約 818,100 件
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/5832.html
このページはこちらに移転しました 親父 作詞/192スレ407 親父が嫌いだ! 親父が憎い! 俺はなんにも悪くはないよ 俺の全てを否定してくる 俺の好みの全てを否定する 好きな映画 髪型 服装 何一つ認めちゃくれなかった 俺の全てを否定してくる 俺の生き方を全否定する 好きな音楽 夢に友達 何一つ認めちゃくれなかった 親父が嫌いだ! 親父が憎い! 俺はなんにも悪くない 喧嘩 喧嘩 死ぬその時まで お互いに認め合う事はない 何一つ認めちゃくれなかった 何一つ認めちゃくれなかった 何一つ認めちゃくれなかった 親父のクソヤロー!!!!!
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/358.html
「お父さんが今度の仕事で点数稼いだから、多少の無理はきくそうよ」 とハルヒのお母さんは言った。 以下は、後で親父さんに聞いた話である。 「んー、仕事か? いつものモメゴト・シューティングだ。町村合併でな、もともと仲が悪かった町がひとつになった。片方は古くからの温泉を中心にした町で、向こう側にあるスキー場が生業の町だ。水と油ならぬ、湯と雪の間柄って訳だ。元々地熱のせいで、ここのスキー場は雪解けが早くて営業できる期間がよそより短い。そういうところに人間様が後からやってきた訳だが、自然に怒りをぶつけてもしょうがないから、地熱憎けりゃ温泉旅館まで憎い、ってことらしくてな」 「涼宮さん、すぐオヤジが参りやす。しばらく遊んでってくだせえ」 「なるほど。おれは、うまい飯といい女に目がないんだが、よく分かったな」 「へへへ、それは男なら誰でも同じでしょう」 「そういう訳で、女房には、パリで2つ星のレストランをきりもりしてたオーナー・シェフを選んだ。もちろん料理の腕だけじゃない、絶世の美女だ。頭も切れるし、腕も立つ。おれが何十人かのバカ相手に殴りあいしてたのを、邪魔するやつはみんな投げ飛ばし、おれのところまで来て、平手打ちをくれたくらいだ。……さて、あと何を言えば、あんたの顔をつぶさず、おれは一命を取りとめる? 誰であれ恥をかかせたくないが、おれは仕事でここまで来てる。何もしないうちに死ぬのはごめんこうむる。女房を愛してるといえばいいか? それとも女房に殺されると言った方がいいのか? あと、そうだな、一人娘はまだ高校生なんだ」 「ま、待ってくれ。しばらく待ってくれ」 「わかった。待つ。あんたを信用して任せる」 「若いもんがとんだ失礼をしたようで」 「いや、こっちの自己紹介が遅れただけだ。さっきの男は何も悪くない。信用してよかった、と後で伝えてくれ」 「この街に、火中の栗を拾いにくるのが、どんな奴なのか、知っときたくてな。無理を言って来てもらった」 「無理は聞いてない。会うべき人間には会っておきたいと誰だって考えるだろう。はじめて来た街なら、なおさらだ」 「あんたには、この街はどう見える? 随分、いろんなところで仕事をしてきたそうじゃないか」 「着いたばかりで何も知らんし何も言えん。だが、自分から、このよそ者に会いに来た男がいる。おれの短い経験からいうと、そういう奴がいるところでは失敗はない」 「それはおだてか?」 「おだててるのでも、誉めてるんでもない。おれに一番最初に会いに来る奴が、その街を一番深く思っている。言い換えれば、まちの浮沈に自分の利害が一番絡んでる。逆に「自分がこの街を一番愛してる」とうぬぼれてる輩は、大抵はその街に片足突っ込んでる程度のくせに、得体の知れないよそ者を邪魔するか追い出す方が先に来る。『よそ者に何が分かる?』まあ、そう思う方が普通の神経だ。さて、あんたは自分が実力者であることを知ってるが、それだけじゃ足りないことも認めてる」 「ずけずけ言うんだな。大ホラ吹きなのに、今は正直に喋ってる」 「そうした方がいい相手にはそうする」 「まず、何をするつもりだ?」 「昼間はスキーだな。全部のゲレンデを滑って回る。夜は温泉だ。これも全部入る。人が集まってるようなところは、とにかくしらみつぶしに回る。つまり、とにかく遊び回るんだ。それから、次に人を集める。なるだけたくさんがいい。普段、街のことをしゃべったこともないような連中も呼びたい。そういう奴ほど、言いたいことがあるもんだ」 「そんなので話がまとまるのか?」 「話なんかまとまらなくていい。どれだけきれい事並べようが、役所の基本計画なんてただの言葉だ。誰も覚えちゃいないし、思い出しもしない。そいつをつくるのに、人が集まる方がよほど重要だ。そこでみんなの感情を沸騰させる。忘れられない集まりになる。後は各自が思い思いのものを持ちかえって、それぞれが「良い」と思ったことをやればいい。モザイクは色も形も違う小片からできている。見る角度で色合いも変わる。だが遠くから見ると、一枚の絵になってる。簡単に言うと、そういうことだ」 「さっきも言ったがあんたは正直だ。だからわしも正直に言おう。わしらはこの街が分裂していた方が都合がいい。つまり金になる」 「あんたの下には100人ぐらい、食わせなきゃならん若いものがいるだろう。この街の役所より大所帯だ」 「107人だった。笑いごとだが、大学へ行かせた孫まで帰ってきた。これで108人だ」 「帰って行ける田舎があるのは、いいことだ」 「だが、この街には未来はない」 「ああ。あんたが死ねば、途端にその108人は路頭に迷うぞ」 「どうすればいい? あんたは答えを持ってるのか?」 「おれが持ってきたのは問いだ。悩むのは当事者の仕事だ。誰も代わってはやれん。答えは銘々が見つけるしかない。こいつが理解されたら、おれの仕事は9割が終わったようなもんなんだが。……さて、あんたに頼みがある」 「わしはあんたの敵だ。わしがやると思うのか? いや、聞きたいのはそれじゃない。わしに何かできることがあるのか?」 「あんたにしかできないことがある。それをこれから説明する」 「その親分だか顔役に何言ったんですか?」 「簡単だ。若い衆を解雇しろ、と言った。放りだせ、くびにしろ、だったか、まあ、そういう風なことだ」 「それを飲んだんですか、相手は?」 「そりゃそうだ。一番の懸案事項についての、最速かつ確実な解決法だからな」 「でも、若い衆が路頭に迷うって」 「だから、そいつらの『再就職』を、おれが引き受けた」 「100人もの働き場所なんてそう簡単には……」 「当たり前だ。だが、相手にリスクを負わせるには、自分もリスクを引き受けるしかない。こんな簡単なことも分からんから、話がややこしくなるんだ。おれだって手品師じゃない。帽子から鳩や兎を出すみたいに仕事が用意できるわけじゃないぞ。まあ、たとえできても、そんな真似はしない。若い連中をただ甘やかしてもつまらん」 「涼宮さん」 「よう。こないだは世話になったな」 「そのことは、もう。……だが、俺たちは納得してねえ。あんたが納得させてくれるとも思ってねえ」 「だが、雁首揃えてやってきた、ってわけか」 「オヤジ、……と呼ぶなといってっけ。おやっさんは、曲がった事は決して言わねえ。誰かを騙して得をとる人間でもねえ。だから、おれたちは、おやっさんの言うことには、これまで黙ってしたがってきた。それで間違いはなかった」 「だが、今度の事はさすがに腹に据えかねるか。もっともだ。だが、ひとつだけ修正させてくれ。おまえさんたちのおやっさんは、ひとつだけ間違いをおかした。うるせえ、黙って聞け! おれを信用し切ってないまま、おまえらをよこした事だ。信用できないなら、何一つ耳を貸さず、おれを街から追いだせ。おれは手を引く。家に買えって女房と娘相手に七面鳥でも焼くことにする。だが、ひとつ見直した事がある。おまえらだ。おまえらは挨拶の仕方を知ってる。ちゃんと相手の目を見て話を聞く。背丈の半分しかないばあさん相手なら、おまえらはちゃんとしゃがんで話をするだろう。若い連中を見ろ、あさっての方を見て「あざーす」、これが挨拶だ。おれたちには2週間しか時間がない。しつけに1週間も費やしてみろ、間に合うものも間に合わん。お前らなら、今日からでも使いものになる。さあ、決めてくれ。おれがこの2週間でやろうとしてることを聞きたい奴は残れ。残らず話してやる。聞きたくない奴は、そう思った時点で出て行ってくれ。今も言ったように時間はあまりない。はじめていいか?」 「あ、ああ。とにかく聞かせてくれ」 「やることは、言葉で言えば簡単だ。この街を変える、街が変わったと大勢の人間に思わせる。一番楽なのは、良いところを悪くする事だ。良い部分は、街でもなんでも、誰が毎日の努力で支えてる。そいつを取り除けばいい。だが、俺たちは、そんなことはしない。その逆をやる。つまり、悪いところを良くする。分かりやすいのは、一番悪いものを変えることだ。この街で一番悪いものが何かわかるか? 温泉街とスキー場の対立か? ちがう。この街で一番悪いものは、そこからアガリをせしめてるお前たちだ。だから、お前たちが変わるのが一番わかりやすい。そして親分はお前らをクビにした。おまえらの悪評の元はなくなった。お前らはもう、昨日のおまえらとは違う。さて、次に何をやるか説明するぞ」 「そのひとたち、ほんとにしゃがんでおばあさんと話してたんですか?」 「知らん。その街に着いたばかりだから知るはずがない。おれはただそれを前提にして話しただけだ。だが、おれがそう言った後は、みんな必ずそうしてた。それが良いことだと、まずは頭で、やってみると全身で、納得できたからだ。この手のことはな、キョン、やればすぐに分かる。相手の顔が全然違ってくる。だから、おれは期待を『前払い』しただけだが、連中はすぐに自分の行動(もの)にした」 「掃除ったあ、どういうことだ!?」 「掃除は掃除だ。汚れているところをきれいにする。やったこと、あるだろ?」 「それが今回の話と、なんの関係があるんだ!?」 「じゃあ聞くが、おまえさんが組に入って最初にやった仕事はなんだ?」 「そ、それは……」 「こんなかで、掃除をしたことない奴はいるか? いないはずだ。おまえらは、最初にやった仕事だから、下っぱがやる詰まらない仕事だとおもってやがるな。どこの世界でも、弟子入りしたら、まず掃除からやる。理由は3つだ。ずぶの素人がやっても、丁寧にさえやれば、それ以上汚れる事だけはない、つまり必ず成果が上がる。若い奴に自信をつけさせるには、仕事をやらして成果をあげさせることが一番だが、何もできないうちにまかせることができる仕事は、そんなにない。二つ目。誰でもできるようだが、いい加減にやると、それもはっきり結果に出る。そいつにずっとついて見てなくても、そいつの仕事ぶりが一目で分かる。大勢の若い連中を仕込むのには、こんなに効率のいいやり方はない。そして最後の理由だ。掃除って仕事には切りがない。今日やり終えたから、明日からしなくていい、なんてことがない。だから仕事がなくならない。理由は以上の3つだが、おれたちにはあとひとつ、でかい理由がある。これをやると確実に街が変わる。いいか、確実にだ」 「……」 「納得できんだろうから、話をしてやる。ひとつ目は身近な話だ。自分の家や仕事場の前に、ゴミが落ちていたら、誰だってそのままにはしないだろう。自分でやるか、人にやらすかは別にして、掃除するだろう。じゃあ、逆にゴミがそのままで誰も片付けないとしたら、どこだ? ……人々に見捨てられた場所、誰も愛着はおろか関心さえ持ってもらえない場所がそうだ。そこでは、誰でも平気でゴミを捨てて行く。誰も目を向けない、誰の目も届いてない場所なら、そのゴミに火をつける奴が出てくる。放火だ。次はヤバい物の取引、その次が殺人、用済みになった奴をこっそりバラすのは、きまってそんな場所だ。そこで殺される奴は身寄りがない。そいつが死んでも誰も気付かない。そういう奴が、そういう場所で最後を迎える。 ニューヨークにハーレムって街がある。ああ、一番ヤバい危険なところだ。11万しか人がいないのに毎年100人が殺される。100じゃ大した事ないか? 日本の人口と比べやすいように計算すると、毎年11万人だ。日本じゃ殺人で死ぬのは毎年6000人だから、18倍だな。 だがハーレムはここんところ変わってきた。ゴミが山になってた空き地にあるばあさんが花を植えた。その上にもゴミを捨てるバカはいて、最初は花なんて育たなかった。花を盗む奴までいた。だが、ばあさんは、ゴミを取り除いて花を植えつづけた。しつこくやってると、ばあさんを手伝う奴も出てきて、やがてその小さな空き地は花壇になった。ばあさんがやったのは、たったこれだけのことだ。だが、ハーレムで殺される奴の数は、今は毎年20人だ。日本からすると、まだ3.6倍だが、とにかく1/5になった。やったのは無論、ばあさんだけじゃない。 犯罪があんまりひどいんで『捨てられた』ビルの落書きだらけのシャッターに、あるおっさんはペンキで絵を描いた。おっさんが描いた上に落書きするバカもいたが、おっさんは描きつづけた。治安がマシになったいまでも描きつづけてる。いまじゃ観光バスのコースにもなってる名物だ。 ……まちを掃除するってのは、こういうことだ。少なくとも、掃除をやった人間だけは、この街を見捨ててないし、見放してない。ちゃんと関心をもって見てる、それも毎日そうしてる。そんなことが分かる奴には分かる。汚れた場所は、掃除したって、また汚れるだろう。だが掃除しつづければ、誰かがその場所に関心を持っていることが、愛着を持つ人間が存在することが、みんなに伝わっていく。これで、何も変わらないなら、その方がどうかしてる。……アメリカの話なんか、つまらんか。じゃあ、日本の話をしてやる。ほとんど、似たような話だがな」 「キョン、柳川って街をしってるか? 知らなきゃググれ。いまは水郷めぐりなんかで観光客も来るぐらいだが、その水郷もきれいにするまでは『埋めちまえ』と毎年嘆願が出るようなドブ川だった。そこを何十年も一人でゴミを拾いつづけたおっさんがいたんだ。最初は『そんなことやってなんになる』と馬鹿にされてたが、10年もやってりゃ、そのうち手伝いたいって変わり者も出てくる。ゴミ拾いが広がって、ドブ川の泥を運び出す予算がついて、そして街がよみがえった。きっかけは、一人のおっさんが飽きもせずにゴミを拾いつづけた事だ。……おれたちには、そこまでの時間はなかったんでな、ちょっと人海戦術を採らせてもらった」 「何をやったんですか?」 「一番金にならず、しかし人の喜ぶことだ。おまえも見知らぬ街で食うのに困ったら、ほうきか火ばさみを借りるか、なけりゃ手でゴミを拾え。掃除のまねごとだ。これだけで、どんなに人相の悪い奴でも善人に見える。金にはならないが、人情にはすがれる。結果から言うと飢え死にしない。体験からおれが言うんだ、これだけは間違いない」 「本当に掃除させたんですか?」 「そうだ。まちで一番汚いところから順に、とにかく徹底的に掃除させた。それから通りかかる人にはきちんと挨拶だ。たったこれだけのことでな、キョン、街はてきめんに変わる。どいつもこいつも地元で手の付けられない悪だった連中がだ、あっという間に善人に生まれ変わったんだからな。これ以上の奇跡は、ちょっとおれでも起こせん」 「よく、みんなやりましたね」 「ああ、こっからが感動的なところだ。例の親分な、率先して、街で一番汚い場所、駅前の公衆便所の掃除を始めた。それも雪の振る日にだ。これでも、ごたごた言う奴がいたらぶん殴るところだが、基本的にはみんな人のいい連中なんだ。おれが何の指示もしなくても、自分達で掃除道具をそろえて、汚いところを見つけてきて、掃除しだした。親分の人徳だな」 「オヤジが仕込んで、その親分さんに掃除させたんでしょ? えげつない手」 「誤解だ、バカ娘。大人をあんまり甘く見るなよ。あのおっさんはな、最初はあえて、子分達を説得しなかった。『涼宮の言うことなら何でもやれ』と命じておく方がずっと楽だ。あとはおれの仕事だからな。だが、おっさんはそうしなかった。その代わり、子分がおれに反発するままにしといて、自分は一人で一番汚いところの掃除を始めたんだ。人に言われてそこまでできるか? やらされてるなら、そんなことは自然とばれる。さっきも言ったが、掃除ってのは、やる人間の気持ちの入れようが、そのまま結果に反映するからな。あとで親分が掃除した便所に案内してやる。この街が変わり出した輝ける第一歩だ。今は、掃除用具が置いてあって、この話を聞き知った連中が誰彼なしに掃除にやって来る。まるでお参りだ。おっさんは、便所掃除で「聖地」を作ったんだ。あそこを見れば、この街がどうなっていくかが分かる。今でも、人に見せたいくらいに、ぴかぴかだぞ」
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/357.html
親父抜きの大晦日その後^2から おれとハルヒは、日付と年が変わるのを待つというより、むしろ迎え撃つように、お重に入り切らなかった和洋中のおせちを、互いに競い合って腹に詰め込んだ。 箸と箸でつばぜり合いを演じているうちに、どこかこの近くの寺の鐘が108つをとっくに越えて突かれまくり、ようやく最後の鐘となったところで、主のいない涼宮家の電話が音をたてた。 「誰よ、こんな時間に?」 「当然、親父さんだろ?」 「あー、あいつなら、やりかねないわ」 となおも箸を止めないおれたちのかわりに、ハルヒのお母さんが受話器を取った。もとい、スピーカーのスイッチを入れた。 「皆の衆、ハッピィ・ニュー・イヤー。なんだ、キョン、まだいるのか?」 「いちゃいけないっていうの? 話によっては相手になるわよ!」 「年越しだ。過去の遺恨は水に流せ」 「正月早々、下水が詰まりまくりよ」 どれだけ膨れ上がったか見当もつかない遺恨の方はさておき、 「では、改めて。あけましておめでとう。今年こそ、いい年だといいな、バカ娘」 「去年も、今年も、来年も、ずーっとあとまで、毎年がいい年よ、あたしは。 ね!」 ハルヒ、電話の向こうとはいえ、親父さんの前で、そのアイ・コンタクトに応えろというのか。 「ね!!」 わ、わかった。わかったから、まずフォークとナイフをテーブルに置けって。そんなもの人に向けるな。 「ああ、そうだな。……親父さん、明けましておめでとうございます」 「うむ。宇宙の命運はおまえにかかってるからな。今年は長門の映画もあるし、よろしく頼むぞ」 いや、メタとはいえ、そのネタ振りは鬼門の上に長門で、しかも前門の虎、後門の狼では? 「有希の映画ってどういうこと!?」 まてまて、ハルヒ。新年に入って、たった1分で暴れるな。 「キョン、前売り券は団員分、確保してあるんでしょうね?」 そっちかよ!? この上、リアクションの取れないメタ・ネタをかぶせてくるな。収拾がつかん! 「舞台挨拶はどことどこ!?」 だから、収拾がつかないんだって!! 「二人とも、そろそろ出なくていいの?」 さすがは、ハルヒの母さん、ナイスなタイミングで助け舟を出してくれる。 「そうだわ。いくわよ、キョン!」 「じゃあ、親父さん、失礼します」 電話の向こうに挨拶する。 「ああ、また、近いうちにな」 何でもないようでいて、伏線めいた言葉を、親父さんは笑って言った。 ハルヒとおれは、深夜の初詣をすませ(その間の出来事は、諸般の都合により割愛する)、再び涼宮家の前まで戻って来た。何故だか雪はすっかりやんでいて、星まで見える始末だ。ま、わるいことじゃないけどな。 「じゃあ、駅前に9時きっかりに集合だからね!」 新年早々、SOS団は今年もそろって初詣ラリーである。 「わかってる」 「帰りはSOS団のみんなもうちに来てもらうわ。あたしたちだけじゃ食べ切れないもの」 「ああ、それがいいな」 でないと食べ切れんし、もったいないお化けが出る。 「きょんくーん、おそーい」 妹め。年越しとはいえ、午前2時を回ってるぞ。 「遅いのはおまえだ。いつまで起きてるんだ? 明日の集合に寝坊しても、置いてくぞ」 「だって、キョン君に『おめでとう』って言わないと」 妹よ、なんと殊勝な心がけだ。 「むにゃむにゃ……でよかったね、おめでとう、キョン君」 何だって? 何がよかったんだ? 「だから、むにゃむにゃ……だよ! もう、新年早々、すごいふぃるたー!」 なにしろ新年だからな。明日は早い。世間的には普通だが、あいつらに世間の常識は通用しないからな。早く寝ろよ。無論、おれも寝る。 「うん、おやすみ、キョン君。おいてっちゃお仕置きだよ」 親父抜きの大晦日その後^4へ
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/234.html
ハルヒと親父2その後 一周年 その1から ハル母 さて、明日も平日だし、そろそろ今日はお開きにしましょう。 親父 キョン、客間に客用布団と着替え一式、用意しといた。先に風呂を使ってくれ。あー、それからバカ娘。 ハルヒ 何よ? 親父 「湯加減見ようか」とか「背中流そうか」とか、ラブコメな振る舞いは慎むように。親父はもう体力の限界だ。 ハルヒ どんなラブコメよ! 親父 詳しいことは言えないが、男性用だ。少年誌とはいえ、侮れんぞ。 ハルヒ いい加減にしないと、殴るわよ。 親父 もう、いい奴を2、3発もらっちまっているが。それじゃ解散。 キョン 親父さん、風呂あがりました。先にすみません。 親父 今、風呂はバカ娘か? キョン はい。 親父 じゃあ、ちょっと座っていけ。 キョン はい……。 親父 といっても、話すネタは特にないんだけどな。 キョン はあ。 親父 二人に「共通の話題」……ああ、ハルヒのことだぞ……を取り上げると、ほとんど刺し違いみたいになるしな。 キョン ……。 親父 少なくとも俺は傷つく。良く言われても、悪く言われてもな。 キョン ……。 親父 答えなくていいぞ。というか、答えんでくれ。じゃあ、なんで尋ねるんだろうな……あんなの奴の、どこがいいんだ? キョン ……。 親父 あの見掛けにあの言動だ。ヘタすりゃ、後ろから刺されるぞ。そこんとこ、本人はわざと「無頓着」だしな。 キョン あの……。 親父 お、手があがったな。発言を認めるぞ。 キョン 本人が、後ろに。 ハルヒ オ・ヤ・ジ。話があるわ、たっぷりと。話すことはないけどね。 親父 風呂、速いな。カラスの行水か。若い娘としては感心せんぞ。 ハルヒ うるさい! こういう事態を想定してちゃっちゃと上がってきたのよ! 親父 どういう事態を想定したんだか。まあ、いい。お前も座っていけ。 ハルヒ なんなのよ、もう! 親父 宛先だけ変えて同じ質問をするが、お前はこいつのどこがいいんだ? ハルヒ 他人様を「こいつ」呼ばわりしない! 親父 キョンのどこがいいんだ?と聞いている。 ハルヒ !そ、それ、は、あの、あー、なんで決めつけんのよ! 親父 自然な推論だ。嫌いな相手と一日の大半を過ごすのか、何より我慢が嫌いなお前が? キョン ……あの、いいですか? 親父 おう、キョン。 キョン 答えるな、と言われたんで、どこが良いとか好きとかは言いませんが……こいつは確かに無茶はするし、考え方が不穏当なときは多いし、一言で言ってめちゃくちゃなやつですが、人から刺されるような人間じゃないです。誰かのものを取り上げたり、誰かを押しのけて得をしようとしたり、そのために自分や周囲の人間を利用してやろうってカケラも考えないやつです。我慢したり諦めたりしている人間にうらやましく思われることはあっても、恨まれるとは考えられない。それに……こいつは俺の手を引いて、いつもどんどん行っちまおうとするんで、こいつの後ろには俺がいます。だから後ろから刺されるなんてあり得ない。あ、教室の席は前後逆ですが。 親父 ……ハルヒ、こんなの、どこで見つけてきたんだ? ハルヒ ……だから、前の席って言ってんでしょ! っだあ、キョン、あんたも何言ってんのよ!! 親父 下がってろ、バカ娘。自分の部屋で枕でも叩いて真っ赤になってろ。おい、キョン、この馬鹿に、愛想が尽きたり我慢できなくなったら、言ってくれ。後腐れ無く分かれさせるし、次の女は紹介してやる。 ハルヒ バカ親父! それが娘の彼氏に言うことか!! 親父 今はツンデレに貸す耳はない。お前は怒った振りしてごまかそうとしたことを、この男は、斜め上のコトバで答えたぞ。親父は風呂に入って、敗北感を抱えて寝る。 ハルヒ もう、帰ってくんな、バカ親父! 親父 悪いが、ここは俺の家だ。嫌なら、さっさと部屋でも借りて出ていくんだな。 ハルヒ ……あ、あんたも、もっとモノには言いようってもんがあるでしょ!! キョン ああ、すまん。 ハルヒ ったく。それにね、周りの人利用したり、誰かのもの取り上げたり、したことぐらいあるわよ。あんたもいたでしょ、その場に。 キョン 都合良く忘れてた。 ハルヒ あたしが手を引いて、あんたが後ろにいて、ってのは事実だけど。 キョン それは比喩だ。横に並んで歩いたりもするぞ。 ハルヒ そうよ、デタラメよ。口からでまかせ。でも、親父を負かして、胸がすっとしたわ。……ほ、褒めたげる。 キョン そりゃ、どうも。 ハルヒ あ、あたしが掛け値なしで褒めるなんて、めったにないんだからね! キョン そうだな。 ハルヒ なんで、そこで笑うのよ。 キョン わらってない。 ハルヒ じゃあ、にやけてる。 キョン かもな。 ハルヒ 親父じゃないけど、今日のあんた、なんかむかつく。余裕あり過ぎよ! キョン 馬鹿いえ。突然、泊まらされて、親父さんに膝つめされて、「娘をどう思う?」だぞ。一杯一杯だ。 ハルヒ あんたは追いつめられないと、本気出さないからよ。 キョン 本気なんて、それで十分だ。 ハル母 お父さん、これからお風呂ですか? 親父 母さん。キョンのやつに、あっさり、ひねられちまった。完敗だ。 ハル母 そりゃ、ハルの彼氏ですから。 親父 今だったら「ハルヒを嫁に下さい」と言われたら、OKしちまいそうだ。 ハル母 それもいいですね。 親父 そこまで吹っ切れんがな。 ハル母 二人も、もう少しは待ってくれますよ。 親父 もう少し、だけか? ハル母 それはなんとも。 親父 なんか、あいつには「こんな奴のどこがいいんだ?」といつまで経っても聞いてるような気がする。 ハル母 その度、キョン君がどう答えるか、楽しみですね。 親父 風呂に入ってくる。 ハル母 はいはい。 キョン どこまで着いてくるんだ? ハルヒ あんた、客間で寝るんでしょ? キョン そっちに布団があるんだよ。 ハルヒ 俺の意思じゃない、みたいな言い方ね。 キョン 気に入らないのか? ハルヒ 気に入らないわね。 キョン ここはお前のうちだろ? ハルヒ そうよ。親父がなんか叫んでたけど。 キョン 親父さんも、お母さんもいるんだぞ。 ハルヒ そりゃそうよ。あたしのうちだもの。 キョン なんで、俺の服の袖、つかんでるんだ? ハルヒ 離したくないからよ。 その3へつづく
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/247.html
親父さんと谷口くん2から 「今度は思い出した。素人童貞の谷口だな」 「すみません。そんな、いきなり謝らなきゃなくなるような冠は、まだ付いてないです」 「それがいい。若いうちからエッチしてると、男と女のことを『わかった』ものとして軽く考えがちだ。『わかりきった』と思っているところにドリームは生まれないし、子供も生まれない、とみうらじゅんも言っている」 「いや、あの、すみません。直裁に言います。女の子にもてたい、否、女の子をものにしたいんです! どうか、俺みたいな者にも、すぐに役立つお知恵を」 「つまり、こういうことか。熱愛中のラブラブ・カップルの女性側の記憶を書き換えて、恋心のあて先を、そのうらやましい男からおまえに振りかえて、恋人を横取りする方法とか、そういうのが知りたいのか?」 「げ、外道ですね。そんなことが、できるんですか?」 「できるかどうかの問題じゃない。していいか、どうかだ。-----まあ、やるんだったら事故で視力と記憶を失った女性が恋人の声だけは聞き覚えているんだが、その恋人は結局『普通の結婚』がしたくて別の女に走り、その後、結婚しましたハガキを読み上げたせいで第一印象は最悪の眼科医と、二人三脚で視力を回復していく感動巨編の物語を、種まきとしてやるな。その後、相手を催眠にいれて目が開かない暗示と名前が思い出せない暗示をつかって同じような体験をさせて、最後の眼科医が包帯を解く指示と催眠の覚醒暗示はセリフが重なるようやる。『少しずつ目を開いてください。あなたが一番会いたい人の顔は見れましたか?』 あとは言わずもがな、だろ」 「こ、この人、親父の皮をかぶった悪魔だ。……いや、人として、それはダメでしょ!」 「つまりこの金の斧はおまえのではないというんだな。ぽい」 「今のが『金』だったんですか? では、『銀』コースは?」 「銀だとせいぜい、人を集めておいて、感情を煽って煽って依存状態にさせて、いちばんいい女から食うやり方とか、だな」 「鬼畜ですね。そんな方法があるんですか?」 「興味ある?」 「な、ないと言えばうそになります」 「そういう邪な心では、この銀の斧は使えん。ぶっちゃけ、適当なSNSに入ってな、『生きにくい』とか『ずっといい子だった』とか、そういうのを集めるオフを開きます、とやるんだ。前世とかアロマセラピーとか、適当なキーワードをいれとけば女子の参加が進む。開催時間と場所は、希望者から直接メールで問い合わせさせた方が,相手をある程度選んどけるから楽だ。プログラムはそうだな、最初は円になって座らせて、「幸せのブレイン・ストーミング」とか言って、幸せを連想させる言葉を参加者に順順に言わせるんだ。どんどんスピードを上げさせて、何周もさせる。当然批判なし、考える時間なしだ。言えない奴は飛ばして次の奴に進む。これやってると、参加者はだんだんハイになってくる。やり方に抵抗する奴や、全然幸せワードを言えない奴は,円の中央に座らせて、同じように幸せブレストをやる。こんどは真ん中に標的がいるから、参加者の言葉は自然と攻撃的になる。なにしろ真ん中に座らせてるのは、落ち込んでて被虐性をかきたてるような奴だからな。まあ、数分としないうちに泣くな。トラウマになるな。おまえさんは、円運動をとめて、真ん中に歩いて行って、やさしく言葉をかけて、そいつの話を丁寧に聞いてやる。そうすると、周りにいる連中も,おまえのことを何と優しい人だろうと勘違いする。真ん中の奴が落ちついて顔を上げたら、元気づける言葉を言ってやる。周りにも、ゆっくりしたペースで,元気づけることばを言わせる。どん底から浮上だな。これで,真ん中の奴はおちる。あとは、一人ずつ,順番に真ん中に入れてやる。今度は周囲の人間には、1周目は「自分のコンプレックス」を言わせてもいいな。それだけで真ん中にいる奴は,自分のコンプレックスを攻撃されていると思えてくるんで泣く。泣いたら、円運動を止めて、さっきと同じだ。今度はおまえが助けてくれることがわかってるから、それほど落ち込んでないかもしれないな。おまえは誰もが同じようなコンプレックスを抱いてるとか、適当に解説を入れて、周囲はまた励ましの言葉だ。今度は嬉しくてなくかもしれない。自分にも今言ったような言葉をかけることはできる、とかコメント入れてもいい。 だいたいは、こういう要領だ。たいして知識もいらんから、なんとか人格セミナーとかカルトなんかも使うけどな。よい子は真似するな。 大学とかで得体の知れないサークルが,女ひでりのおまえみたいなのを,女子使って勧誘に来るから気を付けな。こういうときはな、各個撃破だ。リーダーにかみつくと、だいたいサクラが数人いて、じゃまに入る。サクラが誰か分かったら,サクラの一人だけに標的をしぼって、あとは無視、そいつだけを泣かすまで論破しろ。あとのサクラはそれで黙る。リーダーも五十歩百歩だから、あとは睨みつけて出て行けばいい。 おれがよく使う手は、『おまえは何のために生きてる?』とかきくと、神さまとか信仰してるものの名前をあげてくるから、「そのなんとかいう神さまは、なんのために存在している?」と聞く。すると人を救うためだとかいいやがるから、『人が神のために、神は人のために,存在するのか。手前勝手な。神さまもちださねえと自分の生きる目的もわからんらしい。いいか、おまえは神を必要としてるが、神はおまえを必要としていない。おなじことだが、おまえは世界を必要としているが,世界はおまえを必要としていない。おなじことだが、おまえは他人を必要としているが,他人はおまえを必要としていない。これが、おまえもとっくに知っていて、しかもそこから逃げて来た事実だ。おまえがどこへ逃げようと,誰も追いかけない。誰もおまえを必要としてないからだ。ここにいる連中は、おまえが脱退しようとすると、必死で引きとめるだろう。それは何も,おまえをこいつらが必要としてるからじゃない。おまえを逃がしちまうと、自分も逃げてきたのだという事実に直面せざるを得ないからだ。こいつらは、おまえを騙すためだけに存在する。おまえも。こいつらを騙すためだけに存在する。 さあ,今度は,おれがおまえの話を聞いてやる。なんていう男が種をしこみ、なんという女の股から生まれたのか,そこから話してみろ」 「そりゃ、ものすごいアーリー・ラーニング・セットですね。というか、ほとんど同じ手口なんじゃ……」 「おお、こないだのを覚えてたか。関心な奴だ」 「はあ。でも、ちょっと、話がものすごくなりすぎて無理です」 「で、最後に残ったのが、この鉄の斧だ」 「そ、それです、それを落としました」 「本当か? 内容を確かめもせずに、いいのか?」 「人生、行くときには行かないと」 「見上げた志だ。鉄の斧は、まあ、平凡だが、長く曲がりくねった道だ。とりあえず、人まねも流行りも脇に置いて、かっこいい男になれ」 「はい、そうなれるものなら、何でもします」 「じゃあ、何にもするな」 「はあ?」 「おまえ自身、一番かっこ悪いときはどういう場合だ?」 「いきなり、『つまんない男』とふられた時ですかね」 「かっこいい男は、最もかっこ悪いときこそかっこいい。ふられた自分がかっこわるいなら、かっこよくふられるところから、はじめろ。言い訳するな。未練のこすな。自分をふった女を悪くいうな。こんなのは基本中の基本だが、ようするに今のおまえさんは、女が欲しいだけの中身からっぽのナンパ野郎だ。相手の女子にとって、おまえと付き合うことには何のメリットもない。2日でふられるところを3日に引き伸ばす努力をするより、1年後、できれば5年後、その娘が新しい恋をするたびに思い出される男になれ。女子に声をかけるときは、なぜおまえなのか、ちゃんと説明できるようになれ。自分で決めたものでいい、いつも原理(プリンシプル)に基づいた行動をとれ。あとは社会的に成功しろ。せめて成功しそうな態度を採れ。そうすりゃ、いやでももてる。ダメ男でもてる方法もあるが、青少年に教える話じゃないんで割愛だ。 人間と言う種は、どの文化でも、男の方が女よりも結婚する年齢が高い。いろいろ原因はあるが、女性の遺伝子がもつマルサス係数(Malthusian parameter;その遺伝子(をもつ個体)の増殖率)は外見からかなりの程度推計できるが、男性の方はある程度社会での地位が見えてこないと子孫を残せる確率が高いかどうか判断が付かないからだ」 親父さんと谷口くん その1 その2 その3 その4 その5(最終回)
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/238.html
親父の英会話 Lesson 7から 主語の英語 主語は「既知」である 親父 前回、主語は省略しても構わん、と乱暴なことを言ったが、理由は分かるか? キョン 会話だと、話している相手とか文脈から、判断がつくからでしたっけ? 親父 そう。逆に言えば、それが、英語でどんなものが主語になるか、何を主語に持ってくればいいかのヒントになる。 どんな言語もそうだろうが、言語表現は、話し手と聞き手の間で共有される「既知の情報」を表す部分と、話すことで話し手から聞き手に渡される「未知の情報」の部分とからできている。順番は 「既知の情報」→「未知の情報」 だ。そして、英語でもそうだが、主語は表現の最初に来ることが多い。このことから何が予想されるか。答え:主語は「既知の情報」を担うことが多いんだ。例を示そうか。 ○ The new project is exciting. (例の、あの)新しい企画だけど刺激的だね。 ? A new project is exciting. ある新しい企画は刺激的である。 上の方の文でいうと、「The new project」が「既知の情報」で、「exciting」が「未知の情報」、新情報だ。「The new project」は、話し手と聞き手の間で共有されている。「例の、あの」って感じだな。だから「the」という冠詞がついている。 で、下の方の英文なんだが、こいつは文法的には間違ってなくても、「情報を伝える道具」という観点から見ると、ヘンテコだ。「A new project 」というのは、「特定されない、ある企画」のことであって、話し手と聞き手の間で共有されているとは言えない。いきなりこんなところから文をはじめるのはまずい。 なので、こいつを「既知の情報」→「未知の情報」となるように書き直してみよう。これまで話してきたことの総集編でもあるな。 この時使えるのが、we have 〜で存在を表す、例の方法だ。なんとなれば、代名詞は何かを指していて、しかも代名詞を使って話が通じる以上は、何を指しているかは既知のはずだ。 We have a exciting new project. 刺激的な新企画があるんだ。 だから代名詞を主語にするやり方は、話し手と聞き手の間で最低限これだけは共有されていること、つまり「あんたとおれ(You and I = we)が話している」という、多分最低限に近い「既知の情報」をもってスタートできる。 ここまで戻れば、「We」が「既知の情報」、「have a exciting new project.」が「未知の情報」だということは明白だ、これで「既知の情報」→「未知の情報」の順序で、「相手も知らない新しい企画」の話をすることができるようになった。これが代名詞を主語にした文の、使い方の一つだ。 there is/are〜で、未知の主語を後ろに回す じつはthere is/are 〜も、初めて出てきた登場人物やら登場物(当然、未知のものだ)を出すときに使うやり方なんだ。 「〜がある」と丸覚えしてるかも知れんが、there(そこ)ってのは、話し手、聞き手双方にとって、もともとは既知のものだろ。次第に一人歩きして、具体的な場所を指すとは言えなくなったが、話し手からも聞き手からも隔たっている、「どこか」ではあるだろう。言ってみれば「むかしむかし、あるところに」の「あるところに」だな。実際、語り手が明確でない、お話や物語の冒頭なんかでよく使われる。これも例をあげとくか。 部屋には天蓋つきのベッドがあった。そのベッドに眠っていたのは美しい少女であった。 (a) A canopied bed was in the room. A beautiful girl slept on the bed. (b) There was a canopied bed in the room. On the bed was a beautiful girl. (a)の方は、お初の「A canopied bed」やら「A beautiful girl」がいきなり出てくる。 (b)の方は、「There was」をつかって、既知のthereから、「そこに……あった」から始めてる。 二つ目の文も、前の文で登場したbed(この時点で、既知の情報だ)を前に放り出して、既知→未知の順序をつくってる。 倒置ってのは、初心者には読みづらくてめんどうくさいが、既知→未知の順序ってルールにしたがうための手のひとつだ。 言うまでもないが、「On the bed」を「強調」してる訳じゃないぞ。倒置をそんな風に教えるバカも、まだいるらしいからな。 主語は「答え」である 親父:無論、省略できない主語ってのもある。代名詞は文脈で誰のことだか分かるが、そもそも代名詞じゃない主語ってのには、それが「答え」になってるケースがある。 How can I get to Narita airport? 成田空港にはどうやっていけばいいの? This train (will take you to Narita airport). この電車で行けるよ。 「答え」ってだけなら、「This train」で十分だ。これを全うな文章に仕上げようとすると、いわゆる無生物主語を持った文になる。 言い換えれば、無生物主語の文章は、文脈(この場合なら、この文章の前に想定される質問/疑問)が分かってれば、とりあえず先頭に来る主語だけ見れば、大意はとれる、ということでもある。さらに言えば、無生物主語の文章からは、その前提となっている文脈が「逆算」できる。既知の情報(=前提となってる文脈)→未知の情報(無生物主語を取る文)ということだな。 さっきの質問で、もっと成田空港に近いところにいる場合な、 How can I get to Narita airport? 成田空港にはどうやっていけばいいの? A few minutes walk (will take you to Narita airport). 2、3分歩けば、行けるよ。 これも答えを最小限にシンプルに現せば、「A few minutes walk」だろ? I have a headache. 頭が痛い。 Why? どうして? Overwork (gave me a headache). 仕事のやり過ぎ(オーバワーク)だ。 これも答えは端的には「Overwork」で、カッコ( )は、ちゃんとした文にするのに必要な要素ってだけだ。 今のプロセスを逆向きに、つまり無生物主語をもつ文章から、こいつが前提にしている問いを逆算できれば、 A few minutes walk will take you to Narita airport. 二、三分の歩行が、あなたを成田空港へ連れて行くだろう。 みたいな「直訳」に陥らなくて済むだろう。 「隠れた問い」を考えてみるのは、英文を筋を追って読んでいく時にも、一定の長さの英文を書くときにも、参考になる。理屈や筋立ての成り立ち具合を、ひとつひとつばらして、リバース・エンジニアリングすることになるからだ。 おおざっぱにいえば、英語の文章は、こんな風に構成されている。 1 あなたは@@が##であることについて知っているだろう。(既知の情報) 2 だが、@@が##でない場合がある。(未知の情報) 3 この場合の@@は何だろうか/どうなっているのか?(文章の主題となる質問=既知のトピックについての未知の情報を引き出す問い) 4 それは$$である(文章が全体として主張したいこと=未知の情報) 5 なぜそういえるのか?(根拠を引き出す問い) 6 なぜならば・・・(その根拠) (以下、5,6の繰り返し) end.(さいごに、もういちど@@は〜〜の場合には$$である、という主張がまとめとしてくる) 既知から未知へ、問いと答えを繰り返しながら、進んでいく訳だ。 親父の英会話 Lesson 9へつづく
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/361.html
「ただいま」 「お父さん、お帰りなさい」 「……」 「ん?ハルヒ、闘(や)ったのか?」 「中学生3人と。クラスメイトが脅されて、お金取られそうだったんだって」 「バカな連中だ。小学生、おどしても、いくらもならんだろ。襲うなら大人を襲え」 「……」 「それも少し違うと思うけど」 「……負けた顔じゃないな。まあ、負ける訳はないか。だが、こいつ、怒りを押し殺してるって顔してるぞ」 「そうなの。でも、何にも教えてくれなくて」 「母さんにも話さんとは珍しい。……どれ、その怒り、おれが買ってやろう」 「!さわるな!」 「なるほど。……男を殺したくなるようなものを見たか。クラスメイトが取られそうだったのは、どうやら金だけじゃないらしいぞ。母さんに言いたくない訳だ」 「……」 「ハルヒが帰ってきたのはいつだ?」 「午後6時ごろかしら」 「この季節じゃもう暗い時間だ。……こういうことは早い方がいい。というわけで、母さん、ちょっと出かけてくる。バカ娘、おまえはあいつらの顔を見てるが、逆に顔を見られてる。だから絶対についてくるんじゃないぞ」 「……母さん」 「やっと口を聞いてくれたわね。なあに?」 「親父、どこ行ったの?」 「多分、ハルが学校から帰ってくる道を、逆にたどってるのだと思うわ」 「そんなので、あいつらが見つかるの!?」 「逆ね、『あいつら』に見つけてもらうの」 「!どうやって?」 「うーん、いろいろやり方はあるけれど、お父さん、派手なのが好きだから……」 「……」 「悪い子を片っ端から殴って回るのかしら? へんなおじさんが中学生を探してるってウワサがあっという間に広がるわね」 「そんなバカなことして見つかるの?」 「お父さん、ああ見えてものすごく怒ってたから、多分見つけるまで殴りつづけるんじゃないかしら? 街中の悪い子たちを一掃しちゃうかも」 「母さん、あたし、行ってくる!」 「いいけど、ハル、お父さんが止めた意味、考えてね」 「え?」 「その子たちか、その仲間の子かは、分からないけど、多分、あなたを探してるわよ」 「手が先に動いちまった。痛いか? すまんな。口がきけるうちに、何か言ってくれるとありがたい。小学生を襲った鬼畜な中学生を探してる。いや、少年課じゃない。私的な恨みだ。ああ、実は知ってるとは、最初から思ってない。だが、カツアゲしてる奴を見たら、何か言う前に殴りかかるクレイジーな親父が出没してる、ってウワサは広がるだろう。そいつらの耳に届けばいいな、と思ってな。どの程度殴るかにコツが要る。ダウンさせちまうと意味がないし、かといって恐れられるくらいでないと、目標に達しない」 「おっさん、自分がなにやってるのか、分かってんのか?」 「やっと話せる奴が見つかった。わかってるとも。ここが行き止まりで、おれが囲まれてることもな。30人はいるな」 「あんたとやりあいたくない。おっさん、あんたは探すところを間違えてるぜ」 「ああ、そうじゃないかと思ってた。兄さん、あんたがこの辺りを仕切ってるのか?」 「誰かが仕切ってるような、そういう街じゃないんだ。だが、おれにも耳や目はある」 「安心した。どうやら朝まで殴りつづけなくて済みそうだな。こう見えても歳なんだ。徹夜は健康に悪い」 「おっさんが探してるのは、西中の3人だ。名前まで必要か?」 「いや、あんたの耳に届いたのなら、それでいい。街中のガキが、そいつらのことを知るだろう。それで十分だ」 「あ、ああ? ああ、おれだ。わかった。……ちょっと待ってくれ。そいつらが見つかったらしい。どうする?」 「顔ぐらい拝んでいくか。近くのゲーセンかどこかか?」 「あ、ああ。なんで分かる?」 「この辺りの店と営業時間はみんな頭に入ってる。中学生が時間をつぶせるところは、そう多くない」 「家に戻ってるかも知れないだろ?」 「連中は殴られるか蹴られるか、とにかくこっぴどくやられてる。不思議なもんでな、三人で負けると、その怒りが消えるまで、一人一人バラける気になれない。ヒトの祖先がサバンナで襲われたとき、群れをつくったのがどこかに残ってるんだろう」 「そこまで分かってて、なぜゲーセンを探さなかった?」 「おれが殴って済む話ならそうしてる」 「どうするつもりだ?」 「見たいか? いい機会だ。そのバカどもを、ここに連れて来てくれ。ああ、あんまり脅すなよ。禅僧を風呂に入れるみたいに丁重にな」 「おれが誰なのか、先に言っとこう。悪魔だ。安心しろ、悪魔は契約を重んじる。決めたことは必ず守る。どんな手段を使ってもな。だが、決めた以上のことはやらん。つまり、おまえらのクビがねじ切れるまでは、まだ時間があるということだ。 中学生なんてやってると、いやになるだろ? 守れと言われるルールは禁止ばかりでくだらんし、そいつを無視してやっても、今度は、もっときつい掟が世の中にあるのを知る羽目になる。弱いものは強いものに従え、という掟だ。 で、お前らは弱い。今日、小学生一人にぼこぼこに負けただろ。しかも相手は女だ。ひどい負けだ。ひどすぎて耐えられん。人間ってのはな、もう持たないところまで追いこまれると、誰か弱そうな奴を攻撃することしか頭になくなる。今度は負けないために武器までもってな。ナイフはあんまり良い武器じゃない。試しにおれを刺してみろ。ナイフは手に持つしかない。手は足より短い。やらないのか? 賢明だ。刺してきたら、向こうの壁まで蹴り飛ばしてやろうと思ってた。 あー、そこの木刀を持ったの。そう、あんただ。有段者だろ? とがめてるんじゃない。ちょっと殴りかかって来てくれないか。こいつらに、見せときたいんだ。言葉だけじゃ伝わらんこともある。ああ、頼めるか。ところで受け身はできるか? 柔道経験者か。なら安心して《飛ば》せる。じゃあ、好きに打ってきてくれ。おい、3人、ちゃんと見とけよ。 ………… まあ、こんなところだ。大丈夫か、木刀剣士? 力は飛ばすのに使ったから、痛みの方はそれほどじゃないはずだが。……見てたか、3人? 何をしたか、だって? 見ての通りだ。斬りかかってくる相手のふところに先に飛び込んで、相手をふっと飛ばしたんだ。当たる面積が広くなるように、肩から手の先までを相手に同時に当てる。足は飛びこんできた勢いとおれの体重分がそのまま相手に伝わるように、地面に両足を蹴りこむ。地球を相手にぶつけて、ビリアードしたと思うと理解しやすい。運動量保存の法則だ。理科は苦手だあ? じゃあ頭を使うな、体で覚えろ。おい、そこのでかいの、こっち来て、おれを殴れ。ああ、何もしない。返し技も何もだ。……いいか、3人とも。ケンカは基本的には、でかい奴が強い。理由は二つあるが、原理はひとつだ。でかいやつの方が、大きな力を相手に与えられるし、逆に受ける力は小さめになる。理由はテコの原理だ。おまえらも一発づつ殴らせてやる。その後は、このでかい兄さんだ。目開いて、違いを見てろ。 ああ、だめだ。力みすぎと言っても、まだ誉めすぎなくらいだ。いいか、人間の手はつかむようにできている。つかんで自分の方へ引っ張り寄せる方が自然な動きだし得意だ。拳を握ると自分の方へ引っ張るための筋肉が働く。パンチは手を自分から離す動きだが、拳を強く握れば握るほど、引っ張る力に勢いが相殺される。頭突きがなんで効くか分かるか? 頭は拳より重いってこともあるが、腕のもともと得意な引っ張る力を打撃に使えるからだ。あとテコの原理だな。この場合は支点は腰、力点は腕、作用点は頭ってことになる。腰から腕よりも腰から頭までの長さの方が長いだろ? 頭を使ってる奴は、知ってることを応用できる。使わない奴は、人まねしかできん。どっちが強いか、誰にだってわかるだろ? ああ、そういや、いい例がいたな。 おい、マサキ。悪いがちょっと降りてきてくれ。寸止めでいいから、模範演技をこいつらに見せときたい」 「なんで、おれの名前を?」 「おまえさんの想像通りだ。イカレ親父も案外顔が広いんだ」 「寸止めなんてできんぞ」 「当ててくれてもいい」 「おかしな夜だな、今夜は」 「ああ、まったくだ」 「こいつらに、何故そこまでしてやるんだ?」 「言葉を覚えたてのガキが、やたらとウンコとか、大人が嫌がることを言うだろ。そうすりゃ自分に注目が行くからだ。注目に飢えてると、『ウンコ』と言うことに中毒になる。だんだん周りもなれて無視しだすからな。ヤクと同じで、使うほど効かなくなっていく」 「一晩でヒトを変えようって言うのか? とんだお人よしだな」 「変わる奴はどんなきっかけでも変わるし、変わらない奴は何したって変わらん。だが、今夜ぐらいは、あいつらも満腹になっていいだろ。ということで、フルコースのケンカをしたい。頼むから、へばるなよ」 「敬老精神はないぞ。それとあんたぐらいの歳の大人が一番嫌いなんだ」 「おれも、おまえぐらいのイケメンなら、躊躇なく殴れる」 「誰が寸止めだって?」 「いつだって不幸な事故ってのがある」 「負けた言い訳も用意してあるのか?」 「負けた事がないからなあ」 「くっ。言うだけはある」 「そっちもな。稀に見る名勝負じゃないか」 「言ってろ」 「息が上がってるぞ、マサキ」 「冗談がかわしきれなくてな。何がおもしろいのか、分からん」 「フットワークのある奴相手に、くっついて闘うのは基本だ」 「殴りながら駄洒落をいうのもか? 高度すぎて、観客には退屈だぞ」 「そうでもない。技の解説なんか不要だ。言葉で分からなくとも、見ればわかることもある」 「あの三人なら、逃げるように帰ってったぜ」 「このカードを最後まで見ないなんてな。もったいない。だが子供には遅い時間だったか」 「二度と、あんたとはやらん」 「ああ、そうしよう。これ以上やったら、友情が芽生えそうだ」 「言ってろ。……これで、あんたの考えた通りなのか?」 「どうだろうなあ。ある程度の密度のある夜だったし、まあ、こんなもんか。今夜のことを消化するのに、あの3人じゃ何日もかかるだろう。近いうちにまたヒトを襲って、今度こそ、痛い目にあうかもしれんが」 「耐えきれなくなって逃げ帰ったんだ。それはないだろう」 「おまえがいうと説得力があるな。それだけで報われるぞ」 「ただいまあ」 「バカ親父! どこ、行ってたのよ!?」 「ハルヒ、起きてたのか?」 「母さんは寝ちゃうし、親父は帰ってこないし!」 「帰ってきたぞ。朝帰りだが」 「どこで何してたのよ!?」 「ああ。不良のたまり場に招待されて、そこで殴り合いしてた」 「あいつらに会ったの?」 「ああ。不良たちが探して連れて来てくれた。あの3人に見せようと思ってな、ずっとケンカしてたんだ」 「ば、馬鹿じゃないの!?」 「まったくだ。3人とも、怖くて逃げ帰っちまうしな。ケンカの甲斐がない」 「そんなことして、なんになるのよ?」 「うーん。暴力に食傷しないかとおもったんだけどな。このまま正規ルートで児童相談所送りかなにかになって、暴力から隔離されてみろ、ますます暴力の希少価値が高まる、高い値がつく。逆に、半殺しになるまで殴る手もあるが、こっちも暴力の有効性を深く刻み込んで、それ以外の手を思い付けなくなる。ああ、ガキってのはどうしてこう、ひねくれてるんだろうな?」 「知らないわよ」 「何か食べたのか?」 「母さんが夜食つくっといてくれたから。……あと、これ」 「ほう。ちっさいがおにぎりだ」 「ご飯、あまったから」 「食っていいのか?」 「食べないともったないでしょ!」 「もらおう。……うまいぞ」 「もう寝る。今日、学校休む」 「いいなあ、小学生は。おれは仕事だ。学校には風邪引いたとか、電話しとけよ」 「あ、あんたも、ちゃんと早く帰ってくんのよ! 夕飯は一緒に食べないといけないんだからね!!」 「まかせとけ、今日は早く帰ってくる。ああ、バカ親父もたまには学習するんだ」
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/14.html
ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その1 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その2 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その3 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その4 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その5 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その6 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その7 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その8 家族旅行で見る夢は (スピンオフ)
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/210.html
親父の英会話 Lesson 1から くどく英語 オヤジ 昨日は、pleaseをCan I have〜?に取り替えて膨らませていったが、ちょっと復習しとくと、昨日やったのは「頼む英語」だった。こいつを応用すれば、すぐ「くどく英語」になる。 キョン いや、それはちょっと。まずいのでは? オヤジ 人間、エロいことはすぐに覚える。自分の遺伝子を残すことは、生物にとって至上命題だからな。 Can I get your number? 電話番号おしえて Can I call you tonight? 今夜電話していい? Can I go to cinema with you? いっしょに映画に行きたいね。 英語でgoとwithが入ってたら、それはすなわちデートだ。 Can I take you to the baseball game? 野球見に行かない? オヤジ だが、これだと、まだ改善の余地がある。 「おれ」と「あんた」、という具合に切り離した言い方をするとより、「おれたち」とくくっちまった方が、相手もその気になりやすい。「ごいっしょ」してるのがイメージしやすいっていうかな。 Shall we dance? おどりませんか? オヤジ まあ、これは気取った、そして言い古された言い方だが、weの感覚を理解するにはもってこいだ。canをつかって「可能性」を尋ねるよりも、あたかも規定事項のように、しかし疑問文にして、相手の逃げ道も残しておくのがポイントだな。これだけで、相当踏みこんだことまで言えるようになる。 Shall we go to cinema? 映画に行きましょう Shall we go to baseball game? 野球の試合なんてどうです? Shall we go to bed tonight? 朝までいっしょにいないか? オヤジ ところで、どえらい美人の口説き方を知ってるか?neg-hitとか呼ばれてる方法だ。相手に興味がないふりをして、接するんだ。 具体的には、美人本人をほめず、そいつが身につけてる、どうでもよさそうなアクセサリーか何かを誉める。「妹に似合いそうだと思って」とか言いながらな。まだ他の女を引きあいに出すなよ。 You are beautiful. あなたは美しい。 と言うかわりに Your dress / hair-style is beautiful. 君のドレスは/ヘアスタイルはすてきだ。 と「外す」訳だ。「あたしは、どうなのよ!?」ってことになるだろ。 I think my sister is good on it / them. 僕の妹に似あいそうだ。 What did you get it? それ、どこで買ったの/手にいれたの? オヤジ つまり、「おまえの存在は、おれの目に入っているが、おれの関心はおまえに向いてない」というわけだ。どえらい美人は口説かれ慣れている、自分が常に話題の中心にいるのが当たり前だから、この「外し」は効く。結構な確率で、向こうからこっちに話しかけてくるぞ。 キョン お、おやじさん、すみません。無自覚だったんですが、そのやり方……。 ハルヒ おやじ、キョンが泣いて帰ってたけど、なにやったの!? オヤジ 英語で女を口説くやり方を教えてたんだけどな。泣くほど嫌だったか。そりゃ悪いことをした。バカ娘、おまえは幸せもんだぞ。 ハルヒ あ、当たり前でしょ! 親父の英会話 Lesson 3へつづく
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/160.html
そのとき親父書きは何を思ったか? その1:親父シリーズ短編について その2:「ハルヒと親父1」(シリーズ第一作目)について その3:「あるSS書きの個人的七つ道具」シリーズについて その4:「ハルヒと親父3ー家族旅行プラス1」について その5:「ハルヒと親父2ーおとまり」について その6:「できちゃった」について その7:「一人旅に必要な事」について その8:親父シリーズ以外(二人は暮らし始めました、新落語シリーズ「出来心」他)について その9:親父シリーズ以外(みぞのの鏡、辞書シリーズ/英和辞典、他)について その10:親父シリーズ以外(その男文系につき、ツンデロイド、他)について その11:親父シリーズ以外(彼と彼女と彼女のメール、電波の日 Nowhere、他)について その12:親父シリーズ以外(「パソコンが砂糖と化してアリがたかる」カオス篇)について その13:親父シリーズ以外(手錠、ハカセくんの初恋、新落語シリーズ「松山鏡」、他)について その14:親父シリーズ以外(新落語シリーズ「二十四孝」、涼宮ハルヒの格闘1・2、他)について その15:二人暮らしシリーズ、カオス系2つ、同窓会の日に、他について その16:「二人は暮らし始めました」再考 その17:「彼女は赤面した」はなぜNGなのか?/「描写」について その18:ヰタ・セクスアリス/雨宿り及びつづきについて その19:「同じ夢の中」、「デカンショ」、「自転を逆に回して」について] その20:何ゆえ書き手はかくも弱いのか その21:「できちゃった」について 再び その22:「ハルキョン温泉旅行」について その23:「夏氷の日」「ゲリラ雷雨」「夏の自転車」等について その24:「終電車」等について その25:「親父さんと谷口くん」シリーズについて その26:「長門有希の空腹/満腹」そして「オヤジラジオ」シリーズについて その27:「司書魔女」シリーズについて