約 54,941 件
https://w.atwiki.jp/vermili/pages/524.html
オリジナル・クロノ・サーキット 「それが、永久機関の完全な姿か……」 「そして始祖(オリジン)、文字通り時計機構(ホロロギウム)の心臓だとも。大情報集積機関(メイン・データベース)も兼ねている」 「物質文明を導く全ての叡智が、残らず此処へ詰まっているのだ。……その手で破壊したいかな?」 永久機関の創造主たるオルフィレウス専用の巨大永久機関。彼に従属し、その運命を守護する機械星。 通常は彼の居城たる天空の人工衛星クロノゲイザーの心臓部として機能しているが、 その真価はオルフィレウスという刻鋼人機(イマジネイター)と直結した時にこそ最大限に発揮される。 永久機関の何たるかを知り尽くした創造者に奉仕するその無限大の力は、まさに真の永久機関と呼ぶに相応しいものがある。 また、現代の遥か先を行く科学の叡智を詰め込んだ時計機構(ホロロギウム)のデータベースとしての機能も兼ね備えており、 さらに、マレーネ√終盤で実行されたように、全ての心装永久機関の動作を制御、オルフィレウスの意思で自由にその機能を停止させることさえも可能である。 ジュン√の決戦時、真理段階に達した凌駕によれば万が一これに秘められた超々高密度のエネルギーが地表で解放された場合、日本が地図から消えるほどの大破壊が齎されるとの予測を立てている。 + さらに── ジュン√では力を結集し、ようやく真理段階のオルフィレウスを打倒した凌駕達であったが、 実は海底に沈んだこの機造恒星の残骸の内部において、素粒子集合体(オルフィレウス)の残滓が搔き集められ、その再構築が実行されていたのである。 この時点で、元の質量回復には約三世紀近く、元の精神構造を復元できる確率は二割未満、総合的な回復確率は、一割を切るとされているが…… 極僅かな再起の可能性を手繰るために、始原の永久機関は粉砕されてもなお消えない創造主の不屈の想いを受け、演算を絶え間なく繰り返す。 彼らに続く、新たな同属(ちょうじん)が生まれる事を、祈り願って── 【───再(リ)、起動(ジェネレイト)】 真理状態でオルフィレウスの後ろに輝いてる太陽っぽいのがソレなんだよな。 -- 名無しさん (2017-03-14 20 49 23) 尚、コレ完全破壊しないと仮にオルフィレウス倒しても(低確率かつ時間が掛かるとはいえ)復活してくる模様 -- 名無しさん (2017-03-14 20 50 42) 無駄に隙が無いラスボスだ…… -- 名無しさん (2017-03-14 20 52 03) もしかしてPVに出てきてた? -- 名無しさん (2017-03-14 21 21 35) 心装永久機関は精神式だけど、これどういう仕組みの永久機関だったんだろ -- 名無しさん (2017-03-14 21 56 15) オルフィレウス「私は永久機関にしか至れないのか!?」これ作っといて満足しない科学者の鏡 -- 名無しさん (2017-03-15 13 59 06) ↑科学者の鏡?(本編のアポルオンやオルフィレウス本人の暴れっぷりを見ながら) -- 名無しさん (2017-03-16 13 11 03) アポルオンはまんま新兵器の試験運用だっただろ -- 名無しさん (2017-03-16 18 27 29) オルフィレウスのヤバさが際立つ象徴。真理に到ったから永久機関を作れたのか、永久機関を作ったから真理に到れたのか -- 名無しさん (2017-05-16 23 52 25) 永久機関創って満足できず、更なる科学の進化を求めて刻鋼式心装永久機関創って、真理に到ったけどやっぱり永久機関にしかならないから他の真理を求めたって感じじゃないかな? -- 名無しさん (2017-05-18 20 45 28) コレは世に出せば、エネルギー問題を解決して、完全な共産主義が実現できそう。まぁ、オルフィ当人は、そんな世界を望まんだろうが -- 名無しさん (2017-06-18 23 24 01) なんとなくだが、シルヴァリオに繋がってそう -- 名無しさん (2017-06-27 14 54 38) 世界観に繋がりはないって高濱が前に言ってた気がする -- 名無しさん (2017-06-28 00 50 28) これ新西暦の環境下でも稼働できるんだろうか -- 名無しさん (2017-06-29 13 05 39) 第二太陽の影響下は地球だけ、宇宙空間に漂うコレに影響は無い。といっても地上からコレにアクセス出来るかどうかは微妙 -- 名無しさん (2017-06-29 15 46 09) 詰められてる叡智を完全に使えばハイパードライブやデススター作れるんだろうか -- 名無しさん (2017-06-29 15 50 58) ↑多分可能なんだろうなぁ……と思えてしまうオルフィレウスの厄介さよ -- 名無しさん (2017-06-29 17 56 28) オルフィレウスには、これの全データを使ってすげーもんを作ってほしいわ -- 名無しさん (2017-07-18 22 39 42) ↑理想が高すぎて他の真理が無いと次の発明品に取り掛かれないのだ。他の心理見つけたら全力で持ちうる全てをぶち込みそうだけど -- 名無しさん (2017-07-19 00 07 22) 4つの真理をフル活用したらどんなものを作るのか興味あるわ -- 名無しさん (2017-09-03 19 03 04) とてつもないエネルギーとそれを自在に安全に扱え、平行世界を観測しそこに楽々往ける……これ自体がなんだか偉大な発明じゃないのか? -- 名無しさん (2017-09-03 20 52 21) ↑ありとあらゆる平行世界の科学や魔法的な力があったとしても科学観測しつつ自在にそのエネルギーを分析制御できる異世界どこでもドアが完成しそうだな……既存科学は永劫に拡張しつづけそうではあるな・・・ -- 名無しさん (2017-09-03 21 51 11) まぁオルフィレウスの目的はそれだし、際限ないなら殊更にな -- 名無しさん (2017-09-03 22 01 33) パーソナル・アタラクシアでないと破壊できないって、何でできてんだよ、これ -- 名無しさん (2018-04-22 23 12 47) ↑(歯車ボッチ爺の科学への)愛ッ!ですよ -- 名無しさん (2019-03-17 09 14 16) 何故そこで愛ッ!? -- 名無しさん (2020-03-09 07 55 47) ↑2ボッチではないッ、孤高だッ!!(天空衛星でモニタリングしながら -- 名無しさん (2020-03-19 11 45 07) ↑歯車しか友達いないってアンパンマンさん以下ですよ -- 名無しさん (2020-06-02 23 35 36) …パンマンさんと比べ茶可哀想でしょ―― -- 名無しさん (2020-06-28 12 03 28) クロノってついているけど、時間を利用した系の永久機関なのか? -- 名無しさん (2020-06-28 12 24 31) オルフィレウスが規則正しく運行する時計に拘りあるみたいだからその影響でそんな名前なのかも -- 名無しさん (2020-06-29 13 20 28) 復活オルフィレウスってどこかバグって閣下とヘリオスくらい違いそう(進み続けるとこは変わらない) -- 名無しさん (2020-07-28 12 56 17) 我が守護星 -- 名無しさん (2020-11-27 23 31 52) 料理も科学だし、滅茶苦茶美味い料理のレシピもあるはず -- 名無しさん (2020-12-20 13 43 14) しっかし、一体どういう原理で永久にエネルギーを作成してるのか。精神エネルギーを使ってた心装永久機関とも構造違うんだろ? -- 名無しさん (2023-01-22 02 09 42) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/lenen_motoneta/pages/248.html
馬立ツグミのスペルカード。 翻弄思いのままに相手を弄ぶこと。 永久機関永続的に運動を続ける機械または装置。 「翻弄永久機関」「人をいつまでも弄び続けるもの」。乗りこなせない暴れ馬のこと? 闡裡鶴喰のテーマ「永劫舞踏機関 ~ Shall_We_Dance!!」にかけているのかもしれない。 弾幕・技 「翻弄永久機関」 登場 鏈縁霊烈傳「翻弄永久機関」(2面 Hard/Unreal)
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/849.html
桜が咲く季節。 散りゆく花びらが、私を包む。 私の側には、お父さんがいて。 私の隣には、 ――お母さんも、いて。 お母さん。 あなたはこんなにも優しくて。 ずっとずっと、永久を信じた。 永久(とわ) 目が覚める。 今みたものが夢だったと、気づく。 まだ眠くて。 でも、起きてしまって。 微睡みの中の私は、 ――泣いていた。 お母さん…。 私はあなたを、知らない。 写真で笑うあなたしか、知らない。 お母さん。何度呼んでも届かなくて。 手を伸ばしても、そこにはいなくて。 小さい頃の記憶は、ほとんどなくて。 私の心には、あなたの顔は浮かばない。 写真のあなたしか、浮かばない…。 お母さんと、たくさん話してみたいよ。 お母さんと、たくさん遊んでみたいよ。 ゲームでも、漫画でも、そんなものなくても。 お母さん…あなたと、過ごしてみたいよ…。 「…っく、ひっく…、ぉかあさ、ん…」 涙が溢れて。 声がこぼれて。 時々、夢を見てしまうんだ。 どうしようもなく、儚い夢を。 思い出かどうかもわからない夢。 ただの空想かもしれない夢。 私と、お母さんと、お父さん。 三人で笑う毎日を、過ごしたくて。 私の思い出に、すり替わって欲しくて。 今がつまらないなんてわけはない。 幸せなことに、変わりない。 お父さん、ゆーちゃん、ゆい姉さん。 家族と呼べる人たちがいる。 世の中には、家族がいない人だっている。 悲しみは比べるものじゃないけど、今がイヤだなんて言うのはバチがあたる。 でも…。 やっぱり、私は欲しかった。 ――お母さんのいる、毎日が―― 涙がまた、溢れそう。 たまになっちゃう、この気持ち。 らしくないなんて言わないで。 私だって、悲しいんだ…。 ――永久に来ない、儚き夢。 でも私は家族がいて。 毎日があって。 それを彩る、人たちがいる。 それは、つかさ。みゆきさん。後輩たちや、先生。 そして―― 「…かがみ…」 どうしようもなく愛しい名を、知らない間につぶやいていた。 どうしよう。 会いたい。 かがみに、会いたいよ。 会って、話したいよ。 携帯を手に取る。 今すぐにでも、電話をかけたい。 でも今は、まだ朝の四時過ぎ。 こんな時間じゃ、迷惑だよね…。 だけど、どうしても会いたい自分がいる。 寂しさを紛らわしたいからかもしれない。 ただ単に会いたいだけかもしれない。 …かがみ。会いたいよ…。 気がつくと、電話をかけていた。 トゥルルル…トゥルルル… 長く響く、電話の声。 起きてるはずない。 なにかけてんだろ、私…。 切ろう。こんなの、ただの迷惑電話だ。 かがみが可哀想だ。 電話の電源を押そうとした瞬間―― 「……もしもし?…あ、あんた今何時だと思ってんのよ…?」 …つながった。 耳に響くあなたの言葉。 かがみ…! 告げる。 「……会い、たい…」 ただ、それだけしか言えなかった。 あとはもう、涙が邪魔してしまって。 電話越しのあなたは、一瞬驚いた声をして。 そして―― 「今行くから」 それだけ言って、電話は切れた。 …え?ほ、本当に…? 私は慌てて、外を見る。 まだ暗い。 自転車で来れるだろうけれど。 かがみは、来てくれる…? 私は急いで、外へ出た。 寒かったから、上着を着て。 もう、すっかり冬なんだね…。 私はいまだに、春を夢見るよ。 かがみの家への道を、私は走っていた。 ただただ、かがみに会いたくて。 一刻も早く、会いたいよ…。 道の遠く先を見る。 自転車がこっちを向かって走ってくる。 それは、長い髪をなびかせる少女だった。 それは―― かがみだった。 すぐに縮まる、私との距離。 自転車を降りて、私に駆け寄るかがみ…。 「…、こなた…」 髪も縛ってなくて。 上着を着てるけど、中はパジャマ。 すぐに、かがみは来てくれた。 私はかがみに抱き付いた。 「…、かがみ…!」 口からこぼれ落ちる、言葉。 「…よしよし…」 頭を撫でるかがみ。 「…うわぁぁぁん…!」 私は、大泣きしてしまった。 涙が、止まらなかった。 悲しくて。 ただ、悲しくて。 行方を知らない感情が、心から溢れ出した。 今、私とかがみは私のうちにいる。 そーっと、そーっと、部屋へ入った。 ベッドに腰掛ける私たち。 今は五時すぎ。 まだ夜明けには早い時間。 私はかがみに話した。 夢を見たこと。 お母さんの、夢だったこと。 起きたら、悲しくて泣いていたこと。 かがみを思ったら、会いたくてたまらなかったこと…。 全部、話した。 黙って聞くかがみ。 一通り話した私に、かがみの口が開く。 「…こなた。私は、…ずっと、そばにいるからね…」 優しい優しい、あなたの言葉は。 私の心を、また溶かす。 「…、かがみぃ…、っ、ひっく…」 また泣きそうになる。 泣いてばかり。 そんな私に、かがみの顔が近づく。 唇と唇が、ぶつかった。 少しして、離れる。 今、気づく。 私、キスされたんだ…。 「…、かがみ…?」 顔が熱くなるのがわかった。 「こなた、泣きすぎよ。落ち着いて、ね?」 そう言うかがみは、顔が紅い。 無性に恥ずかしくなる。 でも、…かがみと触れたら落ち着いた。 私は、かがみに尋ねる。 「…ずっとずっと、側にいる…?」 するとかがみは、私の手をとって。 「…側にいるよ。…永久に…」 ――“永久”。 その言葉は、私の中で木霊する。 …また、泣きそうになる。 でも、今度は嬉しくて。 心の底から、喜びが溢れてくるのがわかった。 「…かがみ…あ、ありがとう…っ、グスッ…」 「また泣く~。泣き虫だっけ、あんたは?」 違うよ。私は泣き虫なんかじゃない。 ただ…“永久”と言われて、嬉しかっただけなんだよ。 「こんな私も、たまにはありでしょ……?」 告げた私。 するとかがみは。 「…当たり前、よ」 そう言って。 また、唇と唇が近づいてゆく…。 私とかがみは、二度目のキスをかわした。 「あんたのせいで寝不足だわ…」 「だからごめんって…」 朝がやってくる直前。 いつも通りに戻った私と話すかがみ。 「…本当に、ごめんね…」 迷惑かけちゃったもんね…。 朝っぱらから、呼び出すなんて。 「…ありがと、ね」 …? 突然お礼をいうかがみ。 「…なんで?」 「いや、ほら…た、頼ってくれて…ありがとうってことよ…。あんた、いつも全部一人で背負い込もうとするんだから。悲しさとか。だから、ね…」 かがみ…。 ありがとう。 本当に、嬉しいよ。 何かを頼れる存在。 いると思うと心が、安らぐ…。 夜が明ける。 窓から空を眺めると… 「うわぁ…」 …空が燃えていた。 朱く朱く、染め上がる。 夜明けの紅い空に、私はそこにいるような気がした。 ――お母さん、が。 お母さん。 私は、今を生きています。 時々、無性に寂しくなるけど。 私の隣には、頼れる人がいます。 ちょっぴり不器用だけど、とびきり優しくて。 私の隣に、大好きな人がいます。 私は、あなたをあまり知らないけれど。 多分、悲しさはまたやってくるだろうけれど。 もう、きっと泣きません。 隣で優しさをくれる、人がいるから。 私を落ち着かせてくれる、かがみがいるから。 だから、きっと大丈夫。 それはきっと、――永久だから――。 fin コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(/ _ ; )b -- 名無しさん (2023-05-25 10 04 33) 序盤で号泣してしまった。 -- 名無しさん (2010-01-07 02 09 56) こなたとかがみは、今年のベスト・クリスマス・カップルに選ばれました。 メリー・クリスマス! -- 「こなかが離れ」出来ない22歳 (2009-12-24 20 19 54) 1番好きなSSです。 心にしみます! -- 七氏 (2009-11-10 00 36 13) これは・・・。まさかSSを見て泣くとは・・・。GJと言いざるおえない。あなたが神か。 -- 名無しさん (2008-11-15 00 13 58) ↓こなた本人降臨?w甘えて泣きついてくるこなた程可愛いものはないどろうなかがみ… -- 名無しさん (2008-11-14 12 24 35) やっぱりかがみは優しいね。 -- 名無しさん (2008-11-14 12 08 21) お母さんが恋しくて泣いちゃうこなたと、電話して早朝にもかかわらずすぐに来てくれるかがみの優しさに感動した( ノД`) 最後のこなたの独白もいいね。なんともじんわりと温かいSSです。 -- 名無しさん (2008-11-13 17 12 04) うーん、綺麗だね。 シンプルでありながら心に染みる作品。GJ! -- 名無しさん (2008-11-07 14 42 34)
https://w.atwiki.jp/harukaze_lab/pages/130.html
永久砲事件 山本周五郎 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)中山朝吉《なかやまあさきち》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)三|博士《はかせ》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)はり[#「はり」に傍点] ------------------------------------------------------- [#3字下げ]減らない鉄[#「減らない鉄」は中見出し] 中山朝吉《なかやまあさきち》は明治鋼業の若い技師である。大学にいた時分から鋼鉄の精錬法を専門に学び、卒業するとすぐ招かれて入社した。 明治鋼業には加納《かのう》真三|博士《はかせ》という精錬学の大家がいて、朝吉はその指導をうけながら二年間を工場で働いたが、技倆を認められて独逸《ドイツ》へ派遣され、ライプチッヒ大学の附属鉄材研究所で特殊鋼の研究をすること三年、こんど加納博士が急死したという通知を受取《うけと》ったので、何もかもなげうって帰朝したのである。 日本へ上陸するとすぐ、そのまま加納博士の郷里へいって博士の墓参をしたので、彼が東京の社へ出たのは一週間の後だった。 「――ただいま帰りました」 社長室へ挨拶にいった彼は、そう云《い》って軽く頭をさげると、すぐに仕事の話へ移った。 「研究所の仕事はどうなっていますか」 「なんだい、三年も独逸《ドイツ》へいってきた者が、人の顔を見るなりもう仕事の話か」近藤社長は苦笑して、 「とにかく長い旅行で疲れているだろうから、仕事の方は一週間ばかり温泉へでもいってきてからにしたら宜《い》いだろう」 「いいえ、加納先生の墓参をして参りましたので休養は充分です。研究所の方は誰がやっていますか、すぐ行ってみたいんですが」 「和田弘太郎君が加納さんの続きをやっている。君が帰朝したら吃驚《びっくり》させることがあるって、はり[#「はり」に傍点]切っているぞ」 「結構ですね、うんと吃驚《びっくり》したいですよ」 朝吉は社長室を出た。 明治鋼業は芝浦十五号地にある。敷地五万坪の中に白堊《はくあ》五層の事務所、工場六棟、研究室二棟、それに合宿所だの食堂だのが美しい配置で並んでいる。二棟の研究室は海に面した二階建のがっちりしたもので、小さくはあるが完備した附属工場が附いていた。――第一研究室へ入っていった朝吉は、とび出してきた和田弘太郎にいきなり両手を握られた。弘太郎は朝吉の一年後輩で、同じく加納博士の下に働いている若手の技師だ。 「よう、やっと帰ってきたな、御機嫌よう」 「留守中は色々とありがとう」 「神戸へ上陸したことを新聞で読んだから、もう帰るだろうと毎日待っていたんだ。――まあなかへ入ろう」 「なにか吃驚《びっくり》させることがあるって?」 「少《すくな》くとも褒めては貰えると思うよ」 肩を抱合《だきあ》ったまま二人は研究室の中へ入った。 その室《へや》は十|米《メートル》に二十|米《メートル》ほどの広さで、三分の一のところを硬質|硝子《がらす》の壁で仕切り、狭い方が書斎、広い方が実験室になっている。書斎には書物卓子《かきものテーブル》や、書棚や、また重要書類を入れる金庫が備付《そなえつ》けてあるので、責任者のほかは出入禁止であった。――実験室の方には水洗場や、小さな電気炉のあいだに、ビイカーやレトルトや、酸素分解機などが所狭きまでに清潔な光の配置をなしている。 「さあこれを見てくれたまえ」 和田技師は実験室の方へ朝吉を導いてゆくと、電気炉の側の台においてあった一片の鋼鉄をとって相手にわたした。 「先生の研究していた加納鋼だね」 「そうだよ」 「君が完成したのか?」 「もう一歩というところで、先生に亡くなられたのだ」 和田は黙祷するように頭をたれたが、すぐまた元気な口調でつづけた。 「僕はちょっと途方にくれたよ、なにしろ君が独逸《ドイツ》へ出発したあとは、先生がほとんど一人っきりで続けておられた仕事だもの。けれどその儘《まま》にしておく訳にはいかんから頑張った。兎《と》に角《かく》一応は完成したんだ」 「実験の結果はどうだ、やってみたのか」 「いや、僕が褒めて貰いたいのはそれとは別なんだ。むろん加納鋼は実験して満足なものだったが、それとは別に、僕はいまもう一段進めた研究を完成したのさ。――これだよ」 そう行って和田弘太郎は別の一片を取上《とりあ》げて差出《さしだ》した。それは厚さ五|吋《インチ》ほどの円筒を二つに割ったようなものである。朝吉はそれをつくづく見ていたが、 「加納鋼の原理の応用だな」 「そうだ、そして打明《うちあ》けていうと、こいつは近藤社長の註文なんだ」 「――式を見せてくれないか」 「いいとも」 和田弘太郎は書斎へ入って、金庫の中から一綴《ひとつづり》の書類を取出して来た。 加納鋼というのは何か? それは簡単にいうと「減らない鉄」である。激しく動く機械の一部に使われる鉄は、熱で膨脹したり、摩擦されて減ったりしないような物でないといけない。現在でもエンジンやピストルに使われる金属は、こうした条件に適するような物で研究されているが、まだまだ不充分で、いろいろ不便な点が多いので理想的とはいえない。 加納博士の研究した鋼鉄は、要するにその条件を完全に備えたものなのだ。 [#3字下げ]歓迎午餐会[#「歓迎午餐会」は中見出し] 和田弘太郎の渡した書類を、叮嚀《ていねい》に見ていた朝吉は、なんとなく解せぬ顔つきで、 「社長はこれを何に使おうというんだ?」 「それは僕にも分らない。なんでも特に秘密を要すると云うので、僕は独力でやったよ」 「秘密でね……?」 中山朝吉は宙をにらむような眼をしたが、 「これは君、加納先生の鋼鉄とはまるで用途が違うね。――実は僕も独逸《ドイツ》でこれと似通った精錬法を研究してきたんだ。いま君のを見るとずいぶんよく出来ているが……」 「まだ駄目かい?」 「駄目とは云わないが、完全だとも云えない。早速僕のと対照して実験しよう。こいつはかなり重大な仕事になると思うよ」 朝吉はそう云いながら、早くも上衣《うわぎ》を脱ごうとした。すると扉《ドア》をあけて、 「中山さん、社長がお呼びです」 と給仕が顔を出した。 「大食堂で重役さんたちの歓迎午餐会があるそうですから、直《す》ぐおいで下さいと云ってます」 「なんだもう午《ひる》か、午餐会なんてつまらぬ騒ぎは御免だな」 朝吉はにがい顔をして、脱ぎかけた上衣《うわぎ》をひっかけた。 大食堂では十五人の重役と、幹部級の職員たちが集って彼を待っていた。――時局がら、歓迎会も質素にする、という社長の言葉を初めに、重役たちの挨拶があり、職員の歓迎の辞が次から次へと続いたあと、中山朝吉は無造作に立上《たちあが》ると、 「これから一生懸命にやりたいと思います」 ぶっきら棒に一言そう云っただけで席に戻ってしまった。 食事に入ってから、朝吉は重役の中に一人、中年の外国人がまじっているのをみつけて、隣にいる社長にあれは誰かと訊《き》いた。 「ああ君はまだ知らなかったな」 社長はナプキンで口端《くちのはた》を拭きながら、 「あれはヘンリイ・ジョンソンといって、こんど我社へ二百万|弗《ドル》ほど資本をいれた加奈陀《カナダ》財団の代表者だよ」 「そうですか、気にくわぬ面をした奴ですね」 「重役の悪口は慎みたまえ」 「悪口じゃありません。感想です」 朝吉は不味《まず》そうに肉を頬張ったが、 「――時に社長」と、振返《ふりかえ》って、 「和田君にお命じになった新しい精練鋼ですね。あれは社長御自身のお考《かんがえ》なのですかそれとも他に発案者があるんですか」 「僕の案じゃない。実はね、――加納鋼の好結果を見て、あのヘンリイ・ジョンソンが研究註文を出したものなんだ」 「何に使うんです」 「汽船のスクリュー軸に使うとか云っているが、こいつさえ成功すれば、更《さら》に二百万|弗《ドル》くらい財団から投資させるそうだ」 朝吉は黙って頷いたばかりだった。 午餐会が終ると礼の言葉もそこそこに朝吉は研究室へ戻ってきた。なにか気懸りなことがあるらしく、ひどく不機嫌な様子でしばらく室内を歩き廻っていたが、――不意に書斎の扉《ドア》を開けて入ると、 「和田君、こんどの精錬鋼の結果はまだ報告してはないだろうな」 「もう一度実験してからにするつもりだ」 「日限があるのか」 「約束は来週の金曜日だよ」 「よし、それまでは報告を出さないようにしてくれ、若《も》し金曜日になっても、僕から通知があるまでは誰にも渡しちゃいかん」 「――君は何処《どこ》かへ行くのか?」 「うん、四五日休暇を貰う、大丈夫金曜日までには出てこられると思うが、君の精錬法はそれまで誰にも報告しちゃいけない。図式は金庫に納《しま》って厳重に警戒を頼む」 「なんのために、そんな大袈裟《おおげさ》な……」 「そいつは僕にもまだ分らない。しかし間もなく説明することが出来るだろう。それまでくれぐれも頼むぞ。――この材料は借りて行くよ」 そう云って、和田弘太郎の作った新しい精錬鋼を取ると、あっけにとられている友達を後にさっさと外へ出ていった。 中山朝吉はそのまま目白の自分の家に引籠《ひきこも》ってしまった。広い屋敷の中にある自分の研究室でほとんど寝食も忘れて何事か研究を始めたのである。――ところが一方会社の方では、それから三日めに近藤社長が和田を呼んで、 「頼んでおいた新精錬鋼はどうだ。よかったら結果の報告を聞きたいがね」と云った。「たしか四五日まえに君は、もう完成したと云ったように思うが」 「あの時はそう申上《もうしあ》げたのですが、実験してみましたら少し不満足なところがあるので、もう四五日待って頂きたいんです」 「それは困るね」 社長は眉をひそめて、「ジョンソン氏が急に加奈陀《カナダ》へ帰ることになったんだ。それで是非とも明日までに結果を知りたいんだ」 [#3字下げ]永久砲身[#「永久砲身」は中見出し] 「明日と仰有《おっしゃ》られても無理ですね、社長」 「その無理を通して貰いたいんだ、――と云うのはね、ジョンソン氏は第二回投資の二百万|弗《ドル》を決めるために帰国するんだ。それには新しい精錬鋼の成功を見せなければならない。和田君、我々は大陸経営のために外国資本を大いに利用しなければならぬ。しかも今度の加奈陀《カナダ》財団の投資する合計四百万|弗《ドル》は、満洲の豆粕と綿製品なんだ。いま日本にとって一番必要な『鉄』のために四百万|弗《ドル》を投資させ、その支払いは豆粕と綿製品でするという、こんな好条件の話は又とあるまい。どうかぜひ頼むよ」 「よく分りました。兎に角やってみましょう」 和田は返辞に困って社長室を出た。 彼の研究は完成しているのだ。中山朝吉から止められなかったら、すぐにも図式と製品を差出すことが出来たのである。何のために中山が止めたか分らないが、ぐずぐずしていると二百万|弗《ドル》の投資をふい[#「ふい」に傍点]にするかも知れぬ。それでは彼としても折角《せっかく》の苦心が役に立たない――和田弘太郎は研究室へ戻ると、思い切って中山に手紙を書いた。 社長の言葉と自分の立場を委《くわ》しく書いて、研究の発表をするからという文面である。手紙を書き終ったときであった。――叩《ノック》もせずに扉《ドア》を押《おし》あけて、 「やあ、いるかい」 と中山朝吉がとびこんできた。 「やあ、いま君のところへ手紙を」 「それよりまだ報告はしてないだろうな」 朝吉は相手の言葉など耳にもかけず、 「君は気が弱いから、社長に急《せ》っつかれて若しや図式を出しやしないかと気が気じゃなかったぜ、だが間に合ってよかった。さあ一緒に社長のところへ行こう」 「――どうするんだ」 「何でも宜いから来たまえ」 朝吉は云うより早く扉《ドア》の外へとび出していた。――社長室へ行ってみるとジョンソンがいた。 「社長――」 朝吉は無遠慮に、 「秘密のお話があるんです。この方に出ていって頂きたいんですが」 「なんだね、いま重要な話をしているんだが」 「此方《こっち》の方が重要です。十分間で結構です」 ジョンソンは若い技師の顔を腹立たしげに見ていたが、 「私ノ話、アトニシマス」 と云って朝吉を睨みつけながら出ていった。 「君の態度はいかんぞ中山君」 「待って下さい社長、実際のところジョンソンがいては具合が悪いんです。では直截にお話しますが」 と朝吉は椅子《いす》にかけながら、 「加奈陀《カナダ》財団の二百万|弗《ドル》は諦めていただきます」 「馬鹿なことを云っちゃいかん」 「馬鹿なことではありません。和田君の研究した精錬鋼が何に使われるのか、貴方《あなた》はご存じないんです、――あれは大砲の砲身ですよ」 「……冗談じゃない」 「まあ聞いて下さい」朝吉はどん[#「どん」に傍点]と卓子《テーブル》を叩いた。 「社長も現在の大砲が不備であることは御承知でしょう。十四|吋《インチ》から十六|吋《インチ》砲は約二、三百発打つと砲身がだめになります。八|吋《インチ》砲で千五百発くらい。大戦のとき独逸《ドイツ》軍が巴里《パリ》を撃ったベルタ砲などは、四十発も射つと砲身は使えなくなります」 「それは聞いて知っているよ」 「あの重い大砲を、戦地で取換えることは非常な作戦上の不便を忍ばねばなりません。それで世界各国の軍部では今、熱心に『永久に使える砲身』または少くとも『現在の何倍か使える砲身』の研究をやっています。――僕が独逸《ドイツ》へゆくとき、加納先生から命ぜられたのはこの永久砲身の研究でした」 朝吉はひと息ついてつづけた。 「ところが帰って来て、和田君の新しい精錬鋼を見ると、僕の研究していた物によく似ているんです。失礼ながら完全とは云えません、しかしそれでも砲身としては現在の五六倍の価値はあるでしょう。――これは正にジョンソンが四百万|弗《ドル》の金で盗みにきたんです。汽船のスクリュー軸に使うなどとは嘘っぱちです、奴は加納鋼の優れた成功を見て、ひそかに永久砲身の精錬法を完成させ、その秘密を加奈陀《カナダ》へ持って帰ろうとしているんです」 初めて知った事の重大さに、社長も和田弘太郎も唖然とした。これは軍器の機密である。 「社長、四百万|弗《ドル》は諦めてください」 「――むろんだ!」近藤社長は大きく頷いて、 「そう聞いては四百万が四千万でも断乎《だんこ》として断る。よく気がついてくれたな中山君、お礼をいうぞ」 「では失礼して仕事にかかります」 朝吉は微笑しながら立上った。――しかし事件はその後に待っていたのである。 [#3字下げ]書類の行方[#「書類の行方」は中見出し] 研究室へもどった二人が、書斎の扉《ドア》をあけた時、――そこにはヘンリイ・ジョンソンが蒼白い顔をして立っていた。 「あっ!」 と朝吉は驚きの声をあげた。見よ! 重要書類を入れる金庫の扉があいているではないか。朝吉は素早く背中で扉《ドア》を閉めながら、「和田君、図式の書類を見たまえ」 と叫んだ。和田弘太郎は金庫の側へ走りよって中を検《しら》べたが、 「――ない、図式がないぞ」 「おい! ジョンソン」朝吉は一歩進んで云った。 「君の盗んだ図式を出したまえ。新しい精練鋼、つまり永久砲身の精錬法を書いた図式を出したまえ」 「私ナニモ知リマセン!」 ジョンソンは冷笑しながら云った。 「私コノ建物ノ外ヲ通ッタ。変ナ人ガコノ建物カラ出ルノヲ見タ。心配シテ入ッテ見ルト金庫ガアイテイタノデス、私ナニモ知リマセン、怪シイト思ウナラ検べテ下サイ」 「白々しいことを云うな!」 朝吉は大股に近寄ると、断乎たる様子でジョンソンの身体検査を始めた。しかし図式は出て来なかった 「――裸になれ」 朝吉はいまいましそうに呶鳴《どな》った。 「ソレ貴方《アナタ》ノ権利ナイデス」ジョンソンは傲然として、「私ココデ裸ニナル義務アリマセン、警官ト社長ノ立会ヲ求メマス」 「生意気なことを云うな」 和田が怒って詰寄《つめよ》るのを、 「まあ待て、理屈は理屈だ」朝吉が押止めた、「ジョンソン、君の望みに任せよう、社長室へ一緒に来たまえ」 「何処《ドコ》ヘデモ行キマス」 又しても彼は太々《ふてぶて》しく笑った。 二人はジョンソンの腕を左右から掴み、油断なく社長の室《へや》まで連れて行った。――そして襯衣《シャツ》まで脱がせて検べたが、何処《どこ》からも図式の紙は出て来なかった。 「――そんな筈《はず》はない」 朝吉は口惜《くや》しそうに、 「此奴《こやつ》は四百万|弗《ドル》出してもあの図式が欲しかったんだ。金庫の扉があいており、図式が無くなっていたとすれば、そこにただ一人いた此奴《こいつ》が盗んだに違いないじゃないか……畜生!」 「兎に角もう一度検べてみよう」 二人は研究室へ引返した。 金庫の中は元より、室内を二時間近くもさがしたが無駄だった。ジョンソンが若しこの室《へや》の何処《どこ》かへ隠したとすれば、これだけ捜してもみつからぬ筈はない。そして彼の体にも持っていないとすると、――彼の言葉が本当なのではあるまいか。 ――変ナ人が此処《ココ》カラ出テ行ッタ。 と云う彼の言葉が。 「分らん、奴が盗んだという事は慥《たしか》だ。僕はあくまでそう思う。だが盗んだ図式をどうしたか? 体にも持っていず、此処《ここ》にも隠してないとすると、どうなんだ」 「奴の云った通り、他に……」 和田が云いかけた時、給仕が入って来て、 「中山さん、社長さんがこれ以上ジョンソンさんを検べる訳にいかないから帰らせますって……」 「勝手にしろって云ってくれ」 朝吉は投出《なげだ》すように云ったが、慌てて呼止《よびと》めた。 「君はこの部屋の受持なんだな?」 「……そうです」 「手紙は何時に出した?」 給仕は不審そうに、 「毎日午前十時と午後三時に出す規定です。今日はもうさっき出してきました」 「和田君、手紙の宛名を覚えてるか」 「発信簿に控えてあります」給仕が云った。 「よし直《すぐ》に持って来い」 給仕が出て行くと、朝吉は向直《むきなお》って云った。 「奴は図式を盗んだ。しかしこの部屋にも隠してないし体にも持っていない。とすると何かの方法でこの部屋から外へ持出《もちだ》す工夫をしたんだ。――何かの方法、つまり手紙さ。君の机の上には発信すべき手紙がおいてある。奴は図式をその手紙のどれか一通の中へ入れたんだ。我々が奴を裸にして検べているあいだに、図式は手紙の中へ入ったまま大威張りで郵便局へ行ってしまったんだよ」 「あ! そうか」 「僕はそう思う、その他に手段はない」 給仕が発信簿を持ってきた。――手紙を何処《どこ》と何処《どこ》へ出したかを控えておく帳簿で、これは何処《どこ》の会社でもたいていは給仕の役だ。 「――五通出したんだな」朝吉は開いて見ながら、 「よし、この宛名の家へ電話をして着いた手紙を検べて貰おう。早くしないとジョンソンの手に渡ってしまうぞ」 [#3字下げ]覆面の狙撃者[#「覆面の狙撃者」は中見出し] 五通の手紙の内、四通は市内であった。一通は満洲の鉱務局だから問題外として、すぐ四軒へ電話をかけた。 「今日送った手紙には重大秘密があるから、届いたら此方《こっち》から行くまで厳重に保管しておいてくれ」 と云う意味を繰返《くりかえ》し念をおしたのである。――そして更に郵便局へかけて、三時発信の手紙が市内で配達される時間を訊くと、 「――今夜の六時から七時のあいだです」 という返辞であった。 いちど郵便局へ差出した手紙は、発信人といえども取りもどすことは出来ない。宛名の家へ届くのを待つより他にないのである。――ジョンソンが若し図式を手紙の中へ入れたとすれば、やはりその手紙が着くのを待って奪取《うばいと》る方法しかない。 「和田君、今夜はちょいと冒険があるぜ」 「合点だ、僕はこれでも立派な補充兵だからな」 「補充兵を自慢にする奴があるかい」 二人は大声に笑った。 朝吉は社長に会って簡単に事情を話し、若い職工の中から腕っこきの者を二十人選んだうえ、それを四組に分けて手紙の行先である四軒の家へ出張させた。……ジョンソンと手紙の争奪戦があると見たからだ。そして彼もその一組に加わって出発した。 しかし、しかし、朝吉の手配にも拘わらず、四軒へ着いた手紙には図式は入っていなかった。四通とも和田の書いた手紙の他には紙片一枚も余計な物はなかったのである。 「そうか、駄目か」 電話で和田弘太郎と連絡をとって、四通とも駄目だったと知った朝吉は、張切《はりき》った力も抜けてがっかり落胆した、――彼の推察は当っていなかったのだろうか? ジョンソンは手紙を利用したのではなかったのだろうか? ではどうして図式を盗取《ぬすみと》ったのか※[#感嘆符疑問符、1-8-78] こうなると全く考えようが無い。 朝吉は職工たちを解散させて、そのまま呆然と目白の自分の家へ帰ってきた。――食事をする気も起らないので、家の者には黙ったまま自分の研究室へ入り、どっかり椅子にかけて考込《かんがえこ》んでしまった。……思えば思うほど残念だった。ジョンソンが盗んだ事は慥《たしか》だ。彼は朝吉が社長に密談を求めて、ジョンソンを室《へや》から追出《おいだ》したので、自分の野心が露顕したことを覚ったのだ。そして先手を打って研究室へ忍びこみ、図式を盗出したに相違ない。――彼は三日経つと加奈陀《カナダ》へ帰ってゆく。恐らくは永久砲の秘密をも持って……。 「畜生、どうして盗出したか、どういう方法で……それが分りさえしたら」 思わず口惜《くや》しそうにそう呟いた時、卓上電話のベルがけたたましく鳴りだした。受話器を耳にすると、 「中山君かッ」 と和田弘太郎の急込《せきこん》だ声が喚いた。「気をつけてくれ、手紙は五通じゃなかった」 「え? なんだって」 「社長に発表をせがまれて、僕は仕方なく君に相談するために手紙を書いたんだ。そこへ君がきたんで忘れていたが、その手紙を給仕が一緒に出している……私信だと思って発信簿に控えなかったのだそうだ、君のところへ手紙が行くぞ、注意してくれ」 和田弘太郎の声が終らぬうち、研究室の硝子《がらす》窓が突然、ガシャン! と砕け、 だんッだんッ。 中山は背中から拳銃《ピストル》の狙撃を喰《くら》った。あっ[#「あっ」に傍点]と悲鳴をあげながら、椅子ごと横ざまに倒れる、刹那! 扉口《とぐち》へ廻った一人の怪漢が、扉《ドア》を押あけて走り込むと、素早く卓子《テーブル》の上にあった手紙を掴む―― とたん、 「待てッ」 叫ぶより疾《はや》く、はね起きた朝吉が、怪漢の足を払うと共に右手の拳ですばらしい一撃、それこそ火の出るようなやつを相手の鼻柱の真上へ入れた。――この的確な不意打はみごとにきまった。苦痛の呻《うめ》きをあげながら倒れるやつを、のしかかって拳銃《ピストル》を奪い、覆面を取ってみると、紛れもないヘンリイ・ジョンソンである。朝吉は落ちている手紙を拾って破り、中に図式の入っているのをみると、……初めて快心の笑をうかべながら、話の途中で投出したままになっている受話器を手にした。 「おい和田君、まだいるか」 「ど、どうした、今の音はなんだ、無事か」 相手の方が取乱している。――朝吉は椅子にかけ、倒れたまま呻いているジョンソンの方へ拳銃《ピストル》をむけながら云った。 「今の音はな、ジョンソン先生の御訪問なんだ。硝子《がらす》を一枚|損《こわ》したよ、君の電話がもう十秒おくれたら、僕の背中へ風穴があいているところだった」 「怪我《けが》は? 怪我はどうだ※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 「図式のことを訊かないのか、安心し給え。図式は手紙の中に入っていた。やはり僕の推察が当ったよ。――次に怪我のことだが、ジョンソン先生の鼻柱が砕けたようだ。すまないが警官と一緒に医者をつれて来てくれ。会ってからゆっくり話そう」 底本:「山本周五郎探偵小説全集 第四巻 海洋冒険譚」作品社 2008(平成20)年1月15日第1刷発行 底本の親本:「少年少女譚海」 1939(昭和14)年2月 初出:「少年少女譚海」 1939(昭和14)年2月 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
https://w.atwiki.jp/epicofbattleroyale/pages/186.html
永久都市のアヴェンジャー ・白髪碧眼の美しい少年。外見年齢は12歳ほど。 ・質素な白いチュニック、手には金の喇叭と一巻きの巻物。 ・達観したかのような瞳、浮世離れした空気を纏う。 クラス ―――― アヴェンジャー プロフィール ――――――― 神の啓示は下った。 進め、進め、たどり着いた先に希望はある。 大丈夫、今度はきっと大丈夫 永久都市のアヴェンジャー SSR ☆☆☆☆☆ 最大ATK 11212 最大HP 13042 シャルル=アンリ・サンソン ・アサシンで召喚された姿となんら変わりはない。 ・熱っぽい瞳、テンションは比較的高め。 クラス ―――― バーサーカー プロフィール ――――――― この断罪は貴方の為に。 この刃は貴方の為に。 貴方の為に――殺しましょう。 さあ、罰を与えましょう シャルル=アンリ・サンソン R ☆☆☆ 最大ATK 10112 最大HP 12412 永久都市の■■■■ ・美しい女性。 クラス ―――― ? プロフィール ――――――― ■■■■■。 ■■■■■■■――■■■■。 ■■■■、■■■■、■■■■■。 ――あなたなんて、産まなければよかった ■■■■■ ? 最大ATK ? 最大HP ? 特異点に戻る
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/48686.html
《永久拷問》 C 光/火文明 (4) 呪文 ■このターン、自分のクリーチャーがバトルに勝った時、自分の山札の上から1枚をシールド化する。 ■相手のクリーチャー1体タップする。そのターンそのクリーチャーは破壊されず、パワーは0になる。 作者:リース族 フレーバーテキスト 死にたくなければ、すぐに吐くんだな.... 収録 DMXU-03 「伝説の復活編 第3弾 激突!!次元超獣最終決戦」 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/cryunidb/pages/143.html
永久悪夢のフード 永久悪夢のフード 装備部位 頭 レベル 28 完成までの所要時間 1日04 04 38 カードスロット数 2 グレード 普通 上等 高級 至高 伝説 必要素材 より糸×12ぼろ布の切れ端×13死者の灰×7エクトプラズム×4 兜の紅石×16兜の紅晶石×8ぼろ布の切れ端×3死者の灰×1エクトプラズム×1 兜の紅石×28兜の紅晶石×14ぼろ布の切れ端×6死者の灰×3エクトプラズム×2 兜の紅石×46兜の紅晶石×23ぼろ布の切れ端×9死者の灰×5エクトプラズム×3 兜の紅石×86兜の紅晶石×43ぼろ布の切れ端×13死者の灰×7エクトプラズム×4 アビリティ 英雄移動速度 11.3%対無機物攻撃力 16.7% 英雄移動速度 17.0%対無機物攻撃力 25.0% 英雄移動速度 22.7%対無機物攻撃力 33.3% 英雄移動速度 28.3%対無機物攻撃力 41.7% 英雄移動速度 34.0%対無機物攻撃力 50.0% 必要魔石数 686,900 171,725 343,450 515,175 686,900 ※完成までの所要時間は、鍛冶屋lv1(2.0%生産速度UP)の値です。
https://w.atwiki.jp/tale2380/pages/223.html
《永久焦土》 フィールド魔法 自分の墓地のモンスターを全て除外して発動する。 このカードがフィールド上に存在する限り、 墓地へ送られるモンスターは墓地へは行かずゲームから除外される。 また、墓地に存在する、またはゲームから除外されたモンスターを特殊召喚することはできない。 このカードの効果は自分の炎属性モンスターがゲームから除外されていない場合無効になる。
https://w.atwiki.jp/vipdetyuuni/pages/72.html
今のお前が私を打ち勝つ事は不可能 姿は見せず、無言で任意の能力者を任意の場に出させないようにする。 美少女でもあれば美男子でもあり、老人でもある 大体一ヶ月もすればその呪縛から解き放たれるが、 永久にその呪縛に囚われることもある。 また、「漆黒の宝玉」なる物(●)に弱く、 それを使われると能力の効果が弱まり呪縛から解放される。 この能力を受けた者は精神ダメージまで受けるためシャレにならない。 【避難乃民】と同格か、それ以上の力を持つ。
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/9333.html
永久凍結(エターナル・ブリザード) C 自然文明 (5) 呪文 ■S・トリガー ■バトルゾーンにある相手の水、または闇のクリーチャーを1体選び、持ち主のマナゾーンに置かせる。 作者:tsukasa フレーバーテキスト 「どんなにあがいたって、外に出た瞬間、吹雪でまた氷漬けになるのがオチよ。おとなしくしてたらどう?」-天真妖精オチャッピィ 収録 DMT-01「色戦争編(カラー・ウォー)第1弾」 評価 名前 コメント