一緒なら、何が起こったって怖くないんだから!!』 うわ、恥ずかしい。 何か愛の告白にも聞こえない事もないような気が少しだけどするかもしれない。 「あ、ああ、あれは、あれは、その……」 「……何だ? あの時はよく聞こえなかったんでな、聞き間違いや、 聞き逃した部分があるんだったら、今言い直してくれて構わねーぜ」 「え――と、わ、私は虚無の担い手なんだから、何も怖くないって言ったの!」 「そうか」 咄嗟に嘘をついたルイズだが、承太郎はそれで納得したようだ。 いや、もしかしたら、本当は全部聞こえていたのに、イジワルしてるのでは。 何だかムカムカしてきて、何か言い返すものはないかと思考をめぐらせる。 (……あ、そういえば) ピコリーンと閃いた。 「そういえばあんた、あの光の中で、私の事を『ご主人様』って呼ばなかった?」 今度は承太郎が固まる。そして回想する。 『やれやれだぜ。意外とご主人様らしいところもあるじゃねーか……ルイズ』 「何かの聞き間違いだろう。俺はそんな事……一言も口にしてねーぜ」 ルイズはあの時の言葉を全部覚えているのかいないのか、 不適な笑みを浮かべて承太郎の背後に忍び寄ってきた。 「確かに聞こえたと思うんだけどなー。あんたが『ご主人様』って言うの。 それって何? つまり、ついに認めたって事よね? 私が『ご主人様』で、ジョータローが『使い魔』だって事を!」 「……妙な勘違いをするんじゃねー。 だいたいここはハルケギニアじゃないんだ。使い魔なんて存在しねー」 「でも、使い魔のルーン消えてないじゃない。まだ私の使い魔って証拠よ」 言われて左手を見てみると、ガンダールヴのルーンはしっかりと刻まれたまま。 これはこれで便利な能力だが、どうしたものか。 ――と、突然承太郎は脂汗をかき始めた。 「ど、どうしたの?」 「……気分が悪い。どうやら……今頃タバサの茶が効いてきたようだ……」 「え!? だってあんた、おいしいって言ってたじゃない!」 承太郎は知らない事だが、彼がタバ茶七号を飲んだ時、 ガンダールヴのルーンが反応していたのだ。 ゼロ戦を武器として反応していたのか、タバ茶七号を武器として反応していたのか、 それは些細な問題なのでどうでもいい。 重要なのはガンダールヴの力でパワーアップした承太郎の身体は、 タバ茶七号の持つ色々なパワーと奇妙にブレンドして、受け入れる事に成功したのだ。 だからガンダールヴの力が切れて時間の経った今、 タバ茶七号の猛威が承太郎の身体を襲っていた。 「うっ……」 「ちょ、ちょっとジョータロー!?」 突然足がふらつき出した承太郎は、手近にあた棚を掴んで身体を支えようとするが、 引き出しを思いっきり引っ張っただけに終わり、 その中にあった無数の紙(?)を撒き散らせながら倒れこんだ。 「ひゃあっ!?」 ルイズの上に。 195cm、82kgの体重に押し潰され、ルイズは目を回す。 承太郎もタバ茶七号の後遺症で頭痛を感じながら、何とか起き上がろうとする。 両手で上半身を持ち上げ、膝を使って立ち上がろうとして、 偶然――四つん這いの姿勢になる。 その下には、ルイズ。 その周囲には、写真。 ……写真? 「う、うーん……うん?」 何度もまばたきしながら、ルイズは自分の周囲にばらまかれている紙に気づいた。 それを手に取って見てみる。絵、というにはあまりにも精密すぎる絵があった。 「こ、これは……念写した、俺の写真?」 承太郎が呟く。 ルイズは写真を見て、顔を真っ赤にする。 背景は空。青い地面(シルフィードの背中)に座り込みながら、 承太郎の左腕に抱きついてスヤスヤと眠っている自分の姿。 彼等の周囲に散らばっているのは、承太郎の写真ばかりであった。 しかもルイズ、シエスタ、キュルケ、タバサと一緒の写真ばかり。 承太郎は絶句した。 そして、ルイズは承太郎に押し倒されているような体勢になっていると気づき、 顔をトマトのように真っ赤にして悲鳴を上げた。 その悲鳴を聞きつけたのか! 玄関の方からドカドカと二人分の足音がやってくる。 「承太郎!? 帰ってきたの!?」 「何じゃ今の悲鳴は! いるのか、承太郎!」 お母さんとお爺ちゃんとの感動の再会――にはならなかった。 ホリィは見た。ジョセフも見た。 承太郎がー念写に出てきた女の子の一人をー家に連れ込んでー押し倒し中ー。 「か、帰ってきて早々……真昼間から……何て事……」 「ろ、ロリ……ロリコンじゃと!? OH MY GOD!!」 こうして空条承太郎とゼロのルイズの冒険は終わり――。 何だかよく解らない事態に陥った。 あまりにも滅茶苦茶な状況に、冷静で優れた判断力を持つ承太郎も、 誤解を解くだとか事情を説明するなんて行動を取れず、ただ一言こう呟いた。 ――やれやれだぜ。 エピローグ 王女アンリエッタ 兵を率いて出陣した事によりゲルマニア皇帝との婚約は解消されるも、 まさかの大勝利により国民から持ち上げられ女王に就任。 その後もトリステイン王国を率いてレコン・キスタを相手に戦争を繰り広げる。 敗北寸前まで追い込まれるもガリア王国の策謀により戦争は終結。 傷ついた自国を憂い、国民が平和に幸せに暮らせる国造りに粉骨砕身する。 雪風のタバサ 戦争終結後もトリステイン魔法学院に在学。 コルベールの開発したタバコの宣伝のため『煙草王誕生!』なる歌を作曲。 タバ茶ナンバーズも日々改良を重ね、ついにタバサ特製はしばみ茶八〇号を完成。 その味はあまりの凄まじさのため飲んだ者は精神に異常をきたすほどだが、 逆に精神に異常がある者が飲むと正常に戻るため二回飲めば一周して元通りになる。 数々の画期的なタバ茶開発の功績によりはしばみ草愛好会の開発部に誘われた。 タバ茶八〇号を『とある女性』に飲ませたタバサは、失った幸せを取り戻したらしい。 微熱のキュルケ 戦争終結後、色々あってコルベールへの愛を燃やすようになる。 彼のためにタバサにタバコの宣伝ソングを作曲してもらい、キュルケは作詞を担当。 宣伝ソングの効果もあり紙タバコ『ツェルプストー・サラマンダー』は、 ハルケギニア全土で紙タバコブームを巻き起こす。 ツェルプストー家の財力はゲルマニアでも最高のものとなった。 その後はコルベールと釣り合う女性になるためメイジとしての勉学にも励む。 タバサとは学院卒業後も連絡を取り合い、互いに生涯の親友といえる関係を築く。 炎蛇のコルベール 戦争終結後、ツェルプストー家が全面バックアップにつき、 紙タバコやエンジンのみならず様々な機械を発明する。 『煙草王』『発明王』『コッパゲ』という名を歴史に残すほどの活躍を見せる。 色々あって教え子のキュルケに惚れられてしまうが、 彼女が学院を卒業するまでは一切相手をしなかったという。教師の鑑だ。 でも卒業後は不明。 何だかんだで幸せな人生を送る。 青銅のギーシュ タルブの村の英雄として祭り上げられ、シエスタからも尊敬されるようになる。 そのせいでモンモランシーから「今度は平民のメイドなんかに」と誤解を受けた。 学院卒業後は、承太郎達と共に送った冒険が忘れられなかったらしく、 ハルケギニア中を旅して回り人間的にもメイジとしても成長。 クイーン・ワルキューレの他に、様々な形態の開発にも成功している。 ゲッター・ワルキューレ。ジェネシックワルキューレ。ゴッドワルキューレ等。 しかしどれもこれも色物ゴーレムばかりで、あまり強くなかったと言われている。 だがタルブの村では竜の羽衣に代わり、 全種類のワルキューレの銅像が寺院に奉られるようになったそうな。 その中にスターダスト・ワルキューレと呼ばれる銅像があり、 ギーシュの友人が操っていたゴーレムがモデルと言われているが真偽は定かではない。 シエスタ トリステイン魔法学院でメイドを続け、休暇には実家に帰るという日々を送る。 時々キュルケ、タバサ、ギーシュとコルベールがヨシェナヴェを食べに厨房を訪れ、 コック長のマルトーも彼等と交流する事で貴族への偏見を緩和させる。 特にギーシュからご贔屓にされる事が多かったため、 モンモランシーから誤解を受け一時期目の敵にされるが、 ギーシュ達三人がシエスタをかばい、貴族と平民の身分を越えた友情で結ばれる。 承太郎との思い出を生涯大切に抱き続けた。 ゼロのルイズ 桃色の髪は目立つという事で、来日早々黒く染められる事になる。 スピードワゴン財団にハルケギニアへ帰る方法を探してもらいつつ、 秘密裏に設立された魔法研究部門への協力。 地球における科学の発展に触れ、数ヶ月ほど田舎物丸出しなんてレベルではなかった。 帰るめどが立たないためフランス系アメリカ人という国籍をスピードワゴン財団が捏造。 晴れて地球人となる。 しかし日本語しか理解できないため、数年間空条宅に居候をしつつ、 日本語の文字を覚えた後は大学に通い地球と日本の常識や知識を勤勉に学んだ。 メイジであるためスタンドは見えるがスタンド使いではないため、 スタンド使いは引かれ合うという法則に該当せず日常生活は平和。 ハルケギニアに残した家族や友人達の元へ帰ろうと、 始祖の祈祷書やスピードワゴン財団を利用し様々な努力をした。 しかし帰るチャンスが訪れた時、帰るべきか帰ざるべきか三日三晩悩んだという。 空条承太郎 スピードワゴン財団が報告してくるスタンド関連の事件解決に協力しつつ、 真面目に勉強をし某一流大学にを卒業、晴れて海洋冒険家となった。 後にアメリカ国籍の女性と結婚し女児を授かる。 だが海洋冒険家とスタンド使いという境遇が承太郎に平穏な生活を許さず、 妻子の待つ家にほとんど帰れなかったため、円満な家庭を築けず離婚してしまう。 だが後年、DIOの意志を継ぐ邪悪が動き出し、娘とその仲間の協力を得て戦う。 スタープラチナとガンダールヴの能力、そして娘のスタンドと、 彼女が母親から受け継いだもうひとつの能力に助けられ、 時を加速させ新世界を目指したスタンドに辛くも勝利を収める。 この戦いにより父への愛情を取り戻した娘に、気性の激しい元妻との仲を取り持たれ再婚。 今度こそ幸せな家庭を築いたようだ。 第一部 スターダストファミリアー 完