約 27,258 件
https://w.atwiki.jp/crackingeffect/pages/99.html
───あたしは、今日も空を見上げている。 あの日、あの時。都市の人々が言う《復活の終わり》の日にもあたしはこうして空を見ていた。雨の中にひとりで立ち尽くして、ぼうっと、空を見上げたり、水溜まりを見たりしていたのを覚えてる。 その直前に自分が何をしていたのか、あたしは何も覚えていない。 自分が誰なのかは言われずとも分かった。2級市民、クストス家の長女。機関工場で計算手をしている。肌の白さと料理の腕が数少ない自慢。父のことも、母のことも覚えている。自分の家の場所も、働いていた工場も、通っていた学校だってちゃんと分かる。けれど、自分が何故ああして立ち尽くして、10年の月日を覚えていないのか。あたしは何一つ知らない。 そして、自分がこの見知らぬ街に来た経緯も、また。考えても、悩んでみても、答えはちっとも浮かんでこない。 だから、あたしは窓から空を見上げるのが日課となった。他にすることが何もないから。 ……一応、部屋の掃除や簡単な家事くらいはしている。単純に自分が暮らしやすくすること兼部屋の持ち主に対するせめてもの罪滅ぼしから、部屋はできるだけ綺麗に使おうと考えている。 けれど、そういう最低限のことを除けば、あたしはずっと空を見上げるばかりだ。あとは精々、たまに帰ってくるアーチャーと会話したりするくらい。 「……駄目だ、これじゃ前と変わらない」 ふと、独りごちた。完全に無意識から出た言葉だった。 ただ漫然と空を見上げるばかりだった日々を、自分は確かに覚えている。それは10年の記憶を失い、インガノックに立ち尽くすばかりだったあの頃。 自分に何があったのか、自分のやることは何なのか。それすら分からず、曖昧な思考のまま日々を過ごしていた頃と、まるで同じだ。 未だに、自分は一体何をすればいいのか、答えを出せていない。 正体の分からない誰かの影、失われた10年の記憶、それを追い求める無意識の渇望。それらは決して消えることはないし、取り戻したいと思う気持ちにも嘘はない。 だからこそ、聖杯に願うために生き残りを目指すべきなのかと。そう問われても、まだ確たる答えは出せそうにない。 迷いは停滞を産む。少なくとも、つい先ほどまでのアティは迷うばかりで他のことには一切関心を抱こうとはしなかった。 一つの答えに惑うことは、他の行動すらをも阻害するのだということを、今になってようやくアティは自覚した。 それでは駄目だろうと自戒する。曲りなりにも今の自分は戦乱に巻き込まれた当事者であるのだから、少しはマスターらしいことをしなければなるまい。 それは例えば情報収集であるとか、自衛の手段の構築であるとか。あるいは、そもそも自分はこの見知らぬ街の文化にすら疎いのだから、そこの齟齬を埋めるだけでもやっておいて損はない。 出来ることは限られているが、未だこの身に迷いはあるが、それは何もしないことへの免罪符にはなり得ないのだと、そう思った。 「……よし、頑張れあたし」 えいっ、と気合をひとつ。色々危ないから外に出ることはしたくないが、それでもできることをやろうと思い立ったのだ。 そういうわけで、とりあえず「テレビ」というものに触れてみることにした。 ぼうっとしているばかりで整えてなかった身だしなみを軽く整え、テレビの長方形で黒い光沢のある表面にうっすら積もっていたほこりを払うと、アティはいそいそとソファへ移動しリモコンを手にした。テレビはアティにとっては馴染みのない機関製品であったが、一応簡単な操作くらいはできると思う。これでも機関には結構強いのだ。 アーチャーから聞いた話に曰く、これはタブロイド紙や娯楽雑誌の内容を紙媒体ではなく映像記録媒体で伝える通信設備なのだそうだ。アティの住まうインガノックはおろか北央帝国ですら話に聞かないようなこの珍妙な機関は、当初彼女を大いに驚かせた。思えば街中では、とても珍しいはずの硯学式機関自動車が所狭しと並んでいたし、この街はアティの常識とはかけ離れた場所なのだと改めて実感する。 「やっぱり不思議。こんなのがあるなんて、信じられない……」 ともかくとして、アティは手にしたリモコンの一際目立つ赤いボタンをポチッと押した。瞬間、プゥンという耳慣れない小さな音と共に、テレビの表面に映像が映し出される。 明るく、鮮明な映像。ノイズとは無縁な清涼な音声。話を聞いた後ですら、この黒い箱の中に誰かが入っているのではないかと思えるほどにクリアな画面。 そして、画面の下部に表記される、「テレビを見る時は部屋を明るくして離れて見てください」という白い書き文字。 「え、明るくしなきゃ駄目なの?」 あたふたとした様子でアティは思わず聞き返してしまった。虚を突かれたといった風な、そんなこと思いもしなかったという表情だ。 現在彼女のいる部屋は、一言で言ってしまえば非常に薄暗かった。そもそもいつもはカーテンを完全に閉め切って、空を見上げる時も最低限しかカーテンを開けないのだ。いくら外が晴天の朝であろうとも、そりゃ暗くなるというものである。 今だってカーテンは外の光を見事に遮断し、その役目を十分に果たしている。陽の光など、分厚い生地を貫通した朧気なものしか入ってきていない。 つまるところ、現状のアティは「部屋を明るくして」というテレビの要求を、一切満たせていなかった。 「え、えっと、明かりのスイッチってどこだっけ……?」 心持ち慌てた様子で、アティは薄暗い部屋の中で照明の電源を手探りで求めた。カーテンを開け放つのはなんだか怖かったので、ここは照明頼りである。 ぎこちない動きで探すこと十数秒、ようやく指先にそれっぽい感触を探り当てると、アティは即座に照明を点灯。パっと部屋の中に白色の光が満ちた。思わず安堵の息をつく。 これでよし、とアティはそそくさとソファへと戻り、テレビへと注視する作業へ戻った。画面には相変わらず、不可思議な映像が絶え間なく流れ続けている。 よく注意して見れば、それはこの鎌倉の街を訪問するという趣旨の映像らしかった。画面には、語り部らしき女性が満面の笑みを浮かべながら飲食店などを紹介している。 「……ん、こういうお店もあるんだ」 今自分のいる街の紹介であるならば情報収集にはちょうどいいと思って見た映像だが、何やら予想以上に面白い。 胸に燻る暗鬱とした気持ちが無くなることはないが、それでも一時の気晴らしにはなり得るものだった。 結局、アティは数時間に渡り、テレビという異文化に興味と好感を以て接し続けることと相成った。 ▼ ▼ ▼ 書に充ちていた。 数に充ちていた。 そして、何よりそこは知識に溢れていた。 そこは書庫だ。鎌倉市中央図書館の一室、所謂閉架式書庫と呼ばれる場所。外部の閲覧が禁止されたその場所には、およそ一般では手に入らない量の情報が敷き詰められている。 雑多、混沌。まるで誰かの心の如く。溢れんばかりの知識が押し込められ、しかし病的なまでに理路整然とした様はある種の矛盾さえも内包している。 本来であるならば限られた職員しか立ち入れないはずのその場所。しかし今は違う。 男が一人立っていた。張りつめるほどの静寂の中、一切の足音を立てないままに書架の間を練り歩き、思いのままに史料を手に取り閲覧している。 若き美貌の男だった。蒼白の頭髪は薄暗がりの中にあって尚輝き、怜悧な瞳は確かな知性の光を感じさせる。常態として放たれる存在圧は、彼が見た目通りの若輩に非ずという事実をこれ以上なく如実に伝えている。 男は何故ここにいるのか、男はどうやってここにいるのか。それは、男の正体がサーヴァントであり、その白貌の奥に燻る疑問を解き明かすためと言えば、全てが事足りるであろう。 その者の名はローズレッド・ストラウス。聖杯戦争に際しアーチャーのクラスで現界した若き夜の王である。 彼が手にした資料は猛然の勢いでページが捲られ、それを追う眼球すらも尋常ではない速度で目まぐるしく反復動作を繰り返し、得られた視覚情報は全て違わず高速で脳内処理が施されている。 一冊、また一冊と手に取り、目を通し、用が済めば元へと戻す。彼はその所作を、およそ丸一日以上も続けていた。 そして驚くべきことに、彼はこの膨大な資料をある特定の分野に限定すればその大半を把握することに成功していた。如何な妖術でも使ったのか、目録を作るだけでも優に数日は費やされるだろう知識の大塊を、しかし彼は己が知性のみで切り崩し自らの思考の糧として吸収するに至っているのだ。 およそ不条理としか思えない所業、常識では想像さえできない光景。知性の悪魔としか形容できないが、しかし彼はそれを成せる者なのだ。この場に学を知る者がいれば、まさしく万能人たるウォモ・ウニヴェルサーレの現身であるとさえ讃えるであろう破格の成果を出して。けれども彼が浮かべる表情は賞賛を受け止めるべき達成者のそれでは断じてなかった。 「……やはり該当する記述は見当たらない、か」 手にした最後の一冊を書架に収め、ストラウスは深い溜息とも深呼吸ともつかない息を大きく吐いた。その間にも彼の手は失望の念とは関係なく動き、自分が荒らした分の体裁を整え書棚を整理する。 呼吸に沈んだ面を上げると同時に霊体化、次の瞬間には姿は愚か気配さえもが消失し、再び書庫に静寂が訪れた。まるで最初から誰もいなかったように、その空間には無機的な気配のみが満ちていた。 最早どこにも、彼がそこに存在した痕跡は残されていなかった。 ▼ ▼ ▼ 小町通りから見える空は、雲一つない快晴であった。 鎌倉市中央図書館から抜け出したストラウスは、現在小町通りの一角に佇んでいた。およそ一日を費やした情報収集は求めていたものを掴むことはできなかったものの、完全な無駄足に終わったわけではない。収集を終えた彼は、ひとまず次の目的───聖杯戦争参加者との接触に赴いていたのだ。 この場所に来たのは、単純に地理的な問題と、手軽に人の集まる場所だったからという以上の理由はない。あるいは参加者の捜索以上に、市井の様子を探るのも重要になるかもしれないという考えもあるのやもしれなかった。 活気ある商店街に和気藹々とした人々、本日も天下は泰平なり。争いの様子など微塵も感じることはない。少なくともこの繁盛した一角において、血生臭い気配は一切存在することはなかった。 けれど。 「……酷く浮かれているな」 そう、あくまで見かけの上では、ここは平和そのものである。だが実態は多少趣を異としていた。 浮かれている───ストラウスがそう形容したように、今この鎌倉という都市は異様な熱気に包まれている。いいやもしくは、渾沌とさえ評せるほどの「何か」が、この都市を寸分の違いなく冒し満たしているのだ。 それは数多の英霊魔性が入り乱れる魔都であることも当然含まれるが、しかしそれ以上に鎌倉に住まう無辜であるはずの住人たちでさえ痴れた衝動に狂している有り様こそが、この都市を渾沌と形容する最大の所以となるだろう。 彼らは闘争を望んでいる。彼らは破滅を望んでいる。つまらない日常に飽いて、あり得ざる非日常を歓迎し、今や三桁にも上るであろう異常な数の都市伝説が住人達の話題を席巻している。 表向きは恐怖し、あるいは無関心を装い、あるいは人倫を説く者もいる。しかし彼らの胸中はこんなものだ。こうなったら面白い。こうならなければ嘘だろう。もっと面白い夢が見たい。 それは個々人が胸にしまっている密かな思いでしかないだろうが、大多数の民衆が同じものを抱けば話は別だ。 故にこそ、この街は病んでいる。見かけこそ平常の美しさを保ち、けれど内在する病巣が痴れた夢を奏でているのだ。 一日レンタルの色鮮やかな着物を着た外国人旅行者が多く行き来する小町通りを、ストラウスは人ごみを縫うようにして歩いていた。往来ですれ違う人々は皆口ぐちに何かを噂し、その視線は平常に見えて実のところ焦点さえ合っているようにも思えない。 道端、商店、あるいは路地裏。端々から感じられる異質な熱気は、晴天の陽光から来るものだけでは断じてない。現地住民のみならず、観光に訪れる異国の人間でさえもこの雰囲気に毒されているのか。かつては鎌倉の原宿とさえ呼ばれたこの場所は、今や怪しげな異形の都市と成り果てている。 無論、このような異常事態に陥っている区画は、最早小町通りに留まらず鎌倉市街全域に及んでいるのだということは、最早言うまでもないことであった。 そして物理的には狂乱とも言うべき微睡みに沈んだ鎌倉は、同時に情報面から見た場合においても異常極まる魔都と化していることを、ストラウスは身を以て知らされていた。 当初、ストラウスは戸籍あるいはパスポートを偽造し、マスターであるアティの身分を確固たるものにしようと画策していた。事実、魔力の応用で電子通信さえ容易に制御可能である彼にとって、その程度の書き換えはさして難しいものではないはずであった。 だが、この鎌倉にはストラウスすら及びもつかない電子の怪物が住まっていたのだ。いざ行動に移らんと電子の海に介入したストラウスが目の当たりにしたのは、圧倒的なまでの視覚イメージすら伴った膨大すぎる情報支配網。情報空間に差し入れた右手が物理的な破壊すら受けるほどのそれは、少なくともストラウス個人では到底太刀打ちできないほどに強大無比であった。 結論を言えば、ストラウスは鎌倉のデータベースに介入することはできなかった。調べものに際し、直接資料を当たるというアナログな方法を選択したのもそれが原因である。 今やこの街は、電子情報網という名の怪物の胎の中にいるようなものなのだ。ストラウスでさえ、辛うじてかの者に気付かれぬよう手を引くことで精一杯であった。 伝説や神に語られる英雄のみならず、情報機械に特化した現代の英霊までもが召喚されているのか。それとも文字通り人智を超越した卓抜のマスターが参戦しているのか。 最早電子の海から弾き出された敗残者に過ぎないストラウスにそれを確かめる術はないが、いずれにせよ厄介な競争相手が存在するものだと嘆息しそうになったものである。 (尤も、そのせいでマスターに要らない苦労をかけさせてしまったことが、私にとっては最大の失態か) 街路を歩くストラウスの口元が知らず形を歪めた。マスターたる彼女に満足な身分を与えることができず、結果として詐称紛いの真似をさせてしまったことが、あるいは彼にとっては自身の如何なる敗北よりも苦いものであるのかもしれない。 彼女───アティ・クストスは迷える者だ。願いと良心の狭間に揺れる二律背反。自身でさえ把握できない何某かに突き動かされる彼女は、正しく自己の存在意義における瀬戸際にあるのだと、容易に想像がつく。 だからこそ、せめて身の回りの環境くらいはこちらで用意しておきたかったのだが……そこは世に偉業を打ち立てた英雄が一同に会する聖杯戦争、そう上手くはいかないということなのだろう。 往来を歩いて暫し。視線の先には鶴岡八幡宮が大きく陣取り、小町通りの直線も終わりを告げようとしていた。人通りの絶えないその場所でストラウスはふと立ち止まり、改めて周囲に意識を向ける。肌を突き刺すような魔力の気配はどこからも感じない。結局、この周囲においてサーヴァントの存在を感知することはなかったということになる。 ふぅ、と小さく息を吐き、ストラウスは次に赴く場所を思案する。駅を抜け市街中央に行くべきか、それとも山間部等に隠れ潜む者をこそ探すべきか。いずれにせよ、今マスターのいるアパルトメントに戻るのは要らぬ襲撃を招く恐れがあるから却下だな、などと考えつつ、先を見据え方策を練る。 既に都市鎌倉は物理・情報の両面において異形の都市へと変容している。故にこれ以上の遅れは取れないと己の内に強く戒める。 守ると誓った剣に揺るぎはなく、この身は只管に彼女の道を切り拓かんと邁進する標である。愚物でしかない暗君たる自分であるが、それだけは違えてはならないのだと反芻して。 「さて、ならば私の向かうべき場所はどこになるか」 鶴岡八幡宮を正面にしたストラウスは、今まで歩いてきた道を振り返ると、その情景を視界に収め呟いた。 現在、彼のやるべきことはいくつかに分けられる。情報の収集、そして敵性存在の排除。あるいはこの地を覆うものに対する、思索による解明の試みか。 そう、思索。実際に行動に移るより前に、考えなくてはならないものがあるのも確かなのである。 何故鎌倉という街を舞台に聖杯戦争の幕が上がったのか。サーヴァント同士を争わせる行為に、何故市街戦という要素を加えたのか。神秘の存在を知らないはずの住民たちは、何故これほどまでに夢に惑い浮かれているのか。 そして何より、あの「言峰綺礼」と名乗った神父は、その背後にいるであろう何者かは一体何を考えているのか。 今や籠の中の鳥に甘んじる他ない参加者にとっては、それを解明するなどまさしく雲を掴むに等しい行為であろう疑問を解くために、ストラウスは座に記録される己の知識との相違点を鎌倉の街に求めた。自らの知る知識になく、しかしこの舞台に存在する要素。それを見つけることができたならば、この不可思議な空間の意義も分かるのではないかという期待。 見つけたものは多々あった。その中でも一際存在感を放つものが、広く市井にさえ広がる「歴史の齟齬」。つい先ほどまで彼が行っていた歴史資料の検分から浮かび上がった「あり得ざる歴史の立役者」と、「不自然なまでに存在を隠蔽された何某か」。 (あるいは無駄となるかもしれないが、これからを戦う上で情報は欠かせない。何よりこれだけ不確定事項の多い催しだ、全てを疑ってかからねば首がいくつあっても足りないだろう) 多少語弊があるかもしれないが、これはつまりジグゾーパズルのようなものだ。 現状保有する情報は、いずれもばらばらの断片。それだけでは全体像は分からないし、どのピースがどのような役割を果たすかさえ判然としない。 だが、それはあくまでストックされたピースが足りない場合である。数が揃えば、当然状況は大きく変化する。ピース同士の関連性、全体の中での役割。巨大な一枚絵が白日の下に晒された時、欠けたブランクの向こう側に見えてくる真実がきっとあるはずなのだ。 彼の知るいずれの歴史にも存在しない。あり得ざる偉業を成した一人の英雄。 異様なまでに熱に冒され、自滅すら厭わぬほどに狂喜乱舞する鎌倉の民。 いくつもの文献を閲覧しても感じられる、何かを抹消し間隙を繋ぎ合わせたかのような奇怪な違和感。 ならば、これらが一体何を意味し、何に繋がるのか。 それこそは─── 「……いずれにせよ、現状は単なる憶測に過ぎないか。まずは外部を取り巻く要素より先に、この聖杯戦争そのものを把握する必要がある」 その上で、他の参加者の存在を無視するわけにもいくまい。そう一人ごちて視線を下げると、ストラウスを身を翻す。やや速足気味に歩を進める彼は、音もなく雑踏の中へと消えて行った。 ───太陽の輝きの裏に隠れる太陰は、月の瞳そのものの双眸で全てを睥睨している。 その手に掴んだ不確かな真実は、未だ姿を見せる気配はない。 【C-3/小町通り/1日目・午前】 【アーチャー(ローズレッド・ストラウス)@ヴァンパイア十字界】 [状態] 陽光下での活動により力が2割減衰。健康。 [装備] ラフな格好 [道具] なし [所持金] 纏まった金額を所持 [思考・状況] 基本行動方針:マスターを守護し、導く。 0:????? 1:他の聖杯戦争参加者と接触する。 [備考] 鎌倉市中央図書館の書庫にあった資料(主に歴史関連)を大凡把握しました。 鎌倉市街の電子通信網を支配する何者かの存在に気付きました。 【C-2/アパルトメントの一室/1日目・午前】 【アティ・クストス@赫炎のインガノック- what a beautiful people -】 [令呪] 三画 [状態] 健康 [装備] なし [道具] なし [所持金] アーチャーにより纏まった金額を所持 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯に託す願いはある。しかしそれをどうしたいかは分からない。 1:自分にできることをしたい。 [備考] C-2に存在するアパルトメントの一室に不法滞在しています。食糧等はアーチャーが仕入れてきているようです。 BACK NEXT 011 少女たちの砦 投下順 013 暗殺の牙 時系列順 BACK 登場キャラ NEXT 000 封神演義 アティ・クストス 036 夢は巡る アーチャー(ローズレッド・ストラウス) 020 焦熱世界・月光の剣
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4391.html
前ページ次ページ大使い魔17 だがだん♪ だがだんだがだん♪ 「大使い魔ー、ワーンセブーン!!」 オゥオオー オゥオオー 彼こそは~ オゥオオー オゥオオー 大使い魔~ワンセブ~ン 燃える真っ赤な太陽 ギラリ輝く装甲 見よ! 右手の虚無のルーン 風の唸りか雄叫びか~ イザベラ企画の大殺戮 立て! 要塞ワンセブン 防げる者は他になし オゥオゥオゥ オゥオオー オゥオオー 彼こそは~ オゥオオー オゥオオー 大使い魔~ワンセブ~ン 第八話「運命の再会! ウェールズとティファニア」 「こんなものか……」 ハカイダーの前に、傭兵たちは余りにも無力だった。 なるべく殺さないように戦っていた魔天郎とトトメスとは違い、最初から殺す気で戦っていたハカイダーは迷うことなく傭兵たちを殺しまくった。 「ほんと、カトレアさんが止めないと血の雨が降るわね」 「俺はいつでも全力投球、全力打球、全力疾走だ」 「カトレアさんが同行するのも分かるわね……」 生き残った傭兵たちは既に戦意を喪失していた。 魔天郎が傭兵の一人を尋問していた。 「どうでした、マテンローの小父様?」 「……昨日の連中同様、誰かに雇われたらしい」 「たぶん同じ奴に雇われたんでしょうね」 トトメスの一言にハカイダーはうなずき、続いてこう言った。 「そろそろ桟橋に行こう。最悪、繰上げ出港なんてことになるかもしれん」 仮面の男は焦っていた。 ポワトリンに圧倒されていたからだ。 「大人しく引いて下さいまし。私は命をとる気はありません」 「……」 「引いてはくれないのですね……」 仮面の男が放ったエア・カッターを軽々と避け、ポワトリンは杖を持った手を蹴り上げた。 直後、ポワトリンも予想していなかった事態が起きた。 「……!!」 ギーシュのワルキューレたちが手にしたレイピアが、仮面の男を刺し貫いていた。 声になっていない断末魔をあげ、何故か男はローブと仮面を残して消滅した。 「消滅した!?」 「『偏在』でしたわね」 ポワトリンののんきな感想の直後、階下から怒声が聞こえた。 「傭兵たちがそこまで来ている。船に乗り込んで出港させよう」 ワルドの発言に、ルイズは面食らった。 「待って、まだサブローたちが……」 ルイズが反対しようとした直後、シルフィードがやって来た。 「みんなは先に行って。マテンローさんたちを回収してから追いつく」 タバサはそう言ってからシルフィードに乗り、町へと戻っていった。 「そういうわけだ。早く乗り込もう」 桟橋へと続く道。 シャルル、ハカイダー、トトメスの三人は桟橋を目指して走っていた。 シャルルは仮面と帽子とカツラを脇に抱え、走りながら口を動かした。 「間に合うかな?」 「分からん。俺たちを置いていかないことを祈るしかない」 そこへ、タバサを乗せたシルフィードが降りてきた。 「みんな、乗って!」 「シャルロット!!」 「タバサとシルフィードが来たってことは……」 「マジで置いていかれたみたいだな、俺たちは」 その頃、桟橋ではワルドがマリー・ガラント号の船長と交渉していた。 「風石が足りない分は僕が魔法で補う。それと料金もはずもう」 ワルドのこの一言で、船長はアッサリ出港を決めた。 ルイズたちは気付いていなかったが、異変を察知して一足先にフーケとゴールドウルフが乗船していた。 数時間後、朝になり、ようやくアルビオン大陸が見え始めた。 甲板に立ち、アルビオン大陸を見ているアンリエッタが発した疑問に、ギーシュが答えた。 「マテンローさんたちは大丈夫でしょうか?」 「タバサとシルフィードがいますからね。じきに追いつくかと」 一方、ルイズはワンセブンが自分のために作ってくれたショットガンの手入れをし、ワルドはそれを興味深そうに見ていた。 「ルイズ、その銃は?」 「ワンセブンが私のために作ってくれた銃です」 「ほう、君の使い魔が?」 「はい。万が一、自分が出っ張れない場合を想定して作ったそうです」 一方、ルイズたちが乗っているとは知らぬフーケとゴールドウルフは、甲板に出て日の光を浴びることにした。 「オォゥ、懐かしきはマチルダ様の生まれし故郷」 「アタシにとってはあの子がいるところ以外の感情はないけどね」 ショットガンの手入れを終えたルイズが、偶然フーケの隣に立った。 そして、視線が合った。 「「あ!!」」 「お、お前、何でこのフネに!?」 「あんたこそ何で乗ってんのよ!?」 フーケは杖を、ルイズはショットガンを構えて臨戦態勢に入ったが、ゴールドウルフとカトレアに止められた。 「マチルダ様、今はそのようなことをしている場合では……」 「ルイズ、落ち着いて」 二人に諌められ、フーケとルイズは臨戦態勢を解いた。 「この任務が終わったら、改めてとっ捕まえてやるわ」 「誰が……。ん、任務?」 「あんたには関係ないわよ!」 フーケは周囲を見回し、アンリエッタもいることに気付いた。 「な、何で王女までいるのさ!?」 「任務です」 「……なあ、教えておくれよ。マジで」 「……協力してくれるのなら。後、執行猶予もお付けしますわ」 「……その取引、乗った」 そんな軽率な。 「ありがとうございます」 「で、なんだい、任務って」 「プリンス・オブ・ウェールズを説得し、亡命させることです」 「ウェールズを!?」 「マチルダ、我々は本気です」 「やっぱ、あんたの方は覚えてたか。ま、それは置いといて、……アタシの方も俄然やる気が出てきたよ」 マチルダとアンリエッタは、無言で握手した。 「……ゴールドウルフ、だったかな?」 「ああ。どうした、ミスタ・グラモン」 「なーんかフネがこっちに向かってきているような」 「貴族派か?」 「だったら、レコン・キスタの旗を掲げているはずなのだが」 「確かに、旗を掲げていないな」 「……」 「……」 「「空賊だ―――――っ!!!」」 ギーシュとゴールドウルフの絶叫に、ルイズたちや船員たちも反応した。 しかし、空賊船はあっという間にマリーガラント号に接近、併走していた。 一方、一昼夜かけてマリー・ガラント号を追っていたシャルルたち。 「アルビオンが見えてきたね」 「……お父様、様子が変」 「どれどれ……。空賊に鹵獲されたみたいだな」 その一言に面食らったトトメスが、シャルルに話しかけた 「小父様、どうするの?」 「空賊船の方に殴り込む。見ていろよー!」 シャルルは仮面と帽子とカツラを身に着け、魔天郎に戻った。 「小父様、怖いのねー……」 「言えてるわね」 シルフィードは、速度を上げて空賊船へと突撃していった。 空賊船の船長室。 ルイズたちが、連れて来られていた。 ルイズとアンリエッタとマチルダは、妙に冷めた視線で船長を見ていた。 「何故、そのような格好を?」 「それ以前に、何故空賊などに身をやつしているの?」 「つーか何、そのヒゲ?」 「やっぱりバレていたか……」 船長はそうぼやいでから、カツラと眼帯と付け髭を外した。 そこにいたのは、ウェールズ・テューダーであった。 「で、何用だい? アン、ルイズ」 「「貴方を亡命させます」」 「拒否する」 ウェールズはきっぱりと拒否し、机においてあった酒を一気飲みした。 「正気かい!?」 「正気さ、マチルダ。ティファニアがいないのに亡命したって、空しいだけさ。レコン・キスタの艦隊に一人で突撃した方がまだマシだよ」 「王子様、そんなバカな事をして、ティファニアが喜ぶとでも……」 「悲しむのは百も承知だ! でも、ティファニアはもういないんだ……」 「ウェールズ、ならば、尚更生きるべきでは?」 「ティファニアがいないこの世界でか?」 「全く、意固地にも程があるね! いいかい……」 マチルダが口を開くより早く、甲板の方で轟音が響いた。 「サブローたちかしら?」 カトレアはそう言って、甲板へと駆け出し、ルイズたちも後を追った。 甲板ではハカイダーたちが暴れまわっていた。 「どこだ!? ご主人、どこだー!!」 カトレアが咳き込みながら見たのは、自分を呼びながら船員たちを手当たり次第に殴っているハカイダーの姿であった。 「サブロー、止めなさい!」 カトレアの怒声に反応したハカイダーは、声がした方向に視線を移した。 「無事だったか、ご主人!」 「この人たちは空賊ではないわ。アルビオンの王党派よ」 「何と!?」 「……で、あんたたちは足りない物資を補うために、空賊に扮して貴族派に送られるはずの物資を横取りしていた、と」 「そうだ」 「そして、偶然にも従姉妹とその仲間たちが乗ったフネを拿捕したわけか」 「いやー、こっちも驚いたよ」 「……」 ほろ酔い状態であっけらかんと言い切るウェールズを見て、サブローは怒りが再燃した。 「ご主人、この酔っ払いの顔を殴っていいか?」 「ダメよ!」 「……」 「隠し港とはね」 「ああ、あちら側もここからフネが出入りするとは思っていないだろう。そういえばマチルダ、何か言いかけていたようだが?」 「……後であんたの部屋に行っていいかい? そのときに話す」 数分後、ウェールズの部屋に、マチルダ、アンリエッタ、ルイズが集まっていた。 「……ウェールズ、今言うことはね……サンタにとって最高の吉報になるはずだよ」 「……」 「あんたが惚れた女、ティファニア・テューダーは、生きてるよ」 「……!!」 その言葉に、ウェールズだけでなくルイズとアンリエッタも驚愕した。 「シティオブサウスゴータとロサイスを結ぶ街道の近辺にあるウエストウッド村で、戦災孤児たちと一緒に生活してるよ」 「そうか……、生きていたんだ。ティファニアが……」 嬉しさの余り、とめどなくあふれる涙を拭かずにウェールズは呟いた。 「案内してくれるか?」 「そうしたいのは山々なんだけど……」 「王子様が出るのは危険です」 「ルイズの言う通りよ。ティファニアを連れてくるのは私たちに任せて」 「……頼む。ティファニアと一緒なら、僕は喜んでトリステインに亡命するよ」 数時間後、ウエストウッド村では。 「テファ、こんな斬り方でいいの?」 「うん。そんな風に薪を斬って、カミタマン」 「りょーかい。それにしても、レイとロボコン遅いな」 「そうね。どうしたのかしら?」 直後、バイクの走行音が聞こえてきた。 「あ、『黒いユニコーン』とロボコンの……あれ? なんか変だよ」 「うん……。黒いユニコーンの他に、他の鉄の馬が走る音も聞こえる」 森を突き抜け、レイが乗った黒いユニコーンとロボコンカー、そしてサブローが乗った白いカラスが来た。 「「テファ、ただいま」」 「二人ともお帰り。後ろの黒ずくめの人は?」 「この人? 大丈夫、レイのすぐ上のお兄さんだよ」 「初めまして、ティファニア・テューダー。俺はサブローだ」 「初めまして……。貴方はどうして私の名前を?」 「分かりやすく言うなら、アンリエッタ姫に教えてもらったのさ」 「……アンが!?」 「マチルダがあんたが生きていることを教えてくれてな。それを聞いて舞い上がったウェールズに頼まれて迎えに来たのさ」 サブローが言った直後、タバサと魔天郎とマチルダが乗ったシルフィードが降りてきた。 「初めまして、ティファニア嬢。私は蜃気楼の国から来た幻の怪人、魔天郎だ」 「はあ……」 「安心しな、テファ。そいつは味方だよ」 「マチルダ姉さん! あれ、ゴールドウルフは?」 「……あいつなら、ニューカッスル城でウェールズと一緒に留守番してるよ」 数分後、マチルダと魔天郎の説明を聞いたティファニアの顔は、暗かった。 「テファ、王子さんのところに行こうよ」 「レイ……。でも、私……」 「確かに半分エルフだよ、テファは。でも、会いたいんだろ、王子さんに?」 「うん」 「なら決まりだ」 「でも、みんなが……」 「慌てるなよ、ジムたちも一緒さ。と言うわけで、早くここを離れる準備をしないと。サブロー兄(に)いと魔天郎さんとタバサちゃんも手伝って」 かくして、ティファニアたちの一大引越し作業が開始された。 まず最初に、マチルダが錬金で大きな鉄のかごとシルフィード用のサドル、その二つを連結する太く丈夫な鎖を作った。 魔天郎とタバサは、ティファニアとカミタマンと子供たちと一緒に家具の梱包。 サブローとレイとロボコンは大きい家具を運んで巨大かごに収納し、全部積み終わってからシルフィードの背中にサドルを着けた。 「きついのね~」 「ニューカッスルに着くまで。我慢して」 そして日が暮れ始めた頃、シルフィードのサドルにタバサと魔天郎、かごの方に家具一式とマチルダと子供たちが乗った。 カミタマンはロボコンカーに、ティファニアはレイが運転する装甲トライク・黒いユニコーンに乗った。 「……」 サブローが無言で白いカラスのエンジンを起動させたのを合図に、魔天郎たちはニューカッスル城へと向かった。 日が沈んだ直後のニューカッスル城。 ウェールズは今か今かと待ってそわそわしていた。 「王子様、落ち着いてください」 「コレが落ち着いていられるか」 ウェールズが言い切った直後、城を包囲するレコン・キスタの戦艦の砲撃音が響いた。 二つのカッタートルネードが数隻の戦艦を切り刻み、その隙を突いてシルフィードが敵陣を突破。 それに続いて、ロボコンカーと白いカラスと黒いユニコーンも敵陣を突破し、無事に城内に入った。 黒いユニコーンから降りたテファを確認したウェールズは、臣下たちを押しのけて走り出した。 「ティファニアー!!」 「ウェールズ……」 無我夢中でティファニアを抱きしめ、ウェールズは狂喜乱舞した。 その光景を見ていたカミタマンは、レイとロボコンに尋ねた。 「レイ、ロボコン、どうする?」 「こっちに気付くのを待つしかないな」 「右に同じ」 家具と子供たちをかごから降ろしながら、レイとロボコンは淡白に答えた。 ウェールズの部屋。 ウェールズとティファニア、そしてルイズとアンリエッタとマチルダがいた。 「イーグル号に全員乗れるのかい?」 「少し無理をすれば可能だな」 「……あの子達ぐらいの人数なら、ワンセブンに乗せられます」 「ルイズ、君の使い魔はそんなに大きいのか?」 「50メイルぐらいはあります」 「私とマチルダもこの目で見ているから、保障できるわ」 ジムたちと、ウエストウッド村から持ってきた家具について話し合っていたところ、ドアをノックする音と、レイの声が響いた。 「王子さーん。ワルドって人が話があるって言ってるよー」 「分かった」 ウェールズの返事に呼応するように開いたドアから、ワルドが入ってきた。 「子爵殿、どうした? 晩餐会にはまだ早いぞ」 「いえ、実は頼みたいことがありまして」 「何だい?」 「明日この城でルイズと式を挙げたいので、殿下に式を取り仕切ってもらおうと思いまして」 ワルドのこの一言に、ウェールズ以外の4人が絶句した。 ティファニアと再会できた嬉しさで有頂天になっていたウェールズの方は、嬉々として快諾した。 「めでたい話じゃないか。喜んで引き受けよう」 ウェールズがアッサリ引き受けたため、明日のイーグル号の出発前に、ワルドとルイズの結婚式が行われることとなった。 無論、ルイズの意思とは関係無しに。 時は少しだけ過ぎて、パーティーが始まった。 ウェールズが亡命を決意してくれたのが嬉しかったのか、みんなの表情は一様に明るく、場の雰囲気も朗らかだった。 「やっぱり、ティファニアのことは……」 「今は隠すべきよ」 「そんなぁ。何とかならないのかい、アンリエッタ」 「簡単に何とかなったら苦労はしないわ」 情けない声を出すウェールズを見て、見かねたティファニアが会話に割って入った。 「私はいいの……。ウェールズと一緒だから」 「ティファニア……」 ティファニアは、ロボコンが万が一を想定して作った、つばがやたら広く、顔以外をヒラヒラで隠した帽子をかぶっていた。 城の者たちは首をかしげたが、ロボコンの「小さい頃の事故で耳が焼け爛れている」という嘘にアッサリ納得した。 ティファニ眩しいくらいの笑顔を見せるウェールズだったが、父王や、ティファニアの正体を知っているモノたちへ向けた顔は嫌悪と殺意だけが浮かんでいた。 「ウェールズ、アンから聞いたの。伯父様とうまくいっていないって」 「いいんだよ。あんな奴がどうなろうと」 「ウェールズ……、どうして自分のお父様に対してそんなひどいことを言うの?」 「……父親だからさ」 一方、ルイズは困惑していた。 明日、いきなり自分の結婚式が執り行われるからだ。 (ワンセブン……) ルイズの心は本人が気付かぬうちに、ワンセブンの方に大きく傾いていた。 翌朝、礼拝堂。 ワルドと、花嫁衣裳に身を包んだルイズがいた。 式に出席していたのは、アンリエッタ、カトレア、サブロー、魔天郎、タバサ、キュルケ、ギーシュ、先住魔法で人間に化けたきゅいきゅい、フレイム、ヴェルダンテ、テファ、そしてレイとカミタマンとロボコンだけであった。 カトレアの手には、ルイズから預かったワンエイトヘルがあった。 神官役のウェールズは朗らかに式を進める。 この式が終わり次第、ルイズたちはイーグル号に乗ってアルビオンを脱出する手はずだった だが、異変は起きた。 「ワルド様、私の力で、何を手に入れるのですか?」 突如としてルイズがワルドに問いかけた。 「どうしたんだい、僕のルイズ?」 「……トリステイン? 聖地? それとも両方? 私の力を借りて……」 あっという間に固まったワルドを見て、ルイズは確信した。 「やっぱり、貴方が愛したのは私ではなく、あるかどうかも分からない私の魔法の才能だったのね……」 何故気付いた、と言わんばかりの表情でルイズを見ながら、ワルドは口を開けた。 「まいったな……、土壇場でこんなコトになるなんて。けど、目的は全部果たさせてもらうよ」 「目的?」 「一つはアンリエッタの命。もう一つはウェールズの命。最後の一つは君を手に入れることだ!」 ワルドはそう言い切り、ルイズの肩を強く掴み、盾にしてからウェールズたちと対峙した。 直後、鋭い轟音が近づき、何かがぶつかった衝撃で礼拝堂の壁が大きく崩れた。 「な、何だ!?」 動揺するワルドを振り解いたルイズがその場を離れた直後、ワルド目掛けて巨大な何かが突っ込んできた。 とっさに避けたワルドには、それは足に見えた。 「一体何が起きた!?」 埃が薄れて視界が晴れると、そこにはワンセブンがいた。 「ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド!!」 「貴様は、ルイズの使い魔……!!」 「私はお前を、ルイズちゃんを邪なことに利用しようとしたお前を許さない! 必ず殺す!!」 「ほざけ! 僕は聖地を……、全てを手に入れる!」 「世迷い言は気が触れてから言え!」 「言うに事欠いて……。残念だが僕はこれで失礼させてもらおう!」 ワルドはそう言った直後、消滅した。 「偏在だと!?」 ルイズもこれには面食らった。 「い、いつの間に?」 一方、ニューカッスルを包囲する戦艦の内の一隻。 「くそ、よりによってルイズの使い魔がいきなりアルビオンに来るとは!」 甲板に立つ本物のワルドが忌々しげに舌打ちしていた。 レコン・キスタの艦隊を視界に捕捉したワンセブンは、迷わず両足のナイキ級ミサイルと、ミサイルパンチを同時に発射した。 戦艦が一隻、また一隻と、轟音と閃光の中に掻き消えていった。 「あれだけの数のフネをこうも簡単に……!!」 ワルドは僚艦が手当たり次第に破壊される様を見て戦慄した。 一方のワンセブンは、わざと照準から外した、本物のワルドが乗るフネを睨み付けた。 怒りが収まらないワンセブンは、ワルドを葬り去るために最終兵器を発動させた。 「グラビトォオオオン!!!」 パキューン、パキューン、パキューン、バギィィィィン!! ワンセブンの咆哮を聞いて危険を察知したワルドは、瞬時にフネから脱出した。 シュビビビビ~! バゴーン! ズギャァーン!! ドォッカァァァ―――ンッ!!! 直後、ワルドがさっきまで乗っていたフネが激しく押しつぶされ、大爆発した。 ワルドは押しつぶされずに済んだが、残骸交じりの爆風が直撃し、左腕が吹き飛んだ。 「ワンセブンさん、どうして来たの!?」 アンリエッタの声をスルーして、ワンセブンはみんなにこう言った。 「話は後だ。みんな、トリステインに戻ろう!!」 要塞形態に変形したワンセブンを見て、今度はウェールズが口を開いた。 「マチルダたちが気がかりだから、僕たちはイーグル号に乗るよ」 そう言って、ウェールズはティファニアとレイ、そしてカミタマンとロボコンを連れて隠し港へと走っていった。 そんな中、ルイズはワンセブンを見て、こう呟いた。 「命尽きる日が来るまで……、私の心と体は貴方のものよ、ワンセブン」 戦いの、戦いの、野辺に咲く 骸骨色をした彼岸花 鋼鉄の足音が 荒野に響いて ミサイル飛んで 全てを焼き尽くす~ 大地を揺るがし 世界を震わす ヴィンダールヴの 戦う鼓動 ルイズを賭け~た~、戦い~の~ これが最初の激突だ~ ワンセブン、ワンセブン、ルイズ~の~、ワンセブン~ 戦いの、戦いの、海に浮く 水死体色をしたカーネーション 巨人の声響き 波間が躍って ミサイル爆ぜて 全てを流し去る~ 大波蹴立てて 海原切り裂く ヴィンダールヴの 戦う理由 ルイズを賭け~た~、戦い~の~ これが最初の決戦だ~ ワンセブン、ワンセブン、ルイズ~の~、ワンセブン~ 前ページ次ページ大使い魔17
https://w.atwiki.jp/yugio/pages/14706.html
覇王乱舞(アニメ) 永続罠 (1):自分フィールドに「覇王」モンスターが存在する場合、 相手バトルフェイズに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象としてこの効果を発動できる。 その相手モンスターは攻撃しなければならない。 対象のモンスターが既にこのターンに戦闘を行っている場合、 そのモンスターはもう1度だけ攻撃しなければならない。 (2):1ターンに1度、自分の「覇王」モンスターが戦闘を行うダメージ計算時、 または自分フィールドの「覇王」カードを破壊する 魔法・罠・モンスターの効果が発動した場合にこの効果を発動できる。 その「覇王」モンスター及び「覇王」カードはその戦闘・効果では破壊されない。 (3):相手バトルフェイズに、魔法&罠ゾーンの表側表示のこのカードを墓地へ送って発動できる。 このターンに攻撃していない相手モンスターは攻撃しなければならない。 その場合の攻撃対象はこのカードのコントローラーが選択する。 永続 破壊耐性 罠 行動制限 覇王補助
https://w.atwiki.jp/keroro00innovator/pages/4111.html
ケロテレビランキング アルバム2018年9月 ←2018年8月 | シングル | BD/DVD | 2018年10月→ + 【ランキング動画を見る】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm33955705 http //www.nicovideo.jp/watch/sm33955705 順位 変動 CD名 アーティスト タイアップ 発売 月間売上 累計売上 1 新 アイドリッシュセブン Collection Album vol.1 - アイドリッシュセブン ベスト 9/26 22290 22290 2 新 艦隊これくしょん -艦これ- Original Sound Track IV 雨 - 艦隊これくしょん -艦これ- サントラ 9/12 6788 6788 3 ↓ Valentine Eve s Nightmare UNDEAD あんさんぶるスターズ! キャラソン 8/29 6275 55456 4 新 響喜乱舞 GARNiDELiA - 9/26 6053 6053 5 新 Fool on CooL generation the pillows フリクリ 主題歌 9/5 5382 5382 6 新 red 藤原さくら 若おかみは小学生! 主題歌 9/19 4780 4780 7 ↓ Fling Posse VS 麻天狼 Fling Posse・麻天狼 ヒプノシスマイク キャラソン 7/18 4552 100233 8 新 THE THIRD RAISE A SUILEN BanG Dream! ライブCD 9/26 4072 4072 9 ↓ Buster Bros!!! VS MAD TRIGGER CREW Buster Bros!!!・MAD TRIGGER CREW ヒプノシスマイク キャラソン 5/16 3471 75239 10 新 Hello New World OxT - 9/12 3374 3374 11 新 SPIRAL 茅原実里 - 9/26 3198 3198 12 新 Picture 浪川大輔 - 9/19 3020 3020 13 ↓ 逆光のリゾルヴ - 戦姫絶唱シンフォギアXD キャラソン 8/29 2714 18564 14 新 フリクリ COMPLETE CD-BOX - フリクリ サントラ 9/5 2093 2093 15 新 Song Festival IV - ファンタシースターオンライン2 キャラソン 9/28 1870 1870 16 ↓ ラ レヴュー ド マチネ スタァライト九九組 レヴュースタァライト 劇中歌 8/22 1807 6974 17 新 melodia 4 高垣彩陽 - 9/26 1695 1695 18 ↓ ガールズバンドパーティ! カバーコレクション Vol.1 - BanG Dream! カバー 6/27 1609 42051 19 新 Special days 飯田里穂 - 9/5 1603 1603 20 新 はるかなレシーブ オリジナルサウンドトラック - はるかなレシーブ サントラ 9/26 1213 1213 ←2018年8月 | シングル | BD/DVD | 2018年10月→ 月間 | 週間
https://w.atwiki.jp/m_lscr/pages/872.html
SSR 曹仁(乱舞モード):火属性・MP 基本情報 『三国志乱舞』からの異世界の女神 【非公式豆知識】 別モード なし ステータス 上から、レベル1・0凸・1凸・2凸・3凸・4凸後の最大値(カッコ内は覚醒前数値) 武 智 美 ・初期値:・Lv 70 :・Lv 87 :・Lv 104:・Lv 122:・Lv 140:(16600) ・初期値:・Lv 70 :・Lv 87 :・Lv 104:・Lv 122:・Lv 140:(15990) ・初期値:・Lv 70 :・Lv 87 :・Lv 104:・Lv 122:・Lv 140:(15110) スキル 紅染月剣 → 味方の火属性の武を極限UP アビリティ アビリティ1:曹一門の名将 【支援】自分のBP+100・消費SP3 アビリティ2:群臣の有頂天 【支援】自分のSP+10・消費BP80・制限2回・AP35 契約 関連イベント 関連イベント イベント『女神たちの三国志 ソル・セレ乱世に立つ』 →レイド・討伐Ptランキング報酬 関連女神 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 特記事項
https://w.atwiki.jp/m_lscr/pages/874.html
★UR 関羽(乱舞モード):風属性・MP 基本情報 『三国志乱舞』からの異世界の女神 【非公式豆知識】 五虎大将軍の1人。 別モード なし ステータス 上から、レベル1・0凸・1凸・2凸・3凸・4凸後の最大値(カッコ内は覚醒前数値) 武 智 美 ・初期値:・Lv 80 :・Lv 100 :・Lv 120:・Lv 140:・Lv 180:(25432) ・初期値:・Lv 80 :・Lv 100 :・Lv 120:・Lv 140:・Lv 180:(23433) ・初期値:・Lv 80 :・Lv 100 :・Lv 120:・Lv 140:・Lv 180:(31433) スキル 青龍偃月刀 → 味方ユニット全体の美を超UP 【※スキルレベルMAXで100%発動】 アビリティ アビリティ1:約束された偶像 敵10人に風属性の美を大きくUPした攻撃・聖印+5・消費SP10 アビリティ2:神に成る美将 敵20人に風属性の美を大きくUPした攻撃・聖印+10・消費SP10・制限3回・AP50 契約 関連イベント 関連イベント イベント『女神たちの三国志 ソル・セレ乱世に立つ』 →4人の五虎将軍解放コンプリート報酬 関連女神 ▼五虎将軍 張飛 馬超 黄忠 趙雲 特記事項
https://w.atwiki.jp/m_lscr/pages/867.html
★SSR 黄蓋(乱舞モード):水属性・MP 基本情報 『三国志乱舞』からの異世界の女神。 【非公式豆知識】 黄蓋=こうがい 別モード なし ステータス 上から、覚醒前レベル1・覚醒後0凸・1凸・2凸・3凸・4凸後の最大値(カッコ内は覚醒前数値) 武 智 美 ・初期値:4598・Lv 70 :・Lv 87 :・Lv 104:・Lv 122:・Lv 140:(15910) ・初期値:4169・Lv 70 :・Lv 87 :・Lv 104:・Lv 122:・Lv 140:(15220) ・初期値:3311・Lv 70 :・Lv 87 :・Lv 104:・Lv 122:・Lv 140:(14440) スキル 剛鉄鞭 → 味方の水属性と光属性の武を超UP 【※スキルレベルMAXで100%発動】 アビリティ アビリティ1:赤壁の大火(初期に習得済み) 敵5人に攻撃 アビリティ2:紅蓮の鬼姫(2凸で習得) 敵5人に攻撃・聖印+5 契約 関連イベント連動ガチャ 関連イベント イベント『女神たちの三国志 ソル・セレ乱世に立つ』 →特効女神 関連女神 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 特記事項
https://w.atwiki.jp/m_lscr/pages/873.html
UR 曹操(乱舞モード):火属性・MP 基本情報 『三国志乱舞』からの異世界の女神 【非公式豆知識】 別モード なし ステータス 上から、レベル1・0凸・1凸・2凸・3凸・4凸後の最大値(カッコ内は覚醒前数値) 武 智 美 ・初期値:・Lv 80 :・Lv 100 :・Lv 120:・Lv 140:・Lv 180:(23633) ・初期値:・Lv 80 :・Lv 100 :・Lv 120:・Lv 140:・Lv 180:(32133) ・初期値:・Lv 80 :・Lv 100 :・Lv 120:・Lv 140:・Lv 180:(25912) スキル 青紅の剣 → 味方の火属性の智を極限UP 【※スキルレベルMAXで100%発動】 アビリティ アビリティ1:覇道に咲く花 敵15人に火属性の智を大きくUPした攻撃・BP+50・消費SP5 アビリティ2:無慈悲なる女帝 敵25人に火属性の智を大きくUPした攻撃・SP+3・消費BP50・制限5回・AP52 契約 関連イベント 関連イベント イベント『女神たちの三国志 ソル・セレ乱世に立つ』 →レアレイド・一撃ダメージランキング報酬 関連女神 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 特記事項
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/26940.html
登録日:2014/01/02(木) 18 24 38 更新日:2024/03/13 Wed 10 17 25 所要時間:約 ? 分で読めます ▽タグ一覧 IJN このクルーと艦長が凄い! どうしてこうした 兵器の英国面 大日本帝国 戦艦 海軍 爆発二回火災一回 神回避 神業 航空戦艦 軍艦 伊勢型戦艦とは、大日本帝国海軍が作り上げた超ド級戦艦。 様々な経緯を経て、後世に失敗兵器と揶揄されながらも、あの大戦でも長く生き延びた偉大な戦艦である。 性能諸元 全長:208.2m→215.8m(昭和の大改装)→219.6m(航空戦艦改装) 全幅:28.6m→33.8m(昭和の大改装) 排水量:32062t→40183t(昭和の大改装)→38662t(航空戦艦改装) 速力:23ノット→25ノット(昭和の大改装) 兵装(レイテ沖海戦時):35.6cm連装砲塔4基、12.7cm連装高角砲8基、25㎜三連装機銃31基、25㎜単装機銃11基、12㎝30連装噴進砲6基、カタパルト2基 建造:神戸川崎造船所(伊勢)、長崎三菱造船所(日向) 建造経緯 当時世界最強クラスの超ド級巡洋戦艦金剛型戦艦の設計図を入手し、「これで超ド級戦艦を生産できるも同然である!」 と大いに自信をつけた大日本帝国海軍は、金剛型の設計図で得た情報を元に今度は装甲を重視したTHE・戦艦と言える艦の建造に着手した。 金剛型もすばらしい艦なのだが、巡洋戦艦はあくまで「戦艦並みの攻撃力を持つ巡洋艦」であったため、いわゆる戦艦としてはやや硬さや耐久力が足りなかったのだ。 ドレッドノートのせいで一瞬で陳腐化した最初の純国産戦艦薩摩型・発展の速さに取り残されて陳腐化した悲運の国産ド級戦艦河内型の経験を元に、 金剛型の35.6cm連装砲を積むなど、金剛型設計図で得た超ド級戦艦技術を投入した戦艦を立案・設計。それが扶桑型戦艦で、四隻建造の計画が立てられそれぞれ 扶桑(日本の別称) 山城(維新前までの都京都の所在国) 伊勢(天皇家の氏神天照大御神を祀る伊勢神宮の所在地) 日向(天孫降臨地高千穂のある国) と名付けられるなど海軍ひいては日本の大きすぎるほどの期待を背負い順次建造されていったのだが… ヴィッカース社「ウチの大傑作巡洋戦艦の設計図一枚で超ド級戦艦を作れるとでも思ったか!お前はまだまだだ!」 …当時最大級の巨砲を連装6基12門を搭載した結果、流麗なフォルムを持ち、火力は当時世界最高クラスの戦艦になったが、 建造中に「初の超ド級戦艦ということで堅実にいったけど、さらに改良できるのではないか」と設計陣と海軍は思った。 また、イギリスなどから第一次大戦初期の水上戦闘の情報を得ることができ、それらを考慮して設計の変更が行われることになった。 扶桑型戦艦は全体防御式を採用しており装甲防御力が集中防御式のネバダ級などと比べると薄い、船体に広く砲塔が配置されているため危険個所が多い、砲塔の間にボイラーを入れたためスペースが小さくてデカいボイラー入れての出力・速力向上が難しい、主砲をぶっ放すと爆炎で艦橋が煙る、3番、4番砲塔の射撃指揮が難しい、主砲を撃つと艦橋にダメージが入る、主砲の重みで船体がきしみ水圧計が壊れる…(船体がきしんだとされるが大型艦の船体はたわむものでもあり、どのような影響があったのかは不明である。水圧能力に関しては伊勢型を含め当時の戦艦や巡洋戦艦すべてに言える問題である。) などの問題点があったとされる。ただ、主砲の爆炎の影響は他の戦艦でも見られたことであり、射撃指揮に関しても演習で好成績を収めるなどもしているのでそれほど問題は無かったとする話もある。 山城は残念なことに扶桑の教訓を活かして組み直すには遅すぎたが、伊勢と日向は予算不足で建造開始が遅れており、間に合う段階だったので 扶桑の設計図を更に引き直し、改扶桑型戦艦として再立案された設計図を基に伊勢と日向は建造されることになった。 諸々の欠点を踏まえて図面を引き直し、なんとか是正しようと努力した結果、それなりに欠点を是正しつつ使いでのある戦艦に修正ができた。 しかし伊勢型が造られた頃には15インチ(38センチ)砲装備・最高速度25ノットのクイーン・エリザベス級戦艦が登場しており、35.6㎝砲対策しかしておらず、最高速度が23ノットの伊勢型は戦艦としては早速陳腐化しつつあったというのが実情であった。 ただ、この紆余曲折があったからこそ後の大傑作戦艦長門型戦艦が造れたとも言える。塞翁が馬。 ちなみに、弱点の是正のために切り詰められたのが乗員の居住区であったため伊勢型の居住性は最悪であった。 簡単に言うと、扶桑型ではばらけて配置していた三・四番砲塔を背負い式にまとめた結果、 最上甲板が扶桑型では後部五番砲塔まで長く伸びていたのを三番砲塔直後で止めてしまったのだ。 この結果、長さにして60m余りも(しかも中央部なので一番幅の広い部分の)甲板が短縮され、そこに配されていたスペースが艦内に押し込められた。 押し込められた分だけ居住区は圧縮され、一人当たりの居住面積が日本戦艦中最小になってしまったのである。 それと、まっすぐ進むはずがやたら右に曲がるので操艦が難しいことでも有名であった。 戦間期の伊勢型 さて、早速陳腐化が始まってしまった伊勢型は戦間期も少しずつ改装され、前線で戦えるように努力を続けた。 その過程で艦橋は違法建築気味になったが、扶桑型に比べたらまだマシなレベルであった。 海軍休日の最中、伊勢型は特に存続の危機に立たされることもなく、穏やかに過ごしていた。海軍休日がなければ加賀型戦艦や紀伊型戦艦(八八艦隊案)で置き換えられていただろうが…。 ただ、日向は1919年に当時6つあった砲塔の内第三砲塔が爆発、1924年には第四砲塔弾薬庫が火災に見舞われるなど二度の大事故に見舞われている。 いずれも轟沈こそ免れたが、後に起こった陸奥第三砲塔爆発事件では陸奥はあっけなく轟沈しており、危ういところであった。 そうこうしている内に、海軍休日も終わりが近づく。戦艦の新規起工が出来ず最古参の金剛型はもちろん扶桑型や伊勢型も来るべき戦いに対応させて使うしかなくなり 本格的近代化改装を受け、旧式感の拭えなかった伊勢型は第二次大戦期でも標準的な戦艦として生まれ変わった。 そして、太平洋戦争が始まる。 伊勢型、生まれ変わる 開戦時には第一艦隊第二戦隊に所属し、戦隊旗艦の日向とともに真珠湾に出撃。空母が損傷した際に救助する予定で後方に控えていたが、真珠湾攻撃は大成功で出番がなく年内に帰国。 スピードがなく重油をたんまり喰う為に、航空戦力が主力となった真珠湾攻撃以降は主砲の火力も使う場所に苦慮することになった。 伊勢と日向は1942年6月にアリューシャン方面に進出するが出番なく帰投。日向は作戦前に演習中に第五砲塔が爆発。三度轟沈は免れたが第五砲塔を撤去し塞いだ状態で作戦に参加した。 ミッドウェーで正規空母四隻を失った帝国海軍は、すでに建造が決まっていた大鳳・雲龍型の完成を急がせ さらに喪失した空母の穴を埋めるべく商船を徴用し空母へ改装、さらにさらに様々な理由で建造を断念した大和型三番艦を空母信濃に改装する計画を立てるが、これでも足りないのではないかと考え 使いでのない旧式戦艦の空母改装を志向するようになった。そこで候補に上がったのが後方で遊兵化して久しい扶桑型・伊勢型の空母改装案であった。 ただ、全通甲板ぶっ通しだと艦橋移設や6基ある砲塔の撤去など改装に時間がかかりすぎるため、船体後部の砲塔を2基を撤去して格納庫と簡易的な飛行甲板を備えた「航空戦艦」として改装される案になり たまたま日向が後部第五砲塔爆発の影響で改装しやすいという理由で伊勢型が選定され、改装に入ることとなった。 船体後部の第五・第六砲塔と弾薬庫を取っ払い、格納庫と飛行甲板を設置。艦載機に彗星と瑞雲を合計22機搭載(予定)し軽空母並の航空打撃力と35.6㎝連装砲塔4基の火力を兼ね備えた凄い戦艦…になったらよかったのだが、もちろんそんなわけがなかった。 これは当初からの予定でもあるのだが甲板が短すぎて航空機の着艦ができない。そのため、艦載機は出撃したら飛行場か他の空母に着艦させるしかない。 近くに味方飛行場がなく、空母に万一のことがあった場合艦載機は捨てるしかないということである。 言い方は悪いが、航空機の運用プラットフォームとしては単体で完結出来ないため間違いなく欠陥品、あるいは数合わせと言わざるをえない兵器に仕上がってしまったのである。 とはいえ、数合わせ程度でも大鳳や雲龍型、信濃といった空母大建造が終わるまでなら十分に役目を果たせるだろうという思考もわからなくはない。 ただ、こうまでして造った飛行甲板は結局正規の使用法では役に立たなかった… 地獄を越えろ、航空戦艦 伊勢は改装が早くに終わり、トラック泊地への物資輸送任務に就いている。遅れて改装が終わった日向と共に1943年の末に一旦第十一水雷戦隊に編入され、内地で航空機射出などの訓練に明け暮れた。 1944年5月に改めて第四航空戦隊に編入され、日向が戦隊旗艦かつ航空戦艦の発案者、四航戦司令松田千秋少将の座乗艦となり、合わせて海軍第六三四航空隊の配備が決定した。 同年6月には対空機銃増設工事を行うが、ちょうどマリアナ方面に米海軍が進出。大鳳率いる機動艦隊が迎え撃つ体制となる。 伊勢と日向は工事を切り上げマリアナに向かおうとするが、結局間に合わず。この戦いで大鳳と翔鶴、飛鷹が轟沈し隼鷹が重い損傷を負い、艦載機も多数失ってしまい機動艦隊は壊滅寸前に陥った。 その後1944年10月初頭、台湾沖航空戦が起きる。ここで第六三四航空隊は内地の飛行場に配備され、伊勢・日向から離れて帰ってこなかった。格納庫がガラガラになっちゃったよ…。 台湾沖航空戦の戦果を損害軽微かつ空母撃沈11(実際は航空機損害多数、敵空母損害なし)と海軍が吹聴したため陸軍が判断を誤り反攻を計画、言った手前上海軍もそれに乗って手薄な戦力で援護せざるを得なくなり フィリピンに上陸した米軍を撃破する一大作戦を敢行する事となった。これが捷号作戦である。 金剛型や大和型は主力の突入艦隊である栗田艦隊に、扶桑型が突入援護担当の西村艦隊に配属される中、四航戦所属の伊勢と日向は小沢機動艦隊に編入されるが、六三四航空隊は結局搭載見送りが決まり、改装後実戦初参加なのに艦載機なしで出撃することに。 代わりに、新型兵器である12㎝30連装噴進砲を飛行甲板に設置し、地獄の海へと旅立つ。 この捷号作戦の前に行われたマリアナ沖海戦、台湾沖航空戦で艦載機含めて稼働可能な航空機はほぼほぼ喪失しており、稼働可能な航空機に乗れるパイロットも発着艦も覚束ないペーペーしか残っていなかった機動艦隊。 翼を奪われ羽毛も一本残らずむしられた小鳥も同然の彼らに命じられた任務は… 「基地航空隊と共にアメリカの機動艦隊を撃破してほしい。または牽制して主力艦隊から引き離してくれ。え?生き残れるか?…ファイトだよっ!」 というものであった。唯一生き残った歴戦の正規空母瑞鶴すらこういう使い方をするあたり、追い詰められすぎてパニックを起こしたとしか思えない。 しかしそんなむちゃくちゃでも作戦は作戦。伊勢日向が前衛で行動しハルゼー艦隊の目を小沢機動艦隊に引き 真珠湾で戦艦を傷物にした空母最後の生き残り・瑞鶴以下の空母四隻にブルとあだ名されるほどの猪突猛進系提督ハルゼーはまんまと釣られ小沢機動艦隊向けて猛進。 かくして1944年10月25日、エンガノ岬沖にて日本の栄光ある機動艦隊の命脈は完全に断ち切られる。 ハルゼー機動艦隊の猛攻により幸運艦とあだ名された瑞鶴を筆頭に瑞鳳、千歳、千代田とこの作戦に参加した空母四隻は全滅した。 千代田は航行不能となり漂流中に鬱憤晴らしとばかりに巡洋艦によりメッタメタに砲撃されるありさまであった。 護衛の巡洋艦と駆逐艦も凄絶に戦って散った初月のように、地獄のような戦場で徐々に脱落が増えていく。そんななか、空母に次ぐ巨大な艦で的にされやすい伊勢と日向も風前の灯かに見えたが 松田少将発案の噴進砲と機銃、主砲を利した弾幕戦術、さらに急転舵を利用した急降下爆撃回避機動、急転舵など技量の必要な機動を可能にした練度の高いクルーの奮戦により爆撃をかわし続け 米軍の航空機を逆に撃墜するなど大いに奮戦。伊勢は至近弾四発を喰らいバルジに浸水、戦死者7名重軽傷者80名を出し左に1.5度傾く損傷を受けたものの逃げ切り 日向に至ってはは戦死者1名負傷者8名こそ出したが損傷はほぼなしと、地獄のような戦場では奇跡的といえるほどの軽微な損害で逃げ切った。 当時の爆撃が急降下爆撃で直上から当てに行かないと当たらない代物だったことも幸いしたが 射程1500mで蛇行するロケランである噴進砲などを駆使して逃げ切ってみせたのは指揮官の松田少将、クルーの練度の高さを感じずにはいられない。 条件は違うとはいえ武蔵はシブヤン海において航空機に滅多撃ちにされてついに撃沈された事を考えれば、機関出力や最高速度、装甲など武蔵に比して劣る伊勢型が徹底回避だったとはいえ逃げ切るというのは奇跡的と言える。 扶桑・山城が闇の中で絶望に沈み、不沈艦と謳われた武蔵さえ大和型の防御も集中打を受ければ絶対ではないと証明するかのように没した地獄のような戦いの中で、ほんの少しだけ差し込んだ光と言えなくもない。 ハルゼー艦隊はニミッツが放った「お前どこにおんねん、世界中いぶかしがっとるでしかし」という電報を受け、空母撃滅後に半数が反転していたが。 北号作戦の奇跡 エンガノ岬沖の地獄を越え一度日本に帰国するが、再び南方に出撃。輸送船団はおろか戦艦金剛や重巡妙高すら帰国途上で潜水艦に雷撃を食らい金剛が撃沈、妙高がシンガポールに後退し結局帰国不能になるという事態を受け、 聯合艦隊は1945年2月、南方に残った軽巡や駆逐艦の撤収と資源の強行輸送を兼ねた作戦・北号作戦を発動。伊勢と日向も参加した。 伊勢と日向は艦載機がいないため余った格納庫と飛行甲板にガソリンやゴムを満載。軽巡や駆逐しかいない中で、この格納庫の収納力は別格であった。 しかし、飛行甲板にもガソリン缶が満載されていたため下手に動くと物資がこぼれる上、機銃を食らうとガソリン缶が爆発して最悪轟沈の危機という状況であり、エンガノ岬沖で急降下爆撃機を幻惑したように自在に動くことはできなくなった。 格納スペースの小さい駆逐艦や軽巡もやはり物資の重みで機動力に問題を抱える状況であり、制空権確保どころか護衛戦闘機の派遣すら望めない、直近に同じコースを辿って行った輸送船団は全滅という最悪な条件が揃った。 それでもこの作戦の指揮官となった松田少将はこの輸送艦隊に「完艦隊」と名付け、必ず完遂して日本に資源を持ち帰るという決然たる意志を表明し、シンガポールを出港した。 これに対し、米軍も陸軍航空隊が二度に渡り空襲。海軍も潜水艦を繰り出して殲滅に乗り出す。 しかし陸軍航空隊の空襲は運良く発生したスコールを巧みに利用し回避。潜水艦の襲撃も雷跡を見て回避したとも言われるほどの神回避・僚艦の爆雷投下で退け、伊勢の主砲で22km先の潜水艦に威嚇発砲し退けるなど神がかりとも言える行動選択を見せ、完艦隊は任務を全うし無傷で帰還した。 半分戻ってきたらいいよね…最悪全滅だよなあ…くらいに思っていた聯合艦隊司令部は無傷で帰還した完艦隊に狂喜乱舞したが、奇跡を起こしたとしか思えない完璧な任務遂行で回収した資源は中規模の輸送船一隻分にしか満たない僅かな量だったという。 末路 その後は例によって重油不足で動けなくなり、レイテ沖を生き延びた同志である榛名とともに伊勢は瀬戸内海の音戸、日向は同じく瀬戸内海情島沖で浮き砲台となる。 なお、燃料はそれなりに残っていたが抜き取られ、大和最後の出撃に充てられたとされている。 動けずとも空を睨んで対空砲台として戦うが、1945年7月の呉軍港大空襲で榛名共々大破着底し、伊勢と日向の戦争は終わりを告げた。 この時2番砲塔右砲には三式弾が装填されたままだった。火災は2番砲塔に迫り誘爆してしまう恐れがあったため呉市街上空へ向けて発砲。奇しくもこれが日本戦艦最後の砲撃となった。その後主砲を中央に旋回させたところで全動力が停止、そのまま終戦を迎える。主砲は戦後も空を睨んだままだった。 戦後、着底した伊勢と日向は引き上げられ解体。良質な鉄として戦後日本の礎になったことであろう。 余談になるが、伊勢は着底から解体までの一時期、艦橋に家を失った四世帯の家族が入居し暮らしていたという。 住み心地はあまりよくなさそうなものだが…当時家が空襲でぶち壊されても建てる資材と大工がいない時期だったからこそのエピソードといえようか。 現代の伊勢・日向 旧海軍の衣鉢を継ぐ海上自衛隊では、エンガノ岬沖の地獄を越え僅かながらでも苦しい時期に資源を持ち帰った伊勢型の意志を継ぐひゅうが型護衛艦を建造している。 今回はひゅうががネームシップ、いせが二番艦であり、全通甲板採用の立派な空b…アッハイ、海自に空母を保有していません。護衛艦です。ヘリコプター搭載護衛艦である。 艦載ヘリや豊富な武装・電子機器を活かし、イージス艦と連携して今日も日本の海の守護神として君臨している。 災害派遣任務でも大きなペイロードやヘリによる即応性の高さを利して活躍しており、ひゅうがが東日本大震災での災害派遣任務で活躍し、2013年にかつての因縁の地・レイテ島を襲った台風災害救援任務にいせが向かったことは記憶に新しいところ。 ひゅうがといせの船内には、それぞれに先代である戦艦日向・伊勢と轡を並べているシーンが描かれた絵が飾ってあるとか。 ロッキード・マーチンからの贈り物らしい。 フィクションの伊勢・日向 架空戦記では扱いが良くない。八八艦隊が実現した世界では開戦時には退役か二軍落ちしているし、超兵器路線でも航空戦艦としての発想を受け継いだ変態兵器が登場して居場所を奪いに来るしで散々である。 おうそこの虎狼型とか土佐とかいう無茶なヤツのことだよ! 戦略シミュレーションでもなんか微妙なやつ扱いである。敵をぶちのめした意味での戦果はないしそもそも旧型で性能もいまいちだからしかたない。 最近のトレンド?の蒼き鋼のアルペジオ、艦隊これくしょん -艦これ-にももちろん登場。 前者では日向がヒュウガとして、イオナに撃破されて超重力砲を奪われながらイオナに惚れ込んでメンタルモデルを創ってまでついていきサポートするという、中の人の好演が光るクレイジーサイコレズ縁の下の力持ち、参謀的役回りでイオナや群像を支えている。 後述の艦これとのコラボイベントでも艦としての登場はなかったが、霧と戦う技術を提供してくれている(体の)ため資源バカ食いのタカオやハルナより貢献度は大きいのかもしれない。 イセは原作では登場しているがアニメは独自ストーリーになったこともあり出番がなかった。映画でも出番はありませんでした… 艦これでは一応金レア艦として登場。とは言え手に入れやすいため初めての戦艦が伊勢型だった方も多いであろう。 詳しくはこちら 【余談】 戦艦日向の二度目の砲塔爆発事故は某動画サイトにうpされている日本ニュースにてそのシーンが収められている。見た感じでは発砲煙がおかしいだけではあるが、厳しい検閲が行われた後に放映される日本ニュースにて放映されるのは非常に珍しい。恐らく検閲した人物も砲塔爆発事故を起こしたと気づかなかったと思われる。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 艦これの航空戦艦は1-5や弾着観測射撃実装で十分使えるようになってるし使う人も多くなってるんだがなあ。大分情報が古いなこの項目 -- 名無しさん (2014-08-07 17 22 59) ヘリ空母ぐらい持ってもいいじゃんかー >中国と韓国 -- 名無しさん (2014-08-07 17 39 43) 扶桑型と比べると本当に明暗分かれてるな -- 名無しさん (2015-05-14 15 27 31) ぶっちゃけ日本の防衛ドクトリンからすれば空母はいらないんだけどな 防衛するだけなら -- 名無しさん (2016-01-08 22 36 44) 扶桑型と比較して主砲一基分の重心がズレた為か、操舵に独特の癖・・・というか過敏になり「直進するのが一番大変」とまで言われるピーキーな総艦特性。改修で改善されたようだが舵の利きそのものは健在で、囮艦隊時に写真として残った見事なカーブに現れている -- 名無しさん (2016-09-05 14 27 23) 陸上基地に比べて空母は単艦でコスト三倍、メリットは遠い場所でも反復攻撃が可能って聞いたけどそれならたしかに要らないな。移動なら航空機だけの方が遥かに早いし -- 名無しさん (2017-11-12 11 29 07) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3141.html
『隻眼のまりさ 第二話』 17KB 群れ 続きです。プロローグからどうぞよろしくお願いします。 初めましての方は初めまして 他の作品を見てくださった方はありがとうございます。 投稿者の九郎です。 タイトルどおり前作の続編です。 ――――――――――――――――――――――――――――― まりさは、一人プライドを抱えていたのだ。 初めは本当に、ただそれだけだったのだ。 ――――某日、昼前―――― 隻眼のまりさは単身、森の中にいた。 今日の『ぶりーふぃんぐ』は ぱちゅりーから特に指示の無い日だったので 一匹で行動していた。 どうしようかと思ってドスと話すと 道路整備が終わったということなので ならば今日は一番遠くまで狩りをしに行ってみようと思ったのだ。 障害物が無く、なだらかな道を走っていた。 走るとは言ってもそれほど急いではいなかった。 実はここは以前ぱちゅりーに言われて調査をしたことがある。 ドスの道路整備をどの方向にするかを決めるための判断材料として。 そのため特に脅威は感じていなかったし実際危ない目にはあっていない。 それに変な奴が出てくれば得意のカウンターで倒してやる、と 少々思い上がったことも考えていた。 「着いた…ここがそうだ」 道路の終点があった。そこからさらに進んでみると そこには多くの食糧があった。 そこは一面の花畑だった。 「ちょっと休んでいこうか…」 ここまで移動して多少体力を使った。 せっかくだから秋の風が運んでくる花の匂いをかぎながら 休憩を取ろうと思った。 花の種や茎はゆっくりにとっての貴重な食糧源だ。 だが一番の目的は花の蜜。 ゆっくりに蜜を集めて保存することなどできないが 花を咀嚼している時、たまにとても甘い味が口の中に 広がることがあるのを知っている。 彼らにとっての一番のご馳走、あまあまというやつだ。 自分の亡き親はハチミツと呼ばれるあまあまを口にしたことがあると 聞いたことがあるが自分は存在すら知らない。 ぱちゅりーから聞いた話によれば 『とても危険な虫さんが守ってるから 自分から取ろうとは考えないほうが身のためよ』 とのこと。 ならば親はどうやって入手したのかとも思うが ぱちゅりーの知識の正確さは確かなので すでに探すのをあきらめている。 「ちょっと食べようかな…」 隻眼のまりさは手近な花に舌を伸ばす。 花の部分を引っ張って千切り、口に運ぶ。 「なかなかおいしいね」 通常のゆっくりなら 『むーしゃむーしゃ、しあわせー!』 と言う所だがまりさは言わない。 家の中ならともかく外で大声を出していれば余計なものが 集まってくるのを嫌というほど体験してきたし それをするとせっかくの食べ物を撒き散らして 量を減らすことを知っているから。 「これはどうかな?」 別の花に舌を伸ばす。 最初はただ食事のために食べたのだが こうして味見してから持って帰る餌を選定するのも悪くない。 「ん~…」 微妙だった。味が薄い。 まりさは分かっていなかったがそれは枯れかけの花だった。 植物のみずみずしさも感じないしましてや蜜の味など全くしなかった。 「こっちの花はおいしいかな?」 また別の花に舌を伸ばす。 そんな作業をしばらく続けた。 ――――同日、夕刻―――― 「遅くなっちゃったよ!!」 まりさは急いで来た道、道路を走っていた。 あの後夢中になって花を食べまくって昼寝までしてしまった。 持って帰る分の花を摘んでいたら日はすでに傾き始めていた。 帰りの時間を考えて早めに帰路に着いたつもりだが 戻る頃には日が落ちるかもしれない。 「ぱちゅりー怒るかなぁ…」 『ぶりーふぃんぐ』は毎日朝夕欠かさず行なわれる。 今からでは完全に遅刻だ。 参加するのはぱちゅりーとドスと『まりさ四天王』だった。 ぱちゅりーは四匹のまりさを見てそう呼ぶことがあった。 なんでも、強い四匹をそう言う風に呼ぶのが 『とれんでぃー』なんだそうだ。 その呼び名は決められていたのだが公然と呼ぶ者は 少なくとも幼馴染のまりさ達の中にはいなかった。 なぜなら自分達は六匹だったのだから。 「大変だよ!日が落ちるよ!」 すでにあたりは暗くなり始めていた。 日が落ちればれみりゃに襲われるということくらい 赤ゆっくりだって知っている。 まりさは一層走る速度を速めた。 「おお、ゆかいゆかい」 唐突にそんな言葉が聞こえてきた。 しかも上からだ。 「ゆぅっ!!??」 空を飛ぶ種族はれみりゃとふらんしかいない。 そう思ったまりさはとっさに戦闘体勢をとる。 複数ならば逃げるしかないが一匹くらいなら何とか応戦できる。 自分には必殺のカウンターだあるんだ、れみりゃなんて怖くない! そう思って上を見上げるとそこにいたのはれみりゃではなかった。 「ゆううう!?あんた誰!?」 「相手に名前を尋ねる時は、まず自分から名乗るものですよ」 そんな言葉が聞こえた瞬間、木の枝の上にいたそいつが急に消えた。 「ゆゆっ!?どこ!?」 「おお、おそいおそい」 きょろきょろと辺りを見回したあと、後ろから馬鹿にしたような声。 振り返るとそこには見慣れないゆっくりがいた。 まりさ自身、そいつを見たことが無かったし誰だか分からなかった。 だが、ゆっくりの本能か、そいつがゆっくりであることだけは分かった。 「まあ、あなたが誰かなど見れば分かりますがね。 私はきめぇ丸と申します」 きめぇ丸と名乗ったその胴付きゆっくりは身体を傾けた不安定な姿勢で平然と立ち 首をヒュンヒュンと左右に振っていた。 「まりさはまりさだよ!何か用!?」 「いいえ?ただ見えたから個人的な感想を述べただけですよ? 話しかけてきたのはあなたの方だと記憶していますが」 相変わらず神経を逆なでするような物言い。 まりさはだんだん腹が立ってきて、声を荒げた。 「まりさは皆の村に帰るところだよ! 邪魔しないでね!邪魔をするなら制裁するよ!!」 「おお、こわいこわい」 そう言った瞬間またきめぇ丸が目の前から消えた。 瞬間移動ではない。ただまりさが目で追いきれないだけだ。 「ゆ?ゆゆうっ??どこ!?」 「こちらですよ」 そう言って振り向くとまた真後ろにきめぇ丸が。 そして、その手に見覚えのある帽子がぶら下がっていた。 「…ゆ?ゆゆうううう!!! まりさのお帽子返してね!!!」 帽子だけではない。せっかく集めた食料も一緒に入っている。 「じゃあ返しますよ」 シュバッと音がした。 頭には食料の入った帽子の感触。 今度は、まりさにも何が起きたのか分かった。 自分のすぐ横を走り抜けて帽子を頭に乗せたのだ。 「ゆ?ゆ?ゆゆ~~~~~!!!??」 「あなたと遊んでもつまらないですね。 そろそろお暇しますよ。 あなたも帰ったほうがいいんじゃないですか?」 そう言うと信じられない速度で木の上に飛び乗り あっという間に見えなくなってしまった。 「ゆ…ゆゆ…」 きめぇ丸との出会い。 これが、隻眼のまりさの転機となることを今は誰も知らない。 ――――同日、日没後―――― 隻眼のまりさは自宅に戻っていた。 今日集めた食糧から貯蔵分を差し引いた残りを 遅い夕食として食べている。 集落に帰ってきてドスの洞窟に行くと 皆がすでにブリーフィングを始めていた。 真っ先にぱちゅりーに怒られた。 遅れたのは事実なので素直に ブリーフィングに遅れてごめんなさいと言うと これはブリーフィングとは反対のデブリーフィングだと 重ねて怒られた。意味はよく分からなかったが。 仲間達はよかった、無事だったんだねと喜んでくれた。 ぷりぷりと怒っていたぱちゅりーも最終的には よく戻ってきてくれたわね、と言ってくれた。 もう少しで捜索隊を出すところだった、とも。 だが、隻眼のまりさはすでにそんなことは記憶の隅っこに追いやって 今日であった奇妙なゆっくりのことを思い出していた。 『おお、おそいおそい』 その台詞を思い出して再びムカッときた。 だがすぐに落ち込んだ。 あれほどの敏捷性を見せ付けられては話にならない。 自慢のカウンターを取ることもできない。 そもそも、大事な帽子をあっさりと奪われた上に あっさりと返されてしまったのだ。 カウンターを取るどころではない。 あいつがその気だったら自分に命は無かったはずだ。 にもかかわらず、こうして生きている。 「ゆぅぅぅぅぅぅ……!!」 実はこの隻眼のまりさ、足の速さにはこだわっていたのだ。 それは、ドスがドスになるよりも以前の話。 自分たちの切り込み隊長であった頃だ。 リーダーは六匹の幼馴染の中で最も足が速かったことを皆認めている。 そして、それが故に体当たりの威力が一番強いということも。 ――――二年前、某日、夕刻―――― これは、あの地獄からさらに数ヶ月前。 ぱちゅりーがこの集落にやってきた頃の話だ。 「長ー!大変だよ!リーダーが戻らないんだ!!」 「ゆゆっ!?どうして!?」 一匹のまりさが長の家に飛び込んできた。 今はまだ隻眼ではないが、例のまりさだ。 当時の長は今は亡きれいむだった。 集落で一番強いリーダーまりさの母であり、数十匹の子ゆっくり達を育てた上で 自立させるまでに至った経緯が皆の尊敬を集め、前の長に推薦されたのだ。 「早くしないとれみりゃに食べられちゃうんだねー!わかるよー!」 「そんなことないんだからね!れいむの産んだあの子は れみりゃに食べられるほど鈍臭い子じゃないよ! 必ず無事でいるはず!皆で探しましょう!」 「むきゅ!駄目よ!探しに行っては!」 ぱちゅりーが長の家の奥から出てきた。 拾われたぱちゅりーは最も子育てのうまいと言われる長の下で暮らしていた。 長は番のまりさを亡くし、子供も皆自立してしまって寂しかったので ぱちゅりーを受け入れることを快諾したのだ。 そして同時に、ぱちゅりーの知識はいずれ必ず集落のためになると。 それを活かす事ができるだけの立派なゆっくりに育て上げるのだと。 「どうしてそんなこと言うの!? リーダーは必ず生きてる!皆で助けないと!」 「だからよ!あなたたちのリーダーはたとえ れみりゃに襲われても自力で戻ってこられるわ! だけどあなた達以外のゆっくりは 今から出て行ってれみりゃに襲われたら助からないわ!」 ぱちゅりーの言うことは正しい。 まりさも言われて頭では納得した。 だが、リーダーが危険な目に合ってるかもしれない。 場合によっては動けない状況にあるかもしれないと思うと いてもたってもられない。 「だったらまりさだけでも!! 今ぱちゅりーはまりさ達以外って言ったよね!? まりさは助けに行っていいんだよね!?」 「む…むきゅぅ…」 思わぬ切り返しを受けてぱちゅりーが言いよどむ。 それを見て仕方がない、というように長のれいむが口を開く。 「分かったわ、貴方は行ってきてもいい。 他のまりさにも声をかけておくから。 でも一晩中探すとかは駄目。れみりゃが来る!危ない!と思ったら すぐに帰ってくること。いい?」 「分かったよ!!」 まりさはそれを聞くやいなや長の家を飛び出した。 ――――二年前、同日、日没―――― 「リーダー!!リーダー!!いるー!!?」 日没のすぐ後。 まりさはまだ森の中にいた。 この時間になると鈴虫が鳴き始めあたり一面が 現在は夜であるというような主張をしている。 「リーダー!!聞こえたら返事してー!!!」 ゆっくり達が『リーダー』という呼び名を使うのは極めて珍しいことだ。 おとうさん、おかあさん、おちびちゃん等は当たり前に使われる。 『長』も必ずいるとは限らないが群れがあれば決して無いとは言えない。 だが、幼馴染同士での『リーダー』という呼び名は通常使われることは無い。 「リーダーーーーーーーーーーーーー!!」 あらん限りに大きな声を出す。 「はあっ…はあっ…はあっ…」 少し立ち止まって休む。 大声で叫び続けて、思い切り走り続けて、まりさは体力が底を突きかけていた。 リーダーを心配する思いから体力配分など考えずに探していたのだから当然だ。 「リーダー…」 少しかれた声でつぶやく。 幼馴染六匹の中で最も足の速かったリーダー。 自然、移動する時はいつも皆の先頭に立っていた。 自分は二番だ。 リーダーの背中を見失わないように そして誰にも二番を渡さないように ただひた走った。リーダーの背中を追って。 追い抜けたことは一度も無い。 それでもよかった。 リーダーは自分が一番であることを特別なことではないと言っていた。 空を飛ぶれみりゃの速度には敵わないし 結局六匹全員がついてこれているのだ。 狩りや戦いでは皆の力を合わせなければならない。 だからこそ自分が速ければいいのではなく 皆が、全員が速くなれればいいのだと。 だからこそまりさは追いつこうとは思っても 追い抜けなくてもいいと思っていた。 一番になるのは特別なことじゃない。 皆で走れることが特別なのだと。 「リーダー…」 そしてこうも言っていた。 皆で走れることが重要なんだ。 だから一人で走るな。 たとえ誰かのためであっても今いる皆と走ることを考えろと。 それが意味することをまりさは今気付けた。 「リーダーぁ…!!」 自分はこれ以上走ると疲れて集落に戻れなくなる。 それに長と約束したんだ。 危ないと思ったら戻れと。 まりさは涙が止まらなかった。 今ここで前に進めば自分は生か死だ。 でも戻れば高い確率で命が助かる。 でもリーダーは? 少ない可能性であっても助けに行くべきじゃないか? 今、リーダーはあと少し進んだ先で助けを求めているんじゃないか? そんなことは分からない。 分からないから、戻るしかない。 まりさは歯を食いしばって集落の方向に向かって走り出した。 リーダーではなく、約束を守るために。 ――――二年前、翌日、朝方―――― まりさは沈んだ思いのまま眠りについて次の朝を迎えていた。 眠らずにリーダーを待とうと思ったが疲れていたので眠ってしまった。 そして朝日を見たまりさはすぐに長の元へ向かっていた。 「長!!長!!リーダーは!?」 長の家の前で大声を出す。 出てきたのは長ではなくぱちゅりーだった。 「戻っていないわ…」 「………っ!!」 まりさは歯噛みする。 しかし取り乱すことは無かった。 予想できた結果なのだから。 「まりさ、あのね…」 「うるさい!!」 「むきゅ!!」 大声を出してぱちゅりーを黙らせる。 八つ当たりではあるが、今のまりさには我慢ができなかったのだ。 「まりさ!聞いて!」 「何!?」 再び大声を出す。 一瞬びくっとしたぱちゅりーだが再び口を開く。 「長からの伝言よ。 日が昇ったらあなた達のリーダーを探しに行ってもいいって。 勿論日が沈むまでだけど…」 「…わかったよ、ありがとう」 まりさは背を向けて歩き出した。 今から探す?気休めもいいところだ。 夜間はれみりゃやふらんが飛び交ってまりさ達を探している。 奴らだって生きるためなのだ、必死で探しているだろう。 そして一匹でいるところを見つかれば、助かるはずが無い。 今から探すことができるのは、リーダーではなくリーダーの死骸だ。 そんなことを考えながら昨日行った森へ もう一度探しに行こうと考えいていると 「皆ー!!ドスだ!!この群れにもドスが来てくれたよー!!!」 「…!?」 群れのちぇんがそんなことを言いながら走ってきた。 まりさはぱちゅりーと顔を見合わせると ちぇんが来た方向へと走っていった。 「みんなー!ただいまー!!」 「…え?」 まりさは思わず間抜けな声を出してしまった。 そこにいるのはまごう事なきドスだ。 体長は2メートル前後。体重は数十キロに及ぶだろう。 だが問題は、その見たことがある黒いトンガリ帽子。 「リー…ダー……???」 「まりさ!!うん!!そうだよ!!リーダーだよ!! まりさもドスになれたんだよ!!」 ――――二年前、同日、夕刻―――― まりさ達のリーダーを探しに行っていた皆も戻ってきて リーダー帰還とドスの登場にお祭り騒ぎとなっていた。 ぱちゅりーが人間の世界で仕入れていた情報によると ドスになる条件の一つに屋外で一晩寝るというのがあるそうだ。 家の中にいては巨大化できない。それはある種理解できる。 そしてもう一つ。 身体能力が十分備わっていること。 これも理解できる。 自分達幼馴染六匹は群れの中で屈指の実力者だったし なんといってもリーダーはリーダーだ。 村の中で一番強かったと言ってもいい。 他にも条件があるかもしれないが、人間にも 全てが分かっていなかったそうだ。 ぱちゅりーに言わせれば、れみりゃに襲われなかったことも含めて 運がよかっただけかもしれないと言っていたが まりさとしては最強がより強くなっただけなので それほど疑問を持たなかった。 その後あれよあれよという間にリーダーは長に祭り上げられた。 元村長のれいむの推薦もあり、トントン拍子に話は進んだ。 でも、件のまりさはちょっと複雑な気持ちだった。 自分が背中を追い続けてきたリーダーは皆のリーダーになってしまった。 リーダーがドスになったことが嬉しくないはずがない。 村長になったことも祝福すべきことだ。 ドススパークで岸壁に穴を開けるのには自分だけでなく皆が狂喜乱舞した。 でも、一つだけ。 新しくできたドスの家に向かうリーダーと一緒に走ったら あろうことか、追い抜かしてしまったのだ。 え?と思って振り返りどうしたの、と聞いてみると 照れたような、困ったような笑顔を浮かべながら 大きくなって跳ねるのが億劫になった、と これからはまりさが一番前を走るといいよ、と言っていた。 まりさは、それがショックだった。 一番になることは特別なことじゃないというのはリーダーの言葉だ。 でもリーダーが一番であることは、やはりまりさにとっては 特別なことだったのだ。 ――――元の日付、同日、深夜―――― あれから、まりさは走る練習を繰り返した。 体当たりを磨きに磨いた。 リーダーの言葉はいつだって正しかったけど やっぱりまりさにとって一番はリーダーであって欲しかった。 そしてリーダーを追い抜いてしまったことで一つの目的ができた。 それは誰にも抜かれないこと。 今の自分が一番速い存在であること。 もし、自分が追い抜かれてしまえばその時はリーダーが追い抜かれる時だ。 少なくとも二番目に足の速かった自分が追い抜かれない限り あの時のリーダーは最速のままだ。 しかし、その誇りもあっさり砕かれてしまった。 れみりゃは別だ。確かに直線移動は多少速いかもしれないが動作は遅い。 自分にカウンターが取れるくらいなのだから。 だがあいつは? あんなに速いなんて反則だろう。 走って走っていつかはれみりゃより速く走ってやるなんて思いはあったが あそこまで速く走るなんて想像もつかない。 だがあいつもゆっくりだ。自分にもできないはずがないんだ。 自分には何が足りないんだ? 練習?冗談じゃない。自分は走る練習を怠ったことなどない。 才能?冗談じゃない。自分はともかくドスになれたリーダーが才能に優れていないはずがない。 食料?冗談じゃない。この森で取れるものは殆ど食べたことがある。 じゃあ何が足りないんだ。 あのきめぇ丸とか名乗った奴は胴付きだった。 胴があればいいのか?でも、空を飛んでいた以上 あの長い足があるかどうかはあまり関係ないのだろう。 再びあいつの顔が浮かんできた。 腹が立つ。記憶の中のあいつはとてもゆっくりした顔をしていた。 ……………………………ゆっくりだって? 冗談じゃない。自分は今速く走る方法を考えているんだ。 ゆっくりしている暇などない。 まて、自分達は狩りをするのも番を見つけるのもゆっくりするためだ。 いや、ゆっくりしていたらあいつだけじゃない。れみりゃにだって食われるかもしれない。 ゆっくり?ゆっくりってなんだ? そこまで考えたとき、隻眼のまりさの頭の中にあるパズルのピースが 例の違和感のあった隙間に、ぴったりはまるのを感じた。 続く あとがき 過去パートばかりでなかなか先に進めませんね。 決して急ぐ意味もないんですが。 あと第一話のところで『プロローグを見てください』と 書くのを忘れてしまいました。なんてこったい! それになんかいまひとつ人気ないですねー。 結構ここで書こうとしているテーマ気に入っているんですが…。 まあそんなこんなで皆様のお目汚しになっているかもしれませんが 非公式の感想掲示板などでもいいので悪いところを指摘してもらえれば もっと面白くなるかもしれませんし 再生数が伸びれば私もフオオオオオオオオオオオッ!!と やる気が出るのでお時間があれば応援していただければ幸いです。 催促するのもどうかとは思いますが。 最後に、この作品を読んでくださった全ての方に無上の感謝を。 私がここに投稿させて頂いた作品一覧 anko3052 ゆっくり駆除業者のお仕事風景 anko3053 ゆっくり駆除業者のお仕事風景2 前編 anko3054 ゆっくり駆除業者のお仕事風景2 後編 anko3060 ゆっくり駆除業者のお仕事風景3 anko3061 隻眼のまりさ プロローグ anko3075 隻眼のまりさ 第一話 anko3084 ゆっくり駆除業者のお仕事風景 幕間