約 969,265 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3442.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361874491/ 京太郎「東横ー。いるか?」 桃子「いるっすよ。席に座ってるっす」 京太郎「ああ、そこにいたのか。何やってるんだ?」 桃子「パソコンで麻雀をやってるっす。見ればわかるじゃないっすか」 京太郎「見ればってお前……」 桃子「……」 京太郎「……」 桃子「……はぁー。ノリ悪いっすね! ここは『いや見えねえよ!』とか言うところっすよ!」 京太郎「それで悩んでる奴にいきなりそんなこと言えるか!」 桃子「まったく、次からは気をつけるっすよ」 京太郎「はいはい……。で、麻雀って誰とやってるんだ? ネット麻雀ってやつ?」 桃子「んーネットはネットっすけど、学内ネットでやってるっす」 京太郎「そういうのもあるのか。てことは相手は同じ学校の人だな」 桃子「そうっす。麻雀部が最近始めたみたいっすね。掲示板にチラシが貼ってあったっす」 京太郎「へー。挑戦者来たれ! みたいな感じか?」 桃子「そういう感じではないっすね。チラシには麻雀に興味ある人歓迎って書いてたし」 桃子「何度か勧誘も受けてるから部員集めの一貫だと思うっす」 京太郎「初心者歓迎ってことか」 桃子「興味あるなら須賀くんもやってみたらどうっすか?」 京太郎「いや、俺はいいよ。ノートパソコン持ってないし、そもそも麻雀の役もわからないしな」 京太郎「興味はあるからよければ観戦させてくれ」 桃子「いいっすよー。私の勇姿を見るがいいっす!」 京太郎「おう、期待してるぞ」 桃子「くーっ! また勝てなかったっす!」 京太郎「麻雀部3人を相手に2位なら十分凄いじゃないか」 桃子「これでも麻雀の腕には自信があるんすよ。そこらの麻雀部員にも引けをとらないくらいには」 桃子「なのにこのかじゅって人にはなかなか勝てないっす」 京太郎「麻雀って運に左右されるんだろ? そういうこともあるさ」 桃子「20局以上打って勝ったのは数回だけ。さすがに悔しいっす……」 京太郎「20局で数回……。麻雀はよくわからないんだけど、それはどのくらい強いってことなんだ?」 桃子「ええと、そうっすね。風越女子は知ってるっすか?」 京太郎「そりゃもちろん。長野の女子麻雀部では一番強いとこだろ」 桃子「その風越でレギュラーになれる。少なくともそれくらい強いと思うっす」 桃子「まあもちろん、実際に打つのはダメって人も中にはいるっすけどね」 京太郎「そんなに強いのか……ん? なんか書いてるみたいだぞ」 かじゅ『打ち筋からしていつも打ってくれている人だろうか? 今日も来てくれてありがとう』 むっきー『また負けちゃいました。やっぱり強いですね。一度だけでも麻雀部に見学に来てくれませんか?』 カマボコ『しつこかったらごめんなー。でも毎日来てくれて本当に嬉しいんだ』 カマボコ『見学に来たから入れ、なんてことは言わないし、それに来てくれればきっと気に入ると思うんだ』 かじゅ『気が向いたら来て欲しい、と言いたいところなのだが私たちには時間がない』 かじゅ『だから君が麻雀のことを好きなら、ぜひ部室に来て欲しい。後悔はさせない』 京太郎「おお……。凄い勧誘だな。ほら、返事書こうぜ」 桃子「……今書くっす」 default player『気持ちは嬉しいです。でもごめんなさい』 ---default playerはログアウトしました--- 京太郎「……ってあれ?」 桃子「どうかしたっすか?」パタン 京太郎「いや、見学くらい行ってもいいんじゃないか? あれだけ熱心に言ってくれてるんだしさ」 桃子「……まあいいじゃないっすか。ほら、帰るっすよ」 京太郎「あっ、おい」 桃子「先に行ってるっすよー」 京太郎「ちょ、ちょっと待て。先に行かれたらまた見つからなく……」 桃子「校門から出るまでに見つけられなかったら明日の昼ご飯おごりっす!」タッタッタッ 京太郎「いきなり何言って……って待て、走るなー! 見つからなくてもおごらないからな!」 桃子「見つけたら私がおごってあげるから頑張って探すっすよー!!」タッタッタッ 京太郎「絶対見つけてやる……!!」 その後東横のことは校門の辺りで電話をかけて、その着信音で見つけた。 東横には卑怯っす! ノーカウントっす!! と怒られた。理不尽だ。 ---3日後--- 京太郎「東横ー、いるか? 今何やってる?」 桃子「パソコンで麻雀っすよ。見ればわかるじゃないっすか」 京太郎「見れたらこんなこと聞かないっての」 桃子「……他人のコンプレックスにズバズバ切り込んでくるっすね」 京太郎「この前スルーしたらノリ悪いとか散々言ったよな!?」 桃子「記憶にないっす!」 京太郎「まったく……。麻雀はこの間の麻雀部の人とか?」 桃子「そうっすよー」 京太郎「俺あれから役とか覚えてみたんだよ。また見せて貰っていいか?」 桃子「いいっすよ。今ちょうど終わったところなんでちょっと待つっす」 京太郎「了解」 桃子「……いつもはすぐ次の局に入るんすけど今日はちょっと時間かかるっすね。席を外してるみたいっす」 京太郎「まあそういうこともあるさ。ゆっくり待とうぜ」 京太郎「……ん? あれ、今日はこの前みたいにチャットで勧誘されてないんだな」 桃子「そうなんすよね。今日は勧誘してこないみたいっす」 京太郎「脈なしと思って諦めたんじゃないか?」 京太郎「4月が終わっても勧誘してたってことはメンバーが足りないんだろうし、他の人を探すことにしたとか」 桃子「そう、かもしれないっすね。まあ何度も断っちゃったししょうがないっす」 京太郎「……毎日のようにパソコンで打ってるんだし麻雀は好きなんだろ? なんで入らなかったんだ?」 桃子「んー、まあ大した理由じゃないっす。こういう体質っすから集団行動とか苦手なんすよ」 桃子「今までこんなに必要とされたことがなかったから嬉しかったは嬉しかったっすけどね。ただ……」 京太郎「ただ?」 桃子「言うのはちょっと恥ずかしいっすけど、やっぱり、直接言ってもらうのに憧れる」 桃子「目の前で、私の目を見て必要だって言って欲し――」 そこまで言ったとき、突然教室のドアが開かれ ゆみ「麻雀部3年の加治木ゆみだ!」 そんなことをいいながら、上級生が1人教室へと入ってきた。 穏やかな放課後に突如乱入してきたその人は、教室の真ん中までツカツカと足を進め、 忙しげに周りを見渡したかと思うと大きく息を吸い込んだ。 そして―― ゆみ「私は君が欲しい!!」 京太郎・桃子「「!?」」 大声でそんなことを叫んだ。 クラスメイト達は遠巻きにして成り行きを見守っている。 下級生の教室で突然あんなことを大声でいう上級生が相手だ。普通なら俺だって関わろうと思わない。 でも事情を知っているからにはどうにかしないとなーみたいな責任感が芽生えてしまう。 だからまずは、目を白黒させている友人を焚きつけてやろう。 京太郎「東横。よかったな、まだ勧誘諦めてなかったみたいだぞ!」 桃子「その笑顔をやめるっす!」 京太郎「でもほら、東横の望み通り直接誘いに来てくれたわけだし」 ワタシノハナシヲキイテホシイ!!> 桃子「まあそれは心底嬉しいっす」 桃子「須賀くんは茶化してると思うっすけど、私の中では嬉しさが溢れかえってるっすよ」 マジか。いやまあ茶化しているわけではないんだけど。 桃子「ただそれはそれとして、今あそこに行くのはちょっと恥ずかしいっす……」 ワタシニハキミガヒツヨウナンダ!!> 京太郎「注目の的になれるぞ。本望じゃないか」 桃子「限度があるっす!」 今も叫んでるもんな。見た目と違って情熱的な先輩らしい。 スコシデイイ、ハナシヲシヨウ!!> 京太郎「冗談はともかく、ここまで来てくれたんだし、麻雀部に入りたいとは思ってるんだろ?」 桃子「それはそうっすけど……」 京太郎「よし、じゃあ行くぞ」 桃子「ちょ、手を引っ張らないで……!」 ゆみ「頼む、姿を見せて――」 京太郎「あの、ちょっといいですか?」 ゆみ「!! ああ! もち、ろん……だ…………」 念願の新入部員が来たというのになぜか語尾が弱々しい。 ってそうか、東横のこと見えないんだったな。 ゆみ「その、もしかして君が私たちと麻雀を一緒にやっていた人、なのか……?」 俺しかいないと思って目に見えて落ち込む先輩。 美人のしゅんとした姿を見ていると、なんというか、もっといじめたくなってしまう。 まあかわいそうだからやらないけど。 京太郎「あれは俺じゃないですよ。ちゃんと女子です」 ゆみ「本当か!! あ、い、いや、これは君が悪いとかそういうわけではなくてだな」 落ち込んだ様子から一転して明るい表情に。そして間を置かず見せる焦った姿。 ああ、可愛いなこの人。クールビューティーな見た目とのギャップが凄くいい。 京太郎「大丈夫ですよ、事情は聞いてますしわかってます」 ゆみ「そ、そうか。ありがとう」 京太郎「それで俺の隣にいるのが先輩の探しているやつです」 ゆみ「……? すまない。隣には誰もいないように見えるのだが」 京太郎「見えないけどいるんですよ。ほら、ここです」 桃子「どうも、初めまして。東横桃子っす」スゥ ゆみ「」ビクッ 京太郎「あ、やっぱり驚きますよね。いつものことなんで気にしないでください」 桃子「他人に言われると無性に腹が立つっすね」 ゆみ「君は一体いつからそこに……いや、そうか。君はそういう体質なんだな」 桃子「自分で言うのもなんですけど、受け入れるの早いっすね」 ゆみ「チャットの会話から何か理由がありそうだとは思っていたのでな」 ゆみ「我ながら少々派手なことをしたかなと思ったが、結果的には間違っていなかったようだ」 京太郎「いま少々って言ったか?」ヒソヒソ 桃子「言ったっすね。ちょっと見習いたいっす」ヒソヒソ ゆみ「聞こえてるぞ……まあ、それはともかくだ。改めて言わせてもらいたい」 ゆみ「東横くん。私は、私たちには君が必要だ。麻雀部に入って欲しい」 加治木先輩は、真っ直ぐに東横の目を見つめてそう言った。 傍から見ていてもこの上なく真剣に言っているのだと感じる。 東横の望み通り、もしかしたらそれ以上のシチュエーション。 これならきっと麻雀部に入るだろうと東横のほうを見ると 桃子「…………」 あれ、なんか微妙な表情。 京太郎「東横?」 桃子「うーん」チラリ 京太郎「?」 ゆみ「……」ソワソワ 桃子「えっと、一つ条件、というかお願いがあるっすけど……」 ゆみ「何だ? 何でも言ってくれ」ガタッ 東横はなぜか加治木先輩ではなく俺の方を向く。 そして―― 桃子「……須賀くんも麻雀部に入って欲しいっす」 京太郎「……は?」 突然、そんなことを言い出した。 ゆみ「……その、須賀くん……でいいのかな」 京太郎「……へ!? あ、はい!」 ゆみ「今の東横くんの提案なのだが君としてはどうだろうか」 京太郎「ええと、そのですね……。と、東横? なんでいきなりそんなこと」 桃子「えっと、どうしても嫌なら無理にとは言わないっす。わけも……」チラリ ゆみ「?」 桃子「……別に隠すようなことじゃないしすぐ教えるっす。ただ、出来れば須賀くんにも麻雀部に入って欲しいっす」 桃子「ダメっすか……?」ウワメヅカイ 京太郎「う……」 京太郎「か、加治木先輩はどうなんですか」メソラシ ゆみ「あ、ああ。突然で驚いたが麻雀部としては断る理由はない」 ゆみ「……というか、その、入って貰わないと凄く困る」 ゆみ「君にとっても突然みたいだし困惑していると思う」 ゆみ「君にも都合があるだろう。だから助けると思ってとは言わない」 ゆみ「それでも、君がもし少しでも麻雀に興味を持っているなら、麻雀部に来て欲しい」 ゆみ「……だめだろうか?」ウワメヅカイ 京太郎「うう……!」 右を向けば東横が、左を向けば加治木先輩が、上目遣いで俺を見ている。 タイプは違うけれど美人といって差し支えない2人。 京太郎(……こんなの断れるかー!!) 京太郎「俺でよければよろしくお願いします」 ゆみ「本当か! ……ありがとう」フカブカ 京太郎「ちょ、頭を下げるのはやめて下さい!」 京太郎「さっき麻雀に興味があるなら来て欲しいって言ってたじゃないですか。だから入るんですよ」 ゆみ「……うん、そうか。須賀京太郎くん。入部してくれてありがとう」 ゆみ「東横くんは……」 桃子「女に二言はないっす! 加治木先輩、よろしくお願いします」 ゆみ「ああ、よろしく。……東横くん、ありがとう。君のおかげで私たちは大会に出ることが出来る」 桃子「私も興味があったからネトマしてたんですよ。何度も断ってたのに直接誘いに来て貰えたなんて……本当に嬉しいっす!」 桃子「それより、誘った私が言うのもなんっすけど須賀くんはこの場で決めちゃってよかったんすか?」 京太郎「どうせ放課後暇してたしさ。それに麻雀に興味を持ったってのも本当だぜ」 桃子「無理してないならよかったっす」エヘヘ ゆみ「2人とも、入部ありがとう」 ゆみ「それでは早速だが、2人がよければ今から麻雀部に来て貰いたい。部員の紹介もしたいんだ」 桃子「私は大丈夫っす」 京太郎「俺も特に予定はないです」 ゆみ「よし、じゃあ私は先に廊下に出ているよ。あまり長居しても迷惑だろうし」 京太郎(……はっ!? 急展開すぎてここが教室だって忘れてた) 京太郎(冷静になるとクラスメイトの視線が痛い……!!) ゆみ「ん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ、なんでもないです。廊下で待ってて下さい」 京太郎(明日の反応が怖いな……)ハハハ 加治木先輩が先導して、俺と東横はその後をついていく。 意識しないと声が聴こえないくらいの距離を取り、ついて来ているか確認しているのかときおりこちらを振り返る。 京太郎(東横と話しやすいように気を遣ってくれたのかな) 京太郎(せっかくだし今のうちに聞いておくか) 京太郎「なあ、東横。俺を誘った理由って何だったんだ?」 桃子「え? ああ、ほら、私ってこういう体質じゃないっすか」スゥ 京太郎「話してるときに消えるな!」 桃子「冗談っすよ。こうやって意識して消えることも出来るっすけど、基本的には人に見つけてもらえない厄介な体質なんすよ」 京太郎「ああ、知ってる。俺が見つけられたのも偶然だったしな」 桃子「加治木先輩が教室に来て、誘ってくれて嬉しかった。でも私がこういう体質なのは知らなかったじゃないっすか」 京太郎「まあそんな体質があるなんて普通思わないよな」 桃子「それで、こういう体質の私とコミュニケーション取るのって大変っすよね」 桃子「私から話しかければ驚かれる。話しかけて貰おうにも私のことは見えないから、いるかわからないところに声をかけるしかない」 京太郎「ん……楽と思ったことは確かにないな。けど面倒だとか思ったことも一度もないぜ」 桃子「ありがとうっす。須賀くんはそうやって受け入れてくれたっすね」 桃子「麻雀部の人たちは私を必要としてくれた。でもそれと私を受け入れるかっていうのは別っすよね」 桃子「加治木先輩もきっと私に合わせてくれると思うっす。だけど他の人たちもそうやって受け入れてくれるか不安だったっす」 桃子「だから私との付き合いに慣れてる須賀くんが入ってくれたら安心だなって。それが理由っすよ」 京太郎「……気にしすぎじゃないか?」 桃子「そういうと思ったっす。須賀くんは私の体質は知ってても苦労までは知らないっすからね」 京太郎「それを言われるとな……。まあ不安だっていうなら、俺でよければいくらでもいくらでも入るよ」 京太郎「でもあそこまでして必要としてくれる麻雀部だ。きっと東横の心配するようなことにはならないと思う」 桃子「私の取り越し苦労だったらそれが一番っすね。そうすると須賀くんには迷惑かけただけになっちゃうっすけど」ニコッ 京太郎「さっきも言ったろ。好きで入ったんだって。……お、着いたみたいだぞ」 ゆみ「ここが麻雀部だ。入ってくれ」ガラッ 京太郎「おじゃまします」 桃子「おじゃまするっす」 智美「ゆみちんおかえりー。期待の新入部員はどうだ……ってあれ?」 睦月「ええと、先輩。もしかして麻雀の相手はそっちの男の子だったんですか?」 ゆみ「ああいや、ちゃんと女子だったよ。ええと……」キョロキョロ ゆみ「すまない東横くん。姿を見せて貰えるか」 桃子「はいっす。私はここっすよ!!」バーン 智美「」ビクッ 睦月「」ビクッ ゆみ「」ビクッ 京太郎(おー、みんな驚いてるなー) ゆみ「すまない、どうもまだ慣れていないようだ……」ドキドキ 桃子「私は慣れてるので気にしないで欲しいっす」 ゆみ「そうか……なるべく早く慣れるようにするよ」 智美「ゆ、ゆみちん……」 ゆみ「ん? どうした」 智美「私はついに霊感を獲得したみたいだ!」 ゆみ「失礼なことをいうな!」 睦月「その、先輩。彼女が新入部員ですか? 今のは手品かなにかですか?」 ゆみ「ああ、彼女が今日から麻雀部に入部する東横桃子くんだ。今のについては彼女自身から聞いたほうがいいだろう」 桃子「改めまして、今日から麻雀部に入部することになりました東横桃子っす」 桃子「私は極端に存在感が薄くて、中々気づいて貰えない体質なんすよ。 さっきのも隠れていた訳じゃなくて私はずっとそこにいたっす」 桃子「こういう体質っすから迷惑かけることもあると思うっすけど、これからよろしくお願いします」ペコリ 睦月「そうだったのか……ごめんなさい、驚いてしまって」 智美「私もごめんなー。でももう驚かないぞ」ワハハ 智美「しかし世界は広いなー。こんな体質もあるなんて」 睦月「そうですね。目の前にいたのに気づけなかったなんて……」 京太郎(2人とも驚いたみたいだけど、気味悪がったりはしていない) 京太郎(別に特別な反応じゃない。普通の人なら誰だってこんな反応をするはずだ) 京太郎(まあでも……)チラリ 桃子「……」 京太郎「な、俺の言ったとおりだったろ」 桃子「……そうっすね!」 智美「ところでゆみちん。そこの金髪の子は誰なんだー」ワハハ ゆみ「ああ、こっちは須賀京太郎くん。彼も同じく新入部員だ」 京太郎「須賀京太郎です。麻雀は初心者ですがよろしくお願いします!」 睦月「うむ、よろしく。一気に2人も入ってくれて嬉しいよ」 智美「君も新入部員かー。鶴賀麻雀部史上初めての男子部員だな!」 睦月「まあ共学化したのも今年からですしね」 京太郎「ははは……泥を塗らないように頑張ります」 智美「頼むぞー少年」ワハハ ゆみ「さて、次は私たちが自己紹介する番だな」 智美「まずは部長の私からかなー」ワハハ 京太郎「えっ」チラリ 桃子「えっ」チラリ ゆみ「……私は部長じゃないぞ」 智美「……このくらいでは泣かないぞ」ワハハ 京太郎「す、すみません!」 桃子「ごめんなさい!」 智美「冗談だよ、冗談。期待通りの反応してくれて嬉しいぞー」ワハハ 智美「私は蒲原智美だ。麻雀部の部長をやってるぞー」 京太郎「いやその、すみません。よろしくお願いします、蒲原部長」 智美「智美」 京太郎「え?」 智美「智美って下の名前で呼んでくれ。私たち3年生は早ければ6月の頭には引退しちゃうからなー。早く仲良くなりたいんだー」ワハハ 京太郎「ええと、それじゃよろしくお願いします。智美部長」 智美「よろしくなー京太郎」 桃子「よろしくっす! 智美部長!」 智美「よろしく……モモって呼んでいいかー?」ワハハ 桃子「……! はいっす! 嬉しいっす!」 智美「よかったー。よろしくなーモモ」 睦月「じゃあ次は私が。私は津山睦月。部長たちとは違って2年生だ」 京太郎「よろしくお願いします、えっと……」 睦月「……? ああ、そうか。よろしく、京太郎くん」 京太郎「はい! よろしくお願いします、睦月先輩」 睦月「うむ」 桃子「私もよろしくっす! 睦月先輩!」 睦月「うん、よろしく。モモ」 ゆみ「さ、最後は私か……」 京太郎「どうかしましたか?」 ゆみ「い、いや。なんでもないんだ」 ゆみ「2人とも知っていると思うが改めて」コホン ゆみ「私は加治木ゆみ。3年生だ」 桃子「よろしくっす! ゆみ先輩もモモって呼んで欲しいっす」 ゆみ「ああ、わかった。よろしくな、モモ」 京太郎「よろしくお願いします、ゆみ先輩」 ゆみ「――!」カアァ 京太郎「……ええと、本当に大丈夫ですか?」 ゆみ「だ、大丈夫だ!」 ゆみ「よろしく、きょ、きょう……うぅ」 ゆみ「ちょ、ちょっと待ってくれ」スーハー 京太郎「はい、ゆみ先輩」 ゆみ「――――!!」カアァァァ 桃子(空気読まないっすねー) 睦月(あれはわざとやってるのかな) 智美(期待の新人だなー)ワハハ ゆみ「……その、すまない。須賀と上の名前で呼ぶことにしていいだろうか」 京太郎「え? え、ええ。いいですよ」 ゆみ「それと私のことも加治木先輩と呼んでくれると助かる」 京太郎「わかりました……」 京太郎(俺嫌われたのかな……)ズーン 桃子「そんなことないから安心するっす」ポン 京太郎「え、今の声に出てたか!?」 桃子「顔見れば須賀くんの考えてそうなことくらいわかるっす」 桃子「……あ、そうだ。今度から須賀くんも私のことはモモって呼んで欲しいっす」 京太郎「ああ、これから頑張ろうな。モモ」 桃子「一緒に頑張るっす! 京太郎!」 --------------------------------------- ゆみ「自己紹介も済んだことだし麻雀を打とうか。モモとはネットで何度も打っているが実戦での実力も知りたいしな」 桃子「私は実戦のほうが得意っすよー」フフフ ゆみ「それは楽しみだな。須賀くんも一緒に入ってもらっていいか?」 京太郎「いえ、俺は実戦どころかネットでもやったことないので……」 ゆみ「それなら最初は見学からだな」 京太郎「はい、そうさせてもらいます」 智美「誰か一人のをじっくり見てるといいと思うぞー」 京太郎「わかりました。じゃあモモ……」 桃子「あ、私はやめたほうがいいっすよ」 京太郎「え?」 桃子「勉強するつもりなら私のは見ないほうがいいっす」 京太郎「……? まあそういうなら。ええとそれじゃあ――」 京太郎(やっぱり強い人のほうがいいよな。かじゅは加治木先輩だろうし) 京太郎「加治木先輩。見てていいですか?」 ゆみ「わ、私か!?」 京太郎「だ、駄目なんですか?」 ゆみ「い、いや。ちょっと驚いただけだ」コホン ゆみ「私で良ければ参考にしてくれ」 京太郎「え、ええ。もちろんです」 智美「ゆみちん。そういうのちょっと直した方がいいなー」ワハハ ゆみ「わ、わかってるっ」 智美「じゃあ始めるぞー」タン 桃子「負けないっすよ」タン 睦月「ネトマで何度も負けてるけど、先輩として最初くらいは……!」タン ゆみ「私も譲る気はないぞ」タン ………… ……… …… … 【南二局】 智美「リーチ。ゆみちんをまくってやるぞー」ワハハ 桃子「……」タン 睦月(うーん……降りよう)タン ゆみ(蒲原の捨て牌は……)チラ ゆみ(こっちかな)タン ……… …… … 智美「テンパイ」 桃子「ノーテンっす」 睦月「ノーテンです」 ゆみ「テンパイだ」 智美「うっ、また止められてたか。今回はわからないと思ったんだけどなー」ワハハ ゆみ「蒲原とは何度も打ってるからな。なんとなくわかるさ」 京太郎(南二局まで終わって、振り込んだのは睦月先輩と蒲原先輩が一回ずつ) 京太郎(加治木先輩ももちろんだけど、他の3人も全然振り込まないな) 京太郎(……見ててもどうやって止めてるのかさっぱりわかんねえ!!) ゆみ「須賀くん? どうかしたか?」 京太郎「あーその。染め手とかは分かるんですけど、今のとかどうやって止めてるのかなと思いまして」 ゆみ「ああ、なるほど。基本的には捨て牌を見て予測しているんだ。筋とか色々あるんだが……まだ君には早いな」 京太郎「はい」キッパリ ゆみ「そう断言されても困るな」ハァ ゆみ「他にも相手を直接観察して理牌や目線を見ているが、これは慣れるまではやめたほうがいいだろう」 ゆみ「まあ特に理牌は相手の癖を知らなければわからないから、あまり使うべきではないのかもしれないが……ん?」 京太郎「」ポカーン 智美「」ポカーン 睦月「」ポカーン ゆみ「ど、どうした?」 京太郎「い、いえ。そんなことまで考えて麻雀をしているんだなと」 ゆみ「まあ必ず当たるわけではないし、そんなに大したことではないさ」 ゆみ「というか須賀くんはともかく、蒲原と津山は知っているだろう」 睦月「いえ、そういう技術があるのは知ってますがこんな身近に実践している人がいたなんて……」 智美「私はそこまでの余裕はちょっとないなー」 ゆみ「何もずっと見ているわけじゃないぞ? 重要なところだけ見ればいいんだ」 ゆみ「まあその辺りは対局が終わったら教えようか。雑談はこの辺りにして、次の局に行こう」 桃子「…………」 京太郎(そういえばモモのやつさっきから全然話してないな。集中してんのかな……?) 【南三局】 睦月(ラス親かあ。まだ焼き鳥だしここでなんとか)タン ゆみ(今のところトップで2位のモモとは約1万5千点差) ゆみ(配牌は四向聴か)タン タン タン タン タン タン…… 桃子「リーチっす」タン 京太郎(モモは索子の染め手っぽいな。これくらいはわかるぞ!) 睦月(一向聴から中々進まない……!)タン ゆみ(形聴は狙えそうだな)タン 智美(ううん、引きが悪いなー)タン 京太郎(あれ、リーチしたのにみんなあんまり反応してないな) 桃子「……」タン ゆみ(役牌が重なった。これなら上がりも狙えるか)タン 京太郎(索子!? しかも1枚も見えてない三索!?) 桃子「ロン! 立直、混一色で7700っすよ!」 ゆみ「なっ!?」 智美・睦月「えっ!?」 ゆみ「モモ、リーチ宣言は……」 桃子「ちゃんとしたっす!」 京太郎「俺も聞いてました。そんな小さな声じゃなかったと思うんですが……」 ゆみ「ん……そうか。それはすまない」 ゆみ(さっきの反応からして蒲原も睦月も、モモのリーチ宣言を聞いていない) ゆみ(かといってモモも須賀くんもそんな嘘を付きはしないだろう) ゆみ(つまりおそらく――――) 【南四局】 ゆみ(配牌はあまり良くないか……どこまで対抗できる分からないが、やるだけやってみるとしよう)タン 智美(今のは何だったんだー?)タン 桃子(フッフッフ。ネトマのリベンジ達成はもうすぐっすよー)タン 睦月(リーチが聞こえなかったなんて、こんなの初めて)タン ゆみ「チー!」タン 桃子(仕掛けが速いっすね) ゆみ「ポン!」タン 智美(東を鳴かれたかー。いや、でもこれは速いというか……) ゆみ「チー!」タン 睦月(こんな先輩らしくない無理矢理な仕掛けをなんで……?) ゆみ「ポン!」タン 京太郎(四副露!? なんでここまで急ぐ必要が……) 桃子(ううー、なるほど。そういう手もあるんすね……) ゆみ「ロン。東のみ」 1位 加治木ゆみ 2位 東横桃子 3位 蒲原智美 4位 津山睦月 【終局】 桃子「いやー参ったっす。初見では絶対負けない自信があったんすけどねー」 ゆみ「たまたま運がよかっただけだよ。トータルではおそらく私が負け越すさ」 桃子「そもそも東場で消えられるのが普通なんすよ。まさか南二局までかかるとは思わなかったっす」 京太郎「ええと、モモ。何の話?」 桃子「最後の二局のことっすよ。ゆみ先輩が私に振り込んだのは見たっすよね?」 京太郎「ああ。加治木先輩にしてはおかしいなと思った」 ゆみ「あのときだが、私にはモモの捨て牌が見えていなかった……いや、それでは正確ではないな」 ゆみ「私にはリーチ宣言も聞こえていなかった。モモのことが認識できていなかったんだ」 京太郎「……はい?」 睦月「よかった。聞こえなかったの私だけじゃなかったんですね」 智美「むっきーも聞こえてなかったか。私も聞こえてなかったぞー」ワハハ 京太郎「いや、確かにモモは存在感薄いですけど一緒に麻雀してて消えるなんて……」 桃子「ほら、来る途中にもやったじゃないっすか。私は自分の意志でも消えられるんすよ?」 京太郎「……あー。そういえば」 桃子「麻雀でやると私だけじゃなく牌も消せるんすよ。正確に言えば気づかなくさせるっすけど」 京太郎「つまり相手に警戒されなくなるし、振り込むこともなくなるってことか? そりゃすごいな」 桃子「気づかれない私の唯一の利点といっても過言じゃないっす! まあまさか初見で破られるとは思わなかったっすけど……」 京太郎「ああ、加治木先輩が鳴きまくってたのはそれで……」 ゆみ「破るなんて大層なものじゃないさ。たまたま運よく行っただけだ」 ゆみ「どうせ見えないなら防御するのも不可能だからな。上がられたら確実に まくられてしまうし、なら鳴いて速く手を進めてしまえというだけだよ」 桃子「まあ理屈ではそうっすけど……私が鳴けないから手が遅いってのもわかった上でやったんすよね。凄いっす!」 ゆみ「ネトマのときから極端な面前思考で気になっていたから試してみたんだ。上手くいって幸いだった」 京太郎「なんというか……追いつける気がしない」 智美「気にするな京太郎。私もだー」 睦月「私なんてリーチ宣言聞き逃したとしか思ってませんでしたよ……」 ゆみ「さて、じゃあもう1局打とうか」 桃子「次は負けないっすよー」 智美「京太郎、私が抜けるから代わりに入るんだー」ワハハ 京太郎「え!? でも俺ほんと初心者で……」 睦月「私も入ってすぐ打たされたよ。とりあえずやってみよう?」 ゆみ「とりあえず簡単なルールさえ分かっていれば大丈夫だ。別に練習だし軽い気持ちでいいぞ」 京太郎「……そうですね。よろしくお願いします!」 ………… ……… …… … 京太郎「」ズーン 智美「見事に飛んだなー」 桃子「見事に飛んだっすねー」 睦月「先輩の倍満と跳満に続けて振り込み……」 ゆみ「その、すまない。どうも運がよすぎたようで……」アセアセ 京太郎「い、いえ。手加減しちゃ練習になりませんしね……」ハハハ ――帰り道―― 智美「それじゃあ私たちはこっちだから」 桃子「また明日っすー!」 睦月「さようなら先輩。京太郎くん、また明日」 京太郎「はい、お疲れさまでした」 ゆみ「ああ、また明日」 下校途中の大きな交差点。鶴賀の生徒の多くはここで大きく二手に分かれて帰宅する。 俺達麻雀部もそのご多分に漏れず、俺と加治木先輩は右へ、部長と睦月先輩とモモは左へと分かれることになった。 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……その、加治木先輩自転車押してますけど家遠いんですか?」 ゆみ「あ、ああ。学校まで大体自転車で20分ちょっとかかるな」 京太郎「そうなんですか。……急いでるようでしたら俺に気を遣わなくても大丈夫ですよ」 ゆみ「いや、今日は特に何もないから大丈夫だ。途中まで……い、一緒に帰ろう」 京太郎「そうですか……」 ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……」テクテク 京太郎(……き、気まずい!!) 京太郎(なんか会話もぎこちないし、嫌われたのか苦手に思われたのか……) 京太郎(こっちから話しかけないほうがいいかな。でもこのまま無言ってのも……) 京太郎(うん、悪いところがあったら直せばいいんだしな。もう一回声をかけて) ゆみ「須賀くん!」 京太郎「は、はいぃ!!?」 京太郎(な、なんだ!? なんかしたか俺!?) ゆみ「その、だな……」 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎「…………」 ゆみ「……すまない、ちょっと情けないことで話すのに心の準備が必要でな」 京太郎「……?」 ゆみ「ふぅ……」スーハー ゆみ「……その、私は男子と話すのが得意ではなくてな」 京太郎「……は?」 ゆみ「君に対してそっけない態度を取っていると思うのだが、決して君のことが嫌いとかそういうわけではないんだ」 京太郎「え、いやでも部活とか教室ではそんなこと全然」 ゆみ「麻雀なら君に対しては指導するという立場でいられるからな。普通に話すのに比べれば大した緊張はない」 ゆみ「教室は……あのときの私はどうかしていた」カァァァ ゆみ「部員を見つけることだけを考えていて、他のことは何も頭になかった。緊張なんてする暇もなかったよ」 京太郎「そうだったんですか」 ゆみ「だから、その、だな。君を不快にさせてしまったかもしれないが、決してわざとというわけではないんだ」 京太郎「ははは、嫌われたのかと思ってましたよ」 ゆみ「す、すまない……」シュン 京太郎「い、いえ。そういうつもりでは」 京太郎「言ってくれて嬉しかったですよ。言われなかったら誤解したままだったかもしれないです」 ゆみ「ん……そうか。そういってくれると助かる」 京太郎「でも意外ですね。男子とか苦手な風には見えないです」 ゆみ「ふむ、まあ女の子らしい見た目ではないからな」 京太郎「そんなことないですよ!」 ゆみ「はは……うん、そう言ってくれるのは嬉しいよ」 京太郎(本心なんだけどなあ……) ゆみ「男子と話すのが苦手な理由は、まあ単純に話す機会がなかったんだ」 京太郎「小さい頃から女子校だったんですか?」 ゆみ「いや、そういうわけではないんだが、私は小さい頃から何かと男子を注意するような役回りになることが多くてな」 京太郎「あー……」 ゆみ「今日一日一緒にいただけだが、何となく分かるだろう?」 京太郎「ええ、なんとなくわかります」 ゆみ「自分から言うことはそんなになかったんだが、女子から注意してくれとよく頼まれた」 ゆみ「そのせいで男子からは敬遠され、女子からはさらに頼られ、男子と普通に話す機会をほとんど持てなかった」 ゆみ「その上女子校に入学してしまったからな。自業自得ではあるんだが、慣れようがなかったんだ」ハハハ 京太郎「共学化したときとかはどうだったんですか?」 ゆみ「麻雀部に来るかもしれないと思ってやはり緊張したよ。結果は……まあ今日見た通りだが」 京太郎「あはは……」 ゆみ「まさか1人も入らないとは思わなかった。まあ確かに麻雀をやりたい子がわざわざ鶴賀に来るわけはないんだが」ハァ ゆみ「だから今日、モモと君、2人も入ってくれて本当に感謝している」 京太郎「モモはわかりますけど俺もですか?」 ゆみ「ああ、もちろんだ」 京太郎「でも俺は男子ですし、麻雀も初心者ですよ」 ゆみ「確かに大会には出たいし、そのために部員を集めていた。 でも私が卒業した後、部員不足で麻雀部が潰れてしまっては悲しいだろう?」 ゆみ「女子だろうと男子だろうと、麻雀の経験があろうとなかろうと関係ない。私は君が入ってくれてとても嬉しかったよ」ニコッ 京太郎「――!」カァァ ゆみ「うん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」 京太郎(ほんと先輩はストレートだな……!) 京太郎「そういえば部員って今日いたので全員なんですか?」 ゆみ「? あれで全員だがそれが?」 京太郎「いえ、麻雀の団体戦って5人でやるじゃないですか。1人足りないんじゃないかと」 ゆみ「ああ、そのことか。確かに説明していなかったな」 ゆみ「蒲原には幼馴染がいるんだが、その子が4人集まったら入ってくれると言っているらしいんだ」 京太郎「ああ、じゃあモモが入ったからその人も入ってくれるんですね」 ゆみ「そういうことだ。彼女は初心者と言っていたかな。君と一緒だ」 京太郎「へーそうなんですか。よかったです、1人初心者で気後れしてたんで……」ハハハ ゆみ「誰だって始めたときは初心者だよ。これから上手くなればいい」 京太郎「今日の加治木先輩とモモの会話聞いてたらそうは思えませんよ……」 ゆみ「モモのは彼女の生まれ持った資質だけど、私のは練習の賜だ。努力次第だが私くらいにはなれるさ」 京太郎「うーん、なれますかねえ」 ゆみ「なに、これから私たちが教えるんだ。独学で学んできた私より上手くなって貰わないとな」 京太郎「ははは、そうですね。ご指導よろしくお願いします」ペッコリン ゆみ「ああ、任された」フフッ 京太郎「それじゃあ俺はこっちなんで」 ゆみ「ああ、それじゃあ……もうこんなところか。君との話に夢中で気がつかなかった」 京太郎「ありがとうございます。――あ、そうだ。加治木先輩」 ゆみ「なんだ?」 京太郎「加治木先輩が男と話すの苦手っていうの、きっと思い込みだと思いますよ」 ゆみ「そうだったらいいが、現に私は君にぎこちない態度を取ってしまっていたと思うのだが……」 京太郎「全くないとは言いませんが、そういうのって大体俺が急に話しかけたときとかじゃないですか」 京太郎「多分話すのが苦手というよりは、何を話せばいいのか分からないんですよ」 ゆみ「それは確かにそうだが、その2つにあまり差はないんじゃないか……?」 京太郎「だってほら、先輩と俺、帰り道は普通に話してたじゃないですか」 ゆみ「ふむ、確かに言われてみればそうだな」 京太郎「あんまり固く考えなければいいんですよ。そうすればきっとすぐ直ります」 ゆみ「ああ、君の言うとおりかもしれないな。でも、須賀くんだからというのもあると私は思う」 京太郎「えっ……」ドキッ ゆみ「私に話しかけてくる男子はほとんどいなかったからな。高校に入ってからは須賀くんが初めてだ」 京太郎「あ、ああ。そういう……」 ゆみ「すぐには慣れないと思うが、これからも話しかけてくれると嬉しい」 京太郎「え、ええもちろんです」 ゆみ「ありがとう。それではまた明日。部室で」 京太郎「さようなら……」 京太郎「……」 京太郎「…………」 京太郎「天然でやってんのかあれは!?」 ――自室―― 京太郎「お、咲からのメールか」 京太郎「1日ぶりだな。どれどれ……」 咲『京ちゃん元気?』 京太郎『おう、元気だぞ。昨日はメールなかったけどどうしたんだ?』 咲『本を読んでたらそのまま寝ちゃって……』 京太郎『はは、お前らしいな』 咲『うぅ……そ、そんなことより、今日私文芸部に行こうとしたんだよ!』 京太郎『おお、ついに入部し……行こうとした?』 咲『う、うん。その、ドアの前までは行ったんだけど、中がすごく和気あいあいとしてて入りづらくて……』 京太郎『まあもう5月だからなあ』 咲『どうしよう京ちゃん! 私文芸部に入れないよ!!』 京太郎『いやそのくらい気にせず入れよ……そもそもなんで4月に入らなかったんだ?』 咲『ええと、ほら、清澄に行った友達がいるじゃない?』 京太郎『ウチの中学から清澄に結構行ってたよな? 図書委員のやつ?』 咲『ううん、そっちじゃなくて班で一緒だったクラスの子』 京太郎『ああ、あいつか。結構仲良かったよな』 咲『そうそうその子。まあ京ちゃんとほどじゃなかったけどね』エヘヘ 京太郎(俺基準って……まあいいか) 京太郎『それでそいつがどうしたんだ?』 咲『うん、その子に一緒に文芸部に見学に行かない? って誘ったんだけど断られちゃって』 京太郎『へー、見学くらい行ってくれてもいいのにな』 咲『まあ先週誘った私も悪かったんだけど』 京太郎『先週!? ちなみにあいつ部活入ってるのか?』 咲『入学してすぐ園芸部に入ったよ。私も見学に付き合ったの』 京太郎『断られるに決まってんだろ!!』 咲『やっぱりそうだよね……』 京太郎『っていうか4月に行ってない理由にはなってなくないか?』 咲『ええと、さっき言ったとおり4月の初めにあの子と一緒に園芸部に行ったんだけど、私も体験入部したんだ』 京太郎『咲は花育てるのも好きだったよな』 咲『うん、最初はお花を育てるの楽しいし、本は1人でも読めるからここに入ろうかなと思ったんだけど……』 京太郎『ふむふむ』 咲『園芸部って土とかお花の鉢運んだりするんだ。それが結構重くて……』 京太郎『あー、それがきつくてやめたのか』 咲『そのくらいじゃやめないもん!』 京太郎『え? じゃあなんでやめたんだよ』 咲『ええと、頑張って運ぼうとしたんだけどお花植えてるプランターこぼしちゃって……』 京太郎『お、おう。まあでも一回くらいならやめるほどではないんじゃないか』 咲『ううん、何度も』 京太郎『…………』 咲『無言はやめてぇ!!』 京太郎『ま、まあ居づらくなって園芸部やめたのはわかった。それで?』 咲『え?』 京太郎『体験入部のうちにやめたんだろ? なら文芸部だって体験入部期間に行けたんじゃないか?』 咲『そ、それはそのう……』 京太郎『……うん、言わなくていいぞ。大体わかった』 咲『うぅ……で、でも勇気出したよ! 先週は友達誘ったし、今日は部室の前まで行ったもん!』 京太郎『まあなんだ。咲が頑張ったのはよくわかった。でももう少し頑張ろうな』 咲『京ちゃぁん……』 京太郎『入っちゃえば意外となんとかなるもんだぜ。俺も今日部活入ったけどみんな歓迎してくれたよ』 咲『京ちゃん部活入ったの!? 何部?』 京太郎『麻雀部』 咲『麻雀……京ちゃん麻雀出来たっけ?』 京太郎『いや全く。完全に初心者だよ。でも歓迎してくれた』 咲『そっか』 京太郎『咲は麻雀出来るのか?』 咲『……うん、出来るよ。昔よく家族でやってた』 京太郎『へー、なら麻雀部入ったらどうだ?』 咲『麻雀部?』 京太郎『ほら、清澄の麻雀部って聞いたことないからきっと強くないだろ? なら5月からでもウチみたいに歓迎してくれるさ』 京太郎『それに麻雀部なら大会でお前と会えるかもしれないしさ』 咲『……そうだね。考えてみる』 京太郎『まあ最終的には咲が後悔しないようにすればいいと思うけどな』 咲『これだけ言っておいて結局それ? ……うん、でもありがと』 京太郎『おう』 咲『ところで京ちゃん。大会で会えるかもってもしかして女子と合同の部活なの? そういえば鶴賀って元女子校だったよね?』 京太郎『ああ、というか俺以外全員女子だよ』 咲『な、何それ!!』 京太郎『何って……去年まで女子校だったし麻雀部も俺含めて今のところ5人だしな。そういうこともあるだろ』 咲『どうせハーレムだー! とか思ってるんでしょ!』 京太郎『初心者俺1人だぜ? そんな余裕ねえよ。……まあ嬉しくないって言ったら嘘になるけど』 咲『京ちゃんのバカ! もう知らない!!』 京太郎「おおう……まあ部活入れないって相談してきたのに、俺は部活でハーレムだって言ったらそりゃいい気分はしないか」 京太郎「なんて返すかなあ。ってあれ、咲からメールが」 咲『言い忘れてた、おやすみ!!』 京太郎『おやすみ。別に男子が俺だけだから入ったわけじゃないからな!』 咲『うん……その、私急に怒っちゃったけど、京ちゃん怒ってない? 明日もメールしていいよね?』 京太郎『これくらいで怒るわけないだろ? 明日は俺からメールするよ』 咲『京ちゃんありがとう!!』 京太郎『俺も悪かった。また明日』 京太郎「10時半か。ちょっと早いけどもう寝……ん? 加治木先輩からメール?」 ゆみ『今日はありがとう。男子と話したのは久々だったよ』 京太郎『いえ、俺も楽しかったですよ。それにしてもアドレス交換しましたけど、まさか今日メール貰えるとは思いませんでした』 ゆみ『蒲原に話したらその日のうちにメールするべきだと言われたんだが……』 京太郎(早く仲良くなるようにって部長が気を遣ってくれたのかな……うん、まあ嬉しいんだけど) ゆみ『男子にメールしたのは初めてなのだが何かおかしなところがあっただろうか』 京太郎『いえありませんよ。せっかくですし、教本で気になったところがあるのでよければ教えて下さい』 ゆみ『勉強熱心だな。いいぞ、なんでも聞いてくれ』 京太郎『それじゃあ――』 ………… ……… …… … 京太郎「ロ、ロン!! 立直平和で裏ドラは……乗った! 3900です!」 ゆみ「む……」 京太郎「よっしゃあ! やっと加治木先輩から直撃取れた!」 智美「ついにゆみちんから直撃かー。気分はどうだー」ワハハ 京太郎「最高です!」 桃子「後は私から直撃取れば全員制覇っすね!」 京太郎「モモ、一度消えないでやってみないか?」 桃子「消える前に頑張るっす!」 京太郎「せめて東場は消えないでくれよ……」 桃子「気合で頑張るっす!」 京太郎「うぅ……」 佳織「うわー凄いね京太郎くん!」 京太郎「ははは、佳織先輩には負けますよ」 佳織「? 私加治木先輩からロンしたことないよ?」 京太郎「あははは……」 京太郎(代わりに初めての麻雀で役満上がってるんだよなあ……) 睦月「おめでとう京太郎くん。でもまだ打ってる最中だからほどほどに」 京太郎「あ、すみません。つい嬉しくて」 睦月「ふふ、私も初めてのときははしゃいだから気持ちはわかるよ」 京太郎「睦月先輩がはしゃぐのってあんまり想像つかないですね」 ゆみ「今の須賀くんのような感じだよ。まあそのうち見られるさ」 京太郎「そのうち?」 ゆみ「津山はプロ麻雀せんべいをよく食べているだろう?」 京太郎「そうですね。俺も睦月先輩に影響されて食べ始めましたよ」 ゆみ「いつの間に……まあいい。津山はレアカードが当たったとき、人が変わったように喜ぶんだ」 睦月「そ、そんなことないですよ!」 京太郎「へー。楽しみにしてますね」 睦月「しなくていいから!」 智美「3人とも、そろそろ次の局行くぞー」 ゆみ「そうだな。すまない」 京太郎「この勢いでトップを狙います!」 ………… ……… …… … 京太郎「結局3位か。配牌は良かったんだけどなあ」 桃子「京太郎は牌効率がまだまだっすね。いくら配牌がよくてもそれじゃ勝てないっすよ」 京太郎「一応考えてるつもりなんだけど難しいな。筋とか壁とかそういうのは決まってるから覚えやすいんだけど」 桃子「え? もう覚えたんすか?」 京太郎「ああ、教本読んだり加治木先輩に教わったりしてるからな。もうバッチリだ!」 桃子「見た目と違って真面目っすねー……ってゆみ先輩に?」 京太郎「見た目は関係ないだろ! そうだけどどうかしたか?」 桃子「部活でそんなにじっくり話してるの見たかなーと」 京太郎「ああ、帰ってからメールで教えて貰ってるんだよ」 桃子「む。個人指導っすね」 京太郎「まあそうなるな」 桃子「羨ましいっす!」 京太郎「は?」 桃子「私もゆみ先輩に教えてもらいたいっす!」 京太郎「それを俺に言われてもなあ」 ゆみ「私なら構わないぞ」 京太郎「加治木先輩!?」ビクッ ゆみ「あんまり驚かれると傷つくな……」 京太郎「す、すみません」 ゆみ「い、いや、冗談だ。気にしないでくれ。……それよりモモ、聞きたいことがあったらいつでもメールしてくれて構わないぞ」 桃子「ほんとっすか!?」 ゆみ「ああ、後輩の指導も先輩の役目だ。なるべく速く返信するよ」 桃子「嬉しいっす! ゆみ先輩大好きっすー!」 智美「ゆみちん、ちょっと来てくれ」コイコイ ゆみ「?」テクテク 智美「部員が集まって嬉しいのはわかるけど、最近ちょっと詰め込み過ぎてないかー?」 ゆみ「そんなつもりはないんだが……」 智美「牌譜持ち帰る量も増えたし、他校の研究も本格的に始めたんだろー?」 ゆみ「バレていたのか」 智美「これでも部長だぞー」ワハハ ゆみ「……まあそうだな。お前の言うとおり以前より熱心にやっているよ」 ゆみ「折角部員が集まったんだ。1回戦で負けて終わりなんて嫌じゃないか」 智美「それには同意だなー。でも少しくらい分けてくれてもいいんだぞ」 ゆみ「そうだな……」ムゥ 智美「私とゆみちんの仲だろ? 遠慮せず言ってくれていいぞ」 ゆみ「ん……こういうのはなんだが、私のほうが向いていると思うんだ」 智美「やっぱり私じゃ力不足かー」ワハハ ゆみ「いや、性格的に」 智美「想定外の方向から突き刺さったな……」 ゆみ「遠慮するなと言ったのはお前だろう」 智美「そっちから来るとは思わなかったぞ」 ゆみ「まあ1人でやったほうが効率的だというのもなくはないがな」 智美「じゃ、じゃあアドバイスの方なら! それなら私でも出来るぞ!」 ゆみ「私がやると言ったことだしな。それを任せるというのも」 ゆみ「それに……」チラッ 智美「?」 ………… ……… …… … 桃子「むっちゃん先輩! この間話してた喫茶店に行く話っすけど、今日の帰りどうっすか?」 睦月「今日は予定もないし……うむ、行こうか」 桃子「かおりん先輩はどうっすか?」 佳織「~♪」 京太郎「佳織先輩、モモが呼んでますよ」 佳織「えっ!? ご、ごめんね桃子さん」 桃子「私はこっちっすよ」 佳織「あわわわ……」 京太郎「気にしないでください。そのうち見つけられるようになりますよ」 桃子「京太郎が言うんじゃないっす!」 睦月「あはは、京太郎くんはどうする? 一緒に行く?」 京太郎「行きたいんですが課題が残ってるので……」 睦月「そう……あ、そうだ。この前約束したプロ麻雀カード、ダブってるやつ持ってきたよ」 京太郎「おお、ありがとうございます!」 佳織「キラキラだねー」 睦月「結構貴重なレアなんだ。大事にしてね」 京太郎「はい!」 ゆみ「」ジー 智美「どうしたゆみちん。恋する乙女かー」ワハハ ゆみ「なっ!? バ、バカを言うな!!」 智美(からかいがいがあるなー)ワハハ ゆみ「……私はあんな風に仲良くなれていないからな。せめて麻雀で距離を縮めたい」 智美「そんなことないと思うけどなー」 ゆみ「それに実際大した負担ではないんだ。頼ってもらえるというのは純粋に嬉しいしな」 智美「まあゆみちんがそういうなら。でも無理はダメだぞ」 ゆみ「ああ、わかってるよ」 京太郎「智美部長、加治木先輩! 早く帰りましょう!」 ゆみ「すまない、今行く……っと」フラッ 京太郎「大丈夫ですか?」 ゆみ「少しふらついただけだ。心配ない」 桃子「先輩も喫茶店行かないっすか?」 ゆみ「ありがとう。だけど牌譜の整理があるから遠慮しておくよ」 桃子「残念っす……」 智美(……やっぱり心配だなー) 京太郎「こんにちはー……ってあれ。部長だけですか」 智美「みんなまだみたいだなー」 京太郎「じゃあ来るまで教本でも読んで……」 智美「なあ京太郎、息抜きするなら何がいいと思う?」 京太郎「唐突ですね」 智美「いいからいいから」 京太郎「そうですねー……まあ普通に遊びに行くのが一番じゃないですか?」 智美「やっぱりそうだよなー」ワハハ 京太郎「急にどうしたんですか?」 智美「最近ゆみちん根詰めてるだろ? 息抜きに買い物に誘ったんだけど断られちゃってなー」 京太郎「そういえばたまに辛そうにしてますね」 智美「だろー? 大会まで時間がないのは確かだけど、あれで持つのか心配なんだ」 京太郎「時間がないといっても無理が続くほどではないですしね」 智美「気を抜いてくれればまた違うと思うんだけどなー。京太郎、何かゆみちんに息抜きさせるいい方法はないかー?」 京太郎「ただ誘うだけだとダメだったんですよね? うーん……」 智美「まあすぐじゃなくてもいいさ。考えておいてくれ」 京太郎「わかりま……」 ゆみ「」ガラッ 京太郎「」ビクッ 智美「」ビクッ ゆみ「ど、どうしたんだ?」 智美「い、いや。なんでもないぞー」ワハハ ゆみ「怪しいな……何かよからぬことでも考えてたんじゃないだろうな」 京太郎「そ、そんなことないですよ! それよりその雑誌はなんですか?」ガタタッ 智美(ナイスフォローだ京太郎!) ゆみ「バ、バカっ! 近い!」カアァァ 京太郎「はっ! す、すみません!」カアァァ 智美(……わざではないんだろうなー) ゆみ「ざ、雑誌だったな。これは麻雀の専門誌だよ」コホン 京太郎「そ、そういえばそういう名前の見たことあります」 ゆみ「初心者向けのコーナーもある。参考になるだろうから読んでみるといい」 京太郎「へー、読んでみますね」ペラペラ 京太郎「……ん?」 ゆみ「どうかしたのか?」 智美「どれどれ……高校生チャンプ宮永照?」 京太郎「ええ、はい」 智美「確かに美人だから気になるのもわかるけど、女子2人の前でそれは感心しないなー」ワハハ ゆみ「須賀くん、そうなのか……」ジー 京太郎「違いますよ!」 智美「ワハハ、冗談だ」 ゆみ「わ、私はわかっていたぞ」 京太郎「加治木先輩……まあいいです。えっと、前に住んでたところに宮永って幼馴染がいるんですよ」 ゆみ「なるほど、同じ名字だな」 京太郎「そいつも女子なんですけど、なんとなく雰囲気が似てるなーと思いまして」 ゆみ「宮永照のいる白糸台は東京だろう? 須賀くんは前に住んでいたところも長野だったと聞いた覚えがあるのだが」 京太郎「ええ、そうなんですけど他人の空似とは思えなくて」 智美「ふーん。なら親戚なのかもしれないなー。その子も麻雀は強いのか?」 京太郎「いえ、そもそも打ってるところも見たことが……」 京太郎「あ、いや。そういえば家族麻雀はしていたみたいです。俺も最近聞いたんですが」 ゆみ「ふむ、仮に宮永照がその幼馴染の親戚だとすると、我が部には高校生女子麻雀チャンピオンの 親戚の幼馴染がいることになるわけか」 智美「世間は狭いなー」 京太郎「近いのか遠いのか微妙な繋がりですけどね」ハハハ 佳織「何を話してるんですか?」ガラッ モモ「私も入れて欲しいっすー!」 佳織「わっ! 桃子さん!?」 睦月「最初からいたよ」クスクス 智美「みんな来たかー。今は京太郎が女子麻雀チャンプの知り合いだって話をしてたんだー」ワハハ 京太郎「ちょっと部長!?」 桃子「なんと、衝撃の事実っす! さては今までの麻雀素人っぷりも演技っすね!?」 佳織「京太郎くんそんな人と知り合いなの!? 凄いねー。でもおんなじ初心者だと思ってたからちょっと寂しいな」 京太郎「モモ悪ノリするな! 佳織先輩、智美部長のもモモのも嘘ですからね!?」 佳織「智美ちゃん嘘だったの? もう、信じちゃったじゃない」 ゆみ「正確にはチャンピオンの親戚の幼馴染かもしれないというところだな」 睦月「反応が難しいですね……」 京太郎「雑誌見てての雑談ですから! もうやめて下さい……!」 桃子「その屈辱は麻雀で晴らすっすよ! さあ勝負っす!」 京太郎「お前のせいでもあるからな!? 畜生、今日こそは勝ってやる!」 桃子「受けて立つっすよー!」 ゆみ「はは、今日は最初は1,2年生に譲ろうか」 智美「私たちは見学だなー」 睦月「ありがとうございます。モモも京太郎くんも、2人で盛り上がってるけど私も負けないよ」 佳織「私も頑張ります!」 ………… ……… …… … ――帰り道―― 京太郎「それじゃみなさんまた明日」 佳織「また明日」 睦月「さようなら」 智美「2人ともまたなー」 モモ「今日の雪辱はまた果たすっすよ!」 京太郎「今日だけで何度も果たされたよ!」 ゆみ「はは、4人ともまた明日」 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎(何度も一緒に帰ってるけど、やっぱり別れてすぐは会話が途切れるなあ) 京太郎(俺から話しかければいいんだろうけど……)チラ ゆみ「……」ソワソワ 京太郎(……うん、もうちょっと待ってみよう) 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……」テクテク ゆみ「……す、須賀くんっ」 京太郎「はい、何でしょう」 ゆみ「その、だな。今日は初めての2位おめでとう」 京太郎「ありがとうございます!!」 ゆみ「うわっ」ビクッ 京太郎「いやもうほんと嬉しかったんですよ! いつ話振ってくれるかなってそわそわして……って」 ゆみ「」 京太郎「そ、その、すみません……」 ゆみ「ふっ、くくっ……」 京太郎「加治木先輩?」 ゆみ「ふふ、すまない。ついおかしくてな」 京太郎「う……ついはしゃぎすぎましたけど、初めての2位なんですよ。嬉しくて当然じゃないですか」 ゆみ「それにモモの上を行ったのも初めてだった」 京太郎「そうです。目標が2つ同時に達成できたんですよ。そりゃ喜びますって!」 ゆみ「うん、まあ気持ちはわかる。でもな」 京太郎「?」 ゆみ「まだ君は部に入って間もないが、その努力を私は誰よりもよく知っているつもりだ」 ゆみ「君はよく努力している。そんなに喜ばなくともこれから何度でもなれるし勝てるよ。私が保証する」 京太郎「加治木先輩……」ジーン ゆみ「うん? どうした」 京太郎「いえ、感動してました」 ゆみ「なっ!?」 京太郎「他人に真正面から評価されるってこんなに嬉しいものなんですね……!」 ゆみ「大げさだな……そういう感動はもっと大事なときに取っておいたほうがいい」 京太郎「じゃあ今度は1位になったときにまた言って下さい」 ゆみ「ん……まあいいだろう」 京太郎「はい、頑張ります!」 ゆみ「ではそのためにはもっと実力を上げなければな」 京太郎「え……」 ゆみ「須賀くんの牌譜も集まってきたしな。ちょうど言いたいことがあったんだ」 京太郎「ええと、今日のところはいい気分のままでいさせて頂けたりとかは……」 ゆみ「1位を目指すんだろう? わかっているとは思うが、須賀くんの実力はまだまだ足りていないぞ」 京太郎「それはまあ、最初に2位になった後はいつも通り3位や4位ばかりでしたし……」 ゆみ「なら勉強だ。まず君は対子を集める傾向があるな。何か意味はあるのか?」 京太郎「いや、その、ポンってどこからでも鳴けるから得だなーと」 ゆみ「まあそんなところだろうと思っていた」ハァ ゆみ「単純に有効牌の数を考えてみてくれ。塔子なら両面待ちで8枚、嵌張や辺張でも4枚あるだろ? 対して対子では2枚しかない」 京太郎「……おお、言われてみれば!」 ゆみ「まあもちろん場に出ている枚数や手役との兼ね合いもあるがな。基本的には対子より塔子を残すことを考えてくれ」 京太郎「勉強になります」 ゆみ「さて、次は……」 京太郎「ま、まだあるんですか!?」 ゆみ「当たり前だ……む、もうこんなところか」 京太郎「あ、分かれ道ですね。それでは俺はここで……」 ゆみ「帰ってからメールするから返信するように」 京太郎「ですよね……」 ゆみ「ああ、それじゃあまた夜に」カラカラカラ 京太郎「はい、さようなら」テクテク 京太郎「加治木先輩結構スパルタだよなあ。まあ親身になってくれてるってことだけど」テクテク 京太郎「……ん? あれ、なんで加治木先輩歩いて帰ってたんだ? ……ん、メールが」 ゆみ『さっきはああ言ったが、正直君がモモに勝てるのはもっと先のことだろうと思っていた』 ゆみ『モモのステルスは偶然だけで勝てるようなものじゃない。麻雀を初めて一週間ほどで勝てたのは誇っていいと思う』 ゆみ『君の打ち方については帰ってからメールで言うつもりだったんだが……その……』 ゆみ『君に言われたことが恥ずかしくて、誤魔化すように言ってしまった』 ゆみ『きつい言い方になってしまったと思うんだが、よければこれからも頼ってほしい。すまなかった』 京太郎「……頼らないわけないのになあ」ハハ 京太郎(歩いてたのはすぐメールするためだったんだな) 京太郎「さて、なんて返そうかな。まずは気にしてないということと、それからお礼と……」 ――自室―― ゆみ『今日はここまでにしておこう。また明日』 京太郎『ありがとうございました。また明日よろしくお願いします』 京太郎「ふー……おお、2時間も付き合って貰ってたのか!?」 京太郎「部長に言われたばっかりなのに頼りすぎた……ちゃんと息抜きのしてもらい方考えないとなあ」 京太郎「ま、今はそれより咲からのメールに返信を……っと」 京太郎『悪い悪い、返信遅れた』 咲『もーいつもはすぐ返ってくるのに1時間も来ないから心配したよ』 京太郎『悪かったよ。それより今日は何かあるのか?』 咲『ううん、特にはないかな。今日は京ちゃんの話聞かせてよ』 京太郎『その言葉を待ってた! 聞いてくれ!』 咲『な、何?』 京太郎『今日初めて2位になれたんだよ!』 咲『京ちゃんおめで……2位?』 京太郎『2位だよ! 悪いか!』 咲『すっごく喜んでたから1位になったのかなって思ったんだけど……』 京太郎『初心者が麻雀部相手に2位になったんだから十分凄いだろ!』 咲『京ちゃんも今は麻雀部じゃない』 京太郎『それはそうだけど! 初めてトップ2になれたんだよ!』 京太郎『咲も麻雀やってたなら初めて2位になったときの気持ちわかるだろー』 咲『……そうだね。きっと嬉しかったんだと思う』 京太郎『思う?』 咲『昔のことだもん。でも、うん。昔は楽しくやってた気がする。だから思う、かな』 京太郎『そうか……それと、咲に聞きたいことがあるんだけどいいか?』 咲『なあに?』 京太郎『今日麻雀の雑誌読んだんだ』 京太郎『それに高校生女子麻雀チャンピオンのインタビュー載ってたんだけど、そのチャンピオンの名前が宮永照っていうんだよ』 京太郎『その宮永照って人は東京の高校に通ってるんだけど、なんとなく雰囲気がお前に似てるから気になったんだ』 京太郎『もしかして親戚だったりするか?』 ………… 京太郎「メール返って来ないな……なんかマズイこと聞いちまったか? とりあえず……」 京太郎『その、答えにくかったら無理に答えなくていいぞ? こっちも突然聞いて悪かったし』 咲『ううん、大丈夫……その人は、宮永照は私のお姉ちゃんだよ』 京太郎『お前にお姉さんなんていたのか?』 咲『うん、京ちゃんと会う前にお父さんとお母さん別居しちゃってたから』 咲『私は長野でお父さんと住んでるんだけど、お姉ちゃんは東京でお母さんと一緒に住んでるの』 咲『……そういえば京ちゃんに私の家族の話したことなかったね』 咲『ちょうどいいし聞いてもらっていいかな? ちょっと相談したいこともあるんだ』 京太郎『確かになかったけど……俺が聞いていいような話なのか?』 咲『別に隠すようなことじゃないし気にしないで』 京太郎『そっか。それなら咲、久々に電話かけてもいいか?』 咲『うん、いいよ。……ありがとう京ちゃん』 京太郎『もしもし、聞こえるか?』 咲『もしもし、聞こえるよ』クスクス 咲『それじゃあ話すね。ええと、どこから話そうかな』 咲『家族麻雀をよくしてたって話はしたよね?』 京太郎『ああ、この間聞いた』 咲『私ね、実は家族麻雀そんなに好きじゃなかったんだ』 京太郎『そうなのか? 家族で出来るなんて楽しそうだななんて思ってた』 咲『うん、私の家ではね。お金をかけて麻雀やってたんだ』 京太郎『それで負けてたのか?』 咲『ううん、そんなことないよ。多分勝ち越してた』 京太郎『じゃあお金をやり取りするのが嫌だったとか?』 咲『それもちょっと違うかな。勝っても怒られてたんだ。負けたらお金を取られるし、勝ったら怒られる。京ちゃん、これどう思う?』 京太郎『なんというか……酷い話だな』 咲『でしょ? だから私は麻雀のことがそんなに好きじゃないんだよ』 京太郎『……』 咲『それで相談っていうのはここからなんだけど……』 京太郎『おう、ゆっくりでいいぞ』 咲『えっとね。京ちゃんが読んだっていう雑誌なんだけど、私も見たんだ』 京太郎『もう知ってたのか?』 咲『うん、お父さんから見せてもらってたんだ』 咲『私ね、一度東京へ、1人でお姉ちゃんに会いに行ったことがあるんだ』 京太郎『1人で行けたのか?』 咲『ちっちゃい子じゃないんだから行けるよ! 京ちゃんは私のことをなんだと思ってるの!?』 京太郎『悪い悪い。続けてくれ』 咲『うん、それで家まで行ったんだけど、お姉ちゃんは一言も口を聞いてくれなかった――』 咲『お姉ちゃん、きっとまだ私のこと怒ってるんだ』 京太郎『怒ってる?』 咲『家族麻雀の話で、負けたらお金を取られる、勝ったら怒られるって話はしたよね? それで私はどうしたと思う?』 京太郎『どうしたって……麻雀をやらなくなったとかじゃないのか?』 咲『ううん、違うよ。私はね、±0にしちゃえばいいんだって思ったんだ』 咲『それならお金を取られないし、取らないから怒られることもないから』 京太郎『……は? いや、そんなの狙ってできるものじゃないだろ?』 咲『狙ってやったんだ。狙えるようになったって言ったほうがいいかな。ちっちゃい私の精一杯の抵抗だった』 京太郎『……凄いな』 咲『あはは、ありがと。でもお姉ちゃんは私の勝ちを狙わないやり方が気に入らなかったんだと思う』 咲『きっと、だから今でも私と話してくれないんだ』 京太郎『……咲はお姉さんと仲直りしたいのか?』 咲『うん、だから雑誌の記事を見て、麻雀部に入ればお姉ちゃんとまた会えるかもしれないって思ったんだ』 京太郎『ああ、俺もそう思う』 咲『それで麻雀部に入ろうかどうか迷ってるの』 京太郎『結局文芸部には入らなかったんだろ? 麻雀部に入ればいいじゃんか』 咲『でもさ、京ちゃん。お姉ちゃんを怒らせた原因は麻雀なんだよ?』 咲『その麻雀を使ってお姉ちゃんに会おうなんて余計に怒らせたりしないかな?』 京太郎『それは……』 咲『麻雀部に入らなければ、時間はかかるかもしれないけどその内お姉ちゃんは私のことを許してくれるかもしれない』 咲『麻雀部に入ればすぐお姉ちゃんに会いに行ける。でも、もっと怒らせて私のことをずっと許してくれなくなるかもしれない』 咲『京ちゃん、私はどうしたらいいのかな……』 京太郎『……咲は麻雀のことどう思ってるんだ?』 咲『え?』 京太郎『だからさ、咲は麻雀のこと好きなのか?』 咲『……さっき言ったじゃない。あんまり好きじゃないよ』 京太郎『でもさ、それは勝つことじゃなくて、±0を目指してたからじゃねーのかな』 咲『……』 京太郎『俺はさ、麻雀始めたばっかだけど、勝てるとすげー楽しいよ』 京太郎『初めて3位になれたときでも嬉しかったし、今日初めて2位になれたときなんかは思わず叫んじまった』 京太郎『まだ1位になったことはないけど、なれたらきっともっと楽しいんだろうなって思う』 京太郎『咲はどうだ? 1位になって楽しいとか嬉しいって思うことなかったか?』 咲『……昔、まだ家族で仲良く麻雀でやってたとき、1位になれたら凄く嬉しかった』 咲『そうだね。京ちゃんの言うとおり、あの頃は家族仲良く、楽しく麻雀やってた』 京太郎『そっか。それなら咲は麻雀部に入るべきだ』 京太郎『今度は勝つことを目指して、楽しんで麻雀をすれば、それをお姉さんに見てもらえば、きっと咲のこと許してくれるよ』 咲『そう、かな』 京太郎『ああ』 咲『……うん、そうだね。会わなきゃ何も始まらないよね。わかったよ京ちゃん。明日、麻雀部に行ってみる』 京太郎『ああ、それがいいよ』 咲『相談に乗ってくれてありがとう、京ちゃん』 京太郎『気にするな……そうだ。咲、ちょっといいか?』 咲『何?』 京太郎『さっきお前麻雀部に入ればお姉さんにすぐ会えるみたいなこと言ってたよな? 県大会に勝つ前提とは随分偉くなったなあ』 咲『ふぇっ!? も、もう、揚げ足取らないでよ! 京ちゃんのバカ!』 京太郎『ははは……実際咲は強いのか?』 咲『京ちゃんなんか足元にも及ばないくらい強いよーだ!』 京太郎『……』 咲『な、何か言い返してよぉ……』 京太郎『いやまあ、あの宮永照と家族麻雀で±0狙ってるやつだと思うと……』 咲『お、お姉ちゃんだって高校入って上手くなってるはずだよ!』 京太郎『と言ってもなあ』 咲『うぅぅ……』グスン 京太郎『はは、冗談だよ』 咲『もう、あんまりからかわないでよ……』 京太郎『面白いからついな』 咲『ついじゃないよ! こっちは本気で気にするんだからね!』 京太郎『悪かったって。それじゃあな』 咲『またね。……京ちゃん、今日はありがとう』 京太郎『気にするなって。またなんかあったら電話しろよ。大会で会おうぜ』 咲『うん、大会で』 女生徒「残りは私がやっておくから。須賀くんは部活行ってていいよ」 京太郎「いいのか?」 女生徒「いいっていいって。私帰宅部だし。部活頑張ってねー」 京太郎「おう、ありがとな」 京太郎(今日こそは1位になるぞー! ……あ、階段に加治木先輩が) 京太郎「加治木先輩、これから部活に行くところですか?」ウエミアゲ ゆみ「ん、須賀くんか。そのつもりだよ」 京太郎「じゃあ一緒に行きましょう。昨日聞きそびれたところがあるんですけど途中で聞いていいですか?」 ゆみ「ああ、構わな……」フラッ 京太郎「加治木先輩!?」 ドタッドタタタタッ! 京太郎「いてててて……加治木先輩、大丈夫ですか?」シタジキ ゆみ「あ、ああ、大丈夫だ。ありがとう、今どく……痛っ!」 京太郎「どうしたんですか!?」 ゆみ「き、気にするな。なんでもないっ」 京太郎「なんでもないわけないじゃないですか! ……足ですか?」 ゆみ「……そうだとしても君に迷惑をかけるわけにはいかない。先に部室に行っていてくれ」 京太郎「……そういうこと言うならこっちにも考えがありますよ」ムッ ゆみ「?」 京太郎「だっことおんぶと肩を貸す。どれがいいですか?」 ゆみ「……は?」 京太郎「保健室まで連れて行くって言ってるんです。さ、だっことおんぶと肩を貸す。どれにします?」 ゆみ「ま、待て! そんなどれを選んでも恥ずかし……い、いや。そもそも必要ないと言っているだろう!?」 京太郎「あんな声出して何言ってるんですか。選ばないならだっこで運びます」 ゆみ「なっ」 京太郎「よいしょっと」グイッ ゆみ「う、うわっ! な、なんでよりにもよってお姫様だっこなんだ!? というかそもそも重いだろう!?」 京太郎「一番持ちやすいからです。それとむしろ軽いくらいですから大丈夫です……さあ、保健室まで行きましょうか」 ゆみ「わ、わかった! 肩を借りるから! だから下ろしてくれ!!」 京太郎「始めからそうやって人の好意を受け取ればいいんですよ……っと」 ゆみ「好意じゃないとは言わないが、とてもではないが素直には受け取れないな……」 京太郎「加治木先輩、腕はちゃんと肩に回しました?」 ゆみ「ああ、回した」 京太郎「じゃあ行きますよ。ゆっくり歩きますね」 ゆみ「ありがとう」 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎(加治木先輩と話すのは最近慣れてきたけどさすがにあんなことした後だとキツイな……) 京太郎(なんであんなことしたんだろう……)ズーン ゆみ(ん……私が肩に手を回しやすいように少し屈んでくれているのか) ゆみ(その体勢で歩くのは決して楽ではないはずなのに。……優しいやつだな) ゆみ(さっきの強引な三択も、普段の須賀くんなら絶対にやらないはずだ) ゆみ(それでもやったということは、それはきっと――) ゆみ「なあ須賀くん」 京太郎「はっ、はい!」 ゆみ「そんなに力を入れなくても……いやそういう話になるかもしれないな」 ゆみ「その、さっきのことなのだが……」 京太郎「?」 ゆみ「さっきの君は怒っていたのか?」 京太郎「……当たり前じゃないですか」 ゆみ「……理由を聞いてもいいか?」 京太郎「決まってるじゃないですか。加治木先輩がまた無理しようとしたからです」 ゆみ「私は無理なんて――」 京太郎「してるから倒れたんです」 ゆみ「ぐっ」 京太郎「無理して倒れたのに、なんでさらに無理しようとするんですか」 ゆみ「君には――」 京太郎「関係ない、なんて言わないでくださいよ。自分が麻雀部にどれだけ大切か知らないわけでもないでしょう」 ゆみ「むぅ……」 京太郎「ほら、早く言わないとまたお姫様だっこしますよ」 ゆみ「や、やめろ! わかった、言うから!」 ゆみ「……麻雀部は私が麻雀をもっと本格的にやりたいから、なんて身勝手な理由で作ったんだ」 ゆみ「だから自分で出来ることなら自分でやりたい。他人に無駄な負担はかけたくない」 ゆみ「雑務は私がやるから、君たちには純粋にただ麻雀を楽しんで欲しいんだ」 京太郎「……はあ」 ゆみ「な、なんだ」 京太郎「加治木先輩は優秀なんですから、出来ること全部やろうなんて思ってたらパンクするに決まってます」 ゆみ「そんなことは……」 京太郎「実は部長から加治木先輩をなんとか息抜きに誘えないかって相談を受けてたんですよ」 ゆみ「何?」 京太郎「部活の仲間が辛そうにしてるのに純粋に麻雀を楽しむなんて出来ませんよ」 ゆみ「…………」 京太郎「あ、保健室ですね。その、無理しないって考えて貰えると嬉しいです」 ゆみ「……ああ」 京太郎「失礼します……先生はいないみたいですね」 ゆみ「ああ、外出の張り紙はないからすぐ戻ると思うのだが……」 京太郎「とりあえずこの椅子に座って下さい。湿布探しますね」 ゆみ「ああ、ありがとう」 京太郎「ええと、湿布は……お、あった」 ゆみ「ああ、それじゃ渡してく――」 京太郎「それじゃ脱がしますね。足上げて下さい」 ゆみ「ああ……って、え?」 京太郎「」スルッ ゆみ「んっ」 京太郎「」スルスルスルッ ゆみ「ふあ」 京太郎(綺麗な足だな……触ってみた――はっ!?) 京太郎(な、何やってんだ俺!? 咲の手当てずっとしてたからその癖か!?)ダラダラダラ 京太郎(か、加治木先輩が意外と平気にしてるかも……) ゆみ「……」カアァァァァ 京太郎(やっちまったー! ど、どうする!?) 京太郎(……ああ、でも白くてスラっとして艶々としてて、いつまでも見ていたくなるような――) ゆみ「す、須賀くん。あまり見られていると、その、恥ずかしいのだが……」カアァァァ 京太郎「す、すみません!!」バッ ゆみ「あ……」 京太郎「あ……」 謝ろうと顔を上に向けると、顔を真っ赤にした加治木先輩と目があった。 ゆみ「……」 京太郎「……」 ゆみ「…………」 京太郎「……………」 ゆみ「――き」 保険医「誰かいるの? ごめんね席外しちゃ……」ガラッ 保険医「……ええと、お邪魔だったかしら?」 京太郎・ゆみ「「そんなことないです!!」」 保険医「んー軽い捻挫ね。病院に行く必要はなし。湿布を貼ってれば明日、明後日には治ってると思うわよ。もちろん安静にね」 ゆみ「ありがとうございます」 保険医「それと疲れてるみたいね。顔色悪いわよ。若いから無理は効くでしょうけど、ちゃんと休みは取ったほうがいいわ」 ゆみ「……はい」 保険医「部活はやってるの?」 ゆみ「麻雀部に入ってます」 保険医「それならやっても大丈夫ね。これから行くのかしら」 ゆみ「そのつもりです」 保険医「そう。ここには松葉杖とかはないから、彼氏くんはちゃんと連れてってあげるのよ」 ゆみ「かっ……!? 京太郎「ただの後輩です!」 保険医「そう」クスクス 保険医「まあ無理はしないことね。大会も近いんだし怪我で実力を発揮できないのはつらいわよー」 ゆみ「……わかりました。ありがとうございます」 保険医「お大事にー」 京太郎「ありがとうございました」ガラッ 京太郎(……さっきまでは怪我に気が行って意識しなかったけど、肩を貸すとかなり密着するな……) 京太郎(加治木先輩、普段凛としてるけど触れると女の子らしく柔らかいんだな……特に胸とかバストとかおもちとか) 京太郎(それになんかいい匂いも……) ゆみ「須賀くん」 京太郎「ひゃいっ!」 ゆみ「ど、どうした?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」 ゆみ「そうか。……須賀くん、ちょっと聞きたいことがあるのだが」 京太郎「なんです?」 ゆみ「……君は躊躇せずお姫様だっこをしたり私のソックスを脱がしたりしてきたが……女性の扱いに慣れているのか?」 京太郎「……はい?」 ゆみ「普通はああいうことをやるときは多少なり躊躇するものだと思うのだが」 ゆみ「君は自然にやるものだからこっちも反応が遅れてな……」 京太郎「お姫様だっこなんて慣れてないですよ! やったのも初めてです!」 京太郎「……その、あのときはちょっとカチンと来まして、勢いでといいますか……」 ゆみ「ふむ」 京太郎「脱がした方はですね。その、幼馴染みの手当てをいつもやっていたのでついそれと同じように……」 ゆみ「なるほど……須賀くん」 京太郎「はい」 ゆみ「それは直したほうがいい。いつかきっと問題を引き起こす」 京太郎「あはは……でも大丈夫ですよ」 ゆみ「何?」 京太郎「大切な相手じゃなきゃあんなに焦ったりしませんから。そういう相手ならきっと怒るくらいで許してくれます」 ゆみ「――っ」カァァ 京太郎「加治木先輩?」 ゆみ「だからそういうところを直せと言っているんだ……」ハァ 京太郎「す、すみません。もしかしてそんなに嫌でした……?」 ゆみ「そういうわけじゃ……いや、もういいか」 ゆみ「須賀くん」コホン 京太郎「は、はい」 ゆみ「意地を張っていた私を引っ張ってくれてありがとう」 ゆみ「1人じゃ保健室へ行くのは正直厳しかったと思う。手当てをしようとしてくれたこと、嬉しかったよ」 京太郎「……はい!」 京太郎「すみません。遅くなりましたー」ガラッ 智美「おお、2人とも何してた……」 睦月「そ、そんなにくっついてどうしたんですか?」 ゆみ「くっつ……! あ、足を捻ったから肩を貸してもらっているだけだ!」 佳織「歩けないみたいですけど大丈夫ですか?」 ゆみ「ああ、座っていれば大して痛まないし、明後日には治ると言われたよ」 桃子「そんなに重傷じゃなくてよかったっす」 智美「今日は部活やらずに帰るのかー?」 ゆみ「いや、痛むのは足だけだし参加するよ。須賀くん、すまないが椅子まで運んでもらっていいか?」 京太郎「もちろんです」 ゆみ「……っと、ありがとう。対局が終わるまで君の牌譜を見ていこう」 京太郎「よろしくお願いします」 ………… ……… …… … 智美「それじゃそろそろ帰るかー」 ゆみ「まだ早くないか?」 智美「怪我人は早く帰って安静にしなさい」 ゆみ「む……」 京太郎「はは……そういえば加治木先輩、その足で自転車に乗れますか?」 ゆみ「さっきに比べれば痛みも引いているしまあ大丈夫だろう」 智美「……ゆみちん、ちょっと歩いてみてくれるか?」 ゆみ「ああ……痛っ」 智美「ゆみちん、そんな足で自転車漕ごうなんて無理はよくないぞー」 睦月「そうですよ。悪化しちゃいます」 ゆみ「そう言われてもな。バスを使おうにも私の家からバス停までは遠いし、両親も仕事だ」 京太郎「家まで肩を貸す……のはちょっと外では恥ずかしいですね」ハハ ゆみ「出来れば校内でもそう思って欲しいんだがな。もちろん感謝はしているが」ハァ ゆみ「それに、そもそも須賀くんに家まで付き合わせるのは悪いだろう」 京太郎「俺が歩く分には大丈夫ですよ。いい運動です」 ゆみ「ん、そうか……」 ゆみ「……ああそうだ。そんなことをしなくてもタクシーを呼んで――」 智美「思いついたぞー!」ワハハ ゆみ「もら……蒲原、嫌な予感はするがとりあえず言ってみろ」 智美「失礼な。今回は名案だぞー」 桃子「どんな案なんすか?」 智美「京太郎がゆみちんの自転車でゆみちんを送ればいいんだ」 睦月「ああ、二人乗りですか」 ゆみ「ま、待て。他人の前でそんな……」 智美「肩を貸すくらい密着してたんだからこれくらいは大丈夫だろー?」 ゆみ「うっ……」 佳織「でも智美ちゃん、二人乗りなんてやってたら危ないし注意されちゃうんじゃないかな?」 ゆみ「そ、そうだ。だからタクシーを――」 智美「非常事態なんだしいいだろー。それに学校が見えなくなるまではゆみちんを乗せて押せばいいし」 佳織「そっか。それもそうだね」 ゆみ「妹尾!?」 桃子「まあいいじゃないっすか。タクシーは高いっすし、それに二人乗りやってるくらいじゃ誰も見ないっすよ」 睦月「二人乗りそんなに嫌なんですか?」 ゆみ「い、嫌というわけでは……す、須賀くんはどうなんだ!?」 京太郎「二人乗り自体は中学の頃よくやってたので、加治木先輩が嫌でなければいいですよ」 ゆみ「」 桃子「問題が片付いたところで帰るっすー!」 智美「ゆみちん、置いてくぞー」 睦月「それじゃ、肩貸しますね」 ゆみ「ありがとう。ついでに頼みがあるんだがタクシーを――」 睦月「京太郎くん、自転車乗り場からはよろしく」 京太郎「任されました!」 ゆみ「ああ、うん。わかっていた。私はいい後輩たちを持ったよ」 京太郎「照れますよ」 睦月「照れますね」 佳織「照れちゃいます」 桃子「照れるっすよー!」 ゆみ「よし、お前たちは明日までに『麻雀何切る?』を1冊終わらせて来い」 智美「後輩たち、あんまりからかっちゃダメだぞー」ワハハ ゆみ「蒲原は2冊だ」 智美「ワハ!?」 智美「ゆみちん、ここまで自転車を押して貰った気分はどうだ?」 ゆみ「見られてばかりで全く落ち着かなかった……二人乗りくらい目立たないと言ったのは誰だ」 桃子「二人乗りじゃなくて京太郎が押してたじゃないっすか。6人いて1人だけ自転車に乗って押されてればそれは目立つっすよ」 智美「どこの女王様だって感じだなー」ワハハ 京太郎「まあ嘘は言ってなかったですね」 ゆみ「嵌められたか……」 桃子「人聞きが悪いっすねー」 睦月「まあまあ、明日には誰も覚えてませんよ」 ゆみ「そうだといいんだがな」ハァ 京太郎「じゃあ前乗りますね」 ゆみ「ああ、今後ろに移る」 京太郎「よっ……と」 ゆみ「……そ、それじゃあ捕まるぞ」ギュッ 京太郎「!?」ビクッ ゆみ「ど、どうかしたのか?」 佳織「わわわ……」カァァ 睦月「凄い……」カァァ 桃子「だ、大胆っすね」カァァ 智美「どうかってゆみちん、それはこっちのセリフだぞ」カァァ ゆみ「え、えっ?」 ゆみ「だ、だって少女漫画とかでは二人乗りするときはこうやってギュッと抱きしめて……」 桃子「どんだけ乙女っすか!」 智美「本気で言ってるんだよなー……」 ゆみ「ど、どこがおかしいんだ!? ちゃんと捕まらないと危ないだろう!?」 睦月「抱きしめなくても腰を掴んだり荷台やサドルを持ったりすれば落ちないのでは……」 ゆみ「……!!」 智美「いや、そんなその発想はなかったみたいな顔されてもなー」 佳織「と、とりあえず京太郎くんを離してあげたらどうでしょう?」 ゆみ「え?」 京太郎「」パクパク ゆみ「う、うわっ! す、すまない!!」バッ 京太郎「……はっ!? い、いえ! こちらこそ!」 桃子「何がこちらこそなんすか?」 京太郎「……いや、なんでもないぞ?」 桃子「ところで感想は」 京太郎「柔らかくていい匂いがし……しまった!?」 睦月「素直だね」 智美「正直者だなー」ワハハ ゆみ「」プシュー 桃子「……さて、それじゃあそろそろ帰るっすか」 智美「邪魔者はお暇するかー」 京太郎「ま、待った! せめてこの空気をどうにか――」 睦月「そうですね。早く帰りましょう!」 佳織(何でもいいからここから逃げ出したいなあ……) 京太郎「睦月先輩!? 佳織先輩もだんまりはやめましょうよ!」 智美「それじゃあまた明日なー」ワハハ 京太郎「ちょっとー!?」 スタスタスタスタ…… 京太郎「ほ、本気で帰りやがった……」 ゆみ「」プシュー 京太郎「え、ええと、その加治木先輩。さっきのは……」 ゆみ「い、いや、いいんだ。悪いのは私だから」 京太郎「そんなことは……」 ゆみ「と、ともかく! 自転車を出してくれ!」 京太郎「は、はい! 加治木先輩の家遠いですもんね!」 ゆみ「あ、ああ! 早く行かないと日が暮れてしまう」 京太郎「わかりました! それじゃしっかり捕まって――」ハッ ゆみ「あ……」ジー 京太郎「そ、そういう意味じゃないですからね!?」 ゆみ「わ、わかっている! それじゃあ荷台を掴んで……」 京太郎「大丈夫ですか?」 ゆみ「ああ、ちゃんと掴んでいる」 京太郎「それじゃ出しますよー」 ゆみ「よろしく頼む」 京太郎「……」シャー ゆみ「……」シャー 京太郎(中学のとき、咲とよくこんなふうに二人乗りしてたなー) 京太郎(初めてやったときは咲が憧れだったって言って横乗りしたっけ) 京太郎(ちょっと漕ぎだしたら咲が倒れそうになったからすぐやめたけど。あいつ悔しそうな感じで涙目になってたな) 京太郎(その後も何度か挑戦しようとしたから止めるのが大変だった。あいつ変なところで頑固だからなあ) 京太郎(咲とのどうでもいい話とか結構楽しかったな。そのうちあいつの重さがない自転車が物足りなくなったりして) 京太郎(風を切る感覚も感じる重さも似てるけど、見える景色はやっぱり向こうと違う。……当たり前か) 京太郎(……おんなじ長野なのにな)ハァ ゆみ「なあ、須賀くん」 京太郎「なんですか?」 ゆみ「二人乗りはよくやっていたと言っていたな」 京太郎「そうですね。前に言った幼馴染をよく乗せてました」ハハ ゆみ「そうか。……間違っていたらすまないのだが、今そのときのことを思い出してはいなかったか?」 京太郎「……もしかして声に出したりしてました?」 ゆみ「そういうわけではないが、ため息をついたり考え込むような顔をしていたからな」 京太郎「はは……加治木先輩には敵わないですね」 ゆみ「それで、これももしなんだが」 京太郎「何がです?」 ゆみ「今、寂しい、と思っていないだろうか」 京太郎「寂しい……ですか」 ゆみ「ああいや、違っていたらそう言ってくれ。別に何か特別な根拠があって言っているわけではないんだ」 京太郎「ん……考えたこともなかったですけど」 京太郎「けど、言われれば寂しかったのかもしれないです」 京太郎「俺、幼馴染……咲って言うんですけど、そいつと毎日メールしてるんですよ」 京太郎「昔からよくメールはしてたんですけど、引越す前は毎日なんてことはなかったです」 ゆみ「ふむ。聞いた私が言うのも何ではあるが、違うところにいるんだ。それくらい普通じゃないか?」 京太郎「いえ、そこじゃないんです」 京太郎「咲は地元の高校に行ったんで、やっぱり中学の友達もたくさん一緒のところ行ってるんですよ」 京太郎「咲とのメールにもよく出てくるんですけど、それがちょっと羨ましいなとかいいなとか思っちゃうんです」 京太郎「こっち来て使ってる道も、普段登校に使ってる道はもう見慣れた風景になってるんですけど」 京太郎「今こうやって違う道を行くとやっぱり全然見覚えがなくて」 京太郎「前のところはどこ行っても大体見慣れてたんで、自分はここの人間じゃないんだなとか感じたんです。 京太郎「それでさっきため息ついちゃったんですよ」 京太郎「そんなこと考えてると、俺はなんで1人でこっち来たのかなってちょっと後悔が」 ゆみ「……そういえば須賀くんがこっちに来た理由を聞いていなかったな」 京太郎「ああ、親の仕事の都合ですよ。まあ向こうで一人暮らしすることも出来たんで、決めたのは自分です」 ゆみ「高校生が1人で暮らすのは言うほど簡単じゃない。自分のせいだなんて思う必要はないさ」 京太郎「加治木先輩……」ジーン ゆみ「……まあ私もしたことはないからどんなものかわかるわけではないが」 京太郎「加治木先輩……」ジー ゆみ「と、ともかくだ! 自分が選んだからしょうがないなんて思わず、寂しければ素直にそう思えばいい。そのほうが楽になる」 京太郎「……そうですね。ありがとうございます」 ゆみ「……」シャー 京太郎「……」シャー ゆみ(あまり表情は明るくなっていないな……ああ) ゆみ「寂しくて、じゃあどうするかまで言わなければ片手落ちか」ボソッ 京太郎「何か言いました?」 ゆみ「いや、なんでもない」 ゆみ「……須賀くん。この先に急な坂道があるのが見えるか?」 京太郎「ああ、結構急ですね。しっかり捕まってください」 ゆみ「ああ」ギュッ 京太郎「っ!? か、加治木先輩!?」グイッ ゆみ「きゃっ! ハンドルを急に切るな! 危ないだろう!?」 京太郎「それはすみません! でも何ですかいきなり!?」 ゆみ「き、急な坂だからしっかり捕まったんだ。それに……」 京太郎「それに?」 ゆみ「……このほうがいいかと思ってな」 京太郎「……ええと、それは、まあ、さっきのも嬉しかったですけど」 ゆみ「そ、そういう意味じゃない! 君は寂しいのかもしれないと言っていただろう?」 京太郎「そ、そっちですか」 ゆみ「私は地元を離れてはいないから、君がどれほど苦しいか分からない」 ゆみ「でも、君のつらさを和らげたいとは思う。そのためにはこうするのがいいと思った」 ゆみ「君の故郷にいなかった私が君のその寂しさを埋めたいというのはおこがましいかもしれないが、それでも私を頼って欲しい」 ゆみ「君は、私の大切な後輩だからな」 京太郎「……そんなに心配されるような顔してました?」 ゆみ「ああ、何かしてあげたいと思うくらいにはな」 京太郎「……まったく、加治木先輩は背負い込みすぎですよ。 麻雀部のことだけで倒れちゃったのに、俺のことまで背負ってどうするんですか」 ゆみ「う……」 京太郎「でも、ありがとうございます」 ゆみ「ああ、いい声だ」 京太郎「これからも頼っていいですか?」 ゆみ「もちろん。いつでも頼ってくれ」 京太郎「それじゃ、加治木先輩も俺を頼ってください」 ゆみ「うん?」 京太郎「麻雀はまだ全然敵いませんけど、でも牌譜の分析とか出来ることはやりますから」 ゆみ「しかし……」 京太郎「ただでさえ倒れたのに、この上さらに加治木先輩に頼るなんて言ったら部長に何言われるかわかりませんよ」 ゆみ「だが私が勝手にやっていることで負担をかけるわけには……」 京太郎「加治木先輩が俺に大切だって言ってくれたのと同じで、俺にとっても加治木先輩は大切な先輩なんですよ!」 ゆみ「……それを言われるとはな」フゥ ゆみ「量を減らそうと思っていたんだが、そう言ってくれるならお願いするよ」 京太郎「任せてください!」 京太郎「…………」シャー ゆみ「…………」シャー --------------------------------------- ゆみ(……今まで意識していなかったが、背中、広いな。それに固い) ゆみ(男子とこんなに密着したのは初めてだが、体の作りがこんなに違うのか)ポー ゆみ(……前はどうだろう)サワッ 京太郎「」ビクッ ゆみ(腹筋の辺りも引き締まっている。細身だけど筋肉質だ。鍛えているんだな……今さらか。部活の前にお姫様だっこをされ――) ゆみ(いかん、自分で考えていて恥ずかしくなってきた)カアァァ ゆみ(いつの間にか鼓動も速くなっている)ドクンドクン ゆみ(こ、これは須賀くんに伝わっているんじゃないだろうか)ドクンドクン ゆみ(……もっとこう、トクントクンと可愛らしくならないものかな)ハァ ゆみ(……須賀くんも緊張しているんだろうか) ゆみ(……えい)ピト ドキドキドキドキ…… ゆみ(私よりも速い。私よりも緊張してくれているのか。……なんだか嬉しいな) ゆみ(心地いい音だ。もう少し、家に着くまでこのまま――) --------------------------------------- 京太郎(……ぴったりくっついてるな)ドキドキ 京太郎(加治木先輩と密着したの今日何度目だ!? 今まで一度もこんな経験なかったのに!) 京太郎(ああ、背中に柔らかいおもちが……いかん、運転に集中しろ集中!) 京太郎(ふー……うん、少し落ち着いてきた) 京太郎(柔らかく包まれてるみたいでなんか安心する。こういうの母性っていうのかな) 京太郎(加治木先輩が言ったとおり、ギュッとされてると寂しさが和らいできた) ドクンドクン…… 京太郎(……ん? なんだこの振動) 京太郎(これは……心臓の音か。もしかして加治木先輩も緊張して――) ゆみ「」サワッ 京太郎(って!? な、何やってんだこの人!?)ドキドキドキドキ 京太郎(寂しさなんか吹っ飛んだけど! ただでさえ我慢してんのに!) 京太郎(この人ついこの間まで男と話すの苦手とか言ってたよな!? 話してなきゃいいのか!?) ゆみ「ん……」ピト 京太郎(背中に耳を……まさか俺の心臓の音聞いてるのか? うおお、恥ずかしい!!) 京太郎(ど、どうしよう。何か話しかければ離れてくれ――) ゆみ「――もう少し、このまま――」ボソッ 京太郎(……まあ、俺も加治木先輩の音聞いたんだしお互い様か) 京太郎(家まであと少しだし、このままでいいか) 京太郎(俺もそのほうが嬉しい……って何考えてんだ俺)ドキドキ --------------------------------------- ――加治木宅前―― 京太郎「加治木先輩、家ってここですか?」 ゆみ「……ん? ああ、ここだ――」ポー ゆみ「――っ!?」バッ ゆみ「す、すまない! ずっとこんな、だ、抱き締めるような真似を……!」 京太郎「い、いえ、大丈夫です。全然」ドキドキ ゆみ「そ、そうか。それとその、さっきの君のお腹を確かめようと思ったのも……」 京太郎「そっちも少しくすぐったかっただけですから大丈夫です」ドキドキ 京太郎「……って確かめ?」 ゆみ「っ! な、なんでもない!」 ゆみ「そ、そんなことより」コホン ゆみ「私のためにこんな遠回りまでしてくれてありがとう、須賀くん」ニコッ 京太郎「っ!!?」ドキィ!! ゆみ「うん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」ドキドキ ゆみ「そうか、それならいいのだが……」 京太郎(な、なんだ急に? 加治木先輩の笑ったとこ初めて見たってわけでもないのに)ドキドキ ゆみ「なんだか顔が赤いな……もしかして私が重くて疲れたのだろうか」シュン 京太郎「」ムッ 京太郎「そんなことないです!!」 ゆみ「わっ!」 京太郎「部活の前にも言ったじゃないですか! 加治木先輩は重くなんてないです!」 ゆみ「そ、そうか。そこまで強く言われると照れるな……」カアァァ 京太郎「あ……すみません」 ゆみ「まあそう言ってくれたのは嬉しいよ。ありがとう」フフッ 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎(さっきからのこれは) 京太郎(加治木先輩が自分のこと卑下するのがなんか嫌で、笑うと胸が高鳴って) 京太郎(ああ、もしかして) 京太郎(――俺、加治木先輩のこと好きになったのか) ゆみ「須賀くん? 本当に大丈夫か?」 京太郎「大丈夫です。むしろスッキリしました」 ゆみ「? まあそれならいいんだが」 京太郎「それより加治木先輩。牌譜渡して貰っていいですか?」 ゆみ「ああ、そうだったな。それじゃあ半分――」 京太郎「全部下さい」 ゆみ「何?」 京太郎「これからは牌譜の整理と分析は俺がやります」 京太郎「加治木先輩は作戦を考えたり自分の練習をしたり、加治木先輩じゃなきゃ出来ないことをやって下さい」 ゆみ「しかし……」 京太郎「最初はやり方を聞くことになると思いますけど、でもすぐに覚えます!」 京太郎「麻雀部の、加治木先輩の役に立ちたいんです!」 ゆみ「……自転車に乗っているとき、お願いすると言ったしな」フゥ ゆみ「わかった。それじゃあ牌譜の整理と分析は君に頼んだよ」 京太郎「はい!」 ゆみ「ちなみにこれだけあるんだが本当に大丈夫か?」ドサッ 京太郎「お、おお……すごい量ですね」 ゆみ「やはりこの量は……」 京太郎「いえ、大丈夫です! やってみせます!」 ゆみ「そうか……ただ、失敗を経験した者として言うが、無理だと思ったら私を頼るんだぞ」 京太郎「倒れる前に頼ります」ハハ ゆみ「それじゃあ須賀くん、自転車の鍵を取ってもらっていいか?」 京太郎「あ、はい、これです。足まだ痛みます?」 ゆみ「ん……歩くのは少しつらいな。まあ明後日には治ると言っていたから大丈夫だろう」 京太郎「そうですか……その、加治木先輩」 ゆみ「なんだ?」 京太郎「明日の行きも送らせて貰えませんか」 ゆみ「なっ!? あ、明日の行きとはつまり登校のことか」 京太郎「はい」 ゆみ「し、しかし登校時間には人も多いし朝からというのは目立ちそうだな……」 京太郎「二人乗りが目立つなら、人が多くなったらまた押しますよ」 ゆみ「余計に目立つだろう!?」 京太郎「じょ、冗談です」 京太郎「無理にではないですけど、もし痛むようなら明日も大変かなと思ったので……」 ゆみ「むぅ……」 京太郎「……」 ゆみ「……」 ゆみ「……そうだな。お願いしてもいいだろうか」 京太郎「はい、喜んで!」 ゆみ「ありがとう。それじゃあこれを」 京太郎「これは……自転車の鍵ですか?」 ゆみ「ああ、明日も来るんだ。自転車のほうが楽だろう? どうせ私は使えないしな」 京太郎「ありがとうございます!」 ----------------------------------------- 京太郎「そろそろ帰りますね」 ゆみ「ああ、今日は助かった」 ゆみ「保健室へ連れて行ってもらって、家まで送ってもらって、牌譜を引き受けてもらって、明日も来てもらう」 ゆみ「君には借りが随分と出来てしまったな」 京太郎「どれも好きでやってることですから。気にしないでください」 ゆみ「私はいい後輩を持ったよ。……何か埋め合わせをしないとな」 京太郎「いえ別にそんな……」 ゆみ「後輩に助けて貰いっぱなしの先輩というのも情けない。私に出来ることなら何でもいい、考えておいてくれ」 京太郎「……わかりました。考えておきます」 ゆみ「ああ」 京太郎「それじゃあ加治木先輩、また明日」 ゆみ「また明日。今日はありがとう」 京太郎(いい後輩かあ……)シャー 京太郎(いつか、後輩としてじゃなく俺を見てもらえるように、頑張ろう) -----------------------------------------
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3951.html
前話 次話 有珠山次鋒(……こいつの便利) まこ(またか!) 由子(やりにくいのよー) ハオ「ロン」 ハオ(負けるために日本に来た訳じゃない) 有珠山次鋒(……こいつ……あれ?) 由子(残念だけど、私はあんたが欲しがるようなものは持ってないのよー) ハオ(清澄……ここまでついてることある?) まこ「ロン!」 由子(あー……有珠山にかきまわされたのよー) みさき「次鋒戦終了!!1位は清澄です。強豪姫松と臨海がここでは静かでしたね」 理沙「……有珠山!」 みさき「有珠山は……4位です」 理沙「そっちじゃない!」 次鋒戦結果 1位清澄523+832=1355 2位臨海555+334=889 3位姫松396+101=497 4位有珠山137+80=217 久「お疲れ様、大活躍じゃない」 まこ「あぁ……有珠山は気をつけたほうがええ」 久「へぇ……」 まこ「あいつらなんかあるぞ」 久「覚えておくわ。じゃ、もっと差を広げてこようかしら」 ハオ「悪い……まかせる」 明華「まかされました」 ネリー「大丈夫ー?」 明華「分かりません。だけど、勝ちにいきます」 由子「ごめんなのよー……清澄バカヅキしすぎなのよー」 洋榎「かまへんかまへん。いっちょ、ひっくり返してくるわ」 漫「主将、お願いします!」 洋榎「まかしとき!」 恭子「気を付けてください」 絹恵「お姉ちゃん、オカンからメールや」 洋榎「なんや?」 絹恵「愛宕洋榎が強いとこ見せてこい、やて」 洋榎「……嫌というほど見せたるわ!」 洋榎の補正が変化しました 有珠山次鋒「…………」 有珠山中堅「いや、なんか言って行きなさいよ」 みさき「中堅戦、開始です!」 久(さて……これでどうかしら……え?) 明華(うわ、面倒くさいです) 洋榎(なんやこいつ……) 有珠山中堅「ツモ」 有珠山中堅(……アレ?失敗?) 明華(ある意味失敗、ですけどね) 久「ツモ!」 洋榎(またついとるな~) みさき「前半戦終了!清澄がいまだトップです!」 理沙「……有珠山、変わってる」 みさき「有珠山?……野依プロもだいぶ変わってる方ですよ?」 理沙「同じこと言ってる!」 みさき「野依プロもです」 久「あー……確かに面倒な相手ね」 和「そんなオカルトありえません」 優希「出た!のどちゃんの決め台詞!」 和「だからそういう訳ではありません!大体ですね…」 京太郎「まぁまぁ」 咲「お、落ち着いて。ほら、ちょっと変わった状況なだけかもしれないし…」 まこ「お前が言うんか」 明華「やりにくいんで代わってもらえませんか?」 智葉「そんなルールねーよ」 ダヴァン「諦めて頑張ってクダサイ」 明華「ちぇー」 洋榎「どやった!?点足りない!?分かった!!」 絹恵「いや自分で言うてどうすんの。ちょ、もう行くん走らんで早い早い!」 恭子「何やってるんや……」 由子「いつもの洋榎なのよー」 有珠山中堅「外したわー」 有珠山大将「最初は大当たりだったじゃん」 成香「が、頑張ってください!」 明華(つまり利用すれば……) 有珠山中堅(あ、ばれた?) 久「ロン!」 久(また調子いいわねー) 洋榎(こ、このままじゃアカン!) 有珠山中堅「……ツモ」 みさき「中堅戦終了!!順位や点差はほぼ変わらずに終わりましたね」 理沙「……接戦!!」 みさき「はい、順位の変化こそなかったものの接戦でした」 久(ふぅ……なんとか1位のままね) 洋榎(もうちょっと稼ぎたかったわー) 明華(強い、じゃなくて面倒な相手が多いですね) 中堅戦結果 1位清澄1355+504=1859 2位臨海889+455=1344 3位姫松497+460=957 4位有珠山217+377=594 久「それじゃあよろしくねー」 和「はい」 久「うん、和は普段通り打ってくれればいいわ」 久(言っても聞かないしねー。ま、和なら大丈夫でしょうけど) ダヴァン「行ってキマス」 智葉「相手は龍門渕透華じゃないぞ?」 ダヴァン「分かってマス。でも、彼女に勝った相手デス。強敵には変わりまセン」 ダヴァン(直接リベンジできないのは残念デスガ、その分原村和にぶつけマス) 洋榎「絹ファイトや!!」 絹恵「うん!」 絹恵(相手は強そうやけど、お姉ちゃんみたいに私が頑張るんや!!) 恭子「今度はとんでもなく強い、ってより確実な感じの相手ばっかりや。教えた通りしっかりやれば大丈夫やで」 絹恵「はい!末原先輩の教えてくれたデータ、頭に叩き込んでます!」 恭子「よし、ほな頑張ってな!」 絹恵「はい!」 有珠山副将「……わ、私でいいの?」 有珠山中堅「今さらよ。精一杯やってきなさい」 みさき「副将戦、開始です!」 絹恵(やっぱ原村の打ち方は変わらんなー) ダヴァン(ほほう……完全なデジタル……) 有珠山(な、なんか場違いな気が……) 和「ツモ」 絹恵(絶対に、絶対に追いつくんや!) ダヴァン(これは……原村ばっかり見てたら痛い目見ますネー) 和(…………) 有珠山副将(私、いなくてもいい気が……) 絹恵「ロン!」 みさき「前半戦終了!トップは依然清澄です!」 理沙「……姫松!」 みさき「はい、姫松がその後ろを追っています。順位こそ3位ですが、この勢いで追いつくか」 和「ふぅ……このまま行けば大丈夫ですね」 京太郎「和ー、水分持ってきたぜー」 和「須賀くん、ありがとうございます」 京太郎「やっぱ和はすげーな。このまま頑張れよ」 和「はい」 ダヴァン「原村、人間味ないデス」 智葉「あそこまでデジタルだったらな」 ハオ「ミス無しだからすごい」 ダヴァン「はい。コンピュータ設定最強でネット麻雀してるみたいデス」 明華「はて、どこかで聞いたような?」 ダヴァン「でも、大丈夫デス。行ってキマス」 洋榎「絹ー!よーやったー!!」 絹恵「い、いきなり抱きつかんでって!」 恭子「でもええ感じやで。このまま頼むな」 由子「頑張るのよー」 漫「他に負けんで頑張って!」 絹恵「は、はい!」 有珠山副将「ほんっと消えたみたいな感じなんだけど」 有珠山大将「大丈夫大丈夫。もっと消える人はいるから」 ダヴァン(デジタルって言っても弱い打ち方じゃないデス。むしろ原村の場合強いデスネ) 絹恵(薄墨みたいなんがおらんと、原村が強いなぁ……) 有珠山副将(うぅ……1人沈み……) 和「ツモ」 ダヴァン(うーん……マイナスじゃないですけど、原村と姫松が持って行きましたネー) 絹恵(臨海よりは稼げたけど、追いつくには足りんかぁ……) 有珠山副将(…………) 和「ツモ」 みさき「副将戦終了!3位姫松が2位臨海に追いつこうとしています」 理沙「……臨海、危ない!」 みさき「はい。大将戦次第では姫松が2位の可能性も出てきましたね」 副将戦結果 1位清澄1859+518=2377 2位臨海1344+301=1645 3位姫松957+525=1482 4位有珠山594+87=681 前話 次話 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4361.html
京太郎「どうも健夜さん。ご無沙汰してます」 健夜「うん。久しぶりだね、京太郎くん」 京太郎「それで、今日の仕事は何ですか?」 健夜「うんそれはね――」 カクカクシカジカアラサーダヨ 京太郎「え、ドラマの恋人役ですか!?なんで俺が?」 健夜「うん、ちゃんとしたドラマじゃなくてあくまで別の番組の1コーナーとしてだから」 京太郎「なんで俺が選ばれてるんですか……」 健夜「私が希望したからだけど?」 京太郎「健夜さぁん!?」 ――― ―― ― ソレジャアホンバンハジメマース 京太郎(なんだかんだやることになってしまった……) 京太郎(しかもいきなりキスシーンって) 京太郎(俺には咏さんがいるのに……) 健夜「んっ……」メヲトジ 京太郎(どうしよう) 京太郎(ええい、ままよ!)チュッ 健夜「☆○#ж∀!?」 カァーット! ――― ―― ― 京太郎「いやぁ、つい勢いに任せて本当にしちゃいました」 健夜「わ、わたっ私、初めてだったのに!?そんな軽い気持ちで!?」 京太郎「え、健夜さん初めてだったんですか!?取り返しがつかない事を……」 健夜「うぅ……」 京太郎「許してください!何でもしますから!」ドゲザ 健夜「ん?」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6917.html
―― 人には『オーラ』と呼ばれるものがある。 ただ、それは漫画的な強さだったり、パワーアップしたりするもんじゃない。 それはただ相手が恋人がいるかどうかを見分ける程度のモノでしかないのだから。 フリーなら灰色 恋人がいるなら蒼、既婚者なら赤。 人によってその色は微妙に違うものの、目を凝らせばそれは誰にだって確認出来る。 ―― 一説によれば、それは高度に複雑化した社会を維持する為に人類が進化した証…らしいけれど。 どんな集団でも男女関係による不和には弱い。 こうして『オーラ』が確認出来るようになっても、バンドが女性関係で解散するのは日常茶飯事だった。 まぁ、そういう訳で…ぶっちゃけそれがなんの為にあるのか、ちゃんとした説明が出来る人は未だにいないらしい。 子どもの頃からそれが見えていた俺にとっては正直、あるからある…程度の認識しかなかったんだけれど。 「それは全てこの石版の所為だったんだよ!」バーン 京太郎「あぁ、うん」 京太郎「そうだね、プロテインだね」 …………久しぶりに帰って来た親父からのお土産。 それは表面に知らない文字が刻み込まれた妙な石版だった。 まぁ、それ自体は別に特に問題じゃない。 考古学者である親父が妙なものを持って帰ってくるのは別に今に始まった事じゃないからだ。 京太郎「まぁ、酒は程々にしておけよ」 「冷たいぞ、マイサン」 京太郎「…いや、だってなぁ…」 …確かに親父が持ってる石版には、『男女関係を人目で確認する事が出来る世界』と刻み込まれている。 だが、そんなものが果たして今の社会の変革の源になっているなんて到底、思う事が出来ない。 ぶっちゃけた話、誰かが悪戯で石版にそんな文字を彫り込んだって方がよっぽど信ぴょう性があるだろう。 「いやいや、これがホントマジヤバイんだって」 「まずこの石版の構成物質が分からない」 「地球上のどんな物質ともかけ離れててマジヤバイ」 「マジで宇宙から降ってきたとしか思えないって超ヤバくない?」 京太郎「うぜぇ」 とりあえず俺としてはギャル口調で話す親父の方がヤバイくらいウザイ。 幾ら酒が入っているとは言えテンションが高すぎじゃないだろうか。 或いは久しぶりに会った息子との会話に興奮しているとか…。 あぁ、うん、その辺はちょっと恥ずかしくなるから辞めよう。 京太郎「(…ただ、まぁ、親父がこういう事を言うって言うのは)」 親父は多少、おちゃらけた人間ではあるが、滅多に嘘を言わない。 ふざける事はあっても冗談すらあまり口にはしない親父の言葉はきっと本当なんだろう。 まぁ…だからと言って、宇宙から来た…なんて荒唐無稽な話を信じるつもりはないけれど。 宇宙から落ちてきた石版なんて、マジでファンタジーの世界だからなぁ。 京太郎「…で、そんなヤバイ石版をどうして持って帰って来たんだよ」 京太郎「それがマジなら国の研究所かなんかに突っ込んどくべきだろ」 「んー…そうなんだけどさ」 京太郎「けど?」 「…なんとなく直感的にそれがヤバイ気がした」 京太郎「あー…」 ……親父の直感は良くあたる。 正直、オカルトと呼べるレベルの的中率を誇ってるんだ。 その的中率の高さから有名な遺跡をバンバン発掘してる親父の勘は正直、馬鹿にできない。 少なくとも、その勘にこれまで何度か助けられてきた俺には笑う事など不可能だった。 「と言う訳で、京太郎」 「これはお前にやる」 京太郎「はい?」 …いや、あの、ちょっとまってくれ。 なんでそんなヤバイシロモノを息子に預けるんですかねぇ!? 親父がヤバイって言うってよっぽどの厄ネタだろう!! そんなもんを普通の高校生に預けようとするんじゃねぇよ!! 「まぁ、色々と言いたい事は分かる」 「だが、俺が持ってるとこの石版は否応なく目立つし…」 「何よりお前なら安心して預けられる」 …ただ、こうなった親父に何を言っても無意味だ。 おちゃらけてはいるものの、親父はかなり頑固だからなぁ。 それに…安心して預ける、なんて言われたら、ぶっちゃけ俺もその気になってしまうっていうか。 男としてこんな風に言われて悪い気はしない。 京太郎「…分かったよ」 京太郎「でも、あんまり期待しすぎるなよ」 「大丈夫だって。お前は俺の息子なんだ」 「やれば出来る奴だってのは俺が一番、良く知ってるよ」クシャクシャ 京太郎「あぁ…もう…」 …普段離れて過ごしてる癖に調子良いんだからなぁ。 ……まぁ、でも、こうして言われて、ちょっと嬉しくなっちゃう俺も俺だけど。 何だかんだ言いつつ、俺は世界的に有名なオヤジの事を尊敬してるんだ。 そんな親父にこうまで言われちゃ、胸の奥がくすぐったくなる。 「ま、ともかく、その管理はお前に一任する」 「適当に隠すなり使うなり好きにしてくれ」 京太郎「使うって…」 「漬物石なんてどうだ?」 京太郎「んなもんつくらねぇよ」 「でも、最近はラーメン作ってるんだろ?」 京太郎「なんちゃってラーメンだけどな」 …学校の先輩にラーメン好きな人がいるからな。 その人に付き合って色んなラーメン食べてる間に、自分でもちょっと作りたくなったってだけだ。 まぁ、作ると言ってもそこまで本格的なもんじゃなく、自分で小麦粉を打って、機械で麺にして貰うだけだけれど。 それを市販のスープにぶちこむだけでもかなり美味しいって事に最近、気づいた。 ってそれはさておき。 「まぁ、ラーメン作るときに作るなりなんなり適当に使ってくれりゃ良いさ」 京太郎「んな扱い雑で良いのかよ」 「だって、それどれだけ砕こうとしても砕けなかったし」 「割りと色んなアプローチをしてみたけど全部、無意味だったからな」 「データを取れるならとっときたい」 京太郎「だからって漬物石はないだろ」 ……まぁ、なんとなく親父の意図は分かった。 研究者である自分にはお手上げだったから、民間人の俺の発想力に期待してるって事なんだろう。 それに応えられるかどうかは分からないが…まぁ、俺だって別に忙しい訳じゃないし。 暇つぶしに色々とアプローチをしてみるのも良いかもしれない。 京太郎「ま、理由は分かったよ」 京太郎「何か変化があったら、メールか何かすれば良いか?」 「おう。よろしくな」 …さて、んじゃ、そろそろ時間もおそいし。 丁度、話も終わったから、良い子の俺としてはそろそろ休むとするか。 とりあえず…明日あたり冷水に浸してナマのカツオでぶったたいてみるのも良いかもしれない。 下手をすれば石版になってた魔物が実体化して仲間に…あれ?敵だったんだっけ? 京太郎「んしょっと…」 …にしてもマジ軽いな、コレ。 結構、デカサがあるのにらくらく持ち上げて階段も上れるわ。 その上、親父レベルが砕こうとしても砕けなかったって…夢の素材すぎる。 そりゃ親父も直感でヤバイと悟るわな。 こんな素材が一般化したらいろんな分野で革命が起こってもおかしくはないし。 京太郎「(さーって、それじゃあ…)」 …ってあれ、ベッドに置きっぱなしにしてたスマホにLINEが来てるわ。 もしかして、おっぱい美少女から愛の告白かな!!! …………あぁ、うん、そんな上手い話はないですよね。 高久田の奴に対する相談か…。 京太郎「(あいつ、結構モテるからなぁ…)」 190を超える高い身長に、どんな球技でも抜群に活躍してみせる。 ちょっと頭はお馬鹿だが、性格は良く、男気だってあるんだ。 まぁ、喧嘩は苦手だけれど、悪い事を見過ごせないあいつに救われた奴は山程いる。 だからこそ、そんな高久田を射止めようとする女の子は数多くて、その友人である俺にも相談が来るんだけれど。 京太郎「(…結構、心にクるんです)」 言っちゃ何だが、俺はあんまりモテない。 まぁ、お調子者キャラな上に、おっぱいフェチを全面に出したスケベキャラだから当然なんだけれど。 ただ、俺と馬鹿やってるはずの高久田がこうもモテると言うのは、たまーに理不尽なものを感じる。 それであいつに対する態度を変えたりしないが、彼女達の相談を受けるのが辛くなってくるくらいに。 京太郎「(…でも、この子たちも皆、困ってる訳だからなぁ…)」 相談されている身としてはあまり無碍には出来ない。 そもそも俺自身、女の子に頼ってもらうのは嫌じゃないからな。 だから、とりあえず毎回、真剣に相談には載ってるんだけれども。 京太郎「(…ぶっちゃけ、押し倒して一発ヤれば良いって言いたい)」 あいつは何だかんだでしっかりした奴だ。 逆レとは言え、ヤった相手の事を無碍にはしないだろう。 その心に愛がなくとも、相手の事を愛そうと努力するはずだ。 それを考えれば、『ガンガン行こうぜ!』がベストな気がするんだけれど…。 でも、相手はわざわざ親友の俺に告白してくるようなシャイガールだ。 押し倒せ、なんて指示に従えるはずがない。 京太郎「ふぅ……」ゴトン 京太郎「って…ん?」 ……あぁ、そうだ、この石版の事忘れてた。 俺にとっては未知の素材で出来た石版よりも旧友の恋愛事情の方が大事だからな。 にしても…うーん、石版…ねぇ。 ……さっきは親父にあぁ言ったけど…コレがもし本当に、人の『オーラ』を見る力に繋がっているなら… ―― 京太郎「(…例えば、女の子を積極的にさせる事だって出来るかもしれない)」 そうなったらあの鈍感王、高久田と言えど、気づくだろう。 自分が今までどれだけの美少女達から好意を寄せられていたのかを。 そうすれば俺もお役御免。 こうして女の子の相談に四苦八苦し、嫉妬する事もなくなるはずだ。 京太郎「(…ま、とりあえずアプローチだけしてみるか)」 ダメで元々だからな。 …でも、確かこの石版、どれだけ傷つけようとしても壊れないんだったっけ? うーん…じゃあ、流石に彫刻刀とかじゃ無理だよなぁ…。 …………仕方ない、とりあえずマジックで代用しよう。 京太郎「(女の子が男に対して積極的になりますように…っと)」 …………よし。 黒鉛っぽくてちょっとわかりにくいけどちゃんと書けたぞ。 後は……まぁ、とりあえず女の子の相談に戻るか。 折角、LINEで連絡貰ってるのに無視するのも可哀想な話だしな。 これでも一応、俺はフェミニストだし…ってえ? ―― パァァ 京太郎「(なんか石版が光って…!?)」 こ、これもしかしてヤバイ奴か!? もしかして俺やっちゃった!? 百均で売ってるようなマジックじゃなくてちゃんと筆で書けって事なのか!? いや、でも、流石にこの時間から墨をするのは面倒だって!! そもそも明日、学校で習字があるから持って帰って来て… ―― 京太郎「…あれ?」 …………収まった、のか? ふぅ…驚かせやがって。 …寿命が五年は縮まったぞ、多分。 光るなら光るって言ってから光って欲しいもんだ。 京太郎「(…にしても)」 …特に目立った変化はない…よな? うん、肌さわりとか重さとかはそのまんまだし…。 …強いて言えば…まぁ、そのなんだ。 俺がマジックで書いた文字がそのまま彫り込まれてるって事なんだけど。 京太郎「(…ま、まさかな)」 ……確かにそうかもしれないと俺は思ったよ? でも、まさか…百均のマジックでこんな不思議現象起きるなんて思ってなかったし…。 つーか…こうして文字が勝手に彫り込まれて訂正すら出来なくなってるって事は…。 本物?これ…マジで本物なの? 世界のルールとか思い通りにできちゃう系マジックアイテムなの? 京太郎「(…とりあえずこれはヤバイ)」 京太郎「(どう考えてもヤバ過ぎる)」 …とりあえず親父に報告しよう。 そうすればきっと確かな助言をくれるはずだ。 おちゃらけてる事は多いが、学者だけあって親父の知識量はかなりのものだし。 きっと的確な指示を俺にくれるはず…。 京太郎「(あ…れ…?)」クラァ …なんだ、この眠気は…。 ダメだ…今すぐ親父に言わなきゃいけないのに…。 明日の朝には…親父はまた海外に出て行って…いなくなるってのに…。 なんで、こんないきなり眠気が…あぁ…クソ…。 ダメ…だ…身体がもう…堕ち…… ―― チュンチュン 京太郎「うーん…うーん…」 京太郎「はやりさん…もう許して…」 京太郎「もう…出ない…ですから…」 京太郎「ぜ、前立腺は…ら…めぇ……」ハッ …………朝か。 チクショウ…折角、はやりんとセックス出来る夢を見れてたって言うのに…!! …まぁ、セックスって言うか、ほとんど奴隷みたいな扱いでしたけどね。 首輪つけられながら騎乗位で延々と犯され続けてたし。 ただ、その度におっぱいバルンバルンって揺れてたから、ご褒美でしかないんだよなぁ。 …流石に前立腺責めはやめて欲しかったけどさ、うん。 京太郎「(…ってそうじゃねぇ!?)」 ってもう朝じゃねぇか!! 今の時間…ってああああああっ!やっぱり!! 親父もう完全に出ちゃってるよ、コレ!! くっそ…!なんで昨日の俺はあそこで眠っちゃったんだよ!! 親父に直接アドバイス貰おうと思ったら、また数ヶ月は後になるってのに…!! 京太郎「…とりあえず起きるか」 部活にはもうちょっと時間があるけど…でも、あんまりノンビリしてられないしな。 もう来週からはインハイが始まるんだから、俺もしっかりしないといけないし。 まぁ…しっかりつってもほとんどマネージャーみたいなもんなんだけどさ。 一応、部員として指導はしてもらってるとは言え、それ以上に雑用やってる事の方が多い気が…。 京太郎「(…ってアレ?)」クン …なんだ、このいい匂い。 もしかして誰か料理してる? …いや、でも、親父はもうとっくに出てるし…。 母さんはそんな親父にベッタリだから一緒に出て行ったはずなんだけど…。 京太郎「(一体、誰が俺の家のキッチンに…)」ガチャ 明華「ふんふふんふんふーん♪」 京太郎「」バタン ……ん?んんんんん!? 見間違えかな…? なんか俺の家のキッチンに明華さんが立ってたんだけど。 い、いや、でも、そんなはずないよな。 彼女はこの家の住人じゃなくって、学校の寮で暮らしてる訳だし。 こんな朝早くに…しかも、俺の家に出没するはずがない。 京太郎「(…つまり、さっきのは俺の見間違え以外にあり得ない)」 京太郎「(ははは、俺ってばおっばかさんだなー)」 京太郎「(朝はちゃんと乳酸菌取らないと…)」ガチャ 明華「あ、京太郎君」ニコ …………最近の幻覚は凄いな。 まさか視覚だけじゃなくて聴覚にまで訴えてくるとは。 この海のリハクの目にも以下略ってレベルじゃない。 まるで本当に明華さんが目の前にいるみたいだ。 明華「おはようございます」 明華「今日はちょっと早いんですね」 明華「もしかして悪い夢でも見ましたか?」ジィ いやぁ、強いて言えば目の前のそれが悪い夢ですかね。 心配そうに見てくれているのは嬉しいんだけど…でも、所詮は幻覚な訳で。 ここまでハッキリと幻覚が見えるようになった自分の精神状態がちょっと怖い。 昨日、石版が光ったのも俺の錯覚なんじゃなかったのかってそう思うくらいだ。 明華「…ちょっと顔色が悪いですね」 明華「後でちょっとお薬を出しましょうか」 明華「とりあえず座って下さい」 明華「今、ミルクでも出しますから」 京太郎「あ、うん」 ……で、なんでその幻覚は勝手知ったる感じで我が家のリビングを動き回っているんだろう。 しかも、やたらと上機嫌な感じで冷蔵庫を開けちゃってるし…。 戸棚から普段、俺が使ってるコップだって一発で見分けてる。 …俺が創りだしたとは言え、俺の事バッチリ把握しすぎて若干、怖いくらいだ。 明華「はい。どうぞ」コトン 京太郎「あ、ありがとうな」 明華「いえいえ」 明華「あ、もうちょっとでハニートーストが出来るので待っていてくださいね」 明華「出来上がったら二人で朝ごはんにしましょう」ニコ いやぁ…やっぱり明華さんは、幻覚でも可愛いなぁ。 まさか朝からハニートーストまで作ってくれるなんて。 これは今日一日、とっても調子が良くなりそうだぞぅ。 ……これが幻覚でなければ、な。 京太郎「(と、とりあえず落ち着こう…)」 丁度、目の前に良く冷えた牛乳があるんだ。 これを喉に流し込んで、少しは頭を冷やそう。 ……うん、美味しい。 やっぱり牛乳は雪印に限るな。 他のミルクじゃあ、こうもコクのある甘さは出せないぜ…。 京太郎「(…ってあれ?幻覚が出したミルクが飲めるって事は…)」 …………もしかして、アレは明華さん本人? い、いや、ま、待て、待ってくれ。 お、俺は知ってるぞ。 こういう時は全部、自分でやってるのを全部、幻覚がやってると勘違いしてるんだって。 だ、だから、これは俺が準備した牛乳だったんだろう。 さっき慣れた様子で、冷蔵庫を開けていたのも、俺のコップを迷わずに選んでいたのもその所為で ―― 京太郎「(目を覚ませ…!)」 京太郎「(早く目を覚ませ、俺ええええええ!!)」ガンガン このまま幻覚と一緒にいると気がおかしくなってしまう…! いや、と言うか、幻覚を見るくらい、おかしくなっているんだけれども!! でも、これ以上、おかしくなると俺の精神状態がヤバイ!マッハでヤバイ!! 本気で幻覚と現実との境界線が曖昧になっちゃいそうで怖い!!! 明華「ちょ…何をやっているんですか!?」パッ 京太郎「う…」 …出来れば、幻覚の手を振り払ってしまいたい。 幻覚風情が邪魔をするなといってやりたかった。 だが、幾ら幻覚であっても、相手は明華さんなのだ。 日頃から俺と親しくしてくれて、俺を仲間に引きあわせてくれた彼女には大恩がある。 幾ら幻覚とは言え、そんな彼女に乱暴をしたくない。 明華「…もしかして何か辛い事でもあったんですか?」 明華「私で良ければ相談に乗りますよ」 明華「だから、そんな風に自分を痛めつけたりしないでください」 明華「私が…側にいますから」ギュ 京太郎「お、おうふ…」 ってそう躊躇ってる間に明華さんが俺の事を抱きしめて…。 や、やべぇ…明華さんのフランスおっぱいがムニムニって背中に張り付いてきている…。 前々から形と良い大きさと良い非の打ち所のないおっぱいだと思ってたけど…。 実際、こうしてそれを感じると…もう本当にマーヴェラスとしか言いようがない。 ありがとうと言うそんな言葉さえ口から出てしまいそうだ…。 明華「…落ち着きましたか?」 京太郎「…はい」 …まぁ、一部は全然、落ち着いてない訳だけれど。 その辺はほら、あんまり気にしてもしかたがないと言うか。 とりあえずまだ半勃ちレベルだからセーフだと俺としては主張したい。 ぶっちゃけあのまま抱きつかれっぱなしだったらやばかったけどな!! 明華「それで…どうしていきなりこんな事を…?」 京太郎「…そ、それはその…」 明華「…大丈夫ですよ。私は誰にも言いませんから」 …そりゃ幻覚だから…ってアレ? …………そう言えば、なんで俺、さっき明華さんのおっぱいを背中に感じていたんだ? そもそも俺は明華さんと知り合ったばっかりで…まだ手すら繋いだ記憶がないってのに。 それを飛び越しておっぱいの感触を再現するだなんて、幾ら妄想たくましい男子高校生でも出来るはずがないだろう。 だ、だったら、これは…もしかして…!! 京太郎「…明華さん?」 明華「はい」 京太郎「ほ、本物の明華さんなんですか?」 明華「え、私、偽物だったんですか?」 あ、この天然さは明華さんだわ。 このちょっとズレちゃってる感じは、本物の明華さんにしか出せない。 幾ら俺が彼女と親しくしているとは言え、こうまで見事に再現出来ないだろう。 …つーか、それはそれで新しい疑問が山程出てくるんですけれど!! 京太郎「いや、明華さんは本物だと思いますが…」 京太郎「で、でも、どうしてここに!?」 明華「なんでって…それはほら」 明華「乙女の秘密です」ニコ 乙女の秘密かー。 …うん、乙女の秘密ならしょうがないな。 …………って俺も言いたいけどさ! でも、それで済ませるにはあまりにもちょっと問題が多すぎるっていうか…。 明華「…あ、もしかして不法侵入じゃないかって疑ってますね?」 京太郎「…いや、今の流れで疑わない人はいないと思いますが」 明華「大丈夫ですよ、ほら」スッ …あ、アレは…俺の家の鍵? ってどうしてそんなものを明華さんが持ってるんだ? 確かに俺はそれなりに彼女と仲良くしてるけど…でも、合鍵を渡すほど親密な訳じゃないし。 勿論、いずれはそうなれたら良いな、とは思っていたけれど…。 明華「ちゃんとこうして鍵がありますから不法侵入じゃありません」 京太郎「…じゃあ、それはどうして入手したんですか?」 明華「乙女の秘密です」ニッコリ …一体、どうやって手に入れたんだ。 ホント、すっげえええ気になるけど…でも、このまま突っ込んでも明華さんは教えてはくれないだろうし。 とりあえず乙女の秘密って事で納得しておくのが一番なのかもしれない。 明華「お義父様とお義母様にはちゃんと京太郎君の事を任せたと直々に太鼓判ももらっていますから安心してくださいね」 京太郎「……一体、いつの間に…」 明華「今日の朝です」ニコ …いや、今日の朝って。 親父達は朝一発目の飛行機に乗る予定だったから、かなり早くに出てたはずなんだけど。 そんな親父達と鉢合わせ出来るレベルって…一体、何時から明華さんは起きてたんだ…。 正直、謎が謎を呼ぶ展開すぎると言うか…若干、ついていけない感があるけれども…。 京太郎「…で、目的は一体…」 明華「今日からまた京太郎君が一人になると聞きまして」 明華「防犯と食事の為に通い妻になろうかな、と」テレ 可愛い。 もう文句なしに可愛い。 正直、明華さんの通い妻とか土下座してでも迎え入れたいレベル。 …ただ、さっきから違和感が拭えないんだよなぁ。 勿論、目の前の彼女が本物である事を疑っている訳じゃないんだけれど… ―― 京太郎「(…明華さん、ここまでぶっ飛んでたか?)」 確かに天然入ってたし、俺の知る常識とはズレている人ではあった。 でも、ここまで強引と言うか、滅茶苦茶な事をやらかすタイプではなかったのである。 そんな彼女が朝からこうして通い妻になってくれている光景は…正直、現実とは思えない。 まだ夢でも見ているのではないかとそう思う自分が俺の中で大きかった。 明華「それよりほら、さっきハニートーストも出来上がりましたから朝ごはんにしましょう」 明華「一日の計は朝にあり…ですよ」 京太郎「…ですね」 まぁ、でも…ここでゴタゴタやってて時間を潰すのも勿体無い。 まだまだ時間はあるとは言え、こうしている今もハニートーストが冷めている訳で。 明華さんのお手製ともなれば、出来るだけ一番、美味しい時間に食べたい。 だからこそ、俺はその疑問を丸投げして、彼女と一緒に食卓について ―― 京太郎「(…おかしい)」 京太郎「(いや、と言うか…さっきからおかしいところがまったくないと言っても良いくらいだ)」 京太郎「(首輪は一応、ファッションとして認められてはいるけれど…)」 京太郎「(でも、そこから伸びた鎖を女の子が握ってるとなれば、そりゃもう明らかに異常事態な訳で)」 京太郎「(そんなカップルが俺の視界にはもう何人もいる訳で)」 京太郎「(でも、そんなカップルに対しツッコミが入るどころか羨ましそうに見てる女性が沢山いる訳で)」 明華「…良いですね、ああいうの」 明華「何時か…私もあんな風に人前で繋げるような人が欲しいです」ニコ 京太郎「(…それは勿論、明華さんも例外じゃない訳で)」 京太郎「(と言うか、俺は今、彼女と腕を組んでいる状態な訳で)」 京太郎「(その素敵なフランスっぱいが俺の胸にグイグイ来てる訳で)」 京太郎「(…これもうアカン奴ですわ)」 京太郎「(徹頭徹尾、おかしいところしかないですやん…)」 明華「京太郎君はどうですか?」 明華「あぁいうの憧れたりとかしません?」 京太郎「え、えっと…その…」 京太郎「(…ぶっちゃけ、人前で羞恥プレイはノーサンキューです)」 京太郎「(二人っきりならともかく、人に見られるなら俺は勿論、相手にもさせたくない)」 京太郎「(…でも、明華さんはそれに憧れてるんだよなぁ)」 京太郎「(正直、理解できないけど…でも…)」 京太郎「(こうして俺を見上げる彼女には共感に対する期待が浮かんでいて…)」 ネリー「おにーちゃーんっ」ダイブッ 京太郎「うぉ!?」ビックリ ネリー「朝から会えるなんて奇遇だね、お兄ちゃん」ニコリ 京太郎「ね、ネリー…」 京太郎「(…って、待て待て)」 京太郎「(なんで、ネリーの好感度がこんなに高いんだ?)」 京太郎「(確かに同じ一年生としてそれなりに仲良くはしていたし…)」 京太郎「(冗談で兄妹みたいなやりとりをする事はあったぞ)」 京太郎「(でも、ここまでガチな感じじゃなかったって言うか…)」 京太郎「(あくまでも軽口の一種って感じだったんだけれど…)」 京太郎「(…でも、今のネリーからはそんなのがまったく感じられない)」 京太郎「(マジで俺の事をお兄ちゃんだとそう思っているみたいに…)」 京太郎「(真っ直ぐな好意を向けてくれている)」 京太郎「(…これ、本当にネリーなのか?)」 京太郎「(あのちょっと小憎たらしいゼニゲバネリーがこんな風になるだなんて…信じられない)」 京太郎「(ちょっと漂白され過ぎじゃないですかねぇ…)」 明華「…ネリー。京太郎君が困っていますよ」 ネリー「…あ、明華、いたの?」 明華「最初からいましたよ」 明華「えぇ。京太郎君の家からずっと」 ネリー「…へー。そうなんだ」 ネリー「何?勝手にお兄ちゃんの家にあがりこんじゃった訳?」 ネリー「通報した方が良い?」 明華「大丈夫ですよ。ちゃんと許可は貰いましたから」 明華「…にしても」 ネリー「…何?」 明華「…いえ、普段、京太郎君の事をお兄ちゃんお兄ちゃんと言っているのに…」 明華「家にあがった事もない貴女がちょっと滑稽で」クス ネリー「…朝から男の家にあがりこむようなはしたない人には言われたくないなー」 明華「あら、日頃、お金にばっかり執着してる貴女が言っても説得力ないですよ?」ニコ 京太郎「(あ、アイエエエエエ)」 京太郎「(修羅場!?修羅場、ナンデ!?)」 京太郎「(ま、ままままま待ってくれ)」 京太郎「(二人はもっと仲が良かったはずだろ!!)」 京太郎「(まぁ、確かにお互いにライバル視してるところはあったけど…)」 京太郎「(でも、ここまで敵意をぶつけあうような事なんて今まで一度もなかったのに…)」 京太郎「(も、もしかして…昨日、何かあった?)」 京太郎「(俺の知らないところで大喧嘩でもしちゃったのか…!?)」 京太郎「お、落ち着いてくれよ、二人とも」 ネリー「…お兄ちゃんがそう言うのなら」ムス 明華「…このような形で注目を浴びては変な噂になってしまいますし」ギュ ネリー「…そう言ってお兄ちゃんの腕を離さないのはどうして?」 ネリー「変な噂になるのはダメなんじゃないの?」 明華「これは別に変な『噂』ではないですから」 ネリー「…へぇぇ」 ネリー「…じゃあ、私も別に良いよね」ギュ 京太郎「ね、ネリー…!?」 明華「…邪魔ですよ、ネリー」 明華「両手が塞がっては京太郎くんが歩きづらいではないですか」 ネリー「だったら、そっちが離せば?」 明華「…こっちの方が先約ですよ?」 ネリー「それだけ十分、堪能したでしょ?」 ネリー「次は私の番だと思わない?」 明華「まったく思いませんね」 ネリー「…ホント、明華って我が強いよね」 ネリー「そんなんじゃお兄ちゃんもうんざりすると思うな」 明華「守銭奴よりはマシだと思いますよ」 京太郎「(あばばばばばばばばば)」 ネリー「…ね、お兄ちゃんは私の方が良いでしょ?」 明華「ネリーだと身長が低すぎます」 明華「私くらいがベストな差だと思いませんか?」 京太郎「い、いや、えっとその…」 京太郎「(な、なんだ、コレは!)」 京太郎「(なんで俺はいきなり美少女二人から二択を迫られてるんだよ!!)」 京太郎「(昨日までは普通だったのに…)」 京太郎「(なんでいきなりこんな俺の事取り合うみたいな事を…)」 京太郎「(こんなに積極的な二人なんて今まで見た事が…)」 京太郎「(…ってアレ…積極的?)」 京太郎「(まさか…いや、でも…そんな…)」 京太郎「(確かにそう考えれば辻褄は合うけれど…でも…!!)」 ネリー「…ねぇ、お兄ちゃん」 明華「…京太郎君…」 京太郎「(って考え事に耽ってる余裕はない…!)」 京太郎「(でも…俺にどっちかなんて選べるのか?)」 京太郎「(そりゃ…俺としては、おっぱい大きい明華さんの方が好みではあるけれど…)」 京太郎「(でも、ネリーだって俺にとっては大事な友人なんだ)」 京太郎「(その上…今まで見たこともないくらい真っ直ぐに甘えてくれているコイツを…無碍にはしたくない)」 京太郎「(大体…こんな状況はじめてで…一体、どうすりゃ良いのかまったくわかんないし…)」 ???「待てィ」 京太郎「こ、この声は…!!」 ∫ ヘ⌒ヽフ∫ . (,,・ω・) 私デス (つ=||||____ ('⌒)\_/ 京太郎「メグさん!?」 ∫ ヘ⌒ヽフ∫ . (,,・ω・) どうヤラお困リのようデスね (つ=||||____ ('⌒)\_/ 京太郎「あ…いや、その…」 京太郎「(…正直、ここでメグさんに話しかけてもらえたのはありがたい)」 京太郎「(お陰で考える時間が増えたんだから)」 京太郎「(でも、それを表に出すのは真剣な二人にとっては失礼な話だし…)」 京太郎「(困っているとは言えない…よな)」 ∫ ヘ⌒ヽフ∫ . (,,・ω・) ……大丈夫です。京太郎の気持ちは分かっていますから (つ=||||____ ('⌒)\_/ 京太郎「…え?」 ∫ ヘ⌒ヽフ∫ . (,,・ω・) ココは一ツ私に任せてくだサイ (つ=||||____ ('⌒)\_/ メガン「…サテ」ズルルル ゴクゴク メガン「…ぷはぁ」マンゾクゲ メガン「やはりラーメンハ汁まで飲みキッテようやく完食デスね」 明華「……どういうつもりですか?」 ネリー「…言っとくけど、ここはお金貰っても譲らないから」ギュ メガン「そんな趣のナイ話をしたリしませんヨ」 メガン「私がするノハ昔話デス」 明華「…昔話?」 メガン「エェ。二人とも大岡裁キという話はご存知デスカ?」 ネリー「…知らない。何それ?」 明華「私も聞いたことありませんね…」 メガン「日本デハメジャーな話なんデスケドネ」 メガン「京太郎ハ知ってイルでしょう?」 京太郎「えぇ。まぁ」 ネリー「…で、それが何か?」 メガン「マァマァ、焦らナイデ」 メガン「ソノ話なんデスけどね」 メガン「早い話、一人の男の子ヲ二人の女性が取リ合ウと言うものなんデスが」 京太郎「(…大体合ってるようですっげええ違いますよ、メグさん…!)」 京太郎「(いや、空気読んで黙ってますけど!黙ってますけどね!!)」 メガン「ソノ話の結末は、先に男の子を離した方が男の子ヲ手に入れると言うものデシテ」 明華「…一体、何故?」 メガン「そうヤッテ両側から自分の方ヘ引きずり込マレテは、男の子ガ苦しい」 メガン「そう判断シ、断腸の思いで手放した女性に、男の子ハ懐イタのデス」 メガン「…マァ、これは昔話デスガ、今回にも適用出来ルと思いマセンか?」 ネリー「…っ」パッ 明華「っ!」パッ メガン「フフ。物分りの良い友人デ助かりマス」 京太郎「(…凄い)」 京太郎「(まさかアレほど頑固だった二人が俺の事をこうも簡単に手放すなんて)」 京太郎「(任せてくれとそう言っただけはある…)」 メガン「…サテ、京太郎」 京太郎「あ、はい」 メガン「無事にこの場を収めた私ニ何か言ウ事ハアリマセンか?」 京太郎「あ、えっと、ありがとうございます、メグさん」 メガン「…それダケデスカ?」ワクワク 京太郎「…今度、また家で自家製麺、ご馳走しますよ」 メガン「ほぅ、ソウですかそうデスカ」パァ メガン「イヤァ、京太郎がそう言ってくれてイルのに断るのも失礼デスシネ」 メガン「是非トモご馳走にナリに行かナケレバ」 京太郎「まったく、調子が良いんですから」 京太郎「つーか、ラーメンくらい何時でもごちそうしますよ」 京太郎「俺も嫌いじゃないですしね」 メガン「ソレはイケマセン」 メガン「京太郎は男の子ナンデスヨ」 メガン「ホイホイ女を家ニ招き入レタラ大変な事になってシマイマス」 京太郎「んな大げさな」 京太郎「俺だって男なんですから、そうそうそんな事態にはならないですって」 メガン「…ソウなら良いんですケドネ」チラッ 明華「……」メソラシ メガン「…マァ、何はともあれ、こうして四人揃った訳デスシ」 メガン「一緒に仲良く部活ニ行きマショウカ」ギュ 京太郎「ちょ、メグさん!?」 ネリー「……メガン?」 明華「……メガンさん?」 メガン「言っておきますが、私ガしたのは大岡裁キの話ダケデスカラ」 メガン「京太郎ヲ手放したのは二人デスヨ?」 ネリー「へー…そういう事するんだー…」 明華「……本当にアメリカ人は油断ならないですね」ゴゴゴ 京太郎「(あばばばばばばば)」 ~部室~ 京太郎「(どうしてこうなった…!)」 京太郎「(いや、ホント、どうしてこうなった!!)」 京太郎「(昨日までは普通だったのに、なんでこんなにギクシャクしてるんだよ!!)」 京太郎「(正直、ネリーたちに出会ってから学校まで、胃が痛くて仕方がないくらいだったわ!!)」 京太郎「(いや、そもそも、なんでネリーもメグさんもあそこにいるんだよ!!)」 京太郎「(俺の家から学校よりも、二人の住んでる寮から学校の方が遥かに近いはずなのに…)」 京太郎「(それをまるで偶然のように話しかけてくる事自体がまずおかしいだろ!!)」 京太郎「(まぁ、途中でそれに気づいても怖くて指摘出来なかったけどさ!)」 京太郎「(二人は修羅場で済んだが、三人揃うと今にも火が回りそうな火薬庫化しちゃうし!)」 京太郎「(俺の一言で完全に爆発するかと思えば、迂闊に口を開く事も出来ない…!)」 京太郎「(正直、ここまで生きた心地がしなかったわ…)」 京太郎「(まぁ、でも、こうして部室まで来れた訳だし…)」 京太郎「(後はそれぞれ練習やら何やらする必要がある訳だから…)」 京太郎「(このギスギス感とも解放されるはずだ)」 京太郎「(…つーか解放して欲しい、マジで)」 京太郎「(このままだったら俺の胃が死ぬ…!!)」ガチャ 智葉「…おはよう」ハァ ハオ「おはようございます」ジト 京太郎「おはようございます」 京太郎「(…あぁ、どうしてだろう)」 京太郎「(何時もなら胸にクる二人の視線が今は若干、心地良い)」 京太郎「(いや、まぁ…俺は決してマゾに目覚めた訳じゃないんだけど)」 京太郎「(でも、二人の態度は変わってないんだって思うと…)」 京太郎「(それだけでもう何か救われた気分だ…)」 智葉「…さて、それじゃ全員揃った訳だし、インハイに向けて練習していこうか」 ネリー「あ、私、お兄ちゃんの指導するから」 ハオ「…ネリー」 明華「…ネリーには任せておけませんね」 明華「そういうのは彼を麻雀部に連れてきた私の仕事です」 メガン「一ラーメンの恩ヲ忘レタつもりはありませんカラ」 メガン「ココは私が彼の指導ヲするべきデショウ」 京太郎「い、いや、そのお気持ちだけで十分です…」 ネリー「ダメだよ、お兄ちゃん」 明華「そうですよ。そんな風に遠慮なんてしないで」 メガン「気軽に頼ってクレテ良いンデスヨ」 智葉「…いい加減にしないか!」 京太郎「っ」ビクッ 智葉「三人とも分かっているのか?」 智葉「今はインハイ目前の大事な時期なんだ」 智葉「そんな貴重な時間をレギュラーでもない部員の世話に取られてどうする」 明華「…それは」 智葉「…ネリー。お前が日本にやってきたのは京太郎といる為か?」 ネリー「…違う…けど」 智葉「明華。国を離れてもついてきてくれた母親の献身は、京太郎を指導する為にあるのか?」 明華「…いいえ」 智葉「メグもメグだ。お前は龍門渕にリベンジを誓ったんじゃないのか」 智葉「それが敗退したからモチベーションが下がったと言っても…あまりにもたるみ過ぎている!」 智葉「色ボケも大概にしないか!!」 「「「……」」」シュン 京太郎「あ、あの…辻垣内さん、それくらいに…」 智葉「…お前もお前だ」ギロ 京太郎「ひぃ」ビク 智葉「そうやって三人を甘やかすから調子に乗るんだ」 智葉「結果、こうして三人が自分の練習にも身が入らなくなっているのが分かっているのか?」 智葉「それではマネージャーとしてインハイに連れて行く事なんて出来ないぞ」 ネリー「そ、そんなのダメっ!」 明華「そ、そうですよ!折角、彼は自分の大事な時期を蹴ってでも手伝ってくれているのに…」 ハオ「…その結果がこれでは彼が不要と言う意見が出てくるのも致し方無いでしょう」 ハオ「ちなみに…私も彼女と同じ意見です」 ハオ「彼が来てから部内の雰囲気も気持ちも一気に緩んでしまっています」 メガン「で、デスガ、それハ京太郎に悪意がある訳デハ…」 ハオ「例え悪意がなくても、結果がこれでは排除するしかなくなります」 ハオ「一応、私達は強豪臨海女子のレギュラーで…また部員全ては真剣に麻雀をしているのですから」 ハオ「その頂点に立つべき私達がこんな有様では自然と不満は彼に向かうでしょう」 智葉「…それが嫌ならちゃんと練習に励むんだな」 智葉「失った信用は行動でしか取り戻す事が出来ないんだから」 ネリー「…………はい」 智葉「…じゃあ、京太郎はこっちに来い」 京太郎「え?」 智葉「監督が個別で話があるそうだ」 京太郎「そ、それって…」 智葉「内容までは私も知らない」 智葉「だが、覚悟はしておいた方が良いかもしれんぞ」 京太郎「……はい」 京太郎「(…………ヤバイ)」 京太郎「(何がヤバイって辻垣内さんがここまで言うってのがヤバイ)」 京太郎「(基本的に厳しい風に見られがちだけど…彼女はそれだけじゃないんだから)」 京太郎「(忙しい合間をぬって学童に通う子ども達の麻雀を見たりととても優しい人なんだ)」 京太郎「(そんな彼女がこうまでハッキリ言うって事は…)」 京太郎「(俺は割りと…いや、かなり瀬戸際に立ってるって事なんだろう)」 京太郎「(正直…退部勧告くらいはあり得るよなぁ…)」ハァ 京太郎「…あ、監督」 アレクサンドラ「あ、須賀君。もう来てたんだ」 京太郎「はい。それで…お話があるという事ですが…」 アレクサンドラ「あー…うん。この辺りじゃ何だから、とりあえず二人きりで話せるところに行こうか」 京太郎「はい…」シュン アレクサンドラ「~っ」ゾクゥ アレクサンドラ「(あー…ホント、この子良い顔するわね)」 アレクサンドラ「(正直、年下過ぎて恋愛相手としてはダメだけど…)」 アレクサンドラ「(でも、一夜の過ちを犯しちゃう相手としては最高…)」 アレクサンドラ「(この可愛い顔が最初は戸惑っているのに…)」 アレクサンドラ「(どんどんと快楽に染まっていく光景で何回自分を慰めた事か…)」 アレクサンドラ「(ホント、この年頃にしては…ううん、この年頃だからこその色気がムンムン出て…)」 アレクサンドラ「(そりゃ恋のこの字も知らないような小娘達が狂っちゃうのも当然よねぇ…)」 アレクサンドラ「(まぁ…私も大人としてそういう子達の背中を押したい訳だけれど…)」 アレクサンドラ「はい。適当に座って」 京太郎「…はい」ストン アレクサンドラ「…で、時間も勿体無いから本題に入るけれども」 アレクサンドラ「まず最近の部の雰囲気がちょっと悪くなっているのには気づいてる?」 京太郎「…はい。ついさっき辻垣内さんにも言われました」 アレクサンドラ「そうなの…やっぱりあの子ってば優秀ね」 アレクサンドラ「まぁ、分かっているなら話は悪いわ」 アレクサンドラ「その原因…と言ったらちょっと可哀想だけれど」 アレクサンドラ「それは君にあるって事は聞いたかしら?」 京太郎「…はい」 アレクサンドラ「そっか」 アレクサンドラ「じゃあ…私も顧問としてそれを見過ごす訳にはいかないって事も…」 アレクサンドラ「勿論、分かってくれるわよね?」 京太郎「~っ…」グッ 京太郎「…………はい」 京太郎「…あ、あの」 アレクサンドラ「ん?」 京太郎「俺…やっぱり退部しなきゃいけないんでしょうか…?」 アレクサンドラ「え?」 京太郎「え?」 アレクサンドラ「………ぷっ」 アレクサンドラ「あぁ、なるほど…そ、そういう事…」クスクス 京太郎「え…?え…っ?」 アレクサンドラ「あはは。考えすぎよ」 アレクサンドラ「流石にこれだけで退部させるつもりはないわ」 アレクサンドラ「そもそも君がまったく悪くない訳だしね」 アレクサンドラ「悪いのは君に入れ込んで練習も手に付かないレギュラー達の方」 アレクサンドラ「見つけたのが私だから心も痛むけど…」 アレクサンドラ「退部させるとしたらあの子達の方ね」 京太郎「そ、そんな…!」 京太郎「お、お願いします!」ペコ アレクサンドラ「え?」 京太郎「明華さん達を辞めさせないで下さい!」 京太郎「皆…皆、本当は麻雀が大好きなんです!」 京太郎「今はちょっと…その、おかしくなっているだけで…!」 京太郎「きっとすぐに元に戻るはずですから…!」 京太郎「だから…お願いします!」 京太郎「俺が…代わりに何でもしますから!」 京太郎「退部でも何でもしますから…皆は辞めさせないで下さい」 アレクサンドラ「~~」キュン アレクサンドラ「(あー…この子ダメだわ)」 アレクサンドラ「(自分が何を言ってるのか分かってるのかしら…)」 アレクサンドラ「(一応、私はこれでも理性が強い方だから大丈夫だったけど…)」 アレクサンドラ「(トチ狂った監督だったら…今のでレイプされても仕方がないってのに)」 アレクサンドラ「(ホント、危なっかしいわねぇ…)」 アレクサンドラ「(ま、何はともあれ)」 アレクサンドラ「……その気持ちに偽りはない?」 京太郎「勿論です!」 アレクサンドラ「…そう。じゃあ、一つお願いがあるんだけれど」 京太郎「お願い…ですか?」 アレクサンドラ「えぇ。まぁ、そんなに難しい事じゃないわ」 アレクサンドラ「ただ、インハイが終わるまでだれとも恋仲になったりシないで欲しいってだけ」 京太郎「…え?」 アレクサンドラ「幾ら君が鈍くても気づいてるんでしょ?」 アレクサンドラ「うちのレギュラー三人は君に明確な好意を寄せている」 アレクサンドラ「それこそ練習が手につかないくらいにね」 京太郎「それは…」 アレクサンドラ「で、それだけ自分を見失ってるところに…」 アレクサンドラ「君がもし誰かと付き合ったりしたら…どうなっちゃうかしら?」 京太郎「……今まで以上に練習に手がつかなくなります」 アレクサンドラ「それだったらまだマシな方ね」 アレクサンドラ「私が見る限り、三人ともかなり入れ込んでいるみたいだから」 アレクサンドラ「下手をすればインハイ中に血の雨が降る事だって考えられるわ」 京太郎「幾ら何でもそんな事…」 アレクサンドラ「…ま、少なくとも私はそこまで計算してる」 アレクサンドラ「ただ、計算してると言っても、それによって発生する問題を解決出来る訳じゃないわ」 アレクサンドラ「君が誰を選んでも、間違いなく角が立ってしまうし」 アレクサンドラ「選ばれなかった子達のモチベーションに大きなダメージを与えてしまう」 アレクサンドラ「それは…絶対に避けられない事よ」 京太郎「……」 アレクサンドラ「だから、私に出来るのはその影響を最小限に食い止める事」 アレクサンドラ「インハイの最中に君が誰かを選んで…」 アレクサンドラ「彼女たちの成績が堕ちるのを防ぐ事しかしてあげられないの」 アレクサンドラ「例え、それが問題を先延ばしにするだけだって分かっていてもね」 京太郎「……監督」 アレクサンドラ「…ま、あくまでもこれはお願いだから強制じゃないわ」 アレクサンドラ「…でも、出来れば心に留めておいて欲しい」 アレクサンドラ「高校の三年間と言うのはプロを目指す少女たちにとってとても大事な時期だから」 アレクサンドラ「それを一年でも台無しにされてしまうのは言葉では語れないほど大きな損失」 アレクサンドラ「君が彼女たちの事を想っているのであれば…インハイの最中だけはやめてあげて」 京太郎「…分かりました」 アレクサンドラ「…ありがとうね」 アレクサンドラ「話は以上…それと」 アレクサンドラ「嫌な話をしちゃってごめんね」 京太郎「…いいえ」 京太郎「失礼……します」 京太郎「(監督の話は決して最悪なものじゃなかった)」 京太郎「(少なくとも俺が思ってたよりは遥かにマシなものだったし…)」 京太郎「(そういう意味では良かった…とそう思うべきなんだろう)」 京太郎「(だけど…それは決して監督の話が軽い訳じゃなくて…)」 京太郎「(寧ろ、俺の肩に彼女たちの人生が載ってるっていうとても重いものだった)」 京太郎「(…今までは困惑でほとんど自覚してなかったけれど…)」 京太郎「(でも…言われてみれば…その通りなんだ)」 京太郎「(俺の存在そのものが…今、彼女たちにとって害になってしまっている)」 京太郎「(けれど…ここで俺が下手に距離を取ろうとすると…彼女達は余計に心を乱すだろうし…)」 京太郎「(…本当にどうすれば良いんだ…)」ガチャ 智葉「…あ」 京太郎「…あれ?」 京太郎「(…なんで辻垣内さんが、俺達が会話してた部屋の前にいるんだ?)」 京太郎「(さっきまで彼女は部長として部員を纏めてたはずなのに…)」 智葉「…話は終わったか?」 京太郎「え、えぇ」 智葉「…そうか。じゃあ、こっちに来てくれ」 智葉「ジュースの一つでも奢ってやるから」 京太郎「え?」 智葉「…そこまで驚かなくても良いんじゃないか?」 京太郎「あ、いや…その…すみません」 京太郎「ただ…意外でして」 智葉「…そんなにか?」 京太郎「はい。だって、辻垣内さん、俺の事嫌いですよね?」 智葉「…なるほど。私はそんな風に思われていたのか」 京太郎「…え?違うんですか?」 智葉「…まぁ、違うというか…その、なんだ」 智葉「ともかく…来い」 智葉「あまり部室の近くで話したくはないからな」スタスタ 京太郎「あ、はい」スタスタ 京太郎「(…しかし、本当に今日はどうしたんだろう)」 京太郎「(何時もそれなりに仲良くしていると思ってた子達からアプローチを喰らって…)」 京太郎「(それだけでもビックリなのに、俺の事嫌ってると思ってた辻垣内さんに誘われるだなんて…)」 京太郎「(もう色々ありすぎて頭のなかがクラクラしそうだ…)」 智葉「…………それで、だ」 智葉「私が君を嫌っているという話だが」 京太郎「あ、その…」 智葉「…まぁ、好きとは言えないな」 京太郎「ぐふ」グサァ 智葉「考えても見て欲しいんだが…レギュラーとして活躍していた仲間が突然、マネージャー兼部員として連れてきたと思ったら…」 智葉「それがアレよアレよと言うまに部内の王子様扱いになって…こうまで関係が滅茶苦茶になっているんだ」 智葉「当然、好意的になど見れるはずがないだろう」 京太郎「ですよねー…」 智葉「…まぁ、とは言え、嫌っていた…とまではいかないな」 智葉「精々が苦手だったと言う程度だ」 智葉「ただ…それも多少は認識が変わってきたが」 京太郎「……変わった?」 智葉「…悪いとは思ったが、さっきの会話、盗み聞きさせて貰った」 京太郎「え?」 智葉「これでも一応、部長だからな」 智葉「部員の事は把握しておかなければいけないし…」 智葉「それに君は色々と重要なポジションにいるんだ」 智葉「その処遇がどうなるのかを気にするのは致し方無い事だと理解して欲しい」 京太郎「(あばばばばば)」 智葉「…それにもし君が悪い男であるならば」 智葉「友人として、そして仲間として」 智葉「殴ってでもあいつらの目を覚まさなければ…とそんな理由もあった」 京太郎「………って事は…」 智葉「あぁ、君が監督を前にどんな言葉を口にしたかもしっかり届いている」 智葉「…あいつらの為に何でもするとは…中々、言えたものじゃないな」ニコ 智葉「ましてや、その所為で迷惑を掛けられている身の上なのだから尚の事」 京太郎「か、からかわないでくださいよ…」 智葉「いや、別にからかっている訳じゃない」 智葉「私は本気で君の事を評価しているんだ」 智葉「見た目は軽いが…何とも一本芯の通った奴じゃないかとな」 京太郎「…ま、まぁ、評価してもらえるのはありがたいですけど…」カァ 智葉「ふふ。そう赤くなるな」 智葉「折角、格好良かったのが台無しじゃないか」 京太郎「誰の所為だと思ってるんですか…」 智葉「…まぁ、だからだ」 京太郎「え?」 智葉「今まで勝手な思い込みで君の事を避けていた分」 智葉「そしてあいつらの為にそこまで言ってくれた分」 智葉「それに部長として、友人として報いなければ、とそう思ったんだ」 京太郎「…だから、ジュースを奢ると?」 智葉「…不満か?」 京太郎「いいえ。滅相もないです」 京太郎「奢ってもらえるだけありがたいっすよ」 智葉「…よろしい」 智葉「ま、私としても何もそれだけで済ませようと本気で想っている訳じゃない」 智葉「これでも君が苦しい立場である事くらいは理解しているんだ」 智葉「辛い時は愚痴を吐く場所にもなるし、相談くらいには乗ってやる」 京太郎「…辻垣内さん」 智葉「…だから、その、なんだ」 智葉「……辛いとは思うが、一緒に、頑張っていこうな」 京太郎「……はい。ありがとうございます」 京太郎「(…正直な話)」 京太郎「(辻垣内さんの話は涙が出そうなほど有り難かった)」 京太郎「(こんな滅茶苦茶な世界でも、俺の事を評価してくれる人がいるんだって)」 京太郎「(味方になってくれる人がいるんだって…そう思えたから)」 京太郎「(まぁ、ようやく好感度が+に傾いてきたばかりで)」 京太郎「(あんまり頼り過ぎると困られちゃうだろうけどさ)」 京太郎「(…それに何より)」 京太郎「(究極的にこれは俺の問題なんだ)」 京太郎「(辻垣内さんは手助けをしてくれても…俺の代わりにはなってくれない)」 京太郎「(あくまでも応えを出すのは俺じゃなきゃいけないんだ)」 京太郎「(…それを思うと正直、ため息が出そうになるよな)」 京太郎「(しかも…その原因が俺にあるかもしれないとなれば…)」 京太郎「(ため息一つにも二重の意味が出そうになる)」フゥ 京太郎「(…まぁ、でも、今日は辻垣内さんのお陰で、一人でゆっくり帰れる訳だし)」 京太郎「(その平穏を噛み締めながら家へと戻ろう)」 巴「…あの」 京太郎「え?」 巴「大丈夫ですか?なんだか顔色が悪いですけど…」 京太郎「(…………これは一体、どういう事なんだろうか)」 京太郎「(どうして俺の目の前に巫女服を来た女の子がいるんだ?)」 京太郎「(もしかして…今、流行りのコスプレイヤー?)」 京太郎「(見た目普通そうな…と言うか、地味そうな顔立ちなのに…)」 京太郎「(ただ…不思議と似合ってる感じがするのはやはり彼女がベテランさんだからだろうか)」 巴「あ、あのー…」 京太郎「…あ、すみません」 京太郎「ちょっと悩み事があっただけですから大丈夫です」 巴「悩み事…ですか?」 京太郎「はい。まぁ…大した事ないと言えば、ないんですけどね」 巴「…その不躾ですが…」 巴「私でよろしければ相談相手になりましょうか?」 京太郎「え?」 巴「あ、い、何時もはこんな事しないんですよ?」 巴「ただ…貴方はどうやらかなり思い悩んでいるみたいですから」 巴「見たところ、これまでずっとため息を漏らしていますたし…」 巴「…その、なんというか、このまま見送ってしまうと死んでしまいそうで」 京太郎「…そこまでやばかったですか?」 巴「軽く死相が浮かんでいました」 京太郎「(あー…まぁ、確かに死にたい気分ではあったし…)」 京太郎「(このまま一人で部屋に戻ったら色々と思い悩んで潰れていたかもしれない…)」 京太郎「(こういうのを相談するのにうってつけな高久田とは全然、連絡がとれないしなぁ…)」 巴「まぁ、教会のシスターさんみたいにはいかないかもしれないですけれど…」 巴「でも、これでも一応、巫女ですから、少しはお力になれると思います」 京太郎「…巫女?」 巴「はい。…あ、こ、コレはコスプレとかじゃないんですよ?」 巴「ほ、本当に…本物の巫女です」 京太郎「(…あー、つまりは…)」 京太郎「あ、俺の幸せを祈らなくても結構です」ササ 巴「あ、怪しげな新興宗教と一緒にしないでください!」 巴「こっちはガチガチの神道です!!」 京太郎「…と言って、神道(新興宗教)とかじゃ…」 巴「…いい加減、怒りますよ?」 京太郎「すみません」 巴「…まったく、もう」 巴「……まぁ、確かに私、今、かなり怪しいですよね」 巴「通りすがりに男に話しかけるとか完全に不審者ですし…」ズーン 京太郎「(…あ、これ冷静になって自分の失態に気づいたパターンだな…)」 巴「…すみませんでした」ペコリ 京太郎「あ、いえ、気にしないでください」 京太郎「こっちも色々と無礼な事を言ってますし」 京太郎「それに…その、嬉しくない訳じゃありませんでしたから」 巴「え?」 京太郎「だって、ちょっぴり地味ですけど可愛い子に逆ナンされた訳ですし」 京太郎「男としちゃ当然、浮かれちゃいますって」 巴「…ち、違いますよ!」 巴「別に私、そんな不埒な気持ちで話しかけた訳じゃ…」 京太郎「はは。分かってますって」 京太郎「幸せを祈ろうとしてくれたんですよね」 巴「そ、それも違うって言ってるじゃないですかぁっ」 京太郎「…ん?」 巴「逆ナンって男性から女性にする事ではないんですか?」 京太郎「…え、いや、違いますよ」 京太郎「普通、男が女の子をナンパするものでしょ?」 巴「ど、どれだけ肉食系男子なんですか」 巴「…そんな風に女性にがっついてる男性とか見たことないですよ」 京太郎「いや、でも…」 巴「…分かりました。証拠を見せましょう」スッ 京太郎「…スマホ?」 巴「…今、巫女には似合わないとか思いました?」 京太郎「いや、最新機種でちょっとびっくりしました」 巴「…実は最近、買い換えたばっかりなんです」テレ 京太郎「(チョロい)」 巴「ほら」スッ 京太郎「えーっと…ネットのサイトですか」 京太郎「(えーっと…なになに…)」 京太郎「(逆ナンパとは男性が初対面の女性に対して、親交を深める目的で声を掛ける事柄である)」 京太郎「……………えぇぇぇぇ…」 巴「勿論、私はサイトを弄っていません」 巴「そんな暇なかったですし、そんな事をする必要もないですから」 巴「つまりは…私の方が正しいと言う事です」フンス 京太郎「………マジですか」 巴「…まだ認められませんか?」 京太郎「いや、認めますけど…認めますけど…でも…」 京太郎「(…やべぇ。ショックがでかすぎる)」 京太郎「(まさか…こんなところにまで影響が出てるなんて)」 京太郎「(これ…もう誤魔化せるレベルじゃねぇぞ)」 京太郎「(完全に世界そのものが作り変えられてるじゃないか…)」フラァ 巴「あ…っ」ガシ 巴「だ、大丈夫ですか?」 京太郎「…大丈夫です。ちょっと立ちくらみがしただけですから」 巴「でも…顔色、さっきより悪いですよ」 巴「…そんなにショックだったんですか?」 京太郎「まぁ…その、はい…」シュン 巴「え、えっと、誰にでも間違いはありますよ」 巴「それに…その…私のところにも、ちょっと…いや、かなり天然入っている人がいて」 巴「その人ももしかしたら同じ間違いをするかなって…」 京太郎「(て、天然扱いされてる…!?)」 京太郎「(…まぁ、当然ッチャ当然だよな)」 京太郎「(この人達は前の世界なんてまったく知らないんだし…)」 京太郎「(以前の常識に囚われてる俺が不思議ちゃんとしか思えないんだろう)」 巴「と、ともかく、元気を出してください」 巴「世の中、一回の間違いで全部が台無しになったりしませんから!」 京太郎「(……台無しになったんだよな)」 京太郎「(俺が…あの石版にあんな事書いてしまった所為で)」 京太郎「(面白半分でやった行為が…ここまで影響を与えてしまっている)」 京太郎「(…全部、俺の所為だ)」 京太郎「(だから…俺が何とかしなきゃいけない)」 京太郎「(俺が…世界を元に戻さなきゃ…)」グッ 京太郎「…ありがとうございます」 巴「も、もう大丈夫なんですか?」 巴「立ちくらみがした時はムリしないほうが良いですよ」 巴「何かしらの初期症状である可能性もありますし…」 京太郎「いいえ。大丈夫です」 京太郎「それより…俺はちょっとやる事が出来たので…」 京太郎「失礼させていただきます」ダッ 巴「あ…っ」 京太郎「ふぅ…ふぅ…」 京太郎「(…やっぱ学校からずっと家まで走って帰ってくるのは辛いな…)」 京太郎「(でも、俺は一刻もはやく皆を元に戻さなきゃいけないんだ)」 京太郎「(ソレしか責任を取る方法がない以上…多少、辛いからってヘタレちゃいられない…!)」 京太郎「(息を整えてる暇なんかないんだから…とっとと家の鍵開けて…)」ガチャ 雅枝「あ、京太郎、おかえり」 京太郎「…………え?」 京太郎「(な、なんで雅枝さんが俺の家に!?)」 京太郎「(しかも、スーツ姿の上にピンクのエプロンまで着て…)」 京太郎「(元々、黒スーツで大人の色気がムンムンになってる雅枝さんが…)」 京太郎「(エプロンを着こむ事によって人妻オーラを強くしてる…!)」 京太郎「(な、なんだ、この破壊力は…!)」 京太郎「(こんなの二次元でさえ滅多に見れるもんじゃないぞ…)」ゴクッ 雅枝「もぉ…あんまりジロジロ見られると恥ずかしいわぁ」 雅枝「一応、まだスタイルは崩れてへんつもりやけど…どーぅ?」チラッ 京太郎「雅枝さんは何時でもお美しいです」キリリ 雅枝「~っ♪」キュゥン 雅枝「あ、あはは…まったく…京太郎君はほんとに世辞が上手いなぁ」 京太郎「いや、世辞じゃないですって」 京太郎「雅枝さん、俺が会った時から全然、変わりませんし」 京太郎「俺にとっては何時でも憧れのお姉さんですよ!」 雅枝「…あこがれのお姉さん…ねぇ」 京太郎「あ、嫌でした?」 雅枝「んーん…嫌って言うか…」 雅枝「美しいとまで言われて…それ止まりなんはちょっとなぁって」チラッ 京太郎「え?」 雅枝「…言っとくけど、女にとって美しいは特別な事ばなんやで?」 雅枝「そんなん軽々しく言われて…あこがれのお姉さんはちょっと失礼やと思わへん?」 京太郎「じゃ、じゃあ、えっと…」 雅枝「……」ジィィ 京太郎「…………お母さん、娘さん達をボクに下さい!」キリリ 雅枝「んー、両方とも引き受けてくれるんやったらええよーって言ってあげたいんやけどねぇ」 雅枝「…私が望んでたのとちょっと違うからげーんてん」ニコ 京太郎「えー…じゃあ、何が正解だったんですか?」 雅枝「私と結婚してください…やったら満点やったね」クス 京太郎「い、いや、流石にそれは…」 雅枝「…アカンの?」ジ 京太郎「う」 雅枝「…やっぱちょっと古すぎるん?」 雅枝「私じゃ…もう高校生には相手されへんかなぁ…?」 京太郎「そ、そんな事ないっす!」 京太郎「雅枝さんは今でも現役バリバリっすよ!」 雅枝「ふふ…♪」 雅枝「…そう?まだまだイける?」 京太郎「全然、余裕でイけますって!」 京太郎「つーか、今がもう絶頂期って言うか!」 京太郎「色気ムンムンでヤバイっす!」 雅枝「京太郎君も興奮する?」 京太郎「ま、まぁ…その…そういう事も無きにしもあらずと言うか…」メソラシ 雅枝「……ヘタレ?」クス 京太郎「し、仕方ないじゃないですか」 京太郎「幾ら俺でもそれはハードル高いですって」 雅枝「ふふ…まぁ、それは分かっとるけどね」 雅枝「女としてはやっぱりストレートに言われてみたいなんや」 雅枝「男とは違って、女はやっぱり色々と鈍いもんやからねぇ」 雅枝「…まぁ、そういうヘタレなところもあの人っぽくてええけどね?」ポソ 京太郎「え?」 雅枝「んーん。何でもないっ」 雅枝「あ、それより…京太郎君、先に手ぇ洗っておいで」 雅枝「もう夕飯前やし、小腹空いとるやろ?」 雅枝「お菓子作っておいたから夕飯前にちょっと摘も?」 京太郎「マジっすか、やった!」 京太郎「雅枝さんのお菓子、マジ上手いから大好きっす!」 雅枝「ふふ。もう…そんなにはしゃいじゃって」 雅枝「京太郎君は『昔』っから変わっとらんなぁ」 京太郎「いや、これでも一応、背は伸びましたし…大人にはなりましたよ!」 雅枝「まーまだ結婚出来る年齢やないし、社会的にはまだまだ子どもやけどね」クス 京太郎「うぐ」 雅枝「ま、一年後をお楽しみにーって事やね」 雅枝「私も色々と今の間に準備しとくし」 京太郎「一年後…?」 雅枝「ほら、京太郎君、結婚出来る年になるやろ?」 京太郎「…え?男は18からなんじゃ…」 雅枝「18は女の子の方やで?」 京太郎「…あ、そ、そうですね」 京太郎「い、いやぁ…すっかり逆で覚えてましたよ」 雅枝「んふ。京太郎君はうっかりさんなんやから」 雅枝「ホント、私がついとらんとダメやね」 京太郎「あ、あはは…以後気をつけます」 京太郎「(…やっべ。石版の事、すっかり忘れてた)」 京太郎「(つーか、まさか家に雅枝さんがいるなんて欠片も思ってなかったし)」 京太郎「(そっちに意識が引っ張られてた訳なんだけど…)」 京太郎「と、ともかく、手を洗ってきますね!」 雅枝「はーい。しっかり洗わへんとあかんよ」 雅枝「ちゃんと後でチェックするからね」 京太郎「わ、分かってますって」 京太郎「(…とりあえず落ち着こう)」 京太郎「(えーっと…えーっと…まず俺がするべき事は…)」 京太郎「(石版をどうにかして元の世界に戻す事)」 京太郎「(…でも、それは雅枝さんがいるところじゃダメだ)」 京太郎「(別に雅枝さんの事を疑ってる訳じゃないけれど…)」 京太郎「(あの石版の事を知られたら…どうなるか分からないんだから)」 京太郎「(だから、とりあえず今は雅枝さんの方に集中して…)」 京太郎「(彼女が帰ってから石版の方に取り掛かろう)」 京太郎「ただいまー」 雅枝「おかえりー」 雅枝「ご飯にする?お風呂にする?」 雅枝「それとも…」チラッ 京太郎「お菓子でお願いします」 雅枝「はーい。それじゃ、先に京太郎君の手をチェックせえへんかったらあかんね」 京太郎「子どもじゃないんですからちゃんと綺麗にしてますって」ハイ 雅枝「んー…」ジィィィィ 雅枝「…………」パクッ 京太郎「ひあっ」ビクッ 雅枝「ん~♪」チュルチュル 京太郎「ふ…おぉぉ…っ」ブル 雅枝「…………ん。ちゃんと京太郎君の味やね?」 雅枝「おっけー。お菓子食べてえーよ」 京太郎「………いやいやいやいや」 雅枝「ん?」 京太郎「…いや、その、俺の指をいきなりしゃぶったのはともかくですね」 京太郎「俺の味って何なんですか?」 雅枝「んー…おいしくて幸せな味?」 京太郎「…美味しいんですか」 雅枝「ん。とっても」ニコ 京太郎「(…美味しいのかー)」 京太郎「(正直、さっきハンドソープで洗ったばっかりだからハンドソープの匂いくらいしかしないと思うんだけどな)」 京太郎「(…………まぁ、雅枝さんがそう言うのであれば、そうだと納得しておこう)」 京太郎「(下手に突っ込んだら藪蛇どころじゃ済まなさそうだし)」 京太郎「じゃ、じゃあ、俺はお菓子貰いますね」 雅枝「あ、ちょっと待って」 雅枝「こっちも一段落したから一緒に食べよ」 京太郎「あぁ、それじゃ俺、お茶とか準備します」 雅枝「ん。お願いね」 雅枝「…にしても」 京太郎「はい?」 雅枝「…こうやって一緒に準備しとると『昔』の事を思い出すわ」クス 京太郎「(…昔…か)」 京太郎「(それは多分、俺の事じゃないんだろうな)」 京太郎「(雅枝さんの目は今、すごく遠いところに向けられているんだから)」 京太郎「(多分、雅枝さんは旦那さんがいた頃を思い出しているんだろう)」 京太郎「(俺が生まれた年に癌になって死んだらしいから…)」 京太郎「(俺はその人の人となりをよく知らないけれども…)」 京太郎「(でも、雅枝さんは大恋愛の末にその人と結婚して…)」 京太郎「(そして未だに強く想っている事くらい知っているんだ)」 京太郎「(こんなに綺麗で魅力的な雅枝さんが未だに再婚する気配がないのも…)」 京太郎「(未だに死んだ旦那さんの事を愛しているからなんだろうな)」 雅枝「…はい。コレでオッケーっと」 京太郎「うっす。有り難く頂きます」 雅枝「ん。味わって食べてな」ニコ 京太郎「そりゃ雅枝さんのお菓子なんて味わって食べるしかないじゃないですか」モグモグ 京太郎「ってうめえええっ」 京太郎「やっぱ雅枝さんのケーキは最高っすよ」モグモグ 雅枝「ふふ。そう言ってくれると嬉しいわぁ」 雅枝「あ、でも、急いで食べ過ぎて口の端にシロップついとるよ」 京太郎「あ、マジですか」スッ 雅枝「あ、待って。私が取ってあげる」スッ 京太郎「あぁ、ありがとうございます」 雅枝「ん。どういたしまして」ペロ 京太郎「(…おうふ)」 京太郎「(…俺の口についてたシロップを雅枝さんが自分の指から舐めとって…)」 京太郎「(こ、これ、所謂、間接キスって奴なんじゃ…?)」 京太郎「(い、いや、深く考えるのはやめよう)」 京太郎「(今はそれよりも…)」 京太郎「そ、それで、雅枝さんはどうしてここに?」 雅枝「あれ?まだ言っとらへんかったっけ?」 京太郎「はい」 雅枝「そっか。ごめんね」 雅枝「本来ならば一番に言うはずやったんやけど…久しぶりに京太郎君と会えて嬉しくって」ニコ 京太郎「俺も同じ気持ちでしたから大丈夫ですよ」 雅枝「…そうなん?」 京太郎「え、えぇ」 雅枝「私に会えて嬉しかった?」ジィ 京太郎「勿論ですよ」 雅枝「…そっか。そっかー」ニコー 雅枝「ふふー…んふふふふふー♪」デレェ 雅枝「って、嬉しがっとる場合やないね」 雅枝「私がここにおる理由やけど…まぁ、端的に言えば監督役ってところかな」 京太郎「監督役?」 雅枝「そ」 雅枝「京太郎君のお父さん達がまた当分、この国に帰ってこられへんみたいやし」 雅枝「その間、京太郎君が清く正しく美しく生活出来るか心配やって」 京太郎「いや、別に親父達が長期で家を開けるのは今回が初めてじゃないんですが…」 雅枝「でも、去年と違って、高校生になったやん?」 雅枝「それに色々と女の子の知り合いも増えたみたいやし…」 京太郎「あー…まぁ、それは…」 雅枝「ま、だから、ご両親も色々と心配なんやって」 雅枝「だから、インハイで私が東京におる間は目を光らせておいてくれへんかって」 雅枝「そう言われた訳なんや」 雅枝「ま、これでも私は教員免許もっとる現役教師やしね」 雅枝「ご両親としても私に任せておいたら安心やってそう思ったんやろう」 京太郎「なるほど…」 京太郎「すみません、なんだかご迷惑をお掛けしたみたいで」 雅枝「んーん。気にせんでええよ」 雅枝「私としてもご両親のお話は渡りに船みたいなもんやったしね」 京太郎「え?」 雅枝「幾らうちんところが名門や言うても、最近は不景気でなぁ」 雅枝「合宿費用なんかも出し渋られるようになったんや」 雅枝「でも、折角のインハイで、下手なところに泊まらせて疲労を貯めるのも可哀想やし…」 雅枝「やっぱ出来るだけええホテルで過ごさせてやりたいやん?」 京太郎「まぁ…そうですね」 雅枝「と言う訳で、これから数週間、お世話になりまーす」ニコ 京太郎「…え?」 雅枝「いやぁ…出来るだけええホテルとろうと思ったらな」 雅枝「丁度、遠征費がぶっ飛んでもうて私が泊まる分がなくなってやね」 雅枝「だから、監督役として須賀くんところでお泊りさせて貰おうかなーって」 京太郎「えぇぇぇぇぇえぇ…」 雅枝「あ、安心してええよ」 雅枝「うちんとこの子が泊まっとるのはこのすぐ近くのホテルやさかい」 雅枝「こっちで寝泊まりしても、ちゃんと監督としての仕事は出来るからね」 京太郎「い、いや、そういう問題じゃないでしょう」 京太郎「つ、つーか…それ良いんですか?」 京太郎「色々と問題になったりしないんですか!?」 雅枝「大丈夫やって、これでも私は教師やから」 雅枝「生徒を襲ったりせえへんよ」 京太郎「…いや、俺の方が襲っちゃいそうなんですが」 雅枝「え?」 京太郎「い、いや、その…」カァァ 雅枝「……襲ってくれんの?」 京太郎「い、いえ…あの…い、今のは言葉の綾というか…」 雅枝「……ふーん?」ジィィ 京太郎「あ…ぅ…そ、その…」 京太郎「ま、雅枝さん、今日の晩ごはんは何ですか?」 雅枝「とりあえずオーソドックスにカレーのつもりやけど」 京太郎「そ、そうですか!カレー超楽しみっす!」 雅枝「うん。私も京太郎君に襲われるの超楽しみやわ」ニコ 京太郎「…すみません、勘弁してください」マッカ 雅枝「ふふ。やーよ」 雅枝「当分はこのネタでいじり倒したるからね♪」 京太郎「うぅぅぅ…っ」プシュゥ 雅枝「…まぁ、本気で嫌やって言うんやったら…」 雅枝「私も考えがあるけどね」クス 京太郎「か、考えって…」 雅枝「…京太郎君、一緒にお風呂入ろ?」 京太郎「は、はい!?」 雅枝「えーやんか」 雅枝「絹と良くドロンコになって帰って来た君をお風呂に入れたげたやろ?」 京太郎「その時とはもう年齢も何もかも違うんですけど!?」 雅枝「大丈夫大丈夫」 雅枝「昔っから私の気持ちは変わっとらんし」 京太郎「何も大丈夫感がないんですが!!」 雅枝「…じゃあ、一生、私の玩具になる?」 京太郎「…そっちの方がまだマシっす」 雅枝「残念やわぁー…?」クスクス 京太郎「(…アレから結局、石版に関してはほとんど何も手をつける事が出来なかった)」 京太郎「(雅枝さんってば、ずっと俺に付きっきりでまったく放してくれなかったしな)」 京太郎「(流石にトイレの中は入ってこなかったけど…)」 京太郎「(でも、風呂の中まで入ってこようとしていたくらいだし)」 京太郎「(何とか断ったけど…でも、危なかった…)」 京太郎「(雅枝さんにとっては俺はまだ子どもなのかもしれないけれど…)」 京太郎「(でも、俺は昨日も言った通り、もう大人で…)」 京太郎「(ハッキリと言えば勃起だって出来る年頃なんだから)」 京太郎「(雅枝さんほど魅力的な人と一緒に風呂なんて我慢出来るはずがない)」 京太郎「(絶対に勃起するし、その身体だってガン見するわ)」 京太郎「(どれだけ失礼だって分かっててもスケベ顔しちゃうっての)」 京太郎「(…まぁ、正直、惜しかった気持ちはあるけどさ、うん)」 京太郎「(…仕方ないじゃん、俺だって男なんだし)」 京太郎「(女の人の裸とか興味あって当然だ)」 京太郎「(ましてやそれが二十代にしか見えない若々しい美人さんなら尚更)」 京太郎「(…しかし、これがインハイ終わるまでの数週間続くのかぁ…)」 京太郎「(…俺、我慢出来るかな)」 京太郎「(正直、役得だとは思うんだけど…ソレ以上に刺激が強い)」 京太郎「(雅枝さん、どうしてかすっげぇ俺に対してスキンシップしてくるし…)」 京太郎「(昔っから知ってるから、自分の子みたいに思ってるんだろうけれども)」 京太郎「(年頃の男にはそれはキツイです、雅枝さん)」 京太郎「(ただでさえ、興奮しやすい年頃なのに、そんなにベタベタされたら…)」 京太郎「(血迷わないように堪えるのに必死になってしまう)」 京太郎「(…多分、これ毎日、自家発電して発散しないと耐えられないだろうなぁ)」 京太郎「(実際、昨日の夜だって、石版ほっといて部屋に戻ってオナニーしてた訳だし…)」 京太郎「(…ある意味、充実したオナニーライフが約束されてはいるんだけれども)」 京太郎「(ただ、相手が友達のお母さん…しかも、未だ旦那さんの事を強く思ってる雅枝さんとなれば)」 京太郎「(背徳感と申し訳無さがヤバイ)」 京太郎「(オナニーした後、軽く鬱になったくらいだし…)」 京太郎「(…ホント、これ俺耐えられるのかなぁ……)」 京太郎「(ま、それはさておき)」 京太郎「じゃ、そろそろ行って来ます」 雅枝「えー…もう…?」 京太郎「いやぁ…俺ももうちょっと雅枝さんと一緒にいたいんですけど」 京太郎「でも、そろそろ出ないと時間に間に合わないですし」 京太郎「…って言うか、雅枝さんの方は良いんですか?」 雅枝「私んとこは昨日、東京についたばっかりやから今日は休みやで」 雅枝「あんまり今詰めても本番で実力が発揮出来ひんだけやしな」 雅枝「部員の子らも今日は羽伸ばして遊んどるはずや」 京太郎「あぁ、なるほど」 雅枝「…ま、そうじゃなくてもギリギリまで京太郎君とおるつもりやけどね」 京太郎「それで焦って事故にあったりしないでくださいよ」 雅枝「心配してくれとるん?」 京太郎「当然じゃないですか」 雅枝「そっかぁ♪」デレー 京太郎「よいしょっと」コツンコツン 京太郎「(さて、靴もこうして履けた訳だし)」 京太郎「それじゃ、改めて行って来ます」ガチャ 雅枝「あ、京太郎君、ちょっと待って」トテトテ 京太郎「え?」 雅枝「…ちゅ?」 京太郎「…はぇ?」 雅枝「ふふ。行って来ますのチューや♪」 雅枝「今日も1日、頑張ってな」 京太郎「あ…ぅ…」カァァ 京太郎「い、行って来まぁす!」ダッ 雅枝「行ってらっしゃぁい♪」フリフリ 京太郎「(アイエエ!?ナンデ、ナンデ、行って来ますのチュー!?)」 京太郎「(いや、その、チューと言っても、頬にされただけなんだけどさ!!)」 京太郎「(だけなんだけど…その唇に感触が!!)」 京太郎「(雅枝さんのツヤツヤでプルプルの唇が俺の頬にいいいい!!)」 京太郎「(うぉおおお!うぉおお!うおおおおおおおお!!)」 ネリー「……お兄ちゃん?」 京太郎「ハッ」 京太郎「(って、おおおおおお落ち着け、京太郎)」 京太郎「(確かにさっきの出来事は色々と刺激が強かった)」 京太郎「(正直、走って色々と衝動を発散しなきゃ血迷いそうだったくらいだ)」 京太郎「(だが、それをネリーに勘付かれる訳にはいかない…!)」 京太郎「(どうしてかは知らないが…ネリーは俺の事を好いてくれているんだから)」 京太郎「(ここは何事もなかったかのように偶然出会ったネリーと…)」 京太郎「(いや、多分、俺と一緒に部活に行く為に待っててくれたであろうネリーと話さなければ…!)」 京太郎「や、やぁ、ネリー」 京太郎「今日もいい朝だな!」キラキラ ネリー「…………『京太郎』は随分とご機嫌だね」 京太郎「…え?」 京太郎「(…京太郎?)」 京太郎「(昨日は俺の事、ずっとお兄ちゃんってそう呼んでたはずなのに…)」 京太郎「(も、もしかして正気に戻ったのか…!?)」 京太郎「(自力で狂気から脱出を!?)」 ネリー「何か朝から良い事でもあった?」ジトー 京太郎「ぅ…」 京太郎「(…だけど、その分、すっげぇ不機嫌なんですが)」 京太郎「(なんか今にもハイライトさんがバイバイしそうな目でこっちを見上げてる)」 京太郎「(こ、これってもしかして…バレてる?)」 京太郎「(雅枝さんに行ってらっしゃいのチューされたのバレちゃってるのか…!?)」 京太郎「(い、いや、そんな事はないはずだ)」 京太郎「(ネリーが待っていたのは、昨日、俺と遭遇したのとほぼおなじ場所)」 京太郎「(俺の家からはそれなりに遠く出かけにされたチューに気づくはずがない)」 京太郎「(つまり…これはカマかけだ)」 京太郎「(すっとぼければ回避出来る…!)」 京太郎「その、今日は朝からいい夢を見てさ」 京太郎「調子も良いし、とってもさわやかな気分なんだよ」 ネリー「…………ふーん」 京太郎「…………」ダラダラ ネリー「…ね、それってさ」 ネリー「…その可愛い頬にキスされた夢?」 京太郎「…えっ!?」ビックリ ネリー「ふーん…やっぱりそうなんだ」 京太郎「あ、い、いや、違うぞ」 京太郎「年上未亡人に行って来ますのチューを頬にされる夢なんて見るはずないじゃないか」ハハハ ネリー「…へー。相手は年上なんだ」 ネリー「しかも、未亡人…そんな女が…お兄ちゃんにまとわり付いてるんだね」ゴゴゴ 京太郎「(あ、ダメだ、これ完全に墓穴掘ってる…!?)」 京太郎「(い、いや、 まだだ)」 京太郎「(ある程度、気づいていても…確信までは行っていないはず…!)」 京太郎「(少なくとも、証拠はないんだから、適当にごまかす事はまだワンチャン…!)」 京太郎「だ、だから、それは夢だって」 京太郎「何もネリーがそこまで不機嫌になるような事は…」 ネリー「…口紅」 京太郎「え?」 ネリー「頬についてるよ」 京太郎「…あ゛っ」 京太郎「(しまったああああああ!)」 京太郎「(そうだよ…雅枝さん朝から化粧してたじゃん!)」 京太郎「(口紅だって塗ってたじゃん!)」 京太郎「(それでキスされたら…そりゃ口紅だって残るわな!)」 京太郎「(バッチリ証拠掴まれてるんじゃないか、チクショウがあああ!)」 ネリー「…………何かまだ言い訳がある?」 ネリー「あるなら、その全部、論破してってあげるけど」 京太郎「じ、実は…お、俺は女装趣味の変態で…」 ネリー「それでどうやって自分の頬にキスマークつけるの?」 京太郎「うぐ」 ネリー「…………そんな支離滅裂な言い訳まで口にするなんて」 ネリー「…お兄ちゃんはそんなにその未亡人の事が好きなの?」 京太郎「い、いや、それは…」 ネリー「…お兄ちゃんは分かってないよ」 ネリー「年上って事は、つまりそれだけ劣化が早いって事なんだからね」 ネリー「お兄ちゃんよりも先に年老いて見難くなっていく女の事を一生面倒見なきゃいけないんだよ?」 ネリー「しかも、未亡人って事は一度、貞操を他の男に売り渡してるって事じゃない」 ネリー「そんな女と一生、一緒にいるなんて耐えられないでしょ」 ネリー「何時か絶対に嫌になっちゃう時が来る」 ネリー「それよりもさ」 ネリー「それよりも年下で子どもっぽい子の方がずっとずっと良いと思うな」 ネリー「年下だからお兄ちゃんよりも老けるのはおそいし」 ネリー「スタイルだって中々、崩れないよ」 ネリー「それに何より、お兄ちゃんに一途で…」 ネリー「その心も身体もお兄ちゃんだけ想っていて…」 ネリー「一生、面倒を見てあげる…そんな覚悟を決めてる女の子が」 ネリー「お兄ちゃんには一番だって思うな」ジィィ 京太郎「い、いや、そういうんじゃないって」 ネリー「…ホント?」 京太郎「ほんとほんと」 京太郎「と言うか、その人、友達のお母さんだから」 京太郎「どう転んでもネリーが心配してるような事にはならないって」 ネリー「…………でも、本当に心配要らない人が行ってらっしゃいのチューするなんて思えない」 京太郎「そ、そういうスキンシップが気軽な人なんだよ」 京太郎「昔っから面倒見てて貰ってたからお互い気心も知れてるし」 京太郎「自分の子どもくらいにしか思われてないよ」 ネリー「…………」 京太郎「(…ダメだ)」 京太郎「(これまったく信じてくれてないや)」 京太郎「(多分、このまま話してても泥沼なだけ)」 京太郎「(下手すれば…ネリーの逆鱗に触れて、直接行動に訴えさせるかもしれない)」 京太郎「(それを防ぐ為にも、ここは…)」 京太郎「そ、それよりもさ」 京太郎「このまま口紅つけて学校行くと大変な事になりそうだし…」 京太郎「ネリーが綺麗にしてくれないか?」 ネリー「え?」 京太郎「確か口紅落とすのにクレンジングオイルとか必要なんだろ?」 京太郎「俺、そういうの持ってないけど、ネリーなら持ってるんじゃないか?」 ネリー「…まぁ、それくらいは女の子の嗜みとして持ってるけど」 京太郎「じゃあ、頼む」 京太郎「俺じゃちょっと場所も分からないし」 京太郎「落とし方もさっぱりだからさ」 ネリー「……うん。分かった」 ネリー「それじゃ、そこのベンチに座ってくれる?」 ネリー「立ったままだとちょっと大変だから」 京太郎「了解」ストン ネリー「ちょっとまってね」ゴソゴソ ネリー「……うん。あった」 ネリー「じゃあ、行くよ」 京太郎「や、優しくしてね…?」 ネリー「お兄ちゃんに酷い事なんてしないもん」トントン ヌリヌリ 京太郎「どうだ?」 ネリー「…うん。ちゃんと取れてきてるよ」 ネリー「あんまりキツくキスされてた訳じゃないんだ…」 京太郎「だから、お遊びだって言ってるじゃないか」 ネリー「…普通、こんなのお遊びじゃしないよ」 ネリー「もし、本当に遊びだったら神経を疑う」 ネリー「…お兄ちゃんは私のなのに」 ネリー「私の大事なお兄ちゃんに…こんなもの残して…」ゴシゴシ 京太郎「ちょ、ね、ネリー、痛いって…」 ネリー「…あ、ごめん」ハッ ネリー「…とりあえず汚れちゃったからもう一個別のコットンで綺麗にするね」 京太郎「お、おう」 ネリー「……」ゴシゴシ ヌリヌリ 京太郎「終わったか?」 ネリー「…まだダメ」 ネリー「まだまだ…汚いままだから」 ネリー「もっともっと綺麗にしなきゃ…」 ネリー「その女の痕跡なんて欠片も残らないくらいに…」 ネリー「綺麗にしなきゃ…ダメなんだよ」ゴシゴシ 京太郎「そ、そうか…」 京太郎「(…うん。とりあえずだ)」 京太郎「(明らかにもう堕ちてるだろうとは思うんだけど)」 京太郎「(でも、ここで抵抗したら、間違いなくさっきの話題に火がついちゃうだろうし…)」 京太郎「(おとなしくされるがままになっておこう)」 ネリー「…よし。もうそろそろ大丈夫だと思う」 京太郎「そ、そっか。良かった…」 京太郎「(結局、アレから十回は拭かれたからな)」 京太郎「(正直、拭かれすぎてその部分だけ違和感がハンパない)」 京太郎「(そこだけやけに敏感なような…カピカピしてるような微妙な感じだ)」 京太郎「(でも、まぁ、ネリーはネリーで俺の事を思って綺麗にしてくれてた訳だし)」 京太郎「(とりあえずお礼を言わないと…)」 京太郎「あぁ、それとありが…」 ネリー「…ちゅ?」 京太郎「…え?」 ネリー「ふふ。最後の消毒…だよ♪」 ネリー「これでお兄ちゃんは何時も通り綺麗なお兄ちゃんに戻ったから…」 ネリー「安心…してね」ニッコリ 京太郎「お、おう…」 京太郎「(…それでネリーが唇つけてたらまた元通りなんじゃないかと思うけれど)」 京太郎「(でも、ネリーは今時めずらしいくらい化粧ッ気の少ない奴で)」 京太郎「(唇にもクリーム程度しか塗ってないんだ)」 京太郎「(雅枝さんと同じところにキスされても、跡が残ったりはしないだろう)」 京太郎「と、とりあえずありがとうな」 ネリー「ううん。気にしないで」 ネリー「それより…またこんな事があったら、すぐ私に言ってね」 ネリー「何時でも何処でも…お兄ちゃんの事消毒してあげるから」 京太郎「だ、大丈夫だって」 京太郎「こんなの早々ないはずだしさ」 ネリー「じゃあ、約束出来る?」 京太郎「あぁ。約束するよ」 ネリー「…………うん、じゃあ、許してあげる」ニコ 京太郎「(…それでネリーが唇つけてたらまた元通りなんじゃないかと思うけれど)」 京太郎「(でも、ネリーは今時めずらしいくらい化粧ッ気の少ない奴で)」 京太郎「(唇にもクリーム程度しか塗ってないんだ)」 京太郎「(雅枝さんと同じところにキスされても、跡が残ったりはしないだろう)」 京太郎「と、とりあえずありがとうな」 ネリー「ううん。気にしないで」 ネリー「それより…またこんな事があったら、すぐ私に言ってね」 ネリー「何時でも何処でも…お兄ちゃんの事消毒してあげるから」 京太郎「だ、大丈夫だって」 京太郎「こんなの早々ないはずだしさ」 ネリー「じゃあ、約束出来る?」 ネリー「また誰かに変な事されたらすぐに私に言うって」 京太郎「あぁ。約束するよ」 ネリー「…………うん、じゃあ、許してあげる」ニコ ネリー「(…………本当はその女の事を聞き出したいけど)」 ネリー「(でも、お兄ちゃんはその人の事が大分、大事みたいだから)」 ネリー「(きっと私が聞き出そうとしても教えてはくれないと思う)」 ネリー「(ただ、それならそれで調べる方法は幾らでもあるし)」 ネリー「(今は深く突っ込むのは許してあげよう)」 ネリー「(……でも、これは今だけだよ)」 ネリー「(また次に同じ事があったら、私ももう許してあげる事なんて出来ないし…)」 ネリー「(その上、もし…お兄ちゃんが約束を破ったりしたら…)」 ネリー「(…………私、絶対に我慢なんて出来ない)」 ネリー「(ううん、するつもりなんてまったくないから)」 ネリー「(例え、何をしてでも…お兄ちゃんの事を捕まえて見せる…)」 ネリー「(そんな覚悟はもう決まってるから…)」 ネリー「…それじゃ行こっか、お兄ちゃん」ニコ 京太郎「そうだな」
https://w.atwiki.jp/toarukyoutarou/pages/97.html
436 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 00 36 01.57 ID vNNpyWw8o 【放課後】 京太郎「あの後先生は保健室に運ばれていったみたいだ」 京太郎「まだ疲れが残ってたんだろうな……」 京太郎「さて 441するか」 1.麻雀部に行く 2.部活に入る(部活に入ると対応したキャラと過ごせます。また日常パラメータのどれかが確定で上がります) 3.遊びに行く 4.誰かと一緒に帰る(現在誘えるのは宮永咲、原村和、片岡優希、南浦数絵、東横桃子、加治木ゆみ、佐々野いちご、蒲原智美、天江衣、荒川憩、対木もこ) ※ 誘う場合は名前も併記(複数可能) 5.雀帝学園に行く 6.その他(内容併記) 445 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 00 41 05.34 ID vNNpyWw8o 麻雀部に行く 京太郎「今日も麻雀部に行くか」 京太郎「こんにちはー」 智美「お、須賀君。今日も来たのかー」 智美「2週間来なかったからって急に真面目に部活しなくても良いんだぞー」ワハハ 京太郎「いやまぁ一応部員ですから」 智美「まぁやらないよりはやる方が良いだろうけどなー」 智美「それでどうするんだ?今日は」 京太郎「そうですね今日は 450で」 1.普通に麻雀を打つ(相手は選択可能。打った相手の好感度上昇小) 2.ランキング戦に挑戦する(現在:100位) 452 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 00 48 31.56 ID vNNpyWw8o ランキング戦に挑戦する 京太郎「今日もランキング戦に挑戦します」 智美「分かったぞー」 智美「えーっと須賀君は現在ランキング100位だな」 智美「100位は降格が無いので90位までの相手と戦ってもらうぞー」 智美「昇格は全員倒した場合のみなので気をつけるんだぞ」 智美「それじゃあ頑張れよー」ワハハ 453 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 00 53 50.96 ID vNNpyWw8o 【対局】 京太郎「うっし、昨日も勝ったし今日も勝つぞ!」 京太郎の使う判定を決めて下さい【デジタル】なら和了時最低値30 【オカルト】なら+10になります 京太郎の安価で決まります コンマの高い順に東南西北(京太郎以外はコンマ反転) 京太郎 ↓+2 生徒(97位) ↓+3 生徒(93位) ↓+4 生徒(90位) ↓+5 ステータス 京太郎 【基礎雀力】LV4 【デジタル】LV3 【オカルト】LV2 生徒(97位) 【基礎雀力】LV1 【オカルト】LV1 生徒(93位) 【基礎雀力】LV2 【デジタル】LV1 生徒(90位) 【基礎雀力】LV1 【オカルト】LV2 460 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 00 58 52.61 ID vNNpyWw8o 京太郎「俺からか……連荘して一気に決めたいところだけど」 東:京太郎 25000 西:生徒(90位) 25000 南:生徒(97位) 25000 北:生徒(93位) 25000 【東一局0本場】 聴牌判定(京太郎以外はコンマ反転) 京太郎 ↓+2 40以上 生徒(97位) ↓+3 55以上 生徒(93位) ↓+4 50以上 生徒(90位) ↓+5 55以上 467 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 02 20.63 ID vNNpyWw8o 京太郎「よし。流れは来てる気がするぞ……」 和了判定(京太郎以外コンマ反転) 京太郎 ↓+2 最低値30 コンマ00時スキル【ザ・ゼロ】発動 生徒(97位) ↓+3 +5 ※ノーテン 生徒(93位) ↓+4 最低値10 ※ノーテン 生徒(90位) ↓+5 +10 ※ノーテン 474 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 06 25.72 ID vNNpyWw8o 京太郎 → 生徒(93位) 親ロン 親パターン(コンマ1桁) ↓+1 点数 ↓+2 477 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 09 57.61 ID vNNpyWw8o 京太郎「それロンな。1500」 生徒(93位)「はい」 京太郎(ちょっと低かったけど連荘だ。次も狙うぞ) 東:京太郎 26500(+1500) 西:生徒(90位) 25000 南:生徒(97位) 25000 北:生徒(93位) 23500(-1500) 【東一局1本場】 聴牌判定(京太郎以外はコンマ反転) 京太郎 ↓+2 40以上 生徒(97位) ↓+3 55以上 生徒(93位) ↓+4 50以上 生徒(90位) ↓+5 55以上 485 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 12 21.16 ID vNNpyWw8o 京太郎「牌は来てる。後が上がるだけ!」 和了判定(京太郎以外コンマ反転) 京太郎 ↓+2 最低値30 コンマ00時スキル【ザ・ゼロ】発動 生徒(97位) ↓+3 +5 生徒(93位) ↓+4 最低値10 生徒(90位) ↓+5 +10 ※ノーテン 491 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 15 31.60 ID vNNpyWw8o 生徒(93位) 子ツモ 子パターン(コンマ1桁) ↓+1 点数(コンマ反転) ↓+2 494 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 22 10.45 ID vNNpyWw8o 生徒(93位)「ツモ、6700です」 京太郎(連荘ならずか) 東:京太郎 23200(-1800) 西:生徒(90位) 23700(-1300) 南:生徒(97位) 23700(-1300) 北:生徒(93位) 30200(+5200) 【東一局1本場】 聴牌判定(京太郎以外はコンマ反転) 京太郎 ↓+2 40以上 生徒(97位) ↓+3 55以上 生徒(93位) ↓+4 50以上 生徒(90位) ↓+5 55以上 501 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 24 25.63 ID vNNpyWw8o 【東二局0本場】だしー 京太郎「とは言えまだまだ流れは失ってないか」 和了判定(京太郎以外コンマ反転) 京太郎 ↓+2 最低値30 コンマ00時スキル【ザ・ゼロ】発動 生徒(97位) ↓+3 +5 ※ノーテン 生徒(93位) ↓+4 最低値10 生徒(90位) ↓+5 +10 ※ノーテン 506 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 26 52.29 ID vNNpyWw8o 京太郎 子ツモ 子パターン(コンマ1桁) ↓+1 点数 ↓+2 509 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 29 44.05 ID vNNpyWw8o 京太郎「よし、ツモ。満貫だ」 東:京太郎 31200(+6200) 西:生徒(90位) 19700(-5300) 南:生徒(97位) 21700(-3300) 北:生徒(93位) 28200(+3200) 【東三局0本場】 聴牌判定(京太郎以外はコンマ反転) 京太郎 ↓+2 40以上 生徒(97位) ↓+3 55以上 生徒(93位) ↓+4 50以上 生徒(90位) ↓+5 55以上 516 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 32 15.55 ID vNNpyWw8o 京太郎「4連続で聴牌かぁ。ちょっと前なら考えられなかったけど」 和了判定(京太郎以外コンマ反転) 京太郎 ↓+2 最低値30 コンマ00時スキル【ザ・ゼロ】発動 生徒(97位) ↓+3 +5 ※ノーテン 生徒(93位) ↓+4 最低値10 ※ノーテン 生徒(90位) ↓+5 +10 ※ノーテン 521 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 34 32.59 ID vNNpyWw8o 京太郎 子ツモ 子パターン(コンマ1桁) ↓+1 点数 ↓+2 525 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 37 46.60 ID vNNpyWw8o 京太郎「きてるきてるぞ。ツモ6400だ」 東:京太郎 37600(+12600) 西:生徒(90位) 18100(-6900) 南:生徒(97位) 18500(-6500) 北:生徒(93位) 26600(+1600) 【東四局0本場】 聴牌判定(京太郎以外はコンマ反転) 京太郎 ↓+2 40以上 生徒(97位) ↓+3 55以上 生徒(93位) ↓+4 50以上 生徒(90位) ↓+5 55以上 531 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 41 51.28 ID vNNpyWw8o 京太郎「しかしここまで順調だと、逆に怖いと思うのは俺が真面目にやってこなかった証拠なんだろうか」 和了判定(京太郎以外コンマ反転) 京太郎 ↓+2 最低値30 コンマ00時スキル【ザ・ゼロ】発動 生徒(97位) ↓+3 +5 生徒(93位) ↓+4 最低値10 生徒(90位) ↓+5 +10 ※ノーテン 537 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 44 34.54 ID vNNpyWw8o 京太郎 子ツモ 子パターン(コンマ1桁) ↓+1 点数 ↓+2 541 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 48 16.40 ID vNNpyWw8o 京太郎「ツモ、うーん1400か」 東:京太郎 39000(+14000) 西:生徒(90位) 17700(-7300) 南:生徒(97位) 18100(-6900) 北:生徒(93位) 25900(+900) 【南一局0本場】 聴牌判定(京太郎以外はコンマ反転) 京太郎 ↓+2 40以上 生徒(97位) ↓+3 55以上 生徒(93位) ↓+4 50以上 生徒(90位) ↓+5 55以上 547 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 51 04.07 ID vNNpyWw8o 京太郎「また親だしここは連荘で突き放したいところだが」 和了判定(京太郎以外コンマ反転) 京太郎 ↓+2 最低値30 コンマ00時スキル【ザ・ゼロ】発動 生徒(97位) ↓+3 +5 ※ノーテン 生徒(93位) ↓+4 最低値10 ※ノーテン 生徒(90位) ↓+5 +10 ※ノーテン 553 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 54 14.38 ID vNNpyWw8o 京太郎 親ロン 親パターン(コンマ1桁) ↓+1 点数 ↓+2 559 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 01 57 58.17 ID vNNpyWw8o 京太郎 → 生徒(97位) 親ロン 京太郎「来たぜぬるりと。ロン、跳満だ」 生徒(97位)「え?嘘」 東:京太郎 57000(+32000) 西:生徒(90位) 17700(-7300) 南:生徒(97位) 100(-24900) 北:生徒(93位) 25900(+900) 【南一局1本場】 聴牌判定(京太郎以外はコンマ反転) 京太郎 ↓+2 40以上 生徒(97位) ↓+3 55以上 生徒(93位) ↓+4 50以上 生徒(90位) ↓+5 55以上 565 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 02 01 08.77 ID vNNpyWw8o 京太郎「さてこれで終わりにしたいところだが」 和了判定(京太郎以外コンマ反転) 京太郎 ↓+2 最低値30 コンマ00時スキル【ザ・ゼロ】発動 生徒(97位) ↓+3 +5 ※ノーテン 生徒(93位) ↓+4 最低値10 生徒(90位) ↓+5 +10 571 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 02 03 19.80 ID vNNpyWw8o 生徒(90位) 子ツモ 子パターン(コンマ1桁) ↓+1 点数(コンマ反転) ↓+2 575 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 02 10 20.62 ID vNNpyWw8o 生徒(90位)「ツモ……1400です」 京太郎「最後は和了できなかったけど、90位確定だぜ!」 東:京太郎 56400(+31400) 西:生徒(90位) 19100(-5900) 南:生徒(97位) -300(-25300) 北:生徒(93位) 25500(+500) 【対局終了】 一位:京太郎 56400 二位:生徒(93位) 25500 三位:生徒(90位) 19100 四位:生徒(97位) -300 591 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 21 48 09.10 ID vNNpyWw8o 【対局終了後】 智美「お、今日も勝ったみたいだなー」 京太郎「おかげさまで」 智美「これで90位だぞー」 智美「2週間来なかったのになかなかやるなー」 智美「それじゃあこれがご褒美だぞー」 京太郎「ありがとうございます」 【校内ランキングが90位になりました】 【ご褒美として恋愛成就のお守りを手に入れました】 593 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 21 56 34.93 ID vNNpyWw8o 【アパート】 京太郎「校内ランキング90位か」 京太郎「少しずつステップアップしてる気がするな」 京太郎「さて 598するか」 1.【ネットショッピング】 2.【ネット麻雀】 3.【メール】(送る相手も併記)※相手は宮永咲、南浦数絵、小走やえ、宮永照、佐々野いちご、天江衣、対木もこ、荒川憩、鷺森灼、石戸霞 4.【電話】(かける相手も併記)※相手は宮永咲、南浦数絵、小走やえ、宮永照、佐々野いちご、天江衣、対木もこ、荒川憩、鷺森灼、石戸霞 5.【バイト探し】再安価あり 6.はやりに電話する 7.寝る 602 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 22 03 56.32 ID vNNpyWw8o 4 小走やえ 京太郎「そうだな、今日は小走さんに電話してみようかな」 プルルルル…… やえ「小走ですが」 京太郎「小走さんですか?須賀です」 やえ「ああ須賀君か。今日は何の用かな?」 京太郎「ええっと…… 607」 1.小走さんの声が聞きたくなって 2.今度遊びに行こうかと思って 3.特に用は無いんですけど 4.その他(内容併記) 608 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 22 08 43.83 ID vNNpyWw8o 今度遊びに行こうかと思って 京太郎「今度遊びに行こうかと思って」 やえ「またそれか///」 京太郎「一回断れたくらいで引かないのが俺ですから」 京太郎「それでどうですか?」 やえ「え、えっとだな…… 611」 やえの承諾判定(コンマ逆転) 00~25 失敗 やっぱり、そう言うのはまだ早いと思うぞ/// 26~98 成功 か、構わないぞ。どんと来い ぞろ目44以外 成功判定+好感度+1 ぞろ目44 失敗判定+好感度-1 614 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 22 14 53.17 ID vNNpyWw8o 成功 か、構わないぞ。どんと来い やえ「しょ、しょうがないな。構わないぞ。どんと来い」 京太郎「本当ですか?どんと来いってのも変ですけど……」 やえ「それでいつにする?」 京太郎「そうですね…… 620で」 やえと遊ぶ時間 水 木 金 の 【放課後】 または 土曜日の【午後】【夕方】 日曜日の【午前】【午後】【夕方】 が選べます 623 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/09/24(月) 22 26 55.14 ID vNNpyWw8o 土曜日 【午後】 京太郎「それじゃあ土曜日の【午後】はどうです?」 やえ「ええと」パラパラ やえ「大丈夫だ。問題ない」 京太郎「ではそれで。学校終わったら迎えに行きますね」 やえ「え?」 京太郎「あれ?まずかったですか?」 やえ「あ、いやわざわざ迎えに来てくれるとは思わなかったから……」 京太郎「ああ、その事ですか」 京太郎「寮は一度行きましたし、そっちの方が小走さんも分かりやすくていいんじゃないかと思って」 やえ「それはもちろんありがたいが」 京太郎「じゃあそう言うことで。いやなんか楽しみだな」 やえ「わ、私も」 京太郎「それじゃあおやすみなさい」 やえ「ああおやすみ」 【小走やえの好感度が上がりました】 【小走やえと遊ぶ約束をしました】 【土曜日の午後に小走やえと遊びます】 <<前に戻る|4月へ|次に進む>>
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4364.html
―――ラジオ局 良子「ハロー、今週も戒能良子の『のーうぇいらじお』の時間です」 良子「メインパーソナリティは私、戒能良子でお送りいたします」 京太郎「今回もアシスタントの、須賀京太郎です。よろしくお願いします」 良子「ここまで先週と一字一句違ってないな」 京太郎「まあ挨拶は定型文になりがちですしねぇ」 良子「来週は何か考えておくとしよう。それではお便りのコーナーだ」 京太郎「今日もたくさんのお便り頂いてます。皆さん、ありがとうございます!」 良子「それじゃ、読みあげてくれ」 京太郎「オッケーです。行きますよー」 京太郎「えー、RN嶺上開砲さんからのお便りです」 『最近、中学の頃からの付き合いの男の子の付き合いが悪いです。 お金に困ってるわけではないようなのですが、バイトバイトと 近頃はいつも一緒に帰っていたのが嘘みたいに疎遠になっています 私はもっと彼と一緒にいたいのに・・・どうすればいいのでしょうか?』 京太郎「とのことです。良子さん、解答お願いします」 良子「そうね、要するにもっとその男の子に構って欲しいわけだ」 良子「それなら向こうからのアクションをウェイトするのではなくて、こちらからアクションを起こすべきだと思う」 良子「あんまりボケっとしてるとバイト先の女の子に取られちゃうかも、なんてね?」 良子「まずは動いてみろ、以上!」 京太郎「とのことです。頑張ってみてください!」 京太郎(そういえば、俺も咲にあんまり構ってやってなかったかもな……) 良子「京太郎、次のお便り行こうか」 京太郎「はい!RN:孤高のファミレッサーさんからの―――」 ――― ―― ― 良子「お疲れ、京太郎」 京太郎「良子さん、お疲れ様です」 良子「相変わらず手馴れてたけど、今日は一瞬だけぼーっとしてなかった?」 京太郎「ああ、学校の知り合いのことをふと考えちゃっててですね。すみません」 良子「知り合いってことは友達?」 京太郎「まぁそんな感じですかね。中学からの付き合いなんですよ」 良子「そうか。友達は大切にしなよ?」 京太郎「そうですね!」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3414.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1340031392/ 京太郎「咲、俺と勝負してくれ」 京太郎「負けた方は勝った方の言うことを一つだけ聞くってのはどうだ?」 咲「いいよ(アイスおごってもらおう)」 京太郎「点棒が0になるか、負けを認めた方の負けだ」 京太郎「京太郎腹パンチ!」ドムッ 咲「ぎゃひっ」 京太郎「え?おい咲あんま調子乗ってんじゃねえぞ?」 咲「!???!!?」 京太郎「京太郎腹キック!」ドゴッ 咲「うっ ぐっ どうしちゃったのっ・・・京ちゃん」 京太郎「誰がいつ麻雀だけの勝負だって言ったんだよええ?」グリグリ 咲「やあっ 痛っ やめて」 京太郎「お前が負けを認めたらな」グリグリ 咲「負け、私の負けだから、やめってっ」 咲「痛い・・・」ハァハァ 京太郎「よーしじゃあ約束通り一つだけ言うことを聞いてもらうかな」 咲「・・・」 京太郎「『一生俺に逆らうな』だ。いいな」 咲「そんなの・・・」 京太郎「あ?」イラッ 咲「は、はい。わかり・・・ました」ビクッ 京太郎「よし、脱げ」 咲「え」 京太郎「脱げ」 咲「えっ」 京太郎「よし今回だけ特別だ手伝ってやろう」 咲「やっイヤっーー!」 ギシギシアンアン 京太郎「ふーえがった」 咲「ひっく・・・ひっく・・・」 京太郎「オナホのが気持ちいいけど、めちゃ興奮したし」 咲「うう・・・えっく・・・ひっく・・・ぐすっ」 京太郎「なあ、(破瓜の血の付いた白いシーツの上で半脱げの制服少女がメソメソ泣いてる図で興奮しても)いいか?」ムクムク 咲「いや!いや!もう許してぇ!痛いのいやぁ!」 京太郎「オラ逃げんな!・・・お、いいねえこの後ろから腰ガッチリ掴んでっていうの」パンパン 咲「ひゅう・・・ぎゅう・・・痛いよお・・・お父さん・・・お姉ちゃん・・・助けてぇ・・・」 京太郎「そうか、俺はめちゃめちゃ気持ちいいぞ!おっおっうっ」パンパン ぶしつ 京太郎「~♪」 咲「・・・」チラチラ 和「宮永さんどうかしたんですか?妙に須賀くんの方見てる気がしますけど・・・」 咲「えっ・・・」 京太郎「(やべっ)いやあ実は俺と咲、付き合うことになりまして」 タコス「じぇっ!?」 ワカメ「ほぉ~」 部長「須賀くんも隅におけないわねぇ」 京太郎「な、咲」 咲「う、うん」ビクビク 和「・・・・・・」 ワカメ「しかし京太郎も罪なやつじゃのお、あれだけアプローチかけてた優希を袖にするたぁ」 タコス「べっ別にアプローチなんてかけてないじぇ」 和「その、本当なんですか?宮永さん」 咲「う、うん、本当、だよ」 和「・・・・・・・・・おめでとうございます」 和「今日はもう帰りますね」 和(何かおかしい) ~ 三ヶ月後 ~ 咲「んっ・・・こうれふか・・・?」モゴモゴテロテロ 京太郎「おっおう・・・そこだ・・・上手いぞ」ナデナデ 咲「ふぁい・・・ありがとうございます」ポッ 照仮面「話は全て聞かせてもらった!」バァン 京太郎「!」 咲「!」 咲「んも・・・じゅる・・・」フキフキ 咲「お姉ちゃん!?」 京太郎「照さん?」 照仮面「私に妹などいない。あと私は宮永照ではない」 咲「え・・・でもその∠は」 照仮面「 宮 永 照 で は な い 」 咲「あ、はい。おねぇちゃ・・・照仮面さんはどうしてここに?」 照仮面「いたいけな少女を弄ぶ悪人を成敗しに来たのだ」 京太郎「・・・・・・・・・」 照仮面「全てそこの乳が教えてくれた」 和「乳ってなんですか」 咲「原村さん!」 和「○AHOOの麻雀小町で相談したらベストアンサーの照仮面さんが来てくれたんです」 和「もう無理しなくていいんですよ、宮永さん。脅されていたんですよね」 咲「う、ううん最初は、勝負に負けて無理矢理・・・だったけど・・・とっても痛かったけど」 咲「今は・・・いっぱい気持よくしてくれるし・・・京ちゃんのこと好き・・・かも」ポッ 和「」 照仮面「お前は認めないかもしれないが、今のお前の気持ちはストックホルム症候群の一種だ」 咲「・・・」 照仮面「もしくはエロゲーで言う調教済みの肉便器状態だ」 咲「そっ」 照仮面「スク水の上にセーラー服の上着だけ着けて犬耳着けてスト○ン宮藤ごっこ」ボソッ 和「○コ動で生ハメ配信で4回垢バン」ボソッ 照仮面「父親がいるのに窓から男を自分の部屋に入れてサイレントハメ撮り」ボソッ 和「ノーブラ体育」ボソッ 照仮面「etcetc...」ボソッ 咲「イヤーーッ!言わないで!言わないで!」 照仮面「お互い未来ある学生の身だ、そんな反社会的かつ爛れた青春を送るよりもっと清い交際をするべきだ」 京太郎「んーでぇ、要するにどうしたいんですか?照さん。そんなお説教で言うこと聞くほど素直ならとっく聖人君子になってますよ」ズイッ 照仮面「勝負だ。お前が咲に勝ったのと同じルールでな。あと私は宮永照ではない」 照仮面「負けた方はなんでも言うことを聞く・・・もちろんそこの乳も参加する。異論はあるまい」 京太郎「うっほほ!和の爆乳もゲット!で!姉妹丼とかマジ勃つんですけど!」 京太郎「両脇に姉妹を抱いて顔は和のおっぱいに埋めて・・・」ハァハァカクカク 咲(うわぁ・・・) 照仮面「下種が。あと私に妹などいない」 和「で、でも」 照仮面「これも咲のためだ。安心しろ、私は絶対に負けん」 和「・・・わかりました」 京太郎「女に生まれたことを後悔させてあげますよ照さん。フヒヒヒ」 東四局14本場 親:照仮面 照仮面は最初から全力の様子見無しでツモとロンで京太郎の点棒を削っていた 京太郎も咲に差し込みを狙わせ挽回を図るが和のデジタルジャマーや頭ハネであっというまに追い詰められていた 京太郎「流石に強いっすねぇ照さん」 照仮面「お前が弱すぎるだけだ。あと私は宮永照ではない」 京太郎(こうなったらやるしかねぇ!) 京太郎「ところで、これが麻雀だけの勝負だと思ってます?」 照仮面「どういう意味だ?」 京太郎「こういうことですよ!」 和「!?」 京太郎「京太郎みぞおちパンチ!」バキッ 照仮面「奇遇だな、私もお前が男に生まれたことを後悔させるつもりだ。あと私は宮永照ではない」 京太郎「ぐおお腕がああ」 照仮面「こんなこともあろうかと少年ガンガンを腹に仕込んでおいた。対物ライフルでも持ってこない限り貫けん」 照仮面「言ったな、男に生まれたことを後悔させてやると」キュルキュル 和「牌から照仮面さんに向かって雀気が集まっていく!」 照仮面「痛がれ」ギュルギュルギュル 京太郎「ヒッ」 照仮面「ツモォ!」コリッ ブチュン 京太郎「――――――」 照仮面「悪根滅ぶべし」グシャア 京太郎「lsf;おいうぇh!!fが:!wjごいkんhj!!!」 咲「京ちゃん!」 京太郎「――――――ッ!!dsふぁお・・・っs――ッ!!――――――ッ!!」 ゲロゲロビチャビチャ 照仮面「終わった」 和「いえ、この機会に2つとも潰しておいたほうがいいでしょう」 照仮面「それもそうだな」 咲「お願い、やめて、お姉ちゃん!もう十分だから!」 照仮面「私に妹などいない。どけ」 咲「」フルフル 照仮面「チッ・・・おい下種。聞いてるか?聞いてなくても覚えておけ」グイッ 照仮面「これから残りの人生、お前が死ぬまで、ほんの僅かでも咲を悲しませた場合は――」 京太郎「」ビクンビクンブクブク 照仮面「いつでも残りの一筒をツモりに来るからな」 京太郎「」グッタリ 和「ものすごくこのまま死んで欲しいですが、宮永さんが悲しむので救急車を呼びましょう」 照仮面「まだだ。もう一勝負残っている」 和「え?」 照仮面「牌を打つ時の重心の置き方でわかる・・・咲、お前、妊娠しているな」 咲「!」 和「!!!?!?!?!!??!?!??」 照仮面「私なら母体に影響を残さず胎児の命だけをツモれる」 咲「ダメ!絶対にダメ!」バッ 照仮面「解ってくれ咲、お前のためなんだ」 和(死ね 死ね 死ね 死ね)ゴツッバキッボクッ 京太郎「」 照仮面「まだ若すぎる。今、無理をして産んでもお前も子供も不幸になるだけだ」 咲「ちゃんと育てるもん!」 照仮面「お前の家は父子家庭でそれほど蓄えがあるわけでもないだろう。須賀の実家も共働きだがそれほど裕福ではない」 咲「私、高校卒業したらすぐプロになっていっぱいお金稼ぐから!そしたら育てられるよ!」 照仮面「プロの世界はそんなに甘くない。私など足元にも及ばない魑魅魍魎の巣窟だ」 照仮面「お前は臭いで牌の種類がわかるか?全ての一九字牌が透けて見える相手に勝つ自信があるか?」 照仮面「瞳に映る手牌を覗いてくる奴からどうやって直撃を取る?親の時にダブリーしかしない奴の連荘をどうやって止める?」 咲「それでも、私はあきらめない」 咲「全部 ゴッ 倒す!」 照仮面「―――そこまで言うのなら」 照仮面「私のツモなどお前のカンで防げばいい。出来るものならな」ジリッ 咲「・・・」ジリッ 照仮面「・・・」 和(照仮面さん頑張って!) 京太郎「」 ヒュオオオオ 照仮面「ツモォ!」 咲「カン!」 ~ 夕暮れの河川敷 ~ 照仮面(フッ私もまだまだ甘いな) 照仮面(私達では無理だったが、お前なら家族みんなが一緒に暮らせる家庭を築けるかもしれない) 照仮面(私達は無理だった・・・最初は本当に困っていたはずなのに、そんなつもりは無かったのに) 照仮面(働く努力を根こそぎ奪っていく、この国の制度に囚われてしまった) ピリリ 照仮面「はいもしもし」 照『私だけど。夕飯何がいい?』 照仮面「あ、今日照だっけ」 照『うん』 照仮面「じゃー今日はすき焼きにしよう、半額セールの肉いっぱい買っていくから準備お願いね」 照『わかった』プチッ 照仮面(貴方達二人がプロになれば逃れられるかもしれない) 照仮面(生活保護のうまみから―――)スッ ミ仮面 カラン ピリリ 宮永母「はいもしもし」 照『ところで私の制服が一着足りないんだけどもしか』プチ 宮永母「ふぅギリギリセーフね」 「ふぅん。なるほどそういうことだったわけか」 宮永母「っ!誰──うっ!」ガツン! ドサ 京太郎「ククク。あの程度で俺がどうにかなるわけがないだろ・・・空蝉だ」 ……… …… … パンパンパン 宮永母(────うっ・・・・・・ここは・・・・・) 宮永母「んっ!///」 京太郎「よぉ咲のママさん。いい夢見れたかよ?」パンパン 宮永母「お前・・・っ!は!・・・・アン!///」 京太郎「さっきは良くもまぁやってくれたみたいだな」パンパン 京太郎「あの程度で俺をどうこうできると思っていたか?俺も甘く見られたもんだ」パンパンパン 宮永母「っ!・・・・んきゅ・・・いや!・・・お前!・・・」 京太郎「しかし、お古とはいえなかなかいい締まりだぜ。旦那さんと別居中でご無沙汰だったからかな?」 宮永母「や、・・・やめなさい・・・んあ!・・・だめだめ!そこは・・・あん!」 京太郎「ほう・・・ここがいいのか?お?」パンパンパンゴリゴリ 宮永母「だめだめだめだめイクゥゥゥウウウウウアアァァゥイエエ!!」ビクンビクン 京太郎「ほぅら一発目だ」ドビュッシー 宮永母「はぁ・・・はぁ・・・よくも・・・」キッ 京太郎「おおぉ怖い怖い。だがまだ犯行できる気概が残ってるとはヤりがいがあるってもんだ」 京太郎「和なんて3回ぐらい中出ししてやったら即落ちしちまって物足りないと思ってたところだ」 宮永母(え?・・・原村さん・・・) 和「しゅがきゅ~んもっとぉ・・・もっと太くてかたいのいっぱぁい・・・私のオマンコに出し入れしてくらさぁい///」 京太郎「かかか。あんたがどこまで持つのか・・・見物だな」 宮永母「・・・・・・・来ないで」 京太郎「あ、咲のことは心配するな。俺が責任を持って面倒見てやる」 京太郎「なぁに気にすることはない、自分のオナホの管理ぐらい俺だってしっかりするさ」 宮永母「・・・・・・・・・・いや」 京太郎「あんたも躾たらちゃぁんとあいつ同様俺のコレクションに加えてやるから、安心してくれよ」 京太郎「さぁ共に楽しもうぜ」ニコォ 宮永母「いやあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁ」 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6246.html
五月六日 朝 京太郎「…義姉さん達が帰って来なかった。飲み会って言ってたけど間違いなく嘘だな」 デパート キャップ 京太郎「…デパートの安売り戦争に出かけるか。旅行行く前に肉とか使い切ったし…さあ、戦争だ」 ーーーーーーー 京太郎「ハァハァ…各種野菜確保…マジであんなに必死なんだよ奥様方は…次は肉だな…」 ??「あっ、これ安い。皆の健康を考えると後はお肉かしら?」 京太郎「やってきました…メイン戦争、国産牛肉ブロック3キロ…お一人さま二つまで。70%OFFだから…これは負けてられない」 ??「あらあら…何故こんなに殺気だってるのかしら」肉売り場のど真ん中にいる アナウンス「今から国産牛肉の70%…」 ダダダダ…←殺気立つ奥様方の群れ 京太郎「……負けるかー!」同じく走る ??「えっ、えっえ!」巻き添えをくらい揉みくちゃになる。 京太郎「二つ確保!……あっ」 ??「ちょっと…すいません…通して…」 京太郎「たすけるか…」 ギュッ… 京太郎「こっちです」 ??「えっ?」 ??「あ、ありがとうございました」息をきらし、両目を開けている 京太郎「いえ、困ったらお互いさまですよ」 ??「それでもです。本当に助かりました」 京太郎「美人を助けるのは男の役目ですから。それに初めて綺麗なオッドアイを見れたからおあいこですよ」ワハハ ??「えっ…」右目を抑える 京太郎(……もしかして地雷を踏んだか?)冷や汗をかく ??「み、見たんですか?」 京太郎「ええまあ…見えたんで」 ??「……本当の事を言ってください」 京太郎「えっ?」 ??「お世辞なんて言わなくてもいいですよ。笑ってくれてもかまいません…この眼が」 京太郎「俺は嘘はいいませんよ。貴方の眼は綺麗です。色もそうですが心が澄んでいるから綺麗です」 ??「……」カァァ 京太郎「それじゃあ、俺はこれで」 京太郎(今日は豪華に作るぞ) ??「ま、待ってください!な、名前を教えてはくれませんか?」 京太郎「……」 京太郎「須賀京太郎です」 ??「須賀京太郎…わ、私は福路美穂子って言います!」 京太郎「福路さんですか…俺の事は須賀でいいんで。それでは」 美穂子「はい、今回はありがとうございました!また会った時にお礼さしてください」 京太郎「ええ、その時を楽しみにしてますよ」 ーーーーー 夜 強制イベント 京太郎「ただいまー…あれ誰かいるのか?」玄関の靴を見てつぶやき ガチャ…ドアを開ける 京太郎「誰かきてるの…」 霞「お久しぶりですね、須賀様」 京太郎「な、なんで…」 霞「酷いですね…御迎えにきたんですよ、“須賀”宗家の貴方を」 京太郎「迎えにきた?」 霞「ええ、姫様の婿としてね」 京太郎「…義姉さん達はどう言ってるんだ?」 霞「あら、まだその年で姉離れできて…」 京太郎「質問に答えろ、岩戸」 霞「…っ…、貴方の義姉達も賛成して」 バタン…ドアが開く 健夜「認めてないよ」ゴゴゴゴ… 良子「嘘は駄目ですね…私達は一言もそんな事を言ってませんよ?」 霞「…巴達は足止めできなかったんですか」 健夜「私達に麻雀を挑む方がありえないよ…なにより夫になる義弟の大事な未来が勝手にきめられそうなんて…本気出すしかないよね?」 良子「…強硬手段に出たのはミスでしたね。鹿児島のババア達にはこれをネタに京太郎から手を引いてもらいます」 霞「…なぜ、私達の邪魔をするのですか?須賀様にとって…」 健夜「それを決めるのは京君を見捨てた貴方達じゃないよ」 良子「京太郎の未来は京太郎が決める…私達はそれに従うべきです」 霞「私は、見捨ててなんか!」 健夜「…黙れ。お前達鹿児島の巫女は京君の両親が殺され…」 京太郎「ストップ…ストップだ!。なにがどうなってるか、俺に説明してくれ」 良子「京太郎は少し黙…」 京太郎「…好い加減にしないと怒るぞ」ゴゴゴゴゴ… 健夜「…京君は長野から離れないといけないんだ」 京太郎「…それはなんでなんだ?」 健夜「それが此処にみんなで住む条件だったから」 京太郎「はっ?」 健夜「私と良子ちゃんは鹿児島のババア達と契約を交わしたの。京君が高校生になるまで育てる変わりに、長野に三人で住める場所を提供してもらうって」 霞「そして時が来たら姫様の婿として迎える…」 良子「それは無効ですよ?私と健夜義姉さんとでここの家のお金とこれまでのお金は全額返しました。だから京太郎は無理矢理婿に行く必要がない」 京太郎「それなら此処に残る事も…」 健夜「契約には高校生になったら長野を出るってあったんだよ」 京太郎「なんでそんな大事な事を隠してたんだ……なんて言ってもどうにかしようと必死でどうにかしようとしてたのは知ってるから今回は責めない…今日、帰って来なかったのもそういうことなんだろう?」 健夜「う、うん…本当にごめんね」涙目 霞「姫様の婿に来ないのならどうするつもりですか?」 良子「それはイージーな質問ですね。他県に家族三人で引っ越すに決まってるでしょ?」 京太郎「えっ?」 良子「今、候補に上がってるのは5つ。鹿児島を含めてね。それを京太郎に決めてもらう」 良子「場所は東京、大阪、奈良、岩手、鹿児島の五つ。理由は色々とありますが私と健夜義姉さんは最善だと判断しました」 霞「…鹿児島が入ってるのは婿として…?」 健夜「だからそれはないよ…でもね、鹿児島事態はありなんだよ。あそこには貴方達がいるからね」 霞「私達がいるから?」 健夜「京君の成長に繋がるからね」冷たい笑み 霞「……」ふるえる。 京太郎「それで移動先は俺が決めるのか?」 良子「そうです」 京太郎「因みに義姉さん達のおすすめはあるの?」 健夜「私は…」 健夜「岩手かな…旅行して改めて思ったけど気候もいいし、相談役にトシさんもいるから」 京太郎「…良子義姉さんは?」 良子「私は東京ですね。あそこならいつでも家族団欒できますし…」 京太郎「……」 京太郎(俺はあそこがいいんだけどな) 京太郎(奈良とかもありだと思うんだよな…でも義姉さん達の考えも大事にしないと…) 京太郎「…なら三人で岩手に行こう」 健夜「私は京君についていくだけだよ」 良子「私もです」 霞「……姫様を見捨てるの?」 京太郎「………いつまでも俺に頼らないでください。俺は誰も拒否しなかった。最初に捨てたのは貴方達で今回も結局は貴方達が甘えたからだ」 霞「…なら捨てなかったら貴方は私達と居たと言えるの?」 京太郎「言えますよ。だって俺の初恋は貴女だったんだから霞さん。もう昔の話ですけどね…」 霞「……私達は…私達は…怖かっただけなのよ」ぽたぽた 京太郎「…俺もあの時は怖かったですよ。時はやり直せないんですよ」 霞「……うぅ…」大泣き 夜 2 京太郎「……久達になんて言おうか。転校するで受け入れてくれるんだろうか?衣や東横さんにも言わなくちゃならないし…これもしかして死んだか?」ベッド出ゴロゴロ。 ガチャ… 京太郎「義姉さん?」 霞「違うわ…私よ」 京太郎「……夜這い?」 霞「…いっその事それもありだとは思うのだけれど、今日はあの鬼達に須賀様を抱き枕にして言いって言われたからそれを楽しみに来たの」 京太郎「はっ?」 霞「聞こえなかったのかしら?私は…」 京太郎「いや、俺が霞さんを襲ったらどうするんですか?」 霞「それを元に鹿児島に連れて行くわ」 京太郎「拒否権は?」 霞「あると思って?」 京太郎「…わかりました」 霞「…キングサイズのベッドなのね」 京太郎「ええまあ…これしかなかったらしくて」 霞「どう言う事?」 京太郎「ベッドを買いに行く時に限って俺の都合が合わなくて、義姉さん達が買ってきてくれるんですよ」ワハハ 霞(わざとね…) 京太郎「そんな事よりさっさと寝ましょう。今日は流石に疲れましたから」 バタン…←ベッドにうつ伏せで倒れこむ 霞「そうね…私も疲れたわ」 バサ…←何かが落ちる音がする 京太郎「えっ…?」 霞「さあ、寝ましょうか」 ギィ…ギィ…←ゆっくり歩いてきて 京太郎「あ、あのもしかして服着てないんじゃ…?」 霞「私、寝る前には服を着ない主義なのよ」 京太郎(助けて、義姉さん!) ーーーーーーー 良子「もう…食べれません……zzz」 健夜「…きょー…君…zzz」 薬を仕込まれ、眠る二人であった 霞「…温かいわね」 ギュ…←京太郎を反対から抱きしめ、足を絡める 京太郎(煩悩退散…思考を止めろ、無我の境地に立つんだ俺!) 霞「須賀様…いえ、京太郎。本当に鹿児島には来ないの?」 京太郎「…行きません。岩手に行くと決めましたから」 霞「そう…。ねえ、私って魅力ないのかしら?」 京太郎「えっ?」 霞「だって京太郎は襲ってくれないし…やっぱり胸が大きすぎるのかしら?」口から微かに酒の匂いが漂う 京太郎(…酒盛りしてて義姉さん達に何かを盛ったな。でも霞さんも酔ってるみたいだし…どうしたものか」 霞「聞いてるの?」 京太郎「充分、魅力的ですよ…おれなんかにはもったいない位に」 霞「なら…」 京太郎「勢いで手を出すのはタダの屑じゃないですか」 霞「……」 京太郎「それに…俺は酔ってない時の霞さんに誘われたかった」 霞「……お願いがあるの」 京太郎「なんですか?」 霞「一度、一度だけでいいから義姉さんって呼んでくれないかしら?」 京太郎「…」 霞「おこがましいのは分かってる…でも」ポロポロ 京太郎「……義姉さんは本当に泣き虫だな」 モゾモゾ…←京太郎が上手に動き霞と向かい合う 霞「えっ…」 京太郎「…朝が来たらさっきまでと同じ関係です。だけど今、この時だけは俺、須賀京太郎は石戸霞の義弟です。泣き虫な霞義姉さん」 ギュ…←抱きしめる 霞「…き、きょ、京太郎くん…」ポロポロ 霞「ごめんね…本当にごめんね。護る力も覚悟も無いお姉ちゃんで…グズ…本当にごめんね」 京太郎「許します、全部。今は俺は貴方の義弟なんですから。俺は貴女を赦します」 霞「……zzz」 京太郎「寝たのかな…起こさないようにと」 スッ…霞からそっと離れて 京太郎「…それにしてもエロいよな…ゴクリ…」 京太郎「……なにを考えてるんだ俺は。とりあえず寝よう………zzz」 霞「…残念…今日は危険日真っ只中だったのに」ボソ… 朝 霞「起きてください、須賀様」 京太郎「うん…おはよう…霞義姉……霞さん」 霞「はい、おはようございます」巫女服装備 京太郎「…うぅ…朝ご飯作るから少し待っててください」 霞「それならもうできています。此方がお弁当です」 京太郎「えっ?」 霞「少し台所と食材を借りました。これを一宿一飯の恩返しとさして頂きます」 京太郎「は、はぁ…」 霞「それでは私はこれで……今週一杯まで私達は長野に居ますので気が変わったのであればお呼びください…それでは」 京太郎「……相変わらず万能だな」 京太郎「とりあえず霞さんのご飯を食べるか」 ーーーーーー 良子「わたしとした事がまさか盛られるとは…」 京太郎「あれ、良子義姉さん起きてたの?」 良子「ええ、おはよう。…昨日霞に何かされましたか?」 京太郎「いや、とくになにも。義姉さん達が焚きつけたんだろ?」 良子「…やっぱりそうきましたか。本当に手を出してないんですね?」 京太郎「ああ、俺は義姉さんたちにウソはつかない」 良子「ならいいんです…あと最近、何処かの執事が私達の事を調べてるみたいなんですが心当たりは?」 京太郎「ああ、それは龍門渕のハギヨシさんだよ」 良子「ハギヨシ?」 京太郎「ハギヨシさんは…」 説明中 良子「…害がないならかまいませんね」 京太郎「そうだね…とりあえず霞さんのご飯を食べない?」 良子「そうしますか」 昼 京太郎「お弁当が重箱だった……なんだこれは?それにあれなのか今日、咲達に話さないといけないと考えると胃が…」 京太郎「久しぶりに中庭に行くか」 ーーーーー 咲「あっ、京ちゃん!」 京太郎「うん?なんだ咲一人か?」 咲「うん…優希ちゃんはタコスを買いに学食、原村さんはその合宿が終わってからなんか体調が悪いみたいで」 京太郎「学校にはきてないのか?」 咲「うんうん…学校にはきてるんだけど部室で部長と大事な話があるって」 京太郎「大変そうだな」 咲「…京ちゃんは私に大切な話があるんじゃないの?」 京太郎「なんでそう思う?」 咲「京ちゃんが難しい事を考えてる時、眼が怖くなるから」 京太郎「…幼馴染には勝てないか。今日の放課後麻雀部で大事な話がある」 咲「やっぱりそうなんだ…」 ギュ…京太郎の服のすそを咲が持つ 京太郎「すまない」 咲「まだ内容聞かされてないのに謝らないでよ……でも、今までありがとうね、京ちゃん」 京太郎「ああ、こちらこそな」 咲「じゃあ、今日の放課後だね」 バッ…京太郎から離れる トボトボ…目尻に涙を貯めている。 咲「あれ、おかしいな…悲しくないのに涙がでるよ…なんでだろう京ちゃん」 放課後 京太郎「さて…いきますか」 ーーーーーーーー ガチャ… 京太郎「ちわー…ってあれ、皆居るのか、珍しいな」 久「……ええ、久しぶりね京太郎」 京太郎「…どうかしたんですか?」 久「な、なにが?」 京太郎「何かを隠してますよね?」 久「……聞いたのよ、三尋木プロに」 京太郎「ああ…そうなんですか。咏さんがどこまで知ってて言ったのかわかりませんが都合がいい…俺、須賀京太郎は一週間後に岩手に引っ越す事になりました…今までありがとうございました」 久「えっ?」 京太郎「家の事情で岩手に引っ越す事になりました」 久「な、なにを言ってるの?じ、冗談よね?」 和「そ、そうですよ、何を言ってるんですか?」 優希「笑えない冗談だじぇ」 まこ「そうじゃぞ、いっていい事と悪い事があるぞ」 咲「……」 京太郎「事実です。明日からはここにきません。事情は知ってるんですよね…なら…」薄ら笑い バチん… 咲「……誤魔化したらだめだよ、京ちゃん。逃げたらだめなんだよ。笑って誤魔化して、一人で悪役にならなくていいんだよ。ごめんね、京ちゃん。さっき部長から無理矢理聞いたんだ、京ちゃんの過去」 京太郎「……それで」 咲「…何も知らなかったんだと思ったよ。6歳の頃から一緒に居るのに私は京ちゃんの事を何も知らなかったんだって。だからさ、京ちゃん。麻雀を打とうよ」 京太郎「はっ?」 咲「全力で打とう。打てばわかるよ、私達は麻雀部なんだからさ」ゴゴゴゴ… 京太郎「…いや、それって…」 久「それでいいわ…打ちましょう、京太郎。ごめんだけど今日の私は本気よ」 和「……納得できませんが…私も打ちます。言った言葉には責任を持ってもらいます!」 京太郎「…わかった」 京太郎(…だけど麻雀を打ってもなんの解決にもなってないんじゃないのは気のせいか。) 京太郎「よろしくお願いします…」 咲「よろしくお願いします」 久「よろしく」 和「よろしくお願いします」 咲「私が親だね…本気でいくよ」ゴッ…黒いオーラが出る 久(この牌が来たって事は…ここはこれで行く!) 世界を歪める悪運発動! 咲(……部長…まだいいかな) 京太郎(……先制は困るからな…止めさしてもらう!) 渇望と添い遂げた者発動! 久(…っ!京太郎に邪魔された!) 一同「テンパイ」 京太郎(槍が不調なのはいつもの事だ…焦るな。咲の気配が明らかにやばい。速攻であがる) 咲(京ちゃんのギアがはいった…) 和(……勝つ!) 京太郎「ツモ!2000.3900!」 久(さっきはここで撒かれた…でもこの牌が来たって事は…ここはこれで行く!) 世界を歪める悪運発動! 咲(…部長のあがり、どうにかなるかな) 魔王覚醒…失敗! 咲(う…弾かれた?) 京太郎(やばい、あれは俺にくる!) 渇望と添い遂げた者発動! コトン… 久「ロン!12000…私は強くなったのよ、京太郎?」 和(……この試合は絶対に勝ちます。須賀君には大事な事を教えてもらったのに私はまだ何もしていない。須賀君、これが私の選んだ麻雀です!) 京太郎(……きつい…皆のレベルが急激に上がってる…) 渇望と添い遂げた者発動! コトン… 和「ロン!7700です…あのときみたいにはいきませんよ?」 久(……これ?……ならこっちかな) 世界を歪める悪運発動 京太郎「……っ…まだだ」 零天の若木発動… 久(あれ…?なんで、こっちの牌がきた?) 咲(…いくよ、京ちゃん) 咲「カン…ツモ!嶺上開花…2100.4100」 京太郎(…しんどいけど…楽しいな。最近打ってた麻雀は全部早く終わってこんな緊張感なんてなかったしな。転校の事とかで負い目を感じてたけど…いまは全力で打つ!) 咲(…ああ、京ちゃんが本気だ。この前は和ちゃんに打った槍とは別の槍…真っ白で綺麗だな) コトン… ドス… 咲「えっ?」 咲(これって京ちゃんの…) 京太郎「ロン、四暗刻単騎、32000だ」 京太郎 45200 咲 -2900 久 31000 和 26700 京太郎が勝利しました。 京太郎「ありがとうございました!」 咲「……」 久「……」 和「……」 咲「…やっぱり京ちゃんは強いね」涙目 京太郎「いや、皆強かった。一ヶ月もしてないのにここまで成長するとは思わなかった」 久「誰かさんが岩手に旅行に行ってる間、私達はプロ2人にシゴかれてたのよ、あたりまえじゃない」 和「…須賀君に勝つ為に努力しましたから」 京太郎「すまん…本当なら皆で…」 久「ダメよ。それ以上言ったら。もうできない事を突きつけられたら悲しいじゃない」 京太郎「……」 久「ねえ京太郎、一つ約束をしましょ」 京太郎「約束ですか?」 久「そう約束。私達は全国に行くわ。絶対にね。京太郎も転校した先で全国を目指すでしょ?」 京太郎「ええ、まあ…個人では確実に行きます」 久「なら全国でお互い会いましょう。私の勘が言ってるのよ…京太郎は女の子を連れて全国に来るって」 和(女の子を…)ゴッ… 咲(連れて?)ゴゴゴ… 京太郎「女の子ですか?」 久「ええ、そうよ。私達はそれに勝つ。勝ったら清澄にもどってきなさい」 京太郎「えっ、それって横暴じゃ…」 久「あら、勝てばいいだけでしょ?それとも何かしら京太郎は麻雀に自信がないのかしら?」 京太郎「そんな事は!…あっ」 久「なら決まりね。皆もそれでいいわよね?」 和「はい…勝って須賀君を取り返します」 咲「…私もそれでいいかな。京ちゃんを取り返す」 優希「犬のタコスは絶品だから、私が取り返してやるじぇ」 まこ「…言うとる事はめちゃくちゃじゃが面白そいじゃからの。わしも一枚噛ませてもらうかの」 京太郎「えっ…なんなんだこれは…」 スッ←久が須賀が近づき 久「約束を破った事はこれで勘弁してあげる…でも京太郎の隣に立つのは私だから」小声 京太郎「……えっ?」 久「さあ皆、全国に行く目標が一つ増えたわ。絶対に勝つわよ!」 京太郎以外「「「はい!」」」 夜 京太郎「………やばいな、明日から行かなくていいと考えると凹むな」 カピー「パカパカ(…すまない、主」 京太郎「どうしたんだ、急に?」 カピー「パカパカ(私は知ってたんだ主が転校しなければならない事を」 京太郎「だからあそこまで凹んでたのか?」 カピー「パカパカ(ああ…本当にすまない」 京太郎「許すよ。今回の事は仕方がない。別れは慣れてるからな」 カピー「パカパカ(……主)」 カピー「パカパカ(…また妙なモノを拾ってきてるんだな」 京太郎「…あれ、それってなんか特別なのか?」 カピー「パカパカ(これ単体は意味がないし成長しないといけない。主は本当に面白いな。鏡と勾玉…そうだな次は短剣を拾ってきたら私の力を貸そう」 京太郎「お断りだな」 カピー「パカパカ(そこは喜ぶ所だろう」 京太郎「忘れたと言わせないぞ、三年前に俺が流れ星をみたいっていったときに何が起きたのかを」 カピー「パカパカ(あれは偶々力加減が…」 京太郎「…」 カピー「パカパカ(あ、主なんか嫌いだー」涙目 夜 強制イベント 転校報告 京太郎「…転校報告をしないといけないな。まず誰にするか」 京太郎「東横さんだな…」 ーーーーー 桃子「……それはなんの冗談っすか?」 京太郎「事実だ」 桃子「……なんで態々、電話してきたっすか。メールの方が楽だったはずっす」 京太郎「関わりは大切にするって決めてるから…別れが怖いからって人から逃げたら全部から逃げないといけなくなるから。ごめんな東横さん」 桃子「……馬鹿っす。明後日、昼頃…最初で会った時の場所で待ってるっす」 プツン…プー、プー、 京太郎「……」 京太郎「もしもし、夜遅くに申し訳ありません。須賀ですが…」 ハギヨシ「須賀様ですか、ハギヨシです。衣様に御用ですか?」 京太郎「えっ…はい、そうです。なぜそれを?」 ハギヨシ「昨日の夜から衣様が部屋から出てきません。原因は貴方ですね」 京太郎「……ハギヨシさん…俺は…」 京太郎「…衣と代わってください」 ハギヨシ「わかりました…少しお待ちください」 ーーーーーーー 衣「義兄…さま…ぐす…」 京太郎「衣か。なんで泣いてるんだ?」 衣「夢を…夢を見たんだ…衣がまた一人になる夢を。なあ義兄様…あれは悪鬼の夢だよね…」 京太郎「…衣には龍門渕さんや国広さんがいるだろ?」 衣「…違う、衣が聞きたいのはそれじゃない!」 京太郎「…衣、俺は岩手に転校しなければならなくなった」 衣「嘘だ…」 京太郎「本当だ」 衣「嘘だぁ…なんで…なんで義兄様、衣は何か悪い事したのかな…?」 京太郎「…いやしてない。悪いのは俺なんだ」 衣「嫌いだ…衣を置いて行く義兄様なんか大嫌いだ!!」 バン…プツン…プー、プー 京太郎「…あれやばいな、涙が止まらないぞ」 ーーーーーーー ハギヨシ「衣様、お話があります」 衣「出ていけ…」 ハギヨシ「衣様…」 衣「出ていけー!嫌いだ、皆大嫌いだ!所詮は有象無象の存在だったんだ!それに気を赦した衣が…」 バチん… ハギヨシ「申し訳ありません。罰なら後でうけましょう。ただ、今は衣様は知らなければなりません」 衣「…何を?」 ハギヨシ「須賀京太郎様の過去をです。皆様もです。お嬢様」 ガサ… 透華「……」 一「……」 純「……」 智紀「……」 衣「今更…義兄様の過去がどうしたのだ。義兄様は衣を捨てた…それは変わらない」 ハギヨシ「…それはわたしの話を聞いてから決めてください。須賀様は衣様を見捨てるような下衆ではありません」 透華「話しなさい、ハギヨシ」 ハギヨシ「はっ…須賀京太郎様の過去を語るに当たって知っておいて欲しい事が一つあります。須賀様は四歳の時にご両親を亡くされています」 衣「えっ…義兄様も?」 ハギヨシ「ええ、衣様と同じです。ですがそれよりも酷い事です」 一「どう言う事ですか?」 ハギヨシ「あの方は目の前で両親を殺されたんです」 衣「えっ?」 ハギヨシ「今、須賀様と血の繋がった身内はいません。須賀様は天涯孤独の身の上なのです」 深夜 京太郎「……zzz」 良子「…スリープしてますね」 健夜「でもやっぱり泣いてたみたいだね」 京太郎「…zzz」 良子「…小さい時にもこんな事がありましたね」 健夜「そうだね…あの時もこんな感じだった」 良子「なら私がレフトで健夜義姉さんがライとで…」 健夜「了解」 ゴソゴソ…京太郎の両脇に入り込み ギュ… 良子「大丈夫ですよ、京太郎」 健夜「私達はいなくならないから。」 良子健夜「家族だから…」 ーーーーー カピー「パカパカ(良いところだけは持って行くのは賭博士だからか?」 5月8日 朝 京太郎「……」眼が冷めている 京太郎「起きたらまた義姉さん達が居た…どうなってるんだ」 京太郎「…カピーに相談しよう」 シュ…抜け出す ーーーーーー カピー「パカパカ(爆ぜろリア充」 京太郎「はっ?」 カピー「パカパカ(いやなんでもない。ただ美人の義姉二人に抱きつかれながら寝ていたなどといまどきのアニメでもないシチュエーションを私に相談されても困るだろ」 京太郎「アニメ見てたのか…」 カピー「パカパカ(私にわからない事はないぞ?因みに今やっている魔法少女ものの魔女は魔法少女のなれの果てだ」 京太郎「…流石にそれは嘘だろ。魔女倒す為に魔法少女になるのに本末転倒すぎる」 カピー「パカパカ(夢も希望もないんだ」 京太郎「まじかよ」 カピー「パカパカ(槍の強化か…身の上に合ってない槍を手に入れておいてまだ上を目指すのか?」 京太郎「いやまあ、麻雀は強くなりたいからな」 カピー「パカパカ(…本当に昔と変わらないな。強制力も働いているが最上級強化でいいのか?)」 京太郎「最上級強化ってなんかもったいないからいつものでいい」 カピー「パカパカ(知恵をつけたか」 京太郎「うん?なんか言ったか?」 カピー「パカパカ(主には関係ない事だ) 京太郎「へんなカピーだな」 昼 強制イベント 龍門渕からの招待 ♪ 京太郎「もしもし?」 ハギヨシ「もしもし、ハギヨシですが須賀様の携帯よろしいでしょうか?」 京太郎「そうですけど、どうかしましたか?」 ハギヨシ「初めに謝っておきます。須賀様の過去を衣お嬢様に話しました。もうしわけございません」 京太郎「…そうですか。仕方ない事ですよ。それだけなら切ってもいいですか?」 ハギヨシ「いえ、まだ要件が残っています」 京太郎「要件?」 ハギヨシ「今日の夕方、お迎えにあがりますので龍門渕家にいらっしゃってください。衣様もそれをお望みです」 京太郎「……因みに…」 ハギヨシ「ありません」 京太郎「わかりました…素直にまっていますよ」 ハギヨシ「ありがとうございます」 昼1 京太郎「出かけたら絶対に何かが起きる気がするから家で何かしておこう」 京太郎「一人でいるとめげそうだからカピーと話そう」 ーーーーーー カピー「パカパカ(出来損ないのギャルゲーの主人公みたいに一日二回も私の所に来るな」 京太郎「ご、ごめん」 カピー「パカパカ(それでどうかしたのか?なんだまた私を働かせるのか?)」 京太郎「そ、そんなつもりじゃなくて…そのなんだ…一人で居るとめげそうになるから」 カピー「パカパカ(…一人ぼっちは寂しいもんな…とか言うわけないだろ。寂しいならメールでもなんなりして構ってもらえ」 京太郎「……」 トボトボ…←哀愁漂う背中 カピー「パカパカ(わかった、わかったから…全く、私の主は私がいなければ何もできないのか」 京太郎「カピー!」 ギュ カピー「パカパカ(…たまには悪くないか」 カピー「パカパカ(能力強化か…それで何を強化するんだ?」 京太郎「若木の強化かな…なんかあれは俺にとって大切なモノの気がするんだ」 カピー「パカパカ(…成長ではなく強化だぞ?」 京太郎「…あれ、強化したらまずいのか?」 カピー「パカパカ(今、主の中にある若木は実に珍しく貴重なモノだ。私でもそうおめにかかれるシロモノじゃない」 京太郎「つまり?」 カピー「パカパカ(何を強化すればいいのかわからない」 京太郎「……なら丈夫にしてくれ」 カピー「パカパカ(丈夫?」 京太郎「そう無事に成長するようにしてくれ」 カピー「パカパカ(…わかった」 夕方 ハギヨシ「お迎えにあがりました」ヒゲ眼鏡装備 京太郎「…なぜヒゲ眼鏡?」 ハギヨシ「お嬢様がお与えになった罰でございます」 京太郎「そ、そうなんですか」 ーーーーーーーー 車内 京太郎「衣の様子はどうですか?」 ハギヨシ「昨日よりはマシになりました。それに目的ができたみたいなので覇気もありまし」 京太郎「目的ですか?」 ハギヨシ「はい、目的です」 京太郎「因みに内容は?」 ハギヨシ「着いてからのお楽しみという事で。ただ須賀様の運命を握っている事だけは確かです」 京太郎「マジですか…」 衣「待っていたぞ…義兄…京太郎」 京太郎「…殺気立ってるな」 衣「衣は京太郎に麻雀で決闘を挑む。京太郎が勝ったら衣は京太郎のいう事をなんでもきこう…だが、衣が勝ったら京太郎には龍門渕に住んでもらう!」ゴッ… 京太郎「はっ?」 衣「京太郎には衣と家族になってもらう」 京太郎「……どうしてそうなった?」 衣「衣は京太郎の過去を知った。それに対して同情などはしない。だが衣は思ったのだ…京太郎も家族になり得ると。血は何よりも濃いと有象無象は吐き捨てるが、衣はそんな事は思わない。衣は京太郎が欲しいのだ…」 京太郎「…実に魅力的だが俺には義姉さんが二人もいるからな衣のそれは認められない」 衣「構わんよ…衣が京太郎に勝ち認めさせるだけだ」 京太郎(なんでこう俺の周りは麻雀で全てが決まるんだろうか…) 衣「親決めだな」 一「僕が親だね…」 一(須賀君に勝てば一緒に暮らせる…勝つんだ!) 京太郎「…本気でいかしてもらいます」ゴゴゴッ… 衣「衣最初から全力だ」ゴゴゴゴ… 透華(……ッ!) 一「ヒッ!」 京太郎(…失敗した。呪われてんのかな?だけど、安手でもアガリに行く) 透華(…これで) コトん… 京太郎「ロン、2000」 透華「はいですわ…」 透華(この圧力はなんですの!) 一(僕は逃げない!) ブレイブハート発動! 衣(勝つ…絶対に勝つ) 京太郎(あれはやばい…止めれない) 衣「ツモ!4000.8000!」 透華「……」 京太郎(……できた。撃ち抜くのは衣だな。この前と違って圧倒的に場を支配してるからな…) コトン… 衣(義兄様の手牌から凶悪な気配…倍満…いや役満か。……逃げない、衣は義兄様からは逃げない!) 衣「通らば立直だ!」京太郎を直視して コトン………ザシュ…←真紅の槍が衣を打ち抜く。 京太郎「それは通らないな…ロン、大三元…32000だ」 衣「…っ!」 透華(……冷たい…この感覚に身を任せて…は……!) 絶対零度発動! 衣(強い…やはり義兄様は衣より…でも衣は負けられない!) 京太郎(……止めるか) 渇望と添い遂げた者発動! 衣「ツモ!1000.2000!」 京太郎(……っ!弾かれた?新しくなってからなんか使いにくいな…) 一(今の槍は何…)ガタガタ… 衣(……っ!) 透華(……アタタカイ?) 京太郎「ツモ!4000、8000!」 衣(……これで…四暗刻聴牌。次の親番で義兄様を抜く) 京太郎(……) 渇望と添い遂げた者発動! 衣(このツモで……えっ…あれ?) 京太郎(また失敗か……だが高めで倍満…跳満確定だからこれを当てて俺の勝ちだ!) 一(一回も上がれない…でも僕にだって意地がある!) 手品師の因果発動! 京太郎(…消された?あれ…なんでだ?) 京太郎(……またか…カピーに相談するかな。まあ槍ができようができまいが俺が勝つ!) 衣(…あの神々しい槍が空虚に見える…器があるのに中身がないのか?) 透華(………?) 京太郎「ツモ、清老頭、8000.16000!」 京太郎 103500 衣 -4500 透華 1500 一 -500 京太郎が勝利しました。 京太郎「…ありがとうございました」 衣「ありがとう…グス…ございました…グス…」泣きかけ 一「ありがとうございました」 透華「……」 京太郎(き、気まずい…) 衣「き、京太郎は…衣とは居て…くれないのか…グス…?」 京太郎「ああ…俺は岩手に行かなきゃいけないからな」 一「それにしても急すぎるよ…」 透華「……」うなずく 京太郎「いやまあ、それもそうなんだけど…」 衣「やっと、やっとできた義兄様なんだぞ、京太郎は!」 京太郎「ごめんな、衣」 衣「謝るな!謝らないでよ…謝られたら…誰に衣はこの…怒りを…ぶつければ…うわぁぁぁん」大泣き スッ…←京太郎が席を立ち、衣に近づく ギュッ…衣を抱きしめる 京太郎「……」何も言わず 衣「うわぁぁぁん…」泣き続ける 一(…衣が羨ましいな…あれ、なんで僕こんな事考えて…) 透華(…………) ーーーーーー ハギヨシ「それで衣様は泣きつかれて眠ってしまったのですね」 京太郎「ええまあ…がっちり俺の服を掴んで寝てしまって」 ぎゅ…衣をおんぶしていて ハギヨシ「…しかたありませんね。今日は須賀様はご宿泊なさるのですね」満面の笑み 京太郎「えっ?」 ハギヨシ「それとも衣様をお持ち帰りするおつもりでしたか?」 京太郎(は、嵌められた!) 衣「すぅ…すぅ…zzz」 深夜 京太郎「……衣が離れない…てか服の着脱に成功してるはずなのになんで俺の服を握てるんだ?」 衣「…すぅ…zzz」 ギィィ…←ドアが開く 京太郎「えっ…」 透華「………」 京太郎「龍門渕さん?」 ふら?…バタ…モゾモゾ…←透華がベッドに近づき、倒れこみ、衣と逆の方の京太郎の腕に抱きつく 京太郎「…冷た…!り、龍門渕さん!?」 透華「…アタタカイ…」 京太郎「えっ?…トランス状態?」 透華「…サムイノ…」目に感情が無い 京太郎「……衣と同じか…いやコッチの方が…」 ギュ… 透華「……サムイ」 京太郎「………こっちの方が暖かいですよ」 サッ…ギュッ…←うでを素早く動かし透華を抱き寄せる 透華「……っ…zzz」 京太郎「…モテ期なのかもしかて?人生に三回しかこない?初めてのモテ期か?」 衣「……にぃ…さま……zz」 早朝 ??「……っ…」目を覚ます 衣「…義兄さま?、それに…透華も?…衣も…そっちがいい…」 モゾモゾ…←京太郎と透華の間に入る 衣「…うん…悪くない…zzz」 ーーーーーーー 京太郎「…っ…、よし、目が覚めた」首を動かし状況を把握 京太郎「…とりあえずパニックになる前に…」 ハギヨシ「逃げるのですか?」 京太郎「いやこれは戦略的撤退…えっ?」 ハギヨシ「おはようございます」 京太郎「は、ハギヨシさん…」真っ青 ハギヨシ「大丈夫ですよ、貴方がお嬢様が抱き寄せた意外なにもしてない事は解っていますので」 京太郎「……はぁ…」 ハギヨシ「要件は別です。これをお納めください」 スッ…←封筒を渡される 京太郎「これは?」 ハギヨシ「今回の件と私個人のお礼とお詫びです。中身は旅行券…たまには一人旅も必要なるでしょ?」 京太郎「……ありがたくもらっておきます」 ハギヨシ「それでは…服はそこの机の上にありますので」 朝 一「あれ、須賀君もう帰るの?」袖の長いワンピースを着ている 京太郎「ええまあ、昼から友人と約束があって…あまり長いができないんですよ」 一「そ、そうなんだ…ね、ねぇ須賀君…こ、この…ふ……衣の事ありがとうね」 京太郎「えっ?」 一「衣にとって一番正しい選択をしてくれた事だよ」 京太郎「…俺は自分のワガママを通しただけですよ」 一「それでもだよ。僕達にはできない事だったからね…本当にありがとう」 京太郎「どういたしまして…では、俺はそろそろ…」 一「あっ、うん、ごめんね、引き止めたりして」 京太郎「いや別に構いませんよ、俺も久しぶりに国広さんと話せて良かった。あと、そのワンピースもよく似合ってますよ」 一「あ、ありがとう…」カァァ… 京太郎「それでは、またいつか」 一「うんまたね!」 昼 京太郎「……ここでいいのだろうか」道のど真ん中に立っている 桃子「………」←ステルス全開で物陰から京太郎を見ている 京太郎「…初めて会ったのここなんだけどな」 チャリン…←何かが落ちる音 京太郎「うん…」音のする方を向く トテトテ…←鍵を落としたまま至福のいつもより影の薄いモモが歩いて行く 京太郎「……そういうことか」 バッ…鍵を拾い、走ってモモを追いかける 桃子(……やっぱり見えるんっすね) ーーーーーーー 公園 桃子「今日は京太郎に一言だけいう事にしたっす」 京太郎「ああ」 桃子「わたし、東横桃子は須賀京太郎が……」 京太郎(……嫌いって言われるんだろうな) 桃子「大好きっす」 京太郎「そうだよな、大好…えっ?」 桃子「もう一回言った方がいいっすか?私は京太郎が…」 京太郎「いい、恥ずかしいからやめてくれ!」カアァ 桃子「照れてるっすか、京太郎?」カァァ… 京太郎「と、東横さんだって顔が赤いぞ!」カァァ 桃子「そ、そんなことないっすよ」真っ赤 桃子「……」 京太郎「……」 桃子「…私は本気っすよ」 京太郎「…理由を聞いていいかな?」 桃子「私が見えて優しくて家事万能で…何より私が見える。駄目な理由がないっすよ」 京太郎「…俺は岩手に行くんだぞ?」 桃子「かまわないっす。言っておかないと後悔するような気がしたんっすよ」 京太郎「……そうかなら俺も言わないとな」 京太郎「ごめんなさい。俺は東横さんの気持ちに応えられない」 桃子「理由を聞いていいっすか?」 京太郎「…一番の理由は東横さんに俺は話さないといけない事を話してないから。二番目の理由は俺は岩手に行くから」 桃子「一番目の理由はわかるっすけど二番目は納得いかないっすよ?」 京太郎「…だって寂しいだろ。たまにしか会えなくてメールとか嫌じゃないか」 桃子「えっ?」 京太郎「だから…」 桃子「いやいいっす…京太郎の恋愛感が中学で止まってる事がよくわかったす」 京太郎「ね、年齢=彼女居ない歴とか言うな!」 桃子「はいはい…今日は最後の思い出を作りに行くっすよ」 京太郎「思い出?」 桃子「そう…」 桃子「……と言っても膝枕なんっすけどね」 京太郎「膝枕?」 桃子「ほら、行くっすよ」 ギュ…手を握り 京太郎「ち、ちょっ!」 桃子「すぐそこっすからはやく!」 ーーーー 桃子「一度はやってみたかったんすよ」木陰のベンチに寄りかかっている 京太郎「そうなんですか?」桃子の膝にあたまを置いて桃子を見上げている 桃子「そうっすよ。人並みの恋愛なんてできないって思ってたからっすね」 京太郎「……」 桃子「だから京太郎に出逢えた事は感謝っす」 京太郎「……」 桃子「…なんで謝らないっすか?」 京太郎「いや、なんか謝ったらいけない気がしたから」 桃子「やっぱり京太郎は変わってるっすよ」 京太郎「よく言われるよ」 数分後 京太郎「……zzz 」 桃子「本当に寝るとは…恐るべきっすね、膝まくら…」 桃子行動安価&能力判定 桃子「本当にありがとうっすよ」 チュ… 桃子「あー…離れたくないっす。せっかく私の事が見えてかつ万能人間なのに。神様は優しくないっすよ」 桃子「でもまあ…京太郎が岩手に言ってもなんとなく会える気がするからいいんすけどね」 夜 京太郎「……東横…いや、モモには悪い事をしたな。あんな立派なおもちを持ってて俺に好きって言ってくれる子なんてもういないんだろうな…はぁ…」 カピー「パカパカ(なんだまだ刺されてなかったのか?」 京太郎「なんで俺が刺されるんだよ!」 カピー「パカパカ(女には刺されないけどな世の中の男の大半が主を恨んでるぞ」 京太郎「そんなことあるかよ」 カピー「パカパカ(知らぬが仏だ…美少女、美幼女、美女からもてたら嫉妬されるだろうて。今日はどうする?」 カピー「パカパカ(いつもいつもどこからこんな物騒な物を拾ってくるんだ」 京太郎「パカパカ(いやまあ、落ちてたから仕方ない)」 カピー「パカパカ(仕方ないね……まあ、とりあえず説明はしておく。こっちの柄は……とりあえず刀身を手に入れてこい。話はそれからだ。御守りに関しては一度だけ判定をなかった事にしてくれるぞ。強化された儀水鏡の劣化だな」 京太郎「なあカピー、前から剣や刀身を拾ってこいって言うけどそれって落ちてたらダメなやつだろ」 カピー「パカパカ(いまさらつまらない事を気にするな。儀礼品が落ちてる時点で言いっこなしだ」 京太郎「……それもそうなんだが」 木曜日 朝 京太郎「……昨日までが激動すぎて学校に行かなくて良い事実を忘れていた」 京太郎「最近なんかずっとカピーと話してる気がする」 カピー「パカパカ(ならくるなよ、私も忙しいんだ。京都の狸の所にも行かないと行けないしな」 京太郎「…どうやっていくんだ?」 カピー「パカパカ(きいていいのか?」 京太郎「結構です」 カピー「パカパカ(…なあ主、現代にまだ天神ていたのか?」 京太郎「なんだそれ?俺に難しい事を聞かないでくれよ」 カピー「パカパカ(そうだな…とりあえず主の槍を強化しようと思うんだが…」 京太郎「どうかしたのか?」 カピー「パカパカ(ぶっちゃけると強化で伸びる幅があまりない。成長させようにも器も欠片も足りない…今回は性能だけだな。」 京太郎「性能か…なら…」 京太郎「ならもっと使いやすくしてくれ」 カピー「パカパカ(デメリットをなくせばよかっただろ?」 京太郎「いやだって使いやすくなったらデメリットも下がるからな」 カピー「パカパカ(…ああ、新しくなってから槍の性能を見ずに強化の依頼にきたな。まあいい、今回は使いやすくだな。」 京太郎「ああ、それで頼む」 カピー「パカパカ(任された」 昼1 京太郎「…カピーも出かけたしどうしたものか」 デパートの帰り道 チンピラ「おい姉ちゃん、いいじゃねえか!」 美穂子「結構です、用事がありますので」 京太郎「……あれって福路さん?」 チンピラ「…下手に出てたらつけやがりやがって!黙ってついてこればいいんだよ!」拳を振り上げる 美穂子「ひっ…!」 バシ…腕が掴まれる。 京太郎「あの、俺の彼女になにしてるんすか?」 チンピラ「はっ?」 京太郎「だから俺の彼女になにをしようとしたんだ?」 ギリ…掴んでいる力で音がなる チンピラ「お、お前はなんなんだ!俺が何をしたっていうんだ!」 京太郎「……黙れクズ」 スッ…腕を離し チンピラ「お、覚えてろよ!」 ダダダタ…走り去っていく。 京太郎「あの、大丈夫ですか?」 美穂子「えっ、…あっ、須賀君?」カァァ… 京太郎「ええ、須賀京太郎ですよ」 ーーーーーーーーー 公園 美穂子「さっきはありがとうございました」ペコリ 京太郎「知り合いが困ってたらた当たり前ですよ」ワハハ 美穂子「この前も助けてもらったのに…」 京太郎「美人を助けるのは男の義務っすから」 美穂子「うぅ…」真っ赤になる 京太郎「そういえばお昼って食べましたか?さっきまでデパートで買い物してて昼食にサンドイッチ買ったんですよ、よかったらどうですか?」 美穂子「あ、ありがとうございます」 京太郎(……なんでだ、ものすごく気まずい) 美穂子(な、何を喋れば…)わたふた 京太郎「あ、あの、福路さんは今日は学校なかったんですか?」 美穂子「えっ?あ、私はちょっと用事があって今日は行かなかったの。そういう須賀君は?」 京太郎「俺はその…もうすぐ岩手に引っ越す事になったんで高校に行かなくてもいいんですんよ」僅かに寂しそうで 美穂子(転校が嫌なのね…だけどそれを人に言えない…いや、言わない。人に迷惑をかけたら駄目だって思ってる) 京太郎「だから今日もデパートで時間を潰してたんですよ」ワハハ 美穂子「無理しなくていいのよ」 京太郎「えっ?」 美穂子「まだ二回しかあった事がない私が言っても駄目かもしれないけど…わたしの前で頑張らななくてもいいのよ」 京太郎「な、何を…」 美穂子「須賀君がとても辛そうにしていてソレを隠すのに必死な様に私は見える」 京太郎「そ、そんな事は…」 美穂子「辛いなら辛いって言ってもいい。我慢なんてしなくでいいのよ」 ギュ…←美穂子が優しく京太郎を抱きしめる。 美穂子「…私は貴方を“迷惑”なんて思わないわ」 京太郎「………駄目ですよ、福路さん。俺勘違いしますよ?甘えてもいいんだって」 美穂子「甘えてもいいの…貴方は私を二回も助けてくれたんだから…」 京太郎「…俺、ろくでもないですよ?図々しいですよ?」 美穂子「私は控えめだから須賀君が図々しいくらいでちょうどいいかも。私は貴方を嫌わないから」 ドクン… 京太郎「…すいません、泣きます…泣き止んだらさっきみたいに戻るんで…泣かしてください」 ギュ… 美穂子「…一人じゃないからね…」 ドクン…ドクン… 京太郎「っ!…ありがとう…ございます」ボロ泣き 京太郎「すいません、濡らしてしまって…」目が真っ赤 美穂子「別に気にしてないわ…それより少しは楽になれた?」 京太郎「ええ、だいぶ楽に慣れました」 美穂子「それなら良かった」ニコ… 京太郎「あっ…うぅ…」カァァ 美穂子「これでやっと半分ね」 京太郎「えっ?」 美穂子「この間、私の眼をきれいって言ってくれた…さっきは暴漢から助けてくれた。私は二回救われた」 京太郎「そ、そんな大層な…」 美穂子「須賀君がなんて言おうと私は救われたの。だから私は貴方を助けたいし…何より私自身が貴方のチカラになりたい」カァァ… 京太郎「あ、ありがとうございます…」カァァ… 昼2 京太郎「……家に帰るのもありかもしれない」 京太郎「…帰るか…」 ーーーーーー 京太郎「…あれ…あれは…」 小蒔「ここであってますよね…はっちゃんに地図を書いてもらったとおりにきたはず…」. 京太郎「…姫様?」 小蒔「き、京太郎さま?」フルフル… バッ…ギュ! 京太郎「えっ…」 小蒔「会いたかった…本当に会いたかった」ポロポロ 京太郎「どうしたんですか!こんな所にきて…」 小蒔「京太郎様に決闘を申し込みます!!」ポロポロ 京太郎「はっ?」 小蒔「…勝ったら私のいう事を聞いてもらいます!」 家 京太郎「粗茶ですが…」 小蒔「あ、ありがとうございます…そ、それで私と戦ってくれますか?」 京太郎「あの戦わないといけない理由は?」 小蒔「京太郎様が鹿児島に来ないからです!」 京太郎「えっ?」 小蒔「私は楽しみにしてたんですよ!約束が護れるって思ったのに岩手に行くって…そしたらはっちゃんが麻雀で勝てばいいって教えてくれたから…」 京太郎「わざわざきたと…でも二人じゃ打てないんですけど」 小蒔「それなら大丈夫です!京太郎様が許可したらこのボタンを押せば…」 ポチ… 京太郎「押してしまいましたね…」 小蒔「そ、そうですね」 ピンポーン 京太郎「はーい…ああ、春さん、姫様なら中にいますよ」 春「違う…今日は援軍」 京太郎「つまり、麻雀の援軍ですか?」 春「……」頷く 京太郎「……家に高級な黒糖があるんですが退いてはくれませんか?」 春「………できない」 京太郎(今、すごく悩んだな) ーーーーーー 小蒔「あれ…はっちゃんも一緒にくるはずじゃ…」 春「尊い犠牲だった…」 京太郎(捕まったんだな…) 小蒔「でも三人だと力の制御が……」 京太郎「なら俺もスケットを呼びますよ。ちょうど上で寝てるだろうし」 春「それはだ…」 小蒔「それで四人になりますね!」 ピンポーン… 京太郎「あれ…また誰か来た」 小蒔「…この感じ…まさか!」 春(……) バタバタ… 京太郎「はーい!どなたですか?」 ガチャ… 霞「うちの姫さまが迷惑をかけてはいませんか?」 初美「うーーー!」猿轡をかまされている 京太郎「ええまあ、中にいますけど」 霞「そうですか…少しお邪魔しますね」 初美「うーーー」 ズルズル…霞が初美を引っ張って行く 霞「姫様…お覚悟はいいですか?」 小蒔「あぅ…なんでここが!」 霞「初美ちゃんが喋ってくれたわ…全く、久々に私は怒ってるのよ?」ゴゴゴゴ… 京太郎(…霞さんの後ろに何か危ないモノが見えるぞ) サッ…春が京太郎の後ろに隠れる 京太郎「春さん?」 春「撤退…あれは無理」 霞「だいたい姫様は…!」 小蒔「うぅ……」涙目 霞「それで須賀様はどうするんですか?」 京太郎「どうするとは?」 霞「姫様の決闘をうけるのか受けないかの話です」 京太郎「……」 京太郎「受けますよ。負けたら俺の貞操でもなんでも差し上げるつもりですし…」 霞「それは本当ね?」 京太郎「ええまあ、嘘はいいませんよ」 霞「姫様、絶対に勝ちますよ!」 小蒔「は、はい!」 京太郎「あっ、でも義姉さん達のどっちかを呼んできますね」 霞「…それはどうしてかしら?」 京太郎「いやだってこのメンバーで打って万に一つでも俺が一位になれなかったら命令を聞かないといけないでしょ?」 霞「勝つ自信がないの?」 京太郎「安っぽい挑発ですね。流石に貞操を賭けると言ってやる気を出した霞さん相手には石橋を叩いて渡りますよ」 霞「賢明な判断ねでも私がソレを認めると?」 京太郎「……」 京太郎「そっちがその気なら俺にだって考えがある」 霞「どんな考えかしら?」 初美「諦めも肝心ですよー」猿轡を春が外した 小蒔「あうあう…」どっちに味方をすればいいかわからず 春「美味しい…」黒糖を発見し食べている。 京太郎「確かにこのままじゃ健夜義姉さんも良子義姉さんも呼べない…最終手段を使うしかない」 霞「……」 京太郎「すぅ……助けてくだはい、霞義姉さん」 霞「なっ!」ジュッ… 初美「そうきましたか!」 春「……」ポリポリ 小蒔「…?」 霞「わ、私は…」混乱中 初美「……姫様、ここは撤退ですよー」小声 小蒔「えっ、やっと京太郎様と…」 初美「霞ちゃんに貸しを作ってた方が後々に良い事があります…例えばお菓子が高級品になったり…」 小蒔「し、仕方ないですね…今回は諦めます!」 春(……この良子義姉専用黒糖……京太郎の手作り……貰って行こう) 三人撤退 霞「…し、仕方ないです、こ、今回だけはわ、私が助けてあげます」カァァ 京太郎(な、なんだこの可愛い存在は!) 京太郎「でも皆さん帰りましたよ?」 霞「えっ…?」辺りを見回す 京太郎「……お茶でも飲みますか、霞義姉さん?」 霞「…う、うん…」カァァ 京太郎「一応、玉露なんですけどお口に合うかどうか…」 コトん 霞「あ、ありがとう」真っ赤 京太郎「…この間はまともに見送れずにすいませんでした」 霞「あ、あれは私が早すぎただけで京太郎君はなにも…」 京太郎「…それでもですよ。大切な人は見送りたいじゃないですか」 霞「あぅ…」カァァ 京太郎「それで姫様はどうして俺の所に?」 霞「初美ちゃんがけしかけたみたいで…なんだかんだであの二人が一番楽しみにしてたから」 京太郎「……そうですか」 霞「ええ…でも今日、会えただけで満足したみたいよ」 京太郎「えっ?」 霞「結局の所、私を含めた六女仙や姫様は京太郎君に会いたいだけだったから…」カァァ 京太郎「…俺は…」 霞「知ってるわ。貴方を受け入れたのは私達じゃない…だから私達は貴方に受け入れられる努力をする事にした」 京太郎「……」 霞「貴方は私を赦すと言ってくれたけど…私はそれじゃあ納得ができない。私や他の皆は貴方に求めて欲しいのよ」 京太郎「…それは…」 霞「今は無理かもしれない。でもね、私達六女仙や姫様はとくにそう…貴方にオンナとして求めてもらいたいのよ」 京太郎「…血ですか?」 霞「…それもある。それ以上に今の貴方は私達や一部の人からしたら何に変えても蠱惑的なのよ」 京太郎「今のですか…」 霞「……」 京太郎「黙秘。本当に霞義姉さんは自分を傷付けて人を護ろうとする」 霞「私はそんな…」 京太郎「知ってましたよ。八歳のあの時に鹿児島で泣きながら俺を護ろうとした事」 霞「なんでそれを…」 京太郎「見てましたから。襖の裏で」 霞「あの時の物音は貴方だったの…」 京太郎「四日前…いや、もう二度と言わないと思ってた事を今、言います。ごめんね、霞ちゃん…あの時の俺がもう少し、もう少しだけ強かったらあの時に泣かなくて良かったのに…また遊ぶって約束したのに護れなくてごめんね」 霞「っ…!」 京太郎「本当に嬉しかった…義姉さん達以外に必要にされてたんだって。だから二人の時は普通でいいんだ…家の重荷も過去の柵もなんにもないんだ…だからさ、また俺と…」 京太郎「友達になってください」 霞「……」下を向いているが涙がポタポタと落ちている 京太郎「……」 霞「きょ…京太郎なんて…嫌いよ…私がどれだけ苦しかったか…心を凍らせて今まで頑張ってきたのに…そんな事言われたら…私」大泣き 京太郎「……」 そっと立ち上がる 霞「貴方に…甘えたくなるじゃない」 ギュ… 抱きしめて 京太郎「甘えてもいいだろ…友人なんだから」 霞「うわあぁぁぁぁぁぁん」しがみついて泣く。 夕方 京太郎「霞を送っていくといったら真っ赤になって断られた…」 買い出し 京太郎「ハッシュドポテトは手作りよりも冷凍の方が美味しいんだよな…」品物を見ている 佳織「あ、あの人は…」 京太郎「義姉さん達はへんに食事に気をつける時があるからな…やっぱり一から作るか」 佳織「あ、あの!」 京太郎「はい?」 佳織「この前はありがとうございました!」頭を下げる 京太郎「…ああ、この間の人ですか。その節はどうも。あれから大丈夫でした?」 佳織「は、はい!智美ちゃん…えっと、幼馴染が一緒に帰ってくれるので大丈夫です」 京太郎「それならよかった……えーと…自己紹介してなかったよね?俺は須賀京太郎って言います」 佳織「妹尾佳織っていいます!」 京太郎「妹尾さんって麻雀を打つんですか?その袋に入ってる本って初心者用の麻雀の本ですよね?」 佳織「えっと…まだまだ初心者だけど一応、高校で麻雀部です。須賀君も麻雀打つんですか?」 京太郎「ええまあ、そこそこ打ちますよ」 佳織「そうなんだ…私もネット麻雀とかで頑張ってるだけど勝てなくて」 京太郎「ネット麻雀やってるんですか。俺も京って名前でやってますよ」ワハハ 佳織「えっ?」 京太郎「えっ?どうかしました?」 佳織「須賀君ってあの京さんなの?」 京太郎「どの京さんかはわかりませんがたぶんその京さんです」 佳織「…わ、私に麻雀を教えてください!」 京太郎「…とりあえず場所を移しませんか?一応ここ、スーパーですし」 佳織「えっ、あっ、はい!」 ーーーーーーー 公園 京太郎「先に言っておくと俺はもうすぐ岩手に引っ越すから妹尾さんに麻雀は教えれないんだ…」 佳織「そうなんですか」ショボーン 京太郎「でも妹尾さんの助けになる物はあげれますよ」 佳織「助けになる物?」 京太郎「そう、たぶんそれを手に入れてきちんと使ったら麻雀力は上がります」 佳織「そ、それはなんですか?」 京太郎「俺の義…げぶん、小鍛冶健夜プロが書いた本です」 佳織「本?」 京太郎「大丈夫、あの本はそこらへんの出来損ないの本とは違います。ただ書いてる事を読めば大丈夫です」 佳織「そ、そうなんですか!」キラキラ 京太郎「ええ、俺のお古しか見たことはないですがあの本のおかげで俺は強くなれました!」 佳織「そんなに凄い本を貰って大丈夫なんですか?」 京太郎「妹尾さんが強くなれるなりそれでいいですよ」 佳織「あっ、ありがとう…」カァァ 京太郎「俺の家はすぐそこですが…どうしますか?後日、渡してもいいですけど」 佳織「……」 佳織「ごめんなさい、私もう帰らないといけなくて…今週一杯忙しいし…、そうだ!ちょっと待ってね」 カキカキ…ビリ 佳織「これ私のメルアドと住所です!良かったらここに本を送って下さい!それとは別にメールもしてくれると嬉しいかな…それじゃぁ!」 京太郎「……あの人は強くなる気がする。牌に愛されてるとか以前に幸運に愛されてるような…そんな気がする」 夜 京太郎「…今日も激動の一日だった」 カピー「パカパカ(今日一日で二人落としたのか……最早弁明の余地はないな」 京太郎「えっ、俺は誰も落としてないぞ?」 カピー「パカパカ(…本当にたちがわるいな」 カピー「パカパカ(…この短期間でまた成長させれるほどにしたのか。もはやその成長力に脱帽する。若木が木になるか…実ができたら大切にしろ。その実は絆の証であり新たな力を生むからな」 京太郎「中二病になってしまったのかカピー…」 カピー「パカパカ(違うわ!」 ♪~ 京太郎「あれ誰かからメールが着てる」 From 原村和 明日のお昼頃によければでかけませんか? 京太郎「和からの誘いのメールか…どうしたものか」 京太郎「折角誘って貰ったんだし行くか。とりあえず返信してっと…」 ♪~ From 原村和 よかった、それなら明日の昼前に駅前で会いましょう。 京太郎「了解っと…さて寝るか」 ーーーーーー 和「明日はどれを着ていけば…京太郎君が褒めてくれるかな…」カァァ…
https://w.atwiki.jp/sangamaki/pages/49.html
. 「カン!」 「もいっこカン!」 「またカン!」 「またまたカン!」 「ツモ!」 マホ「48000の責任払いですっ!」 桜子「ロンだあああああああ!」 桜子「24300!」 優希「ロン、36000だじぇ!」 優希「これでトビだな!」 泉「あ……あ……」カタカタ 泉「ただいま…………」 京太郎「おかえりー」 京太郎「飯と風呂どっちにする?」 泉「ご飯で」 京太郎「じゃあ温めるからちょっと待っててな」 泉「うん……」 泉「…………」モグモグ 京太郎「…………」モグモグ 泉「見とった?」 京太郎「今日の試合か?」 泉「」コクッ 京太郎「見てたよ」 泉「…………酷かったやろ、あんなに振り込んでもうて」 泉「負けてしもうて」 泉「かっこ悪かったやろ?私が働くから家のことは京太郎に頼む言うたのに、こんな……」 泉「こんなに情けなくて…………」グスッ 京太郎「…………」ガタッ 泉「ぅぅ……」ポロポロ 京太郎「俺は、そんなこと無いと思うぜ」ギュッ 京太郎「俺は泉が頑張ってるのを知ってる、だからかっこ悪い、とか情けないとか思わない」 京太郎「いつも感謝してるんだよ、泉には」 京太郎「感謝してもしきれないくらいにな」ギュッ 泉「京太郎……」 京太郎「俺は泉の味方だ」 京太郎「何があったって側にいる、いつだって慰めるし励ます」 京太郎「だから元気出してくれないか?」 泉「…………うん」 泉「元気出たわ!」ガタッ 京太郎「うおっ!急に立つなよ!」 泉「あはは、ごめんごめん」 泉「京太郎!」 京太郎「ん?」 泉「いつもおおきに!」ニコッ 京太郎「へへっ、こちらこそだ!」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6240.html
まとめ 設定 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27(完) 小ネタ 小ネタ1 小ネタ2 小ネタ3 小ネタ4 小ネタ5 小ネタ6 小ネタ7 小ネタ8 小ネタ9 小ネタ10 小ネタ11 小ネタ12 小ネタ13 小ネタ14 小ネタ15 小ネタ16 小ネタ17 小ネタ18 小ネタ19 小ネタ20 小ネタ21 小ネタ22 小ネタ23 小ネタ24 小ネタ25 小ネタ26 小ネタ27 小ネタ28 小ネタ29 小ネタ30 小ネタ31 小ネタ32 小ネタ33 小ネタ34 小ネタ35 小ネタ36 小ネタ37 小ネタ38 小ネタ39 小ネタ40 小ネタ41 小ネタ42 小ネタ43 小ネタ44 小ネタ45 本スレ 【安価スレ】京太郎「姉さんがたちがどうしたんだ?」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1381620491/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」良子「part2」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382018297/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」健夜「Part3」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382302741/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」咏「Part4」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382684136/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」大沼「Part5」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382881541/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」靖子「Part6」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383048795/ 【安価】京太郎「義姉さんたちがどうしたんだ?」霞「Part7」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383175497/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」久「Part8」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383478691/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」桃子「Part9」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383742794/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」豊音「Part10」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384007103/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」塞「Part11」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384250526/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」白望「Part12」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384433583/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」エイスリン「Part13」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384689898/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」胡桃「Part14」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385025069/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」理沙「Part15」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385274799/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」慧宇「part16」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385457438/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」洋榎「Part17」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385904851/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」絹恵「Part18」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1386538214/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」雅枝「Part19」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387281996/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」智葉「Part20」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387870974/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」マホ「Part21」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388480626/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」爽「Part22」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388843742/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」宥「Part23」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389272556/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」玄「Part24」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389755923/ 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」ネリー「Part25」 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1390307705/