約 2,891,091 件
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1899.html
「思わねぇな。あんな雑魚共相手に。」 「多勢に無勢。万が一と言う事も有りましょう。」 「…有ったとしても人質になる止まりだろうよ。 どんなに女に飢えてようと、この鎧の下の肌を見りゃ…」 「政宗様ッ!」 荒げられた声に、政宗は続けようとしていた言葉を飲み込む。 そしてこちらを見る小十郎の眼がひどく真摯だった為、そのまま黙った。 「…その様な事、二度と申されますな。」 「……」 「帰りましょう。皆、心配しております。」 そう言って歩き出す小十郎の背中をしばらく見た後、政宗はその後ろに大人しく従った。 天下の独眼竜も、この家臣の前ではいつまで経ってもただの小娘だと、少々情けなく思った。 小十郎の馬は森の入口に繋がれていた 。そこに向かうまでの道のり、小十郎も政宗も無言のまま歩く。 少し前を歩く小十郎の顔を窺うと、相変わらずその表情は人を殺せそうに険しい。 それに小十郎は本気で怒ると黙り込む癖が有るので、これはまだかなり怒っているなと 政宗は内心ため息をついた。深く考えるまでもなく、 今日一日の自分の行動を思い返してみれば、小十郎の逆鱗に触れて当たり前だ。 政宗は潔く覚悟を決める事にした。 「…なぁ、小十郎。」 無言でこちらを見る小十郎に、一瞬言葉を詰まらせながらも、 政宗は続けた。 「言い訳はしねぇ。…その…今日は色々、俺が悪かった。 ぶつなり何なり気の済むようにしてくれていい。…だから」 「……」 「だから、何か言ってくれよ…」 小十郎が、歩みを止めてこちらに振り向いた。気をつけていたのに 語尾が僅かに震えていた自分を不甲斐なく思いながら、政宗は来るなら来いと身を堅くした。 小十郎は昔から自分の主君だろうと幼い女子だろうと一向に構わず 非があればビシビシひっぱたいて来る、いささか過激な守役だったのだが 政宗が急逝した父の跡目を継いだ後は、流石にそれも影を潜めていた。 だが今日当たりは拳で殴られても文句は言えないし、 何より今のように黙り込まれるよりはマシだと、政宗は近付いて来る小十郎を見上げた。 「政宗様。」 「あぁ。」 「では…御免。」 「いいぜ。…やれ。」 おなごBASARA 最終4
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1832.html
「あんたが奥州筆頭・伊達政宗か」 野盗の頭目らしい男が、そう政宗に問い掛ける。 「あぁそうだぜ?だったら?」 胸の前で腕を組み、不敵に答える政宗に 頭目はやはり好奇の眼を向ける。 …しかし男ってのは、みんな同じ反応をするな。 その様子を冷ややかに見詰めながら、政宗は内心つまらなさそうに呟いた。 「独眼竜が小娘だってのはヨタ話じゃなかったとはなァ… こりゃ俺にも運が向いて来たぜ。」 「HA!俺を生け捕りにして身代金でもせしめようってか?」 「さすが察しがいいな?伊達の姫様。」 「てめぇらみたいな手合は山程相手にして来たんでな。」 降って湧いた幸運に、眼をギラつかせながら迫る野盗共に 四方を取り囲まれながらも、政宗は至って平静だった。 さして興味も無さそうに周囲に一瞥をくれると、それきり見向きもしない。 そんな政宗にどこか好色な視線を向けながら、頭目はまた問いかける。 「あんたにひとつ聞きてぇんだがな。」 「なんだよ。」 「何故あの娘と逃げなかった? そんなに俺らの慰み者になりたかったかい?伊達の姫様?」 下卑た笑みを浮かべる男に、政宗は艶然と微笑んで返す。 「…逃げる?この俺が?笑わせてくれるぜ。…それとなァ。」 「あぁ?」 「…気安く姫様姫様って呼ぶんじゃねぇ。 俺をそう呼んでいい奴は…この世でただ一人だ!!」 次の瞬間。 頭目の首は下卑た笑みを浮かべたまま地面に転がった 。政宗の右手には、一振りの竜の爪が握られている。 血の滴るそれを鞘から抜き放つ瞬間を見た者は、 この中に一人として居なかった。 転がる首を見下ろしながら、政宗は冷たく微笑む。 「俺を誰だと思ってる? …俺は奥州筆頭…独眼竜・伊達政宗。 だから当然…」 鎧の下から滲み出るような気迫に、夥しい数の野盗達は身動きも出来ない。 「この地に生きる民百姓の為、 てめぇらみたいなクズをブッ殺すのもお仕事なのさ。」 いつの間にか中空に上っていた月の光を、 抜き放たれた6本の竜の爪が鋭く弾く。 その刹那、恐怖に背中を押された野盗の群れが政宗に襲い掛かる。 泣くような、笑うような声を上げながら。 「竜の膝元を汚した罪…地獄できっちり償いやがれ!!」 月光の中響き渡るその声は、 一人の少女のものではなく 紛れもなく一匹の竜の咆哮だった。 (つづく) おなごBASARA(小ネタ)
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/2247.html
完全にネタ。 ふざけた設定を許せる方、寛容な方はどうぞ。 【搬入ドッグ】 「こちらモンキー。予定ポイントに到着した。大将、聞こえるかい?」 「良好じゃモンキー。時間通りじゃな。ブランクが有るとは思えぬ」 「へっ、待たせたな」 「今回お主に与えられた任務は二つ。 一つは織田・徳川連合軍に囚われたワシの義理の兄弟・本願寺顕如と今川義元の救出。 そして本田忠勝出撃準備の確認の有無じゃ。 奴等の要求は松永の九十九茄子じゃ。 24時間以内に要求が受け入れられない場合は本田忠勝を出撃させると言っておる」 「本田忠勝…!?あの最強の武人か」 「既にタイムリミットまで18時間を切っておる。頼んだぞモンキー」 【ヘリポート前】 「……滅機?長曾我部のカラクリが何故こんな所に」 「それにしても、この様な嵐の中カラクリを起動させるとは無茶でござるな」 「誰だ?」 「まだ紹介していなかったのう。今回の作戦でセーブを担当する真田源二郎幸村じゃ」 「お初お目にかかる、モンキー殿。セーブしたくなったら某に連絡するでござるよ。 無線周波数は140.96。セーブ専用回線でござる」 【セーブ選択時】 「セーブでござるか?」 →YES NO 「お館様の教え・その壱!『慢心するな、精進あるのみ』! 十分の勝ちが一つの負けに繋がると知れ、と言う意味でござるよ。 うおおおお!!流石はおやかたさむああああ!! モンキー殿もこまめなセーブを心掛けるが宜しい」 【B1独房】 「動くな!」 「!」 「本願寺顕如を殺したな。何て酷い事を」 「実戦は初めてかい?新米」 「新米じゃない!う…動くな!」 「目に落ち着きが無く視点が定まらない。新兵特有の目だ」 「………」 「――返し刃になってるぜ」 「!?」 「さーて、どうする?新米!」 「言ったはずだ!新米扱いするな!」 「どうした新米!斬れ!」 【B2武器庫】 「生き延びた所を見ると、どうやら素質はあるか?」 「あなたは?」 「今まで名前が必要になった事は無いね」 「あ…!もしかして、モンキー?」 「そう呼ばれた事もある。お前がかすがだな」 ……To Be Continue……(※続きません※) 続・MGS@戦国BASARA
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1833.html
☆元親(♂)と政宗(おなご)は幼馴染というトンデモ設定。 (恋愛感情はない。) ☆メイド服ネタ注意。 ☆小×政で、ひっそりと元親→元就(おなご)。 以上を許せるお方はお読みくだされオヤカタサムァァァ!! ************************************* 秋晴れのある日、西海の鬼・長曾我部元親が米沢城にやって来た。 元親「よーう政宗!南蛮の土産持って来たぜ!」 政宗「お、いつもすまねぇな。…って、なんだこりゃ。」 元「「めいど服」とか言う南蛮の腰元の衣装だとさ。珍しいだろ?」 政「Ah?なんか裾短いし、ヒラヒラして頼りねぇ着物だなぁ。ま、ちょっとCuteだが…」 元「絶対おめぇに似合うと思ってよ。さぁ着てみろ!さぁさぁ!!」 政「んー…じゃあ少しだけな。隣りの部屋で着替えるが、覗いたらブッ殺すぞ。」 元「海の男はそういうセコい真似はしねぇよ。ヤルなら正面から押し倒すぜ?」 政「下品な野郎だ。アソコが腐ってもげちまいな。」 <そんで隣の部屋> 政(こんなもんでいいのか…?初めて着るから勝手が分からねぇぜ。) 小十郎(部屋の外から)「政宗様?いかがなされました。」 政「おっ!いいとこに来た小十郎。この着物どうだ?変じゃねえか?」 小「ままま政宗様!!お背中が開いておりますッ!!」 政「あぁこれか。手が届かねーから金具(←ファスナー)閉められねぇんだよ。」 小「さ…左様でございますか。」(眼を逸らしながら) 政「なぁ、お前がこいつ上げてくれよ…」 小「い、いえ!それはなりませんッ!今、姉を呼んで参ります! その間、この部屋から一歩も出てはなりませんぞ!?いいですね?」 政「分かったよ。早くな。…しかしこの着物、腿がスースーするぜ。」 小「めっ捲りあげてはなりませぬ!」(大慌て) 政「まぁちゃんとは着られてねえが、どうだ?結構イケてねぇか?」 小「…そのようなはしたない格好、政宗様には似合いませぬ。」 政「なんだよ。Cuteだろ?可愛いって言え。」 小「可愛くなど、ございませぬ!!」(真っ赤) 元「…あーあ、右目の旦那はいいねぇ。 しかし政宗は素直に着てくれんのに、 なんで愛しのオクラちゃんは着てくれないかねぇ…。 絶対似合うのによぉ~。」 そうぼやく元親は、西国の想い人が鏡の前で 「…フン、くだらん」とつまらなそうに呟きながら 自分の置き土産を着ている事など、当然知らないのだった。 (おわり) おなごBASARA 続②5
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/3947.html
戦国BASARA2 戦国BASARA2 英雄外伝 機種:PS2,Wii,PS3 作曲者:伊師正好、近藤嶺、遠藤大樹、幡手康隆、宮下智、佐藤真一郎(英雄外伝のみ) 発売元:カプコン 発売年:2006、2007(英雄外伝)、2012(HD) 概要 戦国BASARAシリーズの第2作目。今作から各キャラのテーマが追加された。 2007年に新要素を追加した『戦国BASARA2 英雄外伝』を発売。 ちなみにPS2版の『2』のみ唯一オープニングで西川貴教氏以外のアーティストが歌っている。 BGMは全曲T s MUSIC の作曲家が担当。曲ごとの担当は不明だったが、後に発売されたサントラでいくつか判明した。 2012年には初代『BASARA』『2』『英雄外伝』の一まとめでHDリマスター化され、PS3で『戦国BASARA HDコレクション』として発売された。 収録曲(サウンドトラック順) 曲名 作・編曲者 補足 順位 戦国BASARA2 鼓舞 上田合戦 伊師正好 好敵手 伊達政宗のテーマ 伊師正好 伊達政宗のテーマソング 真田幸村のテーマ 幡手康隆 真田幸村のテーマソング 勝鬨 京の都、罷り通る 宮下智 前田慶次のテーマ 伊師正好 前田慶次のテーマソング 戦艦“鬼宿” 大坂の陣 伊師正好 豊臣秀吉のテーマ 豊臣秀吉のテーマソング 天下布武 英雄 謀反 明智光秀のテーマ 伊師正好 明智光秀のテーマソング 厳島の戦い 近藤嶺 毛利元就のテーマ 伊師正好 毛利元就のテーマソング 毘沙門天 かすがのテーマソング 上杉謙信のテーマ 上杉謙信のテーマソング 武田信玄のテーマ 武田信玄のテーマソング 鬼ヶ島 長曾我部元親のテーマ 遠藤大樹 長曾我部元親のテーマソング 関ヶ原の戦い 伊師正好 合戦 宮下智 本多忠勝のテーマ 伊師正好 本多忠勝のテーマソング 一揆だべ 近藤嶺 いつきのテーマ 伊師正好 いつきのテーマソング 孤軍奮闘 竹中半兵衛のテーマ 伊師正好 竹中半兵衛のテーマソング 姉川の戦い 浅井長政のテーマ 伊師正好 浅井長政のテーマソング 小田原籠城 宮下智 北条氏政のテーマ 伊師正好 北条氏政のテーマソング 戦国BASARA ver.2 サントラ未収録曲 DIVE into YOURSELF オープニングテーマ熱唱びわ歌:HIGH and MIGHTY COLOR Brave 大西克巳 エンディングテーマ熱唱こと歌:伴都美子 双竜陣 伊師正好 本願寺黄金伝説 惑い雨 戦国BASARA2 英雄外伝収録曲 宿命 近藤嶺 HEROES 戦端 人取橋の戦い 武田戦線強行突破 真田幸村のテーマ(ver.HEROES) 幡手康隆 真田幸村のテーマソング 和風369位 英雄の凱旋 右目の決意 近藤嶺 片倉小十郎のテーマソング 長谷堂風雲戦 風魔小太郎のテーマ 幡手康隆 風魔小太郎のテーマソング 大仏殿炎上戦l 伊師正好 死神部隊 松永久秀のテーマ 松永久秀のテーマソング 成敗! 今川義元のテーマ 伊師正好 今川義元のテーマソング 天より降る魔 近藤嶺 お市のテーマソング 第六天魔王 目覚め 農民護衛戦 手取川の戦い 蒼紅共闘 熱血!武田道場 伊師正好 火男仮面 小牧長久手の戦い 山崎滅殺戦 島津義弘のテーマ 伊師正好 島津義弘のテーマソング 前田利家のテーマ~Endless Dance~ 前田利家のテーマソング おれさま印の名曲 宮本武蔵のテーマソング 群雄割拠 峻烈 戦国運動会 壱 戦国運動会 弐 一触即発 第二回大武闘会 近藤嶺 英雄外伝~HEROES~ 未使用曲 戦国BASARA2 英雄外伝サントラ未収録曲 BLADE CHORD 櫻井直 オープニングテーマ熱唱びわ歌:abingdon boys school 眠れ緋の華 近藤嶺 挿入歌熱唱ことバトルヒーローズサントラに収録歌:能登麻美子 ゲームソング201位第2回ゲームソング304位 安土城 戦国BASARA HDコレクション追加曲 WE aRE 作曲:岸利至編曲:abingdon boys school オープニングテーマ熱唱びわ歌:abingdon boys school 戦国BASARA ver.3 猿飛佐助のテーマソング 掃射連撃 濃姫、森蘭丸のテーマソング Powerful Beast 徳川家康のテーマソング 双竜の決闘 サウンドトラック 戦国BASARA2 オリジナルサウンドトラック 戦国BASARA2 HEROES オリジナルサウンドトラック 戦国BASARA HDコレクション オリジナルサウンドトラック
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1830.html
薄暗闇の中をしばし歩いたその先で見た光景は、大体 政宗の想像したものと同じだった。 「いやッ!いやよぉ!!離して!!」 「暴れんじゃねえよ、このアマ!」 うす汚い姿の、いかにも野卑な数人の男に、まだ年若い娘が 組み敷かれて着物を脱がされようとしている。 多分この辺りの村娘だろう。 しきりに悲鳴を上げて抵抗するが、複数の男の力にかなう筈も無い。 娘の着物の裾に男の一人が手を掛けた瞬間、ゴッと鈍い音を立てて、 大人の拳骨程度の石が男の後頭部に直撃した。 「痛ぇぇぇ!!」 「…なんだぁ?てめえ」 「Ah?そりゃこっちの台詞だぜ。人の領地で何してやがる。」 ようやく政宗の存在に気付いた男達は、警戒心を剥き出しに 腰に下げた刀を掴んだ。 その中で、一人だけ我関せずと女の身体をまさぐってる男が居たので、 政宗は再度石を投げ付けてやった。 「ここはお前らみてぇな下衆の居ていい場所じゃねえ。消えな。」 そう不遜に言い放つが、素直に聞き入れる者など このならず者達の中にいる筈もない。 その声や体躯が男のものでは無いと分かるや、男達は警戒するのを止め、 代わりに好奇とからかいの眼で政宗を見た。 「女だてらに武者の真似事かい?嬢ちゃん。」 「なかなかソソるぜ」 ジロジロと無遠慮な視線を投掛けては、口々に下品な笑い声を立てる男達を 政宗はしばらく何の感慨も無く眺めていたが、やがて興味を失くしたように 視線を外すと、つかつかと倒れたままの娘のそばに歩み寄った。 身を縮めて震える娘を抱き起こし、優しく声を掛ける。 「Hey girl ひでぇ目に遭ったな…大丈夫かい?」 「…は…は、い。」 喉の奥から絞り出すようにしてようやく返事をする娘に、 安心させるように政宗は微笑み掛ける。 「家はどの辺りだ?送ってやるよ。」 「てめぇ…!」 自分達をすっかり無視して話を進める政宗の背後から、 男の一人が蒼い陣羽織に包まれた肩を力任せに掴んで 地面に引き倒そうと動いたが、 肩に触れる直前に政宗は僅かに身を捩ってそれを躱す。 そしてすかさず、力の行き場を失って前のめりになった男の鳩尾に、 固めた拳を叩き込んだ。 不様な呻き声を上げて地に倒れ込む仲間の姿に、それまでニヤニヤと 野卑な笑いを浮かべていた男達の表情が一変する。 鼠に噛まれた猫が、その鼠をなぶり殺そうと狙うような 明からさまな害意を一身に受けながら、政宗は口の端だけで不敵に笑う。 「OK…この娘の代わりに、俺が遊んでやるよ。」 笑みを形造る唇とは裏腹に、その一つだけの眼は冷たい怒りに燃えていた。 「昇天しな!Fuckin men!!」 一斉に襲い掛かる男達に向かって、政宗は放たれた矢のように疾った。 おなごBASARA 続②3
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1898.html
「政宗様ッ!!」 「うわっ」 有無を言わさぬ勢いでがしりと両の肩口を掴まれ、 政宗は思わず困惑の声を上げる。 「怪我は有りませんか!?下郎共に無体な仕打ちを受けては居ねぇでしょうな?!」 「け、怪我はねぇし、Rapeもされてねぇ!だから落ち着け、小十郎」 「小十郎はいたって平静にござる!」 「どこがだよ!」 どう見ても平静ではない小十郎の険しい顔に、政宗は今更ながら 「やっちまった」と内心青冷めた。小十郎は日常的に小言を言ったり叱ったりするが、 本気で怒ったり取り乱したりする事など殆どない男だ。 …戦場で、政宗が命に関わるような無茶をした時以外は。 「…まぁ、今回の事は責めますまい。 民を無法者から救う為になさった事なれば。」 つい取り乱した自分をひそかに恥じるように 淡々とした小十郎の言葉に、政宗は問い返す。 「…そう言えばお前、どうしてその事知ってるんだ?」 「此処に来る迄の道で出会った、政宗様の馬に乗った娘から 事の子細を聞きました故。」 小十郎の応えに、政宗の表情が僅かに緊張する。 「あの娘はどうした?無事だったろうな?!」 「…ひどく泣いてはいましたが、怪我ひとつ無いようでしたし、 聞かれた事にもきちんと答えておりました。 家まで送りましたので、今頃は家族の元でしょう。」 「…そうか、そいつは良かった。」 小十郎の言葉に、政宗は心底ホッとしたように胸を撫で下ろす。 逃がしたはいいが、落馬したり他の野盗襲われたりはしていないか ひそかに心配だったらしい。 「それで、此処への到着が遅れました。」 「いや、Coolだぜ小十郎。…これで娘を放って俺の所に来たりしたら 許さねぇ所だった。」 政宗は、改めて周囲を見回した。地面に転がる無数の野盗共の死体は、 それでも政宗に襲い掛かって来た者の半数に過ぎない。 残り半数はあっと言う間に戦意を無くして何処かしらに逃げた。 もう、この近隣に近付こうとはしないだろう。 「ま、何にせよあの娘が無事で良かったぜ。 ならず者共の慰み物になるなんざ、あんまりに可哀相だからな。」 「…自分もそうなる所だったとは、思わないのですか。」 「Ah?」 何かを押し殺すように重い小十郎の声に、しかし政宗は深刻さを欠いた様子で応える。 小十郎が心配するような事態にはどう転んでもならないと、分かっていたからだった。 おなごBASARA 最終3
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1902.html
政宗の脳裏に、亡き父の面影がよぎった。 病で容貌の崩れた自分を変わらずに愛し、励まし守ってくれた優しい父だった。 生き馬の目を抜くようなこの乱れた時代に将として生きるには、 あまりにも心が暖かすぎる父だった。 「…政宗様。あなたが女子としての幸せを見つけ、 それに生きられる事は輝宗様の… そしてこの小十郎を含む伊達家臣一同の願いでも有るのです。」 「………」 「いつか訪れるその時まで、 この小十郎があなたを命に替えてもお守りしましょう。 ですから、無駄な事などと悲しい事を仰られないで下され。」 小十郎の真摯な言葉に、政宗は何と言ったらよいのか分からず、困り果てた。 亡き父や小十郎、それに周囲の者達がそんな思いで居たなど、考えた事も無かった。 今まではただひたすら、「女だから」と甘く見られまいと、 戦を繰り返し領土を広げる事のみに力を尽くして来たというのに。 そして周囲もそれを望んでいるのだとばかり思っていたのに。 「…今更だぜ。 俺はただ守られるだけのお姫様になんかなりたくねぇ。 俺の望みは独眼竜として天下を奪う事。それだけだ。」 「無論、天下も取りましょうぞ。 さすれば縁談など今以上に選り取りみどりでしょうからな。」 「あのなぁ…」 何か言い表せない疲れを感じて、政宗はがっくりとうなだれる。 小十郎はそんな政宗の様子に苦笑する。 「…それに周囲の思惑は別として、 政宗様自身が認めるような男が現れた時、 嗜みがまるで身についていないが為に相手に振られるなど、 有ってはならない事はございませぬか。」 言外に滲み出る「だから稽古をさぼるな」という気迫に根負けして、 政宗は仕方なく腹を決めた。 「…OK、分かったよ。 流石にそんな屈辱は味わいたくねぇからな…もう稽古はさぼらねぇ。 だがな小十郎。」 「はい」 「もしそれで俺を嫁にしたいなんて奇特な男がOld Missになっても現れなかった場合、 お前責任取れるんだろうな?」 「無論の事。」 言われっ放しでは癪だと放った政宗の言葉に、 小十郎は何を今更、と言った風情で答える。 「いつも申し上げておりましょう。 その時はこの小十郎が貰って差し上げます。ご心配召されるな。」 あまりに当然のように発せられた言葉に、政宗はしばらくポカンと口を開いた。 「なっ!…お、お前、あれマジで言ってたのか?」 「小十郎はいつだってマジにございますが。」 おなごBASARA 最終7
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1903.html
馬上の政宗を見上げるその表情は変わらず真剣で、 嘘や冗談を口にしているようには見えない。 (もっとも、小十郎は冗談を言う時も大抵真顔なので判別は難しいが) 「それにこの様な事、冗談でも 女子に言ってはならぬ事でございましょう。」 「…まぁそりゃ、そうだけどよ。」 「それに心配なさらなくとも、政宗様のすべてを知って尚熱を上げる男など、 これからいくらでも現れます。 その中には政宗様が認める男もいる事でしょう。」 「…いねぇよ、そんな奴。」 「絶対におりますよ。…この小十郎の出番など、たぶん無いのでしょうなぁ。」 「…………」 そう呟く小十郎が少し寂しげに見えて、政宗は何故か腹が立った。 自分でも正体の分からない苛立ちを打ち消すように、政宗は馬を止めるように小十郎に命じる。 「ちんたら歩いててもラチがあかねぇ。 小十郎、お前馬に乗れ。俺は後ろでいい。」 「…危険だと申し上げた筈ですが。」 「Shut up!俺はさっさと風呂入って寝てぇんだ。 でなきゃ俺は一人で走って帰る!お前は馬とゆっくり歩いてりゃいいだろう。」 ぷいとそっぽを向く政宗に、いつもの我儘が出たとばかりに小十郎は溜め息を付いたが、 結局は主君の意向に従った。 「分かりました。一度馬から降りて戴けませぬか。」 「OK」 ひらりと政宗が鞍から降りると、小十郎が代わって馬に跨った。 馬上にあるその姿がやけにしっくりと見えて、政宗は少しの間見惚れた。 「どうぞ、政宗様。」 「おぉ。」 馬上から差し延べられた手を取り、引き上げられると、 政宗の思惑とは違い、鞍の後ろではなく前の方に、横抱きにするようにして乗せられる。 しっかりと抱え込まれているので落ちる心配はなさそうだが、 これでは小十郎の首に手を回す以外縋る場所がない。 この体勢は、南蛮の絵巻物で見た白馬の騎士と姫君のような… というかまさしくソレだ。 「こらッ小十郎!なんだよこれは!!」 「後ろ乗りはやはり危険です。少しの間我慢して戴きましょうか。」 「…てめぇ」 「それでは少し跳ばしますぜ。しっかり掴まって下され政宗様!」 「うわっ」 びしり、と鞭打つ音といななきの後、馬は弾丸のように走り出した。 周囲の景色が一瞬にして流線となって消え去り、 唯一露出している顔の左側に肌を刺すような 激しい風を感じる。 おなごBASARA 最終8
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1896.html
※小十郎×政宗(おなご)です。 ※ダラダラ長いけどエロはありません。 ※政宗の父親とか、少々捏造が混じってます。 色々を許せる方、どうぞお読み下さい。 『小十郎…儂は生まれて初めて、天の采配を恨むぞ…。』 片倉小十郎はその森に足を踏み入れるなり、眉を顰めた。 鉄錆と、獣の臭い。大量の血と、それに誘われた山犬のものだと知れる。 物音は無い。しんと静まり返る森は、戦い終わった戦場の空気と、ひどくよく似たものをその身に包んでいた。 地に転がった肉を食んでいた山犬は、近付く人間の気配を察すると素早く闇の中に姿を消した。 無益な争いを好まない分、動物とは賢いものだと小十郎は思う。 灯りは無くとも、青白い月光に目の前に広がる惨状はしらじらと明らかになった。 数にしておよそ二十人程度だろうか。いかにも野盗か野伏せりかといった風体の男達の骸が散乱している。 小十郎は表情も無くそれらを見下ろすと、どれも刀傷で絶命している事を認めた。 政宗がやったのだろう。それは分かっている。 しかし肝心の政宗の姿が何処にも見えない。 「政宗様!何処に居られるのか!」 そう声を張り上げて呼ぶが、返事はない。 言い様のない不安を押さえ込みながら、さらに森の奥に踏み入ると、 見慣れた鉄の塊が地面に打ち捨てられるように転がっているのが目に入った。 それは、見間違える筈もない。弦月の前立てに飾られた政宗の兜だった。 慌てて拾い上げると、それは血飛沫を浴びている訳でも、ひどく破損している訳でもない。 ただ、その主の姿だけが見当たらなかった。 「政宗様…ッ!!」 小十郎がもう一度主の名を呼ぶと、背後に生えている枝振りの見事な樹の上部がガサガサと騒ぎ、 声が降って来た。若い娘のものだった。 「小十郎か?」 「…!政宗様?!そこに居られるのですか?!」 「ああ。」 「何故そのような所に…ご無事なのですか?!」 「一遍に聞くんじゃねぇよ。これから説明する。…もうその辺に山犬は居ないな?」 政宗の問い掛けに、小十郎は律義に周囲を見回す。 「居ないようです」 「OK 今降りる。」 再び枝を揺らす音が響き、地面に藍色の影が降り立った。 それは兜を被っていないことを除けば、稽古事を嫌がって城を出た時と まるで変わった様子のない政宗だった。 「お、兜拾ってくれたのか。Thank Youな。」 小十郎の手から兜をかっさらうと、いつものように被り、顎紐を締めた。 「ったく山犬には餌と間違われるわ、逃げた木の上じゃ兜に虫が入るわ 参ったぜ…って、どうした小十郎?」 おなごBASARA 奥州最終話