約 1,850,568 件
https://w.atwiki.jp/switchsoft/pages/2230.html
G-MODEアーカイブス04 ビーチバレーガールしずく アーカイブス スポーツ 500円(税込)97.0MB ビーチの妖精たちが舞う! 簡単操作のビーチバレーゲーム! 元気で爽やかな女子高生たちが登場する簡単操作のビーチバレーゲーム。 プレイヤーは主人公「浅霧しずく」となって、親友の「水無瀬はるな」とともに女子高校生のビーチバレー全国大会「シンデレラカップ」で優勝を目指します。 ゲームモードは、主人公たちのチーム「蒼々高校」がシンデレラカップ優勝を目指す「ストーリーモード」、ライバルたちと練習試合を行う「VSモード」の2種類。 また 「コレクション」では、入手した水着や必殺技を確認することもできます。 ビーチで繰り広げられる熱い試合を楽しみながら、夏気分を存分に満喫してください! ■ G-MODEアーカイブスとは 「G-MODEアーカイブス」とは、かつてのフィーチャーフォンアプリゲームを当時のまま忠実に再現しお届けする復刻プロジェクトです。 当時のアプリをそのままお楽しみいただけるよう、WEB接続メニューや各種ボタン、キー内容などを移植再現しておりますが、一部機能しないものがあります。 Switch版の詳しい操作方法については、+-ボタンを押してPAUSEメニュー内「あそびかた」をご覧ください。 メーカー ジー・モード 配信日 2020年5月7日 対応ハード Nintendo Switch セーブデータお預かり対応 対応コントローラー Nintendo Switch Proコントローラー プレイモード TVモード, テーブルモード, 携帯モード プレイ人数× 1 対応言語 日本語 レーティング CERO B セクシャル リメイクされるなら「しずく」の部分を外して単に「ビーチバレーガールズ」になりそう。 あと、こっちみんな -- 名無しさん (2020-06-06 22 02 05) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/644.html
涼宮ハルヒの出会い 『アイツノソンザイ』 「おまたせー!皆朗報よ!聞いてちょうだい!」 またか…何度も何度も自分に言い聞かせるようだがいつ聞いてもいやだな… いつからだろうな…朗報という言葉に嫌気を感じるようになったのは… 「今度はなんだ?」 「あっキョンいたの?聞いてちょうだい!」 いたの?じゃないだろ!俺がいるから言ってきたんじゃないのか? 今日は俺だけの参加のはずだぞ? 「お前な…朝比奈さんたちは今日は不参加って聞いてなかったのか?つまりだな…」 「分かってるわよ!もうちょっとした冗談じゃない!いちいちつっこまない!」 俺がつっこまないなら誰がつっこむんだ… なんて事は言わない方がいいよな、まぁなんだ話だけは聞いてやるか 「で何だ?」 「あっそうよ!聞いて頂戴!本当は皆がそろってるときがいいんだけど今日は仕方ないわ」 「我がSOS団が結成されてからどれくらいたったか覚えてるかしら?」 そういやこんなふざけた団体はまだこうして活動しているんだよな となると半年くらいか、ずいぶん長い間無茶もしたもんだ 「で、それが朗報と何が関係あるんだ?」 「もう、ここまで言って気がつかないなんて本当に使えないわね!」 「記念パーティーよ!パーティー、もう半年になるのよ!?めでたいと思いなさい!」 おめでたいと思うのはお前の頭の中身だよハルヒ…とまぁなんにせよパーティーだと? どこでするつもりやら…どうかまともな場所でありますように… 「それで場所なんだけどね、やっぱりSOS団の記念ってことだし部室でっていうのはどうかしら?」 …我が家じゃなかったことには感謝しよう、だが部室? そりゃ問題ありまくりだろ…とまぁつっこんでもしかたないがいちを言っておくか 「学校は流石にまずいだろ?もっと他の場所しないか?」 「じゃあどこがいいのよ?」 そうなりますよね…とまぁ一通り考えたが誰かの家くらいしか思い浮かばないな… うーむ、まぁ今回はまともな朗報だったことだし少しくらい無茶に付き合ってやるか 「そうだな、誰かの家だとその人の家に迷惑もかかるかもしれないし今回は学校でもいいかもな」 おい、意外そうな顔をするな、そんなに俺がお前の意見に同意したのが気に食わないのか? といいたくなるくらいの驚きの表情を見せたハルヒなんだが… 「以外ね、熱でもあるんじゃないのかしら?」 「まっいいわ、じゃあ決定ね!明日みんなに話しましょう!もちろん放課後まで皆には内緒よ!」 といってハルヒは部室から出て行った つーこは解散か?まぁ帰るとしますか てなわけで今日は珍しく早く帰れることになった、まぁ明日のことを考えると… えぇい!やめやめ、今日はゆっくり休むことにしよう…考えるだけで疲れる あいつ喜んでくれたかな?いっつも無茶につき合わせてたからたまにはこういうのもいいわよね うん、きっと楽しんでくれるわよ! 明日は皆にも伝えて準備もしないとだから忙しいわ!今日はやめに寝ときましょう ………………ジリリリリリ バンッ 「うぉっ!」 「おっはよーキョン君!」 妹よ…おはようという表現はいささか間違いかもな… 下手したらおやすみだぞ… 「なぁ?何度言えば分かってくれるんだ?せめてもう少し優しく起こしてくれてもいいだろ?」 「えへへ、でもこうしないとキョン君おきてくれないよ?」 反論できないな…うーん自分の目覚めの悪さを恨むぞ と悠長なことはいってられないな、さっさと朝飯を食って準備した俺はいつもの ハイキングコースにいくことにした、この坂はどうにかならないかね… もう秋かと思わせる足はやな紅葉 これが唯一の救いだな とかとか考えているうちに学校だ、さーて今日の団長さんは何を考えてることやら… とまぁ教室にはいったら人目もくれずに 「キョン!今日は放課後付き合いなさい!いいわね!」 それはどっちの意味ですか? 「何がよ?」 いやデートか果し合いなのか 「バカ、昨日のこと忘れたの?」 覚えてますよ、分かった、だからそうふてくされるな 「悪い悪い、冗談だよ、で今日必要なものでも買いにいくのか?」 「もう、いっつもそうなんだから、そうよ!善は急げって言うでしょ?」 「そりゃそうだが昨日の今日ってちょっと急ぎすぎじゃないか?」 「いいの!あんたは黙ってついてきなさい!」 はぁ…まぁ分かりきっている答えなんだがこうなんでいつもなれないものか… 俺の免疫組織はきちんと働いてるのかね?ご主人様のピンチなんだぞー とバカなことを考えているうちにチャイムがなった 急いで席にすわってからは後ろの団長様はさぞ満足したかのように大人しかった 「…珍しいな」 「ん?何かいったかしら?」 「いやなんでもないぞ」 「そう」 今日はちょっと眠いわね…昨日夜中まで起きてたのがまずかったかしら… まぁキョンに用件は伝えたしちょっと寝ようかしら 「……ぉぃ、ハルヒ!ぉぃ…」 ん?キョン? 「あっおはよう、どうしたの?」 「どうしたのじゃないだろ、もうとっくに授業は終わったぞ」 えっ!1時間も寝ちゃったの?まずいなーまぁいいわ 「そう、でどうしたのかしら?」 「ん?自分で言ったことも忘れたのか、何か俺に用事があるんだろ?」 え?まさか!? 「はぁ…お前あれからいくら起こしても目をさまさないから大変だったぞ、今は放課後だ」 「だー今日は仕方ないわ!たまにはそういうこともあるのよ!」 「そうかい…」 笑うなバカ!でもそんなに私寝てたんだ…あぁキョンに寝顔みられたかな? ちょっと恥ずかしいな、変な顔してなければいいんだけど 「じゃ、早速だけどいくわよ!」 「おいおい、いくって何処にだ?場所は決まってるのか?」 「えぇ、材料は当日買うとして今日は小物買いにいくから街までいこうって思ってたの」 「そうか、じゃあ早速いくか」 キョンは準備が終わってるみたい、私も急がないと! そんなこんなで電車にのって街まできたのはいいけどこれってデートなのかな? ちょっと恥ずかしいな、制服っていうのがな~雰囲気でないけどまぁいっか! キョンも意識してるのかしら?ちょっと恥ずかしそうね 「ねぇあそこのお店どうかしら?」 「いいんじゃねーか?」 「もう気の抜けた返事ね、まぁいいわ、いくわよ」 中はいい感じに古ぼけたお店だった、どうやら個人店らしく仲がよさそうな老夫婦が経営してるらしい 物は良心的な値段でどれもいいもの安くって感じね 「これなんてどう?これもいいわね!あっキョンアレとって頂戴!」 「もう少し落ち着けよ…で、これか?」 なんだかこんなの始めて、すごく楽しい! 色々買えたし満足だな~ちょっと買いすぎちゃったかな? 「ありがとうございました、荷物多いようだけど大丈夫かい?」 「あっ大丈夫ですよ!こいつにもたせますから!」 「そう、彼氏さんも大変そうだね、今荷物をまとめてあげるからちょっとまってね」 えっ!カップルに見えたのかな?否定し…とかないであげるわ キョンもちょっと気まずそうにしてるし、今日は特別なんだからね! そんなこと考えてるうちに荷物がまとまとまったみたい 「「ありがとうございます」」 お礼をしてお店をでた、うまくおじいさん達が荷物をまとめてくれたから キョンも持ちやすそうね、あんた感謝しなさないよ?なんて思ってたらキョンから話かけてきた 「なぁ、さっきのおじいさん達いい人達だったな」 以外、カップルに間違われたことを言われるかと思ったけどそうじゃなかったみたいね 「そうね、これだけ買ったのに3000円ですんだのもびっくりよね、サービスしてくれたのかしら?」 「はは、だといいな、なぁハルヒ…そのあれだ、また一緒にこような?」 えっ?以外だった、キョンからそんなこと言われると思ってもなかったし それよりキョンにまたデートしようって言われたのがうれしかった いや、デートなのかな?これは…でも二人でまた一緒に遊べるならいいかな 「そうね!まぁどうしてもっていうなら付き合ってあげるわよ!」 「はは、じゃあどうしてもって事にしておいてくれ」 はぁ…私って素直じゃないな、でもキョンにはこれくらいで丁度いいかな? あっもう駅か、しかたない電車賃くらい出してあげるわ! 荷物持ちのお礼って事にしておいてあげる 「まってなさい、いま切符買ってくるから」 「えっいや「いいの!そこでまってなさい!」 「じゃあお言葉に甘えとくよ」 急いで切符を買ってキョンに渡したあと電車は以外とすぐにきた なんだろう、電車の中では会話できなかった… 最寄り駅が近いのもあるかもしれないけど あっおりないと! 「おりるわよ!ほら、もうあぶなっかしいわね!」 「悪い悪い、っとよし行くか」 「あぁハルヒ!そういえば荷物どうするよ」 あちゃー考えてなかった…今から学校に行くわけにもいかないしな…どうしよう… 「しゃーない、家で預かっておくよ」 「あっあんたにしちゃー気がきくわね、じゃあお願い」 「おう、あっ日程はもうきまってるのか?」 「うん、明後日にするわ、次の日が土曜日だから遅くまでなっても平気でしょ?」 「うーむ、あんまり関心しないがまぁそうだな、わかった、じゃあまた明日な」 「あっ…うん、ちょっとまって!」 あっ…勢いで呼び止めちゃった…どうしよう… 「ん?どうした?」 ほら…もう、いくっきゃないわね 「荷物重そうだし…途中まで手伝ってあげるわ!感謝しなさいよね!」 あっなによ!以外って顔すんな!バカ 「うーん今日はやけに優しいな?どうした?」 「ばか、いつも優しいわよ!」 「そうでした、じゃあよろしく頼む」 「うん」 軽い荷物を受け取って私が持つことにした、そういえばキョンの家と私の家って 少し遠いのよね、帰りどうしようかしら… まっ今日はいいわよね、少しでも長く一緒にいたいし 「おい~ここまででいいぞ~」 えっ?あっぼーっとしてた、もうついちゃったのか… 「うん…」 何か話せばよかったな… 「んーアレだ、今日はなんか俺ばっかり優しくされて不公平だな、家くるか?お茶くらいはだすぞ」 えっ?キョンの家?行きたいけど…どうしよう… 「いく!」 あっバカ!何素直にいちゃってるのよ 「おう、んじゃここからすぐだから、荷物はもういいぞ、助かった」 「うん」 それから少し歩いてすぐに家についた、結構いい家にすんでるのね 「ただいま~、おいハルヒ部屋はこっちだ」 「あっ、おじゃまします」 「今日は誰もいねーぞ、なんか母親は妹つれて友達と遊びにいったしな」 「あっあんたまさか!」 「ばっばか言うな!7時には帰ってくるとか言ってたし何もしせんわ!」 まぁキョンが相手なら…って何私考えてるんだろ! 「ちょっとからかってみただけよ、あんたにそんな勇気あるはずないしね!」 「後が怖いからな、っとお茶入れてくる、適当に座ってていいぞ~」 そういわれてリビングに通された 「ねぇ、キョンの部屋どこ?」 何言ってるんだろ私 「ん?部屋?なんでだ?」 「キョンの部屋がいい」 ほらまた… 「んー変なもの探すなよ?こっちだ」 「ばか!探さないわよ!それとも何かあるのかしらね?」 やった!キョンの部屋にはいれる! 「アホ、ないわ、ここだ~今お茶もってくるからまってろ」 そういってキョンは下にいった 「これがキョンの部屋か~以外ね、綺麗じゃない」 あっベットだ………… バフッ、キョンの匂い…いいにおいだなー…ガチャ 「おーいお茶もってきたぞ、っておい」 あっしまった! 「あっちょっと疲れたから横になりたかったの!」 うぅーしまった、見られた… 「ん、まあ飲め、冷めるぞ」 「うん」 うー気まずいな、早く飲んじゃえ 「あつっ!」 「おい!大丈夫か!みせてみろ」 うぅーばかした、舌やけどしてないかな… 「ほれ、はやくベロだせ」 「うん」 「大丈夫そうだな、あんま無理すんな」 「うん」 うん、としかいえないよ…きまずい… 「ばか…あんまり人のベロじろじろ見るな」 「あっ悪い悪い、っともう40分か」 「うん…」 どうしちゃったんだろう今日の私…なんか素直になれないな… 「送ってくよ」 「えっ?」 今送っていくって言ってくれたの? 「もう外も暗いしな、ほれいくぞ」 「あっ、うん」 今日はやけにキョンも優しいわね、どうしたのかしら? まさかキョンも…?だといいな…エヘヘ 準備も終わって家をでた 「おじゃましました」 もう秋だな~って思うくらい外は暗くて涼しかった ちょっと寒かったかな そうおもってたらキョンが 「今日はちょっと寒いな、上着きてくりゃよかったな」 「バカ…じゃあ手繋ごうよ…」 何言ってんだろう…カップルじゃないんだよ? これで断られたらきまずいよ…いつも見たく勝手に繋げばよかったのに… 「んーそうだな、でもいいのか?」 あっキョンもまんざらじゃなかったのね?よかった! 「今日は特別って言ったじゃない!明日からは無しよ!」 「へいへい、じゃあ今日だけ甘えておきますよ」 どっちからとも言わずに私達は手を繋いだ… お互いちょっと無言だったのはお互い気まずいからかな? とか考えてたらもうすぐ家だ 「キョン、ここまででいいわよ」 「ん?家まで送ってくぞ」 「大丈夫、もうそこの角まがったらすぐだし、親も心配してるからさ」 「んーそうだな、こんな時間に俺がいったら親もいらぬ心配するしな」 「ばーか、まっそういうことよ、今日はご苦労様」 「おう、んじゃまた明日な」 「うん」 少し名残惜しかったけど手を離した… キョンを見送って背中が見えなくなった… なぁハルヒ?今日のお前はどうしちまったんだ? そりゃ俺としてはだな、まぁうれしくないって言ったらウソになるが あいつもずいぶん丸くなったな、にしても俺はなさけないな… 普通男からすることをほとんどあいつからか… もう少し古泉を見習うか にしても俺ってやっぱりアイツのこと意識してるのか? 今日はやけに緊張したな、そりゃ普通にまともなデートとかは初めてだが 俺もしかしてあいつのこと… キョンに対しての気持ちっていつからだったんだろ… もしかしたら始めから?でも気持ちが確かなものだって分かったのは 今日改めてかな…たぶん好きになったのは夢の後あたりからかな… ねぇキョン… 「キョンにとっての私は?…」 「ハルヒにとっての俺は?…」 「俺にとって」 「私にとって」 「「アイツノソンザイって…」」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5814.html
今日は12月23日。 …… 時は夕刻。俺は最寄りの店へと寄っていた。いろんな人形やぬいぐるみを手にとり凝視する俺。 「おいおいキョン、まさかお前にそんな少女趣味があったとはなあ…正直失笑もんだぜ!!」 はてはて、特にこいつは影が薄いキャラ設定でもなかったはずだが…俺はこいつの気配に 今の今まで気づかなかった。ここ最近ハルヒの閉鎖空間云々といった騒ぎに巻き込まれず、 温和な日々が続いていたせいだとでもいうのか?すっかり外的要因を感知する能力が衰えていた。 「外的要因??キョン、そりゃあんまりじゃねーか?俺はお前の親友だろ?」 悪友といったほうが正しいような気もするが。とりあえず、少女趣味云々イミフなことを言うヤツは放置に限る。 「あーあー、さっきのは悪かったって!あれだろ?妹ちゃんにやるクリスマスプレゼント探してたんだろ??」 わかってるんじゃねーか…ったく、別に俺がからかわれるのには構わないんだけどな。 そういうことを鶏が朝一番に鳴くようなレベルの大声で言うなと… もし側に俺の知人がいたら、こいつはどう責任をとるつもりだったんだ。 「だから悪かったって言ってるだろ…マジごめんって。」 まあ、わかればいいさ。謝ってる相手に追い打ちをかけるほど俺は畜生ではない。 「ところで谷口、お前はこんなとこで何やってんだ?」 「単にジュース買いにきたってだけだぜ。」 ジュース程度なら外で自販機がいくらでもあるだろうが。なぜ、いちいちこんなデパートに? 「おいおいキョン、外のこんな暑さをみてそんなこと言うのか?冷房のきいた店に涼みに来たってのも兼ねて、 ついでにジュースを買いにきたってだけだ。別におかしくもなんともねーだろ?」 なるほど、筋は通ってる。 「しっかし、冬至だってんのに夏みたいに暑いとか、 いよいよ地球もオシマイだよな。地球温暖化もくるとこまで来たってわけだ。」 …こればかりは同意しておく。実は、今年は12月に入ってずっとこの調子なのだ。何がって? もちろん地球気温のことだ。炭素税、クリーン開発メカニズム、国内排出証取引、排出権取引、直接規制による CO2削減義務、気候変動枠組条約、京都議定書…数えればきりがない。それくらい俺たちは現代社会等で 温暖化対策を強く教わってきたし、各国もそれなりの規模で取り組んできたはずだ。 にもかかわらずこのザマである。 もはや、これでは人間の努力の範疇を超えてしまっているではないか。…そもそもである。 人間ごときが地球規模レベルの変革を推進できるという考え自体が…傲慢だったというのであろうか。 …まあしかし、こればかりは俺たち一個人、ましてや一高校生にどうこうできるレベルではない。 つまり、谷口含む俺たち地球人は…。この苦い現実を受け入れ、生きていくしかないということである。 …… しばらくして、ようやく妹へのプレゼントを買うことができた。 用事を済ませた俺は、谷口と一緒にデパートをあとにしたんだが…その直後だったか。 「?」 違和感が襲う。足に力が入らない。 …… なぜ…俺は宙に浮いているんだ? …?? 空に舞ったあと、物体はどうなる?誰もがわかるように、ただ地球の中心に向かって 落下するだけだ。不変の真理である万有引力の法則に基づき、俺は地面へと強く打ちつけられた。 …どれだけ時間が経過したのだろう。俺は目を覚ました。どうやら気を失っていたようだ…証拠に、 いまだに地面に打ち付けた衝撃で頭がグラグラする。打ちどころが悪ければ…まさか死んでたのか俺は。 …… 一体何が起こった??わけもわからず、俺は必死にさっきの事象を思い出そうとする。 しかし、それは叶わなかった。思い出すとか以前の問題だった。目の前に広がる光景以外…考えられなかったから。 「…なんだってんだ…?これは…?」 周辺道路に亀裂がはしってたり陥没してるのはなぜだ??さっきまで俺たちがいたデパートが… 跡形もなく崩れ去ってるのはなぜだ??…なぜ、ありえない形で看板に人が突き刺さってる?? あそこで転がっているのは何だ…?!体の一部か?遠くから…煙や火の手があがってんのはなぜだ?? 視覚で物事を把握した途端に、今度は聴覚が冴えてくる。 「助け…」 ?! 「ひ、火を消してくれえええええええええええ!!!!」 「だ、誰か!!」 「ああ…あああ…!!!!!」 「私の子供が…っ!!瓦礫の下敷きに!!!」 「うわああああ痛いよおおおお!!!」 何を騒いでるのだこの人たちは? 「ちょ…おい、ま、待ってくれ…何だこの状況は」 聴覚で物事を把握した途端に、今度は嗅覚が冴えてくる。 「う…!」 異臭に鼻をふさぐ。この臭いは…腐臭である。 一体何の…? …… にん…げん…? 視覚、聴覚、嗅覚が正常に機能して 初めて俺はこの場所で何が起こったのか…それを思い出した。 「こんな地震見たことねえぞ…!?」 そう、さきほどこの地域全域で地震が起こったのだ…それも、考えられないくらいの強い地震が…!! これまでの経験上、一度も地震に遭ったことがないのでなんとも言い難いが…震度やマグニチュードで言えば 関東大震災や阪神淡路大震災の比ではないのではないか…!??直感でそう思った。 根拠はあった。でなければ、縦型の地震とはいえ、人間が空に舞うなど絶対ありえないだろう…? …… まさかこんな事態に見舞われようとは、一体誰が予測できる??先程までの俺や谷口はそんなこと微塵も… ?そういえば谷口はどうなったんだ? 俺は辺りを眺める。おかしい、地震があったとき確かに谷口は俺と一緒にいたんだ… それなら、ヤツは気絶してる俺を叩き起こしたり、惨状を見て発狂したり、取り乱したり… とにかく、俺に存在感を示すに決まってるんだ…あいつはそんなヤツだ。しかし、その気配はない。 認めたくなかった。それが意味するところを、それだけは絶対認めたくなかった。 最悪の状況を回避してくれることをひたすら信じ、俺は必死に辺りを見回した。 ふと、数10メートル先に瓦礫に埋もれている人間を確認できた。 ぴくりとも動かないことから、おそらく死んでいるのだろう。そしてその人間の服に、俺は見覚えがある。 考えが途切れた 「ははっ…嘘だよな…おい、嘘だよな?」 側まで近付いてみて疑念が確信に変わった ケガをしてたっていい、瀕死だっていい、 とにかく生きてさえいりゃよかった 死んでさえいなけりゃよかった …… 「谷口よお…お前だけは殺しても死なねー男だと思ってたのによぉ…」 …ッ!! 「あ…ぁあ…あ、うああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 その雄たけびが状況ゆえに発狂した奇声だったのか、友人を亡くしたことに対する怒声だったのか、 今にも崩壊しそうな自我を守るための悲鳴だったのか。今の俺には判断のしようがなかった。 というか、どうでもよかった。何もかもがどうでもよかった。 …… 「はははっ…」 俺は笑っていた。俺がさっきまで一緒にいたであろうヤツに 『外的要因を感知する能力が衰えていた。』と言ったことを思い出していたからだ…っ。 「さすがに…こんな大地震まで感知できるわけねえよ…っ」 皮肉とはこういうことをいうのだろうか。 それからどれだけの時間が経ったのだろうか。相変わらず、目の前には無残な光景が広がっており 悲鳴は絶えない。だが…どういうわけだ?理不尽にも、俺はこの状況に慣れつつあった。 例えば、ずっと暗闇の中で暮らしていれば、微量な光でも辺りを察知できるよう目は慣れてくるものだ。 ずっと大音量でイヤホンから音をたれ流していれば、耳はそれに順応するものだ。 同じことが起こっていた…それも、俺の全感覚を通じて。 落ち着きを取り戻した俺は、ようやく他のことに考えを回せる余裕をもった。次の瞬間、ある人物が脳裏をよぎった。 「…ハルヒ!!」 そうだ、ハルヒは一体どうなったんだ??まさかっ、死んじゃいないよな…?? 先程の谷口を思い浮かべ、俺は背筋に寒気が走った。すぐさまハルヒのもとにかけつけよう…ッ!! そう決心しようとした矢先に、大事なことを思い出した。 「…そういや、あいつは無意識のうちに願望を実現できる能力をもってんだよな…。」 ご察知の通り、涼宮ハルヒは自身の願望を実現させる能力を有している…それも無意識のうちに。 であるからして、ハルヒはとりあえずは無事だという結論に至った。人間危険な状況に臨めば誰しも 反射的に防衛反応をとる。ゆえに ハルヒが死ぬなんてことはまずありえないはずだ。 かく言う俺も、地震で宙に投げ出され地面に激突する際、確かに受け身をとっていた。…無意識のうちに。 わずかだが、今思い起こすとそういう記憶がある。 【ハルヒは無事だ】 そう納得した、いや、違う、納得したかったのは、実は他に理由がある。 それは…家族のことが気がかりだったからだ。ハルヒのほうが助かっているであろう根拠はあっても こっちは、生きている保証などどこにもないからだ…!! 「家に戻ろう…!!」 俺はすくんだ足をたちあがらせ、一目散へと自宅へ走り出した。 …… 自宅に着くまで時間はかからなかった。なぜなら、一々遠回りをせず、ほぼ直進してここまで来れたからである。 なぜ直進してこれたのか?障害物が見当たらなかったからである。いや、本来そこにあったはずのものが 瓦解消滅してしまった、という言い方のほうが適切であろう。その障害物とは何か?民家や塀のことである。 言わずもがな、住宅街はほぼ全壊していた。第二次世界大戦下で東京大空襲を経験した祖父から、 その様子を聞いたことがあったが…まさにそれがこの状況なのではないか?唯一の相違点は、今回は地震なため 空襲とは違い、そこまで火災があったわけではない。ないが、もはやそういう比較は意味を成さない。 双方とも言葉にできないくらいひどかったのは間違いないんだからな…。 民家はまるでダンプカーに押しつぶされたかのごとく、見事なまでに原型を失っている。 瓦礫の下から人間の手や足が覗いている。悲鳴やわけのわからない奇声があちこちからこだましている。 一歩一歩、歩くごと血を流し横たわってる死体…なれば、考えざるをえない。同じ境遇で生き残ってる俺は… 一体どこまで運がよかったのか…? 地獄絵図 しばらくして…俺は見つけた。 荒廃してて庭だったかどうか識別できない…そんな場所で、俺は倒れてる少女を見つけた。 「おい!しっかりしろ!大丈夫か!?」 すぐさま妹のもとにかけよる 「きょ、キョン君…」 凄惨な光景には見慣れていたはずだったが…さすがに、肉親の肢体のあちこちから出血させられてる姿を見て、 平然としていられるはずがない…っ!いや、ある意味平然としていたのかもしれない俺は。あまりのショックに。 「今、止めてやるからな!!」 …血のことだ。 俺はもっていたハンカチやティッシュ、そして次々にちぎった着ていた服を布代わりに、 とにかく俺は妹に応急処置を施した。しかし…あまりに傷が深すぎて…出血が止まらない…ッ 「くそ!!何で止まんねーんだよ!?!?」 自分は無力だと実感する。本当に自分は無力だと実感する。兄のくせに俺は…! 妹のために何もしてやれないのか!?このまま何もしてやれないまま…妹は死んでいくのか!? …そうだ!!ハルヒに!!ハルヒに会えばいい!!ハルヒに会って妹の生存を望ませれば 妹は助かる!!よし、今すぐにハルヒをここに連れてきて 「おにい…ちゃん………」 !! 妹が何かをしゃべろうとしてることに気付いた。 「しゃべるな!!これ以上の出血はシャレになんねーんだぞ!?」 「もう…ながくない…よ。なんかね…さっきから意識が…消えそうだったり…」 「なら、尚更しゃべるんじゃねえ!!死ぬぞ!!」 「だか…ら。最後に…言わ…せて」 妹が最後の力を振り絞って何かを言わんとしていることがわかった。もはやその声はかすれ声そのもので、 読唇術でも使わない限り音声を完璧に把握できない…そう言っても過言ではないほど、事態は深刻なものに なっていた。俺は全身全霊をもってその言葉に耳を傾けた。決して、決して聞き逃さないように…! 「いま…ま…で」 …… 「あり…が…、……………………………」 その後、妹が口を開くことは二度となかった。どうやら、俺のかばんの中に入ってるぬいぐるみは 用無しになっちまったらしい。生きていて、そしていつものように笑顔を見せるお前に渡したかった。 …そういえばお前、最後の最後で俺のこと お兄ちゃんってちゃんと呼んでくれたんだな…はは…なんだかな。 こぼれきれないほどの涙が 目から氾濫する …… しばらくして、俺は放心状態のまま家をうろついた。そこで俺は…親父とおふくろを発見した。 しかし…すでに息はない。 …… 追い打ちとはこういうことを言うのか 俺の自我は 崩 壊 し た ナ ゼ コ ン ナ コ ト ニ ナ ッ タ ? リピート機能がついた壊れたレコーダーのごとく 延々と脳内から再生される片言 いつまでも、延々と ただその機械は 一定の行動を繰り返すだけだった …しばらくして、その輪廻から俺を解放してくれたのはある声だった。ある声といっても、 そこら中で聞こえてる悲鳴や轟音ではない。不思議なことに、その声は俺の脳内だけで鳴っているようだった。 これが幻聴というやつか?ついに俺も気が狂ってしまったか。まあ、こればかりはもうどうしようもないじゃないか。 これで狂わない人間など、もはやそいつは人間ではない。 しかし、その声がどこかで聞き覚えのあるように思えるのは…どういうわけだ? 『…けて……た……て…!』 何回も聞くうちに、しだいに何を言っているのか…聞き取れるようになっていた。 『助けて!キョン!助けて!!』 …確かにこう聞こえた。 …… これは…ハルヒの声…??どういうわけかはわからんが、俺の脳内にこだまするこの声は… ハルヒのものか!?ハルヒが俺に…助けを求めてるのか!? 例の特別な能力のおかげでハルヒの安否については大丈夫だろうと踏んでいた俺だったが… まさか、俺に助けを求めるほど事態が窮してたとでもいうのか!? 「くそお!!」 壁に拳を殴りつける。友人が死に、家族も死んだ…その上、ハルヒも死なせるのか…? 「これ以上誰も死なせてたまるか…!」 気がつけば俺は飛び出していた。どこにいるのかすらわからない涼宮ハルヒの行方を追って… いたるところを探し続けた。ハルヒの家、公園、商店街、広場…正しくはその跡を。 いずれの場所にもハルヒは見当たらなかった。一体ハルヒはどこに…!? っ!! 地面がまだ少し揺れている…余震はまだ収まっちゃいないってのか。とりあえず、この周辺がどうなってるのか 把握する必要がある。かといって、余震があることがわかった今、闇雲に歩き回るのは危険だが…そうだ、 携帯で地震速報を見ればいいわけか…!?あまりのショックの連続で、すっかり携帯電話の存在を 忘却してしまっていた。ついでにこれで…長門にも連絡しておくか…。とりあえず、 あいつなら力になってくれるはずだ!ハルヒにもその後かけよう…! …? どういうわけだ…??電話もメールも…できない? 特に壊れた様子もない。にもかかわらず 主要機能が総じてシャットアウトしてしまっている…?? くそッ!!これじゃ一体どうしろってんだ!? …… いかん…落ちつけ…。状況が状況だ。今ハルヒを放って発狂するわけにはいかない…。 「…それならラジオはどうだ?何とかなるんじゃないか?」 俺は側にあった倒壊しきった民家に立ち入り、ラジオを探した。 …ああ、わかってる。非常識極まりない行動だってことは…おまけに、見つかるかどうかもわからない。 だが、今の俺には何か一つでもいいから自分を安心できる材料が欲しかったんだろうな。 「ぁ…」 今思えばそれは必然ともいえる光景だった。誰かが屋根の下敷きとなっている。 生きてる気配は感じられなかった。 …… 俺は黙祷を捧げた… 一体何人の人が、この震災で命を落としたのであろうか…? これだけの地震だ。死傷者数・行方不明者数は過去最悪になっていてもおかしくない…。 右往左往しているうちにラジオが見つかった。この状態で見つかったのだから、ほとんど奇跡に近い。 もっとも、それが奇跡だと実感できる精神的余裕は、今の俺にはなかった。 …さっそく電源を入れる。 「~~~~~~~~~~~~~~」 しかし ガーガー雑音が鳴るだけで、一切音声は聞き取れなかった。 やりきれない思いが爆発しそうになる。どういうわけかはわからないが、 なぜかラジオまでもが機能しないらしい。…どうして!?どうして機能しない…!!? …… とにかくダメだとわかった今、自力でハルヒを探す他ない。…しかし、ハルヒはどこにいるというんだ?? 落ち着いて考えてみる。 …… 俺は賭けにでた。 「ハルヒ!!」 ようやくハルヒを見つけた…旧校舎近くで。よくよく考えりゃ、ハルヒが一番いそうな場所だからな…。 「キョン…無事だったのね…よかった…。」 「?どうしたハルヒ、大丈夫か??」 異様なくらいハルヒに元気がないのが見てとれる。いや、元気がないとかそういう問題ではない。 体を震わせて何かに脅えている…そんな感じだ。ライオンがシマウマを見て逃げ出すなんてことは 天変地異でも起こりえないことだが、今のハルヒは、まさにそのライオンに置き換えることができる。 …… 見た限り、ハルヒはケガなど身体的外傷を負っている様子はない。どうやら、顔が青いのは そのせいではないらしい。…さすが能力様様と言ったところか。とりあえず、ハルヒは無事だ…! そのことがわかり、俺は安心した。ということは、原因は精神的なものか…?そりゃ、この光景を見れば… いたるところに生徒の屍が転がっている。 …… 幸いなのが、今日が日曜だったということ…、もしこれが平日だったならば… 今俺たちが見ているこの光景は、今よりずっと杜撰だったのであろうか…? …わざわざ日曜だというのに学校に出向き、先程まで懸命に汗を流していたはずの彼ら。 まさかこれほどの規模の地震に遭うとは…ついさっき生きてる時は想像もしてなかったはずだ…ッ。 俺は…、彼らに静かに…黙祷を捧げた。 最悪の事態 ハルヒが精神を病むのも当然だろう。 しかし、ハルヒの様子がおかしいのは…どうもそれだけが原因には俺には思えなかった。 凄惨な光景のみで具合を悪くしているのだとしたら、俺もそうである。いくら見慣れたといえど、 あんな光景は二度と見たくもないし思い出したくもない。いまだに背筋がゾッとする… だが、ハルヒは何か俺のそれとは違う。うまく説明できないが…とにかくそんな気がする。 考えてみれば、ハルヒが無意識のうちに願望を実現できるっていうのは事実だ。仮に、この光景のせいで 気分を害しているのだとしたら、ハルヒは無意識のうちに…これを見たくないと思うはず。…ならば、 極論を言えば、ここにある死体ともども消滅させることだってハルヒには…造作もないはずだ。 「ハルヒ、お前…本当にどうしたんだ…?」 なるべく刺激しないように、かつ精一杯の優しい口調で、俺はハルヒに語りかけてみた。 「あ…あたしは…、自分自身が怖い…っ」 予想外の返答が返ってきた。 …自分自身?? 「ハルヒ、そりゃ一体どういう…」 気付けばハルヒは泣いていた。 「もう…あたし、どうしたらいいか……って、キョン!?」 あまりに不憫すぎるその挙動を見たせいか、気付いたときには俺は、ハルヒを抱きしめていた。 …普段の俺ならこんな言動はまずありえない。それくらいに、事態はやばかった。 …何がハルヒをここまで追い詰めているのかはわからない。だが… とりあえず、今は少しでもこいつを安心させてあげたい…とにかくその一心からでた行動だった。 「キョン…あたし…あたしは……」 ? その瞬間だった。俺の視界が真っ暗になったのだ。目をつむってもないのに真っ暗になるとは 一体どういうわけだ?俺が今立ってハルヒを抱きしめてる感覚はあるから、気絶したとか そういうわけではないらしい。日が暮れて夜になったからか?いや、それもおかしい。 まるで、辺りが黒いカーテンにでも覆われたのではないか?と言っていいくらい…何一つ周りは見えなかった。 確かに、地震で街灯などといった光源体は破損しているかもしれない。しかし、空に星さえ見えないというのは どう説明すればいいんだ??第一、急に真っ暗になったことを考慮すると…とてもではないが、 単に日が沈んだとかそういう問題でもない。…じゃあ、この状況は一体何だ…? 「キョン…どうして真っ暗に…??」 「……」 ただ確実に言えることは、これが異常事態以外の何物でもない、ということである。 …… まあ、あのとてつもない地震からして、すでに異常事態なわけだが…。 ふと冷静に考えてみる。そもそもあんな地震、いくら日本が地震大国と言えどそうそうあるようなものじゃない。 第一震度からして桁違いだし異常すぎる。それに、小さな地震ならともかく大震災レベルともなれば普通は… もっと警告なり何だのあってもよかったはずだろ…!?東海大地震や第二次関東大震災のごとくな…!! もちろん、俺たちの住む地域でこんな地震が起こるなんて噂…聞いたことがない。一回も聞いたことがない…! それすらなく、俺たちは…突発的にこの一連の大惨事に巻き込まれた。 もしかしてこの暗闇と地震は…何か関係あるのだろうか…? !! そんなことを考えてる余裕もなくなった。あたりが冷えだした…それも急激に。 わけがわからない。本当、何がどうなってるんだ??地震に暗闇に、 そしてこの極寒…まともな思考の人間なら、今頃発狂していてもおかしくはない。 そうはならないのが、俺がハルヒたちとともに、これまでいろんな修羅場をくぐってきた慣れというもんなのか…? 「これから一体どうなっちゃうんだろう…??」 身震いするハルヒ…。もっとも、この震えは寒さからくるものであって さっきまでの原因不明の震えとは性質が異なるみたいだが… ッ!? いかん、気温の低下に拍車がかからねえ…!普通に氷点下下回ってんじゃねーかこれ?! いや、もはやそういう次元でもないらしい。なんせ、今にも意識がとびそうなんだからな…ッ! …… いや、ダメだ…!今ここで倒れたら…ハルヒはどうなるんだ…!!? …… 俺は今まで以上に強く、強くハルヒを抱きしめていた。ただ体を密着させるだけで… この極寒に勝てるほどの熱を出せるとは、到底思わない。…だが!!今の俺にはそうする他なかった…っ 「守ってね……あたしを。」 会話はそこで終了した いつのまにか 俺は意識を失っていた 暗闇を彷徨っていた
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1877.html
言わせて貰うなら、セックスなんてのは単なる行為のひとつに過ぎない。少なくともあたしはそう思ってる。 愛情がなくったって出来るし、何の証明にもならない。セックスしたから彼はわたしの物♪なんて、おかちめんこな考え方は噴飯物だ。一時の気の迷いで、そうひょいひょいと人の所有権を移動させないでほしい。 結局その考えは、あたしこと涼宮ハルヒが実際にセックスを経験した後も、特に変わる事はなかった。だからやっぱり、セックスなんてただの行為なのだ。 「おっそーい! キョンの奴!」 一年を4分割するのなら9月は秋に分配されて然るべきはずなのに、その日は朝から猛烈に暑かった。残暑なんてものは馬の尻尾にくくりつけて、そのまま蹴っ飛ばしてしまいたい。 実際にはくくりつける事も蹴っ飛ばす事も出来ないので、あたしは腕組みをして駅前広場の時計を睨みながら、ひたすら不機嫌な声を張り上げていた。 「ホントにもーっ、何やってんのよ!」 「まあまあ涼宮さん。まだ待ち合わせ時刻から10分ほどしか経っていませんし」 「他のみんなはもう集まってるでしょ!? せっかくSOS団の末席に加えてあげてるっていうのに、団員としての自覚が足らないわ! だいたいね? 下っぱのキョンが団長であるこのあたしを待たせるだなんて、まったくの論外よ! ロンのガイよ!」 あたしの怒声に、古泉くんは参りましたねと肩をすくめるばかりだった。あー、何か違う。やっぱり古泉くんが相手だと何かこう、しっくり来ない。これはもう今日は徹底的にキョンの奴を吊るし上げなけりゃだわ! 「うス。すまん、遅れた」 噂をすれば何とやらね。しょぼい顔してやってきたキョンを、あたしは出来うる限りの厳しい眼光で迎えてやったわ。 さー、どうとっちめてやろうかしら。明らかに寝不足っぽい顔しちゃって、どうせまたつまんない理由で夜更かしでもしてたのよきっと。 「理由…言わなきゃダメか?」 「当ったり前でしょ! あんた一人のせいで、あたし達がどれだけ迷惑したと思ってんの!」 「あのぅ、涼宮さん…わたしはそれほど迷惑とは…」 「みくるちゃんは黙ってて!」 「ひゃ、ひゃいっ!」 「これは団の規律の問題なのよ。さあ、ちゃっちゃと吐きなさい、キョン!」 ゲームか漫画か、それとも深夜映画にでもハマってたのか。わくわく気分で問い詰めるあたしに、キョンはむっつりした顔で、こう答えた。 「昨日、中学の同級生だった奴の葬式に行ってきたんだよ」 「そうですか、海難事故で」 「ああ。夜釣りの最中に高波にさらわれて、朝、浜に打ち上げられた時にはもう冷たくなってたとか。人間なんて本当、はかないもんさ」 古泉くんに素っ気なく応じると、キョンはずちゅーとアイスコーヒーをすすり上げた。事故の件を話すのがつらいというより、喫茶店に移ってきてまでこんな暗い話題で雰囲気を盛り下げたくない、といった感じだ。 まあ確かに、日曜の朝に聞きたい類の話じゃない。正直、気分が滅入る。ああ、だからキョンはさっき言いたくなさそうにしてたのか。…って事はなに? 今のしんみりした空気って、ムリヤリ聞き出したあたしのせい? 「でも、キョン! そもそも昨日の時点で用事がお葬式だってこと、なんであたしに言わなかったのよ!?」 なんだか責任転嫁のような感じで、あたしは話を蒸し返していた。そう、本来は昨日の土曜日に定期パトロールが行われる予定だったのに、直前になってキョンが用事があると言いだしたから、一日ずらしてみんな集まっているのだ。 でもってキョンの奴は、あたしが訊いても口をもごもごさせて、何の用事かははっきりと言わなかった。今朝からあたしの気分が優れなかったのも、半分くらいはそーゆーキョンのぐだぐだした態度にイラついてたせいだ。結論、うんやっぱりキョンが悪い! 「最初は、葬式に出る気なかったんだよ。つい直前までな」 あっさりと、キョンはそう白状した。…おかしい、どうも今日は調子が狂う。 いつものキョンなら吊るし上げをくらっても、なんだかんだとあたしに抵抗しようとするのに。その往生際の悪さが見てて楽しいのに。 「1、2年の時に同じクラスだったってだけの奴で、すごく仲が良かったわけでもなかったし。高校も結局、別の所に行っちまったしな。 俺が行って手を合わせた所で、奴が生き返るはずもなし。でも国木田の奴に、焼香くらいは、って誘われてね」 国木田か。なるほど、付き合いのいい方ではあるわね。でも、ちょっと待って? 特に仲が良かったわけじゃあない? 見回せばあたし同様、キョン以外のみんなが頭の上にクエスチョンマークを浮かべていた(有希はパッと見、そうとは分からないけど)。それならどうして、寝不足になるくらい思いつめたりすんのよ。 「別に今生の別れに一晩中泣き明かしたりしたわけじゃねえよ。ただ、なんて言うかな…。 葬式のあとで、国木田が言ったんだ。なんだか全然、現実味がないねって」 まるでそういう風に話すよう造られた自動人形みたいに、キョンは淡々と語っていた。 「家に帰ってから俺、卒業アルバムを開いてみたんだ。そしたら確かに、一緒の頃の思い出の方が生々しくって、あいつが死んじまったって現実の方が絵空事みたいな感じなんだよ。 でもやっぱり、あいつが居ないこの世界の方が現実で」 ふう、とキョンがひとつ息を吐くと、微かにコーヒーの匂いが漂った。 「実は俺、ほんのしばらく前にそいつと話してるんだよな。下校途中にサンダル履きのあいつと、ばったり出くわしてさ。そのままコンビニの前で30分ばかりくっちゃべってた」 「その人、何か特別な事でも言ってたの?」 「いや、全然。今じゃ内容さえ憶えてないような、そんな程度の会話だった。 でもそれは、あいつとは逢おうと思えばいつでも逢える、話そうと思えばいくらでも話せる、そう思ってたからで。それが気が付いたら、そうじゃなくなってて――。何だろうな、こういう感じ。心にぽっかり穴が空いた、とでも言うのか?」 「ふん、ボキャブラリーが貧困ね」 わざときつく揶揄してやったのに、あいつはムッとした表情さえ見せなかった。やっぱり変だ。やっぱり今日のキョンは、何かおかしい。 「そりゃ失敬。じゃあ教えてくれよ、こういう気分ってなんて表現するべきなんだ?」 「何って、それは…」 「………虚無感」 「おお、さすが長門。ん、まあそんな感じだな」 有希に向かって大きく頷くキョンの顔を、あたしはストローの先のクリームソーダを最大肺活量で吸い上げつつ、仏頂面で眺めていた。 キョム感ね、キョンだけに。…いろんな意味で面白くない駄ジャレだわ。 「そのぅ、えっと…元気出してくださいね、キョンくん…」 「おお、この俺の身をそんなに心配してくれますか! いやあ、朝比奈さんは本当に心優しいお人だなあ」 今のキョンはみくるちゃんの掛けた言葉に、やけに愛想良く受け答えてる。みくるちゃん相手にはやたら調子がいいのはいつもの事だけど…今日はなんだか特に造り物みたいな笑顔ね。無性にはたきたくなるわ。 そんな風に思っていると、キョンの奴は不意にこちらを向いた。 「ま、そんな事がありましたよって事で。人間なんて明日どうなってるか分からないから、みんなもせめて事故とかには気をつけろよな。特にハルヒ」 ちょ!? なんであたしだけ名指しなのよ! 「お前が直情径行の向こう見ずで、後先考えずに動くからだ。 さて、それじゃ不思議探索パトロールに出掛けますかね、と。今日はもう俺の罰金で確定なんだろ?」 恒例のクジ引きで同班になったみくるちゃんをいざなって、キョンは伝票をひらひらさせながら会計へと向かった。 むー。つまんない。あたしは『キョンに罰金を払わせるのが』ではなく、『罰金を払わされる時のキョンの情けない顔が』楽しいのに。つまんないつまんない! 「どうかしましたか、涼宮さん?」 よっぽどあたしはむくれていたのだろうか。喫茶店を出るなり、古泉くんがそう声を掛けてきた。 「ねえ有希、古泉くん。今日のキョン、なんかおかしいわよね?」 遠回しな物言いは好きじゃない。あたしがズバリ訊ねると、古泉くんと有希はしばらく顔を見合わせて、それから二人揃って頷いた。古泉くんはともかく、有希も肯定しているからにはやっぱりそうなのだ。 「そうですね、これはまあ概念的な事柄なのですが。 人は大なり小なり、明日への不安を胸に抱いているものです。もしかしたら大地震が起こるかもしれないし、空から隕石が降ってくるかもしれない。はたまた、悪意を持った異星人が大挙して地球を侵略しに来たりするかも…」 いきなりそんな事を語り始めたかと思うと、古泉くんはしばし、あたしと有希の顔をちらちらと見比べた。今の間は何なんだろう、一体。 「…とまで言ってしまうと、さすがに何でもありになってしまいますが。不慮の交通事故などは、誰の身にだって起こり得るわけです。 さて、そんな時。たとえば明日死ぬかもしれないという時に、やりたくもない宿題をやる気になる人が居ますか? いえ、それどころか自分にとっての宝物さえ、もしも明日無になるとしたら、途端に色褪せて見えるのではありませんか?」 「えっ? でもだって、そんなのは…」 「はい、その通りです。予測できない不幸、というのは可能性としてはあり得るのですが、それを気に病みすぎていては何も出来ません。 だから人は基本的に、その可能性を無視しています。もしくは保険に加入するなどの次善策を用意するか、ですね。しかしながら“死”というのは、人が逃れえない宿命のひとつでして…」 と、ここで一度言葉を止めた古泉くんは、ああまたやってしまったとでも言いたげな微苦笑で頭を振った。まあ、古泉くんのセリフが芝居がかってるのはいつもの事だけど。 「結論を述べましょう。今の彼は、軽い躁鬱病の状態にあると思われます。 ご友人のように、自分も明日にはいなくなっているかもしれない。ならば自分の生に一体何の意味があるのか――そんな問答に囚われてまんじりともできないでいる、といった所でしょうか」 「有希の言ってた、虚無感って奴?」 「おそらくは。実を言えば僕自身、まだ同年代の人間の死に直面した経験はないもので、先程の彼のお話には、多少なりともショックを受けました。もしかしたら『大人になる』というのは、こうしたショックに慣れていく事なのかもしれませんね」 ショックだった割には、いつもと同じ笑顔で話してる気がするけど。そうね、古泉くんが言いたい事はだいたい分かるわ。 でも、だったらあたしは敢えて大人になんかなりたくないかな。親とか身近な人を失くす悲しみに慣れるだなんて、そんな事は………え? 失くす? 誰を? その時のあたしは、どんな顔をしていただろうか。ともかく、気付けばこんな言葉があたしの口をついて出ていた。 「あのさ、有希、古泉くん。ちょっと話があるんだけど」 「はあ、午後の調査を彼と二人で」 「…………」 その、別にヘンな意味じゃないのよ? ただキョンの奴のスッポ抜けぶりが見るに見かねるというか、ほら、団長の責務として…! 「素晴らしい。さすがは涼宮さんだ」 「へ?」 「僕達も彼の不調が気にかかってはいたのです。しかしながら、いかんせんどうやって励ましたら良いものか、妙案が浮かばないものでして。 ですが、団長自らがケアをなさってくださるというのなら、もう安心ですね。どうぞ彼の事をよろしくお願いします、涼宮さん」 ま、任せときなさい! 団員の心の悩みを受け止めてあげるのも団長の務め! 一切合財あたしに預ければ、全てこれ解決よ! と、あたしがガゼン張り切っていると。 「ふむ、ですがそうするには…長門さん、ちょっといいですか?」 古泉くんが有希を道端に連れてって、ひそひそ相談を始めた。ん? この光景、なんとなく前にも見たような覚えがあるんだけど。市民野球大会の時だっけ? それともデジャビュって奴かしら。 「お待たせしました。では、午後のクジ引きは長門さんにお願いする事にいたしましょう。実は彼女、少々手品の心得があるそうで」 「へえ、それ初耳。有希、本当に出来るの?」 「………可能」 「公平公正なゲームを愛する僕としては、こういうインチキはあまり推奨したくはないのですが。 しかしながら彼はある意味、涼宮さんの対極というか、石橋を叩いて渡らないような、非常にアマノジャクな性格の持ち主ですからね。変なお膳立てをしてしまうと、かえって反発しかねません。ここはあくまで偶然を装うとしましょう」 古泉くんの言に、あたしは大きく頷いた。まったく、キョンの奴があたしのナイスなアイデアに、素直に賛同した事など一度もない。いつもつまらない常識論を持ち出して、あたしの発展的行動に難癖を付けたがるのだあいつは。 あんたみたいな奴の事を、これだけ気に掛けてあげるのはあたし達くらいのものよ? 友に恵まれた事をせいぜい感謝なさい、キョン! 「素直じゃない、という点ではどっちもどっちというか、お似合いなんですけどね」 「何か言った、古泉くん?」 「いえ、別に何も」 「ふうん? まあいいわ。今回はウソも方便って事で、有希、お願いね」 あたしの依頼に、有希は黙って頷いた。沈黙は金だとかいうけど、本当にいざという時には頼りになる娘だ。キョンの数千倍は役に立つわね。 って頷いた後も有希はしばらく、深遠の瞳であたしを見続けていた。ん、なに? 「彼の言っていたのはある面での、真理」 彼って、キョンのこと? 「そう。価値観は主に相対性によって生ずる。最初から何も無かった状態に比して、あるはずだったものをなくしてしまった際の喪失感は、絶大」 「あんたにも、そんな経験あるわけ?」 「11日前、帰宅すると作り置きのカレーが、全て痛んでいた。その日はお茶だけ飲んで過ごした。カレーに黙祷を捧げた…」 「そ、そう」 カレーと人命を同列に語っちゃうのもどうかしら。ああ、でも自炊してる人にとっては食料問題は死活ラインなのか。よく分かんないけど。 「決まりですね。では、我々も出発しましょうか」 「あ、うん、そうね」 なんだか分からない内に古泉くんに促されて、あたし達もまた午前のパトロールに出立した。うーむ、やっぱりどうにも調子が狂ってるぽい。いつもなら当然のように、このあたしが号令を掛けているはずなのに。 結局、午前の部はただひたすら暑い中を歩き回るだけに終始した。不思議を探すより何より、あたしの心には踏んづけたガムみたいに、さっきの有希のセリフがべたりとこびり付いていたのだ。 『彼の言っていたのはある面での、真理』 あるはずだったものを失くしてしまって、心にぽっかり穴が空いたようだ、とキョンは言っていた。有希はそれを真理だと言う。古泉くんは、人は大なり小なり、明日への不安を胸に抱いているものだと言っていた。 そうだ、今のあたしも多分、何かしらの不安を抱えている。でも、それは…一体なんだろう? あたしは何を失くす事を恐れてるの? そんな疑念が、歩くたびに靴底で耳障りな音を立てている、ような気がした。 「珍しいな、この組み合わせってのも」 「あー、うん、そうかも、ね」 キョンの何気ない呟きに、午後のあたしはちょっとばかり居心地の悪い気分で頷いていた。本当の事を知ったら怒るかな、キョン。 「つか、古泉の野郎が羨ましい」 前言撤回。このバカ相手に、罪悪感など微塵も感じてやる必要なんか無い。あたしは渾身の力でキョンの尻をつねり上げてやった。 「神聖なSOS団の活動を一体何だと思ってんのあんたは!」 「うぐあっ!? い、いやスマン、冗談だ…」 だいたい古泉くんは、午前もあたしと有希で両手に花だったでしょうが!? どうしてあの時は羨ましがらないで今は………あ、いや。いやいや。 あ、あたしが怒ってるのはそんな事なんかじゃないわ! そう、キョンの奴がここでもやっぱり素直に謝ってるからよ! だから、調子が狂うって言ってるでしょ! いや言ってないけど! いつものあんたなら、もっとこう…その、歯応えがあるっていうか…そこいらのくだらない男連中とはちょっとは何かが違うっていうか…。 「どうしたんだ、ハルヒ? どこに向かうんだか、さっさと決めてくれよ」 こここ、この鈍感男めぇ! 人がこんなに気を揉んでやってるのも知らないでッ! あたしはよっぽど、公園の砂場を掘り返してこの唐変木を頭から埋めてやろうかと思ったけど、今世紀最大の自制心を働かせて、なんとかそれを堪えた。いけないいけない。古泉くんの言によれば、キョンの奴は今、ちょっとばかり精神を病んでいるのだ。団長として大目に見てやらなければだわ。 ――治ったら覚悟しなさいよね、このバカキョン! 「いいからっ! あんたは黙ってあたしについてきなさい!」 「へーへー、団長様の仰せのままに」 とりあえず、そういう事にして歩き始めたけど…はてさて、これから一体どうしたらいいもんだか? 実の所あたしは、本当に有希の手品とやらがうまく行くのかなーとか、行ったら行ったでキョンの奴、あたしとペアの組み合わせをどう思うのかなーとか、そんな事ばかりを考えてたもんだから。具体的にどうやってキョンを元気づけたげようとか、全く考えてなかったのよ! うそ、どうしよう。まるで小堺一機のお昼の番組にいきなりむりやり出演させられて、サイコロ振らされたような気分だわ。何が出るかな♪何が出るかな♪ ちょっとドキッとした話、略して「ちょドばーなー」って、だから何も用意してないんだってばっ! 『団長自らがケアをなさってくださるというのなら、もう安心ですね。どうぞ彼の事をよろしくお願いします』 プレッシャーが具現化したのか、さっきの古泉くんのセリフが耳にこだまする。あたしは空の彼方に浮かんだあの爽やか笑顔に、無言のパンチを打ち込んだ。 『おやおやひどいですねフフフ』 ええい、回想なんだからさっさと消えなさい! 「おい、どうしたんだハルヒ。道端でいきなり拳振り回したりして…?」 「虫よ! 虫がいたのニヤケ虫が!」 語気も荒く振り返って…あたしはキョンの背後の壁に、ふと一枚の看板を発見した。 (あ、やだ…。やみくもに歩き回ってたら、こんな方向に…) 途端、あたしの頬が熱を帯びる。そこは駅の裏手辺りにありがちな一画で、男女がペアで歩いてたりしたら、いわれのない誤解を受ける可能性が非常に高い場所というか何というか…。あーっ、もう! ハッキリ言ったげるわ! あたしにはやましい点なんかこれっぽっちも無いし! ホテル街よホテル街! そこはいわゆるホテル街だったのよ! 次のページへ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6180.html
天蓋領域との壮絶かつ困難なバトルの話は俺の中で整理がついた時にでもゆっくり 語ろうと思う…… 。 季節は三度目の桜がまるで流氷を漂うクリオネの姿で舞う光景を見ながら、 俺はシーシュポスの苦痛を3年間も続けたんだなという感慨にふけり、後ろを 振り返った。 北高に入り、ハルヒと対面したあの日が走馬灯のようによみがえってくる。 思えば「宇宙人、未来人、…… 」あの言葉を聞いた瞬間から俺は夢のような時を 過ごしてきたんだなとも思う。 まさに光陰矢のごとし、カマドウマにも五分の魂ってやつか…… 。 そんなこんなで今日は朝比奈さんの卒業式当日。 もちろん鶴屋さんもその満面に笑みを称え、卒業生の輪の中にいた。 「安定していますね、まさに一般人に戻ってしまった涼宮さんそのものですね。 あっ、それと僕の能力も消えてしまいました」 顔が近すぎるんだよ、古泉、あいも変わらずなぜそんなにくっついて話す 必要があるんだ? 「情報統合思念体も二次的なフレアの原因は涼宮ハルヒという生命体が持つ 内部の自己矛盾から開放されたと推測している。わたしの役目も終わりに 近づいているのかもしれない」 寂しそうな笑顔を向ける長門…… 寂しそうな笑顔? 長門、お前はいつから そんな感情を露にした表情ができるようになったんだ…… 。 「観察が終わればわたしはここから去らねばならない…… 」 その神のごとき能力を失ったハルヒは泣きじゃくる朝比奈さんと大笑いしている 鶴屋さんの真ん中で大いにはしゃいでいた。 卒業式の余興にあのバニーのコスプレでどうやら「GOD KNOWS」を 歌うらしいのだ。 もちろんSOS団内に結成したENOZⅡというバンド名なのはいうまでもない。 はしゃいでいるハルヒを俺はずっと目で追っていた。相変わらずハイテンション なハルヒ、昨日まで世界はお前を中心に回っていたといっても過言じゃないんだぜ! あの日を境にな、あの日を境にお前の能力が失われていることに気づいたのは つい最近なんだ、だが俺はなぜかほっとしている。これで、お前を、ちゃんと真正面から 見ることができるんだ。 不思議から開放されることが、いやもう二度とあの世界へは戻れないんだと してもだ、俺は心からハルヒ、お前が普通でいてくれることをありがたく思うよ。 この世界の創造主なんて役目はかわいい女の子には荷が重過ぎるだろ、違うか!? なんたって神様好きになっちゃバチが中るってもんさ、 卒業まで一年俺はこう思ってるんだ。不思議じゃない高校生活もきっといいもんだぜ…… 。 ハルヒ、告白しちゃいけないか、手をつないじゃいけないか、デートしちゃいけないか? この世界にたった一つ不思議があるとしたらめぐり合った奇跡じゃないのか? 「ハルヒ…… 俺は…… お前を…… アイシテル…… 」 了
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1011.html
―――― 三日目 ―― さわやかな朝だ。といっても窓の外は瓦礫の山なんだがな。それにしても、昨日は 一日が短いようで長かったな。24時間には収まりきれないほどの充実っぷりだったね。 とりあえずロビーに行くか。いつ出発できるかわからんわけだからな。 「ジャンボジェットが一機とれたっつぅから二回に分けて日本に帰ることになった。 十時半には奇数組が空港へ出発、三時過ぎには偶数組も出発するから準備しておくよ うに。」 ようやく日本へ帰れるわけか。ひどい目にあったのも確かだがたった二日ちょっと で帰国してしまうというのももったいない気がするがな。 桃園国際空港に向かうバスの中でもハルヒは俺の横の席に陣取り俺の方を見てニヤ ニヤしていた。そんなに俺を奴隷化したのがうれしいのか?っていうかSOS団に入 ったところからずっと奴隷扱いしている気がするんだがな。 それから北高に帰るまでずっとハルヒのニヤケ顔は続いた。 北高につくと岡部がこの後の予定をクラスに告げた。 「一応予定通り次の出校日は四日後だ。まぁそれまで各自で疲れを癒してくれ。怪我 したやつもゆっくり休めよ」 「だとさ。ハルヒどうすんだSOS団の活動は?」 「休みよ!!キョン!!アンタは家に来なさい。奴隷でしょ?」 「はぁ?俺だけか?俺は非常に疲れているんだがな。」 「もっと疲れることさせてあげるわよ!!」 「俺の意見は無しか」 「なに?あたしじゃ不満だって言うの?」 「不満も何も・・・・は?」 「寝させないからね!!!」 Fin
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4390.html
最近キョンの様子がおかしい。 何だろう、私に隠しごとがあるような。特に理由があるわけではないけど、なんとなくそんな気がするの。こういう時は直接聞くに限る。 「ねえ、キョン。私に隠しごとしているでしょ」 キョンは一ノ谷から駆け下りる源義経を見た平家のように動揺している。 「いきなり何を言い出すんだ。別に何もねえよ。」 「正直に言いなさい」 「母が次の中間テストで成績が悪かったら予備校に行けってうるさくてな。成績が悪かったらどうしようかと思い、憂鬱なのさ。」 「ふうん。あんたは勉強の仕方が効率悪いのよ。そう言えば来週数学の小テストがあったわね。今度、私が指導してあげるわ。」 「ああ、頼む。」 「ところでキョン。最近どう。元気にしてるの。」 どうもこうも、授業中も放課後もいっつもおまえの前にいるだろ。俺が元気かどうかなんて言わんでもわかるだろ」 「私の知らないところで変わった経験をしたとか、宇宙人が歩いていたとかそういうのはないわけ。普段、しっかり周りに目を配っていたら1つや2つ見つけられるはずよ。あんたそれでもSOS団の団員なの」 「あのな。ハルヒ。そんな体験がごろごろ転がっているわけないだろ。」 私はキョンが一瞬動揺したのを見逃さなかった。 「おまえこそ変な体験をしたことはあるのかよ」 「うーん。そうね。」 心当たりがないわけではない。私だって1つぐらい奇妙な体験をしたことがある。でも、言わなかった。 「まあ、いいわ。不思議な出来事は簡単には見つけられないの。ありふれた日常でもじっくり目を懲らすと転がっていたりするものよ。常に気を引き締めて周りに気を配りなさい。わかったわね。」 キョンは「やれやれ」とでも言いたそうな顔をしていた。 不思議な体験ねえ。もうあれから4年も経つのか。 放課後、いつも通り部室に行く。 部室に入ると、キョンと有希が何かを話していた。キョンは私が部屋に入ってきた途端、話をやめ椅子に座り、有希は私を一瞥してから、本を開ける。何を話し ていたんだろう。みくるちゃんはメイド姿でお茶くみをしている。私は机に座りパソコンに電源をつける。そしてお茶を飲み、メールとホームページのカウン ターをチェックしてからネットサーフィンをする。宇宙人も超能力者もいない、不思議で奇怪な体験も存在しない。SOS団を結成してもうすぐ1年。毎日繰り返されるSOS団的日常。けどそれはそれで楽しかった。そういえば最近のキョンの様子がなにか変なのよね。ここ数日ずっと感じる違和感。予備校の話は本当なんだろうけど、他にも何か隠しているわね。キョンが私に隠さなければいけないことってなんだろう。 と考えていると古泉君が部室に入ってきた。 「どうも、遅れてすみません。」 そうして、団員全員が揃った。 揃ったから何もする訳でもないのだが。私は今日明日に適当な記念日がないかネットで調べたりしていたが「日本気象協会創立記念日」とか「長良川鵜飼開きの 日」とかばっかりでイベントができそうな記念日も見つからなかった。まあいいわ。来週にはビックイベントをしないといけないしね。 キョンは部室を出て行ていく。三者面談があるらしい。 三者面談というのは、先生と生徒とその保護者の3人で進路のこととかを話し合うというくだらない行事で、2年生は5月のゴールデンウィーク明けから実施されている。 しかし暇だわ。なんかすることないのかしら。 そういえば、朝比奈ミクルの冒険DVDの仕上げをしようと思っていたんだわ。キョンがいないし丁度いいわ。DVDのジャケットを決めるためみくるちゃんの写真を何枚かピックアップして画面に表示させる。どれがいいかしら。このメイド服も色っぽいけど、かえるの写真も意外にいけるわね。 「古泉君、あなたはどれがいいと思う?参考までに聞いてあげるわ。」 古泉君が画面を覗きこむ。 「そうですね」 その時ドアが開いた。 「何やってんだ。」 キョンだった。 キョンは不機嫌そうな顔をしている。それを見た古泉君は微笑しながらパソコンから離れていく。 「写真を見ていただけよ。あんたこそ面談じゃなかったの。」 「前の人が長引いていて、まだ順番が回ってこないようだったから部室に戻って来たんだ。」 「そう。」 「で、何やってたんだ。」 キョンがパソコンを見る。隠し通してもよかったが、変に勘ぐられるのもなんだから全部正直に言ってやった。 「そんなもんいつ作ったんだ。俺は知らんぞ。」 「あんたがいない間に作ったのよ」 キョンは古泉君を一瞬睨み、私に 「DVDの発売はまずいだろ。」 「なんで?」 「そんなもん、発売してみろ。あっという間に広がってしまう。朝比奈さんの日常生活に支障が出るだろ。とにかく駄目だ。」 「あんたがなんと言おうと発売するわ。あの映画はSOS団全員で作り上げた汗と涙の結晶。後世に残す芸術作品だわ。みくるちゃんだって承諾しているわ。」 みくるちゃんは捨てられた子犬のような目でキョンを見てぶるぶると首を横に振る。 「だめだ。朝比奈さんも嫌がっているじゃないか。朝比奈さんはグラビアアイドルでも、おまえのおもちゃでもないんだ。だいたい、なんで映画と関係のないセクシー映像が必要なんだ。何がSOS団全員で作り上げた汗と涙の結晶だ。DVD化に俺は参加していないし、そもそもやることするら聞いていない。」 みくるちゃんのことになるとムキになるキョンをみて私も腹立ってきた。 「いちいちうるさいわね。私が発売するって言ったら発売するの。みくるちゃんは私のおもちゃよ。みくるちゃんに決定権なんてないわ。とにかく売り出すのよ。」 キョンの顔がみるみる内に赤くなる。 「こんな“くそ”映画、売り出す価値もない。」 かっちんときた。“くそ”映画。 「ふざけんな。SOS団の総力をあげて作り上げた映画に対して“くそ”はないわ。でてけ!!!」 キョンは部屋を出て行った。 なんなの。あいつ。 椅子に座り、パソコン画面を眺めた。 あー、むかつく。映画作りはあんなに協力的だったのに。“くそ”映画はないでしょ。 キョンは映画作りは楽しくなかったのかしら。 「涼宮さん」 振り返ると心配そうな顔で古泉君が私をみていた。 「彼も本心から映画を罵倒した訳ではないと思いますよ。彼の映画作りに対する情熱は涼宮さんにも負けず劣らぬものでした。にもかかわらずその映画のDVD化の話が自分の知らないところで進んでいたらどう思うでしょうか。」 私はパソコンの画面の方向に目線を向け、返事はしなかった。 「涼宮さん。彼は強情で意地っ張りです。彼は楽しいことでも「楽しい」と声に出しません。素直じゃないんです。彼も反省していると思うのですが、素直に謝ることができない人間なんです。ですから」 古泉君は言いにくそうに言葉を選んで話していた。 「わかってるわよ。」 古泉君の言うとおり。本当にあいつは頑固なんだから。仕方ないわね。私が謝るしかないわね。 しばらくしてキョンが部室に戻ってきた。面談が終わったようだ。 「ハルヒ。」 「何よ。」 「すまなかった。」 「そう。うん。」 ぱたん。有希が本を閉じた。有希が本を閉じる音はSOS団活動終了の合図になっていた。世の中にはタイミングというものがある。いくらこれをしようと考えていてもタイミングを逃してしまうとどうしょうもない。私もキョンに内緒でDVDを作ろうとしたことを謝ろうと思っていたが、どうもそのタイミングを逃してしまった。と、都合のいい理屈をつけてごまかす自分が情けない。謝ろうとは思っているんだけど。結局いつもうやむやになってしまう。 下校はいつも通り。私とみくるちゃんが先頭。後に有希。最後尾にキョンと古泉君がいる。有希のマンションの前でみんなと別れた。 たしかに私も悪かったわ。団員を仲間はずれにするなんて団長として失格ね。明日はちゃんと謝ろう。はあ。大きなため息が自然とでた。 と、ここで私は数学の参考書を学校においてきたことに気づく。宿題は小テストの日までにやればよくまだ余裕があるけど、キョンに教える前に一通り問題を解こうと思っていたんだった。仕方ない。私は学校に引き返えした。 私が有希のマンション前を通ろう としたとき、私はさっき別れたばかりのキョンを見た。あいつも忘れものかしら。このタイミングを逃してはいけない。今度こそ。ちゃんと謝ろう。私は小走り でキョンに近づき、声をかけようとした。しかし、キョンの行き先が学校でないと分かりやめた。キョンは有希のマンションに入っていく。え。どういうこと。 なんでキョンがマンションに。 なんか有希の家に行く用事があったのかしら。いや、でも変だわ。それならどうして私たちがマンションの前を通った時、直接マンションに入らなかったの。まるで、SOS団の誰かに知られたらまずいことでもあるような行動。すっごく嫌な予感がした。でもそれは、実は去年のクリスマスからうすうす感じていたそんな恐怖だった。 オートロックのドアが開きキョンは中へと消えていく。 私は坂を登るのをやめ、家路についた。キョンはいつから、有希のことを思うようになったんだろう。いや、まだ決まった訳じゃないしね。そう自分に言い聞かせる。 なぜか胸が締め付けられる。なんで私はこんな気持ちになるのだろう。はじめて自分の気持ちを気づいた。いや正直に言うわ。本当はずっと気づいていたの。気づいていたけど気づかないふりをしていた。私はキョンが好きだった。 翌日の放課後、部室に行くと誰も来ていなかった。定位置に座り本を読む有希を除いて。 「他のみんなは来てないの。」 「……」 私は椅子に座り、パソコンの電源をつけた。 「キョン達はまだなのかしら。遅いわね、何やってるのかしら。」 パソコンのファンの音が部屋に鳴り響いた。 「ねえ、有希」 「……」 「有希ってどんな本読むの?」 「いろいろ」 「好きなジャンルとかあるでしょ。」 「特に」 「恋愛小説とかは読むの」 「たまに」 「そういえば、有希のタイプの人ってどんな人なのよ」 「……」 「やさしい人、頼りになる人?」 「……」 「古泉君みたいな人は?やさしいし、しっかりしてそうじゃない」 「彼はとても立派。」 「そう。じゃあキョンは?あいつは気が利かないし頼りないけど。」 「……」 有希は何も言わず本に目を落とした。 私が何を言うか思案しているとドアが開く。キョンだった。 「よう」 私はネットサーフィンに忙しいふりをする。 古泉君とみくるちゃんはなかなか来ない。 無音が続いた。 私は心に決めていた。キョンに気持ちを伝えよう。もしかしたら迷惑かもしれない。 でも、私はこの気持ちを自分の中だけにしまい込むことはできそうにない。キョンが有希を選ぶならそれでいい。 とにかく私の気持ちを伝えたかった。2人きりになったときに言おう。学校帰り、みんなが解散した後が狙い目かしら。 沈黙を破るように扉が開く。 「遅れてすみません。面談がありまして。」 古泉君が入ってきた。 みくるちゃんも今頃、面談をしているのかしら。ちなみに私もこれから面談だ。 「そうそう、明日、土曜日は不思議探索ツアーをするから。北口駅9時集合ね。」 キョンの表情が曇る。 「いきなり言われても困るぞ。」 「何言ってんの。団長命令は絶対よ。参加しなさい。」 キョンはまだ怒っているのかしら。 「そうですね。やりましょう。最近やっていませんでしたから楽しみです。」 そう言ったのは古泉君。それを聞いたキョンは古泉君を一瞬睨みつけたが、承諾した。 私は部屋を出る。今日は三者面談の時間だからだ。 面談が終わり、部室に戻る。扉を開けようとしたとき中から声が聞こえてきた。キョンの声だ。 「どういうつもりだ。なんでOKしたんだ。明日の朝9時集合だと。あほか。」 「涼宮さんが集まると言っているんです。仕方ないでしょう。」 「俺たちは忙しいんだ。やらなきゃいけないことだってたくさんある。そんな暇つぶしにつきあっている暇はない。たまには断ってやってもいいだろう。」 「まあ、いいじゃないですか。」 「どうしておまえはハルヒの言うことをそうほいほい肯定するんだ。朝比奈さんも何か言ってやってください。」 「えーと、その、まあ。涼宮さんが決めたことだから仕方ないと思います。」 「やれやれ」 私はその場に立ちすくんだ。帰ろうかな。ドアノブに手をかけた状態で静止し続ける訳にもいかず扉を開ける。 キョンと古泉君はオセロの真っ最中だった。とりあえず椅子に座り、パソコンに電源を入れ、起動を待ちながら頭の中で整理する。 「俺たちは忙しいんだ。」キョンの言葉がフラッシュバックする。なにが忙しいよ。有希の家に行くのが忙しいっていうの。 それに古泉君とみくるちゃんまで。 みんなはSOS団の活動を楽しんでいる。そう思っていた。いや、楽しんでいるかどうかなんて考えもしなかった。 世界中どこにでもある平凡な毎日。不思議も何もない日常。そんな日常を変えようと必死でがんばってきた。世界一面白いクラブを作ろうとそう誓った。 SOS団は世界一面白いクラブだろうか。楽しいと感じていたのは私だけだったのかもしれない。 「そうそう。」 私は思い出したように言った。 「急用を思い出したわ。明日の活動は中止だから」 キョンも古泉君もみくるちゃんも、一瞬表情が変わった。有希までも読書を中断してこっちを見ている。 そんな顔をされるとこっちまで不安になってくるじゃない。 「安心しなさい。また近いうちに活動をするから。」 「楽しみにしています。」 古泉君が笑顔で言った。気を遣ってくれたのかもしれない。 「すみません。ちょっとバイトがありまして。帰らせていただきます。」 古泉君は突然そう言うと部室を去った。 そうこうしているうちに下校時間になる。パタン。 私は考えた。SOS団の団員は私のことをどう思っているのかしら。SOS団のことをどう思っているのだろうか。 今まで「みんながSOS団の活動を楽しんでいるか」なんて考えたこともなかった。 私は誰よりも面白い高校生活を送ろうと思った。世界で一番楽しいクラブを作ろうと思った。そして、そうなるように行動したつもり。 でも、それは私の自己満足だったのかもしれない。この1年私は1人で盛り上がり1人で空回っていたのだろうか。 宇宙人も未来人も異世界人もでてこない平凡な日々。SOS団ってなんなんだろう。SOS団なんてやめようかな。 キョンやみんなと映画を作った日が懐かしい。徹夜で映画の編集作業をしてくれたキョン。 今はSOS団の活動より、有希と一緒にいる方が楽しいのかな。 脱力。という言葉がぴったり合う。私は何もしたくはなかった。テレビを見ても音楽を聴いても、上の空だった。そうして何もせず休日は過ぎ去った。 月曜日。よっぽど学校を休もうかと考えたが、学校には行くことにした。始業時間ぎりぎりに学校に行き、休み時間を告げるチャイムが鳴ればすぐに教室を出た。授業は頭には入らず、ずっと雲を眺めていた。 放課後、部室に行くことにする。団長が無断欠席するわけにはいかないし。 部室に入ると誰も来ていない。いつも部屋の隅で本を読んでいる有希さえ来ていない。有希の座っている椅子に手紙が置いてある。 涼宮ハルヒ様へ 明朝体で書かれた字は有希が書いた字で間違いない。私は手紙の封を切った。中には一枚の紙があり、そこにはこう書かれていた。 私の家に来られたし。 なんだろう。果たし状?なわけないか。私に何か話しでもあるのかしら。 私は、椅子に座り誰か来るのを待ったが、だれも来なかった。5分と経たないうちにだれもいない部室に1人でいることに耐え切れずへやから飛び出した。気が進まないけど仕方がない。私は有希の家に向かう。 有希の家に行きインターフォンを鳴らす。 ドアが開き、有希が出てきた。 「入って」 私は伏魔殿に入るかのごとくおそるおそる中に入る。家の中は暗かった。前が見えないぐらい真っ暗なのだ。まだ外は明るい。不自然というか、意図的に暗くしたとしか思えない。 「こっち」 明かりもつけず真っ暗な廊下をまっすぐ歩く有希を追って中へ進む。手から汗が噴き出した。真っ暗なリビングに入ったとき、 パパン 轟音がなり、部屋の明かりが突然ついた。 え。 「ハルヒ。今までありがとう。」 クラッカーを持ったキョンがいた。 「これからもよろしくお願いします。」 と古泉君。 「おめでとうございます」 みくるちゃん。 つくえの上にはケーキや料理がところ狭しと並んでいた。 中央に陣取っている巨大ケーキには、 祝SOS団結成1周年 と書かれている。部屋は飾り付けをしていて、お祝いムード一色。リオデジャネイロのカーニバルに負けないほど賑やかな部屋だった。 このサプライズパーティーについて古泉君が説明してくれた。 「いつも涼宮さんが楽しいイベントを企画して、僕たちを先導してくださっていました。おかげで僕たちはいつも楽しませてもらっています。涼宮さんには感謝しきれません。ですから、SOS団結成一周年の今日ぐらいは役割を交代して、僕たち団員が団長を驚かせようと考えたわけです。 料理は朝比奈さんと長門さんが担当しました。ケーキも含めてみんな手作りですよ。僕たち男2人は部屋の飾りを担当しました。実を言うと、ここ数日、SOS団の活動が終わった後、涼宮さんに内緒で長門さんの家に集まって準備をしていたんです。休日返上でした。正直、涼宮さんが土曜日に不思議探索をやると言ったときにはどうしようかと思いましたよ。」 さらに古泉君は私にしか聞こえないような小さな声で言う。 「ちなみにこのパーティーを発案したのは彼です。」 古泉君は普段の2割増の微笑を浮かべていた。 饒舌な古泉君に対して、キョンは私に話しかけてくることさえしなかったが、時折私の顔色をうかがいたいのか、ちらちら見てくる。 私はあふれる笑みを抑えることが できなかった。無理もないわね。ここ数日感じていた違和感。胸のつかえが一気にとれたんだから。ここ数日キョンの様子がおかしかった理由。キョンが有希の 家に行った訳。不思議探検の実施を嫌がったことも、今ならわかる。理由はたった1つだったのだ。 もちろんSOS団結成一周年のことを私も忘れていた訳ではない。以前から盛大に祝おうと考えていた。けど最近立て続けに起こった出来事のせいでイベントをやる気持ちも失せていたのだ。 私はみんなに言った。 「みんな、ありがとう。」 私は緩んだ顔を引き締める。 「実を言うと、私は一度だけSOS団を解散しようと思ったことがあるの。私は世界一面白い仲間と世界一面白い活動をしようそう思ってこの団を作ったの。でも本当にそうなんだろうかって。宇宙人も未来人もやってこない。別に不思議な出来事もおきない。SOS団の活動もどこにでもある日常なんじゃないかって。 けど私はそう考えた自分を恥ずかしく思うわ。みんなに申し訳ない。SOS団は間違いなく世界一の団体。だって世界一のメンバーが集まっているんだもの。 みんなと出会えて本当によかった。本当にありがとう。 みんな、これからも私についてきなさい。今まで以上に盛り上げるわよ。 そうよ、常に前年を上回らなければいけないもの。 みんな覚悟しなさい。明日から激務が待っているから。」 その後、ケーキに1本のローソクを立て、ハッピーバースディを歌い、みんなで一緒に息を吹きかけ火を消した。そして乾杯してからみくるちゃんと有希の手料理に舌鼓をうつ。 有希は小さい体でよくこれだけ食べられると関心するぐらいもりもりもり食べ、みくるちゃんはメイド姿じゃないけど、ぱたぱたと動き回っていた。つくえにのりきらないほどの料理をみんなで平らげ、食後は古泉君が持ってきたツイスターやジェンガで盛り上がった。 日が沈み暗くなり私たちは解散し た。私は1人夜道を歩いている。暖かくなったといってもまだ夜は肌寒い。私は1つの決心をしていた。キョンにちゃんと気持ちを伝えよう。キョンが有希の家 に向かう姿をみて自分の気持ちに気づかされた。あれは杞憂だったが、今後心配が具現化するとも限らない。もうあんな気持ちにはしたくない。私はキョンが好 きなのだ。たぶんあいつだって。 私は携帯をポケットから取り出した。キョンと会って話をするために。
https://w.atwiki.jp/nicoten/pages/396.html
涼宮ハルヒの憂鬱 すずみやはるひのゆううつ 【原作】【アニメ・ゲーム等】 10-02-09作成 random_imgエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。 詳細はこちら 関連項目 らき☆すた けいおん! 北高 ちゅるやさん キョン子 動画検索 「涼宮ハルヒの憂鬱」でタグ検索 「ハルヒ」の含まれるタグの一覧 random_imgエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。 動画 冒険でしょでしょ?(Full Ver.) 涼宮ハルヒ op 涼宮ハルヒ ED 実写版 MAD sm3613437らき☆すた+涼宮ハルヒの憂鬱(完成版) http //www.nicovideo.jp/watch/sm3613437 その他 sm3721836ハルヒダンス ザ・囚人達 http //www.nicovideo.jp/watch/sm3721836 さ行の単語一覧にもどる トップページにもどる - -
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2419.html
涼宮ハルヒのデリート 誤解なんてちょっとした出来事である。 まさかそんなことで自分が消えるなんて夢にも思わなかっただろう。 キョン「あと三日か・・・。」 キョンつまり俺は今、ベッドの上で身を伏せながらつぶやいた。今を生きることで精一杯である。 なぜ今俺がこんなことをしているのかというと、四日前に遡ることになる。 ハルヒ「キョンのやつ何時まで、団長様を待たせる気なのかしら?」 いつもの集合場所にいつもと変わらない様子で待っているメンバーたち。 団長の話を聞いた古泉が携帯のサブディスプレイをみる。 古泉「まだ時間まで五分あります。」 と、団長に伝える。 ハルヒ「おごりの別に、罰でも考えておこうかしら。」 っと言ってSOS団のメンバーは黙り込んだ。誰一人として口を開こうとしない。その沈黙を破ったのは、ベタな携帯の着信音だった。 ハルヒ「あとどれぐらいで着くの?団長を待たせたんだから・・・」 っと言われ「一方的に電話をきった。ベタな展開だったら俺が切るのだが、なにしろ相手があのハルヒだから仕方がない。 かわりに古泉に電話をかけた。 古泉「僕に電話とは、あなたも罪な人ですね。涼宮さんが嫉妬しますよ。」 ウザイ、何勘違いしてんだこのホモ男。 古泉「冗談です。僕に電話をかけたぐらいですから、何か理由があるのでしょう?」 やっぱりコイツと話すのは少し気が引けるな。 キョン「今日は、急用があるから探索にはいけないとハルヒに伝えてくれ。」 古泉「その用とは?何の事ですか?」 キョン「どうしても言わなくてはいけないのか?」 古泉「・・・。まあ別にいいでしょう。あなたの休日まで追及はしません。」 キョン「じゃ、頼むぜ。」 電話のやり取りを終えた古泉はハルヒに用を伝えた。 ハルヒ「仕方がないわね。じゃあ、今日は二人のペアで北と、南に分かれて不思議を探しましょう。」 ~ハルヒ視点~ ハルヒとペアになった、いやなってしまった朝比奈さんは午前中ずっとハルヒの不機嫌オーラを感じ、おびえながらハルヒの後についていったそうだ。 午前中の散策が終わりいつもの場所へ向かう途中朝比奈さんがあるものを発見してしまった。 みくる「あれって、キョンくんじゃないですか~~?」 ハルヒは朝比奈さんの指す方向に素早く振り向いた。 ハルヒ「散策をサボっておいて、何をやってんのかしら?」 しばらくハルヒが何かを考えていると思うと、頭の上の電球が光った。 ハルヒ「キョンを尾行するわよ、みくるちゃん。キョンの休んだ理由がわかるし、不思議なところへいけるかも知れないし。」 みくる「で、でも~~、長門さんと、古泉くんのことはどうするんですか~~?」 ハルヒ「そんなの後で電話しておけばいいじゃない。」 っと言って、彼の尾行を始めた。何度かみくるちゃんから「やめましょうよ~~。」っと言われたがすべて無視した。 彼の行き先はいつもの駅から一駅離れたところだった。 ハルヒ「なんでわざわざこんなところにくるのかしら・・・。」 みくる「やっぱり、やめませんか~?キョンくんには彼なりの事情があると・・・。」 言いかけていた彼女の口をふさいだのは、ハルヒの手だった。 みくる「何するんですか~?」 ハルヒ「誰かに手を振っているわ。ここからじゃよく見えないから別の場所へ移動しましょう。」 っといってハルヒは朝比奈みくるの手をとり移動した。 みくる「あれって、女の人じゃないですか~?」 ハルヒの目に移ったのは、キョンが親しげにその女性と話しているところだった。 そして、気づいたらそこから走って逃げ出しているところだった。 走るのをやめて歩いていると、後からみくるちゃんが追いついてきた。 みくる「きっと彼女じゃないと、思いますよ・・・。」 ハルヒ「あったりまえじゃない、あのキョンに彼女ができるわけないじゃない。ただ少し暗くなってきたから早く帰りたいなと思って・・・。」 わかりやすい嘘をついてしまったと思い、すこし悔しがった。駅あたりで二人が別れた。 ハルヒの後姿はどこか悲しげな表情にみえたそうだ。 ~キョン視点~ 妹のダイブによって起こされた俺は、いつもの強制ハイキングコースを心行くまで楽しんでいた。 学校にいく間、谷口のナンパ話を聞かされた。まったく飽きないやつだ。 谷口「でだな、やっぱりゲーセンのやつらを狙うのはよくなくてでなあ・・・。」 キョン「お前のそのナンパ話はこうで96回目だ。」 っと口を挟む。まったく朝から暑苦しいやつだ。熱心に語ってきやがる。 谷口「そういや、お前なんで土曜日の探索に行かなかったんだ?」 キョン「・・・。なんで、お前が知ってる?」 谷口「ギクッ!!!忘れてくれ・・・。」 そんな話をしているとすぐに学校に着いた。靴を履き替え教室に向かうと、何から話そうか考えた。誰にって、そりゃハルヒにきまってんだろ? 絶対追求してくるに違いない。 しかし、予想に反してハルヒは何を言ってこなかった。それどころか、教室に入ってきた俺をまるで何もいないかのような反応を見せた。 キョン「ど、土曜はすまなかったな。急に休んだりなんかして・・・。」 しかし、ハルヒは何の反応もしない。気まずい、ククラス全体が注目してる。 キョン「休んだ事を怒ってんのか?」 ハルヒ「・・・・・・。」 無反応のハルヒに気まずさを感じていたら、チャイムがなりホームルームが始まった。 まったく、休んだぐらいでそんなに怒るかよ・・・。 結局午前中はハルヒと何も話さず、不機嫌オーラを受け続けていた。 昼休みは教室を抜け出しどこかへいってしまった。 谷口「お前、涼宮になんかしたか?」 キョン「いや、何もしていない。何で怒っているか知りたいぐらいだ。」 本当に何を怒っているんだろうな、ハルヒのやつ。 そして授業の終わりに二人のムードに耐え切れなくなった谷口が、あろうことかハルヒに話しかけてしまった。 ハルヒ「何よ谷口。あんた宇宙人でも見たの?」 じとっとした目で、谷口を睨む。 谷口「キョンと喧嘩するのはいいが、クラスのムードまで暗くするな!」 っと強気で言った。ああ、谷口、お前死んだな。相手を考えろ、相手を。 しかし返ってきた返答は、最悪なものだった。 ハルヒ「キョンって、誰?」 教室が完全に凍りついた。その中を凍らせた原因のハルヒが通りすぎていった。 マジかよ? なにかあったかも知れんと思い、逸早く部室へ向かった。 キョン「長門!これは一体どういうことなんだ?」 俺は部室の隅で静かに本を読むインターフェイスに問いだした。しかしまた返って来た返答は最悪だった。 長門「あなたが悪い。」 ・・・・。俺は言葉を失った。一体何をしたんだというのか。あの長門からこの言葉を言われると正直つらい。 すると後ろから古泉が入ってきた。 キョン「お前ならわかるか?俺がハルヒから無視されている理由。」 よく考えてみれば、長門がああ言っているのだから古泉に聞いても仕方がなかった。 ふわりと自分の体が倒れるのを感じ、殴られたとわかった。我ながら格好悪い。 古泉「あなたがそんな人だったとは、失望しました。涼宮さんが無視するのもよくわかります。」 一体どういうことだ。何が起こっている?これもまた異世界なのか? とりあえずこの日は家に帰った。あんなことを言われてあの場にいれるほど、俺も狂っちゃいない。 一体何が悪いのか考えているうちに眠りに入った。 朝だ・・・。妹のプレスを食らう前に起きた。とりあえず再びハルヒに誤っておこうと思い学校へ向かった。 向かう途中ずっと考えていた。そもそも俺をいないものだと言うほど嫌っているのに、どうやって誤ればいいのか。 それに理由もわかっていない。・・・そうだ、朝比奈さんに聞こう。 昼放課に朝比奈さんを呼び出した。 キョン「あの、俺って何かハルヒに悪い事いしましたか?」 真剣な口調で話す。彼女なら何か知っているのだろうか? その言葉に驚いたような様子をみせ、真剣な顔つきで話始めた。 みくる「あの、始めに言っておきます・・・。」 キョン「はい?」 みくる「ごめんなさい。」 パ~ンという音が響いた。そう、ビンタされた。そして朝比奈さんはどこかへいってしまった。 あの、朝比奈さんに殴られたのは相当ショックだった。 結局午後の授業にはでずに欠席した。この日は何もかもにやる気がでず。ベットで眠ることにした。 朝、自分の体の異変に気づいた。 -あと3日で自分は消える 何でわかるかって?分かってしまうからしょうがない。これしかないな。 今の状況に絶望した自分は学校を休んだ。だってあと三日で死ぬとわかっていて何をすればいいかなんかわからん。 夕方、古泉が家を訪ねてきた。しぶしぶ話を聞くことにする。 古泉「いい加減にしてください。とにかく明日、涼宮さんに謝る事です。何度閉鎖空間を潰したことか・・・」 キョン「・・・。俺が何をしたっていうんだ?」 古泉「とぼける気ですね。まあ、いいでしょう、言ってさしあげますよ。先週の散策あなたは休んだ。そしてわざわざ僕たちから離れるようにして彼女に会った。それに対して涼宮さんは失望しているのですよ。」 キョン「待て!それは・・・。」 古泉「ともかく、明日は学校に来て謝ってください。それで済むことですから。」 俺は終始まともな話ができず、家に戻った。 「あと三日か。なんとしてでも・・・」 彼女に会っただと。とんだ誤解だ! 次の日は一日中ハルヒにかけた。全て無視されて、だんだん自分が消えていくのを感じ、孤独感に襲われた。 手紙をつかってみたりもしたが、やはり無視された。 ・・・。一体全体どうなっているんだ? 帰り際、しかたなく古泉と少し話をすることにした。 キョン「全て無視されている。もう俺が消えたみたいに。」 古泉「どういうことです?もう、とは?」 キョン「古泉、俺はあと二日、いや明日いっぱいまでしか生きられない。」 古泉「・・・。なんで分かるのですか?」 キョン「分かってしまうのだからしょうがない。っということだ。」 古泉「・・・なるほど、どうですか。僕の憶測ですが・・・、土曜にあなたが彼女にあったことが原因でしょう。」 キョン「そのことなんだがな・・。実はそれお袋なんだ。俺の。」 古泉「!?・・・それが本当ならものすごい間違いですね・・。」 キョン「まあ、俺の親は若いときに俺を生んだからな。」 古泉「で、その誤解により、あなたに失望し悲しんだ。あなたがいなければ悲しまなかったのに、とでも考えたのでしょう。」 キョン「だったら、すでに消えているべきじゃないのか?」 古泉「そうですね、あなたに謝ってほしかったのではないんですか?」 キョン「・・・(違うだろ)。まあそんなことよりこれからどうするかだな。」 古泉「そうですね。今のままでは、この世界にも失望して改変されかねませんからね。」 キョン「しかし、俺の書いたものまで目にはいらないとなると、どうすればいいんだ?」 古泉「分かりません。でも、あなたのやる事を信じたいと思います。」 いつまでも本当にクサいやつだな。しかも顔が近い、キモイ。どけろ 古泉「僕にできることがあれば、何でも協力しますよ、親友として。」 キョン「わかった。」 っといって別れたのはいいがさっぱりどうしたらいいのかわからん。 このままでは、本当に消えてしまう。何かいい方法はないのか? 長門に頼るか?いや、今回は自分で考えるべきか? 人間はこういう大事な日に限ってすぐに寝てしまうものだ。 次の日結局何も浮かばず、半日をすごしてしまう。 今いるのは部室だ。ここでなんとかしなければ、消えてしまう。 ふいに長門が何か語ってきた。 長門「あなたはもう答えを知っているはず。答えは過去にあり、現在に関係する。」 そのことを信じていいんだな、長門。・・・。 最後になるかもしれない部活は、ハルヒに俺が認識されないまま終わった。 帰り際、あるひとつの答えにいきついた。唯一の接触できるチャンス、そして最後の切り札。 キョン「古泉、親友としてのお前にひとつ頼みがある。」 古泉「なんでしょう?できる限りのことをいたしますよ。」 キョン「それはだなぁ、夜に東中にきてくれと手紙にかき、渡しといてくれ。」 古泉「なんのことだか、分かりませんが、それが望みならやっときます。」 そう答えは今日という日つまり七夕。答えは三年前。 東中に着くとハルヒをベンチで待つ。懐かしいな、この場所。丁度暗く顔をしっかりと見えない。 しばらくするとフェンスを乗り越え、ハルヒがやってきた。 ハルヒ「やっぱり、ジョン・スミスだったのね。」 そう、最後の切り札はこれだ。そして予想どうり接触することができた。 ジョン「どうだ、高校は?」 するとハルヒ今までの活動を話始めた。 ハルヒ「やっぱり、宇宙人はみあたらないわね。でも、SOS団っていうね・・・。」 俺も、(俺は話から消えていたが)今までの活動を思い出していた。 ハルヒ「ジョン泣いているの?」 俺の顔には涙が流れていたらしい。あと十五分の命だ。 ハルヒ「私何か大事なことを忘れている気がする。」 ふいにハルヒが言ってきた。思い出してもらうチャンスかもしれない。 ジョン「今からいうことを真剣に聞いてくれ。」 ハルヒはキョトンとした顔だったが、気にせず話をつづける。 キョン「昔、キョンと呼ばれていた男がいた。彼は普通の人生に飽きていた。そこに自分と同じ考えの女の子が現れた。 彼女は不思議を追い求めて彼を振り回した。しかし彼はそれを迷惑と思わず、むしろ自分の人生が楽しくなるのを感じた。・・・」 もう涙が止まることはない。 ジョン「しかし、ちょっとした誤解で二人はもう二度と会わなくなってしまった。」 ハルヒ「それがジョンあなたなの?」 ジョン「ああ、SOS団か・・・楽しかったな。」 嘘と真実がまざりメチャクチャになってきた。 ハルヒ「わたしが忘れていることって、まさか?」 ばらばらだったピースが合わさった。しかしもう時間がない。 ハルヒ「女の子はわたしなのね。」 キョン「ああ、誤解が解けないのが残念だったな。」 ハルヒ「・・・。」 キョン「ハルヒ、約束してくれ。俺がいなくてもこの世界に失望しないことを。」 ハルヒ「・・・、わかった。って、何その死ぬ前みたいな言葉。それに体が・・・」 体が消えてきた。くそ!時間がない。 キョン「じゃあな、ハルヒ。消える前にお前のポニーテールが見たかった・・・。」 こうして俺、キョンはこの世界から消えていった。 思えば、普通の高校生として生きていくよりはよかったんじゃないのかと、思えた。 その後ハルヒは古泉から誤解について説明された。 俺が消えた世界では、俺の体は残っていないので失踪っということになっている。 妹よ、兄が消えた事に悲しんでいるか? 世界が改変されることが起こらず、いやそれどころか閉鎖空間すら発生しなかったそうだ。 SOS団は今も健在しており、ポニーテールの団長様はなんとかやっているようだ。 ハルヒ「・・・。あれから一ヶ月ね。本当にどこへいったのかしら・・・。」 ハルヒが俺の席をみてつぶやく。 みくる「・・・・。きっと帰ってきますよ。」 ハルヒ「でも、目の前で消えていくのを見たのよ!わたしだって信じたい、帰ってくると。」 古泉「いい加減にしてください!] 急に叫んだ古泉に、二人は意表をつかれた。 古泉「そんなこといっていたら、彼が帰りづらいじゃないですか。」 部室が静まりかえった。・・・・。どういうことだ? 古泉「実はですね。先日警察に身柄を確保されましてね・・・。」 っといって、ハルヒに新聞を渡す。確かに新聞には俺の写真がうつっている。 古泉「いると信じなくては、いるものもいあくなってしまいますよ。」 するとハルヒの顔にいつもの120ワットの笑顔が戻った。 次の日、俺はベットの上で横になっていた。 なぜ俺がこの世界に戻ったのかというと簡単なハルヒの思い込みだ。 まったく便利な能力だな。まあそれのせいで、消えていたわけだが・・・。 さてまずは最初に一ヶ月の幽霊生活。これでもハルヒ話してやろうかな。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/559.html
「ねぇ、キョン!アレ買ってよ!」 俺の隣に歩いてるハルヒは何かを見つけ、俺に見せた。 「はいはい…って、金、高っ!?」 ハルヒが見つけた物は、俺の金が無くなるぐらい高額であった。 「別に、値段はいいじゃないの…」 「そんな金はありません!返して来なさい!」 「ケチ!」 さて、皆さん、突然、唐突過ぎて分からない人いるだろうか。 今、俺はハルヒとデートしてるのである。不思議探しでもない、SOS団活動でもない… 正直証明のデートである。 「やれやれ…」 どうしてこうなったかと言うと、今から2日前に遡る。 某月某日の夏の放課後。 「キョン!話あるから残ってて!」 俺は帰ろうと思ってた時に、ハルヒから止められた。 何で俺が残るのだ、俺はお前に何をしたんだ。 「別に、あんたは何もやってないわ」 ハルヒは、椅子座りながら言った。 まだハルヒは何かを企んでるな。どうぜ、俺にコスプレを着させて宣伝するつもりだろう。 いやいや、それは無いな…コスプレするなら朝比奈さんしかいない。 だとすれば、俺に危険な事をやらかすんじゃないのかね? 「用が無ければ、帰るぞ?」 「待って、今から言うわ」 やはり、ロクな事言うに違いない…。 帰りたい、早く帰りたい。だけど、このまま帰るとハルヒに死刑されるわ、 ハルヒがまだ「メランコリー」になったら、古泉に叱られるに決まってる。 逃げる道は無いのか…と俺は、少し溜息した。 「どしたの、キョン?まぁ、いいわ…明後日、暇?」 明後日?明後日だと…うん、休日だな。別に予定が無い訳で、暇になるな。 しかし、何故…明後日なのだ?不思議探検をするのだろうか。 取りあえず、聞いてみた。 「あぁ、暇だが…明後日は、何があるんだ?」 と問うと、ハルヒは何やら、そわそわしてる様子だった。 何だ、ハルヒの様子がおかしいぞ…。 「あ、あのさ…えーと、その…デ、デ…」 …デ? やっぱり、おかしいぞ…今のハルヒは、いつものハルヒではなく…。 顔を真っ赤にして俯いてるハルヒである。 「デがどうした?ハッキリ言わないと分からんぞ」 「そ、そんなの分かってるわよ!だから…デ、デートよ!」 はい?今、何で言いましたか?ハルヒさん。 「だーかーらー、デートしよ!と言ってるんだってば!」 デ、デートだって!? デートとは、 1 日付。 2 男女が日時を定めて会うこと。「恋人と―する」 なるほど、これがデートって訳か…って、何で辞書を出すんだよ。 落ち着け、俺!これは、ハルヒの罠だ!そうさ、ハルヒの罠に決まってる。 「冗談だろ?」 と俺が言うと、ハルヒはこう言った。 「ホントよ!冗談だったら、そこまでは言わないわ!」 マジですか…。嘘だと言ってよ、ハルヒ! 「…と言う事で、明後日9時に公園で集合ね!遅れたら、奢りよ!いいわね!」 …と言う訳で、今に至る訳だ。 勿論、遅刻してしまい。奢る破目になった…。 「仕方ないでしょ!遅刻したあんたが悪い!」 おぃおぃ、「9時に集合」って言ったのは、どこのどいつだ。 頼むから、集合時間を正午してくれよ…。 今、ハルヒと一緒に色々と歩き回り楽しんでる所である。 ―ぐうぅ~… いかん、腹減った。 時計を見ると、もう正午に回っていた。 「キョン、腹空いたの?」 「あぁ、腹減った」 実は、朝食抜きで出かけたからだ。このままだとぶっ倒れそうだな。 「仕方ないわね、あ、あそこ食べようよ」 と、ハルヒは指差した。 俺はハルヒが指差した方へ見ると、シンプルな風景であるカフェだった。 「あ、ここ知ってる」 「ん?何か知ってるって?」 「今、女性の間で凄く人気あるカフェなの!」 「ほぅ…」 男としての俺は、そんなに人気なのか全く分からなかった。 取りあえず、食べ物とコーヒー頼んだ。 「そういえば、有希はどうしてるのかな?」 長門の事か…あいつなら、無感情で本を読んで過ごしてると思うぞ。 「そうなの?だったらいいけどさー」 そんな会話してる内に、頼まれた物がやって来た。 朝食食ってない俺にとっては、助かる。 「う~ん、うまいね!ここ」 「あぁ、ホントに上手いな」 なるほど、ベジタブル料理だから女性には人気なんだな。 ハルヒもそうだろうか。 ハルヒと楽しく食事を取ってた時に、誰かがやって来た。 「あれ?ハルにゃんとキョン君じゃないかぁ!」 「つ、鶴屋さん!」 おや、鶴屋さんじゃないですか、どうしたんです。 「いやぁ、今、友達と遊んでるにょろ!」 よく見ると、奥のテーブルに鶴屋さんの友達がいた。 「所で、ハルにゃんとキョン君はどうしてここにいるのかな!」 「そ、それは…その…そぅ!不思議探しよ!不思議探し!ね、キョン」 ん、何で俺に言うんだよ。 「そうなのかぃ?」 「えぇ、そうですよ」 「そうそう、あは、あははははは…」 と、笑い誤魔化すハルヒ。 そんな事したら、疑われてしまうだろうか、ハルヒよ。 「ふーん、そうしとくよっ!さ、デート頑張れよっ!」 鶴屋さんは元気良く、その場から去った。 「…あ、あれ?な、何で、デートって分かったのかな?」 …ハルヒ、自分で言った事をもう一度思い出してやろうか。 この後、俺の奢りで支払いをしたのである。 「そういや、この後、どこへ行くんだ?」 「ん、デパートへ行こ!あたし、ちょっと欲しい物あるから」 と言って、店から出て、デパートへ向かったのである。 デパートか…俺の金、まだあるんだろうな。 俺の愛しいサイフを覗いて見たか、あるか無いか微妙だった。 そんな事をしてる内に、目的のデパートに到着した。 ハルヒは欲しい物ってあったのだろうか。 まさか、UFOを呼び出す道具とかそんなんじゃないだろうな。 だが、俺の予想は外れた。 「キョン、見て!見て!」 ハルヒが俺に見せたのは…。 「服?」 よく見れば、ピンク色のワンピースである。 「これ、欲しかったんだよね!似合う?」 ハルヒよ、それ反則…マジ似合うよ。 「あぁ、物凄く似合うぜ」 「ありがと!値段は…」 俺も値段を見た。 うむ、安いな。 「じゃ、あたし買って来るね」 「待て、ハルヒ」 俺はハルヒを呼び止めた。 「え、何?」 ハルヒは驚いてた。 何故なら、ハルヒが持ってる服を奪って、レジの所へ行ったからである。 「ちょっと、キョン!あたしが買うからいいよ!」 「いいじゃないか、たまには俺からのプレゼントだと思ってくれよ」 俺は買った服を受け取り、ハルヒに渡した。 「え…でも、あんたの金は…」 そこまで心配するなよ、俺の奢りなんだからな。 「気にするな、さっき言ったとおりだが…俺からのプレゼントだと思って受け取ればいい」 「…うん」 うむ、照れてるハルヒは可愛いな。 それにしても、ハルヒが欲しかったのは、服だったのか…。 …早くワンピース姿見たいね。 そして、色々、楽しい事をした。 俺は、ハルヒと一緒に居るとなかなかいいかもなと思った。 いよいよ、デートの時間が終わりに近づいた。 「あー、楽しかったね!」 「そうだな」 俺達は、今、公園で休憩してる。 夕日が暮れ、公園の電灯が点いた。 俺はふと、ハルヒの横顔を見た。とても可愛くて美しい女に見えた。 「ん、何?」 ハルヒは、俺がハルヒを見てる事に気付いてた。 「あ、いや…」 ハルヒが可愛すぎて、こっちが恥ずかしくなった。 ヤベェ…理性が爆発しそうだ。 「怪しいわね、下心あるんじゃないの?」 ハルヒは、笑ってた。 俺は、必死に笑い誤魔化そうとした。 「ねぇ、キョン」 「何だ?」 「そろそろ、素直になったら?」 「え?」 一瞬、時が止まったように感じた。 「あたしも素直になるから…本当の事を言ってくれる?…あたしの事好き?」 「ハルヒ…」 よく見れば、ハルヒの肩が少し震えてる。 俺は、ハルヒを優しく抱き締めた。 今、思った。素直になろうとな。 「ハルヒ、俺は初めてお前にあった時は、綺麗だったし、軽く惚れたよ… SOS団、設立して本当に良かったと思ってる。お前がいると、俺は幸せなんだよ。 幸せだからこそ、俺は今ここにいるじゃないか!ハルヒ、お前の事が好きだよ。 例え、どんな事あろうと守るよ。」 言えた。俺の告白…ちゃんと言えた…。 俺は、ハルヒを見ると驚いた。 ハルヒは、 泣いてた。 「ハ、ハルヒ!」 「ゴメン、違うの!あたし、嬉しいよ…こんな事思ってるなんで、あたしも幸せだよ!」 ハルヒは、俺を強く抱き締めた。 「あたしも、あんたの事が好きよ!」 俺は、感動してしまい、少し泣いた。 ハルヒも物凄く泣いた。 俺は、このままでいい…このまましばらく抱き締めたいと思った。 「ねぇ、キョン…キスしてくれる?」 「あぁ…するよ」 俺の唇とハルヒの唇を重なり、キスした。 長いキスだった。 「お疲れ様、キョン!そして、これからも一緒に行こうね」 「あぁ、そうだな」 帰りは、手を繋いで歩いた。 ハルヒとしゃべりながら帰ると楽しいものだな。 完 おまけ 「ねぇねぇ、キョン!これ、どう?」 ハルヒは、ポニーテルにワンピース服の姿で現れた。 「似合うじゃないか、ちょっとカメラ撮っていいかな?」 と、言うと 「ダメv」 ハルヒは、朝比奈さんのお得意技でもある、一本の指を唇に当てて、ウィングした。 グラッと来たね。