約 291,778 件
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/18954.html
嫌いは好きよりモノをいう 登場人物 コメント 『恋するソワレ』(ソルマーレ編集部)に連載されている、原作:Suri、Nanamiによるウェブ漫画作品。 登場人物 ユキノオー:澤乃雪姫 名前ネタ レイスポス:瀬戸祐馬 名前から ブリザポス:宮原伸介 祐馬と対をなすので 未定:澤乃芽子 未定:澤乃小町 ドリュウズ:澤乃弥生 ニート繋がり コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/73.html
放課後、家に帰りつくとリビングから騒がしい声が聞こえてくる。 「ね、ねえ。桐乃やめようよ! 桐乃があんな企画参加することないよ!」 「仕方ないじゃん。編集部からあそこまで頼まれちゃったらサ」 「で、でも、だからって桐乃がやる必要はないと思う」 「それも仕方ないの。あたし以外、めぼしいコはみんな事務所所属だしィ。 あやせだって、事務所の許可下りないって言ってたじゃない」 ふむ。何か揉めてるみたいだが……なんだ? 桐乃の奴が仕方なく何かを引き受けるって話か? 困ってる……わけでもなさそうだし。 つーか、たとえ困っててもまあ、俺には関係ないけどな。 向こうから頼られたわけでも無いのに、勝手に首突っ込んで、 こないだみたいなしんどくて、おまけにみじめな想いをするのは、もうまっぴらだってえの。 「それにあたし、こないだも病気して迷惑かけたし、今度もまた迷惑かけるんだから……」 「で、でも! それとこれとは別じゃないの?」 …………ったく。 いつまでも聞き耳立てていても仕方ねえ。 とりあえず挨拶だけして、すぐに自分の部屋に上がろう。うん、それがいい。 やっかいごとに巻きこまれねえうちにな。 「……ただいま。いらっしゃい」 俺はリビングの扉を半開きにして顔を少しのぞかせて形だけの挨拶を述べた。 そこには、制服姿の女子中学生が二人。タイプは違うがどちらもとびぬけた美少女だ。 その美少女のうち、我が家の美少女……つまりは俺の妹であるところの桐乃は ちらりと俺の方を一瞥しただけで、すぐに目をそらす。まあ、いつもの事だ。 「あ! お兄さんっ!」 しかし、もう一人の他所ん家の美少女、桐乃の親友でありモデル仲間のあやせの方は 俺をみつけるなり、腰掛けていたソファからこちらめがけて飛び出して来た。 「お兄さん! お兄さんからも言ってあげてください。お願いします!」 「へ? い、いったい何の話だよ?」 突然、懇願してくるあやせの様子に腰がひけていると、桐乃が激しくそんなあやせを叱咤する。 「ちょ……! あやせ! なに、そんなバカに話してんの。そいつ全然、関係ないじゃん!」 激しく声を張り上げる桐乃。しかし、あやせはそんな桐乃にひるむこともなく俺に訴えを続けた。 「聞いてくださいっ! き、桐乃ったら、い、いかがわしい本にモデルとして出るなんて言ってるんです!」 「……は?」 いかがわしい……なんだって? 「だ……だから、いかがわしい本に、そ、その、自分のエッチな写真のっけるって言ってるんです!」 「な……っ!」 遅まきながら、あやせの言葉の意味を理解した俺は、桐乃に視線を向ける。 すると、桐乃はいつもの調子で顔を紅潮させながら、俺に向かって罵るように言葉を吐く。 「あ……あんたには関係ないでしょ。ふん、何も知らないくせに、勝手にクビつっこまないでくれる?」 そう言って、ぷいと顔を背けだ。 ああ、そうかい。確かに関係ないわな。 おまえのいやらしい写真が雑誌に掲載されて日本中にばらまかれようが 俺にとっちゃどうでもいいことだ。 ただな、残念ながら俺はおまえの兄貴なんだよ……! 「お、お兄さん……!?」 俺の顔を見つめながら、あやせが青ざめた顔で一歩、後ずさる。 近づいてくる俺にそっぽ向いてた桐乃を気がつき、そして俺の顔を見て目を見張った。 ん? 俺、そんなに変な顔しているか? ……いや、そんなことは今はどうでもいい。 このバカな妹の兄としてきちんと教育する義務と責任と権利が俺にはあるはずだ。 俺は今回だけはビシっと言ってやらないと気がすまなかった。 「……こ、この、バカっ! まだ中学生のくせに、雑誌で素っ裸さらすとか何考えてるんだ、おまえはっ!」 バチーン! 「だ……だ、誰が素っ裸になるなんて言ったのよっ!」 うう……ビシっと言ったらバシっと殴られた…… 「だ、だって。あやせの奴が……」 我ながら情けない声でそう言いながらあやせの方を親指で差す。 「わ、わたしは裸になるなんて言ってませんよっ!?」 責任を転嫁されそうになり、手をぶんぶんと振りながら慌てて弁明するあやせ。 「じゃ、じゃあどんな写真なんだよ……」 服を脱ぐわけじゃない、いかがわしいエッチな写真って…… はっ! まさか…… 「だっ! そんなの駄目に決まってるだろうがああああぁぁあああぁぁぁあああ──っ!?」 思わず大声を発してしまった俺を冷たい目でにらむ桐乃と目を白黒させているあやせ。 冷たい目で桐乃が俺に問いかける。 「……ねえ、今度は何を想像したわけ? 言ってみ?」 「い、いえ。なんでもないっス……」 正直に言ったら、どんな目に合わされることか…… 「も、もう、ほんとにィ……。あんた大騒ぎしすぎ。まったくシスコンはこれだから困っちゃうよねぇ~~」 腕を組み、口元にひきつった笑みを浮かべつつも、尊大な態度で呆れてみせる桐乃。 なんだよ、おまえらがまぎらわしい会話してるからじゃねえか。 それにシスコンだからじゃねえ。こんなの曲がりなりにも実の兄なら当然の反応だろ。 親父ならこれくらいじゃ済まねえぞ! 「ふん……で、結局なんなんだよ。その……いかがわしい写真ってのはよ……」 裸になるわけじゃないと聞いて、少し安堵し興味は薄れたものの、 やはり殴られ損は嫌なので、一応、真相くらいは知っておきたい。 桐乃に聞いても、関係ないでしょっと一蹴されそうなので、あやせの方に言葉を投げる。 「それが、その……ええと……」 あやせはなんだか言いにくそうだ。なんだ、なんだ? やっぱ、エロイ写真なのか? 「ふん……ただのパンチラ。微エロって奴?」 桐乃がそっぽを向いたまま、つまらなさそうにつぶやく。 「ぱ、パン…チラ? 微エロ?」 桐乃の言葉と俺の復唱を聞いて顔を赤らめるあやせ。あやせが言い淀んだ事をなんとなく納得した。 いかがわしさって意味では、「パンチラ」って言葉は、なかなか卑猥な響きがあるからな。 「……って、十分、駄目じゃねえか! た、他人にパンツ見せるとか…… しかもそれを雑誌にのっけるとか、おまえ何考えてんだよ!」 「そうですよね! でも、桐乃ったら、それくらいなんでもないとか言って……」 同調者を得て言葉を弾ませるあやせ。なるほど、そういうわけで、口論してたってわけか。 「いいじゃん、パンツくらい。水着とたいしてかわんないしさ~」 「変わるだろ!? 水着で海にいる人はいても、下着で海にいる奴はいねえ──!」 俺の横ではあやせがうんうん、と大きく頷いている。 いつもはおっかない娘だが、こうして同盟組むとなんだか可愛い奴に思えるから不思議だ。 「バッカじゃん? それは時と場所によるでしょ? たとえば住宅街でビキニの女の子がいたら変じゃん?」 おお、それはエロイ! ……じゃなくて。 「そ、そんなのあたりまえだろ。それとこれとどういう関係があんだよ」 しかし、桐乃は自信満々に言葉を紡ぎ続ける。 「だからさあ。たとえば、本の中ではヌードになったりしてるモデルの人がいるわけじゃない?」 「……あん?」 正直、俺にはこいつの言わんとしている事がよくわからん。相変わらずの説明下手だな、俺の妹は。「も、もう……鈍いなあ。だからさ、街中で水着は変でも、海なら変って事はない。それと同じで、 普段パンツ見せてたら変だし恥ずかしいけど、本の中でならおかしくないって事をいいたいワケ。 そりゃ、あたしだってヌードとかなら断るけどさ。ちょっとくらいのチラ見せくらいなら別にいいじゃん?」 平気そうな顔でそう言う桐乃。しかし、逆に、こいつが平気そうに言えば言うほど、俺のかイライラはとまらない。 「な、何言ってんだよ。それとこれとは話が違……」 「違わない。それともあんた、なに? あんたがコレクションしてるような本の女の子は、 みんな、恥ずかしい事をしているって思ったりしちゃってるワケ? じゃあ、それを鼻の下伸ばして見てるあんたは何よ」 「な……!」 「それにね、遊びじゃ無いの。そもそもあんた、ちょっと仕事ってものを甘くみてない?」 「ぐぅ……!」 そういう言い方をされると、バイトなんて田村屋の手伝いくらいしかしたことのない俺には何も言い返せない。 し、しかし……やっぱ、どうしても、なんか納得いかないんだが……。 ……っていうか、なんで俺のコレクションの事知ってやがるんだよ!? 怖いから追及しないけど! 「お兄さんが説得されちゃってどうするんです! いいんですか? 会ったことも無い他人に、桐乃のエッチな写真を見られちゃうんですよ!?」 押され気味の俺を鼓舞しようと、あやせがそんなことを言ってくる。 いや、いいのかって言われてもよ……本人がこう言っている以上、どうしろってんだよ……クソッ……! そうこうしているうちに、桐乃はすっと立ち上がり、俺たちにこう宣言した。 「どっちにしても、もう決めたことなんだから。二人ともこれ以上、ごちゃごちゃ言うのやめて。いい?」 「あっ! 桐乃っ!」 そんな捨て台詞を残し、桐乃の奴は、あやせをもほったらかしにしてリビングを出て行ってしまった。 ダダダと階段を上る足音が聞こえる。自分の部屋に戻ったのだろう。 「「ふう……」」 俺とあやせは二人そろってため息をついた。 「……桐乃はああいう風に言ってましたけど、決して、望んでやりたいわけじゃないんです」 あやせが桐乃の消えて行ったリビングの出入り口を見つめながら、呟くように言った。 「そうなのか?」 「も、もちろんです! あ、あたりまえじゃないですか! ただ、桐乃、責任感が強いから……」 「……詳しく事情を聞かせてくれよ」 「はい……」 あやせの話はこうだった。 桐乃が読者モデルをやってる雑誌の編集部が世話になってる大手広告代理店が 各誌イチオシのティーンの女の子のセクシーな写真…… つまりはパンチラ写真を集めた小部数のイベント用小冊子を出すんだとよ。 一般販売はせず配布先はスポンサーとなってくれるような大企業の担当者。これは大きなプロモーションになる。 だから、編集部としても力を入れているってことだ。 で、桐乃やあやせが読者モデルをつとめる雑誌の代表モデルとして、桐乃が頼まれた……ってことらしい。 編集の人にはずっとお世話になってるし、最近も風邪などで迷惑かけたばかりだから断れない…… 桐乃はそう言ってるそうだ。一応、その場では返事を保留し、明後日、返事をするって事らしいのだが……。 うむ。だいたい、どういう事情なのかはわかった。しかし……。 「な、なんでパンチラ写真じゃないと駄目なんだよ。その企画なら、普通の写真でもいいじゃねーか!?」 単なるプロモーション用の小冊子ってことだろ? 「そ、そんなこと、私に言われたって知りませんよっ!」 くそ。絶対、その本を企画した奴が変態なのに決まってる。 自分が若くて綺麗で可愛い女の子のパンチラみたいだけなんだろうが……こ、この……下衆野郎がっ! 「……お、お兄さん?」 「……え?」 怯えるような声を出すあやせの方をふと目をやる。するとあやせは、今度は安堵の表情を浮かべて言った。 「あー、びっくりした。今、すっごく怖い顔してましたよ? ……ああ、さっきもですけど」 「え? お、俺が?」 「はい……お兄さん、それって桐乃のために怒ってくれてるんですよねっ!?」 「い、いや。そういうわけでは……」 断じてないよ? この俺があいつのために怒るとか……そんな義理ねえし! そもそも、なんでおまえはそんなに嬉しそうなんだ? 俺の──例の芝居で演じた──シスコン具合が気持ち悪くてしょうがなかったんじゃねえのかよ? 「そうだ。実は、去年の企画分の冊子があるんですが……ご覧になります?」 「え?」 「本当は……こんな汚らわしいもの、持っていたくなかったんですが……参考になるかと思って」 参考……ね。どうやら、あやせのやつ、はなから俺を巻き込むつもりだったみたいだな。 普通に信頼感から頼ってくれるなら嬉しいんだが……多分、違うんだろうなあ。 「あ、言っときますけど、あくまで桐乃を説得するための参考になるかと思って、見せるんですからね。 いやらしい目で見たりしたら怒りますよ?」 おう、なんて無理を言う奴だ。健全な高校生がパンチラ写真みていやらしい目でみないとか無理だろ? 「わ、わかってるって」 が、そんなこと正直に言っても話がまたややこしくなるだけなので、適当に応じておく。 「じゃあ、はい。これです」 「……ふむ。なんだ? パンチラキング? また偉く直球な名前だなあ!」 「いえ……一応、パンチ・ランキングです。まあ、その読み方でも間違いじゃないかもですが……」 「な、なるほど」 一応、ごまかしてるわけか。しかし、頭の悪いごまかし方だな、おい! あやせの視線を気にしつつ、パラパラとめくってみる。 おお、見事にパンチラの嵐。さすがパンチラキング……もとい、パンチ・ランキング。 ただ正直に言って、ごく一部を除いて、それほど過激ってものではなかった。俺のコレクションの方がよほど過激だ。 なんだろう。おっさんになると、むしろこういうチラリズムにより興奮するってわけなのかね? それと、この写真…… 「……なあ、この写真ってプロが取ったのか? なんか普通のデジカメで素人がとったスナップ写真って感じなんだが」 あきらかに、グラビア写真とかにくらべると画質が悪い。そこらへん、あやせに尋ねて見る。 「はい。プロの方が撮ってるはずです。ただ、一応、モデルの子が自分たちで友達とかと撮ったって事になってます」 「は? なんだそりゃ?」 「実は、そこが私的に一番、この本のいかがわしいところだと思ってます。ほんと、大人って汚い……!」 あやせはまるで、以前、桐乃のオタク趣味をおぞましいと言ってた時と同じような表情と口調で糾弾した。 「児童ポルノ法で、18歳未満の児童のわいせつな写真などが取り締まられてるのは知ってますよね?」 「あ、ああ」 でた! 児童ポルノ法……っ! 思わず俺は腰がひけてしまう。 しかし、そんな俺の様子に気づく事無くあやせは話を続ける。 「で、こういう下着の見えてる写真とかはグレーゾーンなんです。グレーっていうか、もうアウトですね。 だからあくまでモデルが自分たちで撮った写真ってことにするようです」 「ふうん、なるほど……」 下着が駄目ってのは知らなかった。あまり思い出したくない思い出だが、以前、エロ動画検索したとき、 中学生とか小学生がパンツみせてるDVDとかも普通に売られてる感じだったがなあ……? っていうか、下着よりもっと過激な紐水着とかもあったと思うんだが、アレは裏モノかなんかだったのだろうか。 「でも、モデルが自分で撮ったとして、そんなんで出版の責任が回避できるのか?」 「さあ……多分、無理だと思うんですけど……まあ、カメラマンの責任逃れくらいには使えるかもですが」 「ふうん……まあよくわからない部分あるにはあるが、とりあえず把握した。把握はしたが……」 どうやって桐乃を説得できるかは、さっぱりわからん。 あいつが自分で考えて自分で決めた事なんて うちの親父でさえひっくり返すのは無理なんじゃねえか? 「じゃあ、わたしは今日はこれで……」 俺は一人、玄関であやせを見送る。桐乃にも一応、声をかけたのだが、妹の部屋から反応はなかった。 「とにかく、後はお兄さんだけが頼りです。がんばって、桐乃を説得してくださいね」 「まあ、できる限りやってみるが……」 「お願いします」 ぺこりと頭を下げると、あやせはそのまま背を向けて去ろうとしたのだが、二、三歩踏み出した後、 何かを思い出したらしく再び俺の方を向き直った。 「……そうだ。この間はありがとうございました」 「え?」 「桐乃へのプレゼント。すっごく喜んでくれましたよ」 花のような微笑みを浮かべるあやせ。こっちまで嬉しくなる。 「そっか、そりゃよかった。でも、俺はなんにもしてないぜ」 頑張ったのは、おまえや加奈子だろう。まあ、加奈子の場合は、なんというか、ちょっとアレだが。 「いえ、本当に……でも、せっかく仲直りできたのに、また喧嘩しちゃいました……」 苦笑いしながら指でポリポリと頬をかくあやせ。俺は微笑ましい思いでその姿を見ながら励ます。 「大丈夫だよ。桐乃だって、おまえがあいつの事を考えて言ってるって事、ちゃんとわかってるさ」 あやせは、その俺の言葉に小さく頷いた。 「じゃあ、また」 そう言って、あやせは駆け足で大通りの方に向かって駆けていく。 後姿を目で追ってると何やら焦っている様子で、キョロキョロと左右を見回してタクシーを拾っていた。 ……もしかしたら他に用事があったんじゃないのか? あいつ。 おっかねえとこもある奴だけど、いつも桐乃のために一生懸命になってくれることに関しては、感謝……かな。 まったく、あの妹は……黒猫や沙織といい、才能だけでなく友達にまで恵まれやがってよ! 「さて……どうすっかなあ」 あやせの気持ちに報いようと、やる気になってはいたのだが、相変わらず俺の頭に妙案は浮かばない。 「……とにかく、あたって砕けてみるか」 俺は若干、やけっぱち気味に二階の妹の部屋へと向かった。 「おい、桐乃。いるんだろ」 コンコンと扉をノックするも返事はない。まあ、予想通り。 「おい! 桐乃、開けろ。話があんだよ!」 そしてドンドンと扉を連打、連打、連打! (来る……!) その瞬間、ガチャリと鍵が開いた音と同時に扉のノブが回転した。 俺はすばやく身を翻し桐乃の扉攻撃に備えたのだが…… 「何の用? ……って、あんたそんなトコで何やってんの?」 ガチャリとごく普通に開いた扉の隙間から顔を覗かせた桐乃が 怪訝そうな顔で、壁に張り付くようにしている俺を見ていた。 「いや……別に……」 俺はばつの悪さをごまかすための咳払いをひとつして、本題に入る。 「あ──、おまえに話があんだよ」 「……入れば?」 思いの他、桐乃は素直に俺を部屋に招き入れてくれた。 俺は拍子抜けした気分で桐乃の後について部屋に入る。 ふと、ベッドの上に高価そうなヘッドフォンが転がっているのが目についた。 「……音楽、聴いてたのか?」 「うん。だからノックとかよく聞こえなかった。大分、待った?」 「い、いや別に……」 うーむ。なんか妙な感じだ。 「座れば?」 そう言って桐乃が指差したのは、床ではなくベッドの上だった。 「……いいのか?」 「ん? 何が?」 桐乃は本当に分からないと言った様子で、眉を少しひそめつつ、自分は椅子に腰を下ろした。 「いや……」 俺は、おっかなびっくり、桐乃のベッドに腰を下ろす。 ボフっと言う音とともに、シーツと掛け布団から漏れた空気からは、なんだか桐乃の匂いがする気がした。 俺が待遇の改善に戸惑っているうちに、都合の良い事に桐乃の方が先に口を開いてきてくれた。 「用事って、さっきの話でしょ……?」 「ん? ああ」 俺は首肯して応じる。 「……あやせは?」 「後は俺に任せるって言って帰ったよ。なんか、用事あったみたいだったな」 その俺の言葉に桐乃が目を見張る。 「あ……! そういえば、あやせ、今日は別件の撮影があったはず……」 間に合ったのかな、と心配する桐乃に、タクシー拾ってたみたいだぞと伝える。 すると桐乃は安堵したような表情を浮かべた。 「あやせから、大体の事情は聞いた。でも、どうせ、俺が何言ったって、聞かねえんだろ?」 桐乃は静かに頷いた。 「もう決めた事だから」 ……と。 しかし、今日の俺はここで引く気はない。あやせに頼まれたって事ももちろんあるが、 俺自身、この話はとうてい納得できそうになかった。もしかするとあやせの潔癖症がうつったのかね。 「でも、言わせてもらう。やめとけ」 「無理」 俺の決意を込めた言葉も、桐乃に軽くいなされる。しかしそれでも俺はこう続けた。 「無理でもだ。絶対にやめさせる」 「……」 桐乃は、俺に怒りの目を向ける時の常として、頬を紅潮させながら眉間に皺を寄せて 俺の目をじっと見据える。俺も負けじと、睨み返す。果たして、先に目をそらしたのは桐乃だった。 「絶対にやめさせる……って、どうやってやめさせるつもり?」 桐乃は、顔を少し背けながらも、視線だけはこちらに流して、そう言った。 俺はゴクリと唾を飲み込む。 桐乃を強引にやめさせるのは簡単と言えば簡単だ。 大人に相談する事だ。もっとも確実なのは、親父やおふくろに相談する事だろう。 娘が不特定多数にパンチラ写真を晒すなんてこと素直に許す親はいない。 しかし、そんな方法を持ち出して桐乃を無理やり従わせるという事は、何か間違いのような気がする。 とはいえ、他に良い考えは今のところ出てこない……。 「ぜ、絶対は絶対にだよっ!」 だから、せめて虚勢だけでも張ろうと、俺は力強くそう言った。 我ながら、ガキみたいな言い草。わかっちゃいるが他にどうにも言いようがないのだから仕方ない。 桐乃はそんな俺の言い様に目をパチクリさせたあと、呆れたようにため息を吐き出す。 「ハァ……何で、そこまで必死なの? あやせの点数かせぎでもしたいワケ?」 妹からジト目でそんな風に言われる。 「そりゃ、俺を頼ってくれたわけだし……あやせのためってのはあるが、別に点数とか考えてねえよ」 桐乃はそんな俺の返答に、明らかに不機嫌な顔をして見せる。 「そ。残念だったね。点数、稼げなくって」 そう言うと、ぷいと顔を背け、そのまま体ごと椅子を回転させ完全に俺に背を向けてしまう。 「だから、そんなんじゃねえって言ってるだろ!」 くそ……こっちが、これだけ真剣なのによ……なんて腹の立つ言い草だよ……。 「そっちこそ、なんでそんなに意地になってんだよ。おまえだって本当はやりたくねえんだろ?」 あやせの言葉を思い出し、そう言ってみる。とにかく今のままじゃ埒が明かない。アプローチの方向を変えてみないと。 すると桐乃は、わずかにこちらを振り返って言った。 「そんなこと、誰が言った?」 あやせ。……とは、さすがに答えたりはしない。 「そんなこと……あたりまえだろ。どこの女子中学生が、自分のパンチラ、 他人に見せて喜ぶってんだよ。わかってるよ、なんか事情があるんだろ?」 本当におまえが自分でやりたいんだったら、俺だって、 こんなにイライラしたり、こんなに腹立たしい思いをする必要なんてねえんだよ。 でも、そんな事、ありえねえだろ? こないだの盗作騒ぎのように、こいつはまた、トラブルに巻き込まれている。 それもまた、狡猾な大人連中の手によってだ。ならばどうにかしてやりたいと思って当然なんだ。 いくら、こいつがウザくてどうしようもない、やな妹だとしても、こればかりは兄としてしょうがない。 いつか黒猫が言ってたように、好きや嫌いって感情を超越したものなんだよ。 これで、俺のこのイライラは……十分、説明がつく。 しかし、桐乃は椅子をくるりと回転さえ、身体ごとまっすぐに俺の方を向き、 冷ややかな笑みを浮かべて言った。 「あのさ。ほんっと、いつも頭に来るんだけど。その勝手な思い込み」 「な、なんだよ……」 思い込みだ? そんなわけ無いだろが? それとも俺の知らないうちに、おまえは露出狂の変態にでもなっちまったのか? 「あたし、言わなかったっけ? パンチラくらいなんでもないってさ」 「だ、だから、んなわけないだろ? そんな話、信じられっかよ!」 「ハァ……」 俺の言葉に桐乃はわざとらしくため息をつく。 そして再び、パソコンに向き直り、カタカタとキーを弾き始めた。画面があわただしく切り替わる。 「見て」 「ん? これって、陸上の……?」 画面に映っているのは女子の陸上大会の写真のようだ。正直、陸上にはあまり興味がない。 桐乃の奴がやってると聞いてからは、むしろ避けているくらいだった。 だから、全くといって良いほど知識がなかった俺は、その画面を見てちょっと驚いた。 まるで、セパレートの水着のような格好でみんな走っている。 「陸上って、こんな水着みたいな格好で走ってるのか?」 俺は思わず、思った事をそのまま口に出してしまった。 「そうよ。さすがに中学とかだと、みんながみんなそうじゃないけどね」 桐乃が写真のひとつをクリックすると拡大された。そこに写っていたのは、まさに 今、目の前にいる人物ど同一人物だった。 妹の桐乃が、例の水着のようなウェアで、トラックのスタートラインに立っている。 「ゴク……」 俺はなんとも言えない気分になって、おもわず唾を飲み込んだ。すかさずその音に桐乃が反応する。 「ちょっと。いやらしい目で見るのやめてよね」 「み、見てねえよ!」 誤解だってーの! しかし、もしこれが自分の妹じゃなければ、ちょっとそういう目で 見てしまったかもしれない。そんな感じの写真ではあった。 見慣れてればどうってことないのかもしれんが、陸上のトラックにへそ出しで 水着もどきの格好をした美少女ってのが、もう、エロすぎる。 ……って、待てよ。 「おい、これ、インターネットだよな?」 「ハァ? あたりまえでしょ」 「じゃあ、この写真って……世界中の人に見られてるわけ?」 「外国の人がわざわざ見てるかどうかは知らないけど、まあ、そういうこと」 桐乃は平然と答える。 「おまえ……それで平気なのか?」 言ってしまってから、しまったと思ったが遅かった。あまりにもバカな質問である。 平気じゃなかったとして、どうしようもないのだから。 しかし、俺の心配を他所に、桐乃はさらりと答えを返す。 「まあね。今の時代、人前に出るってそういう事だから」 「う、ううむ……」 しかし……なんだか複雑な気分である。 「それに、これなんて全然マシな方」 そう言いながら、桐乃は再びキーを叩く。 検索ワード欄には「高坂桐乃」……え? すると検索結果には4万件ほどがヒットする。何? これ、全部、こいつに関する記事なわけ? そして桐乃が検索結果のひとつをクリックすると、ページタイトルにこいつの名前。 そして掲載されてる写真も、全てこいつの陸上大会の時の写真のようなのだが、さっきのサイトとは、明らかに趣きが違う。 顔のアップはまだしも、胸や尻、太もものアップや、へそ丸出しの腹部のアップ、 ブルマを指でなおしてるところなど、明らかに、邪な視線を感じる写真がいっぱいである。 そして、それぞれの写真につけられたキャプションも、「桐乃たんハァハァ」だとか、 「桐乃たんのお尻~~」とか、ふざけた内容のものばかり。 ……っていうか! ホントにふざけんなよ、テメェッ! 「おい! なんなんだよ、このサイトはっ!」 思わず語気を荒げる俺。しかし桐乃は受け流すような静かさで答える。 「あたしのファンのサイト。なんか、あたしが出てる大会、全部見に来てるみたい」 「み、……み、見に来てるっていうより、コイツ、盗撮しにきてるだけじゃねえか!」 画面を指さしながら、激しく桐乃に向かって訴える。すると桐乃もさすがに渋い表情になって言った。 「まあ……ね。確かにあまり嬉しくない写真が多いケド……」 「まあねじゃねえよ! これって、アレじゃねえのか? 肖像権の侵害だろ! いや、それ以前に児童ポルノ法違反だろうが!」 俺の妹は、まだ中学生なんだぞ、この野郎っ! 「ポ……ポルノって! ちょっと、スポーツを変な目で見ないでくれる!?」 「変な目で見てるのは、こいつだろっ!」 人様の妹を、いやらしい目で撮影とか、何してくれやがんだ、ド畜生めっ! 「……あんた、何、ひとりで興奮してるワケ? 落ち着けっての」 「い、いや、そうは言うけどよ……」 むしろ、おまえこそ、なんでそんなに落ち着いてんの? ──かぁぁああっ、イライラするっ! 「親父に言えば、摘発してくれんじゃねえの? このサイト!?」 「やめてよ。あたしの方が陸上をやめさせられかねないじゃん」 「うぐ……」 それもそうか……じゃあ、どうすれば……。 俺が思案顔になったのを見て、桐乃がすかさず釘を刺す。 「あのね、こういうの見せたのは、別にあんたにこれをどうこうしてくれって意味じゃないの。 まあ、してくれって言ったって、こないだ盗作された時と同様、あんたにはどうしようも無いでしょうけどね。 例え、このサイトをどうにかしたところで、一度、ネットに上がった写真は、とっくにいろんな人に保存されて 全部消しちゃうなんて不可能なんだし、こういう趣味の人はこの人ひとりじゃないしね」 何!? そういや、さっき、検索結果四万近くあったっけ……まさか、 似たような奴がそれくらい居るって事じゃないよな……? 「言っとくけど、学校のサル共なんてもっと酷いし。うちの学校の裏サイトで、 雑誌に掲載されたあたしの写真で裸のコラ作ったりしてるの見つけちゃった事あるし。 まあ、クオリティ低すぎて怒るというより笑っちゃったケド」 う……うちの学校でもやってる奴いたな、それ…… 考えたら、こいつ、学校のアイドル的存在なんだっけ? 少なくともかなりモテるって事らしいし…… 「つまり、何が言いたいかっていうと、あたしはあたしの知らないとこで、あたしの写真が 誰にどう見られてようが気にならないって事を言いたかったワケ。気にしだしたら、きりがないって」 ある意味それは、とてもモデルらしい、そしていかにもコイツらしい台詞だった。 「わかった? だから、あんたやあやせが心配してるような事は考えすぎ。あたしは全然、平気なんだから」 そう言い切ると、桐乃は腕と足を組んで、ムスっとした表情でふんぞり返る。 ……まあ、確かにそうなんだろうよ。 あの陸上競技の写真だって、とっくにいろんなスケベ野郎やロリコンに さんざんオカズにされてるんだろうし……。いちいち、そんなこと想像して腹立ててたら参っちまう。 だけど……違う。そうじゃねえんだよ。俺にも何がどう違うのかわからないけど、違うんだよ。 この盗撮野郎のサイトは確かに腹が立つが、まあ、桐乃の話ももっともだと納得は出来る。 しかし、桐乃がパンチラ小冊子に出るってのは、まったく納得できない。 まだ、俺自身、気づいていない違いが絶対にある。そこさえつけば、この頑固な妹を説得できる気がするんだが……。 「お、おまえはそう言うけど、ここの写真は全部、おまえの意思で撮られた奴じゃねえだろ? でも、今度はおまえの意思で撮られるわけじゃねえか。そこに違いはあるんじゃねえの?」 俺は、半分は自問する形で、そう桐乃に疑問を投げかける。 このサイトの写真と、今回の話。違う点といえば、まずそこが挙げられるはずだからだ。 しかし、桐乃はあっさりと俺の考えを否定した。 「何言ってるのよ。まだ、自分の意思で撮られる方がマシじゃん。嫌なアングルとかは拒否できるし」 「いや、そうじゃなくってさ……わっかんねえかなあ!?」 確かにその通りだが……論点はそこじゃねえんだってば。 「……んもう! あんたが何言いたいかなんて、全然わかんない!」 桐乃は椅子から立ち上がり、両の手にこぶしを作って我慢の限界とばかりに訴える。 「いったい、何が気に入らないわけ!?」 「だ……だから、おまえがパンチラ写真を撮る事がだよ!」 俺は、自分を見下ろすようにして立ち、迫ってくるような迫力の桐乃にたじろぎながらも、なんとかそう言い返す。 「し、仕方ないじゃない! そういう企画なんだから!」 「仕方なくても、嫌なもんは嫌なんだよ!」 「だから、別に嫌じゃないって言ってるでしょっ!?」 「だから、俺が嫌なんだって言ってんだろうがっ!!」 「だから、あたしは──って……え?」 「え?」 あれ? 「……」 桐乃は中途半端なポーズで静止し、ポカンと口を開け、ちょっと呆けたような表情で俺を見つめる。 俺は俺で、自分の言った言葉の意味を再確認しつつ、緊張に身を固くしつつ桐乃の反応をうかがう。 すると、桐乃の顔がどんどんと険しくなる。眉が激しくつりあがり、頬はまるでひきつったように痙攣している。 そして、顔は紅潮し、耳まで燃え上がるように赤くなっている。こ、これは……爆発寸前っ!? しかし桐乃は怒りを爆発させる前に、堪えられないとばかりに、バッと勢いよく俺に背を向ける。 左手のこぶしはしっかりと握り締められ、右手は呼吸を整えるかのごとく胸を押さえている。 どうも、怒りを静めて下さっているらしい。ううむ、もしかしてコイツ、ちょっとは大人になってきたのだろうか? 「ふ……ふ~ん」 桐乃は、変わらず背中は俺に向けたまま、首だけ軽く捻って、わずかにこちらに視線をよこす。 「そ、そう。……あ、あんたが嫌だったんだ。なるほどね~。だからあんなに必死だったワケ?」 「ちっ! 違っ……!」 いつもシスコンと俺をからかう時と同様の桐乃の口調に、反射的に否定しようとしたが、その前に桐乃が言った。 「考えてあげてもいいよ」 「へ?」 「あ、あ、あ……あんたがどうしてもって言うなら、理由によっちゃ考えてあげるって言ってんのっ!」 「ま、マジかよ……?」 桐乃はゆっくりと俺の方に向き直り、まだ、顔に赤味を残したまま、コクリと頷く。 これは怪我の功名と言っていいのだろうか。 どうも、俺は「当たり」を引いてしまったらしい。 つまりはこういう事なのだろう。こいつは、自分の感情を理由に責任を放棄することは 絶対しないってことなのだ。自分さえ我慢すれば済む事ならば我慢し、自らの責任や義務をまっとうする。 それはおそらく、コイツのポリシーと言ってもいいようなものなのだろう。 しかし、他の人間を理由にできるなら話が別……ってことなのかな。 いや、果たしてそうなのだろうか……? なんだかそれもこいつらしく無いような気がするのだが……。 「ただし、理由次第だから」 「え?」 「なんであんたはそんなに嫌なワケ?」 桐乃はビシっと指を俺につきつけて質問してきた。 「そ、そんなの決まってるだろ!?」 「だから、決まってるって何が?」 「そりゃ、何がって……」 あれ? 何がだ……? っていうか、なんで俺、こんなに一生懸命やめさせようとしてるんだよ? こいつ自身は、いまさらパンチラ写真くらいで動じないって言ってる。 実際、すでにこいつの微エロ写真はネットに出回っちまってる。 なのになぜ、納得いかないのか? パンツだからか? やはりパンチラと、きわどいユニフォームでは価値が違うからか? いや、でもそれは本人が恥ずかしがってこそというか……ああああ、もう、わけわかんねえっ! 「じゃあ聞くけど! お、おまえこそ、なんで俺が嫌って言うのなら、やめてもいいんだよ!?」 「はあ!?」 俺は、桐乃に提示できる理由を見つけられず、とっさに別の疑問で返した。 「だから、あれだけやめるの嫌がってたくせに、なんで俺が嫌だって理由で 再考するとか言い出したのかって聞いてんだよ!」 「そ、それは……」 半ば逆切れ気味の俺の言葉に、意外にも桐乃はたじろいだ様子を見せる。 一瞬、泡を食ったような顔をし、言葉を探すようにしばらく目をキョロキョロさせた後、 気を取り直したように俺を睨み付けながら言った。 「べ、別にあたし、やめるのを嫌がってたわけじゃないし! ただ、あんたがあたしに嫌ならやめろって言うからでしょ!? あたしは別に嫌じゃないんだから、やめる必要ないじゃん!?」 正論だった。正論だったが、俺はその言葉の中に突破口を見つけた。 「じゃ、じゃあ、おまえもやめるのが嫌なわけじゃない、そうなんだな?」 「え?」 「今、言ったじゃねえか。やめるのを嫌がってたわけじゃないって。やめてもいいって事なんだろ?」 「だ、だから言ってるでしょ。あんたが、そこまで嫌なんだったら理由によっちゃ考えてもいいって! でも、理由なくはやめられないから。だって、あたしが出ないと編集部の人とか困るし……」 確信した。こいつはあくまで義務感でやろうとしているだけなんだ。 理由さえあればやっぱりやめたいんだ。あやせが言ったとおり。 やっぱりもくそも、最初からわかってた事なんだけどな。ただ、俺の追及の仕方が悪かっただけで。 「オーケイ、わかった。ちょっと落ち着いて考えようぜ」 「あ、……あたしは最初から落ち着いてるっての!」 「わかったよ……。じゃあ、俺が落ち着くのに協力してくれよ」 ここはとにかく下手に出る作戦でいく。 「ふ、ふん。まあ、いいケド……」 よし、作戦成功だ。 やっとスムーズに事が運びそうなのに、ここでヘソ曲げられたら元も子もないからな……。 「で、話を戻すとだな……。俺が嫌な理由をおまえが納得できれば、やめるんだよな?」 「本当に納得できればだけどね。……さあ、り、理由をとっとと言いなさいよ」 桐乃は椅子に座り込み、両の手で制服のミニスカートの裾をしっかり掴み、 上目遣いでねめつけるようにして俺を見る。 俺はその視線に、内心緊張しながらも、平静を装い答える。 「お、俺としてはだな。盗撮されたりしたものは仕方ないとして、やっぱりおまえが 自分の意思でそういう写真を撮られるってのが納得できねえんだよ」 「だーかーら、言ったじゃん。盗撮されるよりは、ちゃんと撮られる方が……」 「そう言う意味じゃないんだって!」 先ほどと同じ返答を繰り返す桐乃の言葉をさえぎりながら俺は言った。 「出来上がった写真云々じゃなく、おまえが自分の意思で、そういう写真を撮られるって事自体を問題にしてんだよ」 「何? あたしがあたしの意思でやる事に文句あるわけ?」 「いや、そうじゃなくてだな……」 ううむ。やっぱり上手く伝えるのは難しいな……。 なんとか具体的な例をでわかりやすく説明を……。 「ええと……たとえばだな、俺がお前の胸を触っちまったとする」 「──っ!」 桐乃が目を丸くし、顔を真っ赤に火照らせる。 「キモッ! な、なに堂々と妹にいやらしい事する妄想語ってんのよっ! この変態っ!」 瞬時に怒りを沸騰させ、いまにも掴みかかってきそうな勢い。 「ち、違う! た、たとえ話だろ!? 最後までちゃんと話を聞けっつーの!」 俺は身体を丸めて腕でガードしながら言葉を続ける。 「い……いいわよ。続けないさいよ……」 「お、おう」 俺はそう答えながらも、ベッドの上を一番壁際までずり下がり、桐乃からなるべく間合いを取った。 一日に何度も、理不尽にぶん殴られるのはゴメンだ。 「で、だな。もしその時、俺が『わざと』おまえの、む、胸を触ったんだとしたらどうする?」 「な……っ!」 再び桐乃が目を丸くし、口をあんぐり開けて頬を紅潮させる。そして右の手の拳がしっかりと握りしめられて……。 「待て──いっ!? たとえ話だって言ってるだろうがっ!」 身の危険を感じ、あわてて抑止の声を上げる。 「あ、あんた、いつかのはやっぱり、わざと触ったんでしょう! え、エッチっ!」 「いつかのって……ち、違──う!」 いつかのってのは、夏頃、桐乃の友達が来てた時に沙織が送ってきた同人誌入りの箱を巡って とっくみあいになった時の事だろうけど……とんだ冤罪だよ!? しかも、エッチって! なんかいつもの変態呼ばわりよりショックなんだが……おまえ、本気で誤解してるんじゃねえだろうな!? 「何度も言うがたとえ話だからな! で、もしだ。実際には絶対そんなことまったくもってありえないけれど、 か、仮に、俺が……わ、わざと触ったりしたんだったらどうするよ?」 ここまで言っても、桐乃は連想と、それに伴う怒りの感情を抑えられないらしく、 顔を真っ赤にし眉と目を吊り上げたまま答えた。 「そ、そんなのっ……! ぶ、ぶっ殺すに決まってんじゃん!」 こええっ! 目がマジっぽいんだが……。 しかし、ビビってばかりはいられない。話を進めなければ……! 「よ、よし、わかった。じゃあ、逆に、あくまで事故だった場合は? 悪気の無い全くの事故」 「それでもブッ殺す!」 「なんでだよっ!?」 それじゃ、話がすすまないだろうがっ!? おまえはもっと、人を許す心を持ちやがれ! 「も、もうっ! そのキモイ話が、どう関係あるのよっ!?」 桐乃はバタバタと地団駄を踏みながら全身を使って不快感を訴える。こいつめ、一体どこが冷静なんだか……。 「だ、だからだなあ。同じことでも、ワザとなのとワザとでないのとでは、違うって事が言いたいんだよ」 「何? じゃあ、あたしが自分で写真のモデルになるのと、あんたが……そ、その…… あ、あたっ、あたしの胸を触るのは同じことだって言いたいワケ!?」 「ち、違うって! そこじゃなくて、同じ事でも自発的かどうかが問題だって言いたいんだよ、俺は!」 ところでなんだよ、その両腕で胸を隠すような仕草……。こないだのあやせを思い出しちまった……。 くそ、こいつらは親友同士揃って、この俺をそんなに変態に仕立て上げたいのかよっ? 「ンもう……っ! もうちょっとマシな理由が出てくるかと思ったら、全然、話にもなんないじゃん!」 そう言って桐乃は、プイっと横を向いてしまう。 「なんだよ。じゃあ、どんな理由なら納得したんだよ、テメェはよ!?」 なかなか上手く話が通じないので、俺も次第に苛立ちが怒りに変わりはじめていた。 「ハァ? なんでそんな事、あたしがイチイチ教えてやんなきゃならないワケ? 自分で考えろっての!」 「考えてもわかんないから聞いてるんだろ!?」 「わかんないって事は、あんたには、そんな理由ないってことじゃないの? ばっかじゃん?」 「無いわけねえだろ! 無かったら、テメエの事なんかでこんなに必死になるかよ!」 「はっ! 必死になってたんだ。何を必死になってんだか、このシスコン! キモすぎぃ~」 「そうかよ。俺がバカだったよ! もう知るかっ!」 俺はそういい捨てて、桐乃のベッドから飛び降りる。 そして扉を開けて出て行こうとすると、背中から桐乃の声が飛んできた。 「な、なによ! もう諦めるワケ? ダサッ!」 ……諦める……だと? 俺は妹のあまりに勝手な物言いに、振り向きざま、キレ気味に答える。 「諦めたんじゃねえよ! 呆れたんだよ! 何、勝手な事ばっかり言ってやがる!? もう好きにしやがれ!」 「な、何よ。やっぱ、あたしの事なんてどうでもいいんじゃん。 なら最初から中途半端に兄貴面してちょっかいかけてくんなっ!」 「ふざけんな! 大事な妹のこと、どうでもいいわけなんてねえだろっ! でも、おまえがそんなに非協力的だったらどうしようもねえじゃねえか!」 「っ……!」 ……この時俺は、微妙なバランスで頭に血が上っていたらしい。 妹に対し、完全に怒りでブチ切れるほど頭に血が上りきっていたわけでもなく、 しかし自らの『スタンス』を忘れてしまえるくらいには血が上っていたのだった。 「あんたたちー、何騒いでるの? 今日は早めに夕飯するからいるなら降りてきなさい」 不意に下からおふくろの声がした。 どうも、いつの間にか習い事から帰って来ていたらしい。 ちょっとやそっとじゃ下まで声は聞こえないはんずなんだが……よほどエキサイトしちまってたようだ。 「……っ」 桐乃に目を戻すと桐乃は視線を俺からずらし、歯軋りするような表情で自分の足元を睨み付けていた。 「……先、降りるぞ」 俺はそう言って、桐乃の部屋を後にした。 夕食時、また喧嘩でもしていたのかとおふくろに突っ込まれたが俺も桐乃も無言だった。 親父は今日は遅いらしい。だから夕飯はスーパーの惣菜に手を加えた、おふくろ得意の手抜き料理だった。 「ごちそうさま」 桐乃はいつも通りの小食で、一番に食事を済ませると食器を流しに持って行き、そのままリビングを出て行った。 すると再びおふくろは、俺に質問を投げかけて来る。 「あの子、何かあったの?」 「……知らねえよ」 「ちょっとぉ、京介!」 「……ごちそうさま」 俺は残った飯を一気にかっ込むと挨拶と食事の後始末をして、まるで桐乃を追いかけるようにリビングを出た。 もちろん、俺にそんなつもりがあったわけではない。 しかし、階段を上っていくと、桐乃が自分の部屋の扉の前に立っていた。 「……!」 正直、かなり驚いたが、平静を装いその前を素通りしようとする。 なんなんだ、こいつ……。俺を待ってた……のか? いや、そんなわけは無いか。でも、じゃあ、ここで何してる? そんな思考を渦巻かせながら、俺は桐乃の前を抜け、自分の部屋の扉に手をかける。 「あ、兄貴っ……!」 背中からかけられた声に全身で反応する。なぜか鼓動が高くなる。 俺はゆっくりと妹の方を振り向く。 すると桐乃は、ミニスカートの裾を手でしっかりと握り、全身を硬直させるようにして立っていた。 そして、震える声で何かを言おうとしている。 「あのさ……さ、さっきは、ご……ごめ……っ」 ごごめ? 何が言いたいんだ、こいつ? 俺は何やらただならぬ妹の様子に、さっきの怒りは半ば忘れて、その様子に目を惹き付けられていた。 すると桐乃は、くちびるをぎりっと噛み締め、顔を上げ、いつもの居丈高な様子で俺にこう言った。 「きょ……協力って、何すればいいのよっ!?」 「あん?」 「ハァ? なにすっとぼけてんの? あんたが言ったんでしょ。あたしが非協力的だって!」 そんなこと、言ったっけ? ……言った気もする……が。 俺もさっきは頭に血が上ってたから、どういうやりとりしたか、イマイチ思い出せない。 頭の中を思考がこんがらがったまま、俺は妹の顔を見る。 相変わらず、怒りを露にした表情ではあるが、一応、さっきの話を続けたいとは思ってるのだろう。 「どうする? 今度は俺の部屋に来るか?」 そう聞くと、桐乃は首を振って自分の部屋の扉を開いた。 そうだっけな。俺の部屋は汚いから入りたくないんだっけ、おまえ。 桐乃の部屋に入ると、俺と桐乃は先ほどと同じポジションに腰を下ろす。 すると早速桐乃が口を開いた。 「で、協力って何しろってわけ?」 「……」 正直、俺にもわからなかった。そもそもこの会話の目的さえも、俺は見失いかけていた。 桐乃の写真がパンチラ写真集に掲載されるって聞いて、やめさせないと……と俺は思った。 あやせにも頼まれた。 そこで俺は、この妹を説得しようと試みた。 しかし、こいつは、俺やあやせの心配を他所に、パンチラくらいなんでもないと言い放った。 すでにネットに、自分の微エロ写真なんていくらでも散らばってしまっていると言って。 もういいんじゃないのか? それで。こいつも納得してんだし、それでこいつがお世話になってる 編集の人も喜ぶ。万々歳じゃねえか。なのに──。 「……別に、具体的にこれをして欲しいってのがあるわけじゃねえよ」 「……」 こういうとまた罵倒されると思ったが、桐乃は何も言わなかった。まるで俺の次の言葉を待ってるように、 じっと俺の方に耳を傾けているようだった。だから、俺は無理やり次の言葉を自分の中から引き出した。 「おまえが、そんな写真を撮られるべきじゃないって事だけはわかってる。 が、どうすればおまえを説得できるのかわからない。だから、それを一緒に考えてくれ。 ……もし、協力してくれる気があるんならよ」 我ながら、むちゃくちゃ言ってる気がする。相手を説得する方法をその当人に聞くとかありえねえ。 しかし、予想に反して桐乃は言った。 「……わかった」 「え?」 「わかったって言ってんの。一緒に考えてやりゃいいんでしょ! ただし、今夜だけ。 で、それでも無理だったら大人しく諦めてくれる? ウザイから」 「あ、ああ……わかった」 そう答えたものの、俺にはこいつの真意がさっぱりわからなかった。 いや、なんとなくはわかっていた。わかった気になっていた。 こいつも、本心ではそんな冊子に出たくない。だから自分自身への言い訳を探しているんだろうと、 そんな風に決め付けていたのだから。 しかし、それがまったく的外れだと気付いたのは、こいつが俺の目の前からいなくなった後の事だった。 「で、あんたはどうして、そんなにあたしの……その……写真を撮らせたくないわけ? あ、あたしのため?」 「ま……まあな」 「ふ、ふうん」 桐乃は何の感銘を受けた様子もなく、そう呟くように頷いた。そして俺の言葉をしばらく待っていたが、 なかなか俺から言葉が出ないと、しびれを切らしたように自分から再び口を開いた。 「あのさ。何度も言ったけど、あたしは別にかまわないんだから、あたしのためって言われても困るんですケド?」 そう、唇をとがらせつつ、半分呆れ口調で言う桐乃。 そうだ。そこでかならず行き止まるんだよなあ。 が、桐乃の言葉はそこで終わらなかった。 「……で、でもさ。もしかしたら……とにかく、あ、あんたが……『あんた自身』が嫌だから、 出ないでくれって、土下座して頼んだら……その、出ないかもしれなくない?」 そう言った後、桐乃は妙に落ち着きが無くなった様子で手足をピコピコさせていた。 おれはその様子をしばらく眺めながら、桐乃の言葉を咀嚼する。 「しれなくない……って、どういう意味だよ。土下座したら出ないでやるってわけじゃねえのかよ?」 もし、そうしてくれるんなら、この際、土下座してやったっていいよ。それくらいの気持ちにその時俺はなっていた。 「だ、だって。それは実際にされてみないと判らないしィ」 「ううむ……」 どうする? とりあず頭を下げるだけならタダだからと割り切ってやって見るか? 一瞬だけそんな考えもよぎった。しかし、すぐさま俺はその自分の考えを打ち消した。 「ふん、そんなことしても無駄だろ。おまえは、おまえなりに考えて、出るって結論を出したんだろ? 自分で考えて決めた事を、誰かが自分の都合で反対したからって翻意するようなおまえじゃねえだろが」 俺のその言葉を桐乃は目を丸くして受け止めた。 そして、何かを言いたそうに唇がふるえた……気がしたが、それは声にはならなかった。 しかし、一瞬、間を置いて、桐乃はいつもの調子でこう言い放った。 「ま、まあね。あったりまえじゃん? ふふん。あんたも、あたしの事、少しはわかるようになって来たんじゃない?」 ……だとよ。ちっ。この後に及んでまだからかおうとしてたのかよ。 「だから、お前が考慮に入れてないポイントがあるんじゃないのか、そういう事なんだよ。うまく説明できなかったけど、 必ず、そういうポイントがあるんだって。それは間違いねえんだよ」 「ふぅん。でも、それってさあ、あんたの思い込みって可能性もあるんじゃない?」 「……まあな」 俺はその点は素直に認めた。確かにそういう可能性はある。 「もし、そうならそうで、俺は自分を納得させたいんだよ」 「なに、それ。随分、自分勝手な話ね」 く……普段、自分勝手なことはかり言ってるテメェにだけは言われたくない台詞だぜ、それは! 「ま、いいわ。そのかわり、あんたが納得したら、あやせの事も説得してよね」 「え?」 「当然でしょ。あんたは、あやせに言われてあたしを説得してるんだから、あんたが納得したら ちゃんとあやせも納得させてよ」 「べ、別に俺はあやせに言われたからってわけじゃあ……」 「どっちにしても。あたしだって、あんたに協力するんだから、あんたもあたしに協力しなさいよ。 あたし、今はあやせと喧嘩したくないの」 「ちっ……わかったよ。その代わり、おまえももう一度、俺と一緒に出るべきかどうか考えるんだぞ」 「わかってるって」 ふん。なるほど、俺の話に乗ってきたのは、そういう魂胆もあってのことか。 あやせを説得するより俺を説得する方が楽とふんだわけね。 「さあ、じゃあどうすんの?」 「だ、だからおまえが本当にそういう撮影されるのが平気なのかどうかの再確認をだな」 「わかってる。だから、どうやってそれを確認するってワケ?」 桐乃は畳み掛けるようにおれに質問を浴びせる。 「……そうせかすなよ。今、考えてるんだからよ。お、おまえも考えろよ、そういう約束だろ?」 「はいはい……あ、あたし、もう思いついちゃったんだけど?」 「なに!?」 俺は思わず、驚きの声を上げた。その俺の様子に桐乃は満足げな表情で、自分のこめかみを指で指す。 「ま、あんたとは色々、デキが違うからね~」 「ちっ……で、なんだよ。その思いついた事を、とっとと言ってみろよ」 「なあに、その態度……まあ、いいわ」 桐乃はそう言って、机の引き出しをごそごそ探りはじめた。 そして、ひとつのデジカメを取り出す。 「はい、これ」 そしてそのデジカメを俺に手渡してきた。 「な、なんだよ……これ?」 すると桐乃は顔を紅らめながら、恥ずかしそうに視線をそらす。 な、なんだよ、その態度……こっちまでドギマギするじゃねえか……。 「だ、だからさ。試しに、撮ってみれば……いいじゃん?」 「は?」 俺は妹の言ってる意味を全く把握できないまま、問い返した。 「だ、だから! あんたが、試しにあたしの写真とってみたらどうかって言ってんの!」 今度は態度を一転。急に怒り出す桐乃。なんなんだよ、まったく……。 「俺がおまえの写真撮って、どんな意味があるんだよ?」 た、たしかに被写体としちゃ魅力的なことは認めるけどよ……いきなり脈絡なさすぎるだろ。 「も、もう。あんた、わざとすっとぼけてるんじゃないでしょうね? でなければ、ちょっと鈍すぎ! もう少し、頭使ったらどうなの?」 「あん? いきなりカメラ渡されて、撮ってみればって言われてもわけわかんねえって」 「も、もぉ~~~ああぁぁぁぁ」 桐乃は激しく苛立ちを表す。 「だから、あんたがあたしのパンチラを実際に撮ってみればいいんじゃない? って言ってるの! っていうか、こんなことはっきりと言わせんな! 変態っ!」 「え……ええっ!?」 お、俺がおまえの……その……パンチラを撮る……のか? 「バ、ババババ、バ……バカ野郎っ!? そ、そんな事できるわけないだろっ!」 「な、ななな、なんでよっ? あ、あんたが実際に撮ってみるのが、一番手っ取り早いでしょ?」 「何が、どう手っ取り早いんだよ!?」 「あ、あたしがそのくらいの写真、撮られるのなんて全然平気だってことがわかるじゃん!」 ……な、なるほど。で、でもなあ。 「……あ」 その時、俺はようやく自分がひっかかっていた部分に気がついた。 「わかった……俺が、納得できなかった理由がよ」 「え?」 桐乃の提案がヒントをくれたのだ。 「盗撮されたりしたのは、おまえの責任じゃないからいいよ。でも、やっぱ、自分からそういう事するのは…… そ、その……す、好きな男相手にするべきなんじゃないか……って、そう思うんだよ」 「ハァ?」 今度は桐乃の方が意味がわからないと言った顔でつっ立っている。 「だ、だからよ。ファーストキスとか……初めての……とか、そういうのって女の子にとっちゃ大事なものだろうよ?」 「……」 桐乃は苦虫を噛んだような顔で、俺をにらみつける。 「な、なあに。それ……マジで言ってる?」 「あ、ああ。もちろんだ」 「はあ……じゃあなに、初めてのパンチラは好きな男に見てもらえ、そう言いたいわけ? 何よ、それ」 「見てもらえっていうか……自分から見せるのは、やっぱり好きな男相手にするべきだって言ってんだよ」 「ばっかみたい。じゃあ、ヌード写真出したりしてる女優さんはどうなのよ」 「あ、ああいう人たちは、一応、ちゃんと恋愛して……ちゃんと経験積んでからああいう写真撮ってるんだろ?」 知らねえけどさ。たぶん、そうだと思うぞ。 「ふぅ……」 桐乃は話にならないと言った風にため息をつく。 「な、なんだよ」 「あんたが言いたいのは、つまりこういう事でしょ? 女の子なんだから初めては大切にしろ……って」 「あ、ああ」 なんか、そういう言い方されると陳腐に聞こえるが、まあそういう事だ。 「あんた、女を馬鹿にしすぎ」 「な、なんでだよ!」 むしろ、そういうのを大切にしたがるのは女の方じゃねえのかよ!? 「あんたのその考え方ってね、処女厨って言って、エロゲファンの中じゃ嫌われるのよ?」 「あん?」 なんで、いきなりエロゲ? 「何か、初めてってのを特別に思うのって、女を馬鹿にしてるって言ってるの……! なあに? じゃあ女は初恋の相手以外、好きになっちゃいけないってワケ?」 「だ、誰もそんなこと言ってないだろ!?」 俺、そんなことこれっぽっちも思ってねえし! 「言ってるも同じ。じゃあさ、誰かと付き合ってキスして……エ……エッチまでしちゃった子はどうしたらいいの? あ、あんたが言うように、初めてがそんなに大事だとしたら、その子が次に恋をした時に どうすればいいのよ? その子はもう、大事なものを新しい彼氏にはあげられないってワケ?」 「え?」 「初めてとかに特別な意味なんて無いよ。そんなのに価値つけたがるのは、ただの男の勝手な独占欲でしょ?」 俺は軽いショックを受けていた。確かにこいつの言う通りかもしれない……と。 その時俺は、こいつの書いた携帯小説の主人公、「理乃」を思い出していた。 数々の男性遍歴を経て、売春までやって、しかし最後には純愛を貫く。 最初に聞いた時は、こんなヒロインありえねえと思ってが……その点は確かに俺が間違ってたかもしれない。 ただ、俺にもまだ言い分はあった。 「で、でもよ」 「なに?」 「おまえの言う事はわかるよ。で、でもよ。好きな子に独占欲持つのってそんなに悪い事か?」 「そ……そりゃ、そうじゃん。女はモノじゃないんだから! それを、処女じゃないからって中古とか言ったりするのって最低だと思う」 「そういう意味じゃねえよ! その中古だなんだって言い方は確かに酷いかもだけどよ……俺が言いたいのはそんな事じゃなくて…… す、好きならその相手の全てを独占したいって思うのは、男なら当然なんだよ。それだけ愛してるって事なんだから」 「それは男の勝手な理屈でしょ?」 「違うよ。女だってそうだろ? 男が浮気したら怒るじゃねえか!」 「そ、それとこれとは違うじゃん!?」 「違わねえよ。好きなら出来る限り、その全てを自分のものにしておきてえんだよ! 好きな子の裸とか、エッチな姿とか、 他の男には見せたくない……そういうのは、全部、自分ひとりで独占したいと思って、何が悪いんだよ!?」 「やっぱり同じじゃん! 経験ある子は、あんた以外の男に、そういう姿全部見られてるんだよ? そういう子は あんたにとっちゃ、独占できない無価値な子なんじゃないの?」 「違うだろ! 独占できるから好きになるわけじゃねえんだから! 好きだから独占したいって思うんだよ! 独占できないからって価値が無いとか、嫌いになるとか……そんなのありえねえって!」 「……!」 激しい言葉の応酬の後、桐乃はそこで突然口をつぐんだ。 沈黙がしばらく続くと、俺はどうしようもなく恥ずかしくなってきた。 妹相手に恋愛論を熱く語るとか……ありえねえだろ……。 俺が、自らの発言を後悔し、羞恥に打ち震えていると、桐乃はようやく口を開いた。 「好きな子のエッチな姿は他人には見せたくないんだ……?」 「あ、ああ。それが男としちゃ普通だよ」 「ふ、ふうん」 「?」 予想に反して、どこか納得したような……満足したような様子を桐乃は見せる。 「ま、まあ……あんたの言う事も、全然わからなくはないけどね……。女の子にだって、好きな相手を独占したい、 好きな相手に独占されたいって気持ちは当然あると思うし……初めては好きな人とって思うのも普通の事だし」 なんだよ、こいつ。ちゃんと俺が言いたい事、わかってくれてるじゃねえか。 「俺が言いたいのもそういう事だよ。で、以前好きだった奴に……その……だったら、まだ納得もいくだろうけどよ、 もしおまえが誰かを好きになった時、その……初めてを……無駄に使っちゃってたら、きっと後悔するぞ?」 俺は非常に恥ずかしい思いをしながら語った。 同時に、ようやく自分が言いたかった事を上手く伝える事が出来て、満足もしていた。 ただ、わからないのは、こんな事をどうしてすぐに思いつけなかったのかと言う事だ。 『初めては大切にしろ』なんて、これまで何度も、ドラマや漫画で繰り返されてきた陳腐な台詞、おなじみの決まり文句のはずだ。 そこだけが疑問だが……。 まあ、いい。桐乃も納得したし、これで問題は片付いたんんだから。 「あんたの言いたい事はわかった。でも、あたし、写真撮るから」 「ああ、わかってくれたならそれでい……イイッ?」 今、こいつ写真撮るって言ったか? 「な、なんでだよ! 俺の言う事、わかったんじゃねえのかよ!?」 しかし、桐乃はしれっとした顔で答える。 「あんたの言いたい事はわかったよ。パンチラ見せるなら、好きな男に最初に見せろってんでしょ?」 あ、いや、その……まあ、そんな感じだけどさ。なんか、ストレートにパンチラって言われるとなんか馬鹿っぽいなあ……。 「でも、あたし、好きな男なんていないし。彼氏なんてそれこそしばらく作る予定ないし。 だから、初パンチラを大事にとっとけって言われても困る」 「いや、だからいつかのために……だよ!」 「こっちは、もうせっぱつまってるんだって。それに無駄に初パンチラ、他人に見せるわけじゃないし。 あたしはあたしがお世話になった人たちのためにパンチラするんだから」 「で、でもよ……!」 なんで、こうなるんだよ! くそっ……! そんな風に、俺が思考の奈落に落ちていこうとしていた時── 「だっ……だけどねっ!?」 と、桐乃が突然上ずった声を出しした。な、なんだ? 「あ、あんたの言う事もわかるの。あ、あたしだって、初めて見せるのはやっぱ、好きな男の方がいいなって思うし……」 桐乃は明らかに挙動不審な様子でそんな言葉を続けた。 いったい、何が言いたいんだよ? 「だ、だからさ! ……あんた、預かってくんないかな?」 「あずか……る?」 何をだ? 「だから……あたしの『初めて』……預かって欲しいんだって!」 なんとなく、こいつが一生懸命俺に何かを訴えてることはわかる。 だからその意を汲んでやろうとしているのだが…… 正直、まったく何を言いたいかはわからない。 「も、もっと具体的に言ってくれねえか?」 そういうと桐乃は不満げな声を上げる。 「ハァ? ここまで言ってもわかんないワケ!? も、もう……し、仕方ないなあ……」 そう言って桐乃は、ベッドの脇にうっちゃられていたデジカメを指で指す。 「だからさ。やっぱり、あんたが撮ってよ。あたしのパンチラ」 「なんでそうなるんだよっ!」 思わず思い切り突っ込みを入れてしまう俺。 「なんで、またそこに戻ってきちまったんだよ!」 「だ、だから! あんたが悪いんでしょ!?」 「俺が!?」 「あ、あたしは気にしてなかったのに、あんな風に言われたら、やっぱり気になってくるじゃん!」 「気になるって何がだよ……!」 「だから……初めてがどうのって奴……!」 ああ、なるほど。 つまりだ。最初はあまり気にしてなかった桐乃も、俺の説得に耳を傾け、それを受け入れた事で、、 自分の初めてのパンチラを誰彼かまわず見せる事に抵抗が生まれたと。 で、そこで俺にパンチラを撮って欲しい……と。ふむふむ。いたって自然な話の流れ…… 「……じゃねえ! だ、だから、なんで、そこでそうなるんだよっ!?」 全然、その事と俺が写真撮る事と、まったく話がつなってねーじゃんか! 「だ、だって! あたし、他に好きな男なんていないし! と、とりあえずあんたが最初だったら、ノーカウントじゃん?」 「どんな理屈だよ……それ……」 ノーカウントなら見ても意味無いんじゃないのか? 「そ、それにね? ……正直、写真みられる分にはまだいいけど、カメラマンには直接見られちゃうわけで…… そこらへんは、最初から全然抵抗なかったってわけじゃないしィ……」 そ、そうか。そういやそうなんだよな……。カメラマンってこういう時いやらしいんだよな。 あの手この手でモデルをその気にさせて、予定より過激な写真とったりよ…… え? なんでそんな事知ってるのかって? い、いいじゃねえか。推測だよ、推測! 「でもよ……俺が撮った写真なんて採用されねえだろ?」 プロの写真ってそんなに甘いもんじゃねえってことくらい、俺でもわかるぞ? 「それが、そこそこちゃんと撮れるなら、自分らで撮ってもいいって話なんだよね、これ」 「は? なんだよ、それ。本当にちゃんとした雑誌なのか?」 「うーん、あんまりちゃんとしてないかな。一種のお遊びみたいな本だし。ただ、プロモーション効果は大きいんだよね」 ああ、そういえば、あやせに去年の奴を見せてもらった時、俺も思ったんだっけ。 これ、プロが撮ったのか? ……って。あやせはプロが撮るって言ってたが、もしかしたら そうやって素人撮りした作品も混じってたのかもしれねえな。 「……まあ、あんたがどうしても嫌ってんなら、プロの人に撮ってもらうけどサ…… なんか、エッチすぎる写真を撮られちゃわないかちょっと不安だけど……」 そう言いつつ、俺の方をチラ見する桐乃。くそ……こいつ、完全に俺を煽ってやがるだろ!? 「わ、わかったよ! お、俺が撮ればいいんだろ?」 「あ、ほんと。じゃあ決まりね。どうする? 早速撮る?」 「と、撮るってここでか?」 「他に、どこで撮るの?」 「いや、まあ、……そうだな」 俺は単に、時間を稼ぎたくてそう言ったにすぎなかった。 正直、心の準備が出来てない。ここに来てちょっと話の展開が早すぎねえか? 「はい、これ。使い方わかる?」 俺は桐乃にデジカメを手渡され、使い方のレクチャーを受ける。 解像度の設定などは手早く桐乃がやってしまったので、なんのことはない、 俺はただ、シャッターを切るだけみたいなものである。 「いいよ。ポーズどうする?」 桐乃は椅子に軽く手をかけ、俺の真正面につっ立っている。 正直、ポーズと言われてもな…… 「じゃ、じゃあ適当に取ってみてくれよ」 なんか、以前、カメラマンがそんな事言ってるのをテレビで見たことがある。 自由にポーズとってみてとかなんとか。 が、桐乃はそれを許してくれない。 「は? 手抜きしないでちゃんと指示しなさいよ」 だとよ。そんな事言われても、こっちはズブの素人なんだぞ? 「……じゃ、じゃあ、右手で髪をかきあげてみてくれよ」 「こう?」 桐乃がふぁさっと長い髪をかきあげる。相変わらずこういうポーズは決まってやがる。 ……と、写真、写真。 「ワリィ。タイミング逃した。もう一度たのむ」 「いいよ」 心なしか、桐乃はいつもより素直に俺の言う事を聞いてくれる。 モデルとしてのプロ意識が出ちゃってるのかね? 再び桐乃が髪をかきあげて見せる。 今度はその瞬間を上手くとらえる事が出来た。 デジカメの液晶画面に俺がとった写真が映っている。 バストショットで構図も申し分ない。 「お、これ、なかなかいいんじゃねえか?」 そう言って桐乃に画面を見せる。 「……へ、へえ。あんた、なかなかやるじゃん」 「そ、そうか? へへ」 思わぬお褒めの言葉を妹からもらって俺は上機嫌になる。我ながら単純だな、まったくよ。 しかし、そんな風に俺が浮かれていると、 「……ま、モデルがいいからね。これくらいの写真は撮ってもらわないと」 桐乃がそんな事を言って水を指す。 「へえへえ。そうだろうよ。どうせ俺は素人ですからねえ」 「わかってんなら、いちいち拗ねないでよね。……でもまあ、この写真はいいと思うよ」 はん。それならいちいち下らない事言うんじゃねえよ。モデルがどうのとか…… そんなこと、あらためて言われなくてもわかってんだからよ。 「じゃあ、これは一応、保存……と」 俺は自分の初作品を誇らしげな気分でSDメモリに保存した。 「で、次はどういうポーズすればいい?」 「ええと……じゃあ、後ろむいて、髪をなびかせながら、さっとこっちを振りむく感じでどうだ?」 「髪を?」 「ああ。ほら、シャンプーのCMとかであるじゃん? あんな感じ」 俺の中ではすでに写真のイメージが完成していた。髪をふわりとなびかせる幻想的な妹の姿。 「ちょ! それは無理だってば」 「え?」 「あの髪がたなびくのは、風起こしたりしてやってんだから。普通にふりむいたくらいじゃ、あんな風にはなんないの」 「……え、そうなのか」 ちぇ、やっぱプロはいろいろやってんだな。 「じゃ、じゃあ、普通に振り返ってみてくれよ」 「……いいけど」 桐乃は俺が言ったとおり、まず俺に背中を向けて振り向く。単にふと振り向くだけでなく、 かなり大きなアクションをしてくれる。さすがプロ、こっちがやって欲しい事に出来る範囲で答えようってわけか。 カシャ! 「お──、これもなかなかのデキだぜ! 俺って、わりと才能あるんじゃね?」 な、なんか写真って楽しいな! 「なあに? 調子にのっちゃってさ」 桐乃がクスリと笑う。 「お!」 俺はすかさずそこをシャッター切る。桐乃の物だけあってなかなかいいデジカメらしく、 手ぶれ補正も強力なようで、見事に桐乃の笑顔が液晶画面の中に納まっていた。 「ちょ! ちょっと、不意打ちやめてくんない!?」 「いや、でも見ろよこれ! めっちゃ可愛いだろ! すげ──!」 俺は一瞬のシャッターチャンスを捉えた自らの傑作に有頂天になって桐乃に見せびらかす。 「か、かわ……!」 桐乃は目を見張って頬を紅らめる。 「ば、ばかじゃん……な、何言ってんだか……シスコン、キモすぎ!」 罵倒しつつも、そのまま恥ずかしそうな顔をしてうつむいてしまう。な、なんだよその反応はよ……。 その様子にこっちも恥ずかしくなり、思わず必死に否定する。 「ち、違うぞ! 俺が可愛いって言ったのは、あくまで写真の事でだな……」 「で、でも、それあたしの写真じゃん!」 「そ、それはそうだけど!」 うう……き、気まずい……。 まあ、こいつと気まずい感じになるのは今に始まったことじゃないんだけどさ。 ただ、今回はいつものとは違って……ま、参ったな……。 「……で! 練習はそれくらいでいいでしょ。そろそろ本番はじめたら!?」 妙な空気をかきけすかのごとく、激しい、怒るような口調で桐乃がそう言う。 「練習……本番?」 俺がキョトンとした顔をしてると、続けて桐乃が言う。 「……ちょっと、あんた、いったい自分が撮るべき写真がどういうものかわかってんの?」 「あ……」 思い出した。俺、こいつのパンチラ写真撮ることになってたんだっけ。 ……もっとも、どういう流れでそうなっちまったかは、さっぱり覚えてないけどな! と、言うわけで実兄による妹のパンチラ撮影会開始である。 ほ、ほんと、なぜこんな事になってしまったのだろう……。 「で、どういうポーズを取ればいい? 立ちポーズ? それとも座る?」 「え? じゃ、じゃあ座ってくれ」 俺は適当に答える。だって、どういう風に撮ればいいかなんてさっぱりだからな。 「床に? それとも椅子? ベッド?」 「え……と、じゃあ、椅子で」 桐乃はストンと椅子に腰を下ろす。そしてじっと俺の方を見つめる。次の指示を待っているかのように。 さ、さて……これからどうすればいいんだ? 初めてだから、やり方なんてさっぱりわかんねえし……参った。 「で、これからどうしたらいいワケ? さ……さっさと指示して欲しいんだけど!」 しびれを切らした桐乃がせっついてくる。 「いや、指示って言ってもよ……」 どういう指示出せばいいんだよ。 パンツみせろって指示か? 実の妹にパンツ見せろって指示しろってのか? ありえねーだろ……。 「お、おい。やっぱ俺には無理かも……」 思わず弱音を吐いてしまう。 「じゃ、じゃあ、あたしがイヤらしいカメラマンに恥ずかしいポーズとか要求されまくってもいいってわけ?」 「そ、そんな事言ってねえだろ!?」 っていうか、おまえさっきまでそんな心配してなかったじゃねえかよ!? 「じゃあ、ちゃんと責任もってあんたが撮りなさいよ」 「わかったよ……」 くそう。こうなりゃヤケだ! 「よ、よし。桐乃、そのままパンツ見せろ」 「いきなり何言ってんのよ変態っ!」 バチーン! 「痛ェっ──!?」 「あ……」 桐乃はしまったという顔で自分の手を見つめる。 「な、何すんだよ!? おまえが指示しろって言ったから指示したんじゃねえかっ!」 そんな俺の正当な抗議にも桐乃は悪びれずに反論する。 「だ、だって言い方ってもんがあるでしょ! 妹にいきなりパンツ見せろとかいくらシスコンでも変態すぎ! もっと、オブラートに包んでいいなさいよ! デリカシーってもんは無いの?」 怒ってるのか恥ずかしがってるのか、顔を真っ赤にして訴える桐乃。 「くぅ……! お、俺だって確かに変態だと思ったけどさ、他にどう言えばよかったってんだよ!」 くそ、思いっきりひっぱたきやがって……! 思わず涙目で訴える俺に桐乃も珍しく反省の弁を述べる。 「ま……まあ、今のはあたしも、少しは悪かったカモ……でも、やっぱ言い方考えてよ。 そうしたら、その……あたしのコト……あ、あんたの思い通りにしていいからさ」 「……! お、思い通りって……」 恥ずかしそうな顔でそんな事を言われて思わず俺の鼓動も早くなる。 ま、まるで初エッチするカップルみたいじゃねえか……って、やめろ俺のバカ! よりにもよってなんて気色の悪い連想しやがるんだ……! 妹の顔、まともに見れなくなっちまったじゃねえか!? 「と、とにかく! は、恥ずかしいのはあたしの方なんだからさ……そこらへん、少しは考えてよね」 「わ、わかったよ」 確かに言われて見ればそうだ。いや、でもそうならやめればいいんじゃねえのか? って、それじゃまた振り出しにもどっちまうか……。 とりあえず今、俺がすべきことはただ妹のパンチラ写真を撮るのみ。そう男らしく割り切っていくことにする。 いや、何も言わないでくれ……いろいろ間違ってるのは俺が一番わかってるんだ……! 「じゃ、じゃあ……少しだけ、足を……その……開いてくれるか?」 ああ、ドキドキする。なんだ、この激しい動悸は……人として道を踏み外そうとしている事への恐怖感なのだろうか。 「こ、こう……?」 桐乃は恥ずかしそうに顔をそむけつつも、少しだけ足を左右に開く。 しかし制服のミニスカートのプリーツが、足の間に落ちてしまい、下着が見える事はなかった。 「どう……かな」 桐乃はチラリと俺に視線をよこして尋ねる。 「いや……もうちょっと開いてもらっていいか?」 現状では、まったく見えていないので、俺としては不本意ながら、そういう指示を出さざるを得ない。 「え……もっと?」 桐乃はさらに足を開く。う……! か、かなりエロイポーズになっちまった。 「こ……これ以上はちょっと……恥ずかしいカモ」 珍しく弱音を吐くような言い方をする桐乃。 まあ、そりゃそうだろう。見てるこっちもかなり恥ずかしい。 っていうか、桐乃、おまえその表情どうにかならないか? な、なんていうか……もうちょっと自然体にして欲しいっていうか…… な、なんでそんなに上気した感じの顔になってんだよ……こ、こっちの身にもなってくれ……! 「ちょ、ちょっとそのままな……」 俺は姿勢を低くしてカメラを構える。直視する勇気は無いのでファインダーごしに確認する。 ぐいっと広げられた太ももにひっぱられて、股間部分を隠していたスカートのプリーツは浮き上がっていたが、 暗くてやはり下着は見えていない。 こ、こいつは弱ったな……どうすればいい? 「ちょっと……そ、そんなに覗き込むように見ないでよ……や、やだもう」 やだって! やだって言われても仕方ねえじゃん! 「暗くて見えないんだよ……その……スカート、少しだけ上にずらしてもらっていいか?」 「う……うん」 つつ……と、桐乃は制服のマイクロミニのスカートを引き上げる。 「どう?」 「も、もう少し……」 「……んっ」 さらに桐乃はスカートを引き上げる。 「み、見えた?」 「み……えない……」 もう少しなんだけどなあ……・。 「ふう……」 桐乃は、いままでまるで息をとめてたかのような大きなため息を吐き出す。 そして俺の方に目をやるととんでも無い事を言い出す。 「自分じゃやっぱ恥ずかしいから、あんたが調節してよ」 「ば、ばか! で、出来るわけねえだろ!?」 ほんとに、こいつはいつもとんでも無い事ばかり言い出しやがるなあ! 「だ、だって! あんまりガバって見えるのはいやだし……でも自分じゃギリギリに調節するの無理だし……」 「で、でもよう……」 妹のスカートをまくり上げるとか……それはやっぱマズいだろう……。 「あ、あんたにだったら、そういうい事されても……へ、平気だからさ! だ、だってノーカウントだし!」 なんだそりゃ。貴族のお嬢様が召使に裸見られても平気ってのと同じってわけか? くそ……っ。こっちはそういう風にはなかなか割り切れないんだっつーの。 そ、それとも割り切れない俺がおかしいのか……? 「は、早く……このポーズし続けてるのだって、ちょっとは恥ずかしいんだから……それともなに? あんた、あたしにこの格好を続けさせたくて焦らしてる?」 「ん、んなわけ無いだろ! ……わ、わかったよ。や、やればいいんだろ?」 俺は桐乃の元に近づき、その足元にひざまづく。妹の真っ白な太ももが視界いっぱいに広がる。 なんだか、すべすべしてて、触ったら気持ちよさそう……そんな邪念が思わず湧き上がったところで我に返る。 「く……!」 どうやら、この異常な状態が俺の頭をおかしくしているらしい…… いくら見た目が良くても、この小憎らしい妹なんかにそんな事を思うなんてよ……! こ、これじゃまるで、妹に欲情する変態兄貴じゃねえか……! 「ちょ、ちょっと! じっと見てないで、早くしてよ!」 桐乃が真っ赤な顔で注文をつける。わかってる。わかってるから、せかすんじゃねえよ! 「じゃ、じゃあちょっとスカートに触るな?」 「い、いいよ」 俺は妹の制服のスカートに手を触れる。女子の制服のスカートなんて考えたら今まで触った事ってあっただろうか。 教室ですれ違ったり、麻奈美と一緒に歩いてるときたまたまぶつかって手が触れたって事はあっても、 こうして裾を掴むなんてのは間違いなく人生初体験だぜ……。 「ず、ずり上げるぞ」 「い、いちいち断らなくていいから!」 「わ、わかった」 俺はツツ……と桐乃のスカートを引き上げる。ほんの少し引き上げたところで桐乃の顔をみると、横を向いて目をつぶっている。 まるで羞恥に耐えているかのような表情に、なんか自分が酷い事をしている気分になってくる。 しかし、もうここでやめるわけにはいかない。っていうかやめられない。俺は息をするのも忘れてさらにスカートを引き上げ続けた。 「……!」 見えた! 俺は言葉にならない叫びを上げる。 ついに、スカートの影から桐乃の下着が露になった。ほんの小さな白い三角形だが……。 「ゴク…ッ」 思わず喉を鳴らしてツバを飲み込む。その音に桐乃が反応する。 「あ、あまりジロジロみないでよ……」 いつものコイツらしくない、懇願するような声。 「お、俺にみられる分には平気だって言ったじゃねえか」 そ、そんな風に恥ずかしがられたら、俺だって変な気持ちになっちまうぞ! 「そ、そうだけど……ん……!」 「も、もうちょっとめくるぞ」 これくらいじゃ遠くに離れたらまた影になって見えないかもいしれない。俺は単純にそう思っただけだったのだが……。 「え……? ま、まだめくり上げるの……?」 桐乃の悲哀に満ちた声に再び罪の意識が湧き上がる。ただ、そこにはなぜか高揚感も存在していた。 「も、もう少しだから……我慢してくれ」 つつっとスカートを捲り上げる。もはや蛍光灯の光の元に、はっきりと白く輝くパンツ。 中学生にしては、細工の凝ったデザインなのが桐乃らしいといえば桐乃らしい。 まるでいわゆる、勝負パンツって奴みたいだ。……そんな風に俺は余計な事を考えつつ頭を紛らわせる。 そうでもしないと、なんだかおかしくなってしまいそうな予感がしたからだ。 「……ね、ねえ。は、恥ずかしいんだから、早く写真とってよ」 意識の外側から聞こえてきた妹の声に、我に返る。 「あ、ああ、わかった」 まいったな。余計な事考えすぎて、やるべき事を忘れてしまっていたぜ……。 俺はファインダーを覗き込む。うわ、やべえ。エロすぎるだろ、これ……。 ファインダーの中では、妹が、脚をガニ股に広げて、スカートをまくりあげ パンツというか股間を見せ付けるようなポーズを取っている。 顔は紅潮し羞恥に悶えているようだ。い、いいのかよ、こんな写真撮って……。 カシャ。 気持ちとは裏腹に、俺は速攻でシャッターを切っていた。 「と、撮った?」 シャッター音に気づいた桐乃が尋ねてくる。 液晶のプレビュー画面にはさっきと同じ、エロすぎる妹の姿。 「い、いや……ちょっと待ってくれ」 「ええっ……? 時間かかりすぎ! あ、あんた自分が見て楽しんでるだけじゃないでしょうね?」 「ば、バカ! 妹のパンツ見て楽しむとかどこの変態だよ!」 むしろ、こんなもの見せられて困ってるんだよ! ホント! 少なくとも困ってるってのは本当! しかし、この写真、どうしよう。桐乃のこんなエロイ写真、死んでも掲載させるわけいかねえぞ……。 「き、桐乃、脚を内股にしてみろ」 「え?」 「いま、ちょっとガニ股っぽくなってるから、内股に」 「こ、こう?」 桐乃はくるっと足首を回転させる。それに合わせて、膝もひっくり返り、内股になった。 よし……まるで大股開きのAVのパッケージ写真のようだったポーズが修整された。 うまいことに、さっきは心持ち露出しすぎだった下着も、いい感じにのチラリ具合になっている。 あとは……そうだ、この表情がいやらしいんだよ……そそる表情しやがって……まだ中学生のくせによ! そんな風に俺が悩んでいると、 「ちょ、ちょっと! まだなの?」 と、しびれを切らしまくってる桐乃が再び文句をつけてくる。 「あ、そ、それだ!」 「え?」 「その表情! なんか睨みつけるような感じで!」 桐乃はおなじみの眉をつりあげて、俺をねめつける。お、いい感じになった……気がする。 「よ、よし。撮るぞ」 カシャ。 うん、睨みつけながらも少し照れてるあたりが、いい感じになってる。 「よし、いいぞ、桐乃」 「ど、どんな感じになった?」 動悸を抑えるように手を胸に当てながら桐乃が聞いてくる。 「こ、こんな感じだが……」 デジカメのプレビュー画面を見せる。 「ふ、ふうん。わ、悪くないんじゃない?」 「そ、そうか」 ふう。やっと終わった、もう、たまんねえよ、これ。もう少し長引いたら、俺、おかしくなってたかもしんね──! 「じゃ、じゃあ次行こうか」 「へ? ま、まだ撮るの?」 「あ……あたりまえじゃん! こういうのは、いろいろ撮ってみて、後から選ぶの!」 桐乃は声たからかにそう宣言した。 く……! こ、こいつ俺をおかしくするつもりなんじゃないだろうな……!? 「で、でもさ。あ、あんたに撮ってもらって……良かった……カモ」 ポーズ変えをしようと、椅子から降りた桐乃が不意にそんな事を言った。 「え?」 「結構、き、綺麗に撮ってくれてるしさ。そ、それに……」 桐乃は視線を少しさまよわせ、そしてバツが悪そうに言った。 「思った以上に、恥ずかしかったしさ……カメラマンに撮られるの、やっぱり嫌だったカモ……」 「そ、そうか。そりゃ、良かった……な?」 「うん」 ニコリと笑う桐乃。つられて俺も笑みをもらしちまう。 ああ、しまった。今のも写真に撮っておきたかったぜ……。 「じゃ、次はどうするの?」 「そ、そうだな……」 珍しく妹に褒められて、ちょっと浮かれ気味の俺は、創作意欲を発揮して次々と桐乃のパンチラを撮影していった。 ※※※※※※※※※※※※※ 「こう、ベッドにうつ伏せになって、右足を軽く上げてみてくれ」 「こう?」 「そうそう。で、これ咥えてくれ……さっき下から持ってきたポテチな」 「……パリッ。あ、この味、美味しいじゃん。ほら、あーん」 「あん? ああ、美味い……って、食ってんじゃねーよ! 咥えるだけ!」 「わかってるって。こんな感じでしょ?」 「おう、リラックスしたいい感じ。日常でリラックスしてて自然に見えちゃってるって感じにしてえんだよ」 「……まさか、普段、あたしってあんたにパンツ見られ放題だったりする?」 「見てねえよ! そもそもおまえ、俺の前でリラックスしたとこなんて見せねえし」 「ふ、ふん……。も、もう、御託はいいから、ちゃっちゃっと撮りなさいよ」 「わかったよ。じゃ、じゃあ……ス、スカートめくるな?」 「う、うん……あん! ちょ、ちょっと!今、太もも撫でたでしょ!?」 「な、撫でてなんかねーよ!」 「ウソ! なんか、手が直接触れた感触だった!」 「た、たまたま触れちゃっただけだって!」 「ホントにぃ? ま、いいケド……」 ※※※※※※※※※※※※※ 「ねえ……さすがに、その……真下から撮られるのはちょっと恥ずかしいんですケド~」 「大丈夫、意外にあまり見えねえもんだぞ?」 「そんなわけ無いじゃん! ……も、もう、調子にのっちゃってサ」 「ほら、もうちょっとこっちに来てくれないと見えねえって」 「だから、嫌だってば。真下からはイヤ!」 「何いってんだよ、おまえ自由に撮らせてやるって言ったじゃねえか!」 「だって! あんたが、そこまで悪ノリするって思わなかったし!」 「わ、悪ノリなんてしてねえよ! 俺は純粋に良い作品を撮ろうと思ってだな……」 「何が良い作品よ……真下からスカートの中撮るとか、まるで盗撮じゃん」 「そこがいいんだろ。チラっとしか見えて無くてもエロく見えるんだよ」 「真下からじゃ、チラっじゃ済まないでしょ!?」 「大丈夫だって言ってんのに……じゃあ、スカート手で押さえていいからさ」 「もう、仕方ないなあ……」 「ほら、俺の顔を跨ぐようにして」 「こ、こう?」 「おう。い、いいぞ。そのままじっとしてろ」 「あ、コラ! 手で押さえて無いお尻の方は狙うな! あん、今度は前……も、もう変態死ねっ!」 ムギュ! 「痛ェ! か、顔を踏みつけるんじゃねえよ!」 ※※※※※※※※※※※※※ 「な、なあ、それだともはや、パンチラっていうよりパンモロにならねえか?」 「ふん。もう、さんざん見られた後だしィ。真下から覗いたりもしたくせにさ」 「い、いや。スマン……あれはちょっと調子にのりすぎた……」 「それに、かなりエロ可愛くない? このたくし上げって」 「そ、そりゃエロイし可愛いけどよ……それ撮ったとして、掲載する気あんの?」 「ん──まずしないけど、せっかくだから撮ってよ」 「なんだよそりゃ! 意味ねえだろ!?」 「だから、ついでって言ってんじゃん。一度、やってみたかったんだよね」 「わ、わかったよ……」 「あ、でも一瞬だけしかしないからね。さすがにちょっと恥ずかしいし……」 「恥ずかしいのかよ! じゃあ、やめりゃいいじゃん!?」 「で、でも! その……と、撮って欲しいんだもん……」 「わ、わかったよ……よ、よしどんと来い!」 「い、いくよ。……はいっ! はいっ! おしまい!」 「早すぎるわ! 黒猫じゃねえんだから、そんなの一瞬で撮る動体視力なんてもってねえっつの!」 「つ、つかえないなあ~~じゃあ、もっかい行くからね?」 ※※※※※※※※※※※※※ と、まあ、こんな感じで、俺は次々に妹のパンチラをカメラに収めていった。 しかし、何が悲しくて一晩中、妹のパンチラ写真を撮影し続けねばならんのか。 ……よもや、俺の状況を羨ましいとか思うやつは、いるまいな? 「さ……さすがに、もう、これだけ撮ればいいんじゃないか?」 俺は妹のベッドの上で壁にもたれかかったままそう呟いた。 これ以上、シチュエーションも思いつかないし。俺の方も色々な意味で限界だし! 「ま、まあね。こんなもんかな」 すぐ横で同じように壁にもたれかかってベッドの上でくつろいでる妹が答える。 時計を見ると夜中の2時を回っている。途中、入浴で一時間休憩したのを省くと 約5時間、妹のパンチラをひたすら撮り続けていた計算だ。 (ちなみに、その休憩時を俺はイロイロ有効活用させてもらった。でないと色々ヤバいとこだった……!) 正直、どんな写真を撮ったのかはっきりと覚えてない。半ば、頭の中は真っ白になりつつシャッターを 押し続けていたような気がする。 「ね、ねえ。あともう少しだけ、撮ってくれない?」 心身共に、疲労困憊して気が抜けてる俺に、桐乃がそんな事を言ってくる。 「まだ撮るのかよ……」 まあ、いいけどさ。こうなったらとことん、付き合ってやるって。俺も楽しく無い事はないしな……。 ……あ、いや、あくまでカメラマンの真似事するのが楽しいだけであって、 決して妹のパンチラ見るのが楽しいわけじゃないからな!? そ、そこらへん、くれぐれも誤解が無いように頼むぞ? 「じゃ、じゃあ、あんた後ろ向いててくんない?」 「あん?」 「そ、その、ちょっと着替えたいから」 桐乃が恥ずかしそうな顔でそう言う。するとちょっと麻痺していた俺の感覚も一瞬で元に戻る。 「そ、そっか。じゃあ、部屋から出てるな」 俺はバタバタと部屋を出て行こうとする。が、 「あ、いいよ。そっち向いててくれれば。すぐ終わるから」 「そ、そうか?」 「う、うん。だからそこに居て?」 「わ……わかった」 いや、どうせなら外に出てた方が、俺としてはずっと気が楽なんですがね……。 この状態で、妹が着替える衣擦れの音をすぐ背後に聞いていないといけないとか、拷問にも程があるぜ……! 「い、いいよ」 桐乃の声が背中から聞こえる。 「よし、じゃあ撮るか……って、おい!」 そこには桐乃が脱ぎ捨てた制服がおちていた。 そして、その代わりに桐乃が身に着けていたものは、薄いベットシーツだ。 そのシーツから、桐乃の下着と素肌が透けて見えている。 「な、何よ……! いまさらそんな驚く事ないじゃん? あんだけ人のパンツ見まくったくせに……」 桐乃はムスっとしたふくれっ面でそう言う。 「い、いやだけどよ! それとはちょっと違くないか!?」 「どこが?」 「だ……だって、パンチラはあくまで服を着た状態だけど、下着だけってのはどちらかというと 裸に近いイメージじゃないか? セミヌードって言うくらいだし!」 そんな俺の訴えに桐乃は渋々ながらも応じる姿勢を見せた。 「もう……わかったわよ。じゃあ、服着るから」 「そ、そっか」 すると桐乃は手近にあった制服の白いブラウスを軽く羽織る。 ただし、本当に軽く羽織っただけ。 前のボタンは開きっぱなしでブラにつつまれた胸は完全にはだけてる。 「これでいい?」 「変わらねーじゃんか!」 むしろ、余計エロくなっちゃったよ! 桐乃は俺の文句など無視して、ベッド脇にすっと立ち上がり、俺が一番初めに要求したのと同じ、 髪をかきあげるポーズを取ってみせる。ハイレグ気味の下着からのびる眩しい太もも、白くて長い脚。 形の整った中学生にしてはボリュームのある胸。明るいブラウンに染められたサラサラの髪。 少女らしさと大人っぽさがないまぜになった端正な顔立ちの、絵に描いたような美少女が半裸でこちらを見つめている。 俺は気が付いた時には、シャッターを切っていた。 桐乃は俺に一から十まで指示を要求していた先ほどまでとは違い、自らさまざまなポーズを取る。 どのポーズもばっちりと決まっていて、下着姿だと言うのにいやらしさはあまり感じない。 ファインダーの中の桐乃は様々な表情を見せつつ、時折、明るく無邪気な笑顔を俺に向けてくる。 それは俺に向けられた笑顔というわけではない。あくまでカメラに向けられた笑顔だと言う事はわかっている。 しかし、それがわかっててもなお、俺は妙な錯覚を覚えずに入られなかった。 もしかしたら、俺たち兄妹は、決して不仲などではなく── 「ねえ、あんたもして欲しいポーズとかある?」 「え? ……い、いや。俺はいいわ」 はあ。やっぱおまえはプロのモデルなんだなあ。全部決まってたじゃねえか、ポーズ。 調子にのってカメラマン気取りだったのが恥ずかしいぜ。 「そ? じゃあ、次行こうか」 「次?」 「う、うん……」 桐乃はそれまでのノリノリの様子から急に視線を落とし、もじもじとしはじめた。 しかし、わずかの後、ふっきりような顔を見せ、宣言した。 「じゃ、じゃあ……次はブラとるかんね?」 「なっ!?」 そう言って、本当にブラジャーを外そうとし始める桐乃。俺は顔を背けつつ大慌てでそれを制止する。 「ば、バカ! 冗談でもやめろ、そういうの!」 「バ……! だ、誰が、バカよ!? あ、あんたこそ、なんで今更慌ててるワケ?」 「あ、慌てるだろ!? おまえこそ、何、ごく自然な流れで下着取ろうとしてるんだよ!?」 「言ったじゃん! あ、あんた、あたしの初めて……預かってくれるって!」 「そ、それはパンチラの話だろ?」 「ハァ? だ、誰がそれでおしまいなんて言った?」 「い、いや、言って無いけど……普通はおしまいと思わねえか?」 そもそもがパンチラ写真を撮る必要に迫られたからそういう話になったわけで。 「こ、こんな事に普通がどうとか言われても困るんですケド?」 「俺も困ってるよ!」 「くっ……!」 すると桐乃は悔しそうな顔で視線を落とし、なにやらごにょごにょと呟いている。 そして、二度、三度と逡巡するようなそぶりを見せた後、ようやく俺に向かって話し始めた。 「あ、あんた、言ったじゃん? だ……だい……な……うと……だって……」 しかし、やはりそれははっきりと聞き取れない。 「な、なんだって?」 「だ、だから! ……あ……あたしの事、ど、どう思ってるワケ!?」 「え!?」 また、脈絡の無い突然の質問に俺は軽いパニックを起こしかけていた。 半裸の妹と向き合ってるだけでもパニクるには十分だと言うのに……。 「あ……あたしの事、可愛いって言ったじゃん!」 桐乃は目を食いしばって突然、そんな事を叫んだ。 「あ、あれは写真の事で……」 思わずしどろもどろになる俺。い、いきなり何なんだ? 「じゃ、じゃあ……あた……あたっ……あたっ」 あたあた? 「おまえはどこの北斗神拳伝承者だ?」 パニクりすぎて、一周まわって妙に冷静になった俺はそんな突っ込みを入れてしまう。 「ば、バカ! あ、あたしはどうなのか? って聞いてんの!」 「ど、どうって何がだよ!?」 「だから……! も、もう! ホント、あんたってば使えない!」 そんな風に小さく叫び声を上げながら、あろうことか桐乃はおもむろに俺の胸に飛び込んできた。 「え!? ええっ!?」 その勢いで俺は後頭部を壁にうちつけ、そのまま横にぶったおれる。 気付くとベッドの上で押し倒された格好になっていた。 俺は硬直したまま、自分に覆いかぶさっている半裸の妹の白い肩や腕をじっと見ていた。 こいつ運動部の癖に、日焼けしてないなあ……とか、なんでこういう時って、 人間、まったく関係ない事を考えちまうのかな? 一種の逃避行動なのだろうか? どちらにしても俺は言葉ひとつ発する事も出来ず、桐乃が何かアクションを起こすのを、ただじっと待っていた。 どれくらいの時が流れたのだろう。数秒だったかもしれないし、数分だったかもしれない。 どちらにしろ俺にはやけに長く感じた時が経過し、桐乃が俺の胸にうずめたままの顔をそっと上げた。 そしてちょうど、こいつが始めて俺の部屋を夜中に訪ねて来たように、四つん這いで俺の上に重なる形になる。 真っ赤に染まった上気した顔、潤んだ瞳、艶やかな唇……俺の鼓動は否が応でも高鳴る。 「……あたしの初めて、預かってくれるって言ったよね?」 「い、言ったけど、それは……」 「ちゃんと……全部預かってよ……」 そう言いながら、桐乃はすっとブラを外した。美しい双丘の先には艶やかな乳首が硬くなってツンと立っている。 そして、桐乃は俺の右手をぐっと掴み、無理やり自分の胸に当てる。 俺は心では抵抗しようとしたが、身体はそれに反応することはなく、なんなく俺の手の平は桐乃の左の乳房を 覆い隠すような形で押し付けられていた。 ……手のひらに固くなった桐乃の乳首の感触が伝わる。 俺は軽く手の平を動かして、その感触を確かめる誘惑に勝てなかった。 「あん……っ!」 その動きに呼応して桐乃が艶っぽい声を上げる。心なしか呼吸が荒い。そしてそれは俺も同じだった。 「あたし……嫌なの」 突如桐乃が語りかけてくる。 「あ、あたし……他の男なんて誰も特別にはしたくないんだもん……」 桐乃言う『特別』とは、俺が最初に説いた「初めての相手」の事を指しているのだろう。 「他人なんて……誰も、あたしの特別にはなれないし……」 なんなんだ? こいつ、もしかして男嫌いなのか? だからモテるのに彼氏作らないのか? それとも……最初からたくさんの男と恋愛するつもりなんだろうか。 だから、初めての相手とかはいらないとか……? この妹の考えてる事は本当に俺にはわからない。 ……しかし、なんだな。さっきも思ったけど、こんな状態なのにおかしいほど冷静だ。 そしてそんな風に冷静になりながらも、右手は妹の乳房を揉みしだきながら乳首を手の平の真ん中で転がす。 初めて知るその感覚に、俺は半ば、夢中になっていた。 おかしいほど……じゃなく、もしかしたら、既におかしくなってんじゃねえのか? 俺……。 そんな風に思考の波に飲まれながらも、俺は桐乃の言葉も反応もしっかり認識していた。 「だ、だから……あんっ! ……あ、あんたが預かってよ……あたしの初めてを全部……んんっ」 「ぜ、全部って……」 俺の脳裏には大きな不安と、そして同じくらいの期待感がよぎる。 しかし、俺は必死になって期待の方を打ち消した。 「な、何言ってんだ、バカ! や、やめようぜこんなこと……だめだって!」 「は……! 人の胸……んっ! ハァ……そんなに揉みながらそんなこと言っても……はぁん!」 説得力無いってか? そ、そりゃそうだけど……! 「それに、あ、あ、あたし、もう限界……あ、あんたがエッチな事ばかり要求するから……んんんっ!」 喘ぎ声を混ぜながら、そんな事を言うと、桐乃は今度は俺の左手を掴み、自らの股間へ持っていく。 桐乃の言う理屈はわかるようなわからないような……しかし、そんな事と関係なく、 桐乃の股間に当てられた手は、俺の意思とは半ば無関係に、桐乃の下着の感触をむさぼろうとする。 化学繊維のなめらかな手触りにレースのアクセントが手に心地いい。 そして、より「奥」の感触を得ようと手を伸ばす。すると手にひんやりとした感触が伝わる。と、同時に ぬるっとした感触が……。 「お、おい桐乃、これ……」 「ば、バカ! あ、あんたのせいだから! あ、あんたがイヤらしい目であたしを見るからそんなになっちゃったんだかんねっ!」 「お、俺のせいって……」 再び、湿り気のある部分を指で触れる。指先にぬるりとした感触。 「イヤッ……!」 桐乃が小さく悲鳴を上げる。俺はさらに、その濡れ湿った部分をまさぐる。すると乳首よりはかなり小さいが、 それだけにぷっくりとした固さの豆粒のような突起を弾いてしまう。 「ひゃんっ!?」 するとひときわ、桐乃が強い反応を見せる。俺は同じ反応を引き出そうと、何度も突起を下着の上からまさぐる。 「はぁん! い、いやっ! ああんっ!」 桐乃の反応が激しくなる。それに伴い、俺の理性は決壊していく。俺に残っていたのは激しい性衝動と、 この、可愛いはずなんてない、俺の、嫌いなはずの、嫌ってるはずの、妹を……、 ただ気持ちよくさせたい、快感に震える声をあげさせたいという欲求だけだった。 俺は桐乃の下着の中に手をつっこみ、桐乃の股間を直接まさぐる。あっという間に手が桐乃の分泌した液でぬるぬるになる。 ためしに肛門の方も触れて見る。桐乃は一瞬、嫌がったが、ツンツンと刺激してやると気持ちよさそうな声をあげた。 調子に乗った俺は、そのまま人差し指を肛門に滑り込ませようとしたが…… 「や! や、やだ! そ、そこはダメッ!」 と、桐乃が激しく嫌がったので途中でやめた。 しばらくそんな風に愛撫を続けていると、桐乃が不意に言った。 「ね、ねえ……あ、あたし、もう限界……」 荒く息継ぎをしながら桐乃が言う。一瞬それを、これでおしまいにしようという意味かと思ったが すぐにそれが見当はずれだとわかる。 「ハァ……兄貴、お願い……もう、入れて……」 その桐乃の言葉に俺の股間は痛いほどに反応する。 俺は、一もにもなくチャックをずらして、イチモツを取り出す。我ながら初めて見るほどの興奮状態である。 「い、いくぞ」 俺は桐乃の股間を覆っている部分の布を横にずらし、桐乃の秘部を露出させる。 陰毛はほとんど生えていない。おかげで挿入箇所もわかりやすくはあったのだが、いかんせん俺も経験がない。 ……上手く挿入することが出来るだろうか? しかし、そんな俺の心配は杞憂に終わった。 準備万端だった桐乃は、膣口に亀頭をあてがわれると、あっさりと俺のモノを受け入れる。 途中抵抗を感じた。それがいわゆる処女膜だったのかどうか俺には判断する術はない。 どちらにしても桐乃は自分で体重をかけて一気にそれを貫かせた。 ズルリという感触が俺の陰茎を襲う。 「あ……あ……はあぁぁぁんっ!?」 それに伴い、悲鳴とも歓喜ともつかない声を桐乃が上げる。 ロマンチックな言葉も優しい言葉も、何もかけてやる事も出来ず、 俺はただ欲望のまま、一瞬で桐乃の処女を──初めてを──奪ってしまった。 愛液に混じってしたたってくる赤いモノが痛々しく妹を可哀想に思う。 しかし同時に俺は生まれて初めての快感を味わっていた。 挿入してすぐは、さすがに桐乃も軽い痛みを感じていたようだが、十分な量の愛液が分泌されていたため、 ほどなくして痛みは楽になったようだった。桐乃が自分で腰を浮かし始めたのを合図に俺も自分で腰を動かしはじめる。 「アッ……アン……ンン……ッ」 俺が下から桐乃を突き上げるたびに、懸命に声を押し殺そうとする桐乃のくぐもった嬌声が上がり、 ビチャビチャとイヤらしい音が俺と桐乃の結合部から漏れる。 まだ挿入してから五分と立っていないのに、早くも射精感が高まってくる。 実のところ俺も、桐乃同様、撮影をしてた時からある程度準備が出来ていたのだ。 実際、途中の休憩の時にも、桐乃が風呂に入っていいる間に、こっそり一度ヌイといたくらいなのだから……。 「桐乃、おれ……もう……!」 「う、うん……!」 桐乃が自らも激しく腰を振る。そしてまたしてもとんでも無い事を言い出す。 「ハァ、ハァ……ね、ねえ。そ、そのまま……出して……くれる……?」 「出す?」 「な、中で……出して」 「な……っ!」 俺は俺で呑気な事に、その時に初めて、自分が避妊具も何もつけてない事に気付いた。 「だ、だめだって、う……そ、そんな事して……こ、子供できたら……どうすんだよ」 たとえ兄妹でも子供は出来る。そして兄妹では万一の時に『責任を取る』という選択肢もありえない。 俺は桐乃の腰を掴んで、桐乃の中から自分自身を引き抜こうとする。しかし桐乃が抵抗した。 「だ、だって! ハァ……な、中に出されるのも……初めては……あ、兄貴のが……ああんっ……」 「ば、ばか! に、妊娠したら……どうすんだ……よっ!」 「も、もし妊娠したら、そ、その時は……その時は、あたし、今度こそ……ほんとに……あ、ダメ……も、もうあたし……!」 桐乃の膣がキュッと閉まる。それに呼応して俺も限界を迎える。 この時、その気になれば無理やりにでも桐乃を引き離せたはずだった。しかし俺がそれをすることは無かった。 「だ、出すぞ! ほ、ほんとに出すぞ!」 そう言って俺は桐乃の両乳房をぎゅっと握り、指で乳首に刺激を与えた。 「ああっ! あああっ! ン~~~~ッ!」 達した桐乃は、肩にかけていたブラウスの裾を口に含み、声をあげないように歯を食いしばる。 「き、桐乃……っ!」 俺も、それと同時に妹の膣内に精液をドクドクと流し込んだ。 ちょっと前に、一度自分でヌイたばかりなのに……バカみたいな量だ。 「ン……んっ……ハァ、ハァ……な、中で、出てる……ああんっ!」 桐乃はまるで全てを吸い取ろうとするかのように、膣をキュンキュンと何度も収縮させる。 そうやって最後の一滴まで桐乃の中に注ぎ込んだ後、俺は桐乃に声をかけた。 「だ、大丈夫か……?」 もう少し気の利いた事が言えないのかと自嘲的な気分に浸る。 しかし桐乃は、憔悴しながらも、うっすらと笑顔を浮かべ答える。 「う、うん。……どう? き、気持ちよかった?」 「え? ……そ、そりゃ、うん」 「……な、何よ、それ」 桐乃は恥ずかしそうな表情で拗ねてみせる。そして自分の膣から俺のものを引き抜きながら言う。 「こ、こんなにたくさん出しておいて……ふ、不満でもあるの?」 「い、いや、そうじゃなくて……」 き、気まずい……。とてつもなく気まずい。 こいつはエロゲでもエッチシーンはまったく気にしてないって言うけど、 現実のそういうことにも無頓着なのだろうか? そうとでも考えないと、こんな事するとかありえねえよな……。 大嫌いな兄貴とセックスするとか……さ。 それにしても俺は何やってんだ? 妹が好きでもない相手にパンチラ見せるってのを咎めた結果、 自分が妹の処女を奪っちまうとか、ありえないだろ? 一体、何がどうしてこうなったんだ? しかも、中学生に中だしとかとんでもねえ鬼畜じゃねえか!? 桐乃が本当に妊娠とかしちまったら、俺、どうすりゃいいんだよ……。くそっ! たとえ死んだって、親父やおふくろに詫びきれねえよ……! 「ね、ねえ」 俺がそんな具合に、罪の意識に苛まれていると、桐乃が心なしかいつもより柔らかい口調で語りかけてきた。 下着や服はまだ着ておらず、素肌にシーツだけをまとっている。 「あ、あんた何か落ち込んでるみたいだけどさ──。あのね? あ、あたしは……ね?」 桐乃は顔を真っ赤にしながらささやくような声で呟く。 「あたしは、その、き……気持ち良かった。その、全然、痛くなかったし。そ、そりゃ最初の瞬間は ちょっとは痛かったけど……すぐに動かないでくれたから……その……」 そこまでしゃべると桐乃は恥ずかしそうに視線を外す。今夜、もう、何度目かに見る仕草だ。 「こ、こんなの初めてだった。ゲ、ゲームの中でしか知らなかったけど……実際は あんなに綺麗なもんじゃないって思ってたけど……そ、その……」 そして桐乃は、何度も口を開いては閉じを繰り返したあげく、ようやく言葉を搾り出す。 「あ、あんたが初めてで良かったと思ってるから!」 その言葉に俺の濁りきった頭が覚醒する。 桐乃は俺の様子を伺い、そしてさらに言葉を紡ぐ。 「そ、それに……あ、あたしの方から誘ったんだから、そ、そんなに暗くなんなくっていいって言ってるの! そんな風に暗くなられちゃ、じ、自分だけ気持ちよくなったみたいで、な、なんか気が咎めるじゃん……?」 「き、桐乃……」 な、なんだよ、コイツ……何? このめちゃくちゃ優しい言葉……。おまえ、本当にあの桐乃なのか? くそ……ほんと、俺、何やってんだろう。兄貴の癖に、自制も出来ずに、妹とエッチして、 そのあげく一人でいじけて、妹に気を使わせて……情けねえ……情けなくって泣けてくる。 「グス……」 ヤベ、そう思ったら、マジで泣けてきた。 「ちょ、だ、だから気にしなくていいって言ってんじゃん! な、泣くとかやめてよ……ウ、ウザイから!」 涙目で鼻をすする俺に桐乃が困り顔であれこれ言っている。 違うんだよ。情けないってのもあるけど、それだけじゃねえんだ。それだけじゃねえんだって。 自分でもわかんねえけど……。 俺は、涙目ながらも精一杯明るい顔を作って言った。 「お、俺も、スゲー気持ちよかった! おまえの中、めちゃくちゃ具合良かったぜ!」 俺は妹に、最大限の賛辞を送った──つもりだったのだが……。 「…………」 「あ、あれ? ……桐乃?」 「…………゛」 ズゴンッ! 「プギャッ!」 俺の顔面に桐乃のげんこつがめり込む。 「な、なんで……」 「も、もう、デリカシー無さすぎ! ふん! 最低っ──!」 さ、最低って……お、おまえも同じような事を言ってたじゃん……? うう、理不尽だっ……! ほどなくして、桐乃は服を着始めた。俺はというと、着衣のまま騎乗位でやったものだから、 ジーンズに桐乃の中から逆流した精液やら、桐乃の……血……なんかが染み付いている。 これ、おふくろに見つからないようにこっそり洗濯しないとな……。 うう、初めて夢精した時の悪夢がよみがえるぜ。あんときゃ、おふくろに見つかって さんざん、からかわれたんだっけ……。 もっとも、今回は、バレたらからかわれるどころじゃすまねえだろうけどな……。 と、俺はそんなやくたいもない事を、衣服を整える桐乃をボーっと見ながら考えていた。。 「な、何、妹の着替え、じっと凝視してんのよ!へ、変態!」 それに気付いた桐乃が罵声を浴びかけてくる。 いや、いまさらその程度で変態と言われても……。 「なあ……もし、本当に妊娠しちゃったらどうすんだよ?」 「え?」 今はこの話題はタブーだったかもしれない。しかし俺は聞かずにはいられなかった。 エロゲとかじゃ、みんな平気でばんばん中出ししてるけど、実際はそんなわけにはいかない。 いや、実際でもそういう奴はいるかもしれんが、そんな奴は相手の事なんて全然考えてやがらねえんだ。 ……って、俺にそんな事、言えた義理じゃねえけどな。 「どうするって……もちろん生むケド?」 「そうか……って、う、生む!?」 あまりにサラっと答えられたので、思わず流しそうになっちまったぞ!? 「ハァ? 何、いちいち驚いてるワケ? 生むよ。当然じゃん」 「い、いやだってよ……」 桐乃は少し冷ややかな視線で俺を見る。 「ふん。心配しなくても、あんたに手間かけさせる事しないから、安心していいよ」 「な、なんだよ、それ……」 その桐乃の言い分に、俺は安心するどころか、逆にショックを受けていた。 「あんたの事なんて話せるわけないじゃん。お父さんとお母さん、ショックで倒れちゃうっての」 「そりゃそうだが……」 っていうか、中学生の娘がどこの誰とも知れない男の子を身篭ったってだけでも、十分卒倒すると思うがね! いや、卒倒するだけじゃすまねえな。親父とかどこまでも犯人を探して追い詰めていきそうだ。 もっとも、その場合、追い詰められるのはこの俺なわけだが。 「ほ、本気で生むのかよ? おまえまだ中学生だぞ……?」 「あたしの事情なんてこの子には関係ないし」 そう言って桐乃は自分のおなかに手を這わす。まるで、まだ見ぬ我が子を愛おしむように……。 「き、近親相姦で出来た子供は異常が出やすいとも言うぞ?」 「異常が出やすいって事は知ってるけど……だとしてもそれは仕方ないと思う」 「仕方ない?」 「うん。この子はそういう子だから。もし、本当に障害があったりしたら…… もしかしたら申し訳なく思う事はあるかもしれないけど……でも、だからって生まないとかありえない。 だって、それ以外にこの子が存在する方法はありえないんだし。もし他人との間に出来た子は、この子じゃないじゃん」 まだ出来たとも決まっていない、出来るとしてもまだ細胞分裂も始まっていないであろう我が子の事を まるで母親のような顔で真剣に語る妹に、俺はなんとも言えない気持ちになっていた。 そもそも、おまえはまだ中学生だろとか、近親相姦がどうとか、どの口でしゃべってんだよ俺……ってなもんだ。 「でも……子供出来たとか言ったら、やっぱお父さん怒るかな……? 勘当とかされちゃったりして」 ふと桐乃が弱気な顔をする。なぜかその表情にほっとする俺。 「そりゃあ、まあな。勘当とまではいかねえだろうけどよ」 これが俺なら、間違いなく追い出されるだろうが。 「ま、どっちにしても家は出ないとだろうけどね。あたしこのあたりじゃ有名人だからさ。 出産なんかしたらあっという間に噂広がっちゃうし」 「そうだな……その時は……」 俺は小さな決意を胸に言葉を続ける。 「三人で、どっか静かなところで暮らすか?」 そんな俺の言葉に桐乃は目を丸くする。 「……な、何? あんたついてくる気?」 「なんだよ。ワリィかよ。そんなの、あたりまえだろ?」 俺は頭を掻きながら言った。 「し、シスコンの俺が、大事な妹を一人でどこかに行かせると思うか? お、俺の子供まで一緒だってんならなおさらだろ?」 自分でも顔が赤くなってるのが判る。正直、死ぬほど恥ずかしい。 が、これは俺が絶対に伝えておかねばならない事だった。 「だから──ひとりで悩んだり、急にいなくなったりはするなよ?」 桐乃は小さく頷いて、「うん」と答えた。 「……じゃあ、そろそろ寝るか」 正直眠気はまったく無いが、単純に時計を見てそんな言葉が条件反射的に口をつく。 「あ、ちょっと待って」 桐乃はデジカメを机の上に置いたままファインダーを覗き込んだりしつつ、 デジカメの位置を微妙に調整したりしている。 「記念写真……いい?」 「き、記念写真?」 な、なんの記念だよ……って、わかってるけどさ……。 そういや、今、初めて気が付いたが、俺も童貞卒業記念なんだっけ……。 「あんた、そこ動かないでよ?」 そういうとセルフタイマーのボタンを押し、桐乃は俺の横へとやってくる。 妹と二人並んで写真に収まるとか、何年ぶりだ? いったい。 しかも、あんな事があった夜の記念とか……色んな意味でたまんねえよ……。 「ねえ、最後に後もうひとつだけ、あたしの『初めて』……預かってもらっていい?」 妹が恥ずかしそうにそう言う。 「……え?」 ま、まさか……お、お尻の穴……? そんな事を考えて、一瞬呆けた俺の頭を、桐乃は自分の方へ引き寄せる。 そして自分の唇を俺の唇にそっと合わせて来た。 カシャ その瞬間、デジカメのシャッター音が鳴り、フラッシュが寄り添う二人の影を壁に作った。 後日──結局、あの夜の苦労は無駄になった事が判った。 昨今の児童保護強化による風当たりの厳しさと、パンチランキングという冊子の存在が 一般に広く知られ始めた事から、方針が変更されたらしい。 件の小冊子には以前、雑誌に掲載された、桐乃の水着写真が転載されることになった。 この件についちゃ、例の桐乃のファンサイトの管理人が非情に憤慨していた。 桐乃のパンチラ写真が掲載されるという話をどこからか聞きつけ、ヤフオクで 高値で入手したにも関わらず、掲載されてるのが既出の水着写真と知ってブログで怒りまくっていた。 まあ、正直、気持ちはわかる。もしこれがあやせの写真で、俺が同じ目に合っていたら、俺も怒り心頭だったに違いない。 しかし、今回に限っては言わせてもらう。へへっ、ざまあ見やがれ! あまりに愉快だったので(俺が桐乃のパンチラを撮った事はもちろん伏せて)この事を黒猫たちに話したら、 いつの間にかそのサイト自体が消滅していた。 サーバーのデータと、PCのローカルデータが同時にふっとんだとかなんとか、サイト消滅の経緯が管理者のブログに 掲載されていた。確率的にこんなことはありえないとかなんとか……。 「あのビッチの写真が晒されて辱めを受けるのは愉快ではあるけど、やはりこういう輩には天罰が下って然るべきよ」 って言うのが、黒猫の弁である。まるで自分が天罰を下したかのような物言いが、少しおかしかった。 一方、俺と桐乃の関係は、あんな事があったにも関わらず、以前とさほど変わりは無かった。 多少、微妙な感じにはなっていたが、基本的には何も変わっていなかった。 呼び方が「あんた」から「お兄ちゃん」に変わる事もなければ、妹が朝、俺のためにはちみつトーストを焼いてくれるなんてこともなく。 毎日のように妹の事を憎らしく思い、ごくまれに妹が可愛く見えたりする、いままでと変わらぬそんな日々が ずっと続いていくと思っていた、いつもと何も変わらないその日── 桐乃は突然、俺の目の前からいなくなった。 妊娠……したわけではない。 あの夜からしばらく立ったある朝、洗面所ですれ違った妹は朝の挨拶を交わすような気軽さで俺に言ったのだ。 「あ、生理、ちゃんと来たから」 それを聞いた俺はなんと答えていいかわからないながらも、とりあえず 「そ、そうか。そいつはよかったな」 と無難な返事を返した。 「……うん」 そう答えた桐乃の笑顔は、なぜか寂しそうに見えた。 だから、桐乃がいなくなったのは、あの夜の事が原因ではなかった。 あいつは、陸上の選手としての才能を海外の有名なコーチに見出され、留学した……らしい。 「らしい」というのは、あいつが俺には何も告げずに突然消えてしまったからだ。俺は直接何も聞いていない。 俺が桐乃の留学の事を知ったのはあいつが家からいなくなった後──両親から聞いて知ったのだった。 一人で自分の道を進んでいく妹。俺なんかが追いつけない所に、どんどん一人で歩いていく。 決して共に歩いて行くことなどない存在。 それはずっと俺が妹に持っていたイメージそのままだ。いまさら何の感慨もわかないくらい、それは当然の事だった。 ただ、あの夜から、ほんのわずかの間は──俺の中にも、あいつと共に生きていく未来のイメージが確かにあった。 妹と、子供と、三人で暮らしていくイメージ。そこにはリアリティなんてかけらもなかったし、漠然としたものではあったが── それでも確かにその未来のイメージは存在したのだ。 ふと魔が差して、桐乃の部屋の扉を開く。鍵はかかっていなかった。 少しガランとした部屋。置き去りにされたデスクトップパソコン。そしてあの日のデジカメも、机の隅に転がっていた。 あの日撮影した写真は、まだあのカメラの中に入ってるのだろうか──。 俺は確認する気にはなれず、そのまま部屋を後にした。 自分の部屋のベッドに横たわり、今は遠く異国の空の下にいる妹の事を想う。 もしかしたら、共に歩む人生もありえたかもしれない妹。 しかし実際には、そんな事はありえない妹。一人、自分だけで、どんどん進んでいってしまう妹。 そんな妹に、心の中で小さなエールを贈り、俺はまどろみの中へと落ちていった。 新学期を間近に控えた春休みのある日。桐乃がいなくなってしばらく立ったその日。 我が家のリビングには、黒猫、沙織、そしてあやせが集まっていた。 黒猫たちとあやせは、あの夏コミ以来の顔合わせである。 「も、もう! どうしてそんな意地悪な言い方するんですか? お兄さんや桐乃が言っていたのとは大違い!」 「……っふ。そこのお人よしや、あのビッチが私の事をどう言っていたかなんて、知った事ではないわ。 あなたのようなリア充と私たちは決して相容れぬ存在……光と闇、法と混沌の世界の住人同士のようなものよ」 「ま、またワケが分からない言い方で私を馬鹿にするんですね……どうして、ちゃんと普通の言葉でしゃべってくれないんですか!?」 「まあまあ、あやせ殿。黒猫氏も決して悪気があるわけではござらんのですよ。ここは拙者に免じて許してくださらぬか」 「あ、あなたもです! なんでそんな人を馬鹿にしたような話し方ばかり……」 「ま、参りましたなあ。決してそのようなつもりは……」 ふう。まあ、概ね予想通りの光景だな。 で、どうして桐乃もいないのに、こいつらが揃って家に集まってるかっていうと── 「おい、おまえらそろそろ時間だぜ」 「あ、ああそうでしたな。ではそろそろきりりん氏のパソコンを借りにお部屋へ伺いましょう」 「そうね。あの女、こちらが遅れようものなら鬼の首をとったように文句言ってくるでしょうからね」 「き、桐乃はそんな事しません!」 なんか、沙織の奴が持ってる最新型のテレビ会議システムとかで、 留学中の桐乃とわいわいしゃべろうって企画らしい。 本来は、ちょっとパソコンに詳しければそれぞれが自宅のパソコンを使ってでもテレビ会議くらい出来るらしいが…… 「京介氏がきりりん氏がいなくなって落ち込んでるんじゃないかと思いましてその慰問も兼ねてお伺いした次第でござる」 沙織がそんな、どこまで本当かわからない理由を言ったりしていた。 で、誰からでた話かわからないが、パソコンに明るく無いあやせとかも一緒にってことでこの状況が出来上がったとか。 「……あれ? お兄さんはこないんですか?」 リビングのソファーにくつろいだまま、動こうとしない俺にあやせが尋ねる。 「ああ……俺はいいよ」 俺はあれ以来、桐乃とは一度も連絡を取っていない。連絡を取る理由もないし、何を話していいのかもわからない。 それに、せんない事と判ってはいても、どうしたって色々と聞きたくなるしな。 どうして俺に何も言わずに行ったのか。 ……あの夜の事をどう思っているのか。 そして俺の事はどう考えているのか。 もう、どうでもいい事だ。どうでもいい事だけど、そこらへんをうやむやのままあいつと何かを話す気にもなれない。 そもそもどう話していいかもわからないしな……。 俺はただひとり、リビングでテレビとにらめっこしながら午後の時間を過ごした。 自分の部屋に戻ろうかとも思ったが、薄い壁をへだてて、すぐ隣で海の向こうの桐乃と ワイワイやってる連中の声が漏れ聞こえてくるような部屋に戻る気にはなれなかった。 ま、今日はおふくろも親戚ん家にでかけてるし。はあ、一人でリビングを独占ってのも、なかなかいいもんだな。 これまでは桐乃の奴がこういう日は独占してやがったからなあ……。 そうして一、二時間が過ぎた頃、にわかに上が騒がしくなり、それと同時にドンドンと階段を駆け下りてくる音が聞こえる。 「お、お、お、お兄さん……っ!!」 リビングのとびらを勢いよく開き、あやせが飛び込んでくる。黒猫や沙織もすぐ後に続く。 「な、なんだよ……?」 俺は突然の大騒ぎと、尋常じゃないあやせの様子に飲まれて硬直する。 「こ、こ、これは一体なんですか……?」 光彩を失った瞳のあやせがつきつけて来たものは例の桐乃のデジカメだった。 そしてその液晶画面には、桐乃の例のパンチラ写真が映っていた。 「いっ……!」 そういえば、パソコンの脇に置きっぱなしになってたんだっけ……。 「その驚きよう……しっかり心当たりがあるようね」 「思いっきり動揺しておりますなあ」 あやせの背後で、黒猫と沙織がそんな会話をしている。 お、おまえらも敵なのか? 「じゃあ、や、やっぱり、ここに入ってる桐乃の写真……お兄さんが撮った奴なんですね……!?」 「い、いや……それには深いワケがあってだなあ……」 っていうか、なんでおまえら友達とは言え、他人のデジカメ勝手にいじってんだよ!? 「フフッ……フフフ。以前、おっしゃってましたよね? 妹にいやらしい格好させて喜んでる兄がいたら、 ほかならぬお兄さんご自身がブチ殺してくださるとか……」 「ま、まってくれ……ち、違うんだって。そもそもそれを俺が撮ったという証拠がどこに?」 そうだ。あの時、俺はカメラマンに徹していたのだから、俺がこの写真を撮った証拠なんか残っていないハズ……! ここは、とにかく否認しまくって凌ぐしかない! 「じゃ、じゃあ誰が桐乃のこんな写真を撮ったとでも?」 「とてもセルフで取れる写真ではないわね」 「お、俺が知るわけねーだろ!? ほ、ほら例えば彼氏とかじゃねえのか?」 俺が苦し紛れにそんな事を言うと黒猫がニヤリと笑う。 そしてあやせの手からデジカメを引き取ると、ささっと操作をし、再び液晶画面を俺に突きつける。 「……っふ。あの女の彼氏というのは、この男の事かしら?」 くぁwセdrftgyふじこlp;@:*************っ! そこに映っていたのは、俺と桐乃がキスをしている時の写真だった。 「ああっ! ま、まさか、桐乃が留学した本当の原因は……!」 「ち、違う! 誤解だ! 全部誤解なんだって!」 「なんという見苦しい言い逃れ……酷いですなあ……京介氏。きりりん殿が可哀想でござる」 「最低な男ね……」 沙織、黒猫、お、おまえらまでそんな……! 桐乃抜きでも、もう、俺たちは友達だったんじゃなかったのかよ……っ!? 「こ、これには、いろいろ事情があるんだって! き、桐乃に聞いてくれればわかるから!」 そう俺が訴えると、黒猫と沙織が苦笑いを浮かべる。 「うーん、それはおそらく無理かもしれませんなあ」 「まったくね……」 え? な、なんで? 「問答無用死ねェェエェェェエェェェェェェエェェ──!」 バシィッ!! あやせの蹴りが見事に俺の顔面にヒットし、俺はぶったおれる。 「まあまあ、あやせ殿。それぐらいにしておきませんか」 「フ……。あなたも、薄々は、いろいろ気付いていたのでしょう?」 「そ、それはそうですけど……」 気が遠くなる一瞬、そんな声が遠くに聞こえてきた。まったく……! おまえらなんか誤解してねえか? それにしても……あいつはいなけりゃいないで、俺をトラブルに巻き込むのな! 高坂桐乃。成績優秀、スポーツ万能、眉目秀麗、近所でも評判だった俺の妹。 その実態は、エロゲーやアニメをこよなく愛する超ド級のオタク娘。現在はアメリカに一年間のスポーツ留学中。 桐乃が俺の前からいなくなっても、俺の周りにはあいつの残り香が満ちている。 もしかするとそれも時と共に薄れていくのかもしれない。 しかし、この香りが完全に消え去ってしまう前には、きっと──。 『預かりモノ』 (終)
https://w.atwiki.jp/pricone/pages/1092.html
《混ざり合う黒 マナガ&マティア》 キャラクターカード コスト2/青/CP4000/RANK1 【精霊】/【警察】 ボーナスアイコン なし このカードが登場した場合、デッキの上のカード4枚を見て、 その中にある「マナガ」または「マティア」1枚を抜き出し、表にしてから手札に加える。 その後、残りのカードを任意の順番でデッキの下に移す。 マナガ。ずっといっしょだよ。 神曲奏界ポリフォニカで登場した青色・【精霊】・【警察】を持つマナガ&マティア。 関連項目 マナガ マティア 収録 神曲奏界ポリフォニカ 01-028 C
https://w.atwiki.jp/sumacha-suma/pages/19.html
流行ったもの。廃れたものでも現在進行形で流行っているものでも何でもいいからとりあえず書いてけ!! 基本立て逃げだから追加よろしクリボー! なりきり乱闘(カオス乱闘) チャット会開設当時に流行ったもの。一番勢いがあったときに行われていて、また一番盛り上がるイベントであった。 メンバーはなりきるスマブラキャラを決め、乱闘を行う。基本何でもありで、ルールはあってないようなもの。 実況という役割があるが、大抵狙われる役。そのうち実況室は破壊、大乱闘になる。実況?なにそれおいしいの? 途中からスマキャラのなりきりがなくなり、ただのカオス乱闘に。けど基本的なルール(?)は変わらず。 どちらにしろチートとゴキ●ブリばかりが集まる無法地帯! 巻き込まれたくなかったら平和空間にでも逃げましょう。 乱闘は用法用量を守って正しく行いましょう★ 殺し屋 夜を駆ける闇の花形。 「あの人を懲らしめてください!」 囁かれたらそれは合図。ただただ静かに依頼を遂行するのみ。 どこまでも冷静になれる彼らは、逆にどこまでも鬼畜になれる。その毒牙にかかったらそれが最後。二度と浮世には戻ってこれない。 彼らは人を殺めることに快楽を覚えるのか――? それは誰も知る由はない。 しかし、その姿に恐れおののく人々は彼らをこう呼んだ。 「“殺し屋”。殺し屋の犯行だ!」 せいぜい刃に貫かれ、最期の一秒で後悔するがよい。 レディオル、紅銀、クローバー、土方 総悟(小野 曽良)、ウクラ(星羅)によって組織される秘密結社。 レディオルがリーダー、土方 総悟が副リーダーとなっている。ささやきを受けて、ターゲットを暗殺する。 匿名でお願いすることもできる。秘密は絶対漏らさないので安心安全! ただ暗殺相手にバレた場合、思い切り仕返しを喰らうことが多い。殺し屋は非情なので容赦なくこっちを狙ってきますよ! 魂の共鳴 ニヨニヨ。ニヨニヨ。ニヨニヨ。 魔 女 狩 り ! ! スマッシュバトラーズ とある人物が考えたさいころとカードを使ってやるゲーム。 運と戦略で決まります。 ただいま大会開催中! ぜひとも参加してください!
https://w.atwiki.jp/mikoryu/pages/200.html
純粋な神を降ろさずに外付けの兵装で戦力を補っている神装巫女達を、心無い無知な者が「落ちこぼれ」、「半端者」と見下して使用する蔑称。 しかしこれは誤った偏見である。 外付けの兵装を用ているのは遺継装具を佩びた巫女も同様であり、近年は科学技術の発達によって巫女と神装巫女の差はほぼ埋まりつつある。よって、もはや両者の実力に遜色は無いと判断して差し支えはない。 実際に巫女としての至高の極点、『臨界者』へと至ったケースも少数例だが確認されている。 寧ろドラゴン討伐においては性格に難を抱える者が少なくない神々よりも、御しやすい精霊や妖精を降ろしている神装巫女を主流として増員した方が効率的だと提唱する学者が少なからずいる模様。
https://w.atwiki.jp/pikuminbunko/pages/138.html
いつもと同じルートを使い、学校へ向かう。 ちなみに彼らが通っている学校は 『鯉竜中学校(こいりゅうちゅうがっこう)』 名前の由来が鯉の滝のぼり伝説からきたそうだ。 ちなみに鯉の滝登り伝説とは鯉が滝を登ると竜になり、飛び立つという伝説である。 銀崎たちはいつもの様に校門をくぐる。 「おはよう。」 不意に背後から声がかけられる。 「おはようございます。先輩。」 「あ、おはようございます!」 二人は振り返り、話しかけてきた人物に挨拶をする。 「今日も元気そうだね。」 「ええ、先輩もお元気そうでなによりです。」 この人は紅闇 葉月(くれやみ はづき)。 現在中学三年生の穏やかだけど判断力は凄い頼りになる先輩だ。 元サッカー部所属らしいが交通事故の後遺症により激しい運動が禁止された。 そのためサッカー部を退部した。 その後読書仲間から銀崎を紹介され、友好関係を築いたということである。 実に後輩思いないい先輩である。 だがたまに 『自分は「世界戦争」に出てきた悪魔だ。』 などのことを言う。 銀崎はそれを気にせず接している為かなり仲がいい。 ちなみに世界戦争とはある伝説のことである。 詳しくは後ほど。 しばらくの談笑の後それぞれ自分の教室に向かう。 何故か銀崎と夏目はいつも同じクラスになるのだが本人たちは気にしてない模様。 「おはよー!」 扉を開けると共に夏目が大きい声で挨拶を言う。 喧しいな。と、銀崎はいつも思う。 だが慣れてしまっているので不快にはならない。 ・・・・・・下校時刻・・・・・・・ 「あ、銀崎君。今日も楽しかったね!」 夏目に声をかけられる。 「ああ、そうだな。」 事実学校は楽しい。 給食もうまいし、授業も頭を使ういい機会だ。 「お、銀崎に夏目。一緒に帰ろうぜ。」 後ろから声をかけられる。 「あ、氷緑先輩。」 この人は氷縁 雅人(ひょうえん まさと)。 肩にかかるほどの長さであるかなり黒っぽい緑色の髪が印象的だ。 現在中三で機械いじりやひなたぼっこが趣味という変わった先輩だ。 「それじゃ一緒に帰りましょう。」 銀崎はまた歩みを進める。 ・・・・・・1時間後・・・・・・・・ 「それにしてもさー」 雅人が突然話題を変える。 「お前らって本当仲いいよなー。」 「結構気も合うし、小さい頃からの付き合いですからね。」 信号が青であることを確認し、歩き出す。 「そうじゃなくって・・・お前ら付き合ってんのか?」 その瞬間、銀崎も夏目も動きを止める。 「「はい?」」 「あの・・・どういう意味ですか?」 「そのまんまの意味だよ。で、どうなんだ?」 夏目が聞くも即答。 次の瞬間には二人とも顔が真っ赤になっていた。 「「違います!」」 こちらも素早く否定。だが顔は真っ赤だ。 「ちぇーなんだよ。本気でそう思ったぜ。」 雅人はそう呟きながら銀崎たちの先を行く。 夏目が銀崎より少し早く復活、また歩き始める。 ブォォォォォンという聞きなれた音がする。 なんとなくその音が気になり、夏目が右を見ると、 も の す ご い ス ピ ー ド で 迫 る ト ラ ッ ク が 。 夏目が逃げようにももう遅い。 「!やばい!」 銀崎がトラックにとまる気配がないのを悟り、走り始める。 ―――――ドンッ! 次の瞬間、夏目には全てがスローモーションのように見えた。 ゆっくり倒れこむ自分。 驚いてこちらを見る雅人先輩。 そして―――――― 夏目を突き飛ばして身代わりになったであろう、銀崎の姿。 銀崎にゆっくりとトラックが迫る。 そして、銀崎ははねられ、その体は宙を飛んだ―――――。 混ざり合う光と闇 第一章 第二話「神との遭遇」 ↓できれば感想を書いてください おぉw感想が書ける(¯∀¯) 前作には見られなかったキャラが一名ほどww。雅人君の趣味がひなたぼっこっていうのがなんとなくイイ(爆 -- (ベルリッツ) 2009-02-19 16 43 11 感想書けるようにしたんだ。 -- (黒狐) 2009-02-20 12 20 18 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/pikuminbunko/pages/129.html
今から約5000年前――――――――――――――― この世界の存在をかけた神々の戦いがあった。 世界を消し去ろうとするのは魔神――――ブロームが率いる悪魔達。 世界を守ろうとするのが光神――――シャインが率いる神達。 悪魔は魔力で動き、魔法などで神々を攻撃する。 しかも魔力が尽きるか肉体を再生できないほどに破壊するかしないと死なぬという性質も持っていた。 非常に厄介な存在だった。 対して神達は、己の力全てを使い、応戦した。 ある者は雷を落とし、ある者は光で悪魔たちを焼き、ある者は獣を操り戦った。 戦いの最中(さなか)、一匹の悪魔が神々に加勢することもあった。 そして、長い戦いの末、悪魔達は敗北した。 シャインがその魂と共にブロームを封じ込めることに成功したのだ。 魔力の源のブロームが封印された悪魔達は、一気に弱体化し、神々に一匹残らず一掃された。 だが、シャインの封印はそう長くは続かなかった。 4000年もすると封印が弱くなり、ブロームの魔力が漏れ始めた。 それに気づいたシャインは封印を1000年後に解かれるようにし、そこで完全にブロームを消滅させることに決めた。 シャインは決戦に備えていっしょに戦う生物を探す。 混ざり合う光と闇~~~プロローグ~~~その二
https://w.atwiki.jp/nioka/pages/352.html
1 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 01 02.25 ID yHF2Fu+1] 二岡選手のコメント 「何もありません…切り替えていくだけです」 2 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 01 24.82 ID QRbKQ3Tn] 落合「知らなかった」 3 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 01 41.66 ID SAr3Z94u] ユニフォーム「切り替えていく」 4 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 02 30.86 ID AYGe2+UU] ドアラ、中日の選手に混ざり胴上げに参加し書類送検 6 名前:どうですか解説の名無しさん mailto sage [2007/11/01(木) 21 03 16.54 ID ZTTbKMZa] 落合「(岩瀬に)切り替えてく」 7 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 03 37.92 ID kVvEvvl0] ねーよwww 9 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 03 58.49 ID LSUOdDVp] ニ岡「(ジャビットからドアラへ)切り替えていく」 10 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 04 12.02 ID 50MZG6ds] 原「朗報だね(ニッコリ)」 16 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 07 46.32 ID OanA+VEw] 小坂「奪回」 18 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 09 16.54 ID w9EPVFXR] ドアラ「しゃあない」 19 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 10 01.22 ID aqQJ7b3U] 二岡「(ユニを)着替えていく」 20 名前:どうですか解説の名無しさん mailto sage [2007/11/01(木) 21 10 14.64 ID LXJYsbq9] ヒルマン「シンジラレナーイ!」 21 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 10 24.36 ID QRbKQ3Tn] 原「二岡には代わりに胴上げされるような選手になってほしい」 23 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 11 41.43 ID R8q8CDvA] 二岡「急に(中日から)オファーがきたので」 28 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 16 05.27 ID LSUOdDVp] ニ岡「正直、混ざりたくなかった」 29 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 16 18.22 ID aEj2pBF7] 亀田「ホンマすんませんでした」 30 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 16 38.40 ID leVTdlyh] 二岡なんて思った程度でもあるホームランしかじゃん 39 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/01(木) 21 25 40.14 ID OO99CGYZ] 二岡だけカープの帽子をかぶっていたため見つかったらしい
https://w.atwiki.jp/crossnovel/pages/122.html
仮面ライダーディケイド VS とある魔術の禁書目録 第三話「混ざりゆく世界」 ◇ 「アンチスキルが動けないって、どういうことなんですか?」 風紀委員活動第一七七支部。 そこで御坂美琴はメガネを掛けた高校生のジャッジメント、固法美偉に詰め寄っていた。 士達……ディケイドがこの世界にやって来てからすでに一週間が経っている。 だというのに美琴達との戦闘以降、まともなディケイドの情報は掴めていない(ある学生寮付近で謎の戦闘跡があったが、ジャッジメントに知らされぬまま処理されている)。 その原因の一つとして、アンチスキルの動きがほとんどないというのがあげられる。 同じ治安維持組織と言えどもジャッジメントは学生のみで構成されている、学園都市の踏み込んだ箇所への捜査権限は無く、アンチスキルに任せざる負えない部分もあるというのにこれではどうしようもない。 「落ち着いて御坂さん、こっちでも確認を取ってるんだけど、どうにもアンチスキルの命令系統が何者かにいじられてるらしいのよ」 「そんな、アンチスキルの命令系統に手を出せるなんて……まさかそれもディケイドの仕業なんですか!?」 「そこまでは何とも言えないわ、ただ、そんな状態で下手に動いたら逆にディケイドやスキルアウトの犠牲になるだけ……わかるでしょう?」 犠牲になるとまで言われては美琴は何も返せない。 それでもディケイドを放っておく形になっている現状に納得できない顔をしているのを見て、黒子が横から話に入ってくる。 「スキルアウトと言えば、連中、最近また動きが活発になってるらしいですの」 「ああ……その話なら聞いたことあるわ、何でも能力者が何人か行方不明になってるとか」 黒子の話に固法の表情が若干曇る。 一時期彼女自身も能力者であることを隠してスキルアウトに入っていたことがあり、その時所属していたスキルアウト関連の事件がつい一月前にあったばかりだ。 やっていることも能力者狩りと、前と同じ事もあり彼女にとってはあまり好ましい話題ではないのだろう。 「あ、白井さん白井さん」 「なんですの初春?」 部屋の奥から黒子を呼びつける声が聞こえ、棚で仕切られた奥を覗き込む。 そこで一台のパソコンを操作している少女、初春飾利は画面をじっと見つめながら口を開く。 「丁度今スキルアウトの事件について調べてたんですけど」 「連中のアジトでも見つけたんですの?」 側まで歩み寄り画面を見つめる。 初春が纏めた情報の文書へ目を通し、その内容に表情を厳しく変化させた。 「この情報、信用できますの?」 「ネット上の目撃証言でしかないですけど、スキルアウトによる被害の位置とは合ってます」 「……まだ詳しい位置までは公表してないはず、ということは信頼性は高いですの」 「ちょっと、何の話よ?」 二人の話に焦れて美琴が問いかけ、黒子はしばらく悩みそれに答える。 「能力者狩りの目撃情報ですの……スキルアウトを、ディケイドが率いていたと」 「何ですって!?」 ◇ 光写真館。 その一室で士は右手の包帯をゆっくりと外していく。 「士君、どうですか?」 「……問題ない、もう治った」 軽く拳を握り感触を確かめてからの言葉に、夏海はほっと息と吐く。 「だけどこれからどうする? もう迂闊に外にも出れないぞ」 「士は言うまでもなく、僕らもその仲間とすでに認識されてしまっているからね、お宝も探せやしない」 この一週間、士たちは何の行動も取れていない。 学園都市の監視は厳しく(何故か光写真館の内部までは監視の目が届いていないのだが)、少し外に出るだけで無人兵器らしき物が睨みを効かせてくる。 恐らくは鳴滝の仕業であろうディケイドの悪評を何とか払拭したいところなのだが、動くことができなければどうしようもない。 ……あるいは、彼らを追跡するものが無人兵器のみだという不自然さに気づいていれば、また話は別だったのかもしれないが。 「でも、ライダーの世界を巡っている時もディケイドは敵視されていたけど何とかなりましたし、今回だっていつものようにやれば大丈夫ですよ!」 「いつものように、ね……いつもはその世界のライダーの側で行動してたよな」 「そうですよ、だから今回も」 「で? この世界のライダーに当たる人物とやらは一体誰で、ここから動くことさえままならない状態でどう見つける?」 「……どうしましょう?」 乾いた笑いで返す夏海に大きくため息を吐く。 その時、奥のキッチンから一人の老人、光栄次郎が人数分のホットケーキを持ってやってきた。 「まあまあみんな、難しく悩んでるだけじゃまいっちゃうよ、ほら、これでも食べなさい」 「おっ、遠慮なくいっただきま~す♪」 「ねぇねぇ、困ってるなら私と夏海で調べてきましょうか?」 考えるの事をあっさり放棄してホットケーキへと向かうユウスケの頭上を小さな銀色のコウモリが通りぬけ、士達の前で羽ばたきながら意見を出す。 「キバーラ、協力してもらえるんですか?」 「別にもう鳴滝様に味方する理由もないしね~、今の私は夏海のみ・か・た♪」 夏海の周りを飛び回るキバーラを見ながら士は考える。 ライダーの世界を旅していたころと違い、今の夏海は戦う力がある。 そして恐らくはまだ士の仲間として認識されていない、現状で唯一動ける人物だ。 「けど夏みかんじゃな……」 「何言ってるんですか士君! ここは私に任せてください!」 「そんな心配しなくても大丈夫よぉ、私だってついてるんだしぃ」 「はぁ……仕方ないな、無茶はするんじゃないぞ」 仕方ないといった様子で頷く士に、夏海ははりきってキバーラと共に学園都市へと繰り出して行く。 その様子を見ながら、士は真剣な表情で思考を巡らしていた。 ◇ 狭い路地。 昼間だというのに周囲の建物に遮られて日も入らず、路地の外からでは何が起こっているのか見ることさえできない。 そんな、助けがやってこないのが当たり前の世界で一人の男が複数の人間に取り囲まれていた。 「スキルアウトか……! だが相手が悪かったな!」 男が不適な笑みを浮かべたままその場で拳を振るうと、明らかに間合いの外にいたはずのスキルアウトの一人が見えない力を受けて吹き飛ばされる。 「能力者を甘くみるなよ!」 彼の能力はレベル3の念動力【テレキネシス】。 拳を動きと同じ軌道を取る『力』を自身の視界内に生み出すことができる能力だ。 この能力なら最小限のモーションで相手を倒すことができ、多数の相手だろうと遅れはとらない。 自分の優勢を確信する男だったが、スキルアウトはまったく怯んだ様子がなく、不気味な笑みを浮かべながら包囲の輪を狭めてくる。 「な、何だこいつら……」 言い得ぬ悪寒を感じながらも能力を発動しようとするが、それより先にスキルアウトが動きを見せた。 「――っ!?」 男が息を飲む。 自分を取り囲んでいた人間が一瞬にして緑色の異形へと姿を変えたのだから無理もない。 能力者の中には自分の姿を変えたり、相手に自分の実体を見せないようにする者もいるがスキルアウトは無能力者の集団、まさか全員がそんな能力を持っているはずもない。 「馬鹿な、スキルアウトが能力を……!?」 思わぬ出来事に後ろへ下がりかけ、いつの間にか真後ろにいたスキルアウトに驚きながら振り向く。 「くそっ、能力者だろうが関係――」 思考を落ち着かせる間もなく拳を構え、能力を発動する寸前、気づく。 周囲のスキルアウトの姿が異形の怪物から再び変わり、人間の姿に……自分と寸分違わぬ姿へと変化したことに。 「な、んだ……何なんだ、お前らの能力は!?」 「俺か? 俺の能力は……」 目の前のスキルアウトが拳を振り上げる。 「レベル3の、テレキネシスだよ!」 「う、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 ◇ 「自信満々で出てきたのはいいけど、何も見つからないわねぇ」 「そうですね……スーパーショッカーの怪人もいないみたいですし」 士には大見得を切ったものの、夏海たちとて行くべき宛てなどありはしない。 とはいえ何の収穫もなく戻って士に嫌味を言われるのも面白くない、というわけで無目的に歩き回るだけの時間が続いている。 「あれ? あの人達って……」 ふと視線を上げると、士と戦った二人の少女が話しているのを見つけた。 丁度同じタイミングで向こうもこちらに視線を向け目があってしまう。 咄嗟に身構えるがそのまま視線を外され、自分のことを覚えていないのだと気づく。 あの時二人の目は士に集中していた、隣にいた夏海には気付かなかったのだろう。 ほっとしながら早く立ち去ろうとした時、近くの路地から悲鳴が聞こえてきた。 「お姉さま!」 「わかってる!」 黒子と美琴は即座に反応し路地悲鳴の下へと駆け出していく。 「キバーラ、私たちも!」 「いいの? 下手に関わって士の仲間だってバレたら大変よ?」 「でも、放っておけません!」 「まぁ夏海がそういうならいいけどね~」 二人の後をついていく形で夏海が走り出し、その直後路地から一人の男が飛び出してきた。 全身をボロボロにしたその男は黒子の付けているジャッジメントの腕章を見ると這いずるようにして近づき、怯えた表情で口を開く。 「た、助けてくれ! あいつら、ただのスキルアウトなんかじゃない……!」 「落ち着いて、今救急車を呼びますの」 「黒子、その人お願い!」 「ちょっ、お姉さま!?」 男を黒子に任せ、美琴は単身路地へと飛び込んでいってしまう。 後を追いたいが痛めつけられている男を放っておくわけにはいかない、黒子が悩んでいる間に、夏海はその横を駆け抜ける。 「!? 待って、この先は危険ですの!」 「大丈夫です、あの人は私が守ります!」 「ちょっと……ああもう、何でこう一般人がジャッジメントより危険な場所に行くんですのー!」 ◇ 路地に入った美琴は目の前の光景に言葉を失っていた。 ついさっき助けを求めてきた男、その男と寸分違わぬ姿をした男が二十人近くいるのだ。 「何こいつら……能力者……?」 「常盤大の制服か、いいねぇ……お前、レベルはいくつだ」 男の一人が美琴へと問いかける。 まるで品定めをするかのような視線に顔を歪め、パリパリと火花を散らしながら答えを返す。 「レベル5、能力はエレクトロマスター」 「なっ!? まさか、常盤大のレールガ――」 言い終わるよりも先に放たれた電撃が男たちをなぎ倒す。 改めて気を失った男を見るが、やはりその姿はどれも同一だ、その奇妙な光景に眉を顰めつつ黒子と連絡を取ろうと踵を返すが、背後で何かが動く気配を感じ再び振り返る。 「……あんたがこいつらの親玉、ってとこかしら?」 路地の奥からムカデを模した怪物、ジオフィリドワームが美琴へと敵意を剥き出しにしながら現れる。 前髪から電撃をパリパリと放って威嚇しながらいつでも動けるように重心を低く―― 「キバーラ! 変身!」 「はいは~い、へ~んしんっ♪」 「えっ!?」 美琴の横を駆け抜けながら、夏海はキバーラを前に翳して意識を集中させる。 キバーラから無数のハートが舞い夏海を包み、その中から白い甲冑を纏い赤い瞳をした姿へと夏海は変身する。 仮面ライダーキバーラ、世界の破壊者となった士を止めるため、夏海が手に入れた戦うための力だ。 突然の乱入者に困惑する美琴には構わず、ジオフィリドワームへと組み付きその腕を抱え込む。 「夏海、離れちゃダメよぉ?」 「わかってます!」 密着状態での攻防を繰り広げるワームと夏海に美琴は焦れる。 美琴からは白い甲冑の女性が何者かはわからないが、自分の味方をしてくれているのは確かだ。 ならば共闘するべきなのだろうが、こう密着されては電撃の攻撃で巻き込んでしまい動きがとれない。 「ちょっと、離れてくれないと巻き込むわよ!?」 「離れたらダメなんです! 私じゃクロックアップに対抗する手段が――!?」 「夏海! こいつ、このまま――」 キバーラの言葉が途中で消え去る。 ワームが夏海に掴まれたままクロックアップに入り、美琴の前から去ったためだ。 その場に残された彼女はまったく掴めない状況に頭を抑え、直後起きた現象にうんざりとした表情を作る。 「今度は何よ……」 オーロラのような壁が現れ、そこから一つの人影が出てきた。 その人物は美琴が反応するより早く、自らのベルトに一枚のカードを挿入する。 「ディケイ……!」 『ATTACK RIDE BLAST!』 電子音と同時にライドブッカーから放たれた銃弾に、付近のガラクタを磁力で集め即席の盾を作る。 だが予想していた衝撃はなく、盾の影で様子を伺っていると周囲のスキルアウト達の体が爆発、四散した。 「な……!?」 ようやく先程の攻撃の狙いがスキルアウト達だったことに気づき、盾を解除して目の前に立っている『ディケイド』を睨みつける。 「あんた、なんて事を……! スキルアウトはあんたの仲間じゃなかったの!?」 美琴の怒号には答えず、ただ静かにライドブッカーを向けて引き金を引く。 再び放たれた銃弾を磁力によってビルの壁に張り付くことで回避、反撃として放った電撃はソードモードへと変形させたライドブッカーを前に突き出すことでかわされてしまう。 と、その行動に首を傾げる。以前戦った時は今のとは比べ物にならないレベルの雷撃をまともに受けたというのにダメージはなかった、ならば何故今回はわざわざ回避したのか。 (そういえば前の時は姿が変わってた……あいつの能力は、何か条件があるの?) 思考を巡らせ、その一瞬の隙に『ディケイド』は再びカードをベルトにセットし起動させる。 『KAMEN RIDE KIVA!』 「しまっ……また別のに!?」 黒い体に赤い装甲、黄色い瞳はコウモリの羽を思わせ、右足と体を覆う銀の装甲は何かを拘束するかのように鎖で縛られている。 キバ、運命の鎖に立ち向かう、気弱ながら心優しき青年が変身する仮面ライダーだ。 姿を変えた『キバ』へと電撃を放つがその攻撃が届くよりも早く『キバ』はその場から離れる。 自身の雷撃で『キバ』の姿を見失ってしまうが、美琴は常に発している電磁波の反射波により周囲の物体を感知することができる、すぐさまその位置を確認し、 (……!?) 振り返る暇さえ惜しみ、磁力を解除し二、三クッションを挾みながら地面へと降り立つ。 同時に強い力で砕かれた壁が美琴の周りに降り注ぎ、自分の判断が遅れていたらと背筋を震わせる。 先程まで自分のいた位置を見上げると、わずかに壁面からせり出た換気口に「逆さま」に立つ『キバ』が美琴の方を見上げながら新たなカードをセットしていた。 『FAINAL ATTACK RIDE KIKIKIKIVA!』 激しく鳴る電子音に反応し、右足を拘束していた装甲がはじけ飛ぶ。 内に収められていた血のように赤い翼が広げられ、重力に逆らった体勢のまま右足を高く振り上げ、地上の美琴へと「飛び上がる」。 その右足から感じる圧迫感に、美琴は理性で考えるより早く、自らの最強の技を放とうとコインを構え迎え撃つ体勢を取った。 『ATTACK RIDE BLAST!』 「ぐぁっ!?」 「な!?」 『キバ』と美琴の激突を妨害したのは横からの銃撃。 銃撃が放たれた方向を向いた美琴は、そこにいた人物に思わず一瞬動きを止めてしまう。 「まったく、夏みかんを追ってきたら面倒なことになってやがる」 「ディケイド……!? どうして、だってこいつも……」 「ああ? ……なるほどな、だいたいわかった、こいつが俺になりすましてこの街で悪さを働いてたってとこだろ」 「偽物……?」 美琴と士、二人の視線に晒されながら『キバ』は何も言わず更なるカードを取り出し戦う意思を見せる。 『FORM RIDE KIVA BASSHAA!』 『キバ』の右腕と体に鎖が幾重にも巻きつき、緑の装甲へと変質する。 瞳も同じ色へと変化し、右手には魚のヒレのを模した装飾が施された緑の銃が現れ構えを取った。 「ディケイドの力を使いこなしてるとはな……おい、下がってろ、後は俺がケリをつける」 「冗談! 私たちの街で好き勝手やられてんのよ、放っておけるわけないでしょう!」 「あのな……っておい、電撃はやめろ!」 急に強い口調で静止され、慌てて放とうとしていた電撃を解除する。 一瞬遅れて足元に違和感を感じ見下ろしてみると、一面が膝の辺りまでの深さの水で浸されていた。 士の警告が少しでも遅れていたら『キバ』だけでなく自分達も電撃を浴びることになっていただろう。 「な、何よこれ!?」 「キバの力だ、自分の有利なフィールドを作り出す」 「有利って、これじゃあいつだって動きにくい……」 「来るぞ!」 言葉を途中で遮り士は美琴の前に立つ。 同時に『キバ』が放った水弾をライドブッカーで切り払い、ガンモードで反撃しようとするが水面を滑るように動く『キバ』を捉えることができない。 「あんた、私を守って……?」 「魚人相手に水中戦は不利か、おい、ビリビリ中学生」 「んなっ!? あんたまでビリビリ言うな!」 「掴まってろ」 「え?」 『KAMEN RIDE SKY!』 美琴を抱き寄せながら士もその姿を変化させる。 深い緑のボディを茶色の装甲が包み、赤い瞳と同じ色をしたスカーフが風になびく。 スカイライダー、空を愛し、決して優しさを忘れない青年の変身する仮面ライダーだ。 『ATTACK RIDE SAILINGJUMP!』 「はっ!」 「きゃあああ!?」 セイリングジャンプ、スカイライダーの持つ重力低減装置による飛行能力だ。 水中から飛び出し、叫ぶ美琴には構わず水面の『キバ』を睨みつける。 「おい、その辺の屋上に置いておくから逃げておけ!」 「な……さっきも言ったでしょ! このまま放っておけない……っての!」 士の言葉を跳ね除け、空中から強烈な雷を『キバ』へと放つ。 バッシャーフォームの得意とする水中フィールドを作りだしたのが裏目に出た、持ち前の超感覚で雷撃の直撃こそ回避するが水を伝う電撃からは逃げられない。 たまらずフィールドを解除し膝をつく『キバ』を見て、ようやく美琴は満足な笑みを浮かべた。 「どうよ! 私だって戦えるっつーの!」 「なるほど、確かに少しは頼れそうだ、なら、今度は俺の力を見てもらおうか!」 再びビルの壁面へと張り付いた美琴へと声をかけ、一枚のカードをディケイドライバーで起動する。 『FAINAL ATTACK RIDE SSSSKY!』 「はあああああ!」 よろめいたままの『キバ』へと士は回転を繰り返しながら突き進む。 「ぐ……」 『FORM RIDE KIVA DOGGA!!』 『キバ』が呻きながらカードを起動させると、緑の装甲が剥がれ、両手と胴体を新たに紫の頑強な鎧が包み込む。 更に巨大な拳を模したハンマーが現れるが、それを手にする前に士の大回転スカイキックが炸裂し吹き飛ばされる。 地面を転がりながら、激しいダメージによって元の『ディケイド』に姿が戻るのを見て士と美琴の二人も地面へと降り立った。 「やったの?」 「まだだ、直前で装甲の厚い形態になって直撃を避けやがった」 二人は倒れている『ディケイド』へ慎重に近づいていく。 だがそれよりも早く『ディケイド』は立ち上がり、ライドブッカーを構えカードを起動する。 『FAINAL ATTACK RIDE DEDEDEDECADE!』 士達と『ディケイド』の間に10枚のエネルギーの壁が浮かび上がる。 起死回生の一手としては甘い、それほど広くなり路地といえど、大きなダメージで動きが鈍っている状態での直線にしか飛ばない攻撃を回避できないほどではない。 美琴の腕を引っ張りながら射程外へと飛び、『ディケイド』が続けて起動したカードに仮面の下の目を見開く。 『ATTACK RIDE ILLUSION!』 ファイナルアタックライドの予備段階のまま『ディケイド』が三人へとその数を増やす。 カード名こそ「幻」だが三人の『ディケイド』全てが実体を持っていることを士は知っている、この路地では三発のディメンションブラストを回避しきることは不可能だ。 「くそっ、間に合え!」 『FAINAL ATTACK RIDE DEDEDEDECADE!』 相殺しようと士も動くが、イリュージョンのカードを使うだけの時間はない。 士の放った光弾は一発のディメイションブラストを相殺するが、残る二発は変わらぬ威力のまま二人を飲み込もうと突き進む。 「士!」 せめて美琴だけでも守ろうと、その体を抱き寄せ自分の影に隠そうとする士の耳に聞き覚えのある声が届く。 「ユウスケ!? ダメだ、来るな!」 通りからトライチェイサーを駆って来たユウスケに警告するが、何を思ったか逆にスピードを上げて士達の横を抜けエネルギーの本流の前へと飛び出していく。 ディメイションブラストがユウスケを飲み込もうとした瞬間急停止、トライチェイサーの後部に乗っていた男が前に出てその「右手」を叩きつける。 「っだあああああ!!」 「な、なんであんたがここにいるのよ!?」 「イマジンブレイカーだと……何故貴様がディケイドの味方をしている!?」 ディメイションブラストを打ち消した男、上条当麻の姿を見て初めて『ディケイド』が言葉を発する。 その問いに答えたのは上条ではなく、『ディケイド』の背後、路地の奥からやってきた男。 「あえて理由を挙げるなら、お前は動きすぎたのさ」 「何……!?」 不敵な笑みを浮かべ話す男、土御門の背後には先程ワームと共に消えた夏海とディエンドに変身した海東の二人が立っている。 その様子はどう見ても敵対しているようには見えず、『ディケイド』を共通の敵と認識していることを意味していた。 「ディケイドとして学園都市のあちこちで悪事を働いて、そっちの本物のディケイドに罪を擦り付ける。 悪くはなかったが、本物が身動き取れない時にまで能力者狩りをしてたら流石に気づかないわけがない。 まあそれ以前の問題として、ここのトップはあまりお前のことを信用してなかったみたいだがな」 「あ……スキルアウトが動かなかった理由って」 「もうすぐディケイドの手配も解除される、後はお前を捕まえれば万事解決ってわけだぜい」 笑みを深くしながらの土御門の言葉に『ディケイド』は悔しげに拳を強く握り締める。 その様子を見て、今まで黙っていた士が一歩前に出て声をかける。 「種明かしもオシマイのようだ、次は俺の質問に答えてもらうぞ。 どうしてお前がディケイドの力を使っているんだ……鳴滝」 「僕も疑問だね、士の評判を落とすためとはいえ、あんたがここまで自分で動くなんてらしくない」 士と海東の問いかけに『ディケイド』……鳴滝は小さく、低い声で言葉を吐き出した。 「私には、もう、何も残っていないのだ……」 「なに?」 「ディケイド! 貴様は必ず倒す……貴様も、貴様に味方する者も、全て!」 「なっ……待て、鳴滝!」 憎悪に満ちた言葉をぶつけると同時に、オーロラの壁が鳴滝の体を包み込みその姿を消してしまう。 鳴滝の持つ世界を越える力を知らない土御門達は慌てて周囲を見渡すが、当然見つかるはずもない。 「どういうことだ……鳴滝の狙いはあくまで俺だけだったはず……」 「それ以前に、あの人は士が世界を破壊するからそれを止めようとしてたんだろ? 何でまだ俺たちを狙ってくるんだよ」 「やれやれ、どうにも情報整理が必要なようだにゃー? それならこんなところで立ち話も難だぜよ」 変身を解除し悩む士達へと呼びかける。 鳴滝による誤解が解けたとはいえ一時は敵対していた者同士、互いに話しあう必要はあるだろう。 「……そうだな、一度戻るとするか」 ◇ 名も無き荒野。 誰にも知られず、誰の記憶にも残っていないその場所に彼は立っていた。 くすんだ色の帽子をかぶり、丈の長いコートを羽織った初老の男、鳴滝はそのどこまでも続く荒野を遠い眼で見つめ続ける。 その右手に持っていた物に視線を落とし、強く握り締める。 それは一本のメモリースティックだった。 「D」の文字が記されたそのメモリーから、鳴滝の意思に呼応するかのように電子音が流れる。 「貴様だけは、絶対に許さん……!」 『DECADE!』 第三話 END NEXT STORY「その幻想を破壊せよ」
https://w.atwiki.jp/jico3178/pages/237.html
流行りモノファンタジー3本立て祭 (はやりものふぁんたじーさんぼんだてまつり) 2006.5.3O.Aに行われた、ブリンのオープニングファンタジーの一作。“祭り”と銘打ってはいるが、基本的に通常のオープニングファンタジー作品。 人気アニメ“ワンピース”・KAT-TUN・海猿などのパロディがファンタジー化されているが、全て宮迫博之の頭髪部分を弄る内容。 ※キャスト※ 様々なキャラ:宮迫 渡辺:渡辺 §スクリプト§ サフィ:俺は、海賊王になる!! 《“ワンピース”主題歌》 サフィ:俺の名前は、モンキー・S・サフィ。グランドラインと呼ばれるm…“ワンピース”と呼ばれるひとつなぎの財宝を求め、仲間たちと航海を続ける海賊だ!“サコサコの実”と呼ばれる果物を食べて、すげえ能力を身につけた!…おお、出たなクロコダイル!俺はお前を越えてく男だ!…くらえ、サコサコの……ヅラ!! 宮迫:………ちょ、待って。…ナベ。 渡辺:はい。 宮迫:何これ。 渡辺:はい… 宮迫:このセリフおかしないか、お前。…流行りモンのネタでいく言うて、言うてたやろ? 渡辺:はい… 宮迫:そのファンタジーなわけやんか。 渡辺:はい… 宮迫:“サコサコ”はええわ。“サコサコのヅラ”はちょっとおかしない?関係ないやんか、別にヅラとか。 渡辺:あい、はい、すいません…… 宮迫:そんな攻撃ないやん。 渡辺:あ…ま、関係ないっすね…… 宮迫:一回取ったらもう、すごい恥ずかしい感じで終わってまうやん。 渡辺:はい… 宮迫:クロコダイルに、笑われるやん。 渡辺:はい…すいません、あの…でもあの、二本目はちゃんとしてるんで。 宮迫:頼むで。 渡辺:はい…あの、KAT-TUNなんで。 宮迫:流行りモンやん。 渡辺:はい… 宮迫:それで行こうか? 渡辺:はい… 宮迫:ウン、よし…… (コンサートの歓声) SAT-TUNメンバー:ありがとう…今日は僕たち“SAT-TUN”の東京ドームコンサートにこんなにいっぱい来てくれて、ホントに嬉しいです。…じゃあ、僕たちのデビューシングル、聴いてください……『REAL HEAD』。 《KAT-TUN『REAL FACE』前奏》 メンバー:♪ギリギリ生えて残したい~から~…さぁ~……頭~に~毛を植えつ~けよう~…… 宮迫:ごめん、ちょっと止めて。ウン。 渡辺:は、はい… 宮迫:ナベ。 渡辺:はい? 宮迫:歌詞おかしいやん。 渡辺:え、何すか? 宮迫:“ギリギリ生えて残したいから…” 渡辺:はい… 宮迫:“さあ、頭に毛を植え付けよう”て、おかしいやん。 渡辺:あ… 宮迫:あの、KAT-TUNを題材のファンタジーはええわ。流行りやし。 渡辺:はい… 宮迫:でも、なんで毛とかそういうことになってくるわけ? 渡辺:はぁ…すいません。 宮迫:マジでホンマ、ええ加減にして。 渡辺:え…すいません、あのでも…あの、最後の3本目はもうホンマにちゃんとしてますから。 宮迫:頼むで。 渡辺:はい、大丈夫です。あの、今公開中の大ヒット映画なんで、はい。 宮迫:今? 渡辺:はい。 宮迫:よっしゃ、やってみようか… 《『Limit of Love 海猿』テーマ》(爆発音×2) 海保隊員:海で濡れて、ペッタペタになった髪の毛は、俺が絶対救ってやる!!……『禿猿』、大ヒット公開中しばくぞッ 渡辺:はい…はい。 宮迫:あの…第一に俺ハゲてないし。 渡辺:いやいやいや……はい。 宮迫:『禿猿』って何やねん。 渡辺:うぁ…。 宮迫:そんなもんお前、海…救助しよう思って潜ったらもう俺誰かわからへん、次出てきたら。 渡辺:うんうんうん。 宮迫:「宮迫どこ行った?」みたいなことになってくるやん。 渡辺:はい。 宮迫:何なんこれ。 渡辺:いや…「何なんこれ」って言われても… 宮迫:うん… 渡辺:まぁこのファンタジーにしたのは僕らスタッフなりの理由があるんすよ…。 宮迫:何、理由って。 《BGM》 渡辺:実は……先週…宮迫さんが、髪の毛のことで蛍原さんに、なんかすごい弄られてたじゃないですか。……だから、それを見てて、僕ら……僕ら!! 宮迫:もうええ!!…解った。髪の毛弄られてる俺が可哀想で、笑いにして元気つけよう思って、こんな台本にしたんやろ?……ナベ、そして…ガラスの向こうのお前ら………センキューです! 渡辺:いえ、違いますよ。僕ら、ただふざけただけです。 宮迫:やっぱりふざけとったんか~い!! 《『名探偵コナン』予告テーマ》 <終> 名前 コメント すべてのコメントを見る