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ある青空のこと・・・真紅が校庭で花を見ていて、職員室に戻る時の事・・・。 廊下の途中で水銀燈と、挨拶してすれ違った時に、肩がぶつかった。普段なら・・・・ 水銀燈「ちょっと、痛いじゃないの~まったく、まな板は困ったものねぇ~」 と、真紅と水銀燈の喧嘩は始まるのだか・・・・・・今日だけは違った。 水銀燈「あら、ごめんなさい」 真紅「え?」 水銀燈「今、肩がぶつかったでしょ。ごめんなさい・・・・注意しなくって・・・・・・」 真紅「へ?・・・・あ・・・・・うん・・・・」 水銀燈「痛くなかった?怪我したら、可愛い身体がダメになるわよ」 真紅「・・・・・え?・・・・え!?なんで、あなたに親切されるのよ!」 水銀燈「なんでって・・・・・・だって、私たち友達でしょ?」 真紅「・・・・・・・・・・・・・・」 と今日の事件は始まった。 スダダダダダダーーーーーーーー!!がばたん!! 真紅「校長~~~~~~~~~~~!!」 ローゼン「ん?(ガンプラのMGアッガイを作っています)」 真紅「アレは酷いわ!貴方のせいよ!!アレはあんまりだわ!あんまりなのだわ!!」 ローゼン「え・・・・・・・・・っと、話を最初から話してくれる?」 真紅「かくかく、じかじか!!」 ローゼン「あははは~それは何かの間違えだよ~」 真紅「見間違えますか!あんな異様なもの!!」 ローゼン「・・・・じゃぁ・・・・・・・確認してみるかな」 が、ローゼンと真紅の見た、水銀燈は・・・・・飼育小屋のウサギに、餌を。花壇に水をやったりして、今まで見せた事も無い姿を見せていた。 真紅「ねぇ!?変でしょ?」 ローゼン「確かに変だ。う~ん。熱があるのかな?それとも、変な物でも食べたのかな?」 真紅「そうなら、もう手遅れよ!」 その時、真紅の後ろから雛苺達がやってきた。 蒼星石「あの・・・・・校長。言い難いのですが・・・・・水銀燈先生を元に戻してくれませんか?」 翠星石「さっさと戻しやがれですぅ~」 雛苺「水銀燈こわいの~」 金糸雀「戻して欲しいのかしら」 薔薇水晶「銀ちゃん・・・・・怖い。戻して・・・・・」 雪華綺晶「お腹すいた・・・・・・」 ラプラス「教員を玩具にしないで下さい!馬鹿校長!!」 ローゼン「だからって!俺のせいにしないでよ~(涙)」 数分後 蒼星石「なら、本人に聞いてみよう?」 一同「そうだね」 一行は水銀燈のところに寄ってみた。 翠星石「水銀燈!おめぇが変だから、心配しに来てやったですぅ」 水銀燈「変?僕が??」 一同「変だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 雛苺「うわぁ~~~ん!水銀燈が壊れたなの~」 ラプラス「早く病院に連れて行かないと!!」 蒼星石「うわぁ!薔薇水晶先生と雪華綺晶先生が、失神したー!!」 真紅「黙りなさい!!混乱する一方よ!」 さらに数分後・・・・・・ 真紅「で、一体何かあったの?」 水銀燈「?何って、何が?」 蒼星石「どうして、今日は気分一新なのかな?」 水銀燈「う~~~んとね、え~~~~っとね・・・・・・覚えてないわ。うわはははは~~」 翠星石「さっさと思い出しやがれですぅ~!思い出さないと、その胸を掴むですぅよ~」 蒼星石「翠星石・・・・下品だよ」 水銀燈「あ~!思い出し~あのね・・・・・・・」 数時間前 水銀燈が校長室のガンプラを綺麗に並べて置いていたときの事 水銀燈「まったく・・・・・何で私が、校長のガンプラを並べなちゃいけないのよ~!このデブ!!」 と言い、HGUCのジ・Oを投げたら・・・・・・・・ 水銀燈「でね、こう・・・・・パァ―って、光ったの~気付いたら、気分が気持ちいの~」 薔薇水晶「Z・・・・・・・劾をこえて?」 雛苺「じゃー次は、アニメじゃないの~」 翠星石「ガン○ムネタじゃないですぅ~!!」 ラプラス「まぁ・・・・・・私たちに、害を与えるつもりがなければ、ほっといても良いでしょう。」 真紅「教頭!?」 ローゼン「そうだね。問題なければ、全て良し」 真紅「馬鹿校長!?」 雛苺「職員室で、うにゅーを食べるの~」 真紅「雛苺!」 金糸雀「私も苺大福を食べるのかしら~」 真紅「金糸雀!」 薔薇水晶「授業に遅れる・・・・・」 雪華綺晶「食べ物・・・・・無いのかな?」 真紅「二人とも!?」 と皆。職員室や教室に向かったのだか・・・・・・・・最後の二人だけ遅れ、真紅に掴まれた。 真紅「ねぇ・・・・・・・二人とも、私を見捨てないよね・・・・・?一緒に水銀燈を元に戻してくれるよね」 蒼星石「うっ・・・・・・・・」 翠星石「い・・・・いや・・・・・・早く教室に戻らないと、チビたちか・・・・・・」 真紅「私たち・・・・友達よね?親友よね?」 蒼星石「(滝汗)うっ・・・・・・確かに僕達は友達であり、親友だけど・・・・・・」 翠星石「(滝汗)今回ばかりは・・・・・・・」 真紅「断る気?私は一番頼れるあなた達に頼んでるのよ!」 蒼星石「だけど・・・・・・・」 真紅「お礼として、私の紅茶淹れ係にしてあげるわ!」 翠星石「ものすごーーーーーく、嫌ですぅ」 真紅「じゃぁ・・・・・・この、くんくんの人形をあげるわ!」 蒼星石「持ってるからいいよ。」 真紅「それなら、あなた達が困ってる時に、力を貸すわ!」 蒼星石「今困ってるんだけど・・・・・・・・・」 真紅「・・・・・・・・・・・・・・」 二人「・・・・・・・・・・・・・・」 真紅「・・・・・・・・・・・・・・」 二人「・・・・・・・・・・・・・・」 真紅「・・・・・・・・・・・・・・」 二人「・・・・・・・・・・・・・・」 真紅「・・・・・・・・・・・・・・・・vv」(目からキラキラ光線) 二人「分かりました・・・・・・だからって、その光線は止めて」 こうして、2人は無理矢理協力させられた。 蒼星石「ところで、真紅。どうして、水銀燈を元に戻したいの?」 真紅「う・・・・・・・・いや・・・・その」 翠星石「それと、どうやって元に戻すのですぅ?」 真紅「(蒼星石の話を無視した)簡単よ!水銀燈の邪心を探すのよ!そして、中に入れる」 翠星石「それはそれで、厄介ですぅ・・・・・」 蒼星石「邪心って・・・・・見つけられるの?」 真紅「その事は本人に聞くまでよ!」 と言って、水銀燈に聞いてみた 真紅「さぁ!水銀燈!!貴方の邪心は何処へ行った!?」 水銀燈「僕、知らないよ~ハハハハ~~~~」 真紅「・・・・・・・・」 翠星石「・・・・・・変わったって言うより、雛苺並みの頭脳になっているですぅ」 蒼星石「じゃ・・・・・・変な雲や黒い霧みたいな、変なの見なかった?」 水銀燈「う~~~~~~~~ん。ああ~思い出した。けど、お兄ちゃん(蒼星石)がキスしてくれたら、話すよ~」 蒼星石「・・・・・・・・・・・・・・・へ?」 予想外の答えに、戸惑う蒼星石。普段なら、それを止めようと翠星石達だったのだが・・・・・・ 真紅「蒼星石!やりなさい!!」 翠星石「そうですぅ!ここは、水銀燈の言うとおりにするですぅ」 蒼星石「え・・・・・・・マジすか?」 二人「マジです」 蒼星石「・・・・・・・・・・・」 更なる予想外の答えに、蒼星石は人生初めて、困った。今までは、生徒達から「付き合って下さい」や「デートして下さい!」など言われてきたのだか、今回は仕事仲間に「キスして~」と言われ、そして「やりなさい!!」と言われたから・・・・・・ 水銀燈「ねぇ~早くしてよ~~」 翠星石「頑張るんですぅ~蒼星石!!」 真紅「早くやりなさい!」 蒼星石「・・・・・(大粒の涙を流す)・・・分かった・・・・・・(水銀燈にキスをする)」 その後、”ばったん”と大きい音を立てながら、蒼星石は真っ白になり、倒れた。 真紅「さぁ!邪心は何処へ行ったの!?」 水銀燈「あっち。」 水銀燈の指が指した方向は、校長室だった。それを知った真紅は、ものすごいスピードで走っていった。翠星石は、蒼星石と水銀燈のところに残った。 (正確に言えば、忘れ去られたと言う) 校長のガンプラの置き部屋に入っていった、真紅。目の前には、HGUCサイコガンダムに乗り移った、水銀燈の邪心。 サイコ銀燈「よく来たわ・・・・・・うごっー!」 本当は「よく来たわね、まな板真紅」っと言うつもりだったのだか、先手必勝で、ぶん殴る真紅。ある意味教師じゃない。 真紅「さぁー早く元の身体に、戻りなさい!」 ボコボコ殴る真紅。ボコボコにされるサイコ銀燈。血は出ないが、パーツが砕けていった。 サイコ銀燈「・・・・・ちょっ・・・・・・ガ○ダ・・・・ムは角が・・・命な・・・・・・の・・・・・うぐっ」 それでも殴り続ける、真紅。それをかるーく、1時間はやっていたと言う。 その1時間後。殴り疲れたかのように、止める真紅。ボコボコになったサイコ銀燈。そのサイコ銀燈はある事を言った。 サイコ銀燈「あんた・・・・・・どうして、元に戻したいの?私はいつも、あんたに貧乳って、言っているのだぞ?」 真紅「確かにそうだけど・・・・貴方忘れたの?新人だった私に優しくしてくれたのが、水銀燈。貴方よ・・・・・・・」 サイコ銀燈「・・・・・・・・・・・あ」 サイコ銀燈は、数年前の事を思い出す。 数年前の4月・・・・まだ翠星石や雛苺達が居なかった頃の私立有栖学園 ローゼン「と、言う訳で今年から教師になった」 真紅「し・・・・・真紅です。よ・・・・よろ・・しく・・・・お・・・・・・お願いします・・・・」 初めてのせいか、緊張している真紅。今では考えられないです。 ローゼン「さて、早速だけど君は・・・・・・A組のクラスの副担任になってもらうね~」 真紅「え・・・・・・・副担任ですが?」 いきなり副担任の任に就く真紅・・・・・・・その時一人の女性が話しかけてきた。 水銀燈「あなた、緊張しなくっても、いいのよ~」 真紅「あなたは?」 水銀燈「私、今年のA組の担任、水銀燈よ。これから、頑張りましょう。真紅先生。」 真紅「は、はい!」 水銀燈「あーそれと、校長。ラプラス教頭がさっき探していましたよ~「あの馬鹿は何処だぁぁぁ~~~~!!」って」 ローゼン「(大汗)ハハハハハハ~~~~~さらば!!」 真紅「校長先生って、変わっているんですね・・・・・」 水銀燈「顔は良くっても、頭は悪からね・・・・・教頭は、逆に顔が悪いけど・・・・」 真紅「?」 水銀燈「そんなことより、さぁー教室に行くわよ~可愛い生徒が待っているわ~」 真紅「はい!!」 それから、二人は、仲良くやってきた・・・・・教頭と一緒に校長の捕獲の仕事。生徒を巻き込んだ、ヤクルト派と紅茶派や巨乳派と貧乳派に分かれた対決(未だにやっているけど・・・・)それでも2人は、楽しい日々が続いた。 けど、ある日の事・・・・・・・ 生徒の1人が他校の不良に絡まれた時の事。その場に居た真紅は、助けに入った。しかし、真紅は生徒を守る為に、不良に力一杯殴ってしまった。その時、不良は頭を強打し、血を流しながら倒れてしまった。 その事が教育委員会に知られてしまい。ここ数日間、真紅は学園に来られなくなった。 暗い部屋の中。その時の真紅は泣きながら頭の中に、ある二文字が浮かんだ・・・・・ 「退職」と言う言葉が・・・・・・・ 真紅「私に・・・・・・・教師は合わなかったのかしら・・・・・・・」 その暗い部屋の中に光が差した・・・・真紅の目の前に水銀燈が立っていた。最初は幻か?と思った。けど水銀燈は真紅に・・・・・・ 水銀燈「まったく・・・・・・あんた、よく暗い部屋に居られるわねー早く学園に行くわよ!支度しなさい!!生徒が待っているわよ」 っと、言った。他の教員達は「教師の恥」「よく、あんな子が教師になれたものね」など、小言を言われてきた真紅。けど水銀燈の言葉は何事も無かったかのように、言ってきた。 真紅「け・・・・けど、私は・・・・・不良とは言え・・・・・他校の生徒を殴り・・・・怪我をさせたわ・・・・・・」 水銀燈「あん!?んなこと、関係ないわ!!アレは自分の生徒を守る為の正当防衛よ!!」 真紅「し・・・・・・しかし・・・・・・・・」 水銀燈「うだうだ言っているから、胸がいつまでも、貧乳なのよ!!」 真紅「(ぴき)それは関係ないわ!」 水銀燈「怒る元気があるなら、今から行くわよ!!」 真紅「けど私、教師を辞めるつもりです!!だから・・・・・・」 その時、ビシッ!っと、音がした。それは水銀燈が真紅の頬にビンタした音だ。 水銀燈「あんた、もう一回言ってみなさい!私の嫌いな言葉は、辞めるって言葉よ!!特に一人前じゃない奴が言うと、もっと嫌いよ!!良い、悔しかったら、辞めない事ね。分かった?貧乳真紅!?」 真紅「う・・・・・・・・・・くっ」 と、泣きながら、飛び出してしまった真紅。そして・・・・・ 水銀燈「ひっ・・・・く・・・・・真紅の・・・・・ばか・・・・」 その水銀燈も泣いていた・・・・ 翌日、真紅は迷いが合った。そして校長室に向かった・・・・・その手には退職届を持って・・・・・・・ ローゼン「え~本当に辞めちゃうの~?真紅ちゃん??」 真紅「はい・・・・私みたいな者が教師と言う職は、向いていませんでした。」 ローゼン「う~ん。惜しいなぁー。君みたいな、可愛い子が居なくなるなんて・・・・・・銀ちゃんもそうだけど~」 真紅「銀?もしかして、水銀燈先生も!?」 ローゼン「うん、君が来る前ね。「彼女の責任は、自分の責任だ」って言って、出て行っちゃった。」 真紅「!!!!」 凄いスピードで走り出して水銀燈を探しに行った。 水銀燈は近所の公園で見つけた。 真紅「水銀燈先生!」 水銀燈「・・・・真紅、何か用?それに・・・・私はもう・・・教師じゃ・・・・」 その水銀燈の目に映ったものは、膝まつく真紅の姿。 真紅「お願いです!!もう一度、私と一緒に教師になって下さい!!お願いです」 水銀燈「・・・・・・・・・・・真紅」 真紅のそばに歩く、水銀燈。水銀燈は真紅の顔を優しく触った。 水銀燈「分かった・・・・・・・・泣かないで、可愛い顔がダメになっちゃうわよ。」 真紅「本当ですか!?」 水銀燈「けど、私にお願いするのはこれだけよ。いい?」 真紅「はい!!」 校長室 二人「もう一度お願いします!!」 ローゼン「本当にやり直したいなら、さっきの退職届は無しにするよ。いい?」 二人「はい!!」 ローゼン「ふふふ・・・・じゃーもう一回、A組お願いね~」 二人「分かりました!!」 そして、2人は校長室を後にした ラプラス「で、どうやって教育委員会に言うのです?」 ローゼン「う~ん。いつものの、アレでいこうかな~良い?教頭」 ラプラス「構いませんが・・・・私からの条件として、貴方が1週間。真面目に仕事をやってくれれば、良いです。」 ローゼン「う~ん・・・・・・しょうがない。可愛い教員の為だー!やるぞー!!」 ラプラス「(その前から、やれよ!!)」 と・・・・どう言う訳か、真紅がやった事は正当防衛と決定になり、退職は無かった事となった。それから・・・・・二人以外の先生は辞める事が多くなったので、代わりに翠星石や薔薇水晶達がやってきた。 で、現在 真紅「だから・・・・・・・あんなの彼女じゃないわ」 サイコ銀燈「・・・・・・・・・・分かったわ。貴方のお願い聞くのって、これで2回目ね」 真紅「え?」 サイコ銀燈「戻るわ。元の身体に・・・・・・」 真紅「・・・・・・・ありがとう」 数時間後。邪心は元の身体に戻った。 水銀燈「う・・・・・・・うん?ここ、何処よ?」 真紅「水銀燈~~~~~!!」(抱きつく) 水銀燈「ちょ・・・っと、真紅・・・・何するのよ!?痛いじゃない」 真紅「水銀燈~~~~~~~そのままの貴方が、一番よ」 水銀燈「はっ!?何言ってるのよ・・・・・・・・全く、この子は・・・・・・」 と次の日から、普段通りの水銀燈の姿があった。それと・・・・ 蒼星石「あはははは・・・・・ぼ・・・僕のファーストキスが・・・・・ハハハハハ・・・・・・」 とファーストキスを奪われた、蒼星石は2週間寝込んでいたと言う・・・・・・・・
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やわらかい月明かりに照らされたテラスで想いふける。 こんなにまん丸なお月様を見るにはまた一ヶ月待たなくてはいけない。 ドールにとって一月など一本の映画を見るくらいの時の流れでしかない。 「私って案外おバカさんなのかしら・・・・」 ふと思い出していた。妹と戦い、ローザミスティカを奪ったこと。 自分は間違っていない。お父様が望んだアリスを目指すために舞台に上がっただけだ。 だけど何故あの涙を見て心が痛むのであろう。こんなに苦しいのだろうか。 「一人でなーにやってるですか?水銀燈」 この子の涙を見て以来戦えなくなった。 お父様がアリスを求めているのに戦いとなると身体が動かなくなる。 「翠星石は何故私と一緒にいるの?私は一度蒼星石のローザミスティカを奪ったのよ」 ほんのわずか殺気を込めて言い放つ。 「まぁ、確かにお前は悪い子ですぅ。過去に蒼星石のローザミスティカを奪ったのも事実ですが・・・・」 「一体どうしたですか?過去の後悔に苛まれて慰めて欲しくなったですか」 翠星石には暖簾に腕押し状態で軽くいなされる。 「な、何をいってるの。バカじゃない?普通ならそんな相手にこうやって声を掛けることもしないわぁ!」 「嫌いになって縁を切るのが普通でしょ!?」 少し声を荒げて水銀燈は静寂に包まれるテラスに自らの嘆きを響かせた。 「水銀燈、お前は翠星石たちに嫌いになって欲しいですか?」 「・・・・・・・・」 静寂の中、ぽつりぽつりと翠星石が語り始める。 水銀燈はうつむいて沈黙してしまった。 「翠星石はいやですぅ。いくらお前が悪い子であっても、もう目の前で姉妹を失うのはいやですぅ・・・・」 「ただそれだけですぅ・・・・。だから、お前ももう嫌いになれだなんていうなです!!」 ふわっと翠星石の優しい良いにおいが水銀燈の鼻をくすぐる。 逃がさないとばかりに翠星石は水銀燈を抱きしめた。 「あっ、ななな何するのよぅ」 「まったく、お前みたいな悪い子はこうですぅ!!」 ちゅっちゅと翠星石が水銀燈の唇を奪う。 「・・・・んふぅ・・・・あ・・・・ん・・・・」 水銀燈の唇を食べるかの用に翠星石は自分の唇をはむはむと動かした。 振り払って逃げるという考えとは裏腹に次第に水銀燈の肩の力が抜けてくる。 それに気づいた翠星石は水銀燈の唇を割って舌を絡ませる。 「んっ・・・・はぁ・・・・んん」 観念したのか水銀燈は全身の力が抜けてしまった。 もう翠星石のなすがままになる。 「んふぅ・・・・水銀燈、ミルクティー飲んできたですね。良い香りがするですぅ」 お互い息が続かないために一度顔を離す。 水銀燈は翠星石のそのセリフに顔を赤くしてそっぽを向いた。 「かわいいやつですぅ~♪」 「翠星石、水銀燈?ここにいるかな。お茶持ってきたよ」 トレーを抱えた蒼星石がやってくる。お茶セットとクッキーをみんなで楽しむために持ってきてくれたようだ。 「あれ、随分と楽しそうなことしてるね」 テラスに設置されたテーブルにトレイを載せながら声を掛ける。 カップに紅茶を注ぎながら妖艶に水銀燈を見下ろした。 その視線がたまらなくなり、水銀燈は目を伏せる。 「実はかくかくしかじか・・・・なんですぅ」 「へぇ、水銀燈はかわいいねぇ。本当に君は純粋で無垢な優しいお姉ちゃんだよ」 きゅっと水銀燈を後ろから抱きしめてあげる。 ふわっと香るにおいがとても心地よかった。 抱きしめたついでに耳をはむっと甘噛み。 「ひゃっ!!やっ、蒼星石・・・・くすぐったい・・・・」 「翠星石もやるですぅ。・・・・はむはむ」 「んんっ!!二人でしたらいやよぉ・・・・」 「いつまでも過去に縛られてはいけない。僕たちは姉妹なんだから仲良くしよう?」 耳を弄びながら水銀燈を諭す。 水銀燈は耳に息がかかるたびに身体をピクピク反応させ悶えていた。 「僕はこうしてここに帰ってこられたんだから」 蒼星石はカップの紅茶を少し口に含む。 口に含んだまま水銀燈に深い深い口付けをした。 流れ込んでくる香り高い紅茶をコクコクと喉を鳴らして受け入れる。 水銀燈の口の端から零れた飲みきれなかった雫を翠星石が舌でペロリと舐めて取っている。 月明かりに照らされて・・・・三人は時を忘れてお互いを求め合うのであった。 「や~ん、水銀燈が妹二人に攻められてるわ~。・・・・かわいい」 木陰よりデジタルビデオカメラ片手にめぐ眺めている。 「フフ、翠星石ちゃんも蒼星石ちゃんも結構大胆ね~」 最近盗撮仲間になったのりも一緒に三人の様子を見守っていた。 後日、ドールの三人はこの映像を見せられ内緒にする代わりにめぐとのりにはむはむされたとか。 おしまい
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年越しを控えた街中はドレも煌びやかな市の様相を呈していた。 しかし、その中で金髪の美少女フェイトが市場を奔走していた。 買い求めていたものは「勝栗」「打鮑」「昆布」 これらは杯と合わせる事で四方膳とよばれ、合戦に出陣する際に武将が食するものである。 蒼星石「……水銀燈」 水銀燈「なぁに、蒼星石?」 蒼星石「なのはさんが御呼びです」 水銀燈「……なのはさんが?」 蒼星石「急を要すること」 水銀燈「蒼星石……之からはアスカ夫人と呼ぶのよぉ?」 地はオーブの慰霊碑前。日本語で書かれたまぬけな墓標が聳えて海を睨んでいる。 此処はシンが軍人を決意した悲劇の地であり、シンを想う者の巡礼地であった。 其処の少し離れた海岸にて縛り上げられる男が一人。 シン「……んーーーーっんーーー!!」 フェイト「鎮痛剤と洗脳魔法を掛けておいたから。じきに人形如きにお熱を入れていたのも治る」 シン「んーー!? んーー!!」 フェイト「シン君をかかる羽目に陥れた水銀燈を……お仕置きつかまつる」 其処に陣取っていたのはフル武装を果たしたなのはさん。 潮風が当たりながらもその銀髪を靡かせながらも現れる水銀燈。 水銀燈「(オーブ慰霊碑。この地に一体何が)水銀燈ただ今参着」 なのは「「水銀燈 本日この日を持って その方に メインヒロインの流儀を 伝授いたす」」 水銀燈「(メインヒロイン! ついにくれるのねぇ。シンに続いてヒロインの座を!)」 フェイト「さすれば、まずは業前をお見せしたその後ね」 対峙する二人。大降りなデバイスに対して、水銀燈はミドルソードを構えていく。 冬の寒い潮風がその空気をより一層冷やしていく中、お互いに空を舞いながらもその近距離型の攻防は続いていく。 威力とトップスピードに置いてはフェイトは水銀燈を圧倒的に上回る。しかし、水銀燈は細かい小回りとドッグファイトを得意としていており 羽の連撃がフェイトの詠唱を悉く中断させていく。そして、その刹那、水銀燈の剣が喉元を捉えて勝負を着いたかに思われた。 水銀燈「勝負アリよぉ」 フェイト「……なのはさんは止めよと申してない」 水銀燈「!!!(私の剣は確かに捉えた筈。女難スレで殺し合いをするつもり!?)」 完全に刃を止めた水銀燈に対してフェイトは容赦なく横のなぎ払いで水銀燈くを海へと叩き落とす。 冷たい冬の海の水が痛みと寒さをより一層強めていく中、海から這い上がった所に立っていたのは蒼星石だった。 そして、その表情には微笑みが刻まれていた。そのありえない事実に対して水銀燈は驚愕を隠していない。 水銀燈「(正気!? こんなガチバトルなんてしたら死人が出てしまうわ。一体何を考えて)なのはさん!」 なのは「……止めにする?」 水銀燈「!?」 なのは「メインヒロインの流儀伝授。止めにする?」 水銀燈「ごめんなさぁい。覚悟ちょっと足りなかったみたい ……水銀燈はこの日の為に今までシンにキレデレをしていたわぁ」 野心がモルヒネの様に体中を駆け巡り、水銀燈に新たな力を与えていく。 そう、シンを貰いうけ、このスレでの人気を獲得しメインヒロインとして彼と幸せな未来を築いて行くと。 かちゃりっとお互いの剣と鋏をぶつけ合って戦いが始まったことを告げる。 水銀燈「蒼星石……アノ日以来ね」 蒼星石「もう、WAWAWAで逃げたりはしない」 目にも留まらぬ斬撃を打ち合いながらも水銀燈は蒼星石へと連撃を繰り出していく。 蒼星石は一回一回の攻撃が重いがその分基本のしっかりとした軌跡を丁寧に描いていく。 水銀燈はそれとは対照的に空中戦を活かしたあらゆる角度からのトリッキーな連撃で翻弄して行った。 しかし、蒼星石の軸はぶれない。ただし、攻撃をする猶予を水銀燈は与えない。 段々と体力を削らせていく水銀燈はついに蒼星石の頭上へと隙を作る事に成功した。 水銀燈「貴女は地で庭の手入れでもしているが良いわぁ。私はシンと言う太陽を手に入れて輝く月になる!」 大きく振り被った其処へ……先に斬撃を繰り出したのは蒼星石だった。 猫科動物が爪を突き立てる様な異様な掴み。それから繰り出される鋏の斬撃は水銀燈の目に留まることなく 彼女の胴体を吹き飛ばしていく。真っ二つになる彼女はそのままどさりっと地面へと顔をたたきつけられた。 水銀燈「……い、いやぁ……また、この姿になるのは……」 なのは「……最近娘が私のことをママと呼んでくれなくなったの」 水銀燈「それ、私と関係ないわぁ!」 なのは「少し……頭冷やそうか……エクセリオンバスターーーー!!」 シーーンーアースカー 女難のまーーとーーー ぎんぱつのーー人形、さーらさらー シンとキレデレ愉しめば~~~ 腹なし ジャンクに なぁーーたーーー ―半年後― 雛苺「あのぉ、女難をぶつけると感触とはいかなるものなのぉ?」 翠星石「……あれですぅ。濡れて手拭いで叩くがごとき音ですぅ」 シグナム「うまくやれば手ごたえが無い」 真紅「雛苺」 雛苺「ハイなのぉ」 真紅「美味しい紅茶ね」 水銀燈仕置きから半年後、シンは拒食に陥ってた。 携帯の画像の中に移るマユの顔を眺めながらも時折、折り紙で女雛を作っては腹をちぎっていた。 伸びてしまった髪を見て思う。この髪が銀髪だったらと。 なのは「……乳酸菌」 シン「!?」 なのは「……ほら、すきなんでしょう?」 この日はビフィールであった。やせ細ったシンに栄養を付けさせようと言う乙女の想いであった。 最終的には関節キス♪と喜んで自分で飲んでしまい、それは確実にシンの心を蝕んでいった。 ――初雪の夜 魔法少女と見間違わないばかりの美しい白のワンピースに大きく掲げられたデバイス。 例え、男だとわかっていたとしてもシンはその時ばかりは艶めいてとてもこの世のものとは思えない美しさであった。 なのは「レイジングハートが! 私のレイジングハートが……(れろぉり)コレは逃逃げ隠れようとしている味、シンね!」 蒼星石「なのはさん!」 なのは「……連れ戻すの! レイジングハートを壊してでも連れ戻しなさい!」 女難スレにおいてなのはさんの言う事は絶対である。 ヒロイン達が抜け駆けしようとわれ先にと町を探し回る中、最初に見つけたのは彼女であった。 場所は御仕置がされた場所、オーブの慰霊碑である。 YAGAMI「……シン。危ないで。早くレイジングハートをしまうんや」 シン「……」 R・H「リロード」 YAGAMI「(やばっ、めっっちゃ可愛い)コレは押し倒しても仕方ないんや……ふぐぅ!(ゴスゥッ)」 投げつけられた石はYAGAMIの後頭部へと直撃する。 地面に突っ伏しながらもシンの魔法少女姿が眼福だったのか安らかな顔をしている。 寸の出で凶行に及ぶはやてを対処したのは蒼星石と雛苺であった。 蒼星石「シンさん!」 雛苺「まずいのぉ! 未完全だからすぐうにゅー(暴走)してしまうの!」 蒼星石「落とさせない!」 シンが魔力を解放する刹那、暴走したレイジングハートが思わず手から離れてしまう。 まるで、矢の様に飛んでいくそれを蒼星石は跳躍してそのスピードに合わせる。 鋏がガリガリとけずれながらもその魔力の塊と貸したデバイスを何とか押さえ込みながらもそれを受け止めることに成功した。 シン「蒼星石」 絶対に壊してはならぬデバイスであった。 しかし、例えこれがレイジングハートでなかったとしても蒼星石はこうしただろう。 一言呟いた後、シンは初雪の中倒れていった。 雛苺「しかし、なんでシンは魔法少女でもないのにあんなものをほしがったのぉ?」 蒼星石「さぁ?」 誰が知ろう。レイジング・ハートが気まぐれで出した幻影だけは かつてシンが女難とも関係ないレイやルナマリアと過ごすミネルバの日々だった。 一覧へ
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お題 『サボる生徒 サボる水銀燈と遭遇』 男子A「はぁ…つまんねー…」 持っていたゲーム機のスイッチを切ると、誰に言うわけでもなくその生徒はそう呟いた。 いつもなら、今頃は学校にいなければいけない時間…。しかし、彼にはどうしても行く気が起きなかった。 男子A「でも…これじゃ、学校にいた時と変わらないな…。何か、面白いこと…」 そう言うと、その生徒は行くあてもなく街をさ迷い、やがて駅へと到着した。 そして、そこに自転車を置き、どこに行こうかと路線図を眺めていた時、不意にその肩を叩かれた。 驚いて後ろを振り返ると、その頬に誰かの指が突き刺さった。 ?「ふふ…見ぃつけた♪」 その人の名は、水銀燈…彼女は、この生徒が通う学校で保健体育を担当する教師だった。 水銀燈「…で、そんな暗ぁい顔して、どこに行こうとしてたの?樹海?東尋坊?」 男子A「い、いや!自殺なんかしませんって!!ちなみに先生は…?」 水銀燈「んー?天気がいいから、お買い物よぉ?じゃ、ばいばぁい♪」 そう言って、悠然とその場を立ち去る彼女。その様子を見て、彼は慌ててこう尋ねた。 男子A「え!?他には何も聞かないんですか!?『何で学校に行かないの?』とか…。」 水銀燈「…だって、学校をサボる理由なんて2つしかないじゃない。学校がつまらないか、それより面白いものがあるかのね。…ま、その顔からすると、あなたは前者みたいねぇ…。」 そう言うと彼女は少し考え、静かにこう言った。 水銀燈「そうね…そんなにつまらないのなら、1日だけ楽しい思いさせてあげましょうか?」 男子A「え?」 水銀燈「今日1日だけ、デートしてあげる♪その代わり、荷物とかちゃんと持つのよぉ?」 そう言うと、水銀燈は生徒の手を引き、改札へと歩き出した。 水銀燈「ねぇ、こっちとこっち…どっちが似合うと思う?」 男子A「は…はぁ…。どっちも似合うと思いますが…」 そこは、その生徒にとって全く場違いな場所だった。 商品を手に持ち、それを体に当てて判断を仰ぐ水銀燈に生徒は目のやり場に困っていた。 なぜならそこは、渋谷109内のランジェリーショップ… そんな生徒の様子に彼女は意地悪く笑い、そして何度も『質問攻め』にした。 そしてそれに飽きると、2人は東急百貨店へと歩を進め、店内を物色し始めた。 水銀燈「どう?少しは気分晴れたぁ?」 レジで会計を済ませながら、そう質問する水銀燈。それに対し、生徒のほうは浮かない顔でこう答えた。 男子A「はい…でも、明日からまた学校に行かなきゃいけないと思うと…だって学校ってつまらないじゃないですか。何か、毎日同じことばっかりの繰り返しだし…」 水銀燈「んー?学校なんて、元々つまらない所よぉ?勉強するところなんだから。それをどう面白くするかが、腕の見せ所なんじゃなぁい?」 キョトンとした様子でそれを聞く生徒に、水銀燈は続けてこう言った。 水銀燈「…つまり、与えられるのを待ってるだけじゃ駄目って事よぉ。つまんないと思うのなら、自分で行動を起こしなさぁい。よく言うでしょう?『神は自らを助けるものを助ける』ってね…。」 男子A「そっか…そうですよね…。自分で行動を…か。」 かみ締めるように、その言葉をつぶやく生徒。 それを見て、水銀燈は艶っぽいしぐさで微笑みながらこう言った。 水銀燈「ふふ…じゃあ次は実践問題よぉ?今度は、あなたが私をリードする番…。ホテル街も近いしぃ…さっき買った下着、実際に見てみたいと思わなぁい?」 男子A「え!?いや…いいんですか!?俺は一向に構わ…痛っ!!」 水銀燈「なーに本気にしてるのよぉ…。冗談に決まってるでしょう?ほら、お子様はさっさと家に帰りなさぁい。」 その言動に頭をさすりながら、先ほどのお礼を言ってその場を立ち去る生徒。 それを見ながら、彼女は小さくこう呟いた。 水銀燈「…さて、私はどこに行きましょうか…。下北か、原宿か、それとももう少しここにいるか…」 そんな答えのない問いかけに対し、真後ろの人物はこう答えた。 「学校でしょう…?銀ちゃん…!?」 と。 そして、その人物に今日買ったものを取り上げられると、水銀燈も彼女が本来いなければいけない場所へと帰っていった。 …心底、嫌そうな顔をしながら…。 完
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昼休みの職員室。 水銀燈「楽しみだわぁ~♪ 早く仕事終わらないかな~♪」 真紅「やけに楽しそうね、水銀燈先生。」 水銀燈「だってぇ~、今日はアレの発売日~♪」 真紅「アレ・・・?アレってなんの事?」 水銀燈「コレよぉ~♪」 「Rozen Maiden duellwalzer」 真紅「あら・・・なぜ楽しみにしているの?」 水銀燈「あらぁ?真紅先生知らないのぉ? 実はね・・・」 真紅「・・・! い、急いで買いに行くのだわ!」 水銀燈「・・・真紅先生、行っちゃった・・・授業、どうするのかしらぁ?」 ラプラス「どうしました?水銀燈先生。」 水銀燈「えぇ、実は真紅先生が授業放って外出を・・・」 ラプラス「ふむ、で、その原因は?」 水銀燈「えぇ、実は今日とあるゲームの発売日なんですが、その内容を聞いた途端に・・・」 ラプラス「もしかして、コレですか?」 そう言いながらduelllwalzerを取り出すラプラス。 水銀燈「教頭・・・もう買ったの?」 ラプラス「えぇ、だって、くんくんの・・・(*ノノ*)」 そう、実はラプラス、午前中を放ってまで買いに行っていたのである。 その間、ローゼンが馬鹿なことをしていたのはまた別のお話。
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制服案置き場。 とりあえず候補デザインをおきます。 穴が開くほど眺めてくださいっ! 初等部男子 再び二つ提案します。 女子と対になる、という感じで考えてみました。 ちょっとシンプルすぎたかとも思いましたので、もっと付け足せ~等等ありましたら遠慮なくどうぞ。 A案 B案 初等部女子 とりあえず二案でたので置いておきます。 A案B案共にテーマは『まだまだ親の着せ替え人形』 学校とはいえ商売なので、制服なんかはお貴族様にお気に召すようなデザインにすると思うのです。 そして初等部は基礎の基礎なので、それほど機能的なものでなくてもよいはず。 なので『着飾る』ことを意識してみました。 B案に決定との事で、後日ネクタイに書き直して色を塗りたいと思います。 B案
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銀の邂逅 月の相克(前編) ◆KKid85tGwY ――この世は腐ってる……。 殺し合いに参加する以前から、夜神月はずっとそう感じて生きて来た。 月の生きる現代社会に蔓延する犯罪や腐敗。 月には社会への不満が常に存在していたのだ。 それだけ月の中には、強い正義感が有り、明確な理想を持っていると言うこと。 しかし現実の月は――“日本一優秀な”と言う形容詞は付くが――只の高校生。 社会を変えるような力は持っていない。 社会の腐敗を知りながら、自分の生活を只淡々と送っていくだけの退屈な日々を過ごしてきた。 その日を迎えるまでは。 その日、月が偶然拾ったのは、名前を書くだけで人を殺すことができるノート。 人間の世界の条理を超えた死神の世界の産物、デスノート。 月はそれに拠って得たのだ。世界を変える力を。 月はデスノートを使い、犯罪者を次々と殺していった。 やがて世界から――月の基準による――悪人を一掃するために。 そして月の理想が実現した新世界を作り上げる。 それを夢見て動き始めた。 月の正義と理想はある意味実現した。 彼はキラとして世界中から畏怖され、そして崇拝され、 例え一時的な物であっても、世界から犯罪が激減させるのに成功する。 そして月の正義と理想は、最終的にある意味の失敗をする。 キラの正体が月であることが露見し、新世界を完全な物に形作る前に、 月は無残な最期を遂げた。 しかしそれは訪れなかった未来。 時空の摂理を超えた殺し合いの招聘に拠って、月は彼が迎える筈だった未来、 “新世界の神”を志していた未来とは、別の道を辿り始めた。 今から語られるのは、そんな在り得た未来とは別の未来の物語。 “新世界の神”を志していた筈の、しかし違う形の正義を抱いた男の物語である。 ◇ 「……貴方って本当に良い度胸してるわ」 現在、月と水銀燈が居るのは、展望台近くの山深い森の中。 月と水銀燈は現在同盟関係にあるので、当然同行する形になっている。 同盟関係と言っても、実際は水銀燈が月の生殺与奪の権を握っている、完全に不平等な物。 即ち今の月は水銀燈に従属させられている状況にある。 「何がだい、水銀燈?」 しかし今の月は水銀燈から呆れの混じった視線を送られながら、 木陰に腰を下ろして、支給されたパンを食べていた。 「良く今の状況で食事ができるってことよぉ」 「今だからこそだよ。君も食事が必要なら、今の内に取っておいた方が良い」 月と水銀燈は、先ほどルパンと田村玲子から書置きを置いて逃げ出してきたばかりである。 そして二人が居る場所は、書置きから100メートルも離れていない木陰だった。 しかも月の提案で、木陰に隠れながらルパンと玲子を無事にやり過ごせたかを見張ると言うのだ。 これではすぐに見付かりかねない。 しかしその心配は要らないと、月は説明していた。 月は書置きで、水銀燈には自分の意思で付いて行っていることを伝えてあった。 ならばルパンの立場としては、月と水銀燈には遭いたくない筈である。 何故なら下手に水銀燈を刺激すれば、月に危険が及びかねないからだ。 そしてルパンと玲子は接触しただけで水銀燈を刺激しかねない。 従ってルパンの方も出来れば水銀燈をやり過ごしたいのだ。 玲子の方は月にとって思考を読みづらい相手だが、それでも無用な戦いは避けたい筈だ。 無闇に水銀燈と接触しようとはしない筈である。 「下手に動き回ると、逆にあの二人と鉢合わせになる可能性が有る。 今のような状況ならあの二人がどちらへ向かうかを確認してから、動いた方が良いのさ。 そしてじっとしている時間で食事を済ませば、一石二鳥だろ?」 月が指し示すあの二人とは、月と水銀燈が見つめる先に居るルパンと玲子の二人。 二人は書置きを見て何かを話していたが、やがて一人ずつに別れて立ち去っていった。 「そんなことを聞いているんじゃない。仲間と別れて私と二人きりなのに、良く食欲が沸くってことよ」 「今は君が僕の仲間だろう?」 「哀れな下僕は仲間とご主人様の区別も付かないのかしら、お馬鹿さん」 「呼び方はどうあれ、お互いにメリットのある関係なことは違いないよ。 君は僕の頭脳を利用できるし、僕は君を戦力にできる」 「……私を戦力扱いにするなんて、本当に良い度胸してるわ」 突如、水銀燈の手に両刃の西洋剣が形成されて握られる。 そして刃の切っ先を月に向けて来た。 水銀燈の刃と殺気を向けられても、月は表情を変えずに返答する。 「それ位の割り切りが出来た方が、君にとっても頼りになると思ってね。失礼な言い方だったら謝るよ」 しばしの間、月を睨んでいた水銀燈だが、 やがて剣を仕舞い、つまらなそうにそっぽを向いた。 月はそんな水銀燈の様子に頓着することも無く、食事を済ませて立ち上がる。 「それじゃあ、展望台に戻ろうか」 「展望台ね……確かにそこが、一番あの二人と鉢合わせない場所よねぇ」 「分かってくれているなら何よりだ」 異論が出ないと分かると、月は水銀燈に先がけて展望台に向かい始める。 端的に言って、月の態度は水銀燈にとって気に入らない物だった。 本来二人の関係は、生殺与奪の権を持つ水銀燈が有利な筈である。 しかし実際の二人の動向は、月が主導している。 (やり難い奴ね……只の人間の癖に) 月の提案は全て合理的な物で、水銀燈がどれだけ異論を挟んでも適切な応答をするため、 自然と月の提案通りに、事が運んでいく形になってしまう。 先ほどなど剣を向けて挑発したにも関わらず、あっさりと流されてしまった。 今に到っては完全に水銀燈を先導する形になっていた。 月の背中を睨みながら、水銀燈も展望台に向かい始める。 水銀燈と月は山頂に存在する展望台、と名付けられた総合宿泊施設に着く。 展望台としての機能の他に浴場や食堂など、多種多様な施設が凝縮したその建物は、 全高にして15メートルほどにまで達する、巨大な円柱型の建造物だった。 外の監視に特化して、中には食料なども蓄えてあるその施設は、篭城するには打って付けと言えよう。 しかし水銀燈は積極的に殺し合いに乗っていく方針なのだ。 情報収集が有益であることは間違いないが、ここに長居をする訳にはいかない。 その後の展開を考えて早急に情報収集を終えたかった。 しかし展望台の入り口に入った月は、何かを物色している様子だった。 「……何をこそこそしてるのかしら?」 「君が言っていた“不細工なイタズラ”の材料を回収しているんだよ」 月は入り口付近に張ってある、視認出来ないほど細い糸を巻き取っていた。 水銀燈は自分が“不細工なイタズラ”と呼んだ、手作りの警報装置を思い出す。 「警報を解いちゃって良いの?」 「……もう粗方は、ルパンさんに回収されていたからね」 月の説明に拠ると、どうやらルパンが出発の際に警報装置を解いて、材料の糸などは回収していたらしい。 只、ルパンの遊び心ゆえか、警報装置は不必要に思えるほど大仕掛けで複雑な物となっていた。 従って急いで出発したルパンは、警報装置の材料の全てを完全に回収していた訳では無かったようである。 「それに警報を置かない訳じゃないよ」 月は回収した糸から一部を一階から二階に上がる階段の前に、ちょうど足首ほど高さで張り、 糸を非常用ベルの前に立て掛けたガイドポールに繋いでいた。 水銀燈には詳細は把握できないが、どうやら糸に引っ掛かるとガイドポールが倒れて非常用ベルを押す仕掛けらしい。 水銀燈が感心したのは階段の前に警報装置を置いたこと。 あれなら一階の何処から侵入しても、二階へ上がる際に警報に掛かる形になる。 月が作業を終えると、水銀燈はそちらへ目もくれずに四階の展望台へ先導する。 月も特に異論を挟むことも無く、水銀燈に付いて行った。 展望台に着いた月は淀みなく望遠鏡で周囲の観察を始める。 そして望遠鏡を覗いたまま水銀燈に話し掛ける。 「僕は南を観るから、水銀燈は東を頼む」 やはりここでも指示を出すのは月の方。 月に無闇に反発しても無意味であることは、既に学習している。 水銀燈は黙って東へ向けて望遠鏡を覗いた。 月と出会って間もないが、自身も聡明である水銀燈は、その優秀さを嫌と言うほど思い知らされている。 卓抜した頭脳を持ち、その判断を即座に実行できる実務能力と行動力を有している。 下僕としてはこれほど頼もしい存在もそうは居ないだろう。 下僕で在ればの話のだが。 「…………退屈。よくこんな面倒なことをずっと続けられるわねぇ」 展望台から望遠鏡で遠距離まで観れると言っても、望遠鏡で観れるのは極僅かな範囲。 地図上に点在する施設などをピンポイントに狙っても、中々参加者を捉えることは出来ない。 実にならない観察を続けるのは水銀燈にとって、性に合わない物だった。 そろそろ切り上げて、移動しようと考えた時に、 月の異変に気づいた。 「…………そんな、ルパンさん……」 そう呟いて望遠鏡から目を離す月。 漠然とでも事情を察した水銀燈は、月が観ていた方向へ自分の望遠鏡を向ける。 そこで水面に浮かぶルパン三世の死体を見つけることが出来た。 月は沈んだ様子で項垂れている。 「どうしたの? 大事なルパンを助けに行った方が良いんじゃない?」 水銀燈にはルパンの死に大した興味は無い。参加者の一人が減った以上の意味は無いからだ。 月に話し掛けたのは、単にからかいたかったからだ。 案の定、月は概ね水銀燈が予想したような返答をする。 「…………ルパンさんの傷は致命傷だ……今から行ってもどうにもならない……」 「うふふっ。随分冷たいのねぇ、ずっと一緒に居た仲間なのに。 それとも、ずっと一緒に居たのに結局は邪魔になった人のことだから、本当は死んで欲しかったとか?」 「……………………すまない、ちょっとトイレに行って来るよ」 月は顔を伏せたまま立ち上がり、ゆっくりと展望台から下る階段へ向かって行く。 「早く帰って来なさい。私はいつまでもトイレに引き篭もってるような役立たずは嫌いなの。殺したくなるくらい」 水銀燈も一応釘だけは刺しておいて、月を見送る。 観察を切り上げた水銀燈は、望遠鏡の上に腰掛けて、 今しがた展望台から去っていった下僕について考える。 今は消沈しているが、月は凄まじく回転の速い人間だ。 すぐに気を取り直してくるだろう。 月の優秀さついては、もう疑う余地は無い。 そしてそれ故に、月は下僕としては不適格とも言えるのだ。 水銀燈にとっては、月は好きに利用できる下僕だった筈だ。 しかし月ほど知略に長けた人間では、いかに水銀燈と言えど制御し切ることは出来まい。 実際に先ほどから月に主導権を握られている。 何より問題なのは、水銀燈と月では行動方針が決定的に違うと言うことだ。 水銀燈の目的は殺し合いに優勝することだが、月の目的は殺し合いを阻止することにある。 月は水銀燈が人を殺そうとすれば止めると明言している。 あるいは、そのような場面にまで到らないかもしれない。 水銀燈も気付かない内に、殺し合いを有利に進められないように誘導させられる可能性も有る。 月の知略ならばそれ位のことでさえ可能なように思える。 いずれにしても根本的に行動方針がぶつかる者は、最終的には邪魔にしかならないのだ。 月は有能だが使い道は精々が情報収集程度。 いや、それすら水銀燈が殺し合いを進めないよう情報を操作する公算すら有り得る。 ある意味下僕として、これほど信用に置けない相手も居まい。 そこまで行き着いて、水銀燈の思考はもっと根本的な部分に突き当たる。 そもそも、そうまでして下僕が必要だったのだろうか? 情報収集などの面では役に立つかも知れないが、それが殺し合いに役に立たなければ意味が無い。 さりとて戦力になるような相手では、水銀燈が主導権を握るのは難しい。 誰かと組むのが悪いと言う訳では無い。 しかし下僕に逆に引っ張られているような今の状態は、水銀燈としては余りにも温いと言わざるを得なかった。 有能かつしっかりと手綱を握れる者と組むか、 あるいは一人でも、もっと積極的に殺し合いを進めていくか、 いずれしても、今のような中途半端な真似を繰り返していては埒が明かないのは確かだった。 「切り捨てることも考えて置いた方が良いかも知れないわねぇ……」 しかし、流石に今すぐ月を切ると言うのは早計過ぎる。 nのフィールド侵入方法の解明を依頼した件も有る。 月を始末するにしても、明確に邪魔になると判断してからだろう。 思考を終えて手持ち無沙汰になった水銀燈は、もう真面目に観察を続けるつもりは無かったが、 戯れに再び望遠鏡を覗く。 そこに“それ”は居た。 超常の人形である水銀燈の、想像を絶する存在が。 ◇ 三階にある男子トイレの個室。 月はそこに鍵を掛けて篭っていた。 そこに用が有った訳ではない。 ただ、外界からの情報を遮断して一人になりたかっただけだ。 ルパンが死んだ。 月とは出会って一日も経っていない間柄だった。 しかし未だかつて味わったことの無い喪失感が、月の中に渦巻いている。 ルパンはかつて月が出会ったことも無いような人物だった。 月に比肩し得るかも知れない聡明な頭脳。 軽妙洒脱でありながら、嫌味の無い人柄。 清濁併せ持つ深い器量。 その何れか、あるいはその全てか、 亡くなった今だからこそ、ルパンの姿を鮮烈に思い起こされた。 日本一優秀な頭脳を持ちながら、それほどルパンに惹かれていたと今更気付かされる。 これでは笑い話だと、どこか自嘲的に月は思った。 月は哀しいと言うより、ルパンを失った大きさに呆然としていた。 そう、自らルパンを失ったのだ。 成り行きとは言え、月は自らの意思でルパンと袂を分かっている。 過去の仮定の話など意味が無い。 頭ではそう分かっていても、考えずにはいられなかった。 もし、ルパンと別れなければ、彼は死なずに済んだのではないか? そこまで行き着いて、月の思考はもっと根本的な部分に突き当たる。 そもそも、ルパンと別れたことは余りにも短慮な決断ではなかっただろうか? 確かに、あの時の月にはそうすべき理由があった。 自分の中にキラの可能性を抱えながら、あれ以上ルパンと向き合うことは耐えられなかっただろう。 それでも、無理を押してでもルパンから離れるべきではなかったのではないか? それは月らしからぬ、確固とした根拠も無い漠然とした思い。 しかし月の中には哀しみを超えるほどの喪失感として、確実に存在した。 何か致命的な判断の誤りをしたのではないかと言う懸念と共に。 だが、何故かそれ以上はどうしても上手く思考を進めることが出来なかった。 (…………いい加減、戻らないとな。これ以上は下手に水銀燈を刺激するのは拙い) 月は思考を切り上げて、トイレの個室から出る。 漠然とした思考に浸っていられるほど、月の現在の状況は安穏としていない。 水銀燈と組んで以来、月はあえて積極的に主導権を握るよう努めて来た。 それは水銀燈がどこまで月のコントロールが効く相手かを計るためでもある。 余裕を持って先導してきたように見えても、実際には月にとってかなり危険な綱渡りだった。 何しろ水銀燈は殺し合いに乗っている。一つ判断を間違えれば、月は殺されてもおかしくない。 しかしそれだからこそ必要な実験であった。 水銀燈は月のどんな言動にいかなる反応を示し、そしてどうすれば上手く制御が出来るのかを。 殺し合いを進めさせないために。 しかし水銀燈とて馬鹿ではない。既に月の目論見にも、ある程度まで感付いているだろう。 ここからは更に難しい駆け引きになる。 だからいつまでもルパンに関する思考に拘泥していてはいけないのだ。 月は水道の水で手を洗う。 そのついでに、乱雑に顔に水を掛けて、乱暴な手つきで顔を洗った。 そうすることでルパンを失った喪失感を洗い流せるかのように自分に言い聞かせて。 (……大丈夫だ。ルパンさんが居なくても僕には出来る! 殺し合いを止めて、その枠から脱出する。僕にはそれが可能な筈だ!) ルパンの死にも月は決して折れることは無い。 何故なら月には己の頭脳に、能力に、才覚に自信が有った。 この不測に埋め尽くされた殺し合いでは絶対とは言い切れない、 それでも、如何なる困難の渦中からでも、必ず解決策を見出せると言う明確な自信が。 「……水銀燈、どうしたんだ?」 「付いて来なさい」 月がトイレのドアから出た直後だった。 どこか切迫した様子を秘めた水銀燈が、階段から降りてくるのに出くわしたのは。 只ならぬ雰囲気を感じ取った月は事情を聞くが、 水銀燈は極めて簡潔に、しかし有無を言わさぬ調子で命令を返す。 そうなれば月に有無を言う余地は無い。 やはり厳として力の差は存在するのだ。 展望台から北西の方角に位置する森の中。 月と水銀燈の二人は、先ほどルパンと玲子を監視していたように、藪の中に身を潜める。 月にとっては、まず水銀燈が率先してこの状態を取っているのが意外だった。 水銀燈はルパンと玲子を監視する際、 ローゼンメイデンである彼女のプライドの問題か、それとも単純に身体を汚すのを嫌ったのか、 森に身を隠すことを嫌がっていた。 その時は最終的には月に説得されたが、今は自分から藪に身を潜めている。 それだけで異常な事態であると、容易に察せられた。 やがて断続的な得体の知れない音が、遠くから聞こえる。 カシャ カシャ カシャ カシャ 月は根拠の無い予感や直感の類は信じない人間だった。 しかし、その音が近づいてくるにつれて、 何か嫌な予感に支配されて行く。 水銀燈も恐らく同じような予感が有るらしく、今も緊張を隠しきれない様子だ。 音の主が姿を現し、断続的な音の正体が足音だと判明する。 シルエットは人間のそれ。 しかし“それ”は月にとって初めての体験だった。 全身を覆う白銀の装甲。 エメラルドのごとく輝く大きな双眸。 何より足音の主が持つ、圧倒的な存在感。威圧感。 どんな根拠も必要無い。只そこに存在しているだけで、生物としての原初的な本能に訴えてくるような異常な気配を有していた。 一目見ただけで危険と本能が察知する存在。 それは月にとって初めての“体験”だった。 「……あれが何か知ってる?」 「さあ……僕にはあれが、恐らく人間では無いと言うことしか判らないよ」 「じゃあ……私があれを殺すと言ったら、やっぱり邪魔をするのかしら?」 藪に深く身を潜めながら、展望台に向かって歩き続ける“それ”から二人は目を離せない。 異様な緊張感。 水銀燈の口調にも、何時もの人を小馬鹿にするような余裕は無い。 「それは君が殺し合いに乗っているからかい?」 「質問しているのはこっちよ」 「……あれに手を出すのは危険過ぎる。君にもそれは判っているだろう?」 「私が何を判っているって言うの?」 「そうでなければ、君がこそこそ隠れて様子を伺うような真似をする筈が無い」 「…………」 水銀燈は月の言葉に返事を返さず、只食い入るように“それ”を睨み続ける。 月がした体験を、展望台の望遠鏡越しに水銀燈も経験していた。 しかし闇雲に逃げ出すと言う選択肢を選ぶのは、彼女自身の矜持が許さない。 だからこそ展望台に向かって来る“それ”を見付けた時、接近してその危険性を確認することにしたのだ。 水銀燈のアリスゲームにおける長い戦闘経験で培われた勘が、接近して確認した“それ”が極めて危険だと告げる。 あの狭間偉出夫も強力な相手だったが、 目前の存在も強力かつ、それ以上に“危険”だと水銀燈の勘が告げていた。 今の水銀燈の戦力では恐らく勝算は薄い。 月の進言に従うようで逃げるのは癪だが、やはりこの場は退くべきだと水銀燈は判断する。 幸い今は“それ”から見えない位置に姿を隠している。撤退するのは容易な筈だ。 「私はゴルゴムの次期創世王・シャドームーン」 沈着だが冷徹な威厳に満ちた声が響く。 月も水銀燈も最初は“それ”=シャドームーンが発した声だとは気が付かなかった。 いつの間にか足を止めていたシャドームーンは顔を傾けて、 エメラルドのごとき双眸を、月と水銀燈が潜む藪に向けていた。 「隠れて様子を伺う程度の者では期待は出来ぬが……ゴルゴムの次期創世王の礎となれることを、精々光栄に思え」 シャドームーンはゴルゴムに世紀王として改造された存在である。 同じ立場としてブラックサンが存在するが、 ブラックサンは改造手術のほとんどを終えていても、それでも未完成の状態であった。 そしてシャドームーンは、その後もしばらくの改造期間を経て完成した世紀王なのである。 そのためか、実はブラックサンよりも細かい改良点が幾つか見受けられる。 一つがマイティアイ。 これは広視界・望遠・暗視などの能力を有する、ブラックサンのマルチアイに、 更に透視能力が加えられた物だ。 広視界と透視、この二つの能力を兼ね備えているマイティアイならば、 深い森の中に身を隠す者でも容易に見つけることが出来た。 自分たちの存在に気付かれている。 それに気付いた月と水銀燈は、弾けるように逃げ出した。 そこに何の策略を込める余裕も無く、月は森の中を駆け抜ける。 何の舗装もされていない山道に何度も転びそうになりながら、 シャドームーンに捉まれば死ぬと言う、一念で必死に駆け抜ける。 しかし慣れない山道を走り続けると言うのは、流石の月にも無理があった。 不意に地面から浮き出た木の根に躓いて、月の身体が地面に投げ出された。 次の瞬間、月の身体が宙に浮く。 自分が水銀燈の背中から伸びた黒い龍の顎に咥えられた。 そう認識した、更に次の瞬間。 天から飛来したシャドームーンが、月が転んだ地点に拳を打ち込んだ。 大地の上で、爆発を起こしたがごとくエネルギーが炸裂する。 地面にクレーターが作られた。 月は、シャドームーンの拳の威力、 そして一瞬でも水銀燈に助けられるのが遅れれば、自分は原形も留めない躯と化していた事実に驚愕する。 水銀燈は龍と化した翼で月を抱えながら、シャドームーンから飛行能力で逃げる。 軽口を叩く余裕も無いらしい。無理も無い。 しかしこの山道での逃亡には、飛行能力は極めて有用と言えた。 足場の悪さに捉われること無く、高速で移動できる。 背後から豪と音が鳴った。 振り向くと白銀の巨弾が飛来して来る。 (シャドームーンも飛行できる!?) 水銀燈以上の速度で宙を飛ぶシャドームーン。 その姿を見て月は、シャドームーンが飛行していると認識する。 しかしそれは誤りだ。シャドームーンが行っているのは飛行ではなく跳躍。 大地を蹴って、地面とは水平方向に跳躍しているに過ぎない。 問題はシャドームーンが地面と垂直方向へ40メートルもの跳躍を可能とする脚力、瞬発力を有すること。 その瞬発力は飛行と紛う距離を、一足飛びで縮めることが出来、 更に、飛行する水銀燈へ容易く追いつくほどの速度を発揮した。 「……!!」 水銀燈が身体を捻る。 しかし回避には間に合わず、シャドームーンが繰り出す拳が水銀燈に直撃。 水銀燈の身体が、まるでフィギュアスケートのごとく錐揉み回転。 同時に弾丸のごとく地面に叩きつけられる。 水銀燈は何度も地面の上を跳ね、転がって伏せた。 龍の顎から放された月も地面を転がる。 それでも攻撃を直接受けた訳では無いせいもあって、予想外にダメージは少ない。 身体を起こして水銀燈を見ると、彼女も大きなダメージは受けていないらしい。 水銀燈はシャドームーンのパンチの打点を、図ってか図らずか体軸からずらしていた。 人形である水銀燈の体重は軽い。 それによって強力な打撃を受けても、威力を身体の回転や飛行の運動エネルギーに変換させて逃がしていたのだ。 何よりローゼンメイデンは、一般的な人形より遥かに頑丈なのだ。 「フッ、只のガラクタ人形では無いらしいな」 「……ジャンクになるのは、そっちよ!!!」 シャドームーンの言葉に水銀燈は怒りを露にする。 水銀燈の数え切れない黒羽が刃のごとく鋭く切っ先をシャドームーンに向け、弾丸のごとく発射された。 人間が一つでもそれを受ければ命を落とすであろう威力の黒羽。 黒羽の弾幕が、シャドームーンの真っ向から雨霰のように叩きつけられる。 シャドームーンは何事も無きかのごとく、その中を平然と歩いていった。 全身を覆う白銀の装甲・シルバーガードには掠り傷一つ付かない。 水銀燈は黒羽を撃ち出すのを止め、背中からの翼として伸ばした。 伸ばした双翼の先端は龍と化し、大きく顎を開けてシャドームーンへ向けて牙を剥く。 双龍がシャドームーンを左右から挟み込むように襲い掛かる。 しかし双龍の牙はシャドームーンの両手に掴み取られる。 人を容易く丸呑みに出来る龍が、シャドームーンの手の力に捉まれて微動だに出来ない。 シャドームーンの腰部分、シャドーチャージャーから緑色の光が漏れた。 内蔵された出力機関、キングストーンのエネルギーがチャージされている証。 エネルギーはシャドーチャージャーから両手へ送り込まれる。 そして両手から放電のごとく拡散しながら放出。 一瞬で双龍を焼き尽くし霧散させた。 (なんて出力なんだ……!!) 双龍を破壊した一撃に月は戦慄する。 人間と同じ体格であるにも拘らず、異常なエネルギーを事も無げに放出するシャドームーン。 月の持つ科学常識から完全に逸脱した存在。 あれだけの力の持ち主との戦いでは、余波に巻き込まれただけでも、 肉体的には普通の人間である月は死にかねない。 これでは水銀燈の殺害を止めるどころではない。 シャドームーンが水銀燈と対峙している隙に、月は再び逃走を開始する。 しかし如何に月が卓越した頭脳の持ち主でも知りようが無い。 シャドームーンがブラックサン以上の五感の持ち主であるということなど。 現在の月とシャドームーンの距離は15メートルほどしか離れていない。 その程度の距離ならば、月がどれほどシャドームーンの隙を見て、気配を隠して逃げようとしても、 容易にその動向を察知できる。 走り去ろうとする月に、シャドームーンは指先を向ける。 指先にシャドーチャージャーからのエネルギーが送られる。 直線発射されるゆえに、先ほどの放電状の物より威力が凝縮されたシャドービーム。 それが発射された。 「私を前に余所見なんて、随分余裕じゃない。お馬鹿さぁん!」 月へシャドービームを発射すると同時に、水銀燈がシャドームーンへ向けて飛び掛ってくる。 大上段に振りかぶった手には、いつの間にか剣が握られていた。 客観的に観れば、それは水銀燈が月を攻撃するシャドームーンの隙を突いた形になるだろう。 しかしシャドームーンのマイティアイは水銀燈への注意を一時たりとも逸らしてはいなかった。 シャドームーンは、自身の右手に握った世紀王の剣・サタンサーベルを振るう。 サタンサーベルは隙だらけの水銀燈の腹を真一文字に切り裂いた。 シャドームーンに腹を切り裂かれた水銀燈は、笑みを浮かべた。 水銀燈にとって、自分の腹部の空虚はコンプレックス以外の何物でも無い。 その腹部の空白を、戦術上の要請とはいえ利用するのはかなりの抵抗がある。 逆に言えばそれを行うほど水銀燈は、シャドームーンを脅威と感じて追い詰められていた。 だからこそ自分の誘いにシャドームーンが乗った瞬間、笑みが零れた。 腹部の空白への攻撃によって隙が出来たシャドームーンの頭部へ、今度は水銀燈の剣が振り下ろされた。 狙いはエメラルドのごとく輝く、シャドームーンの双眸。 明らかに白銀の装甲とは異なる材質の、人間で言えば眼に当たると推測される部分。 恐らくは白銀の装甲部分より強度に劣るであろう。 水銀燈の推測は当たっていた。 シャドームーンの翠の双眸こそ、眼に当たる器官であるマイティアイその物。 それは全身を覆う白銀の装甲・シルバーガードより強度で劣っていた。 剣を受けた翠の双眸は、甲高い破壊音を上げる。 散乱する金属片は日光を反射して不規則な輝きを放つ。 水銀燈は眼を大きく開き、傷一つ無いマイティアイと砕け散った自分の剣を交互に見やった。 マイティアイは確かに、シルバーガードと比較すれば強度で劣る。 しかしシャドームーンの耐久力は、既存の生物のそれとは根本的に隔絶している。 シャドームーンはこれまでも、そしてこれから迎える筈だった――しかしもう永遠に迎えることの無い――未来において、 あのブラックサン=仮面ライダーブラックと、幾度も戦っている。 数多のゴルゴムの怪人と戦い勝ち抜いてきた仮面ライダーブラックの強さは疑うべくも無い。 更に未来での戦いにおいては太陽の力を借りて、仮面ライダーブラックRXへと進化を遂げていた。 その激闘の中でもシャドームーンは、例えばバトルホッパーの自爆などの例外的な事態を除いて、 実はほとんど大きな負傷を受けていないのだ。 シルバーガードに守られていないマイティアイや関節部分であろうとだ。 シャドームーンの耐久力は、それほどまでに総体として高いのである。 水銀燈の剣戟と言えど、仮面ライダーブラックの攻撃には威力は及ばない。 全力の斬撃は自身を破壊する結果となった。 斬撃が失敗して、今度は水銀燈に再び生じる隙。 それを見逃すほどシャドームーンは甘くは無い。 シャドームーンは左肘から伸びるエルボートリガーを、水銀燈の頭部へ向けて振るう。 しかしエルボートリガーの刃先が空中で止まる。 エルボートリガーの刃先の空間上で、紫色の純粋光による波紋が浮かんでいる。 水銀燈が空中に発生させた不可視の防御壁。 ローゼンメイデンの攻撃をすら防ぎきる障壁が、エルボートリガーの軌道を遮ったのだ。 一瞬だけは。 エルボートリガーは武器であると同時に、超振動の発生装置でもある。 その超振動は接触しただけで、巨大な岩石を瞬時にして粉微塵に粉砕できる威力。 発生した絶大なエネルギーは、水銀燈の防御壁をも瞬時に破壊した。 阻む物が無くなりエルボートリガーはそのまま水銀燈の頭部へ向かう。 しかし水銀燈はスゥエーを使い、皮一枚ほどでかろうじてそれを避けた。 水銀燈が張った防御壁は、エルボートリガーを防ぐためではなく回避するための物。 防御壁によって僅かに生まれたタイムラグが無ければ、回避は不可能だっただろう。 しかしシャドームーンの攻撃はまだ終わっては居ない。 シャドームーンは左肘を伸ばし、返しの裏拳を水銀燈に向けて放つ。 凄まじい衝撃で意識がホワイトアウトしながら、水銀燈の身体は吹き飛んだ。 全身に土埃を被ったらしい身体が痛む。 すぐに起き上がることは出来ないが、どうやら五体は無事であるらしい。 大地にうつ伏せで倒れている月は、 混濁した意識からじょじょに覚醒していく頭で、自分の身に何が起きたかを思い出していた。 月を狙って放たれたシャドービームは、放つ瞬間にシャドームーンが水銀燈の急襲を受けたため、僅かに狙いがずれていた。 シャドービームは月の手前の巨木に着弾。月は悪運により直撃を避けることが出来た。 しかしシャドービームの有する莫大なエネルギーは、爆発を起こす。 その余波は、それだけで月の身体は地面へ強烈に叩き付けられた。 意識がそこで途切れていた。 あれからどれほどの時間が経っているかは判断出来ないが、 自分がまだシャドームーンに殺されていないことから、意識を失ってからほとんど間が無いと推測出来る。 問題は水銀燈とシャドームーンがその後どうなったかだ。 月はようやく痛みの抜けた身体を起こしながら、周囲を観察する。 その眼に飛び込んできたのは身体ごと飛来する水銀燈だった。 水銀燈は月の目前で転がり落ちた。 シャドームーンの姿は見えないが、状況は大よそ推測出来る。 どうやら切迫した状況はいまだに続いているようだ。 しかし月には最早打つ手は無い。 逃走してもビームで狙い撃ちされてはどうしようもないのだ。 月には一つだけ策が有るには有ったが、水銀燈が時間稼ぎも出来ない状況では、 成功以前にそれを実行することも叶わないだろう。 「……………………手を出しなさい」 気が付けば水銀燈が身を起こして、月に命令してきていた。 展望台の時より、更に切羽詰って有無を言わせぬ口調。 水銀燈もまた起死回生の手段に出ようとしているのだろう。 そして恐らくそれは、月に犠牲を強いる物だ。 しかし最早手段を選んでいられる状況ではない。 月もまた起死回生の賭けに出る覚悟を決める。 月が水銀燈へ向けて手を伸ばす。 水銀燈がその指の口づける。 眩い光が水銀燈を包み込んだ。 ◇ 時系列順で読む Back 夢見るように目覚めて Next 銀の邂逅 月の相克(中編) 投下順で読む Back 夢見るように目覚めて Next 銀の邂逅 月の相克(中編) 130 運命の分かれ道 夜神月 144 銀の邂逅 月の相克(中編) 水銀燈 128 Blood teller シャドームーン
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694 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg:2008/01/18(金) 00 23 23 ……と、こうして水銀燈と再び契約をしたわけだが。 気がつけば、そろそろ11時になろうかという時間になっていた。 「そろそろ支度しないと、我が家の食客がまちくたびれるな……」 よっこらせ、と立ち上がる。 水銀燈が目を覚ましたし、今日はちょっぴり奮発してやろうか。 「水銀燈、何か食べたいものはあるか?」 「うぅん……今は、何もいらないわ。 この恰好で人前に出るのも、みっともないじゃない」 「ん……」 やっぱり、果てしなく落ち込むのはやめたとはいえ、まだ気持ちが晴れたわけじゃなさそうだ。 確かに、今の状態を受け入れられたわけじゃないし。 俺だって、水銀燈を元の姿に戻してやることを第一に考えてるもんな。 とすると……幸い今日は休日だ、ならば……。 「それじゃあ、水銀燈。 さしあたって、今すぐ何かしてほしいことはあるか?」 「してほしいこと?」 言葉の意味を理解し損ねたのか、怪訝な顔をする水銀燈。 「そう。当面の目標は、水銀燈の身体を直すことだけどさ。 今、なにか不便なことがあるなら、聞いておこうと思って」 今日は休日、そして今日一日は水銀燈のために使うと決めていた。 昼飯が済んでしまえば、午後の時間はたっぷりある。 そして、今の俺は、水銀燈に何かしてやりたい気分でいっぱいだった。 「そうねぇ……」 言われてもすぐには思いつかないのか、水銀燈は虚空に視線をさまよわせる。 が、その視線は、思い出したかのように、破れている自分の服で止まった。 「ああ、そうだわ。 まずは、この破れた服を何とかしてもらおうかしら」 「あ、そうだな」 確かに、破れたままの服を着ていては、体裁が悪いな。 新しい服を用意するなり、繕うなりしてあげないと。 しかし……俺は、物の修理はそれなりに出来ると自負しているが、裁縫は専門外だ。 新しいのを用意するとしても、水銀燈サイズの服なんて何処で手に入れればいいんだ? 「ううん……これは、俺一人じゃいいアイデアが出てこないなぁ」 そうなると、必然と誰かの力を借りなくちゃならないわけで。 昼飯の間に、誰かにそれとなく聞いてみたほうがいいかな? 少なくともここで一人で考えているよりはマシだろう。 「よし、そうと決まれば」 さっそく昼飯の支度にとりかかるとしよう。 っと、そうだ、水銀燈は……。 α:水銀燈を説き伏せて、居間へ連れて行く。 β:水銀燈の意思を尊重して、土蔵で休ませる。 投票結果 α:5 β:2
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前ページ次ページゼロのミーディアム さてさて、水銀燈がルイズにミーディアムの契約を、ルイズが水銀燈に使い魔の契約を交わして一週間がたった あの夜の出来事は確かに水銀燈に多大な衝撃を残したが。彼女は至って普通に(文句は言うものの)ルイズの世話を続けてる 水銀燈はこの地でアリスゲームは行われないとは言え契約を破棄しなかった。何故なら彼女がルイズの保護なしにこの見知らぬ異邦の地を生きていくのは難しいからだ そして……水銀燈はあの夜の事をルイズに知らせていない 彼女らしからぬとお思いだろうが水銀燈はそれを伝えるのをためらっていたのだ 理由?それは彼女にも説明できない。元の世界に帰るのが正しいのだろう、だが……何故かルイズをほっといておけない そう言う考えを彼女は何度も何度も自問自答した。だがその結論は毎回決まって答えの出ない平行線のまま…… もっとも、とうのルイズは水銀燈がそんな悩みに苦しんでいること等知ることもなく毎日を過ごしている ただ…最近少しだけ水銀燈の様子がおかしい事に気づいた それは彼女が買い物に行った虚無の曜日の翌日から、時おりまるで何かを考えるように呆けるようになったこと 無論それは水銀燈の結論の出ることのない自問自答の事。だが困ったことに水銀燈、仕事の最中にも呆けだすことがあるのだ 今朝もそんな1コマから物語は始まる…… 薔薇乙女の朝は早い。規則正しい生活、早寝早起きが彼女達の信条。淑女の嗜みとでもいったところか まあどこかの第1ドールは時々夜に出歩き月夜の散歩と洒落込んだりすることもあるのだが 部屋の片隅にある鞄がガチャリと開き中から黒衣黒翼の少女が出てくる。だがげんなりとした表情の彼女、水銀燈の顔は夢見最悪と言った模様 ちなみに今回彼女が見た夢は。ツナギを来た無駄に男前な顔立ちのルイズがベンチに座り 「私の使い魔を 『やりますか?』 『や ら な い か』」 とニ択を迫ってくる物だった。………え?ニ択? 実に珍妙極まりない夢だが水銀燈の心中、すなわちルイズを捨てられないと言う彼女なりの良心の叱責から来る物なのかもしれない そんな陰鬱な気分で1日の始まりを迎えた水銀燈だが、作業着とも言えるシエスタからもらったメイド服に着替え始める 正直お父様からいただいたドレス以外の服を着たくはなかったが…… それと共にドレスを少しでも汚したくないと言う事もまた事実。勿体無いと言う理由も付け加え、結局彼女はそれを着ることにしたのだ なお、シエスタには語頭に「か、勘違いしないでよね!」と付け加えその事をありのままに説明したのだが とうのシエスタはただ鼻血をダラダラと流しながらうんうん頷くだけだった 一言余計だったらしい。水銀燈の言いたかったことは多分彼女には、伝わって、ない (まったく……こんな奇っ怪な夢を見るなんて…私、疲れてるのかしらぁ……?) そう考えベッドで寝息をたてているルイズに近づく。その寝顔はさっきの夢に出たいい男ではなく愛らしい少女の物 「う~ん……今こそあんたをぶったおして…過去の落ちこぼれだった私と決別するのよ~」 だがルイズはその幸せそうな寝顔に反して穏やかでない寝言をぼそぼそとつぶやく そんな夢の世界を堪能しているルイズに水銀燈が声をかけた 「ルイズ!朝よぉ。起きなさぁい!」 ルイズは「ん……」と小さく声をあげ…… 「あの世で私にわび続けろツェルプストーーーーーーーッ!!!!」 突然ガバッと起き上がったかと思いきや、かっ!と目を見開き絶叫した そしてその後きょろきょろと周りを見回した後にため息をつく 「なんだ…夢だったんだ……あ、水銀燈。おはよ…」 「ええ、おはよう。…ってどんな夢見てるのよぉ…貴女」 「せっかくキュルケのあれに匹敵する物を手に入れたのに……」 残念そうにルイズはつぶやいた (胸か、胸なのね)とは水銀燈の心中の弁。無論それを口に出せばご飯抜きと言う重罰が下されることが確実であるため黙っておいた まあ最悪そうなってもシエスタに言えば食事を手配してくれるのだろうが ゴシゴシと目をこすりルイズはいつものように水銀燈に言った 「したぎ~」 「はいはい…」 クローゼットの下の棚をしぶしぶ開けて下着を取り出す (やっぱり解約して帰っちゃおうかしらぁ…でも帰る手段がねぇ……) 彼女の呆け癖が始まったらしい……水銀燈はぼーっと考え事をしながら下着をルイズの頭から着せた そんな彼女にルイズが声をかける 「ねぇ、水銀燈……」 ルイズの冷ややかな、そして何故かくぐもった声 (……でもなんかほっとけないのよね。少し素直じゃないけど根は悪い子じゃないし。いや、だからと言ってそれでお父様をないがしろには……) だがその声は水銀燈の耳には入ってなかった。彼女の頭はそれどころではなかったのだ 「水銀燈!」 ルイズは今度は強く、怒気をこめて水銀燈を呼びかける 「え?何かしらぁ?」 我に返った彼女の目に飛び込んできたルイズの顔に水銀燈は唖然とした もう一度説明させて頂く。水銀燈はぼーっと考え事をしながら下着をルイズの頭から着せた …下着(パンツ)をルイズの頭から着せた 「……あんたの認識じゃパンツは人の顔に被せる物なの…?」 ヒクヒクと顔を引きつらせながら言うルイズ。パンツの足穴から怒りに満ちた瞳で水銀燈を睨みつける 「あ……」 水銀燈は口を閉ざしぼーっとした表情でルイズを見つめた 「……」 ルイズもまた水銀燈を無言で睨みつける。場は気まずい沈黙に包まれるが…… 「…」 「…」 「……」 「……」 「………」 「………」 「…………」 「…………」 「………プッ」 「!!!!!」 その沈黙を破ったのはルイズの間抜けな格好に思わず吹き出してしまった水銀燈 これにはルイズの怒りも極限に達した 「クロスアウッ!」 謎の掛け声と共にルイズは近くの棚から乗馬用の鞭を引っ張り出す その後「フオオオオォォォォォォ!!!」と言う凄まじい気迫と共にパンツを被ったまま鞭を振り回し追いかけてくるルイズから水銀燈は必死こいて逃げ回る羽目になったとさ…… 深刻な悩み事を抱えているのは分からないでもないが呆け癖もほどほどに…水銀燈 「はぁ、はぁ…と…とにかく、あんたにそうやって…頻繁に呆けられると困るのよ…使い魔の品評会が…近々行われるのに……」 「ぜぇ、ぜぇ…品評…会…?な、何なのよ…それぇ……?」 壮絶な追いかけっこの末、疲れ果てた二人。朝っぱらから全力で走り回って息も絶え絶えだ ルイズは一つ深呼吸をし水銀燈をビシッと指差して言った 「文字通りよ!二年生進級時に召喚した使い魔を御披露目するの!それで芸とかやってみんなにアピールするのよ!」 「芸って…貴女私をペットか何かと勘違いしてないかしらぁ?」 水銀燈が思いっきりジト目をつくりルイズを睨む。その不機嫌な眼差しに少しルイズがたじろいだ 「べ…別にあんたをペットとは思ってないけど……仕方ないじゃないの…… 普通使い魔で出てくるのはハルケギニアに住む生き物であんたの言うペットみたいな物だし…あんたみたいなケース初めてらしいし……」 ルイズは言った通り使い魔とは言え別に彼女をペット扱いしている訳ではない。そのため水銀燈の抗議にちょっと罪悪感を感じた 「でも、私だけ品評会に使い魔を出さないなんて訳にはいかないのよ…お願いだから……」 そして少しうつむき、彼女にしては珍しく申し訳なさそうにそうつぶやいた 「はぁ……仕方ないわねぇ…命令だなんて言ったら即刻突っぱねてたけど……お願いじゃ仕方ないわぁ」 水銀燈もルイズの心情を理解したらしい。少々顔をしかめ渋々了承する この返答に感極まったルイズは曇った顔を輝かせ水銀燈に抱きついた 「本当?ありがとー!水銀燈ー!」 「ちょ、ちょっとぉ!大袈裟なのよ貴女!」 まんざらでもない水銀燈だが。それと同時に彼女に後ろめたさが芽生える ……何故なら彼女はルイズを捨てて元の世界に帰ることになるかもしれないのだから 水銀燈はブンブンと首を振りその事を一時置いておく。とりあえず今は品評会の話だ 「一つ貸しにするわよぉ?でも何をすればいいのかしら?」 ルイズもそこまでは思いついていなかったらしい。うーんと唸って腕組みして考え始める 「うーん…どうせだから他の使い魔と違ってあんただけにしかできないことを……そうだわ!」 ルイズが何かを閃いた 「あんた歌うまかったわよね?なんか歌いなさい!」 ルイズは自分が錬金に失敗した時、水銀燈がそれを歌いながらからかっていた事を思い出したのだ 「歌?そんなにうまかったかしらぁ?あれが?」 「ええ、腹立つぐらいにね……。でも、あの時のアレ歌ったら…分かってるわよねぇ?」 アレを思い出してルイズはちょっと不機嫌になった 「待ちなさいよぉ。私は別に歌なんて…他にも何か考えられそうな事あるじゃないの」 「え~。あんたの声聞いてると歌って踊れそうなイメージあるのに~」 「歌はともかく踊りって何よぉ……まぁ案としては考えといてあげるけど……」 まだ品評会までの時間は十分にある。とりあえずまだ決めつけるには早いと言う事で、この案は保留と言う形をとり今回の品評会の話はおひらきになった 「追いかけっこしたり品評会の話をしてるうちに朝ご飯終わっちゃったじゃないのよ……」 「あら本当。災難ねぇ」 水銀燈が他人ごとのように言う 「誰のせいよ誰の…。もういいわ、私ちょっと早いけど教室に行くわね。後の掃除とかよろしく」 「はいはい、行ってらっゃい……」 ルイズは自分の鞄を取り部屋から出て行く。水銀燈はその後ろ姿を手を振って見送った バタンとドアがしまりルイズの足音が遠ざかっていく 「歌、か……」 自分以外誰もいなくなった部屋で水銀燈が一人つぶやく 「そう言えば昔はあの子の歌をよく聞いていたものね……病室の窓から空を見上げながら」 あの子と言うのはずっと昔に水銀燈のミーディアムとなった一人の病弱な少女 病院の一室から聞こえる彼女の歌声が水銀燈は好きだった。目を瞑れば今も少しだけ思い浮かぶ。穏やかな表情で静かに歌うあの子の優しげな表情が 「懐かしいわね、確か…こんな歌だったかしら……?」 瞳を閉じたまま水銀燈は過去の記憶をたどるように小さく静かに歌い始めた あの時はただ聞いているだけだった歌。それを今度は水銀燈自信が歌っている 水銀燈は歌いながら思う。あの子が聞いたらなんと言うだろうか?今思えば自分はあの子に何もしてやれなかった、 せめてもっと優しくしてあげてれば…自分も一緒に歌ってればあの少女はきっと喜んだ事だろう…… だがそれはもう叶わぬ夢…。月並みな言葉になるが失ってからこそ初めてその存在の大切さを知るとは言ったものだ。水銀燈はそれを痛感していた。今更後悔しても遅いのにだ 遠い記憶を思い起こし、水銀燈の胸の内に郷愁の念が生まれた。アリスゲームを抜きにしてもやはり元の世界に帰りたい。 だが……もしルイズを捨てて帰ってしまえば自分はその事を一生後悔するかもしれない 今、昔のミーディアムを思い、自分が悔いているように……。彼女の中であの少女とルイズが重なった。 もうこんな思いをするのは嫌だ、だが帰らねば自分の存在意義を否定する事になる。ならばどちらを選ぶ? ルイズか?お父様か? 歌い終わった水銀燈の表情はどこか弱々しく見えた。結果的にこの歌がもたらしたのは更なる葛藤だった。彼女の中で問題への答えが更に遠くなっていくのを感じた 「おでれーた!あんたにんな才能があったたぁな姐さん!」 突然声をかけられて水銀燈が驚く。ルイズがいない今自分以外ここには誰もいないはずなのに 彼女は忘れていた。この部屋に住んでいるルイズと水銀燈意外の住人…いや、住剣(?)の事を 「私とした事がうっかりしてたわぁ…貴方の事を忘れてたなんて」 そう言って彼女の目線は鞄の横に立てかけられた一本の剣に向けられる 「おいおい、そりゃねーぜ!自分の舎弟を忘れるなんてよ~」 鞘から少しだけ抜かれて。鍔の上の金具をカタカタさせながらそう言うのはインテリジェンスソード、デルフリンガーだった 「別に舎弟にした覚えはないのだけれど…まあいいわぁ、それより恥ずかしいとこ見られちゃったわねぇ……」 「んなこたぁ無いさ。俺は長いこと剣やってるがよ、こんな綺麗な歌聞いたのは初めてだぜ!いや、ホント見事なもんだよ。おめぇもそう思うだろ?娘っ子!」 「娘っ子?」 水銀燈が首を傾げて聞き返した。後ろからするとパチパチと誰かが拍手する音が聞こえてくる。思わずその方向に向き直り見た先にいたのは…… 「ええ、見事なものだっわ水銀燈。やっぱり私の目…いや、耳に狂いは無かったようね」 そう言って微笑みながら手をパチパチ叩くルイズの姿 「ルイズ…教室に行ったはずじゃ……。いいえ、それよりいつからそこにいたのよぉ」 恥ずかしいところを見られたとでも思っているのか、水銀燈はルイズから視線をそらす 「ちょっと忘れ物しちゃってね…部屋に戻ってきたらちょうどあんたが歌い始めたとこだったの。 でもあんたの歌、本当によかったわ。これはお世辞抜きでね」 「や、やめなさいよ……そんな事言われたって私は別に……」 水銀燈が頬を朱色にそまらせうつむく。だが背中の黒翼をパタパタさせている様子からして悪い気はしていないようだ 「でもこれで決まり!あんたのこの歌声をもってすればかなりの高評価を得られるはずよ!品評会はいただきね!」 そう言ってルイズがガッツポーズをとるが…… 「ルイズ……悪いけどこれは歌えないわ」 水銀燈がどこかばつが悪そうに言った 「え~なんでよ~?」 「それは……とにかくこれは駄目。私にだって色々事情はあるのよ……」 悪く言うつもりは無いが、この歌は自分を惑わせる。更なる悩みを生み出すかもしれない そして何より、できれば自分の思い出の中でそっとしておきたかった 色々と言いたげなルイズだったが水銀燈のどこか悲痛な面持ちの前に問いただす事をやめた 日頃わがままな所もある彼女だがこういう所に限ってはそれを理解しているのだ 「わかったわ、何か思うところがあるのね……それを強要するのも悪いしね」 仕方がないといった表情だが少しだけ笑ってでルイズはきびすを返す 「でも本当に良い歌だった。恥じる事なんか無いわ、もっと自信もちなさいよ!!」 そう言うとルイズはまたドアの向こうに消えていった 「まったく…別に恥じてる訳ではないのだけど…」 水銀燈が一つため息をはいて呟く 「でも気にかけてもらうと言うのも悪くないわね……」 そしてて少しだけ微笑んだ 「あー勿体ねー勿体ねー。姐さんの歌声なら品評会とやらも優勝できるだろうによ~」 デルフリンガーが残念そうに言った 「別に優勝なんかいらないわよぉ。それに品評会みたいな大勢の人間に歌を披露するならこういう歌はあまり合わないわ」 「そーなの?俺、剣だからそこんとこよくわからねーんだけどさ」 「そんなものよぉ。アイドルなんかはもっと明るくてノリの良さそうな歌を歌って会場を湧かしたりするらしいわぁ」 「アイドルってなんだ?姐さん?」 デルフリンガーからの質問。どうやらこのハルケギニアの地ではアイドルなんて概念は無いらしい 「えーっとねぇ、どう説明すれば……大勢の人の前で歌ったりするのが仕事の人間の事よ」 「よくわからねーな~。酒場で歌ったりしてる歌姫みたいなもんか?」 「酒場の歌姫とは違うけど、舞台とかそういった広いとこに人集めて歌ったりするらしいわぁ…」 「オペラみたいなもんか?」 「近いけどなんか違うのよねぇ……オペラよりもっと堅苦しくなくてファンを湧かせたり…」 水銀燈は今一つ自分が説明したいことを伝えられずにいる。デルフも剣でなかったら首を傾げていることだろう 「ああもう!アイドルってのはこういうことするのよ!」 言葉で伝えられなければ実際に見せるしかない 水銀燈の手に黒い羽が集まり星形の板を作り出しそれを頭につけた。どうやらこれ、髪飾りらしい そして胸に手を当て発声練習 「ゴホン…あー、あー」 いつもの彼女の声より高めの声、俗に言う裏声と言うものだ そして高らかに声を上げた 「トリステイン魔法学院のみーなさーん!水銀燈で~す!今日は私達の為に集まってくれて有難う!!」 なんと言う事だ……この人形実にノリノリである。ちょっとハイテンションになっている水銀燈 デルフが唖然としている事にも気づいていない デルフに口があればポカーンと大口を開けていることだろう。だが水銀燈の暴走は止まらない 「そーれ♪そーれ♪乳酸菌飲料~♪はいっ!!」 水銀燈はなんだかよくわからない歌を歌いながら奇妙なポーズをとる。多分彼女の脳内ではバックで五色の爆炎が派手に上がっている事だろう。儚かった。故に美しかった ちなみに水銀燈がとっているポーズ、昔の文献によると『死刑!』と呼ばれる伝説のポージングらしい。 だが、それは悲劇の始まりだった 水銀燈がそのポーズでビシッと指差した先にいたのは一度はここに戻り、そしてまた出て行ったはずの人影 再び部屋に戻ってきたルイズがあんぐりと口を開け無言で立っていた 「ル、ルイズ…また、なんでここ、に……」 水銀燈から感じられる明らかな動揺。肩をわなわなさせながら途切れ途切れに言う 「えーっと、そ、その……さっきは忘れ物取りに来たんだけど…。あ、あんたの歌声聞いて満足してその事忘れてて……。また取りに戻ってきたんだけど……」 ルイズがそう言いながら水銀燈から顔を逸らして忘れ物の教科書を鞄に入れる 「…」 「…」 「……」 「……」 朝一番以来の気まずい沈黙が再び。だがある意味あの時以上に空気が重い。今度はルイズから口を開いた 「……銀ちゃん連日働き過ぎて疲れてるアル。今日の仕事は免除してあげるからゆっくり休むヨロシ」 どこの国?と言うかどこの星?と言った感じでカタコトに言うルイズ 「水銀燈、今日の仕事は免除。水銀燈、覚えた……」 その瞳からは生気が感じられない。水銀燈もまたカタコトの抑揚の無い声で答えた 「それじゃ、私、授業があるアル。私は別に何も見てないアル。気にすることないアル」 そう言ってルイズは走り去っていく。あと、あるのかないのかどっちなんだ ルイズが去っていった部屋の中央で、水銀燈の体がまるで糸の切れた操り人形のようにガタリとに崩れた 皮肉な物だ、彼女は操り糸を必要としない自立式の人形なのに 「お、おい…姐さん?」 デルフリンガーの心配そうな声も彼女の耳には入らないそして…… 「いっそ殺してぇぇぇぇぇ!!」 水銀燈の魂の叫びが、部屋にかけられたサイレントの魔法すらぶち抜き学院内に響き渡った 尚、これがトラウマとなり水銀燈とルイズは品評会で歌を披露するのを断念したことを追記しておこう 前ページ次ページゼロのミーディアム
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第12回 ニコニコ愛されキャラ選手権 予選結果 本戦結果 予選が実施された初の大会である。 misakichi氏作成の予選結果動画はこちら toga氏作成の本戦結果動画はこちら n0419氏作成の本戦データ動画はこちら 当ページの訪問者数 合計 - 人 本日 - 人 昨日 - 人 【予選】 2/9 15~18時 総当たり戦 上位40位までが本戦へ 第12回予選参加動画数 103 第12回予選コメント総数 [予選戦歴] 募集中 予選開始前、上位争いをすると思われた注目参加キャラ(※主観含※) ◎本命:東方陣営、ハマーD、SOS団 ○対抗:ドアラ、古手梨花、岩崎みなみ、ムスカ、自演チーム ▲単穴:江頭、クラナド陣営、姫、DIO、鷲巣様 △注目:デP、若本、カミナ、クーガー 予選期間中、新規枠で本戦出場が内定しており予選に参加しなくてもよいはずの諸葛孔明にどういうわけか4000ものコメントが集まった。 待てあわてるなこれは孔明の罠だ。 予選結果まとめ・・・陣営視点編 【本戦】 第1部2/23 7~18時 第2部2/24 0~12時 前半11h後半12hの23h 総当たり戦 本戦出場100 /シード枠40/新規枠20/通常(予選)枠40/ 第12回本戦参加動画数 100 第12回本戦総コメント数 4395279(平均43953) シード権を獲得できる男性キャラ・性別不明キャラが大幅に増加した。 (シード枠に入った40キャラのうち、11キャラが男性もしくは性別不明のキャラ。前回の5/40に比べて倍増している) [本戦戦歴] 前回に引き続き、水銀燈と赤木しげるが首位争いを繰り広げた。今回の首位争いは稀に見る接戦となり、途中何度も順位が入れ替わったが、最終的に水銀燈が末脚の差で逃げ切り二度目の連覇を果たした。 順位変動の大きかった前回に比べ、今回はコメント数大インフレの中、新規参戦組の奮戦が目立った。6位にランクインしたデッドボールPをはじめ、クーガー、藤林杏、保坂、弱音ハクが上位に食い込んだ。新規組以外では、天海春香や銭形警部などが健闘していた。その他、今回の傾向としては、男性キャラの健闘があげられる。 選手権の規模は順調に拡大し続けており、今回は7位までが10万コメントを超えるハイレベルな闘いとなった。予選によって本選出場数が100に絞られたためか、上位だけでなく下位のコメント数も大きく増加している。また、1位グループ、3位グループといった集団が形成されつつあるようだ。 ちなみに、選手権開催中の24日9:51の集計で麻生太郎が分速17,579という空前のコメントスピードを叩き出し、AiSAREへの自由民主党の介入が囁かれたが、後に集計システムのバグということが明らかになった。詳しく知りたい方は麻騒動のページへ。 12回本選観戦記 赤木陣営視点編 12回本選観戦記 水銀燈陣営視点編 12回予選結果のまとめ 陣営視点編 +クリックすると表示されます 注意:非常に長いです 所属名 通過数/予選参加数 (シード+新規枠、に拠る本戦確定数) ・東方 8/8 (14+4) 計26 東方はなんと8キャラが全員通過。数が多く不利、と言われては覆すのはもはやお約束か? 既に確定している分とあわせて本戦出場数がなんと26。数だけ見れば化け物みたいになってきている。 これでいて、まだ愛されに登録されていないラスボスがいるというのだから恐ろしい。 ・らきすた 4/7 (5+0) 計9 らきすたは4キャラ通過だが、一方で3キャラが落選。上位キャラに人気が集中しすぎか。 東方はともかくらきすたは固い、と言った意見も出ていたが逆の結果となった。 ネタにされやすいらっきーちゃんねるの二人が揃って落ちてしまったのも意外なところ。本編にほとんど出ないのが原因か。 ・ひぐらし 4/4 (3+2) 計9 ひぐらしは安定して全員が予選通過。順位がバラけた東方と違って全体的に上位に近い位置。 確定済みのキャラとあわせると9キャラと、らきすたに並ぶ大所帯になりつつある。 新規枠で沙都子も本戦確定済であり、部活メンバーが揃う今回、躍進なるか。あとトミーに期待。 ・ローゼン 0/0 (8+0) 計8 ※予選参戦キャラ無し 全員シードに残ってるってどういうことよw 東方がすごいことになっているが、それでもここが最大勢力であろう。 ・ハルヒ 3/3 (4+0) 計7 ハルヒも全員が予選通過。3人とも10位前後と安定して高い位置に居る。 まぁ正直この3人なら予選落ちはないだろう、といえそうな面子ではある。 3人ともシードに入れる可能性を十分持っているので、本戦では頑張って欲しいところ。 ・CLANNAD 4/5 (0+0) 計4 今回の目玉といえそうなクラナド。メインキャラ5人が参加し4人が通過。 通過順位は低いので、まず目指すは次回のシード権を手に入れることか。 アニメ放映中&出来の良いMADも出てきているのでこれからに期待がかかる。 ・この青空に約束を 0/0 (0+3) 計3 ※予選参戦キャラ無し 全員新規枠ということで実力は未知数。アニメ放映当時ならともかく現在では厳しいか。 ・アイマス 1/2 (0+1) 計2 閣下こと天海春香が本戦出場。 ニコニコのウマウマ祭の震源動画に出ていたやよいは残念ながら予選敗退。 新規枠のとかちと二人で、愛されにもアイマス旋風を巻き起こせるか。 ・アカギ 1/1 (1+0) 計2 鷲巣様が本戦出場。個人的に要注目キャラ。 10回大会後、鷲巣や天が参戦したら票が割れるのではないかとの危惧があったがどうなるか。 本戦ではアカギを殺そうと追いすがり票が伸びる、といった原作的な流れも期待できるかもしれない。 ・VOCALOID 1/1 (1+0) 計2 鏡音リンが下位ながら本戦出場。 年末年始にはロードローラーネタなどで盛り上がったが、ミクほどの人気はまだ無いか。 陣営としてはまだ頼りないが、最近ブレイク気味のKAITOの参戦やみっくみくのような人気曲の登場があれば強豪勢力と化す可能性も。 ・エヴァ 1/1 (1+0) 計2 綾波が本戦出場。 未だに根強い人気のエヴァだが、愛されではアスカが中堅レベル。人気からすればもう一声欲しいところ。 綾波はシード獲得、アスカは上位進出が目標になりそうだ。 ・デスノート 0/0 (0+2) 計2 ※予選参戦キャラ無し 新規枠が二人。原作人気は高いが愛されではどこまで通じるか。 ・はぴねす! 0/0 (0+2) 計2 ※予選参戦キャラ無し こちらも新規枠が二人。こんにゃくと同じく未知数な部分が大きい。 12回本選観戦記 赤木陣営視点編 +クリックすると表示されます 注意:非常に長いです 前半戦(23日7 00~18 00) 赤木は2位からスタート。 前回の4位スタートに比べて、好調な滑り出しといえる。 そして前回と同様に、じわじわと水銀燈との差を詰めていった。 11時40分 水銀燈を逆転し赤木がトップに立つ・・・! この逆転劇の前後で赤木は分速300オーバーを記録。 赤木は最大2600まで差を広げるが、赤木失速・水銀燈加速によりすぐに詰められる。 15時00分 再度逆転され赤木は2位に転落──票差わずか72。 しかし水銀燈は追撃の手をゆるめず、さらに加速・・・! 15時20分時点で515まで差が広がる。 ちなみに、この時点で長門と3位争いをしていた翠星石とは5万以上の差が開いていた。 15時40分、赤木加速により再び差が24まで詰まる。 両陣営ともに分速300を越える接戦となるが、勢いづく赤木がこれを制する。 16時00分、赤木再び逆転し300差でトップに躍り出る・・・! 水銀燈は360まで加速したが、380まで加速した赤木を抑えることはできなかった。 ここから赤木はじわじわと差を広げる。 17時以降、倍プッシュ発動。赤木は分速429に到達。 水銀燈も分速417を叩き出すが、一歩及ばなかった。 そして前半戦が終了っ・・・! 赤木しげる 202,435 水銀燈 201,061 わずかながら1374リードを確保し赤木が1位っ・・・! 前半戦を通して、赤木は長門、江頭、ハマーD支援者やうろたんだーなど様々な層からの支援を受けた。 また、フィルターによるコメントが多い中、零ネタ、カイジネタ、天の台詞、チーやロンを表現した顔文字のコメントをする者もいた。 なお、電流走りすぎた矢木は黒コゲになった。 同作品キャラである鷲巣は終始伸び悩み、77位付近を射命丸やえーりんや外山やカナリアやLなどと一緒にうろうろしていた。 端から、ほとんどの赤木しげる支援者の眼中になかったようである。 後半戦(24日0 00~12 00) 午前零時、後半戦開始。 赤木、分速427と好調な出だし。 しかし水銀燈はそれすら上回る489もの分速を叩きだしており、赤木を一挙に抜き去るっ・・・! 0時23分の中間集計 水銀燈 212,325 赤木しげる 212,272 差はわずか53に過ぎないとはいえ、赤木再び2位に転落──! さらに0時40分、夜戦を得意とする水銀燈の分速が500を超えるっ・・・! 赤木は401の分速しか出せず、差は2500に拡大。 1時00分、水銀燈は分速500を維持。 逆に赤木は400をきり、5000近いリードを許す。 両者の分速差は100を超えるっ・・・! 圧倒的っ・・・! 圧倒的な速度差っ・・・! 時間経過に伴い両者脱落者を出しつつも、差は広がり続けた。 1時15分 6336差 1時30分 7533差 1時45分 8922差 2時00分 10607差 2時15分 11624差 2時30分 12093差 2時45分 12468差 後半開始3時間を待たずに水銀燈12000リードっ・・・! 致命傷か・・・? これは・・・! しかし、同時に、少しずつではあったが変化が起きていた。 一時100以上あった両者の分速差がじわじわ縮まっていったのだ。 選手権の恒例と称すべきか、水銀燈支援者が一気に脱落し始めたのである。 この間、赤木陣営は早朝以降の逆転にかけるため、ひたすら防戦に徹した。 黒コゲになった矢木は発火し、ついでにダメギまで黒コゲになる有様であった。 3時00分、赤木はついに分速で水銀燈を逆転。 わずかながら差を縮め、12378差とする。 しかし3時45分、水銀燈の分速が復活。 午前4時近くだというのに359もの分速を叩き出し、差を12742に広げる。 だが4時には再び赤木が分速で逆転。 しばらく両陣営の数字は一進一退を繰り返し、両者ともに予断を許さない状況が続く。 5時15分、ようやく赤木が水銀燈の分速を大きく上回ることに成功する。 銀258-赤307 11630差 赤木の猛追は続く。 5時30分 銀249-赤281 11156差 5時45分 銀269-赤316 10454差 みなみけ、東方の援護射撃もあり、差は確実に縮まっていった。 そして6時00分、銀253-赤317 9491差 両者の差は1万をきった─── 6時以降、水銀燈は時間経過とともに支援者が増加し加速するが、 みなみけ、江頭、デスノート陣、池上、ハマーD、レナなどの支援者から強力な援護射撃を受けた赤木の加速はその上をいった。 6時15分 銀230-赤325 8070差 6時30分 銀272-赤342 7025差 6時45分 銀291-赤377 5729差 7時00分 銀312-赤401 4388差 7時15分 銀304-赤375 3326差 7時30分 銀312-赤372 2440差 7時45分 銀325-赤378 1646差 8時00分 銀327-赤416 311差 そして8時15分、ついに赤木は水銀燈をとらえ、3度目の逆転に成功する。 8時15分 赤450-銀336 差1409 赤木再びトップに立つ・・・! 一時12000以上もあった水銀燈のリードを喰らい尽くした・・・! 逆転っ・・・! 未曾有の逆転っ・・・! その後も赤木は水銀燈を分速で大幅に上回り差を広げ続け、勝負は決まったかに思えた。 だが8時40分ごろ、水銀燈が一気に加速。 9時00分、赤416-銀417 となり両雄の分速が並ぶ。 この短時間の間に赤木が得られたリードはわずか4200・・・! 勝負の行方は再び霞の彼方へ─── 9時15分 赤427-銀406 4523差 9時30分 赤427-銀467 3936差 10時00分 赤506-銀517 2480差 10時15分 赤490-銀548 1615差 10時30分 赤506-銀576 571差 赤木も加速はしているが、水銀燈の異様な加速度には及ばない。 そして10時45分・・・ 終了目前で再び水銀燈が逆転っ・・・! 360差っ・・・! その後、水銀燈が分速716を記録するも、赤木は610に止まる。 最後の一時間、赤木は全力で逆転を目指し、分速715を達成する。 しかし水銀燈はさらにその上をいき、分速830を叩き出す・・・! 結果・・・ 水銀燈 506166 赤木しげる 497322 8844という僅差で、赤木は敗れ去った─── 水銀燈、2度目の二連覇達成っ・・・! おめでとう・・・!おめでとう・・・!二連覇達成おめでとう・・・! そして、豪運で77位を勝ち取った鷲巣様っ・・・! 77位シード枠入賞おめでとうございますっ・・・! 端から支援者の眼中になかったなんて書いてごめんなさい・・・! 最後に。 赤木を支援してくれた多くの援護射撃に感謝っ・・・! 圧倒的感謝っ・・・! 赤木に家族はいずとも・・・友はいたのだ・・・! 12回本選観戦記 水銀燈陣営視点編 +クリックすると表示されます 注意:もっと長いです ■ 始めに 第12回の優勝争いは逆転6回、最後の逆転は終了1時間15分前という大接戦でした。 最終的に優勝したのは水銀燈ですが、 そこに至るまでの道のりは非常に険しいものでした。 以下は1水銀燈支援者の視点によるこの熱戦の観戦記です。 なお、赤木戦記よりかなり遅れてのアップですので 赤木戦記の単なる裏返しにならないように配慮して編集したつもりです。 また後半データは赤木戦記を参考にしています。 ■ 前半 (08/02/23 07 00 - 18 00) 前半開始直後は水銀燈1位、赤木2位。 この先23時間、前回同様この2者で優勝を争うこととなる。 正午前に赤木が加速し逆転するが午後には水銀燈が再逆転。 夕方になると赤木陣営に得意の倍プッシュが入り水銀燈を突き放し三度目の逆転。 そして前半終了まで倍プッシュの勢いは止まらなかった。 1位 赤木 202,435 2位 水銀燈 201,061 その差1374 赤木は強い。前回よりも更に強い。 水銀党員達はこのことを改めて思い知らされる。 ■ インターバル (08/02/23 18 00 - 24 00) ここでローゼンメイデンのドールズたちの前半結果を見渡してみる。 雛苺(25位)、蒼星石(28位)はまずまずの位置をキープ。 真紅(39位)、薔薇水晶(41位)、雪華綺晶(42位)はシード権周辺の厳しい位置におり 金糸雀(72位)は大きく出遅れていた。 そして翠星石は前半開始直後から長門有希と熾烈な3位争いを繰り広げていた。 前半終了時点での両者の結果を見ると 3位 長門有希 121386 4位 翠星石 120953 差はわずかに433 翠星石の健闘は喜ばしいであることと同時に 水銀燈含むローゼンのドールズたちにとって 翠星石からの支援が期待できないということも意味していた。 第11回では早期に4位確定した翠星石からの手厚い援護により 水銀燈優勝と全ドールズのシード権獲得を達成することができた。 だが今回は優勝を目指す水銀燈もシード権争いをする 姉妹たちも翠星石からの援護は期待できない。 翠星石も姉妹からの援護をあてにすることなく 強豪長門有希との3位争いに挑まねばならない。 ローゼン姉妹それぞれが厳しい状況で後半の戦いが始まる。 ■ 後半その1 (08/02/24 00 00 - 08 30) 0時。後半最初の中間集計で水銀燈は分速489を出し赤木を大きく上回りいきなり逆転。 更に最大で分速500以上に達し赤木を突き放す。 前半2位で折り返したため多くの水銀党員の危機感に火をつけた結果であろうか。 一方3位争いではまず長門が優位に立つ。 3時。水銀党員達に離脱が目立ち始め分速で赤木に並ばれる。 獲得したリードは12000強。このまま逃げ切れるのか。 4時。コメ鯖停止。 停止期間中、及び復帰後の中間集計で 1~4位の相対的な分速に際立った変化は無し。 5時。水銀燈にとって苦しい時間帯が始まる。 コメ分速は250前後。一方赤木は300以上をキープ。 分速差は時間とともに開き、12,000以上あったコメ差が次第に詰め寄られていく。 一方3位争いでは深夜の苦境を乗り越えた翠星石がここにきて3位浮上。 水銀燈とは対照的にこちらはよい展開。 7時。コメ差は既に5000以下。 水銀燈自体の分速は06 15の230を底にして その後上がっているが赤木には遠く及ばない。 苦しい状況の中でも党員達は最後まで銀様への愛を貫き通す覚悟を持ち 互いに励ましながら離脱者を出さずに支援を続ける。 8時15分。中間集計でついに赤木が逆転トップに立つ。 しかもこのときの分速差は100以上。 続く8時30分の集計でも分速差は変わらず わずか30分で赤木は3000以上のリードを獲得する。 勢いの差が違う。あまりにも違いずぎる。 深夜に優位に立った水銀燈が早朝に失速し逆転を喫する。 この展開はまさに赤木が優勝を勝ち取った第10回と同じである。 歴史は繰り返すのか。 なお、3位争いでは翠星石が分速で長門を上回り続け このころには5000近いリードを手にしていた。 ■ 後半その2 (08/02/24 08 30 - 09 30) 9時。なんと水銀燈は赤木の分速に追いついた。 たった30分で100以上の分速差を詰めたのである。 水銀燈は2位に落ちたことで危機感を持った潜在的支援者が駆けつけたためか加速し、 赤木は逆転の瞬間のお祭り状態が終ったためか少々ペースダウンしたためである。 そして9時30分にはおよそ5時間ぶりに水銀燈が分速でリードを得た。その差+40。 残り2時間30分で差は約4000。逆転に必要な分速差は+30。 終了直前の爆発力に定評のある赤木に対して これだけの差をつけ続けない限り優勝は不可能。 厳しい条件だが希望がないわけではない。 乳酸菌の差し入れをする支援者、「疲労なんてジャンクにしてあげる」と 銀様口調で活を入れる支援者から元気をもらいながら 水銀党員たちはひたすらコメントする。 3位争いでは翠星石のリードが更に広がる。 こちらはすでに決着がついたか。 ■ 後半その3 (08/02/24 09 30 - 12 00) 10時。両者の分速が500を突破(水銀燈517、赤木506)。 さらにこの後も両雄のコメ分速は増加する。 白熱した優勝争いに他キャラ支援者が次々に駆けつけてきたのである。 これまで水銀党員からのコメントにより紫一色だった水銀燈支援動画が 他キャラからの応援コメントによってみるみる色鮮やかになっていく。 ローゼンの姉妹達、ミク、つかさ、みさお、デP、ドアラ、長門、かがみ、etc 各方面からの支援を受けた水銀燈の勢いは増し続け赤木との分速を広げていく。 支援者を鼓舞するための煽りコメントがいつのまにか 「銀様のために最後までがんばれ水銀党員」といったスタンスから 「優勝するためにはみんなの力が必要だ」といった趣旨に変わる。 もはや銀様の支援者は水銀党員だけではない。 今この瞬間銀様の動画にコメントしているすべての支援者が結束するしかないのだ。 10時45分。水銀燈コメ数1位奪還。 2時間前には想像すらできなかったまさかまさかの再逆転。 これは奇跡なのか!!! 水銀燈の勢いはまだまだ止まらない。 12時。 最後の1時間で赤木は715という驚異的な分速をたたき出し逆転に望みをかけるが 水銀燈はそれをも上回る分速830を記録。 終了直前には50万コメも突破し2大回連続6度目の優勝に花を添えた。 翠星石は見事3位でフィニッシュ。おめでとう翠星石。 ■ 最後に なぜ水銀燈が最後に逆転できたのかいまだにわかりません。 ラスト2時間はほんとに色んなキャラからの支援があり 銀様はこんなにも愛されていたのかと心強く思ったものです。 (もちろん赤木も事情は同じだっただろうけど) 特にローゼンの姉妹のうち5キャラは 最終順位がシード権ライン付近の35位~42位であり 水銀燈を支援できる余裕はなかったはずです。 それでも全姉妹から支援者が駆けつけてくれました。 ほんとにありがたかったです。 そして水銀燈支援に力を使いすぎたのか 雪華綺晶は惜しくもシード権を逃してしまいました。 (でも第13回予選を2位で突破。おめでとうキラキー。) 第12回の優勝争いが盛り上がったのは もう一方の雄、赤木しげるとその支援者達のおかげです。 赤木がいたからこそ、こんなにも強かったからこそ 水銀燈もそれに負けじとコメを積み重ねました。 個人的にはそれぞれの陣営にとって最も優勝が絶望的であった 1時~3時の赤木 7時~9時の水銀燈 を投げ出さずに支え続けた支援者がいたからこそ 最後の大接戦に繋がったのだと思っています。 この時間帯を共に支え続けた支援者達は「戦友」とすら呼びたくなります。 さて、この戦記ではあくまで優勝争いという点に着目して書きましたが 愛されキャラ選手権の醍醐味は何も優勝とか順位に一喜一憂することだけではありません。 楽しみ方は人それぞれです。 第12回でも色々な考え方を持つ支援者がいました。 選手権の趣旨はあくまでキャラへの愛を示すことであり 他キャラとの相対的な順位は2次的なものにすぎないと考える愛深き支援者。 自分がどれだけのコメ数を記録できるかに最も重きを置く もはや本末転倒してそうな廃人的支援者。 数多くの動画に顔を出し、渡り歩く支援者。 キャラについて、あるいはとりとめもない話題でチャットに興じる支援者。 ライバルキャラの動向をこまめにチェックしコメントやタグで仲間に伝える支援者。 他の支援者を激励し、労い、笑わせようとする支援者。 みんなそれぞれの思いをこめて 愛されキャラ選手権を精一杯楽しんでいました。 本当に楽しい選手権でした。 ■ 後半05 45~ラストの水銀燈と赤木の記録 時刻 相対コメ差 相対分速差 水銀燈分速 赤木分速 補足 05 45 コメ+10454 分速 -47 (水銀燈269、赤木316) 06 00 コメ +9491 分速 -64 (水銀燈253、赤木317) 06 15 コメ +8070 分速 -95 (水銀燈230、赤木325) 水銀燈後半最低分速(04 15除く) 06 30 コメ +7025 分速 -70 (水銀燈272、赤木342) 06 45 コメ +5729 分速 -86 (水銀燈291、赤木377) 07 00 コメ +4388 分速 -89 (水銀燈312、赤木401) 赤木400突破。倍プッシュ発動? 07 15 コメ +3326 分速 -71 (水銀燈304、赤木375) 07 30 コメ +2440 分速 -60 (水銀燈312、赤木372) 07 45 コメ +1646 分速 -53 (水銀燈325、赤木378) 08 00 コメ +311 分速 -89 (水銀燈327、赤木416) 08 15 コメ -1409 分速 -114 (水銀燈336、赤木450) 赤木が逆転トップに立つ 08 30 コメ -3119 分速 -114 (水銀燈334、赤木448) 8 15に続き分速差100以上 08 45 コメ -4235 分速 -75 (水銀燈371、赤木446) 09 00 コメ -4223 分速 +1 (水銀燈417、赤木416) 分速で水銀燈が赤木に並ぶ 09 15 コメ -4534 分速 -21 (水銀燈406、赤木427) 09 30 コメ -3936 分速 +40 (水銀燈467、赤木427) 分速で水銀燈が赤木を上回る 09 45 コメ -???? 分速 +52 (水銀燈479、赤木427) 集計トラブル発生?数字は不正確かも 10 00 コメ -2480 分速 +11 (水銀燈517、赤木506) 10 15 コメ -1615 分速 +58 (水銀燈548、赤木490) 10 30 コメ -571 分速 +70 (水銀燈576、赤木506) 10 45 コメ +360 分速 +62 (水銀燈???、赤木???) 水銀燈が逆転トップに立つ 11 00 コメ +1964 分速 +107 (水銀燈717、赤木610) 12 00 コメ +8844 分速 +115 (水銀燈830、赤木715)