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スネークたちの部隊が降り、二人きりになった。 連絡を待つ為、ヘッドセットを付け、運転席のシートに体を預 けた俺の膝に女の手が載せられた。 俺は誘いに気付かないふりをして地図に目を落とす。助手席の 女はしびれを切らし、すぐに声をかけた。 「ねえ、あれから元気だった? 随分会えなかったから心配だ ったのよ、これでも」 眼鏡を片手で上げながらたどたどしい言葉で声をかける。ロシ ア訛りのある可愛い声だ。 俺は眼を合わせるのはやめて「見ての通り元気だよ、やる事が 山のようにたまっているのはいつもの事だけどな」とだけ答えた。 女がじれて、俺にキスしてくる。触れるだけではなく舌が入り 込み、俺の舌を絡め取る。そのまましばらく口を吸っていたが 積極的になった俺の態度にうろたえ、彼女は身を引いた。 もともと誘ってくるだろうとは思っていたが、ここまでされて 手を出さない奴はいないだろう。 「ここじゃ狭いだろう? 後ろに行こうか」 冷え切ったシートに腰かけ、目の前に立つ女を眺める。 医者が着るような白いシングルコートに清楚なブラウス、地味 だけど明るく綺麗な色合いのスカートと品のいい皮のパンプス。 眼鏡の奥の目は、遠慮なく熱っぽい視線を俺に向けている。 「脱がないのか?」 骨折をしていて良かった事はこれくらいだ。自由がきかないの を理由にして、さんざん横着ができる。 暗に脱げという意味を受け、彼女は素直に服を脱ぎ始めた。 下着も脱ぎ、俺に近付く。目の前にある彼女の胸はブラウスの 上から見るよりもずっと豊満で、綺麗というよりも思わずしゃ ぶりつきたくなるようないやらしい肉感的な形をしていた。 この間は時間がなくてブラウスの上から悪戯したそこにしゃぶ りつく。いまにもイくんじゃないかと思うくらい色っぽい声を 上げる彼女に構わず嬲ると、そこは硬くしこって舌先に触れる ようになった。 唇を離して軽く摘む。びくりと震える体に嗜虐心を煽られ、摘 んだまま指先を擦り合わせる。 やや大きめの乳輪は俺の悪戯のせいでピンク色にふくらみ、摘 んでいた指を離して手の甲で擦ると熱く火照っているのが分か った。 スネークがつれてきた捕虜の中で、彼女が一番俺の気を引いた のは、このアンバランスな性格のせいだ。 外見は少し地味なくらいなのに、中身はハードルが低く、熱く なりやすい。おまけに美人ときている。 つい先週ここへつれてこられた時はがたがたと震えていたくせ に、話している間に妙な雰囲気になって、ついそのまま事に及 んでしまった。 俺とするまでは処女だったはずなのに、今は俺の手を引いて胸 に持っていくくらい大胆な行動を取る。 手を動かし揉む度に、勃起した乳首が指の間に触れ、気持ち良 さそうな声が漏れる。 胸を弄っているだけで達しそうな様子を見て、俺は手を下に滑らせた。 俺の指を中に咥える。きゅっと収縮して蜜が俺の指を濡らした。 俺意外を知らないそこは、狭いながらも深さがあり、相変わら ず心地良さそうだった。 弄るより入れるほうがずっと好みの俺は、座ったまま前を開け、 彼女を引き寄せてそのまま挿入した。 欲望のまま乱暴に押し込んだつもりだったが、ズズっという多 少の摩擦のみですんなり鞘に収まった。 繋がったそこはお互いの体液でぐずぐずに濡れている。擦り合 わせるように腰を動かせと言うと、彼女は素直に腰を動かし始めた。 対面で前後に腰を振らせると、俺の肉が彼女の奥に擦れる。 しばらく繰り返しているとイくのが遅い傾向にあるはずなのに、 限界がやってきた。 さすがに中に出すのは気が引けた。出す為に中から引き出そう としたが、彼女はそれを制し、俺はそのまま彼女の内部で果てた。 俺の代謝物で汚れた内腔から萎えた自分を引き出すと、彼女は そのまま俺の膝から滑り落ち、トラックの床に座り込んだ。 「キャンベル」 スネークから通信が入った。俺はいつものように答える。 「どうした?」 医療チームのあるメンバーのスキルが上がり、新薬開発に成功 したとの報告だった。 「……まあ、モチベーションを上げるようにフォローするのも俺の 役目だからな」 「どうやって?」 いぶかしげにスネークが訊く。ここでそんな事を訊けるのがス ネークという男だ。俺は答えをそのまま口にせず笑ってしまっ た。 「そうだな……あんたじゃできない事、とでも言っておこうか」
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いつ敵が来るか。 その恐怖の中、俺は彼女を… いや、違う。 この危険な状況を楽しんでいる。俺は。 見つかれば命は無い。これだけの人数を相手にする自信はないのだ。 アラートアラームが徐々に静まっていく。 俺達はコンテナの中に隠れた。こういう場所は中で自由にできるが、見つかれば逃げ場はない。 「はぁ…はぁ…」 鉄製のコンテナ、暗闇、密室状態。お互いの息遣いは良く聞こえる。 「スネーク?」 最初は何を考えているのかと思った。彼女のスニーキングスーツは目立ち過ぎる色だ。その上、超ミニスカート。挑発してるとしか思えない。 流れる金髪。 白い肌。 赤い服の裾からは太ももが半分以上覗き、俺は何度も彼女の下着を確認している。 「スネーク?スネーク?」 彼女の言葉は遠ざかる。見た目彼女は、少女にも見えるだろう。 ロリコンの趣味は無いが、男はその体にそそられるに違いない。俺も例外じゃなかった。 この服の下は、どのように女性らしくなっているのだろうか? 膨らんだ胸、何度も覗く下着が俺の理性を奪っていく。 「ちょっと!へん…」 ドサッ 俺はマウントポジションを取った。両手で彼女の手首を押さえつけ、自由を奪う。 「な、何考えてんのよ!」 ガバッ 「ん…む…」 「む…」 俺は彼女の唇を貪った。彼女も子供ではない。口内で、舌に受け答えている。 「あ…は」 唇を離した時、彼女が妖しく見えた。 上気した頬、半開きの唇からは唾液が覗き、 何より、瞳を潤ませている。切なそうな乙女の瞳が、俺を捉えていた。 「…」 「…」 外の警戒レベルは下がったようだ。俺は… 「せめて…ベッドの上で頼みたいんだけど?」 口元を軽く締め、余裕の笑みを浮かべた。 ただ、その赤らんだ頬は本心にそれ程の余裕が無いことを教えている。 「…いいのか?」 「アナタも男でしょ?…人を押し倒して、止める気?」 少々命令口調だが、彼女らしい。俺はもう一度彼女の唇を塞いだ。 「む…ぅ…」 「んむ…」 唇を離した時、彼女の表情から笑みは消えていた。 どうやら理解したようだ。どちらがプロフェッショナルかを。 うっとりとした瞳でこちらを見つめ、震えた指先で唇をなぞっていた。 「そうやって瞳を潤ませているだけでも大したモノだ」 「…年季が違うって訳ね…」 物欲しそうな唇は彼女がそれ以上の事を望む証。 心なしか彼女の呼吸が荒くなった気がした。 「こんなトコじゃ長くは出来ないわよ…」 「構わんさ。君程の美人ならすぐに終わる。何より…」 「何より?」 「君を満足させる位、俺には訳ない」 「ふふ…自信家ね?」 スニーキングスーツを全て脱ぐ訳にはいかなかった。一応着脱は最小限にして置かねばならない。 俺は下半身のズボンを降ろせば簡単だが、彼女はそうはいかないだろう。 と、思っていた。 「勿論、脱がせてくれるのよね?」 「悪いが、服の構造が…」 「簡単よ」 彼女のスーツも着脱が簡単だった。 首元に付いているチャック。それがへその辺りまで伸びている。 「ふん。随分都合の良いスーツだ」 「アナタの全身タイツみたいなスーツよりマシ…」 実際の機能性はこちらの方が良い。ただ、今その事について論争しても仕方がない為それを無視し、彼女のチャックに手を掛ける。 ヂィィ 下げていくと徐々にまばゆく、白い素肌が覗いていた。 下着は最低限の白いブラだけのぞき、彼女の、人並みにある乳房を保護している。 「あ…」 急に彼女は顔を赤らめ、作業を続けるスネークの手を止めた。 「どうした?」 「その…」 「?」 「汗…臭いの…」 当然だ。今まであれだけの激しい運動をして、汗をかかない方がおかしいだろう。ただ、男に抱かれると考えれば気になるらしい。 「このスーツ…通気が悪くって…」 レザーに近い彼女のスーツは、肌にピタリと張り付く程通気性が低い。 実際彼女の体臭など気にしないのだが、 手を止めさせてまで彼女は気を使ったのだ。そんな彼女に恥をかかせる訳にはいかなかった。 既に開ききった首元へ顔を近づける。 首と、乳房との中間点、その開けた場所には白肌の上にじっとりと浮かんだ汗の粒が見える。 「ス…スネークぅ…」 彼女の嫌そうな視線を尻目に、俺はソコに舌を這わせた。 「ひゃ…」 何度も舐めていく。 「言ったじゃない!汗をかいてるの!」 「俺は獣だからな…」 「あ…あ…」 「君の臭いは興奮材料にしかならない」 「スネーク…」 安心したのか、彼女は少しの間、舌の這う感覚を楽しんでいた。 もう抵抗は、無い。
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兄妹。血が繋がっていなくてもたった一つの、彼女にとってはたった一人の家族だった。 硝煙と血と土と砂煙の匂いしか味わえない戦場でも、妹からすれば長身の兄は誰よりも美しく、格好よく見えていた。 数少ない食糧を分け与えられた時、申し訳ないと思いながら妹は嬉しがっていた。 ああ、私はこの人の大事な人で、愛されているのだ。と。 この愛を享受しているからこそ、人の命を奪う兄を平気で受け入れる事ができた。 妹からすれば欠点の無い頼れる兄。兄妹と言う絆は永遠に一緒に居られる証、そう思って安心していた。 恋心と自覚したのは皮肉にも、別れを宣告された時だった。 「どういう…事?」 「お前の為なんだ」 兄の、結果的には最後になってしまった「人間らしい」最後の思いやり。妹の興味のある分野で一流の大学へ行く権利と、立派な戸籍。これが兄の最後のプレゼントだった。 兄妹の絆を断つ事を代償にしたプレゼント。兄はこれが正しい選択だと判断していた。 「嫌よ!…どうして」 「俺は…他人を殺めてきたこの手だけじゃない。名前、経歴、存在そのものが汚れているんだ。俺との繋がりを残せば、お前の将来に響く」 「嫌!兄さんのいない未来なんて要らない!」 「ナオミ…」 「どうして!?あの地獄を抜けられたのは兄さんが居たから!」 「…」 「…お願いだから側に居させてよ…兄さん…」 兄は俯いたまま、妹はその膝に縋ったまま、時間は経っていった。 兄の考えは変わることなく。 「…俺の世界から抜けられるチャンスは今しかない」 「…」 「…フライトは明日だ。準備は忘れるな。 …ナオミ・ハンター。お前の名前にイェーガーは無い」 その日兄は、珍しく早い眠りに着いていた。
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数日前に控えたミッションの顔合わせも兼ねての食事会……少佐が手配してくれたその席 で、私は失態を晒す事になってしまった。 「大丈夫?」 優しい声が耳元で響く。アルコールのせいでふらつく私の体は、彼女に支えられてなんとか 地面に立っていた。 「すみません大丈夫です、一人で歩けますから……」 彼女から離れて一人で歩こうとしたけれど無駄な抵抗に終わった。二件目の店で飲み過ぎ たカクテルのせいで私の足はちっとも言うことをきかず、バランスを崩して再び彼女の腕の 中に戻ってしまった。 「仕方ないわね、私の部屋に来なさい。酔いが覚めるまで面倒はみるから」 呆れたように言って私の背中を撫でる。大の大人(それも医者)が酔っぱらって看病されるな んて恥ずかしいとは思ったけれど、自宅に帰る為のバスは乗り過ごしてしまったし、他に行 くあてもなかった。 私は彼女の好意に甘える事にした。 案内されたホテルの部屋は、テレビと冷蔵庫とベッドがそれぞれ一つあるだけの質素な 部屋だった。 座る場所もないので仕方なくベッドに座ると、彼女は私の隣に座った。束ねていない金色 の髪がふわりと揺れて、淡い香水の香りが鼻をかすめた。 「水でも飲みなさい、数時間経てば酔いも覚めるでしょう」 冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターの瓶を渡してくれた。冷えたガラスの感触が心地 いい。瓶にそのまま口をつけ飲むと、強いアルコールで渇いた体の中に冷たい水が染みこ んでいった。 「……すみません」 今回のミッションではメディカルサポートとして参加する事になっているのに、その担当者 が泥酔するなんて、きっと呆れているに違いない……そう思った。 「気にすることないわ、体調のせいで酔いやすくなる事もある」 そんな私の気持ちを察してか、微笑みながら顔を覗き込んできてくれた。 ザ・ボスは……調書に書かれた経歴から想像していた姿より、ずっと女性らしく気さくで魅力 に溢れた人だ。 体は筋肉質ながらもすらりとしていて綺麗だし、顔も四〇代の女性とは思えないほど若々 しい。 長い睫に縁取られた瞳はグレイがかったブルーで、あまりの綺麗さにみとれていたら目が あってしまった。 「どうしたの、そんなに見つめたりして」 彼女はくすりと笑って、私の髪を指で梳いた。 「ずいぶん綺麗な赤ね、まっすぐで癖もないし」 指先が優しく私の髪を引っ張る。私は言葉を失って、その場でうつむくしかなかった。 おかしい……同性に触れられている感覚じゃない。 まるで男の人に触られているみたいに感じてしまい、高鳴る鼓動をなんとか抑えようとした が無駄だった。彼女の指が私の顎に触れた次の瞬間、柔らかい唇が私のそれに重なって いたからだ。 「な……何するんですか!」 驚きすぎてなかなか喉の奥から言葉が出てこない。彼女は狼狽している私を見下ろし、 悪戯っぽく笑ってみせた。 「あなた、可愛いのね……男もあまり知らないでしょう?」 抱きしめられて耳に彼女の唇が這っていく。少し低い声が心地よく耳元で響いた。 「あ、あの……私、そういう趣味ないです」 声がすっかり上ずってしまっている。急すぎる出来事に心はまったくついていけていないの に、体は彼女に触れて嬉しいと望んでいるみたいだった。 怖い、という気持ちよりも快楽を望む気持ちが優先されてしまっているようで、私は恥ずかし くなりシーツの間に滑り込んで彼女の腕からなんとか逃れた。 「あら、それでは逃げている事にはならないわよ?」 シーツを引き、私の体に覆いかぶさる。彼女の指は慣れた手つきで背中のファスナーを下 ろしていた。 ワンピースを半分脱がした後、下着越しに彼女の手が、胸に触れた。 「やっ、いやですっ……ん……あっ」 そのままゆっくりと揉まれ、思わず声が出てしまう。だんだん息も乱れてきてしまった。 ブラジャーを外す手を、もう拒む事はできなかった。 布地越しに優しく揉まれてツンと立ってしまっているそこを、彼女の爪が軽く掻くだけで体の 奥が熱くなってしまう。 悟られたくなくて閉じた脚の奥は、もうすっかり濡れてしまっているだろう。 「いい形ね、可愛いわ」 言いながら弄っていたそこに、彼女の舌が触れる。舌先で転がし、唇を当てて吸い上げ…… 左右交互にくりかえされる愛撫に私は恥ずかしいほど素直に乱れてしまった。 強い快楽は麻薬のような作用があるのかもしれない。たまらなくなって彼女の唇にキスをし たのは私の方だった。 まったく動じない彼女の唇に舌を差し入れ、慣れないキスを繰り返していたら……いつの間 にか自分が裸になっていたのに気がついた。 キスに夢中になっている間に脱がされてしまったらしい。 「あの……ダメです、そんな……」 「大丈夫よ、悪いようにはしないわ」 脚の間に彼女の手が滑り込んで行く。たいしたキスや愛撫をしていないのにたっぷり濡れて しまっているそこを触れられるのは顔から火が出るくらい恥ずかしかった。 「ダメ、やっぱりだめです……」 なぞられただけで蕩けてしまいそうになり、私は慌てて制止した。 「ここまできて、そんなつまらない事を言うの?」 私の気持ちを見透かすように笑い、制止を無視して彼女の指は私の中に入ってきた。 外より中の方が感じるなんて、自分でも初めて知った。男性とのセックスは経験あったもの の中をかき回されても鈍い快感しか得られなかったのに……二本に増えた彼女の指に、 私はあっけなく達してしまった。 指を引き抜かれ恐る恐るそこに触れてみると、シーツを濡らすほどの愛液で潤んでいた。 私はだるい体で 寝返りをうち、枕に顔を埋めた。 さっきまで恥ずかしい声を上げてさんざん乱れていた事を思い出してしまい、まともに彼女 の顔なんて見られない。 「どうしたの、拗ねちゃって」 くすくすと頭の上で笑い声が聞こえる。 「やめてくださいって、言ったのに……」 子供のような反論しか出てこないのも、恥ずかしい。 私は彼女に頭を撫でられあやされながら、アルコールの力を借りてこのまま眠りに落ちて ゆく事に決めた。 終
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(最高の、十分間…!) 体の痛みさえ快感に変わる。私のジャックが、私を超えた。 あとは彼がこの場から速やかに離れてくれれば良い。私に止めをさして。 彼女は泣きそうになりながら自分を見下ろすスネークに微笑みかけた。 いくらカモフラージュ率が高いからといってOYAMAは止めたほうが良かったわね。 「ありがとうジャック」 「ボス…」 もう時間が無い。けれども彼にもうひとつ辛い思いをさせなければならない。 胸を痛めながら、パトリオットを彼に差し出した。 「ジャック…いえ、スネークこれをけして手放さな―――!?」 体が宙に浮きがっしりとホールドされる。 パトリオットを受け取る代わりにスネークはボスを担ぎ上げWIGに向かって走り出したのだった。 「ジャ、ジャック!?あなた何をやってるの!任務を放棄する気!?」 「大丈夫だ、任務は完了なんだボス」 「は?ジャック、いいから放せ。そして私に止めをさせ!蛇は二人もいらな……聞いているの!?」 ビクッと最後の怒鳴り声にスネークが条件反射で怯んだが 「いや、大丈夫だから」などと適当に答えながらスネークはボスに従うことなく無線を開いた。 145.73 「スネーク、あなたすごいじゃない!ザ・ボスをキャプチャーしたのね?中々できるものじゃないわ!」 「あぁ、少してこずったがCQC返しと麻酔銃でスタミナキルを狙って 弱らせて生け捕りにすることが出来た。」 「ザ・ボス、別名『無情の歓喜 ザ・ジョイ』はコブラ部隊を率いて 第二次世界大戦終結に多大なる貢献を果たした、伝説の英雄と呼ばれているわ。 またスネーク、あなたと共に独自の近接戦闘術、“CQC”を考案。この辺はあなたの方が詳しいわよね。 そしてゼロ少佐と共に、SAS(イギリス陸軍特殊部隊)の立ち上げにも関わったの。 様々な功績から特殊部隊の母としても世界ではその名をとどろかせているわ。 あなたがヴァーチャスミッションで行ったHALO降下も彼女の考案で…」 「で?」 「?」 「で、味は?」 「……あー…味?ちょっと待ってて。 ―――残念。ソ連側のデータベースに以前はあったんだけど今はもう調べられないみたい。 でも食べてみれば?好きなんでしょ?味はどうあれ」 「いや、確かにそうだが、データがあったほうが…。 ボスの機嫌を損ねる食べ方だけは避けたいんだ。ガッカリさせたくもないしな」 「またまたぁ。10年も飼育されてて何言ってるのよ。 それに共食い、直食いはお手の物でしょ。あなたヘビ何匹食べたっけ。あ、そうそうヘビといえば」 ―通信終了― 「ボス。俺はこの任務の中で人間は他の生き物を食べることで… つまり抹殺することで生きているということを学んだ。 これから俺は断腸の思いで任務を完遂するためにボスを頂こうと思う。 これで俺の任務が完了する。あ、つまり」 「『食べるに二つの意味を持たせたんだボス。結構面白いだろ?あ、面白くなかった?どう思う?なぁ、ボス?』 と言ったらこのパトリオットが火を噴くから覚悟なさい」 「俺は、俺に忠を尽くし国に忠を尽くすことが両立できないかなんとか考えたんだが…」 「いいから、このマイクロチップを持って、私を撃ってとっととアメリカに帰りなさい!」 「いやでもあんな胸見せられたら誰だって悩むもんだ」 「ジャック!」 「すいません」 なんだか弱らせたはずが元気になってきた。 ああ、しかしこのボスの突っ込みが懐かしい。ボケの血が騒ぐ。 しかし今隙を付かれてCQCを仕掛けられてはたまらない。 スネークは仮死薬を無理矢理ボスの口に押し込みエヴァの待つWIGに乗りこんだ。 140.85 「少佐、さきほどボスを…抹殺した。オセロットやMIGとも少々ゴタゴタしたがなんとかなりそうだ」 「うむ、よくやってくれたスネーク。そのままエヴァと帰還してくれ。…くれぐれも、寄り道はするなよ」 「寄り道ができるほど間接や骨がくっついていないし、二人からの説教がどれだけ長引くかにもよる」 「うん?何か言ったか、スネーク」 「いや、なんでもない。これよりなるべく速やかに帰還をする。任務完了だ。」 <何処へ行ったのだろう> 花畑の中にゆらゆらと現世に残る思念が揺らめいた。 <彼女の亡骸は…> 彼女とスネークとの決着がついた後、ザ・ソローはMIGの作戦行動を妨害すべく空高く飛んだ。 彼女の亡骸をMIGの爆撃で傷つけたくなかったからである。 もしもスネークが彼女を倒せなかった場合の保険。MIG爆撃にはそんな意味もあった。 <決着がついたからといって二人に気を利かせてちょっと離れたのが失敗だった> ソローはMIGのコックピットに乗り込み「もう帰っていいよ」と兵士の耳元で囁き MIGが慌てて引き返すのを見送ったのち、再び花畑に戻れば…一体この状態はなんなんだ。 彼女の魂は?亡骸は?馬は?弟子は?俺は? <置いてけぼりは哀しい…> <哀しい…> <哀…> ソローの思念が霧散しようとしたところを、同じく魂だけの存在が引き止めた。 <ペイーン!> <!> <ボスは、なんか色々あって結局生き残りましたよ、ザ・ソロー> フューリーとペインがソローの肩を労わるように叩いた。 <NTR?(ネトラレ?)> <あれだけ雨を降らせて自己主張していたのに、残念じゃったなソロー> <ザ・フィアー…ジ・エンド…> ソローはふふっと寂しげに笑った。これまで一人で二年待ったんだ。 今度は皆と待つことができる。哀しくは、無い。ああ、でもNTR?NTRって悲惨じゃないか俺? ―――これで五人揃った、今度は地獄の底まで一緒… 五つの魂は寄り添いあいながら、ふわふわと西へ、アメリカの方へ飛んだ。 この世界に、国境なぞ存在しない。 「ジャック、そこに座りなさい」 WIG機内の空気が震えた。 「いや、でもボス…」 「っ…!こっちに寄るな!二メートル以上離れろ!いいから座りなさい!」 オセロットの奇襲も退け、一目散に帰還するMIGも避け、 ボスの手当てをせんと蘇生薬を飲ませたとたんこれだ。 しかし悲しいかな10年間の教育の賜物であるスネークは正しい体育座りで縮こまるしかなかった。 「お前は一体何を考えて任務にあたっているんだ? 私はあんなちゃらんぽらんな姿勢を教えたか? 正々堂々、戦士として戦った私相手に『スタミナキル狙いで麻酔銃とCQC返しだけで戦った』だと? この任務が国にとってどれだけ重大なのか分かってこんな行為を?」 「……」 だがスネークとて10年間の経験がある。ボスの説教を右から左へ流すことは比較的容易であった。 勿論、ボスは国を裏切ったんじゃないのか、とか スタミナキルでないとカムフラージュが手に入らないんだ、 などと話の途中に質問するのはご法度だ。説教が三倍に長引く。 「聞いてるの!?返事は!?」 「あ、ああ…」 適当に返事をすると再びボスは説教をくどくどくどくど始めた。ああ、すごい楽だ。 花畑でのボスの真意を決して軽く見ているわけではない。 ただこの人の望むことよりも良い案が浮かんだからそうしただけだ。食べれば万事OK。多分万事。 幸い本日はボスの体力も落ちている。比較的早めに話は終わり、手当てを始めることができるだろう。 そんなことをぼぅっと考えているとエヴァがクスクスと笑いながら話に加わった。 「ザ・ボス、大人しく食べられて、任務完遂させてあげればいいじゃないですか?」 その時には私も混ぜてね、スネーク。と付け加えて彼に向かって片目を瞑った。 スネークはそれに力なく笑って答えた。三倍フラグが立った。通常の三倍だ。 「口をはさまないでちょうだい、タチアナ。 そう、それから!食べるとか食べないとか、私を煙に巻いてお前は…」 エヴァのアピールは嬉しいんだが…スネークは体育すわりから立ち上がり、ボスに手を伸ばす。 力ずくで行くしかない。 以前ならばボスに対して強硬姿勢をとろうなどとは考えたことも無かった。 このミッションはこれほどまでに自分を大きく成長させてくれたのだ。 少しこの過酷な任務に感謝しつつスネークは説教を続けるボスの腕を取った。 今度はその動きに唇を引き結んでボスはたじろいだ。パトリオットは当然彼女の手元にあるはずも無い。 なるべく距離を取ろうと後ずさるが傷が痛み思うように体が動かすことができなかった。 「…ジャック、それ以上近寄ると…やめなさい!やっ…」 「ボス。大丈夫、俺に任せてくれ。じっとして」 「ま、任せる!?やめろ、離せ!馬鹿な真似は、っあ…離し…」 聞き耳を立てながら操縦を続けるエヴァは 背後でだんだんと小さくなる裏返った抵抗の声にお腹を抱えて笑った。 あの伝説の英雄が、彼とこんな風に話すなんて。これまでじゃ全く想像も出来ない。 ヴォルギンの元で地獄に近い光景を見、スネークと共に行動し、 あわやというところで死にかけたこの数週間。 これだけ笑えることができるなんてことも想像出来なかった。まるで、夢のようだ。 暫らくしてエヴァはスネークが何か作業を始めたのに気がつき、少し釘をさした。 「スネーク、床で食べるのは下品よ。食事はきちんとした所でしないと。 それが料理に対する礼儀ってモノよ。サバイバル環境にいないんだったら尚更ね」 「おいおい人聞きが悪いな、エヴァ。ちょっと麻酔銃で寝かせただけだ」 抗議をしにスネークが操縦席に顔を出した。 「早く手当をしないと、治りが悪くなる」 「そんなこと言って、応急手当にかこつけて体をじっくり診ようとか考えてるんじゃないの?」 ビクッとスネークが体を震わせた。…図星? 「それともちょっと触診してみようかとか、この際体の隅々まで診ないといけないとか? ザ・ボスと会うのは何年ぶりといってたかしら、スネーク」 「いや、そんな目的は断じてない。迅速なCUREが結果的に速い回復に繋がるわけで…」 目をそらしながらしどろもどろに続けるスネークを遮って悪戯っぽく笑い三本指を立てた。 「即席ラーメン3パックで手を打ってあげるわ。 まさかアメリカに帰ってそちらのFOXメンバーに会う前にフルパワーのCQCで全身骨折…なんて嫌よね」 「…OK。ボスを食べるまでが任務だ。その前に俺は死にたくない」 うなだれるスネークに、こつんと頭をぶつけてエヴァは取引成立を喜んだ。 「なかなか、これってハッピーエンドでいいんじゃない?…すっごい妬けるけど」 その後数度か怪我人が目覚め、そのたびに乱闘が起きかけたが スネークは落ち着いてスタートボタンを押してCUREで回復し 毛利小五郎と江戸川コナンよろしく麻酔銃を駆使し無事アメリカ領空内まで到達した。 「あと数時間で着くわ。寄り道、してくでしょ?」 「そう言ってもらえると、光栄だな」 操縦席の機器が放つ青、緑といった光に照らされて二人は見詰め合った。 「…スネーク」 「なんだ?」 「OYAMAペイントは落としてくれる? 暗い中浮き上がって怖いんだけど」 「ああ、忘れていた」
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+本編および裏トーナメント優勝者のネタバレ注意! エ キ シ ビ ジ ョ ン MAP 東京タワー 戦闘領域:東京タワー敷地内 すごいすごい!東京タワー!!私登ったことないんですよーえへへ。 ライトアップされた夜の東京タワーで戦ってもらいます! もちろん売店やレストランや、楽し……いや利用できそうなものも満載ですよ! あっ、それと展望台からの夜景も見てみたいです! 対戦者 伝説の勇者ミドvs池松叢雲vs陸軍一佐フジクロ SS 伝説の勇者ミド 池松叢雲 陸軍一佐フジクロ 投票 投票
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【初出】 禁書SS自作スレ>>562-563 (な・・・・・・、何じゃこりゃああああああ!?) 突如、上条の体が驚愕に凍る。 彼の手札は以下の通り。 スペード、ダイヤの3 ハートの8 スペードの11 クローバーの13 スペードの1 ダイヤの2 ジョーカー (俺の人生史上最高の手札!い、いける。いけるぞぉおおおおおお!!) 結構紛らわしいよねコイツ。 「おっ、どしたん、カミやん?暗い笑み浮かべて。やっぱり『不幸にも』手札悪かったんかいな」 「こういう時はポーカーフェイスで行かなきゃいけないにゃー。これだから勝負時の不幸に慣れてない奴は」 「・・・・・・上条ちゃん、あまり落ち込んではダメなのですー。先生は最強カードが8だった時は平民に収まった事があったんですよ」 「とうま、とうま。私の手札はまあまあ強いから無問題だよ」 「・・・・・・(なんか、哀れよね)」 「お気を落とさずに、とミサカは一応励ましの言葉をかけます」 「そんな事で同情を得ようなんて腹黒いわね上条当麻!」 「おっしゃあ!上条の優勝確率がほぼ零%に!」 「フラグゲッターの醜態を見られる確率がほぼ壱百%に!」 もう外野がナニを言おうと構わない。 それらの高い鼻を思う存分へし折ってやればいい。 上条ははスペードとダイヤの3をペアで出す。 「二枚出しだとぉ!?カミやんのクセに生意気な!」 「焦るとダメだぜい。カミやんの事だからこれが最初で最後だにゃー」 青髪ピアスが出さないのを見ると、土御門はにやけながらクローバーとダイヤの5を出す。 「先生はパスですねー。手札が少なくなると二枚出しも難しくなるのですー」 「うう・・・・・・、二枚はないかも」 「じゃあ私ね」 美琴は手札を吟味しながらスペードとハートの9を出した。 おそらくペアは複数持っているのだろう、と上条は適当な推測をする。 (しかしこっちにはジョーカーがあるからペアなんていくらでも作れるのだよ) 彼は心中で笑った。 「では私の番ですね、とミサカはカードを出します」 御坂妹は手札から二枚抜き出す。 どんなカードが来ても余裕綽々ですよ、と上条は手札でパタパタと仰ぎ、 彼女が出したのは2のペアだった。
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SS9 ピンポーン 律「こーんにーちはー」 唯「いらっしゃいりっちゃん!上がって上がって~」 こんにちは、平沢唯です! りっちゃんの家でハンバーグをごちそうになって以来、私はりっちゃんのお料理の虜になってしまいました。 今回、明後日に控えた家庭科の調理実習に備えて特訓をしたいと言って来てもらったんだけど・・・。 それはほとんど建前で、本音はただりっちゃんと遊びたかったからと、単にりっちゃんのお料理が食べたいから、だったり。 だって、憂のご飯より美味しいなんて思ったのは初めてなんだもん! 律「さて、それじゃ早速始めるか」 唯「合点です!」 ちなみに課題はご飯とおみそ汁と好きなおかず一品。 ご飯とおみそ汁はさておき・・・おかずは当然あれですよ! 唯「ハンバーグ♪ハンバーグ♪」 律「唯は本当にハンバーグ好きだなぁ」 唯「大好物ですから!」 鼻息荒く主張する私がおかしかったのか、りっちゃんが笑い出した。 りっちゃんが笑ってると、私もなんだか楽しくなってくるから不思議。 二人でひとしきり笑って、それからようやくの調理開始です。 律「まずは米だ!」 唯「実はこちらに既に研いだものがございます」 律「なんと!?」 ふふ~ん、私だってやればできるってとこ見せたいもんね。 驚いてるりっちゃんの顔を見れて私は大満足です。 律「なら次は味噌汁だな」 唯「はいっ!りっちゃん隊員!」 律「どうした唯隊員?」 唯「具はどうしましょうか!」 そう、ハンバーグにばかり頭がいって、おみそ汁の具については何も考えていなかったのです。 憂がいれば忘れ物がないかって感じで確認してくれたんだろうけど。 生憎というか丁度というか、今日はあずにゃんのおうちにお泊りに行ってるんだよね。 でも実はそれもりっちゃんを特訓という名のお泊り会に呼ぶきっかけになってたり。 事情はなかなかフクザツなのです。 律「案ずるな、味噌さえあればあとはどうにでもなる!」 唯「おお!頼もしい~!」 律「ふっふ~ん♪お、なんだわかめと豆腐があるじゃないか」 唯「決定ですか」 律「決定です」 律「とりあえずにぼしで出汁を取ろう」 唯「カルシウムだねりっちゃん!」 律「おう!見てろ澪の奴め・・・私達だってビッグになってやるんだ!」 唯「なってやるんだー!」 また二人で笑い合う。 何でだろう、りっちゃんと一緒なら、苦手なお料理だってとっても楽しいです。 律「さて、過程を省略して味噌汁が完成したところで」 唯「ところで?」 律「ねんがんの ハンバーグを つくるぞ!」 唯「きた!メインおかずきた!これでかつる!」 遂にこの時が!練習という目的も忘れて浮かれまくりです。 まさに「ふわふわ時間」。りっちゃんのハンバーグを思うと、私の心は何処へか飛んで行ってしまいます。 あれ、「ぴゅあぴゅあはーと」?まあいっか。 唯「ねえねえりっちゃん」 律「どうしたー唯?」 唯「提案があります!」 律「お、言ってみろ!」 実はさっきからずっと考えていたことがあります。 最初はりっちゃんにほとんどお任せでいっかー、なんて考えていた私ですが、今はちょっとお料理が楽しくなってきていて。 ある気持ちがむくむくと湧きあがってきていたんです。 唯(りっちゃんに私のお料理を食べてほしい・・・) こんな私でも一応女の子の端くれなわけで。 好きな人に自分の作ったものを食べてもらって、「美味しい」って言ってもらう。なんて願望もあるわけでして。 って好きって!確かにりっちゃんはいつも一緒にいて、二人でふざけあって、毎日とっても楽しいけど、決してそういう意味では! だってさっきまで二人っきりでお料理してても何ともなかったし・・・ってちょっと待って! 唯(ふ、二人っきりいいいいいいいいいいいいいい!?) あわわわわわわ・・・た、大変なことに気づいてしまったかも知れません。 律「唯?おーい唯?」 唯「ははははははい!」 律「一体どーしたのさ?さっきから様子が変だぞ」 唯「なななんでもないですよ!」 今日は、ずっと、りっちゃんと、二人っきり。 一度意識しだすともう止まりません。 きっと私の顔は真っ赤なゆでダコみたいになってることでしょう。 律「ほんとに平気か~?顔真っ赤じゃないか」 唯「(ほらやっぱり!)大丈夫!断じて大丈夫ですから!」 律「熱でもあるんじゃないのか?」ぴと 唯「ひゃあああああああああああ!」 律「うおっ!?どれだけびっくりしてるんだよ!こっちもびびったわ!」 りっちゃんの不意打ちに私の心臓は爆発寸前です。 落ち着け、落ち着け私・・・なんて必死に考えてみても、ますます頬が熱くなるばかりで。 こんなことが続いたら、私はどうにかなってしまいそうです。 律「熱はないなぁ・・・あ、さては慣れない作業で疲れたか?」 唯「そんなことはないと思うんだけど・・・」 律「大丈夫そうに見えないのが問題なんだってば。唯はちょっと休んでな、あとは私がやるから」 唯「あ・・・」 ちょっと強引だけど、とっても優しいりっちゃん。 無理矢理休憩させられちゃいました。 唯(ありがとう、りっちゃん・・・) いつの間にか治まっていた動悸は、入れ替わりになんだかあったかい気持ちを私の胸に残していったのでした。 唯(ハンバーグ、食べてもらいたかったけど・・・) 唯(お泊りだからご飯は一回だけじゃないし、まだチャンスはあるよね) 決意を新たにしてふんすと気合を入れると、りっちゃんがこっちを見て笑っていました。 目が合うとやっぱり恥ずかしくて、でも何故か嬉しくて。 りっちゃんがお料理に戻っても、しばらく目を離すことができませんでした。 こんにち・・・いえ、こんばんは、平沢唯です。 りっちゃんが平沢家に来てから、はや三時間が経過しようとしています。 その間のあれこれは前回お伝えした通りなんですが・・・ 今、ようやくりっちゃん特製のハンバーグを食べる時がやってきたのです! え、時間かかりすぎじゃないかって? いや~、実は・・・ 以下回想― 律「よっし、これで完成!ゆいー、ご飯できたぞー!」 唯「ホント!?それじゃ早速食べようよ!」 律「よしきた、それじゃ唯はご飯の盛り付けを頼む。おかずと味噌汁は私がやる」 唯「あいあいさー!」 ゆっくり休んで落ち着けた私は、だんだんいつものペースを取り戻しつつありました。 目が合ったりするとまだドキドキするけど、普通に言葉を交わすことはできるくらいに。しかし、直後に落とし穴が待っていようとは・・・ 唯「ふんふ~ん♪」 律「ずいぶんご機嫌じゃないか唯。そんなにお腹空いてたのか~?」 唯「違うよぉ。りっちゃんの作るハンバーグが美味しいから、とっても楽しみにしてたんだよ!」 律「そ、そっか・・・ありがとな」 照れるりっちゃんは可愛いなぁ・・・なんて思いながらしゃもじを持って、いざ炊飯器!と思ったのですけれども。 唯「それじゃご飯分けるよ・・・あれ?」 律「どしたー?」 唯「ご飯・・・炊けてない」 律「・・・なんですと?」 唯「スイッチ入れるの忘れてたみたい・・・」 なんという迂闊さ。お米をといだことに満足してしまって、肝心の炊飯スイッチを入れるのをすっかり忘れてしまっていたみたいです。 この時の私は、二年生の時の文化祭ライブでギー太を忘れた時よりもっとずっと申し訳ない気持ちで一杯でした。 唯「ごべんなざい・・・」 唯「ぜっがぐ来でもらっだのに・・・私、お手伝いもでぎないじ、迷惑ばっがり・・・」 律「・・・なーに泣いてんだよ」 唯「あ・・・」 りっちゃんが私の頭をくしゃっと撫でてくれました。 頭のてっぺんから全身に暖かさが広がっていきます。 律「別にお米ぶちまけたわけじゃないし、今から炊けばいいだけだろ?」 唯「でも、私りっちゃんに迷惑を・・・」 律「だから、こんなのミスでも迷惑でもないって言ってんの!」 唯「・・・りっちゃんはやっぱり優しいよね」 律「器が大きいと言って欲しいかな」 唯「ぷっ!何それ・・・あ」 律「やーっと笑ったな?」 いつの間にか、私の涙は魔法みたいにピタッと止まっていました。 もう大丈夫だな、と頭から手が離れていくのは少し寂しいけど。 律「やっぱり私はそうやって何も考えないで笑ってる唯の方が好きだな」 唯「ぶー、それは私が普段から何も考えてないってこと!?」 律「違う違う!ほらこう、無邪気な笑顔っていうかさ」 唯「それならいいけどぉ・・・」 でも、私の笑顔が好き・・・か。 テンパってたさっきの私なら勘違いして更に取り乱してたかも知れないその言葉。 落ち着いた今なら、素直に褒められて嬉しいと思うことができました。 唯「えへへ・・・」 律「なーに笑ってんだよっ?」 唯「んーん、何でもない!」 私もね、りっちゃんが大好きなんだよ――その言葉を飲み込んで。 私はただりっちゃんに笑いかけるのでした。 今はまだ、この気持ちを伝える勇気はないから・・・ ―回想終わり。 律「それでは唯さん、音頭をお願いします」 唯「う~ん・・・それじゃ、私とりっちゃんが、このハンバーグのお肉と玉ねぎみたいに、いつまでも一緒にいられることを願って」 律「何だそりゃ・・・っていうかよくそんな恥ずかしいこと平気で言えるな」 唯「駄目かなぁ・・・?」 律「う・・・こ、こんな私でよけりゃいつまでも・・・って何言わせるんだー!」 唯「ホント!?やったぁ!」 律「・・・そもそも今更願うようなことでもなかった気もするんだけどな」 唯「そうかもね、でも」 律「でも?」 唯「・・・なんでもない。かんぱ~い♪」 律「か、乾杯・・・」 こん、と互いのカップを打ち合わせて、微妙な空気の中二人だけの小さな晩餐が始まりました。 憂以外の人と二人で食べる晩御飯はなんだか変な感じです。 ましてや相手はりっちゃんなのだから、落ち着かなくてモジモジしてしまいます。 ねえりっちゃん、さっきの言葉・・・本当に平気で言ったと思う? 唯(あれが今の私の精一杯) 唯(こう見えても恥ずかしくて死にそうだったんだから) 唯「ん~、やっぱりりっちゃんのハンバーグは美味しいよね」 律「それだけ喜んでくれれば作り甲斐もあるよ」 唯「ほんと?」 律「ほんとほんと。うちの聡なんか生意気に批判しやがるんだ」 唯「批判するところなんてないくらいおいしいと思うんだけど・・・」 律「お世辞でも照れるからその辺にしといて・・・」 唯「お世辞じゃないよりっちゃん!」 律「・・・マジで?」 唯「勿論マジだよ!だって私・・・」 律「私・・・?」 そう、だって私・・・こんなにりっちゃんが好きなんだから。 りっちゃんが作ったお料理なら、どんなものだって私の大好物になっちゃう。 なんて言えるはずもなく。 唯「あ、このおみそ汁もおいし~♪」 律「・・・どこまで本気なんだか・・・」 ごめんね、私ごまかすのあんまり上手くないよね・・・なんて。 そんなこと言えたら最初から苦労はしませんよね。 漏れそうになる本音を抑えつつ、りっちゃんと二人だけの食事は続きます。 ちょっとだけ気まずくて、それでもやっぱり楽しくて。 唯「ねえりっちゃん」 律「どしたー?」 唯「りっちゃんのご飯には、人を幸せにする力があると思うんですよ!」 律「はぁっ!?お前、澪じゃないんだからポエムはやめろー!」 唯「だって私、りっちゃんのご飯が食べられてすっごく嬉しいんだもん!」 律「やめろー!恥ずかしいからやめろー!」 ふと。例の私の中の願望が頭をもたげます。 私の・・・私の作る、ごはん。 唯「・・・ねえ、もしさ」 唯「私がお料理うまくなって・・・とってもうまくなって」 唯「りっちゃんのためにお昼のお弁当とか作ったら、りっちゃんは・・・」 恐い。いらない、なんて言われてしまったらと思うと― りっちゃんに否定される、それはなんと恐ろしいことなんでしょう。 律「・・・作ってくれるのか?」 唯「へ?」 律「とびっきり美味いやつをさ。購買のパンなんか目じゃないやつ」 唯「りっちゃん・・・」 律「そもそもうまくできなくても唯が作ってくれるなら嬉しいと思うけどな」 唯「りっちゃん!」 律「・・・まあ、うまいにこした事はないし、そのためにも明日はビシバシいくからな!」 唯「うん!ありがとう、りっちゃん!」 心配は杞憂だったようで、りっちゃんは呆気なく受け入れてくれました。 りっちゃんが肯定してくれる、これほど嬉しいこともありません。 天にも昇る気持ちとはこういうことを言うんでしょうか? 唯「よーし、やるぞー!」 律「明日からな」 唯「はーい・・・」 こうして、夕食の場を借りた新たな決意表明は幕を閉じたのでした。
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【本文】 『第一部 姫神秋沙』 『第二部 五和』 『第三部 御坂美琴』 『第四部 ミサカ10032号』 『第五部 白井黒子』 『第六部 風斬氷華』 『第七部 月詠小萌』 『第八部 バードウェイ』 『第九部 神裂火織』 『第十部 インデックス』 【初出】 2008/10/16 禁書SS自作スレ で連載開始。 2008/11/10 『インデックス編』をもって完結。 【著者】 3-802 (トリップなし) 【あらすじ】 今日も平和なとある高校。 やっぱり騒動の中心にいる上条当麻に、クラスメイトの一人がこう声をかける。 「君って雑草みたい」 それを皮切りに、会う人皆から「雑草」と呼ばれる上条だったが…。 【解説】 「weed」 すなわち「雑草」。 上条君が各ヒロイン達に雑草扱いされ続ける短編集。 意外と的確な表現ですよね、雑草って。
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【ダンガンロンパ】霧切響子はクーデレかわいい【FILE.25】 ※SSにはスーパーダンガンロンパ2のネタバレが含まれている場合があります。 閲覧の際は自己責任の下でよろしくお願いします。 備考欄に「※2ネタバレ」が記載されているものはネタバレが入っています。 レス ID タイトル 備考 66 0q3WXFnQ 事故ちゅー 73 0q3WXFnQ 66の続き 104-112 UcMNluAr 舞園×霧切 151-154 ArayqqG0 苗木君のぬいぐるみ 183-187 uso798mu 雨 446-449 3GwyJywf 無防備な霧切さん 697-699 NB6COdvM 花火 980 OE1MQ+Ws 挨拶