約 258,892 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_best/pages/15.html
涼宮ハルヒの軌跡 プロローグ 涼宮ハルヒの軌跡 機関の決断(前編) 涼宮ハルヒの軌跡 機関の決断(後編) 涼宮ハルヒの軌跡 未来人たちの執着(前編) 涼宮ハルヒの軌跡 未来人たちの執着(中編) 涼宮ハルヒの軌跡 未来人たちの執着(後編) 涼宮ハルヒの軌跡 情報統合思念体からの独立(前編) 涼宮ハルヒの軌跡 情報統合思念体からの独立(中編) 涼宮ハルヒの軌跡 情報統合思念体からの独立(後編) 涼宮ハルヒの軌跡 SOS団(前編) 涼宮ハルヒの軌跡 SOS団(後編) 涼宮ハルヒの軌跡 エピローグ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/987.html
朝起きると――ハルヒになっていた。 いやマジで。頬をつねってみたが悲しいことに夢じゃないらしい。 まず違和感を感じたのは髪の毛だ。 どうもムズムズすると思ったが何故か肩まで伸びている。 しかし寝ぼけたアタマでは「あれ?俺ってこんな髪長かったけ?」ぐらいにしか思えなかった。 次に違和感を感じたのは・・・下半身だ。 いつもなら爽やかな朝を告げるかのごとく、 雄々しく(誇張アリ)そびえたっているハズの『アレ』の感触がない。 この年にしてイ○ポかと一瞬絶望しかけたが、それ以前の問題だった。 「ついてない・・・!?」 ここまで認識して初めて俺は自分の身体の異常に気がついた。 そして極めつけは寝ていた部屋である。 散らかったいつもの俺の部屋とは違う、小奇麗に整理された部屋・・・。 そして所々に置いてあるぬいぐるみやら明るい色を基調としたカーテンや ハンガーにかかってるメイド服やバニーガールの衣装(って、え?)が、 ここは紛れもない女の子の部屋だと教えてくれる。 そして俺の部屋にあるべくもない大きな姿見の前に立った瞬間、全てを悟ってしまった。 ――そこには、常につけているカチューシャを外した乱れた寝癖頭で、 はだけたパジャマ(正直見えそうです・・・色々・・・)に身を包んだ、 それはそれは可愛らしい美少女――いや、涼宮ハルヒの姿があったたのだ。 さてさて、一体どうしたものだろう。 さっきから延々と頬をつねってみてはいるものの・・・一向に目が覚める気がしない。 おかげで俺(いやハルヒのか)の右頬は真っ赤っかだ。後でハルヒに怒られるかもしれない。 そんなことを思うくらい、何か現実を認識したら一気に冷静になってしまった。 俺もSOS団でのトンデモな日常に慣れて、感覚が麻痺してしまったのかな・・・。 いつのまにか部屋を隅々まで見回す余裕も生まれていた。 ほうほう・・・熊のぬいぐるみか・・・意外にファンシー趣味だな・・・。 本棚は・・・何かよくわからんSF小説やら『UMA発見!!』とかそんな本ばっかだな・・・。 と思ったら、隅っこの方に『いかにも』な感じの少女マンガもあったり・・・。 その隣のCDラックには主に洋楽中心に様々なCDが入ってる。 お、ENOZのアルバムなんかあるぞ・・・?彼女達が卒業記念に自主制作した5曲入りEPだな。 あ、ギターなんかも立て掛けてあったりするぞ。また文化祭でバンドやるつもりじゃないだろうな・・・。 と、そんなこんなで俺は女の子の部屋をじろじろ見回すという社会通念的には余りよろしくない、 しかし、男にとっては悲しい性ともいえるような行動を取っていた。 あー、流石にタンスの中身空けたりはシナイデスヨ?ホントデスッテ。 いやあ、ああ見えてハルヒは下着は結構かわいいのが好・・・ゲフンゲフン・・・。 そして、ふと今度は机の上に視線を走らせた時・・・俺はとあるものを見つけてしまった。 それは写真立ての中の1枚の写真――。 写っていたのはハルヒ――とハルヒに無理やりに腕を組まれ、苦笑いしている俺。 あれ?おかしいな・・・この写真どっかで見た気がする・・・。 そうだ・・・先月連休を利用してSOS団+鶴屋さん&ウチの妹、 といういつものメンバーでいった山合宿の時に皆で記念に撮った集合写真だ。 この写真は・・・俺も古泉(無論これを撮ったのは、宿泊先として古泉が見つけてきたペンションに当たり前のようにいた 新川さん&森さんコンビのどっちかだった)から受け取った。 でも、あくまでも全員写った写真だったはずだよな? と、いうことはだ。 ハルヒは・・・全員集合の写真を切り取って俺とのツーショット写真を作ったってこと? 所謂アレだ。中学生とかがよくやる修学旅行のクラス集合写真を切り取って、 自分と好きな異性があたかもツーショットで写っているかのようにする・・・アレだ。 一気に顔が赤くなるのがわかる。 姿見を見てみると・・・むむっ!照れたハルヒは意外に可愛いな・・・じゃなくて、 つまりハルヒは・・・俺のこと・・・? ヤバイ・・・これは見てはいけないものを見てしまった・・・。 何と言うか嬉しいやら恥ずかしいやら嬉しいやら恥ずかしいやら・・・ってオイその2つだけかよ! と、混乱する俺を正気に引き戻したのは―― 『ギイッ』 という部屋の扉が開けられる音だった。 入ってきたのは――、 「え、俺?」 見紛うことなき、正真正銘、俺だった。 「何やってんだ?ハルヒ?」 普通に声をかけてくる『俺』。 「い、いやぁ・・・何でも・・・」 狼狽する俺。普段の男口調にならなかったのは不幸中の幸いだった。 「っていうか・・・なぜここに・・・」 思わず聞いてしまった。 「何言ってんだよ、ハルヒ。昨日は俺が泊ったんだから、いて当然だろ?」 はぁ? 「俺もついさっき起きたんだけど・・・スヤスヤ寝てるお前を見たら起こすのが忍びなくてな。 ちとトイレに行ってたんだよ」 え・・・ということは一緒のベッドで・・・? 「昨日は随分激しかったからな~。疲れてたんだろう?」 ええええええええええええええええええええええ!!!!!!! つまり俺とハルヒは『そーいう関係』ってワケですか? 「ん?顔が赤いぞ。どうしたんだ?」 そりゃあ赤いに決まっているだろう。そして顔をみるみる近づけてくる『俺』。 「もしかして・・・昨日の夜のこと思い出したか?」 思い出しとらんわ!!つーか知らん!!断固知らん!! 「照れてるハルヒって・・・結構可愛いな・・・」 ああ、やっぱりそう思う?俺もそう思ってたんだよね・・・ってちがーう!! 「何か・・・そんなお前見てたら・・・俺・・・」 ちょっとちょっと!!なぜ肩に手をかける!? 「ダメだ。我慢できね」 とうとうベッドに押し倒されてしまう俺。 ああ・・・せめて初めては女の子相手で・・・ってこの『俺』はそれを実現してるわけで、 ってそんな場合じゃない! 『男同士というのも結構いいものですよ』 五月蝿い、黙りやがれ脳内古泉。大体、今俺はハルヒだから男じゃない。 「それじゃあ、頂きます」 『俺』が俺の耳元で囁く。 「アッーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」 断末魔の叫びが響き渡った・・・。 「はっ!!!!」 ・・・気がつくと、そこはいつもの俺の部屋。 見慣れた家具に机、ベッド・・・・。 「夢かよ・・・」 今すぐにナイフを胸に突きつけたい気分だ。 フロイド先生も爆笑どころじゃない。こんなアホな夢、笑い死にしてしまうだろう・・・。 しかも・・・、 「・・・マジかよ」 俺の下半身の『アレ』は、これまでにも類を見ないほど元気にその存在を主張していた。 あんな夢で・・・マジで自己嫌悪に陥るぜ・・・。 結局その日は学校に行ってもハルヒの顔をマトモに見ることすら出来なかった。 まあ・・・夢のことを思い出してしまうってのもあるんだが・・・、 何よりも今日きっとハルヒはあのタンスの中のどの下着をつけているのかということを 否がおうにも想像してしまうのだから・・・。 うーん、俺としてはあのピンクのチェック入りのヤツなんて良かったんだが・・・。 ああ、ダメだ。俺は本格的に故障してしまったらしい・・・。 ちなみにそんな夢はその後は見ることはなかったとさ。 (おわり) キョンになっちゃった
https://w.atwiki.jp/sosclannad9676/pages/36.html
6月の放課後、ハルヒは「野球大会に出る」と言いだし、第九回市内アマチュア野球大会参加募集のお知らせと書かれた紙を持ってくる。 SOS団のメンバーは5人だったから後4人のメンバーを集める必要があった。 結局集まった4人も数合わせのメンバーで、谷口、国木田、鶴屋さん、キョンの妹だった。 草野球大会当日、上ヶ原パイレーツとの対戦でハルヒはメンバーの打順と守備をアミダクジで決める。(ただしハルヒは1番ピッチャー) 以下打順、および守備。 1番 ピッチャー ハルヒ 2番 ライト 朝比奈みくる 3番 センター 長門有希 4番 セカンド キョン 5番 レフト 妹 6番 キャッチャー古泉 7番 ファースト 国木田 8番 サード 鶴屋さん 9番 ショート 谷口 古泉いわく、ハルヒが望んだから4番にキョンがなったらしいが、全く4番としての力が震えず、たちまちに点差は開いていき、ハルヒの機嫌も不機嫌に。 10点差でコールド終了なのだが、7-0まで点差が開いたところで、閉鎖空間が発生する。 このままではまずいと悟った古泉は長門にある頼みごとをし、バットをホーミングモードにする。 たちまち点差は逆転し、9-11までになったとこでチェンジ。 その後、ピッチャーをハルヒからキョンに、キャッチャーを古泉から長門に変更し、長門の呪文により、究極の魔球で試合終了。 チームSOS団は見事勝利した。 その後、閉鎖空間に行かなければならない古泉が減るので、続行不可に。SOS団は辞退する。 尚、この時使っていたバットをキョンが上ヶ原パイレーツにいくらかで譲った。 おまけ ホーミングバットの行方
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5011.html
11月も後半に突入し、日に日に冬らしさが増えてくる。 最近は部活から帰る時点ですでに真っ暗だ。 「今日は転校生が来たぞー」 岡部は教室に入ってくるなり、そう言った。 教室がざわつく。 お前らは小学生か?と突っ込みつつ俺も少しそわそわする。 「すっごい綺麗な女の子だと良いなー」 谷口、だとしたらお前には振り向かないぞ。 「入ってくれ。」 岡部の掛け声と共に、男子が入ってきた。 男子のため息と、女子の囁きが聞こえる。 入ってきた奴は古泉ほどではないものの、なかなかのイケメンだった。 「よし、じゃあ自己紹介をしてくれ。」 「こんにちは、春日清(きよ)です。」 春日とか言う男は澄んだ、綺麗な声で自己紹介を始める。 「趣味は本を読むこと、特にSFが大好きです。宇宙人、未来人、超能力者などに興味があります。」 …え? その時、ハルヒがガバッと立ち上がった。 「ねぇ、春日君。だったらSOS団に入団しない?」 「涼宮、勧誘は後で良い。んーとじゃぁ春日、うるさい奴だが、涼宮の隣に座ってくれ。」 「よろしく、春日君。」 後ろを振り向くと、ハルヒが春日に挨拶をしている。 「こちらこそ。よろしくお願いします。涼宮さんといいましたっけ?」 「そうよ、涼宮ハルヒ。SOS団の団長よ。」 俺はこいつらの会話を聞きながら、何でこんな微妙な時期に転校してきたのか、疑問に思っていた。まるで朝倉の時のようだ。嫌な記憶がよみがえる。 …後で部室に行けばあいつらが教えてくれるだろう。 授業中、春日とハルヒはずっと超能力者、未来人や宇宙人がいるかどうかについて話し合っていた。ったく、春日は転校生なんだからそんなにしょっぱなから先生に悪印象を与えてどうするんだよ? 途中休みになると、ハルヒは春日に俺を紹介した。 「こいつはキョン、SOS団の雑用係。」 あぁ、雑用係とわざわざつけられたのが気に食わないがよろしく。 「キョン君か、よろしく。」 キョンで良い、なんかくすぐったいからな。俺も春日でいいか? 「どうぞ、むしろ僕もその方が気が楽だよ。」 「さぁ、春日君!校舎の案内するからついてらっしゃい!」 そう言い走り始めるハルヒの後を、春日は微笑を浮かべてついていった。 さてと、俺は部室に行くか。 「来ると思っていましたよ。」 なら話は早い、春日、あいつは誰だ? 「彼は涼宮さんが生み出したものですよ。」 何のためにだ?話が合う友達が欲しかったのか? 「いえ、違います。」 じゃぁ何だよ。 「こればかりはあなた自身で気付いてください。一つ、私からヒントのような質問です。あなたは彼と涼宮さんが仲良くしているのを見て、何か感じますか?」 あいつらが仲良くしてるのを見て…なんとなくハルヒを取られた気がしてイライラする。しかし、何故ハルヒを取られた気がするのかも、それでイライラするのかもわからん。 「素直じゃないですね…」 「さらに鈍感。」 うぉ!長門、居たのか。 「居た、最初から。」 そ、そうか… 「おや、そろそろ次の授業ですね。では、私は行きます。」 じゃぁな。 「あなたは?」 もう少し後で行くよ。 そう言ったが、あまり授業に出る気は無かった。 あの二人が仲良くしてるせいでうるさくて、どうせ集中なんか出来ないしな。 「キョーーーーーン!」 ったく、何だよ。 あれ?ハルヒ? 「あんたなんで授業サボってたの?」 あ、いや、何でもない、ただ単にだ。 「そう。」 いつの間にか周りを見回すと、俺以外全員が揃っている。 「さて、今日は新団員を紹介するわよ!」 って、春日?!お前入るのか?! 「うん、楽しそうだしね。」 お前、本当に自分の意思か?ハルヒに強制させられていないか? 「えーと、キョンは放って置いて紹介よ!これが春日君、私たちの同じ1年生よ。今日転校してきて、未来人、宇宙人、超能力者とかに興味があるみたい。ってことで今日から団員だから、皆も自己紹介してね。じゃ、みくるちゃん。」 「あぁ、え?私からですかぁ?えぇと、朝比奈みくると言います。唯一の2年生です。一般的にはお茶汲みをやっています。よろしくおねがいします。」 「美しい方ですね、よろしくお願いします。」 「あ、ありがとうございます。」 「じゃぁ、次は有希!」 「長門有希、趣味は読書。よろしく。」 「私たちはもう自己紹介したから、最後は古泉君!」 「こんにちは、あなたの噂は彼や涼宮さんから聞いています。私は古泉一樹で、SOS団の副団長を務めさせて頂いています。」 「みなさん、よろしくお願いします。」 「新団員も入ってきたことだし、みんな気合入れてね!」 そこから一週間、春日は毎日部室に来て、俺達と打ち解けていった。 しかし、俺のイライラは溜まる一方だった。 何故か、春日と一緒にいるときにハルヒが笑顔になるのを見ていると嫌になる。 クソッ、俺が閉鎖空間発生させたいぐらいだぜ… だが、この気持ちがなんなのかが分からない。 今は金曜日の放課後で、今部室には長門、朝比奈さんと俺しか居ない。 「あのー…キョン君、どうしたんですか?最近イライラしているようですが。」 あぁ、朝比奈さん。気にしないで下さい。 「どうしたんですか?私の力になれることなら…」 そこで、俺は一部始終を話してみた。 朝比奈さんは俺の話を何も言わずに聞き、静かに頷くと 「キョン君は涼宮さんのことが好きだから、春日君に嫉妬してるんですよ。」 えーと…俺がハルヒを好き?春日に嫉妬? 確かに、もしかしたらこの感情は好き、それにこのイライラは嫉妬なのかもしれない。 だとしたらつじつまは合う。 そう…ですね。そうかもしれません。 「キョン君、気付いてよかったですね。じゃぁ、涼宮さんにアタックしてみてください。」 え、でもあいつは春日が… 「ここからは僕が説明しましょう。」 ん?古泉? 「今少しドアの外で聞いてしまいました。春日君は涼宮さんが、あなたに嫉妬をさせるために作り出したものです。」 相変わらずハルヒってすごいな… 「そこじゃないですよ、つまり嫉妬をして欲しいということは」 ということは? 「あなたはここまで来ても鈍感なんですか…?」 …何だ? 朝比奈さんまでそんな軽蔑した目で見ないで下さい…。 長門、お前もだ。 「ならいいです、明日は不思議探索があります。多分何かが起こるので、ちゃんと心の準備を。」 何が起こるんだ?何のための心の準備だ? 「「「…」」」 「よし、みんないるわね!明日は土曜日だから不思議探索をするわ!午前は団長の私用があるから、いつもの場所に1時集合ね!春日君は初めてだから、説明するわね。」 そういうとハルヒは不思議探索について説明を始めたが、ほとんど俺の耳には入っていなかった。 「キョン!遅いわよ!初めての春日君でもあんたより早いわよ!」 おい、春日、お前何故時間より早く来る事を知っている? 「いえ、ただ単に集合時間より早めにくるべきかな、と思ったので。」 …こいつとハルヒを取り合って勝てる自信がない。 「じゃぁいつもの喫茶店に移動!」 おいおい、神様はどんなにひどいんだよ。 午後のペアは 俺と古泉 長門と朝比奈さん ハルヒと春日だった。 俺の怒りのマグマが心の中でブクブクいっている。 「やったー春日君と同じね!私がこの町の良いところ教えてあげるわ!」 ……… 「ありがとう、涼宮さん。」 ……… 何だよ何だよ、ケッ、両方とも微笑みやがってさぁ。 「大丈夫?性格に悪化が見られる。」 あぁ、長門。気にするな。 「じゃぁ出発!春日君、早く行きましょう!」 ハルヒが春日の手を引っ張る。 一瞬怒りで脳味噌が吹っ飛んでいくかと思った。 いつも春日が来る前はハルヒにやられていたが、端から見るとこんなにもカップルに見えるのか…。 「私たちも行きましょうか。」 るせぇな、どこに行くんだよ。 「あなたの好きなところで良いですよ。」 じゃぁ、あいつらをつけるぞ。 「いつからストーカーになったんですか?」 モラルとかルールとか、正直そんなものは今どうでも良い。 俺は、ハルヒを春日に何があっても絶対に取られたくない。 …ここまで俺がハルヒを好きだとは思わなかったぜ。 「気付いて良かったじゃないですか。しかし、男の嫉妬は醜いですよ?」 放っとけ。 ハルヒと春日は、仲良く喋りながらいろいろな場所を回っていった。 大したことはしていないが、俺にしたら二人が傍にいるだけで嫌になる。 そして暗くなり始め、そろそろ集合場所に戻るかと思っていると、春日が何かを言い出した。 俺達の位置からは何を言っているのかは聞こえない。 ハルヒはその言葉に頷き、春日の後をついていった。 「どうぞ。」 古泉が俺にケータイを少し小さくしたような機械を手渡す。 これは何だ? 「長門さんがさっき仕掛けておいた盗聴器の受信機です。」 そういえばさっき長門とハルヒ達がすれ違ったような… 何故仕掛けたのかが気になるが、まぁここは感謝してせっかくだから使おう。 俺今完全なる犯罪者だな… 『ねぇ、春日君、こっちに何があるの?』 『まぁまぁ、僕についてきて下さい。』 二人はテクテクと人気のないほうに歩いていく。 俺達はコソコソとその後をつけて行く。 すると、春日はハルヒを人気のない公園に連れ込んだ。 「これは、もしかして、彼は涼宮さんに告白する気では…」 なぁんだぁってぇぇぇ?! 春日がハルヒに好意があるのは知っていたが、さすがにこんなに早く告白するとは思わなかった。 やばい、ハルヒは中学時代、どんな男に告白されても、その場でふったことは無いらしい。 つまり、春日がハルヒに告白したとしたら、どんなに短時間だとしてもあの二人は恋人関係になるわけである。 しかも、ハルヒもあまり春日を嫌っていないようだ。 ということは本気で付き合いだすかもしれないという事か?! 『どうしたのよ、春日君。こんなところに連れ込んで。』 『俺…ハルヒのことが好きだ!付き合ってくれ!』 『え…』 俺が飛び出そうとすると、古泉に抑えられた。 「後少し待ってください。」 『え、そんな、春日君?』 『僕は本気です。』 『ちょ、春日君、キャッ!』 するとその時、春日がハルヒをベンチに押し倒したのだ。 一瞬、古泉の腕の力が抜けた。 俺はそのまま、ハルヒと春日の前に出て行く。 おい、春日、何やってるんだよ? 春日がこっちを振り向く。 「キョ、キョン?」 「何って、涼宮さんに告白してるんだよ。」 「違うの、キョン、これは…」 そのことじゃない、何故お前はすでにハルヒを襲おうとしてるんだ? 「涼宮さんは告白は断らない主義だそうなのでね。」 だからと言ってお前何故服を脱がそうとしてるんだよ… 俺は黙々と春日に近付き、 ドスッと春日を殴った。 「キョン?!」 「何するんだ!」 女を襲ってる奴を殴って何が悪い? 「別に僕が涼宮さんに何をしようと僕の勝手だろう?」 違う。 俺はな、ハルヒが好きなんだ。 「…え?キョン?!」 最初お前が転校してきた時、俺は自分がハルヒを好きだとは思っていなかった。 だが、お前らが仲良くしているうちに俺は自分がハルヒを好きだって気が付いたんだ。 「キョン…」 「そんなこと言ったって…僕だって涼宮さんのことが好きなんだよ?」 あぁ、だろうな。でも俺だって好きなんだよ。 おいハルヒ、お前は俺と春日、どっちを選ぶんだ? 「…キョン、ごめんね。」 え…。 「春日君もごめん。」 どっちも振るのか? 「うぅん、キョンにはやきもち妬かせてごめんね?後、春日君、気持ちに答えられなくて、ごめん。」 「涼宮さんは、キョンを選ぶのかい?」 「ごめんね、春日君。春日君はすっごく優しいし、頼りにもなるし、趣味も合う。頼りにならなくて、気も利かなくて、ヘタレなキョンとは大違い。だけど…何故か分からないけど…私はキョンが好きなの。ごめんね。」 すると、ハルヒがいきなり倒れた。 お、おい?!ハルヒ?! 「大丈夫、安心して。私がやったこと。」 長門?! 「キョン、君と争えて良かったよ。」 春日の影が薄くなっていく。 おいおい、どうなってるんだよ? 「春日君は涼宮さんがあなたにやきもちを妬かせる為に作ったもの。あなたがやきもちを妬き、告白した今、用はない。」 「だから、彼は消えるんですよ。」 …春日、お前、意外と良い奴だったな。 「君もだよ、キョン。じゃぁ」 「「またいつか、どこかで」」 「キョーン、一緒に帰ろ♪」 ということで、あの日の告白以来、俺とハルヒは付き合うことになった。 春日のことを長門に聞いてみると、一言 「情報操作は得意。」 と言われてしまった。 つまり、多分みんなの記憶から消したんだろうな。 だが、俺は春日のことを忘れるつもりはない。 もしかしたら、あいつとは、良い友達になれたかもな。 しかし、ハルヒが今、俺の隣で笑っているのは春日のおかげだ。 「何考えてるの?」 いや、別に。お前のこと考えてたんだ。 と適当にごまかす。 「もう、キョンったら」 そういうハルヒの顔は、うっすらと紅色に染まっていた。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/540.html
ハルヒは死んだ。何もかも大切な物が無くなった… あれから、俺は大人になった… あの日の記憶忘れやしない… 「閃光のハルヒ」 ――25年前 俺は、今、高校3年である。 SOS団設立してから2年後か? 今は、春…暖かい空気で眠気を誘う日が続く… そして、俺は今いるのは… 「皆!おっまたせーっ!」 相変わらず声がデカい困った団長…涼宮ハルヒが来た。 みくる「お帰りなさい、涼宮さん」 俺の気持ちを癒してくれる、我らアイドル…朝比奈みくる ん?何で卒業したのにいるんか?って? あー、それはな…放課後だけ遊びに来るんだよ…大学から近いらしい。 俺は、部屋の隅っこへ向く… 「……」 そこに座ってるのは、長門有希…相変わらず無感情で本を読むのが好きみたいだな… 「キョンさん、あなたの番ですよ」 「ん、おぉ…そうか」 先ほど声掛けられた主は、古泉一樹…ハンサムでカッコいいと言う理由で女子達の間で人気らしい…気に入らん! そんな、相変わらず活動してるか… まさか、あの日が来るとは思わなかった… 「…ゲホッ…ゲホッ…ゴホン…」 咳をしてたのは、ハルヒだった。 「大丈夫か?ハルヒ?」 「う、うん…おっかしぃーなぁ…今日まで咳する事は無かったんだけどね」 「そうか…ま、気を付けろ…最近、インフルエンザやら流行ってるみたいからな」 「うん…気を付ける」 あの時、俺は気付いてやれなかった… 俺は、激しく後悔してる… 帰り道… 「キョン」 「ん?何だ?ハルヒ」 「明日、デー…!…ゲホッゲホッ!…ゴホッゴホン!」 「お、おぃ…ハルヒ!大丈夫か?」 「う、うん…だいじ…ゲホッ…ゴホン!」 と、ハルヒの口から出たのは… 血だった… 「!?ハルヒ!」 「だ…大丈夫よ!」 俺から見ても、大丈夫じゃない… 「ハルヒ…」 「大丈夫だから…」 あの時、強制に病院へ連れとけばよかった… 一週間後、ハルヒは元気に活動していたが… 「さぁ、皆!ミー…!ゲホッ、ゲホッ…ゴホン!」 「ハ、ハルヒ!」 「だ…大丈夫よ…平気だ…か…ら…」 と、ハルヒはその場で倒れた… 「ハルヒ!」 俺は、ハルヒがスローで倒れているように見えた… 「涼宮さん!」 「…!長門さん!救急車を!」 「うん」 「ハルヒ!ハルヒ!ハルヒ…ハルヒーーーーっ!」 俺は、いつの間にかにハルヒの事を呼んでた… ピーポー、ピーポー、ピーポー… ―病院 「…キョンさん…覚悟はいいですか?」 「あぁ…何だ…」 「…重い病気ですよ…えぇ、死ぬ可能性もある病気…」 「!?…え?」 「キョン君…その病気は…」 「癌」 と長門が答えた… 癌!?癌だと!?そんな…ハルヒは今まで元気してたのに!?そんな! 「…仕方ない事ですよ…」 「あぁ…ぁ…ぁ…うわあぁぁぁぁぁぁぁ…」 俺は、虚しくも叫んでた… ハルヒ…前から知ってたんだろ?…何で…何でなんだよ… ハルヒの病室 「…ハルヒ…」 俺は、ハルヒの寝顔をずっと見てた… 「……」 可愛い寝顔だ… 「ハルヒ…お前は、どうしたいんだ?」 「……」 「俺とデートしたかったんだろ?」 と、言ってても…ハルヒは返事しない…息を吸ってる音が少し聞こえるだけだった… 「ハルヒ…ハ…ル…ヒ…うっ、ううっ…」 俺、泣いてるのか?辛いのか?何故だ…こんな思いは… 「…あぁ、俺は…ハルヒの事が好きだったんだな…好きだったんだな…」 次の日の朝 俺は、病室で寝てた。 あぁ、俺…泣いて、このまま寝たっけ… 「おは…よう、キョ…ン」 今のは、ハルヒの声だった。 「ハルヒ!起きたのか!?」 「う…ん、昨日は…ゴ…メンね…」 「いいんだ!そんな事はいいんだよ…」 「キョン…」 「ん?」 「泣いて…たの?」 「…あぁ」 俺は、無理矢理に笑顔を作った… そして、毎日… SOS団員や妹…クラスメイト達も見舞い来てくれた。 色々、喋り…笑い…そういう生活を過ごして行った… あの日が訪れるまでに… 一ヵ月後… 「じゃ、俺…帰るわ」 「待って…」 と、ハルヒに呼び止められた。 「何だ?」 「あたしの事…どう思ってるの?」 「ハルヒ…」 弱弱しくなったハルヒ…見てるだけで辛い… そんなハルヒを守りたい… 「…俺は、今までハルヒが居ない学校生活して来た…俺は、学校生活してて、やっと分かった。 ハルヒがいないと、俺はダメなんだよ…元気なハルヒを見たい、見たくでも見れない…俺は、寂しかった! 家で泣く日が多かった、ハルヒのいない学校生活を送るなんで嫌なんだよ!俺は、ハルヒの事好きなんだよ、好きなんだよ!」 俺は、まだ泣いた…情けなかった。 その時、ハルヒは、自分の手で、ゆっくりと俺の手と重なった。 「!?」 ハルヒ… 「あたしも、寂しかったよ…先生から聞いたよ…癌だってね?」 「…あ…」 俺は、言おうと思ったけど…息苦しくで言えなかった。 「あたしは、あの時…凄く泣いたよ…」 「ハ、ハルヒ…」 「あたしは、キョンが好きなのに、もう会えないなんで嫌だった…」 「……」 「それでも、キョンの側に居たい気持ちあったのよ…」 「…俺も!俺も、ハルヒの側に居たかった!」 「あたしは死ぬのが怖い…それでも仕方ない事…だ…よね?」 ハルヒは、泣いてる…俺も泣いてる 「…キョン、キスしてくれる?」 「あ、あぁ…するよ…」 と、ハルヒの唇と重なってキスした…暖かいキスだった… そして…その時が訪れた… 「!?ゲホッゲホッ!ゲホッゴホンッ!」 「!?ハ、ハルヒ!」 「血が出た…あたし、死ぬのね…」 「ハルヒ!今、先生に呼んだからな!手、握ってるから安心しろ!」 「あたし…疲れたよ…ありがとう…キョン…」 「ハルヒ!」 「好きだよ…さ…よう…な…ら…」 ハルヒは、ゆっくりと目閉じた… 「ハルヒ!ハルヒ!」 ハルヒの手は力無くなり、落ちた… 「ハ、ハルヒ…ハルヒーー……」 その時、ハルヒは死んだ… ハルヒといた生活は幕閉じた… そして、葬式が行われた みくる「涼宮さん!涼宮さぁん!…うぅっ…」 長門「……」 古泉「涼宮さん、天国で会いましょう…」 SOS団もクラスメイトも参加してた…皆、泣いてるのは物凄く辛い事だった… 「キョン君ですか?」 「あ、はい」 「ハルヒの母です…あの子を最後まで見守ってありがとうございます…うっ…」 「キョン君、ありがとう…父親である私が…最後までに…うっ…ううっ…」 「御父さん、御母さん、ハルヒは幸せな子です…ですから、ハルヒを悲しませないように頑張って生きてください…」 「あ、ありがとうございます…」 「それから、ハルヒの部屋はどこです?」 俺は、ハルヒの部屋へ行って見た。 「…何だ、シンプルな部屋だな…」 本棚、机、時計、ベッド…色々あるな… 「ん?」 机の上に1冊のノートとビデオが置いてあった。 「これは…ビデオと…日記だ…」 ○月○日 明日は、バレンタインデーだ! 張り切ってキョンに渡そう! あたしの作ったチョコは美味いよ! ○月○日 今日は、楽しいデートだったよ。 色々トラブルあったけど、本当に楽しかったよ! ○月○日 明日は、あたしの誕生日 キョンはその事気付いてるかな? プレゼントが楽しみだな! 俺は、読みながら思い出してしまった…楽しかった事…悲しかった事… 色々あった… 「あぁ…ハルヒ…ハルヒ…」 次へ次へ読む事に手が震えて来た。 そして… 手は止まった。 「!…これは…」 ○月○日 あたしは、病院へ行った… そして、先生から、こう告げた… 「あなたは、重い病気持ってます」と… あたしは、世界が止まったような気がした。 それは、癌だった。 あたしは混乱したよ… あたし死ぬのかな?死にたくないよ…まだ生きる命あるよ! お願い!癌を治して!そうじゃないと、皆に会えなくなる!キョンに会えなくなる! 嫌だよ…あたしは、死にたくないよ… その事を、皆に言ったらどうなるのかな…怖いよ… だから、あたしは黙っとく事にしたの… 静かに死んで、皆に悲しませないように死ぬ事にしよう… 今まで、ありがとう そして、さようなら…皆…キョン… ハルヒ…そんな事思ってたのか… 「…っ!」 すまない…ハルヒ、本当にすまない…すまない! 俺は、泣いた後の疲労感が溜まり 家に着いた… 「……」 俺は、一本のビデオをずっと見てた。 「…今、何時だ?」 と、確認すると…既に0時になってた。 「…見るか」 ビデオを持ってリビングへ行った。 暗闇の中でテレビを付けてビデオを再生した… そして、画面に写された映像… その中に、一人の少女がいた… それが、涼宮ハルヒだった。 ハルヒ!…これは、生前の頃の映像だった。 「こら!バカキョン!今、見てるのは、あたしが死んだ後かな? 元気の無いあんたは見たくも無いわ!あたしが死んでも、キョンはキョンらしく 生きなさいよ! あたしは、死ぬのは怖いけど…仕方ないよね…あたしは、元々、気が弱かったの… それでも、めけずに生きてくれたのは…あんたのお陰よ!」 そりゃ、そうだな…ハルヒを支えたのは、この俺なのだからな… 「…キョン、あたしは今から…告白するわ…あたしは、あんたの事が好きよ!世界で一番好きなのよ! だから、毎日…あんたと会えるのを楽しみに通ってたんだから!それでも、気付かないあんたは… かなりの鈍感ねぇ…ま、それは仕方ないと思うわ!…愛してるよ!キョン!」 ハルヒ…ありがとう… 「…あたしが、死んでも…あたしの事忘れないでね!忘れたら死刑よ! …キョン…今までありがとう、あたしは嬉しかったよ…そして、さようなら…あたしの愛した人…」 ここで、砂嵐に変わって、終わった… 「ハルヒ…俺も、忘れない!何があろうと忘れない!忘れないからな!ハルヒっ!」 時間はもう戻らない…ただ前に進むだけ… …あれから、25年後… 俺は、43歳になった… 古泉は、15年前に俺の知らない女と結婚し、幸せな生活を送っていた。 朝比奈さんは、24年前に…未来へ帰った。もう会えないだろう… 長門は…22年前に俺と結婚し、俺の妻となり…子供も出来た… 俺は、今…重い病気を持ってた… それは、ハルヒと同じ病気だった。 もう、しばらくは持たないだろう… 側に居る、美しい女性…姿は昔とは少し変わらない… それは、長門だった。 俺は、有希に言ってみた。 「…有希、お前は今、幸せか?」 「うん…」 「俺も幸せだ…でもな、俺の命は長く持たない…」 「…うん」 「泣くな…有希…今まで、一緒に歩いて来たんだろ?」 「…嫌だ、あなたと別れるのは辛い…」 「…あぁ、俺もだ…長門、俺が死んだら…ハルヒの側に置いてくれないか?」 「…分かった」 長門…今までありがとな… 「…じゃあ、俺は眠るよ…じゃあな…な…がと…」 「…あなたは、天で無事に、ハルヒに会えますように…」 その時、俺は死んだ… 【*****(本名) 二×××年○月○日死去 原因 胃癌】 …暗い… …ここは、どこだろうか… 周りは、闇に染まってる。 俺は、闇の向こうへ歩いてみた… 闇の向こうから光が溢れて来た… 段々と光は大きくなり、光に包まれた… 「…ここは…」 周りを見ると、あの懐かしき北高校である。 俺は、身に着けてる物を確認した。 「…これは、北高校の制服…」 ふと、隣にあるガラスを見てみると… 「あれ?高校時代の俺じゃねぇか…」 取りあえず、あの懐かしきSOS団室へ向かった。 懐かしい木の香り、風景などを楽しみながら歩いてると… SOS団室に着いた。 そして、俺は、扉を開けた… 「久しぶりね」 扉の向こうにいたのは…俺が今まで会いたかった、愛しい女性…涼宮ハルヒだった。 俺は、動揺してしまい、言葉を探してた。 「キョン、25年ぶりに…やっと会えたね…」 「あ、あぁ…」 「25年間、寂しく過ごしてたよ?」 「…スマン」 と俺は、謝った。 「あははは、いいのいいの!あんたが最後まで生きてくれたし、あたしの事忘れてなかったみたいね」 「あぁ…」 「キョン、改めて言うわ…あたし、あなたの事が好きです! 」 「…ふっ、俺もだよ…ハルヒ!」 「ぶっ、あはははは…真面目に言うなんでおかしいわね!」 「ぶ、ふははははは…確かに、確かにそうだよな!」 俺たちは、やっと笑った…お互いに笑った。 「…ねぇ、キョン」 「ん?」 「久しぶりに、キスして…」 「分かったよ…」 と言って、キスした… ハルヒ、いつまでも一緒にいるからな… キョン、やっと会えて本当に良かったわ… 次、転生した時は…ハルヒとキョンみたいな子が生まれるだろう… そして、会えた時は…まだSOS団やるのだろう… 完
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/114.html
団長 決めたわ。明日から『キョン断ち』するわよ! 団員1 なんなんだ、その『キョン断ち』ってのは? 団長 決まってるじゃない!キョンを絶つのよ。このままじゃ、あたしたち、単なるバカップルになっちゃうわ。だからキョン断ちするの。今は毎日会ってるし、おはようからおやすみまでほとんど一緒にいるけど、しばらくあんたには会わないわ。電話もしない。メールも打たない。机の上と枕の下と本棚と押し入れにあるキョン写真もすべて片付けるわ。そうね、有希に預かってもらいましょう。これで完璧ね。 団員1 なにが完璧だ? それだと俺もおまえに会えないじゃないか。第一、俺とおまえは同じ部活で同じクラス、席も前と後なんだぞ。 団長 問題はそこね。いいわ。あたし、しばらく学校に来ないから。 団員1 はあ?いいわけないだろ。 団長 成績の悪いあんたが休むと学業に差し支えがあるだろうから、あたしが休むほうがベターってもんよ。 団員1 勝手なこと言うな! 何日もおまえに会えないなんて、どうにかなっちまいそうだ。 団長 だからよ。意思の弱いあんたに『ハルヒ断ち』は無理だろうから、ここは団長のあたしが、耐え難きを耐え忍び難きを忍んでキョン断ちするの。感謝しなさい! 団員1 断る! バカなこと言うな! 俺に会えなくなって、おまえは平気なのか? 団長 あんたこそバカ言わないで!平気なわけないじゃない! いい、キョン? これはあたしたちに与えられた試練なの。会えない時間が本当の愛を育てるのよ。これを乗り越えたら、お互いがどれだけなくてはならない存在か、身にしみてわかるはずよ! 団員1 そんなものは、もう身にしみて分かってる! 団長 キョン……。 団員1 もし、本気でそんなこと言うんなら、俺にだって考えがあるぞ。 団長 考えって何よ? 団員1 浮気するぞ。 団長 はあ? 団員1 朝比奈さんと仲良くお茶っ葉を買いに行ったり、長門と図書館をはしごしてやる。それも3日おきだ。 団長 うっ! 団員1 それから鶴屋さんとゴージャスな○○をして、朝倉にはカナダと文通するぞ。ミヨキチとは遊園地へ行ってやる、しかも妹つきでだ! 団長 くぅ…。 団員1 それから古泉と○○して、さらにシャミセンと……。 団長 やめなさい! 古泉君とシャミセンはオスでしょ! 団員1 どうだ!これでもまだキョン断ちする気か? 団長 ひ、ひきょうもの! 団員1 お願いだ、ハルヒ、考え直してくれ。バカップルのどこがいけないんだ? お互いツンデレとフラクラだった頃に戻りたいのか?確かにあの時はあの時で楽しかったが、今とは比べものにならない。雲泥の差だ。精神病だというなら、それでもいい。自重しろと言うやつには言わせておけ。今の俺には、おまえのいない生活なんて考えられない。まだ少しでも俺を愛してくれているなら、ハルヒ、しばらく会わないなんて言わないでくれ。 団長 このぉ、バカキョン!! 少しでも、ですって!? 60兆個の細胞ぜんぶで、あんたを全て、まるっと、骨から皮まで愛してるわよ!! 団員1 ハルヒ……。 団長 わ、わたしが悪かったわよ。……そ、その、ごめん。 団員1 ハルヒ、おまえにそんな顔は似合わん。おまえは100ワットのパルック・ボールみたいに笑ってないとダメだ。俺も言いすぎた。 団長 ううん、キョンは悪くないわ。あたしがまた勝手な思いこみで突っ走って、キョンにつらい思いをさせたの。そんな思いしてまで、あたしを止めてくれるのは、いつもあんた。キョン、あたしもあんたなしの生活なんて考えられない! 団員1 ハルヒ! 団長 キョン! 副団長 長門さん、お二人を閉鎖空間に隔離できませんか?このままでは僕たちが……。 文芸部 今、行っている。しかし桃色空間の拡大が著しく、再優先で対処しても拡大速度に追いつけるのは6時間先。なおバカップル反射シールドおよびそのバックアップ・シールドは無効化された。 副々団長 殺せえ! いっそひとおもいに殺せ! キョンの禁欲へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_dictionary/pages/42.html
基本情報表紙 タイトル色 その他 目次 裏表紙のあらすじ 出版社からのあらすじ 内容 あらすじ 挿絵口絵 挿絵 登場人物 刊行順 基本情報 涼宮ハルヒシリーズ第2巻。2003年10月1日初版発行。 表紙 通常カバー…朝比奈みくる 期間限定パノラマカバー…朝比奈みくる、古泉一樹 タイトル色 通常カバー…橙色 期間限定パノラマカバー…橙色 その他 本編…270ページ 形式…長編 目次 プロローグ…P.5 第一章…P.14 第二章…P.48 第三章…P.100 第四章…P.154 第五章…P.210 エピローグ…P.270 あとがき…P.276 裏表紙のあらすじ 宇宙人未来人超能力者と一緒に遊ぶのが目的という、正体不明な謎の団体SOS団を率いる涼宮ハルヒの目下の関心後とは 文化祭が楽しくないことらしい。行事を楽しくしたい心意気は大いに結構だが、なにも俺たちが映画をとらなくてもいいんじゃないか? ハルヒが何かを言い出すたびに、周りの宇宙人未来人超能力者が苦労するんだけどな―― スニーカー大賞<大賞>を受賞したビミョーに非日常系学園ストーリー、圧倒的人気で第2弾登場! 出版社からのあらすじ スニーカー大賞〈大賞〉受賞作、早くも第2弾登場!! 季節は文化祭のシーズン。ありきたりな"お祭り"では飽き足りない涼宮ハルヒはSOS団の面々を使いまくり、自主映画の制作を開始する。 当然のごとく、ハルヒの暴走はとどまることをしらず……。超話題作の第2弾!! 爆進中!NO.1 第ベストセラー第2弾!! 内容 あらすじ 挿絵 口絵 涼宮ハルヒ、朝比奈みくる 長門有希、朝比奈みくる、鶴屋さん、谷口、国木田 涼宮ハルヒ、長門有希、朝比奈みくる、古泉一樹 挿絵 「プロローグ」 挿絵なし 「第一章」 P.25…涼宮ハルヒ、朝比奈みくる 「第二章」 P.53…涼宮ハルヒ、キョン、朝比奈みくる P.83…涼宮ハルヒ、長門有希、朝比奈みくる 「第三章」 P.129…朝比奈みくる 「第四章」 P.157…古泉一樹、鶴屋さん P.197…涼宮ハルヒ、キョン 「第五章」 P.227…長門有希、シャミセン P.257…古泉一樹 「エピローグ」 挿絵なし 登場人物 涼宮ハルヒ キョン 長門有希 朝比奈みくる 古泉一樹 鶴屋さん シャミセン 谷口 国木田 キョンの妹 刊行順 <第1巻『涼宮ハルヒの憂鬱』|第3巻『涼宮ハルヒの退屈』>
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5271.html
~部室にて~ キョン「Zzzz…」 ハルヒ「……」 長門「……」ペラ ハルヒ「ねぇ有希」 長門「なに?」 ハルヒ「あたしたち友達よね?」 長門「そう認識している」 ハルヒ「それじゃあさ、なんか悩み事とかない?」 長門「何故?」 ハルヒ「何故って、特に理由は無いけど」 長門「そう」 ハルヒ「ほら、あたしたちってあんまりプライベートな話しないじゃない?」 長門「?」 ハルヒ「あたしこんな性格だからあんまり同性の友達いないの」 長門「朝比奈みくるがいる」 ハルヒ「みくるちゃんってなんだかんだで年上だし、有希が一番一緒にいる同い年の友達なのよ」 長門「そう」 ハルヒ「だから、その、もっと仲良くなりたいなぁ、って」 長門「つまり『普通』の交友関係を望むと?」 ハルヒ「うっ、団長としてあんまり『普通』を強調されると耳が痛いわね」 長門「他意はない」 ハルヒ「わかってるわよ。そうね、普通に友達と付き合いたいと思ってる」 長門「……」グゥ~ ハルヒ「一緒に買い物に行ったり、恋愛の話したり」 長門(お腹がへった) ハルヒ「そうだ!有希って好きな人いたりするの?」 長門「好きな人?」 ハルヒ「そう!好きな人!」 長門「それは異性という意味?」 ハルヒ「当たり前じゃない」 長門「自分から答えないとフェアではない」 ハルヒ「え?」 長門「こういった質問の場合、自分から答えずに相手にのみ回答を求めるのはフェアではない、と本に書いてあった」 ハルヒ「え?」 長門「先に言うべき」 ハルヒ「あたしが?」カァァ 長門「……」コク ハルヒ「あ、あ、あ、あたしは、その」チラ キョン「Zzzz…」 長門「?」 ハルヒ「あたしは、今はいないわ!……多分」 長門「そう、わたしは彼が気になる」 ハルヒ「彼?」 長門「そう」チラ キョン「Zzzz…」 ハルヒ「え?あれ?」 長門「そう」 ハルヒ「ほんとに?」 長門「友達に嘘はつかない」 ハルヒ「うっ」 長門「なにか問題が?」 ハルヒ「あ、あれはダメよ!止めときなさい」 長門「何故?」 ハルヒ「だって、その、見た目だってよくないし、冴えないし、馬鹿だし、有希には釣り合わないわ」 長門「それを決めるのはわたし」 ハルヒ「そうだけど……」 長門「……」 ハルヒ「でも、あいつは……その」 長門「嘘」 ハルヒ「え?」 長門「さっきまでの発言は嘘だと言った」 ハルヒ「だってさっき友達に嘘言わないって」 長門「それも含めて嘘」 ハルヒ「ほんとに?」 長門「今度は本当」 ハルヒ「ほんとにほんと?」 長門「くどい。友達の思い人を取ったりしない」 ハルヒ「だ、誰があいつのことなんか」カァァ 長門「なら貰う」 ハルヒ「それはダメ!」 長門「……」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「な、なによぉ」 長門「別に。……ただ」 ハルヒ「ただ?」 長門「人をからかうのはなかなか楽しい」 ハルヒ「なっ!」 長門「友達なら冗談の一つや二つは言うもの」 ハルヒ「そうだけど」 長門「あなたは私に普通の友達を求めた」 ハルヒ「うん」 長門「だからそれに答えられようにしてみた。何か違った?」 ハルヒ「……あたしも普通の友達ってよく分からないけど、多分あってると思う」 長門「そう」 ハルヒ「ここじゃ言えないけど、今度有希にはあたしの好きな人教えるはね」 長門「わかった」 ハルヒ「それじゃあこの話はこれでお終いね」 長門「……」コク ハルヒ「有希はあたしに何かないの?」 長門「なにかとは?」 ハルヒ「質問よ」 長門「質問……。趣味は?」 ハルヒ「不思議なこt」 長門「それはもういい」 ハルヒ「えぇ~。他には、料理とかかな?こう見えて結構お母さんと一緒に作ったりしてるから上手なのよ」 長門(案外普通。しかし) ハルヒ「似合わないかな?」 長門「興味がある」 ハルヒ「そ、そう。有希は一人暮らしなのよね。自分で作ったりしてるんでしょ?」 長門「……」フルフル ハルヒ「もしかしてコンビニ中心?」 長門「……」コク ハルヒ「有希らしいと言えばそれまでだけど、それじゃ全然ダメじゃない」 長門「?」 ハルヒ「いい。女の子は料理くらい出来ないと後々大変よ?」 長門「今日のあなたは少し変」 ハルヒ「そ、そうかしら」 長門「いつもなら『女の子らしい』などということを一々強調しない。それは朝比奈みくるの役割」 ハルヒ「そうかもね。でもなんだか有希とはなんていうの?腹を割って話したいというか、そんな感じなのよ」 長門「それは私が友達だから?」 ハルヒ「そう。それに有希って口堅そうだし」 長門「望むなら他言はしない」 ハルヒ「頼むわよ。SOS団の団長がこんなだったら他のみんなに示しがつかないわ」 長門「……」コク ハルヒ「でも、有希さっき嘘ついたしなぁ~」 長門「しつこい。それよりもさっきの話」 ハルヒ「さっき?あぁ料理の話ね」 長門「なにが得意?」 ハルヒ「ありきたりだけどカレーね」 長門「!!!」 ハルヒ「市販のルーを何種類か混ぜると美味しいのよ。あたしの場合、味の決め手はコンビーフね」 長門「……」ゴク ハルヒ「後は、大量の玉葱と人参にカボチャ。お肉は豚バラと手羽先」 長門「……」グゥ~ ハルヒ「後は香り付けに月桂樹の葉も必要ね。それとた~か~の~つ~め~、って知ってる?」 長門「知らない。興味がない」ググゥ~ ハルヒ「な、なんか今日の有希はアグレッシブね」 長門「あなたが望んだ結果こうなった」 ハルヒ「まぁ、悪い気はしないわ」 長門「そう」グググゥ~ ハルヒ「お腹空いてるの?」 長門「あなたの話を聞いたら俄然空いてきた。カレーはとても好き」 ハルヒ「そっか……。ねぇ、今日あたしん家両親が出かけてて夜一人なのよ」 長門「それで?」 ハルヒ「せっかくの機会だし有希の家に泊まりに行っていい?」 長門「さっきのレシピ通りにカレーを作るなら許可する」 ハルヒ「じゃあ決まりね♪あたし家に着替えとか取りに行ってくるわね。で、ついでに買い物して行くわ」ガタ 長門「私もついて行く」ガタ ハルヒ「今日は夜通し遊ぶわよ!」 長門「構わない」 バタンッ キョン「ふぁぁ~……、あれ、誰もいない」 Fin ~涼宮邸前~ ハルヒ「おまたせ有希」 長門「大丈夫」 ハルヒ「じゃあ行きましょ」 長門「……」コク ハルヒ「有希の家の近くにスーパーってある?」 長門「ある。問題ない」 ハルヒ「ならいいわ」 長門「そう」 ハルヒ「有希は料理作れるの?」 長門「カップ麺ならお手の物」キラ ハルヒ「……それは料理じゃないわよ」 長門「?」 ハルヒ「ま、まさか家に調理器具ないとかいわないでしょうね」 長門「……。大丈夫用意した」 ハルヒ「用意した?」 長門「問題ない」 ハルヒ「よく分かんないけど、あるんならいいわ」 長門「……」コク ハルヒ「~♪」 長門「……」ジー ハルヒ「ん?どしたの有希?」 長門「別に」 ハルヒ「?変な有希♪」 長門(精神状態が非常に良好) ハルヒ「有希の部屋って本いっぱいありそうよね」 長門「家にはあまりない」 ハルヒ「そうなの?」 長門「そう」 ハルヒ「ちゃんと片付いてる?」 長門「……」コク ハルヒ「そうよね。有希ってなんか几帳面っぽいし」 長門「……」 ハルヒ「先に家行っていい?荷物持ったままだと買い物しずらいし」 長門「構わない」 ハルヒ「♪」トテトテ 長門「……」トテトテ ~長門宅にて~ ハルヒ「お邪魔しまーす」 長門「どうぞ」 ハルヒ「ほんとに誰もいないのね」 長門「私だけ」 ハルヒ「今は二人よ」 長門「そう」 ハルヒ「そうよ」 長門「こっちがリビング」 ハルヒ「へー、って何にもないじゃない!?」 長門「机がある」 ハルヒ「見りゃ分かるわよ。こんなシンプルな部屋なんて初め てみたわ」 長門「そう」 ハルヒ「普通年頃の女の子なら小物の一つでも……」 長門「普通?あなたは普通は求めいていないのでは?」 ハルヒ「もう!いちいち突っ込まないでよ。あくまで一般論よ 、一般論」 長門「……」ジー ハルヒ「な、なによ」 長門「別に」 ハルヒ「気になるじゃない」 長門「別にと言った」 ハルヒ「わかったわよ」 ハルヒ「それじゃあ買い物行きましょう」 長門「行く」 ハルヒ「それじゃあ案内してね」 長門「任せて」 ~スーパーにて~ ハルヒ「まずは野菜ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「まさか、お米何も無いとは思わなかったわ」 長門(お菓子もある) ハルヒ「とりあえず、カボチャに玉葱、にんじんっと」 長門「……」キョロキョロ ハルヒ「次はお肉ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「やった、豚バラ半額よ。得したわね」 長門「……」コク ハルヒ「手羽も見つけたし、後は香辛料ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「あった」 長門(することが無い) ハルヒ「それじゃあレジ行ってくるから、お金は後で割りカンね?」 長門「わかった」 注:調理シーン及び食事シーンは割愛で。 ~再び長門宅~ 長門「ごちそうさま」 ハルヒ「おそまつさまでした」 長門「美味しかった」 ハルヒ「カレー好きの舌を満足させれてよかったわ」 長門「牛、豚、鳥が全部入ったカレーは初めて」 ハルヒ「そうなの?家であれが普通よ。実際安いお肉だけで済んでるし」 長門「今後の参考にする」 ハルヒ「どうぞ。それにしてもよく食べるわね。見てるだけでお腹痛くなりそう」 長門「いつもこのくらい」 ハルヒ「この小さい体にどんだけ入るのよ」ポンポン 長門「お腹を叩くのはやめて」 ハルヒ「あっ、ごめん。でもあれね、次回の不思議探索は有希の胃袋の限界調査ね」 長門「構わない」キラッ ハルヒ「いずれはSOS団を代表して、大食い女王決定戦に出てもらおうかしら」 長門「一向に構わない」キラッ ハルヒ「あはは、流石に冗談よ」 長門「……そう」 ハルヒ「……有希はさ」 長門「?」 ハルヒ「一人暮らしで寂しくないの?」 長門「特に」 ハルヒ「でも学校から帰ったらここには誰もいないじゃない?」 長門「……」コク ハルヒ「あたしなら寂しいなぁ、って」 長門「やはり今日のあなたは変」 ハルヒ「またそれ?なかなか弱みを見せないあたしが見せてるんだから、少しは相槌しなさいよ」 長門「弱みを見せるということは私を信用している?」 ハルヒ「家族の次に」 長門「そう」 ハルヒ「そうよ」 長門「……私は、あまり寂しくない」 ハルヒ「有希は強いのね」 長門「なぜなら」 ハルヒ「なぜなら?」 長門「普段なら今頃、彼とメールのやり取りをしている」 ハルヒ「え?」 長門「寝るまで」 ハルヒ「か、彼って?」 長門「そう、彼」 ハルヒ「そ、そんな話聞いてないはよ!」ガタ 長門「それはそう。言ってない」 ハルヒ「な、な、な、だって有希好きじゃないって、い、言ったじゃない」 長門「そろそろメールを送る」カチャ ハルヒ「え!?」 長門「……」メルメル ハルヒ「……」ドキドキ 長門「完了」 ハルヒ「……なんて送ったの?」 長門「……」 ハルヒ「ちょっと、なんかいいなs」ピリリリ ハルヒ「こんな時誰からよ?」 FROM ♪ユッキー♪ 本文 あなたは単純すぎ(笑) だから面白い(笑) さっきのはもちろん真っ赤な嘘(笑) 長門「ユニーク」 ハルヒ「……」 長門「……ユニーク」 ハルヒ「有希」 長門「……ユ、少し調子に乗った」 ハルヒ「……そう、有希でもそんなことがあるのね」 長門「ごめんなさい」 ハルヒ「まぁいいわ。でも後で覚えてなさいよ?」 長門「わかった」 ハルヒ「ったく、もぉー」 長門「牛?」 ハルヒ「え?」 長門「なんでもない」 ハルヒ「そう」 長門「そう」 ハルヒ「……なんか不思議よね」 長門「?」 ハルヒ「SOS団で、とかじゃなくて有希と二人だけじゃない?」 長門「SOS団があるから今がある」 ハルヒ「そうなんだけど……」 長門「?」 ハルヒ「あのね、一つ前からどうしても聞きたいことがあったの」 長門「なに」 ハルヒ「あたしが文芸部の部室をなかば強引に頂いたじゃない」 長門「……」コク ハルヒ「う、肯定された。で、それって迷惑じゃなかった?」 長門「問題ない」 ハルヒ「ほんと?」 長門「本当」 ハルヒ「今更だけど、迷惑だったら謝んなきゃ、ってずっと思ってたのよ」 長門「迷惑ではない。むしろ良かった」 ハルヒ「え?」 長門「あれは必然。あなたが来て、彼が来て、朝比奈みくると古泉一樹が来た。そのおかげで今に至る」 ハルヒ「有希……」グス 長門「だからあなたは謝罪ではなく、謝礼を言うべき」 ハルヒ「ん?」グス 長門「私があの部室を保有していたおかげでSOS団がある」 ハルヒ「……なんか有希って性格ちょっと悪くない?」 長門「あなたが望んだ」 ハルヒ「あたしが望んだのは友達よ!」 長門「友達なら関係は同等。あなたに合わせると自然とこうなる」 ハルヒ「また聞き捨てならないわね」 長門「気のせい」 ハルヒ「……今回も貸しにしとくわ」 長門「そう」 ハルヒ「ふぅー、ねぇお風呂入っていい?」 長門「構わない。バスタオルは脱衣所にある」 ハルヒ「ありがとう。……有希一緒に入らない?」 長門「一緒に?」 ハルヒ「そう、たまには裸の付き合いも悪くないでしょ」 長門「それは一般に男性の台詞」 ハルヒ「細かいことは気にしないの、ほら行くわよ♪」ガシ 長門「分かったから引きずらないで欲しい」ズルズル ~脱衣所にて~ ハルヒ「~♪」スル 長門「……」 ハルヒ「~♪」スルスル 長門「……」 ハルヒ「あれ?有希脱がないの?」 長門「すぐ入る。先に行って」 ハルヒ「?わかったわ」 長門「……」 長門(これは今日の仕返し?) 浴室にて~ 長門「遅くなった」 ハルヒ「先にお風呂頂いてるわよ」 長門「構わない」ジャー ハルヒ「はぁ~、暖まるわ~」 長門「そう」ゴシゴシ ハルヒ「……」ジー 長門「何?」ゴシゴシ ハルヒ「え?いや、有希って肌綺麗だなぁって、なんか使ってるの?」 長門「何も」ゴシゴシ ハルヒ「いいなぁ、うらやましい」 長門「私はあなたがうらやましい」ジー ハルヒ「ん?あぁ、これ?そうね有希にないもんね」ニヤニヤ 長門「私にもある」ジャー ハルヒ「え?どこ?」 長門「……涼宮ハルヒを敵性と判断」キュ ハルヒ「ちょ、冷たいわよ、有希!冷水は卑怯よ!」 長門「聞こえない」 ハルヒ「こんなけエコーかかって聞こえないわけないでしょ!もう、冷たいってば」 長門「潜ればいい」 ハルヒ「!その手が」ザブ 長門(今のうち) ハルヒ「ぷはっ、息続かない」ガン ハルヒ「って、イタ!」 長門「注意力が足りない」 ハルヒ「潜ってる時にふた閉めないでよ!驚いたじゃない」 長門「それが目的。今だけはあなたは私の手のなかで踊る」 ハルヒ「なによそれ」 長門「なんでもない」 ハルヒ「それより入んないの?風邪ひくわよ」 長門「入る。詰めて」 ハルヒ「ん」 長門「あたたか、くない……ぬるい」 ハルヒ「ふん、自業自得ね」 長門「お湯を足す」 ハルヒ「賢明ね。これじゃ誰かさんのせいで風邪引いちゃうわよ」 長門「……」 ハルヒ「だんだん暖かくなってきたわね」 長門「……」コク ハルヒ「……ねぇ有希。後ろ向いてこっちに背中あずけて」 長門「何故?」 ハルヒ「なんか有希ってちっちゃいから妹みたいに見えて」 長門「妹?」 ハルヒ「ほら、キョンの妹ちゃんいるじゃない?あの娘見てから、あたしにも妹いたら良かったのになぁ、とか考えちゃうのよ」 長門(あまり強く考えられると現実になりかねない) ハルヒ「だから有希、お姉ちゃんとこおいで。なんてね」 長門「わかった」クル ハルヒ「いやに素直じゃない♪」ギュ 長門「……」ムニ ハルヒ「ふぅ」ムニ 長門「……」イラ ハルヒ「暖かい」ムニ 長門「背中に当たるものが非常に不愉快」ザバァ ハルヒ「もう出るの?」 長門「出る」 ハルヒ「じゃあ、あたしも上がr」 ピシャッ!! ハルヒ「ちょっとなに閉めてんのよ!あけなさい!」 ~寝室にて~ ハルヒ「もう、せっかく夜通しで遊びたいとこだけど明日も学校なのよね」 長門「仕方がない」 ハルヒ「わかってるわよ」 長門「布団はここでいい?」 ハルヒ「どうせなら隣通しにしましょうよ。それでどっちかが寝るまでずっと話してましょ♪」 長門「構わない」 ハルヒ「決まり♪」 長門「歯を磨いてくる」 ハルヒ「あらまだだったの?あたしなんかとっくに」イー 長門「そう」トテトテ ハルヒ「ったく、つれないわねぇ」 ハルヒ「先に横になってよ」 ハルヒ「……」 ハルヒ「……」バタバタ ハルヒ(あたし今友達とお泊りしてるんだよね?なんか楽しい♪案外普通も悪くないじゃない) 長門「戻った。……ほこりが出るからあまり騒がないでほしい」 ハルヒ「あっ、ごめん」 長門「別にいい」ストン ハルヒ「それじゃあ寝ましょ」 長門「明かりを落とす」カチ ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「なんか喋りなさいよ!このままじゃ寝ちゃうじゃない」 長門「……あいうえお」 ハルヒ「……今、はっきりしたわ。どうやら今日の有希はあたしにケンカ売ってるみたいね?」 長門「……」フルフル ハルヒ「いいえ、許さないわ。ちょっとそっちに詰めなさい」モゾモゾ 長門「何を?」 ハルヒ「罰として、今晩は有希を羽交い絞めにして寝る」 ハルヒ「観念しなさい」 長門「……」コク ハルヒ「……ねぇ」 長門「何?」 ハルヒ「これから先も皆でやってけるかなぁ」 長門「何を?」 ハルヒ「SOS団」 長門「今は何の問題もない」 ハルヒ「そうじゃないの。あたしにとってSOS団ってほんと特別なのよ。こんなに皆でワイワイやって楽しかったことなんて今までなかった」 長門「……」 ハルヒ「有希に、みくるちゃんに古泉君、鶴屋さんもそうね、ついでにキョン」 長門「……」 ハルヒ「皆とだから上手くやってけてる気がする。大人になったら、流石にあたしも少しは丸くなってると思う」 長門「丸く?」プニプニ ハルヒ「有希」 長門「……ジョーク」 ハルヒ「はぁぁ。だからね、大人になっても皆で楽しくやってけるかなぁって」 長門「……」 ハルヒ「今が楽しすぎるから不安になってくのよ」 長門「大丈夫」 ハルヒ「何がよ」 長門「あなたが望めば願いはきっと叶う。もちろん私も望んでる」 ハルヒ「……有希」 長門「大丈夫」 ハルヒ「そうだよね」 長門「そう」 ハルヒ「ありがとう。それとね……」 長門「?」 ハルヒ「昼間話してた、その、あたしの好きな人なんだけど……」 長門「別に言わなくていい」 ハルヒ「え?」 長門「気付いてないと思ってるのはあなただけ」 ハルヒ「……え?」 長門「朝比奈みくるも古泉一樹も知っている」 ハルヒ「……」カァァ 長門(抱きしめる力が強くなった)ギュウゥゥ ハルヒ「……あいつも知ってるの?」カァァ 長門「残念ながら彼の鈍さは尋常でない」 ハルヒ「そ、そっか」 長門「そう」 ハルヒ「も、もう寝ましょ」 長門「……」コク ハルヒ「……あたしたちこれからもずっと友達よね」 長門「友達」 ハルヒ「……親友と思っていい?」ボソ 長門「何?」 ハルヒ「な、なんでもないわ!おやすみ!」 長門「?おやすみ」 ~通学路にて~ ハルヒ「おはよう、古泉君」 古泉「おはようございます。おや今日は長門さんと一緒ですか?めずらしいですね」 ハルヒ「そうなのよ。有希が寂しいからどうしてもって言われて、昨日はお泊りだったのよ」 長門「明らかに事実と違う」 ハルヒ「そうだっけ?」 長門「そう」 ハルヒ「まぁ、どっちでもいいじゃない」 長門「……昨夜の恥ずかしい寝言を話す」 古泉「おやおや、それは興味がありますね」 ハルヒ「え?何?寝言なんてあたし知らないわよ!?」 長門「それはそう。寝言だから」 古泉「それで涼宮さんはいったいなんと?」 長門「まず、ky」 ハルヒ「ワーー、ワーー、ストップよ有希!あたしが悪かったから」 長門「反省してる?」 ハルヒ「してるしてる」 長門「そう、ならいい」 鶴屋「おや、皆朝から元気いいねぇ」 みくる「みなさん、おはようございますぅ」 ハルヒ「鶴屋さんにみくるちゃん!おはよう」 古泉「おはようございます」 鶴屋「いったい何騒いでたんだい?」 長門「涼宮ハルヒの弱みを握った」 鶴屋「なんだって!それはでかしたよ!」 ハルヒ「有希、喋ったら死刑よ!」 長門「なら、死刑になる前に今全て暴露する」 ハルヒ「ちょ。ウソ!ウソよ!有希!落ち着いて」 みくる「みんな朝から元気ですねぇ」 古泉「えぇ、ほんとに。もし可能なら、こんな日がずっと続けばいいですね」 みくる「そうですねぇ」 Fin?
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/264.html
ハルキョン家を探す その5から 「あたしたち、幽霊屋敷に住むわ。SOS団のみんなも一緒よ!」 いやハルヒ、『前回までのあらすじ』を強引に一言で言ってしまえば、確かにそういう風にもまとめられるかもしれないが、それだと誰も安心も納得もできないぞ。 俺は、例の不動産屋の店主との出会いのいきさつから、ついさっき訪れた古い洋館のだいたいの部屋数まで、差し障りのなさそうな部分をかいつまんで話したが、それでも主賓クラスのスピーチの長さになってしまった。ハルヒの親父さんが「ジー・ジェイ」とかなんとか言ってた気がするが。 頃は合格発表の晩、ところは涼宮オヤジの縁が深い、俺とハルヒも再開店1周年の際に訪れたことのある洋館風のレストラン、主催俺の家アンド涼宮家、協賛SOS団と愉快な仲間たちでもって開催された「ハルキョン超合格宿がパーティ」(誰だタイトル考えた奴?)は、ハルヒと俺にとって予想もしてない文字通りのサプライズ・パーティであった。 「店貸し切って、もし不合格だったら、どうしようと思ってたんだ?」 喉カラカラで演壇から降りてきた俺を出迎えたのは、メイド・コスチュームの世界一似合うアンジェリーナ朝比奈さんでも、本当に本職メイドではないんですか森さんでもなく、どこの黒執事かという出で立ちのニヤケスマイルの副団長であった。ついでに言うと古泉が俺に手渡したグラスには、シャンパンでも六甲ワインでもなく「ただの水」がなみなみと注がれていた。 「いえ、六甲の水だそうです。地元ですから」 「そんなことはどうだっていい」 「不合格……の場合ですか? ほとんど想定外のことですが、その時はその時で、残念パーティということにでもなったんでしょうか。ああ、一応、懺悔室なるものは、涼宮さんのお父様の意向で用意してありますが」 ……親父さん、あんたって人は。 「でも、万が一でも、そういうことにはならなかったでしょう」 「ハルヒが望んだ、ってのは無しだ。俺たちは見事に一浪したし、俺なんかは右手を折ったんだぞ」 しかし持論を翻さず、ハルヒの心理専門官を自認する古泉は落ち着き払った口調でこう言った。 「涼宮さんが、あなたが怪我をすることを望むとは考えられません」 「すると、こういうことか? あいつは俺と二人っきりで暮らすよりも、SOS団での共同生活を望んだ。そのために、俺たちの進学は1年間猶予され、その間に怪しげで居住スペースを十二分に備えた幽霊屋敷が登場したと?」 「まあまあ。SOS団で住むという話は、我々もさっきが初耳なんですよ。いろいろと考える必要はあるかもしれませんね」 世の中で最も絡むのに適さない相手、グレート・ザ・のれんに腕押しの腕章をすぐにでも贈呈したいこの男に、どうやら俺は絡んでいるらしい。多分、少々落ち込んでいる。そうとも、自覚はある。 「まあ、元気を出してください」 古泉、それダメ押し。「あなたは落ち込んでいる」と言外に断定しちまってるぞ。こういう時は、平凡な言葉ほど効くって本当だな。 「今回の企画の中心、涼宮さんのお母様が、あなたの家やSOS団に連絡され、説得に当たられたのですが、その間、誰も不合格なんて事態を微塵も考えなかったと思いますよ」 なんとでも言ってくれ。 「今回の結果は、決して幸福な偶然が運んで来たものではない。そう考えると、少しは誇らしく思えてきませんか?」 「こら、キョン!! あんた、今日の主役でしょ! すみっこで何ごちゃごちゃ話してるのよ!」 「姫がお呼びですよ、殿下。……できれば、披露宴もこんな風にやりたいものですね」 「誰と誰のだ?」 やったとしてもお前には司会もスピーチもさせんぞ。谷口、国木田と3人で「てんとう虫のサンバ」を歌わせてやる、しかもラップVer.でだ。 演題の上で飛び跳ねながら、本日最高の笑顔で叫んでいるもう一人の主役、ハルヒの方へ、俺はよろよろと歩いていった。 宴は、俺の片付かない気持ちとは裏腹に、大いに盛り上がった。 なかでも涼宮家の母・娘の出し物は、基本的には一般人の集まりであろうこうした宴では、もはや超反則クラスで「プロの方おことわり」の域に達していた。 いつだったか、俺が軽くリクエストしたせいで決まった、母娘二人による連弾:一台のピアノを母と娘の4つの手が演奏するやつは、最初は誰でも知ってそうなクラシックの曲からゆったりと始まったが、次第にアレンジはアップテンポになり、曲調と技巧が頂点に達したところで終わる、会場総立ちモノだった。 そういや、いつか練習しすぎで筋肉痛になったハルヒが言っていた。 「For piano four hands、連弾のことをこう言うの。ピアノはオーケストラに出せる一番低い音から一番高い音まででるけれど、所詮2つの手、10本の指じゃ限界があるわ。でもね、4つの息の合った手があれば、オーケストラにだって負けないのよ!」 続いてハルヒがピアノを弾き、ハルヒ母が、水のように透き通った、どこか現実的でないほど美しい声で、アリア3曲を歌った。以下は長門による簡潔な解説である。 「すべてヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの作曲によるもの。1曲目ケッヘル番号51(46a)歌劇『みてくれのばか娘』からアリア『あたし恋をしてるの』、2曲目ケッヘル番号217 ガルッビ:歌劇『ドリーナの結婚』への挿入曲 アリア『あなたの心は今は私に』、3曲目ケッヘル番号440(383h)アリア『あなたに望みを託しますわ,ああ,愛する夫よ』」 一転して会場は水を打ったように静かになり、静寂がゆっくりと盛大な拍手に変わっていった。 二人は一礼して、ハルヒの母さんは親父さんのいる席へ戻り、ハルヒは俺の隣にやってきた。 「すごいな。ぶっつけとは思えん」 「ずっと練習はしてたもの。今日やるとは思わなかったけど」 「ピアノもよかったが……」 「母さんでしょ? まあ、あたしに歌わせるつもりだったみたいだけどね」 「どうしてやめたんだ?」 「あんた、歌の内容、知ってる?」 「長門から歌のタイトルは聞いた」 「そう」 と言いながら、ハルヒはその辺りの食べ物を手当り次第に口に詰め込む。 「今日はじめて席について食べられるわ。誰のお祝いだか、わかりゃしないわね」 「まったくだ」 「ん? なにをぶーたれてるのよ?」 「ぶーたれてなんぞない」 ハルヒはおれのほっぺたを両方の手でつかみ、うにうにと伸ばす。 「さあ、ぐーとでも言ってみなさい」 「ぶー」 ああ、あわれ。我は子豚なり。 度を過ぎた宴はやがて終わり、手回しよく配車されたタクシーが参加者をそれぞれ送って行った。これだけ、手回しの達人たちが揃っているのだ、不思議というには当たらない。 「おーい、今日の主役その1」 と向こうで呼んでいるのはハルヒの親父さんである。 「もう残ってるのは俺たちだけだぞ」 「あの、うちの家族は?」 「妹ちゃんが寝ちまったんで、早々に引き上げられた。愚息をよろしく、とのことだ」 「やれやれ」 「今日は泊まってくだろ?」 「ええ。お邪魔します」 「すまんが、そこでつぶれてる主役その2を、叩き起こして自分の足で歩かせるか、担いで来てくれ。なあに、そのままさらっていけ、とまではいわん。そこのタクシーまでだ」 「すみません。選択肢その1は無理です」 「涼宮家でも、母さんだけができる荒技だ。……今日はずっと浮かない顔だな」 「いや、ちょっと疲れただけですよ」 「疲れているか、ぶーたれてるかぐらいは、バカ親父にも区別がつく」 そう言って親父さんはゆっくりと歩いてきた。そして羽目を外して酔いつぶれ、テーブルに突っ伏して寝ているハルヒを見下ろす。 「幸せな奴だ」 親父さんはハルヒの頭をぽんぽんと叩いた。 「こいつは好きなことやって、何回かは頭ぶつけて転んで、たとえそれでも好きなことやって一生過ごすんだろうさ。キョン、こんな奴はいいから、おまえ自身が幸せになれ。大抵のことは、それで何とかなるだろう」 「……キョ〜ン、もう食べられないわよお、……むにゃむにゃ」 ハルヒ、ベスト・タイミングにしてベスト・コンテンツの寝言。親父さんは「おまえはオバQか!」と古いツッコミを入れている。やれやれ。俺も思わず笑ってしまう。たとえば歳を取り、懐かしく思い出したりするのはきっと、なんでもないこういう瞬間なんだろう、とふいに思った。 「おい、ハルヒ、おぶされ。帰るぞ」 「……キ、キョン?……あんた、あたしに……何しようってんのおぉ……ぐう」 「何もせん。家に帰るんだよ」 「……あ、あたしの……家はねぇ……」 背中をハルヒに向け、椅子に座っているこいつの高さにあわせてしゃがむ。親父さんがハルヒの腕を俺にのっけてくれる。ハルヒの腕が俺の前で交差する。ハルヒの体重が俺の背中に移動してくる。 「……ここに、決まってんでしょ、このバカキョン!」 「ハ、ハルヒ、落ち着け。く、首がしまるっ」 「お父さん、済みましたよ。ん? どうしたの、二人とも? 真っ赤になって」 向こうからハルヒの母さんの声が聞こえる。が、ハルヒの細い腕が、俺の首にはまりすぎるくらいにぴったりすぎて、絞まる……。 「俺は笑い過ぎだが、キョンは窒息しかけだ」 「はいはい」 ぺしりっ、と乾いた音。び、ビンタですか? 「んあ、母さん? って、キョン! 親がいるのに何してんのよ!!」 「ほんと親が二人も揃っていてよかったわ。ハル、もうちょっとで未亡人になるところよ」 手を放し、俺の背中でおろおろするハルヒ。となりで馬鹿笑いする親父さん。ニコニコしながら号令をかけるハルヒの母さん。 「じゃあ、みんな、家に帰りますよ」 「働かざるもの食うべからず、って言葉、知ってるかしら、キョン?」 涼宮家に着いてから、ハルヒの母さんがハルヒを部屋に連れてゆき、自分も寝室へと退散した。 残された俺と親父さんは、居間のソファをそれぞれ占拠し、 「プロポーズになんで花持ってたかって? 女性に贈るのは花と決めてたんだ。ヘタ打って別れたにしても、花なら腐って消えるから物証が残らない。母さん? 『ああ、もらった薔薇はポプリにしました』だと。さすがに変色はするが、香りなら10年は楽に持つらしいぞ。50年ものなんてのもあるらしい。完敗だ」 といったような、多分のろけ話を聞かされているうちに、いつの間にか寝てしまった、ということはどうにか記憶にある。 目が覚めて、俺を見下ろしているハルヒは、すでにハルヒ100%状態であって、見回すと居間には俺一人残され、親父さんの姿もない。 怒ってみせているハルヒの眉の角度を見れば、それが上機嫌を押し隠すための照れ怒りだということはわかる。あと、俺は腹が減っていた。総合的に判断すれば、こちらには一分の勝率もあり得ないではないか。 顔で怒って心ごきげんなハルヒが手渡したのは巻き尺だった。 「はい、これ。部屋の使い方を考えるのに、間取り図が必要でしょ。測ってきて」 「あの広さの洋館を俺ひとりでか?」 とはいえ、せめてもの抵抗を試みる。 「あたしも鬼じゃないわ。親父を連れて行きなさい、どっかで転がってアニメ見てるから、拾って来て。もし寝てたら、死なない程度に叩き起こしてかまわないから」 いや、言おう。ハルヒ、おまえは鬼だ。 「ああ見えて、意外と役に立つわよ」 そんなことは分かってる。性能には何の不足もないだろうさ。しかし、あの親父さんである。 どうして神は、かくも高い能力を、かのような人格に与えてしまったのだろうか。意地悪か?それとも悪戯か? 人を試そうっていうのか? と、あれやこれやを思案していると、のっそりと親父さんが登場した。 「お言葉を返すようだが、バカ娘」 と親父さんはぶーたれる。 「なによ、文句あるの、バカ親父?」 「俺は忙しい」 「36時間寝ないで、ネット・ゲームやってる、あんたのどこが忙しいのよ?」 「それは受け手のポジションに甘んじていたこれまでの俺。これからは送り手の立場に立って世界に向き合うつもりだ。だから忙しい」 「忙しい、つ・も・り でしょ?」 「明日中に『涼宮オヤジちゃんの憂鬱 二ノ巻』をネット配信しなくてはならん」 どうやって、そんなもの……つくったんですか? あと、一ノ巻は? 「もちろんMADだ。足りないところはElanceでお仕事オークションしたら、インドのデザイナーが落札した。すごいスキル・セットでPerlとJAVAとRubyとPHPを使えて、王族みたいな英語でドキュメントまで書けるのに、1時間あたり5ドルで働くんだぞ。どことは言わんが日本にあるのに日本語が通じないサポート・センターとは、どえらい違いだ」 ああ、何ゆえこんな危険親父にWeb2.0を、のれんに腕押しを、猿にモノリスを……人類は、テクノロジーとの付き合い方を、真剣に考えなおすべき時期に来てるんじゃないだろうか。 「あとここだけの話、ハルヒの幼稚園時代のビデオがあるんだが、ニコ動にアップするってのはどうだろう?」 「親父さん、そりゃ犯罪です!」 「俺は親だぞ。だったら『エスパー魔美』はどうなる?」 「あれはバイトでお金を渡してます」 「いつか親になって娘を持ったら、油絵に描いてやろうと思ってたんだが、俺って勝ち組か?」 「実現……してないですよね?」 「母さんにバレた」 「つまんない話してないで、さっさと行ってきなさーい!!」 ハルヒにどやされ、男二人(俺と親父さん)は、道具をひっつかんで走り出す。 その2へつづく
https://w.atwiki.jp/haruhi_dictionary/pages/44.html
基本情報表紙 タイトル色 その他 目次 裏表紙のあらすじ 出版社からのあらすじ 内容 あらすじ「涼宮ハルヒの退屈」 「笹の葉ラプソディ」 「ミステリックサイン」 「孤島症候群」 挿絵口絵 挿絵 登場人物 刊行順 基本情報 涼宮ハルヒシリーズ第3巻。短編作品。2004年1月1日初版発行。 表紙 通常カバー…長門有希 期間限定パノラマカバー…藤原、長門有希 タイトル色 通常カバー…黄色 期間限定パノラマカバー…黄色 その他 本編…298ページ 形式…短編集 目次 プロローグ…P.5 涼宮ハルヒの退屈…P.7 笹の葉ラプソディ…P.74 ミステリックサイン…P.133 孤島症候群…P.182 あとがき…P.304 裏表紙のあらすじ ハルヒと出会ってから俺は、すっかり忘れたと言葉だが、あいつの辞書にはいまだに"退屈”という文字が光り輝いているようだ。 その証拠に俺たちSOS団はハルヒの号令のもと、草野球チームを結成し、七夕祭りに一喜一憂、失踪者の捜索に熱中したかと思えば、 わざわざ孤島に出向いて殺人事件に巻き込まれてみたりして。まったく、どれだけ暴れればあいつの気が済むのか想像したくもないね……。 非日常系学園ストーリー、天下御免の第3巻!! 出版社からのあらすじ 涼宮ハルヒの「退屈」の一言で、野球チームを結成し、七夕祭りに盛り上がり、行方不明者捜索に駆り出され…… ついに殺人事件に巻き込まれた俺には、退屈なんて言い出すヒマも無いさ――。大人気シリーズ第3弾登場!! 内容 短中編集。この巻に収録されている「笹の葉ラプソディ」は、第4巻『消失』においては重要なストーリーである。 なお、この巻に収録されている話は全てアニメ化された。 あらすじ 「涼宮ハルヒの退屈」 + ... 本のタイトルにもなっているストーリー。 いつも通り、ハルヒは部室に入ってくるが、チラシを持っている。 いきなりSOS団で野球大会に出ると言い出した。なぜ、そんなことを言い出したのか。そう、単にハルヒは退屈であった。 だが、点数は見るからにSOS団の方は負けていた。休憩中、古泉はキョンに話しかける…… 「笹の葉ラプソディ」 + ... 七夕の日、突如みくるにお願い事をされたキョン。聞けば一緒に行って欲しいところがあるという。 キョンは断ることなく承諾するが、行きたい場所を聞いた途端、驚愕する。みくるが行ってほしいと行ったところとは…… 「ミステリックサイン」 + ... SOS団のHPを賑やかにしようと自作のエンブレムを書いたハルヒ。しかし後日HPがおかしなことになっていた。 そこへやってきた来訪者・喜緑江美里は、相談があってSOS団にやって来る。 「彼氏が行方不明なので探して欲しい」 その彼氏とは……お隣のコンピュータ研究部の部長であった。 ハルヒ達は部長の家を訪ねるが、誰も出てこない。そこでハルヒは勝手に乱入する。 だが、長門と古泉は、その場所から嫌な気配を感じ取る…… 「孤島症候群」 + ... 古泉の手配で夏合宿に行くことになったSOS団。 行き先は古泉の遠い親戚、多丸裕氏が所有する無人島の別荘。 無人島、という言葉に興味津々のハルヒ、いっそ事件でも起きてくれたらミステリーみたいで面白いと考えているようだが、 そう簡単に事件が起きるわけもなく平和な合宿を過ごしていた。 しかし天気は突然嵐になり、船も出せず完全に孤立した孤島。さらに別荘にて事件が発生した。事件の真相とは…… 挿絵 口絵 涼宮ハルヒ、朝比奈みくる(涼宮ハルヒの退屈) 朝比奈みくる、朝比奈さん(大)(笹の葉ラプソディ) SOS団、新川、森園生、多丸圭一(孤島症候群) 朝比奈みくる 挿絵 「プロローグ」 挿絵なし 「涼宮ハルヒの退屈」 P.23…朝比奈みくる P.37…涼宮ハルヒ P.47…長門有希、朝比奈みくる、古泉一樹 P.69…涼宮ハルヒ、キョン、相手チーム 「笹の葉ラプソディ」 P.89…涼宮ハルヒ P.104…涼宮ハルヒ(中学時代) P.121…キョン、長門有希、朝比奈みくる 「ミステリックサイン」 P.135…涼宮ハルヒ、キョン P.147…涼宮ハルヒ、喜緑江美里 P.165…キョン、長門有希、朝比奈みくる、古泉一樹、カマドウマ P.181…長門有希 「孤島症候群」 P.249…涼宮ハルヒ、朝比奈みくる P.277…涼宮ハルヒ 登場人物 涼宮ハルヒ キョン 長門有希 朝比奈みくる 古泉一樹 鶴屋さん 朝比奈さん(大) 谷口 国木田 コンピュータ研究部部長 喜緑江美里 キョンの妹 新川 森園生 多丸圭一 多丸裕 刊行順 <第2巻『涼宮ハルヒの溜息』|第4巻『涼宮ハルヒの消失』>