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SS33 ぼんやりと窓の外を見ていると、不意に唯が歌い出した。 教室は静かで、唯の歌声がやけに響いてる。 いつの間に二人きりだったんだろう。ついさっきまで私達の他にも誰か居たような、ずっと前から二人きりだったような。 とにかく、今は教室に唯と私しかいない。静かな空間に唯と二人きりなんて久しぶりだ。 私達は二人で唯の机の上に座って他愛ないお喋りしたりふざけたりして、進路指導の部屋に行った澪とムギを待っていた。 ホントは私達だって受験生なんだから一緒に行った方が良かった。 そうわかっていても、嫌なことは極力後回しにしてしまう。唯と私の共通点のひとつ。 オレンジ色に染まる部屋にぴったりの歌が心地よくて、頭を唯の肩に預けた。 目を閉じたら、歌声に包まれて溶けてしまうような気持ちになった。 小さな歌が止むと今度はそっと手を握られた。目を開けると繋がれた私達の手。 その手が唯の唇に寄せられてそのまま手の甲にキスをされた。 なんだか心が隅々まで一杯満たされて、身体中がやんわり熱くなる。 顔を上げて、唯の横顔に口付けた。温かくて柔らかい頬っぺた。 唯が顔をこっちに向けて笑った。嬉しそうに見えるのが自惚れなんかじゃなければ良いな。 今度は唇と唇をくっつけた。 澪の書くメルヘンな詞で痒くなるような私だけど、恋なんてしてみたら今みたいな時間を愛しく感じてる。 指を絡め合ってキスをして、なんて。 また唯の顔が近くなって、目を閉じると今度は瞼にキスされた。薄い皮膚の上に優しく唯の唇が触れたのを感じる。 唯は、りっちゃんは睫毛まで可愛いね、なんてわけのわからないことを言って反対の瞼にも口付けた。 瞼を閉じる寸前に見た私達から伸びる影は二つが一つになっていて、唯と私のゼロ距離を感じた。 廊下から声が聞こえてきて、また後で、とアイコンタクト。 何もなかったふりをして、唯がまた歌い出して、私達は友達の顔をして教室に入ってきたムギと澪を迎えた。
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梓編 梓「明日は唯先輩とお出かけか…」 梓「この服で大丈夫だよね?」 梓「………」 唯『あずにゃん、子供っぽい服装だね』 梓「こんな事を言われたらどうしよう?」 梓「やっぱりもっと大人っぽい服にしないとせっかく唯先輩と出かけるのに」 梓「あの服はどこにあったかな?あれならきっと唯先輩も『あずにゃん、大人っぽいね』とか言ってくれるに……」 梓「………」 梓「私、何張り切ってるんだろ」 梓「唯先輩と2人っきりで出かけるだけだよ」 梓「今までも2人っきりで出かける事はあったしちょっと動物園に行くだけ」 梓「唯先輩が動物園の無料チケットがあるから一緒に遊び行こうって誘ってくれただけ」 梓「うん…うん…だから普段と同じような格好で良いんだよ」 梓「そうそう、こういうので大丈夫なんだよ」 梓「……大丈夫、大丈夫」 梓「…あそこの動物園はそんなに大きくないからゆっくり見てもお昼過ぎに全部見終わっちゃう」 梓「そのまますぐに解散って事にはならないよね」 梓「その後に唯先輩とお昼食べたりショッピングしたりするかも」 梓「そうすると半日以上は唯先輩とずっと一緒にいる事になる」 梓「…駄目…駄目、やっぱりこんな格好じゃ駄目だよ」 梓「もっと可愛い服じゃないと」 梓「可愛い服着て行けば唯先輩もきっと喜んでくれる……かな?」 梓「…唯先輩と2人っきりで出かけるの久しぶりだしきっと喜んでくれるよ」 梓「唯先輩ならきっと笑顔を見せて喜んでくれるよ」 梓「うん…唯先輩なら…」 梓「明日の唯先輩とのお出かけ楽しみ」 終わり 唯編 唯「あずにゃんとお出かけ~」 唯「あずにゃんと動物園~」 憂「お姉ちゃん、嬉しそうだね」 唯「だってあずにゃんと久しぶりに2人っきりでお出かけだよ」 唯「楽しみだよー」 唯「動物園のチケットをくれたお母さんに感謝だよ」 憂「梓ちゃんもお姉ちゃんとのお出かけ楽しみにしてるって言ってたよ」 唯「本当!?」 唯「それじゃ気合い入れて洋服を選らばなきゃ」 唯「お洋服~お洋服~」 憂「ふふっ、お姉ちゃん頑張って」 唯「これ何か良いかも」 唯「でもこっちかな」 唯「久しぶりにあずにゃんと2人っきりでお出かけだもんね」 唯「何を着ようか迷っちゃうよ」 唯「明日あずにゃんに会ったら一番に抱きついてあげて」 唯「それから一緒に手を繋いで動物園の中をゆっくり見て回って」 唯「見終わったら一緒にランチ何か食べに行ったりして」 唯「ランチ食べたら一緒にショッピングとかに行ってお揃いのアクセサリーとか買ったりして」 唯「あずにゃん、私は今から凄く楽しみで仕方ないよ」 唯「早く明日にならないかな~」 唯「その前にお洋服~お洋服~」 唯「あずにゃんとお出かけのお洋服~」 唯「あっ、これ何か良いかも」 終わり 当日、ペアルックだったり…… -- (名無しさん) 2014-04-24 22 11 41 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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午後8時半古手川宅… 「はぁ~…気持ち良い~」 唯は入浴していた。 「結城君は今日も授業中寝てばかり…」 唯は自分の言葉にはっとした。 「なんで結城君の事ばっかり…」 「身体洗おう…っと」 唯は石鹸で身体を洗い、シャワーで泡を流した。 「早く上がって宿題しなきゃ…」 しかし再び湯船に浸かったとき唯の身体は疼きだした。 「結城君…んあ…」 唯は割れ目に沿って中指を擦りだした。 「ヌルヌルしてる…」 ひそかに想いを寄せている少年にあたかも自分を弄ばれてるかのような感覚に唯は堕ちた。 「結城君…だめ…なのに…とまらないよぉ…」 理性が飛び唯は本能のままに指を動かしていった。 指は次第に膣内を弄り始めた。 最初は第一関節だったが、次第に第二関節から根元まで挿れて擦りだしていた。 「あん!!結城君!!もっと激しくぅ!!」 「えっちだな?唯…」 「はぁん!!結城君の…いぢわる…」 指の動きは早くなり唯は絶頂に達する寸前だ。 「唯!!俺!!!!」 「何も言わないで!!結城君!!私もふあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 唯は絶頂に達した。 「はぁ…はぁ…結城君…ぁ…あれ?」 指を引き抜くと唯の意識は現実に引き戻された。 「私…あんなハレンチな…ことを…」 水面には水に油を垂らしたのように愛液が膜を作っていた。 END
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1. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 19 50 15.64 ID bkI1IzjZ0 ──それは、通常なら無視出来るほどの小さな差が 時と共に、やがては無視出来ないほどの大きな差となる現象。 まえがき この度は、私の拙い文章ではありますが お暇を潰せればなどと思い、ささやかな物語をお贈りします。 最後までお付き合いくだされば幸いです。 おことわり ・完結済みです。 ・粛々と投下いたします。 書き込みが遅いと思ったら、さるさん、トイレ、エサの何れかです。 1時間以上放置することはありませんのでご安心ください。 ・予定時間4時間〜10時間 午前2時には終われると思います。 ・70kB、120スレ程の分量です。 ・エロ無し、微グロ、ほんわか日常系。 ※また、映画「バタフライ・エフェクト」のネタバレを含みますので ご注意願えますようお願いいたします。 2. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 19 51 09.86 ID bkI1IzjZ0 プロローグ その症状が表れ出したのは何時の頃だったろうか 高校に入学してからのことだった気がする。 そう、初めに体験したのは学園祭ライブでのことだ。 初めてのライブでの緊張からか 演奏の最後から退場するまでの記憶が無かった。 ライブが終わってから澪ちゃんが舞台で転んで 客席にパンツを披露したことをりっちゃんから聞いた。 後に見る機会があったライブ映像で 私は最後まで演奏をこなしていたのを確認した。 何の問題も無い。 熱中してそのときの記憶が無くなるなんて良くあることだ。 ずっとそう思っていた。 ある日、両親と共に学校に呼び出された。 私が美術の授業中に書いた絵が問題になったのだ。 4. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 19 52 59.04 ID bkI1IzjZ0 それは、白いワンピースを着た女の子が 刃物でズタズタに切り裂かれた何ともおぞましい絵だった。 先生は私を問い詰めたが、私にはそんな絵を描いた覚えが無い。 私は何度も首を振って書いていないことを訴えたが 今度は、私を心配そうな目で見つめてくるだけだった。 両親も不安を覚え暫く教師と相談した後 私を心療内科で診てもらうことに決めた。 そこで私は最近記憶が無くなる旨を医者に話し 医者は薬の処方はせず、経過を診るため私に日記を書かせることにした。 私もそれに従い常に日記を認めることにした。 私は、美術の授業での曖昧な記憶を初めに書き その後は今日あった出来事を記述していった。 ── 8. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 19 54 56.02 ID bkI1IzjZ0 ※ 唯がまだ高校一年の頃。 冬の訪れを感じる寒い季節に 唯は炬燵に当って蜜柑を食べていた。 憂「お姉ちゃん、そろそろご飯できるから炬燵の上片付けてね」 唯「ほ〜い」 返事はするものの唯は片づけをする気配が無い。 憂「も〜片付けてって言ったのに」 憂は言いながらも自分で片づけをして テーブルに夕飯を運ぶ。 唯「ごめんね、憂」 憂「いいよ。わかってるから」 憂「そう云えば、最近調子どう?」 唯「うん、楽しいよ」 憂は唯の記憶の途切れる症状について聞いたつもりだったが 唯は軽音部の事しか頭に無いのだろう 笑顔でそう答えた。 11. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 19 56 40.23 ID bkI1IzjZ0 憂「そうじゃなくって、日記はちゃんとつけてるの?」 唯「え?うん。毎日ちゃんと書いてるよ」 憂「そう。最近は症状出たりしてる?」 唯「特にはないかな」 憂「よかった」 憂はほっとした表情を見せると 唯と二人だけの夕食を摂った。 食後に唯はアイスを食べながらのんびりと過ごしている。 憂は夕食の後片付けを済ませると お風呂に入ってくると言って浴室へと向かって行った。 憂は湯船につかり、姉のことを考えていた。 不安でたまらないのだ。 記憶障害。 それを脳の障害へと関連付けるのは簡単だった。 姉の症状を聞かされたとき 一時期は心配で眠れぬ夜を過ごしたこともあった。 何か、大変な病気なんじゃないかと 学校の図書室や、市の図書館、書店を回って 関連しそうな病気の書籍を掻き集めたこともあった。 そこに記された文章は憂を不安にさせるだけだった。 12. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 19 58 12.52 ID bkI1IzjZ0 両親を問い詰めて本当のことを聞き出そうとしたこともあった。 ──本当のことを話して ──お姉ちゃん治らない病気なの? 両親は医者からは重い病では無いと言われていることを憂に話したが 憂はその全てを信用することが未だに出来ずにいる。 最近では落ち着いて、姉の症状がそれほど酷くないと思い始めても来たが 心配なのは変わらなかった。 考えても仕方が無い。 憂は風呂から上がると、姉の居るリビングへと向かった。 ──お姉ちゃんの顔を見れば安心できる。 しかし、さっきまで炬燵に当っていた姉の姿が無い。 13. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 19 59 13.37 ID bkI1IzjZ0 はっとしてキッチンを見ると唯が包丁を手にして佇んでいた。 憂「お、お姉ちゃん・・・」 唯は虚ろな目で憂を見る。 唯「うい・・・」 憂「お姉ちゃん、落ち着いて・・・ゆっくり包丁を置くの・・・ね?」 唯は驚いた様子で自らの手元を見つめると 目に涙を浮かべその場に膝から崩れ落ちた。 憂「お姉ちゃんっ!」 唯「憂っ・・・私・・・どうして・・・」 憂「落ち着いて、大丈夫だから・・・大丈夫」 憂は喉に絡む声で唯を慰める。 落ち着いて、落ち着いて、と自分に言い聞かせるように。 14. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 00 14.22 ID bkI1IzjZ0 唯「憂、私おかしいのかな?」 憂「そんなこと無いよ」 唯「だって、さっきまで自分が何してたのかわからないんだもん」 唯は怯えた目を憂に向けた。 唯「怖いよ・・・憂・・・」 憂「大丈夫だから大丈夫・・・」 憂は唯の頭をそっと撫でる。 大丈夫──その言葉を繰り返しながら 暫く二人で抱き合っていた。 16. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 01 48.02 ID bkI1IzjZ0 年が明けて春 唯は、学校の正面玄関へ続く桜並木の下を妹の憂と歩きながら 新しい生活の幕開けに胸を高鳴らせていた。 憂が同じ学校に合格して、これからはこうして毎日一緒に通えるのだ。 新しい後輩を向かえ、先輩として過ごす学校生活。 そして、新入生歓迎会のライブ。 軽音部に新入部員が入ってくれるだろうか 期待と不安の入り混じった感情がとても新鮮に思える。 清々しさに心が洗われるようだった。 憂「お姉ちゃん、なんだか嬉しそう」 並んで歩く憂が言った。憂もなんだか嬉しそうだった。 唯「うん。だって先輩って呼ばれるんだよ」 憂「私はお姉ちゃんって呼ぶけどね」 唯「え〜憂も唯先輩って呼んでよぉ」 憂「だって私達姉妹でしょ。おかしいよ」 唯「それもそうだね」 憂「軽音部。新入生入ってくれるといいね」 唯「うん」 二人は笑いあい、桜色に染まる景色に溶け込むように校舎へと消えて行った。 20. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 05 13.51 ID bkI1IzjZ0 その後行われた新観ライブは多くの新入生の心を打った にも関わらず、軽音部へ入部したのはたった一人だけだった。 それを不満に思うことはなく 唯達は快く新入部員を迎え軽音部は新たな一歩を踏み出した。 軽音部の和やかな雰囲気を 最初は受け入れ難いと感じていた新入部員の中野梓だったが 甘い誘惑に──いや、軽音部の演奏に惹かれ その源であるティータイムにも次第に慣れ親しんでいった。 梓「唯先輩、一人でケーキ食べすぎじゃないですか?」 唯「え?そうかなぁ。だって皆食べないんだもん」 梓「そ、それは・・・その・・・」 唯「あずにゃん、もしかして──」 梓「そっそれ以上言わないで下さいっ!」 太ったんだ。 唯は口には出さなかったが、 少し意地悪に笑う。 唯「じゃあ、あずにゃんのも食べてあげるねっ」 唯は梓の皿に乗ったケーキにフォークを伸ばす。 梓「食べますっ食べますからっ」 23. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 08 27.73 ID bkI1IzjZ0 梓は小さな口で大きく切り取ったケーキを口に含むと 喉に詰まったのかむせ返って あわてて紅茶を飲んでケーキを流し込む。 律「唯、あんまり苛めるなよ」 律が呆れた表情で唯を窘める。 唯「別に苛めてないもん。りっちゃんも食べないなら私が食べてあげるよ」 律「私は食べるっての」 澪「そう云えば最近あんまり練習してないからな、律も肉が付いてきたんじゃないか?」 澪の言葉に乗せられて律は立ち上がる。 律「よしっ!練習するぞっ!」 その日の練習は実に充実したものだった。 と言っても、律はドラムを叩き壊す勢いで 他の音を掻き消してしまうほどだったのだが。 それでも、何時もより長い時間練習することができ 唯のギターも大分上達した。 梓は逐一駄目出しして、唯に丁寧に教えたが また、忘れてしまうのではと不安にもなった。 しかし、こうして練習している間が 唯にギターを教えている間が 何よりも楽しい一時なのだと梓は感じていた。 27. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 18 50.50 ID bkI1IzjZ0 ※ 楽しい時間は何時までも続いて欲しいと願うが 思うほど早く過ぎ去ってしまうものだ。 その年は、海に合宿へ行った。 思っていた通り、なのだろうか 先輩達は遊んでばかりだった。 ただ唯先輩と二人で夜中に練習した時間は 幸せな思い出として残っている。 初めての学園祭ライブ。 色々な事があった。 ギターを忘れて家に取りに戻る唯先輩。 その唯先輩の居ない舞台での演奏はどこか物足りなさを感じた。 最後の曲の直前に講堂に現れた唯先輩。 髪も服も乱れて息を切らしていたっけ。 すぐ近くで見る唯先輩が懸命に歌い演奏する姿。 あの楽しそうな横顔は一生目に焼きついて離れないだろう。 その時からなのかもしれない 私が唯先輩に思いを寄せる様になったのは。 29. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 22 42.26 ID bkI1IzjZ0 ※ ある日の休日。 唯は梓に誘われて遊園地へ遊びに行く約束をしていた。 唯の寝坊癖を知ってか 梓は憂に頼んで唯を時間通りに起こすよう言っていたらしい。 唯はしぶしぶベッドから起き上がると 支度を整え、憂に渡された弁当を持ち 約束の時間に間に合うように家を出た。 唯「おまたせぇ〜」 唯の姿を見て梓はほっと胸を撫で下ろした。 梓「遅刻したらどうしようかと思ってましたよ」 唯「憂に起こすように言ってたくせに」 梓「だって、唯先輩絶対寝坊するじゃないですか」 唯「絶対とは心外だよ」 梓「じゃあ昨日何時に寝たんですか?」 唯「え〜っと・・・12時・・・」 梓「やっぱり寝坊する気だったんじゃないですか」 唯「ごめんなさいっ」 32. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 25 25.38 ID bkI1IzjZ0 二人はバスに乗って遊園地へ向かった。 休日と云う事もあってか遊園地は大分混雑していた。 唯「凄い人込みだねぇ」 梓「そうですね。唯先輩、迷子にならないで下さいよ」 唯「子供じゃないんだから」 梓「唯先輩のことですからわかりませんよ」 唯は膨れっ面をして文句を言っていたが その顔も可愛いな、などと梓は思っていた。 梓「さぁ、行きましょうか」 唯「うん」 梓「唯先輩は何に乗りたいですか?」 唯「やっぱり遊園地といったらジェットコースターだよ」 二人はジェットコースター乗り場へ向かう。 それなりに搭乗を待つ列もあったが 20分ほどで順番が回ってくるようだった。 その間は、軽音部のこと学校のこと 色々なことを話した。 梓は唯の家での生活を聞いたが時間があれば ギターの練習ばかりしているらしく以外にも感心してしまった。 34. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 27 43.70 ID bkI1IzjZ0 逆に唯が梓の家での生活を聞くと 少し寂しそうな表情を見せた。 唯「寂しかったら家に遊びにきていいんだよぉ」 唯は梓に抱きついて頬擦りをする。 梓「べ、別に寂しくなんてありません」 唯「ツンデレってやつだね、あずにゃん」 梓「違いますよ。離れてください、恥ずかしいですから」 唯「ごめんごめん」 ふと唯は身長制限の立て看板に目を移す。 唯「あずにゃん、乗れるのかな?」 梓「馬鹿にしないで下さい」 唯「冗談だよ。あずにゃ〜ん」 梓「もうっ、くっつかないでくださいよ」 順番が来て二人はジェットコースターに乗り込む。 最初は余裕の表情を見せていた梓だったが 次第に顔を青くさせ 一周する頃には涙目になっていた。 35. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 29 38.42 ID bkI1IzjZ0 唯「あずにゃん、大丈夫?」 梓「ぜんぜん・・・平気です・・・」 無理をしているのは明らかだったが そんな梓に悪戯心が芽生えた唯は 次から次へと絶叫マシンに梓を誘っていった。 梓「唯先輩・・・もう、限界です・・・」 流石に参ったといった表情の梓に 唯は休憩しようと言ってベンチで休むことにした。 唯「ほい、あずにゃん」 唯は梓に売店で買ってきた飲み物を渡すと 隣に腰掛けた。 梓「ありがとうございます」 唯「ごめんね」 梓「いえ、その・・・楽しかったですよ」 唯「ホントに?」 梓「はい、先輩と一緒なら」 36. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 32 27.68 ID bkI1IzjZ0 梓は今言った言葉が急に恥ずかしくなって 顔を赤らめて外方を向いた。 唯はそんな梓の顔を覗き込んで、どうしたの? と悪戯っぽい笑顔で言った。 梓「唯先輩は意地悪です」 梓は呟くように言った。 それからは、木陰で二人肩を並べて憂に作ってもらったお弁当を食べた。 食後にはアイスを舐め、 流石に胃に食べ物を詰めた状態では絶叫マシンは乗れないだろうと お化け屋敷やコーヒーカップなど緩めのアトラクションを満喫した。 陽が西に沈み始め、空を茜色に染め上げた頃 最後にと、梓は観覧車に唯を誘った。 梓と唯は観覧車のゴンドラに向かい合って座る。 ゆっくりとゴンドラが上昇する。 唯は首を捻って静かに窓の外を眺めていた。 梓はその横顔を、唯が今何を思っているのか考えながら見つめていた。 梓「唯先輩、シンガポール・フライヤーって知ってますか?」 唯は窓の外を見つめたまま首を横に振る。 梓「世界最大の観覧車なんですって。高さ165mで一周するのに30分掛かるらしいです」 梓「定員も28人で、貸切で結婚式とかパーティーなんかも出来るらしいですよ」 37. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 35 38.94 ID bkI1IzjZ0 梓「ライブなんかも出来ちゃったりするんですかね」 唯は梓に顔を向けると微笑んで言った。 唯「観覧車でライブかぁ〜。楽しそうだね」 梓は唯に本気とも冗談とも知れない言葉を返した。 梓「いつか、やってみたいと思いませんか?」 唯「うんっ!やろうよっ観覧車でライブっ!」 唯は満面に笑みを湛えて言った。 ゴンドラが頂上に達し、窓からは赤く染まった夕陽が差し込んで 唯の笑顔を眩しく輝かせていた。 その幻想的な光景に梓は思わず涙を流した。 ──唯先輩なら、唯先輩となら、どこまでも行けそうな気がする。 確信に近い思いが梓の中にはあった。 二人はゴンドラが降りるまで 窓に顔をくっつけるように外の景色を眺めながら 他愛も無い会話を交わした。 観覧車を降りると、 唯は、楽しかったね──と言って梓の手を握った。 初めは照れくさそうにしていた梓も唯の手を握り返し 二人は遊園地を後にした。 39. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 39 18.61 ID bkI1IzjZ0 バスを降りてから 唯と梓は二人手を繋ぎながら暫く歩いた。 二人の家は近所というほどでもなかったが向かう方角は同じだった。 唯は梓の手の温もりを感じながら 今日の事を思い返していた。 楽しかった──本当に楽しかった。 ──そうだ、今日の事もちゃんと日記に書かないと そんなことを考えていると妙な耳鳴りを感じ 次の瞬間には意識が途切れた。 ────・・・・・・ 40. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 43 08.81 ID bkI1IzjZ0 ・・・・・・──── 唯の目の前には涙を流した梓の顔があった。 何かあったのか? 唯は例の症状がまた表れたのだとわかった。 唯に顔を近づけて泣いている梓。 自分が何かしてしまったのだろうか 傷つけるようなことでも言ったのか 唯は不安になる。 唯「あ、あずにゃん・・・」 梓は涙を拭うと微笑んで言った。 梓「何でも無いです。何でも」 唯「で、でも・・・」 梓「心配ないですよ。唯先輩は私を傷つけるようなことはしてませんから」 その言葉に唯は安堵したが 意識のない間自分が何をしたのか気になって仕方が無かった。 唯は梓に直接聞いてみようとも考えたが 結局言い出せずにその日はそこで別れた。 41. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 47 15.13 ID bkI1IzjZ0 唯は梓と遊園地へ行った帰りの出来事から 梓との関係が壊れてしまうのでないかと心配していたが 普段どおり接してくれる梓を見て それが思い過ごしであるとわかった。 それからは、唯はその時のことを忘れて 何時も通り梓と接することにした。 抱きついたりと過度なスキンシップを取る唯に 梓も照れながら嬉しそうな表情を向けてきた。 秋が終わり肌寒さを感じる季節。 授業が終わり、放課後 唯は軽音部の部室へと足を踏み入れた。 途端に意識が途切れた。 ────・・・・・・ 43. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 50 51.14 ID bkI1IzjZ0 ・・・・・・──── 入り口で暫く立ち止まったままの唯を 皆は不思議そうな目で見ていた。 唯「ご、ごめん・・・私なにか言ったかな?」 律「いや、ただぼーっと突っ立ってこっち見てただけだけど」 澪「唯、何かあったのか?」 唯は頭を振って答えた。 唯「ううん。なんでもない」 紬「いま、お茶淹れますから。唯ちゃんも座って」 紬に促されて唯は椅子に座る。 ──まただ。 唯は医者の言い付け通り、毎日日記を付けていたが 症状が改善される様子は無い。 特に酷くなっている訳でもないが 突然、意識が途絶えるのは不安でしかない。 その不安に促されるように唯はその場で今日の日記を付け始めた。 律「唯、何書いてるんだ?」 唯「日記だよ」 44. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 53 45.16 ID bkI1IzjZ0 律「なんだ、珍しいな」 唯「そうかな?」 梓「でも、何で今書いてるんですか?」 唯「う〜ん。何となく今書かなきゃいけないような気がして」 梓「変なの」 唯は先ほど部室の扉を開けたところで 記憶が途切れた事を書き記すと筆を置いて 紅茶を一口すすった。 律「それにしても今日は冷えるな」 梓「律先輩、そんなこと言って練習サボりたいだけじゃないんですか?」 律「そ、そんなこと無いぞ」 梓「本当ですかぁ?」 唯「やろうよっ練習」 唯の言葉に誰もが驚いた表情を見せた。 律「唯、お前本当に今日は何かあったのか?」 澪「そうだな。唯にしては珍しい」 45. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 56 06.30 ID bkI1IzjZ0 梓「唯先輩、変なものでも食べたんですか?」 紬「まぁまぁ、練習したいなんて良いことじゃないですか」 律「そうだな。よし、やるかっ」 全員が立ち上がり練習を始めようとしたところで 顧問の山中さわ子が扉を開けて入ってきた。 さわ子「ちょりーっす」 間の悪さに溜息を吐いて律は言った。 律「さわちゃん。私達これから練習するんで」 さわ子「え〜っ!お茶は?ケーキは?」 紬「後で淹れてあげますから」 48. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 20 59 05.70 ID bkI1IzjZ0 紬は困惑顔でさわ子を宥めようとするも 子供のように駄々をこね始めたさわ子を 律はしょうがないと云った表情で見つめる。 律「むぎ、とりあえずさわちゃんにお茶淹れてあげて」 さわ子「あ、ありがとぉ〜」 さわ子は目に涙を浮かべて感謝の言葉を口にした。 律「何も泣くことはないだろ」 紬「そうだわ、ついでに私達の演奏も聞いてもらえませんか?」 さわ子「うん、聞く聞く」 律「変わり身はえぇな〜」 紬はさわ子に紅茶を淹れると キーボードの前に立ち、律に目配せする。 律はそれに頷いてスティックを打ち鳴らす。 律「ワン!ツー!スリー!」 ────・・・・・・ 49. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 03 23.88 ID bkI1IzjZ0 ・・・・・・──── 演奏を終えた後、唯は自分が息を切らしていることに気づいた。 先ほどの演奏の記憶が抜け落ちていることは理解できていた。 しかし、記憶が途切れたことによる不安よりも 自分の中にある達成感に喜びを感じていた。 素晴らしく気分がいい。 ライブを終えた後のような感動が胸の裡を震わせていた。 みんなの顔を見る。 一様に驚いた表情を唯に向けていた。 澪「唯・・・すごく・・・良い」 梓「唯先輩!凄いですっ!どうしたんですか!?」 紬「本当、なんだか感動しちゃいました」 律「最高だったぞ、唯っ!」 唯はさわ子に視線を移す。 さわ子はケーキにフォークを刺したまま固まっている。 何かを言いたそうに口をぱくぱくとしているが 上手く声にならない様子だった。 さわ子は声を出せない歯がゆさから 目に涙を浮かべると 何も言わずに、大きく頷いた。 何度も何度も。 50. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 06 59.82 ID bkI1IzjZ0 律「泣くほど良い演奏だったってことだな」 律がからかうように言うと さわ子も悔しかったのか ケーキが涙が出るほど美味しかったのよ──と判りやすい嘘を吐いた。 その後は結局練習にならなかった。 誰もが、演奏の余韻に浸って居たかったのだろう 椅子に座って物思いに耽るように 繰り返し繰り返し先ほどの演奏を頭の中で再生していた。 唯はただ、高鳴る胸の鼓動に耳を傾けて 言いようの無い胸の裡から溢れる感動を 噛み締めていた。 唯が壁掛け時計に目をやると あれから大分時間が経っていたことがわかった。 律も唯の視線の先を追って時計を見やる。 律「そろそろ、帰るか」 皆は熱に浮かされたようにぼうっとしていたが そろそろと立ち上がり帰り支度を始めた。 唯「ねぇ、帰りにアイス食べていこうよ」 律「ああ、いいぞ」 澪「そうだな」 51. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 10 23.18 ID bkI1IzjZ0 紬「偶にはいいかもしれませんね」 唯「あずにゃんも一緒に行こう?」 梓「はい、いいですよ」 5人はそろって、唯の行きつけの店でアイスを食べた。 決して特別なことでは無かった。 月に何度かは5人そろって、同じようにアイスを食べに来る事があった。 普通のことだった。日常の風景だった。 変わらぬ日常の──。 そこからの帰り道。 梓は買い物があるといって商店街の方へ向かうために 横断歩道を渡る。 梓が皆に向かって手を振っている。 唯も手を振り返す。 梓が笑う。 唯も笑い返した。 歩行者用の青信号が点滅を始めた。 突然、けたたましいクラクションの音が鳴り響いた。 ────・・・・・・ 52. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 14 32.70 ID bkI1IzjZ0 ・・・・・・──── 鮮血がアスファルトを赤く染め上げていた。 その上に横たわっているものが何なのか 誰の目にも明らかだったろう。 ──死体。 腕は拉げ(ひしゃ・げ) 筋肉と白い骨が剥き出し 脚は皮膚が捲れ上がって 襤褸切れのように垂れ下がり 腹部は裂け 大小の臓器がはみ出し 首は在らぬ方へ向き 頚骨が皮膚を突き破っていた。 辺りには黄色い脂肪と ピンク色の肉片が吐瀉物のように 撒き散らかっている。 あれは何だ? あれは人間なのか? 死体だ。 死体だ。 死んでいる。人間だ。 53. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 19 44.43 ID bkI1IzjZ0 そう言えば先ほどから梓の姿が見えないと 唯は辺りを見回す。 さっきまで一緒に居たはずだった。 ──あずにゃん、どこ行ったのかな? ──あぁ・・・帰ったんだっけ? 唯は澪を見る。 澪は寝ていた。 ──澪ちゃん、道端で寝てると危ないよ。 唯は声を掛けたつもりだったが 奥歯を強く噛み締めていて口を開くことすらできなかった。 紬を見る。 紬は携帯電話に向かって何かを必死に伝えようとしている。 ──むぎちゃん、何かあったの? 矢張り声にはならなかった。 律を見る。 泣いていた。 泣きながら何かを叫んでいる。 ・・・・・さ・・! ──聞こえない。 56. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 24 04.96 ID bkI1IzjZ0 あ・・・さっ! ──いやだっ聞きたくない! あずさっ! ──違うっ!違う違う違うっ! 律「あずさっ!梓あぁっ!」 唯は道路に転がる死体に目を移す。 唯「違うよ・・・違うよ。何言ってるの?あれは・・・」 死体に焦点を合わせようとするが 一向に視界はぼやけたままだった。 それが涙だとは気づけずにいる唯だったが袖で目を擦ると、 一瞬ではあったがはっきりと見て取ることが出来た。 梓の顔──赤く染まった顔を 艶やかな髪──どす黒い粘液に塗れた髪を 黒く澄んだ瞳──白く濁った瞳を 柔らかかった頬──擦り切れて奥歯がむき出しになった頬を 唯は一歩、また一歩と、震える脚を引き摺るようにして 死体に──梓に近づいていく。 57. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 26 44.79 ID bkI1IzjZ0 唯は血溜りに膝を付き 梓を抱いた。 生暖かな液体が 唯の脚を、腕を、体を、顔を濡らしていた。 涙が止め処無く零れ落ちる。 声を上げようとするが 嗚咽が漏れるだけだった。 叫びたかった。 胸の裡に湧き上がる絶望を吐き出したい。 ここで呑み込んでしまったら きっと心が壊れてしまう。 だから──今。 唯は大きく息を吸った。 唯「いやぁぁああああああああああああああああっ!!」 叫んだ、何度も何度も何度も。 梓の名前を呼んだ。 助けて!──と無駄な言葉も吐いた。 何でもよかった。 兎に角叫んだ。 喉が枯れるまで。 声が出なくなるまで。 意識が、途絶えるまで。 60. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 30 32.04 ID bkI1IzjZ0 ※ 目を覚ましたとき、唯は病院のベッドの上に居た。 何も考えることが出来なかった。 両親と憂が見舞いに来たときも、 幼馴染の真鍋和が見舞いに来たときも 一様に悲しそうな表情を向けてくるが 何も感じなかったし、相手の言葉も聞こえなかった。 ただ、日記だけは自然と付けていた。 あの日のことも書いた。 涙を流しながら。 それでも悲しいという感情は抱かなかった。 何も考えていなくても涙は自然と溢れた。 それからの唯は塞ぎこむような毎日を送っていた。 空虚な日々を、霞掛かった日常を、ただ漠然と流されるように。 退院後は学校へ毎日通っているものの 授業中に突然泣き出したり、叫び声を上げたりと 酷く取り乱すことが頻繁にあった。 61. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 32 28.61 ID bkI1IzjZ0 心配した学校側はスクールカウンセラーを招致して 事故現場に居合わせた軽音部一同の心のケアに尽力した。 和も唯を心配して、心の支えになればと、 多くの時間を唯と共に過ごした。 他の軽音部のメンバーがどうなっているのか 唯は気に留めることは無かった。 同じクラスの紬は長い間欠席していたような気がする。 律は毎日登校していたようだったが、 唯と同じように塞ぎこんでいた。 澪とは廊下ですれ違ったことはあったが 互いに声を掛けることはしなかった。 それぞれ、何を思い、どれほど苦しんでいるのか 今の唯には関係のないことだった。 63. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 35 20.31 ID bkI1IzjZ0 年が明け春になっても部室に 軽音部のメンバーが揃う事は無かった。 それでも、唯は次第に心を取り戻し 少しずつではあるが、 梓の死に向き合えるようになってきた。 紬は、冬の間保健室登校を続けて そこで一人授業で出された課題などをこなしていた。 テストも別室で受けて 学力的には問題が無いため進級することができた。 律も唯と同じように順調に心の傷は癒えていった。 寧ろ、律の方が快復は早かったかもしれない。 春には今まで通り元気に学校へ通っているし、 唯とも自然に会話を交わすようになってきた。 澪は事故の直後に気絶して 精神的なダメージは一番少なかったが 梓の死を受け入れられず、 未だに他者と会話を交わすことが出来ないで居た。 さわ子や和、憂も不安を隠しきれずに居たが 時間が解決してくれると信じて皆の様子を暖かく見守っていた。 67. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 38 06.64 ID bkI1IzjZ0 夏を迎える頃には 軽音部のメンバーに笑顔が戻ってきていた。 皆は互いに言葉を交わし 笑いあい、時に喧嘩をすることもあった。 心の傷は深刻だったが 誰もがこのままではいけないと思い始めたのだろう。 進路も決まり、それぞれがそれぞれの道へ進む決意をしていた。 澪は推薦で音大への進学を希望していた。 推薦状を書いてもらうにあたり出席日数を心配していたが 事故後の欠席は公欠扱いとなり 晴れて推薦状を書いてもらえる運びとなった。 唯も澪と同じ音大へと進むために 日々受験勉強に勤しんでいる。 紬は、希望の女子大へ進むため 唯と同じく受験勉強中である。 律は早々に就職して社会人になりたがっていたが 目ぼしい就職先は見つからず 専門学校へ二年間通った後に 改めて就職口を探すと意気込んでいた。 69. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 40 20.21 ID bkI1IzjZ0 誰もが大人になろうとしていた。 しかし、誰もが何かを置き去りにしようとしていることに 薄々勘付いてはいたのだった。 これでいいのか? このままでいいのか? その葛藤が常に彼女達の頭の中で渦巻いていた。 夏休みを迎えようとしていたある日のこと。 律は、けじめをつけよう──と言って軽音部のメンバーを部室へ集めた。 拒否する者は居なかった。 皆、同じ気持ちだった。 同じ思いで今まで時を過ごしてきた。 律「率直に言うぞ。軽音部、どうする?」 暫しの沈黙の後、澪が口を開いた。 澪「私は、諦め切れない。もちろん、皆の気持ちを優先するよ」 律「むぎはどうだ?」 紬「私は・・・申し訳ないけど・・・」 律「わかった。唯は?」 唯「私は、私はね──」 ────・・・・・・ 71. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 41 48.87 ID bkI1IzjZ0 ・・・・・・──── 唯は息を呑んだ。 以前にもまして長い間意識が途絶えていたらしい。 恐る恐るみんなの顔を見る。 紬は涙を浮かべていた。 澪は目を伏せて、ほんの少し笑みを零していた。 律は嬉しそうな顔で机に身を乗り出していた。 律「唯っ!澪っ!むぎっ!」 三人は律に目を向ける。 律「軽音部──復活だなっ!」 唯は自分が何かを言ったらしいことは理解できた。 そしてそれはきっと自分の望む言葉だったに違いない。 結局何を言ったか聞き出すことはしなかったけれど 軽音部の復活に胸を躍らせていた。 夏休みに入ると、受験勉強と 最後の学園祭ライブへ向けての練習のため 軽音部のメンバーは毎日部室に集まっていた。 あの幸せだった毎日を取り戻したように思えた。 73. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 43 52.70 ID bkI1IzjZ0 そんな中で時々梓のことを口にすることもあった。 悲しみの表情を見せる者もいたが 学園祭ライブを成功させることが 梓への弔いとなるのだと 皆は必死に練習した。 紬は新しい曲を作り 澪は梓への軽音部全員の気持ちを歌詞に認めた。 澪にしては珍しく、 とても儚げで、それでいて希望に満ち溢れた歌詞だった。 学園祭当日。 午後から行われた軽音部のライブは観客の涙を誘った。 最後の曲。 梓に向けたその曲の前に 軽音部一人一人が梓への思いを壇上で語った。 ありきたりな言葉を繋ぎ合わせただけの 拙いものだったが、 有り余る思いが込められた言葉だった。 75. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 46 06.62 ID bkI1IzjZ0 演奏が始まると 皆は思い思いに楽器を奏でた。 とても自由な演奏だったけれども 決してバラバラではなかった。 軽音部の強い絆がその演奏には込められていた。 澪も唯も堪え切れない感情に声を震わせながら歌った。 皆が涙を流していた。 涙を流しながらも楽しそうに、嬉しそうに 梓と過ごした時の思い出を 音に変え、響きに変え、声に変え、 講堂にいる全員にその思いを伝えた。 最高のライブだった。 78. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/23(日) 21 47 10.97 ID bkI1IzjZ0 ライブを終えた後の皆は 清々しい表情をしていた。 もう、何も思い残すことは無いと 漸く、区切りをつけることができた。 皆はそれぞれの道へ向かう。 推薦入試を受けた澪は一足早く合格の報せを受けた。 唯、紬、律の三人も合格発表まで不安な毎日を送っていたが 無事合格することができ安堵していた。 その後は合格祝いにと 軽音部の四人と和、憂、さわ子が集まり ささやかなパーティーを軽音部の部室で行った。 和「それにしても、唯が大学生かぁ。なんか思ってもなかったわ」 唯「むっ。酷いよ和ちゃん。私だってやるときはやるんだから」 和「そうね。ごめんごめん。澪と一緒の大学だっけ?」 澪「ああ、自宅からじゃ通うのは難しいだろうから、 唯とアパート一緒に借りて住もうかって話なんだ」 律「お二人さん、同棲ですかぁ?」 澪「馬鹿っ。んなわけあるかっ」
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梓「唯先輩、お湯たまりましたよ」 唯「待ってました!それじゃ、あずにゃんっ!一緒にお風呂はいろっ」 梓「一人で入ってください。私は後で入りますから」 唯「ふえええっ!?な、なんでぇ……私と入るのいやなの……?」ウルッ 梓「唯先輩と一緒がいやなはずないじゃないですか」キリ 唯「あ……えへへ。それじゃ、どうしてダメなの?」キョトン 梓「唯先輩がすぐエッチなことし始めるからです」 唯「エッチ、いやなの?」 梓「いやじゃないですよ。でも、私は今お風呂はお風呂で楽しみたいんです。だから、ダメです」 唯「ええー、どうしてもぉ?」フリフリ 梓「唯先輩がエッチなことしないのなら、一緒に入ってもいいですよ」 唯「それは無理な相談だよー……大好きなあずにゃんが素っ裸でそこにいるんだよ!しかもほんのり火照った肌!手を出すなって方が無理です!」フンス! 梓「じゃあ、ダメですね」 唯「むむぅ……それにさ、別に私からだけってわけじゃなかったし」 梓「……何のことですか」 唯「エッチなのは、だよ。お風呂でエッチし始めるのは、あずにゃんの方もそうだってこと」 梓「そんなことないです。私は理性の人間ですから」キリッ 唯「ほんとかなぁ……?じゃあ、こうしても平気だよねぇ?」ヌギ 梓「っ…・・・!?な、何で服を脱ぐんですか……っ」ドキッ 唯「あずにゃんがどこまで我慢できるかなーってテストだよ?ほらほら、大好きな唯先輩があられもない格好になっていってるよ?」ヌギヌギ 梓「うぅ……っ」ビクン 唯「……確か、脱ぎかけがいいんだよね?最後は自分で脱がすのが好きですって前言ってたもんねー?」コウカナー? 梓「ちょ……っ、ゆ、ゆいせんぱ……それ」エッチスギマス! 唯「あずにゃん……我慢しなくていいんだよ……ほら、おいで?」 梓「ゆいせんぱいっ!!」ガバッ 唯「ひゃっ!んっ……もう、あずにゃん、がっつきすぎだよ……っ」エヘヘ 梓「唯先輩が――唯がわるいんですからねっ……こんなっ……私、もう!」 唯「いいよ、梓……たーっぷり、めしあがれ♪」 梓「……もう、体中べとべとです」ベチョ… 唯「いっぱいぺろぺろしたからね~後あずにゃん、いろんなの出し過ぎ」ベトベト 梓「もう、唯先輩が悪いんですからね!」ムー 唯「あはは……で、私の言ったとおりだったよね。あずにゃんもエッチだって。我慢できなかったでしょ?」 梓「……それは認めますけど。でもやっぱり先輩の方が上です。結局最後の方私されっぱなしでしたし……」 唯「うーん、それはどっちが上って言うより……あずにゃんがネコ気質だからだと思うなあ……あずにゃんだし」キリッ 梓「勝手につけたあだ名でしたり顔しながら、名は体を現す風に言わないでくださいっ」ムー! 唯「でさ、とりあえず、お風呂はいろうよ。このままじゃ冷えちゃうし」 梓「……そこで、一緒に入ろうとか言うんじゃないでしょうね」 唯「風邪引きたいのなら、とめないけどね?あ、シーツそのまま洗濯籠に入れとくよー」ホウリコミ 梓「計画犯は罪が重いんですよ」ムー 唯「あずにゃんのためなら、世界中の罪を背負ったっていいよ」 梓「かっこいいこといってもダメです……まあ、こんな状態ですから一緒に入りますけど」 唯「あずにゃんのツンデレー」ツンデレーション! 梓「これはツンデレとはちょっと違うと思いますけど……あ、着替えもう用意してますから、そのまま入っちゃいましょう」 唯「って……結局一緒に入る気だったんじゃん」アラカジメヨウイ! 梓「私が唯先輩の押しに勝てるって予想なんて、楽観論だと思ってますからね」キリッ 唯「人にあーんなことやこーんなことまでさせちゃってぇ……」 梓「言ったじゃないですか、唯先輩とのエッチはいやじゃないって」 唯「計画犯は罪が重いんだよ」ムー 梓「唯先輩のためなら、世界中の罪を背負ったって平気です」 唯「……もう、あずにゃんめ~……大好きだよ」 梓「私もです。でも、そのべちょべちょな体で抱きつくのはやめてくださいね」 唯「あずにゃん液なのにぃ……」 梓「変な命名しないでください……というか私もべとべとなんですから抱きつくとねちょーですよ?」 唯「ねちょーはやだね……それじゃ、入っちゃおうか」 梓「はい。あ、バスタブに入るのは体を洗ってからですよ」 唯「もう、子どもじゃないんだからぁ」 唯「ぷはーっ」ザパッ 梓「洗い足りないところ無いです?」 唯「大丈夫だよぉ。気持ちよかったぁ」 梓「そうですか」ニコ 唯「次はあずにゃんの髪、洗ったげるね」 梓「お願いします」 唯「泡たっぷり~わしゃわしゃ」ワシャ 梓「……気持ちいいです」 唯「あずにゃんの髪洗いのオーソリティだからね、私は」 梓「なんですか、その狭い世界は。……まあ、認めてあげますけど」 唯「ふふ、じゃあ流すね~」ザパー 梓「ぷはぁ……ありがとうございます、唯先輩」 唯「それじゃ、トリートメントぺたぺた」ペタペタ 梓「ありがとうございます……それ、結構自分じゃ大変なので」 唯「長いもんね~。ほら、私と一緒に入ってよかったでしょ」 梓「今日はまだ襲われてないですからね」 唯「もうー、まだ言う~。それを言うなら、あずにゃんからもまだ、だよ?」 梓「否定はしませんけどね」 唯「ふふーん、私はいつでもいいんだよ?」ニヤニヤ 梓「……やめておきます。今はこうして、唯先輩とゆっくりとした時間を過ごしたいですから」 唯「そうだね、私も同感……それじゃ、タオルっと……よし、ターバンあずにゃんの完成!」 梓「いや、ターバンじゃありませんから」 唯「原理は同じだよぅ……そしてターバンあずにゃんも可愛いよ!」 梓「いいから早く入ってください」ヘンナカンシヲツケナイデクダサイ 唯「つれないなぁ……よっと。ほら、あずにゃんおいで」テヲカスヨ 梓「はい……あったかいですね」アリガトウデス 唯「うん……あったかいね」ヌクヌク 梓「……唯先輩」 唯「んぅ、なぁに?」 梓「幸せです」 唯「私もだよ、あずにゃん」 唯「あずにゃんブロウ!」ブオー 梓「なんか必殺技みたいですね」 唯「あつくない?」ブオー 梓「ん、ちょうどいいくらいです」 唯「あずにゃんの髪、やっぱり綺麗だよね」ブオー 梓「それなりに手を入れてますから……私の髪、好きですか?」 唯「うん、大好きだよ」ブオー 梓「そうですか」 唯「あずにゃん、今少し照れたでしょ」ブオー 梓「うるさいです……ん、そろそろいいですよ」 唯「えーもう?もっと触っていたかったのぃ」カチ 梓「ドライヤーのかけすぎはよくないですから。それに唯先輩の髪も乾かさないと、湯冷めしちゃいます。それ、貸してください」 唯「あ、してくれるの?」 梓「されっぱなしは性に合わないですから」 唯「えへへ~それじゃ、お願いします、あずにゃん先生」 梓「任せてください。唯先輩のドライヤーに関してはオーソリティですから、私は」カチ 唯「またずいぶん狭い世界だね」 梓「私にはその世界で十分です」ブオー 唯「ふふふ。あ、気持ちいい……」 梓「唯先輩、猫みたいですよ」ブオー 唯「もう、猫はあずにゃんだよ?」 梓「じゃあ、犬ですね。人懐っこい子犬です」ブオー 唯「私たち、猫と犬だね」 梓「はい、仲良しの猫と犬です」ブオー 唯「犬さんは、猫さんのことが大好きです」 梓「猫さんも、犬さんのことが大好きです」ブオー 唯「だからいつまでも、二人仲良く幸せに暮らしましたとさ」 梓「いい話ですね」ブオー 唯「うん……幸せだよ、あずにゃん」 梓「はい……私も幸せです」ブオー 梓「ふぁ……」 唯「あずにゃん、そろそろ眠い?」 梓「すみません、そうみたいです」 唯「そっかぁ……」 梓「でも、まだ大丈夫ですよ。えっと、3フレーズ目でしたっけ」 唯「うん、そこの部分の音ちょうだい。もう少しで形ができそうだから」 梓「わかりました」ジャンジャカ 唯「ん……うん、ありがと。えっと……こうして、こうと。うん、今日はこれくらいにしておこっか」 梓「もう少し頑張れますけど」 唯「大丈夫だよ、ちょうど切りもよかったし。それに無理する時期でもないからね」 梓「そうですか……じゃあ、また明日ですね」 唯「うん、今日はもう寝よ。私も眠くって……あずにゃんの抱き枕が恋しくなっちゃったよぅ」 梓「人を抱き枕扱いしないでください」 唯「あはは、代わりに私も抱き枕にしていいよ」 梓「それは当然です……っと、唯先輩、もう寝るんじゃないですか?」ドウシテギターヲ? 唯「ん、最後に一曲だけあわせない?」ギータ! 梓「いいですね、私もそういう気分でした」 唯「ふわふわでいい?」 梓「はい」 唯「よいしょ……ん、チューニングおっけ」ジャーン 梓「懐かしいですね、この曲」 唯「ん、そうかなぁ……まだまだライブだと現役でやってるじゃん」 梓「そうですけど。えっと、高校時代を思い出すって意味です」 唯「あ、そだねぇ……そういう意味だと、懐かしいね」 梓「あのころの私が、今こうやって唯先輩とギターを弾いてるって知ったら、どう思うんでしょうね」 唯「なんか反応が見て取れる気がするよ」 梓「ふふ、私もです」 唯「……それじゃ、そろそろいこっか」 梓「はい……あ、その前に」 唯「んぅ、なぁに?」 梓「大好きです、唯先輩」 唯「うん……私も大好きだよ、あずにゃん」 キミを見てるといつもハートDOKI☆DOKI 揺れる思いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ ――――♪ 梓「――せんぱい、唯先輩」 唯「んぅ……あずにゃん、おはよぉ……」ムニャ 梓「おはようございます」 唯「もう朝?」ムー 梓「ですね、目覚ましがなる2分前です」 唯「えええ、じゃあ後2分寝かせてよぅ」ガーン 梓「早起きは三文の得ですよ、唯先輩」 唯「あずにゃんは朝のまどろみの2分にどれほどの価値があるかってわかってないっ」ワコウドノシュチョウ! 梓「変な主張はいいですから」ハイハイ 唯「唯先輩はすねました」ムカー 梓「はぁ……もう、ほんとにこの人は」 唯「お姫様のキスじゃないと、機嫌は直りません」ツーン 梓「じゃあ一生そこですねててください」 唯「ええええ!?あずにゃん、ひどいっ」ガーン 梓「起きてくれたら、キスしてあげますよ」 唯「え、ほんとっ?……わっ」チュッ 梓「まあ、そうでなくてもキスしちゃいますけどね」チュッチュッ 唯「んっ……不意打ちはずるいよぅ」 梓「目が覚めたでしょ」 唯「もう、ばっちり」オヒメサマノキスデ! 梓「じゃあ、とりあえず顔洗ってきてください。朝食のしたく、もうできてますから」 唯「うん!……あ、あずにゃん?」 梓「なんですか?」 唯「今日も頑張ろうね、あずにゃん」ニコ 梓「はい。一緒に頑張りましょう、唯先輩」ニコ 早くも同妻!?そしてなんて幸せな1日なんだ!! -- (あずにゃんラブ) 2013-01-10 17 15 34 幸せの一言に尽きる -- (鯖猫) 2013-07-19 02 00 41 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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Top 用語一覧 唯トラ 唯トラ 唯がトラックに轢かれること。 一時期、けいおんSSがそれはもう大量に乱立していた時代、それだけ多く立っていれば、ネタ被りすることも珍しくはなかった。 その中でも特に目立ったのは「唯が交通事故に遭う」といった展開であった。 物語においては、人を死なせて感動させるという手法は常套手段であり、けいおんSS界でもそれは例外ではなかった。 ただ、あまりに唯が交通事故に遭って死ぬので、読み手はその安易なお涙頂戴モノに辟易とし、いつしか唯が轢かれて死ぬたびに「また唯トラか」という表現が広まっていった。 今では唯が安易に交通事故に遭うことはある意味で禁忌とされており、轢き殺す場合は綿密な伏線や演出が必要とされている。 もちろん唯トラ作品でも名作は多く存在し、逆に唯がトラックに轢かれまくるSSもあるので、唯トラ=駄作とは言えないだろう。 関連用語 憂選手
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424 唯△ [sage] 2010/06/26(土) 22 06 27 ID Ufxs5+EjO [1/3] 「「わーい!」」 試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、私とお姉ちゃんは抱き合っていました。 そうです、サッカー日本代表がデンマークに3-1で見事勝利し、決勝トーナメント進出を果たしたのです! 唯「だから言ったじゃん憂!日本は絶対勝つって!」 憂「すごいね!正直こんなに頑張るだなんて思わなかったなぁ…お姉ちゃんが応援したからかもね!」 唯「えへへ、そうかな~♪…ふわーあ、もうすっかり朝だー…学校行くまでちょっと寝るねー」 憂「あ、お姉ちゃん?」 唯「なにー?」 憂「えっと…こないだ予想したことなんだけど…」 唯「予想って?」 憂「ほら、日本は何点差で勝つかって予想したでしょ?それで当たった方は相手に何か言ってほしいことを言ってもらうって…」 唯「ああ!そういやそんなこともあったね!でも何点差で予想したか覚えてないやー。憂は覚えてる?」 憂「えっと…」 実は私が1点差予想、お姉ちゃんは3点差予想…両方外れているのです。 これじゃだめだ…こうなったら! 憂「わ、私が2点差って予想して、お姉ちゃんは3点差って予想したんだよ」 唯「おお!じゃあ憂は的中したんだね!さっすがー!」 憂「え、えへへ…」 426 唯△ [sage] 2010/06/26(土) 22 07 42 ID Ufxs5+EjO [2/3] ごめんねお姉ちゃん、ホントは嘘なんてつきたくないんだけど…でもやっぱり私は、私は…!! 唯「じゃあ憂、私は何を言えばいいの?」 憂「へっ!?あ、えっと…だ、だ…」 唯「ん?なあに?」 憂「だ、大好きだよ…って…///」 唯「え、でもいつも言ってない?」 憂「い、いいの、私が言ってほしいことだから!」 唯「ふーん…よしわかった!憂、大好きだよ!」 憂「!!…えへ…えへへ…///」 唯「他にはある?」 憂「あ、あー…あ、あい、あ…」 唯「?」 憂「あい…し…あ、あいしてる…とか…」 唯「わぁ、なんかドラマみたいだね!よーし!」 ここでお姉ちゃんは私の手を握り顔を至近距離までぐっと近づけると、 唯「うい…愛してるよ」 真面目な顔でこんなことを言うのです。そんな風にされれば当然私は… 憂「……」ボンッ 唯「わっ、憂!?大丈夫?」 憂「…うん…だいじょぶ…///」 唯「でも顔まっかだよ?寝不足のせいかなあ」 憂「ね、ねればなおるから…お、おやすみ…」 唯「じゃあ私も一緒に寝る!」 憂「……」ボンッ 唯「二人で寝たら起きる時も楽だもんね!さ、寝よう憂!!」 憂「え、な、う…うん…///」
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唯 ウルスラ=ジノ 名無しのエルフ バーニャツカ=ロマニ フレイヤ=ディー
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唯「ふんふふーん…うぁっ!?」 放課後、部室に向かうべく廊下を歩いていると、突然なにかが背中にぶつかった。 私はバランスを崩してよろめいてしまう。 唯「おっとっと…な、なに…?」 梓「唯先輩、こんにちは!」 唯「なんだあずにゃんか…どしたの?いきなりぶつかってくるなんて」 梓「なんだとはなんですか!あとぶつかったんじゃなくて抱きついたんです!それくらいわかってください!」 唯「えー…」 あずにゃんは抱きついたつもりでも、不意にされた私からすればぶつかられたとしか言い様がないんだけど… と言いたいところだったけど、そんな不満もあずにゃんの笑顔を見ていると吹き飛んでしまった。 まぁいいか、あずにゃんかわいいから。 唯「ところで、どうして私のとこに来てくれたの?」 梓「先輩が遅いので迎えに来たんです。なんてったって私は唯先輩の恋人なんですから! さ、早く部室に行きますよ!」 唯「わ、ま、待ってよあずにゃん!なんでそんな急ぐの!?」 あずにゃんは問答無用といった様子で私の手を引いて廊下を走り出した。 ちっちゃな体で一生懸命に走るあずにゃんは、なんだか妙に嬉しそうだった。 ガチャ、バターン! 梓「唯先輩を連れてきました!」 あずにゃんが勢いよく部室の扉を開くと、皆ぽかーんと私たちを見つめた。 この反応からすると、別に急ぐ必要はなかったんじゃ…? 律「唯に梓?なにをそんなに急いでんだ?」 唯「はぁ、ひぃ、へぇ…な、なにがなんやら…」 梓「さぁ唯先輩座ってください、お茶にしましょう!ムギ先輩、お茶お願いします!」 紬「は、はいっ!?」 なんかさっきからあずにゃんのテンションがおかしい。一体どうしたんだろう…? 皆も私と同じ疑問を抱いているのか、不思議そうにあずにゃんを見ていた。 当のあずにゃんはというと、ムギちゃんから受け取ったティーカップを持って、なにやらもじもじと私を見つめている。 唯「あずにゃん?それ、私のだよね?」 梓「あ、あの…唯先輩、これ…」 唯「なに?」 梓「の、のの…飲ませて、あげます」 唯「え?あずにゃんが?いやいいよ、さすがに自分で…」 梓「ふー、ふー…はい、唯先輩。口開けてください」 唯「う…」 あずにゃんは半ば無理矢理に私に紅茶を飲ませた。 あずにゃんがこんなことをしてくれるのは、正直とても嬉しい。でも、それ以上に…熱かった。 唯「んんー!あつーい!」 梓「きゃぁっ!?」ガチャ-ン! 律「わー!梓が紅茶こぼした!」 澪「ゆ、唯!制服がびしょびしょだぞ!」 紬「唯ちゃんたいへん、早く脱がなきゃ!とにかく脱がせなきゃ!」 ワーワ-… 梓「…ごめんなさい」 部活が終わって二人きりになった部室で、あずにゃんはしょんぼりと私に謝った。 ちなみに、私は上下ジャージだった。 唯「いいんだよ、あずにゃんは私のためにやってくれたんだから」 梓「でも、先輩の制服をあんな風にしちゃって…本当にごめんなさい!クリーニング代はちゃんと払います!」 唯「ホントにいいんだって、私が吹き出しちゃったのも悪いんだし」 梓「でも…」 あずにゃんは目に涙を浮かべながら私を見つめていた。 そんな顔を見ていると、なんだか私まで胸が締め付けられるようだった。 梓「私、最低です…こんなんじゃ、唯先輩の恋人失格です…」 唯「…そんなこと、ないよ」 私はうつむくあずにゃんをぞっと抱きしめた。 あずにゃんはしばらく私の腕の中で小さく泣いてから、ぽつりぽつりと語り出した。 梓「私…いつも唯先輩がするみたいに、スキンシップしようと思ったんです」 唯「スキンシップ?」 梓「私はいつも受け身になるばかりで、唯先輩に何もしてないし…恋人同士って、もっと仲良くするものだと思ったから…」 唯「…なんだ、そんなことだったんだー」 梓「そんなことって…」 唯「もちろんスキンシップしてくれるのは嬉しいよ?けど、私は普段のあずにゃんが一番好きなんだよ。 私が抱きついたりすると照れるような、そういうあずにゃんが好きなの」 梓「唯先輩…」 唯「だから無理しないでいいんだよ、あずにゃん」 私が力を込めて抱きしめると、あずにゃんはくすぐったそうな顔をした。 それは、すっかりいつものあずにゃんだった。 梓「は…離してください、苦しいですよ」 唯「やだー♪さっきスキンシップしたいって言ったでしょー?」 梓「たった今無理しないでいいって言ったじゃないですか!」 唯「それはあずにゃんからって意味で、私は別にいつも通りだもん」 梓「ず、ずるいです…」 そう言いながらも、あずにゃんはそれ以上抵抗することはなかった。 それどころか私の背中に手を回したので、抱き合うかたちになる。 唯「あずにゃん…」 梓「まぁ…む、無理はしてないですから」 唯「そのわりには顔が赤いよ?」 梓「く、くっついて体温が上がっただけです!」 唯「わかったわかった♪ホントにあずにゃんはかわいいなー」 梓「も…もう!」 ――ねぇあずにゃん、どちらかが一方的に抱きついたりするのもいいけど… こうやって抱き合うのも、恋人らしくていいよね。 終わり いいわ~ -- (鯖猫) 2012-12-23 08 36 19 一生懸命になって空回りしちゃうあずにゃん可愛い 受け止めてあげる唯先輩優しい -- (名無しさん) 2018-11-28 00 25 54 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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唯「もしもし、あずにゃん?」 梓「こんばんわ、唯先輩。元気してます?」 唯「うん!久しぶりにあずにゃんの声が聞けて嬉しいよ~」 梓「ふふっ……変わりないようで、私も安心しました」 唯「何日ぶりの電話かな?」 梓「そうですね、二週間くらいじゃないですか?」 唯「あれっ。そんなにしてなかったっけ」 梓「唯先輩がレポート忙しいからって」 唯「もしかして、気遣わせちゃった?ごめんね、あずにゃん」 梓「いいですよ……レポートはちゃんと終わったんですか?」 唯「先輩から過去レポもらえたから何とかね……えへへ」 梓「まさか過去レポ丸写しとかしてないでしょうね?」 唯「そ、そんなことないよぉ」 梓「写したってバレたら単位来ないかもしれないですよ」 唯「書き方とかまとめ方をちょっと変えてみたから大丈夫!……なはず」 梓「ううっ……心配させないで下さいよもう」 唯「はぁ……こういう時あずにゃんが居てくれたらなあって思うよ」 梓「一学年下の私に頼ってどうするんですか」 唯「去年の今頃は期末の勉強、付き合ってくれたじゃん」 梓「あれは、唯先輩がほっとけなかったから……」 梓「そりゃ今だって、唯先輩のこともっと近くで見ていたいですよ」 梓「だけど……寮生活じゃ仕方ないじゃないですか」 唯「……あずにゃんはやっぱり優しいね」 唯「あずにゃんのそういうところ、私好きだよ」 梓「んもぉ……唯先輩のバカ……」 梓「そんなこと言われたら、会いたくなっちゃうじゃないですか……」 唯「会おうよ、あずにゃん」 梓「……え?」 唯「私今週の日曜フリーだからさ、どこかお出かけしよ?」 梓「でも……レポートとか、大丈夫なんですか?」 唯「今週は一つもないから、心配しなくても平気だよ!」 梓「それならいいですけど……」 梓「なんか、久しぶりで緊張しちゃいますね」 唯「卒業式以来だもんね。私も、あずにゃんの姿見ただけでトキメいちゃいそう」 梓「ふふっ、何ですかそれ」 唯「乙女心は複雑なのです。ふんすっ」 梓「ちょっと意味が違うと思いますよそれ」 唯「一度この台詞言ってみたかったんだぁ……えへへ」 梓「ところで、どこ行きます?」 唯「そうだねぇ……あの新しくオープンしたクレープ屋なんてどう?」 梓「あ、あそこ美味しいって評判ですよね。私も一度行ってみたかったんです……って、食べ物じゃないですかっ」 唯「だって美味しそうなんだも~ん。テレビの特集見ていて思わず涎が垂れそうになっちゃったよ」 梓「まぁ、私もあれ見ましたけど……」 唯「あずにゃんだって食べてみたいでしょ?」 梓「食べてみたいですけど、せっかくのデートがクレープ屋なんて私イヤですよ」 唯「あずにゃんがデートって言ってくれた……えへへ……」 梓「も、もうっ!からかわないで下さいよ」 唯「ごめんごめん、つい嬉しくなっちゃって」 唯「でも、あの周辺って意外とデートスポット多いんだよ?」 梓「デートスポット?」 唯「うん。ショッピングモールとか映画館とか……遊覧船も近くにあったかな?」 梓「へえ……それは知らなかったですね」 唯「だからさ、その辺りのスポットを回ってお昼にクレープを食べるってのはどう?」 梓「いいですねそれ。それなら全然オッケーですよ」 唯「やったー!じゃあ、日曜の9時に○○駅集合で!」 梓「ちゃんと起きて下さいよ、唯先輩?」 唯「大丈夫!なんたってあずにゃんとの”デート”だからね。ふんすっ」 梓「デートを強調しなくていいです!」 唯「あははっ。じゃあ、日曜に会おうねあずにゃん」 梓「はい。おやすみなさい、唯先輩」 唯「おやすみ、あずにゃん」 おしまい 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る