約 9,961 件
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/1680.html
78 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/21(木) 02 05 34 ID J9umEXF. 海原「…と、勢い込んで飛び出したものの、お付き合いってそういうんじゃないよな… 第一、妹Fさんは僕の事を覚えてないわけだし、 いきなり付き合って下さいだの、貴女が好きでした!だの言ったらどん引きだよなぁ… あぁやっぱり僕は勢いとその場のノリだけで突っ走りすぎだよなぁ。。。 御坂さんへの恋だって調査対象への興味から発展しちゃったわけだし、 会場でもその場の勢いで加治木さんの姿になっちゃうし、竹井さんには勢いで告白しちゃうし… もしかして僕って状況に流されやすいんだろうか…」 妹F「誰?とミサカは訝しげに尋ねます」 海原「うひゃおぉう?!あ、あ、あ、おはようございます!いい天気ですね、妹Fさん!」 妹F「もう夜ですけど…とミサカは明らかに不審者を見る目で答えます」 海原「で、ですよねー!アハハハハ…(い、いかん!なんのために御坂さんへの思いを諦めたんだ!あ、アタックせねば…)」 妹F「…気をつけてください、ここは変質者が出ます、とミサカはちょっと安心したような表情で忠告します」 海原「(!ティンと来た!)そのことなんですけどね、御坂さんから貴女を守るように言われまして…」 妹F「お姉さまから?とミサカはちょっと驚いたようにみつめます」 海原「そ、そうなんです。ですので、ちょっと上がらせてくれませんか?あ、ぼくはエツァリって言います」 妹F「エツァリ…うっ!とミサカは頭を抑えてうずくまります」 海原「妹Fさん?!しっかり!」 妹F「貴方のその顔…その名前…どこかでお会いしたことはありませんでしたか? とミサカは空白となった記憶領域に気付いて愕然としながらも質問します」 海原「…いいえ、今がファーストコンタクトですよ」 妹F「気持ちが落ち着くまで、傍に居てくれませんか?とミサカは不安げに語ります」 海原「喜んで。良ければお話もしましょう」 79 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/21(木) 02 54 14 ID PR2Z9FYM 唯「あれ、りっちゃんこんなところで何してるの?」 律「尾行だよ尾行。ほれ、あの二人見てみ」 唯「海原君と美琴ちゃん?仲良いんだね」 律「あぁ。しかし!美琴の方はこの前彼氏ができたばかりなのだ!」 唯「おぉ…なんだか危険な香りがするよりっちゃん…」 律「だろ?だからちょっと追いかけて真相の程を確認しようと思ったんだ。唯、お前も来るか?」 唯「うん。行くー」 律「よーしわかった。でもこれは尾行だからな、目立つようなことはしちゃだめだぞ」 唯「了解であります、りっちゃん隊長!」 紬「何してるの?」 律「尾行ー。ムギもやる?」 紬「やるやる!なんだか面白そうだもの」 律「尾行は目立っちゃだめだからな、気を付けろよ」 紬「はーい」 プリシラ「何やってるの?」 唯「尾行だよー」 プリシラ「あたしも行く!」 池田「何やって(ry」 律「びこ(ry」 池田「あたしも(ry」 真宵「なに(ry」 律「び(ry」 真宵「面白そ(ry」 駿河「な(ry」 律「(ry」 駿河「是非(ry」 美琴「何あれ」 アチャ「どうやら尾行のつもりのようだが」 美琴「あんな大人数じゃ目立つと思うんだけど」 アチャ「全くだ」 80 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/21(木) 04 21 52 ID SxpyzcRo 唯「すごいね、りっちゃん!いっぱい人がいるよ!」 律「まさに終わらないコンテンツって奴だな」 唯「ところであの二人、まだキスしないね」 律「しっ!静かに鑑賞して無いと警戒してキスしないだろ」 唯「ラジャー!」 妹F「すみません、食事まで作ってもらって…とミサカは温かい食べ物に舌鼓を打ちながら喜びます」 海原「いえ、いいんです。それにしても…随分美味しそうに食べますね?」 妹F「いつもはカプセルと流動食ばかりでしたので、この食感は新鮮です、とミサカは素直な感想を述べます」 海原「それにしては箸の使い方とか堂に入ってますね」 妹F「基本情報は上位個体や最上位個体から学んでいます、とミサカは簡潔に答えながらパクつきます」 海原「そうなんですか。…随分と箸を短く持つんですね」 妹F「…気が付きませんでした。そういえば基本情報に比べて短く持ちすぎてますね、とミサカは少々驚いてみせます」 海原「へぇ。…そういえば知ってますか?箸を長く持つ人は婚期が遅れるそうですよ」 妹F「?とミサカは訝しげに見つめます」 海原「逆に箸を短く持つ人は将来一緒になる人がすぐ傍にいるそうです」 妹F「…貴方も随分と短く持ってますね、とミサカは指摘します」 海原「あぁ本当だ。不思議ですね」 駿河「なんという迂遠なプロポーズ…!」 プリシラ「なんか微妙にいらいらするね」 池田「え?なんで?」 真宵「あの口説き方って悪の女幹部そっくりですね」 紬「大方、薔薇のタトゥー(シール)の女にあーゆー風にからかわれたんじゃないかしら?」
https://w.atwiki.jp/h21fjhs/pages/51.html
~2月下旬 第7学区 常盤台中学~ 事務 「確認がとれました。絹旗最愛さん、研究協力で休学中とのことでしたね」 絹旗 「そんなところです」 事務 「復学なさるということで、よろしいですか?」 絹旗 「はい」 事務 「研究協力が事由とのことですので、単位は免除されます。4月度から3年生として通って頂くことになりますが」 絹旗 「え? それでいいんですか。超ザルですね」 事務 「え?」 絹旗 「え?」 事務 「疑問点があれば、遠慮なさらずに聞いてくださいね」 絹旗 「いえ、あの、研究協力なんですから、研究成果の問い合わせとかしないんですか?」 事務 「問い合せても、機密レベルがどうとかで大体は教えてもらえないんですよ」 絹旗 「それもそうですね」 事務 「休学時に、研究所発行の証明書は頂いていますし、こちらで十分です」 絹旗 (それ、浜面のハンドメイドなんですけどね) 事務 「他に、何かございますか?」 絹旗 「学校に来るときは制服じゃなきゃ超ダメですか?」 事務 「超当たり前です」 絹旗 「教科書とかノートは?」 事務 「テキスト類は郵送します。ノートは自己調達してください」 絹旗 「あとは……」 事務 「あとは?」 絹旗 「あ、そうだ。もう一つありました」 事務 「なんでしょう」 絹旗 「卒業式に在校生として出れますかね?」 事務 「卒業式ですか?」 絹旗 「はい。もうすぐ卒業する人に超友人がいるんです」 事務 「なるほど。今年の3年生にですか……」 : : : 白井 「あ、終わりましたか?」 絹旗 「ええ、4月から超復帰です。しかも3年生として」 婚后 「まあ、留年は免れたのですか。よかったですわね」 白井 「なにやら、変に甘いですの……」 絹旗 「細けぇこたぁ超いいんです」フンス 婚后 「さ、そろそろ帰るといたしましょう」 絹旗 「えー。超ちょっと徘徊していきませんか?」 白井 「? なにかございますの?」 絹旗 「学舎の園に入るの超久しぶりなんです」 婚后 「そういうことでしたら、少し歩きましょうか」 白井 「では、特別にわたくしイチオシのランジェリーショップを」 絹旗 「いや、それはいいです」 白井 「(´・ω・`)」 ~同日 第7学区 学舎の園~ 絹旗 「ここの街並みってなんかいいですよね。映画のセットみたいで」 白井 「映画のセット。言い得て妙な表現ですの」 婚后 「たしかに、日本ではあまり見られない景色かもしれませんわね」 絹旗 「この歩行者用信号とか超最高じゃないですか! 記念に持ってかえりましょうよ」グイグイ 白井 「ダメですの! わたくしの仕事を増やさないでくださいまし」 婚后 「き、絹旗さん! それぐらいにしておきませんと」 ビーッ ビーッ ビーッ ビーッ 絹旗 「? この物騒な音はなんですか?」 白井 「……警報ですの」 警備ロボ達 「「「「ゴヨーダ ゴヨーダ ゴヨーダ ゴヨーダ」」」」」ワラワラ 婚后 「あら……」 絹旗 「え? ちょ、た、助けてくださいよ! これ超マズイですよ!」 婚后 「可哀想ですが、こうなってしまってはどうにもなりませんわ」 白井 「ちなみに、それ壊したらすっごーく怒られますので」 絹旗 「いやいやいや、ちょっと薄情すぎやしませんか!?」 婚后 「まあ、白井さん、ご覧になって。桜の木ですわ」 白井 「あと1ヶ月もすれば、満開の花をつけますのね」 絹旗 「ちょっとぉぉぉぉ!?」 婚后 「……もうすぐ、ここでの生活も終わってしまいますのね」 婚后 (本当に色んなことがございましたわ……) <タイホシチャウゾ タイホシチャウゾ <ちょ、やめあbbbbbb 婚后 (顔に落書きをされたり) 婚后 (対能力者兵装を用意したスキルアウトに襲われたり) 婚后 「……これでは噛ませ犬ですわね」ハァ 白井 「?」 白井 「そういえば、もう進路は決まってますの?」 絹旗 「」プスプス 婚后 「ええ。色々考えましたが、長点上機学園に進むことにいたしましたわ」 白井 「まあ、長点上機に……」 婚后 「受験準備中は、皆さんにも気を使っていただいて……感謝のしようがございませんわね」 白井 「浜面さんが風邪っぽいと言ったとき、婚后さんに伝染さないようにと。 住人総力で軟禁したこともございましたの」 婚后 「交代で見張りまでしていたと聞いたときは驚きましたわよ」 白井 「看病も兼ねた見張りですの」フンス 絹旗 「」プスプス 白井 「泣いても笑っても、もうすぐ卒業ですのね」 婚后 「ええ。残された時間、せいぜい楽しませて頂きますわよ」クスクス 白井 「嘘ですが、寂しくなりますの」 婚后 「社交辞令と受け取っておきますわね」 絹旗 「超社交辞令でもいいから、ちょっとは心配してくださいよ!」 ~第7学区 隠れ家的喫茶店~ 結標 「卒業、か……学生やってた実感が全然ないのよね」 番外個体 「卒業した後どうすんの? 永久就職?」ジャブジャブカチャカチャ 結標 「まさか。相手の年齢が足りてないわよ」 番外個体 「じゃニート?」フキフキ 結標 「考えがない訳じゃないんだけど……今からじゃ準備する時間が足りなすぎるわ」 番外個体 「?」 結標 「ま、一年後に期待ってことね」 <カランカラン♪ 番外個体 「いらっしゃいませー」 滝壺 「やっほう」 浜面 「おお、ここがミサワの姐さんの店か」 番外個体 「違う違う。私はしがないバイトだよ」 結標 「そういえば、マスターさんが見当たらないわね」 番外個体 「奥にいるよ、なんか電話してた。で、なんにする?」 滝壺 「アップルティー」 浜面 「俺はどうすっかな。ジンジャーエールでいいや」 番外個体 「はいはーい」 結標 「滝壺さんも、今年で卒業なのよね。卒業した後はどうするの?」 滝壺 「どうしようか?」 結標 「永久就職……まだムリか」 浜面 「整備士の資格とろうと頑張ってますんで……」 滝壺 「大丈夫だよ、私はヒモなはまづらでも見捨てない」 浜面 「orz」 番外個体 「はい、お待ちどうさま。ひも面さん」カチャカチャ 浜面 「ひでぇ!」 マスター 「いらっしゃい」 浜面 「」ブーーーッ 結標 「わ、何してんのよ!?」 番外個体 「? お口に合わなかったかな」 浜面 「いや、うまいぜ」 マスター 「ん? そこのは……ロシアでは世話になったであるな」 浜面 「やっぱりかよ! よく似た他人だと思おうとしてたのに、やっぱりかよ!」 滝壺 「あ、傭兵さんだ」 マスター 「今は傭兵くずれのマスターである」 番外個体 「え? 知り合いですか?」 マスター 「ちょっとな」 浜面 「こんなところで何やってるんだよぉぉ!?」 マスター 「色々あってな」 番外個体 「色々あったんだ」 結標 「雰囲気を感じさせるわよね」 滝壺 「なんかかっこいいよね」 浜面 「あれ? 滝壺さん?」 ~その頃 第7学区 学舎の園~ 絹旗 「」プンスコ 白井 「絹旗さん、いい加減機嫌を直してくださいまし」 婚后 「元を辿れば、自業自得ですのよ」 絹旗 「そりゃそォですけど! ちょっとぐらい手を差し伸べてくれてもいいじゃないですかァ!」 白井 「? 今何か、言葉が……」 絹旗 「すいません、超失礼しました、何でもないんです」 婚后 「まあまあ、評判のケーキをご馳走しますので、機嫌を直してくださいな」 絹旗 「む……超仕方ないですね。それで手打ちとしましょう」 婚后 「復学祝いも兼ねて、ということで」 白井 「評判ということは、あのお店に?」 婚后 「ええ、いつも使うお店ですわ」 白井 「確かに、あそこのレアチーズケーキは絶品ですの」 絹旗 「おお、こりゃ超楽しみですね」 : : : 絹旗 「ここが超評判のお店ですか」 白井 「流石に混んでますの」 絹旗 「これに名前書いておけばいいんですかね」カキカキ 婚后 「ここにもあと何回来れるのでしょうか……」 白井 「卒業してしまえば、学舎の園にも入れなくなりますものね」 絹旗 「来たくなったら、私たちの招待って形で入れちゃえばいいんですよ」 白井 「卒業生といえば融通もきくでしょうし」 婚后 「その時には、ぜひお願いしますわね」 店員 「3名でお待ちの絹旗様、お席へご案内致します」 絹旗 「お、思ったより早いですね」 婚后 「あまり待たなくて済みましたわね」 白井 「ささ、参りますの」 婚后 「ケーキセットを3つお願いいたします」 店員 「かしこまりました」 絹旗 「そういえば、ちょっと思ったんですけど」 白井 「なんですの?」 絹旗 「婚后さんが長点上機に進んだら、来年の大覇星祭では敵同士になりますね」 白井 「考えてみれば……そうであっても、手心を加えるつもりなぞございませんが」 婚后 「あら、望むところですわ。全力を以って叩き潰してさしあげますので」クスクス 白井 「ふふ、そうでなくては面白くありませんの」 絹旗 「私の窒素装甲は超簡単にはツブれませんよ」フンス 婚后 「わたくしが本気を出せば、絹旗さんを夜空のお星様にすることもできますのよ?」 絹旗 「やめてくださいよ! 超シャレになりません!」 白井 「絹旗さんを砲弾代わりに飛ばしたこともございましたわね」 婚后 「生身の人を能力で飛ばしたのは、後にも先にもあれだけですわよ」 絹旗 「あれぐらいなら、風になったみたいで超爽快ですよ」 婚后 「昨年の大覇星祭も、最高に思い出になりましたわ」 ~第7学区 とある病院~ 海原 「調子はいかがですか?」 ショチトル 「良好だ」 海原 「それはよかった」 ショチトル 「今日は義姉さんは一緒じゃないんだな」 海原 「ええ、時間が合わなくt……義姉さん?」 ショチトル 「? なにかおかしいか?」 海原 「いや、間違ってるような間違ってないような……」 ショチトル (お兄ちゃんの恋人はこう呼ぶと、学園都市小町に書いてあったんだが……) 海原 「まあ、僕に聞くより本人に聞いたほうがいいかもしれませんね」 ショチトル 「次に会えたときに聞いてみることにする」 海原 「それがいいと思いますよ。また近々来てくれるでしょうし」 海原 (どんな反応をするか。ある意味で楽しみですね) ショチトル 「……喉が渇いたな、何か……」 海原 「ああ、いいですよ。買ってきますよ」 ショチトル 「いいのか?」 海原 「僕もなにか飲みたいと思っていたところですので」 ショチトル 「そ、そうか」 海原 「何にしましょうか?」 ショチトル 「じゃあ、コーヒー牛乳で」 海原 「了解しました。他になにか、ありますか?」 ショチトル 「うーんと、あれ……」 海原 「?」 ショチトル 「……プリン食べたい」 海原 「あ、あの上にクリームが乗ってるやつですね」 ショチトル 「」コクリ 海原 「分かりました。ちょっと待っててくださいね」 ショチトル 「分かった」 <ガラッ バタン 海原 「しかし、ショチトルも大分女の子らしくなりましたね」 海原 「結標さんの影響でしょうか。感謝しなければ」 <おや?君は。 海原 「先生じゃないですか。お世話になっています」 冥土帰し 「今日もお見舞いかい?」 海原 「ええ」 冥土帰し 「そうか……今日は時間大丈夫かね?」 海原 「? 大丈夫ですが」 冥土帰し 「妹さんのことで話があるんだ。帰りに、僕のところに寄ってほしい」 海原 「ショチトルのことで?」 冥土帰し 「そんなところだね。じゃあ、待ってるからね」 海原 「……何の話でしょうか」 ~第7学区 学舎の園~ 絹旗 「うん。まあまあのケーキでしたね」 白井 「まあ、追加注文にテイクアウトまでしておいて、よく言いますの」 絹旗 「甘いモノは超別腹なんです」 婚后 「お気に召したようで何よりですわ」 <おや?婚后に白井ではないか。 絹旗 「?」 白井 (こ、この声は!?)ビクッ 婚后 「あら、寮監ではございませんか。ご無沙汰しております」ペコリ 寮監 「久しいな。お前達も壮健なようでなによりだ」 絹旗 (誰ですかね、このキツそうな人は) 白井 「あ、ご、ご無沙汰しておりますの」ダラダラ 寮監 「うむ。そちらのは友人か?」 絹旗 「はい、絹旗っていいます」 寮監 「絹旗……?」 婚后 「事情があって、休学なさっておられたのです」 寮監 「なるほど。道理で見ない顔だと思ったわけだ」 絹旗 (誰ですか、これ)ヒソヒソ 白井 (仁王も裸足で逃げ出す鬼女ですの)ヒソヒソ 寮監 「そういえば、お前ももうすぐ卒業だったな」 婚后 「はい。寮監にも色々とお世話になりました」 寮監 「……」 白井 「寮監?」 寮監 「ああ、すまない。もうそんな時期なのか、と思ってしまってな」 絹旗 「やっぱり、感傷に浸るものなんですかね」 寮監 「当然だ。この仕事も長くやっているが、別れだけは慣れるものでもない。 ましてや、誰かさんのように手を焼かされた生徒となると余計だ」 白井 「」ギクリ 寮監 「まあ、それでも笑って見送るのが役目だ。憂いを残さず巣立てるようにな」 絹旗 (超いい人じゃないですか)ヒソヒソ 白井 (基本はいい人ですの)ヒソヒソ 婚后 「寮監は、これまでも何人もの生徒を送り出してきてますものね」 寮監 「ああ。面倒を見た連中は、全員の顔と名前を今でも覚えているぞ」 白井 「全員のですか?」 絹旗 「超すごいですね」 寮監 「これぐらいは当然だ」 婚后 「さすが寮監ですわね」 寮監 「しかし……今回ばかりは一つ、心残りができてしまってな」 白井 「と申されますと?」 寮監 「老朽化に伴って新築していた新寮だ。実は、先月完成している」 婚后 「まあ、初耳ですわね」 白井 「なぜ運用しないのですか?」 寮監 「時期が中途半端だからな。4月度から使おうということになった」 婚后 「では……」 寮監 「残念だが、3年生は寮に戻ることなく卒業することになる」 婚后 「少々残念ですわね」 寮監 「お前たちは、4月からは寮に復帰してもらうことになるが」 白井 (え? ということは……) 絹旗 (家を超出る必要がある……?) 寮監 「……そうだな。少し見学していくか?」 婚后 「え? よろしいのですか?」 寮監 「婚后もせめて内装ぐらいは見たいだろう。卒業してしまえば、おいそれと入れなくなるしな」 絹旗 「どうでしょ、婚后さん」 婚后 「え、ええ。そうして頂けるのはすごく有難いのですが……」 白井 「せっかくですし、ご好意に甘えておきますの」 寮監 「お前達も、下見と心の準備になるだろう」 絹旗 (心の準備……家を出る時の……?) 寮監 「新寮は、前と同じ場所にある。早速向かおう」 ~その頃 第7学区 隠れ家的喫茶店~ 結標 「もともとイギリスの人なのね。ここの紅茶が美味しい訳だわ」 マスター 「茶葉選びは英国人の得意とするところである」 浜面 「しっかしまあ、ロシアであんな出会いをした人と、こんな形で再会するとはな」 滝壺 「元気そうでよかった」 番外個体 (ロシアでそんなことがあったんだ……確か、その頃だと私もロシアにいたけど……) 結標 「そういえば、貴女その頃ロシアにいたんじゃない?」 番外個体 「え? う、うん、いたね」 マスター 「ミサワさんはロシアからの帰国子女であったな」 番外個体 「はい、そういう設定……じゃなくて、そうです」 浜面 「戦争中は大変じゃなかったか?」 番外個体 「あー、私がいたところは激戦区じゃなかったから……」 マスター 「戦火はごく狭い範囲に集中していたであるからな」 番外個体 「にしても驚きました。マスターが当事者だったなんて」 浜面 「で? こんなところで何やってんだよ」 マスター 「自分探しの旅である」 滝壺 「自分探し?」 マスター 「うむ。あの戦争で多くの物を失い、多くの物を得た」 結標 「なんていうか、凄絶ね」 マスター 「護りたいものを護るにはどうあるべきか。それを模索しているのである」 滝壺 「見つかったの?」 マスター 「秘密である。それ以上に、故郷からのさっさと帰ってこいという電話攻撃を凌ぐのに忙しいのである」 番外個体 「あー……ちょくちょく掛かってくる国際電話はそれですか」 マスター 「全く、あの世話焼きにも困ったものであるな」 結標 「恋人か何か?」 マスター 「それ以上に厄介な存在である」 浜面 「まぁ、どこにでもいるよな。自分のこと棚にあげて他人の世話ばっか焼く奴って」 騎士団長 「くしゅんっ」 番外個体 「でも、クニに帰られたらバイトなくなっちゃうし、困るかな」 マスター 「その時には、全権をミサワさんに委任するのである」 番外個体 「は? ムリですってば!」 結標 「あら。その歳で店持ちなんて滅多にいないわよ」 浜面 「名実ともに、ミサワの姐さんの店になる訳だ」ウンウン マスター 「今のミサワさんなら、厨房仕事は問題ないであろう。あとは勘定だけである」 番外個体 「……本気?」 マスター 「予定は未定である」 浜面 「でもそうなったら、知り合い割引とかしてもらえるかもな」 番外個体 「するワケないじゃん」 結標 「ま、当然よね。ビジネスなんだから」 滝壺 「甘くないよね」 浜面 「財政的に厳しいときぐらいは……」 滝壺 「お小遣いなら私に言えばあげるから」 浜面 「いつもすいません」 結標 「……ねえ、今のままだとホントにヒモよ」 番外個体 「サンレッドみたいだね」 結標 「サンレッドはどっちかと言うと、貴女の彼でしょ。すごく強くて口が悪い、最強の自宅警備員」 浜面 「俺は弱いってことですかぁぁぁ!?」 滝壺 「大丈夫だよ、弱くてヒモな浜面でも好きだから」 浜面 「そのお言葉、嬉しいけど痛ぇぇぇぇ!!」 マスター (……こんな情けない男に助けられたであるか) 番外個体 「まあ、水ぐらいはサービスしてあげるよ」 浜面 「水はいつも出してますよねぇぇ!?」 結標 「紅茶を頼めば、クッキーが2枚ついてくるわよ」 マスター 「それはクッキー込みの値段だからである」 番外個体 「マスター、それカミングアウトしちゃダメ」 浜面 「今、商売の裏側を見た気がしたぜ」 結標 「まあ、場所代も含まれてるでしょうし、こんなもんでしょ」 滝壺 「こんなもんだよね」 ~第7学区 とある病院~ 海原 「お待たせしました。買ってきましたよ」 ショチトル 「あ、ありがと」 海原 「コーヒー牛乳とプリンでしたよね。はい、どうぞ」ガサガサ ショチトル 「♪」ペリペリ 海原 「……」 ショチトル 「? なに人の顔をジロジロと……」 海原 「ショチトル、具合はいかがですか?」 ショチトル 「さっきも言っただろう。良好だと」 海原 「なら良いのですが……」 海原 (本人もこう言ってますし、傍から見る限り、おかしい所はありませんね……) 海原 (ですが、ここの先生の腕は確か……一体何が……) ショチトル (……何を難しい顔をしてるんだ。また厄介事が……?) 海原 (ここで気を揉んでいてもどうにもなりませんね。覚悟だけはしておくとしましょう) ショチトル 「さっきから何を考えてるんだ?」 海原 「いえいえ、何も考えていませんよ」 ショチトル 「……嘘。すごく険しい顔してた」 海原 「おっと、顔に出ていましたか。これは参りましたね」 ショチトル 「また何かあったのか?」 海原 「少なくとも、貴女が心配するようなことは何も起きていませんよ」 ショチトル 「本当に?」 海原 「本当です」 ショチトル 「本当の本当に?」ズイ 海原 「本当の本当です」 ショチトル 「」ジー 海原 (近いです近いです) ショチトル 「……分かった。信じる」 海原 「ありがとうございます」ホッ : : : 海原 「では、そろそろ行きますね」 ショチトル 「え? もう行ってしまうのか」 海原 「また来ますから」 ショチトル 「……約束」 海原 「ええ、約束です」 ショチトル 「分かった、待ってる」 海原 「無理はなさらないでくださいね」 ショチトル 「また来てね、絶対だからね」 海原 「分かってますよ。なにか手土産を持ってきますから」 ショチトル 「甘いのがいい」 海原 「心得ました。では、また今度」 ショチトル 「うん」 <ガラッ バタン 海原 「……さて」 海原 「先生のところに向かうとしましょうか」 海原 「あ、すいません。カエルによく似た先生は今どちらに?」 看護師 「カエルに……? ああ、カエル先生か。今は二階の第一診察室にいるハズよ」 海原 「そうですか、ありがとうございます」ペコリ 看護師 「はいはい、ご丁寧にどうも」カツカツ 海原 「第一診察室ですね、いきましょうか」 海原 (どんな話をされるというのでしょうか……) ~第7学区 とある病院 第一診察室~ 海原 「失礼します」 冥土帰し 「おお、きたか。わざわざすまないね」 海原 「いえいえ、とんでもないことです」 冥土帰し 「まあ、適当に座ってくれ」 海原 「これはどうも。で、お話というのは?」 冥土帰し 「さっきも言った通り、妹さんのことだね?」 海原 「……彼女の身体になにか?」 冥土帰し 「ふむ……君からみて、今の彼女はどうだね?」 海原 「は、はあ……元気なように見えますが。本人も良好と言っていますし」 冥土帰し 「そうか、そうだろうね」 海原 「……あの、先生」 冥土帰し 「うん?」 海原 「どのような結果であれ、受け入れる心の準備はできています」 冥土帰し 「……」 海原 「まわりくどい言い方はせず、話して頂けないでしょうか」 冥土帰し 「そうだね……では、単刀直入に結論から言おう」 海原 「」ゴクリ 冥土帰し 「そろそろ退院を考えてもいい頃だと思うね?」 海原 「…………はい?」 冥土帰し 「だから、そろそろ退院を考えてもいい頃だと思うね?」 海原 「」ヘナヘナ 冥土帰し 「君はいったい何を言われると思っていたんだね?」 海原 「い、いや……ははっ、マイナス思考でお恥ずかしい」 冥土帰し 「だが、色々問題はあるね? 僕が話したいのはむしろそっちなんだが」 海原 「問題ですか……たしかに、今病院を放り出されても彼女一人では厳しいですね」 冥土帰し 「だから、留学生や帰国子女という扱いにできないこともない。そういった前例もある」 海原 「留学生、ですか……」 冥土帰し 「勿論、故郷に帰るという選択肢もあるね?」 海原 (今故郷に戻っても、取り巻く環境が厳しいのは変わらず……) 海原 (ならば、僕の目の届くところに居てもらったほうがいいですね) 冥土帰し 「一つ忘れないでほしい」 海原 「なんでしょうか」 冥土帰し 「彼女自身がどうしたいか。大事なのはそこだね?」 海原 「彼女自身が……あの、先生個人としてはどういったお考えで?」 冥土帰し 「……医者の端くれとしての意見だが、もうしばらくは学園都市に留まっていてほしい」 冥土帰し 「彼女に施した治療は、学園都市の技術を用いたものだからね?」 海原 「経過を観察するにしても、先生に診てもらったほうが良いということですね」 冥土帰し 「そういうことだね」 海原 「……分かりました。彼女ともよく話し合いたいと思います」 冥土帰し 「うむ、そうしてほしい」 海原 「何かありましたら、ご相談させてください」 冥土帰し 「もちろんだよ。患者に必要なものは何であっても揃えるからね?」 海原 「ありがとうございます。では、一旦失礼します」ペコリ 冥土帰し 「何かあったら、すぐに言うんだよ?」 海原 「はい、お言葉に甘えさせて頂きます」 ガチャ バタン 海原 「……どうしましょうか」 ~第7学区 隠れ家的喫茶店~ 結標 「滝壺さん、そろそろ行く?」 滝壺 「そうだね、遅くなる前に行っておこうか」 番外個体 「なにか用事?」 結標 「んー、将来に向けての準備?」 番外個体 「?」 滝壺 「今はまだナイショ」 浜面 「お、もう行くか?」 滝壺 「ごめんね、はまづら。むすじめと行くところがあるから、先に帰ってて」 浜面 「ああ、わかった。気を付けてな」 結標 「じゃ、滝壺さん借りるわね」クスクス 浜面 「ちゃんと返せよ」キリッ <カランカラン♪ マスター 「ところで」 浜面 「ん?」 マスター 「彼女らの分はお前に請求しておけばよいであるな」 浜面 「( ゚ロ゚)」 マスター 「伝票は置いておくのである」つ□ 浜面 「(゚ロ゚)」 番外個体 「こっち見んな」 浜面 「えーと、全部でいくらだろうなー」チラッ マスター (ケーキセットを頼んでいたであるからな)ヒソヒソ 番外個体 (滝壺さんはピザトーストも食べてましたよ)ヒソヒソ 浜面 「ひい、ふう、みい……くそ、なんで俺はナポリタンを頼んじまったんだ……」 マスター (しかし、彼女らも酷であるな)ヒソヒソ 番外個体 (あの二人のことだから、ナチュラルに忘れてんのかと)ヒソヒソ 浜面 「あの、ご相談がございまして」 マスター 「なんであるか」 : : : <カランカラン♪ 番外個体 「いらっしゃいませー」 海原 「やあ、どうも」 番外個体 「あ、海原さん」 マスター 「今日は知り合いばかりであるな」 番外個体 「常連しか来ない店、って伊達じゃないですね」 浜面 「」ジャブジャブカチャカチャ 海原 「おや、浜面さんが皿洗いですか? とうとう職が見つかったんですね」ニコニコ 浜面 「そんなんじゃねぇ」グス 番外個体 「惜しかったね。さっきまで淡希いたのに」 海原 「おっと、これは残念ですね。結標さんとも相談したいことがあったんですが」 浜面 「相談? 金の話ならしないほうがいいぜ?」 海原 「いえいえ、そんなんじゃありませんよ。あ、玄米茶を」 番外個体 「いや、おいてないよ」 海原 「何茶ならありますか?」 番外個体 「お茶系は緑茶と烏龍茶と紅茶とゴーヤ茶ならあるけど」 海原 「では緑茶をアイスで」 番外個体 「はいはーい」 浜面 「で、相談って何か面倒でもあったのか? 俺でよければきくぜ?」 海原 「お気持ちは有難いのですが、今回ばかりは結標さんに相談したいのですよ」 浜面 「頼りにされてるねぇ、さすが姐さん女房だ!」 海原 「ええ、普段は頼りになる方です」ニコニコ 番外個体 「それって、二人きりだと頼りにならないってこと?」ニヤニヤ 海原 「秘密です。言ったら怒られてしまいますので」 マスター 「仲睦まじいようで結構である」 浜面 「まったく、羨ましい限りだねぇ」 番外個体 「浜面さんが言うかなぁ、それ……」 浜面 「? なんかおかしいか?」 番外個体 「いや、いいけどさ」 マスター 「手が止まっているであるぞ」 浜面 「はい、すいません!」ジャブジャブ 番外個体 「ねえねえ、そういえばさ。一昨日かな? 淡希の部屋からなんか気持よさそーな声が聞こえてきたけど?」 海原 「……聞こえてきた?」 番外個体 「お隣りさんだから聞こえるんだよねー」 海原 「一昨日といいますと、肩のマッサージをしたときでしょうか」 番外個体 「マッサージ?」 海原 「ええ、肩が凝ると普段から仰っていますので」 浜面 「あれだけありゃ凝るよな。滝壺もたまに凝るって言ってるぜ」ワハハ 番外個体 「……」 浜面 「その点、ミサワの姐さんは心配なさそ(バキッ)そげぶっ」 番外個体 「口より手動かせ働き蜂!!」ムキー ~1時間後~ マスター 「そろそろ閉める時間であるぞ」 番外個体 「お疲れ様」ポンポン 浜面 「手が冷てぇ……」 海原 「すっかり長居してしまいました。帰るとしますか」 浜面 「よし、帰るか」 番外個体 「先帰ってて。掃除があるから」カチャカチャ 海原 「了解しました」 浜面 「あの、マスター。これでお代は……」 マスター 「……しょうがないであるな」 浜面 「ありがとうございます!」ペコペコ マスター (ロシアでまみえたときとはまるで別人である……逆境に強いタイプであるか?) 番外個体 「マスター、モップどこにしまいました?」 マスター 「外に干しているのである」 浜面 「はー、久々に働いたって感じがするな!」 海原 「おいくらですか?」 番外個体 「190円」 海原 「はい」チャリチャリ 番外個体 「はい、どうもー」 浜面 「そっか、海原に立て替えてもらえばよかったんだ」 マスター 「ダメであろう」 海原 「?」 番外個体 「いや、もう済んだ話だから。気にしないで」 海原 「はあ……あの、待ってなくて大丈夫ですか?」 浜面 「だな。帰る頃には暗くなってるぜ」 マスター 「ミサワさんもこう見えて一応女子であるからな」 番外個体 「その発言は色々納得できない」 海原 「まあ、折角ですしお待ちしますよ。時間だけはありますから」ニコニコ 浜面 「そうだそうだ。ミサワの姐さんに何かあったら第一位にフルボッコにされちまう」 番外個体 「……じゃあ、さっさと済ますから。待ってて」 ~第7学区 常盤台中学 新第二学生寮~ 寮監 「着いたぞ」 婚后 「まあ、随分と立派になって……」 白井 「なんだか、久しぶりに孫に会ったお婆ちゃんみたいですの」 絹旗 「成長を喜んでる感じが超溢れてますよね」 婚后 「少しぐらい感傷に浸ってもよろしいではないですか」 寮監 「お前たちもここに来るのは初めてだろう? ならば無理もない」 絹旗 「にしてもこれ、どうやって開けるんですか? 鍵穴とかカードリーダはなさそうですけど」 寮監 「ドアのここにセンサーがある。こうやって、手を当てればいい」バン ピンポーン 婚后 「まあ、静脈認証ですのね」 寮監 「クラッキング対策も万全だぞ。発電能力者による鍵破りの前例があったからな」 白井 (お姉様が興味本意でやったら開いてしまったときのことですの……) 絹旗 「超ガチガチじゃないですか」 寮監 「当然だ。お預かりしている生徒の身になにかあったら、親御さんに合わせる顔がなくなってしまう」 絹旗 「こういう先生が超たくさんいたら、学園都市も平和になるかもしれませんね」 白井 「恐怖で支配する政治は長続きしませんの」 寮監 「白井?」 婚后 「」ゾクッ 白井 「寮監量産化計画を推進するべきですの」キリッ 絹旗 「いや、超ダメでしょ」 寮監 「阿保なこと言っていないで、さっさと中に入るぞ。下校時刻も近いしな」 婚后 「あら、もうそんな時間でしたか?」 絹旗 「超さっさと見学していきましょう」 白井 「そうですの、遅くなると家の人も心配するでしょうし」 寮監 「そういうことだ」 キィ バタン 婚后 「ここがエントランスですわね」 絹旗 「うはー、超オシャレです」トテトテ 白井 「雰囲気は前とあまり変わりありませんのね」 絹旗 「あの、この超不自然に配置されたイスとテーブルのセットは?」 寮監 「私の席だ」 絹旗 「?」 婚后 (ここで門限破りが出ないか見張るんですのよ)ヒソヒソ 絹旗 (ああ、なるほど) 寮監 「さて、白井と絹旗は4月から3年生だったな。ならば使うのは3階になる」 白井 「3階と言いますと、最上階になりますのね」 絹旗 「超3年生って感じですね」 寮監 「よし、3階の部屋を見に行ってみるか」カツカツ 絹旗 「ここって個室なんですか?」 白井 「いえ、わたくしが居た頃は基本二人部屋でしたの」 絹旗 「えー……プライバシーもなんもないじゃないですか」 婚后 「そこは慣れるしかございませんわね」 白井 「住めば都とも申しますのよ?」 絹旗 「慣れるまでは超時間がかかりそうです……」 寮監 「基本食べて寝るだけの施設だからな。そこまでは考慮されていない」 絹旗 「牢獄ですね」 婚后 「絹旗さん、言ってはいけませんわ」 寮監 「ふふ、こんな綺麗な牢獄など存在するものか」 絹旗 「たしかに内装は超綺麗ですが」 白井 「あの、侵入者対策は大丈夫ですの? 寮が破損した原因が原因ですので……」 寮監 「問題ない。前に比べても相当頑丈に造られている」 婚后 「防犯面は大丈夫そうですわね」 寮監 「外部からだけではない。内部からの衝撃にも強いぞ」 絹旗 「内部? 内部ですか?」 寮監 「生徒が能力を暴走させることもなくはないからな」 絹旗 「はあ、なるほど」 白井 (ここまで強化されているとは……) 婚后 (寮に戻れなくて正解だったかもしれませんわね……) 寮監 「窓や建材も強化仕様だしな。外からも内からも簡単には破れんよ」コンコン 絹旗 「うわ、これ私の能力でも破れないんじゃないんですか」ゴンゴン 寮監 「そう簡単にはいかないだろう。それにな、この寮には侵入者でも暴走した生徒でも抑える最後の砦がある」 白井 「まさか……」 婚后 「その砦とは……」 寮監 「私だ」ドン 絹旗 「……はい? 見たところ、兵装もない超一般人ですが」 白井 (寮監の兵装とは即ち……己の拳と信念ッ……!) 絹旗 「常盤台の生徒だとしても、最低 Level3 ですよね? そんな装備で大丈夫ですか?」 寮監 「大丈夫だ、問題ない」 絹旗 「へー、じゃ私の窒素装甲をもってしても適いそうもないですねー」 白井 「絹旗さん! ダメですの!」ワタワタ 婚后 「どうかおやめになって!」オロオロ 寮監 「ほう? 私を挑発するとは、余程腕に覚えがあるのだろうな」キラーン 白井 (あっ、あの目はマジですの!) 婚后 「り、寮監! 彼女は少々奔放で世間知らずなところがございまして」 寮監 「婚后、下がれ」 婚后 「」ビックゥ 絹旗 「ふふ、こっちも大能力者やってるんですよ。タダでやられるワケが超ないじゃないですか」 寮監 「その歳で大能力者か、大したものだ。だが、少々礼節に欠いているとみえる」コキコキ 絹旗 「勝負ですっ!」ダンッ ~10秒後~ 絹旗 「」 婚后 「あぁぁ、絹旗さん……こんな姿に……」 白井 「寮監相手に10秒耐えたんですの。超大金星ですの」 寮監 「口程にもない……とまでは言わないが、まだまだ青いな」 絹旗 「ば、化け物です……」ヨロヨロ 婚后 「歩けそうですか?」 絹旗 「ちょ、超ちょっとつかまらせてください」ヒシ 白井 「無理はなさらないで」 寮監 「教育的指導も済んだところで、部屋を見てみるか」ガチャ 婚后 「部屋の作りも以前と合わせておりますのね」 絹旗 「超シンプルな部屋ですね」ヨタヨタ 白井 「寮監も仰っていた通り、基本寝るだけの部屋ですので」 寮監 「以前よりはいくらか広くなっているぞ」 婚后 「言われてみれば……」 絹旗 「ベッドが二つ……二人部屋なんですね」ヨタヨタ 白井 「まあ、トラブル等あれば部屋を変える事もできますが」 婚后 「そういえば、白井さんは強引に御坂さんと相部屋になったのでしたね」 白井 「強引ではなく、神算鬼謀と言って頂きたいですの」フンス 絹旗 (なんだか超心配になってきました……やっていけるんでしょうか……) ~同日 第7学区 某所~ 海原 「夜はまだまだ冷えますね」 浜面 「まあ、まだ2月だしな」 番外個体 「今日はマシな方だと思うけどな」 海原 「ミサワさんは平然としてますね」 番外個体 「寒いのはいくらか平気だから。暑いのはキライだけど」 浜面 「さすがロシア出身って感じだな!」 番外個体 「出身じゃないんだけどさ……」 <あ、浜面じゃないですか? 浜面 「おお、絹旗……ってお前どうしたんだその格好は!?」 絹旗 「学生が制服を着ていてはおかしいんですか?」 浜面 「そうじゃねえけどな、見慣れないっていうか」 絹旗 「つまり、超浜面は私の制服姿に超欲情してるんですね。うっわ、超キモイです」 浜面 「お前ひでぇ! しかも、いつもより"超"を増やしやがって!」 番外個体 「みんなしてどうしたの?」 婚后 「細々した用事で学校に行って、その帰りに学生寮を見学してまいりました」 白井 「そちらは、なんだか珍しい組み合わせですの」 番外個体 「送り狼ってやつかな?」クスクス 絹旗 「浜面、超聞き捨てなりませんね。滝壺さんに報告を」 浜面 「違ぇぞぉぉ! そんなつもりはないぞ!?」 海原 「そもそも、ミサワさんに手をだしたら後が怖いですよ」 番外個体 「超強いからね、私の彼は。モヤシだけど」ニヤニヤ 婚后 「素敵なナイトですわね」 白井 「ぐぬぬ……大きいお姉様まで、こんな……」 浜面 「で? 久々の学校はどうだったよ」 絹旗 「え……まあ……」 浜面 「?」 海原 「学校と言えば、婚后さんはもうじき卒業ですね」 婚后 「ええ、残すところ僅かですわね」 番外個体 「ああ、最近家にいることが多いのは卒業が近いからか」 白井 「進路と卒業判定に問題がない生徒は、早い春休みに入っておりますし」 浜面 「卒業祝いでもやるか、パーッとな」 婚后 「そこまでして頂かなくても……」 絹旗 「……」 海原 「絹旗さん? どうかされましたか?」 絹旗 「あ、いや。超なんでもないです」 浜面 「腹でも減ったか?」 絹旗 「そうですね。超お腹空きましたし、早く帰りましょうよ」 浜面 「あれ? そこは"超浜面じゃないんですから"って言うところじゃないか?」 番外個体 「ほら、じゃれてないで。帰るよ」 白井 「今日の夕食当番はどなたでしたか?」 海原 「確か結標さんだったかと」 絹旗 「……はあ」 絹旗 (家を出なければならないこと、みなさんにはどう伝えれば……) ~きぬはた荘 キッチン~ 結標 「」グツグツ 滝壺 「……」 結標 「え、えーと、塩と胡椒でいいのよね?」 滝壺 「うん」 結標 「」ゴリゴリゴリ 滝壺 「入れすぎ」 結標 「えっ? そ、そうかな」 滝壺 「一口、味見してみて」 結標 「」チョピ 滝壺 「どう?」 結標 「……ゴメンなさい」 滝壺 「ね?」 結標 「どうしてなのかな……」 滝壺 「調味料目分量なんて、慣れてないとできないよ」 結標 「そ、そうよね」 滝壺 「でもね、むすじめのよくないところはそこじゃないの」 結標 「……?」 滝壺 「なんだと思う?」 結標 「……センス?」 滝壺 「それもあるけど、根本的なのは別」 結標 「な、なんなの?」 滝壺 「食材とか調理に対する知識は勉強すればいいし、手付きは慣れの問題。むすじめのよくないところは」 結標 「」ゴクリ 滝壺 「味見しないこと」 結標 「」 滝壺 「味見しないから、味がおかしいことに自分では気付けない。気付かないから、なかなか上達しない」 結標 「そ、それは……」 滝壺 「このミートソースも、一口食べてみておかしいと思ったでしょ?」 結標 「うん……」 滝壺 「じゃあ、むすじめに問題。このミートソースはどうすればいいかな」 結標 「んー……塩胡椒入れすぎて、しょっぱくなっちゃったから……」 滝壺 「」ジー 結標 「……トマトと水を、足せばいいのかしら?」 滝壺 「正解」 結標 「じゃ、じゃあ、早速」 滝壺 「それじゃ、私はそろそろスパゲティゆでるから」 結標 「うん、お願い」 滝壺 「♪」ザララララ 結標 「難しいわね、料理って……」グツグツ 滝壺 「でも、むすじめなら大丈夫だと思う」 結標 「なんで?」 滝壺 「うなばらに美味しいもの食べさせてあげたいから、頑張ってるんだよね?」 結標 「な、なっ、そ、そうじゃなくて、もうちょっとマシなものをって……」 滝壺 「大丈夫、その気持ちがあるならいつかはできるようになるから」b グッ 結標 「いつかは、なの?」 <ギィィィィ バタン 滝壺 「あ、誰か帰ってきた」 絹旗 「ただいま戻りました」ヒョコッ 結標 「おかえり。絹旗さんだけ?」 絹旗 「全員帰ってきてますよ。なんだかんだで途中出くわして」 滝壺 「そうだったんだ」 絹旗 「とりあえず着替えてきますね。この格好も超息苦しいので」 結標 「手も洗いなさいよ」 絹旗 「はーい」トテトテ 滝壺 「むすじめ、コゲてる」 結標 「え? あー!」 ~きぬはた荘 絹旗個室~ 絹旗 「はー」 絹旗 「」ボフンッ 絹旗 「超疲れましたー」ゴロゴロ ポテポテ オアーン 絹旗 「?」ゴロン ユリコ 「・ω・」 絹旗 「あ、ユリコ。どっから入ってきたんですか?」 ユリコ 「ノ・ω・)ノ」ビシッ 絹旗 「ありゃ。自分でドア開けたんですか」 絹旗 「超器用ですね、ユリコは」パタン 絹旗 「……はー、立ったついでに着替えますか」プチップチッ 絹旗 「」ポイポイッ ユリコ 「♪」モゾモゾ 絹旗 「こら、ユリコ。人の脱ぎたて制服に潜り込むなんて浜面でもしませんよ」 ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」 絹旗 「ダーメーでーす。毛がついたら取るの大変なんですよ」 絹旗 「……」 絹旗 「ユリコとも……離れないといけないのでしょうか」 ユリコ 「(・ω・)?」 絹旗 「ユリコ、私がいなくても超大丈夫ですか?」 ユリコ 「(・ω・三・ω・)」 絹旗 「大丈夫ですよ、みんなユリコには甘いですから」 絹旗 「……超」 絹旗 「超、大丈夫です」 ユリコ 「(・ω・)……」 絹旗 「……」グス ユリコ 「」ピョン 絹旗 「あれ? ユリコ? そこは超慰めるところじゃないんですか?」 トテテテ 絹旗 「?」 ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」ポムポム 絹旗 「それは……アルバムですよね」 絹旗 「……そうだ、写真も整理して持っていかないといけませんね」 絹旗 「ふふ、この学園都市でフィルムカメラを超愛用してるなんて私だけでしょうね」 絹旗 「フィルムにはフィルムのよさがあるんです。偉い人にはそれが超わからんのです」ゴソゴソ ユリコ 「(・ω・)」ジー 絹旗 「……写真もずいぶん溜まりましたよね」 <コンコン 絹旗 「はいー?」 <メシだとよ、適度に降りてこい。 絹旗 「はいはい、今行きまーす」 絹旗 「……あ、服着ないと」 絹旗 「まったく、ユリコが着替え中断させるからですよ」シュルシュル ユリコ 「(・ω・)?」 ~同日夜 きぬはた荘 リビング~ 番外個体 「なんか今日のスパゲティ、ソース多くなかった?」ズズ... 白井 「ええ。普通に頂いていてお皿にソースが余るとは思いませんでしたの」 結標 「言わないでよ……」 海原 「でも、美味しかったじゃないですか」 浜面 「だな。結標の姐さんにしちゃ上出来じゃないか?」 結標 「ちょっと何よそれ」 婚后 「あの、ご相談があるのですが」 滝壺 「どうしたの?」 婚后 「卒業式の後、色々報告するために一度実家に戻ろうと思っておりまして」 番外個体 「? 卒業式って親とか来るもんじゃないの?」 婚后 「都合が合わないらしく……代理で、執事が来ると言っておりますし」 絹旗 「執事? あの、沖縄でお世話になった執事さんですか?」 婚后 「え、ええ、その執事です」 絹旗 (超楽しみになってきました!) 婚后 「ともかく、それで3~4日家を空けたいと思うのですが」 滝壺 「それ、私たちに許可を求めなくてもいいよね」 婚后 「はい?」 結標 「別に誰もダメなんて言わないし、引き止める権利もないじゃない」 浜面 「好きなときに出かけて好きなときに帰ってくる、家ってなそんなもんだろ?」 白井 「黙っていなくなるのは無しですが、一言申し伝えて頂ければよろしいですの」 婚后 「そ、そうですわね……わたくしとしたことが何を気にしているのやら」 海原 「ここが自宅なんですから、そう気負うこともありませんよ」 婚后 「これではどちらが実家か分かりませんわね」クスクス 絹旗 「……」 絹旗 (好きなときに帰ってくる、ですか……) 絹旗 (そうですよね、何も帰ってこれない訳でもないですし) 絹旗 (超ちょっと気にしすぎていましたか) 番外個体 「しっかし卒業かー。滝壺さんと淡希も卒業だよね?」 滝壺 「うん、卒業」フンス 淡希 「あまり実感ないけどね」 浜面 「こりゃパーッと祝ってやらないといかんな!」 白井 「そうですわね、おめでたいことなのですし」 浜面 「ついでに、絹旗の復学祝いも兼ねてやるか」 海原 「おお、絹旗さんは学校に戻られるのですか」 絹旗 「そんな卒業と同列にするほどめでたくないですよ」 結標 「まあまあ、別にいいじゃない。あの浜面くんがここまで言ってるんだし」 浜面 「いや、どの浜面くんだよ」 番外個体 「ねーねー、この雑誌のお店に浜面さんの奢りでどうかな?」 白井 「あら、焼肉ですの? こういうときぐらいはいいかもしれませんわね」 浜面 「…………おい待て。なんだこの上カルビ2500円って」 婚后 「あら、お手頃ですわね」 浜面 「どこが!?」 結標 「へー、こういう霜降りで真っ白なお肉も食べてみたいわね」 番外個体 「きっと口に入れた瞬間に溶けてなくなっちゃうんだろうなぁ」 浜面 「赤身のほうが食べ応えあっていいと思うの、俺」 絹旗 「超パーッとやるんじゃないんですか?」 海原 「言いだしっぺの法則って知ってます?」 浜面 「なんなのお前ら! 俺いじめて楽しい!?」 滝壺 「大丈夫、いつものはまづら」 浜面 「orz」 ~同日深夜 きぬはた荘 番外個体個室~ 番外個体 「そういえばさ」 結標 「うん?」 番外個体 「今日、滝壺さんとどこ行ってたの?」 結標 「……夕飯の買い物」 番外個体 「それだけ?」 結標 「んー……貴女になら話してもいっか」 番外個体 「そんな大事なことなの?」 結標 「そうでもないんだけどね。正式な話じゃないから、おおっぴらにしないだけ」 番外個体 「ふーん」 結標 「あまり言い触らさないでよ、恥ずかしいから」 番外個体 「内容による」 結標 「何それ……まあ、隠すような話でもないんだけどさ」 番外個体 「いいからいいから。ほら、語っておくれ」 結標 「式場の予約と下見」 番外個体 「」 結標 「嘘よ」クスクス 番外個体 「驚かさないでよ!」 結標 「じゃ本題ね。今日、貴女の店で話してるときに分かったんだけど」 番外個体 「うん」 結標 「私と滝壺さんって、目指すところが似てたのよね」 番外個体 「目指すところ?」 結標 「去年のクリスマス、施設に行ったの覚えてる?」 番外個体 「そんなこともあったねぇ」 結標 「あれが一つのきっかけでね……保育士、目指してみようと思って」 番外個体 「……やめてよ。インタビューが来たとき、どう答えればいいの?」 結標 「?」 番外個体 「"信じられません……"とか? "嘘だ! 淡希が初犯だなんて!"とか」 結標 「貴女は人をなんだと思ってるのよ!!」グイグイ 番外個体 「え、ちょ、待っt痛い痛い痛い!」 番外個体 「あー、痛かった。4の字固めはキツイってのよ……」 結標 「貴女も懲りないわね。余計なこと言って痛めつけられるの何回目よ」 番外個体 「こんなパターンになるの淡希だけだってば」 結標 「私が暴力女って呼ばれたら貴女のせいだからね」 番外個体 「だったら自重してよ!……で、滝壺さんも保育士志望なの?」 結標 「ちょっと違うかな。教職なのは同じだけど」 番外個体 「じゃ何?」 結標 「能力開発の教官らしいわよ」 番外個体 「へー、らしいんだからしくないんだか」 結標 「滝壺さん、能力開発にはいい思い出ないらしくて。他の人にそんな気持ちになってほしくないんだって」 番外個体 「なるほどね。……結局、どこ行ってたの?」 結標 「大学の資料もらいに行ってたのよ。来年受けようと思って」 番外個体 「あー、そういうことか。今からじゃ準備する時間が足りないってのは」 結標 「決めたときには受験シーズンなんて終わってたのよ」 番外個体 「じゃ浪人?」 結標 「そうなっちゃうわね。今更気にならないけどさ」 番外個体 「気にならないって……そっか、歳ごまかしてるんだ」 結標 「そんなワケないでしょ!」 ~3月上旬 第7学区 隠れ家的喫茶店~ 番外個体 「なんか今日は街中の雰囲気も違いますよね」 マスター 「卒業式だからであろう。外部からの客人も多いのである」 <カランカラン♪ 番外個体 「いらっしゃいませー、あれ?」 美鈴 「やっほー、久しぶりねー♪」 番外個体 「美鈴さん? なんで?」 美鈴 「可愛い可愛い娘の卒業式だもの。で、ついでにこっちにも顔出しとこうと思って」 番外個体 (あー、そっか。お姉様も卒業か) マスター 「おや、奥方。久しいであるな」 美鈴 「マスターさんも相変わらずシッブイわねー。あ、アイスティーくださいな」 マスター 「了解した」 美鈴 「今日はちっちゃい方の真琴ちゃんはいないんだ?」キョロキョロ 番外個体 「ちっちゃい方……あー、あの子は来てないです」 美鈴 「あの子ももしかしたら小学校卒業かな? って思ってたんだけど」 番外個体 (そもそも学校に通ってないよ) 美鈴 「来てないのかー、顔見たかったんだけどな」 番外個体 「まあ、またその内にでも」 マスター 「ご息女のところに行かなくてよいのであるか」コトッ 美鈴 「ええ、まだちょっと早いので」 番外個体 「にしてもそっか、卒業式だからスーツなんですね」 美鈴 「ホントはもっとお洒落したかったんだけど、主役より目立つワケにいかないじゃない?」 番外個体 「まあ、たしかに」 番外個体 (ただのパンツスーツでここまでオーラ出せるのもすごいけどね) 美鈴 「にしても、美琴ちゃんも高校生か。早いなー」 番外個体 (早い、か……もし私に母親がいたら、早いと感じる暇もなかったのかな) 美鈴 「ちょっとー、何ボーッとしてんのよ」 番外個体 「え? あ、なんでもないんです」 : : : 美鈴 「じゃ、そろそろ行くわね。こちそうさま」チャリチャリ 番外個体 「毎度どうもー」 美鈴 「またその内、買い物にでも行きましょうねー」ガシッ 番外個体 「はい、ぜひ。美鈴さんに選んでもらうと色々と参考になるし」 美鈴 「素材はいいからねー」 番外個体 「美鈴さんには負けます」 美鈴 「またこいつときたらー。それじゃ、今日は思いっきり楽しんでくるわね」 番外個体 「……私からは一つ、羽目をはずさないように」 美鈴 「?」 番外個体 「その、お酒とか」 美鈴 「大丈夫よー。じゃ、またね」ケラケラ <カランカラン♪ 番外個体 「……大丈夫かな」 ~その頃 第7学区 学舎の園~ 婚后 「とうとう、この日が来てしまいましたのね……」 白井 「あらあら、今日の主役が浮かない顔をしていては在校生も浮かばれませんの」 絹旗 「まあ、色々と超感慨深いのも分かります」 <お嬢様。 執事 「いよいよ巣立ちの日、祝着至極に存じまする」カツッ 白井 「あら、執事さん。お久しぶりですの。去年の夏以来ですわね」 絹旗 (やっぱり超カッコイイです) 執事 「白井様に絹旗様も、ご壮健なようでなによりです」ペコリ 絹旗 (名前覚えててくれました!)ピャー 婚后 「今日はご苦労でしたわね」 執事 「とんでもないことでございます。いやはや、しかし……」 婚后 「なんですか?」 執事 「歳を取ると、時の流れが早く感じるものでございますな。 ついぞこの間まで赤子だったお嬢様が、人生の節目を迎えるとは」 婚后 「貴方からすれば、わたくしはいつまでたっても子供なのでしょうね」 執事 「成長を見守る親の気分を味合わせて頂いたことは感謝しておりますぞ」 絹旗 (私たち、超空気です)ヒソヒソ 白井 (今日ばっかりは仕方ございませんの)ヒソヒソ 婚后 「学園都市に来る前。多忙な両親に代わり、いつもわたくしを傍で見守ってくれたことには感謝してます」 執事 「務めでございます故」 婚后 「……これを」 執事 「こちらは?」 婚后 「感謝の印、ですわ」 執事 「……ご立派になられましたな」 婚后 「まだまだ若輩ですわよ。貴方にも迷惑を掛けるのですから、長生きしてもらいませんと」クスクス 執事 「これ以上、この老いぼれの寿命を縮めないで頂きたいものです」 婚后 「ふふ、お戯れですわね」 執事 「お嬢様には適いませんな……さて、そろそろ時間でございます」 婚后 「ええ。それでは、そろそろ向かいますわね」 執事 「お気をつけて」ペコリ 婚后 「申し訳ございません。お待たせしてしまいまして」 絹旗 「いや、とても入り込める空気ではありませんでしたし」 白井 「執事さんには何をお渡しに?」 婚后 「これまでの感謝を込めた、ちょっとした贈り物ですわよ」 絹旗 「? 婚后さんがもらう側じゃないですか? お祝いとかで」 婚后 「今日という節目の日に、お世話になった人に贈り物をするのもいいじゃないですか」 白井 「確かに、ここまで育ててくださった親や教師に感謝する日でもございますの」 絹旗 「そういうものですか」 婚后 「そういうものですわよ。さ、参りましょう」 白井 「そろそろ参りませんと、時間もおしてますの」 絹旗 「あ、執事さんにはまた会えますかね?」 婚后 「え? ええ、おそらくは」 絹旗 (写真を一緒に撮ってもらいましょう!) 白井 「?」 婚后 「?」 ~第18学区 霧ヶ丘女学院~ 浜面 「あー、なんか慣れねぇなぁ、こういう格好も」ガシガシ 海原 「よくお似合いですよ。ホストみたいです」 浜面 「お前に言われたかねぇや」 結標 「……ねえ、この2人が来て大丈夫なの?」 滝壺 「大丈夫だよ。卒業生関係者ってことになってるから」 結標 「まあ、ならいいんだけど……」 滝壺 「誰も来てくれないのもなんか寂しいし」 海原 「お役に立てたようでなによりです」 浜面 「デジカメもミサワの姐さんに借りてきたからな! 準備もバッチリだぜ!」 海原 「ちなみに動画は僕が担当します」●REC 滝壺 「2人ともお願いね」 結標 「そこまでしなくても」 浜面 「いいじゃないの、今日ぐらいは」 海原 「高校の卒業式なんて、一生に一回あるかないかですよ」 結標 「いや、一回でしょ普通は」 滝壺 「人によっては2~3回あるかもね」 浜面 「そうなったら壮絶な人生を歩んでるんだろうな」 結標 「ま、いいけど……にしても、何も感慨深いものがないわね」 海原 「おや、クールですね」 結標 「貴方知ってるでしょ。私、事情があって2年生の途中からロクに通ってないんだから」 滝壺 「大丈夫だよ、私も似たようなものだから」 浜面 「そういうヤツほど、本番になったら泣いちゃうんだぜ?」 海原 「結標さんの涙ですか……それほどレアでも」 結標 「」バシッ 海原 「いてっ」 結標 「ほらもう行きなさい! 貴方達は来賓席だからあっち!」 浜面 「はいはい、んじゃ後でな」 滝壺 「ここで集合だからね」 <なあ、なんで怒ってたんだ? <さあ? 結標 「……ったく」 滝壺 「」モゾモゾ 結標 「? 滝壺さん?」 滝壺 「制服縮んだのかな。ちょっとキツイ」 結標 「あら、奇遇ね。私もちょっとパツパツなのよね」 滝壺 「むすじめも?」 結標 「そ、ちょっとだけキツくて」 滝壺 「私も胸が少し」 結標 「ウエストがちょっと」 結標 「……」 滝壺 「……」 結標 「聞かなかったことにして」 滝壺 「大丈夫だよ、とりあえず応援しておく」 結標 「」グス 滝壺 「あ、泣いた」 ~常盤台中学 卒業式の様子~ 絹旗 (なんだって偉い人の話はどこでも長いんでしょうか……) 白井 (どこもそんなもんですの) 絹旗 (超ヒマなんですが) 白井 (今しばらくご辛抱くださいまし) 絹旗 (お、ようやく卒業証書授与ですよ) 白井 「あ、お姉様ですの!」ガタッ 絹旗 (ちょっ!) 白井 「」ハッ 絹旗 (座ってくださいよ! 周囲からの注目を超浴びちゃってるじゃないですか!) 白井 (し、失礼いたしましたの……) ~霧ヶ丘女学院 卒業式の様子~ 結標 「」スピー 滝壺 「」スピー ~同日午後 第7学区 常盤台中学~ 白井 「お゛ね゛え゛さ゛ま゛ぁ゛~~、黒子を置いていかないでくだざいまし~」ビエー 美琴 「ち、ちょっと、落ち着きなさいよ!」 絹旗 「白井さんはやっぱりこうなっちゃうんですね」 婚后 「式典の間は耐えておられたようですし、まあ、今ぐらいは……」 <あ、婚后さん! 絹旗 (あ、あのお二人はたしか婚后さんの子分の) 湾内 「ご卒業おめでとうございます」 泡浮 「婚后さんがいなくなってしまわれると、寂しいですが……」ウルウル 婚后 「あらあら……そんなことでは困りますわ」 絹旗 (また私が入る余地がなくなりました) 婚后 「お二人とも」 湾内泡浮 「「は、はいっ」」 婚后 「来年度からは貴女達が最高学年なのですから、しっかり後輩を導いてくださいな」 湾内泡浮 「「……」」 婚后 「わたくしからの、先輩としての最後のお願いです」ニコニコ 絹旗 (そんな超死亡フラグみたいなこと言わなくても!) 湾内 「……わ、わかっております。わかっておりますが……」 泡浮 「せめて、今だけは……」グスグス 婚后 「…………本当に手のかかる後輩ですわね」ウルウル 美琴 「ほらアンタもあの二人を見習いなさいよ!」 白井 「お゛ね゛え゛さ゛ま゛ぁ゛~~!」ビエーン 絹旗 (……コレも白井さんなりの想いの伝え方なんでしょうね) 絹旗 「……」スチャ 絹旗 「超集合ー! せっかくみんないるから写真とりますよ!」 美琴 「ほら、写真撮るって。そんなみっともない顔で写るつもり?」 白井 「う゛~~」ゴシゴシ 婚后 「貴女達もですわよ。もう泣き止みなさい」 湾内 「も、申し訳ございません。みっともないところを……」 泡浮 「お恥ずかしい限りです……」 絹旗 「はい、いいですか?」 美琴 「なにこれ? 骨董品?」 婚后 「ずいぶんとレトロなカメラですわね」 絹旗 「撮れるから超いいんですよ! はい、3!」 白井 「ちょ、ちょっと待ってください!」ゴシゴシ 絹旗 「2!」 湾内 「あ、あの、わたくしの顔、変ではありませんか?」オロオロ 泡浮 「だ、大丈夫です!」ワタワタ 絹旗 「1!」 婚后 「思えば、貴女とも色々ございましたわね」 美琴 「お互いにね」 カシャッ ~その頃 第18学区 霧ヶ丘女学院~ 滝壺 「終わった終わった」 結標 「お腹空いたし、お昼食べにいかない?」 滝壺 「ウエスト」 結標 「海原! 野菜が美味しいお店つれてって!」 浜面 「……なあ、卒業式ってなぁ、こうも淡々としてるもんなのか?」 海原 「人によるのではないんですかね」 浜面 「なんか想像してたのと違ぇなあ」ガシガシ 海原 「浜面さんは、卒業式というとどんな感じでした?」 浜面 「小学校の頃なんざ、みんなして泣きまくってたぜ。それこそ、普段はワルぶってるヤツまでさ」 海原 「ワルぶってるやつってのは、浜面さんですか」 浜面 「なんでだよ。俺だって昔はいい子だったんだぜ?」 海原 「」ニコニコ 浜面 「なんか言えよな!?」 滝壺 「二人とも、置いてくよ」 結標 「早く行きましょうよ」 浜面 「あまり食いすぎるなよ。夜は夜で準備してるんだからな」 海原 「卒業祝い、ですね」 滝壺 「焼肉だっけ」 浜面 「小市民の俺にあの店は無理だ」 結標 「あら。何か準備してくれてるの?」 浜面 「ごくごくささやかなな卒業祝いだぜ」 滝壺 「何してくれるの?」 海原 「今は秘密ということで」 結標 「せいぜい楽しみにさせてもらうわ」 浜面 「とりあえず昼メシといくか」 海原 「野菜が美味しい店でしたよね。ならばいい店を知っています」 結標 「もしかして、あの店? あそこいいのよね、行きましょ」 ~同日夕方 第7学区 隠れ家的喫茶店~ <カランカラン♪ 番外個体 「まいどどうもー」 マスター 「ようやく落ち着いたであるな」 番外個体 「こんなに客が来たのは大覇星祭以来ですね」 マスター 「大きいイベントがあればこんなものである」 番外個体 「あの、マスター。今日は……」 マスター 「うむ、早めに上がる日であったな」 番外個体 「ええと、そういうことなので」 マスター 「今日は開店前から来てもらったであるからな。問題ないのである」※開店=7 30 番外個体 「後はお願いします」 マスター 「ご苦労であった」 : : : 番外個体 「うは、もうこんな時間。ヤバイヤバイ」 番外個体 「さっさと受け取って、帰って隠さないと」 番外個体 「よし、急ごう」 ~???~ 番外個体 「すいませーん、予約してた者でーす」 店員 「はい、ご用意してありますよ。お待ちください」 番外個体 (あとは持って帰って……) 店員 「はい、こちらになりますねー」ドン 番外個体 「あれ……大きい?」 店員 「在庫が余ってたのでサービスさせて頂きました♪」 番外個体 「は、はあ……どうも」 番外個体 「えー、コレどうやって持って帰るんだよ……」 番外個体 「一人じゃ厳しいなぁ」 番外個体 「……いないよりマシだよね」カチカチ 番外個体 「あ、もしもし?」 ~15分後~ 一方通行 「……でェ? 俺はこれ運ぶためにわざわざ呼び出されましたってかァ?」 番外個体 「よく分かってんじゃん」 一方通行 「オイ、俺はオマエのなンなンだ?」 番外個体 「だ~~い好きな彼氏です☆」 一方通行 「うっわ、ウゼェ」 番外個体 「報酬は先払いしておくから、手伝ってよ」つ【回数券】 一方通行 「ンだこれ……オマエの店の回数券か」 番外個体 「うん」 一方通行 「チッ、しょォがねェ……」 ~第7学区 某所~ 一方通行 「つうかよォ、タクシーとか使えばいいじゃねェか」 番外個体 「捕まらなかったんだよ、今日は人も多いから」 一方通行 「あー、卒業式とかテレビで言ってたアレか。俺にゃ縁がねェな」 番外個体 「……今日、ちょっと思ったんだけどさ」 一方通行 「あァ?」 番外個体 「最終信号って、学校に通わせるつもりある?」 一方通行 「……本人が望めばな」 番外個体 「話したの?」 一方通行 「まだだ」 番外個体 「通うなら色々必要なものがあるよ? それこそ……」 一方通行 「分かってらァ……アイツに必要なものがあれば、なんだって揃えてやる」 番外個体 「お、今の台詞はあそこの先生のパクリ?」 一方通行 「あんなナース好きと一緒にすンじゃねェ」 番外個体 「んー、でもほら。私がID持ってるのも先生のお陰だし」 一方通行 「まァ……アイツの手も借りることになるだろォな」 番外個体 「私から話してあげよっか?」 一方通行 「……いや、いい。必要になったら俺から話す」 番外個体 「ふーん……ならいいけど」 一方通行 「で? まだ着かねェのか? 結構歩いてンぞ」 番外個体 「見えてきたよ、ほら」 一方通行 「……オイ、あんな廃屋に住んでンのか」 番外個体 「あ、そっか。あなたが来るのは初めてか」 一方通行 「いっつもオマエの方から押しかけてくるからな」 番外個体 「まだ誰も帰ってないみたいだし、寄ってく? 水ぐらいは出すよ」 一方通行 「水かよ……まァいい。休ませてくれ」 番外個体 「ちなみに廃屋じゃないからね。中はそこそこしっかりしてるから」 一方通行 「だといいンですけどねェ」 ~きぬはた荘 リビング~ 一方通行 「へェ……古臭いけど、悪くねェな」 番外個体 「作りが古いのは否定しないけどさ」カチャカチャ 一方通行 「オマエさっき、まだ誰も帰ってないって言ってたが……」 番外個体 「あー、うん。全部で……8人かな? 共同利用してるから」 一方通行 「……どンな連中だ」 番外個体 「……なに? 心配してくれてるの?」 一方通行 「そォじゃねェけどな……」 番外個体 「平気だって、変わり者はいても悪人はいないから」 一方通行 「……なンかあったらすぐに言え。東西南北に引き裂いてやる」 番外個体 「東西南北って……別にそこまでしなくても。自分の身ぐらいは自分で守れるよ」 一方通行 「だけどなァ」 番外個体 「もー、いつからそんな心配性になっちゃったのかな。らしくもない」 一方通行 「あァ? オマエ、人が……」 番外個体 「大体あなただって、このチョーカーがなければ生まれたての一方通行状態」 一方通行 「オイ、バカ! 人の生命線に触ンじゃねェ!」グイ 番外個体 「え、ちょっと押さないで……!」グラッ 一方通行 「コラ、掴むな……!」 バターン 番外個体 「いったー……」 一方通行 「オ、オイ、大丈夫か?」 <ギィィィ バタン <ただいまー 番外個体 「やばっ、誰か帰ってきた! 早くどいてよ!」 一方通行 「待て、杖、杖どこいった!?」 <真琴? 帰ってるの?(ガチャ) 結標 「……」 滝壺 「……」 番外通行 「「……」」←マウントポジション 結標 「そういうのは、自分の部屋でやってもらえない?」 滝壺 「うさぎさんは性欲が強いから」 一方通行 「違ェ!! 勘違いもいい加減にしろォ!!」 番外個体 「いいからどけぇぇ!!」ゲシッ 一方通行 「へぶっ」ゴロゴロ 番外個体 「なんでこんな……用は済んだから帰れ!」ウガー 一方通行 「ああ、はいはい、お暇させて頂きますよォ!」ムキー 番外個体 「また今度押しかけてやるからね! 首洗って待ってろ!」ウガー 一方通行 「せいぜい待っててやらァ! 首狩れるもンならやってみやがれェ!」ムキー <バタン 結標 「……」 滝壺 「……」 番外個体 「」ゼーゼー 結標 「仲いいのね、貴女たち」 滝壺 「私たち、入り込む隙もなかったよね」 番外個体 「……いいからさっさと着替えてきなよ」プイ 滝壺 「そうだね、制服も疲れちゃうし」 結標 「後で何があったか聞かせてよね」 番外個体 「なんもないから!」 <バタン 番外個体 「…………うあああああ、もおおおおお///」バタバタ <ガチャ 浜面 「あの二人は部屋に戻ったか?」 海原 「ええ、もう大丈夫そうですね」 浜面 「で? ミサワの姐さんはどうしたんだ?」 番外個体 「なんでもない。それよりそっちの準備は?」 海原 「大丈夫です、問題はありません」 浜面 「今日は俺達が夕食を馳走してやるぜ!」フンス 番外個体 「任せて大丈夫なの?」 浜面 「漢の料理ってのを見せ付けてやるよ!」 番外個体 「もうなんかダメなような気がしてきた」 海原 「及ばずながら、僕もおりますので。ミサワさんの方の首尾は?」 番外個体 「うん、大丈夫。私の部屋に置いてあるから見にいってみようか」 浜面 「入って大丈夫なのか?」 海原 「同じ屋根の下とはいえ、異性の部屋というと戸惑ってしまいますね」 番外個体 「二人してお相手の部屋に通ってるクセに、今更何言ってるんだか」 浜面 「それはそれ」キリッ 海原 「気分の問題ですよ」 ~きぬはた荘 番外個体個室~ <ガチャ 浜面 「なんか緊張するな」 番外個体 「別に見られて困るものもな……」 ユリコ 「(・ω・)」モシャモシャ 番外個体 「ちょっとぉ~~!?」 海原 「これはこれは……」 浜面 「こらユリコ、これ食いもんじゃねぇぞ」 ユリコ 「三三三( ・ω・)」ドタタタ 番外個体 「逃げたぞ! 追えーー!」 海原浜面 「「は、はいっ」」 <ユリコさん、お待ちください! <おい、ユリコ!大人しくいってぇぇぇぇ!? <シャァァァ : : : 番外個体 「で? 逃がしたと?」 海原 「部屋から顔を出した結標さんに五月蝿いと怒られてしまいまして」 浜面 「そもそも捕まえてどうにかなるもんでもねえし」 番外個体 「ま、そうだけどさ……あー、もう、どうしよコレ」 浜面 「せっかく卒業生に進呈しようと用意した花束なのにな」 海原 「損害はどれぐらいなんですか?」 番外個体 「んー……よく見たら花一輪食べられただけだね」 浜面 「つっても、差がでちゃ不平等だよな」 海原 「そうですね、できれば不公平はなくしたいところですが」 番外個体 「……」ブチッ ブチッ 海原浜面 「「」」 番外個体 「はい、これで平等♪」 海原 「なるほど、押してダメなら引いてみろということですね」 浜面 (無表情で花をちぎるミサワの姐さん超怖ぇ……) ~その頃 第7学区 学舎の園~ 絹旗 「超長居してしまいましたね」 婚后 「みんなで昼食もいただきましたし、その他もろもろもございましたから」 白井 「なんだかんだで大賑わいでしたの」 絹旗 「執事さんは、客として入った店でなぜ給仕をしていたんでしょうか」 婚后 「職業病かと……ええ、わたくしからも言っておきますので」 白井 「店長さんが"店員教育をぜひ"と言っていたのが印象的でしたわね」 絹旗 「やっぱりプロは超違いますよね」 婚后 「まあ、あの仕事ばかり何十年とやってる人ですから」 絹旗 「執事さんもそうですけど、普段見ない人も結構いましたね」 白井 「久しぶりにお姉様のお母様も見られましたし、当分は生きていけますの」フンス 婚后 「あそこまでそっくりだとは思いませんでしたわね」 白井 「姉妹といっても通用しますの」 絹旗 (最初綺麗なミサワさんかと思いました) 絹旗 「さて、超遅くなる前に帰りましょうか」 婚后 「……」 白井 「婚后さん?」 婚后 「このゲートをくぐるのも……生徒として、これで本当に最後ですのね」 絹旗 「ここをくぐれば、婚后さんの新たな伝説が始まるというワケですね」 白井 「そうですの、終わりではなく始まりなのですから」 婚后 「伝説ですか? 今度はどのような伝説を残せば良いのやら」クスクス 絹旗 「行きましょうよ。踏みとどまってても始まりませんよ」 婚后 「そうですわね。遅くなっても家の人が心配するでしょうし」 白井 「最終下校時刻を過ぎれば、ここを通るのもいろいろ面倒ですの。そうなると感動も薄まりますの」 絹旗 「さあさあ、超輝かしい一歩を踏み出してくださいよ」 婚后 「ふふ、ではとくと見届けておいてくださいな」 ピンポン 婚后 (本当に、お世話になりました) ~きぬはた荘 キッチン~ 浜面 「おし、始めるか! 海原 「今日用意した食材はこちらです」 ゚))))彡 浜面 「こりゃなんていう魚だ?」 海原 「スズキです」 浜面 「なんでまたスズキさんなんだ? 縁起物つったら鯛とかだろ」 海原 「鯛でもよかったですね。でも、スズキも普通にアリかと」 浜面 「そりゃまたどうして」 海原 「スズキは出世魚ではないですか。鯛ほどではないにしろ、縁起は良いと思いますよ」 浜面 「なるほど、出世魚か! 普通にアリだな!」 海原 「さて、このスズキをですね」 浜面 「どうすんだ?」 海原 「それを考えるのは浜面さんですよ」 浜面 「は、え? 俺?」 海原 「はい」 浜面 「考えろって言われてもな……このまま丸ごと塩で焼くぐらいしか思いつかねえぞ」 海原 「豪快で良いですね」 浜面 「そうなのか?」 海原 「漢の料理を見せ付けると豪語していたではないですか」 浜面 「そ、そんなことも言ったっけな」 海原 「塩だけでもいいですか、ハーブを添えるとよりベターかもしれません」 浜面 「ハーブか……そうだ、ハーブだな」ゴソゴソ 海原 「?」 浜面 「あったあった。滝壺がお茶用に買ってたドクダミの余りがあったぜ!」 海原 「……それはハーブではありませんよ」 浜面 「え? 違うの?」 海原 「たしかみなさん使った余りが……」ゴソゴソ 浜面 「ハーブなんてハイカラなもん、俺にゃ分からねぇぞ」 海原 「ありましたありました、これを使いましょう」 浜面 「葉っぱにしか見えねぇ」 海原 「バジルとローズマリーですよ。これで丸ごとハーブ焼きといきましょう」 浜面 「おし、いっちょやるか!」 海原 「僕は添え物のサラダとスープを準備します」 浜面 「……海原、ちょっと待て」 海原 「?」 浜面 「このスズキさん、まだ内蔵入ってるぞ」 海原 「そりゃ魚ですから」 浜面 「これ、どうやってとるんだ?」 海原 「口で説明するよりは見て頂いたほうが早いですね」チャキッ 浜面 「よっ、大先生」 海原 「はっ」 ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ スパン 海原 「はい、これで内蔵が取り出せると」 浜面 「わかんねぇよ」 : : : 浜面 「」ゴリゴリゴリゴリ 海原 「おお、見事な手付きですね」 浜面 「鱗とるのって楽しいな」 海原 「あとは塩と葉っぱ乗せて焼くだけですか」 浜面 「これどうやって焼くんだ? BBQセットでも使うのか?」 海原 「オーブンで」 浜面 「これ、魚も焼けるのか。お前、無骨な見た目に似合わず器用だな」 【オーブン】<バタン 海原 「あとは待つだけですね」 <ギィィィ バタン <戻りましたの <ただいま戻りました <超ただいまです 浜面 「おっ、お嬢たちのご帰還か」 ~きぬはた荘 リビング~ 絹旗 「はー、帰ってきたら超ドッと疲れましたね」ポスン 白井 「慣れないことばかりでしたし、仕方ございませんの」 婚后 「」ホワーン 絹旗 「婚后さんはまだ余韻に浸ってるんですか」 白井 「今日ぐらいは大目に見てあげてくださいまし」 絹旗 「とりあえず着替えてきましょうよ。制服は超肩が凝ります」 白井 「あの、ここにいると忘れがちなのですが、一応常盤台ではプライベートでも 制服着用が義務付けられていてですね」 絹旗 「あ、だから白井さんと婚后さんは普段から制服だったんですか?」 白井 「知らなかったんですか!?」 絹旗 「ええまあ」 白井 「4月から復帰なのですから、しっかりしてくださいまし……」ハァ 絹旗 (復帰、ですか……) 絹旗 「でも婚后さんは別に私服でもいいんじゃないんですか?」 白井 「まあ……卒業されましたし」 婚后 「そういえば、制服はどうしましょう」 絹旗 (あ、戻った) 白井 「思い出としてしまっておけばよろしいですの」 絹旗 「もしくは超高く買ってくれる人がいるかもしれません」 白井 「ジャッジメントですの」 絹旗 「いやいやいや、私は売りも買いもしませんよ!?」 婚后 「わたくしが着古した制服など、どこのどなたが買い取るというのですか」 絹旗 「そりゃその道のhモゴッ」 白井 「もう喋らないでくださいまし」 婚后 「?」 白井 「あ、なんでもないですの」 絹旗 「」ジタバタ : : : 絹旗 「うん、やっぱりいつもの服装が楽です」 ユリコ 「( -ω-)=3」 白井 「制服も慣れてしまえばなんてこともございませんの」 婚后 「制服、礼服、外出着、部屋着、寝間着と大活躍でしたわね」 絹旗 「最後おかしくないですか」 白井 「戦闘服と特攻服も追加ですの」 絹旗 「特攻服!?」 婚后 「白井さんは風紀委員ですし」 白井 「ええ、風紀委員ですので」 絹旗 (いや、でも特攻服って……) 白井 「外出着といえば、婚后さんは一度ご実家に戻られるのでは?」 婚后 「ええ。ですので、来週3日ほど家を空けますわね」 絹旗 「お土産を超お願いします」 婚后 「忘れなければ用意しておきますわ」 白井 「わたくしたちも、荷物の整理をしておきませんと」 絹旗 「う……」 白井 「まあ、全財産持っていく必要はないにしろ、最低限のものは」 絹旗 「わ、分かってますよ」 婚后 「そういえば、寮に入ることはみなさんに伝えましたか?」 絹旗 「……まだです」 白井 「話しづらいようであれば、わたくしから」 絹旗 「いいです! 超自分で話しますから!」 白井 「なら良いのですが……時間が経てば経つほど話し辛くなりますの」 絹旗 「分かってます……」 絹旗 (超、辛いです、けど……) 絹旗 (今更覆せません……自分で決めたことですから) <ガチャ 海原 「そろそろ夕食にしませんか?」 ~きぬはた荘 食堂スペース~ 白井 「まあ、魚丸ごと一匹焼いたんですの?」 浜面 「俺の自信作だぜ!」フンス 絹旗 「浜面らしい超大雑把な料理ですね」 婚后 「あら、殿方らしく豪快な料理ではございませんか」 浜面 「ただの魚じゃぇねえ。スズキだぜ、出世魚だぜ」 白井 「縁起物ですのね」 婚后 「もしや、滝壺さんのために?」 絹旗 「そういえば、滝壺さんも今日卒業でしたね。浜面にしてはやるじゃないですか」 浜面 「いやいや、お嬢のためでもあるぞ?」 海原 「今日の料理は、卒業を迎えた皆さんへの捧げ物ですよ」ニコニコ 婚后 「まあ、ここまでして頂けるなんて……」 <ガチャ 滝壺 「いい匂い」フンフン 結標 「あれ? 一人足りなくない?」 絹旗 「ミサワさんがいませんね」 結標 「また寝てるのかしら……ちょっと呼んでくるわね」 海原 「あ、いいですよ。すぐいらっしゃいます」 結標 「?」 浜面 「まあまあ、座れ座れ」 海原 「さて、そろそろですかね?」 白井 「まだなにか企んでますの?」 <ガチャ 番外個体 「お待たせー」 婚后 「ミ、ミサワさん、それは……?」 滝壺 「花束、だよね」 番外個体 「んーと、とりあえず浜面さんと海原さんね」 海原 「はい」 浜面 「なんか緊張するな」 結標 「いったい何を始めようっていうのよ」 海原 「結標さん」キリッ 結標 「は、はいっ」 海原 「これはご卒業のお祝いです」 結標 「へ? えっ?」 浜面 「えーと、その、なんだ……お、おめでとさん」 滝壺 「はまづら……ありがとね」 番外個体 「で、もう一つは……白井さんでいいや」 白井 「でいいや、ってヒドイですの!」 絹旗 「白井さんに、ではないですよね? 渡す相手は決まってますよね」 白井 「分かってますの!……はい、ご卒業おめでとうございますの」 婚后 「ありがとうございます……来年から、後輩たちを頼みますわね」 白井 「い、言われなくても分かっておりますの」プイッ 絹旗 「あ、超照れてます」 白井 「照れてません!」 番外個体 「じゃ、渡すものも渡したし、夕食にしよ」 絹旗 「はーまーづーらー、取り分けてくださいよ」 浜面 「悪いがお前は後だ。今日の主役は別だからな」 絹旗 「ぐぬぬ……わ、私だって超復学するんですから!」 浜面 「じゃお前は4番目に取り分けてやろう」 絹旗 「くっ、超仕方ないですね……」 結標 「わざわざここまでしてもらうと、かえって申し訳ないわね」 滝壺 「これ本物の花だ」フンフン 番外個体 「最初はね、もっと大きいのにしようって話もあったんだ」 浜面 「あの、開店したパチンコ屋の前に置いてあるようなヤツな」 海原 「予算の都合で見送ったんですよね」 白井 「あんな大きい物をもらっても困るでしょうに」 婚后 「貰う側としては、これぐらいが一番嬉しいかもしれませんわね」 浜面 「さあ、適度に分けたぜ。食った食った!」 番外個体 「あ、白身魚にはこのワインが合うらしいk」 結標 「没収」ヒュ 番外個体 「……淡希はアルコールに嫌な思い出でもあるの?」 結標 「貴女にだけは絶対に飲ませない」 海原 「まあ、色々あるんですよ」 番外個体 「?」 絹旗 「……これ、浜面が作ったんですよね」 浜面 「その通りでございます」 絹旗 「……」 滝壺 「おいしいよ」モシャモシャ 白井 「あっさりしていてよろしいですの」 婚后 「豪放な外見の割には、美味しいですわね」 浜面 「それ、褒めてんのか?」 絹旗 「お代わり」 浜面 「お、うまいってことか! そうだろうそうだろう」 絹旗 「ち、違いますよ! 浜面が取り分けた量が超少なかったんですよ!」 滝壺 「はまづら、そういうことにしておいてあげて」 浜面 「そうだな、そういうことにしておこう。さあ絹旗、たーんと食うがいい」 絹旗 「なんですかそれ! 超なんですかそれ!」 番外個体 「ねー、一口ぐらいなら」 結標 「ダメったらダメ!」 白井 「未成年の飲酒は禁止されておりますの」 番外個体 「えー、去年のクリスマスとか全員で酔いつぶれてたじゃん」 滝壺 「あ、こんごう。ゆりこが」 ユリコ 「(・ω・)」モシャモシャ 婚后 「こら、ユリコ! 白身魚とはいえ、ネコには濃いですわよ!」 海原 「ユリコさんもお気に召すほど上等な魚だったのでしょうか」 浜面 「いやいや、俺の味付けだろ」フンス 絹旗 「猫向けに作ってないくせに何言ってるんですか。あ、ダメですよ、ユリコ」 ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」 滝壺 「ゆりこは好き嫌いしないよね」 結標 「好き嫌いしなさすぎだと思うんだけど……」 ~同日夜 きぬはた荘 絹旗個室~ 絹旗 「うー……」 絹旗 「結局、超話せませんでした……」 絹旗 「ここから出なきゃならないって」 ユリコ 「」スピー 絹旗 「分かってるんですよ、いつでも帰ってこれるって」 絹旗 「……自覚してないだけで、超イヤなんでしょうか」 絹旗 「今の生活から離れることが」 絹旗 「でも、私は……」 ユリコ 「」ゴロン 絹旗 「決めたんです、いい加減踏み出さないといけないって」 絹旗 「」ゴシゴシ 絹旗 「超眠い頭で考えても結論はでませんね。今日はもう寝るとしましょう」
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/959.html
~1月中旬 とある夜 一方通行邸~ 差出人:ワースト m-worst@comodo.ne.jp 件名:Re Re 日付:20yy/m/d 21 16 ─────────────── そっか、じゃあ仕方ないね。 また別の機会にってことで。 一方通行 「……」 一方通行 (また、断っちまったンだなァ……) 一方通行 (これで何回目だよ) 一方通行 (カウントダウンイベントに水族館に……) 一方通行 「やれやれだぜ……」ズズ... 一方通行 (声掛けてもらえるのは悪くねェが) 一方通行 (人間が多い場所じゃ、杖付いてる俺は足手まといにしかならねェ) 一方通行 (もっと静かな場所ならな……アイツはどっちかつうと派手好きだからなァ) 打ち止め 「」ミョンミョン 一方通行 「」ハァ 打ち止め 「なに溜息ついてるのー、ってミサカはミサカはあなたの背後から携帯をぶんどってみる!」バッ 一方通行 「あっ、おいコラ!」 打ち止め 「またお断りしたの!? ワーストが可哀想、ってミサカはミサカは同情を隠せない」 一方通行 「オマエには関係ねェ」 打ち止め 「関係あるもん! 姉妹だもん! ってミサカはミサカは正当性を主張してみる!」プンスコ 一方通行 「はいはい、そォでしたねェ、お姉ちゃン」 打ち止め 「……ワーストのこと、嫌いなの? ってミサカはミサカは確認してみる」 一方通行 「ンでそォなるンだ!」 打ち止め 「だってワーストのお誘い断ってばっかり、ってミサカはミサカは理由を述べてみる」 一方通行 「……」 打ち止め 「どうなの?」 一方通行 「嫌いだったとしたら、オマエはどうすンだよ」 打ち止め 「え……それは……」 一方通行 「心配するな、嫌いなヤツを家に泊めるほど寛容でもねェよ」ガシガシ 打ち止め 「はわわ、ってミサカはミサカは髪がグシャグシャになっちゃうー」 一方通行 (とは言ったものの……向こうが凹ンでるかもしれねェのも確かか) 一方通行 (どォすりゃいいンだ……) ~同じ頃 きぬはた荘 番外個体個室~ 番外個体 「もうイヤぁ!」 結標 「?」 番外個体 「いつまでこんな微妙な距離を保ってるんだ!」 結標 「何の話よ」 番外個体 「ねえ、私の気持ちも一方通行なの?」ユサユサ 結標 「まずは落ち着きなさい」ピコッ 番外個体 「いたっ」 結標 「貴女が学園都市に来て10ヶ月ぐらい?」 番外個体 「そうだね……去年の3月半ばだったから」 結標 「で、ちょくちょく外泊してるけど、決定打に欠けるのよね」 番外個体 「決定打って?」 結標 「それは……ほら、そういうアレよ」 番外個体 「?」 結標 「まあ、あの漂白エノキだったら他の女に取られる心配はないんだろうけど」 番外個体 「なぐるぞ」 結標 「あら? やっぱり愛しの彼を貶されるのは我慢ならないのね?」クスクス 番外個体 「……」ジジジ 結標 「ほらほら、漏電してるわよ」 番外個体 「誰のせいだと」 結標 「そんなことより。貴女としては次のステップに進みたいのよね?」 番外個体 「どうなんだろ……最初は、傍に居られるだけでもいいと思ってたのに」 結標 「現状に満足できなくなってきてるんでしょ? そんなもんよ」 番外個体 「こうなったら、あの人のチョーカーに電気で干渉して」 結標 「見てる分には面白そうだけど、早まるのはやめておきなさい」 番外個体 「あーもー」ガシガシ 結標 「見てて焦れったいのよね。貴女達の関係ってさ」 番外個体 「それ言い出したら淡希だって海原さんと」 結標 「今は私の話はいいのよ」 番外個体 「な、なんでよ」 結標 「こっちの方が面白そうだもん」 番外個体 「」 番外個体 (あとでこっちのターンになったら弄りまわしてやる) 結標 「あれ? でも貴女がバイトしてる店にはちょくちょく来てるんじゃなかった?」 番外個体 「……店にはちょくちょく来てくれるけど、コーヒー目当てだろうね」 結標 「それはどうかしら?」 番外個体 「いや、コーヒー目当てだよ。ここのコーヒーは悪くねェ、って言ってたもん」 結標 「ふーん……つまり、貴女が淹れたコーヒーがお気に入りってことね」 番外個体 「」 結標 「だって飲み物は貴女の担当でしょ?」 番外個体 「そ、そうだけどさ、別に私が淹れたから特別って訳でも……ただのカフェイン中毒でしょ」 結標 「だったら缶コーヒーでもカフェイン錠剤でもいいじゃない」 番外個体 「むぐ……」 結標 「分かったでしょ? 少なくとも向こうは貴女を悪く思ってない。ならすべきことは一つよ」 番外個体 「なに」 結標 「思いの丈をぶつけなさい」 番外個体 「それってつまり、告白しろってこと?」 結標 「うん」 番外個体 「はあ……うすうす分かってたけど、そうしたほうがいいよね」 結標 「分かってるなら話は早いわね」 番外個体 「ええと、ま、え、か、ら……」カチカチカチカチ 結標 「はい、没収」フッ 番外個体 「あ、返せ!」 結標 「なにメールで済まそうとしてるのよ!」 番外個体 「……分かったよ。紙とペン貸して」 結標 「直接言いなさい!」 番外個体 「…………む、無理」 結標 「何を怖気付いてるの」 番外個体 「どういう風に言えばいいか分からないし……」 結標 「思ったまま言えばいいのよ」 番外個体 「そうかもしれないけど」 結標 「もー、貴女らしくないわね」 番外個体 「……淡希だったらなんて言うの?」 結標 「え?」 番外個体 「ほら、このウサギさんを海原さんか何かだと思って」 結標 「そ、そんな考えてないわよ」 番外個体 「考えるな、感じるんだ」 結標 「あ……」 番外個体 「思ったまま言えばいいんでしょ?」 結標 「え、えと……」 番外個体 「さあ!」 結標 「~っ」プルプル 【携帯電話】<トーキヲカーケー アナターノ スーガタサーガシ イーキテキター♪ 結標個体 「「」」ビクッ 番外個体 「……」 結標 「ほ、ほら。電話なってるわよ?」 番外個体 「……逃げんなよ」ピッ <もしもし……うん、どうしたの? 結標 (助かった……?) 結標 (それにしても、あの着メロ) 結標 (あの後に続く歌詞って確か……) 結標 「……ま、そこまで考えてないわよね」 番外個体 「はいはい、それじゃね」ピッ 結標 「終わった?」 番外個体 「うん、ゴメンゴメン」 番外個体 「ええと、それで。淡希の告白の予行練習だったね」 結標 「なんでよ!」 <コンコン 番外個体 「? はい?」 <お風呂あとお二人だけですので。お湯抜いておいてくださいな。 結標 「わざわざゴメンね」 番外個体 「……はー、仕切り直し? 風呂入ってくるかな」 結標 (今度こそ助かった……?) ~同日夜 きぬはた荘 バスルーム~ 結標 「で、結局どうするの?」チャプ 番外個体 「その前に。何当たり前のように一緒に入ってんの」 結標 「貴女出るの待ってたら遅くなるじゃない」 番外個体 「……何かしようとしたら放電s「するかボケ!」 結標 「別に一緒に入るのだって初めてじゃないでしょ」 番外個体 「一人になりたいときだってあるんですゥ」 結標 「お邪魔してゴメンなさいねー」 番外個体 「…………さっきの、話だけど」 結標 「うん?」 番外個体 「告白するとか、それより前にやることがあるような気がして」 結標 「なに?」 番外個体 「いや、どっちを先にすべきなんだろうなあ。そこよく分からないけど」 結標 「私には貴女が何言ってるか分からない」 番外個体 「」ブクブクブクブク 結標 「沈むな」 番外個体 「プハ……要は、私だけじゃないってこと」 結標 「ライバルってこと?」 番外個体 「うん。最小にして最大のライバルがいる」 結標 「ほっといても……ってワケにはいかないか」 番外個体 「そっちをどうするべきかと思ってて」 結標 「それとなく向こうの出方を窺ってみたら? ライバルさんと交流があるなら、だけど」 番外個体 (交流があるどころの話じゃねーぞ) 結標 (でもそれって……考えてみたら私にも言えることよね) 番外個体 (告白したとして。どっちに転んでも、最終信号に会いづらくなるよね……) 結標 (大覇星祭以来、あの義妹さん?とは仲良くさせてもらってるけど…… 一歩踏み込んだ時、これまで通りに接し合うことができるのかしら) 結標個体 「「はあ……どうしよ」」 ~30分後 きぬはた荘 リビング~ 番外個体 「うあー、のぼせた……」グッタリ 結標 「あぅー」グッタリ 番外個体 「淡希ー、部屋まで飛ばしてー」 結標 「無理ー、演算できる頭じゃない」 番外個体 「正直、このまま寝たい」 結標 「同感だけど、確実に風邪ひくわよー。髪も乾かしてないし……」 番外個体 「んなのいつもだし」 結標 「乾かせって言ってるでしょ」 番外個体 「ねー」 結標 「んー?」 番外個体 「私たち、どうなるのかなー」 結標 「どうなるのかしらね」 番外個体 「結局さー……フォローがどうとかって話してたけど」 結標 「けど?」 番外個体 「それってさ、ただの欲張りだよね」 結標 「……そうよね。でも、何も失いたくないって思うのは当然のことよ」 番外個体 「そうだけど……そうじゃなくて……」 結標 「言いたいことは分かるわよ。自分は傷つきたくない、他の人も傷つけたくない。 そんなのは都合がよすぎませんかってことでしょ」 番外個体 「そんな感じ」 結標 「別にいいじゃない。ちょっとぐらい欲張ったって」 番外個体 「……そうなのかな」 結標 「そうなのよ」 番外個体 「断言したね」 結標 「だって私、欲張りだもの」 番外個体 「はは、そりゃ結構なことで」 結標 「……ねえ、真琴。ツラくなったらいつでも言いなさい」 番外個体 「淡希もね」 ~翌日 第7学区 とある病院 屋上~ 結標 「」カシュッ 結標 「……ふう」 <キィ バタン... 結標 「おかえり。検査は終わったの?」 番外個体 「うん。いつも通り」 結標 「そ、よかったわね。ほら、奢りよ」ポイッ 番外個体 「(パシッ)糖分増量カフェオレ? 趣味悪ーい」 結標 「イヤなら返しなさい」 番外個体 「いただきまーす」カシュッ 結標 「それ、私でもどうかと思うぐらい甘いのよね」 番外個体 「…………うぇっ、激甘」 結標 「甘すぎないほうが丁度いいかしら? コーヒーも人間関係も」 番外個体 「微糖ぐらいがいいでしょ。ブラックみたいに苦い関係も微妙だし」 番外個体 「にしても、なんで寒空の下で待ってたの? 中にも待合室ぐらいあるのに」 結標 「こっちの方が人が少なくて落ち着くのよ……ちょっと寒いけど」 番外個体 「寒さには弱いんだね、露出狂なのに」 結標 「なんか言った?」 番外個体 「別に」 結標 「貴女、この後は?」 番外個体 「午後からバイト。だから、わざわざ病院まで付いてきてくれなくてもよかったのに」 結標 「別に貴女のためだけじゃないもの」 番外個体 「なに、なんか用があるの?」 結標 「んー、お見舞い?」 番外個体 「ふーん」 結標 「もう病院の食堂空いてるでしょ? お昼ぐらい付き合いなさい」 番外個体 「ま、それぐらいの時間はあるかね」 結標 「行きましょうよ。混む前にさ」 ~とある病院 食堂~ 結標 「にしても今朝は散々だったわ」 番外個体 「まさか二人してリビングで寝ちゃうとはね」 結標 「しかも暖房つけっぱなしよ。滝壺さんに怒られちゃった」 番外個体 「あの状態で寝るなっつうほうが無理」 結標 「まあね。でも、第一発見者が滝壺さんで良かったわ」 番外個体 「海原さんか浜面さんだったら確実に死んでた。恥ずかしさで」 結標 「あられもない姿だったものね。風邪ひかずに済んだのも幸運だわ」 番外個体 「ホントだよ……あ、やば! もう行かないと!」 結標 「飛ばしてあげよっか?」 番外個体 「いや、ここからなら近いから大丈夫」 結標 「頑張りなさい。色々とね」 番外個体 「そっちもね」 <ダダダダダ <おい、そこのバカ!病院でパルクールしてんじゃねぇ!(ズガン) <その病院でビーム撃つ人に言われたくないし! 結標 「……さて、私も行きますか」 結標 (と言っても、何話すかなんて考えてないけど) 結標 「ま、なんとかなるわよね」 【伝票】<ハーイ 結標 「……あれ?」 結標 「真琴、自分の分ぐらい払っていきなさいよ……」 : : : 結標 「着いた着いた」コンコン <誰だ? 結標 (悪意がないのはもう知ってるけど……もうちょっと言い方ってものをね) 結標 「入るわね」ガラッ ショチトル 「ああ、貴女だったのか」 結標 「ええ、調子はどう?」 ショチトル 「変わりはない。良くも悪くもな」 結標 「でもちょっとずつよくなってるんじゃない?」 ショチトル 「あぁ……今日は、一人なのか?」 結標 「あら、やっぱりお兄ちゃんがいないと寂しい?」 ショチトル 「そっ、そそ、そんなんじゃない! むしろいない方が静かでいい!」 結標 「そんなこと言ってると、私がもらっちゃうわよ?」 ショチトル 「え?」 結標 「あ」 ショチトル 「も、もら、え、もらうって、え?」 結標 (口が滑っちゃった) ショチトル 「お、お兄ちゃんはダメー!」 結標 「ちょ、ちょっと落ち着いて!」 ~5分後~ ショチトル 「取り乱して済まなかった」 結標 「いえ、気にしないで」 結標 (さっきのが紛れもない本音なのよね) ショチトル (油断していたとはいえ、私はなんということを……) 結標 「やっぱりお兄ちゃんを取られるのは我慢ならないんだ」 ショチトル 「そ、そうではない! そうではなくて……あの」 結標 「あの?」 ショチトル 「そうだ! あのロクデナシに引っかかる犠牲者を増やしたくないんだ!」 結標 「それで"お兄ちゃんはダメ"?」 ショチトル 「そ、そういうことだ」 結標 「うん、貴女がお兄ちゃん大好きなのはよく分かったわ」クスクス ショチトル 「」 結標 (……心苦しいわね、三角関係ってのも。でも……) 結標 「でも、私も好きなのよ?」 ショチトル 「……やっぱりな」 結標 「もっと驚いてくれると思ってたのに」 ショチトル 「貴女の前では隠し事もムダだからな。私は顔にすぐ出るんだろう?」 結標 「そんなことも話してたわね」 ショチトル 「なあ、分かっているんだろう? あの男は偽物だぞ?」 結標 「承知の上よ」 ショチトル 「だったらなぜ……」 結標 「子どもには分からないかしら?」 ショチトル 「なっ、はあぁ!? 大して違わないくせに!」 結標 「でもお姉さんのほうが年上よ?」ニヤニヤ ショチトル 「ちょっとだけ! ちょっとだけじゃないか!」ムキー 結標 「ちょっとだけでも年上は年上だもん」 <ワギャー <ビャース 冥土帰し 「……ふむ、賑やかだね?」 ~第7学区 隠れ家的喫茶店~ <カランカラン♪ 番外個体 「お大事にー」 マスター 「ミサワさん、間違っているのである」 番外個体 「……失礼しました。素で間違えました」 マスター 「少々疲れているようであるが」 番外個体 (昨日熟睡できてないからかな……) マスター 「病院帰りということもあるし、あまりは無理はしない方が良い」 番外個体 「大丈夫ですよー、病院って言っても検査だけですから」 <カランカラン♪ 番外個体 「いらっしゃいませー」 打ち止め 「いらっしゃいましたー、ってミサカはミサカはきちんと挨拶してみる」 番外個体 「あれ? 最終信号? 一人なの?」 打ち止め 「うん、黙って出てきちゃった! ってミサカはミサカはほくそ笑んでみる」 番外個体 「それって大丈夫なのかな……」 マスター 「注文は」 打ち止め 「グレープフルーツジュース! ってミサカはミサカは元気よく頼んでみる」 マスター 「了解した」 番外個体 「お金あるの?」 打ち止め 「あの人がくれたお小遣いがあるよ! ってミサカはミサカはゲコ太財布を見せつけてみる!」 番外個体 「ちょっと見せて……ねー、マスター」 マスター 「なんであるか」 番外個体 「これぐらいの歳の子に、小遣いとしてクレカ一枚ってどう思います?」 マスター 「よろしくないであろう」 番外個体 「ですよねー」 打ち止め 「?」 マスター 「」カチャカチャ 打ち止め 「? ミサカ、ケーキは頼んでないよ? ってミサカはミサカは目の前に置かれたケーキを凝視してみる」 マスター 「試作品である。故に、代金は感想で頂くのである」 打ち止め 「マスターのおじさん、ありがとー! ってミサカはミサカは飛びついてみる!」ピョーン マスター 「//」 番外個体 (マスター……) 打ち止め 「あ、それでねそれでね。今日はワーストに用事があるの! ってミサカはミサカはケーキに手をつけてみる」 番外個体 「?」 打ち止め 「ワーストもあのひふぉのほとってみはははみははは」 番外個体 「こら、飲み込んでから喋れ」ズビシッ 打ち止め 「……うー、ミサカにチョップはあの人専用なのに!」 番外個体 「で? 何?」 打ち止め 「ワーストもあの人のこと好きなんだよね? ってミサカはミサカは周知の事実を述べてみる」 番外個体 「は……な、なんで今その話をするのかな……」 打ち止め 「ふふーん」 ~同日夜 きぬはた荘 バスルーム~ 番外個体 「」ブクブクブクブク 結標 「」チャプ 番外個体 「だからなんでいるんだよぉ!」 結標 「さっさと入って、さっさと寝たいのよ」 番外個体 「好きにしろ、もう」 結標 「……今日ね、告白してきちゃった」 番外個体 「」ドボン 結標 「おい」 番外個体 「プハー……驚いてコケちゃったよ。海原さんに?」 結標 「ううん、妹さんに」 番外個体 「……淡希、闘わなきゃ現実と」 結標 「どう解釈してるのよ、貴女は」グイ バシャ 番外個体 「モボガボゴボガブボガブ」ジタバタ 番外個体 「ぇほっ……殺す気か!」 結標 「変なこと言うからでしょ」 番外個体 「はあ、それで? どういう意図でやらかしたの?」 結標 「正直……深く考えてなかった」 番外個体 「なんだそれ」 結標 「会話の流れの中で、つい言っちゃったというか」 番外個体 「……それ、後々ややこしくならない?」 結標 「なるようになるわよ。中々進展しないから、とにかく動きたかったの」 番外個体 「一石を投じる、ってヤツ? さあ、この先どう動くのかねぇ」 結標 「さてね……貴女はどうしてるのよ」 番外個体 「……何もなくはない」 結標 「あら、聞き捨てならないわね」 番外個体 「でもヒミツ」 結標 「ずるい! 私だって話したでしょ!」 番外個体 「聞いてないもん。そっちが勝手に話し始めたんでしょ」 結標 「ぐぬぬ……」 ~30分後 きぬはた荘 リビング~ 番外個体 「はー、風呂上がりに飲む冷えた缶コーヒーのうまいこと」 結標 「コーヒーばっか飲んでるとペッタンコになるわよ」 番外個体 「あれは都市伝説と解釈した」 結標 「信じる信じないは自由だけどねー」ズズ... 番外個体 「だったら、淡希こそコーヒーを飲みまくるべきじゃない?」 結標 「なんでよ」 番外個体 「邪魔でしょ? そんなにあったら」 結標 「…………なに、羨ましいの? 僻んでるの?」 番外個体 「は? そ、そんな訳……」 結標 「そーだもんねー、貴女は性格や顔つきと真逆で胸は慎ましやかだもんねー」 番外個体 「」ヒクッ 結標 「ゴメンねー、すぐ気付いてあげられなくってー」タユン 番外個体 「……もう許さん」 結標 「えっ? ちょ、目が笑ってないわよ? ねぇ、冗談……ひっ……!?」 結標 「」プスプス 番外個体 「……」 番外個体 (最終信号はどういう意図があって、あんな話をしたんだろ) ~遡ること半日~ 番外個体 「は……な、なんで今その話をするのかな……」 打ち止め 「ふふーん」 番外個体 (え、何この勝ち誇った笑みは) 打ち止め 「ワーストって、いつもあの人誘っては断られてるよね? ってミサカはミサカは核心をついてみる」 番外個体 「!?」 マスター (気配が変わったであるな。痛いところをつかれたか) 番外個体 「……で? それがどうかした? あなたには関係ないでしょ?」 打ち止め (う、ちょっと恐いかも……) マスター 「ミサワさん、少々大人気ないであるぞ」 番外個体 (あー、そうだよ。誘っては断られ、今年に入ってから3連敗、通算11連敗中だよ) 番外個体 (大覇星祭のときは向こうから誘ってくれたのにな……あれ? でも考えてみたらそれ以来……) 番外個体 「…………どうせ」ウルウル 打ち止め 「あっ、違う、違うの! ミサカの話聞いて! ってミサカはミサカはワーストのエプロンを引っ張ってみる」グイグイ 番外個体 「話って……?」 打ち止め 「んーと、どこから話そうかな……」 番外個体 「……いいんだよ、最終信号。私にも問題はあったんだろうし」ナデナデ 打ち止め 「え?」 番外個体 「やっぱり、あの人にとって私は」 打ち止め 「違うってばー!」ポカポカ マスター 「ミサワさん、やはり今日は本調子ではないようであるな」 番外個体 「そんなことは……」 マスター 「無理はするものではない。今日は帰って休むのである」 番外個体 「ご、ゴメンなさい……」 マスター 「この子の飲食分は給料から天引きしておくであるから、安心するのである」 番外個体 「……ぎゃふん」 : : : 番外個体 (何やってるんだかなぁ……) 番外個体 「」ズーン 打ち止め 「ワースト、大丈夫? ってミサカはミサカはあまりの落ち込みっぷりに若干引いてみる」 番外個体 「」ポケー 打ち止め 「ね、ねえ、そのままでいいから聞いて、ってミサカはミサカは本題を切りだしてみる」 番外個体 「んー?」 打ち止め 「あの人はね、ワーストが嫌いだから断ってるんじゃないよ! ってミサカはミサカは真相を述べてみる!」 番外個体 「それってどういう……」 <あ、いやがったなクソガキ! 番外止め 「「!?」」 一方通行 「テメェ、フラフラと出歩きやがって! 何考えてやがる!」 打ち止め 「あっ、もしかして探しにきてくれたの!? ってミサカはミサカはBダッシュ!」 一方通行 「ったく……悪かったな、また世話かけちまって」 番外個体 「……ううん、いいよ」 一方通行 「何シケたツラして……」 一方通行 (やっぱ気にしてンのか?) 番外個体 「私もう帰るね」 一方通行 「あ、あァ」 打ち止め 「……」 ~今に至る~ 番外個体 「あぁぁぁ、なんであんな言い方しちゃったんだよぉぉぉ!」 結標 「あいたたた……」 番外個体 「でもあの人もさ……ちょっとぐらい引き止めてくれたっていいじゃん」 結標 「あ! 服コゲちゃってるじゃない!」 番外個体 「うーーー」ジジジジ 結標 「ちょっと漏電やめてよ。こっちは電気がトラウマになりかけてるんだから」 ~数日後 とある病院~ ショチトル 「」ペラペラ ショチトル 「この雑誌も読み飽きたな」ポイ ショチトル 「……」 ――でも、私も好きなのよ? ショチトル 「冗談には聞こえなかった……」 ショチトル (お兄ちゃんを取られる?) ショチトル 「……でも、あの人は私とも姉妹みたいに接してくれるし……」 ショチトル 「どうすれば……」 <コンコン ショチトル 「? 誰?」 <ガラッ 海原 「やあ、調子はいかがですか」 ショチトル 「なんだ、エツァリか」 海原 「? 今日は機嫌が悪いようですね」 ショチトル 「そんなことはない」 海原 「まあまあ、お土産に鳩山サブレを持ってきたので、これで機嫌を直してください」 ショチトル 「食べる」 海原 「どうぞ、たくさんありますからね」 ショチトル (人がこんなに悩んでるというのにこいつは……)サクサクサクサク 海原 「今日はいい天気ですね。屋上にでも出ますか?」 ショチトル 「寒いからいい。なあ……それより」 海原 「はい、牛乳ですね」 ショチトル 「違う! 例えば、例えばだぞ? 例えばの話なんだが」 海原 「?」 ショチトル 「異性から好意を向けられている時、エツァリならどうする?」 海原 「ほう、難しい質問ですね」 ショチトル 「……」 海原 「分かりませんね。生まれてこの方、女性に好かれたことがないので」 ショチトル (本気で言ってるの!?) 海原 「どうも僕は、そういう星のもとに生まれたみたいですね」ニコニコ ショチトル (なんだか、一人で悩んでるのがアホらしくなってきた) ショチトル (……そっか。そもそも悩む必要なんてなかったんだ) ショチトル (決めるのはお兄ちゃんなんだから) 海原 「しかし、なぜそんな質問を?」 ショチトル 「さあな。だが、これだけは言っておく」 海原 「はい?」 ショチトル 「身近にありすぎると、逆に気付きづらいものなんだ」 海原 「?? はあ、わかりました」 ショチトル (お兄ちゃんが選ぶのが、私かあの人か) ショチトル (どんな結果でも、お兄ちゃんが決めたことなら受け入れる……) ~その頃 きぬはた荘 番外個体個室~ 番外個体 「……」 ――ワーストが嫌いだから断ってるんじゃないよ! 番外個体 「……じゃあ、なんで来てくれないの? もう、わからないよ」 番外個体 「悩んでてもどうにもならない、よね。こうなりゃ一世一代の大博打だ」カチカチ 件名: 日付:20yy/m/d 15 25 ─────────────── 話したいことがあるの。 明日の朝8時ぐらい、会えないかな。 コンコン ガチャ 番外個体 「送信、っと……」 番外個体 (……まさか、これも、ダメ……?) 番外個体 「あ、返事きた。返信はいつも早いんだよね」 差出人:いっつう misaka-love@mnw.ne.jp 件名:Re 日付:20yy/m/d 15 28 ─────────────── 朝は寝るもんでしょうが 番外個体 「ッ……!」 番外個体 (……泣いちゃダメ……今度ばかりは食い下がらないと)カチカチ 件名:Re Re 日付:20yy/m/d 15 31 ─────────────── お願い。15分だけでもいいから。 番外個体 「……」ピッ 番外個体 (お願い……!) 差出人:いっつう misaka-love@mnw.ne.jp 件名:Re Re Re 日付:20yy/m/d 15 32 ─────────────── どこ行きゃいいですか 番外個体 「!」 番外個体 「あ、あの公園のベンチで……」カチカチ 番外個体 「送信……」ピッ 番外個体 「……ふはぁ」ヘナヘナ 結標 「終わった?」 番外個体 「ふぎゃぁぁ!?」ビックゥ 結標 「そんな驚くことないでしょ」 番外個体 「テレポで侵入しないでよ!」 結標 「ドアから入ったわよ。でも貴女、携帯いじるのに夢中で気付かなかったんじゃない」 番外個体 「……マジ?」 結標 「それよりどうしたの? なんか深刻な表情してたけど」 番外個体 「……明日の朝、アイツに会えることになった」 結標 「あら、やったわね」 番外個体 「もう全部、洗いざらいブチまけてこようと思う」 結標 「そう……じゃあ、気合入れていかないとね」 番外個体 「服とか?」 結標 「それもだけど、他にもあるでしょ?」 番外個体 「?」 結標 「明日の朝、私の部屋に来なさい」 番外個体 「なんかあんの?」 結標 「ふふっ、ぱふぱふしてあげる」 ~翌朝 きぬはた荘 結標個室~ 番外個体 「来たけれども」 結標 「じゃあ、そこに座って」 番外個体 「?」ストン 結標 「ちょっと前髪あげるわよ……で、髪留めで」バチン 番外個体 「いてて。なにするつもりなの?」 結標 「メイクアップ」スチャ 番外個体 「メイク……化粧なんてするの初めてだよ」 結標 「いい機会だから、最低限のメイクぐらい覚えなさい」 番外個体 「気が向いたらね」 結標 「いずれ必要になるわよ? ちょっと目閉じて」 番外個体 「生きてる内に、こんな着飾る日が来るなんて思ってなかったな」 結標 「大袈裟なのよ」 : : : 結標 「うん、こんな感じでどう?」つ【鏡】 番外個体 「……うっわ。ここまで印象変わるんだ」 結標 「時間あれば、眉毛もいじりたかったんだけどね」 番外個体 「そこまでしなくても……」 結標 「ほら、仕上げぐらいは自分でやりなさい」 番外個体 「? なにこれ? 印鑑?」 結標 「バカ、リップよ。それはあげるわ。ちなみに、新品だからね」 番外個体 「別に古いので良かったのに」ヌリヌリ 結標 「そしたら間接キスすることになるじゃない」 番外個体 「……新品ありがと」 結標 「できたわね。いい感じじゃない」 番外個体 「変じゃないかな」 結標 「ギャップ萌えって知ってる? 普段ラフで横着な貴女がこうすることによって」 番外個体 「うるさい、ほっといてよ」 結標 「……ほら、もう行きなさい」クスッ 番外個体 「……行ってくる」 結標 「結果を楽しみにしてるわね」 番外個体 「うん」 結標 「泣きたいんであれば、胸ぐらいは貸してあげるから」 番外個体 「そうならないといいんだけどね」 ~同日 第7学区 とある公園 ベンチ~ 番外個体 「……ちょっと早かったな」 番外個体 「ここ、学園都市に来てから初めてあの人と話した場所で」 番外個体 「ピアスをもらったのもここだったね」 番外個体 「」ポスン 番外個体 「ここまで来たんなら考えてもムダだよね」 番外個体 「思ったまま言え、って言ってたし」 番外個体 「……お、来たかな」 番外個体 「深呼吸深呼吸……」 ザリッ 番外個体 「やっほう。お早い到着だね」 一方通行 「待たせちまったか?」 番外個体 「いんや、全然。さっき来たばっかだし」 一方通行 (なンだこいつ……いつもと感じが違くねぇか……?) 番外個体 (う、ダメだ……心臓がバクバクいって喉から飛び出そう……) 一方通行 「で? 人をこんな早朝に呼び出してなンの用だ?」 番外個体 「8時で早朝って……ま、いいや。んーと、まず」 一方通行 「なンだよ」 番外個体 「私が……ど、どっか誘っても来てくれなくなったのは、なんで?」 一方通行 「……」 番外個体 「あなたは数えてないだろうけど、11連敗だよ? 私に問題があるなら、言ってくれたほうがまだマシなんだけど」 一方通行 「オマエの問題じゃねェよ……チッ、やっぱ気にしてンのか」 番外個体 「……なにそれ。どういう意味?」 一方通行 「あー、なンだ。見ての通り、俺は杖なしじゃマトモに歩けねェ。 オマエが誘ってくるような人の多い場所に行くには向かねェ身体なンだよ」 番外個体 「もしかして……迷惑かかると思ってた?」 一方通行 「……オマエだって、介護したいワケじゃねェだろ」 番外個体 「………………ぷ」 一方通行 「あァ!? 今笑ったなァ!?」 番外個体 「だってだって! あなたそんなキャラだっけ? しおらしくなっちゃって。 やめなよ、似合ってないからさ」 一方通行 「テッメェ……人が気を使ってやってンだろォがァ!」 番外個体 「だから似合ってないんだって。……私たちには」 一方通行 「……?」 番外個体 (ちょっと笑ったら力が抜けた。感謝しないとね) 番外個体 「気を使い合って、遠慮し合うような仲でもないでしょ?」 番外個体 「憎まれ口たたき合って、小馬鹿にしたみたいに笑ってあげるほうが私たちっぽくない?」 一方通行 「……」 番外個体 「だから、私が隣にいる時ぐらいはあなたは何も気にしなくていい。 別にそれで迷惑だとか絶対に思ったりしないから」 一方通行 「オマエ……」 番外個体 「だって、私」 番外個体 (言え、言うんだミサカ!) 番外個体 「……あなたのことが大好きだから」 一方通行 「!?」 番外個体 「」プシュー 番外個体 (言ってやった言ってやった!) 一方通行 「オイ……頭のネジ外れちまったのか?」 番外個体 「……外れてるのは生まれつきだよ。本気で、言ってるんだから、ね?」 一方通行 「俺は……」 番外個体 「聞きたくない」 一方通行 「あァ?」 番外個体 「俺は悪党だとか、オマエの姉妹をどうとかいう話はいいよ」 番外個体 「それは百も承知。あなたが答えるべきは"イエス"か"ダー"のどっちか」 一方通行 「オマエそれどっちも肯定の返事じゃねェか……」 番外個体 「……今すぐじゃなくていいから、ちゃんと返事してね」 番外個体 「じゃ私、バイト行くから」ダッ 一方通行 「あ、オイ!」 一方通行 「なンなンだよ……」 ~第7学区 とある路地~ 番外個体 「はあはあ……う……」 番外個体 「……あれじゃ逃げてきたみたいじゃん」 番外個体 「でも、言えたよね」 番外個体 「思ってたことは全部……」 番外個体 「……よし、後は返事を待つだけ」 番外個体 「店に行かないと」 ~その頃 一方通行邸~ 一方通行 「」キィ バタン 打ち止め 「あ! どこ行ってたのー! ってミサカはミサカは出迎えてみる」 一方通行 「なンだ、起きてたのか」 打ち止め 「起きたらいないから心配したんだからね! ってミサカはミサカは!」ポカポカ 一方通行 「悪かった。コーヒーが切れてたからコンビニ行ってたンだよ」ナデナデ 打ち止め 「……でも、手ぶらだよね? ってミサカはミサカは訝しんでみる」 一方通行 「うるせェ。我慢できずに飲ンじまったンだよ」 打ち止め 「ふーん。それよりお腹すいたー! ってミサカはミサカは朝食を催促してみる」 一方通行 「はいはい、少々お待ちくださァい」 打ち止め (ホント、ウソはヘタなんだから) : : : 打ち止め 「ねーねー、今日はワーストのお店行かないの? ってミサカはミサカは今日の予定を確認してみる」 一方通行 「あー……どうすっかねェ」 一方通行 (バイト行くっつってたから、今日はいるンだよなァ) 打ち止め 「この間行ったらワーストお休みでガッカリしたよね、ってミサカはミサカは辛い思い出を噛み締めてみる」 一方通行 「ンなもン噛み締めンな」 一方通行 (ガッカリした……? してたのか? 俺は……) 打ち止め 「」ポイポイ 一方通行 「打ち止めさァん? なんで俺の皿にミニトマト投げ入れてるンですかねェ?」 ~数時間後~ 一方通行 「」ポケー ――ちゃんと返事してね。 一方通行 (何を……返事しろってンだよ) 一方通行 (アイツはああ言ってた。なら、俺はアイツをどォ思ってる?) 一方通行 (……俺はアイツを……だが……) 打ち止め 「ラストオーダープレーース!」ピョーン 一方通行 「ぐぼうェ!?」 打ち止め 「ってミサカはミサカはフィニッシュムーブを披露しt(ズビシ)ふぎゃ」 一方通行 「それヤメロって何度言ったらわかンだァ!」ズビシズビシズビシ 打ち止め 「痛い痛い! だってあなた、朝から上の空だから元気づけてあげようと思って!」 一方通行 「」ピタッ 打ち止め 「ワーストのこと? ってミサカはミサカはカマをかけてみる」 一方通行 「……オマエには関係ねェ」 打ち止め 「あなたはもっと自分に素直になるべき、ってミサカはミサカはアドバイスしてみる」 一方通行 「オマエは素直すぎンけどなァ」 打ち止め 「ねえ、聞いて。ミサカはね」 打ち止め 「あなたとずっと一緒にいたい。でもそれ以上に、あなたが普通の幸せを手に入れることを 願ってるんだよ? ってミサカはミサカはこれまで口にしなかった本音を暴露してみる」 一方通行 「……」 打ち止め 「あなたがもう少しで、自分の手で幸せを掴めるなら、それを掴んできてほしいの、 ってミサカはミサカは背中を蹴飛ばしてみる」ゲシッ 一方通行 「打ち止め」 打ち止め 「ひゃい!?」 一方通行 「ありがとな」ナデナデ 打ち止め 「ふにゃー」 一方通行 「ちょっと出てくる。夜までには戻るからな」 打ち止め 「いってらっしゃーい、ってミサカはミサカは元気よく見送ってみる!」 <バタン 打ち止め 「……頑張って、ってミサカはミサカは応援してみる」 打ち止め 「……」 打ち止め 「でもやっぱくーやーしーいー!!」バタバタ ~第7学区 隠れ家的喫茶店~ <最近平和で…… <いいことだ。 <それより聞いてよ。 マスター 「あのトリオ、最近ちょくちょく来るであるな」 番外個体 「三人のうち二人はよく知ってる顔なんですよね」 <カランカラン♪ 番外個体 「いらっしゃいm……って」 一方通行 「よォ」 番外個体 「い、いつものでいい?」 一方通行 「あァ」 番外個体 (まさか来るとは……)カチャカチャ 番外個体 「はい、お待たせ」 一方通行 「……さっきの返事だ。聞いてくれるか」 番外個体 「は? 今? ここで?」 マスター (なんか始まったであるぞ) 一方通行 「正直言うとな……オマエが望むような関係になれる自信はねェ」 番外個体 「……」 一方通行 「だが、オマエのことは好きだし護りたいと思ってる。そこに嘘偽りはねェよ」 番外個体 「えっ……」 一方通行 「何があろうともオマエを護ってやる。だから……」 番外個体 「……だから?」 一方通行 「ずっと傍にいてくれねェか?」 番外個体 「」パチクリ 番外個体 「……う、ぁ……」ポロポロ 一方通行 (な、泣くほどイヤか!? クソ、どこで失敗した……!) 番外個体 「一方通行ぁぁぁ!」ダキッ 一方通行 「え、オイ!?」 番外個体 「私が……私なんかで、よければ……ずっと傍に、いて……」グスグス 一方通行 「あー、まず泣きやめ」 番外個体 「うん……でも……1ついいかな……」 一方通行 「なンだ?」 番外個体 「すごく嬉しいよ、嬉しいけどさ……」プルプル 一方通行 「ン?」 番外個体 「なんで今ここで言うかなぁ~~!!」 一方通行 「……なンかマズかったか?」 番外個体 「周り見ろ周り!」 一方通行 「?」 土御門 「お父さんは認めないにゃー!」 結標 「」ニヤニヤ 海原 「」●REC マスター 「若さであるな」ウンウン 一方通行 「」 番外個体 「バイト先でこんな……もう嫁にいけない……」 結標 「そんな心配する必要ないじゃない。こいつがもらってくれるんだから」 一方通行 「あァ!? なンでそうなってるンだ!?」 海原 「なんでもなにも、さっきのはどう見てもプロポーズですよ」 土御門 「傍にいてくれねぇか」キリリッ 一方通行 「今死ね! すぐ死ね! 骨まで砕けろォ!!」カチッ <総員撤退だにゃー! <これ、披露宴で流します? <テメェらァァァァ!! <ケンカなら外でするのである。 結標 「……真琴、やったわね」 番外個体 「うん……ありがとね。次は淡希の番だよ」 結標 「分かってるわよ」クスッ ~同日夕方 第7学区 とある公園~ 番外個体 「まーったく、人のバイト先で何してくれてるんだか」 一方通行 「アレは悪かった。今思い出すと、ねェわって思える」 番外個体 「しかも淡希とか海原さんが居る前でさ」 一方通行 「ンでアイツらがいるンだよ……」 番外個体 「もうなに? 第一位は空気の読めなさも第一位だったりするワケ?」プギャー 一方通行 「返す言葉もございませン……」 番外個体 「……でも、嬉しかった」 一方通行 「……」 番外個体 「ね、出会ったときのこと覚えてる?」 一方通行 「これ以上ない最悪の出会いだったしなァ、そうそう忘れられねェよ」 番外個体 「私はあなたを殺すために造られた"元"軍用クローン」 番外個体 「今となってはそんなつもりは毛頭ないけど、あなたを殺していいのは私だけ」 番外個体 「なので、私より先に死ぬことは絶対に許さないからね?」 一方通行 「……ハッ、俺を誰だと思ってやがる」 番外個体 「んー、どうかな。あなた、能力は最強だけど身体は貧弱そのものだし」 一方通行 「ほっといてくれ」 番外個体 「肉ばっか食べるのは、やっぱ虚弱体質を気にしてるから?」 一方通行 「……口は減らねェな」 番外個体 「そう思うなら……塞いでよ。口をさ」 一方通行 「……後から文句言うンじゃねェぞ」スッ 番外個体 「それはあなた次第だと思うけど」 番外個体 (淡希、リップもらっといて正解だったよ) 一方通行 「こォいう時、眼閉じるもンじゃねェの?」 番外個体 「このままがいい。あなたの目って近くでみると綺麗だから」 一方通行 「……ンなこと初めて言われたわ」 番外個体 「何度でも言ってあげるよ?」 一方通行 「よしてくれ、痒くなる」 番外個体 「だったらほら、口をふさg……っ、ん……」 番外個体 (……もう幸せすぎて、怖いぐらい……) ~数日後 きぬはた荘 番外個体個室~ 番外個体 「それでね、一緒に寝よーって誘ったら部屋から追い出されちゃって」 結標 「……」 番外個体 「あんまりムカついたから、次の日の朝ごはんはあの人が大ッキライな ピーマンをふんだんに使ってあげて」 結標 「……」 番外個体 「それでも涙目になって食べようしてるところがまた……」 結標 「うん、その話を聞くのは今日6回目なんだけど」 番外個体 「え? そうだっけ?」 結標 「そうだっけじゃないわよ。それでなくとも幸せオーラ振りまいちゃって」 番外個体 「振りまいてるんじゃないよ、勝手に滲み出てくるんだよ」 結標 「同じよ!」 番外個体 「むー」 結標 「気持ちは分からなくもないけどね。ロシアから来て時間かけて、ようやく実ったんだし」 番外個体 「だよね」 結標 「でも程々にしておきなさい。白井さんとか血の涙を流してたわよ」 番外個体 「……善処する」 結標 「それより、いい加減あれ教えてよ」 番外個体 「あれって?」 結標 「決め手の一言」 番外個体 「」 結標 「ねー、なんて言ったの?」 番外個体 「あ、それは……」 結標 「後学のために、聞かせてほしいなー」 番外個体 「」ゴニョゴニョ 結標 「聞こえない」 番外個体 「……あなたの事が大好きだから」 結標 「あら、ストレートでいいじゃない」 番外個体 「……う」 結標 「? ちょっと?」 番外個体 「うああああ///」バタバタ 結標 (何これ可愛い) 番外個体 「……今にして思えば、よく言えたもんだよ」 結標 「そんなもんよ」 番外個体 「で、淡希はどうするつもりなの?」 結標 「それなんだけどね……」 番外個体 「?」 結標 「明日、食事に行く約束を取り付けてるの」 番外個体 「そこで、ってこと?」 結標 「どのタイミングか……どっちみち、その日のどっかで決着は付けてくるわよ」 番外個体 「……どう伝えるつもりなの?」 結標 「貴女に言ったとおり、思ったまま言ってくるわよ」 番外個体 「うん、それでいいと思う」 結標 「はあ……今日眠れるかしら」 ~翌日夕方 第7学区 隠れ家的喫茶店~ 番外個体 「まさか、ここで待ち合わせするとは……」 結標 「だってここ、縁結びのご利益がありそうじゃない」 マスター 「あんなことがあったであるからな」 番外個体 「……すいません」 マスター 「責めてるつもりはない。若さとは良い物である」 結標 「ね、今日の服装、変じゃないかな?」 番外個体 「いや……いいんじゃないかな。ていうか」 結標 「?」 番外個体 「いつもの露出狂趣味はどこに行ったやら」 結標 「露出狂じゃないって何度言えば分かるのよ!」 番外個体 「マスターはどう思います?」 マスター 「落ち着いていて良いのではないか」 結標 「さすが、マスターは分かってらっしゃるわ」 番外個体 「で、今日のプランは考えてあるの?」 結標 「それなりにはね」 <カランカラン♪ 番外個体 「いらっしゃいませ……あ、海原さん」 海原 「おや、先を越されていましたか」 結標 「時間通りね」 海原 「すいません。もう少し早く来るつもりだったんですが」 番外個体 「何か頼む? それともそのまま行く?」 海原 「何も頼まないのも失礼ですしね。烏龍茶を1つ」 番外個体 「はいはーい」 結標 「今日はどういうお店に連れて行ってくれるの?」 海原 「色々考えたんですが、やはり結標さんのご意見も伺いたいかと」 結標 「私は別に……なんでもいいけど」 海原 「うーん、一番困る返答ですね」ニコニコ 結標 「あっ、じゃあ……魚」 海原 「心得ました。魚料理なら、評判のいいお店を知ってますよ」 番外個体 「お待ちどうさま」カチャ 海原 「あ、いただきます」 結標 「それ飲み終わったら行きましょうよ」 海原 「ええ、そうしましょうか」 : : : 番外個体 「はい、まいどどうも」 海原 「ごちそうさまでした」 番外個体 (……淡希、頑張って)チラッ 結標 「」コクリ <カランカラン♪ マスター 「……あの二人も、そういうアレであるか」 番外個体 「そういうアレです」 ~同日 第5学区 とあるレストラン~ 結標 「へー……貴方と来ると、いつも落ち着いて雰囲気のお店よね」 海原 「ええ、どうしてもそうなってしまいますね」 結標 「ガヤガヤしてるよりはずっといいわね」 海原 「結標さんは静かなところがお好きかと思いまして」 結標 「えっ……あ、よくわかってるじゃない」 海原 「さて、何にしましょうか?」 結標 「んー、どうしよっかなー」ペラペラ 海原 「……」 結標 「♪」 海原 「……」ジー 結標 「? ど、どうしたの?」 海原 「あぁ、いや、なんでもないですよ」 海原 (気のせいか、いつもと雰囲気が違いますね) 海原 「それにしても、先日の事件は驚かされたましたね」 結標 「事件?」 海原 「あの喫茶店での出来事ですよ」 結標 「ああ、あれね」 海原 「まさか、彼の口からあんな言葉が飛び出るとは」 結標 「んー、でもあそこまでキッパリと言われるとすごい嬉しいと思うわよ?」 海原 「結標さんでも言われれば嬉しいですか?」 結標 「そりゃね」 海原 「……」 結標 「……どうしたの、さっきから」 海原 「あ、すいません。ちょっと考え事を」 結標 「人と話してる最中に考え事って……失礼ね」 海原 「はは、これは失礼しました」 海原 (どうにも……先日、ショチトルが言っていたことを思い出してしまいますね) 海原 (ですが……) 結標 「そういえば、妹さんの調子はどうなの?」 海原 「えっ、ええ。経過は順調だそうですよ」 結標 「そう、よかったわね。……あれぐらいの歳だと、もっと色々したいでしょうに」 海原 「そうですね。結標さんと会えるのがいい刺激になってるみたいですよ」 結標 「私が?」 海原 「いつぞや、姉ができたようだと言っていましたよ」 結標 「そんな、大したことしてないのに」 海原 「ですが、いい方向に向かっているのは確かですよ。僕からもお礼を言わせてください」 結標 「だったら私と……」ゴニョゴニョ 海原 「?」 結標 「ご、ゴメンなさい。なんでもないの」 結標 (まだ言うには早いわね……) 海原 「? は、はあ」 結標 「ね、この後ってどうするつもりなの?」 海原 「この後ですか? 特に考えていませんが」 結標 「ちょっと……ちょっとだけでいいの。付き合ってくれない?」 海原 「構いませんよ」 結標 「そう、悪いわね」 海原 「いえいえ、お気になさらず。どちらに向かうんですか?」 結標 (どこか人が少ない場所……となると) 結標 「家の近くの公園は? 初日の出を見た場所」 海原 「はい? そんなところに?」 結標 「なんかおかしい?」 海原 「いえ、どこかのお店だと思っていたものですから」 結標 「残念だったわね」クスクス 海原 「しかし、そんなところに行って何を?」 結標 「……話があるの。すっごい大事な話」 海原 「?」 結標 (いよいよね) ~2時間後 第7学区 とある公園~ 結標 「夜は冷えるわね……」 海原 「まだ1月ですから」 結標 「ねえ、手が冷たいんだけど。気がきいてないわね」 海原 「おっと、これは失礼しました」ギュッ 結標 (……緊張してきた) 海原 「ところで、お話というのは?」 結標 「……まず、これから言う事は嘘でも冗談でもないからね」 海原 「はい」 結標 「貴方にとっては耳を疑うような話かもしれないけど、真剣に聞いてほしいの」 海原 「心得ました」 結標 (……落ち着いて、思ったまま言うのよ) 結標 「私、前から貴方の事が好きだった」 海原 「……は、え?」 結標 「いつからかしらね……自分でもよく分からないけど。でも、ね」 海原 「……」 結標 「貴方が、私が作った料理を黙って食べてくれたとき、すごく嬉しかったのは覚えてる」 海原 「あの、結標さん」 結標 「どうしたの?」 海原 「僕の正体をご存知なのでは? この顔だって借り物」 結標 「貴方、私が顔だけでここまで決心すると思ってるの?」 海原 「そうではありませんが」 結標 「だったら!」ガシッ 海原 「」ビクッ 結標 「貴方の化けの皮、今この場で力ずくでひっぺがしてやってもいいのよ!?」 海原 「……」 結標 「その上で、何度だって言ってあげるわ! 貴方のことが好きだって!」 海原 「……」 ――身近にありすぎると、逆に気付きづらいものなんだ。 海原 (まさか、ショチトルが言わんとしていたことは……) 結標 「……ねえ、なにか言ってよ」 海原 (僕は……) 結標 「どんな答えでも聞く覚悟はできてる。だから、返事を聞かせて」 海原 「……それより先に、やることがありますので」パキン 結標 「えっ」 海原 「一大決心に対して、偽装したまま返答するのは不誠実でしょう?」パキパキパキパキパキ 結標 「……」 海原 「……うん、この顔を人目にさらすのも久しぶりですね」ペタペタ 結標 「なんで……目が赤く光ってるの?」 海原 「すぐ戻ります。お返事はその後に」 結標 「……分かった」 ~きぬはた荘 番外個体個室~ 番外個体 「」ゴロゴロ 番外個体 (淡希はちゃんとやったんだろうか……) 番外個体 (考えてみたら、淡希の場合って事情が複雑だよね) 番外個体 (同じ家に住んでる以上、フラれた場合は気まずいってレベルじゃないワケで……) [[携帯電話]]<ユーガットメイル! 番外個体 「お?」ピッ 番外個体 (淡希から……?) 差出人:あわきん move_point@comodo.ne.jp 件名: 日付:20yy/m/d 21 38 ─────────────── \(^o^)/ 番外個体 「……」 番外個体 「?」 ~時は少し遡り 第7学区 とある公園~ 海原 「戻りましたかね」 結標 「ねえ、顔よく見せて」 海原 「なんだか照れますね」 結標 「……なによ、すごいイケメンじゃない」 海原 「がっかりさせてしまいましたか?」 結標 「自分の顔に自信がなくて、イケメンの顔借りてると思ってたから」 海原 「ご期待に沿えなかったようで」 結標 「でも、こっちの方が好みかな」 海原 「おやおや、光栄ですね」 結標 「で?」 海原 「?」 結標 「私は思いを伝えた。貴方の返事は?」 海原 「やはり逃がしてはもらえませんか」 結標 「当然よ。こっちがどれだけ悩んでここまで辿り着いたと思ってるの」 海原 「……結標さんがご満足頂けるような返答を出来るかはわかりません」 結標 「……」 海原 「なにぶん隠し事が多い身ですから。このまま結標さんのお気持ちを受けるのも気が引けます」 結標 「そう……」 結標 (ダメ、ってことかぁ) 結標 「じゃあ、この話はお終いね」 海原 「はい? あの、まだ」 結標 「ゴメン、先帰ってて」タッ 海原 「あ、ちょっと……」 フッ 海原 「……」 海原 「……何かまずかったのでしょうか」 海原 「とにかく探しにいきませんと」 海原 (時間も遅いですし、スキルアウトに絡まれでもしたら……) 海原 (……まあ、結標さんなら問題ないでしょう) 海原 (ですが、放っておくわけにもいきませんか) 海原 「いえ、放っておけない、と言ったほうが正確ですね」 海原 (まだ、僕の返事は終わっていないのですし……) 海原 (これを機に、僕も前に進むとしましょう) 海原 「となると、なんとしてでも見つけないといけませんね」 ~30分後 第7学区 某所~ 結標 「……」コツコツ 結標 「あれじゃ逃げてきたみたいじゃない」 結標 「……いや、みたいじゃないわね。逃げてきたのか」 結標 (決定的な一言が聞きたくなかったから) 結標 「……」カチカチ ピッ 結標 「って、何してんの……こんな顔文字だけのメール送られても困るでしょうに」 結標 「ええと、どう送ればいいかしら」 結標 ("ダメだった。ちょっと気持ち落ち着けてから帰る"……)カチカチカチカチ 結標 (……やだ、メール打ってたら泣きそうになってきちゃった) 結標 「もう……バッカみたい」 <あっ、結標さん 結標 「?」 海原 「探しましたよ……座標移動で逃げられては適いませんね」 結標 「なっ……どうして?」 海原 「? どうしてと申されますと?」 結標 「何しに来たのよ……」 海原 「まだ僕の話は終わっておりませんので」 結標 「……」 海原 「先程の続きです。聞いて頂けますか」 結標 「……うん」 海原 「結標さんのお気持ちは正直に嬉しいのも確かです」 結標 「えっ」 海原 「結標さんさえよろしければ」 結標 「……?」 海原 「お互いをよく知り合うところから始めませんか?」 結標 「えっ、それって……」 海原 「これからも、末永くよろしくお願い致します」ペコリ 結標 「」 海原 「?」 結標 「」 海原 「? あの」 結標 「」スパーン 海原 「ごふっ」 結標 「何よ! なんなのよ! 嫌われたのかと! 本気で思ったじゃない!」 海原 「そ、それは最後まで聞いて頂けないから」 結標 「この……バカァ!」ポカポカ 海原 「……あの……泣いておられるんですか?」 結標 「泣いてない!」グスッ 海原 「泣いてますよね」 結標 「うー……女の子泣かせた責任ぐらいは取りなさいよ」 海原 「出来る限りは」ニコニコ : : : 結標 「はい、烏龍茶でいいの?」 海原 「いただきますね。いや、走りまわったお陰で喉がカラカラです」 結標 「ゴ、ゴメン……」 海原 「そういえば、前にもこんなことがありましたよね」 結標 「あぁ、水族館に行った帰りね」 海原 「あの時は突然飛ばされたものですから、驚きましたよ」 結標 「……ねえ、あの時と同じことやってもいい?」 海原 「また飛ばされるんですか?」 結標 「そっちじゃなくて!」 海原 「?」 結標 「いいから、少しの間目閉じて」 海原 「ええ」パチリ 結標 「いいって言うまで開けないでよ」 結標 (よっと……あれ? なんか……)グッ 結標 「身長縮んだ?」 海原 「真似ていたのは顔だけではないということです」 結標 「へえ……やっぱこっちのほうがいいわね」 海原 「そんなもんですかね?」 結標 「そんなもんなの」 結標 (あの時はほっぺただっだけど……今日は、いいわよね) 結標 「……っ……」 結標 (しちゃった、唇に) ガシッ 結標 (え、なっ、なんで!? 抱きしめ……) 結標 「う、なばら……」 海原 「この顔でも海原と呼ばれるのは不思議な気分ですね」 結標 「だって……他の名前知らないもの」 海原 「本当の名前はエツァリといいます」 結標 「……言いにくいわね」 海原 「そう言わないでくださいよ」 結標 「とりあえず、離してよ……顔の距離が数cmは会話するには近いわ」 海原 「おっと、これは失礼しました」 結標 「もう……それで、名前だっけ?」 海原 「名前というか顔、ですね。こちらの方が好みと褒められましたし」 結標 「海原として過ごせばいいんじゃない? みんなだってびっくりするでしょ」 海原 「そうですね……悩ましいところです」 結標 「それに、さ」 海原 「?」 結標 「今の家で貴方の本当の顔を知ってるのは私だけ。それってなんか気分がいいし」 海原 「なるほど、そういう見方もありますか」 結標 「でも、そうね」 結標 「私と二人きりの時と、妹さんの前でぐらいは素顔でいてほしいかな」 海原 「仰せのままに。そんなに手間がかかる話でもありませんしね」 結標 「じゃ、ほら。帰りましょ」ギュ 海原 「そうですね、もうこんな時間ですし」 結標 「せめて、家の近くまでは今のままでいてよ」 海原 「ええ、そうさせて頂きます」 結標 「……これからも、よろしくね」スリスリ ~数日後 きぬはた荘 バスルーム~ 結標 「」ブクブクブクブク 番外個体 「もう突っ込む気も起きない」 結標 「でも、よかったわね」 番外個体 「何が?」 結標 「私たち、片方だけフラれてたらどうなってたかしら……」 番外個体 「きまずいね、そりゃ」 結標 「でしょうね。そう考えれば最上の結果に辿りつけたわよ」 番外個体 「でも、私はフラれたら淡希でもいいかなーって思ってた」 結標 「は? やめてよ! 私にそっちの趣味はないんだから!」 番外個体 「え? テレポ屋さんってみんな百合属性持ちじゃないの?」 結標 「……」 番外個体 「冗談だよ」ケラケラ 結標 「貴女の理論を借りるなら、発電能力者は全員ツンデレかヤンデレってことになるわよ」 番外個体 「……うん、なんか私が悪かった」 結標 「分かればいいのよ」 番外個体 「それよりさ、あの人に会うたびに"髪伸びたな"って言われるんだけど」 結標 「実際伸びたじゃない。伸ばしてるんでしょ?」 番外個体 「いや、どう受け取ればいいのかな」 結標 「どういうこと?」 番外個体 「短いほうがいいって言ってるの? 長くなってきてよかったって言ってるの?」 結標 「……どっちかしらね。でも、好みが分かったとしてそれに合わせるつもりはあるの?」 番外個体 「ない」 結標 「だったら気にする必要ないじゃない」 番外個体 「そうなんだけどね……」 結標 「そういえば貴女、滝壺さんから話聞いた?」 番外個体 「? なんの?」 結標 「私たちにも付き合う相手が出来たって、もうみんな知ってるでしょ?」 番外個体 「うん、隠すつもりもなかったしね」 結標 「それで滝壺さんがね」 *** 滝壺 「トリプルデートしよう」wktk *** 結標 「って言ってたのよ」 番外個体 「いいんじゃない? 別に」 結標 「貴女の彼ってそういうの来たがる? コミュ障でしょ?」 番外個体 「コミュ障!? そこまで酷くないよ!」 結標 「じゃ行くって言っておくから、誘っておいてね」 番外個体 「う……分かった」 結標 「大丈夫でしょ、貴女が頼めば来るわよ」 番外個体 「そうだとは思うけど……」 結標 「ふふ、当日が楽しみね。どんな騒ぎになるかしら」 ~更に数日後 第7学区某所~ 番外個体 「ほら、少しは急ぎなよ! 確実に遅刻だよ!」 一方通行 「無茶言うンじゃねェ! こっちゃ杖ついてンだぞ!」 番外個体 「もーー! 8時には起きろって言ったじゃん!」 一方通行 「早すぎンだボケェ!」 番外個体 「早くねーし! 私はバイト朝番だったら働いてる時間だぞ!」 一歩通行 「知るかっつの!……あ? おい、あそこで手振ってる連中がそうか?」 番外個体 「……あー、やっぱり私たちが最後だよ。あなたのせいだ」 結標 「10分の遅刻ね」 海原 「やあ、一方通行さん。お久しぶりですね」ニコニコ 一方通行 「え、オイ……なに、付き合ってるってオマエ達だったの?」 海原 「ええ、そういうことになりました」 一方通行 「」 浜面 「あ、え、え? ミサワの姐さんの相手って……一方通行か!?」 一方通行 「あァ!? 三下2号か!? 生きてやがったのか!」 浜面 「おい色々ひどいぞ!」 滝壺 「久しぶりだね、あくせられーた」 一方通行 「あ、オマエは確かあの時の……そうか、助かったのか。良かったじゃねェか」 浜面 「扱い違いすぎね!?」 一方通行 「おい、このチンピラとはどういう関係だ? なンもされてねェか?」 番外個体 「友達だよ。……あ、もしかして妬いてる?」ニヤニヤ 海原 「大切な人が他の男と親しいのは見過ごせないのですよ」ニコニコ 浜面 「赤いぞ、超能力者」 一方通行 「テメェらうるせェぞォォォ!!」ウガー 滝壺 「大丈夫だよ、そんな嫉妬深い第一位も私は応援する」 結標 「さすがの第一位も、これじゃ形無しね」クスクス 一方通行 「だからイヤだって言ったンだよォォ!」 <まあまあ、今日は楽しもうぜ。 <そうですよ、せっかく集まったんですし。 <こうなりゃとことン付き合ってやらァ! 番外個体 「……初っ端から騒がしいなぁ」 滝壺 「でも楽しくなりそうだよね」 結標 「たまにはいいわね、こういうのも」 =====
https://w.atwiki.jp/ani3sisya/pages/929.html
71 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/20(水) 01 01 48 ID WHGPyjU6 海原(御坂さんに見つかったら事だ…。仕方ない、次の機会を待つとしよう…。なに時間はいくらでも…) ビリビリ「そこっ!」 カッ 海原「!か、身体が…?!」 ビリビリ「鼠が引っ掛かったようね。私の電磁ネットワイヤーの結界からは誰も逃げられないわよ…って、海原君?!」 海原「こ、こんにちは…」 海原「…と、いうわけで僕はなにもやましいことはしてません!」 ビリビリ「ふーん、へぇー。そーぉう…で、言い訳はそれだけ?」 海原「…妹Fさんに会わせてください。お願いします!」 ビリビリ「ちょ、ちょっと、いきなり土下座することないじゃない!もう、わかったわよ!会えばいいじゃない、さっさと!」 海原「ありがとうございます!(あー、これでもう御坂さんとは終わりだなぁ…)」 ダッ! ビリビリ「な、なによ、もう…。いきなりカッコよくならないでよ…ドキドキするじゃない…」 73 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/20(水) 12 32 09 ID k9HovsX2 C.C.「おや、早速浮気か?」 ビリビリ「ち、違うわよ!! ただ、あの鈍感馬鹿にもあれだけの甲斐性が欲しいなーって……」 C.C.「まあ気長にやるといいさ。 ところで、先程上条と食堂に向かっていたように見えたが、見間違いか?」 ビリビリ「へ? 食堂になんか行って……ってまたミサカE!? ごめん、ちょっと用が出来たから!!」ピュー C.C.「やれやれ、身内に恋敵が居るというのも大変なものだな」 74 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/20(水) 16 31 23 ID 8u.2U2pg 唯「凄い~ 自分の妹も入れてハーレムを作るなんて」 ビリビリ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! それ浮気よりもっとタチ悪いわよっ!」 唯「でもここに来る前から上条さんと黒子さんと海原くんの4人で付き合っていたんだから妹さんが加わっても大したことないよ」 ビリビリ「黒子まで数に入るとか私ってどんだけ色好きに見られてるのよっ! 大体私はレズじゃないっ!」 C.C.「レズ、いや両刀なら両刀でカミングアウトしても別にかまわんと思うが」 ビリビリ「あんたも突っこまないでよね…」
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/1673.html
57 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/19(火) 00 08 46 ID QI3f8bLc 海原「はは…僕は本当に馬鹿だ…。勝手に惚れて、勝手に墓穴を掘って、勝手に落ち込んで…。 笑えよ!太陽も星も金星もみんな!僕を笑えばいいんだ!」 小萌「どうしたんですぅ?大声出してぇ?」 海原「小萌先生…。先生も笑い飛ばしてください…、この愚か者の所業を…」 小萌「うーん、それはちょっと酷いですねぇ」 海原「ハハハ…そうですよね、最低です…」 小萌「そうですぅ!これは最低ですよぉ!」ダンッ! 海原「!」 小萌「記憶を無くしたからってなんなんですか! 貴方にとって彼女への思いとは、彼女の記憶にしか依存しない、その程度のものだったんですか! せんせーは見損ないました!」 海原「先生…」 小萌「貴方が彼女に惚れたところはどこですか?!彼女の瞳に映る貴方の姿ですか?! 貴方が彼女を好きだという、その気持はどこから来たものですか?! 貴方自身が抱いて、貴方自身が育てて、貴方自身が思い悩んだものを、 なんで他人の干渉があっただけで、彼女が記憶を奪われただけで捨てられるんですぅ?!」 海原「それは…」 小萌「きっかけはささいなことかもしれない、ちょっとした気の間違いかも知れない。 でも貴方の気持ちは紛れもなく、彼女に惹かれていたはずですぅ! 貴方がここで諦めるのも結構!体当たりでぶつかるのもいい!一から愛を育むのもいいでしょう! だけど、ここで管を巻いて、それで終わっていいはずがありません!」 海原「はい!」 小萌「せーしゅんとはチャレンジです!挑戦です!明日を生きる為、若者に与えられた試練です! …まぁ私たちはもう死んでますけど(ボソッ ともかく!ガァンっとぶつかっていきなさい!ダメだったら桃色教師のせんせーが慰めてあげますから!」 海原「先生…有難う御座います!僕は…僕は…行く!」 ダッ! 小萌「あぁ…今、教え子たちが往く…こんなに嬉しいことはないですぅ」 美穂子「先生、ありがとうございました。これ、お礼です」 小萌「ごくごくごく、ぷはー!ひゃー、やっぱり冷えたビールは最高ですぅ!」
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/1583.html
791 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/13(月) 21 19 06 ID H1BzrMWA 上条「あー痛え。 五飛の奴本気で殴りやがって。 絆創膏まだあったかな」 美琴?「あ、こんなとこにいた。 アンタ、もうお昼ご飯食べたの?」 上条「ん? ああ、御坂か。 いや、まだ食ってねえけど」 美琴?「私もまだなのよ。 ちょうどいいわ、一緒に食堂に行くわよ」 上条「お、おお……なあ御坂、お前どうかしたか?」 美琴?「? 別にどうもしてないわよ?」 上条「そうかあ? いつもはブチ切れ準備完了いつでも行けますってくらいにテンション高いのに、今日はやけに元気がねえし、台詞も何だか棒読みだしよ」 美琴?「そ、そんな事ないわよ、とミサ……っと、とにかくさっさと食堂に行くわよ、私お腹空いちゃった」 上条「ちょっ、引っ張るなって!!」 ~~安土城内・居住区~~ とーか「御坂さん、今後のたまり場風紀委員の活動についてお話が……」 美琴「むーっ、むーっ!! むがーっ!!」(布団でスマキ) とーか「ど、どうなさいましたの御坂さん!?」 美琴「むーっ、んむー、ぷはっ!! と、透華さん、今すぐあいつらを捕まえて下さい!!」 とーか「な、何がありましたの!? それに、あいつらとは……」 美琴「妹達です!! あいつら、私になりすましてあの馬鹿を墜とそうとしてるんです!! これからは自由にこっちに来れなくなるから、最後のチャンスだって!!」 とーか「な、なるほど……わかりましたわ! 緊急連絡!! 全たまり場風紀委員は、総力を以て上条当麻、及び御坂美琴になりすました妹達を確保、本部に連行しなさい!! たまり場風紀委員、出動ですわ!!」 792 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/14(火) 00 07 03 ID Zq.yxXhE 海原「うぅ…一体僕はなにをしたいんだ…。竹井さんにはうっかり告白してしまうし、 御坂さんが上条君と親密になっていくのを指をくわえて見ているだけだし…ハァ…」 ミサカ「あ、海原くーん」 海原「み、御坂さん?!どうしてここに!」 ミサカ「うん、ちょっと海原君の顔が見たくなってね」 海原「か、上条君の事はいいのかい(声がうわずりまくり)?!」 ミサカ「あんなトーヘンボク、どうでもいいわよ。やっぱり女って自分を大切にしてくれる人が一番だしね」 海原「そ、そうですよね!ははっはははははは!」 ミサカ「ねぇ…横に座ってもいい?」 海原(な、なんだこの展開は…?!もしかしてこれがモテ期と言う奴か…?!) 部長「あら、海原君だわ」 美穂子「一緒に居るのは…御坂さんですね」 部長「なんか仲良さそうにしてるし、見なかった事にしてあげましょうか」 美穂子「…そうですね」 793 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/14(火) 01 55 50 ID P5TsnQPA ~~路地裏~~ 当麻「あれ、ここは食堂とは逆方向だぞ。お~い、御坂」 美琴?「……ねえ、当麻」 当麻「な、ナンデスカ御坂サン(何この色っぽい声、何この空気)」 美琴?「アタシはね……当麻、あなたが欲しいの」 当麻「ちょ」 美琴?「ねえ当麻……」 当麻「いやいやいやいや、さすがの上条さんでもそんな心の準備できてませんて!それにここお外ですよ、御坂さーん!」 美琴「それはどうでもいいじゃない……当麻、しよ」 当麻「いやいやいやいや、さすがに奈落落ちしますからそれ!」 ~~食堂付近~~ 美琴「あっ、久さーん!」 部長「ありゃ、あれは……」 美穂子「御坂さんですね」 美琴「上条のバカを見なかったですか?」 部長「見てないけど、それに……」 美穂子「貴女は食堂にいたのでは?海原君と一緒に食事をしていましたよ」 美琴「んな……あーもーめんどくさい……透華さん」(無線を出した) とーか『何ですか?』 美琴「食堂にて妹の目撃情報あり。至急排除を願いたし」 とーか『了解しましたわ。セイバーさんに行ってもらいますわ』 美琴「りょーかい、通信終わり」 美穂子「あの、御坂さん……」 美琴「協力ありがとうございます。それじゃ」ピュー 美穂子「何をやっているんでしょうか?」 部長「さあ?」 794 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/14(火) 02 09 57 ID BnINED/w ミサカ「それでね、海原君、私やっぱり――」 海原「……もういいですよ」 ミサカ「?」 海原「妹さんですよね、確か御坂さんのクローンの」 ミサカ「ギクッ、とミサカは――はっ!?」 海原「はぁ、僕がどれだけ御坂さんを見てきたと思っているんですか」 ミサカ「で、でも、最初は騙されて」 海原「ええ、そうですね。偽物かとも思いつつも、もしかしたらって淡い希望抱いていました」 ミサカ「……、とミサカは沈黙で答えます」 海原「もう分かっているんですよ。どれだけアプローチしようとしても彼女が僕に振り向く事はないと。 だって御坂さんの好きな人は――」
https://w.atwiki.jp/wiki6_piro/pages/616.html
2005年春合宿アフター 旅行記一覧#2004 ←2005年春合宿 | 2005年5月佐倉→ 旅行記 2005年3月20日 2005年3月21日 2005年3月22日 2005年3月23日 2005年3月24日 2005年3月25日 2005年3月26日 3月20・21日旅行記 3月22・23日旅行記 3月24-26日旅行記 旅程 3月20日(日) 天気:晴れ メンバー:M0おれ、4年安藤、3年田中・あじあん、1年薫・瑞穂 熊本県阿蘇市 民宿みやぢ ↓ 国道57号・熊本県道207号 熊本県熊本市 熊本城跡 ↓ 国道3号・熊本県道51号熊本港線 熊本新港 ↓ 九商フェリー熊本・島原航路 長崎県島原市 ホテル南風楼 島原海浜公園 3月21日(月) 天気:晴れ メンバー:M0おれ、4年安藤、3年田中・あじあん、1年薫・瑞穂 離脱:島原 あじあん 長崎県島原市 島原海浜公園 島原武家屋敷跡 寒ざらし 六兵衛 ↓ 国道251号 長崎県南高来郡深江町(現・南島原市) 道の駅みずなし本陣ふかえ ↓ 長崎県南高来郡瑞穂町(現・雲仙市) みずほ温泉千年の湯 すこやかランドふれあい広場 3月22日(火) 天気:雨のち曇り メンバー:M0おれ、4年安藤、3年田中・みやこ、1年薫・瑞穂 合流:長崎駅 みやこ 長崎県南高来郡瑞穂町(現・雲仙市) すこやかランドふれあい広場 ↓ 国道251号・国道57号・国道34号 長崎県長崎市 日見峠 ツル茶ん トルコライス イオス 3月23日(水) 天気:晴れ メンバー:M0おれ、4年安藤、3年田中・みやこ、1年薫・瑞穂 3月22・23日旅行記 長崎県長崎市 イオス ドラゴンプロムナード 長崎市東山手 東山手洋風住宅群 オランダ坂 長崎市南山手 大浦天主堂 旧香港上海銀行長崎支店 眼鏡橋 松翁軒 慶華園 ↓ 国道34号・国道251号・長崎県道201号 長崎県南高来郡小浜町(現・雲仙市) 小浜温泉 小浜温泉浜の湯 小浜マリンパーク 3月24日(木) 天気:晴れ・強風 メンバー:M0おれ、4年安藤、3年田中・みやこ、1年薫・瑞穂 長崎県南高来郡小浜町(現・雲仙市) 小浜マリンパーク ↓ 国道251号 長崎県南高来郡南有馬町(現・南島原市) 原城跡 ↓ 長崎県島原市 ホテル南風楼 島原市中央公園 3月25日(金) 天気:晴れ メンバー:M0おれ、4年安藤、3年田中・みやこ、1年薫・瑞穂 長崎県島原市 島原市中央公園 島原海浜公園 観音島泉源公園足湯 島原港 ↓ 九商フェリー熊本・島原航路 ↓ 熊本県道51号 熊本県熊本市 黒亭 ↓ 輪行 熊本駅→ 3月26日(土) 天気:晴れ メンバー:M0おれ、4年安藤、3年田中・みやこ、1年薫・瑞穂 ↓ 輪行 旅行記一覧#2004 ←2005年春合宿 | 2005年5月佐倉→
https://w.atwiki.jp/ani3sisya/pages/559.html
308 :名無しせずにはいられないな:2010/05/13(木) 06 44 42 ID zqs5p5D2 海原「ふう、ようやく解放されたか。 しばらくは控室から出ない方がいいかな。 ……おや、控室の前に誰か……」 池田ァ「あ、やっと帰ってきたし」 海原「池田さん?」 池田ァ「海原光輝……いや、アステカの魔術士エツァリ! お前に頼みがあるし!」 海原「いつになく真剣ですね……どういった御用件でしょうか?」 池田ァ「これだし!」 海原「……これで変身しろと?」 池田ァ「……やっぱ駄目かな?」 海原「いえ、変身自体は問題ないでしょう。 ですが、僕が変身出来るのは外見だけです。 内面は僕のままなんですが……」 池田ァ「……それでも……それでも、あたしは……」 海原「……決意は固いようですね。分かりました、引き受けましょう」 池田ァ「! 恩に着るし!」 ~~~~~~~~~ かじゅ「まったく、暴走騒ぎといい今回の事といい、最近お前情緒不安定じゃないのか?」 部長「だから悪かったってば。 そんなに怒らなくてもいいじゃない」 かじゅ「大体お前は……ん? あれは……」 池田ァ「キャプテン……ぐすっ、きゃぷてぇ~ん……」 美穂子?「ほら、泣かないの華菜。 拭いてあげるからじっとしてて」 部長「え……美穂子?」 かじゅ「おかしい、確かまだ福路は現世に……」 美穂子?「あ、竹井さんに加治木さん、おはようございます」 部長「え、あ、うん、おはよ」 かじゅ「待て、今お前竹井の事を「上埜」と呼ばなかったな。 もしかしてお前、エツァリか?」 光穂子「ええ、池田さんに頼まれたので」 部長「え、でも何で変身出来る訳?」 池田ァ「爆心地にこれが落ちてたし」 つ【福路美穂子の左腕】 かじゅ「なるほど、それから皮膚を剥ぎ取ったのか」 部長「ふうん、そう……」 光穂子「(な、何か嫌な予感が……)」 池田ァ「(狩人の目だし……)」 【エツァリ 福路美穂子の護符を入手】
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/168.html
~とある日~ <ジャーンジャーン 宅配員「おるかーー」 絹旗「はいはい」 宅配員「ここ、ここな」トントン 絹旗「はいはい、印鑑ですね」ペタシ 宅配員「まいどー」 絹旗「小包……白井さん宛ですか」 ~きぬはた荘1階 リビング~ 絹旗 「白井さんはまだお帰りではないですか」 番外個体 「風紀委員の仕事で遅くなるって」 絹旗 「むう、これどうしましょ」 番外個体 「なに、小包? 品名:コンピュータ部品 ? へえ、なんか意外だね」 絹旗 「パソコンは自作派なんですかね」 番外個体 「パソコン? そうなのかなー?」 絹旗 「と言いますと?」 番外個体 「コンピュータ部品ってさ、カムフラージュって感じしない?」 絹旗 「……そういうものなんですかね。じゃ、中身はなんですか?」 番外個体 「えっ、言わせる気? やーん☆」 絹旗 「超キモイです。超ウザイです」 番外個体 「うん、調子に乗ったとは思ってる。けど今の言葉は傷ついたよ?」 絹旗 「まあ、白井さん宛ですし、勝手に見るワケにもいきませんか」 番外個体 「え、いいじゃん、ちょっとぐらい」 絹旗 「いやいや、後が怖いですよ」 番外個体 「白井さんなら」 絹旗 「結標さんにお仕置きされるのが超怖いです……」 番外個体 「……なんかされたの?」 絹旗 「ユリコのトイレ掃除をサボってたら、頭上にトイレの砂をテレポされました」 番外個体 「それは絹旗さんが悪い」 絹旗 「あと、朝食のミニトマトを残したら口の中にテレポされました」 番外個体 「……うん、まあ」 絹旗 「あと、あと、昼過ぎまで惰眠を貪ってたら布団をテレポで没収されました」 番外個体 「……」 絹旗 「テレポさん怖いです、超怖いです」 番外個体 (あいつも悪気がないのは分かるけど……姉御肌を通り越してお母さんだね) 番外個体 「でも、それならまだマシかな。淡希が本気になったら着てる服をテレポで没収するし」 絹旗 「」 番外個体 「夜道でジャケットとシャツを没収されたときは、久しぶりに泣いたな」クスクス 絹旗 「」gkbr 番外個体 「それはただの悪戯だけどさ。絹旗さんの場合は、あいつなりに心配してやってることだし」 絹旗 「う……そ、そう思っておきます」 番外個体 「よし、話もまとまったところで荷物チェックといこうか♪」 絹旗 「やめてください! 超やめてください! 今やったら私まで共犯です!」ガシッ ~同日深夜~ ユリコ 「( =ω=)~゚」ウトウト <ギィィィィ バタン 白井 「はあ……ただいま戻りましたの」 絹旗 「あ、超お帰りなさい」 白井 「ただいまですの。絹旗さんも宵っ張りですわね、こんな時間まで」 絹旗 「今日は海外ドラマを見る日なのですよ、だからまだ寝れません」 白井 「あぁ、あのわざとらしい笑い声が時折挟まれるコントの……」 絹旗 「……そっちじゃないです」 白井 「他の皆さんはお休みに?」 絹旗 「寝てるかどうかは知りませんが、みんな自分の部屋にいますよ」 白井 「では、2階には静かに上がりませんと……」 絹旗 「あ、そうだ。なんか荷物が来てましたよ」つ【小包】 白井 「え? あら、申し訳ございません。今日が配達日だと失念してましたの」 絹旗 「中身は見てませんからね! 超見てませんからね!」 白井 「? いえ、別に見られて困るものでもありませんが」 絹旗 「え? そうなんですか? でも 品名:コンピュータ部品 て」 白井 「……ははあ、そういうことでしたの。これはこれは、絹旗さんも侮れませんわね」 絹旗 「?」 白井 「その妄想力……よほど強固な自分だけの現実をお持ちとお見受けしますわ」ニコニコ 絹旗 「え、な……」 白井 「絹旗さんも、この世界に興味がお有りなら仰ってくだされば……この黒子がご案内いたしますのに」キラキラ 絹旗 「超待ってください! なにか凄絶に勘違いしてます!」 白井 「さあ、絹旗さん! そうと決まれば、早速……!」ガシッ 絹旗 (まさか服テレポ!?) 絹旗 「あ、や、やめてくださぃ……」 白井 「と、冗談はさておき」 絹旗 「?」ウルウル 白井 「あれこれ言うより、見たほうが早いですわね」ベリベリ 絹旗 「し、白井さん?」 白井 「はい、これが今日届いた品物ですの」 絹旗 「……らでおん?」 白井 「平たく言えば コンピュータ部品 ですの」 絹旗 「……カムフラージュではなかったんですか?」 白井 「今回に関して言えば、そういうことになりますわね」 絹旗 (ミサワさんがあんなこと言うから、超変な想像しちゃったじゃないですかぁ!///) 白井 「ところで、絹旗さんは何が届いたと思っておりましたの?」ニヤニヤ 絹旗 「う、あの、ええと……超コンピュータ部品です!」 ~白井個室~ 白井 「うふふ、絹旗さんも存外に初心なのでございますね」 白井 「あそこまでからかい甲斐のある人材も久しぶりですの」 白井 「さて、届いた部品をチェックですの」ガサゴソ 白井 「こんな小さな部品がいいお値段しましたわね……丁重に扱いませんと」 【PCケース】<バコン 白井 「それにしても……我ながら、よくもここまでやったものですわ」 白井 「最初は慣れないこと分からないことばかりで大変でしたけど」 白井 「それもこれも、全てのきっかけはあの一言……」 ~10日前 風紀委員 第177支部~ 白井 「初春、この人物に関するデータを収集してくださいな」 初春 「はい、了解ですー」 白井 「この手の仕事はいつも初春に押し付けてしまってますわね」 初春 「これが私の役割ですから。あ、でも始末書はご自分で書いて下さいね?」 白井 「うっ、分かってますの……」 初春 「じゃ、ちゃちゃっと調べちゃいますねー」 カチャカチャカチャカチャ...ッターン!! カチャカチャカチャカチャカチャカチャ...ッダーン!! 白井 「たまに羨ましくなりますわね、その技能が」 初春 「えー、大したことないですよ。あ、でも白井さんには難しいかもしれませんねー」 白井 「」ピキッ ~今に至る~ 白井 「言われっぱなしに出来るほど、お人好しじゃございませんのよ……!」 白井 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」 白井 「という訳でマシンを組み立てることから始めましたが……」ガチャガチャ 白井 「……なんか、ベクトルが違うような気がしてきましたの」 白井 「中々挿さりませんわね……? ソケットの形が違う……」 白井 「! やってしまいましたの……このボードは PCI-Express……」 白井 「_| ̄|○ノシ」ゴッ ゴッ ゴッ ゴッ <コンコン 白井 「は、はい、どなたですの?」 <なんか、すごい音が聞こえたんだけど大丈夫? 白井 「はい、夜分申し訳ございません。大丈夫ですの」ヒリヒリ <そう? ならいいんだけど。 白井 「はあ、わたくしとしたことが取り乱してしまって……淑女失格ですわね」 白井 「これは置いといて……あと必要なのは、ディスプレイだけですか」 白井 「ディスプレイは現物を見たほうがよさそうですし、明日にでも行きましょう」 白井 「オペレーティングシステムは、初春の机にあったCD-ROMを拝借してきましたが……」 白井 「 Kazaris ? 聞いたことないですわね、大丈夫なのでしょうか」 ~翌日 第16学区 電気街~ 白井 「来ましたの」フンス 白井 「休日だけあって、人が多いですわね……何事もなければいいですが」 白井 「さてさて、とりあえず手近な店に入ってみますの」トテトテ ?? 「いやあ、ご主人。この間購入したカメラ、中々の精度でしたよ」 ?? 「贅沢が許されるなら、音声も拾えるとありがたいんですけどね」 ?? 「えっ、指向性マイク? これは珍しいものを仕入れましたね」 ?? 「ですが、持ち運ぶにはちょっと大きいですね……まあ、検討させて下さい」 ~とある中古ショップ~ 白井 「こういったお店は初めてですが……」 白井 「なんというか、専門家のような風貌のお客さんばかりですのね」 白井 「しかし、ディスプレイと一口にいっても色々ありますわ……」 白井 「……今のわたくしの知識では決断できませんわね」ハァ 白井 「いったん出ましょうか」 ?? 「……あの後姿は、白井さんでは?」 ?? 「これは、意外な場所でお見かけしましたね」 <白井さん 白井 「?」クルッ 海原 「こんにちは。奇遇ですね」ニコニコ 白井 「う、海原さん? どうしてこんなところに」 海原 「ふふ、ウィンドウショッピングといったところですか」 白井 「海原さんでも、こういったところに来ますのね」 海原 「ええ、ちょくちょく来てますよ」 白井 「まあ、そんなに頻繁に?」 海原 「はい。ところで、こうして出会ったんですし、昼食をご一緒しませんか?」 白井 「あら? もうそんな時間でしたか」 海原 「魚料理が評判の店を知ってるんです。いかがですか?」 白井 「なら、折角なのでエスコートしていただきますの」 海原 「おっと、急にハードルが高くなりましたね」 ~第10学区~ 海原 「着きました、ここですよ」 白井 「あら、控えめでお洒落な佇まいですのね」 海原 「知る人ぞ知る、といったところですか」 白井 「 さかな料理専門 魚食倶楽部 ?」 海原 「ええ、初めに申した通り、魚料理が評判なんですよ」 白井 「海に面していない学園都市で、魚に拘るのも珍しいですの」 海原 「それだけ気合が入っているということでしょうね」 白井 「予約なしでも大丈夫ですの?」 海原 「大丈夫ですよ。入ってみましょうか」 : : : 店員 「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください」 海原 「よかったですね、ちょうど2名分空いてて」 白井 「ええ、食事時というのに幸運でしたの」 海原 「さてさて、何にしましょうか。この店は仕入れ状況でメニューを変えるので、いつ来ても新鮮な気分になれるんですよね、魚だけに」 白井 「…………あ、わたくしは白身魚のベシャメルソース仕立てで」 海原 「あれ、スルーですか……」 白井 「はい?」 海原 「あ、では僕はアジフライ定食にします」 店員 「お決まりですか?」 海原 「カクカクシカジカ。以上でお願いします」 店員 「かしこまりました。ただいま、カップルのお客様限定で食後の紅茶とお菓子をサービスさせて頂いておりますが、よろしければいかがですか?」 白井 「か、かっぷr……」 海原 「そうですね、折角なので頂きます」 店員 「かしこまりました。しばらくお待ちください」 白井 「」 海原 「あれ? 白井さん?」 白井 「はっ、な、なんでもございませんの」 海原 「?」 ~一方その頃~ 結標 「誘っておいてなんだけど……目の前で高カロリーなものばっかり食べてくれたわね」 番外個体 「別に何を食べようと私の自由だよ。迷惑はかけてないでしょ?」 結標 「そうだけどさあ……あ、待って」 番外個体 「うん?」 結標 「あれ、海原と白井さんじゃない?」 番外個体 「え、どこどこ?」 結標 「ほら、あのお店の窓側の席」 番外個体 「あ、ホントだ。へー、珍しい組み合わせだね」 結標 (これは話のネタになりそうね) 白井 「まあ、結構なお味ですのね」カチャ 海原 「新鮮な魚を最適な調理法で頂いてますからね、美味しくない筈がありません」 白井 「ですが……少々量が多いですの」 海原 「はは、女性にはきついかもしれないですね」 白井 「ライスやパンを頼まなくて正解でしたの……でも残すのも……そうですの」ピンポーン 海原 「?」 白井 「はい、あーん」 海原 「え?」 白井 「手伝ってくださいな。これも殿方の務めですのよ?」ニコニコ 海原 「(初めて聞いた)あ、で、では、失礼します」パク 白井 「お味はいかがですの?」 海原 「はい、おいひいです」 白井 「あ、海原さん、ちょっとじっとしててくださいな」 海原 「?」 白井 「申し訳ございません、わたくしの手元が狂って口元にソースが」フキフキ 海原 「」 白井 「どうしましたの?」 海原 「あ、いえ、お手を煩わしてしまって申し訳ありません」 白井 「これぐらいできないと淑女は名乗れませんの」ニコニコ 海原 (なるほど、これが上流階級の作法ですか) 結標 「」 番外個体 「ヒュー♪ 仲のよろしいこと」 結標 (なんで私の携帯、カメラ付いてないのよぉー! もぉー!)orz 番外個体 「? どうしたの? お腹でも痛いの?」ツンツン 結標 「いえ、大丈夫」キリッ 結標 (いざとなれば、この子にも証人になってもらうか) 番外個体 「ところで、いつまでこんなことしてんの?」 結標 「あの二人が帰るまでよ」 番外個体 「は、はあ? 結標 「いいから。尾行の訓練だと思って付き合いなさい」 番外個体 (尾行の訓練? なんで??) : : : 店員 「お待たせいたしました。こちらストレートティーといわしクッキーになります」 海原 「はい、どうも」 白井 「……いわし、クッキー?」 海原 「僕も初めて食べますね、どんなお味なのでしょうか」 白井 「見た目は普通のクッキー……あら? お魚屋さんの香りがしますの」クンクン 海原 「お、煮干みたいな味で美味しいですよ」サクサク 白井 「……前衛的なお味ですの」サクサク ~15分後~ 海原 「それで、ミストサウナに入ったら怖いお兄さん4人に睨まれてしまいましてね」 白井 「あらあら、災難でしたのね」 海原 「そちらでは何か事件は起こっていなかったのですが?」 白井 「そうですわね、敢えて言うなら……大きいお姉様と身体の洗い合いをしたぐらいしか……」 海原 「詳しく聞かせてください」キリッ 白井 「残念、ここから先は男子禁制ですの」クスクス 海原 「……白井さん」 白井 「?」 海原 「今度温泉に行くときには、皮膚を提供していただけませんか?」キリリッ 白井 「……はい?」 白井 「さすがのわたくしでもそれは引きますわ」 海原 「……申し訳ない、僕としたことが少々熱くなってしまったようです」 白井 「まあ……今回だけは、この食事に免じて聞かなかったことにしてあげますの」 海原 「あ、ありがとうございます」 白井 「それともう一つ」 海原 「なんでしょうか?」 白井 「海原さんが撮影したホームビデオのDVDをわたくしにもシェアして頂きたいですの♪」 海原 「」 白井 「まさか、カメラを構えていたのがバレていないとでも?」 海原 「ははは……白井さんには適いませんね」 白井 「当然ですの。こう見えても風紀委員ですのよ?」 海原 (だったら取締り……あ、ホームビデオだからOKということですか) 結標 (忘れてたけど、あの子風紀委員よね? 海原捕まったりしないかしら) 番外個体 「なんか楽しそうだな。何話してるんだろ」 結標 「白井さんもちょこっとだけ変わり者だしね。何で盛り上がってるやら」 番外個体 「それにしても、あの二人って仲良かったんだね」 結標 (……考えてみたらあの二人、この子にもちょっかい出してない?) 結標 「ねえ、真琴」 番外個体 「? どうしたの、真剣なカオしちゃって」 結標 「もしあの二人に何かされたら、すぐに私に言いなさい。いいわね?」ギュゥ 番外個体 「???」 <わー見て見てー、綺麗なお姉さん達が抱き合ってるよ、ってミsモガ <くォら、見ちゃいけませン。さっさと行くぞォ(……なンであいつらが?) 海原 「さて、そろそろ出ましょうか」 白井 「そうですわね、ではお会計を」 海原 「ここは僕が出しておきますよ」 白井 「いえ、自分が食べた分ぐらいは……」 海原 「まあまあ、少しはかっこつけさせてくださいよ」 白井 「……では、お言葉に甘えておきますの」 番外個体 「……! 放して! 隠れて! あの二人出てくるよ!」 結標 「え? あ、ヤバっ」 [看板]ミ ササッ <カランカラン♪ 白井 「ご馳走様でした。すごく美味しかったですの」 海原 「それは奢られ補正込みですか?」 白井 「まあ、海原さんったら……もう知りませんの」 海原 「ふふ、冗談が過ぎました。機嫌を直してもらえませんか?」ナデナデ 白井 「ちょっ……そう易々と人の頭を撫でないでくださいな」ムスー 海原 「これは失礼、ちょうどいい高さにあったもので」 白井 「ぐぬぬ……わ、わたくしはまだ発展途上なだけですの」ムキー... [看板]<……… 海原 「さて、僕はこの後病院に寄っていきますので、これで失礼します」 白井 「もしや、妹さんのお見舞いに?」 海原 「ええ、そろそろ顔を出さないと機嫌を損ねる頃なので」 白井 「早くよくなるとよろしいですわね」 海原 「ありがとうございます。本人にも伝えておきますよ」 白井 「今日はありがとうございました。お気をつけて」 海原 「いえいえ。また機会がありましたらご一緒してください。では、また後ほど」ニコニコ [看板]<ヒソヒソゴニョゴニョ 白井 「今日の夕食はわたくしですので、それまでにはご帰宅くださいな」 海原 「それは楽しみですね。夕方までには戻りますので」 白井 「……行ってしまいましたか」 白井 「さて、これからどうしまs」 ガシッ ガシッ 白井 「痛っ……! だっ、誰ですの!!」 結標 「さあ? 誰かしら?」 番外個体 「いいもん見せてもらっちゃったなー☆」 白井 「む、結標さんに大きいお姉様……?」 結標 「詳しく聞かせてくれたら、嬉しいんだけどな」 白井 「何を……まさか、見ておられましたの?」 番外個体 「全部じゃないよ、料理が運ばれてきたあたりからかな?」 白井 「それはほぼ全部ですの」 結標 「ねえ、海原に何か変なことされなかった? お姉さんに詳しく話してくれない?」 白井 「そっ、そんな……偶然出会って食事をしただけで、やましいことは何も」 番外個体 「詳しい事は署で聞こう」ガッチリ 白井 「はうっ(み、密着してくださるなんて……///)」 結標 「ちょっと、どうしたの? 貴女、首絞めてないでしょうね?」 番外個体 「そこまで力入れてないよ」 白井 「ふにゃー///」 結標 (……もしかして、本当にそっちの人なの?) 番外個体 (やっぱり白井さんって変わってるなあ) ~第10学区 オープンカフェ~ 結標 「なんだ、じゃあ何もなかったのね」 番外個体 「つまんないなー」 白井 「何を期待してましたの……海原さんのような紳士に限って、そのような行いはございませんの」 結標 「確かに。海原は遠くから静かに見守るタイプよね」 番外個体 「へー、そうなの?」 結標 「やり方はどうであれ、ね」 白井個体 「「?」」 結標 (知らないってのは幸せだわ) 白井 「そういえば、お二人はどうしてこちらに?」 番外個体 「淡希が 中華料理食べたい食べたーい! っていうから連れてきた」 結標 「そんな子供じみた言い方してないわよ!」 白井 「婚后さんや、滝壺さんと絹旗さんはご一緒じゃありませんのね」 結標 「婚后さんは後輩と出かけるって言ってたわね」 番外個体 「滝壷さんは彼氏に会いにいったよ。絹旗さんもいっしょ」 結標 「滝壺さんも健気よね……2週間に1回は行ってるものね」 白井 「大きいお姉様が投獄されたら、わたくしは毎日でも通いますの」 結標 「私も週イチで行ってあげるわ、主に笑いに」 番外個体 「なんでパクられる前提みたいに話してんのかな」 結標 「なんていうかな、キレやすい若者?」 番外個体 「私があなた達の前でマジギレしたことある? ないよね?」 白井 「……言われてみれば、本気でお怒りになった姿はあまり見たことありませんの」 番外個体 「ほれみろ」フンス 結標 「でもほら、一番何かやらかしそうな顔してるし」 番外個体 「……」ビリッ 結標 「あうっ」 番外個体 「人が気にしてることをズケズケと言うな!」ウガー 白井 「あ、怒りましたの。……それにしても、仲がよろしいんですのね」 結標 「ま、これぐらいキツイ冗談も言い合える仲って訳ね」 番外個体 「言い合えるって……いつも私が一方的に言われてない?」 結標 「もう、スネちゃって。可愛いなー。別に好きなだけ言い返してくれていいのよ?」クスクス 番外個体 「露出狂」 結標 「ろ、露出狂って……この時期ならこれぐらい普通じゃない」 番外個体 「あと、海原さんが教えてくれたんだけど」 結標 「な、なによ……」 番外個体 「ショタコン」 結標 「」ビキッ 白井 (そろそろ冗談の範疇を超えかねませんの……) 結標 (うなばらぁー! 次会ったときが貴方の最期だからねー!) 番外個体 「あれ? 違うの?」 結標 「ち、ちちち違うわよ! 単に年下の、中2ぐらいが好みってだけで……」 白井 「……あの、それは」 番外個体 「どうみてもショタコンです、うっわー」プギャー 結標 「」プルプル 番外個体 「淡希が男の子誘拐してパクられたら、週イチで笑いにいってあげるからね」キリ 白井 「結標さん、誘拐は重罪ですの。当分出てこれませんのよ?」 結標 「貴女達ねえ……」ピキピキ 番外個体 「はあ……テレポーターって変人しかいないんだね」 結標白井 「「一緒にしないで(くださいな)!」」 ?? 「そうですとも、まったく聞き捨てなりませんね」 番外個体 「っ! 何アンタ……(こいつ、いつから後ろに?)」 白井 (突然現れましたの……この殿方も空間移動能力を?) 結標 (自己転移ができるってことはレベル4……いったい何者?) 査楽 「あ、店員さん、レモンティーを一つ」ガタッ 3人 (なにナチュラルに入ってきてんの!?) 査楽 「? なにをそんな警戒してるんですかね」 番外個体 「警戒するなっていうほうがムリだと思うけど」 結標 「ていうか、こいつ誰?」 白井 「? どなたかのお知り合いではございませんの?」 番外個体 「知らないよ、こんなネクラっぽいの」 結標 「私も知らないわね」 査楽 「……そこの悪人面、さっきから言いたい放題ですね」 番外個体 「」ビリビリッ 査楽 「あbbbbbb」 番外個体 「キャ、ごめんなさぁーい☆ 体全体が滑っちゃいましたぁ☆」 査楽 「」プスプス 白井 (これはさすがに同情できませんの) 査楽 「ケホッ……と、ともかく本題に入りますね。そこのツインテール」 白井 「なんでしょうか」 査楽 「あ、いや、あなたではないんですね」 結標 「え、じゃあ私? これはツインテールって言わないでしょ」 査楽 「正直どうでもいいですね。それより、一方通行の居場所を教えてください」 番外個体 「!?」 結標 「……聞いてどうするのよ」 査楽 「答える義務はないですね」 結標 「そう? なら私にも義務とやらはないわね」 査楽 「…………」ジロリ 結標 「…………」 白井 (なにやら不穏な空気ですの……) 番外個体 「……アンタ、一方通行に仕返しでもしたいの?」 査楽 「お、よく分かりましたね。その通り、お礼参りがしたいだけですね」 結標 「……思い出した。23学区で一方通行にケンカ売って蹴散らされたテレポーターがいたわね」 査楽 「この際だから敢えて言いますけどね。それは僕のことですね」 番外個体 「下らないマネはさせないよ。痛い目を見る前に帰りな」 査楽 「ふふ……さっきは油断しましたが、発電能力者風情が僕に適うと? 番外個体 「アンタみたいのが一方通行に適うとも思えないけどね」チャリチャリ 結標 (釘? 本気でやりあうつもりなの?) 白井 (まずいですの。大きいお姉様はLEVEL4。本気で暴れたら周囲にも被害が……) 白井 (仕方ないですわね……今日は非番ですのに)ゴソゴソ 査楽 「おお怖い、怖いですね。そんな目で睨まれたら身動きが取れなくなりますね」スクッ 番外個体 「チッ……アンタ本当にムカツク。ピンヘッドみたいな顔にしてあげるよ」ガタッ 「おやめなさい!!」 結標 「……白井さん?」 番外個体 「あ、その腕章……」 査楽 「……面倒くさいことに」 白井 「ジャッジメントですの」キリッ 白井 「往来で、能力を使用しての戦闘を座視する訳にはいきませんの」 白井 「これは警告です。まだ続けようと仰るなら、こちらも相応の対応をいたしますの」 結標 「だそうよ。落ち着きなさい」ナデナデ 番外個体 「ぐぬぬ……」 査楽 「……興が冷めましたね。僕はこれで失礼しますね」 結標 「待ちなさいよ。人の休日を邪魔しといてタダで帰れると思ってるワケ?」 査楽 「知りませんね。君達が勝手に騒いだだk 白井 「! 消えましたの……いったいどこに……!」 結標 「いい加減邪魔だったから私が飛ばしたわよ」 白井個体 「」 <キャーーー!覗きーー! <誰か!警備員に通報! <ち、違う!これはですね! 白井 「念のためお聞きしますが、どちらに……?」 結標 「この店のパウダールーム。もっというと女子トイレ」 番外個体 「容赦ないなー……」 結標 「当然の報いよ」 結標 「あとね、貴女も貴女よ。やっすい挑発に乗ってるんじゃないわよ」グリグリ 番外個体 「あいたたた! やめて! ごめんなさいごめんなさい!」カシャン バラバラ 白井 「本当に釘ですの……これをどうなさるおつもりでしたの?」 番外個体 「こう、電気の力でバヒュッと」 結標 「磁力狙撃砲みたいなものね。そんなもん使って、関係ない人に当たったらどうするのよ」 番外個体 「うーー……」 白井 「このような危険物は携帯しないでくださいまし」 番外個体 「反省してまーす」 結標 「あら、白井さんだって似たようなもの持ってるでしょ、ホラ」ピラッ 白井 「」 番外個体 「あ、ホントだ。ずるーい」 白井 「なっ、何をなさいますの!」バッ 結標 「女同士で恥ずかしがることないでしょ?」 白井 「場所を考えてください!!」ムキー 番外個体 「それにしても白井さん、ハデな下着はいてるんだね」 白井 「……うう、キズモノにされましたの。責任をとってくださいな」ダキッ 番外個体 「え? なんで私? 主犯はそっちのショタコンだよ」 結標 「ショタコンって言うな!」 白井 「責任をとっていただきますの」ギュー 番外個体 (どうすんだよ、これ……) ~第7学区 とあるスーパー~ 白井 「申し訳ございません、お買い物にまで付き合わせてしまいまして」 結標 「まあ、私達も食べるものだしね」 番外個体 (今夜添い寝するだけでいいって言われたけど……何もされないよね?)ビクビク 白井 「そうですの。海原さんに今日のお礼をしたいのですが」 結標 「いいわよ、しなくて」 白井 「そうはまいりませんの。海原さんの好物とかご存知ではありませんか?」 結標 「超電磁砲」 白井個体 「「えっ」」 結標 「ゴメン、なんでもないわ。そうね、辛いものは好きらしいけど」 白井 「辛いものですか……絹旗さんもおられますし、調節が肝心ですの」 番外個体 「いいよ、うんと辛くしちゃって」フヒヒ 白井 「そうもまいりませんの」 : : : 番外個体 「」ポイポイポイ 結標 「こーら、なに人参を棚に戻してるのよ」 番外個体 「」ギクリ 白井 「まあまあ、まだ克服できておりませんの? では今日は人参もふんだんに使いますの♪」 番外個体 「ははは、厄日だ」 白井 「っと、これで全部ですの」 結標 「じゃ、帰りましょうか。時間もちょうどいい頃でしょ」 番外個体 「みんな帰ってきてるかな」 白井 「遅くなるようなら連絡があるはずですし……まず家まで帰りますの ~きぬはた荘 キッチン~ 白井 「さてさて、今日は色々あって疲れましたが……もうひと踏ん張りですの」 白井 「なんだかんだ言って、楽しく過ごさせて頂いておりますわね……」 白井 「今夜の予定も抑えましたし……計画通りですの」 ニャーン スリスリ 白井 「? あら、ユリコ。お腹が空きましたの?」 ユリコ 「(*・ω・)フミィ」 白井 「ふふ、ではちょっとだけ……皆さんにはナイショですのよ?」 ユリコ 「ノ・ω・)ノ ミャーミャー」 白井 「こらこら、意地汚いようでは淑女失格ですの」クスクス ~同日夜 結標個室~ 結標 「」←読書中 ヒュン パサ パサッ... 結標 「? なにこれ……真琴が着てた服じゃない。なんで?」 <さあさ、大きいお姉様、約束ですのー <な、何をするだァー!服返せーー!(ビリビリ) <あbbbb 結標 「……やっぱりこうなるのね。一応止めにいってあげましょうか」
https://w.atwiki.jp/ani3sisya/pages/932.html
78 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/21(木) 02 05 34 ID J9umEXF. 海原「…と、勢い込んで飛び出したものの、お付き合いってそういうんじゃないよな… 第一、妹Fさんは僕の事を覚えてないわけだし、 いきなり付き合って下さいだの、貴女が好きでした!だの言ったらどん引きだよなぁ… あぁやっぱり僕は勢いとその場のノリだけで突っ走りすぎだよなぁ。。。 御坂さんへの恋だって調査対象への興味から発展しちゃったわけだし、 会場でもその場の勢いで加治木さんの姿になっちゃうし、竹井さんには勢いで告白しちゃうし… もしかして僕って状況に流されやすいんだろうか…」 妹F「誰?とミサカは訝しげに尋ねます」 海原「うひゃおぉう?!あ、あ、あ、おはようございます!いい天気ですね、妹Fさん!」 妹F「もう夜ですけど…とミサカは明らかに不審者を見る目で答えます」 海原「で、ですよねー!アハハハハ…(い、いかん!なんのために御坂さんへの思いを諦めたんだ!あ、アタックせねば…)」 妹F「…気をつけてください、ここは変質者が出ます、とミサカはちょっと安心したような表情で忠告します」 海原「(!ティンと来た!)そのことなんですけどね、御坂さんから貴女を守るように言われまして…」 妹F「お姉さまから?とミサカはちょっと驚いたようにみつめます」 海原「そ、そうなんです。ですので、ちょっと上がらせてくれませんか?あ、ぼくはエツァリって言います」 妹F「エツァリ…うっ!とミサカは頭を抑えてうずくまります」 海原「妹Fさん?!しっかり!」 妹F「貴方のその顔…その名前…どこかでお会いしたことはありませんでしたか? とミサカは空白となった記憶領域に気付いて愕然としながらも質問します」 海原「…いいえ、今がファーストコンタクトですよ」 妹F「気持ちが落ち着くまで、傍に居てくれませんか?とミサカは不安げに語ります」 海原「喜んで。良ければお話もしましょう」 79 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/21(木) 02 54 14 ID PR2Z9FYM 唯「あれ、りっちゃんこんなところで何してるの?」 律「尾行だよ尾行。ほれ、あの二人見てみ」 唯「海原君と美琴ちゃん?仲良いんだね」 律「あぁ。しかし!美琴の方はこの前彼氏ができたばかりなのだ!」 唯「おぉ…なんだか危険な香りがするよりっちゃん…」 律「だろ?だからちょっと追いかけて真相の程を確認しようと思ったんだ。唯、お前も来るか?」 唯「うん。行くー」 律「よーしわかった。でもこれは尾行だからな、目立つようなことはしちゃだめだぞ」 唯「了解であります、りっちゃん隊長!」 紬「何してるの?」 律「尾行ー。ムギもやる?」 紬「やるやる!なんだか面白そうだもの」 律「尾行は目立っちゃだめだからな、気を付けろよ」 紬「はーい」 プリシラ「何やってるの?」 唯「尾行だよー」 プリシラ「あたしも行く!」 池田「何やって(ry」 律「びこ(ry」 池田「あたしも(ry」 真宵「なに(ry」 律「び(ry」 真宵「面白そ(ry」 駿河「な(ry」 律「(ry」 駿河「是非(ry」 美琴「何あれ」 アチャ「どうやら尾行のつもりのようだが」 美琴「あんな大人数じゃ目立つと思うんだけど」 アチャ「全くだ」 80 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/21(木) 04 21 52 ID SxpyzcRo 唯「すごいね、りっちゃん!いっぱい人がいるよ!」 律「まさに終わらないコンテンツって奴だな」 唯「ところであの二人、まだキスしないね」 律「しっ!静かに鑑賞して無いと警戒してキスしないだろ」 唯「ラジャー!」 妹F「すみません、食事まで作ってもらって…とミサカは温かい食べ物に舌鼓を打ちながら喜びます」 海原「いえ、いいんです。それにしても…随分美味しそうに食べますね?」 妹F「いつもはカプセルと流動食ばかりでしたので、この食感は新鮮です、とミサカは素直な感想を述べます」 海原「それにしては箸の使い方とか堂に入ってますね」 妹F「基本情報は上位個体や最上位個体から学んでいます、とミサカは簡潔に答えながらパクつきます」 海原「そうなんですか。…随分と箸を短く持つんですね」 妹F「…気が付きませんでした。そういえば基本情報に比べて短く持ちすぎてますね、とミサカは少々驚いてみせます」 海原「へぇ。…そういえば知ってますか?箸を長く持つ人は婚期が遅れるそうですよ」 妹F「?とミサカは訝しげに見つめます」 海原「逆に箸を短く持つ人は将来一緒になる人がすぐ傍にいるそうです」 妹F「…貴方も随分と短く持ってますね、とミサカは指摘します」 海原「あぁ本当だ。不思議ですね」 駿河「なんという迂遠なプロポーズ…!」 プリシラ「なんか微妙にいらいらするね」 池田「え?なんで?」 真宵「あの口説き方って悪の女幹部そっくりですね」 紬「大方、薔薇のタトゥー(シール)の女にあーゆー風にからかわれたんじゃないかしら?」