約 969,226 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2271.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1359722728/ 20xx年2月1日 ―清澄高校― 麻雀部部室 京太郎 「失礼しまーす」 久「あら、須賀くんお久しぶりね」 京太郎「久先輩お久しぶりです、今日はどうして部室に?」 久「須賀くんから部長って呼ばれないのも新鮮ねぇ」 久「今日は現部長まこのお願いでみっちり須賀くんを鍛えるわよ!!」 京太郎「だからまこ先輩居ないんですね……ところで他の3人は?」 久「他の3人も今日は来ないわよ」 京太郎「じゃあ俺一人で先輩の相手をするんですか……」 久「不満そうねぇ?」 京太郎「まさか、今日の指導よろしくお願いします」 久「うんうん、いい心構えね」 久「さぁ、ビシバシ行くから覚悟しなさい!」 久(それにしてもどのくらい時間稼げばいいのかしら?聞いとけばよかったわね) ―清澄高校の帰り道にある商店街― 優希「いくじぇいくじぇいくじぇ~」ドタドタ 和「ゆーき!!そんなに走ったらコケますよ」 まこ「相変わらず元気じゃのう」 咲「み、みんな待ってよー」 咲「今日は皆で京ちゃんの誕生日プレゼントを買いに来たんだから」 優希「ごめんだじぇ咲ちゃん」 和「それにしても明日が須賀君の誕生日だったとは、初耳です」 咲「あはは……京ちゃんあんまり自分の誕生日覚えてないから」 優希「しっかし犬も幸せものだじぇ、部活の皆からプレゼントが貰えるんだから」 和「まぁせっかくの誕生日ですから」 咲「みんなはもう誕生日プレゼントは決めた?」 優希「バッチリだじぇ」 和「同い年の男性に贈り物をするのは初めてですけど一応の目処はつけて来ました」 まこ「よし、じゃあ店を回ろうかの」 -タコス屋- 和「な、なんでタコス屋なんですか……」 タコスのおじちゃん(56)「おう!優希ちゃん待ってたぜ!」ビシッ 優希「私は今日この日のためにおじちゃんにあるお願いをしてたんだじぇ」 咲「お願い?」 おじちゃん「ふふふ、嬢ちゃんそれはな………これだよ!」ピラッ 優希「タコス無料券10枚綴り!!」 優希「私がもらって嬉しいプレゼント、第1位だじぇ!!」 おじちゃん「この店だけでしか使えない特別仕様よ!優希ちゃんにだけの限定サービスだぜ」 優希「これを受け取ったらあの犬も涙を流して喜ぶはずだじぇ」 咲「あはは……優希ちゃんらしいというかなんというか」 咲「でもとってもいい誕生日プレゼントだと思うよ!」 優希「ここのタコスは私の中でも1、2を争う名店だじぇ」 おじちゃん「優希ちゃん、なんて嬉しいこと言ってくれるんだ!おじちゃん涙が出てくるよ」 優希「へへ///おじちゃんにはお世話になってるから…」 和「それでは次のお店に向かいますか?」 優希「そうするじぇ、おじちゃ~んありがとー」フリフリ おじちゃん「おーう優希ちゃんこれからもご贔屓にな~」フリフリ まこ「さて、じゃあ次はどこに向かうかのぅ」 和「たしか雑貨屋さんがこの近くにあったと思います」 咲「なら次は雑貨屋さんだね」 -雑貨屋- 咲「和ちゃんは誕生日プレゼントはどんなものにしたの?」 和「私は須賀君の趣味はよくわからないので実用的なものにしようと思ってます」 和「とりあえずフォトフレームかボールペンでしょうか」 まこ「ふむ、ボールペンならこのエトペンがモデルになったやつなんかどうじゃ」 和「あっ、それ自分用に欲しいですね」 咲「和ちゃんなんのために雑貨屋にきたの…」 優希「んっ……あれは………」トトト 咲「京ちゃんにはこのパーカーのボールペンなんかどうかな?」 和「そうですね……値段もそれなりですしこれにしましょうか」 優希「咲ちゃん咲ちゃん」ポンポン 咲「どうしたの優希ちゃ………」 優希「ドヤァ……………」ハナメガネ 咲「プッ………ってあわわわ」グラグラ まこ「おっと、こんなところでコケんでくれよ」ガシッ 咲「あわわ、染谷先輩ありがとうございます……」 和「ゆーき!!」 優希「咲ちゃんごめーんだじぇ」 咲「あはは………優希ちゃん今日は勘弁しないよ!」ゴッ 優希「ダッシュでにげるじぇ~」 まこ「まったく、何やっとるんじゃあの二人は」 和「丁度いいですし、このボールペンの精算してきますね」 まこ「おう、行ってこい………ってそのエトペンボールペンも買うんじゃな」 和「………///」 -本屋- まこ「次は本屋か……ここで買うのは?」 咲「はい!私です」 和「本……ですか?須賀君はあまり読書家には見えませんけど」 優希「犬はバカだからなぁ」 咲「読書用の本じゃなくて、麻雀教本を買ってあげようと思って」 咲「最近京ちゃんも頑張って練習してるし」 和「麻雀教本だと……………このコーナーですか」 『振り込まない麻雀の鉄則:著 大沼秋一郎』 『都内のカツ丼名店集vol1:著 藤田靖子』 『牌のお姉さんが教える-ここから覚える麻雀!-:著 瑞原はやり』 『中級者必携 手配の育て方全集:著 三尋木咏』 『年下の男の子を落とす100の方法:著 小鍛治健夜』 和「なんというか……ここに置いていてはいけないものがいくつかあるような……」 まこ「藤田プロのこれはグルメ雑誌かなにかかのぅ」 和「それにものすごく役に立ちそうにない雑誌が………どれとは言いませんけど」 優希「それで咲ちゃん、この中のどれにするんだじぇ?」 和「初心者向けは瑞原プロですが、最近の須賀君向けとなると……」 まこ「京太郎は振り込んでのトビが多いからのう、大沼プロの本がオススメじゃな」 優希「手配の育て方も興味があるな、日本の打点王だじょ」 咲「いえ、実はどの本を買うかはもう決まってるんです」 まこ「ほう、それはそれは」 咲「京ちゃんに麻雀の本を買うならこれしかないと思うんです!」 『ア◯ギ ~闇に降り立った天才~』 まこ「え…」 和「え…」 優希「え…」 咲「これにします!」 優希「と、とにかくこれで後は染谷先輩だけだじぇ」 まこ「あー、実はのぅ」 まこ「わしはもう用意してあるんじゃ、店の馴染みの客がいい商品を持ち込んでくれてのぅ」 和「そうなんですか?」 まこ「たしか京太郎は麻雀牌を持っておらんかったろう」 咲「家で一緒に打つ人が居ないからですね」 まこ「麻雀部員だったら自前の麻雀牌くらい持っておいたほうがいいじゃろう?」 まこ「もう2ヶ月で一年生も先輩になって新入部員が入ってくるしのぅ」 和「なるほど、確かに後輩の男子部員などに教えるときに麻雀牌を持ってると便利ですよね」 優希「机さえあればどこでも出来るじぇ」 まこ「うむ、じゃからあとは今時間稼ぎをしてくれとる先輩にメールを送らんと」 まこ「よし、送信」ピピッ 和「この後はどうするんですか?」 まこ「明日の準備はもうだいたい済んどるしここで解散じゃのう」 優希「よーし、明日は犬をびっくりさせてやるじぇ」 和「それではゆーき、染谷先輩、咲さんまた明日」フリフリ 優希「咲ちゃーんまた明日だじぇ~」フリフリ まこ「寄り道せずにかえりんさい」フリフリ 咲「はい!お疲れ様でした」 咲「………………」 咲「みんな帰ったよね?……アレ取りに行こうっと」 ―清澄高校― 麻雀部部室 PC「ツモ リーチ風牌混一色ドラ1 跳満です」ネトマッ 久「ちょっと見ない間に随分成長したわねー」 京太郎「そりゃまぁ、そろそろ麻雀を始めてから1年になりますしね」 京太郎「それに、IH終わってから部活の皆にこれでもかと鍛えられましたから」 京太郎「今年の春から入ってくる新入生にも教えないといけませんし」 久「点数計算も出来なかった須賀くんが………時間は過ぎるのはほんと早いわね」 京太郎「先輩そんなこと言ってるとふけて」 久「」グリグリ 京太郎「ちょ、先輩痛いです!頭グリグリするのヤメテ!」 ピピッ 久「っと、私の携帯だわ」チラッ 京太郎「あー、もういい時間ですし切り上げますか?」 久「そうね…ん。そうしましょうか、私の用事も終わったし」 京太郎「誰か待っていたんですか?」 久「そういうわけじゃないんだけどね…。じゃ、須賀くん今日はお疲れ様」 京太郎「いえ、久先輩こそご指導ありがとうございました」ペコリ 久「部屋の鍵は私が返しておくから」 京太郎「はい、お疲れ様です」 久「須賀くん、ちょっと待って」 京太郎「………どうしたんですか?」 久「…………ううん。なんでもないわ」 久「頑張ってね」 京太郎「…?はい、お先に失礼します」ガチャ 久「みんな青春してるわねぇ…」 久「今日は美穂子のところにでも転がり込もうかしら?」 ―清澄高校の帰り道にある商店街― 咲(お店に受け取りに行ったし、もう明日の準備は万端かな……) 咲(京ちゃん喜んでくれるといいなぁ) 咲(去年はあんまりプレゼントを渡せるような関係じゃなかったし…) 咲(もしかしたらプレゼント渡した後あんなことやこんなことも……) 咲(京太郎「咲、誕生日プレゼントありがとうな。俺からの返事はこれだ!」ゼンラッ とか) 咲「……………えへへ///」フラフラ 京太郎「………あの道の真ん中でフラフラ歩いてんの咲だよな…」 京太郎「……………」 京太郎「いや、スルーは無いな。声かけとくか」 咲(もしかしたら明日でいくとこまでいっちゃうかも!) 咲(あ……結婚式とかどうすればよかったんだっけ?) 咲(こないだ読んだゼ◯シィに書いてあったような……) 京太郎「おい!大丈夫かお姫様?」 咲「ひょわぁ!!」 京太郎「おわっ、咲暴れるなって。俺だ、俺!」 咲「きょ…京ちゃん!どどどどうしてここに?」 京太郎「いや、俺としてはお前がここにいることのほうが…」 咲「わ、私はみんなと本屋に行って、それで……」 京太郎「……ああ、新しい本を買ってたのか」 咲「は、はわっ。そ、そうだよ!新しい文庫が出てたから…」 京太郎「はは、相変わらず咲は文学少女だなぁ」ナデナデ 咲「ちょ、京ちゃん///道の真ん中だと恥ずかしいよ………」 京太郎「悪い悪い、ちょうどいい位置に頭があったもんだからさ」 京太郎「もうあたりも暗いし家まで送ってくよ」 咲「あ、ありがとう。京ちゃん///」 咲「ねぇ京ちゃん」 京太郎「どした?」 咲「明日、部活あるの覚えてる?」 京太郎「お前は俺をなんだと思ってるんだよ…土曜で学校は休みだけど午後から部活だろ」 咲「うん、午後3時からだからね!時間を守ってね!」 京太郎「にしても随分中途半端な時間だな…昼からじゃダメなのか?」 咲「う、うん。みんなが揃うのが午後3時らしいから。それに合わせて来て」 京太郎「よし、分かった……話してたら、もう咲の家か」 咲「京ちゃん送ってくれてありがとう、また明日学校でね」フリフリ 京太郎「おう!また明日な!」 ガチャ 京太郎「…………」 京太郎「さて、帰りますかね……」 ―須賀家― 京太郎「母さん、明日部活で学校行くから昼過ぎたくらいに家出るからよろしく」 京太郎母「あら?そうなの。…あ、明日は夕飯までには帰って来なさい。それまでは好きにしていいから」 京太郎「…?ああ、そのつもりだけど」 京太郎母「ちゃんと分かってるのかしら……」 京太郎「分かってるって、夕飯には間に合うようにするから」 京太郎母「それなら良し!」 京太郎「ったく、じゃあ俺もう寝るから」 京太郎母「はーい、おやすみ~」 カピー「キュー」 京太郎「カピーもおやすみ、また明日な」 カピー「キュー」スリスリ ―翌日の午後3時前―清澄高校麻雀部部室前― 京太郎「さて、時間は……約束通りちょうど3時前だな」 京太郎「しっかし、旧校舎にも通い慣れたなぁ」 京太郎「相変わらず『麻雀部』の札はそのまんまだし」 京太郎「なんだかんだ1年間近く頑張ってきたんだ……」 京太郎「俺も少しはあいつらに近づけたかな」 京太郎「…………」 京太郎「よしっ、今日も気合入れて行くか!」 京太郎「おはようございまーす」ガチャ 咲「京ちゃん!!!!」 京太郎「!?」 咲染優和「誕生日おめでとう!!」 京太郎「え…………あっ!」 優希「きょうたろーう!!」ダキッ 京太郎「うわっ、おい優希!急に飛びついてくるなって。倒れる倒れる!」 優希「私からの誕生日プレゼントを受けとれーい!」 京太郎「これは…おっちゃんの店のタコス無料券!あの店こんなことしてたのか!?」 優希「おじちゃんが作ってくれたんだじぇ、特別仕様だじょ」 京太郎「あそこのタコスはウマイからな、ありがとう優希」 京太郎「でも流石に退いてくれ、そろそろ重い……」 優希「おもっ……!このバカ犬!」バシバシ 京太郎「いてぇ、いや本気で痛いから止せ!」 和「それでは次は私から、どうぞ須賀君」スッ 京太郎「これは、今開けてもいいか?」 和「ええ、むしろここで開けてもらわないと困ります…ふふっ」 ガサガサッ 京太郎「これは、ボールペンか!高そうだな…」 和「ごめんなさい、須賀君の好みがよくわからなかったので実用的なものを、と」 京太郎「いや、嬉しいよ。大切に使う」 まこ「わしからはこれじゃ」 京太郎「これは麻雀牌と、マットですね…牌が黒い!かっこいいですねこれ!」 まこ「そうじゃろう、そうじゃろう。そう喜ばれると買うてきた甲斐があったわ」 京太郎「なんというか厨二心をくすぐられます、ありがとうございます染谷先輩」 まこ「これを使って来年度からの新入生の指導も頑張ってくれるかの」 京太郎「男なら黒!ってことですか?頑張ります!」 咲「京ちゃん!私からはこの本だよ!」 『ア◯ギ ~闇に降り立った天才~』 京太郎「ア◯ギさんの本じゃねーか!あの人本も出してたんだな」 咲「この前の秋の大会で京ちゃんあの人とすごく仲良くなってたから」 京太郎「さすが幼馴染、よく見てるな」 京太郎「ありがとう咲、うれしいよ」ナデナデ 咲「えへへ……///」 優希「むー………」 まこ「はいはい、全員プレゼントも渡し終わったしケーキを切り分けるかのぅ」 京太郎「ケーキもあるんですか!?なんというか申し訳ないです」 和「このケーキは元部長からのプレゼントだそうですよ」 京太郎「久先輩が俺に…あとでありがとうって連絡しとこう」 優希「ケーキ食べたら麻雀を打つじぇ!今日の総合最下位は部室に残って片づけな!」 京太郎「おう!乗ってやるよ。今日の俺はひと味違うぜ!!」 優希「ツモ!!おやっぱね!」 京太郎「ぐわぁぁぁぁぁ!」 和「須賀君、その牌です!平和タンヤオドラ1は5200」 京太郎「ぬわぁああ」 咲「カン!カン!カン!……ツモ!嶺上開花三槓子、親だから4000オール!」 京太郎「ファ!?」 咲「一本場だよ、京ちゃん」ニッコリ 咲「カン!カン!……ツモ!嶺上開花対々和タンヤオ、6000オールから6100!」ゴッ 京太郎「」マッシロ 咲「麻雀って楽しいよね!京ちゃん!」 京太郎「」ポロッ 和「ロンです、タンヤオドラ1は2600の3200」 優希「ゴミ手和了ったじぇ、1000、500」 京太郎「」 … ……… …………… 和「それで結局最下位ですか……」 まこ「飛ばなくなっただけでも成長かのぅ…」 京太郎「」プスプス 咲「京ちゃん大丈夫?」 京太郎「」ムクリ 京太郎「くっそー、今日は負けたけど今度は負けねぇ」 京太郎「週明けの部活は覚悟しとけよ!タコス娘!!」 優希「また返り討ちにしてやるじぇ!じゃあまた今度な~バカ犬!」バタン 和「ゆーき待ちなさい!須賀君今日は片付けおねがいしますね」ペコリ 京太郎「おう、負けは負けだしな。そんじゃまた週明けに」 まこ「まったく慌ただしいのう、京太郎あとは頼んだ」 京太郎「おまかせあれ!!」 ガチャ 咲「京ちゃんほんとに一人で大丈夫?」 京太郎「大丈夫だって、去年の雑用生活で体力とかは十分にあるしな」 京太郎「だから先に帰ってくれても大丈夫だぞ?」 咲「………ううん、ここで待ってる」 京太郎「そっか、分かった」サッサッ 咲「ねぇ京ちゃん」 咲「掃除が終わったら大切な話、いい?」 京太郎「それで…話ってなんなんだ?」 咲「その前に私からもう一つの誕生日プレゼントをあげるね」 京太郎「これは…箱か?」 咲「うん、開けてみて」パカッ 京太郎「何が入ってるんだ?……指輪?」 咲「京ちゃんの誕生石のアメジストの指輪、どうかな?」 京太郎「そりゃ嬉しいけど、これは……」 咲「私がさ、京ちゃんに誘われて麻雀部に来てからもうすぐ1年」 咲「辛いことや大変なこともあったけど、和ちゃんとか部活の友達も出来たし。全国の決勝でもお姉ちゃんと話せて」 咲「私、本当に嬉しかったんだ」 咲「京ちゃんがずっと支えてくれたおかげだよ」 京太郎「俺は大したことはしてないって」 京太郎「咲がそこまで頑張れたのは、咲の努力と麻雀の神様が咲を見守ってたからだ」 咲「ううん、それだけじゃないよ」 咲「私の中で家族に並んで大切なものがあったから、ずっと心のなかで一緒だった人がいたから」 咲「だから、私は京ちゃんが………」 京太郎「待った!」 咲「す……ふぇ!?」 京太郎「そっから先を言う前に俺も伝えたいことがあるんだ」 京太郎「…………いいか?」 咲「…………うん」 京太郎「最初お前を誘ったときは俺はただのカモだと思って部室まで連れてきたんだ」 京太郎「その時の俺は咲の家族の問題とか、麻雀に対する思いなんて何も考えちゃいなかった」 京太郎「俺はおもちが好きだったからさ、和に近づくために咲を利用したと言っても過言じゃないと思う」 咲「うん、知ってるよ。だって京ちゃん分かりやすかったから…」 京太郎「でもさ、地区大会で優勝して。全国大会でも強豪校と鎬を削りながら戦ってる咲の姿を見て」 京太郎「あらためて思ったんだ」 京太郎「咲、俺は麻雀部に入る前の教室で小説を読んでた文学少女な咲が好きだ」 京太郎「俺が強引にレディースランチに誘った時のムッとした顔の咲も好きだ」 京太郎「そしてなにより、楽しそうに麻雀を打ってる咲が大好きだ!」 京太郎「だから俺と付き合ってくれ、咲!」 咲「はい………よろこんで!」 京太郎「そうだ、この指輪は咲がつけてくれないか」 咲「えっ!でもこの指輪は京ちゃんにあげたものだよ」 京太郎「俺のものなんだから好きにしてもいいだろ。ほら左手出して」 咲「この指輪は私が京ちゃんに着けてあげたかったのに」ボソッ 京太郎「それではお姫様、お手を拝借」 咲「わっ、強引だよ!京ちゃん」 京太郎「薬指は未来のために取っておくとして、中指かな?」 咲「でも、この指輪京ちゃん用につくったものだからブカブカだよ」 京太郎「いいんだよ、明日一緒にお店に行って咲用に打ち直してもらうから」 咲「もう、京ちゃんはほんとに強引なんだから」 京太郎「そういうとこも含めて好きなってくれたんだろ… 目を閉じてくれるか?」 咲「ん………///」 京太郎「ふっ……ん…」 咲「ぷはっ、……京ちゃん///」 京太郎「はは、顔真っ赤だな咲。そうだ今日は俺の家に飯食いに来てくれよ」 京太郎「母さんや父さんに報告させてくれ、自慢の嫁さんをやっと連れてきたよって」 咲「嫁さん///……まだ嫁さん違います!」 咲「恋人です!!」 カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6452.html
朝- 京太郎「ん……」zzz 京太郎「ふぅ、寝覚めの良い朝だな」 トシ「目覚めるのが早いね」 京太郎「お、トシさんどうもです」ペコッ トシ「みんなを起こしてあげてくれるかい?」 京太郎「了解です」 ガラッ 京太郎「みん……」 豊音「ふぇ?」キガエチュウ 塞「ん?」オナジク 胡桃「あ」オナジク 白望「……ダル」オナジク エイスリン「ヒャワッ!?」バッ 京太郎「す、すみませんでしたぁっ!!」 ピシャッ! 豊音(み、見られちゃった……こ、これはもう……結婚だよー)ハワワワッ 塞(み、見られても嫌な感じしなかった、わ、私どうした!?)アセッ 胡桃(み、みんなの体と比べて貧相だし、うわぁ~)ブンブン 白望(別に、良いけど) エイスリン(見られた!見られちゃった!?)カァァッ 45日目- 京太郎(くそっ、気まずい!?朝食が美味い!) トシ(こりゃなんかあったね) 豊音(うぅ、顔まともに見れないよー)カァッ 塞(昨日あんなことあってただでさえ気まずいのにっ)カァッ 胡桃(とりあえず、この後は祠だよね) 白望(ダル……) エイスリン(きょ、京太郎に、見られたっ)カァァッ 京太郎「結局そのまま朝御飯を食べ終わってしまった、どうするか」 京太郎「あの~胡桃さん?」 胡桃「ん、京ちゃんどうしたの?」 京太郎(気にしてない?) 京太郎「いえいえ、ところで蔵に行くにしてもどうしますか……今から行っちゃいます?」 胡桃「あぁ、その方が良いかもね」 京太郎「じゃあ行きましょうか」 トシ「おや、どこか行くのかい?」 京太郎「ちょっと蔵に」 トシ「なるほどね、気を付けて行ってくるんだよ」 京太郎「はい」 12次元の鏡の間の祠のある蔵前- 京太郎「さて、入りましょうか」 胡桃「う、うん」ゴクッ 京太郎「手、繋ぎますか?」 胡桃「こ、子ども扱いいくない!」 京太郎「……はい」ニコッ 胡桃「ちょ、ちょっと心の準備が!」 京太郎「やっぱり手、繋ぎましょうか」ソッ 胡桃「……ごめんね」 京太郎「いえ、可愛らしいじゃないですか」 胡桃「……馬鹿に、してるでしょ?」ジトー 京太郎「してませんよ、男としては守り甲斐があるってもんです」フフン 胡桃「そ、そっか」ギュッ 京太郎「さて、行きましょう」 胡桃「うん!」 ギィィッ 京太郎(この手は……離さないように)ギュッ スカッ 京太郎「あれ、胡桃さん……いない?胡桃さーん!」 京太郎(ていうか周囲も異常なほど暗い、だと?) 鏡「」ギュォッ 京太郎(俺が写って……でも、なんか違う?) 12次元の鏡 鏡「」ゴゴゴゴッ 京太郎「ん?」 鏡「」ビュオッ 京太郎「なっ、風っ!?」ブォッ 鏡から溢れた風により吹き飛ばされる京太郎。 京太郎「ぐおぉっ!?」ゴロゴロッ 京太郎(外まで吹き飛ばされたっ!?) 京太郎「げほっ、ったく……口の中切れやがった」ペッ ガタンッ 胡桃「京ちゃん!?」 京太郎「あぁ、胡桃さん」ゲホッ 胡桃「ち、治療しないと」 京太郎「いやぁ、どうしましょう……」 京太郎「もう一回行ってきます、幸い時間はそれほど経ってませんし」ツゥー 胡桃「京ちゃん口から血がっ!」 京太郎「あ、ちょっと口内切っただけですから」 胡桃「ほ、本当?」 京太郎「まぁ、本当ですよ」 京太郎(痛ぇ……) ギィィッ 鏡「」ギュォッ 京太郎(また俺が写った……) 京太郎「これ、前も?……痛っ」 鏡「12次元のお前の記憶、その記憶を呼び覚ます鏡だ」 京太郎(鏡の中の俺が喋ってるな) 鏡「さぁ、今お前が選べる二つの次元から、お前の記憶を呼び覚ます」 京太郎(二つの次元の、俺か……) 鏡「決闘者の記憶、そして破壊者の記憶……どちらにする?」 鏡「相変わらずの平和ボケだな」 京太郎「うるせぇよ」 鏡「……あんま俺みたいになって欲しくないんだけどな」 京太郎「ん?」 鏡「良いか、これが卓を殺す力……お前とは、見えてるものが違う!」ザクッ ギィッ 胡桃「あ、帰ってきた」 京太郎「そんなに時間は経ってませんか?」 胡桃「うん、そうだよ」 京太郎(最初の時より必要な時間が短くなってるみたいだな) 胡桃「私もなんか手に入れたみたいだし、帰ろうか?」 京太郎「あ……そう、ですね……痛っ!?」 胡桃「あぁもう、ほら言わんこっちゃない!」 京太郎「あぁ、すみません」 熊倉トシ家- 京太郎「ただいま戻りましたー」 トシ「あらあら、ずいぶん……って怪我してるじゃないか」 京太郎「すみません、しくっちゃって」 トシ「はぁ、奥に行きな」 京太郎「すみませんっ」ハハッ トシ「はぁ~困った子だよ」 胡桃「私、濡らしたタオルとか持ってくるね!」タタッ 京太郎「さて、奥の部屋だな」 京太郎「誰もいないか、よっ」ヌギッ 京太郎(上半身だけ脱いだけど、脇腹にかすり傷か……転がった時に石にでも掠ったか?)ズキッ 胡桃「京ちゃっ……ごめんっ!」バッ 京太郎「あ、こっちこそすいません」 胡桃「み、見て大丈夫?」カァァッ 京太郎「大丈夫ですよ、すみません」 胡桃「うぅん……」カァァッ 胡桃(京ちゃん、たくましいな)ソッ 京太郎「濡れタオル、ひんやりしてて気持ちいいですね~」 胡桃「う、うんっ」ナデッ 京太郎「ぐっ」 トシ「救急箱だよ」 京太郎「どうも」 胡桃「わ、私がやるから!」 トシ「そうかい?」 胡桃「う、うん!」 胡桃(超意識してるし!)カァァッ 京太郎「ふぅ、胡桃さんありがとうございます」 胡桃「うん、気にしないで」 京太郎「あ、もうお昼ですね」 胡桃「うん、そろそろみんな帰ってくるかな?」 豊音「ただいま~!」 トシ「おかえり、みんな帰ってきたみたいだね」 京太郎「おかえりなさい、さて……」 胡桃「京ちゃん、弟子になるにいたって戦い方、教えて欲しいんだけど」 京太郎「だから弟子って、まぁそれはともかくとしても戦い方ですか……俺ってデジタルなんですけどちょっと変則的で」 胡桃「ん、デジタルか……私とあんまり変わんないんだね」 京太郎「やっぱりそれでもオカルトあっての、ですからねそうじゃないと全国でやりあうには……」 胡桃「だよね、じゃあ京ちゃんにしっかり育ててもらわないと!」 トシ(どこを育てるのかねぇ?) 京太郎「お、ソーメンですか」 豊音「私がゆでたよー」 白望(茹でるだけだから……ダル) 京太郎「さて、いただきます!」 胡桃「あ、京ちゃん脇腹気を付けてね?」 京太郎「はい」 塞「どうかしたの?」 京太郎「怪我しちゃいまして」 塞「え、大丈夫なの!?」 京太郎「まぁなんとか……塞さんに傷口塞いでもらえればいいんですけどね」ハハッ 塞「できれば良かったんだけどね」クスッ 京太郎「さて、この後どうします?」 トシ「奥の部屋に自動卓があるよ」 京太郎「おお、麻雀ができるんですか!」 塞「うん、だからここに泊まったわけだよ!」 京太郎「なるほど、だったら……」 京太郎「じゃあ麻雀しましょうか」 豊音「やったー!」 白望(そろそろ、怠惰を見せる時……) 胡桃(新しい力、気になる)フンス 塞(今度は塞ぐ!) エイスリン(ま、また食べられる?)ゾクッ 白望「じゃあ私」 豊音「私もだよー」 胡桃「よし!」 京太郎(さて、使ってみるか?) 白望(怠いけど……) 胡桃(よし、頑張ろう!) P能力『気配遮断:A』発動 相手の点数を-される効果を受けない 豊音(今日は倒すよー) 京太郎(くそっ、どうするかっ……) 豊音(結構きついかなーこれはー) 胡桃(なんか、打ってる感じから違う!) 白望(さて、結構良い感じ?) 京太郎(ん、なんだ……見える?) 豊音(京ちゃんの目が、青くなってる?) 京太郎(黒い線と黒い点……なんだこれ?)ダンッ 能力『卓の死点』発動 豊音(どうしたんだろう) 白望(大罪じゃないか) 胡桃(あれが、京ちゃんの新しい力?) 豊音(じゃ、じゃあこれで!) 能力『六曜:友引』をチェーン発動 豊音(来たッ……!?) 白望(また暴食?) 胡桃(これ、危ないやつだ) 京太郎(喰らうぞ!)ニッ 能力『魔物喰い』を発動、さらにステータス食欲が暴食のためゾロ目でクリティカル 京太郎「」ニッ 豊音「ひぅッ!?」ウルウル グァッ 豊音(でっかいのがくるよぉー)フルフル 京太郎「」ニッ 胡桃(今のうちに!) 能力『気配遮断』発動 京太郎(……またかよっ!)ギンッ 能力『心鎮壷のレプリカ(喰)』を発動 成功判定無し 相手のオカルト能力を無効にする 胡桃(くっ、やっぱ京ちゃん相手にこれはっ!) 白望(……動こうか) 能力『怠惰:サボタージュ』発動 京太郎(くそっ!これ以上は相手できない!) ◇効果処理開始 白望(あぁ、怠い……)ゴッ 能力『怠惰:サボタージュ』 次の全員の点を自分の点分下げる 京太郎(よし!)グッ 能力『心鎮壷のレプリカ(喰)』 相手のオカルト能力を無効にする 胡桃(ううっ) 能力『気配遮断』無効 京太郎(これでゆっくり喰えるな!)ニッ 能力『魔物喰い』 相手のオカルト能力を無効にして、相手の点決めコンマを01にする ブチリッ 豊音(ひぅぅっ!?た、たべられちゃったよー)グスッ 能力『六曜:先負』無効 ◇効果処理終了 京太郎(これならどうだ?) 豊音(うう、どうしよう) 胡桃(あぁ~やばい!) 白望(これが私の、怠惰……) 京太郎(黒い点……ここにこいつを、ぶち込む!)ダァンッ 能力『卓の死点』イベント発動 オカルト80以上の相手の点数判定を-30する 豊音(え、これってー……) オカルト95につき効果適用 胡桃(ん?) オカルト90につき効果適用 P能力『気配遮断』にて効果適用外 白望(牌の感覚が……?) オカルト90につき効果適用 京太郎(くそ、手痛いな……) 白望(あぁ……怠い) P能力『怠惰:溜息』発動 すべてのP能力を無効にする 胡桃(よし、この調子で!) P能力『気配遮断:A』発動 相手の点数を-される効果を受けない 豊音(こ、今度こそ頑張るよー) 京太郎(今回は良い感じだ) 豊音(うぅぅ~)グスッ 胡桃(あれ、私……気配を消せてない?) 白望(……怠い) 京太郎(このまま、なんとか勝てるか?) 胡桃(なら、私が!) 能力『気配遮断』発動 豊音(これって!?) 白望(暴食かな) 胡桃(やばっ) 京太郎(喰らうぞ!)ニッ 能力『魔物喰い』を発動、さらにステータス食欲が暴食のためゾロ目でクリティカル 京太郎「」ニッ 胡桃(なっ!?)ゾクッ グチュッ ブチッ グチッ ググッ ブチリッ 京太郎「」ニッ 胡桃(ひぃんっ!?)ビクンッ 白望(ん?) 豊音「え、胡桃!?」 胡桃(なっ、なにこれぇっ!?)ビクンッ 京太郎(やべ、今の違和感は……発動したか?) 胡桃「ぁっ……あぁぅっ」ガクンッ 京太郎「胡桃さん!?」 京太郎「ッ……胡桃さん!」 胡桃「っ~~!?」トロン 京太郎(だ、大丈夫か!?) 胡桃「あ、あはは、大丈夫だ、からっ」 トシ「寝室に連れて行ってもらえるかい?しばらくそのまま見といてくれると助かるね」 京太郎「は、はいっ!」 京太郎「えっと、布団しきます?」 胡桃「う、うんっ……」ガクッ 京太郎「ほ、ほんとに大丈夫なんですか!?」 胡桃「だ、大丈夫だからっ」ハァハァッ 京太郎「えっと……」 胡桃「きょ、京ちゃんっ……こっち来てっ」トロン 京太郎(どうしよう、顔赤いな風邪か……?) 京太郎「えっと……」 京太郎「氷でも持ってきますね!」 胡桃「ぁっ」 ドタドタドタッ 胡桃(ふぁっ……きょ、京ちゃんっ……)ジュンッ 京太郎「大丈夫ですか胡桃さん?」 胡桃「ん……あ、京ちゃん、私寝ちゃってた?」 京太郎「はい」 胡桃「あ~冷やっこい」 京太郎「なら良かったです」 胡桃「ん……えへへっ」ニコッ 京太郎「さて、胡桃さんが起きたようなので俺みんなに話してきますね?」 胡桃「うん」 夕方- 京太郎「さて、どうするかな」 京太郎「少し出かけてきます」 トシ「帰ってくるのはいつごろになるんだい?」 京太郎「あ~あんまり考えてませんね」 トシ「遅くならないだろうから、これメモだからお使いお願いするよ」 京太郎「あ、了解です」 胡桃「京ちゃん、私も行くよ!」 トシ「おや、もう倒れないなら良いけど」 胡桃「も、もう大丈夫!」カァッ 京太郎「じゃあ行きましょうか」 胡桃「う、うん!」 胡桃(これってデート!?地元デートってやつ!?) 京太郎「まぁ適当に散歩しようと思って出てきただけなんで特に何も考えてないんですよね~」 胡桃「じゃ、じゃあ、私が良い場所教えてあげるから、ね!?」 京太郎「あ、はい」 胡桃(だ、大丈夫!自信持て私!) 京太郎「うわっ、綺麗ですねー」 胡桃「で、でしょっ!ここちょっと危ないけど、私の、いや私たちの一番の場所なんだ!」 京太郎(山が見えて、そこに夕日が隠れてく……) 胡桃「あ、あのね京ちゃん……私ね、京ちゃんのこと……好きだよっ!」 京太郎「……え?」 胡桃「京ちゃんのこと、好き」カァァ 京太郎(本当に最近はどうなってんだろう……) 胡桃「京ちゃん、大好きだよっ」ギュッ 京太郎「あ、の……」 京太郎「俺も好きだ」 胡桃「えっ……?」 京太郎「ま、まぁこんな大事なところで嘘は言いませんよ」ダキッ 胡桃「ふぇ?」ギュッ 京太郎「えっと……と、とりあえず色々と待っててください、やるべきことがあるんで」グッ 胡桃「う、うんっ……待ってる」ギュッ 数年後- 咲「ロン」 京太郎「ぐぁっ!?」 照「ロン」 京太郎「ふがぁっ!?」 健夜「ロン」 京太郎「なんとぉっ!?」 京太郎「ぼ、ボロボロかよっ結局……」 健夜「まぁ私たち三人、須賀君のこと狙ってたし」 京太郎「酷いんじゃありません?」 咲「全盛期の京ちゃんだったら倒せたよね?」 照「弱くなった……ロリコンになったせい」 京太郎「酷い!ロリコンじゃないし!」 健夜「いや、お嫁さんがあれでロリコンじゃないっていうのは」アハハ 京太郎「ひ、ひでぇっ!」ダッダッダッ 咲「あ、出て行っちゃった」 照「追いかけようか」 京太郎「情けないよなぁ……」 ??「京ちゃん」 京太郎「ん?おう胡桃!」 胡桃「ふふん、車の免許取ったから迎えにきたよ!」 京太郎「いや、足届く?」 咲「無理だよね」 照「合法ロリとかずるい」 胡桃「そこ、静かに!」ピシャッ 京太郎「胡桃~みんなが俺をいじめるよ~」ダキッ 胡桃「もう、京ちゃんは仕方ないな~」 咲「ほら、京ちゃん!」 照「私たちの方が包容力溢れてる」 胡桃(気持ち悪い……) 京太郎「俺は胡桃一筋だー!」 胡桃「でも京ちゃん、私のこと好きになったって……間違いなくロリコンではあるよね?」 京太郎「あぁ!」グッ 鹿倉胡桃ED2 京太郎「うわっ、綺麗ですねー」 胡桃「で、でしょっ!ここちょっと危ないけど、私の、いや私たちの一番の場所なんだ!」 京太郎(山が見えて、そこに夕日が隠れてく……) 胡桃「あ、あのね京ちゃん……私ね、京ちゃんのこと……好きだよっ!」 京太郎「……え?」 胡桃「京ちゃんのこと、好き」カァァ 京太郎(本当に最近はどうなってんだろう……) 胡桃「京ちゃん、大好きだよっ」ギュッ 京太郎「あ、の……」 京太郎「……」 胡桃「いいよ京ちゃん、返事なんて最初から期待してないし!」 京太郎「す、すみません」 胡桃「ううん、でも師匠って言ってる相手に変だね」クスッ 京太郎「そんなことありませんよ……さて、トシさんに頼まれたもの買って帰りましょうか?」 胡桃「うん!」 熊倉トシ家- 京太郎「ただいま帰りました~」 胡桃「ただいま~」 ドタドタドタ 豊音「おかえりーなにか買ってきた?」 京太郎「一応おやつなんてのも」 豊音「おやつだー」ワーイ 京太郎(子供か!可愛いからいいけど!) トシ「ほら、お風呂は沸いてるよ」 京太郎「お先にどうぞ」 胡桃「うん!」 京太郎「さて、俺はどうするかな」 京太郎「晩御飯作るの俺がやりますよ!」 トシ「そうかい、悪いねぇ」 京太郎「いえいえ」 京太郎「あ、塞さん」 塞「手伝うよ京太郎君」 京太郎「どうもありがとうございます」ニッ 塞「う、うんっ」カァッ 京太郎「今日はなに作りましょうかね、やっぱりお肉も余ってるんで昨日のミニハンバーグを普通のハンバーグにして、肉は野菜と炒めますか」 塞「そうだね、任せといて!」 京太郎「さて、じゃあやりましょうか」ニッ 塞「やる!?」 京太郎「え?」 塞「あ、あぁなんでもない!」カァァッ ワタワタ 京太郎「そうですか、まずはこねましょうか」 塞「こねる!?」 京太郎「え?」 塞「ひゃっ!な、なんでもないからっ!」 京太郎「さて、もうやることもないし風呂に行くか」 ガラッ ピシャッ 京太郎「先に晩御飯食べててくれても良いけど、まぁみんな優しいからな」ヌギヌギ 京太郎「ふぅ~さっぱりした~」 トシ「京ちゃん、晩御飯並べてあるよ」 エイスリン「スワル!」 京太郎「お待たせしました」 京太郎「じゃあ失礼して」 豊音「いらっしゃいだよー」 白望「ん、これでよりかかれる」グダッ 京太郎「く、くっつきすぎですよ」 京太郎(おもちがっ、おもちがぁっ!) 豊音「私もー!」 京太郎(双方から柔らかい感触、そうか天国はここにあったのか……) 胡桃「」ムッ 塞(私、今イラッとした……) 豊音「ふわ~」アクビ 京太郎「もう眠いですか?」 豊音「うん、いつももう寝てるからー」 京太郎「なるほど」 豊音「京ちゃんと一緒に寝たいよー」ダキッ 京太郎(この人、さては俺のこと意識してねぇな)カァッ 塞「ほら豊音離れなって、一緒に寝てあげるから」 豊音「ほんと!?塞優しいー」ダキッ 塞「あぐっ!?」 豊音「あっ、私重かったよねーごめんねー」ウルウル 塞「だ、大丈夫だから」 ガラッ 塞「じゃ、じゃあおやすみ」 京太郎「おやすみなさい」 豊音「おやすみー」 ピシャッ 京太郎(俺も色々疲れたし、眠いな……) 京太郎「ん……」クラッ…クラッ… 白望(眠い?) 胡桃(眠そうだ) エイスリン(どうしよう……) 白望「京太郎、おいで」スッ 京太郎「ん、悪ぃ」フラッ 胡桃(し、シロが京ちゃんに!) エイスリン(ひ、膝枕!?) 白望「ん……ダルくない」ナデナデ 京太郎「ん……」zzz… 白望「……フフッ」 胡桃(し、シロがあんな穏やかな笑みを!) エイスリン(な、なんでか悔しい!) 白望「私もすぐ寝るから……布団、出さなきゃ」 エイスリン「ワタシヤル!」バッ 胡桃(色々、負けたっ) 京太郎「んぅ……」zzz 白望「おやすみ、京太郎」チュッ ガラッ ピシャ 京太郎「んう」zzz 45日目終了- 46日目- 朝- 京太郎「んぅ……」zzz 京太郎「んぁ?」 白望「おはよ、京太郎……」 京太郎(おっきなおもちと、シロの顔が俺の視界にっって!?)ビクッ 京太郎「おおお、お前なにやってんだ!」 白望「京太郎が中々起きなかったから」 京太郎「だからって膝枕って」グッ 白望「起き上るんだ?」 京太郎「精神衛生上良く無いからな」 白望「ふぅん……まぁダルいからこれ以上は聞かないけど」 京太郎「トシさんの御飯、おいしかったなぁ」 胡桃「京太郎、調子はどう?」 京太郎「あぁ、例の怪我のことなら全然平気ですよ」 胡桃「じゃあ麻雀のこと教えてよ」 京太郎「構いませんよ、これでも師匠なんで」ハハッ 胡桃「じゃあお願いね、師匠」 白望「新手のプレイ?」 胡桃「そこ、静かに!」ビシッ 胡桃「ありがとうね京ちゃん!」フリフリ 京太郎「はい、どういたしまして」フリフリ 京太郎「まだ時間が余裕であるな……」 胡桃「京ちゃん、麻雀教えて」 京太郎「さっき教えませんでした?」 胡桃「もうちょっと、今度はオカルト的な方も気になるし、でもデジタルも、う~ん」 京太郎「じゃあ、どうしましょうか」 京太郎「ネトマしますか!」 胡桃「ネトマなんて……」 京太郎「ほらほら、そんなこと言わずに」ノーパソ 胡桃「あ、じゃあ京太郎で充電しながらやれば良いんだ!」 京太郎「充電?」 胡桃「とりあえず座って、胡坐で良いから」 京太郎「はい」ストン 胡桃「で、ここに座る!」ストン 京太郎(あ、柔らかい) 胡桃「やろ!」 京太郎「あい」 京太郎「昼はどうします?」 豊音「お鍋だよー」 京太郎(こんな暑い日に!?) 京太郎「あ、暑いですね」ダラダラ エイスリン「oh……アツイ」 白望「ダル……」グデッ 京太郎「くっつくなよシロ、暑くて死ぬ」 白望「と言いながら手が止まってない……」モグモグ 京太郎「美味い」 エイスリン「オイシイ……アツイ……」ダラダラ 京太郎(おう、薄い服で汗だくだく、透けて……) 白望「……」ムッ 白望「京太郎?」 京太郎「ん?」 白望「暑いね」ハタハタ 京太郎「ッ!?」 京太郎「ふぅ暑かった……さて、この後どうするかー」 京太郎「少し出かけてきます」 トシ「行先はどうするんだい? 京太郎「ん~何も考えてないんですよね~」 白望「私も行く」 京太郎「ん、シロもか?」 白望「うん……ダルいけど」 京太郎(ダルいなら来なくても……いや、言うな) トシ「じゃあ行ってらっしゃい、あと帰る時間には気を付けるんだよ?」 京太郎「あぁ、間に合う時間に帰ってきます」 ガラッ ピシャリ 白望「どこ行く?」 京太郎「ん~……」 12次元の鏡の間の祠のある蔵前- 京太郎「さて、来ましたね」 白望「ダル……」 京太郎「どうしますか」 白望「ん~」 白望「ん、待ってる」 京太郎「じゃあ、行ってきます!」 白望「頑張ってね」 京太郎「はい!」グッ 12次元の鏡 京太郎「ん、昨日もこんな感じだったな……忘れてた」 鏡「12次元のお前の記憶、その記憶を呼び覚ます鏡だ」 京太郎(知ってる) 鏡「さぁ、今お前が選べる二つの次元から、お前の記憶を呼び覚ます」 京太郎(二つの次元の、俺だな……) 鏡「決闘者の記憶、そして破壊者の記憶……どちらにする?」 鏡「なんだ、決闘者としてオレたちのチームに入るか?」 京太郎「やっぱり意味がわからん」 鏡「俺を満足させてみろ」ギラッ 京太郎「お、おう」 鏡「良く見ておけ、三皇帝を倒すには必要だった力だ……これが無ければ俺と仲間たちは……行くぞ、クリア・マインド!」 京太郎「なにがなんだか」 ギィッ 白望「おかえり」 京太郎「はい、って夕方ですねもう」 白望「うん、そろそろ帰らないと不味い?」 京太郎「不味いですよねぇ」 京太郎(ここでの生活、良いなぁ~) 夕方- 京太郎「さて、どうしましょうか」 白望「ん、まだどこか行く?」 京太郎「じゃあシロに任せるか」 白望「じゃあ、部室行こうよ、近いし」ダキッ 京太郎「うおっ」 白望「おんぶして、ゴー」 京太郎「はいはい、よっと」 部室- 京太郎「ここに入るのも久しぶりだなー」 白望「でしょ?」 京太郎「……ん~、なんでここ?」 白望「ここが一番、私が私でいられる場所だし」 京太郎「そうか、あのさ―――」 白望「二人で、麻雀打つ?」 京太郎「ん……あぁ、どうするか」 京太郎「んじゃ、二人でか?」 白望「うん、それが一番わかりやすいから……」 京太郎(わかりやすい?) 京太郎「さて、じゃあやりましょうか!」 白望「うん」 京太郎「ロン……2900」 白望「負けた」 トップ 京太郎 ラス 白望 京太郎「これで、満足か?」 白望「うん、ちょっとだけわかったから」 京太郎「わかった?」 白望「なんとなくだけど……ねぇ京太郎、私と一緒にならない?」 京太郎「は、はぁ!?」 白望「特に深い意味はない、“怠い”の嫌いだし“ダルい”のも嫌いだから」ソッ 京太郎「ちょっ、部室だぞここ!」 白望「鍵はみんな一つずつ持ってるから、誰か来ちゃうかもね?」 京太郎「待て待て!」 京太郎「ちょ、ちょっと待てシロ!」 白望「どうしたの?」スッ 京太郎「お、お前なぁ!なんでこんなことっ!っのわっ!?」ドサッ 白望「ソファに寝てくれるなんて……ツイてる」ドサッ 京太郎(し、シロが馬乗りにっ!?) 白望「怠いから、あまり抵抗しないでね」 京太郎「ちょ、ちょっと待て!」 白望「全部、京太郎に入ってる色欲が悪い」 京太郎(ちょっと待て、俺……話したか?はやりさんだけが感じられるわけじゃない?) 白望「繋がりが強いから、もっと……沢山繋がりたい……」スッ 京太郎「お、おい……し、シロっ……」 白望「うん、ジッとしててね?」 数ヶ月後- ドサッ 咲「あぁ……なるほどね、京ちゃんが全部食べちゃったわけだぁ……ハハッ」 京太郎「俺の勝ちだな、咲」 咲「そっかぁ……私の負け、かぁ……でも京ちゃんだって、失ったものは多いでしょ?」 白望「もう良いんだよ、京太郎の六つと私の一つで完成なんだよ」 咲「あ、あははっ……さっさと潰しちゃえば良かったんだっ、なんだろっ、私の力、食べられちゃったかな?」 白望「私のことばっかり狙ってたし、それが無かったら京太郎に勝てたかもしれないのに」 京太郎「俺は強欲だし嫉妬深いし、すぐ怒るしな」スッ 白望「それでいて大食いで色が強いし、傲慢だから……」ギュッ 咲「面倒になっちゃったね、京ちゃん……」 白望「食べられて疲れちゃったでしょ、おやすみ」 咲「京ちゃんに、触らないでっ、京ちゃんはっ!私のっ!」 京太郎「さよならだ、咲」 咲「わ、たしがっ……絶対、京ちゃんの、全部を壊す!」 白望「行こっか、京太郎」 京太郎「おう、そうだな」 咲「う゛ぁぁっ!京ちゃんの全部を壊して、もう一度繋げるっ……わ、たしがぁっ……」 白望「京太郎、次はどうするの?」 京太郎「特に考えてない、怠いから」 白望「そっか、怠いならしょうがないね」ニコッ 怠惰EXED 京太郎「これで、満足か?」 白望「うん、ちょっとだけわかったから」 京太郎「わかった?」 白望「なんとなくだけど……ねぇ京太郎、私と一緒にならない?」 京太郎「は、はぁ!?」 白望「特に深い意味はない、“怠い”の嫌いだし“ダルい”のも嫌いだから」ソッ 京太郎「ちょっ、部室だぞここ!」 白望「鍵はみんな一つずつ持ってるから、誰か来ちゃうかもね?」 京太郎「待て待て!」 京太郎「待てよシロ!」ガシッ 白望「ッ」ビクッ 京太郎「おい、なんのつもりかぐらい言えよ……じゃないとな」 白望「京太郎は、私のこと好き?」ジッ 京太郎「は、はぁ?」 白望「私のこと、好き?」 京太郎「そ、そんな言い方されたら好きなものも嫌いになる」 白望「私は、好きだよ……京太郎のこと」 京太郎(ど、どうなってんだよ、胡桃さんにもシロにもなんてっ) 白望「だからね京太郎……私のこと、受け入れてよ」 京太郎「……」 白望「ん、なにも答えないで……」 京太郎「は、は?」 白望「それで良いから、ごめん、余計なこと言った」 京太郎(わけがわからん) 白望「ほら、そろそろ帰らないと不味いんじゃない?」 京太郎「あっ!やばい!」 白望「おぶって」 京太郎「は?」 白望「せめてそんぐらい、良いでしょ?」 京太郎「たく、ほら乗れ」 白望「んっ」ドサッ 京太郎「走るぞ」 白望「うん」 熊倉トシ家- 京太郎「それじゃお世話になりました!」バッ 白望「ん、気を付けて」 塞「また来てよね!」 胡桃「また麻雀しよ!」 豊音「ま゛だね゛ー」ボロボロ エイスリン「マタ、キテ!」バッ (京太郎とトシと麻雀部の並んだ絵) 京太郎「はい!」 トシ「いつでもおいで、その時はまた泊まって行きな」 京太郎「はい、ありがとうございますトシさん!」バッ 京太郎(よし、今度来るときはもっと強くなるぞ!) 夜- 自宅・自室- 京太郎「あ~疲れたぁ」 京太郎「よし、ネトマしよう」 一人目 シロ 二人目 きょーこ 三人目 かずちゃん 京太郎「おう、シロと末原さんと南浦さんか」 シロ:よろしく きょーこ:よろしゅう頼みます かずちゃん:よろしくお願いします キョータロ:こちらもよろしくお願いします! トップ 京太郎 二着 きょーこ 三着 シロ ラス かずちゃん シロ:さすがに強い かずちゃん:まぁネトマなんてほとんど運だろう きょーこ:あんまそうやなかったりもするで? かずちゃん:そうなの? きょーこ:そうそう キョータロ:難しいところですよねー 京太郎「ん、ウィスだ」 京太郎「あ、末原さんからだ」 きょーこ:なにかと接触した? キョータロ:怠惰とですかね きょーこ:ん~わかった、ところでもう少しで団体戦も個人戦も始まるけど、平気なん? キョータロ:武者修行にも行ってるので きょーこ:男やね、それにしても須賀君と会えるなんて羨ましいわ キョータロ:俺も末原さんと会えるの楽しみにしてますよ きょーこ:私も楽しみにしてるよ、おやすみ 京太郎「ん、ログアウトしたかぁ」 京太郎「ん、メールだ」 京太郎「えっと」 京太郎「お、シロからだ……さっきから良く絡むなぁ」 差出人:白望 本文『今日は楽しかった ありがとう』 京太郎「シロらしいなぁ、なんか」 本文『俺も楽しかったよ、同類の中じゃたぶん一番仲良いから』 差出人:白望 本文『良かった それじゃあおやすみ』 京太郎「ほいほい、おやすみっと」ポチポチ 京太郎「次は、池田さんか~」 差出人:池田華菜 本文『明日、風越に来るし!先輩からの呼び出しだし!』 京太郎「いやいや」 本文『池田さん違う学校じゃないっすか、ていうか大丈夫なんですか?』 差出人:池田華菜 本文『許可なんか後からでも簡単に取れるから、来い!』 京太郎「……確かに、池田さんと会うと良いことがあるかもしれない、同類と引き合うものがあるかもしれない」 本文『だが断る』 差出人:池田 本文『なんでだし!来いよ!いい加減私も混ぜろよ!』 京太郎「あぁ~」 本文『気が向いたら行きます』 差出人:池田 本文『絶対来い!来なかったらお前の家まで行くからな! おやすみ!』 京太郎「おう、おやすみなさいっと」ポチポチ 京太郎「次は照さんか」 差出人:照 本文『京ちゃん、淡となにかあった?』 京太郎「ん?」 本文『特になにもありませんよ』 差出人:照 本文『最近妙に京ちゃんのこと言うから、気になっちゃって』 京太郎「あぁ~同類だしな」 本文『まぁ気も会う友達って感じなんで気にしないでください』 差出人:照 本文『なんか腑に落ちないけど、わかった おやすみ』 京太郎「おやすみなさいっと」 熊倉トシ家- 白望「ん」 塞「シロがメールなんて珍しいね?」 白望「京太郎としてた」 塞「!?」 胡桃「!?」 エイスリン「!?」 豊音「いいなー私も今度してみよー」 池田家- 華菜「須賀の奴、調子乗りやがって」ギリッ 華菜「あの得意げな顔泣き顔に変えてやるし、ぶっ飛ばしてやるし!」ゴッ (東京)宮永家・照部屋- 照「京ちゃん、相変わらずモテる」ハァ 照「もっと構ってくれてもいいのに」 自宅・自室- 京太郎「さて、カピー!」パンパン カピー「カピ」ツゴウノイイオンナジャナイ 京太郎「ほらカピー、一緒に寝よう!」 カピー「カピー」シ、シカタナイ! 46日目終了- 47日目・朝- 京太郎「……ん、昨日もなんか胸がおかしい感じしたんだよな」 テクテクテク 京太郎「お、純ちゃ~ん」 純「だからちゃん付けで呼ぶなって!」カァッ 京太郎「ハハハッ、いやこういうと可愛いから」 純「か、可愛いって……」カァァッ 京太郎「あ~おもしろ」 純「ふんっ!」ゴッ 京太郎「痛ぇっ!」 授業- 京太郎「歩、次の授業は?」ホーリーライトニング 歩「ん、あれ時間割……あれ?」ムックス? 男子D「私が見せよう!」ブックス! 京太郎「体育かぁ……化物揃いだしなぁ」 男子「おい須賀、テニスの時間だ」 京太郎「いいかげんテニスしようや」 昼- 京太郎「さて、昼は~」 京太郎「今日も教室で二人か」 歩「嫌なら別にいいけど」ムッ 京太郎「構わないけどさ」 歩「そう言えば最近ここらでちょっとだけある噂聞いた?」 京太郎「噂?」 歩「うん、麻雀で負けると廃人にされるって話、龍門渕の生徒も何人か被害にあってるらしくて」 京太郎「はいはい、都市伝説はこうし生まれていくんだな」ズキッ 京太郎(なんだ、今の感覚……一瞬黒い線と点が机にも見えた気が……) 歩「もぉ、聞いてるの?あぁ、そう言えばあれ、男子麻雀部の件なんだけど」 京太郎「あぁ、聞いてる聞いてる……男子麻雀部、おもしろいかもな」 放課後- 京太郎「そういや風越の件もあったけど……まぁどっちでも良いか、池田さんのことだし」フッ 部室- ガチャッ 京太郎「おっす」 透華「京太郎、おもしろい噂がありますのよ!」 京太郎「歩に教えてもらった」 透華「歩ぅ!」 歩「わ、私のせいじゃありませんよぉ!」 アンテナ「」ビーン 京太郎「すまんな歩」 歩「本当だよ!」 京太郎「話をしお」 衣「ん?」 京太郎「いや、なんとなくな」 衣「そうか」トスッ ハギヨシ「衣様は本当に京太郎君の膝の上が好きですね」クスッ 衣「うん、衣は京太郎の膝大好きだぞ!」 京太郎「ははっ、衣は子供だなぁ」 衣「衣は子供じゃないぞ!」 京太郎「ん、そうだな、子供じゃないな」 衣「まったく」 京太郎(性格的に胡桃さんよりロリっぽいなぁ) 放課後2- 京太郎「さて、どうすっかなぁ~」 京太郎「噂について調べてみるか……都市伝説の件なら透華たちからまだ知らないことを聞くのも良いよな」ウン 京太郎「そういや麻雀に負けると~って奴の話なんだけどさ?」 透華「私は虚な目をしている人間に負けるとって聞きましたわ、智紀から」 一「長野のとある雀荘でって聞いたよ、智紀から」 純「負けるとそいつの意志なくどこかに連れて行かれるって聞いたぞ、智紀から」 京太郎「全部智紀からかよ!」 智紀「みんなが聞きに来たから」 京太郎「ミーハーなんだな」 透華「ミーハーで何が悪いんですの!」 衣「私はなんか怖いからその話は嫌いだ」 ハギヨシ「なら私と麻雀をしませんか?」 衣「そうしよう!」 京太郎「さて、その噂についてなんだが?」 智紀「わかんない、一応龍門渕の生徒からも出てるらしいんだけど……本当なのかどうかも」 京太郎「なるほどな……」ムムッ 夜- 自宅・自室- 京太郎「ん、どうすっか、例の噂……」 京太郎「よし、調査してみるか……」ダッ 京太郎「母さん、出てくる」 須賀母「気を付けてね」 京太郎「了解~」 ガチャッ 京太郎「さて……」 京太郎「やっぱこんなド田舎でもここは結構明るいし人も多いな……」フゥ 京太郎「ここらへんで見つかるとは思わないけど……いや、行先なら山ほどあるか、どっかの店で聞いたりするのもありだよな」 京太郎「ここなら色々コアな奴が……ああいうのとかか?」 男A(なんか見られてる) 京太郎「すみません?」 男A(ひぃ、金髪長身の若者に絡まれたぁ!?) 京太郎「あの、最近噂になってる麻雀に負けると廃人にされるっての、知ってます?」 男A「あ、あの吸血鬼事件ですか?」 京太郎「吸血鬼、ですか?」 男A「首に二つ、吸血鬼に噛まれたみたいな傷があるらしいんですよ、それで廃人になるらしくて……でも中には行方不明になる人もいるらしく」 京太郎「行方、不明?」 男A「はい、でもおかしいのがそれでも夜の街中で行方不明になった人間が時たま現れるらしいんですよ」 京太郎「……不思議ですね?」 男A「そうですねぇ」 自宅・自室- 京太郎「お、メールだ」 京太郎「誰から?」 京太郎「ハギヨシさんからだ!」ピョンピョン 差出人:ハギヨシ 本文『例の噂を調査しているようですね』 京太郎「ウェッ!?」 本文『なんで知ってるんですか?』 差出人:ハギヨシ 本文『京太郎君はみなさんに心配をかけますからね、私も心配しているんですよ、怪我して帰ってきましたし』 京太郎「さすが、気づいてたのか」 本文『ご心配おかけして申し訳ないです できる限りは気を付けます』 差出人:ハギヨシ 本文『でしたら良いのですが、それではおやすみなさい』 京太郎「おやすみなさいハギヨシさん!っと」ポチポチ 龍門渕家・ハギヨシ部屋- ハギヨシ「まったく、貴方を大事に思ってる人がどれだけいるかわかっているんですか?」フゥ ハギヨシ「さて、次元が二つほと近づいていますよ?」フッ ハギヨシ「問題は山積みですね……京太郎君?」 自宅・自室- 京太郎「さて、寝るか」 カピー「カピカピ」キョウハアソンデ! 京太郎「ん~」 京太郎「カピー、遊んでやるぜ」コイヨ カピー「カピッ」ソ、ソンナヤスイオンナジャ… 京太郎「そう言いながらも来たな!」モフモフモフ カピー「カピー」ダ、ダメ、モウカラダガッ! 47日目終了-
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5720.html
745 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/07(火) 01 28 29.08 ID nYJgAx2bo [8/9] 【次回予告】 謎の男、赤羽根・ニコラス・健治と出かけた竜華 二人きりでの外出、これはデートなのか? そして、それを追う京太郎 この胸のざわつき、苛立ちの正体は一体なんなのか? 竜華「うち、どうしてもアカバネさんに――」 アカバネ「話してごらんよ。僕は……君の味方だから」ニッコリ この二人の密会の意味は―― そして、この二人を追う京太郎と―― ??「これは浮気ピヨ!!」デデーン 復讐に萌えるアラサー(妄想おばさん)の行く末とは!? 霞「あーあー、捨てられちゃったわねー」クスクス 煌「事件ですねぇ」パシャパシャ 京太郎「……」イライライライラ 事件は事務所で起きてるんじゃない、現場で起こってるんだ!! 京太郎「やい、このへなちょこ野郎!!」ガシッ アカバネP「えっ?」 竜華「きょ、京太郎君!?」 京太郎「竜華さんはな!! 竜華さんは俺の――!!!」ギリッ 竜華「!!」ドクンッ 次回―― ファミレスの中心で愛を叫んだアイドル お楽しみに!! 836 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 21 24 48.63 ID HXZiHKGRo [2/18] 【前回までのあらすじ】 修行を経て確実な力を身につけた京太郎 仕事も獲得し、これから順調なアイドルライフかと思いきや―― 竜華「……」ソワソワ どこか様子のおかしい竜華P そして―― アカバネP「~~~」ニコニコ 竜華「っ!? ~~//」ブンブンッ アカバネP「~~~」スッ 車「」ガチャッ アカバネP「~~~?」ニッコリ 竜華「……//」コクッ バタンッ 車「」ブロロロロロッ 謎の男とともにどこかへ出かける竜華 それを見た京太郎の行動は…… 京太郎「うぉぉぉぉぉ!!」ダダダッ 果たして竜華の真意とは!? 842 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 21 34 58.01 ID HXZiHKGRo [3/18] 【街中】 美穂子「んしょ、よいしょ……」フラフラ 煌「随分とたくさん買いましたね」フラフラ 美穂子「ええ。若に美味しい物を作ってあげたいの」ニッコリ 煌「……本来なら私がの仕事だったんですが」シュン 美穂子「ふふっ。清水谷さんはああ言ってるけど、好きな時に来ていいのよ?」ニコニコ 煌「えっ!?」パァァァ 美穂子「はい。その方が若も――」 ドドドドドッ 煌「? この音は……」 京太郎「うぉぉおぉぉぉおぉおぉぉ!!」ダダダダッ ビュゥゥウゥゥン!! 美穂子「きゃっ!?」サッ 煌「スカートが!?」サッ 美穂子「今のは若……?」 煌「どこか様子が変でしたし、少し気になりますね」ウーン 美穂子「……」 ~~~ 【ファミレス前】 京太郎「ゼーゼーッ」グッタリ 竜華さんを追って事務所を飛び出して30分近く ほぼのストップで走り続けていた京太郎はエネルギーを使い果たしていた 京太郎「ぐぐっ、こんなことしてる場合じゃねぇってのに……」フラフラ 早々に車を見失いはしたが、こっちの方面に来たのはわかっている どうにかして竜華さんを見つけ出さねば―― ウワッ、ミテ! スガクンダヨ! フーン、ナナヒカリハアイウノガスキナワケ? カレヲミテルトポカポカスルワ ウーン、マサシクリリンノウミダシタビノキワミダ チョーッチサイントカオネガイシチャオウカシラ ガンメンノデータサイシュ! シンクロリツ99パーセント ドウヤラホンモノヨウネ カレダナ アア、モクヒョウヲゼンリョクデホソクスル ザワザワザワザワ 京太郎「や、やばい!?」 まだ新人と言えど流石に名の知れたアイドル こんな街中を無用心に歩けばこうなってしまうのだ 845 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 21 46 12.32 ID HXZiHKGRo [4/18] サインモロタデー! オトナシクサインスルニャー! オレノザビーゼクターカエシテクレヨォォォオオ! ワラワラワラ 京太郎「ひぃっ!?」ビクッ ?「こっちよ!!」グイッ 京太郎「!?」サッ 数多くの野次馬に飲み込まれる直前 間一髪のところで京太郎は誰かによって救い出された 京太郎「おわっとと!」 ?「この路地に逃げ込めば追ってこないわ」 京太郎「あ、ありがとうございます……」ハァハァ 息も絶え絶えに助けてくれた恩人を見上げる その人の正体は―― 霞「全く、少しはアイドルとしての自覚を持ちなさい」クスッ ドタプーン 須賀ホーン「」ビィィィィインッ! 京太郎「霞さん!!」 霞「全く、何をそんなに急いでいたの?」 京太郎「あ、えと……」 そう言われると言葉に詰まる 元を正せばただ竜華さんが出かけただけなんだ それを俺が必死に追いかける理由なんて無い筈 京太郎「動機の言語化か、難しいな……」ブツブツ 霞「まどろっこしいわね。じゃあ当ててあげましょうか?」 京太郎「え?」 霞「清水谷さんがメガネのいい男と二人きり出かけたことが気になるんでしょう?」 京太郎「な、なぜそれを!?」 まさか霞さんは本当に霊能力をもった巫女なのか!? それで―― 霞「ふふ、アレを見れば簡単にわかるわ」スッ そう言って霞さんが指差したのは、通りを挟んだ先にあるファミレスだ 京太郎「ファミレス?」 霞「よく見てみなさい。ほら、窓側の席よ」 京太郎「……あっ!?」 言われた通りに眼をこらしてみると……いた 竜華「~~~//」モジモジ アカバネ「~~~」ニコニコ 京太郎「……」イラァッ ファミレスの中で、仲睦まじく話す二人の姿だ 848 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 02 50.06 ID HXZiHKGRo [5/18] 京太郎「……」メラメラメラ 霞「京太郎君?」 京太郎「へっ!?」 霞「あらあら、もしかして私は邪魔?」 京太郎「いえ、そんなことは……」アセアセ タタタタッ 京太郎「ん?」 煌「はぁ、はぁっ……探しましたよ」 京太郎「煌さん!」 煌「もう、久しぶりに会ったと思ったら……」 京太郎「す、すいません」 煌「それで、これはどういうことなのかな?」 京太郎「それは……」 ~~~~ 京太郎「ということでして……」 煌「なるほど」フムフム 霞「それで、どうするつもり?」 京太郎「えっ?」 霞「このまま出歯亀してても仕方ないでしょ?」 京太郎「……」 そりゃそうだ そもそも、こうして覗いていること自体悪いことなんだ 京太郎「でも……」 なぜかは分からないけど気になる 竜華さんのことが…… 霞「とは言っても、外に出ればまたやじうまが沸くわね」 煌「それならいいものがありますよ」ニコッ 京太郎「え?」 ゴソゴソゴソ 煌「こんなこともあろうかと、今日買っておいたんですよ!」バーン そう言って煌さんが取り出したモノは…… 選択安価↓3 1 アフロヘッド+サングラス 2 女装セット 3 着ぐるみ 855 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 16 11.80 ID HXZiHKGRo [6/18] 煌「じゃーん♪」ニコニコ 着ぐるみ「」 京太郎「ど、どっから出したんですか……これ」 煌「いやぁ、可愛くって」エヘヘ 霞「あら、いいわね♪」ニコニコ 京太郎「……これ着るんですか?」 煌「しょうがないですよ。下手な変装してもその美形は目立ちますから」 霞「まぁ、当然ね」 京太郎「……」 仕方ない これも竜華さんのことを…… 京太郎「着ます!!」モゾモゾ 煌「その心意気、すばらっ!!」 霞「ふふっ」ニヤリ ~~~~~ 【ファミレス】 カランコローン 店員「いらっしゃいま――」 ,>-、_ `ー、;;;;;;| ... `ヽ, / ..{ ̄`ヽ,_ | }_ノ ̄`、 ヽ ./ ...,ri | `~' 〕 _,,,-一! i i { ....{;;;\_ノ} ´~| .{ `、 i i l ! ...(_);;;;;;ノ. i | r!、_ハi .. } i _}_ ...`ー´、ノ | |;;;;ノ. ! i ..... ノ i `ー-、;;;ム |0-'. i ト--'´ .. / ´"''~゙゛、、,r-一ー、 !、;;;;/ i ゙゛ ノ / 'v´ ̄`ヽ 、L_;;;-ー´\/ { . `,゛ `, ../\ '、 .. ,i .. ノ i ,-一、.. `ー-一´`ー-一'´ / /;;;;;;;;;;;`ー、_ ..._ノ_ _ノ´`|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`、;-、_;-´;;;;;;`i´ !;;;;;;;;;;;;;;;;;;;へ;;};;;;;;`i;;;;;;;;;;;;;}\ 店員「せぇぇぇぇっ!?」 ザワザワ ガヤガヤ 霞「ねぇ、これ逆に目立つんじゃない?」コソコソ 煌「そうでしょうか?」コソコソ 竜華「? なんか騒がしいですね」 アカバネP「何かあったのかな?」ウーン 860 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 26 11.12 ID HXZiHKGRo [7/18] 店員「お、お客様は一体――!?」 京太郎「……ふんもっふ」 店員「えぇ!? そんな事情が!?」 ナンダボンタクンカー シャアナイワー ソダネー ウンウン 店員「分かりました。ではお席に」 京太郎「もふもふ」ペコリ 煌「どうやら目立ってないようですね」 霞「どういう神経してるのよ東京の人は……」ハァ 竜華「あっちにボン太君がおる……」ソワソワ アカバネP「ああいう可愛いのが好きなのかい?」 竜華「あ、えと……はい」カァァァ アカバネP「女の子らしくていいと思うよ」クスッ 京太郎「……」ゴゴゴゴゴッ アカバネP「(何か殺気を感じるけど……)」アセダラダラダラ ※ここから()内の京太郎セリフは全て筆談です 普通に喋っているわけではありません 京太郎「(なんとかバレずにこれましたね)」 煌「しかし、これからどうしましょう?」 霞「取り敢えず盗み聞きする?」 京太郎「(でも結構離れてますよ)」 煌「どうすれば……」 ??「私の出番ピヨ」フッフッフ 京太郎「ふもっふ!?」 霞「何奴!?」 _ __ _ . < >ヽ> . . `\ ヽ / / 「N | .i ∧ / 廾_| Ⅵ_土二トノ . /イ| r'≡≡ ≡≡.| ト. | |⊂⊃ ⊂⊃ }ノ .| 八 | i | {> ⊂ニニつ ,' イ ノ L ゞっ 「己≠乙`Yイ- 、 ̄ rj |/.◎//| イ、 i .l / /ー――.'\ \ !. / { ヘ ヾ! / .∧ o 〉、_j. 廴ノ ,' 〈 / o ∧. ト、__∧___ ムヘ i////////////∧ L/////////_/_/∧ |_ ̄「 ̄ ̄∨_〈 ´ l///! V/ ∧ Ⅶ/j! ヽ/ ∧ Ⅷ/l ∨/ム }//l .∨/| ぴよ「私ピヨ」 863 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 32 50.30 ID HXZiHKGRo [8/18] 京太郎「(アナタは確か……)」 ぴよ「私の事はどうでもいいの。それよりも……」チラッ 竜華「~~~」 アカバネ「~~」 京太郎「(もしかして、あの男の人は?)」 ぴよ「そう。私の夫ピヨ……」 霞「うわぁ……」 煌「そのカメラ中々いいですね。触らせて貰っても?」ワキワキ 京太郎「(それは……中々大変そうですね)」 ぴよ「ぐぬぬ、最近私を抱いてくれないと思ったら……あんな小娘に」グギギギッ 京太郎「そんな夫婦事情を聞かされましても」アセアセ ぴよ「とにかく、これは浮気ピヨ!!」デデーン 京太郎「!?」 霞「それどころか不倫ね。あ、私はパスタで」 煌「ストロベリーパフェにしようかな?」 店員「かしこかしこまりましたかしこー!」 京太郎「(食ってる場合か!! あ、俺はハンバーグ定食で)」 ぴよ「話聞いてよ……」シクシク / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\ ヽ . . . . \ / . . . . . | . .l、 . . . . . \ . . . . . . . . . . . .\ ' ;. . . . . ., / | . . . . . . !、 | \ . . . . . . ' , . . . . . . . . . . . . . ,‘; . . . . . .',. / . . . ! . . . . . Λ\ ` < . .V . . . . . . . . . . . Λ! . .| . . . . . / . . . . | . .| . . . .Λー- ―  ̄V . . | . . . . . . . . . V . | . . . . } l . . . . 八 .| . . . . .ム ヽ . | .。 . . . . . . . V ! . . . . ! | | . . . . . N`¨´ _=__ム ` | . . . . . . . . . . V . . . . | | | . . . . . | ノ 7/⌒○ ! . | . 人 . . . . ', . . . .{ V〉 . . . . ', /// | . | .`Y´| . . . .| . . 八 . . .| . . .ヘ ,.ニ | . | . .。 . ! . . . .| . . . . .\__/ | /| . . . . . . 7/¨′ __ ! . ! . . . . .ハ . . . | . . . . . . . . . ./ | | ! . . . . . .し// //⌒\ ‘; .|; . . . . | \弋 > | | V . . . . . ハ V } ヾ\ . ..| 个 ゝ / | | V . . . . 从 \ _ ' \ト-式`¨´ | |. \ . . . . . 、 . / / \_ _ ___ _ r 、 `\ V .| . . . . . > . /_ / /三三三三/ / \ | } ヽ V| . . . . . . . | 个爪 . ム / ./三三三三/ / \ . √¨ス .{ ヽ \ト、 . . .Λ .レー´/У /三三三三/ \ 「 ̄ フ ヽ_ ‘、 、 \`<ム / ´ . -―-、/ . . . . . . . ./ / \ 「 ̄ノヽ ヽ-’ \ | /ヽ/ }. . . . . . . . . / / \ | ー-――- ` ヽ x―<|_|_/ ’. . . . . . . . .{ / ` ー--.、 } .’ / /. . . . . . . . . .∨ ` 、 ' { 人 、 /\_ _. . . . . Λ \ |_ ハ 厂| 、 /. \__|. . . . . .Λ 人 / | レ`| , 1 ! ー ’ イ. . . . . . . . .Λ `Y´ |\L__ / .| Λ / | Λ /_人_ . . . . . . Λ + .| |/ N. . \ /人  ̄Y ̄ . . . . . . . Λ 煌「浮気調査をしたいんですか?」 霞「がっぽり慰謝料もらわないとね」 ぴよ「そうは言っても、お腹にはもう二人の愛の結晶が……」 三人「……」 ぴよ「哀れまないで!!!」クワッ 865 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 40 48.91 ID HXZiHKGRo [9/18] 京太郎「(そもそもまだ浮気と決まったわけじゃ)」 ぴよ「それを暴く為に来たぴよ」 煌「それで、どうやって話の内容を聞き出すんです?」パクパク 霞「盗聴器でも使う気?」チュルチュル ぴよ「ふっふっふ、そんなもの必要無いわ」ニヤリ 京太郎「??(この格好じゃハンバーグ定食食えないな)」 ぴよ「実はこんなこともあろうかと読唇術を学んていたのよ!!」 煌「暇人」 霞「他にやることないの?」 ぴよ「ピヨォォォォ!?」 京太郎「(何にしてもこれで内容を聞き出せますね)」 煌「本当に大丈夫ですか?」 霞「胡散臭いわね」 ぴよ「(本当は一週間で投げ出したけど、なんとかなるわよね)」ドキドキ ※ ここからは実際の会話とぴよちゃんの通訳の二重音声でお送りします 「」→本物 ()→ぴよ通訳 アカバネ「それにしても驚いたよ、急に呼び出されて」 (それにしても驚いたよ、急に呼び出されて) 竜華「ごめんなさい」ペコリ (ごめんなさい) アカバネP「でも、よかったのかい?」 (でも、よかったのかい?) 竜華「え?」 (え?) アカバネP「好きなんだろう? 彼のこと」ニッコリ (好きなんだろう? 俺のこと)ニッコリ 竜華「そ、それは……//」カァァァ (そ、それは……//)カァァ ぴよ「ぴよぉぉぉ!?」 京太郎「」 煌「なんと」パクパク 霞「面妖ね」チュルチュル 870 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 53 56.90 ID HXZiHKGRo [10/18] ぴよ「」シッシン 京太郎「」シッシン チーン 煌「ああもう、いいところで」 霞「早く起きなさい」ペシペシ ぴよ「う、うーん」ムニャムニャ 竜華「どうして、そんな……」 アカバネP「分かるよ、同じプロデューサーじゃないか」 竜華「でも……自分ではわからなくて」シュン アカバネP「……」 竜華「せやから……」 アカバネP「どうして?」 竜華「だって、アカバネさんはあんなにアイドルに好かれとるのに……最終的には事務員さんと」 アカバネP「ああ」 竜華「だから、その……」 アカバネP「……」 竜華「うち、どうしてもアカバネさんに――」 アカバネP「話してごらんよ。僕は……君の味方だから」 竜華「どうして……あの人なんですか?」 アカバネP「……」 竜華「他にも魅力的な人、たくさんおったのに」 アカバネP「……それは」 竜華「やっぱり、アイドルやから?」ブルブル アカバネP「……」 竜華「自分のアイドルとは、付き合えないから?」ジワッ アカバネP「それは違うよ」 竜華「え?」 アカバネP「確かに、あの子たちはみんないい子だし……全員可愛いと思う」 竜華「せやったら――」 アカバネP「でも、アイツを一番好きになった」 竜華「!!」 アカバネP「アイドルだとか、プロデューサーだとか……そういうことって、関係無いよ」 竜華「……」 アカバネP「それを言い訳にして、逃げているのは君の方なんじゃないか?」 竜華「っ!」 ぴよ「はっ!? ここはどこ!? 私は誰!?」 京太郎「ふもっふ」パチクリ 霞「ほら、早く通訳しなさい!」 煌「ハリーハリー!」 872 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 02 30.21 ID HXZiHKGRo [11/18] 竜華「うちは……」 アカバネ「結局は自分自身が決めることだよ」 竜華「……」 アカバネ「勿論、アイドルとプロデューサーがそうなるのは業界的にタブーだ」 小鳥「うぅ、続けるピヨ」 京太郎「……」 アカバネ「確かに二人の関係は許されないだろうね」※芸能界的な意味で (確かに二人の関係は許されないだろうね) ※浮気的な意味で 竜華「はい……」 (はい……) アカバネ「でも、僕はそんな関係になってもいいと思う」 ※アイドルとPの恋 (でも、僕はそんな関係になってもいいと思う) ※不倫関係 竜華「!?」 アカバネ「二人が本当に愛し合っていれば」 ※竜華と京太郎 (二人が本当に愛し合っていれば) ※竜華とアカバネ 竜華「あ、アカバネさん!」ジワッ (あ、アカバネさん!)ジュンジュワー アカバネ「その想いは君だけのものだ。誰にもそれを止める権利なんてないさ」 ※応援してるよ (その想いは君だけのものだ。誰にもそれを止める権利なんてないさ) ※ヤろうぜ!(ゲス顔) 竜華「うち……もう迷いません!」 ※京太郎と向き合う覚悟 (うち……もう迷いません!) ※不倫を続ける覚悟 ぴよ「」ガタガタガタガタ 霞「あーあー、捨てられちゃったわねー」クスクス 煌「事件ですねぇ」パシャパシャ 京太郎「……」イライライライラ ガタッ 874 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 07 50.45 ID HXZiHKGRo [12/18] 煌「きょ、京太郎君?」 霞「どうしたの?」 京太郎「……」 ツカツカツカツカ 竜華「へ?」 アカバネP「ん?」 京太郎「ふもふもふもっふ!(やい、このへなちょこ野郎!!)」ガシッ アカバネP「えっ?」 ザワザワ ガヤガヤ ナニアレー ケンカー? 煌「だ、ダメー!!」ダダッ 霞「やめなさい!!」 竜華「(あの二人がいるってことは……まさか!?)」ハッ 京太郎「……」 竜華「きょ、京太郎君!?」 アカバネP「き、君は!?」 京太郎「ふもふもふもーふんもっふ!!(竜華さんはな!! 竜華さんは俺の――!!!)」ギリッ 竜華「!!」ドクンッ コンマ安価↓3 00~49 俺のプロデューサー 50~89 俺の大切な仲間 90~99 俺の大切な人 ゾロ目 きゃんゆーせれぶれいと 885 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 14 33.61 ID HXZiHKGRo [13/18] 自分でも何がなんだか分からなかった ただ、竜華さんが俺の前からいなくなってしまうことが、悲しくて……苦しくて 訳も分からず、飛び出していた そして、気がついた時には…… 京太郎「ふんもっふ!!(俺の大切な人なんだ!!)」 そう、叫んでいた アカバネP「!!」 竜華「!!」 京太郎「……ふも?(あれ、俺は今なんて……)」 ダダダッ 霞「破ァッ!!」バシッ 京太郎「ふぐもっ!?」バタッ ガシッ 煌「し、失礼しましたー!!」バビューン アカバネP「……」ポカーン 竜華「……」 ズルズル ぴよ「うぇぇぇっ……あなたぁ」ズルズル アカバネP「小鳥!? どうしてここに!?」 ぴよ「捨てないでください……なんでもしますからぁ」シクシク アカバネP「???」 竜華「さっき、京太郎君……なんて?」 ~~~~ 【アクセル1】 久「ということなのよ」 京太郎「」ズーン 煌「まさか、ただ先輩Pに相談していただけだなんてー(棒)」 霞「気がつかなかったわー(棒読み)」 久「あんた達ねぇ……」ハァ 京太郎「お、俺はなんて勘違いを……!!」ガタガタガタガタガタ 887 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 23 35.27 ID HXZiHKGRo [14/18] 京太郎「竜華さんになんて謝ればいいんだ……」ガックリ 煌「きっと笑って許してくれますよ」ポン 霞「そもそも向こうも勘違いされるような態度だったしねぇ」 久「……」ギロリ 霞「あら、本当のことじゃない」ニコニコ 京太郎「……」ズゥゥゥゥゥン ガチャッ 京太郎「!」 竜華「ただいまー」 久「お帰り、大変だったわね」 竜華「まさかファミレスで襲われるなんて……アカバネさんもビックリしてたで」 京太郎「……」 煌「あ、あはははっ」アセダラダラ 竜華「ほんま誰やったんやろなぁ、あの着ぐるみ」チラッ 京太郎「!!」ビクッ 竜華「何やらようわからんかったけど……」トテトテ 京太郎「……」 ムギュッ 京太郎「!?」ドキッ 竜華「ふふっ、ヤキモチ妬いてくれたん?」クスクス 京太郎「あ、その、柔らかいのが当たって……!!」アセアセ / / / // ´ ̄ ヽ / / / | l | | . i. / / | / / > ´ /, ′ | l | | . l / /... | i /ァ===ミ、 ヽ /イ . j_| | . │. ′. リ、 ;《 ん干ハ\ 〃 j\ イ / . /|. / . / ∨ | { ト ノ ' ,ノ / ヾ }/} \ __/ .′ ′ { ヽ{ ゝ こソ =ァ=/ / ソ/ / \ / / ! ∧ 。 ん干ハ㍉ / / ヽ.′ ′ |... ∧__ . ' .' . { ト ノ ′|} / / /// . i|.. | { 、 ゝ こソ //彡 //..... i|. |∧ ヘ / / ノ... i| l ∧ 「 、 . ' .' .° ′ノ┬=ァ ´ i| | / . ` -- ′ , イ / / あてとるんよ♪ / j| l / \ / / // j| |/ 丶 ___,,.. イ ../ / i| ト / / i| ../ /-=ニニニム {ニ\ / / i| . ,′/ 京太郎「りゅ、竜華さ――」 竜華「うちは京太郎君の事が好き」ボソッ 京太郎「!!」 竜華「だから、これからも……ずっとずっと大好きでいさせてな」ニコッ 京太郎「い、今のは……?」 ガバッ 竜華「さ、さぁて仕事や仕事ー!!」タタタッ 889 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 33 06.45 ID HXZiHKGRo [15/18] 久「……暑いわね」 煌「はい、暑いです」 霞「……やっぱり邪魔ねぇ、あの子」ハァ 京太郎「ね、ねぇ! 今竜華さん俺のことを――!!」タタッ 竜華「あーあー! 聞こえんなぁぁぁ!!」マッカッカ 京太郎「逃げないでくださいよ! ねぇ!!」 竜華「う、うるさい!!」タタタ 京太郎「竜華さん!!」 竜華「ああもう!! しつこいっ!!」バキィィッ 京太郎「ウルガモスッ!?」ズザァァァッ!! 竜華「……ふんっ」プイッ こうして、少しばかりズレてしまった歯車は元通りになりました ガチャッ 美穂子「只今戻りましたー」 宥「うぅっ、寒いよぉ」ガタガタ 久「あら、みんないるのね」 菫「途中で会ったんだ」 明華「ついでに買い出しのお手伝いを」 はやり「ふふっ、楽しみだね☆」 透華「当然ですわ! メインはこの私が用意した高級食材でしてよ!」つカニ カニ「オイ、デュエルシロヨ」 霞「あら、パーティでも始めるつもり?」 煌「あれ、聞いてませんした? 今日はアイドル組で新年会をするって」 霞「……」 久「ごめんねー、伝え忘れてたわ♪」 霞「そう……」 久「……」 バチバチバチバチッ 和「私も混ざっていいんでしょうか?」 煌「勿論!」 竜華「賑やかな方がええやん」ニコッ 和「はい!」 竜華「それと……」 和「?」 でも、本当にそうなのでしょうか? 竜華「うちな、京太郎君のこと好きなんや」 和「!!」 歯車は、以前よりもはるかにその速度を増して…… 竜華「せやから、もう原村さんには負けへん」 時計の針を……進ませるのでした 892 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 41 57.55 ID HXZiHKGRo [16/18] 和「そう、ですか」 竜華「……ごめん」 和「いえ、謝る必要はありません」 竜華「でも……」 和「だって、勝つのは私ですから」 竜華「!!」 和「……」 竜華「……」 和「負けません」 竜華「うちやって負けんから」 和「私が勝ちます」 竜華「うちや!」ツカツカ 和「いいえ私です!」ツカツカ 竜華「うちったらうち!!」グイッ 和「私と言ったら私です!!」グイッ ムニュン グニュン!! 竜・和「分からずや!!」 オッパイズモウ!! 京太郎「う、うーん」パチクリ 煌「ほら、起きてください!」 京太郎「えっと?」 久「パーティの主催がいなくちゃね」ニッコリ 京太郎「そうだ! 今日は新年会だった!」 宥「鍋あったかぃ」ポワー 菫「いい出汁が出るといいが」 透華「カニはどうやっていれますの?」 はやり「そのままぶち込んじゃえ☆」 明華「やめた方が……」 美穂子「では調理しますね」ニッコリ 選ばれるのは……きっと 京太郎「よっしゃ!! みんな揃ったことだし!」 竜華「いつもの、アレやな」 煌「では京太郎君、いつものを」 一同「……」コクリ 京太郎「今年も頑張って頑張りぬいて!! 目指せ!!」 一同「トップアイドル!!」 竜華の浮気? カンッ!! 895 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 53 29.43 ID HXZiHKGRo [17/18] 【数日後 京太郎のアパート】 京太郎「Zzzzz」スピー トントントントン 京太郎「むにゃっ?」 ジュージュー 京太郎「なんだこのいい匂い……?」ムクッ トタタタッ 美穂子「あ、起きましたか?」 京太郎「美穂子さん!?」 美穂子「もう朝食は出来てますよ」ニッコリ 京太郎「は、はいっ」 美穂子「ふふ、布団は畳んでおきますから」パッパッ 京太郎「いや、そんな! 自分でやります!」セッセッ 美穂子「えらいですね、若!」ジィーン 京太郎「これぐらい普通ですよー」エヘヘ そうだ。 今日から美穂子さんが家政婦としてうちにやってくるんだった 京太郎「そう言えば、美穂子さんは学校はいいんですか?」 美穂子「もう進学も決まって、学校ではやることもありませんから」ニッコリ 京太郎「でも……」 美穂子「それより、朝ごはんですよ」スッ 京太郎「うわ、うまそう……」 美穂子「どうぞ」ニッコリ 京太郎「あむっ……うん、おいしい!!」 煌さんの料理もうまかったが、美穂子さんも負けずとも劣らないレベルだ 京太郎「うまうま」モグモグ 美穂子「喜んでいただけて嬉しいです」ホクホク ,.-───- ., ,.' \ / / / / ., \ / ./ / .〃 〃, ハ ヘ, / ./ / .// /// } | | | リ, ,' / ′! /イ /// / /l } | }. ′ イ ノ 八匕丁「「`7/,イノノミ, l リ | .| | ! f,≫rテミァ " ,ムZ; イイ | .| l | . 「 ._{トtリ イrリj},イ| | | .| l | . | xx `¨,仆 | | | .| l | j! 、 _. ' / || | | | .| ._レヘ | |\ , イ | || | |. 八 「 リ | え,ー≦升| | || | | / \乂 从リ\_〕 `寸リ リ .リ リノ / ,r=======ヘ V/》, 》∨ / 〃. /,イ / ̄ ̄>z_》r彳 ∨彡゙ 897 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 58 21.77 ID HXZiHKGRo [18/18] 京太郎「ふぅ、ご馳走様でした」 美穂子「では朝のメニューを」 京太郎「はい! まずはスクワット500回からでいいですか?」 美穂子「え?」 京太郎「?? 腹筋200回の方ですか?」 美穂子「」 京太郎「あれ、火曜日だから腕立て300回の方か?」ブツブツ ギュッ 京太郎「ふぁっ!?」ドキッ _, -─-、 -― ―ー 、 , '´ ヽ、 / \ / / / .i ヽ ヽ \. ヽ / // / / / ト | i ヽ ヽ ヘ / // / i / / / .ハ i ! || ハ ハ. / // ./ i / イ .ll | | | .|i || ハ ハ ,' , i l | ! | レ l|`ト!、_|__.|_|_ /リ イ| ハ i | | | | N_,戈´!ヽ!V ヒ! レレ'メノリ l. i |. ', ! i ヽ ヾ、ゝ弋 __ | | i | _ --― 、. \!\\ゝ _, - '´ ̄ `ミ、o. | | i | ハ i 二⊃ ノ , -― | ! io'⌒ , . | | i | i l ハ .ヘ ( ⊂二 ̄ |.' / | | | i | | l ハ ヘ. / / ,| ___. -― 、 ! ! |.| | l ハ ヘ / / ノl ヽ. . . ._ . _ .} ,-、 .l | l | |i i| ハ 、ヘ //⌒Yヽ ヽ V .ノ / ノ-、 l l .l | | | i| ハ ヘヘ /, ィ‐ 、 | } ! \  ̄ ̄ /-く V/l ////| i| i ト、 ト、\. ,〃| ´, ィ‐-| | | ノ i \ ,-' 、 \ ',/ //, --― 、i .| l } } } }. // ,.| ´ __ト' ヽ'⌒ マ^`iニ,へ \_ ` } /./ \!リ リ .ノノ / l/ ! ´ , } } ./ ( _ \ / ノ/ _ ____ ヽ. /. ! ハ イ-'、 ,ノ / !Y{` ./ /./, ' `ヽ、 ヘ \ } /__/ /| / ´/ /' / ヽ .} / ィ'/ |/ .{ / i .| / ヘ |. / / .! / | レ' __,____ ヘ.| 美穂子「もういいの、休んでいいの……」ポロポロ 京太郎「???」 美穂子「若は若のペースで上を目指しましょう」ニッコリ 京太郎「は、はい」ドキドキ 美穂子「(花田さんには後でちゃんと言わないと)」プンプン 一方その頃、当の本人はというと ~お隣~ 煌「うぐぐぐっ……京太郎君エキスが……」ゴロゴロゴロッ! 割と天罰を受けているのだった 902 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/10(金) 00 04 24.16 ID CbhRK/Kto [1/6] 京太郎「それじゃあ、学校に行ってきます」 美穂子「はい、お気を付けて!」 ,. - ──‐- 、 /,,.-‐‐──- 、 ゙ 、. ∠/´ `.、 ヽ /./ / / ハ ヽ ' ,ィ゙ {. ム--.、l | | !ハ! i .i , ゙ / ヾヽ|人|ヽィリヽ! !ナ'リメ、_ノ.} | } ! / / ヽ| ィ==、 ___ ",ィノ リ |/ {. ヽ7 l  ゙̄ヽ / |__'、_ { |. ' /} i| {/ | {\. v ̄リ ./小 | | | ||" \ `ー , <二| ! ! | ||ィ=| ` _..!≧_i_/| } リ/ ̄ ̄ ̄¨二二 ̄ ̄`゙ー-、_r‐‐'"´/´′/ ,>リ ./リ /、 .二二/, ─-、\___)〉 /-‐/ , .ィ " ─ 、"、∨ミ==!ミ 、___..冫 )__..)/∧/ /, .// / '. | | `ー- 、.ミ.`──‐} ̄\_/ /, ' }.| | `゙ 、 `' 、ノ 〃 ,'. | | ` 、 ` 、../ ./// | | __ヾノ"´ /゙./__」 ! 〆 〃 /_____」 ─-‐'" `ー─ " ./i/ 京太郎「それじゃあ」ガチャッ 美穂子「いってらっしゃい――」 バタンッ 美穂子「……あ、アナタ……//」ボソッ …… 美穂子「っ~~~!!」ボフボフ!! ~~~~ キャアアアアア!! キョウタロウクゥゥゥン! ダイテー!! エッチシテー!! イチャイチャサセテー!! 京太郎「変装忘れてたぁぁぁぁぁぁ!!!」ダダダダッ 煌「京太郎くぅぅぅんん!!」ダダダッ 京太郎「あとなぜか煌さんも混ざってるうぅぅぅう!?」 905 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/10(金) 00 14 31.95 ID CbhRK/Kto [2/6] 【白糸台高校】 京太郎「ふぅ、なんとか着いた」 白もやし「おい三下ァ、もうちょっと自分を大事にしろよォ」 ウニ頭「ファンってのは結構過激だからな」 馬面「また何かあったら俺のバイクに乗せてやるよ」 京太郎「おう、ありがとな!」 白もやし「さて、飯にすっぞォ」 ウニ頭「残念ながら財布の中が空でして」シクシク 馬面「嫁に握られてます」シクシク 白もやし「俺のおごりだァ……京太郎きゅんのサイン貰えたしよォ」ニマニマ ウニ・馬「ワーイ!」 京太郎「平和だなぁ」ホクホク ダダダダダッ 京太郎「ん?」クルッ 照「京ちゃぁぁぁぁん!!」 ジャーンジャーン! 京太郎「げぇっ!? 照さん!?」 照「京――」 バナナの皮「俺、将来マリオカートに出たいんだ」 フミィッ 照「」ズルンッ ゴッチィィィィン! 京太郎「バナナの皮ァァァァァァァァ!!!!!」 / /. / j | ト |. | | | _i ∧ |i / /. | i | |. / `ヽ | |i | '´ | / V .| / ! i |ヾ| , ィ, ニ、ヾ、 .| 八/ ,=ヾ,ニ、ヾ、 | / |. 八 | 〃 /少iハ ヾ|/ ミ、 /少L心 ヾ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | \{ ! {斗ニ刀 {斗ニj匀. i | ハ 气l∪iリ 气l∪ikリ. l | i l{',、 乂Zソ 乂ZZソ | | j , | | { | | ヽ ,ィ⌒ー'⌒ヽ. | /| | > . `-⌒ ⌒'‐′ . < | / 乂| ∧ | 、 ≧= ___ <--- 照「京ちゃん……」ウルウル 京太郎「冗談だっての」ナデナデ 照「んふー♪」 908 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/10(金) 00 22 31.38 ID CbhRK/Kto [3/6] 京太郎「それにしても、こうやってのんびり話すのも久しぶりですね」 照「うん。それにしても京ちゃん、かっこよくなったね」 京太郎「そうですか?」 照「うん。でも、そんなこと関係無い」 京太郎「?」 . ´ ` 、 / / . / ,イ ∧ / / | l / | |! | | ,  ̄ ̄ ̄| N /__ | ト、__| | | ′ i| | ∨ 八 ト、 | N リ |l |. 八 { l ____ ` \| ___|/ | 八 |l / リ \N '~⌒`` ´⌒``〕/ ;__ 八. / / ハ """" ' """" '// / 〔、 、 . / __ 圦 lヽ r ┐ // / /) \ / l l\\ | .! ノ . '_/ 厶 "/ ト、 ヽ .' |八 \\__| .!> __ . イ´ 、__フ‐ ヽ. | \ |. .′ V.rヽ _|___ | /_〔 ̄ | V 〕 //.へ`ー- .、Υ 八 l | |{/´ ̄〕 !、___/ヽ /' \. 八 '′ l / ∧ 〈 、 \ / \ .'. / /_ ∨´ \ / -‐== / ∧ / / _ ./⌒ヽ. \............./ =- V / -‐=' ._ ∨ヽ__/ Υ⌒/ .′. 〔二〕´ ._ V´/ |ニ/ ∧〔\ 八 ∨ |_V .! / N' \ 个 、_/ 照「京ちゃんは京ちゃんだから」ンヘヘ 京太郎「……はい」ニッ スタスタ 淡「おっにぃっちゃーん♪」 ジャーンジャーン 京太郎「げぇっ!? 淡!?」 ど、どうする!? 照さんならともかく、淡を受け止めるとなると―― 選択安価↓3 1 抱きとめる 2 避ける 3 照さんを差し向ける 4 あ、あれはSSS!? 917 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/10(金) 00 30 10.18 ID CbhRK/Kto [4/6] 淡「わーい!」ダダダッ 京太郎「フッ!!」シュバッ 淡「!?」 スカッ ドグチァッ!! 淡「メメタァ!」 京太郎「あ、淡!? 大丈夫か!?」スタスタ 淡「うぅっ……」 照「大丈夫?」 淡「お兄ちゃんが避けた……」ジワッ 京太郎「あ、いや! それはだな! 一応俺はアイドルだからであって」 淡「避けたぁ……」ウルウル 京太郎「違う、人前だからだって!」 淡「……本当?」グスッ 京太郎「あ、ああ。そうだ」 淡「じゃあ、家でならシテくれる?」ウワメヅカイ 京太郎「……」 選択安価↓3 1 ああ、なんでもしてやるよ 2 いや、流石にそれは…… 3 照さん、助けて! 4 あ、あれはSSSさん!? 923 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/10(金) 00 39 14.82 ID CbhRK/Kto [5/6] 流石に家でもマズイもんはマズイ どうする……? 取り敢えずごまかすか 京太郎「あ、アレはSSSさん!!」 淡「え?」チラッ 菫「呼んだか?」 京太郎「本当に来ちゃった」 照「おはよう菫」 淡「おはよー」 菫「ああ、おはよう」 京太郎「(なんとかごまかせたか?)」 淡「……あむっ」 京太郎「いてっ!」 淡「んふふ」アマガミ 京太郎「なんで腕噛んでんの?」 淡「さっきの罰♪」ハムハム 京太郎「くすぐったいからやめてくれ」 菫「こら淡、話してやれ」 淡「はーい!」 京太郎「助かります」 菫「何、気にすることはない」クウキオー 京太郎「それじゃあ、教師に行きましょうか」 菫「ああ。っとその前に」 京太郎「え?」 菫「ほら、襟が曲がっているぞ」クイッ 京太郎「っ!」ドキッ か、顔が近い…… それになんだかいい匂いも―― ,r‐─===‐- _ / ´ `ヽ \ `ヽ . "/ . / / / .. / / / / |i | li } . //イ /⌒i | | |i l⌒|i } i .'/ ∨ ,,__|i_| 」_八_/i リ } |. 〔// 〔 ̄` =ミ、/ } . //| | ′ "" / リ ′ /_ | 从 / / / / / 〔 |_ /ハ t ァ /___ / _/ ' / .*゚ / . ./ , |i ′ ゚+'.. / / ーr‐ ´/ ハ |i | '% / ' _.ノ〕 . //> | . 〔´ / ' / `ヽ ' 〃 / / ' \. / | ∧_/ / /⌒\/ | .′/ / / ヽ 菫「よしっ」 京太郎「は、はい」ポワーン 菫「それじゃあ、また後でな」 京太郎「……」ドキドキ 967 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 22 50 49.13 ID GSC5vTmko [4/9] 【第三回 ポンコツ会議】 パンパカパーン! 久「やってまいりました、第三回ポンコツ会議!」 はやり「一回、二回と白熱した戦いを繰り広げてたねっ☆」 久「今回もまた、このポンコツ達に戦ってもらうわよ!」 はやり「選手入場!!」 \ワーワー/ \パチパチ/ 咲「……」 照「……」モグモグ 菫「……」 久「あら、テンション低いわね」 はやり「早くも戦意喪失?」 咲「だって……ぽんこつでもいい事無いですし」イジイジ 照「そもそも私はぽんこつじゃない」キリッ 菫「いい加減に私の扱いを統一してほしい」ハァ \オモラシッ!/ \ヌレルッ/ 菫「」 久「まぁ、優勝すれば扱いはよくなるわよ」 はやり「ただ負けるよりはいいんじゃないかな?」 咲「そういうことなら……」 照「私はただ京ちゃんへの愛を貫くだけ」ドヤァ 菫「(まぁ、このメンバーなら優勝できるだろう)」フフ 久「そうそう、今回三人じゃ物足りないからゲストを用意したわ」 照「ゲスト?」 咲「誰だろう……」 はやり「この方ですっ☆」 \パパパパーン/ 和「どうも」ペコリ ポンコーズ「「「」」」 969 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 23 04 45.94 ID GSC5vTmko [5/9] 久「えー、前回で優勝した和だけど、ファンの熱い要望で復帰するわ」 \ノドッチー!/ \オレダー! スガトケッコンシロー!/ 和「頑張ります!」 咲「……」 照「……」 菫「……」 はやり「どうかしたのかなっ?」 咲「これ、出来レースじゃないですか……」 照「訴訟不可避」 菫「また私はスルーされるのか……」ガタガタガタガタ 和「……?」キョトン \キョウサキガナンバーワン!/ \テルテルカワイーヨー/ \スミレニョウゴクゴク/ 久「大丈夫、ぽんこつ勝負なんだから勝目はあるわよ」 はやり「前回はぽんこつ関係ありませんでしたけどー☆」 和「お互い、正々堂々頑張りましょう」ニッコリ 三人「……」 和「?」 久「和への印象はどう?」 咲「和ちゃん? 強いよね、序盤、中盤、終盤隙が無いと思うよ」ユラユラ 照「だけど、私は負けないよ」ユラユラ はやり「ぽんこつ会議への抱負をお願いします☆」 菫「えー、ぽんご、ぽんこつ達が躍動する勇姿を皆さんに見せたいな」ユラユラ 和「……(何言ってるんだろう?)」キョトン ポンコーズ「……」メラメラメラ 久「それじゃあ、そろそろ始めるわよ」 はやり「前回と同じ、解答方式♪ 一番よかった解答が優勝っ!」 照「商品は何?」ゴゴゴゴッ 菫「それを聞かずにはやってられない」 久「ふふっ、それは……」サッ \ピカーン!!/ ~~京太郎のパンツ「」~~ 四人「」 971 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 23 11 01.93 ID GSC5vTmko [6/9] 970 勿論パラレルゥ 久「採りたてピチピチの京太郎パンツよ!」 はやり「ちなみに獲得後にすぐ真空パック詰めしてあります」 \スゲー/ \ホシィー!/ 久「(とは言っても、四人ともこんなの欲しがるかしら……?)」チラッ 三三三三ニ≠三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三=\三三三ニ≠三三三三三三三_,.-、 f=|´|三三三三三三三三ニf!三三三r‐‐ュ、三三ニ≠/三三三三ニ_,..-'´ | | |_,.! | { / ィ ヘ \三三/|//三三三r‐'´ _,..-! | `¨ __,..--レ' ̄~7 \ ヽヽ (='==! ̄!=\/三r-、/ヘfー‐、 | _,..-'´ | | j | |; / __,ヽ ノ! } } ==キ fニニ、ハニニフ rュ、) f! !_fl レ'´ _,..' | |__j--7 /、 { f´ !.ヽ`¨ro' =r==、 r、_ィ=ニハニァ=f |=ノ===、¨ __,.-‐'´ | | ゝ≠}. . i!ト、ゝ、'⌒V__ノ =、=キ=、| i! /ニハニ / ,. r、_) v く /_ _,.. ' |ヽⅥj.. i!l. .. i! . !( ( =ゝノレ'=| iK三ニヽニゝ'^|_|__,ィ ヘ、__ァ ! ,.. '! ! Ⅵ|.. !|. . i!_.jゝ‐、 ノ r、 |`¨rュネ| f!ヽ三ニニi 、___コ`ヽ=、 Ⅶ| レ' | i !.. ..Ⅵ_j レ'リ´ | ムノ/ |/ ∨ |__,=、__j__j=='三ニ三ヽ=テ= {‐‐' Vj ト. .、 ! i.. ...Ⅵ斗≠リ㌣!. /卞、≧j ∧三三ニr、ヽ三! {ゝ' } Ⅵ !、..、 、 ハ ! .. !| フセイ _ ソハ 心 | ∧三三三ハ三 、__ノ_ノ Ⅵ、 ト、 \、 、 | レ' i! i、ゝ'_ノ | ソ. | / |三三三|ハ三ニ` ̄=、r=、 Ⅵ\ ',.. ... \ 、 ゝ、 ` ノノ // , / /三三=|ⅵハ三三} / .| / .ヽゝ'\ \. \`ヽ `¨ ¨ / | /三三三| リ三三|_/ |_/ 、丶、 ヽ‥'`ー ヽ .レ'三=ト三リ三ハr=、 r=、、 \\ゝ 、 ' ` /三≠V∨/三!、ゝ' ゝ'\`ヽ \ .  ̄` , ∧三≠ |/Ⅵl \三三∧ ., ' ` / /ノ . ´ ` 、 . , , ,. / ′. / , / ′. ∧ .i. | i| . | 、 i /_\ | .| | i| . | | ハ l |i | ./ ,イ '| .| _|_ il ト、 . | }/_, ∨ |i | / /' | l| .|_l |__ x、八. | \} '",,_ i´) |i | .// | 八 | 乂_弋ツ>\ |<弋ツ.ノ . ∧ リ. | ′ | \| ハ  ̄ \{  ̄´ / ∨ | |l λ , ハ | i| 込、 __ __,. ,イ ! 、 | __| |__,. ー‐ ´ ./| | ハ |-‐= ' | .l| | . /> . イ.>| | / ‐ | |l 八 |. ′ / | /| /_ '} 八 / \ | |-- 、 --/ . | / | / \| ト-========イ }' .ノ'| |. ',| l ',| | ', , -=<ヽ| | ', / / ` ⌒ヽ| | ', イ> } .! ', ノ/ 、///_人_/ ノ i ', /〃 ', _ / i ヽ Y// / Ⅵ∨/、 __',__>- 、--=彡-- 込 < / √ V ノ _ ̄彡⌒/ {斗r≦ニニ≧s=- r彡イ / / i 0 |ヽ -=彡 /--- /⌒Yニ=----====彡 / /__乂ノ、 \¨ < __/ 乂ノ /ノ-  ̄i '__ , '/ヽ i==ミx 、 /ニ (__ 八 i '/ i八 ̄ ̄ ̄\\ ノ =ミ / | / /i ∧ \\/´ / ⌒ ヽヽ / | ,/ /_i| / ∧ r ', / /-=彡⌒ |)Ⅹ(彡ヽ / ∧__ >彡ヘ イ / / |/∧ =≦=/_ ヽ<_/ ', ´ / / |/ ゞ' ノ〃/ _ }i_ノ- ≦ ', \ / / |i | ゝ'_/- ノ / ', _ \ / |i | '/ ∧' // ヽ |i | '/ / ∧ // ',  ̄ ̄ ̄ ̄ 久・はやり「」 973 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 23 22 56.95 ID GSC5vTmko [7/9] ポンコーズ「……」ゴゴゴゴゴッ 久「(逃げ出したい)」ブルブル はやり「仮にも乙女なのに……」ドンビキ 久「和だけはマシかしら?」チラッ ヽ./ , ヽ ヽ冫 | / / /」 /} }゙`「丁ヽハ ! ! ! }-ィ |_,'_,,|-‐''/ / / .} /.| | | /. } | | . リ !.|. ト.、 ト、 ィ゙ | |\/ //. / / ! !/!/ !从 /| .| !∧冫 |人小|ヽ !.ィ爪沁ヽ. /./ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′ l ヾ |/{ ⊂ ! ィ./ .ト,ムノ ! γ⌒ⅵヽ弋二;;ノ ' ゝ-.″ | } |', { ` 、 .レ′ !...',\ ノ ! | `ー´\ ,____.,. / ! ! ! ! |. ` 、 `ーi!′ /| . ! ! ! ! | }` .. __ , イ | | | | | | } ィ‐┤. ├ .、| | | | | { 和「……」ティヒヒ 久「あ、ダメだわー。これもう手遅れだわー」 はやり「早く終わらせて帰りたいよぉ」 四人「ハリーハリー!!」バンバン 久「あー、はいはい。そんじゃ、お題出すわよ」ナゲヤリ デデドンッ 【須賀京太郎に聞いた 昨晩のオカズ(性的な意味で)】 四人「!?」ガタタッ 久「はーい、これを当てた人。もしくは一番近い人が正解よー」 はやり「わーお♪」 咲「はいっ!!」ビシッ 久「どうしたの咲?」 咲「あの、その……// 本当に京ちゃんが、その……ひ、ひとりで、えと……//」モジモジ 久「大丈夫、ちゃんとナニしてたってのは判明してるから」 ※回想 K・H「間違いないですね。夜中に隣から押し殺した声が……あぁっ、すばらぁ」ハナジダラダラ 照「テープぷりぃず」バンバンッ! 久「ちなみに聞き出したのはこの人ね」 ※回想 R・S「き、ききき昨日は……// な、ナニでナニ……したん?」カァァァァ 京太郎「」 四人「……」イライラ 975 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 23 37 16.31 ID GSC5vTmko [8/9] 久「その調査の甲斐もあって、一応聞き出せたわよ」 照「聞き出した人が気に入らないけどよしとする」 咲「……」 和「(これは複雑な勝負……)」 菫「(確かに、解答によってはこちらが傷つくことになりかねない!)」 久「くふふふ、気づいたようね」ニヤリ 四人「!?」 久「そう! これはどうこのゲームで真の勝者はおかずにされた者!!」 はやり「自分と解答すれば、外した時が痛いんだよねっ☆」 久「かといって他の女の名前を挙げることははばかられる……」 菫「なんて恐ろしい……」 はやり「そりゃ三回目だからねっ」 咲「勝者以外は誰も得しない……」 久「確実に勝ちたいなら、ビデオとかエロ本って解答でもいいわよ?」ニマニマ はやり「でも、それでいいのかな?」ニコニコ 和「(仮に自分以外の名前で当てても……それは勝利じゃない)」 照「(正直、自分と答えたい。だけど固有名詞での回答は正答率が下がる)」 四人「(それに、それに……!)」 ギュィィィン! 四人「(しかしパンツは欲しい!!)」ドッギャァァァン! ※あくまでこの世界戦はパラレルです 久「それじゃあ解答タイム行くわよー!」 はやり「自分のボードに、答えを書いてね!」 一同「……」
https://w.atwiki.jp/ocltslyrkyo/pages/17.html
須賀 京太郎 麻雀ガチ勢(ランキング13位)★麻雀スキル でもドラマに出たり(松実宥とゲスト同士共演)、料理番組を持ってたり 異名は「オカルトスレイヤー」。堅実な技術を持つオールラウンダー。闘牌時は非常に獰猛 ベーススタイルは『技術昇華』。無形の型 でも上位のオカルト持ちと打つと、ミンチより酷い状態になる 高校生の頃に恋人が居たらしい そのお相手は高鴨穏乃。少なくとも玄は知らない 進学などの関係により、破局している 大学時代、晴絵に息抜きとして連れていかれた先で鷺森灼と出会い、そして恋仲になる。 なお、関係は切れている。灼が京太郎をフッた(身を退いた) 大学時代限度ギリギリまで古式ムエタイに打ち込んだことも。ティンやん 弘世菫、小走やえと同じチーム 同じ大学(T大)なのは、江崎仁美・辻垣内智葉・弘世菫・小瀬川白望(2年上級生) 鹿倉胡桃(浪人)・臼沢塞(浪人)・荒川憩(1年上級生) 原村和・新子憧(同級生) カリス……ではなく、国広一とは高校時代に一緒にゲーセン行ったり、夏祭り行ったり、バッセン行く程度の仲 脚力がヤバイ。女子サッカー日本代表にPK対決で勝利 オカルトスレイヤーの愛称は出演した超能力ヒーロー学園もののドラマから。超能力者に対抗する唯一の魔法使い(物理) ……こいつなんのプロやっけ? 戦闘スタイルは完全にシャコさん 大学2年時に、オカルトを暴走させた夢乃マホと対局し、敗北 カピバラとは死別 男友達はちゃんといるよ。 他大生だったり、フットサル通じて知り合ったり、合コンとかで仲良くなったり 花村陽介(P4)、古市貴之(べるぜバブ)、シン・アスカ(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)等…全員苦労人且つツッコミ タカ! トラ! バッタ! タットッバッ♪ タトバ♪ タットッバッ♪ パルクール(フリーラン)を習得している バイク大好き。愛車には話しかけたりする ちょい熱い高校生→陰りのある大学生→三枚目の社会人、へと進化 カピバラとは死別。死因はウィルス性の消化器潰瘍。ピロリ菌 高校時代の最終成績は男子インターハイ個人戦2位 須賀 京太郎 日本 2X歳 ♂ 高い 標準 『M.A.R.S.ランキング』13位 M.O.手術 〝昆虫型″ ━サバクトビバッタ━ プロローグ 人為変態後(アスキーアート) } } .、 ,,<(/ ハ/ ト、 / "´ 〉、ノ }、___ ./ " ` .i . i. , , , i . i . く }i-―― ≧s、_/ " _____ / , i . i. ./ / / ヘ、.. | | . .i . i゙ . "´ / く〉、_ 。 。 ーヘく .| | / ` \._ / , i (O). .(O) i | | i|./ ゙| .." .. ., ' /( ̄ヽ. V ・ ./ /ノハ ... | | イ ' i>´ `ハ /| 丶 ,r ― 、. . . ,i | | ]ゝく .| . |. / i `ヽ.∧ V ./ // i | 日 | // / | `卜-イ. ,' i λ. { (O). } ..イ .} | l; ( | { . { { V}ik≦ ≧ト.{ } | | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ' 〃 i;;; i | | | 、乂__,イ丿 ,/| /| / ,i ' ∧| { ∨ } ′ V ノ | 本 | | __l__ | / / .' , , Ⅵ .|_'. | | | | l | ' }/ }/ ;; イ / .イ `\ .∧ \ ノ V/ } | | | .∧ | {/ / / / / { |;;;;;;.Ⅵ≧!、,| | 、 | _/ム斗七 ;;;; i / /} ' ∧  ̄)/ 〉 ′| 原 | | ./ ‘, | ' ,イ / | { 从 | イ { しメ∧ l Ⅵ イ { し刈 `ヽ,;;' ' }/ } ∧ ((__ /∨ | | | | ' / /イ Ⅵ . Ⅵ;;; ,, Vzり \ 、 } / Vzり ´;;;;;;; }/ / .. \ \ /´ ヽ __/ i__,/| 産 | | ノ 」 ヽ. | / | 从 | γ ̄ ̄ \ ∨/ ヘ ̄ ̄`, / . ∧ `ト、 > ./ . /| | | ァ‐彡 | _∨∧ i.,/ ` \ `\ _ノ> 、_ ∧、 ノ'/\ > ./ / | | | {三l三 | , <//////{/{{`ハ、 、 ハ }}//////> 、ー―‐ ミr‐y^`ト _> / ∠ .-‐  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ´//////////// l| イ ヘ _ .i´ / ||///////////////// ヽ ) ( ̄ ̄ ̄ _ -/ /} } | rl┐夂 | /////////////从 ヘ `、 _ ィ -vノ ,' _イ } ///////////////////////\ >'''”´ / / 〉ハ | l_!」 =|= | /////////////{/∧ `ヘイ、 ー=≦__ , ´ ヘ-ヘ iイ∧////////////////////////≦―― / / }ヘ \ | ,_L. Τ | /////////////|//∧. ヽ`ハ iヘ// /'/////}////// 、//////////////////__/ / V ∧ | | /////////////|///∧. {. リゞ_. ._/ ̄ヽ_ .; イ ;イ /'/////}/////// \/// { ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⌒)^vイ ∨ ∧ |_______| /////////////|////∧. ヘ ハ`=ハ_ . __ . _i-ハ.ノ /'/////}///////// \} 〉 / / } } ∧ , i . i/ , / / / / ヘ、 | | . .i . i゙ . / / / ' | .(O) i | | i|./ ゙| . イ ' /| /| l . r ― 、. . . ,` | | ]ゝく ..| |// / | | { ' . { (O). } ..イ } | l; ( | { ' 〃 | | | | 乂__,イ丿 /| /| / | ' ∧|/ / .' , ' Ⅵ |_'. | | | | l | ' }/ }/ ;; イ / .イ `\{/ / / / / { | Ⅵ≧!、,| | 、 | _/ム斗七 ;;;; i / /} ' ' ,イ / | { 从 | イ { しメ∧ l Ⅵ イ { し刈 `ヽ' ' }/' / /イ Ⅵ . Ⅵ Vzり \ 、 } / Vzり ´;;;;;;; }/ // | 从 | γ ̄ ̄ \ ∨/ ヘ ̄ ̄`, / _∨∧ i.,/ ` \ `\ _ノ> 、_ , <//////{/{{`∧ .{} 、 ハ´ }}//////> 、´//////////// l| ,∧[}_,ii _ i ./ ||///////////>/////////////从 { 、 ゙}_ _ ィ -vノ ,' ,イ /'//////////////////////////{/∧ l\i| ー=≦__ , ´ /,´ / イ∧//////////////////////////|//∧ . \ハ i] iヘ/ / /'////}//////////////////////////|///∧ 丶 イゞ_. ._/ ̄ヽ_ .;イ ;イ /'/////}//////////////////////////|////∧ =ハ_ . __ . _i-ハ_ノ ./'/////}/////////////
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4467.html
―麻雀部部室― 今日も部室にはお馴染みの6人。 てかこの光景、前も見たような気がするな。何故だろう。 美幸「今日は皆で裸でおしくらまんじゅうするよっ!」 ……はい? いや、おしくらまんじゅうっていうのはさ。 寒いときに皆で体を寄せ合い、体を温める為にすることだと思うんだけど。 冷静になって考えてほしい。 今は夏だ。 暑い暑い夏だ。 そんな時におしくらまんじゅうとは。 ちょっと常軌を逸しているな。 よし、ちょっと反論するか。 京太郎「あの……」 梢「いい案ですね、さっそくやりましょう」 澄子「夏に裸でおしくらまんじゅうですか、面白そうです」 友香「早くやるんでー!」 莉子「み、みんながやるなら……私も……」 おいおい、マジかよ。 美幸「みんな、ありがとー!」 美幸「で、須賀くんもやるよね、もちろん」 京太郎「え、俺は」 美幸「やるよね」 あの、笑顔なのはいいですけど。 目が笑っていないのは大丈夫なんですかね……。 京太郎「あ、はい、やります」 くそ、気迫に押されてしまった。 まあ、適当にやっておくか。 はい、お決まりのように6人全員全裸です。 なんか今更全裸になられてもねぇ。 最初は興奮してたのかもしれないけど。 もう今はあまり何も感じなくなったな。 いや、別に俺が男としての本能を失ったわけじゃないぞ。 ただ、あまりにも日常的だとありがたみが薄れるんだよなぁ……。 おっと、早速始めるようだな。 美幸「ようし、じゃあ須賀くんを中央に」 美幸「私たちがその周りを囲むよ!」 ほう、俺が真ん中なのか。 言われるがまま、5人に囲まれる。 何か嫌な感じだ。 美幸「それじゃあ始めるよ」 椿野先輩の合図と同時に5人が一気に体を寄せ合ってくる。 何だ、こう、意外と悪くないな。 椿野先輩のスタイルの良い体。 依藤先輩の汗に濡れた体。 古塚部長のイメージとは違う幼い体。 友香の豊満な体。この5人の中で唯一の巨乳だろう。 莉子のまだ幼さが残る体。 様々な体が俺の体に押し付けられてくる。 俺も皆も汗かきまくりっす。はい。 美幸「須賀くん、温かい?」 澄子「気持ちいいですよね?」 梢「もっと楽しみましょう?」 友香「京太郎……いい気持ち……」 莉子「す、須賀さんが喜んでいるのなら私も頑張りますっ」 ああ、いい気分だ。 でも。 次の瞬間、事態が一変する。 そこまで5人は程よい強さで押し合ってきた。 しかし、急にその強さが段違いに強くなった。 もはやこれはおしくらまんじゅうではない。 痛い、体が痛い。 京太郎「あ……あの……みなさん」 京太郎「いきなり……ど、どうしたんですか……」 言葉を発するのも苦しい。 美幸「ふふふ」 澄子「ふふっ」 梢「うふふ」 友香「ふふふ」 莉子「うふふ」 み、みんなどうしたんだ一体。 押してくる強さがどんどん増していく。 不味い、このままじゃ……。 つ、潰れる……。 グシャッ 気づくとそこはいつもの部室。 ……夢か。夢だったのか。 良かった。 ふと見上げると、心配そうな表情の椿野先輩。 美幸「大丈夫、須賀くん?」 美幸「すごいうなされてたけど、何か変な夢でも見てたの?」 京太郎「は、はい……まあそんなとこです」 美幸「どんな夢だったの?」 京太郎「え、いや……それはですね……」 美幸「?、まあいいんだけどさ」 美幸「それより早く帰ろうよーもー!」 美幸「須賀くんが起きるまでずっと待ってたんだからー!」 京太郎「あ、そうですね……帰りましょう」 カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6347.html
京太郎「なんとか見逃してもらえたのはいいけど……」 京太郎「あの外人さんモノにできなかったのは残念だったなぁ、スタイル抜群だったのによ」 京太郎「はぁ、長野に帰るか」 京太郎「……いや、せっかく東京にきたんだしこのまま帰るのも何だな」 京太郎「何か思い出作りでもして帰ろう」 京太郎「人助けでもしてみるか」 京太郎「なんせこんだけデカイ所なんだ、困ってる人は一人二人ぐらいいるだろ」 京太郎「んーと」キョロキョロ 京太郎「おっ、何かあの人とか困ってそうだな」 京太郎「あの背を丸めて歩いてるバカそうな子とか困ってそうだな」 京太郎「よし」ダッ 淡「うう、お腹すいたー」グゥゥ 淡「こんなことならテルーのお菓子ちょっと貰って帰れば良かったよ……」 京太郎「もし、そこのお嬢さん」ポンポン 淡「……?」 京太郎「何かお困りのようですね。俺でよければ力になってあげますよ?」 淡「誰?」 京太郎「俺?俺は須賀京太郎っていうんだ」 淡「……ふーん、スガキョータローね」 淡「で、何か用事スガキョータロー?私いまお腹空いてすっごくイライラしてるんだけど」 京太郎(なるほど腹が減ってるのか) 京太郎(じゃあここは……) 京太郎「うぉらァ!!」ドッ 淡「ぎゃっ!」 ドサッ 淡「げぇぇっ……おえええええ!!」ビチャビチャ 淡(え……っ?え?え?) 淡「あっあっ……!うあああああ!」 淡「痛い痛い!痛いよおおおお!!」ゴロゴロ 京太郎「腹減ってるんだったら、中途半端に胃に物があるのはよくないからな」 京太郎「とりあえず全部出しちまおうか」グイッ 淡「ひいっ……!」 京太郎「そォい!!」ゴッ 淡「あがっ!」 淡「ごほっげほげほげほ!!おえっ…おえぇぇぇっ!」ビチャビチャビチャ 京太郎「まだ出るだろ、ホラホラホラ」バキッバキッ 淡「―――!!!――――っぁっ!!」 淡「―――」コヒューコヒュー 京太郎「これで全部出切ったな」 京太郎「ああ、礼はいらないぞ?人として当然のことをしたまでだ」 淡「―――」ゴホッ 京太郎「さて、と次は誰を助けようかな」 京太郎「何てったって東京だ、まだまだ救いを求めてる人はたくさんいるはず……」 京太郎「……言ったそばから何か困ってそうな奴が」 淡「えぐっ……痛いよ……痛いよぉ……」ポロポロ 淡「お母さんお父さんテルー……!助けてよぉ……」 京太郎「お嬢さん何かお困りのようですね、どうかしましたか?」 淡「スミレ先輩……尭深ぃ…亦野せんぱい……」 京太郎(困ったな、聞こえてないみたいだぞ) 京太郎(ゲロまみれで辛そうだな……こういう時は) 京太郎「ほら、立てるか?」グイ 淡「………」 京太郎「近くのラブなホテルまで連れてってやるからな。それまで我慢しろよ」 淡「げほっ、げほっ!」 京太郎(うわっ、服にゲロが……!きったね!)ベトッ 京太郎(……いやダメだダメだ汚いなんて思っちゃ。これも人助けなんだ) 京太郎「もうちょっとで着くからな、それまでの辛抱だぞ) ――――――― ―――――― 淡「ううっ…痛い……」ズキズキ 京太郎「まずは風呂に入ってそのゲロまみれの身体を綺麗にしないとな」 京太郎「一人で入れないだろうから俺が中から外から身体を洗ってやるよ」 淡「………やだ」 京太郎「わがまま言うんじゃない。そんなベタベタな身体だと気持ち悪いだろ」 淡「やだっ!」ガブッ 京太郎「いって!噛んだなお前!」 京太郎「いいから来い!」バッ 淡「やだ!はーなーせ!!」バタバタ 淡「この犯罪者!バカアホマヌケ!!」 カポーン 京太郎「髪の毛にもゲロついてたからな、しっかり洗おうなー」ワシャワシャ 淡「………」 京太郎「腹は大丈夫か?痛かっただろ」 淡「……うるさい」 京太郎「無駄口叩けるぐらいには元気になったんだな」 京太郎「とりあえず外はこんぐらいでいいか」 京太郎「じゃあ次は中だな」 淡「っ!……な、中ってなに?」 京太郎「そりゃ決まってるだろ」 京太郎「膣内と腸内の洗浄だろ?」 淡「……」 京太郎「ほら、股開いて」 淡「……へ」 京太郎「へ?」 淡「変態だーっ!変態がいるよーっ!!」 淡「触るなこの変態!ど変態!!」ジタバタ 京太郎「いてっ!コラ、暴れんなって!」 淡「誰かぁーーー!助けて、犯される!」 京太郎「大人しくしてろって!」グイッ 淡「ひゃあっ!」 京太郎「おっ」 淡「うう、ごめんなさいテルー……私もうお嫁に行けないよ」 京太郎「お前……」 京太郎「何でこんな真っ黒なんだよ……」 淡「分かんないよ!毎日……その……色々してたらこんなんなっちゃったし」 京太郎「……」クンクン 淡「ちょ、ちょっと何で嗅いでるの!?」 京太郎「おえええっ」オェッオエッ 京太郎(おいおい何だよこの臭い…………こんな臭いのかよ)ウェッ 京太郎(こんなんに指ツッコんだら俺の指まで臭くなっちまうよ) 京太郎(可愛い顔してて真っ黒とか詐欺じゃねーかよ、ったく) 京太郎「……帰る」パッ 淡「へっ?」 京太郎「やる気失せた……帰る……」 京太郎「じゃあな」 バタン 淡「………」 淡「え?」ポツーン 京太郎「人助けをしたつもりがとんだ災難だったぜ」 京太郎「逆に金払ってほしいレベルだよあんなん」 京太郎「はぁ……ここに来てからいいことねぇな」 京太郎「そろそろ夕暮れだし、東京に居られるのもあとちょっとだし……」 京太郎「さっきのは忘れて最後に何かいい思い出を作って帰ろう」 照「……」 照「……?」? 照「???」?? 京太郎(あの人、さっきからずっと案内板の前で突っ立てるな) 京太郎(それにしてもあの角どっかで見たような……) 京太郎「あっ、そうだ咲!……って咲がこんな所にいるわけないか」 京太郎「でも目つき以外はどことなく咲に似てるし……ちょっと声かけてみるか」 京太郎「すみません」ポンッ 照「?」 京太郎「先ほどからずっと案内板の前に立っていますが、何かお困りですか?」 照「……」コク 照「道に迷った。どうやって家に帰ればいいか分からなくなった」 京太郎「なら、一緒に探しますよ。どうせ暇してたし」 照「……いいんですか?」 京太郎「はい」 照「なら……お願いします」 京太郎「……」テクテク 照「……」トテトテ 京太郎(探すっていったのはいいものの…) 照「……」 京太郎(全然会話が無いな……ちょっと気まずい) 照「宮永照」 京太郎「え?」 照「私の名前」 京太郎「あ、ああ……宮永照さんですね、いい名前で」 京太郎「え?宮永照?」 照「うん」 京太郎(宮永照って言ったら……まさかあの女子のインターハイチャンピオンじゃねーか) 京太郎(そんな人が俺の隣を歩いてるなんて……) 京太郎(おいおいこれは何かのチャンスなんじゃないか!?) 京太郎(インハイチャンプの身体、味わしてもらうぜ!)ガバッ 照「っ!」ドサッ 京太郎「大人しくしててください」 照「これは……なんのつもり?」 京太郎「せっかくこうして出会えたのも何かの縁」 京太郎「せめて思い出作りでもして帰ろうかと思いまして」 照「……」ギュルルルル 京太郎「おっと」パシッ 照「…!?」 京太郎「弘世さんでも無理だったんだから、こんな細腕で俺を倒せるわけないでしょ」 照「菫…?菫が学校に来なくなった理由を何か知ってるのか?」 京太郎「さぁ?」ビリッビリッ 照「………」 京太郎「抵抗しないんですか?」 照「別に……好きにすればいい」 京太郎「騒がないでいてくれるのは嬉しいですね」 京太郎「弘世さんは騒ぐは壊れるわで大変でしたよ」 照「……!やっぱり菫のこと何か知って」 京太郎「それじゃ、遠慮なく」ズブッ 照「ぐっ………あっ!」 京太郎「なんだ、凄い余裕かましてたからてっきり慣れてると思ってたんですけど」 京太郎「まさかインハイチャンプが処女だなんて思ってもみませんでしたよ」パンパン 照「………」 京太郎「痛いですか?痛いですよね、そりゃ」パンパンパン 照「……」フルフル 京太郎(意地でも声を出せない気だな……なら) 京太郎「ほらほら」グリグリ 照「ぅぐっ!」 京太郎「やっぱり痛いんでしょ?涙目になってますよ」 照(だ、ダメだ……声を出したら喜ばせるだけだ……) 京太郎「貧相な身体のわりに名器ですね……」ブルッ 京太郎「当然中に出しますけどいいですね?」 照「………!」ブンブン 京太郎「ああ、もうダメだ!出る!」 照「や、やめろっ!」 京太郎「うおおっ」ドビュルルル 照「ううっ……!はな、せ!」グイッ 京太郎「弘世さんも大概良かったけど、照さんも癖になりそうだなこりゃ……!」 照「あぁぁ………」 ―――――――― ――――――― 京太郎「ふぅ、ごちそうさまでした」 照「………」 京太郎「最後の最後に良い体験させてもらいましたよ」 京太郎「おっと、そろそろ時間だな」 京太郎「じゃあ俺はこの辺で」 照「……」 京太郎「いやー、いい思い出ができてよかったよかった」 京太郎「これで明日からも頑張れそうだぜ」 京太郎「ありがとう東京。もう来ることもないだろうけど、ここでの経験は忘れないぜ」 ?「………」 警察A「ちょっといいかな」ガシッ 京太郎「え?」 警察B「須賀京太郎、で間違いないな?」 京太郎「そうですけど……」 警察C「ちょっと同行願おうか」 京太郎「え……ど、どうしてですか!?」 警察D「心当たりが無いわけじゃないだろう」 警察C「君は大阪の方でも指名手配されてるんだぞ?」 京太郎「あっ……」 警察A「冷たい牢屋の中で自分のやったことを反省するんだ」 京太郎「い……嫌だ!!」ダッ 警察C「待て!!」 警察D「逃げるな!手錠しろ手錠!!」 京太郎「やめろ!!離せ、俺が何をしたって言うんだああああああ!!」 ―――――――― ――――― 咲「………」スーハー 咲「よしっ!!決めた!」 咲「私、京ちゃんの告白……受けるんだ!」 咲「まだ京ちゃんの事あんまりよく分からないところあるけど……」 咲「付き合っていく内に理解していけばいいよね!」 界「咲ー!学校遅れるぞー!」 咲「はーい!今いくー!」 咲(京ちゃんに会うの楽しみだな……えへへ) 咲(いきなり飛びついてビックリさせてみようかな) TV『昨夜、連続強姦魔が東京の○○駅で逮捕されました。年齢は15の男子高校生で、警察は……』 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6106.html
大阪に戻った私は、感謝の手紙だけを書いて須賀君の家に送った 名前も書かへんかった ただ一言 『助けてくれて、ありがとうございました』 それだけ 他に沢山書きたいことはあった でも、書こうとしてもあの女の言葉が頭をよぎってしまう 私は―― 絹恵「……」 いつからか、彼の存在そのものを頭の中から消そうと必死だった ふと目を閉じれば思い浮かぶ須賀君の顔 それを頭を振ってかき消し、別のことを考える 最初は無理やと思った でも、人間ってのはよく出来てるもんやなぁ 次第に記憶は薄らぎ――一年もする頃にはなんも考えんようになった 絹恵「……」 もう、二度と会うことはない 思い出さなければ、何も起こることは無い そう――思っていたのに 全国大会会場 洋榎「かぁー!! 負けたぁー!!」 絹恵「ごめんなさい。私のせいや」 恭子「アホ。そないなことあらへん」 由子「みんなの負けなのよー!」 漫「うぅ」グスッ 絹恵「……私、飲み物を」 洋榎「うちも散歩や散歩!!」 郁乃「みんな~気にしたらアカンからね~?」 バタン 絹恵「(私のせいで、お姉ちゃん達勝てへんかった)」ギュッ もう、お姉ちゃんとは一緒に戦えない 私はこれから――何を目標に頑張ればええんやろ 絹恵「……はぁ」 ダカラサー モウ、キョウチャンッタラー 絹恵「……?」 話し声? 誰が話してるんやろうか? 絹恵「……あっ」ドクン 京太郎「そういうこと言う奴はこうだぞ!」 咲「あぅーやめてよぉぉ」 , ´ /V <⌒` /, / ∨  ̄\___ ' / ' ∨ 、 < ̄ ̄´ / / , | V l | V \ ' .' / l | | l | } 、 | } 、` | | { |{ | {∧ l |//V / \ } ∧ ∨从>-、从 |'___}イ }、r---- /イ' 从 { =====∨\ }  ̄ |ノ `\ ____ 乂 \ リ | ,. ´ ` . \__、 人/ / ` 、 /⌒7/{込、 , ―--‐ イ/ , / / / ヽ /////\\//≧ __ ィ/// / /|_/ / / /) . っ {////// V///// ̄} //////,--、/ /_ /`ー'--'-/-く / . っ ///>-//}/////// ()//// 〈 { / === / イ //\' / | ,'////////≧=--- 、////////⌒ー--} | // /} \ / , {////////////////// ̄}¨´ r‐―ノ /' /、/イ /`/ ` <_////////////// | 〉 ヾ jイ イ / |//// -=<__()__ノ--≦ く ,.... ⌒\ / , |////////////////////乢\ `ヽ、 . . У , ⌒V ∧ { |////////////()//// ̄Vノ >, __ ,イ_ノ/ \| ////////rく(ヽr,// く...、......∧---/........\/ イ ̄ } //イ //////// し'--く/ { . `\....、 /........//r、/ )-、 ,'/////////ノ---' \ ` ー-`、∨.....イ/r'-、 ーく //////////∧ [二] ̄ ∧_二}´ 絹恵「須賀く……ん?」ドクン 京太郎「ヒヤヒヤさせやがって!」 咲「だって末原さん強くて……」 京太郎「でも咲なら大丈夫だったろ?」ニッ 咲「……うんっ」 コソッ , - ------ 、 / ヽ ./ \ / ヽ ./ /`ヽ ', ハ i o ', i i ヽ_ ノ _ ,' ', /o ', / ゝ- i__ ノ/ / / ./ r ニヽ /ー、/ `ヽィ′ / `ヽ / ギリィッ ', 、 / i /` ̄´ i / ヽ ', ヽ i 咲「!?」ビクッ 京太郎「ん? どうした咲?」 咲「う、うん? 何か、殺気みたいなものを感じて」 京太郎「はぁ? 小説の読みすぎじゃねぇか?」 咲「鈍感な京ちゃんにはわからないよ!」 京太郎「そういうもんか?」 咲「だからモテないんだねー」 京太郎「う、うっせ! その内彼女くらい作ってやらぁ!」ダダダッ 咲「あ、待ってよー!」 京太郎「うるせー! 今から自販機でジュース買うんだ! 付いてくんな!」 咲「もぉー!」 絹恵「……」ジィー 自分でも不思議なくらい、心が落ち着いていた いや、きっと壊れてしもうたんやな 抑えに抑えていた感情が、想いが――堰を切ったように溢れ出したんやから 絹恵「須賀君……須賀君須賀君須賀君」 好き 絹恵「大きくなっとる……あははっ、麻雀部におったんかぁっ……♪」 好き好き 絹恵「運命やなぁ。須賀君がまさか、私と同じ麻雀を選んでくれるなんて」ドキドキ 好き好き好き好き 絹恵「分かっとる。須賀君は、私を追いかけてきてくれたんやろ? そうやなぁ?」クスクス 好き好き好き好き好き好き好き好き 絹恵「せやったら、私も――同じ気持ちやから」 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 絹恵「須賀君のこと――だぁいすきぃ」 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 絹恵「じゃあ、まずは――」ユラァ 咲「しょうがないなぁ……私だけ先にみんなのところへ――」 絹恵「(須賀君のこと、もっと知る為に)」グググッ 咲「えっ?」 絹恵「協力、してくれるやろ?」 ∨ニ弍ニ ヽム い / - 、 ヽ} // イ .,ィ==、 ∨ニ㌦ニ- ヾ、 ぃ {/ \ { ', {{ , - - 、 `ヾニニニヘ ヽ ヘ { \ ヘ ヽ `ー -/ \ マニニヘ` ヽヘ ヾ,ヽ -‐ー‐- ヽ ` _ノイ イ  ̄ヽ ', ∨ニニx、 マム ヘ \ / \ ` _,, イ /へヽ ' , ∨ニニニ マム ㌦ {{ ィ ''' ‐- 、 ー- / ト、 〉、 __,} } ヾニニニ マム マニ- ヾ { ,ィ '"  ̄ > '" ⌒` ーヘ ¨ ` rへ,ノ リ \ニニ、 `ヾ マニム ヾ / / '' ̄ >=>"、,ノ `ヽ マニニ ヽ }弍ニニ .{ /{ イ/ > '" `` ゝ-、‐'__) マニニ、 ヾ㌦ニニム ヽ{ ヽ/ / -->' ` ‐ ,_ \__,)、 ',ヾニニ ㌦マニニム \ / , ' > __ フ 、 \ー’ ヽ\ニx マニニニ- , ' イ ヽ. ー '" へ、 ヾー-、 \ヾニ、 マニニニニム / / ノヘ `` ァ_,,ノ へ ` } マム、 Vニニニニ}\, イ } /、 ` __,ノ マム、 ∨ニニニリ \ -- " .人_,ィ'へ \ ヾム ∨ニニノ ヽ r、 ,__, ィ `マ´ ゞ⌒ヽ ヾ㌦ ヾノ / ‘マ´ノ } ∧㌦ ', マ_ヾ、 `ヽ __,ノ ハ ㌦ ', \``ーゝ、 /;;;;;;ヘ ヽ ', ヾ、;;;\ /;;;;;/;;;;;;;ヘ \ ヽ マ;;;;;\ ,,;;;;;;;;;;;/イヽ;;;;/ヽ ヽ };ヘ;;;;;;;;} , '---';;;;' `´ ヘ ヽ ヽ ハ;;;ヘ;;;ノ \;;;;;;;;;;{;;;;;' \\ \ \ 人;;;;;;;;ヘ ゝ;;;;;;;;;;{. \\ \ \./;;;;};;;;;;;;;;;ヘ ’ 、;;;;;;;;;, \\ー - ";;;;;;;;;;;|;;;;;; / ヽヽ \;;;, .\\\;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ´ \\ `, \\\ー- ´ ヽ \\ , i \\\ , , \\ , .\ バキィッ 咲「ふみゅっ!? きゅぅー」 バタン 絹恵「……」ガサゴソガサゴソ カチカチカチ 絹恵「ふふふ、これが……須賀君のアドレスと番号」クスッ 待っててな須賀君 私が、ちゃぁんと須賀君のこと -─━━━‐ /. . . . . . . . . . . . . . . . .` . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ . . . ヽ , . . . . . . . ./ ̄` . . .\ . . . .ヽ. . . . . i. . ./ . . / \ . . . . . . . . . . . . |. . i. . / \. .|. . . . .| . . .│ |i . |. i | -――| . . . . . . . . | |i.│Ν―- - iИ. . . |. . .i i| |i八| - ィチ灯 |i . . .|. . .i i| |i. .K不灯ミ 〃 ∨)ツ リi . |│ . i i| |i. 〔ト ∨ツ》= -====行!. i|│ . . i| |i 小== , ///|i. .i │ . . i| |i. |八 // 、 , |i. i . .|. . .|八__ノ|i /| |i.i. .个 . /|i i| . |. . 丶. . .厶イ. | |i. . .| . .|> ,_,,.. ´ __|i i . .| . . . . . . . . . ..,ノ |ト--リ. . .i. . j__ノ八|__r< |i | .八. . . . . 乂|/| |\_乂__厶. . j. ./| /⌒} 八 i从. . . . ー=彡. . .,;人 乂. . . . . . . . . ./ [/{{ ∧八_.\. . . . . . . .ブ ァァ--=彡 __....{{____,,∠..__ ̄\ ー=ァァ彡 |. 〈人 }/ /¨¨¨ア不¨¨¨¨¨\ / / く| / У {{__/イ | |\___}} ∨ | / /  ̄/│ |  ̄ ̄´ j/ 丿 ア イ シ テ ア ゲ ル 全国大会会場 女子トイレ 絹恵「……」カチカチカチ あの宮永咲から、須賀君のメルアドを手に入れて 私は須賀君にどんなメールを送るかを考えていた いきなりメールを送って驚かんやろうか? ふふふ、でも須賀君ならきっと喜んでくれるやろ 絹恵「……」 出来た まず、最初のメールはこんなもんで 【送信 タイトル 覚えていますか】 覚えていますか 目と目が会った時を 絹恵「……どんな反応やろうか」 これだけじゃ私とは断定出来へん だからこそ、興味を持ってくれるんとちゃうかなぁ 絹恵「そして徐々に私だと分かる内容にして」 最終的には――ふふっ 絹恵「送信――」 楽しみや 早く、返信が来ぃひんかな ブーブーッ 絹恵「来たっ!!」カチカチ 【返信 まくろす?】 覚えていますか 手と手が触れ合った時 絹恵「!!!!」 手と手が触れ合った時? もしかして――私が腕の折れた須賀君を支えた時のことを!? 絹恵「き、気付いてくれたんや!! 私やって!!!!!」ウルウル / \ \ / / \ ヘ ,' ./ /´゙`\ ', / \ } , ,' , ' \ i , ' 、 } ! ,' /`` ー‐丶 -- '" ∨ ! | ! { ,' __ __ _,,, __V | , ,」z=f"徒笈㍉、 ,。s===、ニミ、 ,' ,〈 {/卞 { . ij } ヾxzzzイ/ { . ij . リ } } 7 ', V', ,乂ッ,ノ ノノー‐、ヘ 弋ュ,少う/ / i| ハ ヾミュ___ 彡" ` ミx,__ _彡",' 7 ,' i ',  ̄ ’  ̄ ハ7 ,' V .ハ 从 .7! ', V. 入 r ~ ~ ーvォ // 仆、 V __,V > ` -- ' イ } / 7 >s。、 ∨ V Y´ >ォ __, イ ハ \ , ' } i! { / ', { i! ヘ .〈 } i} ヽ ノ ヘ i ノ i} ノ 7 /⌒ヽ_ イ \ ヘ ! | ヘ /_,,,/ ,' /ミュ、 } 彡、 ヽ { i/ 絹恵「奇跡や……須賀君、ありがとぉ」グスッ やっぱり、私には須賀君しかおらん 好きぃ……大好きぃ 絹恵「私の素直な気持ちを! 須賀君に伝えるんや!」 【送信】 それ初めての 愛の旅立ちでした 絹恵「あの瞬間――私と須賀君の全てが始まった」ドキドキ ちょっと詩的に書いたけど、変に思われへんやろうか? あぁ、緊張して胸がドキドキしてきた ブーッブーッ! 絹恵「来たッッッ!!!!!」パカッ 【返信 誰? 大輔?】 I Love you so 絹恵「あっ」ドクン I Love you so 絹恵「私を、とても、愛している……?」カァァァァッ す、須賀君も同じ気持ちやった?! 私のことを……愛し、愛してっ 絹恵「嬉しぃ、うぅっ、うわぁぁぁんっ!!」バタバタバタ 隣の個室 照「……出ない。うるさい。気が散る」イライラ 絹恵「フゥーッ、フゥーッ!!」ハァハァ お、落ち着くんや私! これで両思いやって分かったんやから、ちゃんとアプローチせな 絹恵「私の……想いを!」カチカチ 好き、だけじゃ足らへん 愛してる、でも全然や! 絹恵「……うぅっ」カチカチ 【送信】 「愛してる」の言葉じゃ 足りないくらいに君が好き 絹恵「……//」カァッ その頃 京太郎「誰だ?」カチカチ 久「あら? どうかしたの?」 京太郎「いや、知らないアドレスからメールが来て」 久「ふぅーん?」 優希「あの放課後のロッカーじゃないのか?」 久「っ」ドキ まこ「流石に違うじゃろ」 京太郎「俺の中学の友達かとも思ったんですけど。そいつ、よくラブソングの歌詞を送ってきたんで」 和「え? ラブソング?」 京太郎「ああ。それで俺は知ってる曲なら歌詞の続きを返信して遊んでたんだよ」 和「ま、まままままさか女性ですか!?」 京太郎「んにゃ、男だよ」 久「(ホモォ……)」 優希「ほっ」 和「もぉ……」ホッ ブルブル 京太郎「ん? またか……って、やっぱり歌詞じゃないか!」カチカチ まこ「京太郎、相手がわからんなら返信はやめた方が」 京太郎「そうですかね? じゃあこれで最後にします」カチカチ 【返信 大輔じゃないの?】 愛してるの言葉を 100万回君に送ろう 京太郎「よし、これでオッケー」 女子トイレ 絹恵「ファァーッ!!!」ガタァーン!!! ガタンガタガタガタタタタタ!!! 照「ぁぁぁぁっ!!」イライライラ 白糸台 控え室 ガチャッ バタン 照「……」 菫「随分と遅かったな」 誠子「お疲れ様です」 堯深「お茶をどうぞ」 照「いらない」イライラ 淡「テルー? どしたのワサワサ」 照「なんでもない」イライラ 菫「(あの日か? いや、それは三日前だったと聞いてるが)」ウーン 誠子「(怖いから触れないようにしておこう)」 堯深「(右に同じ)」 淡「あー! もしかしてテルー! 便秘?」 照「」 誠子「あっ、ちょ! おまっ!」 菫「なんだと!? それは本当か!? なぜそれを早く言わない!!」 堯深「あの、そこに食いつかない方が」 菫「すぐにキャベツの千切りを用意しろ! 決勝に響いたら大変だ!」 照「菫、大丈夫だから」 淡「便秘の気持ちって分かんないなぁー。あわいちゃんはいっつもすぽーんってなるけど?」 堯深「は?」 誠子「殺すぞ」 照「死にたいの?」 ゴゴゴゴゴ 淡「しゅ、しゅみましぇん」ビクビク 菫「私に任せろ! 食技を極めた私の千切りは音速を超える」トントントントン 照「……(この苛立ちは決勝の先鋒戦でぶつける)」プルプル 女子トイレ 絹恵「はぁ、はぁっ……//」プルプル 100万回の愛してる 須賀君、そないに私のことを好きでいてくれたなんて 絹恵「もう、ダメぇ……こないなこと言われたら、気持ちが抑えられへんってぇ」ハァハァ カチカチカチ 絹恵「須賀君が100万回のアイシテルをくれるんなら、私は――」 100万回の好きを、送らんとな 絹恵「好き、好き好き好き」カチカチカチ 【送信】 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き 絹恵「今、1218回……あと99万8782回……うふふっ」クスクス 京太郎「うわぁ、しくったなぁ」 久「どうなったの?」 京太郎「やっぱりこれ、なんか迷惑メールの類だったっぽいですね」 まこ「ほれ、言ったじゃろうが」 和「アドレスを変えたらどうですか?」 京太郎「そんなことしなくても、迷惑メールのリストに入れるから大丈夫」カチカチ 優希「世の中便利になったものだじょ」 ガチャッ 咲「ただいまもどりましたぁー」グスグス 京太郎「咲!? どうしたんだお前!?」 咲「えっとね、気がついたら床で寝ててね……うぅっ」 和「頭に大きなたんこぶが!? 転んだんでしょうか?」 咲「分かんない。ただ、気を失う前に何か……ボールが二つバインバインしてたような?」 久「ボール?」 優希「犯人はのどちゃんだじぇ!!」 和「どうしてそうなんですか!?」 京太郎「でもよかった。お前が無事で」 咲「うん」 京太郎「ごめんな、俺がお前を一人にしたから……」 咲「大丈夫だよ! でも、これからはあまり一人にしないでね?」 京太郎「ああ。約束するよ」ナデナデ ______ ,. ´ ` .、 , . ´ , \ / // / ヽ ヽ  ̄ ̄ ̄/' ' | ∨ .、 // / --/-|、 | | . / / ' , l | | | i | | / | /_ l | | `ヽ、 | | | /| |ィ´斧ミ从 ∧ {、 | |\ ' .' | /イⅥ { 比 (_, 、{ ィ斧ミ / | | ヽ / / |' | /|、|弋zソ ん (_ ∨ } / / |Ⅵ . . . , 弋こソ l/| イ , 人 、 . . . / j' ,ノ/ / 、 ´ ム イ-' / イ / ` -,--==≦「イ / イ { { ∧ , -┴ ヽ | ∧ / ノ / \ | { . .、/¨/ _ \ | Ⅵ {/ /´>----、\ ∨、ー'-< . . / ヽ\\| { /、ノ、 . .// __ . \} / . .「 ´ {/ ̄ ̄\ | | / ./ .| | | | / ./ . .{、 | | | / . .{ . . .| . | / | | { . .∧ . .| 、 | ,. | | | ./ \〉 } , / { ∧ _|'___ / { | \ /{ {{ `∨ , | ヽ _>〉 || ___∧、 . | } , ´ { {{ ̄ 、 \ l | ノ 咲「えへへっ♪」 絹恵「返事が来ない……なんでや?」 私の愛の気持ちが届いてへんの? ちゃんと100万回送ってへんから? 絹恵「わかったで、京ちゃん。これから、毎日少しずつでも100万回達成してみせるから」 だから、待っててな? 100毎回の好きを送ったら必ず―― 一ヶ月後 姫松 ザァァァァ 洋榎「そ、そないなことがあったんか……」 絹恵「うん。だから、お姉ちゃんが須賀君とメールしてるって聞いた時は本当に――」 ____ ____ _,. ,ィセ ;ア――― ‐≡ミ ィ≡‐ ―――エ; -、.,_. /´,' / __ ヾ; ミ、 ヽ ,r' ミ ;/ __ ハ ',`\ ., ' .i ;′ .,ィ ヽ 'ハ. ヽ / ハ' .,ィ ヽ '; i. ' ,. | .! | i i ! !. 、 ,. .! ! i i | !. | ', ! ! ヾ ノ ./ } ', ,' { l. ヾ ノ ! ! ,' .', '; 、 ` ´ ,.タ ;′ ., ' ' ,. ; ム., ` ´ 、 ;' ,/ ヽ. マ>...、___,...ィタ / , .ィ ゞ , ゙i ムェ...,___、...<タ .,r' ``゙ ‐-==== -‐ ゙´´ ...... ``゙ ‐- ====-‐ ゙´´ 絹恵「憎くて憎くて仕方なかったなぁ」ボソ 洋榎「待ちぃ! 大体、絹はまだ須賀と直接話したことすら無いんやろ!?」 絹恵「それで?」 洋榎「せやったら一度話そうや! そしたら、須賀も!!」 絹恵「分かってないなぁ、お姉ちゃんは」 洋榎「は?」 絹恵「須賀君はね、優しいの」 洋榎「お、おう?」 絹恵「だから、本当に好きな私とのメールを我慢してまで……お姉ちゃん達に付き合ってる」 洋榎「いや、それはナイナイナイ」 絹恵「可哀想。私とこんなにも愛し合ってるのに」 洋榎「もしもーし、絹さーん? お薬の時間やでー」 絹恵「だからね。私、須賀君を助けてあげようと思うの」 洋榎「……はい?」 洋榎「何をする、つもりや?」 絹恵「ふふふ、知りたい?」 洋榎「当たり前や! 京ちゃんに何かしてみぃ! うちが許さへんで!!」 絹恵「……ゴメンネ、お姉ちゃん」 スッ! 洋榎「しまっ!?」 絹恵「先に――眠ってて」ドスッ 洋榎「ぐぁっ!?」ガフッ フラッ 絹恵「鳩尾にゴールキーパーのパンチング。耐えられるわけがないよ」 洋榎「き、絹ぅ……!!」ギリギリ 絹恵「!!」 洋榎「ようも、やってくれたで……この、馬鹿妹がっ!」ググッ 絹恵「そんな、どうし――!!」 洋榎「これがうちの!! 必殺技やぁぁ!!」シュバッ 絹恵「(フック!? いや、アッパー!? 中途半端な構えを――!?)」バッ 洋榎「っらぁぁぁ!!」 |.l l .| / \ ! } // \\ .,, / │ .,i / / \ \ i、 巛 ! , '/./ / \ `.-、 l`、| !/ 〃 ,/ \ `'-.ゝ ./ // ッ \ / / ____Z  ̄'''―--z__ ──==二二二__ , , r──────── _.;;彡-ッ , .'゙ ,.' .,,,,、 \ '"´ / ,. , ' ,.' .. ..\¨''ーニ;;、、 ,.;;ン‐″/ ,'., .l ゙!l 、 \ ´ ,..广 /. ,'/! .i'i.|.', l `'-、. `'-, " / ,'/,! l゙ リ ヽ l . `'-、\ / .i | l ..ヽ | `'''ゝ / i .! ,! ヽ,| / i. │ / ヘ / i | / / .{. |/ / l. |′ バキィィ! 洋榎「決まったで!! うちの勝ち――」 絹恵「っ……スマッシュなんて、いつ打てるようになったの?」グラッ 洋榎「えっ」 絹恵「じゃあね――お姉ちゃん」 ドガッ 洋榎「く、そ……京ちゃん」フラフラ バタン 絹恵「……」ジンジン 痛かったよ、お姉ちゃん でもね、私の心はもっともっと痛いの だから、ふふふ 清澄 部室 ガチャッ 京太郎「……お疲れ様でーす。ってあれ? 誰もいないな」 シーン 京太郎「俺が一番ノリかー」テクテク 机「」 京太郎「ん? なんだこれ、クッキー?」 メモ「お腹が空いたでしょう? 手作りなので食べてください」 京太郎「おお、ありがてぇ」スッ モグモグ 京太郎「作ったのは部長かな? いや、流石にないか」アハハ ゴクン 京太郎「あー、うまかった」 グニャーン 京太郎「あれれーおっかしぃぞー」フラフラ ガクンッ 京太郎「足が、もつれる……?」 ガチャ ??「……」クスクス 京太郎「だ、誰……だ?」フラァ ??「すぐに楽になるからね。須賀君」クスクス 京太郎「う、ぁ」 バターン!! ??「さぁ。今から楽しい楽しい」 / \ , ' \ ヽ , ヽ ヘ __ 、 7 / `` 、 ヘ / ヽ\ ', ,' \ } | 7_ ,ィ'" ', .∨ } {. ,' `` ,. ,ィV | | ', { ‐- ´ ,ィ='=オ} i| | ', ィ≧==z。、. / 巧 ij } | i| | 《 ヘ V ヾ==く 乂 ノ i! i ',ヘ ヘ 乂 ノノ ̄`ヾzzzz二==! ー-‐" ' i ,'! マ 入 __ , /i .| { ヽ マ > `ー ´ イ i| ,' i } } マ } > - '" ,ィ'{ { i! i ! | { } .i / } r '" .| i. ', ヘ. ノ.,' {ヘ ノ } ノ'"{ A V ヘ. ', ', ヘ  ̄´/ ヘ `ー" ノ ノ // ミュ 彡ヘ ヘ. ヘ ` ー " ヽ `ー-" / .{/ >ii< ヽ _,ィへ ー '" ヘ `ーァ イ / 〃ヾ \ >- '" ∧ } / / .ii ヘ ヘ / } /. y' {_,ノ ii ヘ,__ノ ,' } ノ , 〃 .ii ! ノ , , , 〃 / ij / , { ´ 7 } , ヘ ', { ノ! ー}、 ヘ ', / .,' } 絹恵「二人きりの時間だよ?」 ラブホ照 京太郎「……んっ?」 どこだ、ここ? 俺は今――ベッドの上にいるのか? 京太郎「確か、部室でクッキーを食べて気分が――」 そうだ、思い出した それで俺は気絶して――! 京太郎「くそ! どうなってんだ!?」ジャラッ って、なんじゃこりゃ!? 鎖で繋がれるじゃねぇか! しかも、俺裸だし!! 京太郎「誰がこんなこと――」 ??「知りたい?」 京太郎「え?」 . / ,.' ,.' / / \、 .',/ ,' .,' / ,ィ ヾ i i ! /' .// ' , .! l .! /_// { l! l l l ,' {' ̄ ‐- ..,, ,,.-‐l l l .! l l ‐- 、` ´,,. l.! l ! ! l-z=≡=-ミ ,.-=≦´ .! l! ! l/,イノ i j lヾ、 , 'ィ j }`)} リ .i ! ! lヾ '; ¨ ノ=-..、 八 ¨ ノ¨ハY.,' . .i ! .l ト「{`ー‐'' } ;ニ;{.  ̄ ,' ./// .l l .l l ヽヽ、''' _ノ/ ヽ .......'ノ//. l ! l .l `ー==一''′ '  ̄ 厂/. l ,! l l 、 、_,, , ' / l ,' l l l .\ / ./ ! ,' .jl l l ` ...、 ,.イ ./ .l .{/.l.l .l ./\≧ー-イ .i / l 人 .l.l .!\ ,' \ノノ! .l ,' j/ ∧ l.! l .\、 r } l .! .i '- 、 .∧!! l ,`ー〈 '., |..l l \ l! l /、 {\ \l l 絹恵「やっと起きてくれたぁ」ギュッ ムニン 京太郎「ふぁっ?! な、なななっ?!」 絹恵「ふわぁっ……いい匂いぃ」サスサス 京太郎「ちょ、やめっ! って、愛宕絹恵さん!?」 絹恵「うん。そうだよ。須賀君の絹恵だよ?」ハァハァ 京太郎「(何がどうなってるんだ? どうして絹恵さんが俺の首筋をハスハスしてんだよ!)」ドキドキ 絹恵「すごぉい、須賀君の首筋って逞しいんだね」ペロッ 京太郎「っひぃっ!?」ゾクッ 絹恵「んちゅっ、んぅ……」レロォーン 京太郎「んひゃぁぁっ?!」ガチャガチャ 絹恵「んふふっ♪ おいしっ」ペロッ 京太郎「ちょ、やめてください!!」 絹恵「どうして? 須賀君、気持ちよく無い?」 京太郎「そ、そういう問題じゃなくて!!」 絹恵「あ、そっかぁ。まずはゆっくり……ステップアップだもんね」 京太郎「はい?」 絹恵「んぅっ」チュー 京太郎「んぅぅぅ!?」チュー 絹恵「ぷはっ。あははっ、これすごく気持ちいぃね」ホヘラ 京太郎「(なんで絹恵さんが俺にキスを!? 嘘だと言ってよサーキィ!!)」ガタガタ 絹恵「寒い? なら、私が温めてあげる」シュルッ パサッ 絹恵「どう、かな?」プルン 京太郎「わーぉぅ」ビンビン 絹恵「よかった。喜んでもらえて」スリスリ 京太郎「ひゃぁぁっ?! ダメですってば!!」 絹恵「これはえっちなことじゃないよ。凍えてる須賀君を温めてあげるだけだから」 京太郎「え」 絹恵「だから全然悪いことじゃないの」 京太郎「あ、そっかぁ」 ※ これは人命救助活動です 決してR18ではありません 京太郎「(っておかしいだろ!! 全裸の男女が肌をこすり合わせてんだぞ!!!)」 絹恵「逞しいなぁ。スポーツやめて結構経つのに……」スリスリ 京太郎「なんでそれを!? というか、え? なんで標準語?」 絹恵「おかしい? ごめんね、まだ慣れてないからアクセントが変かも」 京太郎「そういうことじゃなくて。普通に大阪弁でいいのでは?」 絹恵「……だって」グッ ギリギリッ 京太郎「っつぅ!?」 絹恵「関西弁は嫌いなんでしょ? だから私は標準語になるの」ギリギリ 京太郎「ちょ、待ってください! 俺は別に!」 絹恵「あ、ごめんね。痛かった?」 京太郎「す、少し。腕の古傷から――血が」ジンジン 絹恵「あっ」ドクン 京太郎「でも、これくらいなら」 絹恵「あ、ぁっあぁぁぁあああああああああああああああああああっ!!!」 京太郎「!?」 絹恵「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」ガタガタガタ 京太郎「絹恵さん?」 絹恵「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」 京太郎「お、落ち着いてください!!」 絹恵「あぁぁぁぁ!!! 私の、私のせいで!! また、またぁぁああああああ!!!」 京太郎「(また? まさか――)」 絹恵「傷口、痛いよね。苦しかったよね? ごめんね」ペロッ 京太郎「っ!?」ゾクッ 絹恵「んぅ、ちゅぅ、れろぉ……じゅる、んちゅぅ」チュルチュルチュル 京太郎「くぅ……」 絹恵「こんなに、痛そうな痕が残って……ゴメンナサイ」チュッピチャピチャ 京太郎「もういいですから!! やめてください!!!」 絹恵「あはっ、須賀君の血……おいしぃ」ハァハァ 京太郎「(やばい、この人完全に狂ってる)」 絹恵「ねぇ、須賀君。私、ダメな子だよね?」 京太郎「え」 絹恵「好きの数も、まだ100万回くらいじゃ足りなかったの」 京太郎「好き? 100万回?」 絹恵「せっかく須賀君は100万回も愛してるって、言ってくれたのに」 京太郎「(そんなに言ってたら死んでまう……って、これはまさか)」 絹恵「はぁ、はぁ……須賀君。好きぃ、愛してるのぉ」ギュゥ 京太郎「組み立てろ。パーツを、あともう少しなんだ」 あの時 アレが始まった時のことを思い出せ!! ~~~ 【送信 タイトル 覚えていますか】 覚えていますか 目と目が会った時を 咲「えっとね、気がついたら床で寝ててね……うぅっ」 京太郎「そんなことしなくても、迷惑メールのリストに入れるから大丈夫」カチカチ 京太郎「そこの美人さん! 今のうちに逃げて!」 ~~~~ 京太郎「!!!」 \ / \ \ 丶 / / / \ \ 丶 i | ./ / / ヽ \ \ 丶 i | / / / / ヽ \ \ 丶 i. | ./ / / / ヽ \ \ ヽ i. .| / / / / ヽ \ \ ヽ i | / / / / ヽ \ / \ /! ,,.rァ / l゙ ,,、r'´ / ---‐‐‐ ‐‐‐‐--- | l_,.r''´ / | ,.、r'! / -----‐‐‐‐‐ ー―――――――― ,,l ,,r'’ l /____________ ./ .l゙ l ./ ----------- 二二二 / ./! l! l゙/ _,,.rァ === 二二二  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ r'´ ./ .| | r''´! ./゙ /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ --------‐‐‐‐‐‐‐‐ | ./ | | /| .| ,l / ./ ‐‐‐‐‐‐‐‐----- | ./ | | | | |/./ . / ---‐‐‐‐‐ レ' | / .| ./ ./ ./ ‐‐‐‐--- |./ l/ / ./ / / ;'_/ / / / \ / / / 丶 \ \ / / / / | i, 丶 \ \ / / / / | i, 丶 \ \ / / / / | i, 丶 \ \ / / / | i, 丶 \ \ / / / | i, 丶 \ 京太郎「そうか、そういうことだったのか」 絹恵「え?」 京太郎「俺に数多くのメールを送り……今、こうして拉致監禁している人物」 絹恵「?」 京太郎「その正体【ラブソングメーラー】は! この中にいるっ!!」デーン 絹恵「ラブソングメーラー?」 京太郎「そう。ことの始まりは簡単なことです」 絹恵「うん」 京太郎「犯人は、ある理由から俺の連絡先を知りたかった――そして、たまたま通りかかった俺の知り合い」 絹恵「……」 京太郎「宮永咲を気絶させて、連絡先を奪った」 絹恵「そうだよ」 京太郎「そして、最初に愛を伝えようと愛を綴ったメールを送る」 絹恵「送ったよ」 京太郎「だが、ここで不幸な勘違いが起こった。俺は、そのメールを古い友人のものからと勘違いしてしまったんだ!」 絹恵「え」 京太郎「俺の返信はラブソングの歌詞の続き。それを犯人は愛の言葉だと誤解する」 絹恵「誤解?」 京太郎「100万回の愛してるを送られたと思った犯人は、すかさず100万回の好きを返信しようと企む」 絹恵「……」 京太郎「だが、それがかえって逆効果となり――俺はそのメアドを迷惑メールに設定しまった」 絹恵「迷惑、メール?」 京太郎「犯人は俺にメールを無視されたと勘違いし、逆上した」 絹恵「別に怒ってないよ」 京太郎「狂気に駆られた犯人は、俺を拉致し! その欲望をぶつけようと企んでいる!」 絹恵「そろそろエッチしてもいい?」 京太郎「そして! そのメールを送っていた人物――【ラブソングメーラー】の正体は!!」 絹恵「正体は?」 京太郎「愛宕絹恵!! アンタだよ!!!」バーン 絹恵「そうだけど?」 京太郎「え?」 絹恵「?」 京太郎「ここはさ、『ははは、なんで私が犯人なの?』みたいなさ」 絹恵「だって、別に否定することじゃないし」 京太郎「あ、そうっすか」 絹恵「うん」 京太郎「で、でも!! 今ので分かったでしょ! 俺は別に絹恵さんに愛してるなんて!」 絹恵「それはショックだね」 京太郎「でしょう!? だからほら! もうやめましょう、ね?」 絹恵「でも、私が須賀君を好きな理由はそれじゃないから」 京太郎「! やっぱり、二年前のことですか?」 絹恵「……やっと、思い出してくれたんだね」ギュッ 京太郎「あの時の、美人さんが絹恵さんだったんですか?」 絹恵「うん。助けて貰ってからずっと――ううん、その前からずっとずぅっと好きだったの」 京太郎「どう、して? 俺と面識なんて……」 絹恵「須賀君は知らないだろうけど、私は……須賀君のハンドの試合を見たことがあってね」 京太郎「ハソドの!?」 絹恵「かっこよかったなぁ。もう一瞬で虜になって、須賀君のファンになって」 京太郎「……(そうか。だからあの会場にいたんだ)」 絹恵「でも、私のせいでその須賀君はもう見られなくなった。私の、せいで」 , ../', . .、、 ..,'.', ./ .| ,, .ヽ\ ..、'ー、_ ../<~ヽ,..、__// ヽ ミ、_ノ) .` _,,ノ ..'` ヽ' ..1 ./'' ´`、__,,,,, ..rー'ニ=く、 | / ,,。 .ヽ‐・" .`~´、____,) _,,ノ,.' ノ ..,、__,.,,。‐‐ ..ヽ `ヽ.´ー‐''フ´ r'ー'~´..__,,,a ..iェェェ´'ー, ..| /´ ,, ||\ __|j~j ..|f、 r´ ノ,'_,,ョ,〆j .|'~~ ____ ~ `.)i/ .<´.~ ..| ..|.i゙゙゙ー‐、_ヽ、_//| `、__ `゙゙エ・´ '、`ー‐'~ . ̄..`'ヽ、 )~ ヽ、 ,,,,,,,,,、 .\_,・‐ェ~' ノ.j,' ./ .〉、_ `i ix´~ヾ゙/_,,,。´ェ'´ .c' ,/.,| `ー' ..__,,,,‐',・'ー'・ー、、( ..,i /.'´ゝェュ ../、‐゙゙゚´,,,. ,,,Jjヽ、 ..| /./´ / ..ノノヽニ〆,*´~‐´_,・‐ ..| |/‐、 / ///.´、____ノ゙' ̄ヽ`。 ..i´ `j,i ..r´ ..//..|、. ..,,ノ..ノ ..ゝ__/,゙/~、__ノ/,。‐、エェニニニニニミv'、' ''´ .| /´ ヽ ../ `\ヽ |./ ヽ/ `'` `' ..' 京太郎「それは違うよ!!」 絹恵「……」 京太郎「アレはあの三人組のせいなんです。ちなみに、慰謝料がっぽがっぽ貰って、今じゃ」 絹恵「今じゃ?」 京太郎「わりとお金持ち」 絹恵「そうなんだ」 京太郎「だから、絹恵さんが気にすることは無いんですよ!」 絹恵「分かった。じゃあ、もう腕のことは気にしない」 京太郎「よかった。あと、俺が嫌いなのはあくまで頻繁にメールで送られてくる大阪弁であって」 絹恵「うん」 京太郎「女の子が可愛い声でしゃべる大阪弁はむしろ好きです!!」 絹恵「そっか。じゃあ、元に戻すけど、ええかな?」 京太郎「っしゃ!! じゃあ俺を離してください!!」 \\ \ ヘ ', i ,ィ ' ,ヘ ヽ ヘ ム | / ヘ, マ ', / ぃ マ , キ. / 斗‐ V , ' ,.。≦´ } ∨ キ , . /, ' ,.。if升三≧==--- 」__} // ,.。ifン´圭圭ニニ===≪≪三三 ヽ ,.。ifン´彡'" i i キ }iii〉 `,;○;;Y , ,.ィ'´rイ{ . i i . i} ,'// };;;;;;;;;i , i! ィ㌢ キ, ¨ 4' 〃' i!;○;;i! ,㌢ ’- 、 ノ / ム;;;;;;7 ,㌻ ノュ,,_,, イ ム;;;;;7 i i! i{ `  ̄ ´ ム;;;;7 i! ミュ ム;;;7 ii i| ヾミュ、 ,.。斗;;;;; / ` 、ミュs、 _ _,, -‐=ニ壬三三彡{ ii i| ` 、三三三三三≫-- ''"´ ハ i! ハ i | 絹恵「嫌や」 京太郎「ふぇー><」 絹恵「あのな? 言っておくけど」 京太郎「はい」 絹恵「須賀君とのメールでのやり取りには誤解があったかもしれへん」 京太郎「だから俺は最悪な奴なんですってばぁー!! やだぁー!!」ガチャガチャ 絹恵「あの時のことも、私に責任は無いのも分かっとる」 京太郎「なら!」 絹恵「だけどさァ――いくら私に非が無かなろうと……私が須賀君を好きなのは変わらないやろうがぁ!! あぁ!?」ガンッ 京太郎「」ビクッ ガ゙チャッ スタスタ> 絹恵「ここから先は一方通行や!! 貰うで! 須賀君の純潔!!」 京太郎「いやぁぁぁああ! 照さぁぁぁん! 助けてぇぇぇ!! 透華さぁぁぁん!!!」ガチャガチャガチャ ソローリ 絹恵「先っちょだけや! 先っちょだけやから!」ガシッ グニッ 京太郎「なんかネチネチしてるぅぅぅ!! わぁぁぁぁぁぁ!!! 」 絹恵「イケる!!」グプッ ??「いけないっすよ」 ,、 `' { rァ ( ノ) _ノl j ニ='⌒′ ./ {_r-'´ { r~' rァ (`ァ 絹恵「えっ!?」 ドガッ 絹恵「うっ」ガクッ 京太郎「」チーン ??「……」スタスタ パサッ 京太郎の服「」 ガチャッ 手錠「」パカーン ??「……」タタタッ ダダダダダッ ガチャッ バターン!! 煌「京太郎君!!!」 絹恵「」チーン 京太郎「」オチンチーン 煌「きゃっ!?」カァ 京太郎の京太郎「」ビンビビビビビビーン 煌「こ、これはなんてご立派な……//」ゴクッ 「L.... /. . . . . . . . . . . . ........ \ ((_ ....丶、. -== 「 ̄ /. . . . . . . . . ハ くヽ ヽ\ . ヽ (o| '............... | 丶 '; ' . . . . jノ {]{] { |\ \ ト |\ハ } l ノ . . . } l l =l l= ∧_ > l v从| ト√ィf'亦ヽ∨jノ ;/. . . リ l l ( o r' / Y |Vz示ミ、 弋辷ソ x-‐ '"´. .. /  ̄ / 八|\| 〈 化 ノ)  ̄ >.. . / ヾ〉 { ` ` `ー" 、 < ノj/ | L { \ 乂_ノLム | | l l 、 /;厂 ̄ ⊃八. . . .......... ∧ ij < ノ イ/  ̄ \ / > _ // \ r、`ー-'^` ≧=く/ / ̄⌒ヽ r 、 _ヽ\ \_|_∧ / ', λに._ ヽ\、 V / ̄//イ //ヽ / i .と ィ1 |/\ヽ } / 〈/i_{// /_ } と/人 '´ ,{ (|, -―〈 / j { ノ / `ヽ | ` ) / ノ′丶 _\ /\/ / / /- _ . / ., ((!__(丶 \/ / ;/ / ヽ V / ヽ丶 \ ー ;;;l{ / ∨ { 煌「はっ!? そんなことを言ってる場合では!」ササッ ガサガサ 煌「早くここから脱出を」ササッ 京太郎「」 ババババババッ 煌「ヘリも到着したようですね」 透華「京太郎ー!! 私でしてよー!!」 煌「龍門渕さん!」 透華「とぅっ!」 シュタッ 透華「京太郎!!」 / / / ├-、 / / / ノ レi 〉 // / / N ' / /;' / // / /!|.| /// // r='/ , ナメ ハ!.| i/.// 《/ i,.cイナソノノ ! ト、// メ、 ! `′{ リ ノ !))/ //メ、! | __ ノ/ / ノ(. ///ノ,ハ |_ / ノ /_/ //-‐=<\ ゙、 |/ / /// ∧ \\\ハ i! 〈 (/ / \ \! i |. | 丶、ヽ 、 / \\ト-V ノ ヽノ \ \ 〉/ / ノ ヽ ヾ、( ゙、 \ Vイ ゙、 \ Y! i ` ! ゙、 透華「あぁ、なんて酷い……」ウルッ 煌「無事に保護しました」 透華「ああ! 無事でなによりですわ!」 洋榎「あいたたっ……二人共、助かったでほんま」 透華「いいえ。貴方が連絡してくれなければ、今頃どうなっていたか」 洋榎「絹は、中か?」 煌「ええ。810号室です」 洋榎「そっか。なら、行ってくるわ」 透華「お待ちなさい。アナタ一人では」 洋榎「悪いけど、これは姉妹の問題や」 煌「ですが!」 洋榎「……」 洋榎「うちはな、お世辞にもちゃんとした姉やと呼べるもんやない」 透華「……」 洋榎「淑やかやなし、スタイルも妹に負けて、顔もおもろい」 煌「そんなことは――」 洋榎「コンプレックスが無いわけやない。妹に負けたくないって、思うこともある」 透華「……そうですのね」 洋榎「せやけど! だからって妹を見捨てるような、軽い覚悟じゃあらへんのや!」 _ / ..ヽ / / .. / 愛 ...  ̄ ̄ ̄ > .、 う 宕 / \ .| ち 絹 . ヽ | の 恵 / / i ヽ ..ハ | 妹 は. / / ,′ i |\ `.i や / i /| 八 ヽ ハ トi !. i ト { 斗 ) / j | | i | i | Ⅵ\ {\ { ィ斥云トi リ入. 〉 i | ィ斥云ト ヾ V辷リ j / /} へ __ / / へ 〃 V辷リ `¨ ´イ く 入 乂{__/ ≧=- `¨ ‘ " ′ 〉 \ `> ト{ ∧ " r 、 ,イ i / \ ヾ| | > // | i\ ヽ | `こj¨ ´{/八 | i ヽ \ { i _/ `Y´ У 'ー- 、 } }\ } ヾ´ / / 八 / `ー- 、 }j / ` / 〈_彡ヘ,/ へ _彡 i \ / ./ _, 斗=r'⌒ヾ | / \j 〃⌒氷{ 》 / 八. r― ' | __{{_ 〃}i ヾ=='' i \. |/⌒ヽ_ / r― ' 〃 {{ 八 `ー \ / / ⌒ヽ } {{ | }} 〉 ヽ 洋榎「向こうはそう思ってくれへんでも、周りが失格や言うても」 ザッ 洋榎「口先だけでも、あの子の姉でいたいんや――」 透華「……ふふ、誰も否定なんてしませんわ」 煌「はい。させません」 洋榎「おおきにな、お二人さん」スタスタ 810号室 洋榎「残念やったなぁ……」 絹恵「……お姉ちゃん」 洋榎「知っとるやろ? 京ちゃんを狙うには沢山のライバルがおること」 絹恵「知ってた。でも、まさかここまでとは」 洋榎「恋愛は難しいんや。うちかて、まだ京ちゃんとはキスもしてへんのに」 絹恵「んふっ。なら、私が一歩リードや」 洋榎「はぁっ!? キスしたんかいな!?」 絹恵「うん。気持ちよかった」 洋榎「そっかぁ。悔しいなぁ」 絹恵「……ねぇ、お姉ちゃん」 洋榎「んー?」 絹恵「怒ってないん?」 洋榎「アホ、怒っとるに決まってるやろ」 絹恵「じゃあ、なんで」 洋榎「それはな。絹がうちの可愛い妹やから」 絹恵「!」 洋榎「京ちゃんとおんなじくらい、絹も大事なんやで」 絹恵「……もぅ、やっぱりお姉ちゃんは優しすぎるんよ」ギュッ 洋榎「はぁ、何が悲しくてラブホで妹に抱きつかれなアカンのや」 絹恵「ふふ、お姉ちゃんも脱ぐ?」 洋榎「脱ぐかアホ!! さっさと服を着て、立ちぃ!!」 絹恵「うん」 洋榎「……なぁ、絹」 絹恵「?」 洋榎「……今度やるときは、うちもちゃんと誘うんやで?」ニッ 絹恵「あはは、うん! やるかどうかは、わからへんけど」 洋榎「よっしゃ! これで決まりや!」 絹恵「お姉ちゃん――ありがとう」 まだ、全てに納得したわけじゃない 胸の内を駆け巡るどす黒い何かも、消えてはくれない でも、おねえちゃんと一緒なら 私はきっと――もう一度、やり直せると思うんや 絹恵「ごめんね、須賀君」 / \ / ,, ヘ , / / `` 、 ヘ イ / ヽ , { { / {/ '"´ ∨ i| i ', 7 ̄「`` ,ィ=ァ i ヘ ヘ {_,。s=ニ=ュ、__,ィf乏}`i , キ{爪沁` 〃゙ヽ`=’┤.リ、 , ', ゝ`ニ´‐'" ' ノ /{ \ .V ヘ ー‐' / / .', ヘ λ 卜ヘ- ,_ / /、_ Y {、 / } } ヘ } 7¨ { ハ_,ノ}ヽ ', V `ー' ,' ,ノ! ノ { )ヽ{ ( -=イ}. , 〉、  ̄ イ ノ'" `ヽ∧ ヘ、 `ー'" !. , /  ̄´ V ノミュ彡、 ヘ ̄ \. ! , / ,' ヽ,_//ハ\` -’ ノ Y , イ 7 〃 イ ヘ }} ( | , { ノ / ゞノ ii ヾ ヽ'" i. , λ /ヘ, ' i! i} 、i! v / ヽ 7 } ', } ハ , / ̄ ´ ハ } ハ / / , , 、 ,' ヽイ ,' / 7 \ ァ- ´ , ./ > '" {  ̄ / ,' r"/ ', /. , ./イ;;7 、 / , r'";;;;;;{ \ / { 、 /;;;;;;;;;;∧ , ' ソ〈 , {ヽ;;;;;;/;;;ヘ /;;;;;〉. i Y 7},';;;;;;;;;〉、 /{ ノ;;;;; . { }.{ ヽ;;;;;/;;;;;>、 ./;;;;;;V >'";;;;;ゝ´. ゝ リ , ` ー 、;;;;;ノ;;;;¨;;;;;;;;;;;;ノ`¨;;;;;ィ‐、ノ ', ヾノ ,  ̄ ヽ_ノ`ヽ_;イ`ー' } |ヘ ノ 、 _,.ノ! ニニ≧s。、__,イ ヾー===壬ニ- -ニニニニニニ7 マニニニニニニニ ニニニニニニ=7 マニニニニニム ムニニニニニ/ マニニニニニニ ムニニニニニ- ニニニニニニ- 絹恵「今度は、正攻法で行くで?」 でもその前に、まずはちゃんと謝らへんとな―― 第十七章【略奪愛! 何を諦める必要があるんや!?】 姦ッ!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6470.html
7月30日 114日目・朝- 京太郎「ふぇ、あぁ夜更かししたもんなぁ」ググッ 京太郎「昼はどうすっかなぁ」 京太郎「さて、なにか買ってこないとなぁ」 京太郎「ないない、ノーウェイノーウェイ……とりあえず弁当でも買って帰るかなー」 昼過ぎ- 京太郎「ふぅ、食べた食べた……さてと、どうするかなぁ」 京太郎「誰かに電話してみるかなぁ」 京太郎「恭子さんに電話してみるかな!」 プルルルルッ 恭子『もしもし?』 京太郎「あぁ恭子さん、今大丈夫ですか?」 恭子『うん、暇やからね』 京太郎「練習とかいいんですか?」 恭子『もうすぐ東京やからね、ちょっと休み入れんと』 京太郎「なるほど、また全員集合ですねー」 恭子『そやねー、最近はなんか疲れてるから』 京太郎「インハイまでに体調直してくださいね、うちもそうじゃないと勝った気しませんし」フッ 恭子『ほぉ、言うやん、楽しみやなぁ』 京太郎「そうですね、それじゃまた!」 恭子『うん、それじゃ!』 プツッ 京太郎「よし、頑張ろう……俺関係ないけど!」 夕方- 京太郎「ん~いい天気だなぁ」 京太郎「どっか行くかなぁ」 京太郎「適当にふらつくかなぁ」 京太郎「ん、優希じゃないか」 優希「ん、また京太郎だじょ!」 京太郎「またってなんだよ……」 優希「東京行っても元気でやれよ」 京太郎「引っ越さねぇよ!?」 優希「はははっ、まぁあたしも行くけどな!」 京太郎「ん、そうなのか?」 優希「のどちゃんと向こうで会う約束してるしなぁ」 京太郎「あぁ、納得」 優希「まぁとりあえず、あっちでもまた会おうじぇ」 京太郎「おう」 優希「あぁあと、お前のタコスおいしかったからまた作ってくれ」グッ 京太郎「任せとけ」ハハッ 夕方2- 京太郎「ん、どうするかな」 京太郎「もうちょっとな」 京太郎「あれ、竹井さん」 久「あら須賀君、偶然ね」 京太郎「そうですね、前はありがとうございました」 久「気にしないで、そう言えば前の買い物のお礼はどうなるのかしら?」フフッ 京太郎「ん、また今度ですかねぇ」 久「なるべく東京に行く前が嬉しいんだけどねぇ、私も行くけど」 京太郎(結局行くんですか!) 京太郎「ん~」 京太郎「晩御飯でもどうですか、お礼もかねて」 久「あら、ナンパ?」 京太郎「嫌ならいいですけど」 久「嘘嘘、行きましょ!」 京太郎「どこ行きますかぁ」 久「あそこのレストランとか」 京太郎「学生が行ける値段じゃないですね、適当にステーキハウスとかにしときましょう、安い」 久「えー」 京太郎「えーじゃありません、行きますよ」 久「まぁいっか」フフッ 京太郎「待ちますかぁ」 久「そうねぇ……須賀君はこうやって女の子を手籠めにしてるわけね」 京太郎「ひ、人聞きが悪いですね」 久「でも美穂子も咲もでしょ、それにあの三尋木プロも須賀君を見る目が違ったし」フフッ 京太郎「色々わかるんですね」ハハッ 久「へぇ、そうだったんだ」 京太郎「鎌かけましたね」 久「まぁね、須賀君と話てると楽しいわぁ」 京太郎「弄ばれてる気がしますけどね」ハァッ 久「あら、御飯来たわよ」 京太郎「清澄ってメンバーギリギリでしたよね、そう言えば」 久「そうね、私が卒業すれば三人だけど……来年には四人目が来ることは確定してるし団体戦に出るならあと一人」 京太郎(ん、負けたから転校することになったらしいしなぁ) 久「……気にしすぎよ」フフッ 京太郎「えっ、いや!」 久「顔に出てるわよ」 京太郎「あ、ははっ……わかりやすいですか?」 久「かなりね、まぁホントただの優男って感じねぇ、なんで咲や美穂子が好きになったかわからないわ」 京太郎「余計なお世話ですよ」 久「冗談よぉ」フフッ 京太郎(遊ばれてるなぁ) 久「でも須賀君みたいな人、結構好きよ」 京太郎「だから遊ばないでくださいって!」 久「あははっ」 夜- 自宅- 京太郎「さて、どうすっかなぁ」 京太郎「電話するかぁ」 京太郎「照ちゃんに電話してみるかぁ」 プルルルルッ 照『もしもし、京ちゃん?』 京太郎「あぁ、なんとなく電話してみたんだけどさ」 照『ん、もうすぐ東京で会えるのに』 京太郎「まぁまぁ、東京にいるうちになんか奢るからさ」 照『ほんと!?』 京太郎「おう」 照『早く来てね!』 京太郎「せめてインハイが終わってからなぁ」 照『インハイ終わった後じゃ京ちゃん落ち込んじゃうんじゃない?』 京太郎「はぁ、言うなぁ」 照『まぁね、私たちが勝つから』フフッ 京太郎「はいはい、それじゃ、良い時間潰しになったよありがとう」 照『うぅん、またね』 京太郎「おう、またなー」プツッ 京太郎「ん、メールか?」 京太郎「誰からだろ?」 京太郎「淡からだ」 差出人:淡 本文『夢で会えるだけじゃ寂しいぞ!』 京太郎「めっちゃ電波!」 本文『おう、悪い悪い、東京行ったらなんか奢ってやるから、照ちゃんと一緒に行こうぜ』 差出人:淡 本文『ゲスだね』 京太郎「なんで!?」 本文『わけわかんねぇよ』 差出人:淡 本文『照に私も一緒に行くこと言っといてね』 京太郎「ん?」 本文『おう』 差出人:淡 本文『それじゃ東京でね、おやすみ!』 京太郎「おう、おやすみっと……ん、メールって透華からか」 差出人:透華 本文『いつ頃から東京入りしますの、こちらは準備はできているので京太郎しだいでしてよ』 京太郎「ん、俺に合わせてくれるのか……」 京太郎「二日に行こうぜっと」 京太郎「さて、寝るかなー」パチンッ 京太郎「カピー……?」ボソッ 京太郎「……寝るかぁ」 114日目終了- ?- 京太郎「今日もかぁ」 「落ち込んでるな」ククッ 京太郎「うっせぇよ」 「ほらよ」パチンッ 京太郎(やな奴……・) 京太郎「恭子さんのとこに行くかなぁ」 「最近お気に入りか?」 京太郎「嫌な言い方すんなよ」ギィッ 「まぁ、あいつも役立たず候補だからな……丁度良さそうだぞ」ククッ バタンッ 京太郎「どうも恭子さん!」 恭子「ん、京太郎君」ニコッ 京太郎「調子はどうですか?」 恭子「うん、悪くはないけど絶好調でも無いんよ」 京太郎「迷惑でした?」 恭子「大丈夫やよ」ニコッ 京太郎「姫松、どうですか?」 恭子「あぁ、主将がご機嫌やったらしいよ」 京太郎「へぇ、なら良かった」 恭子「……ちゃんと自分のこと好きになった相手のこと考えたりや?」 京太郎「はい、そうですねぇ」 恭子(……やっぱ私はおさえとこ) 京太郎「どうかしましたか?」 恭子「うぅん、なんでもあらへんよ」ニコッ 7月31日 ※あと2日 115日目・朝- 京太郎「ん、今日は早く起きれたなぁ」 京太郎「誰にするかなぁ」 京太郎「胡桃さんにメールしてみるか」 本文『もうすぐインハイですけど、いつ頃現地着くつもりですか?』 差出人:胡桃 本文『三日に着く予定だよ』 京太郎「じゃあ一日違いかぁ」 本文『なるほど、東京で会える日が楽しみですね』 差出人:胡桃 本文『京ちゃんのおかげでだいぶ楽になったからね』 京太郎「能力取りに行ったしなぁ」 本文『そりゃ良かったです、また今度打ちましょうね!』 差出人:胡桃 本文『うん、それじゃそろそろ出かけるから、またね!』 京太郎「またっと……」 昼前- 京太郎「ん、どうすっかなぁ」 京太郎「よし、食べに行こう!」グッ 京太郎「さすがに一人は寂しいよなぁ」 京太郎「たまにはモモでも誘うかぁ」 プルルルルッ 桃子『もしもし京さん!貴方の隣のステルスモモっすよ!』 京太郎「おうおう、昼でも一緒にどうだ?」 桃子『すぐ行くッす!どこですか!?』 京太郎「あぁ、えっと」 京太郎「じゃあファミレスあたりにしとくか」 桃子『了解っす!すぐ行くっすよ!』 京太郎「俺も今から行くからゆっくりでいいからな」 桃子『はいっす!』 京太郎「じゃ、また後でな~」プツッ 京太郎「さて、行くかぁ」 ファミレス- 京太郎「えっと、俺の方が先だな良かった」 桃子「丁度良かったっすね!」グッ 京太郎「そっか、じゃあ入ろうぜ」 桃子「はい!」 店員「ではお二人様どうぞ」スッ 京太郎「!?」 桃子「ふふふっ、私も進化してるっすよ……意識してないけどまた消えますけど」 京太郎「大変だなぁ」 京太郎「さて、注文もしたしドリンクバーも行ってきたし……なんでお前隣座るんだよ」 桃子「数少ない同学年じゃないっすかぁ~」 京太郎「いや、そういう問題じゃないだろ」 桃子「そうっすか?」 京太郎「そうだよ……まぁ良いけどさ」 桃子「京さん大好きっすよ~」ギュゥー 京太郎(おもちがおもちだよ、おもちぃ!) 桃子「ふふふっ、当ててるっすよぉ」ニコニコッ 京太郎(話をそらさんと!) 京太郎「オンオフが前より楽になったなら色々と変わったか?」 桃子「いえ特にって感じっすねぇ、特に変えたいとも思ってないせいかもしれないっすけど」 京太郎「そうなのか?」 桃子「京さんに見つけてもらって、先輩や部長さんたちにも見つけてもらって……私は満足っすよ」 京太郎「……んなことで満足してんじゃねぇよ」ナデナデ 桃子「へ?」 京太郎「お前はこれからもっと光れる、俺が保障する!」グッ 桃子「……えへへ、やっぱり京さんは京さんっすね」 京太郎「は?」 桃子「なんでもないっすよ」ニコニコ 昼過ぎ- 桃子「この後はどうするっすか?」 京太郎「ん、そうだなぁ」 京太郎(とりあえず桃子と別れるかこのままどっか行くかだなぁ) 京太郎「デートでもするか!」ニッ 桃子「え、今日デートしてもいいんすか!?」 京太郎「あぁ、どこでも良いぞ」 桃子「やったっす!」 桃子「遊園地行きましょう!デートっぽく!」 京太郎(前も行ったけど) 京太郎「オッケーだぜ!」グッ 遊園地- 京太郎「混んでるなぁ」 桃子「土曜っすからね!」 京太郎「はぐれないように手ぐらい繋ぐか」ギュッ 桃子「!」パァッ 京太郎(ま、前ので少し慣れたァッ!!) 桃子「きゃーっ♪」ギュゥッ 京太郎(おもちに耐性は一生つかんぞ!)ビクッ 桃子(京さんったら冷静で、カッコいい!) 夕方- 京太郎「次はどうするかぁ」 桃子「ポップコーンがおいしいっす!」 京太郎「食べ終わってからなにか乗ろうな」ナデナデ 桃子「あはは、もっと回すっすよー!」グルグル 京太郎「やめろモモ!これ以上はっ!」ウッ 桃子「さっき食べたポップコーンがっ……」ウッ ※諸事情によりカットさせていただきます 京太郎「……ははは」 桃子「ごめんなさぃ~」エグエグッ 京太郎「大丈夫だぞ~」ナデナデ レイプメ 夕方2- 京太郎「次はなに乗るか!」 桃子「どれにするか迷うっすね!」 京太郎(お化け屋敷も前言ったしなぁ) 桃子「うぅ、怖いっすよ~」 京太郎「大丈夫だからなモモ」ナデナデ 桃子(まったくビビッてない!さすが京さんっす~)キュン 京太郎(おもちがやばい) 桃子(頼りになるっす!)ギュゥッ 京太郎(ピィッ!?) 夜- 京太郎「さて、あと一個ぐらい乗って帰るかぁ」 桃子「そうっすね!」グッ 桃子「やっぱ最後は観覧車っすよねぇー」 京太郎「いや、そうかもしれんけど、こんな密着しなくても良いだろ……」 桃子「えぇ、なんでっすかぁ?」ムギュッ 京太郎「……」カァッ 桃子「えへへ、京さんを落とすための必殺武器っすからね!」 京太郎「おもちは武器じゃない」キリッ 桃子「へぇ、じゃあ平気っすよね~?」ニコニコ 京太郎(ど、どうする!?) 京太郎「モモッ……」 桃子「京さんのこと好きなんっすよ?」 京太郎「そりゃ、俺もだよ……」 桃子「へ?」 京太郎「俺も好きだよ、これからずっと一緒にいたいぐらいには、好きだ……」 桃子「ほ、本当っすか?」 京太郎「嘘は言わねぇよ」 桃子「え、えへへっ……京さんっ!」ギュッ 京太郎「!?」 桃子「大好きっす!」 京太郎「俺もだよ」ハハッ 東横桃子ED2 桃子「やっぱ最後は観覧車っすよねぇー」 京太郎「いや、そうかもしれんけど、こんな密着しなくても良いだろ……」 桃子「えぇ、なんでっすかぁ?」ムギュッ 京太郎「……」カァッ 桃子「えへへ、京さんを落とすための必殺武器っすからね!」 京太郎「おもちは武器じゃない」キリッ 桃子「へぇ、じゃあ平気っすよね~?」ニコニコ 京太郎(ど、どうする!?) 桃子「京さぁ~ん」ムギュッ 京太郎「」プツンッ 京太郎「も、モモ!」グィッ 桃子「ひゃっ、か、観覧車ではまずいっすよっ!」 ガタンッ 桃子「へ?」 『大変申し訳ありませんお客様方、不具合のため止めさせていただきました、しばらくお待ちください!』プツッ 桃子「えへへ、しょうがないっすねぇ」スッ 桃子「こんなこともあろうかと用意はしてきてあるっすよ~まぁ三つあれば平気っすよね」ニコッ 京太郎「すまん」 桃子「どうぞ、京さん♪」グィッ 一年後- ゆみ「そう言えば、桃子だがな」 智美「ん、京太郎と結婚したよな、しかもデキ婚」ワハハ ゆみ「さらに胸が成長したらしい」 智美「ワハ!」ガタッ! 咲「」ガタッ ゆみ「いつ来た宮永」 京太郎「お待たせしました~」 桃子「先輩たち久しぶりっす~」 咲「と、東横さんが抱いてるのって!」 透華「間違いなく京太郎との子供!」 ゆみ「いつからいた龍門渕」 美穂子「あらあら」ニコニコ ゆみ「福路もか」 京太郎「うちの可愛い息子ですよー」 桃子「京さんに似て可愛いっす」 京太郎「桃子に似た可愛い子に育てよぉ」 美穂子「あらあら、私たちの前に来て」 咲「そんなにいちゃつくんだぁ?」 京太郎「おっと失礼」 桃子「ついついいつもの乗りで、京さんったらあまり家に帰らないからぁ」 京太郎「いやぁ、プロもつらいよ」 桃子「でももうすぐで二人目も作れるっすよ」 京太郎「よし、頑張ろう!」 桃子「楽しみにしてるっすよ、あなた♪」 ゆみ「誰か止めてくれ」 京太郎「どうしましたゆみさん!?」ガタッ 桃子「どうしたっすか先輩!?」ガタッ ゆみ「うん、もう放っておいてくれ……お前たちが今幸せなら何でもいいから、野球チーム作れるぐらい頑張れ」 京桃「はい!」ニコッ 桃子「んふふ、私たちの子づくりはこれからっすよ!」 京太郎「あぁ!」グッ 桃子「大好きっすよあなた~!」 京太郎「俺も二人が大好きだぞー!」ギュッ 東横桃子ED1 桃子「やっぱ最後は観覧車っすよねぇー」 京太郎「いや、そうかもしれんけど、こんな密着しなくても良いだろ……」 桃子「えぇ、なんでっすかぁ?」ムギュッ 京太郎「……」カァッ 桃子「えへへ、京さんを落とすための必殺武器っすからね!」 京太郎「おもちは武器じゃない」キリッ 桃子「へぇ、じゃあ平気っすよね~?」ニコニコ 京太郎(ど、どうする!?) 京太郎(とっさに撫でてみたら) 桃子「えへへ~」ニコニコ 京太郎(押し付けてこなくなったから良しとしよ―――) ガコンッ 京太郎「ん?」 『大変申し訳ありませんお客様方、不具合のため止めさせていただきました、しばらくお待ちください!』プツッ 京太郎「面倒なことになったなぁ」 桃子「京さんとこうして同じ場所にいられるなら嬉しいっすよ♪」 京太郎(かわいい) 桃子「それにしてもここからの景色は綺麗っすねー」 京太郎「もうすぐてっぺんだったんだけどなぁ」 桃子「てっぺんで止まればロマンチックだったんすけどねぇ」 京太郎「ははっ……」 桃子「えへへ」ギュッ 京太郎(だからくっつくな、とは言えないよなぁ)ナデナデ 桃子「えへへ……」 桃子「えへへ~♪」 京太郎(かわいい) 桃子「ん~♪」スリスリ 京太郎(エロい) 京太郎「ふぅ、予期せぬハプニングに巻き込まれたがなんとかなったな」グッ 桃子「あのままでも良かったっすけど」ニコッ 京太郎「勘弁してくれ」ハハッ 桃子「ん、そろそろお別れっすねー」 京太郎「だなぁ……」 京太郎「モモ……これからもさ、こうやってずっとお前とくっついてたい」 桃子「へ?」 京太郎「ほら、お前を一番最初に見つけた立場としてはやっぱりお前とずっと一緒に居たいって言うかさ……」ポリポリ 桃子「えっと、それってつまり……」 京太郎「だから、俺と付きあ」 桃子「結婚っすね!」 京太郎「早い!早すぎる!たとえるなら名古屋から東京まで1時間!」 桃子「じゃ、じゃあ子作りっすか!?」ポッ 京太郎「まだ早い!御徒町から新宿間3分!」 桃子「じゃあ、つ、つまり……」 京太郎「だから、お前のことが好きだって言ってるんだよ……」 桃子「ほ、本当っすか?」 京太郎「あぁ、本当だよ」 桃子「や、やったす!」ギュゥッ 京太郎「も、モモっ!?」 桃子「良かったっすよ~」ポロポロ 京太郎「……ははっ、泣くなよ」ナデナデ 桃子「嬉しいんだからしょうがないっす~」ボロボロ 京太郎「ははっ」ナデナデ 3年後・雀荘『龍門渕』- 京太郎「だから卒業してからで良いだろうに」 桃子「いえ!今すぐ書いてもらわないと心配っす!」 京太郎「いや、ほらあと二ヶ月で卒業だからそれと同時に」 桃子「京さんモテモテすぎっすー!ほら、ちゃんと京さんのお義父さんとお義母さんにも許可もらって、私のお父さんとおお母さんにも許可もらったじゃないっすか!」 京太郎「いや、お前のご両親が泣いて喜んでた時は俺もくるものがあったけどな……けど、早いって!お前は!」 桃子「この世の理はスピードっすよ!」 ゆみ「またやってるのかあの二人は」 智美「OGとして身に来たらこれだ」ワハハ 睦月「らしいと言えばらしいんですけどね」 一「いや、見に来てあれはちょっと」 佳織「け、喧嘩してるよ!」 衣「犬も食わんぞ」 智紀「二人は食いあっt」 純「言わせねぇよ!?」 透華「私をさしおいて目立ってますわ!」 後輩「せ、先輩方すみません!」ペコペコ 後輩2「放っておいてあげてください!」ペコペコ 京太郎「俺が信用できないのか?」 桃子「そ、そんなわけないっす」 京太郎「ならさ、ほら……指輪ももう用意してあるんだぞ」スッ 桃子「きょ、京さんっ」パァッ 京太郎「だから、な?もう少しだけ我慢してくれ」 桃子「……はいっす!」ニコッ 京太郎「良い子だ」ナデナデ 京太郎「さてみんな、練習はじめるか!」 みんな「」タンッ タンッ 桃子「どうしたんっすかね?」 京太郎「どうしたんだろうな?」 桃子「み、みんなが見てない今ならキスぐらいっ」バッ 京太郎「まったくしょうがないな」ニコッ 二人は幸せなキスをして――― 東横桃子EXED 京太郎「ふぅ、予期せぬハプニングに巻き込まれたがなんとかなったな」グッ 桃子「あのままでも良かったっすけど」ニコッ 京太郎「勘弁してくれ」ハハッ 桃子「ん、そろそろお別れっすねー」 京太郎「だなぁ……」 京太郎(胸ばっか押し付けるモモにいたずらしてやろう、そうだ!) ムニュッ 桃子「へ?」 京太郎「良いさわり心地だ」ムニュムニュッ 桃子「ひゃんっ!」ビクッ 京太郎(いや、俺なにやってんだ、もれなく犯罪だろ)スッ 京太郎「すまんモモ」 桃子「ぜ、全然平気っすよ!」 京太郎「この借りはいずれ返す、すまぁぁぁぁん!」ダッダッダッ 桃子「えへへ、京さんならもっとしても……って京さん!?」イナイ! 深夜- 自宅- 京太郎「若干自己嫌悪だが、たまらんかったな」ニヘラ 京太郎「ネトマをしよう!」 一人目 のどっち 二人目 とよねー 三人目 かまぼこ 京太郎「よし、やるぞ!って原村さん!?」 のどっち:よろしくお願いします とよねー:のどっちだー!よろしくねー♪ かまぼこ:ワハハ、でっかい胸を借りるつもりでやるぞー キョータロ:それじゃ、よろしくお願いします! 京太郎「さて、楽しむとするか!」 トップ 京太郎 二着 のどっち 三着 かまぼこ ラス とよねー のどっち:さすがですね とよねー:相変わらずつよいよーのどっちも強かった! かまぼこ:ワハハ、やっぱり勝手が違うなぁ キョータロ:ネトマですからね のどっち:私はネトマの方が調子が良いのですけれど 京太郎「だろうなぁ」 京太郎「あれ、豊音さんからだ」 とよねー:今度東京に行くんだよ! キョータロ:俺もですって とよねー:うん、一杯遊ぼうね! キョータロ:はやりんとか小鍛冶プロとかも紹介しますよ とよねー:ありがとーちょー楽しみだよー!サイン色紙一杯もっていかなきゃ! キョータロ:じゃあ、また今度! とよねー:うん!おやすみー 京太郎「ん、ログアウトした」 京太郎「ん、原村さんからか」 のどっち:お久しぶりです キョータロ:久しぶり、東京に行く前以来だな のどっち:はい、結局帰ってきてしまいました キョータロ:良いんだよ、自分のやりたいことをやれば……まだ子供なんだしな のどっち:おもしろい言い回しですね(笑) キョータロ:確かにちょっとおかしかったかも(笑) のどっち:でも、不思議と心に響きました キョータロ:そりゃよかったよ のどっち:また、一緒に打ちましょう キョータロ:あぁ、またな! 京太郎「ログアウトしたか」 京太郎「寝るかぁ……カピー、もう帰ってこないのか?」パチンッ 115日目終了- ?- 京太郎「よし、今日は誰に会いに行くかな!」 「なんだ、ずいぶんご機嫌だな」ククッ 京太郎「うっせぇ」 「ふん」パチンッ 京太郎「さて、どうするかな!」 京太郎「シロに会いに行くかな」 「行ってこい」 京太郎「珍しいな」ギィッ バタンッ 「……特に言うことがないからな」フッ 京太郎「ようシロ!」 白望「ん、京太郎?」 京太郎「おう、相変わらずぐてってるなぁ」 白望「ダルい……」 京太郎「そうだなぁ」 京太郎「宮守ってどうだ?」 白望「みんな会いたがってるよ」 京太郎「東京にいったら会いに行くよ、一日そっちのが遅いみたいだけどさ」 白望「うん、ついたらメールするね」 京太郎「おう、楽しみにしてるよ」ニコ 白望「……うん」コクリ 京太郎「どうした?」 白望「京ってモテるよね」 京太郎「お、おう?」 8月1日 116日目・昼前- 京太郎「ん、昼前かぁ……」アァ 京太郎「昼飯どうするかー」 京太郎「よし、食べに行くかな!」グッ 京太郎「よし、誰誘うかなぁ」 京太郎「妹尾さんを誘ってみよう」 プルルルッ 佳織『も、もしもし!?』 京太郎「あぁ妹尾さん、一緒にお昼でもどうかなって……平気ですか?」 佳織『うん、全然大丈夫だよ!』 京太郎「そりゃ良かった、じゃあ……」 京太郎「じゃあ喫茶店にしましょう」 佳織『うん、それじゃまた後でね!』 京太郎「それじゃまた後で!」プツッ 喫茶店- 佳織「お待たせ京太郎君!」 京太郎「いえ、大丈夫ですよ妹尾さん」 佳織「だから佳織で良いって」ニコッ 京太郎「そうでしたね、佳織さん」ニコッ 佳織(きゃー!デートっぽい!)グッ 京太郎「とりあえず」 佳織「アイスコーヒーかな、食べ物はまた決めてからで」 京太郎「じゃあアイスコーヒー二つ!」 京太郎「インターハイに向けてどうですか?」 佳織「次鋒だからね、頑張らないと」 京太郎「みなさんずいぶん強くなってましたらかね、しかも本気じゃなかったみたいですし」 佳織「私はいつも本気なんだけどねー、ゆみ先輩と智美ちゃんと睦月ちゃんはなんだか余裕があるみたいで」 京太郎「あぁ、別格に強くなりましたよねあの三人……」 佳織「うんインターハイもこれで頑張れるよ!」グッ 京太郎「決勝で会いたいですね」 佳織「そうだね!」ニコッ 昼過ぎ- 佳織「このあとどうするの?」 京太郎「ん、そうですね」 京太郎(どうしようかな、佳織さん誘ってどこか行くか……ていうか来てくれるか?) 京太郎「それじゃ、一緒に出かけませんか?」 佳織「うん!」 京太郎「それじゃどこ行きますかぁ」 佳織「動物園行こうよ!」 京太郎「じゃあ行きますかぁ」 佳織「そうだね!」 佳織(デート!人生初デート!) 京太郎「うお、なんか懐かしい感じ」 佳織「そうだね、久しぶりだよねぇ」 京太郎「どこ行きます?」 京太郎「やっぱり動物園っていえばここですね!」 佳織「へ、蛇だよ蛇!」 京太郎「いやぁ、じめじめしてますけど楽しそうでなによりです」 佳織「ほらイグアナ!舌びよーんって伸びる!」 京太郎「あはは、それはカメレオンです」 佳織「うわぁ、すごいなぁ~じめじめしてるけど」 京太郎「そうですね、なぜか蛇とかイグアナって水族館でも見ますよね」 佳織「そういえばそうだね、飼いやすいのかな?」 京太郎「そうなんですかねー」 京太郎「じめじめしましたね」 佳織「でもおもしろかったよ」ニコッ 京太郎「なら良かった」 京太郎「メガネザルですよ、あんま動かないですね」 佳織「そうだね、動かないねぇ」 京太郎「まぁ動物園の動物ってそうですよねぇ」 佳織「うん、眠くなってくるね」 京太郎「ほら、ネズミですよノネズミ、こっちはプレーリードック」 佳織「わぁ可愛い!!」ユサッ 京太郎(かわいい) 夕方- 京太郎「なんか疲れましたねぇ」 佳織「色々歩き回ってるからね」 京太郎「ほら、ゾウですって」 佳織「歩いてるだけだね」 京太郎「動物ですからねぇ、あっちはトラ」 佳織「ホワイトタイガーいないかな?」 京太郎「いないですねぇ、お、ライオン」 佳織「そういえばライオンのオスって可哀そうだよねぇ」 京太郎「そうなんですか?」 佳織「うん、一夫多妻制なんだけどね」 京太郎「へぇ」 佳織「あっ、ま、まぁここから先は」カァッ 京太郎「へ?はい……?」 夕方2- 京太郎「あとは、どこ見ましょうか」 佳織「そうだねぇ」 京太郎「おぉ、カピバラですね」 佳織「本当だぁ」 京太郎(……カピー) 佳織「あ、ヤギだよヤギ!」タッタッタッ 京太郎「佳織さん、あんまりそいつらに近づくと!」 ヤギ「んめぇぇぇぇ!」ガブッ 佳織「きゃぁぁっ、服がぁっ!」 京太郎「言わんこっちゃうない!」バッ ヤギ「んめぇぇぇぇぇ!?」 京太郎「……」ゴゴゴゴゴゴッ ヤギ「んめぇぇぇぇぇ!?」タッタッタッ 佳織「こわかったよー」ウェーン 京太郎「おぉ、可哀そうに」ナデナデ 夜- 京太郎「閉園ですって」 佳織「楽しかったぁ~」 京太郎「俺もですよ」 佳織「さ、帰ろうか♪」ギュッ 京太郎「そうですね」ギュッ 佳織(す、好きかもっ!)カァッ 京太郎「それじゃまた」バッ 佳織「うんまたね!」ギュッ 京太郎(さすが鶴賀!おもちがっ!) 佳織「今度は東京で会おうね♪」タッタッタッ 京太郎(可愛い!) 深夜- 自宅- 京太郎「ふぅ、どうするかなぁ」ググッ 京太郎「誰かに電話してみるか!」 『咲』 京太郎「咲に電話してみるか」 プルルルルッ プルルルルルッ プルルルルッ 京太郎(出ないな……) プルルルルッ プルルルルッ プルルルルッ 京太郎「……?」 『留守番電話サービス』 京太郎「ダメか……留守電入れる必要はないよな」プツッ 京太郎「ん~残念だ」 京太郎「それにしても明日から東京だしさっさと寝るか!」ウシ 京太郎「東京から帰ったらカピーが帰ってきてますように」パチンッ 116日目終了- ?- 京太郎「さて、明日から東京だ!」 「終わりも近いな」ククッ 京太郎「は、終わり?」 「あぁ、終わりの始まりだ」パチンッ 京太郎「ドローソースだな」 京太郎「よし、この扉だ!」 「忘れるくせに」 京太郎「無駄じゃないだろ?」 「まぁな」 京太郎「よし!」ギィッ 「さぁ、終わりが近い」 バタンッ ?「久しぶり」 京太郎「ん、久しぶり」 ?「ごめん」 京太郎「なにが?」 ?「いや、色々とね……とりあえずなにか聞きたいことがあって来たんでしょ?」 ?「5日目以降の朝の決戦に出るかどうかの安価によって出るかどうか決まるわけだが決戦をすればその時点でその週は終了と思っていい、あとはエピローグが待ってる」 ?「だからと言ってこの週での好感度やら立場やらを惜しんでいるとろくなことにならないとだけは伝えておく」 ?「まぁそこまで緊迫した雰囲気が漂うわけではないから安心しといて」 ?「5日からできることはいつもとそれほど変わりないから、とりあえず好きにしといてね」フフッ ?「あと、明日を最後に夜は強制的にあたしと一緒だから覚えておくように」ビシッ 8月2日 117日目・朝- 京太郎「ふぁ~」 ハギヨシ「おはようございます京太郎君」 京太郎「おはよう、ハギヨシさん!」 ハギヨシ「ではどうぞ」 京太郎「お邪魔しまーす、おはよー」 透華「おはようございますわ!」 衣「都入りだぞ!」 京太郎「楽しみだな!」 純「行こうぜ京太郎!」グッ 智紀「データは沢山ある」クィッ 一「ボクらが優勝するんだから!」 歩「精一杯頑張ろう!」 京太郎「よし、行こうぜ!」 昼- 東京- 京太郎「いやぁ、東京だなぁ!」 透華「東京ですわね!」 衣「一年ぶりだ!」 歩「私は初めてです」 純「前回は京太郎も歩も連れてこれなかったからなぁ」 衣「昼時だぞ、あれだ!」 智紀「そう、あれだね」 一「あははは、行くんだ」 透華「もちろんですわ!」 京太郎「なにが?」 透華「ファミレスですわよ、このファミレスのプロ龍門渕透華、ファミレッサーとお呼びなさい!」 京太郎「それはちょっと……」ドンビキ ハギヨシ「では私は車の方で」 京太郎「行きましょうよハギヨシさん」グイッ ハギヨシ「おっと?」 京太郎「ね?」 ハギヨシ「……」 衣「行くぞハギヨシ!」ニコッ 透華「さぁ、行きますわよ!ハギヨシ!」 ハギヨシ「……はい」フッ ファミレス- 京太郎「なるほど、そんなことが」 歩「なんだか、良いですね」 純「あぁ、なんか良いよなぁ」 智紀「うん、良いね……」 京太郎「……本当に普通のファミレスなんだなぁ」 透華「当然でしてよ!」 一「透華、店内では静かに」 透華「むっ、そうですわね」スッ 衣「わーい、エビフライだ……また、タルタルソースが少ないぞ」シュン 京太郎「」ブチッ 透華「」ブチッ 一「すみませーん!」バッ ハギヨシ(危うくお二人が激怒なさるところでしたね)フッ 衣「皆のも来たな!」 京太郎「さて、食うか!」 透華「ん、ハギヨシや京太郎の足もとにもおよびませんが、なんとも言い難し美味!」 京太郎(ぜんぜんファミレッサーじゃねぇじゃん) 一「ん~久しぶりの味」 純「ん、結構いけるな!」 智紀「……」モグモグ 歩「メイド服でこさせられなくて本当に良かった!」 京太郎(一の服で目立たないんだったらメイド服程度目立たないと思うけどなぁ) 衣「でも、来年で最後かもしれないな」 京太郎「毎年来ることになるだろ、なぁ歩?」 歩「そうですよ、卒業してもその一年後には行くことになりますし、毎年来れるんだから」 純「……そうか」ハハッ 透華「できればインターハイのついでに来たいですわねぇ?」 歩「お、おまかせください!」 智紀「頑張ってね」 一「期待してるよー」 ハギヨシ「……期待してますよ?」 京太郎「誰に言ってるんですか、これでもハギヨシさんに勝ったんですから」エッヘン ハギヨシ「フッ、頼もしいですね」 夕方- 京太郎「そういや泊まるところって?」 透華「どんな場所だと思いますの?」 京太郎(たぶん会場からそんな離れた場所ではないよなぁ……)ウム 京太郎「ホテルか?」 透華「まぁそうですわね」 京太郎「おい、なんでつまんなそうな顔するんだよ、正解だろ」 透華「まぁそうなのですけれど、ほら着きますわよー」 京太郎「今日はとりあえず休むのか?」 透華「それが一番ですわねー」 夕方2- ホテル・自室- 京太郎「さて、暇だなぁ」ハァッ 京太郎(ハギヨシさんは隣の部屋なんだよなぁ) 京太郎「とりあえずどうするかなぁ」 京太郎「出かけるかな」スクッ 京太郎(どこ行くよ?) 京太郎(夜御飯までには戻らなきゃならないからなぁ) 京太郎(連絡も完了したし) 京太郎「さて……」 歩「お待たせ!」 京太郎「なんで着替えてるんだ?」 歩「べ、別に良いでしょ」フィッ 京太郎「あぁ、そうだよなぁ……」 歩「さ、買い物行こ!」 京太郎「おぉ、東京の服屋……」 歩「長野の服屋とそれほど変わらないね」 京太郎「商品が違うだろ、ほれ買ってやるから」 歩「え、ほんと?」 京太郎「ほんとほんと」 歩「ありがと!」ニコッ 夜- ホテル- 京太郎「うん、美味いな!」 透華「美味しくなかったら訴えてますわ」 京太郎「そりゃ怖い」 一「本当、おいしいね」 純「量もあるしな!」 智紀「……さすがに、食べきれないかも」 衣「衣が全部食ってやる!」 京太郎(無理だろうなぁ) 京太郎「ふぅ、風呂も入ってさっぱりしたし……どうするかな」 京太郎「誰かに電話してみるかぁ~」 京太郎「新子さんに電話してみるかな」 プルルルルルッ 憧『もしもし、京太郎?』 京太郎「ん、おう憧、今東京なんだが阿知賀はもう来てるのか?」 憧『うぅん、明日そっちに着く予定よ』 京太郎「やっぱ基本的に三日かぁ」 憧『四日に抽選と開会式だから当然ね』 京太郎「じゃあ、当たっても悔いなくやろうぜ」 憧『やるのはあんたじゃないでしょ?』 京太郎「まぁそうなんだけどさ」ハハッ 憧『それじゃまたね!』 京太郎「あぁ、また!」 京太郎「ん、メールが来てる?」 京太郎「誰からだろ?」 京太郎「あれ、健夜さんから?」 差出人:健夜 本文『もう東京にいるのかな?』 京太郎「おぉ」 本文『はい、もういますよ、他校は明日からくるとか言ってましたけど』 差出人:健夜 本文『私も解説で出るから東京にいるんだけど、会いたくなったらいつでも連絡してね!』 京太郎「優しいなぁ健夜さんは」 本文『はい、会いたくなったら連絡させてもらいます!』 差出人:健夜 本文『うん、また今度 おやすみ!』 京太郎「おやすみなさいっと……はやりさんだ」 差出人:はやり 本文『京ちゃん、明日の夜にみんな集合ね!』 京太郎「へ?」 本文『どういうことですか?』 差出人:はやり 本文『集合しないと大変なことになっちゃうゾ☆』 京太郎「……」 本文『わかりました、場所は?』 差出人:はやり 本文『また明日にでも送るよ、それじゃあまた明日ね! おやすみ♪』 京太郎「ふぅ」 本文『では、また明日 おやすみなさい!』 ホテル・自室- 京太郎「さて、寝るかなぁ」パチンッ 京太郎「眠い……」zzz 117日目終了- ?- 京太郎「明日みんな来るらしいよなぁ」 「もうすぐだぞ」ククッ 京太郎「だからなんだって」 「好きに考えろ」パチンッ 京太郎「わけわからん」 京太郎「池田に会いに行ってみるかなぁ」 「あぁ、好きにしろ」 京太郎「珍しいな」ギィ 「どうなるにしろ、最後かもしれないからな」 バタンッ 京太郎「よう池田」 華菜「ん、須賀ァ……いい加減後輩だって自覚ぐらい持てし!」 京太郎「前までに比べればお前元気になったよな」 華菜「そうだな、大分回復したし!今度は個人戦でも華菜ちゃん大勝利だし!」 京太郎「おう、頑張れ頑張れ」ポンポン 華菜「や、やめろし」カァッ 京太郎「なんだか、おかしいんだよ」 華菜「おかしいって?」 京太郎「俺がこうしてお前たちのところに来るときにさ、必ず俺の恰好をした奴が出てくるんだけどそいつが終わりが始まるって言ってたんだ」 華菜「……お前病気だし」 京太郎「そうじゃねぇよ!」 華菜「そうじゃないって、どういうことだし?」 京太郎「だから、なにかあるんじゃないかって、あいつが言うってことは俺たちに関係あることが」 華菜「安心しろし」 京太郎「?」 華菜「あたしが助けてやるし、アホな後輩のためだからしかたないな」ハハッ 京太郎「……ありがとな」 華菜「おう、お前のピンチはあたしのピンチだし……きょ、京太郎」ニコッ 京太郎「……ありがとうな、華菜」ニッ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2774.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1358161445/ 2 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします saga 2013年01月14日 (月) 20 04 42 ID fW74j9Sz0 インターハイが終わった。 我らが清澄高校麻雀部は団体戦で優勝。個人戦でも咲と和が好成績を収めた。 それまで俺達に見せていた姿からは想像もつかないほど嬉し涙を流していた部長も引退し、 清澄高校麻雀部は新たに5人で活動を再開することとなる。 ……ま、それで俺がどうこうなるわけじゃないだろうけどさ。 拗ねたようにそう呟いてみた。 その考えが大間違いであることを俺こと須賀京太郎が知るのは、わりとすぐ先のことである。 そんなある日の昼休み。 俺は携帯電話のアプリでコンピュータ相手に麻雀を打っている。 咲たちにはなんだか気恥ずかしくて言っていないが、それが麻雀部に入部して以来の俺の日課だ。 コンピュータ相手にメンタンピンを上がって小さくガッツポーズを取ったのを見計らったように、友人が話しかけてきた。 「よう、須賀」 おう。どうした? 「いやな、ここんとこよく、麻雀部について嫌な噂ばっか聞くもんでさ」 ……は? ウチに? 「ああ。『男子部員は麻雀をする気なんてなくて、女子にセクハラしてる』とか」 んなっ!? 有り得ねえよ! 「わかってら。あと、逆に『女子部員が唯一の男子部員を奴隷扱いしてこき使ってる』とかな」 奴隷扱いって……ものは言いようってやつか? 「お前に限ってそんなことないとは思うけど、全国レベルの部活で女子5人に男子1人となればそういう噂とかも出てきて当然だろ」 そっか。そうだよな。気を付けないとな。 咲たちが変わらないもんだから深く考えたことはなかったけど、全国優勝した部に男子が1人だけ混じってるって結構スキャンダラスだよな。 ……俺、今のまま麻雀部にいていいのかな? 芽生えた疑問に答えを出してくれる人などいるわけもなく、午後の授業の予鈴が鳴った。 3 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします saga 2013年01月14日 (月) 20 05 33 ID fW74j9Sz0 放課後。 大会が終わったばかりということでしばらくは部活も自由参加ということになるらしい。 だからといって今も部内最弱の名を欲しいままにしている俺が部活に参加しなくていい道理はないんだけど、 部長が引退してなお女子部員は4名、つまり麻雀を打つのに十分な人数が揃っている。 俺が行ってもあぶれるだけだし、欠員が出てたとしても俺じゃ弱すぎて練習相手にもならないだろう。 そんなわけでここのところ、部活には顔を出していない。 今日も一人寂しく帰ろうかと思ったが、咲につかまった。 「ねえ、京ちゃん」 どうした、咲……俺もう帰ろうと思ってたんだけど。 「京ちゃん、最近部活に来ないじゃない。一緒に行こうよ」 あー……分かったよ、うん。 咲も和も優希もあんまり噂の類に明るいとは思えないし、そういう噂が流れてるってことは伝えとくべきだよな。 「はあ? なんですかその根も葉もない噂は……馬鹿馬鹿しい」 そりゃ、俺だってそう思うけどな。有名税みたいなもんだろ。 「言いたい奴には言わせとけばいいんだじぇ」 そうもいかないだろ……俺だけならともかく、お前らまで悪者扱いされてるんだぞ。 「うむ。そういう噂が流れておるのは知っとったが、そこまで尾ひれがついとったとはな」 流石に、何かしらの対策を取らなきゃいけないと思うんですよ。新部長。 「新部長はやめいと言っておるじゃろう」 すいません、染谷先輩。 ともあれ、このまま放置してはおけないのも事実でしょう。 かといって下手に弁明しても却って逆効果な気もするし……どうすればいいんだろうな。 「……言いにくいのですが、一番手っ取り早いのは須賀君が麻雀部をやめることでしょうね」 「の、和ちゃん!」 「流石にそれは酷いじぇ!」 「分かってます。須賀君だって麻雀部の大切な一員なんです……最悪の場合、と考えてください」 大切……か。和にそう言ってもらえると嬉しいぜ。でも実際、どうするんだよ。 「シカトしておけばええんじゃ。根も葉もない噂なんかすぐに飽きられるじゃろ」 そういうもんなんですかねえ。 4 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします saga 2013年01月14日 (月) 20 06 42 ID fW74j9Sz0 しかし、染谷先輩の考えは甘すぎたと言わざるを得ないようだ。 全国大会が終わってから一ヶ月、俺たち麻雀部に対する風当たりは最悪と言っていいレベルに達していた。 どう考えてもそれは有り得ないだろうというような噂が飛び交っていて、俺や染谷先輩は時折嫌がらせを受ける羽目になっている。 こないだ下駄箱を開けたら、まあ、およそ「咲に近づくな」というような内容の手紙がごっそりと入っていた。 染谷先輩にも、だいたい同じようなことが起きているらしい。 咲たち1年生組はそういった悪意ある噂に対して無視を貫き通しているが、みんな最近元気がなくなってきたように感じる。 嫌がらせを受けている染谷先輩もなんだか疲れが溜まっているみたいだし、本当にどうにかしないと……。 そう思っていた矢先の、出来事だった。 俺が友人とともに学食へ向かおうとしていたときのこと。 「――そういえば、ウチの麻雀部さぁ」 「あー、聞いてる聞いてる。確か……」 ……まただ。 はいはい、噂噂。気にしちゃいけない。 「片岡さんが……宮永さんとか……」 「染谷さんが……で、あー、あと部長の竹井さんは……」 「……あ、原村さんが実はレズで、邪魔な男子部員を虐めてるなんて話も――」 俺が我慢できたのはそこまでだった。 もはや何を考えることも出来ずにその女子生徒に殴りかかり、友人に制止され、騒ぎを聞きつけた先生が駆け寄ってきて―― その後のことは、よく覚えていない。 「てめぇら好き勝手言ってんじゃねぇぞ! 和が、咲が、皆がどれだけ真剣に麻雀に取り組んでるかもわかってねぇくせに!」 「放せ、放せよっ! くそっ、てめぇら……ふざけんなよっ! 俺は……俺はなぁ!!」 ただ、玩具を奪われた幼児のように、ずっと喚き散らしていたような気がする。 5 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします saga 2013年01月14日 (月) 20 07 34 ID fW74j9Sz0 ……結果として、俺は一週間の謹慎ということになった。 それなりに体格のいい俺が女子生徒を殴り倒したにしては処分が軽い気もするが、 麻雀部に関するよくない噂が流れている現状は先生側も憂いていたようで、情状酌量の余地あり、ということになったらしい。 13 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/15(火) 21 26 35.04 ID 9weSZbI80 須賀君が謹慎処分を受けた、らしい。 なんでも麻雀部の噂をしていた女子に、逆上して殴りかかったとか。 私達のために怒ってくれたその気持ちは素直に嬉しいですけれど、それで謹慎になっていては世話がない、と思います。 ……だいいち、須賀君は私達のことを気にする前に、もっと麻雀の勉強をするべきでしょう。 部活のときだって私の、その、胸にばかり視線が来ているような気がしますし……。 「あ、和ちゃん!」 あら、咲さん。どうかしましたか? 「えっと、京ちゃんしばらく学校来れないから……ノートとか届けてあげようと思ったんだけど、用が出来ちゃって」 それくらいなら私が届けておきますよ。 「ごめんね、和ちゃん。今度一緒に喫茶店にでも行こうね!」 楽しみにしておきますね。 ……さて、それでは行きますか……って、私、須賀君の家知らないですね。 待ってください、咲さーん。 さて、咲さんに須賀君の家の住所は聞きましたし、気を取り直して出発です。 授業のノートや配布されたプリントを届けるとのことですが、そういえば須賀君って成績のほうはどうなんでしょう。 というか、よく考えてみると私、須賀君のこと全く知りませんね。 まあ、構いませんけれど。 よしなしごとに思いを馳せながら歩を進め、咲さんに聞いた通りの住所を目指す。 着いた先はごく普通の一軒家。呼び鈴を鳴らすと、目的の須賀君が姿を現した。 「あれっ、和? どうしたんだ?」 こんにちは、須賀君。咲さんが授業のノートを取ってくれていたそうですよ。 咲さんは都合が悪かったそうなので、私が届けに来ました。 「お、そうなのか。また咲には礼を言っとかないとな」 そうですね。それでは、失礼します。 「いやいや、女の子が物届けてくれたのをただで返したら母さんに怒鳴られちまう。茶菓子とかあったはずだから、寄ってってくれよ」 はあ。まあ、構いませんが……。 15 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/15(火) 21 27 19.37 ID 9weSZbI80 そんなわけで、須賀君の家にお邪魔することになったわけですが。 正直、よく話をする関係だとかそういうわけでもないし、なんというか、気まずいですね。 手持無沙汰に須賀君の家のリビングのソファに腰かけていると、少し遠くからピロリンと電子音。 須賀君? 何か鳴ってますけど、大丈夫なんですか? 「ん? あ、ネト麻やってたんだ! しまった、放っといたから……」 ネト麻、ですか。丁度いいですし、よかったらアドバイスしましょうか? 「マジで? なんか悪いな……」 いえ。こちらこそ、春から夏にかけては麻雀初心者の部員に対して不親切だったかな、と思いまして。 「そうかな? そんなことないと思うけど……」 お気になさらず。 ……そう、実際、不親切だったのでしょう。 高校生の部活なのだから、そこは初心者が麻雀を好きになれるような環境であるべきなのに、 須賀君はほとんど雑用としてしか麻雀部にいられなかった。そのことは素直に申し訳なく思っていますし、 真面目に麻雀を強くなりたいと思っている人には、私だって相応の態度で臨みたいですからね。 「っと、じゃあここは……これを捨てりゃいいわけか」 そうですね。そのほうが、有効牌が多くなりますから。 「お、そう言ってたら本当に来たぜ! リーチだ!」 ……あれれ。 部では全く麻雀の練習をする暇もないようでしたからもっと基礎から教えることになるのかと思っていましたが、 案外、そこそこ出来ているじゃありませんか。今までずっと、我流で頑張ってきたんでしょうか? よく見ると本棚に麻雀の教本がありますし……むう、なんだか本当に今までのことが申し訳なくなってきました。 「……ん? どこか間違っちまってたか?」 いえ、大丈夫ですよ。思ったよりもよく出来てると思います。 この調子なら、来年はいい所まで勝ち上がれるんじゃないですか? 「へへ、そうだったら嬉しいな。いやでも、和に教えてもらったらなんかすげー調子いいや。これなら毎日教えてもらいたいくらいだ」 ふむ……それなら、ネト麻で出来ますよ。牌譜の確認もネト麻のほうが楽ですし、今晩から始めましょうか? 「いいのか? なんかホント悪いなぁ」 構いませんよ。人に教えるには自分がそれ以上に理解している必要がありますから……復習は、大事ですからね。 どんな基本だって、学んで学びすぎるということはないんです。 「ほー。そんなもんなんだなー」 16 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/15(火) 21 28 04.40 ID 9weSZbI80 と、まあそんなわけでネト麻で須賀君への麻雀指導を始めたわけですが。 いやいや本当に、飲み込みが早くて驚きです。これなら、ちゃんと教えてあげていればインターハイでもいい成績を残せたでしょうに。 『そうかな? 褒めてもらえるのは嬉しいけど』 というより、こちらの想定ラインが低すぎたのかもしれません。 雑用ばかりさせられていたから、もっと出来ていないものだと思っていたのですが。 『龍門渕のとこの執事さんにちょこちょこ教えてもらってたからなー。あの人すげーよ』 はあ。まあ、謹慎明けを楽しみにしていますよ。 『おー、ありがとな!』 チャットが切れたのを確認し、パソコンの電源を落とす。 ……和が、こんな親身になって麻雀を教えてくれるなんてな。 案外、謹慎も悪くないのかもしれないぜ。なんて言ったら和に怒られるかな? ともあれやっぱり、麻雀は楽しい。上達の具合が自分で感じられれば、尚更だ。 ……ほんと、来年は勝ちてえな。 そう、俺が強ければ。 俺が、周りに揶揄されるほど弱くなければ。 麻雀部の皆が疎まれることもなかったはずなんだ。 雑用をさせられていたことなんて言い訳になるはずがない。 ハギヨシさんに指導は受けていた。 ネト麻でも、携帯のアプリでも、自分なりに経験は積んでいた。 それで負けたんだから、それは俺の責任なんだ。 つまり、麻雀部の皆が受けている僻みや妬みは、俺のせいということだ。 ……あー、もう、嫌になる。絶対見返してやるからな。 何を見返すんだという話だが、うん。 ぜってー強くなってやる! とりあえず、せめて、優希の奴から直撃取れるくらいにはな! 25 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/16(水) 20 45 50.71 ID DPlNvRxn0 そんなわけで、謹慎期間終了。 原因が原因ということで友人たちの反応が随分アレだったがめげない。 めげないもん。 「京ちゃん、久しぶりー」 おー、咲か。謹慎の間、ノートありがとな。 「届けてくれたのは和ちゃんだけどね。ちゃんと和ちゃんにもお礼言った?」 おうよ。しかもなんか麻雀まで教えてくれることになってな。 いやぁラッキーラッキー。せっかくだから久しぶりに部活にも顔出そうかな。 「む。まあ部活に出てくれるのは嬉しいけどさ」 ははは、まあとりあえず昼飯食いに行こうぜ。 学食に新メニュー入ったって聞いたんだけどマジ? 「あーうん、またレディースランチだね」 おー。咲さんまた今回もお願いします! 「分かってるよ、もう」 うおお、ほんと美味いじゃんこの新メニュー! いやあ、咲様々ですな。 「もう、調子いいんだから……」 ふー。食った食った、午後の授業も頑張りますかー。 「全く京ちゃんったら。ふふっ」 美味いものを食ったおかげで午後の授業もそこそこ快調。 人の噂もなんとやらということで友人との仲もそれなりに回復したところで部室へ。 「おう、久しぶりじゃのう京太郎」 ういっす、この度はご迷惑おかけしましたっす。 「全くじゃ。お前さんの謹慎が決まったときは、それはもう酷いものじゃったからなあ」 うっ……。 「ま、お前さんがあれだけ怒るからには、結局噂は噂でしかなかったんじゃろうということになったらしいが」 そ、そうですか……まあ、怪我の功名ってことで……。 「良くないじぇ! お前、まかり間違って退学にでもなってたらどうするつもりだったんだじぇ!」 それを聞かないでくれ優希。そもそもそんなこと考える余裕があったら女子に殴りかかったりしない。 もう俺のことはいいだろ、いいってことにしてください。お願いだから。そんなことより麻雀やろうぜ。 「……ま、いいじゃろ。和と特訓したそうじゃな、成果を見せてみろ」 うっす! 26 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/16(水) 20 46 48.28 ID DPlNvRxn0 というわけで俺は席に着く。 ……あれ、俺がこうして部室で対局に混じるのっていつぶりだっけ……? ええい、気にするな気にするな。気にしたら負けだ。 相手は上家に和、対面に咲、下家に優希。成果を見るということで染谷先輩は俺の後ろに。 さあて、頑張るか! 「……ふむ。リーチ」 う、和に先行されたか……おっ、でも俺もこのツモで聴牌だな。 幸い、不要牌も現物で待ちもいい。となれば……とおらばリーチッ! 「カン、もいっこ――」 待ったっ、ロン! それ槍槓だ! 「むむ……東場が終わっちゃったから力が出ないじぇ……」 優希、それロンだっ! ……とまあ、格好良かったところだけ抜き出してみたけど。結果はいつも通り最下位でしたとさ。 だけど、三位の優希と1500点差と、今までにない程詰め寄れたのも確かだ。 「ふむ。なかなか頑張ったみたいじゃけど……まだまだじゃな、京太郎」 ぐぬぅ。分かってますよ、染谷先輩……。 「でも、確かに進歩はしちょる。こりゃ来年が楽しみじゃのう?」 お、マジっすか。和も褒めてくれましたし、こりゃやる気が出るってもんだなあ。 よーしもう半荘打つぞー! 相手頼むぜ! 「かかってくるじぇ!」 「頑張りましょう」 「今度も負けないよ!」 27 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/16(水) 20 47 29.48 ID DPlNvRxn0 とまあ、相手を変えつつ時には見る側に回りつつ、何度か打ってはみたものの。 結局、めぼしい結果といえばたまたま裏が乗った跳満を優希にぶち当てて三位になったのが一回だけだった。 まだまだ、全国で活躍する皆には程遠いということだろうな。悔しい。 「よし、今日はそろそろ終わりにするけえ、帰る準備始めんさい」 だーっ、悔しいなあ。いっぺんくらい一位になってみたいもんだぜ。 「十分進歩はしてますよ。次の大会は頑張ってくださいね」 お、和。ほんとありがとな、色々教えてくれてさ。 そーだ、謹慎で迷惑もかけたことだし、お礼も兼ねてなんか食いにいかないか? 「タコスがいいじぇ!」 お前には言ってない。いや、別に咲たちもってんなら構わないけど、タコスは却下。 「いいの?」 迷惑かけたのは事実だからなー。 日頃のお礼も兼ねてってことで。 「礼を言うべきは、雑用を押しつけとったこっちなんじゃがのう」 気にしない気にしない。 ラーメンでいいっすよね? んじゃ、行きますかー。 「んー、たまにはタコス以外もいいじぇ~」 そーだろそーだろ。今度俺が麻雀で勝ったら奢れ。 「ふん、一回順位で上に立ったからって調子に乗るんじゃないじぇ!」 手厳しいこった。 咲はどうだ、美味いか? 「うん。こうして皆で食べるもの楽しいね」 そだなー。今度は部長、じゃなかった竹井先輩も都合のいい日に皆で出かけるか。 にしてもどうよ、俺ちょっとはマシになってたろ、麻雀。 「うん、びっくりしたよ。でもなんだか違和感があった、かな?」 違和感? なんか間違ってたか? 「うむ、それはわしも感じたな。なんちゅうか、既に持っとる力を使い切れちょらんような……」 なんだそりゃ。俺にもオカルト的なアレがあるとでも言うのかよ。 だとしたらまあラッキーってなもんだけどさ。 「オカルトなんて有り得ません。せっかく順調に伸びてるんですから、須賀君はそんなこと気にせず勉強してればいいんです」 はい、和先生。 36 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/18(金) 19 22 20.14 ID vsqImmSg0 そんなこんなで色々問題を起こした俺もどうにかこうにか麻雀部に復帰し、 ようやくのこと心機一転、清澄高校麻雀部は再始動した。 幸いと言うかなんと言うか近いうちに大きな大会はないため(というよりそもそも、ウチは部員不足だ)、 部活動では俺の指導にそれなりの時間が割かれることになる。 とは言っても咲や優希が人に麻雀を教えられるわけもなく、染谷先輩は現部長かつ雀荘バイトということで色々忙しいらしく、 結局俺に麻雀を教えてくれるのは和であることが多い。 「須賀君、そこはこちらを選んだほうが……」 「須賀君、この場合は対面から仕掛けが入っているので……」 「須賀君……」 まあそりゃ超高校生級のデジタル雀士である和の指導は厳しくて軽くめげそうになるわけだが、 デジタルであるがゆえに指導の根拠は理解しやすく、自分でも成長を感じやすいのは嬉しい。 ハギヨシさんに教えてもらった時よりも伸びはよく、ネト麻での成績も目に見えて上がっている。 そして――だからこそ、咲たちを今までより遠くに感じてしまう。 麻雀を知ったからこそ。それなりに見れる実力を身につけたからこそ。 ……咲たちには到底追いつけないと、思っちまうんだよなー。 「ふむ。でも須賀君、弱かったころは追いつけると思っていたんですか?」 うん? いや……全然。和にこうして教えてもらい始めるまでは追いつける追いつけないの話じゃなくて、 俺と皆の間にどんだけ差があるかも分からなずにただ憧れてたような気がするよ。 「だったらそれも成長なんです。彼我の実力差を知ることは、大事ですから」 んー……理屈としては、分かるけどさ。 「追いつけないわけがないんです。卓上に存在する情報を見切れば、最善手は確実に存在するんですから」 「それに……こうして真剣に努力を積んでいる須賀君が今後もずっと弱いままだなんて、そんなの絶対有り得ません」 そう言って和が優しく微笑んでくれたから、なんだか俺は救われたような気がして。 ガラにもなく心臓がバクバク鳴り止まず、顔は真っ赤になってしまった。 「……須賀君?」 ……なんでもないっ。頑張って頑張って頑張りまくって、いつか和にだって追いついてやるって決心してただけだよっ。 「ふふ、頑張ってくださいね」 ああ、もう……どうしてそんなに、俺に期待してくれるかなあ。 泣きそうになる。叫びそうになる。体が震える。――和とこうして一緒に麻雀を出来るというだけで、俺はいくらでも喜べてしまう。 「さて、今日はこれで切り上げましょうか」 うぃっす。 あ、そうだ和。帰り、ちょっと付き合ってくんね? 37 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/18(金) 19 22 54.12 ID vsqImmSg0 心臓をバクバク言わせながらやっとの思いで和を誘って街に繰り出す。 こうして二人で並んで歩いてるだけでえも言われぬ幸せを感じてしまうあたり、俺ももう駄目かも分からんね。 「須賀君、どこに向かってるんですか?」 ん? いやぁ、ここんとこ和には世話になりっぱなしだからな。 俺なりの日頃のお礼ってヤツ、かな? 「わぁ、エトペン……!」 和に何か少しでもお返しがしたくて、暇なときに街を練り歩いていて見つけた街の片隅のファンシーショップ。 そこには和が大好きなエトペンのキーホルダーやストラップが所狭しと並べられていた。 プレゼントとして和にこの中から一つ買ってあげて、んで自分も同じのを買ってプチお揃いにしよう、 なんて思春期のオトコノコらしい痩せた考えをしてる次第です、はい。 財布事情があるから何個もとは言えねーけど、好きなの一個選んでくれよ。 さっきも言ったけど、日頃のお礼ってことでさ。 「わあ、わあ……! あ、ありがとうございます須賀君……!」 ……なんだよもう! この和、超可愛いんですけど! よ、よーしじゃあ俺も同じの買うぞー。 「同じのですか?」 お、おー。和のエトペンパワーにあやかりたいってなもんさ。 ほら、和って試合にエトペン持ってくだろ? 「ふふっ、試合にキーホルダー持っていくんですか?」 ポケットの中にでも忍ばせておくさ。 ……よし! 怪しまれずに買えたぞ、お揃いのエトペン! 我ながら女々しいことをやってる気がするけど……思春期のオトコノコは難しいんだよ。 38 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/18(金) 19 23 57.05 ID vsqImmSg0 そんなこんなで、和に麻雀を教わっては時たま勇気を振り絞って色々遊びに誘ってみる日々が続く。 こないだは一緒にファーストフードを食べたな。ハンバーガーの剥き方が分からない和が可愛かった。 その前はゲーセンに連れてってみた。エトペンのぬいぐるみをクレーンゲームで取ってあげたときの喜びっぷりが可愛かった。 そんなことを繰り返してるうちに――気付けば、俺は。 俺は―― 「もうすぐ私達も進級ですねえ」 ……はっ。そ、そうだな。 遂に俺にも後輩が出来るのかー。どうせなら、男子も団体戦に出られる人数を揃えたいな。 「そうですね。そうなったら、須賀君が大将になるんでしょうか」 どうだろうな。俺が大将なんてお飾りもいいところになりそうだけど。 それでも大将・須賀京太郎って響きには憧れるなー。 「お飾りなんて、そんなことありませんよ。ちゃんと須賀君は成長してます」 成長はしてるんだろうけどなー。 練習の相手が全国区のエースどもだからいまいち成果も出ないし、実感が湧かないなぁ。 でも、だからこそ、次のインターハイ予選は楽しみだよ。 「そうですね。私達も、頑張らないと」 ああ、頑張ろうぜ。 「あ、そういえば、須賀君」 ん、どーかしたか? 「はいこれ、誕生日プレゼントです」 お……おう。ありがとう。 「須賀君ったら、いつもシャツで汗や手を拭いたりしてるから……ちゃんとハンカチ使ってください、ね?」 うん、絶対大切に使う……。 ……うわぁ、やばい、幸せ。和が俺にプレゼントとか……何これこんな幸せあっていいのか? 夢だったりしないよな? 現実なんだよな? 「ふふっ。それでは、二年生になってもよろしくお願いします」 おう、こちらこそな。 そんな喜びと共に決意を新たに、俺が麻雀を知って遂に一年。 俺達は、二年生になった。 45 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/19(土) 19 21 58.66 ID YNUxZxmV0 ――お。咲も和も優希も同じクラスじゃねえか。 こんな偶然あるものなんだな。これから一年よろしくな、三人とも。 「ええ、よろしくお願いします」 「今日はどうせ午前あがりだから、早く部室に行くじぇ!」 「一年生、何人入ってくれるかなぁ?」 どうだろうなあ。俺が久しぶりに雑用根性発揮して学校中に宣伝チラシ貼り付けてきたから、 それなりの人数は来てくれると思うんだけど……あ、染谷先輩。新入部員、来てましたか? 「おう、丁度ええところにおったわ……すまん、今から外せん用が出来てな。一年生の相手を頼めるか?」 「女子は六人、男子は四人。期待以上の人数が来たからの。逃がすなよ?」 まあ、そんなわけで期待に胸を膨らませつつ俺達は部室に向かった――のだが。 「新入部員の皆、おはようさん。部長は用があって学生議会のほうに顔を出してるそうなので、俺が仕切らせてもらうよ」 ……なんで俺が仕切ることになってるんだよ。 いや、分かるけど。咲と優希に仕切りなんて出来るわけないし、和がやるとちょっと堅過ぎて新入りはビビるだろうけどさ。 でも緊張するだろ、そりゃ。 「知ってのとおりウチの女子は去年、団体戦で日本一になりました。しかし男子は俺だけ、女子部員も数が少ない」 「勿論女子部員は連覇を目指していますが、決して君達に厳しい居残り練習や朝練なんかを強要するつもりはありません」 「あくまで麻雀を楽しみ、そのうえで勝利を目指す。それがウチの目標です。あと個人的に男子が四人入ってくれて嬉しいです」 「それでは長話もアレなので、実際に打ってみましょう」 ……はー。緊張した。 よし、男子部員集まってくれ。悪いけど自動卓は一つしかないんで、男子はとりあえず手積みな。 「なんか須賀先輩って威厳ないっつーか、アレっすね」 「現時点で既に尻に敷かれてそうな感じしますね」 「こら、先輩に失礼だろっ。すみません先輩」 あー。いいよいいよ、俺が麻雀部の中で一番弱いのは事実だしね。 まあ入部祝いってことで、俺に勝てたら学食の新メニュー奢ってやるよ。 「うっひょー、先輩太っ腹!」 おうおう敬え敬え。 意地でも負けてやんねーけどな。 46 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/19(土) 19 22 32.22 ID YNUxZxmV0 それポン。――お、ツモだな。ラッキー。 「ぐぬっ・・・…」 「須賀先輩、これで先輩方の中では一番弱いんすか……? リーチ」 まあな。他が化け物すぎるだけとも言えるが。 通らばリーチ。……あ、それロンだ。一発ついたな。 「うえっ! 先輩マジで普通に強いじゃないすか……話が違いますよ」 まあそりゃ、しっかり基礎を覚えてそれに徹すればこれくらいは出来るもんだろ。お前らも和に教えてもらえばいいさ。 ……なんて、軽く言っちまったけどそれはそれでなんか妬けるから嫌だな、なんて考える俺がいて。 「あー、そういえば先輩、俺らが入るまで男子一人だったんすよね? 羨ましいなー」 もうそーゆーからかいには慣れたぜ。 んでもってお前らも薄々感づいてるだろーけど、そーゆー羨ましいイベントは一切なかったよ。 あ、それロンな。 「ぐぬぬ……いやでも、あの四人の中で誰が好きとかはあるんじゃないっすか?」 あるよ。あるけどぜってー言わん。 つか言うわけないだろ。 「おもんねー」 「だから先輩に失礼だろがっ。すみませんほんと……」 いやいや、気にすんなって。 あ、それロンな。 「ぐぬぬ」 47 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/19(土) 19 23 08.88 ID YNUxZxmV0 ……と、まあこんな調子でつい新入部員をいびり倒す嫌な先輩になってしまった(学食の新メニューは奢ってやったけど)。 ちょっとは反省するとして、とりあえず一年生は早めに帰宅させて二・三年生だけで再び練習を再開する。 というのも、今日は部長……じゃなくて、竹井先輩が久々に練習に顔を出してくれるというからだ。 流石に今日来たばかりの一年生をOGと会わせて練習もさせてでは可哀相だしね。 「ひっさしぶり~。聞いてるわよ須賀君、最近和とラブラブなんですって?」 ぶはっ!? どうしてそうなった!? 和も固まってるし、あぁもう何言ってるんですか部長! ……じゃなくて、竹井先輩。お久しぶりです。 俺も少しは麻雀部員らしくなれたかなって思ってるんで、せっかくですし対局しません? 「それもいいけど、まずは新入部員ねー。どうだったの? 期待できそうな子はいる?」 「うむ。流石に名の知れとるのは風越やらに流れたようじゃが……ま、今後に期待ってとこかの」 しばらく女子の談義が続く。 その最中、采配の話には入れない咲が話しかけてきた。 「京ちゃん、男子のほうの一年生はどうだった?」 ん? あーまぁ、中学では無名公立校(大会では一回戦負け)のレギュラーでした程度の奴らばっかりかな。 やる気は十分あるみたいだし、初期値でも成長率でも、俺よりもよっぽど上だと思う。 流石に俺じゃ荷が重いから、和と染谷先輩に指導を頼むつもりだよ。 ま、それはそうとして、今年も女子の活躍には期待してるぞ。 そこまで言ったところで、話を終えた竹井先輩と染谷先輩が顔を出してきた。 「今年こそはお前さんにも頑張ってほしいんじゃがのう? 京太郎よ」 「まあまあ、小難しい話はもういいでしょ。須賀君、対局よ!」 うわっ、この先輩いきなり髪結んでおさげにしてやがる。大人げないですよ……。 でもまあ、勿論。和にあれだけ鍛えてもらって一回戦負けじゃ、申し訳なくて部室に入れませんよ。 今年こそは勝ち抜いてみせます! 「ふふ、期待してますからね、須賀君」 おうよ。そいじゃ今日もよろしくお願いします! 今日こそ一位取ってやるから覚悟しとけよっ。 56 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/20(日) 16 22 41.85 ID OaNq0ZHB0 今日こそ一位取ってやる! からの数十分後。 ……やっぱり皆には勝てなかったよ……。 いやぁ、惜しいところまで行ったと思うんだけどなー。 流石に和と先輩二人相手じゃどうにもならねーな。 「むしろよく飛ばなかったもんだじぇ」 「うん。よく粘ってたと思うよ?」 慰めてくれてありがとな、二人とも。うん。 だーっ、でも悔しいなぁ。結局未だに一回も一位になったことねーもんなぁ。 「うーん。須賀君、南場まで集中力が続いてないみたいね」 うん? そんな優希みたいなことがあるわけ……いや、あるのかも。 集中っていうか、対局終わったとき異様に疲れてる気がするし。 「普通に考えて、ド初心者だった須賀君が和の麻雀を半荘ずっと実行し続けられるわけがないわよね」 ぬう。場全体を確認し続けるのは確かにしんどいとは思ってましたけど。 でも、せっかく教えてもらったのにそれを実行できないってのは悔しいっす。 「んー。そうね、須賀君。何かスイッチになるものはない?」 スイッチィ? どーゆー意味っすか? 「要するに気分を切り替えるための何かしら、ね。私が髪を結ぶこととか」 あー、和のエトペンやら染谷先輩の眼鏡やらみたいなもんですか。 咲の靴下とか優希のタコスもそうなのかな? 「そうそう、そんな感じ。ここぞって時に集中力を一段引き上げるための何かがあることは、決してマイナスにはならないわ」 ふむ……。 あ、和とお揃いのエトペンとかいいな。恥ずかしくてとても口には出せねーけど。 よし、もう半荘お願いします。今度こそ勝ってみせます! ――南二局、親は竹井先輩。 今のところ京ちゃんは染谷先輩とほぼ並んで三位。 ここまではさっきとそんなに変わらないけど……。 「……これ、かな?」 「ロン。裏は……乗らず、3900ですね」 ああ、やっぱり。 言われるまで気付かなかったけど、注意深く見ると東場と比べて集中力が落ちてるのが分かる。 打牌にかける時間が全体的に短くなってるし、今の放銃だって、壁が効いてるから準安牌と言える牌が別にあったもん。 「……ふーっ」 点棒を払った後、京ちゃんは一度伸びをして、その後制服の胸のあたりに触れた。 ……あれが京ちゃんのスイッチ、なんだろうか。 57 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/20(日) 16 23 40.61 ID OaNq0ZHB0 ――制服の内ポケットに、あの時買った和とお揃いのエトペンキーホルダーが入れてある。 ――和。和。和。 ――ありがとう。 ――俺に麻雀を教えてくれて、本当にありがとう。 ――俺は馬鹿だから、それしか言う言葉が見つからないけど。 ――俺も、皆と肩を並べて堂々と麻雀部員を名乗れるようになりたいから。 ――ここで、勝ってみせる……! ――きゅ、と軽く制服の上からキーホルダーを握り締める。 ――集中力がなにかの一線を越えたのが、自分で理解できた。 58 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/20(日) 16 25 28.07 ID OaNq0ZHB0 『……っ』 見て分かるほどに京ちゃんの雰囲気が変わった。 それによってどんな変化が起こるのかは分からないけど……。 とにかく、凄まじく集中していることは伝わってくる。 「すーっ……ふーっ……」 皆の息遣いが聞こえる程静かに、対局は進んでいく。 今のところ京ちゃんに動きはないけど、集中力は東場の時よりも増しているように見える。 「……リーチ」 早い。上達してからも手作りが早いほうではなかった京ちゃんにしては、凄く。 しかもなんだか既視感があるような……。 「……竹井先輩。それロンです」 瞬間。 私は、悪魔のような装束を着て巨大な突撃槍を構えた京ちゃんの姿を見た。 文学少女らしく、それっぽい言葉にするなら……まさに、地獄の番犬。 彼が投げ放った突撃槍は部長の頬を掠め――大地へと突き刺さる。 「リーピン一発三色……裏は乗らず。満貫です」 「……ひゅぅ」 竹井先輩が口笛を吹く。 部室に来たのも久しぶりだから、京ちゃんの上達ぶりに驚いているんだろう。 そしてたぶん、それ以上に、嬉しいんだ。京ちゃんが自分を唸らせるほどの雀士になったことが。 「……続けましょう」 「もっちろん。もう直撃なんて取らせないわよ」 「……流局か。聴牌です」 「同じく、聴牌よ……あーもう、まさか須賀君に完敗しちゃうとはねー」 むしろ久よ、お前さんがやたらと調子を崩しとったように感じたがのう。 京太郎がスイッチ入れてからだいぶ連荘されちょったし、久が一番直撃食らっとったぞ。 「んー、あそこからいつもの悪待ちが全く当たらなくなってねー」 ま、そういうこともあるじゃろ。いつもいつも悪待ちで和了られちゃあたまらんわい。 ……で、京太郎? 大丈夫か、死にかけとるが。 「だっはぁああ――……疲れた……」 一気に強うなったのは事実じゃが、そのザマじゃあ試合では使えそうにないのう。 ま、こっちは要練習と。インターハイまでひたすら場数を踏んでもらうからそのつもりで居れよ。 「……うぃす……」 ……まあ流石に今日のところは休んでいいぞ。ネト麻するなりわしらの対局を見学するなりしときんさい。 和もとりあえず抜けて、咲と優希が入れ。お前さんらは未だに基礎が出来とらんからのう。 「ええっ!? のどちゃんはともかく今明らかに犬と比べても出来てないって意味を感じたじぇ!?」 「どういうことですかっ!?」 ……流石に京太郎が可哀相だとは思わんのか、お前さんらは。 簡単な話じゃ、優希は南場入った途端振り込み過ぎ。現状だと半荘合計すると京太郎に負けとることが多いぞ。 咲は……まあ優希と違って状況に左右されんとはいえ、カンに頼り過ぎじゃ。カンをするために手が遅れとることさえある。 反対に京太郎はここ数ヶ月ほど、基礎一本に絞って練習を積んできとるからのう。和には遠く及ばんとは言え、 今の京太郎はそこらの無名校のレギュラーとは比べものにはならん程度には強いデジタル雀士だと言えるじゃろうな。 たぶん二人とも、ネト麻だと京太郎に負けるぞ。 『ぐぬぬ』 ほれ、練習再開じゃ。 65 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/21(月) 23 08 08.37 ID BfiqD70k0 皆が練習を再開する。 いやぁ、格好良く宣言してはみたが、本当に一位を取れるとは……。 やばい嬉しい。超嬉しい。物凄く脳が疲れてる実感があるけどそれを補って余りある嬉しさだ。 どうしたってにやけちまうぜ。 「ふふっ、頑張りましたね須賀君」 おー。ようやっとスタートラインに立てたような気分だよ。 ものっそいしんどいけど、でもそれ以上に達成感とか充実感とかそういうのが凄い。 「そうですね。その場限りの運ではなく、自分の知恵を絞って得た勝利にはそれだけの価値がありますから」 うん、今ならよく分かるよそれ。 ……ぃよっし、休憩終わりっ! ネト麻やるかー。 「じゃあ、私はそれを見ていましょう」 お、頼むぜ和先生! よーし和が後ろで見てるとなったら情けない対局は出来ないなー。 もういっちょ頑張ってみるか。 ……ふー、なんとか一位か。でも流石に調子が上がんねーな。 もうしばらく休憩していようかな……。 「そうですね。まあ、今後はさっきの打ち筋をいつでも実現できるように頑張ってくださいね」 うぃっす。結局集中力の問題なのかなぁ。 流石に集中するだけでここまで疲労困憊するとは思えないんだけど……。 だからといって俺がオカルトとかそんな摩訶不思議を持ってるとは思えないし。 うーん。 66 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/21(月) 23 08 45.71 ID BfiqD70k0 うーん。 「どうしたんじゃ、久よ」 いやね、さっきの須賀君。 凄かったのは凄かったんだけど、なーんか違和感があってねー。 「……ほう。何がじゃ?」 いや、須賀君が集中モード入ってから、私だけダダ崩れだったじゃない? あれだけ須賀君の打ち筋が急変したのに、三人のうち私だけが崩れるってなんでだろうなー、と。 「そりゃ、あんたの戦法が悪待ちで相手に依存しとるからじゃろ。わしも和も、結局は自分がいい手を打つってだけじゃし」 あー、そうかもねー。確かに一回目の対局では須賀君、私に振り込みまくってたし。 だとすると、大明槓からの嶺上とかやらかしちゃう咲も、須賀君とは相性悪かったりするのかしら? 「どうじゃろな。暗槓からでも嶺上はできるけえ、久ほどは影響が出んと思うぞ」 なんか納得がいかないわ。でもこれは私達の予想にすぎないし……。 よし、これは一度打って試すしかないわね! 須賀君、もう一回打つ気なーい? 「……あんた、実は打ちたいだけじゃろ?」 「マジっすか……まあ、東風戦くらいなら」 「東風戦なら私の出番だじぇ!」 あと、須賀君の能力を確かめたいから咲も入って頂戴。 これで面子は私・咲・優希・須賀君ね。東風戦だから順当に行けば須賀君はラスか、いいとこ三位ってとこだろうけど。 もし、私の読みが正しければ―― ……おかしい。 嶺上牌が……カン材が、見えない……!? いや、見えないわけじゃないけど……霞んでて、とても判別出来ない……! 「うー……おかしいじぇ、東場なのに……」 優希ちゃんもなんだか様子がおかしいし。 一体どうなってるの、もう……! 「――ツモだ。2000オールは2200オール」 うぅ、また京ちゃんに和了られちゃった。 おかしいよ、京ちゃんが上手くなってからもここまで極端に京ちゃんの一人浮きはなかったし、 まともにカンが出来ないなんてこともなかったのに。 染谷先輩の言ってた通り、カンに頼らない打ち方もちゃんと出来なきゃ駄目なのかも……。 「咲、それロンだ。3900は4800」 はうっ……うぅ、今回は散々だよ。 67 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/21(月) 23 09 38.76 ID BfiqD70k0 だぁぁああああぁぁぁぁああぁぁぁぁ-。 もう駄目。頭働かねえ。うぇっぷヤバい気分悪っ、死にそう……。 「……須賀君、大丈夫ですか?」 無理。アレだ、こりゃ用法容量を守ってご使用ください的なアレだな。マジでしんどい。 ごめん、ちょっと休む……ベッド使わせてもらうぞ……。 「うっはぁ、まさかここまでとはね」 先程の対局の結果は須賀君が5万点近くを稼いで断トツの一位。 竹井先輩は比較的粘ったもののいつもの悪待ちは見せず、咲さんとゆーきはなんと焼き鳥。 ……二人とも、オカルトじみたことばかり言っているからこうなるんですっ。 でも竹井先輩の言うように、まさか須賀君がここまで成長しているとは思いませんでした。 「でもこれではっきりしたわね、須賀君の能力……いや、いっそのこと、オカルトって言ってもいいかしら」 ……だーかーらー。 オカルトなんてありえません。 せっかく須賀君は真面目に麻雀をしているんですから、変なことを吹き込まないでくださいよ? ここまで基礎をみっちり教えて来て、最近やっと私も納得できる打ち筋を見せてくれるようになってきたのに……。 「ふむふむ、つまり和は須賀君を自分色に染め上げたいと」 なっ、ななななっ、何をっ、何を言ってるんですかもうっ! や、やめてください! 真面目な話をしてるんですよ! 「安心なさい、和。須賀君の能力は恐らく――」 68 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/21(月) 23 10 04.78 ID BfiqD70k0 「――オカルト能力の遮断よ」 80 ◆NZD.UFKqaQTc saga 2013年01月22日 (火) 23 02 31 ID urwxM6xa0 オカルト能力の、遮断? ……この際オカルトなんて無いとかそういう話は抜きにするにしても、どういうことですか? 「そのままの意味よ。須賀君が集中状態に入ったとき、咲は嶺上開花どころかカンすらまともにできていなかった」 「優希も、東風戦にも関わらず焼き鳥。デジタル打ちの和や自分の記憶を当てにしてるまこに影響が出てないのもそれを裏付けるわね」 ……はぁ。オカルトは認めがたいですが……。 ま、まあそういうことなら須賀君自身の打ち筋がオカルトどうこうで乱れることはないし、気にしなくて大丈夫そうですね。 「そーゆーことね。そういえば、和の集中モードはのどっちだから……須賀君の集中モードは京ちゃんになるのかしら?」 ……竹井先輩、それこそどうでもいいです。 「京ちゃんモードかぁ。集中してるときはびっくりするくらい冷静になってるのに名前は可愛いんだね」 咲さんも! 「のどちゃんとお揃いとは、京太郎のくせに生意気だじぇ」 ゆーきまでー!! 「和が発熱してるみたいに真っ赤になるのとは逆で京太郎は凄まじく冷静になるがの」 うう、染谷先輩まで……。 もういいです、須賀君なんて知らないです。 練習しましょう、練習! 「それもそうじゃな。よし、現役組、卓につけー」 81 ◆NZD.UFKqaQTc saga 2013年01月22日 (火) 23 03 08 ID urwxM6xa0 ……ふ、ぁああぁぁ……。 ん、頭楽になった……。 あー、でもマジでしんどい。こりゃ実戦で使うにはまだまだ時間がかかりそうだな。 打ってる間は頭冴えるどころの話じゃないから、すっげえ気分いいんだけど。 自分が自分じゃなくなるというかなんというか……自分でも怖いくらい、冷静に打ち回せる。 ほんの半年前までは何も出来なかった、俺ごときが。 どうしてもテンション上がっちまうし、咲や優希を相手に俺が完全に勝ったなんて今でも信じられない。 これなら。これなら、もしかしたら、俺だってインターハイで活躍できるんじゃないか。 皆と一緒に、俺も晴れ舞台に立てるんじゃないか。皆にも褒めてもらえるんじゃないか。 もう皆の足を引っ張ることなんて無いんじゃないか――そんな、期待をしてしまう。 「あ、須賀君。目が覚めました?」 ん、和か。うん、ばっちりだよ。部活もそろそろ終わりか? ――その期待を実現させるために、明日からも頑張ろう。 そう思いながら俺は和の声に応え、皆に合流するのであった。 82 ◆NZD.UFKqaQTc saga 2013年01月22日 (火) 23 03 57 ID urwxM6xa0 「……お、もうこんな時間か。そろそろ帰らんとな」 ん? 本当だ、もうすぐ下校時間じゃねえか。 せっかく竹井先輩もいるんだから、今日も皆で帰りましょうか。 「ああ、須賀君。ちょっと話があるわ」 竹井先輩? どうかしましたか? 「ええ、あなたの打ち筋の話」 はあ。 まあ自分でもよく分かってないんで、色々話は聞きたいですけど。 「ええ、単刀直入に言うわよ――」 はぁ……オカルト能力の遮断、ねえ。 実感が湧かないっつーかよく分からんっつーか、そもそもオカルト能力ってなんなの、って話なんですが。 皆と違って俺はそういう能力持った奴との対局経験が多いわけでもないし……。 「咲のカンを完全に封殺したんだから、相手の打ち筋を妨害するような能力なのは確定でしょ」 あー、まあ確かにそりゃそうなんですけど……。 正直そんなオカルト信じられませんって感じですね。 「SOAならぬSOSだじぇ」 「ゆーき……もうっ」 でもまあ、それなら俺がヘンに打ち筋を変えたりする必要はない……ってことですよね? 咲の槓とか優希の東場とかそういう特別な打ち方が掻き消せるんなら、後には普通の麻雀しか残らないですし。 「いーや、むしろ逆なのよね。そういうオカルトな打ち手は、須賀君が集中モードに入るだけで調子を崩すでしょうけど」 「……和のような格上のデジタル雀士に対して、今の須賀君は無力。それが唯一にして、致命的な弱点よ」 ……確かに、それは否定できない。 今日は和も抑えて一位を取れたけど、それは竹井先輩への満貫直撃が大きかったし。 「つまり、デジタル雀士を相手にしたときに須賀君の武器になる『+α』を見つけること……それが今後の課題ね」 α、ねえ。 全く、デジタルな打ち方を覚えるだけでも頭が痛くなるってのに……どう考えてもそれを見つけるのはしんどいって分かるのに…… あー、なんでこんなに楽しみなんでしょうねえ。分かります? そう聞くと、竹井先輩は満面の笑みを浮かべながらこう答えてくれた。 「そりゃもう、須賀君が雀士として一人前になった証拠よ」 93 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/23(水) 20 35 09.63 ID slXTqmiv0 「さて一年生、集合。悪いけど、一年生には買い出しなんかの雑用もやってもらうことになる。勿論全投げするつもりはないけどな」 一年生の正式入部からしばらく経った。 技術的な指導は私と染谷先輩が、そして雑用の面での指示は須賀君に一任されている。 まあ、去年は夏までずっと一人で雑用をこなしていたのだから、その引継ぎが彼にしか出来ないのは仕方のない事でしょう。 ……手際も良くて、ちょっと格好いいな……なんて、思ったりして。 ……はっ!? な、何を考えているんですか私! 練習です、練習! 下級生に雑用をさせておいて上級生がこの様では……! 「咲ちゃん咲ちゃん、のどちゃんが見てて面白いじぇ」 「うん、そうだね」 「よっし。買い出しはお得意さんとか安いとことかも教えたいから、今日はとりあえず男子と女子一人ずつ、俺についてきてくれ」 「了解っす京太郎さん」 「わかりました、須賀先輩」 「そいじゃ行ってくる。染谷先輩、和、後よろしくなー」 あ、はい。わかりました。 では染谷先輩、こちらも練習を始めましょうか。 ……咲さんもゆーきも、ブーたれてないで。二人が仕切るのに向いてないのは事実でしょう? 「先輩がたは皆仲がいいんですね」 「見てて飽きないっす」 「こら、先輩に失礼だろ!」 ……ああもう、恥ずかしい。 先輩やるのも楽じゃないんですね。 94 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/23(水) 20 36 08.93 ID slXTqmiv0 「そういえば一年前って、男子の部員は須賀先輩しかいなかったんですよね」 「やっぱり、この中の誰かは京太郎さんのこと好きだったりするんすか?」 対局後、おかしかった点の指摘や指導を一通り終え休憩していると、後輩たちが声をかけてきた。 ……やっぱり、そういうのって気になるものなんでしょうか。 「私はほら、幼馴染だから今更そういうのは無いかなー」 咲さんも、律儀に答えなくても……。 「そ、そりゃ私は――って、あれ、答えなくていい感じだじぇ?」 いや、それはそうでしょう。 実際のところがどうであるにせよプライベートのことですし。 「ははっ、そんなに秘密主義だとかえって怪しいぞ、和」 そっ、染谷先輩!? 何言ってるんですか、もう……。 ほらそこ、咲さんもゆーきもニヤニヤしない! 一年生も! 「だって、須賀先輩に麻雀教えたのって原村先輩なんですよね?」 「そりゃフラグ的な何かを期待しますって!」 全くもう……彼が真剣に麻雀を上手くなりたがっているからこちらも真剣に教えているだけで、 彼はあくまで部活仲間でクラスメイト、恋愛的な意味での感情は持ってません! これでいいですか? 「顔真っ赤にしてそれを言われても説得力がないのう」 「……いやー、京太郎さん。入り辛いですね」 あははは……いやぁ、全然事実だし期待してたわけでもないけど、改めて聞くと凹むなあこれ。 ま、買ってきたものまとめなきゃいけないし、勿論練習だってしなきゃいけないからとっとと入ろうぜ。 (……須賀先輩、今の言い方だと原村先輩のこと好きって言ってるようなものだけどいいのかな……?) 買い出し終わりましたー。 後輩ズは今日買い出しに行った二人から、どの店で何を買えばいいか聞いておくようにー。 んでもって男子集合! とりあえず俺が打ちたいから卓に入ってくれー。 「あ、自動卓使っていいですよ須賀君。こっちはしばらく牌譜見たりしてるので」 了解。+αがどうこうもあるけど、兎にも角にも俺は集中モードを長時間使えるようにならなきゃいけないからな。 ……本気で行かせてもらうぜ、後輩ども。 「うわっ、京太郎さん大人げねえ!」 「勘弁してくださいよ、こっちの練習にならないじゃないですか!」 安心しろ、なるなる。集中モードの俺は基本的に最善手を打ってるはずだから、 オリるべきところでオリ、押すところで判断を間違えなければそうそう振り込むことはないはずだからな。勝ち目は十分あるさ。 知識面は和と染谷先輩にお願いするとして、お前らはとりあえず俺を相手に実戦経験を積んでもらうぜ。 「ぐぬぬ」 95 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/23(水) 20 36 40.41 ID slXTqmiv0 ――ツモ。裏乗って満貫。 ――ロン。4800は5100。 ――ロン。3900は4500。 ――ツモ。2600オールは2900オール。 ――ロン。11600は12800。 ……だああぁぁぁぁあああああー……終わりか。ありがとうございましたー。 「京太郎さんマジで大人げねえ!」 「イジメだ! これはれっきとしたイジメだ!」 「ツモはどうしようもないし、お前らは結構振り込まなくていいところで振り込んでるだろ」 「ファッキュー真面目君。何気にお前一度も振り込んでないじゃねえか」 こいつは俺の言った通り、きっちりオリてたからな。うん、上出来だぞ。 ……それに俺のほうも、打った後の疲労感はこの前よりマシになってる気がするな。 よし、もう半荘打つか。 「うわっ、京太郎さんいい笑顔!」 「むしろゲス顔!」 ……お前ら、飛ばす。 ――ツモ、1600、3200。 「うわーっ!」 須賀君、絶好調でしたね。 ……代償にというかなんというか、また死にそうになってますけど。 大丈夫ですか? 「おう、和……いやまあ全然大丈夫ではないんだけど、だいぶ長く続けられるようになったぞ」 そうですね。これなら個人戦でも十分戦えるんじゃないでしょうか。 あとは男子の一年生ですけど……流石にインターハイまでに皆が皆強くなる、というのは難しいでしょうね。 「だなー。俺としては出たいけど、団体戦には出ないのも一つの手かもしれない」 去年の須賀君みたいに、自信を失うだけで終わってしまうかもしれませんからね。 難しい事ですが……あ、そうだ。須賀君は聞いてます? 今年も合宿やるらしいですよ。 「お、やるのかー。今年はデカい部屋に一人なんて孤独を味わわずに済むと思うと感慨深いなぁ」 「……ま、男子団体に出るかどうかは合宿での成果次第ってのが妥当なところなのかな?」 それがいいんじゃないでしょうか。 男子の主将は須賀君なんですから、頑張って皆を引っ張ってあげてくださいね。 「うげ、やっぱそうなるか……そうなるよなぁ。頑張るよ、うん」 103 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/24(木) 22 40 15.90 ID +jcl6oAx0 「今日から二泊三日の麻雀合宿じゃ。皆、インハイ予選に向けてここでみっちり鍛えていきんさい」 染谷先輩が手短に話を済ませ、俺達は早速練習に入る。 後輩たちには負担をかけることになるが、俺はやっぱり団体戦に出たい。 去年の咲達とはまるで訳が違う……俺は竹井先輩みたいにあいつらを率いることは出来ない。 あいつらも、咲や優希みたいなオカルト的な超能力は持ってないごく普通の打ち手でしかない。 条件は限りなく悪いけれど、それでも―― 「大会出ないとか、そりゃないっすよ京太郎さん!」 「俺達、足引っ張らないように頑張りますから!」 ――こうして、愛すべき後輩どもはついてきてくれるから。 まあ、俺達は俺たちなりに精いっぱい、全力で頑張ってみようと思う。 ぃよっし、頑張るぞ! 麻雀部男子、ファイトーッ!! 「……えっ、そういうノリっすか」 そこはノれよッ!! ノってくれよぉ!! とりあえずノリの悪い後輩どもを京ちゃんモード(命名:竹井先輩。咲の強い推しにより採用)で蹴散らし、 次に後輩同士が打つのを見て回る。四人が四人、それぞれ特徴はあるもののオカルト的な能力はないあくまでごく普通の高校生雀士。 けれど、俺がオーダーを決めるんだから四人の特徴はちゃんと把握しておかないとな。 「……リーチ!」 真面目なこいつは、多分四人の中では一番上手いだろう。責任感も相当強い。 けれど、他三人に比べると若干気負い過ぎなところがあるのが少し不安だ。 出来れば先鋒や大将には置きたくないな。 「流局か……聴牌です」 こいつは地味ながらも安定した実力を持っていて、振り込みの数が他三人に比べて少ないのが長所。 逆に言うと打ち筋が消極的なところがあり、あまり点数を稼げるタイプではないのが短所といえば短所。 ……まあ、強いて言うなら大将は避けたほうがいいかな。 「うげっ、ノーテン……」 「俺もだー。二鳴きでノーテンは辛いわー」 双子のお調子者は、兄が面前型で弟が鳴き型。二人とも調子がいい時はとことんいいのだが、 調子が悪い時はとことん駄目で、しかも一度振り込んだりすると大崩れしてしまうことが多い。 ……この二人は、先鋒に置くには心もとないか。となると―― 104 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/24(木) 22 40 47.44 ID +jcl6oAx0 「っつーわけで、ちょっと気が早いっすけど団体戦のオーダー決めました。出来れば練習試合とか組んでほしいっす」 お、京太郎。気合入っとるのう……どれどれ。 ふんふん、まあ無難というかなんというか、問題があるようには思わんが。 強いて言うなら、どうしてお前さんが先鋒なんか、かの? 「そこは消去法っすね。あいつらにいきなり先鋒やらすのは酷かなぁと」 まあ、今のお前さんならどこに置いても問題はないじゃろうな。 和もそうじゃがデジタル打ちが大崩れすることはそうそうないし、後輩にリードで渡してやるほうが良かろうて。 「そういうことっす」 そういえば京太郎よ、久の言っとった+αはどうにかなりそうか? 力になれんのは残念じゃが、こればっかりはお前さん自身が見つけるしかないからのう。 「いやぁ、それがまだ全然……そもそもデジタル打ちを実践するので精一杯で」 ……ま、一朝一夕で武器を身につけられても困るからのう。 応援はいくらでもしちゃるけえ、地道に頑張りんさい。 「うぃっす、そいじゃ打ってきますね。……さーて後輩どもー。もう一回俺と打つかー」 「うわぁ、魔王が来た!」 「大松「魔王は咲だろ」」 「ファッキューマッツ」 「ちょっと京ちゃん、それどういう――」 ……なんちゅうか、ウチも騒がしくなったもんじゃのう。 ま、勿論……悪い気はせんけどな。 さて。俺にとっての最善の打ち方って、結局なんなんだろう。 去年の夏までは軽くハギヨシさんからレクチャーを受けてたくらいでほとんど我流。今の俺にとってはまるでアテにはならない。 秋からこっち、今もずっと和にレクチャーを受けてるのがデジタル打ち。おかげで実力はついたが、それでは足りない。 今年の春。竹井先輩のアドバイスでオカルトっぽい能力に目覚めたはいいけど。 流石に、『格上のデジタル雀士』じゃあ弱点の範囲として広すぎる。 俺より上手いデジタル派の雀士なんてごまんといるだろうからな。 「んー……ポンで」 「うげ、そんなとこ鳴くのかよ」 ……鳴き、か。 案外、着眼点としてはいいのかもしれない。 相手のツモ順をズラしたり、妨害というかなんというか、そういう打ち方。確か龍門渕にそんな人がいた気がする。 例えば和は俺より上手いけど、それでも一切ツモらずに勝つのは無理だもんな。 一度試してみるか。相手……特に上家、対面の妨害を考えよう。 チーならともかくポンなら符も付く。無論デジタル的に有り得ない手は打たないよう気を付けて……。 ……っし、それポン。さてどう出るか……。 「須賀先輩、それロンです」 ……ぐぬぬ、難しいな。 鳴くってことは当然手牌の選択肢が少なくなるわけで……。 ま、一回打っただけで上手く行くわけがないよな。気長に行くか。 幸いにも、時間はたっぷりあるんだ。数打ちゃ当たるじゃないけれど、みっちり数をこなすしかない。 ……よし、それポンだ! 128 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/26(土) 21 09 52.39 ID gGd+khcM0 とまあ、そんな調子で初日の練習は終了。 鳴きメインの打ち回しはまだまだ要練習だが、方向性としては間違っていない……と思いたい。 ひとまず麻雀のことは忘れて、後輩どもと一緒に温泉へ向かう。練習は勿論、身体を休めることも大事なのである。 京ちゃんモードとかいうクッソ燃費悪い打ち方をする俺にとっては、尚更のこと。 「京太郎さん、結局部の4人の中で誰が好きなんすか-」 しつけぇなおい、そんなに知りたいかよ。 なんかもう呆れを通り越して感心するぞ。 「いやぁ、いつの時代もコイバナからのエロい話は鉄板かなぁと」 「だから! お前らはいつも先輩に対して礼がなってないぞ!」 「いや、わりと真面目な話。見ててバレバレなのに、なんで告白もしねーのかなぁと」 ……バレバレ? はっは、俺に話させたいからってカマかけようったってそうはいかないぞ。 1年間皆にも隠し通してきたんだ、まだ会って3ヶ月も経ってないお前らに看過されててたまるか。 「多分それ、先輩がたにもバレてるんじゃないですかね?」 「気付いてないとしたらそれこそ本人だけっすよ。気付かれてたら何かアクションあるでしょーし」 い、いいいいいやそれはあくまでお前らの予想だろ。 きき気付かれてるわけないじゃないか、そんな、なあ? 「なあじゃねーっすよ。なんなら今から女湯に聞こえる音量で京太郎さんの好きな人の名前を叫んでもいいわけですが」 や、やれるもんならやってみ……おい、マジでやろうとする奴があるか。 息思いっきり吸ってんじゃねえよ、ガチじゃねえかおい、馬鹿、やめろ! やめろください! 「じゃあとっとと吐けください。きっかけとか馴れ初めとかそーゆーやつを」 「全くお前らは……でも、俺も興味はありますねー」 ぐぬぬ。遂に真面目君まで裏切りやがった。 いやまぁ、隠すようなことでもないんだけどさ……。 そうだな。ま、出血大サービスだ。明日の練習では覚悟しとけよ。 「うげっ、地雷踏んだ!」 ははっ、もう遅い。 129 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/26(土) 21 10 34.74 ID gGd+khcM0 ……うん。一目惚れだった。 入学式の後探検か何かのつもりで校内をうろついてて、いつの間にか旧校舎まで来ててさ。 そしたら、見つけちまったんだよ。麻雀部の扉を開けて、中に入っていくあいつを。 でもそれを追っかける度胸なんてなくて、探検なんてその場でやめて全速力で家に帰って、 真っ先に携帯に無料の麻雀アプリをダウンロードしたよ。麻雀部に入る動機が欲しかったんだろうな。 「うはー……京太郎さん、熱いっすねー」 はっはっは、こんな不純な動機で麻雀始めた奴もそうそういないだろーなぁ。 でも実際始めてみたらこれがまた楽しくて楽しくて、全然勝てないくせにいつまでも携帯とにらめっこして、 次の日寝坊しそうになってさ。必死で眠気と戦って、放課後すぐに麻雀部に走った。 そんなザマだから役すらまともに覚えてなくてな……ほんと、よく麻雀部入ったもんだよ。 実は去年の夏くらいまで、カンしたら好きな牌をツモってくると思ってたくらいだ。 「あー、宮永先輩の影響ですか」 そうそう、マジであいつ反則だよな。あんなもん止めようがねーっつの。 今では京ちゃんモードで完封だけど、それ以外じゃどうしようもねーからなぁ。 ……ま、それはいいとして。そんな程度の気持ちで始めたもんだから全然上達もしねーし、 雑用ばっかりやってるもんだからクラスの奴にも馬鹿にされたりして、そのせいで皆に迷惑かけたりして、 おかげでちょっと嫌になりかけてた時に麻雀教えてもらえることになって。 教えてくれるお礼だとか言ってデートに誘ってみたりして。 ……あー、もう。話せばキリがねーや。 好きなもんは好きだ、じゃ駄目なのか? 「いや、いいですけど。結局それが誰なのかには言及してないですよね」 うわあゲス顔。 お前ら予想はついてんだろ? だったらもういいだろ……あー、もう、分かった、分かったって。 俺が好きなのは―― 130 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/26(土) 21 11 19.58 ID gGd+khcM0 「ねーねー、先輩がたの恋愛事情ってどーなってるんですかー?」 「やっぱ全国優勝とかしちゃったらモテるんじゃないですか?」 「ははっ、少なくともわしにはそんな機会はなかったのう」 「私もだよー」 今時の高校生は、隙あらば恋愛の話をするものなのでしょうか……まあ、皆楽しそうなのでいいですけど。 ええ、私に話が向いてこないならいくらでもしていただいて結構なんですけれど。 「原村先輩はどうなんですか? いつも須賀先輩と一緒にいますけど」 「麻雀教えてるだけっていうけど、その割にいつも一緒にいる気がするじぇ」 ……この前も言ったでしょう。須賀君にはただ麻雀を教えているだけだし、 放課後彼と行動することが多いのは彼がそのお礼に何か奢らせてくれ、と言うからです。 流石にそれを断るのは憚られますし、断る理由もありませんので。 「ここまで来ると潔いというかなんというか……本当に何もないんですかぁ?」 ないですって。 そりゃあ、去年は雑用ばかりさせてしまって申し訳なかったなあとは思っていますが、だからこそ麻雀を教えているわけですし。 お礼と言って色々連れ回されるのも、まあ、楽しいですけれど……父には小言を言われてしまいますし。 でも、まあ……真剣に頑張っている彼には素直に好感が持てますし、いい友人、だとは思います。 「……堅い。堅過ぎるじぇのどちゃん……」 「あはは……和ちゃんらしいと言えばらしいんだけどね」 ふふ。でもまあ、さっきも言いましたが頑張って強くなろうとしているのはいいことだと思いますし、 真剣に打っているときの彼はとても格好いいと思いますよ。 「おぉー、のどちゃんがデレた」 「でも、集中してる時の須賀先輩って本当に格好いいよねー」 「あ、それわかる。普段の軽い感じがなくなって、イケメン度三割増しって感じだよね」 ……む。 ……むう。 「そういえば原村先輩。ある人のことを好きなのかどうか判断する方法、教えてあげましょーか」 「え、何それ気になるー」 別にいいです。……ああ、分かりました。聞きます、聞きますから。 皆してそんな顔しないでください、もう。 「ふっふーん、そう来なくっちゃ! あのですね、原村先輩!」 「……気になる男の人の、下の名前。本人の前でも何でもいいですけど口に出してみるんです」 「そうすれば、ちゃーんと自分の気持ちが分かる。人間ってそーゆー風に出来てるんですって。こないだ雑誌で見ました!」 ……はぁ。要領を得ないというかなんというか……。 ああ、分かりました分かりました。参考にさせてもらいます。 私がそう言うと、みんな満足げにそれぞれ談笑を再開した。 現金というかなんというか、遊ばれた気がします。 ……名前で呼ぶ、か。せっかくだから試してみましょうか。 幸いもうみんな私のことは気にしていない風ですし、気付かれることもないでしょう。 ……いえ、気になるとかではなく、せっかく教えてもらったのだから一度くらい試すのが礼儀というかなんというか、 ああもうっ、とにかく、万が一にもみんなが気付くことのないよう、ごくごく小さな声で―― 131 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/26(土) 21 11 54.26 ID gGd+khcM0 ――原村和、さ。 ――京太郎、君……。 148 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/27(日) 21 51 34.21 ID mhwcopYz0 そんなこんなで合宿中後輩をボコりつつ鳴きメインの打ち筋というものを研究してみたが、これがまた難しい。 和がわりと面前派であることもあるけど、今の俺にはまるで鳴きのノウハウというものがないからな。 勿論最低限、役牌や鳴いて聴牌取れる牌で鳴くことはするけど……逆に言えばそれだけだ。 龍門渕の井上さんあたりの牌譜を参考にネト麻でも部活でも数をこなしてはみるが、 付け焼刃の鳴きで手を短くしてしまい、普段なら相手にならない後輩にまで振り込む始末。 本当に、難しい。 「調子はどうですか、須賀君」 お、和かー。あまりいいとは言えねえなぁ。 勿論普通にやってれば普通の結果が出るんだけど、+αとか考え出すとてんで駄目だ。 正直、インハイ予選に間に合うかと言われると相当厳しいと思う。 「まあ、現時点でも須賀君を上回るデジタル雀士はそうそういるものではないと思いますが……」 そうかな? だとしても、上に行くためには必要なことだからな。二度とあんな思いはごめんだ。 麻雀部の男子部員が女子の足を引っ張るようなことが、二度とあっちゃいけねえ。 そうじゃない、男子だって立派な麻雀部員なんだと、そう示すためには――勝つしかないんだから。 「……私が言っていいことなのかどうか分かりませんが、須賀君。あまり思い詰め過ぎないでくださいね?」 ……あ、あぁ、そうだな。 俺がいらいらしてちゃ後輩だって萎縮しちまうよな。 先輩は辛いぜ。 「それもですが、咲さんもゆーきも須賀君が無茶をすれば絶対に心配しますよ」 あー、それもそうだなー。 咲はこうして友達もいっぱい出来たのに未だに危なっかしいというかなんというか見てられない感じだし、 優希の奴だって、自分で言うのもなんだけど俺はもう立派に麻雀部の戦力なのにタコス作らせるのやめないし……。 「……そういう意味ではないんですが。勿論私だって心配です」 ……ん、ありがとな。 でも頑張らねーとなぁ……。 ま、体調崩さない程度に気張ってみるさ。 「是非とも、そうしてください」 そうは言ったものの、どうしても俺は鳴きメインの打ち方をマスターできず……正確に言えば、 鳴きを使った『何か』を自分の売りだと言えるレベル、つまり固有の打ち筋にまで昇華することは出来ないまま…… インハイ予選の日を迎えてしまった。 149 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/27(日) 21 52 18.35 ID mhwcopYz0 早朝。日が昇るより早くに眼が覚めてしまったため、とりあえずシャワーを浴びることにする。 熱めの湯で寝惚けた身体を無理矢理叩き起こす。身体を拭いて、整髪料を持って鏡の前へ。 知らない内にすっかり伸びていた髪を後ろへかき上げ、前髪は軽く横に払う。最後に制服に着替えて身支度終わり。 流石に母さんもまだ起きていないようなので適当にあるものを口の中へ放り込み、俺は早々と家を出ることにした。 集合場所に着いたが、まだ誰もいない。仕方なく携帯の麻雀アプリを起動して時間を潰していると、 10分ほど経って俺がトップ終了を決めたところで人影が現れた。 「あら、須賀君。おはようございます……早いんですね」 ……おはよう、和。 いやなに、目が覚めちまってな。 「どうですか、自信のほどは」 正直、ヤバい。動悸が激しいどころの話じゃねえんだけど。 とりあえず最初の相手は皆先鋒にオカルト打ちのエースを揃えて来てるっぽいから、 なんとか俺が稼ぎきらないといけないなってところかな。 ……まあ、それだけ考えれば楽な話っちゃあ楽な話なんだけどね。 「オカルト……むう」 ま、俺がしっかり稼いで後輩どもに繋いでやるだけのことさ。 日程では確か男子のほうが先なんだっけ? 「そうですね。皆で応援しますよ」 ありがてえ。 「京太郎さーん、おはざーす」 「早いですね、須賀先輩」 お、話をすれば何とやらだ。 お前ら調子はどうだ。緊張して打てないとか言わねえだろうな? 「ぜ、ぜぜ全然大丈夫っすよ」 「……正直、ヤバいです……」 ま、俺がなんとか稼いでくるから安心しろ。 先輩が格好いいところ見せてやるからな。 156 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/28(月) 20 09 42.14 ID UdNBlfFW0 さて、出陣だ。 後輩や染谷先輩がぞろぞろと集まる中堂々と遅刻寸前で駆け込んできた咲と優希に呆れつつ、俺達は会場へ向かった。 今日は団体戦の1、2回戦……勿論、1回戦を勝てなければ今日はそこで終わりだけれど。 「男子団体の一回戦。本日は解説として藤田プロにお越しいただいております」 「まあ、よろしく頼む」 「さて、清澄男子は初出場ということですが、今大会のダークホースとなるでしょうか!」 「有り得ないことはないだろうけど……やはり女子よりも競技人口が多く、地力の高い選手が多い男子戦。勝ち抜くのは難しいだろうな」 おうおう、言ってくれやがる。さて後輩ども、俺達の強さを見せてやろうぜ! 五人で円陣を組み声を張り上げ、俺は控室を出た。 ここに来るのは一年振りだ。あの時の、何も出来ずに蹂躙されるしかなかった俺とは違う。 十分な練習を積み、十分な力を得てきた――しかし、それでも恐怖は消し切れない。 けれど、咲たちや後輩どもの期待に応えなきゃいけないからな。 軽く頬をはたいて、俺は席に着いた。 『よろしくお願いします』 ネットやら公式戦の牌譜やらのあらゆる手段で調べ上げたが、先鋒で俺と当たる3人は揃いも揃ってオカルト打ち。 ……ぶっちゃけた話、今の俺にとってはカモだ。 篠ノ井西の先鋒は――三色手を揃える能力。順子・刻子は問わない。 北天神の先鋒は――オタ風を鳴くことで、その後三局の間、役牌・自風牌を呼び寄せる能力。 寿台の先鋒は――配牌時点で最も少ない種類の牌を集める能力。 皆格好いいというかなんというか、便利な能力を持っててホント尊敬するけど。 俺はそういう都合のいい能力なんて持ってないからさ―― 「ま、せっかくだし……『平等に』楽しもうぜ」 「……?」 俺の発言に首を傾げる対戦相手を尻目に、制服の内ポケットにしまってあるエトペンを握り締める。 ……さあ、勝負だ。 157 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/28(月) 20 10 29.66 ID UdNBlfFW0 (お、おかしい……こんなことがあるもんか! 普段なら最低でも面子一つに搭子二つくらいは配牌で揃ってるんだぞ) (……西、北と鳴いても全く来ない、か……こりゃ清澄が何かしてるのかね) (篠ノ井西と北天神の様子がおかしいが……問題はそっちじゃない!) (清澄の須賀……速い! そしてあまりに正確……これじゃ止めようがない!) 前半戦の東一局。相手の三校は京ちゃんモードによるオカルト封じを前に完全に身動きを封じられる。 それを尻目に京太郎は面前で悠々と手を進めるが、精彩を欠いた三校とも、スピードで京太郎に敵わない。 結果……京太郎はあっさりと多面張の手を作り、和了ってみせた。 「――ツモ……満貫で2000・4000」 「そ、それチーだ!」 (……こりゃオリだな) (クソッ、しっかり安牌抱えてやがるのかよ……! 清澄に当てたいのに!) それに対抗して鳴きで強引に手を進め聴牌しても、完璧なオリで逃げられてしまい誰も京太郎を捉えられない。 風牌を抱えたがる北天神から篠ノ井西がなんとか作り上げた安手で和了ったものの、打点は微々たるもの。 そしてこの和了りによって親が回り……遂に京太郎の親番となった。 (さあ……稼ぐぞ) 「……ロン。5800」 「ツモ。3900オールは4000オール」 「……ツモ。2600オールは2800オール」 正に圧倒。しかしこれはあくまでオカルト封じにより他校が調子を崩しているからであり、 相手が冷静さを取り戻して普通の打ち回しをして来ればここまでの快進撃は不可能。 つまり、相手が普段の打ち方を捨てる覚悟を決めるまで――それが京太郎にとっての残り時間。 (頼むからオカルト捨てて普通に打つとかやめてくれよ……自慢のオカルトを信じていてくれよ?) 「……ロン。4800は5700」 158 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/28(月) 20 11 25.05 ID UdNBlfFW0 (まずい、とにかく流さないと……!) 清澄を除いた三校は、遂に無言のまま協力体制に入ろうとしていた。 勿論、京太郎を止めるためだ。 自分たちの力が機能していないことは分かっても、それがどういう能力によって行われているかが分からないのだ。 ゆえに今できることは、逆転手を待つことでもなく、京太郎を狙い撃つことでもなく、せめて前半戦を早々に切り上げることである。 卓に着いている全員が、それを理解していた。 (なら――こっちはこっちで、ひたすら早和了りに徹させてもらう) 「ツモ。1000オールは1400オール」 それは勿論京太郎も例外ではない。だからこそ相手に止められないように、安手に切り替えた。 しかし京太郎は元々手作りが早いほうではなく、鳴きも得意ではない――よって、遂に。 「来たっ、ツモだ! 1000・2000は1500・2500!」 この状況を切り開いたのは――篠ノ井西。三色を集めるとはいえ実際のところは三色同順で和了ることのほうが多く、 自然と両面待ちなどの和了り易い手が多いがゆえに、なんとか京太郎の妨害にも短時間で対応できたのだろう。 運よくドラを雀頭に出来たため打点もそこそことなり、篠ノ井西にとっては理想的な親流しとなった。 (皆に先鋒任されてんだ! 稼ぎ勝てなくとも……このまま清澄の一人浮きになんてさせねえ!) (篠ノ井西か……ま、現状最下位だったんだから妥当なとこか。こっちもそろそろ和了らないと……) 「ツモ。300・500」 続いて北天神。能力は発動しないもののどうにか役牌の發を鳴き、そのまま和了りきった。 逆転には程遠い安手であるものの、これでようやく東場が終了。 前半戦が終わるまで……あと4局。 「――ロン。2600」 「ほい来た、ツモ! 500・1000だ!」 「ロン。5200」 「……ようやく、ようやく焼き鳥脱出だ……ツモ。2600オール!」 しかし、あっけなく南場は終わりを告げた。 京太郎を警戒する三校は完全に早和了り狙いで、京太郎もそれに対抗するため早和了りを狙わざるを得なくなったからだ。 結果として全員が速攻で一度ずつ和了って、前半戦が終わったのだった。 176 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/29(火) 22 12 13.72 ID diSRvnVC0 ……ふうっ。 警戒されてからは流石にキツかったけど、十分だろ。親番でかなり連荘出来たのが大きいな。 ま、一旦控室戻るか。長続きするようになったとはいえ、しんどい。水分補給くらいはさせてもらおう。 「せっ、先輩っ!」 「すげーっす、マジすげーっすよ!」 褒めるのはまだ早いさ。あと半分なんとか稼ぎきってくるから、緊張ほぐして待っとけよな。 「これは大波乱! 清澄高校、なんと前半戦のみで4万点を稼ぎましたーっ!」 「ほう……一見ただのデジタル打ちのようだが、須賀選手が何かやったようだな」 「後半戦が楽しみですね。藤田プロ、清澄以外の三校はどう出るべきでしょうか」 「んー。前半戦を見る限り、普通に打ったら清澄の一人浮きは避けられない。なりふり構わず場を流すべきだろうな」 「逆に清澄は、今活躍している須賀選手以外は全員一年生。ここは須賀選手がなんとしてでも稼ぎ切りたいところだろう」 「そう考えると、実は須賀選手が一番追い込まれているとも言える。一点でも多く稼ぎたいが、例え安手でも和了らざるを得ないからな」 「ジレンマってやつですね……後の選手まで考えるとそうなりますか。さて、後半戦はどうなるのでしょう!」 「くそっ! 俺、藤田プロのファンだけど、ここまで言われるとムカつく!」 落ち着け。悔しいけど、事実だ。 相手は三校とも二年生以上でオーダーを組んで、先鋒にエースを置いてる。 そうなると須賀先輩が先鋒で出るしかないし、俺達は何の変哲もないただの一年生。 ……経験豊富な二年・三年を相手にプラス収支で半荘二回戦い抜くのは難しいだろ。 「そんなこと言ってもよぅ!」 だから、落ち着けって! ……俺だって納得はできないけど……勝つには、それしかない。 須賀先輩は既に十分すぎる程点を稼いでくれてる。 あとは俺達が、如何に落ち着いて失点を抑えられるかだ。そうだろ? 「ぐぅ……で、でも、やっぱり緊張する……よな」 ……ああ。で、出来れば言わないでほしかった……。 うぅ、トイレ行ってくる。 「……ごめん」 さて、今頃後輩どもは緊張で吐きそうになってるだろうから、なんとしてでもこの後半戦でリードを広げたい。 けどまあ実際のところ、こうまでマークされてるとそれは厳しいだろうなぁ。 染谷先輩の進言で練習試合の類は組まないでおいて本当に良かった。 そんなことして俺の手の内がバレてたら本気でどうしようもなかっただろうしね。 ……正直、この俺が他校にマークされてるという状況に軽く興奮を覚えてたりするのは内緒だ。 だって俺だぜ、一年前の個人戦では見るも無残に飛ばされて終わった俺がだぜ? 嫌が応にも燃えてしまうところだけど、それでも気分を落ち着けて、頭を冷やして打ち回す。 それが俺の取り柄だからな。 177 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/29(火) 22 12 42.39 ID diSRvnVC0 そして後半戦が開始された。 「――ツモだ。2000・4000」 「――ロン。3900」 京太郎があっさりと二度和了り、早くも自分に親番を回すことに成功する。 しかし他の三校もただそれを見ているだけではない。意地でも連荘はさせまいと徹底的に京太郎をマークし、 役牌を鳴くことすら許さず、京太郎が手をこまねいている隙に篠ノ井西が自風のみの安手ながらツモ。 この先鋒戦を早々に流し、以降の一年生を潰すという策を隠そうともせず場を流しにかかってきた。 (させるかよ……これ以上差を広げられてたまるか!) (まさか次鋒以降の一年生も不可思議な力を持ってるってことはないでしょ……) (可哀相だけど、そっちを潰せば結果としてはこっちの勝ちだからな) 「ツモ。裏が……2。2000・4000」 しかし。 それでも普段の打ち筋を封じられて精神的にも揺れている状態では最善の打ち回しなど出来るはずもなく、 続く東4局は京太郎が圧倒的なスピードで和了り、雀頭に裏ドラが乗るラッキーもあり満貫。 「いいのか? そんな安手で場を流してたら……取り返しのつかない点差がつくかもしれないぜ?」 『――ッ』 勿論そんなことは有り得ない。 初出場の部の、インターミドルで活躍したわけでもない何の変哲もない一年生に、 一年、あるいは二年間練習を積んできた自分達の仲間が稼ぎ負けるはずがない。 しかし5人中3人が一年生でありながら昨年の女子団体戦で頂点に立った清澄のネームバリューと、 今実際に自分たちを圧倒している京太郎の存在が彼らの思考を鈍らせた。 (そうだ……こんなとこで逃げる麻雀を打ったことなんて一度もねえ!) (……篠ノ井西、挑発に乗りやがった。まーアレは清澄の対面だしまだマシか) (でも、実際そうだ……皆が先鋒を任せてくれたのに、既に6万点も稼がれてる。これじゃ皆に顔向けできない) (流すんじゃない……ここから一点でも差を詰める!) 178 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/29(火) 22 13 11.46 ID diSRvnVC0 「ロン! 7700!」 京太郎以外の三人も、とにかく自分がよりよい手で和了ろうとし始めた。 オカルトをかなぐり捨てて。早和了りで場を流すのではなく、今からでも京太郎に追いつこうという気概で。 「……ロン。8000」 集中状態の京太郎は和から教わった知識や技術の全てを最適化して打ち回しに適用することが出来る。ゆえに振り込むことはそうそうない。 そうすると三人が挑発に乗ったことは間違いであるように思われるが、実はそうとも言い切れない。 「ツモだ! 1300・2600!」 京太郎の集中状態はあくまで「自分の打ち回しの最適化」と「オカルト封じ」、この二つの効果しか持っていない。 今この場のようにオカルトを排して打ち合った場合、集中状態を続ける利点は振り込む確率の低下のみ。 「ツモ。2000・3900」 オカルトのように場の流れを決めてしまう何かがない以上、勝負を決するのはツモ運だ。 その天運に……京太郎は、あまり恵まれているとは言えない。 (けど……このまま早和了りで流されて終わるよりは――) 「……っし! ツモ。リーチ一発タンピンツモ赤2……3000・6000だ……!」 そう。大きな手を和了るチャンスは増える。 小さな手の積み重ねではあったが、最後に跳満を上がって京太郎は先鋒戦を終えた。 結果として京太郎の挑発は大成功。安心できる点差で後輩たちに繋いだ。 これで清澄の勝利は堅いだろう。いきなりの番狂わせが起きた。 ……少なくとも、会場にいてこの先鋒戦を見ていた者のほとんどが、そう思った。 191 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/30(水) 20 27 01.66 ID TJMwLTvN0 先鋒戦が終わって、四校の得点は以下のようになった。 篠ノ井西 66400点 北天神 78400点 清澄 175000点 寿台 80300点 一見清澄が圧倒的な優位に立ったかに見えるが、それは違う。 清澄はここから実戦経験の少ない一年生だけで戦い抜かなければならないのだ。 しかも――京太郎がこうして大量得点したことによって、他三校にきつくマークされた状態で。 長野の県大会では少ないながらも一回戦から観客が来る。勿論その客も京太郎の大活躍に注目した。 一年生たちも自分の実力を完全に出し切ることが出来ればまた結果は変わったかもしれない。 内からの重圧。相手からの重圧。外からの重圧。会場中に広がる異様な空気。 それらを相手に普段通りに打ち続けることは、彼らにはあまりにも荷が重すぎた。 その結果。 192 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/30(水) 20 27 30.65 ID TJMwLTvN0 「試合終了ーっ! この試合は特によく点数が動きましたね」 「三校での叩き合いになったが、篠ノ井西が上手く潜り抜けた。これは今後も期待できるかな」 ……まあ、しょうがないか。 とりあえず、後輩どもを慰めてやらねーとな。 よしお前ら、撤収だー。個人戦もあるんだからしょげてんじゃねーぞ。 「……すみません、須賀先輩……」 だー、もう。お前ら一年、俺二年。これで引退ってわけじゃねーんだから、な? お前らがここでどれだけ悔しがってもしゃーないの。ほれ撤収。 長野県大会男子団体予選。 最終的なスコアは以下のようになった。 篠ノ井西 110200点 北天神 108000点 清澄 74500点 寿台 107300点 清澄高校麻雀部男子、初の公式戦は――見るも無残な敗北で終わりを告げた。 193 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/30(水) 20 28 17.65 ID TJMwLTvN0 団体戦は一回戦負け……か。ま、仕方ないよな。 後輩どもには悪いけど最初っから勝てるとは思ってなかったし。 思ったより俺が稼げたぶん、思ったよりあいつらは緊張しちまってたらしい。 俺がもっと竹井先輩や染谷先輩みたいに、後輩にいい影響を与えられればよかったんだけどなぁ。 「残念でしたね、須賀君」 ん、和。そりゃ残念っちゃあ残念だけど……ま、後輩たちがこれで奮起してくれれば安いもんだろ。 去年は半日で大会終わりだった俺が言うのもなんだけど、こういう経験って大事だと思うし。 あとは個人戦だなー。それまでにちょっとくらい元気になっておいてほしいもんだ。 あいつらガチ凹みしてるから、このままだと個人戦もボロボロだぞ……。 「須賀君はどうですか? 自信のほどは」 俺は逆に、さっきの団体戦で自信ついたな。あれだけ稼げるとは思ってなかったよ。 でもデジタル打ちの強い奴に勝ったわけじゃないし、個人戦でも勝てるかというと、うーん。 なんか不安になってきたぞ。 「ふふ、そうですねー。じゃあ今まで頑張ってきた須賀君には、私がご褒美をあげましょう」 ほう。和らしからぬというかなんというか。 でもご褒美か、嬉しいなぁ。何してくれるの? 「須賀君が個人戦も頑張ったら、下の名前で呼んであげます」 オーケー、絶対勝ってくる。 205 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/31(木) 23 04 08.12 ID MUVoigJy0 和の名前呼びという餌に釣られて息巻いたはいいものの。翌日の個人戦。 団体戦であれだけ稼いでしまったおかげで、俺は完全にマークされてしまっていた。 おかげで目立つ活躍も出来ないまま個人戦は実にあっさりと終了。 それでも半年近くの練習の成果は出たと言えるのか、結果は総合六位。 ……ちなみに、女子より出場者数の多い男子個人の全国出場枠は五人。漫画かと疑うような見事な落ちっぷりである。 ちくしょう! せっかく和が名前で呼んでくれるところだったのに! 「犬、うるさいじぇ」 おぉう、優希か。どうだったよ、そっちは。 「あーもう、駄目駄目。今年も咲ちゃんは行けそうな感じだけど、私は多分いいとこ五、六位ってとこだじぇ」 ほー。そりゃまたご愁傷様で。 「団体戦も結局負けちゃうし……散々だじぇー」 あー、まぁ龍門渕の天江さんは仕方ねーわ。あんなもん、俺でも止められる気がしねえよ。 それに龍門渕は去年のメンバーが全員残ってるわけだしな。 「しかも今年は個人戦にまで天江衣が出てくるし! もう嫌になるじょ」 そりゃ確かに手がつけられねーな。 ……それより、どうだ? 染谷先輩の様子は。 「……今は、そっとしといてあげるほうがいいと思うじぇ」 そっか。ん、分かった。 206 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/31(木) 23 05 15.38 ID MUVoigJy0 ……そう、分かっとった。 わしには久のようなカリスマ性はないし、咲たちのような圧倒的な力もない。 じゃから、部長の座に就いた時から、わしの役目は咲たちにこの部をいい状態で引き継ぐことだと決めとったのに。 他ならぬ自分で、そう決めとったはずなのに。 ……なーんで、こんなに悔しいんかのう。 個人戦も、全力を出し切ってはみたが結果は出なかった。結局の、わしの器ではそんなところということじゃろうな。 団体戦にしたって優希は先鋒としての仕事を十二分に果たしてくれたし、和はしっかり相手を抑えてくれた。 一年生だって頑張ってくれた。咲でなければ、天江衣を相手にあそこまで競ることは出来んかったじゃろう。 それでも負けた。なら……しょうがないじゃないか。だから―― 「ごめんなさい染谷先輩……ぐすっ」 ――あー、人がセンチになっとるときくらい泣き止まんか! オーダーを決めたのはわしなんじゃ、お前さんが気にすることはなんもないんじゃから、な? 全くもう、一年生がこの調子じゃ咲たちも苦労するじゃろうなあ。 ……ま、頑張ってくれよな。場所くらいならいつでも貸しちゃるけえ。 207 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/31(木) 23 06 22.05 ID MUVoigJy0 結局、清澄高校は咲が個人戦で全国大会出場を決めたのみに終わった。 これによって実質の二代目部長である染谷先輩の引退が決まってしまう。 そして……新たな部長の座には、俺こと須賀京太郎が就くことになった。 ……いや、おかしくね? なんで女子部員のほうも俺が仕切ることになってんの? 「まあ、竹井先輩や染谷先輩と違って一年生は四人いるんですから、誰が部長だろうと変わりはないでしょうし」 「だったらいっそ黒一点の京ちゃんでいいかなと」 要するに面倒臭いポジションの押しつけですね、分かりました。 ちくしょうめ。 「ま、精々頑張るんだじぇ」 ……いまいちしまらないが、麻雀部員はみんな元気だ。 今のところその元気の八割くらいは空元気だけど、それでも。 みんな「来年こそ見てろ」と強がるだけの余力は残ってるみたいだ。 「頑張ってくださいね、京太郎君」 ……和っ!? 「結果は出ませんでしたけど。京太郎君が頑張ったのは私が一番知ってますから」 和マジ天使。 分かった、分かりました。不肖ながらこの須賀京太郎、部長職に就かせていただきますよ。 ……こら、咲と優希。そんな目で俺を見るんじゃない。 222 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/01(金) 20 14 06.05 ID UWx1vmuh0 ……で、今年も合同合宿、ですか。龍門渕、風越、鶴賀と。 はあ、まあ、いってらっしゃいとしか言えないんですけど。 女子の一年生はどうするんです? 合宿中は男子と一緒に俺が面倒見たほうがいいんでしょうか。 「いや、今回は京太郎。お前さんにも指名がかかっとるぞ」 ……はぁ!? 俺がっすか!? いやいやそれは駄目でしょう。こんなんでも俺一応男っすよ。 「相性的な問題で、お前さんくらいしか天江衣の特訓相手にはならんからのう。直々の指名じゃ、喜びんさい」 無理っすよ! 大勢の女子の中に放り込まれるうえ魔物の相手をしろってどんな拷問ですか! 「今年は、龍門渕と鶴賀も男子部員を連れてくるそうじゃぞ?」 ぐぅ。でもなんで俺が天江衣の相手なんか……。 「全国クラスの男子には天江衣を上回るような打ち手もおるじゃろうなあ」 うっ。 「天江衣との対局なんて望んでもそうそう体験できるもんじゃないじゃろうなあ」 ぐぬぬ。 分かった、分かりましたよ。 俺の力でどこまであの人の支配を抑えられるもんか分かりませんけど。 「一年も参加させる予定じゃから、あんまり格好悪いとこ見せるなよ?」 ……まあ、あのレベルの対局を間近で見るのは確かにあいつらにとってもプラスでしょうからね。 いいでしょう、分かりました。やれるだけやってみますよ。 223 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/01(金) 20 15 33.74 ID UWx1vmuh0 というわけで、断り切れずに結局来ちゃいました。合同合宿。 「きょうたろー、と言うそうだなっ」 「衣ともども、お相手よろしくお願いいたしますわ」 はい。女子はともかく、清澄の男子は未だ実績らしい実績もないですから、 強豪の胸を借りるつもりで全力でお相手させていただきますよ。 ――さ、始めますか。 勿論、しょっぱなから集中モード全開で行く。 でなければこの二人は決して抑えられないだろう。 俺の様子の変化に二人は一瞬だけ驚いたが、すぐににやりと笑った。 ……俺の全力など、彼女らにとっては一笑に付されるようなもの、ということかもしれない。 ま、いい。何度も言ってるけど、やれるだけやってみるさ。 後ろで見てる後輩どもに、あんまり情けない姿は見せられないしね。 俺から見て上家に天江さん、対面に龍門渕さん、下家には和が入って対局が始まった。 (……衣の支配が正しく機能しない。やはり、聞いていた通りのチカラを持っているようだな……きょうたろー!) (……はっ。なんか意識が飛んでたような……うぅ、調子が出ませんわ) (流石に消耗が早い。オカルト封じも長くは続きそうにねーな……) (……三人ともあまり手が進んでいないようですね。チャンスでしょうか) 東一局。いきなり一向聴地獄を発動させて支配を仕掛けてきた衣をどうにか京太郎が抑える。 更に魔物・衣、そしてライバルである和と同じ卓に入ったことによって透華が「冷え」そうになるがこれも同じく京太郎が阻止。 結果、最初に和了ったのは和だった。 (……こんだけドギツい思いして和了れねーのか。こりゃしんどいぞ) 続く東二局は、衣が跳満手を聴牌するも京太郎がそれを察して役牌のみの安手で場を流した。 既にこの時点で、京太郎は疲労困憊。どうやら集中状態による疲労度は相手のオカルトの強度に依存するらしい。 (あー……くそ、やってらんねぇ!) 東三局。遂に衣が地力を見せつけて満貫で和了。 その流れに乗るように東四局では透華が和了って東場が終了した。 224 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/01(金) 20 17 36.18 ID UWx1vmuh0 ……ぐっはぁ。 もう駄目……南場もあるとか考えたくない……。 「だ、大丈夫かきょうたろー?」 大丈夫じゃな……あ、はい大丈夫です、大丈夫ですから。そんな顔しないでください。 後ろの後輩ども、お前ら笑い堪えてんじゃねーぞ。人が死ぬ思いで打ってるんだからしっかり見とけよ。 さて南一局――行きますか。 と、自分を奮い立たせてなんとか集中モードを続けては見たけど、結果はさっぱり。 そもそも天江さんも龍門渕さんもオカルトに頼らない地力が十分あるわけで、そこに俺が入っても意味がねーだろっていうね。 「そんなことはないぞ! 支配を抜け出されるのではなく逆に支配されるというのは中々ない体験だった」 「ええ、全国に向けた練習としてはこれ以上ないと思いますわ」 あ、ありがとうございます。でもそんな褒めても何も出ないっすよ? ちょうど半荘終わったところだし、俺はハギヨシさんと飯や風呂の準備に行かせてもらおうかなーなんて……。 「え? もっかい打たないのか?」 ぐうっ。 「無理はなさらないでいただきたいですが、よろしければ是非もう半荘お願いしますわ」 ぐぐうっ。 これ絶対あと半荘じゃ終わらないやつ……あ、はい分かりました。やりますやります。 元々そのために来てるわけですし。体力がもつ限りはいくらでもお相手しますよ。 ……その後三時間以上に渡って、俺は天江さんの蹂躙をなんとか食い止め続けたのであった。 260 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/03(日) 18 34 03.70 ID LgSq6NXG0 非常に疲れた。マジで疲れた。ヤバいくらい疲れた。集中モード継続三時間は無理があった。 どれくらい疲れたかというと対局が終わって皆が温泉に行く中、俺だけトイレに行って吐いたくらい疲れた。 けれどこの合宿、悪い事ばかりではない。これだけ打てば龍門渕さんのほうにも義理は果たせただろう。 残りの数日は俺の実力の向上にいくらかの時間を割かせてもらっても罰は当たらないはずだ。 つまり。 井上さん! 麻雀教えてください! 「……え、オレ?」 「ほう。鳴きのノウハウ、ねえ」 はい。今のままじゃ、どうにも手堅いデジタル打ちに対して打つ手がなくて。 まさか俺もこんな機会が得られるとは思ってませんでした。是非俺に麻雀教えてください! 「んー。まぁ、男子ならオレ達と戦うわけじゃないしいいけどさ。あんまり分かり易くは教えられないと思うぜ?」 構いません! ってかむしろ聞いてすぐ分かるようなデジタル的な話なら、和にいくらでも聞けるんで。 そういう感覚的な話こそ俺が今求めてるものなんすよ。 「ハッキリ言うねー。うん、気に入ったぜ」 ! ありがとうございますっ! 蹂躙されると分かっていても来た甲斐がありましたよ! 「あー、衣や透華と打たされてたんだっけ。ご愁傷様」 261 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/03(日) 18 34 58.10 ID LgSq6NXG0 「いい流れなら基本鳴かない。悪い流れなら鳴く。ぶっちゃけオレが考えてるのはその程度なんだけど」 ……要するに、ツモが悪いとかそういうことですよね? 流れとか、まあ和に言わせりゃそんなオカルト有り得ませんなんだろうけど。 でも実際やたら牌が偏ることってありますもんね。 「んー。そりゃ自分のツモもそうだけど、明らかに相手が仕掛けてくるの分かることあるだろ。染め手とか」 あー、分かります。悪い流れイコール対戦相手にとってのいい流れとも言い換えられるわけだ。 「そうそう。お前んとこのタコス娘とか、そーゆーの完全に顔に出るから分かり易いだろ」 ほうほう。なんとなく分かってきた、ような。 自分に流れを呼び込む。自分の不ヅキを断ち切る。相手の流れを切り離す。 発想はオカルトめいているとはいえ、劣勢に対して精神的なリセットをかける意味合いもあるだろうし。 「流れに限らず、特定の牌をガンガン呼び込むタイプのオカルト打ちもいるからな。鳴きが役立つ場面ってのは案外多いんだぜ」 あー、呼び込まれるはずだった牌の行き先がズレるわけですか。 確か去年の全国で、咲の相手にそんな感じの能力を持った人がいたような気がする。 まぁ言いたいことは分かるような気もしますけど、なかなか実際やるのは難しそうですね。 やっぱ実戦こなすしかないかなぁ。 「そだなー。ま、オレの真似だけしてても仕方ねーぞ。オレのを基に、お前なりの鳴き方を見つけるんだな」 ういっす! それじゃ、迷惑ついでに一局打っていただけないでしょうか。 せっかくの機会なんで、魔物以外とも打ちたいんですよね。 「お、いいね。打とう打とう。一応ウチの強化合宿だし、残りの二人は国広君と智紀でいいだろ?」 ええ、全然問題ないですよ。三人ともオカルト打ちとはまた違うから、こっちの特訓にもなりますし。 こういうところじゃ相手には困らないし、普段と違って色々な相手と打てるからいいですねー。 「おう。泊りがけってのもテンション上がるしな」 へへ、気が合いますねー。 そいじゃ打ちますか! 手加減しませんよー。 「言うねー。マジで気に入ったぜ、こっちこそ手加減しないぞ!」 「純くん機嫌いいねー」 「……男同士気が合う……?」 「オレは男じゃねえっ」 龍門渕の皆さんの家族漫才的なものを楽しみつつも対局はしばらく続いた。 その後も相手を変えて時には風越の選手と、時には鶴賀の男子と卓を囲んだ。 結局個人戦でもいいところなくボコボコにされていたウチの後輩どもにとっては、いい経験になっただろう。 俺としてもすごく有意義で得るものは多かったし、龍門渕の皆さんにも満足してもらえたと思う。 262 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/03(日) 18 36 04.61 ID LgSq6NXG0 合宿が終わった後、個人戦で見事全国出場を決めた咲の応援に俺達も東京へ行くことになった。 俺の部長としての初仕事は皆の引率。まあ仕事というほどのものでもないし、個人戦の結果もあえて言う必要もないだろう。 強いて言うなら、今年も咲はえぐかった。 その後の部活動でも特に皆を仕切るとかそういうわけではなく(技術や知識の指導はもっぱら和に任せている)、 むしろ俺の基本的な仕事は学生議会との予算やら日程やらの摺り合わせなんかの事務だ。 あとは時折、 「京太郎さーん、打ちましょうよー」 「よー」 こんな感じで後輩(挑んでくるのは主に双子。だいたい、和に教わったあれこれを試してみたい時だ)を、 俺の練習がてら半荘ほど相手してやるくらいのことである。 で、なってみて初めて分かることだが部長になると自分が練習する時間は案外取れなくなるものだ。 改めて竹井先輩と染谷先輩の凄さを知った気分だが、俺はあの二人と違って要領も良くないし麻雀経験も足りない。 全く、同級生四人のうちなら俺が一番練習が必要なはずだってのに酷い扱いだぜ。 『いいじゃないですか。だからこうして未だに個人レッスンを続けてるんですし』 『そりゃそうだけどさ。どうよ、和から見て今の俺は』 『及第点って感じですね』 『おおう、手厳しいっ。井上さんに鳴き方も教わったし上達はしてると思うんだけどなー』 『ええ、一年前ならいざ知らず、今の京太郎君には凄く期待してますから。期待値の高さ込みで、及第点です』 ぐぬぅ。 なんかもう本当に和に手綱を握られてる感が凄いんだけど。 逆らえる気とか全然しないんだけど。 『では、また明日』 『ういっす。おやすみ、和』 『おやすみなさい』 ……何がヤバいって、それでもいいやとか思っちゃう俺の単純さが一番ヤバい。 286 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/05(火) 23 00 52.31 ID DSJi3H1a0 「冬合宿?」 そ。皆で小旅行を兼ねて、冬休みにさ。 俺にしてはなかなかの発案だと思うんだけど、どうかな。 「いいんじゃないかな。楽しそうだよ」 「雪景色の中でタコス食べるのも悪くなさそうだじぇ」 いや流石に今回行く予定の宿にタコスは売ってないはず……。 あ、俺が作れと。へーへー分かりましたよっと。 「まあ長期休暇中の練習というのは得てしてダレがちですし、それならいっそ合宿というのはアリだと思います」 「いい案だと思いますよ、須賀先輩」 だろ? まぁ金はかかるけど、部費がそれなりに残ってるからそんなに大きな出費にはならないだろうしな。 せっかくの冬休みだし、さっきも言ったけど皆で遊ぶのも兼ねてぱーっと行こうかと。 「おー、さっすが京太郎さん!」 「話が分かるー!」 お前らは合宿の間に三回は飛ばしてやるから覚悟しとけ。 「ひどい!」 ってなわけで、俺達はスキー場のあるそこそこの大きさの宿へと向かった。 基本的には運動部が夏の合宿で使ったりするような(長野は涼しいからね)人気の場所なのだが、 逆に言うと、同じ長期休暇でも冬ならわりと利用しやすいのだ。 自動卓を持ち込んで(勿論許可は取った)、ひたすら特打ち。 合宿テンションもあり、かなり密度の濃い練習が出来たと思う。思いたい。 一応必死こいて打ったし、有名どころの高校の牌譜研究やらも皆でやった。 少なくとも自分たちに出来るベストの練習をした、とは思うんだけど。 今になってブレインとしての竹井先輩と染谷先輩がいないのが辛いんだ、これ。 だって俺達の代、馬鹿ばっかりなんだもん。和は馬鹿ではないけどそういうのには向いてないし。 とにかく不安だらけではあったけれど、とりあえず初日の練習終了。 287 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/05(火) 23 02 16.73 ID DSJi3H1a0 練習が終わった後は皆で民宿らしい質素ながらも旨い飯に舌鼓を打ち、その後自由時間となる。 真面目な奴は持参したらしい麻雀教本を読んでいたり、そうでもない奴は鞄からお菓子を取り出していたり。 俺はそんな賑やかな部屋からベランダに出る。 少し肌寒いが、まあ後でゆっくり風呂に浸かれば大丈夫だろう。 「……もうすぐ、引退……なんだよな」 ぽつりと呟きが漏れた。 それは目を逸らしたくなるような事実。 俺のようなうだつの上がらない一選手が今後も麻雀に専念できるかと言われれば、そうじゃないだろう。 既に全国で名を上げている女子の皆はともかく、俺は高校で麻雀と別れることになる可能性が高い……と思う。 もとはといえば、和が目当てで始めた麻雀だったけれど。 「……やめたくねーなぁ」 「だったらいっそ、プロ雀士でも目指してみたらどうだじぇ?」 ついつい漏れてしまう独り言に返事をよこしたのは……優希、か。 ははは、そりゃまた魅力的な案だけどさ、流石に無理だろ。 「そうでもないと思うけどな。正直、京太郎の成長っぷりには皆驚いてるんだじぇ?」 そりゃどーも。 でもさ、女目当てに麻雀始めたようなチャラ男がここまでこれたんだ、もう満足すべきじゃないかな。 これ以上を望んだら流石にバチが当たるんじゃないかと思うぜ、俺は。 「……雑用ばっかりしてた犬が、ようやく掴んだチャンスなんだじぇ? 掴みきらなきゃそれこそバチが当たるじょ」 ……あー言えばこー言う。 ほんと勘弁してくれよ。俺だってちょっとセンチになることくらいあるんだ。 たまには思春期の男の子らしく月明かりに照らされながら厨二妄想したってバチは当たらねえだろ? 「そう言ってかっこつけて、自分の思いからも逃げるつもりなのか? だったら私はお前を許さないじょ、京太郎」 ……なんだよ、突然つっかかってきて。。 なんか格好いいことでも言いたくなったのか? 296 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/06(水) 19 55 30.08 ID e+OtwNrr0 「好きなんだろ、のどちゃんのこと」 297 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/06(水) 19 56 14.84 ID e+OtwNrr0 突き刺さる、優希の言葉。 それはまさに真実で、偽りようもない俺の想いそのもので。 だから。 ……だから、どうしろってんだよ。 せっかく雀士としての俺を見てくれてる和に、「あんたの生徒はあんたの身体目当てで近づいてたゲスいチャラ男でした」、 なんて暴露しろってのか? ふざけんなよ、やめてくれよ。俺が何をしたってんだよ、なあ。 自分で分かってんだよ、こんなの卑怯だってことくらい。 でも仕方ねえだろ? 好きになっちまったんだから。 何をしてでも一緒にいたいって思っちまったんだから。 それで俺がお前らに迷惑をかけたりしたかよ―― 「違うッ! そっちを責めてるんじゃないじょ!」 ――ッ。優希、五月蝿い五月蝿い……今は夜、ここベランダ。オーケー? 「……あぁもうっ、じれったいじょ! なんでそんな捻くれてるかなぁ!」 「好きなら好きってとっとと伝えちゃえばいいんだじょ! それを悪いことだなんて誰も言わないっ」 「つーか、京太郎がのどちゃんのことを好きなのなんて一年生の頃からバッレバレだったじょ!」 ぐぬぅ!? う、嘘だろおい……いや、それはこの際いい。だったらこれも分かってんだろ? 俺が和を目当てに部活決めて、和を目当てに今までこの部に居座ってきたようなクズだって―― 「ち・が・う! 話は最後まで聞かんか! だから京太郎はいつまで経っても犬のまんまなんだじぇっ」 「――京太郎がいつの間にか本気で麻雀に惚れ込んでることだって、私はとっくのとうにお見通しだじょっ!」 「麻雀も全力で好き、のどちゃんも全力で好き、それでいいだろ!? なんで両方諦めちゃうんだじょ!」 「今の京太郎は見てて苛々するじぇ。自分で自分を騙してるのが丸分かり、裸単騎みたいなもんだじょ!」 ……いや、その例えは別に上手くないけど。 「うー、今はそういうことを言ってるんじゃなくてだな……!」 あーもう分かってる分かってる、ありがとなわざわざ。 似合わない説教役までさせちまって悪かったよ。 ほんと、俺らしくなかったわな。 部長の重責に押し潰されでもしてたのかね? 「どうでもいーじょそんなの。いい加減告白しろ」 それが出来れば苦労しねーっての。 お前らが思ってる以上に俺はびびりだぞ。 「全くこれだから犬は――」 「どうしたんですか二人とも。やけに外が騒がしいと思ったら……」 和ァァァァッ!? い、いやなんでも……ちょっと話が盛り上がったというか、なあ優……逃げやがったあいつ! あの、ほら、その、なんだ、あははは……一緒に月見でもしない? 298 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/06(水) 19 57 14.93 ID e+OtwNrr0 ……はぁ。 早いもんだよな、気が付いたらもうすぐ三年生だ。 あと半年もしない内に引退するとか、考えたくもないよ。 「そうですね。一年生の時の全国優勝で一応認めてもらっていますが、未だ父は私が麻雀をするのを良く思っていませんし」 そっか。麻雀を続けられるかどうかわからないのは俺だけじゃないんだな。 勝手に和は麻雀を続けるもんだと思い込んでたけど。 「いえ、続けるつもりですよ。父が何と言おうが、プロになってしまえばこっちのものです」 おぉ。和にしてはというかなんというか、大胆な発言だな。 格好いいけど、それはそれでどうなんだって気もするぜ。 「いいんですよ。認めてくれないのなら、結果を出して認めさせるまでです」 ……かっけぇ。ホント格好いいよ、和。 俺には……とても、真似できない。 「京太郎君は、どうなんですか? 卒業後のこととか考えてます?」 まさについさっき優希とその辺のことについて話してたよ。 麻雀は続けたいけど、現実的には難しいだろうなぁ。 俺には咲や優希ほどの強さもなけりゃ、和ほどの賢さもない。 結局俺は、お前らに憧れてほいほいついてきてるだけの、ただの凡人に過ぎないんじゃないかな。 「……はぁ。ゆーきが怒るわけです」 「あなたがそうやって自分を卑下することは、あなたの先生である私を侮辱することに他ならないんですよ?」 「あなたを信じてついてくる後輩の皆や、あなたの努力を認めている私達を、あなたはそうやって切り捨てるんですか?」 ……え? 俺から見た皆と俺が考える俺の差を見つめて落ち込むことは幾度もあった。 けれど――皆から見た俺を、皆が考える俺を、一度でも考えたことがあっただろうか。 そんな俺のことを、一度でも考えてやったことがあっただろうか。 「京太郎君が今までずっと頑張ってきたのを、私は知っています。私が一番知っています」 「だって私は、京太郎君の先生なんですからっ」 慣れないことを言うからか少し顔を赤くながらも胸を張る和。 彼女の全てが俺を燃え上がらせる。 優希がくれた火種が、大きく燃え上がる。 「そんな頑張っている京太郎君のことが、皆大好きなんです」 「……だから、そうやって自分を悪く言うのだけは、やめてください」 ……ん、わかった。ごめんな、変なこと言っちまって。 優希に説教されたばっかりだってのに、格好悪い。 ははは、本当似合わないけどちょっと弱気になり過ぎてたのかね。 「ふふ、大丈夫ですよ京太郎君。あなたに勝るデジタル雀士はもはや全国レベルで見てもそうそういません。私が保証します」 ネト麻最強雀士のお前に言われると本当にそんな気がしてくるから怖いわな。 でも、まあ……うん。和がそう言ってくれるなら、俺はいくらでも頑張れるよ。 「……そう言ってくれると、嬉しいですね。先生冥利に尽きます」 そう言ってはにかむ和。……ああ、もう。いちいち可愛いんだよなぁ。 もういっそ、優希の言うとおりにここで玉砕してしまおうかという考えが頭をよぎる。 「……頑張りましょうね、最後のインターハイ」 「……おう」 けれど、どうしても――その一歩を踏み出すことは、出来なかった。 328 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/08(金) 19 49 13.05 ID UFmbGQTx0 合宿二日目。……さて。 軽く三ヶ月は取り組んでる課題なんだ、いい加減ここいらでモノにしたい。 場の流れを読み切り、自分の鳴きでそれをコントロールする。 さあ、気張るかっ。 「……チー、かな」 純さんレベルになると流れが完全に『見えて』いるらしい(ということは、俺の集中モードで防げるのかもしれない)けど、 そこまでの精度は求めていない。俺の十八番はあくまでデジタル打ち。それを補助するための流れ読みだ。 「……チ」 「ポンッ」 (ぐ、欲しいところだったのに……!) 場を読み切れ。場を見切れ。 相手の一挙手一投足を見逃すな。 そして得た情報を自分の手牌と照合しろ。 「……カンッ」 「リーチにカン!?」 (俺の当たり牌を暗槓かよ……!) そして――流れを断ち切れ! 「……ツモ。嶺上開花役牌ドラ1……2000・3900」 329 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/08(金) 19 50 01.84 ID UFmbGQTx0 「うっげー。宮永先輩みたいなことすんのやめてくださいよー」 ははは、ここまで上手くいくとは思ってなかったよ。 でもまあ方向性は掴めたかな。……なんとなくだけど。 流石に公式戦でリーチにカン仕掛ける度胸は俺にはねえって。 「じゃあなんで今回はしてくれやがったんですか、ちくしょー」 お前が分っかりやすい染め手で仕掛けてくるからだよバーカ。 国士の可能性が残ってたらしなかっただろうし、まさか当たり牌ピンポイントだとは思わなかったけどな。 「……まあ、考えがあっての行動ならよしとしましょう」 ああっ、和!? ごめん俺が悪かった! 流石に調子に乗り過ぎた! お願いだからそんな目で俺を見るのはやめてくれ! 確かにあそこはオリるべきところだったよ! 分かってはいたんだ、純さんに教わったことを試したかっただけなんだ! ……くそっ、ジト目の和も可愛いなんて言えやしないっ。 (……とか思ってるんだろな、京太郎さん) (須賀先輩って普通に分かり易いよな) (むしろ気付かない原村先輩が異常) くそっ、お前らもそんな目で俺を見るんじゃない! 今にもドンマイと言い出しそうなその顔をやめろ! ああもうくそっ、一応俺部長なんだぞ……。 「ま、京太郎はそういう扱いが似合ってるじょ」 「どんまい京ちゃん……」 ……まあ、酷い扱いを嘆いてる場合じゃない程度には大きな進歩だ。 鳴きによる攪乱戦法。亜空間殺法とか言うんだっけか? まだまだモノにしたとはとても言えないけれど、これで目途はたった。 「……まあ、そうですね。多少やりすぎのきらいはありますが、十分アリの範囲内でしょう」 そう言ってくれると嬉しいよ、和。 後は完全にマスターするために数をこなすだけだな。 「京太郎さん、基本的に数をこなすの好きっすね」 ……ま、どこの世界でもそれが基本だろ。 俺は凡人だから、適当こいて技を会得できるほど器用じゃねーのさ。 338 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/09(土) 20 16 52.93 ID rqOz9gbq0 その後も俺たちは練習を続けた。 後輩たちばかりを相手にしていても仕方ないということで咲に挑んでみたが、 チーをしようとしたらその牌をカン、更にカンもいっこカンからの嶺上開花である。 流石に腹が立ったので京ちゃんモードで毟ってやった。 「いや、おかしいでしょ京ちゃん! 練習の趣旨が変わってる!」 ごめん、つい。 続いて優希と。 リーチをかけてきたので一発消しを兼ねて一鳴き。 ……したはいいが、結局優希は次の手番でツモ。確認したら鳴かなくてもツモられてた。 腹が立ったので京ちゃんモードで毟ってやった。 「いやだからおかしいじょ! いい加減にするじぇ!」 ……ごめん、つい……。 「では、次は私が相手になりましょう」 まあ、よく考えたらデジタル対策に練習してる戦法なんだから和相手に試すのが普通だよな。 ……う、悪かったって。咲も優希もそんな目で俺を見るんじゃない! さぁて気を取り直していきますか。後輩二人はともかく和を相手に、どこまでやれるかね。 「サイコロ回しますよー」 339 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/09(土) 20 17 35.68 ID rqOz9gbq0 ……ま、配牌は悪くない。純さん理論で言えば、現状のところ流れは悪くねえ。 だがしかし、こりゃ駄目だ……見た感じ、和の配牌はもっといい。 純さんの指導のおかげか大まかな状況の良し悪し程度なら見て分かるようになった。 ま、それならそれで鳴いて流れを変えるのみ。 それが俺の、プラスアルファだ。 ……ポンッ! 「そんなとこ鳴きますかー」 おうよ……あ、それもポン。 今のところ喰いタンが本線、上手いことやれば三色同刻もってところかな。 全然悪くはないんだが……和が更に先を行ってるっぽい。 やっぱり和本人から鳴かないと和の流れは変えられないか……? 「リーチ」 ……っ、ポンッ! 「須賀先輩、それは流石に無理鳴きでしょ……?」 まぁな。 これで三色同刻は確定とはいえ雀頭候補がなくなった。 ただし……和から鳴くことには成功した。 ここからが純さん直伝亜空間殺法の本領だろ! 和のツモ番を引き継いでから一発目のツモで早々に雀頭を確保して聴牌。 更に俺のツモを引き継いだ後輩から……ロンッ! 「うげっ、ここかよっ!」 まぁ嵌張待ちの筋引っ掛けになってたからな。 諦めて支払いよろ。 「くそぅ、最近の京太郎さんなんか余裕ぶっててムカつくっ」 はっはっは、悔しかったら早いとこ俺に追いついてくれよ。 ちなみに俺に追いついたらその先には和と咲と優希がいるわけだがな。 「なんというクソゲー」 ははは、無理ゲーと言え。 ちなみに俺は今その無理ゲーに挑んでるところなんだけどどう思う? 「……早く続けません?」 ごめん和っ! 340 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/09(土) 20 18 03.15 ID rqOz9gbq0 ……さて、気を取り直して。何回取り直せば気が済むんだって話だが。 さっき無茶苦茶な鳴きで強引に和了ったせいか、今度は配牌が酷過ぎて話にならん。 八種十一牌とか確実に運の神様とかに喧嘩売られてるだろ。 「むぅ。リーチで」 あ、真面目君それポンな。 ちょっとずつでも流れを取り返していかないと、でかいのを和了られかねない。 ……あ、チー。 「お。ツモッ」 ……ふぅ、ナイス双子兄。上手い事真面目君のリーチは躱せたみたいだな。 あの程度の安手ならいくらでも取り返せるし……さて、頑張るかっ。 「……はぁ、流局ですね。聴牌です」 俺はノーテン。でもどうにかこうにかトップは死守してやったぜ。これはこれで物凄い神経使ったけど……。 まあ、やっとこさこれも俺の戦法として取り入れられるくらいにはなったんじゃないかな。 「いいんじゃないですか? さっきも言いましたがデジタルの観点で完全にアウトという手は打っていないですし」 「京太郎さんが鳴くと悉く手が止まるんすよねー」 いやまぁそういう鳴き方を教えてもらったわけだから、ちゃんと機能してくれなきゃ困るよ。 けど、これで俺の打ち筋はほぼ完成と言ってもいいかな。あとは精度を高めていくだけだ。 「やったね、京ちゃんっ」 「ま、褒めてやるじぇ」 ……うん、ありがとう。でも和の目が怖いからそこまでにしてくれ。 大丈夫だって和、俺だって流れとか眉唾ものだと思ってるから! な? 「怖い目なんてしてませんっ」 あ、はい……。 341 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/09(土) 20 18 58.90 ID rqOz9gbq0 そんなこんなで冬合宿は終了。 俺個人としてはこの上ない収穫があったが、後輩たちはどうだったのだろうか。 思い返してみると、俺や咲あたりに蹂躙されてばかりだったような気もする。 「宮永先輩はともかく須賀先輩相手なら十分練習になってますから大丈夫ですよ」 「むしろ宮永先輩と比べると京太郎さん(笑)って感じっすから大丈夫っすよ」 「今年こそは足手まといにはなりませんからねっ」 そうか。そういうことなら、気が早いけど団体戦のオーダーでも考えるかね。 あと双子は帰ったらまた飛ばす。 よし、じゃあ出るぞー。お前ら忘れ物とか大丈夫か? そいじゃ、出発ー。 ……はぁ、やっと着いたか。合宿は楽しいけど帰りがしんどいよなぁ。 母さん、ただいまー。 「おかえり。合宿はどうだったの?」 ま、上手くいったんじゃないかな? 俺としては大満足だよ。 これなら夏の大会にも期待できそうだ。 「はぁ。あんた最近麻雀麻雀って……もうすぐ受験なのよ?」 う、うん。 でも、まあ、授業はちゃんと受けてるし課題も出してるし、そっちに専念するのは引退してからでも遅くないだろ? 「いいんだけどね。とにかく後悔することがないようにしなさいよ」 わかってるって……はーぁ。言えねーよなぁ。 プロ雀士目指したいとか。 正直何言ってんだこのアホはって話だもんなぁ。 我ながらとても馬鹿なことを考えていると思う。 それでも、諦めたくないから。俺の努力でどうこう出来る範囲内にその位置があるなら……。 俺はいつまでも、和の近くで麻雀を打っていたいから。 |後編へ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1982.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1382240435 神様は最低だ 実況「決勝大将戦終了ー」 照「淡」ガッ 淡「テルー」ブルブル 照「つっ」キッ 私は本気でやったんだよ?何でそんな目をするの?これは偶然なんだよ? 和「穏乃大丈夫ですか?」ダキッ 穏乃「わ、わかんない」ガクガク 和「咲さん、いや宮永さん見損ないました」キッ ねえ何でそんなこと言うの?私は頑張っただけなのに 実況「決勝大将戦清澄が阿知賀、白糸台を0点にして終了ー」 そんな実況者の声が無慈悲に響いた 咲「また、あの夢か...」 咲「学校...行かなくちゃ」 咲「」ゴソゴソ バタン 咲「おはようー」 咲「今日も居ない、置手紙?」ペラ 「先に仕事行く」 咲「・・・」 咲「私も学校行かなくちゃ」 ガチャガチャ 咲「」ザッザッザ ネエアノコッテ シッコロサレワヨ 咲「」チラッ ハ、ハヤクイコウカ ウ、ウン タッタッタ 咲「」ザッザッザ 優希「な、なあのどちゃんあれって」 和「優希」ギロッ 優希「ご、ごめんだじぇ」 咲「」チラッ 優希「でも、こっち見てるじぇ?」 和「早く行きましょう」 優希「う、うん」 ザッザッザ 咲「学校行くの止めようかな?」ボソッ 京太郎「よお、咲ー」ポンポン 咲「...おはよう、京ちゃん」 京太郎「どうしたんだよ咲、暗いぞ?」 咲「うん、ごめん」 京太郎「いや謝る所じゃねえし」 咲「ごめん」 京太郎「いや...まあいいか、それより」 咲「何?」 京太郎「お前、学校サボんの?ならゲーセン行こうぜ」 咲「...京ちゃんは頭悪いんだし学校行った方がいいよ」 京太郎「言ったなこのやろー」グリグリ 咲「ちょっ痛い痛い」バシバシ 京太郎「まあ、確かにごもっともだけどな」 咲「ふー、やっと離してくれた」 京太郎「じゃあ、今度勉強教えてくれよ」 咲「え?でも私」 京太郎「そうやって誘いを断るのかー」 咲「べ、別に良いけど」 キーンコーンカーンコーン 京太郎「うわ、もうこんな時間、早く行こうぜ」ガシッ 咲「いや、わたし」 京太郎「遅刻すんぞー」ダダダダ 咲「話を聞いてよー」 京太郎「じゃあなー、約束忘れんなよ」 咲「う、うん」 咲(結局学校来ちゃった) ガラッ ウワキタッ ダマレコロサレルゾ シーン 咲「」 ガタッ 咲(帰りたい) 休み時間 咲(帰りたい)ツクエニウツブセ ガラッ 京太郎「おーい、咲ー分からないところあってよー」 エッアノミヤナガサンニヨウジ? ウソダロ 京太郎「ここなんだけどさ」 咲「ここわね、こうしてー」 京太郎「おー、できたありがとうな」 京太郎「そういや昼用事あるか?」 咲「別にないけど」 京太郎「じゃ、一緒に食おうぜ」 咲「いや、わたs」キーンコーンカーンコーン 京太郎「おっすまん話の続きは昼な、忘れんなよ?」 咲「ちょっとm」バタンッ 咲「」 体育の時間 先生「二人一組になれー」 ワイワイ ガヤガヤ 咲「すいません体の調子が悪いんですけど」 先生「うむ、行って来てよし」 咲「すいません」 保健室 咲「すいません、体の調子が悪くて」 保健室「少し寝て行く?」 咲「はい」 バサッ 咲(早退したいな) 京太郎「よー、咲お前もサボりか?」ボソボソ 咲「京ちゃん!?」 京太郎「しー、声がでかい」 咲「なんでここに?」ボソボソ 京太郎「いや、何で日本人が英語の勉強すんのかなーって」ボソボソ 咲「な、なるほど」ボソボソ 咲「でも、朝勉強した方がいいって言ったばっかだよね」 京太郎「ああ、でも嫌なもんは嫌なんだよ」 咲「それにしてもな」 京太郎「それより、このまま食堂いっちまおうぜ、今日弁当じゃないだろ?」 咲「いや、でも」 京太郎「先生にはお腹減ってただけでしたって言えばいいし」 咲「そんなの嫌だよっ!?」 キーンコーンカーンコーン 京太郎「おっ、終わったな行くか」 咲「ちょっと待って」 京太郎「ありがとうございました」ズルズル 咲「後で怒られるー」涙目 京太郎「おっ今日のレーディスランチ美味そうじゃん」 咲「また?」 京太郎「別に良いじゃんついでなんだし」 アレッテミヤナガサン? ヤメナヨコロサレルヨ? 咲「」 京太郎「...なあ咲、明日から一緒に屋上で食おうぜ」 咲「え?」 京太郎「もう食堂にも飽きて来たし弁当作って来てくれよ金は渡すからさ」 咲「別に良いけど...」 京太郎「よしっ決まりだな、今日は奢ってやるよ」 咲「別にいいよ」 京太郎「いいって明日から世話になるんだし」 咲「...うん分かった」 放課後 咲「」ゴソゴソ 咲(京ちゃんは部活だし早く帰ろう) 咲「」テクテク 京太郎「おっす、早く帰ろーぜ」 咲「え?部活は?」 京太郎「インターハイ終わったから買う物もないし今はマホムロコンビの育成中だからな」 咲「そうなんだ...」 京太郎「どっか寄って行こうぜー」 咲「どっかって?」 京太郎「ゲーセンとか」 咲「うるさいとことかはあんまり」 京太郎「ノリ悪いな」 咲「じゃあね」 京太郎「おう、弁当楽しみにしてるぜ」 咲「うん」 ガチャッ 咲(また、置手紙) 仕事の人と晩御飯食ってくるから俺のは要らない 咲「・・・」 咲「お弁当の準備しなくちゃ」 次の日 京太郎「このからあげまじうめーよ」モグモグ 咲「ありがとう」フフッ 京太郎「やっぱり咲に任せて正解だったな」 京太郎「そういえば、これとこれ」 咲「お金こんなに!?これは?」 京太郎「ああ、これから毎日咲ん家の弁当箱使わせるのもなんだしな」 咲「これからも作って来るの前提!?」 京太郎「金受け取ったんだからちゃんと作って来いよー、返品は不可だからな」 咲「詐欺じゃん」 京太郎「ふうー食った食った」ゲプッ 咲「京ちゃん行儀悪いよ、はいナプキン」 京太郎「サンキュー」フキフキ 京太郎「腹いっぱいになったら眠くなってきた」ファーー 咲「食べてすぐ寝ると牛になるよ?」 京太郎「迷信だって、んなもん」 京太郎「そういや咲週末暇か?」 咲「なんで?」 京太郎「面白そうな映画やってんだよ」 咲「一人で行って来れば?」 京太郎「このやろーひで―事言いやがって」グリグリ 咲「分かった分かったから話して」バタバタ 京太郎「よしっ決まりだな」パッ 咲「で、どこ集合?」 京太郎「家まで迎いに行くよ居留守は使うなよ?」 咲「わ、分かったよ」 京太郎「咲、お前適当に理由つけて行く気無かったろ」 咲「そ、そんな事無いよ?」メソラシ 京太郎「話すときはこっち見ような?」 週末 咲「で、来たけどこの映画」ジトー 京太郎「なんだよ」 麻雀戦隊ツモレンジャー 咲「これ子供向けアニメだよね?」 京太郎「マジで面白そうなんだよ」 咲「それにしても」 京太郎「いや、今そんなこと言ってるけど見終わった後ヤバかったー連発すと思うぞ?」 咲「無いよ、絶対」 京太郎「よし、んじゃ賭けだな負けた方は勝った方のいう事を聞くんだからな」 咲「いいよ、余裕余裕」 咲「ヤバかったー、マジヤバかったー」 京太郎「だろ?マジヤバかったろ?」 咲「ガチで面白すぎてヤバかったー」 京太郎「それで咲」 咲「...はい」 京太郎「賭けは俺の勝ちだよな」ニヤリ 咲「私が一番ヤバかった」 京太郎「俺からの命令は明日十時から図書館で勉強会だいいな」 咲「そんなんでいいの?」 京太郎「ヤバいのは俺の点数なんだよ」ハア 咲「が、頑張って」 次の日 咲「で、ここがー」 京太郎「ふんふむ」 咲「分かった?」 京太郎「全然」 咲「また?」 京太郎「別に良いだろ咲の復習でもあるんだよ」 咲「それでも五回はやり過ぎだよ」ハア 京太郎「腹減ったー」 咲「もっと集中してよ」 京太郎「今日は弁当じゃないのか?」 咲「今日休日だから作って来てないよ」 京太郎「それもそうか」 咲「それより、問題に集中してよ」 京太郎「この問題終わったら飯にしようぜ」 咲「分かったから」 京太郎「よし、やるぞー」 京太郎「うーん」 咲(すごい集中力)ゴクリ 京太郎「カレー...スパゲティ...いやいや」 咲「はぁ...もう、私までお腹減って来ちゃった」 昼飯 京太郎「やっと飯だー」 咲「そんな、叫ばなくても」 京太郎「ずっと頑張ってたんだぞこれが叫ばずにいつ叫ぶ」 京太郎「今でしょ?」 咲「うざいし、使い方ちょっと間違ってるよ」 京太郎「おれ、カレー」 咲「私ナポリタン」 京太郎「きまりな、すいませーん」 京太郎「そういえばさ」 咲「なに?」 京太郎「今度麻雀部がテレビに出るんだってさ」 咲「...へー」 京太郎「俺抜きでな」 咲「京ちゃん可哀想(棒)」 咲「これでいい?」 京太郎「もうちょい心込めてくれてもいいじゃん」グスン 京太郎「さてと、そろそろ行くか」 咲「そうだね」 京太郎「よーし、遊ぶぞ」 咲「だーめ、全然勉強進んでないじゃん」 京太郎「くそっこんな約束するんじゃなかったぜ」 咲「はいはい、京ちゃんの為なんだからねー」 京太郎「ちくしょー」 京太郎「そういえばさー、バイトしようかなって思ってるんだよね」 咲「どうして?部活だけで大変じゃないの?」 京太郎「いや、優勝して結構入部希望が増えてさ弱いしここらで辞めどきかなって」 咲「...ごめんね、京ちゃん」 京太郎「なんだよ、咲は悪くないぞ、むしろ俺は散々こき使ってくれた部長に嫌味の一つでも言ってやりたいぜ」 咲「そう言うの京ちゃんは言えないような人だよね」 京太郎「う、うるせー」 咲「それで、なんで私に言ったの?」 京太郎「いや、咲も一緒にバイトしてくんねーかなって」 咲「はぁっ!?」 咲「無理無理無理、絶対無理」 京太郎「別に良いだろ?咲も暇だろ」 咲「だってバイトとかしたことないし」 京太郎「染谷先輩の所でしてたろ」 咲「それは、知り合いだったから」 京太郎「大丈夫だ、次も知り合いだから」 咲「?」 咲「ここって」 京太郎「そう、龍門渕だ」 咲「わ、わたし大丈夫かな?」 京太郎「大丈夫だってハギヨシさんの紹介なんだし」 ハギヨシ「お待ちしておりました、宮永さま、京太郎君」 京太郎「はい、こんにちは」 咲「こ、こ、こんにちひゃ」 咲(か、噛んじゃった) ハギヨシ「それでは、説明に行かせてもらいます」 咲(す、スルー!?) 京太郎(まあ、ハギヨシさんだからな) ハギヨシ「以上です何か不明な点があったら」 咲「大丈夫です」 京太郎「それじゃあ、俺は一足先に透華お嬢様に挨拶してきますね」 ヒュンッ 咲(消えた?) ハギヨシ「それじゃあ、宮永さまは別館を」 咲「は、はい」 ハギヨシ「それではごゆっくり」 咲「え?」 衣「ご苦労」 咲「衣ちゃん?」 衣「ちゃんではなく」 咲「えーと、その」 衣「緊張しなくてもよい腰を掛けろ」 咲「は、はい」 咲「衣ちゃんは、その」 衣「分かってる大丈夫だ」 衣「咲があんなことをするわけがないから」 咲「うん、ありがとう」 衣「どうせ、学校で迫害でもされてたのだろう」 咲「う...うん」 衣「ふん、最低だな清澄の連中はかつての仲間をも疑うとわな」 咲「そんなこと」 衣「違うか?」 咲「ちがく...無い」 衣「まあ、気持ちも分からなくは無いがな」 衣「自分がどうあがいても勝てない者に対する恐怖は底知れない」 衣「それが仲間だとしても」 衣「いや、後ろを守らせるという点では仲間の方が恐怖は凄いかもしれない」 咲「うん、仕方ない事だよね」 衣「そう言ってるのではない咲、いくら気味が悪くても正体が不明でも信じられるのが仲間なのだ」 衣「少なからず咲、お前も仲間だと思ってたならそう信じていたんだろ?」 咲「うん」 衣「そんなものに裏切られたんだショックだったろうに」 咲「うん」ジワッ 衣「よく頑張ったな」 咲「ヒック...ヒック...うん」ポロポロ 衣「どうだ、泣き止んだか?」 咲「うん...もう大丈夫」グスンッ 衣「そろそろ本題に入ろうか」 咲「本題?」 衣「ああ、これを見てくれ」パサッ 咲「何...これ」 衣「今、プロアマ合わせ最強の者を合わせそれこそ最強のチームを作ろうとしているらしい」 咲「何でそんな資料が衣ちゃんの所に?」 衣「無論、呼ばれてるのだそのチームに」 咲「...す..すごいね」 衣「まあ、衣には龍門渕の仲間がいるからな行くわけにはいかないのだが」 咲「うん」 衣「衣は、そこに咲お前を紹介しようと思ってる」 咲「えっそんな私」アタフタ 衣「謙遜するな、咲は衣にも勝った実力者だ確実にメンバーに選ばれる」 咲「でも、私は」 衣「この衣が言ってるのだ間違いない」 咲「うん、そうかな」 衣「間違いない」 衣「で、どうだ?行く気にはなったか?」 咲「うん、私やってみる」 衣「決まりだな、咲っ」 咲「は、はいっ」 衣「いくなら、てっぺんをとって来い、そしてお前を見限った奴らに思い知らせてやれ」 衣「自分達はどれだけ惜しい事をしたかを宮永咲とはどれだけ素晴らしい麻雀打ちだったかを」 咲「うん、分かった」 衣「経費はこっちに任せておけ」 咲「そんな悪いよ」 衣「その分面白い土産話を待ち望んでいるぞ」 咲「うん...何から何までありがとう」 衣「よしっそれでは「待って」 衣「何だ?」 咲「最後にお願いがあるの」 衣「...本当に良いのか?」 咲「うん、ごめんね最後まで迷惑かけちゃって」 衣「別によい、それよりも本当に知らせなくてもよいのか?」 咲「ううん京ちゃんはこの事言ったら絶対付いてきちゃうから」 衣「......多分須賀はもっと頼って欲しいのだと思うぞ」 咲「今までずっと頼りっぱなしだったから」 衣「そうか...分かった」 衣「ハギヨシっ」 ハギヨシ「はっ」シュバッ 衣「二人の給料は多めにしておいてやれ」 ハギヨシ「了解っ」シュバッ 咲「そんな悪いよ」 衣「なに前祝いだ、何より」 衣「須賀との最後の思い出だ存分に遊べ」 咲「...うんありがとう」 衣「手続きはこっちでやっておく、四日後の夜また衣の屋敷まで来い」 咲「私頑張るからね」 衣「咲...」 衣「後悔はするなよ?」 咲「うん、大丈夫だよ」 京太郎「どうだった?」 咲「衣ちゃんと喋ってたからあんまり」アハハ 京太郎「天江さんはやっぱり、良い人だったか」 咲「うん、救われちゃった」 京太郎「そうか、よしっ給料も出たし何か食ってくか」 咲「うんっ」 咲「ね、ねえ京ちゃん」 京太郎「なんだ?」 咲「明日よかったら、その」 京太郎「明日?」 咲「学校サボってゲームセンターでもどうかなって」 京太郎「...ゲーセン」 咲「だめかな?」ショボーン 京太郎「いや、おすすめのやつ教えてやるよ」 咲「あ、ありがとう」パアアア 京太郎「でも、本当にゲーセンでいいのか?もっと他に」 咲「うん、大丈夫」 京太郎「...よしっそれじゃあ明後日はプール行こうぜ」 咲「え?明後日も?」 京太郎「まさか自分の提案だけ押し付けて俺の誘いは無理と?」 咲「全然大丈夫だよ」 京太郎「他にもどっか行きたいなー」 咲「うん、でも遊びに行った時に決めればいいよ」 京太郎「それもそうだなよしっ」 京太郎「遊びつくすぞー」 咲「おー」 一日目 京太郎「ホッケーやろうぜホッケー」 咲「いいよ、負けた方おごりね」 京太郎「随分と強気だな」チャリン 京太郎「必殺最強スマッシュー」 咲「きゃっ」 壁に跳ね返り京太郎の陣地の口に入る 京太郎「チクショー」 咲「あはははは」 咲「プリクラ撮ろうよプリクラ」 京太郎「いいぜー、可愛いポーズで撮れよ」 咲「い、いきなり!?」 京太郎「おっ来た来た」 咲「ちょっ待って」 3 2 1 咲「グキッ」 京太郎「何かすまん」 咲「フォローしないで余計に悲しくなるから」 咲「クレーンゲーム、メダルゲーム、麻雀のゲームまである」 京太郎「来てみたら案外乗り気だな」 ワイワイ ガヤガヤ 一日目終了 二日目 咲「京ちゃんウォータースライダーだよ」 京太郎「あんまりはしゃぐなよ危ないぞ」 咲「大丈夫だって」ツルッ 咲「あれっ」 京太郎「咲っ」ガシッ バシャンッ 咲「ゴボゴボ」 京太郎(やべえ、テンパっておぼれてる) 京太郎(おぼれ...って) 京太郎「ここ足付くじゃねーか」 咲「あ、ほんとだ」 咲「ご飯食べよっか」 京太郎「おう、こういうとこで食う焼きそばってなんで美味いんだろうな」モグモグ 咲「えっ」 咲(ここ、もちこみokだったから作って来たのに)ショボーン 京太郎「な、なんか腹減ったから焼きそばだけじゃ物足りないなー(察し)」 咲「そ、そう?それなら」 京太郎(く、食うしかないだろ俺)ゲップ 咲「待て待てー」 京太郎「く、食ったばっかで鬼ごっこは辛い」 咲「気にしないよーだ」 京太郎「また鬼かよー」 二日目終了 三日目 京太郎「ちぇー今日は勉強かよっ」 咲「京ちゃんは苦手は少ないけど出来ないとこは本当に出来ないからね」 京太郎「なあ、咲」 咲「何?」 京太郎「勉強するぐらいなら学校行った方が良いんじゃね?」 咲「」 京太郎「な、なんかすまんよしっ勉強するかー」 咲「よしっ頑張ろー」 京太郎・咲「えいえいおー」 京太郎「咲も勉強か?」 咲「うん、今までの勉強をまとめてるの」 京太郎「ただでさえ頭いいのになー」 咲「うん...」 京太郎「」カリカ...リカリ 咲「」カリカリカリ 咲「...ねえ、京ちゃん」 京太郎「どうした?」 咲「晩御飯うちで食べて行かない?」 京太郎「いいのか?」 咲「うん、全然」 京太郎「わかった行く」 咲「了解」 咲「」カリカリカリ 京太郎「」カリカリカリ 咲「ただいまー」 京太郎「おじゃましまーす」 咲「まあ、誰も居ないんだけどね」 京太郎「...今日...だけか?」 咲「ううんずっと」 京太郎「...そうか」 咲「よしっ美味しいもの作るから」 京太郎「ばっちこーい」グー 咲「覚悟しといてよね」 京太郎「おう」 咲「ど、どうかな?」 京太郎「う、う」 咲「う?」 京太郎「うまーーーーーーい」 咲「よかったー」フウ 京太郎「やっぱり咲の料理は最高だな」 咲「そ...そうかな///」テレテレ 京太郎「明日からの弁当も楽しみにしてるぜ」 咲「そ、その事なんだけど」 京太郎「?」 咲「こ...こ」 京太郎「こ?」 咲「いや.....明日はお弁当無理そうだなって」 京太郎「どうしてだ?」 咲「今回で冷蔵庫の中使い切っちゃった」アハハ 京太郎「そうか、もう外も暗いしな」 京太郎「それじゃあ明日は久々に食堂で帰ったら一緒に買い物いこーぜ」 咲「...うん」 咲(ごめんね京ちゃん) 京太郎「じゃあなー」 咲「ばいばーい」 咲「・・・」 prrrrr 咲「はい」 衣『咲か?」 咲「そうだよ?」 衣『明日の正午に迎えを送るその車に荷物を入れてくれ先にあっちに届けてくれる』 衣『それに面倒ならそのまま一度こっちに寄らせるが』 咲「うん、そうしてもらっていいかな?」 衣『そうか、咲本当にいいのか?』 咲「うん、さよなら言うと悲しくなっちゃうもん」 衣『そうか、それでは失礼する』 プツッ 次の日 京太郎「咲、来ないな」 ガヤガヤ キーンコーンカーンコーン 京太郎「仕方ない学校に行ってから電話するか」 京太郎「咲...来ねえな」 優希「...よぉ京太郎」 京太郎「...優希か」 優希「なんだじぇその言い方ご主人様に向かって」 京太郎「俺はもう野良になったはずだが」 優希「それも、そうか」 京太郎「で、何の用事だ?」 優希「...咲ちゃんが学校を辞めた」 京太郎「は?」 京太郎「嘘つくなよ、何だその冗談すぐばれるぞ」 優希「京太郎っ」 京太郎「」ビクッ 優希「う、嘘なんかじゃないじぇ」フルフル 京太郎「何で、何で」 優希「たぶん、いや絶対私達のせいだじぇ」 京太郎「ふ、ふざけんな」 優希「ご、ごめん」シュンッ 京太郎「す、すまん」 優希「それで、どうするんだじぇ」 京太郎「何が...」 優希「京太郎は、どうするんだじぇ」 京太郎「おれは...」 京太郎「おれは咲を追うよ」 優希「そうか...戻って来てくれる気はないんだな」 京太郎「ああ、じゃあな」 優希「...今まですまなかったな」 京太郎「いう奴ちげーだろ」 優希「いや、だって京太郎は」 優希「・・・」 優希「いや、咲ちゃんにも言っておいてくれ」 京太郎「ああ」 優希「じゃあな馬鹿」 京太郎「うっせ、じゃあな」 タッタッタ 優希(気を引く為にわがまま言って) (恋敵が居なくなって嬉しがって) (それに罪悪感感じて) (気付いたら、持っていかれてて) 優希「ああ」 優希「馬鹿は私か」 タッタッタ 京太郎(くそっ何がどうなってんだ) 京太郎(誰か事情を知ってそうな人は) 京太郎(そうだ、天江さん) prrrr 衣『もしもし』 京太郎「天江さん」 衣『須賀か』 京太郎「咲が学校を」 衣『分かってる、咲が学校辞めたのだろう』 京太郎「何でそれを」 衣『話は咲から聞けばいい』 京太郎「いや、説明を」 衣『それより、須賀』 京太郎「な、なんですか?」 衣『お前は咲が一番いい道を進み一人になってしまったらどうする?」 京太郎「追いかけます、それが俺にとってどんなに辛い道だろうと」 京太郎「アイツを一人にはさせません」 衣『ふっ良い心がけだ、進める足を止めるなよ』 プツッ 京太郎「いいから理由を聞かせてくれよ」 タッタッタ 咲の家 咲「ふう、これぐらいかな?」 咲「あとは迎えを待つだけ」 ダダダダ 咲「来たかな?」チラッ 京太郎「うおおおお咲いいいい」ダダダダ 咲「こわっ」ビクッ 京太郎「第一声がそれかよ」ハアハアハア 咲「ご、ごめん」 京太郎「それで、何で学校辞めてんだよ」 咲「ごめん、それとさy「まったく」 京太郎「最初に言っとけよ、何かするって言うなら」 咲「うん、ごめんねそれとさy「で」 京太郎「何があったんだよ」 咲「それも言わなくちゃいけないけどまずはさよn「天江さんも知って」 咲「さよならって言わせてよ」 京太郎「誰が言わせるかよバーカ」 京太郎「ぜってー言わせねえ」 咲「...京ちゃんってさ優しいよね」 咲「何で?京ちゃんが誘っちゃたから?」 京太郎「さあ?」 咲「さあ?って」 京太郎「それを言うなら中学の時もそうだったろ」 咲「そう言えばそうだったね」」 京太郎「それで人には質問しといて自分は答えねえのはいけないよな?」 咲「そう、だね」 咲「って言うわけなんだ」 京太郎「・・・」 咲「いままでありがとうね本当にさよn「なあ」 京太郎「俺もついていっていいか?」 咲「もーっ、てはい?」 京太郎「だからさ、さよなら何て言わせるかよバーカ」 咲「だめだよ」 京太郎「そうかやっぱりまずいよな」 咲「うんだからさy「仕方ない一人暮らしで」 咲「だーかーらー」 咲「まず京ちゃんの両親が心配しちゃうよ」 京太郎「もしもし...うん分かった」 京太郎「大丈夫だってさ」 咲「学校もあるし」 京太郎「大丈夫もう説得した」 咲「そ、それに迷惑が「掛かりませんよ」 咲「はい?」 ハギヨシ「衣様がこれを見越してあっちの方で仕事を手配していただいていた用なのですので」 京太郎「だって」 咲「え、えっと」 京太郎「なあ、咲」 咲「何?」 京太郎「好きだ」 咲「...それここで言う?」 京太郎「ああ、我ながら酷いタイミングだと思う、でも理由はこれで良いだろ?」 咲「あはは、まったくひどいタイミングだよ、ねえ京ちゃん」 京太郎「なんだよ」 咲「私も好きだよ」 京太郎「人の事言えねえじゃん」 咲「だからさ」 京太郎「なんだよ、さよならは言わせないからな?」 咲「だから、付いて来て?」 京太郎「・・・」 咲「一人は嫌だから、帰る場所が欲しいから」 京太郎「ああ、喜んで」 ハギヨシ「それでは荷物を持って車に」 咲「はいっ」 京太郎「すいません俺は自分家に寄って来るんで」 ハギヨシ「はい、それでは」 京太郎「はい」 衣「やっぱり須賀もついて行くのか」 咲「いやー」 京太郎「すいません」 衣「まあ、予想はついていたからな」 衣「須賀」 京太郎「はい、何ですか?」 衣「絶対咲を一人にするなよ」 京太郎「はいっ」 衣「それと咲」 咲「はいっ」 衣「お前は一人じゃない、それを忘れんな」 咲「はいっ」 ハギヨシ「それでは時間です」 咲「ありがとうございました」ペコッ 京太郎「ホントにありはとうございました」ペコッ 衣「ああ、じゃあな」 衣「...幸せになれよ」 咲・京太郎「はいっ」 ガシャンッ プシューッ 衣「行ってしまったな」 ハギヨシ「はい」 衣「帰るか」 ハギヨシ「それでは、どうぞ」ガチャッ 衣「ご苦労」 ガタンガタン 京太郎「なあ、咲」 咲「何?京ちゃん」 京太郎「俺は絶対離さないからな」ギュッ 咲「うん、京ちゃんは絶対離さないでね」ギュッ 数年後 照「原村、お前もか」 和「はい、私もです」 照「そうか仲間がいると心強いな」 和「はい、いっしょに謝りましょう」 照「許してくれないかもしれないがな」 和「でも、私たちは謝らなくちゃいけないんです」 照「ああ、分かってる」 宮永照プロ 原村和プロも入場ー チャンピョンにとっては姉と元チームメイト二人が相手の因縁の対決だー 試合終了ー 咲「ありがとうございました」ペッコリン 和「あ、あの」 照「咲」 咲「ごめんなさい、寄り道はするなって言われてるので」タッタッタ 和「咲さん...」 照「咲...」 咲「はあ...はあ」タッタッタ 咲「京ちゃーん」ピョーン 京太郎「おっとあぶねっ」ガシッ 咲「ただいまー」ギュー 京太郎「ああ...」 京太郎「おかえり」ニコッ 咲「うん」 カンッ