約 969,243 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3366.html
久「へえー、胸を触った女の子と同じ打ち方が出来るようになったんだ」 京太郎「はい」 和「そんなオカルトありえません」 咲「京ちゃんったら、どうせ女の子の胸が触りたいだけでしょ」 まこ「サイテーじゃな」 優希「まるで盛った犬だじぇ」 京太郎「(何とでもいえ、俺はどうしても和の胸が揉みたいんだ・・・!!)」 久「いいわ。私の胸を触ってみなさい」 咲「部長!?」 久「でも、もしその話が嘘だったら・・・わかるわね?」 京太郎「(良くて退部、悪くて退学か・・・分の悪い賭けだな。だが、それでも俺は――)」 京太郎「(和の胸を触りたい!)では、失礼します」 久「えっと、服の上からでもいいのかしら?」 京太郎「問題ありません」サワ 久「ん・・・///」 京太郎「(うわ、部長の胸やわらけぇー・・・!!」 一同「・・・」冷たい視線 最終局 咲「やっぱり嘘だったみたいだね」 和「だから言ったじゃないですか、そんなオカルトありえませんって」 まこ「地獄単騎を狙っているみたいじゃが、全然来んみたいじゃしな」 優希「退学する覚悟は出来たか?」 京太郎「(くそ、ここで地獄単騎を成功させなければ俺は退学・・・。それ以前に、和の胸を揉むことは出来ない)」 京太郎「(ここまでなのか、俺は・・・!! 所詮俺は麻雀部にいらない雑用で雑魚キャラなのか!?)」 京太郎「(それでもいい!! だけどそれでも俺は男として、和の胸が揉みたい・・・!!)」カッ 京太郎「どれ、俺が起家か。いいスタートがきれそうだ」カチャカチャ 和「親の順番なんて関係ありません」カチャカチャ 優希「そんなことないじぇ!親は最初にやるのが一番だじぇ!」カチャカチャ 咲(どうなるんだろう…)カチャカチャ ━━━━━━━━━━━━…… 東一局 4巡目 京太郎(おぉ、もうテンパイだ!ここはドラの一萬を切ってメンタンピンだ!)カチャ 京太郎(…いや、まてよ。一応今俺は部長の能力をコピーしていることになってる。あえて八ピンを残して単騎待ちにしてみるか…) 京太郎「リーチ!」 和「(ここでリーチ…!ここはおりたいけれど安牌が無い…。ドラ周辺を捨ててるからドラ待ちは無いはず…)」タン 京太郎「それだ!」 一同「!?」 京太郎「来いッ!!」バッ、パシッ、バンッ 一同「ッ!?」 京太郎「・・・ツモ。ツモだ!!」 まこ「嘘じゃろ・・・。既に場に3個でている牌を待っていたのか」 咲「それに今の無駄に洗練された無駄なツモり方。間違いなく部長の動き・・・!!」 優希「ありえないじぇ・・・」 京太郎「(まさか、本当に来るなんて・・・)」 久「咲、今日部活が終わったら部室に残りなさい。で、須賀君」 京太郎「な、なんでしょう?」 久「最終局に一回だけじゃ偶然の可能性もあるわ。もう一局打ってくれる?」 京太郎「(確かに偶然かもしれない。今度は再現できないかもしれない、なら・・・)」 京太郎「実は部長、この能力は触った直後の一局だけしか効果ないんです。だからもう一回触らせてもらってもいいですか?」 京太郎「(最後に一回部長の胸を触っておこう)」サワサワ 久「ん・・・///」 一同「・・・」冷たい視線 京太郎「来いッ」バッ、パシッ、バンッ 咲「嘘・・・」 和「そんなことが・・・」 優希「ありえないじぇ」 まこ「これはどうしたことかのう・・・」 久「今度は最初から・・・。しかも三連続。どうやら本当のようね」 京太郎「(ま、まさか本当にそんな力が俺に?)」ワキワキ 京太郎「(胸を触った女の子の能力をコピーする。それが、俺の能力!!)」 久「これなら須賀君も個人戦良い所までいくんじゃないかしら。私達の胸を触らせてあげれば」 まこ「私達って、もしやわしらも入ってるのか?」 久「当然じゃない。一局ごとに打ち方が変わる打ち手なんて攻略方法見付けられると思う?」 まこ「いや、それはそうじゃが・・・」 和「わ、私は絶対いやですよ! 大体そんなオカルトがあるはずないんですっ!」 咲「べ、別に私は構わないけど・・・」 和「宮永さん!?」 久「決まりね。じゃあ、和は須賀君が個人戦一位で全国大会まで行けたら触らせてあげるのはどう?」 和「え?」 久「あの須賀君が龍門渕を倒して個人戦一位よ? 考えられる?」 和「それは、出来ませんが・・・」 一同「うんうん」 京太郎「みんなひでぇ・・・」 久「だから、もし個人戦一位になったら触らせてあげるってことで。もしあなたがオカルトを信じていないのなら、ね」 和「・・・わかりました。そんなオカルト、絶対ありえませんから」 男子個人戦 一回戦 まこ「うぅ・・・///」 京太郎「なんかこんな牌の並び方みた事ある気がする」 京太郎「よし、やっぱりそうだ、ツモ!」 二回戦 咲「んん・・・くすぐったいよ京ちゃん///」 京太郎「ツモ、嶺上開花」ゴッ 三回戦 京太郎「あれ、咲のままで余裕なんじゃね?」 優希「おい待て、犬ぅ!!」 京太郎「カン、カン、カンッ!! ツモ、嶺上開花!!」ゴゴッ 咲「触った直後にしか効果ないんじゃなかっけ」 久「能力が進化してきてるのかしらねー。さて、そろそろ龍門渕のエースと当たるわよ」 最終戦 ハギヨシ「よろしくお願いします」 京太郎「ああ、よろしく。(咲の能力があれば余裕だな)」 ハギヨシ「ロンです」 京太郎「くっ(段々咲の能力が弱くなってきている・・・。試合前に触っておくべきだったか)」 アナウンサー「休憩時間です!」 長野試合会場 照「(ついにここまで来た)」 照「(前に咲が来た時は女の子の日で調子が悪くて全然話せなかった。)」 照「(母さんから聞いた話だと咲もまた麻雀を始めたようだし、今こそあの時のすれ違いの修復をするんだ)」 照「(で、待合室はどこだ? っていうか今私はどこに居るんだ?)」 京太郎「くそ、咲の奴こんな時に迷子だなんて・・・」ダダダダッ 照「(ん、今の声は・・・)」 京太郎「お、うわっ・・・」ドンッ 照「きゃあっ!!」バタリ 京太郎「わ、悪い、急いでて・・・あ」サワ 照「!! ど、どけ! この変態!!」 京太郎「す、すみませんって・・・照さん?」 照「その声は京ちゃん?」 アナウンス「清澄高校、須賀京太郎君。至急会場に戻る様に」 京太郎「くそ、すみません。俺もう行きます」ダダダダッ 照「え、あ・・・。待合室の場所、教えてもらえなかった」シュン アナウンサー「では最終局スタートです」 京太郎「(くそ、咲の能力をコピーできなかった。もう終わりだ・・・)」ピカアァン 京太郎「(ふーん。こいつこういう能力があるのか。くそ、やっぱり勝てねえ・・・)」 京太郎「(一体どうすればいいんだ)」ギュルルルッ 京太郎「(くそ、咲じゃなくて違う女の子の胸を揉んで置けばよかった)」ガッ 京太郎「(あれ、そういえばさっき・・・)」ドゴォ ギュオオオン アナウンサー「つ、ツモ! 国士無双・・・逆転です!」 かつ丼「ふ、久々に見たよあれほど牌に愛された人間を」 久「個人戦一位おめでとう、須賀君」 優希「犬にしてはよくやったじぇ」 まこ「わしらのおかげじゃな」 咲「すごいよ、京ちゃん。最後まるでおねえちゃんみたいだったよ」 京太郎「ありがとう、みんな。それで、その、和?」 和「・・・。約束は、約束です。どうぞ」涙目 京太郎「では」サワサワ バタリ 咲「京ちゃん!?」 まこ「ど、どうしたんじゃ!?」 優希「・・・し、死んでるじぇ」 久「・・・能力をコピーするのには肉体的にかなり消耗することのようね」 久「だけど、彼はそれでも和の胸に触りたかった。その一念でここまで来たのよ」 咲「京ちゃん、最低だけど漢だよ」 優希「ああ、漢だじぇ」 まこ「漢じゃな」 和「漢です」 京太郎「(我が人生に一片の悔いなし・・・!!)」 終わり
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5721.html
3 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 22 41 43.35 ID GSC5vTmko [3/10] 【須賀京太郎】 <アイドルランク>(ファン人数) Dランクアイドル(10000~100000) <容姿> S(70) <雀力> C(40) <歌唱力> C(47) <演技力> B(50) <特技> タコス作り <担当> 清水谷竜華(プロデューサー) 花田煌(マネージャー) 竹井久(事務員見習い) 龍門渕透華(スポンサー) 福路美穂子(家政婦) 瑞原はやり(総合トレーナー) 弘世菫(麻雀トレーナー) 松実宥(メイク 容姿トレーナー) 雀明華(歌唱力トレーナー) 石戸霞(演技力トレーナー) <アイドル経歴> 雑誌特集 パンフレット サイン会 ドラマ主演 いい○も出演 CM出演 仮面ライダー 主演 アニメ 主要キャスト起用 |. G | F | E | . D |. C | . B |. A | . S | SS |SSS―――┼―――――――――――――――――――――――――容姿 |llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll雀力 |llllllllllllllllllllllllllllllllllllllll歌唱力|llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll演技力|llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll <須賀京太郎のファン> 宮永照 宮永咲 蒲原智美 愛宕洋榎 愛宕絹恵 江口セーラ 鹿倉胡桃 染谷まこ 片岡優希 原村和 国広一 深堀純代 藤田靖子 滝見春 池田華菜 久保貴子 25 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 23 55 13.26 ID GSC5vTmko [10/10] 前スレ1000たまげたなぁ SSになれば充分ありえる話だし、じゃけんこのスレで容姿SSにしましょうね~ 【前スレ埋めネタの続き 第三回ポンコツ会議】 <<京太郎の昨晩のオカズ(性的な)を回答する>> 正解したものには京太郎のパンツが送られるという特典 果たして、正解するのは一体誰なのか――!? 咲「……」カキカキ 照「……」スラスラ 和「……くっ」 菫「……」フフフ \ジリリリリリリ/ はやり「時間でーす☆」 久「それじゃあボードをオープン!」 四人「……」 サッ!! 咲のボード「宮永咲 (お尻攻め)」 照のボード「須賀照(旧姓:宮永照)」 和のボード「石戸さん」 菫のボード「私」 久「ぶふっ!?」 はやり「わぁ……」ドンビキ \エー!?/ \ドウイウコッチャー!/ 久「えと、和以外は全員自分の名前ね」 三人「……」コクッ 久「逆に和はどうして?」 和「プライドよりも目の前のパンツです」キリッ 久「逞しくなったわね、私嬉しいわ……」シクシク \ノドチャーン ヤマワケダジョー/ \ノドッチニパンツハワタシマセンワ!/ 29 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/12(日) 00 02 03.98 ID mqqTjsPjo [1/5] はやり「あの、それより気になることがあるかなーって」 久「はい」 はやり「宮永さんの……」 久「何も見てないです」 はやり「でも」 久「何も、見てません」 咲「京ちゃんを信じてます」ドヤッ 照「やるね、咲。自分の魅力を分かってる」フフフ 菫「侮り難いな」ニヤリ 和「なんでこんなに自信満々なんですか?」 久「もう疲れたし、そろそろ解答発表ね」ドヨーン はやり「そうだね……」ズーン 四人「……」ドキドキ 久「それじゃあ正解はVTRで発表するわ!」 はやり「スイッチ・オン♪」カチッ TV「」ブゥゥウン 四人「!!」 コンマ一桁安価 ↓3 1~2 宮永咲 3~4 宮永照 5 原村和 6 石戸霞 7~8 弘世菫 9 竹井久 0 清水谷竜華 45 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/12(日) 00 13 12.03 ID mqqTjsPjo [2/5] ※あくまでパラレルです 【モニター】 京太郎「えぇっ!? い、いきなりなんですか!?」カァァァ 竜華「え、ええから! その、誰で……ぉ、なに……ぃ、したん!?」 京太郎「うぁっ……//」 竜華「……//」モジモジ 京太郎「……えと、昨日はその」ソワソワ 竜華「う、うん……」 京太郎「ひ、久しぶりに地元の幼馴染と電話して……」 竜華「……」 京太郎「普通に電話を切ったんですけど、その後に……なんか、その、ムラムラしちゃって」ウツムキ 竜華「そ、それで?」ドキドキ 京太郎「……そいつが、前に卓から落ちた牌を拾おうとした時の、こと思い出して……」ソワソワ 竜華「……//」 京太郎「気がつけば、その……」 竜華「ぁぅっ……」 京太郎「頭の中で……後ろからぐいぐいとヤっちゃいました。そりゃもうパンパンと……」 竜華「ぐっ、ぐいぐいっ……? パンパンって……//」カァァッ 京太郎「俺、人として……大切な何かを、失った気がします」トオイメ 竜華「きょ、京太郎君はその……//」モジモジ 京太郎「はい?」 竜華「お、お尻が、好きなん?」クイッ プリッ 竜華「う、うちやって……できるんよ?」フリフリ 京太郎「」ブチッ ウォォォォォ!! \ソコマデヨ!/ \オチツクンジャ!/ デキヌゥッ!! \チェンジビートル/ \キャストオフ!/ ウワァァァァ! \ウンメイノー/ ~~~~ブツンッ~~~~ 咲「」 三人「」 久「えぇっ……?」 はやり「これマジ……?」 46 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/12(日) 00 19 45.66 ID mqqTjsPjo [3/5] 咲「きょ、京ちゃんが私で……//」カァァァッ _........----......._ ,. ´ ` 、 / 、 ' , 、 ヽ / / / | | ∧ .' ' / / , イ | } | | ∧ , | / /l / / } , .イ / } } ! . | | / { _/_}ム/ / /、_| _/ / / | . { / | ィ´}//イ /} / / }/`ヽ イ ' 〉, , { | ,ィ斧汽 /´ ィ斧汽、} / |\ | {八 { \ {とヒこソ ヒこソっ イ | \} | 乂ム . . . . . . .、 . . . ムイl / 从{∧ _ _ 人 ∧{ |/ > ../^} /⌒l、` .イ } ./ リ ___/-'-'-- 、/〉「-、/ ' ,.. < {======ミ`ヽ|〉 ` ...._ /⌒\\ /`ヽ ∨, { >-、 {==、 { \/ 〈7 ー、{ ̄| //,ィ^. , \Ⅵ / | , /イ . ./ ∧ { `| 、 |_/= ´イ . . ,イ / } | Ⅳ \ | ̄´ . . . /= }イ | | / } /-r ´ | ∧ , | /__」 , | { , / | , .| . | { L∧ / / / . | . .. | | 、 ' / . . .| . . | | | \ }|. . . | . . ., | | \ / | . . .Ⅵ . .} , | | ` ー ´| . . . | . . . .マ . .| { | / , . . | . . . . .} . .| | | Ⅳ , . ∧ . . . . . / ∨ | 照「」 和「」 菫「」 久「これはなんとも言えない結末になったわね」 はやり「ぶっちゃけありえないと思うな☆」 久「でも、勝ちは勝ちよ。優勝おめでとう咲」ニッコリ 咲「あぅぅっ……//」モジモジ 照「こんなのおかしくないかな? かな?」アハハハ 和「ここはどこじゃ? わっちは賢狼でありんす」ブツブツ 菫「」ジョロジョロジョロ 久「他のメンバーはダウンしてるし、このままお開きでいいわね」 はやり「はい、優勝賞品だよ♪」 京太郎パンツ「」ホカホカ 咲「……」モゾモゾ シュルシュルッ 咲(E:京パン)「はふぅ……」ホンワカー 久「咲、それで麻雀打てば無敵なんじゃない?」 咲「そんな気がします」ゴゴゴゴッ 55 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/12(日) 00 30 31.71 ID mqqTjsPjo [4/5] 久「ということで、第三回ポンコツ会議は終了よ!」 はやり「みんな、お疲れ様♪」 照「」 和「」 菫「」 久「それじゃあ、また次回の会議でね!」 はやり「次のぽんこつは誰かな?」 ,. ―――-- 、 / ヽ、 .' ヽ / , { | , l | } , .' .| | /_j _/ .! |-/、 . { | |イ} } /}/| /}/ } ハ | {、 . | 、 从ィ斧 / イ斧Y { | ヾ} |∧ r从 { Vり Vリ |∧{ Ⅵ、 \ . . . ' . 八 リ ヽ}`ー、 ` ´ イ 从}≧=-- く ,-r―--イ} | 〉--―、 、 / {、 、 〈___/ /イ ヾ {- 乂\ 、 { / イ/ /- 、 , | Ⅵ\ > ∨-< _// Ⅵ | / ¨「__7 ̄´ { / イ | | { / ∧ / / | | 八 / ∧ , /_-'」 | Ⅵ_ _/ 〉 / , 咲「(京ちゃん。いつかきっと――)」クスッ こうして波乱の第三回ポンコツ会議は幕を閉じた 果たして、次に優勝するのは一体誰なのか――? そして―― ?「ふーん、テルー達がやられたんだ」アワイーン ??「所詮ぽんこつやからなぁ……」リュウカーン ?「あら、面白そうなことやってるじゃない……」カスミーン ?「そもそも私はもうポンコツじゃありませんから」ノドカーン ??「わしはもう――アイツのことはなんとも思っとらん」マコーン ポンコーズと敵対する謎の集団とは一体!? 次回埋めネタ――かもしれない? 【第一回シリアス会議】 ご期待ください 90 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 00 03 13.29 ID m1zEcBfNo [1/8] 【学校 京太郎の教室】 ガヤガヤガヤッ キャー! キョウタロウキュンカッコイイ ハナシカケヨウカナァ ムリダッテー 京太郎「ふぅー、久しぶりの学校だってのに」ゼーゼー 淡「大丈夫?」ナデナデ 京太郎「アァ、ナントカナァ……」 ヒソヒソ マタオオホシサンバッカリ ズルーイ キョウダイノクセニー 淡「お兄ちゃん頑張ってるのに、みんなで邪魔して……」ギロリ ゴゴゴゴゴ 一同「!」ビクッ シーン 淡「……」ユラァ ポンッ 京太郎「よせっての、俺は平気だから」ニコッ ____ ,. ´ __ `¨¨ヽ ,  ̄` / ヽ `ヽ / _ , ∨ 、 . / /,´ / | ヽ . / //' ' / ' / l| | ∨ l// / , / ' l| | | | | | | | | _/ ィ / { l |__|_{ |∧ }/ ' / l | ∧  ̄ {〃 Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧} / , 从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | ' / イ从 l ム Vり ム' ノ/}' ´ \∧ ' ,r ' / 、 v ァ / 从/ \ `こ イ _|、 ` r ´ //∧ /| /////∧ 「 | //////////> 、 , </∧ / {///////////////> 、 , </////// ∨__∨//////////////////>、 淡「っ!」ドキッ その他女子「」キュンッ キャー! カッコィィィィ! ダイテェェン! アァァァン! 京太郎「しっかし……アイドルは大変だな」 嫁助「全く、長野の嫁さんも心配してるぞ」アハハ 京太郎「……」 嫁助「ん?」 京太郎「そういやお前っていつからこっちに来たんだ?」 嫁助「……」 京太郎「……」 淡「がるるるるっ!」フーッフーッ 周囲女子「ぐぬぬっ……」ビクビク 94 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 00 20 08.05 ID m1zEcBfNo [2/8] キーンコーンカーンコーン 先生「それじゃあ今日はここまで。須賀君は、その……私と居残りを……//」モジモジ ガタガタガタッ A子「お、お兄↑様ァァァ!! 私と一緒に帰り――」ピョイン ドゴォッ!! X子「その、私と一緒に帰りませ――」ペターン ドグシャッ! W子「まぁ、一緒に帰ってあげてもいいですけど」プルンッ ドドドドッ モブ女子「「「「「「京太郎くぅぅぅぅん♪」」」」」」」 淡「……」ギリギリギリ 京太郎「いいって」サッ 淡「あっ……」 京太郎「ごめん! この後、仕事があるんだ!」ペコリ 一同「!!」 京太郎「また今度、一緒に帰ろうぜ!」ニコッ モブ女子勢「は、はいっ……♪」ポワーン 京太郎「じゃあなー!」タタタッ 淡「あ、タロー!」 モブ女子勢「ほへー」ポワポワー ~~~~~ 【校門前】 京太郎「さぁて、急げ急げー!」」タタタッ 煌「あ、京太郎君!」 京太郎「煌さん!」キキーッ 煌「今日はナンジャの収録だったかな?」 京太郎「はい! 和と待ち合わせしてるんです」ニカッ 煌「今日は私は同伴しませんけど、大丈夫ですか?」 京太郎「うーん、和もいるし大丈夫だと思います」 煌「ふふっ、色々と学べるといいですね」クスクス 京太郎「勿論ですよ!」メラメラ 大御所声優の代役なんだ 少しの妥協も許されちゃいけない 96 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 00 36 19.73 ID m1zEcBfNo [3/8] 煌「うん、その意気!」 京太郎「それじゃあ行ってきます!」 煌「あ、ちょっと待って!」ギュッ 京太郎「えっ……?」 ギュゥゥゥ 煌「……んふっ♪」 京太郎「手なんか掴んでどうしたんですか?」キョトン 煌「元気になるおまじない、かな?」ニコッ 京太郎「……はいっ! 元気になりました!」パァァ 煌「(本当は私が元気になるおまじないなんだけど……)」テヘヘ 京太郎「おわっと、いけねっ! 遅刻するので行ってきます!」タタタッ 煌「頑張ってねー!」ブンブンッ タタタタタタタタッ ~~~~ 【スタジオ近くの公園】 京太郎「はぁ、はぁ……。ここか……」 予定10分近く遅れちまった 和の奴、怒ってないかな……? 京太郎「和は……」キョロキョロ 和「……」 京太郎「お、いたいた! おーい! のど――」タタッ , '" `丶、 ㏍㌻ rzzzz-ミヽ㏍⌒ヽ ´ | ㏍ ノ / / i Vk㏍㏍㏍㏍㏍ \ ' i l i i i 」i ㏍㏍㏍k/ ; i i i |i -i 圦__彡㏍ . ∨〈 i i i i八 i | 小| i . ノ i i i i /㏍' V ハ | i i i |if弐ミ | { 坏弐ミト i i i/ | i | i 圦|i { ハ \ { 心Vi i/ /l L」 ㏍k ミトVツ 乂_ ツ 丁-㏍| | l i| 、 丁 ̄` | | 八 rァ′ | | i i\ ‘` _i_r‐‐r | ,.r ' ¨¨'''ヽ......| i i i i i\ _ . r'´ _l,亠、Y´`ヽ |. ,イ __ .ゝ-、 i i i i i ` T ´ 〉/ __ \/ヽ |. ,' r'´ `ヽ. } i i i i i ‐‐-/ ' . | く..|./ i/ .', 、. \} |. i '、 .ヽ/ i i i i i ._/ヽ .|_,}./ l . i ヘ. ヽ | ハ .', / i i i i i|`´l .|V/-‐-'"¨T ' ヽ,l V L ゝ, ゝ -{ i i i i i| ‐.l .|.Lゝ-〉 ヽ、イヽヘ | `i __. `¨ヽi i i i i|r‐/ |.マニ/ V‐' 〉.|. __| r_ニ___¨' ‐---、 Vi i |にl 〉川 .| i¨f'´ |. _lノl.ゝ-、 |/ ル レ.r‐ゝ、_/.イ rノ| iニ、 '二 ゝ/| ヽ、_ ヽ ./ ゝ、イ〈-‐'`´ | i i \人. `| ゝ、 ヽi { i .i-、 ハ. ヽ i ` ̄ ¨ヽ、 ` ‐ 、. ゝ / / ゝ/¨_r-|. ', \ ¨ '‐-'、, / .| | ヽ、 __ ` 、 / i |  ̄l l´__ゝ/_ `ヽ、 / ‐- .f | 、_/ ノ´ `ヽ'´ .ゝ / -‐ | | 〉、__ / /´ ̄ ` ' ‐ 、 _./ ー-< . | | 和「迷子になっちゃったんですか? ふふ、困りましたね」ヨシヨシ 京太郎「……」ドキッ 100 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 00 52 06.23 ID m1zEcBfNo [4/8] 和「うぇっ!? す、須賀君!?」ドキッ 京太郎「和、どうかしたのか? その子犬――」 和「えと、そこで震えていたのを見つけて……」 子犬「わぅっ!」トテトテ 京太郎「ん?」 子犬「クゥゥン」スリスリ 京太郎「ははっ、こいつってば人懐っこいな」ナデナデ 和「そうですね」クスクス 京太郎「とは言っても、首輪も無いし……」キョロキョロ ダンボール箱「(拾ってください)」 京太郎「あっ……」 和「嘘……」 京太郎「捨て犬なのか……」 和「こんなに可愛いのに……」 子犬「きゅぅん」ハミハミ 京太郎「あはは、俺の足はうまくないぞ」ナデナデ 和「須賀君、どうしましょう……」オロオロ 京太郎「とは言ってもなぁ」 このまま放置すれば、誰かに拾われるかもしれない でも……その可能性はかなり低いだろう 京太郎「もう結構時間も遅いし、今日は冷える」 もしかするとこのまま―― ふと、そんな嫌な予感が頭をよぎる 和「……っ」 和もそれを察したのか、悲しげに顔を伏せる かといって、どうしようもない 京太郎「お前も……辛いなぁ」ドッコイショ 子犬「ワウ!」 京太郎「なんだぁ、お前。ちんぽこついてないのか!」 メス犬だったのか…… もしかすると、それが理由で捨てられたのかもしれないな 京太郎「……」 和「……」 沈黙が流れる 俺も和も、やるべき事は分かってる それでも、中々実行に移せない 俺は、どうすりゃいいんだろう 106 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 01 10 51.13 ID m1zEcBfNo [5/8] 京太郎「……なぁ、和」 和「須賀君」 俺の言葉を遮るように和が歩き出す その背中にはどこか暗い影が差している 和「行きましょう」 振り返らずに和が言う 京太郎「……いいのか?」 和「いいも悪いも、こんな同情してても……キリがありませんから」 京太郎「そう……だな」 和の言うことは正しい こんな同情はやれても一回だけだ これから先に何度も出会うであろう捨て犬 それら全てを救うことなんて、絶対にできないだろうから だからこれは偽善だ たった一回きりの自己満足 気になる女の前で格好つけたがってるだけのことだ でも、それでも―― 京太郎「……」ヒョイッ 子犬「くぅん?」 和「須賀君?」 京太郎「……この一回を見逃したくねぇよ」ヨシヨシ 和「だ、ダメです!」 京太郎「和……」 和「今から収録なんですよ!?」 京太郎「知ってるさ」 トコトコトコ 和「須賀君!!」 京太郎「バックに入れて、大人しくしてろよ」モゾモゾ 子犬「ワウワゥ」コクリ 和「だから、それはダメ――」 京太郎「和、まだ飼うって決めたわけじゃないからさ」 和「でも……」 京太郎「大丈夫、なんとかするって」ニィッ トテトテ 和「あ、ちょっと待ってください!」トテトテ 110 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 01 26 15.60 ID m1zEcBfNo [6/8] 和「もうっ、須賀君っ!」 京太郎「しーっ!」 和「えっ?」 京太郎「コイツ、バックの中で寝てるみたいなんだ」 バック「Zzzzz」 和「あ、ごめんなさい」ペコリ 京太郎「このまま収録終わるまで静かにしてればいいんだけどなぁ」アハハ 和「えっ!? まさかスタジオに連れていくつもりなんですか!?」 京太郎「そうだけど」 和「だ、だだだだダメですよ!」ガタガタガタガタ 京太郎「大丈夫だって」 和「う、うぅっ……どうなっても知らないですよ」 京太郎「(……本当は結構怖いんだけど)」ビクビク はぁ、和の前で格好つけたかったからって……これはやりすぎたか? でも今更引き下がるわけにもいかねぇし…… 京太郎「(どうしよう……)」ズーン こうして、一時の感情で取り返しのつかないことをしてしまった京太郎 この行いが吉となるのか、それとも凶となるのか 果たして――京太郎の声優デビューの成果はいかに!? 【一方その頃 京太郎のアパート】 ピンポーン 美穂子「はーい」 ガチャッ 咲「あ、どうも」 美穂子「あら!」 照「咲、よく来たね」ニコッ 咲「えへへ、京ちゃんの部屋にお泊りに来れるなんて嬉しいな」 照「私と京ちゃんの愛の巣にようこそ」フフフフフ 咲「もう、お姉ちゃん……」 モゾモゾモゾ 美穂子「そのバックは?」 咲「あ、そうだった。ごめんね!」 ジィィィッ カピー「きゅっ!」スポッ 照「カピー!!」キラキラキラ 美穂子「か、かわいいっ!」キュン カピー「きゅぅ……」スンスン トテトテトテ カピー「きゅいきゅい!」ピョイン 咲「京ちゃんの匂いが嗅げてよかったね」 112 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 01 30 59.96 ID m1zEcBfNo [7/8] 照「へぇ、カピーも連れてきたんだ」 咲「うん。お義母さんに無理言って」 照「ん? お義母さん? どうして咲がおばさんのことを――」 ,..-‐ .' .´ ̄ .` .ー.、 / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ / . . . . . . . . . 、..... .、 、 . .、 .. .\ / . . ... ; . . i i i ......i ...i......i... \ i . . i i.. ;i_; !-、ハ i }-トi、 i i ... ヽ | ... i |/ハ |!|;ノ | | |、ハ|`i i .. . ゙、 |. | |/;xf'‐-、 |;ノiノf==、イi ハ i . .゙、 | i | i(! b. .. i ............0 . })| i ヾiヽiー-ヽ. | ! fヽ i ゙、 `ー' 、`ー' ,!ノ | ヾ!、 ヽ ヽ!ヾ "" "" i ,、 | ヽ、 ` ー 、 ! ̄ヽフ /,ノ \i ,、 ヽiヽi、` , 、 ` ̄´ / /./ /フ r、 ヽ| ` ーイー-――ァー,-、 _ /./// ,.-,. ヾヽ. | i _,....-‐ . '〔' _/ . . . . . // ヾi |i ノ ´ ∠- '/ ,...__ヽ丶 | .! ,イ、、 . . . . . . .ト._´/ . . . . // r-、| | ´ 、 ∠.._ `ー-、`ヽ` Vヽ.,、 、\ . . . . i / . . ,;. ."イ | / ゙、 ヽ ヽ ,ィ―ー‐' ⊂二 ー' ,イ ー`ー-ヽ./-‐"-‐'ノ== レ' ヽ√i ,ノ ヽ / / .V `ー-┬'`i'ー―'´ ヽヘ ;ヘ,メ、 /〉 咲「あ、あー!! それより京ちゃんは?」アセアセ 美穂子「今日はお仕事なんですよ」ニッコリ 照「原村和と一緒」ムスッ 咲「ふーん? また和ちゃんと一緒なんだ」ジェラシィー カピー「むっ!」トテトテトテ! 咲「早く帰ってこないかなぁ、京ちゃん」 照「それより咲。さっきのお義母さんって――」 カピー「きゅぅ……」モゾモゾ 京太郎のTシャツ(INカピー)「キュゥ」ポワーン 美穂子「本当に京太郎君が好きなのね」クスッ 照「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ」 咲「あ、アハハハ……」 果たして、ペット対決の行方はいかに!? つ づ く 143 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/15(水) 19 33 42.16 ID ssBmfdOBo [2/30] 【前回までのあらすじ】 和とアニメで共演することになった京太郎 しかし、スタジオに向かう途中で捨て犬を見つけてしまう 心配そうにする和を見て京太郎はその犬を拾うことに決めるが、隠し場所はバッグの中 果たして、無事に収録を終えることができるのか!? 【アフレコスタジオ】 スタスタ 京太郎「お、おぉ……ここがスタジオなのか?」キョロキョロ 和「はい」 京太郎「ほぇ……」 ガヤガヤ ワイワイ 京太郎「す、すげぇ! あの人知ってる!」 和「しっ! ちゃんと挨拶しないと……」アセアセ 京太郎「お、おう!」タタタッ 先輩声優達「?」 京太郎「どうも! 須賀京太郎です!!」ペコリッ だいさく「あはは、よろしく」スッ おりかさん「相変わらず元気だね、須賀君」ニコッ 京太郎「あっ、折笠さんもいたんですね!」パァァッ おりかさん「うん、今日は期待してるからねー」 かゆき「ソルサキ見てるよー、面白いよ」ワイワイ つんちょ「俳優と声優は勝手が違うけど、緊張しないで頑張って」 京太郎「あ、ありがとうございます!」ペコリ ワイワイ 和「(思ったより受け入れられてますね……)」ホッ だいさく「それでマイク立ちは……」 京太郎「大丈夫です! うちの先輩達にみっちり指導を受けて来――」 ?「わんわんっ!!」 京太郎・和「!?」 ザワザワ つんちょ「わん?」 おりかさん「今、犬の鳴き声がしたような……」 京太郎「……」アセダラダラ だいさく「須賀君……? 今のは?」 144 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/15(水) 19 40 38.38 ID ssBmfdOBo [3/30] かゆき「まさか犬を――」 京太郎「」ドッキィン ま、まずい!? このままじゃ―― 和「わ、私です!!」バッ 京太郎「!?」 一同「??」 おりかさん「和ちゃんなの?」 だいさく「どうしていきなり犬の真似を……?」 つんちょ「わんわんってなんのことだい? 和「そ、それは……」タジッ 先輩達「?」 . / | . i .| . . . i| | . . . . . .|! . |i . | 、 . .゙、 、 ゙、゙、 ; イ/ i ./ | i .| . . . i .| . . .i| | . . . . . . .|! .| i . i 、 . . 、 .、 . . .! . iヽ/ . . .|/ i i | | . | .| . . . i| | . . .| ! | .. |i. | .i i ゙、 . .i.;A-‐ハ .! . . . . . . ..! ___| ! .i | . | . . .i .! . . .|!.i! l | . ! . . . . ..i . .i ゙、! _/ハ ハ/ |ィ;. .,.-‐-、! /. . . . .V/i |.| . . i i i_ |、!、 . .! i !、i . . . . . .i . .i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |' . . . . . .i . | . . . . ! i i! | .. i i . . i`iー ト-!、丶 . . . . i 、^V i_; ヽ / i . | . | . . . 、 ! i、 . .i . . . .| .i 、 .7メ'f ヾー\ . . . 、`ヾ ;;; ン ′ ノ . . ! .| . . . ヾi 、 .\ . \ .]〈 っ ; i  ̄` _,∠| | . | .|―- ヽ! .i、`゙ー-r≧ ≠ , " " / | ! . | .!//// | .| . . . . . . \! ,, ,, / i! i .i//// | .| . . .i i r== "ヽ / i . i .|//// | | . i . |\ ∨__ノ) / / . i. |//// | | . .| イ | |l`ー-..、  ̄ ̄ / / . |///// |.| . | ∧ i . !i `i ー-‐ ' ,..-‐ / . .i!///// 和「わ、ワンダフルですよ須賀君! うーん、わんこそばもう一丁!」 先輩達「……」 和「そ、そう言いたくて……//」カァァァ 京太郎「(の、和! それはあまりにも苦しすぎるぞ!?)」アセアセ だいさく「そっかー、わんこそばかー」 かゆき「うん、食べたいねー」 おりかさん「あー、お腹空いたー」 ワイノワイノ ガヤガヤ 京太郎「今のでいいのか……」 和「……//」モジモジモジ ガチャッ ナンジャ監督「皆さーん、そろそろリハ始めますよー」 一同「はーい」 ナンジャ監督「あ、須賀君。よく来てくれたね」 京太郎「は、はい!」 ナンジャ監督「これから一緒に頑張っていこう。期待してるよ」 京太郎「勿論っす!」ニッ 145 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/15(水) 19 56 10.55 ID ssBmfdOBo [4/30] ナンジャ監督「今日は須賀君の出番はそんなに無いから、今日は空気を感じていってほしい」 京太郎「分かりました」グッ 大丈夫、台本は覚えてきたし……よく読み込んだ 今までだって演技はしてきたんだ 何も問題は―― ナンジャ監督「それじゃ行きます。スタート!!」 和「――!」 京太郎「」ゾワッ! つんちょ「――」 かゆき「――」 京太郎「(な、なんだこれ――!?)」 これはただのリハーサルで、台本をの読み合わせだってのに!? 京太郎「(すげぇ……頭の中に、イメージが流れ込んでくる!?)」 今まではアニメの映像に合わせて聞いていたからか、まるで違和感を抱かなかったけど―― むしろ、違和感を覚えない方が凄いんだ!! 京太郎「(これが――声だけで生きてきた人達の仕事!!)」ゴクッ 和「(須賀君が飲まれているようですね……)」チラッ 京太郎「(ドラマで成長しただなんて思ってたけど、甘かった!)」 演技の幅は果てしなく広い それなのに俺は―― 京太郎「……」 先輩達「(飛ばしすぎたかな……?)」 ナンジャ監督「(やはり新人アイドルにいきなりは無理だったか……?)」 和「(須賀君……)」 / , / / / / | | . . . / / / ' | | | | i| | . イ ' /| /| l | | | | l| | |// / | | { ' . | | } | l| | { ' 〃 | | | | ト, /| /| /| ' ∧|/ / .' , ' Ⅵ |_'. | | | | l | ' }/ }/ / .イ `\{/ / / / / { | Ⅵ≧!、,| | 、 | _/ム斗七 / . / }' ' ,イ / | { 从 | イ { しメ∧ l Ⅵ イ { し刈 `ヽ' ' }/' / /イ Ⅵ . Ⅵ Vzり \ 、 } / Vzり }/ // | 从 | \ ∨/ , / _∨∧ . ` \ , _ノ> 、_ , <//////{/{{`∧ 、 / }}//////> 、´//////////// l| ,∧ _ ∧ ||///////////>/////////////从 { 、 _ ィ -vノ ' } /'//////////////////////////{/∧ l\ ー=≦__ , ´ /' / イ∧//////////////////////////|//∧ . \ / / /'////}///////////// 一同「!?」 京太郎「(上等っ!!)」ニィッ まだまだ俺には学ぶことがある 成長することが出来る それが分かっただけでも、収穫アリだぜ! 146 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/15(水) 20 05 03.25 ID ssBmfdOBo [5/30] 【リハーサル後】 監督「それでは10分休憩してから本番行きまーす」 ガヤガヤ 京太郎「……ふぅ」 和「ふふっ、どうでした?」 京太郎「どうもこうも……俺もまだまだだなぁって」ハァ 和「そうですか? よく出来ていたと思いますけど」 京太郎「それでも、悔しいんだよ」 和「え?」 京太郎「自分の思うように出来ないこと……お前に負けてる自分が」 和「私に、ですか?」キョトン 京太郎「……お前にだけは負けられねぇんだ」ジッ 和「っ!!」カァァァッ 京太郎「……和?」 和「な、なんでもありません……!」プイッ ジィーッ 先輩達「<●><●>」ニヤニヤ 和「なっ!?」カァァァッ だいさく「青春だねー」ニマニマ かゆき「若いね」ニマニマ おりかさん「分けて欲しい」ニマニマ 和「ち、ちがっくはないですけど……!」 ワイワイ ガヤガヤ ヒューヒュー! 京太郎「皆さん、なんで盛り上がってるんだろう?」キョトン つんちょ「君もいろいろと残念だね」ハァ 京太郎「??」 ナンジャ監督「それじゃあ、本番行こうか」 京太郎「あ、はい!」バッ 今の実力で出来ることを――やるだけだ 京太郎「よし! やるぞ!」グッ コンマ安価↓3 00~09 大失敗 ※大不評の後、ナンジャ打ち切りコース 10~29 失敗 30~59 普通 60~89 成功 90~99 大成功 ※大好評の後、プ●キュア消滅でナンジャシリーズ ゾロ目 京太郎 声優アワード新人賞 159 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/15(水) 20 21 21.55 ID ssBmfdOBo [6/30] 【本番】 ナンジャ監督「それじゃあ最後のシーン行くよー」 京太郎「はい」 和「分かりました」 ナンジャ監督「(ここは二人きりのナンジャと黒ゼロの騎士の二人きりのシーン……)」 だいさく「(来週への引きの重要なシーンだ)」 おりかさん「(二人共、頑張って――)」 ナンジャ監督「よーい! スタート!」 和「待って、黒ゼロの騎士!」 京太郎「……ナンジャ」 和「どうして、どうして私をいつも――」 京太郎「答える必要は無い」 和「そんな……」 京太郎「……」 ズォァァァァァァ!!! だいちゅう「(こ、これは――!?)」ゾクッ かゆき「(これが、新人の出すオーラなの!?)」 ナンジャ監督「……ミックスアップだ」ボソッ AD「ミックスアップ!?」 音響監督「お互いがお互いを高め合って急激に成長している……」 ナンジャ監督「だが、それだけとはどうも――」 スネーク「あの須賀京太郎という少年、まるで巨大な基礎の塊だ」 音響監督「オオツカさん!? 今日は収録じゃ――」 スネーク「たまには新人を見たくなってね。それで来てみたらこれだ」フッ AD「それで、基礎の塊というのは――?」 スネーク「何も無い平原を歩いていたら、いきなり目の前に巨大な城でも立てるのか? というような基礎工事が行われているようなもんさ」 音響監督「……確かに、彼の印象はそこいらの新人と180度違う」 スネーク「彼は幾人ものプロによってありとあらゆる演技を叩き込まれているようだ。それも、徹底的に」 和「私! 貴方を――!」 京太郎「これ以上、話すことは無い……」 和「待って!」 スネーク「彼がもし私の元に来れば、数年でこの地球上で彼に敵う声優はいなくなるだろう」 スタッフ達「(あ、あのオオツカさんがそこまで――!?)」ビクビク 166 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/15(水) 20 33 02.63 ID ssBmfdOBo [7/30] 京太郎「……」 和「……」 ナンジャ監督「はい、オッケーです」 京太郎「ふぅぅぅ、疲れた……」フラフラ 和「わ、私もなぜかいつもより――」フラフラ パチパチパチ スネーク「いやぁ、須賀君。いいもの見せてもらったよ」 京太郎「こ、この声は!? セガール!?」 スネーク「お、最初にそれが出るなんて君も若いのに珍しい」 和「お、オオツカさん!?」ビクッ スネーク「君はアクセル1の所属だったかな?」 京太郎「は、はい!」 スネーク「……どうだい? 私の元に来る気はないか?」 京太郎「え?」 スネーク「私が君を最強の声優にしてあげよう」 京太郎「……」 スネーク「数年で世界で君を知らぬ者はいなくなり、君は永遠に後世に名を残す名声優となれる」 和「す、凄い……」 京太郎「……」 スネーク「どうかな?」 京太郎「あの、折角ですけど……お断りします!」 一同「!?」 和「(す、須賀君!?)」 スネーク「……どうしてかな?} 京太郎「あ、いや! オオツカさんがダメだってわけじゃなくて……俺にはもうたくさんのコーチがいますから!」アセアセ スネーク「はぁっ!? 君は……今の師達と一緒に私の指導を受けるつもりだったのかい?」 京太郎「え? かけもちはダメなんですか? ならなおさら無理です!」 スネーク「……」ポカーン 京太郎「社長に、ひのさんに、だいちゅうさんに、すぎやまさんに、くろやさんに、てらしまさんに、霞さん……たくさん過ぎて」ゲンナリ スネーク「くくっ、あっはっはっはっ!」 京太郎「???」 スネーク「どうやら、君と私は一瞬交わるだけだったようだね」 京太郎「え?」 スネーク「君はそのまま成長しなさい。そして、思い描いた夢をつかむんだ」 京太郎「……はい!」 和「(やっぱり須賀君は凄い……差をつけられているのは、私の方――)」ズキッ 168 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/15(水) 20 45 24.42 ID ssBmfdOBo [8/30] 【帰り道】 京太郎「いやぁ、一時はどうなるかと思ったぜ……」ナデナデ 子犬「わぅっ!」 京太郎「よく大人しくできたな、賢いぞ」 賢い子犬「わぅー」パタパタ 和「……」テクテク 京太郎「……和?」 和「あ、はいっ!」 京太郎「どうした? 元気ねーけど」 和「あ、いえ! そういうわけじゃ……」 京太郎「……?」 和「ただ……私、悔しくて」ギュッ 京太郎「悔しい?」 和「須賀君がこんなに成長してるのに……私はいつまでたっても」 京太郎「……そうか? 俺は逆だけどな」 和「え?」 京太郎「焦る必要なんか無いさ。俺は変わらない和が好きだぞ」ニィッ 和「っ!」ドキッ 京太郎「それに、充分上手くなってるよ。俺が保証する」 賢い子犬「わぅっ!」 京太郎「おお、お前もそう思うか?」 賢い子犬「わぅーん」スリスリ 和「励ましてくれるんですか? ありがとう」ナデナデ 賢い子犬「くぅん」 京太郎「そういや、こいつに名前をつけてやらないとな」 和「そう言えば、まだつけてませんでしたね」 京太郎「……うーん、どうする?」 和「そうですね……」 京太郎「茶色がかった毛並みに、少し白い毛もあるな」 和「こうして見ると狼っぽくも見えますね」ジロジロ 賢い子犬「わぅ?」パタパタ 京太郎「それじゃあこいつの名前は……」 ~~~~~ 【京太郎のアパート】 咲「」グッタリ 照「チッ、最後まで吐かなかった……」 170 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/15(水) 20 54 18.02 ID ssBmfdOBo [9/30] 咲「そう言えば京ちゃんはまだかな?」 煌「収録時間は過ぎてますから、そろそろ戻ってくるかと」 ガチャッ 京太郎「ただいまー」 照「京ちゃん!」タタタッ 美穂子「お帰りなさい若!」タタタッ 京太郎「おわっ!? 照さんに……咲もいるのか!?」 トトトトトトッ カピー「きゅー!!」 京太郎「ん、お前もいるのか!?」ダキッ カピー「きゅぃきゅぃー」スリスリ 京太郎「よせ、くすぐったいだろ?」アハハ カピー「きゅーっ」クンクン ピキ-ン カピー「きゅぃっ!?」ビクッ 京太郎「ん? どうかしたか?」 トテトテ 和「お、お邪魔します」オズオズ 美穂子「あら」 煌「すばらっ!」 咲「和ちゃん、その胸に抱いてるのって――」 ホロ「わぅっ!」 和「子犬のホロです」 京太郎「可愛いだろ?」 ホロ「わぅーん♪」スリスリ #∧_∧ ビキッ /● ●\ | A | _____ カピー「」ゴゴゴゴゴッ 176 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/15(水) 21 03 07.63 ID ssBmfdOBo [10/30] 照「なんか前世で会ったことあるような……」ウーン 京太郎「だよなぁ、俺もそんな気がするんですよ」 和「私は前世のような気がします」 ホロ「わぅ?」パタパタ 煌「これはどうしたのかな?」 美穂子「拾ってきたんですか?」 京太郎「実はかくかくしかじかで」 咲「ふーん(京ちゃんかっこいいよぉ……//)」モジモジ 照「でもそういうのはあまりよくない」 カピー「きゅいっ!!」クワッ 京太郎「新しい飼い主を見つけるまでだって」 美穂子「見つかるでしょうか?」 和「難しいですね」 京太郎「まぁ、見つけられなかったら俺が飼うさ」 カピー「?!」 ホロ「わぅわぅ!」ペロペロ 京太郎「あはは、やめろって!」 カピー「……」トコトコトコ ホロ「わぅ?」 カピー「……きゅい?」 ホロ「わぅ! わぅわぅ!」 カピー「ぎゅいっ!!」ベシッ! ホロ「わぅっ!?」ゴロゴロ 京太郎「こ、こら! 何やってんだ!」 和「ホロ! 大丈夫!?」 カピー「ぎゅいぎゅいっ! ぎゅーいっ! ぎゅい!!」トコトコトコ! ベシベシベシッ 和「いたっ!?」 カピー「ぎゅぅぅいぃぃい!!」タックルッ! ホロ「きゃうんっ!」ドシャッ 京太郎「おい、カピー! いい加減にしろ!」 カピー「きゅっ!?」ビクッ 京太郎「そんな奴だとは思わなかったぞ……」プイッ カピー「きゅ、きゅい? きゅいきゅい!」ブンブンッ 180 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/15(水) 21 13 57.12 ID ssBmfdOBo [11/30] 咲「京ちゃん、カピーも寂しがってるんだよ」 カピー「……きゅい」ショボーン 京太郎「……」 和「大丈夫?」 ホロ「わぅっち!」 和「そう、よかった……」ホッ カピー「……きゅいきゅい」 京太郎「そうだとしても、暴力振るうなんて最低だぞ」ジッ カピー「……」コクッ 京太郎「ちゃんと和とホロに謝ろうな?」 カピー「……ぎゅいっ!」トコトコ ホロ「わぅっ!」ビクッ カピー「……きゅ、きゅいっ!」ペコリ ホロ「わうぅ♪」 京太郎「次は和に謝るんだ」 カピー「……きゅ、きゅ、きゅ、きゅい……」ギギギギッ 煌「気のせいでしょうか、凄く嫌そう」 美穂子「何か琴線に触れることでもあるんでしょうか?」 和「いいんですよ、気にしてませんから」ニコッ カピー「……」グヌヌ 京太郎「カピー?」ジロリ カピー「きゅ、きゅーい!」ペコリ 和「ふふ、これからは仲良くしましょうね」ギュゥゥ カピー「むぐぐぐっ!?」バタバタバタ 美穂子「これで一件落着ですね」 煌「めでたしめでたしかな?」 カピー「……」メラメラメラ 咲「カピーが凄い顔してる気がするけど……」 京太郎「とにかく、ホロの飼い主探しもしないと」 和「一応私も知り合いを当たってみます」 美穂子「そうですね。きっと誰か力になってくれるはずです」 煌「事務所のみんなもね」 ワイワイ キャッキャ カピー「……」ゴゴゴゴゴッ ホロ「わぅ?」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3358.html
咲「京ちゃん、部活行く前に図書室付き合ってね」 京太郎「おう、いいぜ」 優希「もぉ~!犬は来るのが遅いじぇ!」 京太郎「悪い悪い、ちょっと図書室寄っててな」 優希「罰としてタコスを買ってくるのだじぇ!」 京太郎「ええっ、遅れたのは咲もだろ」 優希「咲ちゃんには、私と清澄のエースを掛けて勝負をすると言う、大事な役目ががあるんだじょ!」 咲「あ、あはは」 京太郎「まったく、お前はしょうがねえなあ」 京太郎「……ふぅ」 京太郎「おーい、タコス持って来たぜ」 まこ「京太郎、大変やったね」 優希「遅いじぇ京太郎、お前はこの優希ちゃんの、あ、愛犬なんだから、もっと早く買って来なきゃ駄目なんだじぇ///」 京太郎「はいはい」 久「皆、お待たせ~、大会に向けて今日も頑張りましょうね」 和「部長、今日は何をします?」 まこ「せやな、今日は感想戦に時間取ろか?他人の意見を聞くのも参考になるからのお」 優希「ええっ、感想戦なんて面倒だじぇ!いっぱい打ちまくった方が強くなれるはずだじぇ」 京太郎「えーと、あの……」 久「あっ、須賀君。悪いんだけど買出し行って来てくれる?」 まこ「……」 京太郎「……はい、分かりました。咲、お前はいつもの苺ミルクでいいか?」 咲「うん、ありがとう」 まこ「わしはレモンティーお願いするわ。皆も、校内で買えるもんにせえよ?」 「「はーい」」 ガラララッ 京太郎「……(あーあ、今日も麻雀出来そうにないな)」 久「(あー、そういえば最近須賀君と打ってないわね)」 久「(……まぁ、今日みたいに私が生徒会で遅くなる事多いし、その時に打つので我慢してもらうしかないか)」 久「(大会が終るまでゴメンね須賀君)」 京太郎「ふぅ、せめて優希のタコスと部長の買出し、一緒に頼んでくれれば楽なんだけどなあ」テクテク 京太郎「……ポチポチ」 咲「京ちゃんお待たせ、帰ろっか」 京太郎「おう、先輩達、和、タコス、お疲れ様でした」 優希「なああっ!犬が変な呼び方するんじゃないじぇええええ!」 京太郎「あははっ、じゃあな」 咲「それでね、それでね」 京太郎「なあ」 咲「うん?」 京太郎「今日もおじさん遅くなるのか?」 咲「……うん、この時期は繁忙期だから、御前様どころか、帰ってこない事もあるんだよねー」 京太郎「……ふぅ、しょうがねえな。色々と家事溜まってるんだろ?手伝ってやるから終らせようぜ」 咲「うう、ありがとう京ちゃん!」 京太郎「まったく、料理は(ある程度)上手いのに片付け下手なんだもんな」 京太郎「部活の皆に、誰がお前の部屋を片付けてるか教えてやりたいぜ」 咲「そ、それだけはやめてえええ!」 京太郎「ははっ、言わないって」 京太郎「さーて、飯も食ったし、ネット麻雀でもして麻雀覚えようかな」 携帯「プルルルルッ」 京太郎「またか……プチッ。ハイもしもし、須賀です」 和「こんばんは須賀君、あの……今日も咲さんのお話してもらってもいいでしょうか?」 京太郎「……もちろん良いですよ。昨日で中一の話は大体したから、今日は中学二年になってクラス替えの時の話をしましょうか」 京太郎「アイツってば人見知りだから、発表の紙を見るまでry」 京太郎「おやすみなさい……っと」 京太郎「はぁ……夜は夜で、何故かは分らんが、咲からは本や映画の話、和からは咲の情報」 京太郎「そして優希からはどうでもいい話……なんか自分の時間が無いよな……」 京太郎「まあ、皆と話すのがイヤってわけじゃないんだけど……なんかなあ」 久「あれ?須賀君ずっと話し中ね。まあいいや、合宿の事言うの忘れてたけど、どうせ咲か優希から聞いてるわよね」 渡り廊下で ガツッ 京太郎「あっ、ゴメッ」 男子学生「……チッ、何時も女に囲まれてるからって、こんな所でもフラフラ歩いてんじゃねえよ」 男子学生2「何何?」 男性学生3「アイツだよアイツ、自分の幼馴染使って、あの美人会長やビック原村さんに擦り寄ってるてゆー」 男子学生2「ああ、あの噂の」 京太郎「……」 京太郎「あれ?開かない?……皆そろって遅刻なのか?」 先生「ん?須賀、何してんだ?」 和「うふふっ、今日の合宿頑張りましょうね咲さん」 咲「うん、原村さん(あれ?京ちゃん、来ないの?女の子だけの合宿なのかなあ?)」 優希「打って打って、打ちまくるじぇえええ!」 久「皆、その意気よ!」 まこ「(……あれ?京太郎はおらんのか?)」 まこ「(まあ、女子の合宿に入れるわけにもいかんか、何時も頑張ってもらってる分、今日は休んでもらうのもええかもな)」 先生「竹井から聞いてないのか?麻雀部は今日から合宿やるから、部室には来ないって言ってたぞ」 京太郎「……あははっ、そ、そういえばそうでしたね。あははっ、で、では失礼します」 京太郎「……なんだよ……もう」 京父「京太郎、ちょっといいか?」 京太郎「……うん、大丈夫だけど?」 京父「ああ、実は父さん転勤する事になってなあ。それでお前はどうするかと思ってな」 京太郎「転勤って……県外?」 京父「ああ、それでな、もしお前が付いてきてくれるならこの家は貸家にして、一家揃って引っ越すつもりだ」 京太郎「俺がイヤだって、言ったら?」 京父「その時は母さんとお前はこのまま、ここで暮らしてもらって、父さんだけで単身赴任するつもりだ」 京太郎「そんな、親父一人にそんな事――――」 京父「いや、気にするな。お前だって高校に入ってお前だけの生活や友達が居るんだ」 京父「それを大切にしてくれる方が、父さんは嬉しい。なあに、この歳での転勤だから会社も色々手当てを付けてくれてな」 京父「悠々自適の独身生活も悪くないと思ってるんだ。だからお前が気にする事なんてないんだな」 京父「だからまあ、じっくりと考えて決めてくれ」 京太郎「……うん、ありがとう」 京太郎「よお」 料理部「おお須賀君、先週までは毎日の様に来てたのに、久しぶりだね」 京太郎「えーと……実はもうここで調理する事が無くなったんで、今までの迷惑料として、残ってるタコスの材料貰ってくれるか?」 料理部「うん?貰えるなら嬉しいけど、今まで『究極のタコスを作って、驚かせてやるんだ』とか言ってたのに、突然どうしたの?」 京太郎「いや、その……もう作る必要が無くなっただけなんだ。うん、それだけなんだよ」 料理部「ふーん、そっか……まあ須賀君の料理、ウチの部の皆好きだから、気が向いたらまた遊びに来てよ」 京太郎「うん……ありがとう」 京太郎「……もうちょっと早く、料理部部長さんと仲良くなっていれば……いや、変わらないか」 優希「京太郎、遅いじぇ!明日から県大会なんだから、弛んでたら駄目なんだじぇ!」 京太郎「ははっ、わりーわりー」 京太郎「(と言っても、買出しや掃除、牌磨き位しかやる事ないんだよな。大会前の皆に、席譲って打たせてくれとか言えないしな)」 和「そういえば須賀君は、インターハイ予選にエントリーしてないんですか?」 京太郎「ああ、まだまだ初心者だからな。せめて点数計算出来るようになってから出る事にするよ」 和「そうですか……まあ良いですけど、もうちょっと向上心持った方いいんじゃないですか?」 和「此処最近、須賀君が打ってる所見てませんし」 まこ「ッ!?」 京太郎「………………そっか、そうだな。大会が終ったら頑張るよ」 まこ「ハァ……」 まこ「(この女、ここまで空気を読まん女じゃったとは……)」 まこ「(誰のおかげでわしらが大会だけに集中できてるのか分かっとらんかったとは)」 久「さぁ皆、今日も頑張るわよ」 まこ「(大会が終ったら、……まあキャラじゃないが、お礼言って、その上で上級生としてちゃんと指導せねばのう)」 京太郎「そうそう、優希タコス持って来たぞ、ほら」 優希「おお、本当に気が利く犬だじぇ♪はふはふ、京太郎のタコスはマジでプロレベルだじぇ♪」 京太郎「……(優希、俺が作る最後のタコスだ、お前が美味しそうに食べる所は嫌いじゃなかったぜ)」 咲「部活も終ったし、帰ろっか京ちゃん」 京太郎「あ、わりー咲、先に帰っててくれ。部長、鍵借りていいですか?残って掃除したいんで」 久「いいけど、なんで急に掃除なんか?」 京太郎「明日っから大会予選、そして優勝したら全国と忙しいじゃないですか」 京太郎「二学期始まったら埃だらけの部室なんてゾッとしませんからね、今日のうちに思いっきり掃除しておこうと思ったんですよ」 咲「それなら、私も残るよ」 京太郎「いいや駄目だ。お前はうちのエースなんだから、さっさと帰って明日に向けて休んどけ」 京太郎「それにお前に掃除を手伝ってもらってもなぁ~」 咲「あー!ダメダメ!言わないでー!」 和「?」 まこ・優希・久「(掃除苦手なのね)」 久「それじゃお言葉に甘えちゃおうかな、鍵は職員室に居る先生なら誰に返しても大丈夫だから」 京太郎「はい、それでは皆さん『お疲れ様でした』」 咲「あははっ、京ちゃんてば何か堅苦しいよ~。おつかれさま~、掃除頑張ってね」 和「では、お先に失礼します。私物には触らないようにして下さいね」 優希「京太郎ご苦労なのだじぇ!また明日な!」 まこ「何時もすまんのお、じゃあまた明日の」 久「じゃ、頼んだわね~おつかれ~」 ガラララッ 京太郎「……お疲れ様。皆、今までありがとう。……咲、大会頑張れよ」 京太郎「ぶっちゃけ、俺レベルじゃお前がどんだけ凄いのか分かんねえけど、応援してるから」 京太郎「たとえ違う場所からでも応援してるから……」 京太郎「さてと、下校時間まであと二時間か、気合入れて掃除しますか……うしっ!」 京太郎「ここが今日から俺が住むところか、長野に負けず劣らず空気が美味い、気に入ったぜ!」 京太郎「よし、でかい荷物が来るのは明日だし、やれる事やっとくか!まずは転校手続きだな!」 先生「なるほどなあ、お父さんの転勤か、大変だろうが頑張れ」 先生「ウチは生徒数が少ないが良い奴が多いから、すぐに友達も出来るはずだ……あっ」 京太郎「どうかしましたか?」 先生「あー、良い奴が多いのは本当なんだが、実はウチは今年から男女共学になった元女子高でな」 先生「生徒の九割は女生徒なんだよ。ちょっとそこに関しては大変かもしれんなあ」 京太郎「まあ、大丈夫ですよ。俺、前の学校では女子ばっかの部活に入ってたから、女性は苦手じゃないですし」 先生「ほお、何の部活に入ってたんだ?」 京太郎「……えーと、麻雀部でした」 先生「おお、そうかそうか、実はウチんとこの奴らも、今年インターハイに出る事になったんだよ」 京太郎「ええっ、ホントですか!一学年ニクラスしかないのに凄いじゃないですか!……ってスイマセン」 先生「いや、本当の事だから謝る必要ないぞ。あははっ!」 先生「おお、そういえば。えー……居た居た。熊倉先生ー!ちょっといいですかー!」 京太郎「?」 熊倉「なんだい、歳っちゃ歳だけど、そんな大声を出さなくても聞こえるよ」 先生「がははっ、スイマセンね。実はこの転校生、前の学校で麻雀部に入ってたそうなんですよ」 先生「おい須賀、この熊倉トシ先生は麻雀部の顧問なんだ、お前コッチでも麻雀部に入るんだろ?」 京太郎「えーと、その……」 熊倉「(……フム)」 熊倉「……先生、まだ校内の見学だって終ってないのに、部活決めるなんて相変わらず気が早いねえ」 熊倉「須賀君だっけ?全国大会まで毎日練習してるから、良かったら明日にでも見学に来ておくれ」 京太郎「……は、はあ」 先生「よしよし、それじゃあこの書類を親御さんに渡してくれ」 先生「見学したかったら帰る前に好きに見て行ってかまわんからな。がははっ」 京太郎「ふう、元気の良い先生だったな。……うんあの人が担任なら安心できそうだ」 京太郎「(前の学校では、目の前で俺が嫌がらせされても見てみぬ振りされたしな……)」 カゲゲッ 京太郎「んっ、雲でも出たか……あ」 姉帯「……」テクテクテク 京太郎「……デッカ」 姉帯「……っ!」ウグッ 京太郎「うわっ!……あっ、あの」 姉帯「うわああああああああんっ!」 京太郎「あー、……やっちゃったな」 次の日! 京太郎「はあ、昨日はやっちゃったな。けどまあ、午前中に家具とかの引越し作業も終ったし、心機一転頑張らないとな!」 京太郎「昨日は慌ててあのまま帰っちゃったから、今日は校内の見学でもしておくかな」 京太郎「学食は無いけど渡り廊下にパン売りのおばちゃんが来るそうだから、そこはチェックしておかないとな」 ?「こんにちはー」 京太郎「ん?……コンニチハ?」 ?「いきなり話しかけてゴメンね、君って転校生だよね?」 京太郎「えっ?……そうだけど、よく分かったな?」 ?「あはは、この学校に居る男子は二十人ちょっとだからね、それに近々転校生が来るって聞いてたから、ピンと来たんだよ」 京太郎「へえ、男子少ないって聞いてたけど、二十人ちょいか……未体験ゾーンだなあ」 勇次「まあまあ、慣れれば普通になるよ。おっと、自己紹介がまだだったね、ボクは中田勇次、剣道部」 勇次ウチも男子部員は二名だけだから、何時でも大歓迎だよ」 京太郎「ジトー、つまりいたいけな転校生を入部させる為に狙ってたってわけだな」 勇次「まあその通りだけど、自分で自分をイタイケって言う奴がイタイケだったのを見た事は無いかな」 京太郎「あははっ、中々言うねえ。まっ、仲良くやろうぜ……あっ」 勇次「ん?どうかした?」 京太郎「あそこに居る、廊下を歩いてて帽子を被ってる……背の高い女子って知ってるか?」 勇次「ああうん、知ってるよ。彼女も半年位前に来た転校生で姉帯豊音さん」 勇次「5人集まっていきなり麻雀の全国大会に出た事と、あの背の高さで、知らない人は居ないって感じかな?」 京太郎「麻雀……って事は、当然麻雀部員なんだよな?」 勇次「もちろんそうだよ。ちなみに彼女の向ってる、渡り廊下の先の建物の一室が麻雀部部室なんだ」 京太郎「そっか……うん、ありがとうな勇次。二学期からよろしく!」 勇次「うん、よろしく。同じクラスになれるといいね」 京太郎「おう!」 勇次「(性格とかは似てないのに、なんか親近感持っちゃうな~」 勇次「(……おっと、そろそろ戻らないとタマちゃんと一緒に帰れなくなっちゃう)」 京太郎「えーと、この中に部室があるのか……」キョロキョロ ?「……(ダル」 京太郎「あ、あのスイマセン、麻雀部の部室、教えてもらえませんか?」 ?「……ダル」クイックイッ 京太郎「は、はい!(これは、付いて来いって言ってるんだよな?)」 ?「」テクテク ?「……お待たせ」 ?「遅いよ、シロ……って後ろの人は?」 白望「……さあ?」 京太郎「あ、あの、姉帯さん!」 姉帯「?」ホヨヨッ? 京太郎「昨日はスイマセンでした!」 姉帯「えっ?えっ?」 京太郎「覚えてないかもしれませんが、昨日すれ違った時に、見ず知らずの姉帯さんに『デカ』とか言ってしまいまして」 京太郎「本当に申し訳ありませんでした!姉帯さんが泣いたのを見て、やっと自分がどんな事を言ったのか分かったんです」 京太郎「謝って済む事じゃないですけど、本当にスイマセンでした!」 姉帯「えっ、あ、あの、そ、その……き、気にしないでー」 ?「うーむ、なんとなく理解した。……けどまあトヨネは涙腺緩いから、あんまり気にしなくていいと思うよ」 姉帯「そう、塞の言う通りだよー、私大きいとか言われなれてるから、そ、そんな真面目に謝らなくていいよー///」 京太郎「でも、泣かせちゃったし」 姉帯「そ、それは久しぶりに至近距離だったから、思わず泣いちゃっただけで、そ、そんな気にする必要無いんだよー><」 白望「……(ダルイけど……面白いかも)」 塞「うーん、どうすればいいのか……」 白望「気がすまないなら、気が済むようにすればいい……」 京太郎「?」 姉帯「?」ホヨヨッ 白望「君がトヨネに何かしてやればイイ……ダルい、後は任せた」 京太郎「俺が姉帯さんに……そうか、そうだな、うん」 姉帯「ええっ、そんなのいいのにー///」 京太郎「姉帯さん!(俺に、俺に出来る事と言えば)」 姉帯「ひゃ、ひゃい!」 京太郎「俺、昨日転校して来た須賀京太郎って言います。自分勝手でスイマセンが、パシらせてください!」 姉帯「ぱ?」 白望「……p」 塞「…………ぷっ(パ、パシらせてくださいって……うぷぷぷぷっ!)」 京太郎「姉帯さんは良い人だから、許してくれましたけど、それじゃ自分で自分が許せないんです!」 京太郎「お願いします、使ってやって下さい!」 白望「ふーん、それじゃココに入るんだ?」 京太郎「……は、はい、皆さん、よろしくお願いします」 京太郎「(そうか、そうだよな。この学校は全員部活必修だから、麻雀部に入らないと何も出来ないもんな)」 塞「それでは、入部届けを書いてもらおうかな。私は麻雀部部長、臼沢塞。サエと呼んでくれていいよ」 京太郎「はい、塞部長、よろしくお願いします」 シロ「私はシロ、……ヨロ」 京太郎「シロ先輩、よろしくお願いします」 トヨネ「わ、私は姉帯豊音。み、皆にはトヨネって呼ばれてるんだ。ヨロシクだよー」ニッコリ 京太郎「はい、トヨネ先輩、これからヨロシクお願いしますね」 トヨネ「う、うん///」 トヨネ「(……大きいとか、変な子とか言われるの、よくある事なのに、……なのに……あんなに本気で謝ってくれて……)」 トヨネ「(……男の子の本気の顔ってカッコいいかもっ///)」 次の日! ボード[仲良しの絵] エイスリン「ヨロシクネ、キョータロー♪」テンシスマイル 胡桃「後輩、私は『3年』の鹿倉胡桃先輩だ。ヨロシク!」チッチャー 京太郎「はい!エイスリンさんに胡桃先輩、よろしくお願いします!」 胡桃「お、おう(先輩……先輩って呼ばれた……うぇへへへっ♪)」 塞「ではさっそくだが、一局始めようか」 シロ「私は抜ける……キョウタ、最初に入っていいよ入部祝い」 胡桃「シロはめんどくさいだけでしょ~。けどまあ確かに入部最初の局だ、打たないとね」 エイ[目] シロ「エイスリンも見てるって……じゃあ二人でマッタリしようか……zzzz」 京太郎「えっ、全国大会も近いのに俺なんかが打っていいんですか?」 塞「何を言ってるんだ?部員なんだから当たり前だろ?」 京太郎「せ、せんぱい……」ホロリ 胡桃 「そもそも弱いって言うなら、皆以上に打たないと駄目だぞ!」 京太郎「はい!」 ちょい戻って、県大会前日! 清澄顧問「まあ、元部員の頼みだ、君がそうしたいと言うのなら協力するが。……本当にそれでいいのかね?」 京太郎「はい、先生にはお手数を掛けますが、俺は男子の大会を研究したいから会えまぜん」 京太郎「大会が終るまで転校の事は隠しておいて下さい。お手数ですがよろしくお願いします」ペコリッ 清澄顧問「それで大会が終ったら、この手紙を渡せばいいんだな?」 京太郎「はい、それぞれにお別れの言葉が書いてあります」 京太郎「……自意識過剰かもしれませんが」 京太郎「俺のせいで皆が動揺して大会に影響が出てしまった悔やんでも悔やみきれないですから……」 清澄顧問「……あっちに行っても頑張れよ。まあ、お前は良い奴だから、変な誤解さえされなければ大丈夫だとは思うがな」 ニュース「……となり、原村議員発案のIPS法案が可決され……」 岩手三日目 トヨネ「それだよー、ロン!」 エイ[><] 塞「うわー、抑え切れなかったか。やっぱり、終盤になると能力が切れるのをどうにかしないとなー」 胡桃 「京太郎君次入りな、私が見てあげよう。この『先輩』の私が」 京太郎「はい、胡桃先輩よろしくお願いします」 胡桃「うん♪じゃあ、もっと深く腰掛けたまえ」 京太郎「はい?」 胡桃「ヨッと……ふむ、シロの様に柔らかくは無いが、しっかりとしたグリップ力で、中々の座り心地だな」 京太郎「///!?」 トヨネ「///(ふぇぇ~!)」 シロ「……寝心地よさそ……だな」 胡桃「ほら、さっさと始めるよ!」 京太郎「ひゃ、ひゃい!」 エイ「ロン!」[5800だよ♪] 京太郎「うわっ!まだ十二順目なのに、もうテンパってたのかよ!」 エイ「ビクッ!」 京太郎「あっ、怒ったんじゃないッスよ? ちょっと素になってリアクションしちゃっただけで」 エイ「ウ、ウン、ワカッテルヨ」[ワタシ男ノ人にナレテナイカラ]コモジ 塞「……須賀君、やっぱ君は猫を被ってたんだね」ニヤ 京太郎「えっ?……い、いやそういうつもりは……」 京太郎「う~ん、会ったばかりで、そんな馴れ馴れしくっていうのも……いやなんて言えばいいのかな」 トヨネ「けど、さっきの京太郎くん、生き生きして良かったかもー」 シロ「……気を使われる方がダルい……」 京太郎「えっ、でも」チラッ エイ「ワ、ワタシモ、男ノ人ニ慣レタイカラ」[協力→嬉しい] 塞「エイスリンも、素で接して欲しいらしいよ」 エイ「><」 京太郎「……ハイ!……わかった、これからは素の京太郎として接するぜ、よろしくな先輩達」 トヨネ「(キャー!男らしい京太郎くん、ちょーかっこいいよー///) 半チャン終了 胡桃「フム、ずっと見てたけど、正にキングオブ初心者って感じだね」 胡桃「全てにおいて判断が遅いし、役の完成形を考えずに、とりあえず和了する為に形を作ってる」 胡桃「オリる時も中途半端にアガリを意識してる」 京太郎「……」ズーン 胡桃「ただ初心者な分、変な癖が付いてなくて、そこはイイかな」 胡桃「あと、初心者なのに点数計算は出来るのは偉いよ。長く打っても中々覚えない人もいるからねー」 京太郎「えーとっ、麻雀は中々打つ機会が無かったんだけど、役と点数計算は雑用の合間とか暇な時に暗記して覚えたんですよ」 胡桃「ルールやマナーを守らないバカは嫌いだけど、君みたいに向上心があるのは嫌いじゃないな」・v・ 塞「……須賀君、以前から気になっていたんだけど、清澄はそんな毎日雑用が必要なほど部員が多いの?」 京太郎「えーと、いや、部員はココと同じで女子五人に俺の六人だったんだけど……」 京太郎タコスが好きな奴の為に作ったり、長く練習するからその為に買出し行ったりとか」 京太郎どっか行く時は方向オンチな奴の為に道を調べたり、後皆が大会に集中する為に、掃除とか引き受けたり……」 京太郎「いや、イジメとかじゃないですよ?俺が自分から進んで引き受けただけですから」 京太郎「まあ、そんな大した事はしてませんよ、誰でも出来る事をしただけです」 塞「……そうなんだ」ゴッ シロ「……(うわ……塞、イラついてる。……こういうの、嫌いだもんな……まあ、私も好きじゃないけど……)」 トヨネ「(タコスってどんな食べ物だったっけ~?)」 胡桃「話しを戻すけど、最初から難しい事をしても無理だから、まずは二つだけ考えて打とう」 京太郎「はい、何をすればいいんでしょう胡桃先輩」 京太郎「(ホッ、宮守と清澄のメンバーが互いに話す機会なんて無いだろうけど、清澄の皆を悪く思われるのも嫌だし)」 京太郎「(話が終ってよかったぜ。言葉にするとこき使われたみたいに聞こえるけど、本当に嫌ってわけじゃなかったんだよな……)」 胡桃「まず一つは、攻めと守りをハッキリさせるって事だね」 胡桃「手配読みなんて玄人でも難しいんだから、この段階では相手の河はチラッと見るだけでいいよ」 胡桃「それだけでもピンズを集めてそうだとか、端の牌が無いからチャンタ狙いかな?程度は読めるからね」 胡桃「まあ最初は、『速さ』『上がり易さ』『高さ(点数)』このうち二つがあったら攻めて良いと思うよ」 胡桃「あと最初のうちは練習のつもりでベタオリする事、簡単だと思ってても完全に攻めの意識を抑えるのは結構難しいからね」 エイ「(オ○カミーコ、ニホンゴオボエルノニ、ワタシモヨンダヨ!)」 京太郎「ハイ!」 胡桃「もう一つは、最初に手配を開いた時に最終形を考える癖を付けるって事かな」 胡桃ツモや相手次第で最終形はいくらでも変わるから、それに執着する必要は無いけど、考える力」 胡桃「特にイメージ力を養うのに良いから、やって損はないはずだよ」 京太郎「ハイ、ありがとうございます胡桃先輩!」 胡桃「ふふん、まあ先輩として当然の事だよ(ドヤァ)。それに充電しやすい座り心地へのご褒美もかな」 京太郎「いやー、マジで助かりますよ。何から手をつけて良いかマジ分からなかったですから(充電ってなんだ?)」 トヨネ「(うう、私も"充電"してみたいよー><)」 大会終了後:清澄部員達、それぞれへの手紙 「咲、長い付き合いなのに何も言わずに居なくなってゴメンな」 「本当はもっと時間を掛けて……略……原村や優希、お前はもう俺に引っ付いていただけのお前じゃない」 「大切な友達が出来たんだ、それを大事にしろよ。遠く離れてもお前は俺の大事な幼馴染だ、全国大会頑張れよ!」 咲「……ううっ、京ちゃん……」グスッ 「部長、部長が俺の事麻雀部に誘ってくれて、本当に嬉しかったです」 「最初はテキトウな人だなーって思ってたんですが、本当の部長は生徒議会でも、部活でも、皆の事を考えて動いていて」 「とっても凄い人だと分かりました……略……あと、余計なお世話ですけど、わざと悪人ぶるのは程ほどにした方いいですよ」 「部長がメチャクチャ良い人だってのはかなり仲良くならないと分からないですからね」 久「……ウウッ、私は……私は……」 「優希、お前が居てくれたから女性ばかりの部室で浮かないで済んだ、ありがとうな」 「最初の顔合わせで、お前が話し掛けてくれたの嬉しかったぜ」 「……略……というわけで、料理部部長に俺特製のタコスのレシピを預けたから、お願いすれば作ってくれるはずだ」 「あとノビノビ麻雀する為に、赤点は取らないようにしろよな、って余計なおせっかいだな」 「まあ、とにかく頑張れよ、全国大会応援してるぜ」 優希「……ダメだじぇ…………犬の……京太郎の作ったのじゃないと……」グスッグスッ 「今思えば、染谷先輩が居てくれたから、麻雀部が上手く回っていたと分ります」 「皆が大会や自分の事だけで精一杯な時、先輩が後ろから見守ってくれていたのは、とても凄い事だと今になって分りました」 「……略……先輩が気を使ってくれたから、最後まで麻雀部を好きなまま去る事が出来ました。本当にありがとうございます」 「けど、矛盾してますが、もうちょっと自分の事を優先させても良いと思いますよ」 「来年度の部長、(メンバー的に)大変でしょうが頑張ってくださいね」 染谷「……バカもんが……バカじゃバカじゃ…………わしは本当にバカもんじゃッ!」 「和、何時も前を向いて、麻雀にひたむきな和は本当にカッコ良かった」 「……略……今更言う必要は無いだろうけど、咲の事ヨロシクな」 「アイツは人見知りでたまに変な事するかもしれないけど、どんな事をしてもお前の知ってる咲だからさ、それだけ覚えておいてくれ」 「全国大会でも活躍する事信じてるぜ、頑張ってくれ!」 和「…………言われなくても……」クッ! 久「私の…私のせいね……」 染谷「……」 久「せっかく入ってくれた部員なのに、団体戦だから、全国へ出たいからって!」 久「……私は、……私が一番、麻雀が出来ない寂しさを知ってたのに……一年の時、一人だけの寂しさを知っていたのにッ…!」 染谷「喚くなやッ!!!」 「「ビクッ!」」 染谷「すまん……じゃがのぉ部長、京太郎からの部長への手紙、中身は分らんが、お前を攻める言葉だけは無かったはずじゃ」 染谷「アイツはそんな男じゃあ無いけえの」 染谷「興奮してるからしょうがないかもしれんが、アイツが悲しむような言い方はして欲しくないんじゃ……」 久「………………そうね、ごめんなさい」 咲「でも、反省しないと……」 染谷「……そうじゃな、わしもさっきはああ言ったが、悔やんでる事だらけじゃ」 咲「私、京ちゃんが大変なのを知ってたはずなのに、いっつも纏わり付いて、何でもして貰って、京ちゃん京ちゃんって煩くして……」 咲「そして……それが当然だと思って……ウッ……、居なくなってから分るなんて……ワダシ……ワダシ゛……ウウウッ」 久「皆同じよ……、須賀君がずっと居るものだと思ってて……それで甘えてしまって……」 優希「私がずっと纏わり付いてたから、それが嫌になったのかも……」 久「そんな事無いわよ。口では言い合いをしてたけど、須賀君もそれを楽しんでいたわよ」 優希「でも、でも……部長が居ない時とか、ずっと纏わり付いてて、話す事が無い時も、無理やりタコス買いに行かせたりて……」 優希「それで、京太郎、麻雀する暇も無かったから……それで……」ウググッ 久「(……えっ?私が居ない時も、須賀君は打ててなかったの?)」 久「(それじゃ、本当に雑用する為だけに部活に来てたって事に……)」 和「……もう止めましょうよ。居なくなった人の事をアレコレ言ったってしょうがありません」 和「それに須賀君は親の都合で転校したんですよ、皆が悩む必要なんて無いですよ!」 染谷「和、何とも思ってない奴は、そんな風に怒ったりせんぞ?……あんまり自分を偽って、貯め過ぎん様にな」 和「そんなんじゃ……私はそんなんじゃ……!」 咲「京ちゃん……京ちゃん……」グスグス 久「(まこはああ言ってくれたけど、やっぱり私のせいだ……)」 久「(分ってたのに、なのに何時も何時も『大会が終ったら』『大会が終ってからでいいや』って……)」 久「(それからでいいって思って、……大切な部員を後回しにしていい理由なんて、あるはずないのにッ!)」 『ん、先輩っていっつもパンなんですか?』 『うっ……ここら辺はコンビニも碌に無いし……それに料理はあんまり上手くなくてだね……』モノクルイジイジ トヨネ「皆ー、そろそろお昼にしよー」 シロ「お昼っ……ダルくない」 胡桃「じゃあ今日も、近くの教室行って食べようか?」 京太郎「あのー、みんな。良かったら天気も良いし中庭で食べない?」 塞「ふむ、タマには気分を変えるのも良いかもしれないな」 トヨネ「わーい!皆で芝生の上でお弁当とか、ピクニックみたいでイイねー♪」 シロ「キョウタロ……おぶって」 中庭! 塞「それじゃ、ここにしようか?」 京太郎「あ、ちょっと待ってて下さい。レジャーシート持って来たんで、敷きますね」カイガイ 胡桃「気が利くね、流石は私の後輩!」 京太郎「よし、じゃあどうぞ」 トヨネ「ワーイだよー♪」 塞「ふうむ、日差しは強いが、風があるし木々が上手い事日除けになって丁度いいかも」 塞「これで食べるのが菓子パンでなければさいこ―――」 京太郎「あの~、実は最近ちょっと料理に凝ってて作り過ぎちゃったんですよ、良かったら皆で食べてくれないッスか?」イロトリドリー シロ「……ゴクリッ……これはとてもダルくない物だ」 エイ「オニギリ!ジャパニーズライスボォオオルダー!」[▲] 京太郎「三角なのがタラコで、俵型がオカカです」 塞「ほほう、おかずも美味しそうだな。定番の玉子焼きに唐翌揚げ、そして緑のはほうれん草かな?」 京太郎「はい、ほうれん草のおひたしを胡麻和えにした物です」 京太郎「甘めに味付けしているので、甘いのが嫌いじゃなければ大丈夫だと思います」 シロ「食べよう……早く食べるべきだ……」 京太郎「はい、オシボリどうぞ」 トヨネ「わぁ~、アリガトウだよ~」 胡桃「ありがとう(……有能過ぎて、ちょっと怖いな)」 シロ「玉子焼き美味しい……甘いの好き」 エイ「ターラーコー、ターラーコー、タープゥーリータァーラーコォー♪」[▲♪] 塞「……このオカカ、なんか美味しい。風味が濃いのかな?」 京太郎「はい、実はパック売りのじゃなく、鰹節から削ったのを使ってるんですよ」 胡桃「ハムハム、……から揚げを食べてオニギリを食べる。そしてまたオニギリを食べてから揚げを食べる」 胡桃「……まさに、円環の理だね!」 トヨネ「ううー、全部美味しくて手が止まらないよー」 京太郎「あ、お茶どうぞ」 トヨネ「あっ!京太郎くん、いっぱい食べちゃって、ゴメンねー><」 シロ「……あっ」 エイ「アノ、アノ、ワタシノサンドウィッチ」[差し出す絵] 胡桃「先輩として、カワイイ後輩にカニコロッケを上げよう」 シロ「お母さん作ったお弁当、美味しいから……どこれでも好きなの取って」 トヨネ「えへへ~、私のはあんまり美味しくないかもだけど、良かったら食べてね」 塞「……(ううっ、私、菓子パン一個しか持ってない。どうしよう……)」 京太郎「皆さんありがとう、……うん、すっごく美味しいッスね!」チラッ エイ[♪] 京太郎「あーそういえば」 塞「?」 京太郎「朝もオニギリだったんで、飽きちゃったんですよね」 京太郎「塞部長、良かったらそのパンと残ったオニギリ交換して貰えませんか?」 塞「えっ?でも……」 京太郎「助けると思って、お願いしますよー」 シロ「ああ言ってるし、イイんじゃない?」 塞「そ、それじゃ……ハイ、どうぞ///」 京太郎「あざっす。……モグモグ、カニパンってなんでこんな美味しいんですかねー」 京太郎「単なるチョコパンなのに、形が違うだけで美味しく感じちゃうんですよね」 胡桃「(わざとらしいなあー。……けどまあ、やっぱり須賀君は良い奴なんだな)」 京太郎「あっ、三時のおやつ用にクッキー焼いてきたんで、期待しておいて下さいね」 胡桃「……(ちょっと異常な有能さだけど)」・v・; 京太郎「お茶はアールグレイを持ってきました」ニコッ ニュース「IPS法案の実施に伴い、一定以上の規模の病院には、カウンセラーとIPS施設が義務付けられ……」 京太郎からの、手紙を読んで解散後 久「……」 まこ「なあ、部長……いや、久はこんなんで諦められるのか?」 久「自分でも分ってるわよ……優希と同じだってのは」 まこ「知ってるのと、理解してるのは違うぞ?」 久「はぁ……まこ、今日は随分キツイわね?」 まこ「しょうがないじゃろ、命短し恋せよ乙女って言うからのぉ」 久「私だって分ってるわよ、自分が有利な立場、安全な所からしか話し掛けられなかったっていうのは……」 久「だから大した用も無いのに、無理やり用事を言いつけて、そして悪いと思いながらも、私の為に動いてくれるのが嬉しくて……」 久「だから、子供みたいに何度も何度も同じ事を繰り返して……」 テクテク まこ「……キツかったのは、京太郎に選択権があった事じゃのぉ」 久「……」 まこ「咲が京太郎の父親から聞いた話じゃ、京太郎は残る選択肢もあったらしいのぉ」 まこ「家族の為か、もしくは別の理由かは分らんが、父親に付いて行って岩手に行ってしもうたんじゃからな……」 久「……」 まこ「確かにインターハイは大事じゃが……しかし今しか出来ない事もあると思うんじゃ」 まこ「まあ、こういうのは、本来他人がああこう言うもんじゃないけどの。やれやれ、もし馬に蹴られたら、心配損じゃな」 久「……うん、ありがとう。……本当にありがとうね、まこ」 まこ「(……素直じゃないのはワシの方じゃな)」 塞「そういえば須賀君、貯金はあるかな?」 京太郎「はい?まあ、多少は有りますけど、部費ですか?」 塞「いや、インターハイ全国大会への旅費だよ。部費も全員分出せるほど貰ってないからね」 塞「私達は前から積み立ててたんだけど、君はどうかなと思って」 エイ「ノコッタブヒト、カンパヲ6人デワルトネー」[福沢諭吉] 塞「そうだね、1万円出してくれれば、残りは部費で賄える計算らしい」 トヨネ「せっかくだからって、良いホテル選んじゃったかもねー」 京太郎「えっ、6人で割るって、俺なんか入れずに出場する5人だけで使って下さいよ」 塞「駄目」 京太郎「えっ?」 塞「これが何十人も居る部活ならレギュラーだけに旅費を使うのもいいんだろうけど」 塞「たった6人だけの部員なんだ、全員で行くべきだよ」 京太郎「え、でも……」 シロ「それに私達全員三年……」 胡桃「そうそう、来年からは須賀君がこの部を引っ張っていくんだ」 胡桃「全国を肌で感じるだけでも良い経験になるはずだよ!」ダンゲン トヨネ「そっか、来年になったら私達卒業なんだねー……うううっぐすっ」ジワワ エイ「ウワアアアアン、ハナレタクナイデスー」 京太郎「ちょ、先輩、泣かないで下さい。あわわっ、ど、どうすれば!?」 トヨ・エイ「卒業シタクナイヨー><」ウワアアアン 塞「おはよう……っと、今日も須賀君が一番乗りか」 京太郎「はい、ちょっとやりたい事があったんで」 塞「やりたい事?」 京太郎「はい、このPCの中の牌譜、無造作に突っ込まれてるだけなので、ちょっとエクセルで纏めてみたんですよ」 京太郎「これで高校別はモチロン、先鋒、中堅、大将等の順番別や学年別とかでも調べる事ができます」 京太郎「あっ、携帯からでもアクセス出来るようにしたんで」 京太郎「会場で組み合わせが決まったらデータ落として、プリントアウトして渡しますね」 塞「な、なるほど……助かるよ?」ケイタイデ、プリントアウト? 京太郎「いえいえ、俺に出来る事なんてコレくらいですから」 塞「ほんと……ありがとね、須賀君」 京太郎「いえいえ、大した事じゃないですよ、前の学校でも散々やってた事ですから」 塞「前の学校か……実は君が転校してきて、この部活に入ると言った時は少し不安だったんだ」 京太郎「……はい」マジメガオ。キリッ 塞「えーと、あのね///」 塞「最初はたった三人の部活に、エイスリンとトヨネが加わり五人になって、とても良い感じでチームを組む事が出来たんだ」 塞「麻雀の能力もだが、君から見ても私達は仲が良いでしょ?」 京太郎「はい、とっても仲良しだと思います」 塞「うん、ありがとう。私はそれで最高の状態だと思ってたんだ」 塞「そこに何かが加わったら、この調和が崩れてしまうんじゃないかと……ふふっ、部長として少し気負ってたのかもしれない」 京太郎「……」 塞「だから、……ゴメンなさい。君はそんな人間じゃなかった、そして今はもう、この宮守に欠かせない大事な部員」 塞「今まで色眼鏡で見ていてゴメンなさい!」 京太郎「……あーもう」 塞「……」ビクッ 京太郎「謝る必要なんてこれっぽっちも無いですよ」 塞「えっ、で、でも……」 京太郎「不安がる?去年まで女子高だった女子高生が、面識の無い男子を警戒するなんて当然の事じゃないですか」 京太郎「逆にトヨネさんやエイスリンさんの様に、誰彼構わず信用する人の方が心配ですよ!」 塞「で、でも、私は自分の事が許せ無くて…」 京太郎「それに頭の中で何かを思ってたとしても、塞部長は1ミリも態度になんか出しませんでした」 京太郎「だから俺に取って塞部長は、真面目でカッコよくてカワイイ、素晴しい部長なんです! 京太郎「これは塞部長が何を言っても変更なんてしませんからね!」 塞「ふふっ……何それ? まるで駄々っ子みたいな言い分じゃない……ふふふっ」 京太郎「そうです、俺は駄々っ子だから、絶対に考えを変えませんからね」 塞「やれやれ、先輩としては折れるしかないね……(ありがとう、京太郎君)」 塞「(それにしても真面目てカッコよくてカワイイ先輩か……ちょっと盛り過ぎだろ……ん?カッコよくてカワイイ?)」 ……かわ……いい?…………可愛いって!私が可愛いだとおおおおおおおおおっ!?///)」 トヨネ「みんなーおはようだよー」ズリズリ シロ「……おはよ」ズラレズラレ 京太郎「おはようございます」 塞「お、おひゃよう///」グルグル トヨネ「サエー、眼鏡(モノクル)曇ってるよー?ラーメンでも食べた?」 竹井久:EP1 入部一ヶ月過ぎごろ 久「あれ?今日は須賀君だけ?」 京太郎「ああ、一年の女子は皆、創作ダンスの居残りしてるんですよ」 久「ああ、アレね……。男子が応援団に囲まれて校歌斉唱してる代わりに女子も何かをしようっていう」 久「まったく分けが分らない理由で始まったのよね、アレ」 京太郎「咲も、『ダンスは恥ずかしいけど、それ以上に、強面の応援団に囲まれて大声で校歌を歌わせられる方が嫌だ』 京太郎「なんて言ってましたから、それなりに納得しているっぽいですよ」 久「まあ、こんな慣習でも10年も続いたんだから、意味が無いわけじゃないって事か」 京太郎「そういえば、染谷先輩、遅いですね」 久「ああ、まこなら今日は、自分ちの仕事の手伝いが有るから、部活には来ないわよ」 京太郎「そうなんですか、んーじゃあ、咲達が来るまで何しましょう?」 久「……(ムッ、二人っきりだっていうのに、まったく意識してないみたいね、……須賀君のくせに)」 京太郎「掃除は帰る時やった方が効率的だし、牌譜の整理は昨日したばっかりだしなあ~」 久「ねえ、須賀君……(ちょっと、からかっちゃおうかしら?ドンカンな須賀君がわる―――あっ!)」 ガタッ 京太郎「あ、あぶなっ!」ガシッ 久「……えっ?(こ、これは)」 京太郎「ふぅ……、部長ぉ~、咲じゃないんですから、こんな何も無いところでコケないで下さいよ」 久「ご、ご、ごめんなさいね、わ、わ、私ったら(だ、だ、抱きしめられてる!?///)」 京太郎「部長?大丈夫ですか?」 久「だ、大丈夫よ、い、今起き上がるから」ヌルッ 久「ん?ヌルッ?……ナニコレ?……床に赤い粘液?」 京太郎「あー、そっか」 久「……んっ?この臭いはもしかして……」 京太郎「そういや今日、咲達三人、部室で飯食べるって言ってたんですよ」 久「あーなるほどね、それで例の物のソースが垂れちゃったけど、気が付かずそのままにしていた……と」 京太郎「十中八九そうでしょうね、……まったくアイツは」 久「まっ、転んで服につかなかったのは不幸中の幸いね」 京太郎「そうですね、この毒々しい赤は、落ちにくそうですもんね」 久「うちも余裕あるわけじゃないから、制服はこれ一着だけだし、ホント助かったわ。ありがとうね須賀君」 京太郎「いえいえ、間に合って良かったです。実は俺も、この制服、卒業まで使えって釘刺されてるんですよね」クショー 久「……ジー(ううっ、和を見慣れてるからインパクトなんてないでしょうけど……)」 久「(花の女子高生を抱きしめておいて、無反応っていうのは傷付いちゃうわね)」 京太郎「(うおおおおおおおっ!ぶ、部長を抱きしめてしまった!やわやわ、柔らかかったああああああ!)」 京太郎「(うううっ、しかも良い臭いしたから、思わず何回か鼻呼吸しちゃったし)」 京太郎「(……これがバレたらヘンタイ扱いされ、この部活から追い出されちゃうかもしれない!)」 久「(けど、こっちから反応するのはシャクよね)」 京太郎「(なんとか、なんとか平静を保って、なんでもないように振舞わないと!)」 久「……あっ(目が合った)」ニコッ 京太郎「(平常心、平常心)」ニコッ 京太郎「……ふぅ(おもち偏差値は和がダントツだけど、エ○さでは部長がダントツだよな……なんていうか)」 京太郎「(全身でリビドーが高まっちゃうというか、魔性系年上お姉さん?……いや、お姉さんっていうより、先輩だな)」 京太郎「(…同じ年上って意味だけど、先輩って単語がいやらしく聞こえるくらい似合ってるんだよな)」←自分の世界に入り込み中 久「チラチラッ(も、もうっ!何か喋ってよ!ひ、一人だけ意識してるみたいで恥ずかしいじゃないのっ!)」 京太郎「……」ブツブツ 久「きょ……すっ、須賀君」ウワズリ 須賀「んっ?……な、なんですか?」アワワ 久「わ、悪いんだけど、な、何か飲み物買ってきてくれない?さ、さっき助けてもらったお礼に私が奢るからさ」 京太郎「えっ、悪いっすよよ、そんな」 久「いいから、いいらか!先輩の言うことを聞いて、さっさと行ってきなさいって」 京太郎「はぁ、……じゃ、ゴチになります!」 タッタッタッ 久「はぁ……ナニやってるのよ、私は……」 久「(恥ずかしくて気まずいから追い出すなんて……私は小学生かっての……)」 久「……私のバカ」 久「ええ、電話で申し訳ないんだけど、三日ほど休養日に当てようと思うの」 久「……ええ、もちろん練習したい人は部室を使えるように、顧問の先生には話ししてあるわ……」 久「うん、そう……だから……今のままじゃ皆、集中できないと……ええ、うん」 プツッ 久「……皆、嘘付いちゃってゴメンね」 久「(岩手行きの新幹線はこの時間だから……)」 久「……よし、今晩のうちに須賀君に電話してアポ取っておかないと……ううっ、緊張しちゃうわ……」ドキドキ 『えー、次の東北本線下りは……』 久「はぁ……ナニやってるのよ私は……(結局電話できないまま、岩手行きの新幹線に乗っちゃったし)」 久「……うう、電話しよう電話しようと思って寝て無いから、今になって眠気が……うううっ」 ……………… ………… …… 副会長「流石、会長ですね!会長に苦手な事なんてないんじゃないいですか?」 久「そんな事ないわよ、出来る事をやってるだけだし」 書記「でも、同じ高校生とは思えない完璧さですよー」 久「そんな褒めても何もでないわよ?」 久「(チャッチャッとやらないと、生徒議会と麻雀部の両立なんて出来ないもの、少しは無理しないとね)」 久「それじゃ活動日誌、お願いね、まこ」 まこ「はいはい、言われんでも分っとるわ。しょうがないのー」 久「優希、洗牌終った?」 優希「もう少しだじぇー。……そういえば牌洗いとか、なんか久しぶりかも?」 咲「そうだね、いつもは京ちゃんがやってくれてるもんね」 咲「(そう、いつもは京ちゃんがやってくれてるんだよね。ありがとうって言いたいけど……)」 咲「(けど、面と向って言うのは恥ずかしいし///)」 優希「まったくウチの部長は、人使いが荒いじぇ」ゴシゴシ 和「優希、そういう時は如才ないって言うんですよ」 久「なんか、褒められてるようには聞こえないわね……」 まこ「まっ、要領はええ方じゃな」 ガラガラガラッ! 京太郎「お待たせしました。部長、新しいロッカー貰ってきましたよ」 久「わあ、重かったでしょ?ありがとね」 京太郎「まあ、カラだったんで何とか。で、何処に置きます?」 久「えっとねー、じゃあ入り口左の隅に置いてちょうだい」 まこ「お疲れさんじゃ、ほい、缶コーヒー奢ったるわ」 京太郎「ありがとうございます」 優希「よし、牌も洗ったし、一局打とうじぇ!」 和「負けませんよ、ゆーき」 久「……」ボー まこ「部長、入らんのか?」 久「あっ……いえ、いいわ。皆で先に打っててちょうだい」 まこ「ほうか?ならそうさせてもらうわ」 咲「サイコロ振りますねー」コロコロ 久「……ふー」 久「……ヒャッ!冷たっ……えっ、須賀君?」 京太郎「缶コーヒー、部長も飲みません?まだ口を開けて無いから、先に飲んでいいですよ」 久「えっ?えっ?」 京太郎「あー、あと……部長、俺最近、親父に肩揉みとかさせられてるんですよ。良かったら、採点してくれません?お願いします」 久「……えっ、……あー、そ、それじゃお願いしよっかしら」アセアセ 京太郎「じゃ、遠慮なく」モミモミモミ 久「……んっ」 京太郎「(最初は全体を揉み解すように柔らかく押して)」モミモミ 久「……あっ……んんっ……あっ」 京太郎「痛かったら言って下さいね」 京太郎「(受験生だから、肩よりは首とか凝ってそうだな)」 京太郎「(親指で筋肉を揉み解すようにグリグリと……けどけっして強く押し過ぎないようにして……)」モミモミ 久「んっ……だ、大丈夫、丁度良いわ///」 京太郎「そうですか、それはよかったです」モミモミ 久「……んっ……はぁ///」 京太郎「……」モミモミオシオシ 久「……ねえ、なんでいきなりマッサージしようと思ったの?」 京太郎「……」 京太郎「なんか……なんか部長が疲れてそうに見えたんで……まあ、大した理由は無いですよ」ニカッ 久「ふふっ、そっか……、そっかー、理由なんて無いかー♪」 久「(人望があって完璧に見られる私。計算高くて他人を利用する私)」 久「(……どっちも私だけど、……ふふっ、別の私も居たのかも……いえ、居るのが分っちゃったかもね)」ニマニマ 久「ねえ、須賀君」 京太郎「はい、なんですか部長?」 久「またマッサージしてね、約束よ♪」ニカッ 『宮守ぃー宮守駅ぃー。お降りになるお客様は、お荷物等、お忘れ物の無いよう……』 久「付いちゃった」 久「……うぷっ(うう、緊張し過ぎて胃が痛いわ)」 久「(あー、どうしよ……家の住所とか分らないんだから、電話するしか無いわよね?)」 久「(あー……、一応通ってる高校の場所は調べたけど、土曜日に登校してる可能性は少なそうだし……う~ん)」 前日! トシ「皆~、注目しておくれ」 「「はい!」」 トシ「部が波に乗っている所で申し訳ないんだけどねぇ、実は明日明日の土日はこの離れの校舎は使えなくなったんだよ」 エイ「?」ホワイ? トシ「実は、二つ隣の生物部が実験用の虫を逃がしちまってねぇ」イヤハヤ 塞「虫!?」ゾワゾワ トシ「それの駆除の為に、薬を使うから土日は立ち入らないで欲しいって言われてね」 トシ「ああ、食べ物とか殺虫剤が付いたら困るものは今日のうちに持ち帰っておくれ」 京太郎「んー、じゃあ帰る前に、PCとかにも布を掛けてから帰りましょうか」 京太郎「雀卓とかにも掛けた方が良いから、シーツか何か、ニ、三枚ありませんかね?」 塞「ああ、それなら……」 ……………… ………… …… トヨネ「じゃあ、帰ろうかー?」 胡桃「そうだね。……そういえば、皆は土日どうするの?」 エイ「ヒサシブリニ、ビジュツカンメグリ」[建物] シロ「……藤田さんとこだっけ?」 エイ「ウン、ギャラリーフェレット♪コンシューハ、セザンヌトクシューダッテ」 塞「私は全国で当るだろう出場選手達の牌譜でも、じっくり読もうかな」 胡桃「京太郎君はどうするの?」 京太郎「うーん、特に決めてはないんですけど、土曜日は引越しの細かい片付けをやって……」 京太郎「日曜日は買い物出来る所とか、付近の散策とかかな?」 京太郎「転校してすぐに、麻雀部に入ったんで、まだ学校と家の往復しかしてないんですよね」 トヨネ「……!」ピクン! シロ「キョウタロ……案内しようか?」 塞「えっ!?シロが案内!?」ビックリ 胡桃「うん、明日は雹が降るね。間違いない」 シロ「キョウタロの家は近所……だから、それほどダルくない」 京太郎「俺はありがたいですけど、全国大会近いのに、俺なんかに時間使っちゃって、いいんですか?」 胡桃「まあ、素直に受け取っていいんじゃない?シロはこう見えて、面倒見良いし」 塞「そうだね、シロが一人になったからって、ガムシャラに練習するとは思えないしね」 シロ「うん……その通り」 塞「いや、自分で肯定しないでよ!」 京太郎「えー……それじゃ、シロ先輩。日曜日に案内、よろしくお願いします!」 シロ「任されました。じゃ……明後日はヨロ」 トヨネ「……(ううっ、私にもうちょっと積極性があれば)」ショボーン 久「あーもう、自分がこんな意気地なしだったとは、初めて知ったわ!」 久「(須賀君が通ってる学校に行ったって、意味無いのは分ってるのに……)」テクテク 久「えーと、この辺のはずよね?」 シロ「(ヤバ……学校に財布忘れてた。流石にコレは取りにいかないと困る)」 久「んー迷っちゃったかも?……あっ、制服着てる子が居るわ、学校の場所、聞いてみようかしら」 久「スイマセーン!」 シロ「……?」 ……………… ………… …… 久「いやー、ゴメンなさいね」 シロ「別にいい……学校は行く途中だったから」 久「(特徴的な喋り方の娘(こ)ね)」 シロ「貴方、もしかして……転校生?」 久「えーと、そうじゃないんですよ」 シロ「……そっか(京太郎の事があるから、転校生かと思っちゃった)」 久「実は、宮守に転校した知り合いに会いに長野から来まして」 シロ「……!」ピク シロ「ふーん……会ってどうするの?」 久「?(何か雰囲気が……変わった?)」 久「えーと、ほら、急な転校だったから、元気にしてるかな~って」アセアセ 久「(色々言い訳はあるけど。本当の所は……会いたくて……謝りたくて)」 久「(やっぱり、どうしても会いたくなって来ちゃったなんて、流石に言えないわね)」 シロ「そっか……そんなもんなんだ」 久「……はい?」 シロ「貴方、清澄の人……だよね?」 久「えっ?……ど、どうして、その事を?」ビクッ シロ「私は宮守麻雀部員の小瀬川白望 。……会いに来たのって、ウチの部のキョウタロウの事……だよね」 久「(そうか、須賀君、こっちでも麻雀部に入ったんだ……良かった。……ん?)」 久「(……ウチの?)」イラッ 久「私は、清澄麻雀部の部長、竹井久です」 久「どうやら私の(後輩の)須賀君がお世話になってるみたいですね、ありがとうございます」ニコッ シロ「……」ムカッ シロ「キョウタロとは、……待ち合わせしてるの?」 久「……うっ!……そ、それはまだだけど、須賀君が通ってる学校を見てから連絡する予定だったのよ」 シロ「へえ、明日は予定があるから、早く連絡した方が……いいよ」 久「予定?(なんで小瀬川さんが?)」 シロ「うん……明日は私とデートする予定だから」ビショウ 久「――!?」 久「……」ギリッ 久「須賀君は純情だから、からかうのはやめておいた方がいいと思いますよ」 久「須賀君だって男の子だし、何かあったら小瀬川さんだって困るでしょ?」 シロ「…………」 シロ「……想像してみたけど、キョウタロなら、……嫌じゃないかも」 久「……ヘー、ソウナンデスカー」ヘイタンナコエ シロ「…………」 シロ「ねえ、……勝負しない?」 久「勝負?」 シロ「そう、もし貴方が勝ったら、キョウタロの家を教えてあげるし……明日のデートも譲ってあげる」 久「……えっ?」 久「(どうして、そんな事を?そんな事をしても、この娘にメリットなんてないのに?)」 久「(それに、恋愛感情かどうかはわからないけど、彼女……須賀君の事を……)」 シロ「(さっきは、そんなものって思ったけど……けど、わざわざ長野から来るなんて、"何か"がなければ……無理だよね)」 久「(別に勝負なんてしなくても、須賀君ならわざわざ長野から来た私を、追い返したりしないだろうけど……けど)」 久「……わかった」 シロ「……」 久「貴方との勝負、受けるわ」 ──── ── 菫「すまないな、助けてもらって」 蒲原「なあに、気が向くまま運転してただけだ、気にしなくていいよ」ワハハ 蒲原「それで、探していた友達は大丈夫なのかい?」 菫「ああ、ちゃっかりもう東京行きの新幹線に乗ったそうだ」 蒲原「ワハハ(汗)、それは散々だったな。それにしても、こんな所まで迷子になるなんて、凄すぎるなその子」 菫「ああ、私も同じ部活の仲間で実害を受けてなければ、信じないほどの迷スキルだよ」 蒲原「へえ、何の部活なんだ?」 菫「ああ、それは―――」 ……………… ………… …… 蒲原「と言うわけで、雀荘に来てみた」 菫「ふむ、旅に行った先で、その地域の雀荘に行くと言うのも、中々趣があるな」 蒲原「そうだろ?実はこれを、趣味にしようと思ってるんだ。ちょうど車の運転にもハマッてる所だしな」ワハハ ──── ── 久「ここが、今、須賀君が通ってる学校かぁ」 シロ「ちょっと忘れ物取って来るから……ちょっと待ってて」ダル… 久「……」キョロキョロ 京太郎「ふぅ、必要な書類が抜けてたとは……忘れたこっちも悪いけど、担任先生のチェックもいい加減だよな」 久「うーん、色々見て見たいけど勝手に動き回ったら駄目よねえ(須賀君の教室とか、座ってる席とか……ロッカーとか///)」 久「まあ、このまま昇降口で待ってるのが無難よね」 京太郎「よし、家の片付けもまだ中途半端だし、さっさと帰って続きをするか!」 生物教師「おっ、そこの男子、すまないがちょっと手伝ってくれないか?」 京太郎「はーい、コレを持てばいいんですか?」 シロ「お待たせ……じゃ、行こうか」 久「ええ、それじゃ行きましょうか」 久「(ちょっとだけ、須賀君に会えるかもって思ったんだけど、まあ……そんな上手くは行かないわよね)」 雀荘! シロ「ココにしよう……というか、歩いて来れるのはココしか無い」 久「問題無いわ……えーと、二人揃って入れそうな卓は……」キョロキョロ 卓1「……御無礼、ツモりました。8000オールです」 卓2「……天和九蓮宝燈!」「テメェ!仕込みやがったな!」……ざわ……ざわ 久「うーん、何処も白熱してて、入れそうもないわね」 ?「なあ、君達」 シロ「……うん?」 ?「君達も麻雀しに来たんだよな?実は私達も、二人組みなんだ、良かったら一緒に打たないか?」 シロ「……おっけー」 久「助かるわ、それでもう一人の人は?……見た所一人見たいだけど?(この人、見た事があるような気が?)」 ?「うむ、駐車場に車を止めている所だ、もうすぐる来るはず……っと、来た来た。蒲原、丁度良く面子が見つかったぞ」 蒲原「へえ、流石は菫、手際が良いな」ワハハ←意気投合して名前呼び 久「……あれ?……蒲原さん?」 蒲原「うん?清澄の部長か?……なんでこんな所に?」ワハハ? ……………… ………… …… 久「えーと、と言うわけで知り合いなんだけど、どうする?」チラッ シロ「清澄じゃないんなら……問題無い」 菫「……ふむ(何か面白そうな雰囲気だな)」 蒲原「何かよくはわからないが、私達は普通に麻雀すればいいんだろ?」 久「ええ、巻き込んで申し訳ないんだけど、お願いするわ」 ワハハ「なあに、何事も経験だ。こういう雰囲気も、タメになるってもんだ」カンバラッ シロ「それじゃ……やろうか」 久「ロン……中、ドラ2で3900よ」 蒲原「萬子の鳴き清一に見せかけて、索子の辺張待ちか、清澄の部長は相変わらずだな」 菫「(手持ちの中で一飜確定していたから、鳴いた面子を迷彩にしたのか)」 菫「(まあ、良くある手ではあるけど、辺張の、しかも地獄待ちっていうのは違和感があるな)」 菫「(まさかこんな悪待ちがスタイルなわけないだろうが、しかし……)」 シロ「……はい、3900」ジャラ ……………… ………… …… シロ「……ちょいタンマ」 菫「……!」ゾクッ 久「……」 シロ「……お待たせ」タンッ 筒子7(ドラ)捨て 蒲原「怖いなー、白捨てとこう」タンッ 久「……」タンッ 菫「(小瀬川さんの河、字牌が少ない……けどリーチの索子はツモではなく手出しの捨牌だから、今度こそ混一系か?)」 ……………… ………… …… シロ「ツモ、混老七対子。……メンゼン、ホンロウ、チートイで……満貫だよ」 蒲原「ワハハ、珍しい役だなー」汗 菫「(捨牌から読むと、ドラを捨てた時点では役牌ドラ1……確かに点は高くなったけど……)」 菫「(混一じゃなくて混老七対を目指すなんて、完全に私のセオリー外の打ち方ね)」 久「……(スピードと直取りのしやすさでは、私の方が上……彼女は高い得点が得意のようだけど……)」 久「(手変わりをするぶん、速さでは私の方が上……だから速さと和了り数で勝つ!)」ゴッ シロ「……(一撃の強さは、私の勝ち)」 シロ「(……変な待ちで読みにくいけど、何回和了られようと、一撃で追いついて……そして追い越すッ!)」ゴッ オーラス! 久「……(点差は、やや私が上だけど、千点にも満たない微差……)」 シロ「……(ラス親は、この口の大きなずっと笑ってる人。だから……連荘は期待しないで打つ)」 久・シロ「だから……(先に和了った方の勝利(よ)!)」 久→菫→シロ→蒲原(ラス親) 二三四347①②④⑧⑨北白 ⑧ 久「(三巡目で、理想的な三色同順の手牌になったけど……重いわね)」 久「(東場なら三色、タンヤオ、ピンフまで狙っていただろうけど、オーラスで……しかも互いに微差でのトップ争い中)」 久「(この場面に限っては、役満よりも役牌のみの方がありがたいケースだわ。しかも……)」北捨て 菫「……」タンッ シロ「……ちょっとタンマ」 久「……ッ」 久「(やはり手が早い。手変わりするとしても、まだ4巡目だ、配牌時からすでにかなり揃っていたと見るのが正しいでしょうね)」 シロ「……お待たせ」タンッ 白 蒲原「おっとポンだ」 白白白 久「(これで、特急券の役牌もほぼ無理。喰いタンしようにも、捨ててもらえる気配は今のところ無し……本当に困ったわね)」 蒲原「ワハハ」發ステッ 久「(麻雀の神様は……本当に居るのかもしれないわね。今日の、この勝負、……私は"麻雀の為に麻雀を打っていない")」 久「(もし神様が居るなら、そんな人間には、絶対に味方なんかしないでしょうね)」 久「(須賀君に会いたい、須賀君と一緒に居られる目の前の子が憎い。須賀君に会って話しをしたい)」 久「(口調は軽いけど、男の子らしいシッカリとしたあの低音声をもう一度聞きたい)」 久「(……そんな事ばかりが、頭の中をを駆け巡って……)」 二三四347①②④⑧⑧⑨白 ⑨ 久「(このメンバー、蒲原さんは見た目と違って堅実で防御が上手い。そして、蒲原さんの知り合いの菫さん)」 久「(……まだ会ったばかりなのに、まるで見えてるかの様な一点読みをしてくる事がある)」 久「(序盤ならともかく、私の悪待ちがバレタこのオーラスで直撃は……ほぼ不可能)」白ステ 久「(……私は)」 二巡目 一一四899①③南南白中 1 シロ「(手っ取り早くいくなら……チャンタか場風(南))」 三巡目 一一1899①③南南白中 中 シロ「(だけど……)」 四巡目 一一1899①③南南中中 1 シロ「(何時も通りならココは、1の三色同順で、89を切るべき……だけど)」 シロ「……ちょっとタンマ」 シロ「(そういえば、……なんで私は……こんなに、ムキになってるんだろ?)」 シロ「(確かにキョウタロは、大事な後輩)」 シロ「(……だけど、この竹井とか言う人が悪意を持ってないのも、なんとなく分って来た……なのに)」 シロ「(なんで私は、この人とキョウタロを会わせたくないんだろ?)」 シロ「(はじめて見たのは、トヨネに必死に謝る姿。……ああ、この子は外見に似合わず真面目なんだなあ……と思った)」 シロ「(次は、普通に麻雀を打つだけなのに、嬉しそうな顔をしたキョウタロ……)」 シロ「(あの時はちょっと意味が分らなかったな……ふふっ)」 シロ「(そしてその時、清澄の事をチラって聞いて)」 シロ「(……それで関係無いはずなのに、生真面目な塞と一緒に、怒るなんてダルいはずなのに、私もイラッとして……)」 シロ「(そういえば、中庭で食べた玉子焼きは美味しかった……また作って欲しいな)」 シロ「(そういえば、あの時初めてキョウタロに負ぶって貰ったんだった)」 シロ「(……乗り心地、……良かったなあ)」 五巡目 久「……」タンッ 六巡目 久「(……神様か)」タンッ 七巡目 久「……フッ」 八巡目 久「……ちょっとゴメンね」 菫「(ん?髪を縛った?……何かのジンクス……いや、集中する為のルーティーンか?) 久「……お待たせ」タンッ! シロ「……」 九巡目 久「(神に用意された道(良形)を、散々捨てて勝負して来た私が、今更神頼みだなんて、……まったく)」 久「――(不甲斐ないわね!)」タンッ! 菫「……」タンッ シロ「リーチ(誰も出さないのなら、無理矢理降ろして、そして……ツモ和了る!)」タンッ! 十巡目 久「(このままじゃ、……ツモられるか。やはり、一手足りずに追いつけなそう、……けど)」タンッ 菫「……」タンッ 久「カンよ!」⑨⑨⑨⑨ 久「(このメンバーじゃ、いくら私でも直撃は不可能)」 久「(だったら、"今までの私以上の無茶"をして読ませない手を……、いや絶対に読めない手で勝負!)」 菫「しまった!?」 シロ「(ツモがズラされた!?……いや、それだけじゃない。もしかして!?)」 久「(追いつけないなら、ツモを増やして、―――加速させる!)」 パラッパラッ 二三四345②④⑧⑧ ⑨⑨⑨⑨ 自摸③ 久「ツモ、嶺上開花のみ……よ」 菫「馬鹿なッ!?(この捨牌は、まさか三色とタンヤオを捨てて!?こんなもの、読めるはずがないッ!)」 蒲原「(オイオイ、いくら悪待ちが得意だって言っても……限度があるだろう)」ワハハ; 久「(役を全部捨て去って、嶺上開花のみの、まったく馬鹿で最低の悪待ち。ふふっ……まったくもって、私の為にあるような役ね)」 久「このお店は、嶺上での責任払いは無しだったわね」 久「1飜36符でゴミ(400、700)ね。ギリギリだけど、トップは頂いたわよ」ニヤリ 蒲原「中々面白い対戦だったよ、また打とうな皆」ワハハ 菫「また会えると、いいな。では、それまで元気でな(これでまた、全国が楽しみになったよ)」ニヤリ シロ「……またね」 久「運転、気を付けてね。では、また会いましょう」 ブウウウウウウンッ! 久「……」 シロ「……」 シロ「……メモするから、ちょっと待ってて」 久「うん、ありがとう」 久「……あの」 シロ「……うん?」 久「えーと、その……須賀君は、こっちで上手くやれてるのかなーって気になっちゃって」 シロ「うん……部の皆と、仲良くやってる」 久「……そっか(ホッとする……そしてそれと同時に、少し嫌な気分になる。ああ、私は本当に嫌な奴だ)」 シロ「はい。一つ目がキョウタロの家で、……二つ目が明日、待ち合わせしている場所の住所」 久「小瀬川さん、……ありがとう」 シロ「……気にしなくていい」フルフル 久「……あのさ」 シロ「うん?」 久「メアド、交換してくれないかしら?」 シロ「……うん???」 京太郎「……ん?メールか?」 ガララッ ?「よっ」 京太郎「よっ、じゃないですよ部長!なんでこんな所に?!」 久「えーと、うん、ちょっと事情があってね。それで、ついでに須賀君がどうしてるかなーって思って」テヘッ 京太郎「はぁ……それにしても、よくウチの住所分りましたね。親父が咲と会話したって言ってたから、そこからですか?」 久「いいえ、無口で親切な女子高生に、教えて貰ってね」 京太郎「……はぁ?」 シロ「さて……明日は、何をして過ごす……かな」 チャーチャー、チャーチャラー♪←デフォルト着メロ シロ「メール?……誰だろ……」 メール[やっほー♪ 貴方の竹井久ちゃんですよー(^▽^)/ 実は重大なお知らせがあってメールをしました><;] シロ「???」 メール[なんとなんと、久ちゃんは今日の最終便で帰る事になりました。なので、残念だけど明日のデートは行けません(ノ△・。)] メール[と言う事で、誰か代わりに、白髪で暇なの女子高生が行ってくれると、助かるなーって思っています|ヽ-゚)チラッ] シロ「……」 メール[PS.これは降伏でも逃げたのでもないからね。"この件"に関しては、正々堂々勝負するつもりよ] メール[……意味は言わなくても分るわよね♪] 久「あのさー、須賀君」 京太郎「はい」 久「……えー……その……」 京太郎「……?」 久「コッチはどんな感じかしら?学校には慣れた?」 京太郎「ええまあ、ボチボチって所ですかね」 久「ふふっ、ボチボチっておっさんじゃないんだから」 京太郎「……」 京太郎「あの……皆の調子はどうですか?」 久「……えーとね、その」 京太郎「スイマセン!俺、自分の事ばっかで、……ホントはちゃんとお別れを言わなきゃいけなかったのに」 久「……え?(……なんで……なんで、貴方が謝るのよ)」 また逃げるの? 京太郎「俺、なんて言っていいのか分らなくて……それに、なんか逃げ出したみたいな気がして……」 良かったわね、須賀君の方から折れてくれて。 久「(なんで、責めないのよ……私は……貴方は、何も、悪くなんか……)」ジワ 京太郎「なんて言っていいかわかないんですけど……俺」 竹井久、貴女は上の立場からじゃないと喋れない、誰にも本音を言えない臆病ものだものね、だから――― 久「ダメッ!」 京太郎「……え?」 久「ゴメン……ゴメンなさい……」 久「須賀君、貴方が謝っちゃだめ……私が、私こそが謝らないと……ダメなのよ」 京太郎「えっ?何で?黙って転校した俺が、わる―――」 久「咲から聞いたの……お父さんから、須賀君が残る可能性があった事」 京太郎「……」 久「ゴメンなさい」 久「初心者の貴方に、打たせもせずに雑用ばかり押し付けてゴメンなさい」 久「大会があるから、最後のインターハイだからって、そんな考えを押し付けてゴメンなさい」 久「咲の入部で舞い上がったなんて、言い訳にもならないわ。見てみぬ振りをしてゴメンなさい」 久「咲だけじゃない。皆が貴方に依存していたのに、勝手に上手くいってると思い込んで、何も対策をしなくてゴメンなさい」 京太郎「……部長」 久「……」 京太郎「俺……ホント言うと、たまにイラッとしてたんです」 京太郎「せっかく麻雀部に入ったのに、咲が入部してからはほとんど卓に着く事も無かったし」 久「……」ギュッ 京太郎「けど、部活が楽しかったのと、やりがいがあったのも事実なんです」 京太郎「皆と一緒に居るのは理屈ぬきに楽しかったし、優希は我がままだけど可愛くて、懐かれるのは嬉しかったし」 京太郎「部長みたいに美人で凄い人に頼みごとをされるのは、ちょっと優越感もありました」 京太郎「何よりも、皆が強くなっていくのを実感出来て、それが一番嬉しかったんです」 なんで…… 久「違う、違うのよ……」 私はこんなに醜いのに、どうして貴方はそう言ってくれるの…… 京太郎「部長?」 本当の私は…… 久「最初は確かに、その通りだったかもしれない。けど、違うのよ……」 久「私は貴方の事が気になって、それでまるで子供みたいに無理に用事を作って言い付けて……」 久「……私は、貴方が思うような部員思いの良い部長なんかじゃないのよ!」 久「私は貴方が―――!」 ……………… ………… …… 京太郎「スイマセン……会ったばかりの頃なら、素直に喜んだと思います。けど、今はなんか混乱しちゃって」 久「(けど、会ったばかりの頃なら、私は須賀君を単なる後輩としてしか認識していなかった……)」 久「(……すれ違う運命だったの……かしら……)」 京太郎「あの……返事は、後ででいいですか?」 久「えっ?……考えてくれるの?(……私なんかの事を)」 京太郎「部長達には、とにかく目の前の全国大会を頑張って欲しいんです。だから、返事は大会が終ったら……」 久「うん……待ってるわ」 久「(貴方に嫌われてないってわかっただけで、可能性が少しでもあると言ってくれた、それだけで私は……)」 京太郎「はい、それじゃ全国大会の会場で会いましょう」 久「あらあら、わざわざ応援に来てくれるのかしら?」 京太郎「ああ、そういや言ってませんでしたね」 京太郎「宮守の麻雀部も人数が少なくて、それで俺も全国大会に連れて行って貰える事になったんですよ」ニコニコ 久「へっ?(うそ?小瀬川さん達も全国に出場するの?……ヤバ、戦っちゃったわ、私)」サー ……… …… … 京太郎「さーて、今日はシロ先輩にこの町を案内してもらうんだった、ちょっと早いけど起きて準備しよっと」 ヒダマリイッパイノブカツビヨリー♪←着メロ 京太郎「あれ?シロ先輩からか……なんだろ?」 メール[ダルイ……迎えに来て] 京太郎「……よし、さっさとシャワー浴びて、準備するか」 シロ「よし、……着いた」 京太郎「そろそろ、降りませんか?(せ、背中におもちが触れて、ちょっとヤバい気分だし///)」 シロ「もうちょっと……中のフードコートに着いてから降りる(乗り心地良い)」 京太郎「ううっ、わ、わかりましたから、頭をグシャグシャしないでください(うう、先輩の細い指がっ///)」 シロ「……(ナデナデしただけなのに)」 京太郎「それにしても、ここがジャ○コか」テクテク 京太郎「色々店舗が入ってて、けっこう面白そうだな」 京太郎「さっ、着きましたよ。降りてくださいねシロ先輩」 シロ「……残念」 京太郎「それにしても、このフードコート、おばちゃんがやってるラーメンやたこ焼き売ってるスペース」 京太郎「他にも何種類かの店舗が入ってるんですね。俺、辻垣内バーガーとか初めて見ましたよ、長野にはありませんでしたし」 シロ「うん……岩手ならこれくらい余裕」 京太郎「へえ、牛丼屋とミスドォとか色々ありますね。あっ、あそこのカレー屋、インド人が作ってますよ」 シロ「……」フンスッ 京太郎「シロ先輩、朝ご飯食べてないんですよね?何か食べます?」 シロ「朝は、いつも食べない……だから大丈夫……あっ(ソフトクリームがある)」 京太郎「んっ、何かありました?(今、反応したよな?)」 シロ「……ソフトクリーム食べたい」 京太郎「バニラでいいですか?」タチ シロ「うん……キョウタロウも食べよう」 京太郎「俺は……」 シロ「……」ウワメヅカイ 京太郎「……俺も喉が渇いてたんで、食べようかな(は、反則だろコレは///)」 店員「ふむ、王者バニラと、三年間熟成させた豆を使ったカフェオレ味、合わせて500円にしかならんよ」ドヤァ 京太郎「お待たせしました、どうぞ」 シロ「……うん」 京太郎「でも、全部出してくれなくても良かったんですよ? 逆に案内してもらってる俺が、出さないといけないんですから」 シロ「……こういう時は、先輩を立たせるべき(ソフト美味しい)」ペロペロ 京太郎「えーと、じゃあ、次は何処に行きましょうか?」 シロ「……」 シロ「キョウタロ、あそこに立って」テクテク 京太郎「はい?」テクテク シロ「真正面が食品売り場。右側にはパン屋とエイティーエムがある」 シロ「そして左側には、衣料品と、ひゃっきん、そしてゲームコーナー、トイレがある」 京太郎「……はあ?」 シロ「……ふぅ(さすが私、……完璧な説明だった)」 京太郎「(もしかしてこれで、案内が終ったのか!?)」 京太郎「……し、シロ先輩」 シロ「……うん」ヤリキッタカオ 京太郎「あ、ありがとうございました!とっても分りやすい説明でした」 シロ「まあ……私に掛かれば、余裕」 シロ「実はあそこの自動ドアの先には"タイヤ槓ッ!"や"ホームセンターすばらっ"があるんだけど」 シロ「……学生のキョウタロには関係がないと思って省いておいた」 京太郎「そこまで考えてもらって、……ありがとうございます」 京太郎「(ホームセンターか、後で収納ケース買いに来よっと)」 京太郎「えーと、この後どうします?」 シロ「……予定は無い……かな」 京太郎「それじゃ、お昼でも……ってそれは早いか(店入ってから、15分も経ってないもんな)」 シロ「ダルイから、……ゲーセンで休もう」 京太郎「はい。そういえば、シロ先輩は好きなゲームとかあります?」 なんでだろう? なんで私はあの時、勝負をしようって言ったんだろ? 何で私は、竹井さんが悪人じゃないと分っても、会わせたくなかったんだろう。 何で私は……。 京太郎「……ぱい……先輩?」 シロ「ハッ!?」 京太郎「大丈夫ですか、シロ先輩?」 シロ「だ、だいじょうぶ……なんでも……ない///」 シロ「……コレ、本当に良かったの?」 京太郎「もちろんですよ、結局お昼も割槓だったんですから、これぐらいプレゼントさせてください」 シロ「ハンペンちゃん……とても可愛い」ギュッ オデンぬいぐるみシリーズの人気ネタ、ハンペンちゃん。 ぶっちゃけ、俺には何が良いのかわからないが、 先輩が欲しそうだったので、思わず、取れるまで粘ってしまった。 1200円、昼飯四食分が消えたが、後悔は……しない……はずだ。 シロ「つるつるしてる上に、三角形でとても取れにくい、……だから諦めてた」 京太郎「……」 シロ「キョウタロ……ありがとうね」ニコッ 京太郎「い……いえ、大した事じゃないですよ」 うおおおおおお!我が選択に悔い無し! ……… …… … 胡桃「充電、充電~♪」 シロ「……」ボー 塞「ねえ、、前から思ってたんだけど、シロは大変じゃないの?」 シロ「……問題ない」 シロ「(この状態だと、動かなくても皆がお菓子やお茶を運んできてくれるし)」 トヨネ「けど、充電って気持ち良さそうだよねー」 胡桃「うん、最高だよ!」 シロ「……」 シロ「……私もやってみたかも」ボソッ 塞「ん?何か言った?」 胡桃「じゃあ、京太郎に抱いてもらったら?(中々良い、充電具合だったなあ)」 エイ「!?」ブッ トヨネ「だ、抱かれるって///」カァァ 京太郎「みなさーん、今日のオヤツ、家庭科室で温めて来ましたよー!」 京太郎「暖かいスコーンと玄デットクリームクリームは最高の相性ですから、是非試してみてください!」 京太郎「……って、あれ?皆、どうかしたの?」 シロ「と云う訳で、……キョウタロ充電させて」 京太郎「ええっ!そ、それはちょっと///」 トヨネ「(う、うらやましい///)」 胡桃「まあまあ、京太郎君。……可愛い後輩の君には、私がメインで君に麻雀を教えているよね?」 京太郎「はい、今日は順子と刻子、両方重なった時の取捨選択を教えてもらって、とても勉強になりました、ありがとうございます」 胡桃「で、先生役の私は、何時もシロに充電させてもらってる」 胡桃「だから君がシロに充電してあげれば、見事に三者三得になるんだよ!」 京太郎「……う~ん、まあ、嫌なわけではないですが(というか、役得過ぎて怖い!)」 シロ「よろしく」ウワメ 京太郎「あっ、はい。よろしくお願いします!(断れない!これは断れないだろ!?)」 エイ「キョウタロー、ココ、ココ♪」[座ってる絵] 京太郎「は、はい」 胡桃「(なあ、何も言わないのか?塞は、止めるかと思ったんだけど?)」ボソボソ 塞「(そこまで堅物じゃないわよ。……それに、ちょっと良いと思ったし)」ボソボソ 胡桃「(そっか?)」ボソボソ シロ「じゃあ、……しつれい」 京太郎「はひっ!」ドキドキ ムニッ 京太郎「ッッッ!?」 シロ「うん……なかなか、だね」 うおおおお!なんだこれは!? 俺の太ももと股関節に、柔らかいが、決してそれだけではない、 弾力性を持つ、お餅を超えた超御餅が二つ!!! そして預けられた背から感じる、温かさ! ぬくもりてぃの意味を、頭ではなく、正に身体で感じたぜ! そして最後に、匂いだ! 俺の上に腰掛けてるせいか、後頭部が丁度真正面に! つまり、かぐわしき髪の匂いが、直接鼻腔に! うわっ、変態ぽいが、頭の脂の匂いすらも素晴しく感じるぜ! ↑ ココまでの思考、26秒。まさに凡人である。 塞「おーい、京太郎~!おーいってば!」 胡桃「かっちんこっちんに固まっちゃってるね」 エイ「カタクナテルデスカ///」 シロ「……あー、良いね……これは良いねー」 シロ「(シッカリと抱え込まれる安心感……けど、けっして硬過ぎはしない……なるほど、これからも充電してもらう事にしよう)」 塞「まあいいや、充電を頼むのは、生き返ってからしよっと」 トヨネ「!?」 エイ「ジャア、ソノツギハワタシ!」[挙手] トヨネ「ぼ、ぼっちはいやだよー!私もやるよー><(やったー、どさくさに紛れ込めたよー♪)」 ……… …… … 何時からだろう? 最初部室で見た時は、ちょっとだけ嫌だった。 実は、私は彼が入部する前にその姿を見た事があった。 田舎の情報は速い、例え興味が無くても入ってくるものだ。 うちもそうだった。 お母さんが、夕飯の話題に、近所に都会から引っ越してくる人が居ると言った。 お喋りなお母さんが色々喋り、寡黙だけどお母さんにベタ惚れの父が頷いたりしてリアクションを返す。 それを、私は何時も通りなんとなく聞く……と言うのが、何時もの夕食風景だ。 私は特に興味も無かったので、流し聞いていたのだが、ちょっと耳に残る単語が出てきた。 『白望、そこのウチにも高校生のお子さんがいるんですって』 『一番近い宮守に通わせるみたいだから、何か困ったら助けてあげてね』 同じ学校……その言葉に少しだけ意識が働いた。 ただ、その時はまだ興味が沸くほどじゃなかった。 夕方、なんとなく散歩をしていた。 動くのはダルいけど、頭を空っぽにして紅くなっていく景色の中を歩くのは嫌いじゃない。 そこで初めて彼を見た。 金髪の髪をした、チャラチャラした感じの高校生。 何故年齢が分ったかと言うと、その時彼が制服を着ていたからだ。 その時は、彼が清澄の制服を着ていたので、宮守に転校してくる彼と、頭の中で一致はしていなかった。 ただ、なんとなく目が追っていて、そして私はその場所で、数分立ち尽くしてしまった。 私はその時、 ああ、なんて寂しい目をしているんだろう……と、思ったのだ。 二回目は、この学校では珍しい男子学生と話をしている彼だった。 その時初めて、夕闇ですれ違った彼が、転校生なんだとわかった。 何故か私は立ち止まって、見ていた。 コロコロと表情の変わる彼は、嫌いと言うほどでは無かったが、 やっぱり見た目どおりの都会の軽い男性なのかなと……何故だろうか、私は残念に思った。 私には関係の無い、……単なる転校生なのに。 まあ、その日の夜、母が長野を関東だと誤解していた事、 そして関東イコール都会だと思っていたと言う、ダルい勘違いを知ったのだけど……まあ、関係ないよね。 そして三回目。 私に麻雀部の部室を聞いてきた彼。 なにもかもダルイダルイ言っている私にも大事な物がある。 その少ない大事なものの一つである麻雀部に、軽くてヘラヘラした男が入るのかと思うと、嫌な気分になった。 だけど、案内しなくて、何時かは分ってやってくるのだ……ここで断る事の方がダルイ。 しかし、その後は一変してしまった。 背の高い女の子が通り過ぎる時、何気なく呟いてしまった一言。 そんなもの、普通の人間なら気にしない。 善良な人間だとしても、寝るまで自己嫌悪に陥って、それでおしまいだ。 私達ですら、その話を聞いたとしても、数分怒っておしまいだろう。 だが彼は、その場で謝るのならまだわかるが、次の日まで引きずって、わざわざ部室まで謝りに来たのだ、 そして、まるで土下座するような勢いで、謝った。まったくもって――"普通じゃない"。 それを見て、 私は……面白い子だなって、思ってしまった。 だからだろうか、私らしくない余計な一言を言ってしまった。 『気がすまないなら、気が済むようにすればいい』 そして、彼が、須賀京太郎が麻雀部に入る事になってしまった。 キョウタロが部員になって、あらためて接して分ったけど……。 やっぱり、お調子者でちゃらかった。 ただ、今まで私が考えていたちゃらい男とは、正反対だった。 何時も何時もおちゃらけて居て。 ―――皆が楽しく過ごせるように気を使ってて。 誰にでもヘラヘラして。 ―――誰にでも笑顔で接して、皆の気分を良くしてくれる。 男の癖に女だらけの部活に入って。 ―――人が嫌がることを率先して動いて。 事有る毎に男だからって、言い張って。 ―――率先した行動を、私達に気を使わせないように、疲れの見えない笑顔で 『男なら、これぐらい軽いもんですよ』なんて、笑って言ってくれて。 そして……デカくて、スペースを取って。 ―――柔らかいだけの私達とは違う、弾力のあるガッシリとした固さの背中。 そして、そして…… 誰にでも優しい、八方美人な性格。 ――――――……そこだけは、ちょっと嫌だ。 とある日。 京太郎「わざわざ、スイマセン」ペコリ 俺の部屋に、先輩が居た。 『……』ツンツン 『ん~っ』 『……♪』ツンツン 『んぁ~……や、やめ……んっ?…………えっ?』 『……おはよ』 『うわあああああ!せ、先輩!?なんで、ここに!??』 京太郎「(ちくしょう、おふくろめ、寝てるの分ってて、部屋に案内しやがって)」 京太郎「わざわざスイマセン、家にまで持ってきてもらって」 シロ「大丈夫……散歩のついでに、興味本位で探したら見つけただけだから」 京太郎「(朝から散歩とか、ちょっと意外だよな、本校舎から部室への移動すら俺に運ばせるのに)」 シロ「む、……何か失礼な事考えてるねキョウタロ」 京太郎「い、いえ、そんな事ないですよ」アハハ; シロ「さっそくだけど、コレ……昨日聞いてみたら、その場でもらえたから」 京太郎「ありがとうございます!マジ助かります!」 京太郎が貰ったのは、青い学ランだった。 何故かと言うと、宮守の男子の制服は、珍しい青の学ランの制服だったのである。 京太郎は、清澄の頃の学ランでも問題無いと確認を取り、そのまま黒で通学する気だったのだが、 部活内で制服の話題になり、 『着たくないわけじゃないよね?』 『いやー、制服も高いしこのままでいいなら、いっかーって思って』 などと話しをして、数分後に白望が 『親戚に一個上の人居るから……その人に聞いてみる』 と、言ったのであった。 と、言うわけで。 白望は、去年度卒業した親戚から制服を貰い、渡しに来たのである。 京太郎「うわー、大事に着てたんですね、生地も痛んでないし。コレほんとに貰っちゃっていいんですか?」 シロ「気にしない……ウチの家系は、あんまり物とか拘らないから」 シロ「持ってたのも、……捨てるのがダルかったからだと思う」 京太郎「んじゃ……スイマセン、遠慮なく貰いますね、ありがとうございます」ペコリ シロ「……」ジー 京太郎「……?」 シロ「……」ジー 京太郎「あの……シロ先輩?」 シロ「着ないの?」 京太郎「えっ?…………コレっすか?」ピラッ シロ「そう、それ」 京太郎「(なんだ?わざわざ持ってきてくれたんだし、着て見せるのが礼儀なのか?)」 京太郎「えーと、見ても楽しくないですし、それにどうせ明日の部活には着て行きますけど?」 シロ「……キョウタロは、私に見せたくない……の?」コテン 京太郎「!?」 京太郎「(うおおおおお!頭をコテンって!コテンって傾げないでくださいいいい!!!)」 京太郎「……着替えてきますんで、ちょっと待っててください」 シロ「うん♪」 京太郎「……おまたせしました」 シロ「……」ジッ 京太郎「(ううっ、単なる制服なのに、ジッと見られると恥ずかしいな)」 シロ「……♪」b 京太郎「ありがとうございます?(褒められたんだよな?)」 シロ「……くるってして」 京太郎「(くるっ?回れって事か?)」 京太郎「はぁ、んじゃ」ピラリッ シロ「ブッ!」 京太郎「はは、面白かったですか?……って、シロ先輩?」 シロ「わ……わいしゃつは……」プルプル 京太郎「ああ、実は洗濯物溜めちゃってて、今日一気に洗ってる最中なんですよ」 ********************************************** シロ「……め……めだ……」 京太郎「シロ先輩?」ノゾキコミ シロ「うわあああ!キョウタロのバカー!」ガバッ 京太郎「うわ、ちょ、ちょっと上に乗らないでください!」 シロ「ちょっと丈が足りないのは分ってたけど、生腹チラリとか……私を誘ってるとしか思えない!」ダンゲン 京太郎「えっ?えっ!??」 シロ「Yシャツが無いから、猥シャツを見せるなんて……キョウタロのエッチ ♥」 \________________________________________/ o 。 エイ「~♪」 モブ子「あれ、エイスリンちゃん、嬉しそうな顔で寝てるね」 モブ美「とっても良い夢見てるんだろうね。起さないであげようよ」 モブ子「だね♪」 クーラーの無い須賀家、その暑さ故に真ん中のボタン二つだけを留めた格好で、 京太郎がクルリと回ると、薄く筋肉の付いた京太郎の腹がチラリと見えた。 それに対し、シロが発情した…………なんて事では無い。 ただ、気が付いたのだ。 ――最初に見た時からある不安感。 ――可愛い後輩が出来た喜び ――無理矢理聞き出した清澄の事で、怒っている自分。 それらは、日は浅いが大事な仲間で、可愛い後輩に対する感情として なんら間違ってなどいない。 しかし、それだけでは無い事に、気が付いてしまった。 須賀京太郎が、男である事に。 まあ、制服を着てクルリと回って、そこで性を感じられるというのは、 感受性豊かな男子高校生としては、複雑な所であろう。 京太郎「おっと、麦茶のおかわり持って来ますね」 シロ「ありがとう……けど、もう一つだけおかわりしたい」 京太郎「はい、何でも言ってください」 その後、京太郎は20回ほど自転運動をし、遠心力を体で感じてから開放されたのだった。 ……… …… … 夜! 京太郎「ああ、今日は酷い目に……いや、凄い目にあったな……あやうく俺のイナヅマ立直棒が、一発ツモする所だったぜ」 京太郎「あれ?……メールが着てる?こんな時間に誰だろ?」 和メール[私たち結婚します][咲と和のツーショット写真] 京太郎「……は?」 京太郎「はぁあああああああああああああ!!!?????」 京太郎「ちょっ、どういう事だよ?アイツんち厳しいんじゃなかったのか?」 京太郎「それが、学生のうちに結婚とか、俺が居なくなってから何があったんだよ!?」ピポパ 京メール[着信拒否。和さんにはメールは届きませんでした] 京太郎「え、ちょ!?自分からメール送っといて、俺は着拒?意味が分かんねえよ!!!」 京太郎「ああ、もう!こうなったら咲にメールするしかないか」 京太郎「ダメなら部長か染谷先輩だな、流石にあの二人は着拒なんてしないだろう 京太郎「(つーか、染谷先輩に拒否られたら、立ち直れないわ……)」 ――送信中――ギュルルルッ! 優希「のどちゃん、……本当にいいのか?」 和「もちろんです、居なくなったあの男が悪いんですからね。私は後悔なんてしません」 優希「そっか、のどちゃんは勇気があるじぇ。私は結局何も選べなかったから……」 和「貴方は……優し過ぎるんですよ、皆の気持ちなんて無視して告白していれば良かったのに」 和「私は、いえ、須賀君以外の全員、貴方が一番頑張ってアプローチしていたのを知っています」 優希「咲ちゃん……幸せになるかな?」 和「幸せになります……いえ、私が幸せにしてみせます!」 アイツが悪い!アイツが悪い!アイツが悪い!私は何も悪くない! 咲「……あれ?和ちゃん、起きてたの?」ゴシゴシ 和「すいません咲さん、起してしまいましたね」ニコッ ああ、可愛い可愛い咲さん。 なのに、あんな逃げ出した男のせいで毎日毎日泣いて……。 咲「……ごめんね」 そうだ、私は悪くない。 和「いいえ、咲さんは何も悪くないですよ」ニコ 咲「ゴメンね……和ちゃんはこんなに優しいのに私ってば、邪魔だとか、京ちゃんじゃないくせに……とか、色々酷い事言って」 和「そんな事、……咲さんがどれだけ苦しんだかは、知ってます。だから、気にする必要無いんですよ」 咲「ありがとう……ありがとうね、和ちゃん」 そうだ、咲さんが私を頼って、そしわ私が咲さんを得る……。 何も問題は無い。素晴しいグッドエンディングです。何も問題は……無い、のです。 和「咲さん、ずっと、……ずっと一緒に居ますからね」ギュッ そうだ、だから、この胸のうずきも単なるイライラなんだ。 咲さんを抱きしめているのに、あの男の顔が脳裏に浮ぶのも あの男が居ない事に胸が締め付けられるのも……全ては逃げ出したあの男が憎いから。 ……ただそれだけ。 プルル 京太郎「もしもし、……もしもし、聞こえてるか咲?」 咲「……京……ちゃん?」 京太郎「ああ、俺だ。ところで、変なメールが――」 咲「京ちゃん!……京ちゃんだ、……京ちゃんだ……」グスグス 京太郎「……咲」 ――――――――――――――― 優希「まったく、のどちゃんも、回りくどい事をするじぇ」 和「ふん、……ここまでお膳立てしたんです。少しぐらい脅かしたって、バチはあたりません」 優希「でも、京太郎、素直に咲ちゃんに電話するかな?」 和「部長や染谷先輩達には、今日一日、須賀君には返信しないように頼んであります」 和「それに須賀君の事です、直接私か咲さんに確かめる確立の方が高いです」 優希「まったく……素直じゃないんだじぇ」ボソリッ ――――――――――――――― 咲「京ちゃんだ……本物の京ちゃんだよぉ……」 京太郎「……ごめん、ごめんな」 咲「……ぐす、……謝らないで、……京ちゃんは、何も悪くない……んだから」 ……………… ………… …… 咲「そっか、そうだったんだ」グスッ 京太郎「ああ、だから…………」 咲「京ちゃん?」 京太郎「いや、確かに今言った通りに、親父を一人だけにしたくなかったからってのは、本当の理由なんだ」 京太郎「だけど、一つだけ刺があるんだ……」 咲「……うん」 何時も煩いけど、大事なところでは、……何も言わないで、ただ話を聞いてくれる。 ……ありがとな。 京太郎「俺は……部活がしたかったんだ」 咲「……」 京太郎「皆が麻雀を打って、そして俺がそれ以外をする……それも楽しかった。本当だぜ?」 京太郎「皆が強くなっていくのを間近で見るのは、本当に嬉しかった」 京太郎「けど、それと同じくらい、一緒に打ちたかったんだ」 京太郎「俺なんかじゃずっと負けっぱなしで、落ち込んだりしたと思う。変にすねて迷惑をかけたかもしれない」 京太郎「けど、優希にバカにされながら、くやしいと言いながら打って。 和に、そんな効率の悪い打ち方でどうするんですかって怒られながら打って。 染谷先輩に、お店の愚痴やマイナーなバンドの話しを聞かされながら打って。 部長の変な待ちに引っかかって、あの意地が悪いくせに明るい笑顔を見ながら打って。 そして、お前と、昨日読んだ本の話しを聞かされたり、学校であったどうでもいい事を話しながら打って。 俺は……。 皆とくだらない話しをしながら、……ただ一緒に打ちたかっただけなんだ。 最初っから打ってなかったら、こんな気持ちは持たなかったと思う。 けど、本当に最初の頃だけど、部活にお前が入って、一緒に笑いながら打ってた時の記憶がある……。 それだけ、たったそれだけの事が、刺になって……。 ああ、そうか、そうなんだ、……だから俺は逃げ出したんだ。 優希「……どんな事、話ししてるんだろ」 和「わかりません……けど、必要な事なんです」 優希「……うん」 和「このまま、自分で想像するだけでは、自分で作った袋小路に自ら迷い込んでしまいます」 和「だから……」 優希「……」 和「どんな事を言われるとしても、……決着を付けるしかないんです」 優希「……京太郎は優しいじぇ」 和「……だからこそです」 短い。 京ちゃんの、今までの思いを全て吐き出すには、余りにも短い告白でした。 京太郎「ゴメンな、……変な事言って」 咲「ううん、……聞けて良かったよ」 本当だ、知らずに居るよりもずっと良かった。 京太郎「さっきも言ったけど、部活が楽しかったのも、皆の助けになれたのが嬉しかったのも、本当の事なんぜ?」 京太郎「それに、もし何も無かったとしても、やっぱり俺は親父に付いて行ったと思う」 京太郎「皆には悪いけど、やっぱり家族が一番大事だからな」 京ちゃんは優しいから、きっと本当の事なんだろう。 ……………… ………… …… 咲「……うん」 京太郎「じゃあな、違う高校になっちまったけど、咲の事……清澄の事はずっと応援しているから」 咲「うん……ありがとう、私も応援しているから、新しい学校で頑張ってね」 咲「体に気を付けて、……私に出来る事があったら、なんでもするから連絡してね」 京太郎「ははっ、頼りにしてるぜ……お姫様!」 京太郎「……じゃあな」 咲「うん……バイバイ京ちゃん」 京太郎「――――――」 プッ、……ツーツーツー。 馬鹿だ!私はなんて、馬鹿なんだ……なにも……何も、分かってなんかなかった! お世話してもらうのが当たり前だと思ったから。 京ちゃんの時間を奪ったから。 初めての同性の友達に、浮かれて他の事をないがしろにしたから。 部活の皆が無茶を言っても、京ちゃんは優しいから大丈夫だと、何も行動しなかった事。 これだけでも、本当に馬鹿な事をしたなって思う。 けど、全然分ってなかった。 通り一遍の想像だけをして、須賀京太郎と云う男の子を、 ずっとずっと一緒に居た幼馴染の事を……何一つ解ってなかった! 解らなかったと言うのは、甘えだろう。 解るはずだったのだ。 私がちゃんと『何故京ちゃんが、こんな形で消えたのか』 そこにちゃんと向き合えば、解って当然の答えだったのに! 何で私は、京ちゃんが『誰かを憎んで消えた』と思ったのだろう! ああ……わたし……は…… わた……し…………は……………… ──── ── 胡桃「んー……、京太郎君、遅いね」 塞「そうだね、普段は鍵当番よりも早く来る事も稀に良くあるのに」 京太郎「お……遅れてすいま……せん」 胡桃「おっと、噂をすれば……ん?」 塞「遅かったね、普段早く来てる君が遅いから、皆心配したんだよ……あっ」 トヨネ「そうだよー、何かあったのかなって、ちょー……あっ」 バタンッ! 京太郎「」 トヨネ「きょ、きょ、京太郎くんっ!?」 ……………… ………… …… 塞「まったく、何を考えてるんだ……」 京太郎「……面目ないです」 塞「自転車が壊れたからって、この炎天下の中を二時間も歩いて来るなんて……」 京太郎「最近運動不足だったし、東北だから、イケると思っちゃって……」テヘ 塞「ハァ……。ロシアレベルならともかく、岩手の夏は普通に暑いよ」 塞「山形ほどじゃないけど、盆地性の気候が多くて、下手な関東より気温が高い所なんていくらでもあるんだよ」 京太郎「……すいません」ショボーン 胡桃「まあ、身をもって体験したわけだし。流石の京太郎君でも、これからは気を付けると思うよ」 京太郎「さ、流石のってのは……ガボボッ!?」 シロ「……飲んで」グイグイ 京太郎「ガボグボッボオッ!」 トヨネ「きょ、京太郎くん!?」 シロ「……熱中症になったら、体を冷やして、水分を取る」グイグイ 京太郎「んぷっ!ゴキュゴキュゴキュ!……んっ!あはぁっ!!!」ゼーハー トヨネ「」/// シロ「熱を取る為には、……動脈とかの近くを冷やすと効果的」グイグイ 京太郎「ツメタッ!ちょっ、直接氷を腋に当てないで下さい、せ、せめてタオルに包んで!」 京太郎「いやぁああ!ズ、ズボンは脱がさないで!」 シロ「太ももの付け根に大きな動脈がある……だから、我慢しないとダメ」ジャラジャラ 京太郎「あひぃいいい!ズボンの中に直接氷を入れちゃらめええええ!」 トヨネ「……あわわわっ!?」/// 胡桃「シロが面倒をみるポジションとか、珍しいね」 塞「いやいや、いつも充電とか言って、面倒見てもらってるのは誰だよ」ツッコミ シロ「今日は一日中面倒をみる……だから安心して」ムフー 京太郎「ええ!?」 京太郎「(し、幸せだけど……不幸だあああああああああああああああああ!)」 ──── ─ トヨネ「ロンだよー♪」 京太郎「うわ、またやられた!くー、ようやく最下位脱出かと思ったのに!」 トヨネ「ふふっ、そう簡単にはやられないよー♪」 京太郎「けど、いいんですか?」 シロ「……何が?」ポリポリ 胡桃「私にも、和さビーフちょうだい」 シロ「……んっ」 京太郎「いや、上京前の最後の練習に俺なんて混ぜちゃって」 京太郎「今まで教えてもらったんですから、今日くらいはレギュラー同士で打った方が……」 塞「京太郎君、君はまたそういう事を――」 トシ「問題は無いねぇ」 京太郎「えっ……そ、そうなんですか?」 トシ「何処かとの共同練習ならともかく、身内同士なんて今まで散々打ちまくってるからねえ」 トシ「逆に君と打った方が、経験値は増えると私は思っているよ」 京太郎「えっ?……俺で、ですか?」 トシ「別にお世辞やオタメゴカシとかじゃなくて、意味があって言ってるのさ」 京太郎「……はぁ?」 トシ「今年は、全国的に常識の通じない打ち手が多く集まっていてね」 トシ「牌効率よりも、己の異能を主にして戦う、そんな輩がわんさか出てくるのさね」 京太郎「(そういえば、気になって長野予選の牌譜も見たけど、素人っぽいのに役満を和了る子とかも居たな……)」 トシ「ふふっ、その顔じゃ覚えが無いわけじゃないらしいねぇ」 京太郎「はい、集めた牌譜の中には、有り得ない、確率的には千回に一度和了れれば良い様な」 京太郎「そんな打ち筋を、何度も再現する打ち手が大勢居ました」 トシ「だからさ」 京太郎「?」 トシ「だから、牌効率を目指す打ち手だろうと、異能頼みの素人だろうと関係ない」 トシ「どんな相手だろうと勝てるように、初心者をようやく脱出しかかってる」 トシ「須賀君と打つのは、無駄なんかじゃなく、有用だって事さね」 トシ「それで、同じ部員である須賀君が上手くなるなら、一石二鳥だろ?」パチッ♪ 京太郎「……あ、ありがとうございます///」 京太郎「(腰が砕けるかと思った。……この先生、今はおっとりしてるけど、昔は相当女ったらしだったような気がする)」 京太郎「(今の台詞、かなりクラッと来たもんなあ)」 シロ「……キョウタロ、次入るよ」ムッ 京太郎「えっ?シロ先輩、今日は『今日は午後から本気出す……それまでモチ巾着ちゃんクッションで、充電してる』って……」 シロ「全国はキビシイ……だから今からやる。だからキョウタロも一緒に頑張る」グイグイ トシ「だそうだよ? ……まっ、若いんだから頑張りな」 京太郎「は、はあ?」 トシ「(やれやれ、なんでも面倒がってたシロが、独占欲を持つなんてねぇ……)」 トシ「(ふふっ、これだから教師はやめられない。若い子の成長を見る、何よりもの楽しみだからねぇ♪)」 新幹線! 京太郎「ぐー……zzzz」 エイ[グッスリ] トシ「やれやれ、家を出るギリギリまで最新の牌譜を集めていたそうだよ……」 トシ「これを慣れと言ってすますのは簡単だけど、……そんな事を言う子は、此処には居ないよねぇ?」 全員「「」」コクリッ 塞「分かってるよね皆?」 胡桃「もちろん!」 エイ「ワタシタチノ、ユメノタメ」 トヨネ「そして、京太郎くんの頑張りに、応えたいからっ」 シロ「……絶対に、勝とう」メラッ 全員「「」」ゴッ! 東京! シロ「……疲れた」 塞「いや、シロは京太郎君の背中に乗ってただけだよね?」ツッコミ トヨネ「……けどこの人の多さは、何しなくても疲れちゃうよー」 胡桃「……電車は……嫌いだ」モミクチャ エイ「><」ゼーハー 京太郎「えーと、会場はあそこの交差点を右に曲がれば見えてくるみたいです」 抽選会場! アナウンス「宮守高校、A-23!」 ……………… ………… …… 旅館! トシ「ふむ、一回戦は山形県の天童大付属か……」 トシ一回戦から同じ東北同士で潰し合いとは……フンッ、ワクワクするねぇ」ニヤリッ オウシュウヒットウハダレカオシエテアゲナイトネエ 塞「けど、一回戦を勝っても、その次はシード校の千里山女子なんですよね」ワタシノクジウンガワルイセイデ シロ「……(清澄とは、準決勝……四つ勝たないと会えなのか……)」 トヨネ「あわわわっ、周りが有名人だらけだよおおお!?」 シロ「……大丈夫」 エイ「?」ホワイ? シロ「私達の目標は、……優勝」 シロ「だから、……何処の誰が来ても……全力で戦うだけ」ゴオオッ! 胡桃「そうそう、それにねトヨネ。インターハイが終わった時には、一番有名な高校は変わってるはずだよ!」 トシ「おやおや、随分と吹かすねえ……けど、その意気だ」 エイ[筆記体で名前!]ビシッ! トヨネ「あわわわっ……私、まだサインとか考えてなかったよぉおおお><」 一回戦! シロ「……ちょっと、たんま」 椀子「アンダだず、長考なんてしてる場合じゃねぞ」 蕎麦子「んだ、天童の椀子蕎麦姉妹と呼ばれるアダシらのコンビ技――」 塞「……!」ピキーン! 椀子・蕎麦子「「――食らうがええだ!」」キュイー…プススッ 蕎麦子「……えっ?そ、そんな???」 椀子「蕎麦子の、そばテンおかわリーチが、外れた……だと!?」ガクガク シロ「……三暗刻、ドラ3、自摸、親の跳ね満で6000オール……だよ」 椀子・蕎麦子「……ヒィイイ!」 ************************ 悟子「うふふ、どれ切ろっかな♪」 教子「(サトリちゃん、⑦のキー牌が欲しいの!お願い悟って!)」 悟子「……よ~し、それじゃ⑦切ろっと♪」 教子「チ」 胡桃「ポン!」 悟子・教子「えっ?」 胡桃「この大会のルールは、チーとポンが重なったら、ポン優先だから問題ないよね」 胡桃「タンッ……はい、次どうぞー」サクサク 数巡後 エイ「ツモ!」[1000・2000] アナウンス「キター!宮守の白い天使、エイスリン選手、6連続和了だああああああ!」 胡桃「(私の役割は、ダマでどんな状況にも対応できるようにする事!)」 胡桃「エイちゃんナイス和了!このまま八連荘狙っちゃおう♪」 エイ「ウン!クルミ、アリガトーネ♪」[^▽^v] 胡桃「(私の"ダマ"と"安め差し込み"でトスして、そしてエースのエイちゃんによる"13巡テンパイ"。……敵は、これでつぶす!)」 ******************* トヨネ「よし、辺張ちゃんがくっ付いた♪だから、ぼっちじゃないんだよー♪」 トヨネ「立直、一発、自摸、清一。倍満だよー♪」 生葉景子「……トビです」ワタシガワルイコデシタ;; 京太郎「やったー!やりましたよ熊倉先生!」 トシ「決して相手は、弱くなかったんだけどねえ……ふふっ、皆成長してるねぇ」 *************** 豊音「あと四回で清澄と当るね~」 シロ「!!(数え間違えた)」 トヨネ「原村さんのサイン……欲しいかも」 エイ[目(テイサツ)]「イク?」 塞「京太郎君が纏めてくれた牌譜を見る限り……見ておいて損は無いだろうね」ブルッ トシ「……」フム トシ「豊音、そして白望」 シロ・トヨネ「はい?」 トシ「自分たちが『普通』だと感じてしまうような打ち手……見たいと思うかい?」 シロ・トヨネ「……」 シロ「……はい」 トヨネ「『普通』ですか……、熊倉先生、私は……」 トヨネ「私は、見るだけじゃなく、同じ卓に着いて……感じてみたいです」ポポポッ! A会場・第4試合! 胡桃「ははっ……凄いな、こりゃ」 何時もマイペースな胡桃の声が震えている。 だが、当然の事だろう。 *********** 1時間前! トヨネ「清澄の先鋒の片岡さん。ちょーすごい火力だったね」 塞「うん、そして相方の染谷さん。ややデジタル寄りだけど、牌効率と言うよりは……」 塞「相手の打ち筋に合わせた、『対人効率』と言ったほうが近い打ち筋で、局を重ねる毎に対応力が上がっていたよね」 トシ「ふむ、東場で片岡さんが爆発的に稼いで、そして元々崩れにくい染谷さんが直に相手を知る」 トシ「そうすることによって南場では更に対応力が上がる。ふふっ、中々良いコンビだねぇ」 シロ「そして中堅、竹井さんの……性格の悪そうな待ち」 塞「うーん、性格はともかく、今まで調べた牌譜どおりに、良形よりも地獄待ちなどの悪い待ちの方が圧倒的に上がる確率が高い」 胡桃「マナー悪いけどね」 トヨネ「インターミドルチャンプの持ってるペンギン、ちょーかわいいよー♪」ハウーオモチカエリィイッ! 塞「そして、噂通りの完全なデジタル打ち、……敵の異能をまったく考慮しないのはマイナス要素だと思っていたけど……」 塞「振り込んでも萎縮しない精神力、そしてその精神力によって相手の異能が逆に萎縮する始末」 胡桃「……やっかいだね」 トシ「この二人は、先鋒と違って完全に『個』のチームだね」 トシ「先鋒は東場の終わった片岡さんが、先輩である染谷さんを頼ったり、染谷さんが、随所で献身的な打ち回しをしていた」 トシ「それに比べ、竹井さん、原村さんは、完全に自分の力を信じて打っているねぇ」 トシ「けど、下手にチームを意識するよりも、思いっきりがよく打ててる。このスタイルが、一番力を発揮できるんだろうねぇ」 そうだ、これまでの4人も凄い。 だけど……。 咲「……カンです」 あの4人になら、私達だって負けてない自信はある いや、圧倒的な勝利を見た今でも、勝つ自信はある……。 咲「もう一つ、カン」 だが、……これは異常過ぎる。 エイ「」ブルブル 胡桃やエイちゃんだけではなく、私達の中で頭が一つ飛び出ている シロやトヨネすらも、声を出せずにいる。 咲「ツモ、――チャンタ、混一、ダブ東、ドラ4、そして――嶺上開花」 気負いも無く、ただ坦々と和了る、清澄の大将。 シロ「……」 咲「倍満、16000点です」 やはり、見せない方が良かったのだろうか……。 トヨネ「……ふふっ」 エイ「トヨネ?」 トヨネ「……あはははっ?」 塞「――!」ゾクリッ! ……誰だ? トヨネ「凄い、凄いねえ、……こんなちょー凄い人、初めて見たよ?」 トヨネの形をして、トヨネの声で喋る、コレは……誰だ? トヨネ「戦えるんだ……私達が勝ち進めば、この人と戦えるんだね?」 無理だ……これは無理だ……。 あの清澄の大将だけじゃない、……この目の前にいる存在も 今の私には、一局……いや、一瞬足りとて押さえ込めないだろう存在。 トヨネ「楽しみだねえ……うん、本当に楽しみだねえ♪」 無邪気に笑う……何かが居た。 だから私は、隣で呟く京太郎君の声を聞き逃がしたのだ。 京太郎「咲が……カンドラ……だと」 京太郎「……咲、……お前は…………」 清澄の一回戦を見た後、皆が萎縮するかもしれないかもと思った 私の予想は外れ、2回戦、3回戦と、私達は快進撃を続けました。 そして、もう一つ予想外と言えば……。 4回戦! シロ「ツモ……立直、一発、面前自摸、一盃口、一気通貫、清一、ドラ2」 アナウンス「出たー!宮守の銀髪の物憂げな天使、小瀬川白望選手!」 シロ「14飜で数え役満……16000点オール……だよ」 アナウンス「今大会8つ目の役満と、そしてッ!!!」 アナウンス「今大会2人目の、緒戦での箱割れ勝利のダブル記録を達成しましたぁああああッッ!!!」 今年のインハイは、各校互いに20万点持ちの同校同士の点数共有ルール 一人だけ狙って半分の10万点を取ったとしても、箱割れにすることは出来ない。 それが先鋒戦ならなおさらで……東南戦2回の間に、 20万点を奪い取らなければいけない。 そう、私の予想外だったのは……。 ************************** ※1回戦~準決勝、20万点持ち。 決勝、各校50万点持ち。 ************************** 胡桃「いやー何度見ても笑えるね~、物憂げ天使(アンニュイエンジェル)だってよ、シロ?」ニヤニヤ シロ「胡桃……その話題、何回も言い過ぎ」 シロの活躍だ……。 もちろんシロが全国でも上位に近い実力だろうという確信はあったが あの清澄戦を見た後、ここまで"仕上がる"とは思いもしなかった。 トヨネ「うふふ~♪でもシロは凄いねー、サイン貰っちゃおうかな~♪」 トヨネも、あの時の面影は鳴りを潜め、出番が大将戦と言うこともあり 普通に強い、何時ものトヨネの姿だ。 まあ、出番までに先鋒戦、中堅戦で稼いでるとはいえ、各校の大将相手に 全試合箱割れ勝利をしているのだから、凄いといえば凄いのだが……。 この、普通に見えるのに強くなったシロと、あの時のナニかを、微塵も見せないトヨネ……。 私は、宮守の部長として、何もしなくていいのだろうか? エイ「……エ…、……サエー?ドウカシタ?」[心配マーク] 塞「あ、なんでもないわ。ちょっとボーとしちゃったみたい」 多分……いや、確実に清澄も4回戦を勝利するだろう。 その時、私達はどうなるのだろう……。 ──── ── 怜「なぁなぁ、皆は何処が決勝に残ると思うん?」 フナQ「うーん、Aグループは微妙やけど、Bグループの白糸台の進出はほぼ間違いないやろ」 セーラ「けどよー、白糸台って思ったより弱くね?今んところ活躍してるの、チャンピオンだけだしさー」 泉「う~ん、けどそのチャンピオンだけでも圧倒的ですよね。一回戦の先鋒戦で、いきなり相手を飛ばしましたし」 フナQ「……あれは、反則やん」 怜「逆にハンデを付けた方が、……公平な気もするわ」 泉「わたしらのAグループで準決に残ったんは、宮守と清澄でしたね。どっちが上なんでしょうね?」 セーラ「やっぱ、俺らに勝った宮守だろ。JTだよ、JT!」 フナQ「江口先輩……それ言うんなら、JKです」ハァ… セーラ「わ、ワザとだよ!ワザと!」カァアア! 怜「竜華はどっちやと思う?」 竜華「……せやね」 あの時、あの大将戦の相手……一生名前を忘れる事は出来ないだろう相手。 ――姉帯豊音。 トヨネ「え~と、ロンだよ~♪」 竜華「1万点棒なんで、お釣りお願いします」 トヨネ「はい、どうぞ♪」チャララッ 竜華「……」 トヨネ「えへへー、終わったらサイン貰ってもいいかな~?」 竜華「……くっ」 サイン!対戦中にサインやて!?ここまでコケにされたんは、初めてや! けど……どれだけ憤っても、この点数を、目の前の相手から逆転出来るとも思えんのも事実や……クッ!!! うちは、うちはココまでなんかッ! ?『……か』 えっ? 怜『……竜華』 怜の声? 怜『諦めたらそこで試合終了ですよ』ホホッ 物まねかーい! って、試合中に、突っ込ませんといてや……。 怜『スマンスマン、せやけど……竜華』 ……。 怜『麻雀は突き詰めたら個人の能力が物を言う勝負や』 ※咲世界での麻雀です。 ……うん。 怜『せやけど、セーラの闘牌は竜華も見たよね?』 うん、……切なくなるぐらい頑張ってた。 怜『ふふっ、あのセーラを見て、切なくなるなんて、同じ学校で、同じ三年のうちらだけやろうね』 ……かもしれないね。 怜『確かに麻雀は個人や、うちも異論なんか無い……せやけど』 怜『せやけど、"3年生"として頑張ったセーラ』 怜『隣の卓でチャンピオン相手に、新道寺を背負って自分を犠牲にして戦った花田さん』 怜『……二人とも一人やけど、一人やなかった』 ……うん。 怜『そして、大将も……そうや』 怜『エースは先鋒?そんなんうちは知らん……』 怜『竜華やから、うちが全てを任せて信じられる竜華やから、うちは竜華が大将になる事に賛成したんや』 うちは……まったく、うちはアホやなあ……。 怜『うん、知ってるで』 ……そこは、空気読もうや。 怜『まあまあ、それはそれとして……』 うん……うちは 怜『そう、うちらは……一人やけど』 竜華「一人やない!」ブワッ! トヨネ「……!?」ジワッ 竜華「……ちょっと遅刻したみたいやな……、お待たせやで……姉帯さん」 トヨネ「……あはっ♡」 竜華「……ポン!」 アナウンス「おっと、ドラポンだ!新たなるドラゴンロード使い現るか!?」 竜華「(二人麻雀での、未来視は四麻の倍以上のアドバンテージ!一気に逆転してみせるで、なあ――怜!)」 トヨネ「……ワたシも……ポンだよ♪」ポッ 竜華「!?」ゾクッ! 竜華「(なんや……この感じは何なんや!?)」 トヨネ「……どうシタのカナ?清水谷さんのツモだヨ?」ポポッ タンッ 竜華「(宮守の大将、背は高いけど肉体的な圧迫感は無い……せやけど)」 竜華「(なんやこの、――まるで天井から見下ろされてるかの様な感覚は?)」 トヨネ「なるほどー……そういう事かぁ~♪」タンッ ポポポッ 竜華「(まるで、違う世界からジックリと覗き込まれてるかの様な、この、……気持ち悪い感覚!)」 グニャリ 竜華「……ツモ切りや(大丈夫、麻雀で未来が見えるというアドバンテージは、最強や!)」 竜華「(負けるわけが無い……それに次でうちの和了りや、何も問題なんてない!)」 トヨネ「これ……かな?」ポポポポッ 竜華「(この違和感は、なんや?)」 グニャアアッ トヨネ「うん……この牌で、和了りだよー ♥ 」 竜華「えっ?(その牌は……)」 トヨネ「対々、小三元、6飜で……18000点だよ~♪」 竜華「――!?(嘘や……今のは……今のは、……うちが次にツモる牌のはずや!)」ゾクリッ! それはまるで、高い高いところから、未来をズラされたかのようで……。 竜華「……あ……ああ」 トヨネ「……」ジー トヨネ「……ああ、そっか♪」 竜華「――」ビクッ トヨネ「なぁんだ……借り物だったんだ~♪」アハッ トヨネ「――ごめんね ♥ 」 ************ そして、うちは……折れた。 『あははっ、次が本命だから……此処で為(な)らずにすんで良かったよ~♪』 しかもアレが、通常の範疇やったなんて……。 怜「竜華?」 竜華「あっ、ごめん……そうやな、うちは」 竜華「清澄の大将も凄いけど、……うちが怖いのは宮守の大将」 ―――姉帯豊音―――や。 咲「京ちゃんから、……連絡貰えるとは、思わなかったなぁ」 京太郎「……咲」 ……………… ………… …… 京太郎「清澄も順調そうで安心したぜ。今日の4回戦なんか、お前が出る前に部長と和で決めちまったもんな」 咲「うん……"皆で話し合って、絶対に結果を出そう"って決めたんだ」 京太郎「ハハッ、決めたからって、それでちゃんと勝ち進めちまうのが、皆らしいな」 咲「……そうかな」 京太郎「……」 咲「……」 京太郎「……あのさ、咲」 咲「京ちゃん、謝るつもりなら、辞めてね」 京太郎「うっ!……け、けどよ……」 咲「自分勝手だって分ってるけど……京ちゃんに謝られたら、私は、謝る事さえ出来なくなっちゃうから」 京太郎「へ?」 咲「ふふっ、分らないんだ?」 京太郎「……ああ、……なんかスマン」 咲「だから、謝らないでってば……けど、京ちゃんが相変わらずで、……ちょっと安心したかな」 京太郎「そりゃまぁ、……そんな何ヶ月も経ったわけじゃねえからなあ」 咲「…………うん、そうだね」 咲「……」ギュッ 咲「京ちゃん」 京太郎「ん?なんだ?」 咲「私、……私達、頑張るから……だから、応援はしなくてもいいから、見ててね」 京太郎「……咲」 京太郎「応援はするよ」 咲「……けど」 京太郎「おう、今居る宮守も、そして清澄もどっちも応援させてもらうぜ!」 咲「……うん」 京太郎「だからまあ、どっちかの控え室じゃなく、観客席で応援する事になるけど、まあそこはカンベンしてくれよな」 咲「……うん…………ありがとう、京ちゃん」 私達は――――――する、決めたから、だから! だから、私は、……私達は、絶対に負けない! Aグループ 準決勝! 優希「ふっふっふっ、タコスパワーも充電したし、清澄のレジェンド伝説の幕開けだじぇ!」 染谷「やれやれ……けど、そこまで突き抜けると頼もしいもんじゃな」フッ アナウンス「風も無いのになびく、不思議なマントをはためかせて、清澄高校の先鋒、片岡優希選手と染谷まこ選手の登場だあぁ!」 染谷「……偏りのある紹介じゃの……まあ、ええがの」ハァ… シロ「リアルマントとか、……初めて見た」 塞「まあ、普通に生活してると、見る機会なんてないよねえ」 アナウンス「そして逆方向から、モノクルがきらめく宮守の断罪天使臼沢塞選手とッ!」 アナウンス「銀髪の物憂げな天使、小瀬川白望選手の登場だああああああッッ!!!」 塞「……うん、自分が言われると、ちょっとイラッとくるね」 シロ「……でしょ」 シロ「だから、……胡桃がなんて言われるか、ちょっと楽しみ」ニヤァ 塞「あー、あの子、あの日は30分に一回は蒸し返してたもんね……これはしょうがない」 優希「ふはっはっはっ!ヨロシクだじぇ!」 塞「よろしくお願いします」 染谷「よろしくじゃけえ」 シロ「……よろしく」 優希「(……私は、此処に全てを―――から、見逃すんじゃないじぇ!京太郎!)」 東一局 東 染谷まこ 南 臼沢塞 西 片岡優希 北 小瀬川白望 清澄高校 20万点 宮守高校 20万点 染谷「(わしが起家で、優希の親が三番目か……完璧とは言わんでも、ベスト、ほぼ理想的と言ってもええ順番じゃな)」 染谷「(互いに公式戦の牌譜は持ってるとはいえ、実際に打ち合っての情報量は莫大じゃ)」 染谷「(不確定要素の強い序盤は情報収集を強めにして、そして後半……)」 染谷「(特に東三局の優希の親番に全力でアシスタントをしたいところじゃな)」 染谷「(そして、南場になったらワシも表に出て戦う、これが今のところ考えうる最高の戦術じゃ……)」 染谷「(まっ、ここまで来たら迷ってもしゃあない!やるしかないじぇ!……っと、……移ってしもうたorz)」 染谷「じゃ、始めさせてもらうけえの」タンッ 塞「……」タンッ 優希「くううっ!準決最初の東場、燃えるじぇええええ!」ツモモッ! 優希「……あれ?……これがこうで……(ううっ、清一系は難しいじぇ)」 優希「ダブリーだじぇえええ!!!」タァアンッ! 塞「(しまった、最序盤から塞ぐべきだったの!?)」 シロ「……」タンッ 染谷「(ふむ……此処は下手に和了り牌を聞いたりせん方がええじゃろな)」 染谷「(わしの親番なんぞより、優希に調子に乗って貰った方が、お得じゃろうからな)」ニヤリ 染谷「(それに、情報交換しながら打つなんて事したらこの不器用な後輩は、たちまちペースを崩すじゃろうからな)」タンッ 塞「(予定では、東場の親に集中して塞ぐつもりだったけど……予定を早めるか、それともこのまま予定通り進めるべき?)」 結果だけ言えば、――片岡優希の独壇場だった。 東一局で倍満を和了ったのを皮切りに、東ニ局では今まで見せなかった 鳴きからの速攻を使い、止まらない快進撃を思わせる連続和了となった。 そして、運命の第三局。 予選の為、公式記録には載らなかった、幻の全国最高ハイスコアを持つ、 ――――片岡優希の親番になった。 塞「(ツモ前から、全力で行く!)」 優希「私は、今最高にッ!」ツモモッ! 優希「調子に乗ってるんだじぇ!」 タァンッ! 京太郎、見てるかな? あれだけ散々迷惑かけた私の事なんか、目にも入れたくないかもしれない。 ……いや、……京太郎がそういう人じゃない事は、私が……自分自身が一番良く分ってる。 だから苦しい だから、こんなにも泣きたくなる そして…… 三巡目 優希「リーチだじぇええええっ!」 塞「くっ!(効いてない?いや、ちゃんとこの子の中は塞がっている。なら、何故止まらない?単なる腕?それとも運が良かった?)」 塞「(違う気がする……この子の力は塞いで密閉されている。それは間違いないはずなのに、……なのに、"力"を感じる)」 こない、たぶんこれは、隣に座っている半分だけ眼鏡の人のやったことなんだと思う 私は、咲ちゃんみたいに敏感な体は持っていないけど、それでも圧迫感を感じ取る事は出来る。 この人は強い……いや、この準決勝に出ている人で自分より弱い人は多分居ない "数ヶ月前の私"だったら、こんな事、考えもしなかったろうけど 今は、素直に感じ取る事が出来る。 弱いから、押し付けた。 ―――私の気持ちを解って下さいと。 弱いから、何も言えなかった。 ―――何の努力もしないで、ただただ甘い言葉が欲しかったんです。 弱いから、自分の事だけで手一杯だった。 ―――貴方が他の人を見るのが、嫌だったから。 のどちゃんを見て、だらしなくなる貴方が嫌いだった。 ―――私を見て。 部長と一緒に居て、そわそわする貴方が嫌だった。 ―――私を見て。 染谷先輩と居て、心から安心している貴方を見るのが嫌だった。 ―――ごめんなさい、嫌わないで。 咲ちゃんと一緒に居て、私の知らない"京ちゃん"でいる貴方を見たくなかった。 ―――私は……貴方の事が……。 リーチを掛けてから、二回目のツモ……やっぱりこなかった。 『……分ってます』 部長の苦言に、咲ちゃんはこう言った。 『他人の為、この考えすらも、自分の為だって云うのは……自分が望んだから行動するんだって事は』 正直、咲ちゃんの事は、ちょっと足りない子だと思ってた。 私なんかに言われたくは無いだろうけど、ぼーっとしてて、すぐに慌てて、 本をいっぱい読んでるけどとても役立ててる風には見えない。 いや、……そうじゃない事を知っているのに、未だ私は、彼の一番近くに居た彼女を、そういう目で見ている。見ていたいんだろう。 『……例え出来たとしても、むなしくなるだけかもしれないわよ』 まったく……ふだんはあれだけふてぶてしい人なのに……。 まったく、ダメダメだじぇ……。 『久……"自分がやろうとしている事"に、他人を巻き込むのは気が引けるか?』 こういう時には、染谷先輩の方が頼りになるんだじぇのお。 『世の中には、プラシーボ効果、自己暗示、スポーツ選手が行うルーティン』 『様々な自分を騙す行為がありますが、それら全ては化学的に有用だと実証されています』 『ですから、例え自分の為だとしても、他人を想う事が力になると思い込んでも、……無駄ではないと思います』 私も相当ひねくれているけど、のどちゃんも相当なんだじぇ……。 『私は――――――たいんです』 ヒステリックに高い声でもなく、落ち込んだ低い声でもない 震えてはいるが、しっかりとした覚悟を決めた声……。 塞「リーチ!」 塞「(まだまだ流局には遠い、だから手は安いリーのみだけど、待ちは理想的な多門張。これで先に和了って親を流す!)」 私は弱い……。 許されない、許しちゃいけない間違いもした……。 こんな望み、今更何を言っているんだ言われてもしょうがないと分っている。 優希「どっかのチビの真似じゃないけど"ここで調子に乗るのが片岡優希様だじぇっ!"」 タァアアンンッ! うん、牌の音が気持ちいい……ちょっとだけ部長の気持ちが分るじぇ。 塞「……なるほど、そうだったんだ……」 優希「面前、立直、平和、断幺、三色同順、ドラ2――16000オールだじぇ!」 私は勝ちたい……いや、勝って刻み付けるんだ。 塞「……"彼女だけを塞いでも駄目"とは……ほんとに、ほんとうに、やっかいだ」 『京ちゃんが……京ちゃんが居てくれたらから私達は強くなれた』 『だから私達は、インターハイで優勝する……優勝出来たって事を、残したいんです』 『まったく異常な思考の自己満足じゃな……じゃが、そういうの、ワシは嫌いじゃないのう』 『私は元から、優勝を狙ってますから』 『ここで怯んだら女がすたるんってもんだじぇ!』 『皆……ありがとうね、……皆』グスッ 皆……そして私も素直じゃないんだじぇ……。 だから、素直に自分の気持ちを言える咲ちゃんは、本当に凄いと思った。 だから、刻み込む。 想い出は一瞬だけど、永遠。 記録に残せば、それはより鮮明になると思う。 優希「清澄高校麻雀部先鋒、片岡優希……」 そう、たった"6人"しか居ない麻雀部の先鋒。 優希「――――東場の私は無敵、だから……止めたければ、全力で掛かってくるんだじぇ!」 前半戦終了 透華「なかなかでしたわね」 智紀「うん、清澄の片岡さん」 智紀「いままでの当るか外れるかの打ち筋と違って何か、諦めない覚悟のようなものを持ってて……凄かった」 純「ふむふむ、流石はオレと互角に戦っただけはあるな」ナハハハッ 一「なに言ってんのさ、二人揃って風越のキャプテンにやられたくせに」ヤレヤレ 純「ぐぬぬっ!終わった事はいいんだよ!」 透華「けれど、絶好調の片岡優希の、更にその上を行ったのが……」 純「小瀬川白望…か」 智紀「調べた牌譜となんら変わらない打ち筋……けれど、二回戦からの彼女は、"そのまま"強くなっていた」 智紀「急激な成長での不安定さとは真逆な……土台そのものを強化し、高く堅牢に仕上げたかのような強さの変わり方」 智紀「……とてもやっかいなクラスアップの仕方だと思う」 一「そうだね、南場の和了りも凄かったけど……東場で勢いに乗った片岡さんの親を、"普通"に止めたのが一番凄かったね」 透華「そうですわね、あれが前半戦で一番のファインプレーだと思いますわ」 智紀「まあ、地味でしたが染谷さんのフォローも良かったですね。攻めに拘っていたら、もっと失点が増えていたでしょうから」 純「そうだな~、あのちっちゃいのは、攻め特化、しかも東場のみだ」 純「清澄の方の眼鏡さんが差込みとかしなかったら、丸裸にされちゃったかもしれねえな」 智紀「……清澄の方の眼鏡って、どういう意味なの、純」ゴゴッ 純「……すいませんでした」 透華「でもまあ、そのせいで一人沈みの状態になってしまいましたわね」 一「……いいんじゃないかな」 透華「え?どういう事ですの?」 純「バーカ」 透華「な、な、なんですって!この私に対して馬鹿なんて!いくら純でも許しません事よ!」 純「清澄の奴らは、分ってくれるって事だろ?」 透華「はい?」 智紀「染谷さん、……彼女ががなんで沈んだかのか」 智紀「それが自己の記録よりもチームの為に尽くした結果だと、清澄の人達なら分るはず……そういう事よね、一?」 一「……うん。とても強い何かを感じるよ」 一「(ボクも、あの県予選が終わってから、ようやく本当の意味で自分と、皆を信じる事が出来たから)」 一「(……だから分るのかもしれない)」 透華「……まあ、何にせよ、清澄は私達を倒したのですから、ここで立ち止まって貰う訳にはいきませんわ」 純「誤魔化したな」ボソッ 智紀「あんまり苛めると、後々が大変よ?」ボソボソ 一「そうだね、どっちかと言えば清澄に勝って欲しいかな」 透華「どっちかじゃありませんわ、一!私達を倒した清澄が負けたら、私達龍門渕が全国三位以下になってしまうんですのよ!」 純「(後半もこの調子でいくと良いけど……そうもいかねえんだろうな)」 純「(あの不景気な面をした白髪頭……まだ何かを隠しているだろうしな)」 衣「……ふにゅ~……五月蠅いぞ……透華」 透華「衣、起きたのなら二度寝しない方が良いですわよ。もうすぐ先鋒戦後半が始まりますわ」 衣「うう……こーひー……」 一「はいはい、何時も通り牛乳7割、砂糖三個でいいんだよね?」 衣「うみゅ……今日は……四個でたのむ……ふぁああ」 先鋒 後半戦 清澄 200000→169000 宮守 200000→231000 東 優希 南 塞 西 白望 北 染谷 先鋒戦、後半は静かに始まった。 まず最初に、起家である優希が一度和了ったが、 休憩を挟んで回復した塞に全力で押さえ込まれ、2飜の低い点数に留まった。 次局は、塞の差込みで白望がゴミ手で和了り、優希の親が流れる。 そして、塞の親番になるも、お互いのけん制が最高潮になり、親のノーテン流局で終わった。 塞「……ふぅ……んっ」ジワッ どれだけ神経を削ったのか、額から脂汗を滲ませて、塞は荒い息を吐いた。 塞「(流石に、ぶっつけ本番で、中も外も塞ぐのはキツかったなあ……けど)」 チラリと隣を眺める。 シロ「……お待たせ」 『むつみむつみて、はくちのつまの、まよいまよいてやまのなか……』 聞こえない声が聞こえた。 ***************** 小蒔「えっ?」 巴「姫様?」 小蒔「……降りた」 ***************** トシ「ふむ、これは柳田版だね、……しかし、準決勝でやっと発動とは……」 トシ「本番に強いと言うかべきか、それとも流石の省エネ体質と言うべきかねぇ」フフッ //////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// 『迷い家』って聞いた事があるかい? うーん、夏の心霊番組かなんかで聞いた事ある気がするんですが ……スイマセン、思い出せないです。 ふふっ、名前を知ってるだけでも十分だよ。 まあ、そんな長い話でもなくてね…… とある小さな国の、小さな村に貧しい家があった。 その家の妻は、少し魯鈍で、心無い者からは白痴の役立たずと言われることすらあった。 だが、その妻は、他人の言葉など意に介さず、自分に出来る事を精一杯やって過ごしていたんだよ。 そしてある日、妻が焚き付けの小枝を取りに、川を遡ると、そこは知っているはずのいつもの光景は無く、 何時の間にか、美しい花々の咲き誇る庭が見え、そしてその光景に魅せられ、ふらふらと近寄ると 立派な門構えをした、家があったそうでねぇ。 中に入ると、先ほど妻が惹き付けられた、美しい庭があり、そして誘われるように庭を裏まで歩くと、 大きな牛舎と馬舎が並び、その家の富の高さがうかがい知れた。 そこで妻は、この家に住んでいる人がどうしても見てみたくなり 玄関に回って声を掛けるものの、一向に誰かが出てくる気配も無い。 普通なら、そこで帰るべきなんだけどね、しかし妻は我慢できず、その家に入ってしったのさ。 家の中は、まるで今の今まで、誰かが居たみたいに、囲炉裏には火が入っていて、 その火の上では、天井から吊るされた鉄瓶が、こぽこぽと白湯を沸かしていたそうだよ。 声を掛けても声を掛けても誰も居やしない、けれど土間にも、座敷にも、 そこに誰かが今の今までいたという、痕跡だけがしっかりと残っているんだ。 普通なら、気味悪がるだろう? はい、なんか不気味ですよね。 けれど、その家は、それ以上に惹き付ける物があったのさ。 綺麗な庭、大きな牛舎、しかし、それを霞ませるほどの、屋敷のなかの調度品。 話に聞いた京の都もかくやと言うほどの、美しい鏡や、一点の曇りすらない漆塗りの膳椀。 床の間に飾られた、人の手によるものとは思えない美しい絵の掛け軸。 全てが全て、想像すらしたことの無い貴き品々であり、 どれか一つでも盗み出せば、裕福に暮らせる事は間違いないと思わせる物だった。 しかし、妻は、何も持ち帰らずに、帰ってしまうんだよ。 貧しい村の、貧しい家、もしこの事を周りの者が聞けば、何故機転を効かせなかったのかと怒った事だろう。 しかし、周りから魯鈍と言われる性格の妻は、はなから盗もうなんて考えすら思いつきはしなかったのさ。 妻が家に向かい、川を下っていると、ふと目の端に何かが流れてきたのを見つける。 それは、かの家の調度にも負けない、赤く美しい器だった。 妻は慌てて器を拾い上げ、少し考えた。 もう帰るべき時間ではあったが、器を返すべく先ほどの家に向った。 しかし、何処を探しても、何度同じ道を通っても、一向にあの立派な家は見つからなかった。 しょうがなく器を家に持ち帰り、誰にも見られないように、米びつの米を掬う為の器として使った。 そうすると、どうしてだろうか? この赤い器で掬った米びつの米は、一向に減らず、永遠に米びつを満たした。 そして、これを機にその妻の家、"三浦家"が繁栄したってオチが着くのさ。 まあ、纏めると、無欲な人間が悪い事をせずに、最終的に富を得るっていう 説話的昔話って所かねぇ。 なるほど。 もちろん、これを効果的に考えさせる為に、逆に欲をかいた人間が 逆に不幸になるって話もセットであるんだ。 へえ、色々考えられているんですね。 ……そうかもだねぇ。 ちなみに、その反面教師の話の土地って言うのが 金沢村が――白望――の麓。 //////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// 赤い、紅い……赤漆の様な椀。 シロ「……カン(暗槓)」 シロ「……まずは、一本場」 咲「……」 シロ「じゃあ……続けよっか」 トシ「今年は、赤のあるルールだったのは運が良かったねぇ」 胡桃「高校の大会は、競技麻雀としての色が濃いですもんね」 トシ「まあ、もっと完全に使いこなせれば、赤に頼る必要もないんだけどねぇ」 胡桃「そ、そうなんですか」 胡桃「(シロは今でも十分凄いのに、その上の状態を、こんな簡単そうに言うなんて……)」 胡桃「(熊倉先生の最盛期ってどんなだったんだろ……凄そうを超えて、本気でヤバそう)」 トシ「ん?どうかしたかい?」 胡桃「い、いえ、なんでもないです」ブンブン 染谷「(赤五萬を含んだカンか……なにやら危険な匂いがプンプンするのお)」 トシ「赤ウーワンは赤椀に通ずるか……洒落にもならない洒落だけどこれこそが昔から使われていた"見立て"ってやつだね」 トシ「似てる物、同じ音を有する物、人間は紙を人型に切っただけの物さえも人として見立てる」 トシ「そしてそれに、聞いた人はもちろん、そして吐いた本人さえも縛る"言霊"を乗せたらどうなるのか……ふふっ、怖いねえ」ニヤニヤ 透華「これは……異常ですわね」 純「おいおい、さっき五萬のカンまでは、役なし四向聴だったのに、それからツモは全部有効牌、もう一向聴になっちまったぞ!?」 塞「(うん、もう完全に発動してる……これでこの場の全ての"富"は、シロへと集まる)」 シロ「……リーチ」タンッ 染谷・優希「!?」ゾクリッ シロ「(女は無欲なんかじゃなかったんだと思う……)」 シロ「(働き者みたいだったから、私のようにものぐさで取らなかったわけでもないだろうし)」 染谷「(ここは現物や……この相手は、万が一すらも怖過ぎるわ)」タンッ シロ「(満足していたのかもしれない……魯鈍と馬鹿にされても、それでも満たされた生活)」 白望は、背の高い自分よりも、更に背の高い金髪の青年を思い出した。 シロ「(二人並んだら、まるで……金銀パールプレゼント)」 などと、まったく意味の無い台詞が頭を過ぎる。 優希「(うう、今は東場なのに……なんでか私の場所じゃないように感じるんだじぇ)」タンッ 塞「(以前のマヨヒガは点が高いものの、スピードに難点があった)」 塞「(しかし、今度のマヨヒガは……発動してしまえば)」 シロ「門前、立直、一発、中、ドラ5……8000オール」 塞「……速くて、高い」ニヤリッ 第三局 三本場 親:小瀬川白望 染谷「ノーテンじゃ」 優希「……ノーテンだじぇ」 塞「ノーテンです」 白望「テンパイ……連荘」 アナウンス「来たあああ!小瀬川白望選手、一人テンパイで5本場に突入だあああああっ!!!」 姫子「……部長」 哩「……姫子も気付いとったか」 姫子「あれって、私達と同じ……」 哩「厳密には違うとるけど、……まあ大きい意味では同じやろな」 姫子「……」 哩「アレは、……条件付能力変化型や」 哩「うちらが私次第で姫子に繋がった結果が変わる様に、あん宮守のエースも、使い分けかなのか、条件なのかは分らなかけど」 哩同じ能力で、別の結果ば出しとるって事やろうな」 姫子「自分がイケそうな時は、速く高く和了り……そして駄目な時は場そのものを枯らしてしまう……」 姫子「そんなん……チートやないですか」 哩「……多分やけど、荒れた場でテンパイに持ってったのは純粋な力量にみえた」 哩「今の宮守のエース、何か憑いとる……って言われたら信じられるレベルやな」 トシ「望まぬ者には与え、そして望んだ者には与えない……まったく性質の悪い能力だねえ」 トシ「使ってるあの子は、あんなに素直なのにねえ」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2263.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1360412188/ --某月某日・清澄高校-- 優希「んー……今日もいい天気だじぇ」 京太郎「えーっと、この配牌の時に真っ先に切るべきなのは……」 優希「おっ、京太郎だ。 弱いなりに勉強してるんだな、感心感心……おーい京太郎ー!」 京太郎「ん? あぁ、おはよう優希ちゃん」 優希「おう! おはよう……」 優希「!?」 京太郎「ちょうど良かった。 なあなあ、この問題ってどう解いたらいいのかわかるか?」 優希「……」 京太郎「優希? おーい、どうしたー?」 優希「ふぇ!? あっ、ああ、これはたぶんだな……」 京太郎「なるほどね……いや、助かったぜ優希」 優希「う、うん……な、なあ京太郎?」 京太郎「なんだ?」 優希「さ、さっき私の事『優希ちゃん』って呼ばなかった?」 京太郎「え? いや、普通に優希って呼んでたと思うけど」 優希「そう……だったら、いいんだじぇ」 優希(気のせいだったのか……) 京太郎「……」 --同時刻-- 咲「ふぁ……夜中まで本読んじゃったから眠いなー……」 咲「ううっ、このままだと歩きながら眠っちゃいそうだよ……」 和「……」 咲「あっ、和ちゃんだ……お話しながら行けば少しは眠気も覚めるかな……おーい、和ちゃーん」 和「!?」 咲「えへへ、おはよー、和ちゃん」 和「しゃ、しゃきしゃん、お、おはようございましゅ!」 咲「……えっ」 和「~~~~!!」プルプル…… 咲「の、和ちゃん……?」アセアセ 和「す、すいません、ちょっと舌をかんでしまいました……」 咲「だ、大丈夫なのそれ!?」 和「だ、大丈夫です……」 咲「本当に? ちょっと見せてみて……」ズイッ 和「!!」ズザザッ! 咲「えっ、和ちゃん……」 和「だ、大丈夫です! 本当に大丈夫ですから!」タタッ 咲「あっ……」 咲(行っちゃった……私なにかしちゃったのかなあ……) ---- 優希(朝のあれが気になって授業に集中できなかったじぇ……) 優希(京太郎はあの後いつもみたいに呼び捨てだったし、やっぱり私の気のせいだったのか?) 優希(でも気のせいならなんでそんな……もしかして私、京太郎にそう呼ばれたいのか?) 優希「よくわかんないじぇ……」 「……それで」 「いや……」 優希「あれ……あそこにいるのって、のどちゃんと京太郎……?」 和「……なら」 京太郎「……言うなって」 和「もう、須賀君……ですよ?」 京太郎「いや、だから違うんだって……」 優希「……仲良さそうだな2人共」ズキッ 優希(……なんか、嫌な気分だじぇ) ---- 咲「はあ……」 咲(朝の和ちゃんの事が気になって頭に何も入らなかったよ……) 咲「お互い名前で呼ぶようになって少しは距離が縮まったと思ったのに……お昼一緒に食べてくれるかな……」 和「あ……」 咲「あっ、和ちゃん……あ、あのね、お昼ご飯一緒に……」 和「す、すいません……ちょっと職員室に呼ばれてるので今日は……」 咲「そう、なんだ……じゃあ、また今度だね」 和「本当にすいません……それでは」タタッ 咲「私、避けられてるのかな……屋上にでも行こう」スタスタ 和「私、なにしてるんでしょう……」 ---- 優希「……」モグ…… 優希(はあ、タコスが全然のどを通らないじぇ……やっぱりさっき見た京太郎とのどちゃんが原因なのかな……) 「あっ、…………ん」 優希(京太郎はやっぱりのどちゃんが好きなのかな……だから私、あんな聞き間違いしたのか? 特別扱いしてほしくて、京太郎なら呼ばないような呼び方をしてほしかったのか?) 「ねぇ、……ちゃん!」 優希(ううう……もう自分で自分がわからないじょ。 私は京太郎にどうしてほしいんだ……) 咲「優希ちゃんってば!」 優希「ひゃあ!? あっ、咲ちゃん……」 咲「もう、ひどいよ優希ちゃん。 あんなに呼んだのに……どうかしたの?」 優希「う、ううん、なんでもないじぇ! 咲ちゃんこそどうかしたのか?」 咲「私達、今からお昼だから一緒に食べないって誘おうと思って。 いいかな?」 優希「私は全然構わないじぇ。 1人より誰かと一緒に食べた方が楽しいしな!」 優希(それに、1人だと変な事ばっかり考えちゃうし……) 咲「よかった! おーい、優希ちゃんもいいってー!」 優希「へっ?」 優希(咲ちゃん、誰かと一緒だったのか……のどちゃんかな? だったらちょっと気まずいじぇ……) 京太郎「おーう! 昼飯買ったらすぐそっち行くわー!」 優希「あ……」 優希(京太郎!? 確かに1人だと変な事考えちゃうから一緒に食べるのは大歓迎だけど、京太郎も来るなんて……) 咲「あっ、京ちゃんも一緒だけどよかったかな?」 優希「別に問題ないけど……あ、あの咲ちゃん、のどちゃんは一緒じゃないのか?」 咲「っ……」 優希「咲ちゃん?」 咲「さ、誘ったんだけど和ちゃん、先生に呼ばれちゃったらしくて……」 優希「そ、そうか」 優希(うう、のどちゃんも気まずいけど京太郎ほどじゃないからいてほしかったのに…… 咲ちゃんと話してれば当然京太郎も入ってくるだろうし、どうすればいいんだ!?) 京太郎「あー、疲れた……待たせたな」 咲「京ちゃん遅いよー」 京太郎「わりいわりい、食堂の激戦区から抜け出すのに手間取ったんだ。 よっ、タコス娘。 相変わらず昼はタコスなんだな?」 優希「ま、まあな!」 優希(ぬぐぐ、人の気も知らないでのほほんとした顔しおって……) 京太郎「あっ、そうだ。 なあ、ゆ…………咲、ちょっと教えてほしいんだけどさ……」 咲「なにかな?」 京太郎「いや、この前やったネト麻の牌譜なんだけどこれで合ってたのかと思って……」 咲「どれどれ……」 優希「……」モグモグ 咲「京ちゃん、なんでここでカンしなかったの? 嶺上牌であがれたかもしれないのに……」 京太郎「いや、嶺上牌でしょっちゅうあがれるのお前くらいだからな?」 優希「……」モグモグ 優希(つまんないじぇ……考えたら京太郎と話す時はいつも私から、 少しはのどちゃんや咲ちゃんみたいに京太郎からも話しかけてくれてもいいじゃないか……) 京太郎「頼りになるのかならないのかはっきりしろよー」クシャクシャ 咲「あ、もう、髪乱れちゃうからクシャクシャしないでよー!」 京太郎「なんだ、咲もおしゃれに気を使うようになったのか」 咲「それどういう意味かな!?」 優希「……」ガツガツ 優希(胸がもやもやする……こんな事ならいつもみたいにちょっかい出してればよかったじぇ……)グスン 京太郎「……」 咲「もう、京ちゃんは本当にデリカシーとか欠けるんだから……」ブツブツ 京太郎「……優希ちゃん」ボソッ 優希「!?」 咲「えっ?」 京太郎「……おいおい、優希! そんなにがっついてるとのどに詰まらせるぞ?」 優希「えっ、あっ、うん……」 京太郎「ほら、お茶やるからとりあえず落ち着いて食べたらどうだ?」 優希「ありがと……じゃなくて! おい京太郎、今お前私のこと……!」 京太郎「なんの話かわかんねーな。 じゃあ俺は用事があるからまた部室でなー」 優希「ちょっと待っ……!」 咲「……行っちゃったね」 優希「なあ咲ちゃん、京太郎さっき私のこと……」 咲「うん、聞き間違いじゃなければちゃん付けで呼んでたね……」 優希「理由とか……」 咲「ちょっとわからないかな……」 優希「……もうわけわかんないじぇ」 優希(京太郎のやつ、いったいなにがしたいんだ……) ---- 京太郎「くくっ……」 京太郎「あっはっはっはっは!!」 京太郎「なんだあれ、優希のあんな呆然とした顔見たことねー!」 京太郎「ちょっと呼び方変えただけであんなにしおらしくなるなら、もっと前からやっときゃよかったな……」 京太郎「全く、普段人をからかうからこんな事されるんだよ!」 京太郎「……」 京太郎「……いや、慣れない呼び方されてアタフタする優希ちょっとかわいいかもなんて思ってねーし」 京太郎「俺は大きな胸の子が好きだからあいつみたいなのは対象外だから」 京太郎「別になんか優希が落ち込んでそうだから、ちゃん付けして意識を そっちに持っていってやろうなんてみじんも考えてないからな!?」 京太郎「……」 和「……それで、結局まともにゆーきと話せずに逃げてきたんですか?」 京太郎「……言うなよ」 和「……須賀君って素直じゃありませんよね」 京太郎「な、なんだよそれ」 和「だって、いつもいつも否定しますけど、やっぱりゆーきの事好きなんでしょう?」 京太郎「……いや、いやいやいやいや、そんな事ねーから、本当に、うん、ありえねーから」 和「こんなにゆーきにちょっかい出してるのに? いつもいつも、私にゆーきの中学時代の話とか聞きに来てるのに? ああ、この間なんて中学時代のゆーきの写真の焼き増しをお願いされましたっけ?」 京太郎「ぐっ……」 和「いい加減に認めて素直になるのが一番ですよ、こういうのは。 ヘタレを見せられる私の身にもなってください」 京太郎「……ヘタレなら和だって人の事言えないだろ」 和「なっ!?」 京太郎「和だって咲さんがー、咲さんがーって言う割にはいざって時ヘタレじゃん。 今日だってどうせ緊張するからって咲からの誘いを断ったんだろ?」 和「うっ……い、今は私の事はいいんです!」 京太郎「よくねーだろ! ここまできたらお互いに素直にならなきゃ話進まないぞ!?」 和「そうは言いますけど……」 京太郎「……わかった、認める! 俺は優希が好きだ、 だから和に昔のあいつの話とか色々聞いてるし、写真だって頼んでるんだよ!」 和「っ……」 京太郎「和はどうなんだよ? 和だって咲が好きなんだろ? だから中学の頃咲がよく読んでた本とか、あいつが楽しそうに話してた事とか聞いてるんだろ? 写真の焼き増しだってどっこいどっこいの数やってきたはずだぜ?」 和「……はい」 京太郎「お互いさ、相手の中学からの友達好きになった仲間なんだしさ……協力して頑張ろうぜ?」 和「そうですね……じゃあ今日もお願いできますか?」 京太郎「了解、こっちも色々教えてくれよ?」 和「もちろん」 京太郎(優希を好きになってから俺は速攻で和に協力を頼んだ、 優希の親友の和なら俺の知らない事をたくさん知ってるはずだからだ) 和(私は交換条件として咲さんの事を教えてもらった。 須賀君の話す咲さんは今の咲さんに通じるようで、でも私の知らない側面も見せてくれた) 京太郎(写真も交換した、空気を読んでなるべく二人きりにもした、そうしてお互いの想いを確実に成就させる) 和(私達はそのための協力者で、間違いなく似た想いを持つ仲間です) --放課後・部室-- 優希「……」ソー…… 京太郎「なにしてんのお前?」 優希「はわあっ!?」 京太郎「なんだよ、人を化け物みてーに」 優希「ちょっ、ちょっと驚いただけだじぇ!」 京太郎(動揺してんなー、そんなにちゃん付けって効果あるのか? 和の話だと優希の奴はこういうの慣れてないから結構効くらしいけど) 優希(こ、今度こそどういうつもりか聞かないと……) 優希「京太郎……やっぱりお前、私の事ちゃん付けで呼んでるだろ?」 京太郎「……」 優希「気のせいだなんて言わせないじぇ! 少なくともお昼は咲ちゃんも聞いてるんだ、だから……」 京太郎「そうだって言ったら、どうするんだよ」 優希「り、理由を聞かせろ! なんでいきなりそんな事……」 京太郎「……」 京太郎(今までの俺ならここで誤魔化すんだろうな……だけど今日は、逃げてたまるか) 京太郎「……アタフタしてるお前が、かわいかったからだよ」 ---- 咲「うー、京ちゃんったら手加減なしに髪弄って、手櫛じゃ直せないよー……」 和「さ、咲さん」 咲「あっ……和ちゃん……」 和(うっ……咲さんが暗い……須賀君の言葉が本当なら私のせい、なんですよね……) 咲(もう、怒ってないのかな……それなら良かった……) 和「お、お困りのようですけど、どうかしたんですか?」 和(それならこのチャンスを全力でいかします……須賀君が咲さんの髪をクシャクシャにしたのは複雑ですが) 咲「京ちゃんが私の髪をクシャクシャーってやっちゃったから直してるんだけど…… ううっ、なんで今日に限って櫛忘れちゃうかなあ……」 和「あの、私櫛持ってますよ?」 咲「本当に? だったら悪いんだけど、和ちゃんその櫛貸してくれないかな……?」 和「……」 咲「和ちゃん?」 和(いつもの私ならここですぐに櫛を差し出すだけ……だけど、だけど今日は!) 和「あの、よろしければ私が髪をとかしましょうか?」 ---- 優希「えっ……」 京太郎「……」 京太郎(ああ、逃げてぇ、今すぐ笑ってここから逃げ出してぇ……! だけど今日はこのまま素直にいくって決めたんだ……耐えろ、俺!) 優希「そ、それどういう……」 京太郎「だから! お前がかわいくて、つい意地悪したくなって、 いつもとは違う呼び方して驚いたり悶々としてるお前を見て かわいいなんて思って……ああ、もうこれ以上言わせんな、恥ずかしい!」 優希「……」 京太郎「いいか、一度だけしか言わねえからよく聞いとけ! いつもあんな態度とっちまうけど俺は、お前の事……す……」 優希(えっ、嘘、京太郎が、私の事を……?) ---- 咲「んっ……」 和「さ、咲さんどうですか?」 咲「気持ちいいよ……和ちゃん、髪とかすの上手なんだね」 和「え、ええまあ……これだけ長いと自然に上手くなりますから……」 咲「ふふ、和ちゃんの髪サラサラで綺麗だもんね……」 和「さ、咲さんの髪だって手触りがよくて、いいと思いますよ?」 咲「えへへ、ありがとう」 和「~~~~!」 和(咲さんかわいい咲さんかわいい咲さんかわいい……!) 和「咲さんかわいい……」 咲「へっ!?」 和「はっ!?」 和(しまった、心の声が漏れてしまいました……!) 咲「あ、あはは、和ちゃんも冗談キツいよー。 私なんて和ちゃんに比べたら……」 和「そ、そんな事ありません!」 和(こうなったら、なすがままです!) 和「咲さんはかわいいです、誰がなんと言おうとそれは間違いなく事実です! 咲さんがかわいくないなんて、そんなオカルトありえません!」 咲「の、和ちゃん?」 和「咲さんはかわいくて、今まで私の勇気がないせいで避けてしまいましたけど、私は咲さんが……す……」 咲「えっ……」 ---- 京太郎「す、少し成長した方がいいと思うぞ!」 和「すばらです!」 優希「……はあ?」 咲「……はい?」 京太郎・和「あ……」 ---- 京太郎「なにしてんだ俺……」ズーン 和「なんで、あそこで花田先輩……」ズーン 久「……ねぇ、あの2人どうしたの?」 優希「ふん、私は知らないじぇ!」 咲「私も知りません!」 久「そ、そう。 なんか2人も機嫌悪そうに見えるんだけど……」 優希「気のせいだじょ!」 咲「錯覚です!」 まこ「こりゃ、相当ご立腹じゃな……」 久「何があったのかしら……」 京太郎「ヘタレ、俺のヘタレ……」 和「バカ、私のバカ……」 咲・優希「……」 優希(あそこまで言われたらさすがに気持ちは伝わったけど…… 土壇場でヘタレるような奴にこっちから告白なんかしてやるもんか!) 咲(期待したのに和ちゃんのバカ……絶対に私からは気持ちを伝えてなんかあげないからね!) 京太郎「あ、あの優希……?」 和「咲さん、その……」 咲・優希「ふんだ!」プイッ 京太郎・和「」チーン カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1407.html
寮長さんは金髪学生 白糸台ver 京太郎「毎度いつもの風景ですなー」ジュー ジュー 京太郎「それが嫌ってわけじゃないけどなんかなー」 誠子「須賀はいるかー?」ガラガラ 京太郎「あれ、亦野先輩おはようございます。どうしました?」 誠子「ああ、いたか。朝市に行ったら良いもの見つけてな。私の分にこれ焼いといてくれ」ヒョイ 京太郎「ほー…こりゃ旨そうな魚ですね…了解です。しっかりとやらせていただきますよ」 誠子「ありがとう。期待させといてもらうよ。私は準備してくる」スタスタ 京太郎「はいはい。…さてと、そろそろお茶の準備をっと…」 尭深「京太郎くん…おはよう…」 京太郎「どもです。淹れる準備は出来てますよー」カチャカチャ 尭深「ありがとう…」コポポ 尭深 ズズー「はぁ…おいしい…」ホゥ… 京太郎「俺も頂きますね」ズズー 尭深「おいしい…?」 京太郎「ええ、いつもと同じでおいしいですよ」ニコッ 尭深「ふふっ…♪ありがと…」 京太郎「温度とかは出来てもこの味だけは再現できないもんなぁ…茶の道は深いもんだ…」ズズー 尭深「京太郎くんなら大丈夫…頑張って…」 京太郎「ははっ、ありがとうございます。…っと、そろそろ来るか…」ザワザワ モブ集団A「おはようございます隊長!」ザッ モブ集団B「本日もご健康そうで何よりです!」 京太郎「よし、休め!」 AB「「はっ!」」ザッ 京太郎「本日も快晴であり、我ら『てるてるを見守り隊』の活動日和であるといえよう…しかしっ!」クワッ 京太郎「ポンコツなてるてるのことだ…熱中症になってしまうこともあるだろう…そのとき我らが出来ることはなんだ!」 「ならないように水分塩分を取らせてあげることです、サー!」「なった場合、迅速に我らが看てあげることです、サー!」 京太郎「いい返事だ!それでは本日の活動を始める!A班はてるてるの起床支援!B班はここにある治療用具の携帯準備だ!」 「「サー、イエス、サー!」」 タッタッタッタッ… 京太郎「あー…しんど…」グタッ 菫「朝から騒々しいな…」マッタク 京太郎「あー…いつもすんませんね菫先輩…」 菫「気にするな須賀くん。というか白糸台において淡とアイツの手綱を握ってくれてる君に文句を言うようなやつはいないしな。もしいたら…」ゴゴゴ 京太郎「いたら…?」ゴクッ 菫「いころ…いや何でもない」 京太郎(いころすって…今射殺すって言った…)ガタガタ 菫「と、ところで淡はまだなのか?いつもはいた気がするんだが…」 京太郎「あいつならそろそろ…」「キョータロー!」「ほら」 淡「ジャーンプ!」ダッ 「おい馬鹿!?」 淡 上 階段 京 下 ↓ 淡 階段 京 京太郎「ぐえっ!」ドスン 淡「おっはよーキョータロー!」スリスリ 菫「なっおまっ淡!?」 淡「あっスミレーもおはよー!」 京太郎「わかったから早くどけ!じゃないと…!」 照「…ジャーンプ」タッ 淡京「「あ」」 照 階段 淡 京 ↓ 照 階段 ≡淡 ダダッ 京 !? 京太郎「グォア!?」ドスン 照「おはよ…京ちゃん…」スリスリ 京太郎「活動限界…」ガクッ 菫「須賀ー!?」 アァァワァァイィィ!! ナンデワタシダケナノ!?テルーモシタジャン! フタリトモゲンコツダー! ーーーーー 京太郎「…っは!?」ビクッ 菫「起きたか…よかった…」 京太郎「ああ…気絶しちゃいましたか…すみません…」 菫「気にするな…二人には罰を与えておいた」 淡「あわぁ…」ヒリヒリ 照「菫のは一番痛い…」ヒリヒリ 菫「当然だ馬鹿ども」フン 京太郎「ははは…」ポリポリ 淡「うう…キョータローごめんねー…」 照「京ちゃんごめんなさい…」 京太郎「まぁいいよ、反省したなら許してやる」ナデナデ 淡「はわわぁ…気持ちいい…」ホワホワ 照「至高のなでなで…」ゴロゴロ 菫「まったく…君は甘いな…」ハァ 京太郎「まあまあ、とりあえず学校の準備しましょうよ」 淡「あ、教科書の用意忘れてた」 京太郎「この馬鹿淡!」ごちんっ 淡「痛い!?」 ナニスンノサ! アタリマエダコノポンコツ2ゴウ! ギャーギャ カンッ おまけの通学路 京太郎「そういえばゲンコツ一発にしては随分しおらしかったけど何かやったんですか?」テクテク 尭深「私が京太郎くんがあれで死んだかもしれないって延々脅迫した…」 京太郎「ひどくない!?」 尭深「ぶい…」 京太郎「いやぶいじゃなくて!」 モイッコカンッ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3844.html
細かい設定?気にしたら負けです 京太郎「どうもこんにちわ。準決勝Aブロックの学校の水着撮影をやることになりました、須賀京太郎です」 淡「誰に言ってんのー?」 京太郎「誰でもいいだろ。というかお前控え室じゃないのか?」 淡「いいじゃんいいじゃん」 京太郎「ま、邪魔しなきゃいいか……はぁ」 淡「どしたの?水着だよ?キョータロー好きそうじゃん。嬉しくないの?」 京太郎「……おもち(永水)が足りない」 淡「……とうっ!」蹴り 京太郎「いてっ!なにするんだよ!!」 淡「いいから早く行く!……私だって水着準備してるんだし……」 京太郎「なんだって?」 淡「なんでもない!」 京太郎「……まぁ、行くか」 京太郎「さて、まずは阿知賀か」 穏乃「お、来た来た。ってなんで大星さんも?」 淡「んー……付き添い?」 京太郎「気にしなくていいさ。それよか全員いるんだよな?」 憧「いるっちゃいるけど……宥姉がね」 玄「ほらお姉ちゃん!はやく脱ごう!」 宥「で、でも寒いし……上に羽織るくらい……」 玄「それじゃ駄目だよ!」 憧「あんな調子でね」 灼「宥さんだし……もうこのまま撮影しても…」 京太郎・玄「それは駄目だ!!(です!!)」 京太郎「上を羽織って水着撮影?そんなもの水着の意味がない!」 玄「そうだよ!それにそんなことしたらせっかくのおもちが隠れちゃう!!」 穏乃「別にいいじゃん」 京太郎・玄「それを隠すなんてとんでもない!!」 京太郎「……やはり意見が合いますね」 玄「同じおもち好きとして、当然のことだよ?」 京太郎「玄さんっ!」 玄「京太郎くんっ!」 淡「いいから撮影やろーよー。早くしないと時間なくなるよー」 京太郎「仕方ない……せめて、せめて前は開けてください」 憧「……泣きながら言うこと?」 玄「うぅぅ……」 憧「って本気で泣いてる!?」 阿知賀、普通に撮りました 京太郎「さて、次は千里山だ」 淡「あんまり胸大きい人いないよね?大将の人は大きかったけど」 京太郎「だから竜華さん中心だな」 セーラ「お、来たな」 泉「……大星?」 淡「気にしないでー」 浩子「こっちは準備できてるで?」 怜「しんどいからはよなー」 竜華「また怜は……」 怜「竜華みたいに大きくないからなー」 竜華「ひゃあっ!?い、いきなり胸触らんで!!」 京太郎「……ありがとうございます」 怜「ふっ」親指立てる 淡「……じー」 セーラ「……なんや?」 淡「水着地味なのだけど、もっと可愛いのでもいけるんじゃない?」 セーラ「な!?お前、何を…」 浩子「やっぱそう思うやろ!?」 セーラ「ひ、浩子?」 浩子「いやぁ、水着撮影と聞いて是非着てもらいたい水着がありましてね?」 セーラ「お、俺急用があったわ!!」ダッシュ 浩子「泉ぃ!捕まえるで!!」ダッシュ 泉「了解です!!」ダッシュ 京太郎「……元気な人達だ」 淡「いいの?どうもあのセーラって人が何かされそうだけど」 竜華「大丈夫やって」 怜「たまには女の子な格好のセーラも見たいしなー」 セーラ「や、やめろー!!俺はそんなん着ない!!」 浩子「そうかー。やったらこっちやな」 泉「うわ、これはまた……」 セーラ「嫌やー!!」 京太郎「……問題ないな」 淡「……ごしゅーしょーさま」 千里山、セーラ(ビキニ)中心に撮りました 浩子「後で写真送ってな」 怜「ウチもウチもー」 セーラ「もうやめて……」 京太郎「さて……新道寺か」 淡「分かりやすくテンション下がったね」 京太郎「おもち担当いないんだぞ?」 淡「私に言わないでくれる?そろそろ怒るよ?」 京太郎「なんでお前が怒るんだよ」 煌「おや、来ましたか」 京太郎「花田さん。どうも」 美子「もうみんな揃っとるよ?」 仁美「はよ撮ろうか」 淡「アレ?そこにいるの部長さんだよね?」 姫子「そうよ?」 淡「なんで上下しっかり着こんでるの?」 哩「…………」 仁美「あー……」 美子「うーん……」 姫子「……ちょっとな」 京太郎「?水着撮影ってことですから、せめて羽織る程度じゃないと……」 哩「……一応水着は着とる」 京太郎「だったらなぜ?」 姫子「その……跡が」 淡「跡?日焼け?」 哩「……縄と鎖」 淡「…………」 京太郎「…………」 煌「で、では、私が部長の前に立ちますから!!」 姫子「じゃ、じゃあ私が隣おるけんね?」 京太郎「あぁ……はい」 新道寺、哩さんの顔以外が見えないように撮りました 淡「……いろんな趣味の人がいるんだね」 京太郎「真似すんなよ?」 京太郎「最後に白糸台だな」 淡「たかみーと菫先輩は大きいよ!」 京太郎「なるほど……よし、やる気でてきた」 淡「……もっと私も撮ってほしいのに」 京太郎「心配するな、お前もちゃんと撮る。その前に白糸台全員を…」 照「…………どいて」ギュルルルルルルル 菫「待て。落ち着くんだ照」 尭深「その……お茶、どうですか?」カタカタ 誠子「いや、だから私を盾にして言うのは止めてくれない!?」 京太郎「……どういう状況だ?」 淡「ど、どうしたのテルー」 照「……菫と尭深が」 淡「2人が何かやったの?」 照「……胸なんて、あっても弓引いたりお茶淹れたりする時邪魔なだけっていうからっ」ギュルルルルルルル 菫「落ち着け。その……そういうつもりじゃなかったんだ」 照「……邪魔ならもいであげようか?」ギュルルルルルルル 淡「落ち着いてテルー!」 照「淡だって……私より……ある?」 淡「え?あー……」 照「淡と亦野は味方だと思ってたのに……」ギュルルルルルルル 京太郎「落ち着きましょう、照さん」 照「京ちゃん、でも」 京太郎「それにですね?淡のアレはパッド入れてます」 照「!?」 淡「な、なんで知ってんの!?」 京太郎「いやだってこの前見た時…」 淡「そ、それ以上言わないで!!だってその……」 京太郎「なんだよ。俺の気持ちは淡の胸が小さくても変わらないぞ?」 淡「今言うなー!!」 照「…………菫と尭深の胸以上に敗北感が」 菫「淡……いつの間に」 尭深「それより、一体どこまで……」 誠子「……ところで撮影は?」 白糸台、なんとか撮れました カンッ!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3377.html
咲「な、何を言ってるの京ちゃん」 咲「あんなにおもちが好きだった京ちゃんがお尻!?」 咲「熱があるんじゃ……」 京太郎「咲、俺は尻の良さに目覚めただけだ」 京太郎「今までたんにおもちおもち……俺はガキだったんだよ」 咲「本当にどうしたの京ちゃん」 咲「今日だってあんなに和ちゃんのおもちを凝視してたのに」 京太郎「まああれは別格だろ」 京太郎「だがしかし、俺はおもちすら越える究極の尻に出会ったんだ」 咲「そんな……あの京ちゃんがおもち至上主義を捨てるだなんて」 咲「一体どんなお尻なんだろう」 京太郎「なら行くか」 咲「行くって?」 京太郎「究極の尻に会いに行くのさ」 塞「それで、こんな再現ドラマを見せられてこっちは一体どうしたらいいの?」 豊音「ちょー泣けるお話だったよー」 エイスリン「!?」 咲「いかがでした? 私としては和ちゃん役の時に装着したのどっぱい完全再現おもちが力作だったんですけど」 塞「今のに原村さん出てきてないよね!?」 咲「一応お土産に持ってきたんです」 胡桃(デカい……!) 咲「重さ大きさ柔らかさ全て完全に和ちゃんのおもちを再現したんですよ」 咲「更に今なら和ちゃんのサイン入り!」 京太郎「もらうの苦労したんですよー」 京太郎「散々セクハラだの訴訟だの罵倒され号泣されまして」 咲「大変だったよねー」 京太郎「なー」 塞(この人達なんなんだろう) 豊音「うわー、原村さんのサインとかちょー欲しいよー! しかも本人完全再現のおもちにサインだなんてちょーレアものだよ!」 胡桃「豊音ちょっと! こんなあやしい人達から何かもらうとかヤバいって!」 咲「そんなことありませんって」ニコ 京太郎「あやしくなんてないですよ」ニコ エイスリン「ウワ……」 塞(なんて怪しい笑顔) 塞「あの、それで本当に貴方達は一体何が目的で」 咲「あれ? 伝わってませんでした?」 京太郎「さっきの再現ドラマに全てを込めたつもりだったんですが……俺もまだまだってことか」 豊音「そんなことなかったよー! ちょー面白かったし」 京太郎「ありがとうございます」 咲「あ、これどうぞ」 豊音「うわー、ありがとう! 原村さんのサインゲットだよー!」 咲「喜んでもらえてうれしいです」 京太郎「それでお願いがあるんですが」 胡桃(きた!) 豊音「何かな?」 京太郎「お願いします!」 エイスリン「ドゲザ!? ドゲザナンデ!?」 塞「ちょ、ちょっと」 京太郎「臼沢さんを充電させていただけないでしょうか!」 塞「え?」 京太郎「お願いします! お願いします!」 塞「え? ちょっと?」 胡桃「充電ってまさか」 咲「そのまさかですよ。鹿倉さんが小瀬川さんにされてるあれです」 胡桃「なんで知ってるの!?」 咲「迷って偶然宮守さんの控室を覗いてしまった時にちょっと」 咲「それを京ちゃんに話したらもこれですよ」 京太郎「お願いします! お願いします!」 豊音「塞? 充電ならちょっとくらいいいんじゃないかな」 塞「豊音は何を言ってるの!」 豊音「だって原村さんのサインもらっちゃったし」 胡桃(豊音はダメだ!) 京太郎「お願いします! お願いしまs」 白望「ちょいタンマ」 京太郎「はい?」 咲「なんでしょうか、小瀬川さん」 白望「君達はいきなりここにきて塞を充電したいだなんて言ってるけど」 塞(シロ……!) 胡桃(流石シロ!) 白望「私がそれをどれだけ我慢していると知ってそんなことを言っているのか」 白望「どこの馬の骨ともしれない貴方達に塞のお尻は渡せない」 豊音(あ、駄目だ) 咲「ああ、なるほど……」 白望「貴方達は一体どれだけ塞を知っているというのか」 白望「塞のことを何も知らない、ただ体だけを見て欲情するような人に塞のお尻、略してさえじりは渡せない」 胡桃(何言ってるんだコイツ) 豊音(ほとんど略してないよね?) 京太郎「確かに……」 咲「京ちゃん?」 京太郎「確かに俺が小瀬川さんの立場だったなら」 京太郎「いきなりやってきて人類の宝とも言える尻を充電させろとか言われたら切れるだろう」 京太郎「でも、それでも!」 京太郎「俺は!」 京太郎「臼沢さんを充電したいんです! お願いします!」 塞「えっと」 白望「却下」 京太郎「お願いします!」 白望「大体下心丸出しで充電なんて許される訳が無い」 白望「お昼休み、部活終了後、果てはプールの授業後、さまざまなシチュエーションで私が充電を提案しても塞はしてくれなかった」 白望「そんな私を差し置いてどうして君が充電してもらえると思っているのか」 豊音「本当に一回もシロで充電してないの?」 塞「冗談だと思ってたし……すぐに胡桃が充電してたし」 白望「塞がどうやっても充電してくれないから私のダルさが限界を突破しているというのに」 塞「シロ……?」 白望「ちょいタンマ」 胡桃「え?」 豊音「なんでここで?」 咲「……まさか」 エイスリン「?」 白望「うん」 白望「お願いします! 充電してください!」 京太郎「お願いします!」 咲「さあ臼沢さん! どっちを選ぶんですか!?」 咲「私としましてはやはり京ちゃんを推させていただくわけですが」 塞「えっと……シr」 咲「ちょいタンマ」 咲「いいんですか、本当に」 咲「京ちゃんはいいですよ。まず料理が出来ます。それに常日頃から雑用で鍛えておりますのでなかなかの筋肉です」 咲「いかがでしょう、ほんのちょっとでも京ちゃんで充電を試していただく、というのは」 塞「そんなこと言われてもよく知らない男の子でいきなり充電するとか恥ずかしいし」 京太郎「恥ずかしくなんてありませんよ!」 京太郎「臼沢さんのお尻はどこに出しても恥ずかしくなんてありません! 世界一ですよ!」 京太郎「俺が保証します! 自信を持ってください!」 塞「そういうことじゃないんだけどな」 白望「塞、そんなのほっといて早くこっちに」 咲「抜け駆け禁止ですよ」 咲「これじゃあ埒があきませんね」 エイスリン「イッタイドウシタラ」 塞「なにもしないでこのままお帰りいただくってのが一番なんだけど」 豊音「あ、そうだ! いいこと思いついたよ!」 胡桃「何? 豊音」 京太郎「お願いします! お願いします!」 白望「お願いします!」 豊音「いっそ塞の充電をかけて勝負すればいいんじゃないかな!」 塞「」 ドア「ガチャ」 玄「それなら私達も」 初美「混ぜてもらのですよー」 初美「臼沢さんを充電できると聞いたら黙ってはいられないですよー!」 玄「臼沢さんを後ろからもみくちゃにできるって聞いてきました!」 胡桃「いきなり何!?」 豊音「ちょー盛り上がってきたよー!」 エイスリン「チョウ! エキサイティン!」 塞「どうしてこうなった」 咲「どうするの京ちゃん、敵が増えたよ」 京太郎「ううむ」 白望「怖気づいたならそのまま帰るがいい」 京太郎「なんだと!」 白望「塞、私は勝つから」 白望「絶対に勝って塞を充電してみせる」 胡桃「シロがやる気になるなんて」 初美「貧弱な坊やはおめおめと逃げ帰るのがお似合いですよー」 玄「おもちを後ろからわしづかみにしていいんですよね? え? 駄目なんですか?」 京太郎「……」 咲「京ちゃん……?」 京太郎「大丈夫だ、咲」 京太郎「俺も男だ! ここまで言われてはいそうですか、なんて引きさがれるかよ!」 咲「京ちゃん!」 豊音「それじゃあせっかく四人いるんだし勝負の内容は脱衣麻雀にするよー」 エイスリン「ダツイ……」 胡桃「麻雀!?」 塞「ちょ、豊音何言ってるの!」 豊音「えー、面白いと思うんだけどなー。それに」 豊音「選手たちはもうヤる気まんまんみたいだよー」 白望「ダル……」 玄「え? 小瀬川さんのおもちを合法的に見放題なんですか? いいんですか!?」 京太郎「ちょっと待てよ咲! 目隠しなんてされたら麻雀打てないっての!」 咲「いきなり鼻の下伸ばした京ちゃんが何を言ってるの!」 初美(えらく不利な勝負になりましたね……) 豊音「ね!」 塞「あー……うん」 初美「それじゃあ席決めますよー」 初美(もはや最初から北家を引くしか!) 玄「了解です!」 白望「麻雀とか時間かかってダルいし……さっさと終わらせる」 京太郎「だから目隠しは勘弁してくれよ咲! 麻雀にならないだろ!」 咲「盲牌くらい出来るでしょ?」 京太郎「無理に決まってるだろ」 咲「なら私が耳打ちするから」 胡桃「席順は次の通りだね」 東家:初美(なんでタチ親引きますかね……) 南家:京太郎「なあ、配牌を並べることすらできないんだが」 咲「いいから」 西家:白望(永水がいきなり北家よりはダルくないか) 北家:玄「小瀬川さんがお隣ですか!」 豊音「闘牌開始ッッッッッ!!!」 初美(こうなったらさっさと流していきますよー) 京太郎「なあ、これ本当にイーソウであってんの?」 咲「うん」 白望「だる……」 玄「やっぱりドラは私の所に来るようですのだ」 胡桃「さあ解説の豊音さん、試合が始まりましたが」 豊音「みなさんちょー気合いが入ってますねー」 塞「何このノリ」 エイスリン「シーッ」 豊音「塞は商品なんだから特定の誰かを応援しちゃだめだよー」 塞「帰りたい」 玄(この戦い、一見ただ脱がしていけば勝てるように思えるが……違う!) 玄(必ず勝利することは必定、さらに小瀬川さんのおもちを思う存分観賞するためには厳しい条件が存在する!) 玄(まず一つ、目の前の金髪君がとにかくどうでもいい!) 玄(そしてもう一つ! これが一番の障害だけれど……とにかく永水の薄墨さん!) 玄(下手をすると一瞬で飛んで終わりかねない! 私が狙えるのはそうなると必然的に小瀬川さんのみ……) 玄(へっ、なかなか面白くなってきやがったのです……!) 白望「ロン」 初美「あうう……はいですよー……」 玄(何だ……!?) 玄(今何が……!?) 玄(何故……何故小瀬川さんが薄墨さんから上がっている……!) 玄(どうして……どうしてこんなことが……!) 京太郎「なあどうなったの?」 咲「小瀬川さんが薄墨さんから上がったよ」 京太郎「ふーん」 豊音「さあお楽しみの脱衣タイムだよー」 胡桃「薄墨さんはもう残り一枚ですが大丈夫でしょうか」 豊音「是非頑張ってほしいところだよねー」 初美「いつもの格好がここまで不利だとは思わなかったですよー」 玄「次! さっさと次に行くのです!」 白望「ダルいいさっさと全員ひんむく……」 京太郎「なあ咲」 咲「目隠しは取らないからね」 玄(ヤバい……これはヤバい……!) 玄(もう薄墨さんがリーチとか洒落にならない……) 玄(一体どうすれば……) 初美「いいんですかー? ドラなんて切ってー」 玄「はい? あ」 初美「ロンですよー」 京太郎「頼む咲! 目隠しを! 目隠しを外してくれ!」 咲「どうせ最初は靴下とかでしょ」 玄「まあそうなんですけど」 初美「さっさと次に行きますよー」 豊音「なんで脱衣系は最初は無難なとこしか脱がないのでしょうか」 胡桃「むしろ最初からクライマックスな薄墨さんが特殊ですね」 東三局 京太郎「んじゃあこれ」 咲「京ちゃん、それ東じゃなくて5ピンだけど」 京太郎「へっ?」 初美「ロンですよー」 玄「はいはい誰得ですか」 京太郎「じゃあ目隠しを……」 咲「はい上着脱がすからバンザイしてねー」 エイスリン「!」 豊音「エイスリンさんスケッチの勢いが凄いよー」 東4局 玄「」 初美「」 京太郎「さっさと目隠しを外すんだ咲!」 咲「だが断る」 豊音「まあ予想通りの結果でしたよねー」 胡桃「ですよねー」 白望「ところで」 豊音「何? シロー」 白望「これ誰か一人が残るまでやるの?」 豊音「あっ」 豊音「せっかくだし最後の一人までやればいいんじゃないかなー」 塞「いやほんとそこまでしなくても」 胡桃「はいはい景品は黙っててねー」 豊音「さくさくいくよー」 玄「ツモ! ツモツモツモツモツモ!!!!」 玄「全員脱ぐのです! ハリー!」 玄(小瀬川さんを脱がせることについに成功したのです!) 京太郎「もうパンツと靴下になってしまうんだが目隠しを衣服にカウントすることは」 咲「ダメダヨ」 初美「もう脱ぐものなんてありませんし」 白望「だる……靴下でいいや」 玄「ロン!!」 玄(やったのです! 小瀬川さんに直撃ですのだ!) 京太郎「なあ」 咲「すいませーん、臼沢さん京ちゃんが目隠し外したいって五月蠅いんですけど」 塞「流石にそれ外すような人では充電したくないかな」 京太郎「もっと厳重にしてくれてもかまわないぞ咲」 白望「だる……」 豊音「南3局、ついに須賀君がリーチだよ!」 胡桃「流石に宮永さんも靴下を脱がせに行ったね」 京太郎「負けられない! 俺は臼沢さんを充電するんだ!」 初美「いくらイケメンでもパンツ一丁はしまらないですねー」 白望「ちょいタンマ」 白望「……あー、はい」 玄(小瀬川さんのおもち! 下着越しでも分かるあの素敵な形!) 白望「ロン」 玄「え?」 豊音「半荘終了ー!」 胡桃「結局全裸は薄墨さんだけだったね」 塞「全裸ロリと半裸JK二人と目隠しパン一イケメン……通報されたら終わるなあ」 白望「半荘終わったけどどうするの、まだ続ける?」 豊音「どうしようねーアハハ」 初美「どうせ私はもう脱げないですしやる気失せましたよ……」 玄「私はまだ続けても……」 宥「玄ちゃん何やってるの、もう帰るよー」 玄「お姉ちゃん待ってー」 初美「……私も帰りますねー」 胡桃「あ、はい」 白望「で、メンツがへった訳だけど」 咲「流石にこれ以上ご迷惑をおかけするわけにもいかないので私達も帰りますね」 京太郎「ちょ、咲、目隠ししたままひっぱんなよ!」 咲「それじゃあお騒がせしました」 塞「本当にね……」 豊音「またねー」 エイスリン「バイバーイ」 塞「何だったんだろうねアレ」 豊音「よく分からなかったけどちょーおもしろかったよー」 胡桃「それじゃあ私達もご飯でも食べに行こうか」 エイスリン「イク!」 塞「あ、じゃあ」 豊音「塞は何を言ってるのかなー」 胡桃「塞はいいから残る!」 エイスリン「オミヤゲカッテクルネ」 塞「え?」 白望「ほら塞」 塞「シロ?」 白望「充電するから」 京太郎「なあ、俺うまくやれてたか?」 咲「ばっちりだったよ。ていうかよくあそこまでお尻について熱く語ったね」 京太郎「そりゃあまあ」 京太郎「宮守の人達にあそこまでお願いされたらなあ」 咲「お願いされたらパンツ一丁にもなるんだね」 京太郎「俺が麻雀弱いの知ってんだろが」 咲「はいはい。薄墨さんと松実さんもよくあんなの手伝ってくれたよね」 京太郎「だよなあ。まあ脱衣麻雀とか聞いてなかったからかもしれないけどな」 咲「あれにはびっくりしたよね……」 京太郎「目隠しとか準備よすぎとは思ったけどな」 京太郎「まあそんなことよりだな、咲」 京太郎「俺が充電なんかしても効果なんてないんじゃないのか?」 咲「いいから京ちゃんはおとなしく充電器してればいいの!」 おわり
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/548.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1342888425/ 京「ふー、こんな休みの日まで遊びにもいかず麻雀部の買い出しとは」 京「なんとまあ忠実な雑用係だぜ」 京「それにしても暑すぎるだろ!」 京「買い出しも終わったことだし、ちょっと喫茶店でお茶でも飲んでくか・・・」 同時刻、池田 池田「にゃー、大漁大漁!」 池田「県予選終わるまで、と思って我慢してた物欲一気に解放だし!」 池田「咲の新刊、欲しかった服、一杯買えて華奈ちゃん大満足だし!」 池田「あ、べ、別に一人で買い物行ったからって一緒に行く相手がいないわけじゃないし!」アセアセ 池田「みはるんとか呼んでもよかったんだけど、あたしのペースで買い物したかったから敢えて呼ばなかっただけだし!」 池田「ひゃー、それにしてもあっついねー」 池田「ちょっと喫茶店でお茶でも飲んでくか!」 京・池田 バッタリ 京「あ」 池田「ん?」 京太郎「あ、あなたひょっとして池田さんじゃないですか?」 池田「そうだけど、お前誰だし?」 京太郎「あ、すいません。池田さんは俺のこと知らないですよね」 京太郎「俺、須賀京太郎って言います。清澄学園の麻雀部で雑用係やってて」 京太郎「県大会に同行してたし、試合見てたんです。それで池田さんのこと知ってるわけなんです」 池田「あー」ポン 池田「そういえば清澄の連中から聞いたことあるし!」 池田「何でもやってくれる雑用係、人呼んで清澄の便利屋」キリッ 京太郎「あ、アハハ・・・便利屋って・・・」 池田「まあ、立ち話もなんだし? 今回は特別に華奈ちゃんがご一緒してやるし」 京太郎「本当ですか!? やったー!」 池田(? やたら嬉しそうだな、こいつ) 池田(まあ、華奈ちゃんみたいな美少女と偶然出くわして一緒にお茶なんて嬉しくないわけがないし!) 池田「ふふん、ありがたく思えよ? こんな機会滅多にないぞ?」 京太郎「そうですよね! 俺もまさかこんなところで池田さんに会えるなんて思ってませんでした!」 池田「にゃはは・・・大袈裟だし・・・」 ドア「カランカラ~ン」 (ダンディで深く心地のよい声の)店主「いらっしゃいませ、好きなお席にどうぞ」 池田(ちょっとちょっと!! みはるん、今の聞いた!?) 池田(って今みはるんはいないんだけども!) 池田(こんなところで云々って、それって県大会で見てからあたしに会いたかったと思ってたってことだし!) 池田(ってことは、あたしマジで結構いけてる・・・?) 池田(にゃははー、あたしも隅におけないねぇー、みはるん) 京太郎「あ、ここでいいですか?」 池田「おうともよ!」 京太郎「おうともよ?」ハハハ 京太郎(誰もいないな。これならゆっくり話が出来そうだ) (落ち着いた雰囲気を醸し出す感じの良い)店主「こちらメニューになります」ニコッ 京太郎「ありがとうございます」 京太郎「さて、何にしますかね」 池田「ふーん・・・じゃああたしはティーセットのアッサムとチーズケーキにするし」 京太郎「じゃあ俺も同じセットで、アールグレイと、同じチーズケーキにします」 京太郎「すいませーん」 店主「はい」ニコッ 京太郎「このセットの、かくかくしかじかでお願いします 店主「かしこまりました」ニコッ 京太郎「ふう・・・」ソワソワ 京太郎「そ、それにしてもあっついですねー」(棒読み) 池田「本当だし。やってられないし。何回か出掛けたこと後悔したし」 京太郎「いやー、本当に。うん。」 京太郎「・・・」 池田(・・・なんかこいつ、心ここにあらずって感じだな) 池田(そんなに華奈ちゃんのことが気になるのかし!) 池田(いやー、可愛すぎるってのも罪だし! やれやれだし!) 京太郎「あ、あの!」 池田「にゃ!?」 池田(告白!?) 京太郎「県予選、牌譜みました」 京太郎「俺、池田さんのに打ち筋に感動して」 池田「へ?」 京太郎「あ、えっと、すいません、いきなりこんなこと・・・」 池田「・・・」 池田(―――)ゾクッ 池田(ダメだ、あの対局を思い出すと寒気が・・・) 京太郎「あの――」 池田「・・・何が、感動した、だし。嫌味か?」 池田「あの県予選決勝。あたしは散々だった。」 池田「見てたんなら分かるだろ? あたしが天江衣に好き放題むしられて」 池田「しまいにゃ、あたしが飛ばないようにおたくのとこの宮永に救済されて」 池田「あんな試合、今思い出すだけで自己嫌悪でいてもたってもいられなくなるし」 京太郎「・・・それは分かってます。思い出したくない、ってことも想像してました」 京太郎「でも」 京太郎「俺、やっぱり感動したんです」ニコ 京太郎「オーラス、もう何も出来ないってくらい点数を離されて」 京太郎「そんなとき、役満ツモって」 京太郎「俺だったらもう逃げ出したくなって、最後くらいいいとこ見せたくなって」 京太郎「きっとあがっちゃってたと思うんです」 京太郎「それでも、池田さんはそのあがりを見送った」 京太郎「いや、俺バカだから、最初は訳わかんなかったんですけど」ヘヘ 京太郎「しばらく考えて、分かったんです」 京太郎「ああ、この時池田さんは、流局し続けて逆転することを狙ってるんだ、って」 池田「あ・・・うん、その通りだし・・・」 京太郎「それで俺、凄いって思ったんです。こんな化け物達と当たっても、池田さんは勝負を諦めてなかったんですよね」ニコッ 京太郎「それって凄いな、って」 池田「あ・・・」パァァ 店主「こちらアッサムとアールグレイになります」 京太郎「あ、ありがとうございます」ニコ 池田「・・・・・・」 池田「そ・・・」プルプル 京太郎(?) 池田「そーだし!そのとーりだし!」 池田「正直言ってめっちゃ辛かったし!」 池田「あたしは努力してるのに、あんな化け物と戦って」 池田「あたしの努力の及ばない所にいる奴らと打って」 池田「投げ出したいとも思ったんだし!」 池田「でもさ! 諦めたくなかったんだ!」 池田「あたしはどーしても勝ちたかった!」 池田「望みがなくても、非現実的でも」 池田「あんな化け物じみた力がなくても、勝ちたかった!」 京太郎「ですよね」ニコッ 京太郎 紅茶に口を付ける 京太郎「俺、今は雑用係だし、麻雀なんてヘタクソなんですけど」 京太郎「いつか、大きな舞台で麻雀を打てる時が来たら、池田さんみたいな打ち手になりたいです」 池田(やばい!めっちゃうれしーし!) 池田「うわ・・・ちょーうれしーしー」デレッ 京太郎「はは・・・それで今日、そんな憧れてた池田さんに会えて、俺もすごい嬉しいんですよ」 池田「あたし、あの試合は見ての通り散々だったし」 池田「常識的に考えて評価されるなんて有り得ないし」 池田「チームメイトは慰めてくれたけど」 池田「あたしの頑張りがこんなところで褒められるなんて、思ってもみなかった」 池田「そ、それでも負けたことには違いないけど! まだまだ強くならなくちゃいけないな!」 京太郎「ていうか池田さん。紅茶来てますよ? 早く飲まないと冷めますよ」 池田「はっ! 紅茶のことすっかり忘れてたし」ハハハ 池田(うわー・・・) 池田(負けた試合のことで褒められるなんて、本当は喜んじゃいけないだろうけど) 池田(なんかもうそういうの関係なしに、ちょーうれしーよー)ズズ 池田(・・・) 池田(ちょーうれしーよー)ニコニコ 池田「紅茶、おいしーし」 京太郎「ですね」ニコニコ 池田(私、認められたんだな・・・こんな見ず知らずの一年生に) 池田(あたしの頑張りが、伝わったんだ) 池田(こんな嬉しいことはないし!)ムフー 店主「ケーキ、お持ちしました」コトッ 池田「須賀君、だよね?」 池田「ありがとう」ニコッ 池田「須賀くんに褒められて、あたしすっごくうれしい」 池田「あの、上手くは言えないんだけど」スッ パク 池田「私なんてまだまだ弱いし、努力しなくちゃいけないところも沢山ある」 池田「それでも、あたしの頑張りの一部が須賀君に認められて」 池田「こうやって、褒めてくれたことで」 池田「あたし、これからもっと頑張っていけそうな気がする!」ゴウッ 京太郎(池田さん・・・なにかオーラが) 京太郎「頑張ってください。俺もいつか池田さんと打てるくらい強くなれるように、頑張りますよ」 京太郎「と言っても、大会じゃ無理か」ハハ 池田(!) 池田「だったら、メールアドレス教えろよ」ニャー 京太郎「あ、いいですよ」ゴソゴソ ―――メアド交換シーン省略―― 池田(須賀君のメアドゲットだし!なんかすっごいうれしーし!) 池田(いやー、今日は褒められるしメアドゲットできたしいいこと沢山だし!) 池田(買い物に来た甲斐があったってもんだし!) 池田「また須賀くんと会いたいし。いつでもメールしてこいし!」 京太郎「ふふ、分かりました。お暇な時は相手してください」 池田(むふー)キラキラ 京太郎 ケーキに口をつける 京太郎(・・・)モグモグ ゴクン 京太郎「それにしても、やっぱ喫茶店はいいですね、涼しくて」 池田「本当だし。喫茶店はおちつくなー」 京太郎「ですねー。内装も静かで落ち着く感じで」 池田「ここなんかは通ってもいいくらいだし」 京太郎「ここってお茶の味も普通よりいいですよね」 池田「それあたしも思ったし! 香りがすっと入ってきて、時間が経っても味が落ちてないし」 京太郎「最後まで味わえるのが最高ですよね」 池田「ケーキの味も爽やかで、それでいて癖になるようなおいしさ」 京太郎「本当良い喫茶店です」 店主「///」 池田「須賀くんは今日なにしてたんだし?」 京太郎「俺ですか? 俺はいつも通りの雑用ですよ」 京太郎「俺麻雀打てないから、こんなことでしか役に立てないし」 京太郎「咲達みたいに、全国の舞台で活躍したい気持ちはやまやまですけど、仕方ないです」 京太郎「時々、俺なんかがいなくてもこの麻雀部はやっていけるんじゃないか、って思っちゃいますけどね」ズズ 池田(・・・) 池田「あたしはそうは思わないし」 京太郎「え?」 池田「清澄の麻雀部のことなんてあたしは何もしらない」 池田「それでいてその内部事情に口を出すのはずーずーしーかもしれない」 池田「それでも華奈ちゃんはずーずーしーから! 言わせてもらう!」 池田「清澄の麻雀部がちゃんとやっていけてるのは須賀くんのおかげだし!」 池田「宮永達が大会で打てるのも、普段の練習ができるのも」 池田「全部須賀くんのおかげに決まってるし!」 池田「麻雀部ってのは、須賀くんみたいに皆の為に頑張る人がいて始めて成り立つんだ」 池田「その須賀くんを悪く言うような奴は、あたしが許さないし」 池田「いたらぶん殴ってやるだし!」 池田「だから須賀くんも自分を悪く言ったらだめだし?」 京太郎「池田さん・・・」 京太郎「ありがとうございます」ズズ 京太郎(うわー、めっちゃうれしいわ・・・) 池田(キャプテンをずっと見てきたあたしには分かるし。須賀くんが部にとってどれだけ大切な存在か) 池田「それに、須賀くんも強くなったらいいんだし。なんなら特訓でも付き合ってやるぜ?」 京太郎「本当ですか!? それは是非お願いしたいです! あ、時間あったらでいいんで」 池田「さっきも言ったし。また須賀くんに会いたいし、その為の時間なら全然作るし」 京太郎「ありがとうございますっ」ニコッ 店主(・・・こうして家の店で人と人が心の交流をする) 店主(そういうことに私は幸せを感じるんだ) 京太郎「それで、池田さんは今日なにしてたんですか?」 池田「あー、あたしは買い物だし」 池田「べ、別に一人で(ry」 京太郎「はは、それで何買ったんですか? 服とかですか?」 池田「そうそう」 京太郎「へー。池田さん、服のセンスいいですよね。今着てる服もすごい似合ってて可愛いですし」 池田「え・・・そうかな・・・」/// 池田(や、やば・・・まさか服のことまで褒められるなんて・・・) 池田(こんな時どんな顔したらいいのか分からないし・・・) 京太郎「いやあ、なんか表向きの雰囲気と違って、落ち着いた感じで」 京太郎「すごいギャップが出てて、いいと思います」 京太郎「あ、口説いてるというわけではないのですが」ニヤニヤ 池田「あうう・・・」プシュー 池田(須賀くん・・・地味に嫌な性格してるし・・・)/// 池田「う、うし!ケーキも食べ終わったことだし、そろそろ出るし!」 京太郎「ああ、そうですね」 京太郎「また池田さんとこの喫茶店でお話したいです」 池田「それ、あたしが言おうとしてたことだし!」 京太郎「それは光栄です。あ、お会計お願いします」 店主「お支払いはご一緒になさいますか?」 京太郎「一緒で」 店主「はい、それではご一緒で1,800円になります」ニコ 店主「ありがとうございました」 ドア「からんからーん」 池田(・・・なんか勢いで勝手におごられちゃったし) 池田「須賀ァ!お前あの支払いはなんだァ!勝手におごってんじゃねえぞ!」 京太郎「え、いけませんでしたか?」アセアセ 池田「まあ、もう終わったことだし? 今日の所は許してやるし」 池田「ただ今度来るときはあたしがおごるし!覚えとけ!」フシャー 京太郎「は、はあ」 京太郎(なんでこんな怒ってるんだろう・・・) 池田(あたしが須賀くんに元気づけてもらったのに、おごられるだなんて気が済まないし!) ――駅 京太郎「じゃあ、ここで」 池田「須賀くん、今日は本当にありがとうだし。須賀くんと話せて本当によかったし」 京太郎「俺も池田さんと話せてよかったです。また絶対メールしますよ」 池田「あたしもするし!」ニャー 京太郎「じゃあ、これで」 こうして二人の少年少女は各々の道へと歩みだした・・・! この先二人に何が待ち受けているかは、神のみぞ知ることである・・・! カン その後・・・ 池田の部屋 池田「あふううううううっ!京太郎君のメアドが入った携帯気持ちいいよぉぉぉぉぉっ!」 池田「あ、あ、あん、京太郎君のメアドが入った携帯が、あたしのいやらしおまんこに入ってくるううううう」 池田「京太郎の雑用で鍛えた逞しい体にあたしの幼い体の隅々までいじられておかしくなっちゃううううううううんんんんんん」 池田「京太郎くんのメアド入ったケータイおまんこに突っ込んで、あたし、京太郎くんのリー棒突っ込まれてるの想像して」 池田「自分でいじっていやらしい汁ボタボタ出しちゃって感じちゃってるのおおおおおおお」 池田「あん、京太郎くん、京太郎くん、京ちゃん、京たん、京たんかわいいよおおおおお」 池田「京たん、あたしのこともっといじって? もっとめちゃくちゃにして?」 池田「もう京たんのこと以外何も見えなくなるくらいあたしの中めちゃくちゃにしてえええええええええ」ビッチャアアアア 池田「・・・ふぅ。寝るし」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2124.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1356430208/ 京太郎「……ていうか、ホントによかったのか? 俺となんかで」 咲「ん~?」 京太郎「せっかくのイブだってのに。 和達とか……東京の方のお姉さんとか……」 咲「ふふっ、いいのいいのっ。 私は京ちゃんと一緒の時が一番楽しいもんっ」 京太郎「……あ、そう……」 咲「それじゃあプレゼント持ってくるね~」トテテ 京太郎「早速かよ」 ―15分後― 咲「お、おまたせ~」ズリズリ 京太郎「お~随分遅かったな。……って、何やってんだ?」 咲「り、リボン巻いてるんだけど……結び辛いなぁ……」ズリ 京太郎「あー……。……質問を変えるわ」 京太郎「自分の身体にリボン巻いて何やってんだ?」 咲「え? クリスマスプレゼントだけど?」 京太郎「プレゼントって……お前……」 咲「えへへ……。 どう?」 京太郎「いや……どうかしてるとは思うけど……」 咲「あのねっ! ここのリボンねっ! 引っ張ると上着が全部脱げるように出来てるんだよ!」 京太郎「なんだその無駄に凝ったギミック。 誰得だよ」 咲「でも……下着は京ちゃんに……脱がせてほしいなっ?」 京太郎「しない」 咲「え、え~! 引っ張りたくなってこない~?」 京太郎「ないから」 咲「またまたぁ。 そーんなこと言っちゃってぇ」 京太郎「飯にすっぞ~」 咲「……ちぇー」 久『襲ってこない?』 咲「はい……。 部長から教わった通りにやったんですけど……」 久『ふむぅ……。 貞操観念が強いのか……あなたを女として見てないのか……』 咲「そ、そんなぁ!」 久『あるいは……』 咲「あ、あるいは……?」 久『いや……あくまで可能性の話だけどね?』 久『須賀くんが……ソッチ系の人だったり……』 咲「それはありえません」 久『……そ、即答ね。 理由は?』 咲「簡単ですよ」 咲「京ちゃんの持ってるHなビデオにそういったものがないからです」 久『あー……。 なるほど』 久『……え?』 咲「Hなビデオや本の隠し場所は全て把握してます」 咲「ベタなベッドの下は勿論、机の引き出しの裏、麻雀牌の箱の中、ペットのカゴの下、etc...」 久『……』 咲「隠し場所によってジャンル分けもしてます」 久『そ、そうなの……それは凄いわね……ハハ……』 咲「新しいモノが見つかる度……目に入るのは胸の大きいお姉さんばかり……」 咲「それを見る度……必然的に自分と比較してしまう……」 咲「ああ、やっぱり京ちゃんはこういう女の人が好きなんだなぁ。 私じゃ駄目なのかなぁって……」 咲「密かに幼馴染系のモノを忍ばせても数日経てば無くなってる……」 咲「この虚しさ! この切なさ!」 咲「部長!! わかりますか!? この気持ち!!」 ツー....ツー.... 京太郎「咲~。 ケーキ食うか~」 咲「あ、食べる~!」 咲「しっかり持ってね。 ちゃんと真っ直ぐ切るんだよ」 京太郎「……」 咲「えへへ……。 ケーキを切り分けるだけなのに、なんだかドキドキするね……」ハァ... 京太郎「……」 咲「でもこれも未来の予行演習だと思えば俄然やる気が……」ハァハァ 京太郎「離していいか?」 咲「だ、駄目!」 京太郎「なんでケーキ入刀みたいな持ち方してんだよ! 離せ!」 咲「他意は無いから! 一緒に切りたかっただけだから!」ハァハァ 京太郎「息荒げながら言っても説得力ねえわっ! おらっ」バッ 咲「あ~」 京太郎「八等分でいいな? するからな」 咲「そんな殺生なぁ……」 咲「そういえば京ちゃんのプレゼントは?」 京太郎「ん? ああ、これだけど」スッ 咲「ちょっと待って! その前に中身を予想してみてもいいかな?」 京太郎「別にいいけど……なんか意味あんのか?」 咲「もし見事私が当ててみせたらなにか言うこと1つ聞いてもらおうかなっ」 京太郎「……あまり安請け合いできない条件だな……」 咲「その代わり、もし私が外したら京ちゃんが言うこと、私がなんでもしてあげるよっ」 京太郎「ほう」 咲「大人の階段登るようなことでも、一線を越えるようなことでも、エッチな事でも。 なーんでもっ」 京太郎「その補足は要らない」 京太郎「……なにこの紙束。 軽く200枚はあるけど」 咲「予想したプレゼントの中身集」 京太郎「いやこれは卑怯だろ」 咲「んん~? 誰も一回で当てるなんて言ってないよぉ~?」 京太郎(こいつ………) 咲「二百も考えたのに……」 京太郎「ねえものはねえよ。諦めろ」 咲「SOA……」 京太郎「……というかお前の発想が極端すぎんだよ」チラッ 【結婚指輪】 【隷従権一生分】 【ペット用首輪】 【京ちゃんのYシャツ】 【京ちゃんの制服】 【婚姻届】 【京ちゃんとの子供】 【京ちゃんの子種】 【京ちゃん】 etc... 京太郎「………」 京太郎「さて、咲よ」 咲「うん、分かってるよ……約束は約束……」 咲「このリボンを引っ張って……」 京太郎「まだ付けてたのかよ!」 咲「それで……なにをすれば……いいのかな?」ワクワク 京太郎「なんか楽しんでねえか? ……まぁいいや」 京太郎「ほら、俺からのプレゼント」スッ 咲「うんっ、ありがとう!」 咲「ってこれ……もしかして……」 バリバリッ. バッ 咲「……麻雀牌?」 京太郎「そう、手積みのな。この前手積み牌が欲しいって言ってただろ?」 咲「……こ、これ! あの雀鬼も使ったといわれている黒蘇州牌じゃ!?」 京太郎「おう。 高級品だから大切に使えよ?」 咲「うわぁ……! ありがとう……!!」 京太郎「……女に麻雀牌プレゼントするのはどうかと思ったんだけど……」 咲「そんなことないよ!」 咲「…………すっごく嬉しい……」 京太郎「そんで、だ。 お願い1つ聞いてもらう約束だったよな」 咲「う、うんっ」 京太郎「俺のお願いは……」 京太郎「偶にはそれ持って俺んちに遊びに来い」 咲「え?」 京太郎「麻雀する時とかはいつもお前んちだったろ? 俺んちには全自動卓が無いし」 京太郎「でもつい先日、雀卓は買ったんだ。 ……安物だけどな」 咲「あ……じゃぁ……」 京太郎「部活中でも学校生活内でも、お前にはいつも気を遣わせてばっかりだからな」 京太郎「……こんなんで日頃のお礼ができるとは思ってないけど」 京太郎「偶には俺んちにも来いよ」 咲「……京ちゃん……」 咲(京ちゃん……ごめんね……) 咲(私が京ちゃんちに行かないのは京ちゃんの為じゃなくて……) 咲(私のためなんだよぅ……) 咲(だってお宝が多すぎるんだもの……) 咲(京ちゃんの部屋には勿論のこと、玄関には靴、洗面台にはハブラシやタオル) 咲(ベランダ側には靴下やシャツ、まれにシーツや布団……) 咲(一度部屋に入ればまさにそこは宝石箱の如く……) 咲(京ちゃんにはバレてないけど、こっそり盗んだパンツはそろそろ三桁に達するし……) 咲(ちなみにブリーフがお気に入り) 咲(そんな所にいつでも行ける様になったら……頭がおかしくなっちゃうよぉお……) 咲(だから今まであえてコソコソすることでこの欲求を自制してきたっていうのに……) 『偶には俺んちにも来いよ』 咲(そんな……そんなこと言われたらぁああああああああ) 咲「えへ……えへえへ……」 京太郎「……咲?」 咲「きょ、京ちゃん……遠慮しなくていいんだね?」 京太郎「え? あ、ああ。 都合合う日ならいつでもいいけど」 咲「うふ……うふふふふふ……! ふふふふふふふ……!」 咲(ああ……今日は最高の日だなぁ……!) 咲「よーし、京ちゃん! こうなりゃ乾杯しよ! 乾杯!」 京太郎「べ、別にいいけど……なんか気持ち悪いぞお前……」 咲「ふふふ……ふふふひ……!」 咲(もう私、我慢しない……!) 咲(行ける所までトコトン行ってみるよ……!!) 咲「それじゃあ、これからも変わらない私たちの関係を願ってー!!」 咲「メリークリスマース!」 京太郎「ま、まーす」 ――カンッ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1853.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1362666103/ 「須賀、あの竹井先輩と一緒の部活って本当か?」 ある日の昼食時、友人2人と昼食を取っているとそんな話題が唐突に振られた。 俺は口に含んでいたタコス(優希からメニュー存続のため食べるように言われている)を飲み込みながら頷いた。 「まぁな。というか麻雀部の部長だぞ?」 「マジかよ、知らなかった。知ってたら俺も麻雀部に入ったかもしれねえなぁ」 「竹井先輩、美人だもんなー。こいつ、入学式の挨拶で見てからファンらしいぜ」 羨ましそうに話す友人たちを見ながら俺は部長の顔を思い出す。 確かに、部長は文句なしの美人だ。 スタイルもなかなか。 全校生徒の前で話す姿など凛としていて男女問わず人気があるというのもよくわかる。 俺自身、入部した当初は和だけではなく、あの美人の議長さんも居ると知って胸を高鳴らせた。 だから、友人たちが騒ぎ立てる理由はわかる。 わかるのだが、こいつらは部長の真の顔をよくしらない。 悪戯好きで人をからかうのが大好きな小悪魔な部長を知らない。 そう思うと素直に頷けなくなる。 部長の悪戯やら悪巧みの被害者になっている立場としては心中が複雑である。 そんな俺の内心を知らず、テンションが上がった友人たちは質問を続けてくる。 「やっぱり、いろいろ教えてもらったりしているのか?」 「大会前だから練習の合間を見てって感じだけど、いろいろ教えてもらってるぞ」 「羨ましい! 俺も竹井先輩に優しく指導されてみたいぜ」 騒ぎ立てる友人を見ながら俺は内心苦笑した。 指導と言ってもそんな色っぽいものじゃないし、むしろ遊ばれている感がある。 向こうとしては子供をからかってるぐらいのつもりなのだろう。 俺にもプライドがあるから少し傷つくこともあるが……。 「ほんと、そんな大したもんじゃないって」 皆が憧れる高嶺の花に、みんなより近い位置にいるということにちょっとした優越感もあった。 とは言え、部長からしてみれば俺なんて眼中にないだろうけど。 美人だしイケメンの彼氏の一人や二人ぐらいいるだろう。 何より個人的には和のほうがタイプだし。 その日の放課後、いつものように俺は部室で麻雀を打っていた。 麻雀は麻雀でもネト麻ではあるが。 まぁ、これはしょうがないの。 俺自身まだルールが怪しいところが多い。 動作も遅く、なにかと迷ってしまうことも多く進行を妨げてしまう。 大会も近いので、最近は他のメンバーとは打たずこうやって1人でネト麻を打っていることが多い。 最初はモチベーションが維持できるかどうか若干不安だったが意外とやっていけている。 俺は正念場を迎えたオーラスの手牌を見つめながらそんなことを考えていた。 『京太郎手牌』 3456m1245667s22p ツモ4m ドラ3m 好形変化のツモ。 以前は3456などといった連続系を早めに壊してしまって和に怒られていたが、どうやらその反省を生かせたみたいだ。 マウスを操作して1索を切り出し、進行を見守った。 そして次巡。 『京太郎手牌』 34456m245667s22p ツモ【5】p ドラ3m 想定していなかった赤5引き。 ほとんど手は固まっているが、関連牌を引いたら面子候補を入れ替えるのもいいかもしれない。 そう考えて辺張の片割れである2索を切り出した。 「今はどんな感じかしら?」 つい、熱中しすぎてたようだ。 近づいてきた部長に気付かず少し驚いてしまう。 「あっ、えっと、今はオーラス29,300点持ちの2着です。トップとは4,500点差です」 ツモってきた西をツモ切りしつつ、慌てながらも現状を報告した。 部長はどこかおかしそうに笑いながらも、画面をのぞきこんで小さく頷いた。 「なるほど。とりあえず、続けて」 「あっ、はい……、と」 そうしているとピッ、という効果音とともに聴牌となる牌を引いてきたことを告げられた。 『京太郎手牌』 34456m45667s22【5】p ツモ5m ドラ3m メンタンピンドラ1の文句なしの逆転手。 俺は満足感を覚えながらリーチのアイコンをクリックして、赤5筒を切り出した。 「リーチっと。部長、どうですか?」 「うーん、残念! 100点はあげられないわねー」 「えっ」 それなりに自信があったのに情け容赦ない一刀両断。 思わず言葉を失ってしまう。 「須賀君、赤5筒を聴牌まで引っぱっていたようだけど、なぜかしら?」 俺は若干気まずい感情を抱えながらも宿題を忘れた言い訳をするかのような気分で自分の考えを述べた。 「えっ? だってくっつけば点数が上がるし」 「そうね、ドラを大切にしようって言うその考えは自体はそこまで悪くないと思う。ただ、今の状況は?」 「トップまで4,500点差のオーラスです」 「そう。すでにメンタンピンドラ1で点数が足りているし、待ちが愚形でも枯れてしまっているわけでもない。 なのに赤5筒を引っぱってくっつきを待ち、これ以上点を高くする意味は?」 何も言い返せなかった。 思わず頭が下がる。 「ない、です」 「よろしい。ただ、100点をあげられない一番の理由は須賀君が聴牌チャンスを下げる打牌をしているからよ?」 「えっ、えぇ? これで、ですか?」 自分の手牌と捨て牌を眺めてみる。 『京太郎手牌』 34456m45667s22【5】p ドラ3m 『京太郎捨牌』 北中発九⑨⑧ 12西 どう見ても手牌に関係しそうもない端っこしか切り出していない。 正直納得いかないものを感じつつ俺は思考を巡らせたが、答えが出ない。 そうしていると部長は画面上の2索を指差しつつ、メモ用紙に何かを書き始めた。 「ほら、ここ。8順目、ペンチャン落しからの2索切り、これが問題。この時に赤5筒を切って2索を入れると、こうなるわね」 『久提示』 34456m245667s22p 「ほら、この形だと索子に5索8索の他に3索の受け入れも出来るでしょ? そうすれば、6索切りの聴牌でリーチできる」 「あ、あぁ!」 部長の言うとおりだった。 確かにそのように切っておけば受け入れが4枚増える。 俺だってそこそこに麻雀を打ち込んできた。 4枚増えることの重みだって、それなりにわかっているつもりだ。 なのに自分はミスがないと、ベストの打牌をしたと勘違いしていた。 からかうように笑う部長を見ながら、自分の未熟さと中途半端さに内心ため息をついた。 「あー……。今回はいけると思ったんだけどなぁ」 「まだまだ甘いわね、須賀君」 「……うっす、もっと頑張ります」 とは言え、こうやって丁寧な指導を受けるというのはやはりうれしい。 だから意外とモチベーションが保っていられるんだろうな、と自分で考えている。 「じゃあ、京ちゃん。今日は先に帰るけど、あんまり無理しないでね。ばいばい」 「おう、また明日なー!」 あの後、部長から牌譜について教えてもらえることになり、部長と一緒に居残り勉強をすることになった。 今までネト麻ばかりだったが、少し本格的な、麻雀部員っぽいことを教えてもらえることになり内心心躍っていた。 「さーって、はじめましょうか」 「うっす!」 「あ、変なことしないでね?」 「だからしませんって!」 「ひ、酷い。私に魅力がないって言うのね」 「あー、もう、どうしろっていうんですか!」 泣き崩れる真似をして俺をからかう部長に俺は頭を抱える。 こんなことがしょっちゅう起こるのが困りものだ。 親しい人間にしかこういう面を見せないから余計に性質が悪い。 「ふふふ、じゃあ、始めましょうか。そこに座って。実際に牌を並べながら説明するから」 そう言いって部長は牌譜を広げた。 正直訳が分からなかったが、部長は丁寧にひとつずつ教えてくれる。 俺とは大違いの細くてしなやかな指が牌譜の上を滑る。 白い肌。 綺麗に手入れされた爪。 白魚のような指、とはこういうものをいうのだろうか。 自分の指とは大違いなそれに少しぼうっとして見つめてしまう。 慌てて思考を切り替えて、必死にメモを取る。 部長はそんな俺の姿をなぜか楽しそうに見ながら説明を続けた。 部長が変なことを言うから悪い。 この部室に美人の先輩と二人っきり。 俺だって男だ。 あんなこと言われちゃ、色々と意識してしまうだろう。 いや、もちろん襲うつもりはないけれども。 不埒な妄想をしてしまったことぐらいは許してほしい。 うん。 「疲れた……いや、でもこれからまたさらに疲れるのか……」 一折の説明を受け、DVDと一緒に宿題を渡された後、掃除を済ませて部長と帰途についている。 正直色々と聞きすぎて頭がパンクしそうだった。 その状態で今夜は宿題をこなさなくてはならない。 若干気が重い。 「お疲れ様。今日はよく頑張ったからご褒美にアイスでも奢ってあげるわ」 思わずため息をつく俺の姿を見て部長は気を使ってくれたのだろうか。 そんな提案をしてくれる。 学校帰りの買い食いは楽しいものだ。 その上、先輩に奢ってもらえるというのなら猶更だ。 「ほんとですかっ!? やった!」 思わず手離しで喜んでしまう。 我ながら単純だとは思うが、嬉しいものは嬉しいのである。 「はいはい。じゃあ行きましょうか」 苦笑する先輩と連れ立って学校近くのコンビニまで歩いた。 体育館からはまだ活動しているのか、ボールの跳ねる音が聞こえるがそれを除けば静かな道だった。 連れ立って歩いているこの状況に少しドキドキするがコンビニは目と鼻の先だ。 部長と今日の部活の話をしているうちにあっという間に着いてしまった 「あなたとコンビニ」 「なんちゃらマートっと」 何となく二人で掛け合いのように歌いながら入店する。 部長は楽しそうにアイスを選んでいる。 俺は迷わず国民的アイスバーを選んだ。 これの梨味が好きだったのだが、おいていないのでソーダ味を取る。 まぁ、ソーダ味も相当なうまさなので問題ない。 部長からはもっと他のでもいいよと言われるが丁重にお断りする。 確かに値段は相当安いけど、これ以上に安定してうまいアイスはそうそうない。 そんなことを思いながら、俺と部長はコンビニの前でアイスを口にし始めた。 「しかし、大会までもうすぐですねぇ」 アイスをかじりながら俺は何となくそんなことをつぶやいた。 深い意味はなく、ただの雑談程度のつもりだった。 「ほんと、あっという間ねぇ」 「初めてのインターハイかぁ……」 アイスをひとかじりして何気なく頭に思い浮かんだことをつぶやいた。 部長もアイスをかじりながら返事を返してくれる。 「そうね、そして、私は最後のインターハイ」 そして、軽い調子で返ってきた言葉に俺は一瞬言葉を失った。 当たり前の話だった。 目の前にいる人は3年生。 あと数か月もすれば引退して部からいなくなってしまう。 そんな当たり前なことに俺は気づいていなかった。 「……そうでした。部長、夏が終わったら引退なんですよね」 「そう、だから今年の夏は何が何でも勝ちたいの」 部長は軽く息を吐いてつ、と上を向いた。 俺はその言葉になんと返していいかわからずに口ごもっていると部長は軽く笑って続けた。 「ようやく5人そろったからね。ある意味では最初で最後のインターハイ、かしらね」 「最初で、最後……」 聞いたことがあった。 部長が入部した当時は幽霊部員が居るのみで部としての活動は行われていなかったと。 「最初はひとりで途中でまこが来てくれたけどそれでも2人だけで、部活って言えるのかって言われたこともあるけど」 顔は笑っている。 いつものように悪戯っぽく。 「それでも続けてきて、ようやく臨める団体戦」 口では大したことではないことのように言っている。 表情だって笑っている。 「だから、勝ちたいの。私は」 でも、この先輩はどれほどの苦しみの上でその言葉を吐いているのだろうか。 どれほどの辛さを乗り越えてその言葉を吐いているのだろうか。 「そのために、できることは何でもするつもりよ。最後だから、後悔したくないしね」 最後まで先輩は笑いながら言っていた。 だけど、その笑みはとても悲しく、辛そうな感じがして。 今までどれほど辛い思いをしてきたのかを物語っている気がして。 ずきりと、胸が痛んだ。 俺はいったい何をしているのだろうか。 今すぐ消えてなくなりたい気分だ。 美人の先輩やかわいい同級生に囲まれている状況に浮かれてヘラヘラと麻雀を打っていた。 周りから羨ましいなんて言われてくだらない優越感を抱いていた。 あまりにも愚かだった。 部長はどれほど苦労してこの麻雀部を作り上げたのだろう。 たった一人で始めて、3年生になってようやく5人メンバーが揃って。 凄い執念だと思う。 よほど麻雀が好きでなければこんなこと、できるわけがない。 俺も麻雀に興味があって入部したが、もし麻雀部がなかったとしても自分一人で部を作ろうなどとは思わなかっただろう。 でも部長はそれをやったのだ。 どれほど大変だったのだろう。 どれほど寂しかったんだろう。 どれほど悲しいことがあったのだろう。 どれほど辛いことがあったのだろう。 きっと、俺なんかじゃ考えもつかないような日々だったと思う。 でなければ、あんな顔をするはずがない。 でも、部長はそんなことをおくびにも出さずに飄々として、気軽に接してくれる。 自分たちの練習だってあるだろうに俺みたいな初心者にも優しく教えてくれる。 部長がどれほどの思いをこの夏に賭けているかも知らず、それを俺は当たり前のように享受していた。 ようやく団体戦に出れることになったのに。 これが最初で最後の夏だというのに。 馬鹿か、俺は。 友人に羨ましいと言われてそれを内心誇っていた自分を殴ってやりたい。 部長に指導を受けている際に変な下心を抱いてたことが恥ずかしさで死にたくなる。 そして、何となく興味があったから、タイプの女の子もいるから、なんてくだらない理由で続けている自分に嫌悪感を覚える。 憤りの感情からか、アイスを持つ手に力が入った。 辞めるべきなのだろうか。 実力もなく、皆の足を引っ張るだけなのなら部を辞めてしまうのがいいのだろうか。 部長はこれが最後の夏なのだ。 咲が入部して、団体戦メンバーがそろった今は俺が居ても部にプラスになることはあまりないだろう できる限り、負担は減らすべきなんだとは思う。 一瞬そう考えたが、その考えを実行に移せそうにないかった。 下心もあったし、部長ほど強い思いを抱いて麻雀をやっているわけではないけれども、それでも麻雀は好きだ。 ようやく、楽しさがわかってきてのめりこみ始めてきた。 あの部で麻雀が手離す楽しみを手離したくない。 だから部は辞めたくない。 自分勝手な理由だと思う。 わがままな考えだとは思う。 だけど、言い訳するつもりはないが自分のそんな感情以上に強い想いがあった。 この感情は義憤と呼べばいいのだろうか。 話を聞きながら、部長の悲しそうな笑顔を見ながら憤りを感じながらも強く思った。 部長に、報われてほしい。 今まで苦しんできた分、報われてほしい。 勝ってほしい。 そう思ったのだ。 心から強く。 部長は頑張ってきたのだ。 たくさんたくさん頑張ってきたのだ。 あきらめずに頑張ってきたのだ。 だから報われなきゃだめだ。 辛いこともあったけど、最後の年には仲間とともに全国大会まで行くことができた。 せめて、そう……最低限そうならなければ絶対に駄目だ。 だから、そのための力になりたい。 部長の力になりたい。 部の力になりたい。 だから、辞めたくない。 部に残っていたい。 実力じゃみんなの力になれない。 だけど、その代りそれ以外のことなら力になれるはずだ。 掃除でも牌譜取りでも事務作業でもどんな小さな雑用でも。 そんなことなら、俺でもできる。 そして何より、部長の心から喜ぶ顔を見てみたくなった。 いつもの何か企んでるような笑いでもなく、さっきのような悲しそうな笑みでもなく。 心の底から喜んでいる姿が見たくなった。 幸せな感情に包まれて笑う姿が見たくなった。 そして部長の近くでその姿が見たい。 一緒に喜びを共有したい。 それをするには部を辞めてしまってはすることができない。 だから、辞められない。 ならばせめて、部のためにできることをしよう。 俺ができることを全力で。 心の中で決意を固める。 不思議だった。 恐らく俺がこれからやろうとしていることは傍から見ると非常につまらないことだ。 麻雀もろくに打たず、マネージャーもどきの仕事を自分から買って出ようとしている。 でも、不思議な高揚感があった。 麻雀で高い手を張った時のような胸の高鳴りがあった。 やってろう。 部長のために、部のために。 部長にとって最初で最後の夏、やれるだけのことをやってやる。 そして、絶対に……。 「……うしっ!」 小さく声を上げながら気合いを入れる。 そうと決まれば1分1秒が惜しい。 さっさと家に帰ってこの課題を済ませてしまおう。 まずは牌譜関連の雑務を一手に引き受けるところからスタートなのだ。 俺は手に残ったアイスを一気に口に含んだ。 あまりの冷たさにちょっともがくが無理矢理飲み込んだ。 部長は俺の姿にぽかんとして見ていたが、それに構わず口を開いた。 「部長、俺、頑張ります」 「……えっ?」 事情が呑み込めていないのか、部長らしからぬちょっと間の抜けた声が聞けた。 だがそれに構わず一気に宣言する。 もう止まらない。 言うだけ言ってしまおう。 「俺、麻雀の実力は大したことないし、皆の練習の相手はできないですけど、それ以外のところで皆が勝てるように協力します」 「牌譜取るの頑張って覚えます」 「学校向けの庶務仕事、俺でやれることなら全部やります」 「それ以外に細かい雑用があったら任せてください。その、できる限りのことはします」 部長は俺がまくしたてた言葉に最初は戸惑っていた。 少し気まずい沈黙が流れたが、部長はちょっと恐る恐ると言った感じで俺に尋ねた。 「その……いいの?」 「はい、だから」 何と言えばいいのだろうか。 何も思いつかない。 「だからその」 何かかっこいいことのひとつも言いたいけど何も思いつかない。 部長は俺の言葉を待っている。 結局、心の高揚感に押し出されるように思わず叫んだ。 「絶対、勝ちましょう!」 コンビニから出てきた人が何事かとこっちを見ている。 部長もびっくりした顔で俺のことを見ていた。 言ってから恥かしくなってきた。 顔が熱くなってくる。 部長の視線に耐えられない。 俺は慌ててアイスの某をゴミ箱に捨てて、部長に頭を下げた。 「俺、これから帰って牌譜取りの勉強します! 明日には絶対覚えてきますから! アイスご馳走様でした!」 そう言い残して、俺は部長の返事も聞かず、顔も見ないまま家に向かって駆け出した。 後から思い返しても、この日の出来事はちょっと恥ずかしくなる。 その日から、俺はひたすらに部のために働いた。 日々の牌譜取りから、掃除や買い物なんかの雑用は積極的に引き受けた。 偵察やら情報集めなんかにあちこち歩き回ったりもした。 庶務仕事なんかも引き受けたし、部長の負担を減らすように学生議会なんかの手伝いもした。 たった6人の部活だけど、やろうと思えばやれることはいくらでもあった。 他のメンバーは申し訳なさそうにしていたけど、無理矢理押し切る形で働いていた。 皆、いろいろ負い目を感じているようで、少し心が痛んだが、部のためだと自分の考えに首を振った。 「ここの所、京太郎は雑用ばっかりじゃ。ほとんどわしらと対局しとらんじゃろう? 牌譜はわしが取るけぇ、京太郎が入るといい」 そんな状況の中で、恐らく俺を一番気にしてくれたのは染谷先輩だろう。 今日も俺のためにこう言ってくれた。 「そうだよ京ちゃん、入りなよ。部長、牌譜なら私がとってもいいですよ?」 「そうだなー。たまには犬も可愛がってあげないとなー」 「確かに、ここの所須賀君とはあまり打てていないですね。後ろで見ててあげますよ?」 他のメンバーも一斉に乗ってくる。 勢い付いたその攻勢に一瞬ひるんでしまう。 どう言い返そうか、と考えた時部長が俺に少し苦い笑みを向けた。 ざわりと、胸が騒いだ。 「そうね、ごめんなさい。最近須賀君の対局数が減っていたわね……。焦ってるのかしら」 まずい。 多分、今俺が卓に入ると時間をかけて色々と教えてくれるだろう。 今まで打てなかった分、きっと教えてくれるだろう。 そういう仲間たちだ。 俺に気を使ってくれるのは嬉しいが、大会まで時間がない状況。 そんなことに時間を使っている場合ではないはずだ。 何より、部長のために頑張ると決意したくせに部長に気を遣わせている状況に思わず焦る。 「須賀君、入りなさい。牌譜はまこが取って……」 「いや、大丈夫です!」 その言葉を慌てて遮る。 一度前例を作ってしまうと今後もこういうことが起こってしまうかもしれない。 それはまずいのだ。 部長のために、部のために、今はそうなってはマズイ。 俺はまくしたてるように必死に口を開いた。 「大丈夫ですよ、ほら。大会はもうすぐなんですよ? 初心者に毛が生えた俺より有望株の女子組の練習するのは当たり前じゃないですか?」 「しかし……」 俺の言葉に染谷先輩は納得がいってなさそうだ。 部長だけじゃない、染谷先輩も本当にいい先輩だ。 俺のためにいろいろ気をかけてくれる。 「大会が終わって落ち着いたらゆっくり対局しましょうよ? とりあえず今はみんなの練習の方が優先ですって」 だけど、今だけはその言葉には従えない。 内心ごめんなさいと言いながら、俺は染谷先輩の言葉をやんわりと拒絶する。 染谷先輩は俺の発言にに反論しようとするが、それを止めるように続けた。 「そのかわり、夏が終わったら練習に付き合ってくださいよ。さっ、染谷先輩座って座って」 俺はそういいながら染谷先輩を半ば無理矢理席に座らせた。 そしてすぐに椅子を引いてきて部長と染谷先輩の間に座る。 「それに、こうやって人の打ち筋をいろいろ考えながら見るのも練習のうちですよね?」 これは染谷先輩に実際に言われた台詞。 俺が漫然と牌譜を取っているときに言われたことだった。 「まぁ、確かにそう言ったが……」 やっぱり自分の言ったことに対しては強く否定しにくいみたいだ。 俺はだめ押しとばかりに続ける。 「大丈夫ですって。以前言われた通り、自分だったらどうするとか考えながらちゃんと考えながら牌譜取るようにしますから」 「……わかった。だが、見てる上で疑問に思ったことがあったら遠慮なく聞くようにな?」 ようやく納得してくれたようだった。 ほっと胸を撫で下ろす。 他のメンバーも染谷先輩が納得してしまったので二の句が継げなくなってしまったようだ。 不承不承と言った顔で対局が始まった。 最初はなれなかった2人分の牌譜を取る行為もすっかり慣れた。 そうしているとふと気づいたことがあった。 考えてみれば部長の牌譜を付けるのはあまりなかったな、と。 たまたまかもしれないが、ちょっとした新鮮さを感じながら俺はペンを走らせた。 「ツモ。トイトイ三暗刻で2,000-4,000じゃな」 「あっちゃあ」 ラス前。 トップ目の染谷先輩がダメ押しの一撃をあがった。 親被りした部長が苦笑している。 それを見ながら、俺は状況を確認した。 染谷先輩は当然アガリトップだが、部長は跳満のツモが必要だった。 手元の紙を眺めて点数の差に間違いがないことを確認する。 そうした後、2人の配牌を眺めてみる。 染谷先輩は少々苦しい形。 役牌もなく、愚形ばかり。 そして部長の手牌がこうなっていた。 『久手牌』 3389m3567s13579p ドラ3m 形は少々苦しいがドラ対子。 上手くいけば跳満は見えそうだった。 これからどうなっていくのかを思案しながら、ペンを走らせる。 そして、7順目だった。 『久手牌』 334m356788s345p ツモ4s ドラ3m 強烈な引き。 頭はまだ確定していないがかなりの良型が残るツモだった。 牌譜係の立場としては表情や立ち振る舞いから手の内容を察知されないように ポーカーフェイスで居なけれならないが、思わず声が出そうになった。 だが、俺はそれ以上の衝撃を次のツモで感じることになった。 『久手牌』 334m356788s345p ツモ3m ドラ3m 強烈なドラ引き。 息を飲みそうになるのを必死でこらえた。 好形の3面張でドラ3。 高目3色。 俺は頭の中で点数差を考え、おぼろげな知識で結論を出した。 2-5萬ならダマでもツモリ跳満あるが、4萬では平和が付かず、跳満には届かない。 つまり即リーチの一手。 俺は部長もそう打つと思っていた。 だが、部長は口を開かず、静かに8索を河に投げた。 何故? 何故リーチをかけない? 理由が理解できなかった。 染谷先輩から直撃を狙っているのだろうか。 でも染谷先輩はもう半分オリ気味に打っている。 そう簡単に狙えるものではなさそうだ。 俺でもわかることだ、部長だってわかっているはず。 内心首をかしげながら牌譜を取り続け、変化が起こったのはその3巡後だった。 『久手牌』 3334m3456788s345p 東 ドラ3m 1枚切れの東。 俺は特に意識していなかった。 当然ツモ切りするだろうと思って、本来はマズいことなのだが東ツモ切りを牌譜に記した。 そんな俺の予想とは裏腹に、部長の1手は俺の想像を遥かに超える一手だった。 「リーチ」 『久手牌』 3334m345678s345p ドラ3m ツモ東 打4m 今日一日で1番の衝撃だった。 想定外の1打に思わず体が固まる。 そして、慌てて自分の先ほど書いた内容を消し、牌譜を修正した。 ただ、わからない。 タンヤオも平和も三色消える。 跳満には逆立ちしても届かない。 リーチしてしまった以上、染谷先輩は絶対に当たり牌を切らないだろう。 1枚切れの東だからと言って簡単に放り投げるような人じゃない。 不可解すぎた。 正直部長がおかしくなったのか、もしくは俺が見落としている手役があるのかとかそんなことを悩み始めた矢先だった。 時間としては本当に短い時間だっただろう。 牌が、ふわりと空を舞った。 くるくると回りながら落ちてくる牌を部長は軽くキャッチしてパシリと卓に叩きつけた。 「ツモッ!」 『久手牌』 333m345678s345p東 ドラ3m ツモ東 「立直一発ツモドラ3。裏ドラは見ずとも逆転ね」 部長の淀みない綺麗な発声が部室に響いた。 和が何か怒っている。 染谷先輩が苦笑している。 咲と優希はぽかんとしている。 そして俺も呆気にとられていた。 ありえない。 1発でツモることで跳満ツモを達成する。 しかも1枚切れの単騎で。 全てがありえなかった。 でも、部長がアガったのは事実だった。 たまたまだろう。 よくある、何となくこっちを選んでみた、とかそういうアレなのだろう。 まぐれだ。 ありえない。 頭では考えていた。 だが、それとは裏腹に心は強く高鳴っていた。 体が熱くなる。 変なたとえだが、小さいころに遊園地で見たヒーローショーで感じたような胸の高鳴り。 そう、すごく『格好いいもの』『眩しいもの』を見たかのような。 そんな気持ちだった。 「須賀君、見てた?」 動揺する俺にくるりと椅子ごと振り返り部長は笑った。 「は、い」 俺はかすれる声でそうやって返事をした。 そして部長は何も言わずとても楽しそうな笑みを浮かべて、俺にVサインをした。 その笑顔がとても眩しかった 純粋に綺麗だと、可愛いと思った。 とても口に出せることじゃないけれども。 そしてなんとなく思った。 確証なんて何もないけれども。 だけど不思議な確信があった。 ――この一手と部長のこの笑顔は ――きっと、一生忘れることはない。 そう、思った。 「やっぱり、そうだったんだ」 あの後、部活終了後、牌譜の整理を引き受けて皆には先に帰ってもらった。 咲たちにはいろいろ食い下がられたが、はんば無理矢理追い出す形で俺は1人部室に残っている。 もちろん、今日の分の牌譜の整理をやるというのはもともと予定していたことだった。 ただ、それ以上にやりたいことがった。 「部長は、勝負所で悪い待ちに取ってる」 俺の目の前には牌譜が大量に並んでいる。 それは部長の今までの闘牌の記録だった。 それを眺めると、逆転の一手の時、大物手の時、そんなときに部長はわざわざ悪い待ちに取っている。 両面待ちをシャンポン待ちに受ける。 役を打ち捨てて字牌の単騎に受ける。 3面張を壊して嵌張で受ける。 基本はごく普通の打ち筋だと思う。 デジタル、というのだろうか。 だからこそ、最後の最後で悪く受けるその異質さが際立っていた。 だが、それでも。 「部長は、勝ってる」 そう、どれほどの悪い待ちでも部長はアガっている。 先ほどのように引いたり、誰かが掴んだり。 かなりの確率でアガっているのだ。 たまたまとか、偶然と言ったそれを超えているだろう。 先ほどの光景を思い出す。 あの状況で東単騎を選び1発で狙ったように引き上がる。 そしてオーラスの大まくり。 周りの驚いた顔。 心臓が跳ねる。 脳を直接火にくべたかのように、熱くなってくる。 思わず拳を強く握る。 「すごい。部長は、本当に」 思わず、感嘆の声が漏れた。 なぜこんなことができるのだろう。 確率を超えた何かが部長にあるのだろうか。 「俺も……」 それがすごく眩しく感じた。 小さな子供がヒーローに憧れるかのような。 プロスポーツ選手のスーパープレイを見て心臓を高鳴らせるかのような。 そんな感情に俺は包まれてていた。 「俺も、こんな風に打ってみたい……」 だから俺がそう思うのも当たり前の帰結だった。 俺は部長の闘牌が記されている牌譜一式を手に持つと外に飛び出した。 まず箱の牌譜のコピーを取って家に持ち帰ろう。 部長がどんな時、どんな状況でアガっているのか。 もっと研究してみよう。 そうすれば俺にもできるかもしれない。 部長みたい麻雀が打てるかもしれない。 そう考えるだけで熱に浮かされたような昂揚感に俺は支配された。 ワクワク感で今夜は眠れるか怪しかった。 俺は大量の牌譜を抱えて、学校の近くにあるコンビニへ急いだ。 これからの楽しみに子供のように心を躍らせながら。