約 969,091 件
https://w.atwiki.jp/shienki/pages/383.html
※白糸台ネタ その3 ヤマなし(ry 白糸台とかや白糸台とか その2とかと繋がってるのか逆に繋ぎなのやら 九月愛さんが入室しました ネオ緑茶さんが入室しました 九月愛:よ ネオ緑茶:や 九月愛:? ネオ緑茶:? 九月愛:……反応無いな ネオ緑茶:部屋主は紫炎姫ですよね 九月愛:……部屋建てるだけ建てておいてゲームしてるのがオチって所か ネオ緑茶:……寸分の狂いも無く正解かと 九月愛:………このまま二人でチャットしてるのもいいが、リアルでないからにはやっぱり聞き手が欲しいところだよな ネオ緑茶:ですね 九月愛:仕方ない、ここでアイツの秘密を暴露してれば自然と出てくるだろう ネオ緑茶:それでは私はオーディエンスが集まるよう動いてきます 九月愛:GJ。よし、それではここの部屋主である紫炎姫h 紫炎姫:な に し て や が る 九月愛:……何だ、早いじゃないか ネオ緑茶:本当に……まだ生粋のgtotである事や百合に目覚めてきた事も言ってn 紫炎姫:お前ら私に恨みでもあるのかっ!? 九月愛:いや、特段何も ネオ緑茶:強いて言うなら……いや、やっぱ無いな 紫炎姫:……もう嫌だこのドS共orz ~閑話休題~ 紫炎姫:……で、何でスネークも無しに普通に来たんだ。ってか、この時間帯普通に学校だろうが 九月愛:……お前にだけは言われたくないな、本気で ネオ緑茶:駄目ですよ、先輩。廃人に引きずりこまれますよ 紫炎姫:帰れ 九月愛:いや、普通に学校から繋いでるんだがな ネオ緑茶:そうでなくても、夏休み前のこの時期、半ドンが普通だけど 紫炎姫:あー 紫炎姫:って、納得しかけたが待て。何故学校から? 九月愛:それは部活動中だからな ネオ緑茶:どこぞの誰かさんとは違って健全な学校生活を送ってるし 紫炎姫:……部活中にネトマ繋ぐのは健全なのかよ 九月愛:ふむ、暇でな 紫炎姫:……おい待てそこの前年度優勝校 ネオ緑茶:優勝してようがしてなかろうが、暇なものは暇なんだよ 紫炎姫:……いや、普通に猛特訓してる時期じゃないのか 九月愛:2軍以下は全力で打ってるな、正直息苦しくてかなわん ネオ緑茶:全くですね、どこの運動部かと 紫炎姫:…………お前らもやれよ 九月愛:全力で打ちまくったからといって、麻雀が強くなるわけではないだろう ネオ緑茶:むしろ、少し力抜いて打たないと色々とマイナス要素が出てくる 紫炎姫:………言ってる事は尤もなんだが、何か納得いかない 九月愛:それに、いつもなら、私たちも普通に打ってるしな 紫炎姫:じゃ、何でまた今日は 九月愛:……照が大会実行委員に呼び出されてな ネオ緑茶:……2年度連続優勝校で昨年度個人戦優勝者ですからね、選手宣誓やらなにやら覚えさせられてるんでしたっけ 九月愛:……開会式など面倒臭いだけだというのに、照の時間まで奪うとは全くもって不愉快だ 紫炎姫:………… 九月愛:まぁ、とにかくそういうわけなので 紫炎姫:……え、と結局? 九月愛:照がいないから面白くない 紫炎姫:……いいから部活動に戻りやがれ、このチーム虎姫2/5 ネオ緑茶:戻った所で、テンション下がるだけだし 紫炎姫:………ちなみに残りの二人は 九月愛:誠子と淡は揃って、顧問とどこぞの教室で相談会 ネオ緑茶:ちなみに内容は次期部長の座について 紫炎姫:……お前はどうしたんだよ? ネオ緑茶:興味が無いんで断った 九月愛:いや、いい断りぶりだったぞ。何せ食い下がる顧問の顔面に緑茶をかk 紫炎姫:ちょ、おまっ!? ネオ緑茶:……来年とか興味なさ過ぎて困るし、部長とかメンドいだけだし 紫炎姫:………大丈夫か、来年度白糸台 九月愛:私と照の二人抜けるしな、言っちゃ何だが来年の一年に逸材2人入らないと厳しい ネオ緑茶:ですね、西東京予選は問題ないでしょうけど、全国優勝は辛いかと 九月愛:現2年が主力の全国区、多いからな 紫炎姫:……えらく淡々と言うな 九月愛:私は来年、関係ないし ネオ緑茶:…………私も、先輩達抜けた後はどうでもいいし 紫炎姫:いや、でも2軍でもそこらの県予選突破レベルだろお前らんとこ 九月愛:あぁ、そこそこのデジタルとそこそこのオカルトは揃ってるよ 紫炎姫:………オカルトまで抱え込んでるのかよ ネオ緑茶:でも、崩しやすいから弱い 九月愛:どんなオカルト使いでも、それが来るとわかってれば幾らでも防ぎようがあるしな ネオ緑茶:お前の所の天江クラスでもないかぎり、百戦やって九十九勝は自信がある 紫炎姫:……ちなみに残りの一戦は 九月愛:データ摂り ネオ緑茶:ですね 紫炎姫:………… ~ 九月愛:っと、気がつけばこんな時間か ネオ緑茶:そろそろ、アイツらも終わった頃ですかね 紫炎姫:…………本気でダベりだけで時間潰しやがったよ、こいつら 九月愛:いや、尭深の淹れた緑茶も飲んでたがな ネオ緑茶:お粗末さまです 紫炎姫:聞 い て ね ぇ。ったく、とっとと戻りやがれ 九月愛:そうさせてもらうか、では、また数時間後にノシ 紫炎姫:スネークする気満々っ!? 九月愛さんが退室しました ネオ緑茶:それじゃ、私m 紫炎姫:ん、ちと待った ネオ緑茶:? 紫炎姫:………来年の事は、本気で? ネオ緑茶:興味なさすぎて死ねる 紫炎姫:……どうして? ネオ緑茶:……さっきも言ったとおり、先輩達が居なくなるから 紫炎姫:……それだけ? ネオ緑茶:それだけ ネオ緑茶:っと、先輩が湯呑の後片付けしようとしてるからいい加減オチる 紫炎姫:ちょ、ま ネオ緑茶:先輩のお茶を淹れるのも片すのも、私の仕事だから ネオ緑茶さんが退出しました 紫炎姫:…………えっと 特になんでもない話その2。 多分に空想と妄想で構成されてるので、情報が出次第に黒歴史確定のもその2 お断りの回答も、愛情表現も全てお茶でこなす尭深かわいいよかわいいよ尭深 -- 名無しさん (2009-12-20 23 16 36) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1156.html
本編 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」1 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」2 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」3 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」4 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」5 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」6 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」7 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」8 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」9 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」10 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」11 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」12 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」13 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」14 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」15 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」16 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」17(完結) 小ネタ スレ別 元スレ -京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」咲「2体目も欲しいね」 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」照「3体目、じゃなくて本人が欲しい」 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」玄「よ、4体目?泣きそうだよぉ……」 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」和「5体目、です」 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」淡「6体目ー!!」 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」竜華「小ネタで続くんやって」 -参考URL 参考URL http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365165001/ http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367072729/ http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1369054087/ http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370447466/ http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371997739/ http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373895718/ http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379504970/
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6436.html
エイスリンさんに初めてを捧げて、憩さんから口づけというクリスマスプレゼントをもらった夜は、当の昔に過ぎ去った 大晦日はみんなと霞さんの家で年越しそばをごちそうになって、おせちまで用意してもらった 霞さんにお年玉をねだったら俺のお年玉を狙われたのは、まあ、いい思い出だ 照は推薦を使わず、一般で関西の最高学府へ入学。エイスリンさんは大阪の大学へ入った 郁乃さんは身体を元に戻して、元の職業だったプロ雀士のメンタルトレーナーに復職した 卒業式の日は、エイスリンさんに泣きながら抱き着かれ、照に卒業祝いのお菓子をおごらされたりもした 郁乃さんには襲われかけたが、逆に襲い返そうとすると急にしおらしくなり 「えっ……え、本気……なんか?」 「私なんて、どうせおばさんやし、お、襲っても気持ちよくなんかないで」 「せやから……そないなこと……」 こんなことを頬を赤らめて目をこちらに合わせまいとしながら言ってくるおかげで、嗜虐心をそそられて本当に襲ってしまおうか迷ってしまうほどだった ちなみに、メンタルトレーナーというのは、日々削られる雀士の精神を調整する仕事らしい 941 名前: ◆r05KxLrr0E[saga] 投稿日:2013/11/10(日) 23 27 14.59 ID Lo7QWEYqo [5/5] そうして新しい春を迎えた清々荘の二つの部屋は空いたが、そこへ記念すべき後輩一号くんと二号ちゃんが入った 入学式が終わったあと、例年通り新しい二人の住人のために歓迎会を催した 二人とも麻雀をしていて、三箇牧の活躍を見て入学したらしい 一号くんはいわゆる男の娘で、二号ちゃんは綺麗系の女の子で、見た目的には麻雀部は俺のハーレムに見えるらしく、クラスの男衆からの反感を買った 結局、新たな男子部員の獲得はできず、俺と一号くんは個人戦で頑張ることとなった 女子部員は二号ちゃんも含めて三人ほどが入部し、なぜか華菜さんも入部し、新生三箇牧麻雀部の女子は千里山を破り二年連続でインターハイへの出場を果たした たまに照が霞さんの家に寄ったり、郁乃さんが押しかけてきたり、絵を描いているエイスリンさんを川辺で見かけることがあり、三人とも、やはり一年前とは変わっているんだな、という風に感じた インターハイの女子団体の部、第一シードの俺たちの初戦の二回戦の前日、憩さんは一年前以上の緊張を背負っていた あの日の憩さんは危なっかしくて、試合会場の前で車に轢かれそうにもなった 今にも泣きそうな憩さんは見るに堪えず、安心させるために強く抱きしめた 「みんながいるから大丈夫ですよ」 「俺がずっと応援しているんで、頑張ってください」 そんなことを耳元で語りかけて、キスをしてあげると、憩さんはいつもの笑顔になった 943 名前: ◆r05KxLrr0E[saga] 投稿日:2013/11/11(月) 00 20 31.73 ID a4CeryH+o [1/3] インターハイは準決勝で大将の華菜さんが捲られに捲られて敗退、個人戦は、俺と憩さんで男女優勝を果たし、咏は女子の部の三位に入賞した 大阪へ帰る前に、部員全員で海水浴に行き、一年前と同じく憩さんとデートへ行った コースは一年前とほぼ同じ、下着屋には行かなかった。二人で懐かしさを感じながらぶらついているだけだったが、それでも十分楽しかった 俺たちは、友達以上恋人未満、と言う関係よりもほぼ恋人に近い関係を築いていたが、互いに告白をしようとはしなかった 憩さんと華菜さんが引退して、俺が部長、咏が副部長となり、女子は秋の新人戦に臨んだが、結果は泉率いる千里山に敗北した 顔にこそ出さなかったが、咏は責任を感じているらしく、見かねた俺は咏をかつて二人で初めて行った喫茶店へ連れて行った 「私、このままでいいんかな、て心配なんだよねぃ」 「新人戦も、個人戦もびみょーだったじゃん?」 「……こんなんで、あの子たちのこと引っ張っていけるのかどうか気になって」 「……お前の隣に、立ちたいんだよ」 俺みたいに強くなって、俺と対等になりたい、それが咏の願いだった 憩さんのようになりたいと思っていたようだ 咏の悩みを聞くこと数時間、ようやく気を取り直したらしい咏と店を出て、金木犀の香る道を歩いた なんとなく、咏の手を握ってやると、咏は口をとがらせた 「な、いきなり何すんだよ」 「秋の風も寒いよなーって」 「だからって手ぇ繋ぐかよ」 「ああ繋ぐぜ、咏の手は安心するんだぜ」 「なんだよ……それ」 ぼそぼそ動く咏の頬は、赤くなっているように見えた 944 名前: ◆r05KxLrr0E[saga] 投稿日:2013/11/11(月) 00 59 55.38 ID a4CeryH+o [2/3] 「京太郎!遊びに来た!」 「これまた珍しいですね」 「ウン!」 ある秋の休日、エイスリンさんが俺の部屋へ遊びに来た もしあの日に妊娠してしまっていたなら、今頃は俺とエイスリンさんの子どもがいたんだろうな、と考えながら昼食を拵えた エイスリンさんの日本語は流暢になっていてとても驚かされた 「京太郎にここまで上手くなったんだよ、って教えたかった!」 「凄いでしょ?」 満点の笑顔で話しかけてくるエイスリンさんは天使で、大学で変な男に絡まれていないかどうか心配になった エイスリンさんは一年前の清々荘のみんなを描いた絵を俺に見せに来たのだと言って、俺にその絵を見せてくれた 霞さんの家の前で、俺に後ろから抱き着く郁乃さん、右腕を抱く照、左腕を抱く咏、俺ら四人を見て微笑む憩さんとエイスリンさんと霞さん 霞さんの家の屋根に乗ってる猫は華菜さんだったのだろうか? その後、エイスリンさんと街へ繰り出し、部屋で夕食を一緒に作って食べた 「去年も京太郎と一緒に寝たよね」 「あの風邪うつらなかったですか?」 「ううん、うつらなかったよ」 「…………」 「…………」 「京太郎……キス、しよっか」 「えっ」 今度のエイスリンさんは小悪魔のように笑った 二年生のクリスマスには、プロ・アマ交流戦が行われず、余りある冬休みを過ごす俺の元を照が訪れた 「京、クリスマスケーキ作って」 「今もうクリスマスの8時だからな!?」 「シフォンケーキなら焼くだけでできるから大丈夫」 「この部屋オーブンとか無いし、電子レンジもそこまでできるほどじゃないんだけど」 「私と京の熱であっためればなんとかなるはず」 「無理だからな?大体お前そんなキャラだったっけ?」 照と咲は、小母さんと小父さんの長らく続いたきのこたけのこ戦争を和平に持ち込み、仲直りをさせたらしい 大晦日は家族四人で旅行に行くので、年が終わる前に俺にまた会いに来たかったそうだ 「今年は何が貰えるかな」 「今年?あの赤と白の服を着たおじさんのことか?」 「うん、去年は読みたかった文庫本とブックカバーをもらった」 「そ、そうか、今年も貰えるといいな」 「朝起きたら枕元に京との子どもがいれば満足、ナイスサンタさん」 「それはコウノトリの仕事だ」 「た、たまにはコウノトリにソリを引いてもらうサンタさんがいてもいい」 「コウノトリ酷使するなよ!ホワイトなのに腹ん中ブラックじゃねえかサンタさん!」 「…………」 「…………」 「……うわぁ、みたいな顔するのやめて」 後から聞いた話によると、霞さんが照にクリスマスプレゼントを渡していたらしい バレないようにミニスカサンタのコスプレをして、住人のみんなにプレゼントをしていたそうな ……通りであの日の霞さんの目が少し怖かったわけだ 「京は私の気持ちに気づいているよね」 「……京の気持ちも、考えも、私は多分わかる」 「京が私の方だけを見ていなくても、それでいい」 「京が私のことを好きでいてくれるなら、それで満足できる」 「こうして一緒に寝れるだけで、私は幸せになれる」 「ちっぽけな幸せだけど、このくらいが十分心地いい」 「私も京も、まだまだ子どもで、私には勇気なんてないから」 「今は……こうしている…………だけ」 「ん……」 「……胸が苦しいと思ったら、抱き着かれてたのか」 布団から少しはみ出た照の髪をさらりと撫でた 胸元に漏れる照の吐息があたたかくてくすぐったかった 憩さんや、咏、エイスリンさんと照との距離は、この一年間でもっと縮まったように思えた 郁乃さんにはほとんど会っていなかったが、ほぼ毎日メールのやり取りを行っていたので、縮まった、といえば縮まっただろう ――――俺は、どうやって応えればいいんだろう 一年間、ずっと考えてきたことだ ――――どうすれば、誰も泣かない未来をつくれるんだろう 悩んで 思って 想って 考えて ようやく、答えが出た 憩「……ほんまに、来てくれたんやな」 京太郎「憩さんと三箇牧で過ごせる最後の日に呼び出されたら、行くに決まってますよ」 京太郎「お別れ会まですることもないですし」 憩「ふふっ、京太郎くんは友だちおれへんもんねー」 京太郎「余計なお世話ですよっ」 憩「来年から、部長さん頑張ってな」 憩「ウチの跡継ぎさんなんやから、しっかりしてくれないと困るで?」 京太郎「その辺は任せてください、三箇牧の名に恥じないような立派な部長になります」 憩「うん、そら頼もしいわ」 憩「……あ、でも新入生の子に手ぇ出したらだめやで」 京太郎「出しませんよ、俺を何だと思ってるんですか」 憩「んー……女ったらし?」 京太郎「どういう認識ですか!?」 憩「だって、京太郎くん、エイちゃんとか、照ちゃんも部屋に連れ込んでたやん」 憩「咏ちゃんとも二人だけ遅くまで残って部活してるらしいし」 京太郎「そう言うと俺がすっごいいやらしい男に聞こえるんですけど!」 京太郎「エイスリンさんと照はあっちから入って来ただけで、咏とはちゃんと部室の掃除とかやってんですよ!」 憩「うん、知ってたで」 京太郎「知ってたんかい!」 京太郎「何すか、俺の今の弁解意味ないじゃないですか!」 憩「まーまー落ち着いて」 京太郎(段々憩さんが郁乃さんに汚染されていっているような気がする) 京太郎「そういや、この公園に来るの、久しぶりですよね」 憩「……京太郎くんに出会った日に来た場所やね」 憩「一緒にたこ焼き食べてるの、覚えてる?」 京太郎「ええ、間接キスしましたよね」 憩「わ、わかっててあんなこと……」 京太郎「いやーだって言いにくかったじゃないですか」 憩「それも、そうやけど……」 京太郎「二年ぶりに、たこ焼き食べますか?」 憩「……ううん」 憩「今日はたこ焼きを食べに来たわけやない」 憩「それに、正確に言うと一年半やで」 憩「去年の夏祭りのときに、みんなで食べたやろ?」 京太郎「じゃあ、本題はなんですか?」 憩「……はぁ」 憩「ずーっと、話そうか迷ってたんやけどな」 憩「それで別の話してたのに、京太郎くんど直球すぎるわ」 憩「……もう、勇気出すしかないやん、あほ」 京太郎「……すんません」 憩「ううん、構わんで」 憩「……すぅー……はぁぁ」 憩「……これから話すウチのコト、聞いてくれる?」 憩「大事な、大事なウチの話――」 憩「――ずっと伝えたかった、ウチの想い」 憩「単刀直入に言うと、な」 憩「ウチは、京太郎くんのことが大好きや」 憩「こうして、二人で一緒にベンチで座ってた頃から」 憩「ウチと京太郎くんでたこ焼きを食べていたときから」 憩「……ちゃうな」 憩「京太郎くんと出会って、励ましてもらったときから」 憩「ずっと……少しずつやけど、好きな気持ちが積み重なって来たんや」 憩「……今もこうして、胸から溢れそうになってる」 憩「ウチは、京太郎くんのことが好きで、好きで好きでたまらへん」 憩「これだけは、卒業するまでに伝えたかったんや」 憩「……あらためて、言うな」 憩「ウチ、荒川憩は――」 . .-――-. . . . ´ .` . / ヽ . . / / l ヽ ヽ . / / / / l l l . ′ . . . ′/ | ハ ト、 ヘ i l |. | 1 | .|{ ‘. ヽ\_ ; | | | | | | |-―.lハ{\ fヾ\` i l |l | | | | | |{ ヽ \ { \ \ | 八 | | | レ _ 、 `r==ミx } ∧ . 八 ヽ | r㌃⌒` ムイ } ヽ / \ヾ ,,,,,,,, , '''''''' | ノ \ / 八 ハ .... 、 「 ヽ > / / >-、 ( ノ イ l l ヾ \ 須賀京太郎のことが、大好きや -=≦ / ゝ ー ' < l ∧ |` ー---` ∠ イ ∧ ト、 ≧=r-- 1 /レ' .V / \ { ヾr‐ァ' トヘ/ ___/ \ __ / \_____ / \ /ー一ヘ / ハ ハ \/ }/ ̄} / i ヽ } } | У } ∨ .| ′ / } } .. {. / { } } . | | } ,. i i ハ } ' . | 京太郎「…………憩さん」 憩「はぁー……」 憩「ようやく、言えたわ」 憩「京太郎くんがウチの実家に来てくれたとき、本当にうれしかったんやで」 憩「去年のインターハイに励ましてくれたときも、もちろん」 京太郎「俺も、憩さんが好きです」 京太郎「憩さんが俺を思うそれよりも、遥かに俺が憩さんを想う気持ちの方が強い、ってくらいに、好きです」 京太郎「……けど」 京太郎「俺は、照や、郁乃さん、咏、エイスリンさんも好きなんです」 京太郎「みんなのことが同じくらい大好きで、同じくらいに愛していて、同じくらい恋い焦がれていたんです」 京太郎「……俺には、誰か一人だけを選ぶなんて真似、できません」 京太郎「女の人の泣き顔は見たくないですから」 憩「…………やっぱりなぁ」 憩「ええよ、わかってる」 憩「京太郎くんが他に好きな子がおるの、気づいてた」 憩「ウチも含めてみんな京太郎くんのことが大好きで、京太郎くんもみんなのことが大好き」 憩「……女の子は、矢印を見つけるのが得意なんやで」 京太郎「……俺、最近考えてたことがあるんです」 京太郎「どうすれば、誰も選ばずに、誰も泣かずに済む未来が作れるのか」 京太郎「俺なんかのために泣く人がいなくなるんだろうか」 京太郎「……自信過剰か、って話なんでしょうけど」 京太郎「それでも、みんなのことが大好きで、大切だったんです」 京太郎「そして……この間、答えを出しました」 京太郎「どうしたって誰も選べないなら、選ばなくていい」 京太郎「みんなのことが大好きだから、みんなと家族になればいい――――」 / , / / / / | | . . . / / / ' | | | | i| | . イ ' /| /| l | | | | l| | |// / | | { ' . | | } | l| | { ' 〃 | | | | ト, /| /| /| ' ∧|/ / .' , ' Ⅵ |_'. | | | | l | ' }/ }/ / .イ `\{/ / / / / { | Ⅵ≧!、,| | 、 | _/ム斗七 / . / }' ' ,イ / | { 从 | イ { しメ∧ l Ⅵ イ { し刈 `ヽ' ' }/' / /イ Ⅵ . Ⅵ Vzり \ 、 } / Vzり }/ // | 从 | \ ∨/ , / _∨∧ . ` \ , _ノ> 、_ , <//////{/{{`∧ 、 / }}//////> 、´//////////// l| ,∧ _ ∧ ||///////////>/////////////从 { 、 _ ィ -vノ ' } /'///////////// ――俺は、みんなと幸せな未来を生きたいッ!/////////////{/∧ l\ ー=≦__ , ´ /' / イ∧//////////////////////////|//∧ . \ / / /'////}///////////// 憩「……ははっ」 憩「あははっ!」 憩「やっぱりおもろいなぁ、京太郎くん」 京太郎「そうっすかね……」 京太郎「俺からも、一つ、いいですか?」 憩「うん」 京太郎「……では」 京太郎「……こんなに情けない俺でも」 京太郎「常識的に考えて、ありえない俺でも」 京太郎「途方もなくバカげている俺でも」 京太郎「それでも、憩さん――貴方は、俺のことを好きでいて、くれますか?」 捨てられないのなら、和了ってしまうしかない 例えそれが、チョンボ――――不完全な役であっても 俺には、捨てられない だから、和了る これが俺に選べる唯一の手なのだから、和了るしかない 情けなくても 常識的に考えて、ありえなくても 途方もなくバカげていても どうであろうと、俺は進む これが俺の出した答えだ 照も 咏も エイスリンさんも 郁乃さんも 憩さんも 誰も、誰一人として、悲しませない未来を作る 言ってみると大袈裟で、行おうとしても途轍もなく難しい それでも俺は、女の人の涙は見たくない そう、照を救えなかったあの日に誓った 咲とモモの涙を見てしまったあの日の俺に戒めた ようやく思い出せたあの日のようにはしたくないと決めたから 好きでいて、くれますか? ずるいな、と我ながら思い、嫌悪した そんな一言二言で、嫌いになるわけがないということは端からわかっていたことだ 憩さんなら、怒らないだろうと期待したから、こんな尋ね方をしたんだ 憩さんは、俺の目を真剣にじっと見た後、口元を綻ばせた 随分と前に見たあの笑顔を浮かべた 一年と八か月前、俺と憩さんが出会い、俺が部員を集めることを約束した後で見せたような、 俺たち二人を照らす夕日のように、 明るく、そしてあたたかい笑顔で、その緩む頬を動かした それでも、大好きやで 京太郎「…………」 憩「今通ったん、いつもの公園やね」 京太郎「そうですねー」 憩「もーそろそろ敬語なしでもええんやないの?」 憩「お父さんの挨拶もたったいま済んだことやし」 京太郎「いやぁ……なんか性分みたいなもんで、抜け切れないんですよね」 憩「まあ、お医者さんやから真面目に見えてええかもしれへんけど……」 京太郎「ん……じゃあ直してみるよ、憩」 憩「あーやっぱ京太郎くんには似合わんわ」 京太郎「いやいや、どっちやねん」 秘書「はいはい、お二人さん、もうすぐ着くわよ」 京太郎「秘書さんは十年たっても全然変わらないっすね」 秘書「余計なお世話よ」 憩「車で送ってもらってありがとうございますーぅ」 秘書「いえ、院長が憩さんのお体に負担をかけないように、と」 京憩(なんか誤解されてる!?) 京太郎(憩さんとはまだゴム無しでやったことないから、そういうのは先なんだけど……) 憩(照ちゃん、エイちゃん、郁乃さんはもうおるから、そろそろ欲しいなぁ……) 秘書「はい、到着。それじゃあ、また」 京憩「「ありがとうございました!」」 憩「……さっきな、京太郎に告白した日のこと思い出してたわ」 京太郎「俺もですよ」 京太郎「あのときの選択は、間違っていなかったのかな、って考えちゃいました」 憩「間違ってないと思うで」 憩「少なくとも、ウチは幸せや」 憩「みんなも幸せそうで、楽しそうやろ?」 憩「……これからみんなでもっと楽しくなるんやから、そんなこと考えたらあかんで」 京太郎「やっぱり、そうっすよね」 憩「あ、ウチが今日夕食作るん忘れてたわ」 憩「悪いけど、買い物行ってくるな」 京太郎「俺先に家に行ってますね」 憩「うん、みんなによろしく言うといてー」 京太郎「わかってますよー」 京太郎「しかし、ここに戻ってくるのも八年ぶりくらいかぁ」 京太郎「霞さんの代わりに大家になったけど、どんな人が住んでんだろ」 京太郎「とりあえず家に入るか」 エイスリン「京太郎?遅かったね」 京太郎「ただいま、エイスリンさん」 「パパおかえり!」 京太郎「ただいま、望」 「ただいまー!」 「ねーねーいまねーママとパパの絵、かいてたんだー」 京太郎「そうか、どれどれ」 エイスリン「上手く描けてるでしょ、絵の下手なお父さんとは違って私に似たのかもね」クスッ 京太郎「むっ、そんなことないですよ、目元だって俺そっくり、髪の毛も……」 「パパもママもきんぱつだよ?」 エイスリン「京太郎よりも髪が綺麗だから私よりね」 「ね!」 京太郎「ぐぬぬ……」 「ケイお姉さんはいっしょじゃないの?」 京太郎「ああ、憩さんは買い物に行ってるよ」 「きょうは私もごはんつくるんだー」 京太郎「そうか、そりゃ楽しみだな」 「きたいしててよね!」 京太郎「おう、頑張れ~」ナデナデ 「えっへっへ~」 エイスリン「病院はどんな感じだったの?」 京太郎「良い雰囲気でしたよ、お世話になった先生にも挨拶してきました」 エイスリン「そろそろまたお世話になりたいけど、どう?」 京太郎「もうちょい待ってくれるとありがたいかな……と」 エイスリン「たまにはみんな一緒に相手してくれてもいいのよ?」 京太郎(そっちのが尚更困るんだよなぁ) 京太郎「エイスリンさんは新作を描いてるんですか?」 エイスリン「うん、ここを描こうと思うの、もう少ししたら今日はやめるつもり」 京太郎「風邪はひかないようにしてくださいね」 エイスリン「はいはい」 京太郎(エイスリンさんが日本語を完全に習得して随分経つけど、前はカタコトだったんだよな) 京太郎(あの頃の俺からすると、今のエイスリンさんなんて検討もつかないんだろうな……) 京太郎「ただいまー」 「げっ」 照「げっ」 京太郎「お菓子抱えて何してるんだぁ?うちの作家さんとくいしんぼさんは」 照「輝を慰めるためにお菓子をあげようと思ってた」 「今日もおとこみたいな名前だなーってからかわれた」 京太郎「そうでなくてもお前らは食べすぎだ、ボッシュートです」 京太郎「テレッテレッ……おい放せ」グイッ 「放さない」 照「放してたまるか」 照「「このお菓子」」 京太郎「そんな川柳いらないから!そんなんじゃ二人とも太るぞ!」 照「輝がお腹にいたときと変わらないから、どうでも……」 「母さんは太らないタイプだったから、別に……」 京太郎「お菓子代がかさむんだよぉ……」 照「そろそろ新作書ける、ついでにタイトル戦もあるから大丈夫」 京太郎「本当に稼いでくるから何ともいえねぇ」 「私もしょうらい母さんみたいに年中家にこもっておかし食べる簡単なしごとする」 京太郎「いやそれダメ人間の一歩手前だから、やめておきなさい」 照「失敬な、たまに外にもお菓子を食べに行く」 照「この間駅前にできたクレープ屋さん行って来た、おいしかった」 「ずるい、なんで私をさそってくれなかったの」 照「京と一緒に行って来たから、輝は誘えなかった」 「それは……仕方なくもなくもなくもない」 京太郎「どっちかわからん」 照「京は莫迦だなぁ、四重否定だからすごく強い肯定、京は莫迦だなぁ」 京太郎「そんな二回も言わなくていいからな!?」 照「ふふん、隙あり」グイッ 「逃げるー」トテテ 京太郎「おいィちょっと待てぇぃ!」 京太郎「だぁーっ、疲れたぁー」 咏「ふぁぁ、よく寝たー」 京太郎「今の今まで寝てたのか?」 咏「そーそー、10時に起きたんだけど、コロッと寝ちゃって15時に起きたけどまたコロ~ッと寝ちゃってね~」 咏「17時となると、休日無駄にした感じが凄いんだよねぃ」 京太郎「そんで目ぇ覚まそうと縁側に来た、と」 咏「お前らうるさすぎるんだよ、ちょっとは労働者気遣えっつーの」 京太郎「れっきとした労働者の郁乃さんも十分うるさいけどな」 咏「京太郎が私を鳴かせてくれればもうちょい疲れも取れるんだけどねぃ、肌も綺麗になるっつうし」 京太郎「その効果はよくわからんが、咏は可愛いと思うぞ!」 咏「もう26歳なのに可愛いはどうかと思うんだよねぃ、瑞原プロはあの様だろ?」 京太郎「早く誰か貰ってやればいいのになぁ……」 咏「つーわけで、そろそろ私を大人にしろー!」 京太郎「大人っていっても、十年前と何も変わらないじゃん」 咏「こー見えても身長2cm、胸も1カップ増えたんだぜぃ」 京太郎「ごめん、よくわっかんねー」 咏「なんなら触って確かめてみるかぃ?おっ?」 京太郎「おっさんか、少しは慎みというものを……あっ、ちゃんと慎み深かったな」 咏「おぅい?今どこ見ていったぁ?」 京太郎「わっかんねー、ぜんっぜんわっかんねー」 郁乃「おとん~先に帰ってたんやな~」 「おとんただいま~」 京太郎「おかえりなさい」 郁乃「お風呂もう入ったん~?」 京太郎「たったいま咏と入ってきたところですよ」 郁乃「ほな侑佳もおとんと入りいこな~」 「わ~い!」 京太郎「ちょっ、話聞いてました!?もう入ったんですよ!」 郁乃「ま~そんなん構わんって~」 京太郎「俺に訊いた意味どこ行った!?」 「おとん~お風呂~」グイグイ 郁乃「は~や~く~」グイグイ 京太郎「どこにそんな力がぁ~~~~~っ!」ズルズル 「おとん~あたまあらってーな」 京太郎「ちゃーんと目は閉じてろよー」ワシャワシャ 「は~い」 郁乃「京太郎くんのおとんも大分様になってきたな~」 京太郎「これから一緒に住むことですし、もっと頑張っていきますよ~」ワシャワシャ 郁乃「ほな、あと二人くらい欲しいな~」 京太郎「子どもの前でそういう話はやめましょうよ」 「どういう話~?」 京太郎「なんでもないぞー」 「なんや~なんでもないんか~」 郁乃「今ならおっぱいも大きなっとるし、お母さんプレイもできるで~」 京太郎「いや、今は出ないでしょうが」 郁乃「え?出るで?」 京太郎「マジで!?」 郁乃「試してみる~?」 京太郎「ええ、是非!」 「おとん~?」 京太郎「って、何させるんですかもー!」 郁乃「ちぇっ、あとちょっとやったのにな~」 「目ぇとじるのつかれてきた~」 京太郎「今から流すからもうちょっち待ってろ~」シャー 郁乃「次は私の背中流して~」 京太郎「今度は自分でやってくださいよー?」 郁乃「そう言いながらも洗ってくれるところが大好きなんやで~」 京太郎「そういうこと言うからやりたくなるんですよ」 憩「はーい、カレーできたでー」 「私がサラダ作ったんだよ、えっへん!」 照「甘口……甘口はないの……」 「母さん、みんな中辛まで食べられるんだよ……」 照「くっ、しくじったか……」 咏「辛さ調整スティック?なんての買って来たぜぃ」 照「三袋もらう!」ドバァー 京太郎「あ、バッカお前……」 郁乃「冷める前に食べよか~」 「いただきま~す」 照「いただきます」モグモグ 照「…………っ!」 京太郎「辛さ調整って辛くすることしかできないからな、あれ」 照「咏に騙された……」 咏「へへーん、そっちが勝手にだまされたんだろ~」 エイスリン「二人とも喧嘩しないで、ご飯は仲良く食べましょ?」 咏「へいへーい」 照「ぐぬぬぅ……」 郁乃「憩ちゃんも望ちゃんの料理も美味しいなぁ~」 「ほんまやね~」 憩「そう言うてもらえると、腕によりをかけた甲斐があるってもんや」 京太郎「いやぁ、ほんっと美味いっすよこれ!」 憩「そう?そんなに褒めてくれるんやったら……ご褒美とか、欲しいなぁ」 京太郎「ご褒美ですか?」 憩「一番手っ取り早いのは……ほら、わかるやろ?」ツンツン 咏「いやいや、京太郎と今夜寝んのは私だから邪魔すんなよな」 憩「そんなん誰がいつ決めたんや?何月何日何時何分何十秒地球が何回まわった日?」 咏「さあ?知らんけど」 「憩お姉ちゃん、こどもみたいだね」 「せやね~」 咏「とーにかく!京太郎は私と寝るんだよ!」グイッ 憩「ちゃうもん、ウチが寝るんやー」グイッ 京太郎「喧嘩は止めてー♪」 エイスリン「京太郎は私と寝るのよ」グイッ 京太郎「二人を止めてー♪」 照「違う、私と」グイッ 郁乃「ほな私も私も~」グイグイ 京太郎「やめてって言ってるでしょうがぁー!」 俺がここを初めて訪れてから、もう十年の時が経つ 荒川病院を継ぐべく、某国立大学医学部へ進学し、医者となった俺は霞さんの後を継いでここの管理人になった 照はプロとしては下火となったものの活動は続けているが、今は主に作家活動をして稼いでいる。その稼ぎの大半はお菓子に変換されていくのは言うまでもないだろう 憩さんは荒川病院で看護師として働いている、地元の患者さんには老若男女問わず人気があるらしくお義父さんもそれを誇りに思っているようだ 咏も今となっては立派なOLで、お義母さんの会社を継ぐために働いている、会社帰りにコンビニで酒を買おうとするが毎度毎度店員に高校生だと誤解され買えずじまいでいつも愚痴をこぼしている エイスリンさんは自由気ままな人気画家で、日中は絵を描きながら我が家の娘三人の面倒を見てくれている。これ以上に無いまでの嫁さんだと思う 郁乃さんは教員免許を取得し、三箇牧高校に勤めて麻雀部の顧問をしている、年長者でありながら責任感の無さは相変わらずだ 憩さんの言う通り、こうやってみんなで笑いあえて、飯を食べているんだから、俺の答えは間違っていなかったんだと思う 娘三人が家族に加わった後でも、この思いは変わらなかった こんな未来をずっと前の俺は望んでいて、期待していたんだから、きっとこの先もこの思いは変わらないんだろう これから何があっても、何も無くても、ずっと変わらないんだろう 恋しあいながら 愛しあいながら 笑いあいながら いつか終わるそのときまでずっと ずっと、これから先も、ずっと 俺たちはまた、ここで生きていくんだ ――――そう、ここで、この場所で 京太郎「清々荘にて」 カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6915.html
京太郎「あ゛ー……」 京太郎「(…昨日の俺は間違いなく頑張った)」 京太郎「(あの誘惑を良く断ち切れたもんだと褒めてやりたいところだ)」 京太郎「(…でも、一晩立っていくらか冷静になるとさ)」 京太郎「(やっぱり惜しかったってそう思うんだよなー…)」 京太郎「(あそこで流れに身を任せておけば、脱童貞出来てもおかしくなかったのに!のに!!)」 京太郎「(しかも、相手はあの和…!!)」 京太郎「(何度も脱童貞した相手とのセックスを逃したかもしれないとなれば…!!)」 京太郎「(正直…失敗したかもしれないってそんな言葉が浮かんできたりもする)」 京太郎「(あー…今からでもあの時に時間戻ったりしないかなー…)」 京太郎「(するはずないよなー…)」 京太郎「(…つーか、戻っても多分、俺は同じ選択肢を取りそうだし…)」スタスタ フニョン 京太郎「わぷっ」 「きゃんっ!?」 京太郎「(…あれ?なんだこの柔らかさは)」 京太郎「(顔全体に広がるこの甘い感触は…)」 京太郎「(ま、まさか…!!)」 京太郎「(O PPA I !!!!)」 はやり「あ、あの…」 京太郎「(うぉお!!おっぱいだ!!)」 京太郎「(しかも、この柔らかさ…そして質量…!!)」 京太郎「(これは和クラス…いや、下手をすればそれ以上かもしれない…!)」 京太郎「(まさか階段を登っているだけでこれほどのおっぱいに遭遇出来るとは…!)」 京太郎「(…やはり昨日、頑張った俺の事を神様は見ててくれたんだな)」 京太郎「(ありがとう、おっぱいの神様…)」 京太郎「(俺は今、最高に幸せです…)」ウットリ はやり「…あのー…大丈夫?」 京太郎「…ハッ!」 京太郎「(し、しまった、あまりの心地良さにトリップしてしまったぜ…)」 京太郎「(この俺とした事が…これほどのおっぱいさんに気遣われてしまうとは…)」 京太郎「(一人のおっぱい紳士としてはあまりにも失格…!)」 京太郎「(だから、ここは…早くこのおっぱいから離れて…離れて…)」 京太郎「…らいじょうぶです」モニュモニュ はやり「…そ、そう?」 はやり「それなら良いんだけど…」 はやり「(…なんでこの子私から離れようとしないんだろう?)」 はやり「(いや…まぁ、別に嫌って訳じゃないけれどね)」 はやり「(アイドルになってファンも増えたけど…この胸の所為か、全然、モテないままだったし…)」 はやり「(男の人とこんなに触れ合った機会なんてもう一年…いや、下手をすれば数年単位でないし…)」 京太郎「(ってちげええええええ!!)」 京太郎「(何をやってるんだ、俺は!!)」 京太郎「(幾らこのおっぱいさんがおっぱいに負けない心の広さだと言っても!!)」 京太郎「(貧乳には絶対に真似出来ない淑女っぷりだったとしても!!!)」 京太郎「(それに甘えておっぱいに溺れるなど言語道断!)」 京太郎「(ここはこれ以上、迷惑を掛けない為に離れなければ…!)」スッ はやり「(…あ、離れちゃうんだ…)」 はやり「(ちょっと勿体無かったかな……って言うのは、あんまりにもがっつき過ぎかなぁ…)」 はやり「(でも、この子、結構、身体大きいし…いい匂いもしてるんだよね)」 はやり「(何処かの香水って感じじゃないし…多分、体臭だと思うんだけど…)」 はやり「(正直、香水だって思えるレベルでいい匂いがする子に抱きつかれて悪い気はしないよね)」 はやり「(うん、別にこの年になっても結婚相手どころか恋人がいなくて焦ってる訳じゃないから)」 はやり「(これくらい女の子としては普通だし)」 京太郎「って…は、はやりん!?」 はやり「あ、私の事、知ってるんだ」 京太郎「俺らくらいの雀士で、はやりんの事知らない奴なんてモグリですよ!!」 京太郎「つーか、俺が麻雀を始めたキッカケははやりんですし!!」 はやり「そうなの?」 京太郎「はい!俺が何か新しい事始めようと思ってた時に、牌のお姉さんの麻雀教室を見て!」 京太郎「(そのおっぱいに惹かれて)麻雀をやり始めようと思ったんです!!」 はやり「そ、そうなんだ…なんだかちょっと恥ずかしいな」テレテレ はやり「でも、嬉しい、ありがとね」ニコ 京太郎「いえいえ、こっちの方こそありがとうございます」 京太郎「はやりんのお陰で、俺は沢山、素敵な事に出会えました!」 京太郎「友達も沢山出来て…麻雀も楽しくて…」 京太郎「本当にはやりんには感謝しています!!」グッ 京太郎「(…って待てよ?)」 京太郎「(と言う事は俺がさっき包まれてたのははやりんのおっぱい…!?)」 京太郎「(あのあこがれのはやりんの胸の中でハスハスしてたって事なのか…!?)」タラァ はやり「…え?」 京太郎「あ、す、すみません…鼻血が…」 はやり「だ、大丈夫?」 京太郎「大丈夫っす。こ、これくらいすぐに治ります」ハナツマミ はやり「ダメだよ、鼻血って甘く見ると大変な事になるから」 はやり「えーっと…そうだ。こっちに来て」ギュッ 京太郎「ふぁ、ふぁ…っ」 京太郎「(は、はやりんの手が!手が!!)」 京太郎「(俺の事を掴んで、先に進んで…!!)」 京太郎「(憧れのはやりんのおっぱいにダイブしただけじゃなくてこんな役得があるなんて…)」 京太郎「(お、俺は今日、死んでしまうかもしれない…)」 はやり「(あ…この子の手、おっきくて硬い…)」 はやり「(ってそりゃそうだよね)」 はやり「(この会場にいるって事は、この子も高校生って事なんだし)」 はやり「(私から見たら一回り近く下だけど…でも、もう立派な男なんだ)」 はやり「(…ってそんな子の手を繋いじゃうとか…よくよく考えてみると危ない?)」 はやり「(もしかしなくても…即座に通報案件かも…?)」 はやり「(で、でも…鼻血流してる子の事を放っておく訳にはいかないし…)」 はやり「(仕方ない…うん、これは仕方ない事だよね)」 はやり「(…でも、スキャンダルになったりしない事を一応、祈っておこう)」 はやり「よし。到着」 京太郎「あ、あの…」 はやり「はい。君はそこに座って」 はやり「後、ティッシュここにあるから鼻に詰めておいてね」 はやり「顔を上に向けるのは血が逆流して大変な事になるからダメだよ」 はやり「少しうつむき加減になって待っておいてね」 京太郎「ふぁ、ふぁい…」 はやり「うんうん。良い子」 はやり「じゃあ、そのまま待機しててね」 はやり「私、そこの自販機で冷たいものを買ってくるから」 京太郎「(…なんつーか、すげぇよな)」 京太郎「(勿論、俺もはやりんがずっとテレビの中のキャラだって思ってた訳じゃないけどさ)」 京太郎「(でも、こんな風にキビキビ鼻血の処置をする姿と…)」 京太郎「(テレビの中のキャピキャピしたはやりんの姿は重ならない)」 京太郎「(もう十年近く牌のお姉さんやってるって話だけど…)」 京太郎「(それでもやっぱりはやりんも大人なんだなぁ)」 京太郎「(ただ、それで幻滅したりはしない)」 京太郎「(そもそもアレがテレビ向けのキャラだって言うのは最初からわかってるし)」 京太郎「(寧ろ、こうやってしっかりしてるはやりんも魅力的で良いって言うか)」 京太郎「(大人のお姉さんって感じで結構、ドキドキする)」 ガチャガチャゴトン はやり「おまたせ」 はやり「で、このお茶をちょっと鼻のところに当てておいてくれる?」 はやり「冷やすと血管が収縮して早めに血が止まりやすくなるから」 京太郎「ふぁい」ソッ はやり「後は多分、数分もすれば血が止まるはずだけど…」 はやり「あんまり長い間、止まらなかったら病院行く事も考えた方が良いかも」 はやり「鼻血だけならばまだしも何かの初期症状である可能性も考えられるし」 京太郎「ふぁりがとうごじゃいます」 はやり「ううん。気にしないで」 はやり「って言うか、多分、私の所為だと思うから」 はやり「その…不注意でぶつかっちゃってごめんね」 京太郎「ひあ、アレは踊り場れの事故みたいにゃもんれすし」 京太郎「しょの上、考え事してらんれ俺が悪いっしゅ」 はやり「考え事?」 京太郎「あ、いや…しょの…」 京太郎「(…流石に据え膳食い損ねて後悔してたなんて言えないよな)」 京太郎「(普通の女の子ならまだしも、相手は憧れのはやりんなんだし)」 京太郎「(こうやって知り合いになれたのに幻滅されたくはない)」 京太郎「しょ、しょれよりあの…」 はやり「ん?」 京太郎「牌のお姉しゃん辞めりゅってほんろなんでしゅか?」 はやり「…………それ何処で聞いたの?」 京太郎「ネットでうわしゃになってまひた」 京太郎「でも…俺は信じてないっしゅ」 京太郎「辞めるなんて…勿論、うしょれすよね?」 はやり「………ごめんね、本当なの」 京太郎「しょんな…」 はやり「ほら、私…胸、大きいじゃない?」 はやり「やっぱり『お姉さん』は、あんまりおっぱい大きくない方が良いらしくて」 はやり「それでも、牌のお姉さんでいれるように色々と頑張ってきたけれど…」 はやり「やっぱり年齢的にもそろそろ厳しいから降板してくれないかって言われちゃってる…」 京太郎「れ、でも…!」 京太郎「はやりんはじゅっと立派に牌のお姉しゃんやってきたじゃないれすか」 京太郎「人気らってあるのに、それを降ろすにゃんて…」 はやり「…芸能界ってそういう世界なんだよ」 はやり「ずっと同じところにいられるのは本当に大御所さんだけ」 はやり「私みたいななんちゃってアイドルが、ここまで牌のお姉さんでいられ続けた事の方が奇跡なんだよ」 はやり「寧ろ、私をここまで起用し続けてくれた番組プロデューサーさんには感謝してる」 はやり「だから、最後の日まで牌のお姉さんである私を応援…」 京太郎「嫌れす」 はやり「え?」 京太郎「俺ふぁ…あぁ、くそ!」ズボッ はやり「あ、て、ティッシュ抜いちゃダメだよ!」 京太郎「大丈夫です。もう血も止まりました!」 京太郎「それに真面目な話するのにティッシュ詰めてられないっすよ!」 はやり「ま、真面目な話って…」 京太郎「だって、そうじゃないっすか!」 京太郎「俺は牌のお姉さんが、はやりんだったからこそ麻雀を始めたんです!」 京太郎「はやりんみたいがおっぱいが大きいからこそ!」 京太郎「そんな人達と仲良くなれるかもって麻雀を始めたんですよ!!」 はやり「え、えぇぇぇぇ!?」マッカ 京太郎「えぇ。勿論、不純です!最低だって分かってます!」 京太郎「でも、俺は今、すっげー麻雀が好きで…楽しめていて…!」 京太郎「牌のお姉さんであったはやりんに本当に感謝しているんですよ」 京太郎「それが辞めさせられるって言うのに…黙って見てられません」 京太郎「それに…何より」グッ 京太郎「はやりんだって…本当は辞めるの嫌なんじゃないですか?」 はやり「…え?」 京太郎「俺、雑誌で読みましたけど…はやりんは牌のお姉さんになりたくて芸能界に入ったんですよね?」 京太郎「勿論、麻雀プロとの二足草鞋も大変だろうに、それらを立派にこなしていて…」 京太郎「それなのに降ろされるなんて納得出来るはずと思います」 京太郎「だからこそ、さっきも…一瞬、寂しそうな顔をしたんじゃないですか?」 京太郎「本当は辞めたくないのを堪えて…ファンの前で空元気見せてただけじゃないんですか?」 はやり「…それは…」 京太郎「…だから、俺は嫌です」 京太郎「俺の為だけじゃなくって…はやりんの為にも…」 京太郎「最後の日まで応援なんて…出来ません」 京太郎「何とか…はやりんが牌のお姉さんでい続けられるよう…何かしたいです」 京太郎「だから…何かありませんか?」 京太郎「はやりんが牌のお姉さんでい続けられる方法」 京太郎「俺…何でもします」 京太郎「はやりんの為ならなんだって出来ます!」 はやり「な、何でも…!?」 はやり「(な、何でも…なんて…そんな事…い、いきなりいわれても…)」 はやり「(も、勿論、嫌じゃないどころか…とっても、嬉しいよ)」 はやり「(…勢い任せだとしても…普通はそんな事言わないだろうし)」 はやり「(…この子がどれだけ本気なのかが伝わってきてる)」 はやり「(おっぱい大きいのに…アイドルなんか似合わないって)」 はやり「(プロもアイドルもどっちも中途半端で終わるだけだって)」 はやり「(そんなふうに陰口叩かれて…それを否定出来なかった私なのに…)」 はやり「(こんなにも…本気に…真剣になってくれてる…)」 はやり「(…ど、どうして…)」ドキドキ はやり「(今までファンの人達ともお話した事なんていくらでもあったのに…)」 はやり「(でも…私、今、すごく…ドキドキしちゃってる)」 はやり「(もしかしたら…私の一回りは下かもしれない男の子に…)」 はやり「(フライデーされたら…即座に手が後ろに回っちゃいそうな相手なのに…)」 はやり「(…そんなの関係ないって言うみたいに…身体が、心が…変わっていって…)」 はやり「(私…アイドルじゃ…なくなっちゃう)」 はやり「(この子が求めてくれているのは…アイドルの『はやりん』なのに…)」 はやり「(こんなに真剣に気持ちぶつけられたら私…)」 はやり「(一人の女に…『瑞原はやり』になっちゃうよ…)」キュゥン 京太郎「だから…!」タラァ はやり「え?」 京太郎「…あ」 京太郎「(うあああああ、い、今、シリアスだったのに!)」 京太郎「(メッチャクチャ真剣だったのにいいい!!)」 京太郎「(なのに、俺、ここで力みすぎて鼻血出してしまうなんて…お、俺って奴は…!)」 京太郎「(俺って奴はあああああああああ!!!)」 はやり「…くす」 京太郎「え?」 はやり「…ほら、こっち向いて」 はやり「もっかい、ハンカチ詰め直さないとね」キュッキュ 京太郎「…ごめんなしゃい」 はやり「ううん。謝る事じゃないよ」 はやり「寧ろ、それだけ私の為に必死になってくれてるんだって分かって嬉しかったし」 はやり「アイドルとして…牌のお姉さんとして…」 はやり「こんなに嬉しい事なんてきっと今までになかったと思う」 京太郎「はやりん…」 はやり「…だから、私、もうちょっとだけ頑張ってみるね」 京太郎「え?」 はやり「考えても見れば…私はこれまでおっぱい大きいお姉さんは不適切って道理を蹴っ飛ばして来たんだし」 はやり「辞めさせますって言われて、はいそうですかなんて私らしくなかったよ」 はやり「…だから、最後までプロデューサーさんの迷惑にならない程度に足掻いてみる」 はやり「それでダメなら…今度は私、主役の麻雀番組でも作らせるよ」 京太郎「はは。それも良いれすね」 京太郎「牌のお姉さんにょ麻雀教室以上に視聴率取っちゃへば、戻ってきへくれって言われりゅかもしへましぇん」 はやり「うん。それくらいのつもりで…私、頑張ってみるから」 京太郎「じゃあ…俺に出来りゅ事ありましゅか?」 はやり「ううん。君はもう十分過ぎるほどやってくれてるよ」 はやり「…正直ね、私もちょっと行き詰まりを感じてたところだからさ」 はやり「牌のお姉さんの降板を勧められて、思い悩んでて…」 はやり「アイドルを辞めて麻雀一本に絞るか…」 はやり「それとも全てすっぱり止めて…実家の手伝いをするか…」 はやり「そう思ってた私に…第三の選択肢をくれたんだから」 はやり「…まぁ、それでも、何かしたいってそう言ってくれるのなら…」 はやり「えっとね…その…無理に…とは言わないけど…」 はやり「……れ、連絡先、教えてくれない…?」 京太郎「ふぇ?」 はやり「あ、あの…わ、私、これからすっごく大変だと思うの」 はやり「番組の決定を覆す事もそうだし…新しい番組を立てる事もそう」 はやり「でも……き、君がいてくれたら…」 はやり「こんなに熱心なファンの子が何時も背中を押してくれたら…きっと頑張れると思うから…」 はやり「だから…あの…これからもファンとして…あ、或いはその…こ、個人として…ね」 はやり「私の事を応援してくれたら嬉しいなって…」 京太郎「もちろんれす!!」 京太郎「はやりんの為にゃら俺はいちゅだって応援しましゅし!」 京太郎「夜中らってLINE返しましゅよ!!」 はやり「も、もう…そんなふうに力んだらまた鼻血でちゃうよ?」 はやり「…でも、ありがとうね」クス 京太郎「(……)」ポチポチ 京太郎「(……ある)」 京太郎「(何度確認しても…ある)」 京太郎「(はやりんの連絡先が俺の携帯の中にある!!!)」 京太郎「(うぉおお!夢じゃない…!)」 京太郎「(さっきの出会いは…決して夢じゃなかったんだ!!)」 京太郎「(正直、あんまりにも都合良すぎて夢じゃないかと思うんだけどさ!!)」 京太郎「(はやりんが仕事があるからっていなくなってから何度も確認したけど…)」 京太郎「(…でも、その度に分かるのはさっきのが現実だったって事)」 京太郎「(憧れのはやりんとお知り合いになれただけじゃなく…)」 京太郎「(そのおっぱいにもダイブしちゃった事が現実だったって事で…)」グヘヘヘヘ ネリー「…キョータロー」ツンツン 京太郎「うぉ…ってなんだ、ネリーか」 ネリー「なんだとは失礼だよね」 ネリー「こっちは男がしちゃいけない顔してるキョータローを見つけて注意してあげようと思ったのに」 京太郎「…そんなにやばかったのか?」 ネリー「んー…私は正直、男に興味ないけどさ」 ネリー「でも、幾らキョータローの事が好きな人でも一発で恋から覚めちゃいそうなレベルでやばかったよ」 京太郎「マジかー…」 ネリー「まぁ、私も自分の預金口座見てる時に似たような顔をしてるから分かるけどさ」 ネリー「あんまり人前でそういう顔してると引かれちゃうよ?」 京太郎「おう。ありがとう」 京太郎「(…預金口座云々に関しては突っ込まないでおこう)」 ネリー「お礼の言葉だけー?」 京太郎「…なんだよ、何か欲しいものでもあるのか?」 ネリー「私、喉が乾いちゃったなー?」チラッ 京太郎「…ったく。仕方ないな」 ネリー「わーい」 京太郎「…ホント、こういう時だけ素直な顔するんだから」 ネリー「折角、ちんまい身体に生まれたんだから、その長所は活かさないとダメでしょ」 京太郎「全部、計算の内かよ」 ネリー「とーぜん」 ネリー「こっちはもうティーンズも折り返しに来てるんだよ」 ネリー「そんな子どもっぽく喜怒哀楽表現するはずないじゃん」 京太郎「(…いや、ネリーよりも年上で子どもっぽい人はいるけどな)」 京太郎「(照さんとか照さんとか照さんとか)」 京太郎「で、それはともかく…何が良いんだ?」 ネリー「一番、高い奴!」 京太郎「ほんっと遠慮しねぇよな、お前」 ネリー「しってる? キョータロー」 ネリー「遠慮ってし過ぎると相手に失礼になるんだってさ」 京太郎「お前は遠慮しなさすぎだって」 京太郎「…つか、一番、高いって言っても複数種類あるぞ」 京太郎「どれが良いんだ?」 ネリー「んー…それじゃあ、あの炭酸の奴」 京太郎「オッケ」ポチ ガチャガチャゴトン ネリー「よいしょっと」ゴソゴソ カチッ プシュ ネリー「ごく…ごく…」 ネリー「んー…♪人のおごりで飲むジュースって最高だよね!」ニッコリ 京太郎「いや、んな輝かんばかりの笑みで最低な事言われても」 ネリー「そんな事言うけどさ、キョータローだって良く奢られてるでしょ?」 京太郎「いや、まったく」 ネリー「…はい?」 京太郎「だから、まったく奢られた記憶なんかないぞ」 京太郎「つーか、寧ろ基本的にこっちの方が奢る側だわ」 ネリー「…あれー?」 ネリー「(…キョータローって所謂、イケメンって奴だよね?)」 ネリー「(私はまったく興味ないけど…並のアイドルとか凌駕してるし)」 ネリー「(それなのに奢られてないなんて…彼の周りにいる女が美的感覚狂ってるか…)」 ネリー「(或いは人気がありすぎて周りが牽制しあってるかのどっちかしかないと思うんだけど…)」 京太郎「…どうした?」 ネリー「んーん。何でもない」 ネリー「(…ま、あんまりその辺深く突っ込むとやけどしちゃいそうだしやめとこう)」 ネリー「(どっちであっても大変なのはキョータローだしね)」 ネリー「それよりさ、キョータローって今日も偵察?」 京太郎「あぁ、その予定だけど」 ネリー「じゃあ、今日も私と一緒に回らない?」 ネリー「ジュース一本分くらいは働いてあげるよ」 京太郎「俺としては有り難いけど…良いのか?」 ネリー「うん。一人で麻雀見てても退屈なだけだしね」 ネリー「興味引かれるような打ち手なんて100人に一人いるかいないかくらいだし」 ネリー「偵察なんてしなくても臨海の優勝は決まってるけど…」 ネリー「監督や周りがうるさいから仕方なくやってるだけだしさ」 京太郎「…大した自信じゃないか」 ネリー「当然でしょ」 ネリー「こっちはその為に海超えてわざわざこんな島国にまでやってきてるんだから」 ネリー「生ぬるい環境で適当にやってるような連中に負ける気はしないよ」 京太郎「(…すげぇよな)」 京太郎「(コレつよがりとかじゃなくて完全に本気で言ってるんだから)」 京太郎「(しかも、そう言っても馬鹿にされないだけの実力をネリーは持ってる)」 京太郎「(この先、世界で戦っていくだけの覚悟と実力を俺と同い年で備えてるんだ)」 京太郎「(ハンドボールでも、そんな覚悟なんて芽生えなかった俺にとってはちょっとうらやましくもある)」 京太郎「(でも…)」 京太郎「…言っとくけど、ウチは強いぜ」 ネリー「あー…清澄…だったっけ?」 ネリー「確かに悪くはないと思うけど…臨海に勝つのは無理だよ」 ネリー「私ほどじゃなくても、他の皆も世界で戦っていける実力者だから」 ネリー「世界を知らないただのダークホース程度に負けたりしないよ」 京太郎「…じゃあ、賭けるか?」 ネリー「いーよ。とりあえず100万で良い?」 京太郎「いや、100万はでかすぎるだろ…」 京太郎「外食一回くらいで勘弁してくれ」 ネリー「えー…中金持ちの癖にケチなんだから」 京太郎「ジュース奢られた奴が言うセリフじゃねぇよ、それ」 京太郎「つーか、中金持ち呼ばわりするけどさ」 京太郎「俺はそんな小遣い貰ってねぇから」 ネリー「えー…嘘でしょ?」 ネリー「キョータローレベルなら次に百万単位で貰えるものじゃないの?」 京太郎「そんなに貰ったら性格歪むわ」 京太郎「諭吉さん一人前も貰ってねぇっての」 ネリー「えー…じゃあ、ファミレスくらいしかいけないじゃん」 京太郎「あ、一応、その辺は考慮してくれるんだな」 ネリー「そりゃね。それで借金とかされても後味悪いし」 ネリー「お金は好きだけど、別にそれだけで生きていけるってほど達観してる訳じゃないから」 ネリー「人間関係の大事さっていうのは分かってるつもりだよ」 ネリー「まぁ、それ以上にお金が大事だけれど」 京太郎「へー…」 ネリー「…何?」 京太郎「いや、ちょっと意外だった」 京太郎「ぶっちゃけ、ネリーってお金以外には興味ないのかと」 ネリー「流石にそれは失礼だと思うなー」 ネリー「一応、これでも麻雀とかは好きでやってるし」 ネリー「それに私にだって家族や友人くらいいるんだからね」 京太郎「流石に金から生まれたとは言わないかー」 ネリー「……」 京太郎「…いや、冗談だからな?」 京太郎「それはそれで惹かれるとか言わないでくれよ」 ネリー「…うん。大丈夫分かってる分かってる」カクカク 京太郎「(…本当に分かってるんだろうか)」 京太郎「…まぁ、何はともあれ、誤解してすまなかった」 ネリー「良いよ。そう思われるのも仕方ないって思うし」 ネリー「それに例えそうでもキョータローは私の事嫌ってないでしょ?」 京太郎「…まぁ、な」 ネリー「だったら良いよ。許してあげる」ニコ 京太郎「…ネリーってさ」 ネリー「ん?」 京太郎「結構、寂しがり屋なのか?」 ネリー「……は?」 京太郎「いや、だって、今の流れで許すとかないだろ」 京太郎「何時もだったら…って言うほど俺はネリーの事知らないけど…」 京太郎「でも、賠償の一つでも要求してもおかしくはない話の流れなのに…」 ネリー「……つまりキョータローは私に償いをしたいって事?」 京太郎「い、いや、そういう意味じゃなくてさ」 京太郎「ただ、ここであっさり許すって事は…」 京太郎「案外、ネリーって友達とかそういうのに飢えてるのかなって思ったんだよ」 ネリー「……飢えてる…かぁ」 ネリー「(…まぁ、友達って呼べる相手が少ないのは事実だよね)」 ネリー「(故郷ならともかく、日本に来てからはほとんどそんな相手出来なかったし)」 ネリー「(臨海のメンバーは仲間や友人って言うよりも…ライバルって感じが強いもん)」 ネリー「(決して険悪な訳じゃないけど、最後の一線でどうしても心を許せない自分っていうのはいる)」 ネリー「(そういう意味では飢えてるとか…寂しいって言うのは否定しきれないけど…)」 ネリー「…………んー」 京太郎「あー…ごめん。変な事言ったか」 ネリー「うん。本当にね」 京太郎「それは『ううん、大丈夫』とか言うところじゃねぇのかよ」 ネリー「そんな気遣いして一銭の得にもならない相手だしね」 ネリー「それに…キョータローもそういうのを望んでるんでしょ?」 京太郎「あー……そうかもな」 ネリー「じゃあさ、それで良いじゃん」 ネリー「こういって憎まれ口叩く系の…そういうのでさ」 京太郎「…そういうのって?」 ネリー「…馬鹿、分かってるでしょ?」 京太郎「分かってるけど、ネリーの口から聞きたいんだよ」 ネリー「…だ、だから…その…と、友達…とか」ポソ 京太郎「そっかー。ネリーは俺の友達になりたいのかー!」 ネリー「あーもう…!そんなに大声で言わないでよぉっ!!」 ネリー「まったく…恥掻いちゃったじゃん」 ネリー「これは賠償が必要だよね」 京太郎「はいはい。んじゃ、会場まで背負えば良いか?」 ネリー「…幾ら私がちっちゃいって言っても男に背負われるとか恥ずかしいから却下」 ネリー「だから、さっきの分と合わせてお昼ごはん奢って」 京太郎「マ○ドで良いか?」 ネリー「そこはせめてモ○って言って欲しかったなー…」 京太郎「学生にゃ○スは辛ぇよ」 ネリー「ま、その辺は後で協議を重ねるとして」チラッ 京太郎「…ん?」 ネリー「キョータローの方は…どうなの?」 京太郎「あー…そうだなー」ンー ネリー「…ちなみにここでダメとか言ったら、お昼ごはんが高級レストランになるから」 京太郎「はい!喜んでネリーさんのお友達になりたいと思います!」 ネリー「宜しい」クス 京太郎「ま、アレだ」 京太郎「なんかちょっと情けない流れになっちゃったけどさ」 京太郎「今後共宜しくって事で」 ネリー「ん。これからも私に奢る為にお金を集めてきてね」 京太郎「お前ってホントブレないなぁ…」 ネリー「キョータローがそういう私が好きだって言ってくれたからね」 京太郎「好きだとは言ってねぇよ」 京太郎「まぁ…そういうほうがネリーらしいと思うけどさ」 ネリー「ふふ。まぁ…そういう意味じゃキョータローは私と相性が良いのかもね」 京太郎「相性?」 ネリー「奢りたいキョータローと奢られたい私で受容と供給がぴったり一致してるじゃん」 京太郎「俺は別に奢りたい訳じゃないんだけどなぁ…」 ネリー「でも、結構、簡単に奢ってくれるし、嫌じゃないんでしょ?」 京太郎「まぁ…そりゃ女の子相手に奢るのは悪い気分じゃねぇよ」 京太郎「ましてや、ネリーも可愛いからさ」 ネリー「…可愛い?」 京太郎「おう。まぁ、俺は貧乳には興味ないけどさ」 京太郎「客観的に見れば十分、可愛いだろ」 ネリー「…うーん…」 京太郎「なんだ、その微妙そうな反応」 ネリー「…いや、可愛いとか言われた事ないし」 京太郎「冗談だろ?」 ネリー「いや、ホントホント」 ネリー「小憎たらしいとか悪魔とか鬼とかは言われた事あるけれど…」 ネリー「可愛いなんてほとんど言われた記憶ないなぁ…」 京太郎「…普段、どういう事をしてるのか若干、気になるけど…」 京太郎「でも、女の子なら親に言われた事くらいあるだろ」 ネリー「あ、私、親いないし」 京太郎「え?」 ネリー「私、孤児院で生まれ育ったから」 ネリー「親の顔も知らないし、そもそも生きているのかさえ分かんない」 ネリー「ある日、孤児院の前に捨てられてたんだって」 京太郎「…いや、お前、あっけらかんと…」 ネリー「だって、別に何とも思ってないもん」 ネリー「親の顔なんて知らなくても生きていけるっていうのは私自身が証明してるし」 ネリー「寧ろ、こんなにお金を稼げる私を捨てた親が哀れで仕方がないくらいだよ」 ネリー「ちゃんと手元で育てれば、掛かった元手以上にかえしてあげられたのにね」 京太郎「……ネリー」 ネリー「まぁ、その分、私は孤児院に返してるんだけどね」 ネリー「今時、孤児院の経営なんて何処も一杯一杯だし」 ネリー「私が仕送りしないとチビどもにちゃんとした服も着せてやれないくらいだから」 ネリー「こっちでもバリバリ活躍して世界戦でも優勝しまくって」 ネリー「お金稼いで仕送りしてやらなきゃいけないんだ」 京太郎「…………そっか」 京太郎「お前って良い奴なんだな」 ネリー「そうだよ」 ネリー「あ、でも、やめてよね、同情とかそういうの」 ネリー「これでも私、それなりに幸せに生きてきたと想ってるし」 ネリー「同情とか腹が立つだけだから」 京太郎「…おう。分かってる」 京太郎「ただ…まぁ、アレだ」 ネリー「ん?」 京太郎「同情はしてないし、お前の今までの人生を否定するつもりはないけれど」 京太郎「…ただ、お前はすっげぇ頑張ってるんだなってそう思うから」 京太郎「だから、俺にはちょっとくらい甘えてくれても良いんだぞ」ナデナデ ネリー「…………ぁ」 ネリー「(……何、それ)」 ネリー「(甘えてくれても良いとか…そんな事言って…)」 ネリー「(人の頭撫でるとか…ちょっと間違ってない…?)」 ネリー「(…………でも)」 ネリー「(どうして…かな)」 ネリー「(……明らかに間違っていると思うのに…嫌じゃない)」 ネリー「(キョータローの手…大きくて優しいから…)」 ネリー「(私の頭を覆い尽くす…まるでお父さんみたいな手だから…)」 ネリー「(…おかしいはずなのに、私、安心しちゃう…)」 ネリー「(優しくて暖かい手に…顔が勝手に緩んで…)」 ネリー「(悔しいのに…こんなの…負けたくないのに…)」 ネリー「(でも…私、嬉しいって…そう思っちゃう…)」 ネリー「(キョータローに撫でられるのが…幸せなんだって…)」 ネリー「(この人は私の事捨てないんだって…そう…思っちゃう…………)」 京太郎「確かネリーの誕生日って俺の後だよな」 京太郎「だから、俺の事をお兄ちゃんってそう呼んでくれも良いんだぞ」 ネリー「……お兄…ちゃん?」 京太郎「おう。お兄ちゃんだ」 京太郎「多分、ネリーよりお金持ってないけど、それでも俺はお兄ちゃんだからな」 京太郎「存分に甘えて良いんだぞ」 ネリー「…何、それ」 ネリー「いきなりお兄ちゃんって呼べとか…変なの」 ネリー「幾らキョータローが男でも…私みたいな見た目の女の子にそんな事言ったら通報されちゃうよ」 京太郎「ですよねー」 ネリー「…………でも」ダキ 京太郎「うぉ…」 ネリー「…………割りとその響きは嫌いじゃないかも」ギュゥ 京太郎「ね、ネリー?」 ネリー「…………お兄ちゃん、もっと撫でて」 京太郎「お、おう。分かった」 京太郎「(…おかしい)」 京太郎「(どうして俺は同い年の女の子にお兄ちゃんと呼ばれているんだろうか)」 京太郎「(いや、まぁ…俺がそう呼んでくれと言った事ではあるんだけどさ)」 京太郎「(でも、それは冗談のつもりって言うか、ツッコミ待ちだったんだけど…)」 京太郎「(なのに、ネリーは完全に本気にして…俺の事を完全にお兄ちゃんと呼ぶようになった)」 京太郎「(…正直、戸惑いはあるけれど…でも、それはネリーが今まで中々、人に甘えられてこなかった証なんだ)」 京太郎「(原因となったのは俺な訳だし…ちゃんと受け止めてあげないと)」 京太郎「(それに…まぁ、俺自身、あんまり嫌じゃないからな)」 京太郎「(何だかんだ言って、俺は人に甘えられるのとか結構、好きなタイプだし)」 京太郎「(しっかりし過ぎてるほどしっかりしてるネリーが俺にあぁも甘えてくれているんだから…)」 京太郎「(嫌がるどころか光栄だって言っても良いくらいだよな)」 京太郎「(…ただ、まぁ、そうこうしている間に試合が終わって)」 京太郎「(またネリーとも別れる事になったんだけど…)」 淡「…」ジィィィィィ 京太郎「(…日頃からモモにストーカーされてる俺には分かる)」 京太郎「(さっきから女の子に監視されているんだって事が)」 京太郎「(…でも、一体、どうしてなのかが全然、分からん)」 京太郎「(正直、俺はストーキングされるほど器量良しじゃないし…)」 京太郎「(何より、俺の後をついてきているのは…)」クルッ 淡「あわわっ」カクレ 京太郎「(…どう見てもアレ、白糸台の大星さんだよなぁ)」 京太郎「(確か照さんの後継者とか言われてる…)」 京太郎「(…あ、やべ。なんかそう言うとすっげぇ嫌な予感がしてきた…)」 京太郎「(勿論、あの二人が別人なんだとは分かってるんだけど…)」 京太郎「(…それだけ俺の中での照さんショックはでかかったって事なんだろうな)」トオイメ 淡「…」チラッ 京太郎「(…しかし、これは一体、どうすりゃ良いんだろうな)」 京太郎「(正直、モモとはストーキングに対する技術から情熱までかけ離れ過ぎてて…)」 京太郎「(監視してるのが丸わかりと言うか…俺の後をついてまわる姿を周りの人に見られまくってるし)」 京太郎「(これが普通の世界ならともかく…今のこの世界はほぼ男女が逆転してるようなものなわけで)」 京太郎「(俺の常識で考えれば…男子の有名人が女の子を隠れながら追い回してるって事だよな)」 京太郎「(…………うん、完全に犯罪だな)」 京太郎「(正直、俺が通行人だったらすぐさま警備員のところに行くレベルだわ)」 京太郎「(…まぁ、そんな不審な行動をいつまでも取らせる訳にはいかないし…)」 京太郎「(そろそろ、こっちから話しかけるかな)」スタスタ 淡「っ!?」ビクッ カクレ 京太郎「いや、今更、隠れても遅いですから」 淡「…遅くないもん」 京太郎「いや、返事してる時点でもう言い訳しようもないだろ」 淡「あわ…っ」ビックリ 淡「ひ、ひきょーだよ!」 淡「これってゆーどーじんもん?って奴でしょ!」 京太郎「誘導する暇すらないレベルで尻尾出しただろ」 淡「尻尾…?私、猫じゃないよ?」 京太郎「…あぁ、うん。大体、分かった」 京太郎「(…この子、アホの子だ)」 京太郎「(思わず敬語ぶっ飛んじゃうくらいにアホい子だ…)」 京太郎「(…正直、なんでこんな子が頭使う麻雀なんて競技で活躍出来ているのか分からないくらいアホの子だ…!!)」 淡「な、何がわかったって?」 京太郎「君の名前と生年月日と住所と電話番号」 淡「う、嘘だ」 淡「そんなのそう簡単に分かるはずないもん」 京太郎「じゃあ、まず名前から当てていこうか?」 京太郎「君、白糸台の大星淡だろ」 淡「っ!?」ビックゥ 京太郎「誕生日は12/15」 京太郎「後は…もう言う必要ないよな?」 淡「うぐ…」 京太郎「(…まぁ、ぶっちゃけこれくらいは麻雀ウィークリー読んでたら分かるんだけどさ)」 京太郎「(白糸台のレギュラー…しかも、大将ともなれば、何処も注目してる訳だし)」 京太郎「(住所や電話番号はともかく、誕生日くらいの個人情報は載ってる)」 淡「そ、それで…一体、何のつもり?」 淡「名前とかがバレちゃったからって勝った気にならないでよね!」 淡「私はそれよりもずっとずっと凄い事知ってるんだから!!」 京太郎「凄い事って?」 淡「…えっと、実は小学校三年生までお父さんと一緒にお風呂入ってたとか…」 淡「ってだ、だからゆーどーじんもんはダメだって言ってるじゃん!!」マッカ 京太郎「いや、だから、誘導尋問も何も、そっちが自爆してるだけだろ」 淡「うー…うー…」スネー 京太郎「(あー…この子、可愛いな)」 京太郎「(顔立ちもそうだけど…良い感じにアホくて凄いいじりがいがある)」 京太郎「(正直、このままずっといじり続けてやりたいけど…それじゃ間違いなく話が進まないからな)」 京太郎「(とりあえず話を本題に戻そう)」 京太郎「…まぁ、小学校三年までお父さんと一緒にお風呂入ってた大星さんの事はさておいてな」 淡「い、いちいち、口に出さなくて良いってば!」 淡「と言うか、忘れてよ!!」マッカ 京太郎「忘れるのは良いけど、条件がある」 淡「じ、条件って…」 京太郎「なんで俺の事さっきからつけ回してたんだ?」 淡「そ、そんな事してないもん」 淡「そっちがじいしきかじょーなだけなんじゃない?」 京太郎「…まぁ、しらばっくれるのも別に構わないけどさ」 京太郎「でも…良いのかな?」 淡「え…?」 京太郎「さっき大星さんから聞いたあの恥ずかしい秘密…」 京太郎「もしかしたらそれを俺が誰かに漏らしちゃうかもしれないぞ」 淡「な…っ!?」 京太郎「…それが嫌なら誠意を見せて欲しいもんだなぁ」ゲスカオ 淡「く…ぅ…!」 淡「こ、この…卑怯者!鬼!悪魔っ!金髪!!」 京太郎「金髪はそっちもだろ」 淡「わ、私のは良い金髪だから良いの!」 淡「そっちは悪い金髪だからダメ!!」 京太郎「はいはい。…で、返答は?」 淡「ぬぐぐぐぐ…」 京太郎「…おぉっと、何故か無性にLINEで誰かの秘密を流したくなったぞー」 淡「わーわーわっ!」 淡「分かった!いうから!いうからそれは秘密にしておいてえええ!!!」 京太郎「…で、どうしてなんだ?」 淡「…私、悪くないもん」ムスー 淡「ただ…テルーが昨日、金髪に会ったって言ってて…」 淡「凄い嬉しそうだったから…どんな奴なのかなって思っただけで…」ポツ 京太郎「だからって人のことを付け回さなくても良いだろ」 淡「だ、だって…」 淡「い、いきなり知らない男の人に話しかけるとか恥ずかしいし…」 京太郎「いや、人のことを付け回す方がよっぽど恥ずかしいだろ」 淡「うー…!良いでしょ!」 淡「女の子には色々あるの!!」 京太郎「はいはい。それで?」 淡「それでって?」 京太郎「これまで俺の事見てきた感想は?」 淡「…すっごい嫌な奴」 淡「テルーが褒めてるのが嘘なくらいにひきょーで酷い奴だったよ」ツーン 京太郎「ストーカーに嫌なやつ呼ばわりされるとはなぁ…」 淡「それだけ酷い事やったじゃん」 京太郎「正直、自業自得だと思うぞ」 京太郎「…ま、何はともあれだ」 京太郎「これに懲りたら、もう人の事を付け回したりしない事だな」 淡「ふーんだ」ツーン 京太郎「(…反省してるのかなー)」 京太郎「(って、ヤバイ。そろそろ次の会場に向かわないと)」 京太郎「(折角の偵察だっていうのに対局見逃した…とかなると笑えないからな」 京太郎「じゃあ、俺はそろそろ行くけど…」 京太郎「大星さんもそろそろ帰った方が良いぞ」 淡「つーん」ツーン 京太郎「(自分で言うのか…)」 京太郎「(…ま、忠告はしたんだ)」 京太郎「(後はもう知らぬ存ぜぬで構わないだろう)」 京太郎「…」スタスタスタ 淡「…」スタスタスタ 京太郎「…」スタスタスタ 淡「…」スタスタスタ 京太郎「…あのさぁ」クル 淡「あわっ!?」スタ ビックゥ 京太郎「…俺、もう帰れって言ったよな?」 淡「わ、私もこっちに用があるだけだもん」 淡「べ、別にこのまま追い回して金髪の弱みを握ってやろうとか考えてないから!!」 京太郎「…なるほどな」 淡「あわわわっ」 淡「い、いまのなし!なし!!」 京太郎「いやぁ…なしには出来そうにないかなぁ」ニッコリ 淡「あうぅぅ…」フルフル 京太郎「…まぁ、アレだ」 京太郎「ぶっちゃけさ、俺の事、付け回すのは構わないんだよ」 淡「じゃ、じゃあ、別に私の事放っておいてよ」 淡「金髪の弱みを握ったら私も満足して帰るから!」 京太郎「…いや、それはそれで困るんだけどさ」 京太郎「ただ、その前に冷静になって欲しいんだけど」 淡「私は冷静だもんっ」スネ 京太郎「じゃあ、今の自分がどう見られるか説明出来るか?」 淡「え?超すっごい白糸台の大将でしょ?」 京太郎「あー…うん。それもあるけど」 京太郎「それ以上にさ、今の大星さん、俺の事を追い回してる訳じゃん」 淡「うん」 京太郎「…女がな、男を影からストーカーしてる訳だよ」 淡「それがどうし…あっ」 京太郎「…まぁ、これがほかの人ならば良いんだけどさ」 京太郎「さっき大星さんが言った通り、君はすっごく目立ってる訳で」 京太郎「そんな君が、ストーキングしてたらどうなる?」 淡「…警察に捕まっちゃう」 京太郎「そうだな。で、そうなったら白糸台はどうなるんだ?」 淡「…………すっごく困る」 京太郎「困るどころか、下手すりゃ数年公式戦出場停止食らうぞ」 淡「…そ、そんな…っ」 京太郎「…まぁ、幸いさ、今のところ騒ぎになってない訳だけど…」 京太郎「でも、今のままずっとそうだとは限らないだろ?」 京太郎「だから、俺の事追い回すのなんてやめた方が良いって」 京太郎「…一応、これ大星さんの為に言ってるんだからな」 淡「…………うん」 京太郎「まぁ…その、なんだ」 京太郎「俺も調子に乗って色々とやりすぎたよ、ごめんな」ペコリ 淡「う、ううん。私の方こそ…ごめん」 淡「周りの事、ちゃんと見えてなくて…金髪に教えて貰うまで事態の深刻さを分かってなかった…」シュン 京太郎「(…なんだ。この子)」 京太郎「(ただ、面白いアホの子ってだけじゃなくて…ちゃんと謝れるし反省も出来るんじゃないか)」 京太郎「(ちょっと跳ねっ返り気質なだけで根が素直なんだろうな)」 京太郎「いや、こうしてちゃんと向き合って話せば分かってくれた訳だしさ」 京太郎「大星さんは十分、偉いと思うよ」 淡「そ、そう…?」エヘヘ 京太郎「(やだ、この子、アホいだけじゃなくてチョロい…)」 京太郎「…まぁ、さっきの秘密は誰にも話さないからさ」 京太郎「信じられないなら、俺の恥ずかしいネタを教えてあげても良いし」 淡「…んーん。いいや」 淡「今ので金髪が嫌な奴じゃないって言うのは分かったし」 淡「ちゃんと秘密は護ってくれると思うから」 淡「それに…」 京太郎「それに?」 淡「テルーは言ってたよ」 淡「京ちゃんはたまに意地悪で、ツンデレ?とか言う性格だけど…」 淡「でも、人の約束は絶対に護る一本芯が通った男だって」 京太郎「そ、そうか…」テレ 京太郎「(…照さん俺の知らないところでそんな事言ってたのか)」 京太郎「(正直、恥ずかしいけど…でも、そんなふうに評価してもらえると嬉しいな)」 淡「だから、私は金髪の事を…ううん」 淡「キョータローの事を信じる」 京太郎「…ってキョータロー?」 淡「……あ、図々しかった?」 京太郎「いや、俺は構わないよ」 京太郎「(…ちょっと話の展開が早すぎて驚いたけど…)」 京太郎「(まぁ、多分、そうやって信じて貰えるだけ色々な事を照さんから聞いてたんだろうし)」 京太郎「(ちょっとどころじゃなくアホいけど可愛くておっぱい大きい美少女とお近づきになれたのを喜んでおこう)」 淡「良かった」ニコ 京太郎「…じゃあ、俺もそっちの事を淡って呼んで良いか?」 淡「えー…どうしよっかなー?」 京太郎「…いや、お前、そこでそれはないだろ」 淡「だって、キョータローってば一杯意地悪してたし?」 淡「私だってキョータローに意地悪しないとふこーへーじゃん?」ニッコリ 京太郎「へー?」 淡「…………何?」 京太郎「いや、別に何でもないんだけどさ」 京太郎「ただ…随分と生意気な態度をとるんだなーと思っただけで」ニッコリ 淡「う……」 京太郎「…じゃあ、仕方ないよな」 京太郎「うん。大星さんが下の名前で呼ぶのを許してくれないんだったら仕方ない」 淡「な、何をするつもり…?」 京太郎「いや、大した事じゃないよ」 京太郎「ただ、小学3年生までお父さんと」 淡「わーわーわーわーっ!!!」 淡「秘密って言ったじゃん!!!言わないって言ったじゃん!!」 京太郎「言ってないだろ、最後までは」 淡「屁理屈っ!!」 京太郎「先に弱み握られたそっちが悪い」キッパリ 京太郎「…で、俺はどう呼べば良いんだ?」 淡「…淡って呼んでも良いよ」 京太郎「呼んでも良い?」 淡「うーっ!」 淡「淡って呼んでくださいっ!」 京太郎「よし、これでお揃いだな、淡」 淡「何時か絶対ふくしゅーしてやる…」 京太郎「別に構わないけど、もうストーカーは辞めろよ」 淡「流石にそれはしないよ」 淡「でも…」スタスタ 京太郎「ん?」 淡「…こうして隣にいるのはストーカーじゃないし良いよね」 京太郎「あー…そう来たか」 淡「ふふーん。そう来ました」ニコ 京太郎「…つってもさ、俺、今から偵察だぞ」 淡「じゃあ、私はキョータローの事、偵察してるね」 淡「それで弱み見つけたら、今までの分、全部ふくしゅーしてやるんだから」 京太郎「…ま、淡がそれで良いなら俺は何も言わないけどさ」 京太郎「ただ、横にいてもあんまりおもしろくはないと思うぞ」 淡「大丈夫だよ」 京太郎「…なんか不安だなぁ」 淡「大丈夫だって言ってるでしょ」 淡「それより…ほら、早く行かないと試合始まっちゃうよ」 淡「偵察するんでしょ?」グイグイ 京太郎「わ、ちょ…いきなり引っ張るなって!」 淡「えへへ、さっきの仕返しだよーっ」 京太郎「(それから淡は俺の事を見てたんだが…)」 京太郎「(すぐさま飽きて麻雀の方を見始めてた)」 京太郎「(まぁ…分かってたと言うか、約束された勝利と言うか)」 京太郎「(俺はまだ淡の事良く知らないけど、あいつが落ち着くあるタイプとは思えないからなぁ)」 京太郎「(ただ、麻雀の方見ながら色々解説してくれるのは正直、有り難かった)」 京太郎「(淡にとっては暇つぶしだったんだろうけれど、初心者の俺にも分かりやすかったし)」 京太郎「(…ただ、途中で淡の方のスマホが鳴ってからはそうもいかなかった)」 京太郎「(どうやら淡は大事なミーティングの事を完全に忘れてたらしく、迎えに来た白糸台の部員に連行されていって)」 京太郎「(俺の周りには再び平穏が戻ってきた訳だけれど…)」 京太郎「んー……」 京太郎「(…流石に朝から偵察しっぱなしの牌譜作りっぱなしは辛いなぁ)」 京太郎「(丁度、休憩時間になったし…一回、一息入れるとするか)」ヨイショ 京太郎「(…って身体も結構、バキバキになってるわ)」 京太郎「(これはちょっと動いて身体からこわばりを抜いた方が良いかなぁ…)」 京太郎「(…ま、どうせだし、ちょっと階段あがって飲み物でも買って来るかな)」 京太郎「(丁度、飲み物も切れたところだし)」 京太郎「(もうちょっとで今日の試合も終わるけど、残りは帰り道にでも飲めば良いもんな)」 京太郎「(じゃあ、そうと決まれば即刻っと)」スタスタ 玄「…」スタスタ 京太郎「(ってアレは…確か阿知賀の松実玄さんか)」 京太郎「(姉妹共にとっても素晴らしいおっぱいをおもちなので良く覚えてたんだが…)」 京太郎「(それ以上に彼女には凄いシンパシーを感じるんだよなぁ)」 京太郎「(…こう同志と言うか仲間と言うか…)」 京太郎「(いっそ電波にも思えるような言葉が彼女に対しては浮かんでくる)」 京太郎「(…まぁ、一応、前世の仲間とかそういうんじゃない分、マシだと思おう)」 玄「……」クラッ 京太郎「って…!?」 玄「(ううぅ…なんだか体調が悪い…のかなぁ)」 玄「(普段ならおもちを見てるだけでも元気になれるのに…)」 玄「(今日はお姉ちゃんのおっぱいを見ても、朝からダルイままで…)」 玄「(どうしよう…こんな大事な時期に風邪なんてひいたりしたら…)」 玄「(皆にとんでもなく迷惑をかけちゃうよ…)」 玄「(……まだ見るべき試合は残ってるけど、風邪薬でも飲んで早めに休もう)」 玄「(それで次の試合前に何とか体調を元に戻して…)」クラァ 玄「(って…ここで立ちくらみ…!?)」 玄「(ダメ…足滑らせて…!)」 玄「(堕ち……っ!?」 京太郎「よいしょぉ!」ダキッ 玄「ふぇええxt!?」ビックリ 京太郎「(…ふぅ。何とか間に合ったか)」 京太郎「(何とか間一髪階段を降りてくる松実さんを抱きとめる事に成功した)」 京太郎「(…まぁ、勢いはどうしても殺しきれず、俺の胸に松実さんがダイブしてる形になるけれど)」 京太郎「(それでも階段から堕ちるよりはずっとマシだろうし)」 玄「(はわ…はわわわわっ!?)」 玄「(こ、この硬いの…も、ももももももしかしなくても男の人の胸…!?)」 玄「(か、階段から落ちそうになったら、よもや男の人に抱きしめられるなんて…!!)」 玄「(って…そ、そうじゃない…!)」 玄「(は、早く離れなきゃ…)」 玄「(このままずっと抱きついてたら…それこそ痴漢か何かだって思われちゃう…!)」ワタワタ 玄「あ、あああああああのあのっ」ジタバタ 京太郎「いや、ちょ…!?」 京太郎「(待って!だ、抱きとめられたって言っても…バランス不安定だから!)」 京太郎「(階段っていう狭いところで踏ん張ってるだけだから!)」 京太郎「(それなのにそんなふうに暴れたら、俺まで堕ち……っ)」グラ 玄「きゃああっ」 京太郎「ぬああっ!!」 京太郎「い…てて…」 京太郎「(…やっぱ身体なまってるなぁ…)」 京太郎「(まさかちょっと暴れられただけでバランス崩して階段から堕ちるなんて)」 京太郎「(まぁ、幸い、俺が堕ちたのは数段だったから怪我がある訳じゃなかったけど…)」 京太郎「(って松実さんの方は…)」チラッ 京太郎「…ってえ?」 玄「(…な、何…コレ)」 玄「(…なんで階段から堕ちちゃった私の前にズボンがあるの?)」 玄「(これ…もしかして…)」 玄「(ううん…もしかしなくても…)」 玄「(私、さっきの人の股間に顔を埋めてる!?)」 玄「(胸だけじゃなくて…オチンチンのところまで触っちゃってるの!!?)」 玄「(す…凄い…)」 玄「(も、もう…何から言えば良いのかわからないくらい凄いよ…)」 玄「(だって…まるでフェロモンみたいなオスの匂いがたまってて…)」 玄「(嗅いでいるだけで…頭の奥から…ジィンってしびれちゃいそうになっちゃう…)」 玄「(その上…私に触れてるコレ…)」 玄「(夏服だからか…とっても布地が薄くて…)」 玄「(私…わか…分かっちゃう…)」 玄「(この奥にあるもの…)」 玄「(エッチで…とっても気持ち良いもの…)」 玄「(オチンチンがある事が…肌で感じ取っちゃう…)」 玄「(こ、こんなの…無理だよ)」 玄「(処女の私には…刺激が強すぎる…)」 玄「(まるでエッチな漫画みたいに都合の良い展開に…私の頭、クラクラして…)」 玄「(もう…目の前にあるモノしか…考えられなく…なっちゃう…)」ゴクッ 玄「(…コレ反則…反則だよ)」 玄「(私…これまで男の人にあまり興味なかったのに…)」 玄「(おもちさえあれば…それで良いって思ってたのに…)」 玄「(でも…これは…これは無理…ぃ)」ゾク 玄「(この匂いと感触には…絶対に勝てない…)」 玄「(興味ないとかそんなの…関係なしに…)」 玄「(女の子の…ううん、メスの本能に訴えてくるんだから…)」 玄「(どれだけ…男の人に興味が無い子でも…目覚めちゃう…)」 玄「(この匂いの源が欲しいって…)」 玄「(この感触を生で感じたいって…そう思わされちゃう…)」 玄「(魔性の…魔性のオチンチン…だよぉ…♪)」ハァ 玄「(おしゃぶり…したい…♪)」 玄「(それがダメなら…直接頬ずりさせて…欲しい…っ♪)」 玄「(そんな気持ちを…私もう抑えられなくて…ぇ♪)」 玄「(だから…ぁ♪)」スッ 京太郎「あ、あの…大丈夫ですか?」 玄「ひゃうっ」ビクッ 京太郎「さっきから動かないけど…もしかして怪我したんですか?」 京太郎「もしそうなら俺、ここから救護室に…」 玄「(…この人、私の事を心配してくれてる)」 玄「(もうオチンチンの事しか考えられなくて…今にも無理やり襲いそうだった私の事を…)」 玄「ご、ごごごごごごごごごごごめんなさい」パッ 玄「(は…恥ずかしい…っ)」 玄「(私、最初から最後まで自分の事ばっかりで…)」 玄「(申し訳なさすぎて…顔も見れないよぉっ)」マッカ 玄「わ、わわわわわ私は大丈夫ですから!」 玄「ほ、本当にありがとうございました!」 玄「では!!」ダッ 京太郎「あ…」 京太郎「(…逃げられてしまった)」 京太郎「(まぁ、事故とは言え、男の股間に顔を突っ込んだんだから当然だよな)」 京太郎「(しかし…惜しいなぁ)」 京太郎「(松実さんはおっぱい大きい美少女だっていうのもあるけれど…)」 京太郎「(なんとなくシンパシーを感じて仲良くなれそうな相手に避けられるとは…)」 京太郎「(…最初にはやりんのおっぱいに顔を突っ込んだり)」 京太郎「(連絡先聞けた反動が今に来てるのかなぁ…)」フゥ はやり「ふー…」 はやり「(インハイの解説も楽じゃないよね)」 はやり「(勿論、普段からお仕事でテレビの前で喋ってるし…)」 はやり「(ほかの人より慣れてると言えば慣れてるんだけれど)」 はやり「(でも、私の解説一つ一つで選手に対する印象ががらりと変わっちゃう訳で…)」 はやり「(ある程度、台本があるテレビよりもよっぽど緊張する)」 はやり「(まぁ…それでもお仕事と大会に挟まれるよりはマシだけどね)」 はやり「(台本覚えながら、相手のデータも読み込まなきゃいけないってホント辛いし)」 はやり「(学生時代にちゃんと勉強して暗記方法も覚えてなかったら今の仕事なんて絶対無理だったと思う…)」 はやり「(まぁ…それだけやり応えのある仕事ではあるし)」 はやり「(『彼』のお陰でまだまだ辞めるつもりはないけどね)」 はやり「……えへへ」 はやり「(今、すんなり『彼』とか言っちゃった…)」 はやり「(まだ知り合ったばかりなのに、ちょっと大胆かな?)」 はやり「(で、でも、心の中でくらいは良いよね)」 はやり「(『彼』…京太郎君は私のファンだって言ってくれてる訳だし…)」 はやり「(心の中でくらい『彼』呼びしても許してくれるはず)」 はやり「(まぁ、私はまだ知り合って少ししか経ってないけれど…)」 はやり「(でも、あの子がとても優しい子って言うのはわかってるし)」 はやり「(その上…ちょっぴりエッチ…だよね)」カァ はやり「(あんなに露出の激しい格好してるのもそうだけど…)」 はやり「(私の胸もチラチラ見てるし…好きだって言ってくれてたし…)」テレ はやり「(実際、私が横に立っても嫌な顔ひとつしないどころかデレデレしちゃって…)」 はやり「(ちょっと触っても、嫌な顔せずに受け入れてくれる)」 はやり「(だからってビッチって感じじゃなくって…おっぱいに挟まれて鼻血出しちゃうくらい純情で)」 はやり「(真っ直ぐに私に気持ちぶつけてくれるくらい熱くて…真面目な子)」 はやり「(正直、狙いすぎてるんじゃないかなって思ったりもするけれど…)」 はやり「(でも、アレきっと演技じゃないんだよね)」 はやり「(私もそれなりに芸能界長いから分かるけど…)」 はやり「(そういうのを演じてる時の雰囲気を感じない)」 はやり「(きっと彼は本気であぁいう性格をしてるんだと思う)」 はやり「(…でも、ちょっとエッチでビッチっぽいのに純情とかさ)」 はやり「(どう考えても…危険だよね)」 はやり「(そんなの女の子が大好きなエッチな本にしか生息しない生き物だって)」 はやり「(女の子の妄想の中にしかいない都合の良い『男』なんだって)」 はやり「(そう思うような子が…現実に存在してたんだから)」 はやり「(…正直、私もちょっとヤバイ)」 はやり「(話してた時はまだしも…今は色々と落ち着いてきてるし)」 はやり「(何より疲れも溜まって…ちょっぴりムラムラしてるから…)」 はやり「(…彼でオナニーしたくなってる)」 はやり「(彼の手で、おっぱいで挟んだ時の感触で…)」 はやり「(思いっきりあそこをクチュクチュしたくて…堪らない…)」モジ はやり「(…ま、その為にも早く帰ろっと)」 はやり「(牌のお姉さんを降ろされた後の為に企画書も作らないとダメだしね)」 はやり「(牌のお姉さんをやってて感じた事をぶつけた番組に出来るよう頑張らないと)」グッ 京太郎「…」スタスタ はやり「(…ってあれは…)」 はやり「(もしかしなくても…京太郎君?)」 はやり「(…やった、すっごくラッキーっ)」ニコ はやり「(インハイ会場の中とは言え、偶然会えるなんて思ってなかった)」 はやり「(これはもう…運命だよね)」 はやり「(話しかけないと…)」 はやり「京…」 咏「おーっす。そこいく男の子ー」 京太郎「ん?」 はやり「え…?」 咏「どうしたんだぃ、なんだか浮かない顔をして」 京太郎「あ、三尋木プロ…お疲れ様です」 京太郎「今日はもうあがりですか?」 咏「うん。バッチリ解説してやったぜぃ」 はやり「(…あれは、咏ちゃん?)」カクレ はやり「(どうして京太郎君とあんなに仲良く話してるの?)」 はやり「(…もしかして咏ちゃんも知り合い?)」 はやり「(私みたいに…京太郎君にファンだって言われて仲良くなった…とかなの?)」ズキ 咏「そっちはどう?」 京太郎「俺も今日は合宿場に戻るだけです」 咏「へぇ…そうなんだ」ニヤリ はやり「っ」ゾクッ はやり「(…あ、これ違う)」 はやり「(咏ちゃん…京太郎君と仲が良いんじゃないんだ)」 はやり「(完全にこれ食べ物としか見ていない)」 はやり「(京太郎君の心とか人権とか…そんなの無視して…)」 はやり「(ただ、自分の性欲を発散する相手としか思ってないんだ…)」 咏「…じゃあ、一緒に晩飯でもどうだい?」 京太郎「え、良いんっすか?」 咏「勿論。学生に奢ってやれる程度には貰ってるしねぃ」 咏「で、それが終わったら、私の部屋でマンツーマンレッスン…なんてどうだ?」 京太郎「ま、マジっすか」 京太郎「三尋木プロとマンツーマンレッスンなんて光栄です!」キラキラ はやり「(って…京太郎君、気づいてない?)」 はやり「(咏ちゃんの目がもう欲情でギラギラしてるのに…)」 はやり「(部屋に連れ帰ってレイプする事しか考えてない目なのに…)」 はやり「(一緒になんていったら…穢されちゃうよ…っ)」 はやり「ま、待って!」 咏「…ん?」 京太郎「え?」 はやり「(って飛び出したけど、ど、どどどどどどどうしよう…!?)」 はやり「(ここから先の事なんてまったく考えてないよ…!)」 はやり「(でも…それでも…)」 はやり「(京太郎君をレイプするなんて…そんなの絶対に許せるはずない)」 はやり「(京太郎君は…私の大事なファンで…)」 はやり「(ちょっとだけ…他よりも特別な人なんだから)」 はやり「(幾ら咏ちゃんでも…穢させない)」 はやり「(京太郎君の事を食べ物としか見てない咏ちゃんになんか…)」 はやり「(絶対に…絶対に渡さないんだから…っ)」グッ はやり「き、今日は私が先約だから…」 咏「…先約」 はやり「そ、そう。先にご飯食べにいったり麻雀を教える約束してたんだよ」 咏「…………そうなのかぃ?」 京太郎「え、えっと…」 はやり「(…お願い、気づいて、京太郎君)」 はやり「(咏ちゃんの意図に気づかなくても…)」 はやり「(私の意図にだけは…気づいて欲しい…)」ジィィ 京太郎「…………すみません」 はやり「っ」ビク 京太郎「はい。確かにそうでしたね」 京太郎「今日ははやりんと先に約束してたのすっかり忘れてました」 はやり「き、京太郎君…」パァァ 咏「…そっか」 咏「それならしょうがないねぃ」 京太郎「折角、誘ってもらったのにすみません」ペコ 咏「んーん。私は気にしてないから大丈夫」 咏「ま、この埋め合わせは何時かしてもらうけどねぃ」チラッ はやり「……っ」グッ 京太郎「勿論ですよ」 京太郎「今度は俺の方が晩飯おごります」 咏「はは。学生にたかるほど耄碌してないって」 咏「そういうのは私以上に稼いでから言うんだねぃ」 咏「ま、それじゃ、今日のところは退散するけど…」スタスタ 咏「……どういうつもりかわっかんねーけど、次は容赦しないよ」ポソ はやり「…それはこっちのセリフだよ」ポソ はやり「…ふぅ」 はやり「(…あー、怖かったぁ)」 はやり「(まさか咏ちゃんからあんな声が出てくるなんて…)」 はやり「(よっぽど咏ちゃんは京太郎くんに御執心なんだ…)」 はやり「(まぁ…正直、分かるけどね)」 はやり「(麻雀プロなんてやってて、こんなに格好良い男の子と知り合える機会なんてないし)」 はやり「(でも…」 京太郎「…大丈夫ですか?」 はやり「…ん。大丈夫」 はやり「これでもはやりんは芸能界の荒波に揉まれて生きてきてるからね☆」 はやり「アレくらい慣れっこだから心配しないで」ニコ 京太郎「それなら良いんですけれど…」 京太郎「でも、どうしていきなりあんな事を…?」 京太郎「わざわざ間に入り込んでくるなんてよっぽどだと思って話にノリましたけど…」 はやり「あー…」 はやり「(…やっぱり分かってないんだ、京太郎君)」 はやり「(あれ完全にお持ち帰りの手口だって言うのに…)」 はやり「(芸能界だけじゃなく高校とかでもあんなのザラにあると思うんだけどなぁ…)」 はやり「(やっぱりただ純真なだけじゃなくて警戒心たりなさすぎるよね)」 はやり「(そこのところは大人としてしっかり言っておかないと)」 はやり「…京太郎君はもうちょっと女の子の事警戒した方が良いと思うな」 京太郎「え?勿論、警戒してますよ」 京太郎「美人局とか怖いですもんね」 はやり「…え?美人局って男の人がやるもんじゃないの?」 京太郎「あー…うん。ごめんなさい」 京太郎「そうでしたね、いやぁ…うっかりうっかり」 はやり「???」 はやり「…まぁ、何はともあれだよ」 はやり「咏ちゃんにはもうちょっと警戒した方が良いと思うな」 京太郎「そんなに評判悪いんですか?」 はやり「ううん。そんな事ないよ」 はやり「寧ろ、とっても良い子…だったはずなんだけど…」 はやり「(…そう考えるとさっきの様子、変だよね)」 はやり「(私の知ってる咏ちゃんはもっと飄々として何かに執着する事なんて滅多になかったのに)」 はやり「(でも…そんな咏ちゃんが京太郎君にだけはあんなにも関心を持っていた)」 はやり「(勿論、京太郎君はそれだけ魅力的な子ではあるけれど…)」 はやり「(でも、それだけで説明をつけるには…ちょっと尋常じゃない様子だった気がするし…)」 京太郎「…はやりん?」 はやり「う、ううん。何でもない」 はやり「それより…えっと…さ」 はやり「…良ければ今から…家来る?」 京太郎「え?」 はやり「い、いや、変な意味はないんだよ!?」 はやり「で、でも…ほら、さっき咏ちゃんの誘いを断らせちゃったからさ」 はやり「だから、その分の埋め直しを私がしなきゃダメだと思って…」 はやり「そ、それに…えっと、私、それなりに御飯作るのも得意だから…あの…っ」 はやり「(…って、私、何を言ってるんだろ)」 はやり「(これじゃさっきの咏ちゃんと同じじゃない…)」 はやり「(京太郎君を部屋に連れ込んで…エッチな事するつもりなんだって…)」 はやり「(そう言われてもまったく反論出来ない事を…)」 はやり「(あぁぁ!もう!私の馬鹿ぁあっ!)」 はやり「(もうちょっと考えてから発言すれば…)」 京太郎「え、良いんですか?」 はやり「(……あれ?)」 はやり「…………良いの?」 京太郎「いや、それは俺のセリフなんですけど」 京太郎「はやりんのお部屋にお邪魔出来るだけじゃなくて」 京太郎「手料理まで作ってもらえるなんて…幸せ過ぎてどうにかなっちゃいそうですよ」 京太郎「しかも、麻雀の練習まで付き合ってもらえるとかお金払らわなきゃダメなレベルじゃないですかね」 はやり「お、お金なんて受け取れないよ」 はやり「(と言うか…高校生の男の子を部屋に呼ぶって私の方がお金出さなきゃいけないし)」 はやり「(いや、援交じゃないけど…援交じゃないけれどね!)」 京太郎「いや、でも、晩飯代くらいは…」 はやり「ダメです」 はやり「京太郎君は学生なんだから、素直にお姉さんに甘えなさい」 はやり「アイドルとしての命令です」 京太郎「…はーい」 はやり「~っ」キュン はやり「(あぁ…もう…可愛いなぁ)」 はやり「(本当に…可愛すぎるよ…)」 はやり「(…さっきは咄嗟にお姉さんぶったけれど…)」 はやり「(こんな子とずっと一緒にいたら…絶対に血迷っちゃう)」 はやり「(……でも、絶対に我慢しなきゃ)」 はやり「(京太郎君だって…私の事好きって言ってくれてるけど…)」 はやり「(でも、一回り以上離れてる相手を好きになってくれるはずないし)」 はやり「(あくまでも淑女的…)」 はやり「(そう。まるで中世の淑女のようにしっかりと彼の事をもてなさなきゃ…!)」 ~はやりんハウス~ 京太郎「…」スヤァ はやり「(うわあああ!もう!もぉおおお!!)」 はやり「(なんで寝ちゃうの!?)」 はやり「(いや…それだけ色々と疲れてたって事だってわかってるよ!?)」 はやり「(今日の彼が作った牌譜とか…とっても書き込まれてて…)」 はやり「(どの試合も真剣に見てたんだって事が伝わってきたんだから)」 はやり「(でも、女の部屋にあがって寝ちゃうのはダメだよ…)」 はやり「(そんなの…レイプしてくださいって言ってるようなものなんだから)」 はやり「(…そんな気がなくても…その気にさせられちゃう…)」 はやり「(こんなに無防備な寝顔を見せられたら…)」 はやり「(ちょっとくらい…悪戯しても良いんだって…)」 はやり「(それを…君も望んでいるんだって…)」 はやり「(そんな…都合の良い事…考えちゃうんだから…ね)」スッ はやり「(………だけど、本当に綺麗な寝顔…)」 はやり「(まるで…漫画やアニメに出てくる王子様みたい)」 はやり「(…正直…宝物にして一生、手元においておきたいくらいだよ)」 はやり「(でも…そんな事しちゃダメだよね)」 はやり「(京太郎君はモノじゃなくて一人の人間なんだから)」 はやり「(…………だから、とりあえず写真を取って)」パシャ はやり「(…うん。それでちゃんとロックかけて…バックアップもとって…)」 はやり「(それで…その…えっと…)」 はやり「(…こういう時はね、やっぱり…お姫様のキスが一番だと思うし…)」 はやり「(ソファで寝てる京太郎君に悪戯…うん)」 はやり「(あくまでもただの悪戯をする為に…)」 はやり「(ちょっとだけ…ちょっとだけ…キス……して…)」スッ 京太郎「…………さ、き」 はやり「っ!?」ビクッ はやり「(…咲って…)」 はやり「(確か…清澄の大将で京太郎君の幼馴染…だったよね)」 はやり「(…確かに、結構、仲よさそうに話していたし…)」 はやり「(寝言で名前が出てくるのは普通かもしれないけど…)」 京太郎「…和…も…もう勘弁…してやってくれよ…」 京太郎「タコスにだって悪気があった訳…じゃ…」 京太郎「…あ、部長、それ俺やります…から…」 京太郎「染谷先輩も…置いといてくださ……」 はやり「…………」ズキ はやり「(…………京太郎君は)」 はやり「(京太郎君は、きっと皆に愛されてるんだね)」 はやり「(こんなにも寝言で…仲間の事が出てくるくらいに…)」 はやり「(皆の事を思って…思われてる)」 はやり「(…でもね、わかってる?)」 はやり「(さっき、君が見せてくれた写メ…)」 はやり「(咲ちゃんって言う君の幼馴染は…完全に咏ちゃんと同じだったんだよ)」 はやり「(君の事をオナペットとしか思ってない…発情したメスの目)」 はやり「(きっと毎日、京太郎君の事を頭の中で犯して…滅茶苦茶にしてる)」 はやり「(…ううん。きっと咲って子だけじゃない)」 はやり「(そんな咲って子を仲間に思うって事は…他の子も全部、同じ)」 はやり「(京太郎君の事を…レイプする事しか考えてない連中に決まってるよ)」 はやり「(そんな子達の事をそこまで思う必要なんてない)」 はやり「(…ううん。そんな風に思っちゃダメ)」 はやり「(相手は…ケダモノなんだから)」 はやり「(心を許したら…食い物にされるだけだよ)」 はやり「(こんなに…こんなに可愛い寝顔とか…)」 はやり「(絶対に…私以外に…見せちゃいけないんだからね)」グッ はやり「(…わかってる)」 はやり「(私、今、すっごい最低な事を考えてる)」 はやり「(京太郎君は私の事をこんなに信頼してくれてるのに)」 はやり「(私の前で寝顔を晒すくらい信じてくれているのに)」 はやり「(私は…それを裏切ろうとしているんだから)」 はやり「(…でもね。でも…)」 はやり「(…………それが京太郎君にとっての一番なんだよ)」 はやり「(京太郎君は優しくて純真で暖かくて…)」 はやり「(そんな君の周りには穢そうとするメスしかいないんだから)」 はやり「(…京太郎君が京太郎君のままでいる為には…)」 はやり「(例え、君の心を裏切っても…私が護ってあげなきゃいけない)」 はやり「(君の尊さを知って…それを尊重してあげられる私しか…)」 はやり「(京太郎君は…守れない)」 はやり「(咲って子にも…清澄にも…)」 はやり「(それは…絶対に出来ない事だから)」 はやり「(……だからね)」 はやり「(だから、ごめんなさい)」 はやり「(私は京太郎君の為におかしくなります)」 はやり「(京太郎君の事を思って…君の事を踏みにじります)」 はやり「(でも……でも、私の気持ちは変わらないから)」 はやり「(他の何を犠牲にしても守りたいって思うくらいに…)」 はやり「(私は君の事を…大事に思ってるから)」 はやり「(だから…お願いです)」 はやり「(私の事を…許してくれなんて言いません)」 はやり「(でも、せめて…嫌わないでください)」 はやり「(…君の為におかしくなってしまった私の事を)」 はやり「(君の為に犯罪に手を染めてしまう私の事を)」 はやり「(受け入れて…側においてください…)」スッ 京太郎「ん…」カチャン 京太郎「ん……んぅ…」 京太郎「(…あれ、俺、眠っちゃったのか)」パチ 京太郎「(ってあれ、ここ…何処だ…って)」ギシ 京太郎「(な、なんだこれ!?)」 京太郎「(両手が縛られて動けないんだけど…)」 京太郎「(こ、これってもしかして誘拐とかそういうの!?)」 京太郎「(だったら一緒にいたはやりんも危ないんじゃ…!)」 はやり「…あ、京太郎君、起きたんだ」ニコ 京太郎「……あれ?」 はやり「もう。君って思った以上に寝坊助さんなんだね」 はやり「思ったよりもぐっすりだったからちょっと心配になっちゃった」クス 京太郎「あ、あの…はやりん?」 はやり「ん?どうかした?」 京太郎「あの…どうして俺の横に寝て…」 はやり「だって、ここ私のベッドだもん」 京太郎「あ、そうだったんですか」 京太郎「って俺なんかをベッドに運んでよかったんですか?」 京太郎「そのままソファで放っておいて貰っても良かったんですけど…」 はやり「折角のお客様なのにソファでずっと寝かせておく事なんて出来ないよ」 はやり「それに…ソファの周りでずっと暮らすのは京太郎君も辛いでしょ?」 京太郎「…え?ずっと暮らすって…」 はやり「そのままの通りだよ」 はやり「…京太郎君はね、今日からここでずぅぅぅぅっと過ごすの」 はやり「君の周りに…君を穢そうとするメスがいなくなるまで…」 はやり「ずっと私が…護ってあげるんだよ」ニコ 京太郎「っ」ゾクッ 京太郎「(…なんだ、この濁った目)」 京太郎「(いや…濁ってるけど、一部分だけはとても綺麗で…)」 京太郎「(そこが…俺の事しか映してない)」 京太郎「(まるで俺以外の全てがどうでも良くなってしまったかのように…)」 京太郎「(その綺麗で恐ろしい目は…じっと俺だけを見つめていて…)」 京太郎「い、いや、あの…冗談ですよね?」 はやり「…冗談でこんな事するほど子どもじゃないよ」 はやり「私はコレでもアイドルで麻雀プロでもあるんだから」 はやり「こんな事やっちゃったら即座にスキャンダルになって…何処にも居場所がなくなっちゃう」 京太郎「だ、だったら…」 はやり「…でも、仕方ないじゃない」 京太郎「え…?」 はやり「…アイドルである事よりも、麻雀プロである事よりも…」 はやり「私はね、君の事の方がずっとずっと大事なの」 京太郎「そ、そんなの…」 はやり「…おかしいと思う?」 はやり「うん。私も自覚してる」 はやり「でもね。どうしても止まらないの」スッ 京太郎「…っ」ゾクッ はやり「…君を穢されたくない」 はやり「私の事を立ち直らせてくれた君の事を…」 はやり「私を好きだって言ってくれた京太郎君を…清澄になんて返したくない」ナデナデ 京太郎「で、でも、俺が帰らなかったら…」 はやり「…大丈夫だよ。その辺りは私が何とかするから」 はやり「京太郎君はそんな事きにせず…くつろいでいてくれればそれで良いの」 はやり「君が皆に忘れさられるまで…君のお世話は私が誠心誠意…してあげるからね」ニッコリ 京太郎「(…正直、それからはかなり辛かった)」 京太郎「(なにせ、あのはやりんが本当に俺の事を誠心誠意尽くしてくれたんだから)」 京太郎「(食事と良い下の世話と言い、縛った俺の為に色々としてくれて)」 京太郎「(しかも、それら全部が嫌そうなどころか嬉しそうなんだから)」 京太郎「(おかしくなったとは言え…心から充実しているようなはやりんは魅力的だったし…)」 京太郎「(何より、俺にそっと寄りかかって眠るはやりんの身体が色んな意味でやばかった)」 京太郎「(正直、合宿場に来てから自家発電もしてなかったから結構、たまってたし…)」 京太郎「(安らかに眠ってるはやりんとは裏腹に、一睡も出来なかった…)」 京太郎「(…まぁ…そのお陰で…)」ブラン 京太郎「(……手錠壊して脱出出来たんだけどな)」 京太郎「(最初はこれガチな奴かと思ったらドン○とかで売ってるプラスチックの安物だったし)」 京太郎「(思いっきり力を入れたらベッドの支柱につながってる方が壊れて脱出出来た)」 京太郎「(…ホント、ギリギリって感じだったけどな)」 京太郎「(これがもし本物の手錠だったら…なんて想像もしたくない…)」 京太郎「(…しかし…まさかはやりんが俺の事を監禁するなんて…)」 京太郎「(いや…まぁ、正直、嬉しくない訳じゃないんだ)」 京太郎「(ハッキリ言われた訳じゃないけれど…でも、それはきっとはやりんなりの愛なんだろうし)」 京太郎「(俺に向ける言葉の一つ一つにも嫉妬や独占欲が滲み出ていた)」 京太郎「(男としてそんなに誰かに…)」 京太郎「(しかも、はやりんほどの美少女……うん、美少女に想われるのは光栄だ)」 京太郎「(…でもさ、それは決して彼女の望んでいた事じゃないんだ)」 京太郎「(俺が石版にあんな事を書いてしまったから…)」 京太郎「(だから…はやりんもおかしくなってしまった)」 京太郎「(……今はまだ無理だけど、また何時か…)」 京太郎「(何時か全てを元に戻す方法が見つかったら…またちゃんとはやりんと向き直ろう)」 京太郎「(このまま逃げ出して終わりじゃ…幾らなんでも不誠実過ぎる)」 京太郎「(俺が全部悪いんだから…責任を撮らないと…な)」 京太郎「(…しっかし…これどうしようかなぁ…)」 京太郎「(…今の時刻はもう深夜)」 京太郎「(店なんて何処も開いてないし…勿論、列車もない)」 京太郎「(はやりんのマンションから合宿場までは遠いし…歩いて帰るのは厳しいな)」 京太郎「(だから、一番はこの辺のネットカフェで一晩明かす事なんだけれど…)」 京太郎「(…………スマホの電源が切れた)」 京太郎「(もおお!こんな時に!こんな時にいいいいいいい!!)」 京太郎「(ちゃんと昨日の夜充電してたのに、なんで一日で切れるんだよおおおお!)」 京太郎「(まぁ、確かに合間に色々LINEやったりしてたけどさああ!!)」 京太郎「(でも、ここまであっさりきれる事ないじゃん!!)」 京太郎「(ないじゃん!!!!!)」 京太郎「(はぁぁ…マジどうしよう)」 京太郎「(流石に地図もないのにネカフェ探すのは至難の業だぞ)」 京太郎「(つーか、コンビニさえどっちに行けばいいのか分かんないレベルだし)」 京太郎「(東京って都会じゃねぇのかよ…)」 京太郎「(なんでこんなに住宅地が密集してるんだよ…)」 京太郎「(……まぁ、何はともあれ、動かないとな)」 京太郎「(幸いにして、ここは東京なんだし)」 京太郎「(適当に動いていれば、コンビニかなんかが見えるだろ)」 京太郎「(で、コンビニでネカフェの場所を聞けば、とりあえず一晩はしのげるはず)」 京太郎「(だから、ネカフェにさえ行けば…)」 「申し訳ありませんが深夜の18歳未満のご利用はお断りしております」 京太郎「…マジですか」 「申し訳ありません…」 京太郎「(あばばばばばばばばば)」 京太郎「(ま、まさか頼みの綱のネカフェにまで断れるなんて…!?)」 京太郎「(これ、もうどうすりゃ良いんだよ…)」 京太郎「(まだ始発まで数時間あるぞ…)」 京太郎「(コンビニで充電器買ったからスマホも復活したけど…)」 京太郎「(でも、流石にこの時期に外で時間潰すのは結構きつい)」 京太郎「(でも、コンビニで数時間居座るのも申し訳ない話だし…)」 京太郎「(本気で打開策が思いつかなくなってきたぞ…)」 京太郎「うーん…」スタスタ 「お、そこのかれー」 京太郎「え?」 「この時間に制服で出歩いてるとか超悪い子じゃん」 「もしかしてウリとかやってんの?」 京太郎「え?う、ウリ…?」 「なーに、もうしらばくれちゃって」 「ウリって言ったら援交でしょ、えんこー」 京太郎「え、援交!?」カァァ 「やっだ。これくらいで顔を赤くするとかマジかわいー」 「ねーねー。お姉さん達とちょっと遊ばない?」 「私達、最近、彼氏に振られて欲求不満でさ」 「一時間に一万…ううん。君が相手なら一万五千は出すよ」 「どう。悪い話じゃないでしょ?」 京太郎「い、いいいいいや、俺、童貞なので!」 「え?」 京太郎「し、ししししし失礼しまーす!」ダッ 京太郎「(…東京怖い)」 京太郎「(まさか外歩いてるだけでも、女の人に声掛けられるなんて)」 京太郎「(しかも、全部、援交目当てのものばっかりだし…)」 京太郎「(…まぁ、性別逆にして考えれば当然なのかもしれないけど…)」 京太郎「(でも、怖かった…本気で怖かった…!)」 京太郎「(夜道を一人で歩く女性の怖さを思い知ったわ…!)」 京太郎「(でも…そうやって怖い思いをしたお陰で何とか始発の時間になったし…)」 京太郎「(……とりあえず電車乗って…)」フゥ 京太郎「(……あぁ、ヤバイ)」 京太郎「(安心したら一気に眠気が…)」 京太郎「(ここで寝たら大変な事になるかもしれない…のに…)」 京太郎「(堪えられな……)」グゥ 「…おきゃくさーん、終点ですよー」 京太郎「…ハッ」 京太郎「(やべ、今の時間…)」 京太郎「(つーか、携帯とか財布は!?)」ババ 京太郎「(…良かった、ちゃんとあった)」フゥ 京太郎「あ、すみません。今、降りま…」 ネリー「ん?」 京太郎「…………何やってんだ、ネリー」 ネリー「いや、ちょっとインハイ会場に行こうかと思ったら見慣れた顔が座席でぐうぐう眠ってるし」 ネリー「ちょっと膝枕でもしてあげようと思って」ニコ 京太郎「……」 ネリー「…ってお兄ちゃん?」キョトン 京太郎「ネリー!!」ダキッ ネリー「うひゃあ!?」ビックリ ネリー「な、ななななな何々、何なの!?」 ネリー「そんないきなり抱きつかれたら、私、ドキドキしちゃうでしょ!!」 ネリー「っていうか、人前!他に人いるからっ!!」 京太郎「ネリー…ネリー…っ」ギュゥゥ ネリー「……あー…」 ネリー「…分かった。分かったから」 ネリー「何か怖い事あったんでしょ?」 ネリー「私は別に逃げないし…とりあえず落ち着いて」 ネリー「ちゃんと後で話も聞いてあげるし…」 ネリー「落ち着けるようコーヒーでも奢ってあげるから」ナデナデ 京太郎「…………お前、本物のネリーか?」 ネリー「……やっぱお兄ちゃんは奢ってあげるのやーめた」ムスー 京太郎「わ、悪い」 ネリー「はぁ…」 ネリー「まったく、自分でお兄ちゃんって言ってくれても良いんだぞ、とか言ってた癖にさ」 ネリー「ちょっと優しくしようと思ったら、これだもん」 ネリー「私が優しくしようと思ったら悪いって言うの?」 京太郎「いや、本気で悪かったよ…」 京太郎「まさかネリーがそんな事言ってくれるとは思わなかったし…」 京太郎「それに昨日から色々あって…頭働いてなくてさ」 ネリー「…まぁ、こんなに朝早い電車で爆睡してたら何かあったのはなんとなく予想つくけど」 京太郎「あ、いや…その…」 ネリー「…私にも言えない?」 京太郎「……ごめん」 ネリー「…まったく、お兄ちゃんって言っておいて」 ネリー「情けないだけじゃなくて、私に秘密をつくるとか酷いと思わないの?」ツーン 京太郎「…返す言葉もないです…」シュン ネリー「…だから、せめてちゃんと甘えてよね」 京太郎「……え?」 ネリー「だ、だから…言わないなら言わないで良いけど…甘えて欲しいって言ってるの」 ネリー「私に言えないけど…でも、怖い事あったんでしょ?」 ネリー「私は…その、大丈夫だから」 ネリー「お兄ちゃんの事絶対に傷つけたりしないし…」 ネリー「本気で嫌な事だってしないから」 京太郎「…ネリー」 ネリー「…だから、一杯、甘えて…元通りになってよね」 ネリー「そうじゃないと…私が甘えられないでしょ」 京太郎「…あぁ、ありがとうな、ネリー」ナデナデ ネリー「も、もぉ…またそうやって気易く頭を撫でる…」 ネリー「……別に良いけどね、こっちも撫で返すし」ナデナデ 京太郎「はは。なんかくすぐったいな」 ネリー「ふーんだ。なんて言っても止めてなんてやらないんだから」ナデナデナデナデ ネリー「(…本当はもっと突っ込んだ事言ってあげたいけれど)」 ネリー「(でも…それはきっとお兄ちゃんの事傷つけるだけにしかならないよね)」 ネリー「(だって、さっきの反応を見るに…お兄ちゃんは高確率でレイプされちゃったんだから)」 ネリー「(ここでしつこく聞こうとしたら…それこそセカンドレイプになっちゃう)」 ネリー「(だから、ここは何も気にしないで…お兄ちゃんの事を癒やしてあげる事を優先しないと)」 ネリー「(レイプされるっていうのはそれだけ辛くて苦しい事なんだから)」 ネリー「(…………でも)」 ネリー「(きっと夜通し…このエッチな身体を知らない女に好き放題にされちゃったんだ…)」 ネリー「(私の事、今も抱きしめてくれてる…この大きくて暖かい身体を穢されて…)」 ネリー「(……………そんなの許せるはずない) ネリー「(キョータローは…私のお兄ちゃんなのに…)」 ネリー「(私だけの…お兄ちゃんなのに…)」 ネリー「(…勝手に手を出した奴には…必ず報いをくれてやる)」 ネリー「(……お兄ちゃんを傷つけた以上に…ボロボロにしてやるんだから…)」ゴッ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3407.html
黒髪の女と金髪の男が歩いている。 夜空の下だ。月下に晒され、互いの姿が照らされている。 「じゃあ、東横さん、俺はここで」 「はい、さよならっす」 立ち止まったのは、バスの停留所の前だ。別れを告げ、ゆっくりと名残惜しげに女のほうが去っていく。 数度、振り返るたびに、寂しそうな笑みを男に向けて。 〇 炎天下だ。既に七月ともなれば太陽はその勢力を増し、勢いを強める。 汗が滴る。額の水滴を白のワイシャツの袖で拭い、男は一息をついた。金髪の男だ。 端整な顔立ちは軽い歪みを見せ、息は喘いでいる。 「ああ、くそ、何で俺はこんなところに来ているんだか」 男はぼやくかのごとく呟く。 理由はあった。男はとある部活動に所属していた。麻雀部という。 清澄高校麻雀部。今年県予選を突破し、インターハイに出場することになった。弱小――、否"元"弱小部だった。 男はそこに所属していたが、男性部員は男一人しかいないが故に、ある種雑用ともいえる立場に存在している。 男はそれをどうと思ったことはない。男自身、自身が弱いと理解しているし、女性に頼りにされるのは嫌いではない。 何より、女性に頼られるというのは男としてひとつのナルシチズムとでもいう何かをくすぐられるのは快感だ。 ――まあ、それが雑用という立場というわけだが。 努力をしていないわけではない、入部してすぐに役は覚えた。符計算もできる。戦術とその理論も理解した。 されど、結局のところ――、圧倒的に経験が足りない。 「まあ、俺は俺のペースでゆっくり行けばいいさ」 男は息を整え、歩みを続ける。 と、 「わ」 「きゃ」 衝撃がくる。鈍く感じたそれは人と接触したものだ。当たったそれは軽く此方に損傷はないが、 「あたた……」 男の目の前に、一人女が尻餅をついていた。 ああ、と男は呻いた。 ――少しボーっとしすぎたかな。 失敗したな、と思いつつ、男は手を差し伸べ、 「えっと、ごめん。立てる?」 声をかけた。 沈黙。 ――あれ、俺何か間違えたことしたか? 思考の波が来る。対応を間違えたとは思わない。少なくとも紳士的な行為に分類されるはず――、はずだ。 「あ、あの」 声。控えめに女の声が来る。 「貴方は、私が見えるっすか?」 女の問いを不可思議に思いつつ、 「ああ」 肯定の意を示した。 「そ、それ本当っすよね? 実はからかったりしてるとかそういうオチじゃないっすよね!!!??」 「??? あ、ああ」 弾丸を髣髴とさせる勢いで女がまくし立てる。男は意図がわからない。 まあ、とりあえず――、 「と、とりあえずどこか座れるところでゆっくりしよう」 男は提案した。 都会というにはこじんまりしている。精々、市とでも呼ぶ規模の一意の片隅に小さくまとまった喫茶があった。 モダン調で明治を髣髴とさせる。外装は赤いレンガと目立つのに、意識せねば目立たないような喫茶だった。 店内は薄暗く、天井にはゆっくりと回転する三本の羽で構築されたオブジェが釣り下がっていた。 「いいところだね」 「そう思ってくれるっすか? それなら案内した甲斐があったっす」 既に汗は引いていた。 店内は薄く冷房が効いていて、快適だ。 男は、手を上げ、従業員を呼んだ。 「アイスコーヒー、二つ」 従業員は慣れた手つきで注文を書き込み、再度確認をとり厨房に戻った。 「え、と」 軽業、早業ともいえるそれにあっさりとおいていかれた女性の顔を見て、 「ああ、ここは奢り。気にしなくていいよ」 男は言った。 「でも」 女が声を続けようとするが、男は制止を促し、 「男はさ、格好つけたい生き物なのさ。ここは俺に格好つけさせておいてくれよ」 笑う。 「案外気障っすね」 女は釣られて笑った。 「褒め言葉さ」 そういえば、と、 「名前、聞いてなかったな。俺は須賀。須賀・京太郎。清澄高校の一年」 へえ、と女――桃子は声をもらす。 「結構、大人びてるのに一年っすか。ああ、私は桃子。東横・桃子。鶴賀学園の一年っす」 その言葉に、男――、京太郎は少し目を見開き、 「君、和と戦った子か」 「? しってるんっすか?」 知っているも何も、 「まあ、控えのほうで見てたからね」 「もしかして、やるんすか? 麻雀」 ま、ね、と、 「俺は弱いから、ただ見てただけだけどね」 情けないな、と思う。先ほど男は格好をつけたがる生き物と吐いた割にはまったく格好がつかない。 しかし、それを気にしてないかのように桃子は笑って、 「けど、続けてるんっすよね? 麻雀」 「ああ」 即答してみせた。 「なら、いいと思うっすよ。継続は力なりって言うっすしね」 そうだな、と男は思う反面、不安がよぎる。端的に言えば、怖い。 麻雀は今、はやっているというよりは世界的に認められた娯楽の一つだった。 多くの男女が職業のひとつとしてプロ麻雀師を目指すこともある意味普通だ。 規模は男性のほうが大きいはずだった。 ――焦り、だよな。 自分は自分のペースで、そんな思いの反面が京太郎の心を蝕む。 怖い。女性においていかれるということが怖い。 中学の三年を友人として過ごした女性においていかれている現在の状況が、 麻雀部の一人だというのにおいていかれているという状況が、否――、 ――怖い、か。 恐れている。自分が必要とされなくなる状況が。怖い。 県予選を突破し、インターハイに出場するとなれば知名度が上がる。 そうなれば来年の入部者が増えるのは明確で、しかし、だからこそ、 ――雑用としての立場すら失われていく、か。 もしも来年、入部者が現れれば雑用等の仕事も結果としてその入部者、来年の一年生に繰り越されることとなる。 だが、それは今の京太郎の立ち居地すら危うく――、 ――って、何考えてんだ、俺は!! 頭を振った。あまりにも嫌な未来予想図を振り払うかのように。 そもそも、来年まで雑用をやっているなんて考えている自分がみみっちい。 雑用しすぎて、犬根性が染み付いたのかもしれない。嫌なものだ。 「どうかしたっすか?」 桃子が不安そうに問うてきた。 なんでもない、と京太郎は言いつつ、 「そう言えば、東横さんは何であんなところに?」 京太郎は問う。 ありていに言えば京太郎は雑用で遠出をしていた。 清澄と鶴賀はほぼ反対の方向に位置し、用事がないならばあまり向かうこともない。 用事はひとつ、タコスだった。 部員の一人にタコスをこよなく愛する少女がおり、鶴賀のほうに新しくできたタコスの買出しを命じられたわけである。 本来ならば断るところだが、京太郎に断る意思はなかった。心理的な要因が閉めるのは確実で、 ――こういうのがだめなのだろうけど。 部活内部での立ち居地をどこか必死に守ろうと、断ることができない。 桃子は笑って、 「あ――、なんて言えば良いんっすかね。まあ、単純に言えば散歩なんっすけど」 何かを含んだような、笑み。 「ちょっと自分が分からなくなって」 顔に翳りが表れてくる。 「県予選でうちが負けて、三年の先輩たちが引退して」 あ、と桃子が笑って、 「そう言えば、前提が分からないっすよね」 私は、と桃子は、 「私は影が薄いんっすよ。須賀さん、カメラ越しだからわからなかったでしょうけど。普通の人に私は見えないんっすよ」 手を差し出され、 「握ってみてください」 京太郎は息を呑み、軽く桃子の手を握った。 熱がある。肉の感触が自身の手を包んだ。柔らかく、肉感的なそれは確かに生の鼓動を京太郎に穿つ。 「どうっすか」 「どうって、その、柔らかい、かな」 なんつーか、セクハラみたいなせりふだな、反省。と、思考し、 しかし、彼女は笑い、 「ありがとう」 手が離れていく。若干の名残惜しさを感じた。 「私は、私は確かにここにいる。だけど誰からも見えないほどに影が薄い」 「小さいころからね、私はこうだったんっすよ。ほら、出会ったとき、何度も確認しったっすよね? これが原因なんっす」 少しだけ楽しそうに、 「いつもいつもつまらない。一言で言えば灰色みたいな毎日は、先輩のおかげで終わった。終わったように見えたんっすよね」 しかし、寂しそうに、 「けど、やっぱり長くは続かないみたいで、ね」 「私をよく見てくれていた先輩も、大学に進学するとかで、特別補修だとかで顔を現すことが少なくなって」 「麻雀部での私の居場所が分からなくなったんっすよ」 それは、と、 「私はある意味、その先輩のために麻雀部に在籍していたから」 「そこに居続ける意味の支柱が抜け落ちたみたいで、なんというか空っぽみたいな――」 似ているな、と京太郎は思った。 彼女は自分に似ている。立ち居地に悩む。自分と。 まるで、空気みたいな――、 と、 「あはは、いや、すいません。急にこんな話振られても困るっすよねー」 彼女は笑う。無理をしたような、笑み、 京太郎は堪らず、 「良いなぁ」 そんな言葉を漏らしていた。 桃子は少し語りすぎたかな、と多少失敗したような感覚を思うが、唐突に来た声がそれをさえぎった。 「俺は、さ」 京太郎は、 「そんな風になれなかったから」 何かを搾り出すように、 「誰かのためになるほどの力がないから、雑用で甘んじて、それを仕方ないと思って」 告げてくる。 「分かってるんだ。努力が足りないってさ。身にしみてる。努力はしてても足りないってさ」 それは告解のようで、 「天性の才も、環境もなかったのに、努力しなきゃ追いつけないなんてとーぜんの理屈。なのに、俺はどこかで言い訳している」 懺悔のよう。 「"弱いから"そうやって逃げている」 あぁ、と京太郎は呻き、 「だから、羨ましい。嫉妬すら覚える。誰かのために、それだけの思いをもてる東横さんが羨ましい」 自嘲がくる。 「――悪い。今のも結局逃げだったよ。何よりも自分を思ってくれる何かを思う、なんて逃げだよな」 「東横さんとは状況が違うみたいだし、さ」 桃子は息を呑む。 その姿はどこか疲弊している。 そして似ていた。 ――本当に似ているっす。自分と彼は。 言葉にできないようなどこかが、自分と似ていた。 「悪い、今のオフレコ。気にしないでくれ」 京太郎が目元を手のひらで覆う。 それはまるで、見られたくないかのような仕草。しかし、桃子は見つめ続ける。 放っておけない。このままだと、どこかに消えてしまいそうな雰囲気があり、それは儚いような、きっとそんな感じ。 「失礼します。アイスコーヒー二つです」 割って入るように従業員の声がする。 テーブルに置かれたアイスコーヒーは既に水滴にまみれていた。 〇 帰りがけ、既に買い物を終えて、京太郎はバスに乗り込んだ。 そこそこ時間がたってしまった。 右手を見る。携帯を握る手はアドレス帳を開いており、 そこには新たに名前が加わっている。 『東横・桃子』 喫茶店で連絡先を交換して別れた。 帰り際に見せた笑顔は、どこか儚げだったことを覚えている。 『必ず、連絡くださいいっす』 そう言って、彼女は笑った。 消えてしまいそうだと思った。だが、 「暖かかったな」 握った手を思い返す。それは生の実感を感じさせるには十分だった。 ――さて、どうしようかね。 京太郎はメール画面を開き、文脈を思った。 そもそも、いつから京太郎は自らが、他者のために動くことを是としているのだろうか、と思考する。 ――ああ、そうだ。 あれは確かまだ、中学生のころか。 今だ、咲との仲が深くなっていない時期。接点が図書委員というだけの中だった時期。 放課後、一人、山積みとなった本に埋もれて読書をしている咲の隣に座った時だ。 京太郎もつられるように、何となく一冊の本を手に取った。 とったのは単純な自己啓発の本。タイトルはありきたり、内容は凡庸、ハードカバーで内容以上の値段。そんな本。 たまたまとったそれを、斜め読み、最初は捲る手もゆっくりだった。 しかし、捲るにつれてだんだんと速度は飛躍的に加速していく。 それを見つけたのは、いまだ自己形成段階の中学という時期だったからか、京太郎はあまりにもそれに影響を受けた。 否、受けてしまった。 『あなたは本当に必要な人間なのか』 『必要とされる人間になりなさい』 端的に言えば、そんな内容。 しかし、その言葉が嫌に響く。 金槌でたたかれたような、そんな気分。 それからだろうか、京太郎が他者のために自らをすり減らすようになったのは。 ○ まあ、それは、今となっては記憶の片隅にしまわれたモノ。 未だに夏の暑さは引くことを知らない。汗で張り付いたシャツが不快感をあおる。 涼しい場所で一服したいと、思うが、 ――"彼女"が来る前に移動もできるはずがないか。 吐息。 頬をかけば、水滴が指先につく。鬱陶しげに振り払う。 と、 「あ、須賀さーん、待ったっすか?」 声が来る。数日前に出会い、知り合った女の声だ。 「いや、待っていないさ」 京太郎は笑みを見せる。 しかし、女は目ざとく、 「須賀さん。汗でシャツ張り付いてますし、色も滲んでるっすよ? それ、十分二十分じゃならないっすから」 ばれてたか、と思うが、 「時間指定のミスのせいで待つことになったのは待つって言わないさ」 どちらかといえば地方に属する長野の地は、やはりバスの本数が少ない。 そのせいで適当に時間を指定した罰が当たったらしい。京太郎は炎天下の下で待つことになったわけである。 「むー、まあ、いいっすけどね」 どこか拗ねたような彼女が面白い。 「それじゃあ、行こうか」 京太郎は告げて、歩き出し、 「そうっすね」 その隣に沿うよう、彼女――、桃子も動き出した。 〇 出会いは三日ほど前。京太郎がいつものように雑用をしていたときだ。 どのような采配か桃子と出会った。 その後軽い連絡を取り続け、休日に会うことになったのだ。 「さて、どこに行こうか?」 京太郎は問う。 「さあ? っていうか、どこに行くか決めてなかったんすか?」 攻めるような視線を逸らしつつも、しかし、 「悪い」 素直に謝る。確かに、甲斐性としてはここは男性が動くプランを立てておくべきだった。 困った様子を見られたらしく、ほんの少しだけ笑顔を見せた東横は悪戯っぽく、 「うそっすよ」 笑って見せた。 不覚にもその笑顔は可愛い。 〇 「いやいや、面白いことになってますなー」 女の姿が見える。二人の影だ。 一人はどこか猫を髣髴とさせるトリックスター然とした女。一人は理知的に見える清廉とした女。 二つの影が追うのは一つの目標だった。 情報は理知的に見える女――加治木・ゆみからもたらされた。 東横・桃子の所属する部活の副部長、加治木が二日ほど前に携帯の前で挙動不審な後輩を見たことが原因だ。 最初は容貌が見えなかったが、だんだんと崩されていく断片的な情報が拾い集められ、 ・東横・桃子が男とであった。 ・その男は清澄高校の男である。 ・休日にデートする。 こういったことである。 「――情報を渡したのは正解だったのだろうか?」 加治木は頭を抱える。 興味があったのは事実だ。入れ込んでいる後輩が幸福を感受している姿は悪くない。 特にその後輩の桃子は自分に依存している節があった。 哲学的に言うのならば、永遠は存在しない。時に季節があるように、人も時を刻んで換わっていく。 だから、 ――これで、モモも変わることができればいいんだが。 分かれはある。必ずだ。望むも望まぬもかかわらず。 だから、後輩が良く変わっていくのを見届けたいと思う気持ちはある。 しかし、罪悪感はあった。 「なあ、今からでも遅くはない。尾行などやめたほうが――」 ふう、とトリックスター然とした女――、竹井・久は分かっていないな、そんな笑みを浮かべて、 「あのねえ、ここまできたら引くことなんてできるのかしら?」 う、と加治木は唸る。興味がなければここには居ない。 「だが」 「あ、ほら、行っちゃうわよ? 行きましょう」 進むことを前提としているかのように動く竹井に加治木は頭を抱え、 ――妙なことにならなければ良いが……。 自身が原因であることを忘れ、そう思ってしまう。 桃子は踊ることが好きだ。踊っているときだけは誰もが自分を感知する。 今ではかつてほどではあるが、だからといって嫌いになったわけではない。 「ほ、よ」 鮮やかな足並み、ステップを、小刻みに、粋に、軽い足取りで、 「と」 回転を一つ、そして静止。 ダンスゲームの筐体から降り、点数を見る。高得点。 「凄いな」 桃子はそんな京太郎の呟きに心を良くし、自慢げに胸を張る。 「当然っす」 「いや、本当に凄いよ」 少なくとも俺には無理だ、と京太郎は言う。 ――無理、か。 桃子は、京太郎がその言葉を口に挟むとき、どこか暗いものを吐き出しているように感じる。 自分には無理だ。そういうことを言って、自己を正当化する感覚。 それは、味わったことのある感覚で、 ――そう、無理、っす。 かつてがいつかを侵食し、いまになる。 自分は今、かつてほど無理を思うことはなくなっていた。 ――助けたいっすよね。 傲慢かもしれないが、それはかつて敬愛する加治木から与えられたそれであり、 かつて背負い込んでいた無力感を感じている目の前の人を、 ――少しでも和らげたい、そう思うのは傲慢じゃないっすよね? 思う。 「須賀さん、無理、なんてそう簡単に言うもんじゃないっすよ」 だから、"私"は笑ってみせる。 〇 ――無理なんていうもんじゃない、か。 そうだよな、と分かっちゃいるんだけどね、と心に渦巻いた。 無理、そういった瞬間から、可能性は本当に無理に変化する。 ――分かっていても、実行できるかは別問題、か。 言うは易し行うは難し、詰まるところ単純にそう帰結する。努力"しよう"と"する"はまったくの別問題だ。 「ああ、そうだな」 だから、返したのは生返事だった。 ――こりゃ、相当やられてるみたいっすね……。 桃子は思う。 "かつて"の自分と同じだ。 否、症状としては京太郎のほうが酷いかもしれない。 自分は焦る必要がなかった。友人を望んだこともあったが、いつかそれすら止めた。 相手に合わせる必要を持たずとも良い状況だった。重責を必要とせず、ただ流されるままでも良かった。 しかし、京太郎の今は、違う。実力がないことへの苛み、危うい立場への焦燥感、 気持ちと肉体がすりあわない矛盾への怒り、それらが急激に合わさり濁流のように京太郎の今を飲み込んでいる。 桃子はそう理解する。息を吐き、 「じゃ、須賀さん、ほかのところもまわって見ましょ」 桃子は京太郎の手を取った。 〇 「ほうほう、なかなかに大胆な子ですな」 竹井はチェシャ猫を髣髴とさせる笑みを持って二人を見つめる。 「意外だな」 問う呟いたのは加治木だ。 「ふうん? 何が」 「モモがあそこまで彼に入れ込むことが」 そう? と、竹井の声に生返事で返す。 しかし竹井は、 「いやいや、ある意味当然なのかもね」 軽くそういってみせる。 「それは――」 「ま、ある意味私のせいでもあるんだけどね」 ばつが悪そうに竹井は後頭部を軽く掻いてみせる。 ああ、と、 ――きっと、こいつにはもう何もかもが――、 幾度か会う機会が設けられ、それなりの会話もしたが、話せば話すたびに、 ――あらゆるものを見定められているような……、 深い洞察力からくる、何もかもを見通すような魔眼に睨まれているような、そんな気分を思わせる。 「ま、良いわ、行きましょう」 だが、すぐに表情を切り替えて、 「あ、ちょっと待て……!!」 加治木は竹井を追いかける。 〇 楽しかった、と京太郎は素直に感じた。 振り回されるようだったが、幾分か気分は楽になった。 目の前でアイスコーヒーを飲む桃子を見て、そう思う。 手の中に納まるアイスコーヒーは冷たく、舌に落ちる液体は苦く、しかしそれが身を引き締めるようで逆に良い。 ねえ、と、声が突然来る。とっさに身構え、 「あはは、そんなに身構えなくても良いっすよ」 桃子の言葉にゆっくりと肉体を落ち着かせる。 ――ったく、俺はいったい何をやってるんだか。 「ねえ、須賀さん。今日は――楽しかったっすか?」 桃子の問いが来る。 「? ああ」 答えるが、 「本当に?」 再度の問いかけがくる。 「ああ」 告げる。 「……なら、よかったす」 意図が分からない。 「えっと、どうか、したのか?」 京太郎は問う。 「それは、っすね」 一瞬のいいよどみを経て、 「須賀さん。似てるんっすよ」 言った。 「かつての、私と」 これは切開だ。心をこじ開ける余計なお世話。かかわってほしくないところにかかわろうとするような――、 「今、須賀さんは思ってるはずっす。自分は無力、居場所はない、価値を見出せない」 うまい言葉が見つからない。ゆえに陳腐。しかし痛烈。オブラートはそこに存在せず、 「かつての私もそう。望んでほしい。望まれたい。だけど、それを思われない」 「必要とされず、気づけば孤独。ようやく見つけた陽だまりは、時が過ぎれば朧に消える」 「たとえまた会うことができるとしても、いつかは今と同じではない」 吐息、 「孤独だけではなく、不安まで押し寄せて一切合切を飲み込み、そしてなくしていくような感情がただもまれているような」 「不安定な感情を宙の間で吊り下げられているような不安とも言い切れない不定形な感情」 ねえ、と、 「須賀さん。貴方は望んでいるんっすよね? 望まれることを。確固とした立ち居地を。"自ら"にしか望まれない"何か"を」 何もかもを言い終えたように、口をつぐんだ。 京太郎を見る。 目に光はなかった。 それは何もかもを言い当てられたかのような顔。 「御見それしました、とでも言えばいいのかな、俺は」 絞り出された声は細く、 「まったくそのとおり、なんだよ」 頼りがない。 「雑用なんてさ、前にも言ったけど俺じゃなくてもできる。来期の一年生がどうにかする。少なくとも、今の麻雀部で、 咲は咲じゃないといけない。和は和じゃないといけない。優希は優希じゃないといけない。先輩は先輩じゃないといけない。 俺は――」 ああ、 「俺じゃなくても、良い」 涙がくる。押しとどめていた堤防を決裂させたように――、 「俺の価値は、俺がそこに立つ位置はどこにあるんだろう。部活に顔を出すたび思うんですよ」 流れていく。 「雑用を引き受けることで、部活動に専念してもらうことができる、そう思うことでやってきた。やってこれた」 「けど本当は思っていた。見ない振りをしていた。そもそも、俺は必要であるのだろうかって」 桃子にはそれが理解できた。同じだった。 自分の価値がどこにあるのかを理解できない。理解することを望めない。 ――ある意味、悲しいっすよね。 目の前に居る少年は本当に"普通"の少年なのだろう。 自身のように影が薄いわけでもない。しかし、 ――だからこそ、埋もれてしまう。 これは加治木との交流を経て気づいたことだ。 本当は、自分も、いわゆる"かつて"望んでいた"普通"となんら変わりないということに。 人は結局のところ普遍的に普通であり、テレビに出るような芸能人ですら拾われなければただの"人"と変わりがない。 自分はある種特殊な立場に存在しつつも、結局のところ何にも"普通"と変わりがなかったのだ。 ただそれが"他者"と違う視点から気づいただけの話で。 そしてそれゆえに、 ――やっぱり、同じなんすよね、私と彼は。 人はあやふやな存在故に、あやふやな状況であることに気付かない。 自らの立場がいかに砂上の楼閣のような物であろうとも、それが自分の立ち位置だと思い込む。 そこには他者が割り込むことができるというのに。 しかし、気づかない。気づけない。気づこうとしない。気づいてしまえば、 ――怖いっすもんね。 そこが立ち位置だと思っていた何もかもがただの夢幻のようであることを、理解することが。 しかし京太郎は気づいてしまったのだ。 もしも、周囲の人間が京太郎と同じような人間なのならば、きっと彼はそれに気づくことがなかった。 だが、周囲にいるのは全員がスペシャルというやつで、 ――そこに必要とされている人間っす。 その違いを対比し、自らの危うい立ち位置を認識し、 だからこそ飢えている。"望まれたい"その願望。 京太郎は今、その思いにとらわれている。 かつて加治木に出会う前、ひっそりと持っていたそれを目の前に居る彼も感じている。 「俺が俺である必要性を望んでほしい。俺じゃなければならない何かがほしい――なのに――」 言葉が終わる前に桃子は京太郎の手を取っていて、 「私が望んであげるっすよ」 そう告げていた。 「私が、貴方が貴方であることを――、"須賀・京太郎"が"須賀・京太郎"であることを望んであげるっすよ」 声が来る。 「私もかつてそうだったっす。私を望む誰かが居てくれることを望んで、そしてその望みはかなった」 「だから、かつての私の位置に居る須賀君を私はほっておけない」 ねえ、と、 「私は、私は望むっす。須賀君が須賀君であることを」 だから、と、 「だから須賀君にも一つお願いがあるっす」 それは、 「私が私であることを望んでください」 桃子は笑って、 「"東横・桃子"と言う存在を見つけることのできる貴方に"東横・桃子"と言う存在を望み、認めてほしい。そう望むっす」 〇 桃子は既に理解していた。 加治木との別れはいつか来る。必ず。必然を必然的に行うように。 このままではいけないということも、理解している。 ――だから、まずは一歩として、 「いかがっすか」 桃子は控えめに問う。 京太郎は告げた。 「喜んで」 まずはまた新しいいつかを構築する今を求めていこう。 それは依存ではなく、 それはただ傷をなめあうような関係ではなく、 それは平等という、 それは対等という、 そんな形で求めていこう。 桃子/京太郎はそう思えた。 〇 黒髪の女と金髪の男が歩いている。 夜空の下だ。月下に晒され、互いの姿が照らされている。 「じゃあ、東横さん、俺はここで」 「はい、さよならっす」 立ち止まったのは、バスの停留所の前だ。別れを告げ、ゆっくりと名残惜しげに女のほうが去っていく。 数度、振り返るたびに、寂しそうな笑みを男に向けて。 しかし、その寂しさにはどこか希望がある。 「二度と、会えないわけじゃないっすしね」 新たな関係を気づくことができた人と別れるのは名残惜しくも、 だが、それがまた楽しくもあった。 「さて、じゃ、来週はどんな内容で遊びに誘ってみるっすかね」 ―終― 既に幾度も逢瀬を重ねて、気づけば恋人という関係になるのに時間は必要としなかった。 ゆっくり、ゆっくりと時間をかけて互いの距離は縮められていき、 「桃子」 「京太郎さん」 既に互いの距離はゼロに等しい。 水音がする。淫靡さが溶け出したような水音だ。 それは口付けの音であった。 互いに求め貪り、そして必要であるということを確認しあうようにだ。 既に肌は上気している。目の前に居る桃子の肌はまさしく桃のようで、 ――綺麗、だな。 そう思った。 肉体を反転させる。ベッドの上に肉体を下ろす。自身が桃子を見下ろす形に持っていき、 「剥がす、ぞ?」 声の変わりに一度、頭部を立てに振るという挙動でその行為への許可がくる。 胸元のボタンからゆっくりとはがし、しかし、どこか獣のような挙動で手を動かす。 情けないことに男とは目の前に餌があればがっつかずにはいられない性分らしい。挙動はだんだんと早くなり、 「~~~~~!!」 上半身が裸体として晒される。 しかし手は止めず、自らのシャツをはずしていく。 京太郎が行ったのはまず互いの上半身を重ね合わせることからだった。 「――」 「――」 そしてそれ以上は動くことをせずただその行為だけを京太郎は求めた。 それは互いに"はじめて"であったこともあるだろうし、 かつて互いに"望む"互いであろうというその意思の表れでもあり、そして、体温を感じたいという京太郎の思いもあった。 東横・桃子は相変わらず影が薄かった。京太郎にはその姿を確認できるが、未だにその姿を見失う人間も多い。 否、そちらが大半で、京太郎がその唯一だった。 恐れているのだ。いつか自身の目の前からすら消えてしまうのではないかという心理が、 ただ抱くという行為に踏みとどまらせている。 それに気づいたのか、桃子も京太郎の肉体を握り返す。 互いの肉の隙間が埋まっていき、密着していく。服と服の境界はない。 「求めないんっすか?」 小さく声が来る。 ああ、と京太郎は答えた。 「もう、求めているからさ」 体温を感じるというのも、また一つの求めに他ならないと京太郎は感じる。 闇雲に繋がることは、 ――違うよ、な。 繋がることと互いを求め合うことは等号の関係とは当てはまらない。 繋がるのは原初、男女の概念が生まれたときにできたものだが、 ――求めあうのは、違うはずだ。 求め合う概念は、きっともっと後、互いにかけたことを理解することができるようになってからの話だ。 強く思い。その思いはさらに比例して力になる。 「京太郎さん。痛いっすよ」 その言葉に、あ、と、 「悪い」 「気にしなくて良いっすよ」 だって、と、 「それだけ強く私を望んでくれているのは嬉しいっすから」 頬を染めている彼女は愛しく、 「なあ」 だから、 「求めていいか?」 京太郎はそう問うていた。 ――プラトニックは、ここで終了ってことっすか。 それは覚悟していたことであり、 ――望んでいたことでもあるっす。 それは一線だ。 互いが互いである一線。 この行為は意思を融け合わせる行為であり、互いの意思の交わりであり、だからこそ。 ――意思と意思の一線ってことでもあるっす。 身をもみ合うように動かしつつ、 「はがして良いっすか?」 これ、本当は男の側の言葉っすよね? などと思いつつも、腰にある金属片に手を伸ばし、 ――あ、あれ? ぎこちない動きで手を動かすが京太郎が状態にあるゆえに影となって視界が狭まっているということもあり、 なかなか先に進むことができない。 「ああ、俺、自分ではずそうか?」 いやいや、それはいけない。一度やり始めたことを途中で投げ出すのは許容してよいことではない。 故に、 「わ、私がはずしてみせるっすよ」 必死に手を動かす。 ――な、何でとれないんすか? 単純に下手? 否、そんなことはないはず。 と、 「あ」 一息でベルトが外れた。 得意げに、 「ふ、ふふん、どうっすか? 私にかかればこれくらい簡単っす」 桃子の言葉に京太郎から笑みがこぼれ。 「ああ」 ただその一言がくる。充足感だ。何か満たされたような気持ちが現れ、だから、 「京太郎さん。今度はこっちをお願いするっす」 言葉に、無言で手を伸ばすことで京太郎が肯定を示してくる。金属と金属が小さくすりあわされ、スカートがはずされた。 小さくと息が漏れた。呼吸が激しくなる。心臓が激しく高鳴り、 「いくぞ?」 「――っ!!??」 自身の湿りに、京太郎の下の湿りが這わされ、悲鳴にも似た、しかし悲鳴のような悲惨さはまるでなく、 どちらかといえば快感を思わせるような声が湧き出てくる。 ――ほ、本当に私がこんな声を? 桃子の未だに冷静な部分が無意識にそんなことを思うが、すぐにそれは胡散する。 さらに熱がきた。時間差や、うねりの大小を加え、動くからだ。 「~~~~~~~っ!!」 声にならないような声を上げ、力が急激に腰の部分に来る。そりあがりさらに京太郎に肉を押し付けるようにして、 ――!! 力が抜けた。鉄の棒で支えられていたような状況から急激にその支えを抜きはずされたように思える。 荒い吐息を整えるようにして、しかしどこか名残惜しげに、 「ぷ、は」 京太郎の湿りはそこから失われた。 酒など飲んでいないのに、すでに酔いが回ったかのような気分が桃子の中を駆け抜けていく。 しかし、 「いいか……?」 酔いなどすぐに引きはがされた。 "熱い"ものが桃子の下腹部にあたっている。 ――俺も、まだまだ"男の子"なんだな。 自身が男である象徴を隆起させ、思う。 飢えがある。求めていることを理解させられる。 熱が脳内をかすみがからせ、しかし小さく残った理性がいまだ踏みとどまらせている。 ここがレッドゾーンだ、と。 今、この先を行けば、確実に変化が来る。"求め"と"望み"に。 しかし、 ――"望んで"るんだよな、それを。 それだけは確実だ、と己の意志の所在を己に問いかけ、 そして、答えは来る。 それは両者互いの意志の交わりを意味する。 小さく、小刻みの動作で、ゆっくりと、頭が、――縦に振られた。 それが確認だった。 まずは一度離れた体からすり合わせる。互いの胸の隙間を埋めていくよう、力強く。 そこから腹を合わせ、そして、両者の境界を失わせていき、 ――!! まずは粘性の液体に自身の"男性"が包まれた。液体は熱く、しかしそれは不快ではない温度。 滑り落ちそうなのを必死にこらえ、ゆっくりと落とす。 静止が来た。侵入を阻む壁だ。ゆくぞ、と自分と相手に問いかけるように告げてから、さらに力を籠める。 力を感じた。肉を引き裂くような感触がまず伝えられ、そこからさらに、 ――痛っ……!! 背に痛みを感じた。固いものが突き刺さるような感触に神経が強張り、筋肉が震える。爪だ。 桃子が手に力を入れたと同時に、桃子の爪が背に深々と食い込んでいる。 ――これくらい。 いい。これは男の名誉だ、そう京太郎は意識することで痛みをさらに思う。痛みから目をそむけない。 これは"望み""望まれた"一つの証であると。 だから、京太郎はさらに"求め"た。 比喩的に言うのなら、貫かれたというのが正しい。 異物が無理に自分の中へ入ってくるような感覚を思い、しかしそれを望んだのは自分であるということを捉え、 それゆえにその異物の侵入を許した。 それは一線を越えた証でもあり、 ――互いの"望み"が変化する境界線、っすよね。 いまだに熱が肉体から取れない。そもそも自分の動きがどこにあるかする今だ理解できておらず、 ――けど、 それを心地よいと感じる自分が確かにあることを理解した。 「痛いか」 声がかかる。 「痛いっすね」 だからそれに対し、素直に答えを返し、 「そうか」 「そうっす」 「少し、休むか?」 いえ、と、 「休めば、覚めるっすよ」 そうか、と、言葉を聞き、 「なら、いく」 動きが来た。 痛みがある。それを感じ、しかし多幸感があり、 ――意志の、所在っすよね。 科学が進歩し、そしてさらに発展していけば、男が女を、女が男を必要としない時代が来るかもしれない。 しかし、きっとそれは訪れることはないと思う。 科学と技術の入りいれぬ隙間に、人間の"意志"があり、そしてその所在を男女互いに思い続ける限りは、 その時代が来ることはないだろう。 故に、桃子は求めた。京太郎も求めてくる。 喘ぎ、 貪り、 組み合い、 混じり、 喘ぎ、 語り、 それを繰り返す。 ――そして、 「あ、あああああああああああああ!?」 果てが来る。際限がないなどあり得ないから、その思いの落としどころ、終着点に両者がたつ。 それは、 「っ――、く」 一つの終わりであり、始まりでもあった。 交わったまま、布団の中に両者は存在した。 肉にこもる熱はいま冷めず、互いの熱を自身の熱と勘違いしそうになりながら、自身の意思を思い出す。 「京太郎さん」 声がくる。 「ん? どうした?」 「明日、休みっすね」 「ああ。休みだな」 力が込められた。背筋に腕が回され、 「どこか、行きましょうか」 それに呼応するように、自身も腕を背に回す。 「そうだな。天気予報じゃ晴れだったし、少しくらい遠出しても、良いか」 そうっすね、とゆっくりとした声が来て、 「とりあえず、寝よう。明日が来るなら、また朝にでも」 「ん、そうっすね」 闇が来る。 心地の良い闇が。 来る。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2273.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1361527853/ 『俺は、大星淡が嫌いだ』 『私は、須賀京太郎が嫌いだ』 ######### 京太郎「……はぁ」 京太郎(お腹すいたじぇ、タコス買ってこい! って言われたはいいけど) 京太郎(すぐにタコス屋なんて見つかる訳ねーだろ。しかも、見知らぬ土地で!) 京太郎(それでも、わかったって言っちまうんだから。俺はお人好しすぎるのかもしれねぇな) 京太郎(まだ大会も始まってもいないのに元気なことだ、うちのタコス娘は) 京太郎(元気一杯、天真爛漫と男には可愛いと大評判! なんだけど) 京太郎(俺からすると、タダのわがままロリっ娘にしか思えねぇんだよなぁ) 京太郎(……ったく、どうでもいいわな。さっさとタコスを買って大人しくさせねーと。 咲達が巻きこまれちまう。日差しが燦々だけど、須賀京太郎君ががんばりますよって) 京太郎(どーこにあるかなタコス屋さんっと……ん?) 淡「…………」 京太郎「………………へぇ」 京太郎(綺麗だ……透き通るような金髪が、なんつーか輝いて……) 淡「…………?」 京太郎「…………ぁ」 淡「ちょっとー! 何見てるのよ-!」 京太郎「あ、すんません」 淡「もう! 人が真面目なシリアスシーンだってのにさー!」プンスカ 京太郎「そうだったのか?」 淡「そうだよ! 全くもって! 今の私はアンニュイ淡ちゃんなんだから!」 京太郎「そのアンニュイ淡ちゃんの邪魔をしたのは謝るよ。悪い」ペッコリン 淡「うむ! わかればよろしい! それで、どうして私を見ていたのさ-」 京太郎「その……言わなきゃ駄目か?」 淡「あったりまえのまえのすけだよ!」 京太郎「何だよ、そのいい文句は……」 京太郎(いつの間にか、敬語も抜けちまってるけどいいよな。何か、こいつバカそうだし) 淡「むー! 今失礼なこと考えたでしょ」 京太郎「いいえ、お姫様に対してそのようなことは決して」 淡「ば、ばっかじゃないの! お姫様だなんて!」 京太郎「そうか? 女の子は誰だってお姫様になれるんだぜ?」 淡「~~~~~~!!!」 京太郎「あっはっは、顔真っ赤じゃねーか」 淡「変なこと言うからだよ!」 京太郎「悪い悪い」ポンポン 淡「子供扱いしないでよ!こう見えても私は高校百年生なんだよ!」ドヤッ 京太郎「あ、はい」 淡「いきなり真顔にならないでよ、私が馬鹿なこと言ってるみたいじゃない」 京太郎「いや、馬鹿だろう」 淡「ひっどーい!」ポカポカ 京太郎「本当のこと言ったまでだろうが!」ポカポカ 淡「むー!」 京太郎「ったく、最初見た時はどこかの綺麗なお嬢様だと思ったのによ……」 淡「失礼な! 私はお淑やかなお嬢様だよ」 京太郎「なわけ……いや、これ以上話してても平行線だ。 つーことで、じゃーな。邪魔して悪かった」 淡「あ、ちょっと待ってよ! 女の子を一人にしていく気?」 京太郎「一人って……まだ昼だろ?」 淡「昼でも何でも! こういう時は気を使ってエスコートするのが王子様なんじゃないの?」 京太郎「あのなぁ……俺にも用事があるんだよ」 淡「用事って何さ?」 京太郎「タコス屋探し」 淡「ふっふっふー、それなら私いいとこ知ってるんだけどなー」 京太郎「……本当か?」 淡「本当だよ! これでも、東京は地元なんだから!」 京太郎「それは嬉しいね。ぜひ、案内を願いたい所だけど」 淡「???」 京太郎「見返りは何だ?」 淡「私の暇つぶしの相手!」 京太郎「はいはい、わかりましたよ。お姫様」 淡「よろしい! なら、行こうよ……えっと」 京太郎「そうだな、まだ名前……言ってなかったっけ」 淡「そーそー。私は大星淡。高校百年生!」 京太郎「……そのネタは流行ってんのか? ま、いいよ。 俺は須賀京太郎。高1だ」 淡「へー、私と同じかー」 京太郎「さっき、高校百年生とか言ってなかったか?」 淡「細かいことはいいの! それよりも行こう、須賀!」 京太郎「そうだな、大星」 ######### 京太郎「それで、大星はどうして一人で佇んでいたんだよ」 淡「ふぇ?」 京太郎「さっきアンニュイな気分って言ってたじゃん」 淡『別に、何でもないよ』 京太郎「ふーん。ならいいけどさ」 淡「そういう須賀の方こそアンニュイな気分にならないの?」 京太郎「俺か?」 淡「うん。なんかさー、須賀ってばいっつもニコニコしてそー」 淡「笑いたくもないのに笑ってるって感じ。私と最初に会った時もそんな風に見えたけど」 京太郎『そんなことはないさ。俺はいつだって笑顔笑顔で楽しいぜ?』 淡「……本当に?」 京太郎『本当さ。嘘はつかない主義でね』 淡「ま、いいよ。私も深くは詮索しないし」 京太郎「詮索するも何もねーんだけどな」 淡「うっさい! 淡ちゃんの前では隠し事なんてなしなのだー!」 京太郎「すごく理不尽!?」 淡「そっれよりも~」 淡「タコス屋さんに何の用事なの? お昼ご飯?」 京太郎「ちげーよ。ちょっとした野暮用みてーなもんだって」 淡「へー。その野暮用ってちょー急がないとダメ?」 京太郎「別に駄目ではないけどさ」 淡「やたー! それじゃあ、一緒にごはん食べようよっ! 決まりだね!」 京太郎「うおっ! 引っ張るなって!」 淡「時間はいくらあっても足りないんだから早く早くー!」 京太郎(……なんつーか、悩みなんて全くなさそうな、底抜けのアホの子って感じだな) 京太郎(ま、たまにはいいかな。こういう息抜きも) ######### 淡「うまかったねー」 京太郎「そうだな。東京はやっぱすげーな」 淡「フフーフ、恐れいったか-」 京太郎「どうして、お前を恐れる必用があるんだよ」ポカッ 淡「あたっ」 京太郎「……そんなウルウルした目で見ても惑わされないぞ」 淡「ぶーぶー」 京太郎「はいはい、いい子いい子」ナデナデ 淡「はわっ!」 京太郎「あっ! 悪い、つい癖で」 淡「別にいーよ。気持ちよかったし……。須賀ってば撫でるのうまいねー」 京太郎「そういうのってわかんのか? 俺からすると適当に撫でてるぐらいにしか思ってないけど」 淡「わかるよっ! 高校百年生だからっ!」ビシイッ 京太郎「いや、そのネタはもういいよ!」 淡「ひどーい! 私が一生懸命考えた経歴なのに……!」 京太郎「嘘泣きはやめろよ」ペシッ 淡「あはっ、バレた?」 京太郎「バレバレだっつーの」 淡「女の子の嘘は素直に騙されておくものだよっ」 京太郎「ソウデスネー」 淡「心がこもってないよ! やり直しー」 京太郎「アホかっつーの。それじゃ、俺はそろそろ帰るぞ」 淡「えー」 京太郎「えーじゃない。元々野暮用があって来たんだから」 淡「ざんねーん。でも、須賀ってばまだ東京にいるんでしょ?」 京太郎「まーな。それなりには長くいるんじゃねーかな」 淡「やたっ! それじゃ、また会えるねーっ」 京太郎「もう会うこと前提かよ!?」 淡「淡ちゃんと会えるなんてスーパーラッキーだよー! ほら、アドレスと番号っ! これでいつでも通話と通信!」ブルルル 京太郎「まあ、仲良くなれそうだし受け取っておくけど……スーパーラッキーって自分で言いますか、自分で」 京太郎(ま、悪い気はしないけどさ) 淡「ちゃんとかけてくるんだよー、淡ちゃんは寂しいと死んじゃうからねー!」 京太郎「それじゃ、機会があったらなー」 淡「絶対だよ-! 約束破ったらぼーんだからねー!」ブンブン 京太郎「ぼーんってなんだよ、ぼーんって!?」 淡「じゃーねー!」ブルルルル 淡(…………それで、さっきからうるさい携帯はなんなのかなー)ブルルルルル 淡「はい、もしもーし」 菫「淡か! どこで油を売ってる!」 淡「げっ、スミレ」 菫「げっ、じゃない……! 全体練習をサボってどこにいると聞いているんだ」 淡「東京のどっか!」 菫「答えになっていないじゃないか……」 淡「いやいや、答えになってると思いますです、はい」 菫「また変な口調でおちょくって……」 淡「やだなぁ~、心配はご無用ですよ? 試合にはきちんと出るんで。地方大会でも結果は出しましたよね?」 菫「確かに結果は出している。だが、態度が問題だ。白糸台レギュラーとして模範ある行動をだな」 淡「―――――なのに」 菫「淡?」 淡「何でもありませーん。反省してまーす」 菫「全く反省していない風に聞こえるのは私の気のせいか?」 淡「気のせいですよ、プンスカ!」 菫「反省しているなら全体練習にも参加しろ。控えや二軍の力の底上げに協力しろ」 淡「お断りします。というか、百パー無理って感じ?」 淡「そもそも――私、嫌われてるじゃないですか。2、3年の老害達に」 菫「淡、そんな汚い言葉を使うな」 淡「てへっ。でも、本当のことですよ?」 淡「私が一年の癖に白糸台のレギュラー、それも大将を任されちゃってすっごくむかついてる。 むかつくオーラがどばしゃー! って、感じ?」 淡「知ってるんですよねー。気が向いて全体練習した時、私が卓に入ると他の三人で結託してフルボッコ狙ってるってこと」 菫「……誰だ、そいつらは」 淡「まー雑魚がいくら集まっても雑魚だから――全員、完膚なきまでに潰してあげましたけど」 淡「あはっ、延々と削られて最終的に全員一気に飛ばすって快感ですよ?」 菫「誰だと聞いている! 私が直接話してくる。気に入らんな、そのような軟弱な奴等は……!」 淡「別にいいですってば。というか、話してたらキリがないですよ?」 菫「……! すまない、私の責任だ……!」ギリッ 淡「いいって言ってるじゃないですか。スミレは重く考え過ぎー」 淡「弱いから妬むんですよねー。ずっと努力してきたものが才能で打ち砕かれるのが嫌だから」 淡「自分よりも下の小娘がテルのチームに入る。そんなありえない奇跡を偶然で固めたくて」 淡「私の強さは嘘と偶然で塗り固められてなんかいないのに」 淡「一応はちゃんとやってるのになー。淡ちゃんの力を知らない雑魚共は虐殺だっ☆」 菫「……淡」 淡「という訳なんで、全体練習は不参加ってことで~」ピッ 淡「…………」 淡「つっまんないなぁ」 淡「ね、須賀」 淡「アンタなら――どうする?」 淡「わっかんないよ、何もかもがー」 淡(強いって、いいことだよね? なのに、認めてくれない) 淡(テル達はいいとして、その他大多数は妬むだけ) 淡(…………どうしたら、いいの? どうしたら、寂しい思いをしなくて、いいの?) 淡(それとも、私は現状に満足しちゃってるのかな? それはありえないと思うけど) 淡(弱くなれば、このぽっかり感もなるなるのかな?) 淡(……ばっかみたい、何考えてんだか) ######### 京太郎「ただいま戻りました」 優希「遅いじぇ!」 久「そうねぇ……出て行った時間からしてもっと早く帰ってこれたんじゃない?」 京太郎「先に俺だけ昼食をとってきたんです。皆がこの後昼食をとっている間、牌譜整理でもしようかなって」 京太郎(さすがに女の子に押し切られて一緒に仲良く食事をしていましたなんて言えねぇって!) 咲「それだったら私も一緒にやったのに……」 京太郎「お前は全国大会に向けて、一局でも多く練習した方がいいだろ」 咲「でも……」 京太郎「いいから。ほら、飯でも食ってこいよ。俺は整理してるからさ。 つーことで、部長。俺はこの部屋で整理してるんで」 久「え、ええ。いつも悪いわね、須賀君」 京太郎『いいっすよ、好きでやってることなんで』 京太郎(そうだ。俺はあくまで、好きでやっていることなんだ) 京太郎(だから、気のせいだ。このモヤモヤとした気分も) 京太郎(『本当に?』 どこまでが嘘で、どこからが本当か。そんなのわかるのか?) 京太郎「ほら、さっさと行った行った。飯食う時間だって有限なんだ、俺に構わず行ってこい」 咲「う、うん……」 ドタン 京太郎(さてと、一人か。風越の人達は外出中だし俺一人) 京太郎(さっさと整理するか……) 京太郎(……情けないな。こうして雑用しか出来ない自分が。前に進めない自分が) 京太郎(女子は全国大会出場、男子は初戦敗退。周りからは色々とヤジを受けたっけ) 京太郎(だけど、それは仕方がないことだ) 京太郎(弱いから当然だ。本気で麻雀に取り組んでいなかった俺が悪い。 練習の機会が皆よりも恵まれていないなんて理由にならねぇ) 京太郎(……それでも、割り切れないもんがあるのは確かなんだよな) 京太郎(これから先、俺がいくら努力しても……あの圧倒的な才能に敵うのか?) 京太郎(運すらも支配してみせる力を、乗り越えられるのか?) 京太郎(今は、前に進むしかない。努力するしかないけど) 京太郎(その果てに着いても、勝てなかったら……?) 京太郎(くそっ……考えるな! 今は、必死になることだけを考えろっ) 京太郎(強いって、何だよ……俺は本当に強く、なれるのか?) サイハチジョウタカクナゲラレター ・着信 【大星淡】 京太郎(さっき別れたばっかりだろうが! 速すぎだろ!?)ピッ 京太郎「はい、もしもし」 淡「やっほー、元気にしてる?」 京太郎「元気も何もさっき会ったばかりだろ……」 淡「そうだったっけ? その割にはさっきよりも声に力がないと思うけど」 京太郎『それは気のせいだろ』 京太郎「そういうお前こそ、何か落ち込んでる風に聞こえるんだがな」 淡「むっ! それはありえないね! なんていったって」 京太郎「高校百年生だから、だろ」 淡「そうそう、わかってるじゃん」 京太郎「それで、何か用か? 結構忙しいんだけど」 淡「ぶーぶー」 京太郎「ぶーたれても忙しいもんは忙しいの」 淡「けちー!」 京太郎「……ああ、もう! ちょっとだけだぞ! 俺だってやることが色々あるんだからな!」 淡「やたーーーーー! さっすが須賀ー!!」 京太郎「ほんと、調子がいいな……」 淡「ん?」 京太郎「なんでもありませんよ、お姫様」 淡「……そのお姫様っていうの何かきらーい」 京太郎「はぁ? どうして?」 淡「何となく距離感開けられてる感じがするー」 淡「というか、違和感があるんだよ!」 京太郎「距離感も何も、今日会ったばかりだろうが」 淡「仲の良さと時間は関係ないよ! そうだ、お互いのことを名前で呼べばもっと仲良くなれるんだよ!」 京太郎「えー」 淡「えー、じゃないよ“京太郎”!!」 京太郎「……っ」 淡「あれ、照れてるの? かっわいいー!」ニシッシッシ 京太郎「うっせえ! そ、そんな訳ねーだろ、“淡”!」 淡「……ぅ」 京太郎「はっ、お前の方こそ恥ずかしがっているんじゃね-のか」 淡「そんなことないし!」 京太郎「ぐぬぬぬぬぬ」 淡「むむむむむむ」 京太郎「…………くっ」 淡「…………ぷっ」 京淡「あはははははははっ!」 京太郎「なーにやってんだろうな、俺達」 淡「全くもって! ばっかみたいだね」 京太郎「なー、淡」 淡「何さ、京太郎」 京太郎「サンキューな」 淡「なにそれ、意味分かんないだけど」 京太郎「うっせーな。そういうお前こそ、何か用があったんじゃないのかよ」 淡「やっぱいい。何か削がれちゃったというかー」 京太郎「アホじゃねーの?」 淡「あーーー! アホって言った! アホって先に言った方がアホなんだよ!」 京太郎「うっせーうっせー!」 淡「バーカ! もう知らないから!」ブツン 京太郎「……あ、切れた」 京太郎(ったく、おてんばにも程があるっての) 京太郎「でも、少し気分が楽になったのは確か、か」 ######### 京太郎「……とりあえずは雑用をしっかりやらんことには始まらんよな」 京太郎(麻雀については、今の自分がやるべきことをきちんとやってからだ) 京太郎(任せられたもんを放り投げるのは良くないしな) 京太郎(つー訳で、またまた街中に来たんだけど) 淡「いい加減しつこいです……」 ナンパ男「まあまあ、そんなこと言わずにさ~。ちょっとだけ! ちょっとだけでいいからさ」 京太郎(……何アホなことに巻き込まれてるんだ、アイツ?) 淡「だ・か・ら! アンタなんかに興味ないって言ってるんですけど!」 ナンパ男「いやいやいや、一緒にカラオケぐらいだって!」 淡「それが嫌だって言ってるんですけどね?」 京太郎(ただのナンパか。別に放っておいてもいいだろ) 淡「やめてってば……」 ナンパ男「ほらほら行こうよ。なーに、楽しくなるさ。時間が経つにつれて、ね」 京太郎(…………あーーーー!!!! くっそ、ほっとけるかあああああああああ!!!!!) 京太郎「おう、待たせたな」 淡「ふぇ?」 京太郎「悪い悪い、時間に少し遅れちまったな。埋め合わせに何か奢るから勘弁してくれよ」 ナンパ男「ちょ、お前……何だよ」 京太郎「こいつの彼氏だよ、テメエこそ何だ? 人の彼女に手を出して無事で帰れると思ってんのか? あ?」 淡「……!!! ちょ」 京太郎「淡は黙っていろ。ま、こういう時の彼氏様が前に立たないとな」 京太郎「で、何時までそこに突っ立っているんだよ……さっさと失せろ、その面みせてんじゃねぇ!」 ナンパ男「ひっ……す、すいませんでしたーー!」ドピューン 京太郎「……行ったか。あー、マジで疲れた。ああいう風に凄むのはやりたくねーんだよ。 ホント、気をつけろ……ごわっ!」 淡「だ、誰が彼氏よ!! ばっかじゃないの!」バコンバコン 京太郎「うっせーな、咄嗟に出た言い訳だから気にすんなって。 あ、気分を悪くしたんなら謝る! マジすいません! お詫びはいつかするからさ、許してくれ!」 淡「~~~~~~!!!?」 京太郎「…………何顔赤くしてんだよ」 淡「……誰のせいよ、誰の」 京太郎「はっ、この対応はお姫様にはご不満ですか?」 淡「な、なななななな! というか! お、お姫様じゃなくて淡って呼んでって言ったでしょーーー!!」シュポー 京太郎「やなこった、お姫様」ニヤッ 京太郎(うーん、からかうとおもしれーな。喜怒哀楽はっきりしてんし) 京太郎「ま、お前ってばいい奴なんだからああいう奴に引っかかるなよ」 淡「う、うん」 京太郎「やけに素直だな? 悪いもんでも食ったか?」 淡「ち、違うって。それよりも、よく会ってすぐの私をいい奴だって言うね。 ちょっとは疑ったら? ばっかじゃないの」 京太郎「そんなことねーよ、お前は十分いい奴だろ。何だかんだでタコス屋とか教えてくれたし」 京太郎「俺からすると普通の女の子にしか見えねーけど? ま、違うなら違うでいいわ。 その普通の女の子様は何か? とんでもない秘密を持ってる訳でもねーだろ?」 淡「……………………っ」 京太郎「ん? どした?」 淡『べっつにー。何でもない!』 淡「ほんと、京太郎ってバカ」 淡「バカだよ……」 京太郎「バカバカ言うなよ、マジでなったらどうする」 淡「もう十分にバカじゃん」 京太郎「お前なぁ……つーか、どうして制服でここにいるんだよ? その制服って……」 淡「知ってるの?」 京太郎「白糸台だろ? 麻雀強いとこって有名じゃん」 京太郎(俺には縁がないとこだな……弱っちい俺には) 淡「そうだね。そして、この大星淡ちゃんはなんと!」 京太郎「なんと?」 淡「白糸台虎姫の大将なのです!」デデーン 京太郎「―――――――えっ?」 京太郎(才能に、恵まれた……奴等……) ######### 何かにヒビが入った感覚だった。 白糸台虎姫。それは俺でも知っているぐらい有名だ。 全国二連覇を成し遂げ、今回の大会で三連覇を目指す最強の高校。 その大将が淡だという。 大星淡。俺と同学年の一年生。 だけど、決定的に違う。 俺はきっと、凡人。持たざる者。 淡は才能を持つ向こう側の人物。 俺は思ってしまったんだ。 妬ましい、と。 何故、強いのだと。 麻雀とは言ってしまえば運ゲーだ。 運によって勝敗が決まるゲーム。才能よりも経験、その時々の運によって左右される。 だけど。実際に見ていてどうだ? あの、長野大会の大将戦を見て、どうだった? 結局は才能ではないか。凡人はただ、蹴散らされていただけではないか。 咲や天江衣が圧倒していたではないか。 ――麻雀って楽しいよね、一緒に楽しもうよ。 ……そうだな、お前らは楽しいよな。 “勝てる”から楽しいんだ。 俺は、違う。勝てないゲームなんかつまらない。 負けることしか味わえないゲームのどこを楽しめばいい? 俺よりも強い選手達が蹂躙されるのを見て、勝てると思えるか? それでも――俺は強くなろうと決めた。 負けない、負けてたまるものか。 何もしないで終わるよりも、できる限りの全てを出し尽くして終わりたい。 もしかすると、微かにでも勝てる可能性があるかもしれないから。 そう、どうしようもなく――俺は弱いから。 「……ん? どうかした?」 無邪気に笑みを浮かべる彼女に対して――嘘をつく。 『何でもないさ。すげーんだな、淡って』 胸に淀んでいる嫉妬も。 『こうしてみると、何処にでもいる女の子みたいなのに』 そうだ、ああ、そうだ。 才能に恵まれた奴等に、俺は勝ちたい。 みっともない負けをどれだけ繰り返そうとも。 “勝ちたい”のだ。 『えっ、お世辞? ちげーよ、本当にそう思っているって』 全部、隠して。俺は嘘をつく。 いつも通りの笑顔を張り付けて、ペラペラと口を開き続ける。 踏み越えてやる、絶対に。 だから、その為にも。 『だって、俺らって――』 今は仲良くしておいて損はない。 隙あらば、こいつの才能の秘訣を見て、感じて、知り尽くして。 勝つんだ、来年は俺だって全国に行ってやる! 「もう、ダチだろ?」 だから――他意はない。 俺はあくまで俺の為にこいつと仲良くするのだ。 『俺は、大星淡のことなんてどうとも思っていない。麻雀で強くなる為に仲良くしているだけなんだ』 きっと、そうに違いない。 そうでなければ、いけない。 カッコつけて、嘘をつくことが多くなっても。 勝ちたいんだよ、すっげー。 ######### 誠子「で、今度は何処に行ってたんだ」 淡「な・い・し・ょでーす!」 誠子「だろうな。全く、弘世先輩がまた頭を抱えていたぞ?」 淡「それは申し訳ないですね」ペッコリン 誠子「いや、私に謝られても」 淡「亦野先輩に謝ったんで、代わりに謝ってください」 誠子「何で!?」 淡「駄目ですか?」 誠子「駄目というか、あんまり意味が無いだろう」 淡「ですよねー」 誠子「はぁ、ったく。しっかりしてくれよ、大将」 淡「オッケー、副将」 誠子「……それで、練習はどうする?」 淡「行かない。行っても、私の居場所なんてないし」 淡「というか、学校自体つまんないしー」 誠子「学校はまじめに行っとけ。いや、マジで」 誠子「クラスではハブにされてないんだろ?」 淡「ハブにもされてないけど相手にもされていないよ? 何か一年で白糸台の大将になって凄すぎるから近寄りがたいって」 誠子「……お前なぁ。本当は寂しがり屋のくせに何突っ張ってるんだよ」 淡『……そんなことない』 誠子「嘘だな。宮永先輩に引っ付いてる癖に」 淡「それはそれ、これはこれだよ!」 誠子「そういう減らず口を叩くのはこの口かー」ムニムニー 淡「あわわわわわ」 誠子「……それで、話は変わるんだが」 誠子「最近は機嫌が凄くいいじゃないか」 淡「そうですか?」 誠子「ああ。見ていて怖いくらい」 淡「亦野先輩からそんなこと言われるなんて……ショックで寝込みそうです」 誠子「何を言ってるんだ。それで、理由は聞いてもいいのか?」 淡「……他の人達には内緒ですよ?」 誠子「わかったわかった」 淡「私のこと、普通の女の子って言ってくれた人がいるんです」 淡「麻雀が強いから。他の誰にも負けない、白糸台の大将。 皆が私のことをそーゆーフィルターで見てるんです」 淡「亦野先輩達みたいな人達は例外ですしね」 誠子「それで、恋でもしたか?」 淡「ちょ、何言い出すんですか!」 誠子「いやいや、可愛い妹分にもやっと春がやってきて嬉しくてな」 淡「春なんか来てませんから! やっぱり言うんじゃありませんでした」プックリ 誠子「そう言うなって。その分の協力はしてやるからさ」ポンポン 淡「うー、亦野先輩がしつこいんで特別ですよ? それと恋じゃないんで!」 誠子「了解了解。それで、手を打つさ」 誠子「ということは積極的にアプローチしていたり?」 淡「うん。でも、私みたいなのとは釣り合わないですよ」 淡「そいつ、私と違って気がきくし、友達多そうだし」 淡「それに、まだ言ってないこと。私、嘘ついてるんです」 淡「私は、あいつ――京太郎のことを使い捨てのおもちゃみたいに思っていたんです」 ######### 私は恵まれた才能を持ち合わせていた。 麻雀では負け知らず、この世の全ては私の掌の中にある、とまではいかないけれど。 私は、誰に対しても生意気で。傲岸不遜を地で行く。 その結果、誰も私に近寄ろうとする人はいなくなった。 テル達は例外っていうか……。うん、私よりも強いかもって感じだったし、レアケースってことで! それでも、私の根本は変わらない。 弱っちぃ奴等は皆馬鹿にして。徹底的に叩き潰していた。 あいつも、京太郎についても。最初は、おもしろいおもちゃ程度の認識だった。 いつからだろう、その認識が変わっていったのは。 きっかけは、あのナンパ男から助けだしてくれた時かな? あの時、ちょっとだけ。ちょーーーーーーーーっとだけ! かっこいいって思っちゃっただけなんだから! それだけで私を振り向かせるなんて思わないでよね! チョロくないもん、私! えへへ……でも、あいつと話していると面白いっていうか。 私のこと、普通の女の子って言ってくれたりして! 嬉しいなあ。私のことを普通の女の子って……驚いちゃったよ、もう! ……べ、別に好きじゃないよ、京太郎のことは! それでも、やっぱ気にはなっちゃうんだよ! 嘘、ついてるけど。 京太郎のこと、おもちゃみたいに扱っていたってこと。 最初はからかって、馬鹿にして飽きたらぽいって捨てようって。 あいつのこと、ちゃんと見ていなかったって。 心の底からくだらないって思ってたって。 こんなこと、知られたらきっと……私は絶交される。 人のこと、おもちゃ扱いなんて、嫌われて当然だ。 だから、言い出せない。京太郎に嫌われたくないから。 …………卑怯だ、私。今まで散々に好き勝手やってきて、自分のことになったらカッコつけている。 いつか、嘘もなく。京太郎と話せたらどんなにいいことか。 京太郎都の出会いだって、偶然。 少しの縁が切れると離れ離れ。 そんなのは、嫌だよ。 ######### 京太郎「まさか、和達に回さずに終わるなんてな……」 京太郎(やっぱり、強いな。皆、強い) 京太郎(俺だけが取り残されている) 京太郎(歯がゆいな。場違い感マックスってやつかね) 京太郎(……さて、そろそろかかってくるころかな) サイダーイキュウノムーナサーワギー 京太郎「…………よう、何日ぶりだ?」 淡「何日ぶりだなんてひどいなぁ、もう! 昨日の夜は激しかったのに……」 京太郎「アホなこと言ってるんなら切るぞ?」 淡「京太郎のバカ、アホー……あ、ごめんごめん切らないで! それよりも。やっほー、元気してるー」 京太郎「生憎と元気じゃないな。誰かさんが毎日電話をかけてくるせいで」 京太郎(ここ数日はずっとこいつと話しているな……淡からすると俺みてーなのが珍しいから 淡「ひどーい。京太郎の携帯履歴に淡ちゃんの名前が並ぶんだよ?」 京太郎「ノーセンキューだ。第一、そこまで女に飢えてねーよ」 淡「嘘だー、男は皆ケダモノだって本に書いてあったよ!」 京太郎「そんなもん、信用するな!!!!」 淡「でも、本当の所は?」 京太郎「本当も何もねーから!!!」 淡「そんなこと裏のまた」 京太郎「裏話でしょ……って何を言わすんだよ!」 淡「ちぇー。京太郎の裏が知れるかもって思ったのにー」 京太郎『……裏なんて、ないさ』 京太郎(また、嘘だ。嘘を塗り固める為に、また嘘をつく) 京太郎(そうだ、こいつと話すのは才能の秘訣を盗み取る為だ。断じて、楽しいからじゃない) 京太郎(…………それ以外に理由なんざ、ない) 淡「それでー、京太郎って今日は暇?」 京太郎「突然どうしたんだよ? 今日はこれから夜までは暇だけど?」 淡「それじゃあ、淡ちゃんとどっかに遊びに行こう!」 京太郎「へ?」 淡「聞こえなかったの? 頭だけじゃなくて耳も悪くなった?」 京太郎「どこも悪いとこなんてねーから!」 淡「なら、大丈夫だよねー、ということだから! 最初に出会った公園で集合ってことで!」 京太郎「ちょ、それってデートじゃ!」 淡「それじゃねー」プツン 京太郎「切れやがった……」 京太郎(ま、いっか。今日は試合が終わった後はフリーだし) 京太郎(楽しみだ……な?) 京太郎(何考えてるんだ……俺は俺の為に、仲良くしてるんだ) 京太郎(アイツの笑顔なんて、どうにも思っていない) 京太郎(だから、今日も俺は――嘘をつく) 京太郎(罪悪感もあるけど、俺は迷わないぞ) 京太郎「あ、部長。お疲れ様です」 久「あら、どうしたの? こんな所で」 京太郎「電話が来てたもんで。ちょっと抜け出してたんです。集中して見ていたアイツらの邪魔をするのは悪いと思って」 久「そっ。それじゃあ一緒に戻りましょうか」 京太郎「ですね。あ、それと今日の午後はフリーでしたよね?」 久「そうね。疲れたわ~、私はホテルで休もうと思うけど」 京太郎「俺、ちょっと外に出てくるんで。晩御飯とかもいらない時はメールします」 久「そう? それじゃあ咲達にもそう伝えとくわね」 京太郎「すいません、アイツらに直接伝えると妨害されそうで」 久「ま、いつも雑用ばっかりさせてるしね。このぐらいは構わないわ」 久「それと、何だか最近はいきいきしているみたいだしねっ」 京太郎「えっ? そんな風に見えますか?」 久「ええ。とっても」 京太郎「……そうっすか」 京太郎(ああーー! さっきも俺は楽しみだって考えるしどうなってるんだよ!) 京太郎(まさか、あいつのことが気になったり……ねーよ。ぜんっぜんありゃしねぇ!) 京太郎(……世界が違いすぎるんだよ、俺と淡では) 京太郎(そんなもんだ。あいつと俺の関係なんて――) ――嘘と偶然で塗り固められてるだけなんだから。 ######### 京太郎「よっ。こうやって直接会うのは数日ぶりだな」 淡「まーねー。なに、会えなくて寂しかったりした?」 京太郎「な訳、あるか」 淡「そこは、嘘でもいいから君に会えて嬉しいぐらい、言えないの!」 京太郎「お前にその言葉は勿体無い」ワシャワシャ 淡「ひゃわっ! ちょ、やめてよー! 髪がぐしゃぐしゃになっちゃうじゃないー」 京太郎「おっ、すまん」 淡「……気持ちよかったからいいけどさ」ボソッ 淡(ちょっと可愛いとこ見せたいから頑張ってセットして服も気合入れて) 淡(ぐぬぬ……全く気づいてくれてないよ! 京太郎のバカーーー-!!!!) 京太郎「っと、そういえばさ」 京太郎「いつもと違って、制服じゃね-んだな。似合ってるな、その服」 淡「~~~~~~~~!!!!!」 京太郎「どうしたんだよ! いきなり、顔を真っ赤にして!!!」 淡「自分の胸に聞けばいいじゃん!」 京太郎「いいから、落ち着けって。はいはい、ひっひっふー」 淡「ひっひっふーひっひっふー」 京太郎「ようし、落ち着いたな。それじゃ、行こうぜ。夜までには帰らなくちゃいけないしな」 淡「ちょ、待ってよ-!」ダキッ 京太郎「な、ななな」 淡「こうしないとはぐれちゃうかもでしょ? それだったら手を繋ぐなり腕を組むなりさー」 京太郎「お前なぁ……!」 淡「ん? 何か、変なこと言った?」 京太郎(言ってるよ! すっげー緊張するんだよ、俺が!!) 京太郎(というか、ちょっと小振りのおもちが当たってる! すっげー腕に当たってる!) 淡「ほら、いつまでも立ってないで行くよー。今日はたくさん遊ぶのだ-!」 京太郎「引っ張るなって-! 服が伸びるから、いやマジで!」 ######### 京太郎「とりあえず、腹ごしらえってとこだな」 淡「東京通の私におまかせあれ!」 京太郎「そんで、喫茶店に入った訳なんだが」 淡「ん?」 京太郎「なんで、俺達がカップルになってる訳?」 淡「だってここの喫茶店カップル割があるんだもんー、安い方がいいじゃん」 京太郎「まあ、いいけどさ……安く美味しいものが食べれるなら」ングング 淡「……はぁ」 京太郎「どした? 俺のはやらんぞ」 淡「いらない! ほんと、馬鹿だね! 京太郎は!」 京太郎「んなことねーよ! 俺ってば割と頭が」 淡「よくないでしょ」 京太郎「はい……」 ちっちゃいけれど可愛らしいウエイトレス「おまたせしました~、デザートのカップルパフェになります」 京太郎「って、これ……」 淡「あ、そだった……これがあったよ」 京太郎「すんません、スプーンが一つしかないんですけど」 ちっちゃいけど可愛らしいウエイトレス「仕様ですっ!」エッヘン 京太郎「そうですか……もういいっす……」 淡「ね、京太郎」 京太郎「ああ、みなまで言うな! 俺の分も食べていいぞ」 淡「…………」ジトー 京太郎「何だよ、その目は」 淡「京太郎は私に二人前のパフェを一人で食べろって言うの?」 京太郎「ああ、悪い。それじゃあ、俺が全部食うよ。埋め合わせは後でするからさ」 淡「そうじゃなくて! その、一緒に……食べない?」ボソボソッ 京太郎「一緒に? でも、スプーンが」 淡「いいよ! 特別に許してあげる!」 京太郎「お、おう」 淡「うまい! それじゃ、はい! 京太郎!」パクパク 京太郎「……頂きます」パクパク 京太郎(間接キス……いざこうしてやってみると緊張するもんだな) 京太郎(咲とか優希だとどうとも思わないのに……不思議だ)パクパク 淡「ちょっと! 一人で食べないでよ-!」 京太郎「あ、そうだったな。ほい、スプーン」 淡「ありがと」パクパク 京太郎(ふーん、淡は全く意識してなさそうだな……俺のひとりよがりみてーじゃねーか。 恥ずかしいな……) 淡(京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス 京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス 京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス 京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス京太郎と間接キス) 淡(あわわわわわ! は、初めてだよ! す、すごく緊張するよぉ……何とか顔には出してないけど!) 淡(それなのに、京太郎は平然としているし! 長野はそんなに進んでいるの!?) ######### 京太郎「で、次は何処に行くんだ?」 淡「適当にぶらぶらするだけー」 京太郎「おい」 淡「へー、それじゃあ下着専門店とか入ってみる?」」ニヤリ 京太郎「遠慮します。そういうのは彼氏か女友達と行ってこい」 淡「…………ふん」 京太郎(何かちょっと機嫌が悪くなったような……俺悪いこと言ったかなぁ) ???「おおっと、そこの嬢ちゃん坊ちゃん!」 京太郎「ん?」 露天商の少年「いいとこに通りがかってくれたな。見たところ、学生カップルってやつか?」 京太郎「カップルじゃないです、普通の友達同士です」 京太郎(何だこいつ……胡散臭いな……) 淡「それで、アンタは何か用?」 露天商の少年「いやぁ、仲睦まじしいカップルの背中を押せたらなーって思って声をかけた訳だ。 怪しいもんじゃねぇぞ? 一応」 京太郎「十分怪しいっての。それで、」 露天商の少年「ああ、後押しってこいつさ」 京太郎「へー、ペンダントか」 露天商の少年「綺麗だろ、そっちの嬢ちゃんに似合うかと思ってね」 京太郎「……つまり、押し売りみてーなもんか」 淡「うん、この人すっごく胡散臭い……」 淡(でも、あのペンダントは良さそうっていうか! うーん、どうしようかな……) 京太郎「…………いくらだ、それ」 淡「ふぇ?」 露天商の少年「へぇ、ご購入かい?」 京太郎「ああ。プレゼントにぴったりかなって」 淡「ちょ、京太郎!」 京太郎「いいよ、このぐらい。お前には世話になってるしな」 露天商の少年「まいどあり! 早速つけてくかい?」 京太郎「ああ、淡。ちょっと後ろ向いてろ」 淡「うん。その、京太郎……ありがと」 京太郎「どういたしまして」 淡「……ゃっ、くすぐったいよ」 京太郎「ちょっとの辛抱だ、我慢しろ」 淡「うー、意地悪」 京太郎「ペンダントつけるのに、意地悪もあるか。ほら、できあがりっと」 淡「それで、似合う? 淡ちゃんの可愛さ何倍増し?」 京太郎「さぁな。ま、似合ってるんじゃね-の」プイッ 淡「素直じゃないんだから、もうー」プニプニ 京太郎「だーーーーっ! ほっぺをつつくなーーーー!」 露天商の少年(うぜぇ……さっさとくっつけよこいつら) ######### 淡「~~~♪」 京太郎「やけに機嫌がいいな」 淡「そう見えるかな? えっへへーん」 京太郎「めっちゃ機嫌がいいじゃねぇか。それで、次は何処に連れてってくれるんだ、お姫様」 淡「どっか!」 京太郎「どっかってすっげぇ適当だな、おい……」 淡「まあ、もう少しの間だけ二人きりってこと? んふふ、ちょっとドキッとした?」 京太郎「してねーーーよ!」 京太郎(だが、これはチャンスだ。麻雀で強くなれる秘訣が聞けるかもしれないぞ) 京太郎「そ、そういえばさ」 淡「ん?」 京太郎「淡って麻雀すっげー強いよな……」 淡「そだよ! 私が負けるなんてありえないしね」 京太郎「それじゃあ、何か強さの秘訣ってあるのか?」 淡「??? どうして、そんなこと聞くの?」 京太郎「ちょっとした好奇心さ。何回かメールでやりとりしてただろ? 知ってると思うけど、俺は麻雀部員だからさ」 淡「そういえば、そんなことも言ってたねー」 京太郎「それで、本当のとこはどうなんだ?」 京太郎(これで、知ることができたなら――――俺は、俺は) 『見返すことができる、他の奴等を』 (淡と並び立つことができる、こいつのそばにいられるかもしれない) 京太郎(――――――ぁ? おれは、今……) 京太郎(淡のことを麻雀と同じくらいに位置づけなかったか?) 京太郎(別に、どうってことない奴だって思っているんだよな?) 京太郎(なら、俺が今思ったことは何だ? 何が嘘で何が本当なんだ? 何が正しくて何が正しくないんだ?) 京太郎(怖い、俺が、怖い……! 俺は一体どうなっちまったんだ!?) 京太郎(こいつのことを、好きになったとでも言うのか?) 淡「別に大したことじゃないよー」 淡「“雑魚”はどうあがいても、弱いんだし。強くなれる訳ないじゃん」 プツン、と何かが切れた気がした。 ######### 京太郎「…………そうだよな、違うよな。お前と、俺は立っている場所が違う」 淡「京太郎?」 京太郎「悪い、俺、帰るわ」 淡「えっ、ちょっ」 京太郎「じゃな、もう二度と会うこともないだろうけど」 淡「えっ、何、言ってる、の?」 京太郎「言葉通りの意味だ。それ以外に、何の意味もない」 京太郎(これで、いいんだ。すっぱり切れていいじゃないか。これ以上、俺を苦しめるな) 京太郎(強くなることだけを考えればいいんだ。ただ、前に進むことだけを) 京太郎(横に並び立つ必要なんざない。強くなるのに、そんな雑念はいらねぇ) 京太郎(だから――俺は……嘘を……) 京太郎(淡なんかどうとも思っていないって、嘘をつくんだ) 京太郎(俺は――――嘘を――――!) 京太郎「……じゃあな」 京太郎(嘘を、つけない。つくことが、できない) 京太郎(あ、あっ、) 京太郎(あああああぁぁぁああああァァああアアアぁぁああ!!!?) もう、何も見えない。 俺がついた嘘が、本当に嘘だったのか。 それとも、本当だったのか。 わからないし、見えない。 だけど。だけど。 淡に対しての気持ちだけは、嘘に、できない。 だから、逃げよう。俺を苦しめる、胸の高鳴りから。 ポツポツと降り始めた雨が、俺を冷やしていく。 冷たいけれど、今は身を委ねたい。 俺の本当は――――一体、何処にあったのだろう? ただ一つ、確かなのは……前みたいな関係には戻れない。それだけだ。 ######### どこで、選択肢を間違えたのか。 いつもなら、間違えもしないのに。 私と京太郎が会ったことが間違いなのかな? それとも、また会っちゃったことが間違いなのかな? 私が、何かひどいこと言っちゃったのが間違いなのかな? わからない、わからないよ。 それとも、バチが当たったのかな? 今まで、周りのことをきちんと見ようとしていなかったバチなのかな? だから、京太郎も私から離れていったの? 全部、私が悪いの? 私が生意気ばかり言ってるからなの? 充足していく絶望感に思わず、足の力がふらりと抜けてしまう。 あ、転ぶ。いったいだろうなーって思うけど、ダメ。もう何もする気がおきない。 でも、実際はそんな痛みもなくて。ふわっとした人肌のぬくもりを感じた。 「……おい、大丈夫か」 亦野先輩。そっか、今の私ってばずぶ濡れでひどい顔してるもんね。そりゃ、心配もするか。 でも、今はダメ。 誰の声も聞きたくない。一人でいたい。 だから、話しかけないで。ほうっておいて。 「傘もささずに一人で……風邪ひくぞ。いいから、来い。今のお前に風邪をひかれたら凄く困るんだからな。 ほら、行くぞって、ちょ、お、おい! 淡!!!」 もう嫌だ、一人は嫌だ。寂しいのも嫌だ。 テルがいなくなるのも、スミレがいなくなるのも。 たかみー先輩がいなくなるのも、亦野先輩がいなくなるのも。 でも、一番嫌なのは……。 「嫌だよ、京太郎……嫌いにならないでよぉ……一人に、しないでよぉ」 京太郎ともう会えないことが一番嫌だ。 初めてできた、同年代の友達なのに。 初めてできた、好きな人なのに。 嫌だ、失いたくない。ずっと傍にいたい。 彼と一緒に手を繋いで、また笑いあいたい。 諦めたくないよぉ、京太郎。 また、前みたいに笑ってよ。ばっかだなーってからかってよ。 ねぇ、京太郎。離れたくないよ……。 ######### 京太郎「…………」 京太郎(俺は……何が、正しかったんだ?) 京太郎(わからねぇよ、ぜんっぜん、わかんねぇよ……!)ドンッ 誠子「おっと、ごめんごめん急いでてね」 京太郎「いえ、こっちも前をしっかり見ていなかったんで」 誠子「なら、お互い様ということ……ん?」 京太郎「?? どうしたんです? そんなに顔をジロジロと見て?」 誠子「うん……もしかして……ちょっと聞きたいことがあるんだが、いいかな?」 京太郎「は、はぁ……」 誠子「もしかして、君が大星がよく話していた須賀京太郎かい?」 京太郎「あなたは……」 誠子「あいつの先輩さ。亦野誠子。二年で先輩だけど敬語はいいよ」 京太郎「いえ、そういう訳には……」 誠子「ふーん、聞いていたのよりは真面目だねぇ。ま、いいさ」 誠子「ついでだ、少し話そうか……須賀」 誠子「君も知っての通り、淡のことだ」 京太郎「…………っ」 誠子「その反応から察するに、何かあったんだね。さっき会ったんだけど何かこの世の終わりみたいな表情をしていてね」 京太郎「そうっすか……」 誠子「君なら原因を知っているんじゃないかって思ってさ。こうして、聞いたということさ」 誠子「こういうのは宮永先輩や弘世先輩がやるべきことだと思うけど……どっちも口下手だしね。 私みたいなので勘弁してくれ」 誠子「さてと、まー出会ったばかりでなんだが、腹を割って話してみないかい?」 京太郎「…………す」 誠子「お?」 京太郎「わかんないんです……俺がアイツのことをどう思っているか」 京太郎「最初は違った。こいつと話していたら、麻雀で何か盗み取れるんじゃないか」 京太郎「強くなりたいから。ただ、それだけで仲良くなったんです」 誠子「……それで?」 京太郎「いつの間にかに、麻雀よりも……あいつの笑顔がちらつくようになったんです」 京太郎「胸が熱くなる、あいつと話していて楽しい」 京太郎「自分がついた嘘が嘘になる感覚が日に日に増していく……!」 京太郎「あいつのことをどうとも思っていない俺が嘘なのか、強くなりたいと願う俺が嘘なのか」 京太郎「……淡のことを好ましく思っている俺が、嘘なのか」 京太郎「わかんないんです、だから……俺は、遠ざけた」 京太郎「これ以上、自分自身がわからなくなるのが怖くて。痛くて」 京太郎「本来の俺は、弱っちい奴なんでこういう様ってことで」 誠子「……ふむ」 誠子「つまりだ、君は大星のことを考えると楽しい、胸が熱くなってしまう、と」 京太郎「はい」 誠子「わかったよ。答えは簡単だ、少年、それは恋だね」 京太郎「故意ですか……わざとらしい」 誠子「お約束、ありがとう。違う違う、恋だよ。ラブアンドピースのラブさ」 京太郎「俺が、淡に対して恋してる?」 京太郎(いや、いやいやいやいやいやいや!!!!! ありえねぇって! 俺があいつに、恋!?) 京太郎「違、う? いや、俺は本当は……あ、ああっ」 誠子「否定、できないだろ? まぁ、見たところ初恋のようなものだし。戸惑うのも当然かな いやー、若いっていいね。私もこう見えても……」 京太郎「ちょ、こ、恋だなんて……何言ってるんですか」 誠子「聞いた感じ相思相愛でお幸せにって感じだけどね。 それに、私は強くなりたいと願う君の気持ちを否定していない。思うさ、私にも淡みたいな才能があれば、ってね」 誠子「その為に、何もかもをかなぐり捨てて。前に進もうと努力する君を否定することはできない……できるはずがないんだ」 京太郎「亦野さん……」 誠子「ははは、私のことは敬愛を持って誠子さんと呼んでいいよ?」 京太郎「何言ってるんですか」 誠子「そんな冷たい目で見ないでくれ。冗談だよ、冗談」 京太郎「ぷっ……」 誠子「やっと、笑ってくれたね。うん、さっきよりはましになったかな」 京太郎「おかげさまで。それよりも、」 誠子「ああ、本題に入ろう。大星のことについてだ」 誠子「今の淡は正真正銘の一人ぼっちだ。生半可の覚悟で臨んでも傷つけるだけだ」 誠子「あえて、問おうか。須賀、君に覚悟はあるかい? あいつの手を掴み取れる自信はあるかい?」 京太郎「いいえ、全く。こんな嘘つきで、自分の気持ちもはっきりさせれない野郎が掴み取れる可能性なんて、ゼロに近いでしょうね」 京太郎「だけど――限りなくゼロに近くても」 京太郎「行動しないと、始まらない。可能性も生まれない」 京太郎「俺は、行きます。あいつを迎えに、行く。それだけは、今の俺がやるべきことだってわかっています。 それが――俗に言う、王子様ってものでしょう?」 誠子「ははっ…………行ってこいよ、王子様。寂しがりやのお姫様を抱きしめてやってくれ」 京太郎「任されました。正直、柄ではないんですがね」 京太郎「でも、あいつだけの王子様になってみるのも悪くないんじゃないかなって。一瞬でも、強く思ってしまったんで」 京太郎「後悔はここに置いていきますよ、預かってくれません? っていうのは冗談が過ぎますね」 誠子「置いてけ置いてけ。いらんものは全部、私が引き受けとくよ。遠慮せず受け止めてやる」 京太郎「ありがとうございます……それじゃあ、行ってきます」タッタッタッ 誠子(ふっ、いい面構えになったじゃないか。頼むよ、王子様。私としても、生意気なあいつが寂しそうな顔をしてるのは辛いからね) 誠子(さてと、宮永先輩達には上手くいいくるめないとな……大変だけど、これも先輩と後輩を繋ぐ大事な役割の一環だ) 誠子(辛いなあ、こういう役柄は……ま、それで二人が幸せになってくれたらこの程度、苦労の内にも入らないさ) 誠子(頑張れ、少年。君の思いはきっと、届くさ) ######### 京太郎(あの時ついた嘘が何だったか。アイツの笑顔に対して、俺がちゃんと笑えていたか) 京太郎(もう、わかんないし思い出せもしねぇ、都合のいい脳みそだな、おい?) 京太郎(でも、はっきりしたもんもある。すっげー時間もかかった、まだ割り切りもできてるかどうかはわかんねーけど) 京太郎「今度こそ、真っ直ぐに向かい合おう。嘘と、淡と」 京太郎「とはいえ、あいつがいる場所なんて――――」 京太郎「――――わかっちゃうよな。きっと、あそこだよな」 京太郎(ドンピシャリ。やっぱりいやがった。俺達が最初に出会った場所) 京太郎「よう、お姫様。傘もささずに立ってると風邪ひくぜ?」 淡「…………なによ」 京太郎「答えを出しに来た」 淡「…………」 京太郎「はっきりしない気持ちを、お前に会って決めようって思った。俺が何を思って、何が大事で」 京太郎「嘘は、何か。本当なのは、何か」 京太郎「正直な、最初は全然お前のことを考えてなんていなかった」 京太郎「俺自身、どうやったら強くなれるか。淡達が立つ頂きに少しでも近づかないと」 京太郎「それだけだったんだよ。それ以外、何もない。ただ、それだけの話さ」 淡「…………それで?」 京太郎「だけど、だけど! 違うんだよ! お前と話していてすっげー楽しい!」 京太郎「お前の笑顔を見ていると心が暖かくなる! 俺の気分も上がってくるっ!」 京太郎「あああああああああ!!! もう、我慢できねぇ! いいか、俺は――っ!」 京太郎「お前のことが好きなんだ。淡、俺と付き合ってくれ」 京太郎「俺の答えは両方だ。お前も取って、俺は強くなる。 どっちか一つに無理に決めることなんざねーって気づいたんだよ」 京太郎「欲張りなんだよ、俺……淡のことも麻雀のことも諦めるなんて考えたくもない」 京太郎「今は、俺の方を見ていなくても絶対振り向かせる。強くなって、淡に見合うだけの男になる」 京太郎「ということだからさ、淡……今は戻ろう。亦野さんも心配してるから。 勿論、俺も心臓が止まるぐらい心配してたんだからな!」 淡「…………ょ」 京太郎「ん?」 淡「…………おそいよ、おそすぎるよぉ!」 淡「どうして、もっと早く言ってくれないの! 遅いんだよ……っ」 淡「何度電話をかけても通じないしっ! メールだって返事くれない!」 淡「それで、もうダメだって吹っ切ったのに……! せめて、せめて! ごめんって言いたかったのに!」 淡「京太郎のことを考えるのもやめる! 京太郎からもらったペンダントも捨てる! 京太郎のアドレスも消す! 京太郎に電話をかけることも、やめる……って決めたんだから……っ!」 淡「でも、できない、できないよぉ……っ! だって、だって!」 淡「私だって京太郎のこと、好きなんだもん! 好きに決まってるじゃない!」 淡「そもそも、察してよ! 好き好きオーラ出してたじゃない!」 京太郎「面目ない……つーか、謝るのは俺も同じだ。ごめん、淡。俺も無神経だった」 淡「ほんとだよ! バカ、バカ、ばああか! バーーーーカ!!!! ばああああああああああああああああああっっかっっっっ!!!」 淡「………………私だって、京太郎に嘘、ついてるよ」 淡「本当は京太郎のことだって最初は適当に遊んで捨てる感じのおもちゃにしか思っていなかった」 淡「振り回して、勝手に連れ出して。飽きたらどうでもいいやって」 淡「でも、ナンパから助けてくれた時、すっごく嬉しかった。何か今までと違う気分だった」 淡「それから。気がついたら、京太郎に電話して、メールして」 淡「…………いつのまにかに、おもちゃじゃない、一人の男の人として。京太郎を見ていた」 淡「ね? 私だって嘘つきだから。京太郎のことを一方的に責めるなんて無理」 京太郎「はっ、お互い嘘つきってことか」 淡「だね、あははっ……」 京太郎「それじゃあ、最後にお互い嘘でもつくか?」 淡「そだね。決別の意味も込めて」 京太郎「どうせだったら、いっせーので言おうぜ」 淡「いいね、それ! おもしろそー!」 京太郎「つく嘘は決めたか? 迷っているなら時間やるけど?」 淡「大丈夫、もう決めてるから」 京太郎「そっか。それじゃあ、いっせーのーで!」 『俺は、大星淡が嫌いだ』 『私は、須賀京太郎が嫌いだ』 京太郎「その嘘を、嘘にしても構わないよな? 淡」 淡「うん、京太郎。オールオッケー!」 京太郎「ははっ、それにしてもさ……お互いずぶ濡れでばっかみてーだな」 淡「全くもって! 傘ぐらいさしなよー」 京太郎「傘持ってないんだからしかたねーだろ」 淡「余裕のない男って嫌われるよ? あーあ、京太郎ってば一生独身だね」 京太郎「うるせー! 俺はお前以外の女に興味なんざねーっての」 淡「……ぅぅ、そういうこと平気で言う?」 京太郎「お前には嘘も隠し事もバレそうだし」 淡「はぁ……しょうがないなぁ」ギュッ 淡「このままだと京太郎も私も一人だし」 淡「わ、私が一緒にいても、いいよ?」 京太郎「なんで疑問形なんだよ?」 淡「だって! いざ言うと恥ずかしくて……んっ……!」 京太郎「…………っ」 淡「……ふぁ、ファーストキスが、い、い、いきなりすぎだよっ!」 京太郎「だって、こういうのって男からするもんだろ?」 淡「それにしても順序ってもの考えてよね!」 京太郎「ごめんごめん、隙だらけだったものでつい魔が差しました。反省してまーす」 淡「ぶーっ、もっとロマンチックにファーストは奪われたかったよぉ……」 京太郎「今更だろ、ったく……それじゃあ、帰ろうぜ。亦野さん達も心配してるだろうし」 淡「……うん。ねぇ、京太郎」 京太郎「どうした? 手をつないだままは嫌か?」 淡「そうじゃなくて! 京太郎さ、本当に私でいいの?」 京太郎「何を今更……それこそ、遅すぎるっての」 淡「私、すっごくわがままだよ? 生意気だし、可愛げもないし……」 京太郎「良くなかったらキスなんざしねーって。なぁ、淡」 淡「何よひゃわっ!」 京太郎「不意打ち成功ってね~。いやー、淡の口は狙いやすいわー」ケラケラ 淡「もーーーーー! 京太郎のバカ!」 淡「でも、大好き。うん、好き! これだけは本当だからね!」 京太郎「俺もだ。大好きだ、淡」 ――嘘と偶然で塗り固められた関係でも、この気持ちは変わらないから。 カン!
https://w.atwiki.jp/shienki/pages/1190.html
※白糸台ネタ ※※ビッグガンガン最新号(11/28現在)のネタバレを含みます 大星たん:ねぇねぇ、シャンプー何使ってる? 紫炎姫:また突然ね… ステルスモモ:100年生さん、こんばんはっす 大星たん:うん、こんばんは 大星たん:で、シャンプーは? 紫炎姫:…… ステルスモモ:あ、私はピーt 大星たん:待った、言わなくてもいい! ステルスモモ: 紫炎姫:……何がしたいのよ 大星たん:皆が使ってるシャンプー、当ててあげるから! 紫炎姫: 紫炎姫:…どうやって? 大星たん:嗅いで 紫炎姫:嗅ぐの!? 大星たん:テルーが 紫炎姫:しかも他人任せ!? てる☆てるさんが入室しました ~で~ 大星たん:と言う訳で、白糸台の誇る利きシャンパーだよ! てる☆てる:……… 紫炎姫:…シャンプーを嗜む人でシャンパーは多分違うと思うんだ ステルスモモ:しかも利きシャンプーとか初めて聞いたっす てる☆てる:……… 大星たん:いやでもすごいんだよ! 大星たん:私の使ってるシャンプーとか一発だったし! ステルスモモ:ちなみに100年生さんは何使ってるんすか? 大星たん:つ サロンS・I・Dのオリジナル 紫炎姫:…… 紫炎姫:サロン白糸台? 大星たん:ちっがーう!何そのダサい名前のサロン!! てる☆てる:…… ステルスモモ:じゃあ何の略称なんすか? 大星たん:……それは、知んないけどさ 紫炎姫:じゃあ白糸台でいいじゃん 大星たん:よくないのっ!! てる☆てる:…… てる☆てる: (※お菓子美味しい ~で~ 大星たん:まぁ、さておき! 大星たん:皆のシャンプー当ててみせるから、さぁ頭を出す!! 紫炎姫:……いや、出せと言われても ステルスモモ:……モニター越しで何をどうすればいいんすか 大星たん: 大星たん:モニター越しでもテルーなら出来るよね? てる☆てる:無理 大星たん:えぇー 紫炎姫>ステルスモモ:……どうしてこう麻雀強いのはポンコツが多いんだろう ステルスモモ>紫炎姫:……チャンピオンがアレだからじゃないんすか? ~で~ 大星たん:だったら、直に嗅げる距離まで集まればいいじゃん! 大星たん:てなわけで今から集合! 紫炎姫:……行かないからね? 大星たん:えぇー、今ちょうど東京にいるんだしいいじゃんー 紫炎姫:嫌よ面倒くさい… ステルスモモ:頭嗅がれに行くオフとかちょっと斬新すぎるっすよ 大星たん:どうせ予選落ち組は暇してるんでしょ? 紫炎姫:……言ってくれるわね ステルスモモ:まぁ、間違ってないんすけどね!! 大星たん:ねぇ、テルーからも何とか言ってよー てる☆てる:…… てる☆てる:淡 大星たん:うん! てる☆てる:私もそろそろ晩御飯の時間だし 大星たん: 紫炎姫:はい、解散 ステルスモモ:お疲れ様っした 九月愛さんが入室しました ネオ緑茶さんが入室しました ~で~ 九月愛:……まったく、なにバカな事しようとしてるんだ 大星たん:菫先輩ヒドい!? ネオ緑茶:淡もダメでしょ… 大星たん:たかみー先輩まで! ネオ緑茶:…… ネオ緑茶:宮永先輩を知らない場所に連れ出したら迷子になっちゃうでしょ…? 大星たん:だから私らのホテルに集合させようとしたもん!! ネオ緑茶: ネオ緑茶:それなら良し… 大星たん:えっへん! 九月愛:……いや、何一つとして良くないからな? 紫炎姫>てる☆てる:……言われてるけど、チャンピオン? てる☆てる>紫炎姫:手繋いでてもらえれば迷わずにいける自信がある…! ステルスモモ:……… ~で~ ステルスモモ:しかし、最近ラスボスっぽさがなくなってきたっすね 九月愛:何の話だ…? ステルスモモ:いや、白糸台の話っすよ 紫炎姫:あー… てる☆てる:? ネオ緑茶:? 大星たん:? ステルスモモ:それこそ昔は王者の貫禄とか漂ってたもんすけd ドリルさんが入室できませんでした 大星たん:? 紫炎姫>大星たん:…放っておいていいから ステルスモモ:改め、王者の貫禄ってかオーラがあったもんすけど ステルスモモ:最近はさっぱりじゃないっすか? 九月愛:…いや、そう言われても自覚がないんだが ステルスモモ: ステルスモモ:アニメ一期の時の険悪な控え室とか 紫炎姫:うんうん てる☆てる:……… 大星たん:何それ? ステルスモモ:つ OII 紫炎姫:つ WII 大星たん: 大星たん:何それ? ステルスモモ:……最近はこのネタも通用しなくなってるんすね 紫炎姫:……使わなくなって早どれだけだしね てる☆てる:……… 九月愛:……… ネオ緑茶:……… 大星たん:? ~で~ 大星たん:険悪な空気だなんてそんなの全くないよね? 大星たん:今日だって皆で女子会してたし ネオ緑茶:そうね… 九月愛:……ただただ菓子を貪ってただけだろうが てる☆てる:明日もまた開こう 紫炎姫:…… ステルスモモ:…… ~ てる☆てるさんが入室しました てる☆てる:きゃっほー☆彡てる☆てるがあっそびにきたよー☆彡 九月愛:OII ネオ緑茶:OII てる☆てる: てる☆てる: (※ガスターさんいつもお世話になっております ~ 紫炎姫:↑の光景は幻か何かだったの…? 大星たん:うわ、テルーがこんななわけないじゃん てる☆てる: 九月愛:…… ネオ緑茶:…… ステルスモモ:…… ~で~ 九月愛さんが退室しました 大星たんさんが退室しました てる☆てる:……頼むから勘弁して 紫炎姫:お ステルスモモ:お てる☆てる:……淡の前でネット上の人格とか出せるわけないじゃない 紫炎姫:おはようてる☆てる ステルスモモ:……実の妹の前ではネットでしかお話できない人の言うセリフっすか てる☆てる:ぐ… てる☆てる:でも紫炎姫ちゃんだって、昔みたいにネット弁慶じゃないよね 紫炎姫:……それを言われると てる☆てる:奇乳だって、最近は気味悪いくらいに丁寧な喋り方なってるし ステルスモモ:あー、あれ素なんすよ ~で~ 紫炎姫:……で、結局のところどういうことなのよ? てる☆てる:何が? 紫炎姫:…… 紫炎姫:チーム虎姫内の空気って悪かったんじゃないの? てる☆てる:…… ステルスモモ:それでいたたまれなくなって長野女子部屋に避難してたんじゃないんすか? てる☆てる: てる☆てる:ほら、あの頃ってキャラも固まってなk 紫炎姫:……メタなこと言ってないで、早く答える てる☆てる: てる☆てる:そう、アレは東京都予選が始まる前のこと… ステルスモモ:何か語りはじめたっすよ ~ 九月愛:そろそろ予選も近いし、気を引き締めろよ ネオ緑茶:わかりました… てる☆てる: (※ポリポリポリポリポリ 九月愛:…… 九月愛:尭深 ネオ緑茶:何ですか…? てる☆てる: (※パリパリパリパリパリパリ 九月愛:……亦野と大星はどうした? ネオ緑茶:前者は遠洋漁業、後者はコンビニにお菓子買いに行きました… 九月愛:…… てる☆てる: (※サクサクサクサク てる☆てる:淡の家の近くのコンビニってお菓子類豊富だよね てる☆てる:いくつか買ってきて貰ってるから明日のおやつはそれにしよう 九月愛:照 てる☆てる:うん、ちゃんと菫の好きなお菓子もちゃんと頼んでおいたかr 九月愛:照 九月愛:明日から部活中のお菓子禁止な てる☆てる: てる☆てる:何故 九月愛:チームの気を引き締めるためだ てる☆てる:それとこれは全く関係ないよね? 九月愛:エースのお前がお菓子ばっかり食べて弛んでるから部の空気もたるんでるんだ! てる☆てる:…それは暴論 九月愛:この間なんかお前部活中にお菓子しか食べてなかっただろうが!? てる☆てる:……1年の力程度を観察していただけ 九月愛:そんなものとっくに鏡で写しただろうに 九月愛:とにかく、明日からお菓子は禁止だ ~ てる☆てる:菫ってばひどいよね 紫炎姫:……いや、むしろ禁止されるほどってどれだけ食べてんのよ ステルスモモ:太るっすよ? てる☆てる: てる☆てる:実は腕を高速回転するときのエネルギー源 紫炎姫:!? ステルスモモ:!? てる☆てる:まぁ、それは冗談なんだけど てる☆てる:部活中のお菓子が禁止になった結果、、、 ~ 九月愛:…… ネオ緑茶:…… てる☆てる:…… 九月愛: 九月愛:尭深 ネオ緑茶:何ですか…? 九月愛:……亦野と淡はどうした? ネオ緑茶:つ 『河が私を呼んでいるから!!』 ネオ緑茶:つ 『ミーティング中もお菓子食べちゃダメなら私出なーい』 九月愛: ネオ緑茶:つ 『たかみ(先輩)、うまく誤魔化しておいて!』 九月愛: 九月愛:…アイツら明日射抜いてやる てる☆てる:…… てる☆てる:お菓子を開放したら淡は来るようになると思う… 九月愛:却下だ てる☆てる:……お菓子がないと和やかさが足りなくなる 九月愛:…… 九月愛:照 てる☆てる:何? 九月愛:……和やかさが足りないどころか一年が怯えてるから何とかしろ てる☆てる:? 九月愛:お前の顔だ、顔 ネオ緑茶:部活中ずっと極悪人みたいな顔になってますね… てる☆てる: てる☆てる:そんなことはない 九月愛:いや、なってるぞ 九月愛:おかげで最近の部活中の空気が重いってレベルじゃないんだが ~ 紫炎姫:てる☆てるのせいじゃん!? ステルスモモ:……どシスコンさんが険悪な空気作ってたんすね てる☆てる:そんなことはない てる☆てる:まぁストレスが溜まってたのは認めるけど 紫炎姫>ステルスモモ:極悪人みたいな顔ってどんなのよ… ステルスモモ>紫炎姫:つ 一期DVD8巻パケ参照 ~で~ てる☆てる:まぁ、その後なんだかんだでお菓子もまた食べていいようになったし 紫炎姫:…私が逆の立場でもそうするよ ステルスモモ:……そうっすねー てる☆てる:めでたしめでたし てる☆てる: (※サクサクサクサクサクサキサクサクサクサクサク ネオ緑茶:弘世先輩 てる☆てる: 九月愛さんが入室しました 九月愛:…照 てる☆てる: 九月愛:……学校であれだけ食べてるんだから家では控えろって言ったよな? てる☆てる: てる☆てる:食べてない ネオ緑茶:食べてましたよね てる☆てるさんが退室しました ネオ緑茶:あ、逃げた 九月愛:逃がさん!どこに逃げようが射抜く!! 九月愛さんが退室しました 紫炎姫: ステルスモモ: ネオ緑茶:それじゃ、私もそういう事で… 紫炎姫:…待って ネオ緑茶:何? ステルスモモ:……詰まる所、どシスコンさんがシャープシューターさんから逃げる理由って ネオ緑茶: ネオ緑茶:つ 『お菓子食べたい』『ダメ』 紫炎姫: ステルスモモ: ネオ緑茶:…あの人、放っておくと際限なく食べるから 紫炎姫: ステルスモモ: ~ 超会長:黒糖スイーツも美味しいわねぇ はるまき:でしょ… はるまき:黒糖プリンとかもオススメ… roof-top:色々あるもんじゃのぅ 酢だこ:タコスはないのか みやながさき:プリン、、、か、、 のどっち:美味しそうですよね みやながさき:あ、うん、、そうだよね みやながさき: みやながさき: (※お姉ちゃん、まだ私がプリン食べちゃった事を怒っt そんなこんなな話 ……… ないない、ノーウェイノーウェイ ちなみに、 てる☆てる:プロ麻雀のおせんべいも美味しいよね てる☆てる:カードには興味ないけど、おせんべいは色んな味があって大好き むっきーさんが入室しました 夏星さんが入室しました 紫炎姫:カードはどうしてるの…? てる☆てる:あぁ、部の皆に欲しい子いるからあげてるよ むっきーさんが退室しました 夏星さんが退室しました ステルスモモ:……… ついでに、 てる☆てるさんが入室しました てる☆てる:やっほー!てる☆てるだよー!! 紫炎姫:…… 紫炎姫:ダメだ、素のを知ってると違和感しか出ない… てる☆てる:…… てる☆てる:今のが素なんだけど 紫炎姫:!? てる☆てる:冗談 紫炎姫:……胃が痛くなるような冗談はやめて てる☆てる:ガスター飲む? 紫炎姫:いらない 紫炎姫:…と言うか、本当に飲んでるの? てる☆てる:? 紫炎姫:……飲んでるイメージすら湧かなくなってきたんだけど てる☆てる: てる☆てる:最初はお菓子が禁止されたからラムネの代わりn 紫炎姫:ちょっと待って てる☆てる:そしたら段々と胃の方が荒れてきたので、それを治すためn 紫炎姫:だからちょっと待ってってば ……… ないない、ノーウェイノーウェイ 紫炎姫さん段々とお姉様口調になってるからなあ。そういえばのどっちが出てこなくなった辺りかr…まさか中の人が入れ替わっt -- 名無しさん (2012-11-29 00 08 01) マッドアングラーさん今回はどこに釣りに行ってるんだろう(遠い目 -- 名無しさん (2012-11-29 01 05 36) …そのHNだったら、まぁ、ジャブローだろうな。しかし紫炎姫さん、シャンプー答えてないって事は、、、 -- 名無しさん (2012-11-29 17 10 01) たかみーはイメージしやすかったんだろうなあ…。でも、虎姫に対して部員が列を作ってお辞儀してたのは事実だぜ。 -- 名無しさん (2012-11-30 07 24 59) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3867.html
照と洋榎はプロにいる設定です 須賀京太郎、3年生の夏 京太郎「っしゃー!!来たぜ東京!!」 咲「ちょっと京ちゃん!はしゃぎすぎだよ!」 和「もう、そもそも何回も来てるじゃないですか」 京太郎「お前らと違うんだよ。やっと自分の力で県大会も勝ち抜いて、全国に来れたと思うと嬉しくてな」 咲「そっか。今まで私達の付添だったもんね」 京太郎「ああ。だけど今年は違うぜ!俺は自分の力でここに来たんだー!」 和「だから静かにしましょうって。後輩たちも見てるんですよ」 優希「しょうがないじぇ。京太郎の念願だったし、好きにさせてやるのがいいじぇ」 咲「うん。京ちゃん本当に嬉しそうだしね」 京太郎「ああ。嬉しくって出場が決まった時はいろんな人に言っちまったよ」 和「はい?」 京太郎「はしゃぎすぎだったかな。みんな一度は来てるのにな」 優希「お、おい。そのいろんな人っていうのは…」 京太郎「ああ、今まで麻雀で知り合った人達だな」 衣「トーカ!東京行くぞ東京!」 透華「ええ、もちろんですわ!ハギヨシ、準備なさい。理由?京太郎くんの応援に決まってますわ!」 桃子「あ、蒲原元部長っすか?モモっす。ちょっと東京に応援に行きたいんでまたお願いできないかと……鶴賀全員で?いいっすね!!」 いちご「東京?そんなん考慮しとらんけど……行かんとね」 姫子「ぶちょ、じゃなくて哩さん!早く行きましょう!」 哩「待て待て。私らは応援に行くとやけんな?忘れ物とかなかか?鎖と首輪入れたか?」 初美「はい?姫様と六女仙全員も行く?私だけじゃないんですかー?私一人で応援したかったですー」 洋榎「今度の試合は東京?ええでー!ちゃんと応援する時間はあるんやろな?誰のって?姫松と京太郎に決まっとるやん!!」 淡「ごめーん、ちょっと行ってくるねー!え?清澄だよ?敵?男子だからだいじょーぶ!!」 照「はい、今度のインターハイは私としても注目している選手が多いのでスケジュールを調整して会場まで見に行きたいと思っています」 照「最後に一言?……京ちゃん、応援してるから頑張ってね!」 その年のインターハイ男子個人戦には、やけに多くのプロやインターハイ出場経験者が応援に来ていたとか 京太郎「なんか人多いな……誰か有名な人でもいんのか?」 咲「……京ちゃんだよ」 カンッ!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6421.html
京太郎「特に用はないけど、売店まで来てみたぞ」 京太郎「お菓子でも買っていこうかな」 買えるもの 1.女性を落とす40の方法 1000円 2.プロ麻雀せんべい 100円 3.ポッキー 200円 4.たけのこの里 200円 5.きのこの山 200円 6.近藤さん 500円 7.プリン 200円 8.(自由) 京太郎「せんべい、ポッキー、たけのこ、きのこっと」ポイポイ 京太郎「こんくらいでいいか」 「お次のお客様ー」 京太郎「あ、はーい」 「えっと、おせんべいが一点、たけのこが一点、ポッキーが一点、きのこが一点……」 京太郎(可愛い店員さんだな、ちょっと日に焼けてるけど目が蒼くて綺麗で……外人さん?) 「……えっとぉ……」カァァ 京太郎「どうかしまし……えっ」 近藤「いつ使ってくれるん?」 京太郎「」 京太郎「ちょっと外に出てきてみたけど……」 ピュゥー 京太郎「秋ともあって寒いなー」ブルブル 良子「あー疲れたー」グデー 京太郎(良子さん?ベンチに寝転がってるけど) 京太郎(あのままじゃ……) 京太郎(スカートがめくれて……ぐふふ) 京太郎(よし、ダンボールを持って来よう) ダンボール「」ゴソゴソ ダンボール(ターゲット捕捉!風来を待たれたし!) ピュウー ダンボール(来たっ!) 良子「…………」 良子「京太郎?」ジトッ ダンボール「違う!俺は京太郎ではない!」 良子「その声は京太郎のボイス」 良子「そんなところで何してるの?」ジトッ ダンボール「え、えっと、これにはマリアナ海溝よりも深ーいわけが……」 良子「ふんっ」ゲシッ 良子「京太郎のエッチ!変態!ド変態!」ゲシッゲシッゲシッ ダンボール「痛い!痛いです!あ、でも見えそう!てかなんか気持ちいい!」 良子「ふんっ!」ゲシッ 京太郎「痛たたた、良子さんの蹴りはなんであんなに重いんだ?」 京太郎「傭兵だったとか聞いたことはあるけどさぁ……」 京太郎「ちょっと寝よ、15分くらい」 夕 京太郎「ちょっと小遣い稼ぎに行ってこよっかな」 おっさま「ほな今日も頑張ってな」 京太郎「あんまりいられないんですけどね」 おっさま「客寄せパンダとしては十分やで」 カランコロン おっさま「お客さんが来たみたいやから、接客よろしくなー」 京太郎「いらっしゃいませー」 洋榎「近場にこないなところあったんやなー」 絹恵「せやねー、って須賀くん!?」 洋榎「京太郎、何しとるん?」 京太郎「何ってバイトですよバイト」 洋榎「へー京太郎みたいなんも働けるんやなー」 京太郎「ナチュラルに酷くないですか?」 絹恵「せや!須賀くん、一緒に打たへん?」 京太郎「はい、別にいいですけど」 おっさま「せやったらワイも入らせてくれるか?」 洋榎「別にええでー」 絹恵「ちょっ、お姉ちゃん失礼やって」 おっさま「ええってええって、ほな始めよか」 結果 京太郎 43800 洋榎 20700 おっさま 17900 絹恵 17600 おっさま「ロン、3900や」 洋榎「三確て、何がしたいん?」 おっさま「須賀ちゃんが高いの和了りそうやったさかい、堪忍な、妹ちゃん」 絹恵「せっかく勝てると思うとったのにな、あはは」 京太郎「俺も……なんかすみません」 洋榎「なんかって何やねん、負けたウチらが悪いんや」 絹恵「せやね……あっ」 絹恵「せや、私ら須賀くん呼びに来たんやった」 京太郎「俺をですか?」 洋榎「あーせやせや、最終戦に向けた練習やって、まあ来るかどうかは自由やけど」 京太郎「ならメールとかで良かったんじゃ?」 洋榎「……せ、せやな」 夜 京太郎「懐も温まったしどっかいきたいけど……」 京太郎「やっぱり練習に行くべきだよな」 京太郎「最後の練習つってもすることないしな……」 京太郎「適当に空いてる人と話してみるか」テクテク 絹恵「はぁ……」ズーン 京太郎「なんでため息なんて吐いてるんですか?」 絹恵「ん、須賀くんか、何でもないで」 京太郎「そうなんっすか?」 京太郎(なんでもないようには見えないんだよなぁ) 京太郎(やっぱりさっきの雀荘のことなのか?) 京太郎(そうだとしても、俺が蒸し返してもな……) 絹恵(最近上重さんにも勝てるようにもなってきて、お姉ちゃんにも須賀くんにも勝てるかな、って思うとったけど) 絹恵(私……まだまだやな) 絹恵「……はぁ」 京太郎「そういえば、絹恵さんの胸って大きいよな……」ゴクリ 絹恵「へっ?」 京太郎「えっ?」 京太郎「……あっ」 絹恵「…………///」カァァ 京太郎「……その、すみません……」 絹恵「ほんまやで、須賀くんの……えっち」 京太郎「いや、つい口が滑ったというか、えっと……」モジモジ 絹恵(須賀くんも、前は私と同じやったんやんな……) 絹恵(せやから私を励まそうと……)※違います 絹恵(なんや、私がアホみたいやん) 絹恵「……ぷっ、あはははは!」 京太郎「ええっ!?どうしたんすか急に!」 絹恵「ううん、なんでもないなんでもない」 絹恵「須賀くんのおかげで元気出たわ、おおきに!」 京太郎「?」 絹恵「ほなまた頑張って来るわー!」 京太郎「??」 京太郎「何だったんだ一体」 「ロン」 「ツモ」 「ロン」 絹恵「あぅぅ」 絹恵「全っ然勝てへん……」 京太郎「でしたら俺が力になりましょうか?」 絹恵「また須賀くんかぁ」 京太郎「また、って何ですかまたって」 絹恵「その提案は嬉しいんやけど……悪ぅない?」 京太郎「俺が一番暇ですからね、なんでもござれですよ」 絹恵「ほんまにええの?」 京太郎「もちろんです!」 絹恵「んー……せやったら、お願いしよっかな」 京太郎「じゃああそこの卓で打ってみましょうか」 絹恵「うん、よろしくな!」 絹恵「流局やね」 絹恵「ツモ……えっと、2000オールやったっけ?」 絹恵「あ、親流れてしもた」 京太郎「絹恵さんって普通に上手くないですか?」 絹恵「お姉ちゃんとかお母さんに比べたらまだまだやって」 京太郎「絹恵さん、洋榎さんとか監督とかと相対比較してたって疲れるだけですよ?」 絹恵「あはは、浩ちゃんと同じこと言っとるわ」 京太郎「でも絹恵さんって中学までサッカー一筋だったんでしょう?それでインターハイまで出たんだから十分凄いですって」 絹恵「そういう京太郎くんやって今までそういう大会出とらんかったらしいやん、そっちこそ凄いと思うで」 京太郎「いやいや絹恵さんこそ」 絹恵「いやいや京太郎くんこそ」 京絹「「ぷっ」」 京絹「「あはははははは!」」 京太郎(……ん?京太郎くん?) 【二日目】終 【三日目】 チュンチュン 京太郎「もう朝か……なんか胸のあたりがきついな」 洋榎「むへへ……ウチも大きくなったで……」ギュゥ 京太郎「なんで洋榎さんが俺の布団の中にいるんだ?」 京太郎「それに背中になんかポチポチ当たってるのがあるし」 洋榎「むにゃむにゃ……」ギューッ 京太郎「……まあいっか」 京太郎「どんな夢見てんだろ」 京太郎「することもないし洋榎さんと何かするか」 洋榎「どやーおっぱいミサイルー……むへへ……」 京太郎「つってもこの調子だからな……」 京太郎「いや、どうせだからイタズラでもしてみよっかな?」 京太郎「うむむ、どうしよう」 洋榎「きぬぅ~……」ギュゥ 京太郎「この状況はあれだ、昔照たちと寝たときみたいな感じだ」 京太郎「そう思うと何かしたくなるな……」 京太郎「洋榎さんって背はあんまり高くないし、胸も足りないけど、可愛いよな」 京太郎「…………」 京太郎「そうだ、ひたすらからかってみよう」 洋榎「ん……」 洋榎(朝?) 洋榎(でもまだ寝てたいな……布団も気持ちええし、抱き枕やって……ん?) 洋榎(ウチ、抱き枕なんか持っとったっけ) 京太郎「洋榎、可愛いよ」 洋榎「へっ?」 京太郎「ポニーテールもジト目も元気なところも可愛い」 京太郎「愛してるよ」イケメンヴォイス 洋榎「な!なんやいきなり!///」ガバッ 京太郎「もう起きちゃったんですか、これからたっぷり話そうと思ってたのに」 洋榎「う、うっさいわアホ!」カァァ 京太郎「ああ、そうやって顔赤くするのも可愛いです、実にいいです」 洋榎「何なんやもう……」 京太郎「洋榎」 洋榎「さっきからなんで呼び捨てなんや!」 京太郎「洋榎、好きだ」キリッ 洋榎「あぅ……ぁぅ……」プシュー 京太郎(勝った!任務成功だ!) 京太郎(あとはネタばらしをして……) 洋榎「……う、ウチも、京太郎が、そこまで言うんやったら……その……///」ゴニョゴニョ 洋榎「って何言わすんやアホ!」 京太郎(あ、マジで可愛いかも) 京太郎「暇なのでジェンガしましょうジェンガ!」 洋榎「別にええけど」プイッ 京太郎「もうそろそろ機嫌直してくださいよー」 洋榎「誰のせいや、ったく」 京太郎「だからずっと謝ってるじゃないっすかー」 洋榎「京太郎のアホ」ボソッ 京太郎「あーはいはい、じゃあこうしましょう」 京太郎「ジェンガで勝った方が負けた方を自由にできる、これで洋榎さんが俺に勝てば煮るなり焼くなり好きにすればいいですよ」 洋榎「う……それは……」 京太郎「あれ?怖気づいたんですか?天下の洋榎さんともあろうお方が?」 洋榎「ふん!ええわ!やったるわ!後で半べそかいても知らんからな!」 京太郎「それじゃあ準備しましょうか」 京太郎「この俺が……負け、た……?」 洋榎「ほな言いだしっぺの京太郎にはウチの足をマッサージしてもらおかなー」 京太郎「脚ですか?」 洋榎「ウチよく走っとるやろ?せやから疲れるんや」 京太郎「ああ、控室に帰ってくるときとかいつもそうですもんね」 洋榎「へーよう見とるやん」 京太郎「ケガしないかどうか心配なので」 洋榎「なんやそれ、ウチが子供みたいやん」ブー 京太郎「実際そうじゃないですか」 洋榎「何やとー!」 京太郎(足って言われても、どこをやればいいんだ?) 京太郎「じゃあさっさとやっちゃいますね」 京太郎(短めの寝巻でよかった)モミッ 洋榎「んぁっ!ど、どこ揉んどるんや!」 京太郎「どこ、って脚ですよ脚」 洋榎「足言うたら普通足の裏とかや、んっ、ろ!」 京太郎「足も脚も耳で聞いてわかるわけないじゃないですか、洋榎さんの自爆ですよ」モミモミ 洋榎「くすぐったいから、やめぇ……」 京太郎「嫌ですよこんなにスベスベで気持ちいいのに」 洋榎「すべすべ……ウチが?」 京太郎「また洋榎さんの良いとこ見つけちゃいましたね」 洋榎「あ、あれは冗談やろ?」 京太郎「洋榎さんが可愛いのは事実ですよ?」 洋榎「ほぇ?」 京太郎「じゃあマッサージやってる間に順々に挙げていきましょうか」 洋榎「は、恥ずかしいからやめてぇ!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「はい、終わりです」 洋榎「おおきに……」プシュー えり「やって参りました、国民麻雀大会地区選抜団体戦三日目」 えり「実況は私、針生が、解説は大沼プロがお送りいたします」 秋一郎「…………」 えり「大沼プロ、何か一言、どうぞ」 秋一郎「…………」 えり「えーっと……」 えり「それでは各地区の紹介です」 秋一郎(何なんだこれは) 秋一郎(今年に入って鹿児島選抜の解説では女子アナウンサーと組み) 秋一郎(この大会では生娘たちの世話を見て) 秋一郎(挙句の果てにまたアナウンサーと組んで決勝戦の解説とは……) 秋一郎(まあ憧れの福与アナじゃないだけよかったか) 171 名前: ◆r05KxLrr0E[] 投稿日:2013/04/14(日) 18 22 05.46 ID bNhMmQbko [11/29] トシ「みんな、準備はいいかい?」 豊音「もちろんです!」 塞「トヨネ、いつになく張り切ってるね」 豊音「だって、みんなとまた戦えるんだもん!」 胡桃「いやーそれにしても東北選抜をあたしらがほぼ独占しちゃうなんてね」 トシ「私らと有珠山くらいしかいい成績を残せてなかったからねぇ」 白望「そろそろ試合……だる」 塞「まあまあそう言わないの、私だって結構疲れるんだから」 トシ「そろそろ時間だね、行ってきな」 塞「はい!」 穏乃「いつも通り頑張ってください!」 灼「ファイト」 玄「頑張るのです!」 宥「うん、お任せあれ!なんちゃって」 晴絵(大星淡に荒川憩、か) 晴絵(頑張れよ、宥!) 淡「今日もぽんぽん取って来るよ!」 菫「油断はするなよ」 淡「わかってるわかってるー」 智葉「本当にわかってるのか?」 淡「まあいざとなればテルもいるわけだしね!」 照「お菓子、いる?」 淡「あー!ありがと!」 照「霜崎さんも」 絃「ありがとうございます」ペリッ 絃「…………砕け散ってる」 憩「今日は勝ってくるさかい、待っとってな!」 洋榎「またウチが取り返すんやから別にええでー」 咏「うっはー、すんげえ自信だねぃ」 怜「私らも頑張らへんとな」 郁乃「せやで~憩ちゃんファイト~」 憩「ほな行ってきますーぅ!」 172 名前: ◆r05KxLrr0E[] 投稿日:2013/04/14(日) 18 31 09.45 ID bNhMmQbko [12/29] 憩(ウチが一番乗りか……) 宥「あったかくない……」ガクガク 塞「あっ、もう席決め始めてます?」 憩「まだですよ、先どうぞ」 塞「どうもすみません、それじゃあこれかな!」 宥「じゃ、じゃ「あーっはっはっは!」」 淡「んっふー、チミたち早いねえ感心感心」 淡「今日も大星淡ちゃんが大勝しちゃうんだから!」 塞「あっ、はい」 宥「北……あったかくない」 憩(いいように流されとるなー) 東一局 淡 100000 憩 100000 塞 100000 宥 100000 憩(淡ちゃんにリードさせたらまた好き勝手にやられる!) 憩(そうはさせへん!)ピキィィン! 憩「リーチ!」 【孔穿つ閃光】発動! 塞「!」ゾクッ 塞(東一局で出しちゃうかーそれをー) 塞(まあ私も負けられないから) 塞(塞ぐよ!)カッ 【幻想塞ぎ】発動! 【孔穿つ閃光】の効果が書き換えられます 憩(全然来る気配がしいひん……どういうことや) 憩(何かに道を遮られてるみたいな) 憩(ウチを誰かが邪魔してる……みたい) 憩(何なんや一体!)トン 淡「ロン、3900」 憩「う……」 塞(何これ、きっつい……) 【孔穿つ閃光】を発動したため、憩の聴牌判定と和了判定が下がった! 【幻想塞ぎ】を発動したため、塞の雀力が下がった! 東一局一本場 淡 104900 憩 95100 塞 100000 宥 100000 (3900+供託棒一本) 淡「ツモ、1100オール」 塞(他の人が聴牌に向かってる間に和了ってるってさ……) 塞(ちょっとずるいよそれ) 宥(あったかくない……) 憩(くっ……) 淡「連荘連荘~♪」 東一局二本場 淡 108200 憩 94000 塞 98900 宥 98900 憩(このまま三連荘なんてさせへん!) 憩(もう一回や!) 憩「リーチ!」ピキィィン! 塞(荒川さん、また使うんだ……) 塞(でもこのまま行くよりさっさと流すべきだよね) 塞(んじゃ、いっか) 【孔穿つ閃光】発動! 憩「嶺上ツモ、リーチ一発の責任払いの8000は8600」 えり「荒川選手はリーチをかけると特殊な役が付くことが多いですね」 秋一郎「…………」 秋一郎(確かに、リーチの後は一発ないしは裏、海底などおかしな役ばかりだ) 秋一郎(天江衣や神代小蒔と比べると火力は劣る、だが彼女らとは何か本質が違う) 秋一郎(彼女から和了った者はその力を出せなくなり、彼女に和了られた者はツキを失う) 秋一郎(天江衣たちが牌を支配しているというのなら、彼女はまるで対戦相手を支配しているよう……) 秋一郎(って何を考えているんだ儂は) えり(何を考えているんだろう) 東二局 淡 108200 親 憩 102600 塞 98900 宥 90300 全員ノーテンのため、流局 淡(まだまだ大丈夫だよね、減らされてないし) 憩(このまんまやと親流れてまう……) 塞(後何回行けるかな……) 宥(あったかい牌、来ない……) 東三局一本場 淡 108200 憩 102600 親 塞 98900 宥 90300 塞(大星さんにも荒川さんにも動きは見られないね) 塞(勝負は南場かな) 塞(よっし、これでテンパイ)トン 憩「ロン、3900は4200」 塞「うっわーい……」ガクッ 東四局 淡 108200 憩 106800 塞 94700 親 宥 90300 全員ノーテンのため、流局 宥(玄ちゃん……私、全然だめだよぉ……) 憩(六向聴はやっぱりきついって……) 塞(また流局かー) 塞(ま、誰かが大きいの和了るよりは十分マシなんだけどさ) 淡(出そっかなー、どうしよっかなー)ウムム 南一局一本場 淡 108200 憩 106800 塞 94700 親 宥 90300 宥(あったかい牌はそれなりに来てる……) 宥(でもぉ、全然聴牌できないよぉ……)トン 憩「ロン、2600は2900」 宥(あうぅぅ……) 憩(このまま安定でいったる!) 淡(ケイがまた頑張ってるね♪) 淡(でもまだまだ!) 南二局 淡 108200 親 憩 109700 塞 94700 宥 87400 宥(また手が進まないよ……) 淡「ポン」 塞(なーんかやばそうな感じ) 淡「来た来た!カン!」スチャ 淡「む~嶺上ならずか~」トン 憩(親やからテンパイしたいんやけどな……) 淡「あっ、ツモ!2000・4000」 塞(……もうやるか) 【幻想塞ぎ】発動! 南三局 淡 116200 憩 105700 親 塞 92700 宥 85400 塞(荒川さんが高そうな感じ) 塞(私はテンパイできてないからそっちは任せて、こっちは……っ!)カッ! 淡「!?」 淡(何……?) 淡(手が、全然進んでない!) 淡(だったら鳴けばいいもんね!) 淡「ポン!」 淡(このまんま勝ち越しだよ!)トン 憩「ロン、12000」 淡「なっ……」 塞(よし、あと一回!)カッ! 【幻想塞ぎ】発動! オーラス 淡 104200 憩 117700 塞 92700 親 宥 85400 憩(ほな、行かせてもらおか!)キィィィン! 憩「リーチ!」 塞(んーやっぱりテンパイしてくるかァ) 塞(まぁ、抑えてあげるよ) 【孔穿つ閃光】発動! 【幻想塞ぎ】により効果が書き換えられます 憩(ムダヅモばっか……他の人たちがテンパイしとらんからええけど) 憩(ようやく、ウチがみんなの役に立てるんや) 憩(ここは、もっと粘る!) 塞(ダメだ、このままじゃ塞げない) 塞(誰も和了れなかったのに) 塞(一体、何が……?) 憩(海底、か) 憩(上出来や!) 憩「ツモ、700・1300」 宥「あ……終わっちゃった……」 塞「もー疲れたー」 淡「次こそは負けないんだからねっ!」 憩「お疲れ様でしたー」 塞(役目は果たせたからいっか) 宥「玄ちゃん、ごめんね……」 終局 大阪 120400 (+20400) 関東 103500 (+3500) 東北 92000 (-8000) 関西 84100 (-15900) 京太郎「憩さん、大活躍でしたね」 雅枝「このままいけばええんやけどな、次も頼んだで」 咏「うぃーっす」 京太郎「緊張感ねえな」 咏「まー気負ったところで意味ねーかんな」 京太郎「そんなもんなのか?」 咏「んじゃ、行ってくるわ」 京太郎「俺もついでに売店でも行ってくるか」 宥(控室に帰ったら……) 晴絵『あっはっは!宥がここまで役立たずだったとはなぁ!』 はやり『流石にないわ……』 玄『お姉ちゃん、見損ないました』 穏乃『何やってるんですか、ふざけないでくださいよ』 灼『……誰?』 宥「はわわわわわ」 宥「もう帰れないよぉ……」グスッ 京太郎「松実……さん?」 宥「!」ビクッ 宥「は、はいぃ」ウルウル 京太郎「そんなところで何うずくまってるんですか?」 宥「みんながこわくてぇ……」ナミダメ 京太郎(守ってあげたい、なにこの可愛い人) 宥「私、点棒いっぱい取られちゃったから……」 京太郎「ああ、なんだそういうことですか」 宥「ふぇぇぇん」 京太郎「大丈夫っすよ、皆さん優しいじゃないですか」 宥「でも、でもぉ……ひくっ」 京太郎「じゃあ落ち着くまで俺が傍にいます、控室まで送りますよ」 宥「ひぐっ、ひぐっ」 京太郎「顔がぐじゅぐじゅですよ、これで拭いてください」 宥「うん、うん……」 京太郎「そろそろ試合始まりますから、行きましょうか」 宥「……うん」 京太郎(世話の焼ける姉ってこんな感じなのかな) 京太郎(……照もそうか) 玄(お姉ちゃんが取られた分は私が!)フンスッ 咏「ドラローが相手かよぉ……」 胡桃「早く座るそこ!」 菫「今日も勝たせてもらおうか」 咏「はっ、同じ相手に負けるかよばーかばーか」 玄「一日目に大失点したのに何言ってるんですか?」 菫「うぐっ」 胡桃「まあ私も負けないからそこんとこヨロシク!」 咏=68+128+45=241 菫=7+124+30=161 玄=13+112+15=140 胡桃=70+124+15=209 次鋒戦終了 大阪 148400 (+28000) 関東 89600 (-13900) 東北 103000 (+11000) 関西 59000 (-25100) 玄(なるべく大きい手で和了らないと!)トン 胡桃「ロン、12000!」 菫「んなっ……!」 咏(いつの間に張ってたんだこのチビ……) 玄(今度こそ!) 咏(ドラ無しでも、清一色は作れんだよ!) 咏(読まれててもツモればいいだけ!) 咏「ツモ、3000・6000」 菫(松実玄……狙わせてもらう!)トン 胡桃「ロン、6400!」 胡桃「まだまだ行くよ!」 菫「」チーン 玄「」チーン 咏(こんぐらい稼げば充分だろ) 胡桃(次が勝負だね!) 絹恵「お姉ちゃん、頑張ってな!」 雅枝「お前なら大丈夫やろ」 浩子「はいはいガンバ~」 洋榎「うっし、ほな行ってくるわ!」ダダダダダダダ 洋榎「ばばーん!愛宕洋榎登場!」キキィィィィイイ 智葉「相変わらず五月蝿いやつだな」 洋榎「なんやとこのツンツンメガネ!」 まこ「まあまあ、二人とも落ち着きんさい」 洋榎「うっさいわワカメガネ!」 まこ「ワ、ワカ……」 藍子「ささっ、席へどーぞどーぞ」 洋榎「なんや次はグルグルメガネかいな」 藍子「グルグル……ねぇ」 洋榎「なんでメガネばっかなんや?」 藍子(さてさて、見せてもらいましょうかね) 藍子(どれだけ頑張れるかな!)グルグルグル 洋榎(なんやこれ) 洋榎(手が進まへん) 智葉「リーチ」 洋榎(しゃあない、オリよ)トン 洋榎「……」スチャ 洋榎(手が進んだ?) 洋榎(なんでオリようとしたんに……)トン 智葉「それだ、ロン」 結果 洋榎=10+132+15=157 智葉=73+132+15=220 まこ=48+124-15=157 藍子=27+124+30=181 中堅戦終了 大阪 135700 (-12700) 関東 113200 (+23600) 東北 104700 (+1700) 関西 46400 (-12600) 怜「愛宕さん、凹んでもうたな」 雅枝「今までが順調すぎたんや、無理はせんようにな」 竜華「頑張ってな、怜!」 怜「うん、竜華の分まで頑張って来るわ」 セーラ「あっはっは、それやと竜華が死んでもうたみたいやん」 灼(このままだと、いくら穏乃でも無理) 灼(もう、負けられない)ギュッ 怜(このまま稼いで渡す、それだけやな) 絃(あら、この二人少しそっくりさん?) 白望(胡桃もいたら面白そうだなぁ……) 絃「…………」ヒョォォォオ 怜(この人と打ってると、テンパイできひん未来しか見えへん) 怜(せやけど、私やっていつも同じってわけやない!) 怜「ポン」 怜(未来は無理やり切り開く!) 灼(まだだ、まだ勝てる) 灼(諦めたら終わりなんだ!) 灼「リーチ」 白望(このままいくと、豊音がだるい) 白望(でもこの手じゃなぁ……) 白望(穏便に行こう) 結果 怜=81+121+15=217 絃=34+128+30=192 灼=51+124+15=190 白望=7+128+30=165 副将戦終了 大阪 149300 (+13600) 関東 113700 (+500) 東北 91100 (-13600) 関西 45900 (-500) えり「副将戦決着」 えり「現在トップは依然大阪選抜」 えり「後ろを負うのは三万点差の関東選抜」 えり「そして五万点差と大きく離された東北選抜」 えり「十万点差をつけられた関西選抜はもう、ダメなのでしょうか」 秋一郎「…………」 秋一郎「……いや」 秋一郎「勝負は最後まで楽しむのが勝負、諦めるには早すぎる」ボソボソ 秋一郎「まだ望みはある」ボソッ えり「は、はぁ」 えり(声が小さくて聞き取れなかった……) えり「それでは各チーム大将選手の紹介です」 善野「これで、良かったんか」 郁乃「うん、私はこれでええ」 郁乃「みんなが期待してくれてるんや、私が姫松の元監督とも知らへんで」 郁乃「せやから私はそれに応える」 善野「ふふっ、昔から変わらへんなぁ」 郁乃「その昔の私が今の私なんやけどな~」 善野「せやったね、っとここまでか」 郁乃「送ってれてありがとな」 善野「いつものことやろ、ほな頑張ってき」 郁乃「また後でな~」フリフリ 照「……郁乃」 郁乃「試合のときは郁代やで~」 照「今日も負けないから」 郁乃「私やって負けてられへんよ~」 穏乃「あ、宮永さんお久しぶりです!」 照「高鴨さん、今日もよろしくね」 穏乃「はい!よろしくお願いします!」 豊音「うんうん、やっぱり壮観だよー」 豊音「個人戦一位と三位の宮永さんに高鴨さん!それに団体戦でちょー頑張ってた赤阪さん!」 豊音「よろしくお願いしますっ!」 東一局 郁乃 149300 照 113700 豊音 91100 穏乃 45900 豊音(宮永さんは東一局は和了らないんだよねー) 豊音(それならまずは温存するよー) 郁乃「ポン」 穏乃(一巡目ポン?) 豊音(んんっ?) 豊音(なんだか調子がいいよーな?) 豊音(まあそれはそれでいいことだよねー) 豊音「ツモ、4000・8000」 穏乃「うっわ……」 穏乃(早速持って行かれたぁ……) 照「…………」 東二局 郁乃 141300 親 照 109700 豊音 107100 穏乃 41900 豊音(……よし) 【友引】発動! 豊音「ポン」 豊音「ポン」 豊音「チー」 照(…………) 照(また裸単騎) 豊音「ポン!」 照(……でも) 豊音(これで私の和了りだね!)トン 照「ロン、2000」 照「……連荘」 東二局一本場 郁乃 141300 親 照 111700 豊音 105100 穏乃 41900 豊音(前は確か……これでいいはず) 【先勝】発動! 穏乃(配牌一向聴!白發の刻子もあるし) 穏乃(……ここは突き進む!) 照「…………」 穏乃(よしよし、テンパイまで来た!) 穏乃(カン……できるかな) 照(テンパイ……これで)トン 穏乃(来た!) 穏乃「カン!」 穏乃「うおおっ!嶺上ツモ!責任払いで8000は8300!」 照(何……) 豊音(宮永さんがたった一回で止まったよー!) 郁乃(う~ん、これはちょーっと予想外やったな) 東三局 郁乃 141300 照 103400 豊音 105100 穏乃 50200 豊音(親だし攻めていくよー!) 【友引】【赤口】発動! 郁乃(このままやとまた照ちゃんが和了り続けてまうから……) 郁乃「チー」 郁乃(安手で流してみよか~) 穏乃(ここで逆転してみせる!)トン 郁乃「……ロン、2600」 東四局 郁乃 143900 照 103400 豊音 105100 親 穏乃 47600 えり「三位に転落してしまった関東選抜宮永照、果たしてどのように巻き返すのでしょうか」 秋一郎(この点差……今回は見れるようだな) 秋一郎(個人戦決勝卓にだけ見せたあの業) 秋一郎(実に楽しみだ) 照「ツモ、400・800」 照(これで300点差) 照(……高鴨さんが危険だけど、いつも通り) 南一局 親 郁乃 143500 照 105000 豊音 104700 穏乃 46800 照「ロン、2000」 照(……ようやく連続) 照(流石に時間をかけすぎたか) 穏乃「…………」 照(厄介になってきた) 穏乃(今日は調子がいい、ツキがある!) 穏乃(こっからが勝負!)ゴッ 【斉天大聖】発動! 南二局 郁乃 143500 親 照 107000 豊音 104700 穏乃 44800 照「ツモ、2000オール」 穏乃(また、和了られた……) 豊音(やっぱりちょー強いよー) 郁乃(これが照ちゃんの強さ、か) 照(…………) 照(時期尚早かもしれない) 照(でも、やってみるか) 【鏡開き】発動! この局のみ【人形劇】【身代わりの幻影】【六曜】が発動できなくなりました! 南二局一本場 郁乃 141500 親 照 113000 豊音 102700 穏乃 42800 ビキィッ! 郁乃(……なんやこの感じ) 郁乃(小鍛治プロほどやないけど、嫌な感じやな……) 穏乃(何かが……) 豊音(これって……宮永さん?) えり「配牌時で国士無双一向聴!?」 秋一郎(宮永姉妹の得意技は共に点数調整) 秋一郎(妹はプラマイゼロを得意としている、と聞いたことがある) 秋一郎(そして姉は点数上昇) 秋一郎(まるで牌のありかをわかっているかのよう) 秋一郎(……彼女らの目には一体何が映っているんだ) 九19①⑨東南西北白發中 照(……国士無双) 照(私が初めて和了った役満) 照(いつからか、ヤオ九牌が見えるようになっていた) 照(ヤオ九牌が私に集まるようになった) 照(これは、点数調整には使いやすい力) 照(なぜ、力なんてものがあるのか) 照(なぜ、私は抗えないのか) 照(だから、こうして――) 照「ロン、48300」 豊音「わ……」 郁乃「え……っ」 穏乃「なっ、た、たった三巡目で!」 照(希望を打ち砕いてしまう) 南二局二本場 郁乃 93200 親 照 161300 豊音 102700 穏乃 42800 豊音(他力本願だけど二位浮上) 豊音(点差は少しでも詰める!) 【先勝】発動! 同コンマのため、流局 照(もちろん利用することもあった) 照(個人戦の決勝だってそうだった) 照(負けたくなかったから) 照(京と咲とモモが見ていると思ったから) 照(私もずいぶんと調子がいい人間だ) 南二局三本場 郁乃 93200 親 照 161300 豊音 102700 穏乃 42800 豊音(うーん、ダメだったかー……) 豊音(でもでも!まだまだ諦めないよー) 【先負】発動! 豊音(うーん?全然テンパイできない?) 照(……) 照(手が進まなくなってきた) 照(これは、多分……) 穏乃「ツモ、4300・8300」 南三局 郁乃 88900 照 153000 親 豊音 98400 穏乃 59700 豊音(大安は最後まで取っておくとして) 豊音(今回は……!) 【友引】【赤口】発動! 照「ツモ、400・800」 照(高鴨さんも姉帯さんも役満直撃でしか私には追いつけない) 照(郁乃さんは、高鴨さん次第か) オーラス 郁乃 88500 照 154600 豊音 97600 親 穏乃 59300 豊音(もう、ダメかもしれない) 豊音(――だけど) 豊音(まだ続けたいので頑張るよー) 豊音(さて、どこまで行けるかな) 【大安】発動! 穏乃(聴牌、今は宮永さんとの点差を縮める) 穏乃(そう簡単には終わらせない!) 照(……これ、は) 照(掴まされた?) 照(いや、だったらこっちを諦めて……)トン 穏乃「ロン、12000」 オーラス一本場 郁乃 88500 照 142600 豊音 97600 親 穏乃 71300 照(……)スチャ 照(高鴨さんの支配があまり効いていない) 照(それに姉帯さんも郁乃さんも和了れないみたい) 照(ここで、終わりか)トン 豊音(うぅぅ、全然ダメだよー!) 豊音(一回も和了れてないし……) 豊音(みんな、ごめんね)トン 穏乃(うー……ん)スチャ 穏乃(なんも来ないなー) 穏乃(逆転できるかも!って思ったけどさ、やっぱり勝てっこなかったのかな) 穏乃(違う違う!)ブンブン 穏乃(こんなん私らしくない!負けても私らしくするんだ!) 穏乃(最後まで突き進む!)トン 郁乃(……これ、照ちゃんの和了り牌か) 郁乃(テンパイできたのはええんやけどな……) 郁乃(結局、照ちゃんには敵わんかったな) 郁乃(おまけに三位転落) 郁乃(善野ちゃんに言っとったことが恥ずかしいわ) 郁乃(悪あがきはせえへん、この一打で終わりや) 郁乃(私は前へ進む) 郁乃(小さくなっても、何があっても) 郁乃(……楽しかったな)トン 照「…………」 照「ロン、1000は1300」 郁乃「…………」 郁乃(やっぱり、か)グスッ 郁乃(あれ、なんで目が熱いんやろ) 郁乃(こんなん違うやろ、私は……) 郁乃(もっと――) 穏乃「あ、赤阪さん?」 郁乃「…………うん」チャラッ 郁乃(――笑っとらんとな) 郁乃「これで終わりやな」ニコッ ――――国民麻雀大会―――― ―――地区選抜団体戦終了――― 一位 関東 143900 (+30200) 二位 東北 97600 (+6500) 三位 大阪 87200 (-62100) 四位 関西 71300 (+25400)
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6165.html
まとめ 始めに 設定 本編 清澄1 清澄2 清澄3 清澄4 永水1 永水2 永水3 永水4 阿知賀1 阿知賀2 阿知賀3 特別編 特別編1 特別編2 特別編3 特別編4 特別編5 特別編6 特別編7 特別編8 特別編9 特別編10 特別編11 特別編12 特別編13 特別編14 特別編15 特別編16 特別編17 特別編18 特別編19 特別編20 特別編21 特別編22 特別編23 特別編24 特別編25 特別編26 特別編27 特別編28 特別編29 特別編30 特別編31 特別編32 特別編33 特別編34 特別編35 特別編36 特別編37 特別編38 特別編39 特別編40 特別編41 特別編42 特別編43 特別編44 特別編45 特別編46 特別編47 特別編48 特別編49 特別編50 特別編51 特別編52 特別編53 特別編54 特別編55 特別編56 特別編57 特別編58 特別編59 特別編60 特別編61 特別編62 本スレ -京太郎「俺の日記」 京太郎「俺の日記」 京太郎「俺の日記」咲「2冊目」 京太郎「俺の日記」照「3冊目」 京太郎「俺の日記」春「4冊目で」小蒔「2週目です」 京太郎「俺の日記」初美「5冊目で」霞「2週目よ」 京太郎「俺の日記」穏乃「6冊目!」憧「3週目ね」 京太郎「俺の日記」玄「7冊目の」宥「3週目だよ~」