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それは大切な出会い、故郷を追われ、当てもなく彷徨っていた私を救ってくれた 暖かくてとても大きな人。 私に人の生き方と、人間の強さを教えてくれた偉大な剣士、我が師サイ・オー。 ゆえに私は竜召喚師としてではなく、剣士として生きる事に命をかける事にしました。 殺の一文字心に抱いて、キシュラナ流剛剣術士キャロ・ル・ルシエが推して参ります。 なのはSTS×影技クロス 「剛剣無頼」 ザッザッザッ、薄汚れた外套を纏った幼い少女が無人の道を一人歩く。 その背には不釣合いな一本の太刀、そして肩には小さな竜。 「ねぇフリード、今日中には次の戦場に辿り着くかな?」 おっとりと優しげな声で、不穏当な発言をその小さな竜フリードに問い掛ける。 「キュクル~♪」 その声に分かっているのかいないのか、楽しげに声をあげ頬に擦り寄るフリード。 元々答えを期待していなかったのであろう少女は溜息をつくと、またゆっくりと歩き出した。 暫らく無言で歩いていたが、ふと振り向くと何もいないはずの木の根元を斬りつける。 「傭兵の私に何か用ですか、ラッド・カルタスニ尉?」 少女は何の感慨も無く、つまらなそうにそこに誰か居るかのように声を発した。 「いや、申し訳ないですね狂乱(マッドネス)キャロ・ル・ルシエ殿」 斬りつけた木の上に、何時の間に居たのであろうか、管理局の制服を身に纏った二十代半ばの青年が腰をかけていた。 「しかし、いきなり斬りつけてくることはないでしょうに」 心底嫌そうに、頭を掻きながら苦笑いをするラッド。 そんな彼の様子を、冷めた目で見ていた少女、キャロは当然と言った口調で答える。 「この程度で、ラッドさんが斬られる訳無いですから、ただの挨拶代わりですよ」 ラッドは肩を竦めると、枝から飛び降りキャロの前に立つ。 「申し訳ありませんですが、依頼の変更です」 ラッドの言葉に、意外そうな顔を見せたキャロは訝しげに質問をする。 「依頼の変更ですか? 私に何を期待するのでしょう? 只の剣士の私に」 この質問に、ラッドは頭をガシガシと掻くと、本当に申し訳なさ全開で土下座した。 「申し訳ない、うちのバカ大将がどうしても彼方に護衛を依頼したいと!」 護衛という言葉に驚くキャロ、誰が好き好んで自分みたいな少女に護衛を依頼するというのだ。 「何を考えているんですかナカジマ三佐は、私に護衛を頼むなんて正気じゃないですよ」 狂乱(マッドネス)この名が示す通り、自分に護衛が向いていないのは分かりきっているだろうに。 何を考えているのか分からないでもないが、この予想が当たるなら今すぐ引き返したくなる。 「まさかと思いますが、ひょっとして……」 一縷の望みをかけ、ラッドに声をかけるキャロ、だがその希望はバッサリと断ち切られた。 「そのまさかです、娘のスバル嬢の護衛を頼みたいと……」 沈痛とすらいってよい、沈んだ声でラッドは答えた。 「あの親バカは、何をトチ狂っているんですか! ついに痴呆でも始まったとでもいうんですか!」 もはや敬称すら付けず声を荒げ、地面を何度も何度も蹴りつける。そのたびに僅かに地面が揺れる。 「前金はいつもの倍、報酬及び依頼中の生活は一切保障すると隊長は言っています」 その条件に、キャロの思考は冷静かつ足早に計算を始める。 (いつもの倍の前金と、生活が保障されるなら問題ないよね。最近はフリードの餌代もバカにならないし) 「分かりました、依頼は受けさしてもらいます。正し、何か事態が起こったら私に自由にやらせてください」 そう言うと、ラッドに手を差し出す。 「これが、私の条件です」 その差し出された手を握り、ラッドは片膝立ちになると頷き答えた。 「ありがとうございます。護衛対象のスバル嬢がいる先は、遺失物管理部対策部隊機動6課になります」 その長い部隊の名前に、何故か嫌な予感を抑える事が出来ないキャロであった。 それから数日が経った。 機動6課部隊長室 そこでは、部隊長であるはやてが書類の束の前で頭を抱えていた。 「幾らなんでも強引すぎや、でも通さないと不味いし、アカンどっちに転んでも良くないわ」 そんなはやての様子に心配の余りオロオロするリインと、失礼しますと言いながら、書類を手にとるシグナムの姿。 読んでいくうちにシグナムの眉間が皺を寄せ、頬が微妙に引きつっていく。 「主はやて、この文に書いてある事は一体なんの冗談ですか?」 シグナムが書類を改めて眺める、そこには地上本部からの監察官として、6課に人員を一人加える事と、その人物 のプロフィールが書かれていた。 「地上本部からの横槍は、予測されていた事態ですし、年齢は実力主義の管理局なら問題ありません」 バシッと書類を叩きつけながら、シグナムは激昂する。 「その監察官が管理局にキチンと所属しているならです!」 そこに書かれていた監察官のプロフィールは、色々な意味で問題が記されていた。 尉官待遇の傭兵、しかも経歴にはその管理局相手に、戦闘を行っているとすら記入されているのだ。 「主はやて、私はこの少女を実際に見たことがあります」 あの時出会った姿を思い出す。内乱に介入した戦場で見た数多の局員と、反乱軍の屍の上で返り血に全身を染めな がらも、まるで花畑にいるような優しげな笑みを浮かべていた、あのイカれた傭兵の少女。 「私に言えるのは、彼女を迎え入れた場合新人たちの精神の保証はできないと言うことです」 それはシグナムの直感であった、数多の戦場を駆け巡った将としての判断が彼女を危険と判断する。 「でもなシグナム、この監察官を支持したのナカジマ三佐なんよ」 疲れた顔ではやては、シグナムに伝える。その推薦人にシグナムは一瞬驚いた顔を見せたが、直ぐに表情を引き締め直す。 「本当に、ナカジマ三佐なのですか? 三佐ぐらいならば彼女の経歴を事前に知る事ができるはずですが」 言外に、何か裏が在るのではとのニュアンスを込め、シグナムは自らの主たるはやてに問い掛けた。 「私も何か裏が在ると思うんやけど、ナカジマ三佐ならマイナスの影響を与えるような事をしないと思うし」 本当になんでなんだろうなぁと、不思議そうに答えるのであった。 「もしや主はやて、ナカジマ三佐はテスタロッサに、何かを期待してるのでしょうか?」 その言葉に、頭を抱かえていたはやては、一縷の光明を見出したかのように面を上げる。 「そうか、フェイトちゃんは色々な所で子供を保護しとるから、その子の心を救ってもらおうと考えてるんか!」 元気を取り戻したはやては、凄い勢いで書類を整理しはじめる。 その様子に、表情を和らげるシグナム。迎え入れる為の書類を作成しているはやてに対し、一礼をし隊長室から出て行った。 ちなみに、すっかり忘れ去られていたリインは、机のスミでゲームを始めていたのであった。 一方その頃、陸士108部隊隊長室では会話の中心であったナカジマ三佐が、写真を両手に抱かえ踊っていた。 「ハッハッハ! これで俺の作戦は成功したも同然。 何だかんだで純真なスバルには、キャロの嬢ちゃんの狂いっぷりは トラウマ物。これで危険な前線からは外れるって寸法よ」 逝ってるとしか思えない、自分たちの隊長の行動を、醒めた目で見ているラッド二尉とギンガ。 「俺ァ、今でもスバルが局員でいる事に反対なんだよ! 怨むぜ高町一尉」 華麗にイナバウアーを決めると踊りを止めて、血涙を流し懐から取り出した藁人形に、ひたすらズガズガと五寸釘を打ち込んでいく。 「隊長、ギンガ陸曹はよろしいのですか?」 ラッドが呆れながら、隣にいるもう一人の隊長の愛娘の事を言う。 「いやギンガはなぁ、アリャもう手遅れだし、嫁の貰い手無さそうだし」 素で答えるナカジマ三佐、ギンガが後ろに居る事が、すっかり頭から抜け落ちているようである。 「父さ……ナカジマ三佐、良くもまぁそこまで言ってくれました」 BJを身に纏ったギンガが、左腕のリボルバーナックルをガシャコン、ガシャコンとカートリッジをフルリロード。 それだけでは飽きたらず、空になった薬莢を、新しい物に取り替え、さらにリロードする。 「いや、事実だしなぁ……って、ギンガさんその放電現象まで起こってる左腕は何でしょうか……」 ギンガの問いに、冷や汗混じりに答えたナカジマ三佐であったが、ギンガはそれに対し逝った笑顔で答える。 「それは三佐を、徹底的に殴る為ですよ♪」 慌てて逃げようとする、三佐の襟首を捕まえ動きを封じる。 ギュンギュン回転を始める左手、そうこれはギンガ必殺の…… 「じゃあ、お母さんによろしくお願いしますね。リボルバァアアアア!ギムレットォオオオオ!!」 高速回転でドリル状になった左手で、ひたすら殴り始めた。 「ちょ、それって殺害予告! ブバッ、ゲブッ、ブヒャー!」 そんなギンガによる、ナカジマ三佐のフルボッコ劇を眺めていたラッドニ尉は、内線で救護室に連絡を取り始めた。 隊長室から流れる豚のような悲鳴は、108隊のオフィスルームにまで聞こえていたが、隊員達はああ、またかと変わらず 業務に励むのである。 そんな、平和な陸士108部隊の日常であった。 同時刻、クラナガン廃棄区域 日が落ちかけている夕暮れ時、キャロは瓦礫に腰掛けながら、一心不乱に肉に食いつくフリードを嗜めていた。 「フリード、お腹壊すから食べ過ぎたらダメだよ」 口を血まみれにしながら、骨を噛み砕き、肉を引きちぎる。いかに体が小さくなろうが、獰猛な竜種の本能は決して薄れず ひたすらフリードは肉を喰らい続けていた。 「クー、キュクルルー!」 キャロの言葉に、残念そうに獲物から離れるフリード、離れた際に飛び散った内臓を、まだ食い足りないとばかりに見つめるが 主を怒らせまいとすぐに側に近づき肩に止まる。 「本当に、こっちのルートを選んで正解だったねフリード♪」 無造作に地面に置かれている、血にまみれた大量の財布を手に取ると、札と硬貨を取り出し自分の財布へと入れ替える。 「悪党を切ればお金は入るし、フリードは餌に困らない。それに犯罪も減るから、一石三鳥だね♪」 キャロは、先ほどまでフリードが喰らいついていた餌に目を向ける。 それは、数人の風体の怪しい人の姿をしていた。しかしそれは辛うじて判るに過ぎない。 四肢が切断され、胴体からは内臓を飛び散らしている。そしてその表情は、全て絶望に染まっていた。 「明日には仕事場に着くし、今度はどんな事が起こるかな? 命の取り合いが出来ると良いよね、フリード」 そう言うと、キャロは立ち上がり、今宵の寝床を確保する為に辺りを散策するのであった。 彼女が機動6課に到着するまで後1日
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『AMF』 元々は高ランクの魔道士及び騎士が使用し、また管理局では大規模事件の際に大型トラックに積載される発生器によって 運用されていた技術。 だがJS事件の首魁、ジュエル・スカリエッティが自身の被造物たるガジェットに搭載できるまで小型化し、さらに運用時間の 延長によって本来、高度な技術の塊であった『AMF』は各管理世界に流出、普遍的な物となり次元世界における戦争を 一変させていた。 『第97管理外世界』 高度な科学技術を持ちながら魔法技術がまったく無い故、管理世界の末席にすら並ぶ事はないとされた管理外世界。 だがこの世界の兵器体系に着目した一部の管理世界によって魔導関係の理論がもたらされた時、すべては一変した。 当世界における国家連合にいくつかの次元世界政府・企業が魔導技術の提供と引替えに管理世界では失われて久しい 各種技術を得る事になる。 『ヴァンツァー』 第97管理外世界に置いて開発・発展していった人型兵器。 障害処理、有視界・市街地における戦闘に威力を発揮し、第97管理外世界における戦場を一変させた兵器。 そしてそれは次元世界においても同じ事であった。 AMF発生器を搭載された管理世界製ヴァンツァーは魔道士・騎士と言った元来の戦力の有効性を低下させ、それらを主戦力と していた時空管理局の地位を相対的に低下させた。 そしてそれらは再び次元世界における長き戦争の種火となる。 これはその戦争の時代を駆け抜けた一人の魔法少女の物語……。 「スバル!!また遅刻よ!!」 「だってぇ~、ティア~、ノーヴェが起こしてくれないんだもん」 「ちょっと待て、ハチマキ!!あたしは起こしただろーが!!」 「最後まで起こしてよ~」 街中にある何処にでもあるような公園。人々が行きかい、子供達は遊ぶ、平和な情景の中、スバルとノーヴェのナカジマ姉妹と ティアナ・ランスターの三人は久しぶりの再開を果たしていた。 「ギンガさんは?」 「ギン姉は急な仕事が入っちゃって……」 「宜しく言っといてくれってさ」 「じゃ、撮るわよ?」 「早く早く」 「オレンジ、早くこいよ」 「オレンジ言わない!!」 デジカメのタイマーをセットしティアナはスバルとノーヴェの横に並ぶ。 フラッシュがたかれ、デジカメのレンズが写した光景、スバルを中心に両隣にノーヴェとティアナが並ぶ誰でも撮る様な ごく普通のスナップ写真。 「じゃあ、もう一枚撮ろっか?」 「ハチマキ!!肩に手ぇ回すなよ!!」 「えーいいじゃん!!お姉ちゃんなんだから」 <Master!!ALERT!!> <BUDDY、CAUTION!!> 「マッハ・キャリバー、どうしたの?」 「クロスミラージュ?何が・・・?」 爆発音。 単発のテロか?その場にいた三人は爆発音と同時に身構え周囲を確認する。 だが爆発音は一つではなく砲弾の飛翔音が聞こえたと思うと再び……。 「テロじゃねぇ!!AMF!!ハチマキ、オレンジ!!」 再び爆発音が響く。続いて拡がったのはAMF。そして…… 「アレって……」 「ヴァンツァー!!」 『ティアナ?無事?』 「フェイトさん!?そっちはどんな状況ですか!?」 ティアナの上官、フェイト・T・ハラオウン執務官から通信が入る。それにも爆発音は響いていた。 『こちらにもさっきから襲撃が続いてる。でも大丈夫、さっき本局から増援の警察戦車大隊が到着したから持ちこたえてる』 「フェイト執務官、スバル・ナカジマです!!あたしとノーヴェもお手伝いします!!」 「あたしもかよ!!」 『久しぶりだね、スバルとノーヴェ。お願いするよ。でも気をつけて、戦闘ヘリがそちらに向かってる』 「私達三人は避難誘導と逃げ遅れた人の保護でいいですね?」 『そう』 「「了解しました!!」」 「あー、もう!!わーったよ!!手伝えばいいんだろ!!」 「何処に逃げればいいんですか!?」 ビルの地上階で隠れていた市民のグループを見つけた三人は早速非難を促す。 これは災害救助隊のスバルの本領、ティアナはサポートに徹し、ノーヴェも手伝おうとするがまだ動きはぎこちない。 「あそこの地下鉄のホームに逃げてください!!地上のビルは危険です!!」 「早く!!此処にヴァンツァーが来る前に!!」 「現地の警察は何やってんだよ!!」 ノーヴェが吼え、それを聞いた市民の一人が指差す。 「あそこだよ……」 そこでは警邏車両が燃えていた。運転手と助手席の二人を乗せたまま・・・・・・。 「嘘だろ……」 「ノーヴェ!!こっちはお姉ちゃんに任せて周囲を警戒して!!」 「だからまだ認めてわけじゃねぇぞ、ハチマキ!!」 「ハチマキ!!戦闘ヘリだ!!ヴァンツァーを追ってる!!」 「こんな時に!!」 「スバル、ノーヴェ!!隠れて!!」 ローラーダッシュで道路を高速で走りぬける巨体。後に風圧を残し三人と市民の動きを止める。 その後を飛ぶ三機の戦闘ヘリの機首が光る。それは機首に装備された多銃身機関砲が火を噴いている証明。 「みんな伏せて!!」 スバルが叫ぶ、彼女達の前方の道路が光る。その後に来るのは殺傷するほどの威力を持った大量の小さな破片……。 「私達がいるのは見えてるでしょうに!!一寸は遠慮しなさいよ!!」 だがロケット弾を使われないのは僥倖。使われていたら間違いなく死者が出ていた。 「だけどチャンスだよ、ティア!!」 「O.K、スバル!!皆さん、私達が援護します!!あそこの入り口まで走って!!」 言うが早いかティアナは道路の中央に立ちクロスミラージュを構える。だがAMF環境下では出来る事は少ない。 「来るんじゃないわよ……。今来られてもめくらまし位にしかならないんだから……」 一秒、一分が一時間、十時間ぐらいのように感じられる、気の遠くなるような時間。 『オレンジ!!来るぞ!!さっきから鬼ごっこやってる連中……!?』 「嘘……」 長い直線の道路のまだ遠い向こう側、“鬼ごっこ”をしてる一機のヴァンツァーが三機の戦闘ヘリの十字砲火に捉えられ 被弾、操縦不能になったと思しき機体は火を噴き近くのビルの地上階へと突っ込んでいった。 後に起こったのは爆発。そしてそこにいた人々の悲鳴……。 『ティア!!』 スバルの警告で思考が現実に引き戻される。もう眼前の距離にまでヴァンツアーは接近していた。 「!?」 当然の衝撃。思わず目を閉じる。風を感じ恐る恐る目を開けたとき、目の前にはノーヴェの顔があった。 「だからオレンジは駄目なんだよ!!」 AMFに影響されないIS:ブレイクライナーを展開、ティアナを間一髪で助け出していた。 「オレンジ、オレンジ、うっさい!!」 「助けられた奴が言う台詞じゃねぇぞ!!」 「スバル!!早く!!」 「でも……!!」 スバルが遅れていた。逃げ遅れた子供を抱えて逃げようとしたとき、スバルのすぐ近くでヴァンツァーが一機、旋回、 周囲に瓦礫と風を撒き散らしたため逃げ遅れてしまった。 「あー、もう!!」 ティアナの幻術、スバル達の頭上にいるヴァンツァーのセンサーに違う映像を混ぜ、さらに周囲に多数の幻影を作り出し 戦闘ヘリの火器を封じる。 「ハチマキ!!」 「スバル!!」 しかしヴァンツァーは容赦なく両腕のマシンガンを構える。 ティアナがスバルの元に走った。スバルの元にたどり着いたとき、ヴァンツァーがマシンガンを発砲、辺りを轟音で満たし、 大量のカートリッジを排莢する。その下にいる者達の事など考えず……。 「スバル姉!!ティアナ!!」 ノーヴェの悲鳴にも似た絶叫が響いた……。 「ティア……、ホントに大丈夫?」 「だからさっきから言ってるでしょうが!!大丈夫だって!!」 「オレンジ、病院の中だぞ」 清潔な消毒液の匂いすら漂う病室、スバルとノーヴェの二人は負傷したティアナを見舞っていた。 「ホントのホントに?」 「はいはい、もう分ったから……。そうそう明日、後方の病院に転院するわ。そこに行ってから本格的な治療ね」 「えらくまた急なんだな」 「負傷した人は一杯いるわ。私みたいな軽症は早めにベットをあけないとね……。スバル、デバイスだして」 ティアナがクロスミラージュを出し、スバルは待機状態のマッハキャリバーを差し出す。 ティアナがデータを転送する。それほど大きくないデータ。 「あのときの写真。ノーヴェには後でスバルからあげて」 病院の玄関、一台の救急車が止まり乗せられるべき患者を待っていた。 「オレンジだけなんだな」 「あの、ほかの人は?」 「先ほどの便で搬送しました」 「ティア、あっち着いたらちゃんと連絡してよ?」 「分かってるわよ!!」 その会話を聞いていたのか救急車に乗る初老の救急隊員が急げと言うジェスチャーか腕時計を叩く。 「じゃ、行くわね」 「うん!気をつけてね」 「早く治って来いよ、あん時の借りを返してないんだからな」 「あんた達と違って丈夫じゃないのよ、私は」 そう言うとティアナは救急車の中へと消えた。 「行っちまったな」 「そうだね……。あ、そうだ」 「なんだよ、ハチマキ」 「あの時さ、言ってくれたよね?“スバル姉”ってさ」 ノーヴェは後ずさる。 「聞いてたのかよ……」 「お願いだから~もう一度言ってよ~」 「馬鹿野郎!!知らねーよ」 スバルがノーヴェに甘えるように近づく。まるで妹離れできない駄目な姉である。 ノーヴェは顔を赤らめ回れ右、そのまま走り出す。 「あ、待ってよ~!!」 「またねーよ!!」 管理局は本紛争を明白な片方側の侵略行為であるとして本格的な介入を開始。 スバルとノーヴェは巻き込まれるまま原隊に復帰する事無く現地の集成警察戦車大隊に組み込まれた。 「スターズ03より本部、担当エリア内の掃討完了。次の指示を待つ」 『なあ、ハチマキ……、この任務が終わったら……』 「どうしたの、ノーヴェ?」 ノーヴェが珍しく秘匿回線を使い、弱気な声で話しかける。 『こちらロメオ・リーダーこちらもだ。補給を頼む』 それを他の部隊の通信が割り込み中断される。 『何だ!?ロメオリーダーがやられた!!』 『畜生!!早い!!スターズ03、そちらに……』 『タキガワ!!』 ロメオチームの反応がすべて消滅した。ロメオの存在したはずの空間の向こう側から接近する機体が一機。 「スターズ03より各機、交戦用意!!来るよ!!あたしが接近戦で止める!!援護して!!」 『来た!!距離二千!!』 「オレンジ色の・・・・・・、ゼニス?でも機体の外観が……、そんな!?」 マッハキャリバーが解析した相手の情報を表示する。それを見たスバルは信じられなかった。 [搭乗者 ティアナ・ランスター] [管制デバイス:クロス・ミラージュ] 「嘘……」 『分隊長!!』 隊員の一人が叫ぶ。オレンジ色のゼニスとの距離は千五百を切った。 オレンジ色のゼニスが発砲、一機が直撃を受け、吹き飛ぶ。 「撃って!!」 スバルが叫ぶ。残った三機が発砲。発砲音が周囲を満たす。 『早く脱出しな!!銃、借りるぞ!!』 ノーヴェの機体は撃たれた機体からマシンガンを拾い上げると撃ち始める。 「ティア、嘘でしょ?ティア!!」 スバルが機体を駆り、加速。一瞬の躊躇、だがその間にもオレンジ色のゼニスの射撃は止まず、分隊は瞬く間に スバルとノーヴェを残すのみとなった。 「あ!!」 オレンジ色のゼニスの射撃はスバルが回避する間を与えず命中弾を与える。 『ハチマキ!!脱出しろ!!』 「了解!!ノーヴェ、援護して!!マッハキャリバー、行こう!!」 『5カウント!!5、4、3、2、……ぃ!!』 スバルが脱出したとき、ノーヴェはスバルの盾になるように前進する……、筈だったが命中弾が容赦なくノーヴェの 駆る機体を打ち抜く!! 「そんな事……!!ノーヴェ、脱出して!!」 『……くそ!!脱出機構が作動しない!!』 スバルがオレンジ色のゼニスを見る。弾切れを起こしたライフルを捨て、腰にマウントされていた ショットガンを取り出す。 「ノーヴェ、機動六課の時の周波数が判るよね?それにあわせて!!」 『六課の周波数って……、合わせたぞ』 「ティア!!ティアでしょ!?」 『誰?何で私の名前を知ってるの?』 『ティア!?オレンジか!?』 マッハキャリバーの解析はあたっていた。 「あたしだよ!!スバルだよ!!」 『あたしも居るんだよ!!ノーヴェだ!!』 『スバル……、ノーヴェ……?』 「そ、そうだよ!!あたし達だよ!!ナカジマ姉妹の次女と三女の!!」 『……っく!!私に話しかけないで!!』 オレンジ色のゼニスがショットガンを構えた。狙いは……脱出できないノーヴェの乗る機体。 「ノーヴェ、脱出して!!早く!!コックピットを破って!!」 『おい、ティアナ?!嘘だろ!!おい、嘘だろう!!』 ノーヴェがコックピットのハッチを破ったのと同時にティアナの放った弾丸が、ノーヴェの機体を蜂の巣にした。 『止めろ……、止めてくれ、ティアナ!!』 ノーヴェの絶叫を聞いてもオレンジ色のゼニスが歩みを止める事は無く、ノーヴェのコックピットブロックに手を掛ける。 『ノーヴェ……?』 「そうだよ!!それにはノーヴェが載ってるんだよ!!」 一瞬手が止まる。スバルはそれを好機に必死に呼びかける。 一瞬止まった手がまた動き、コックピットブロックを引き出す。 「なんで!?どうして私達が殺しあわなきゃならないの!?」 『知らないわ、そんな奴……』 「ティアーーーー!!!!」 発砲音が響き、オレンジ色のゼニス=ティアナがコックピットブロックを投げ捨てると踵を返し、離脱していく。 スバルはそれを追う事無く、ノーヴェの元へと駆け寄る。 「ノーヴェ!!しっかりして!!」 スバルが必死に力なくぐったりと倒れるノーヴェを引きずり出す。 「スバル姉……、何でこんな事になっちまったのかな……?」 「しゃべらないで!!今助けるから!!」 下半身はもはや血だらけ。腹部も脚部も戦闘機人の機械部分が露出していた。 「ティアナのこと……、責めたり恨むなよ……?あたしは戦闘機人。戦闘で倒れるなら本望だ……」 「そんな事ない!!死んじゃ嫌だよ!!」 「どうして……、やっと、仲良くなれたのに……」 ノーヴェの体から力が抜け、目が 「ノーヴェ……?嘘!?嘘でしょ、ノーヴェ!?ノーヴェ!!」 小雨が降る中、ノーヴェの遺骸を胸に抱きスバルは天を仰ぐ。 「妹一人助けられないで……、何が救助隊のエリートだよ……。あたしは……あたしは……!!」 <Master……> マッハキャリバーの呼びかけ。スバルの返事を待たず通信ウインドウを開く。 『……両軍及び管理局派遣部隊に告げます。両軍及び管理局は1600をもって停戦に合意しました。両軍は集結地点にまで 撤退しなさい。繰り返します……』 ウィンドウに写るフェイトが呼びかけていた。 スバルは時刻を確認する。現在時は1611を過ぎていた……。 「遅いよ……。遅すぎるよ!!もう少し早ければ……、ノーヴェは死なないで済んだのに!!」 戦場であった場所の静寂にスバルの絶叫が響いた……。 目次へ 次へ
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このページはこちらに移転しました クロス 作詞/つまだ この手の一つの硝子を大事に 足取りおぼろげこの血を頼りに たどたどしく ゆらゆら目指した 幾度と心は狭間で凍えて 唱(うた)うことさえも罪と感じれど 蝋燭の火 消えずに生きてと あぁ・・・嗚呼! 寄り添って 二つの理(り)は 私を 私を 導いては 残酷な 暖かさで 私を 私を 迷わせるの なぜ? (このページは旧wikiから転載されました)
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クロスは 「ここだけゾンビに埋め尽くされた都市 コンマ00で死亡」に登場する架空の人物 とある市の警官。ゾンビ事件に巻き込まれて警官の仕事をこなしつつ、市民達と脱出する。 その後、ゾンビ事件に何回か遭遇しては脱出した経験を持つ。 ただし、周りの人はばさばさ死んでいくのに自分は何故か死なず、3スレ連続で生き残ってる。 今はゾンビ事件の真相を追っている・・・はず 尚且つ仲間の為なら弾を惜しまないイケメン。同僚の警官にケヴィンなどがいる。
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なのは「さあ、このポタラをつけて!それしかあいつに勝てる方法はないの!!」 フェイト「く・・・右耳だったわね!こんなギリギリで・・・!!」 なのは「そうそう、この合体は二度と解けないから!!」 フェイト「な・・・こんなギリギリで言うなんて・・・これでいいでしょ!!」 なのは「ありがとう、フェイトちゃん・・・」 カッ!!! ナノト「なのはとフェイトが合体してナノトってとこかしら・・・そして、こいつがスーパーナノト!!」 敵「それが・・・・どうした!!」 ボコスカッバキィッ!! ナノト「ふふふ・・・あたしに出させてよ、本気を・・・」 単発総合目次へ DB系目次へ TOPページへ
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なのは「あなたはすごいわよ よくがんばったね… たったひとりで… 何度も何度も姿を変えて・・・いい加減嫌になるぐらいにね こんどは・・・こんどはいいヤツに生まれ変わってね… 一対一で修行とかしてみたいから… 待ってるからね… あたしももっともっとウデをあげて… またね!!!」 フェイト「なのは!!」 ユーノ「なのは!」 アルフ「なのは!」 はやて「なのはちゃん!」 シグナム「高町なのは!!」なのはの両親とかその他「なのは!!なのはちゃん!!」 一同「行けーーー!!!」 なのは「ハァァァァァァァァぁ!!!!」 敵消滅 フェイト「ふん、手間取っちゃって・・・」 界王様ナレーション「魔道人ブウは、ついに全人類の思いの詰まった魔道玉で細胞ひとつ残らず消滅した・・・高町なのは・・・やっぱり最強だぞお前は!!」 単発総合目次へ DB系目次へ TOPページへ
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「なさけないやつね、たかがAランクの魔道師にやられるなんて」 「これからどうするのです?フェイト・・」 「面白いことを言っていたわね、ジュエルシードって」 「お母さんのためにあの子を生き返らせるのね!」 「冗談言わないで、そんな役に立たないやつはいらないわ・・・ こういうのはどう?あたしたちが永遠の命を手に入れ永久に 戦闘を楽しむってのは」 「それはいいわ!」 なのはたちの元へ向かう途中、フェイト一向はとある一族に捕らえられる(ふりをしていた) そこは独裁者の国であった。フェイトはその独裁者の軍隊を簡単に倒す 独裁者に苦しめられていた民衆はフェイトたちに感謝 フェイトたちは無言で去っていく 「これはだめですね、高く売れない土地です」 「消えてなくなりなさい、クズ国め!」 フェイトがデバイスから光線をだし、一国を消滅させた 「どんな国も消え去るときは美しいものね」 「ミッドチルダもいい国なんでしょうかね?」 「なーに、クズ国なら吹き飛ばすまでよ!ジュエルシードを手に入れてからね!」 ついになのはと対峙するフェイト 「くっくっく、喜んで頂戴ね、あなたのような落ちこぼれが超エリートに遊んでもらえるんだから 魔道師は生まれたときに素質を検査される そのときランクの低レベルなあなたみたいなのが 人間界に生まれるはずよ!ようするに、あなたは落ちこぼれよ!」 「そのおかげで家族や友達にも出会えたの!それに落ちこぼれだって必死で努力すればエリートを越えるかもしれないの!」 「ではみせて上げるは、努力ではどうやっても超えられぬ壁を・・・」 「どうしたの高町なのは!?そんな程度じゃないでしょ!?本気を出しなさい!」 「さすが・・・あの子はまだ本気を出してないのにスピードも技も私を超えているの!」 なんとかフェイトにダメージを追わせるなのは、だがそれに激怒したフェイトは 「もうこんな土地などどうでもいい!大地もろともチリにしてあげる!!!」 「賭けるしかないの!全力全開、スターライトブレイカー!!」 技が跳ね返され重症を負うフェイト。当然逃げようとする 「ぶ・・・ぶざまね・・・あたしが逃げるなんて・・」 だが、クロノは止めをさそうと刃物でフェイトを刺そうとする 「く・・・体が動かない!」 「しね!!!」 「まって、クロノくん!その子を生かしておくのは確かに危険・・ だけど、思っちゃったの、きっと友達になれるって・・ だからあたしのお願いを聞いて!その子を逃がしてあげて!!」 「たしかに殺すのはよくないけど・・・でも!」 「そのこは本当はいいこだよ・・・」 「よ・・・よく覚えておきなさいゴミども!あ・・・あなたたちには未来はないわ!」 フェイトは逃げていった 「ごめんなさい、お母さん(いい気にならないでよ、いつかあなたを殺してやるんだから)」 「くっ・・・本当に使えない子!!だけど、今回は上出来ね、ジュエルシードのありかがわかったんだもの」 (なに!?ふざけないで!あれは私のものよ!あなたみたいな糞女のものじゃないわ!) つにに最終回付近、フェイトはプレシアの力が強大すぎるため、しかたなくなのはたちと組むことに 「はははは、ざまあみなさいお母さん、いえ、プレシア!!あなたは終わりよ!ここにいるなのはに倒されるんだから!」 だが、フェイトは心臓を貫かれてしまう 「くだらないこと言って・・・あなたはいらない子よ!どこへでも行きなさい、地獄のどこかへね!」 「フェイトちゃん!!プレシアさん!なんでこんなひどいことを・・!」 「な・・・なのは、まだそんな甘いことを言ってるのか!?おばかさんね! ひ・・・非情に・・・なりな・・・さい! あ・・・あたしはお母さん、いや、プレシあのために働かされた、虐待もされた なのにあいつは私を裏切った・・・私はあいつの手となり足となり命令どおりに動いたのに・・ あ・・・あいつは恐れている・・・魔道師を! た・・・たのむよなのは・・・仇をとってちょうだい・・・魔道師の手で・・・」 フェイトは死んでしまったのか?そしてなのはは怒りに震える 「・・・ゆるさない・・・よくも・・よくも!!うぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「あなたも木っ端微塵にしてあげるは、この使えないいらない子のようにね!!」 「いらない子のように?フェイトちゃんのこと?フェイトちゃんのことーーー!!?」 なのはは圧倒的なパワーでプレシアを圧倒、プレシアは片腕と下半身を切断されてしまう 「自業自得とはいえ惨めな最後なの・・・あなたは思い知るがいいわ、命の重さを」 (あ・・・あたしは大魔道師よ・・・だからあなたは私に殺されなければならない・・・) 「わたしに殺されるべきなんだー!!!」 「バカヤローなの!!!!」 こうしてプレシアを撃破、フェイトも幸い生きていた 最後は友達になっていた 単発総合目次へ DB系目次へ TOPページへ
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● 「もしもこの世界が、幾度も滅びていると聞いたら信じますか? 滅びるたびに二百年余りの時を遡り、それを何度も繰り返しているのだと。 騎士カリムの予言とは、その過去の世界を詠む能力だと」 赤毛の青年は、私にそう言った。 「そして―――管理局システムが、その『破滅の転輪』を保つためのものだと聞けば―――信じますか?」 ● ずっと、その人に憧れていた。 重い前科を背負いながらも執務官の職を得た、かつては世界を救った本物の英雄。 ジェイル・スカリエッティを筆頭に、特級の時空犯罪者を幾人も逮捕した腕利き。 フェイト・T・ハラオウン。 それが、私の憧れていた人の名前だった。 ● 破裂音。同時に、空き家の窓から炎が噴出した。倒壊する建材が、濛々と粉塵を巻き上げる。 出入り口を塞いでいた局員達が一斉に突入。だが、黒い影は金髪をたなびかせ炎に紛れて路地に駆け込んでいた。 それを捉えていた視線が一組。 「フェイト・テスタロッサ……!」 憎悪を煮詰めたような声は、乗用車の助手席に座った少女のものだ。 ドアを蹴り開ける。軍服の腰から硬質素材のカードを取り出し疾走。自分の上司に念話を飛ばす。建物の倒壊に巻き込まれた程度で死ぬような人ではない。 『フェイト・テスタロッサを確認しました! 追撃します!』 『……待て、非殺傷設定を』 念話を切断。非殺傷設定は切っている。 「行くわよ、クロスミラージュ―――」 《魔弾の射手は覚醒する》 『Standby, ready―――SetUp』 待機状態のデバイスが光を放ち、白を基調に赤と橙を配した二丁拳銃へと変形。バリアジャケットを展開する。 「―――オプティックハイド」 《魔弾の射手とは姿を見せぬものなり》 空間を伝う音律は、強臓式デバイス最大の特徴である可変定型呪文、言実詞(エアリアルワード)。 魔法の効果を限定化し研ぎ澄ます力の詞(テクスト)が、迷彩魔法の効果時間を引き伸ばす。 影を消し姿を消し、ティアナ・ランスターは路地裏へと飛び込んだ。 ● ミッドチルダ中央から東、その海上に、一人の青年が浮かんでいた。 潮風を受ける強い赤色の髪に鋼色の双眸。赤の軽装に白の外套を合わせたバリアジャケット。 左手に無造作に提げているのは、蒼と銀で組まれた長槍だ。 「僕とヴィータ副……ヴィータさんの役割は陽動……と。東西からなるべく派手に魔力反応を撒き散らして下さい、か。 ―――カートリッジロード」 排気音と共に槍がコッキング。カートリッジ内の圧縮魔力を開放、穂先に充填。 青年の足元、宙に展開されたのは雷色の魔法陣。相転する三角形がその回転速度を上げ、魔力を物理力へと変換する。 海面へと狙いを定めた青年の独白。 「……『前回』とは、違う……強臓式デバイスなんてものはあの時には無かった。 スカリエッティが数年以上早くに逮捕されている……それが全ての原因なのか? 僕が二年遅れているのも、キャロがルシエの里に留まっているのも……三人が、管理局の真実を知ってしまったのも」 紫電を纏った穂先が、臨界を迎えた。解き放たれたのは、雷の属性を持つ砲撃魔法。 高熱が海水を沸騰させ、水蒸気爆発を引き起こす。上がった水柱は数十メートル。確実に、警備隊には発見されている。 「―――永遠なんて、あってはならないんだ。たとえそれが、世界を保つ為だとしても」 ● 背中が疼く。手榴弾の爆風を利用して跳躍した時の打撲だろう。 肩で留めているのは耐熱性と防刃、防弾を兼ね備えた戦闘用のコートだが、衝撃を弾けるわけではない。ある程度拡散するだけでダメージは入る。 脚から伝わる振動が痛みを走らせるが、無視。路地のより入り組んだ方へと走る。 ミッドチルダ首都部の地図は頭に叩き込んである。エリオ・モンディアルとの合流場所―――セーフハウスまで あと100m強。 直角の曲がり角を踊るようにステップワーク。 追っ手が来る頃合だが、空を飛んだところで入り組んだ路地裏は見通せない。陽動の方に多くの戦力が回されている筈。 追ってくるすれば、陸戦魔導師の足を使った追跡だ。 だから不意打ちで歩調を乱す。躓いたように見せ掛け、一定のリズムを刻んでいた足音を変化。 足音が一つ、余分に聞こえた。位置は五時方向三メートル。 疾走の勢いで身を回し、右袖から振り出した自動拳銃を構え射撃。質量兵器は基本的に禁制品だ。これでまた罪状が一つ追加。 音速超過で飛翔した鉄弾が、不可視の何かを確実に打撃した。 空間を走るのは緑の掛かったノイズエフェクト、光学迷彩が強制解除された反動だろう。 その下から現れたのは――― 「貴女も……二年ぶりだったかな? ―――久しぶりだね、ティアナ」 橙の髪を左右で括り、二丁拳銃を手にしたかつての教え子。 両眼は憎憎しげにこちらを睨みつけ、その銃口も同様だ。 「……動けば撃ちます。武器を捨てて投降しなさい。一秒だけ待ちます」 「悪いけど、私もここで立ち止まるわけにはいかないよ……」 《魔弾の射手は敵を討つ―――》 一秒どころか一瞬と待たずに引き金を引いてきた。橙色の魔力弾が髪を掠めて壁を穿つ。 「管理局もクロノさんも騎士カリムも私も、皆を裏切ったあなたがそんなことを……!」 「私が裏切った? それは違うよティアナ、ティアナ・ランスター。 まず、管理局が私達を裏切ったんだ。ジェイル・スカリエッティから得たデータを使って、人造魔導師計画に手を出した」 あの『事故』で冷静さを失っていた私となのはが暴走してしまったのが拙かった。 止めに入ったシグナムに対して、全力の砲撃を放ったなのはは――― 「……いや、それよりも、貴女も知ったんだよね? 管理局システムの設立理由を」 「……それでも私は、管理局の人間です……五年前からそう決めていたんだ! ランスターの姓は弾丸を任ずる! 意志すら持たずに敵を貫く、それだけの力で構わない! それこそが、それだけが、ティアナ・ランスターの在り方だ……!」 《魔弾とは敵を穿つ一矢なり!》 叫びに重なる言実詞。速度を倍は増した魔力弾が飛んだ。 曲線軌道と直線射撃の乱れ撃ち。一発二発、三四五と連射されるそれを身を捻って回避。 《群れ成す猟犬は魔弾の射手に追従す》 だがそれは布石。言実詞と共に浮かんだ魔力弾の数は二十四。 距離は離れ、左右を壁に挟まれている以上、その一斉射撃を避け切る術は無い。 そこまで読んでなお、顔に浮かべるのは薄い笑みだ。 「―――シュート!」 弧を描き迫る弾丸は、数を以って空間を制圧する。前方は無論、背後や上空さえ完全に塞がれた。 着弾する。 ● 完璧に制御された二十四発の魔力弾。その余波だけで壁や地面が削れ、舞い上がった塵が光を遮り、路地裏に影を落とす。 背中を向けて逃げていればまだ生き残る可能性もあった。だが全方位から囲まれては、最早それも不可能だ。 だから、彼女はそれを解き放つ。 《我が―――》 あらゆる死を覆す、力の詞を。 《我が運命は未だ死を告げず》 ● 「嘘だ……」 ティアナ・ランスターの驚愕は、当然のものだった。 言実詞によって威力を底上げされた魔力弾は、Bランク相当の障壁なら容易く打ち抜ける。 直撃弾、二十四発―――それを、あの一瞬で展開された半球状の結界が、小揺るぎもせずに受け止めていた。 その中心に立つ斧型のデバイスを構えた黒衣の女は、困ったような笑みを浮かべ口を開いた。 「ティアナには、まだ見せたことが無かったね。強臓化を施したバルディッシュ・アサルト―――」 二年前―――あの事件の後に改造された雷神の戦斧。 主の一部を構成要素として取り込み、より強い繋がりを与えるユニゾンデバイスの亜種、強臓式(ハイオーガン)・デバイス。 その二つ名は、使い手たるフェイト・T・ハラオウンの名と同じ意を持った――― 「―――『運命(ゲレーゲンハイト)』」 一度だけ、爬虫類の瞳じみた金色の結晶体が煌いた。 ● 前へ 目次へ 次へ
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なのは すごい魔道師よあなたは あの魔道人ブウはあたしにはとても敵う相手じゃなかった 何となく分かった気がする なぜ天才であるはずのあたしがあなたに敵わないのか 守りたいものがあるからだと思っていた 守りたいという強い心が得体の知れない力を生み出しているのだと 確かにそれもあるかもしれないが それは今のあたしも同じことだ あたしはあたしの思い通りにするために 力をためすために 自分の存在価値を肯定するために そして母親に認めてもらうために闘ってきた だけど あなたは違う 自分のために闘うんじゃない 絶対にみんなを傷つけないために限界を極め続け闘うのよね・・ だから相手の命を絶つことにこだわりはしない あなたはついにこの魔人になって暴れたあたしとかつて悪人だった母親を殺しはしなかった まるで今のあたしたちがほんの少しだけ・・いや、とっても温かい親子の愛情を持つようになるのが 分かっていたかのように・・・ アタマにくわね! みんなが大好きで優しい魔道師なんて! ・・・ ・・・ がんばれ高町なのは あなたがナンバー1よ! 単発総合目次へ DB系目次へ TOPページへ