約 555,505 件
https://w.atwiki.jp/ange_vierge/pages/119.html
内容 RAIDイベント イベント期間中に全てのユーザーが倒したイベント限定ボスの累計が規定数に達すると報酬が得られる イベント結果 テオドーチェ累計撃破数:303121 報酬一覧 累計撃破 アイテム名 個人撃破数 アイテム名 10000 エクストメダル×10 3 BP回復ドリンク×1 20000 50000リシェ 5 100GG 30000 SP回復ドリンク50×3 10 ゴールドレター×1 40000 BP回復ドリンク50×3 20 PAOクリスタル×10 50000 ゴールドレター×1 30 プラチナレター×1 60000 1000ブロンズPt 50 プラチナレター×1 80000 エクシード削除ツール×1 90000 シルバーレター×3 100000 テオドーチェSR 150000 PAOクリスタル×20 200000 テオドーチェSR 250000 PAOクリスタル×10 300000 テオドーチェSR
https://w.atwiki.jp/mitudomoe_eroparo/pages/116.html
加藤「ねぇ……おがちん」 おが「……ん?何よ?」 加藤「……ぱ、パンツは……もう履かないの?」 おが「ええ。」 放課後を迎え、風邪から復帰した2人が加わり 久しぶりに揃ったしょうがない隊は 折角3人揃ったのだからと、今日は真由美の家に遊びに行く事になった ランドセルを背負い、下校ルートである河川敷の傍を歩んでいると 何とも不思議な事をこの子は言い出したのである おが「履く理由がわからないわ」 加藤「ええ……っ」 伊藤「仕方ないわよ、元々頑固だから……」 加藤「で、でも……」 パンツを履いた所で、最早心地悪さしか感じない私にとって あんな無駄な布を纏う意味はないのである ……まあ、少々トイレの後に不便さを感じはするが 加藤「……はぁ……私の気苦労もどうにかして欲しいけど……」 真由美がそう言い終えるが先か、河の方から吹き抜ける風が先か 突風が下から吹きぬけ、私のスカートを上へと引き上げる 真由美のディフェンスも、気が抜けた一瞬だったのか そのままスカートはひらりと舞い上がった ?「お、おい!見たか!?」 ?「み、見た!」 背後から上がる声にビクリと身体を揺らせたのは 誰でもない、真由美だった やっちゃった……とでも言いたげな顔で ため息をつき、声の上がった後ろを恐る恐る見たのだ その先には眼を血走らせた中学生と思しき3人組が立っている A「お、おい……お嬢ちゃん、なんで、パパパパンツ履いてないんだ?」 おが「?……あ、アンタ達には関係ないでしょ……」 B「なんだよ、誘ってんのか?」 C「は、履いてないんじゃなくて、忘れたとかじゃ……」 おが「元々履いてないわよ」 ABC『―――――っ!?』 妙に馴れ馴れしく絡んでくる中学生3人 それを横目に、詩織と真由美は若干ビクビクしているようだ 何をこんなのにビビる必要があるのか 私たちは無敵のしょうがない隊よ そう思った私は臆することなどなく、ズズイと3人に歩み寄る おが「何?私がパンツ履いてなくて迷惑でもかけた?」 A「な、何言ってんだよ……お前痴女かぁ?」 B「愉快にケツふりやがって、誘ってんだろ?なぁ?」 伊藤「……マズいよ……」 加藤「……う、うん……」 ニヤニヤ下卑た笑いを浮かべてくる中学生 私と相手の間に割って入ったのは詩織だった 真由美は私の腕を引き、逃げよう逃げようと囁いてくる 逃げる?何から? 私には彼女の言っている意味が理解できなかった 伊藤「ご、ゴメンなさい……もう私たち帰りますので」 おが「な、何よ……離しなさいよ真由美」 A「そこのお嬢ちゃんはそう言ってないぞ?」 B「いいからこっちこいよ」 おが「いたっ……ちょ、離しなさいよ……!!」 真由美が私を引く3倍の力で強引に腕を引かれる 痛みを感じるや否や、他の二人も後ろから羽交い絞めにされ 河川敷の高架下に引っ張って連れてこられた 普段から他の男に触られては腐る腐ると言っていた私達だが 今は何か切羽詰ったような状況のせいか 他の二人の表情は恐怖に彩られており、まるで気絶しようと意識が許さなかったらしい A「お、お前……趣味でノーパンなの?小○生でそれってヤバイだろ」 おが「う、うるさいわね!アンタなんかに理解されてたまるもんですか!」 B「威勢がいいのは結構だけどよ、今から自分が何されるかわかってんのか?」 おが「な、何よ……金なんか持ってないわよ!?」 C「何されるって、ナニされるに決まってんじゃん」 3人は高笑いしながら、私の下腹部を指先で弄ってきた ―――なにっ!?気持ち悪いっ!! もぞもぞと下腹部で蠢く指先がこれ以上にない心地の悪さを全身に訴える 寒気を通り越して吐き気が出そうだ……! 伊藤「こ、こんな事して……この子のお兄さんは……警察なのよ!」 A「!」 その言葉を聞いて一瞬相手がたじろいだように見えた そうか、こんな事……お兄ちゃんが絶対助けてくれる だったら話は別だ おが「そ、そうよ……イヤだったら、さっさと皆を放して!」 B「……ふぅん……そう?」 加藤「……やっ……いやっ!」 その言葉を聞いた2人目の男は あろう事か、真由美の下着の中に指先を侵入させ 私と同じ事をし始めていた おが「なっ―――!こ、怖くないの!?」 B「何言ってんだよ、だったら最後までやっちまった方が得じゃん?」 私達は顔が青ざめていくのがわかった 最後まで、とは何なのかまるでわからない だが、この気持ちの悪い行為が始まりに過ぎない事だけは確かなのだ いっその事気を失った方が楽なのかも知れない だけど……それは出来ない、巻き込んでしまったのは私なのだから おが「……私、私だけにしてよ!」 A「……ほう?」 おが「他の二人は関係ないでしょ!私だけにしなさいよ!」 B「おー、泣かせるねぇ」 A「じゃあ、お前そこでオナニーしろよ」 おが「……オナ……ぇ?」 C「自分の手で股をイジれって言ってんだよ」 その行為の名前は知らなかったが 3人目の言っている男の意味は理解できた 佐藤くんの写真を見ながら、私が感じていたモヤモヤを晴らす為に いつもやってきたこと…… それを、人前でやれと言われたのだ…… おが「……やったら……二人は解放してくれるのよね……?」 加藤「おがちん!」 A「約束してやるよ」 伊藤「……っ」 最近放課後に長いこと話をしているせいで 帰ってからはほとんどしていなかったけど あのモヤモヤを思い出せば……自然に指は動き出す 人前で見られている事を忘れ 私は指先を自分の割れ目へと誘う 他人に触られるのとは全然違う ただただ、あの達成感へ向かうための指使いが自然に私を導いていく まずは割れ目に指の腹を押し当て、慣らしていくタメになぞっていく おが「……んっ……」 A「……すげ……、小○生のオナニーだぜ」 B「動画より全然ヌケるわ」 周囲の声をカットし、行為に耽る そうしないと巻き込まれた2人が危ない なぞり出してしばらくすると、割れ目から潤滑油があふれ出し 先ほどよりも滑らかな動きが可能になる そこまで湿れば、次は小さな膨らみを指先でピンッ、ピンッと弾く あまり大きくは無く、細かい動きでも、背筋に電流が走るのが理解できる おが「んぅっ……はっ……あはっ……」 C「…………」 伊藤「……はぁっ……」 加藤「…………」 辺りは静寂に支配され、ただただ、私のいやらしい声と音が響いていく 先ほどまで煩く声を上げていた男たちは、もう私の下腹部から目が離せないようだ ちゅくちゅく……ちゅくちゅく……粘液の音が反響し 気がつけば、真由美と詩織の頬も紅潮していた 恥ずかしさはもう既に無く、後は上り詰めるだけ…… おが「んはっ……ぅうぅ……っ」 伊藤「はぁ……はぁ……」 C「……ん……?」 B「コイツら……友達のオナニー見て、感じてるぞ……」 加藤「え……!?」 声を上げた2人に反応し 周囲の男たちがパンツを確認すると すらりと伸びた足の間に、小さなシミが出来ているのがわかる 私のを見て興奮……? なんだかこそばゆい気はしたが、何故か悪い気ではない B「なんだよ、お前らもしたかったのか、悪い事した―――なっ!と」 加藤「やっ!!いやっ……やめてぇ……っ!」 再び真由美の下着の中に指を侵入させた男 真由美の声は嫌がってはいるものの、どこか甘い響きを残すようで…… おが「んっ……ちょ、ちょっと……!2人には手を出さないって……!」 A「そのつもりだったけどよ、あんな辛い状態にさせちまっちゃ 紳士としては申し訳ないんだよ」 伊藤「いやっ!いやぁっ!」 C「こ、コイツグチョグチョじゃねーか!何がイヤだよ!」 先ほどまで響かせていた粘液の音とは比べ物にならないほどで 3人の水音がリズムを奏でるように響き渡っていた 止めに入ろうとした私の手を、男は強引に掴みとり 代わりに無骨な男の指が私のクリトリスを異常な速度で弄り始めた この刺激は強すぎる―――! おが「やめなさ……やめ、やめてぇ!」 加藤「んふっ!ぃゃ……!ぁぁっ」 伊藤「ダメ……ダメなの……!」 A「うるせーよ、イッちまえ」 男の声が耳元で聞こえた瞬間 目の前がスパークするように、真っ白になる 各々から上がる嬌声は3人が果てた事をイヤでも私に教えた おが「んはっ……はぁっ……」 加藤「……はっ……はっ……んぅっ!」 伊藤「……っ……っ」 A「とんだ小○生だな」 B「折角イカせてやったんだ……次は勿論」 C「俺たちもしっかりイカせて貰わないとな……」 そう言っておもむろに男たちが取り出したのは お兄ちゃんとお風呂に入った時に見えた物とは比べ物にならないほど大きく そして歪な形をした物だった いくらその知識が緩い私にだってわかる ここからは……地獄だ おが「いや!本当に助けて!!」 A「何言ってやがる、これだけ準備万端にさせといてよ」 加藤「助けて!助けてぇ!!」 C「大丈夫大丈夫、最初だけだよ」 伊藤「佐藤くん……佐藤くん……!!」 B「なんだ?お前ガキのクセに彼氏がいんのか? そりゃ残念だったな、初めては俺だよ」 男の力にかなうはずもなく 為すがままに私の割れ目に押し当てられた巨大な一物 これほどまでに本気で助けを懇願した事はない その刹那、助けを叫ぼうと脳内に浮かんだ姿は お兄ちゃん? いいや、佐藤くん……じゃない 数日一緒に語り明かしてきた相手だった おが「……っ!!千葉ぁっ!!!」 A「うるせーよ」 メリッ……と音がした ゴキッと言うような鈍い音もした 私のすべてが終わってしまったのだと思った しかし、涙を流し、閉じていた瞳を開くと、時がわずかに緩やかに流れたように…… 男の頭に……野球の硬球がメリ込んでいるのが見えた ……そして、緩やかに……時は動き出す ゴキィッ! ドゴォッ!! A「ぎゃぁぁっ!!」 B「ぶわっ!!」 ?「ったく……撮れたか?」 ?「おう、まずまずの画質だな、顔はバッチリだ」 何が起こっているのかわからない 目の前で私のすべてを終わらせようとしていた男は わずかに遠くで伸びていた 真由美の方も同じようだ 詩織に掴みかかっている男だけが、不思議な物でも見るように周囲をキョロキョロしていた 近くにはサッカーボールと野球の硬球が転がっている ?「千葉!」 千葉「ガッテン……承知ぃっ!!」 千葉と呼ばれた男は、片手に握っていたボールを上へと投げ上げ 両手でバットを掴み、振りかぶると…… 身体の少し横でボールを凹ませ、全力でのスイング 急速に速度を与えられた球は、私達の元へ駆け抜け 確実に詩織に掴みかかっている男の頭を打ち抜いた C「ぶっ!!!」 千葉「流石俺様!そのうち大リーグからスカウトでも来るんじゃないか? なあ?エースストライカー?」 佐藤「その時は野球とサッカーで海外に殴りこみだな」 千葉「へへっ、それも悪くねーなぁ」 佐藤「何はともあれ……」 千葉「削除完了!」 佐藤「物騒な物言いだなぁ……」 加藤「さ、佐藤くん……!?」 千葉と呼ばれた男ではなく、それは千葉と佐藤くん本人達だった 遥か河川敷の上で2人は声を掛け合い、笑いながら降りてきたのだ これは神の与えてくれた奇跡じゃないかと、思わず私は頬をつねってしまった だが……やはり、夢は夢でしかなく 私を引き裂く痛みは、必然的に現実へ引き戻した…… とかだったら作者をブチ殺してやりたい 佐藤「よう、大丈夫か?」 伊藤「…………」 加藤「…………ぅっ」 真由美と詩織は安堵のあまりか、その場に崩れ落ちた 既に流れていた涙を上書きするかのように 嬉し涙で目の前がいっぱいになったようだ 千葉「よお、呼ばれて登場したぜ」 おが「…………アンタ」 千葉「お前、本気でパンツ履けよ」 おが「余計なおせわ――― 千葉「バカかお前はっ!!」 突然あげられた大声は怒声と哭声の入り混じったような声だった その声に驚いたのは私だけではない 涙交じりの千葉の声…… これはきっと、私を本気で心配してくれたんだ そう信じてやまない程、私はコイツを信頼してしまっていた 千葉「…………」 佐藤「おい……千葉……」 千葉「悪い……怖い思いしたのはお前らだったな、大人気なかったよ」 おが「……ぅぅん、私も……助けて貰ったのに……っ」 その千葉の思いを受けてしまって 今まで何とか保っていた私も崩れてしまう 失声を上げて、小さく泣き出した私は 自然と彼に身体を預けていた 私達を襲った男たちは、佐藤くんと千葉の協力もあって 私のお兄ちゃんに全力で連れて行かれた それからの私は勿論パンツを履くようにしている 確かに履き心地は悪いけど……でも この感触がある度に、芽生えてしまった私の気持ちが嘘じゃないと感じられるから――― おしまい
https://w.atwiki.jp/f_go/pages/659.html
ブリュンたそ実装だ - 名無しさん 2016-02-03 15 10 22 新礼装、魔力放出、勝利への確信(直感)、騎士の誓い(ガッツ付与)だったよ。ちなみに次レベまで53000だった - 名無しさん 2016-02-03 16 09 31 ブリュンヒルデ体験クエで無限の歯車、ホムンクルスベビー、蛮神の心臓出ました。こんなに落ちるとは…確定? - 名無しさん 2016-02-03 18 00 54 ベオウルフやフィンを使うために撤退したけど、そのときにも青いホムンクルスから毎回金箱落ちてたから多分確定。 - 名無しさん 2016-02-03 19 05 10 セイバー私服強いな。バスターパで大暴れですわ………ガッツは回避の下位互換だがスター10個も嬉しい - 名無しさん 2016-02-03 23 22 43 聖者の依代と千年黄金樹はピックアップ終了後も出るの? - 名無しさん 2016-02-07 04 34 09 新登場って書いてあるから終了後もでるかと - 名無しさん 2016-02-07 11 20 13
https://w.atwiki.jp/talesrowa/pages/307.html
霧の向こうにある夢の続きが見たい 暗い暗い道の先、そのとある一角に少年と剣の姿がある。 光射さぬ閉ざされた空間、外より明らかに温度の低い、冷凍室のような場所。 それも夜明けと共に温度は上昇しつつあり、壁に付着した白い霜も段々と氷解していく。 ただそれは目には見えない微小な変化であるため、少年には分からない。目が潤んでいては尚更分からない。 心真っ直ぐに彼女を追い求めやって来た少年には、時間の変化は無意味なものだったのだ。 彼女の死と認可によって時を取り戻しつつはあるものの、地面に放り出したままの時計を見る余裕は、まだ彼にはなかった。 だから、時は唐突に訪れた。 「――――――――――諸君」 涙溢れる目を大きく瞠る。一筋流れた。 首を動かして目線を時計に移す。はっきりとは見えないが、6の上に針がある。それで理解した。 スピーカーもどこにもないのに、声はとても鮮明に聞こえてくる。 目を手でこすり涙を拭う。赤く腫れぼったい目で、少女を見た。ダークブラウンの髪と桜色のワンピースが微かな風になびき揺れていた。相も変わらず、胸のオブジェは我ここに在りと言わんばかりに存在を主張している。 リアラの名前が呼ばれる――そう考えた瞬間、少年は再び胸に鋭い痛みが訪れるのを感じた。 ナイフで抉られたかのような、深い深い痛み。 英雄が眠る石を握り締めたまま、両手を胸に当てた。とく、とく、と感じる確かな鼓動。 そこに生と死は両立していた。リアラの死体、これから呼ばれる名、生きている自分。胸の痛み、胸の鼓動。 もちろん痛みは精神的なものに違いない。しかし、その痛みは真に彼から生を奪おうとしたのだ。もしかしたら、それはどんな剣で突き刺されるよりも、ひどく強く感じる痛みだったのかもしれない。 だが―― 「……に死亡者の方から発表しようと思う。聞き給え! ユアン! カトリーヌ! ジューダス! リアラ! ダオス! デミテル! ジェイ! スタン・エルロン! ハロルド・ベルセリオス! リッド・ハーシェル! ―――――――――――――――以上10名だ!!」 それを、少年は乗り越えた。 痛みがまた増した。唐突な分、痛みは強かった。それでも、少年は奥歯を噛み締めて堪えた。 ジューダス、どんな時でも助けてくれた仲間。初めて会った時も、バルバトスに負けそうになった時も、それからも、助けてくれてありがとう。 ハロルド、ちょっと危ないけど頼りになる仲間。実験体にされるのは嫌だったけど、もうあの楽しそうな声も聞けないんだね。 スタンさん……父さん。いつでも守ってくれた父さん。あなたがいたから、俺はここにいる。大丈夫、母さんと一緒に見守ってて。 そして、リアラ。また会えて嬉しかった。約束は忘れないから。 また、何時か会おう。 「もう一度、もう一度だけ、死者の名前を挙げる。次は聞き逃すことの無いようにし給え。 ユアン! カトリーヌ! ジューダス! リアラ! ダオス! デミテル! ジェイ! スタン・エルロン! ハロルド・ベルセリオス! リッド・ハーシェル! ―――――――――――――――以上10名、残り人数は15名だッ!!」 呼ばれた名の分だけ、色褪せない記憶が蘇ってくる。 惜別の思いは終わった。 けれど、人って不思議だ。涙は枯れ始めたと思っていたのに、また溢れ出してくる。 痛みは悲しみに、悲しみは涙に、涙は嗚咽に変わる。 これで最後だから、と泣くのは甘いのに他ならないだろうか。否、彼は英雄の息子である以外はただの少年なのだ。その点を考慮せずに指摘するのはあまりに忍びない。 泣き虫と言われたっていい。ただ、今は泣き続けるだけだから。 少年の名は、カイル・デュナミス。 『……大丈夫か、カイル君』 ようやくすすり泣きに落ち着いてきた所で、カイルが持つ父の剣、ソーディアン・ディムロスは問い掛ける。 「……はい。俺は大丈夫です」 カイルは小さく頷き、静かに、力強く言うと、涙を拭いた。その奥の瞳は、少し成長した大人の瞳のような気がした。 立ち上がり、先程ぶち撒かした荷物の元へと歩み寄る。 まずは尚もちろちろと燃え続ける松明を拾い上げ、荷物の1つ、配給品のカンテラに火を移した。 光が広がり視界に入ったマントと籠手、姿形や色は違くとも、何故かあの城で見た……父さんを殺した、あの剣士の姿を思い出した。 笑みよりも、あの雨の中の苦しそうな表情が印象的だった。 だからと言ってあの人に同情する訳ではない。あの剣士は父さんを殺した、敵だ。 だからと言って狂気に捕らわれる訳ではない。それではミトスと同じになってしまう。 きっと憎しみに負けたら、自分も父さんや母さん、リアラや皆を復活させる為に人殺しになってしまうのが容易に想像出来た。 先程の、ベクトルは違えど根本は同じだった行為が、それを物語っていた。 ただ、この2人に共通するのは、倒すべき敵だというだけ。戦いは辞さない。自分は皆の為に生きなければいけないのだから。 それらをサックへとしまい込み、他に散らばった鍋の蓋やボトルの水、食糧、リアラの荷物、そしてクラトスが眠るエクスフィアも入れていく。 そして地図に手を触れた瞬間、あ、と明らかに良い感情が込められていない呟きを発した。更には体が硬直している。 意味がすぐ理解出来たのか、ディムロスはやれやれといった様子で1つ溜息をつく。 『9時にF5、12時にD4、15時にC5、18時にB3だ』 ぎくりとカイルの体がぎこちなく動いた。 「な、何で分かったんですか?」 『泣き腫らしている中では流石に聞いていないだろう、と思ったのでな』 「あ、そっか!」 『……納得する所ではないと思うのだが』 先程成長したと言ったのを撤回したくなるような反応だが、今回それは置いておく。その代わりまたディムロスが溜息をつくだけである。 ディムロスは、どことなく今は亡きマスター、スタンとこの少年に似た物を感じていた。どこかとぼけている辺りなど実に似ている。 しかし彼の息子であるという事実には辿り着かない。しかしどこか引っ掛かる。何処かで、何か聞かなかったか? カイルとスタンの繋がりを。 そんな彼の思考もお構い無しに、カイルはしまってしまった羽ペンを再び取り出し、座ってエリアの囲いにバツマークと時間を記入する。 「……あれ?」 『どうした?』 硬質の髪の毛を弄くりながら、どうやら悩んでいるようであるカイルに、ディムロスは思考を止め再び問う。 カイルは未だ地図と睨めっこをしながら小さく唸っている。 「俺、どっか書くとこ間違えたのかな?」 そうは言っても、今の自分の発言を認めた訳ではなかった。 今までの放送で聞いてきた分の禁止エリアはしっかりと書き込んでいる。第3回の放送もコレット達と一緒に確認したのだ、間違いはないだろう。 しかし、どう見てもおかしいのだ。何でこんなことするのか、と仲間内からも馬鹿と言われるカイルでさえ疑問に思った。 氷が溶けて濡れつつある地面にカンテラを置いたことで、更に地面は濡れていた。片手に地図を、片手にペンを持ち地図を照らす。 だが腰に差された今のディムロスの位置では地図はよく見えない。 「このままじゃ東に行けなく……」 『? 地図を見せてくれ』 そう言われ、初めてディムロスが見えていないことに気付き、ペンを持った手でディムロスを抜いた。 松明の赤い光に照らされた地図には、丁度中央部辺りにバツ印の縦のラインが完成していた。 『……分断か』 ディムロスは静かに呟いた。 「でも、こんなことしたら……」 『そう、下手したら全員死ぬのが容易に想像出来る』 24時間以内に誰も死ななかったら、全員の首輪が爆発する――もし東西に1人でも分断されたら、そのルールが発動する可能性は極めて高い。 仮に東西に1人ずつ残ったとして、どちらかが禁止エリアに入るか、首輪を解除するなりすれば、まだ可能性はある。しかし前者は結局死ぬ訳だし、後者はその方法すら分からない。 つまり、東西に分かれたらほぼアウトだ。静かに、迫りくる死を待たなければならない。 誰か1人になるまで殺し合い続けるこのゲームで、何故こんなことをするのか。 『単純に考えれば、どちらかに人が固まっているということだろう。そうすれば会場が狭まることになり、殺し合う確率は大きく上がる。逃げ場も無くなる』 「固まってる……」 そうしてカイルは珍しく考え始める(いや、こう言っては語弊がある。彼はいつも考えているのだが、導き出される解がどこか1本ネジが取れているだけなのだ)。 あの城に何人いた? 少なくとも、かなりいた。ロイド達は確か4人パーティだったし、それからあの剣士も来た。自分達も合わせれば、それだけで7人だ。 ディムロスに名簿で確認していこうと言われ、地図を置いて取り出した。その前に死亡者に線を引いた。やっぱり気分が悪い。 知っている限りで、E2城で死んだのは3人。つまり、西にいる確率が限りなく高いのは、まず4人だ。 『私は元々東にいた。グリッドとヴェイグ、この2人と西に来て……1度E2に行く前に、ミトス達と会った』 「! 本当……ですか!?」 初めて聞く事実に、思わずカイルは手のディムロスの方に向き、声を荒げた。含まれた意味は「それならどうして」。 ディムロスは自分の体温が急低下していくのを感じた。当然、精神的な意味として。 『……すまない。私はあの時、アトワイトからメッセージを受けていた。聖女達の血は注がれ女神咲く、と。私があの時……』 あの時、ミトスの元に向かえば彼女は助かったかもしれない――そう言おうとしたが、言葉自体が両腕を広げ立ちはだかり、声は塞き止められた。 言った所でどうにもならないからだ。彼女は既に死んでいる。仮定法過去で話した所で、それはカイルをまた追い詰めるだけだ。 そのカイルはリアラの亡骸の方へと向いている。聖女という言葉は正に彼女に相応しい。聖女の血は注がれる。突発的な犯行ではなく、計画的な犯行。 悄愴とした表情で、見ているのも辛い。しかしそれを見ることが自分への罰なのだと、ディムロスは思った。 だが、彼が考える予想外の行動に、カイルは出た。首を横に振ったのである。 「あなたを責めることなんて出来ません。悪いのはあなたじゃなく、ミトスです。ううん、それよりも……リアラと一緒に行かせた、俺が悪いんです」 自虐的だな、と自分でも思う。だが、リアラを守れなかった原因は、何よりも自分にある。 ミトスの危険性に気付いていながら、考えることを放棄し一緒に行かせてしまった自分に。 父さんを守ると決めながら、守れなかった自分に。 2人を決して掛けてはならない命の天秤に掛け、結局どちらも手放してしまった自分に。 自分は何て無力なんだろう。 けれど。 「……過去は変えられない。変えちゃいけない。ただ、前に進んでいくだけです」 自分に力が無かった過去は、認めなくてはいけない。 そうしなければ、また……ずっと、同じことを繰り返すだけなのだから。 この少年が背負っている物を考えると、ディムロスは胸が痛むのが分かった。 両親を既に失った天涯孤独の身で、更には仲間や愛する人を失ったのだ。その痛みは、想像するに難い。ただのこの同情の痛みより、余程痛いのだ。 先程死のうとするカイルに自分はああ言ったものの、結局それは彼の痛みを理解していない人間の言葉だったのだと、ディムロスは思った。痛みはその人にしか持てないのだから。愛する人を失った経験など、自分にはない。 それをたった15の少年が受け入れたというのだから、やはり彼は強いと思う。重く伏せられた双眸をその象徴として。 それに、彼の言葉に励まされいる自分がいる。 「続けましょう、ディムロスさん」 『……そうだな。グリッドとヴェイグの名は呼ばれなかったから、まだ西にいると考えていいだろう。そしてE2城の砲撃手……ヴェイグの話ではティトレイ、といったか。……奴もE2城にいたことを、君は覚えてるか?』 首を振り、否定の意を示す。 『君を突き飛ばしたのが、恐らくティトレイだ』 スタンが倒れている時、カイルが突き飛ばされた時、彼は変動する視界でティトレイの姿を見た。正しくは、やけに緑一色の影を見た。 名簿を見る限り、当て嵌まるのがティトレイ・クロウという人間しかいないため、確定しているように話しているだけである。 しかしそう言って、ヴェイグは説得に失敗したのだと思った。そうでなければ城に来てまでカイルを突き飛ばすような真似はしないだろう。 今は離れたヴェイグの心持を考える。少ししか行動は共にしていないが、不器用な奴だとは分かっている。 友人と殺し合うなど辛かろうに。それでもあいつのこと、自分の気持ちを無理矢理にでも抑えていることだろう。 仲間と戦う辛さは、リオンと戦ったスタンを思い出せば、嫌とでも分かる。 しかし今はその感情を心の隅に置いておき、あくまで放送のことを考える。 『更に、私が西に向かう時、東に残る連中と後でこの洞窟で合流することになっていた。その内の1人がまだ生きている』 カイルは思わず顔を顰めた。その内の1人が、まだ。逆に言えば、その内の誰かが死んだのだ。 そう言いたげな彼の顔を見て、ディムロスはまたも失言だったと思い、しかし内容を答えるのを躊躇った。 彼が知らない人物ならこんな風に迷う筈がない。ただ、その人物が彼にとっても自分にとっても、親交のある人物だったのである。 自分は彼の死神だと自嘲する。実に彼に関わる人物、自分が関わった人物が死んでいると思う。これ以上彼を傷付ける理由も必要もない。 しかし思いは脆く、いやそれよりも強いものに、発言を求めるカイルの強い瞳に折れてしまったのは、彼の方が先だった。 『……ハロルドだ。その内で、死んだのは』 「ハロルドと一緒だったんですか!」 その語勢の強さに、ディムロスは今度こそ叱責されるのを覚悟した。 全く以て立場が逆だ。自分が子供のようではないか。 だが、聞こえてきた言葉の響きは、実に静かなものだった。そっか、と彼は確かに言った。 カイルはどこか嬉しそうな、しかし寂しそうな表情をして、地を見つめていた。氷は氷と呼べない程に薄すぎて、何も映っていない。 「ハロルドが死ぬって、何か想像つかないな。実は何処かで生きてたりして」 そんな呟きも、ただ自分がそう望んでいるだけで、叶いはしない空しい夢なのだと分かっていた。今は氷に仲間の影を映す。 勿論ミクトランの言葉が正しければ、死んだ仲間を皆復活させることも可能なのだろう。しかし、カイルはその選択肢をとうに捨てていた。 結局、また誰かに甘えて縋ってしまうことになる。自分が決めた「生きる」ということに背くことになる。それでは意味が無いのだ。 ひゅう、と流れ込んできた風が鳴る。よく誰かの泣き声に聞こえると言われる奴だ。何となく、その誰かはついさっきの自分に似ている気がした。 ただ今に思うのは、生きてて良かったということ。あの時死んでいたら、それこそ先に逝ったロニやジューダスやハロルドに馬鹿野郎と言われていただろう。父さんにも、母さんにも言われていたかもしれない。リアラにも言われていたかもしれない。 それはそれで幸せそうだと思った。けれど、それはもう出来ない。現実でも天国でも。 氷は炎に溶けていく。面影の像も歪んでいく。 ディムロスは拍子抜けしながら、だが記憶に残る少年が少し大人びた姿に、ふっと笑みが零れて出た。 『案外、そうかもしれんな』 以前、「あなたは英雄じゃない」と言ったのは誰だったか。尤も、あの言葉にも影響された自分を思い出して、いつも自分がカイルの下に回るのも不思議と納得がいった。 「……その人はもう西に来てるのかな」 『どうだろうな。私がハロルドと別れたのは、0時よりも前だ。だが……北には行ってはいないだろうと思う』 「どうして?」 『その時、北には敵がいることが分かっていた。みすみす敵の方に向かう理由もないだろう。逃げるのなら、わざわざ禁止エリアを回り込んで北方に行くよりは、南に行った方が早い。合流の約束もあったしな』 何よりも、その敵は死んでいない。放送で呼ばれなかった。 放送で名前が呼ばれた、呼ばれなかっただけでは、何が起きたのかはてんで分からない。 「じゃあ、やっぱりその人も西に?」 『既に来ているのなら、半数近くが西にいることになる』 最初の仮定した4人に、ヴェイグとグリッド、ティトレイ、東から来る1人。占めて8人。しかし、イーブンでは駄目だ。寧ろ1番駄目だ。 「ミトス達は? ここに行くって言ってたのに」 『私が会った時も、この洞窟に行くと言っていた。……彼女の遺体があることが何よりの証拠だ』 コアクリスタルを暗闇の中で光らせ、ディムロスはリアラを一瞥する。少し笑ったように見える顔が彼にとってはまだ救いだった。 『問題はそれから何処に行ったか、ということか。生憎、ここは橋も近い。東に行った可能性も捨てきれないだろうが……』 そこでディムロスは口ごもった。腑に落ちない。東西に均等に分けるため、分断するというのか? 元から優勝などさせる気はないのか? おかしい。それなら最初のあの広間で話はつく。どうせなら歴戦の強者を戦わせ楽しもうとでも? 更におかしい。それなら「あれ」の説明がつかない。ただ楽しむのが目的なら、今回のミクトランの采配は失敗だ。だから失敗を成功にせねばならない。 ディムロスがひたすら考え黙り込んでしまい、仕方なしにカイルは名簿を見つめていた。そこにはまだ線の引かれていない、ミントとコレットの姿があった。 「ミントさんとコレット……無事かな」 『……共犯、ということも考えられないか?』 ディムロスはカイルの切とした呟きに気付き、思考を中断させ重く篭った口調で返す。 カイルは一転驚いた表情で、しかし微かに怒気が混ざった表情でディムロスを見つめ返す。 『意地の悪い聞き方だとは思っている。しかし、そうでなければ、何故彼女だけが死ぬことになるのだ?』 「……でも! ミントさんは悪い人じゃない! 泣いてる俺を諭してくれたんだ。あんな優しい人が悪い人な訳ない! コレットだってずっとリアラを守ってくれたんだ。俺はミントさんもコレットも信じたい」 カイルはぎゅっと強く、ここにいないミントの帽子を握り締め答えた。 勿論、今カイルが持ち得る情報を掻き集めれば、ミントがミトスとコンタクトを取っていたということは否定出来る(残念ながらコレットについては難しい。そもそもその場で寝返ったのなら話は別だが)。 だが、彼にそれを上手く説明する頭はなかった。いや、そもそも彼は論理を組み立てるより感情が先行するタイプの人間なのだ。 今のカイルは、信じようとする気持ちが何よりなのだ。 (信じることで裏切られても、尚信じようとする、か。やはりあの馬鹿に似ているな) スタンも、どちらかと言えば頭を使うよりは感情論で走る方だった。というよりはお人好しなだけで信じることが第一だったのかもしれないが。 この少年と話している時に起こる心地良いノスタルジー、感覚で言えば微温湯に近いものに浸りながら、彼はそう考えた。 『そうだな、すまなかった。そうなると2人とも脅迫なり何なりで身柄を拘束されている可能性が高い。それならばまだ殺される心配は……』 水の温度は氷点下にまで下がった。再び言葉が詰まる。デジャヴ、否、確実に記憶にある事柄。 同じことを言っていた。あの時ミトス達に会った時、アトワイトからのSOSを受けた時、グリッドに全く同じことを言った。 まだ大丈夫だと高をくくったその結果、リアラは死んだ。 無論これは結果論だ。それに、一般人のグリッドと手負いのヴェイグでリアラを死なせないことは出来たかと聞かれれば、正直厳し過ぎる。一介の兵士と瀕死のソーディアン・マスターただ1人でミクトランに挑むようなものだ。 だが、運命は変えられたかもしれない。逃がすことぐらいは出来たかもしれない。 『……いや、安心してはいられない。ミトスはただ、舞台を変えただけかもしれん』 同じ過ちは2度繰り返さない。戦場での過ちは、死に直結する。 今回は死なずに済んだのだ、それに感謝せずまた自分から死に足を踏み出すような真似をしてはならない。 彼もまた、カイルと同じく、前に進むだけだった。 『だが、その舞台が西にあるのだとすれば……11人がいることになる。ここまで来れば、何かに気付かないか?』 「えっ?」 素っ頓狂な返事はまたディムロスに溜息をつかせた。 『君は最初に言っただろう? このままでは東に行けなくなる、と』 「? 確かに言いましたけど……」 『答えは簡単だ、東に行く必要がないからだ』 えっ、と再びカイルの素っ頓狂な声。 『真っ先に封鎖されるのはF5、つまり、南側だ。西にいると確実視した参加者は、昨夜の戦闘からE2周辺に固まっているだろう。南の橋を封じれば、まず東には行けなくなる。直接橋ではなく、少しずらして時間を稼いでいる辺りなど、全くいやらしい』 「けど、東にならこの山の裏からも行けますよ? 距離は大して変わんないし」 『そうだ。ここはミクトランも苦渋の決断だっただろう。しかし、ミクトランは南を先に封鎖した。……そもそも、何故ミトスはその紙を置いていった?』 「紙?」 カイルは不思議に思いながらディムロスを見遣る。何となくリアラの方を向いているような気がして、カンテラを掴み彼女の元へと近付く。 変わらぬ彼女の足元に、何かがあることにやっと気付く。そこに照らされたのはまず飴型の杖、そして手作りのペンダントと、それらが乗せられた1枚の羊皮紙の手紙だった。 手が震えた。ぶるぶると、怒りに震えた。思わず光を取り落としそうになった程に。 神の磔、心への鍵、天使は魔剣を求め、女神の眠る地へ 「……また、何かする気なんだ……!!」 血文字は凍り、カンテラの光に煌いた後、じわりと溶けていった。そして不気味に赤が滲んだ。文字が生きているようで、まるで誰かの怨念が込められているようだった。 『そう、何かする気だ。置き手紙を置くほどだからな。もう1度聞く、何故ミトスはこの紙を置いていったと思う?』 「それは……見てもらいたいから?」 『ストレートな回答だな』 もう何度目になるかも分からない息をつく。スタンにもこうしていた記憶がある。 カイルはミトスからのメッセージを受けた気分も相まって、少しムッとした気分になった。何となく、ストレート、イコール、単細胞と言われたような気がしたからだ。 『だが、間違いではあるまい。自己満足でもない限り、こんな手紙は置かないだろう。……私が考えるに、誰かに……恐らくロイド達に、この洞窟に来るよう、仕向けてあるのではないか? この手紙と同じ様に』 まさか、と言ったように手紙を見る。 しかしこの手紙自体、何処かに導く招待状のような意味合いがある。考えられなくはない。 『そうすればD4からは遠ざかる。時間は自ずと厳しいものとなる』 「だから、D4を後に……」 『もう1つ、ロイド達はまだここに来ていないな。……もし仮にミトスが東に行ったとして、ロイドがこれを見てからミトスを追いかけることは可能だと思うか?』 ぱっとしない表情でカイルは俯く。分からないという意思の表れだ。 『放送がなければ、可能だっただろう。しかしF5が封鎖されることにより、それは不確定要素となった。……ミクトランがそれを作ると思うか? ショーをわざわざ台無しにしかねないような真似を』 「……ショーだなんて!」 『奴からすればそうだろう。元々、天上人以外は何とも思っていない輩だ』 彼からすれば地上人など塵に等しい存在だ。この殺人ゲームすら、奴には娯楽に過ぎないのかもしれない。「ゲーム」という名の通り。 気まぐれとも、我が侭とも言えるだろう。それで既に30人近くの命が奪われているのだ。もしこれでミクトランが王というものの気分を味わっているのだとしたら、すこぶる気分が悪い。 両名とも黙り込み内なる何かを燃やす中、カイルが顔を顰め、やけに軽めな疑問の音を上げ、沈黙を破る。 「ちょっと待てよ? 何でミクトランはロイドが南に行くだろう、って予想がついたんだ? だって、ミトスが手紙を残してるなんて分からないじゃんか」 『そう、この封鎖はまず全員の位置、そして思考が分からなければ到底成せないのだ。その内の思考を知る方法として……』 意味もなく咳払いし、ディムロスは問う。 『何も言わず、首を振って反応しろ、いいな? 君は盗聴が行われている事実を知っているか?』 大きく1回縦に頷く。 『盗撮は?』 「と、とうさっ……!?」 言っている傍から口に出してしまい、すぐに馬鹿者、と怒声が飛んでくる。 慌てて口を押さえて(と言っても当に言葉は出ているのだが)、どうしようかと彼なりに必死に考える。 もう頭がぐるぐる回っている感覚で、渦潮にでも巻き込まれたような気分だ。自分がアクアスパイクになったような感じだ。 どうにかしなければ、どうにか、どう、ど、怒涛、とう、盗撮、トウサ、とう…… 「――父さんから聞きましたっ!」 何とか誤魔化す。ナイスだ俺。 『……父さんとは誰だ、父さんとは』 あながち間違ってもなさそうだが、事実に未だ気付かないディムロスはただ呆れていた。 『とにかく、盗撮は行われている可能性が高い。手紙の存在を盗聴だけで知るのは難しい。とりあえず私との会話は大丈夫だろうが……迂闊なことをしないよう、気をつけてくれ』 こくこくとカイルは水飲み鳥のように頷く。彼にこんなこと言っても無駄な気が今になってしてきた。 ディムロスは以前、首が飛んだ死体を見ている。首が飛ぶどころじゃない。頭部が滅茶苦茶になるのだ。 リオンと同じく、彼もまた、最も近くで見ていた1人だった。美しい顔が裂けていくのを見ていた。 親密な仲であったリオンだからあそこまで取り乱した、とは言えない。誰だってあれを見れば泣き叫びたくなる。恐怖に戦慄きたくなる。 そうして、自分は戦場にいる者として多くを麻痺してしまったのだな、と思った。自分は泣きも恐れもしなかったから。 カイルにとって、彼女の死がこんな安らかな顔であった分、まだ幸せである。それこそマリアンの様な死に様だったら、カイルは自殺どころか、狂っていたかもしれない。 その点だけはミトスに感謝出来る。 「あの、ミクトランは俺達の居場所が分かってるんですよね? で、ディムロスさんの言う通りなら、またミトスは何かしようとしてるんだから……あ、大体も西にいるんだから……西側にいるってことですか!?」 唐突なカイルの声に、柄にもなくセンチメンタルな気分に浸っていたディムロスは、 『間違いない。もし東側が舞台になるのなら、封鎖を行うのは寧ろデメリットだ。恐らく、全員の位置が分かっているからこそ、この封鎖に踏み切ったのだろう』 と、いつもらしく毅然とした態度に戻る。 ミトスは西にいる。そしてまた何かをしようとしている。ただその事実だけが今は全て。 既に眠ったクラトスの言葉が正しいのなら、ミトスは殺された姉を復活させようと、全員を殺そうとしていることになる。 リアラを殺したのも、この置き手紙も、これから起こそうとしていることも、その一環だ。 そしてロイド達に見せ付けるために手紙とリアラを残し、再び誘導する。 恐ろしく、上手い程にミトスの手の上で踊らされている。その事実にカイルは震撼し憤りを感じた。 『それで、女神の眠る地……何か思い当たる場所はないか?』 女神、と言われて彼はフォルトゥナを思い出した。時を越え、歴史を変え運命を変える神。人々の幸せを願う心の化身。この世界にもいるのだろうか? だが仮にフォルトゥナだとしても、あるかも分からない彼女の影をまだ見ていないカイルには、何処かは分からない。 第一この文面だけでは、何を指しているのか全く見当がつかなかった。せいぜい分かるのは神の磔という所だけだ。 あの時ミトスに振り回されていた自分の姿が思い出される。しかし経緯を思い出しても、彼の姉が女神であるということには結び付かなかった。 『……1度、誰かから情報を得た方がいいかもしれんな。それ以外にも気にかかるキーワードが多過ぎる』 「このままここにいれば、東から人が来るんですよね? それにロイドも」 『いや、確かに合流場所はここだ。だが、裏口から入る場所だと言っていた。ここは正面から入った場所だろう?』 裏口と呼べる場所に、カイルは心当たりがあった。ミントと共に出てきた場所だ。出た時に海ではなく緑が見えたことを覚えている。 『どうする? ここで待ちロイド達に会うのも手だとは思うが。……まぁ、来ると言うのは確定してはいないがな』 「それもそっか。じゃあ先に裏の方に行きましょう。そっちの方が近いし」 何とも彼らしい能天気な回答だった。またそこにスタンの影を見出し、懐かしさに浸かる。 カイルはリアラを見上げていた。白い肌に赤はよく映える。雪原に散る鮮血のように。 何度その胸のものを取ろうと思っただろう。だが、これ以上リアラを血に染めたくなかった。 引き抜いた瞬間に、絶叫と苦痛に歪んだ顔が現れるような気がした。その幻影と幻聴がリアラの体と重なる。 そんな顔を、そんな声を、させたくなかった。死んだと分かっていても、リアラにそんなことをさせたくなかった。 そして、何故ミトスはこんなことをしたのだろうと考えた。自分にこんなリアラを見せ付けて、何をさせたかったのか。 あいつの気持ちなど考えたくも無い。同情もしない。だが、ミトスも姉が殺された時、自分と同じ位悲しかったのだろうと、それだけは思った。 首を横に振り、手に持っていたミトスの手紙をその場に置く。更に自らも「洞窟の裏口にいる」と書いたメモを近くに添えた。 彼の様子をディムロスはぼんやりと見つめている。 『君は……やはり、西に残るのだな』 ディムロスの切とした呟きはやけに重かった。 彼の考え通りなら、西に多くの人物が集結し、混戦乱戦となるのは明らかだ。戦闘が起きれば、死ぬ確率も高くなる。 簡単に生き延びれる程、この世界は甘くない。 正直、多くを失い過ぎたこの少年を戦わせるのは、酷な気さえした。 「俺だけ取り残されたりなんかしたらやですよ」 それでもカイルは小さく笑った。 『君が決めた生きるとは何だ?』 「死んでいった皆の分まで、俺が生きることです」 格好付けな台詞のような気もするが、本当のことだ。 『それならやはり東に行った方がいい。明らかに戦闘は西より少ないだろう。何故、残る?』 暫く包み込む静寂。どちらも口を開けない。水滴の落ちる音がやけに大きく響く。 「俺……やっぱり、どっかではリアラを殺したミトスや父さんを殺したあいつを許せないんだと思います」 先に口を開けたのはカイルだった。元からディムロスは先に喋るつもりはなかった。どれだけ時間が経とうと、カイルの思いを聞こうと決めていた。 根拠の無い予想ではあったが、ディムロスはカイルがこう言うのは分かっていた。 大分落ち着いたとはいえ、憎しみに捕われない程、彼は大人ではない。仲間の死を乗り越えることと、仲間を殺した人物を憎むのは別である。 雨の中のカイルが、根拠と言えるかもしれない。 だが今のカイルの感情は、憎悪であり憎悪でない、不思議な感情だった。滾るものを感じない。その憎悪が、殺戮に向いてはいない。 そう、許せないだけなのだ。ただ復讐のために殺すなど、そんなことは少しも思ってない。ただいつかは立ちはだかる敵だというだけなのだ。 相手を憎むことと、相手を許さないことも別である。 「……戦うべき時からは逃げない。生きるために」 自らの感情を押し込めている訳でもない。胸に秘められた、ミトス達への反発行動である。正義感とも似ているが、彼にそんな考えは1つもない。ただの私情。 ミトスを見てきた、そして似た存在として、カイルは憎悪に身を任せることを良しとしなかったのかもしれない。それではミトスと同じだから。 殺戮に歓喜を見出す、つまり復讐に自己満足するのも、クレスに近い物を感じて嫌だったのだろう。 だがこの2人の存在がなくとも、カイルはこの感情に収まっていただろう。 それが皆のために生きること、憎しみなどには染まらないということだった。 ディムロスはそんな姿を見て、彼の意思を尊重しようと思った。これまでゲームは彼から多くを奪ってきた。ならば次は、喪失の少年に与える方だ。 そして自分は手助けする側になればいい。引っ張るのではなく、後ろから見守るようにして。 それが物として、ソーディアンとして、何よりもスタンの後継者を見届ける者として、下した判断だった。 『生きるためには戦いも辞さない、ということだな?』 1度だけ、自分の意思を確認するように。カイルの決意を確認するように。 「クラトスさんも言ってました。躊躇うな、自分の道を進め、って。どんな時でも、俺は俺の決断を信じます。運命は俺が切り開く」 はっきりとした口調。以上も以下もない。それでディムロスは満足した。 暗い心に堕ちてはいない。カイルの心に宿るのは、彼らしい真っ直ぐな心。狂気の欠片なく澄み渡っている。 歓喜のために人を殺し翻弄するソロンとは違う。愛する者を奪われたが故に皆を殺そうとするリオンとは違う。 大切な人達を奪った人間が許せないだけという、純粋な感情。 今なら、彼に自分を委ねてもいいと思える。スタンと同じように。 ただ、今になって1つのフレーズが気にかかった。 父さんを殺したあいつ。父さん。 その言葉に、ディムロスは違和感を拭えなかった。あの時、自分は父さんとスタンを無意識に結びつけていたが、今疑問を覚える。 何故か昨夜の豪雨のノイズが耳に広がってきて、無音の筈の洞窟のBGMになった。 いや、カイルの友達らしいし。あ、カイルって言うのは…… 全ての音を掻き消す雨の音の中、その声だけがはっきりと聞こえる。雨が弱まっていき、あの時聞こえなかった声が聞こえる。 父さん! 眼を開けて父さん! しっかりして父さん!! そして時が逆行し、雨は霧となり、晴れなかった霧が晴れる。 カイルはね、未来でルーティと、この……スタンの間に生まれるの。 (まさか……いや、君は……!) もし体があったならば、空からベルクラントが発射されるのを見上げる勢いで、顔を上げていた。それ位早く、ディムロスはカイルを見た。 そしてその時見た。炎の光に照らされた、1つの痣を。治療を受けるスタンにも、確かにあの位置に、同じ痣があった。彼は確信する。 「俺、父さん……スタンさんの、子供なんです。実は」 だとしたら、何て酷い運命だろう。 例え生き抜こうと、この少年に待ち受けているものは、何て皮肉過ぎるものなんだろう。 2つの記憶を持つというのは、何とも奇妙な感覚だった。鏡合わせの間違い探しをするのとよく似ている。 明らかな違いがある筈なのに、どちらも記憶違いではない。どちらも覚えているのだ。 1000年前の天地戦争、まだ自分が生きていた頃。そして現在、ソーディアンとして生きる中。あまりにもかけ離れた時を越えて、同じ姿の少年を見た。 突如現れたバルバトス、既に奪われた筈のシャルティエ、神の眼に突き刺されたのを最後に、記憶は途切れた。 そして、それと全く同じ光景、しかし足りない光景が繰り広げられる。記憶が正しければ自分はその後死ぬ。しかし何故かここにいる。 未来を見せられ、だがそこにはまだ至らない。目の前に待つ死。同じ時を繰り返す、リフレイン。 ひょっとして今まで気付かなかっただけで、気付いていないだけで、自分はこの死の時を繰り返しているのではと思い、1000年生きるよりも果てしない忘却に陥る。 死自体は恐怖ではない。覚悟は決めているのだ。 しかし、カイルはまだ知らない。ただ生きようと、必死に生きようとしている。未来を知らないから。1000年と15年の差は、あまりに違い過ぎたから。 びっくりしました? 突然のプレゼントを親に差し出す子のように、カイルは無邪気な笑みを湛えている。 心が痛むのをディムロスは確かに感じる。 彼は知らない、しかし、今を生きようとするカイルに、その真実を告げることは出来なかった。あまりに、残酷過ぎる。 ただ、ディムロスは「ああ」と、作り笑いを交えて言うしかなかった。 1人の少年と1本の剣が、神の磔から離れていく。 彼は未来を知っているという。しかし、それは運命を享受しているだけだった。 「修正前」の歴史の記憶が中途半端なだけで、「修正後」の先に待つ事象、未来の未来は、何も知らなかった。 それは思い出していないだけなのか、それとも、本当にないのか。 運命は俺が切り開く―― 願わくば彼に定められた運命が来ないことを。 【カイル=デュナミス 生存確認】 状態:HP45%、TP70%、悲しみ、静かな反発 所持品:鍋の蓋、フォースリング、ウィス、S・ディムロス、忍刀血桜、クラトスのエクスフィア 蝙蝠の首輪、レアガントレット(左手甲に穴)、セレスティマント、ロリポップ、料理大全、要の紋、ミントの帽子 基本行動方針:生きる 第一行動方針:G3洞窟裏口へ向かう 第二行動方針:場合によっては戦いも辞さない 現在位置:G3洞窟→G3洞窟裏口 前 次
https://w.atwiki.jp/th_izime/pages/890.html
死狂い:8スレ428の勝手版続編 いぢめスレ SS 注意) fuku0143.txtの椛vs妖夢(シグルイ風)の設定とストーリーを引き継いでいます 殺傷の描写があります 妖怪の山の山道を鳴らす下駄音が二つ、足音が一つ 下駄音の一つは射命丸文、もう一つが犬走椛。そして、足音が魂魄妖夢 「わざわざ案内していただいてありがとう御座います」 「これぐらい御安い御用っス」 「そのかわり、今度良いネタがあったら私に教えて下さいね?」 この三人は山の神社を目指して、山道を歩いていた 天狗二人が先頭、後ろに妖夢が続く 妖夢は山の神社に用があったのだが道に迷ってしまい 偶然文の新聞のネタ探しを手伝っていた椛が、その妖夢を発見して事情を聞きき「よかったら道案内しましょうか」という流れでこの三人は行動を共にしている 「そういえば。椛と妖夢さんは、以前お会いしたことが?」 「はい、大天狗様の言いつけで西行寺家に修行に出していただいた時に」 「私の体調の関係で、日帰りになってしまいましたが・・・」 妖夢は恥ずかしそうに苦笑いを浮かべ 椛は妖夢の体調不良の原因を思い出し赤面する 実際のところ、文は椛が妖夢に圧勝だったのを密かに知っている しかし、あえて知らない振りを装った 「ん?」 突然、椛は背後から妙な気配を感じ、来た道を振り返る 視線の先の妖夢と目が合う 「どうしたんですか、椛さん?」 文と妖夢は不思議そうに首をかしげる 「後ろからだれかにつけられてる感じがしたんスけど・・・・どうやら気のせいでした」 目を凝らしたが何も見つからなかった 椛のその発言で場がおかしな雰囲気になり、文が機転を利かせ話題を変える 「ところで椛の武器は重そうですね?ちょっと持たせてもらってもよろしいですか?」 「いいッスよ。どうぞ」 言われるがままに文に剣と盾を渡す 「うわぁぁっとっと!! 結構重いですね・・・・・・よくこんなものが持てますね」 文は剣と盾をそれぞれ片手で持ち、椛の構えの真似をする 「大丈夫ですか? 腕がプルプルしてるっス」 椛の意識が完全に文に向いたその瞬間、妖夢の雰囲気が僅かばかり変わった 天狗二人に気付かれぬよう、ゆっくりと刀に手を掛ける 柄を掴み 腕の筋肉を限界まで引き絞り 椛の背中めがけ一閃 「っ!!」 背後から抜刀時に聞こえる独特の金属音が聞こえ、椛は咄嗟に文を抱え真横に跳び間一髪でそれをかわす 「あやややや!!」 「いきなりなにするんスか、妖夢さん!!」 椛は抱えた文を下ろし、素早く反転。混乱して尻餅をついたまま動けない文を守るために、素手で妖夢の前に立ちはだかる 妖夢は相手が素手でもお構いなしに剣を振り上げ、大上段の型をとる 「覚悟!」 (まず剣がないことには防げない・・・・) 混乱する文の足元に、剣と盾が転がっていた 椛は文のいる後方に跳んで妖夢の大上段を回避してから、刀を拾い反撃に移るのが得策だと判断し大地を蹴る だが トンッ 「え?」 緊迫した状況の中で椛は間抜けな声を漏らす 太刀をかわそうとバックステップしようとした椛の背中を何者かが押した 押されて、妖夢の剣の間合いに入ってしまう 振り向き、自分を押した犯人を見つめる (文さん・・・・・・・なんで・・・・・・) そこで、椛の視界は暗転した ########################## ことの発端は一ヶ月ほど前にさかのぼる 椛が西行寺で修行に来た際、まず妖夢と軽く手合わせをした 結果は妖夢の惨敗に終わった 主の機転で妖夢の世間体は保たれたが、妖夢に対する主の信頼はがた落ちだった 切腹を実行してしまうほどまでに妖夢は精神的に追い詰められていた 切腹後すぐさま永遠亭に担ぎ込まれ、なんとか妖夢は一命を取り留めた そして永遠亭から退院後、主人の幽々子が白玉楼に復帰する条件として出したのが 『汚名を雪ぐ』というものだった 「手段は一切問わないわ。あの犬を討ち取りなさい。あなたもそろそろ、汚いことを覚える時期だわ」 それが主の言葉だった 退院してから今日まで、妖夢は椛を討ち取ることだけを考えて過ごしてきた 椛に対する悔しさは、明確な殺意へと形を変えていった 正攻法で勝とうとは考えなかった ########################## 肩から胸にかけて垂直に斬られた椛は 傷口から心臓の鼓動に合わせて血が噴き出し、口から血の泡を吹き、しばらく痙攣したあと動かなくなった 山の土が椛の血をじわりじわりと吸っていく 椛の目は開いたままだった 乾いた虚ろな目が、目の前に広がる高い高い空を見つめていた 妖夢が椛の首に手をあて、脈を取る 「完全に止まっています」 「そう・・・ですか・・・」 文はただ無表情で、椛を見つめていた 「ご協力感謝します」 血のついた刀を携えたまま妖夢は協力者に礼を言う 「いいえ。犬一匹の命で、西行寺家との友好な関係が維持できるなら安いものです。それなりの見返りもありますし」 幽々子は妖夢のことを気に入り、なんだかんだ言っても彼女のことを家族同然に思っている 故に椛の一件で天狗との関係が悪化するのは必至であった 『妖夢に協力なさい。私がその気になれば妖怪の山の上層部に圧力をかけるどころか、それ以上の被害を与えることなど容易いのよ? もちろんそれ相応の見返りは用意するわ』 白玉桜に呼び出された文に、幽々子はそう耳打ちした 西行寺家は幻想郷でかなりの影響力を持つ名家であり、八雲紫とも深い親交を持つ その言葉が冗談ではなく、明確な脅迫であると文は理解した 椛に非が無いことは重々承知しているが、下っ端天狗一匹のせいで、一族を危険にさらすわけにはいかなかった 椛の命を差し出すのにそれ以上の理由は要らなかった こうして妖夢と文は利害の一致で結託した 文がネタ探しに椛を誘ったのも 妖夢と偶然会ったのも 椛から武器を取り上げたのも 全てが二人の立てた計画のうち 初めから神社に行く気などさらさら無かった 「『椛があなたを侵入者と誤認し、斬りかかった。しかし剣術であなたに敵うはずもなく返り討ちに』そう上に伝えておきましょう。この私、射命丸文が証人です」 仇討ちは成功し、後腐れの無い最高の形で計画は幕を閉じた しかし、全てが上手くいったにも関わらず妖夢の顔はどこか釈然としていないようだった その理由はなんとなくだが文にはわかった 「今は勝てなくても。いずれあなたは確実に椛以上の腕前の剣士になります。遅かれ早かれ椛はこうなる運命だったんです・・・・・」 そう言って椛の横に座り、開いたままになっている目を閉じてやる 「そうですね。言われてみればその通りです。得心いきました」 妖夢は刀を持った状態の椛を斬れなかったことが残念で仕方が無かった しかし文の言葉で納得したのか、とたんに顔が誇らしげなものになった その言葉を聞いた今、卑怯な手を使った罪悪感より、本懐を遂げられたうれしさの方が妖夢の中では大きかった 人生で初の挫折を味わい、妖夢は心の有り様がどこか変わってしまっていた 「では、討ち取った証として御印(くび)を」 言いつつ、妖夢は椛の首に刀をあてる それを見た文の瞳の奥が小さく揺れ動いた 「あの・・・できればこれ以上・・・椛の体を傷つけないで頂けないでしょうか?」 血を吐くように、苦しそうな声で文は懇願した 妖夢は渋々それを聞き入れた 「わかりました・・・・・・・・なら、代わりにこれを」 妖夢が手に取ったのは椛の盾だった 打ち込み稽古の時に、散々自分を苦しめた忌々しい武具 よく目を凝らしてその盾を見ると 所々削れていたり、抉れていたりと無数に傷跡が見受けられた 椛がどれだけこの盾を信頼し、命を預けて戦い続けてきたのかが二人にはわかった 「その盾こそ、椛そのものです」 「そうですね。これなら幽々子様も納得して頂けるでしょう」 盾に質量以上の重みを感じながら妖夢は立ち上がる 「死体はどうします? ここに埋めましょうか?」 「いえ、すぐ近くに川があります。そこに流します。魚や他の妖怪が食べてくれるので川下につくころには骨になっていると思います」 「そうですか」 文は椛を川辺まで運び、浅瀬に浮かべる 椛の両手を胸の前に組ませ、その位置にその辺で咲いていた花を供える 「次は、もう少し世渡り上手な性格で生まれてきてください」 無責任な別れの言葉を告げ、椛の体を本流に向かい流した その際、風を操って流れを加速させようと思ったが、死者を送るのにそれは無粋だと気付きやめた 文が椛を送っている間、妖夢は川の水で血のついた刀を清めていた 流れていく椛など眼中に無かった 文は流れる椛を見ていると、自分の意思とは関係無く彼女との思い出が湧き出し始めた 弾幕が苦手で時々仕事でミスもするが、真面目一筋でとても素直で努力を惜しまない、いい子だった 哨戒・斥候で最前線に身を置き、体を張って仲間を守り続けていた 不器用なりに精一杯任務をこなしていた 蔑まれてもひたむきにやっていた 自分を慕い信頼してくれていた それを自分は裏切った 大を守るために小を捨てた 文の脳裏には、最後に椛が振り返り自分を見たときの表情が焼きついていた 『どうして・・・・・』 なぜ、妖夢は襲ってきたのですか? なぜ、私を押したのですか? という表情だった (たまに居るんです。努力しても全然報われない子が・・・) 何も知らないまま理不尽な終焉を迎えた不憫な部下を想い、黙祷を捧げようと目を閉じる だが、目を閉じた直後、文の背中に声がかかる 「必ずや、幻想郷一の剣の使い手となりましょう。それが私のできるせめてもの手向けです」 黙祷を妨害させられたことを不快に感じつつも返事をする 「・・・まったくです。死んだ椛のためにも、さっさと一人前になって下さい」 背を向けて話す文の声は僅かに上擦っていた どこか背中が寂しそうだった それが妖夢にはわかった 「心中お察しします」 それぐらいの気遣いは今の妖夢でもできた だが、文の返事は彼女が予想したものとは少し違うものだった 「勘違いしないでください。別に悲しくなどありません」 「 ? 」 背を向けたまま、文は弁解する 「白狼天狗なんて所詮下っ端、使い捨ての犬です。そんなのに一匹一匹、情なんて移してたらきりがありませんよ、あんな犬のことなど明日にはもう忘れています」 「申し訳ありません。あなたの仰るとおりです。あのような犬などに・・・」 「さあ!!すぐに戻って上司への報告とこのネタを記事にしないと!今夜は徹夜ですね!」 妖夢の言葉を強引に遮った 遮り、振り向いた文はいつもの調子に戻っていた その言葉が本心なのか強がりなのか妖夢にはわからない もとい今となってはそんなことに興味など無かった (やりましたよ、幽々子様。憎き犬を討ち取りました。これでまたあなた様にお使えすることができます) 自分の居場所に帰ることができるという安堵感が体中に広がり 清め終わった刀を握り締め、歓喜に震える 黙祷を捧げ直そうと文が川下に目を向けると、椛の姿はかなり小さくなっていた 「今日はありがとうございました。これで大手を振って白玉楼に戻ることができます」 「・・・では、私もこれで失礼します。新聞のこともありますし」 妖夢は達成感に満たされて 文は微細な喪失感を感じて 二人は正反対の感情を胸にそれぞれの帰路についた 二人が立ち去った瞬間 突然、川を流れる椛の体が水中に沈んだ まるで何者かによって引きずり込まれたように To Be Continue ? 続くのか? -- 名無しさん (2011-10-29 00 43 21) http //www35.atwiki.jp/th_izime/pages/891.html 優しい俺がお前の為に探してきてやったぞ -- 名無しさん (2011-10-29 19 02 38) さすが文汚い -- 名無しさん (2012-08-17 20 59 17) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/a1mojnt/pages/17.html
ですが、残念ながらその日主人がお仕事…息子を見ておいてくれる人もいないから、泣く泣く断念することに。その旨を同僚に伝えると、託児所完備のセミナーじゃないから、一番参加して欲しいお母さん方になかなか参加してもらえないのがデメリットでもあると言っていました。でも、講師の先生も有名で人気がある方らしく、なかなかその先生のセミナーに参加できないんだよ~。と言ってました。そう言われるとまたまた気になる(^_^;)今回は残念ですが、また次回参加出来るといいな~。
https://w.atwiki.jp/javadsge/pages/5143.html
package dl2; import tool.*; public class pro { int s,datanumber; String[] data=new String[5000]; String[] link=new String[5000]; String[] exl=new String[5000]; public static void main(String[] args) { pro te=new pro(); } pro(){ String urlx="http //www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001073908"; getdata sub=new getdata(); sub.makedata(urlx,"UTF-8"); data=sub.data; datanumber=sub.datanumber; int s1=0; for(s=1;s datanumber+1;s++){ if(data[s].indexOf("都道府県") -1)s1=s; } String str=""; for(s=s1;s datanumber+1;s++){ str=str+data[s]; } String[] x=str.split(" /tr "); for(s=0;s x.length;s++){ link[s]=x[s]; } for(s=1;s 48;s++){ int p1=link[s].indexOf("List"); int p2=link[s].indexOf(" ",p1); link[s]="http //www.e-stat.go.jp/SG1/estat/"+link[s].substring(p1,p2); } int point=1; int tr; for(tr=1;tr 48;tr++){ getdata sub2=new getdata(); sub2.makedata(link[tr],"UTF-8"); data=sub2.data; datanumber=sub2.datanumber; str=""; for(s=1;s datanumber+1;s++){ str=str+data[s]; } String[] y=str.split(" /tr "); int sx=0; for(s=0;s y.length;s++){ if(y[s].indexOf("Xlsdl.do?") -1)sx=sx+1; if(y[s].indexOf("Xlsdl.do?") -1)exl[sx]=y[s]; } int number=sx; for(s=1;s number+1;s++){ int p1=exl[s].indexOf("Xlsdl.do?"); int p2=exl[s].indexOf("\"",p1); exl[s]="http //www.e-stat.go.jp/SG1/estat/"+exl[s].substring(p1,p2); } dl sub9=new dl(); sub9.makedata(exl[point], "data/"+tr+".xls"); } } } package dl2; import java.io.*; import java.io.File; import java.net.URL; import java.net.URLConnection; import java.io.File; import java.io.*; public class dl { void makedata(String urlx,String filex){ try { URL url = new URL(urlx); URLConnection conn = url.openConnection(); InputStream in = conn.getInputStream(); File file = new File(filex); FileOutputStream out = new FileOutputStream(file, false); int b; while((b = in.read()) != -1){ out.write(b); } out.close(); in.close(); } catch (Exception e) { e.printStackTrace(); } } }
https://w.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/389.html
https://w.atwiki.jp/gaseousform/pages/99.html
https://w.atwiki.jp/babylon224/pages/12.html
1「EmuCR-snes9x_testbuild_対戦用.zip」と言うのを ここからDL URLに飛べたら↓の画像が出てきます。 2ソフトをDLして解凍したらこのようなファイルが入っています。 ↓画像クリックで画像拡大できます。 エミュアプリが2つあるのですがこのうちの 赤い方で囲んでる方をメインで使います。 3日本語化もできますがver的に探すのが面倒だったり 動作が不安定だったので却下で。