約 969,238 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5408.html
照「京ちゃんまた食パンとパックジュース?だめだよそんなんじゃ」 京太郎「照さんの言うことももっともなんですけど今月はちょっと厳しくて」 照「だと思った。だからね、はいお弁当」 京太郎「え、いいんですか!?おお、エビフライ!」 照「確か京ちゃんってエビフライ好きだったよね?だから多めに作ってきたんだ」 京太郎「ありがとうございます!うめー」ガツガツ 照「菫とお昼の約束があるから私は行くね。お弁当箱はあとで返してくれればいいから。じゃあね」 嫁田「宮永先輩が通い妻女房とかうらやましすぎるぞ京太郎!」ヘッドロック 京太郎「そんなんじゃねーって」 嫁田「お前まだそんなこと言ってんのか。京太郎だって宮永先輩の人気は知ってるだろ?」 嫁田「今のままだったらお前愛想つかれて他の誰かにとられっちまうぞ?」 京太郎「そりゃわかってるけどさ…俺だって頑張ってはいるけどよ」 嫁田「食費削ってまでゲーセンや雀荘に通ってても惨敗だもんなお前」 京太郎「うるせー」 嫁田「だからホレ」ピラ 京太郎「何だよコレ?」 嫁田「白糸台(ウチ)も三連覇に向けて気合入ってるからな。専属の雑用募集してるみたいだぞ」 嫁田「これなら麻雀部に入れなかったお前にもチャンスはあるだろ?」ニヤ 京太郎「サンキュー嫁田!今から応募してくる」ダッシュ 嫁田「おう頑張れよ」 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1869.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1381050058/ 京太郎「……?」 怜「わからんの?」 京太郎「すんません、ちょっとわかりません」 京太郎「とりあえず、はい、体温計。熱計っといてください」スッ 怜「んっ」 京太郎「37.1度。 微熱ですね」 怜「これでも結構ツラいんけどなぁ。ダルダルぅ……」 京太郎「食うもん食ってよく寝りゃ治りますよ。 おかゆ作ってきますね」 怜「こらこら、何処行くん」ギュッ 京太郎「うえっ」 怜「風邪引いて寒いんよー。あっためてーやー」ゴロン 京太郎「膝枕なんかで温まるんですか?」 怜「ええのええの。 んー、あったかー」ギュー 京太郎「……風邪移んなきゃいいけど」ナデナデ 怜「んー、んまいっ」 京太郎「よかった」 怜「んでも味薄ぅ」 京太郎「そりゃ病人食ですもの」 怜「醤油が足りんの醤油がーっ」 京太郎「関西人って薄味が好みじゃないんすか」 怜「ええからええから」 京太郎「我慢してください」 怜「むぅ」 怜「ごちそうさまでした」コトッ 京太郎「お粗末さまでした。 薬飲めます?」 怜「苦くないんなら」 京太郎「良薬口に苦し、ですよ」 怜「いーやー」 京太郎「子供じゃないんだから」 怜「京太郎ー。きょーたろー」 京太郎「はいはい。 ポカリですか?」 怜「ねむれーん。 昼寝過ぎたー」 京太郎「あー」 怜「暇やー」 京太郎「薬飲んだ後だからできるだけ寝てる方がいいんですけど」 京太郎「……まぁ、まだ寝るには早いか」 怜「なんか話してー」 京太郎「話っつっても」 怜「んじゃあ、今日の竜華に怒られた回数は?」 京太郎「2回っすけど」 怜「なんでー?」 京太郎「一回目は……怜さんの看病を俺がしてるから」 京太郎「二回目は怜さんのおかゆを俺が作ったから、ですね」 怜「はは、竜華かわええなぁ」 京太郎「今日良くならないようでしたら明日清水谷さんが看病役の予定ですよ」 怜「愛されてんなぁウチ」 京太郎「俺としてはサクッと治して欲しいですけど」 怜「ウチもそうしたいんやけどー」 怜「……治ったら竜華キレるやろなぁ」 京太郎「え?」 怜「京太郎にキレちゃうやろなぁ」 京太郎「……あぁ」 怜「ブチギレやろなぁ」 京太郎「……」 怜「よっしゃ治そ」 京太郎「うえっ」 怜「んー? 京太郎はウチに治って欲しくないん?」 京太郎「……複雑です」 怜「あはは」 怜「んじゃ次はー、今日の竜華にド突かれた回数っ」 京太郎「数えてませんよそんなの」 怜「数えきれん程突かれたんか」 京太郎「ん、まぁ」 怜「いつ?」 京太郎「さっき言った怒られた時の二回。朝会って一回、昼飯ん時に一回、怜さんが風邪引いたって聞いた時の一回」 怜「うわー」 京太郎「おかゆ片付けに台所来た時に一回、洗ってる時に一回、洗い終えた時に一回」 怜「ぶたれとんなぁ」 京太郎「あと、怜さんの部屋出る度に必ず一回」 怜「ははは」 京太郎「また部屋出るとき打たれるんだろうなぁ、と」 怜「ほなら、ウチが守ったろうか?」 京太郎「んなことしたらド突くどころじゃなくなりますよ。ヘタしたら殺されます」 怜「あはははっ。かわええなぁ竜華は」 怜「京太郎、京太郎。 ちょっと耳貸しっ」 京太郎「はい?」スッ 怜(……さっきっからな、竜華が扉の隙間からこっち見とるよ)ボソボソ 京太郎(えっ)チラッ 竜華「………」ジー 怜(な?) 京太郎(う、うわぁ) 怜「……ふぅー」 京太郎「うほぁっ! ちょ、何するんですかっ」 竜華「……っ!」 ガタッ ! 怜「んふふ。 えいっ」ギュッ 京太郎「うわっ」 竜華「――!!」 ガタガタガタガタッ !!! 京太郎「怖い怖い怖い怖い」 怜「なぁきょうたろー。 ウチちょっと漫画読みたくなってきたなー」 京太郎「え。いや、漫画ならそこに」 怜「これもう読み飽きた。 リビングの方にあるから取ってきてくれへん?」 京太郎「つまり部屋を出て行けと」 怜「せやなぁ」 京太郎「俺に死ねと」 怜「……んふふ」ニコッ ガタッ! ガタッ! ガタガタッ!! 怜「ほら、呼んどる呼んどる」 京太郎「……」 怜「きょーたろー。まーんーがー」 京太郎「…………南無三ッ」ダッ 怜「けっぱれ~」 ゲシッ! ゲシッ! ゲシッ! ゲシッ! ギャアアアアッ 京太郎「背中痛い」 怜「きょーたろーきょーたろー。ウチ今度小説読みたくなってきた」 京太郎「メッチャ背中痛い」 怜「リビングの方にあるから取ってきてやー」 京太郎「あの、怜さん、俺、背中、痛い」 怜「セカチュー持ってきてな」 京太郎「えっ」 怜「ん? 知らんの?セカチュー」 京太郎「セカチューってアレですよね。 ヒロインが不治の病で最後死んじゃう」 怜「せやな」 京太郎「………」 怜「どしたん?」 京太郎「怜さん、シンキングタイム」 怜「ん?」 京太郎「俺がセカチューを持ってきます」 怜「ん」 京太郎「清水谷さんがそれを見ます」 怜「ん」 京太郎「俺、どうなります?」 怜「んー」 怜「……」ニッコリ 京太郎「………」 京太郎「今回ばっかりは不謹慎だし死にたくないので拒否権を」 怜「えー」 京太郎「マジで背中痛いんですよマジで」 怜「ちぇー」 「チッ.....」 ガタンッ 怜「……ふぁ……」 京太郎「眠くなってきました?」 怜「ん……んにゃ」 京太郎「寝ましょう。もう11時ですし」 怜「……まだいける……眠ぅない……」 京太郎「薄目で言われても信憑性無いですよ。 ほら、毛布」ポフッ 怜「んっ……やぁ……」 京太郎「寝て起きて、また明日会いましょう」 怜「……京太郎……居なくならない?」 京太郎「勿論。 ちゃんと居ます」 怜「ホンマに……?」 京太郎「ホンマです、ホンマ」 怜「……ん……そか……」 京太郎「………」 怜「………」 京太郎「怜さん?」 怜「……zzz」 京太郎「……」 ガチャッ 京太郎「おやすみなさい、怜さん」 バタンッ..... 京太郎(遅くまで起こしちゃったけど、多分明日には全快だろう) 京太郎(ちゃんと冷えピタ貼り直したし、ポカリ常備、氷枕もまだ大丈夫) トンッ 京太郎「んっ?」 竜華「zzz....」 京太郎「…………」 竜華「……へ……へぶしっ! ……うぅ……ズズッ……」 京太郎「…………ああもう……」 竜華「うー……あー……」フラフラ 京太郎「あの、清水谷さん。 手を……」 竜華「い、いらんっ!」 京太郎「だってそんな足元フラフラじゃ危な……」 竜華「いらんったらいらっ、うっ!」 竜華「ゲホッ!ゲホッ!ゴホッ!」 京太郎「言わんこっちゃない」 竜華「や、やかまし……」 怜「ミイラ取りがミイラってか。 アホやなぁ竜華は」 怜「この時期に廊下で寝るんはアカンやろ。そら風邪引くわ」 竜華「……返す言葉もないわ……」 怜「……もしや京太郎に看病して欲しくて……?」 竜華「そ、それはない! 絶対ない! うっ……ゲホッゲホッ!」 怜「あーあー、大声出しちゃアカンて」 竜華「だ、誰のせいで……ゲホッ……」 京太郎「はい、清水谷さん。 氷枕です」スッ 竜華「うっ……むっ……」 京太郎「熱、計り終えました?」 竜華「…………38.2度……」 京太郎「大分ありますね。 何か食べれますか?」 竜華「……食欲湧かん……」 京太郎「まぁ、ですよね。 それじゃあ取り敢えず薬だけでも」スッ 竜華「んっ……」ゴクッ 京太郎「何か欲しいのあったりしたら携帯にコールください。 一応家には居ますんで」 竜華「……ん……」 怜「ほら、竜華。 京太郎に返事は?」 竜華「……はい……」 京太郎「ははは。 それじゃ」 怜「ほななー」 ガチャッ....バタンッ 京太郎「……清水谷さんが素直に返事するとは……」 怜「こりゃ重症やな」 京太郎「ですね」 京太郎「怜さんは調子大丈夫ですか?」 怜「お陰様で。んまぁ、偶にフラーっと来るけど」 京太郎「様子見といた方がいいですね。 一応熱計って安静にしててください」 怜「あーい。 って、どっか行くん?」 京太郎「氷買ってきます。 無くなっちゃったんで」ガチャッ 怜「あいあい」 京太郎「なんか欲しいもんでもありますか?」 怜「恋人」 京太郎「無いですね、行ってきます」 怜「あーん、冗談冗談。 ま、特には無いよ」 京太郎「はい。 それじゃあ」ガチャッ バタンッ 竜華「……んっ……」ムクッ 竜華「もう昼か……」 竜華「…………」 竜華「………………」 竜華「……………………」 竜華「……と、とき~……」 竜華「………いや……病み上がりの怜を呼ぶのはアカンわ……) 竜華「……」チラッ 竜華「……」スッ....ピッピッピッ.... 発信:須賀京太郎 竜華(…………………) 竜華「……っ」 ピッ.... ― ―― ――― 京太郎「え? 無いんですか?」 店員「この時期にコンビニに氷は置かないですよ普通」 京太郎「マジすか」 店員「少し歩いた方のスーパーになら売ってると思いますけど」 京太郎「自転車なら何分くらい掛かります?」 店員「んー……10分くらいかなぁ」 京太郎「わかりました。ありがとうございます」 店員「お気をつけて~」 京太郎「参ったな……ちょっと遠回りだ」 京太郎「早く行かないとっ」 ――― ―― ― 『留守番電話サービスです。カンッとなりましたらお名前とご用件を―』 竜華「あれ………?」 竜華「………」ピッ prrrr.... 『留守番―』 竜華「……」ピッ 竜華「…………」 竜華「………………」ポイッ トスッ 竜華「………」 竜華「……………」 竜華「…………………」 竜華「………アホぉ………」ボソッ.... 京太郎「ん、これくらいありゃいいな」 京太郎「……あれ? 電話来てんじゃん」 京太郎「………」 京太郎「ッ!」 ガチャッ....バタンッ ダッダッダッ ガチャッ !! 京太郎「竜華さん!」 ボフッ!! 京太郎「ぶふぉっ」 竜華「……っ!……っ!」 京太郎「りゅ、竜華さ……」 竜華「おっ……おっ……おっ……!」 竜華「おっそいわぁぁッ!!!」 京太郎「ちょ、竜華さっ」 竜華「お前ゆーたやん! コールしたら行くゆーたやん!!」バシッバシッ 京太郎「すいま」 竜華「なんっかいもコールしたやん! なんで気づかへんのやー!!」バシッバシッ 京太郎「あの、やめ」 竜華「ウチずっと待ってたのに!! 独りで寂しかったのに!!」バシッバシッ 京太郎「うわ、凄いカミングアウト」 竜華「バカ! アホ! アホアホ! アホんだらぁ!!」バシッバシッ 京太郎「あ、痛っ。背中痛っ」 竜華「もー!!!」バシッバシッ 京太郎「すんませんでした」 竜華「ふんっ」 京太郎「氷、買いにコンビニ行ったんスけど売ってなくて。 しかたなくちょっと遠いスーパー行ってて」 竜華「それでも……気づかんかったお前が悪いわ」 京太郎「はい。 ……ホントすんませんでした」 京太郎「……取り敢えず、氷枕代えますね」 竜華「……要らん」 京太郎「えっ」 竜華「……代わりのモン、あるから」 京太郎「そうなんすか?」 竜華「…………須賀……ちょっとコッチ来い」 京太郎「?」スッ 京太郎「あの、清水谷さん」 竜華「うっさい」 京太郎「でもこれ」 竜華「黙っとき」 京太郎「……」 京太郎(膝枕じゃ寝づらいんじゃ……) 竜華「ふんっ……」 ギュ.... 竜華「……アホ……アホ……アホ須賀……」 京太郎「……」 ナデ... 竜華「ひぅっ!」ビクッ 京太郎「あ、すいません。つい」スッ... 竜華「あ……」 竜華「や、止めんなやっ」 京太郎「……いいんですか?」 竜華「……好きにすりゃええやん……」 京太郎「……」 ナデナデ... 竜華「んっ………」 京太郎「わっ、髪すげえサラサラ」ナデナデ 竜華「………」 竜華「…………ふふっ」 京太郎「………」ナデナデ 竜華「……」 京太郎「………」ナデ.... 竜華「……スゥ……スゥ……」 京太郎「………」 ガチャッ 怜「きょーたろー。竜華の調子はー」 京太郎「あっ」 竜華「……zzz」 怜「………」 怜「なるほ、お楽しみ中やったか」 京太郎「誤解招く言い方しないでください」 怜「あはは。竜華、アホみたいな顔して寝とるな」 京太郎「酷い表現」 怜「しっかしまぁ、こう急激に仲良うなるとは」 怜「ええ『ヤンデレ』やな」 京太郎「?」 京太郎「昨日も聞きましたけど、なんすか?ヤンデレて」 怜「あれ、知らんの?おっくれとんなぁ。最近の流行りよ?『ヤンデレ』」 京太郎「マジすか」 怜「ほら、いつもは強気なのに病気になった時って弱気になっちゃうやん?」 京太郎「ん、まぁ」 怜「普段強気な人ほど病気の時は不安になりやすいらしいんだと」 怜「そんな不安で孤独で寂しい時に優しく看病されてみ?」 京太郎「はぁ」 怜「ほれてまうやろ~」 京太郎「……はぁ」 怜「これぞ、『病んデレ』」 京太郎「ははぁ……」 怜「……反応薄いなぁ」 京太郎「なんか実感沸かなくて」 京太郎「それじゃあアレですか。清水谷さんは俺にホレてると?」 怜「ああ、もうゾッコン」 京太郎「ゾッコンすか」 怜「ゾッコンや」 京太郎「ゾッコンかぁ」 京太郎「ん? つーことは怜さんも……」 怜「……」 京太郎「……」 怜「んふふ~。 さぁ~て、どうやろなぁ~?」 京太郎「え~」 ギュッ 京太郎「ん?」 竜華「………」 京太郎「……?」 怜「んまぁ、きょうたろーのことは別に嫌いじゃないからなぁ~」 京太郎「え、てことは」 グッ 京太郎「んん?」 竜華「………」 京太郎「………」 ツネッ 京太郎「痛っ。 うわ、清水谷さん起きてるっ」 ツネリツネリ 京太郎「痛っ痛っ、痛たっ、いたたたたたっ!」 怜「んふふ~」 ―後日。 京太郎「……やっぱこうなるか」ズズッ 怜「お約束やなぁ。熱は?」 京太郎「まだ計ってないです。まぁ多分微熱程度だから大丈夫ですよ」 怜「そか?んならええけど」 京太郎「……ところで、清水谷さんは?」 怜「ん、竜華は―」 ガチャッ! 竜華「京太郎!氷枕作ったで!」バーンッ 京太郎「うおう」 怜「絶賛看護中や」 竜華「あー!何しとんねん! 安静に寝てなアカンやろー!」 京太郎「は、はい」 竜華「ほら、ポカリ。水分補給は忘れちゃアカンよ!」 京太郎「りょ、了解です」 竜華「冷えピタもある! ほら、デコ出して!」スッ 京太郎「い、いえっさー」ピタッ 竜華「なんか欲しいのあるか?食べたいものは? して欲しいことは!?」 京太郎「い、いえ、特には」 竜華「んじゃ昼のおかゆは味付けどうする? 濃い目?薄目?」 京太郎「う、薄目で」 京太郎「というか、微熱だから別に自分でおかゆ作れますから……」 竜華「はぁ!? なにゆーとんねん! 37.2度もあって微熱で済むかい!」 京太郎「いやそれ十分微熱……」 京太郎「……え?」 怜「ん?」 京太郎「あれ……清水谷さん、なんで俺の熱知って……」 竜華「こら! 今更名字呼び止めや! あん時みたいに『竜華』って呼ぶ!」 京太郎「え、あ、はい。 竜華さん」 竜華「……えへへ」 京太郎「いや、じゃなくて」 怜「竜華……なんで京太郎の体温知っとるん?」 竜華「え? そりゃ計ったもん」 怜「いつ?」 竜華「京太郎が起きる前」 京太郎「は?」 竜華「ほら京太郎!ジッとする! 昨日だって6時間と34分12秒しか寝とらんやろ?」 京太郎「……え」 竜華「怜! アンタは病弱なんやからここにおっちゃアカン! 部屋戻って安静にする!」 怜「え、あ、はい」 竜華「可哀想に……顔真っ赤やなぁ京太郎」 京太郎「いや、むしろ真っ青の気分なんすけど」 竜華「大丈夫。 ウチが今日一日付きっきりで面倒看たるからなっ」 京太郎「付きっきりて」 竜華「屎尿ビンもちゃんと準備してあるから。 ……そ、その……下の世話もちゃんと見るから……」カァァ 京太郎「や、やめて。超やめて」 竜華「京太郎、汗かいてきたか!? 拭かなきゃ! ほっといて身体冷やしたらアカン!」 京太郎「いや、これ多分冷や汗」 竜華「ほら! 京太郎!上脱いで! ……あ、べ、別に京太郎さえええなら……下も……」カァァ 京太郎「ストップストップ、アカンですよこれアキませんてホント」 竜華「なにゆーて……あ、怜やな! 怜の前やから脱げないんやな!」 京太郎「ちが」 竜華「怜! はよ戻り! ハウス!」 怜「え、あ、うん」 ガチャッ 竜華「ホラ、なに躊躇しとるん! 命に関わる問題なんやで!」グイグイッ 京太郎「なんで下から脱がそうとしてるんですか! わ、わかった!分かりました!上は脱ぐからその手を離し」 バタンッ.... 怜「……」 怜「…………」 怜「………………」 怜「あれぇ?」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3480.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1390033543/ ??「おやおや、これは」 京太郎「」 _________ _____ __ 京太郎「んん…」 ??「気づいたかい。どこか痛むところとかは?」 妙齢の女性だ、どことなく気品がある。だがおもちはない 京太郎「ええと…体の方はなんともないんですが。この状況は…」 ??「あんたうちの目の前に倒れていたんだよ。体には異常がないみたいだったから救急車は呼ばなかったけどね」 京太郎「そう…なんですか。助けていただいてありがとうございます」 ??「どういたしまして。で、あんた名前はなんていうんだい?」 京太郎「須賀京太郎といいます。清澄高校の1年生で麻雀の全国大会に来ているんです」 ??「全国、大会…?」 京太郎「ええ、まっ僕はただの雑用なんですけどね」 ??「うーん…?そういえばどうしてあんなところに倒れていたんだい?」 京太郎「ええと、確か部長に買出しを頼まれて、外を歩いていたのは覚えているんですけど……」 ??「倒れた理由はよく分からない、と」 京太郎「まあそうですね、たぶん疲れがたまっていたんだと思います」 ??「なるほどね。ところで須賀君、あんたその格好は寒くないかい?羽織るものなにか貸そうか?」 京太郎「え?いえ体が丈夫なのが取柄なんで心配には及びませんよ」 ??「そう、かい。うーん、なるほどねえ…」 ??「でも体の方は大丈夫そうでよかったよ。あんまり時間をとらせてもあれだし、そろそろ行くかい?」 京太郎「はい、みんなも待たせていると思うんでもう行きます」 京太郎「このお礼はいつか必ず…お名前と電話番号だけ教えていただいてもかまわないでしょうか?」 ??「私は熊倉トシ。電話番号は――だよ。それよりも須賀君、もしかしてあんた…」 京太郎「?」 トシ「……いや、なんでもないよ。気をつけて行ってらっしゃい。あと困ったことがあったらまた来なさい」 京太郎「はい!では失礼します。ありがとうございました!」ペコリ __________ ______ __ 30分後 ピンポーン トシ「ハイハイ、どちら様?」 京太郎「すいません、須賀京太郎です。困ったことがあったのでまた来ました」 トシ「来ると思ったよ。とりあえずお入り」 京太郎「あの変なこと聞くようですいません、ここってどこですか?」 京太郎「それに、なんというか古臭いとういか、いや失礼…なんだか懐かしいレトロな町並みですし」 京太郎「いったい何がどうなっているのかさっぱりで……」 京太郎「さっきの口ぶりからするともしかしたら何かご存知じゃないんですか?」 京太郎「何でもいいんです、教えてください!!」 トシ「まあとりあえず落ち着きなさい。ここは、茨城県だよ」 京太郎「……へ?」 トシ「麻雀の全国大会の会場である東京都からはだいぶ離れている」 トシ「しかし、さっき須賀君は麻雀の全国大会に来ていると言っていたね」 トシ「さらに今の季節は冬、そしてどう見ても須賀君、君の服装は夏服のそれだね」 京太郎「……はい」 トシ「普通の人ならこの季節にそんな格好はしないよ」 トシ「さて一つ、こちらから質問してもいいかい?今は西暦何年だい?」 京太郎「……20××年のはずです」 トシ「そうかい、やっぱりね。でも残念ながら今は20△△年、つまり君の言った年より12年も前なのさ」 トシ「まさかと思うかい?でもそろそろ君も気づいているはずだよ。君の身に一体何が起こったのか」 京太郎「……」 トシ「答えは単純、君は時空を越えたんだよ。いわゆるタイムリープというやつさ」 京太郎「タイム…リープ?」 そんなアホな、と思ったが口には出せなかった だってこの部屋の、いやこの部屋だけじゃない 外の様子、人の服装、携帯電話、電子機器、世間話の内容、それらは明らかに過去のものだったから だから黙ることしかできなかった トシ「とりあえず、こんなところかね。何か質問あるいかい?」 京太郎「ええと…すいません、話の内容は分かるんですが、いまいち実感がわかなくて」 トシ「そりゃあそうかもしれないね」 トシ「まあでも、そんなに気に病むことはないよ。君くらいの年頃の子にはよくあることなのさ」 京太郎「え゛?そ、そういうもんなんですか……?」 芳山和子みたいなことを言うな トシ「まあね。実は私は多少の知識ぐらいなら持っているんだよ」 トシ「君だって麻雀をやるなら見たことぐらいあるだろう」 トシ「この世の中には常識では説明のつかない力、いわゆるオカルトが存在するのさ」 トシ「そういうものの一種と考えれば、理解できないこともないんじゃないのかな?」 まあ分からなくもないが、なんだか煙に巻かれた気もしなくもない しかし、現状頼れるのはトシさんだけだ 京太郎「まあなんとなくは理解しました。けどじゃあ、僕はこれからどうすればいいんでしょうか?」 トシ「とりあえずは、ここでの生活に慣れることだね。ということで暫くはうちにいなさい」 京太郎「うぇっ、いいんですか。自分で言うのもなんですけど、僕明らかに不審者ですよね?」 トシ「不審者か、ははは、そりゃそうだ。でも大丈夫、私の人を観る目は確かだからね」 トシ「それに迷える青少年を導くのも年寄りの仕事のうちさ」 トシ「でもタダで住まわすことはできないよ。家事の手伝い、それと私が買い物に行くときは必ず付き合うこと」 トシ「この二つだけはしてもらおうかな」 京太郎「そんなことでいいんですか?それなら家事でも買い物デートでも何でもしてみせますよ!」 トシ「デートだなんて嬉しいことを言うねえ。まあでもよろしく頼むよ、"京太郎"」 京太郎「こちらこそよろしくお願いします、"トシさん"!!」 その後、いろいろと細かいことを決めなければならなかった まず設定として、俺はトシさんの孫ということになった そして変な誤解を避けるため、俺は熊倉京太郎と名乗ることにした 少々語呂が悪い気もするが、まあ我慢しよう 元の時代に帰る方法だが、それはトシさんが調べてくれるらしい なんでも、トシさんはそっち方面のことには詳しいらしいのだ 俺にはどうしようもないことなので、これについてはトシさんを信じるしかない またトシさんの助言で、元の時代のことはなるべく言わないようにと釘を刺された もちろん、トシさんに対してもだ どんな発言が未来に影響を与えるか不明確だからだ。注意するに越したことはない また、なんと信じられないことに学校に通えることになった 俺としてはニート生活を満喫したい気持ちでいっぱいだったのだが… トシさんはその人脈をフルに活用し、俺を近隣の高校にねじ込むことに成功したのだ 戸籍とか住民票とかどうしたんだろうか?トシさんにそのことを聞くと 「世の中には知らないことが良いってこともあるんだよ」ニコ と言われた。トシさんあなた一体何者なんですか… そんなこんなで、俺の新しい生活がスタートした 大丈夫かなぁ…… ――3月 この2ヶ月弱の間にこちらの生活にはだいぶ慣れることができた すべてはトシさんのおかげと言っても言い過ぎにならないだろう 本当に感謝している お金のことを話すと、「気にしなくていい」と一蹴されてしまったことがある だから元の時代に戻ったら全力でお礼をするつもりだ 12年という歳月は中々長いもので、色々と面食らうことはあった この時代にはスマートフォンがないのは知っていたけど、まさかあんなオモチャみたいなものを使っていたとは… パソコンのCPUがセレロンで回線がADSLだったのには少々呆然とさせられた しかし、今ではその速度が逆に心地よい 子供のころ見ていたアニメや戦隊ものの番組を、この年になって再び見てみるのは意外と感慨深いものがある そうこうしているうちに4月に入った、いよいよ高校の入学式だ ――4月上旬 入学式 トシ「なかなかきまっているじゃないか、似合ってるよ」 京太郎「ありがとう、なんだか照れるね。でも今までと違う制服だからやっぱり違和感があるよ」 ちなみに、孫設定だから敬語は基本無しだ トシ「はは、仕方が無いね。でも第二の母校になるんだから慣れなきゃならないよ」 トシ「ほら時間がない、遅刻するから早くお行き」 京太郎「はい、行ってきます!!」 近所の人たちに挨拶をしながらバス停に向かう 近所の人といえば、幸いなことに俺がトシさん家の前で倒れていた様子は誰にも見られなかったらしい なので俺は近所の人たちにも孫ということで通っている そして通学のためにトシさんのところにお世話になっている設定なのだ 高校まではそれほど遠くないが徒歩や自転車では少々時間がかかる なのでバスを利用することになっている 30分もすればもう目の前だ 校門の前には初々しい新一年生が群れを成している 桜が綺麗だ まさか一年経たないうちに、また満開の桜を見ることになろうとは、夢にも思わなかったが 教室に向かい扉を開けるとすでにかなりの席が埋まっている 自分の席に向かい着席する 何人かの生徒は談笑しているが、おそらく同じ中学だったのだろう しかしほとんどの者は静かに着席し、先生が来るのを待っている 俺もその一人だ。ぼっちだよー 仕方ないので、隣の女の子にでも話しかけますか 手入れのされた綺麗な黒髪のセミロング 容姿は整っているが、少々暗い雰囲気をまとっている 残念ながらおもちはない しかしこの子、前にどこかで…… 京太郎「ちょっといいか?」 ??「う゛ぇ!わ、私…ですか?」ビクビク 驚かれた、俺ってそんなにいかついか?地味に傷つくぜ 京太郎「うんそうそう。俺は須…じゃなかった、熊倉京太郎っていうんだ」 京太郎「知り合いがいなくて暇なんだ。先生来るまで少し話そうぜ」 ??「え、はあ…」ビクッ 人見知りだな、こりゃあ 京太郎「実は俺長野からこっちに来たから知り合いが誰もいないんだよ」 京太郎「だからこれからよろしくな」 ??「は、はい…」ビクビク 京太郎「同級生なんだから敬語はいいよ」 これはなんだか駄目そうだぞ。出会ったころの咲を思い出させるな 京太郎「そういえば君は地元の人なの?」 ??「は…う、うん。小さいころからずっとこの辺に…」 京太郎「おーそうなんだ、じゃあもうすでに知り合いとかいるのか」 ??「い、いやその…えと」カァァ 目線を下に向けてわずかに顔を赤らめる あちゃーこの反応、友達いなかったパターンだ。悪いことしたな とりあえず話題を変えよう 京太郎「そういえば最初に聞くの忘れてたわ、名前はなんていうの?」 ??「え、名前?こか…」 ガラガラガラ 担任「おーい、みんなー席につけー」 京太郎「わるい。タイミング悪かったな」 ??「う、うん…」シュン 京太郎「……」 京太郎「あー、また後でな」 ??「う、うん!」ニコ おお、笑うとかわいいな しかし本当に見覚えがあるんだよなあ… こう、口まで出かかってるんだが……うーん分からん 先生は簡単な自己紹介をし、今日の日程を説明した この後入学式で教室に戻った後、所属する委員会を決めて解散らしい うん、いたって普通だ 担任「体育館に行く前に点呼しておくぞー」 先生は次々と名前順に呼び上げていき、ついに俺の隣の子の名前を呼ぶときになった その名前は彼女の口から聞きたかったが、まあ仕方がない。そう思っていると―― 担任「小鍛治健夜ー」 京太郎「…………」 京太郎「へ?」 驚いてすぐに隣を向くと逆に驚かれたが、それでも凝視してみる なるほど、確かにその面影がある、むしろそっくりだ。おもちがないのも頷ける 気がつかなかったのが不思議なくらいだ 小鍛治健夜プロその人である しかしなんでここに?なぜよりによって小鍛治プロが? そんなことを考えていると、いつの間にか俺の名前を呼ばれたので返事をする 俺の挙動がおかしかったのか、隣の小鍛治さん…いや小鍛治はキョトンとしていた びっくりしてしばらく頭が回らなかった 頭の中は小鍛治のことでいっぱいだった 別に恋に恋する男子高校生ってわけじゃないが 近くの男子と会話したけど、生返事だったと思う、正直すまん 気付いたら式は終わり教室に戻っていた 相変わらず小鍛治の周りには誰もいない というかさきほど、俺と喋った以外誰とも会話してないと思う 本読んでるし。お前は咲か!!と言ってやりたくなるがこらえる しかし俄然興味が湧いたのは事実なので、思い切って小鍛治に話しかけてみる 京太郎「さっきは悪かったなー。先生に先越されちまった」 京太郎「小鍛治、って呼んでいいか?」 小鍛治「う、うん。いいよ…」 京太郎「おう分かった。俺のことは熊倉…?うーん、やっぱ下の名前の京太郎で呼んでくれ」 京太郎「こっちの方が慣れているし」 小鍛治「えっ、え、急に言われても……」 京太郎「だめか?」 小鍛治「ええと…うーん…じゃあ、きょ、京太郎くんと……呼ばせていただきます////」カァァ 京太郎「おう、改めてよろしくな。小鍛治!」 京太郎「そういや委員会なにやるのか決めた?」 小鍛治「えと、私、本とか好きだから図書委員やろうかなって思ってるんだけど…」 小鍛治「京太郎くんは?」 俺かあ…正直いって何でもいいんだがなあ 京太郎「そうだなあ、体育委員でもやるかなー(適当)」ボケー 小鍛治「そう、なんだ…」 京太郎「でも小鍛治の図書委員は似合ってるんじゃないか。少なくとも体育委員とか学級委員て感じじゃないしな」 小鍛治「もう、なにそれ!ま、まあ…本当のことだけど」 今の反応は少し素っぽかったな 京太郎「はは、すまんすまん」 ガラガラガラ 京太郎「おっ、先生来たみたいだからまたな」 小鍛治「うん」 早速先生は委員決めに取り掛かる 先生が挙手を促し、それに応じて各委員が次々と決まっていく 担任「じゃあ次、図書委員やりたい奴いないかー」 誰も手を挙げようとしない。小鍛治も手を挙げずになんだかモジモジしている なるほど、これはあれだ。誰も挙手しないから逆に挙げづらくなるアレだ はあー……仕方ない 京太郎「ハイ!俺やります!」 担任「おっ、熊倉か。ありがとな。他にはいないかー」 すかさず小鍛治に視線を向ける。とまどいながらも何か決心したようだ 小鍛治「は、はい、私もやりましゅ…」 意図が伝わって良かった。しかし噛んだな。まったく世話のかかる… でも未来の小鍛治プロはもう少しちゃんとしてたから、これから成長していったんだろうな そう思うとなんだか無駄にじーんとしてしまった とりあえず今日の日程は終わり解散となった すると小鍛治の方からから話しかけてきた 小鍛治「さ、さっきはありがとう…」カァァ 小鍛治「それだけだから、じゃあ////」 それだけ言うと、挨拶するまもなく、早足で教室から出て行ってしまった さて俺も帰りますか _________ _____ __ 京太郎「ただいまー」 トシ「おお、おかえりなさい。学校はどうだった?」 京太郎「うーん普通だったよ、二回目だしそりゃあね」 京太郎「ただ気になることが一つあったよ。元の時代で知ってる人がいたんだ」 京太郎「それも同じクラスの隣の席に」 まあ小鍛治"プロ"のことは話さないほうがいいだろう 京太郎「なにかあまりにもでき過ぎていて不自然じゃない?」 トシ「ふーむ、確かにねえ…ちなみにその子の名前は?」 京太郎「小鍛治健夜」 トシ「小鍛治さんちの子かねえ?」 京太郎「知ってるの?」 トシ「ああ、この家から徒歩で10分くらいのところの家なんだけどねえ」 京太郎「ふーん、ご近所さんかもしれないのか小鍛治のヤツ」 トシ「おや、もう呼び捨てかい。手が早いねえ」 京太郎「そんなんじゃないよ。なんだかほっとけないオーラがすごくてさ……」 トシ「ああ、なるほど…京太郎は世話焼きだもんねえ。偉いじゃないか」 トシ「しかし偶然にしては確かにでき過ぎてる…元の時代で面識とかなかったかい?」 京太郎「いや…無いはずなんだけどなあ…」 ただ、タイムリープ直前の記憶がないのでなんとも言えないが… トシ「なんにせよ、仲良くしてあげなさい」 京太郎「もちろん」 小鍛治で思い出したが、そういや咲の奴は元気にしているだろうか? タコスを作ってやれないで大丈夫だろうか? 母さん、カピに餌ちゃんとやってるだろうか? いやそもそも向こうの時間って進んでるのか? なら大丈夫なのか? 分からん! ―4月中旬 入学式から1週間が経った。そろそろ、部活を決めるころだ。何にするかなあ 仮入部とか部活見学して決めるかな。まあ、麻雀部でもいいんだけどね ガラガラガラ 京太郎「おはよー」 教室の扉を開けて挨拶する。男友達の何人かが挨拶してくれる 1週間もすればクラスの雰囲気にも慣れてくる。友達も何人かできた 小鍛治とも最初に比べれば打ち解けてきた、と思いたい… そんな小鍛治は今日も一人でぽつんと読書をしている。いつものことだ さて今日は何を読んでいるのかな? 『時をかける少女』筒○康隆著 うわーお… でもこの時代だとまだアニメ映画はやってないんだよな 話題に出さないように気をつけねば 京太郎「おう、おはよう!」 小鍛治「う、うん。おはよう」 この1週間で挨拶くらいなら普通にできるようになったのだ ときどき会話はたどたどしくなるけどな 京太郎「何の本読んでるんだ?」 小鍛治「『時をかける少女』っていう短編集」 京太郎「へぇー、どんな話があるんだ?」 小鍛治「うーんやっぱりメインはタイトルにもなってる『時をかける少女』かな」 小鍛治「他の短編も既にいくつか読んだけど、私はあんまりって感じだった」 京太郎「ふーん、どういう内容なんだ?」 小鍛治「主人公の女の子が偶然タイムリープできるようになって、その秘密に迫っていくんだ」 小鍛治「そしてその中で少年少女たちの淡い…その…こ、恋心を描いていくんだよ///」カァァ 乙女か!まあ乙女なんだけど しかし趣味のことになるとなかなか饒舌になるな。小鍛治プロもかつては普通の女の子だったわけだ 小鍛治「ま、まあ、よくあるジュブナイル小説だよ」 小鍛治「京太郎くんはこういう話に興味あるの?」 京太郎「ああタイムトラベルものはけっこう好きかな」 なにせ自分で体験しているんでね 小鍛治「そ、そうなんだ。だったらこれよりも高○京一郎さんの『タイムリープ あしたはきのう』の方がおもしろいよ!」 小鍛治「『時をかける少女』はどちらかというと少年少女向けって感じだけど」 小鍛治「高畑さんのはタイムリープの現象を正面から扱ってるんだ」 小鍛治「だからSFとしてもちゃんと読めて、読み応えが全然違うんだよ!」 小鍛治「さらに主人公の相手役の男の子がいるんだけど、最初は『他人なんか興味ないぜ』って感じのクール系キャラなんだ」 小鍛治「だけど主人公とのやり取りを通じてだんだんと心を開いていくのがまたいいの!それに――」 京太郎「わ、分かったから、とりあえず落ち着いてくれ」 また一つこいつのことが分かった、興奮すると止まらなくなるタイプだ 小鍛治「あっ、ご、ごめんね、私調子に乗って…」アセアセ 京太郎「べつに気にしてないよ。誰だって自分の好きなことは話したくなるもんだろ?」 京太郎「だから今度その本貸してくれよ、小鍛治のこともっと知りたいし」 小鍛治「う、うん…///」 そんなやりとりをしていると先生が入ってきた。一日の始まりだ 次々と授業をこなしていく。一度習ったことを再び学ぶってのも悪くないなと最近思うようになった まあほとんどの場合退屈なのだが。しかしその分俺はクラスでは勉強のできるやつと認識されるようになった また授業を受けていて気づいたことがある 小鍛治のやつは運動が苦手で、勉強は得意なようだった。予想通りというかなんというか…こちらの期待を裏切らない また昼食はいつも小鍛治ととるようにしている 一人で弁当をモソモソと食べていたので、見かねて小鍛治を誘って食べるようになったのだ 男子連中からは最初からかわれたが、今ではそれが当たり前になり誰も気にしない 別に小鍛治がいじめられてるとかじゃないが、クラスの皆はどう接していいのか良く分からないようだ からかったりすると面白いんだけどなこいつ 授業、掃除が終わると皆は部活を見ていくようだ 俺もサッカー部とか野球部、陸上部などに一緒に行かないかと友達に誘われたが断った 小鍛治は文芸部に行くと言っていた 心の中で「君には誰にも負けない麻雀の才能があるのだよ」、なんて思ったが口には出さなかった 俺は結局麻雀部に見学に行くことにした。なんだかんだ言っても麻雀好きだしね ここが麻雀部の部室か… ガラガラガラ 京太郎「失礼しまーす!!」 第一印象が肝心なので元気よく挨拶する。中には女子生徒が4名いたが男子はいない このパターンは清澄での雑用ルートを彷彿とさせるが…とりあえず入ってみる 部長?「おお見学かな?よく来てくれたね、ささ座って!」 いかにも部長という感じの利発そうな人だ。容姿も整っていて、なによりなかなかのおもちの持ち主だ。 久パイ+αといったところか 副部長?「さ、お茶どうぞ」 京太郎「あ、ありがとうございます」 この人もまた美人さんだが部長さん?に比べるとこちらは落ち着きのあるタイプと見た、自己主張しないタイプの しかし目線を少し下に向けると、ものすごいものが自己主張していた。 なんなんだいったいこれは!! ブレザーという名の拘束具がまったく役に立っていないではないか! これはのどパイに匹敵するかあるいはそれ以上か……いやおもちに貴賎なし!! みんな違ってみんないいのだ、当たり前のことだ…… 今以上にタイムリープしてきて良かった思ったことはない、いやこれからもきっと!!! お母さん、お父さん。俺を生んでくれてありがとう! 俺こっちの時代で幸せになるよ! 部員1?「おう!よろしくー。まあゆくっりしていってな」 元気娘といったところか、雰囲気は優希に似てる。おもちなし。はい次 部員2?「よ、よろしくお願いします」 ちょっと緊張してる。真面目そうな人だ。おもちは平均くらいかな、このくらいのもなかなかよいではないか 京太郎「はい、こちらこそよろしくお願いします!」 京太郎「それで、今日は見学させていただいてもよろしいですか?」 部長?「そんなに硬くならなくても大丈夫だよ」 部長?「まずは簡単に自己紹介しとくね、私が部長であのでかいのが副部長、そこの二人が部員1と部員2だね」 でかいのって…その通りだが、副部長さんが顔を赤らめてらっしゃる。セクハラとはいい趣味してる、ぐへへ 京太郎「はい、分かりました。僕は1年生の熊倉京太郎といいます」 部長「熊倉くんねえ……もしかして、熊倉トシさんのところに来ている孫というのは君のことかな?」 京太郎「祖母のこと知っているんですか?」 部長「ああ。知ってるかもしれないが、熊倉さんはここら辺の子達を集めて月に何度か麻雀教室をしてるんだ」 部長「で、私達もそれに参加しているんだが――先月だったかやけに嬉しそうにしていてね」 部長「それで聞いてみると長野から孫が来ているとおっしゃっていたんだ」 部長「とても嬉しそうに君の事を教えてくれたよ。あんなこと珍しいんじゃないかな、なあみんな」 「「うんうん」」 そんなことがあったのか。なんだか色々な感情がこみ上げてきて、胸にじーんと来る 今日の夕飯はうんとおいしいものしよう 京太郎「なんだか恥ずかしいですね……」 副部長「とういうことは、熊倉くん麻雀はもう打てるのかしら?」 京太郎「ややこしいので京太郎でいいですよ。麻雀は初心者に毛が生えた程度ですね、残念ながら」 部長「なあに、一年生なんだからこれからどんどん強くなっていけばいいのさ」 京太郎「はは、そうですね。ところで質問いいですか?男子部員の方はいないんでしょうか?」 部長「ああ、残念ながらね。だからこのまま京太郎くんが入部しても団体戦に出場するのは正直かなり厳しいと思う」 部員1「でも、それは私達も同じだよねー」 部員2「先輩達が卒業しちゃって、もう四人しかいないもんね…」ハァ 清澄や鶴賀みたいに部員で苦労してるとこは他にもあるんだな あのときは咲がいたからよかったが…… いやまてよ、小鍛治がいるじゃないか そもそも、小鍛治プロは高校生のころインターハイに出場していたと聞いたことがある このまま行くと、小鍛治が麻雀をやらなくなって、もしかしたら未来が変わってしまうかも …………よしっ! 京太郎「あの、それだったら心当たりがあるかもしれないです」 部長「えっ!?」 京太郎「うちのクラスの女子に麻雀に興味持ってそうなやつがいるんで、明日にでも誘ってみましょうか?」 部長「ぜひっ!といいたいところだが、やはり本人の意思が一番大事だからな。無理に誘う必要はないぞ」 部員1「相変わらずかたーい。ま、でもよろしく頼むよ新人くん。我が麻雀部の命運は君にかかっているのだ!」 京太郎「はい、了解です!!」 とりあえず初日はこんな感じだった なんだかいつの間に俺の入部は決まっているかのような雰囲気だったが、俺もこの部が気に入ったので構わなかった 決しておもちで決めたわけじゃないよ?念のため ちなみにその後皆と麻雀を打つことになって、とても盛り上がった。久々に麻雀を打てて楽しかったのもある え、結果だって? もちろんラスばっかりだったよ(笑) トシさーん、俺にも麻雀教えてくださーい! ――4月中旬 翌日の放課後 さて放課後だ。朝に言おうかと悩んだが、小鍛治みたいなタイプは時間をかけると逆効果になりかねない よって速攻とその場の勢いを使う作戦を試みる 今教室には俺と小鍛治しかいない…絶好のチャンスだ! ガシッ 京太郎「小鍛治大事な話があるんだ、聞いてくれないか?」キリッ いきなり腕をつかむ。スキンシップには慣れていないだろうよ。さあどうだ 小鍛治「わっ、ひゃあ! どどどどどど、どうじたのさっ////!?」 効果はばつぐんだ!次いで肩をつかむ 京太郎「話は後だ!何も言わずに俺について来てくれ!」キリリッ 小鍛治「えっ!ででででででもなんで私なんかが――」 ここで決める!! グイッ 京太郎「…なんかじゃない小鍛治、お前じゃなきゃダメなんだ」ミミモト 小鍛治「は、はひ…////////」ボンッ アラフォー敗れたり。誰か俺に敗北を教えてくれ というわけで ガラガラガラ 京太郎「お届けものでーす!」 小鍛治「えっ、え、ここどこ? 麻雀部???」 正気に戻ったか、だがもう遅いぜ 部長「おおいらっしゃい京太郎くん、その子が昨日言っていた子かな?ささ座って」 京太郎「ありがとうございます。さ、小鍛治座ろうぜ」イケメンスマイル ゴゴゴゴゴゴッ 小鍛治「京太郎くん…これはどういうことなのかな?」グギギ イケメンスマイルでは誤魔化されんか…しかし、なんという圧力。咲以上か 京太郎「す、すまん小鍛治、騙したりして悪かった。だからカン(物理)だけはゆるしてくれー」ビクビク 小鍛治「カン(物理)ってなに!?私そんなことしたことないよねっ!?」 京太郎「はは、悪い悪い。いつもの癖でな…」トオイメ 小鍛治「はあ…もう分かったよ。で、話ってなに?」 京太郎「ああ実はな――」 先輩方が卒業して団体戦に出られないこと なので俺が一肌ぬいで小鍛治の勧誘をしたこと 小鍛治の麻雀の実力がぜひ必要なこと 俺も入部してくれると嬉しいこと などを一生懸命説明した 小鍛治「話は理解したけど、私が麻雀できること言ったっけ?」 やっべえ…そうだった、うまく誤魔化さんと 京太郎「ほ、ほらこの前小鍛治、色川○大の本読んでたじゃないか」 京太郎「そのとき阿佐○哲也の話になって、ついでに麻雀の話をしたじゃんか」 小鍛治「確かに阿○田哲也の話はしたけど……うーん?」 誤魔化しきれないか… 部長「おーい二人とも、話は終わったかい?」 ナイスタイミングです、部長! 健夜「!」ササッ 部長が再度話しかけてくると、小鍛治は俺の斜め後ろに隠れてしまった てかこいつ今まで興奮してて部長達のこと忘れてたな 京太郎「はい、とりあえず終わりました」 部長「そうか、でもダメじゃないか。ちゃんと説明してから勧誘しないと」 京太郎「すみません」 部長「私じゃなくて、その子に謝るべきなんじゃないかな?」 京太郎「すまなかった小鍛治」ペコリ 京太郎「でもさっき説明したことは本当だし、小鍛治が入部すれば俺としても嬉しい」 京太郎「だから真剣に入部の件考えてくれないか?」 小鍛治「う、うん……考えておく…」 うーんこのテンションの落差、他に人がいるとこうも違うものか 部長「京太郎くんの責任は部を預かる私の責任でもある、嫌な思いをさせてすまなかった」ペコリ 小鍛治「い、いえ…そんなに怒っていないので…」 部長「そうか、だが君に入部してもらいたいというのは本当だ」 部長「だから今日は見学だけでもしていかないかな?」 副部長「そうそう、おいしいお茶もあるわよ」 京太郎「見学だけじゃつまんないし、一緒に打とうぜ。俺の実力見せてやるよ!」 部員1「京太郎の実力見せられても、反応に困るだけだって」ケラケラ 部員2「ちょっと本当のこと言うのやめなよ」 京太郎「ひどい!」 小鍛治「…ふふ」 京太郎「!」 小鍛治「分かりました。と、とりあえず見学させてもらいます//」 やっぱり笑ってる方がかわいいな 部活二日目はこんな感じだった 小鍛治のやつは終始ビクビクしたりどもったりしていたが、帰るころには多少和らいでいた だが俺がサポートしてやらないと、まだうまくコミュニケーションを取れないようだった 意外だったのは、対局のときだ 俺は勝手に小鍛治は魔物クラスなのでは、と考えていたがこの頃はまだそこまでじゃないようだった 手加減をしているという可能性もあるが、あの誠実な部長相手に小鍛治がそんなことをするとは考え難い 確かに小鍛治は繊細で他人の気持ちに対して敏感だが、相手の思いを踏みにじるほど鈍感ではない きっとこれからどんどん練習して強くなっていったに違いないのだ そう思うと俺もやる気が湧いてくるというものだ ちなみにその日初めて小鍛治と一緒に帰った 前にトシさんが言っていたことは本当だったようで、小鍛治の家とはわりと近かったのだ なのでバス停から少しは一緒だった 京太郎「今日は悪かったな」 小鍛治「もう気にしてないよ」 京太郎「先輩達いい人だったろ?」 小鍛治「京太郎くんに比べるとずっとね」フン 京太郎「小鍛治にしては言うじゃないか」 小鍛治「さ、さっきのお返しだよ//」 小鍛治「あっ、私こっちの道だから」 京太郎「そうか」 なら、最後に一番聞きたかったことを聞こう 京太郎「また明日も来てくれるか?」 小鍛治「ふふ、考えておくよ。また明日ね!」 まったく…素直じゃないな 京太郎「ああ、また明日!」 また明日、か…いい言葉だな さて、夕飯はなににしますかね ――4月下旬 体験入部終了後 あのあと体験入部の期間中、小鍛治は毎日麻雀部に顔を出してくれた 麻雀部が気に入ったのか、あるいは誘った俺に気をつかったのか… なんにせよ、ありがたいことは確かだった なぜなら俺達以外の一年生は結局一度も部室に姿を現さなかったから これで小鍛治が入部してくれれば、とりあえず女子の団体戦の人数は集まる 部員は全員三年生なのでぜひ団体戦には出場して、悔いの残らないようにしてもらいたい 京太郎「おはよー」 小鍛治「うん、おはよう」 京太郎「今日は何を読んでるんだ?」 小鍛治「うん今日はね―――」 こうして小鍛治の読んでる本を尋ねるのがもはや日課になっている こいつ意外と雑食で、いろんなジャンルのものを読むから聞いていて飽きないのだ 興奮した様子で本の内容を話してくれるので、楽しさも人一倍伝わってくる このおかげか俺に対してはかなり打ち解けているといえるだろう。継続は力なり 京太郎「そういえば今日入部届けの提出日だろ、ちゃんと持ってきたか?」 小鍛治「もう!おかーさんみたいなこと言って、持ってきたよ!」 京太郎「おおそうか、えらいぞ」 小鍛治「えへへ、ありがと…じゃなくて、だから何!?」 京太郎「ええと、小鍛治さんはどこに入るのかなーと気になりまして…」 小鍛治「はあ…素直に麻雀部に入るか聞けばいいじゃん」 京太郎「そうは言ってもほとんど無理やり誘ったようなものですし…」 小鍛治「変なところで気をつかうんだから」 京太郎「うぅ、すみません…」 小鍛治「確かに最初のアレはどうかと思ったよ」 小鍛治「でもいくら私だって嫌ならそう何度も行かないからね?」 京太郎「それはつまり気に入ったから毎日来ていた、ってことでオーケー?」 小鍛治「ま、まあ、ありていに言えばそうなるかな…///」 この恥ずかしがり屋さんめ 小鍛治「みんなで何かするのって久しぶりだったし」ボソ 今のは聞かなかったことにしておこう 京太郎「で、結局入部届けにはなんて書いたんだ?」 小鍛治「はいっ!」 返事の変わりに入部届けを突き出してきたが、そこには―― 京太郎「ゲスリング部……」 小鍛治「ちがうよね!?ほら、ちゃんと麻雀部って書いてあるじゃん!」 京太郎「すまんすまん、読み間違えた」 小鍛治「どうやって間違えるのさ!?一文字も合ってないよね!?第一ゲスリング部ってなに!?」 やはり小鍛治はいじってこそ、その真価を発揮する 担任「おーい時間だ席につけー」 担任「あとそこー、夫婦漫才はほどほどにしとけよー」 「すごいツッコミだったのよー」 「ウチより目立っとるやないかい、なんとかせな」 「ダルい…」 あのやりとりを見られていたとは…さすがにこれは少々はずかしい。小鍛治はというと 小鍛治「あ、穴があったら入りたい、うぅ…//」カァァァァ 下向いて顔を真っ赤にしていた、南無三 その後入部届けを回収し、いつも通り授業を受けた ホームルームでの失態は確かに恥ずかしかったが、小鍛治がクラスの話題にのぼったのはよい傾向だと思う このまま俺以外にも心を開いていけばすぐに友達なんかできるはずだ 俺以外にも、もっとその魅力を知ってほしいと思う…少々寂しい気もするが さて放課後、我ら学生のもう一つの本分、部活動の始まりだ 京太郎「小鍛治ー、一緒に行こうぜ」 小鍛治「ふん」プイッ あ、あれ!? もしかして朝の件、まだ怒ってらっしゃる… 京太郎「からかいすぎたのは悪かったって、何度も謝ったんだから許してくれよ…」 小鍛治「女の子に恥をかかせたんだから、当然の報いだよね」 恥をかかせた、って…聞きようによっては誤解を招きかねないぞ 「まーたはじまった」 「熊倉は責任を取るべきだね」 「最近の高校生は、わっかんねーな」 おおう、またこのパターン 京太郎「さ、とりあえず行こうぜ」 小鍛治「う、うん、そうだね…///」 「ほな、またなー」 「小鍛治さーん、またなのよー」 京太郎「おう、みんなまた明日なー!」 京太郎「ほら、小鍛治も」ボソ 小鍛治「う、うん……じゃ、じゃあ、また…//」 みんな小鍛治との接し方を学習しつつあるな さすが高校生、そういうとこは早い ガラガラガラ 京太郎「こんにちはー」 小鍛治「こ、こんにちは」 部長「こんにちは、来てくれて嬉しいよ!」 京太郎「あれだけ毎日通っていたんですから、当然ですよ」 部長「はは、進入部員の名簿は先ほどもらっていたんだが、それでも来てくれるか不安でね…」 結局最後まで部長達は俺達に入部するのか聞いてこなかった 彼女達なりに配慮があったのだろう ということは、今の今まで俺達が来るのを不安に感じていたに違いない 京太郎「でもこれで俺達も晴れて麻雀部員ですね。あらためてよろしくお願いします」ペコリ 小鍛治「…お願いします」ペコリ 部長「ああ、こちらこそよろしくな!」 部長「ではさっそく練――」 副部長「あだ名を決めないとね」 部員1「おっ、それいいね!」 部員2「えっ!? まずは歓迎会じゃないの?」 部長「練――」 部員1「歓迎会は部活終わった後だな」 副部長「あらそれなら駅前におしゃれな喫茶店できたから行ってみない?」 部員2「こんな田舎にそんなのできたんだ。でもいつものガ○トとかマ○クとかじゃ普通過ぎるもんね」 部長「れ――」 京太郎「俺まだ駅の方あまり行ったことないんで、ついでに駅周辺のこと教えてくださいよ」 部員1「そういうことなら私にまかせな。嫌になるほど案内してやるぜ!」 副部長「まあまあ、その話はまた後にしましょう」 部員2「そうだね、まずはあだ名決めないとね」 部長「r――」パクパク 小鍛治「ほ、ほら部長。練習なら二人でもできますから、ね、一緒にやりましょ」アセアセ 部長「うん」 部員1「まず京太郎はそのまま京太郎でいいだろ?」 副部長「そうね」 部員2「異議なし」 あっさりしすぎでは!? 京太郎「ま、まあ別にそれでいいですけど…」 部員2「小鍛治さんはどうするの?」 部員1「女の子だし名前そのままはかわいそうだよね、『こかっじ』とか?」 副部長「それなら私前から考えてたのよ」 部員1「へえ、どんなん?」 副部長「ずばり『すこやん』ね、かわいいでしょ!」 部員2「ありきたりだけど悪くはないね」 副部長「ね、どうかしら「すこやん」さん」 小鍛治「えっ、わ、私ですか!?」 隅っこで意気消沈した部長と練習をしていた(単に部長の愚痴を聞いていただけだが)小鍛治が反応する 小鍛治「え、えとですね…」アセアセ 案の定なかなか答えられないのでフォローする 京太郎「いいじゃないか小鍛治」 小鍛治「そ、そう…///」 京太郎「うん、小鍛治のポンコツっぷりが滲み出ていて初対面の人にも安心設計だな」 小鍛治「なにそれポンコツって!わたしそんなんじゃないよ!?」 部員1「小鍛治さんはポンコツだったかー」 部員2「確かに普段はちゃんとしてるけど、京太郎くんと話すとすぐボロが出るよね」 京太郎「部屋の掃除はお母さん任せだもんな」 小鍛治「えっ、えっ!?な、なんでそれを…///」 本当なのかよ…… 小鍛治「あ!い、今のは違うんでひゅ。し、信じてください…」アセアセ もうボロボロだよ小鍛治さん 部長「みんなもう止めないか」キリッ あ、部長がいつの間にか立ち直ってる 部長「すまない、こいつらも悪気があるわけではないんだが…なかなか止まらなくてな」 小鍛治「い、いえ、嫌ではなかったですから…」 慣れてないだけだもんな 部長「そうか、でも愛称というものがあったほうがいいというのは私も同意する」 部長「だから君さえよければ、さっきのでかまわないかな?」 小鍛治「は、はい…私はそれでも//」 部長「そうかよろしくな、すこやん!」 その後は麻雀卓を囲み普通に練習した 小鍛治は、その「すこやん」という呼び名を最初こそ恥ずかしがってはいたが だんだんと慣れてきたようで顔を赤らめることもなくなっていった むしろ、そう呼ばれるたびに嬉しそうにしていたように思うのは俺だけだろうか? ちなみ俺は未だに「小鍛治」と呼んでいる だってなんだか男が「すこやん」って恥ずかしいじゃん? 小鍛治は若干不満そうな顔をしていたが許して欲しい 男の子には譲ることのできない、チープでいて大事なプライドというものがあるのだ そして練習が終わると、予定通り駅前の喫茶店に行くことになった ________ _____ __ カランカラン 店員「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」 副部長「5人です」 店員「かしこまりました、ではこちらのお席にどうぞ」 確かになかなかこじゃれたお店だ、BGMには心地よい音楽が使われている あ、ちなみに、注文するときに魔法のような専門用語を必要とするあのお店じゃない 京太郎「いいお店ですね」 副部長「そうね、この辺じゃあ珍しいくらいね」 これは持論だが喫茶店にもっとも必要なのはリラックスできる環境だ たとえばド○ールや☆バックスなどはとにかく席が狭く居心地が悪い、もちろん店にもよるが また隣の人との間隔も狭いため落ち着いて休むこともできやしないではないか なので俺は都内の珈琲チェーン店が基本的に嫌いなのだが、唯一ル○アールだけはなかなか良いと思う よく効いた冷暖房に落ち着いたBGM、そしてなんと言っても広々とした空間にフカフカの座席 さらに居眠りしていても起こされることはないし、メインの品の後には必ず緑茶が出される ただ完全に分煙されていないのは改善してほしいが 多少値段が高かろうとも、そのことが分かっていない喫茶店など行く気にもならん 失礼、話がずれたがこのお店は少なくともそういうことを満たしているお店ということだ さて、みんなの注文した品も届いたので歓迎会が始まる 部長「あらためて入部してくれてありがとう、二人とも」 部員2「これで今年も団体戦に出ることができるもんね」 京太郎「そういえば何か目標とかはないんですか?部としての」 部員1「やっぱ最後だからまた団体戦で全国行きたいなー」 小鍛治「個人戦はどうなんです?」 副部長「私と部長は去年個人戦で全国に行ったから、今年ももちろん狙うわ」 通りで二人とも強かったわけだ 部長「しかし何といっても団体戦はおもしろいからな、個人戦にはないものがあるよ」 部員1「そうそう、自分の結果がチームの勝敗を左右するからな、燃えるぜー」 部員2「去年は最後に捲られて順位下げてたけどね」 部員1「うるせー」 小鍛治「そ、それって私も出るんですよね?緊張します……」 部長「はは、県予選が6月で今は4月の後半に入ったところだよ。まだまだ時間はある」 副部長「そうね、それまでにゆっくり準備していけばいいわ」 京太郎「でもみんないいですね、俺も団体戦出たかったなー」 部長「来年にまたお得意の勧誘をすればいいさ」 それはそうなんだが……俺に来年なんてあるのか、この時代に? 部長「だから今年の目標は団体戦で全国出場、もちろん個人戦でも頑張って欲しい」 京太郎「じゃあ俺の目標はどうしましょう?」 部長「そうだな、今の実力を考慮に入れると6月の県予選で上位入賞ってところが妥当だろう」 京太郎「けっこうハードル高いですよねそれ…」 部員1「大丈夫、私達がみっちり教えてやるよ」 部員2「部活では私達に、家では熊倉さんに教えてもらうといいんじゃないかな」 けっこうスパルタですね 小鍛治「がんばればいけるよ、たぶん…」 たぶんかよ!? こうして部としての目標が決まり、歓迎会は進んでいった どうやらこれからの俺の生活は麻雀が中心になってきそうだ だが、さっきも少し考えたが俺はいつまでこの時代にいることができるのだろうか? トシさんの情報待ちだが、さすがに1年もこちらにいるとは考えにくい そんな短い時間しかこの人達と過ごせないのかと思うとなんだか…… こんなとこと考えていると心配そうな顔をした小鍛治が「どうかしたの?」と聞いてきた 俺は「なんでもない、小鍛治に心配されるなんて一生の不覚だよ」とごまかした でも本当は悲しかった いまこの時の思い出は恐らく未来にも、みんなの中に残るのだろう しかし12年後のその時、俺が熊倉京太郎であることを信じてくれる人はいない それがどうしようもなく寂しかったのだ __________ ______ __ 部長「ではこれで新入部員の歓迎会を終了とする」 「「おつかれさまでしたー!」」 副部長「じゃあ帰りましょうか」 部員2「うん 部員1「一緒に帰ろうぜー」 部長「分かった分かった、今日は寄り道は無しだぞ」 京太郎「んじゃ、俺達も行くか」 小鍛治「そうだね」 俺と小鍛治は他愛のない話をしながらバス停に向かい、バスに乗り込んだ そこそこ混んでいたので車内ではほとんど会話はできなかった 小鍛治「けっこう混んでたね」 京太郎「ああそうだな、俺がいないときは痴漢に気をつけるんだぞ」 京太郎「…ま、でも、小鍛治に限ってその心配はないか」 小鍛治「そ、そんなことないよ!私だって東京の満員電車とか乗ったら、きっと痴漢されちゃうよ!?」 い、いや、そんなこと熱弁されましても… 京太郎「ハハ、ソウデスネー」 小鍛治「あからさまに棒読みだよね! わ、私だって大人になればもっとこう……」 まあ、小鍛治プロのを見る限りそうはならないんじゃないでしょうかねえ そんな小鍛治も、12年も経てば俺のことを…… 小鍛治「京太郎くん? どうかしたの?」 京太郎「い、いや、なんでもない」アセアセ 今日2回も小鍛治に心配かけちまった、なにやってんだ俺は。いつもは逆だろうが… 小鍛治「さっきも同じような顔してたよ、もしかしたら何か悩んでるんじゃない?」 京太郎「ほんとに何でもないんだよ、だから――」 小鍛治「うそだよ!入学式から今日までずっと京太郎くんといたんだよ。私にだってそれくらい分かるよ!」 いつになく語気が強い、でも話せないことなんだよ 京太郎「いやでも――」 小鍛治「いつも私に構うくせに、こういうときは関わらせてくれないの!?」 小鍛治「私たち、と、とも……同じ部員なんだから相談くらいしてくれてもいいじゃない!?」 そこでヘタれるんだ!? しかしあの小鍛治が勇気を振り絞って俺のために言ってくれたんだ 京太郎「わかったよ、すまん、ありがとう」 京太郎「正直小鍛治のこと見くびってた、見直したよ」 小鍛治「わ、分かればいいんだよ…///」 ほんとのことは言えないから何て言おうか 京太郎「…実はな、この生活を続けることに何か意味はあるのか、って悩んでいたんだよ」 なんだかこれだけ聞くと中二病のポエマーみたいだな… 小鍛治「それって中島○道的な、人生に生きる意味はあるのか、ってこと?」 中島○道って…チョイスが女子高校生じゃないよ小鍛治さん 京太郎「ま、まあ似たようなものかな?」 小鍛治「京太郎くんでもそういうこと考えるんだ、へえ…」 こんな突飛なこと馬鹿にされると思ったが、小鍛治は真剣に考えてくれているようだった しばらく小鍛治はうーんとうなっていたが、突然しゃべり出した 小鍛治「身も蓋もないかもしれないけど、そんなの人それぞれなんじゃないかな」 小鍛治「そういうことって、本を読んだりしても書いてないでしょ?」 小鍛治「…いや、書いてあるにはあるけど、でもそれって結局その人ものでしかないわけで…」 京太郎「うん?」 小鍛治「例えば仏教の本を読んだ人みんなが悟りを開くってわけじゃないよね?」 小鍛治「それと同じで、私が京太郎くんにどうこう一般論を言っても意味なんてたぶんないんだよ」 京太郎「つまり?」 小鍛治「つまり生きる意味なんてものは、日々の生活の中で様々なもの…」 小鍛治「例えば楽しい事とか苦しい事とかを経験して、そのたびに一生懸命自分なりに考えていく…」 小鍛治「その過程にしかないってこと、かな?」 京太郎「うーん……なるほど」 小鍛治「ご、ごめんね、かっこつけて偉そうなこと言って。あまり参考にならないよね…///」アセアセ なんとなく理解はできる 難しいこと言っていたが、つまり小鍛治は、そんなのは自分で考えるしかない 取りあえず今をがんばれ、と言っているのだ なるほどその通りじゃないか。俺らしくなかったな 京太郎「いやそんなことない、なんとなく分かった気がするよ」 京太郎「俺のために考えてくれてありがとうな、小鍛治」ニコ ナデナデ 小鍛治「ちちちちちょっとーーーー!!ななななななな、何してるのさ!!!?////」バッ 京太郎「あ、わるい。その、いつもの癖でな!?嫌だったろ、すまん!」 やべぇ、いつも咲にやってるみたいに同じことしちまった というか、いきなり(相手が小鍛治とはいえ)女の子の頭なでるとかありえんだろ普通 小鍛治「い、いや。そ、そのびっくりしただけだから、そんなに嫌ではなかったっていうかそのー……//////」カァァ 京太郎「そ、そうか!?」 小鍛治「う、うん…///」 小鍛治「そういえば、さっきの…癖って言ってたけど、いつも女の子にあんなことしてるの?」ジトー 京太郎「い、いや、小鍛治さん!?誤解しないでほしいのですが、いつもってわけではないんですよ?」 小鍛治「じゃあどういうときにしてるのさ?」 京太郎「ええとそうだな…長野にいたとき仲の良い女の子がいたんだけど…その子がまた小鍛治に似てるんだよ」 京太郎「すぐ道に迷うわ、何もないところでこけるわ、コミュニケーションに不安があるわ……」 京太郎「まあ、小鍛治とは少し方向性がちがうかもしれんが」 小鍛治「へぇー、わたしより酷い人もいるんだね」 自覚がないって恐ろしい 京太郎「ま、まあとにかく世話のかかる子だったんだよ」 京太郎「で、そういう子がさ、いつもより頑張ったりするとするじゃん?」 京太郎「そうすると何かムラムラっときて思わず頭をなでたくなっちゃうんだよ」 小鍛治「ま、まあ分からなくはないけど…」 京太郎「だから父性っていうのかな…娘の頑張る姿を見守る父親の気持ちというか…」 京太郎「つまり決して小鍛治の想像するような、やましいものではないんだよ!」 小鍛治「そ、そうなんだ」 京太郎「おう、分かってくれて嬉しいよ」 小鍛治「…でもそれって私のこともそういう目で見てるってことじゃあ――」ジロ 変に追及される前にスタコラサッサだぜ 京太郎「おおっともうこんな所か!今日はありがとな小鍛治またなー!」ダッ 小鍛治「ちょ、ちょっと話はまだ―――」 小鍛治「もう!」 俺は小鍛治の追撃を見事かわし、無事自宅という名のトシさんの家に到着した 京太郎「ただいまー!」 トシ「おやおかえり、少し遅かったね」 京太郎「今日は麻雀部の歓迎会があったからね、駅前の方まで行ってたんだ」 トシ「おや、結局麻雀部に入ることにしたのかい?」 京太郎「まあその…いろいろあってね」 小鍛治を入部させるため、ってことが一つの理由だがこれはさすがに話せないな トシ「…そうかい」 トシさんも何かを察しってくれたようだ 京太郎「それでなんだけど、改めてきちんと麻雀の指導をお願いしたいんだけどいいかな?」 トシ「それなら今でもやってるじゃないか」 京太郎「それはそうなんだけど…今まで以上に真剣に麻雀に取り組みたいんだ」 トシ「どういう心境の変化だい?」 俺の表情を見てトシさんも真面目に聞いてくる 京太郎「いつになるかわからないけど、俺は一年もしないうちに元の時代に帰ると思うんだ」 トシ「……」 京太郎「それでふと考えたんだ…ならこの時代での生活に何の意味があるのかなって」 京太郎「確かにこの時代の思い出は元の時代にまで残るのかもしれないよ」 京太郎「でも今の知り合いに、たとえ元の時代で会えたとしても誰も俺だとは信じてくれないと思うんだ」 京太郎「結局みんなにとって、熊倉京太郎と須賀京太郎は別人」 京太郎「そう考えると無性に寂しくなっちゃってさ…」 京太郎「それでこのことを、友達にに相談してみたんだ」 京太郎「そしたら、とりあえず今をがんばれ。意味は後からついてくる、って言われて…」 京太郎「だから、今できることを真剣に取り組みたいと思うようになったんだ」 トシ「……いい友達を持ったね」 京太郎「ちょっと頼りないけどね」 トシ「よし分かった。じゃあ今日からビシバシ行こうか」 京太郎「ありがとう!」 トシ「ただし、ひとつ条件を付けるよ」 京太郎「条件?」 トシ「私の指導を受けるときにはもう一人誰か連れて来なさい」 京太郎「誰かって?」 トシ「そうだね……例えばその『ちょっと頼りない友達』なんかいいんじゃないのかい」 ばれてたか…恐れ入りました 京太郎「了解です」 トシ「ああそれとね…さっきの話には一つ間違いがあるよ」 京太郎「えっ?」 トシ「私にとっては熊倉京太郎も須賀京太郎も同じさ」 トシ「たかが12年、私が自慢の孫を間違うはずないだろう?」 驚くほど優しく、自信たっぷりに、いくらか茶目っ気を込めて、そう言ってくれた さすがにその日の特訓には小鍛治は呼ばなかった トシさんの指導はそのセリフ通りなかなかビシバシと行われた しかし麻雀がうまくなるためならと思うと不思議と苦痛ではなかった トシさんのあの最後の言葉はとても印象に残った 誰かが自分のことを覚えていてくれる、そのことだけでいくらか救われた気持ちになった ――4月下旬 部活終了後 「「おつかれさまでしたー!」」 今日の部活終わりー。毎回やられっぱなしだと妙に疲れるぜ この状況を打開するために家に帰ってトシさんと特訓なのだが… さて小鍛治にはどうやって切り出そうか 小鍛治「相変わらずボロボロだったね」 京太郎「うるせー、こっちだって頑張ってんだ」 京太郎「……」 京太郎「そういや聞いたことなかったけど、小鍛治はどうやって強くなったんだ?」 小鍛治「わ、私はそんなに強くないよ。部長さんとかによく負けるし…」 小鍛治「でもルールなんかは本とか読んで知ったたし」 小鍛治「それに今時インターネットで麻雀できるからね」 この時代からネト麻って存在してたんだ…知らなかった 小鍛治「だから実践だって一人でできるから、そこそこ強くなることぐらいならできるよ」 京太郎「にしても俺より断然強いけどなー」 小鍛治「ま、まあね。才能の違いなんじゃないかなー、なんて///」ドヤァ 京太郎「……」 小鍛治「……」 京太郎「……」 小鍛治「な、なんか反応してよ!冗談なんだから//」アセアセ 京太郎「あー今の言葉傷ついたわー(棒)。なので謝罪と賠償を要求します!」 小鍛治「謝罪と賠償って……あ、でも麻雀を教えてあげることくらいならできるかも」 京太郎「ほー、そいつはありがたい」 小鍛治「だったらこの後――」ボソボソ 京太郎「でも残念! 俺には既に優秀な指導者が付いているのだ」 小鍛治「え、そ、そうなんだ…」シュン 京太郎「トシさんって言うんだけど…というか俺の祖母なんだけどね」 小鍛治「ああ、熊倉さん?」 京太郎「知ってるのか?」 小鍛治「うん、昔よく近所の子供とか集めて麻雀教室開いてたからね。私は参加したことないけど……」 小さい頃からコミュ障気味だったんだね、小鍛治さん… 京太郎「実はさ、トシさんからもう一人くらいなら指導できるって言われてるんだ」 京太郎「だから、良かったら俺と一緒にトシさんから教えてもらわないか?」 小鍛治「え、いいの?」 京太郎「おう、モチのロンだぜ」 小鍛治「め、迷惑じゃないかな」 京太郎「んなこたーない、むしろ小鍛治が来てくれるとトシさん喜ぶと思うぜ」 小鍛治「そ、そうかな?」 京太郎「そうとも」 小鍛治「……」ウーン 小鍛治「だ、だったらお願いしちゃおうかな」 京太郎「よしっ!では早速わが家に向かおうではないか」 小鍛治「え!?今からなの?」 京太郎「善は急げだぜ、小鍛治!」 小鍛治「で、でも菓子折りとか用意しなくちゃならないし。それに服装だって――」 京太郎「おまえは彼女の父親に挨拶に行く男か!そんなこといいからとっとと行く!」 ________ _____ __ 小鍛治「はぁー緊張してきたー…何か変なところない?」 京太郎「いつも通りきれいですよ、お嬢さん」 小鍛治「もうっ!そういうのはいいから!」 ガラガラガラ 京太郎「ただいまー!」 小鍛治「え、ちょっとまだ心の準備が――」 トシ「おかえりなさい。おや、今日はかわいらしいお嬢さんも一緒だね」 小鍛治「あ、あの初めまして、小鍛治健夜と申します!」ペコリ トシ「ご丁寧にどうも、私は熊倉トシだよ。今日は遊びに来たのかい?」 小鍛治「い、いえ。そのー…」アセアセ 京太郎「俺が一緒に特訓しようって誘ったんだ」 小鍛治「そうなんです」 トシ「そうだったのかい、じゃあ今日からよろしくね」 小鍛治「は、はい、よろしくお願いします」ペコリ 京太郎「じゃあ俺は飲み物でも用意してくるよ、小鍛治は何がいい?」 小鍛治「うーんと、じゃあ紅茶お願いできるかな」 京太郎「はいよー」 小鍛治は俺に助けを求めるような顔をしていた 初対面のトシさんと二人でいるのに不安を感じていたのだろう でもあえてここは心を鬼にしてそれを無視した トシさんなら全く問題ないだろうと思ったのだ 俺は先に台所に向かい飲み物の準備をした 10分ほどしてから応接間に行くと二人の楽しそうに談笑する声が聞こえてきた どうやらこの短時間に打ち解けることができたらしい あの小鍛治相手にすごい。どうやらトシさんはコミュ力もカンストしているようだ 京太郎「二人とも楽しそうに何の話をしてるの?」 トシ「女性の会話には首を突っ込まないほうがいいよ」 小鍛治「…ひみつ」 さいですか… トシ「では始めようかね」 この日も何事もなく順調にトシさんの指導が行われた トシさんの指導にはあの小鍛治も何度も感心していた 何回か三麻をしたが小鍛治ですら相手にならなかった しかしトシさんの指導の賜物か、俺もそこそこ上達してきたと思う 京太郎・小鍛治「ありがとうございましたー!」 トシ「こちらこそ楽しかったよ。健夜ちゃんは明日もくるのかい?」 小鍛治「とてもタメになったので、できれば毎日来たいくらいです」 小鍛治がこんなとと言うなんてかなり珍しい トシ「そう言って貰えて嬉しいよ、ありがとう」 トシ「じゃあ平日部活が終わったら来なさい。休日は復習でもしてるといいんじゃないのかな」 小鍛治「はい!ぜひそうします」 京太郎「話はまとまった?時間の方は大丈夫か小鍛治?」 もう夜7時を少し過ぎている、良い子は帰る時間だ トシ「なんだったら夕ご飯の用意もできるけど…」 小鍛治「いえ、そこまでして貰うわけにはいきません。今日は帰ります」 トシ「そうかい。じゃあまた明日ね」 トシ「京太郎、健夜ちゃんを送っておやり。最近は変質者だって出るんだから」 京太郎「え、歩いて10分くらいだし、それに小鍛治なんか襲うやつ――」 小鍛治「……」ギロリ 京太郎「送らせていただきます」 トシ「ふふ、いってらっしゃい」 とりあえず小鍛治を送ることになったので、二人で小鍛治の家に向かう 京太郎「今日はどうだった?トシさんすごいだろ」 小鍛治「京太郎くんのおばあさんにしておくには、勿体無いくらいね」フン 機嫌を損ねてらっっしゃる 京太郎「さっきのは悪かったって。実際こんな片田舎に変質者なんて現れないだろ?」 小鍛治「まあ、それはそうだけど…」 京太郎「でも驚いたよ、行く前は緊張しまくりだったのに10分そこらで仲良くなってるんだから」 小鍛治「うーん、それは私も不思議だったけど…でも実際すごくいい人だし」 まあ俺みたいのを住まわせてくれるくらいだからな 小鍛治「麻雀の腕も相当なものだよね、三麻やったときなんかたぶん全然本気出してないよ」 京太郎「まじで!」 小鍛治「うん、たぶんだけど私たちの実力を考えて最適なレベルで打ってたんだと思う」 そんな会話をしているとついに小鍛治の家に着いた 小鍛治の話によるとこれは借家らしい、だが十分立派なものだ 小鍛治「送ってくれてありがとうね、それに京太郎くん家も意外と楽しかったよ」 京太郎「意外とは余計だ。じゃあまた明日学校でな」 小鍛治「うん、また明日ね」 小鍛治を送り届けた後、家に戻ってきた 結局変質者なんか見かけなかったけど。あ、ちなみにタヌキはいました トシ「おかえり、ありがとうね」 京太郎「どうってことないよ」 トシ「でも健夜ちゃんとてもいい子だったじゃないか。話に聞いていた以上だよ」 京太郎「あれで人見知りがなければいいんだけどね」 トシ「はは、それは京太郎がしっかり面倒見てあげるんだよ」 京太郎「うん、分かってる。それで麻雀の方はどうだった?」 トシ「健夜ちゃんのかい?」 京太郎「うん」 そういうとトシさんは少し考える素振りをした 指導中何度か小鍛治のことを気にしていたので、恐らく既にその才能には気付いているのだろう なにせ将来は世界でもトップクラスの実力になるんだから トシ「はっきり言ってとてつもない才能があるね、あの子は」 トシ「まだ開花はしてないがいずれ世界を舞台に戦うようになると思うよ」 さすがトシさん、先見の明がおありで ――4月下旬 もう4月の最終週に入った。色々なことがあり時が経つのを早く感じる 最近気付いて驚いたのだが、この高校は文化祭を5月中にやってしまうらしい いちおう進学校とのことで、受験のために学校行事は早めにすることになっているそうだ で、今現在ホームルームでクラスでの出し物を決めているのだが 「ハイハイ!わたし演劇やりたい!」 「えー、無難に喫茶店とかでよくない?」 「お菓子食べたい…」ギュルギュル 「目立てればなんでも構いませんわ!」 「ダルいから動かなくていいもので…」 「タコスしかないじぇ!!」 「おもちもちもち、おもち喫茶だね!」ドヤァ 「わたしは衣装が作れればなんでもいいなぁー」 この通りみんな好き放題である。これでは一つに決まるわけがない ……いや待てよ、一見するとてんでバラバラな意見にも思えるが しかし大別すれば、演劇などの非日常空間の演出と食べ物の提供の二つに分かれる ならばこの二つの要求を満たしてやればいいではないか! 京太郎「安西先生!コスプレ喫茶がやりたいです!!」 けっして、おもち持ちの女子にきわどいコスプレさせたいなんて考えてない 「うーん、意外と面白そうじゃない?」 「それならわたし衣装作れそう」 「まあタコスを出すなら構わないじぇ」 「ダルい…けどまあいいかな」 「んほー!!えろい衣装きたーーー!!!!」 あれー、半分冗談だったのに意外と好感触? 小鍛治はというと 小鍛治「ふーん」 正直どうでもよさそうである 実行委員「ではここで多数決を採りたいと思います」 ________ _____ __ 結局その場のノリと勢いで、俺の意見が採用されコスプレ喫茶になってしまった 若さって時として恐ろしいね、うん 部員1「コスプレ喫茶って、意外と大変そうなの選んだなー」 京太郎「2年、3年になると受験とかあるじゃないですか。だから今のうちに大変なのをやっておこうかと」 もちろん嘘である 部長「うん、いい心がけじゃないか。しかし6月には県予選があるからな、練習の手は抜かないぞ」 副部長「でもなかなかおもしろそうじゃない。私必ず行くわ」 京太郎「ぜひ来てください!お客さんもコスプレできるようにしておきますから(ゲス顔)」 小鍛治「なんか悪い顔してる」ジー 京太郎「大丈夫、君には関係の無い話さ」キリッ 小鍛治「なんだか知らないけどバカされた!?」 いつも通りバカ話をしつつ、その日も部活をきちんと行った ――5月上旬 5月に入りいよいよ文化祭の準備が始まった 俺と小鍛治は内装担当ということになっている 正直衣装作りをやりたかったのだが、なぜか小鍛治に全力で止められてしまった ちょっぴり胸元の布面積が少ない衣装を提案しただけなのに…… 京太郎「小鍛治ー、そこのセロハンテープ取ってくれないか?」 小鍛治「はいどうぞ、変態さん」フンッ ごらんの有様である しかしせっかくの文化祭の準備、小鍛治にとっても皆と仲良くなる絶好の機会なのだが 当の小鍛治は変態である俺のそばからなかなか離れようとしない、どうしたものか 「イタッ!針刺さったー!」 「ちょっと!そこ縫い間違えてるよ!」 小鍛治「……」チラチラ 京太郎「ん?」 「だれかー、ミシンが動かなくなっちゃたんだけど助けてー!」 「ごめん針落とした、動かないでー!」 小鍛治「……」ソワソワ 京太郎「…」 「あわわ、あわわわわわ…」 「だめだこいつら…」 小鍛治「……」ドキドキ 京太郎「ふむ…なるほど」 俺は持ち場を離れ、衣装作り班のところに向かう 京太郎「大変そうだから俺にも少し手伝わせてくれよ」 「えっ、熊倉君裁縫できるのー」 「教えて、教えて!」 小鍛治「えっ」 京太郎「裁縫はそんなに得意じゃないんだけどなー」ドヤァ そう言って、針に糸を通し少々危なげに縫っていく 「意外とうまいじゃん!」 「私よりうまくできてる…」 小鍛治「……」ソワソワ うーんまだか、ならば 今度はすそ上げしたところをわざと並縫いにしていく 「へ、へぇ意外とやるじゃない」 「女として負けた……」 京太郎「惚れてくれったって構わないんだぜ、お嬢さ――」 小鍛治「それじゃダメだよ!」 京太郎「へ?」 小鍛治「すそ上げには並縫いじゃななくてまつり縫いにしないとだめだよ、貸して」 そういうと小鍛治は慣れた手つきで素早く縫っていく 小鍛治「ほら、この縫い方なら表からほとんど糸が見えないから見栄えがいいんだ」 「小鍛治さんすごーい!!」 小鍛治「そ、そんなこと無いよ//」 「熊倉くんより全然うまいよ!私にもそれ教えて!」 小鍛治「えっ、で、でも私内装担当だし…」 「いいじゃん小鍛治さん、熊倉君に任せちゃえば」 「内装班って男ばっかりでむさいからこっちこようよ」 むさいは余計だ 小鍛治「いいの…?」チラ 京太郎「おう、こっちは任せとけ!」 「決まりね、じゃあ小鍛治さん借りてくから」 最初の方は小鍛治もオドオドしていたが、徐々にあの女子グループにも慣れていっているみたいだ べ、別に小鍛治のことが気になって、こまめに様子を伺ったりしてたわけじゃないんだからね! 一方俺はというと… 「おう熊倉、暑いだろ?上着脱げよ、な!」 「なかなかいい筋肉してるじゃないか、触ってもいいか?」サワサワ 「飲み物買って来たよー、熊倉君はアイスティーでいいよね?」 「小鍛治がいなくなって寂しいんだろ?今夜俺の部屋来いよ、慰めてやるから」 身の危険を感じていた。なんかこの班分け偏ってません!? ――5月上旬 土曜日 え、土曜日は休みだって? 何を言っているのかな皆さん、12年前はまだ半ドンが主流ですよ さて、いよいよ文化祭の準備も本格的になってきた それと共にあのなんとも言えない、非日常的な独特の雰囲気が辺りに充満するようになってきた なので皆も授業中でありながら、どこかソワソワしているのを感じることができた そんな時、珍しく小鍛治の方から話しかけてきた 小鍛治「きょ、京太郎君ちょっといいかな?」 京太郎「おう、どうした」 小鍛治「あのね、今共同で使ってるミシンが壊れちゃってね…」 京太郎「そりゃ大変だ、家庭科室行って借りてこうぜ」 小鍛治「いや、さっき行ったらもうストックが無いんだって」 小鍛治「だから、私の家から持っていこうかと思うんだけど…」 京太郎「けど?」 小鍛治「わ、私だけじゃちょっと持っていけそうないから、授業が終わったら一緒に運んでくれないかな?」 うーむ、まだ女子連中には頼めないか 京太郎「おう、いいぞ」 _____ __ 午前中の授業も終わり、俺達は約束通り小鍛治の家の前までやってきた ていうか中に入るのは初めてじゃね?あーなんだか少し緊張してきた 小鍛治「どうかしたの?」 京太郎「男の子は女の子の家に訪問するとき、緊張するもんなのですよ」 小鍛治「ふーん」 ガチャ 小鍛治「ただいまー」 小鍛治母「おかえり、今日は早いのね」 小鍛治「ううん、違うの。文化祭の準備で使うミシンを取りに来たんだ。持って行っていいでしょ?」 小鍛治母「それは構わないけど……」 小鍛治母「ん?あら、あらあらあらあらあら」 俺の姿を確認してなにやら嬉しそうな顔をしている 小鍛治母「ちょっと待ってね……もしかしてあなた熊倉京太郎くんじゃない?そうでしょ?」 京太郎「ええ、その通りですが…」 小鍛治母「健夜からいつも話しを聞いてるわー、お世話になってるみたいで」 小鍛治「もう、おかーさん。そういうの止めてよ!」 小鍛治母「あらいいじゃない。そうだ!せっかく来たんだからおばさんの世間話に付き合ってくれない?」 京太郎「おばさんなんてとんでもない!まだまだお綺麗ですよ」 これはお世辞でもなんでもない、十分綺麗だ 小鍛治母「あら、ありがとう。お世辞でもうれしいわ。さ、上がって」 小鍛治「はあ…、私は自分の部屋に行ってるから終わったら呼んでね」 小鍛治母「あなた熊倉さんとこのお孫さんね。こんな好青年だったなんて、うらやましいわ」 京太郎「そんなことないですよ。でもありがとうございます」 小鍛治母「こっちこそ、ありがとうと言いたいわ、健夜と仲良くなってくれて」 京太郎「いえ、そんな」 小鍛治母「ほらあの子かなりの人見知りじゃない?だから最初は友達できるか心配してたのよ」 小鍛治母「でも入学してすぐくらいだったかしら…健夜が珍しく学校での話をしてね」 小鍛治母「まあでも、ほとんどあなたの話ばかりだったけどね」フフ 小鍛治母「しかもいきなり麻雀部に入るって言い出したりしてね、これもあなたのおかげでしょ?」 京太郎「はは、ほとんど無理やり引き込んだようなものですけどね」 小鍛治母「でも本当に嫌だったら入部しなかったと思うわ、あの子意外と頑固なところあるし」 小鍛治母「きっとあなたがいたから、入るのを決めたんだと思うわ」 なんだか歯がゆいことを言ってくれる 京太郎「そうでしょうか?」 小鍛治母「ふふ、そうよ」ニコリ その笑顔は小鍛治にそっくりだった 京太郎「すみません。そろそろ時間なんで行かないと…」 小鍛治母「あら、そうなの?引き止めてしまってごめんなさい」 小鍛治母「あとこれお詫びに貰ってくれないかしら」 そう言うと、なにやら水族館のチケットを手渡された 京太郎「いいんですか?」 小鍛治母「私が使うことなんてないからいいのよ、彼女とのデートにでも使ってちょうだい」 京太郎「彼女なんて生まれてこのかた、いたことなんてありませんよ」 小鍛治母「あらそうなの?なら尚更ね」ニコ 京太郎「?」 その言葉の意味はよく理解できなかったが、とりあえず頂くことにした そして小鍛治を呼び、ミシンを携えて再び学校に向かう 小鍛治「結局お母さんと何の話をしてたの?」 京太郎「小鍛治が家でいかにゴロゴロしてるかとか、未だに服はお母さんに買ってきてもらっている事とか――」 小鍛治「えっ!う、嘘だからそんなこと!?信じたりしたらダメだからねっ!?」 小鍛治「もうおかーさんたら、帰ったら……」ブツブツ あとは、如何に小鍛治のことを愛しているか、とかね―― ――5月中旬 文化祭二日目 いろいろあったが無事文化祭を迎えることができた (特定の)男友達からの執拗な攻撃に耐えることができたのは奇跡といってよいくらいだ だって彼ら、自分の仕事は韋駄天の如き早さで終わらせてほとんど俺にセクハラしてたもん 衣装作りの方は小鍛治が加わったおかげか、何とか終わらせることができたみたいだ 初日は学内のみでの開催だったが、今日2日目は一般公開される日だ なので今日が文化祭本番と言って差し支えないだろう 俺と小鍛治は午前中クラスの出し物を手伝い、午後は遊べることになっている 小鍛治「はぁー、何か緊張してきたよ…」 京太郎「昨日大丈夫だったんだから、今日も大丈夫だろ」 小鍛治は店員役はやらない、全力で拒んでたからね 小鍛治「それにしても…その衣装妙に似合ってるよね……」 俺はというと、上は工事済みで下は未工事の緑色の髪をしたキャラクターのコスプレをさせられている 最初は俺も慣れなかった。しかし時々男子の熱のこもった視線を浴びるうちになんだか… 京太郎「き、んきもぢいいぃぃ///」 小鍛治「どうしたの!?」 京太郎「すまん、少しトリップしてた」キリッ 小鍛治「そ、そう…」ドンビキ アホなやりとりをしているといつの間に開始を告げる放送が流れ、ついに2日目が始まった 30分もするとお客さんがそこそこ入るようになってきて、忙しくなってきた しかし俺はまったく別の意味ですごく忙しくしていたのだが… 「すみません、こっち向いてください!」パシャパシャ 「ポーズお願いします!そう、いいねっ!!」パシャパシャ なぜか俺のみコスプレ撮影会が開催されていた…他にもいるじゃん!? どうやら昨日の噂を嗅ぎ付けて、特殊な性癖をお持ちの大きなお友達がご来店してしまったようだ でも止めてなんて言えない、だって気持ちいいだもの ああ今ならアイドルとかレイヤーの方々の気持ちがよく分かる だから… 「いいね、いいね!ほらもうちょっと裾上げてごらん、ほーら(ゲス顔)」 仕方が無く… 「ふおおおーーーきたああああーーー!!!!」 「ブヒーーー!!ブヒブヒブヒ!!!」 こんなことを… 小鍛治「て、だめでしょ!!!?」 _________ _____ __ 京太郎「すまない小鍛治、迷惑をかけたな」キリッ 小鍛治「もう京太郎くんはコスプレ禁止!!分かった!?」 京太郎「はい…」 小鍛治の懸命の阻止もあり、撮影会は中止となった 男子のみんながネガの没収をしたが、その内何人かはそれをくすねようとしていた さらにそれを発見した女子がそいつらに金的を食らわせていた、おおう… そういうわけで俺は接客を外され主に料理を担当するようになっていた 「いらっしゃませー!」 小鍛治「あ、熊倉さんと……おかーさん!?」 小鍛治母「えへへ、きちゃった」テヘ トシ「ちゃんとやっているかい、京太郎」 京太郎「まあね。来てくれてありがとう!さ、こっちに座って下さい二人とも」 そういって2人分の席を引いて着席を促す 京太郎「2人は知り合いなんですか?」 小鍛治母「そうよ。でも会ったのはたまたまなの」 トシ「学校の前で出くわしてね。聞いてみたら行き先は同じみたいだから一緒に来たのさ」 京太郎「なるほど」 小鍛治母「でも京太郎くんと健夜はコスプレしてないのね、楽しみにしていたのに」 京太郎「まあ、その、いろいろありましてね……」トオイメ 京太郎「代わりにといってはあれですけど、最高のものを振舞いますよ。なにします?」 トシ「私は京太郎にまかせるよ」 小鍛治母「私もそうしようかしら、京太郎くん料理得意みたいだし」 京太郎「かしこまりました、では少々お待ちくださいませ」ペコリ 母親が来てコソコソしていた小鍛治を呼ぶ 京太郎「せっかく来てもらったんだ、コソコソしてないで手伝ってくれ」 小鍛治「別にコソコソなんてしてないもん!」 京太郎「はいはい」 まあ小鍛治の気持ちも分からなくない なんか知らないけど家族を友達に見せるのってちょっと恥ずかしいよね しかしお二方が来るのは予想していたので、準備は万端だ。特別に食材も調達してある まずは退屈させないように、食前の飲み物だ さて頑張るか __________ ______ ___ 小鍛治母「信じられないくらいおいしかったわ。まるで高級料理店のお料理みたい」 京太郎「そう言ってもらえて嬉しいです、作ったかいがありますよ」 小鍛治母「特にあの煮込み料理はよかったわ、作り方を教えて貰いたいくらいよ」 京太郎「それだったら、今度教えに行きましょうか?」 小鍛治母「いいの?ぜひ来て頂戴。ついでに健夜にも料理を教えてほしいくらい」 ちなみに小鍛治は全然料理できないみたいで、ほとんど雑用をしてもらった 小鍛治「私だってちゃんと手伝ったんだよ!?」 小鍛治母「あなた食材運んだり、レンジで温めたり…ほとんど雑用だったじゃない」 小鍛治「うっ…」 トシ「まあまあ、暇があれば私が教えてあげるから」 小鍛治「ほんとうですか!ありがとうございます」 俺達と会話を終えると2人は帰っていった もともと俺達の様子を見に来たのだから当たり前だが 小鍛治のお母さんは、娘が思いの外がクラスに溶け込んでいて安心したようだ 午前の、俺達の店番が終わりに近づいた頃、麻雀部の先輩達が遊びにきた 副部長「遊びにきたわよー」 部員2「あら、2人はコスプレしてないんだ」 京太郎「いろいろありましてね…」 小鍛治「私は全力で拒否しました」 副部長「なら私が代わりにしようかしら、たしかできるんだったよね」 そのセリフ待ってましたよ副部長 京太郎「ええ、もちろんお客様にも貸し出ししてますよ」 京太郎「副部長には特別な衣装をご用意したんで、こちらで着替えてください(ゲス顔)」 部員2「うーん、なんか悪い予感するし私はいいや」 ちくしょう!だがまあいい、メインディッシュの副部長さえいればね、ククク この時のためにどれだけ苦労したことか… 副部長のための衣装を作るために何度徹夜したことか… さらにトシさんの高級一眼レフカメラも土下座して借りたのだ、抜かりは無い 小鍛治「京太郎くん、また変なこと考えてるでしょ」ジロリ 滅相も無い しばらくすると副部長が俺が秘密裏に作成した衣装を身にまとい現れた 副部長「ど、どうかしら。なんだか少しスースーするけど////」カァァ 京太郎「すばらっ!すばらっ!!」パシャパシャ 小鍛治「やっぱり……」 部員2「うわあ……」ドンビキ 副部長「ちょっと恥ずかしいわね////」 京太郎「恥ずかしがることないです!これこそ長野スタイルなんですよ!!」パシャパシャ 京太郎「さあ、こちらの個室で記念撮影しますのでどうぞ」パシャパシャ 部員2「既にめちゃくちゃ撮ってるじゃん、それに個室ってなに!?」 京太郎「さあ、好きなポーズをとってー。はい、いい表情ですね!」パシャパシャ 副部長「そ、そうかしら////」 京太郎「素材がいいですからね!さあさあ前かがみになって!!」パシャパシャ 副部長「こ、こう///?」 京太郎「はあはあ///いいですよその調子です!さあ全てをさらけ出してっ!!!」パシャパシャ 副部長「///////」 京太郎「んほーーー!!すばっ!すばらーーー!!!!すばらすばら、す、すば――」ブヒブヒブヒブ 小鍛治「いいかげんにしようか」ニコリ ____________ _______ __ 京太郎「ハッ!?ドリームか……?」 京太郎「あれ!?副部長達は??」 小鍛治「2人とももう違うところに行ったよ」 京太郎「そうだっけ!?なんだか記憶が飛んでるような…」 小鍛治「これ、大切なものでしょ」ニコリ 小鍛治は手に持っていた俺のカメラを渡してくれた。あれなんで小鍛治が持ってるんだ? それに何かとても大切なものを写真に納めた気がするのだが…気のせいだろうか それになんだか顔がボコボコなんですけど…… いろいろとハプニングはあったものの、何とか自分達の仕事は全うできたと思う 午後の自由時間は小鍛治と一緒に部室で過ごすことにした ちなみに初日には俺は男子連中と一緒に回った 小鍛治も、あの衣装作りをしていた何人かと一緒に回ったらしい。たいした進歩だと思う 小鍛治は普段しないようなことをこの2週間しっぱなしで疲れたのだろう だから静かに過ごせるここを敢えて選んだ 小鍛治は本を読んでいたが、ふと顔を上げた 小鍛治「そういえば、これ返し忘れてたよ」 すると俺が作った長野スタイルの衣装を渡してきた 京太郎「ド、ドウシテコレヲ」ビクビク 小鍛治「どうせ副部長にでも着せようと思ってたんでしょ?」 京太郎「ナ、ナゼソレヲ」ダラダラ 小鍛治「はぁー、もういいよ、別に怒ってないから…」 京太郎「あ、ありがとうございます!小鍛治さまー」 小鍛治「調子いいんだから、まったく…」アキレ 小鍛治「あとこれ、すこしほつれてた所あったから直しておいたよ」 小鍛治「素人が作ったとは思えないほどきれいにできてたから、勿体ないしね」 京太郎「……そうか?まあ頑張って作ったからな」 小鍛治「裾上げの所のまつり縫いも、びっくりするくらいちゃんとできてたしね」 京太郎「……ふーん、そうだったか」 小鍛治「そうだよ。だから、そ、その……ありがとう////」 京太郎「ふふ、どういたしまして」 小鍛治「あーでも///よく考えたらこの服京太郎くんが持っていても仕方ないよね?」 小鍛治「だ、だからしばらく私が預かっておきます///」 京太郎「ひどい!」 その後もまったりと部室で過ごし、俺の高校生活始めての文化祭が終了した ――後日小鍛治家にて 小鍛治「あ、これ名前の刺繍までしてある…凝りすぎだよ京太郎くん……」 私、小鍛治健夜は今、京太郎くんの作った衣装を着ている 小鍛治「うわ、胸の部分ブカブカ…」 別に自分にも似合うかな?とか思って着たのではなく、単なる好奇心…ということにしておこう だからちょっとポーズをとったりしたっておかしくなんか無い、ついでに笑顔になったりして 小鍛治「キャハっ!」グギギ あ、だめだこれ でもこの格好はあまりにもきわどすぎるよ!胸なんか角度しだいでは見えちゃうしね! こんな痴女服着て外歩いたら一発で捕まっちゃうよ、犯罪だよ!? だからこの服を世に出さないためにも、私が管理しないとダメだよね、うん ふぅー、そろそろ着替えよう。こんなとこと誰かに見られたら変態だと思われるちゃうもんね ガチャ 小鍛治母「健夜ー、さっきのことなんだけど――」 小鍛治「あ」 小鍛治母「」 小鍛治「……」 小鍛治母「……」 小鍛治「……」 小鍛治母「……」 小鍛治「…なんか言ってよ」 小鍛治母「ごめんね、今度からそういう服買ってくるわね」ニコリ ガチャ 小鍛治「………」グスッ 小鍛治「ちがうよ!私の趣味じゃないよ!!」 小鍛治「お願い信じて!!おかーーさーーーん!!!!」 この後誤解が解けるのに2週間かかった もう絶対あんな服着ない!そう心に誓った ――6月 県予選前日 文化祭も終わり、いよいよ明日から県予選が始まる 俺を含め部員全員が集中して部活に取り組んできた 俺もこの二ヶ月でだいぶ上達することができたと思う だがそれと同時に他人との実力差を肌で感じることができるようになった 部長と副部長は全国区の選手だが、この2人には未だになかなか勝つことができない だからこそ簡単に、自分が全国大会へ進めるとは正直思っていない なので難しいことを考えず全力を尽くす、それだけだ 部長「今日はここまでにしよう、お疲れさま」 部長「いよいよ明日から県予選が始まる」 部長「日程はもう知っての通り、団体戦が先で個人戦は後だ」 部長「1年生は不慣れな部分もあると思う、なのでそこは3年生がしっかり面倒を見るように」 部長「細かいところはこのプリントにまとめてある、各自見ておくようにしてくれ」 部長「戦術、戦略はしっかり頭に叩き込んであると思う」 部長「実力だって、昨年と遜色ない…いやそれ以上だと私は考えている」 部長「だから今日はゆっくり休んで明日に備えてほしい」 部長「以上、解散!」 小鍛治「はぁー…緊張して今日は眠れなさそうだよ」 小鍛治「なんで部長は私を大将に置いたんだろう…ストレスで試合中吐くかもだよ……」 京太郎「たのむ、それだけはやめてくれ」 小鍛治「いいよね、京太郎くんは個人戦だけで」 小鍛治「一回団体戦に出て、この苦しみを味わった方がいいよ」 京太郎「はいはい分かりました。だから今日はゆっくりお休み」 小鍛治「もう!またおかーさんみたいなこと言って」 帰り道、分かれるまでずっと小鍛治の愚痴を聞かされた まあいきなりの本番で試合のトリを勤めるのは大変だろう。小鍛治ならなおさら ちなみに団体戦のオーダーは、部長、部員1、部員2、副部長、小鍛治の順番だ さて、明日の初戦どうなることやら… ――6月 インターハイ県予選大会初日 俺達6人は会場に到着し、荷物を控え室に置き待機することになった 俺達は去年団体戦で全国に行ってるので、シード扱いだ だから一回戦はお休みで二回戦からなのでけっこう余裕がある それまで俺は観客席で他の試合と見ることにした 会場の雰囲気に慣れたかったし、他校の実力を知っておきたかったからだ 二回戦が始まる頃に控え室にもどると、小鍛治以外はほとんど緊張した様子はなかった 部長「じゃあそろそろ行くよ」 部員1「いってらー」 _________ _____ __ 結果だけ見れば圧勝だった。なにせ次鋒で決着がついてしまったからだ 部員1「ごめん、飛ばしちった」テヘ 部長「すこやんを試合に慣らすために抑えとけと言ったろうが、アホ」 小鍛治「べ、別に大丈夫ですって。雰囲気には慣れましたし」アセアセ 部員1「ほら、すこやんもそう言ってるからいいじゃん!」 部員1「それに、そういう部長さんだってかなり相手を削ってたような」ニヤリ 部長「うっ、それは部の代表としての威厳をだな――」クドクド 結局初日はこれだけで終わってしまった、あっけない ――6月 県予選2日目 今日は団体戦の決勝だ 昨日の試合振りを見る限り大丈夫そうだが、最後まで何があるか分からない 部長も決して気を抜かないよう注意していた 部長「昨日はたまたま圧勝してしまったが、今日の決勝はそう簡単にはいかないだろう」 部長「なのでみんな気を抜かず、全力で試合に臨んで欲しい」 部長「特に小鍛治は昨日、誰かさんのせいで打てなかったから十分注意してくれ」 部長「他校の試合を見る限り、恐らく大将戦までには2位とそこそこ差をつけられると思う」 部長「だからと言っていきなりの決勝で緊張するなというのは無理だろう」 部長「なので状況しだいでは最初から守りに徹してしまっても構わない」 小鍛治「は、はい!がが、がんばりましゅ」 なんだか駄目そう…… _________ ________ __ 試合開始から順調だった 昨日ほどではないが火力のある先鋒、次鋒のふたりが点を取る その後堅実なうち方を得意とする中堅、副将のふたりが確実に守る 結局小鍛治の大将戦までには、2位と約3万点の差をつけて1位だった 普通ならもうほとんど勝ちは決まったようなものだが、肝心の小鍛治がなあー 小鍛治「い、いいいいいってきます」ガクガク はあー… 京太郎「うーん、なかかなあがりまで持っていけないですね」 部員2「あ、満貫」 副部長「まだ大丈夫だろうけど、緊張するわね…」 部長「当たり牌か、らしくない」 部員1「やばい追いつかれたぞ…」 副部長「ついにオーラスね…」 部員1「おっ、聴牌!」 「「…………」」 京太郎「うっしゃあーー!!ロンきたーーーー!!!!!」 部長「うるさい!」ポカ 小鍛治「た、ただいまです……」グッタリ 京太郎「おう!内容はともかく良くやったな、おめでとう!!」 部員1「2位のやつに追いつかれたときはさすがにやばかったけどな」 部長「まあいい、今日の試合は中身より結果が大事だった。勝ててよかったよ」 小鍛治「あ、ありがとうございます」グスッ 京太郎「お、おい!大丈夫か」 慌ててポケットからハンカチを取り出す 小鍛治「ち、違うの。追いつかれたとき、もうダメだって思って…それでも何とか勝つことができて――」 京太郎「そうか…わかったわかった」ナデナデ 小鍛治「うぅ…よかったよ~」ポロポロ しかし普段あまり感情を表に出そうとしない小鍛治が人前で泣くなんて 相当のプレッシャーだったに違いない そりゃそうだ、自分が負けてしまえば先輩達のインターハイが終わってしまうんだから まあ今は落ち着くまで存分に泣かせてやりますか ああもう、こんなに涙と鼻水が……制服、後で洗わないとな 京太郎「落ち着いたか?」 小鍛治「うん…」 先輩達には先に帰ってもらった 団体戦が終わったとはいえまだ個人戦があるし、それに小鍛治のこともあったから 先輩からは 部員1『すこやんのことよろしく頼むぞ、王子様!』ニヤニヤ とからかわれたが… 京太郎「改めておめでとう、小鍛治」 京太郎「まあ、その…内容はなかなかひどいものだったが勝ててよかったじゃないか」 小鍛治「ひどいって……まあぐうの音も出ないよ」シュン 小鍛治「勝てたとはいえ悔しかったよ…自分が思っていた以上に」 京太郎「………なら次、それでもダメならまた次打って、俺にかっこいいとこ見せてくれ」 小鍛治「…前向きなんだね」 京太郎「それくらいしか取り柄がないからな。約束だぞ」 小鍛治「うん。今度は絶対先輩達の足手まといなんかにならない。本当の意味で勝ってみせるよ!」 ――6月 県予選 個人戦 いよいよ俺の本番、個人戦だ 俺のいた時代とはルールが異なり、普通のトーナメント形式だ ちなみに小鍛治は参加しない。小鍛治いわく 小鍛治『団体戦だけでもやばかったのに、個人戦なんて出たら絶対雀卓にリバースするよ!』 とのことだ。まあ昨日の決勝戦を見る限り、胃に穴が空いてもおかしくなかったからな さて初日の午前の結果だが俺は見事三回戦を突破し、準決勝に駒を進めた 先輩達は部員1さんだけ三回戦で敗れたが、他3名は見事に1位通過をすることができた そして、三回戦を終えた俺は、今まさに準決勝の真っ只中 ここで最低2位なれば、部長の言った目標である上位入賞が確実となり決勝に進める 「ツモ、3000・6000!」 っ…!終盤でこれはきつい。2位でも決勝に進めるが…なんとか凌いで おっ、ツモった 京太郎「ツモのみ、1500・800」 よしっこれでいい!このまま無理せず2位通過を目指す!! それにしても1位の人やけにあごが尖ってるような… ???「きたぜ。ぬるりと……」 ____________ _______ ___ 部員1「おう!どうだった大将!!」 部員2「なにそのノリは…」 京太郎「………」 小鍛治「ど、どうしたの?」 副部長「あまりよくない結果だったのかしら」ボソ 小鍛治「きょ、京太郎くん元気だしなよ。ほら準決勝までこれたんだし十分頑張ったじゃない」 京太郎「………」 部長「京太郎くん…?」 京太郎「………」 京太郎「や、やりましたよ俺!!2位通過ですけど決勝進出ですっ!!!」 部長「へ?…………やったじゃないか!!上位入賞を目標にしろとは言ったが、ここまでやるとは…」 副部長「やったわね、すごいわ京太郎くん!」ムニュムニュ あ、ちょっ!たわわに実った果実の感触が…… 京太郎「いやぁー…そ、そんなことないっすよー//」デレデレ 小鍛治「むっ…!まだ全国行きが決まったわけじゃないんだからデレデレしない!!」 そういうと無理やり副部長を引き剥がしてしまった、おのれ小鍛治! 京太郎「そういえば、先輩達はどうだったんですか?」 部長「残念ながら副部長のみ決勝進出だ」 京太郎「そう、なんですか」 部長「なに、気にすることはない。君は次の試合のことだけ考えていればいいんだ」 小鍛治「今度は私たちも応援するから、頑張って!」 京太郎「おう!」 そしてついに決勝戦 まさか自分がこの舞台に立てるとは入部当初は全く考えてなかった 最初の大会ではすぐに負けてしまって、悔しさを感じることもなかったように思う だが今は違う。トシさん、小鍛治、部活のみんなに教えてもらって頑張ってここまで来たんだ きっと負ければ泣きたくなるほど悔しくなるだろう。だからこそ負けられない!! この人達に、俺は勝つ!!! 「狂気の沙汰ほど面白い………!」 「あンた、背中が煤けてるぜ…」 「御無礼」 ____________ _______ ___ 京太郎「あわ…あわわわ、あわわわわわわわ……」 小鍛治「だ、大丈夫…?」 京太郎「な、なんだよあれ…部長達はおろかトシさんより強いじゃんか……」ブツブツ 小鍛治「おーい」 京太郎「ぜってー高校生じゃないよ……強くてニューゲーム何度もしてるよ………」ブツブツ 小鍛治「……」 京太郎「そんなん考慮しとらんよ…」 京太郎「」ブツブツ 小鍛治「いいかげんしなさいっ!」スパーン 京太郎「はっ…!俺はいったい何を…」 小鍛治「いつまでグチグチ、京太郎くんらしくない」 小鍛治「いくらあの人外みたいな人達にボコボコにされたからって」 京太郎「そうだな……ありがとう」 小鍛治「でも負けて、ちゃんと悔しかったんだよね?」 京太郎「そりゃあ、まあ、かなり…///」 小鍛治「なら大丈夫だよ。熊倉さんも言ってた、悔しさを感じるうちはまだまだ強くなれるって」 小鍛治「さ、先輩達のところに行こう」 ???「ちょっと待ちな」 京太郎「あ、あなたは…アカギさん!」 アカギ「今日は酷い死合だったな…」 京太郎「っ……!!」 アカギ「だが…」 京太郎「?」 アカギ「だが、可能性は感じた…」 京太郎「!!」 アカギ「だから、また来い…!もう一度死線をくぐりに……!」 京太郎「は、はい!!」 アカギ「じゃあな」 こうして、俺達の県予選は終了した 女子の決勝では見事副部長が1位になり全国大会出場が決まった 結果だけ見れば、女子は団体戦優勝、副部長は個人戦でも優勝、俺は決勝まで進むことができた かなり上出来といえるのではないだろうか しかし負けは負けだ、いくらあの決勝の相手が人外の化け物だったとしても悔しいのは変わらない だから次こそは必ず、たとえ化け物相手だとしても、勝って全国に進んでやる! ――7月上旬 部員1「うい~、あっつー」パタパタ 県予選からしばらく経ち7月、かなり暑くなってきた 県予選を突破した俺達はインターハイに向けて猛練習を繰り返してきた 副部長「確かにここのところ妙に暑いわね~、なかなか集中できないわ」 汗でおブラが透けてますぜ、ぐへへ 小鍛治「こらっ!」スパーン 京太郎「いてっ!」 部員2「すこやんのツッコミも板についてきたね」 部長「ほら夫婦漫才はそこまでにして、対局に集中する」 小鍛治「め、夫婦なんかじゃありませんからっ///」 京太郎「その通りです。わたしはおもちにしか興味のない紳士ですから」キリッ 部員2「うわぁ…」 しかし暑い。クーラーは無いし、風もなかなか入ってこない。集中できないのも納得だ 部員1「ううーあちいよう~、集中できないよう~、やる気がおきなよう~」 部員2「うるさいなー、さっきから。なら一人で海でも行ってくれば?」 部員1「それだっ!!!」 部長「ダメに決まってるだろうが」 副部長「あらいいじゃない、県予選の打ち上げも結局しなかったし、ちょうどいいんじゃないかしら」 部長「いや、しかしだな…」 部員2「まあ、たまには息抜きも大事だと思うよ」 部長「うーむ」 京太郎「いいじゃないですか海!」 京太郎「照りつける太陽、砂浜を行く恋人達……はじける青春の象徴ですよ!!」 京太郎「先輩ッ!共に青春を謳歌しようぜっ!!」 部長「お、おう…」 ククク、見える見えるぞ!海=水着=ポロリ。完璧じゃあないかね、諸君 小鍛治「私は別にどっちでも――」 それは悪手じゃろ、小鍛治んコ ちっ!仕方ねえ… 京太郎「アー、小鍛治ノ水着姿タノシミダナー。キットスゴク似合ウンダロウナー」 小鍛治「た、たたたた楽しみ///!?」 小鍛治「んんっ…実は私も行きたかったんですよねー」スットボケ ちょろい 部長「んー、まあみんながそう言うなら、今週の日曜日にでも行くか?」 「「よっしゃーーーー!!!」」 部員2「私まだ水着買ってないんだよね、誰か一緒に買いに行かない?」 部員1「いくいくー!」 小鍛治「私も行っていいですか?実はそういうのよく分からなくて…」 副部長「なら私がいいの選んであげるわ」 部長「私も同行させてもらおうかな」 京太郎「私も行きますぅー。先輩にぃ似合うの選んであげるんだからっ!(裏声)」キャピッ 「「…………」」 京太郎「あげぽよ~(裏声)」 「「…………」」 部長「今日はもう終わりにしようか」 部員2「そうだね」 部員1「水着買いにいくのは土曜でいいよな?」 副部長「そうね、今から楽しみだわー」 小鍛治「どこに買いにいくんですか?」 副部長「えっとね駅前のデパートがやっぱり品揃えがいいわね。それに――」 ガラガラガラガラ 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「ありえんてぃ~、まじウケるんですけど~(裏声)」キャピッ 京太郎「……意外とイケルなこれ」マガオ ――7月上旬 日曜日 ピンポーン トシ「はーい」 小鍛治「おはようございます」ペコリ トシ「おはよう健夜ちゃん、今日はかわいらしい格好だね」 小鍛治「そ、そうですか//ありがとうございます」 小鍛治「ええと…京太郎くんお願いできますか?」 トシ「はいはい、分かってるよ。今呼んで来るからね」 -------------------- 小鍛治「お、おはよう///」 めずらしく、というか小鍛治の私服を見るのは初めてかもしれない 京太郎「おうおはよう、待たせたな。さっそく行くか」 トシ「こら、女の子がおめかししてるんだから、何か言うことがあるんじゃないのかな?」 小鍛治「べ、別におめかしなんてしてませんから///」 と言いつつ顔を赤らめてるんだから世話無い 下からブラウンのサンダル、白~ベージュのロングスカート、紺色のシャツ 手にはさっきまで被っていたであろうキャスケットを持っている まあ、正直言えば… 京太郎「かわいい」ボソ 小鍛治「え?」 京太郎「い、いやその…似合ってると思うぞ」 小鍛治「そ、そうかな//ありがと///」 京太郎「……」ジー 小鍛治「///」 トシ「……」 トシ「あーこほん、時間は大丈夫なのかい?」 京太郎「あ、そうだった早く行かなきゃ!じゃあ行ってきます」 小鍛治「い、行ってきます//」 トシ「はいはい、気をつけて行ってらっしゃい」 その後先輩達と駅で合流し、そのまま近くの海水浴場まで向かった 長野には海がなかったので、こういう行為自体とても不思議に感じたものだ そして俺は今、荷物番をしながら着替えに行った女性陣を待っているのだが… 京太郎「おうふ、緊張してきたでござる」 あー早く部長と副部長の水着姿を拝みたいものだぜ なんたって今日のメインイベントにして、人生最高の瞬間が目の前に迫っているのだ 緊張しないということがあるだろうか、いやないっ!! 部員1「京太郎ー!またせたな」 部長「荷物番ありがとう」 副部長「ふふ、おまたせ」 部員2「ごめんね、荷物番させちゃって」 京太郎「……」 おお、神よ……トイレを我慢してるときにしか信じないけど、あの神よ この機会を私に与えてくれたことを心より感謝しております 京太郎「エイメン…」 部長「どうした!?」 部長は黒を貴重としたビキニ、ビキニですよっ!?しかも紐!? もともとモデル体系なので、そのシンプルさが逆にそのスタイルを際立たせている、実にけしからん 京太郎「ブラボー、ブラボー!!」 部長「頭大丈夫か?」 副部長もまたビキニなのだがこちらは明るい色が基本だ。だがなんといってもそのパレオ! うーむ、エロいことこの上ない。その隙間から見える太ももがたまらんですたい 胸なんかこぼれそうになってるしね。支えてあげなきゃ(使命感) 京太郎「名前を付けて保存!名前を付けて保存!!」 副部長「大丈夫?日陰で休んできたら?」 部員2さんは控えめなワンピースタイプで、その性格と非常にマッチしている、うーん実にいい なんかこういうの見るとおじさん脱がせたくなっちゃうよね、ぐへへ 京太郎「エクセレントッッ!」 部員2「うわ…きもっ!」 部員1さんは……まな板かな? 京太郎「そういえば小鍛治はどこ行ったんですか?」 部員1「あれ、私は!?ひどくね!」 すると先輩達の後ろからオズオズと小鍛治が姿を現した 京太郎「ってパーカーかよ!?」 副部長「どうしてもって言ってきかなくてねー」 小鍛治「あぅ…///////」モジモジ まあ小鍛治らしいといえばその通りか… はあー… それからは全くの平和そのものだった みんな思い思いの過ごし方をしていた ビーチボールで遊んだり、泳いだり、砂遊びしたり、肌を焼いたり 決して、副部長がヤンキーに絡まれて困っているところを俺が颯爽と登場して解決したり… 部長が遊泳中に足をつって溺れかけてるところを俺が助けて、ついでに人工呼吸したり… なんてことはございません、ポロリもございません ただ、俺が作ってきた昼食をみんなに振舞ったらすごく喜ばれたのは素直に嬉しかった そして日が沈み始めて、そろそろ帰ろうという頃に小鍛治が話かけてきた 小鍛治「ね、ねえ…」 京太郎「ん、どうした?」 小鍛治「ちょっとこっち来て////」グイッ 小鍛治に連れられて、歩いていく すると人目のつかない岩場まで案内された この状況は…ま、まさか!? 京太郎「やめて! 私に乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに!」 小鍛治「何言ってるの!?」 京太郎「すまん、言わなきゃいけない気がして…」 小鍛治「もうっ!」 京太郎「んで、どうしたんだ?」 小鍛治「ええと…さ、その…」モジモジ 京太郎「どうした?も、もしかして具合が悪いのか?」 京太郎「待ってろ、今先輩達呼んでくるから!」 小鍛治「いや、違くて……その…見たい…?」カァァ 京太郎「へ、何をだ?」 小鍛治「だ、だから!その……私の水着…姿//////」ゴニョゴニョ 京太郎「う゛ぇ!?そ、そりゃあ…まあ…できれば///」 なに正直に言ってるんだ俺のおバカ 小鍛治「わ、わかった///」 小鍛治「でもあくまで京太郎くんが見たいって言ったから!仕方なくなんだからね!」 京太郎「お、おう」 パーカーのジッパーを下ろし、恐る恐るといった感じで脱いでいく なんだか知らんが、手汗がびっしりと出てきた。つまり俺も緊張している 脱ぎ終わると… 小鍛治「///////」モジモジ 白を基調としたシンプルなビキニだ 京太郎「意外、だな…」 小鍛治「せ、先輩達がこれがいいっていうから//」 京太郎「そ、そうか」 小鍛治「で、どう…かな?」 いつもならからかう場面だ しかし、夕日を浴びたその姿は正直言ってとても… 京太郎「すごく、き――」 部員1「おーい、すこやんと京太郎ー!どこだー!帰るぞー!!」 小鍛治「ひゃ、ひゃい!?」 京太郎「Oh…」 タイミング良過ぎませんかねぇ、先輩… その後、帰り支度をすぐに済ませ、帰途についた 先ほど先輩の邪魔(?)があったせいか、小鍛治とは気まづくなってしまっていた 駅で先輩達と別れ、今は小鍛治と一緒にバスが来るのを待っている 京太郎「今日は楽しかったな」 小鍛治「う、うん」 京太郎「いい気分転換になったし、これでインターハイに向けての練習に集中できるな!」 小鍛治「そう、だね」 京太郎「…なあ、あの時の水着姿だけど」 小鍛治「っ…!!さささささ、さっきあれは無し!!無しですっ!!」 小鍛治「京太郎くん忘れて!私も忘れるからっ!!そうっ、これでイーブンだから!!」 京太郎「お、おう」 なにがイーブンなのだ… 京太郎「あ、バスきた」 乗車すると俺達以外は誰もいなかった この時間帯、それに加えて元々利用者が少ないから仕方ない 小鍛治はというと相当疲れたのかバスに乗るとすぐさま『寝て』しまった 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「あー小鍛治、寝てるよな?」 小鍛治「……」ピク 京太郎「一回しか言わないからよく聞いておいて欲しいんだが…」 小鍛治「……」 京太郎「さっきは悪かった。せっかく勇気出して俺に見せてくれたのに感想も言えないなんて」 小鍛治「……」 京太郎「でもあのときすぐに言葉が出てこなかったのは、その…見とれてたからなんだ」 小鍛治「…//」 京太郎「すごく似合ってたよ。部長や副部長よりずっと」 小鍛治「…///」 京太郎「はい、恥ずかしい話おしまい。おれも寝るから着いたら起こしてくれ」 小鍛治「……ばか///」ボソ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2111.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1378467393 京太郎「……早速使ってみるか?」 咲「あ、京ちゃんどうしたの?」 京太郎「咲、ちょっと頼みがあるんだが」 咲「ん? なになに?」 咲「んっほぉぉぉぉ―――――――っ!!!! しゅごしゅぎ―――――――っ!!!」 京太郎「…………」 咲「妊娠かくじつ―――――――っっっ!!!!」 京太郎「…………」 京太郎「…………次はどうするかな」 優希「お、京太郎。咲ちゃん見なかったじゃえ?」 京太郎「……優希、ちょっといいか?」 優希「なんだじぇ?」 優希「うほっほ―――――――!! しゅごしゅぎだじぇ京太郎――――――ー!!!」 京太郎「…………」 優希「おまんこ!!!! いっちゃうじぇえぇぇぇぇ――――――――っっっっ!!!!!」 京太郎「…………」 京太郎「さて、そろそろ帰ろうかな」 和「須賀くん、優希を見ませんでしたか? 一緒に帰ろうと約束していたのですが」 京太郎「……原村、優希を待ってる間、ちょっといいか?」 和「はい? なんでしょうか……」 和「おっぱいミルク……っ 溢れてくるぅぅぅぅぅ――――――!!!」 京太郎「…………」 和「子宮におちんぽミルク注ぎ込まれながらおっぱいミルクがこぼれちゃうのぉぉぉ―――――オッホォ――ー―!!!」 京太郎「…………」 京太郎「……日が暮れてきたな」 マコ「京太郎、戸締まり頼むけぇ」 京太郎「……わかりました。でもその前にちょっとお願いが?」 マコ「お願い? なんじゃ?」 マコ「ワカメ酒が……膣を伝ってワシを酔わせるんじゃぁ………………・」 京太郎「…………」 マコ「くぅっ――――………………うほぅ………………鬼殺しはワシをどこまでホテさせるきじゃぁ………………」 京太郎「…………」 京太郎「帰るか……」 ガラッ 久「あら、残ってるの須賀君だけ? 生徒会が長引いちゃったから、残念ねぇ」 京太郎「……部長」 久「……なにかしら?」 久「んっっっっくぅぅ……・・……声が漏れちゃう…………・・っんっほぉぉぉぉぉぉぉおおおおっっっ!!!!」 京太郎「…………・」 久「おつゆが漏れて…………ストッキングが湿って……・・…… 声もロッカーの外に漏れちゃうのぉぉおおおっぉぉぉ――ー―ーーーー!!!!」 京太郎「…………」 京太郎「龍門渕高校…………」 一「あれ、君は清澄高校の……。こんなところでどうしたんだい?」 京太郎「実はちょっと頼みが……」 一「頼み? ボクに出来ることなら聞くけど……」 一「見えちゃう―――――――っっ!! 火照って…………ポッチ覗いちゃうぅぅぅつつつつうぅぅぅぅ――――――!!!」 京太郎「…………」 一「ミニスカ………………奥が見えちゃう…………・パンツ履いてないの …………バレちゃうのぉぉおおおっぉぉぉほほほほ――――――っ!!!!」 京太郎「…………」 京太郎「さすが龍門渕高校……立派な校舎だな……」 智紀「あ…………風越高校の…………」 京太郎「沢村さん、部室まで行きたいのですが、案内お願いできますか?」 智紀「コク……付いて来て……」 智紀「おっぱい大きいのっ!!! バレちゃったっっつつっ!!!! ボリュームたっぷりミルクたっぷりつまったおっぱいっ!!!!」 京太郎「…………」 智紀「揉みしだかれながらっつつっつつっっっ!!!! 特濃ザーメンかけられて 真っ白になっていっちゃうぅぅぅつつつつぅぅつっ――――――!!!!!」 京太郎「…………」 京太郎「ここが龍門渕高校の部室……」 純「お客さんか? って、風越の奴じゃねーか。一体どうしたんだ?」 京太郎「実は頼みたいことが」 純「頼みたいこと? 決勝を一緒に戦った仲だ。なんでも言ってみな」 純「んっほぉぉぉぉ!!!!! 極太男の子チンチンで、オンナの子にされちゃってるぅぅっっっっつっ――――――!!!!!」 京太郎「…………」 純「オンナきもぢぃぃいいいぃぃぃ!!!!!! 女の子おまんこ、気持ちよすぎぃぃいいいっっっ――――――つつ!!!!!!!」 京太郎「…………」 京太郎「龍門渕の部員はもっといたはずだが……」 ガチャ 透華「あら?見かけない顔がありますわね。あなたはたしか原村和のところの……」 京太郎「清澄高校の須賀京太郎です。実は龍門渕さんに今日はお願いがありまして」 透華「お願い? 一体何かしら?」 透華「んほほほぉぉぉおおおおぉぉおおおお――――――!!! 庶民おちんぽ凄すぎぃぃぃひぎぃいぃぃぃぃぃ――――――ー!!!!」 京太郎「…………」 透華「私のセレブおまんごっ!! 薄汚い底辺のっ! くっさいおちんぽ 特濃ミルクで子宮のおくまで革命されちゃってるぅぅぅ――――――っっ!!!!」 京太郎「…………」 京太郎「これで全員だったか?」 衣「あれ? 透華はここにはいないのか。 ん? 誰だお前は?」 京太郎「…………原村和と宮永咲の友人の須賀京太郎です」 衣「ノノカとサキの友達か? 今日は何のようだ?」 衣「衣のコドモおまんこが大人おちんぽに拡大されてっ!!! 成長しちゃってるのぉぉぉぉほほほぉっっっ――――!!!!」 京太郎「…………」 衣「誕生日にっ―――!!! おまんこから大人になって!!!! 真っ白なホワイトバースデー が降り注ぐの―――――――ほぉっぉおおおおお――っっ!!!!!」 京太郎「…………………………ハッピーバースデー」ボソ カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5336.html
京太郎「インターハイ、行きたかったなー……」 真佑子「だねー……」 京太郎「……」 真佑子「……」 京太郎「え?誰?」キョトン 真佑子「なんで!?」ガーン 京太郎「いやいや誰ですか!まゆこ……?」 真佑子「私だよ!多治比真佑子!」 京太郎「多治比真佑子……あの白糸台の大星淡と地区大会決勝で戦ったあの!?」 真佑子「うあっ!?そ、その名前は言わないでぇ!」ビクビク 京太郎「ただでさえ白糸台にボロボロにやられたあげく、あの顔芸を披露したあの!?」 真佑子「そこそこ善戦したよ!顔の事は……もう言わないでよ!///」カァァッ 京太郎「松庵女学院2年生、個人戦の成績が割とスゴイらしいあの!?」 真佑子「そ、そうそう……って京太郎くん後輩だよね!?知ってるよね!?」 京太郎「いやぁ多治比先輩は存在がマイナーですし」ズバァッ 真佑子「ぅぐ……こ、個人戦で出るかもしれないでしょ!」 京太郎「さっきインターハイ行きたかったとか言ってたのに」 真佑子「団体戦が!ね?……い、今はいつなんだろう……?」 京太郎「そんなことより多治比先輩、今日もツインテールが似合ってますねぇ」 真佑子「え、そ……そう?ぇへ……///」カァッ 京太郎「誕生日は12月26日ですよね?」 真佑子「私の情報を小出しにしてるね……覚えてくれてたの?誕生日」 京太郎「そりゃあ……俺は多治比先輩が好きですからね」キリッ 真佑子「ちょっ!?///」ボフンッ 京太郎「おもちが無いのが残念ですけど~」 真佑子「……幻滅」ジトー 京太郎「地味可愛い多治比先輩ステキ!」 真佑子「ほ、褒めてるぅそれ……?地味ってねぇ、雑誌にも出てるからね私!」ドヤッ 京太郎「そんなオカルト……ってマジだった!」ペラッペラッ 真佑子(都合よく持ってるのね) 京太郎「荒川憩にちゃちゃのん、レベル高ぇ……お?この子は特に可愛いな!」 真佑子「むっ……だ、誰?」ズイッ 京太郎「大星淡」 真佑子「うぎゃあっ!?2ページ特集攻撃!?」ビクゥッ 京太郎「白糸台強かったですよねー……お、宮永照」ペラッ 真佑子「この人にも結構削られたよねぇ……なんかもう強そうなオーラが出てるもん」 京太郎「ははぁ、例えるなら熱湯みたいなものですね!」キリッ 真佑子「………………へ?どういう意味?」ポカーン 京太郎「ほら、水って見た目じゃ温度が分からないでしょ?」 真佑子「は、はぁ」 京太郎「でも沸騰してるお湯は見た目で熱いってのが分かりますよね」 真佑子(……分かりにくぅ) 京太郎「大多数の人は、多少の差はあれどただの水って事ッスよ」 真佑子「つまり京太郎くんはその大多数のぬるま湯打法ってこと?」ズバァッ 京太郎「辛辣!お、俺は逆に氷点下ですから!氷のK(京太郎)と呼んでください!」 真佑子「パクリじゃん!京太郎くん、個人戦ボロッカスだったよね!」ズババァッ 京太郎「ふぐっ!オ、オーラの話ですから…………」グスッ 真佑子「あぁゴメンゴメン!……じ、じゃあ私は何度ぐらいかな~?」 京太郎「多治比先輩は影薄いんで蒸発した気体ですね」サラッ 真佑子「ヒドっ!?」ガーン 京太郎「まぁ特徴が無いのも特徴ですから、頑張れば卓上から消えたり出来るかも?」 真佑子「そんなオカr……って私は影薄くないったらぁ!」プンスコ 京太郎「ある意味で、ね?」 真佑子「むぅぅ……実はアニメ、レギュラー出演!」 京太郎「たまたまでしょ~?」ニヤニヤ 真佑子「……ホントに私の事好きなの?なんかさっきからディスってない?」ショボーン 京太郎「いやいやその絶望顔!ベリグーですよ」グッ 真佑子「えぇぇ……落ち込むぅ……」ズーン 京太郎「まぁ、それも含めて大好きですよ?多治比先輩のこと」 真佑子「………………そういう事はさらっと言うよねー……///」カァァッ 京太郎(悪口も結構さらっと言ってるけどね) 真佑子「えー、ちょっ……そっ、すす好きってさー、冗談?……冗談!?///」ズイッ 京太郎「急に大声に……えーと、じゃあ冗談ッス」 真佑子「え゙ぇー!!?」ガガーン 京太郎「その顔いただき!嘘ですって、本当に好きですから」キリッ 真佑子「あ、あぅう無限ループじゃん!?くそぅ、私も自然に顔が熱くなっちゃうしぃ……!///」プシュー カンッ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6701.html
【テコンダー咲】 清澄と白糸台。京太郎の居場所は果たしてどちらなのか? 竹井久VS弘世菫 部長同士の戦いが幕を開ける―――――! 菫「ふっ……」 モブA「あの白糸台の部長、凄い美人じゃない!?」 モブB「きゃあ~!頑張って白糸台~!」 久「くっ………」 菫「…竹井久、お前に聞きたい事がある」 久「何かしら?」 菫「京太郎は同じ麻雀部の部員だろ?どうして京太郎にばかり雑用をやらせているんだ?」 久「須賀君はまだまだ初心者なのよ。だから大会が終わるまで咲達のサポートに回ってもらう事が須賀君の正しい役割である事に他ならないわ」 菫「お前の言っている事がさっぱり分からないのだが…。ようするにお前達女子5人が楽をするのに、京太郎が弱いのままの方が都合がいいからではないのか?」 久「なん…ですって…!?」 菫「京太郎がお人好しである事を利用して京太郎を騙して使いパシリにしようという汚い魂胆なんだろ?女たらしの常習犯、悪待ちの女に相応しい卑劣極まる手口だな」 久「愚かなり無知なシャープシューター。須賀君は私達にとって大切な仲間。その証拠に全国大会前での私の回想の中で須賀君が描かれている――――」 菫「オイオイ、見苦しい言い訳だな。それなら原作123局目での回想はどういう事だ?清澄にはこんな口ばかりの奴しかいないのか?ハハハハハ…」 久「……………ギリリ」 「試合開始ー!」 久「偽乳のパッド装備の分際で清澄高校学生議会長の私を――――竹井久を侮辱した事を死ぬほど後悔させてやるわ!」ジャキンッ 久「くらえ!奥義……悪待ちチョップ!」バッ! 菫「フッ…」スッ 菫「白糸台射風襲太亜(しらいとだいシャープシューター)奥義!屈転姫騎志(くっころひめきし)撃ち!」ズキュウウウウン! 久「キャアアアアアアー!」バタッ 優希「部長ーーー!」 和「くっ…!白糸台の須賀君強奪なんて許せません!」バッ まこ「偽乳女は…京太郎を諦めて出ていけー!」バッ 菫「ふんっ!」 バキィ! まこ・和「かはっ!」バタッ 菫「他愛ない………ん?」 モブ「お…おい。あれはまさか…」 咲「白糸台は私が―――――嶺上雀士が倒してやる!」 菫「フン…ようやく真打ち登場って訳か…面白い」 咲「京ちゃんは渡さないよ…だって京ちゃんは私にとって重要な人だから」 菫「ほう…その根拠は?」 咲「京ちゃんは私の幼馴染みでクラスメイトにも夫婦だと認識されているんだよ。その証拠に原作1局目で私は京ちゃんの良い嫁さんだと茶化されている場面が描かれている――――」 菫「なるほど…だが、今のお前は他の女にうつつを抜かして京太郎を蔑ろにしている様に見えるのは私の気のせいかな?」 咲「やれやれ…真実を隠すのがお得意の哀れな偽乳っ娘はこれだから。分からないの?裏では私と京ちゃんは凄くラブラブなんだよ…その場面が皆に見られていないだけ。いずれ分かる時がくるよ…私と京ちゃんがいかに愛し合っているがね!」 菫「その様な恥ずかしい妄想をお前は本気で信じているのか?」 咲「認めたくない気持ちは分かるけど、この真実を直視するべきだよ…」 菫「ふん、いいだろう。ならそのおめでたい脳みそを狙い撃ちして目を覚まさせてやる…!」 咲「なら私は――京ちゃんを守る為に戦った皆の仇を取らせてもらうよ」 「試合開始ー!」 菫「白糸台射風襲太亜奥義!亜鉈手最帝乃屑打和(あなたってさいていのくずだわ)撃ちー!」ズキュウウウウン! 咲「宮永嶺上流秘技!魔雀手多乃死射夜音(まーじゃんってたのしいよね)ー!」ゴオッ! 咲(私は負けない…!必ず京ちゃんを守りきってみせる――――!) 一方その頃―――― 豊音「はうー、京太郎君ちょー可愛いよー!」スリスリ 白望「ダルい……京太郎、おんぶして…」グタッ… 胡桃「ちょっと二人共離れてよ!今から京太郎で充電するんだから!」 エイスリン「…デキタ!」 (京太郎を含めた6人が笑っている絵) 京太郎「ああ…俺は幸せだなぁ…」デレデレ 塞「清澄がつき、白糸台がこねし京太郎餅。座りしままに食べるは宮守…悪く思わないでね…」 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2283.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1364970846/ ペラッ 咲「………」ペラッ 京太郎「………」ペラッ 咲「………」ペラッ 京太郎「………」ペラッ パタッ 咲「ふぅ」 京太郎「ほい」スッ 咲「ん、ありがと」 咲「って、これ6巻だよー」 京太郎「5巻は俺読んでる」ペラッ 咲「えー」 京太郎「終わるまで読んでろって」ペラッ 咲「んー……」 咲「じゃあそうしよーっと」スッ ペラッ 京太郎「………」ペラッ 咲「………」ペラッ 京太郎「………」ペラッ 咲「………」ペラッ クゥゥゥ 咲「……」 京太郎「……」 咲「……」クゥゥ 京太郎「可愛い鳴き声だな」 咲「えへへ……」 京太郎「……菓子でも食うか?」 咲「うんっ」 咲「あ、これ美味しい」 京太郎「部長のオススメだとさ」 咲「どこの?」 京太郎「駅前のバス停近くのあそこ」 咲「へー」 京太郎「……」ペラッ 咲「あむあむ」 京太郎「……」ペラッ 咲「あむあむ」 京太郎「……ふぅ」パタンッ 京太郎「ほれ」スッ 咲「あ、わーい」 京太郎「……口周りチョコだらけだぞ」 咲「だって美味しいんだもーん」 京太郎「……おいおい」 咲「んむんむ」 京太郎「あーあーあーあー。 全部食っちまって……」 咲「んむ?」 京太郎「部長きっと怒るぞー」 咲「えー」 咲「京ちゃん買ってきてよ」 京太郎「こんな雨ン中行きたくねえよ」 咲「私だって行きたくないよー」 京太郎「……」 咲「……」 京太郎「今度二人で買いに行くかぁ」 咲「うんっ」 咲「あ、こっそりね、こっそり。部長に見つからないように」 京太郎「あいあい」 咲「んー……」 京太郎「んー?」 咲「いやぁ。 優希ちゃんと和ちゃんはこんな雨の中塾言ってるんだなーって」 京太郎「まぁ、大変だわな」 京太郎「……あ」 京太郎「そういやあいつらの行ってる塾も駅の近くだったな」 咲「お」 京太郎「優希に頼んどくわ」 咲「おー」 京太郎「……優希のヤロー……」 咲「? どしたの?」 京太郎「駅前のタコスと等価交換だとさ……」 京太郎「頼む意味がねえっつの」 咲「あはははっ」 ギュッ 京太郎「んっ。 ……二筒か」 咲「これはー……南!」 京太郎「……六索? あ、九索か」 咲「これは八索! 私八索の手触り好きー」 京太郎「六筒? 八筒? ……一索かよっ」 咲「むっ。 ククッ……来たぜ、ぬるりと……」 京太郎「あー、萬子わかんねー」 咲「ねー京ちゃん。白って本当はなんて言うか知ってる?」 京太郎「パイパン」 咲「えっ」 京太郎「パイパン」 咲「あうっ……」 京太郎「パイパン」 咲「も、もう止めてっ!ごめんなさいっ!」 京太郎「んー」カチッ 咲「なーにしてるのっ。ネトマ?」 京太郎「いんや、ア○ゾン」 咲「あ、また麻雀牌見てるー。この前買ったばかりじゃん」 京太郎「手積み牌は今安いからなー」 咲「ふーん。 それで? 次は何が欲しいの?」 京太郎「玄海の黒牌」 咲「……あれ? 黒牌ならこの前買わなかったっけ」 京太郎「前買った奴はオールブラック牌。今回のは背黒」 咲「あー。 染谷先輩が『あれはダメだ、打ちづらい』って言ってたやつね」 京太郎「ああ。かっこ良ければそれでいいと思ってたけど、やっぱダメだった」 京太郎「でも今回は大丈夫。間違いなく」 咲「……。 保証は何処にも~」 京太郎「ねーよッ。悪かったな」 咲「こう」カシャッ 京太郎「……もっかい」 咲「こーして、こうっ」カシャンッ 京太郎「……あぁ?」 咲「人差し指で左牌押して、親指で右に。中指と薬指で右牌を左に押すの」 京太郎「やってるがな……くそ~」ガチャッ 咲「アハハ。へったくそー」 京太郎「うっせー」 カシャンッ 京太郎「おっ!?」 咲「できた?」 京太郎「今出来た! 出来たできたぞ! よっしゃー!」 咲「ちなみに私くらいになると5枚飛ばしで出来ます」カシャシャシャシャンッ 京太郎「UZEEEEE!!」 咲「ドヤァ……」 2咲「京ちゃん、DVD見よ~」 京太郎「別にいいけど……どーせまた……」 咲「真・雀鬼5話『新宿麻雀決戦』!」 京太郎「ああ、うん。だろうと思った」 咲「ぴっぴっぴーの、ホイッ」ピッ 『坊や……包って知ってるかい?』 京太郎「しかもこっからかよっ」 咲「責任払いってことだよっ」キリッ 京太郎「……お前ホント好きなー」 咲「嶺上使いとして、パオの責任払いは夢だからね!」 京太郎「……そのうち九種九牌で流されんぞ」 咲「上等だよ……小僧……」 咲・京太郎「「ガハハハハハハッ!!」」 ガシャンッ 咲「……むぅ」 京太郎「ツバメ返しか?」 咲「うん」 京太郎「ドラマの見過ぎだろ」 咲「京ちゃんにそれ言われたくないです~」 咲「京ちゃんはツバメ返し、上派?下派?」 京太郎「なにそれ」 咲「山の上の方に仕込むのが上派、下なら下派」 京太郎「俺が知ってるのは下だけだな……」 咲「簡単だよ。 先に上山を下ろして、仕込んだ13枚と手牌を交換して、残った4枚と元の手牌合わせた17枚を上山に戻すの」 京太郎「……なるほど」 咲「こっちの方が手間かかる分綺麗なんだよ」 京太郎「まぁ、どっちだろうと自動卓の今じゃ使えねえけどな」 咲「それを言ったら夢がないよ」 咲「これとこれとこれ!」 京太郎「グ……ッ」 咲「あとは確か……コレだったはず!」 カチャッ 咲「やった!」 京太郎「がー! 白やられたー!」 ガチャッ 久「ふぅ。 あら、二人共まだいたの?」 京太郎「あ、部長。お疲れ様です」 咲「でーすっ」 久「……二人で何してるの?」 京太郎「神経衰弱です」 久「は?」 京太郎「神経衰弱」 久「…………」 京太郎「普通の神経衰弱じゃなくて、4枚当てる麻雀バージョンです」 久「……いつからこれを?」 咲「かれこれ始めて30分くらいですねー」 咲「今、私5種の京ちゃん3種でリード中ですっ」 京太郎「あと20種あんだ! まだわかんねえぞ!」 咲「へへーんっ。 やってみんさいっ」 久「……」 京太郎「あ、部長もやります?」 久「いや……私はちょっと仮眠取るわ……」 京太郎「あ、はい」 久「1時間経ったら起こしてちょーだい」 咲「はーいっ」 京太郎「おっしゃー! 今度は取るぞー!」 咲「させないもーん!」 久「……暇ねぇ……」 京太郎「えーっと……こことここが一索。 一索はこっちも……」 咲「……」 京太郎「……んでここっ」 咲「……」 京太郎「よっしゃ、一索揃った! これで10:8! もうちょっとで追いつくぜ咲!」 咲「……」 京太郎「咲?」 咲「ぐぅ」 京太郎「……」 京太郎「全く……卓で寝たら涎付くだろうが……」スッ ギュッ 咲「んっ……」 京太郎(……とりあえずソファに……) 京太郎「毛布毛布……」 咲「……zzz」 ペラッ 京太郎「……」ペラッ 咲「zzz」 京太郎「……」ペラッ 咲「zzz」 京太郎「……」スッ 京太郎「ふぁぁ……」 咲「きょう……ちゃん……」 京太郎「あん?」 京太郎「……」 咲「……」 京太郎「……」 咲「それ……チョンボ……」 京太郎「うっせ」 咲「ん……」 咲「ふぁぁ……」 京太郎「起きたか」 咲「ん、ほはよぉ……」 咲「……毛布……ありがと」 京太郎「おう」 咲「部長は?」 京太郎「10分くらい前に行った。生徒会の仕事だとよ」 咲「大変だねぇ」 京太郎「……それより顔洗ってこい」 咲「ん。そうするっ」 ナ、ナニコレー! 京太郎(部長の復讐……) 咲「まさか部長がこんなことする人だったなんて……」 京太郎「食べ物の恨みは怖いってことだな」 咲「むぅぅ……」 京太郎「さて、そろそろ帰るぞ」 咲「あ、洗牌は」 京太郎「やっといた」 咲「あぅ……」 咲「そ、掃除」 京太郎「それもやった」 咲「む、むぅ……」 京太郎「咲はダメだなぁ」 咲「むー!」 京太郎「ほら、戸締りするぞー」 咲「ま、まってー!」 京太郎「あ」 咲「?」 京太郎「傘忘れた……」 咲「ほぅ?」 京太郎「お、お菓子代も無い……」 咲「ほほぅ?」 京太郎「ていうか財布すら家に忘れてた!」 咲「ほっほーう?」 咲「あれあれぇ? アレほど人を馬鹿にしといてこの様は何かなぁ?」 京太郎「うぐ……」 咲「他人のことより自分のことすらしっかり出来てないだなんて」 咲「京ちゃんはダメだなぁ~」 京太郎「う、うっせ……」 咲「……ふふっ」 咲「悪いけど、私も傘は一つしか持ってないんだー」ニヤニヤ 京太郎「くっそ……」 咲「勿論貸さないよ? 相合傘とか期待しちゃってた?」ニヤニヤ 京太郎「してねーわバーカ」 咲「可哀想になー。この雨の中、私だけ傘さしてて京ちゃんだけびしょ濡れのまま駅まで行くんだろうなー」 京太郎「……。 帰る」 咲「ウソウソ! 冗談! 冗談だから待って京ちゃん!」 京太郎「相合傘なんてできるかっ!」 咲「わ、私だってこの歳で相合傘は恥ずかしいよ……」 京太郎「じゃあなんだよ」 咲「んっと……はいっ」スッ 咲「少しちっちゃいけど、折りたたみ傘ならあるよっ」 京太郎「咲……」 京太郎「これ、柄の部分壊れてるやつだろ」 咲「っ」ギクッ ザーッ 京太郎「ホントちっちぇえなこれ……」 咲「ごめん……」 京太郎「膝どころか腹も濡れそうなんだが」 咲「か、角度! 角度考えて傾ければ或いは!」 京太郎「柄の部分外れてて痛え」 咲「あぅ……」 咲「……やっぱり、私のと交換…」 京太郎「いらんいらん。 これでいいよ」 咲「そう?」 京太郎「ああ。 それよりホラ、もっと歩道に寄れ。 水かかるぞ」 咲「あ、うん」 アリヤトシター 咲「お菓子買ったし、月刊『アラフォー麻雀』の新刊も買ったし」 京太郎「帰るか」 咲「うん」 京太郎「んじゃ俺はこっちだから」 咲「うん。 読み終えたら貸すね、『アラフォー麻雀』」 京太郎「おう、頼んだ」 京太郎「……お菓子、食うなよ?」 咲「た、食べないよっ」 咲「……多分」 京太郎「おいおい……」 咲「えへへ」 京太郎「んじゃな」 咲「うんっ」 咲「また明日、京ちゃん」 京太郎「おやすみ、咲」 ―おわり
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/8824.html
菫『私はただひたすらに強くあろうとした……』 照「京ちゃん」 京太郎「うっす、お菓子はコレです。」 菫『そこに私が生きる理由があると信じていた……』 京太郎「あ、宮永先輩。 資料室そっちじゃないっすよ?」 照「……知ってる。 京ちゃんを試しただけだから……」 菫『やっと追い続けた人材に巡り会えた気がする……』 誠子「須賀君、明日の……」 京太郎「あ、明日のお菓子はもう用意出来てますよ。 作るものの材料と、宮永先輩用のお菓子はそっちに……」 菫『宮永係……その称号は、お前にこそふさわしい……』 京太郎「いやいや……格好良くモノログってるのも良いんですけど、もうちょっとアドバイス貰えませんか……?」 菫「あぁ、すまない。 あと他にはだな……」 そんな、白糸台に派遣された京ちゃんの日常。 カンッ!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4472.html
男子がいるってことは連絡済み ―麻雀部部室― 梢「本日は皆さん、全裸お茶会にお集まりいただいてありがとうございます」 部室には人がたくさん。 美幸「うわ~、人がいっぱいだよもー」 劔谷。 洋榎「全裸お茶会て……こらまた、どういう風の吹き回しや?」 姫松。 竜華「でもええやん、楽しそうやし」 千里山。 灼「ハルちゃんも来ればよかったのに、裸見たかったな……」 阿知賀。 やえ「ニワカの裸は相手にならんよ」 晩成。 憩「まさかウチも呼んでもらえるとは思わんかったわぁ」 三箇牧。 京太郎「……」 そして俺。女子22人に対して男子は俺1人。 良く言えばハーレム。悪く言えば1人ぼっち。 絹恵「この人が須賀っちゅ~人でしょうか?」 澄子「ええ、そうですよ」 友香「ウチの唯一の男子部員でー!」 穏乃「へー、そうなんだ」 京太郎「ど、どうも」 一瞬、場を沈黙が包む。 やっぱり、男は要らないんでしょうか。 怜(なんや、ごっつイケメンやないか……) 玄(ふ~む、なるほどなるほど) 由子(可愛い顔してるのよー) やえ(お見せしよう!王者の裸体を!) 憩(う、ウチも負けへんで!) 莉子(わ、私だって……) うわ、みんなジロジロ見てくるなぁ。 京太郎「あの、やっぱり俺出て行った方が……」 やはり男1人は雰囲気を乱すだろう。 恭子「いや、何を言うとんねん」 漫「女ばっかりですけど、気にする必要ないですよ」 憧「そうよ、楽しまなくちゃ!」 宥「仲間外れは……寂しいよ?」 セーラ「俺も男みたいなもんやし、気にすんな!」 泉「あ、一応言っとくと先輩は女やで!」 浩子「まあ男にしか見えませんけどね」 一同「HAHAHA」 ……ありがたい。 俺はここにいてもいいんだ。 梢「さあ、そろそろよろしいでしょうか」 美幸「全裸お茶会の始まりだよ!」 【胸を視る者】 怜「はぁはぁ……玄ちゃん」 玄「ト、トキさん……な、なんですか?」 怜「おっぱい揉ませて~な…お願いやで」 玄「え!?む、胸ですか?」 怜「嫌なんやったら膝枕でもええからさ……」 怜「竜華のには飽きたんや……」 玄「うぅ、椿野さん……助けて」グスッ 美幸「園城寺怜!私のおもちを揉むんだよもー!」 怜「……いや、あんたのはええわ」ゲス 美幸「なんで!?私のおもち、揉みたくないの?」 怜「だってなぁ……将来性を感じへんしな」 美幸「?」 怜「おっぱいを揉んで揉んで揉んで揉んで……大きくさせていくのが楽しいんやんか」 怜「実際、竜華が巨乳なんはウチの毎日の揉みしだきの成果やし」 美幸「??」 怜「要するに、あんたのおもちは将来性ゼロっちゅーことやで」 美幸「え……え!?」 怜「もう大きくなることもないやろな」 怜「萎びていくばっかりやと思うで」 美幸「」 怜「ご愁傷様、ほな……」 怜「ぐへへ……玄ちゃ~ん」 美幸「……」 美幸(豊胸手術の時間だね!) 【看護婦登場】 宥「………ぁ……ぁ……さ、寒い……」ピクピク 京太郎「!?」 京太郎「ちょ、どうしたんですか!」 京太郎「って体冷た!」 憧「宥姉……やっぱりね」 京太郎(やっぱり?) 京太郎「と、とにかく痙攣してるし……大変だ……」オドオド 憧「ああ、放っておいていいよ……いつもの事だし」 京太郎(いつもの事!?とんでもない病気か何か?) 京太郎「だ、誰か医者はいないのか!」 憩「ここにおるで!看護婦が!」 憧「憩さん?」 京太郎「荒川さん、看護婦なんですか!?」 憩「いや、ホンマの看護婦じゃないで?」 憩「ただ看護婦のコスプレが趣味なだけで///」 京太郎(え、何それは) 憩「コホン……とにかくウチが来たからには安心やで!」 憩「ちゃっちゃと、この人助けたるからね~」 憧(憩さんってこんなキャラだったっけ) 憩(わくわくするで……1回やってみたかったんや~、こーゆー事) 憩「じゃあ行くで!」 憩「メス!」 京太郎憧(?) 憧(……アンタでしょ) 京太郎(俺!?) 京太郎「あの……俺に対して言ってるんですか?」 憩「そうやで、君は助手や」 憩「主治医が『メス』言うたらメス出さんと!」 憧(看護婦はオペしないでしょ) 京太郎(そうだよなぁ) 憧(!?……こいつ、直接脳内に) 京太郎「って、メスなんて使って何するんですか!?」 憩「?……切開しよかなーと」 憧「アホかっ!」 【王者の茶道】 梢「どうぞ」 由子「ありがとうなのよー」 ズズズ 由子「……美味しいのよー」 由子「すごく美味しいのよー、このお茶」 梢「ありがとうございます、真瀬さん」 由子「由子でいいのよー、同い年だし」 梢「ふふ、そうですね」 梢「では私の事も梢と呼んでくださいね」 由子「分かったのよー」 穏乃「……」 澄子「高鴨さん、お茶を点てるときはもっと力を抜かないと」 穏乃「す、すいませんっ」 穏乃「茶道って難しいなー」 梢「あっちも何とかやっているようですね」 由子「微笑ましいのよー」 やえ「失礼、私もやっていいだろうか?」 梢「あ、どうぞ」 やえ「では……」 やえ「お見せしよう!王者の茶道を!」 ダッダッダッ 梢由子(!?) 梢「ちょ、小走さん?」 由子「力が入りすぎなのよー」 やえ「もっと、もっとだ!」 由子「熱いお茶が飛び散るのよー」 穏乃「よし、大分コツがわかってきたぞ」 穏乃「依藤さーん……って熱っ!あちー!」 澄子「?、高鴨さん……どうしましたか?」 澄子「何をそんなに悶えて……熱いっ」 由子「みんな全裸だから、ダメージがデカいのよー」 梢「そうですね……ひゃっ、熱い……」 由子「こっちにもお茶が飛んできてるのよー、熱いのよー」 やえ「……」 やえ「はっ……私は何を」 梢(もうやだ……) カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/7005.html
ビーッ! アナウンサー「試合、しゅーりょーっ。西東京を制したのは、王者白糸台高校です」 ワーッ! ワーッ! 淡「(ふふ~んっ♪楽勝楽勝♪)ありがとうございましたぁ!」ペコッ 他校A「あ、ありがとです……」 他校B「良い試合……でしたぁ……」グスッ 真佑子「ありがとうございました……(負けちゃった……私も努力したつもりだったのに……ごめん、ごめんね皆……ごめんね、京太郎……)」ウルウル 廊下 淡「さぁて王者の凱旋だよっ♪テルーに褒めてもらわなきゃ!」タタッ ドンッ! 淡「ふぎゃッ!?」ドサッ! 京太郎「うおっ!?……ってすまないな、あんた大丈夫か?」スッ 淡「あわ~……星が見えそうだったよぉ~……じゃなくて此方こそごめんね、浮かれちゃってつい……」パシッ グイッ! ポフッ 淡「あうっ?(わっ、何これ身体かったい!……男子とこんなに接近したことなんて初めてかも……)」ドキドキ 京太郎「うん、怪我は無かった様で何よりだ……あっ、今気づいたけど白糸台の大星選手か?」 淡「ん?そうだけど……そっちも選手?」 京太郎「いや、応援だよ。もう終わったけど」 淡「へ~、お疲れっ!……ねぇねぇ、名前は何て言うの?」 京太郎「京太郎、須賀京太郎だ」 淡「キョータロー……うん、覚えた!」 ティロンッ 淡「あっ、スミレから……えへっ、それじゃキョータロー!急がないと行けないからまたね!」タタッ 京太郎「はいはい、また!……やれやれ、妙に初対面に思えない娘だった……さて」 ポスッ 京太郎「……ん?」チラッ 真佑子「……」 京太郎「……真佑子?」 真佑子「……ごめんね……背中、借りるね……」ギュッ 京太郎「……おう」 真佑子「うぅ……グスッ、ヒック……!ウェエエエエン……!」 京太郎「……お疲れ様、本当に良く頑張った……」 真佑子「グスッ、エグッ……(ああ、京太郎の背中安心する。大好きな京太郎の、許婚の香りとぬくもりがあるだけ、私は幸せなのかなぁ?)」 スンスンッ 真佑子「……?(あれ?)」 スンスンッ 真佑子「……(違う、いつものと違う匂いがある……女性物のシャンプーの匂い……)」グッ 京太郎「おう、落ち着いたか?」 真佑子「……ねぇ、京太郎」 京太郎「?」 真佑子「浮気は……嫌だからね?」 京太郎「え?あっ(なるほど、さっき……)違う違う、誤解だよ。さっきこっち来る途中で大星選手が走ってきてぶつかっちまったから、その匂いだろ?」 真佑子「そ、そうだったの?良かった……今すごく不安になっちゃった」ギュッ 京太郎「安心しろって、俺達許婚だぜ?」ニコッ 真佑子「……うん、そうだよね……でも、不安にさせたから……ン……」スッ 京太郎「……(誰も、いないよな?)」キョロキョロ チュッ チュッ 真佑子「フゥ……ン……ひょう……ふぁ……♪」チュル チュッ 京太郎「(やべえ。これ、キスだけで終われる気がしないんだが……)たしか、この近くに空き部屋あったよな……そっち行こう」 真佑子「……うん♪」コクッ 白糸台控え室 淡「あっ」 照「? どうかした、淡?」 淡「ううん、なんでもな~いなんでもな~い♪」ピョンッ 照「……そう」 淡「(キョータロー、どこの高校か聞き忘れた……でもあそこに来たってことは決勝の三校のどれかだよねぇ……後で控え室覗きに行ってみよ!)」タタッ その後、たまたま情事におよぶ京太郎と真佑子を発見してしまった淡はこう語ったと言う。 淡「恋愛は、しばらく良いや……」 と。 カンッ!