約 969,365 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3352.html
京太郎「(昨日は部員だけで全国優勝の祝賀会)」 京太郎「(当然俺らは未成年だからアルコールはNGなんだけど)」 京太郎「(何故かあったチューハイをジュースと間違えて呑んでしまってからの記憶がない)」 京太郎「(気が付いたらホテルらしき一室のベッドで寝ていた)」 京太郎「(というかなんで……)」 咲「んん……」スヤスヤ 京太郎「咲が隣に寝てんだよ」 京太郎「しかもなんで俺は服着てないんだよ」 京太郎「これはもうアレってことだよな」 咲「う~ん……」 咲「あれ?ここ何処?」メヲコスリ 京太郎「(咲が起きた)」 咲「……京ちゃん……?」 咲「え、あれ、なんで私……え!?」 咲「(なんで京ちゃんとおんなじベッドに!?というかなんで京ちゃん服着てないの!?)」 咲「(って私も裸だし!!)」アタフタ ?「(さてと。今日も朝の日課である咲さんの携帯にこっそりつけた盗聴器etcのチェックを)」 ?「あれ?GPSの反応が宮永さんのお宅ではありませんね」 ?「ここはたしか……駅前のラブホテル……」 ?「……まさか!」 ?「……あの男の反応もここから……」 ?「…………ソンナオカルトアリマセン」 ?「(さてと。今日も朝の日課である咲の携帯にこっそりつけた盗聴器etcのチェックを)」 ?「おや?GPSの反応が実家じゃない」 ?「ここはたしか……駅前にある……」 ?「ど、どういうこと……そうだ。このラブホテルの監視カメラをジャックして相方の有無をチェックしなきゃ……」 ?「……この金髪は確か……」 ?「須賀京太郎……」 ?「……貴様の誕生日なんか知らないけど命日は今日だ」ギュルギュル 京太郎「」 咲「」 京太郎「」 咲「」 京太郎・咲「「あの!!」」 京太郎・咲「「……」」 京太郎「……さ、先にどうぞ」 咲「う、うん」 咲「あのさ京ちゃん……これってつまり……そういうことだよね」 京太郎「ああ(覚えてないけど多分)」 咲「そっか」 咲「エヘヘ、そうなんだ///」 京太郎「(かわいい)」 咲「京ちゃんあのね……私……こういうこと初めてであのね」 咲「……責任……取ってよね」 京太郎「え、ああ、あのな、その……」 咲「」 京太郎「……こ、こちらこそよろしくお願いいたします」 咲「わ、私お風呂入ってくるね!!」バタバタ 京太郎「お、おう」 京太郎「(これで俺も大人の階段上っちゃったのか)」 京太郎「」 京太郎「古い~アルバムの中~に~♪」 京太郎「(あ、シーツに血が着いてる。追加料金とか取られたりすんのかな?)」 咲「」チャプン 咲「」 咲「///」 咲「~~~~~~~~~///(声にならない喜声)」 咲「(どうしようどうしよう!!)」 咲「(私と京ちゃんが…………~~~~~~///)」 咲「(えっとまずは和ちゃんに報告して、部長達にもちゃんと言った方がいいかな)」 咲「(あとお姉ちゃんにも)」 咲「」 咲「須賀咲」ボソッ 咲「エヘヘ///」 京太郎「手に届く宇宙は~ふふんふふんふん~ふんふふん~」 京太郎「そういやこういうところのテレビってアダルトチャンネル見放題って漫画で読んだことあったな」 京太郎「暇だし観るか」 京太郎「」ポチットナ 松本アナ『──次のニュースです』 京太郎「普通のも観れんだ」 松本アナ『──本日未明、東京都○○区白糸台において巨大な竜巻が発生しました』 松本アナ『幸い怪我人はありませんでしたが、周辺住民が一時避難するなどの──』 京太郎「白糸台って照さん達のとこだよな。心配だな」 松本アナ『──CMの後は針生アナのコーナー。今日のお題はアンコ入りパスタライスです』 京太郎「とりあえず咲が風呂を上がるまえに服着とくか」ゴソゴソ 咲「上がったよー」 京太郎「おう」 咲「あれ?京ちゃん服着ちゃってるけどお風呂入らないの?」 京太郎「おう」 京太郎「(って咲、服着ちゃったのか)」 京太郎「(一旦バスローブ挟んでの着衣とかがよかったな)」 京太郎「(でも濡れ髪の咲ってなんか色気あるな)」 咲「ねえ京ちゃん」 京太郎「なんだ」 咲「はい、これ」ポス 京太郎「ドライヤー?」 咲「うん」 咲「ずいぶん前に見たドラマなんだけどね。女の人が恋人に髪を乾かしてもらってるシーンがあってね」 咲「ずっとそのシーンに憧れてたんだ///」 咲「……ダメかな」ウワメヅカイ 京太郎「(もう反則だろこれは)」 京太郎「おまかせあれ!!」 京太郎「ほら乾いたぞ」 咲「ありがとう京ちゃん」 京太郎「(あの∠はいくら撫で付けても直らなかったけどどうなってんだ炉)」 京太郎「そろそろチェックアウトの時間だな。もう出るか」 咲「そうだね」 京太郎「忘れもんとかするなよ」トビラアケ 久「たまにはこういうところでするのも新鮮で良かったわね」ツヤツヤ ゆみ「あ、ああそうだな」グッタリ 京太郎「」トビラシメ 咲「どうしたの京ちゃん。忘れ物?」 京太郎「あ~いや!!その、もう一○分だけ出るの待とうぜ!!」 咲「?」 京太郎「そろそろ出ても大丈夫かな」 咲「なんのこと?」 京太郎「いや、こっちの話」 咲「?」 京太郎「それよりここ出たらどうする?今日は休日だしどっか行くか?」 咲「え」 京太郎「あ~もしかして身体がダルかったりするか?その……初めてだったんだろ」 咲「あ///」 咲「ぜ、全然大丈夫、元気だよ///」 京太郎「じゃあ何処行こっか」 咲「う~ん」 咲「……京ちゃんと一緒なら何処でもいいよ///」 京太郎「///」 京太郎「(やばい、今俺にやけてめっちゃキモい顔になってるだろうな)」 京太郎「それなら水族館にでも行くか」 咲「CMでやってた新しく出来た水族館?」 京太郎「ああ。この辺から近いし、家からもそんなに離れてないしな」 ~~水族館入口~~ 咲「私水族館って初めてだよ!!」 京太郎「へえそうなんだ。なら水族館にして正解だったな」 咲「うん!!」 咲「あと、京ちゃんと一緒に二人きりで出掛けたことは何度もあるけど、あくまでも友達同士だったし」 咲「こんな風にちゃんとした『デート』って感じのは初めてだよね」 咲「だからそれも嬉しいかな」ニコッ 京太郎「……可愛い」 咲「えっ///」 京太郎「(思わず声に出ちまった)」 京太郎「学生二枚です」 受付「かしこまりました」 咲「ねぇ京ちゃん」 京太郎「ん?」 咲「本当に私がお金出さなくてもいいの?」 京太郎「気にすんなって。初めてのデートでくらい見栄張らせてくれよ」 咲「でも……」 京太郎「あ、そうだ咲」 咲「なに?」 京太郎「手……繋いでいいか」 咲「……うん」ギュッ 京太郎「何処から回る?」 咲「あっ、京ちゃんちょっと待って」 京太郎「ん、どうした?」 咲「その、私……ちょっと……」 京太郎「?」 京太郎「あ、トイレか」 咲「はっきり言わないでよ馬鹿///」 京太郎「わりぃわりぃ」 京太郎「(咲のトイレ待ちか)」 京太郎「(へえ、ここイルカショーとかもあるんだ。海水とかどうしてんだろ)」 京太郎「(ん?あれは…………)」 久「可愛いわね」 洋榎「な!?突然何言うてんねん///」 久「あら、イルカのことよ。いったい何と勘違いしたの?」 洋榎「へ?あ、いや、その……」 久「冗談よ。貴女も可愛いわ」クスッ 洋榎「……アホ///」 京太郎「(……多分あの人が死ぬときは背中刺されて死ぬんだろうな)」 咲「ただいま」 京太郎「おかえり」 京太郎「じゃとりあえずパンフレットに乗ってる順路通りに回ってみるか」 咲「うん、それでいいよ」 京太郎「イルカショーとかペンギンとのふれあいコーナーとかもあるらしいぞ」 咲「ペンギンかぁ~。和ちゃんなんか喜びそうだね」 京太郎「いつもエトペンを抱いてるしな」 ~~水族館入口~~ 照「GPSによるとここが咲たちのいる水族館か」 照「いかがわしいホテルに宿泊したからといって必ずしも『そういうこと』に及ぶとは限らない」 照「私の照魔鏡の能力でそこのところをはっきりさせなければ」 和「あら、お義姉さんじゃないですか」 照「お前は……」 和「咲さんと同じ麻雀部の原村和です」 照「そうだったな」 照「それよりその『お義姉さん』というのはなんだ」 和「友人の姉を『おねえさん』と呼ぶことになんの不思議が?」 照「(何となく分かる。コイツは敵だ)」 和「そんなことよりも!!」 照「!?」 和「お義姉さんもあの二人を追い掛けて来たんですか?」 照「ああ」 和「私も同じです」 照「あわよくば……」 照・和「「あの男を消す」」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3850.html
白糸台にいます 京太郎『淡!付き合ってくれ!!』 淡『え!?で、でも京太郎って大きい胸がいいんじゃ…』 京太郎『違うんだ……俺、実はつるぺた好きだったんだ!』 京太郎『菫先輩や尭深先輩より、照さんや淡みたいな胸が大好きなんだよ!!』 淡『京太郎……』 京太郎『対局中にこっそり見たり、激しく運動しても微動だにしないお前の胸を見たり、尭深先輩と比べてがっかりだったりするお前の胸が、大好きなんだ!!』 淡『私……パッド入れてるからもっと小さいけど…』 京太郎『むしろありがとうと言いたいくらいだ!!』 淡『京太郎……でもそれって褒めてないんじゃ……』 照「……淡……淡!」 淡「……っは!?……夢?」 照「もう時間だよ?」 淡「……テルー?みんなは?」 照「あっち」 京太郎「尭深先輩、お茶です!」 尭深「ん、ありがと」 京太郎(おお、おじぎした時に上から見えるおもちは最高だぜ) 菫「おい須賀。頼んでいた牌譜だが」 京太郎「あ、これです」 菫「ふむ……もう少し広げてくれ」 京太郎(おぉぉ……おもちが寄って来るぜひゃっほーい) 照「あんな風に鼻の下伸ばしてる」 淡(……なんだろう。夢の京太郎はすっごい違和感あったけど、今の京太郎の方がなんか安心できる) 淡「……やっぱり今のままがいいや」 照「?」 カンッ!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1108.html
前話 次話 ガタンゴトン... 京太郎「……どうしてもわかってくれませんか」 玄「それはこっちのセリフだよ!」 玄「京太郎くんはアレを知らないから! だからそんなことが言えるんだ!」 京太郎「状況証拠だけじゃ計り知れない物があるんです。 物事をもう少し客観的に見たらどうなんですか?」 玄「それを言ったら堂々巡りだよ! 結論付けるための主観でしょ!?」 京太郎「だからここで終わるにはまだ早いって言ってるんですっ。もっと詳細を議論して……」 玄「むぅぅぅぅ………」 京太郎「ぬぅぅぅぅ…………」 玄「……じゃあ……じゃあ何度も言うけど……!」 玄「やっぱり小瀬川さんのおもちが一番だって!!」 京太郎「いーえ、姉帯さんが一番ですっ!」 玄「ハリ!ツンと上を向いた形!そして沈み込む柔らかさに確かな弾力!!」 玄「小瀬川さんは、その女性なら誰でも憧れる要素全てを持つ【臼沢さんのおもち】をも超えるおもちをお持ちなんだよ!?」 京太郎「確かにそれは理想のおもちかもしれません」 京太郎「……だがそれはあくまで【女性理想のおもち】なんです!」 玄「な……なんですと!!?」 京太郎「【男性理想のおもち】というのは、なによりも包容力があること!」 京太郎「姉帯さんの高身長に負けず劣らずのあのおもち! それにマッチするのほほんとした性格!」 京太郎「想像してみてください!! 姉帯さんに、『ちょーがんばったねー』と言われながら抱擁されるところを!」 玄「お……おお……っ!」 京太郎「女神のような優しさと温もり……母性感! 全てを包み込むような……安心感!」 京太郎「それが姉帯さんのおもちにはあるんだ!!」 京太郎「形だけでも……大きさだけでも……柔らかさだけでも足りない!!」 京太郎「全てがあって【姉帯さんのおもち】なんだ!!!!」 玄「ッ!!!!」 玄「くっ……やるようになりましたね……【同志】!」 京太郎「この程度で驚きすぎですよ……【師匠】……!」 玄「……なら、私からも言わせてもらいましょうか…………いいですか? 小瀬川さんのおもちは……」 玄「【だらしないおもち】だ!!」 京太郎「な、何ィ!?」 玄「同志は三大条件の1つ【柔らかさ】をその身で体験してないハンデがある! だから分からないのも仕方がない!」 玄「私はあの日……ジャコスの家電店で臼沢さんと小瀬川さんのマッサージチェアに近づいた時……私は驚愕した!!!」 玄「小瀬川さんのおもちが……【揺れてなかった】んです!!!」 玄「通常あれほどのおもちだ……少しの振動でも揺れるのが定石……。 事実臼沢さんのおもちは上下していた……」 玄「しかし小瀬川さんは揺れなかった! 完璧な形を保っていたんです!」 玄「詰め物だったのか?と、一瞬ヨコシマな考えが脳裏を過りました」 玄「しかし……あのおもちに触れた時! 私は二度驚愕した!」 京太郎「………ゴクリ」 玄「全ては【ブラジャー】にあったのだと!!」 京太郎「ブラ……ジャー……?」 玄「そう……―これは女の子にしかわからないことかもしれませんが―……小瀬川さんのブラジャーは特別固いものでした」 玄「気が付きませんでしたよ……初見では見抜けなかった……この【おもちスカウター】をもってしても!」 玄「いったいどうしてこれほど固いブラを? より強く触れた瞬間、全てを理解した!」 玄「小瀬川さんは胸筋がまるで無い!!」 京太郎「!?」 玄「……これの指す所……わかりますね? 同志」 京太郎「ま……まさか………」 京太郎「……【縦横無尽に揺れるおもち】……!」 玄「……exactly」 玄「きっと普段のだらけきった態度のせいか、おもちまでだらしない性質をもってしまったのでしょう」 玄「自制がつかず……形は触れれば触れた分、自由に変わり……ちょっとした振動でもかなりの揺れ……」 玄「だからこそあのブラジャー! きっとあのブラの内側ではおもちがひしめき合っているハズ!」 玄「おもちが垂れず、されどだらしなさを秘めるおもち……」 玄「あの性格だからこそ生まれた……それが【小瀬川さんのおもち】なのです!!」 京太郎「!!!」 ガクッ... 京太郎「か……完敗だ……」 京太郎「洞察力……推察力……表現力……」 京太郎「どれも……今の俺じゃあ敵わない……」 京太郎「俺は……俺はァ!!」 スッ... 玄「面を上げなさい、【同志】」 京太郎「!!」 玄「確かに、あなたはまだまだ未熟だ。 千里の道の一里すら歩いていない若者でしょう」 京太郎「……ッ」 玄「だけど……それを卑下することはありませんっ」 玄「なぜならソレは! 未知なる可能性を秘めることを指しているから!!」 京太郎「!」 玄「あなたの目の前には無限の道が広がっているのです!」 玄「そして!それをあなた自身の足で踏破できるのです!」 京太郎「……ッ……ッ」 玄「……先ほどの論述、素晴らしいものでした……この短い間でよくここまで言えるようになりましたね……」 玄「……よく、成長しました」ニコッ 京太郎「【師匠】!!!!!」 玄「【同志】!!!!!」 バッ!! 玄「さぁ、この胸の中へ飛び込んで――」 京太郎「あ、いえ。 それは結構です」 玄「あれ?」 玄「……フツーここで二人抱き合ってハッピーENDでしょー」 京太郎「電車内で抱き合う趣味はありませんし、4つ目の約束に違反します」 玄「んもーお固いですなぁ京太郎くんはー……初心なんだからっ♪」 京太郎「……それに……」チラッ 玄「んっ?」 ヒソヒソ ヒソヒソ ヒソヒソ 京太郎「……流石に目立ちすぎました」 玄「あ、アチャー……」 ――22 00 玄「ん~~~!」 玄「東京だ―!!!」 京太郎「元気っすねぇ。 例によって夜だってのに」 玄「東京は夜の街だよ! むしろワクワクしてくるね!」 京太郎「そんなもんですか」 玄「あっ! メイドさんだ!! こっちにはアニメキャラクターみたいな格好の人もいるー!!」 京太郎「こら、指ささない」 玄「建物そこらじゅうポスターだらけ!! 道端はゴミだらけの異臭マンマン!!」 玄「流石東京だね!! 京太郎くん!」 京太郎「元気なのはいいんですけど田舎者過ぎる反応なんでホント止めてくださいホント」 玄「えへへ」 京太郎「さて、ホテルはこっちか。 玄さん、行きましょう」 玄「え!? ほ、ほほほほ、ホテルゥ!?」 玄「だ、駄目だよ京太郎くん! 私達まだそんな関係じゃないし! あくまでこの旅は健全におもちを探す旅であってそんな……」 京太郎「?」 ――東横○ン 玄「………ホテルってビジネスホテルかぁ」 京太郎「そりゃそうですよ。なんだと思ったんですか」 玄「そ、そりゃあ……ねぇ……?」モジモジ 玄「……ラブ」 京太郎「アホか」ポコンッ 玄「あうっ」 フロント「二名様ですね。 お部屋は?」 京太郎「2つで」 玄「あれ? 1つじゃないの?」 京太郎「岩手ん時は相部屋で狭かったですからね。 バイト代も結構貰いましたし、少し奮発しようかと」 玄「ふーん……」 京太郎「ちなみにホテルから少し歩いたところにラウンド○ンあります」 玄「え!」 京太郎「明日、バイト終わったら卓球打ちに行きましょうね」ニコッ 玄「きょ、京太郎くん……!」キラキラ 京太郎「つーわけで俺はこっちなんで」 玄「あ、部屋隣なんだ」 京太郎「何かあってもすぐ駆けつけやすいですし。それではおやすみなさい、玄さん」ガチャッ 玄「はーい。 おやすみ、京太郎くんっ」ガチャッ バタンッ ――少しして。 玄「お風呂入った! 歯磨きした!」 玄「枕よし! シーツよし! おもちよーし!」 玄「いざ! ベッドイ~ン!!」バッ 玄「………と、見せかけて!」 玄「そう単純に終わる玄さんじゃあ無いんですなこれが!」ムフフ サッサッサッ 玄(こういうホテルには決まって横穴が~なんて…………) 玄「おっ」 スススッ 玄「……あ、あった……! 本当に……! 冗談だったのに!」 玄(いやはや、探してみるもんですねぇ!!) 玄「さあて……京太郎くんは何をしてるのかな~……っと」スッ 『……はい、お久しぶりです』 玄(む? 誰かとお電話中なのかな? ……ベッドの所しか見えない~~!) 『明日の時間なんですけど……あ、そうですか?』 玄(お、京太郎くんの影が…………) 玄(ッ!!) 玄「うひゃぁ!!?」バッ 『ん?』 玄「……あわ……あわわわ…………」 玄(み、みみみみみみ……見ちゃった……) 『クシュンッ。 ……ああ、いや風邪じゃないですよ。 ただ……』 玄(きょ……京太郎くんの……!) 『風呂あがりなもんで』 玄(マッパ!!!)パオーン 玄「あわ……あわわわわ……!!」ドキドキ 玄(いい、いやいや落ち着け落ち着くんだ松実玄! こういう時は素数を数える!) 玄「そそそそ、素数が1つ……素数が2つ……素数が3つ……」ドキドキ 玄(それに! マッパとは言え実際見たのは京太郎くんの上半身だけではないか!) 玄「そ、そうだよ! ……よく見てなかったけどちゃんと下のほうはバスタオルしてた!」 玄「……ハズ……」 玄「……………でも」 玄(して……なかったら……?) 玄「………」 パオーン 玄「……………」カァァァァ ボンッ 玄「う、うひゃああああああああ!!!」 ウキャア! ウキャア! 京太郎「……? 玄さん……?」 『どうした? 随分騒がしいようだが』 京太郎「あ、いえ。 ツレがどうも騒がしい人なので。気にしないでください」 『そうか? まぁそれで、明日の時間なんだが』 『明日は午前練習の為、午後に来てほしい。午後なら何時でも良い』 京太郎「はい。 午後に白糸台ですね」 『……態々遠くから来てもらって図々しいかもしれないが……』 京太郎「いえいえ、お気遣い感謝します」 京太郎「他に何かご要望はありませんか?」 『ん、特には無いかな。 何かあったら当日言うさ』 京太郎「了解です。 それでは、また明日」 京太郎「おやすみなさい。 弘世さん」 菫『ああ。おやすみ、須賀くん』 ――翌日 玄「ほ、ほはよぅ……」 京太郎「なんでまた寝不足なんですか」 玄「ちょっと色々あって……」 京太郎「はぁ」 京太郎「……なんでこっち向かないんですか?」 玄「そ、それも色々あって……」 京太郎「はぁ」 玄「お仕事は午後なの?」 京太郎「はい。 だから午前中は東京を色々見て回ろうかと思ったんですけど……」 京太郎「調子悪いんでしたら行くの止めましょうか?」 玄「い、いや! 大丈夫! 大丈夫だよ、うん!」 京太郎「でしたらこっち向いてくださいよ玄さん」 玄「あうっ……うぅ……」 ――そんなわけで東京巡り 玄「京太郎くん! スカイ○リーだよス○イツリー!」 京太郎「実物見るの初めてっすねー。 おお、でかいでかい」 玄「高さ666メートル! そりゃあ高いはずだよねー」 京太郎「そんな不吉な数字でしたっけ」 玄「45……52……47……50……」ジロジロ 京太郎「………」 玄「おもちレベルの低いメイドさんばかりだね……」フッ 京太郎(他人のふり他人のふり、と) 玄「わお!! お持ち力65!! すばらなおーもちっ!!」 京太郎「へー、とらの○なって2店横並びにあるんだー。へー」 玄「ねえあれみて京太郎くん! あそこの人!」グイッ 京太郎「うわ、こっちくんなっ」 ――おみやげコーナー 玄「お姉ちゃんの好きそうなカイロはー……」 京太郎「おみやげにタコス……は無いか。……優希の好きそうなもん……」 玄「しずちゃんと灼ちゃんにはイソフラボンたっぷりの豆乳!!」 京太郎「あ、それ良い」 玄「……あっ。 京太郎くん見てみて、こんなのあるよ?」 京太郎「へぇ、東京湾から採れたワカメ……」 玄「うん、東京湾から採れたワカメ」 京太郎「ふーん……」 玄「迷った時は東京ばな奈!」 京太郎「部長と和にゃこれ贈るか」 京太郎(……咲には…………おっ) 京太郎「玄さん。 俺、あっちの本屋行ってきますね」 玄「はーい。 んじゃあ私精算しとくねっ」 京太郎「……最近発売のベストセラーか」 京太郎(咲の好きそうな本は…………これかな……) スッ スッ 京太郎「あっ」ピクッ 「あっ」ピクッ 京太郎「すいません……。 これ、どうぞ」 「そんな、先に手を伸ばしたのはそちらですよ。 最後の一冊ですし、そちらがどうぞ」 京太郎「別にこの本が欲しかったわけじゃないんです。 偶々目についただけ……」 京太郎「です…の……で……」 「? どうかしましたか?」 京太郎「………」 京太郎「咲?」 照「えっ?」 京太郎「あ。す、すいません。 人違いでした」 照「………」 京太郎「俺の友人に少し似てたもんで……どうもすいません」 照「…………君は……」 「京太郎くーん! お買い物終わったよ―!」 京太郎「あ、はーいっ。 ……それじゃあ、この本どうぞ」スッ 照「あ、うん」 京太郎「ではっ」タッ 照「…………」 照「…………咲……」 照「……きょーたろー…………」 ――13 00 玄「…………着いちゃったねー」 京太郎「ホントっすね」 玄「……校舎、大きいねー」 京太郎「威厳ありますよね」 玄「……なんか、怖いねー」 京太郎「そっすか?」 玄「…………」 京太郎「…………いい加減覚悟決めたらどうなんすか」 玄「だって今になって緊張しちゃってぇぇぇ」フニャァ 京太郎「気持ちはわからなくはないですけど、時間的にもう行かなきゃ……」 玄「やぁだやぁだー! まだここに居たいー!」ジタバタ 京太郎「駄々こねんな17歳」 玄「たすけてオネーチャー!!」 京太郎「ベソかくなおもち狂っ」 玄「スンスン……」 京太郎「…………全く……」スッ ガシッ 玄「うひゃあっ」 玄「え? な、何? なになにっ!?」アタフタ 京太郎「玄さん、俺たち何のためにここに来たんでしたっけ?」 玄「え? ……そ、それは……雑用しに……」 京太郎「たしかにソレも正解です。 でもそれはメインの理由じゃないでしょう?」 玄「……え……」 京太郎「探すんでしょう? 至高のおもち」 玄「……あっ……」 京太郎「おもちを求めるこの旅を提案したのは、玄さん、あなたですよ?」 京太郎「そのあなたが、たかが高校麻雀の頂点の麻雀部に行くだけで震え上がるなんてみっともない」 玄「京太郎くん……」 京太郎「もっと胸を張ってください」 京太郎「俺の【師匠】なんですからっ!」 玄「!!」 玄「……そう……だね……!」 玄「この程度のことで……へこたれるなんて私らしくありません!」 京太郎「!」 玄「行きますよ【同志】!! 今一時を大切に!! おもちは待ってはくれません!!」 京太郎「それでこそ俺の師匠だぜ!!」 玄「いざ!白糸台へ!!」 ダッ! ――五分後。 玄『……ここどこぉぉぉ……』 京太郎「……さっきの威勢は何処へ……」 玄『うへぇぇ……』 ――玄は見事、迷っていた。 京太郎「……なーにが『いざ!白糸台へ!!』ですか。 麻雀部の場所も知らずに突っ走って……」 玄『だってだって! あれはノリ的に走るでしょ普通っ!』 京太郎「校門くぐったらテンション戻しましょうよ。 玄さん全ツッパすると結構速いんだから……」 玄『うぅ……ごめんなざぁぁい……』 京太郎「……はぁぁ……」 京太郎「……それで? 今何処らへんかわかります? 周りの風景とか……」 玄『うぅん……左右に校舎があって……花壇がズラーってあって……』 京太郎「ふむふむ」 玄『それで……時計台みたいなのが近くにあるよ……』 京太郎「近くに時計台、っと。 他には?」 玄『それと…………あっ、アリさんの行列だぁ……』 京太郎「は?」 玄『……こうして……途中に小石置いて……通せんぼー』 京太郎「…………」 玄『えへへ……ワタワタしてる……可愛いなぁ……』 京太郎「……とりあえずそこでアリさん見ててください」 玄『うん! わかりました!』 ピッ 京太郎「ふぅ……」 京太郎「………………帰りてぇ……」 京太郎「……事前にパンフ貰っといて良かった……」ガサガサ 京太郎「えーっと……校舎の間で……時計台が近く……。 ……こっちか……」 京太郎「……この角を右折して…………っ!」 ドデンッ 「うひゃあ!」 京太郎「いてっ」 「っつ~~! もー! どこに目つけてんのよー!」 京太郎「あっ。す、すいません! 大丈夫ですか!?」 「いや、今のは後ろ向いてた淡が悪い」 「えー! なんでよテルー!!」 「……あっ」 照「本屋さんの……」 京太郎「え? ……あっ」 淡「んん?」 京太郎「しかしまぁ……咲とそっくりですね」 照「そう? ……そうかもね」 照「……あの子は元気?」 京太郎「元気ですよ。 中学ん時からずっとちっこいまんまですし」 照「そう」 京太郎「でも、あいつに麻雀の才能があるとは思いませんでしたよ。 お陰でなんか立つ瀬が無いというか……」 照「……そう……」 京太郎「昔っからあんな感じだったんですか? あいつ、随分小さい頃から……」 淡「こーらストップストップ! まだ私達、アンタの名前聞いてないんだけどー?」 京太郎「あっ、すいません。 そういえばそうでした」 京太郎「俺は清澄高校1年、麻雀部雑用係の須賀……」 照「きょうたろー」 京太郎「……えっ」 照「……でしょ?」クスッ 京太郎「……ど、どうやって……」 照「……」 照「秘密」 京太郎「秘密……っすか……」 照「……ふふっ」 クスクスッ 京太郎「…………」 淡「……」 淡(うわぁ……テルが営業スマイル以外で笑ってるよ……。 ブッキミー……) 照「聞こえてるよ」ガッ 淡「こ、声に出してないのに!!」 照「いいからホラ、淡も自己紹介」グイッ 淡「ううー」 淡「えー、白糸台高校1年大星淡! 1年生でありながら麻雀部の大将を務める超偉人も偉人!!」 淡「実力で言えば【高校100年生】! そんじょそこらの打ち手とはワケが違う!!」 淡「二年後は麻雀部部長就任確定で未来の白糸台を引っ張る重要な人間に……」 ポコンッ 淡「あうっ」 照「有ることだけ言う」 淡「て、テル~~」 淡「んまっ。そーいうわけでよろしくぅ!!」 京太郎「あ、ああ。 よろしく」 淡「んふふ~。どうやら私の威圧に押され気味のようかなぁ?」 淡「まぁなんてったってこの大星淡ちゃんだからね!! アハハハハ!!!」 京太郎「………」 京太郎(……うぜぇ) 照「ところで……咲は君のこと、なんて呼んでるの?」 京太郎「随分唐突ですね。 咲ですか? アイツは……」 京太郎「………『京ちゃん』って呼んでますね」 淡「ふぅん? 男女間なのに、随分フレンドリー」 京太郎「まぁ、数少ない中学からの友人だし」 淡「いわゆる幼馴染って奴?」 照「幼馴染……」 京太郎「そう言うのかな? 3年間一緒だっただけだけどさ」 照「……そう……」 照「なら、私も『京ちゃん』って呼ぶ」 京太郎「えっ」 淡「おお?」 京太郎「……な、何故に?」 照「咲は良くて私は駄目?」 京太郎「いや、別にいいですけど……」 照「なら良し」 京太郎「……は、はぁ」 照「……」ニコニコ 京太郎(なんか……嬉しそうだな……) 淡「んじゃ私もキョウタローって呼ぼーっと」 京太郎「え? ああ。別にいいけど」 淡「キョウタローも、淡って呼んでいーよ! ていうか呼べー!」 京太郎「わ、分かったよ。 淡」 淡「……んー♪ 他校の生徒に名前呼びされるなんて新鮮ー♪」 淡「私の名前を呼べること、感謝することねキョウタロー!」ズビシッ 京太郎「わーありがとうぜえ」 照「……それで京ちゃん」 京太郎「はい」 照「ここで何してるの?」 淡「ウチのパンフ? 広げて、こんな広いとこ突っ立ってて」 京太郎「………あ……」 淡「あれあれぇ?……もしかしてぇ……」ニヤニヤ 照「……迷子?」 京太郎「……いや……」 京太郎「正確には迷子探しです……」 ――― ―― ― ――13 20 中庭。 玄「アリさん……皆居なくなっちゃった……」 玄「あれからもう20分も経ってるし……遅いなぁ京太郎くん……」 「おい、そこの君。何をしてる? ウチの生徒じゃないな?」 玄「うひゃい!!?」 玄「いいいいいやいやいやいやあのその違うんです私全然怪しくないんですただそのおもちを求めて走ってたらいつの間にかここに居たっていうかここどこっていうかアリさんの行列が可愛いっていうか」 「……その反応……十分怪しいんだが……。 少し着いてきてもらおうか?」 玄「うひゃあああああ!!」 「先輩。 この人、例のバイトの……」 「ん? ……あぁ、そういえば確かに騒々しいな……」 「おい、君」 玄「ひぅっ! は、はいぃ!!」ビクッ 菫「須賀くんのツレというのは君のことか?」 玄「……ふぇ?」 玄「すいません……弘世さん……」トボトボ 菫「なに、気にしないでくれ。還って良い体験になるだろうさ」 菫「っと、渋谷。照に連絡しといてくれ」 尭深「はい」ピッ 菫「……こういったことは異例でなくてな、初めて来る者がウチで迷うなんてことはよくあることなんだ」 菫「だからそう俯かないでくれないか……松実さん」 玄「は、はい……」トボトボ 菫「……ふぅむ……」 玄「…………」 玄「……くっ……っ」ピクッ 玄「……っ……っ……」プルプル... 玄(駄目だ……玄……堪えろ……っ) 玄(まだ笑うな…………堪えるんだ…………っ) 玄(ターゲット補足……。 弘世菫……渋谷尭深……)ジー 菫「照は何て?」フヨーン 尭深「松実さんのお連れの方と一緒だそうです。先に部室にいると」ボイーン 玄(……測定……完了……ッ) 玄(弘世菫……おもち力66! その長身と均衡のとれたスタイルに映えるおもち!!) 玄(そして渋谷尭深……おもち力……な、なな……79!!! ) 玄(あれはお姉ちゃんに負けずとも劣らないレベルのおもちっ!!!!) 玄(嗚呼……ふつくしい……) 玄(……早く京太郎くんに知らせたい……!)ウズウズ 玄「……っ……っ」ニヤニヤ 尭深「? 松実さん? どこへ……」 菫「麻雀部はこっちだぞ?……ていうかそっちは壁……」 ゴツンッ 玄「あ痛ァ!?」 ― ―― ――― ――白糸台麻雀部。 ガチャッ 照「ここが私達の部室」 京太郎「うっはぁ……。 広ぇ……」 淡「稼働自動卓は全部で20台!内、5台はチーム用に分けられていてチーム専用の部屋まであるの!」 京太郎「ほぇぇ……」 照「ここは、言わばロビーのようなもの。私達、チーム【虎姫】の部屋はこっち」 淡「男子が私たちの部屋に入るなんて史上初だかんね~? 喜びなさいって!」 バシバシッ 京太郎「痛い痛い」 照「……それじゃあ。どうぞ、京ちゃん」 ガチャッ... 京太郎「は、はい。失礼しま――」 亦野「あー! やっと来たー! もー遅いっすよ皆ー。 今日は部活無かったのかと――」 ガチャンッ 照「…………」 淡「…………」 京太郎「…………」 京太郎「えっ」 『ちょっとちょっとちょっと~? なんで閉めるんですか~? 部屋間違えてませんよ~。ここ【虎姫】の部屋ですよ~』 京太郎「……って言ってますけど」 照「あ、ごめん。 つい」 ガチャッ 照「おはよう、亦野」 亦野「おはようございまーす、ていうかこんにちはっすかね宮永先輩!」 淡「今日もいたんですねー!亦野先輩!」 亦野「おいおい今日も冗談キツイな淡は全くぅーこのー!」モニモニ 淡「キャハハーッ」 亦野「いやーさっきのはビックリしましたよー! 私が部屋間違えたのかと思って【虎姫】の文字を三回確認するくらいビックリしましたって!」 照「ごめん、なんかノリで」 京太郎「…………」 亦野「お? おぉ? そこの男子はどちらさん?」 照「ほら、昨日菫が言ってた……」 亦野「ああ!ハイハイハイ! 部室やら道具の清掃してくれるバイトのな!!」 亦野「私は2年の亦野誠子! 趣味は釣りと麻雀とフィッシングと釣り!! よろしくっ!!」 京太郎「あ、ああ。 どうも、須賀です(テンション高えなこの人)」 ガチャッ 菫「……騒々しいな全く」 尭深「おはようございます」 亦野「弘世先輩に尭深ー! こんちゃーっ!」 菫「なんだ、亦野。 いたのか」 亦野「うはーまた言われたー! でも淡に言われた時よりもっと傷つくなー!」 菫「冗談だ。だから少し黙れ」 亦野「あ、はい」 菫「それで、ほら。 入りなさい」 玄「……し、失礼しまーす」 京太郎「あっ」 玄「あっ……」 玄「京太郎くん!!」 京太郎「これからはテンションに身を任せた行動は控えてくださいね」 玄「はい……」 京太郎「俺だけならまだしも、他の皆にも迷惑をかけるんですから」 玄「まことに申し訳ありません……」 京太郎「……」 ナデナデ 玄「んっ……えへへ……」 玄「……でもホント……会えて良かった……」 玄「本当に……グスッ………会えて……グスッ……」 京太郎「玄さん……何も泣く程のことじゃ……」 玄「弘世さんと渋谷さんのおもちに……」 京太郎「そっちかよ畜生」 京太郎「とまぁ説教も終わりましたし。 始めますか」 照「うん。 それじゃあ京ちゃん。 松実さん」 照「ようこそ、我らの白糸台高校へ」ニコッ パァァァァ 京太郎「うおぉ……」タジッ 玄「おおぅ……」タジッ 照「2日間のお仕事。 頑張ってね」ニコォッ 京太郎「あ、はい! よろしくお願いします!!」 玄「よ、よろしくお願いします!!」 菫(不気味だな) 淡(不気味……) 亦野「不気味なー」 照「……亦野ちょっとこっちこい」 亦野「うえっ!?」 ――そんなこんなで。 京太郎「コンベアベルト良し、Vベルト良し、ホッパーリング、テンリーダー、マットその他OK」カチャカチャ 京太郎「この台も大丈夫っと……」ガチャンッ 淡「あと15台っ。 がんばれがんばれーッ」 京太郎「……ちっとは手伝ってくれてもいいと思うんですけどねぇ~?」 淡「ん~? あれぇ~? バイトの分際でそんなこと言っちゃうんだぁ~?」 淡「これはバイト代減らしたほうがいいかなぁ~?」 京太郎「さーて次々!! いやぁ~卓がこんなに多いとやりがいがあるなぁ!」 淡「キャハハッ。その意気だキョウタロー!」 京太郎「はぁ……。……えーっと、ドライバードライバー……」 スッ 照「はい、京ちゃん」 京太郎「ん? ああ、照さん」 京太郎「ありがとうございます」スッ 照「私も手伝うよ」 淡「えーっ」 京太郎「いやいや、いいですよ。こういう力仕事は男がするもんですし」 淡「そうだよテルー! こんなの下っ端の仕事じゃーんっ。私達は忙しい身なんだからそんなのする必要ないよーっ」 京太郎「淡もああ言ってますし。時間が勿体無いですよ」 照「今日の練習は午前で終わってるし、今は皆手持ち無沙汰」 京太郎「まぁ確かにそうですけど……こんなのつまんないことですし」 照「……そんなこと無い」スッ カチャッ ...パカッ 照「二人なら、きっと楽しいよ」ニコッ 京太郎「……照さん……」 淡「むっ」 照「ここ?」 京太郎「そうです。カバー開けた時に端に見えるこのでかいのがコンベアベルトです」 照「……見た感じ欠損は無いよ」 京太郎「じゃあコンベアベルトは大丈夫ですね。次はテンリーダーの方診ましょうか」 照「テンリーダーって、これ?」 京太郎「はい。コイツを外すのはちょいとコツがありまして……」 照「……ふむ……」 ワイワイ ワイワイ 淡「………」 京太郎「ん?」 淡「…………」ジー 京太郎「…………」 京太郎(……ふむ) 京太郎「んー……やっぱり二人だけだとこの台数は辛いなーっ」 淡「!」 京太郎「誰か手を貸してくれないかなーっ」チラッ 照(……あぁ) 淡「あっ……だったら……!」 京太郎「いや、でもここにいるのは俺と照さんと忙しそうな身の淡さんだけだしなぁーっ」 淡「うぐっ」 京太郎「淡さんは手伝ってくれなさそうだし。 いやー大変だなーっ」 淡「ぐぬぬぬぬぅ……」 淡「…………きょ、キョウタロー!」 京太郎「おーなんすかー淡さーん」 淡「そんなに言うなら……て、手伝ってあげなくもない!…………けどっ?」 京太郎・照「「…………」」ニヤニヤ 淡「あっ! 二人してその顔!! もーッ!! ////」 ブォオオオオ 玄「うん。 これで床のホコリは大体いいかなっ」ピッ 菫「……すごいな……」 玄「ふふ。 こう見えて、掃除は得意なんですよっ」 菫「いや、そこもだが…………私はこういった機械がテンで駄目でな……」 玄「……ふぅん……?」 玄「!」ピコンッ 玄「でしたら教えましょう! 掃除機なんて簡単ですよ! いいですか? ここをこう持って、地面の溝に沿って……」 菫「お、おぉ。 こうか……?」 フニュ 玄「そ、そうそう! 腕をしっかり前に固定して……えへ……えへへぇ……」 菫「こうだな!」グッ フニャァ 玄「そうですフヒヒッ!」 玄(潰れるおもちすばららァァァっ!) ギュゥ 尭深「ん……」 玄「雑巾は手首だけで絞ると大変ですよ、渋谷さん」 尭深「あ、松実さん」 玄「こう、腕を伸ばして……腕全体でギューっと」スッ 尭深「……こう……かしら……」 グニュウウ 玄「そうです! もっと脇を閉めて屈んでください!!」 尭深「は、はい……」 グニュゥゥゥウウ 尭深「ど、どうですか?」 玄「あ。 ま、まだまだァ! もっと胸を閉めてください!」 尭深「は、はいッ」 グンニュゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウ 玄「あへ……アヘヘヘ……」 ――17 00 京太郎「お疲れ様でしたー」 玄「したー!」 京太郎「まさか4時間で20台の点検全て終わるとは……」 淡「途中からドライバー必要なくなったからねー」 照「回すのは得意っ」キリッ 菫「っんー……。 おかしいな……腕や腰より肩が凝ってる気がする……」 尭深「掃除機って肩に来るんですね……知らなかった……」 玄「うへへ」 京太郎(首尾は?) 玄(超上々!) 京太郎「( ´∀`)bグッ!」 玄「( ̄ー ̄)bグッ!」 玄「……あれ?そういえば亦野さんは? 姿が見えませんけど……」 菫「ああ、アイツなら絶賛仕事中だ」 玄「へ?」 菫「須賀くん、例のモノを」 京太郎「あ、はい。 こちらがリストです」スッ 菫「うむ、確かに。では早速」ピッ 玄「?」 prrrr ピッ 『もしもーし! 弘世先輩ですね!! もしかして私の仕事ですか!?』 菫「ああ、随分待たせたな。悪かった」 『いやいや! リールだハリスだの色々見てたんでむしろ早かったなーって思ってた所です!』 菫「そうか。 んじゃ、読み上げるぞー」 『はい!』 玄「あの……渋谷さん。 亦野さんは何を?」 尭深「必要な部品類を購入するために、予め大手麻雀店に行っておいたそうです」 玄「い、いつから?」 尭深「多分……3,4時間前でしょうか」 玄「えぇ……」 京太郎「常識ですね」 菫「常識だな」 照「常識」 淡「常識だねー」 玄「えええぇ」 照「とまぁ、お疲れ様。京ちゃん、松実さん。明日もよろしくね」 菫「明日は部活自体無いから午前から来てくれ」 淡「遅刻したら罰だかんねー!」 尭深「お気をつけて」 京太郎・玄「「お疲れ様でしたー!」 玄「たっきゅうマダー?」 京太郎「そんなに楽しみですか?」 玄「そりゃもう! この時の為に働いてたようなもんですよ!」 京太郎「さいですか。あ、ホラ、見えて来ましたよ。 あそこです」 玄「わーい! たっきゅう! たっきゅう!」ダッ ラウンド○ン『しばらく休みます』 玄「 」 玄「…………る~るる~……るるる~……」 京太郎「玄さん…………」 玄「…………あれがデネブアルタイルベガ……君が指す夏の大三角……」 京太郎「事前に調べなかった俺が悪かったです…………本当にすいませんでした……」 玄「…………」 京太郎「…………ちなみにアレは北斗七星です」 玄「……グスッ」 ――― ―― ― 京太郎「ってなことがあってさ」カチャカチャ 淡「ふーん?」 京太郎「昨日帰った後はずっとふて寝してたよ」ガチャンッ 照「ふーん……」 照「……でもその割には……」チラッ 玄「あっ! 弘世さん! おはようございます!! 今日も1日、胸張って行きましょう!」 菫「あ、ああ。 その調子で頑張ってくれ……」 玄「おっひょー! おはようございます渋谷さん!! 今日も弾んでますねぇ!!」 尭深「お、おはようございます松実さん……。……弾む?」 照「……随分元気そうだけど」 京太郎「……そういう人ですから……。 淡、そこのピン取って」 淡「ほいほーいっ」スッ ガチンッ 京太郎「よっし。 これでおしまいっと」 淡「あれ? もう終わり? 早くない?」 京太郎「今日やる分まで昨日やっちゃったからなぁ」 淡「ふふ~ん。 私のおかげねっ」 京太郎「ああ、その通り。 ありがとう、淡」ナデナデ 淡「んふふ~っ。 撫でんなし~」ニコニコ 京太郎「満更でもねえくせによぉ~」ウリウリウリ 淡「やめろし~っ!」ニコニコニコ 京太郎「照さんもありがとうございました」 照「ん」 京太郎「正直照さん照さんが手伝ってくれなかったら昨日で終わらなかったかと……」 ナデナデ 京太郎「んっ……」 照「……」ニコニコ 玄「こっちも最後のお掃除終わったよ~」 京太郎「了解でーす。 ……ん? この匂いは……」 菫「二人共お疲れ。カレーを作った。 食べていくといい」 玄「カレー! やたっ!」 京太郎「シーフードカレーですか。いいですね」 亦野「材料調達、アタシアタシ!」 菫「辛さは甘口と中辛がある。好きな方とれ」 淡「はいはーい! アタシ甘口ー!」 照「同じく」 尭深「中辛」 亦野「アタシだけ辛口なんだー! いいだろー!」 菫「亦野」 亦野「はい」 菫「黙れ」 亦野「はい」 「「「頂きまーす!」」」 尭深「ゆで卵欲しい方……」 玄「ハイ! ハイハイ! 二つください! 二つ! 丸の形が綺麗なのくださーい!!」 京太郎「…………」 亦野「福神漬あるよー!」 菫「貰おうか」 亦野「ちなみに作ったのアタシです」 菫「やっぱり要らない」 淡「キョウタロー! ニンジンあげるー!」スッ 京太郎「要らない」サッ 淡「ぶー」 照「京ちゃん、ニンジンあげる」スッ 京太郎「あ、どうも」スッ 淡「えー!?」 ―12 30 京太郎「ふぅ……。 修理も掃除も片づけも終わりましたし……」 玄「ん、そうだね。 ……ゲフッ」 京太郎「そろそろお暇しますか」 淡「えっ、もう行くのー?」 京太郎「むしろ居過ぎた位だよ。昼飯までごちそうになったんだし」 菫「もう少し居てもいいんじゃないか? 今は暑い時間だし、駅も混むだろう」 京太郎「むっ……」 亦野「夕方までゆっくりしてきなよー」 尭深「冷たいお茶、出しますよ」 玄「……だってさ、京太郎くんっ」 照「……京ちゃん」 京太郎「……」 京太郎「それじゃあ……夕方までお邪魔してますかっ」 玄「そうこなきゃっ!」 ――― ―― ― 淡「……ダウト!」 亦野「バカめ!引っ掛かったな!」 京太郎「いや、ホントにダウトっすよ」ペラッ 亦野「……あれ?」 菫「楽しそうだなお前ら…………麻雀部なのにトランプって……」 照「………」ペラッ...ペラッ... 尭深「………ズズッ……」 亦野「また須賀くん1位かー」 淡「もっかいもっかい! 今度こそ絶対勝ってやる!」 京太郎「……その前にちょっと休憩」スクッ 淡「あっ! 逃げる気かっ!キョウタロー!」 京太郎「違うって」 京太郎(……玄さん……何処行った?) ―白糸台麻雀部 台所 玄「~♪ ~♪」 京太郎「あ、こんな所に居た。何やってんすか玄さん」 玄「お、京太郎くんっ。いい所に! 味見して、味見っ」 京太郎「味見? ……なんすかこの緑の物体」 玄「んふふ。 いいからいいからっ、どーぞっ」スッ 京太郎「い、頂きます」 パクッ 京太郎「…………」モグモグ 玄「~♪」 京太郎「……あれ……これ……」 玄「何だかわかった?」 京太郎「わらび餅ですか?」 玄「せいかーい!」ズビシッ 京太郎「玄さん、わらび餅なんて作れたんですかっ」 玄「これでも旅館の娘だよ~? お菓子作りはお手の物っ」 京太郎「旅館生まれって凄い、改めてそう思った」 玄「他にもー。 ずんだ餅、ごま餅、よもぎ餅、柏餅! なんでもござれ!」 京太郎「すげぇ、なんか久々に素直に玄さんを尊敬した気がする」 玄「おもちマイスターだからねっ!」 京太郎「おもちマイスターって凄い、改めて」 玄「きな粉篩って完成! どやっ!」 淡「おおー!!」 菫「まさかここで本場のわらび餅を食べれるとは……」 尭深「……♪」モクモク 亦野「尭深が今までにないくらい良い笑顔してる……」 照「おかわり」 淡「おかわりー!」 京太郎「早っ」 京太郎「……いやホント美味いなコレ……」モグモグ 亦野「あ、須賀くん。 ほっぺにきな粉着いてるぞっ、と」スッ ペロッ 照「!」淡「!」 亦野「ん~甘~」 京太郎「あ、どうも」 亦野「ついでに餅一個貰い!」スッ 京太郎「あーちょっと!」 亦野「へへーん」モグモグ 照「……」 淡「……」 照「亦野、ちょっと卓着こうか。大丈夫、痛くしないよう心掛けるから」 亦野「え」 淡「雀卓へ行こうぜ……久しぶりに……キレちまったよ……」 亦野「えぇ!? ちょ、なんで!?」 ―16 30 菫「二日間、お疲れ様。 お陰で見違えるようになったよ」 京太郎「そうですか? 一日中ほのぼのしてた気しかしないんですけど……」 菫「いや、むしろそれでいい。ウチはその名前の所為で何かと空気が淀みやすいからな」 菫「こういう日が一日くらいあっていいだろうさ」 京太郎「弘世さん……」 玄「弘世さん……」キラキラ 菫「ああ、そうそう。 はい、バイト代だ」スッ 玄「どうも……ってええ!? は、8人の諭吉! 一人で!?」 京太郎「こ、こんなにたくさん!? は、半分でいいですって!」 菫「そうなのか? バイト代の相場ってのがいまいちわからないものでな……」 照「京ちゃん、これ。 私の住所」スッ 京太郎「あ、どうも……って住所!?」 照「手紙……頂戴ね」 京太郎「あぁ、手紙ですか……」 京太郎(流石文学少女……) 照「……待ってるから」 京太郎「……わかりました。 しっかり手紙送ります」 京太郎「だから俺も、待ってますね」 照「うんっ」 照「……咲のこと、よろしくね。京ちゃん」 京太郎「はいっ」 淡「キョウタロー、メアド教えてー!」スッ 京太郎「おう。 赤外線、ココな」 ピッ 淡「……んふふ~」ニヤニヤ 京太郎「なんだ? そんなに嬉しいか?」 淡「だって男子のメアドなんて初めてだもーんっ」 京太郎「マジか」 淡「うん! だからキョウタローは私の初めてのメル友!」 京太郎「ほぉ。 そりゃどーも」 淡「…………」ピッ 京太郎「……んっ」ピッ From 大星淡ちゃん 『毎日送ってやるから覚悟しなさいね!』 京太郎「……ふふっ」 淡「キャハハッ」 玄「渋谷さん! これ、わらび餅10人前です!受け取ってください!」 尭深「はぁ。 でも、こういうのは部長の弘世先輩のほうが……」 玄「いえ!是非このおもちは渋谷さんに受け取って欲しいんです!」 尭深「は、はぁ……。 ……なら」 尭深「ありがたく、頂きますね」ニコッ 玄「はい!!」 菫「ほら、亦野起きろ。 二人が去るぞ」 亦野「 」 菫「亦野? おい、亦野っ」 亦野「 」 菫「……駄目か」 京太郎「それでは」 玄「皆さん!」 京太郎・玄「「さようならー!!」」 淡「バイバーイ!!」 照「また、ね」 菫「あまり遅くまで外を出歩かないようになーっ」 尭深「お気をつけて」 亦野「 」 亦野「ハッ」 ――― ―― ― ガタンゴトン 玄「あー! 楽しかったー!」 京太郎「東京都、王者白糸台。 最初はどうなるか不安だらけでしたけど」 玄「箱を開けたらなんてことなかったね!」 京太郎「入って速攻で迷子になった人が何言ってんですか」 玄「まぁまぁまぁ! 今となってはいい思い出だよ!」 玄「次は何処へ?」 京太郎「多分、近い方の龍門渕ですね。 合宿が終わってれば、ですけど」 玄「白糸台の次は龍門渕……有名校続きでドクドクするね!」 京太郎「……なんすかその擬音」 玄「ドキドキ+ワクワク!」 京太郎「なんでプラスの言葉同士を足してるのにマイナスなイメージになるんだろう」 京太郎「ところで今回のおもち談義なんですけど」 玄「ん! そういえばしてなかったね! とは言っても【形】も【大きさ】も渋谷さんがダントツで……」 京太郎「……【柔らかさ】のほうは?」 玄「あ゛」 京太郎「……」 玄「……」 京太郎「………」 玄「………」テヘヘ 京太郎「松実ァ!!」 玄「すいませぇええん!!!」 ―――― ――― ―― ― 菫「なぁ照……ずっと疑問だったんだが」 照「ん?」 菫「どうして須賀くんのことを『京ちゃん』と? そこまでの面識あったのか?」 照「……いや、無い」 菫「じゃあ、どうして?」 照「……それは……ひみt」 亦野「あー、宮永先輩って『幼馴染』っていう関係に憧がれてるみたいなんですよー」 照「 」 菫「ほほぅ?」 亦野「今日買ってきたベストセラー本も『幼馴染』とのラブコメでしたし」 照「……っ……っ」プルプル 菫「ほ~ぉ……」 亦野「だから本心じゃ、『照ネエ』とか呼んで欲しかったりしたんじゃないですかねぇ」 照「!!」カァァァ 菫「お、なんだ図星か照」 淡「て……照ネエって……ブフッ……」 照「……っ」プルプル 亦野「あれ? どうかしましたか宮永先輩?」 照「ま……ま……!」ブルブル 照「亦野ァアアアア!!」 ギュルルルルルルルルルルルルルル 亦野「ひぃいいいいい!!?」 尭深「……ズズッ……」 尭深「……ふぅ」 尭深「……美味しい……」 ――― 王者白糸台を後にした、おもちマイスター玄とその弟子京太郎 ――― ――― 二人の旅は前途多難、五里霧中。終わりがまだまだ見えない ――― ――― 一体この先、彼らにどのようなおもちが立ちはだかるのだろうか ――― ―― 続く 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6201.html
特別編 side白糸台 ※京太郎は昔から照と知り合いという設定です。日記発見から中身拝見までの流れは省略します ×月○日 今日学校に行ったらやけに視線を感じる 後、なんかヒソヒソ話してるのを見るし、男友達からはめちゃくちゃ叩かれた そのまま放課後、部活に行くと、部室に入った瞬間みんながこっちを向いた 全く身に覚えがない状態だったが、先輩の1人が虎姫ってマジか?と聞いてきた なんのことか分からなかいと言うと、とにかく虎姫の部屋に行けと言われた そのまま虎姫の部屋に行くと、部屋の『須賀京太郎専用ハーレム』というプレートが掛かっていた なんだこりゃー!!とマジで大声を出してしまった 近くを歩いていた人がえ?違うの?とか聞いてきたけど違うに決まってると言った だが、昨日から掛かってて学校中の噂になっているらしい 朝からの事全部に合点がいった。犯人誰だー!! そのまま部屋を開けると照さんが居た 照さんは営業用スマイルでこう言った 「おかえりなさいご主人様」 犯人は照さんだと確信した その直後に来た菫さんも自体を今知ったらしく、激怒していた 照さん曰く、ちょっとした悪戯だったらしい。悪戯で済んでねーよ 菫さんと俺の話し合いの結果、照さんは1週間お菓子抜きが決定した 照さんがすごい絶望的な顔をしていたが知るか ちなみにプレートは『宮永照、ただいまお菓子断ち中』に変えといた 誠子「あぁ、これか……クラスのみんながやけに良かったねとか言ってきたな」 尭深「私は『胸は一番だしね』って言われた」 淡「私はふつーだったなー」 菫「お前らまだいいだろ……私なんかえらく心配されたぞ。本当に大丈夫か、とか疲れているんじゃないのか?とかばっかりだった」 誠子「真面目な弘世先輩がハーレムって、ありえませんしね」 菫「全くだ」 照「あの時の一番の被害者は私」 菫「黙れ愉快犯」 照「普段みんながくれるお菓子も無かったし、京ちゃんが手回しして家でもお菓子ないし……辛い日々だった」 淡「あはは。おかげで部活の時何人も飛んでたよねー」 菫「まだいい方だろ。下手に騒ぎが広がってたら須賀が刺されていてもおかしくないぞ」 尭深「ちょっとシャレになってないですね」 照「……京ちゃんをこのままマネージャーにする予定だったのに仕方ないか」 誠子「どういう作戦だったんですか」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6409.html
京太郎「中堅戦はあっさり終わったな」 京太郎「今回はエイスリンさんまでいくといいけど、そしたら淡に当たるのか……」 恒子「ヘイ少年、君もしかして三箇牧の生徒だったり?」 京太郎「誰ですかあなた……って!福与アナじゃないですか!」 恒子「お?やっぱ知ってる?いやースーパーアナウンサーは辛いねー」 京太郎「朝のふくよか占い毎日見てます!」 京太郎「……それで、どうして俺が三箇牧だと?」 恒子「ああ、君、個人戦出るでしょ?」 京太郎「ええ、一応」 京太郎「まさか出場選手全員のことを知っているとかですか?」 恒子「そのまさかだけどちょっと違うんだな」 恒子「なんとなく覚えてるだけ、だから名前まではわからないんだよ」 京太郎「それでも凄いですよ!流石ですね!」 恒子「いやぁ、そう言われると照れるねー」 恒子「そうだ!連絡先交換しない?」 京太郎「アナウンサーがいいんですか?そんなこと」 恒子「すこやんにちょっと自慢するだけだよ」 京太郎「わかりました、じゃあ」 恒子「ありがと、君、名前は?」 京太郎「須賀京太郎です」 恒子「そうか、須賀くんか!応援しておくよ、それじゃねー」 京太郎「さようならー!」 恒子(年頃の男子高校生の連絡先ゲットー!) 恒子(すこやん羨ましがるだろうなー) ――――――――――――― 憩「亦野ちゃん元気にしとった~?」 誠子「おかげさまで」 憩「そら良かったー」 灼(この人が全国2位、荒川憩) 灼(……努力する) 哩(余裕あるけん、縛り少なめで行く) 憩(楽しみやな、頑張るで!) 誠子(三箇牧を釣り上げる!) 誠子(勝ってやる!) 副将戦開始 誠子 42000 哩 67500 憩 204100 灼 86400 哩「ツモ、1000・2000」 哩(リザベーション成功!) 誠子「くっ……」 誠子(出鼻をくじかれた!) 東2局 誠子 43900 親 哩 68900 憩 199200 灼 88000 憩「ツモ!1300・2600!」 誠子(また和了られた……) 哩(相変わらずみたいだな) 灼(……) 東3局 誠子 42600 哩 66300 親 憩 204400 灼 86700 誠子「ポン!」 誠子(部長3人相手……上等!) 誠子(私だって負けるわけにはいかないんだ!)トン 哩「ロン、16000」 誠子「うっ……」 哩(縛ればよかった……) 灼(3000点……逃げる!) 東4局 誠子 26000 哩 83500 憩 204100 親 灼 86400 憩「ロン、1000」 誠子「……はい」 誠子(これじゃあいつもの対局みたいだな……) 誠子(淡に、後輩に負担をかけるのか……) 誠子(そんなの、嫌だ) 南1局 親 誠子 25000 哩 83500 憩 205100 灼 86400 同コンマのため、流局 誠子(流れたか……) 誠子(次こそは!) 哩(2発目……) 南1局一本場 親 誠子 25000 哩 83500 憩 205100 灼 86400 哩(リザベーション―――4!) 憩(気持ちよさそうな顔しとるなぁ……) 憩(でも、ウチも負けるわけにはいかないんや)ピキーン 【孔穿つ閃光】発動! 憩「リーチ!」 哩「くっ!」 哩(ここで使うんか?荒川!) 灼(……これ) 憩「ロン!リーチ一発裏1、6700!」 灼の【ボウリング打法】がレベルダウンしました 哩(失敗……もう1回!) 南2局 誠子 25000 親 哩 83500 憩 211800 灼 79700 哩「ツモ、2600オール」 哩(リザベーション、成功!) 誠子(まだだ、まだやれる……) 灼(新道寺を捲る!) 南2局一本場 誠子 22400 親 哩 91300 憩 209200 灼 77100 同コンマのため、流局 南2局二本場 誠子 22400 親 哩 91300 憩 209200 灼 77100 憩「ツモ!500・700!」 照「――――というわけ」 エイスリン「ナルホド」 照「ここまでに2回成功して1回失敗してる」 照「東1局と南2局には注意して」 エイスリン「ワカッタ!」 南3局 誠子 21900 哩 90600 親 憩 210900 灼 76600 哩(リザベーション……まだよか) 憩(これで、機能停止や!)ピキーン 【孔穿つ閃光】発動! 憩「リーチ!」 灼(リーチ……!) 憩「カン!」 誠子(なんだよ、この気迫……) 憩「ツモ!2000オール!」 憩「まだまだ続くで!」 南3局一本場 誠子 19900 哩 88600 親 憩 216900 灼 74600 誠子(何だこれ、有効牌が来ない) 誠子(役牌もバラバラ、運が無くなったみたいだ) 誠子(でも、私なら和了れる!) 誠子「ポン!」 誠子「チー!」 誠子「ツモ!400・600!」 誠子(オーラスだ!) 哩(こんば状態で挑むより、姫子に託すば確率がある) 灼(何が、起きてる?) 南4局 誠子 21300 哩 88200 憩 216300 親 灼 74200 誠子(オーラスも和了る!) 誠子「ポン!」 誠子「ポン!」 誠子「ポン!」 誠子「ツモ、1000・2000」 誠子(淡、後は頼んだぞ) 哩(跳満キーと倍満キー、この点差なら勝てる) 灼(一回も和了れなかった……) 灼(ハルちゃんもこんな感じだったのかな) 副将戦終了 三箇牧 215300 (+15100) 新道寺 87200 (+22300) 阿知賀 72200 (-16800) 白糸台 25300 (-20600) 恒子「副将戦終了ー!」 恒子「1位の三箇牧は失点を取り返し順位をキープ!」 恒子「新道寺は倍満を白糸台に当て、2位!」 恒子「阿知賀は何もできず3位に」 恒子「白糸台はまたもや凹み、4位となっています」 健夜「荒川選手のリーチは相変わらず特異ですね」 健夜「まるでその役で和了れることがわかっているかのようで「いよいよ大将戦!」」 恒子「これから休憩だけど、チャンネルはそのまま!」 健夜「って聞いてよー!」 ――――――――――― エイスリン「イッテキマス!」ムフー 照「頑張って」 郁乃「エイちゃんなら大丈夫やで~」 咏「私みたいに失点してくんなよな」 エイスリン「ウン!」 エイスリン「オマカセアレ!」 エイスリン「ジャアネ!」 京太郎「あ、送っていきますよ!」 灼(焼き鳥……3位に落ちちゃったし) 灼(最悪) 灼(最悪だなぁ……)ズーン 京太郎(ん、あの人たしか阿知賀の……そうだ鷺森さんだ) 京太郎(落ち込んでるみたいだな、失点したんだしそりゃそうか) 京太郎(ちょっと話しかけてみよう) 京太郎「あのー」 灼「なに?誰?」 京太郎「須賀京太郎と云います、今の試合を見てました」 灼「あっそ、だから?」 京太郎「あまり落ち込まないでくださいね!俺応援してますから!」 灼「三箇牧の人が私を応援しててもいいの?」 京太郎「ど、どうしてそのことを!」 灼「浜名湖で玄たちと一緒にいたじゃん」 京太郎「あ、たしかに」 灼「はぁ……帰ろ」 京太郎「でも、応援してるのは本当ですから!」 灼「わかったよ、ありがとね」 ――――――――――――― エイスリン「アワイ!」 淡「エイスリン久しぶり~!」ダキッ 淡「大将戦頑張ってね!」 エイスリン「エ?」 淡「どうせ私が勝っちゃうからさ!」 姫子「そな自信どこから……」 穏乃「よろしくお願いします!」 大将戦開始 親 姫子 87200 ※跳満キー持ち エイスリン 215300 穏乃 72200 淡 25300 姫子「ロン!18000!」 淡「えっ!?」 淡(あと7000点しかないの?) 淡(いきなり極限だけど……) 淡(いーじゃん!いーじゃん!新道寺!) 穏乃(やばいやばい、早く追いつかないと決勝に行けない!) エイスリン(ウゴケナイ……) 東1局一本場 姫子 105200 エイスリン 215300 穏乃 72200 淡 7300 エイスリン「ロン!6700!」 姫子「はい」 淡(みんな破ってくな……まあまだいいけど) 東2局 姫子 98500 親 エイスリン 222000 穏乃 72200 淡 7300 淡「ツモ!500・1000!」 淡(いつも通りやらなきゃね!) エイスリン「ウゥ……」 淡「まだまだ行くよ!」 東3局 姫子 98000 エイスリン 221000 親 穏乃 71700 淡 9300 エイスリン「ツモ!1000・2000!」 淡(まだ動けるんだ……) 淡(これ以上はもう失点しないよ!) 恒子「三箇牧のエイスリン・ウィッシュアート止まらない!」 健夜「ウィッシュアート選手は過去の牌譜が非常に少ないです」 健夜「彼女は13巡目以内にテンパイすることが多いですね」 健夜「打点が高い、とか目立った和了りは少ないけれど」 恒子「なんかあの子の理想通りみたいな感じだよね」 健夜「そう、なんかそんな感じ」 東4局 姫子 97000 エイスリン 225000 穏乃 69700 親 淡 8300 エイスリン「……」トン 淡(ノーテン……) 淡(こんなとこで終わってられない!)トン 【圏外射撃】発動! エイスリン「??」 淡(エイスリンに負荷をかけて) 淡(もう一回!) 和了判定まで戻ります 淡(テンパイ来たこれ!) 淡「ツモ!2000オール!」 エイスリン(?) 穏乃(まだだ、まだ、まだ) 東4局一本場 姫子 95000 エイスリン 223000 穏乃 67700 親 淡 14300 エイスリン「ロン!2300!」 穏乃「は、はい!」 穏乃(この人強いなぁ……) 穏乃(ああ、燃えてきた!) 【インフレーションギア】がレベルアップしました エイスリンに飛び火しました 南1局 親 姫子 95000 エイスリン 225300 穏乃 65400 淡 14300 淡(またノーテンかー) 淡(またエイスリンが和了りそうだし) 淡(はぁ……)ゴッ 【圏外射撃】発動! 和了判定まで戻ります 淡(もともと字牌ばっかで困ってたんだけど) 淡(これならいけるかな) エイスリン(マタ、ウゴケナイ) 穏乃(負けない!負けたくない!) 姫子(次まで持てば……!) 淡「ツモ!字一色!8000・16000!」 東東南西西北北白白發發中中 ツモ:南 菫「大七星、か」 やえ「あいつにピッタリの役だと思っていたが、まさかこの局面で和了るとはな」 南2局 姫子 79000 親 エイスリン 217300 穏乃 57400 淡 46300 姫子「ツモ!4000・8000!」 穏乃(ちょっと、え、嘘でしょ?) エイスリン「オヤッカブリ……」 淡(新道寺凄いなぁ、でもまだまだ!) 淡(大逆転劇はこっからだよ!) 南3局 姫子 95000 エイスリン 209300 親 穏乃 53400 淡 42300 淡(新道寺がまた和了りそう……) 淡(もったいないけど、負けたくないもんね!)ゴッ 【圏外射撃】発動! 和了判定まで戻ります 淡「ロン!24000!」 姫子「へ?」 淡「あと5000点!」 恒子「凄いぞ大星淡!怒涛の追い上げを見せています!」 健夜「彼女はツモを完全に操っている、そのように思えます」 健夜「現に今までウィッシュアート選手や鶴田選手が一向聴になったときから彼女の手は速くなり」 健夜「逆にウィッシュアート選手たちはテンパイからどんどん遠ざかっているように思えました」 健夜「龍門渕の天江衣選手と少し似た雰囲気がありますね」 穏乃(親は流れた、でも新道寺との点差は18000点) 穏乃(倍満以上を当てれば勝ち) 穏乃(勝てる、勝てるんだ!) 【インフレーションギア】がさらにレベルアップしました 【願望描写】のレベルが元に戻りました 南4局 姫子 71000 エイスリン 209300 穏乃 53400 親 淡 66300 穏乃(できた!高目でジュンチャンピンフ二盃口ドラ2) 穏乃(これを和了れば……)スチャ 穏乃(捨てる牌が無い……あれこれツモってんじゃない?) 穏乃(やっばいどうしよ、もう一回!) 穏乃(状況を整理しよう、えーっと) 一二二三三778899⑨⑨ ツモ:四 穏乃(とりあえず四萬を切っておこう) 穏乃(これで一萬をツモれるといいんだけど……) 淡「チー」 淡(阿知賀、どうして負荷が効いてないの?) 淡(嘘でしょ、これじゃあ、このままじゃ)トン一萬 穏乃(あと2枚……) エイスリン(テンパイ、デキナイ)グスッ エイスリン(コレデ、イーシャンテン……)トン一萬 穏乃(やばい、あと一枚しかない!どうしよ!) 穏乃(お願い!来て!)スチャ 穏乃(来ないよね……)トン 淡(今は新道寺から点を取ることに集中しよう)トン 姫子(逃げ切る!)トン エイスリン(umm……) エイスリン「カン!」 淡(ここでカンって、どういうことよ!) 穏乃(ドラ乗った!このまま、お願い、来て!)スチャ 穏乃「よし!」 穏乃「ツモ!平和ジュンチャン二盃口ドラ4!」 穏乃「6000・12000!」 大将戦終了 三箇牧 203300 (-12000) 阿知賀 77400 (+5200) 新道寺 65000 (-22200) 白糸台 54300 (+29000) 恒子「準決勝決着!!」 恒子「決勝への進出を決めたのは!」 恒子「オーラスで大逆転を果たした阿知賀女子学院と!」 恒子「先鋒戦から1位をキープし続けた三箇牧高校!」 恒子「白糸台高校の大星淡が驚異的な追い上げをするものの一歩及ばず、三連覇の夢は潰えました!」 健夜「個性的な選手ばかりで良い試合でしたね」 健夜「大将戦オーラスでの高鴨選手の和了には目を見張るものがありました」 健夜「決勝戦も実に楽しみです」 恒子「決勝戦は明後日!」 恒子「決勝戦前半はご覧のチャンネルで!」 ――――――――――――――― 京太郎「お疲れ様でした」 エイスリン「ゴメンネ……」 京太郎「どうして謝るんですか?」 エイスリン「テン、トラレタカラ……」 京太郎「誰も怒りませんよ、淡から逃げ切ったんですしもっと胸張りましょうよ!」 エイスリン「……ウン!」 京太郎「じゃあ戻りましょうか」 ――――――――――――――― 淡「…うぐっ…ぐすっ……」ポロポロ 淡(勝てなかった……やえ先輩たちにあんなに大見得きって来たのに) 淡(これで、終わりなの……) やえ「こんなところにいたのか」 菫「まったく、さがすこっちの気にもなってくれ」 淡「やえ先輩、菫先輩」グスッ 誠子「見つかったんですか?」 尭深「心配したよ」 淡「たかみ先輩たちも……っ」ポロポロ 淡「みんな……ごめんなさい」 菫「何を言っているんだ、淡はよくやったよ」 やえ「私たちが不甲斐なかったんだ」 やえ「一年生の淡に負担をかけてしまっていた」 やえ「私の方こそすまなかった」 菫「すまなかった」 淡「うっ、うえっ……っ……」ポロポロ 尭深「淡ちゃん、みんなと帰ろ、ね?」 淡「うっ、ん……」 夜 京太郎「ただいまですー」 竜華「お帰りー」 京太郎「なんだかすごく久しぶりに帰ってきた気がする……」 竜華「なあなあ京くん、何かして遊ばへん?」 京太郎「まあ、いいですけど」 京太郎「何か、って何するんですか?」 竜華「あー……京くんの好きなことでええでー」 京太郎「うーん、それじゃあ…………」 竜華「ツイスターゲーム?」 京太郎「はい!」 竜華「でもマットとかどうすんの?」 京太郎「たしかフロントに行けば借りられたはずです」 竜華「ならルーレットは?」 京太郎「2人用のルーレットのアプリがあるらしいですよ」 京太郎「この前郁乃さんがくれたんです」 竜華「なんやそれ……」 京太郎「次は左足を青です」 竜華「はいは~い」 竜華「次は右手を緑んとこやって」 京太郎「はいよっと」 京太郎「あ」 竜華「えっ?」 京太郎(竜華さんの顔が近い……なんだかいい匂いもするし) 京太郎(流石はツイスターゲーム!) 京太郎「次は左手を赤に、だそうです」 竜華「ん……っと」 竜華(こ、これ、ウチが京くんの下におる?) 竜華(この体勢、なんか嫌やな……) 竜華「次、左手を青に、やって」 京太郎「はい」 京太郎(俺が竜華さんに覆いかぶさってる体勢……) 京太郎(いやいやダメだ!そんなことは考えちゃダメだ!) 竜華「京くん……次」 京太郎「あ、はい、えーっと右手を黄色、だそうです」 竜華「ん、もうちょい……」ズコッ 竜華「あ!」 京太郎「え?」 ドシーン 京太郎「すみません、倒れちゃいました……」 竜華(あれ?ウチ、ひょっとして……) 京太郎(これじゃあまるで俺が……) 京太郎(背中から押し倒してるみたいだ) 竜華(後ろから押し倒されてる……!?) 京太郎「す、すみません!」 竜華「ううん!こっちこそ!」/// 【7日目】終了 【インターハイ 8日目】 京太郎「おはようございます」 竜華「お、おはよっ!」プイッ 京太郎(あの後からなんだか気まずいな……) 京太郎(さて、何をしよう) 京太郎「竜華さん」 竜華「な、なんや」プイッ 京太郎「また遊びましょう!」 竜華「は……?」 京太郎「昨日、あんなことしてしまったのは謝ります」 京太郎「だから今日は仲直りのために遊びましょう!」 竜華「べ、別に、ええけど……」 竜華「ツイスターはもう嫌やで」 竜華「マリオパーティー?」 京太郎「DSliteなら郁乃さんが8台くらい持ってたんで」 竜華「なんでそんなに持っとるんやあの人……」 京太郎(竜華さんとだけだと気まずいからな……誰を誘おう) 照「ルールはどうするの?」 京太郎「じゃあバトルロイヤルにするか」 憩「えー!ウチタッグマッチがええ!」 憩「京太郎くんと組みたい!」 照「京は誰にも渡さない」 京太郎「バトルロイヤルで」 憩「え~!」 竜華(2人とも京くんと仲ええな……) 竜華(羨ましいな……) 1位 憩 2位 照 3位 京太郎 4位 竜華 京太郎「全然だめだ……慣れてないからなのかな……」 竜華(集中できへんかった……はぁ……) 憩「ウチが1位ですーぅ!」 照「あと1枚……」 憩「ほな1位ボーナスや!京太郎くんに命令するで!」 京太郎「えっ、そんなの聞いてませんよ」 憩「言わなかったからな~」 憩「命令はデートや!」 照「は?」 竜華「は?」 憩「インターハイ終わったあと2日くらい残るらしいやろ?」 憩「せやから、どうや?」 京太郎「どうって、命令ですし……金ないですけどいいんですか?」 憩「ええでええで」 京太郎「じゃあ、行きましょうか」 憩「京太郎くん大好きや!」 竜華「」ムッ 照「」ムムッ 照「ねえねえ清水谷さん」ボソボソ 竜華「なんや?」ボソボソ 照「個人戦」ボソボソ 竜華「……りょーかい」ボソボソ 照「憩、特訓しに行こ」 憩「わかったで、京太郎くんバイバイ~」 竜華(仕返しや!) 京太郎「デート……初デート……」ブツブツ 竜華(むっ) 京太郎「さてと、昼飯食べに行くか」 京太郎「というわけでサイゼリヤとうちゃーく!」 竜華「いつもサイゼリヤなんやな」 京太郎「少しあったかくないので……」 竜華「まあさっさと入ろか」 京太郎「そうですね」 メニュー 東北風グラタン 関東風ドリア 中部風カルボナーラ 関西風タコのカルパッチョ 九州風ハンバーグ 京太郎「たった500円でこの味、この量」 京太郎「生きててよかった……」 竜華「大袈裟やなぁ、あ、ソースついとるで」フキフキ 竜華「うん、取れたな」 京太郎「竜華さんはカルボナーラですか」 竜華「おしゃれやろ?」 京太郎「竜華さんもソースついてますよ」フキフキ 竜華「お、おおきに」 京太郎「いえいえこのくらい」 ナンダヨアレ イチャイチャシテルワネー セッソウナイワネー チクワダイミョウジン ネー 竜華「…………///」 京太郎「き、気にせず食べましょうよ」 竜華「うん……」カァァ 京太郎「周りの視線が痛かった……」 京太郎「何をしよう」 京太郎「そういえば、淡と遊びに行く約束をしてたな」 京太郎「誘ってみるか」ピッ prrr prrr prrr prrr ガチャ 淡『はい?』 京太郎「須賀だけど、淡今暇か?」 淡『おかげさまで』 京太郎「じゃあ俺と遊びに行かないか?確か約束してたろ?」 淡『あああれね!憶えててくれたんだ!そだねー、何して遊ぼっか』 淡『わかった、じゃあ○○駅に集合ね』 京太郎「了解、じゃ」ピッ 京太郎「ここが淡のおすすめの場所なのか?」 淡「うん」 京太郎「ただの公園みたいだけど」 淡「私らしくないって?」 京太郎「……まあ」 淡「ここって色んな人がいるんだよね」 淡「近所のがきんちょたち、おじいちゃんとかおばちゃん」 淡「みんな顔も背丈も口調も違う」 淡「性格も声色も」 淡「こんな、あんまし大きくない公園でも世界はあるんだなっていつも思うんだ」 淡「それだけ多くの人がこの世界にいるわけで、自分もそのうちの一人なんだ、ってわかった」 淡「それが昨日のことなんだけどね」 淡「ごめん……楽しくないよね、こんなの」 淡「まだ引っ張っちゃってんのかな…………」 京太郎「そうか?」 京太郎「俺は別にいいと思うぞ」 京太郎「淡のことがもっとわかった気がするし、淡の言うこともなんだかわかる気がする」 淡「京太郎……」 京太郎「それとさっきから言おうと思ってたんだけど」 京太郎「目、腫れたまんまだぞ」 淡「あはは、わかってるよ」 淡「もう大丈夫!スミレとは違って京太郎に励まされるほどヤワじゃないからね!」 京太郎「ど、どうしてそのことを」 淡「細かいことはおいといて、今度は京太郎のことを知りたいな!」 京太郎「俺のことか?」 淡「うん!」 ―――――――――――― 京太郎「あの後俺は何を話していたんだろう」 京太郎「そういう自分の考えみたいなのを話すのはあんまり得意じゃないんだよな……」 夜 京太郎「餃○の王将に来たぞ!」 淡「大阪○将とたまに被るよね」 照「あれ、京?」 京太郎「照も来てたのか?」 照「うん、大食いに成功で代金なしなんだって」 京太郎「なにっ!?」 照「あと10分以内に食べきれれば代金なしで、現金1000円がもらえるらしい」 京太郎「なんだと!?」 照「それと、どうして大星さんと一緒にいるの?」ジトッ 京太郎「ちょっと遊んでたんだ」 淡「初めまして!大星淡といいます」 照「よろしく、個人戦楽しみにしてる」 淡「私もです!」 メニュー 大食い餃子セット 1000円 餃子・チャーハンセット 600円 餃子一人前 300円 チャーハン 400円 ラーメン 500円 京太郎「大食いにチャレンジするぞ!」 照「喧嘩上等」 淡「私も頑張るよ!」 「こちら、大食い餃子セットになります」 「ご健闘を祈ります」 照「このために朝と昼を抜いてきたんだ、食べきる!」 淡「女子高生の胃袋なめないでよね!」 京太郎(量多いな、大丈夫かな……) 照「やっと食べ終わった……」ゲフッ 淡「うそっ!まだ8分しか経ってないのにこの量を!?」 京太郎「やっばい、すごくきつい」 【さらに10分後】 淡「ごちそうさまでした」 京太郎「げほっ、ごほっ」 照「大丈夫?」サスサス 京太郎「こ、このくらい!」 京太郎「やってやる!」 ――――――――――――― 「ありがとうございましたー」 照「京、本当に大丈夫?」 京太郎「もう無理、2人とも、先に帰っててくれ!」 淡「そんな!じゃあ京太郎はどうするっていうの?」 京太郎「漢ってやつにはよぉ、戦わなくちゃいけないときっていうのがあるんだよ」 京太郎「あばよ!」ダダダダダ 照「京!」 淡「京太郎!」 京太郎(みんな、今までありがとう) 京太郎(俺、須賀京太郎の生涯に、一片の悔いなし!) 京太郎「おええええええええ」 【8日目】終 【インターハイ 9日目】 京太郎「いよいよ決勝、相手は姫松と……清澄」 京太郎「まさか決勝で咲たちと当たるとはな」 竜華「京くん、顔色悪いけど大丈夫?」 京太郎「決勝戦前、対策を怠らずに」 京太郎「決勝戦開始は正午」 京太郎「時間が無いんだよな」 京太郎「やっぱり一番対策をするべきは咲、だよな」 京太郎「だとすればやはり呼ぶべきは……」 照「それで私に」 京太郎「そうだ、一緒に頑張ろう」 照「……わかった」 照「咲を攻略する方法……」 京太郎「わかんない……」 照「槍槓ならなんとかなるかも知れないけど」 京太郎「長野の県予選でやられてるから通じにくい」 照「でも、やってみる価値はある」 京太郎「だな」 京太郎「ついに決勝戦か」 郁乃「緊張してきたな~」 咏「全然そうは見えないんだけどねぃ」 エイスリン「キョウコソハ!」 照(咲……) 照(今日は使ってみようかな……) 郁乃(善野ちゃん、負けへんで)ギッ ―――――――――――――――― 善野「ここまで来たんや、優勝するで!」 洋榎「準決ではへこんだけど、次は負けないで!」 漫「私は今の調子で」 絹恵「私も頑張るで!」 由子(よりにもよって代行の妹さん……) 恭子「ゆーこ、大丈夫なんか?」 由子「妹さん対策はバッチリなのよー」アハハ ―――――――――――――――― 穏乃「みんなでここまで来た!やっと和と遊べる!」 穏乃「みんなで勝とう!」 玄「うん!」 憧「もう一回あの小さいのをとっちめなきゃだからね」 宥「頑張ろうね」 灼「今さらだけど原村さんと当たるのって私なんだよね……」 ――――――――――――――――― 優希「うぅ~タコスがないと力がでないんだじぇ……」 美穂子「またタコさんのお弁当作ってきましたから、はい」 優希「おお!ありがたいじょ!」 久「いつもありがとね、美穂子」 美穂子「いえ、皆さんのお力になれて嬉しいです」 和(穏乃、憧、玄さん……) 桃子「いよいよ照姉とっすね!」 咲「うん、一緒に頑張ろうね」 桃子「はいっす!」 咲(お姉ちゃん……私、勝つから)ゴォッ 優希(この人が咲ちゃんのお姉ちゃんか……) 玄(この子、小さいころの憧ちゃんにそっくり) 照(決勝戦……) 漫(何か空気重いな……) 開局 親 優希 100000 照 100000 玄 100000 漫 100000 優希(東一なのにテンパイできないじぇ……) 漫(相手はチャンピオン宮永照) 漫(善野監督も戻ってきてみんなでここまで来たんや!) 漫(絶対に負けられへん!) 玄(テンパイ……宮永さんは最初は和了らない) 玄(今は攻める!) 玄「ツモ!4000・8000です」 照「…………」 【照魔鏡】発動! 【タコスパワー】がレベルダウンした! 優希「!?」 優希(今の、なんか咲ちゃんみたいな……) 漫(神代さんみたいやったな……) 東2局 優希 992000 親 照 996000 玄 116000 漫 996000 漫(テンパイきたで!) 漫(このままガン!) 漫(ドン!) 漫(ズドーン!)トン 照「ロン、1500」 漫「はい……」 東2局一本場 優希 92000 親 照 97500 玄 116000 漫 94500 照「ツモ、1100オール」 優希(和了れる気がしないじょ……) 玄(今回は守りに徹するのです!) 漫(調子悪いなぁ) 東2局二本場 優希 90900 親 照 100800 玄 114900 漫 93400 照「ツモ、2200オール」 照(咲の出番が来る前になるべく点数を削る) 照(容赦はしない) 優希(東場なのに和了れないじょ……流石は咲ちゃんのお姉ちゃんだじぇ) 玄(まだまだだよ!)フヌー 漫(東二でもうこんなに重い……) 漫(-で帰ったらまた落書きやな) 漫(よし、一発いっとくか!) 【爆撃】発動! 東2局三本場 優希 88700 親 照 107400 玄 112700 漫 91200 漫(三巡目テンパイ、でもドラなし、役もタンヤオのみ) 漫(まあええ、チャンピオンを止めたる!) 漫「リーチ」 照「…………」 照(思ったより攻めてくるの早かったな) 照(どうなるやら) 玄(先制リーチ……!) 玄(姫松の上重さん、すごい)トン 漫「ロン、3900の三本場は4800」 玄「えっ」 漫(アンタのせいで打点低いからな、このくらいはさせてもらわんと) 漫(そんで、もう一発!) 【連鎖爆撃】発動! 東3局 優希 88700 照 107400 親 玄 107900 漫 96000 絹恵「上重さん、和了りましたね」 恭子「このまま和了り続けてくれたらええんやけど」 照『ロン、1000』 由子「今日も不発なのよー」 東4局 優希 88700 照 108400 玄 107900 親 漫 95000 玄(あれ、テンパイしてる?) 玄(でもリーチはしないで……) 優希(和了れないまま、もう南入だじょ……)トン 玄「ロン!3900です」 優希「じょっ!?」 漫(人和は無しやったっけ) 照(また止められた……ぐぬぬ) 南1局 親 優希 84800 照 108400 玄 111800 漫 95000 照「ロン、1000」 照(おかしい、何かがおかしい) 照(とりあえず和了り続けよう) 南2局 優希 84800 親 照 109400 玄 111800 漫 94000 照「ロン、2900」 漫(やっぱりダメか……) 優希(タコぢからが切れたじょ……) 優希(やっぱりタコスじゃないと) 漫(まだまだ頑張るで!)フンス 玄(あれはなかなかのおもち!) 玄(今まであんまり見かけなかったけど、何か漲るよね!) 南2局一本場 優希 84800 親 照 112300 玄 111800 漫 91100 照「ロン、6100」 霞「最近照ちゃんの不調が多いわね」 京太郎「緊張してる、なんてことはないでしょうけど」 憩「でも、清澄は妹ちゃんがいるとこなんやろ?」 京太郎「そのくらいで照が緊張は無いと思うのですが……」 南2局二本場 優希 78700 親 照 118400 玄 111800 漫 91100 照「ロン、8400」 漫(ほんまに調子悪い……) 漫(打点低い、ツモ悪い) 漫(またあんときみたいなのが来れば……) 南2局三本場 優希 78700 親 照 126800 玄 111800 漫 82700 照「ツモ、3500オール」 照(今日はどれだけ抉れるか) 漫(3500オールって、ほとんど親満やないか……) 玄(まだ、-じゃない) 南2局四本場 優希 75200 親 照 137300 玄 108300 漫 79200 照「ツモ、4400オール」 玄(宮永さんの満貫) 漫(次は、跳満以上か……) 優希(絶対に止めたいじぇ!) 玄(……でも) (*1)) 南2局五本場 優希 70800 親 照 150500 玄 103900 漫 74800 照(慣れてきたとはいえ、やっぱりまだきつい) 照(リーチかけるか……) 照(狙いは、阿知賀) 照「リーチ」 玄(ドラを切れば宮永さんの裏をかける……) 玄(でも、そんなことしたら……ダメ) 玄(ここはこれを)トン 照「ロン、19500」 玄「はい……」ギュッ 南2局六本場 優希 70800 親 照 170000 玄 84400 漫 74800 照「リーチ」 漫(ダブリー……今までの片岡さん見とるみたいやな) 玄(うぅ……テンパイできないよぉ……) 漫(宮永さんの高いのを流す……そういえば二回戦のときに)トン 照「ロン、25800」 漫(そうか、そうすればええんやな) 南2局七本場 優希 70800 親 照 195800 玄 84400 漫 49000 漫(次は三倍満、38100) 漫(絶対に阻止せな!) 漫「ポン」 漫「チー!」 優希(姫松の人、急に鳴くようになったじぇ……どういうことだ?) 玄(テンパイした……ドラはまだあまり来てないけど) 玄(ここで止めないと……) 照(三倍満をドラなしでって相当難しいんだけど……) 玄「ツモ!2300・3900です!」 照(とか言ってる間に止められた) 南3局 優希 68500 照 191900 親 玄 92900 漫 46700 同コンマのため、流局 漫(連携で流そ思ったら阿知賀が和了るとはな、意外や) 漫(あとは最小失点でいく!) 優希(まだ一回も和了れてないのに、もうオーラスだじょ……) 照(ここまでかな……) 漫(あーあ、またあのときみたいになれたらなー) 漫(はぁ………っ!)ゾクッ 【爆撃】発動! オーラス 優希 67000 照 193400 玄 91400 親 漫 48200 優希(このままじゃみんなに会わす顔が……あれ) 優希(これは……) 優希「リ、リーチだじぇ」 漫(またダブリー!?) 漫(ちょ、この場面って、え?) 漫(とりあえず、これや!)トン 優希「ロン!24000だじぇ!」 漫「はいはい2400な……って、は!?」 先鋒戦終了 三箇牧 193400 (+93400) 阿知賀 91400 (-8600) 清澄 91000 (-9000) 姫松 24200 (-75800) 漫「あはははははははは、はは」 優希「おつかれだじぇ!」 照「お疲れ様」 玄「う、上重さん大丈夫ですか?」オロオロ 漫「大丈夫なわけないやろ、あーひゃっひゃひゃっひゃ、いーひっひっひ」 玄(こ、壊れてる……!) 咏「これまた次鋒で飛んじゃうんじゃねえの?しらんけど」 郁乃「いや、真瀬ちゃんはそんなに弱い子やない」 郁乃「……ほな行ってくるで~」 憩「なんいま雰囲気が違ったような……」 京太郎「あ、俺ちょっと出かけてきます」 恒子「先鋒戦終了ー!」 恒子「1位は9万得点、チャンピオン宮永照擁する三箇牧高校!」 恒子「なんとか難を逃れた阿知賀、清澄は拮抗状態」 恒子「4位の姫松は3位の清澄と7万点差!次鋒戦で巻き返しなるか!?」 ―――――――――― 京太郎「先鋒戦がやたら長く感じるのはなぜなんだろうな」 照「あ、京」トテトテ 照「いまの試合、どうだった?」 京太郎「やりすぎだな」 照「頑張ったんだよ?」 京太郎「本気でやるのは悪いことじゃないんだけど、これじゃあな」 照「むぅ……」 京太郎「まあこの後どうなるかわからないし、お菓子でも買いに行くか」 照「お菓子!早く行こう!」ダッ 京太郎「ちょっと待てってー」 ―――――――――― 由子(先鋒戦、まさか漫ちゃんが削られるとは思わなかったのよー) 由子(三箇牧対策と阿知賀対策はバッチリ) 由子(清澄対策もバッチリ、取り返すのよー) 由子「さあ始めるのよー」 宥「あの、まだ清澄の人が来てないみたいなのですが……」 桃子「私なら……「清澄はそこにいるのよー」」 宥「へ?」 桃子「はい?」 桃子「どうして私のことがわかったっすか?」 由子「自分の胸に手を当てて考えてみるといいのよー」 桃子「?」 郁乃(真瀬ちゃん、見ないうちにちょっと変わったな~)
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1191.html
Kちゃんぬいぐるみ プロ編 夜毎、主を探して歩き回る人形 なんか変なオカルトで一日だけKちゃん人形が京ちゃんになっちゃったよ! 寂しい夜、Kちゃんぬいぐるみで一人自分を慰めるすこすこ Kちゃんを充電する胡桃を充電する京太郎 王子様バージョンを本人に見られてあたふたする菫さん 本人もやって来る、Kちゃんイベント開催! (時系列はログアウトしました) Kちゃん人形と憩ちゃん人形を並べて満足気な憩ちゃん 毎晩Kちゃんぬいぐるみを抱いて寝る咲と照 淡の人形遊び 憧がぬいぐるみをだいている所に京太郎とバッタリ (京太郎は阿知賀にいます) 穏乃のKちゃんぬいぐるみが本物になる そしてそれを自慢する穏乃 怜がKちゃんをだきながら京太郎に膝枕される 白糸台で喋るKちゃんぬいぐるみ 全国のKちゃん人形買ったおもち少女に会いに行く 一人の時にあんなことやこんなことをKちゃんにするシロ Kちゃんぬいぐるみの仮装コンテストが開かれたぞ 姫子、Kちゃんを駿河問い 戦慄する京太郎 トシさんがKちゃんを!? 見えないと思って全力で人形を愛でるモモ でも、なぜか見えるようになってたモモ 2人で読書してみた 姫様、人形を抱いて寝てるところを取られてその写真が京太郎に届く 聞いてKちゃん もこ、それKちゃん? ネリー、聖人Kちゃんゲット 淡、トーリKちゃんゲット すばらがうっかりタメグチに (京太郎が新道寺にいます) クロチャー、祓魔師Kちゃんを入手 新企画(タイトル不明) 1年生でKちゃんのパートナーの女の子のぬいぐるみのご意見募集 はっちゃん、Kちゃんに意思を宿らせようと四苦八苦 かおりん、懸賞限定一名様を豪運で当てる 照が新しく買ったKちゃんぬいぐるみを欲しがる淡にあきれる菫 Kちゃんぬいぐるみと自分のぬいぐるみ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3948.html
前話 次話 8以降より対局が安価形式になったので、安価に関係する数値を省いてまとめました。 読みづらくなりますがご了承ください。 恒子「お待たせしました!それでは、インターハイ準決勝第1試合、先鋒戦開始です!!」 健夜「こーこちゃん、いきなり立つのはやめようよ……」 照(さて、まずは鏡で見ようかな) 照(2回戦でも見たけど、一応新道寺を)ゴゴゴッ 煌(おや?この感じ……2回戦でもありましたね) 照(やっぱり、この人は飛ばないな……また珍しい人がいるんだね) 照(でも、この人の強さはそこじゃない。捨て駒だと分かっていても、どんな状況でも、折れないことだ) 照(……油断はできない。でも、すばらって……今度言ってみようかな) 煌「すばらっ」 照(次は千里山)ゴゴゴッ 怜(……ん?なんやこれ?) 照(……素の実力はそこまでじゃないけど、1巡先が見えるっていうのは強いな) 照(2巡先……この人の体じゃ無理すぎる、やってたら持たない。その先なんて無理を通り越して危ない) 照(友達との約束か……それと膝枕……京ちゃんに頼んでみようかな) 照(でも、迷子って言ったのは許せない。最近は少ししか迷子にならないのに) 怜「……?」 照(最後に阿知賀)ゴゴゴッ 玄(え?何?何されてるの!?) 照(……ドラが集まって、ドラを切ったら来なくなるドラゴンロード) 照(点数上げるの大変だな……これ、支配しても無理か……ドラ支配の力の強さは凄い) 照(ドラを大事に……ドラは切らないって考えていこう) 照(……おもち?……胸?……京ちゃんもか!) 照「…………」ペタペタ 玄(宮永さん?そこには何も無いよ?) 照(……私4位だ……うん、菫には悪いけど、すばらさん以外は飛ばす気でいこう) 玄「…………」タン 照「ロン」 玄「は、はい!」 玄(な、なんか怖いよぉ~)涙目 照「…………」ギュルルルルル 観客席 京太郎「はぁ……立ち見か……ま、いいか」 恒子『またまたチャンピオンだぁー!これで5連続!!』 京太郎「ほんっとすごいな照さん……アレ?そういや咲も1回あんな感じに……」 恒子『ラス親はチャンピオン!一体いつまで続くのか!?』 京太郎「うわぁ……もうあんなに点差が……え?」 玄『…………』タン 京太郎「玄さんが、ドラを?……これって!?」 照『…………』タン 玄『ロン!!』 恒子『せ、先鋒戦終了!!最後にチャンピオン、2年ぶりとなる大きな失点です!!』 京太郎「すっごい試合だったな……」 怜『…………』ドサッ 京太郎「怜さん!?」 恒子『お、園城寺選手!?し、試合は一時中断です!!』 京太郎「……大丈夫かな……後で千里山の誰かに聞いとくか」 ざわざわ……ざわざわ 照「…………」 照(点は稼げた……でも、最後の振り込み、それに、園城寺さん……) マスコミ1「宮永選手!何か一言!」 マスコミ2「こっち目線お願いします!」パシャパシャ マスコミ3「最後の振り込みは、やはり油断ですか!?」 照(……いつになってもマスコミは空気読まないし、苦手だな……適当にやってお菓子買いに行こ) 照「……ここ、どこ?」 照「さっきと同じとこだし……どうしよう」 京太郎「え?照さん?」 照「京ちゃん!?良かった……」 京太郎「ああ……またですか」」 照「……違う、今日はまだ2回目」 京太郎「……で、控え室までですか?」 照「ううん、売店でお菓子買う」 京太郎「なるほど。俺も行きますよ」 照「うん」 京太郎「ところで照さん、財布持ってきてるんですか?」 照「…………」 白糸台、控え室 ガチャ 照「ただいま」 淡「あ、おかえりーテルー」 誠子「お疲れさまさまです」 京太郎「あ、どーも」 淡・尭深・誠子「!?」 照「売店でお菓子買ってきた」 誠子「いや、ちょっと待ってください」 淡「なんでKちゃんがいるの!?」 誠子「淡も待て!」 京太郎「ちょっとそこで会って、案内しました」 尭深「……迷子?」 照「…………尭深、お茶お願い」 誠子(迷ったんだ) 尭深(迷った……) 京太郎「それじゃ、俺はこれで」 淡「えー!?ここに居ていいじゃん!!」 誠子「おいおい……部外者で、決勝で当たるかもしれない学校だぞ?」 照「そうだね」 誠子「そうですよ。弘世先輩がなんて言うか…」 照「尭深、お茶は5つね」 誠子「宮永先輩!?」 尭深「えっと……いいんですか?」 照「構わない」 京太郎「あの……俺の意思は?」 淡「いいっていいって!私大星淡!よろしく!!」 京太郎「お、おう。須賀京太郎、清澄高校の1年で麻雀部だ」 淡「よろしくね、きょーたろー!」 京太郎「……いいのか?」 尭深「お茶、どうぞ」 京太郎「あ、どうも……うまい」 尭深「そう?ありがとう」 恒子『さあ、試合も再開です!』 誠子「はぁ……もういいや」 恒子『白糸台の部長、弘世菫選手ですが…』 京太郎「…………」じーっ 誠子(画面を食い入る様に見てる……やっぱり、うちの偵察も…) 京太郎「……おもち」 照「…………」 恒子『次は新道寺の…』 京太郎「…………」さっ 誠子(視線逸らした?) 恒子『阿知賀の…』 京太郎「…………」じーっ 照「……京ちゃん?」 京太郎「はい?」 照「尭深の胸、どう思う?」 尭深「!?」 淡「ゴホッ!」 誠子(まさか……) 京太郎「すばらしいと思います!……あ」 誠子(胸見てただけ!?) 恒子『また阿知賀が和了ったー!!』 照「……菫の癖、見つからないね」 淡「全くもって!」 誠子「え、えぇ……」 尭深「……間に合わない」 京太郎「あのー、これ取っていいですか?」目隠し状態 照「駄目」 京太郎「俺も探しますんでなんとか」 淡「とか言って胸見る気でしょー」 京太郎「以外と胸の揺れがカギだったり…」 照「…………」ギュルルルルル 京太郎「ごめんなさい」 照「……胸」さわさわ 照「……尭深、ちょっと」 尭深「いやです」 淡「ちょっとだけ!少し揉むだけだから!」 尭深「淡ちゃん、弘世先輩のはどう?」 淡「うーん……尭深先輩のが揉みやすそう!」 照「うんうん」 誠子「そもそもなんで揉む前提で話してるんですか?」 京太郎「くっ……目隠しさえ、目隠しさえ取れていれば!」 菫「……何をやっている?」 照「……暴力反対」正座 淡「……おー」正座 菫「やかましい。控え室に他校の生徒を連れ込むな」 京太郎「あー……俺、もう帰りますけど」 菫「……いや、今は時間がないが、次鋒戦が終わったら改めてお詫びがしたいから、残っててくれないか?」 京太郎「そういうことなら……」 誠子「うまく誤魔化した?」小声 尭深「多分、自分が一番話してないから」小声 菫「お前らも正座するか?」 照「げんこつは酷い」 淡「そうだそうだー」 京太郎「そこまで強くしてるようには見えませんでしたよ?」 照「こことかこぶが……」 京太郎「ここですか?」ナデナデ 照「……いや、もう少し右」 京太郎「こっち?」ナデナデ 照「…………」満足気 淡「……なんかずるーい」 京太郎「ん?淡もか?」ナデナデ 淡「……いきなり女の子の髪に触るのはどうかと思うなー」 京太郎「あ、悪い。つい」 淡「許さないから、もう少し撫でて。痛みが引くように」 京太郎「いいのか?……ここか?」ナデナデ 淡「ん……」満足気 菫「うちの魔物2人をあっさりと……」 誠子「すご……」 尭深「ただの胸好きじゃなかったんだ……」 恒子『次鋒戦終了!!』 京太郎「菫さんマイナスでしたね」 照「菫は悪い打ち方してない。相手がそれ以上だっただけ」 淡「でもー、眼鏡の人と厚着の人にやられてたじゃん」 誠子「新道寺は前と打ち方変えてましたね」 尭深「阿知賀もなかなか……そろそろ行ってきます」 淡「おー。たかみスロット貯めて…もが」 誠子「一応他校の前だからそういうこと言うなって」クッキー突っ込む 淡「むがもご……おいひいからもいっこ」 照「これは私の分」 淡「ちぇー」 京太郎「あ、俺トイレ行ってきます」 憧「次は江口セーラに渋谷尭深……それに江崎仁美も結構やるし……あー、あたしがなんとかできるのかなぁ」 京太郎「ん?さっき会った阿知賀の」 憧「あ、Kちゃん」 京太郎「Kちゃん呼びは勘弁してくれ」 憧「悪かったわよ」 京太郎「……どうかしたのか?」 憧「へ?」 京太郎「いや、なんか不安そうな顔してたから」 憧「……分かる?」 京太郎「なんとなくだけど」 憧「……今さらだけどさ、私達みたいなとこが全国でも有名なとことやれるのかなーって思うと、怖くなってね」 京太郎「有名校……」 憧「全国ランキング1位と2位、それに北部九州最強とか、こっちは10年前にベスト8だっての」 憧「ほんっと……どうしろっていうのよ……」うつむき 京太郎「…………」 ギュッ 憧「え?ちょ…」 京太郎「ここまで努力してきたんだろ。努力した自分を信じて自分を信じる仲間を信じろよ」 憧「仲間を……」 京太郎「団体戦なんだから、な?」 憧「……そうね。ありがとう、少し楽になったわ。でも」 京太郎「ん?」 憧「い、いつまで手、握ってるつもり?」顔赤らめ 京太郎「わ、悪い!なんというか、つい」 憧「もう、和が良い人って言ったのは本当っぽいけど、簡単に女の子の手握るのはやめなさいよね」 京太郎「悪い、新子」 憧「……憧でいいわよ、京太郎」 京太郎「お、おう。憧」 憧「あ、携帯ある?連絡先教えてくれない?」 京太郎「ああ、いいぜ……よし」 憧「うん。それじゃ、ちょっとやってくるわ」 京太郎「おう!頑張れよ!!」 憧「当然よ!決勝、行くんだから!!」 セーラ「よう、久しぶり」 憧「こないだはどーも」 セーラ「しかし……負けたわ」 憧「?」 セーラ「試合前に京太郎に会っておくとは……やるな」 憧「ちょ、見てたの!?」 セーラ「はっはっは。油断しすぎやで」 憧「こ、この……絶対勝つ!」 セーラ「それはこっちのセリフや!」 仁美(……何もかんも政治が悪い) 尭深(……京太郎くん、うちの控え室にいるってことは黙っておこう) 恒子『副将戦、開始!!』 京太郎「戻りました」 照「おかえり」 淡「おーそーいー。罰としてお菓子」 誠子「いや無理言うなって」 菫「……そもそも彼が他校の生徒だということを忘れるなよ?」 京太郎(なんか馴染みつつあるよな、俺) 照「いっそうちに転校する?」 淡「いいね!麻雀部のマネージャーとかどう!?」 菫「お前らな……」 誠子「そんなことしたら競争率上がりそうですよね」ボソッ 菫「すでに手遅れだろう」ボソッ 京太郎「?」 淡「そーいえばさー。菫先輩、お詫びがどうこう言ってたけどどーするの?」 誠子「ああ、次鋒戦の休憩で言ってたね」 照「じゃあお詫びに私が…」 菫「おまえは黙ってろ。そうだな……何か今渡せるものがある訳もないし、京太郎くんは欲しいものや、してほしいことはあるか?」 京太郎「俺がですか?そんなの別に…」 菫「迷惑かけたんだ。言ってみてくれ」 京太郎「……それじゃ、初心者の俺に麻雀の指導をしてくれませんか?」 菫「私がか?」 京太郎「はい」 菫「だが、私は……」 照「じゃあ私が」 淡「いや私が」 菫「お前ら個人戦あるだろ?……君の先輩や同級生には教わらないのか?」 京太郎「確かに教わりますけど、色々な人から教わることもいいですし、菫さんならしっかり教えてくれそうなんです」 京太郎(カンや東場速攻前提はな……) 菫「……すぐに、と約束はできないがいいか?」 京太郎「はい!」 淡「菫先輩いーなー。よし!私も!」 誠子「お前、初心者の子を泣かしてたろ」 照「もうちょっと上手くやらないと……でも+-0は駄目だけど」 京太郎「ああ……確か入部した時にやってましたよ」 照「やっぱり……」 菫・淡・誠子「?」 前話 次話 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5755.html
338 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/03(日) 23 20 28.10 ID 3NYRhKZUo [22/24] あの宮永照が男を連れてきた。 今から数ヶ月前。 時期で言えば春休みの頃、それが白糸台麻雀部に奔る激震だった。 前部長から私に部長引継ぎも終わって半年、トラブル無く過ごしてきた毎日。 それをあいつ自身の手でぶち壊されることになるとは思いもしなかった、というが本音だ。 いや、あいつは小さい問題は起こしていた。 よく迷子になってたり、気づけば消えていたり。 部員総出で探そうとすれば、今度はコンビニの袋を持って帰ってくる。 しかも、「何でこんなに騒がしいの?」と真顔で聞いてくるくらいに。 ああそうだ。 こいつはこういう奴だ。 制御の効かない、何処までも自由な奴なんだと。 思い知ったのは一年の頃からだろう? 己に問いかけてみれば答えは肯定。 思えば、苦労ばかりかけさせられた。 ため息の回数だって増えたと思う。 だが、それを悪く思っていないという自分にも驚いてはいた。 まぁ、それも友人という間柄だからだろう。 付き合っていて、困ることはあれど不快となることは無い。 宮永照というのは、そういう奴だった。 ……ああ、そうだった―――話を戻そう。 照が連れてきた男……須賀京太郎。 何でも、照とは幼馴染に近い付き合いらしい。 去年の冬から交流が戻り、白糸台を受けてみればと勧めたらしい。 結果は、合格。 そういうことで、一足早く学校見学をしているそうだ。 そして、その案内を照がしている。 なんとも、聞けば普通のことなんだろう。 だが、私が驚いているのはそんなことじゃない。 あの照が、笑みを浮かべているのだ。 何時も愛想笑いや営業スマイルしか浮かべない照が、微笑を浮かべている。 別に照の笑顔を初めて見た、ということは無い。 無いが、あそこまで満面の笑みは初めてだった。 それが、須賀京太郎との出会い。 第一印象は、どうにも印象薄くなってしまった出会い方だった。 347 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/03(日) 23 34 32.50 ID 3NYRhKZUo [23/24] 春。 入学式を終え、新入生が多く入るこの季節。 それぞれの部活は新たな部員を確保しようと宣伝を開始する。 まぁ、麻雀部にはその必要は無いのだけれども。 昨年、一昨年の全国覇者。 その名前の売れ方というものは、一つ異常だ。 あまりにも入部志願が多すぎて、足切り試験を開始するとまで発展したことから察せれるだろう。 試験までの期日は一週間。 雀卓は麻雀マットによる手積みも含め多く用意され、それでもなお手が余る入部希望者は特訓へと打ち込む。 その時、やけに照がそわそわとしていたのを私は見ていた。 視線の先には、金髪。 ああ、彼か。 私が名前を思い出しながら、少し覗いて見る。 見たが……実力は低かったと見るべきだろう。 一応は春休み中に自学していたらしい。 最低限は理解していても、まだ雑、ということは分かった。 ふと、視線を向ける。 照が立って、こっちに来ようとしている。 それだけは拙い。 咄嗟に、私は照の腕を掴んで給湯室に向かう。 人気は無い。 少しお茶の香りがすることからして尭深がさっきまで居たってのが分かるくらいだろう。 照「菫、離して」 菫「おい待て、何するつもりだ?」 照「京ちゃんを鍛える」 菫「お前がやったら鍛える前に壊すぞ、確実に」 シュン、と。 それが分かっているからこそ俯く照。 ああ、厄介なことになったな。 返ってくる答えは無い。 今は駄目だ。 そう言い、照を抑える。 しかし、レギュラーの練習中でも彼の背中を追うように見ていて、そして調子も悪くなった。 もし、これで彼が足きりされて部に来れなくなったら。 そう思うと、照の行動が読めなくなる。 そこから先の行動はもう、決まっていた。 352 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/03(日) 23 50 36.86 ID 3NYRhKZUo [24/24] ピンポーン。 はーい。 実に短いやり取りだ。 こうするだけで家の中に居る人間を呼べる。 アパートのドアが開き、彼と目が合う。 今の彼の顔は呆気に取られてる、というのが正しい表現だろうか。 京太郎「ひ、弘瀬部長?何でここに……」 菫「あー……その、な…」 照「私も居る」 京太郎「てっ、照さん!?」 つかつかと、勝手に部屋に入る照。 悲鳴を上げて照を追いかける須賀を哀れに感じつつも、私も家の中に入る。 ふと見回してみれば、なんてことはない、1Kのアパートだ。 ダンボールが山積みしてあり、ちゃぶ台と布団だけが置かれている。 まぁ、これが普通か。 そう思いつつ、私は畏まって座る須賀の前に膝をついて座る。 ……照が何かを探し回ってるのが気にはなるが。 京太郎「そ、それであの……俺に何か御用ですか、部長?」 菫「ああ………そこのポンコツのことなんだがな」 京太郎「照さんの……ですか?」 菫「そうだ、君が試験を受けるということで普段の練習にさえ気が入らないんだ」 そう私が言うと、申し訳なさそうな顔をする須賀。 別に責めてる訳じゃないと前置きを置き、本題を繰り出す。 菫「私はこれ以上こいつの問題行動を起こさせたくないんだ、分かるか?」 京太郎「は、はい」 菫「だから、君には確実に試験に受かって貰う必要がある」 そう言って、私が荷物から出すのは様々な本。 そして折りたたみ式の麻雀マット。 それを見た須賀の頬が、ひくり、と。 大きく引きつった。 菫「これから数日間、胃に汗を掻いて貰うぞ」 京太郎「いやあああああああ!?」 ………今思えば女のような悲鳴だったな、あれは。 360 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 00 00 26.67 ID 9kPBi8WCo [1/11] 結論から言おう。 彼は、なんとか合格していた。 むしろ俄か仕込でよくあれだけ打てた方だと思う。 運にも救われたな。 私はそう思っている。 しかし、この足きり試験は大成功だ。 目ぼしい一年が一人、浮かび上がった。 大星淡。 あの照と一年の時、出会ったような。 それに似た感覚を感じた子だ。 きっと、すぐに一軍に上がってくる。 そんな確信すら、私にはあった。 事実、一軍レギュラーへと上り詰めたのだからその実力は本当だ。 しかし、須賀は実力自体は低い。 上手くなってはいるが、ここは白糸台だ。 その程度の雀士は多く存在する。 埋もれていくか。 そう思ったのだが、妙なところで才能を発揮する、ということがある。 須賀は、そんな奴だ。 気づけば牌譜は整理され、気づけば部屋は清掃され、壊れた自動雀卓が何時の間にか直っている。 茶を淹れれば尭深並。 気づけばそこに控えている、そんな妙なスキルがあった。 執事か何かか。 そう聞けば、首を傾げて頭を捻っていた姿が思い浮かぶ。 そんな須賀が。 ここ、白糸台で築いた地位。 それは、ある意味では私と並ぶ仕事になっていた。 宮永照世話役。 今日も、お互い揃ってため息をつく。 そんな毎日。 私と彼は、今日も小さくため息をつく。 【プロローグ エンド】 369 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 00 10 56.31 ID 9kPBi8WCo [2/11] 夢を見ていた。 何処か、寂しい夢を。 俺は高校を卒業して、龍門渕家の使用人となっていた。 ハギヨシさんと同じ執事。 純さん、一さん、智紀さんの後輩として。 高校時代と変わらず、毎日を皆と過ごしていた。 楽しかった。 騒がしかった。 悪い日なんてなかった。 こんな日がずっと続くと思ってた。 そんなこと無いのに。 俺は、忘れていたんだろう。 時間は、人を変えていくのだと。 純さんがクビになった。 何でクビになったか、教えてくれなかった。 むしろそんなことを忘れろと。 そう言うように俺に対する給金が上がった。 歯車が一つ、欠けた。 ぎしっ。 軋む音が聞こえる。 ぎしぎし。 まるで、機械仕掛けを無理して動かしているような。 そんな軋む音が。 それが長く続くはずも無い。 気づけば。 ……気づけば、俺は。 俺は。 ………。 俺は、屋敷から出ていっていた。 衣さん、一さん、智紀さん、ハギヨシさんに支援されて。 俺は、誰も知らない土地に来ていた。 故郷に帰ることもなく。 溜め込んでいた給金と、定期的に振り込まれる無言の給料。 振りぼけた大型バイクで転々と。 誰とも出会わない場所へと。 転々と。 転々と。 374 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 00 16 10.06 ID 9kPBi8WCo [3/11] バイクが止まる。 ぷすんと。 短い音と共にシリンダーが軋む音。 燃料切れ。 俺は周りを見回し、ため息をつく。 ここで野宿か。 バイクを路肩に止め、手は慣れた手つきで焚き木を組む。 ふと、視線を空に。 山合いの中、人口の光が無い空間。 邪魔する光が無く、浮き上がる星々が見える。 火を起こし、バイクから上着を複数取り出す。 寝袋へと入り込み、バイクにもたれかかるように座る。 今夜はきっと。 ……きっと、良い夢を見れる。 そんなことを思いながら。 俺は、目を瞑っていた。 381 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 00 21 09.17 ID 9kPBi8WCo [4/11] 【8月14日】 ………なんか、妙な夢を見ていた気がする。 一人ずっと旅していたような、そんな夢。 夢で見た俺は疲れていて。 でも、毎日ちょっとした楽しみを見つけては笑みを浮かべていた。 そんな夢だ。 ああいう、風来坊な生き方はやろうとしても出来ないだろうな。 思い返せば、苦い夢だった。 そんな気がする。 さて、と。 俺は背伸びし、冷蔵庫を開く。 一応、俺は白糸台高校の選抜スタッフとして大会に同行が許されているのだ。 仕事はきっちりこなして見せようではないか。 朝 京太郎「おはようございまーす」 照「あ、京ちゃん」 集合場所。 ……というか、白糸台高校が利用しているホテルの小さい宴会場。 そこに選手たちとスタッフとなる生徒が集合している。 そのレギュラー陣。 そこに一足先に来て本を読んでいた照さんが立ち上がり、俺の傍に来る。 京太郎「おはようございます、照さん」 照「おはよう、京ちゃん」 にこり。 小さく笑む照さんに周りも笑みを浮かべる。 もはや見慣れた光景らしい。 それに妙な気恥ずかしさを感じつつも、俺は声を出す。 京太郎「皆さんは?」 照「菫は淡を起こしに、誠子と尭深は朝食が遅かったから、あと少しだと思う」 京太郎「淡の奴、まだ寝てるんですか……」 もうすぐ9時だぞ。 時計を見て、俺は呟く。 ああ、きっと部長は今頃大変なんだろうな。 そう思わずにはいられない。 そんなことを考えつつ、俺は座布団を持ってきて座る。 会議室が開けば次は会議室でミーティングでもするのかなと思いつつ。 その隣に照さんが座る。 無言で。 本のページを捲くる音だけが聞こえる。 ふと、周りを見る。 ……なんで、皆遠巻きにいるんだ? テルチャーの従順度1上昇 425 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 00 55 23.83 ID 9kPBi8WCo [7/11] 【8月14日:昼】 レギュラーの皆は今、開会式の真っ最中だろうか。 俺は他のスタッフと共にテレビ画面に写る照さんたちを見る。 湧き起こる歓声。 登場しただけで、多くの観客が反応する。 白糸台麻雀部のネームバリューの広さを実感する瞬間だ。 自然と、俺も手を握る。 誰もが焦れる、全国の舞台。 そこに立つ多くの雀士の一人になりたいと、誰もが思う。 その頂点に居る照さんは、何処までも堂々としていた。 表情に変化なく、薄く閉じられた瞳が開かれ、選手代表の挨拶をするために動く。 その第一声。 それが、この2週間の闘いの火蓋を切って落とす言葉になった。 照「宣誓――――」 ……さて。 開会式は終わり、ここ、白糸台麻雀部には緊迫した空気が張り詰めていた。 なぁに、なんてことは無い。 早くホテルに戻ろうとしたら、何時の間にか照さんが消えてたってだけの話だ。 弘瀬部長が頭を抱えて、照さんの携帯をその手に持っている。 ……そうだ、あの人、携帯を忘れていってるのだ。 いや、開会式に携帯を持ち込まなかったからそのまま忘れていたんだろう。 誰かさんに似て、何処までもすっ呆けだと俺は思う。 ゆっくりと、立ち上がる部長。 その目は、鋭く据わっていた。 ゴ○ゴ13の女版みたいだ。 そんな感想を口には出さず、命令が下されるのを待つ。 照さんの捜索。 これこそ、我々白糸台高校レギュラー直属スタッフの真髄である。 何を隠そう、照さんの対応こそこのメンバーの職務の一環なのだ。 ……いや、他高校の試合を記録という仕事も勿論あるんだけどね? それは、まぁいい。 俺は部長の命令が下った後、携帯電話を片手に会場の外に出る。 会場から一斉に白糸台の制服が出てきたことでカメラが向くが、俺はそう他の高校と変わらないシャツとズボン姿だ。 以外とあっさり、会場から抜け出せた。 さて、照さんのことだ。 この近辺の甘味所を探せば、すぐ見つかるだろう。 536 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 21 56 15.00 ID 2UiN0tOoo [4/21] そう思い、捜索開始して10分。 俺は一軒のドーナツショップに到達していた。 朝方の照さんの呟き。 『今日はドーナツ』というその言葉の通りだ。 ただ、予想外にドーナツ屋があって驚いたけど。 まぁ、いいだろう。 俺は店内に入るとぐるりと見渡す。 店内はそう広くは無い。 見渡せば、すぐに見つかるはず―――― -─===‐-ミ ´. . . . . . . . . . . . 、 _ 00/. . . . . . . . . . . . . . . \ └‐┐ |. . . . . . . . . . . . ト、 . . . . `、 ┌‐┘ |. . . . . . . . .|. . . . | \. . . . ',  ̄ ̄ . . . . . . . |. . . . | \|. . . [][]「l . . |. . | |. ‐/、|. . l . | -‐. |、. . . くノ . . |. . | |. / |. . 八ノ ハ . | . . r‐‐┐. 八. |┬─┬}/ ┬‐┬‐ . . |`ヽ} く,勹|. /⌒ヽ} | | 三 | | .'. . | く_ノ. ____. { '└─┘  ̄ └‐┘ l. . | └Tマノ 人_ u j. . | に二二] i. . . .> )‐┤ イ.l 'i. . . i . _;〕ト _/| h ≦. . .| 八/ モグ…ト、. . |/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/| \{ .,_ \| |/ ハ / ヽ > | ノ / ∧ 京太郎「………」 照「………」 京太郎「帰りますよ」 照「……あといっk」 京太郎「か え り ま す よ ?」 照「うん」 駄目だこの人、早くなんとかしないと……! ……今度、部長に胃薬差し入れよう。 544 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 22 01 56.31 ID 2UiN0tOoo [6/21] 【8月14日:夜】 部員全員にお土産ドーナッツ購入。 それを済ませて、俺は弘世部長に連絡を入れる。 照さん発見。 ドーナツ屋に居た。 短いながらそれを伝えて、小さく部長がため息を吐く。 なんというか、本当に疲れてる声だ。 京太郎「お、お疲れ様です…」 菫『ああもう、何でこんな……いや、すまないな』 京太郎「部長の気持ち、よーく分かりますよ俺も…」 照「―――」 菫『そうか、分かってくれるか……ふふっ、案外君は良い部長になりそうだな……今のうちに考えとかないか?』 京太郎「あは、あはは……俺はそんな仕事勤まるとはーって照さん何」ガッ 菫『須賀?どうした、おい?』 照「菫、心配かけた」 菫『照か、確かに心配したが……』 照「……このままホテルの方に京ちゃんと帰るから、皆もそのままホテルで集合で、じゃ」 菫『あ、おい待て!おいっ、てr―――』プー、プー 俺の携帯を奪った照さんが携帯を閉じ、俺に渡す。 澄まし顔。 言うとすれば、そんな顔だ。 ドーナッツの箱片手に、俺は照さんを見る。 ……なんか、不機嫌か? 京太郎「照さん、何怒ってるんです?」 照「怒ってない」 京太郎「いや、絶対怒ってますよね?」 照「怒ってない」 京太郎「いや怒ってry」 照「無いから」 京太郎「………」 照「………」 ……急に、無言。 俺は頭を抱える。 なんというか、あれだ。 ……俺、何かしたかなぁ? 662 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 23 02 01.38 ID 2UiN0tOoo [15/21] 京太郎「……お、ホテル見えましたよ」 会話に悩んだ俺は視界の先に納めたホテルを見てそう呟く。 さっさと戻ろう。 戻って、皆と三時のおやつとしゃれ込むのもいいだろう。 そんなことを思いつつ、俺は脚を進める。 しかし、不意に。 ぐいっと。 後ろに引かれる感覚があった。 バランスを崩すほどじゃない。 だが、確実に意識されるような引き方だ。 振り返る。 ……見れば、照さんが空いていた俺の手を握っていた。 じっと。 見つめられる。 ……なんで? 照「………」 京太郎「あ、あのー?照さん?どうしました?」 照「………何でも、無い」 京太郎「そうですか?って、皆居ますね、もう」 手を振る姿が見える。 あれは……淡か。 一人跳ねて楽しそうだな、おい。 思わずそう思いつつ、俺と照さんは皆の下に。 早速、ドーナッツの箱に反応するふわふわ娘を牽制しつつ。 俺たちはミーティングルームに行く。 お茶の用意をして、タイミングを見計らい。 残りのスタッフの分を分けておいて、俺はレギュラーの皆さんが使う部屋へと続くドアをノックした。 京太郎「ひと段落ついたと思いますので、お茶にしませんか?」 菫「ん……そんな時間か」 尭深「あ……お茶、手伝うね…」 誠子「よーし淡、お前そっちの机の端持ってくれるか?」 淡「了解でーす!」 672 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 23 18 14.44 ID 2UiN0tOoo [16/21] 俺と渋谷さんでお茶入れ。 淡と亦野さんは机を移動させて席を作っている。 弘世部長は会議に使った資料片付け。 照さんは……。 照「………」 照さんは。 じっと、こっちを見ている。 じっと、だ。 まるで、何かを堪えるような。 そんな目だ。 それに俺は気を引かれつつも、手元は淀まない。 気づけば、もうお茶の準備は完了していた。 京太郎「ドーナッツですから、部長と亦野さんはコーヒーでいいですか?」 菫「ああ、それでいい」 誠子「やー、ありがとうね」 京太郎「渋谷さんは緑茶がありますか」 尭深「うん、ありがとう…」 京太郎「ほれ淡、お前は○ンジュースでいいだろ」 淡「京太郎私だけなんか適当ー!」 京太郎「果実から絞れっていうのか、俺に」 ぶーぶーと文句を言いつつ、しかし一口飲めば大人しくなる淡。 いやー、ポ○ジュースって便利だよな。 何処でも手に入るし、味もそれなりだし。 そういや、愛媛のある学校では水道蛇口からポンジュースが出るところがあるらしい。 そんなどうでもいいことを思いながら俺は紅茶のカップを照さんの下に運ぶ。 当然だが、一言釘を刺すことも忘れずに。 京太郎「照さんはもう何個か食べてるんですから、抑えてくださいよ?はい、紅茶です」 照「………」 京太郎「……照さん?」 反応が無い。 ただ小さく、最後に「ん…」と。 そうとだけ答える。 それに首を傾げつつ、俺はお盆を持って引き下がっていたあ。 ――――背中に、視線を感じつつ。 679 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 23 31 19.65 ID 2UiN0tOoo [17/21] ぱたん、と。 私の帰りを待っていた個室の冷えた空気が身を包む。 そっか。 エアコン、時間予約していたんだっけ。 帰ってきたら、部屋が暑くないように。 ベッドに腰掛ける。 スプリングが加重を支え、跳ね返す感覚。 それを受けると、私は制服のスカーフへと手をかけた。 しゅるり。 衣擦れ音と共に制服を脱いで、下着姿になる。 そのまま下着も外して、部屋に備え付けられたバスルームへ。 シャワーの蛇口を捻る。 冷たい水。 それが徐々に温水になり、体を濡らす。 はぁ。 搾り出すように息を吐く。 思い返すのは、さっきのことだ。 京ちゃんは皆の好みも、何もかもを把握していた。 知っている中では、京ちゃんは頼れる男子部員として信頼されているということ。 あの菫が重宝していて、部長にならないか、と冗談を言うくらいに信用している。 淡なんかは、クラスが同じだ。 自然と顔を合わせる回数もあって、麻雀部ともなれば交流は嫌でも出来る。 あの子がああして懐くのも、分からなくもなかった。 ……過去に、同じようなことがあったのだから。 そうだ、京ちゃんは気が利く。 それに、とても優しい子だ。 誰かが困っているのを放っておけない、優しい子。 だから、ああして誰でも優しくする。 そうやって……。 そうやって、勘違いしちゃう子だって出て来ちゃうかも知れないのに。 683 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/04(月) 23 39 14.69 ID 2UiN0tOoo [18/21] ああ、駄目だ。 そんなの、駄目。 京ちゃんと付き合いが長いのは、私なんだ。 他でもない、私。 アイツなんかでもない、私だ。 私なのに。 私が一番なのに。 なんで。 京ちゃん。 なんで笑ってるの? なんでそんなに奉仕してるの? なんで何かを思い返すように寂しげな顔をするの? ねぇ。 ………ねぇ…! ねぇ!!! ガンッ。 額と手を側壁にぶつける。 募る苛立ちを吐き出すように。 息を吐いて、温水を冷水に。 落ち着こう。 頭を冷やさなきゃいけない。 そうだ。 だって、今一番有利なのは私。 そう、焦る必要なんて、無い。 無いんだ。 照「……額、痛い…」 テルチャーがレベル4となりました 710 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 00 03 17.86 ID tSAAN0cqo [1/7] 【8月15日:朝】 基本的にスタッフとして呼ばれている部員は二人部屋だ。 ただ、俺は一人部屋を利用していたりする。 まぁ、当然だ。 麻雀部に男子部員はほとんど居ない。 それに、スタッフで男は俺だけなのだ。 白糸台は女子麻雀部名門。 男子は男子で、全国へ行くのなら麻雀部の強い高校を目指すだろう。 まぁ、そういうことだ。 俺は早朝、目を覚ます。 体を捻れば間接の鳴る良い音が聞こえる。 慣れないベッドは体が凝る。 まぁ、これから長く利用する場所だ。 さっさと慣れるべきなのだろうけど。 ごきんごきん。 手首を回しつつ、俺は着替えを返しする。 その時だ。 コンコンッ。 そう聞こえた。 ドアのノック音。 いや、というか早くないか? 今、朝の6時だというのに…。 ドンドンッ! 京太郎「はーい、今開けまーす」 徐々に強くなってくる音。 それに顔をしかめつつ、俺はドアへと向かう。 ったく、一体誰だ? そう思って、俺はドアを開く。 ガチャリと。 小さく隙間が開いて。 そこに勢いよく、手が差し込まれた。 837 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 21 12 52.14 ID 6QeWacwyo [5/20] 京太郎「ちょ……」 ドアを締めれないようにされた。 それに気づくと同時に、俺は一瞬焦る。 のぞき穴で確認してなかったのが悪かった。 そうだ、知り合いとは限らないじゃないか。 思わず、身構える。 だけど、それはすぐに解かれる。 その手を差し込んだ人。 その人が、照さんだったからだ。 京太郎「て、照さん……?」 照「おはよう、京ちゃん」ガチャン 普段どおりの様子で照さんが答える。 そのまま俺の部屋の中へ。 それに目をぱちくりとしていると、手を引かれる。 もう片方の手には……洗面用具? 照「シャワー、貸して」 京太郎「え、照さんの部屋に無いんですか?」 照「今は動かない」 直すにも時間がかかる。 朝早いから他の人からシャワーが借りれない。 そう、照さんは言う。 んー……まぁ、それなら…。 京太郎「それなら、仕方ないですね」 照「ごめんね」 京太郎「いえいえ、じゃあ俺は外に出てますから」 照「えっ」 京太郎「終わったら勝手に出てっていいですよー!」 言うが早く、俺は部屋を出て行く。 シャワーを浴びる音なんか、聞いてたら失礼だしな。 ……しかし、なんで照さんチェーンロックまでしてるんだ? 846 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 21 22 50.59 ID 6QeWacwyo [7/20] 【8月15日:昼】 照「………」フイッ 京太郎「……」 どうしてこうなったんだろうか。 俺はそう問いかけねばなるまい。 一人、雀卓の椅子に座る照さんを発見してはや一時間。 周囲を見回せば、遠巻きに照さんを見つめる皆が居た。 今の照さんは、非常に不機嫌だ。 それを察しているからこそ、皆近づかない。 そして、向かう視線は俺。 その目に込められた意味。 それは、「行け」という命令だ。 ……とほほ。 京太郎「あ、あのー……照、さん…?」 照「………」フイッ 京太郎「……」 ……神よ、俺にどうしろと言うのでしょうか。 明らかにこっちを無視している照さんに俺は頭を抱えたくなる。 視線を、後ろに。 助けてほしいの。 そんな目線を送れば、皆が一斉に視線を逸らす。 畜生、味方すらいねぇ。 そこで、俺の持つ空気が通じたのだろうか。 ふと、照さんが俺を見上げていた。 椅子に座ってるせいか、そういう構図になっている。 京太郎「………」 照「………」 目と目が合う。 ようやくこっちを向いてくれたのだ。 しっかりと、話くらい聞かせて貰おうではないか。 照「………」プイッ ……なんで速効で顔逸らすのかなぁ……。 881 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 22 57 09.00 ID 6QeWacwyo [11/20] 【8月15日:夜】 淡「京太郎ずっこい!!」 京太郎「………は?」 夕食を済まし、風呂から上がって息を抜ける時間。 麻雀卓が設置されたレクリエーションルームには、同じように就寝のための身支度を終えた部員が見えた。 皆、思い思いの姿で休憩している。 白糸台の試合は第二試合から。 それが分かってるし、無理に練習するのも体に毒。 そんな弘世部長の判断が反映されている。 今は、どちらかと言えばコミュニケーションの時間だろうか。 レギュラーたちと部員が交流しては笑う。 そんな、高校生らしい、という風景がここにはある。 ……なんというか、男の俺が場違いな甘い空気が漂っているような気がする。 部屋、戻るか。 俺はそんなことを考える。 居心地が悪いんじゃないけど、ふと見れば女子生徒たちが少し身だしなみを整えるのが見えた。 ……まぁ、元々麻雀部は女子高みたいな感じだったしな。 オープンになる気持ちが残ってるのかも知れない。 俺は来た道を戻ろうと、向きをくるりと反転させる。 その瞬間だ。 背中にぶつかる感触。 飛びついてきたであろうその衝撃につんのめりつつ、俺は耐え切った。 そして、勢いよく後ろを見る。 こんなこと、やる奴は一人しかいねぇ。 京太郎「いきなり突っ込んでくるなよ淡!!」 淡「えっへっへー、びっくりしたか!」 京太郎「びっくりっていうかどっきりだよ……」 改めて振り返る。 白とオレンジのシャツにショートパンツというラフな姿の淡が、そこにはいた。 大星淡。 俺と同じ一年で同じクラスの一軍レギュラー選手、白糸台の大将を勤めている。 そんな、何処かうねうねとウェーブがかった金髪が特徴的な淡が、またにこっと笑っている。 白糸台麻雀部の一年生レギュラー。 雑誌では多くはミステリアスに語っているこいつ。 俺から言わせて貰おう。 こいつは、アホの子であると。 936 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 23 36 38.02 ID 6QeWacwyo [14/20] 京太郎「で、何の用だ?俺はもう帰るとこなんだけどよ」 そんな回想を横に置き、俺は淡に問いかける。 いきなりだったが、まぁなんてことは無い。 何時もの発作みたいなものだろう。 淡の行動をそう処理して、俺は腕を組む。 さて、この我侭姫は何を言い出すのやら。 淡「京太郎ずっこい!!」 京太郎「………は?」 何が? 俺はいきなり「ずるい」と言われ、呆然とする。 訳が分からない、そんな表情が浮かんでいるだろう。 それに頬を膨らませる淡。 何がなんだと、俺は考えているとその答えを淡は言ってくれた。 淡「今日、テルーをまた占領してたー」 京太郎「あー……」 ……つまり、あれか。 こいつは遊び相手が取られて拗ねてるのか。 気分屋だとは知っているが、こいつと照さんの世話に部全体の管理。 弘世さんにやっぱり胃薬持って行こう。 そう固く決心した俺は、しっしっと淡を振り払う。 むすっと。 そんな顔をした淡の頭を適当に撫で、俺はそそくさとその場を後にした。 ムーッ………ア、テルー! アワイ、ウトウ エ、ドウシタノテルー? イイカラ 952 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/05(火) 23 51 51.07 ID 6QeWacwyo [17/20] 【8月16日:朝】 168 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/06(水) 20 10 01.07 ID zp+WGvdGo [10/32] 京太郎「えーと……?」 都内、ホテル街から少し離れた百貨店の地下食品売り場に俺は居る。 部活内部での買出し。 それを大よそ終わったので食品を買いにきているのだ。 しかし、ハンドクリームやら化粧品やら小説やら。 なんというか、男の俺に頼むにしては少々大雑把すぎるものばかりな気もする。 まぁいい。 一応、写メ通りの商品を買ってるからミスは無いはずだ。 そんなことを思いつつ、俺はメールを確認する。 欲しい物があれば件名に『食品、雑貨』などタイトルを打ち、区分けして送って貰っている。 その中の食品メール。 それを俺は開く。 えーと、ジュースとかちょっとしかお菓子とか。 そんなのばかりだ。 しかし、不思議だ。 照さんからのメールが一件も無い。 あの人のことだ。 『とにかくお菓子が無いと…』ってくらいにお菓子好きだ。 絶対に注文が来る、そう思っていたから肩透かしだった。 まぁ、そんなことはいいか。 俺は雑貨類が入ったリュックを背負い直し、買い物籠を持つ。 さっさと買う物を買おう。 まずは菓子類を買って、次にジュースとかを買う。 重い物は後回しでいいだろう。 京太郎「えーと、何々?煎餅、グミ、ポテチにチョコ?うわっ、溶けないよな…」 照「さっき冷蔵用の氷があったからそれを使うといいよ」 京太郎「ああ、そういやそういうのも多いですねぇ」 照「あ、これも買おう」ヒョイッ 京太郎「あんまり買いすぎないでくださいよー」 照「うん、考えておく」 京太郎「考えておくだけなんですか……」 照「………」 京太郎「………」 照「………」 京太郎「……照さん?」 ……あれ、何でこの人いるの? 174 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/06(水) 20 15 56.92 ID zp+WGvdGo [11/32] 照「あ、これ新商品……」 京太郎「ウェイ、ウェイ」 照「?」 俺が思わず額に手をやり、考える。 ……何時からだ? この人、何時から居たんだ? いや、それはもういいだろう。 振り返ったって今の現実が変わる訳じゃない。 今すべきこと。 それは一つしか無いだろう。 ああそうだ、手遅れになる前にだ。 京太郎「照さん、お菓子は3つまでにしましょうね」 照「えっ」 えっ、じゃありません。 幾らそんな絶望した顔しても駄目です。 弘世部長にも命令されてるんですから。 照「菫…余計なことを……」 京太郎「何で照さんが居るのか、そんなことは聞きませんからそれくらいは聞いてくださいよ……」 ブツブツと、小声で何かを呟く照さん。 それから俺は意識を外し、小さくため息。 さっさと買い物済ませて、この人連れてホテルに帰ろう。 しかし、中々に嵩張る。 菓子菓子アンド菓子って感じだ。 袋系はこうなる運命だろう。 俺は小さくため息を吐き、そして照さんに前を行って貰う。 何時の間にか何処かに行ってないようにするためだ。 俺が帰り道を覚えているから、途中で間違えたら声をかければいい。 そんな考えで俺は進む。 途中に照さんと会話を挟みながら。 俺たちは帰り道を行く。 そんな時、前を行く照さんが、急に。 急に、立ち止まった。 固まったように、突然と。 俺はそれに「照さん…?」と困惑した声を発して、照さんの視線の先を見た。 そこには―――― 175 名前: ◆VB1fdkUTPA[!red_res] 投稿日:2013/02/06(水) 20 18 27.72 ID zp+WGvdGo [12/32] / .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ヽ . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .゚。 . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚。 . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ./ . . . . . . / . . . . i . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .゚ . ' . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . ' . . / . . . . . / . . . . . i . ,| i . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ゚ . ' . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ' . . .′ . . . /i . . . . ,|ノ | ト、 . i . . . . . . . . . . . . . . . . ゚ / . . . . . . . . i . . . . . . . . . . . . . . . .. ' . . | . . . . . ' | . . . / | | | ヽ . . ト、_ . . . . i . . . . . . . . . ゚ ./ . . . . . . | . . . . . . . . . . . . . . ' . . | . . . . ' | . . . | | |_」 -| . .Τ 丶 i | . . . . . . . . ハ / . . . . . /| . . . . . . . . . . . . . ' . . . | . . . . ' | . . . | |/| ,′ | . ./ Ⅵ | . . . . i . . . ./∧ ./ . . . . 'フ . | . . . . . . . . . . . . i. . . . | . . . . ' | . . . .i '| |' . . 」ィ芹丐 Ⅵ| . . ∧ . // . .i / . . . '´ / . ∧ . . . . . . . . . . . . |. . . ∧ .;. ′ | . . / |' . .x豕刋 芍⌒マⅥ . ∧ V .'i . . | ――――― ./ . . '´ ' . . / ∧ . . . . . . . . . /|. . . ' V ;| | . / . . . ,狄i[_ o -i| . . }! | / i i . | . ′ / . '´ .i . /i/ ∧ . . . . . . . / | . . . .' ∨| | / . . . . . .汽,. 、汐 . . リ .|イ / / . . | . ′./'´ .| . / .| / ∧ . . . . . . i′ | . . .;' V| |' . . . . . . . .`¨¨´ ' ' / |_/ / . . . |/ .| / | ./ ∧ .. . . . . | | . / ゙| . . . , '´ .| / . ∧| .|' .| / ./ .∧ . . . . | | / . .; ´ |イ . . ./ .| .| | / . / ∧ . . . . Ⅳ |' -‐--- '´ ' /i/ .| / . / /i . \ . . .| iム / 、 イ /| .| . ./ / .| . . . .\ .从_ムー---‐ ´ .イ '! / .| / ./ .| . . . . 厂 ´ト、. ヽ _.. / / |′ .|' ./ | . . . ∧ . /| . `¨¨へ '´ ./ iル′ .|/' | / ∨ !、 . / |>o。_ / .!-ー-- .._ {. | ./ ∨{. Y/ | . . . ./i . ¨7 T¨¨¨¨¨¨´ ^ー 、 ` ̄ 190 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/06(水) 20 27 13.42 ID zp+WGvdGo [13/32] 京太郎「咲……?」 咲「………」 そこには、幼馴染の。 そして、照さんの妹の。 咲が。 宮永咲が、ここに居た。 麻雀部に入ったと、聞いていた。 そして、長野代表になっているというのも知った。 そうだ。 ここはそんな遠征してきたチームの宿泊場所が密集している。 こうして出会うことだってある。 あるはずなんだ。 だけど。 だけど、それが無い。 そう思ってた俺も居て。 少しの間、声が出なかった。 「あ」 そんな乾いた、搾り出すような声が出る。 だが、それが呼び水。 言葉が一つさえ出れば、喉は自然と声を出せるようになる。 俺は小さく手を挙げ、顔に笑みを浮かべようとし。 咲に、「よっ」と。 そう、声をかけた。 京太郎「久しぶりだな、咲」 咲「……うん、京ちゃんも」 咲も同じように笑みを浮かべる。 自然と、頬の強張りがほぐれるような。 そんな感覚を俺は感じる。 そうだ。 これが自然なんだ。 咲は笑って、視線を横に。 照さんへと、移した。 咲「お姉ちゃん―――」 照「京ちゃん、早く帰ろう」 196 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/06(水) 20 38 45.90 ID zp+WGvdGo [14/32] 京太郎「え、ちょ、照さん!?」 照さんが俺の手を引く。 ぐいぐいと。 その細腕から想像できないくらい力強く。 それに俺は驚き、思わず足を止める。 照さんがこちらに顔を向けた。 そこにある表情。 それは言うならば、無感情だ。 まるでお面を着けたように表情の変化が消え、人形のような顔になっていた。 俺は後ろを見る。 咲の方を。 咲は、笑っている。 にこりと、笑っていた。 一歩一歩。 こちらに近づいてくる。 表情を少し悲しげなものにして。 咲は、口を開いた。 咲「お姉ちゃん、無理やりは駄目だよ」 照「………」 咲「まだ、お姉ちゃんのプリン食べちゃったこと怒ってるのかな……」 照「………ッ」 咲「ねぇ、お姉ちゃん――――」 照「私にッ!!」 叫んだ。 あの照さんが。 叫んだ。 俺の思考が凍りつく。 照さんの手が、咲の胸倉を掴んで。 額と額がぶつかる。 その真正面からの睨み。 そのまま激情を吐き出すように。 照さんは叫んでいた。 照「私にッ!妹はいない!!!」 218 名前:誤爆訂正 ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/06(水) 20 48 35.81 ID zp+WGvdGo [16/32] 周囲の目が殺到する。 拙い。 俺は即座にそう考えていた。 明らかに状況が拙い。 照さんは有名人だ。 そんな人が、こんな他の学生も集まっているような場所で。 大会前に問題行動に近い行動を起こしている。 俺は慌てて照さんと咲を引き離して。 気づけば、マシンガンのように咲に言葉を投げかけていた。 京太郎「す、すまん咲!照さん今ちょっと駄目みたいでさ!また今度な!!」 照「京ちゃん!?」 京太郎「いいから来てください!!」 ぐいっと。 俺は照さんの手を引いて駆け出す。 どいてどいてと、俺は行く。 照さんが何かを言っている。 そんなのは馬耳東風といった風で俺は行く。 視線を、一度だけ後ろに。 俺の走る速度に追いつこうとして眉を顰める照さんの表情。 その遥か後方になった咲が。 にこりと笑って、手を小さく振っていた。 まるで花のような、笑顔で。 227 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/06(水) 21 00 55.37 ID zp+WGvdGo [17/32] 【8月16日:昼】 京太郎「おーい、淡ー」 淡の部屋。 そのドアを俺は叩き、ノック。 買い物前から淡の反応が無かった。 それが少し気になって、俺は今来ていた。 俺は適当に買ってきた菓子とジュースが入った袋を持っている。 一応、あいつ用だ。 入学してから数ヶ月。 クラスで一緒の時も多く、麻雀部じゃ多分照さんの次に接触が多い。 それだけ過ごしていれば、好みくらいは分かる。 まぁ、要らないと言われればそのまま俺が持っておこう。 非常食にもなるし。 そう思って、ふとドアを見る。 スリッパが挟まっている。 つまりは、開いていた。 無用心だなと俺は思いつつ、ドアを開く。 ん? 椅子に座ってる? 京太郎「あ、淡ー…?」 ( ) ノノ (( ,,,;) ) ノ ( _ ⌒) ( ( ) ノ -‐==‐- )ノ プシューッ ´ ` / ヽ / , ! | | i. / |i , ‐‐i| . ト、_|‐‐ | i| | l / |i | |/八 . | | | i| | テルーテルーテルーテルーテルーテルーテルー |/ 〔!| N ○ \| ○ |ノ ,リ │. 〔 八! l圦 ,, ' ,, l // | N | . v ァ . ∨/ . | ヽ| | l_≧=ァ≦ト /_,′ 八 ノ厂| l 〔, / / `丶、 ` /∧ i| | 「⌒ / / /∧ / イ′ j ト、∧ / ′´ .イ ' / | |\ハヒ/| |ニニ/ 〉 / ノ〈 i i ニ| | ´y' ! | .' / 〉 / j / ノ i| | 〔___! ト、〕. 〔′| `ー‐' /// | | i| Υ─| | .′ 京太郎「淡ぃぃぃぃいいいいいい!?」 273 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/06(水) 21 32 02.75 ID zp+WGvdGo [21/32] 何かとんでもないことになってる! 何かとんでもないことになってる!! 何かとんでもないことになってる!!! 俺は淡の肩を掴んでがっくんがっくんと揺らす。 いかん、首が据わってない。 全身の筋肉から力が抜けている証拠だ。 肩を揺らすたびにガクガクと。 淡の頭部がヘッドバンキングのようにシェイクされる。 それと同時に「あぅ」とか「へぅ」とか。 そんな声が漏れ出ていた。 しかし、次の瞬間。 淡「………痛い!痛いよ!?」 京太郎「おお、正気に戻ったか」ガシッ 淡「……あふぇ、ひょーたほー?(あれ、京太郎?)」ムニムニ 頬を掴んで抓ると正気に戻る淡。 そのまま餅みたいなほっぺを揉んでいるせいか言葉がはっきりしていない。 しかし、意識もはっきりしたのだろう。 俺の両手をガシッと。 淡が思い切り掴んでいた。 淡「って、触るな!!」 京太郎「おお、元に戻ったか」 淡「馬鹿!京太郎の馬鹿!あほ!」 可愛らしい右ストレート。 それを手の平で受けてはっはっはと笑う。 しかし、何であんなことになってたんだろうか。 それを聞いてみる。 だけど、それだけは答えてはくれなかった。 あわあわの病み度1上昇
https://w.atwiki.jp/45451919/pages/92.html
京太郎「咲は部活何にする?」 咲「私は…麻雀部かな」 京太郎「へえー。お前麻雀やってたっけ?」 咲「昔ちょっとね。この白糸台の麻雀部には、お姉ちゃんがいるんだ」 京太郎「そうなのか…ぽけぽけの咲の姉ちゃんならぽけぽけなのかね」 咲「むっ…そんなことないよ。お姉ちゃん見てみる?」 京太郎「そうだなー。俺も暇だし、一緒に行ってみるか」 咲「うん、えへへ…行こっか」 照「……嫌な、予感がする」ダラダラ 菫「どうした照、トイレを我慢するのは良くないぞ」 誠子「いやいや…宮永先輩、具合悪いなら休んでた方がいいですよ」 照「具合というより…なんというか」ブルブル 咲「あのう…見学したいんですけど」 照「……」ゴシゴシ 照「咲…?」 咲「あ、お姉ちゃん!」パアッ 京太郎「あれが咲のお姉さんか? 結構しっかりしてそうだなー」 菫「お姉ちゃん…妹か? 随分可愛い妹さんだな…おい照、どうした?」 照「見えない、聞こえない、何も居ない」ガクガク 咲「もうお姉ちゃんってば…照れちゃって」トトッ 咲「お・ね・え・ちゃ・ん」ポンッ 照「ひいいいい! ごめんなさいごめんなさいもうしませんからお尻だけは、お尻だけは!」 咲「今日から私も麻雀部に入るから、よろしくね」ニッコリ 照「……………………」 京太郎「なんだこれ」
https://w.atwiki.jp/miyanaga/pages/21.html
白糸台