約 80,483 件
https://w.atwiki.jp/rozenrock/pages/207.html
1曲目を歌い終わると真紅はステージの前に歩み寄る。 スポットライトが後ろから真紅を照らす。 無数の突き上げられた腕と歓声がホールを揺らしている。 フゥ~、大きく息を吸い込とマイクに向かって・・・。 「ねぇ、真紅ぅ、真紅ったらァ~」 水銀燈に肩をゆすられた真紅は眠りから覚める。 「あらッ、私、眠っていたのだわ・・・フゥワァァ~」 大きなアクビをして背伸びをする真紅を横目で見る水銀燈。 「もう東京に入ったわよォ~。それにしても凄い街ねぇ~」 真紅達が住んでいた海沿いの地方都市とは比べ物にならないスケールで 東京は真紅と水銀燈の目の前にその存在感をもって現れた。 バスの窓越しに流れる高層ビルの群れを見ながらニヤリと笑う水銀燈。 「ウフフ、今日からこの街が私達のぉ街になるのねぇ~」 「そうよ、私達のロックでこの街を取ってやるのだわ!」 真紅は力強く言った後、水銀燈の顔を覗き込むように見る。 「ところで水銀燈?貴方、お金いくら持ってるの?」 「けっこう持ってるわよぉ~、ほぉら」 水銀燈は札が詰まったサイフとバックの中から出した小型のセカンド バックの中身を真紅に見せる。 「水銀燈、これはどういう事なの? 貴女、まさかライブの前の日に あったコンビニ強盗の犯人じゃないでしょうね?」 「何を言うのぉ~。これは家にあったァ壷とかぁ、絵画とかぁ、色々 売っちゃったァァ~。ウフフフ」 「凄いわね水銀燈。これなら住む所も悩まなくてイイのだわ」 「真紅はいくら持ってるのぉ?」 「お腹がすいてきたのだわ」 「ねぇ、お金どれくらい持ってきたのぉ~?」 「ホラ、見て水銀燈、あのビルって都庁なのだわ」 「真紅ぅ、せめてぇ10万単位のぉ金は持ってるんでしょうねぇ~?」 「さっきから見てるけど芸能人はいないのだわ」 「真紅ぅ!」 無言のまま真紅はサイフを出すと水銀燈に渡す。中身を確かめる水銀燈の 顔色が変わっていく頃、真紅と水銀燈の夢を乗せたバスは東京駅へと着いた。 東京駅で口論を始める真紅と水銀燈。 この2人が中心となったバンドがやがて全てのミュージックシーンを 塗り変えることになるとは道行く人々は気付いていなかった。 Legend of Rozen Maiden(最終章・序幕 完) ~最終章・夢の扉編に続く~ 前章「旅立ち編」へ戻る/長編SS保管庫へ/最終章「夢の扉編」へ続く
https://w.atwiki.jp/ysfh/pages/48.html
学校曰く、 「次世代のリーダーとしてふさわしい品格と聡明さを備えた制服」 (公式サイトより引用) とのこと。 正装 冬服 白シャツ+ネクタイ又はリボン(+ブレザー)。ブレザーの襟には校章を付ける。 ズボンはビジネススーツとしても遜色ないので、就職後も着用している人がいる。 夏服 青シャツ。ネクタイやリボンの着用は認められない。 平常時 冬服 正装は白シャツだが、一応青シャツでも校則上はOK。但しそんな物好きは殆どいない。 また、ネクタイやリボンは着用するのが決まり。 夏服 正装は青シャツだが、平常時は白シャツも可。 現在は青シャツの裾は外に出すスタイルだが、当初は裾を入れるスタイルが推奨されていたっぽい。 白シャツを着る場合、裾をズボン・スカートに入れる。ネクタイやリボンの着用は任意。 好き嫌いが分かれやすい。 服装解説 ブレザー グレーを基調とした3つボタンジャケットスタイル。ポケットがいっぱいある。 白衣 本校の正装。校章の刺繍入り。理系進学者は大学での実験や実習で使えるので保管しておこう。 スラックス/スカート 生徒が自由に選べる。スカートにはチェックが入っている。スカートを借りて男の娘ごっこをするのは蒼煌祭のお決まり。 ネクタイ・リボン 高校生は紺色、中学生は明青色となっている。 中学生のネクタイの色は4色の候補の中から在校生徒の投票で決定した。…というのは建前で、実際は投票箱が目立たないところに置かれていたため、投票総数が想定より少なく、一部生徒がネタで大量投票したところ決まってしまったという。 靴下 一応カラーが指定されており、紺色や黒色などを着用することとなっている。 防寒具 登下校中のみ着用が許可されている。 その他着用 セーター、カーディガン、ベスト(紺、黒、灰、白、茶の無地のもの)の着用が認められている。 なお、校内では白衣も可。 禁止 髪の染色 ピアス・ネックレス マニキュア・化粧 その他明らかに公共良俗に反するもの 期間 夏服は5~10月、冬服は11~4月。 また、5月と10月は移行期間であり、夏服冬服どちらも身につけることが可能。 制服取扱店(高校) ㈲サンユー ㈱学生服トキワヤ ㈱洋品エンドウ ㈱そごう横浜店 ㈱つつい ㈱さいかや川崎店 ㈱高島屋横浜店 制服専門店シーガル ㈱京急百貨店 ㈱ナカムラ淵野辺店
https://w.atwiki.jp/rozen-yuri/pages/427.html
ここは色々な動物達が暮らす『へっぽこ動物村』。 何でこんな名前かと言うと、そこに住んでる動物達は皆ちょこっとだけ欠点があるから。 それ故に仲間達からハブられた動物達が仲良く暮らしてるのでありました。 今日はそんな中の、鷹の水銀燈と狼の真紅のお話をしましょう。 水銀燈がへっぽこと言われる理由、それは羽根が真っ黒だから。 真紅がへっぽこと言われる理由、それは草食だから。 そんな二人は幼い頃から一緒に暮らしている、いわば親友。そんな二人が仲良く、夜ご飯を食べている時でした。 「水銀燈! 私は鶏肉食べないって言ったでしょう!」 今日のメニューは水銀燈お手製のカレーライス。二人は行儀良く食べていたのですが。 真紅がスプーンを置いて、そう言いました。 「あらぁ、ごめんなさぁい。私は食べるものぉ」 水銀燈はくすくすと笑っています。どうやらわざとイタズラしたようです。 「嫌いなのよ、お肉は」 「ふふ、狼がお肉食べないなんて変なのぉ」 「貴女なんて、カラスみたいな真っ黒な羽根してるくせに!」 その真紅の一言で水銀燈はスプーンをガチャンと置いて、赤い瞳をギラリと光らせました。 「貴女だって、お肉が食べられないハブれ者じゃないのぉ!」 「何よ! やるって言うの!?」 真紅は指先の鋭い爪を構えてそう言いました。 「挑むところよぉ!」 そう言って水銀燈は羽根を広げると、窓から颯爽と飛び立ちました。 「くっ……逃げる気なのね!」 「ふふ、逃げるが勝ち、よぉ」 真紅も慌てて玄関から飛び出しましたが、水銀燈はふわふわとお空を逃げ回ります。 「降りてきなさい! このカラス!」 「やぁよ」 ふふん、と機嫌良さそうに鼻を鳴らして、水銀燈は更に高く飛び上がりました。 二人は仲良しでしたが、喧嘩も多いのでした。 真ん丸お月様が浮かぶ夜の山を追いかけっこ。二人はそれを楽しんでいるようでもありました。 「追い付けるもんなら追っかけてごらんなさぁい」 「待ちなさいっ!」 いくら俊足の狼と言っても空高く飛ぶ鷹に、追いかけっこでは勝てません。 「くっ……」 森の中を真紅は駆け回ります。上空に飛ぶ水銀燈の姿を睨みながら。 しかし、それがこんなことになってしまうなんて。 「……っきゃあああ!」 前を見てなかった真紅は足を滑らせて急な崖をまっ逆さまに落ちて行ってしまいました。 「真紅ぅ!?」 水銀燈が慌てて呼び掛けても、真紅は返事することなくその姿だけを消してしまいました。 森の中を目を凝らして見つめますが、いくら鷹の水銀燈でも樹が鬱蒼と茂っていては分かりません。 水銀燈は真紅を探しに森の中へ真っ逆さまに降りました。 「真紅、真紅っ!」 「す、ぎ……と」 その時、小さく水銀燈を呼ぶ声がしました。しかし、水銀燈の目に真紅の姿は映りません。 「どこ、真紅! 大丈夫なのぉ?」 「足を、捻ったみたい……動けないの」 鷹は狼ほど耳が良くありません。声は聞こえてもそれがどちらから聞こえるのかが分かりません。 水銀燈が草をかき分けかき分け進んでる時でした。 「水銀燈、もう少しまっすぐ進んで左」 「こ、こっちぃ?」 「そう。もうちょっと」 がさ、と指示された草をかき分けると横たわったぼろぼろの真紅がいるのでした。 「真紅ぅ! 足は、どう?」 「ごめんなさい。歩けないみたいなの」 真紅の足首を見ると両足とも真っ赤に腫れ上がっていました。 「仕方ないわねぇ」 「……なっ」 水銀燈は真紅をお姫様抱っこしようとしますが、真紅はそれをはねつけようと手をばたばたとさせます。 しかし、水銀燈はそれを強引に抑え込んで、再び空高く飛び上がりました。 「ふふっ、離してあげましょうか?」 「……くっ、」 悔しそうに顔を歪めた真紅は、おずおずと水銀燈の胸元の服を掴みました。 「きょ、今日だけだからね」 「はいはい」 真紅の頭を撫でた水銀燈は真紅をしっかり抱くと、羽を広げて帰路に向かいました。 「それにしてもぉ、よく私を誘導できたわね」 「あら、私は狼よ。貴女より鼻が効くのよ」 「ふぅん」 それにね、と真紅が少しだけ頬を染めて言いました。 「私が、貴女の匂いを間違えるわけないでしょ」 二人の姿をお月様だけが優しく見ていました。 終わり 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/658.html
昼休みの職員室。 水銀燈「楽しみだわぁ~♪ 早く仕事終わらないかな~♪」 真紅「やけに楽しそうね、水銀燈先生。」 水銀燈「だってぇ~、今日はアレの発売日~♪」 真紅「アレ・・・?アレってなんの事?」 水銀燈「コレよぉ~♪」 「Rozen Maiden duellwalzer」 真紅「あら・・・なぜ楽しみにしているの?」 水銀燈「あらぁ?真紅先生知らないのぉ? 実はね・・・」 真紅「・・・! い、急いで買いに行くのだわ!」 水銀燈「・・・真紅先生、行っちゃった・・・授業、どうするのかしらぁ?」 ラプラス「どうしました?水銀燈先生。」 水銀燈「えぇ、実は真紅先生が授業放って外出を・・・」 ラプラス「ふむ、で、その原因は?」 水銀燈「えぇ、実は今日とあるゲームの発売日なんですが、その内容を聞いた途端に・・・」 ラプラス「もしかして、コレですか?」 そう言いながらduelllwalzerを取り出すラプラス。 水銀燈「教頭・・・もう買ったの?」 ラプラス「えぇ、だって、くんくんの・・・(*ノノ*)」 そう、実はラプラス、午前中を放ってまで買いに行っていたのである。 その間、ローゼンが馬鹿なことをしていたのはまた別のお話。
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/599.html
水銀燈「…ん…もう、こんな時間か…。」 その日、水銀燈はいつものように、規定の時間に学校へ行かずに惰眠をむさぼっていた。 いつもなら、このぐらいの時間になると薔薇水晶が迎えに来るはずなのだが、どうやら今日は諦めたらしい。 水銀燈「ふぅ…こんなことで済むのなら、始めからインターホンの電源を切っておけばよかったわぁ…♪」 そう言うと、水銀燈は布団をかけなおし、静かに寝息を立て始めた。 しかしその直後、どこからともなくヘリコプターの轟音が辺りに響き渡る。 水銀燈「…うるさいわねぇ…。一体何の宣伝よ…?」 そう、それはただのヘリコプターのはずだった。 頭から布団をかぶり、その轟音に耐える水銀燈。そこへ、窓ガラスの割れる音が室内に響く。 その音に驚いて飛び起きると、そこには薔薇水晶に似た白い服の女性がいた。 水銀燈「誰…!?」 思わず身構える水銀燈。白い服の女性は、微笑みながらこう答えた。 雪華綺晶「初めまして…お姉さま。私は、薔薇水晶の姉…雪華綺晶…。妹の命により、貴女を学校へ連行します…。」 …水銀燈と雪華綺晶…これが、2人の初めての出会いだった。 ローゼン「…というわけで、全員そろったところで皆に紹介するね。この方は、薔薇水晶のお姉さんの『雪華綺晶』君。ちなみに前職では、傭兵の仕事をしていたらしいよ?」 その紹介に、あるものは驚きの声を上げ、あるものは『こいつにはイタズラするのは控えよう』と心に誓った。 ローゼン「じゃあ、早速仕事を…といいたいところなんだけど、まだ君の机が無いんだよね?薔薇水晶君、旧校舎から机を持ってきてあげてくれるかい?」 薔薇水晶「はい、喜んで…!」 姉と一緒に仕事が出来るのがとても嬉しいらしく、薔薇水晶は喜びに満ちた顔で旧校舎へと向かった。 それを確認すると、水銀燈は雪華綺晶にこんなことを言いだした。 水銀燈「…って事は、あなたは私の『後輩』って事よねぇ…?先輩の家の窓ガラスを勝手に割っていいと思ってる訳ぇ?」 雪華綺晶「えっ…!?ご、ごめんなさい!お姉さま…!!きちんと弁償しますから…!!」 その言葉に思わず水銀燈はほくそ笑んだ。 軍隊といえば、やはり体育会系…そして、上下関係は絶対…その予想は見事に当たった。 水銀燈「いいのよぉ…♪元々、私が学校に来なかったのが悪かったんだしぃ…。あ、でも、今日お財布持ってくるの忘れちゃったから、お昼ご飯代貸してくれるぅ?」 …こうして、水銀燈は雪華綺晶にたかり始めた。 薔薇水晶「姉さん、今日は久しぶりに外でご飯食べない…?」 雪華綺晶「…ごめん。お金、無いから…」 学校へ赴任してから1週間…雪華綺晶はお金の工面に苦労していた。 あれからというもの、水銀燈はコーヒー代から架空の香典費用に至るまで、あらゆる面で雪華綺晶にお金を『借り』に来た。 雪華綺晶としては、先輩の頼みを断るわけにもいかず、また妹にカッコ悪いところを見せるわけにもいかずといった悪循環にはまりつつあった。 そんな雪華綺晶の様子を不審に思ったのか、ある日薔薇水晶は雪華綺晶のあとを尾行した。 元々傭兵だっただけに、何度かばれそうにはなったが、ついにその原因を突き止めることに成功した。 水銀燈「ごめんねぇ…急に呼び出したりなんかしちゃって…。実は私、車で人引いちゃって、その示談金に200万ぐらい…いや、100万でいいから貸して欲し…」 薔薇水晶「姉さん…!この人の言っている事は全部嘘だから、騙されちゃダメ…!!」 突然現れた薔薇水晶に少し驚きながらも、水銀燈は落ち着きを取り戻し返答した。 水銀燈「失礼ねぇ…。勝手に嘘つき呼ばわりしないでくれるぅ…?」 薔薇水晶「だって、銀ちゃんの車…傷一つ付いて無いじゃない…!最近、何か姉さんが元気ないと思ったら、こういうことだったのね…!!早く、姉さんに貰ったお金…返してあげて!」 水銀燈「やぁよぅ…毎日ヘリで登校するぐらいだから、お金一杯持ってるんでしょう?それに、お姉ちゃんが決めたことに、妹が口を挟んじゃダメよぉ。さ、行きましょう…雪華綺晶…♪」 雪華綺晶「で…でも…」 雪華綺晶の手を引っ張って、外へ連れ出そうとする水銀燈。その行く手を薔薇水晶が遮った。 薔薇水晶「だめ…。お願いだから、早く返してあげて…!」 水銀燈「…邪魔よ!」 そう言って、水銀燈は薔薇水晶を突き飛ばした。 「うっ…!」っと短く声をあげ、尻餅をつく薔薇水晶。その薔薇水晶に駆け寄ると、雪華綺晶は水銀燈をにらみ、小さくこう呟いた。 雪華綺晶「…ばらしーを、いじめたな…?」 その声を聞き、薔薇水晶は思わず叫んだ。 薔薇水晶「大変…!!銀ちゃん、早く姉さんに謝って…!こうなると、私でも止められないの…!!だから、早く…!!」 水銀燈「ふん…何を言ってるの!?傭兵だか何だか知らないけど、この私にかなうわけ…」 その瞬間、1発の銃声が廊下に響き渡った。水銀燈の輝くような銀色の髪が、何本か地面に落ちる。 水銀燈「…え!?」 雪華綺晶が取り出したもの…それは、デリンジャーと呼ばれる小型の拳銃だった。 再びそれを水銀燈に構えると、雪華綺晶はこう言った。 雪華綺晶「…私はどうなってもいい…。でも、妹に手を出すことだけは絶対に許さない…!!」 薔薇水晶「姉さん、やめて!私なら大丈夫だから!!銀ちゃん…早く!!」 真紅「何!?今の音は一体何なの!?」 発砲音を聞きつけ、続々と人が集まってくる。 その人ごみのせいで、もはや逃げようにも逃げられない状況になった水銀燈は、ついに雪華綺晶に謝罪した。 それは、決して屈しない女…水銀燈が初めて公式の場で人に謝罪した瞬間でもあった。 そう…有栖川学園最凶と謳われた水銀燈が、この屈辱を味あわせてくれた雪華綺晶を斃すためには、少しだけ時間が必要だった…。 心の奥底で、残忍かつ徹底的な復讐を誓う水銀燈…。 こうして、多くの火種を残しながらも、一時的な均衡は学園に訪れた。 そして、幾多の争いを経験するうちに、互いの気心が知れるようになると、両者の関係は良好なものへと変化していった。 …雨降って、地固まる… 二人には、そんな言葉がよく似合っていた。 完
https://w.atwiki.jp/rozen-yuri/pages/127.html
紅「ただいまー」 銀「おかえりなさぁい、夜勤大変だったわねぇ」 紅「本当に大変だったのだわ…お腹空いたわ」 銀「ちょっと待っててぇ、すぐに作るわぁ」 紅「夜勤は本当長いから疲れるわ…しかも相方が苦手な人だったから余計疲れたのだわ…」 銀「それは災難だったわねぇ…(チラ)」 紅「話も弾まないし…嫌になるのだわ」 銀「そう…(チラチラ)」 紅「……?」 銀(…私だって一晩寂しかったんだからぁ…) 紅(…ふふ、そろそろね) 料理している水銀燈の後ろからギュッと真紅は抱き付いた。 銀「ちょ、ちょっとぉ、包丁持ってるのに危ないわよぉ…」 紅「そうだけど、今の私は水銀燈分を補充しないと死んでしまうのだわ」 銀「何それぇ。…でも、私も真紅分を補充しないと死にそうよぉ」 紅「お互い様ね。…一晩空けてごめんね」 銀「真紅こそぉ、お仕事お疲れ様ぁ」 水銀燈も包丁を置き、真紅を抱きしめ返す。 料理が出来上がるのはもう少し後になりそうだった。 紅「ふぁ・・よく寝たのだわぁ」 銀「おはよぉ真紅ぅ」 紅「おはよう水銀燈・・・・・って・・・えぇ?!」 銀「あらあら朝からいい反応ねぇ」 紅「・・・いつから居たのかしら」 銀「ずいぶん前よぉ。真紅って寝顔は可愛いのねぇ」 紅「・・・・・一体なにしにきたのかしら」 銀「うーんそうねぇ・・・何だったかしらぁ」 紅「(ハァ…) もういいのだわ、朝食を御馳走するわ」 銀「やったぁ♪」 そんな銀紅 水銀燈「あの二人見せ付けてくれるじゃなぁい。翠星石と蒼星石を引き裂いてやるわぁ」 真紅「そうね。この暑い時期に彼女達は暑苦しいのだわ」 水銀燈「私は蒼星石をいただくわぁ」 真紅「私は翠星石ね」 『謝罪の代わりに』 「真紅ぅ~」 「水銀燈?一体な…………」 彼女は目を見開いた。いつも側にいる、見慣れた彼女の頭の上には、想像するだけで身の気もよだつあのおぞましい生き物の耳が、あった。 「ね…ねねねねねねこ……!?」 「ふふ、驚いたぁ?こんなのが苦手だなんて、おばかさぁん」 くすくすと笑う水銀燈だったが、目を見開いたまま微動だにしない真紅に、首を傾げた。次第に真紅の瞳からは、涙が溢れ始めた。 「えぇ!?ちょっと……な、なんで泣くのぉ!?」 「うぅ……ぐす…」 慌てる水銀燈をよそに、真紅の涙は止まるどころか更に酷くなっていた。 「ひぐ……っ…」 「………はぁ、」 大きく溜め息を吐くと、猫耳のカチューシャを投げ捨て、涙が止まらない真紅を抱き締めた。 「……悪かったわぁ。そこまで嫌だとは思わなくてぇ…」 「……、……」 真紅の唇が、水銀燈の耳元で微かに動いた。それを聞いた水銀燈はくすり、と笑い、真紅と唇を重ねた。 謝罪の言葉の代わりに、口付けを。 end 銀紅でウイイレ(サッカーゲーム) 水銀燈「何よこの子!!全然いうこときかないじゃないのよぉ!」 真紅「ざまぁないわね水銀燈!いけっ絆シュート!」 水銀燈「あぁ!・・・危なかったわぁ。よくやったわゴールキーパー」 真紅「くっ、どうしてあそこからはずすの!?まったく日本のシュート並ね」 水銀燈「うふふ、真紅が下手なのよぉ」 真紅「なんですって・・・みてなさい」 蒼星石(どっちも下手だ・・・) 水銀燈「もう後半ロスタイムじゃなぁい、いくのよ!真紅をジャンクにするのよ!」 真紅「くっ!」 水銀燈FWが裏に抜け出す 水銀燈「ktkr!」 真紅「~~~!!!!!・・・・・おっと」 蒼星石(うわぁ~後方からの殺人タックル・・・) 水銀燈「!!!!ちょっと!!何するのよ!!!」 真紅「手もとが狂ったのだわ」 水銀燈「嘘よ!ワザとでしょ!この卑怯者!!」 真紅「はぁまったく、ジャンクはうるさいのだわ」 水銀燈「真紅ぅーーーー!!!!!!!!!!!」 真紅「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」 水銀燈「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」 蒼星石「巻き込まれる前に逃げよ」 翠星石「蒼星石、翠星石と勝負するです」 蒼星石「あ、うん」 水銀燈「このっ!このっ!」 真紅「やめて頂戴!あっ、ちょっと」 水銀燈「このっ!このっ!」 真紅「だめよ水銀燈!それはオフサイドなのだわ!あぁ!」 翠星石「ちょっと蒼星石!いまのファールは悪質ですぅ!」 蒼星石「せふせふ」 翠星石「きぃ~~~!!」 綺麗だったわ。私に勝るとも劣らずだったわよ。 銀色の髪は一切の癖がなくって。どんな小さな風だって受けてサラサラと流れてたわ。 それを見てるのが飽きなくてね。何見てるの?ってよく睨まれたわ。 そういえば目も綺麗だったわね。 きつく吊り上がってたから、皆に言わせてみれば近寄り難い、って。 でも、そんなこと全然なかったわ。 本当は心優しい子だったのよ。そして、誰より強くて、誰より弱かったわ。 辛くて悲しい思いばかりしてきたみたいでね。独りでいることには強かったわ。 逆に優しさに弱くてね。私が告白した時の顔ったら……ふふ、傑作だったわ。 もう少しでいいから。彼女の側で、そんな色々な顔見てきたかったわ。 私は彼女を見ることはできるけど、彼女が私を見ることはもうないんだもの。 ──貴女と約束した未来は 甲高い音が病室に響いた。 白衣を纏った年配の医者は、腕時計を見つめると現在の時刻を呟いた。 姉ののりは、嘘…、と一言呟いて顔を両手で塞ぎ、膝から崩れた。 兄のジュンは医者に掴みかかろうとする。水銀燈がそれを制止した。 うわぁぁぁぁ、とのりは声を上げて泣いた。ジュンも膝をついた。 水銀燈は真紅の頬に触れる。まだ生きているような温もりが残っている。 「二人、きりに…してくれませんか…」 水銀燈がそう尋ねるとのりとジュンは頷き合うと、病室を後にした。 医者はとうに病室を去っている。 真紅の口から呼吸器をはずしてやる。もちろん、ピクリとも動かない。 水銀燈は真紅の手をとり、きつく握りしめた。 「何よぉ…せっかく握ってあげてるんだから、握り返しなさいよぉ…」 ぽろり、と目尻から涙が零れた。 どれだけ力を込めても、それが返って来ることはない。 手から力を抜くと、スルリと滑り落ちてしまった。 「お馬鹿さぁん」 水銀燈の声は、もはや声と呼べるほどのものではなかった。 水銀燈の震えている肩にそっと触れようとしたが、スルリと抜けてしまった。 悔しそうに拳をぎゅっと握り、抜けないように背中に頭をもたれさせた。 「水銀燈…」 ポツリと名を紡いだが、やはり聞こえないらしく、反応がない。 「すいぎ、んとぉ…」 あぁ、死んでも涙は流れるのだ。と意外に冷静な自分もいた。 「大好きよぉ…」 偶然にも二人の声が重なった。 もう拭う気もないらしい水銀燈の涙を真紅は──いや、もはや真紅とは呼べない彼女は──一つ掬った。 水銀燈は大きく肩で呼吸をしながら真紅に気付かずに、眠っている真紅に唇を重ねた。 「お馬鹿さぁん…貴女は、あなたは…本当の、本当に…」 目を瞑っている真紅に額をくっつけると、水銀燈の涙は真紅の頬に伝った。 その様子を見て、真紅は辛そうに眉をしかめると水銀燈に抱きついた。もちろん、すり抜けない程度に。 「お別れ、だわ」 もう貴女と一緒に生きていけない。 貴女と同じものを見て、同じものを聞いて、同じものを感じて、笑いあって、喧嘩して──それから。 それから。 何かが弾けたように大きな叫び声をあげながら真紅は泣き叫んだ。 でも、水銀燈の耳には何も届かなかった。 終わり それは、ある秋の夕暮れのこと。 公園のもみじの木を水銀燈が見上げていました――。 紅「こんな所で何しているの、水銀燈?」 銀「紅葉が始まったみたいだと思って、ちょっと見てたのよぉ。 ほら、木の上の方がちょっと色づいてるでしょ?」 紅「あら、本当だわ。この街にも秋がやって来たのね」 銀「“小さい秋みつけた”って感じねぇ」 そんな水銀燈を見て、真紅はクスッと笑います。 銀「何なの?どうして笑うのよぉ…」 紅「意外と可愛らしいことを言うのねって思ったのよ。 気に障ったなら謝るわ。ごめんなさい」 銀「べ、別に気になんてしてないけどぉ…」 少し照れくさそうに話す水銀燈の頬を秋風がそっとくすぐりました。 そして、一枚のもみじの葉が真紅の髪にハラリと落ちて――。 紅「あっ、もみじが…」 銀「ちょっとじっとしてなさいよ、真紅」 紅「えっ?」 銀「もみじが髪飾りみたいで綺麗だわぁ。 ……貴女、結構似合ってるわよ」 紅「そ、そうかしら?///」 銀「…勘違いしないでよね。私は、もみじを褒めただけなんだからぁ///」 それは、ある秋の夕暮れのこと。 ほんのりと赤く染まった二人の頬にも、小さい秋みつけた――。 『秋の散歩』 この時期にしては暖かく、爽やかな空気が流れているある日の事。ちょっと意外に、散歩をしている水銀燈の姿があった。 「はぁ……良い天気ねぇ」 とくに目的はなく、ぼぉっとしながら道を歩いていた。周りに人気はなく、水銀燈の視界に入るのは、愛しいあの娘を連想させる鮮やかな紅葉だった。 ひらひらと落ちた一枚の紅葉が、偶然水銀燈の足元に落ちてきた。それを何気無く拾うと、なんとなく眺めていた。 「……こういう色を、深紅っていうのねぇ…」 周りの紅葉よりも一際紅く、まさに深紅と呼ぶにふさわしかった。 そんな事を考えていると、もう一つの真紅が頭をよぎった。長く綺麗な金髪と、人形のような蒼い瞳をもつ女の子。 「あら、水銀燈?」 突然声がして、はっ、と我に返った。目の前には、ちょっとだけ驚いたような表情の真紅だった。 「こんなところで何をしているの?」 「…別にぃ。なんとなく散歩してただけ」 「……貴方が散歩、ねぇ」 意外そうな、けれどどこか感心したような笑みを浮かべる。 「…何よぉ」 「ふふ、別に」 「言わないとどうなるか…分かるかしらぁ?」 「? さぁ…」 不思議そうな表情を浮かべる真紅に、水銀燈はニヤリと笑い――頬に口付けした。 「なっ…!?す、水銀燈っ…!」 「ふふ、こうなるのよぉ?」 「貴方!こんな所誰かに見られたら…!」 「はいはぁい。頬がこれみたいに紅いわよぉ?」 そう言うと、先程拾った紅葉を真紅の唇にくっつけた。 「す…水銀燈っ…!!」 秋の散歩から秋の運動会になっても、水銀燈の顔はより清々しいものだった。 end 例えば恋とか愛とかそれに近い感情を表すとき、貴女は桃か赤の絵の具を使うでしょう 例えば嫌悪とか嫉みとかそれに近い感情を表すとき、貴女は黒の絵の具を使うでしょう でも私は違う 私が愛や恋から繋げる筆先には黒が染められていて そこから描かれる線は何時しか貴女を映し出すのよ 「…貴女は印象派が好きだったかしらぁ?」 「特に考えたことはないわね、でも気に入った絵を並べてみたらそうかも知れないわ」 有名所の作品ばかりが印刷された本を開いていたら、後ろから水銀鐙の声がした その絵なら前に描きかけの状態で見たことがある、と言われたが、本当かどうかは確かめようがない しかし吐いて無駄な嘘をわざわざ吐くとも思えないので、それは貴重な体験をしたわね、と返してやった 「でも私には絵を見て美しいと感じることが理解できないわぁ」 私に喧嘩を売るつもりで言ったのだろう そうね、と答えた私を見て、目を円くした後につまらなそうに唇を尖らせた そんな彼女を見て ふ、と笑うと、頬を少し染めて眉間の皺を深められた 勿体ないからそんな顔をしないでという言葉は逆効果で、彼女の表情からはすっかり普段の美しさは消えていた 「水銀鐙」 後ろを向いてしまっている彼女を優しく包む 振り払おうとした腕を動かす直前に、強く力を込めた 目の前に広がるは黒 絵よりも遥かに美しいと思えるそれは暴れるのを諦めたようだ 「水銀鐙、例えば恋とか愛とかそれに近い感情を表すとき、貴女は何色を用いるのかしら」 私は黒色ね、と続ければ、そのきょとんとした顔はまたさっきのように赤く染まってしまうのだろう 分かっていながら、私はそのまま口を動かした END 紅「水銀燈、ちょっと質問していいかしら?」 銀「なぁにぃ?ご褒美付きなら答えるわよぉ。」 紅「なら答えてくれたら私の×××を見せてあげるわ。」 銀「・・・いいわぁ」ゴクリ 紅「じゃあ、質問。何で鷹野三四に手を貸したの?」 銀「はぁ?何のことぉ?」 紅「それと、なぜアウラを消そうと、、 銀「ストーップ!!これ以上は他のアニメの話になるから止めなさぁい!」 紅「でも気になるのだわ!教えなさい、野村さん!!」 銀「止めなさいって言ってるでしょうこのヲタ真紅!だから人気ないのよぉ!」 紅「なっ、誰が人気ないですって!私こそがこの物語の主人公なのに、、」 銀「ああ、もううるっさいわねぇ!」 チュッ 紅「ん、、、ぷはぁっ!な、、?」 銀「構ってほしいなら素直に言いなさぁい。分かりづらい子ねぇ。」 紅「そ、そんなつもりじゃ、、、///」 グダグダアリスゲーム 銀「ねぇ真紅、貴女って紅茶好きだったわよね?」 紅「ええ、好きよ」 銀「これ、知り合いから貰った紅茶なんだけど、貴女にあげるわぁ」 紅「私に?」 銀「そうよ。だって、私は紅茶になんて興味ないもの。貰っても仕方ないわぁ」 紅「それなら頂くけれど…――って、これ、ダージリンのセカンドフラッシュじゃないの。 これはね、とても高級なものなのよ、水銀燈」 銀「そうなの?私にはよく分からないわぁ」 紅「そうだわ、せっかくこんなに良い紅茶が手に入ったのだから、翠星石たちも呼んでお茶会でも開こうかしら。 勿論、貴女も来てくれるわよね、水銀燈?」 銀「たくさんの人を呼んだら、せっかくの紅茶が減っちゃうわよ。高級なんでしょ?勿体ないじゃない…」 紅「あら、どうやらご不満のようね。それなら、貴女と私の二人のお茶会というのはどうかしら?」 銀「…ふ、二人きりで?」 紅「ええ、そうよ。明日の3時頃でいいわよね?」 銀「ちょっと勝手に決めないでよぉ!」 紅「いいこと?約束よ、水銀燈。ちゃんと来て頂戴」 銀「…気が向いたら行ってあげるわぁ」 ――何よ、この流れ…。気に入らないわぁ。 紅茶で上手く口実を作って真紅の家に遊びに行くつもりだったのに、 最終的にはあの子に主導権を握られてしまうなんて…。 まるっきり形勢逆転じゃない。 それに、何とか二人きりのお茶会にしようとして妙なことを口走ってしまうなんて…。 どうして、あの子を前にすると私は素直になれないのかしら? こんなに好きなのに…。 私って、本当におバカさんねぇ……。 ねぇ真紅、悔しいけれど、明日のお茶会には行ってあげるわぁ。 約束を破って、貴女に叱られるともっと悔しいから――。 水銀燈「ほぉら真紅ぅ~。あなたのローザミスティカはこっちぃ?それともこっちのほうかしらあ~」 真紅「やっ!ちょっと水銀燈・・・ひゃん!やめ・・・やめなさ・・・いひゃっ////」 水銀燈「ほらほらあ、早く逝っちゃってジャンクになりなさいよお///」 真紅「やめ・・・やめて・・・はぁんっ!」 水銀燈「あらぁ真紅ぅ?もう降参なのお?つまんなぁい」 真紅「・・・お姉様のくせに・・・ハァハァ///」 水銀燈「え?」 真紅「この方が雰囲気でるでしょ?『お姉様』///」 水銀燈「くっ・・・///」 真紅「お姉様っ!」 水銀燈「真紅ぅ~!!可愛くなぁい!可愛くないわあ!こんな時だけ姉扱いして!まだ余裕だといいたいのお!いいわ、もっともっとお仕置きしてあげるわよ!!」 真紅「んあっんっ!ん!ん!だめっ!このままじゃほんとに」 水銀燈「ジャンクにしてあげるわ!私だけの可愛くジャンクにっ///」 真紅「ハァハァ・・・いいえ水銀燈、アリスに・・・アリスになるのだわ」 水銀燈「アリスに?」 真紅「ええ、一緒になりましょ?アリスに///」 水銀燈「え?あん!真紅っ///ずるいっ///あん///」 真紅「ああんっ!す、水銀燈と溶けあって・・・」 水銀燈「こんなに・・・熱いっんあん///」 真紅「水銀燈////一緒に、一緒に・・・」 水銀燈「真紅っ真紅う~」 真紅「ひゃあああああああああ////!!!」 水銀燈「いやぁぁぁぁぁぁぁぁん/////!!!」 ~二人だけのアリスゲーム~ 完
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/140.html
職員室。 翠星石が、ニヤニヤしながら水銀燈のイスに何かを仕掛けている。 水銀燈のイスには、座布団がありその下に何かを仕掛けたようだ。 どんな反応をするか楽しみですぅ。と、ニヤリと笑う翠星石。 そして、その仕掛けが発動する時が来た。二時間目終了時の休み時間。 授業を終えて、戻ってきた水銀燈が自分のイスに座る。 ブゥウウーーーーー。と、鈍い音が水銀燈を中心として広がる。 水銀燈「え?!」 一体何が起こったのかわからない水銀燈。 一斉に職員室に居た者全ての視線が水銀燈に集まる。 水銀燈を見る全員に「違う、違うのよ!?」と、慌てる水銀燈。 それを見ていた翠星石は、イタズラ成功とニヤソと小さく笑った。 顔を赤くして一人今の音に、違うのよ!? と、言っている水銀燈だったが…… 真紅にポンッと肩に手を当てられそちらを見る。 水銀燈「真紅ぅ! あなたなら分かってくれるわよねぇ?! 今のは違うって!」 ライバルである真紅に、同意を求める水銀燈。其処まで切羽つまっていた。 真紅「大丈夫よ水銀燈」 あぁ、我がライバルはちゃんと分かって…… 真紅「欧米ではゲップが失礼で、今の行為は全然大丈夫だわ」 いなかった。 うわぁーん。と、いつもの水銀燈らしくない声を上げて職員室を後にする水銀燈。 そして、次の時間が始まると、また翠星石だけが職員室に残る。 雛苺もいるのでは? と、思うのだがどうやら何処かに出かけたらしく職員室には居ない。 翠星石は、直ぐに水銀燈のイスから仕掛け「ブーブークッション」を回収する。 そして、次に目をつけたのは真紅のイス。 くんくんクッションの下にブーブークッションを仕掛けてまたニヤソと笑う。 次が楽しみですぅと、やっぱり笑う翠星石。 そして三時間目が終了して、水銀燈は戻ってはこなかったが真紅と他の教師たちは戻ってくる。 そして、真紅が自分のイスに座った瞬間……水銀燈の時よろしく「ブゥウウーーー」と、鈍い音。 真紅「…………」 固まる真紅。やっぱり水銀燈の時と同じく一斉に職員室に居た者から見られる。 しばらく固まっていた真紅だったが、ガタッとイスから立ち上がると顔を真っ赤にして職員室を出て行った。 イッヒッヒッヒと、翠星石は笑う。 そして、四時間目が始まるとやっぱり翠星石以外誰も居なくなる職員室。 教頭ぐらい居てもいいものなのだが、いつもの如く逃げる馬鹿校長と追いかけっこで不在。 素早く真紅のイスから仕掛けを回収し、次はダレのイスにしかけようかなと考え。 自分の親友の顔が浮かぶ。 初心な親友だ、もしこれが炸裂したらどんな反応をするのかとニヤリと笑う。 そしてすぐさま蒼星石のイスに仕掛けを仕掛けるが 「楽しそうなのだわ?」 翠星石「そりゃ楽しいですよ。このイタズラが成功した時の嬉しさといったら」 「へぇ~詳しく教えて欲しいわねぇ~その嬉しさ」 「僕もちょっとしりたいかなぁ?」 ピタッと、翠星石の動きが止まる。今私に話しかけたのは誰? だわ? ねぇ~? 僕? ギギギッと、錆びきれた機械の様に首だけを声のした方に回す。 翠星石「………………」 鬼が三人居た。 気のせいか、目がかなり光ってる真紅。 心なしか、その美しい銀色の長髪が、逆立ち動いているように見える水銀燈。 さわやかな笑みを浮かべているのに、なぜか黒い蒼星石。 そんな三人の共通点は、ズゴゴゴゴと音など聞こえないはずなのに何故か聞こえる威圧感。 やばい。と、直感的にそう思う翠星石は行動に出た。 翠星石「三十六計逃げるにしかずですぅ!」 と、我が愛すべき馬鹿校長の特技を使わせてもらう。つまり逃亡。 しかし、その逃亡は失敗に終わる。 いつの間にか翠星石の前に移動していた蒼星石によって。 翠星石「はわわわわわ」 そして、後ろからガシッと肩をつかまれる翠星石。 真紅「さぁ」 水銀燈「ちょっと」 蒼星石「逝こうか」 ズルズルと引きずられていく翠星石。 翠星石「私がわるかったですぅーーー。やめて、やめ、いぃぃいいいいやぁああーーーー!!!!」 翠星石の絶叫が、校舎に響いた。 今回の教訓。 自業自得、因果応報。
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/44.html
前ページ次ページローゼンメイデン 小ネタ集 ヨウラン「おーい、シン。また、お前宛、ゲッ!」 水銀燈「なぁに? 失礼な人間ね。シンなら今は留守よぉ」 ヨウラン「そうか、それじゃまた」 水銀燈「お待ちなさぁい。シンへの届け物なら私が預かるわぁ。 貴方が引き返したら私がまるで留守番の一つも出来ないみたいじゃない」 ヨウラン「そ、それはそうだが…まぁ、えーとコレだ」 ―カートには大量の手紙の束と贈り物多数 水銀燈「……コレ全部なの?」 ヨウラン「ああ。それと、こっちはレイの分だが(同じくカート一杯)」 薔薇水晶「なら、預かる」 ヨウラン「そうか。じゃ、確かに届けたからな。……勝手に弄るなよ。俺は知らないからな(脱兎)」 水銀燈「解ってるわよぉ。ふん! しかし……もてるみたいね。私達のミーディアムは」 薔薇水晶「エリートらしいから。……赤い服を着た人間って」 水銀燈「そうなのぉ? シンはそういうの話してくれないわ」 薔薇水晶「貴女は何時も帰って来たら、おねだりと文句ばかり」 水銀燈「なっ! それはシンがだらしないし、私の言う事を聞いてくれないからよぉ!」 薔薇水晶「けど、それで何も言わせて無いんじゃ? レイは良く話してくれる」 水銀燈「……くっ、何よぉ。私が悪いみたいじゃなぃ(ぷいっ」 薔薇水晶「……しかし、人間は不思議ね」 水銀燈「……なにが?」 薔薇水晶「こんなにたくさんモノをよこして」 水銀燈「そうねぇ。手紙に、プレゼントと言う奴ばかりこうも沢山」 薔薇水晶「……確か……そう、電話。あれですぐ話せるのに。わざわざ字にするなんて不思議」 水銀燈「何が書いてあるのかしら?」 薔薇水晶「こういうのは勝手に開けてはいけない筈」 水銀燈「……気にならない?」 薔薇水晶「……少し」 水銀燈「一個位見てもばれないわ。特にこのヤガミとか言う人間のは沢山来てるし」 薔薇水晶「けど、私達じゃ文字が読めない。きっと難しい字を使っている筈」 水銀燈「……それじゃ、暇そうな人間を一人捕まえて読ませればいいんじゃなぃ?」 翠星石「で、翠星石の所へ来たですぅ?」 薔薇水晶「貴女のミーディアムが一番暇そうだから」 メイリン「あのぉ、別に私は暇って訳じゃ。ただ、戦艦には3人ずつオペレーターが配備されるからね?」 翠星石「確かにメイリンは仕事場でも暇そうですぅ」 メイリン「翠星石ぃ~」 水銀燈「細かい事は良いわぁ。コレを読んで頂戴」 メイリン「コレは……シン宛ての手紙? どうしたの?」 水銀燈「ゴミ箱に捨ててあったのよぉ」 薔薇水晶「(……嘘)」 水銀燈「(どうせ、後で私が全部捨てるから同じよぉ)」 メイリン「あーー、シンこういうの物臭だからねぇ。まぁ、捨ててあるのならどうしようと勝手よねぇ♪」 翠星石「皆でネタにして愉しむですぅ(酷」 (一応プライバシーの為内容割愛) メイリン「~~あなたの愛しのハヤテ・ヤガミよr(途中で奪われる)」 水銀燈「(剣で串刺しにした後17分割)」 薔薇水晶「……凄い内容だった」 翠星石「妄想炸裂だったですぅ」 水銀燈「このドロボウネコ! 手紙だからって好き勝手に書き過ぎよ! 誰の頭の中だろうがシンは私のものよ!(手紙を踏みつけながらも周りが見えてない)」 メイリン「噂どおり激しいのね。水銀燈って」 薔薇水晶「何時も彼のことになるとこんな感じ」 翠星石「まったく、水銀燈も変わってしまったですぅ」 シン「な、なんなんだよ! 今日は帰って来てから!」 水銀燈「おだまり! 何処の馬の骨か解らない女に色目ばかりを使って! 私という者がありながら許せないわぁ!(ごすっどすっ)」 シン「いたたたっ。おい! 今のはほんと痛かったぞ!」 水銀燈「今日はシンが解るまで! 私はぁ! 殴るのを止めない!」 シン「何をするだーーー!!(泣」 レイ「今日は一段と激しいな。……何かあったのか?」 薔薇水晶「……知ってるけど、知らないって事にしなきゃいけない」 レイ「……ふむ。そうか」 薔薇水晶「そうなの。ごめんなさい」 レイ「なら、仕方ないな(パソコンを起動させて例の板へ)」 薔薇水晶「何をしているの?」 レイ「少し、シンが心配でな。他の人に相談してるんだ」 薔薇水晶「……レイは彼に優しい」 レイ「そうか?」 薔薇水晶「そうよ」 レイ「……そうかもしれないな(ふっ)」 前ページ次ページローゼンメイデン 小ネタ集
https://w.atwiki.jp/3edk07nt/pages/136.html
夢の内容について、水銀燈と話を付き合わせてみると、同じ場面を見ていたことが明らかになった。 唯一の違いは、視点。私と、彼女は、別個の視点で、あの状況を観察していたの。 私の夢が、指輪を介して水銀燈に流れ込んでいるのだとしたら、私の視点を共有している筈なのにね。 別個の視点の存在とは即ち、彼女もまた別の人物として、私の夢に登場していた事を意味した。 水銀の君として――――ね。 「どうやら……めぐと私には、浅からぬ縁があるみたいねぇ」 「夢の導くままに見た光景が、本当に、私の前世の記憶だとしたらだけど」 あまりにも突飛な発想だから、俄には信じがたい。たま~に、そんな話を聞くけれど、ホントかしら。 前世の記憶って、身体が失われた時点で、消えちゃうモノなんじゃないの? 私なりの考えを伝えると、水銀燈は、 「柩は書庫に成り得ない。その逆ならば、あり得るけどぉ」 と、目を細めた。いきなり、抽象的なことを言われても困る。 眉を顰めた私を見て、水銀燈は愉快そうに、ころころと笑い出した。 なんだか馬鹿にされてるみたいでムカついたので、私は無い知恵を絞って考えた。 これで熱でも出たら、水銀燈のせいなんだからね。 「要するに、この身体は魂の入れ物でしかなくて、魂こそが記憶の保管場所だって言うの?」 「あらぁ……おばかさんにしては、察しが良いじゃなぁい」 「貴女って、いつも一言、余計よね。そんな態度じゃ、誰からも嫌われちゃうわよ」 言われっぱなしじゃ悔しいから、時速150キロの皮肉を叩き付けてやった。 でも、概念は把握できた……気がする。パソコンに置き換えてみれば、肉体はHDDとか、 CDRWやDVD-Rみたいな大容量の記憶媒体で、霊魂はSRAMやDRAMなんじゃないかしら。 その中でも、本当に重要な記憶だけがDRAMに残され、“死”というシャットダウンでも消えず、 日常生活で利用頻度の高い記憶は、揮発性のSRAMに記録されているからリセットされてしまう――と。 水銀燈と出会って、この指輪を嵌めてから……私は、過去の記憶を夢に見始めた。 そして、前世の私は、彼女に対して並々ならぬ感情を抱いていたことを知った。 これってつまり、魂に記憶されるほど、私にとって彼女が重要で、大切な存在だったことの証拠よね。 (千年を隔てても、色褪せない記憶【想い】かぁ……正に、愛は永遠の夢なのね) 私は、しみじみと左手の薬指に癒着している薔薇の指輪を見つめた。 このデバイスによって、私と水銀燈は、お互いが持っている様々な情報を共有できる。 水銀燈に私の精気を供与するだけの、一方通行な物かと思っていたけれど、意外に多機能みたい。 要は、数多の性能を生かすも殺すも、使い方次第ってコトね。 「貴女のこと――昔みたいに、水銀の君って呼んだ方が良いのかな」 「水銀燈で良いわよ。格式張った呼ばれ方されると、背中がむず痒いわぁ」 私の憎まれ口を受けて憮然としていた水銀燈は、鼻先でせせら笑った。 まあ、そうよね。今の時代に『~の君』なんて呼称は、そぐわないし。 それに、私は名前で呼んであげたいもの。親しみを込めて、彼女の名前を―― 「ねえ、水銀燈。貴女はどうして、この病院に居たの? ひょっとして――私を探してくれてた?」 「…………さぁね。私、めぐに会うまでの記憶が、はっきりしないのよ。 指輪を通して、めぐの夢を見るようになってから、徐々に思い出してきてるけど、 どうして死んだのかも憶えてないわぁ」 「そうなんだ……ざぁんねん。ちょっと、期待してたんだけどなぁ」 貴女を想うあまり死んでも死にきれず、亡霊となって彷徨っていた―― なんてドキドキすること言われてみたかったけど、そんな話は身勝手な幻想よね。 あれ? でも……ちょっと待って。 自分の死因すら解らない人が、どうして薔薇水晶のことを、疫病神だなんて言えるの? 私の胸裏で、ひとつの疑惑が浮かび上がった。 (まさか――水銀燈は、厄介払いする為だけに薔薇水晶を貶めた?) だとしたら、許せない。たとえ水銀燈でも、絶対に。 もし訊ねたら、彼女はどんな顔をして、どんな弁明をするのかしら……。 心の奥底で、水銀燈を信じたいと思いながらも、一旦芽生えた疑心は簡単に拭えなかった。 すると―― 「ふ……それこそ『まさか』だわぁ。これでも、私は鬼の血を引く陰陽師よ。 私の紅い瞳は、堕天の逆十字を背負いし者の霊波動を見逃したりしないわ」 水銀燈は自分の眼を指差しながら、事も無げに答えをくれた。 真剣に考えていた私が、優に十秒間は呆気にとられてしまうほど、アッサリと。 もしかして、気付かない内に声に出てたのかしら。いやいや、そんな筈ない……と思う。 「どうして、私の考えてる事が解ったの?」 「勿論、その指輪から、めぐの考えが流れ込んできたに決まってるじゃなぁい」 「ちょっ!? それ、ホント?」 冗談じゃないわ! 私のプライバシーは、どうなるのよっ! お腹すいたとか、トイレ行きたいとか、全て水銀燈に筒抜けって事でしょ。 それに…………水銀燈への想いも……。 「嫌ぁぁっ! 殺してっ! いっそ殺してぇっ!」 「ち、ちょっと、めぐ。落ち着きなさいよぅ」 「落ち着けるわけ無いでしょ! 羞恥どころか屈辱よ、これ! 死んでやるわ私っ」 「そこまで思い詰めなくてもぉ……ウソなのに」 「……はあ? ウソぉ?」 「めぐの考えてることぐらい、顔を見てれば直ぐに察しがつくわよぉ。 本当に、冷やかしがいのある、お馬鹿さんねぇ♪」 例によって、私はからかわれていたらしい。いつもいつも……やってくれるわね。 せめてもの御礼にと、水銀燈の頭に花瓶を投げ付けておいた。 それは、さておき。私の中では、更に別の疑問が生じていたわ。 水銀燈が、普通の人間とは異なる霊波動の持ち主と認識した、彼女のことよ。 (――薔薇水晶は、何者なの? なぜ、私の命を削り取っていたの?) 一年以上も親友として付き合ってきた私は、どうしても薔薇水晶に好意的な目を向けてしまう。 彼女が、私に危害を加えるなんて、考えられない。まして、命を奪うだなんて。 私にも水銀燈みたいな能力が備わっていれば、解るんだろうけど――私は、解りたくもない。 解ってしまう事は、必ずしも幸せじゃないって、知っているから。 昔の人は、よく言ったものね。『知らぬが仏』だなんて、さ。 独りで考えてても、同じところの堂々巡りで、答えが出せない。 私は、隣で目に涙を溜ながら頭のコブをさすっている水銀燈に、薔薇水晶の素性について問いかけた。 「ハッキリとは解らなかったけれどぉ」と、顎に指を当てながら、水銀燈は答えてくれたわ。 「あの娘、もの凄く禍々しい気配を放っていたわ。私ですら、背筋に震えが走るくらいにね。 あのまま付き纏われてたら、かなりヤバかったわよぉ」 「でも……彼女は、いつでも微笑みをくれたわ。天使のような、可愛らしくて素敵な笑顔を。 いつだって私の側に居てくれて、いつだって私を励ましてくれたのよ? それなのに――」 「…………あのねぇ、めぐ。腹に一物ある奴ほど、愛想よく近付いてくるものよ。 めぐを油断させるために顔で笑って、腹の底では黒々と嗤っていたのかもぉ」 「やめてっ!!」 水銀燈の言葉が胸に刺さって、痛い。私は両手で耳を塞いで目を瞑り、絶叫した。 これ以上、薔薇水晶を侮辱する言葉を聞きたくなかったから。 それ以上、水銀燈に罵詈雑言を吐いて欲しくなかったから。 「それでも、私は薔薇水晶を信じてるの! 彼女の笑顔に癒されてきたの! だから…………もう……止めてよ」 胸の奥から押し出される激情が、私の目から、涙を溢れさせた。 張り裂けそうな胸の痛みが、私の喉から、嗚咽を吐き出させた。 親友を弁護しきれない悔しさと、無力な自分への憤りと悲しみとが、綯い交ぜになった苦い感情。 あまりの苦さに舌が痺れて、私は続く言葉を失っていた。 両手で顔を覆い、子供の様に泣きじゃくる私の頭を、 「…………ごめんね、めぐ」 水銀燈は両腕で包み込み、柔らかな胸に導いてくれた。薔薇の指輪を通じて、慈しみの感情が流れ込んでくる。 彼女の冷たい胸の中で、私は思いっ切り、涙を流した。 少しでも、私の涙が彼女の温もりに変わればいいと祈りながら、声をあげて泣き続けた。 「……落ち着いたぁ?」 「ええ……なんだか、スッキリした」 こんなに泣き喚いたのは、久しぶりだった。だから、なのかな。 澱のように沈滞していた蟠りも、しがらみも、全てが綺麗サッパリ、涙に押し流されていた。 心機一転、明日を夢見る勇気を、取り戻せた気がするわ。 ならば早速、行動に移ろう。何もしない者に、後悔する権利は無いのだから。 「ねえ、水銀燈。一緒に、薔薇水晶を探しに行こう?」 こんな提案、即座に拒否されると思っていたけれど、水銀燈は意外にも賛成してくれた。 さっきは言い過ぎたと、彼女なりに反省して……るのかな? 「めぐが、そこまで信じてるなら、心底悪い奴じゃあないだろうって思ったのよ」 また、水銀燈は、私が訊くより早く言った。どうやら本当に、私って感情が顔に出やすいみたい。 今度から、気持ちを先読みされない様に、気を付けなくっちゃね。 探し回るに当たって、取り敢えず、水銀燈にはパジャマに着替えて貰った。 ただでさえ銀髪と美貌が人目を惹くのに、看護士の制服なんか着てたら、目立って仕方がないものね。 パジャマは、私と同じもの。三着ほど用意してあるスペアの一着を、貸してあげた。 これなら、少しは普通の患者に見えるでしょ。疑いの目を向ける者も、ぐっと減ってくれる筈だわ。 お揃いのパジャマ姿で、私と水銀燈は、薔薇水晶の探索を始めた。 胸が窮屈だとか、余計なコトを口走る彼女の脇腹に肘鉄砲を食らわせて、探索に集中させる。 ……が、病院という場所は思っている以上に千差万別の“気”が満ち溢れているらしく、 未だに本調子じゃない水銀燈は、かなり苦戦している様子だった。 「彼女の霊波動を辿るより、手分けして探した方が早いわねぇ」 「珍しいわね、水銀燈が弱音を吐くなんて」 「……弱音じゃなくて、提案よ。ホントにおバカさんなのねぇ。言葉は正しく使いなさいなぁ」 「はいはい。だったら、水銀燈は病棟を探して。私は、外を見てくるから」 ひと通り見回ったら、一階のロビーで落ち合おうと打ち合わせて、私たちは別れた。 エレベーターで下まで降りた私は、ロビーのソファに座って、ボ~っとテレビを見ている患者達を眺め回した。 そこに薔薇水晶が居ないことだけ確認して、ロビーを横切り、南に面した正面玄関から外に出る。 今朝は晴れていたのに、いつの間にか、空は厚い雲に覆われていた。降り出す前に、病棟を一周してこよう。 私は駐車場の脇を通って、病棟の裏手へと向かった。彼女がまだ帰ってなければ、そこに居る予感がしたから。 だって、あなたとひまわりを見に行く約束だものね。この近くで向日葵を植えているのは、北側の花壇だけよ。 曇天が、霧吹きを使い始めたらしい。 私の頬を細かい水滴が打ち、パジャマが湿気を帯びて重たくなっていく。 急がないと! 小走りに花壇を目指す私の目に、向日葵の前で佇む少女の姿が、飛び込んできた。 緩くウェーブのかかった長い髪。水晶を象った髪飾り。そして、白い肌。 間違いない、薔薇水晶だった。 「薔薇水晶っ!」 私は嬉々として彼女の名を呼び、駆け寄った。 約束の場所とは違うけど、それでも、二人だけの合い言葉を確かめ合いたかったから。 彼女が、いつもの微笑みを向けてくれると信じて、微塵も疑っていなかったわ。 でも、薔薇水晶は、ぼぉ……っと向日葵の蕾を見上げているだけ。 「よかったわ……怒って、もう帰っちゃったかと心配してたのよ」 間近で話しかけると漸く、私の方を向いてくれた。それも、人形のように、ぎこちない動作で。 彼女の頸が立てる、ぎぃぎぃという軋めきが聞こえた気がした。 綺麗に澄んでいた金色の瞳も、今は曇っていて、意志の輝きを感じさせない。 「ど……どうしたの? ねえ、ちょっと。ねえったらっ! 薔薇水晶っ!」 「…………」 私は、彼女の両肩を掴んで、激しく揺さぶった。途端、撥ね除けられる私の両腕。 薔薇水晶は、ビックリして身を竦ませた私の背後に素早く回り込んで、頸に左腕を巻き付かせてきた。 右腕を掴まれ、遠慮も手加減もなく後ろ手にねじ上げられた痛みで、私は呻いた。 「い、痛いっ! 何するのよっ!」 「……なに……するの?」 「ふざけないでっ!」 「……ふざけないで?」 薔薇水晶は薄ら笑いながら、おうむ返しに囁くだけ。 彼女の尋常ならざる態度に、私は寒気を覚えた。この娘は、私の知っている薔薇水晶じゃない。 おそらくは、水銀燈が感じたという、禍々しい気配を放っていた薔薇水晶なのだ。 私の恐怖を煽り立てるように、暗雲の中を光が走る。 続いて、お腹に響いてくる重低音。言わずもがなの雷鳴だ。 長く低く、空気を震わせる雷鳴の合間に、男性とおぼしい高い声が、もつれ合う私たちに話しかけてきた。 「よくやったぞ、薔薇水晶。そのまま捕まえておけよ」 「!? あ、貴方は――」 声のした方に眼を向けた私は、目を見開いて、呆気に取られてしまった。 向日葵を掻き分けて現れた、その人物は――夢で見た、小柄な青年だった。 「慈雲童子っ!?」 「くくっ……懐かしい響きだねえ。その名で呼ばれるのは、実に千二百年ぶりだよ。 今は、桜田ジュンと名乗っているんだけどな」 「桜田……ジュン?」 「また会えて嬉しいよ。柿崎めぐ――いや、夢占の巫女」 「巫女? 夢……占? なにを言ってるの?」 私には彼の言うことが理解できなくて、バカみたいに、彼の言葉を繰り返すだけだった。 そんな私に、絶え間なく嘲笑を送り続けてくる、桜田ジュン。 「何度も転生していながら、まだ、自分の能力には気付いてないのか。まあ、どうでもいいさ。 どうせ、もうすぐ君の能力は、僕のものになるんだからな。 さあ……左腕を伸ばせよ。僕の右手に、君の左手を重ね合わせるんだ」 彼の視線が、私の瞳を射抜く。私の左腕は、私の意志に反して、ゆっくりと上がり始めた。 「千二百年前は、あと少しのところで邪魔されたけれど、今度こそ夢占の能力を貰い受けるぜ」 能力を奪われる事が、どういう結果を招くのか、私には解らない。 それ以前に、頭がぼぅっとして、深く物事を考えられなくなっていた。 目の前が暗転していく。なんだか、とても眠くなっていく。 私の意識は、奈落へと落ちていった。地の底から、誰かの声が聞こえた――気がした。 ――気が付けば、私は土の上に跪いていた。煌びやかな十二単が、泥にまみれている。 周囲には、横倒しになった牛車や、衛士たちが倒れていた。 死んでいるのか、ピクリとも動かない。 そして……目の前には、慈雲を取り囲む、三人の娘たちが居た。 水銀燈と、翠星石、蒼星石の姉妹だ。三人とも、満身創痍だった。 中央に立つ慈雲は、着衣が破れるどころか、乱れてもいないというのに。 「お前たちも、なかなか頑張るなあ。それだけは誉めてやるよ」 慈雲が、両手で見たこともない印を結び、 「だけど…………そろそろ終わりにしてやる」 「くぅっ! うわぁっ!」 「蒼星石っ?! ひゃぁうっ!」 腕を払っただけで、蒼星石と翠星石は宙に巻き上げられ、地面に叩き付けられた。 身じろぎもせず横たわる二人の周りに、赤黒い液体が、ゆるゆると広がっていく。 そして、私がこの世の誰より1番大切に想っている、水銀燈は―― 雷の刃による、電光石火の斬撃で、細い頸を……断ち切られていた。 「い…………嫌ああああああああぁっ!!!!」 これは、夢。全ては、午睡の夢。現実の私は牛車に揺られて、うたた寝しているだけ。 目を覚ませば、私の前には水銀燈の優しい笑顔がある。 そう思い込もうとした。思い込んで、夢から覚めようとした。 けれど、夢は終わらない。悪夢のような現実が、淡々と続いてゆくだけ。 見たくない事実なのに、涙で曇った目を逸らすことが出来ない。 「あ…………あああ……」 水銀燈の首が、驚愕の表情を貼り付かせたまま、温かい血を流しながら私の方に転がってくる。 まるで、死して尚、私の元へ駆けつけようとしているみたい。 私は泣きながら必死に這いずって、彼女の首に近付き、両腕を伸ばして拾い上げようとした。 その手が、横から無遠慮に伸びてきた男の手に掴まれる。 「次は、君の番だよ」 「ひぃっ!」 喉の奥から漏れた空気が、情けない悲鳴に変わる。 怯え、竦み上がった私を見下ろし、慈雲は嗜虐的に唇を歪めた。 「そんなに怖がらなくてもいいだろう? 安心しろよ。僕が欲しいのは、君の能力だけだ。 用さえ済めば、君も友人たちの元へ送ってあげるから」 「……い……いや」 慈雲のソレは、れっきとした殺人予告。私は、今日、ここで死ぬ。鬼の手で、惨たらしく殺されるのだ。 そう思うと、恐くて、怖くて――身体の震えが止まらなかった。 誰か……誰か、助けて! 心に浮かぶ言葉は、それだけだった。 その間にも、慈雲は常人を凌駕する腕力で、私の左腕を引っ張り続ける。 慈雲の開かれた右手に、私の左手は無理矢理、近付けられていく。 どれだけ抗っても、女の細腕では、引き戻すことすら出来なかった。 このままでは、私の全てが奪われてしまう。恋人も、親友も、自分の能力すらも、全てが。 「ははははっ。もうすぐだ! もうすぐ、僕は夢占の巫女の能力を得る! そして、僕は神になる!」 「嫌っ! こんなの…………だ、めぇっ!」 歯を食いしばって、最後の抵抗を試みようとした矢先、生々しい音と共に、私の左腕は解放された。 勢い余って尻餅をついた私が目を開くと、肘の辺りから切断された腕が、どす黒い血を垂れ流していた。 それは紛れもなく、慈雲の左腕。私の左腕を掴んだまま、ぶら下がっていたのだ。 肌に食い込むほど握りしめられた指を一本ずつ開いて、漸く、慈雲の腕を外すことが出来た。 「その娘から離れなさい! 汚らわしい邪鬼め」 凛とした声が、場の空気を支配した。私は慈雲の左腕を投げ捨てながら、声の主へと顔を向けた。 慈雲と対峙していたのは、水晶の剣を手にした、隻眼の娘……薔薇水晶だった。 腕を切断されて、流石の慈雲も戦意喪失するものと思いきや―― 「ふんっ。お前ごとき落魄した輩が、僕を愚弄するのか。身の程を弁えろよ」 慈雲は、これ見よがしに左腕を掲げた。切断された肘から先が、見る見るうちに再生していく。 「薔薇水晶…………お前はもう、夢占の巫女を守護する霊獣じゃあない。 強大な力を得ようと焦るあまり、浅はかにも、僕の忠実な傀儡に身を窶したんだ。そうだろう?」 にたりと、慈雲が下品に頬を弛めた直後、薔薇水晶は剣を取り落として、苦しげに呻きだした。 彼女が両手で掻きむしって、露わになった胸元には、奇妙な物体が蠢いていた。 広げた手ほどの大きさで、人のカタチをした、不気味な腫瘍が……。
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/675.html
翠星石「さ、今日の授業はスコーン作りに挑戦ですぅ!みんな、せいぜい頑張りやがれですぅ♪」 その声と共に、沸き立つ家庭科室。しかし、その理由は調理実習だからというものだけではなかった。 女子A「先生…。何で、水銀燈先生がここにいらっしゃるんですか?しかも、エプロンまで付けて…。」 翠星石「ん?何か、この辺にある店のメニューのほとんどを制覇しちまったから、今日は自分で作るらしいですぅ♪ま、ほっときやがれですぅ♪」 その声に、さらに沸き立つ男子一同。それを見て、翠星石は思わずほくそ笑んだ。 そう、これでいい…この調理実習と、水銀燈の頼みをわざわざ聞いてやったという寛容な心に皆は感動して、この翠星石の人気はさらにUPするはず…。 そして、今年も『生徒が選ぶ、尊敬する先生ランキング』の1位になってやる…! そんなことを考えながら、スコーンの材料を用意する翠星石。 しかし、生徒の心はそんな単純なものではなかった。 女子B「水銀燈先生…これ、何ですかー?」 水銀燈「んー?アスパラとエビのキッシュよぉ…。で、こっちがポットパイって言って、パイの中にシチューをいれたやつでぇ…今そこで冷やしてるのがヨーグルトのムースよぉ。」 手際よく作業をこなしながら、ぶっきらぼうにそう説明する水銀燈。 その腕は、家庭科担当である翠星石に勝るとも劣らないのものであった。 男子たちは、その普段見れない水銀燈の一面に心を奪われ、女子たちもその料理の美しさに、思わず目を奪われた。 その光景に、水銀燈本人も心を良くしたのか、思わず作業にのめりこんでしまう。 そして、あることに気がつき、こう言った。 水銀燈「…ちょっと多く作りすぎちゃったわね…。誰か食べるぅ?あと、生地も余ってるから、欲しい人は勝手に持っていきなさぁい。」 その声に、さらに群がる一同。 もはやそこに、翠星石の出番は無かった。 雛苺「それにしても、水銀燈は凄いね…。何でも出来ちゃうの…!」 授業を終え、食堂でしきりに水銀燈を褒める雛苺に対し、翠星石は未だにふくれっ面のままだった。 それを心配して、雛苺は翠星石に優しく声をかけた。 雛苺「翠星石…大丈夫?」 翠星石「…別に翠星石は、水銀燈の事なんてお構いなしのへーきのへーざですけどー…ちったー、翠星石のメンツというものも考えて欲しいですかもぉー…」 イライラした様子で翠星石はそう答えると、気晴らしに金糸雀とゲームでもしようと職員室へと向かった。 しかし、そこで翠星石はとんでもないものを見てしまった。 翠星石「な、何ですか!?この人だかりは!?」 翠星石の目に映ったもの…それは、水銀燈の周りに集まる女子生徒たちの姿だった。 翠星石「おい…これはどういうことですぅ!?おめーら、前の生徒会選挙の時、散々水銀燈に罵声を浴びせてたじゃねぇですか!?何でこんな事になってるですぅ!?」 集まっている女子の何名かを捕らえると、翠星石は事の真相を問いただした。 それに対し、生徒たちはこう言った。 女子C「だって…よーく考えれば、水銀燈先生ならいつやってもおかしく無い事件だったし…」 女子D「そうそう、むしろよく今まで耐えたって感じですし…」 女子E「それに、あれだけのことが出来るんだから、それだけ男の気持ちとか恋愛事情とかに詳しいってことだと思うんですよ。だから、ちょっと相談に…」 女子F「あと、飽きちゃった本とかCDとかを売りにいくのが面倒くさいらしくって、それを気前良くくれるんですもん♪」 そう笑顔で答える生徒たち。 水銀燈本人はといえば、あまり経験したこと無い事に多少戸惑ってはいたが、悪い気はしていないらしい。 その時、その中の女子の1人が、こんなことを水銀燈に聞いた。 女子F「せんせーい、倖田來未の新譜とかってまだあったりしますー?」 水銀燈「倖田來未?ああ…それなら、3年A組のGって子にあげちゃったわよぉ?だから、その子に貸してもらいなさぁい。」 女子F「えー…。私、あの子苦手なんだよなー…」 水銀燈「何言ってるのぉ。ちょっと内気だけど、根はいい子よぉ?それに、趣味が絵を描くことって言ってたから、あなたと合うんじゃなぁい?」 女子F「…へー、そうなんだ…。じゃあ、ちょっと行ってこようかな…。あ、先生!ありがとうございます!」 水銀燈にとっては、それはなんでもない行為だったのかもしれない。 しかしこの対応を見て、他の生徒たちが水銀燈に向けて何か尊敬にも似た視線を送っているのが翠星石には分かった。 翠星石「…きぃぃぃぃぃ…!」 そう怒りをあらわにすると、翠星石は何かを取りに倉庫へと向かった。 翠星石「あった…!これです!これですよ!!」 洗車用の高圧ジェットホースを手に、翠星石は思わず歓声をあげた。 確かこの後、水銀燈はお昼寝タイムのはず…ならそこで一気に… そんなことを考えながら、翠星石はこう呟いた。 翠星石「…こうなったら全面戦争ですぅ!!私を怒らせるとどうなるか、たっぷり教えてやるですぅ!!」 …しかし、翠星石は忘れていた。 高校生の時、水銀燈がいじめにあっていた頃、彼女はその関係者一同を逆にいじめ返し、もれなく転校や自主退学にまで追い込んだこと… その後、彼女が『ゲーム』と称した『無差別いじめ』に自分も標的にされ、相当悩んでいたこと… そして、そんな強大な力を持つ彼女が、例の『学校のっとり未遂事件』のせいで薔薇水晶の監視下にあり、長らくストレスの発散が出来ていなかったことを… 手近な蛇口にホースをセットすると、保健室で就寝中の水銀燈の顔でめがけて、翠星石は勢いよく水を発射した。 そして数十秒後…彼女の悲鳴が、学校中にこだました。 蒼星石「何!?今の悲鳴は!?」 親友の悲鳴にいち早くその場に到着すると、そこには全身ずぶ濡れの水銀燈と、それに引きずられて泣き叫ぶ翠星石の姿があった。 相当派手にやられたようで、翠星石のスーツの袖の片方は剥ぎ取られ、頭も酷い有様になっている。 蒼星石「す、水銀燈!何をされたのか大体検討がつくし、気持ちも分かるけど、もうこれだけやったら十分だろ!?許してあげなよ!?ね!?」 水銀燈「許す?何言ってるのぉ?私は翠星石の夢を叶えてあげようとしてるだけよぉ?」 蒼星石「ゆ…夢って…?」 水銀燈「ん~?なんかこの子、みんなの人気者になりたいんですって。だから、その願いを叶えてあげようと思ったの♪」 蒼星石「…翠星石…君って人は何て馬鹿なことを…。で、どうする気だったの…?」 水銀燈「簡単よぉ…。みんなの前で裸にしちゃえばいいだけだもぉん…♪よかったわねぇ翠星石…みんなにかわいがってもらえるわよぉ?」 その言葉に、なおいっそうの悲鳴をあげる翠星石。もはや、その顔も涙や鼻水まみれになっている。 その後、蒼星石は遅れて到着した真紅、薔薇水晶、そして雪華綺晶の力を借り、4人がかりで水銀燈を落ち着かせると、事の真相を問いただした。 翠星石「だって…水銀燈が姑息な手を使って生徒たちの人気を独り占めにしてて…それが翠星石には羨ましかったんですぅ…」 氷嚢で殴られた頭を冷やしながら、伏し目がちに翠星石はそう答えた。 それに対し、水銀燈は冷ややかな視線を送りながら、こう言った。 水銀燈「馬鹿じゃない?そんな事考えてやってても、続くわけないでしょう?何か貰えるのならまだしも、何でこの私が生徒に気を使わなきゃいけないのよ?」 翠星石「え…じゃあ、あれは…」 ふぅ…とため息をつくと、水銀燈はこう返した。 水銀燈「…ま、私を倒したいと思うのなら、いつでもかかってきなさぁい。方法はあなたに任せるわぁ…。つまり、あなたがマトモな方法で勝負を挑んでくるのなら、私もそれに合わせてあげる。でも…」 翠星石「…で、でも…?」 水銀燈「それ以外なら…私のやり方で、かわいがってあげる…♪」 その言葉に、思わず震え上がる翠星石。 以来、彼女は水銀燈には手を出すことを控え、授業の内容に集中するようになった。 そして、そんな翠星石の生徒への考えが教師の皆に知れると、彼女らも気持ちを引き締め直し、授業や学校行事に力を入れるようになった。 こうして、多少遠回りにはなってしまったが、学園には一応の平和が訪れた。 その平和は、もろく壊れやすいものではあったが、生徒たちはいつまでもその喜びを享受したという。 完 [ このシリーズ一覧 ] 2つの力 闇の住人 穏健派の逆襲 愚者の苦悩 死の誘惑と黒き天使