約 293,158 件
https://w.atwiki.jp/ebmr/pages/106.html
『店番君の記録』 作者 お留守番 ◆nw9q++hB 半分ギャグみたいなもんだし底クオなんで気に入らない方はスルー推奨 エロ薄い 店番君は、人に作られたという事以外は一般的なゴーレムである。 エレナのという少女に作られた、店番用ゴーレム。 ガンカタが出来るとか、店の物を盗もうものならターボス○ッシャーパンチが飛んでくるやら、時々「俺達が地獄だ!」と聞こえるなど。 変わったうわさが絶えないが、主に忠実な言いゴーレムである。 そんな彼は今、かなり困惑していた。 「んっ……! あっ……あんっ……あぜ……るぅ……」 朝、いきなり主が今日は自分も店番をするといいだした。 いつもの生活リズムでは、彼女はもうそろそろ風呂に行く時間であったのだが。 まさかの主の奇行に、店番君が困惑しなかったわけではない。しかし、主が早起きをするのはいいことだと、好きにさせる事にした。 そしてしばらくたって。 「くふっ……んっあっ……!」 苦しそうに息を荒げ、もだえる主。 一体何が起こっているのか。 店番君には緊急時の為に簡易的に診察できるシステム(あくまでも簡易)が内蔵されていたりするので、それを使って主の診察をしたが、体温が上がり、心拍数が上がっている以外特におかしな点は無かった。 どうやら、手で股を擦っているようだ。 店番君はなにがなんだかわからず、首をかしげる。 「あぜるっ……あぜるぅ……!」 先ほどから執拗にこの店の常連の少年の名を呟いている。 彼に会いたいのだろうか? それとも彼がこの状況の原因か? そんな事を考えていた店番君であったが、ドアが開く音に気が付き、そちらを向く。 「おーっす、店番君。 あれ、エレナもいるのか?」 「へ、あ、あぜ、あぜる?」 「お、おう……どうした? なにかあったか? 顔、真っ赤だぞ?」 「べ、別に何でもないからな! あ、あ、赤くなんかないし!」 世界を救い、幼馴染であるソニアと言う少女(アルバイター)と最近分裂した少年。 主のエレナとも仲が良く、この店の常連でもある。 「はいはい、っていうかお前この時間帯って寝てなかったか? ま、たまには普通の生活リズム刻むのもいいけどな」 「そ、そういう気分だったんだよ!」 「そっか、ならしかたないな。 あ、そうだ、ちょうどいいや。 ほら、前頼まれてた鉱石、とってきたぞ」 そういって彼が取り出したのは無数の鉱石。 プラチナを始めとして、各種宝石や結晶。 彼がここに立ち寄る原因の一つとして、エレナとアゼルの間にある契約があるのだ。 『鉱石はこっちに優先的に売ってくれよな!』 何気なく主が店で放った一言なのだが、それを忠実に守り、そして度々差し入れも持ってくる。 ただの口約束でしかないのだが、店番君はこれを契約と称している。 「あ、ありがとう。 うわ、これとかすっげー……」 「あ、あとコレ差し入れな。 リラックス茶の葉」 鉱石と一緒に紙にくるまれた葉っぱを差し出される。 リラックス茶の葉という、その名の通りリラックスするお茶の葉っぱである。 「リラ茶か。 兄貴が喜んで飲んでたからな。 有り難くもらっとくぞ」 「そっか。 なかなか俺の料理スキルも捨てたもんじゃないな!」 途端笑顔になるアゼルに、エレナはうつむいて赤面する。 何やら、店番君は疎外感を感じ少しだけ寂しくなった。 アゼルは双剣と槍を購入して、「またくるよ」と言い残して去って行った。 その際、エレナは執拗にお釣りを渡す事にこだわっていたので、任せてみた。 「はぁ……アゼル今日もかっこよかったなぁ……」 独り言が先ほどから絶えない。 まぁ、今日は客の入りもあまりないからいいのだが、この発言は店番君にも分かるくらい少々恥ずかしいものだ。 店番君だけだという事を認識してるから言っているのかそれとも……。 後者ならば絶対に止めねばならない。 主に主のイメージ的な意味で。 「えへ、手、触っちゃった……♪」 そう、先ほどお釣りを渡す時に、彼女はアゼルの手に触れ、しっかりとした手渡しをしていた。 顔がどんどん紅潮していき、眼が潤んでいく主。 先ほどと同じ現象である。 「あっ! んふっ……んんっ……!」 カウンターに下半身が隠れるようにイスに座ると、再び先ほどの行為を再開する。 今度は服をめくり上げ、胸をいじりながら。 「あぜるは……やっぱり大きい胸の方が好きかな……」 つぶやきながら、少々控えめな胸を揉んでいく。 店番君はとりあえず傍観する事にした。 ますます息を荒げ、顔を紅潮させて行くエレナ。 「ふっ……んあっ……! あぜる、あぜるすき……!」 いきなり少年に対する好意を吐露し始めた主に、店番君は更に困惑する。 そして、この行為について、一つの単語が頭をよぎる。 「あっ、あっ! あぜるっイク、イク……イっちゃ……ふあああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!」 “自慰” なるほど、主はアゼルに好意を寄せていたのだ。 つまり、交尾がしたいのだろう。 素直でない主の事だから少年に言いづらいのだろうなと、店番君は推測する。 つまるところ、主と少年に交尾をさせれば万事解決という極論に至った店番君が、エレナとアゼルの関係に嵐を巻き起こす事になるのだが……。 「あぜる、あぜるぅ……! あぁんっ!」 アゼルを想い自らを慰めている彼女に、そんなことがわかるはずもなく。
https://w.atwiki.jp/ebmr/pages/8.html
動画(youtube) @wikiのwikiモードでは #video(動画のURL) と入力することで、動画を貼り付けることが出来ます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_209_ja.html また動画のURLはYoutubeのURLをご利用ください。 =>http //www.youtube.com/ たとえば、#video(http //youtube.com/watch?v=kTV1CcS53JQ)と入力すると以下のように表示されます。
https://w.atwiki.jp/ebmr/pages/82.html
作・チー トリップ ◆4zPNxIYG0w とある休日・・・ 「うわあ~!やっぱり海はきれいだー!」 「はは、はしゃぎすぎて落ちないようにね。ララ。」 「ふふ・・・子供は元気ですね、あなた。」 僕と、シア、ララの三人は、家族で海の見える広場に来ていた。 「シアさんも十分元気だと思いますよ?」 「あなた・・・私が子供っぽいとでも・・・?」 「じょ、冗談ですよ・・・。アハハ・・・。」 「そうですよね・・・。ふふふフフフ・・・。」 「シ、シアさん?なんだか怖「パパ~!こっちこっちー!」 「ほら、お呼びですよ、お・う・じ・さ・ま。ふふ。」 「それはやめてくださいよ・・・ なんだい?ララ。」 「パパ!肩車して!」 「うん。いいよ。」 いや~・・・和む!いつもの疲れが嘘みたいだ。 ん?そうか。やっぱりララも女の子なんだな。 なんか・・こう、いいにおいが、身体からすぅ~っと・・・ 「あなた?何か変なこと考えたり・・・してませんよねぇ?」 「い、イヤイヤ!微塵も!これっぽっちも!毛の先ほども!」 「そうですよね・・・。ならいいです。」 はあ・・・危なかったぁ 「あ、ララちゃんだー!こんにちは!」 「こんにちは、ララちゃん。」 「ショコラお姉ちゃん!ラスクお兄ちゃん!」 「ショコラ、ラスク、二人そろってどうしたの?」 「食後の運動だよ!」 「僕は姉ちゃんに、野菜をたくさん食べさせられて・・・リフレッシュにね。」 「何よ!ラスクのためを思って食べさせてあげたんじゃない!」 「そう思ってるなら無理矢理はやめてよ!」 「う、うるさい!だいたいラスクが・・・」 全く、二人は相変わらずというか・・・ 「いいなー。私も兄弟がほしいな・・・」 なんて、ララがつぶやいているのを、シアさんも聞いていたらしい。 (つまりそれは、子供を作れと・・・って、いやいや、ララは深くは知らないよな。うん。) そんなことを考えながら、シアさんを見ると、顔が赤く、少しうつむいていた。 同じ事を考えていたと思うと、僕まで赤くなってくる・・・ 「マイス君・・・顔赤いよ?大丈夫?」 うわっ! 「だ、だだだ大丈夫!ちちちょっと熱いだけだから!」 「暑いって・・・今、冬だよ?」 「う、運動したからね!そろそろ帰ろうかなー!アハハ!」 「そ、そう・・・。じゃあね!」 「あ、待ってよ姉ちゃん。じゃあね。」 「うん。さよなら。」 さてと・・・ 「シアさん、ララ、帰るよ?」 「はーい!」 「え、あ!はい・・・///」 すいません・・・ ↑の省略部分です。 なんて、ララがつぶやいているのを、シアさんも聞いていたらしい。 (つまりそれは、子供を作れと・・・って、いやいや、ララは深くは知らないよな。うん。) そんなことを考えながら、シアさんを見ると、顔が赤く、少しうつむいていた。 同じ事を考えていたと思うと、僕まで赤くなってくる・・・ 「マイス君・・・顔赤いよ?大丈夫?」 うわっ! 「だ、だだだ大丈夫!ちちちょっと熱いだけだから!」 「暑いって・・・今、冬だよ?」 「う、運動したからね!そろそろ帰ろうかなー!アハハ!」 「そ、そう・・・。じゃあね!」 「あ、待ってよ姉ちゃん。じゃあね。」 「うん。さよなら。」 さてと・・・ 「シアさん、ララ、帰るよ?」 「はーい!」 「え、あ!はい・・・///」 その後、自宅にて・・・ 「ZZz・・・」 「ふふふ・・・ララったら、ご飯を食べたらすぐに寝ちゃいました。」 「じゃあ、僕も寝ようかな・・・」 「そうしてください。おやすみなさい、あなた♪」 「うん。お休みなさい、シアさん。」 はぁ・・・ベッドは気持ちいいなあ・・・ もう・・・眠く・・・ <ゴソゴソ・・・>ん?何の音だろう? (ふにゅっ♪) ん?そんな擬音が似合う感触が・・背中に・・・。 寝ぼけてて良く分からないけど・・・気持ち良いなあ。 「んん・・何だ?」 寝ていた体を起こすと・・・ 「あん・・・ふふ、ちょっと感じちゃいました・・・」 そこには、生まれたままの姿のシアさんがいた。 たしかに、夫婦だし、一緒に寝ててもおかしくないけど、 「・・・なんで」 何で裸なんだ! 「今日ララが言ってましたよね・・・」 「えっと、確か{私も兄弟がほしいな・・・}でしたよね?」 つ、つまり、まさか・・!? 「ええ。なので・・・その、しましょう?」 どうしよう!あっちからのお誘いなんて、受けなきゃ男じゃない! けど・・・自分を抑える自信がない・・・ いや、でも!でも!ララのために、ここは! 「分かりました。それじゃあ・・」 僕は、シアさんを押し倒しながらキスをする。 「ん・・・ちゅっ・・」 一回目はソフトに、二回目はお互いの唾液をすい尽くすぐらい濃厚に。 「んん・・・じゅろぉ・・・ちゅるる・・はあっ・・ふふふ、」 互いの口から唾液が糸を引き、下のシアさんに垂れ落ちる。 「あなた・・・これでも今日のように子供っぽく見えますか?」 シアさんの顔は、妖艶で、淫らで、扇情的で・・・生唾モノだった。 「ふふふ・・・もう勃っちゃってますよ?」 僕のペニスを、シアさんが手でしごいてくる。 僕の先走りがあふれて、手の滑りをよくする。 「手だけでこんなに・・・ふふ、可愛い♪ちゅっ♪」 そういうとシアさんは、僕のペニスに口づけをした。 「うあっ・・・」 「あら?声が出ちゃってますよ・・・?」 だ、だって、溜まってたから、興奮しちゃって・・・ 「す、すいません・・・気持ちよくて、つい・・・」 「じゃあ、もっと気持ちよくしますね。れろ・・・」 と、シアさんは僕のペニスを舐め始めた。 「れろ・・・ふふ。ここも舐めちゃいます。ころ・・はむ・・・」 「シ、シアさん!そこは・・・あっ!」 シアさんが・・ぼ、僕の、睾丸を・・・これ、もう出そうだ・・・ 「ひゃっ・・・ビクビクして・・・もう出そうですか・・?」 「は、はい。もう・・・」 「ふふ・・・いつでもいいですよ?・・れろおおおおっ!」 僕の竿の根本から亀頭の先端まで、一気に舐めあげてきて・・ 「で、出る!」 ビクッ!ビュクゥッ! 「あっ!きゃあっ!」 瞬く間に精液がシアさんの顔を白く染め上げる。 「わあ・・・濃おぉい・・・」 トリップしたようなシアさんに興奮して、またペニスが硬くなる。 「ふふ・・・次は、一緒に気持ちよくなりましょう?」 「はい・・・いきますよ・・・」 軽く抱き合い、腰を一気に押し出す。 ズッ・・・ズブウウウウ! 「あっ!一気にそんな奥は・・・ひゃあああん!」 精液まみれの顔が、快楽で狂喜している。 シアさんの中は熱くて、気を緩めると出てしまいそうだ。 射精感を抑えながら、欲望のままピストンを始める。 ズン!ズン!と打ち付けるたびに、搾り取る様に膣が締め付ける。 「ああっ!ふあっ、あ、なた!あなたぁ!」 狂ったように僕を呼ぶシアさんに、僕は 「くうっ・・・シアさん、とてもエッチな顔ですよ?いたずらしたくなっちゃいます。」 と、人差し指と中指で、顔の精液を集め、シアさんの口へと運ぶ。 「あっ!んむっ!じゅ、じゅるううう!」 僕の指ごと、精をむさぼるシアさん。 それにあわせ、膣の収縮もきつくなる。でも・・・ ずるっっ! 「え?」 僕は、指とペニスを同時に引き抜いてしまった。 「なんで・・・あ、あなたぁ・・・あっ!」 そして、仰向けになった僕の上にシアさんをうつぶせに乗せる。 右手でシアさんの腰を持ち上げ、ペニスの角度を修正し・・・手を離した。 グチュッ! 「あああああ!ふあっ、いああああ!」 シアさんの全体重がペニスにかかり、そのまま中にはいる。 思いがけない衝撃に、シアさんはすぐイってしまう。 それに構わず、下から思いっきり突き上げる。 「やあっ!まっ、て!まだ・・ひゃあ!」 さっきよりも深く、子宮の奥まで突き上げる。 「~~~~~!」 (ギュウウ!) 声が出ないくらい気持ちいいようで、僕に強く抱きついてくる。 シアさんにキスをしながら、僕は腰を振り続ける。 「ん!んむっ!じゅっ!じゅるる!んんんんん!」 さらに締め付けるシアさんの中に、僕はもう限界だった。 「はあっ・・・シアさん!もう出ます!」 「ぷはっ!来て、ください!私、の!子宮を、精子で、一杯に!して!ふあああ!」 どぷっ!びゅく、びゅるるる! 「ああああ!熱いのが、中、中にいいいい!」 ビクビク・・ビク・・・ シアさんも一緒にイって、そのまま気を失ってしまったようだった。 はは・・ちょっとやりすぎたか・・・? でも、そんなことを考える間もなく、僕も眠ってしまった・・・ 「よかったね。大樹の坊や。可愛い女の子だよ。」 約一年後、シアさんに子供が生まれた。 「ふふふ。見てください。あなた。可愛いですよ?」 「当然ですよ。僕たちの子なんですから。」 「そうですね。そうだ、お名前をつけないと・・・」 「そうですね・・・トートなんてどうです?」 「トート・・・いい名前でよかったね。トート」 これでララも満足するだろう。よかったよかった。 「あなた、大事に育てましょうね?」 「もちろんだよ。」 トートを連れて家へ帰ると、ララはとても喜んでくれた。 「シアさん、無事生まれてよかったですね。」 「ええ、この調子で・・・三人目も頑張りましょう?」 「ふふふ・・・はい。」 僕はシアさんに、口づけをした。
https://w.atwiki.jp/ebmr/pages/104.html
◆こまめ氏の投稿SSまとめ ■レスト×クローリカ ■レスト×コハク
https://w.atwiki.jp/tippunderu/
牧場物語 攻略ページへようこそ!! ここでは、『牧場物語やすらぎの樹』の攻略を載せていきます。 …ご挨拶… 初めまして。攻略サイト作ってる管理人ですが、実はまだ初心者です;; 間違ってる、不十分だという所があると思ので、そこは大目に見てくださると嬉しいです。 …ご注意… ■ この攻略ページの情報を、勝手に他のサイトに記載しないでください。 ■ もちろん、自分のサイトにも持っていかないでください。 …やすらぎの樹… 只今2年目秋の月7日 チハヤと結婚しましたー!!
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5787.html
「うーん、いい天気ね」 日曜日の昼、外は快晴、不思議探索にはもってこいよ。 こういう時にはまずキョンに電話ね。今ちょうど12時か。2時集合にしよう。 うーん、なかなか出ないわね。たるんでるわよ、キョン! 「遅ーい、何やっているのよ、キョン!」 「……ハルにゃん?」 あれ、妹ちゃんだわ。 「そうよ、こんちは。キョンは?」 「今、病院に行っているの」 「病院? 何かあったの?」 「ウン、お母さんが倒れちゃって……」 「エッ、どうしたの? 病気?」 「ウウン、今日朝比奈さんがお父さんと一緒に来たの」 なんで、みくるちゃんのお父さんがキョンの家へ…… 「あのね、お兄ちゃんが朝比奈さんをニンシンさせちゃったんだって」 ……キョンがみくるちゃんを妊娠させた……何よ、それ…… 「それで朝比奈さんのお父さんが 『娘はまだ高校生なんだから子供は堕ろさせる、いいね』って言ったの。 お兄ちゃんが『……ハイ』って小さな声で答えた途端にお母さんが倒れちゃって……」 ……子供を堕ろす…… 「ねえ、ハルにゃん、『子供を堕ろす』ってどういう意味? 赤ちゃんは大丈夫なの? ねえ、ハルにゃん?」 あたしは妹ちゃんの問いかけに答えることもなく携帯を切った。 そ、そんな、バカな…… キョンがみくるちゃんを妊娠させただなんて…… そんなの信じられない! でも、キョンはいつもみくるちゃんのことを見ていた…… 今年初めだって、ハカセくんが二人がデートしているのを見かけたのよね。 きっと、それ以外でも頻繁に会っていても別に不思議ないわ。 キョンはあたしのことなんか全然気にしてくれなかった。 いつも、キョンはみくるちゃんのことをかばっていた。 あたし、そのたびにどんどん嫌われていったのかな。 そう言えば、みくるちゃんは今週落ち着かなかった。 あたしとキョンの方をチラチラみていたわよね。 あれは妊娠がわかったから? でも、なぜあたしのことも見ていたの? みくるちゃんはあたしの気持ちに気付いていたのかしら。 あたしがキョンのことを好きなことを知っていたのにキョンと…… バレンタインデーの頃にはもう付き合っていたの? あたしが一生懸命プレゼントを作っても無駄なことだってわかっていたの? ひどい! みくるちゃん、ひどすぎるよ! みくるちゃん! なんで、キョンなのよ! みくるちゃんなら他にいくらでもいい相手がいるでしょう。 ……あたしにはキョンしかいないの。 キョンなんかどこが良かったのよ。 バカでスケベでいつも文句ばかり言って…… でもいつもあたしのそばにいてくれた…… キョンといるとそれだけで楽しかった…… どうすれば、キョンはあたしのことが好きになってくれたのだろう。 もしやり直せるのなら、あたし、キョンが望む女の子になる…… …… でも無理よね。あたしがみくるちゃんになれるわけなんかない。 それに、もう遅いわよね。 もう、みくるちゃんのおなかの中にはキョンの子供までいるんですもの。 今さらどうにもならない…… そんなことわかっているはずなのに……涙が止まらない…… もし、みくるちゃんさえいなければ…… …… 嫌! 自分がこんなに嫌な醜い人間だったなんて…… …… それに、たとえ、みくるちゃんがいなくても、キョンはあたしのことなんか見てくれないよね…… 有希、それとも佐々木さん……鶴屋さんとも仲がいいし…… あたしのことなんか…… あの時みたいにキョンと二人だけの世界に行けたら…… 二人だけの世界なら、あたしを選んでくれるよね。 ……やっぱ、ダメ。 あの時だって、キョンは二人だけの世界から元の世界へ帰りたがっていた。 あたしとキョンの間には結局何も無かった。 あったことと言えば、あの夢だけ? まるで小学生みたいよね。 夢の中のキスだけしかなかったなんて、キョンから見れば何も無かったということだものね。 一度だけでいいから抱き締めてもらいたかった…… …… ウウン、一度だけでもいいなんて嘘よね。 一度でも抱き締められたら、きっとずっとそばにいて欲しくなるに決まっているわ。 キョンはもう、みくるちゃんだけのものになってしまった。 もう遅いのよね。 キョン、キョン、ずっとそばにいて欲しかったのに。 みくるちゃんとキョンの赤ちゃん、きっと可愛いだろうなあ。 みくるちゃんが赤ちゃんを抱いている姿が頭に浮かんでくるわ。 その傍らにはキョンが、優しくてあたたかい視線で二人を見守っているの。 その姿があたしの頭から離れない。 ……あたし、キョンと結ばれて、キョンの子供を産みたかった。 キョンならきっと優しくしてくれたはず。 キョンがみくるちゃんを好きでもいい。あたしもキョンに抱かれたい! …… ウウン、やっぱり違う。キョンに愛されなきゃ嫌! 体だけの繋がりなんて嫌! ……でも、もう遅いのよね。 キョン、赤ちゃんを堕ろすって本当なの? キョンの子供なんでしょう。 絶対に命を奪うようなことをしてはダメよ! もし、キョンとみくるちゃんが育てられないのなら、あたしが育てたっていい! 一生結婚なんかしない。 キョンの子供なら絶対に絶対に大切にする。 もうあたしにできることなんてそんなことしかないのだから…… だから産んで、お願いだから…… 結局、一睡もできないまま朝を迎えてしまった…… 顔を洗いに洗面台に行き自分の顔を鏡で見た。 泣き腫らした眼、目の下にできたクマ、乱れた髪…… 最悪の朝ね…… ハー、いつかのハルヒの言い草じゃないが、今日ほど休みたいと思った事は無いね。 ただでさえ月曜の朝は気だるいのに、昨日の騒ぎは肉体的にも精神的にもこたえたぜ。 教室に着いてハルヒの様子をうかがうと、不機嫌MAXだ。 妹の話ではハルヒから電話があったそうだが、どうせ不思議探しの招集だろう。 俺が行かなかったせいでゴキゲンナナメというわけか。 俺にだってよんどころのない用事があったわけだが、ここは大人の対応といくか。 俺は精一杯の作り笑いを浮かべながら、 「よお、ハルヒ、おはよう」 ハルヒは俺の方を振り返ると、スクッと立ち上がり、 「キョン! あんた、ニヤニヤしていられるような立場なの!」 ウン? ハルヒは俺のネクタイをつかみながら、 「あんたが妊娠させたんでしょう! きちんと責任を取りなさいよ!」 ハルヒの両方の目から大粒の涙がこぼれおちている。 く、苦しい、ネクタイを引っ張るな、息ができない。 「おなかの子に何の罪も無いのよ。 それを堕ろそうだなんて、あんた、それでも人間なの!」 このままだと、まもなく元・人間になってしまいそうだ。 いつの間にか、担任の岡部が教室に来ていた。 「お、おい、涼宮」 「うるさい!」 ハルヒは岡部を一喝すると、ネクタイをつかんだまま、俺を部室へと引きずっていった。 もし北高が阿房宮並みの広さだったら、俺は絶命していたに違いない。 部室に着いて、やっと解放された。 「キョン! あんた、どうするつもりよ!」 ゼーゼー。 「みくるちゃんを妊娠させて、しかも堕ろさせるなんて、絶対に許さないから!」 俺が朝比奈さんを妊娠させた? そんな夢みたいな……いや、信じられない話があるわけないだろう。 「シラをきるんじゃないわよ。昨日、妹ちゃんから聞いたんだからね。 『お兄ちゃんが朝比奈さんをニンシンさせちゃった』ってはっきり言っていたわよ!」 ……ああ、なんだ、そういうことか。 ハルヒ、うちの妹はおまえと同じで、俺のことを「キョンくん」、朝比奈さんのことを「みくるちゃん」と呼ぶだろ。 「それがどうしたのよ!」 妹が言っていた「お兄ちゃん」というのは俺のことじゃない。そう呼んで欲しいのはやまやまだがな。 「嘘! あんたは妹ちゃんと二人兄妹じゃない!」 去年の夏休みに田舎で従兄妹や甥や姪の相手をしたと言っただろう。 俺には、妹の他に、二人の子持ちの姉貴と大学生の兄貴の二人の兄姉がいる。 「……じゃ、じゃあ、妊娠させたのは……」 大学生の兄貴だ。東京の大学に通っている。 二人とも普段は地元を離れているからハルヒとは会った事がないはずだ。 ついでに言っておくと、朝比奈さんというのは東京の女子高生で兄貴の恋人だよ。 こっちの朝比奈さんと偶然苗字が同じだからまぎらわしいけどな。 以前、一度ウチに遊びに来たこともある。そういえば、ふわふわした雰囲気は似ているかな。 うん、どうしたハルヒ? どうやら誤解は解けた……ようなのだが…… ハルヒはペタンとその場に座り込んで泣きじゃくっていた。 こいつ、まさか、俺と朝比奈さんのことを嫉妬して、あんな暴走を…… そういえば、忘れもしない、あの閉鎖空間ができた時も…… 「ハルヒ、俺にとって朝比奈さんはアイドルみたいなものだ。 憧れてはいるが、恋愛対象じゃない」 「……だったら、キョンは誰が好きなの?」 ハルヒが真顔で正面から俺を見つめている。 お、おい、待て。 「あたし、つらかった。 キョンがもうあたしのそばからいなくなってしまう、そう思うと一睡もできなかった。 キョン、あたし、キョンのことが……好き…… ずっと、そばにいて欲しい……」 最後の方は完全に涙声になっていた。 俺はハルヒの思わぬ告白に言葉を失った。 ハルヒはそんな俺の沈黙を拒絶と受け取ったのか、顔をうつむかせ肩を小刻みに震わせた。 断言しよう。 100人の男がいれば95人は俺と同じ行動を取るはずだ。 残りの5人? そいつらはゲイだ。 ハルヒが言うんだから間違いない。 俺はハルヒの前にひざまづき、ハルヒをギュッと抱き締めた。 ハルヒは一瞬体を硬くしたが、すぐにその柔らかい体を俺に委ねてきた。 俺はハルヒと唇を重ねた。 ずっとこのままでいたい…… ハルヒも同じ気持ちだったのかもしれない。 いったいどれだけの時間俺たちはキスをしていたのだろう。 やがて、唇が離れた。 「……バカキョン、あたしのことが好きなら最初からそう言いなさいよね」 多少はいつものハルヒらしさが戻ってきたようだ。 でも、真っ赤な顔で涙を拭きながら言われてもなあ。 「ねえ、キョン、一つ聞いてもいい?」 なんだ? 「もし、あたしたちもお兄さんたちのようになったら、キョンならどうする?」 もう妊娠の心配か? 俺なら、ハルヒとおなかの赤ん坊と俺の三人が何とかして幸せになる方法を必死で考えるよ。 「考えるだけ?」 行動力なら、ハルヒの方があるだろう。 ハルヒがふき出した。 「……バカキョン」 今日初めてハルヒの笑顔を見たような気がするな。 「ねえ、そう言えば、お兄さんたちの話はどうなったの?」 えーと、オヤジがオフクロを病院に迎えに行って……もうすぐ昨日の話し合いの続きが始まる頃だな。 「キョン! 行くわよ!」 どこに? 「あんたの家に決まっているでしょう!」 ハルヒが何を考えているのか俺には当然わかる。 それが兄貴たちや周囲の者にとって最善の選択なのかどうか、俺にはわからない。 だが、ハルヒの考えに俺も賛成だ。 ハルヒと俺は坂道を駆け下りて行った。 ハルヒは走りながら携帯でどこかに電話をかけている。 俺の前にいるからどこにかけているかわからないが、器用な奴だ。 駅前の駐輪場に着くと、ハルヒは荷台に飛び乗った。 俺は我が家に向けて全速力で駆けて行った。 おい、ハルヒ、そんなにくっつかれると、その柔らかいものが…… 「エロキョン、そんなこと気にしている場合じゃないでしょ! それにキョンになら……」 語尾が聞き取れなかったのだが。 「早く行けって言ったのよ!」 やれやれ。 ウチにつくと応接間から、朝比奈さんのお父さんの声が聞こえる。 「私の考えは変わりません。娘はまだ高校生です。子供は堕ろします。いいですね」 バーン ハルヒは応接間のドアを力一杯開けた。部室のドアじゃないんだから、もう少し静かに開けてくれ。 「ちょっと待った!」 「ハ、ハルヒちゃん?」 オフクロが驚いている。まあ、当然だ。 「君は誰だね?」 朝比奈さんのお父さんも突然の闖入者に驚いている。 ハルヒは初対面のはずの兄貴を指さし、 「あたしは彼の弟が入っているSOS団の団長よ」 「……何だか知らんが、今は双方の家族にとって重要な話し合いをしているんだ。部外者は出て行きたまえ」 ごもっとも。 「あたしは部外者なんかじゃないわよ。このキョンの婚約者なんだから家族の一員といえるでしょう」 ハルヒは俺の腕に抱きつきながら、理解不能な発言をした。 ハルヒ、いつ、おまえが俺の婚約者になったんだ。小一時間ほど問い詰めたいね。 見ろ、オヤジもオフクロも口をアングリとしているぞ。 朝比奈さんのお父さんはハルヒの傍若無人なパワーにあてられたようで、 「わかった。座りたまえ」 「もちろん、座らせてもらうわ」 ハルヒは俺の腕をつかんだまま、ソファに腰を下ろした。 そして兄貴の恋人である朝比奈さんの方を向くと、ニッコリと天使の笑みを浮かべながら、 「赤ちゃんは産みましょうね」 それまで言葉を失っていたオヤジがあわてて、 「ハルヒちゃん、話はそんな簡単ではないんだよ」 そうだよな。もし俺に高校生の娘がいて妊娠したら悩むに決まっている。 俺とハルヒの娘か。ハルヒ似なら、とんでもない美少女だろうな。 「キョン、何をにやけているのよ」 いや、父親の気持ちになっていた。 ハルヒがあきれはてたような顔で何かを言いかけた時に、 「ただいまー」 と大声をあげて妹が帰ってきた。 アレ? 今日は六時間授業だろう。何をやっているんだ、アイツは。 俺たちも人のことは言えないが。 「あたしが呼んだのよ」 さっきの携帯か。 ハルヒは応接間に妹を呼び込むと、朝比奈さんのお父さんの方を向かせた。 「ねえ見て、妹ちゃん、可愛いでしょう。 今おなかの中にいる子もこの妹ちゃんと血が繋がっているのよ。 あと何年かしたら、こんな可愛い子に育つのよ」 少なくともあと12年はかかるぞ。 「お願い、命を奪うようなことはしないで」 真剣な表情のハルヒ、そして今一つ事情が呑み込めないままじっと見つめる妹。 沈黙の時間が流れた。 そして兄貴が、土下座をしながら、 「お願いします、産ませて下さい」 その場にいた全員が笑顔で静かにうなずいた。 深刻な家族会議の場は一転して、婚約パーティーと化してしまった。 兄貴と恋人の朝比奈さん(面倒なので以下では朝比奈さん(義姉))の婚約はわかるが…… なぜか、俺とハルヒの分も合わせてだ。 誰か俺とハルヒの婚約なんていう与太話、疑う奴はいないのか。 ハルヒは朝比奈さん(義姉)のお父さんと意気投合し、ビールで乾杯していた。 だが、昨夜一睡もしなかったのは事実らしく、珍しいことにすぐに酔いつぶれてしまった。 上機嫌のオフクロが、 「キョン、ハルヒちゃんをあんたのベッドで寝かせてあげなさい」 ハイハイ。 「お嫁さんは大事にしなければダメよ」 なんだよ、みんな、ニヤニヤしてこっちを見るんじゃねえ。 俺はハルヒをお姫様だっこして二階の俺の部屋に連れて行った。 背中に妙に生温かい視線を感じたのは気のせいだろうか。 俺は熟睡しているハルヒの傍らにずっといた。 こうして寝ている姿は朝比奈さん(SOS団)にも勝るとも劣らない最高級の美少女なんだよな。 「ハルヒ、愛してるよ」 こういう時でないと、こんなセリフ言えないな。 俺はハルヒのきれいな黒髪を撫でた。 一度触れてみたかったのだが、いつもなら「エロキョン!」と言われぶん殴られるところだ。 だが、今はいいよな。俺はハルヒの婚約者なんだからな。たとえ、それが出まかせでもな。 「出まかせ?」 ハルヒはむっくりと起き上がった。 お、おまえ、起きていたのかよ。 「キョン、あたしと結婚したくないの?」 だ、だから、その上目遣いはやめろ、それは禁じ手だ。雷電のさば折り並みの破壊力だからな。 「そんなことはないさ」 おい、俺のバカ、後先考えてものを言え。 バカ、キ、キスなんかするな。 俺の中で慎重派が必死で叫ぶが、多勢に無勢であっさりと瞬殺されたようだ。 再び長い長いキスだった。 誰に教わったわけでもないのに、互いに自然に舌を絡めあっていた。 制服の上からハルヒの豊かな胸の膨らみに触れた。ハルヒは拒もうとしない。 俺はこのまま押し倒してしまいたい衝動にかられた。 「キョンくん、ハルにゃんはもう起きた?」 妹よ、頼むからノックの習慣を身につけてくれないか。 「あー、キョンくん、ハルにゃん、キスなんかして大丈夫? 赤ちゃんできちゃうよ」 おーい、誰か妹に正しい性教育をしてやってくれ。ただし実技抜きでな。 兄貴は子供を産むことを前提に今後のことを話し合うために朝比奈さん(義姉)たちが泊っているホテルに行った。 ウチでは、会社をさぼったオヤジと、学校をさぼった俺・妹・ハルヒが揃い、賑やかな夕食の時間になった。 昨日倒れたオフクロに代わり、ハルヒが既に嫁入りしたが如く料理を作っていた。 制服にエプロン姿で甲斐甲斐しく料理をしているハルヒもいいものだ。 「ねえ、キョン、ちょっと味見して」 あ、ああ、いいんじゃないか。 「もー、キョンたら」 ハルヒは得意のアヒル口をしながらも楽しげだ。 オヤジとオフクロと妹の意味ありげな視線さえ無ければ、俺ももっと楽しいんだがなあ…… 「ハルヒちゃん、キョンのことよろしくね。見捨てないでやってね」 「ハルにゃん、本当のお姉ちゃんになってくれるんだね」 「キョンにハルヒちゃんみたいに美人の嫁さんが来るとは思わなかったよ」 おい、オヤジ、俺にはあんたがつけた立派な名前があるだろう。ハルヒに合わせてキョンなんて呼ぶんじゃねえ。 俺以外のメンバーがなぜかみんな極めてハイテンションである夕食を終え、俺はハルヒを送って行った。 もうハルヒはいつもの調子を取り戻していた。 いつもと違うのは別れ際にまた長いキスを交わしたことぐらいだろうか。 その晩遅くには、涼宮家との電話会議の結果、満場一致で俺とハルヒの婚約は承認された。 やれやれ。 翌朝、俺は前日ハルヒに約束させられた通り、家まで迎えに行った。 呼び鈴を鳴らすと、ハルヒではなく、お母さんが出てきた。 「おはようございます」 「おはよう、キョンくん。 ありがとうね。ウチのバカ娘をもらってくれるのなんて、キョンくんだけだものね」 あのー、そのバカ娘が後ろで睨んでいるのですが…… 「はい、キョン、これ持って」 なんだ? 「二人分のお弁当よ」 ソッポを向いてはいるが、耳まで赤いぞ。 「ハルヒ、そんなにツンツンしているとキョンくんに嫌われちゃうわよ」 ハルヒは不安げな顔でチラチラと俺の方に視線を向けてくる。 おいおい。 ハルヒを自転車の荷台に乗せ駅まで行き、そこからは歩きだ。 駅から学校までの坂道、ハルヒは人目もはばからず、ずっと俺の手を握っていた。 周囲の連中が俺たちのことを見てヒソヒソと話をしているのも気にはなったが、それ以上にハルヒの様子が気になった。 100ワットの笑顔を見せたかと思うと、寂しげな表情を見せたり、落ち着かない。 しょせんはハルヒの独り相撲だったとはいえ、妊娠騒動はハルヒにトラウマを与えたようだ。 こんなふうに不安そうな顔をするハルヒも悪くは無いがちょっと違うな。 「ハルヒ、何があってもずっとそばにいるからな、心配するな」 「な、何を、こ、こんなところで言っているのよ、バカキョン」 そう言って真っ赤な顔になりはしたが、ハルヒは俺の手を強く握り締め、教室に着くまでずっと笑顔のままだった。 ハルヒにとってはどうだか知らんが、俺にとってはいつもよりずっと早い登校時間だった。 ハルヒが手を放してくれないので、手を繋いだまま教室に入っていくと、クラスの連中がほとんど登校していた。 あれ、今日は何かイベントでもあったか。 俺たちが「おはよう」と挨拶をして席に着くとみんなに取り囲まれた。 おいおい、なんだよ。手を繋いでいたのがそんなに大事件か。 谷口が口火を切った。 「おい、キョン、結局、産むことになったのか?」 ウン? そういえばハルヒのことばかり気にしていたから忘れていたが、昨朝大騒ぎしたんだっけ。 「ああ、産むことになった」 クラス中で大歓声が沸いた。地元の野球チームが二十年ぶりに優勝したような騒ぎだ。 俺の兄貴のことで喜んでくれるのはありがたいが、少々大袈裟じゃないか。 阪中が目を輝かせながら、 「それで、涼宮さん、お母さんになる気持ちはどんな感じなのね?」 「は?」 ハルヒはキョトンとしている。それは俺も一緒だ。 谷口があきれ顔で、 「おいおい、みんな昨日の朝のやり取りを聞いて心配していたんだぜ。 涼宮、キョンの子供を産むことになったのなら、今の気持ちくらい教えてくれてもいいだろう」 ……えっ、ちょ、ちょっと待て…… 俺は昨朝ハルヒが泣きながら叫んだ言葉を思い出していた。 「キョン! あんた、ニヤニヤしていられるような立場なの!」 「あんたが妊娠させたんでしょう! きちんと責任を取りなさいよ!」 「おなかの子に何の罪も無いのよ。 それを堕ろそうだなんて、あんた、それでも人間なの!」 これではまるで俺がハルヒを妊娠させて堕ろさせようとしていたみたいじゃないか! ハルヒも同じことに気付いたようだ。二人とも真っ赤になった。 「ち、違うのよ。あれはキョンのお兄さんの話なのよ。それをあたしが勘違いして」 「なーんだ、涼宮さんたちの話じゃなかったのね」 「そ、そうよ、あたしたちはまだそんなことは」 ハ、ハルヒ! 阪中はニッコリすると、 「ふーん、じゃあまだキョンくんはフリーなのね。キョンくん、今度デートするのね」 「ダ、ダメよ! キョンはあたしの婚約者なんだから!」 ハルヒさん、今、自分が何を口走っているか、わかっていますか。 それから、みんなが見ている前で俺の腕に抱きつくのは勘弁願えませんか。 「こ、婚約者?」 谷口が思考回路をショートさせたらしい。代わって国木田が、 「水臭いな、涼宮さんもキョンも。婚約したことをずっと伏せていたのかい」 「そ、そんなこと無いわよ。婚約したのは昨日だもん」 ハルヒ…… 誰か、助けてくれ! 「おーい、ホームルームを始めるぞ」 岡部か! 救いの神だ! 「キョン、涼宮、放課後、職員室に来い、いいな」 どうやらそうでもなかったようだ。 やれやれ。 休み時間のたびに、国木田・阪中両レポーターによる緊急記者会見が行われた。 舞い上がり気味のハルヒは言わなくてもいいことまで口走っていた。 しかし、俺が泣きながら告白をしハルヒがしぶしぶ受け入れた、というのはあまりにもひどい歴史の捏造ではないのかね。 大本営でもそこまではやらなかったと思うが。 ハルヒに恥をかかせるのもかわいそうだから、この場は黙っていてやる。 どうせ誰も信用していないようだしな。 その代わり、後で二人きりになったら、たっぷり説教してやるぞ。 昼休みには、他のクラスからも見に来る奴らもいて、せっかくハルヒが作ってくれた弁当もゆっくり味わえなかった。 放課後、職員室に出頭すると、既に事情は伝わっていたようだ。 一通りの注意を受けた後、教師一同から「おめでとう」という祝福の言葉と拍手をもらった。 ハルヒは珍しく神妙な顔で深々とお辞儀をすると「ありがとうございます」と礼を言った。 教師たちには、これで少しはハルヒがおとなしくなってくれればという雰囲気があったが、あまり俺に期待しないでくれよ。 俺たちはその足で部室に向かった。 ドアを開けるとクラッカーが鳴り響き、SOS団の3人と鶴屋さんが口々に「おめでとう」「おめでとうございます」と言ってくれた。 テーブルの上には飲み物やお菓子が満載で、ホワイトボードには祝いの言葉が書かれていた。 短い時間の間にパーティーの準備を整えてくれたようだ。 みんな、本当にありがとう。 ところで、古泉、情報は正しく伝わっているんだろうな。 「ええ、あなた方ができちゃった婚をするという話なら」 ……殴るぞ。 「冗談です。一部では情報の混乱が見られますが、大多数には正確な情報が伝わっています」 「昨日はキョンくんが涼宮さんを妊娠させたという噂が流れて大騒ぎだったんですからぁ」 朝比奈さん(SOS団)、俺もハルヒに誤解されて大変だったんですから。 ハルヒの方を振り返ると、珍しく複雑な表情で朝比奈さん(SOS団)を見ていた。 一晩中、俺と朝比奈さん(SOS団)のことを誤解していたのだから、いろいろあるのだろう。 「みくるちゃん、ごめんね」 「どうして謝るんですかぁ、涼宮さん?」 朝比奈さん(SOS団)が小首を傾げている。 お互いのために、それ以上は追求しない方がいいような気がしますよ。 「いきなり婚約とは、めがっさ驚いたにょろよ。 さあ、全部白状してもらうにょろよ」 鶴屋さんのハルヒへの追求が始まった。 それを横目で見ながら古泉が近づいてきた。 顔が近いぞ。 「妹さんが携帯を預かっていたので連絡が取れませんでしたが、日曜の昼12時から月曜の朝8時にかけて世界は崩壊寸前でした」 そうだろうな。 「ひとごとのように言わないで下さい。 瞬く間に、地球の表面積の99.9999999%が閉鎖空間に覆い尽くされました」 9がいくつあるんだ? 「9つです。 突然一気に閉鎖空間が世界中に広がったので『機関』は最悪の状況を覚悟しました。 しかし、あなたの家の周囲1平方キロ弱だけがずっと残されたのです。 その後20時間にわたり我々は強力な神人と不眠不休の戦いを余儀なくされました」 迷惑をかけたな。 「何があったのか、教えていただけませんか」 俺は一連の出来事を手短に語った。 俺の家の周辺が残されたのはハルヒが赤ん坊を救いたいという気持ちを持っていたからかな。 「驚きましたね。 勘違いが原因であわや世界崩壊とは。 しかも、一転して婚約ですからね」 俺の方が驚いているさ。二日前には赤の他人だったのにな。 「フフフ、表面上はそうだったかもしれませんが」 なんだよ、その表面上というのは。 その時、俺の携帯が鳴った。 「もしもし……ハルヒ? ああ、いるよ……わかった」 兄貴からの電話だった。 ハルヒは鶴屋さんからプロポーズの言葉を追及され答えに窮していた。 さすがのハルヒもあの時のやり取りは話しにくいらしい。 ハルヒ、兄貴から電話だ。 ハルヒは、助かった、という表情で俺の携帯をひったくった。 「もしもし……あたしが名付け親に? もちろんOKよ!」 兄貴も朝比奈さん(義姉)も無茶するな。 ウン? こちらの朝比奈さん(SOS団)はなぜか喜色満面だ。こういう話が好きなのかな? 「苗字との兼ね合いもあるからね……えっ、朝比奈の苗字を名乗るの? そうね、男の子なら、キョンにちなんで『キョウ』はどう? 『朝比奈キョウ』、かっこいいでしょう」 ハルヒ、俺の本名を覚えているか。 「女の子なら『みくる』よ。朝比奈といえば『みくる』だわ」 そちらは異論が無い。兄貴たちには意味不明だろうが。 あれ、待てよ。 俺は長門の方を振り返った。 まさか、朝比奈さん(義姉)のおなかの子が朝比奈さん(SOS団)じゃないだろうな。 「…朝比奈みくるの異時間同位体はこの時間平面には存在しない。それに胎児は男」 そうだろうな。あと十数年後に時間移動が可能になるとは思えない。 「…しかし、胎児と朝比奈みくるの遺伝子情報は類似点がある。父娘と考えるのが妥当」 ……兄貴の孫娘が朝比奈さん(SOS団)だっていうのか…… このところ朝比奈さん(SOS団)が落ち着かなかったのは、もしかすると、このことを知っていたからか。 「キョン、どうしたの? みくるちゃんを見ながらポカンとしたりして」 いや、兄貴の娘がこっちの朝比奈さんに似るのかなと思ってさ。 「似るに決まっているじゃない。妹ちゃんとみくるちゃんはそっくりなんだから」 へっ、そうなのか? 朝比奈さん(SOS団)があわてている。 「笑顔なんか瓜二つよ。 赤ちゃんと妹ちゃんのDNAは共通しているのだから、みくるちゃんに似ても不思議は無いわよ」 遺伝というのは凄いものだな。 「キョンはみくるちゃんの胸ばかりみていたから、妹ちゃんと顔が似ていることに気付かなかったんでしょ」 ハルヒが小悪魔の笑みを浮かべている。 コイツめ…… ハルヒ、せっかく婚約したんだから、これからはおまえの胸だけ見るようにするよ。 ハルヒの胸もなかなかのものだからな。 「……エロキョン……」 バ、バカ、赤くなって小声で言うなよ、誤解されるだろうが! 古泉がいつも以上のニヤケ面で、 「今回は僕が言わせていただきますよ……やれやれ」 【「疑惑のファーストキス」へ続きます】
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/6524.html
このページはこちらに移転しました 羊 作詞/タマムシ 羊が一匹 羊が二匹 羊が三…えっ?ちょっと羊さん??だめ…。 あwwwだめだってばwww ちょwwwテラフワwww
https://w.atwiki.jp/nintendods-lovestory/pages/15.html
ギャルゲ 男主人公で女キャラとの恋愛要素のあるDSゲームソフト 男性向け・恋愛ゲームシミュレーション アドベンチャー アクション ロールプレイ その他 一般ゲームシミュレーション アドベンチャー アクション ロールプレイ その他 各種情報(ギ)デイズ オブ メモリーズDays of Memories2(仮) BREATH 吐息は茜色(仮) どきどき魔女神判!2(DUO)(仮) 男性向け・恋愛ゲーム シミュレーション デイズ オブ メモリーズDays of Memories 狼と香辛料 ボクとホロの一年 ハヤテのごとく! お嬢様プロデュース大作戦 アドベンチャー -高円寺女子サッカー2~恋はネバギバ高円寺~ ハヤテのごとく!ボクがロミオでロミオがボクで ななついろ★ドロップス Pure!!&DS かけら4つ ロザリオとバンパイア七夕のミス陽海学園 アクション ロールプレイ その他 To LOVEる-とらぶる- ワクワク!林間学校編 一般ゲーム シミュレーション (ギ)ザ・アーブス シムズ・イン・ザ・シティ (ギ)牧場物語 コロボックルステーション (ギ)牧場物語 キミと育つ島 新牧場物語 Rune Factory ルーンファクトリー (ギ)Rune Factory ルーンファクトリー2 (ギ)牧場物語 キラキラ太陽となかまたち (ギ アドベンチャー (ギ)サバイバルキッズ~Lost in Blue (ギ)サバイバルキッズ~Lost in Blue2 どきどき魔女神判! (ギ)サバイバルキッズ~小さな島の大きな秘密!?~ (ギ)赤川次郎ミステリー 夜想曲-本に招かれた殺人- 放課後少年 東京魔人學園剣風帖DS アクション (ギ) ロールプレイ (ギ)サモンナイト ツインエイジ (ギ)サモンナイト (ギ)サモンナイト2 ルミナスアーク ルミナスアーク2 (ギ) その他 クイズきらめきスターロード (ギ) 各種情報 正式タイトルが決定し(仮)がなくなったら新規ページを起こします (ギ)デイズ オブ メモリーズDays of Memories2(仮) 恋愛シミュレーションゲーム 携帯アプリの移植 収録予定・3タイトル 女性向け 「Days of Memories~彼と私の熱い夏~」 男性向け 「Days of Memories~恋はグッジョブ~」 男性向け 「Days of Memories~純白の天使たち~」 発売元 SNKプレイモア 発売日 未定 SNKプレイモア TGS2007最新タイトルプロモーションムービー BREATH 吐息は茜色(仮) ティザーサイト http //www.success-corp.co.jp/software/ds/breath/index.html タイトル BREATH 吐息は茜色(仮) 対応機種 DS&DSL 発売元 サクセス ジャンル アドベンチャー 予定価格 未定 発売日 2008年5月15日予定 プレイ人数 1人 キャラデザ 早瀬あきら 朱音 CV 能登麻美子 美音 CV 井上麻里奈 その他出演者 進藤尚美・真殿光昭・松原大典 どきどき魔女神判!2(DUO)(仮)
https://w.atwiki.jp/ebmr/pages/67.html
タイトル『病めない雨その後:マイス編』 作・もんじ トリップ ◆gd9NVb5EGA 「帰ってきたんだ・・・ここに・・・」 帰ってきたんだ・・・シアレンスの町、僕の故郷に!! 綺麗な町がみえる・・・なんだか目の前がぼんやりと・・・ 「ぼんやり・・・?」 頭がくらむ、足ががたつく、体が震える 「ああ・・・」 マイスは気絶した。RPとHPが限りなく0に近かった 「ううん・・・」 ここは? 「目が覚めたカ?」 となりに聞き覚えのある声が聞こえた 「ガ・・・ガジさん!?」 彼はベッドの上にいる、どうやらここは病院の中のようだ。 自分もベッドの上にいた 「マイス・・・ごめんナ」 「え?・・・」 それは不意な言葉だった 「オレ・・・マイスの事がうらやましかったのかもナ」 「鉄を叩いてる時・・・オレは幸せだったヨ」 少しふぬけた顔で話すそれは、彼らしい顔だった 「でも気づいてたら恋をしていたんダ」 「その恋の相手は君の事ばかりを話してたナ・・・」 「・・・」 「オレは変わってた、鉄を叩くことしかできないオレに対し君は色んな事をこなしてみせタ」 重い言葉が胸につきささる 「だからモテるんだろうなって・・・そう考えると君が憎く感じてしまっタ」 「ガジさん・・・」 「最低だよナ・・・とても大切な友達だというのに」 そう言うと彼の目からは涙がでていた 「ガジさん!すいません!僕・・・」 「マイスが謝る意味はないヨ」 「・・・」 重たいふういんきがつのる 「オレは友達として失格な事をやってしまっタ」 「いや・・・それ以上の事かもしれない」 「世界を狂わしてしまっタ・・・」 「そんな・・・ガジさん」 その顔はいつものガジさんじゃない・・・真面目な顔をしていた 彼のこの顔を見るのは2度目だろうか 「ただ・・・」 「こんなオレでも許しがもらえるとしたら・・・」 「マイス・・・」 銀色の瞳でこっちを見つめる 「友達のままで・・・いてくれないカ?」 そんなの・・・当たり前だ 「・・・もちろんです」 それを聞くと彼は微笑み 「ありがとう・・・」 そっと目を閉じた・・・ 「ガ・・・ガジさん?」 「ガジさん!?ガジさん!」 マイスは体を起き上がらせその名前を呼ぶ 「ガジさん!!ガジさん!!そんな!」 「オレの心配より、自分の心配をした方がいいと思うゾ」 「え?」 「後ろ・・・」 そう言うと、後ろから何かがドドドと走ってくる音が聞こえた そして・・・ 「お兄ちゃぁぁぁぁぁん!!」 がば! 「うわ!」 モニカが抱きついてきた 「お兄ちゃん!お兄ちゃん!会いたかったよぅ~!」 「いてて、モ・・・モニカちゃん!」 「こらこら、あんまりマイスさんを困らせないの」 カーテンの奥から花の香りがただよう 「は~い」 モニカが胸から離れる 「シアさん」 「マイスさん・・・」 その瞳は綺麗な青色をしていた 「マイスさん、今までどこに行ってたんですか?もう3日間も行方不明だったんですよ?」 「そ、それは」 ギュ! 「!?」 シアが突然抱きついてきたのだ! 「本当に心配したんですよ・・・本当に・・・」 涙声だった 「シアさん・・・」 「大丈夫です・・・僕はここにいます・・・だから、安心してください」 マイスもそっと抱き返す 「マイスさん・・・」 「シアさん・・・」 二人は顔を見合わせる そして唇を近づけていく・・・ 「ふむぎゅ!?」 あとちょっとの所でシアが首を掴まれ持っていかれた 「・・・なにしてんの?」 「あら、トゥーナさん」 そこには髪の毛が逆立ちしそうになっているトゥーナがいた 「お姉ちゃん!私にああ言って!自分だけ何しようとしてるの!?」 「ははは・・・」 なんかわからんが惜しいという気持ちが心をよぎった気がする 「ちょっと!私の病院でなにやってるの!?」 マリオンが飛びこむ 「マイス君、大丈夫?」 続いてショコラ 「お邪魔しま~すって、すでに誰かいるし(みんな本当早起きね~)」 「すごいわね・・・」 さらにはカリンとソフィアまでくる 「なになに~!?パーティかな♪パーティかな♪」 「そんな訳ないやろ」 ペルシャやさくや・・・ よく見たらダリアやイオンまで ヒロイン候補全員集まっとるやん!?(一人除いて) 「・・・シア、さっきは何しようとしてたの?」 「何って・・・ハグですよハグ♪」 「・・・」 「えー!じゃあペルシャもハグするー!」 そう言ってペルシャがマイスに抱きつく 「こら!なにやってはるん!」 それをさくやが引き剥がす 「マイスさんが痛がってるやろ!」 「えー、よろこんでたよー」 確かに少し良かったかも 「じゃ・・・じゃあ私も・・・」 「そんなまな板じゃ喜ばないわよ」 「なにをぉぉぉぉぉぉ!!!!!」 それぞれがそれぞれで火花を散らす 「ははははは・・・」 そろそろ僕も誰かを選んで結婚しないと・・・ 「さあ・・・だれにしよう」 「もちろん私よね!!?」 みんなが口をそろえて言った 「え・・・あ・・・あはははははは」 厳しいなこりゃ(汗) [終わり] [おまけ] となりでわいわいがやがやと騒ぐ 「ハハハ、オレもいるんだけどな」 そう言って彼は外を見る 「きれいな太陽だナ」 思えば鉄ばっか叩いていて太陽の光を浴びた事なんてあまりなかった 「材料集めの時に浴びてるカ」 「ガジさん」 自分を呼んだ声が聞こえた。振り向くと 「エ・・・エリザさん・・・!」 そこにはオレの想う人が座っていた 「お怪我、大丈夫ですか?」 「ははは・・・はい!」 急に胸が緊張し始める 「それはなによりです♪」 いつもの綺麗な笑顔でそう言う ふと、マイスの騒ぎの方に目がいく 「・・・エリザさんはいいんですカ?」 「え?」 「あの中に混ざらなくても・・・」 そういうと彼女はその方向見て、また振り向く 「クス・・・なんでですか?」 「エ?なんでって・・・」 彼女は彼の手を両手でやさしく包み込む 「エ・・・ア・・・アノ」 顔が赤くなる 「これ、前もらったダイアモンドのリングのお返しです」 そういうと手を離す 「ア・・・」 その手の指には魚の鱗でできた指輪がはめられていた その鱗は光を反射し、銀色に輝く 「あ、ありがとうございます!」 「どういたしまして♪」 彼はその指輪を何度も見つめる 「本当に綺麗でス・・・」 「それは、良かったです」 彼女は笑顔で返す その笑顔がとても美しかった・・・ 「エリザさん・・・」 「はい?なんでしょう?」 窓から日が二人をてらす となりが騒がしいと言うのにそこには二人の静寂の空間が流れている 花の香りが二人の空間を包んだ 「スキです・・・エリザさん」 [おまけ:終わり]
https://w.atwiki.jp/ebmr/pages/94.html
『治療』 作者 Sun 雨が降っている。 セルフィアを抱き込むような荘厳さを備えた城を見上げ、マーガレットは息を整えた。 夕時の定例の演奏を終えて湖を眺めに出掛けたが、突然の天の恵みに遭遇し、仕方なくその身を翻してきた。 時節は秋。風雨は冷たく、瞬く間に体温を奪っていく。 安堵を求めてたどり着いたのが、眼前にあるこの白亜の城であった。 濡れた髪と衣服を軽く撫でつける。 「今、いるのかな……」 ある人物の姿を自然と期待している自分に、若いエルフは苦笑した。 少し様子を見るだけだ。そう言い聞かせながら、ゆっくりと城の中で瞳を動かす。 程なくして、きん、きん、と小気味よい韻律が長い耳をぴくりと喜ばせた。 音の主に誘われるように城の奥へ歩を進めると、冷えた身体が急速に温められ、思わずくしゃみが出た。 その原因は鍛冶台に入れられた火、そしてある人物の姿であることに気が付く。 「あ……」 上半身をあらわにしたレストが、静かな表情で鎚を振るっていた。色素の薄い肌からしたたる雫が、石の床を濡らしている。 外界の旅人から「美しきエルフの歌姫」と称されるマーガレットも、その横顔の端整さ、肢体の逞しさに息を呑んだ。 声も思考も失い立ちすくんでいる彼女へ、やがてレストは手を止め、その瞳を向けた。 「マーガレット、いつからここに」 声を掛けられても何の反応も見せない彼女の様子に、レストは首をかしげ、歩み寄る。 「僕に何か用事?」 彼の動きによって吹いた微かな風が、朱の差した彼女の頬を冷やしていく。 「れ、レストくん?」 「うん、僕だよ。どうしたの?」 見とれていた事実を告げられず、マーガレットは逃げ道を探す。 「あの、急に雨が降ってきて。どこか雨宿りする場所はないかなって探してたら、なんだか良い音が聞こえたからさ」 「雨……」 「ご、ごめんね。邪魔しちゃって」 レストはその微笑でマーガレットの謝罪を否定する。 そこでマーガレットは彼の出で立ちを直視して、再び頬の熱さを感じた。 「レストくん! そ、そ、その格好……!」 「え?」 言われて自らの身体を見下ろしたレストの頬もまた朱に染まっていく。 「ごめん! ちょっと待ってて!」 投げ出されていた上着を掴んで、彼はマーガレットに背を向けた。 「あ……」 その首筋のしとどに濡れた様子を見て、マーガレットは自分の心がひどく落ち着いていくのに気が付いた。 「待って、レストくん。着る前にちゃんと拭かないと」 棚の位置を聞いて、手早く綺麗な布を選び出す。 あまり美しく畳まれているとは言えないその布を、苦笑しながら広げて、揉みながら再度畳んでいく。 はい、とそれを手渡した時のレストの表情は呆気に取られていて、マーガレットは目尻を下げた。 「ありがとう」 そう言ってレストは顔、腕、胸の汗を拭いていく。 拭かれた部分が本来の艶を取り戻していくのを、マーガレットは静かに見つめていた。 「ああ、背中、拭けてないよ。ほら、貸して」 布を受け取って彼の首、肩、背を丹念に拭く。 仕方ないなあ、と呟きながら手を動かしていると、一つ、綺麗な背にそぐわないいびつな傷跡を見つけた。 「これ……」 苦い記憶が脳裏を駆ける。 街の外でモンスターに遭遇した時、偶然に通りかかったレストがマーガレットを庇って背を斬られたことがあった。 マーガレットが早急に施した癒しの魔法によって痛みを消すことは出来ていたが、その後も醜い跡を残していたことはお互いに知る由もなかった。 彫刻のような白い肌に付けられた傷跡。鳴りを潜めていたマーガレットの胸の鼓動が、再び早まっていく。 だめだと告げる心を無視して、唇が傷跡に近づいていく。 「うあっ」 聞こえた矯声にふと、自分の行動の異様さを思い知る。 しかし、一度突かれた鐘の音は抑まることはなく、次の一歩を促していく。 「レストくん……」 「ま、マーガレット……」 「私が治してあげる」 「何を……」 「じっとしてて」 「あ……う」 よく見れば、レストの肩にも腕にも複数の小さな傷跡が刻まれている。 エルフの舌が傷を消すなど、二人ともそんな伝説は聞いたこともなかった。しかし、このささやかな「治療」の心地よさに徐々に溺れ始めていた。 マーガレットは時に大きく、時に小さく、舌を滑らせていく。その場所はもはや傷跡だけに留まらず、何の凹凸もない滑らかな面をも網羅しようとしていた。 時折弾むレストの肩を見ては、ぴくぴくと自分の耳が喜びに打ち震えているのを、マーガレットは感じていた。 「どう? 気持ち良い……?」 「う、マーガレット……やめ……」 「やめない」 高まる想いに合わせて、二人の身体は徐々にその隙間を埋めていく。 マーガレットはレストの背から胸へと腕を絡めて、彼の首筋を舐めていく。 レストはその行為を享受しながら、マーガレットの腕を握っている。 やがて堪能したマーガレットは、鍛冶台の近くにある装飾台へと、レストを導く。 その上にある道具を無造作に払い落として、レストの肩を正面から押し、装飾台に乗せる。 久々に向かい合った二人の瞳は濡れ、鍛冶の火で身体は余計に熱を帯びていた。 更にゆっくりと肩を押して、マーガレットはレストに覆い被さっていく。 「マーガレット、だめだ」 「だいじょうぶ」 「マーガレット……」 「メグって呼んでくれなきゃ、やだ」 「め、メグ……」 「レストくん、かわいい」 「ああ、う……」 この鼻にかかった高めの声は、どんな楽器よりも良い音だとマーガレットは思った。 「メグ……」 「だいすきだよ、レストくん。ずっと、だいすきだった」 「僕も、メグのこと……」 「うれしい……。もっと聞かせてほしいな、きみの音」 レストの手を自らの胸へと導き、その快感に眼を閉じながら、レストの耳を軽く食む。 「わたしの音も、聞いてほしい」 「う、ああっ」 「んっ」 静かな部屋に二人の旋律が絡み合い、響く。 鍛冶の火が、弱々しく、激しく、淫靡に動く影を白い壁に映し出す。 秋の夜は長く、魅惑の音符をいつまでもその空間に浮かばせていた。