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夢の内容について、水銀燈と話を付き合わせてみると、同じ場面を見ていたことが明らかになった。 唯一の違いは、視点。私と、彼女は、別個の視点で、あの状況を観察していたの。 私の夢が、指輪を介して水銀燈に流れ込んでいるのだとしたら、私の視点を共有している筈なのにね。 別個の視点の存在とは即ち、彼女もまた別の人物として、私の夢に登場していた事を意味した。 水銀の君として――――ね。 「どうやら……めぐと私には、浅からぬ縁があるみたいねぇ」 「夢の導くままに見た光景が、本当に、私の前世の記憶だとしたらだけど」 あまりにも突飛な発想だから、俄には信じがたい。たま~に、そんな話を聞くけれど、ホントかしら。 前世の記憶って、身体が失われた時点で、消えちゃうモノなんじゃないの? 私なりの考えを伝えると、水銀燈は、 「柩は書庫に成り得ない。その逆ならば、あり得るけどぉ」 と、目を細めた。いきなり、抽象的なことを言われても困る。 眉を顰めた私を見て、水銀燈は愉快そうに、ころころと笑い出した。 なんだか馬鹿にされてるみたいでムカついたので、私は無い知恵を絞って考えた。 これで熱でも出たら、水銀燈のせいなんだからね。 「要するに、この身体は魂の入れ物でしかなくて、魂こそが記憶の保管場所だって言うの?」 「あらぁ……おばかさんにしては、察しが良いじゃなぁい」 「貴女って、いつも一言、余計よね。そんな態度じゃ、誰からも嫌われちゃうわよ」 言われっぱなしじゃ悔しいから、時速150キロの皮肉を叩き付けてやった。 でも、概念は把握できた……気がする。パソコンに置き換えてみれば、肉体はHDDとか、 CDRWやDVD-Rみたいな大容量の記憶媒体で、霊魂はSRAMやDRAMなんじゃないかしら。 その中でも、本当に重要な記憶だけがDRAMに残され、“死”というシャットダウンでも消えず、 日常生活で利用頻度の高い記憶は、揮発性のSRAMに記録されているからリセットされてしまう――と。 水銀燈と出会って、この指輪を嵌めてから……私は、過去の記憶を夢に見始めた。 そして、前世の私は、彼女に対して並々ならぬ感情を抱いていたことを知った。 これってつまり、魂に記憶されるほど、私にとって彼女が重要で、大切な存在だったことの証拠よね。 (千年を隔てても、色褪せない記憶【想い】かぁ……正に、愛は永遠の夢なのね) 私は、しみじみと左手の薬指に癒着している薔薇の指輪を見つめた。 このデバイスによって、私と水銀燈は、お互いが持っている様々な情報を共有できる。 水銀燈に私の精気を供与するだけの、一方通行な物かと思っていたけれど、意外に多機能みたい。 要は、数多の性能を生かすも殺すも、使い方次第ってコトね。 「貴女のこと――昔みたいに、水銀の君って呼んだ方が良いのかな」 「水銀燈で良いわよ。格式張った呼ばれ方されると、背中がむず痒いわぁ」 私の憎まれ口を受けて憮然としていた水銀燈は、鼻先でせせら笑った。 まあ、そうよね。今の時代に『~の君』なんて呼称は、そぐわないし。 それに、私は名前で呼んであげたいもの。親しみを込めて、彼女の名前を―― 「ねえ、水銀燈。貴女はどうして、この病院に居たの? ひょっとして――私を探してくれてた?」 「…………さぁね。私、めぐに会うまでの記憶が、はっきりしないのよ。 指輪を通して、めぐの夢を見るようになってから、徐々に思い出してきてるけど、 どうして死んだのかも憶えてないわぁ」 「そうなんだ……ざぁんねん。ちょっと、期待してたんだけどなぁ」 貴女を想うあまり死んでも死にきれず、亡霊となって彷徨っていた―― なんてドキドキすること言われてみたかったけど、そんな話は身勝手な幻想よね。 あれ? でも……ちょっと待って。 自分の死因すら解らない人が、どうして薔薇水晶のことを、疫病神だなんて言えるの? 私の胸裏で、ひとつの疑惑が浮かび上がった。 (まさか――水銀燈は、厄介払いする為だけに薔薇水晶を貶めた?) だとしたら、許せない。たとえ水銀燈でも、絶対に。 もし訊ねたら、彼女はどんな顔をして、どんな弁明をするのかしら……。 心の奥底で、水銀燈を信じたいと思いながらも、一旦芽生えた疑心は簡単に拭えなかった。 すると―― 「ふ……それこそ『まさか』だわぁ。これでも、私は鬼の血を引く陰陽師よ。 私の紅い瞳は、堕天の逆十字を背負いし者の霊波動を見逃したりしないわ」 水銀燈は自分の眼を指差しながら、事も無げに答えをくれた。 真剣に考えていた私が、優に十秒間は呆気にとられてしまうほど、アッサリと。 もしかして、気付かない内に声に出てたのかしら。いやいや、そんな筈ない……と思う。 「どうして、私の考えてる事が解ったの?」 「勿論、その指輪から、めぐの考えが流れ込んできたに決まってるじゃなぁい」 「ちょっ!? それ、ホント?」 冗談じゃないわ! 私のプライバシーは、どうなるのよっ! お腹すいたとか、トイレ行きたいとか、全て水銀燈に筒抜けって事でしょ。 それに…………水銀燈への想いも……。 「嫌ぁぁっ! 殺してっ! いっそ殺してぇっ!」 「ち、ちょっと、めぐ。落ち着きなさいよぅ」 「落ち着けるわけ無いでしょ! 羞恥どころか屈辱よ、これ! 死んでやるわ私っ」 「そこまで思い詰めなくてもぉ……ウソなのに」 「……はあ? ウソぉ?」 「めぐの考えてることぐらい、顔を見てれば直ぐに察しがつくわよぉ。 本当に、冷やかしがいのある、お馬鹿さんねぇ♪」 例によって、私はからかわれていたらしい。いつもいつも……やってくれるわね。 せめてもの御礼にと、水銀燈の頭に花瓶を投げ付けておいた。 それは、さておき。私の中では、更に別の疑問が生じていたわ。 水銀燈が、普通の人間とは異なる霊波動の持ち主と認識した、彼女のことよ。 (――薔薇水晶は、何者なの? なぜ、私の命を削り取っていたの?) 一年以上も親友として付き合ってきた私は、どうしても薔薇水晶に好意的な目を向けてしまう。 彼女が、私に危害を加えるなんて、考えられない。まして、命を奪うだなんて。 私にも水銀燈みたいな能力が備わっていれば、解るんだろうけど――私は、解りたくもない。 解ってしまう事は、必ずしも幸せじゃないって、知っているから。 昔の人は、よく言ったものね。『知らぬが仏』だなんて、さ。 独りで考えてても、同じところの堂々巡りで、答えが出せない。 私は、隣で目に涙を溜ながら頭のコブをさすっている水銀燈に、薔薇水晶の素性について問いかけた。 「ハッキリとは解らなかったけれどぉ」と、顎に指を当てながら、水銀燈は答えてくれたわ。 「あの娘、もの凄く禍々しい気配を放っていたわ。私ですら、背筋に震えが走るくらいにね。 あのまま付き纏われてたら、かなりヤバかったわよぉ」 「でも……彼女は、いつでも微笑みをくれたわ。天使のような、可愛らしくて素敵な笑顔を。 いつだって私の側に居てくれて、いつだって私を励ましてくれたのよ? それなのに――」 「…………あのねぇ、めぐ。腹に一物ある奴ほど、愛想よく近付いてくるものよ。 めぐを油断させるために顔で笑って、腹の底では黒々と嗤っていたのかもぉ」 「やめてっ!!」 水銀燈の言葉が胸に刺さって、痛い。私は両手で耳を塞いで目を瞑り、絶叫した。 これ以上、薔薇水晶を侮辱する言葉を聞きたくなかったから。 それ以上、水銀燈に罵詈雑言を吐いて欲しくなかったから。 「それでも、私は薔薇水晶を信じてるの! 彼女の笑顔に癒されてきたの! だから…………もう……止めてよ」 胸の奥から押し出される激情が、私の目から、涙を溢れさせた。 張り裂けそうな胸の痛みが、私の喉から、嗚咽を吐き出させた。 親友を弁護しきれない悔しさと、無力な自分への憤りと悲しみとが、綯い交ぜになった苦い感情。 あまりの苦さに舌が痺れて、私は続く言葉を失っていた。 両手で顔を覆い、子供の様に泣きじゃくる私の頭を、 「…………ごめんね、めぐ」 水銀燈は両腕で包み込み、柔らかな胸に導いてくれた。薔薇の指輪を通じて、慈しみの感情が流れ込んでくる。 彼女の冷たい胸の中で、私は思いっ切り、涙を流した。 少しでも、私の涙が彼女の温もりに変わればいいと祈りながら、声をあげて泣き続けた。 「……落ち着いたぁ?」 「ええ……なんだか、スッキリした」 こんなに泣き喚いたのは、久しぶりだった。だから、なのかな。 澱のように沈滞していた蟠りも、しがらみも、全てが綺麗サッパリ、涙に押し流されていた。 心機一転、明日を夢見る勇気を、取り戻せた気がするわ。 ならば早速、行動に移ろう。何もしない者に、後悔する権利は無いのだから。 「ねえ、水銀燈。一緒に、薔薇水晶を探しに行こう?」 こんな提案、即座に拒否されると思っていたけれど、水銀燈は意外にも賛成してくれた。 さっきは言い過ぎたと、彼女なりに反省して……るのかな? 「めぐが、そこまで信じてるなら、心底悪い奴じゃあないだろうって思ったのよ」 また、水銀燈は、私が訊くより早く言った。どうやら本当に、私って感情が顔に出やすいみたい。 今度から、気持ちを先読みされない様に、気を付けなくっちゃね。 探し回るに当たって、取り敢えず、水銀燈にはパジャマに着替えて貰った。 ただでさえ銀髪と美貌が人目を惹くのに、看護士の制服なんか着てたら、目立って仕方がないものね。 パジャマは、私と同じもの。三着ほど用意してあるスペアの一着を、貸してあげた。 これなら、少しは普通の患者に見えるでしょ。疑いの目を向ける者も、ぐっと減ってくれる筈だわ。 お揃いのパジャマ姿で、私と水銀燈は、薔薇水晶の探索を始めた。 胸が窮屈だとか、余計なコトを口走る彼女の脇腹に肘鉄砲を食らわせて、探索に集中させる。 ……が、病院という場所は思っている以上に千差万別の“気”が満ち溢れているらしく、 未だに本調子じゃない水銀燈は、かなり苦戦している様子だった。 「彼女の霊波動を辿るより、手分けして探した方が早いわねぇ」 「珍しいわね、水銀燈が弱音を吐くなんて」 「……弱音じゃなくて、提案よ。ホントにおバカさんなのねぇ。言葉は正しく使いなさいなぁ」 「はいはい。だったら、水銀燈は病棟を探して。私は、外を見てくるから」 ひと通り見回ったら、一階のロビーで落ち合おうと打ち合わせて、私たちは別れた。 エレベーターで下まで降りた私は、ロビーのソファに座って、ボ~っとテレビを見ている患者達を眺め回した。 そこに薔薇水晶が居ないことだけ確認して、ロビーを横切り、南に面した正面玄関から外に出る。 今朝は晴れていたのに、いつの間にか、空は厚い雲に覆われていた。降り出す前に、病棟を一周してこよう。 私は駐車場の脇を通って、病棟の裏手へと向かった。彼女がまだ帰ってなければ、そこに居る予感がしたから。 だって、あなたとひまわりを見に行く約束だものね。この近くで向日葵を植えているのは、北側の花壇だけよ。 曇天が、霧吹きを使い始めたらしい。 私の頬を細かい水滴が打ち、パジャマが湿気を帯びて重たくなっていく。 急がないと! 小走りに花壇を目指す私の目に、向日葵の前で佇む少女の姿が、飛び込んできた。 緩くウェーブのかかった長い髪。水晶を象った髪飾り。そして、白い肌。 間違いない、薔薇水晶だった。 「薔薇水晶っ!」 私は嬉々として彼女の名を呼び、駆け寄った。 約束の場所とは違うけど、それでも、二人だけの合い言葉を確かめ合いたかったから。 彼女が、いつもの微笑みを向けてくれると信じて、微塵も疑っていなかったわ。 でも、薔薇水晶は、ぼぉ……っと向日葵の蕾を見上げているだけ。 「よかったわ……怒って、もう帰っちゃったかと心配してたのよ」 間近で話しかけると漸く、私の方を向いてくれた。それも、人形のように、ぎこちない動作で。 彼女の頸が立てる、ぎぃぎぃという軋めきが聞こえた気がした。 綺麗に澄んでいた金色の瞳も、今は曇っていて、意志の輝きを感じさせない。 「ど……どうしたの? ねえ、ちょっと。ねえったらっ! 薔薇水晶っ!」 「…………」 私は、彼女の両肩を掴んで、激しく揺さぶった。途端、撥ね除けられる私の両腕。 薔薇水晶は、ビックリして身を竦ませた私の背後に素早く回り込んで、頸に左腕を巻き付かせてきた。 右腕を掴まれ、遠慮も手加減もなく後ろ手にねじ上げられた痛みで、私は呻いた。 「い、痛いっ! 何するのよっ!」 「……なに……するの?」 「ふざけないでっ!」 「……ふざけないで?」 薔薇水晶は薄ら笑いながら、おうむ返しに囁くだけ。 彼女の尋常ならざる態度に、私は寒気を覚えた。この娘は、私の知っている薔薇水晶じゃない。 おそらくは、水銀燈が感じたという、禍々しい気配を放っていた薔薇水晶なのだ。 私の恐怖を煽り立てるように、暗雲の中を光が走る。 続いて、お腹に響いてくる重低音。言わずもがなの雷鳴だ。 長く低く、空気を震わせる雷鳴の合間に、男性とおぼしい高い声が、もつれ合う私たちに話しかけてきた。 「よくやったぞ、薔薇水晶。そのまま捕まえておけよ」 「!? あ、貴方は――」 声のした方に眼を向けた私は、目を見開いて、呆気に取られてしまった。 向日葵を掻き分けて現れた、その人物は――夢で見た、小柄な青年だった。 「慈雲童子っ!?」 「くくっ……懐かしい響きだねえ。その名で呼ばれるのは、実に千二百年ぶりだよ。 今は、桜田ジュンと名乗っているんだけどな」 「桜田……ジュン?」 「また会えて嬉しいよ。柿崎めぐ――いや、夢占の巫女」 「巫女? 夢……占? なにを言ってるの?」 私には彼の言うことが理解できなくて、バカみたいに、彼の言葉を繰り返すだけだった。 そんな私に、絶え間なく嘲笑を送り続けてくる、桜田ジュン。 「何度も転生していながら、まだ、自分の能力には気付いてないのか。まあ、どうでもいいさ。 どうせ、もうすぐ君の能力は、僕のものになるんだからな。 さあ……左腕を伸ばせよ。僕の右手に、君の左手を重ね合わせるんだ」 彼の視線が、私の瞳を射抜く。私の左腕は、私の意志に反して、ゆっくりと上がり始めた。 「千二百年前は、あと少しのところで邪魔されたけれど、今度こそ夢占の能力を貰い受けるぜ」 能力を奪われる事が、どういう結果を招くのか、私には解らない。 それ以前に、頭がぼぅっとして、深く物事を考えられなくなっていた。 目の前が暗転していく。なんだか、とても眠くなっていく。 私の意識は、奈落へと落ちていった。地の底から、誰かの声が聞こえた――気がした。 ――気が付けば、私は土の上に跪いていた。煌びやかな十二単が、泥にまみれている。 周囲には、横倒しになった牛車や、衛士たちが倒れていた。 死んでいるのか、ピクリとも動かない。 そして……目の前には、慈雲を取り囲む、三人の娘たちが居た。 水銀燈と、翠星石、蒼星石の姉妹だ。三人とも、満身創痍だった。 中央に立つ慈雲は、着衣が破れるどころか、乱れてもいないというのに。 「お前たちも、なかなか頑張るなあ。それだけは誉めてやるよ」 慈雲が、両手で見たこともない印を結び、 「だけど…………そろそろ終わりにしてやる」 「くぅっ! うわぁっ!」 「蒼星石っ?! ひゃぁうっ!」 腕を払っただけで、蒼星石と翠星石は宙に巻き上げられ、地面に叩き付けられた。 身じろぎもせず横たわる二人の周りに、赤黒い液体が、ゆるゆると広がっていく。 そして、私がこの世の誰より1番大切に想っている、水銀燈は―― 雷の刃による、電光石火の斬撃で、細い頸を……断ち切られていた。 「い…………嫌ああああああああぁっ!!!!」 これは、夢。全ては、午睡の夢。現実の私は牛車に揺られて、うたた寝しているだけ。 目を覚ませば、私の前には水銀燈の優しい笑顔がある。 そう思い込もうとした。思い込んで、夢から覚めようとした。 けれど、夢は終わらない。悪夢のような現実が、淡々と続いてゆくだけ。 見たくない事実なのに、涙で曇った目を逸らすことが出来ない。 「あ…………あああ……」 水銀燈の首が、驚愕の表情を貼り付かせたまま、温かい血を流しながら私の方に転がってくる。 まるで、死して尚、私の元へ駆けつけようとしているみたい。 私は泣きながら必死に這いずって、彼女の首に近付き、両腕を伸ばして拾い上げようとした。 その手が、横から無遠慮に伸びてきた男の手に掴まれる。 「次は、君の番だよ」 「ひぃっ!」 喉の奥から漏れた空気が、情けない悲鳴に変わる。 怯え、竦み上がった私を見下ろし、慈雲は嗜虐的に唇を歪めた。 「そんなに怖がらなくてもいいだろう? 安心しろよ。僕が欲しいのは、君の能力だけだ。 用さえ済めば、君も友人たちの元へ送ってあげるから」 「……い……いや」 慈雲のソレは、れっきとした殺人予告。私は、今日、ここで死ぬ。鬼の手で、惨たらしく殺されるのだ。 そう思うと、恐くて、怖くて――身体の震えが止まらなかった。 誰か……誰か、助けて! 心に浮かぶ言葉は、それだけだった。 その間にも、慈雲は常人を凌駕する腕力で、私の左腕を引っ張り続ける。 慈雲の開かれた右手に、私の左手は無理矢理、近付けられていく。 どれだけ抗っても、女の細腕では、引き戻すことすら出来なかった。 このままでは、私の全てが奪われてしまう。恋人も、親友も、自分の能力すらも、全てが。 「ははははっ。もうすぐだ! もうすぐ、僕は夢占の巫女の能力を得る! そして、僕は神になる!」 「嫌っ! こんなの…………だ、めぇっ!」 歯を食いしばって、最後の抵抗を試みようとした矢先、生々しい音と共に、私の左腕は解放された。 勢い余って尻餅をついた私が目を開くと、肘の辺りから切断された腕が、どす黒い血を垂れ流していた。 それは紛れもなく、慈雲の左腕。私の左腕を掴んだまま、ぶら下がっていたのだ。 肌に食い込むほど握りしめられた指を一本ずつ開いて、漸く、慈雲の腕を外すことが出来た。 「その娘から離れなさい! 汚らわしい邪鬼め」 凛とした声が、場の空気を支配した。私は慈雲の左腕を投げ捨てながら、声の主へと顔を向けた。 慈雲と対峙していたのは、水晶の剣を手にした、隻眼の娘……薔薇水晶だった。 腕を切断されて、流石の慈雲も戦意喪失するものと思いきや―― 「ふんっ。お前ごとき落魄した輩が、僕を愚弄するのか。身の程を弁えろよ」 慈雲は、これ見よがしに左腕を掲げた。切断された肘から先が、見る見るうちに再生していく。 「薔薇水晶…………お前はもう、夢占の巫女を守護する霊獣じゃあない。 強大な力を得ようと焦るあまり、浅はかにも、僕の忠実な傀儡に身を窶したんだ。そうだろう?」 にたりと、慈雲が下品に頬を弛めた直後、薔薇水晶は剣を取り落として、苦しげに呻きだした。 彼女が両手で掻きむしって、露わになった胸元には、奇妙な物体が蠢いていた。 広げた手ほどの大きさで、人のカタチをした、不気味な腫瘍が……。
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小学生の頃だろうか、幼い水銀燈はクリスマスに買ってもらったギターを抱えて、音を出そうとするが、どうも納得がいかない。 「お兄ぃちゃんみたいな音、出ぇへんよぉ~?」 「そら、しゃーないわ、水銀燈のはオモチャのギターやからなッ」 「えぇ~、私もお兄ぃちゃんみたいなギター欲しいぃ~~」 そう言いながら兄のギターに手を伸ばす水銀燈。 その指先がギターに届く前にさっと取り上げられる。 「アカン、アカン。これは高いんやでぇ、お兄ちゃんバイトして買ったんや、触ったらアカンで」 「いややぁ~、私も音が出るギター欲しいぃ~~」 泣き出しそうな顔をする水銀燈に兄はポリポリと頭をかきながら 「ふぅ、しゃーないな、ちょっとだけ弾かせたるわ」 そう言いながらギターを水銀燈に持たせる。 思った以上に重量があるギターにヨロッとバランスを崩しそうになる。 それでもしっかり抱きかかえた水銀燈は目を輝かせた。 鉄の線が6本、何か分からないスイッチがある、そして意味が分からない鉄の棒がブラブラしている。 「これ、何なん?」 「これはアームっちゅーヤツや」 「アームぅ?」 「まぁ、まだ水銀燈には説明してもムリやろ」 「うぅ~~ん……」 兄の言葉に少しムキになったのか水銀燈は見よう見まねで弦を弾いてみる。 ポンッ、ビンッ、ポッポロ~~ン 「違うやん、お兄ちゃんみたいな音が出ぇへんよぉ~?」 「あたりまえやッ、そんな簡単にいく訳ないわ、ちょっと貸してみッ」 そう言いながらギターを手にし、得意の曲を弾き出す。 左指が上下左右に動き出す、ピックが弦に当たると、水銀燈の目は大きく開かれる。 まさに魔法にでもかかったように兄が弾くギターと、そのメロディーに幼い水銀燈の胸は熱くなった。 「凄いやんッ、お兄ちゃん、コレなんて歌ぁ?」 「これはパナマって曲や」 「ぱなま?」 「そうや、パナマや、VAN HALENっていうバンドの曲やでぇ~、 お兄ちゃん、そのバンドが大好きなんや、そのギタリストがもってるギターがこのギターなんやでぇ~」 「凄いな、お兄ちゃんヴァン・ヘレーと同じギター持ってるんやなぁ~」 「ヘレーちゃうでぇ、ヘイレンやで!それにコレは丸っきり本物とはちゃうけどな」 「そうなん? せやけど私、そのギター好きやでぇ~、ヴァン・ヘレーも好きになったわぁ~」 「せやからヘレーちゃうちゅうねんッ!まぁエエわ、水銀燈が好きになったんやったら明日、何か曲教えたるわ」 「ホンマぁ~、教えてくれるん?絶対ぃ?」 「あぁ、ウソは言わへん、教えたるから今日は早ょ寝ぇ~水銀燈」 「うん、私、寝るから明日は絶対に教えてもらうでぇ~~」 ……明日はヴァン・ヘレー教えてもらうねんッ、そして大きくなったらお兄ちゃんとバンドするぅ~ッ!! そう思いながら水銀燈はオモチャのギターを布団の中にまで持ち込み、安いナイロンの弦を触りながら眠りについた。 * どれほど眠ったのだろうか、突然沸き起こった胸騒ぎに水銀燈は目を覚ます。 明け方だろう、何気なく柱にかかっている時計を見る。 AM 5 40 「うぅ、オシッコぉ……」 布団から出た水銀燈は寝ボケ眼でヨロヨロとトイレに行き、帰ってくる。 まだ体温の温もりが残っている布団に入り、もう一度眠りに入りかけた時、今まで体験したことのない恐怖に襲われた。 AM 5 46 ゴォォォォォォォ~~~~ 地の底から亡者が雄叫びを上げながら湧き上がってくるのにも似た音が辺り一帯を包む。 ……えっ、何? コレ何? そう思った次の瞬間には大きな揺れが水銀燈、いや、家全体を激しく揺さぶり出す。 縦に揺れる毎に壁にはピシッと乾いた音と共に大きな亀裂が入る。 そして揺れが横に変わると柱が、テレビが、本棚が凶器のごとく倒れてくる。 「うわぁぁ~~、お母ちゃん、お父ちゃん、お兄ちゃん~~~~ッ」 水銀燈の泣き叫ぶ声は全てが崩壊する轟音にかき消されて誰にも届かない。 ………あれ? 何? どうしたん? 私、どこにおるんやろぉ? いつの間にか気を失っていた水銀燈は目をあけると、倒れてきた本棚が転がっているテレビにもたれ掛かるようにできた狭い隙間から小さな体をよじらせる。 ……あっ、外や…誰か名前を読んでるぅ? 倒れた柱と崩壊した屋根の隙間から誰かが水銀燈の名前を呼びながら手を差し伸べていた。 その腕を水銀燈はしっかりと掴む。 「おぉ~い、みんな来てくれ、銀ちゃん生きてるぞぉ!!」 その声に多くの人達が倒れて形を残していない瓦礫の中から水銀燈を引っ張り出す。 「よう生きとったなぁ~、銀ちゃんどこもケガないか?」 「おっちゃん……何、何があったん?」 近所の人に抱かれた水銀燈は周りの景色を見る。 「何なん…コレ………?」 そこはまるで戦場であった。 眠りに着く前まではいつもと変わらない世界が今は大きな自然の爪痕に蹂躙され、なす術もなく埃と煙、そして人が生活をしていたであろう痕跡が無残にも散らばった別の世界が広がっていた。 「お母ちゃんは? お父ちゃんは? お兄ちゃんはどこ?」 水銀燈はパジャマのまま瓦礫の中に走っていく。 「お母ちゃ~ん、お父ちゃ~ん!!」 そんな悲鳴に近い声に小さく弱々しい声が返ってきた。 「す…水銀燈か?」 その声に水銀燈はかけより姿が見えない兄に呼びかける。 「お兄ちゃんッ! お兄ちゃんッ、水銀燈やで、私やでぇ~」 「水銀燈…お前は大丈夫やったか……」 「うん、私は大丈夫やでぇ、すぐに誰か呼んでくるからぁ、お兄ちゃん頑張ってぇ~~」 そう言いながら顔を上げた水銀燈の目に飛び込んできたのは赤い炎に焼かれていく近所の家。 その火と煙はすぐそこまで迫ってきている。 「あぁ、アカン、火事やぁ……火が来るぅ…」 炎からの熱風が水銀燈の髪を揺らす。 水道管が破裂したため水そのものが出ない。 周りではまともな消火活動もできないまま崩れ落ちていく建物。 そんな光景を目の当たりにし、立ちすくむ水銀燈に兄の声が届いた。 「なぁ…水銀燈…、お兄ちゃんは、もうアカン…火が来てるんやろ?」 「そんなことないでぇ、火は私が消したるわぁ!」 「水銀燈…オレはもうええから…早よう逃げェ……」 「いややぁぁぁ~~~」 「お兄ちゃん、もうアカンわ…手も、足も動かへん…お前だけでもええから、早よう逃げぇ……」 「いややぁぁ、そんなんイヤやぁ~~」 炎が迫る中で座り込み泣き叫ぶ水銀燈。 それを見つけた近所の大人が駆け寄り、幼い水銀燈を抱き上げる。 「銀ちゃん、こんなところで何やっとんや、早く逃げんと焼け死ぬで」 「お兄ちゃんッ!お兄ちゃんッ!」 必死で兄を呼ぶ水銀燈、だがすぐそこまで迫った炎はついに兄と両親が埋もれている瓦礫に燃え移り、瓦礫の隙間から白い煙が立ち昇ってきた。 「アカン、ここもすぐに火が着くでぇ、逃げるで、銀ちゃんッ!!」 「あっ、まって、まって、お兄ちゃんが…お兄ちゃんがぁ~」 それから2日後、黒い炭になった焼け跡にたたずむ水銀燈。 虚無ともいえる表情で幸せだった過去の断片を探す。 ……あっ 黒くすすけた材木をどけると、その下からは炎に燻され、黒く変色した兄のギターを見つける。 赤いボディーに白と黒のストライプが縦横無尽に描かれていたギターは、もはや見る影もない。 「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃぁぁん~~」 そのギターを抱きかかえ何度も名前を呼び、帰ってくるはずもない返事をまつ水銀燈の声は上空を飛び交うヘリコプターの音に掻き消されていく。 1995年平成7年 1月17日 神戸を襲った未曾有の悲劇、阪神淡路大震災は死者6434名を出した。 そして彼女はその日、家族と言う大切なものを失い、一人ぼっちになった 水銀燈は幼くして児童保護施設で暮らすようになった。 お兄ちゃぁぁぁ~ん―――――――――ハァ、ハァ、ハァ 布団から起き上がった水銀燈は苦しそうに肩で息をする。 軽くこめかみを押さえながら立ち上がる彼女の背中には寝汗がビッシリとこびりつき、体がガタガタと震えだす。 「うぅ、うぅぅ……」 込み上げるものを感じ、口に手をあてトイレに駆け込む。 数時間前に食したものを吐き出すと、体の震えが収まり始める。 洗面所で口をゆすぎ、鏡に映る自分の顔を見てみる。 目には涙が溜まり、赤く充血している。 そして耳の奥には、あの日の幼い自分の泣き声が残っている。 お兄ちゃ~んッ!! そんな声を振り払うかのように水銀燈は軽く首を左右に振る。 その時、部屋からあの頃の自分に似たか弱い声が聞こえてきた。 「…銀ちゃん?……銀ちゃんどこぉ?…銀ちゃん?」 電気を消していたため真っ暗になった部屋で極端に視力が弱い薔薇水晶は手探りで電気のスイッチを探し、水銀燈の名前を呼んでいた。 「ゴメンねぇ~ばらしー、私はここよぉ~」 「あぁ、銀ちゃぁん……」 「ゴメンねぇ~真っ暗で怖かったでしょぉ~~」 「うぅぅ~ん……銀ちゃん」 Illust ID wfMJbgc70 氏(136th take) テーブルに足を取られ、転びそうになった薔薇水晶を抱きとめた水銀燈は胸に頬をすり寄せてくる薔薇水晶の髪を撫でる。 ……そうよぉ、私よりこの子のほうが辛いはずよぉ~、だってこの子は両親の、家族の暖かさを知らないんだからぁ… 予期せぬ出来事に家族を失った少女と、愛をしらない少女は互いの傷口を埋めるように抱き合う。 そして水銀燈と薔薇水晶の夜は静かに更けていった。 (2)へ戻る/長編SS保管庫へ/(4)へ続く
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ここは色々な動物達が暮らす『へっぽこ動物村』。 何でこんな名前かと言うと、そこに住んでる動物達は皆ちょこっとだけ欠点があるから。 それ故に仲間達からハブられた動物達が仲良く暮らしてるのでありました。 今日はそんな中の、鷹の水銀燈と狼の真紅のお話をしましょう。 水銀燈がへっぽこと言われる理由、それは羽根が真っ黒だから。 真紅がへっぽこと言われる理由、それは草食だから。 そんな二人は幼い頃から一緒に暮らしている、いわば親友。そんな二人が仲良く、夜ご飯を食べている時でした。 「水銀燈! 私は鶏肉食べないって言ったでしょう!」 今日のメニューは水銀燈お手製のカレーライス。二人は行儀良く食べていたのですが。 真紅がスプーンを置いて、そう言いました。 「あらぁ、ごめんなさぁい。私は食べるものぉ」 水銀燈はくすくすと笑っています。どうやらわざとイタズラしたようです。 「嫌いなのよ、お肉は」 「ふふ、狼がお肉食べないなんて変なのぉ」 「貴女なんて、カラスみたいな真っ黒な羽根してるくせに!」 その真紅の一言で水銀燈はスプーンをガチャンと置いて、赤い瞳をギラリと光らせました。 「貴女だって、お肉が食べられないハブれ者じゃないのぉ!」 「何よ! やるって言うの!?」 真紅は指先の鋭い爪を構えてそう言いました。 「挑むところよぉ!」 そう言って水銀燈は羽根を広げると、窓から颯爽と飛び立ちました。 「くっ……逃げる気なのね!」 「ふふ、逃げるが勝ち、よぉ」 真紅も慌てて玄関から飛び出しましたが、水銀燈はふわふわとお空を逃げ回ります。 「降りてきなさい! このカラス!」 「やぁよ」 ふふん、と機嫌良さそうに鼻を鳴らして、水銀燈は更に高く飛び上がりました。 二人は仲良しでしたが、喧嘩も多いのでした。 真ん丸お月様が浮かぶ夜の山を追いかけっこ。二人はそれを楽しんでいるようでもありました。 「追い付けるもんなら追っかけてごらんなさぁい」 「待ちなさいっ!」 いくら俊足の狼と言っても空高く飛ぶ鷹に、追いかけっこでは勝てません。 「くっ……」 森の中を真紅は駆け回ります。上空に飛ぶ水銀燈の姿を睨みながら。 しかし、それがこんなことになってしまうなんて。 「……っきゃあああ!」 前を見てなかった真紅は足を滑らせて急な崖をまっ逆さまに落ちて行ってしまいました。 「真紅ぅ!?」 水銀燈が慌てて呼び掛けても、真紅は返事することなくその姿だけを消してしまいました。 森の中を目を凝らして見つめますが、いくら鷹の水銀燈でも樹が鬱蒼と茂っていては分かりません。 水銀燈は真紅を探しに森の中へ真っ逆さまに降りました。 「真紅、真紅っ!」 「す、ぎ……と」 その時、小さく水銀燈を呼ぶ声がしました。しかし、水銀燈の目に真紅の姿は映りません。 「どこ、真紅! 大丈夫なのぉ?」 「足を、捻ったみたい……動けないの」 鷹は狼ほど耳が良くありません。声は聞こえてもそれがどちらから聞こえるのかが分かりません。 水銀燈が草をかき分けかき分け進んでる時でした。 「水銀燈、もう少しまっすぐ進んで左」 「こ、こっちぃ?」 「そう。もうちょっと」 がさ、と指示された草をかき分けると横たわったぼろぼろの真紅がいるのでした。 「真紅ぅ! 足は、どう?」 「ごめんなさい。歩けないみたいなの」 真紅の足首を見ると両足とも真っ赤に腫れ上がっていました。 「仕方ないわねぇ」 「……なっ」 水銀燈は真紅をお姫様抱っこしようとしますが、真紅はそれをはねつけようと手をばたばたとさせます。 しかし、水銀燈はそれを強引に抑え込んで、再び空高く飛び上がりました。 「ふふっ、離してあげましょうか?」 「……くっ、」 悔しそうに顔を歪めた真紅は、おずおずと水銀燈の胸元の服を掴みました。 「きょ、今日だけだからね」 「はいはい」 真紅の頭を撫でた水銀燈は真紅をしっかり抱くと、羽を広げて帰路に向かいました。 「それにしてもぉ、よく私を誘導できたわね」 「あら、私は狼よ。貴女より鼻が効くのよ」 「ふぅん」 それにね、と真紅が少しだけ頬を染めて言いました。 「私が、貴女の匂いを間違えるわけないでしょ」 二人の姿をお月様だけが優しく見ていました。 終わり 名前 コメント
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はいはい、メニュー2ですよ メニュー? 水銀燈 水銀燈2 水銀燈3 水銀燈4 水銀燈5 水銀燈6 水銀燈7 水銀燈8 金糸雀 金糸雀2 薔薇水晶 薔薇水晶2 薔薇水晶3 薔薇水晶4 薔薇水晶5 薔薇水晶6 巴 巴2 海苔 海苔2 ベジータと愉快な仲間達 ベジータと愉快な仲間達2 ベジータと愉快な仲間達3 げんしけんと薔薇水晶 他クラスの話 先生のお話 全員 全員2 全員3 全員4 全員5 全員6 全員7 全員8
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柿崎めぐ ・・・・設定・・・・ 水銀燈を慕っている数少ない女子生徒。原作では心臓病を患っており、有栖川大学病院に入院している。そして、度重なる短命宣言の為、生きる気力を失ってしまう。原作では水銀燈の事を天使と慕っているが、このスレ的には日本代表選手たちを天使と言っている。そして、極度の嫌韓。 また、水銀燈を慕うというか……何処か間違った方向で慕ってる節がある。 かなり元気溢れる病弱体質という矛盾染みた少女。 何故か脇役の中では一番出番に恵まれている。 ジュンと付き合っているとのうわさが流れているが、本人は完全否定らしい。 注:設定は、絶対にこれ! と、言う訳ではないので設定にとらわれない脇役達を書こう! めぐ感想 病室の木の葉 水銀燈と女子生徒(百合注意) 北海道の集団旅行 めぐと水銀燈のWBC決勝戦実況 球技大会~一回戦第四試合A真紅vsH水銀燈~-ソフトボール- 球技大会~二回戦第二試合E金糸雀vsH水銀燈~-テニス- 水銀燈と尾行とめぐ 水銀燈と尾行とめぐ~mercury side~ 水銀燈とメグ ハリネズミのジレンマ プランK.S 水銀燈と家庭科 節分の豆まき
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1曲目を歌い終わると真紅はステージの前に歩み寄る。 スポットライトが後ろから真紅を照らす。 無数の突き上げられた腕と歓声がホールを揺らしている。 フゥ~、大きく息を吸い込とマイクに向かって・・・。 「ねぇ、真紅ぅ、真紅ったらァ~」 水銀燈に肩をゆすられた真紅は眠りから覚める。 「あらッ、私、眠っていたのだわ・・・フゥワァァ~」 大きなアクビをして背伸びをする真紅を横目で見る水銀燈。 「もう東京に入ったわよォ~。それにしても凄い街ねぇ~」 真紅達が住んでいた海沿いの地方都市とは比べ物にならないスケールで 東京は真紅と水銀燈の目の前にその存在感をもって現れた。 バスの窓越しに流れる高層ビルの群れを見ながらニヤリと笑う水銀燈。 「ウフフ、今日からこの街が私達のぉ街になるのねぇ~」 「そうよ、私達のロックでこの街を取ってやるのだわ!」 真紅は力強く言った後、水銀燈の顔を覗き込むように見る。 「ところで水銀燈?貴方、お金いくら持ってるの?」 「けっこう持ってるわよぉ~、ほぉら」 水銀燈は札が詰まったサイフとバックの中から出した小型のセカンド バックの中身を真紅に見せる。 「水銀燈、これはどういう事なの? 貴女、まさかライブの前の日に あったコンビニ強盗の犯人じゃないでしょうね?」 「何を言うのぉ~。これは家にあったァ壷とかぁ、絵画とかぁ、色々 売っちゃったァァ~。ウフフフ」 「凄いわね水銀燈。これなら住む所も悩まなくてイイのだわ」 「真紅はいくら持ってるのぉ?」 「お腹がすいてきたのだわ」 「ねぇ、お金どれくらい持ってきたのぉ~?」 「ホラ、見て水銀燈、あのビルって都庁なのだわ」 「真紅ぅ、せめてぇ10万単位のぉ金は持ってるんでしょうねぇ~?」 「さっきから見てるけど芸能人はいないのだわ」 「真紅ぅ!」 無言のまま真紅はサイフを出すと水銀燈に渡す。中身を確かめる水銀燈の 顔色が変わっていく頃、真紅と水銀燈の夢を乗せたバスは東京駅へと着いた。 東京駅で口論を始める真紅と水銀燈。 この2人が中心となったバンドがやがて全てのミュージックシーンを 塗り変えることになるとは道行く人々は気付いていなかった。 Legend of Rozen Maiden(最終章・序幕 完) ~最終章・夢の扉編に続く~ 前章「旅立ち編」へ戻る/長編SS保管庫へ/最終章「夢の扉編」へ続く
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紅「ただいまー」 銀「おかえりなさぁい、夜勤大変だったわねぇ」 紅「本当に大変だったのだわ…お腹空いたわ」 銀「ちょっと待っててぇ、すぐに作るわぁ」 紅「夜勤は本当長いから疲れるわ…しかも相方が苦手な人だったから余計疲れたのだわ…」 銀「それは災難だったわねぇ…(チラ)」 紅「話も弾まないし…嫌になるのだわ」 銀「そう…(チラチラ)」 紅「……?」 銀(…私だって一晩寂しかったんだからぁ…) 紅(…ふふ、そろそろね) 料理している水銀燈の後ろからギュッと真紅は抱き付いた。 銀「ちょ、ちょっとぉ、包丁持ってるのに危ないわよぉ…」 紅「そうだけど、今の私は水銀燈分を補充しないと死んでしまうのだわ」 銀「何それぇ。…でも、私も真紅分を補充しないと死にそうよぉ」 紅「お互い様ね。…一晩空けてごめんね」 銀「真紅こそぉ、お仕事お疲れ様ぁ」 水銀燈も包丁を置き、真紅を抱きしめ返す。 料理が出来上がるのはもう少し後になりそうだった。 紅「ふぁ・・よく寝たのだわぁ」 銀「おはよぉ真紅ぅ」 紅「おはよう水銀燈・・・・・って・・・えぇ?!」 銀「あらあら朝からいい反応ねぇ」 紅「・・・いつから居たのかしら」 銀「ずいぶん前よぉ。真紅って寝顔は可愛いのねぇ」 紅「・・・・・一体なにしにきたのかしら」 銀「うーんそうねぇ・・・何だったかしらぁ」 紅「(ハァ…) もういいのだわ、朝食を御馳走するわ」 銀「やったぁ♪」 そんな銀紅 水銀燈「あの二人見せ付けてくれるじゃなぁい。翠星石と蒼星石を引き裂いてやるわぁ」 真紅「そうね。この暑い時期に彼女達は暑苦しいのだわ」 水銀燈「私は蒼星石をいただくわぁ」 真紅「私は翠星石ね」 『謝罪の代わりに』 「真紅ぅ~」 「水銀燈?一体な…………」 彼女は目を見開いた。いつも側にいる、見慣れた彼女の頭の上には、想像するだけで身の気もよだつあのおぞましい生き物の耳が、あった。 「ね…ねねねねねねこ……!?」 「ふふ、驚いたぁ?こんなのが苦手だなんて、おばかさぁん」 くすくすと笑う水銀燈だったが、目を見開いたまま微動だにしない真紅に、首を傾げた。次第に真紅の瞳からは、涙が溢れ始めた。 「えぇ!?ちょっと……な、なんで泣くのぉ!?」 「うぅ……ぐす…」 慌てる水銀燈をよそに、真紅の涙は止まるどころか更に酷くなっていた。 「ひぐ……っ…」 「………はぁ、」 大きく溜め息を吐くと、猫耳のカチューシャを投げ捨て、涙が止まらない真紅を抱き締めた。 「……悪かったわぁ。そこまで嫌だとは思わなくてぇ…」 「……、……」 真紅の唇が、水銀燈の耳元で微かに動いた。それを聞いた水銀燈はくすり、と笑い、真紅と唇を重ねた。 謝罪の言葉の代わりに、口付けを。 end 銀紅でウイイレ(サッカーゲーム) 水銀燈「何よこの子!!全然いうこときかないじゃないのよぉ!」 真紅「ざまぁないわね水銀燈!いけっ絆シュート!」 水銀燈「あぁ!・・・危なかったわぁ。よくやったわゴールキーパー」 真紅「くっ、どうしてあそこからはずすの!?まったく日本のシュート並ね」 水銀燈「うふふ、真紅が下手なのよぉ」 真紅「なんですって・・・みてなさい」 蒼星石(どっちも下手だ・・・) 水銀燈「もう後半ロスタイムじゃなぁい、いくのよ!真紅をジャンクにするのよ!」 真紅「くっ!」 水銀燈FWが裏に抜け出す 水銀燈「ktkr!」 真紅「~~~!!!!!・・・・・おっと」 蒼星石(うわぁ~後方からの殺人タックル・・・) 水銀燈「!!!!ちょっと!!何するのよ!!!」 真紅「手もとが狂ったのだわ」 水銀燈「嘘よ!ワザとでしょ!この卑怯者!!」 真紅「はぁまったく、ジャンクはうるさいのだわ」 水銀燈「真紅ぅーーーー!!!!!!!!!!!」 真紅「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」 水銀燈「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」 蒼星石「巻き込まれる前に逃げよ」 翠星石「蒼星石、翠星石と勝負するです」 蒼星石「あ、うん」 水銀燈「このっ!このっ!」 真紅「やめて頂戴!あっ、ちょっと」 水銀燈「このっ!このっ!」 真紅「だめよ水銀燈!それはオフサイドなのだわ!あぁ!」 翠星石「ちょっと蒼星石!いまのファールは悪質ですぅ!」 蒼星石「せふせふ」 翠星石「きぃ~~~!!」 綺麗だったわ。私に勝るとも劣らずだったわよ。 銀色の髪は一切の癖がなくって。どんな小さな風だって受けてサラサラと流れてたわ。 それを見てるのが飽きなくてね。何見てるの?ってよく睨まれたわ。 そういえば目も綺麗だったわね。 きつく吊り上がってたから、皆に言わせてみれば近寄り難い、って。 でも、そんなこと全然なかったわ。 本当は心優しい子だったのよ。そして、誰より強くて、誰より弱かったわ。 辛くて悲しい思いばかりしてきたみたいでね。独りでいることには強かったわ。 逆に優しさに弱くてね。私が告白した時の顔ったら……ふふ、傑作だったわ。 もう少しでいいから。彼女の側で、そんな色々な顔見てきたかったわ。 私は彼女を見ることはできるけど、彼女が私を見ることはもうないんだもの。 ──貴女と約束した未来は 甲高い音が病室に響いた。 白衣を纏った年配の医者は、腕時計を見つめると現在の時刻を呟いた。 姉ののりは、嘘…、と一言呟いて顔を両手で塞ぎ、膝から崩れた。 兄のジュンは医者に掴みかかろうとする。水銀燈がそれを制止した。 うわぁぁぁぁ、とのりは声を上げて泣いた。ジュンも膝をついた。 水銀燈は真紅の頬に触れる。まだ生きているような温もりが残っている。 「二人、きりに…してくれませんか…」 水銀燈がそう尋ねるとのりとジュンは頷き合うと、病室を後にした。 医者はとうに病室を去っている。 真紅の口から呼吸器をはずしてやる。もちろん、ピクリとも動かない。 水銀燈は真紅の手をとり、きつく握りしめた。 「何よぉ…せっかく握ってあげてるんだから、握り返しなさいよぉ…」 ぽろり、と目尻から涙が零れた。 どれだけ力を込めても、それが返って来ることはない。 手から力を抜くと、スルリと滑り落ちてしまった。 「お馬鹿さぁん」 水銀燈の声は、もはや声と呼べるほどのものではなかった。 水銀燈の震えている肩にそっと触れようとしたが、スルリと抜けてしまった。 悔しそうに拳をぎゅっと握り、抜けないように背中に頭をもたれさせた。 「水銀燈…」 ポツリと名を紡いだが、やはり聞こえないらしく、反応がない。 「すいぎ、んとぉ…」 あぁ、死んでも涙は流れるのだ。と意外に冷静な自分もいた。 「大好きよぉ…」 偶然にも二人の声が重なった。 もう拭う気もないらしい水銀燈の涙を真紅は──いや、もはや真紅とは呼べない彼女は──一つ掬った。 水銀燈は大きく肩で呼吸をしながら真紅に気付かずに、眠っている真紅に唇を重ねた。 「お馬鹿さぁん…貴女は、あなたは…本当の、本当に…」 目を瞑っている真紅に額をくっつけると、水銀燈の涙は真紅の頬に伝った。 その様子を見て、真紅は辛そうに眉をしかめると水銀燈に抱きついた。もちろん、すり抜けない程度に。 「お別れ、だわ」 もう貴女と一緒に生きていけない。 貴女と同じものを見て、同じものを聞いて、同じものを感じて、笑いあって、喧嘩して──それから。 それから。 何かが弾けたように大きな叫び声をあげながら真紅は泣き叫んだ。 でも、水銀燈の耳には何も届かなかった。 終わり それは、ある秋の夕暮れのこと。 公園のもみじの木を水銀燈が見上げていました――。 紅「こんな所で何しているの、水銀燈?」 銀「紅葉が始まったみたいだと思って、ちょっと見てたのよぉ。 ほら、木の上の方がちょっと色づいてるでしょ?」 紅「あら、本当だわ。この街にも秋がやって来たのね」 銀「“小さい秋みつけた”って感じねぇ」 そんな水銀燈を見て、真紅はクスッと笑います。 銀「何なの?どうして笑うのよぉ…」 紅「意外と可愛らしいことを言うのねって思ったのよ。 気に障ったなら謝るわ。ごめんなさい」 銀「べ、別に気になんてしてないけどぉ…」 少し照れくさそうに話す水銀燈の頬を秋風がそっとくすぐりました。 そして、一枚のもみじの葉が真紅の髪にハラリと落ちて――。 紅「あっ、もみじが…」 銀「ちょっとじっとしてなさいよ、真紅」 紅「えっ?」 銀「もみじが髪飾りみたいで綺麗だわぁ。 ……貴女、結構似合ってるわよ」 紅「そ、そうかしら?///」 銀「…勘違いしないでよね。私は、もみじを褒めただけなんだからぁ///」 それは、ある秋の夕暮れのこと。 ほんのりと赤く染まった二人の頬にも、小さい秋みつけた――。 『秋の散歩』 この時期にしては暖かく、爽やかな空気が流れているある日の事。ちょっと意外に、散歩をしている水銀燈の姿があった。 「はぁ……良い天気ねぇ」 とくに目的はなく、ぼぉっとしながら道を歩いていた。周りに人気はなく、水銀燈の視界に入るのは、愛しいあの娘を連想させる鮮やかな紅葉だった。 ひらひらと落ちた一枚の紅葉が、偶然水銀燈の足元に落ちてきた。それを何気無く拾うと、なんとなく眺めていた。 「……こういう色を、深紅っていうのねぇ…」 周りの紅葉よりも一際紅く、まさに深紅と呼ぶにふさわしかった。 そんな事を考えていると、もう一つの真紅が頭をよぎった。長く綺麗な金髪と、人形のような蒼い瞳をもつ女の子。 「あら、水銀燈?」 突然声がして、はっ、と我に返った。目の前には、ちょっとだけ驚いたような表情の真紅だった。 「こんなところで何をしているの?」 「…別にぃ。なんとなく散歩してただけ」 「……貴方が散歩、ねぇ」 意外そうな、けれどどこか感心したような笑みを浮かべる。 「…何よぉ」 「ふふ、別に」 「言わないとどうなるか…分かるかしらぁ?」 「? さぁ…」 不思議そうな表情を浮かべる真紅に、水銀燈はニヤリと笑い――頬に口付けした。 「なっ…!?す、水銀燈っ…!」 「ふふ、こうなるのよぉ?」 「貴方!こんな所誰かに見られたら…!」 「はいはぁい。頬がこれみたいに紅いわよぉ?」 そう言うと、先程拾った紅葉を真紅の唇にくっつけた。 「す…水銀燈っ…!!」 秋の散歩から秋の運動会になっても、水銀燈の顔はより清々しいものだった。 end 例えば恋とか愛とかそれに近い感情を表すとき、貴女は桃か赤の絵の具を使うでしょう 例えば嫌悪とか嫉みとかそれに近い感情を表すとき、貴女は黒の絵の具を使うでしょう でも私は違う 私が愛や恋から繋げる筆先には黒が染められていて そこから描かれる線は何時しか貴女を映し出すのよ 「…貴女は印象派が好きだったかしらぁ?」 「特に考えたことはないわね、でも気に入った絵を並べてみたらそうかも知れないわ」 有名所の作品ばかりが印刷された本を開いていたら、後ろから水銀鐙の声がした その絵なら前に描きかけの状態で見たことがある、と言われたが、本当かどうかは確かめようがない しかし吐いて無駄な嘘をわざわざ吐くとも思えないので、それは貴重な体験をしたわね、と返してやった 「でも私には絵を見て美しいと感じることが理解できないわぁ」 私に喧嘩を売るつもりで言ったのだろう そうね、と答えた私を見て、目を円くした後につまらなそうに唇を尖らせた そんな彼女を見て ふ、と笑うと、頬を少し染めて眉間の皺を深められた 勿体ないからそんな顔をしないでという言葉は逆効果で、彼女の表情からはすっかり普段の美しさは消えていた 「水銀鐙」 後ろを向いてしまっている彼女を優しく包む 振り払おうとした腕を動かす直前に、強く力を込めた 目の前に広がるは黒 絵よりも遥かに美しいと思えるそれは暴れるのを諦めたようだ 「水銀鐙、例えば恋とか愛とかそれに近い感情を表すとき、貴女は何色を用いるのかしら」 私は黒色ね、と続ければ、そのきょとんとした顔はまたさっきのように赤く染まってしまうのだろう 分かっていながら、私はそのまま口を動かした END 紅「水銀燈、ちょっと質問していいかしら?」 銀「なぁにぃ?ご褒美付きなら答えるわよぉ。」 紅「なら答えてくれたら私の×××を見せてあげるわ。」 銀「・・・いいわぁ」ゴクリ 紅「じゃあ、質問。何で鷹野三四に手を貸したの?」 銀「はぁ?何のことぉ?」 紅「それと、なぜアウラを消そうと、、 銀「ストーップ!!これ以上は他のアニメの話になるから止めなさぁい!」 紅「でも気になるのだわ!教えなさい、野村さん!!」 銀「止めなさいって言ってるでしょうこのヲタ真紅!だから人気ないのよぉ!」 紅「なっ、誰が人気ないですって!私こそがこの物語の主人公なのに、、」 銀「ああ、もううるっさいわねぇ!」 チュッ 紅「ん、、、ぷはぁっ!な、、?」 銀「構ってほしいなら素直に言いなさぁい。分かりづらい子ねぇ。」 紅「そ、そんなつもりじゃ、、、///」 グダグダアリスゲーム 銀「ねぇ真紅、貴女って紅茶好きだったわよね?」 紅「ええ、好きよ」 銀「これ、知り合いから貰った紅茶なんだけど、貴女にあげるわぁ」 紅「私に?」 銀「そうよ。だって、私は紅茶になんて興味ないもの。貰っても仕方ないわぁ」 紅「それなら頂くけれど…――って、これ、ダージリンのセカンドフラッシュじゃないの。 これはね、とても高級なものなのよ、水銀燈」 銀「そうなの?私にはよく分からないわぁ」 紅「そうだわ、せっかくこんなに良い紅茶が手に入ったのだから、翠星石たちも呼んでお茶会でも開こうかしら。 勿論、貴女も来てくれるわよね、水銀燈?」 銀「たくさんの人を呼んだら、せっかくの紅茶が減っちゃうわよ。高級なんでしょ?勿体ないじゃない…」 紅「あら、どうやらご不満のようね。それなら、貴女と私の二人のお茶会というのはどうかしら?」 銀「…ふ、二人きりで?」 紅「ええ、そうよ。明日の3時頃でいいわよね?」 銀「ちょっと勝手に決めないでよぉ!」 紅「いいこと?約束よ、水銀燈。ちゃんと来て頂戴」 銀「…気が向いたら行ってあげるわぁ」 ――何よ、この流れ…。気に入らないわぁ。 紅茶で上手く口実を作って真紅の家に遊びに行くつもりだったのに、 最終的にはあの子に主導権を握られてしまうなんて…。 まるっきり形勢逆転じゃない。 それに、何とか二人きりのお茶会にしようとして妙なことを口走ってしまうなんて…。 どうして、あの子を前にすると私は素直になれないのかしら? こんなに好きなのに…。 私って、本当におバカさんねぇ……。 ねぇ真紅、悔しいけれど、明日のお茶会には行ってあげるわぁ。 約束を破って、貴女に叱られるともっと悔しいから――。 水銀燈「ほぉら真紅ぅ~。あなたのローザミスティカはこっちぃ?それともこっちのほうかしらあ~」 真紅「やっ!ちょっと水銀燈・・・ひゃん!やめ・・・やめなさ・・・いひゃっ////」 水銀燈「ほらほらあ、早く逝っちゃってジャンクになりなさいよお///」 真紅「やめ・・・やめて・・・はぁんっ!」 水銀燈「あらぁ真紅ぅ?もう降参なのお?つまんなぁい」 真紅「・・・お姉様のくせに・・・ハァハァ///」 水銀燈「え?」 真紅「この方が雰囲気でるでしょ?『お姉様』///」 水銀燈「くっ・・・///」 真紅「お姉様っ!」 水銀燈「真紅ぅ~!!可愛くなぁい!可愛くないわあ!こんな時だけ姉扱いして!まだ余裕だといいたいのお!いいわ、もっともっとお仕置きしてあげるわよ!!」 真紅「んあっんっ!ん!ん!だめっ!このままじゃほんとに」 水銀燈「ジャンクにしてあげるわ!私だけの可愛くジャンクにっ///」 真紅「ハァハァ・・・いいえ水銀燈、アリスに・・・アリスになるのだわ」 水銀燈「アリスに?」 真紅「ええ、一緒になりましょ?アリスに///」 水銀燈「え?あん!真紅っ///ずるいっ///あん///」 真紅「ああんっ!す、水銀燈と溶けあって・・・」 水銀燈「こんなに・・・熱いっんあん///」 真紅「水銀燈////一緒に、一緒に・・・」 水銀燈「真紅っ真紅う~」 真紅「ひゃあああああああああ////!!!」 水銀燈「いやぁぁぁぁぁぁぁぁん/////!!!」 ~二人だけのアリスゲーム~ 完
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時代別区分け(主に名無しさんの) 注:他の人も、どんどん活用してくれて構いません。 高校時代とか 狂気の時代です。でも実は、漫画とかアニメの「ローゼンメイデン」を実社会風に直しただけだったりします。 例えば、真紅が高校が遠いからJUMの家に居候したり、翠星石が家出してJUMの家に寝泊りしたりとかって具合に。 Rozen Maiden begins 教師生活1年目 この頃は、まだ薔薇水晶や雪華綺晶が赴任しておらず、水銀燈に関してはかなり荒れた生活を送っていたようです。 翼の折れた天使 ミラーリフレクション 間違えられたCD 同じ時間軸で他の職人が作った物 人見知り翠と新米雛 2年目 ここで、薔薇水晶と雪華綺晶が相次いで入ってきます。水銀燈に関しては、次第に周囲に心を開き始める頃でもあったようです。 昔の水銀燈と薔薇水晶 昔の水銀燈と薔薇水晶 その2 ウォーターカーニバル 金糸雀と株 蒼星石と万引き 翠星石とバリカン 薔薇水晶と張り紙 信用 食わず嫌い black and white 誰かのために 真・水泳部、始動 天秤 離反 難民 策士二人 魂の呪縛 アリとキリギリス 水銀燈と『商談』 史上最強のナンバー2 ~ein Unterlehrer~ 同属亜種 代務 素直になれない水銀燈とサボり 白き者の憂鬱 智天使 お金の価値、人の価値 誕生日 水銀燈の恋愛観 雛苺のずる休み 水銀燈と尾行とめぐ 水銀燈と尾行とめぐ~mercury side~ 自 子 中 真夏の夜の夢 ハリネズミのジレンマ 大捜索 食料奪取 金糸雀の仲裁 訪問 薔薇盗人 賭博黙示録 水銀燈vs不良in清水 真昼の来訪者 真紅と昼寝とイタズラ 星降る夜空の下で 受験勉強 代替授業 真紅の角 初売り 克服 意地とプライド でぃーえす・発売日 具合悪いんでぇ・・・ 旋律 卒業式のリハーサル 3年目 学園生活にもだいぶ余裕が出てきたのか、各所で色々な事件が多発したり、みんな自由奔放に活動していたようです。 桜 ~cherry blüht~ 金糸雀と雛苺と無視 新入生誘致大作戦 道化師とマリオネット 逃げ出した先に見つけたもの 仲間はずれ 翠星石と創作料理大賞 招かれざるもの、心を閉ざすもの 2つの力 闇の住人 穏健派の逆襲 愚者の苦悩 死の誘惑と黒き天使 王の帰還 蒼星石の時事問題解説 -北朝鮮ミサイル試射事件- 結婚生活 新しき道 貨幣経済 真紅と水泳 ガイヤの夜明け 翠星石と今日のニュース 逃避行 真紅とお泊まりと豊胸 従者 歌舞伎町の女王 庭園 理解 本の行方 黒のワルツ ピンポンダッシュ 心理テスト 翠星石と蒼星石の心理テスト 雛苺と万引き 全ては水銀燈を中心に 発掘 相 談 結婚式 -eine Hochzeit- 水銀燈と初等部 水銀燈と浮気発見術 UNOと大戦略 視聴覚室のゲーム 翠星石の財布泥 翠星石と催眠術 同じ時間軸で他の職人が作った物 戦争の夜 4年目~ 教師になって4年余り…彼女たちもいろいろな面で成長したようです。が、まだまだ変わりきれていない所もあるようです。 水銀燈と新入生 翠星石と雛苺と園芸 あなたと翠星石の朝 保健室と二日酔い水銀燈 銀様国外逃亡劇~civilians side~ 水銀燈と生徒指導 薔薇水晶の日記 真紅と水銀燈の奇妙なドライブ 蒼星石と翠星石の心遣い 少年兵 水銀燈と林間学校
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前ページ次ページローゼンメイデン 小ネタ集 ヨウラン「おーい、シン。また、お前宛、ゲッ!」 水銀燈「なぁに? 失礼な人間ね。シンなら今は留守よぉ」 ヨウラン「そうか、それじゃまた」 水銀燈「お待ちなさぁい。シンへの届け物なら私が預かるわぁ。 貴方が引き返したら私がまるで留守番の一つも出来ないみたいじゃない」 ヨウラン「そ、それはそうだが…まぁ、えーとコレだ」 ―カートには大量の手紙の束と贈り物多数 水銀燈「……コレ全部なの?」 ヨウラン「ああ。それと、こっちはレイの分だが(同じくカート一杯)」 薔薇水晶「なら、預かる」 ヨウラン「そうか。じゃ、確かに届けたからな。……勝手に弄るなよ。俺は知らないからな(脱兎)」 水銀燈「解ってるわよぉ。ふん! しかし……もてるみたいね。私達のミーディアムは」 薔薇水晶「エリートらしいから。……赤い服を着た人間って」 水銀燈「そうなのぉ? シンはそういうの話してくれないわ」 薔薇水晶「貴女は何時も帰って来たら、おねだりと文句ばかり」 水銀燈「なっ! それはシンがだらしないし、私の言う事を聞いてくれないからよぉ!」 薔薇水晶「けど、それで何も言わせて無いんじゃ? レイは良く話してくれる」 水銀燈「……くっ、何よぉ。私が悪いみたいじゃなぃ(ぷいっ」 薔薇水晶「……しかし、人間は不思議ね」 水銀燈「……なにが?」 薔薇水晶「こんなにたくさんモノをよこして」 水銀燈「そうねぇ。手紙に、プレゼントと言う奴ばかりこうも沢山」 薔薇水晶「……確か……そう、電話。あれですぐ話せるのに。わざわざ字にするなんて不思議」 水銀燈「何が書いてあるのかしら?」 薔薇水晶「こういうのは勝手に開けてはいけない筈」 水銀燈「……気にならない?」 薔薇水晶「……少し」 水銀燈「一個位見てもばれないわ。特にこのヤガミとか言う人間のは沢山来てるし」 薔薇水晶「けど、私達じゃ文字が読めない。きっと難しい字を使っている筈」 水銀燈「……それじゃ、暇そうな人間を一人捕まえて読ませればいいんじゃなぃ?」 翠星石「で、翠星石の所へ来たですぅ?」 薔薇水晶「貴女のミーディアムが一番暇そうだから」 メイリン「あのぉ、別に私は暇って訳じゃ。ただ、戦艦には3人ずつオペレーターが配備されるからね?」 翠星石「確かにメイリンは仕事場でも暇そうですぅ」 メイリン「翠星石ぃ~」 水銀燈「細かい事は良いわぁ。コレを読んで頂戴」 メイリン「コレは……シン宛ての手紙? どうしたの?」 水銀燈「ゴミ箱に捨ててあったのよぉ」 薔薇水晶「(……嘘)」 水銀燈「(どうせ、後で私が全部捨てるから同じよぉ)」 メイリン「あーー、シンこういうの物臭だからねぇ。まぁ、捨ててあるのならどうしようと勝手よねぇ♪」 翠星石「皆でネタにして愉しむですぅ(酷」 (一応プライバシーの為内容割愛) メイリン「~~あなたの愛しのハヤテ・ヤガミよr(途中で奪われる)」 水銀燈「(剣で串刺しにした後17分割)」 薔薇水晶「……凄い内容だった」 翠星石「妄想炸裂だったですぅ」 水銀燈「このドロボウネコ! 手紙だからって好き勝手に書き過ぎよ! 誰の頭の中だろうがシンは私のものよ!(手紙を踏みつけながらも周りが見えてない)」 メイリン「噂どおり激しいのね。水銀燈って」 薔薇水晶「何時も彼のことになるとこんな感じ」 翠星石「まったく、水銀燈も変わってしまったですぅ」 シン「な、なんなんだよ! 今日は帰って来てから!」 水銀燈「おだまり! 何処の馬の骨か解らない女に色目ばかりを使って! 私という者がありながら許せないわぁ!(ごすっどすっ)」 シン「いたたたっ。おい! 今のはほんと痛かったぞ!」 水銀燈「今日はシンが解るまで! 私はぁ! 殴るのを止めない!」 シン「何をするだーーー!!(泣」 レイ「今日は一段と激しいな。……何かあったのか?」 薔薇水晶「……知ってるけど、知らないって事にしなきゃいけない」 レイ「……ふむ。そうか」 薔薇水晶「そうなの。ごめんなさい」 レイ「なら、仕方ないな(パソコンを起動させて例の板へ)」 薔薇水晶「何をしているの?」 レイ「少し、シンが心配でな。他の人に相談してるんだ」 薔薇水晶「……レイは彼に優しい」 レイ「そうか?」 薔薇水晶「そうよ」 レイ「……そうかもしれないな(ふっ)」 前ページ次ページローゼンメイデン 小ネタ集
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人はそれを―― ◆0RbUzIT0To (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル 第170話 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 橋の下でずっと潜伏をしていた少女は、その大きな音を立てて起こった水飛沫を見て酷く驚愕した。 まさかあいつがやられたのだろうか?喧騒の音は潜伏している間も常に聞こえていたが、それでも負ける事は無いだろうと思っていた。 幾ら相手が七人もの大人数とはいえ、自分が原因でばらばらになっていたのだ。 一人一人を確実に仕留めれば、例え七人もの戦士がいようとも彼が負けるとは思えない。 彼には付き従う二匹の化け物がいたし、彼自身も相当な強さを持っていると豪語していたのだから。 それほどまでに言うのだから、彼を送り出したのだ。 「……冗談じゃないわよ」 もしも、七人を殺せてないのだとしたら計画はおじゃんだ。 仲間に合わせる顔が無い。爪を噛みながら少女は立ち上がり、川辺を見渡す。 ――見つけた、彼が息も絶え絶えになりながら岸に上がり呼吸を整えている。 「ちょっと! 何やってんのよ、早く殺してきなさい!!」 思わずその彼の元まで駆けてゆき、ヒステリックに叫ぶ。 しかし、彼は少女には一瞥しただけで何も言わず、立ち上がってその水を吸った服を脱ぎ始めた。 慌てて少女は後ろを向くも、怒りはまだ収まらない。 何を悠長に服を乾かそうとしているのか、こうしている間にあの七人が逃げたらどうする? そう問いかけようとした瞬間、彼の冷たい声が聞こえた。 「――無駄だ、もう遅い」 「……え?」 「一人は消した……だが、他の奴には逃げられた」 「逃げられた……? ッ、何やってんのよ!! 私は全員殺せって言ったはずよ!!!」 彼の生まれたままの姿が目に入ったが、そんなの気にしている場合ではない。 肩に掴みかかり、激昂する。 しかし、彼は何も言わずただ冷ややかな目を少女に向け。 その平手で、頬を叩いた。 「なっ!?」 「うるさい、黙れ……俺がお前の指示を聞く義務は無い。 お前に文句を言われる道理も無い。 お前はただ俺に情報を提供しただけだ、そして俺はそれに乗ったまでだ……違うか?」 頬を押さえながら後ずさりする少女に、彼は冷淡に告げる。 それはその通りだ、彼が少女の命令を聞く必要性は無い。 「でも……っ、話したと思うけれど、あいつらを逃がしたら大変な事になるのよ!? あんたが確実に殺せるっていうから私は……」 「問題無い……奴らはばらばらに逃げた、はずだ。 再び合流する事は絶望的だろう」 「でも……」 「でももさっても無い、事実だ。 わかったならば喚くな、叫ぼうと事態はよくならん」 冷静な彼の言葉に、更に憤りを感じながらも少女はその口を噤んだ。 あまり彼には逆らえない……彼もまた、ゲームに乗った人物。 自分の言葉が度が過ぎたなら、彼は容赦なく切り捨てるだろう。 彼は脱いだ服を手ごろな大きさの岩にかけ、その横に座り込む。 すると、その時橋の上からサナギの化け物が帰ってきた。 「……喜べ、どうやらもう一人消せたそうだ。 虫の息のままここを逃げたらしいが、時間の問題らしい」 「……そう」 素直には喜べない。 二人を殺したところで、まだ五人も残っている。 その何れかがもしも萃香と合流してしまっては計画が破綻してしまう。 少女――涼宮ハルヒは、再び爪を噛みながら思案をしていた。 ハルヒはレナ達の下を逃げ出してから、橋の方向へと走っていた。 勿論、橋を渡ろうとした訳ではない――わざわざ城方向へと出向く訳がない。 ハルヒが目をつけたのは橋の下……この何も無い平原では唯一隠れる事の出来る場所だ。 もしも見つかりそうになっても、川の中に忍び込めば夜の帳は下りている――見つかる可能性は低い。 そう思い、しばらくの間橋の下で様子を見ようとした時――橋の下には先客がいた。 ハルヒはそれを隠れながら聞き、彼らが殺し合いに乗り気だという事を知った。 そして、中々の知能犯であり自分達と同じく乗ってない連中の団結を危険視しているという事も。 しかし、声をかけようとした瞬間にハルヒは見張りをしていたクリサリモンに見つかった。 すぐさま殺しに掛かろうとした二体のクリサリモンを――ハルヒは言葉巧みに説得して、自分もTASの仲間だと言い張った。 その後、エアーマンを見送ったTASにお目通りし、自分達の持っている情報を提供した。 塔にいる人間、橋に向かっている人間、その特徴と戦闘力の大まかな情報。 自分の知るものは全て語り――そして、TASの信用を得た。 TASにとって、ハルヒはいつでも殺せる事が出来るが手数にはなる希少な仲間。 向こうから接触をしてきたのを断る理由も特に無い。 ハルヒにとっては、レナ達を萃香達と合流させないようにするのが第一目的である。 だが、もし仮に彼女達を殺せるというのならばそれに越した事はない。 TASにはレナ達を殺せるという絶対的な自信があったようだし、それに加えてクリサリモンの力もあった。 だからこそ、ハルヒはTASに全てを任せてレナ達を襲うのを影ながら見守っていたのである。 しかし、最悪の事態になってしまった。 TASは五人もの人間を逃がしてしまい、その彼女達の行方は知れない。 「最悪よ……」 ハルヒは頭を抱えて蹲る。 彼女達が萃香のいる場所から離れた場所にいるのかもしれないが、その逆もまた在り得るのだ。 もしも合流されてしまえば、全ては終わってしまう。 蹲るハルヒの横で、TASは静かに呼吸を整えていた。 その手にあるのはキバが持っていた支給品。 ロールバスターをその腕に装着して試し撃ちをしてみる……中々の威力だ。 ふと、これを使われ攻撃された己の腹を見てみる……酷い火傷になっていた。 水面へとぶつかろうとしたあの時、TASは咄嗟にキバの束縛から逃れた。 ゴールを確信したキバが、直前になってようやくその戒めの力を緩めたのだ。 それを察知したTASは即座にキバを踏み台にして高く飛び、水面との正面衝突を避ける事に成功した。 しかし――とTASは考える。 もしもキバが、あのまま力を緩めていなかったなら? もしもキバが、あのように傷だらけではなく万全の体勢であったなら? 恐らくは自身も水に叩きつけられ息絶えていたに違いない。 「認識を……改める必要性がある」 TASはあの瞬間、一瞬だけだがキバに恐怖心を覚えた。 ただの凡人であるキバに、超人であるTASがである。 「このゲームは凡人、超人は関係ない……油断した奴から死んでいくゲームだ」 もう二度と油断をする訳にはいかない。 死が間際に迫った事で、ようやくTASはその慢心に似た過信を捨てた。 「どれだけ弱い人物だろうと、徹底的に叩きのめす」 獅子搏兎――獅子は兎を狩るのにも、その全力を尽くす。 その冷たい瞳に静かな闘志を燃やし、TASは静かに支給品を見てゆく。 【D-2 橋の下/二日目・深夜】 【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:富竹への憎しみ、精神錯乱、左肩に銃創、左脇腹と顔面と首に殴られた傷、腕から出血、脇腹に弾丸がかすった傷、古泉達を信頼、鎮痛剤服用、理性を失いかけています [装備]:陵桜学園の制服@らき☆すた、包丁、 DCS-8sp [道具]:支給品一式*2、びしょ濡れの北高の制服@涼宮ハルヒの憂鬱、テニスボール、 アニマルマスク・サラブレット@現実、ゾンビマスク@現実(ゾンビーズ) 毒入りパン、小型爆弾*2 [思考・状況] 1.塔組(レナ達)に入り込み、萃香のネタや毒入りパンを使って掻き回す……つもりだったけど、どうしたものかしら。 2. 塔組の足をとにかく引っ張り、行動し難くする。 3.どんな手段を使ってでも絶対に富竹を殺す 4.皆を蘇らせるために協力者を探す 5.優勝して全てを元通りにする ※第三回定時放送をほとんど聞いていません。死亡者の人数のみ把握しました。 ※自分の服装が、かがみを勘違いさせたことを知りました ※自分が狂い掛けている事に薄々気づいています ※喋れる様になりました。 ※自分の能力を信じました。 【TASさん@TAS動画シリーズ】 [状態]:右手親指以外欠損、左拳骨にヒビ、腹部大火傷、全身打撲、全裸、弱者にも相手にも油断しない覚悟 [装備]:五寸釘1本@現実(ポケットの中に入っています)、ロールバスター@ロックマンシリーズ [道具]:支給品一式*5(食料五食分・水四食分消費)、桃太郎印のきびだんご(24/25)、 ウルトラスーパー電池(残り30%)@ドラえもん、メタルブレードのチップ、ゼットソーハードインパルス@現実 [思考・状況] 1:橋を渡る参加者を排除する 2:エアーマンと一時協力。ハルヒは邪魔にならない程度に利用。 3:生きて、ケラモンとの連携で最速を目指す。ケラモンは生き残るための駒 4:ゲームに乗っていない単独の人間は殺し、武器を貰う。 5:ゲームに乗っている人間とはなるべく戦いたくない。 6:武器の調達。出来れば食料も 7:殺戮ゲームの最速クリア。 8:ケラモンが死体と支給品を持ち帰るのを待つ。 ※KASのことを、自分の二番煎じ、偽者だと思っています。 ※ケラモンの名前、増殖限界、進化することを知りました。 クリサリモンの名前を知りません。 ※増殖限界については、最大数が二倍になるのか一体増えるだけのなのかで迷っています。 ※ハルヒの持っている情報を一方的に知りました。 【クラモン(クリサリモン)C】 [状態]:現在1体 [装備]:なし [道具]:なし [思考・状況] 1:TAS、おなか大丈夫かな。 2:とにかく数で勝負……進化しちゃった。 3:TASを利用してうまく遊びたい 4:イタズラしたい ※クラモンBの全滅により、クラモンCとDに増殖限界が集中します。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ その光景を見て、こなたとレナは何が起こったのかまるで理解が出来ていない様子だった。 自分達は、橋の上にいた――橋の上で、TASと戦っていたはずだ。 だというのに、何故……どうして自分達は。 花畑の中心で、倒れこんでいるのか? 辺りを見回してみても、TASどころかキバや妹の姿も見えない。 そこにあるのはありとあらゆる花だけ。 南国に咲いているようなのから、誰でも名前を知ってるような身近なものまで――無国籍な花の数々があるだけだ。 ……花だけ? いや、違う――その花に埋もれるようにして、一匹の妖精が頭を抱えて震えている。 「ピッピ……?」 こなたがその妖精の名を呼ぶ。 しかし、妖精は答えない――ただその瞳から涙を流して、呟く。 ごめんなさい、ごめんなさい、と……許しを乞うようにひたすらに呟き続ける。 あの時……TAS目掛けて攻撃系のものが出ればいいと思い、ピッピはその指を振った。 そして、その瞬間ピッピは光に包まれて消え失せた。 いや、ピッピだけではない……近くにいたこなたやレナ達すらも巻き込んで、ピッピ達は消えた。 碌に戦えないキバ達だけを残して、"テレポート"をしてしまった。 本来ならば最後に立ち寄ったポケモンセンターへと移動させるその技は、この世界では自分が最初に立っていた場所に飛ばされるらしい。 辺りの風景にだって見覚えがある、ここはピッピがあの凶暴なミニスカートに襲われた場所だ。 だからこそ、わかる。 ここに移動したのは自分の責任だと、戦えないキバ達を置いて逃げ出してしまったのだと。 戦うと、勇気を持つと誓ったのに、結局逃げ出してしまったのだと。 震えるピッピを見て……こなたとレナは、すぐさま事の次第を理解した。 あの光に包まれた原因が、ピッピの技によるものだと。 あの橋からは大きく離れたこの場所に飛ばされたのはその技の効果だと。 だが、しかし、こうして震えるピッピをどうして叱る事が出来よう? そもそも、三人は仲間だ……種族も、生きてきた年代もまるで違うが、それでも仲間だ。 二人は示し合わせたように無言で頷くと、立ち上がる。 「行くよ、ピッピ!!」 その声に振り向いたピッピが見たものは、西の方角へと真っ直ぐに瞳を向ける二人の少女。 瞳には絶望の色はない、ピッピを疎ましく思う色も無い。 「まだ間に合うよ、急いで走れば……私とこなちゃんの足ならきっと間に合う!」 「それに、キバくんがそんなに簡単に負ける訳が無い! ほら、立ってピッピ……まだ諦めるには早いよ」 尚も震えるピッピを強引に腕の中に持ち、こなたとレナは走り出す。 確かに二人の足は速い。 しかし、それはあくまでも人間レベルでの速さだ。 その程度の速さでは――TASには届かないという事を、二人はまだ知らない。 こなたの腕の中、ピッピはまだ泣き腫らしていた。 自分が情けなかった、キバ達の心配をするよりも謝罪して許しを乞う事を優先した自分が。 すぐに立ち上がらず、ただ震えるだけだった自分が。 自分は本当に何かの役に立てているのか、本当に彼女達の仲間の資格があるのか。 何も出来ずに足を引っ張るだけの自分に、存在価値はあるのか? 空を見上げて満月に問いかけても、答えは何も返ってこなかった。 【D-4 花畑/二日目・深夜】 【泉こなた@らき☆すた】 [状態]:顔面強打、右腕打撲(これらの痛みはひきました)、強い決意、腹部強打 [装備]:くうき砲@ドラえもん、団長腕章@涼宮ハルヒの憂鬱、フタエノ極意書@ニコニコRPG [道具]:支給品一式*2(食料一食分・水一食分消費)、暗視ゴーグル@現実、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、コロネ(バタフリー)@キャタピーだけでクリアに挑戦(残り100%)、 テニスボール、初音ミク@現実、モモンの実*3@ポケットモンスター、オボンの実*3@ポケットモンスター、ポケモンフーズ一日分(二食分消費)@ポケットモンスター [思考・状況] 1. D-2の橋に戻り、キバ達に加勢する。 2.つかさを助けたい。 3.圭一、ティアナの思いを継いで、対主催思考の仲間を探す。 4.城まで行き、首輪を解体出来る者を探す。 5.バトルロワイアルから脱出する ※フタエノキワミを習得しました。攻撃力が二倍になり、急所に当たりやすくなります。 ※他アニメについての知識が徐々に戻りつつあります。 「ひぐらしのなく頃に」「魔法少女リリカルなのは」の他にも、何か思い出すかもしれません。 【ピッピ@ポケットモンスター(ピッピのゆびをふるのみで殿堂入りを目指す)】 [状態]:強い決意…だけど、自信喪失、腹部強打 [装備]:リーフシールド@ロックマン2(技マシン的な使い方でポケモンは使える) [道具]:支給品一式(水一食分消費)、ほんやくコンニャク(1/4)(半分で八時間)@ドラえもん、 テレパしい@ドラえもん(残り3粒、五寸釘@現実、モモンの実@ポケットモンスター、 オボンの実@ポケットモンスター、ポケモンフーズ一日分(二食分消費)@ポケットモンスター [思考・状況] 1.少数派による運命の打開 2.D-2の橋に戻り、キバ達に加勢する。 3.城まで行き、首輪を解体出来る者を探す。 4.ティアナのような犠牲は二度と出さない。 5.あの怪しいポケモンとトレーナーを倒し脱出 ※首輪は頭の巻き髪についてます ※ピッピは、はたく、うたう、おうふくビンタを使えることを思い出しました。ただし、まったく使ってこなかったため、かなり信用に欠けます。 【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】 [状態]:悲しみ、右手に切り傷、右腕銃傷、腹部強打 [装備]:リアルメガバスター(240/300)@デッドライジング、サイレンサー付き拳銃(1/6)@サイレンサーを付けた時とry、鉈@ひぐらしのなく頃に [道具]:支給品一式*2(食料一食分・水一食分消費)、雛見沢症候群治療セット1日分(C-120、注射器、注射針)@ひぐらしのなく頃に、日本酒(残り半分) テニスボール、オミトロン@現実? モモンの実@ポケットモンスター、鉄パイプ、本『弾幕講座』、アイテム2号のチップ@ロックマン2 [思考・状況] 1.少数派による運命の打開 2.D-2の橋に戻り、キバ達に加勢する。 3.城まで行き、首輪を解体出来る者を探す。 4.圭一、ティアナの思いを継いで、対主催思考の仲間を探す。 5.富竹を発見できたら、薬を打ってあげたい。 6.ハルヒはしばらく泳がしておき、計略を為ったと見せかけておく。 6.罪滅しをする ※八意永琳が何か知っているのだと思っています。 ※時期は大体罪滅し編後半、学校占領直前です。 ※雛見沢症候群は完治しました。 ※身体能力が向上しています。それによってレナパンが使えるようになりました。 ※158話で感じた違和感の正体が、ハルヒに自分達の情報を教えたと推理しました。 また、ハルヒ達の計画を大まかながら把握しています。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 傷ついた三人は、光に包まれた後草原に辿り着いていた。 しかし、その草原は先ほどまでいた場所とは違う……目の前に聳え立つ塔が、何よりの証拠。 「よ、かった……逃げれた、みたいねぇ」 安堵の溜息を吐きながら、水銀燈は見上げる。 そこには、何が起こったのか今ひとつ理解をしていないような表情の媒介。 その横を見れば、再び涙を瞳に溜めている少女。 水銀燈は苦笑をしながらも、少女の瞳に溜まった水滴をその指で拭い去る。 「やぁねぇ、なんで泣くのよぉ……お馬鹿さぁん」 「だ、って、キバ、くっ……それ、に、すいぎ、と、ちゃ、まで……。 わ、たし、弱いから、いつも、守ら、れて、ティア、ちゃ、も……」 拭っても拭っても、少女の瞳には涙が溜まってゆく。 語る言葉は嗚咽交じりで聞き取りづらい、しかし、それでもその心は水銀燈へと伝わる。 水銀燈は、ゆっくりと頭を振って少女の言葉を否定する。 そして、赤子を諭すような優しい口調で諭した。 「弱い、からじゃ、無いわぁ……あな、た、は、強さ、を……持ってる」 少女の頬に触れながら、水銀燈は続ける。 「弱い、から、守られたんじゃ、無い……あな、た、は、愛されている、だけ……。 ティアナも、キバも、私ですら、あなたを、守らざるを得なかった……それだけ……。 それ、は、きっ、と、何よりも、大切な、事……だか、ら、恥じる事は、何も無い。 むしろ、誇るべき、あなたの強さ……」 視線の先を変え、媒介へと言葉の先を向ける。 「そ、それ、は、あな、たも、お、同じ……あな、た、は、いつの時か、言ってくれた……。 あ、愛されるのに、か、完全で、い、いる必要は、無い、と。 だか、ら、私は、え、選んだ……私の、意志で、あ、あなた達を、ま、守った……。 あ、あな、たは、愛される、べき、人だから……あ、愛されて、いる、人だから……」 「水銀燈…?」 ようやく、媒介は水銀燈の異常に気付いた。 言葉が途切れ途切れであるし、いつになく真剣な口調だという事に。 その様子を微笑を浮かべて見ながら、水銀燈は手に持っていたカードの一枚を見る。 「つ、つか、えるかしら、ねぇ……も、もう、二十四時間、経ってると、い、いんだけ、ど……」 そうやって、水銀燈が掲げたカードは聖なるエルフが描かれているもの。 震える口を無理やり動かして、その名を呼ぶ。 「魔法、カード……発動。 ホーリーエルフの、祝福。 対象は――」 そこまで言って、水銀燈は少しだけ考えた。 もしもこの状況を、ずっと憎んでいた彼女や他の姉妹達が見たならどう思うだろうか。 恐らく、目を疑うだろう……或いは、それもまた水銀燈の罠か何かと思うかもしれない。 思えば、自分は変わった。 よくも悪くも、この媒介を中心とした人物に影響されて。 でも、悪くない気分だった。 こういうのも悪くは無いと思いながら、その名を――自分の最期を看取って欲しいからこそ、呟く。 「対象は――永井、博之」 呟くと同時に、媒介の身体を暖かな光が包み込んだ。 それは身体の各所の傷を次々と癒してゆき……その顔さえも治す。 そう、その顔にある――瞳さえも。 「目を、開けて、みなさぁい……み、見えるように、なってる、かも」 「お、おお……」 言われるがまま、媒介は見えないはずの目を開ける。 見える、光が――夜なので光は少ないが、それでも何がそこにあるか把握が出来る。 その瞳は再び役目を果たせるようになったのだ。 感謝の意を述べようと、媒介は下を向き助けてくれたその者を見る――。 ――ジャンクがいた。 「……ぇ?」 「あら、その様子、だと……み、見えてる、みたい、ねぇ? よ、よかったわぁ……」 水銀燈がぎこちなく喋る、微笑みを浮かべながら喋っている。 横を向く、妹は泣いている、水銀燈を見て泣いている。 もう一度、水銀燈を見る。 水銀燈は心の底から、自分の目が見えるようになったのを喜んでいるようだった。 ――何故? 「水銀、燈?」 「なぁにぃ、情け、ない顔ぉ……も、っと、シャンと、しなさいよね……」 顔は悪漢の拳により皹が入っており、全身は傷だらけだった。 背中の翼は多量の羽根が抜け落ちており、非情に不恰好である。 そして――その下半身にあるべき足が一本足りない。 綺麗に、斬ってしまったかのように失われている。 「な、なんでど……なぁ! なんでど、水銀燈!!」 「怒鳴ら、ない、でよぉ……つ、唾、飛ぶじゃなぁい……」 その足――お父様から頂いた大切な身体の一部である足は、先ほどの戦いでサナギに掴まれていた部分。 あの時、水銀燈の脳裏に過ぎった打開案とは、その足を断つというものだった。 触手は斬れなかったが、所詮は人形である水銀燈のボディには骨というものがない。 故に、一太刀で断ち切る勇気さえあるのならば、あの状況は打開出来たのである。 だが、水銀燈はそれを迷った――お父様から貰った大切な身体を、自分から断つなど出来ない――。 そんな時だった、目の前の媒介の言葉が浮かんだのは。 ――完全じゃなくても、愛される奴は沢山いる。 ――完全な奴しか愛さないなんて、そんなものは父ではない。 「か、完全、じゃ、なく、ても……お、お父、様、には……あ、愛して、頂ける、もの……。 そ、そうよね、博之?」 「ッッッ!! あッ、たり前やがァ!!」 泣き叫ぶ博之を見ながら、水銀燈は少しずつだが何かがわかったような気がした。 いつの日か、例の憎い妹が言っていた甘い言葉。 人の思いが活力を与え、人の思いが人を動かすその本質を。 「い、いい、事、博之? さ、さっきも言ったけど、あ、あなた、は、弱くなんて、無い……。 だか、ら、悔いては、駄目……むしろ、誇りな、さい、その、誰にで、も、愛され、る、強さ……」 「っ! でもっ……それでも、俺はッ! 誰かを守れる強さが欲しいわぁ!!」 「……そ、う」 水銀燈がどれほど言葉を並べても、博之はやはり悔しがっていた。 目が見えないから、力が無いから、キバもティアナも、誰一人守れない。 大の大人が、守られるしか出来ない歯痒さを感じていた。 「な、なら、望みな、さい……ち、力を、え、得る事を……」 既に思うように動かなくなってきた頭を持ち上げて、水銀燈は呟き続ける。 もう残っている時間は少ない。 ならば、最後に何かをこの媒介に残さなくてはならない。 無力を嘆いている強い媒介に、戦う事の出来る力と自分の想いを与えなければならない。 水銀燈が博之の肩に手をかけると同時に、水銀燈の胸から二種の宝石が飛び出してきた。 それに思わず驚愕している博之に、水銀燈は呟く。 「ロ、ローザ、ミス、ティカ……わ、私の、もの、あ、あなた、に、受け取って、欲しい……。 にん、げんが、ち、力の、無い、人間、が、つ、使えるか……。 ど、どんな、副、作用、が、あるか、わか、らない……で、でも……ち、力を望む、なら……」 水銀燈の言葉に、博之は歯を食いしばり無言で頷いた。 それと同時に、ローザミスティカが博之の身体に触れ――情報が一気に押し寄せた。 水銀燈が生きてきた世界、生きてきた道のり、争い、記憶の全て。 そして、それと同じくして溢れてくる感情。 愛おしさ、友情、憎しみ、怒り、安らぎ、ありとあらゆる水銀燈の魂全て。 それらが媒介の脳裏を過ぎ、去ってゆく。 同時に、博之の身体に変化が起こる。 それは人間が服用した副作用なのだろうか……全身に激痛が走ったかと思うと、黒い帯状のマークが腕や胸を走る。 次第にその黒い帯は淵に光り輝く紫色を漂わせる。 一体どれほど経ったろうか、博之にとっては無限とも思える時を過ごしたが水銀燈達にとっては一瞬の出来事だったらしい。 だから、水銀燈も妹も――博之本人ですらその姿に驚きを隠せなかった。 まるでその姿はいつの日か自分がプレイした、主人公である魔人にそっくりのものだったのだから。 「……なんどこれえ!?」 「ふ、ふく、さよう、かしら、ねぇ……つ、伝わっ、た?」 涙はもう、流さなかった。 水銀燈の言葉に頷き、博之は胸に手を当てる。 水銀燈の全てはここに受け継いだ、力も心も記憶も……魂すらも。 「水銀燈の言うとる事が、頭ではのう心で理解出来たッ!!」 「そ、そう、なら、よか、った……」 もうすぐ、水銀燈は止まってしまう。 ローザミスティカを失ってしまった今、残されている時間は毛ほどもないだろう。 だからこそ、最後の言葉を博之に残そうと口を開く。 「お、覚えて、おき、なさい……わ、私は、水銀燈。 誇り高い、ローゼンメイデンの第一ドール――そして」 そう呟くなり、水銀燈は博之の頬へとその唇を近づけ――。 「幸せな……本当に幸せな、あなたのお人形」 その頬へ口付けを交わし――動かなくなった。 「~~ッ!!」 妹は、その様を見て更に声なくその涙を流し始めた。 媒介――いや、既に指輪を消失し媒介でなくなった彼……魔人博之は、涙を流さない。 博之の胸の中には、彼女の魂が眠っている。 その想いを受け止めた今、涙を流す理由は見当たらない。 「……水銀燈。 絶対に、お前を直したるから、それまで寝とれ」 彼女は人ではない、人の形をしたものだ。 神の指先を持つ父が作り出した彼女は、人でないからして生の受け方も人とは違う。 ――彼女は、父を思うが余りに突如独りでに動き出したというのだ。 そうして、ローザミスティカを得、アリスゲームに参加した。 その後、何度か戦いがあり――一度はその生を絶たれた時もあった。 だが、その時も彼女は生き返った。 その身体を父親に完全に修復してもらい、再び生を受けたのだ。 「俺、絶対生きて帰ってお前のおとうとかに頼み込んで、直してもらうから。 やから……また、会える」 博之は着ていた肌着を脱ぎ、いつか拾った右腕と水銀燈の胴体とを結びつける。 これで完全に上半身は裸になってしまったが、文句は言わない。 右腕部分はなんとか直せた水銀燈を己のデイパックに入れ、水銀燈のデイパックの整理を始める。 「……妹、いつまでも泣くな」 「っ、でもぉ……」 「でもやない……キバも死んだ、水銀燈も死んだ、もうおらん。 やけど……やからって、泣いとるだけやったらどうにもならん、やから立て」 尚も泣きながら、ゆっくりと立ち上がった少女に博之はカードの束と一つの刃物を渡す。 「……え?」 「持っとれ、水銀燈がお前につこうて欲しいゆうとぅ」 そう言う博之の顔には、どこか不思議と水銀燈の面影があり。 少女は、静かにその刃物とカードを受け取った。 ――その刃物は、自分が人を殺めてしまった時に使ったもの。 「それを使って、今度は人を殺すんやのうて……守れゆうとぅ。 自分を、仲間を、皆を……」 「水銀燈ちゃん……ッ!」 少女はその刃物――庭師の鋏を両手で抱きしめ、再び泣き出した。 しかし、今度の涙はただ親しい者の死を嘆くもののそれではない。 キバと水銀燈とティアナに救われた命をどう使うのか、それを悟った故に出てきた涙。 そして、それを必ず成し遂げると誓う涙。 博之は少女をそのまま泣かせておき――再び整理作業へと移った。 第三者が見れば、二人を冷たいと思うかもしれない。 しかし、彼らには――少なくとも、彼にはそれが理解出来たのだ。 彼らを守っていった者達の想いが、心で理解出来ているのだ。 だからこそ、博之は決して涙を見せず、ただ前を向き続けるのである。 その胸に熱い想いを――愛媛の打開を見せてやるという、意地を抱いて。 ローゼンメイデンの第一ドール――水銀燈の媒介であるという、誇りを抱いて。 悲しくないと言えば嘘になる。 しかし、だからこそ、前へ。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ――少女は、誰からも愛される兄を持っていた。 だからという訳ではないが、少女は愛される素質を持っていた。 ――魔人は、誰からも愛される兄を持っていた。 だからという訳ではないが、魔人は愛される資格を持っていた。 ならば――少女と魔人を守った三人は、その素質と資格に引かれたのみで守り抜いたのかと言えば、それは違う。 三人と、少女と魔人の間には常人には無いナニカがあった。 男女間の愛か、と聞かれれば違うだろう。 では、兄弟愛かとなると、それも違う。 家族愛でもないし、しかし、ただの仲間意識でも無い。 その間にあったものは言葉にするのは難しいが――しかし、あえて言葉にするなら。 ――人はそれを、絆と呼ぶだろう。 【水銀燈@ローゼンメイデン 死亡】 【残り31人】 【E-5 草原/二日目・深夜】 【永井博之@永井先生】 [状態]:深い悲しみとそれを超える脱出への誓い、魔人ピロ(紫)、上半身裸、萃香を少しだけ疑っています [装備]:薬草(3/99)@勇者の代わりにry 、包丁@フタエノキワミ アッー!(るろうに剣心 英語版) [道具]:支給品一式*3(食料三食分・水一食分消費)、座薬@東方project、ヲタチ(残りHP80%)@ポケットモンスター ゴム@思い出はおくせんまん、自動ぶんなぐりガス(残り1/5)@ドラえもん、ヴェルタースオリジナル*3@ヴェル☆オリ 真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、ぬいぐるみ沢山、くんくん人形@ローゼンメイデン、ヤクルト(残り4本)@乳酸菌推進委員会 銀コイン@スーパーマリオワールド、薬草の軟膏(3/4)、右足が欠けたジャンク [思考・状況] 1.少数派による運命の打開 2.城まで行き、首輪を解体出来る者を探す。 3.水銀燈の分、詩音の姉へ償いをする。 4.水銀燈の右足を見つけたい 5.必ず生還し、水銀燈を直して再開する。 ※ローザミスティカの力を得て魔人覚醒をしましたが、魔人の能力を行使出来るか・水銀燈の力を行使出来るかは不明です。 ※ただの人間がローザミスティカの力を得た為に、副作用を受ける可能性があります。 ※水銀燈の見てきた全ての記憶・感情を得ました。 ※博之はハルヒの正体をレナから聞きましたが、あまりよく理解していません。 【キョンの妹@涼宮ハルヒの憂鬱&愛しの兄が振り向かない】 [状態]:深い悲しみとそれを超える脱出への誓い、阿部への怒り、頬に軽い切り傷、頭部に打撲&出欠 、軽い頭痛(痛みは和らぎました) [装備]:おたま@TOD、 カワサキのフライパン@星のカービィ [道具]:支給品一式(食料一食分・水一食分消費)、DMカード(オレイカルコスの結界 (次の早朝まで使用不可) 三幻神(ラーのみ使用可だが遊戯、海馬などのみ、他は次の早朝まで使用不可)、 ブラック・マジシャン・ガール(次の深夜まで使用不可)、ホーリーエルフの祝福(次の深夜まで使用不可)、青眼の白龍*2(次の午前まで使用不可)、強制脱出装置(次の深夜まで使用不可)、 死者蘇生(次の昼まで使用不可)、黒騎士の魔剣少女、セイバー(次の昼まで使用不可) コカローチ・ナイト(深夜に二度使用)、進化の繭、ゴキボール(次の深夜まで使用不可)@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ、ダンボール@メタルギアシリーズ ヴェルタースオリジナル@ヴェル☆オリ、携帯電話@現実、庭師の鋏@ローゼンメイデン [思考・状況] 1.少数派による運命の打開 2.城まで行き、首輪を解体出来る者を探す。 3.ティアナ・キバ・水銀燈の行動を無駄にしないためにも、生きる。 4.もう誰も殺さない、罪滅しをする。(阿部に関しては、どうするか分かりません) 5.古泉くんの間違いを正す。 ※萃香への憎しみは、萃香をこちら側に協力させるための嘘です。 sm170:あばよ、ダチ公(後編) 時系列順 sm171:せがれいじり sm170:あばよ、ダチ公(後編) 投下順 sm171:せがれいじり sm170:あばよ、ダチ公(後編) エアーマン sm183:リィンカーネーション(前編) sm170:あばよ、ダチ公(後編) 涼宮ハルヒ sm176:両手には飛び立つ希望 sm170:あばよ、ダチ公(後編) TASさん sm176:両手には飛び立つ希望 sm170:あばよ、ダチ公(後編) クラモンC sm176:両手には飛び立つ希望 sm170:あばよ、ダチ公(後編) 泉こなた sm176:両手には飛び立つ希望 sm170:あばよ、ダチ公(後編) ピッピ sm176:両手には飛び立つ希望 sm170:あばよ、ダチ公(後編) 竜宮レナ sm176:両手には飛び立つ希望 sm170:あばよ、ダチ公(後編) 水銀燈 死亡 sm170:あばよ、ダチ公(後編) キョンの妹 sm178:☆ニコロワ住民のネット小説☆クロミラテクニック隔離 sm170:あばよ、ダチ公(後編) 永井博之 sm178:☆ニコロワ住民のネット小説☆クロミラテクニック隔離