約 969,169 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6138.html
出会い 桃子「はぁ・・・・」 東横桃子は子供の頃から影が薄く人の気付かれる事が多くなかった。 勿論、両親もたまに桃子の姿を見失ってしまう事も少なくなく、桃子を完全に認識できる誰もいなかった。 ただ、一人の少年に出会うまでは…。 少年「お~い」 ふと、遠くでこちらに向かって声をかける少年がいた。 桃子は『どうせ私の後ろにいる友達に声をかけてるっす』と自虐的に心の中でそう思ってると 少年「お前に声かけてるんだけど・・・?」 桃子は声のする方を見ると目の前には金髪の少年がすぐ近くにいた。 影が薄く人に気付かれにくい桃子は何度も人とぶつかるような距離になることは多く、その全てにおいてぶつからない様に避けていた彼女にとって『気付かれている相手』と『ぶつかりそうな距離』になるなんて初めての体験だった。 桃子「あ・・・あの・・・私のこと見えるっすか?」 桃子は恐る恐る金髪の少年に聞いてみた。 少年「何を言ってるかわかんないけど・・・・・一人なら一緒に遊ぼうぜ」 少年はそう言いながら桃子に手を伸ばした。 人に無視され続けた少女にはその手は少年の髪の毛と相まってとても眩しく見えた。 少年「俺、須賀京太郎。お前は?」 桃子「・・・わ、私は東横桃子っす!」 それが桃子と彼との出会いであった。 小学生の頃 桃子「京太郎くん。話があるっす」 京太郎「んー?」 桃子「今私たちのクラスでは仲のいい友達とあだ名で呼び合うってのが流行ってるらしいっす」 京太郎「あーそういやそんなこと俺のクラスでもあったようななかったような・・・」 京太郎「でもまぁ気にすることないんじゃねー?」 京太郎「桃子は桃子だろ?」 桃子「そりゃそうっすけど・・・」ウワメヅカイ 桃子「私、もっと京太郎くんと仲良しになりたいっす」 京太郎「よ、呼びたかったら勝手に呼べばいいだろ・・・」マッカ 桃子「やったっす! じゃあじゃあ」ピョンピョン 桃子「京太郎くんのことを今日から京さんって呼ぶっす!」 桃子「これでまた仲良しの階段を上ったっすよ!」 桃子「あ、私ばっか喜んでる場合じゃないっすよね」エヘ 京太郎「あんなにはしゃいでたのにクラスの誰一人も気付かないって・・・」 桃子「昔はこの体質が嫌だったっすけど、今は京さんがいるからへっちゃらっす」ニヤニヤ 京太郎「何度も友達作れって言ったのに今だに俺だけとか・・・」メソラシ 桃子「そんなことどうでもいいことっすよ!」 桃子「今は京さんが私にあだ名をつけることが重要っす!」エッヘン 京太郎「んーそうだなぁ・・桃子だから・・・」 桃子「・・・・・」ワクワク 京太郎「じゃあ今日から桃子のことモモって呼ぶことにする」 桃子「おーなんかあだ名で呼ばれるとムズムズするっすね」 京太郎「モモも俺のこと京さん・・・だっけ? そう呼ぶみたいだしさ」 桃子「これで私たちもあだ名で呼び合う仲っすね!」テヲサシダシ 京太郎「そうだな。これからも仲良くしようぜ」テヲニギリ 桃子「もちろんっす。ずっと仲良しっすよ」ギュウ 桃子(どうか末永くこの時間が続きますように・・・♪) 小学中学年 京太郎「そういや来週から林間学校なんだけどさ」 桃子「勿論、京さんと班が一緒っすよ」 京太郎「先生が気を利かせて一緒の班にしたんだろ」 桃子「えへへーちょっと嬉しい気遣いっすね」テレテレ 京太郎「準備した?」 桃子「もちろんっす」エッヘン 桃子「トランプにUNOにジェンガに花札にオセロに」 京太郎「ちょっと待て」 桃子「え、まだたくさんあるっすよ?」 京太郎「それ全部やるつもり?」 桃子「もちろんっす!」 京太郎「トランプだけにしようぜ」 桃子「えーもっと京さんと色々遊びたいっすよー」 京太郎「いいから」 桃子「京さんが言うなら・・・」シブシブ 当日 バス内 京太郎「すぅ・・・すぅ・・・」 桃子「んぅ・・・きょーさん・・・」 先生「あらあら、移動で疲れて寄り添って寝てるのね」 桃子「・・・えへへ」 小学校中学年 フォークダンス 京太郎「おい」 桃子「どうしたっすか?」 京太郎「なんで俺がフォークダンス踊れないんだよっ?!」 京太郎「なんでモモと一緒に皆でフォークダンス踊ってるの見てないといけないんだよ?!」 桃子「練習でもそうだったっすけど、フォークダンス踊っても誰も私の手を握れないからっすね」キッパリ ※先生が気を利かせて二人を見学にさせたようです。 京太郎「でもさ、そんなことねーよ」テヲニギリ 京太郎「ほらな」 京太郎「モモの手、握れるじゃん」 桃子「京さん・・・//」ポッ 京太郎「ここで皆のフォークダンスを見てるのなんか悔しいからさ」 桃子「そうっすね・・・。そうっすね!」 京太郎「俺たちも踊ろうぜ」 桃子「私の踊りに付いてこれるっすか?」 京太郎「あったりまえだ。ずっとモモと練習してきたんだからな」 先生「あの二人、なんだか楽しそうでよかったわ」 小学高学年 修学旅行 桃子「今日は待ちに待った修学旅行っすね!」 京太郎「ああ、そうだな」 桃子「まさか同じ班になれるとは思ってなかったっす」 京太郎「ああ、そうだな」 桃子「京さん、私の話聞いてるっすか?」 京太郎「ああ、そうだな」 桃子「同じ班の人が「須賀くんしか東横ちゃんとお似合い人いないと思うから」って言ってくれて」テレテレ 桃子「これで二人きりっすね」 京太郎「ああ、そうだな」 桃子(むむむー) 桃子「えいっ」ギュ 京太郎「くぁwせdrftgyふじこ」ビクッ 桃子「えへへー今日は思う存分楽しむっすよー」 京太郎「わかったわかったから抱きつくなって///」 桃子「はーい」ニコニコ 京太郎「ったく・・・向こうの水族館にみんな行くみたいだからそっち行くぞ?」 桃子「了解っす」 京太郎「ほれ」テヲダシ 桃子「はいっす」テヲニギリ 京太郎「迷子にならねーよーに離すんじゃねーぞ」 桃子「死んでも離さないっす!」 京太郎「縁起でもないこと言うんじゃねーよ」 桃子(京さんはいつも私の手を引いてくれるっす) 桃子(だから絶対何があってもこの手だけは離さないっすよ) 京太郎「ほら、皆待ってるぞ」スタスタ 桃子「京さん、ちょっと速いっすー」トテトテ 中学1年(春) 京太郎「・・・モモ」 桃子「グスッ・・・なんっすか京さん」 京太郎「そんなに泣くなって」 桃子「だって今日で京さんが・・・遠くに行っちゃうっす」グスグス 桃子「だからもう遊べなくなるって思ったらすっごく悲しくなって」 桃子「それにっそれにっ」 京太郎「携帯番号もメールアドレスも知ってるんだから心配すんなって」 桃子「毎日してくれるっすか?」 京太郎「おう、毎日してやる」 桃子「ん・・・うん・・・それなら我慢するっす」 京太郎「また会えるし長い休みになったら会いにくるから」 桃子「絶対・・・絶対っすよ?」 京太郎「おう! 男に二言はないぜ」ナデナデ 桃子「あぅ・・・わかったっす」 桃子「京さんに逢えるの楽しみに待ってるっす」 京太郎「いっぱい遊ぼうな」ナデナデ 桃子「はいっ!」 須賀母「ちなみに引っ越し先は県内だからすぐに遊びに来れるわよー」 京・桃「 」 ※ちなみに咲ちゃんに京太郎が出会うまで毎週のごとく二人で遊んでいたようですがまたそれは別のお話です ステルス少女とチョコレート 桃子「京さん。バレンタインチョコあげるっすよ」ワタシ 京太郎「おっマジか。サンキューモモ」ウケトリ 桃子「京さんは今日何個貰ったっすか?」 京太郎「・・・・・・・言わせんな恥ずかしい」 桃子「あははは、京さんカッコいいからもっと貰ってるかと思ったっすよ」 京太郎「幼馴染みのモモくらいだよ・・・・やっぱりこの髪の毛のせいなのかな・・・」 桃子「絶対ダメっすよ! 黒とかに染めたりしたら」ゴッ 京太郎「お、おう・・・モモがそこまで言うなら・・・変えないけどさ」ゾクゾク 桃子(京さんの髪色はいつも眩しくて綺麗っすからね) 京太郎「ん? 俺の髪の毛になんかついてる?」 桃子「なんにもついてないっすよ」 京太郎「そっか。ありがとなチョコ」ナデナデ 桃子「な、何するっすか?!//」マッカ 京太郎「チョコのお礼」ナデリナデリ 桃子「そんなことされたら髪の毛くしゃくしゃになっちゃうっすー///」 桃子(私のほうこそ京さんに沢山のもの貰ってるっすよ♪) 桃子(だからこれからもどんどんお返しするから覚悟するっすよ、京さん♪) スキンシップは突然に 桃子「きょーさん♪」ダキッ 京太郎「うわっ何するんだよ!」 京太郎(モモのおもちが背中にっ!) 桃子「お久しぶりっす」 京太郎「昨日ぶりじゃねーか//」アタフタ 桃子「10時間以上会えなかったっすよ?」 京太郎「分かったからそれより早く離れてくれ///」 京太郎(じゃないと俺の理性が) 桃子「いやっすね」ムギュゥ 京太郎(ふぉぉぉぉぉおもち最高ぅぅぅぅぅ!!!) 桃子(耳まで真っ赤になってるっす・・・あと一押しっす) 京太郎(鎮まれ俺のリー棒、ここでリーチ立てたら変質者扱いされるぅぅぅぅ) 京太郎「うぉぉぉぉぉぉ!!!」ブンブン 桃子「きゃっ」ハンシ 桃子「何するっすか!?」 京太郎「そりゃお前のほうだろうがっ」 桃子「だって寂しかったっすもん」ションボリ 京太郎「あー・・・俺も寂しかった・・・・・ぞ?」 桃子「えへへー」ニカー 桃子「以心伝心っすね!」 京太郎「そりゃ小学校からの付き合いだし」 桃子「これからもずっと一緒にいるっすよ」 京太郎「いやいや高校違うんだからずっとは無理だろ」 桃子「そりゃそうっすけど・・京さんと一秒でも長く傍に居たいっす」 京太郎「仕方ねぇな、モモが一人立ち出来るまで傍にいてやるよ」 桃子「嬉しいっす!」 桃子(私が一人立ち出来るようになったら、その時の隣は京さんだけっすよ♪) ステルス少女はお料理上手? 京太郎「おはようさんっ」 桃子「おはようっす、京さん! 逢いたかったっす」 京太郎「昨日夕飯作りに行ったろうが」 桃子「また作りに来てくれるっすか?」 京太郎「また今度な」 桃子「約束っすよ? 破っちゃイヤっすよ?」ウキウキ 京太郎「ほら早く行くぞ?」スタスタ 桃子「待ってくださいっす~」 京太郎「あー」フリカエリ 桃子「どうかしたっっすか?」コクビカシゲ 京太郎「別にモモが俺の家来て晩飯作ってくれてもいいんだぜ?」 桃子「・・・・・」ポカーン 京太郎「あーモモの料理上手いからたまには・・・な」ポリポリ 桃子「・・・・・・・」ウツムキ 桃子「・・・・・・・・・・」プルプル 京太郎「どうしたんだモモ?」 桃子「いよっしゃああああああああああっす!!!」ガッツポーズ 京太郎「・・・・・・っ」キーン 桃子(母から教えてもらった『男は胃袋から落とせ作戦』が実りつつあるっすね!) 桃子(このまま結婚までステレスモモの独壇場っすよ!) ラブレターとステルス少女 小学校編 京太郎「・・・・ん?」ポカン 桃子「どうしたっすか?」 京太郎「いや、なんでもないわ」イソイソ 桃子「ならいいっすけど・・・」 桃子(なんだか怪しいっすね) 京太郎(初めてラブレター貰っちまった・・・!)ガッツポーズ 桃子(なんか嫌な予感がするっす) 京太郎「モモ、早く教室行こうぜ」テクテク 桃子「待ってくださいっすー京さんー」コバシリ 桃子(隠し事したって無駄っすよ!) 桃子(京さんの隠し事なんで全て暴いてやるっす) 京太郎「はぁ・・・結局断っちまった」 桃子「えへへ、嬉しいっすね」ニコニコ 京太郎「だって・・・モモ友達いないし」 京太郎「というか、そもそもモモが友達を作らないからでモモに友達の一人や二人がいたら俺だって告白だって受けてたっつーの」 桃子「京さんにこんなに考えてもらえるなんて私は世界一幸せっすね!」ニコニコ 京太郎(俺がラブレター貰ったって知ったら死にそうな顔してたくせによく言うぜ・・・) 京太郎「このことが知れ渡ったら他に告白してくれる子なんていないだろうしなぁ」 桃子「むー私がいるじゃないっすか!」 京太郎「モモは人から認識されないから一人で空気に話しかけてるみたいになるから」トオイメ 桃子「・・・・・・もうバレンタインも誕生日もクリスマスも初詣も一緒に過ごしてあげないっす」プイッ 京太郎「私めが悪うございました」ドゲザ 京太郎「この私と一緒に過ごしていただけないでしょうか?」フカブカ 桃子「もう~京さんは仕方ないっすね~」 桃子「私は優しいのでそんな京さんを見捨てないで一緒に過ごしてあげるっす」ニコニコ 京太郎「ははーありがたき幸せー」 桃子「くるしゅうないくるしゅうないっすよ」 桃子(こんな日が続くならずっと友達はいなくていいっす) 桃子(京さんが一緒にいてくれるならっす♪) ステルス少女と嶺上少女 桃子「むむむ」グルル 咲「ううう」アウアウ 桃子「京さん! これはどういうことっすか!?」 京太郎「えっと・・・これには深い訳があって・・・」ヒヤアセ 桃子「どうせ京さんのことだからこの子が教室で一人ぼっちになってるのを見てついつい話かけて仲良くなっちゃったんっすよね」 咲(この子もあだ名で呼んでる。なんか嫉妬しちゃうなぁ) 京太郎「・・・さすがモモだな、その通りご名答っす」アハハ 京太郎「とりあえずお互いのこと分からないしさ、自己紹介しよう。な?」 咲「えっと・・・あの、私は宮永咲って言います」 桃子「どうもっす。私は東横桃子っす」ジー 咲「京ちゃんとは同じ中学校で同じクラスです」 桃子(京ちゃん? むむーあだ名で呼ぶなんてライバル出現っすね) 咲「えっと、読書が趣味であんまり人と話すのが苦手だったんだけどね」 咲「ある日、そんな私に京ちゃんが話しかけてくれてそれをきっかけに仲良くなって今に至るというわけです」ニッコリ 桃子「私は小学校の時に京さんに一人でいるところを遊びに誘ってもらって以来ずっと仲良しさんっす」ニッコリ 桃子「もちろん何度もお互いの家に行ったり、お泊りもしたっす」 桃子「私と京さんとは幼馴染みだから当然っす」 咲「私は京ちゃんと一緒にお昼食べたり一緒に登下校してるもん」 桃子「・・・・」 咲「・・・・」 京太郎(・・・どうしてこうなった) 桃子「京さん!」ゴッ 咲「京ちゃん!」ゴッ 京太郎「はい! 何でございましょう?!」ガタガタ 桃子「今日は」ギュウ 咲「私と」ギュウ 京太郎「なぜ二人は俺の両手を掴んでるでしょうか・・?」ガタガタ 桃子「遊ぶっす!」 咲「遊ぶんだからね!」 ※この後色んな場所に連れ回されたようですがそれはまた別のお話 てるてるステルス 京太郎「ただいまー」 照「おかえり」 京太郎「・・・誰です?」 照「酷い・・・あんなに愛し合った仲なのに・・・」 京太郎「誰かが聞いたら誤解するようなこと言わないで下さい!」 桃子「・・・京さん?」ニッコリ 京太郎「誤解だあああああああああああ!!!」 桃子「もちろん京さんがそんなことしないって信じてるっす」 桃子(あんなに抱きついたりしても手の一つも出してこないっすもんねぇ) 桃子「で、この女性はどちらさまっすか?」 京太郎「咲のお姉さん。宮永照さんだよ」 桃子「あーなるほど。確かにそっくりな部分があるっすね」 照「なんか貶されてる気がするんだけど」 京太郎「き、気のせいじゃないっすかねぇ?」 照「京太郎、咲が今日休んだと思うんだけど何か持って行く物ある?」 京太郎「相変わらず律儀ですね」ガサゴソ 京太郎「はい、これですね」ワタシ 照「ありがと」ウケトリ 桃子「あ、照さん」 照「?」 桃子「私、東横桃子っす。咲ちゃんとは仲良くさせてもらってるっす」 照「咲から聞いてる。影の薄い女の子と友達になれたって」 照「でも咲は強いよ?」 桃子「もちろん負けないっすよ」 照「ふふ」 桃子「えへへ」 京太郎(俺の家なんだけどなぁ) ステルスと宮永姉妹と麻雀と 京太郎「」 桃子「ごめんなさいっす」 咲「ごめんね京ちゃん」ペコリ 照「今日もお菓子が美味しい」ポリポリ 京太郎「いやうん仕方ない初心者だし」 京太郎「それにしても皆すげー・・・こういう場合は強いでいいのか?」 桃子「そりゃそうっすよ」エッヘン 桃子(京さんと会えないから麻雀ばっかりしてたなんていえないっす///)イヤンイヤン 京太郎(モモがトリップしてる・・・話しかけないでおこう) 京太郎「そういや咲もすげー強いよな」 京太郎「なんつーかそこの違うとこの牌であがったりとか」 京太郎「照さんは南場?になったらずっとあがり続けてたり」 京太郎「咲があがらなかったら点数なくなってたぜ?」ナデナデ 咲「あぅぅ・・・///」プシュー 照「ちなみに私はまだ後三回の変身を残してる」 京太郎「勘弁してくださいマジで洒落にならないっす」ガタガタ 照「冗談」ポリポリ 京太郎「真顔で言われると冗談に聞こえないんですけど」 桃子「そういえば京さん」 京太郎(お、トリップ状態から帰ってきたのか) 京太郎「んー?」 桃子「携帯のアプリで麻雀出来るっすよ?」 京太郎「あるのは分かるけど、そういうのって沢山あってどれがいいかわからないんだよなぁ」ポチポチ 桃子「ちょっと見せるっす」ズイッ 京太郎(うぉぉ・・胸が肩に・・当たってる・・・モモのやつまた大きくなったか?///)マッカ 咲「京ちゃん鼻の下伸びてる」ジトー 照「やっぱり男の子だね」 京太郎(見られてるぅぅぅぅぅ////) 桃子「京さん、ちゃんと聞いてるっすか?」ギュウ 京太郎(さらに押し付けてきた!//) 京太郎「あ、ああ。ありがとなモモ//」 桃子「京さんのためだったら全然大丈夫っす」ハナレ 桃子「あと、麻雀で分からないことがあったら私に聞いて欲しいっす」 京太郎「ああ、頼らせてもらうぜ! 後でメールで送るからアプリで麻雀しようぜ」 桃子「もちろんっす。京さんの頼みであればたとえ火の中水の中っすよ」 京太郎「ありがてぇありがてぇ」ナムナム 咲「お姉ちゃん」 照「なに?」 咲「私も携帯欲しいんだけど」 照「じゃあ今度家族麻雀でお父さんから勝って買ってもらおう」 咲「ふふ、麻雀って楽しいよね」ゴッ 界「」ゾクッ 界「今なんか寒気が」 ※この後家族麻雀でボコボコにされた界さんがいらっしゃいますが本編とは関係ありません 海だ水着だステルスだ!~水着選び編~ 京太郎「夏と言えば海だよな!」 桃子「あー確かにっす」 京太郎「というわけで海に行こうぜ」 桃子「いいっすよ」 桃子「ただし、今から水着買いに行こうと思うんで京さんにも着いて来てもらうっす」ギュ 京太郎「ア、ハイ」 デパート~女性水着売場~ 桃子「京さ~ん」 京太郎「あのさ、ここにいるのすげー気まずいんだけど・・・」 桃子「逃げたら許さないっすからね!」 京太郎「逃げないから安心しろって」 桃子「私的にはこっちの黒のビキニとかもいいと思うっすけど京さんはどれがいいと思うっすか?」 京太郎「そうだなぁ・・・これとか?」 桃子(白のセパレートタイプっす。これを着て欲しいってことっすかね?) 桃子(ちょっと照れるっすね///) 桃子「京さんが着て欲しいなら・・・これにするっす///」 京太郎「おう、似合うと思うぜ///」 桃子「そうっすか///」 京太郎「ああ///」 桃子「じゃ、じゃあお会計に行って来るっす///」 京太郎「ちょっと待て」 桃子「え?」 京太郎「それ買ってやるよ」 桃子「いやそれは悪いっす。自分で払うっす」 京太郎「いいから。俺が海行きたくて俺がモモの水着も選んだんだからそれくらいさせて」 京太郎「たまには男をたたせてくれって」ニコッ 桃子「むぅ・・・じゃあ京さんの水着は私が払うっす!」 京太郎「あープレゼントみたいに?」 桃子「もちろんっす」 桃子「じゃなきゃその水着は私が払うっす」 京太郎「わかったわかった。じゃあそれでいいから」スタスタ 桃子「京さんに似合う水着選んどくっすー」テクテク 京太郎「さてと、お会計するか」 ※海水浴編に続きます お泊り会~小学校編~ 桃子「えへへー京さんと一緒のお布団っす」 京太郎「モモももっと近くにこいよ」 桃子「はいっす」 桃子「なんかこうしてると昔の私が嘘みたいっす」 京太郎「昔のモモのことはわかんねーけど、今のモモはすっげー楽しそうだぜ」 桃子「そりゃそうっすよ! だって最高の友達が出来たっすから!」 京太郎「俺もモモのこと最高の友達だと思ってるぜ」 桃子「仲良しさんっすね私たち」 京太郎「当たり前だろ」ナデナデ 桃子「えへへーっす」スリスリ お泊り会~中学校編~ 桃子「京さーん、なんで別の布団に入るんすかー」 京太郎「そりゃ昔みたいに同じ布団に入るなんて出来ないからな」 桃子「私は気にしないっすよー?」 京太郎「俺が気にするの!」 桃子「もーじゃあ、手だけでもいいんで握ってくださいっす」 京太郎「まぁ、それくらいなら」ギュウ 京太郎(やわらけぇ) 桃子「京さんと手を繋いでるとなんだか安心するっす」ニコニコ 桃子(本当は抱きつきたいっすけどね) 京太郎「モモはやっぱり寂しいか?」 桃子「そうっすね、学校行っても京さんがいないって思うと寂しいっす」 京太郎「いまさらだけどごめんな」 桃子「全然大丈夫っす。こうやって私のワガママでお泊りさせてくれるだけで」 京太郎「・・・・」 桃子「どうしたっすか?」 京太郎「悪い」モゾモゾ 桃子「こっちのお布団の方がいいっすか?」 京太郎「俺もちょっと寂しかったしな」ナデナデ 桃子「私、京さんの手で頭撫でられるの結構好きっすよ」 京太郎「そっか」ナデナデ 桃子「えへへー」ニコニコ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1282.html
智葉「おい須賀、いるかー?」 京太郎「...zzz...zzz」長椅子に座りながら 智葉「なんだ、寝てるのか」隣に座る 智葉「……掃除はしっかりしてるし、牌譜の整理も終わってるか」 京太郎「……ん」倒れて智葉で膝枕 智葉「……何やっているんだ貴様、と本来は言うところだが」 京太郎「...zzz...zzz」 智葉「1人で終わらせたんだ、これくらい多めに見てやる」 京太郎「...zzz...zzz」 智葉「全く、これじゃ私も明華やハオと変わらないな」 智葉「そういえばあいつらは……」 京太郎「...zzz...zzz」 智葉「…………」ペタペタ 智葉「…………」イラッ 智葉「……オラッ、さっさと起きろ!!」ゲシッ 京太郎「あだっ!?」椅子から落ちる 京太郎「アレ?先輩?俺は一体……」 智葉「よく寝てたみたいだな?」 京太郎「あー……」 智葉「ま、雑用やった後だし、構わんよ」 京太郎「先輩……」 智葉「ということで、休憩もしたんだ。私がしっかりと指導してやろう」 京太郎「え!?……あの、お手柔らかにお願いします」 智葉「ああ……無理だから諦めろ」 京太郎「酷い!?」 智葉「ああん?なんでそれ切ったか言ってみろ!?」 ネリー「サトハ、きびしーねー」 智葉「だからそうじゃねーんだよ!今のお前の実力ならまずは…」 ダヴァン「んー……でもなんかサトハ楽しそうデスネ」 智葉「そう!それだよ!今のはよくやった!!」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/7361.html
咲は姉を追って東京の白糸台に進学した まあそれ事態は別にいいのだ、どこの学校に進学しようが当人の勝手だし 問題は、何故俺まで案内係として東京に行く羽目になるのかという点だ 咲「京ちゃん、髪形変じゃないかな?」 京太郎「お前の髪形はいつも角が立ってるだろ、問題ない」 咲「これはおしゃれだよ!」 京太郎「し・ら・ね・ー いいからいい加減入れって」 咲「ちょっと深呼吸を……」 京太郎「何回目だ、それ、いいから開けるぞ!」 咲「あわわわ」 焦る咲を無視して、扉を開けた先には白糸台の誇る一軍の姿が…… 菫「私はパッドじゃないと言ってるだろう!」 誠子「まあまあ、弘世先輩2chで釣られちゃいけませんって」 尭深「ずずず……」 照「この新作ポッキーは当たり」 ……一軍の雄姿が、あるはずだったんだけどなあ 咲「お姉ちゃん!」 照「私に妹はいない」(ドヤ 咲「……お姉ちゃん、ポッキーの食べかすついてるよ」 照「取ってくれてありがとう咲、でも私に妹はいない」 咲「どうして、お姉ちゃん この宮永ホーンが共鳴しているのにそんな嘘を言うなんて」 照「妹はいないけど、金髪の義理の弟ならいるかもしれない あー、だれか義理の弟のお嫁さんにならないかなあ 文学少女でホーンがついてるといいなあ、そしたら妹ができるのに」 咲「京ちゃん、結婚しよう!」 京太郎「なんでだ あとお姉さんその『してやったぜ』って顔はやめてください」 こうして俺の白糸台生活が始まった 続かない
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4324.html
京太郎「あ、そうだ」 姫子「どげんしたと?」 京太郎「この間白水さんに聞いたんですけど、何かリザベーションとかいうのがあるらしいじゃないですか?」 姫子「まぁ、あるとよ?」 京太郎「どうやって習得したんですか?」 姫子「そりゃあ、部長とあつぅ~いキ――――」 哩「わーわーわー!////」 姫子「あ、部長ー」 哩「須賀、それは後で私の口から教えるけん…」 京太郎「は、はい…」 姫子「どーせ教えるなら今言っても~」 哩「ダメったらダメと!/////」 姫子「どげんしたんですか部長?」 哩「な、なんでもないとよ!」 姫子「ん~?」 姫子「あっ」察し 姫子「なるほど、わかったとよ」 姫子「須賀!」 京太郎「は、はい!?」 姫子「今から私とあんたばライバルっちゃけん覚悟すっとよ!」 京太郎「ん??」 姫子「ひとまずこん場は引いちゃるけん精々準備ばしとくとよかよ…」 京太郎「え、何これ…?」 カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/7457.html
白糸台高校には一人だけ立ち入りを許されている男がいた 名は須賀京太郎、人は『ポンコツ係』『お菓子係』『虎を猫にする男』と呼ぶ 雑用というよりもやっていることはマネージャーのそれである、しかも担当は五人 照「」(ぽりぽり 京太郎「照さんポッキーのクズこぼれてる、袋の上で食べて!」 菫「須賀ぁ、皆が私に期待しすぎるんだ、私はそんなに強くないのに……」 京太郎「もたれかかって泣かないで、菫さん! 愚痴なら聞きますから、ね」 誠子「フィーッシュ!」 京太郎「誠子さん、部室内のものを釣り竿で釣らないで! 危ないから!」 尭深「ずず……茶葉切れた」 京太郎「買い足しておきますから、今日はこのパックで我慢してください尭深さん」 淡「キョータロー、かまえー!」 京太郎「抱きついてくんな! いろいろ当たるんだよ、淡!」 淡「あててるのだー」 照「私も京ちゃんにくっつく」 菫「おい照、淡、今は私の相手をしてもらうんだ」 誠子「んー、私も京太郎釣ろうかな」 尭深「お茶菓子にちょうどいい」 京太郎「おい待てあんたら、なんで近づいてくる、やめれー!」 白糸台は賑やかである カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2140.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1358522671/ 久「はあ~退屈ねー和たちはまだ来ないの?」ガタガタ 京太郎「一年女子は放課後に身体計測があるらしいですよ。というか、椅子壊れますよ?」カチカチ 久「ん~退屈なんだもの。あ、そうだ。ねえ須賀くん。じゃんけんしない?」 京太郎「今ネトマやってるんすけど…急にどうしたんですか?別にいいですけど…」 久「いくわよ、じゃーんけーん」 久「エロ本何冊ー!」パー 京太郎「え…?」グー 久「えー?須賀くんエロ本5冊も持ってるのー?」ニヤニヤ 京太郎「……どうしたんすか、いきなりそんな小学生みたいなこと。部長らしくないですね」 久「ノリ悪いわねー子供の頃こんな遊びしたなーって思って。なんとなくよ」 京太郎「そんな遊びする女子は部長ぐらいですよ…でも確かに男子はよくやってましたね」 京太郎「俺も友達を引っ掛けた記憶がありますよ」アハハ 久「でしょー?ちなみにエロ本5冊持ってたりするの?」ニヤニヤ 京太郎(いや…5冊以上持ってるに決まってんだろ。男子高校生のリビドーなめんな…でもなんか言ったら録なことにならない気が…) 京太郎「5冊なんて持ってないですよ(嘘は言ってない)」 久「ふーん…まあいいわ。じゃあ次。須賀くん。シンデレラって10回言って?」 京太郎「お、そのシリーズですね、受けて立ちますよ」 京太郎「シンデレラシンデレラシンデレラシンデレラシンデレラシンデレラシンデレラシンデレラシンデレラシンデレラ!」 久「ガラスの靴を拾ったのは?」 京太郎「それは王子様ですね」 久「正解~ま、ひっかからないわよね」アハハ 京太郎「小学生の頃ならたぶんシンデレラって答えてましたね」 久「ちょっと簡単すぎたかーじゃー次本番ね」ニヤ 久「ピザって10回言って?」 京太郎「(ひじとかひざで絡めてくる奴か…)簡単にはひっかからないっすよ。ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ!」 久「ここは?」チラッ 京太郎「ぶっっ!ぶ、部長どこ指してるんすか!そんなの反則!反則ですよ!(胸が…部長の胸が…!)」 久「ん?私は制服の襟を触ってるだけなんだけど…」ニヤニヤ 京太郎「う…確かに…別に指でさしたわけじゃねえ…」ドキドキ 久「エロ本も持ってない純情君にはちょっとハード過ぎたかなー」ニヤニヤ 京太郎(くっそーなんか悔しいぜ…何か部長を赤面させる方法とかねえか…ダメだ思いつかねえ) 京太郎(つーかこの人が赤面するシチュエーションがまるで想像つかねーぞ) 久(かわいいわねー須賀くん。顔赤くしちゃって…もっといじめたくなってきたわ…よし) 久「ねえ、須賀くん。次はしりとりしない?」 京太郎「え、しりとり、ですか?(今度は何企んでんだこの人…)」 久「ええ。でもただしりとりするだけじゃ面白くないわよね」ニヤ 京太郎「つまり、縛りを入れたしりとりですか?」 久「そうよ。世の中には三文字しりとりとか、花の名前限定しりとりとか、いろいろあるわよね」 久「でもそんなちゃちなものじゃないわ!その名もエロしりとり!」 京太郎「え、エロしりとり…?(それってつまり部長があんなセリフやこんなセリフを…)」ドキドキ 久(顔からして何考えてるか丸分かりだわ。ふふふ…) 京太郎「い、いいんすか、部長?俺は、全然、いいっすけど…」 久「何を期待してるかは知らないけど、残念でした。このルールは下ネタは禁止よ!」 京太郎「え?は?何言ってるんすか部長。意味わかんないです。これエロしりとりなんすよね?」 久「だから、エロしりとりって言っても安直に淫語を使っても面白くないわ。あくまで普通のしりとりでエロさを出していきましょう」 京太郎「要するに普通のしりとりってことですか?それでエロって…そんなこと可能なんすかね…ていうか、判定はどうするんすか?」 京太郎「エロさの基準とか人によってまちまちなような…(しかもちょっと残念なような…)」 久「まあやってみれば分かるわよ。じゃあ私から!」 久「『あんっ//』かけそば!」 京太郎「!?」 京太郎(なるほど、そういうことか…部長の喘ぎ声にも似た声が…俺のリビドーを刺激するッ!) 久「理解できたかしら…(なんか本気だしちゃったわ…恥ずかしい//)」 京太郎「はい…じゃあ次は俺ですね…)」 京太郎(なるほど、普通のセリフでいかにエロスを表現するかがポイントってわけか。きっと部長を攻める方法もそこにあるっ!) 京太郎「次は俺の番ですね。…バック」 久「へえ…『バック』ね…」 京太郎「ええ。『バック』です。別に深い意味はないですよ?」 久「え、ええ。分かってるわよ?」 京太郎「本当ですか?ちなみに部長は得意なんですか?」 久「!?」 久(須賀くん…私を試してるわね…いいわ。正面から叩き潰してあげる) 久「ええ。それはもう大得意よ。(車なら子供の頃に練習してことあるから)乗り慣れてるもの」 京太郎「へえ…じゃあ今度俺の(車)に乗ってみますか?」 久「!上等。あまりの操縦の上手さに気を失っても知らないわよ?」 京太郎(さすがに部長だ…まったく動じない…) 京太郎「楽しみにしてますよ」 久「首を洗って待っているといいわ。次、私の番ね。『栗』!」 京太郎「っ栗、すか。」ドキドキ 京太郎(なんか部長が言うと…いやこれは考えたら負けだよな…) 久(焦ってる焦ってる。ふふ…かわいいわねー須賀くん)ニヤニヤ 京太郎「(押されるな!)り、『リス』!」 久(!やるわね…『栗』からの『リス』ね。私の『栗』をうまく利用してるわね…) 久(ってなんか今すごいいやらしい言い方だったわね、//) 京太郎「部長?どうしたんですか?顔が赤くなってませんかー?」ニヤニヤ 久「!気のせいじゃない?さっさと続けるわよ」 久「そうね…『スキム・ミルク』!」 京太郎「スキム…ミルク…ミルク…だと…?」 京太郎「部長、コーヒーのおかわりはいかがですか?」 久「ええ、いただくわ。ミルクもお願い」 京太郎「すいませんが、今ミルクを切らしてまして…」 久「ふーん…でもミルクなら用意できるわよね?ほら、準備して?」 京太郎(いい…!いい!最高だ!なんか知らんが最高だ!) 久(ミルク…実物は見たことないけど…)ゴクリ 久「次は私ね。…て、また『く』?」ムムム 久「く、『くち』!」 京太郎「『くち』…なるほど、人間のとても大切な器官ですからね。まったくもって健全です、ええ」 京太郎(うわ、部長の口、艶がやべえよ…ていうか今気づいたけど、このしりとり下ネタ使うよりよっぽどエロいじゃねえか…) 久「でしょう?いかがわしさのかけらもないわ。それはもう口だもの(須賀くん…どれだけ私の唇見てるのよ…なんか調子狂うわ…)」 久「さあ、須賀くん、『ち』よ」 京太郎(『ち』か…ふむ。ここは攻めるっ!) 京太郎「…ち」 久「ち?」 京太郎「ち、ちん…」 久「ちん?(え?何言うつもり?まさか…)」 京太郎「ち、ち、ちん…」 久「ちん…?なんだってのよ…早く言ったらどうなの?」ドキドキ 久「あ、あんまり焦らさないでくれる?」 京太郎(なぜだろう…部長がいうだけで普通のセリフが凄まじくエロいんだよな。うん。だがここは押さえて…) 京太郎「部長、なんで急に早口になってるんですか?何か思い当たる節でもあるみたいですね?」 久「は、は?何言ってるのかさっぱりだわ?ほらさっさとひねり出しなさいよ」ドキドキ 京太郎「うーんどうせら部長にひねり出して欲しいですねー」チラッ 久「はあ!?な、何言ってるの!須賀くん!」 京太郎「俺じゃ思いつかないんで、部長がヒントくれたら嬉しいなってそういう意味ですよ?」ニヤニヤ 久「わかってるわよ!というか須賀くんさっきからちょっと先輩に対して失礼じゃない!?」 京太郎「いやー部長に失礼だの無礼などを説かれるなんて思ってもみませんでした。これは大変失礼をば」ペッコリン 久(うー!むっかー!腹立つわ!ここで先輩としてなんとか挽回したいわね…) 久(!) 久「ね、ねえ。須賀くん。須賀くんがさっき言おうとしてたこと当ててあげよっか?」 京太郎「え、ええ(なんだこの勢いは…)」 久「私、『それ』の味を知ったのは…中学二年生の頃だったわ…」 京太郎(味!?え!?) 久「出張から帰ってきたお父さんが言ったの」 久「『久、これおいしいぞ。一口どうだ』って…」 京太郎(お父さんなにやってんだ!?) 久「私はもうその味にやみつきになってしまって…」 久「お父さんは単身赴任だったんだけど、帰ってくるたびにその味を覚えさせられたわ…」 京太郎「ぶ、部長…(部長が、男の、あれを…想像しただけで!)」ゴクリ 久「ねえ…須賀君も食べてみない…?」 京太郎「え。嫌ですよ!絶対!男がそんな男の…ありえないっすよ!そんなオカルトってレベルじゃないっす!」 久「そう?案外いけるわよ?ちんすこう」 京太郎「うまいはずがないじゃ…ってえ?」 久「だから、ちんすこう」 京太郎「」 久「いやーさすが須賀くんね、ちゃんと下ネタ禁止のルールを守ろうとしてくれたのよね?」 久「でも、好き嫌いは良くないわよ?一回は食べてみればいいんじゃないかしら~」ニヤニヤ 久「男とか女とか、関係なしに、ね?」ニヤニヤ 京太郎「うう…」 久「ん?」ニコニコ 京太郎「くっ…くそ」 久「ん?」ニコニコ 京太郎「ま、参りました…」 久「うん。よろしい!」ビシッ 久「じゃあ、負けた方は一個罰ゲームね!」 京太郎「そ、そんな…そんなの聞いてないっすよ…」 久「つべこべ言わない!明日には最高に楽しいの考えておくから、覚悟しといてね!」 京太郎「あと一歩だったのに…」シクシク 久(まあ…結構ドキドキしたのは本当だけどね。でもまだまだね、須賀くん!) 久(罰ゲーム、何にしよう…) おわり
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/900.html
前回 衣「皇都だ江都だトウキョウだ!」 純「衣、はしゃいでんなー。」 京太郎「ええ、お菓子の元気ですね。」 純「お菓子の一つ二つ取られたくらいで男らしくないぞ。」 京太郎「ええ、でも俺に回らないとは思いませんでした。」 純「……ドンマイだ。」 ハギヨシさんが運転する車に乗せられて東京までやってきたんだが。 途中、純さんにポッキーを取られ。 一さんにトッポを取られ。 衣さんにはアルフォートをねだられた。 俺におやつは残らなかったとさ。 清澄のところへ行って、透華さんが勢いよく扉を開ける。 透華「清澄の皆様!龍門渕透華が応援に来ましたわ!」 久「あら、ありがとう。」 衣「ノノカ~!咲~!」 和「天江さん、合宿以来ですね。」 京太郎「よっ!咲、元気にしてたか?」 咲「京ちゃんこそ新しい学校はどう?」 優希「ノッポも来てたのか!」 純「なんだよ、来ちゃ悪いかー?」 智紀「みんな元気そう。」 まこ「おまえさんらもげんきそうじゃな。」 一「賑やかだね~ボクも混ぜてもらおうかな。」 それぞれ、各々と話しだしていた。 咲「もう、京ちゃんが居なくなって大変だったんだよ?」 京太郎「どうせ荷物を一人じゃ持てなかったとかだろ?」 咲「それだけじゃないよ、優希ちゃんが荒れて大変だったんだから。」 京太郎「タコスが切れたくらいで荒れるって……」 咲「京ちゃんの名前呼んでたよ。」 京太郎「呼んでも行けねぇって。」 咲「少しは強くなった?」 京太郎「まぁな、衣さんや透華さん達がコーチしてくれてるからさ。」 咲「ふ~ん、じゃあ今度一緒に打とうよ、京ちゃんの成長具合を確かめてあげる。」 京太郎「あんまりにも成長し過ぎててびっくりするなよ?」 咲「京ちゃん程度なら楽勝だよ。」 京太郎「言いやがったな?後で吠え面かかせてやる。」 京太郎「……まぁ、打つにしても卓無いとどうしようもないけど。」 咲「あ、そういえば全自動卓って重いんだね、私一人じゃ持てなかったよ。」 京太郎「ああ、あれ大体40~50kgくらいあるからな。」 咲「京ちゃんは前にそれを持って旅館まで運んだんだよね。」 京太郎「あれはさすがにきつかった。」 久「ホント、今回の荷物重かったわ。」 京太郎「あ、ぶちょ、じゃなくてええっと竹井さん、お久しぶりです。」 久「……そうね、もう須賀君は、清澄じゃなくて龍門渕の生徒なのよね。」 京太郎「ええ、そしてもう、須賀でもないんですよ。」 久「龍門渕君って言った方がいいのよね……変な感じよね、苗字が変わるのって。」 京太郎「最近は慣れてきましたけどね。」 京太郎「そういえば竹井さん、抽選のとき緊張してましたね。」 久「あれは忘れてちょうだい……最初で最後のインハイだから少しおかしかったの。」 京太郎「意外な一面を見れて面白かったですよ。」 一日目だが、竹井さんがはっちゃけて終了した。 あの後、咲たちに「一回戦突破おめでとう」と言いに行ったのだが…… 咲「ねえ京ちゃん、私と打とうよ。」 咲は自分の番まで回って来なかったせいか打ちたがっていた。 京太郎「そんなに打てなかったのが悔しいのか。」 咲「それもあるけど京ちゃんがどこまで上達したか知りたいの。」 京太郎「俺の腕にビビルなよ?」 咲「ふーん、京ちゃんには負けませんよーだ。」 衣「衣も咲と打つぞ!」 まこ「わしも入れてもらおうかの。」 和「あの、私も打ちたいんですけど……」 透華「それなら私と打つと良いですわ!」 和「……わかりました。」 和(本当は咲さんと同じ卓に入りたかったのですが……) 「出し惜しみはしねぇ、最初から本気で行くぜ。」 「京ちゃん、少しは強くなったんだよね?」 「衣がいることを忘れてもらっては困るぞ。」 「わし、今回空気じゃのう……」 フラストが貯まった咲との半荘開始である。 「ポン」 「カン」 「リンシャンツモ、1200・2300。」 「ツモ、1300・2600……だったっけ?」 「それであってるよ、京ちゃん。」 「ハイテイツモ、2600オールだ。」 「ロン、7700じゃ。」 収まってみればなんて事はなく、俺は振込み、責任払いもなかったが和了も少ないので3位だった。 咲「京ちゃん、腕上がったね。」 京太郎「まあ優秀な先生に教えてもらっているからな。」 衣「フフン!当たり前だ!」 俺の言葉を聞いて上機嫌な衣さんはさておき、咲は何かうれしそうな顔をしていた。 咲「京ちゃんの力って面白いな~、牌が凍ってたよ?誰かに教えてもらったの?」 衣「きょうたろーの氷の力は天賊のものだがを発展させたのは衣だぞ!」エヘン! 京太郎「ま、そんなとこ、基本は透華さんに教えてもらったんだけどな。」 咲「へぇ~。」 ピリリリリリ…… 携帯が無機質な音を立てて鳴る。 京太郎「っと、わりい。」 適当に謝って携帯のディスプレイを覗く。 京太郎「ん?母さんからのメール?」 《京太郎へ、今母さんはここに居ます。》 京太郎「画像ファイル?」 京太郎「…………」 京太郎「ここって……!」 透華「京太郎、どうしましたの?」 丁度対局が終わった透華さんが俺の顔を見て怪訝な顔をする。 京太郎「すいません、ちょっと用事があるので出てきます!」 透華「ちょっと!?京太郎!?」 咲「京ちゃん!?」 俺は会場を飛び出していた。 メールで届いた地図を頼りに母さんが居る場所に辿りつく。 白い建物の白い部屋の中に母さんは居た。 嘘だろ、なんで俺の母親が呼吸器に繋がれてるんだよ…… 須賀母「京太郎?」 京太郎「母さん、どうしてこんなことに……」 須賀母「京太郎元気?」 京太郎「母さん……」 須賀母「新しい家族とは上手くやってる?」 京太郎「母さん!」 須賀母「…………」 京太郎「どうしてここにいるんだよ……」 須賀母「……母さん、実はね、肺癌なの。」 京太郎「!!」 須賀母「京太郎が龍門渕に行く前にはもう末期だったわ。」 京太郎「嘘だろ……」 須賀母「だから、龍門渕さんに頼んで、あんたを引き取ってもらう話をしたのよ。」 京太郎「どうして……黙ってたんだよ……」 須賀母「だって言ったら、あんた心配するでしょ?」 須賀母「だから海外に行くって嘘を言ったのよ。」 京太郎「『メールとか電話出来ないことも多い』っていうのはそういうことかよ……」 京太郎「確かに出来ないよな……」 須賀母「病院内じゃ滅多に携帯電話使えないもの。」 須賀母「……本当はあんたには死ぬまで隠すつもりだったんだけどね。」 須賀母「そのために龍門渕さんにここの病院を紹介して貰ったんだし。」 須賀母「でもさ、京太郎からのメール見たら……つい会いたくなっちゃった。」 京太郎「…………」 俺は何も知らず、何も疑わず、ただ母親の言葉を鵜呑みにしていたんだろうな…… 親が苦しんでいるのも知らずに、自分に与えられた境遇、環境に意識が行って。 母親が何故、俺と離れるのを考えもしなかった。 心配掛けないように。 心の負担にならない様に。 そして、自分のことでかかずらわないように。 そう思ってのことだろう。 でも死期を悟った母親として、息子の顔を一目見ておきたいと、感情が囁いてしまったのだろう。 須賀母「ねぇ、もっと京太郎のことを話して……」 京太郎「ああ、今日さ、咲と麻雀したんだ……」 自分の声が震えているのが分かる。 自分の母親が痩せ衰え、医療用の細長いチューブに繋がれている痛ましい姿を見て、「気丈にふるわなければ」と思いながらも…… 現実を直視できない。 母さんと離れた後の事を。 色々話して。 話して。 話して…… 面会時間ギリギリまで教えた。 京太郎「明日、また来るから……」 須賀母「無理しなくて良いよ。」 京太郎「……母さん、俺、来るから。」 京太郎「また、来るから……」 須賀母「……そう。」 短くそう呟くと部屋の扉は閉まっていった。 最期くらいは息子孝行してやりたい。 最期くらいは看ていたい。 最期くらいは一緒に居たい。 透華さんが泊まっているホテルに着くと、ハギヨシさんが待っていた。 ハギヨシ「京太郎様……」 京太郎「ハギヨシさんは知っていたんですか……」 ハギヨシ「…………」 ハギヨシさんは何も応えない。 京太郎「……俺、何も知らなかった。」 京太郎「母さんが苦しんでいた事も、その上で俺を送り出した事も……」 京太郎「俺、何も知らなかった……」 京太郎「何も、何も知らなかった……」 自分がガキで、親の気持ちも汲み取れず、ただただ無力で無思案な自分を憾めんで、握り締めた拳が痛い。 ハギヨシ「申し訳ありません、京太郎様のお母様のご意思がありましたので……」 ハギヨシ「さあ、お部屋をご用意しております。」 案内された部屋で、俺は自分の愚かさ悔いながら寝た。 それから数日、母さんの病室で咲の対戦を見ながら思い出話に花を咲かせる。 京太郎「―――で咲ってば麻雀強い事を隠していたんだぜ?」 京太郎「しかもお年玉取られたくないからって理由で。」 他愛もない話をしながら気分を紛らわす。 須賀母「ねえ京太郎。」 京太郎「ん?なんだ母さん?」 須賀母「あんた、今幸せ?」 京太郎「……母さんが元気になってくれたら幸せかな。」 須賀母「……咲ちゃん、お姉さんと仲直り出来ると良いね。」 京太郎「……そうだな。」 自分の体の心配しろよ、母さん。 俺の友達の心配じゃなくてさ…… 須賀母「咲ちゃん良い子だよね……」 京太郎「気弱で引っ込み思案でちんちくりんだけどな。」 須賀母「あんたにはわからないかも知れないけど、良い子だよ~。」 京太郎「は?」 須賀母「同じ女だからわかるもの。」 京太郎「俺にはわかんねぇよ。」 母さんが何を言いたいのか俺には分からなかった。 京太郎「それじゃあ母さん、また明日来るよ。」 須賀母「咲ちゃんと仲良くね。」 「ああ。」 声が掠れて届いたか分からないが、確かに言った。 帰り道、ハギヨシさんが迎えに来ていた。 ハギヨシさんはゆっくりと御辞儀すると俺を車に乗せた。 ああ、明日決勝だけど咲の奴ちゃんとお姉さんと仲直りできるのかな…… 出来なかったらまた俺の出番かな…… 恒子「ついにやって参りました!決勝戦!」 恒子「この大将戦で全国の頂点が決まります!」 頑張れよ、咲。 お前がお姉さんと仲直りできるかはお前次第なんだからな…… ―――――― ―――― ―― 恒子「決まったー!!清澄!白糸台を捲くっての一位!」 恒子「初参加での快挙!誰がこんな状況を予想したでしょうか!?」 咲「お姉ちゃん……」 照「…………咲。」 咲「私、お姉ちゃんと仲直りしたくてここまで来た。」 照「…………」 咲「またお姉ちゃんと笑える日々を想ってここまで上り詰めたよ。」 照「…………」 咲「だから、お姉ちゃん……」 照「悪いが咲、私はまだ……」 咲「お姉ちゃん……」 咲「行っちゃった……」 咲「お姉ちゃん、行っちゃった……」 咲「……ウ……グッ……仲直り……ヒッ……もう……できないの……かな……」 咲は泣き崩れていた。 結局今までしてきた事は無駄だったのかと。 俺は……咲のために何をしてやれた? そしてこれから何をしてやれる? 目の前で泣いている女の子に何をしてやれる? 考えても、考えても、ちっぽけな頭じゃ分からない。 そして漸くちっぽけな頭で捻り出した作戦を敢行してみようと思う。 それにはまず、あの人に協力を仰がないと。 京太郎「染谷先輩、話があるんですけど……」 まこ「なんじゃ、京太郎。」 ―――――― ―――― ―― 京太郎「――ということでお願いします。」 まこ「うん、まぁ、なんとかしちゃるけぇ。」 京太郎「ありがとうございます、染谷先輩。」 先輩に協力してもらえばなんとかなるだろう。 対価は俺の信用。 俺の信用なんて咲の幸せに比べればちっぽけなもんだ。 まこ「咲、ちょっと付き合ってくれんか?」 咲「……え。」 まこ「泣いたあとは喉が渇くじゃろう。」 まこ「じゃから自販機まで飲み物を買いについてこい。」 咲「あ……はい。」 咲(染谷先輩は私に気を使ってくれているんだよね。) ―――――― ―――― ―― まこ「咲、何飲む?」 咲「何でも構いません。」 まこ「そうか……っとすまん、財布忘れ取った、ちょっとここで待っとれ。」 咲「はい……」 「咲?こんなところでどうしたんだよ?」 「京ちゃん……」 「湿気た面してんなぁ。」 今は例え京ちゃんでも会いたくないのに…… 咲「うん、ちょっとね……」 京太郎「お姉さんと上手く仲直り出来なかったんだろ?」 咲「……うん。」 なんでわかるかなぁ…… 京ちゃんって人の機微に敏いよね。 京太郎「咲、お前ここで仲直りできなかったんだ、多分これからもお姉さんとは仲直りできねぇよ。」 ねぇ、京ちゃん、なんでそんなこと言うの? 京ちゃんはいつでも私の事を励ましてくれたでしょ…… 京太郎「仲直りなんてお前には元々無理だったんだよ。」 京ちゃん、京ちゃんはそんな事言わないでしょ。 京太郎「だから俺が慰めてやるよ。」 なんかへんだよきょうちゃん…… いつもとおかしいよ。 京太郎「なあいいだろう?」 なにがいいの? 京太郎「俺、咲のこと好きだったんだ。」 スキ?スキってなに? 京太郎「俺、もうダメなんだ。」 ナニガダメナノ? 京太郎「だから抱きたいんだ、咲を。」 だめだよ、私、お姉ちゃんに捨てられちゃったもん。 京ちゃんが私の上着の裾に手を入れてくる…… いやだ。 いやだ。 いやだいやだいやだ! こんなの京ちゃんじゃない! 咲「いや!やめてよ京ちゃん!」 怖い。 いつもの京ちゃんじゃない。 いつもの京ちゃんはどこ? いつもの京ちゃんを返して。 怖いよ、京ちゃん。 助けてよ誰か。 誰か私を助けてよ! 咲、俺を思いっきり悪者にしてくれ。 俺を思いっきり嫌ってくれ。 俺を思いっきり軽蔑してくれ。 俺は悪者で構わないんだ。 助けて誰か。 「お姉ちゃん!助けて!」 「貴様!!"私の妹”に何をしている!?」 ああ間に合った。 ていうか俺これから殴られんだろうけど、遅いよ咲のおねえさん。 照「私の妹から手を離せぇ!」 いってえ…… 女の人でも助走付けて打ん殴られたら痛いのな。 照「咲!大丈夫か!」 咲「……う、うん、お姉ちゃんが来てくれたから……」 ぶっ倒れた俺、泣きじゃくる咲、抱きしめる照さん。 見事に俺が悪者の図。 まこ「……一体何が起こったんじゃ?」 そこにタイミングよく染谷先輩登場。 照「そこの男が妹を襲おうとしていた。」 まこ「……ああ、なんとなくわかったわい。」 まこ「じゃけぇ、このカバチはわしがなんとかしとくから、お姉さんは咲についとってくんさい。」 ずるずると引きずられながら移動する。 まこ「さて、そろそろ狸寝入りやめて自分で歩け。」 京太郎「あ、ばれてました?俺の中では懇親の演技だと思ってたんですが。」 まこ「京太郎のは懇親の演技と言うより、精々根菜の演技じゃ。」 京太郎「大根役者ってことですか……」 まこ「それでもあの二人を取り持つには十分だったみたいじゃがのう。」 京太郎「あー……次から咲と顔を会わせ難いですよ……」 まこ「安心せい、そこはわしがフォローしといちゃるけぇ。」 京太郎「ありがとうございます、染谷先輩。」 「それにしてもおぬしは不器用じゃのう。」 「これが俺の性分ですから。」 「それじゃあ後は頼みます。」 「まかせんしゃい。」 染谷先輩にそう言って俺は母さんのところへ向かう。 京太郎「母さん、俺ちょっと俳優やろうとしたら大根だって言われたよ。」 須賀母「あんた嘘は直ぐ顔に出るもんね。」 京太郎「マジか……」 須賀母「まぁいいんじゃないか?誰かのために踊ったんだろ?」 京太郎「俳優はダメでも道化ならなんとかなったかな……」 須賀母「あんたとことんバカだね。」 京太郎「ひっでぇ、息子に言う事かよ。」 須賀母「ははは、バカにはバカと言っておくわよ。」 須賀母「あんたの今後の為にもね。」 京太郎「んじゃまた明日来るよ。」 須賀母「無理すんじゃないわよ。」 京太郎「してねぇって。」 今日もまた母さんの話相手をする。 京太郎「先輩から聞いたんだけど咲とお姉さん仲直りしたんだってさ。」 須賀母「そう、よかったね、あんたの苦労も報われるね。」 京太郎「ああ、咲の方もやっと落ち着いたな。」 須賀母「ねぇ、あたしが死ぬ前にあんたに言っとかないといけないことがある。」 京太郎「っ!……死ぬとか縁起でもないこと言うなよ。」 須賀母「いいから聞きな。」 京太郎「……わかった。」 須賀母「あたしとあんた、実は血が繋がってないのよ。」 京太郎「は!?」 須賀母「あたしね、実は龍門渕さんと関係持ってたとき赤ちゃん産んだんだけどさ……」 須賀母「生まれたあと赤ちゃんの体が弱くて直ぐに死んじゃってたんだ。」 須賀母「今でも「丈夫な体に産んであげられなくてごめんね」って思ってる。」 京太郎「…………」 須賀母「でもその時は死んじゃってた事に気付かなかったんだ。」 須賀母「赤ちゃん、取り違えられてたんだもん。」 須賀母「なによりあんた、あの人にどことなく似ていたし。」 須賀母「看護婦さんには「須賀さんのお子さんです」って言われたんだけど。」 須賀母「勿論、そんなのありえっこないってわかってた。」 須賀母「ありえっこないって、わかってたんだけど、その嘘に縋っちゃったんだよ……」 須賀母「自分の赤ちゃんが死んじゃってた事を認めたくなくて。」 京太郎「……もしかしてそれが……俺?」 須賀母「そう、あんた。」 須賀母「正直、あたしに育てられるのかって色々不安が有ったんだけど。」 須賀母「何とかなるもんだね。」 須賀母「あたしはさ、あんたと一緒に居た時間は忘れない。」 京太郎「…………」 須賀母「京太郎、あんたとは血の繋がりはないけど、あたしは本当の息子だと思っているから。」 須賀母「大変だったけど、楽しかったわ、京太郎と一緒に過ごした人生は……」 京太郎「母さん、俺もだよ……俺も、楽しかった。」 須賀母「悔いなんて無いけどさ、もう少し京太郎と居たかったなぁ……」 俺の手の中にあった、俺の手を掴んでいた力が抜けた…… 京太郎「母さん……母さん……?」 京太郎「おい、何とか言ってくれよ、母さん……」 京太郎「かあああさああぁぁぁん!」 ナース「どうしましたか!?須賀さん!」 ナース「先生、直ぐに来てください!須賀さんの容体が急変しました!」 先生が駆けつけ、何かやっていた。 俺には何をやっているかわからなかった。 ただ、俺は現実を受け入れられず、立ち尽くしていた。 やがて全てが終わり。 先生の言葉を聞いたあと。 ベッドを揺らした時。 母さんは『物』になってしまったんだと思った。 ここに母さんの魂はない。 母さんの遺体は抜け殻なんだ。 透華さんのお祖父さんから電話があった。 母さんに何かあったとき、連絡が行くようにしてあったらしい。 「今からそっちに行く、後は私に任せてくれ。」 電話口からそう聞こえた後、通話が切れた。 動かなくなった母親をずっと見ていた。 病室の扉が開く。 ハギヨシさんとお祖父さんが来ていた。 お祖父さんは何も言わずただ、母さんをじっと見つめている。 お祖父さんが母さんの髪を撫でた後、俺の方にやってきた。 透華祖父「京太郎君、後は私がやっておく、君は少し休みなさい。」 それだけ言うとお祖父さんは先生と話していた。 その後はお祖父さんと一緒に長野に戻り、葬式の準備をしていた。 咲達の応援に行っていた透華さんたちには何も言わず。 母さんの身内は居なかったそうだ。 親戚なども居なく、極少数の身内だけで通夜と告別式を行った。 身内といっても母さんと付き合いがあった人や仕事の同僚の人、それとお祖父さんとお義父さんと俺ぐらいだ。 火葬場で母さんの遺体と別れ、骨壷に入った母さんを抱きしめ、墓に向かう。 この納骨式が終わったら、何をするか考えてなかった。 何も考えられなかった。 不思議と母さんが亡くなってから今まで泣く事もなかった。 ただ心が、感情が、麻痺しているような感じだった…… 坊さんの読経と喪主をやってくれたお祖父さんの挨拶が終わっても、 俺は墓前で手を合わせたまま、ぼうっとしていた。 やがて脇から声が掛かる。 「もうちょっとこのままここにいるかね?」 「ええ、まだ何かよくわかんないです。」 「母さんがこの世から居なくなったことが。」 「もう、葬儀や納骨まで終わったのに……」 「……葬儀は死んだ人に対してだけ行うものではないんだ。」 「その人の死を受け入れたり、その人の死を忘れない為に、お別れする為に葬式を行う。」 「また、何度もここに来て、君のお母さんのことを思い出しに来よう。」 「はい……」 母さんが別れの間際、言ったことを思い出す。 俺はこの人と何の血の繋がりも無いのに、負んぶに抱っこで良いのだろうか。 このまま籍だけの関係で助けてもらったままでいいのだろうか。 「お祖父さん、いや龍門渕さん。」 「……なんだね。」 「どうして俺を引き取ってくれたんですか……」 「彼女から聞いたのか、君の出生を。」 「知っていたなら尚更、何で俺を……」 「……君の母親から頼まれたからだ。」 「今はまだ、それしか言えない。」 「……今はまだですか。」 「俺、家に戻ります。」 「母さんと過ごしたあの家に。」 「そうか、君も心の整理する時間が必要だろう……」 「だが、覚えておいて欲しい。」 「龍門渕家も、京太郎君、君の家であるということを。」 「……それでは失礼します。」 「…………なぁ、――華、どうかあの子のことを、見守ってやってあげてくれ。」 「あの子は今孤独と戦っている。」 「あの子は私にとっても大切な"孫"なんだ……」 鍵を開けて家に入る。 誰も居ない、久しぶりの家。 母さんとの思い出が一杯詰まった家。 思い出を追う。 家に刻まれた家の記憶を懐かしむ。 一人の家ってこんなに広かったんだな、母さん。 鍵を開けて家に入る。 誰も居ない、久しぶりの家。 母さんとの思い出が一杯詰まった家。 思い出を追う。 家に刻まれた家の記憶を懐かしむ。 一人の家ってこんなに広かったんだな、母さん。 数日家で過ごして色々と物の整理をしていた。 形見分けにはまだ早いが、それでも遺品整理しないといけない。 いつまでもここに居れるとは限らないから…… そんな中、古いものを見つける。 綺麗な青い石がはめ込まれているペンダントだ。 裏の金属のプレートには傷だらけで磨り減ってはいるが文字が彫られてあった。 「『愛し……我が……』」 「『京……へ』」 「文字が掠れていて読めないな。」 そういえば俺が小さい頃に母さんが、 「あんたが生まれたときに持っていた物よ~。」 「あんたのお守りみたいなものね。」 って言ってたな。 普通に考えて生まれたときに持っているはずないと思っていたけど。 母さんが死の間際、取り違えられていたと言っていた。 つまりどこかのタイミングで持たされていたんだろう。 だが『どのタイミングに持たされていたか』、それを聞くべき相手はもういない…… とりあえずお守りなのだから俺が持っていても構わないだろう。 ここから離れたくないな。 ちょっとだけ寝よう。 寝て、嫌な事や辛い事や楽しかった事を心の奥に深く沈めよう…… 体を横たわらせ、目蓋を閉じる。 夢も何も見ない。 ただただ黒い世界が視界に広がる。 何も見えず。 何も感じない夢幻の世界。 何も無い。 ただ孤独を感じさせる黒の世界。 眼前に広がる黒、黒、黒…… 起きているのか、寝ているのかすらわからなくなるくらいだ。 ふと後から暖かみが訪れる。 それと同時に後ろの方に引かれる感覚。 気付いたら目が覚めていた。 外は何時の間にか真っ暗になっていた。 腹が空いたのもあり、居間に向かう。 そこには何故か出来立てのシチューがあった。 一口食べてみて気付いた。 これは龍門渕家で食べたシチューだ。 きっとハギヨシさんが心配して作りに来たのだろう。 このシチューを作れるのはあの人ぐらいだろうから。 独りでは食いきれる量では無かったので明日もまた食べよう。 次の日の昼になり、何もする気も起きず、ただぼんやりと家の中を眺める。 家の中もそこそこ片付いた。 まだ今後のことを考えられずにいる。 ピンポーン 突如インターホンが鳴る。 久しぶりの来客か。 京太郎「はい……」 咲「あ、京ちゃん。」 ドアを開けると、咲、優希、和、透華さん、ハギヨシさんが立っていた。 少し気恥ずかしそうにしている顔の咲。 どこかむすっとした顔の和。 何ともいえない表情の優希。 心配していたのを顔に出している透華さん。 感情を読み取れないが穏やかなハギヨシさん。 珍しい取り合わせだ。 京太郎「どうしてこの面子が?」 咲「京ちゃんに会いに行ったらこっちにいるって聞いたから。」 透華「それで私たちも一緒に付いて参りましたわ。」 和「須賀君、いえ龍門渕君――」 京太郎「いや、須賀のままでいいよ。」 京太郎「今は、この家に居る間だけは須賀京太郎でいたいんだ。」 透華「…………」 京太郎「それより、立ち話もなんだし、どうぞ入ってください。」 皆を家に入れて、話を待つ。 すると咲が一番最初に切り出す。 咲「ねぇ京ちゃん、麻雀しない?」 京太郎「いいけど、家、雀卓ないぞ。」 透華「ハギヨシ。」 ハギヨシ「直ぐにお持ちいたします。」 優希「持ってくる間に犬はタコスを作るんだじょ。」 京太郎「?タコスならハギヨシさんに作ってもらった方良いんじゃないか?」 優希「いいから作るんだじょ。」 京太郎「わかったよ。」 台所に向かいタコスを作り始める。 生地や具の準備をして作り上げている内にハギヨシさんが雀卓のセッティングを終わらせたようだ。 京太郎「ほらよ、タコス出来たぜ。」 優希「うむ、大儀であった。」 ハギヨシ「こちらも整いました。」 透華「ハギヨシご苦労様です。」 透華「それで、誰々が入りますのかしら?」 優希「私はタコスがあるから今はいいんだじぇ。」 透華「では、京太郎、私、宮永咲、原村和でよろしいですわね。」 咲「それでいいです。」 和「私もそれで構いません。」 ハギヨシ「その間何か摘める物を作っております。」 ハギヨシ「京太郎様、台所をお借りします。」 京太郎「汚くて申し訳ないですが。」 和「咲さん、どうして麻雀なんですか?」 咲「こっちのほうが話せるかなって。」 和「私には、よく、わからないです。」 透華「ところで京太郎、先ほどから気になっていたのですが、そのペンダントは?」 京太郎「ああ、これは家の中を整理した時にみつけたんですけど……」 京太郎「俺が生まれた時に持っていた物らしいんです。」 京太郎「今はお守り代わりに持っているだけなんですがね。」 京太郎「それがどうかしましたか?」 透華「いえ、私もそれと似た物を持っていますので。」 透華「ちょっと気になっただけですわ。」 透華「尤も、そちらの物の方が年季が入っているようですが。」 透華「それでは打ちましょうか。」 優希「なぁ、ハギヨシさん、京太郎に何かあったんだじぇ?」 ハギヨシ「どうして、そのように思われたんですか?」 優希「私はタコスばかり食っているような女だじぇ。」 優希「だから、タコスならわかるじょ。」 優希「タコスを作ったやつの気持ちも……」 ハギヨシ「料理は人の心、ですか……」 優希「このタコス、しょっぱいじぇ……」 優希「きっと心の涙の味なんだじぇ……」 ハギヨシ「私も気を付けないとなりませんね。」 優希「執事さんでもそういうことはあるのか?」 ハギヨシ「私も人の子です、木の股から生まれたわけでもありませんので。」 ハギヨシ(おや?これは……もしかして……) 優希「……?どうしたんだじょ?」 ハギヨシ「いえ、何でもありませんよ。」 部屋には卓に叩かれる牌の音が響き渡り、みんなで打ちながら話を始める。 今までと比べ物にならないくらいに冷たい表情をした京ちゃんと一緒に…… 咲「京ちゃん、私ね、お姉ちゃんと仲直りできたんだ。」 咲「その後、染谷先輩に聞いたんだけど、京ちゃんが悪役になってまで取り持ってくれたって。」 咲「ありがとうね、京ちゃん。」 京太郎「…………」 咲「またお姉ちゃんと、家族と話が出来るようになったのは京ちゃんのおかげだよ。」 和(須賀君、貴方は凄いです……) 和(私には、咲さんに嫌われる覚悟なんて出来ない……) 和(嫌われる覚悟をしてまで、咲さんのために動く勇気は持てません……) 和(須賀君がそれほど咲さんの事を想っているとは知りませんでした。) 和(でも、それでも、私は、咲さんを渡したくない。) 和(身勝手で醜い私の心ですが、例え相手が須賀君でも、引きたく、ないです……) 京太郎(家族、家族か……) 京太郎(咲は仲直りして、家族と仲直りできたみたいだけど。) 京太郎(俺は、母さんに何をしてやれたんだろうな……) 京太郎(死を悼むだけ……別れを哀しむだけだった……) 京太郎(死に逝く母さんの病を怨むこともせず、かといって誰かにそれを吐き出す事も出来ないまま……) 京太郎(俺は一体、何をしてやれたんだ……もっと出来る事はあったんじゃないのかな……) 京太郎(いっそのこと、何も考えず、何も感じないようにしてしまえば楽になれるんじゃないのか……) 京太郎(わからない、何もかもわからない、人の死の不条理なんて、わかりたくもない。) 透華「…………」 透華(京太郎、貴方は何故そこまで、凍てついた瞳をしているのですか……) 透華(それにまるで心まで凍らせたような打牌……) 透華(私は、京太郎とは家族になれないのですか?) 透華(私は、貴方と家族になりたいのですわ。) 透華(戸籍だけでも、血縁とかでも、表面なだけの家族ではなく、本当の意味での家族に……) 咲「京ちゃん……京ちゃんの今の打牌は、悲しい感じがするね……」 京太郎「…………」 咲「もう、一半荘、しよっか。」 透華(京太郎、貴方はお母様を失って、心を冷たくして自分を守ろうとしていたのですのね。) 透華(何も感じず、何も考えないように……) 透華(私もお母様を亡くして、とても辛かったですわ。) 透華(その時、私は周りの家族に救われましたの……) 透華(だから、今度は、私は家族として、貴方の心を融かしてみせますわ!) 透華(あまりこの方法は好きではありませんが、家族のためなら自分の信条を曲げる事など容易いのですわ。) 透華「さぁ、始めましょうか……」 透華「…………」 咲(龍門渕さんの空気が変わった……) 咲(合同合宿で見たものと同じだ……) 咲(本気だってことだよね。) 咲「京ちゃん、本気で来て。」 咲「私たちも本気だから。」 京太郎「あぁ……」 開局される。 東一局、始まった時点では何も感じなかった。 誰も鳴けない事態以外は。 異変は二局目から始まった。 咲(急に冷え込んできた……京ちゃんが本気になったの?) 咲「ん?」 咲(室内に雪?) 和「咲さん、どうしましたか?」 咲「雪が……」 和「雪?」 咲「ううん、なんでもないよ。」 咲(和ちゃんには見えてないという事は、十中八九オカルト能力……) 咲(もしかして、京ちゃんの能力って、河を凍らせるだけじゃないの?) 咲(よし、槓材が来た……) 咲(龍門渕さんの力で鳴けないからきついな……) 咲「カン。」 咲「リンシャンツモ、2000・4000。」 東三局目から冷え込みが更に強くなる。 和ちゃんはオカルトを一切受け付けないからか、寒さを感じないようだった。 咲(さ、寒い……) 咲(手が悴むよ……) 咲(しかも、さっきより雪が強い……) 咲(オカルト同士の戦いになったら、体力勝負にもなってくる……) 咲(早目に勝負を付けないと体温が奪われて負けちゃう……!) 咲(なんとか、槓材が来たけど……) 咲(少し遅かったみたい……) 咲(雪が被って嶺上牌が見えないよ……) 咲(不安で……怖くて槓できないよ……) 透華「……ツモ、1300・2600。」 咲(あがられちゃった……) 咲(それにしても龍門渕さんの顔色が良くない……) 咲(かなり無理してる……) オーラス、足先に感覚が無く、カタカタと体が震える。 今は真夏もいいとこなのに異常に寒く感じられる。 手を擦り合わせたり、息を吐いて手を温める。 明らかに限界が近かった。 私も、そして龍門渕さんも…… 咲(もう既に山に雪が被ってて見えない……) 咲(それでもあがらなくちゃ……龍門渕さんの状態もかなり厳しそう……) 京太郎(俺は……透華さんや衣さんとは何も繋がりが無くなってしまった……) 京太郎(血の繋がりが無い家族との間に、自分の存在価値を見出せないまま……) 京太郎(俺はもう要らないんじゃないか……) 京太郎(俺に龍門渕の人間として生きていく資格はあるのか……?) 京太郎(わからない……わからないよ、母さん。) 咲(また一層、寒くなった……) 咲(どこまで心を凍らせるの、京ちゃん……) 透華(意識が朦朧としてきましたわ……) 透華(指先の感覚などもう、疾うにありませんわ……) 透華(それでも、あと少し頑張れば……) 咲(槓材が揃った……) 咲(あとは嶺上牌……) 咲(でも出来るの……?) 咲(ううん、やらなくちゃ。) 咲(でないと、次に繋がらない!) 咲「カン!」 咲(お願い、あって……) 咲「…………」スッ 咲(あった……見えなくても、ちゃんとあったんだ。) 咲「花は、雪の下でも咲いているんだね……」 咲「リンシャンツモ、2000・4000。」 透華(宮永咲は何か掴んだようですわね……) 透華(それが解れば、重畳ですわ。) 透華(どうやらここまでのようですわね……) 終局して間も無く、力なく項垂れる龍門渕さんがいた。 咲「龍門渕さん!?」 ハギヨシ「どうなさいましたか!?」 咲「ハギヨシさん!龍門渕さんが……」 ハギヨシ「透華お嬢様!?」 透華「うるさいですわよ……少し疲れただけですわ……」 声にいつもの覇気がない。 ハギヨシ(手足がこんなに冷たく……そこまでして……) 京太郎「俺の……せいですか……?」 ハギヨシ「大丈夫です、透華お嬢様は少しお疲れになっただけです。」 透華「気に病むことはありませんわ。」 透華「京太郎、どうか、心を閉ざさないで……」 透華「貴方の味方はいますから。」 ハギヨシ「私どもはこれにて失礼します、それでは。」 ハギヨシさんが透華さんを抱きかかえたまま家を出て行った。 多分俺のせいだろう。 俺のせいなんだ…… 透華お嬢様を車に乗せ、出そうとした時、宮永様からお声を掛けえられました。 咲「私も行っていいですか?」 ハギヨシ「わかりました。」 大急ぎで車を飛ばし、龍門渕邸に辿り着いた時、透華お嬢様の顔色は好転しておりましたが。 大事を取ってお部屋で休まれることになりました。 お嬢様をベッドで横たわらせると衣様が駆け寄って参りました。 衣「大丈夫か!?トーカ!」 透華「衣、私、京太郎と打ってまいりましたわ。」 透華「ですが、誠に残念な事ですが……」 透華「今の私では京太郎の心を融かすまでは行きませんでしたわ……」 透華「しかし、私が治水した河は、水が引けば京太郎へと続く道になるでしょう……」 透華「ですので、あとは……頼みますわよ……」 衣「……衣にまかせろ、トーカ。」 衣「今はゆっくり養生して、鋭気を養え。」 衣「京太郎が戻ってきた時に、トーカに元気が無かったらあやつも悲しむだろう?」 透華「ふふ、そうですわね。」 咲「あの、衣ちゃん。」 衣「なんだ、咲。」 咲「京ちゃんのことについて話があるの。」 衣「……わかった。」 ―――――― ―――― ―― 衣「成る程、そういうことか。」 咲「少しでも参考になればと思って。」 衣「十分だったぞ、感謝する、咲。」 咲「あ、あの!」 咲「京ちゃんのこと、よろしくお願いします……」 衣「咲に言われるまでもない。」 衣「きょうたろーは衣たちの大事な家族だからな。」 透華さんが戻った後、和や優希の奴も帰っていった。 透華さんが倒れて、そしてそんな場面を見た俺の表情を見て、あいつらは居た堪れなくなったのだろう。 ……大分暗くなってきた、いっそのことこのまま寝て、全て忘れられればいいのに。 そう思いかけたとき、インターホンが鳴った。 ハギヨシさんだろうか、透華さんだろうか、それとも咲だろうか…… 玄関に立っていた訪問者は、その誰でもなかった。 京太郎「衣さん、純さん……」 純「よっ、元気にしてたか?」 衣「きょうたろー久方ぶりだな、息災か?」 京太郎「俺よりも透華さんの方が……」 衣「案ずるな、トーカに別状はない。」 京太郎「……そうですか。」 少し安心した、俺のせいで倒れた透華さんが無事だと聞かされて。 衣さんが言葉を続ける。 衣「きょうたろー、衣と打とう。」 京太郎「俺今そんな気分じゃ……」 衣「それでも衣は打ちたいのだ、他の誰でもなく、きょうたろーと。」 京太郎「でも、衣さんも透華さんみたいに……」 衣「きょうたろー如き孺子が、衣をどうにか出来るとでも思っているのか?」 京太郎「それでもやっぱり……」 衣「四の五の煩いぞ、この白面郎!衣と打つのだ!」 純「京太郎、打ってやってくれ、衣はこうなると言っても聞かないぜ。」 京太郎「……わかりました。」 衣(今のきょうたろーは自分の力を恐れている。) 衣(きょうたろーが自分の力を恐れて、本当の自分を晒せなくなっては孤独になってしまう。) 衣(かつての衣と同じように……) 衣(だから、衣が受け止めてやる、同じ恐れられる異能の持ち手として。) 衣(そして、耐えて、きょうたろーが全力で当たっても傷つかない者が居ると証明してやる。) 衣「さぁ、始めよう、昏鐘鳴の音はもう過ぎている。」 京太郎「純さんは打たないんですか?」 純「オレはただの付き添いだ。」 衣「衣との指しの勝負だな。」 京太郎「……わかりました。」 東一局 衣「海底ツモ、1300・2600だ。」 衣(相変わらず、きょうたろーの河が凍っているな。) 衣(だがこれはきょうたろーの本気ではない。) 衣(やはり、トーカとの対局で恐れを抱いてしまっているのか。) 衣(ならば……) 衣「きょうたろー、貴様巫山戯ているのか?」 京太郎「……いえ。」 衣「ならばトーカを下した力を見せてみろ。」 衣「衣はきょうたろー程度の力では倒れないぞ。」 京太郎「……はい。」 衣「…………」 京太郎「…………」 透華さんは俺と対局して倒れた。 そしてそれを知りつつ、衣さんは俺の力を試している。 衣さんなら受け止めてくれるのだろうか…… この心まで凍てつかせるような力を…… 怖い、恐い、また人を傷付けるのではないのかと考えてしまう。 衣(明らかに温度が下がった。) 衣(漸くきょうたろーが本気を出したか……) 衣(来い、きょうたろー、衣が、受け止めてやる。) 衣(衣は家族の孤独を受け止められぬ程、器は狭量ではないぞ!) 東二局 卓上に雪がちらついて来た。 それに息も白くなってきている。 風は次第に強くなり、衣の体温を奪っていく。 衣(これは、きょうたろーの心の悲鳴だ。) 衣(きょうたろーの悲しみ、嘆きが暴風雪のようになって人を拒んでいる。) 衣「まるで頞部陀地獄だな……」 衣「…………」 衣「ノーテンだ。」 京太郎「……ノーテン。」 衣(まさか衣がノーテンだとはな。) 衣(普段なら鳴いてでも海底牌を引くのだが……) 衣(きょうたろーと指しで打つとここまでやり難いものなのか……) 衣(それに――) 衣(四肢の感覚も危うくなってきた……) 衣(だが、衣はきょうたろーの前では決して膝を折らないぞ。) 衣(人を孤独にするような力の前で、きょうたろーを不安にしない為にも、衣は決して膝を折ってはならないんだ。) 衣「純、あれを。」 純「……まさか本当にこれを真夏に使うとは思わなかったぜ。」 純が取り出したのは厚手のコートに耳当てだ。 衣は防寒着を着て卓に再度着く。 衣「待たせたな、再開だ。」 南一局 衣(きょうたろーは自分のせいで人を傷付けるのを極端に恐れていた。) 衣(自身が傷付くのは厭わないが……) 衣「きょうたろー、衣なら大丈夫だ。」 京太郎「…………」 衣「もっと己が内を晒け出していい。」 京太郎「…………」 衣「……?」 衣(雪が止んで、雲が晴れた……?) 衣(力が弱まったのか?いや、違う、これは……!) 京太郎「…………」 衣(そうか、放射冷却か!) 京太郎「……ツモ、4000・8000。」 衣(これは……確かにきついものがあるな。) 衣(きょうたろー、お主は正しく龍門渕家の人間だ。) オーラス 衣(さっきの冷却で海の底まで凍った……) 衣(よもやここまで進化しているとはおもわなんだぞ。) 衣(しかし、感激してる場合ではない。) 衣(考えなければ、きょうたろーの氷を融かす方法を!) 衣「……!」 衣(そうだ、やった事はないが、あれを出せれば……!) 18順目 衣(よし、準備は磐石……) 衣(後は起こすだけだ。) 衣「きょうたろー。」 京太郎「…………」 衣「この、涙も凍てつかせる厳寒は、きょうたろーの心なのだろう?」 衣「きょうたろーの力は海の底まで凍りつかせる冷たさだった……」 衣「きっと衣だけではきょうたろーの氷壁を融かすことは出来ない。」 衣「だが衣はきょうたろーの連理の枝とトーカが紡いだからここにいられる。」 衣「衣は咲とトーカが道を繋いだからこそ、きょうたろーの心へと辿り着けた。」 京太郎「………………」 衣「なぁ、きょうたろーは知っているか。」 衣「仄暗く、光も届かぬ冷たい海の底でも、暖かい物はあるんだぞ……」 衣「聞こえるかきょうたろー?海底に眠る脈動が……」 衣「見えるかきょうたろー?火脈を通る血潮が。」 京太郎「…………」 海底からぐつぐつと煮え立つ海水が泡と共に噴出してきた。 それはやがてきょうたろーが張った氷をも融かし、海底に再び暖かさを齎(もたら)す。 タンッ 衣「海底ロン、8000、逆転だな。」 衣「どうだ、衣の海底火山できょうたろーの氷も融けたぞ。」 京太郎「俺は……」 衣「…………」 衣「少し、衣の話をするぞ。」 衣「衣は六年前独りになってしまった。」 衣「衣の父君と母君は衣を残して黄壌に逝ってしまったんだ……」 衣「衣はトーカと逢わなければ一人だったかもしれない。」 衣「だからきょうたろーの悲しみが解る。」 衣「衣の父君と母君が亡くなった時は泣いたんだ……」 衣「衣は泣いたぞ!いっぱい泣いた!」 衣「だからきょうたろーも泣いていいんだ……」 衣「泣いて……いいんだ……」 京太郎「俺、俺は……」 衣「もし、きょうたろーが泣けないのなら、衣が代わりに泣いてやる……」 京太郎「でも俺は、衣さん達と血の繋がりなんてないんですよ……」 衣「そんなのは関係ない!」 衣「きょうたろーと衣は血の繋がりなんて無くても家族だ!」 衣「家族なんだ!」 衣「だから、一歩でいい、こちらに足を踏み出せ。」 衣「少しでもいい、こちらに手を伸ばせ。」 衣「衣が、衣たち家族が、引っ張り上げてやる。」 京太郎「こ、ろも、さん……」 京太郎「俺……俺……!」 俺の中の何かが、融けて、決壊しそうだった。 今、俺の顔を見られたくなくて顔を俯かせる。 そんな俺をみたのか、純さんは俺の方にやってきて、片手で頭を掴み、抱きしめる。 京太郎「えっ……」 純「その、なんだ……」 純「人に顔見せたくないときもあるだろうから、オレが胸を貸してやる。」 純「…………」 純「オレはがさつでよく男みたいだと言われる女だが、一応京太郎より年上だ。」 京太郎「…………」 純「一応女ではあるけど、お前の荷物持てねぇほどやわじゃない。」 衣「……純、よくわからないぞ。」 純「だー!上手く言えねぇけど、つまりだなー!」 純「お前の兄貴役ぐらいにはなってやれるって事だ!」 京太郎「純さん……」 純「だからもっとオレらに心配かけさせろよ。」 純「もっとオレらに面倒掛けろよ。」 純「それが家族ってもんだろ。」 京太郎「すいません……純さん……」 京太郎「少しだけ……少しだけ、借ります……」 純「……おう。」 ―――――― ―――― ―― 京太郎「すいません、迷惑かけちゃって。」 純「気にすんな、迷惑なんて思っちゃいねぇし。」 京太郎「明日、顔を出しに行きます。」 衣「待っているぞ、きょうたろー。」 純「じゃあ、オレらはこれで帰るよ。」 衣「それでは、また明日だな。」 京太郎「はい、また明日。」 純「ふぅ、なんとか終わったな。」 衣「…………」ムッスー 純「どうしたんだよ?そんなむくれっ面して?」 衣「美味しい所を純に持っていかれた気がするぞ……」 純「んなことねぇよ、衣が居なかったら京太郎のやつ、きっと自分の殻に閉じ篭っていたぜ?」 純「京太郎が立ち直ったのは、衣が京太郎の力を受け止めたからだよ。」 衣「ふふん、そんなもの、当たり前だ。」 衣「なんて言ったって、衣は……」 衣「衣はきょうたろーよりお姉さんだからな!」 今まで長く過ごしてきた思い出一杯の家にしばしの別れを告げる。 母さん、たまには帰ってくるから。 そのときはまた思い出話でもしようか。 そう心の中で話した後、玄関の扉を閉め、鍵を掛ける。 龍門渕家に着き、玄関を開けると俺を待っている人達が居た。 「「「おかえり(なさいませ。)」」」 どうやら俺は思ったよりここの家族に心配を掛けていたようだ。 今ならちゃんと言えるこの言葉。 「ただいま戻りました。」 続き
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3370.html
咲「嘘だよね?」 京「本気だ」 咲「だって京ちゃんには・・・」 京「本気でお前が好きなんだ」 咲「嘘よ!だって京ちゃんにはハギヨシさんがいるじゃない」 京「は?」 京太郎「え……ハギヨシさん?」 咲「ハギ×京じゃないなんてそんなオカルトありえない!!」 京太郎「ハギ……なんだって?」 咲「私の今日からのオカズはどうすればいいの!?」 京太郎「は……?オカズ?」 咲「京ちゃんのバカーーー!!!!!!」タッタッタ 咲「うぅ……なんか涙でてきた……」タッタッタ 咲「お願い……泣きそう……」グスッ 咲「ハギ×京……このカップリングも今日で終わりか……」 咲「ああハギ×京……いいよ……妄想出来なくなるなんて……考えられない……」 咲「ああ……もう 終わるのか……」 咲「ああ……死ぬ 死のう……」 咲「ああ、いいんだもう、私はもう いい、くそぅ……」 咲「もういいんだ、何もかも終わっ……ん?」 南浦「ちょっと真っ昼間っからもう飲めませんって大沼プロ……」 大沼「はっはっは、いいじゃないかほら付き合え付き合え」 咲「ちょwwwwwwwwwwwwww」 咲「大沼×南浦キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!」 咲「これは期待wwwwwwwwwwww」ゴクリ 深夜宮永卓 咲「・・・」カリカリカリカリ 咲「・・・ふう」ノビ 咲「煮詰まっちゃったな・・・」 咲「京ちゃんが龍門渕の地下室に監禁されるまではいいんだけど・・・その後の展開がどうも滾らないよ」 咲「・・・12時か」 咲「今日はもう寝よっかな」 パチン 咲「お休み、京ちゃん」 翌日 咲「ふああぁ・・・」 咲「(結局ふとんに入ってからも次の展開を考えてたらあんまり眠れなかったよ・・・)」 京太郎「おっす!咲」 咲「あ、京ちゃんおはよー」 京太郎「相変わらず麻雀してないときはボーっとした顔してんなぁ」 咲「なっ!ちょっと寝不足なだけだよ!」 京太郎「寝不足って・・・何してたんだ?」 咲「それはその・・・」 咲「(・・・言えない)」 京太郎「あっ原村さんだ!」 咲「えっ」 和「宮永さん、京太郎さん、おはようございます」 咲「おはよう原村さん」 京太郎「おはよう!」 和「あら?宮永さん目の下にクマが・・・大丈夫ですか?」 咲「う、うん」 京太郎「どうせ何か変な妄想でもしてたんだろ」 咲「ちっ!違うよっ!!」 京太郎「そんな大声出さなくても・・・」 和「では私はちょっと職員室へ寄るので・・・」 咲「あ、うん。また部室でね」 京太郎「部活で~」 和「はい」 スタスタ 京太郎「いや~やっぱ原村さんは可愛いな~」ニヘラ 咲「ム」 男子「オッス京太郎!」ガシッ 京太郎「うわっ!引っ付いてくるんじゃねえ!」 男子「おはよー咲ちゃん」 咲「おはよ」 京太郎「離れろっつーの」 男子「照れんなって!」 京太郎「キモイっつーの!」グイグイ 咲「(・・・友達と戯れる京ちゃん)」 咲「(触れ合う肌と肌、互いに激しくなっていく動悸)」 咲「(気がつけば二人は手を握り合い・・・唇と唇の距離が近づいていく)」 咲「(これぞ禁断の皆既日食―!)」ニヤニヤ 京太郎「咲?」 咲「わっ!」 京太郎「どした?ニヤニヤして」 咲「なっ何でもないよ。私先行くね!(やばいやばい)」タッ 男子「嫁さんに振られちまったな京ちゃん♪」 京太郎「なっ」 咲「嫁さん違いますから!」 タタタタタ・・・ 京太郎「・・・真っ向否定ですか」ボソッ 男子「ん?」 京太郎「・・・・・・」グイ 男子「あ、あれ怒った?」 京太郎「・・・怒ってないよ」スタスタ 男子「怒ってる・・・」 京太郎「・・・・・・」 京太郎「・・・鈍いんだよ、咲は」
https://w.atwiki.jp/miyanagake/pages/102.html
1/10 684 京太郎とシロの出会い 石戸霞です。 あれは高校を卒業して、京太郎さんのために修行を積んでいた時代になるわ。 平行世界を垣間見た私は、この世界の京太郎さんのために巫女修行をしていたの。 書物を読み漁り、ひたすらに自分を高めていたの。 修行のしすぎで、時には手首を痛めてしまうこともあったわ。 それでも京太郎さんのためを思い、私は日々鍛錬を続けていたの。 ...-―――-... / \ / / ト \ \ / / / l l |l l i‘ ヽ ト、 . l l l l l リ ハ リ-‘ | |l |i| | l l从/i // } /__ l | リ |i| | l |,斗≠ト 厶イ,斗=ミル |i| l 八 l〈 V炒 V炒 〉|l リ | | 个ト、 ,, 、 ,,, ,小 / ! 「京霞本を二回出した程度で手首が痛くなるなんて. ‘ i ∧ __ // / ノ ‘ i 分、 ` ' ... i/ /i 巫女修行が足りない証拠だわ」 ‘ ∨ i〕i=- -≦ / / | ‘ i l |∧ l ∨ / | /‘ l | ∧_// ∨ / | / /‘卅li ∨/ Ⅳ ト 、 ∠ i | i l|\ / |‘ | \. ∧ `ヽ l _| l リ_ヽ./ / ‘ |\ i‘. そう、その時の私は未熟だった。 時には滝に打たれ、時には瞑想し、時には一晩中書き続け、時には他のサークルの方と仲良くする。 他の巫女を含めて、平行世界を見ることが出来たのは私だけだった。 誰にも相談できない内容に、精神的にも体力的にも追い詰められていたわ。 そんな憂鬱な、同人即売会での出来事だった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2/10 _ \ー- 、 ∠二 _  ̄\ヽ ! -=_,,ニ二_ ヽ )} } / _,, -‐ ゝ ノ、 / / ヽ / / } .ノ / ヽ`ヽ、 /. / / l ! l ヽ / / / / / .} l .l }ヽl⌒ ) ./ / / /}∠!_ ./l__l__ l l l / ./ / { /7____| /´j_∠!_/! リ } (/{ { / \{/(。 厂`;ノ ´(。厂)トノ\人 乂 .八ハ / l ,,,`¨ ¨,,, ∧ ,ゝ ` )/从 l、 ` / } .l 「あなたは……」 _,,,../l \{ \ , 、 ./、ノヽ/)ノ ,, -<//////∧ \ >..._ ,,..イ∧ ヽ / \ ヽ/////∧ \ / .}///l } ./ .、.}/////∧ 〉∧ .|///l l / }.l//////∧ ,.ヘV∧ .l.//∧ .l / ////////∧/ } } Y////∧ノ.〈 , イ/////////∧ノ ハ ヽl.//////\./\ / }////////////∧イ Vl.////////ハ , ' . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ ..ヽ /. . . . . . . . . . . . . . . .;、 . . . . . . ヽ .. .ヽ // . ./.. /. ; / ';. . . . . . . . . . '; ....; /,' . ;'. /. l! ;' .'; l l . . ..i /.i | lL -亠 l  ̄丁T! ‐! l l . . |. i ! 、 l l!、 _」L l l --+HL_ l .;リノ . . ...| ! .l トゝ !´__ _ヽ 川 ,,z=-zy/j;イ .| | .l . lv'筰 卞 ヽ. ´ b jヽ .!l .| l l! .辷.ノ ー.― ll .| l l. ,,, ' ''' 'l . .| 「あら、宮守の……、お久しぶりです」 l l /l .|. l .l. ャー‐ッ / l / .l l ... イ / l. l >.....___ < | l / .. ' l . / l / . /. l .. /{ | / . / l . . / ゝ´ll /,' ./> 、 l . /// ! / / イ./ ヽ. l . / ,' / / ;.' / | .i. l=;/ l / ,; ,' / ! l ,' l ./ i / / / l! .l / 丿, ' /! ;' / / !ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 3/10 ___/ / / \ \ ⌒フ / , / l 〈 \\ \ / / / / /| \ ∨ \ \ / / / /-~/-| { \~ー 、' \ ) 〈 / | |八Ν__八{ | _\ ∨ l|′ / l| l ァ┼ ┬ \N┬‐┬ | | リ 〃 / l|\_从 乂゚_ノ 乂゚ノノ}∧l/} 八/ / ,八 入 、 ,,, ,′ ト、ノ. { / }\__ ′ | 「とりあえず京霞本を三冊」. 从 八{ 込、 ∠ . イ^| }八 ∨ \从_}> . __ イ 八jノ ) / \__ Κj/ _/ //〉_∧ ‘, / .∨ ,/// ∨ } .. . . ´ ∨//\__//∨ `ト、 /∨ ∨\ i i i/ { . . | \ { ∨ \/ i∧\{ . . | ∧. ′ ′ ′ | / ' . \ | l | | ′ ' . | l | | /| ′ ' | | | | l | l l i-l l‐ | | ---| |l | | | l | l l |八 | l | |__, | |l | | | l |l |\从 l __}八{ l ノ 从 リ 八 j | l 八 | ,,xぅ斧笄ミ\ |斗ぅ斧x )/ / / ノ | l \ | 《 h __j刈 `ー┘ h__j_| 》厶イ イ | | 个゙ 乂廴ソ 乂_ソ ,′ | | | | , ,′ | | ┃ | `` `` ,′ | 「ありがとうございますー」 | ‘ |\ r‐ ┐ 人 | | ‘ | | ` ´ イ _ _ __ 八 | ‘ 「 | ` .... | l / / /^Yヽ | ‘ |八 T7^\ | / / / /Y^, | ‘ |\\ // `丶/ / / / | ! | -‐ ‘ | \\ .//. / / / / .八 | -‐'^´ ‘ | \\ // / / / / / ト、ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 4/10 そう、私とシロさんはそこで出会ったの。 その場では話もそこそこに、帰り道を一緒にしたわ。 「小瀬川さん、よろしければご飯でも食べに行きませんか?」 「わかった……」 「それにしても意外ね。小瀬川さんがここまで来るなんて」 「今回は特別……。私だってやりたいことにはやる気を出す」 それと、シロでいい」 「それじゃあ私も霞でいいですよ」 誰にも言えなかった趣味を共有出来る人ができたと思った私は興奮していたの。 「シロさんに本を買ってもらえるなんて光栄だわ」 「別に……京の本を売っている人なんて珍しいから」 「あら? シロさんも京太郎さんと知り合いなの?」 「うん」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 5/10 \ー―――‐` } \ --- 、 __ノ_⌒ヽ /⌒ / / Y^ , ー=≠ / | ',. / / / / \_ / / / / / / Y´. / / / / _/_/イ_/, 、__/ ∧ | /./ / /´/|/´-l/ // /`^ヘ | | l| 八{ / j/ ll ∧ |芹苧豕 /l/苧豕, ∧| | l| / イ / Ν/-、| | 乂_ソ}/ ヒソノ∧八 リノ. { | \、_jノ 、 , ∨ 「私と京は前世で結ばれた関係だから」 \八 厂〕ト _ 人 i|\) )/(\ノ/}> ´ イi i ト、)ノ / (\\\ 爪 i i i i i |∧ ⊂ニ=---、__〉\ i i i | \ / i i⊂ニニヽ \{\ | i i i| } ̄ |. / i i i i i iノ { \_,| i i i \ | / ̄て二...__......_ `゙< i i\ ノ | ∨ i i i i i > .  ̄ ̄ `ヽ | ∨ i i i i i i i i i > . ',. /| ∨ i i i i i i i i i i i i i> .. } / / i i i i i i i i i i i i i i i i/i |  ̄ ̄ { } i i i i i i i i i i/ i i i i0└┐___. \ ∨ i i -=彡 i i i i i i i i i/ i | i i i i i . `ト――┬く i i i i i i i i i i i i i i i i /i i i | i i i i i . | | \ i i i i i i i i i i i i i i i i i/| i i i i i -―――- .... ´ ` ..、 / \ \ \ / / | ト、 \ \ \ \ / / l | | \ \ | \ . / / Ν | |´  ̄\八 | . | i l-\ l八 斧苧干 | | | | | \l __\{ 乂hソ | | | | |l l |斥汽 | | | | 八 l∧乂ソ , ″ | | | | Y . ″ | | | |. | l 从 __ _ | | 八 「ふんふむ」 八 \ l┌ヘ)` /| | / / \ Y 二二〉‐=≦ | | / / ∨ ┬_]┘ | 从 | / / / 八 /l_/⌒∨ | ∧ / / ノ/ // /∨ |⌒ 、. _ノ / // / ∨| \ _// / // / ゙ | \ \ / // /'"´ / / ゙ . } ,. / / , '" / / ゙o.j / / {/ / / ゙ \ / . / / / / | l \/ / / / / | |\ \ ト. { ./ / / . . . . . .. ノ´| ∧ | || { { / / . . . . l / | | || { 八 { { 八 | | || { l\ { { _ _ / /| | || { | \ \ -=ニ二ニ=- 、 / / | | || { | / ̄ ̄[二二フ二フ二二二二二二[ / .ノ ノ |人ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 6/10 …… … 私と京は、前世で従姉妹だった。 『シロ姉、疲れたよー』 『運動で疲れたのはわかるけれど、洗濯物は出して。 それに、ご飯も食べるでしょ?』 『やった! シロ姉の料理は美味しいからなァ」 なんやかんやあって身寄りのなくなった私たちは、二人で暮らしていた。 私は面倒くさがりで、京と二人で暮らすまでは自分で家事なんてしたことなかった。 けど、そんな面倒なことも京の嬉しそうな顔を見られるというだけで、頑張れるようになった。 『面倒くさがりのシロ姉がこんなに家事をするなんて思わなかったよ』 『京、そんなことを言うならご飯抜き……』 『わっ、シロ姉ごめんって!』 嘘。京にはいっぱいご飯を食べてもらって、元気に育って欲しい。 私は京の【[[お姉ちゃん]]】だから、京のために頑張るのは当然。 『シロ姉聞いてよ! 寺子屋でさー、女の子が弁当作ってきてくれたんだよ!』 ピクリ、と自分の体が反応したのがわかった。 『でも、俺にはシロ姉が作ってきてくれた弁当があるからさ』 『……恋人が出来て、お弁当がいらなくなったら言えばいい』 『えー! 俺はシロ姉の弁当が一番力が出るんだよね』 『京はお姉ちゃん離れしないとダメでしょ』 『俺、家族離れなんてしたくないよ』 自分が嘘をついているのがわかった。 京に恋人なんで出来て欲しくない。 京にお姉ちゃん離れして欲しくない。 京に他人なんていらない。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 7/10 / / `ヽー、 ー、 `ー /´ _ -‐ァ'/ ´⌒ヽ 、 ヽ、_ 彡 ´ /⌒ィ'´ / ', \ ヽ /´ア´ / / / ! ', ヽ ({ / ノ / / ! l \ 、 \ `Y ィ´ / / i l '. 、 ヽ. ',_ `ー- / / /イ/i{ j{ j 、 \ ヾ  ̄´ , ィア,' イ /`7~ヽ ハ 八 (ヽ ト、 } ー、 j/ / { { イzx、_エ、 j |~~、 ヽ Y`ヽ }! ソ \}⌒j ´ { ヽハ、{i 佞i「ヽ. ハ{\{zュ.jYハ } 〉ハ ヽ. ∨ ハ `  ̄ \{ ヽ `芒!リイ ノ /イ ハ ヽ { j! ! 、 } ヽ! 〈 /フ j! / リ 「京には私がいればいい」 `ヘハ ト j /´j} ハ ノ ` \ ゚ ` / / ノ j_ノ ´ _ -=ニ7⌒ヽ __ .. イ / `7=ュ。_ イ 「ニニニ7 人j ハ 〈 /ニニニ´⌒ヽ ´ i ニニニ{ /l] `Y ', V /ニニ/ '. l ニニニ、/! [! ( '. Vニニ7 } / ハ ニニニニニ| マ、 ィハ Vニ7 ′ / ', ニニニニニ| マ、ィ´ 。 V /ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 8/10 自分の考えが狂っていることは自覚していた。 どうしても京が欲しかった。 ……それでも、脳裏に浮かんだのは無邪気に笑う京の姿。 私が狂うことによって京が悲しむのなら、不幸になるのなら耐えよう。 家族として、京の幸せを祈れるのならばそれでいい。 物分かりのいい自分と、浅ましい自分が対立する。 気づけば、寝ている京をじっと見つめていた。 ーーーせめて、最後に一つ、思い出だけでも。 想いをを断ち切るつもりで、寝ている京にキスをした。 すると、布団の中に引きずり込まれて抱きしめられた。 何が起こったのかわからず、混乱する。 『シロ姉、俺も我慢できないよ』 『京……』 『弁当は、好きな人がいるって断ったんだ。 シロ姉のことが、ずっと好きだったから』 『いいよ。京の好きにして』 『シロ姉……っ!』 … ……ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 9/10 …… … ... ----- ... .. ´ ` .. / . \ / . / / / l | l . ′ / / / l l | |\ l . | l l | l__l l | | __} ト l | | l |八{__\从ノ __j ノ| l | | | 抖ぅ竿 ´竿冬、 l / | | l从乂ツ 乂ツ'仏イ ; ‘ ∧{ 、、 ' 、、 }∧ / 「まぁ! すごくロマンチックな話ですね!」 ∨ 八 ┌‐┐ 八 /. ∨ ... ` ´ . イ / ∨ | 〕iト -- i〔| | / _|=ミl/´ | ll | / / / / /| | /l | { ̄ ̄`丶 / /∠..._ | |\_,// | |\ }∧ {/´ `ヽnm/´| | ̄`丶{ ∧ / r|| l〈 | | \ |. / /l || | ∨八 \ ‘,|. ,′ / ノ|l | \ \ !. | / / ! ', \ \ |. 从 / _/ | ',__ \ \| {/∧ { .// .人 \\ \ }八 /} \__/ / /_\ } \__,/| \ / /´ ̄ / {/{三三三≧=ヘ \ | \ 「……信じてくれるの?」 「ええ! 実は私も、[[平行世界]]で京太郎さんと連れあった仲ですから! 同じ人を好きになったんですから、その気持ちが本物だってわかりますよ!」 柄にもなく興奮してしまったわ。 自分と同じような境遇の人に出会って、とても嬉しかったの。 「そう、あなたも雰囲気が普通ではないと思っていたけれども」 「うふふ、興奮してごめんなさいね」 「一つ聞かせて、あなたは何故、京と出会おうとしないの?」 「それはあなたも同じでしょう?」 / \ \ / . / \ . ′ . . . /. . . ./ /. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ト、. . . . . . . . . . .. i | | l / / | ‘ | |. | | | l /l / | | ‘ | | | | | l l´l l` | | /--、| 八 | l | |/\ |-\{- | /l/ -、 И/ | ! | | ,,xぅ气芹ミ,ノ / 斗ぅ冬,, ノ |. ! /! |〈 lh__,j刈  ̄ |h_j | 》/ | 「今の京太郎さんが誰のことを好きなのか、わかっていますから」. ! 八 ‘ | 乂辷ソ 乂_ソ ; ;. ‘ \} | 、、、 , 、、 , ; ‘ | | ′ ; ‘ | |\ 、 _, .イ / ‘ | | l` . . イ | /. ‘ | | r| ` ┬=≦l | | / \ 八 | ∧\ l| |\ノ | | | _\ |' ∧、\ l| | ⌒i| | | / \ ∧\\ l| | 八 | ト、 / \ ∧ \ソ' | \ | \ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 10/10 それから意気投合した私たちは、現在に至るまでずっと親友になったの。 シロさんは欲望を抑えるためのものとして私の本を買ってくれるし、私がネタに迷った時にはシロさんに進む方向を決めてもらえる。 時々、京白本を作って差し入れした時には、本当に喜んでくれたわ。うふふ。 //ア / / イ ト、 \ \ \ \. // / / / | | \ \ \ \ \. /′i / /i | │ \ `ヽ `ー- 、 Y⌒ヽ} { | , イ ハ`¨´`T´ | 、 \ト、 ヽ `ー- 、 \_ } | | | ト、ハ≫=zzz、 ! `¨´`¨´`¨´`¨´ | |\ ヽ`ヽノ\. 人 | | | 代 { __} \| ィ=- ..,,__\ト、 j │ \ } \ \! 〉、 ! . 乂_フ ´下¨¨“_卞ゝ jイ ノ ヽ ノ i / ヽ ハ 弋 `フ ノ j/`ヽ j/ | 「霞、笑ってないで次のページ渡して。. / / / . , `¨¨´ ノ ト、 ト、 i | i 从 / ト、 | ヽ. ; } / 早く校正しないと間に合わない」 l 人 ト、 ト、 _ rー-イ イ ! \ ! } / j/ ∨ \! ∨V .> ` イ {ス人jヽノ jノ jノ j/ , ´∠ニニ>、 _ ... イ / \ / /ニニニニニ7 λ / /入 / {ニニニニニ7/「八. / //二\ --- ... ´ ` ...、 / \. / / \ / / / / / | .. ′ / / /| / / / ∧ | | l . | | | l |-| l / / / / l | | |l | | | l | |八 !从{ / / /--.l | | |l | | 八从斧苧ミxl厶厶イ- 、从 | |l | | | |l^乂_ツ 斧ミv' 厶イ 八| | 人|l 、、 Vツ }/ / ノ 「はーい」 | 从 ' 、、 / / | l\ `ー ..イ /. 八 l ┬‐=≦ | / -\ |\ h\| | ′. ´ 〈 |∧ | \ ノl l゙` | { /l l | }=| \/ | | |\. / ll l | l |\ 〉 | .\! / l l Lノ l | \ ./ | .\ | さて、私たちは京白霞本の続きを執筆しなきゃいけないからね。 今回の話はここまでよ。カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3342.html
京太郎「パンツ~パンツはいらんかね~」 照「パンツ屋さ~ん!!」 京太郎「おや、また来たんですか照さん」 照「今日は咲のパンツを四枚くれ」 京太郎「もうすっかり常連さんですね」 京太郎「それで代金は?」 照「ああ」 照「菫パンツ一枚と亦野パンツ一枚と渋谷靴下三セットに大星パンツ二枚だ」 京太郎「う~ん、最近は大星パンツの価格が落ちてきてますからねぇ」 照「そこをなんとか」 京太郎「まあ照さんは常連ですしおまけしときましょう」 照「助かる」 京太郎「じゃあポイントカードを出してください」 照「はい」サッ 京太郎「今日は木曜日何でスタンプは三倍ですよ」 京太郎「お、あと咲パンツ一枚でスタンプ100個貯まりますよ」 照「む、今月はもうキツいんだけどな。菫の使用済みストロー10本とペットボトル3本で咲パンツは買えるか?」 京太郎「ええ、近頃菫さん関連は高騰しているので充分ですね」 照「じゃあそれで」 京太郎「これでポイントカードがスタンプいっぱいになりましたので商品贈呈です」 京太郎「こちらのカタログからお選びください」サッ 照「」ペラペラ 照「!?こ、これは!!」 照「この『脱ぎたて咲ブラ咲パンセット』というのはなんだ!!」 京太郎「そちらは文字通り脱ぎたての咲ブラ咲パンを即座にタッパーに回収、品質を保ったまま二日以内にお届けする品です」 照「これを頼む!!」 京太郎「そちらは入手が不定期になりますので入手次第メールで連絡致します」 照「分かった」 京太郎「では次回のご利用をお待ちしております」 京太郎「パンツ~パンツはいらんかね~」 泉「お、パンツ屋さんや」 京太郎「おや二条さん。ちょうど良いところに来ましたね」 泉「へ?」 京太郎「つい先日、レアものを仕入れたところなんですよ」 京太郎「なんと弘世さんが使用したストロー10本とペットボトル3ぼ……」 泉「買った!!」 京太郎「それで代金は?」 泉「園城寺パン一枚に清水谷ブラパン1セット、船パン二枚や」 京太郎「それだとストローはともかくペットボトルの方は無理ですね」 泉「そんな!!そこをなんとかならへんの!?」 京太郎「これでもかなり勉強している方なんですけどね」 京太郎「江口さん関連が品薄なのでそれがあればよかったんですが……」 泉「一応江口先輩の着たタンクトップが一枚あるんやけど、クリーニング済みやしなぁ」 京太郎「ふむ」 京太郎「ではとりあえず今回は手付金としてそのタンクトップを貰いましょう」 京太郎「それで売らずにこちらで保管しておきますから」 泉「そうか。それなら頼むわ!」 京太郎「では今回の分のスタンプをポイントカードに押しときますね」ペタペタ 泉「あ、そういえば明後日ならポイントスタンプ四倍やったやん。損こいたわぁ」 京太郎「まぁ今回のものはレアものでしたからね。明後日には売れてしまっていたかもしれませんし」 泉「ならラッキーやったかな」 京太郎「それでは次回までに料金の方をお願いします。では」 京太郎「パンツ~パンツはいらんかね~」 洋榎「久のパンツ出しぃや!!」 京太郎「いきなりですね愛宕さん」 洋榎「当たり前や。こっちは前々から予約入れとんのに中々手に入らんのやから」 京太郎「部長のは需要に供給が追い付いていないんですよ」 京太郎「とりあえず今回はパンツ二枚だけですが」 京太郎「以前から予約いただいていたのにお待たせしてしまったのでパンストを一枚サービスさせていただきます」 洋榎「ホンマか!?」 京太郎「はい、ですから今後ともご贔屓に」 洋榎「おう、贔屓にするで」 洋榎「ほんで代金なんやけどな」 洋榎「恭子パン二枚とうちの脱ぎたてホカホカパン一枚でどうや!!」 京太郎「はい、結構です」 洋榎「ほな、おおきにな!!」 京太郎「もしもし愛宕さんですか?実はお姉さんが二分前に脱いたパンツが手に入ったんですが──」 京太郎「パンツ~パンツはいらんかね~」 憧「お、やっと着た」 京太郎「新子さん。今回はご足労いただきありがとうございます」 憧「別に構わないわよ。いつも世話になってるんだし」 京太郎「そう言っていただけるとありがたいです」 京太郎「ではこちらから注文していた松実宥さんのマフラー、パンツ、ブラ、その他は手に入りましたか?」 憧「もちろんよ。マフラー二着、パンツ三枚、ブラ四着、靴下五セット、他にも使用済み割り箸とか色々用意してあるわ」 京太郎「ありがとうございます。近頃松実宥さん関連は品薄が続いているので助かります」 憧「それで報酬は?」 京太郎「まずは高鴨さんの小学生時代のジャージ一着、中学生時代のジャージ二着です」 京太郎「ただ、小学生時代のジャージについては年代物ですので若干の品質の劣化があります」 憧「構わないわよ。というかどうやってそんなの手に入れたのよ」 京太郎「申し訳ありませんが仕入れ先については守秘義務がございますので」 憧「ゴメンね、野暮なこと聞いて」 京太郎「お気になさらず」 京太郎「次に千里山の江口さんのパンツ三枚、ブラ三着(内二着スポーツブラ)、短パン二着」 京太郎「小学生時代の卒業文集、中学生時代の卒業文集、使用済みフェイスタオル四枚」 京太郎「あとクリーニング済みですがタンクトップもお付け致します」 憧「充分よ」 京太郎「それでは商談成立ですね」 京太郎「ご用命があればいつでも御呼びください」ペッコリン 久「はい、須賀くん。約束していた前払いの品よ」 京太郎「手作りクッキーに和パン三枚」 京太郎「確かに受けとりました」 久「約束の品、期待しているわよ」 京太郎「任せてください」 春「」ポリポリ 京太郎「滝見さん。先日ご連絡したものはこちらにございます」 春「これが……」 京太郎「はい。『竹井久手作りクッキー』です」 春「」パク 春「美味しい///」 京太郎「では代金の方は」 春「……そこに置いてある」 京太郎「永水五人の巫女装束一着ずつの計五着、確かに受けとりました」 春「また呼ぶ」 京太郎「はい。どうぞご贔屓に」 京太郎「部長、ただいま戻りました」 久「そう。それで注文の品は?」 京太郎「こちらにあります」 京太郎「これがご注文の巫女装束サイズ違い五着です」 久「ありがとう須賀くん」 久「やっぱり巫女プレイをするにしても市販のコスプレなんかより本物を着させた方が背徳感も合わさってより興奮するわね」 久「サイズも一通りあるし誰とでもいけるわね」 京太郎「ご要望があればいつでもどうぞ」