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問題 表示 解答 補足 1990年代に高校生たちの間でも流行したヘアのおしゃれです 茶髪 ちゃぱつ 2010年10月に文化勲章を受章したファッションデザイナーです 三宅一生 みやけいっせい 「ユニクロ」などを運営するファーストリテイリングの創業者 柳井正 やないただし 足が速くなるように開発され子供に大人気のアキレスの運動靴 瞬足 しゅんそく アメリカ人女性のマリー・ジャコブが発明しました ブラジャー オーダーメイドの服でサイズをはかることです 採寸 さいすん 押切もえ、蛯原友里らがデザインするストッキングのブランドです f*ing エフィング 菊正宗酒造が販売する日本酒エキス配合の化粧品です 酒滴女子 しゅてきじょし 皇后・美智子妃のデザイナーも務めた大正生まれの人物 中村乃武夫 なかむらのぶお 香水の分類の基準となる香料の含有率のこと 賦香率 ふこうりつぶこうりつ コーセーが発売しているスキンケア製品のブランド名です 清肌晶 せいきしょう コーセーが発売しているスキンケア製品のブランド名です 雪肌精 せっきせい コム・デ・ギャルソンの副社長を務めるデザイナー 渡辺淳弥 わたなべじゅんや これが巧みな人はおしゃれといわれます 着熟し きこなし 雑誌からブレイクした盛りヘアーでキメた女の子たち age嬢 あげじょう ジャケットのブランド「VAN」の設立者です 石津謙介 いしづけんすけ 女性ファッションブランドZUCCaの創業者です 小野塚秋良 おのづかあきら スペイン語で「仮面」という意味がある化粧道具です マスカラ 盛装に用いる、帯の下際に締める飾り帯のことです 扱き帯 しごきおび 繊維が水をはじくようにほどこします 撥水加工 はっすいかこう 男性が用いる夜間用の正式な礼服です 燕尾服 えんびふく チュニジア出身のジャン・トゥイトゥが創始したブランド APC アーペーセー トッグルというボタンが特徴的な「○○○○コート」? ダッフル トレードマークの蝶のモチーフで有名な日本の服飾デザイナー 森英恵 もりはなえ 中川翔子が企画・デザインに参加しているファッションブランド mmts マミタス 日本初のブライダル専門店を作ったデザイナーです 桂由美 かつらゆみ 人気ファッション雑誌『小悪魔ageha』の編集長 中條寿子 なかじょうひさこ 人気ファッションブランド・EMODAのプロデューサーです 松本恵奈 まつもとえな 人気ブランド「アンダーカバー」のデザイナー 高橋盾 たかはしじゅん バラエティ番組で活躍するファッションプロデューサー 植松晃士 うえまつこうじ ファッションブランド PEACE ON MARSの創設者 植竹拓 うえたけひろむ ブランド「BIGI」設立者のひとりである女性デザイナー 稲葉賀恵 いなばよしえ 文化出版局が発行する女性向けファッション誌です 装苑 そうえん
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550 通常の名無しさんの3倍2016/02/25(木) 01 03 39.17 ID iuav4ozr0 リケジョって性欲強そう 553 通常の名無しさんの3倍2016/02/25(木) 22 03 12.94 ID bOPAsEO70 550 レイン「そっ……そんなことないわよ!!」 ドモン「…………」ジトー レイン「なによその目は…」 昨日*** レイン「無茶は……コックピットの中と…ベッドの上だけにしてよね……?」 *** ドモン「……どの口が言ってんだ?ん?この口か?塞いでやろうか」 レイン「ちょ、ちょっとドモン!」 ジュドー「なんかあっちでドモン兄がいちゃついてるんだけど……」 ガロード「地球を救う勢いだな」 ロラン「…ほっといておきましょうね」 555 通常の名無しさんの3倍2016/02/26(金) 07 45 14.39 ID iLEP1RYO0 553 アムロ「うちの妹はガッチガチの理系なのにどうして…」 セレーネ「あら、これでも結構強い方だと思うわ。ヴィンヴィンよヴィンヴィン」 アムロ「ならなぜ男の一人でも連れ込まないんだ」 セレーネ「余りある性欲をゲイザーちゃんに注いでいるからよ!」 アムロ「そんなことだろうと思ったよ…」 ロラン「でも逆に考えれば、その情熱を男の人に向ければ物凄いことになるってことじゃないですか?」 シロー「自分の子供をマイリトルスイートパンプキンとか言い出すのかな…」 セレーネ「そのマイリトルなんたらっての、なんかイヤだからやめてくれる…?」 キラ「ドモン兄さんやガロード兄さん以上のバカップルラブラブキャラになったらそれはそれで恐ろしいよね…」 アムロ「想像はつかないが、もしそうなったら不気味かもな」 セレーネ「兄さんたちは私をどうしたいのよ…」 558 通常の名無しさんの3倍2016/02/27(土) 00 23 45.13 ID 10fdsuWq0 555 アムロ「有り余る性欲は、生身の肉体にぶつけてこそのものだろう」 セレーネ「もっともらしく言っても内容は最低よ」 アムロ「宇宙の心理だ。そこで、俺が連れてきてやったぞ。おーい、入ってくれ」 キョウジ「やぁ」 スウェン「どうも」 セレーネ「…やっぱりあんた達なのね…」 アムロ「好きな方選んでいいぞ」 セレーネ「んなこと言ったって……」 ドモン「姉さん、ここはやはり…同期、金持ち、男前……そのうえ科学者で姉さんの研究に理解あるという超優良物件であるキョウジ兄さんで行くべきだ!!」 ガロード「いや、ちょっぴり不器用な銀髪イケメンという…乙女ならみんな大好きなナイスガイ!母性をくすぐる年下のオトコノコ、スウェンさんも負けてないよ!」 キョウジ スウェン フラグ立ってるようなお二人。 559 通常の名無しさんの3倍2016/02/27(土) 00 38 50.41 ID XJ8wLiV10 558 キラ「両方をとって逆ハーレムもアリだと思わない?」 560 通常の名無しさんの3倍2016/02/27(土) 00 43 25.03 ID f/VLZy7T0 559 キラは黙ってて!! と思ったが、アムロ、カミーユという悪い前例がいるんだよなぁ・・・・・・ 561 通常の名無しさんの3倍2016/02/27(土) 13 23 32.35 ID 10fdsuWq0 558 シュバルツ「貴様らが二人が駄目ならば、私ではどうだろうか」 セレーネ「別に駄目とは…っていつの間に?!」 スウェン「床下から…キョウジが二人!?」 キョウジ「俺の顔で恥ずかしいことするなっていつも言ってるだろ…」 シュバルツ「そんなことはどうでもいい。セレーネ、お前が生身の人間に欲情出来ないのならば…この私から始めてみないかと言っているのだ」 ドモン「そ、そうか!シュバルツは人と機械の狭間いくアンドロイド!!DG細胞を用いてはいるが、容姿・人格はまさしくキョウジ兄さんのもの…機械狂いな姉さんの性活を矯正するにはうってつけだ!!」 シュバルツ「説明ご苦労」 キョウジ「おい、そんなことをさせるためにお前を造ったわけじゃないぞ」 シュバルツ「心配するな。私の心はキョウジと共にある…少なからず、私にはセレーネが魅力的に見える」 キョウジ「そ、そういうことではない!」 セレーネ「……シュバルツって、いいAI積んでるのよね…いいかも」 キョウジ「!?」 スウェン(…アウェー感が凄い……)
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紬もそれを理解していたのだろう。 高校に入ってからは積極的に新しいことに挑戦していた。 辛いことがあるかも知れないと思いながらも、寧ろそれを望んでいたのだ。 今まで触れる事の無かった、傷つき挫折する経験を心のどこかで欲していた。 アルバイトを始めたのも同じ理由だったのかもしれない。 成長を望んでいてのことだったのだ。 しかし、梓の死は紬の心を抉りとるほどの衝撃だった。 幼い頃に経験する身近な者の死とはまったく異なったものだ。 死とは何かを理解する以前なら、 悲しみよりも何故居なくなったのかと疑問を抱くことだろう。 紬は違った。 死の概念を持ちつつ心が未熟なまま人の死に触れ 凄惨な事故現場を目撃したのだ。 梓の死を理解しながらも心がそれを拒絶する。 唯も、律も、澪も同じ気持ちではあった。 けれど、紬には背負いきれない現実だった。 気を抜けば壊れてしまうほどの脆い心だったのだ。 澪「唯・・・もう、いいだろ・・・」 澪は紬の様子を見て自身も胸を痛めているのだろう 悲しみを湛えた瞳を唯に向ける。 しかし、唯は首を横に振った。 律「唯っ!」 唯「聞いてッ!」 唯「私ね。今まで自分の為にバンド演奏したいと思ってた」 唯「今はその気持ちが無いなんて言わないよ。だから──」 唯「みんな自身の為に演奏して欲しいの」 律「どういうことだよ」 唯「みんなはこのまま軽音部が無くなっていいと思ってるの?」 唯「何か遣り残したことがあると思ってここに集まったんじゃないの?」 唯は涙を浮かべる紬に向けて静かに語った。 唯「むぎちゃん。むぎちゃんはこのままでいいの?」 唯「このまま軽音部が無くなって、それであずにゃんの事忘れちゃっていいの?」 唯「乗り越えなきゃいけないことじゃないのかな。 受け入れて、大切な思い出としてしまっておくために何かしなきゃいけないんじゃないのかな」 紬「梓ちゃんの為に・・・?でも、何をすればいいの?」 唯「あずにゃんが、軽音部に入部を決めた理由覚えてる? 先輩達の演奏に惹かれて──そう言ったんだよ」 紬「私達の・・・演奏・・・」 唯「そうだよ、聞かせてあげようよ。私達の演奏を」 紬「それで、梓ちゃんのこと・・・忘れるの・・・?」 唯は首を横に振って答えた。 唯「違うよ。思い出にするの。あずにゃんが確かに、ここに──軽音部に居たことを。 そのために、あずにゃんの為に最後に最高の演奏をするの」 唯「あずにゃんの事を思って。あずにゃんの笑顔を願って」 そう、唯は最後の学際ライブまで梓の顔を思い浮かべることが出来なかった。 思い浮かべようとすると、あの事故の、血に塗れた梓の顔がちらついた。 唯は梓の笑顔を取り戻すために、梓の為にギターを弾き鳴らしたのだ。 唯「約束するよ。最後の学園祭でのライブが終わったら──」 唯「きっと、私達の中に居るあずにゃんは笑ってくれるから。 最高の笑顔を見せてくれるよ。絶対!」 紬は涙を浮かべながらも、笑顔で──確かに頷いた。 紬「はい」 律が嬉しそうな表情で机に手を付いて身を乗り出した。 唯は息を呑んだ。 恐る恐るみんなの顔を見る。 紬は涙を浮かべていた。 澪は目を伏せて、ほんの少し笑みを零していた。 律は嬉しそうな顔で机に身を乗り出していた。 律「唯っ!澪っ!むぎっ!」 三人は律に目を向ける。 律「軽音部──復活だなっ!」 唯は光に包まれ現在へと引き戻された。 結局、何も変わらなかった。 ただ紬が自分達と連絡を絶った理由がなんとなく判った気がした。 軽音部のことも梓のことも楽しい思い出として仕舞ったのだ。 紬には元よりバンドへの執着はそれほど無かったはずだ。 寧ろ、唯の方が軽音部への執着が強かったため 何時までも紬のことを思っていたのだった。 紬は、最後の学際ライブから新しい大きな一歩を踏み出し 自立と成長を遂げた。 自らが進むべき道を見つけ歩んでいるのだろう もしかしたら、何時までも過去に固執する唯を思って 連絡を絶ったのかもしれない。 そう思うと納得ができた。 それでも唯には未だに軽音部の皆で演奏したいと願う思いがあった。 こんなわがままは紬も聞いてはくれないだろうと諦めもしていたが 日記を捲りながら、もしかしたらと云う気持ちが膨らんでいった。 ──最高の演奏!? そうだ、あの時も記憶が途切れていた。 記憶の無い間の唯の演奏を、皆は凄いと言っていた。 もう一度だけ、これで最後にしようと 唯は日記を見つめた。 紬は困惑顔でさわ子を宥めようとするも 子供のように駄々をこね始めたさわ子を 律はしょうがないと云った表情で見つめる。 律「むぎ、とりあえずさわちゃんにお茶淹れてあげて」 さわ子「あ、ありがとぉ~」 さわ子は目に涙を浮かべて感謝の言葉を口にした。 律「何も泣くことはないだろ」 紬「そうだわ、ついでに私達の演奏も聞いてもらえませんか?」 さわ子「うん、聞く聞く」 律「変わり身はえぇな~」 紬はさわ子に紅茶を淹れると キーボードの前に立ち、律に目配せする。 律はそれに頷いてスティックを打ち鳴らす。 律「ワン!ツー!スリー!」 唯の左手はギターの弦を押さえ 右手にはピックを持ち 今まさに振り下ろさんとしている瞬間だった。 「ふわふわ時間」 忘れもしないあの曲だ。 体に染み付いて一生落ちることはないだろう。 唯の指が、手が、腕が、体が躍る。 自由に──今までより、もっと自由に 唯はギターを弾き鳴らす。 聞こえる。 澪のベースの音 律のドラムの音 紬のキーボードの音 懐かしい、梓のギターの音が。 唯は横目で梓を見る。 梓も唯に視線を送ったような気がした。 楽しそうだった。 嬉しそうにギターを弾く梓の笑顔が眩しかった。 守りたい──取り戻したい。 唯は決意した。 梓の笑顔を守る決意を 梓に、本当に本当の、本物の笑顔を取り戻してあげたいと。 ──助けてあげるからね。あずにゃん。 唯は梓を救う決意を胸に最後まで演奏を続けた。 最初で最後、最高の演奏を──。 演奏を終えた後、唯は自分が息を切らしていることに気づいた。 先ほどの演奏の記憶が抜け落ちていることは理解できていた。 しかし、記憶が途切れたことによる不安よりも 自分の中にある達成感に喜びを感じていた。 素晴らしく気分がいい。 ライブを終えた後のような感動が胸の裡を震わせていた。 みんなの顔を見る。 一様に驚いた表情を唯に向けていた。 澪「唯・・・すごく・・・良い」 梓「唯先輩!凄いですっ!どうしたんですか!?」 紬「本当、なんだか感動しちゃいました」 律「最高だったぞ、唯っ!」 唯はさわ子に視線を移す。 さわ子はケーキにフォークを刺したまま固まっている。 何かを言いたそうに口をぱくぱくとしているが 上手く声にならない様子だった。 さわ子は声を出せない歯がゆさから 目に涙を浮かべると 何も言わずに、大きく頷いた。 何度も何度も。 現在に引き戻された唯はすぐにその項を開く。 ──あずにゃん そう題した日記の項は涙に濡れて縮れていた。 酷く読みにくい文字で所々擦れている。 梓が事故にあった時の日記だ。 唯はあの時の記憶を思い起こす。 自分はどこに居たのか、梓はどこに居たのか クラクションが鳴ったとき、視界に車は無かった。 間に合うだろうか──間に合わせてみせる。 唯は全身に力を込めて日記を見つめた。 眩い光に包まれた瞬間、既に唯は足を上げていた。 紬「偶にはいいかもしれませんね」 唯「あずにゃんも一緒に行こう?」 梓「はい、いいですよ」 5人はそろって、唯の行きつけの店でアイスを食べた。 決して特別なことでは無かった。 月に何度かは5人そろって、同じようにアイスを食べに来る事があった。 普通のことだった。日常の風景だった。 変わらぬ日常の──。 そこからの帰り道。 梓は買い物があるといって商店街の方へ向かうために 横断歩道を渡る。 梓が皆に向かって手を振っている。 唯も手を振り返す。 梓が笑う。 唯も笑い返した。 歩行者用の青信号が点滅を始めた。 突然、けたたましいクラクションの音が鳴り響いた。 鳴り響くクラクションの中 梓は未だに笑みを浮かべて手を振っていた。 唯は走った。 梓に向かって。 唯は視界の隅に迫り来るトラックを捉えた。 ──間に合えっ! 梓との間にまだ距離がある。 唯は必死に脚を動かし梓の許へと駆けていく。 梓はきょとんとした表情で唯を見た後 目前に迫るトラックに目を移し恐怖に顔を引き攣らせた。 ──今、助けるよっ! 唯は梓に飛び掛る様に跳躍し 手を伸ばして、梓を歩道へと突き飛ばした。 ──やった。 次の瞬間に衝撃を感じ、唯の体は宙を舞った。 一瞬の事だったが随分長い時間に思えた。 唯は地面に叩き付けられると 自らの左腕が黒い塊に轢き潰される瞬間を目撃した。 肉が潰れ皮膚が裂ける。 裂け目からは血と赤い小さな肉片が飛び散り 骨の砕ける音が体を伝わって聞こえた。 黒い塊が過ぎ去り束の間、 同じ黒い塊が、 唯の、潰され轢き千切られた左腕を巻き込んで行った。 甲高いブレーキ音と ガラスの割れる音、 鉄板が叩き付けられた様な鈍い音を聞いた。 唯は眼球だけを動かして音の聞こえた方向へ視線を移す。 アスファルトには黒いブレーキ痕と赤い血の跡 それを辿ると黒い大きなタイヤが そのタイヤとトラックと思しき車体の隙間に 赤く染まった細い人間の腕がぶら下がっていた。 唯は光に包まれた。 柔らかな感触を背中に感じる。 唯はベッドの上で寝ているらしいことが判った。 鈍い頭痛が唯を襲う。 一瞬にして新しい記憶が唯の脳に詰め込まれて行く。 変わったのだ。あの時からの未来が、現在が。 いや、捻じ曲げてしまったのかもしれない より残酷な未来へと。 和「唯、起きたの?って鼻血っ・・・」 和はティッシュを手に取り唯の鼻から滴る血を拭った。 唯「ここは・・・」 唯は記憶を探る。 唯は事故により左腕切断、下半身不随の重症を負った。 唯の左腕は二の腕の辺りから下が無かった。 事故後、長い間入院生活を送っていたが、 期末試験などは病室で受けることができ 進級には問題が無かった。 大学への進学も多少の不安はあったものの 和の助けを借りて、和と同じ大学に入学、 同じアパートの一室で共同生活を送っていた。 唯は残された右腕を見つめる。 自分の体重を支えるために トレーニングに励んだ結果の隆起した筋肉。 視線を足先に向ける。 薄い掛け布団に浮かぶ細い脚 何ともアンバランスな体だ。 唯は梓の記憶を探った。 記憶の中の梓は生きている。 昨年卒業した梓は唯や和と同じ大学に進学して 同じアパートの隣へと越してきたのだった。 理由は判っていた。 唯の介助をするためだ。 毎日隣からこの部屋へ通って 唯の為に色々と世話をしてくれていた。 唯は一人でも起き上がることが出来るし トイレも、シャワーを浴びることも出来る。 電動車椅子を使って大学へ行き、買い物だって出来るのだ。 唯は梓に心配は要らないと言っていたが 梓は事故の原因が自分にあるのだと思い込み、 唯の体が不自由になってしまったことに 罪悪感を覚え自責の念を感じていた。 唯「そっか・・・」 和「唯、どうかしたの?」 唯「なんでもない、なんでも」 和「そう?ならいいけど。 実は今日、憂ちゃんが来てくれてるのよ」 唯「本当?今何してるの?」 和「唯の為に夕食作ってくれてる」 唯「あずにゃんも?」 和「ええ、梓ちゃんも一緒よ」 唯は上体を起こすと掛け布団を取り払い 右手を使って右脚と左脚をそれぞれベッドから下ろすと ベッドの脇に置いてある車椅子に手を掛け体を持ち上げる。 右腕で体を支えると、器用に車椅子に腰を移した。 唯「いこっか」 和は頷くと唯の乗った車椅子を押して部屋を出た。 リビングの扉を開けると、丁度夕食の支度が調ったところだった テーブルの上には白い蒸気を漂わせた料理が並んでいる。 憂と梓は椅子に腰掛け、唯が来るのを待っていたらしかった。 二人は唯の顔を見ると笑顔を向けてきた。 7
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一人静かな部屋。 唯は遣り残したことは全て済ませようと思い 日記の項を捲る。 ──あずにゃんとデート バスを降りてから 唯と梓は二人手を繋ぎながら暫く歩いた。 二人の家は近所というほどでもなかったが向かう方角は同じだった。 唯は梓の手の温もりを感じながら 今日の事を思い返していた。 楽しかった──本当に楽しかった。 ──そうだ、今日の事もちゃんと日記に書かないと そんなことを考えていると妙な耳鳴りを感じ 次の瞬間には意識が途切れた。 唯は梓と手を繋ぎ静かな通りを歩いていた。 唯が足を止めると梓も立ち止まって唯に顔を向けてきた。 唯「あずにゃん、今までありがとう」 梓「なんですか?お別れみたいなこと言って」 唯「うん。お別れを言いに来たの」 梓は冗談だとでも思ったのだろう驚きと困惑の表情を浮かべた。 梓「なに、言ってるんですか?」 唯「あずにゃんは、憂から私の病気の事聞いてる?」 梓「少しですけど。憂は唯先輩の記憶が時々無くなるって・・・」 唯「そう、その間はね未来から来た私が体を乗っ取るの」 唯はわざと冗談めかせて言った。 梓も信じる事は無く笑いながら言った。 梓「そんな話信じませんよ」 唯「うん、信じてくれなくていいの」 唯「今日は、今のあずにゃんにお別れを言いに来ただけだから」 唯「多分、もう少ししたら今の私の記憶は無くなって、あずにゃんに不思議そうな顔を向けると思うけど心配しないで良いよって言ってあげて」 梓が唯の言葉を信じたかどうかは判らなかった。 ただ、唯を真剣な顔で見つめて唯の言葉に耳を傾けていた。 唯「それでね、あずにゃん。 どうしても今のあずにゃんに伝えたいことがあるの」 唯「私の時代──未来のあずにゃんにこんなこと言うと悲しむと思うから、今のあずにゃんに言うんだけど」 唯「私ね、あずにゃんの弾くギターが大好きだよ。 だから、ギター弾き続けてね」 唯「あずにゃんは可愛くて、優しくて、偶に厳しいけど、何時も私を助けてくれた」 唯「すっごく感謝してる。ありがとう。ごめんね。それから──」 唯「あずにゃんのこと大好きだよっ」 梓の瞳には涙が溜まっていた。 梓「嘘・・・ですよね。そんなこと言ってお別れだなんて・・・卑怯ですよ・・・」 唯「あずにゃん。さようなら──」 梓「嫌ですっ!嫌ですよ。私はまだ何も言ってませんっ!」 梓「唯先輩ばっかりずるいですっ。自分の思いだけ伝えて・・・。私も、私だって──」 梓の頬に一筋の涙が伝う。 梓は唯の肩に腕を回すと背伸びをして 唯の唇にキスをした。 ──唯先輩が大好きです 梓の思いは確かに唯へと伝わった。 唯の目の前には涙を流した梓の顔があった。 何かあったのか? 唯は例の症状がまた表れたのだとわかった。 唯に顔を近づけて泣いている梓。 自分が何かしてしまったのだろうか 傷つけるようなことでも言ったのか 唯は不安になる。 唯「あ、あずにゃん・・・」 梓は涙を拭うと微笑んで言った。 梓「何でも無いです。何でも」 唯「で、でも・・・」 梓「心配ないですよ。唯先輩は私を傷つけるようなことはしてませんから」 唯は右手でそっと唇に触れた。 梓の柔らかな唇の感触が残っている。 ──初めてのキスは涙の味がした 唯は自分が涙を流していることに気づいた。 幸せな感情が液体となって頬を濡らす。 最後にみんなの顔を見よう。 唯は日記の最後の項を開いた。 秋が終わり肌寒さを感じる季節。 授業が終わり、放課後 唯は軽音部の部室へと足を踏み入れた。 途端に意識が途切れた。 軽音部の部室にはみんなが居た。 今まで取り戻したいと願っていた、あの頃のみんなが ──でも、ごめんね。私は戻れない。 唯はこれから壊そうとしているのだ。 今ここにある風景を 今まで築き上げた関係を 唯の愛した軽音部を 好きで仕方ないものを、ずっと好きで居たいから 一番守りたいものを、守るために、壊すのだ。 ──澪ちゃん、覚えてる?二人での路上演奏、楽しかったよ。 ──りっちゃん、澪ちゃんを支えてあげてね。澪ちゃん寂しがり屋さんだからね。 ──むぎちゃん、私がどんな道を選んでも生き方を変えなかったね。一番真っ直ぐに生きてたよ。 ──あずにゃん、大好きだよ。 ──みんな、本当にありがとう。 入り口で暫く立ち止まったままの唯を皆は不思議そうな目で見ていた。 唯「ご、ごめん・・・私なにか言ったかな?」 律「いや、ただぼーっと突っ立ってこっち見てただけだけど」 澪「唯、何かあったのか?」 唯は頭を振って答えた。 唯「ううん。なんでもない」 紬「いま、お茶淹れますから。唯ちゃんも座って」 紬に促されて唯は椅子に座る。 目の前に和が居た。 和「唯、泣いてるの?」 唯「うん」 和「私に出来ることある?」 唯「だっこ。して欲しいな」 和「ホント甘えん坊さんなんだから」 和は唯をそっと抱きしめた。 唯「和ちゃん」 和「なに?」 唯「私達、ずっと友達だよね」 和「当たり前でしょ。死ぬまでずっと友達よ」 もう、何も怖くなかった。 和は持ってきたDVDをプレイヤーにセットしてリモコンを唯に渡した。 唯は暫く一人にして欲しいといって和には部屋から出て行ってもらった。 唯は再生ボタンを押す。 初めての学園祭ライブ。 そして、初めてあの症状が表れた時でもあった。 確信はあった。 記憶の無くなった記憶と、記録さえあれば過去へと遡ることが出来るのだと。 演奏が終盤に差し掛かるとテレビの画面が歪み始めた。 映像は演奏の終了と同時に止まり、唯は画面へと吸い込まれる。 ※ 歓声が唯の鼓膜を震わせた。 講堂の舞台の上、あの懐かしく、達成感を伴った感情が唯の胸の裡を揺さぶった。 この清々しい気分を何時までも味わって居たくなる。 ──今しかないんだ。これが最後のチャンスなんだ。 とっくに決意は固まっていた。 躊躇う必要は無い。 不安も恐怖も今は感じない。 唯はストラップを肩から外すと ネックを両手で握り締め ギターを大きく振り上げる。 ──ごめんね、ギー太。ありがとう、そして──さようなら。 勢い良く壇上に叩き付けた。 エピローグ 澪は、矢張り音楽への道を選んだ。 音大へ進学し律と共に、新しいメンバーを加えバンド活動をしているらしい。 律は、以外にも澪と同じ大学へ進学して 一緒にアパートを借りて共同生活、いや同棲しているのだった。 紬は、生き方を変えなかった。 本当に芯の強い女の子なのだと唯は改めて感心した。 唯は──唯は和と同じ大学へ進学した。 あれ以来、ギターには触れていない。 にもかかわらず、「ふわふわ時間」だけは体に染み付いたままで きっと、今ギターを渡されても完璧に弾きこなせるだろう。 和「唯、本当にこれも燃やしちゃっていいの?」 和はギターケースの中、襤褸襤褸になったギターを見ながら言った。 唯「うん、アルバムも全部」 和「そう。唯、なんか吹っ切れたみたいな顔してるわね」 和は優しく暖かな眼差しを向けてきた。 唯「和ちゃん、前にも同じようなこと言ってなかった?」 和「そう?気のせいじゃないかしら」 梓の近況は憂から伝え聞いた。 梓は卒業後、大学へ進学した。 毎週末には一人、路上で弾き語りをしているらしい。 その演奏は路行く人々の心を打ちTV等でも紹介されたと聞く。 梓は精力的に路上ライブを続け自作のCDを手売りして 自らの思いを込めた音楽を大勢の人に届けていた。 唯「ねぇ、思うんだけどさ」 和「なによ?」 唯「空き地でこんなもの燃やしちゃっていいのかな?」 和「細かいことは・・・って私の台詞じゃないわね」 和「兎に角さ、唯が元気になるなら私は地球が壊れたって気にしないのよ」 唯「和ちゃん、それはちょっと言い過ぎだよ」 唯が笑うと、和も唯の笑顔に釣られて笑う。 二人は声を上げて笑いあった。 灰色の煙が緩やかに空に向かって立ち昇る。 小さな空気の流れが、煙の形を大きく変える。 人もまた小さな要因で大きく人生を変えてしまう。 律のように、唯のたった一言でまったく違う人生を歩む運命もある。 紬のように、確固たる意思を持って自らの道を歩み続ける人間もいる。 唯は、様々な人生に──運命に翻弄されていただけなのかもしれない。 唯はその夜夢を見た。 行った事の無い異国の地 巨大観覧車の大きなゴンドラの中で 律と、澪と、紬と、梓と一緒にバンド演奏をしている。 観客は憂と和の二人だけ。 そんなささやかな、あの日、あの時、あの場所で、梓と語った夢を見た。 ──幸せな夢を。 おしまい。 戻る
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しかし、遅すぎたのだ。 唯「ごめん。ごめんね、りっちゃん」 唯はただ謝ることしか出来なかった。 律「いいよ」 唯は、律の言葉の意味を求めて顔を見る。 律は、頬を引き攣らせながら歪な笑顔を作っていた。 律「いいからさ。唯、金貸してくんね?」 唯は落胆した。 その金を何に使うのかは明らかだった。 今までどうやってお金を工面していたのかはわからない それがとうとう昔の友人に金をせびるまでになってしまったのだ。 唯「りっちゃん、だめだよ」 律「何でだよ。ちゃんと返すからさ」 唯「お願いだから・・・」 律「なぁ助けてくれよ。クスリ切らして気分悪いんだよ」 唯は首を振る。 律「そ、そうだ。唯にもやらしてやっからさ」 律「いいだろ?最高にハイな気分になれるんだぜ?」 辛かった、昔のような明るく元気な律の姿はそこには無い。 律は目を見開き焦点の合わない瞳を漂わせる。 唯には、こんな狂人じみた目を向ける律が酷く醜く思えた。 唯は立ち上がる。 もう、ここに居る理由が無い。 唯が玄関へ足を向けると、律は怒鳴り声を上げた。 何を叫んでいるのか内容は聞き取れない。 物が壊れる音もした。 唯は振り向くことはなく、玄関の扉を開くと外へ出た。 ──私達友達だろっ! 最後にそれだけは聞き取ることが出来た。 唯はその空虚な残響を部屋に閉じ込めるように扉を閉めた。 夏が終わりを迎えても 律の事が頭から離れることはなかった。 結局唯は警察には連絡しなかった。 酷く罪悪感に悩まされることになったが 友達を警察に突き出すことなど出来ないのだと、 してはいけないのだと都合のいい理由を取り繕った。 紬はどうしているのだろう 律のことを考えると 紬のことも心配になってくる。 皆変わってしまったのだろうか 急に切ない思いが込み上げてきた。 唯は自室のクローゼットからダンボール箱を引き出し 中にある、卒業アルバムを取り出した。 昔の思い出に浸りたくなったのだ。 唯は一度アルバムをダンボール箱に戻して それを抱えてリビングへ運んだ。 澪と一緒に思い出を語りたいと考えたからだった。 澪「唯、なにそれ?」 リビングでテレビを見ていた澪が 唯の持つダンボール箱に目を止めて言った。 唯「うん、思い出」 ダンボール箱の中には 卒業アルバムの他 合宿の写真 バンドスコア 歌詞のコピー デモテープ 学際ライブのDVD そして、唯が付けていた日記が入っている。 澪「懐かしいなぁ、ちゃんと持ってたんだ」 澪は目を輝かせて言った。 唯「ねぇ見て見て。これ」 唯は合宿の写真の中から 澪の寝ている姿を写した写真を取り出した。 澪「な、何で唯が持ってるんだよ」 唯「え?皆持ってるはずだよ」 澪「ほ、本当かっ!律のやつ、誰にも渡すなって言っておいたのに」 唯「澪ちゃん、これ」 唯はまた別の写真を澪に見せる。 澪「あぁ、梓か・・・」 悲しげな表情ではなかった 懐かしそうな、暖かい表情だった。 唯「かわいいね」 澪「本当だな」 それからは澪と二人で思い出話に花を咲かせた。 ライブ映像も繰り返し見た。 懐かしい、あの頃を思い返しながら。 ずいぶんお喋りに夢中になっていたのか 時刻は夜の11時を過ぎていた。 澪「私、お風呂入ってくるよ」 澪はそう言って立ち上がり リビングを出て行った。 唯はダンボール箱の中を覗く。 日記が目に留まり、取り出してみた。 日記は全部で4冊あった。 普通の大学ノート、30枚60ページ そのノートに1ページにつき4,5日分の日記を書いていた。 毎日書いてはいても内容はそれほど多くは無いのだろう 3年弱の記録がたったの4冊に収まってしまうのだ。 唯は一番新しいノートを手にする。 何となく、最後のページを開いた。 ──今日は卒業式。 初めにそう書いてあった。 そう言えば、この日記を書き始めた理由。 唯は自分が記憶の途切れる症状を持っていたことを思い出した。 この日記の最後に書かれている、卒業式の日を境に症状は無くなったのだ。 日記にもその日の症状が書かれていた。 <部室を眺めていたら、りっちゃんが声をかけてきた。 みんなで写真を撮ろうと言ってくれて、とてもうれしかった。 私が、「うん」と言って頷くと、またあの症状がでた。> そう、そこで記憶は一度途切れたのだ。 日記を見つめているとあの時の光景がありありと浮かんでくる。 声が聞こえた。 唯が手を振ると、女の子もこちらに手を振り返してきた。 女の子が笑ったような気がした。 唯も笑い返すと、女の子は消えてしまった。 律「お~い。唯~っ」 律の声を聞いて振り返ると 軽音部の皆が、憂が、和が そこに居た。 律「みんなで写真撮ろうぜ」 唯「うん」 唯が頷いた瞬間に意識が途切れた。 ──唯、唯っ。どうかしたのか? 目の前に律の顔があった。 律「どうした?唯?」 唯を心配して律が顔を覗き込んでいた。 唯「なんでもない。撮ろうよ写真」 律「ああ、そうだな」 律は憂にカメラを渡して 軽音部の部室が見える校舎を後ろに 軽音部のみんなと和を交えて並んで立つ。 憂「みなさ~ん。笑ってくださ~い」 憂の掛け声に皆は最高の笑顔を見せた。 はっとして辺りを見回す。 壁、テーブル、テレビ、さっきと変わらない アパートの一室、リビングに唯は居る。 では今の光景はなんだったのだろうか。 夢? 夢ならそれでもいい。 昔の律に会いたいと思う気持ちが唯の心の中で膨らむ。 もう一度、さっきの──あの時の律の笑顔を見れるのなら。 唯は日記に視線を落とす。 目を凝らすと文字が蠢いている。 次第に周囲の風景が歪み始め 日記に吸い込まれるような感覚がした。 一瞬、眩い光が唯を包み込んだ。 唯が手を振ると、女の子もこちらに手を振り返してきた。 女の子が笑ったような気がした。 唯も笑い返すと、女の子は消えてしまった。 律「お~い。唯~っ」 律の声を聞いて振り返ると 軽音部の皆が、憂が、和が そこに居た。 律「みんなで写真撮ろうぜ」 唯「うん」 唯の目の前に広がる光景は 忘れもしない、あの卒業式の日。 カメラを携えた律が──あの時の律が目の前に居た。 律「唯?どうしたんだ?」 律の笑顔を、律の声を聞いて 唯の心の中には様々な思いが去来した。 ──何か言わなきゃ。 ──何か伝えたいことがあったはずだ。 ──そうだっ! 唯「りっちゃん」 律「ん?なんだよ、唯」 唯「卒業しても、一緒にやろうよっ。バンドっ!」 律は笑って大きく頷く。 律「ああっ。やってやるさっ!」 ──ありがとう。 声に出したつもりだったが、届かなかったようだ。 唯は再度光に呑まれた。 唯は日記から顔を上げる。 一時の幸せな夢だったのだろうか。 日記を仕舞い、先ほどの律の笑顔を頭に思い描く。 自然に笑みが零れた。 暫くして玄関の扉が開く音が聞こえた。 唯は不思議に思って玄関へ向かう。 澪は先ほど浴室へ行ったはずだ。 ここへ訪ねてくるのは、あとは憂ぐらいしかいない。 唯が廊下の角から玄関を覗くと 澪が居た。 唯「あれ?澪ちゃんさっきお風呂って・・・」 澪「ん?なんのことだ?私は今帰ってきたところだけど」 澪「それよりさ。ライブのチケット完売したってさ」 突如、唯の頭の中を鈍い痛みが奔った。 それは一瞬の事だったが 次の瞬間には唯の知らない光景が頭を駆け巡る。 ──これは・・・記憶? 唯は理解した。 一瞬のうちに頭の中に詰め込まれた記憶。 その記憶は唯があの日律に掛けた言葉によって生まれた記憶だ。 変わったのだ。あの日からの未来が、そして現在が、世界が。 夢ではなかった。 事実、唯は過去に遡っていたのだった。 卒業式の日に律に掛けた言葉。 一緒にバンドをしよう、その言葉が未来への道筋を変えた。 卒業してからは頻繁に律と連絡を取り合った。 澪は音楽スタジオを借りてのバンド練習を提案した。 律は友達の知り合いが経営するライブハウスでバイトをしてスタジオ代を稼ぎ 唯と澪もそれぞれ空いた時間をバイトに費やした。 ある日、律は店長に無理を言って 一度だけ只でライブハウスの舞台を貸してくれるように頼んだ。 しつこく懇願する律に折れた店長は、 特別、定休日に演奏することを許可した。 本来定休日ということもあり人は疎らだったが 3人は最高の演奏を披露した。 これが切っ掛けとなり何人かのファンが付き その後のライブのチケットの売り上げも好調で思わぬ収益にも繋がった。 3人はそのお金を貯めて いつか自作のCDを作ろうなどと夢を抱いていた。 澪「唯、鼻血・・・」 澪は青ざめた表情で唯を見ていた。 唯は自分の鼻の下に手をやり指先で触れる。 触れた指を見ると赤い血が付着していた。 唯「ご、ごめんごめん。大丈夫だから」 唯は急いでリビングへと向かうとティッシュで鼻を拭いた。 洗面所へ行って鏡で顔を確認してリビングへ戻ると 澪は座ってテレビを見ていた。 唯「何とも無いから。安心して」 澪「そうか、なんかあったのかと思ってびっくりしたぞ」 唯「それで、さっきの話」 澪「ああ、ライブのチケットな。 律が友達やバイト先の客に頼んでさ、完売したってさっき連絡があったんだ」 唯「りっちゃん、やるねぇ」 澪「ホント、律のお陰だよな」 唯は記憶の中にある律の顔を思い浮かべる。 ライブハウスでバイトしていた律。 そこの舞台で勢いよくドラムを叩く律の顔を。 澪「唯は和と憂ちゃんにチケット渡したのか?」 唯「うん。二人とも来れるってさ」 紬は、何をしているのだろうか。 唯は記憶の中を探るが紬に関する記憶は浮かんでこなかった。 唯「ねぇ澪ちゃん。むぎちゃん、今何してるのかな?」 澪「さあな、連絡も取れないしな」 唯「やっぱり駄目なのかな」 高校の頃の軽音部のメンバーが揃うことはもう叶わないのだろうか 唯はダンボール箱を抱えて自室へ入って行った。 唯は、ベッドの上に腰掛けて日記の項を捲る。 変えられたんだ。 そう、未来を、現在を変えられるんだ。 唯はもう一度あの頃に戻って今度は紬を今のバンドへ誘おうと考えていた。 ──今日はむぎちゃんと一緒に その文が目に飛び込んできた。 この時ならと、唯は日記を見つめる。 暫く見つめていたが、先ほどのような感覚は得られなかった。 さっきのは夢ではなかったはずだ。 唯はもう一度意識を集中させて文字を見る。 しかし、幾ら見つめていても何も起こらなかった。 唯は諦めた様に日記を閉じると ダンボール箱の中に仕舞った。 5
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翌週末、律のバイトするライブハウスに3人は集まった。 律「いよっ」 紛れも無い律の顔。 変わらない元気で明るい笑顔。 唯「りっちゃ~ん」 唯は思わず律に抱きついた。 律「おいおい、どうしたんだよ」 記憶の中にはあっても、いざ本人を前にすると 感動は抑え切れなかった。 唯は懐かしさと律の暖かさに触れ今にも泣き出しそうになっていた。 律「なんだよ。澪が相手してくれなくて寂しかったのか?」 澪「ばかっ。私はちゃんと唯の面倒をみてるんだぞ」 律「ほほう、面倒なのか・・・可哀想になぁ唯~」 澪「ち、違うっ。ああもうっ馬鹿律っ!」 澪は怒って外方を向いた。 律「そう言えば、和と憂ちゃんはまだ来てないのか?」 唯「さっき連絡があって、もうすぐ来るって」 律「そうか。二人は私達の演奏聞くの初めてだっけ?」 唯「うん。二人とも楽しみにしてるって」 律「憂ちゃんは唯しか見ないだろうけどな」 唯「そうかな?」 律「そうだよ。見せてやれよ、唯のギターをさ」 唯「うん」 唯は目を輝かせて頷いた。 3人は一通り、リハーサルを終えると 到着した和と憂を出迎えた。 和「お待たせ」 憂「みなさん、こんばんは」 唯「和ちゃん、久しぶりっ」 和「何言ってんのよ。この前あったばかりじゃない」 唯「そうだっけ?」 唯の記憶の中では先週の初めに和と会って ライブのチケットを手渡したのだった。 和「そうよ。それにしても、随分立派になったものね。 まさか本格的にバンド活動するなんて思っても見なかったもの」 澪「まあ、それも律のお陰ではあるんだけどな」 澪は照れくさそうに言った。 律「なんか煮え切らない言い方だな。 ホントのところ私は唯のお陰だと思ってるぞ」 澪「唯が何か言ったのか?」 律「唯、覚えてるだろ?卒業式の日。 私に言ってくれたよな。一緒にバンドしようって」 唯は頷く。 和「へぇ、唯がねぇ」 律「それでさ、私も決意できたんだよ。やってやろうってさ」 唯「じゃあ夢は武道館っ?」 律「夢は大きく、だな」 澪「それも悪くないな」 澪は時計を見る。 澪「そろそろ本番だな」 律「緊張してんのか?」 澪「もう、慣れた」 律「なんだよ、詰まらないな。 さっきの唯みたいに私に抱きついてきてもいいんだぞぉ」 憂「お姉ちゃん、そんなことを・・・?」 和「相変わらず甘えてるのね」 唯「だってぇ~」 唯が照れ笑いを浮かべると皆の表情も和やかになる。 律「いくか」 唯と澪が頷く。 憂「お姉ちゃん、がんばって」 和「みんな、がんばってね」 3人は振り返って和と憂に力強い眼差しを向けて大きく頷いた。 その日のライブは大いに盛り上がった。 チケットが完売したこともあり客の入りは申し分なく ライブハウスの店長も満足気な表情だった。 ライブ終了後は5人で祝杯を挙げようと云う事になった。 ライブの成功と、武道館への夢を願って。 唯は居酒屋と云う場所に初めて足を踏み入れて戸惑っていたが 和は慣れた様子で酒と肴を注文していた。 話しによれば大学の付き合いでよく立ち寄るそうなのだ。 唯「女の子同士で?」 和「大学の教授がね、学生達と飲みたがるのよ」 和も大変なのだと唯は思った。 澪はビールを一杯飲んだだけだったが酔いが回って律に猫なで声で甘えていた。 澪「りぃつぅ~だっこぉ~」 律「誰だよ澪にこんなに酒飲ましたのは」 憂「ビール一杯しか飲んでませんでしたよ」 律「うはぁ。こいつこんなに酒癖悪かったのか?」 唯「澪ちゃん、今までお酒なんて飲まなかったよ」 律「マジかよ。誰かお冷もらってきて」 憂「私がもらってきます」 憂はそう言って立ち上がると座敷を出て行った。 澪「りぃ~つぅ~」 律「ああっもう、気色悪いぞ澪っ」 途端に澪は泣き出してしまった。 律「あぁ悪かった悪かったよ。だっこな」 律は仕方なさそうに澪を抱くと澪は安心したのかそのまま眠ってしまった。 律「ちょ・・・重い・・・」 和は座布団を二枚重ねると律から澪を引き離してそこに頭を乗せて寝かした。 律「和、慣れてるんだな」 和「まぁね」 和はそう言って溜息を吐いた。 そこに憂がお冷をもらって帰ってきたが 澪の様子を見て必要ないのだと思ったのだろう、 コップをテーブルの上に置くと 唯の隣に座った。 憂「お姉ちゃんはお酒大丈夫なの?」 唯「私もそんなに飲んだこと無いけど、今日くらいはね」 唯はそう言って日本酒をあおった。 律「唯、お前は酒強いんだな」 唯「りっちゃんも飲みなよぉ」 唯は律のコップに日本酒を注いでいく。 律「まぁ、今日くらいはな」 律も日本酒の注がれたコップを傾ける。 律「和は何飲んでるんだ?」 和は茶色い液体の注がれたグラスを手にして言った。 和「ウィスキー」 律は氷の入ったそのグラスの中身をみて水割りか何かだろうと思っていたが 和は、ロックよ──と言った。 唯「和ちゃん、大人だねっ」 和「唯はまだまだ子供よね」 唯「そんなこと無いよ。私だって」 唯は店員を呼ぶと和と同じものを注文した。 憂「お姉ちゃん、無理しないで」 唯はこの時ばかりは憂の言葉に耳を傾けることはなかった。 憂も口では言っているものの 先ほどの澪の姿を唯に重ねてもう少し酔って欲しいと密かに願っていた。 唯は運ばれてきたウィスキーをちびちびと飲みながら 昔の思い出話に耳を傾けていた。 和「そう云えば、学際ライブ。あの時は凄かったわよね」 律「あぁ、みんな大泣きしてたな」 憂「私も感動しました」 和「でも、よく軽音部再開する気になったわよね。 あの頃はすっかり元通りだと思ってたけど、 多分、もう演奏は聴けないんじゃないかなって」 律「まぁ、梓のこともあったしな」 思い出すのも辛い過去だったはずだが 今ではすっかり懐かしい思い出となって梓はみんなの心の中に居る。 暗い顔をするどころか、皆笑顔で梓のことを口にしていた。 律「確かあの時──そうだ、唯が私達に何か言ったんじゃなかったか?」 律は唯の顔を見る。 唯は、あの記憶の途切れた日のことを思い出した。 律が軽音部に皆を集めて今後のことを話し合おうと言ったのだ。 そこで──そうだ、私の記憶の無い間に・・・。 唯「私なんて言ったんだっけ?」 律「私に聞くなよ。唯が言ったんだろ?」 律が言うからにはそうなのだろう しかし、唯には記憶が無い。 そのことをここで口にするのは駄目な気がして適当に誤魔化した。 唯「わすれちゃったなぁ」 律「唯らしいよホント」 和「そうね。そう、あれ以来かしら。みんな吹っ切れたみたいだった」 律「かもな、私もあれから梓の事に正面から向き合えるようになった気がする」 和「いいことね。あの子もきっとそんな貴女達に惹かれたんだと思うわ」 和「今日の演奏も聴いてくれてたわよ」 和「だって・・・天国に届くぐらい・・・いい演奏だったもの・・・」 唯「和ちゃん?」 和はテーブルに顔を伏せて寝息を立てていた。 顔色をまったく変えずにいたためわからなかったが 相当酔っていたらしい。 律「そろそろ帰るか」 最初に酔いつぶれて寝てしまった澪を律が 和を唯と憂で送ることにした。 唯「りっちゃん、これ鍵」 唯は律にアパートの鍵を渡そうとしたが 律は首を振った。 律「私のアパートに連れてくよ、近いしな」 唯は親指を立てて、がんばってねと合図する。 律「ばかっ酔いつぶれてる奴になにもしねぇ・・・って私は別にそんなんじゃ」 どぎまぎする律に唯は、冗談だよ──と笑って言った。 律の住むアパートは歩いても時間は掛からない距離だったが 澪を抱えて行くわけにもいかず、結局タクシーを呼んだ。 律はタクシーの後部座席に澪を押し込むと またな、と手を振ってドアを閉めた。 律と澪の乗るタクシーを見送ってから 唯達もタクシーを呼んで和を自宅まで送り届けると 憂とはその場で別れ、 唯は同じタクシーで帰路に着いた。 翌朝、唯はベッドから体を起こすと 今日は休日だと云うことを思い出しもう一度眠りに着いた。 夢なのか昨日の記憶を思い返しているだけなのか 律の言葉が唯の頭の中を巡っていた。 ──唯が私達に何か言ったんじゃなかったか? ──そうだ、 ──確かあの時 あの時? そう、記憶の途切れたあの時だ。 唯の頭の中で何かが形作ろうとしていた。 ──日記。 ──記憶の途切れる症状。 そうだ、卒業式の日。 過去に戻れたあの時も記憶が途切れた時だった。 唯は勢いよくベッドから跳ね起きると ダンボール箱から日記を取り出した。 項を捲って日付を追う。 唯「あった」 ──軽音部復活! 大きな文字で書き記してあった。 その題名の下には軽音部復活の喜びと 記憶の途切れた症状が書いてある。 唯は大きく息を吸ってから日記を凝視する。 文字が蠢き風景が歪む 日記に吸い込まれる感覚の後 眩い光に呑み込まれる。 律「率直に言うぞ。軽音部、どうする?」 暫しの沈黙の後、澪が口を開いた。 澪「私は、諦め切れない。もちろん、皆の気持ちを優先するよ」 律「むぎはどうだ?」 紬「私は・・・申し訳ないけど・・・」 律「わかった。唯は?」 唯「私は、私はね──」 軽音部の部室、律、澪、紬の3人が唯に注目していた。 唯の言葉を待っているのだろう。 唯は紬に顔を向ける。 唯「むぎちゃん、理由を聞かせて欲しいの」 紬は顔を伏せて言った。 紬「だって・・・辛いの・・・ここに来ると・・・」 紬「さっきね、紅茶を淹れようとして・・・そしたら・・・」 紬「気づいたら、5人分淹れてたの」 梓の分なのだろう。 紬「居ないってわかってる。でも、もし梓ちゃんが居たらとも考えるの」 紬「でも、やっぱり居ないのよっ。居ないの・・・居て欲しいのに・・・居ないの・・・」 唯はこの時初めて紬の苦しみに気がついた。 多分、同年代の中では紬が一番幼いのだ。 お嬢様育ちで、無垢な心のまま生きてきたのだろう。 それは、周りの大人たちが紬に悪い影響を与えるものを 徹底的に排除してきた結果でもあったのだ。 紬の怖がるもの、不安にさせるもの、苦しみを与えるもの 時として人の成長に欠かせないものさえ奪ってきたに違いない。 6
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アニメソングの一覧に戻る 問題文 文字 答え FENCE OF DEFENSEが歌ったアニメ『横山光輝三国志』のOP 時の河 ときのかわ KAORIが歌った、アニメ『AYAKASHI』のエンディング曲 篝火 かがりび PUFFYが歌った、アニメ『源氏物語千年紀 Genji』の主題歌 日和姫 ひよりひめ 『ウルトラQ』『ウルトラマン』の音楽を手がけた作曲家は? 宮内國郎 みやうちくにお 『ドラえもんの歌』を最初に歌ったアニソン歌手 大杉久美子 おおすぎくみこ 『フレッシュプリキュア!』の主題歌を歌いました 茂家瑞季 もいえみずき 『機甲創世記モスピーダ』の主題歌は『失われた?を求めて』 伝説 ゆめ 『残酷な天使のテーゼ』を作詞した作詞家です 及川眠子 おいかわねこ 『獣拳戦隊ゲキレンジャー』のエンディングテーマです 道 タオ 『新世紀エヴァンゲリオン』の音楽を手がけた作曲家 鷺巣詩郎 さぎすしろう 『美少女戦士セーラームーン』の実写版の主題歌を歌いました 小枝 さえ ささきいさおが歌う、アニメ『銀河鉄道物語』の主題歌 銀河の煌 ぎんがのひかり アニメ『ARIA The ANIMATION』の主題歌を歌った歌手・声優 牧野由衣 まきのゆい アニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』の主題歌を歌いました 水森亜土 みずもりあど アニメ『F』の主題歌を歌った男性歌手 沢向要士 さわむかいようじ アニメ『KURAU Phantom Memory』の主題歌は『懐かしい○○』? 宇宙 うみ アニメ『LOVELESS』の主題歌『月の呪縛』を歌いました 翁鈴佳 おきなれいか アニメ『エイトマン』の主題歌を作曲しました 萩原哲晶 はぎわらひろあき アニメ『エスパー魔美』の主題歌を歌った女性歌手 橋本潮 はしもとうしお アニメ『おはよう!スパンク』の主題歌を歌った元アイドルです 井上望 いのうえのぞみ アニメ『からくり剣豪伝ムサシロード』の主題歌を歌いました 野沢恵 のざわあや アニメ『ジパング』の主題歌のタイトルは? 羅針盤 らしんばん アニメ『ドラゴンボール』の主題歌は『?アドベンチャー』 魔訶不思議 まかふしぎ アニメ『パンプキン・シザーズ』の主題歌は『蒼き○』? 炎 フランム アニメ『フランダースの犬』の主題歌を作詞した岸田今日子の姉 岸田衿子 きしだえりこ アニメ『まんが日本昔ばなし』の主題歌を歌っていました 花頭巾 はなずきん アニメ『めぞん一刻』の主題歌を歌った男性歌手 松尾清憲 まつおきよのり アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の音楽を手がけた作曲家 宮川泰 みやがわひろし アニメ『機動武闘伝Gガンダム』の主題歌を歌った男性歌手 鵜島仁文 うしまよしふみ アニメ『銀河英雄伝説』の主題歌を歌う男性歌手 小椋佳 おぐらけい アニメ『結界師』の主題歌を歌う女性歌手 宇浦冴香 ううらさえか アニメ『小公女セーラ』の主題歌を歌った女性歌手 下成佐登子 しもなりさとこ アニメ『聖闘士星矢』などの音楽を手がけた作曲家 横山菁児 よこやませいじ アニメ『聖闘士星矢』の主題歌『ペガサス○○』? 幻想 ファンタジー アニメ『赤毛のアン』の主題歌を作曲した音楽家 三善晃 みよしあきら アニメ『超時空要塞マクロス』の主題歌を歌った男性歌手です 藤原誠 ふじわらまこと アニメ『武装錬金』エンディングテーマを歌った音楽ユニット 樹海 じゅかい アニメ『魔法遣いに大切なこと』で音楽を担当した作曲家 羽毛田丈史 はけたたけふみ アニメ『無限のリヴァイアス』の主題歌を歌ったゴスペル歌手 有坂美香 ありさかみか アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の音楽を手がけた作曲家 神前暁 こうさきさとる アニメ『六神合体ゴッドマーズ』の主題歌を歌いました 樋浦一帆 ひうらいっぽ ジンが歌ったTVアニメ『コードギアス』の主題歌 解読不能 かいどくふのう ホラーゲーム『零』シリーズの主題歌を歌う女性歌手 天野月子 あまのつきこ 安田成美の『風の谷のナウシカ』を作曲した有名ミュージシャン 細野晴臣 ほそのはるおみ 映画『もののけ姫』の主題歌を歌ったカウンターテナー 米良美一 めらよしかず 映画『千年女優』『パプリカ』の音楽を手がけた作曲家は? 平沢進 ひらさわすすむ 奥井雅美と米倉千尋による音楽ユニットです r.o.r/s ロールス 歌手としても活動している女性声優です 水野愛日 みずのまなび 水樹奈々の楽曲も手がける音楽制作会社「5pb.」の社長 志倉千代丸 しくらちよまる 川田まみが歌った、アニメ『灼眼のシャナ』の主題歌 緋色の空 ひしょくのそら 特撮映画『ゴジラ』のテーマを作曲した音楽家は? 伊福部昭 いふくべあきら 特撮番組『ウルトラセブン』の音楽を手がけた作曲家は? 冬木透 ふゆきとおる 日本初のカラーTVアニメ『ジャングル大帝』の音楽を作曲 冨田勲 とみたいさお 堀江由衣のシングル『ヒカリ』の作詞を手がけた作詞家 椎名可憐 しいなかれん
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マップ名は仮に付けたものであり、正式名称ではありません。 扉部屋からの行き先…上から時計回りに「生物世界」「青空世界」「暗花世界」「壁画世界」 8個 (Ver0.06) リボン ぬいばり ガラス あかペンキ キャリーケース こまぎれ ろうそく かじつ リボン 入手場所 +... span.plugin_treemenu3 ul{ list-style-type none; list-style-image none; } ul.treeline li not( last-child) before{ content ┣ ; } ul.treeline li last-child before{ content ┗ ; } span.cursor{ cursor pointer; text-decoration underline; font-weight bold; } ul.first_list{ padding 0; margin 0; } 生物世界 口 口から入手 効果 +... 「リボン」をつける。 Aキーで顔を上げる。 ぬいばり 入手場所 +... span.plugin_treemenu3 ul{ list-style-type none; list-style-image none; } ul.treeline li not( last-child) before{ content ┣ ; } ul.treeline li last-child before{ content ┗ ; } span.cursor{ cursor pointer; text-decoration underline; font-weight bold; } ul.first_list{ padding 0; margin 0; } 青空世界 夜空 灰色通路 縫い針から入手 効果 +... 「ぬいばり」をもつ。キャラを殺傷できる。 Aキーで地面に縫い針を刺す。 ガラス 入手場所 +... span.plugin_treemenu3 ul{ list-style-type none; list-style-image none; } ul.treeline li not( last-child) before{ content ┣ ; } ul.treeline li last-child before{ content ┗ ; } span.cursor{ cursor pointer; text-decoration underline; font-weight bold; } ul.first_list{ padding 0; margin 0; } 壁画世界 白黒園入口 鉢植え世界 緑色の鉢植えから入手 効果 +... 「ガラス」になる。 あかペンキ 入手場所 +... span.plugin_treemenu3 ul{ list-style-type none; list-style-image none; } ul.treeline li not( last-child) before{ content ┣ ; } ul.treeline li last-child before{ content ┗ ; } span.cursor{ cursor pointer; text-decoration underline; font-weight bold; } ul.first_list{ padding 0; margin 0; } ユメの自室 ベッドのイベントを見て入手 効果 +... 「あかペンキ」をかぶる。キャラが逃げる。 Aキーで目元が塗りつぶされて視界が悪くなり、追いかけが動かなくなる。 キャリーケース 入手場所 +... span.plugin_treemenu3 ul{ list-style-type none; list-style-image none; } ul.treeline li not( last-child) before{ content ┣ ; } ul.treeline li last-child before{ content ┗ ; } span.cursor{ cursor pointer; text-decoration underline; font-weight bold; } ul.first_list{ padding 0; margin 0; } 壁画世界 キャリーケースから入手 効果 +... 「キャリーケース」にはいる。 Aキーで扉部屋に帰還する。 こまぎれ 入手場所 +... span.plugin_treemenu3 ul{ list-style-type none; list-style-image none; } ul.treeline li not( last-child) before{ content ┣ ; } ul.treeline li last-child before{ content ┗ ; } span.cursor{ cursor pointer; text-decoration underline; font-weight bold; } ul.first_list{ padding 0; margin 0; } 暗花世界 手から入手 効果 +... 「こまぎれ」になる。追いかけに見つからなくなる。 Aキーで一定時間速く移動できる。 ろうそく 入手場所 +... span.plugin_treemenu3 ul{ list-style-type none; list-style-image none; } ul.treeline li not( last-child) before{ content ┣ ; } ul.treeline li last-child before{ content ┗ ; } span.cursor{ cursor pointer; text-decoration underline; font-weight bold; } ul.first_list{ padding 0; margin 0; } 生物世界 夕焼け迷路 歩く蝋燭から入手 効果 +... あたまが「ろうそく」になる。暗い場所を照らせる。 Aキーで火を点け消しする。 かじつ 入手場所 +... span.plugin_treemenu3 ul{ list-style-type none; list-style-image none; } ul.treeline li not( last-child) before{ content ┣ ; } ul.treeline li last-child before{ content ┗ ; } span.cursor{ cursor pointer; text-decoration underline; font-weight bold; } ul.first_list{ padding 0; margin 0; } 生物世界 夕焼け迷路 ネオンタイル通路 空階段 空と図形 紫色の物体が刺さっているオブジェから入手 効果 +... 「かじつ」になる。
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問題 表示 解答 補足 1972年、高知市の中学生が謎の飛行物体を捕まえた事件の舞台 介良 けら 1999年からポルターガイストが話題になった岐阜県の町 富加 とみか 2003年に亡くなった、霊能者として一世を風靡した女性 宜保愛子 ぎぼあいこ 「UFOの町」を名乗って町おこしを図りました 羽咋市 はくいし 「UMA(未確認動物)」という言葉を初めて使用した動物学者 実吉達郎 さねよしたつお 『アガスティアの葉』などで日本にサイババを紹介 青山圭秀 あおやままさひで 『オーラの泉』にも出演したスピリチュアルカウンセラー 江原啓之 えはらひろゆき 「国際気能法研究所」代表で精神世界研究の第一人者です 秋山眞人 あきやままこと 「サイエンス・エンタティナー」という肩書きで活動する漫画家 飛鳥昭雄 あすかあきお 「聖徳太子の地球儀」にある伝説の大陸を意味する文字 墨瓦臘泥加 メガラニカ 「竹内文書」の写本を残したとされる、武内宿禰の孫 平群真鳥 へぐりのまとり 「デジャ・ヴュ」と呼ばれる感覚を日本語ではこう称します 既視感 きしかん 「都市伝説テラー」としておなじみのお笑いタレントです 関暁夫 せきあきお 「人魚のミイラ」で有名な和歌山・西光寺の学文路 ○○○? 苅萱堂 かるかやどう ある人物を守護・指導するという霊のことです 背後霊 はいごれい 生きたまま魂が抜け出す心霊現象のことです 幽体離脱 ゆうたいりだつ 宇宙服を着ている姿という説が有名になった○○○土偶? 遮光器 しゃこうき 占い師がよくのぞきこんだりするものです 水晶玉 すいしょうだま 江戸の「本所七不思議」の中でも有名な話の一つ 燈無蕎麦 あかりなしそば 恵美須像の怒りに触れて海に沈んだという別府湾の島 瓜生島 うりゅうじま 数多くの地震の予言を的中させた今は亡き占星術師 銭天牛 せんてんぎゅう 風が切り傷を作る現象 鎌鼬 かまいたち 語り口巧みな怪談でも有名な俳優・コメディアン 桜金造 さくらきんぞう 庚申(かのえさる)の日に人間の体から出てくるという虫 三尸 さんし 鎌倉時代に大友義能が編纂したとされる古文書 上記 うえつふみ 髪が伸びる「お菊人形」がある北海道のお寺 萬念寺 まんねんじ 漢字伝来以前の古代日本で使用されていたとされる文字の総称 神代文字 かみよもじ じんだいもじ 現在でいう「透視」を昔の日本ではこう称しました 千里眼 せんりがん 現代怪談『新耳袋』の題名の元になった随筆『耳袋』の著者 根岸鎮衛 ねぎししずもり 古文書『東日流外三郡誌』に登場する遮光器土偶の姿をした神 荒覇吐 アラハバキ 金剛力士像の怒りに触れて海に沈んだという鹿児島沖の島 万里ヶ島 まんりがしま 雑誌『ムー』の愛読者のことをこう呼びます ムー民 むーみん 三途の川で亡者の着物をはぐといわれています 脱衣婆 だつえば 児童向けオカルト本の名著『ふしぎだがほんとうだ』作者 斎藤守弘 さいとうもりひろ 術者などが用いる、両端の尖った法具 独鈷 どっこ とっこ 心霊学の研究でも知られた俳優・丹波哲郎の代表的著作 大霊界 だいれいかい 精霊などがとりつくことです 憑依 ひょうい その予言は必ず当たるという体の半分が牛の化け物 件 くだん 太古史研究家の三浦一郎が世に問うた『○○文書』? 九鬼 くかみ 超能力者として注目されたエスパー清田の名前 益章 ますあき 突然に大きな音が鳴り響く「天狗倒し」で有名な山の一つ 英彦山 ひこさん 日本のピラミッドの調査で知られる研究家 酒井勝軍 さかいかつとき 念写の発見者といわれる日本の超心理学者 福来友吉 ふくらいともきち ノストラダムスの予言集はこの名前で紹介されることが多い 諸世紀 しょせいき ベストセラー『ノストラダムスの大予言』の著者は? 五島勉 ごとうべん 明治期の都市伝説で幽霊機関車をさした言葉 偽汽車 にせきしゃ 明治神宮内にあるパワースポットとして話題となりました 清正井 きよまさのいど 霊媒を中心に、テーブルを囲んで死者と対話します 交霊会 こうれいかい
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唯は梓と遊園地へ行った帰りの出来事から 梓との関係が壊れてしまうのでないかと心配していたが 普段どおり接してくれる梓を見て それが思い過ごしであるとわかった。 それからは、唯はその時のことを忘れて 何時も通り梓と接することにした。 抱きついたりと過度なスキンシップを取る唯に 梓も照れながら嬉しそうな表情を向けてきた。 秋が終わり肌寒さを感じる季節。 授業が終わり、放課後 唯は軽音部の部室へと足を踏み入れた。 途端に意識が途切れた。 入り口で暫く立ち止まったままの唯を 皆は不思議そうな目で見ていた。 唯「ご、ごめん・・・私なにか言ったかな?」 律「いや、ただぼーっと突っ立ってこっち見てただけだけど」 澪「唯、何かあったのか?」 唯は頭を振って答えた。 唯「ううん。なんでもない」 紬「いま、お茶淹れますから。唯ちゃんも座って」 紬に促されて唯は椅子に座る。 ──まただ。 唯は医者の言い付け通り、毎日日記を付けていたが 症状が改善される様子は無い。 特に酷くなっている訳でもないが 突然、意識が途絶えるのは不安でしかない。 その不安に促されるように唯はその場で今日の日記を付け始めた。 律「唯、何書いてるんだ?」 唯「日記だよ」 律「なんだ、珍しいな」 唯「そうかな?」 梓「でも、何で今書いてるんですか?」 唯「う~ん。何となく今書かなきゃいけないような気がして」 梓「変なの」 唯は先ほど部室の扉を開けたところで 記憶が途切れた事を書き記すと筆を置いて 紅茶を一口すすった。 律「それにしても今日は冷えるな」 梓「律先輩、そんなこと言って練習サボりたいだけじゃないんですか?」 律「そ、そんなこと無いぞ」 梓「本当ですかぁ?」 唯「やろうよっ練習」 唯の言葉に誰もが驚いた表情を見せた。 律「唯、お前本当に今日は何かあったのか?」 澪「そうだな。唯にしては珍しい」 梓「唯先輩、変なものでも食べたんですか?」 紬「まぁまぁ、練習したいなんて良いことじゃないですか」 律「そうだな。よし、やるかっ」 全員が立ち上がり練習を始めようとしたところで 顧問の山中さわ子が扉を開けて入ってきた。 さわ子「ちょりーっす」 間の悪さに溜息を吐いて律は言った。 律「さわちゃん。私達これから練習するんで」 さわ子「え~っ!お茶は?ケーキは?」 紬「後で淹れてあげますから」 紬は困惑顔でさわ子を宥めようとするも 子供のように駄々をこね始めたさわ子を 律はしょうがないと云った表情で見つめる。 律「むぎ、とりあえずさわちゃんにお茶淹れてあげて」 さわ子「あ、ありがとぉ~」 さわ子は目に涙を浮かべて感謝の言葉を口にした。 律「何も泣くことはないだろ」 紬「そうだわ、ついでに私達の演奏も聞いてもらえませんか?」 さわ子「うん、聞く聞く」 律「変わり身はえぇな~」 紬はさわ子に紅茶を淹れると キーボードの前に立ち、律に目配せする。 律はそれに頷いてスティックを打ち鳴らす。 律「ワン!ツー!スリー!」 演奏を終えた後、唯は自分が息を切らしていることに気づいた。 先ほどの演奏の記憶が抜け落ちていることは理解できていた。 しかし、記憶が途切れたことによる不安よりも 自分の中にある達成感に喜びを感じていた。 素晴らしく気分がいい。 ライブを終えた後のような感動が胸の裡を震わせていた。 みんなの顔を見る。 一様に驚いた表情を唯に向けていた。 澪「唯・・・すごく・・・良い」 梓「唯先輩!凄いですっ!どうしたんですか!?」 紬「本当、なんだか感動しちゃいました」 律「最高だったぞ、唯っ!」 唯はさわ子に視線を移す。 さわ子はケーキにフォークを刺したまま固まっている。 何かを言いたそうに口をぱくぱくとしているが 上手く声にならない様子だった。 さわ子は声を出せない歯がゆさから 目に涙を浮かべると 何も言わずに、大きく頷いた。 何度も何度も。 律「泣くほど良い演奏だったってことだな」 律がからかうように言うと さわ子も悔しかったのか ケーキが涙が出るほど美味しかったのよ──と判りやすい嘘を吐いた。 その後は結局練習にならなかった。 誰もが、演奏の余韻に浸って居たかったのだろう 椅子に座って物思いに耽るように 繰り返し繰り返し先ほどの演奏を頭の中で再生していた。 唯はただ、高鳴る胸の鼓動に耳を傾けて 言いようの無い胸の裡から溢れる感動を 噛み締めていた。 唯が壁掛け時計に目をやると あれから大分時間が経っていたことがわかった。 律も唯の視線の先を追って時計を見やる。 律「そろそろ、帰るか」 皆は熱に浮かされたようにぼうっとしていたが そろそろと立ち上がり帰り支度を始めた。 唯「ねぇ、帰りにアイス食べていこうよ」 律「ああ、いいぞ」 澪「そうだな」 紬「偶にはいいかもしれませんね」 唯「あずにゃんも一緒に行こう?」 梓「はい、いいですよ」 5人はそろって、唯の行きつけの店でアイスを食べた。 決して特別なことでは無かった。 月に何度かは5人そろって、同じようにアイスを食べに来る事があった。 普通のことだった。日常の風景だった。 変わらぬ日常の──。 そこからの帰り道。 梓は買い物があるといって商店街の方へ向かうために 横断歩道を渡る。 梓が皆に向かって手を振っている。 唯も手を振り返す。 梓が笑う。 唯も笑い返した。 歩行者用の青信号が点滅を始めた。 突然、けたたましいクラクションの音が鳴り響いた。 鮮血がアスファルトを赤く染め上げていた。 その上に横たわっているものが何なのか 誰の目にも明らかだったろう。 ──死体。 腕は拉げ(ひしゃ・げ) 筋肉と白い骨が剥き出し 脚は皮膚が捲れ上がって 襤褸切れのように垂れ下がり 腹部は裂け 大小の臓器がはみ出し 首は在らぬ方へ向き 頚骨が皮膚を突き破っていた。 辺りには黄色い脂肪と ピンク色の肉片が吐瀉物のように 撒き散らかっている。 あれは何だ? あれは人間なのか? 死体だ。 死体だ。 死んでいる。人間だ。 そう言えば先ほどから梓の姿が見えないと 唯は辺りを見回す。 さっきまで一緒に居たはずだった。 ──あずにゃん、どこ行ったのかな? ──あぁ・・・帰ったんだっけ? 唯は澪を見る。 澪は寝ていた。 ──澪ちゃん、道端で寝てると危ないよ。 唯は声を掛けたつもりだったが 奥歯を強く噛み締めていて口を開くことすらできなかった。 紬を見る。 紬は携帯電話に向かって何かを必死に伝えようとしている。 ──むぎちゃん、何かあったの? 矢張り声にはならなかった。 律を見る。 泣いていた。 泣きながら何かを叫んでいる。 ・・・・・さ・・! ──聞こえない。 あ・・・さっ! ──いやだっ聞きたくない! あずさっ! ──違うっ!違う違う違うっ! 律「あずさっ!梓あぁっ!」 唯は道路に転がる死体に目を移す。 唯「違うよ・・・違うよ。何言ってるの?あれは・・・」 死体に焦点を合わせようとするが 一向に視界はぼやけたままだった。 それが涙だとは気づけずにいる唯だったが袖で目を擦ると、 一瞬ではあったがはっきりと見て取ることが出来た。 梓の顔──赤く染まった顔を 艶やかな髪──どす黒い粘液に塗れた髪を 黒く澄んだ瞳──白く濁った瞳を 柔らかかった頬──擦り切れて奥歯がむき出しになった頬を 唯は一歩、また一歩と、震える脚を引き摺るようにして 死体に──梓に近づいていく。 唯は血溜りに膝を付き 梓を抱いた。 生暖かな液体が 唯の脚を、腕を、体を、顔を濡らしていた。 涙が止め処無く零れ落ちる。 声を上げようとするが 嗚咽が漏れるだけだった。 叫びたかった。 胸の裡に湧き上がる絶望を吐き出したい。 ここで呑み込んでしまったら きっと心が壊れてしまう。 だから──今。 唯は大きく息を吸った。 唯「いやぁぁああああああああああああああああっ!!」 叫んだ、何度も何度も何度も。 梓の名前を呼んだ。 助けて!──と無駄な言葉も吐いた。 何でもよかった。 兎に角叫んだ。 喉が枯れるまで。 声が出なくなるまで。 意識が、途絶えるまで。 ※ 目を覚ましたとき、唯は病院のベッドの上に居た。 何も考えることが出来なかった。 両親と憂が見舞いに来たときも、 幼馴染の真鍋和が見舞いに来たときも 一様に悲しそうな表情を向けてくるが 何も感じなかったし、相手の言葉も聞こえなかった。 ただ、日記だけは自然と付けていた。 あの日のことも書いた。 涙を流しながら。 それでも悲しいという感情は抱かなかった。 何も考えていなくても涙は自然と溢れた。 それからの唯は塞ぎこむような毎日を送っていた。 空虚な日々を、霞掛かった日常を、ただ漠然と流されるように。 退院後は学校へ毎日通っているものの 授業中に突然泣き出したり、叫び声を上げたりと 酷く取り乱すことが頻繁にあった。 心配した学校側はスクールカウンセラーを招致して 事故現場に居合わせた軽音部一同の心のケアに尽力した。 和も唯を心配して、心の支えになればと、 多くの時間を唯と共に過ごした。 他の軽音部のメンバーがどうなっているのか 唯は気に留めることは無かった。 同じクラスの紬は長い間欠席していたような気がする。 律は毎日登校していたようだったが、 唯と同じように塞ぎこんでいた。 澪とは廊下ですれ違ったことはあったが 互いに声を掛けることはしなかった。 それぞれ、何を思い、どれほど苦しんでいるのか 今の唯には関係のないことだった。 年が明け春になっても部室に 軽音部のメンバーが揃う事は無かった。 それでも、唯は次第に心を取り戻し 少しずつではあるが、 梓の死に向き合えるようになってきた。 紬は、冬の間保健室登校を続けて そこで一人授業で出された課題などをこなしていた。 テストも別室で受けて 学力的には問題が無いため進級することができた。 律も唯と同じように順調に心の傷は癒えていった。 寧ろ、律の方が快復は早かったかもしれない。 春には今まで通り元気に学校へ通っているし、 唯とも自然に会話を交わすようになってきた。 澪は事故の直後に気絶して 精神的なダメージは一番少なかったが 梓の死を受け入れられず、 未だに他者と会話を交わすことが出来ないで居た。 さわ子や和、憂も不安を隠しきれずに居たが 時間が解決してくれると信じて皆の様子を暖かく見守っていた。 夏を迎える頃には 軽音部のメンバーに笑顔が戻ってきていた。 皆は互いに言葉を交わし 笑いあい、時に喧嘩をすることもあった。 心の傷は深刻だったが 誰もがこのままではいけないと思い始めたのだろう。 進路も決まり、それぞれがそれぞれの道へ進む決意をしていた。 澪は推薦で音大への進学を希望していた。 推薦状を書いてもらうにあたり出席日数を心配していたが 事故後の欠席は公欠扱いとなり 晴れて推薦状を書いてもらえる運びとなった。 唯も澪と同じ音大へと進むために 日々受験勉強に勤しんでいる。 紬は、希望の女子大へ進むため 唯と同じく受験勉強中である。 律は早々に就職して社会人になりたがっていたが 目ぼしい就職先は見つからず 専門学校へ二年間通った後に 改めて就職口を探すと意気込んでいた。 誰もが大人になろうとしていた。 しかし、誰もが何かを置き去りにしようとしていることに 薄々勘付いてはいたのだった。 これでいいのか? このままでいいのか? その葛藤が常に彼女達の頭の中で渦巻いていた。 夏休みを迎えようとしていたある日のこと。 律は、けじめをつけよう──と言って軽音部のメンバーを部室へ集めた。 拒否する者は居なかった。 皆、同じ気持ちだった。 同じ思いで今まで時を過ごしてきた。 律「率直に言うぞ。軽音部、どうする?」 暫しの沈黙の後、澪が口を開いた。 澪「私は、諦め切れない。もちろん、皆の気持ちを優先するよ」 律「むぎはどうだ?」 紬「私は・・・申し訳ないけど・・・」 律「わかった。唯は?」 唯「私は、私はね──」 唯は息を呑んだ。 以前にもまして長い間意識が途絶えていたらしい。 3