約 3,986,229 件
https://w.atwiki.jp/rayvateinn/pages/290.html
私に気付いたら意識してください \アッカリ~ン/ \ハ~イ/ バトロワ、はっじまっるよ~♪ ◆◇ 深夜、月が夜空で輝いている。 星も幾つか姿を見せている。 こんな空の下で、一人目が覚めた。 その者とは、嘉音。右代宮家に仕える者。 自らを家具として扱い、ただ指令に動くだけ。 そんな彼はバトルロワイアルに呼ばれても変わらない。 (黒井………いや、親方様と関係している可能性はないか。 でもこのゲーム……もしかして、親方様直々に挑戦なさっているのでは?!) 嘉音は先ず、親方様である右代宮金蔵が関連してるか気になった。 黒井という人物はまったく知らないし、金蔵と繋がりがあるかなんて分からない。 色々な可能性がある。先ずこのゲームの手配を全て黒井という男がやったのか。 見た所、相当な位の御方なのは間違い無さそうではある。 だが流石にこれだけの用意をするのは負担がかかり過ぎる。 裏に金蔵が関わっていても尚更、負担は重いのは違い無い。 なので先ず嘉音は金蔵も主催者側にいるという可能性を捨てた。 先ず金蔵がこんな事ぐらいであの部屋から飛び出すなどという事が考えられない。 今の状態なら、ある一つの事ぐらいにしか飛びつかないだろう。 ………そう、ある一つ。 それは、黄金の魔女―――ベアトリーチェの存在。 ベアトリーチェこそがこのゲームの主催者だとすれば、負担など関係も無い。 魔女の扱う魔法で、この人数を揃える事が可能だということが説明出来る。 それに生き残れば何でも願いを叶えるという条件があった。 黒井という男のみなら、金で解決出来るものぐらいしか出来ない筈だ。 全ての願いを叶えるのは不可能だ。だが、魔女なら違ってくる。 嘉音は魔法が何処まで出来るかは知らないが、少なくとも人間よりは色々叶えれるとは踏む。 そして、結論を出せばこうなった。 ――この殺し合いというゲームのマスターは黄金の魔女ベアトリーチェである―― 黒井という男は魔女の手駒でしかない。 良い様に踊らされて、最後にはおそらく捨てられる。 同じ様に参加者だって手駒だ。好きに殺し、殺される。 自分は家具。家具としてゲームにそのまま従うべきではある。 ただ魔女の手駒、家具なんかじゃない。自分は右代宮家の家具だ。 白にでも黒にでもなれるこの空間。好き勝手に出来るこの空間。 配当は願い事。得られるのは一人だけ。さて、誰がこれを得るべきだ? そうして、嘉音は参加者を表記した名簿を閲覧する。 (戦人様、朱志香様、譲治様、僕、そして姉さん……親方様はいない、か。 しかし何故、一部だけなんだ……。どうして、全員じゃなく5人限定で……。) 親方様の不在を確認して疑問に抱いたのはそんなこと。 あの日いた者達の中から5人だけを選ぶ事に意味はあったのか。 自分が考えてもそれにメリットなんてまったく無い。 選ぶ理由など、この自分を含めた5人への恨みから。それぐらいだ。 記憶を掘り返せば、数時間前に首を爆破された人は右代宮家とは何の関係も無い一般人だった。 魔女は無差別に人材を選んだのか。元々理由なんてないのか。 ただ楽しむ為にこれを主催したというのか? あまりにもふざけた理由での主催だ。自分は仕える者、暇なんてない。 自分達の不在に本家はおかしいと感じてるのだろうか? これが魔女の起こしたものだと思う者はいるのだろうか? 碑文通りではない。第一の晩がこれだとしても、人数は5名しかこっちにいない。 もしかすれば既に一名が殺害されていたのかもしれない。 親方様は参加者ではない。つまり、主催者と関わっている可能性も十分にあり得る。 主催者は、親方様か――ベアトリーチェか――両名か――。 嘉音は、そこまで考えると自分の能力を確認することにした。 自分の腕に仕掛けられた武器、あれが使用出来るのかどうか。 幻想の剣(カノンブレード)を構えてから出そうとする。 しかし結果は予測済み。首輪には能力制御が加えられていると言っていた。 腕から剣が出せては有利になってしまうから無理とは思っていた。 構えを戻し、次に名簿を取り出したデイパックの中を確かめる。 戦力バランスを崩す唯一の存在、支給品。 支給品次第では戦いをずっと避けないとならなくなる。 さて、その中身には一つの指輪。嘉音はそれに見覚えがあった。 (右代宮家当主の指輪………どうしてこんなところに……いや、偽物の可能性もある) 使用人はそれを持つ者に必ず従わなくてはならない。 その指輪を使用人が手にしたらどうなるのだろうか? それはほぼ無意味なのである。バトロワなのだから。 ここでは指輪のルールが通用するのは嘉音と紗音しかいない。 つまり右代宮家当主の指輪ではあるが、ただの指輪でしかないのだ。 指輪はこのくらいにして、他に入っているものを確かめてみる。 基本支給品とやらはしっかり入っており、もう一つのランダム支給品。 何かの飴。名はヴェルタースオリジナルというものらしい。 説明がついており、食べると6時間の間声が変わる効果があるらしい。 そこまでで、嘉音のランダム支給品は非常に残念な結果に終わった。 武器はなかったということは、不利なSTARTを切ったということだ。 不満しか無いものの、嘉音はそれらをデイパックへ仕舞う。 地図を閲覧する。周りを見ても目立つものはとくにない。 場所の把握は難しい。何か目印となる地点へと向かうのが先ず第一。 嘉音は歩き出す。バトルロワイアルが始まってから初めの一歩であった。 嘉音が殺し合いに乗ってるかどうかと言えば、どっちでもない位置だった。 主催の言う通りに殺し合いをするのも、反逆しにいくのも自由。 自分の方針の決定法は、人との出会いで考えていた。 参加者50名という数の中、どれくらいの人物が殺し合いをするか。 皆が皆、乗っているというのなら自分もそれにつけばいい。 逆に対抗をするつもりなら協力すればいい。 初めに会った参加者が話も聞かず襲ってきた場合も考えてある。 そこから退避し、話が出来る参加者に出会うまで自己保守に走る。 嘉音はそんな感じで方針を定めるつもりであった。 嘉音自身の目的はある。 右代宮の一族、仕える身ではあるが良い印象はない。 一族は正直、今はどうでもよかった。 全員を救出して右代宮家へと戻る事などもう不可能なのだから。 使用人として、無様な結果になることはもう免れない。 故に、初めに出会った者によって方針を定めることにしたのだ。 出会った者に仕えるなんて事はしない。 じゃあ、その目的とは? 紗音。彼女を見つけ出して共にこのゲームを乗り越える事。 全員を救出出来なくても、紗音だけは助けたい。 万が一、紗音がこのゲームから退場した場合はこの盤を滅茶苦茶にする。 ゲームが崩壊するぐらい、向こうにとって痛手となる行為をしてやる。 何をするかはまだ考えてないが、そういうことをするつもりだ。 主催が倒せなくてもいい。紗音と共に脱出して右代宮の本家へと戻る。 そしてこの事を報告する。それが自分の目的だ。 ……………。 そうして、嘉音は夜道を歩く。 潮の音が聞こえる道、電気の少ない道を。 嘉音の人生は参加者次第である。 ◆◇ あれー!?あかりの出番はー!? えー、映ってなかったのー!? そんなぁぁ……… そんな影の薄い主人公は嘉音の近くにいます。 ただし、気付かれませんでしたとさ。 めでたし、めでたし。 せっかくなので、おまけとして開始の姿を少し公開致します。 ―――赤座あかりのSTART――― ななな、何あれ……殺し合いって、どういうことなのー!? ↓ どうしよう……あかり、そんなの出来ないよー………。 ↓ 取り敢えず支給品っていうのでも見てみようかな……? ↓ これが名簿かな?………えええ、皆もいるのー!? ↓ どうしよう……絶対に無理だよー………あかり、どうしたらいいの……? ↓ ……そうだ!皆を探してみよう!皆を助けてみよう!そうしたら、きっと出番も………。 ↓ よーし、頑張ろうー!あっかり~ん!! ↓ さっきの人、気付いてくれなかった……… やっぱりあかりって………ううん、今はそんな場合じゃないよね! 今は出番よりも、皆が大事だよね!うん、急がなきゃ! ↑ 今ココ ―――以上、赤座あかりのここまでの形跡でした。 【F-5 海辺周辺道路・一日目/深夜】 【嘉音@うみねこのなく頃に】 【状態】健康 【服装】使用人の服 【装備】なし 【道具】基本支給品 右代宮家当主の指輪@うみねこのなく頃に ヴェルタースオリジナル@ゆっくり何進の修羅緊縛プレイ 【思考】基本思考:初めに合った参加者次第で方針決定。最終的には姉さんと共に脱出。 1、姉さんが死亡した場合、このゲームを滅茶苦茶にする。 2、話が出来る参加者に会うまでは自己保守 ※主催者がベアトリーチェではないかと推測しています。 【F-5 海辺周辺草むら・一日目/深夜】 【赤座あかり@ゆるゆり】 【状態】健康 \アッカリ~ン/ 【服装】七森中学校制服 【装備】なし 【道具】基本支給品 不明支給品1~3 【思考】基本思考:七森の皆を探しつつも、人を助ける。 1、今は出番よりも皆が大事!! ※【右代宮家当主の指輪@うみねこのなく頃に】 六軒島に立つ右代宮家の館―――黄金の魔女は甦る。 この指輪を持つ者に使用人は必ず命令に従わなければならない。 ※【ヴェルタースオリジナル@ゆっくり何進の修羅緊縛プレイ】 私のおじいさんがくれた、はじめてのキャンデー。 それはヴェルタースオリジナルで、私は4歳でした。 甘くてクリーミーで孫にあげるのは勿論ヴェルタースオリジナル。 しかし出典はゆっくり何進。普通の飴ではない。 何と、この飴を食べる事で6時間の間、声が変わるのだ sm001 SHOOT! 投下順 sm003 小さな小さな女の子の小さな企み START 嘉音 sm000 [[]] START 赤座あかり sm000 [[]]
https://w.atwiki.jp/keroro00innovator/pages/2730.html
それは小さな光のような それは小さな光のような アーティスト さユり 発売日 2016年2月24日 レーベル アリオラジャパン デイリー最高順位 1位(2016年3月1日) 週間最高順位 2位(2016年3月1日) 月間最高順位 18位(2016年2月) 年間最高順位 128位(2016年) 初動売上 7830 累計売上 14656 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 それは小さな光のような 僕だけがいない街 ED 2 来世で会おう 3 ふうせん ランキング 週 月日 順位 変動 週/月間枚数 累計枚数 1 3/1 2 新 7830 7830 2016年2月 18 新 7830 7830 2 3/8 15 ↓ 2201 10031 3 3/15 14 ↑ 1296 11327 4 3/22 15 ↓ 931 12258 5 3/29 14 ↑ 781 13039 6 4/5 ↓ 595 13634 2016年3月 21 ↓ 5804 13634 7 4/12 333 13967 8 4/19 234 14201 9 4/26 285 14486 2016年4月 ↓ 852 14486 10 5/10 170 14656 関連CD Re Re ミカヅキ 平行線
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/3492.html
さよなら 海腹川背 機種:3DS,PSV,PC 作曲者:本山淳弘・立川伸治 開発元:スタジオ最前線 発売元:アガツマ・エンタテインメント 発売年:2013年6月20日(3DS)、2015年4月23日(PSV) 概要 新作としては『海腹川背・旬』以来の久しぶりの海腹川背シリーズの作品。 「さよなら」という題名が付いているが、これでシリーズ最終作というわけではない。 2015年にPS itaVで追加要素を加えたリファイン版『さよなら 海腹川背 ちらり』が発売。 発売と同時期に過去シリーズの楽曲も一緒に収録したサントラもスーパースィープから発売された。 収録曲 No. 曲名 作・編曲者 補足 順位 01 空の青さ(インストアレンジ) 本山淳弘 02 ときめきが目を覚ましている(インストアレンジ) 本山淳弘 03 ゲームオーバー 本山淳弘 04 フィールドセレクト 本山淳弘 2013年329位 05 銭湯 本山淳弘 2013年112位 06 団地 本山淳弘 07 学校 立川伸治 2013年345位 08 居酒屋 立川伸治 09 前には進めない 立川伸治 10 親子 立川伸治 11 ふくれっ面 本山淳弘 12 川・下流 立川伸治 さよならアレンジver.『海腹川背』より 13 川・上流 本山淳弘・立川伸治 さよならアレンジver.『海腹川背』より 14 川・渓流 本山淳弘・立川伸治 さよならアレンジver.『海腹川背』より 15 多摩川 本山淳弘 さよならアレンジver.『海腹川背・旬』より 16 浜 本山淳弘 さよならアレンジver.『海腹川背・旬』より 17 磯 立川伸治 さよならアレンジver.『海腹川背・旬』より 18 長瀞 立川伸治 さよならアレンジver.『海腹川背・旬』より サウンドトラック さよなら 海腹川背 オリジナルサウンドトラック(3DS「さよなら 海腹川背」早期購入特典) さよなら海腹川背ちらり サウンドトラック
https://w.atwiki.jp/shibui1216/pages/110.html
ベタオリゼンツ 原曲:ストラトステラ 作詞:ナユタン星人 編詞:なっち 作曲:ナユタン星人 編曲:ナユタン星人 唄:初音ミク 北家はひとつ リーチをかけた 手牌を誰にも 見抜かれないように 「もしも、わたしが出して振ったら 全ての点数が なくなってしまいますので。」 「北家、君は多分、気づいてないだろうけどさ――」 あなたが狙った字牌を 僕は、持ってたよ。 あなたはゼンツ 僕はベタオリ 振り込みなんて 何処にもないよ 攻め込む前に 悲しくなる理由は いつだって、いつだって、知ってたはずさ だからさよなら 待ちは 待ちは 淡い両面 ドラは ドラは 朱色に染まる 「張れた!」彼女は微かに笑い 最後のリー棒に 手をかけた あなたはゼンツ 僕はベタオリ 誰も解(し)らない ベタオリゼンツ もしも彼女が オリを覚えたら… そんなことを、そんなことを、考えてたよ さいごに北家 君が飛ぶ所 確かめさせて 今振り込んで 闇で中スジ 待つだけで僕は なんとかね、なんとかね、和了れるはずさ さようなら ――サヨナラ 曲目リストへ戻る 歌唱履歴 2017.08.07 010曲目(ねこだま。) 2018.04.08 048曲目(ねこだま。) 2018.07.28 015曲目(なっち) 2020.01.04 013曲目(なっち) 2021.12.26 020曲目(ささら版再生) 履歴へ戻る
https://w.atwiki.jp/wrtb/pages/8593.html
さよならがまるで永遠のよう 原題:Goodbye May Seem Forever 作曲:リチャード・リッチ* 作詞:ジェフリー・パッチ* 楽曲:『きつねと猟犬』(1981年) バリエーション きつねと猟犬 英語 コーラス 日本語 コーラス トッドを追ったチーフが機関車に轢かれたことで、トゥイード未亡人は泣く泣くトッドを森に帰すことにする。トゥイードはトッドとの思い出を回想しながらも、彼の安全のためにトッドに別れを告げる。楽曲はトゥイードのセリフによる独白から始まり、コーラスへと続く。 「さよならがまるで永遠のよう」は日本版サウンドトラックでのタイトル。 『The Fox and the Hound (Original Motion Picture Soundtrack)』に収録。
https://w.atwiki.jp/elyse/
夜行バス東京大阪とダメ女 結構お腹痛いです、今。 でもトイレに行くの、億劫なんですよ……。 女の人なら共感してくれると思うのですが、生理中ってトイレのことばっかり考えてしまいます。 早く変えなきゃ、とか漏れてないかな、とか。 その反面、トイレでのひと手間が増えるのでとてもめんどくさいと感じて、物凄くトイレが億劫になります。 私は正しく今その状況です。 さっさとスッキリしたいのに、めんどくささが先行してしまっています。 典型的なダメ女ですね! 夜行バス東京大阪
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4730.html
第3章 2日目 今日から短縮授業。もう冬休みは近い。どうりで寒いはずだ。さらに追い討ちをかけるように眠い。昨日遅くまで小説づくりをしていたせいだ。寒さと眠さに打ち勝ち、やっとのことで布団から脱したころには、目覚ましをセットした時刻をだいぶ過ぎており、慌てて支度をして家を飛び出した。睡眠不足の体には寒さと果てしなく続く坂は堪える。 わたしは小走りで坂を登りながら昨日の不思議な出来事について考えようとした。わたしが思いを寄せる人が、急に部室にやってきた。ここまではわたしの書いている小説そのものだ。しかし、小説では泣き崩れるわたしを心配した彼が声をかけるのに対し、現実では何のきっかけもなくいきなり彼が部屋に飛び込んできて、わたしのことを『宇宙人』と言う。事実は小説より奇なりというがいくらなんでも、奇怪すぎるだろう。もしかしたら、昨日の出来事はわたしが部室で居眠りをしていたときに見た夢なのかもしれない。そう思えてくる。 わたしが寒さと眠さと戦いながら坂を登っていると、背後から元気な声が聞こえた。 「おはよう」 朝倉さんだった。彼女はわたしと同じマンションに住む同級生でわたしの唯一の友人だ。 「長門さん。今日も眠そうな顔して。どうせ、夜遅くまで小説書いてたんでしょう」 彼女は驚くほど、勘が鋭く、彼女には隠しごとはできそうもない。小説を書いていることも彼女だけは知っている。 「ところで」 朝倉さんは急に笑顔になる。 「昨日、彼に会ったでしょ」 これにはたまげた。なぜ、そんなことまで知っているのか。部室に盗聴器でもあるのではないか。 「うしろ」 彼女が指さした後方に彼がいた。 「いま、追い抜いてきたんだけど彼、入部届けを持っていたの。あれ文芸部のでしょ」 よくもまあ、そんなところまで観察できるものだと関心してしまう。 「彼、文芸部に入るつもりなの」 「わからない。彼が昨日いきなり訪ねてきた」 「彼の様子はおかしくなかった」 「……どうして」 「昨日、様子が変だったの。わたしを見るなり、『どうしてお前がここにいる。それはお前の机じゃない。ハルヒのだ』って言うのよ。ハルヒって子が誰だか知らないけど、とにかく様子がおかしかったわ。昨日まで特に変わった様子はなかったんだけど……何か変なこと言ったりしなかった?」 「特に変わったことはなかった」 別に彼を擁護しようと思ったわけではないが、何か特別な事情を抱えているだけで気が変になっているわけでもないように思えたのでそう答えることにした。 「とにかく、彼には注意した方がいいわ。文芸部に来たのも何か関係あるかもしれないし」 やはり彼が部室に来たのは、文芸部に入部しようと思ったから……ではなく別の理由があるのだろうか。もしそうなら、彼はもう来ないかもしれない。不安がよぎった。 授業が終わり、部室に向かう。いつもより歩速が速いのは気のせいではないだろう。 彼は来てくれるだろうか。わたしは部室で1人待ち続けた。 コンコン ノックの音が沈黙を破る。 「どうぞ」 扉がゆっくり開く。彼だった。 「また来てよかったか」 でも、彼がどんな顔をしていたかはわからない。恥ずかしくて、顔を上げることができず、視線は本に向けていたからだ。彼は部室に入り、鞄を部屋の隅に立てかけて、本棚を眺めていた。 沈黙。 わたしは何かしゃべらないといけないと思ったが何を言っていいかわからず、黙って本を読んでいた。本の内容なんて頭に入らなかったのだが。 沈黙を破ったのは彼だった。 「全部、お前の本か?」 「前から置いてあったのもある」 わたしは持っていた本の表紙を見せて、 「これは借りたもの。市立図書館から」 必死に会話をつないだ……つもりだったが、ここで会話が途切れてしまった。 再び気まずい沈黙が続く。 何か話しかけなければと思うが、こういうときどういう話をすればいいのだろうか。わたしがおろおろしているとまたしても彼が沈黙を破ってくれた。 「小説、自分で書いたりしないのか?」 唐突な質問に、もしや彼はわたしが小説を書いていることを知っているのではないかと思い冷や汗をかいたが、冷静に考えてみれば彼が知っているはずないか。 「読むだけ」 また沈黙。 ここで、書いているとでも言えば、会話が続いたのかもしれないが、それはそれで恥ずかしいし、まだ会話が途切れる方がましか。 彼はわたしとの会話をやめて、本棚に目を移していた。せっかく来てくれたのに……このまま、帰ってしまえばもう会えないかもしれない。自分の話術のなさに絶望している場合ではなく、必死に話題を探した。彼は読みたい本を探しているのか、本棚から本を取り出しては本をパラパラとめくり、再び本を戻すということを繰り返していた。彼はどんな本が好きなのだろうか。 彼はある本を手にし、念入りに見ていた。それは海外SF大長編で、わたしが本好きになったきっかけを作った本でもあった。 彼が本をめくっていると ヒラリ 1枚の栞が落ちた。彼はそれを拾い上げ、凝視している。 彼はわたしの元に来て、その栞を見せた。 「これを書いたのはお前か?」 そこには 『プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後』 と書かれている。しかもわたしの字で。 わたしは字に特徴がある。無機質な字とよく言われる。 そこに書かれている字はそんなわたしの字の特徴をしっかり捉えていた。 しかし、わたしがこんな文を書いた記憶はない。 「わたしの字に似ている。でも……知らない。書いた覚えがない」 「……そうか。そうだろうな。いや、いいんだ。知ってたらこっちが困ってたところだ。 ちょっと気になることがあってな。いーや、こっちの話で……」 こっちの話? やはり様子がおかしい。彼はこの部屋で何がを探している? そして、その手がかりがあの栞なのだろうか。 「今日は帰るよ」 突然の宣言だった。 「そう」 ダメだ。このまま帰ってしまえば2度と話すこともないかもしれない。わたしも本を鞄にしまい込み立ち上がり、一緒に帰ろう……その台詞が言えない。わたしはただ彼が帰ろうとする姿を見るだけだった。そんなわたしに気づき彼はわたしに声をかけてくれた。 「なあ、長門」 「なに?」 「お前、一人暮らしだっけ」 なぜ、知っているのだろうか。朝倉さんがわたしのことをいろいろしゃべっているのだろうか。 「……そう。来る?」 「どこに?」 「わたしの家」 今日一番会話が続いた。なんて、言っている場合じゃない。大胆なことを言ってしまった。 言ってしまったあと、しまったと思った。 「……いいのか?」 「いい」 そうして、彼と一緒に下校し、家に行くことになった。 彼と肩を並べ、坂を下った。緊張のあまり何も話すことができないままマンションに着いた。家に着き、彼をリビングに案内し、わたしはお茶を煎れる準備をした。わたしがお茶を持ってリビングに戻ると、彼は畳の部屋を指しこう言った。 「この部屋、見せてもらっていいか?」 特に断る理由もなかったのでわたしは承諾することにした。 「どうぞ」 「ちょっと失礼する」 この部屋はわたしの寝室だが、布団は押し入れにあるので今は畳しかない。彼は部屋に何もないことを確認するとすぐに襖を閉じ、わたしに両手を開いて見せた。彼の時折見せるおかしな行動。それが何なのかわたしにはわからない。考えたところで解りそうもないし、彼に聞けばまた宇宙人やらアンドロイドやらの話を聞かされるような気がして聞くのを躊躇した。 ただ、これだけは確認しておきたい。彼が図書館でのことを覚えているのか。もし彼があのことを覚えていないのならば、彼はわたしのことを何も知らず、単にわたしを宇宙人と勘違いして文芸部に来たことになる。わたしは絞り出すように言った。 「わたしはあなたに会ったことがある。学校外で。覚えてる? 図書館のこと。あなたがカードを作ってくれた」 「お前、」 彼は目を見開いた。彼の反応でわかった。彼は知っている。わたしは嬉しくなった。 「五月半ば頃。わたしが北口駅近くの市立図書館で……」 わたしは必死になって図書館での出来事を詳しく話した。 「それが、あなただった」 言い終えた後、わたしは後悔した。彼は何も言わなかったからだ。わたしも何も言えなくなった。 沈黙が続いた。 ピン、ポーン 沈黙を破る突然のインターホン。誰だろう。 わたしは立ち上がり呼び鈴に出た。 「長門さん。朝倉です」 わたしは動転する。 「おでん作ったんだけど作り過ぎちゃったから一緒に食べようと思って」 「いまは……」 「どうかしたの?」 「いや、その……」 「忙しいんだったら、長門さんの分だけ置いていくわ」 まずい。中には彼がいる。玄関から部屋の中の様子がわからないようにリビングに続く扉をしめれば……ダメだ。玄関には彼の靴が置いてある。靴を下駄箱に隠して……彼が物音を立ててればバレてしまう。とにかく扉を開けるわけには…… 「とにかく開けて」 そのまま追い返すわけにもいかないし、変に隠して誤解を生むともっとおおごとになるとも思い、無条件降伏をしてしまった。 リビングに入ってきた朝倉さんは彼を見て 「あら? なぜ、あなたがここにいるの? 不思議ね。長門さんが男の子を連れてくるなんて。まさか、ムリヤリ押しかけたんじゃないでしょうね」 「お前こそ、なんだってここにまで登場するんだ」 「わたしはボランティアみたいなものよ。あなたがいることのほうが意外だな」 朝倉さんは大きな鍋をコタツの上に置いた。 「作り過ぎちゃったかしら。ちょっと熱くて重かったわ」 なかなか扉を開けないわたしに対する嫌みにしか聞こえなかった。 わたしは箸の用意をするという名目で、キッチンに避難した。朝倉さんは彼と話していた。 わたしは朝倉さんは彼の会話をキッチンで聞きながら食事の準備をした。 「朝倉が作ったのか?」 「そうよ。大量に作ってもそう手間のかからない物は、こうして時々長門さんにも差し入れるの。放っておくと長門さんはロクな食事をしないから」 「それで? あなたがいる理由を教えてくれない? 気になるものね」 「あー、ええとだ。長門とは帰り道に一緒になって……。そう、俺はいま文芸部に入ろうかどうか悩んでいる。そいつをちょっと相談しながら歩いてたんだ。そうしているうちにこのマンションの近くまで来たからさ、話の続きもあるしで、上がらせてもらった。無理にじゃないぜ」 彼は嘘を紡いで、必死にごまかそうとしていた。 お皿の上にお箸とからしのチューブを載せてリビングに運ぼうとしたそのとき、リビングに入ろうとするわたしと、出ようとする彼がぶつかりそうになった。 「あ!」 「帰るよ。やっぱ邪魔だろうしな」 彼はそう言うとわたしに背中を向けた。 とっさに彼の腕をつかんだ。邪魔なんかじゃない。彼にいてほしかった。 わたしが何かを言う前に彼は 「――と思ったが、喰う。うん、腹が減って死にそうだ。今すぐ何か腹に入れないと、家まで保ちそうにないな」 彼はリビングに戻り、わたしと彼と朝倉さんで食卓を囲んだ。 ◇◇◇◇ 食事中は、なぜか彼の元気がなく、朝倉さんの声しか聞こえなかった。 食事が終わり、朝倉さんが腰を上げ 「長門さん、余った分は別の入れ物に移してから冷凍しておいて。鍋は明日取りに来るから、それまでにね」 彼も続くように 「それじゃあな」 といい部屋から出て行った。 そして、彼は戸口で、小さな声で囁いた。 「明日も部室に行っていいか? 放課後さ、ここんとこ他に行くところがないんだよ」 その言葉を聞いてわたしは安堵した。 そして2人が帰って、間もなく――ちょうど鍋に残ったおでんを器に詰め替えているとき――再び訪問者を知らせるベルがなった。朝倉さんだった。 「ちょっと、忘れ物をしちゃって。入っていい」 朝倉さんが忘れ物をすることはほとんどなく、それはめずらしいことだった。 「どうぞ」 「あった。あった。」 朝倉さんはリビングに置いてあったケータイをとり、ポケットにしまうと表情が険しくなった。 「ところで、長門さん。キョン君とはどういう関係なの」 どういう関係かと問われても、同じクラブに所属する知り合いでしかない。わたしは彼に好意を持っているがそれは、わたしが勝手に思っていることなので黙っておく。 「じゃあ、なんでキョン君を家に上げたの」 答えに窮した。朝倉さんはこたつをパンとたたき 「1人暮らしをしている女の子が、男の子を家に上げるってどういうことかわかるわよね」 「そんなつもりは」 「長門さん。あなたにそのつもりがなくても相手は誤解するわ。小学生じゃないんだから、家で遊んで、はいさようならとはならないのよ」 「彼には帰りにわたしから釘を刺しておいたけど、あなたも自分のことは自分で護りなさい」 朝倉さんが彼にどう釘を刺したか気になったが、さすがに聞けなかった。 朝倉さんが帰り1人になった。いつも1人なのだが、賑やかな部屋が急に静かになると寂しさが増す気がした。金魚にえさをやって気を紛らわそうと思ったが、えさの入った袋はほとんど空になっていた。 袋を逆さにして、ビニールにこびりついた欠片をふるい落として、金魚に与えたが、それだけでは足りないらしく、彼らは水面で口をパクパク開けていた。明日、えさを買いに行かないと。そういえば、このえさはどこで買ったんだろう。えさを待つ金魚を眺めるのもなんなので、部屋の隅から原稿用紙を引っ張り出し、文字を紡ぐことにした。 わたしは昨日書いた小説の続きを書き始めた。 ◆◆◆◆ 彼が入部して1週間ほど経ったころ。いつものように昼休みに彼と弁当を食べていたときのことである。 「機関誌を作ろう」 こんにゃくをつまみながら彼は突然何かを思いついたように言った。私も彼も部活に慣れてきた頃だった。もちろん廃部の危機が免れたわけでもない。彼が入っても部として定員割れに替わりはなく廃部の危機は変わりない。そんな危機的な状況下で彼が必死になって考えてくれた打開策が機関誌作りだった。 「定員割れだったとしても、活動実績があれば廃部は免れるかもしれないし、部の宣伝にもなり、新入部員が入ってくるかもしれない」 私は彼の提案を全面的に賛成した。 『本を読まない人が本を手に取るきっかけを作る』機関誌にしよう。という目標を掲げ、機関誌作りが始まった。といっても機関誌作りは彼も私も初めてで何をすればいいのかわからない。昔活動が活発だった時に文芸部が作った機関誌を引っ張り出した。そこには小説の書評や部員の書いた短編小説が掲載されていて、国語の教科書ぐらいの分厚さはあり内容量は多い。これを作った人はさぞかし苦労したに違いない。彼は過去の機関誌を眺め、眉間にしわを寄せている。 「ユキ、小説を書いたことはあるか」 「ない」 本当だ。 「俺も小説は書けないし、書いたところでそんな駄文を載せれば読んだ人が迷惑だ。かと言って書評だけっていうのも寂しいし」 何か妙案はないのだろうか。私も彼も頭を抱えた。 「そうだ。生徒に好きな本は何かアンケートをとってその結果を載せるっていうのはどうだ。 アンケートを集計して、好きな本ベスト30を載せる。そして、ランクインした本の書評を書く。これなら普段、本に興味ない人でも機関誌を手に取るきっかけになると思うんだ」 そうして機関誌作りが始まった。機関誌は北高生が選ぶ好きな本ベスト30と文芸部オススメ本の2部構成となった。私はパソコンに向かいオススメ本の書評を書き、彼はアンケート作りを始めた。機関誌作りが始まって、以前より格段に忙しくなり、本業であるはずの本を読む時間はめっきり減ってしまった。でも、決してつらくはなかった。 それから数日経ったある日。私は一人部室で書評を書いていた。 彼はアンケート用紙を配りに行っている。 バン ドアが勢いよく開く。 私は彼が帰ってきたのだと疑いもしなかったのだが、そこには女の子が立っていた。 彼女は部屋を見渡し 「あなたしかいないの? あなたが部長? 」 「そうだけど」 「私、ナツ。1年よ。ここに仮入部するから」 いきなりそう言うので、なぜ? と思ってしまったけど、今でも部員は足りない。大歓迎だ。 「そう。私はユキ。あなたと同級生。よろしく」 「ところで、文芸部って何するところなの」 「え?」 思わず声に出してしまうほどの問題発言を彼女は言った。ここは笑うところなのか? 私が困り果てていると彼が戻っていた。 「あら、あなたも部員? 意外ね。今日から仮入部することにしたから。よろしく」 会話から彼と彼女が顔見知りだとわかった。 「なんで文芸部に仮入部しようと思ったんだ」 「あんたが、アンケートを配っているのを見たから。文芸部は実質休部状態って聞いていたからノーマークだったのよ」 「言っておくが、ここはまじめなクラブだ。本に興味がないならいても楽しくない。冷やかしなら帰ってくれ。」 彼の強い口調に少し驚く。 「冷やかしじゃないわよ。それに楽しいか楽しくないかどうかは自分で判断するわ」 「そうかい」 そう言うと、彼は彼女を相手にせず、集めてきたアンケートを机に置き集計を取り始めた。 彼女は何もすることがなく呆然と立っている。私は、パソコンから一旦離れ、彼女に本を渡した。 「私が好きな本。読んでみて? 」 「ありがとう」 彼女は本を開けたが5分と経たないうちに閉じた。 「私あんまり本読むの好きじゃないの。ここにいても何もなさそうだから帰るわ」 それは退部宣言のように聞こえた。せっかく興味をもってくれたのに。 「ナツ……さん。」 私は彼女を呼び止める。 「また本を読みたくなったら来て。本は本当にたくさんある。あなたが気に入る本も絶対あるはず。待ってるから」 彼女は何も言わず部屋を出て行き、部室に私と彼の2人が取り残された。 「ユキ。あいつのことは知っていたか」 「ナツさんのこと? 今日来るまでは知らなかった」 「俺は同じクラスだからよく知っているんだが、あいつはこの高校に入学して間もない時期にすべてのクラブに仮入部して、その日に辞めたそうだ。 それ以外にもいろいろ奇行をしてこの学校じゃちょっとした有名人だ。 今日来たのも冷やかしだ。期待しない方がいい」 「そう」 私はせっかく来てくれた新入生がただの冷やかしだと分かり落胆した。 しかし、ナツはそんな落胆をみごとに裏切ってくれた。 「おっはよう」 部室にナツの明朗な声がこだました。 「おはよう」 私は微笑む。私はその時、書評を書き、彼はアンケートの集計をしていた。ナツには彼と一緒に集計の手伝いをしてもらった。入部早々アンケート集計の手伝いをさせるのもなんだが、本に興味がない彼女に本を読めというのはもっと酷か。って本が好きじゃないのに何で文芸部に入ろうとするのがおかしいのだが。 この日からナツは毎日、部室に来るようになった。すべてのクラブに仮入部して、どこのクラブにも属さなかった彼女が、文芸部を選んだ理由は何なんだろうか? この時の私にはまだ、その理由はわからなかった。 それから数日後の放課後、部室に行くと2人の声が聞こえてくる。 「あほ! もっと右に寄せるのよ」 「おまえの言ってる通りにしてるだろ」 「とにかく私に従いなさい」 はじめはナツの破天荒な発言にも驚かされたが、いまでは彼女の元気な声が心地よい。彼とナツは表紙作りをしていた。書評はすべて私が書くことになり、彼はアンケートと印刷、製本を担当することになった。ナツは彼の補佐をしている。私も早く書評を書かないと。 文芸部にナツが来てから、部室も少しずつ変わっていた。殺風景だった部室に物が増えていった。冷蔵庫に、食器棚に、コンロまで。文芸部は火気厳禁なのだが…… 昼休みの光景も一変した。彼はナツと学食へ行くようになり、私は1人で弁当を食べることが多くなった。 ナツが来てから2週間ほど経っただろうか。 書評を書くことが日課になり、部室に来て本ではなくパソコンの電源を押すことに何の違和感も持たなくなった頃、その仕事は終わってしまった。書評を書くことはなかなか骨の折れる作業で、この重荷から逃れることを願っていた。しかし、習慣というものは恐ろしいもので、いざ終わってみると手持ちぶさたになってしまった。 ナツと彼は印刷室にこもっているため部室には私1人しかいない。書評を書くというわたしの役目は終わり。あとは彼とナツに任せよう。私の本職が本を読むことであることを思い出し、話の佳境で読むのを中断していた本を開け、久しぶりの読書を堪能しようと思った。久しぶりの読書。楽しいはずだ。 しかし、私しかいない部室は孤独を感じさせた。私は寂しかった。 ◆◆◆◆ 小説を書くのは難しい。何度も壁にぶつかり頭を悩ます。自分の発想力、表現力のなさに幾度愕然としたことか。しかし、実を言うとここまでは割と簡単に書けたのだ。でも、ここから先、とりわけ結末がうまく書けなかった。わたしの頭の中では構成はすべてできていた。でも、なぜかペンが重たかった。 第4章につづく
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/485.html
木山先生が悩んでいる。 しきりにため息を吐きアンニュイ至極。 どうしたのかと訊いてみるが 「ああ大したことではないんだが…」 と僕を心配させたくないのか、それとも単に言いづらいことなのか、気の無い返事。 僕は何となく落ち着かず、やきもきして日々を過ごしていた。 その日木山先生は外出した。 「いってくる」 木山先生はにこりと微笑んでそう言うと、家を出た。その笑みは無理に作ったように見えて、どこか痛々しかった。 いってらっしゃいと見送りながら、何故か僕は、木山先生がもう二度と帰ってこないような気がした。 木山先生が家を出て少し経った頃、雨が降った。天気予報は外れた。 木山先生は今日は車ではなく電車で移動する。そのため今頃は、徒歩で駅に向かっている最中だろう。 時計を確認する。歩みの遅い木山先生のことだ。今から駅に向かって走れば、十分追いつける。 僕は傘を持って家を出た。 駅に向かう道中で木山先生に追いつくと踏んでいたのだが、どこかで追い越してしまったのか、僕は一人で駅に達してしまった。 仕方ない。どうせ帰りにも傘は必要だろうから、そのまま駅で木山先生を待つことにした。 傘を差しながら僕はぼうっと木山先生を待つ。目の前には駅のホームを臨む。 はっとした。ホーム内に佇む木山先生の姿を見つけた。木山先生は既に駅に到着していたのだ。 声をかけようとして思いとどまる。どうやって傘を渡そう。 適当な切符を買ってホーム内まで届けに行こうか。ここから木山先生に向けて投げてしまおうか。 しかし僕はそのどれも実行しなかった。 木山先生の隣には一人の男性がいた。他人の乗客だと思っていたのだが、よく見ると談笑している。 電車がくるぞとアナウンスが鳴った。 その時、男性が木山先生の肩をひいた。木山先生は少し驚いた顔をしながらも、抗えず、彼の胸の中に抱かれる。 停車する電車が、二人がキスをする瞬間を隠した。 それから僕はどうやって家に帰ったのかわからない。気づくとびしょぬれで、どこかで落としたのか傘も無くなっていた。 その日木山先生は帰らなかった。 木山先生との出会いはよく覚えている。それは僕が彼女に一目ぼれをした瞬間でもあるからだ。 暑い日だった。僕は自動販売機の前でコーラを飲んでいて、そこに木山先生が声をかけてきたのだ。 「道に迷ったのだが……」 僕は思わず飲んでいたコーラを落としてしまった。木山先生はブラウスを脱いで手に持ち、下着姿だった。 零したコーラは木山先生のスカートを濡らし、木山先生はスカートまで脱いだ。 「水着姿と変わらないのだから、別にいいだろう」 と木山先生はあっけらかんと言ったのだ。 木山先生の艶やかな姿を目の当たりにしつつも、不思議と僕はその時興奮しなかった。ただ綺麗だと思った。 翌朝、起床すると既に木山先生は帰ってきていて、リビングでコーヒーを飲んでいた。 僕に気づくと、「君も飲むかい」と微笑む。 僕には色々聞きたいことがある。あの男の人は誰ですかとか、昨日はどこに行っていたのですかとか。 でもそもそも僕にそんなことを聞く権利はないのだ。 「どうした元気が無いな」 僕の気など知らないで木山先生は機嫌が良く、それはあの男のおかげなのだろう。 胸のそこがどろどろと溶け出していくような感覚が僕を襲った。 木山先生が淹れてくれたコーヒーを啜りながら、僕は木山先生のもとから去ることを決意した。 ふらふらと街を歩けば、僕の居場所はどこにも無い気がした。 雑踏と喧騒が遠く聞こえる。意識がはっきりせず、じんじんと疼く火傷のような痛みが全身にある。 わかっていたことではあるだろう。木山先生は最初から僕のことなど相手にしていない。 そうは思うけど……。 その場にうずくまってしまいそうになって、立ち止まった。 すると声をかけられた。 「どうも」 振り返ると、佐天涙子が暢気な顔で手を小さく振っている。 「さっきから呼んでたのに、何で無視するんですか」 全然気がつかなかった。半ば気絶しているような状態だったのかもしれない。 女性にふられただけで凄まじいな、と自分で苦笑した。 「なに笑っているんですか? 気色悪いですよ」 「うるさいな。あっちいけよ」 「しょんぼりしちゃって。ひょっとして、木山先生に振られたんですか?」 笑って誤魔化したつもりだったのだが余りにも的確に図星を突かれたので うへへへと笑いながら号泣するという奇異な表情を晒してしまった。 「それマジでふられてるじゃないですか!」 マンゴージュースを撒き散らしながら、佐天涙子は声を上げて驚愕した。 どういう話の流れでそうなったのかよくわからないが、僕と佐天涙子は近くの喫茶店に移動しており、 僕はことの顛末を佐天涙子に根掘り葉掘り聞かれるという事態に陥っていた。 あまりにもはっきり物をいう佐天涙子に若干苛立つ。 「木山先生には何も言わなかったんですか」 「言わないよ。そもそも言える権利がない……」 「ちっちゃいなー! 男としてやばいですよそれ。 まああんまりしつこい男も嫌われますけど、あんまり理屈っぽいのもちょっとねぇ」 「お前にどう思われようとかどうでもいいんだよ!」 「それちょっと傷つくなー」 佐天涙子はむくれた顔を見せると、コップの中の氷をストローで突いた。 「それで、部屋を出てきたと」 「そう。もう帰れない。二度と会えない」 「弱いなー」 「……傷心の男を相手によくもそこまで言えるもんだ」 「でもどうするんですか。家無き子じゃないですか」 「どうしようもない。ホームレスだよ」 「うわ引くわー」 「その語尾伸ばす口調やめろむかつくわ!」 それじゃあ、と佐天涙子はストローを咥えると、上目遣いで僕を見る。 「私のところきますか?」 「あっ、それは助かるわ」 「軽っ!! もっとこう…何か無いんですか? 男と女が、とか!」 「女も何も君中学一年生じゃないか」 「まあそうですけど…。でもまあ、さすがに二人きりじゃないですよ。ルームメイトと一緒に暮らしているんですよ」 「そうなんだ良かった安心した」 「あんたが安心するなや!」 さっそく、佐天涙子が住まうマンションに連れて行って貰った。 「ちょっと散らかってますがまあ野宿よりは良いですよね」 「ゴキブリは簡便な」 「出ねえよ! 花も恥らう乙女の部屋だバーロー」 「それじゃおじゃまします」 「躊躇せいや! もっとこう…女の子の部屋に入るドキドキ感とかそわそわ感とか、 そういうイベントちゃんと踏んでいけや!」 「ゴキブリでたらどうしよう…」 「そういうことじゃねーよ!!」 少し散らかっているとは言ったものの、佐天涙子の部屋は小奇麗に整頓されていた。 しかし他人の部屋というのは、最初入ったとき、自分の居場所を見つけるのが少し難しい。 立ち往生していたら、佐天涙子はやかんに火をかけながら言う。 「まあ適当に寛いでください。お茶ぐらいは淹れてあげますよ」 勉強机があったので、椅子を引き、そこに腰掛けた。 何気なく台所で作業する佐天涙子の後姿を眺めていたら、ふいに振り返った。 そして神妙な顔でこんなことを言う。 「さっきの話の続きなんですけど 好きな人に気になることがあって、それを訊くか訊かないかは、理屈じゃないと思いますよ。 権利がどうとかそういうくだらないことじゃなくて、大切なのは……」 佐天涙子は自分の胸をとん、と叩いた。 「心ですよ」 「全然上手いこと言えてないよ」 「別に受け狙ってねぇえええんだよ!!!」 ところで、と僕は話題を変えた。気になることがある。 「ルームメイトの友人の姿が見えないけど」 「ああ、友達はジャッジメントをやってるんですよ。多分夕方には帰ると思います。 さすがに友達がいなければ、あんたみたいな変態家に呼んでいませんから、そこは勘違いしないでくださいね」 「はぁ?」 「はぁああああああああああああああああああああああ????????」 その時、部屋に携帯の着信音が響いた。佐天涙子のものらしい。彼女はポケットから振動する 携帯電話を取り出すと、慣れた様子で耳に当てた。 「もしもし。……うん。……うん。……えぇっ!!」 突然、佐天涙子は奇声を発した。そして、みるみる端青ざめ始める。様子がおかしい。 通話を終えて携帯を畳んだタイミングで、僕は「どうした?」と声をかけた。 佐天涙子は震えた声で、「友達、今日は別の友達の家に泊まるそうです……」と言った。 時は流れて夜である。 その時分、佐天涙子の部屋にはバリケードが設営された。 ダンボールを天井付近まで積み重ねて造られたそれは、佐天涙子のベッドの周りを固く閉じるように設置される。 さらに佐天涙子は枕元に携帯を置き、何があっても瞬時に助けを求められるような状態を作った。 よくもまあここまで、と半ば呆れていたら、ダンボールの向こうから佐天涙子の声が聞こえてきた。 「絶対近寄らないでくださいね。ダンボールに触るのも無し」 「気をつけるよ」 僕は適当に返事をしながら、床に寝転がった。 カーテンから差し込む月明かりが少し眩しい。また布団も毛布もないため、 寝苦しいことこの上ないが、贅沢はいえないだろう。 ぼうっと天井を見上げていたらバリケードの向こうから「あの」と声が聞こえた。 「これからどうするんですか?」 もう寝ていることにして、無視した。その話は酷くめんどうだったし、いちいち蒸し返す 佐天涙子に苛立ってもいた。 佐天涙子は構わず続ける。 「まさか諦めたりしないですよね? あんなに熱烈アプローチしてて」 佐天涙子の声色は、何故か緊張して強張っているように聞こえた。 「諦める、とか言わないでくださいよ。……ドキドキして、眠れなくなりますから」 以降佐天涙子は喋らなくなり、僕もゆっくりと、寝入った。 その夜木山先生の夢を見た。僕の夢の中で彼女は裸であり、細かい描写は割愛するが、とんでもない淫夢だった。 カーテンを照らしていた月明かりが朝日に変わる頃、僕は自然に目が覚めた。 夢の余韻に浸りぼうっとする。次第に意識がはっきりし始め、同時にみるみる青ざめてしまった。 慌ててパンツを確認する。大丈夫だった。 ふと、バリケードが崩れていることに気づいた。ベッドがあらわになっている。佐天涙子はいない。 代わりに、ベッドには木山先生が腰掛けていた。目が合う。 まだ夢を見ているようだった。 「朝から元気なことだな」 木山先生は僕のモーニンググローリーによって膨らんだ股間を見て言った。 少し、不機嫌なようにみえる。まあそんな木山先生もいい。 僕は先ほどの夢でそうしたように、おもむろに木山先生を押し倒した。 木山先生は驚いた面持ちで僕を見上げた。 「何のつもりだ」 木山先生はやっぱり、少し不機嫌だ。 でもこれは夢なんだから構わない。夢の中なのだから、好きなことを言える。 「木山先生、僕だけをみて欲しいのよさ……。ずっと、いつまでもそうしてほしいのよさ……」 木山先生ははっとした顔をしすると、顔を赤らめた。そして僕から顔を逸らしてしまう。 彼女に抵抗する気配は無いが、肩は少し震えていた。 僕は、木山先生に覆いかぶさった。 その時、後頭部を殴られた。はっきりとした痛みだった。 混乱状態で振り向くと、鬼のような形相をした佐天涙子が僕を睨んでいる。 「人のベッドの上で何してんですかあんたは!」 訳がわからず、僕はもう一度木山先生を見た。 赤面し、困惑した顔で僕を見上げる彼女と目が合った。 「寝ぼけているのか……?」 驚きすぎて、呼吸が止まるかと思った。 とりあえず正座、と佐天涙子は床を示した。 僕は言う通りにしながら、「ど、どうして木山先生がここに」と当然の疑問を呈す。 佐天涙子は腰に手をあてて、呆れたように僕を見下ろすと、実に簡潔な答えを返した。 「朝方、連絡があったんですよ。あの阿呆を知らないかって。木山先生はあんたのことを探していたんですよ」 僕は恐る恐る木山先生を見やった。木山先生はまだ赤い顔をしていて、僕と目が合うと顔を逸らした。 だけど木山先生は、明後日の方向を見ながら、怒ったように言った。 「突然いなくなったりするなんて、迷惑な男だな君は。何を考えているんだ」 「何をって…」 僕は口ごもりながら先刻の事態を思い返した。 木山先生は僕に押し倒されたというのに、抵抗しなかった。 もし佐天涙子がいなければ、もし僕がこれは夢だと勘違いしたままだったら……。 いやそれよりも僕は、もっととんでもないことを口走ってしまっている。 何も言わない僕に、木山先生は一つため息を吐いた。 「とりあえず帰ろうか」 そう言いながらベッドから立ち上がり、佐天涙子に向き直る。 「君、すまなかったね」 「いえ別にそんな」 そして木山先生は僕の手を引いた。 「ほら、帰ろう」 だけど僕はその手を振り払う。 「すみません、無理です……」 「それはどういうことだ」 「だっておかしいでしょう」 「何が」 「付き合っている男性がいるのに、僕が近くにいては……」 木山先生は短く悲鳴をあげるように、息を呑んだ。 「どうしてそれを……」 僕はゆっくり立ち上がって、玄関に歩んだ。もうこんなところにいられない。 木山先生が僕の手を掴む。振り返ると、呆然とした顔の木山先生と目が合う。この中で一番、彼女が驚いていた。 僕はまたその手を振り払い、部屋を飛び出した。 あてもなく街中を歩きまわり、次第に夜になる。 歩きつかれた。路肩によって座ると、本物のホームレスのようだと苦笑する。 これからどうしたらいいのか考えた。行く当てはない。頼る知り合いもいない。 木山先生と知り合う前のことを思い出す。 僕は孤独だった。誰も僕を見ないし気にかけない。透明人間のようなそんな奴だった。 僕はそれでいいと思っていた。独りでも何も問題は無かった。困ることも無い。 夜によく眠れなかった。夜中突然目覚めたりする。窓からの月明かりが酷く寂しく見えた。 そんな時どうしてか、僕は泣いていた。 今、そんな気分だ。 腰掛けていた路肩に、そのまま寝転がった。コンクリートが硬くて、骨があたると痛い。 構わず目を閉じる。寝てしまおう。 手を振り払ったときに見た木山先生の顔が、脳裏に張り付いている。 僕は木山先生と一緒にいてはいけない。それは間違いない。木山先生だってそう思うだろう。 だというのに何故、あんな悲しそうな顔をするんだ。 全てがデータ化された学園都市では浮浪者の存在など許されない。 あちこちにはカメラがあり、学園都市全体は監視されている。 だから木山先生ほどの人なら、その情報を伝って僕を見つけることなど容易いのだろう。 ごつごつしたコンクリートで体中が痛い。気づけば朝になっていた。 起きたとき、掃除ロボットが僕の周りにたかっていた。 カラスにそうされるよりはマシかと考えながら顔をあげると、見覚えのある顔が僕を見下ろしているこ とに気づいた。 木山先生である。 思わず笑ってしまった。なんと発展しない展開だろう。 しかし僕はほっとしていた。 情けないことに、僕は心のどこかで、木山先生が僕を探しにきてくれることを期待していた。 困ったような笑顔が僕を見下ろしていればよかった。 だけど木山先生は僕を無表情で見下ろしていた。 「君はどうしようもない奴だな」 そう言うと木山先生は僕の頬を一度叩き、吐き捨てるように言った。 「二度と私の前に現れるな。……これを言いに来たんだ。そ知らぬ顔で『ただいま』などと 家にこられても癪だからな」 そうして木山先生はどこかへ去った。後姿は遠く見えた。 僕は木山先生が探しにきてくれることを期待していた。 僕は木山先生が好きだった。心の一部だった。 そんな人を殺したいほど憎くなることがあるなんて、思いもしなかった。 僕は要するに、木山先生がまた僕を受け入れてくれることを望んでいた。 僕だけが必要だと言って欲しかったんだ。母親を心配させたい子供が家出するような感覚だったのだ。 他の男とキスしないで。僕だけを見て欲しい。僕を受け入れて欲しい。僕が傍にいないと生きられないんだって本気で言ってよ。 お願いだから僕を否定しないで。 心の一部なのに腐り落ちた。 こんなに思っているのに、どうして僕にはキスさせてくれないの? なんて身勝手だけど、本気でそう思うんだ。 僕はどうしようもない変態だ。だから木山先生は僕に振り向いてはくれなかった。 だけど僕を否定しないで欲しい。 君が僕を否定するなら、僕は死ぬしかなくなるんだ。 心が落ちていき、僕は立ち上がれない。 僕を迎えにきた佐天涙子はこういう。 「木山先生はあなたに信じて貰えなかったのがすごく悲しかったんだと思います」 それってどういうこと? 「全部あなたの勘違いですよ。男の人は木山先生が研究所にいたとき知り合った学友で、 男の人は木山先生にアプローチしていたけど、木山先生にその気はなかった。 だからはっきり断るために、あの日、彼に会いにいったんですよ」 でももう遅いよね 佐天涙子は遅いんです、と言った。 僕は木山先生に連絡をとった。先生は「最後に少しだけ話をしよう」って言った。それって電話越しなんだ。 木山先生もずっと不安だったの? 僕に勘違いされるんじゃないかって? でも僕のことを信じてくれていたの? だから平気な顔をしていたの? 僕にその気持ちはわからなかったなぁ。 って、全部そういうことが、あなたにも伝わってしまったんでしょうね。 僕はあなたを拒絶するふりをして、また受け入れてもらいたかったんだ。 そんな僕の糞みたいな考えで全部がもう崩れたんだね。 僕がふりでやった拒絶はあなたをこなごなにしてしまったんだね。今やっとわかったよ。 でももう遅いよね。 僕の馬鹿みたいに高いプライド。 『私を信じてくれないなら、もう私たちは無理なんだ』 本気で言っているの? その誤解が解けたならもう、って僕は思うんだけど。 『それだけで全部壊れてしまうのには十分なんだよ』 僕はそうは思わない。また一つ一つ組み立てることもできるはずだ。ずっと前から僕たちは一緒だった。 『お前だけはって思っていたのは、私も同じだよ』 そうなんだ。初めて知った。 木山先生は涙を含んだ声で『お前は最初から何も私のことをわかっていなかったんだな』と言った。 僕たちはお互いに何も分かち合ってなんかいなかったんだね。きっとずっと前から。 じゃあもう無理だね。 全ては崩れ落ちたみたい。あるいは最初からそうだったみたい。 さよなら木山先生。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/24221.html
【検索用 さよならほくたちのせんほんさくら 登録タグ 2013年 VOCALOID さ ほぼ日P 初音ミク 曲 曲さ 殿堂入り】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:ほぼ日P 作曲:ほぼ日P 編曲:ほぼ日P 唄:初音ミク 曲紹介 昨日似たようなタイトルの曲を見かけたのですが動画を見る前に消されてしまって残念なので想像で作ってみました。多分こんな感じだったんじゃないかと思います。(動画説明文より) 曲名:『さよならぼくたちのせんぼんざくら』 タイトルからも想像がつく通り、「さよならぼくたちのてれびきょく」のセルフカバー。 この動画がアップされる前日に公開された、とある曲が元ネタであることを示唆するような投コメになっている。 サムネには、「争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない!」AAの元となったイラストを使用。 コンピCD『V love 25 -Fortune-』の収録曲。 歌詞 (動画より書きおこし) アイドル聴いてる同級生が 子供じみてる馬鹿に見えた テレビに踊らされてるヤツと違う 自分はイケてると信じてた カラオケでボカロ曲歌ったり 校内で流そうとしたり 自分はわかってるという優越感 よくある中二病と気づかなかった 見下していたアイドルグループが 初音ミク役でミュージカル化されて 何が起こっているのか 理解できなくなったんだ 頭がどうにかなりそうだった さよならぼくたちのせんぼんざくら 痛い中二時代の黒歴史 人それぞれに好きなものを 好きなように楽しめばいい 当たり前のことがわからなかった さよならぼくたちのせんぼんざくら 期待せずに行ったミュージカルで あれほど頑なに拒んでた アイドルの楽しさに目覚めて 今じゃ握手会に並んでる さよならぼくたちのせんぼんざくら コメント 追加乙です -- 名無しさん (2013-01-15 00 20 03) オチがw -- 名無しさん (2013-02-19 18 06 58) 曲の雰囲気はいいんだけど笑うww笑うわwwwウケるwwwww爆笑wwwwwwww -- 名無しさん (2013-04-21 23 10 41) なんか…ほぼ日Pぽいよねw -- どえむ (2013-04-21 23 45 18) 歌詞wwwwwwwwwwwwwwwwww -- 名無しさん (2013-05-01 22 01 21) クッソワロタwwwwwwwwww歌詞wwwwwwwww -- 名無しさん (2013-05-01 22 12 07) 何というか… 衝撃のラスト? -- 名無しさん (2013-05-24 16 28 27) オチワロタwwww -- 名無しさん (2013-05-28 20 50 12) 私はさすがってかんじかなー。客観的に見たらこの歌詞の通りだなって思える -- 名無しさん (2013-07-14 20 01 41) みなさん落ち着きましょう・・・ -- 名無しさん (2013-12-26 16 56 25) オチがw -- 3332 (2014-01-26 10 00 50) さすがだわw -- 名無しさん (2014-03-27 01 44 19) 笑った。ほぼ日Pやるな -- 名無しさん (2017-03-25 16 11 00) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/niko2/pages/269.html
震える山~歩くような速さで~ ◆CMd1jz6iP2 (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル 第百十六話⇔第百十七話 第百十七話 ニコロワ最大の登場人物数 私とアリスは、ようやく歌声の聞こえていた場所へとたどり着いた。 「なるほど、洞穴か。ここに隠れているのだな」 「その割に、歌っていたら意味ないわよね」 「そう言うな、心の闇を払うには歌は効果的なのだからな」 「ウン、ソレムリー」 琴姫の歌も、そういう力があったからな。 早速入ろうとすると、アリスに止められた。 「彦麿、ちょっと待って……」 「なぜだ、私が行って、心の闇をだな」 「だからよ、いいから待ってて」 むう、言い争っても仕方ないか。 「すみません、ストーム1から言われてここに着た者です。信じていただけるのなら、入らせて頂けないでしょうか?」 返事が無い。 間違いなくここだと思ったのだが……違ったのか? と、程なくして中から足音が聞こえてくる。 出てきたのは……怪しいコートの人物だった。 「ぬぅ!悪霊に取り付かれたのか!」 「アクリョータイサンレッツゴー」 「黙ってなさい!……ええと、いさじさんって方?」 「いえ、違います」 何、女性の声だと? 確かに背格好はそうだが、あやしい姿ゆえ、わからなかった。 「ストーム1って、おじいちゃんって人のことですよね。その人はどこに?」 「彼は雪山方面に困った人がいないか探しに。私たちは様子を見てきてくれと……」 「えっ!?」 何か驚いている。どうかしたのか? 「わ、わかりました。詳しい話を聞きたいので、中へどうぞ」 アリスもあっけに取られているようだが、どうやら良い方向へと進んだようだ。 なるほど、たしかに我らを信用してもらわねば、心の闇など払えぬ。 ここはアリスに任せて正解だったか。 だが、奥に進んで更に問題が発生してしまった。 中には、聞いていた以上の人数がいた。 その中の一人が、こちらと顔を合わせた瞬間に大声を上げるではないか。 「あ、朝倉さん!?」 「ハイナー」 なんと、朝倉の知り合いがいたようだ。 アリスと顔を合わせる。 アリスも、どうやら同じ考えに至ったようだ。 朝倉の体の秘密が解けるかもしれない。 雪山にストーム1という人が向かったという話を、詳しく聞こうと中に入ってもらった。 金髪の美少女に、はわーっと子供みたいな表情とは裏腹のプロポーションの美少女。 この二人はともかく、その後ろにいる黒服の男の人が、すごくうさんくさかった。 自分の格好も人のことが言えないのはわかっていたので、黙っていた。 そして、皆と対面した瞬間に、谷口さんが大声を上げたわけなんだけど…… 何でも、はわわっとした女性は朝倉涼子さん。 クラス委員長だったが、突然カナダに転校したという謎を持つ人らしい。 だが、当の彼女は 「ワスレモノハダメダヨー」とか、「バックアップー」とか、良くわからない言葉を口にするだけ。 「てめえら、いったい何しやがった!」 と谷口さんがアリスに掴みかかろうとするのを、朝倉さんに弾かれる。 魅音ちゃんが止めようとするが、谷口さんも収まらない。 「やめるんだ!」 そこで、やっぱり頼りになるのはいさじさんだった。 あまり体調も良くないの彼に頼ってばかりで、本当に心苦しい。 何とか落ち着いて、まずは雪山に向かったストーム1さんの話となった。 矢部野彦麿、アリス・マーガトロイドと名乗った二人の話によると やはり話に聞いたYOKODUNAという相撲取りのような人は 福山さんを狙撃した人を殺して、そのままこのゲームに乗ってしまったという。 そして、ストーム1さんは雪山で遭難した人がいないか確かめに行ったらしい。 「みお、ほものひとがいるよ?」 「ホモー?」 「へ、変な言葉覚えないの!」 カ、カービィくんの言う通り、その、言葉に出すのも恥ずかしいような危険人物が、そっちにはいると聞いている。 「でも、あれから随分経ったし、ずっとあそこにいるとは、おじさんは思わないねえ」 たしかに、ゲームに乗った人なら、その場を動かずにいるとは考えにくい。 ストーム1さんのことは心配だったが、追っても行き違いになる可能性の方が高いだろう。 「それに、この辺りで猿の化物を見た。おそらく悪霊どもが呼んだ魑魅魍魎だろう」 彦麿さんは、陰陽師をしているらしい。 心霊番組に出たときに見たが、ああいう番組のインチキの人とかより本物っぽい。 その分、もっと怪しいけど。 とにかく、危険な動物がいるなら、なおさらスパイダーマッ!さんを待った方がいい。 そして、話は朝倉さんの話題になる。 「それじゃあ、本当に涼子のことは何も知らないのね?」 「だから、お前らが言ってる事がデタラメだろうが! なんだよ、人間じゃないって!」 二人の話によると、朝倉さんは人間ではなく、人形やロボットの仲間らしい。 触ってみても、私より完璧な人間って感じがする。 「キヤスクサワルナー」 「絶対に裏があるぜ、騙されるなよ。朝倉さんをこんなにしたのは、こいつらに違いないぜ!」 「おぬし、そのように人のことを信じられぬとは……悪霊が憑いておるな!」 彦麿さんが、どーまんせーまん言ってるのを、アリスさんが止める。 「もういいわ。信じさせるにも、証拠も何もないもの。彦麿、行きましょう」 「ぬう!?だが、この者達の心の闇を……」 「そこのいさじって人がいれば平気でしょう。不協和音こそ、心に闇を生むわよ」 「たしかに、そうか……仕方が無いな」 そう言って、三人が立ち上がってしまう。 「ちょっと、待ってください。わざわざ来てくれたんですから、少し休んでいったほうがいいですよ」 いくらなんでも、このまま帰しては失礼だ。 「そうそう、情報交換とか、支給品の交換とか、色々してもいいんじゃないかな?」 魅音ちゃんも、そう言って引き止める。 「いけない、忘れてた。いさじ、貴方の持っている人形を、良ければ頂きたいんだけど」 「人形? ……ああ、支給品のフィギュアかい? 構わないけど……」 いさじさんが、自分のディパックから人形を取り出す。 「おお、こりゃあ中々の造型だねー。見たことないキャラだけど、自作かな?」 魅音ちゃんが、やたら反応してる。そっちの人? 「うう……コミケの悪夢が蘇るよー」 逆に、つかさちゃんは震えだした。こっちの人だ。 「ふん、こんなお人形さんで遊んでいるようじゃ、女は落とせないぜ」 何かもう、谷口さんは駄目なのかもしれない。 「目が大きすぎる……呪われているのか!?」 彦麿さん!! そこに触れると危ない気がします!何か色々! 「ありがとう。あら、中々かわいい人形ね。それに、魔力の通りも良いみたい」 まりょく? 聞きなれない単語が出てきたな、と思うと…… アリスさんの周りを、人形がクルクル飛び出した。 「え……ええ!?」 「ガチャガチャギュー」 「ヨロシクー、コユビデギュー」 朝倉さんと戯れる人形。これって…… 「これで、自己紹介としましょうか。 これが七色の魔法使い、アリス・マーカトロイドの力……人形を操る程度の能力よ」 魔法使い、そんな漫画の世界の単語を出されても、どう反応していいのかわからない。 「おいおい、ふざけるのもいい加減にしろよ。何が魔法……」 「やはり、そうなのか……」 いさじさん? 「おそらく、彼女の言葉は嘘じゃないと思うよ。核鉄が存在した以上、そういった世界が存在するのかもしれない」 「核鉄って、私の心臓の代用品の……シルバースキンのことですよね?」 「心臓の、代用品? そんな物があるの?」 「え、なにそれ!? 春ちゃん、腕だけじゃなくて心臓も取れちゃったの?」 ちょっと、無用心な発言だったのか、事情を知らない皆に注目されてしまった。 「たしか、錬金術で創られた、賢者の石のような物、だったかな」 「いさじさん、なんで……そんなの知ってるの?」 たしかに、それは私も知りたかった。私の心臓の代わりに動いているこれは、何なのか? 「福山さんがね、あるアニメの主題歌を歌っていたんだ。そのアニメに出てくるアイテムこそ、その核鉄なんだ」 アニメ? 反応に困る……でも、何かの冗談でもないらしい。 「もちろん、アニメから飛び出てきたとは思わない。ただ、どこかの誰かが、まったく同じものを実際に作った。そう考えた方が真実味があるね」 「ちょ、ちょっと待ってよ。賢者の石くらい、物語で聞いたことあるけど、そんなの作れるわけないじゃん」 「ああ、そうだ。だが……もしかして、アリスちゃんの世界では、簡単に作れるんじゃないのかな?」 アリスさんの、世界? 「そういうこと……無理、とは言わない。まあ、知り合いに作れそうな図書館の日陰少女はいるわね」 「どういうこと、なんですか?」 「認めてしまえば簡単なことさ。俺たちは、皆違う世界の住人…… 俺の世界に、あんなピエロの化物はいないし、魔法使いなんていない、核鉄も本当には存在しない」 たしかに……それなら、全てに説明がつく。 「つかさちゃんが、765プロのことを知らないのは……世界が違うから?」 「ちょ、ちょっと待ってよ。そんなおじさんが描いた同人誌みたいなことがあるわけないじゃん」 「描いてんのかよ! 東京ビッグサイトとか、あんな場所に集まって何が楽……」 「へ、なにそれ? コミケって言ったら晴海だよ?」 「魅音ちゃん、古いね。それってたしか、昭和の頃の話じゃないかい?」 「え、何? い、今って昭和58年だよね、何か間違ってる?」 「馬鹿な、今は平成の世だぞ!」 きっと、魅音ちゃんの世界では、間違いないのかもしれない。 「過去から来たとか冗談だろ……今は、2006年だぜ?」 谷口さん、貴方もです。 結局、谷口さんが最後まで反論していたけど、私たちは違う世界の人間なんだと理解した。 魅音さんは過去から来ただけではなく、住んでいる村も、市も、県も、知らない名前だった。 「隣の岐阜県はあるのに、鹿骨市も雛見沢村も他の世界には無いなんて、酷いなぁ」 ダム建設以前の問題かぁ、と魅音ちゃんはつぶやいていた。 「ぬうう、あの悪霊はどれほど邪悪な存在なのだ。必ず祓わねば……」 「まぁ、興味深い話ね。それなら、涼子の存在も理解できるもの」 「……俺の世界は、ごく一般的な科学力で、魔法なんてねーよ」 「なら宇宙人ね。地球まで航行できる星の生き物なら、科学というのも高いんでしょう?」 魔法使いって名乗る人から、宇宙人って言葉が出ると、何か違和感を感じる。 「あ、これも宇宙人の技術かな?」 小さな機械を見せる魅音ちゃん。それって…… 「たしか……あい、なんとか? 幻想郷でも売ってたわね、骨董品店で」 「アイポッド、だったか? 僧侶が持ってたな。没収して捨てたが」 「iPodだろ?」「iPodか」「iPodですね」「iPodだね」 「……みお、僕はしらないよ」 「あ、ありがとねー、でも泣けてくるからやめてぇぇ」 場が和む。 私の失った腕の痛みも、感じないほどに、幸せな時だった。 会うことも無かった、福山さんは死んでしまったけど、私たちは生きている。 これからは、きっと良い事があると思ってしまう。 この幸せを打ち破る、放送が流れなければ……ずっと、こうだったはずなのに。 ################################ 巨大な鰐は、大きな雄たけびを上げた。 「すぱいだーまッ!散開するぞ!」 「ああ、わかってるッ!」 固まって行動しては、確実にあの尾で一気に薙ぎ払われる。 それにしても、なんて怪物だ。 いや、この怪物を生み出してしまったのは俺の判断ミスが原因。 ここで、こいつを倒さなければ! 「あははははは!!コロセ!コロセ!皆コロセ!」 怪物の上に跨る少年、否、少女の瞳に正気が感じられない。 助けるには、この化物を倒さなければならない。 大地を踏む削りながら、鰐の化物が直進してくる。 ストーム1が狙撃を加えるが、鰐は気にもしない。 二股の尾を、俺に向かって振るおうと突進してくる。 バンッ! 「ぐああああ!?」 鰐の目に、銃弾が当たり、尾の狙いが外れた。 それでも、恐ろしい風圧が俺の体を吹き飛ばす。 「すぱいだーまッ!」 「大丈夫だ!」 こうなれば、使ってみるか! 「武装錬金!!」 俺の手に握られる月牙。そして、精神を集中して、俺の意識をわける。 「なっ……!」 「「ダブルクロコダイルハンター!スパイダーマッ!」」 二人に増えた……これで勝負だ! 二人の俺が、鰐に突っ込む。 その、あまりにも巨大な口が、俺を飲み込もうと開く。 それをジャンプで回避し、口を踏みつける。 片方の俺は、少女を助けようとするが、そこを尾が狙い打つ。 「ぐああああ!!」 スーツが破れ、吹き飛んだ。なんとかもう一人の俺は避けられたが、なんて一撃だ。 尾を避けた俺、避けられなかった俺は、再び鰐に攻撃を加える。 だが、蹴りも月牙も対したダメージを与えられない。 ダメージを負った俺は、動きが鈍い。このままでは…… 「行くのじゃ、たいやき!」 ストーム1が、何かボールを投げると、中から変な魚が表れる。 「たいやき、体当たりじゃ!」 鯛のような魚が、鰐に飛び掛る。 バクン、と。 当然のように食べられた。 「あはははははははは!!!エサをありがとう!」 なんてことだ……だが 「たいやき、じたばたするんじゃ!」 鰐の腹に……魚の形が浮かんだ。 「グ……ぎゃアアアアア……いたい、痛いよおおおお!」 「ゴマモン、しっかり!!」 ゲエッと鯛を吐き出す鰐。 鯛は流石に弱っている。 「戻るんじゃ、たいやき!」 鯉が、ボールに戻る。 「よくも……ゴマモン、行ける?」 「ああ……よくも、やってくれたなあ!!」 ストーム1に鰐が突っ込む。 刀を取り出したストーム1を、傷ついた方の俺が制する。 「俺に任せろ、思いついたことがある!」 傷ついた俺が走る。 大口を開けて走る、鰐の口へ飛び込んで…… 無常にも、その口が下半身半分を噛み千切り、閉じた。 「馬鹿だな、同じ手が二度も……」 「通用しているんだよ、残念だがな」 鰐の腹から血が噴出し……月牙が見えた。 「ビャ!ギャゴゲエエエエエ!!イダイ、イダイイイイイ!!」 腹を、まだ息のある胃の中の俺が裂いていく。 そのまま、突き破って飛び出し……俺は息耐えて、消えた。 「ぐ……オ、オオオオオオ!?」 死の感覚が、俺に襲ってくる。 人生で一度しか体験しないそれを、死んでもいないのに経験してしまった。 体力的な疲れではなく、精神の疲れが、それだけで限界に達した。 「すぱいだーまッ!大丈夫か!?」 「え、ええ……もう、平気です」 鰐の化物を見つめる。 どす黒い血を吐きながら、悶え苦しんでいる。 「ゴマモン、駄目だ、死んだら駄目だ!!」 「ギアアアア!!イタイイダイイダイ!!」 少女は、涙を流しながら鰐に語りかける。 「糞ぉぉ!!許さない、許さない、許すもんかぁ!」 憤怒の形相で、俺を睨む少女。 「俺の責任だ、全ては俺の……」 「すぱいだーまッ、後悔は後でも出来る。今はあの少女を助けるぞ」 そう、だな。俺とストーム1は少女に駆け寄る。 「ウアアアアアア!!!」 「くっ、こいつまだ……ッ!」 瀕死の鰐は、どこにそんな力があるのか、尾を振るう。 「ゴマモン、逃げよう!ここは逃げて、回復してから……」 「それは無理な話だね?」 「え?」 ―――なんだ? 今のは、誰の声だ? 「知っているだろう? だって、常識じゃあないか」 それは、あの鰐の真後ろに君臨していた。 たとえるならば、サナギ。 一体、どんな醜悪な存在が生まれるのか、想像もつかない、悪夢が生まれる手前の段階。 「それとも、知らなかったのか?」 その体からは、触手が伸びていて…… 「魔王からは、逃げられない」 その触手が、鰐へと伸びた。 敵だと、そう思ったときは、もう遅かった。 触手が刺さる、ドスドスっという、鈍い音がした。 お腹が痛すぎて、もうその程度の痛みは感じないのか。 「……げ、ろ」 違う、違った。 「逃げ……ゴ、マ……」 その裸体が、赤く染まっていく。 正面から、背中を突き抜けて見える、数多の触手。 百舌のはやにえとは、こういう状態を言うのだろうか。 「まこ、と……?」 生きてるのが不思議だ。 だって、かがみはすぐに死んだのに。 同じことをしているのに、なぜ真は死なないのか。 そればかりか、どうして。 「逃げろ……ゴマモン!」 僕を、助けようとしているのか。 「せっかくのデータ吸収の邪魔を……許さん!!」 触手が抜けて、真の体が地面に落ちる。 赤い服を着ているかのように、真っ赤になった真は。それでも立ち上がる。 サナギは、否、クリサリモンが力を収束している。 「許……さない? それ、は……こっちの台詞だ」 真は、おいらの体を踏み台に、空に浮かぶクリサリモンへと飛ぶ。 「なんなんだよ……裸にされて仲間にも裏切られて…… それで、最後の仲間も守れず串刺しなんて、御免だ!!」 その時に舞った血は、まるで真が真紅のドレスを着ているようで…… 「乙女の怒りを、思い知れぇぇ!」 何か奇妙なクリサリモンは、その力を解放する。 「ディバインバスター!!!」 真の渾身の飛び蹴りは意味を成さず、真は……文字通り蒸発した。 ################################ その光景を、俺とストーム1は見ているしかなかった。 激しい光と熱が収まった後には、誰の姿も無かった。 「くっ……あれは、なんだったんだ?」 「……わからん。だが、わかっていることは……もう、終わったということじゃな」 俺たちは、俺は……何も出来なかった。 「英雄の代理人などと……俺は、こんな体たらくで……」 「自惚れるな、すぱいだーまッ! 全てを救える人間などはおらん! そうではないかの?」 「……すまなかった。そうだ、俺には……まだ、やることがある」 放送は流れた。もういさじ達は町へと向かっただろうか? 「ストーム1、いさじ達が心配だ。俺は一度彼らのところに戻る」 「そうじゃな。今の化物がどこに行ったのかもわからん以上、その方がいいじゃろ」 「ストーム1はどうするんだ? 橋の先が禁止エリアのようだが」 この橋の先のB-1が禁止エリアになってしまう。 「地図を見るんじゃ。ちょうどB-2の橋の途中から陸に繋がっとる」 たしかに、これならば向こうに行けるだろう。 「行く前に、あの女の子を埋葬しないとな」 「雪山も埋葬も、ワシに任せろ。お主は、町まで皆を誘導してやってくれ」 俺はうなずき、ストーム1にテニスボールを渡す。 「これを受け取ってくれ、仲間の証だ。……待っているぞ、ストーム1」 「わかった。早く済ませて、ワシもあの子達と合流せんとな」 そして、俺たちは別れ、歩みを進める。 その時起こっていたことなど、俺たちは知る由も無く。 【B-2 山道手前/一日目・午後】 【スパイダーマン@東映版スパイダーマン】 [状態]:肉体的、精神的疲労中度、鉄十字団を倒し終えていない状態。英雄の代理人。阿部に対する恐怖?(gthm的な意味で) [装備]:サテライト30@武装錬金 [道具]:支給品一式、DIGIZO HYPER PSR(残り二十分程度)@現実、上海人形、花粉防止用マスク、テニスボール*2 [思考・状況] 1.いさじたちと合流して町へ。 2.あの邪悪な怪物に注意する。そして阿部に注意する。 3.英雄の遺志を継ぎ、可能な限り誰も死なせない。 4. YOKODUNAを探して、止める。 5.夕方に仲間と塔で待ち合わせ。 「しかし、酷い男じゃったな。まあ長い夢の中では、ああいうのもいたな」 あの消し飛んでしまった少女の服を集め、死んでいる少女と一緒に埋めることにする。 穴は掘らずとも、戦いでちょうどいい穴が出来ていた。 女の子の死体を抱き上げ……気付いてしまう。 「まさか……つかさちゃんの……!?」 先ほどの放送、あの阿部の凶行に気を取られ、深く考えていなかった。 柊かがみ。つかさちゃんの双子の姉の名が呼ばれていたのだ。 「しかし、すぱいだーまッも気付かんとはな……そうか」 ワシは、もうとっくに見えないすぱいだーまッの進んだ方角を見る。 「知らなかったんじゃな。つかさちゃんの苗字も、姉が参加していることも」 名簿を見ればわかること……すぐに気付くだろう。 だが、問題なのは、つかさちゃん。 福山に続き、姉まで失った彼女は…… 【B-2 橋の手前/一日目・午後】 【ストーム1@おじいちゃんの地球防衛軍】 [状態]:健康 [装備]:ウィンチェスター M1895/Winchester M1895(狙撃銃、残弾0)@現実、予備弾丸20発 無限刃@るろうに剣心(フタエノキワミ アッー!)、トカレフTT-33(6/8) [道具]:支給品一式、きしめん@Nursery Rhyme、たいやき(残りHP50%)@ポケモン金コイキングだけでクリアに挑戦 テニスボール [思考・状況] 基本:異星人を撃退じゃあ。 1.つかさちゃんが心配。 2.雪山で遭難している人がいないか見に行く。 3.すぱいだーまっ!達と搭で合流する。 4.地球防衛軍として地球を守る ※阿部に対する恐怖は、ああいうのもいるかと、無くなりました。 ※真の服、柊かがみの遺体は、B-2の草原地帯に埋められました。 ※スパイダーマンは、つかさの姉の死に気がついていません。 名簿を見直せば、気付くでしょう。 こなたちゃん……かがみちゃん……ボクは、何も出来なかったよ あの時、あのロボットに殺されていた方が幸せだったよ。 ごめんね、こんな考えばかりして。 こなたちゃん、かがみちゃん、ゴマモン、圭一、ピカチュウ、ピッピ ボクは、何も手に入れられなかったよ。 ゴマモンと、初めに出会えたのがボクだったら良かったのに。 ボクも、ボクだけの……あんな素敵な騎士が、欲しかったなぁ…… 「何言ってんのよ。アンタがゴマモンの騎士だったじゃない」 あーもう、それが嫌だったのになあ……まぁ、それがボクらしいか。 それに、人としてはともかく、アイドルとしては中々だったと思いたいな。 狂ってなお、最期には王子様らしく、カッコ、つけられたんだから。 【菊地真@THE IDOLM@STER 死亡】 【残り43人】 sm115:罪滅しと、新たな罪と(後編) 時系列順 sm117:震える山~君想フ声~ sm116:Dive to the unknown 投下順 sm117:震える山~君想フ声~ sm110:なにもかも なにもかも スパイダーマン sm117:震える山~君想フ声~ sm110:なにもかも なにもかも ストーム1 sm117:震える山~君想フ声~ sm110:なにもかも なにもかも 菊地真 死亡 sm96:けだものとのそうぐう 矢部野彦麿 sm117:震える山~君想フ声~ sm96:けだものとのそうぐう アリス・マーガトロイド sm117:震える山~君想フ声~ sm86:アイドルとして音程がぶれている 天海春香 sm117:震える山~君想フ声~ sm86:アイドルとして音程がぶれている 園崎魅音 sm117:震える山~君想フ声~ sm86:アイドルとして音程がぶれている 谷口 sm117:震える山~君想フ声~ sm90:チープトリック エアーマン sm117:震える山~君想フ声~ sm90:チープトリック ムスカ sm117:震える山~君想フ声~ sm105:対照k TASさん sm117:震える山~君想フ声~ sm105:対照k クラモンB sm117:震える山~君想フ声~ sm98:Neo Dark Ruler クラモンA sm117:震える山~君想フ声~ sm110:なにもかも なにもかも ゴマモン sm117:震える山~君想フ声~ sm86:アイドルとして音程がぶれている 柊つかさ sm117:震える山~君想フ声~ sm86:アイドルとして音程がぶれている いさじ sm117:震える山~君想フ声~ sm86:アイドルとして音程がぶれている カービィ sm117:震える山~君想フ声~