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永遠亭について ギルドメンバーの皆さんは、はじめにお読み下さい。 最低限のルールを載せています。予期なく変更する場合もございます。 初めての方、加入希望の方も、まずお読みください。 生まれたのはいつ? 2007年08月07日に創設されました。ギルドシステム実装日と同じ日です。 そもそも「永遠亭」とは? こちらまたはこちらからどうぞ(><;) ギルドマスターは誰? 「神無月月花」です。加入希望者の前では面接官。 これだけは知っておきたい永遠亭 「/p」を「/g」と見抜けないと(誤爆を回避するのは)難しい。 永遠亭に加入するための条件は? レベル・職業は不問ですが、 原則新規加入はメインキャラクターのみに限らせて頂いております。サブキャラや、露店及び倉庫専用キャラなどは加入出来ません! (メンバー同士、より深い交流をしてもらうための措置でございます。) 現在、 永遠亭に長く在籍しているメンバーは、1体限定でサブキャラクターの追加加入を申請できます。 ※キャラの入れ替え希望はまず相談を、無闇にキャラ入れ替えを行うのはご遠慮願います 当ギルドは若干特殊なギルドです。メンバーはみな 「永遠亭」及び「東方 Project」という製作物を多少なりとも把握している 事を前提に活動しています。それを踏まえた上でお願いします。 2013/10/8より体験加入を導入しました、期限は一週間ですが進退を決めるのはそれ未満でも可能です 永遠亭とお別れするには? 永遠亭は去る者を追いません。脱退したい場合は、ギルドマスターへ直接その旨(理由)を伝えてもらうか、ギルドマスターが不在時はポストにてメッセージをお願い致します。 無言で去る行為だけは出来るだけおやめ下さい。 これだけは守って欲しいこと 迷惑、違反行為は止めましょう。チャット荒らしやバグ利用なプレイ。 揉め事は避けましょう。スルーする程度の能力は必要。 ネトゲと言えども 相手は生身の人間。親しき仲にも礼儀あり。 守秘事項を徹底しましょう。 ID やパスワードは共に絶対に他人にも身内にも教えない、聞き出さない。 その他 ギルドへの勧誘は基本的にメンバー誰でも自由にできますが、 責任を持って行動して下さい。 候補があればどんどんギルドマスターに報告して下さい! ギルドの階級は、現在レベルを基準に決めています。 レベル 階級 備考 レベル不問 ルーキー 全てのサブキャラクター **1 ~ *79 ベテラン *80 ~ 119 エキスパート 120 ~ *** リーダー サブマスター ノートン・てゐ・氷精チルノ・†十六夜咲夜†・蓬莱さん マスター 神無月月花 長期離脱しているメンバーに関しましては、本人からの連絡が無い場合に限り、半年~ 1年を目処にメンバーとの審議を経て強制脱退させて頂く場合がございます。(連絡手段が無い環境などでログイン出来ないという場合には、この場限りではありません) 最後に _,,,, --──-- ,,,__ , '´ __ `ヽ、,ヘ .くヽ_r'_ヽ 、 ,、_) ヽ ,______r'´イ´ ['、イ_,-イ、ゝ,_, ,イ_,-,_ゝヽ、__〉 ,! 、!-|ーi、λ_L!」/_-i、|〉',ヽイ i_ノL.イ (ヒ_] ヒ_ン ).!_イ | | ここが噂の永遠亭かぁ ヽ! |.i", r、__, "" | ! | | .| ! ',. / Lヽ_ン ,! ! .| | 感慨深いわね……。 | |/ ) イノi .| .| | |/"'''ーくー--─ ´/ /入、 | _,,,, --──-- ,,,__ , '´ __ `ヽ、,ヘ .くヽ_r'_ヽ 、 ,、_) ヽ ,______r'´イ´ ['、イ_,-イ、ゝ,_, ,イ_,-,_ゝヽ、__〉 ⌒ r 、 ,! 、!-|ーi、λ_L!」/_-i、|〉',ヽイ ・ ヽ i_ノL.イ (ヒ_] ヒ_ン ).!_イ | | ほーらよっと ( と ト、 ヽ! |.i"" ,___, "" | ! | | 〈 ⌒ \.| ! ',. ヽ _ン .,! ! .| | \ | |ヽ、 イノi .| .| \ | | .| ` ー--─ ´/ /入、 | (2010年04月07日改定) この wiki 内で使用されているバナー及びゲーム内等の画像を無断で使用する事は禁止されています。 (C)2006 Actoz Soft, All right reserved. (C)2006 Gamepot Inc, All right reserved.
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《始まりと終わりのヤヌス》 効果モンスター 星6/闇属性/悪魔族/攻2200/守1400 このカードは特殊召喚できない。 このカードの生け贄召喚のための生け贄は闇属性モンスターでなければならない。 自分の墓地の闇属性モンスター1体をゲームから除外する事で、 相手フィールド上の表側表示のカードを1枚選択して墓地に送る。 この効果は1ターンに2回まで発動する事ができる。 part21-56 作者(2007/10/06 ID k2Q5net70)の他の投稿 part21-58 コメント 名前 コメント
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5HY/W83-62 カード名:嘘つきは仲直りの始まり カテゴリ:クライマックス 色:緑 トリガー:袋 【永】あなたのキャラすべてに、パワーを+1000し、ソウルを+1。 (袋:このカードがトリガーした時、あなたは自分の山札の上から1枚を、ストック置場に置いてよい) CC 風太郎「なんだ、そこまで進んでたのか」 RRR なんでもありま…なんでもないよ レアリティ:RRR CC 五等分の花嫁収録 ・対応キャラ カード名 レベル/コスト スペック 色 孤独に進む 中野 五月 1/0 4500/1/0 緑
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《始まりの終わり》 通常魔法 1ターン目に発動できる。 デュエルは自分の負けとなる。 part21-573 作者(2007/10/26 ID g+viI1vo0)の他の投稿 part21-593 / part21-594 コメント 名前 コメント
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ゲタ箱に入っていた便せんは、定規を使って書かれた四角い文字で埋まっていた。 『放課後、会長に話したいことがあります。』 終了のチャイムが鳴り解放感でいっぱいになった教室から外に出る。 学校の正門で立ち止まり、散々迷ったあげく学校に足を戻した。 『僕は今どんな顔をしているんだろう』そんな事を考えつつ、 楽しそうな表情の生徒たちの流れを横目に生徒会室にむかう。 イタズラかなにかであって欲しいと思っている。 生徒会室のドアを開けると少し肌寒い風が横を通る、 揺れるカーテンに包まれた君は夕焼けに似た暖かい笑顔で迎えてくれた。 「来て、くれたんですね」 少し意外そうな顔を、私に向けながら彼は後ろ手でドアを閉めた。 「……先輩」 親しくしたことは無かったから、会長と書記それ以上の関係は無かったから 今まで黙っていたのはちょっと重要なことだから……もう私は言えるから。 きっかけはたくさんあるけど。 最初はただ、私のそばで話を聞いてもらいたかったの 「……私は先輩のことが好きです」 白い歯のこぼれる苦笑にも似た微笑みをするあなたが好きです。 とんでもなく良い人のあなたが イタズラじゃないのか…… 後ろ手でドアを閉め、窓際に立ったまま何かを考え込んでいる様子の彼女に目をむける。 「……先輩」 頬と耳のあたりが少し赤くなっている彼女は優しい声を響かせる。 10月を過ぎて日が落ちるのが早くなって、赤く染まった空が窓から入り込み 彼女の背中を押しているように見えた。 「私は先輩のことが好きです。」 ふと見とれていた自分に気づき苦笑が押し寄せてくる。 決心と一緒にギュッと手を握りしめた。 これが僕たちふたりの始まり―ー…
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※11 58~ 【曲名】 始まりの終わり 【アーティスト】 Blue Steels (興津和幸, 松本忍, 宮下栄治) 【歌詞】 http //www.kasi-time.com/item-78648.html 【作詞】 ヒゲドライバー 【作曲】 ヒゲドライバー 【編曲】 ヒゲドライバー 【作品】 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- 【メディア】 TVアニメ 【テーマ】 イメージソング 【初出】 2016年 【備考】 Tridentラストアルバム『BLUE』収録、群像ラップ「蒼き空の下で」の正当な進化形。お三方ともお疲れさまでしたー。
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873: 陣龍 :2018/06/23(土) 21 57 46 日米蜜月(ユーラシア共産化)ルート考察擬き 大戦に置ける主要会戦記録 『第二次世界大戦~始まりの終わり・終わりの始まり~』 『極東の小狼、大韓王国軍。暁の大地に咆哮せり ~満州理殲滅戦~』 『正面突破は……難しいな……。時間をかけ過ぎたせいで、完全に永久要塞化されている』『あまり損害を出すと、また中華軍が 騒ぎ出すからな……』 ~収集した情報を元に攻略案を会議するも、手詰まり感が否めない状況の作戦本部~ 『……作戦案は理解した。……一つだけ聞こう。【正気】か?』『正気かどうかは別として……【本気】であります』 ~枢軸軍極東方面軍司令部にて、総司令部と韓国軍との間で交わされた言葉~ 『…………えっと、すまない。……此奴って、まさかとは思うが……』『おそらく、自分たちの推測は間違ってないだろうな……』 『……列車砲とか、俺初めて見たぜ……』 ~休養の為駅に移動し、偶然にも満州軍が前線へ配備予定であった列車砲を目撃したアメリカ兵達の言葉~ 『離せ!!離してくれ軍曹!!頼むからあの世界の歪み共の頭をカチ割らせてくれ!もう限界だ!』『気持ちは分かります!分かりますが政治士官殿!!そんな事をしたら士官殿は処刑されかねません!!』『ええい止めてくれるな!このままだと俺の方がストレスで狂い死にしちまう!!』 ~何度注意喚起を越えた警告をしても欠片も改善される気配のない中華兵の軍規無視にとうとうブチ切れて氷割り用巨大ハンマーを持ち出した政治士官とそれを必死に抑制するソ連兵~ 『……何とも言えない環境だな』『まあ、少なくとも後ろから機銃掃射は喰らわなさそうですね』『別の意味で味方撃ちされそうだけどね』『……そこはまあ、政治士官殿にお頼みするしか無いだろう』『他所じゃあり得ん言葉だよなぁ……』 ~共産連合軍では有り得ない程に友好関係を築いている政治士官と軍、贅沢極まりない戦争をする枢軸軍、正直とっとと追い出した方が良いのではないかと思う中華兵の姿を見た他戦線からの転属兵達~ 『……あー?異常?有りませんぜぇ、少尉殿?そんな事よりぃ、次の補給は…』『……士気の緩みが酷いな……酒飲みながら監視とか何考えているんだ』『よく見ろ……中華兵だぞ』『……憎むべき敵だが……今回ばかりは同情するぜ、ソ連軍』 ~通常の軍では有り得ない適当な見張りを見て思わずため息を吐く、韓国軍浸透強襲部隊~ 『…おい!応答しろ!此方は朱徳中将だ!!敵は!?敵は一体何処にいる?!前線部隊、直ちに応答を、グアッ?!』『…敵なら、此処に居ますよ、中将殿?』 ~弾薬庫爆破と前線通信中継拠点の制圧で混乱する中、偶然前線司令部に激励に来ていた中国共産党随一の猛将『朱徳』将軍を斬殺した韓国軍大尉(作戦前一階級特進)『白 善燁』~ 『やりやがった!あいつら本当にやってくれた!』『この機を逃すな!全軍突撃、英雄たちを絶対に死なせるんじゃないぞ!!』 ~使い古された筈の浸透強襲戦術にて戦線に大穴を穿った韓国軍の大戦果に狂喜乱舞する総司令部~ 『……隊長。俺達、勝ちましたかね?』『これで勝ったと言われなかったら…どうすれば良いのか分からんな』 ~自軍がやり遂げた偉業の前に、実感が全く湧かなかった将兵達。この事は、枢軸国のマスコミに極めて好意的に報道される事となる~ 『…陛下、その……正統大韓帝国救国政府を名乗る密使が…』『…我が国は、真っ当な立憲君主制民主主義国家。そうであるな?』 『はっ…はっ!』『ならば、その方も分かっておろう。どうするべきかを』 ~拘束された李承晩率いる自称『正統大韓帝国救国政府』からの密使を寸分の迷いなく叩き出す大韓王国国王。その後密使はスパイとして処刑された~ 874: 陣龍 :2018/06/23(土) 21 59 40 遠く欧州がフランス本土にて枢軸軍が悪戦苦闘していた頃、地球の反対側では同じく永久要塞化された筈の『ゲオルギー・ジューコフ』大将率いる共産連合軍との幾たびもの戦闘の末、通常の攻勢では敵軍の撃滅は不可能と判断。韓国軍からの意見具申を元に、列車砲や夜間爆撃にて敵兵の耳と目を潰してからの大規模な夜襲と浸透襲撃戦術を敢行。その際共産連合軍内部では中華兵とソ連兵との関係性が悪化していたという、枢軸側にとっての幸運もあり、想像以上の浸透に成功。明け方に士気が怒髪冠を衝く勢いで満を持して突入した日米満三か国機甲部隊の猛攻により完全なる敵軍の包囲に成功し、ソ連軍全体の三割強が脱出した以外を残らず捕捉撃滅する大戦果を挙げた。やや軽薄な部分のある一部マスコミ曰く『カンネの殲滅戦を超える歴史的大戦果』とまで言われたこの戦闘により、事実上極東方面の共産連合軍主戦力は消滅。残されたのは、ソ連領東シベリアの玄関口たるチタ市、そして東アジアから中央アジアへ至る最後の要所たるイルクーツク市への道と、その道中にポツポツと点在する少数のソ連軍と、先述のチタ市、イルクーツク市に籠る機動力の低い砲兵部隊や緊急徴兵で集められた歩兵主体の貼り付け師団。加えて相も変わらず中満国境で数と声だけは大きい中華軍のみであった。 東南アジア、カリブ海、中東、ブリテン島、そして欧州大陸。枢軸国と連合国による戦争が次々と拡大し、そして収束に向けて突き進んでいく中、第二次世界大戦の始まりの地であるここ満州では、『満州理会戦』以降枢軸国極東方面軍と中ソ連合軍との小競り合いと中規模程度の衝突が頻発するも双方の勢力圏は戦前からほとんど変わらないと言う、中々に精神的に不衛生な戦闘が続いていた。理由としては、枢軸軍としては主戦線は欧州方面で有り、あくまで満州戦線は防衛出来ていればそれで十分であると認識されていた事と、中華軍が動員した苦力による人海戦術とソ連軍が精鍛込めて建築した重防御の要塞の攻略を面倒臭がっていた事。連合軍としても枢軸軍と同じく主戦線を欧州方面と認識しており、基本的にこの満州戦線は防御思考が強かった事と、中華軍の多数の兵士が巻き起こす軍規無視の言動でソ連兵と亀裂が発生しており、正直枢軸軍が籠る要塞に攻める気力が無かった事が有った。奇妙と言うべきか、面白いと言うべきか、満州戦線に配備された連合軍、枢軸軍共に『可能であれば退いて欧州方面に向かいたいが、面子その他で退く訳にはいかない』とほぼ同一の思考で一致していた。 航空戦に関しては機材や補充能力の差で枢軸軍側が優勢であったが、連合側は強固なバンカーを作り上げ、尚且つ満州戦線で今まで何とか生き残ったエース級の熟練兵を最新鋭機に搭乗させ、敵戦力を見極めたうえで出撃させ、無駄な消耗を抑制するよう努力していた。圧倒的性能により、戦車と同じく航空機の時代を数段投げ飛ばした『富岳』『B-29 スーパーフォートレス』は、生産される端から欧州方面へ空路で送り込まれ続けており、満州戦線における大型爆撃機の数的主力は旧式化した『連山』『B-17 フライングフォートレス』であり、しかもその多くは新兵の実戦経験の場として選定されていた中華方面への戦略爆撃に従事していた。陣地攻撃に戦略爆撃機は余り向いていないと言う事情はあったが。因みにこの旧式戦略爆撃機による対中華戦略爆撃についてだが、中華国共合作政権が自国民を多数犠牲にしてどうにか獲得した自力での航空機製造能力がとっくに旧式化した『I-16』程度であり、供与機も殆どが旧式化が進みつつある機体揃いの為、まだまだ第一線で頑張れる能力や防御力を持つ『連山』『B-17』相手では例え相手が護衛機無しの丸裸でも確実な撃墜方法が体当たり程度が関の山、実際にはしっかり護衛機付きで爆撃しに来ている為殆ど落とされるために出撃して枢軸軍航空パイロットに戦果と連度を稼がせる事しかできていなかった。ガス抜きの為なのか、アメリカの戦略爆撃機マフィアがこの戦線に関しては割と自由に指揮出来る様な状態であった為、紫禁城等の重要文化財を除く多数の都市が灰燼に帰していたが、中華合作政府はそれでも懸命に軍閥と自国民をすり潰しながら戦闘を継続していた。元々アメリカや日本、ドイツ等欧州諸国の様に大きく整備された工業力が少ない中華には余り効力が無かった事もあるが。 875: 陣龍 :2018/06/23(土) 22 01 26 そんなお財布と神経に悪い戦争が続く最中、中東やカリブ海、欧州方面からは多数の凱歌の朗報が届き続け、満州戦線に配備されていた兵士もそれなりに士気を上げはしたものの『良い加減この戦線にケリをつけたい』と心の底では思っていた。当然前線の兵士だけでなく、参謀から司令部、満州国や満州国民すべてに至るまでほぼ同一の想いであった。守り続ける戦闘は自然と防御側の神経を滅入らせ、多大なストレスを与え続ける事になるのでは必然かつ満洲国全体に閉塞感を漂わせざる負えなかった。特に満州国に取っては主要工業、人口地帯から遠く離れた辺境での戦闘と言えども自国内部での戦闘であり、加えて中華からは漢族の工作員が何百回摘発、拘束、射殺を行おうとも、全く気にも為さない様に満州国内での破壊工作や諜報活動、扇動行為を繰り返しており、軍や政府、警察関係者は例外無くフラストレーションを限界ギリギリまで溜めに溜め込んでいた。 ただ、彼らはフラストレーションを溜め込んで漢族工作員への取り調べで荒っぽくなる程度に理性で抑え込んでいたが、既に中華系移民の流入を制限して長期の教育等の社会保障制度によって『栄光有る満州騎馬民族の末裔』と言うアイデンティティをある程度確立済みな満州国民にとって、漢族工作員の言う『漢族の同胞』の言葉は『自身の誇りを穢す物』以外の何物でも無く、戦争中一度たりとも漢族工作員の工作により満州人による蜂起や暴動どころかデモすらも起きる事は無く、それどころか警察や軍が駆け付ける前に漢族工作員を現地住民が最低でも半殺し以上に袋叩きにする事例が多発。特に『第一次満州防衛戦』に置いて中華軍による虐殺や略奪により、最早正確な把握は不可能と言われる程の惨禍を残していた中満国境地帯では、工作を試みた漢族工作員が例外無く消息を絶つか、見るも無残な状態で他国軍に保護される程であった。尚この『第一次満州防衛戦』に置いて、中満国境地帯にて引き起こされた惨事は、後に取材したアメリカ人記者曰く『この光景を超える地獄は、未来永劫何処にも存在する事は無い』とだけ言い残し、題名にただ一言『HELL』とだけ書かれて仕上げられた記事が当時の時代柄、殆ど『売れるのならば』と過激な物でもスルーパス状態で通していた新聞業界上層部が揃って報道を禁止させた程の物であった事から、この地域で起こった惨事の一端を推測出来るかも知れない。救援活動に参加した満州駐留の海兵隊員曰く『クソッタレのクソッタレに胸糞悪さとごみ溜めにヘドロをぶちまけた上で百乗してもし足りない地獄絵図』とも言われていたが。 少々余談になるが、現代でもそうであるが当時の満洲国は【East Americana】と俗称される程の多民族国家であった。形式上はこの国家の主である土着の満州民族を筆頭に、実質的な主人格である白人系アメリカ人に黄色、白色系日本人。そして日米に連なる出資者の一国でもあるオランダ人、直近の大韓王国人にアメリカ本土から流れて来たアメリカ系黒人やヒスパニック系、津波の如く雪崩れ込む為大慌てで規制された中華系、そして変わり種としてはロシア革命の惨禍から奇跡的に脱出出来た者と戦後獲得したウラジオストクに居住していたロシア系。正しく人種のモザイク模様とも言うべき多種多様な民族がこの満州国内に移住、生活していたが、この複雑な中身を公正かつ平穏に統治する為に満州国政府は【万民平等】【共存共栄】をスローガンに必死に人種問題に建国される前から対処しており、それがこの第二次世界大戦の始まりである『第一次満州防衛戦』によって満州国民としての一体感を生み出す事に繋げる事が出来ていた。その為、この満州の気風がアメリカに逆輸入されたのも、戦後アメリカでの一大事件である人種差別に端を発した白人至上主義者主体の大規模な暴動である『テキサス・カリフォルニア暴動(第二次南北戦争)』の添加剤の一つともなっていた。 876: 陣龍 :2018/06/23(土) 22 02 47 そんな中、日米満の秀才達がコーヒーや烏龍茶、麦茶などを飲みつつ会議していると、ウラジオストク攻略戦にて地雷原に嵌り込む失態を見せるも、最近では死者が出る程の猛訓練と度重なる実戦参加で相当な精鋭化がなされつつある大韓王国軍より作戦計画書が提出される。内容は、第二次世界大戦中に一躍脚光を浴びている電撃戦型の戦車、機械化師団による機動突破戦とは真逆の、第一次世界大戦時代の遺物ともいえる浸透強襲戦術による、歩兵部隊を主軸とした攻勢計画だった。当然多くの参謀たちはこの作戦案に反対以前にその真意を韓国軍へ問い質したのだが、丁度情報部から敵軍内部にて亀裂が発生しており、尚且つ割合的に錬度の低い中華兵が増大し、その逆に猛牛とキツネ狩り、その他苦労人多数の将軍が大暴れしているヨーロッパロシア方面へベテランのシベリア兵が多数転属していっているという情報が入ってきていた。韓国軍はこの情報部の情報を入手していた訳では無いが、多数の遭遇戦や偵察により敵軍の動きが妙に衰えている事は察知出来ていたのだ。 日清戦争時に使い物にならない両班を纏めて追放又は処刑して以来一心不乱に国土開発…と言うより長年続いた悪政からの復興と陸軍強化に邁進し続けた結果の、一つの到達点を証明した出来事でもあった。尚、代償にこの時期の韓国軍の持つ海と空への軍事的オプションは一部供与や警備隊程度を除き完全に安全保障条約を締結している日本任せではあるが。実際問題、韓国に海空戦力が到達するという事は満州駐留の日米軍が壊滅し、日本海軍も全滅している事と同義である為、そんな事態になる程に敵軍が強大なら、韓国が無理して海空戦力を保持しても一蹴されるだけと言う事実が有るのが大きいのだがそれにつけても思い切りの良さと開き直りっぷりは相当な物である。 作戦開始時刻は新月の夜中。この作戦を実行するにあたり、日本からは調達価格がそれなりに高く、又製造ライン増設が少々追い付いていない状態ながらも現在絶賛量産中である暗視装置を多数供与されていた大韓王国軍は、悟られない様に繰り返して来た威力偵察にて割り出していた共産軍の哨戒網の隙間を縫って進撃を開始。長期に渡り断続的に繰り返された空襲や遭遇戦、列車砲による艦砲射撃によって各所には処理し切れずに放置された死体や兵器の残骸、弾痕が点在していた為、比較的偽装して敵兵をやり過ごすのは容易ではあった。勿論言うは易く行うは難しであり、一部部隊では敵哨戒兵に発見されかけた為に分隊丸ごと殺害して強引に難を逃れると言う大ポカをやらかしてしまっていたが。幸運だったのが、この時殺害したのはつい最近戦地に到着したばかりの中華兵であり、定時連絡が終わった直後の奇襲で有った事ではあるが、正直に言って余り褒められた事では無い。敵軍である共産軍はそれ以上に褒められた状態では無かったが。 韓国軍による浸透襲撃を受けているソ連と中華による共産軍であったが、よりにもよってこの時期に仲違いを起こしていた事は後世の一部聞きかじった人間から批判されているが、状況を精査すればよく此処まで持ちこたえた、とするべきかも知れない。勿論戦争中にやってしまった事である為、褒められる行為ではないのは事実だが。そもそもソ連軍と中華軍が同一戦場に存在する事になった切欠は、満州に駐留する日米軍並びに堅実かつ着実に時間を掛けながら強固な政府と軍隊を建設していた満州と相対する極東ソ連軍の戦力に不足を感じていたモスクワが、少なくとも兵数には余裕が有る近隣同盟国の国共合作済み中華の首領たる蒋介石に、多数の軍需物資や工作機械等と引き換えに戦力拠出を要求したのが原因だが、戦況の悪化や熟練ソ連兵の欧州戦線への引き抜きと数だけは増える中華兵、そして日々の損耗によって『見た目の戦力比』が中華側に偏ってくるにつれて、自身の立場を誤認し、ソ連相手に横柄な態度を取る中華人が続出し、ソ連側政治士官が多数『後方からの弾丸』以外で病院に担ぎ込まれるケースが急激に増加していた。ある意味コレも『後方からの弾丸』には違いないのだが、当の政治士官たちもこのような形の『弾丸』を叩き込まれるとは夢にも思っていなかっただろう。実際、彼らの残した日記、手記の一部には自身の近況に対しての記述で、中華兵に対する呪い殺さんが如き怒りの言葉が書き連ねていた。 877: 陣龍 :2018/06/23(土) 22 04 48 政治士官ですらこんな有り様であるのだから、長時間直接面と向かっている前線のソ連軍兵士、下士官の持つ態度も錬度も最低な中華兵に対する心境は侮蔑程度で済ますのならば未だ良い方で、者によっては公然と罵倒や暴行に走るに至った事すら あった。中華兵にとっては故郷から殆ど拉致同然に徴兵され、マトモに訓練も施される事無く地の果てに送り込まれたり、糊口を凌ぐ為だけに兵士になっただけの者が多くて同情できなくも無いかも知れないが『戦闘になったら簡単に崩れて逃げ出す』『ロシア語が徴兵直後の中央アジア兵より通じない為にソ連人による指揮が極めて困難』『何処かから持ち込んだアヘン等の麻薬を常時服用してソ連軍の軍規破りを助長させる』『ソ連兵の私物や装備を勝手に持ち出して売りさばく等の軍規違反多発』『全く役に立たない癖に一丁前に物資要求』と言う実害を受けていたソ連兵にとってはそんなのは知った事では無く、後に事情を知ったアメリカ人が「ソ連軍は中世の軍隊と共に戦っていた」と感想を述べた様に、民族性や国家の体質の違いが如何無く発揮された状況だった。口さがない者は「上っ面以外は大体非文明国な軍隊ですらない武装集団が、追い詰められているせいで色々後進国に配慮している列強と轡を並べればこんな物だろう」と身も蓋も無い事を言ってたりする。 勿論この状況を座視する様な共産軍であるはずも無く、中華兵に関してはその名が知れ渡っていた中国共産党所属の朱徳将軍が着任して厳正な綱紀粛正を開始し、ソ連兵に対しても配置転換と再訓練を行って錬度や規律の再構成を行い始めていた正にその時に、乾坤一擲の気概で大韓王国陸軍が静かに殴り込んできたのだった。タイミングとしてはそれこそ、ボクシング選手が体勢を整える為に一瞬退いた瞬間に懐に詰め寄られ、防御行動すらも出来ずに全力の右ストレートをモロに顎へと喰らった様な物である。しかも今回の場合の共産軍は、先の日米満連合軍が見せた第二次満州防衛戦(満州理会戦)での、特に機甲部隊や航空機部隊の猛攻が常に脳内で警鐘を鳴らし続けていたが為に、歩兵主体の大韓王国陸軍の事をそこまで重要視して居なかった事が、余計に混乱を強めさせる結果へとなっていた。早い話が、大韓王国陸軍の作戦行動による弾薬庫爆破等を受けて、日米軍の作戦行動と誤認した末に通信網の破壊や攪乱、欺瞞情報による混乱で統制が一部崩れかけてしまったのだ。特に朱徳将軍が幾多の偶然の末殺害された事や中華兵乃至ソ連兵がスパイだとして殺しに来たと言う欺瞞情報が、余計に大きく影響した。 韓国陸軍が想定外の幸運もあり思いの外撃ち広がった風穴を、朝日が昇るとほど同時の黎明期に日米満統合機甲師団による突撃が更に貫き、大きく広げていく。戦争経済にて増加した軍事予算を用いて、満州軍が日本海軍より供与して貰った戦艦砲を搭載した複数の新造列車砲を筆頭に、欧州では終ぞみられる事のなかった多量の列車砲弾による制圧射撃を受けて尚『ゲオルギー・ジューコフ』大将率いる極東ソ連軍の大半は統制を保ち続けていたのだが、ソ連軍の殆どが危惧していた通りに中華兵がこの尋常ではない対地砲撃の嵐を受けて早期に抗戦意識が崩壊。根本的に民兵に毛が生えた程度の彼らに多くを求める事自体が酷な話では有るが、士気が挫けた上に朱徳将軍が混乱の中戦死した一報が駆け巡った結果各所でソ連軍の指揮や命令を無視、逸脱して脱走や同士討ちが頻発し、余計に情報錯綜に拍車をかける羽目に有った。戦闘後に捕虜となったとある兵士の証言では、司令部では『肉壁にすら成れない中華兵』に対する怒号の嵐が吹き荒れていたというが、さもありなんと言う話である。 最終的には陣地各所で中華兵とソ連兵が撃ち合っている所に横合いから枢軸軍が纏めて吹き飛ばしたり、相も変わらず偽装降伏してくる中華兵が満州兵に問答無用で叩き潰されたり、全うに兵士としての義務を果たし壮烈に戦死を重ねるソ連兵に何個もの小隊が交代させられる等の混沌の坩堝に晒された『満州理殲滅戦』であったが、この戦争で恒例となったドル札や円の札束をばら撒くが如き贅沢な戦争を繰り返す枢軸軍の優位性に変化は無く、最大限粘り抜いたジューコフ将軍率いるソ連軍は、本当に信頼も信用も出来る精鋭中華兵以外の全ての中華兵を時間稼ぎの為置き去りにして撤退を開始するも、最早度重なる激戦によってマトモなエアカバーを盗れるだけの戦闘機が物理的に消滅したソ連赤軍は舌なめずりして襲い掛かる地上襲撃機や爆撃機の魔の手から逃れる事は難しく、ジューコフ含む司令部要員並びに何とか生き残った雑多に統合されたソ連軍総数の三割強程度の兵力以外はトラックや鉄道を潰されて立ち往生した末追撃して来た枢軸軍に降伏する事を余儀なくされ続けた。 878: 陣龍 :2018/06/23(土) 22 06 01 その後、予想外に多い捕虜の回収や戦地の調査等を行う一部の部隊を残し、枢軸軍はそれぞれ兵力を南北に分けて再編成し、進軍を開始した。北方軍の目的は言うまでも無くシベリア鉄道をヨーロッパロシア側に向けて逆走し、イルクーツク等の極東 地域の重要拠点を完全制圧すると言う日本陸軍が夢見ては諦めていた戦略目標を達成する為に。南方に歩を進めた軍の目的は、北方の邪魔な枷が取れた以上中満国境線上で散々圧力をかけ続ける中華軍を徹底的に叩き潰す為であり、状況次第では北京まで突貫する気であった。ただ中華に巣食う者達の思惑とは裏腹に、日米は勿論の事満州国は過去『清』の様に中華を制圧し、中華の主になるつもりは一切無かった。やる事は唯一つ、開戦直後に無辜の民を一方的に虐殺しあらゆるモノを略奪された事に対する、戦争の流儀に則った極めて合法的な『報復』である。 余談だが、この大決戦の後に中華政府によって大義名分用に抱え込まれていた自称『正統大韓帝国救国政府』率いる李承晩による密使や空手形等による工作が以前よりも活発かつ激しくなったのだが、既に『極々単純な反政府テロ組織の首魁』と言う認識が各国政府に知られていたので悉くが不発に終わっていた。特に大韓王国では『祖国の危機に逃げ出して楽して甘い汁だけ吸い外から喚き散らした挙句、故国の危機に外患を持ち込もうとする売国奴』として完全に嫌われており、開戦時の『早期に戦争が連合側の勝利に終わり、自身は英雄として帰還する』想定が完全に崩壊して焦りに焦り抜いていたのだが、彼がどれだけ喚き叫ぼうともこの完全に敗北に向けて落下しつつある状況には一切の変化が起きるはずも無く、戦後大韓王国に引き渡された後は反逆者として裁判に掛けられた末に絞首刑に処せられた。その時の彼の様子は特に記録に残されてはいないが、当時その裁判に出席していた者が例外無く疲れ切った表情をして居た事を考えると、余り楽しい事が起きていた訳では無い事は想像が付くだろう。 879: 陣龍 :2018/06/23(土) 22 09 43 以上でした。明日早番なので返信等はまた何時かの日に 今見返すと本当に大味なモノですけどまあ日米タッグと言う卑怯すぎる組み合わせでも有りますしまあええんじゃ無いかなと(目逸らし) さて次はドイツの寝返りとキール沖の悲劇(大和限定)とポーランド蜂起救出作戦とか色々脳内プロットらしき何かは有る様な気が する様なしない様なと言う有り様ですのでまたどこかの日に忘れたころに出て来るかも知れませんので御了承下さい(逃走)
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「あ~面白かった」 「まーちゃん何があったか覚えてるの?」 バリバリと音をさせて煎餅を食べながらご満悦の優樹に、亜佑美が驚いたように尋ねる。 「もちろん! どぅーとやすしさんに会ったよ」 「あ~でも、あたしも里保ちゃんに会えたような気がする。ただの夢かもしれないけど」 「聖も多分どぅーに会えたかも」 「そう言われてみるとうちも鞘師さんに会ったのかな? まーちゃん他に残ってる記憶とかあるの?」 「う~ん、なんかとっても楽しかったことだけはよく覚えてるよ」 「やっぱり優樹ちゃんも具体的なことはわかんないのか」 気絶から回復した4人は、一仕事を終えた和やかな雰囲気で紅茶を手に談笑していた。 しかし衣梨奈だけは、眉間にしわを寄せて険しい表情のまま会話にも加わらなかった。 オダベチカは連れてきたものの、他にえりができることは何かないんだろうか。 みんなのようにわかりやすく力になりたいのだけど、 そのためにどうすればいいのか、いくら考えてもまったくいい方法が思いつかない。 「ただいま戻りました」 「あ~はるなんお帰り!」 丸テーブルに着いた春菜にも紅茶が振る舞われ、 一息ついたところでさゆみが報告を促す。 「それじゃあバンシーについて調べてきたことを聞かせてもらえるかな」 その一言で、弛緩していた居間の空気がまた緊張したものに変わった。 「はい。バンシーは、本来は『嘆きの妖精』という名称の通り妖精の一種でして、 その特性は、泣き声を聞いた者の死を予言するというものです。 ここで重要なのが、それはあくまで予言であって呪いなどではないということ。 バンシーが相手に何らかの手を下して死をもたらすわけではないようです」 「それってつまりどういうこと?」 イマイチ意味がつかめていない様子の聖が訊ねる。 「バンシーの泣き声を聞いた者が、もしバンシーを倒すなど働きかけをしたとしても、 バンシーの予言、『もうすぐ死ぬ』という未来は変えることができないということです」 「えっ、じゃあ里保ちゃんとどぅーが今やろうとしてるのも意味ないってことじゃない??」 香音の驚愕の声とともに周囲にざわめきが起こる。 物語の世界に入り込んでバンシーさえ浄化なり倒すなりすれば、 2人が受けた死の宣告も解けるとばかり思っていたのが、 もしそうしても死の未来から逃れられないのなら、一体どうすればいいというのか。 「はいはいみんな落ち着いて。はるなんの話はまだ終わってないよ」 さゆみの一声でどうにかざわめきも静まったものの、重苦しい空気は残ったままだ。 優樹の煎餅を食べる咀嚼音だけが、やけに大きく響く。 「最初に『本来』と言ったのは、現在は妖精としてのバンシーが ほとんど見かけることのない非常に稀な存在となっているからなんです。 代わりに現れることがあるのが、アンデッドとしてのバンシーです」 「アンデッド……」 「現世に強い恨みや執着を残したために、成仏できずに蘇った死にきれざる者達。 アンデッドとしてのバンシーは、明確に相手を殺そうという意図で行動します。 そしてその泣き声は、予言ではなく聞いた者の生命力を奪う呪いとして相手を束縛します。 これはあくまで呪いなので、もし受けてしまってもバンシーを浄化するなり 倒してしまうことが叶えばその死の宣告から解放されるはずです。 問題は今回のバンシーがどちらに属する者なのかということですが……」 「うん、この書物に憑りついているのは間違いなく、アンデッドとしてのバンシーだね」 さゆみの断言で、ようやく重苦しい空気が少しだけ取り払われた。 里保と遥がしっかり役目を果たせれば、受けた呪いもちゃんと打ち払うことができる。 そのことがはっきりしただけでも、春菜の集めてきた情報の価値は十分だろう。 「他に何か、アンデッドとしてのバンシーについてわかったことはある?」 亜佑美の問いかけに、春菜が改めて説明を加える。 「呪いについてもう少し詳しく説明しておくと、 すでにその呪いを受けてしまった鞘師さん達は、徐々に生命力が奪われていき 最終的には死に至ることとなりますが、泣き声を一度聞いただけなら 効果が現れるまで時間がかかり、おそらく少なくとも数週間の猶予はあるはずです。 ただ怖いのは、その泣き声をまた聞いてしまう、つまり呪いを重ねて受けてしまうと その効果は何倍にも高まり急激に生命力を失ってしまうという危険な特性があります」 「ということは、いざバンシーと対峙した時に、 またその泣き声を聞いちゃうと2人とも一気に危なくなるのか……」 香音の呟きに春菜が頷く。 「はい。あともう一つ危険な武器がドレインタッチです。 バンシーの魔力を持った手に触られると生命力を吸い取られ、 それだけで死に至る危険性のある恐ろしい攻撃です」 「うーん、やっぱりアンデッドというだけあってとっても厄介な存在なんだね」 「でも大丈夫ですよ。鞘師さんとどぅーの2人なら、 絶対にバンシーの浄化を成し遂げてくれますから」 亜佑美の前向きな発言に、みんなもその通りだと同意する。 そんな中、春菜の説明の最中も難しい顔で黙りこくる衣梨奈の異変に聖が気づいた。 「えりぽん、どうかしたの?」 今のえりにできること。 はるなんの説明の中に何か重要なヒントが隠れていた気がする。 あともう少し、もう少しで大きな道筋が繋がりそうなんだけど。 考えろ、とにかく考え抜いてそれを見つけ出さなきゃ。 その時、これまで聞いたさゆみの言葉が不意に衣梨奈の脳裏に蘇る。 『この書物に憑りついているのは間違いなく、アンデッドとしてのバンシーだね』 『残念ながら本の世界に入り込めるのは『鍵』となる人物と、 それ以外だったら人ならざる者くらいしか不可能でしょうね』 『自分に何ができるか、とにかくよーく考えてみな生田。 よーく考えて、そして思いついたどんな些細なことでも試してみて、 使えるものがあったらそれが何であっても最大限に利用して、 自分にできることを極限まで全部やり尽くしたその時に、 それがきっとりほりほと工藤への何かしらの手助けとなっているはずだから』 アンデッド……。 人ならざる者……。 使えるものはそれが何であっても最大限に利用……。 そうか!! やっと繋がった!!! えりにもできることがあった!!!! いきなり力強く立ち上がる衣梨奈。 椅子が音をたてて倒れ、みんなの視線が一気に集まるのも構わず、 噛みつかんばかりの勢いでさゆみに頼みこむ。 「すみません道重さん、黒電話借りていいですか!?」 「うんいいよ、好きに使ってちょうだい」 さゆみの返事とともにダッシュで居間を飛び出す衣梨奈を、 みんなはただ呆然と見送ることしかできなかった。 「なんかいかにもえりちゃんらしいけど、あれって一体どうしちゃったですか」 「生田にもようやく自分にできることが見つかったんでしょ。 まあそんな気にすることもないよ」 楽しげに微笑むさゆみに、周りも訳が分からないままつられて笑みがこぼれる。 その中で、春菜だけは真剣な表情でさゆみに質問をぶつけた。 「道重さん。リリウムという物語について、もっと詳しく教えてくれませんか? バンシーを生んだきっかけとして、きっとこの物語の悲劇が深く関わっていると思うんです」 「そうだね、じゃあ生田が戻ってきたらその話をしておこうか。 でも覚悟しておいてね。このリリウムの結末も絡んだ完全にネタバレの内容になるから」 さゆみの言葉に、みんな期待と不安それぞれの様子で頷いた。 ○ しばらくして、衣梨奈が居間に戻ってきた。 「どうしたのえりぽん!?」 「うん、別に大丈夫やけん、気にせんといて」 充血させた瞳で明らかに泣きはらした痕の見える衣梨奈だったが、 心配そうな聖の問いかけにも、これ以上の質問を拒むような口調を返す。 「自分のできることは全部やりきることができた?」 わざわざ黒電話を借りたことに深い理由はない。 ただ自分の携帯より黒電話を使った方が繋がりそうな、そんな気がしたから。 そのおかげかどうかはわからないけど、ちゃんと望んだ相手に連絡が取れ、 自分の想いをぶつけることができ、そして勝手極まりないお願いも了承してもらえた。 それがどこまで里保達の力になれるのかはわからないけど、 でもこれで自分のすべき役割は果たせたという、そんな達成感はある。 「はい!」 さゆみの確認の言葉に、ようやく迷いのない返事ができた。 そんな衣梨奈の姿に満足げに頷いたさゆみは、あらためてみんなのことを見渡す。 「それじゃあ生田も戻ってきたことだし、このリリウムの物語について、 悲劇の核心を説明するからね。最後にもう一度だけ念押ししておくけど、 完全なるネタバレの内容だから覚悟しておいてね」 さゆみの真剣な表情に、みんなの表情も自然と引き締まったものとなる。 「全ての悲劇の発端は、このリリウムの物語から遥か3000年前。 ソフィ・アンダーソンというダンピールの少年がとある事件に巻き込まれて、 真祖たるトランプのクラウスに噛まれたことにより、 望まぬ不老不死の力を得たことから始まるの」 「3000年前……」 いきなりの壮大すぎる話に、唖然とするしかない一同。 「不老不死――新たなるトランプとなったソフィに死を与えられるのは、 真祖たるトランプのクラウスのみ。しかし彼は姿を消し、 ソフィの懸命の捜索もむなしく見つけ出すことができない。 死にたくても死ねないまま続く永遠の日々に疲れ果てたソフィは、 ともに永世を生きる仲間を求めた。そのために1000年前、 繭期のヴァンプ達を集め創設したのが、サナトリウム・クランなの」 望まぬ不老不死となり、死を求めてさ迷い歩く永遠の日々。 その凍りつくような時間の流れを想像し、春菜は思わず身震いがする想いだった。 だが、春菜の想いは当然のことだがあくまで想像の産物。 不老長寿というソフィに近い存在ともいえるさゆみにとっては、 これまで経験してきた長きに渡る歳月から、より強くその絶望が響くのではないか。 さゆみの心なしか哀しげな表情から、ふとそんなことを夢想する。 「とはいっても、新たなるトランプのソフィには真祖クラウスのように 噛んだ相手に不老不死を分け与える能力は備わっていない。 でも彼は諦めなかった。その血液を元にして精製し、試行錯誤を重ねた上で ついには飲んだ者の老いを止める薬を作り上げたの」 「老いを止めるってつまり」 「そう、不老を実現する薬ってことね。ソフィはその薬を、 繭期の症状を改善する薬だとして、集めてきたヴァンプ達に定期的に飲ませた。 さらにソフィは、事前に彼女達を噛んでイニシアチブを掌握し、 クランで暮らすために都合の悪い記憶をその都度消去改竄していった。 こうしてクランの住人は、本人の知らぬままに永遠の繭期を生きることとなり、 ソフィもファルスと名を変えてその一員となることにより、 ついに彼の望み、ともに永遠を生きる仲間を得ることができたの。 まあ、仲間というにはあまりに一方的な押し付けだけどね」 「ファルスって確かどぅーの……」 聖の記憶にうっすらと残るその名前。 さゆみも微笑んでそれを肯定する。 「工藤の宿主となっているのがファルスのようね。 そんなファルスがようやく作り上げた永遠の繭期も、 もちろん1000年もの長い歳月の中では色々トラブルが生じることだってあった」 「……繭期も1000年やってらんないでしょ」 「あぬみんサムい!」 ふと思いついたフレーズをこっそりドヤ顔でささやくも、 まさかの優樹に一刀両断されて凹む亜佑美を、みんな生暖かくスルーした。 「薬との相性が合わずに死んでしまった者も大勢いるし、 不老が実現したのなら不死も同時に備わっているのではないかと試して、 ファルスが少女達を殺してしまったこともある」 「非道い……」 春菜が口を押えてうめくように呟く。その瞳はすでに涙で濡れていた。 「ホント非道い話よね。 そして、りほりほの宿主であるリリーも、トラブルを起こしたことがあった。 スノウとともに800年以上前からクランで過ごす古参メンバーだったリリーは、 500年前に自らが望まぬ永遠を生かされていることを知り、 普通に死ぬことができる元の身体に戻してほしいとファルスに懇願した。 でもファルスはそれを許さず、記憶を改竄してまた永遠の繭期を生きるよう強制したの」 「望まぬ永遠の生を与えるって、3000年前に自分がされた仕打ちとおんなじじゃないですか」 悲嘆と憤慨がないまぜになったような声で衣梨奈が指摘する。 「その通り。でも長い歳月が、それに気づかぬほどファルスの心を歪ませてしまった。 ともあれ、トラブルがあってもみんなの記憶を操作することで乗り切ってきたファルスは、 300年前からファルスの考えに賛同した紫蘭と竜胆の協力も得て、 よりスムーズにクランを運営していくことができるようになった。 ファルスの理想の世界は、このまま永久に続いていくかにも思えたのだけど……」 そこで言葉を切ったさゆみが、一旦紅茶で喉を湿らせた後、 まるで宣言でもするかのように厳かな声を発する。 「その崩壊のきっかけを作ったのは、シルベチカだったの」 ○ 「ねえ、本当にお化けが出たらどうする?」 「お化けが出たら大歓迎よ。むしろあたしはお化けがいてくれた方が嬉しいわ。 だって、お化けがいるっていうことは、死んでもまだ続きがあるっていうことでしょ?」 ――立入禁止区域探検中、ローズとカトレアの会話より。 ○ シルベチカ。 里保の宿主であるリリーが、ずっと探し続けてきた少女。 彼女の秘密がついに、さゆみの口から明かされる。 「シルベチカもまた、自分が薬で無理やり永遠の繭期を生かされていると知ってしまった。 それに対し彼女は、不老の命を強硬に拒絶した。 薬を飲むことを拒み、クラン中を巻き込んだ大騒動を引き起こしたの。 そして最後には、薬の効果が切れたため止まっていた何十年分の時間が一気に押し寄せ、 急激に老いさらばえた挙句、そんな姿をさらしたくないと みんなの見ている前で塔の上から飛び降りて自殺してしまった。 それがこの物語の始まりから10年も前のこと」 「10年も前……。じゃあリリーは10年間ずっと、もう死んでしまってるシルベチカのことを いなくなったと思い込んで探し続けてたということですか?」 「ファルスにイニシアチブで記憶を消されたからでしょ。 あれ? でも記憶を消されたんなら、どうしてリリーはシルベチカのことを覚えてるんだろ??」 聖の疑問に答えた香音だったが、自分もまた話している最中に矛盾を感じて首を傾げてしまう。 「そうだね。事件のあとファルスは当然イニシアチブでみんなの記憶を操作して、 シルベチカに関する情報を消し去った。それでいつも通り全て解決したと思っていたの。 でも、シルベチカの最後の言葉、『私を忘れないで』という一言が、 みんなの心に絡みつく呪縛となった」 「呪縛……」 言葉の力、言霊が与える影響力については、以前衣梨奈もさゆみから聞いたことがある。 この時のシルベチカの一言がまさにそうだったということか。 「シルベチカの恋人だったキャメリアは、記憶は戻らなくても 自分でもわからぬままについ女子寮に何度も足を運んでしまう。 そしてリリーは、不完全ながらシルベチカのことを思い出した。 彼女はシルベチカがいなくなったと思い込み、 何度記憶を改竄されても探し続けるのをやめなかった。 そしてそれは、リリーの『覚醒』を促すきっかけにもなったの」 「『覚醒』ということは、やっぱりリリーにも何か秘密があったんですね」 「秘密という表現だとちょっと違うんだけどね。 まあとにかく、そんな様々な過去を経ての現在。 クランの破滅の始まりは、2つの事件によってだった。 第一の事件の主役が、マリーゴールド。 彼女はマーガレットと親衛隊3人を噛んでイニシアチブを握り、 スノウ――彼女にとってリリーのことを不幸にする存在――を殺すように命令したの。 そして第二の事件の主役が、チェリー、ローズ、カトレア、ナスターシャムの4人組」 その名前を聞いてなぜか自分のことを呼ばれたような気持ちになり、 亜佑美と香音がなんとなく照れたような表情で顔を見合わせる。 「立入禁止区域を探検していた彼女達は、偶然ファルスが秘薬を製作する工房を見つけ、 そこでシルベチカの名前が記載されたクランの歴代在籍名簿と、 リリーとスノウの姿が写っている800年前の集合写真を発見してしまう。 そのため永遠の繭期を守ろうとする紫蘭に口封じで殺されそうになり、 どうにかリリーの元へと逃げ出したの」 「それまで知らないと言い続けてきたチェリー達が、ついにシルベチカの存在を知って これまで聞いたリリーの言葉が嘘じゃないとわかったんですね」 ずっとリリーの話をまともに受けとめようとしなかったチェリーの後悔が、 なぜだかダイレクトに亜佑美の心に響いてきて、そっと胸を押さえる。 「混乱の中で、リリーが、そしてスノウが、本来操れるはずのないイニシアチブの能力で 危機を脱するなんてこともありながら、ついにはみんなが一堂に会した。 そこに現れたのが、スノウをかばい刺されて死んだと思われていたファルスだったの。 ファルスにとっては、今回のこともよくあるトラブルの一つにしかすぎなかった。 自らの正体を明かし、シルベチカの死について語った後、 いつものようにイニシアチブでみんなの記憶を消し去った。 今回もまたそれで全てが問題なく収まるはずだった……」 ○ ファルスのイニシアチブを受けて倒れ込んだヴァンプ達は、 目を覚ますとこれまでの記憶が消されてしまっていた。 それぞれ起き上がると、みんな何事もなかったかのように普段通りの生活へ戻っていく。 その後残されたのは、ファルス、スノウ、そしてリリーの3人だけだった。 「これで元通りだ。……君達以外はね」 「どうしてあたしは、シルベチカを忘れずにいたの?」 満足げに笑うファルスに、状況の変化に対応しきれず混乱の残る様子のリリーが問いただす。 「それはスノウ、君の口から話してあげればいい」 「……スノウ」 「リリー……。あたしとあなたは800年間もこのクランで生き続けてきた。 800年もの長い間、ファルスの血液を体内に摂り続けたことによって、 あたし達の身体はファルスと同化していったのよ。 あたし達は、ファルスなの。 だから、ファルスのイニシアチブの影響を受けなくなってしまったのよ」 「あたし達が……ファルス!?」 身体が同化するだなんて信じられないような話だけど、これまでリリーと 行動を共にしてきた里保には、確かに話の辻褄が合っていることがわかる。 辛そうに言葉を紡ぐスノウの後を継いだファルスの声は、 好対照なまでに自慢げなものだった。 「その兆候が最初に現れたのは、スノウだった。今から50年ほど前だ。 彼女は僕のイニシアチブの影響を受けることなく、失われるはずの記憶を保ち続けた。 そして……。君にもようやく、その兆候が現れた。 君はシルベチカの記憶を忘れることなく保ち続けた」 そこで恫喝するかのように声を高め、ファルスがリリーに迫る。 「スノウは!! 全てを受け入れてくれた。このクランで永遠に生き続けることを。 だからリリー。君も受け入れるんだ、この運命を」 「あたしは……死ぬのが怖かったの。もし、死から逃れることができるなら、 トランプに従い、このクランで永遠を過ごしても構わないと思った。 でも……!」 「何を怖れることがある!!」 震える声でリリーに真情を吐露したスノウだったが、 最後に伝えようとした何らかの決意を込めた言葉は、声を荒げたファルスに遮られた。 「君達は僕の最高傑作だ。君達はもしかしたら、不老不死の身体を手に入れてるのかもしれない。 でもそれをどうやって確かめたらいい。君達を、一度殺すしかない。 僕は、何度も何度も何度も何度も君達を殺そうとした! でもできなかった!! 君達がもし不老不死でなければ、僕は君達を失ってしまう。 そんなのは嫌だ。僕は、君達を愛しているんだ。 いなくならないでくれ。僕を独りにしないでくれ。 僕は。僕は……寂しいんだ」 自分の世界に酔いしれたように熱く語るファルスの口調は最後 懇願のような呟きに変わるも、それがリリーの心に響くことはない。 「そんなことであなたは、あたし達を800年も苦しませてきたっていうの」 「800年が何だっていうんだ!! 僕は、僕はもう3000年も生きているんだ!! たった独りで……3000年もだ」 「だからってこんなの、酷すぎるよ」 そしてファルスの剣幕に圧倒されながら上げるリリーの苦しげな抗議の声もまた、 彼の心に届くことはなかった。 「さあ、我が永遠の友よ。未来永劫の時を生き続けよう。 この世界に終わりが来ようと、僕達の終わりはこの世にはない」 それを拒否される可能性などまったく考えていないような、 陶酔した顔つきでリリーを誘うファルス。 「スノウ……ダメよ!」 ファルスの傍らで目を伏せるスノウにかけたその言葉は、 ファルスに従わないよう促すものなのか、 それともこれから起こることを予見してのものなのか。 「ねえ、リリー。覚えてる? あたし達、800年前は親友だったのよ」 「スノウ……」 リリーの目をしっかりと見据えて、すがるような言葉を投げかけるスノウ。 その瞬間。 狂気に満ちた一陣の風が、リリーの背後からまっすぐ吹き抜けた。 「……マリーゴールド!」 「リリーを悲しませるヤツは許さないわ」 走り込んできたマリーゴールドの振るう短剣が、あやまたずスノウの心臓を貫く。 悲鳴を上げることもなくその場に崩れ落ちるスノウ。 「何やってんだよ!! どうして!? お前の記憶はイニシアチブで消したのに!!」 倒れたスノウに駆け寄るリリーとファルス。 リリーがスノウを後ろから抱きかかえ、ファルスはその足元にすがりつく。 「……あたしが思い出させたのよ。 あたしとあなたのイニシアチブは同じヒエラルキーにあるわ。 だから、あたしが思い出させたの。マリーゴールドの記憶を。 あたしを、殺したいほど憎いっていう記憶を……」 「スノウ! ダメだ! 死んじゃダメだ! 君は僕の最高傑作だ。君は、不老不死なんだぞ。死ぬはずがない……。 さあ、スノウ! 立ち上がるんだ……」 取り乱して叫ぶファルスに目をくれることもなく、リリーのことを見つめるスノウ。 真っ赤に泣きはらしたその瞳から、とめどなく涙が零れ落ちる。 そして刹那、燃えるような輝きを放った後、徐々に光を失っていった。 「ねえリリー。忘れないでね、あたしがいたことを……」 「スノウ……」 その言葉を最後に、スノウがゆっくりと目を閉じ、そのまま息を引き取った。 「死んだ! 死んだわ! ハハハハハハ。 これでリリーを悲しませるヤツは消えた。 リリー、私があなたを幸せにしてあげる」 スノウの死を見届け狂喜するマリーゴールド。 その身体から突然、大きく火の手が上がる。 「身体が……燃える! ファルス、あんたのイニシアチブね」 「お前なんか、燃えて……灰になれぇぇ!!!!」 「あんたも私とおんなじね。可哀想な人。アハハハハ、ハハハハ……」 「マリーゴールド……!!」 マリーゴールドの笑い声とともにひときわ大きな炎が舞いあがり、 その身体は灰となって完全に消失した。 目の前でスノウとマリーゴールド2人の死を目の当たりにしたリリーは、 思考が麻痺してしまったのか、ただ名前を呼ぶことしかできない。 そして里保もまた、あまりに衝撃的な光景を前に絶句するしかなかった。 ただ、これでマリーゴールドはバンシーでないことがはっきりした。 となると、残るはやはり……。 「綺麗に消し飛んだ。ハハハハ、ハハハハハ……」 狂ったように絶笑するファルス。 だが、ほんの一瞬だけ重なったその視線は、間違いなく遥のものだった。 それはファルスとリリーの同化の影響か、それとも2人の想いが同じだったためか、 その視線だけで遥の思考がダイレクトに里保に伝わってきた。 そう。後はもう決定的なタイミングを待つだけ。 バンシーとの対峙の刻は近い。 ○ 「スノウの死によって、ファルスにとっては全てを共有した存在として ともに永遠を生きることのできる相手がリリーしかいなくなった。 彼はリリーに自分を受け入れるように迫ったの。 それに対してリリーは、マリーゴールドの、そしてスノウの死をまのあたりにしても、 徹頭徹尾自分自身のことしか頭にない勝手極まるファルスの姿に、ついに怒りが爆発した。 このままファルスの言いなりで、歪み切った永遠の繭期を続けていくわけにはいかない。 そう決心した彼女は、怒りで高まったイニシアチブの能力によりファルスの行動を封じ、 同じくイニシアチブを使ってクランのみんなを呼び出したの」 「一体リリーは何を……」 この後の哀しい結末を予感してか、聖の問いかけは半ば独り言のような弱々しいものだった。 みんなも、息を殺してさゆみの次の言葉を待つ。 「呼び出されたみんなは、リリーの命令により腰の短剣を手に取った。 そして、ファルスが半狂乱になってやめてくれと制止するのも構わずに、 自らの心臓を貫いて、全員が自害して果てたの」 「そんな!!」 思わず上がる悲鳴のような声と、そして嗚咽。 「そしてリリーもまた、ファルスの最後の懇願も無視して同じように自らの心臓を貫き倒れた。 こうして、ファルスが1000年の時をかけて作り上げてきた永遠の繭期は、ついに終焉を迎えたの。 取り残されたファルスは、全てを絞り出すような絶望の叫びを放った後、 諦めたかのように弱々しく立ち上がり、 『僕には時間だけはいくらでもあるんだ。それこそ永遠に』と 捨て台詞を残して独りクランを去った。 そこから再び永きに渡る彼の放浪の日々が始まるのだけど、これはまた別の物語」 重々しい空気が辺りを支配する。 みんなの瞳は涙で濡れ、時折堪えきれず嗚咽の声が漏れる。 「本当に……哀しいお話ですね」 衣梨奈の呟きに、さゆみがため息で応えた。 「そう。ここで終わっても十分に悲劇の物語なんだけどね」 「えっ!?」 「悲劇はこれだけでは終わらなかったの。 リリーは、ファルスが作り上げた勝手極まる永遠の繭期を終わらせるため、 その呪いから解放するためにみんなを死へと追いやった。 ただ彼女の行為は、みんなの意志を完全に無視しておこなわれたものであり、 リリーの自分勝手な思い込みの巻き添えにしたという意味では、 ファルスがこれまでしてきたこととまったく同じだった。 そして彼女は、もっとも残酷な形でその報いを受けることとなるの……」 ○ 森を支配していた永遠に止むことのないはずの雨もいつしか上がり、静寂だけが支配する空間。 ヴァンプ達の亡骸が放置されている中を、ゆっくりと上体を起こす人物の姿があった。 それは、リリーだった。 どうしてあたしは、こんなところに倒れているんだろう……。 周囲を見渡し、霞み掛かった思考が徐々に回復してくる。 「……みんな。……夢!? あっ、あ、あたし……。どうして……。心臓を貫いたはずなのに。 チェリー! ……カトレア! ……マーガレット! ……みんな! スノウ! ねぇ! スノウ! 起きてよ! 起きてよ! 起きてよ! 起き……。 どうして……。あたしだけが」 手当たり次第みんなにすがって身体を揺さぶるが、一度命を失った者が再び目を覚ますことはない。 なぜ自分だけが生きているのか。動転したままにリリーは落ちていた短剣を手に取り、 そして先ほどと同じように大きく振りかぶると、絶叫とともに自らの心臓を深々と貫いた。 ……が、死ねない。 短剣を引き抜くと、胸の傷が見る見るうちに塞がり、全てが元通りに回復してしまう。 「……嘘だ」 ファルスの言葉が、リリーの脳裏に蘇る。 「君達は僕の最高傑作。もしかしたら君達は、不老不死の身体を手に入れてるのかもしれない」 嘘だ! こんなのはあり得ない! こんなことがあってはいけない! こんなことが……。 「あっ! あっ! あっ! 嘘だわ!!!!」 半狂乱で自らの胸を延々とめった刺しにするリリー。 だが、その結果はなんら変わることはなかった。 嗚咽とともに、短剣を取り落す。 死にたかった。みんなとともに死ぬはずだったのに……。でも、死ぬことができなかった。 ずっとあたしのことを気にかけてくれていたチェリー。 心配性で世話焼きのローズ。 退屈と言いながら楽しげに駆け回っていたカトレア。 マイペースで不思議な言動をするナスターシャム。 可憐で天真爛漫なマーガレット。 そんなマーガレットを姉と慕うジャスミン、クレマチス、ミモザ。 時には厳しくあたし達を導いてくれた紫蘭。 いつも温かくあたし達を見守ってくれた竜胆。 シルベチカに深い愛情を注いでいたキャメリア。 みんな、死んでしまった。……いや違う。 あたしが、この手で、殺してしまった。 みんな誰も死にたいだなんて望んでいなかったのに、 それを、あたしは、勝手な想いを押し付けて、無残にも殺してしまった。 この手でみんなを殺めたという重い十字架を背負って、 不老不死の身体とともにあたしに永遠を生きていけというの?? そんなことできるわけない!! そんなことできないのに……できないのに、死ぬことさえできないだなんて……。 そんな……そんな…………!!!! 「あああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」 絶望の慟哭を上げること三度。 その場に崩れ落ちたリリーは、いつまでも肩を震わせていた。 … … … … … リリーの口から洩れる嗚咽だけが微かに響くクランの広間。 放置された亡骸の中から、息絶えたはずの一人の少女が音もなく立ち上がる。 真っ赤に泣きはらした燃えるような瞳からは、とめどなく涙が流れ落ち、 その掌はほのかに青白い光を放っていた。 ――リリー、そんなに嘆かないで。あたしが今、あなたの望みを叶えてあげるから…… 声なき声とともに、その少女――バンシーはうずくまるリリーにそっと近づくと、 魔力を帯びた掌を、ゆっくりとその肩に伸ばした。 ←第三章 第五章→
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355: 陣龍 :2016/12/15(木) 17 02 01 日米蜜月(ユーラシア共産化)ルート考察擬き 大戦に置ける主要会戦記録 『第二次世界大戦~始まりの終わり・終わりの始まり~』 『フランス首都パリ解放戦 ~西欧大乱戦~』 『あの時は皆楽観していたよ。これだけの大兵力。これだけの大火力。これだけの航空戦力。戦争は相手が居て、そうそう簡単に行く事など無い事を、皆忘れてしまっていたんだ』 ~第二次世界大戦を最前線で戦い抜いたとある兵士の言葉~ 『表面上の戦力は極めて脅威の一言なのは事実であるが、連度に関してだけは、素人と言う訳では無いが、最精鋭と言えるまでには熟練していない。付け入るスキは、全くない訳では無い』 ~上陸した枢軸軍の戦力を評した連合軍のとある前線指揮官の言葉~ 『奴ら、死体を乗り越えてこっちに突撃してくるとか、死ぬのが怖くないのか!?ここは満州じゃ無いんだぞ?!』 ~即席のキルゾーンを構築して迎撃した筈が、力技で正面突破を図る連合軍を直視した枢軸軍軍曹の絶叫~ 『損耗が激しいが、こっちが辛いのならば向こうも辛い筈だ。ここフランスで可能な限り資本主義の豚共を括り付けなければ、我らの母なるルーシは奴らに蹂躙されるのだ!総員、死力を尽くせ!!』 ~とある政治士官による督戦した際の激励の一言。尚この激励よりもウォッカの支給の方が士気は高まった模様~ 『ハァーッハッハッハッハ!!此奴は良い!見渡す限りのアカの大軍勢だ!!』『今こそ我らは伝説となる!欧州を最初に開放した、勇気ある英雄たちとしてだ!』『……アメリカさんは何時でも何処でも元気だなぁ、ホントに』 ~仏ソ連合赤軍親衛軍団を眼前に見定めたアメリカ海兵隊とアメリカ陸軍、日本陸軍の御言葉~ 『頼もしいと信頼されている証であり、尚且つ個人的に嬉しいのは事実だが、こうやって丸投げされるのは苦笑いするしかないな、全く』 ~パリ攻略戦後の軍政指揮権を事実上移譲された際の『Far East of the saint (極東の聖人)』今村仁大将の苦笑しながらの一言~ 橋頭保を完全に確保した枢軸軍による占領地拡大、つまりはフランス本土の完全開放を目標として始まった進軍に対して、連合軍は年単位の時間をかけて構築した要塞陣地を持って防戦を開始。切り札として残していた謀略電波なども使用し、文字通り『フランス全土を血で染める』激戦を展開。ノルマンディー上陸作戦での圧倒的勝利で目の曇った一部の楽観的軍人の語った『一月も有ればフランスは大した損害も無く落ちる』と言う言葉は、山の如く積もった双方の鉄屑と多数の死体、そして3枚もめくられたカレンダーによって否定された。 枢軸軍によるノルマンディー上陸作戦が、結果的には大成功を収める一週間前。過酷な内戦に勝利して、政治体制としては独裁国家状態であるも国民からは高い支持を受け続けていて人気も高い、スペインを統治する『フランシスコ・フランコ・イ・バアモンデ』総統は、国内調整を行ったうえで共産連合軍に対して宣戦を布告。開戦理由としては『連合国によるスパイを用いた国家転覆工作や軍隊による領土侵犯等の著しい国権侵害、侵略行為』『フランス第三次共産政権並びにソヴィエト連邦による在外スペイン財産の不当な凍結と強奪』であり、賠償として『金塊による多大な損害賠償』『1713年4月11日に不当に奪われたジブラルタルの返還』を共産連合軍が認めなかったからとし、尚且つ宣戦布告より72時間も期間を開けた上で戦闘を開始すると言う、宣戦布告された共産連合軍は兎も角国際法上は文句の着けようの無い完璧な宣戦布告で有った。実体としては通常は見過ごせそうな小さな連合軍側の瑕疵を都合の良い様に上げ繕ったりちょっとした行き違いを作り上げたりした結果では有るが、基本国際社会的には付け入る隙を見せた共産連合軍側の負けである。 356: 陣龍 :2016/12/15(木) 17 04 40 ピレネー山脈と言う天然の要害に籠る事で一定のフランス軍を誘引する事によりノルマンディー方面への側面援護を行いつつ、スペイン軍は本命のジブラルタルの攻略を開始。既に補給が完全に途絶同然の状況でも有った事に加え、狭い領土の為必然的に大した兵力を置きようが無かったが故に、スペイン軍の攻勢にアッサリと敗退し、陥落。その際奇跡的に生存していた英仏海軍の駆逐艦四隻と、これまた紆余曲折の末生存していたスペイン海軍のエスパーニャ級戦艦が洋上で交戦。死なば諸共とやけくそ的な士気だけは高くは有ったが、流石に駆逐艦四隻程度でド級戦艦を擁する艦隊に勝利するのは不可能であり、必殺の雷撃を放つ事も無く戦艦砲によりアッサリと射抜かれて爆沈した。尚その後枢軸軍へと合流したスペイン海軍エスパーニャ級戦艦に対して日本海軍某戦艦部隊より『ライス・ジュース』と『イモ・ジュース』なる物が多量贈呈され、喜んで飲みまくったスペイン水兵が翌日酷い目に合ったりしたのだが割と毎度の事かつ極めてどうでも良い出来事でも有るのでここでは割愛する。 そんな風にスペインが憎きイギリス軍相手に満面の笑みでジブラルタルで遊んでいる中、肝心の日米枢軸軍によるフランス制圧は遅々として進んでいなかった。理由は明白で、今は亡き『ミハイル・ニコラエヴィチ・トゥハチェフスキー』元帥の遺言で緻密に計画され、建造されていた多数の永久要塞の群れと意外と精強な部類に入る共産連合軍の為である。カーチス・ルメイ中将は『戦略爆撃により西欧全てを石器時代に引き戻す』と息巻いて爆撃し続けていたのだが、政治的ストップによりある程度のインフラ破壊は兎も角ルメイ中将の思い描き、遠慮無用にぶち上げていた無差別爆撃が行えなかったのがこの要塞群の建造を阻止出来なかったと考察する軍事研究家もそれなりに存在しているが、そもそも共産連合軍による欧州地方への要塞建築は枢軸軍の戦略爆撃が始まる以前より推し進めていた為、余り適切な指摘とは言えない。それに加えて爆撃だけでは何ともならない事は、今第二次世界大戦並びにアフリカ内戦等の戦史が証明している。 戦車の時代を数段蹴っ飛ばした『三式中戦車 チヌ』『M25 パーシング』の登場によって旧式化が確定的になりつつもそれでも侮れない戦闘力を持つ『T-34』系統の戦車に加え、製造が比較的簡易と言う事で量産されている各種突撃砲やロケット砲、そして仏ソ共に陸軍国と言う事も有り豊富な重砲群、変わり種としてはフランスが『テルピッツ』の一件で激怒しているドイツを宥めすかす意味も込めて自国の黄金とバーダー取引で購入した列車砲『ドーラ』と言った多彩な戦力を揃えていた。 兵員に関しても、フランス共産党政権は『自国防衛』の名の下に自国民の全てを軍属扱いにして多数を動員。『畑から兵士を収穫する』ソヴィエト連邦赤軍も、工業力に輸送力と現地物資の許す限り兵力を増強。ソ連に関しては枢軸軍の爆撃やポツポツ蜂起し始めたレジスタンスによるインフラ破壊にて線路がいくつも破壊された事もあり紙面上の計画通りには行かなかったが。因みに突撃砲に関してだが、赤軍期待の新鋭突撃砲たる『SU-100』とは別種に、既に旧式化の為 前線に出しようがないが数だけは有ったBT戦車シリーズを強引に改造して新型突撃砲『BU-100』として採用し、不足する対戦車火力をそれなりに補っている。 元が元である為に車内容量も搭載弾薬も少なく、又戦車砲や航空爆撃どころか歩兵用対戦車ロケットランチャー、下手をすれば現地生産型集束手榴弾に治療用アルコールや鹵獲したウォッカ等を使った即席火炎瓶攻撃にすら簡単に引火し炎上爆散する悲惨さであったが。 357: 陣龍 :2016/12/15(木) 17 05 49 そして辟易する敵兵士の多さに前線後方問わずに頭を抱えるか苦い顔をせざる負えない枢軸軍の主力部隊たる日米連合軍だが、装備の優越性は絶対的でこそあったが、その装備を操る『アメリカンボーイズ』と『ジャパニーズチルドレン』はその大半が実戦初参加のルーキーで有った事や『何考えているんだアカ共は』『何も考えていないんだろう』と言われる程になりふり構わずに地雷を大量散布する等の進撃妨害により、最初期の楽観的考えは完全に消し飛んでいった。地雷犬が枢軸軍機甲部隊に突入を仕掛けて、地雷犬を発見した新兵が反射的に発砲したら地雷犬が怯えてソ連軍陣地に戻り塹壕内に飛び込んでご主人諸共爆散する、と言った本国のみならず事態を直視した兵士や後に取材した従軍記者も俄かに信じなかった事件が後世に大げさなまでに伝播しているせいで一部勘違いされる事もあるが、この頃の仏ソ連合赤軍は物量に加えて自軍が迎撃側であると言う優位を徹底的に活かし、枢軸軍が把握していない秘匿通路から後方補給路を襲撃したり、兵舎や陣地へ昼夜問わずに攻撃を仕掛けて枢軸軍の精神、体力消耗を狙う、隙を見て取ると連合軍機甲部隊による強襲を掛けるなど、あの手この手で枢軸軍へ打撃を与えんと奮闘した。 ただ、共産連合軍にとっての最大の不幸は、既にドーバー海峡を埋め尽くさんばかりに航行する多数の航空母艦から毎日放たれる様になった艦載機の群れに対して今なお対処し切れて居なかった事に加え、枢軸軍の主力を務める日米両国は確かに分類こそすれば海洋国家なのでは有るが、その中身は大抵の陸軍大国を正面から撃破可能な陸上兵力を集め、そしてその陸軍大国の名将と互角又は優位に渡り合える陸将を何人も揃えられるという反則国家だった。特にアメリカ合衆国陸軍は『敵戦車の処理は砲撃と空爆で済む為、輸送が容易な歩兵戦車を配備するべき』と強硬に主張していたAGFがパットン将軍直々の(某魔王式)説得によりパージされており、日本陸軍が開発終了間際だった『三式中戦車 チヌ』を同盟国価格で技術導入し、そしてアメリカ式に改良して制式化となった『M25 パーシング』の大量生産を行っていたのだから、最早戦術的優勢や勝利程度では手の施しようが無かった。『共産連合軍の最強装備は、鹵獲した枢軸軍装備』と言うのは、双方の兵器の質の差を示したとある戦史家の有名な言葉である。 主観的には兎も角キルレート的には連合軍側にも血河屍山を積み上げて枢軸軍ルーキー勢が経験値を稼ぐ中、大空では枢軸軍陸兵からの連絡一本ですぐさま最低でも50機単位の艦載機が飛来して陸上標的を精密に吹き飛ばし続け、フランス本土に配置された連合軍側防空部隊は『Battle・of・Euro』による航空撃滅戦によってその大半の戦力を喪失していたことに加え、機動部隊の柔軟かつ集中的航空攻撃と言うルールの違う戦闘を強要され続けたが為に補充や増強が全く追い付かず、フランス本土制圧戦の中期ごろに共産連合軍西欧航空部隊は物理的に壊滅し、その戦力価値を完全喪失。またそれと関連して、ソ連空軍が鳴り物入りで導入し、技術力不足で幾名ものパイロットや技術者を消滅させながらも実戦試験配備していた【メッサーシュミット Me 163 「コメート」】も、最初期に『B-29』や『富岳』を数機撃墜する等いくらか戦果を挙げた直後に飛来した枢軸軍の『疾風』『FH-1 バンシー』によって撃墜破される散々なデビュー戦となったのだが、被害甚大とは言え超空の要塞こと『B-29』『富岳』の撃墜に成功したこのロケット戦闘機部隊は最終的にヨーロッパロシアの都市防衛に多く配備され、ソヴィエトが誇る革命戦士の多くを溶かしながらも枢軸軍戦略爆撃機部隊に幾度となく纏わりつき、練度不足から予測不能な軌道を描くが為に枢軸兵から恐れられ、そして鬱陶しがられる事となる。 358: 陣龍 :2016/12/15(木) 17 08 16 たたき上げの実戦経験から編み出された徹底的なゲリラ戦によって、精強無比を体現した日本軍特殊作戦群を手古摺らせた『ワシーリー・チュイコフ』中将と、『ゲオルギー・ジューコフ』大将に並ぶ赤軍の双璧と名高い『イワン・ステパノヴィチ・コーネフ』大将等ソ連系将校が実質的な指揮を執る連合軍西欧方面軍に対して、『アメリカ最強の猛牛』と唄われた『ジョージ・パットン』元帥と『猛将の手綱取り屋』こと『牟田口廉也』大将、『Fox Hunter』こと『山下奉文』大将に機甲戦、歩兵戦双方共に小器用な良将であり、一部の人間には慰問試合にて沢村栄治から対戦したアメリカ軍人チームで唯一ソロホームランを打った事で有名な『オマール・ネルソン・ブラッドレー』中将等の日米の名将達、そして枢軸軍内でも最高峰の調整能力を買われてこれら一癖も二癖も百癖もある魑魅魍魎とした名将達を率いる、と言うより率いらされた『偉大なる大元帥閣下(中間管理職)』こと『ドワイト・デヴィッド・アイゼンハワー』元帥と言った第二次世界大戦を彩る名将の博覧会状態となったフランス本土。各々の戦争中に磨き上げられた智謀や戦力をぶつけ合い、じりじりと進軍を続ける枢軸軍とそれを必死に防ごうと足掻く連合軍。この状況が変化する切っ掛けは疲弊の一途を辿り続けるフランス本土の状況を見たとある将官が『現地民を味方に付けるのと、戦後統治を楽にしたい』と言う思い付きから相談され、実行された『Operation:Demeter(豊穣の女神作戦)』だった。 フランス本土の占領地が拡大するにつれて必然的に枢軸軍は連合国側の住民を統治下へと収めて行っていたが、共産革命に長引き続ける総力戦、そしてレジスタンスと政府軍との抗争により保護された住民の大方は疲弊していた。欧州内では比較的豊かな穀倉地帯で有った為に飢餓状態にまでは如何にか陥ってこそいなかったが、枢軸国側の本土に住む国民はおろか、戦闘が終結して間もない当時、現地住民は兎も角日本政府としては極めて不本意ながらも半占領統治状態を継続している中東諸国民よりも食糧事情は悪かった。当然ながら芋などの主食となる穀物類やヴォッカの様な一部アルコール品を除く嗜好品支給率は極端に低く、捕虜や保護した住民からの聞き取り調査でこの事を知った枢軸国将官の一部が『これまで以上に我等を『解放軍』だと認識させる為に、住民へ嗜好品や食料を投下しよう』等と言い出し、その提言を是とした枢軸国上層部はフランス本土上空の制空権を殆ど確保していた事もあり余剰の輸送機や一部爆撃機を使用し、パラシュート付き木箱に大量に嗜好品や缶詰を詰め込んで投下した。ほんの僅かとは言え上層部の都合で自らの兵力を前触れもなく削られた『カーチス・ルメイ』中将が激怒したり、補給側の手違いで海軍側へ供給予定だった間宮羊羹を丸々投下用に流用された為に約一か月程羊羹支給が無くなり水兵の士気がエライ事になり、この事態を招いた補給側の責任者が纏めて海に投げ込まれる等、この思い付きを実現する為に各所へしわ寄せやちょっとした犠牲が発生した物の、この行動によって派生した事件は極めて大きかった。 枢軸国による泥縄的に行われた食糧爆撃作戦は、連合国の住民に対して晴天の慈雨とも言うべき幸運だった。食糧事情は破断し掛けながらも最後の一線を越えてこそいなかったのは確かだが、かと言って軍への供給を最優先としていた政府からは芋や水、極極々稀に肉片の入ったスープだけの供給しかされず、それらに加えて隠し持っていた物資の切り崩しや自力での耕作によって多少補う程度の最低限の食事しか食べれない毎日を送らざる負えなかった一般住民にとって、枢軸国がばら撒くチョコレートや缶詰、ビールやワインに炭酸飲料、果ては菓子類やタバコ等の嗜好品は悪魔的な魅力を発揮した。そして当然ながら嗜好品満載の木箱には枢軸国によるプロパガンダも混ざっており、長引く戦争による貧窮と徴兵、戦死者激増の極限化、そして本土爆撃からの本土決戦が開始した為にフランス人が今の今まで持っていた共産主義への幻想も旧列強国民のプライドも政府への求心力もようやく崩れ、住民の集団投降や共産軍へのレジスタンス活動の増加が加速した。ただこの行動は、戦略的包囲下に置かれた為に渋々参加しただけでしかない筈の共産連合軍の暴走に引き摺られ、振り回され続けたドイツ人や一部東欧諸国人からしてみると『何を今更』と大分冷めた目で見られたのだが。 359: 陣龍 :2016/12/15(木) 17 09 19 そして既にぐらついていた足元が崩壊しつつあるフランス共産政権だが、扇動やソヴィエトコミンテルンの援助によって政権を獲得した彼等フランス人革命家たちは、この後に及んでも戦争を止める気は更々無かった。ただ彼らは世間一般が想像する『自身の快楽や私腹を肥やす為に国家国民を食い潰す独裁者』とは少し趣が違い、政権を獲得してから徹頭徹尾外交の場等必要とされる場所以外では贅沢などせず、自身の食事は三食とも住民へ支給されている配給品、自身の財産はとっくに自国の為に使い切っている等、彼等自身の性根は少なくとも清廉ではあった。ただフランスを貧窮に追いやる原因を生み出しながらも自身は繁栄しているアメリカを憎み、そして恐慌時には欧州を見捨ててアメリカと同じく繁栄し、しかも有色人種でありながら自国以上の列強に成りあがった日本を逆恨みし、誇り高きフランスをボロボロにした資本主義を嫌う、演説や扇動が上手く真面目で政治的才能や適性が壊滅的な愛国的インテリ革命家たちでしかなかった。初めの一歩から道を踏み外して奈落の底へ落ちた彼等には初めから『撤退』や『降伏』『妥協』の言葉は存在せず、だからこそ敵国がばら撒く物資に群がる困窮したフランス人の存在を知った彼らの行動は、極めて激烈だった。『誇り無き繁栄もひも付きの未来も、フランス人は皆お断りだ』と言うある共産政権高官の言葉が、彼等の独り善がりな妄執的善意の一端を示していたが、洋の東西を問わずこう言った『善意の正義』で暴走する人間ほど質の悪い存在は無い。 優良な軍部隊は例外無く最前線に送り込まれていたフランス首脳部だったが、彼らの手駒は軍だけで無く、ソヴィエト連邦に習って編成された秘密警察も一定数存在し、政権を奪取してから国内統治体制の強化に一役買っていた。首脳部は大々的に『枢軸国による謀略』に乗らない様に自国民へ喧伝し、それに国民が従わないと見るやその秘密警察を動かして投下された物資を強行に回収。『悪しき資本主義に同士が惑わされない為』等と言って、しかも回収した物資は例外無く軍や国民への支給に回していたとは言え、貴重な物資を奪われる住民は当然ながら抵抗するか、そうで無くとも隠蔽に走り、強引極まりない捜査で『反革命分子』を摘発する秘密警察の殆どは自身の功績を誇る為か、それとも長引くレジスタンス活動への対抗でモラルハザードでも起こしていたのか、明々白々な冤罪でも即決裁判による強制収容所送りや拷問等を行った。物資回収は兎も角この事は首脳部の指示した事では無かったし、後にこの事を知ったフランス首脳陣は即座に粛清を行おうとしたものの、完全に手遅れだった。 戦争中盤頃より潜水艦によって後方に潜り込み、共産化されてより零細とは言え作られていた現地フランス人レジスタンス組織を強大化させた日系工作員ととの愛弟子たるレジスタンス組織による、フランスに展開する共産連合軍の後方地にて一斉蜂起が発生した時、フランスに住まう住民はそのほとんどが『触らぬ神に祟りなし』とばかりに今まで見て見ぬふりをしてきた彼等レジスタンスを支持し、様々な形で援護を開始した。そして住民が多数離反したこの事は前線部隊にとって曲がりなりにも身を休められ、最悪は撤退先となる後背地が消滅した事を意味し、必然的にどれだけ共産連合軍の名将達が鼓舞しようとも共産連合軍兵士の士気は激減。当然ながら枢軸軍はこの隙を見逃すはずも無く、各種重砲や自走砲、そして航空部隊による猛爆撃によってこじ開けられた共産連合軍防御要塞陣地の隙間を見逃す事無く、日本軍第二近衛師団、アメリカ陸軍第一機甲師団を先頭にした機甲軍による後先考えない全力突撃によって、数年の月日をかけて建築された要塞地帯は貫かれた。『ワシーリー・チュイコフ』中将による後方攪乱作戦も現地住民の民心が完全に枢軸国側に傾いていた状況下では、どれだけ巧みな戦術を整えようとも根無し草の机上の空論にならざる負えず、指揮統制の効く精鋭と歴戦の部隊を纏めて撤退しようとして、結局『牟田口廉也』大将の説得も意味を成さなかったどころか、逆に何度も説得する根性を気に入って本人の意志も聞き流して前線に引き摺って連れ込んだ『ジョージ・パットン』元帥直卒と鉢合わせ。撤退の為に一時終結していた所に圧倒的戦力差で殴り掛かられた為に『ワシーリー・チュイコフ』中将指揮下の部隊は即日壊滅し、チュイコフ中将も戦闘中に一式自走型多連装ロケット砲(通称:Nadesiko・Flute)の至近弾にて重傷を負い、前後不覚となった末に牟田口大将率いる機械化歩兵部隊に捕縛された。共産連合軍、とりわけソ連赤軍に取っては未だ余裕のある歩兵戦力よりも、この『ワシーリー・チュイコフ』中将を失ったのが大きい痛手だった。 チュイコフ中将以外にもソ連には良将、名将は未だ多数存在したが、彼ほど歩兵戦の実戦経験が豊富な将軍は居なかった。 360: 陣龍 :2016/12/15(木) 17 10 36 そして共産連合軍にとっての凶報は連鎖する。ジブラルタル要塞とその対岸を攻略後は動きを見せていなかった為に、これ以後はピレネー山脈に籠っていると予測されていたスペイン軍が、その自然要塞を越えてフランス本土へと侵攻を開始したのだ。勿論日米連合軍の様な山を消し飛ばすが如きド派手な砲爆撃こそない常識的な部類のスペイン軍で有ったが、それでも共産連合軍と比べても圧倒的に疲弊も消耗もしていない新鮮な戦力が、しかもスペイン軍上層部に加えて フランコ総統の厳命も有り、共産連合軍を侮る事も無く一歩一歩堅実に歩みを進めるスペイン軍に付け入る隙は殆ど無く、又例え隙を見つけたとしてもその隙を突く為の機動力に優れた優良戦力は例外無く日米連合軍相手に掻き集めており、動かせる歩兵部隊とある程度の重砲、多連装ロケット砲部隊程度ではスペイン軍に大して打撃を与える事は出来なかった。ブリテン島からは毎日枢軸国側の航空部隊が飛来している為、攻勢の為に集まりでもしようものなら集結地点ごと爆撃で吹き飛ばされ、ゲリラ戦を仕掛けようにも住民は挙って枢軸国側に寝返ってどうしようもなく、破れかぶれに突撃すればスペイン軍の反撃で常識的に撃破された。 最終的に南北両面から殴り掛かられたフランス本土に配備されていた共産連合軍は、一定の歴戦部隊が犠牲を払いつつもドイツ側への脱出に成功したが、取り残された大半の部隊はフランス本土から脱出出来ずに様々な形での骸を晒すか、枢軸国への降伏を余儀なくされた。一部に不満が残る出来ではあったが、総評としては永久要塞と言えるだけの防衛陣地を構築して奮戦していた共産連合軍であったが、想定を遥かに超える物量や兵器、火力と機動力を叩き付けた枢軸軍の方が 一枚上手であった。当然ながら枢軸国側の犠牲も中々に酷い物では有ったがそれでも十分に許容範囲内に収まっており、犠牲以上に多数の戦訓を獲得し、『戦争』を経験して新兵の多数が『兵士』となった事が極めて大きかった。加えて、全力投入した『三式中戦車 チヌ』『M25 パーシング』を筆頭とした新型兵器が実戦でも問題無い所か共産連合軍相手に凄まじい猛威を振るう程の性能を発揮出来る事が証明された事も大きかった。このフランス戦によって、枢軸軍は慢心しない程度に自身と自身の操る兵器への信頼と自身を持つ事が出来た。ある意味において、この時を持って枢軸軍…特にアメリカ軍は、本当の『軍隊』へと進化したのかも知れない。 尚フランス共産党政権、並びに自称正当政権を名乗るイギリス共産党の首脳陣の顛末だが、完全な包囲下に置かれたパリが形式上自由フランス軍を先鋒とした枢軸軍によって『解放』された後にしらみつぶしに捜索されたのだが、数名の大臣級が自殺若しくは自殺に失敗して前後不覚になっていた所を確保した以外、身柄は確保出来なかった上に行方不明となっていた。ソ連に亡命したとすれば正当性確立の為に亡命政権を樹立するであろう物だが、ソ連側からはそう言ったリアクションは取られておらず、その為戦時中は戦争に注力する必要性とそもそも大したことは出来ないと言う事で『行方不明』扱いとされて処理されていた。彼らの行方が判明するのは、戦後の捜索にて廃棄された秘匿防空壕内を発見し、発見者の内数名が嘔吐を催す位に損壊と腐敗した死体が身に着けた装備品と遺留品によって発見されるまでであった。 361: 陣龍 :2016/12/15(木) 17 11 20 取り敢えず今回はこれにて以上となります。遅れてすみませんでした… 風呂入ってきます
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無題の終わり 未定の始まり 設定する。 「違う」 設定する。 「……違う」 設定する。 「……、違う」 マグマをくみ上げ続ける水車小屋。 その中で男が一人、頭を抱えながらぶつぶつとつぶやいている。 時折舌打ちや、自身をなじる言葉を合間合間に挟む様子から相当悩んでいることがうかがえる。 男の視線の先にあるのは小さな紙。幾度も書かれては消された跡が見える。 ある種異様な光景だ。 男を知る者が現在の光景を見たら驚きのあまり、叫ぶだろう。 あのアイボタルがキャラクターシートを埋めるのにここまで悩むとは、と。 覆面作家アイボタル。 基本、彼が創作で詰まることはない。 アイボタルの生きている世界は現実ではない。 彼が生きているのは常に自分の妄想の中だ。 正確に言えば、本名や年齢を忘れるほどに現実から逃避している。 彼が書く創作物はその妄想を現実に吐き出しただけの副産物でしかない。 そのはずであった。 現在、小屋の中にいるのはアイボタル一人だけではない。 入り口付近にもう一人、外を見張るように男とも女とも見分けのつかない人物が立っている。 その人物こそがアイボタルを悩ませている元凶、無題の物語の未定の主人公。 仮の名を無代ミテイという。 無代ミテイは架空の人物だ。 アイボタル自身に覚えはない。 だが、間違いなく無代ミテイはアイボタルの創作したキャラクターである。 無代ミテイのキャラクターシートに永続的な設定を加えることができるのはアイボタルしかいない。 だからこそ、彼は迷う。 問題は架空の人物であるはずの無代ミテイが現実に存在してしまっているということだ。 どれだけそれらしく設定しても、現実の存在だと思うとどうしても違和感が出てしまう。 アイボタルにとって現実とは価値のないものだ。 それは、死ねば地獄行きのこの殺し合いの舞台でも例外ではない。 むしろ、死後も妄想が続けられると分かっているだけ好ましい状況でもある。 だからこそ、生きている間に決着をつけようと無代ミテイの設定に取り組んだのであるが、 結果はご覧のありさまである。 「……はぁ。なんでお前、『こっち側』に来たんだ」 ため息をつき、問いかけるようにつぶやく。 「『こっち側』には楽しいことなんて何一つないだろうに……」 無代ミテイは答えない。 性格も何もかもが未設定のため、答えようがない。 再びため息をつき、キャラクターシートに向かう。 【性格】 未定。だが、最低限のコミュニケーションはとれる 【経歴】 記憶喪失。過去は未定。 設定されれば思い出す可能性も。 今まで悩んでいたのが嘘のように二項目を埋め、シートを無代ミテイの額に押し当てる。 押し付けられたシートは吸い込まれるように無代ミテイの中に消える。 そして無代ミテイに『設定』が加わる。 ◆ マグマが流れる川のそば、アイボタルは一人歩く。 無代ミテイへの設定付加は反映されるのに数十秒かかる。 アイボタルが水車小屋を抜け出したのはその隙に、である。 無代ミテイの設定に特に意味はない。 自分で設定が決められないので他人に任せる、そんな設定をしただけだ。 ふとこぼした疑問に対する答えがほしかった、そんなはずは断じてない、はずだ。 設定を付加し、支給品も無代ミテイが死ににくくなるよう調整した。 ここから先は無代ミテイ個人の物語。 創作者であるアイボタルは関わるべきではない。 かつて読んだ本に書かれていた言葉を実行する。 「さて、どこへいくかな」 一言つぶやき、アイボタルは歩き続ける。 その足取りは彼らしくまっすぐに図書館へと向かっていた。 【E-5 水車小屋付近 / 未明】 【アイボタル】 【状態】健康、妄想中 【装備】なし 【所持品】基本支給品、ランダム支給品×3(確認済み) 【思考・行動】 1:妄想しながら図書館へ向かう 2:暇があれば無代ミテイの設定の続きを考える 【備考】 ※支給品は無代ミテイの分を調節した余りです。 ※死後の地獄の存在を知ったため、自分が死ぬことにそんなに抵抗がありません。 ◆ 気が付くと、見知らぬ建物の中にいた。 首をひねり、記憶をたどる。 【突然だが、これから貴様たちには「半分になるまで」殺し合いをしてもらう】 なるほど、ここは殺し合いの会場みたいだ。 納得して、再び記憶をたどる。 ……。 何も出てこない。 唯一思い出せた名前もどうにもしっくりと来ない。 どうやら自分は記憶喪失というものらしい。 手がかりを見つけようと懐を探ると、一枚の紙が出てきた。 何か書いてあるようだが、読めない。 誰かに会ったら見せてみてもいいかもしれない。 近くにあったデイバックを探ってみる 支給品らしきものが二つ、手掛かりになりそうなものはなかった。 これで手詰まり。 さて、これからどうしたらいいだろうか。 未定の物語が今幕を開ける。 【E-5 水車小屋 / 未明】 【無代ミテイ(仮)】 【状態】健康、記憶喪失 【装備】なし 【所持品】基本支給品、無代ミテイのキャラシート、ランダム支給品×2(確認済み) 【思考・行動】 1:さて、どうしよう 【備考】 ※支給品は無代ミテイが生き残るためにアイボタルが調節しています。 ※キャラシートに書き込むことで誰でも設定を付加できます。 SSリンク 「道化と不死者」 前話 次話 「吸血大サービス」 このSSの登場人物 無代ミテイ(仮) アイボタル 本編SS目次へもどる トップページへ