約 109,481 件
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/3214.html
「さっちゃんはさ!幸村の子供、ちゃんと産みたいって頑張ってるんじゃない!」 慶次はこれみよがしに大きな溜め息を一つついた。 言う気は無かった。 例え立場は変わらなくとも幸村が佐助を唯一人の女とみているならば、余程の圧力が無い限り正妻や側室を迎える事は無いだろう。 ならば佐助は幸村の内縁の妻である事には変わりは無いのだ。 「普通は惚れた女が身篭ったら体の心配するもんなのに知っててヤりたがるなんて非常識だろ。」 「佐助は……危ないのか。」 「さあね。いくらこっちが友達のつもりでも身内以外にはそんな大事な事、教えちゃあくんないよ。」 ああ、もう。何てじれったい人達なんだろうね。 幸村も佐助もお互い大切で好き合ってるのなんて、俺には分かりすぎるぐらい分かるのに。 立場の違いのせいで幸村がどんなに押しても佐助は身を引いてしまう。 そして幸村には佐助を引かせない器用さが無く。 幸村の気持を簡単に受け流せるほど佐助は器用なんだろう。 「佐助は俺を本当は嫌いなのだ。」 幸村は暗い声でそう呟いた。 「分かっている。仕事だから、それ以外の理由で俺の側には居てはくれぬのだ。だが、嫌だ。佐助が欲しかった。どうあっても俺のものだと言いたかった。」 「幸村?」 今にも泣き出しそうだ。 震えるような声に幸村の顔を覗き込む。 泣いては居ないものの、初めて見る幸村の暗い顔に慶次はどうして良いか分からなかった。 「手に入れた時は嬉しかった。だがその時だけだ。幾ら抱いても、俺の子を宿しても尚、佐助は遠い。」 「何言ってんの。さっちゃんは。」 「俺が子供だからか?下手だからか?佐助を満足させたら少しは男として見てくれるのか?」 「はいはい。そこまで~。」 ぱんぱん、と手を打つ音に振り替えると、何時の間に来たのだろう。 佐助が部屋の隅に座っていた。 「さっちゃん?」 「……あ、さ、佐助……。体は平…気なのか?」 佐助は先日会った時とはまた違う、少し軽そうな着物を着ていた。 驚く二人に少し困ったような顔で笑うと、佐助は両手を前に出して言った。 「ほんとにもう、仕方ないなあ。旦那、おいで。」 引き寄せられるように幸村はふらふらと佐助に歩みより、その腕の中に収まった。 まるで子供が母親にすがりつく様に肩に埋められた幸村の頭を、佐助はあやすように撫でた。 「悪いね。風来坊。迷惑をかけた。」 幸村をあやしながら、佐助は慶次に笑いかけた。 「いや、俺は全然……。平気なの?」 「良くは無いけど、これ以上は仲裁に入って貰ってもね。」 佐助がちらりと幸村を見る。困ったような、でも柔かい、優しげな表情にほっとする。 佐助はちゃんと、多分先日自分が思った以上に幸村を好きなのだと確信出来たから。 その後の二人6
https://w.atwiki.jp/daniel1260/pages/236.html
1 海の荒野に対する宣告 それは来襲する南の暴風のように,荒野から,畏怖の念を起こさせる地からやって来る。2 わたしに告げられた厳しい幻がある。不実な行ないをする者は不実な行ないをしており,奪略を行なう者は奪略を行なっている。エラムよ,上れ! メディアよ,包囲せよ! 彼女ゆえに出るすべての溜め息をわたしは絶えさせた。3 それゆえに,わたしの腰は激しい痛みで満ちた。子を産むときの女のけいれんのようなけいれんがわたしを捕らえたのだ。わたしは度を失って,[何も]聞こえない。わたしはかき乱されて,[何も]見えない。4 わたしの心はさまよい,身震いがわたしを恐れおののかせた。わたしの慕っていたたそがれは,わたしにとっておののきとされた。 5 食卓を整えよ,座席の位置を決めよ,食べよ,飲めよ! 君たちよ,立ち上がれ,盾に油をそそげ。6 エホバはこのようにわたしに言われたからである。 「行って,見張り番を立て,その見るところを告げさせよ」。 7 すると,彼は一対の乗用馬[の引く]戦車,ろばの戦車,らくだの戦車を見た。そして,彼は注意を集中して厳密な注意を払った。8 それから,ライオンのように呼ばわりはじめた,「エホバよ,わたしは昼間ずっと物見の塔の上に立っております。わたしは夜ごとに自分の見張り所に就いております。9 そして,いま,人の乗った戦車が,一対の乗用馬[に引かれて]やってきます!」 そして,彼は語って言いはじめた,「彼女は倒れた! バビロンは倒れた。その神々の彫像を[神]はことごとく地に砕かれた!」 10 わたしの脱穀された者たちとわたしの脱穀場の子よ,イスラエルの神,万軍のエホバから聞いたことをわたしはあなた方に伝えたのだ。 11 ドマに対する宣告 セイルからわたしに呼ばわる者がいる,「見張りの者よ,夜はどうなのか。見張りの者よ,夜はどうなのか」。12 見張りの者は言った,「朝は必ずやって来る。そして夜もまた。あなた方は尋ねたければ,尋ねるがよい。また来るがよい!」 13 砂漠平原に対する宣告 デダンの人々の隊商よ,あなた方は砂漠平原の森林で夜を過ごす。14 渇いている者を迎えるために水を携えて来るがよい。テマの地の住民よ,逃げ去る者のためのパンをもってこれと向かい合え。15 剣のゆえに彼らは逃げ去ったからである。抜き身の剣,引かれた弓,戦いの激しさのために。 16 エホバはわたしにこう言われたからである。「雇われた労働者の年期にしたがって,もう一年のうちに,ケダルのすべての栄光は必ずその終わりに至る。17 そして弓[を引く人]の数のうちの残っている者たち,ケダルの子らの力ある者たちは少なくなる。エホバご自身が,イスラエルの神が[そう]語られたからである」。 22章へ
https://w.atwiki.jp/rsnovel/pages/10.html
最近欲しいペットがいる。堕落宣教師系のペットだ。 彼らは宣教師の為か、ペットになってくれない。 ある日、いつものように歩いていると 何かの声が聞こえてきた。 その溜め息は堕落宣教師様だった。 『あぁ、俺もXボタンで変身できたらなぁ。』 そんな内容だった。彼のPCのXボタンが壊れていたのだ。 そこで私は修理にPCを出すことをお奨めした。 しかし彼は躊躇った。 『修理か…それって1週間はかかるよな…俺、1日でもPCに触らないとアレルギーが出る体質なんだ…。』 彼は無駄な体質を持っていた。そんな彼がかわいそうでかわいそうで仕方がなかった。 なんとかならないかとダメオン電気に電話すると 『それなら、宣教師様のお宅まで行きますよ。キーボードの交換だけならすぐ終わりますので^^』と言った。 本当にほっとした。それを宣教師に知らせに行くと 『ダメなんだ…俺…金がないんだよ…。堕落しちゃってこんなんだからさ…そこの水色ゴブリンだって倒せるかどうかわからない…』 『お金…そうだ!さっき廃人が全て1Gで露店を出してたわ!それを転売すればいいのよ!まってて!』 私はすぐに廃人の所に行き、1Gの無限弾丸を買った。それを転売しに行ったのだがなんと 『あぁー。コレはただの矢ですねぇ。最近こういう詐欺が増えているんですよ…。』 詐欺師をSSで取って本人に見せたら1000Gはもらえた…だがまだ足りない。 どうせダメオン電気のことだ。うまくやって5000Gとかを分捕るに違いない。 …その時、ふとある事を思い出した。そうか。自分がお金を出してあげればいいんだ! 何で気づかなかったのだろう。ほんのちょっとしかないけど…宣教師様の為なら…よし、足りる! 私はすぐにあの場へ戻った。しかし、宣教師様の姿はどこにもなかった。いや、あった。彼はボロボロに傷ついていた。 もう話もできない状態だった。そしてようやくあたりが見えるようになると、そこには勇者様がいた。 『フン。弱っちぃ奴め。雑魚は氏、あるのみ。』 怒りの頂点に達した私はすぐに召喚体制に入ったが、勇者様の必殺技『ブーン』が炸裂し、あっという間に逃げてしまった。 ようやくダメオン電気が来た。宣教師様はなんとか生き続けていた。がんばって…。がんばって宣教師様! 修理は2時間ほどで終わった。彼は生き延びたのだ。すぐにXボタンを押させてやった。 彼は変身した。彼は堕落宣教師から堕落伝道師になった。 『あぁ、これが新しい体…これが…違う…まるで世界が違う』 『本当によかった…じゃぁ、私はもう行くね…。』 『待ってください。僕を…僕を手持ちに入れて下さい><』 !!!! 待ちに待った一言がキタ。彼は堕落の壁を乗り越えようとしている。 『うん。じゃ、おいで。今日からあなたの名前は宣ぴょんだよ♪』 こうしてまたダメオンマスターへの道へ1歩近づいた。 1スレ目>> トップへ>>
https://w.atwiki.jp/runner7novel/pages/80.html
英雄達が、好きな子告白タイムが行われている同時刻。 彼らが泊まる旅館の部屋の一室で、一人の少女が嬉しそうに携帯の画面を見つめていた。 彼女の携帯電話の画面に映るアドレス帳の「佐倉君」と言う文字。 その3文字だけで、彼女は幸福感で胸が一杯になった。 理由は簡単である。彼女の片思いの相手だからだ。 彼女…鵡川梓は、あまりの幸福感に、枕を抱きしめて、辺りをゴロゴロする。 『佐倉君のアドレス…。今にでも送りたいけど…でも何を送ればいいんだろう?』 男子とメールをした事無い鵡川梓は、これから、どんなメールをすれば良いのか、何一つとして思い浮かばなかった。 彼女の友人の藤川百合に聞けば、どんなメールを送れば良いかなど、的確にアドバイスしてくれるだろう。 しかし彼女も英雄の事が好きであり、言わば佐倉英雄に関しては、ライバル関係。 そんな敵に塩を送るような真似を、藤川はするのだろうか? だが、今の鵡川梓には「佐倉英雄のメールアドレスを手に入れた」と言う達成感や、幸福感に包まれていて、そこまで考えていなかった。 ミスパーフェクトと言われている彼女も、好きな人とのメールアドレスを知った事に、思わず妄想をしてしまい、恥ずかしくなり、再びゴロゴロとする。 「あずさ~。さっきから携帯の画面見て、何のたうち回ってるのよ」 そう言って彼女に話を聞くのは、川島春美(かわしまはるみ)だ。 三村大輔に恋する乙女の一人でもある。 「えっ、えっと…」 「もしかして彼氏とか?」 そう冗談交じりに言う川島に対して、鵡川は頬を赤く染め上げた。 冗談だった川島も、その態度に驚きながらも、嬉しそうに聞いてくる。 「本気で彼氏なの!?」 「違うの! 彼氏じゃなくて…その…」 恥ずかしそうにする鵡川を見て、ますます面白そうな表情をする川島。 川島は、思わず彼女の携帯電話の画面を見る。 「佐倉君って…。もしかして佐倉英雄?」 「え、えっと…うん…」 顔を真っ赤にさせながら、コクリと頷く鵡川。 それに対して川島は「あちゃー」と言いたそうな表情を浮かべた。 「なんで佐倉だし。百合も、佐倉が良いとか言うけど、良さが分からない」 「佐倉君は格好良いと思うよ」 そう自分の意思を告げる鵡川。 「あいつのどこが格好良いわけ? いつも、だらしない顔してるし、うるさいし」 「いくら春美でも、彼の悪口を言ったら、私でもさすがに怒るよ」 「そんな怖い顔しないでよ。冗談だから」 そう言って、苦笑いをする川島に対して、鵡川はムッとした表情のままだ。 「でもさ。梓は可愛いんだし、あんなのより、もっと良い男と付き合えると思うよ」 「春美。いい加減にしないと、本当に怒るからね」 そう言って鵡川は、ムッとした表情のまま、携帯電話の画面を閉じ、自分の布団へと向かう。 思わず川島は溜め息を吐いていた。 それぞれの想いが交差する中で、女の子たちの夜も更けていく。 ≪前 HOME 次≫
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2040.html
ゆっくりと… ☆めだかボックスパロ ☆ゆっくりが痛い目にあいます 「…ゆっ…くり…遊んで…ください…れいむ?」 目安箱の中身を確認すると変な依頼があった。 蚯蚓が踊っているような字を解読すると『遊んで下さい』と言う物だが、依頼主――、『ゆっくり れいむ』は奇妙な事に生徒名簿に居ない。 「面倒くせぇ…悪戯だろう」 解読した青年――『人吉 善吉』は呆れたように溜め息を吐く。 「おにいさん、いたずらとなんだー!れいむはいたっておおまじめなんだよ!どいつもこいつも!かっ、みんなれいむをばかにしやがってよォーッ!この腐れ脳味噌がァーッ!」 生首がいきなり目の前に現れ、こんな事を言い出された人の反応はと言うと 「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?」 誰だって驚くであろう。 後ろのロッカーに当たるまで座りながら下がる。 「あ、ごめりんこ。わたしはいらいぬしのれいむだよ。かわいらしくかよわいのがとくちょう。」 ジリジリと近寄り、依頼主の『れいむ』と名乗る生首は頭を下げる。 「(し、死ぬかと思った………)」 よくみるとふてぶてしい笑みと態度で腹が立つのだが依頼主に手を出すことは流石に出来ない。 「はやくれいむとゆっくりあそんでね!!!ゆっくりできてないね!」 前言撤回。 「遊んでやるよ…」 「ゆぅぅごえん!ぎひゅ!ぎひゅひゃっへは!あひょひにほほろひゃあひゅひょ!!(ゆぅぅ!ごめん!ギブ!ギブだってば!あそびにもほどがあるよ!)」 軽く抓ると餅のような感触がする。 もしかして… 「カッ!やめて欲しいなら態度を改めろ」 「ごひぇひゅひゃはい!」 いったん離す。聞きたいことが有るためだ。 「幾つか質問をするがいいか?れいむは…「れいむはおまんじゅうだよ。」 心を読んだかのように質問に答える。 「!?…そうか、だからか、餅みたいな感触だったのは」 「とりあえずきみのあたまがあめーばなのはわかった」 エンドレス。 「ゆはー…しぬかとおも…わなかった」 「……自己紹介が無かったな…人吉 善吉だ」 もう面倒になってきた。 「ひときち ぜんきち…?へんななまえだね、あ、ごっめーんわざとだった」 ご冥福をお祈りしますの顔で「あばばばばばば」と言うれいむにはデコピンが飛んできた 「ゆべし」 「調 子 に 乗 る な」 「ごめんなさい」 そして帰宅。 今日は変な一日、だった。と善吉は思う。 が、れいむと善吉のハチャメチャな生活はこれから始まるのだった。 「ゆっくりおかえりー☆」 「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?何故俺の家にいる!?」 「すむことになったから。」 ほらね。 多分続かないです。 だれとく?→私得。 ゆっくりに振り回される善吉可愛いよな、と思ったから。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/awu73609/pages/17.html
一体いつまでこの人はテレビに映るのだろう。あの人とは先日、読売巨人軍のフロントに「返り咲いた」ネベツネ氏である。2004年の金銭授与問題で自らオーナーから身を引いてから、わずか10ヶ月のことだった。まあ、身を引いたつもりらしかったけど、読売新聞の会長職のままだから立場上何も変わらなかったのだろう。チームの低迷を見計らったかのように復帰し、またあの「ナベツネ節」がお茶の間で聞けるようになった(ありがたみは全く無い)。 そして私は溜め息混じりに上記の一言ぼやいた。普通のサラリーマンならとっくに定年退職して老後を過ごしている年齢なのに、まだまだ脂がのっている。いや、一層ギラギラしている。これまでの反省を踏まえてか人事介入には慎重な発言だが、先の村上ファンドによる阪神電鉄株大量取得には「ハゲタカファンド」とか「上場は八百長の温床になる」などと大胆発言を繰り返した。 少し待ってほしい。ナベツネ氏はこんなこと言っているが果たしてそうだろうか。現在、経営状況を完全に公開している球団は皆無だ。推測だが、もし公開してしまえば、自分達にとって知られては困ることがバレてしまうからではないか。今季から観客動員数のどんぶり勘定が廃止されたが、それはファンを抑えるためで、まだまだ隠していることがたくさんあると思う。そうやってチームを一握りの人間が牛耳ってファンへの背信行為をしてきたのではないだろうか。しかし、上場したらそんなことはできない。収支決済を公開しなければならないし、ファンが株主になれば、より強いチームをつくろうと思うはずだ。お金を有効に活用するということだ。上場やファンの株主は決してマイナスにはならないと思う。 だが、現実では阪神ファンをはじめ、多くの人々はこれらに消極的だ。私はここが一番問題だと思う。阪神ファンが反対する理由の多くは「タイガースが乗っ取られてしまう」だ。かつてのダメ虎とは決別した、強いタイガースが無くなってしまうのではという恐怖心がきっとどこかにあるはずだ。村上ファンドが、あれだけ言っておきながら球団を完全に買収してその利益を独占しようというなら、これは「公約違反」にあたる。そうではなくて、ファンの誰もが株を手に入れることができるなら、それは理想の球団経営である。 我々ファンがあまりに現状に固執しすぎるのを見て、球団はろくに動こうとはしない。ナベツネ氏の発言も、そんなファンを標的にしたものである。球団だけでなく、プロ野球を愛する者も変わらなければならない。プロ野球以外のこともよく知らないといけない。周りが見えないから、プロ野球は低迷しているのだ。時代は大きく変わっている。今度は楽天がTBSの買収を進めている。その上、オリックスが村上ファンドの株を大量に取得しているという。球団の二重保有をめぐって再び球界再編騒動が起こりつつある。 野球界は今、大きく揺れ動いている。 終わり
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/222.html
クリフトとアリーナの想いはPart7 853 :【硬い男】1/5 ◆ByK7Tencho :2007/10/21(日) 23 14 08 ID m9VQTvh90 ここはアネイル。 癒しと安らぎを求め、世界中から観光客が集まる温泉の町。 浴場の隣にある休憩所では、朝風呂で英気を養った男たちがひそひそと話をしていた。 新緑の髪を肩で揺らす少年、真紅の鎧に身を包んだ戦士らしき者、 膨よかな腹が板についた商人風の中年、豊かな白髪と立派な顎鬚の小柄な老人。 一人を除いて屈強な男たちがその身を寄せ合う姿は、妙に不自然だった。 口火を切ったのは、意気消沈ぶりがひと際目立つ少年。 うつむき加減で溜め息を床に落としたあと、覇気のない顔でぽつりと呟いた。 「皆さん、クリフトの『あれ』見ましたか?俺のよりも硬くて、しかも凄いんです」 「なんと!もしや拙者のよりも硬いのでござるか?勇者殿」 「ええ。いつの間にか逞しくなってて、正直俺…負けたって思いました」 「まあ勇者君、そう肩を落とさずに。硬いだけが能じゃありませんよ」 「さすが既婚者の発言は余裕綽々ですな。さぞや細君も歓喜の声を上げたであろう」 「いやあ。妻は私の硬さ云々より、柔和な人柄が魅力的だそうですから」 「むむっ、並みいる独身者の前でお惚気ですかな?トルネコ殿」 「とんでもない。そういやアリーナさんは、強い男の人がお好きなんでしたっけ? だったら『あれ』が立派なクリフト君も、ある意味強いのかもしれませんね」 「ふん。クリフトの奴め、ワシらを出し抜くような真似をしおって。 ワシとてあと数十年若ければ、あやつのような青二才に引けは取らぬのに…ぶつぶつ」 「はあ、さっぱりしたわ。たまには温泉も悪くないわねー」 汗と埃を流し、火照った顔を手で仰ぐ鳶色の髪の少女が浴場から出てきた時、 男たちの怪しい会話が自然に耳へと入ってしまった。 「…もう、朝から堂々といやらしい話をして。同じ仲間として恥ずかしいわ」 垣根の陰にそっと隠れ、眉根を顰めて軽蔑の眼差しを向ける少女。 身分こそ隠してはいるが、少女はとある国の王位継承者たる姫君であり、 話題に上っているのは、彼女の臣下である聖職者の青年のことであった。 と同時に、少女の頭の中に「ある日の出来事」が鮮明によみがえってきた。 かつて病に倒れ、その後奇跡的に回復した青年の身体を清めるため、 自分がこの町で入浴させた時のことを思い出したのだ。 (ふふっ。いろいろあって恥ずかしかったけど、結構楽しかったわね。 そうそう。わたしってば、うっかりクリフトの『あれ』を見ちゃったんだっけ。 あの時はもう驚いちゃって、落ち着いて観察する余裕なんてなかったから。 でも、みんなが言うように…クリフトのって、そんなに硬くて逞しいのかしら?) 少女の脳裏に、口ではとても言えない危なげな想像が展開する。 (どうしよう、クリフトの姿が頭から離れないわ。やだやだっ、早く消えてよー) 白い頬が再び赤みを帯びるのを自覚した彼女は、思わず両手で顔を覆い隠した。 その場で立ちすくむ少女を我に返したのは、話の肴にされた張本人の怒声だった。 「皆さん!公共の場で卑猥な雑談などなさらないでくださいっ!」 そこには、聖職者の青年が厳しい表情で腕を組み、騒ぎの主らを睨みつけていた。 男たちは一瞬固まったが、その真意にすぐさま気づいたようだ。 怒り心頭の青年をよそに、彼らは互いの肩を叩いて一斉に笑い始めた。 「あははは。なあクリフト、お前何か誤解してないか?」 「誤解?」 「俺たちが話をしてたのは、『守備力』のことだぞ」 「しゅ、守備力…ですか?」 「昨日はぐれメタルの盾とヘルムを手に入れて、お前に試着させただろ」 「ええ。剣や鎧とお揃いだからと半ば無理やりにですが。それが何か?」 「実はですね、皆さんの中でクリフト君の守備力が一番になるんですよ」 「俺の天空装備よりも上なんだぜ。さすがに悔しくってさ、つい愚痴っちまった」 「敏捷さの差も出たのでござろう。勇者殿やトルネコ殿、それに拙者は盾を扱えぬのでな」 「ワシは盾は扱えるが、鎧や兜を装備できん。今やお主は最も強固な男じゃよ」 頭の中が少々混乱し、男達の反論を聞くがままだった青年は、 狐につままれた状態から解放されるのに、しばしの時間を要した。 「つまり『硬い』とは、守備力が高くて打たれ強い、という意味だと?」 青年の説明に、そのとおりだと言わんばかりに一同が頷く。 「…でしたら、ちゃんと防具の名称をつけてからお話をなさってください。 事情を知らない誰かがお聞きになったら、あらぬ誤解を招いてしまいます!」 青年は声を張り上げ、男たちに自重を促した。しかし―――― 「誤解って、なんの誤解だよ?」 「我々は来るべき決戦に備えて、真面目に談義をしていただけでござるが」 「そうですよ。いったいどんな想像をしてたんですか?クリフト君」 「この愚か者めが!それだからお主は、融通の利かぬ『固い奴』だと揶揄されるんじゃ」 男たちと青年の間に、重く気まずい空気が漂う。 「は、はあ。どうやら私の考えが浅はかだったようです。大変失礼いたしました…」 ニヤニヤした顔で見つめる青年、あくまで朴念仁を貫く中年男、 意味深な笑みを浮かべた妻帯者、白眉を吊り上げて怒れる老師を前に、 純朴な青年はただ平謝りするより他に術はなかった。 ほっと胸を撫で下ろし、安堵の表情を見せる少女。 (なんだ…『硬い』って守備力のことだったのね。考えすぎて損しちゃったわ。 あーあ、温泉から出たばかりなのに、こんなに汗かいちゃった。もう一度入り直しね) 少女はその場で踵を返し、再び浴場の方へと戻っていった。 一方、すっかり気疲れした青年も、温泉に入るべく浴場を目指した。 日課である朝の祈りと、薬草など常備薬の整理のため、皆とは別行動を取っていたのだ。 (はあ。さっきの一件で全身が冷や汗まみれだ。温泉でしっかり流さなければ…) 重くなった足取りに鞭を打ち、青年は浴場へと向かった。 「おや、これはアリーナ姫さま。姫さまも今からご入浴ですか?」 「あ、うん。わたしは二度目だけどね。クリフトはみんなと一緒じゃなかったの?」 浴場の入口で、二人はばったり鉢合わせしてしまった。 青年は、主君である少女がつい今し方の話を立ち聞きしたことは知らないし、 無論、彼女が浮かべた官能的な想像など、知る由もない。 「いろいろと所用がありまして、やっと入る機会ができました。あの…姫さま」 「な、なによ?」 「少し頬が赤いようですが、大丈夫ですか?」 「し、心配しなくていいわ。長湯でのぼせただけだと思うし」 実直で穏やかな眼差しを投げ掛ける青年の顔を、少女は直視できなかった。 もし見入ってしまえば、自分の思案を何もかも読まれてしまいそうだったからだ。 「すみません、失礼します」 青年は断りを入れると、遠慮がちに少女の前髪をかき上げ、額に手に当てた。 柔らかで大きな手の感触は、先程堪能した適度な湯加減を彷彿させる。 少女の心臓に早鐘を打たせるのには、十分すぎる刺激となった。 「たしかに熱はないようです。ですから、長湯はお身体に障るとあれほど…」 「はいはい、お説教はあとでたっぷり聞くから。それでいいでしょ?」 少女は胸の鼓動を悟られないよう、青年の手を振り払い、一定の距離を保った。 本当は、大きく温かい青年の手の感触をもっと感じていたかったのだが、 今の自分の状態では、彼に甘える余裕など残っているはずがなかった。 先に入るから、と言い残して女湯へと駆け込んだ少女を、心配げな表情で見送る青年。 通常なら膨れっ面での睨み返しだけで済むはずが、今回は手荒な仕打ちだった。 青年の繊細な指先には、まだ微かな痺れが残っている。 「いつもとご様子が違うな。お加減が悪くなければよいのだが…」 背高の帽子の顎紐を少しだけ緩めたあと、青年は男湯の扉へと手を伸ばす。 「いらっしゃい。おや?あの時の兄ちゃんじゃないか。元気にしてたかい?」 番台からは、面識のある顔と懐かしい声が飛び込んできた。 青年が病から全快し、恐れ多くも主君たる少女に入浴を介助してもらった際、 今日と同じく番台をしていた中年の女性である。 「お久しぶりです。小母さんもご健勝そうでなによりです」 軽く会釈を交わしたあと、青年はふと番台の向こうへと視線を移した。 「こりゃっ!どこを覗いてんだい?女湯の客はあいにく一人だけだよ」 「ごっ、誤解です。私は姫さ…いえ、旅の仲間の体調が気になるだけで、そんなつもりでは」 女性に怒鳴られ、青年は物凄い勢いで首と両手を振って否定する。 「ああ、さっきの子…そうか、あんたの連れだったね。安心おし。特に変わりはないよ」 「そうですか。すみませんが、姫…いや、彼女をよろしくお願いします」 「あいよ。任しときなって」 頬杖をついたまま、女性は笑顔で何度も頷いた。 歪んだ口元が気になるが、青年は感謝の気持ちを込め、軽く頭を下げた。 「それより、あんたついてるねえ。今は誰もいないからゆっくりできるよ。…きりでね」 「ありがとうございます。…あの、最後は何とおっしゃったんです?」 「いやいや、こっちの話さね。さあさあ、ぼやっとしてないでさっさと脱いじまいな」 女性に急かされ、青年は慌てて脱衣所の隅でそそくさと着替え始める。 腹部をタオルで覆い、腰骨の位置で端をきつく縛った青年の姿は、 やがて湯気がたちこもる湯船へと静かに消えていった。 「ふう。朝の忙しさも一段落したし、そろそろ出そうかねえ」 女性は重い腰を上げ、番台から床へと足を下ろした。 「まったく、面倒くさいったらありゃしないよ。いつまで続けるつもりなのか…」 そのまま物置らしき場所へと向かい、よいしょと言いながら何かを引っ張り出す。 「一緒に来たところを見ると、あの二人は相変わらず仲がいいようだねえ。 まあ、初めてじゃないんだから、前みたいに大騒ぎにはならんだろうよ。ひっひひひ」 扉を開け、入り口に立て看板らしきものを置いたあと、女性は再び番台へと戻っていく。 看板には『ただいま貸切』の文字が大きく書かれていた。 休憩所での談話も一段落した頃、緑の髪の少年が溜め息混じりに立ち上がった。 「さて、と。そろそろ回収しに行くとするか」 「はて。何をですかな?勇者殿」 「俺たちの『命綱』です。今倒れられたら、あとあと厄介ですからね」 「いくらクリフト殿でも、ここの湯気に屈するほど軟な男ではなかろう」 「ライアンさん、これからは混浴が可能な時間帯なんです。閑散時の特別サービスとかで」 「ほほう、混浴とな。それはある意味天国ですなあ」 「冗談はよしてください。そうなれば、今頃あいつは床の上で卒倒して夢の中ですよ」 「いやー、私も若い頃は妻とよく一緒に入りましたよ。もう昔の話ですがね」 「自慢話はもうよいわ!…まあ、湯船が血の海になれば危険じゃて、薬は用意しておこうかのう」 「…じゃあ俺、行ってきますから」 どちらかといえば興味津々の中年二人と、淡々と事務的に準備を進める老人を前に、 少年の溜め息は、ますます濃厚さを深めるのであった。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1516.html
漆黒のキャンバスに、赤の月が満ち、もう一方の月の色を侵食する夜。 闇色と朱色に彩られた庭園を、一人の幼い少女が駆けていた。 ―――はぁ……はぁ……はぁ…… 少女は、逃げていた。 嘲笑、蔑み、劣等感。 ありとあらゆる不の感情から逃げていた少女は、やがて一艘の船に辿り着いた。 ―――はぁ……はぁ、はあ…… 短く呼吸を正し、船に乗り予め用意されていた毛布に包まった少女は、みっともなく泣き腫らしている。 「―――無様ね」 少女しか居ないはずの船の上に声が響く。 苛立ったようなその声は、思い出したくも無い過去の失敗を穿り返された人間のそれに似ている。 誰にも見つからぬよう、声を押し殺し泣く少女だったが、不意にその顔が笑顔へと変化した。 頬を紅く染め上げ、はにかみながら笑う少女の視線の先には羽根つき帽子を目深に被った一人の男性が立っていた。 「子爵……様」 少女がその男性を知っているように、声の主もその男性を知っていた。 幼き恋心の対象。 そして、父と男性によって交わされている約束。 男性に手を引かれ、恥ずかしそうに船から降りた少女は庭園を後にする。 自分達を見つめている者の視線にまったく気がつかずに…… それもそのはず。 今、此処に展開されているのは、一人の少女の『記憶』 普段は日常に埋もれ、決して掘り起こされない、過去の事象。 それが、夢と言う幻燈機械に掛けられ、ただ一人の為に上映されているのだ。 観客はただ一人。 主役であり、脇役であり、脚本家であり、監督でもある存在。 その存在は、自らの過去である少女に侮蔑と決別の溜め息を吐きだして、幻燈機械を停止した。 「夢……か」 まどろみと陽射しに包まれ、何処と無く朦朧とした視線を漂わせる。 視界にあるのは、木々が生え、涼しげな池が存在する庭園では無く、一年間住み続けている自分の部屋であった。 「ホゥ、今日ハ、ヤケニ早イ目覚メダナ」 「存外に失礼ね、あんた」 椅子に座って、一枚のDISCを手で弄んでいるホワイトスネイクの軽口を適当に返事を返しながら、着替えをするルイズ。 性別不詳のホワイトスネイクを前にして裸になる事に、微塵の羞恥心すら無い事が、そこから窺い知れる。 手早く着替えを終えたルイズは、飽きずDISCを弄りとおしているホワイトスネイクに声を掛けて、さっさと食堂へと出かけていった。 食堂で、やたらと豪勢な朝食を食べたルイズは、その足で今日の授業が行われる教室へと向かう。 確か、今日の授業は、ミスタ・ギトーが講師を務めるはずだと思い出すと、朝からあまり良くは無かった機嫌が、一段と悪くなるのが分かった。 ミスタ・ギトーは『風』が最強と言う持論を生徒達にも強要する先生であり、その冷たい論調と傲慢な態度に嫌っている生徒も少なくない。 と言うより、ギトーを好きな奴を探すとなるとこの学院を、それこそ掘り返しても探さないと発見できないぐらいに嫌われている。 ルイズも、その例に漏れず、ギトーの事を嫌っている生徒の一人だ。 別に、何が最強と思うのは個人の勝手だ。 しかし、その考えを無理矢理他人に強要するところが、ルイズは好きにはなれなかったのである。 「あら、今日は早いのね。ルイズ」 「ちょっとね……そういう貴方も早いのね」 挨拶をしながら欠伸をするキュルケに、ルイズはそう聞き返すと、女の嗜みよ、となんだか良く分からない返答が帰ってきた。 ともあれ、教室の隣同士の席に座って話をしていると、暫くしてタバサも教室に現れ、キュルケに誘われ、同じ机に席を置いた。 女三人寄れば姦しいとは言ったもので、普段お喋りなキュルケはともかくとして、人並みに話すルイズと、普段まったく会話をしないタバサも、ぺちゃくちゃとお喋りに花を咲かせていた。 そうこうしている内に、授業の始業時間となり、ミスタ・ギトーが髪色と同じ真っ黒なローブを揺らしながら教室の扉を開け、教壇に立った。 「では授業を始める」 何の面白みも無く、淡々とした言葉遣いで始まりの挨拶をしたギトーに、生徒の大半は心の中で溜め息を吐いた。 学生と言う身分は勉強しなければならないと言う事は分かっているが、どうしてもそこに娯楽性を求めてしまうものである。 他の授業―――例えば、火の魔法の授業であるコルベールなどは、時々変な発明を授業で発表したりするが、 あれはあれで、そこそこ受けが良い。無論、外す時もあるが。 ともあれ、この授業は、娯楽性と言う点で言えば最低ランクのさらに下のランク外であり、生徒達はこの苦痛な時間が早く過ぎる事を祈っていた。 この時までは――― 「骨が燃え残るか心配なんですけど、私」 「何、心配には及ばない。君の炎は私のマントの切れ端すら燃やせないだろうからな」 睨みあうキュルケとギトー。 お互いに杖を引き抜き、すでに臨戦態勢だ。 こうなった理由は簡単である。 炎が最強であると言ったキュルケに、ギトーが、ならば君の力で証明してみせろとキュルケを挑発したのだ。 始めは乗り気で無かったが、家の事を引き合いに出されると彼女としても本気を出すしかない。 魔力で編まれた焔を、さらに巨大にさせた直径1メイルもの炎の弾は、喰らえば大火傷、下手をすれば命まで燃やし尽くされる程の火力を有している。 勝利を確信して焔を放つキュルケだったが、満を持して放った炎が掻き消され、自身もまた疾風によって吹き飛ばされた。 その光景に誰もが息を呑む。 普段、おちゃらけた態度で居る事の多いキュルケであるが、その実力は折り紙つきで、誰もが認める程であったからだ。 だと言うのに、ギトーは、キュルケに勝った事が規定事実のように、 少しの高揚も感じさせない声で『風』が最強であると言う、偉ぶった演説を始めた。 ルイズは、そんな演説などクソ喰らえだった。 吹き飛ばされるキュルケの身体を受け止めるように出現させたホワイトスネイクに彼女の身体を受け止めさせると、愛用の杖を握り締めて、こつこつと甲高い足音を響かせギトーへと向かっていった。 ギトーは突然立ち上がった生徒に眉を顰めたが、今、自分が吹き飛ばした生徒と同じくフーケ討伐で名を上げた生徒だと知ると、特に注意もせず、教壇と同じ高さに降りてくるまで待ってから、先程と同じように挑発から会話を始める。 「ほぅ、どうやら、君も『風』が最強と言う事に異論があるらしいな、ミス・ヴァリエール。 異論があるなら、先程の彼女のように私に魔法をぶつけてくると良い。 何、君に使える魔法があればの話だがね」 ギトーは、ホワイトスネイクの能力を知らない。 基本的に生徒に関して無関心である為に、生徒よりもさらに重要度の低い使い魔の事など、どうでも良いからだ。 その為、ギトーの中では、ルイズは魔法の使えない無能な生徒のままで時が止まっている。 ルイズは、とりあえずギトーの挑発を無視してキュルケの傍へと歩み寄る。 ギトーを如何こうするより、キュルケの体調の方が、重要度が高い為に。 「大丈夫、キュルケ?」 「平気よ。それにしても、ほんと、貴方の使い魔って有能ね。 あんなちょっとの時間で、私を受け止めてくれるなんて」 キュルケの言葉にルイズは、ちょっとだけムッとした。 確かに助けたのはホワイトスネイクだが、そうなるように位置やタイミングを合わせたのは、自分だからだ。 自分が行った行為に対する正当な賛美が無いと機嫌が悪くなる所は、まだ子供なルイズであるが、物事の切り替えの早さは、すでに他の人間と比べて特出するにまで至っている。 「それじゃ、ちょっと、あいつをとっちめて来るわね」 杖の矛先をギトーへと向けるルイズに、キュルケは、にんまりと笑った。 「手加減ぐらいしてあげなさいよ」 「あら、目上の人に手心を加えるなんて失礼じゃない?」 ルイズも釣られてニヤリと口元を吊り上げると、制服のポケットから一枚のDISCを取り出し、自分の頭へと差し込む。 巻き添えを食らわないように自分の席へと戻ったキュルケは、タバサに耳打ちをして、学生席を全て風の防護膜で覆う。 万が一の事態に備えた上の行動である。 ギトーは、風の防護膜に素晴らしいと言葉を漏らして、興味深げにタバサの魔法を観察していた。 彼にとって、ルイズなど眼中にすら入っていない。 典型的なメイジの思想を持っている彼にしてみれば、メイジ以外など下等も下等。 魔法を使えないルイズも、ご多分に漏れず下等に分類されている。 そんな事を知ってか知らずか、ルイズは詠唱を完了させると足元の地面を変換させる。 ルイズの魔法に、誰もが、『風』以外の属性を見下しているギトーですら唖然としてしまった。 石造りの床を錬金よって、質量保存の法則とかを強引に無視させ、天井までの大きさを持つ岩にルイズは創り変えたのだ 「先に行っておきますけど、死なないでくださいね?」 気持ち悪いぐらいに優しげな響きを持ったルイズの言葉と共に、その岩がギトーの方へと倒れていく。 もはや、魔法だとかそういう次元の話では無い。 相手は、火の玉でも無ければ氷の矢でも無く、土のゴーレですら無い、ただの岩の塊。 圧倒的な質量で自分に倒れてくる、その塊に必死で魔法をぶつけるギトーであったが、吹き飛ばそうにも、あんな質量の物体を弾き飛ばす事など彼には出来ない。 出来るのは、風によって、倒れてくる時間を引き延ばす事だけである。 「ぐっ、ぐぐ!!」 魔法の連続使用による負荷によって、ギトーは精神が飛びそうになったが、必死に意識を繋ぎとめる。 今、ここで意識を失えば自分の身体は………… その先は、考えたくも無い事柄だった。 「助け―――」 「命乞いなんてみっともないですよ、先生」 醜く、命乞いをしようと声を上げようとしたが、岩の向こう側に居たルイズが、何時の間にかギトーの隣で、チェシャ猫のように耳元まで裂けた笑みを浮かべて立っている。 ギトーは悟った。 こんな笑みを浮かべる者に、命乞いなど意味が無い事を。 そして、後悔した。 自分は、こんな化け物みたいな哂いを浮かべる者に、戦いを挑んでしまったと言う事を。 「うっ、うおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 すでに限界は来ていた。その限界を死にたくない一心で騙し続けていたギトーであったが、とうとう魔法の発動が止まり、岩の動きを遅くしていた風が無くなる。すると、岩は凄まじい速度でギトーに倒れこんだ。 ルイズは、その叫び声を、まるでフルオーケストラを聴いているように、うっとりとした顔で耳に刻みながら、タクトの如く杖を振る。 「ぉぉぉぉぉおおおお…………お?」 こつんと、ギトーの頭に石が当たった。 岩がギトーを押しつぶす寸前、ルイズが錬金を解除した為に、元の質量に戻ったのだ。 ルイズは、ギトーの先程までの醜態に満足したのか、何も言わずにキュルケとタバサが座っている席へと戻っていく。 「ちょっとやり過ぎだったんじゃない?」 「あれぐらいなら良い薬よ」 「良薬口に苦し」 席へと戻ったルイズに少し困ったような調子で注意するキュルケと、ルイズの行動を肯定しているのか良く分からない言葉を呟くタバサ。 そんな三人の様子を見ながら、ギトーはふらふらと教室を出て行く。 「やや! どうされました、ミスタ・ギトー、まだ授業中ですぞ!?」 廊下に出ると妙に着飾ったコルベールと鉢合わせたので、授業の代役を頼むと、返事も聞かずにギトーは自室へと戻っていく。 今日は、もう、誰とも話す気にはならなかった。 ケツの穴に氷柱を突っ込まれかのように、おとなくしなってしまったギトーの態度は、『風』を最強と自負していた頃と比べると、見る影も無い程に衰えてしまっていた。 同じ頃、燦々と太陽の光が降り注ぐ中、ご主人様から預かった洗濯物を干している才人は、同じく、洗濯物を干そうとしているシエスタと話し込んでいた。 本来なら生真面目な性格であり、仕事中の雑談などしないシエスタであったが、 才人と一緒の時だけは、どうしても仕事が疎かになり、会話を楽しんでしまう。 それが駄目な事だと理解はしているが、どうしてもそれに『幸福』を感じてしまうシエスタは、それを直そうとは思わなかった。 「へぇ、シエスタの故郷って、そんなに良いところなんだ」 「はい。片田舎ですけど、村の人は優しくて、山には色々な果実が実ってて、ほんと、平穏なところですよ」 二人の会話は、何時の間にか故郷に関する話となっていた。 自分の故郷、タルブ村を事細やかに説明するシエスタに、才人は楽しそうに笑っていたが、不意にシエスタの表情が曇る。 「あれ……どうかした?」 「あっ、いえ……あの、すいません、無神経な事を話して」 申し訳そうに謝るシエスタに、はてと才人は首を傾げた。 一体、今の何処に無神経な事があったと言うのか。 「えっと……なんで、シエスタは俺に謝ってるの?」 疑問をそのまま口にすると、シエスタは益々、身を縮めて悲しそうな顔をする。 正直、グッときた。 「だって……サイトさん……自分の故郷に帰れないのに、私、故郷の話をして……」 シエスタの言葉に、才人は、手をぽんと叩いた。 そうか、確かに帰れない人に、帰れる人間が自慢するのは失礼にあたる行為かもしれないが、特に自分はその事に対して何も感じていない。 「いや、俺、そういうのあんまり気にならないからさ。 むしろ、シエスタが故郷の話を聞かせてくれるのは、凄く楽しいから、もっと聞きたいなぁ、とか思ってるけど」 才人の返答に、シエスタは良かったぁと安堵の溜め息を吐き、豊満な胸をほっと撫で下ろした。 「でも――――――とか思わないんですか?」 「え?」 聞こえなかった訳では無い。 ただ、どうしてかその単語が脳内で理解できなかったので、才人はもう一度聞き返す。 シエスタは、不思議そうに先程と同じ内容を繰り返した。 「ですから、故郷に帰りたいとか思わないんですか?」 「――――――――――――あっ」 帰りたい――――――才人は、自分の中に在り得なかった、その発想に愕然とした。 思えば、異世界である此処に迷い込み、シエスタの曽祖父が自分と同じ世界の人間かも知れないと聞かされた時でも、 自分の頭に『帰る』と言う考えは浮かばなかった。 何故ならその考えは………………無駄だから? 「サイトさん?」 「あっ……れ?……」 シエスタの怪訝そうな声に、今まで考えていた事柄が思い出せなくなる。 「えっと……何の話だっけ……あぁ、そうだ、シエスタの故郷の話だったっけ?」 何処と無く不自然な顔をした才人に、シエスタは何も言わず、心配そうな視線を向けてくる。 才人は、自分の中に何か釈然としないものがあるのを感じながら、それについて考える事を放棄した。 放棄せざるをえなかった 「そういえば、前、聞かせてくれたけど、シエスタの故郷に秘宝みたいなのがあるとか言ってたよね? それって、どんなものなの?」 才人の何事も無かったかのような態度に、シエスタは何かを言おうとしたが、軽く頭を振ってから質問に答える。 「うちの曾御爺ちゃんが残したモノなんですけど……その『悪魔の牙』って―――」 「あっ、シエシエ、見つけた~!」 シエスタの口から、なんだか物騒な単語が出るのと同時に、シエスタと同じメイド服に身を包んだ少女が、才人とシエスタの近くまで走ってきた。 「どうしたんですか、そんなに急いで?」 同僚の慌しい雰囲気に、シエスタが尋ねると帰ってきた答えは意外なモノであった。 「王女様! アンリエッタ王女様が此処に来るんだって!!」 メイドが息を切らしながら伝えた内容に、才人とシエスタはお互いの顔を見合わせた。 四頭のユニコーンに引かれた特別製の馬車が、魔法学院の正門を通過し、姿を現すと、王女の到着を今か今かと待ち侘びていた生徒達は、一斉に杖を掲げた。 件の三人組も、他の生徒達と同じように杖を掲げていたが、心情は他の生徒とは若干違いがあった。 キュルケは、清楚で穏やかな王女よりも自分の方が綺麗じゃないかと詰まらなそうな顔をしていた。 タバサは、トリステインの王女自体にそこまで興味が無かったので、杖を掲げているだけで何も考えていない。 強いて言うならば、今日の晩餐は、王女が来たお陰で豪勢になると考えていた。 ルイズは、何か……遠い何かを見るような目でアンリエッタを見つめていた。 「思ウ所ガアルト言ッタ顔ダナ」 「別に……時間の流れって、無情って思っただけよ」 隣に立つホワイトスネイクの声に、返答したルイズは、馬車が見えなくなると同時に部屋へと戻る為に、踵を返した。 今のアンリエッタに、昔のような、見ると安心するような笑みは無かった。 彼女の顔にあったのは、張り付いたかのような作り笑いのみ。 幼少のみぎりに共に遊んだ少女は、あそこには居なかった。 あそこには、ただの王女が居るだけ。 「ほんと……無情ね」 ぽつりと、誰に言うでもなく呟いた言葉にホワイトスネイクは何も言わずに、ルイズの後に続くのだった。 その夜、夢と同じような赤色の月が光を提供する部屋の中で、ルイズは熱心にホワイトスネイクと会話するタバサを見ていた。 夜分遅いと言うのに、部屋に留まる蒼髪の少女にルイズは、頑張るものねぇ、と呟く。 「挑戦」 一通りホワイトスネイクとの会話を終え、手に持っていた一枚のDISCをタバサは、何の躊躇いもなくDISCを挿し込み―――案の定苦しみ始めた。 「はぁ……ホワイトスネイク」 落胆したかのようなルイズの声は、もう三度目だ。 ホワイトスネイクは、その声に反応し、これもまた三度目となるDISCの強制排除を実行する。 「……失敗」 自分の頭から抜き取られたDISCを渡されながら、苦々しげに呟くタバサだったが、何処と無く声に覇気が感じられない。 「今日ハココマデダ。ソロソロ、精神力ガ限界ダロウ」 ホワイトスネイクの言葉に頷くタバサは、ルイズに一礼をしてから、よろよろとおぼつかない足取りで部屋から出て行こうと扉に手を掛け、掴まれた。 「そんな危なっかしい歩き方しか出来ないのに、部屋を追い出したんじゃ、私がキュルケに叱られるわ。 少し、休んでいきなさいよ」 語尾を強めるルイズに、タバサは思わず頷いてしまう。 そのまま勧められるままに、テーブルの椅子に座るタバサだが、この申し出はありがたい。 正直、眩暈と吐き気によって気分が最悪で、部屋まで歩けるか分からなかったからだ。 「でも、あんたも頑張るわよね……初日から、こんなに気合入れるなんて」 「…………」 「まぁ、『力』を使いこなせるようになれば、便利だから頑張るのは分かるけどね」 あふ、と欠伸をして、眠たげにベッドに横になるルイズを見るタバサの瞳は、何時も通りの無感動を映している。 「相変わらず、人間味の無い眼をしているわね、あんた」 「自覚は無い」 「でしょうね。そんな眼、自覚してやってるとしたら、相当、性質が悪い奴だから」 タバサの体調が回復するまで、取り留めの無い話を振っていたルイズであったが、扉のノック音が部屋に響くと同時に、半分閉じかけていた目を強制的に開かせ、扉の方へと視線を向けた。 始めに長く二回、その後、短く三回ノックされたのを確認してから、ルイズは立ち上がり、扉を開けた。 扉を開けると、そこには黒頭巾を被った少女が、頭巾と同じ色のマントを羽織って立っていた。 「まさか……」 頭巾越しに分かる少女の顔立ちに、ルイズは驚きからか、言葉を漏らす。 少女は、ルイズの言葉に反応するように部屋へと入り、扉を閉めてから杖を振るった。 ホワイトスネイクが警戒の色を濃くし、何時でも少女の頭蓋を砕ける位置に立っている事に気がついたタバサは、声を掛ける。 「魔法での仕掛けが無いか確認しただけ」 その説明に、頭巾の少女は頷きながら頭に被った布を取り去る。 「驚いた」 本当に驚いているのか、激しく疑う程に単調に呟かれたタバサの言葉は、頭巾を取り去った少女―――アンリエッタ王女へと向けられたものだった。 「姫殿下」 アンリエッタ王女の眼前に居たルイズ、恭しく膝をついた。 そこに、タバサは違和感を感じた。 貴族たる事を、絶対として扱っているルイズにしては珍しく、その仕草に何処と無く不自然さが付き纏っていたからだ。 「あっ、ほら、あんたもさっさと―――」 「良いのよ、ルイズ。貴方のお友達なら、私にとってもお友達だもの。 ルイズも、ほら、立ち上がって。友達に対して膝をつく人なんて居ないでしょう?」 優しげであり、母親に抱かれるような抱擁感を覚えさせる声に、タバサは思わず息を呑む。 なるほど、確かに王女と言うだけはある。 風格と仕草、それに何者をも癒すかのような声には、カリスマに満ち溢れていた。 普段から、トリステインの王族は執政者としては他の王族に格段に劣っていると聞き及んでいたタバサは、よくそれで国が動いていると思っていたが、なるほど、このカリスマは、王族としては一流だ。 そこまで考えて、不意にタバサの顔に影が落ちた。 それは如何なる思考の果てなのか、無感動を歌うはずの彼女の瞳は、その時ばかりは揺れに揺れていた。 幸い、昔話に花を咲かせている、ルイズとアンリエッタは気付かなく、気付いたホワイトスネイクも別に声を掛ける義理も無いので放っておいた為に、彼女の思いが外に出る事は無かった。 「あの頃は……本当に楽しかったわね、ルイズ」 昔話が一頻り済んだ時に、アンリエッタはぽつりと懐かしむように呟いた。 「えぇ、本当に……」 それに対して相槌を打つルイズは、今朝見たアンリエッタと、今のアンリエッタの違いに内心、物凄く驚いていた。 あの時は、作り笑いを浮かべ、民に対して手を振るうだけの人間になってしまったと思っていたが、今、こうして目の前で話すと、昔のままのアンリエッタが存在している。 (人間って、凄く便利な生き物なのね) (何ヲ今更。人ハ、誰彼モ欺イテ生キテイケル、唯一ノ生キ物ダゾ?) 呆れたようなニュアンスを含んだホワイトスネイクからの返答に、そうなのかしら、と思いながら、ルイズはアンリエッタの言葉に返答していく。 だが、話の合間に溜め息を吐き続けるアンリエッタに、ルイズは眉を顰めた。 タバサに顔を向けると、彼女もまたルイズと同じ結論なのか首を縦に振る。 「あの……姫様、どうかなさったんですか?」 「えっ?」 「先程から溜め息ばかりを……何か、悩み事があるのでは?」 疑問系で聞いたルイズだったが、アンリエッタに何か悩み事が存在する事は確信していた。 思えば、もう何年も会っていない友人に会いに来て昔の話をしたのも、恐らくはその悩みで磨耗した気を紛らわす為だったのだろう。 「あぁ、ルイズ……やはり、貴方には分かってしまうのね。昔から友達である貴方には……」 誰でもあんなに溜め息を吐けば分かると言うものだが、それに突っ込むものは居ない。 ともあれ、アンリエッタは、眼を真っ直ぐルイズへと向けようとしたが、その前に、椅子に座っているタバサへと視線が逸れた。 「すいません。この話は国の重要事項であり、信頼の置ける人物にしか……」 「分かった」 申し訳無さそうに述べるアンリエッタに、タバサは立ち上がり、一礼してから部屋の扉に手を掛ける。 調子の悪さも、きちんと歩けるぐらいには回復していた。 「じゃあね、また明日……かしら」 後ろから掛けられたルイズの言葉に、振り返らずに頷いたタバサは、服のポケットに入っているDISCの重さを確かめながら、部屋を後にした。 「これで、今、この部屋に居るのは、私と私の使い魔のみ……話していただけますか、姫様」 タバサが完全に遠のいたのを確認してから、ルイズがそう言うと、アンリエッタは重々しく頷き口を開いた。 「そうですね…………では、話しましょう。私が、夜も眠れぬ程に悩む事柄を―――」 憂いを張り付かせ、笑みが掻き消えたアンリエッタの表情に、今更ながら、厄介事に巻き込まれる事になると気が付いたルイズであった。 第十話 後編 戻る 第11.4話
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/9638.html
登録日:2012/04/22(日) 11 01 11 更新日:2024/04/30 Tue 19 03 04NEW! 所要時間:約 2 分で読めます ▽タグ一覧 うすた京介 おまけ エルフ耳 オンディー キャンディー セクシーコマンドー外伝すごいよ!!マサルさん ニクい マサルさん 会議 故人 花中島マサル ふう~う…実に素晴らしい会議だった! 特にキャンディーにまぎれてオンディーが入ってるなんざ… なかなかニクイ演出だったぜ…! 漫画『セクシーコマンドー外伝すごいよ!!マサルさん』の登場人物。 エルフ耳に頭にレバーのような1本の太い触角がついている容姿の老人。1912年に生まれ1989年に亡くなった事以外の詳細は不明。 全国大会でカブキ高校との決勝戦を控え、時間に余裕があるので作戦会議を行う場所に移るために手抜きな絵で歩いていたヒゲ部一行。 その途中でモエモエはメソが行方不明になってしまった事を思い出し、ヒゲ部はマサルを取り残して捜索に行った。 マサルは仕方なくこめかみに指を当て一人で秘技・マサル会議を発動、頭の中に住む数人のマサル達で作戦会議を始め色んな意見やちょっとした小話を言い合う。 会議のフィナーレには総勢607人のマサル達によるキャンディーのつかみ取り大会が行われ、今回の会議はキャンディーに紛れて7年前に他界したはずのオンディーが入っている素晴らしいものだった。 そしてマサルはマサル軽やかステップ(8ビート)でだばだばと歩き校長をマサルガリレイでからかいに向かった。 …というようにマサルの脳内の産物であり、さらに作中で写ったコマは1コマのみ、台詞は一切なくオンディーという人名もマサル会議の時に一度しか出ていない。 ボナンザよりも出番がなかったオンディーだったが、人気投票では16位と健闘した。 ちなみに15位はさかな柔道着で17位は沢村りえ。地味なキャラばかりだった。 うすた作品ではよくある使い捨てキャラだったが、単行本の余白ページでは度々登場するようになる。 1回目はオンディー初登場回の後。「ハァ…もーわけわかんねーよ… うすた」と書かれた文の下にうすた京介の代役で溜め息を吐きながら漫画を執筆していた。 2回目は花中島サトル(マサルの父)初登場回の後。またもや漫画を描きながら登場。「ペンが荒れてきてるって事……みんなにはヒミツォンディー。 うすた」と書かれた文の下に写っている。 3回目はフーミンが自分を見つめ直す回の後。ウスタの『お前のシャツ変なボタンついてんな』のコーナーの休載のお詫びに太股に手を当てて登場した。 最後は地獄校長編の前にリアルな画風で大きく描かれていた。 追記・修正をお願いしたいけどそこまで情報があるキャラではないこと…… Wiki篭りにはヒミツォンディー。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] アニメでなんかヒゲ部の後を付けてたような -- 名無しさん (2014-03-28 18 08 11) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukue/pages/346.html
私はある人の噂を聞いて、その人をよく見かけるというギアステーションにやってきた そこに入ってすぐに目に留まったのは、男性と話している同じポケモンを数匹連れた女性だった これもまた噂で聞いたのだが、あの男性は「ジャッジ」とかいう事をするらしい そして男性と話をしている女性こそ、私が捜していた女性だった 女性といっても10代後半の若い女性で、そこら辺のポケモンと楽しく暮らしている子達と見た目はさほど変わりはない …見た目は、の話だが 意外と早く発見したので少々拍子抜けしたが、まずは男性と話している様子をうかがう事にする 男性から何か言われると、女性はとても嬉しそうな顔をしていた 女性は男性に別れを告げるとポケモン達をボールへしまい、近くのトレインの出入り口へと向かう 私は思わず女性を呼び止めた 「すみません!」 「…?」 女性はこちらを振り向いたが、先程の嬉しそうな顔は何処へやら…とても悲しげな表情をしていた その表情に少し戸惑ったが、私は彼女に近寄って彼女の名前を伺った …やはりあの人だ 確信した私はまず名乗り、噂を聞いて来たと前置きをしてから彼女に問い掛けた 「先程男性に見せていたポケモン達…どうするおつもりですか?」 「…」 答えは分かっている。大体の廃人という人々は答えなくとも「逃がす」だろう だが、彼女は噂だと… 「…ごめんなさい」 彼女は今にも泣きそうな顔で、素早く私の横を駆け抜けていった 正直、言い訳でもしてごまかすだろうと予想していたのだが…まさかいきなり逃げだすとは 私は慌てて彼女を追いかけて行った… ギアステーションを出ると、彼女の姿は無かった 空を飛ぶポケモンを使って逃げたのかと思って空を見上げてみたが、空はただ青いだけだった 今なら見つかるだろうと彼女を捜す為に飛行ポケモンを出そうとした時、私の足元に何かが転がっているのに気付いた …モンスターボールだ 男性に見せていたポケモン達が入っている。その数は4つ 手持ちは基本6匹までだから…おそらく残りの一匹は移動用のポケモンで、もう一匹は彼女が嬉しそうな顔をした程「ジャッジ」の結果が良かったポケモンなのだろう 何故ここに4匹を置いたのか、あるいは落としたのか…私は悪い予想しかつかない 私はモンスターボールを全部拾いあげて溜め息をついた 「どうしてこんな事を…」 本当は私も分かっている トレーナーとして強くなる為に強いポケモンを選び、育てる為だ 強いポケモンを産もうとすれば、おのずと弱いポケモンも産まれる。廃人と呼ばれるトレーナーにとって、弱いポケモンは不要なのだ だから弱いポケモンを逃がす そして今の時代はポケモンを大量に逃がすと重い罪を被る事になる だからこっそりと逃がしたり、他人に譲るという名の配布をしたり、彼女の噂のような事をする人々がいるのだ …でも、このポケモン達が彼女から離れる事が出来たのは幸いだったのかもしれない あの噂が正しければ、彼女はポケモンを逃がす事よりも罪深い事をしているのだから…