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………めぐも……… ・ベットを起こして窓を見ながら歌を歌っているめぐ ・看護士がめぐに郵便袋を渡す 看護士「めぐちゃんに宅配便よ」 めぐ「ありがとう」 ・看護士が立ち去り ・水銀燈が姿を表す ・宅配袋から2冊の本を取り出すめぐ 水銀燈「珍しい。外の世界に興味をもったの」 めぐ「ううん。新装版ローゼンメイデンがでるって聞いたから、お父様に頼んだの」 水銀燈「新装版、ローゼン、メイデン?」 めぐ「ええ、だって私は水銀燈のミーディアムだもの」 水銀燈「全く、私は貴方をミーディアムだなんて認めたわけじゃ…」 めぐ「見て!一巻は天使さんが表紙よ」 水銀燈「えっ、どれどれ?やだぁ、二巻は金糸雀じゃないのよぉ」 ・二人とも読み続ける めぐ「私も少し載ってるわ!水銀燈のミーディアムですものね!」 水銀燈「だから、私は認めてないんだから」 めぐ「額装イラスト、欲しいなぁ(ボソッ)」 ・その場を何も言わず立ち去る水銀燈 水銀燈の心情「めぐのためなら」 めぐ「水銀燈おぉぉぉぉ愛してるうぅぅぅぅ!」 水銀燈「ひいっ!」 めぐ「どうして逃げるのおぉぉぉ!?」 水銀燈「勢いがありすぎるのよぉ!」 めぐ「それは、私が、あなたを、愛しているからよ!」 水銀燈「もう少し抑えて欲しいわぁ」 めぐ「このほとばしる思いは止まらない! さあ水銀燈! 寝ましょう!」 水銀燈「鼻血を、鼻血を止めなさ、いやあぁぁぁ!」 めぐは素直ヒート? 「死んだら、星になってキラキラ輝くのかな」 白いシーツに足をいれ、めぐがそんなことを呟く。 「そうしたら、ずっと綺麗なままね」 本当にバカなことを言う。 頭のネジどころか、体中のネジが抜けているんじゃないだろうか、と思ってしまう。 「ねぇ水銀燈……私の命、早く使ってね」 「…………おバカさぁん…あなたの命なんて使わなくても大丈夫よぉ」 全く調子が狂う。 始めは無理矢理にでも使ってやろうと思っていたが、こうも素直に差し出されると、さすがに躊躇してしまう。 「おいで水銀燈……」 めぐが手招きをし、ニコリと笑う。 「ほら……私の天使さん」 スッと、めぐは両腕を軽く広げる。 無視をしても、そのまま続けていそうなので、私は仕方なくめぐに近づく。 私の顔が、めぐの胸にあと少しで触れそうになる位まで近づくと、めぐは私をそっと抱きしめた。 ――温かい 1番の感想はそれだった。 顔を少し上げ、めぐの顔を見る。 笑顔だ。 でも、嬉しそうな感じはなく、ただ寂しさだけがその笑顔にはあった。 何故だか、その表情に私は不思議な感情を覚える。 死にとりつかれた少女。 私はそんな少女と抱き返す。 あなたにはもう少し生きて欲しい。 そんな願いを込めて…… ある晴れた夜に 月が出ていた。 昨日までの記録的な豪雨は都会上空に蔓延する塵を一掃したようで、 普段では考えられないような数の星々が夜空一杯に煌めいていた。 めぐは顔を窓の方に向け、瞬きを忘れてしまったかのようにその光景に釘付けになっていた。 かれこれ一時間になるだろうか。 それでも水銀燈は話しかけようとはしなかった。 こうしているめぐの姿を眺めているのは嫌いではないし、 何より水銀燈自身わざわざ自分から話しかけようという気が無かったからだ。 めぐ「ねえ、水銀燈?」 顔は横を向いたまま、不意にめぐが問いかけてくる。 水銀燈「なぁに?めぐ。」 めぐ「今ここで死んだら、あの星たちに仲間入りできるのかな?」 水銀燈は答えなかった。 返答に窮していた訳ではない。 これは様々に形を変えて繰り返される定型文だ。 めぐも答えを求めてなどいない。 だからめぐは何事も無かったかのように言葉を続けた。 めぐ「ねぇ水銀燈、この星空は私を呼んでいるような気がするわ。 こっちに来れば地上に縛られること無くいつまでもこの煌めきを自分のものに出来るって。 あなたもいっしょになって光り輝くことができるって。ねぇ?水銀燈。」 水銀燈は小さな溜め息を一つついた。 今日はいつにも増してひどいようだ。 水銀燈「ねぇめぐ。あなたどうしてそんなに死に拘るの? あなたなら、いやあなただからこそ分かっているでしょう。 生と死はいつでも背中合わせ。 それらは日常的に一続きになっていて、いつ逆転するか分からない。 その程度のもの。」 めぐ「そうね。でもあなたには分からないわ。 どこまでも自由なあなたには… 生きる理由すら失って、停止した時間の中で生命の灯火が消え行くのを見守るだけの私の気持ちは。」 全く。どうしてここまで卑屈になれるのだろうか。 水銀燈「めぐ。私はアリスゲームを勝ち抜くために、闘って生き残る為だけに生まれてきたわ。 だけど今、ゲームは大して進んでいない。 自らの存在理由を自分で放棄しているの。 でもそれによって享受した日常ってものをそれなりに楽しんでる自分もいるのよ。 意味だけを追求しなくてもいいんじゃないかしら? 勿論あなたの今を安易に肯定するつもりも否定するつもりもないけれど。 それにめぐ、ここでの日々全てを否定するということは、 私と出会い、過ごした時間を否定するということよ。 …あまり、いい気はしないわ。」 めぐは困ったように微笑んだ。 めぐ「水銀燈は…水銀燈は後悔していないの? 私と出会ってしまったこと。 私と同じ時間を過ごしてしまったこと。」 水銀燈「だからそんな事は関係無いのよ。全ての事に意味を求める方が傲慢なの。 そんなに自分の生きた証が欲しいなら、死ぬことに意味を見出すよりも、 これからの自分の生に如何に価値を作り出せるかを考えたほうがいいんじゃないかしら?」 めぐ「………」 水銀燈「めぐが生き続ける意志を持つのなら、私も再び闘争の中に身を置くことに抵抗はないわ。 アリスになって、あなたが自分に課した鎖を解き放ってあげる。 あなたが望むなら、ね。」 めぐはしばらく俯いて黙っていたが、何かに考えが行き着いた様子で顔を上げ、頬を膨らませた。 めぐ「卑怯よ水銀燈。 それってあなたがこの先生き続けることに対する責任全てをあたしが負うってことじゃない。」 水銀燈は微笑むと窓から広がる夜空を見上げた。 水銀燈「自己満足だけでなく世に自分というものを残したいなら、他人の業の一つや二つ背負ってみせなさい。 それに私の時間だって今は止まっているのに等しいもの。 少しぐらい誰かに肩代わりしてもらわないとまた動き出すのは辛いわ。」 めぐ「水銀燈…」 水銀燈「何にせよ、少しは気晴らしになったようね?」 めぐは驚いたような表情をしたあと、すぐに満面の笑みを見せた。 めぐ「…また私を導いてくれる?私の天使様。」 水銀燈は答えず、しばらく目を瞑ると、思い立ったように窓から飛び立っていった。 空では月が輝いていた。 (了) 病室に歌声が響く。どこか寂しいその音色は、 黒色の天使の腰掛ける窓から出ていき、やがて空へと消える。 「ねえ、水銀燈」 歌っていた少女が薄く微笑んで、窓の方へと声をかける。 声をかけられた天使は、表面上―――少女にはそれが彼女の本質でないことはわかっていた―――気怠そうに返事をする。 「……何?」 「こっちへ来て。」 人形の天使は音も立てずに窓枠から少女のベッドに移り、そっとその身を寄せた。 少女はそんな彼女を決して強くない力で抱きしめる。彼女が抵抗することは、無かった。 「私ね」 そこで少女は少し止まった。次の言葉を言いかねているかのように。 「……少し、少しだけね?私、生きてて良かったって思っているの。」 天使は目を見開き、少女の方を見た。少女は相変わらず微笑んでいた。 「―――だってこんな素敵な天使に出会えて、命を取って貰えるんだもの。」 少女はクスクスと笑い、天使を見つめる。天使は呆れたとでも言うようにため息をつき、少女の手にそっと自分の手を重ねた。 「温かい」 少女は、驚いたように天使の顔を見つめた。天使もまた、微笑んでいた。 「めぐの手は、温かいわ」 少女は何も言わなかった。天使も何も言わなかった。 「傍にいたい」という思いが互いにわかったから、だかり、言葉を発する意味が無かった。 め「ねぇ水銀燈、今日って何の日だか知ってる?」 銀「知らないわぁ。何か特別な事でもあるの?」 め「うふふ。そうね、私たちにとっては、ちょっと特別な日かもしれないわ」 銀「何よぉ、もったいぶった言い方して…。早く教えなさいよ」 め「ヒント:10月4日」 銀「10と4?」 め「そうよ、10(てん)と4(し)で天使の日なの。 つまり、私の天使さんの水銀燈――。貴女の日なのよ」 銀「何よ、それ?つまんないカンジィ…」 め「そんな事はないわ!とても意味のある日よ。 だからね、水銀燈、今日こそ私たちは結ばれるべきだと思うの」 銀「何言ってるのよ…。本気でバカじゃなぁい?」 め「いいでしょう、水銀燈?今日が私たちの記念日よ!」ジリジリ 銀「ちょっと待ちなさい、めぐ!落ち着い……アッ━━!!」 この後、水銀燈はめぐに美味しく頂かれました…。 アルコールよりぎゅっとして 最近、夜になると独りの時間を放棄し、めぐの病室へ行くようになった。だいたいめぐは愚痴やら不満やらを話し、私は黙ってそれを聞いていた。 「ねぇ、水銀燈。そういえば昔、体温計は水銀を使っていたらしいわよ?」 水銀中毒などの危険を考慮して今はほとんど使われていないという。 「ふぅん。それが何よ」 「だから、水銀燈も私の体温計れるんじゃない?」 「はぁ?」 めぐ曰く、私の名前が“水銀”燈だかららしい。全くよくそんな変なことを思い付くものだ。 「ほら、お願い」 髪をかき上げ、額をあらわにする。仕方なく手を当てようとするとめぐはそれを制止する。 「熱を計るんならおでこくっつけてよ」 「え~」 髪をかき上げたまま目をつぶっている。私はゆっくりとめぐの顔へ近付く。口紅がひかれていないにも関わらずやけに唇が色っぽい。 「んっ」 ぴたと額と額が合わさる。めぐ熱がじんわりと伝わって来る。 「どう? 熱ある?」 急にぱちりと目が開き、どぎまぎする。めぐとの距離は零。まるでめぐとくっついてしまったみたいだ。 「わ、分かんないわよぉ」 本当はさほど熱はなかったが、なぜか熱く感じた。私が熱くなっているという錯覚にさえ陥った。 「分かんないの? 仕方ないわね……」 めぐは上からパジャマのボタンに手をかけ外していく。その光景をただ見ているしかなく、その間私の時は止まっていたかのようだった。 はらりと上着はベッドの上に脱ぎ捨てられ、めぐの白い肌と膨らんだ乳房があらわになる。その段になって私はようやく反応することが出来た。 「な、何してんよぉ……」 「ふふ、水銀燈がちゃんと計らないからよ」 ばっと腕を回し私を抱き締める。不意の出来事に反応することが出来なかった。 「どう……」 「うん。めぐ、すごく熱いわ」 服越しでも伝わるめぐの体温。とても優しい。そこには確かに“生命”を感じた。 「あら、風邪かしら」 私を放し、いたずらに笑う。めぐの感触がもうすでに恋しい。 「そうねぇ、そんな格好してたら風邪ひくわよぉ」 私はそう言ってはっとする。知らない内に口元が笑みを作っていた。たまにはこういうのもアリかも知れない。 めぐはやがて服を着て、布団でうずくまるように寝てしまう。 ……病なのは私かも知れない。身体のほてりを冷ますために闇夜に飛び出した。今はそれくらいしか思い付かない。 了 水銀燈「水銀燈のぉ、今宵もアンニュ~イ」 水銀燈「始まりましたぁ水銀燈の今宵もアンニュイ。この番組は・・・」 ガタン!がばぁぁッ! 水銀燈「きゃあっ!ちょっとめぐ!いきなり抱きついて!やめなさいっ!番組始まってるのよっ!」 めぐ「うふふっ///真剣に原稿読んでる水銀燈見てたら、ムラムラしちゃった///」 水銀燈「だからって・・・あんっ!やめっ!ちょっとスタッフ!!なんとかしなさいよぉっっ!」 スタッフ達「wktkwktkwww」 水銀燈「なっ・・・!スタッフぅ!あ、後で覚えてなさぁい!!!」 めぐ「怒った顔の水銀燈も・・可愛い///」 水銀燈「めぐ!あんたもいい加減にしなさいよっ!本番中よお!!」 めぐ「本番?いいよ、水銀燈となら///どうせ死ぬんだもの。初めては水銀燈に・・・してもらいたい///」 水銀燈「めぐ・・・・///。はっ!その本番じゃなくって!ああもう一瞬でも心動かされた自分が呪わしいわよ・・・」 めぐ「うふふ・・・放送事故って、きっとこういうことを言うのね。これから私と水銀燈のめくるめく快楽のドラマが全国に流れるのよ?これって素敵なことじゃない?」 水銀燈「めぐって前々からおかしい子だって思ってたけど・・・きゃっ!めぐ!抱きついたまま体中撫で回さないでっ!」 めぐ「そう!私、おかしいの(スリスリ)。水銀燈の事を思うと、おかしくなるの///(ナデリナデリ)」 水銀燈「やあっ!もう!放しなさいよお!!ああんっ!」 めぐ「全国のリスナーに、届け!天使さんの喘ぎ声!」 水銀燈「あ~~もう!どんだけ~~~!」 ~水銀燈の二人でアンニュ~イ~完
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水銀燈「…ん、もうこんな時間かぁ…」 時計を見ると、午前6時45分…そろそろ学校に行く仕度をしなければいけない時間だった。 しかし水銀燈はどうしてもそんな気分になれない。まだ寝たいし、外は寒いし、テスト週間も終わったから、特にやること無いし… 水銀燈「…あーあー…具合悪いんで…今日は学校休ませてくださぁい…。んー…具合悪いんでぇ…。具合…悪いんで…よし…」 何度か確認するようにつぶやくと、また布団にもぐってしまう水銀燈。そこに電話のベルが鳴り響く。相手は薔薇水晶…彼女はいつもこの時間に、水銀燈を電話で起こしていた。 先ほどつぶやいていた言葉をもう一度繰り返し、万全の体制で電話にでる。 水銀燈「…もしもぉし…」 薔薇水晶「銀ちゃん…そろそろ学校に行く時間だよ?」 水銀燈「あー…えっと、具合…」 薔薇水晶「学校…準備できた?」 水銀燈「…いや、だから具合が…」 薔薇水晶「学校…急がないと…」 水銀燈「…分かったわぁ…。」 「最悪」とつぶやきながら電話を切り、急いで準備を始める水銀燈。こんな感じで、今日も水銀燈の1日は幕を開けましたとさ。 おしまい。
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「わーい、水銀燈登りー!」 「ちょ、ちょっと登るのは良いけど髪の毛は引っ張らないでぇ!」 雛苺が水銀燈によじ登る、そんな光景が広がるジュンの部屋。 二人が付き合い始めてからは、もはや定番となった光景だ。 「まったく、騒がしい二人ね。本が静かに読めないわ」 「見せ付けてくれるですぅ…。蒼星石、私達も負けてられないですよ!」 「いや、こういうのは張り合うものじゃないし…」 「いいから私達もイチャつくですぅ! 気が収まらんですぅ!」 そう言うや否や、翠星石は蒼星石に飛び掛った。 蒼星石はその衝撃に耐え切れずベッドに倒れこみ、押し倒される格好になる。 「ちょ、ちょっと翠星石!」 「ほらチビ苺に水銀燈、私達のほうがラブラブですよぉー」 呼ばれた二人はそれに気付き、少しムッとしたような表情を浮かべる。 「…面白くないわねぇ…」 「何だか悔しいのー」 「私達も見せ付けてやるわよぉ」 「うん!」 水銀燈は雛苺を抱き上げ、自分と同じ目線になるようにしてお互い見つめ合う。 そして雛苺が水銀燈の首に腕を回し、そのままキスをした。 それも触れるような軽い物ではない、お互いに舌を絡ませる深いキス。 辺りを気にせずに水音を響かせながら唇を貪り合う、そんな濃いピンクの空気に双子はおろか真紅もやられてしまった。 「…す、凄いね…」 「あの雛苺がこんな…ギャップが凄いのだわ…」 「…く、くぅー…! まだまだ負けてられんですぅ!」 翠星石は悔しさに顔を歪め、今度は蒼星石の服を脱がしに掛かった。 さすがにこれは溜まったもんじゃないと蒼星石も抵抗する。 「ちょ、ちょっと止めてってば!」 「いやですぅ! もっとあの二人に見せ付けてやるですぅ!」 「やーだー!!」 「いい加減にしろこの淫乱人形どもーっ!!」 それまでずっとだんまりを決め込んでネットしていたジュンだが、ついに我慢の限界となり怒鳴りつけた。 いきなり怒り出したジュンに唖然し、みんな時が止まったようにジュンの方を見る。 「お前ら僕の部屋を何だと思ってるんだ! ここはデートクラブじゃないんだ! 他の場所でやってくれ!」 「ヤってくれって…いやらしいですぅ」 「ちーがーうー!! もうみんな出てけー!!」 怒ったジュンはドール達を部屋の外に全員追い出した。 追い出されたドール達は気分を台無しにされてつまらなそうに溜息を吐く。 「やれやれ、体だけじゃなく心もちっさい奴ですぅ」 「…どう考えても僕達が悪いと思うよ…」 「恋人がいないから嫉妬してるのねぇ。見苦しいわぁ」 「見苦しいのー」 「違うと思うわよ…」 思い思いに勝手な事を言うドール達。 「…しょうがない、今日のところは帰るですぅ」 「そうだね。僕達も帰るよ」 「私も帰るわぁ」 「あっ、ヒナも水銀燈のところにいくのー!」 帰ると言った水銀燈に抱きつく雛苺。 抱きつかれた水銀燈はやれやれと言ったような表情を浮かべるが、それと同時に嬉しそうだ。 「しょうがないわねぇ。じゃあ背中に乗って」 「はーい!」 言われたとおり背中に飛び乗り、水銀燈は窓の縁に乗って飛び立つ準備をする。 「のりには私から伝えておくわ。雛苺をお願いね」 「分かってるわぁ。それじゃ行くわよぉ」 「うん!」 雛苺が頷いたのを確認して、水銀燈は窓から飛び立って行った。 残された三人は飛んでいく水銀燈を眺めている。 「…行っちゃったわね」 「しかし、二人ともベタベタだね…」 「きっと二人とも教会に着いたら一晩中あんな事やこんな事をやるですよ…!」 「ちょ、ちょっと翠星石。言ってる事が親父臭いよ…」 「水銀燈はドSですから羽を使って口では言えないような所を摩ったり突っ込んだり嘗め回したりするはずですよあの変態!」 「翠星石落ち着いて! どっちかって言うと翠星石のほうが変態っぽいよ!」 「くぅー…! 想像したら疼いてきたですぅ! 蒼星石、帰って続きをやるですぅ!」 「ぐぇっ! た、タイを引っ張らないで…!」 興奮が高まりきった翠星石は蒼星石のタイを引っ張ってそのまま物置の鏡まで突っ走っていった。 後には真紅だけが残され、呆れた様子で溜息を吐く。 「…まったく、騒がしい人達ね…」 ―※―※―※― 「相変わらず埃っぽい場所でごめんなさいねぇ」 「ううん。水銀燈がいればそれで良いの」 屈託の無い笑顔でそう言う雛苺に、水銀燈の頬も思わず緩む。 教会のベンチに腰掛け、その隣に雛苺も腰掛ける。 「…静かねぇ」 「うん」 それだけ交わして、雛苺の小さい肩を抱くと甘い匂いが水銀燈の鼻を満たした。 心地の良い匂いで、それを堪能しようと目を閉じる。 「…水銀燈」 しばらくそうしていると不意に雛苺に名前を呼ばれた。 目を開け雛苺を見ると、いつもとは違う妖しい笑顔でこちらを見ていた。 「もうそろそろ、可愛がってあげる時間なの」 子供っぽさに妖艶な雰囲気が混じった声でそう囁かれ、ゾクリとした物が背中を走る。 それと同時に期待を感じてしまう自分がいるということに気がついた。 「……お、お手柔らかにねぇ…」 引き攣った笑顔でそうお願いする。 が、それと同時に地面から苺のツルが生えてきてそのまま水銀燈の手足をベンチに縛りつけた。 「きゃあ! ちょ、ちょっといきなりやめなさいよぉ!」 あまりにも突然だった為に避ける事も出来ず、水銀燈はさすがに怒った目で雛苺を見た。 だが、それを見て雛苺はますますサディスティックな笑みを浮かべる。 「今日も、たっくさん可愛がってあげるの」 まるで新しいおもちゃを手に入れたかのように無邪気な口調。その裏に狂気が見え隠れする。 妖しい笑みを浮かべながら雛苺は水銀燈の服を脱がしに掛かった。 ―※―※―※― 雛苺のサディスティックな性癖を知ったのは付き合い始めて3ヶ月経ってからだった。 その頃水銀燈は雛苺に手を出して良いものなのかどうか悩みあぐねいていた。 キスまでならまだしも、こんな姿をしている雛苺に手を出すのはさすがに気が引ける。 その様子のまま3ヶ月が過ぎようとしていた頃。 『…ん、な、何よこれぇ!?』 雛苺と一緒に寝ていた水銀燈が目を覚ますと、両手足を苺のツルに縛られた状態にされていた。 何とかして逃れようとするが幾重にも頑丈に縛られててなかなか解けない。 『気付いた? 水銀燈』 逃げようとしてもがいていると不意に声を掛けられその方を見る。 そこにはいつもと雰囲気が違う雛苺がいた。 『雛苺!? これ、貴方がやったのぉ!?』 『うん』 さも当然、といったように答えた。 『なんでこんなことするの!? 早く解きなさ…』 水銀燈が言い切る前に雛苺は近付いてきて、その口をキスして塞ぎこんだ。 『んぅ!?』 それだけじゃなく、雛苺の小さい舌が水銀燈の口をこじ開けて中に入り込んできた。 いきなりの雛苺からのディープキスに驚き、水銀燈は何が何だか分からなくなってきた。 逃れようとするが巧みに口内を舌に犯され、段々頭がぼうっと惚けてきて力が全身から抜けていく。 水銀燈の体から力が抜け切ったころ、雛苺は口を離した。 水銀燈と雛苺の口が唾液でアーチを描き、それは切れて水銀燈の胸に垂れる。 『…な…何するのよぉ…』 息も絶え絶えな様子で、潤んだ目で雛苺を見る。 『水銀燈がいけないのよ』 耳元で囁くように雛苺が言う。その色っぽい声に水銀燈はゾクリとした感覚を感じた。 『…どういうことよぉ…』 『ヒナはずっと待ってたのに、水銀燈がずっと何もしてくれないから…』 『…だって…怖がると…嫌がると思ってたからぁ…』 『それは違うの。怖がってたのは水銀燈の方なのよ』 『え…?』 『水銀燈は逃げてただけなの。こういう事から…』 『それは…違…」 『違う、と言い切れるの?』 目を覗きこまれ、水銀燈は押し黙る。確かに雛苺に言われたことも一理あるような気がした。 結局勇気が無かっただけなのかと。 『最初は水銀燈がその気になるのを待ってたの。…でも、もう我慢できないから…』 そこで区切ると水銀燈の胸に手を沿え、そっと耳を撫でる。水銀燈は思わず唾を飲んだ。 『ヒナが水銀燈を食べちゃうの』 ―※―※―※― 「あぁっ!」 「ちゅっ…水銀燈のおっぱい美味しいの…」 服を全て脱がされ、乳首を強く吸われて水銀燈の体が思わず跳ねる。 もう片方の乳首は指で刺激され、両胸から耐え難い快感が脳に直接送られてくる。 「…む、胸ばっかりそんなにいじめないでぇ…!」 「だって、ヒナは水銀燈のオッパイが大好きなの。おっきくて柔らかくて…もっとたくさん味わいたいの」 潤んだ瞳で訴える水銀燈の目を覗き込み、更に音を立てて吸いたてる。 更に強い刺激に、水銀燈は更に声を荒げる。 「んあぁ! や、やめて…おっぱい壊れちゃうぅ…!」 普段の水銀燈からは想像も出来ないような声で雛苺に懇願する。 だがそれは雛苺の加虐心をさらに煽るだけに終わった。 「そう…壊れちゃったらヒナが嫌だから今度はこっちにするの」 そう言って愛撫を与えていた片手を胸から離し、それを下の方へとずらす。 それに気付いて水銀燈は体を揺らして抵抗するが、それも無駄な抵抗に終わる結果となる。 「ちょ、ちょっと待ってぇ! そこはまだ…!」 「止めてって言ったのは水銀燈なのよ」 「ひあぁっ!」 嫌がる水銀燈の乳首を甘噛みする。その強い快感に体が思わず仰け反った。 その隙に性器へ手を伸ばし、そこにそっと触れる。 「きゃはっ、もうこんなに濡れてるの」 「や、やめてぇ、そんな事言わないでぇ…」 「ほら、見るの。こんなに溢れてきてる…」 性器から溢れてくる愛液で指を濡らしていき、十分に濡れたのを確認するとそれを水銀燈に見せ付ける。 水銀燈はそれを見て、恥ずかしそうに目を背けた。 「そんなの見せないでぇ…!」 「恥ずかしがってる水銀燈可愛いの。…ほら、指を綺麗にするの」 「んっ!」 背けた水銀燈の口に愛液で濡れた指を押し付ける。 最初は嫌がっていて口を閉じていたが、やがて中に指をねじ込まれてしまった。 分かりきっていたが抵抗は無駄と観念し、言われたとおり指に付いた愛液を口で取り除いていく。 涙に近い味が、口の中に広がっていった。 「分かる? これが水銀燈の味なの。美味しい?」 「ん…んん…わ、わかんなぁい…!」 「でも、ヒナはこの味が大好きなの。おっぱいの次はここを頂くのよ」 そう言って指を抜き、名残惜しそうに乳首を一回吸って口を離してから体を下半身の方にずらしていく。 「凄い、びしょびしょなの」 「そんな事言わないでぇ…!」 「じゃあ頂くの」 水銀燈の太股に手を沿え、顔をまたに近付けていく。 むわっとする匂いを吸い込んで性器に口を付けて舌を這わせる。 湿った生暖かい舌の感覚に、水銀燈の体に強い快感が走る。 「ひぃっ…!」 「ん…水銀燈のここも美味しいの…」 「うっ、あっ…! な、中に舌が…!」 わざとらしく音を立てて愛液を吸い取り、舐め取っていく。 その音が水銀燈の羞恥心を煽り、さらに感じさせていく。 「ちゅるっ、ちゅ…凄い、たくさん溢れてくるのよ…」 中から止め処無く溢れ出てくる愛液を吸い取る。 更に舌を伸ばし、水銀燈の膣内で動き回らせて犯していく。 膣内で生暖かい物が動き回る感覚に、水銀燈は無意識の内に腰を振っていた。 「あっ、やぁ…! 中で動き回ってるぅ…!」 やがて頭の中が白くなっていくのが分かり、何も考えられなくなってきた。 ただ、もう絶頂が間近だという事だけが分かる。 「だ、だめっ…ひ、雛…あぁ…!」 だが絶頂に達する、という寸前で性器に感じられる感覚が無くなった。 顔を上げ、雛苺を見てみるといたずらっぽい笑みを浮かべて見下ろしていた。 待ちわびた感覚を中止され、裏切られたような切ない目で雛苺を見上げる。 「ひ、雛苺…?」 「なぁに?」 「どうして…?」 「だって水銀燈があんまり泣くから、可哀想だと思ったの」 あまりにも見え透いた嘘に、水銀燈は涙を浮かべた。 「どうしたの? …それとも、最後までして欲しいの?」 「…ぃ…」 「? はっきり聞こえなかったの。もう一回言ってなのよ」 「はい…!」 「もっと大きな声で言うの」 「…最後までして、お願い!」 小悪魔的な目でそう言われ、水銀燈は観念して大きな口はっきりと言った。 それを聞いて満足し、雛苺はニッコリと笑って水銀燈に口付けをした。 「…じゃあ、一緒に気持ち良くなるの」 そう言って雛苺はドロワーズと下着を脱ぎ去り、水銀燈にかぶさってシックスナインの体勢になる。 「ほら、水銀燈も…」 雛苺にそう言われ、既に濡れ始めている雛苺の性器に舌を這わせる。 その感覚に雛苺はビクンと震えた。 「んっ…良いの…」 「ちゅっ…ひ、雛苺もぉ…」 「分かってるのよ…ちゅる…」 「あぁっ…!」 音が立つのも気にせずにお互いの性器を貪り合い、愛液をすすり合う。 しばらくそうしていると、水銀燈に一度静まった絶頂が再び間近になってきた。 「ひ、雛苺…! も、もう…!」 「あっ、はぁ…ひ、ヒナもなの…! 水銀燈、一緒に…」 「ええ、一緒にいきましょう…!」 「うん…!」 最後にと、更に強く吸い立て合い、絶頂へラストスパートをかける。 そして頭が真っ白になり、これまでに無い感覚が体を襲ってきて水銀燈は果てた。 「あっ、あああぁん!!」 「す、水銀と…うああぁぁん!!」 雛苺も同時に絶頂を迎え、二人の体から力が一気に抜け落ちた。 雛苺は水銀燈から降りて、ツルから解放すると優しく口付けた。 「…水銀燈…大好きなの…」 「雛苺…」 そう言ってもう一度口付けをして、二人はそのまま鞄に戻る事無くベンチで眠りに落ちていった。 ―※―※―※― 「ん…」 日が昇って明るくなり、水銀燈は目を覚ました。 「あ、水銀燈起きたの? おはようなの」 「おはよう…」 もう起きている何かの準備をしている雛苺に挨拶して、脱ぎ散らかした服を軽くはたいてからそれを着る。 少しシワが出来ているが仕方が無い。 「水銀燈、朝ご飯食べるの」 そう言って雛苺がお皿にパンとジャムを乗せて持ってきた。 ただパンを買ってきてお皿に乗せただけだが、雛苺にしては上出来だろう。 それをベンチに乗せ、雛苺も座った。 「そうね、頂くわぁ」 そう言ってパンを食べ始め、雛苺もパンにジャムをつけて食べる。 「今日はいつまでここに居られるの?」 「ベリーベルに夕方には帰るって伝言を頼んであるの」 「そう。じゃあゆっくり出来るわねぇ」 「うん。だからこれ食べてお腹一杯になったら…」 雛苺はそこで区切って水銀燈を見る。その目は昨日と同じ目をしていた。 「…また夕方までたくさん可愛がってあげるの」 そう言われて、ゾクリと期待と恐怖感が水銀燈に湧き上がった。 終
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水銀燈「ここは…一体…?」 一面に広がる廃墟…その中を水銀燈は一人歩いていた。 水銀燈「誰か…誰かいないの!?」 人を探し歩いて、何分経ったであろうか…。物陰から誰かの話し声が聞こえてきた。 ようやく、この孤独な世界から解放される…と声のする方向へ水銀燈は駆け出した。 しかし、その話を聞いた瞬簡に、彼女の足はそこから動かなくなってしまった。 少女A「…しっかし、アイツもよくこの状況で学校に来るよねー。あ…そういえば、言った通りちゃんとやってきた?」 少女B「うん。あいつのノートとか、全部トイレの中に捨ててきちゃった♪」 水銀燈「まさか…!?やめて…!もう聞きたくない…!!」 思わず耳を押さえ、その場にうずくまる水銀燈。しかし、そんな行為をあざ笑うかのように、少女たちの言葉は水銀燈の耳を切り裂いた。 その少女のうちの1人…それは彼女のよく知る人物だった。 それは、彼女の高校時代の親友だった人…そして… 少女C「…でもさー、アンタもよくやるよねー。本当の事知ったら、アイツ自殺しちゃうんじゃない?」 少女A「いいのいいの。だって、面白いんだもん。アイツが…あの生意気な水銀燈が苦しんでるトコ、間近で見られるの…♪」 …そして、いじめの首謀者だった人… その言葉を聞いた瞬間、水銀燈は悪夢より目覚めた。 肩で息をしながら時計を見ると、時間は午前5時を指している。 高校を卒業して数年、彼女は今もその幻影に苦しめらていた。 水銀燈「うっ…」 そう呻くと、よろよろとバスルームへ向かう水銀燈。 とてもじゃないが、これ以上は寝れそうに無かった…。 少女たちが話していたこと…それは、今から数年前に実際に経験した出来事… そう…あの時も、水銀燈は壁一枚を隔てたところから、事の真相を全て聞いてしまった。 その後、水銀燈は逆に彼女たちを追い詰め、学校から永久に追放した。 悪夢は、それで終わるはずだった…なのに…。 水銀燈「…一体、私はいつまで苦しまなきゃいけないの…?」 シャワーに打たれながら、水銀燈はポツリとつぶやいた。 顔から滴り落ちる水滴は涙なのか、それともシャワーの水なのか、もはや自分では分からなくなってきた。 もういい加減、風呂から出なくては…と、蛇口を閉める水銀燈。その時、ドアのすりガラスに誰かの人影が映った。 水銀燈「誰!?」 その言葉に、侵入者は間抜けな声を上げた。 ?「…ふぇ?」 それは、この場には絶対にいないはずの人物の声だった。 水銀燈「…で、何であなたがここにいるの?それも無断で…」 着替えを済ませると、水銀燈は雛苺に詰問を開始した。椅子に座らされた雛苺は、おっかなびっくり質問に答える。 雛苺「うー…だって、水銀燈…全然学校に来ないから…」 その言葉に驚き時計を見ると、時刻はすでに午前8時をまわっていた。 水銀燈「…時が過ぎるのは早いものね…。そういえば、あの小賢しい姉妹たちはどうしたの?」 雛苺「うーと、今日は薔薇水晶も雪華綺晶も1時間目は授業だから、ヒナが代わりに迎えに来たのよ。で、薔薇水晶から合鍵を受け取って…」 水銀燈「…何で本人に内緒で、そんなの作ってるのよ…。これからは、ちゃんとドアチェーンもしなきゃ駄目ね…。鍵も変えないと…それに…」 雛苺「…水銀燈、何か怖い夢でも見たの?」 水銀燈が、必死に悟られないようにしていた事…。それを、雛苺はすぐに見破ってしまった。 水銀燈「…別に。大したことじゃないわ…。」 この期に及んでも、未だに虚勢を張り続ける水銀燈。そんな水銀燈に、雛苺はこんな話をした。 雛苺「…ヒナもね、よく怖い夢見るのよ…。コリンヌ…この前、雪華綺晶が探してきてくれた子なんだけど、その子が戦争で死んじゃった夢とか、ヒナを捨ててどこかへ行っちゃった夢とか…」 水銀燈「…。」 雛苺「でもね、朝起きるたびにホッとするの。だって、コリンヌは今も友達だし、それにそれを一生懸命探してくれる人や励ましてくれる人も沢山いるんだもの…。」 水銀燈「そう…。で、結局何が言いたいのよ?」 雛苺「あ…でね…水銀燈だって、同じだと思うの。もし何かあったとしても、ヒナや薔薇水晶…それにみんなもいる…。だから、困った時は1人で抱え込んじゃ駄目よ?ヒナが助けてあげるからね…。」 その言葉を聞き、水銀燈はこう返答した。 水銀燈「…助けて『あげる』なんて、偉そうなこと言わないで欲しいわね…。一体何様のつもり?今まで1人で生きて来れたんだから、別に助けてくれなくても…」 そこまで言った段階で、思わず言葉がつまってしまう。 昔は、私に脅えてそばに近寄ろうともしなかった雛苺の口から、そんなことを言われるなんて… 何か、こみ上げるようなものを感じながら、水銀燈はぶっきらぼうにこう言った。 水銀燈「…まあいいわ…。そろそろ行くわよ…」 雛苺「うゆ?どこへ?」 水銀燈「学校…行くんでしょう?別に、行かなくていいなら行かないけどぉ…」 そう言うと、水銀燈は先陣を切って学校へと急いだ。 雛苺に、今の自分の顔を見られないようにすること…それが今、彼女にできる唯一の抵抗手段だった。 完
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ホーリーの制服@スクライド 柊つかさに支給された。 原作では劉鳳やシェリスなどが着用している服である。 単なる服であり、それ以上の特徴はない。 ちなみに女性用制服は結構スカートの中が見えやすかったりしなかったり
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「真紅もロック聞くのねぇ…知らなかったわぁ」 「それはこっちのセリフなのだわ」 再会して最初に交わした会話がこれである。 一見何の変哲もない会話だったが、真紅の声は動揺を隠しきれていなかった。 真紅は激しく動揺していた。水銀燈との突然の再会に…ではなく… 「(これが本当に水銀燈!!?)」 同じ中学校に通っていた頃の水銀燈と今自分の目の前にいる水銀燈。 その雰囲気は180°変わっていた。 黒いタンクトップに破れジーンズというハードな服装。 昔からの特徴だったねこなで声は、何故か人を威圧するような力強さを感じさせる。 そして、目は鋭く、何もかもを見抜くような鋭い釣り目。 しかし、その白銀の髪と紅色の瞳は間違いなく水銀燈のものであった。 「ふふ、私がロック聞くようになったのは貴方に会わなくなってからぁ、当たり前よぉ」 水銀燈がそう言うと、真紅は胸を締め付けられるような心地悪さを感じた。 それは、自分の罪悪感によるものだとすぐに分かった。 「す…水銀燈、あの時は!!」 真紅が言いかけると、水銀燈は人差し指を真紅の唇にあてて黙らせた。 「…ここじゃなんだから、喫茶店でも行かない?」 そう言う水銀燈の目は、優しいものだった。 「何より、ちょっとここ居づらいわぁ」 と言って、水銀燈は親指で背後を指差す。そこにはCDを試聴しつつ、思いっきりヘドバンする少女の姿があった。 …彼女たちはまさかその少女が、後にローゼンメイデンのコーラス兼デス声担当になるとは予想もしていなかっただろう。 「た、確かに…分かったのだわ。いったん出ましょう」 二人は近場にある喫茶店へとやってきた。 「ここ、私がよく来る喫茶店でねぇ。紅茶もおいしいから、気にいるわよぉ」 「そ、そうなの…」 笑顔で話す水銀燈に対して、真紅の表情は晴れなかった。 水銀燈は入ってすぐに頼んだ乳酸菌飲料を一口飲む。 「…気にしなくて良いのよぉ?」 「………」 水銀燈はそう言うが、真紅はやはり何か引っかかってる模様。 「…私ぃ、あの後別の施設に移されたの…それは知ってるわよね?」 「…えぇ」 水銀燈は話し出した。 自分が新しく入った施設では、みんな自分を受け入れてくれたこと。 その仲間達のおかげで、学校にも復帰できたこと。 そして、今は施設を見学しに来たある人物の養子になったこと。 「槐さんって言うんだけどねぇ、よくしてもらってるわぁ」 その槐の娘と本当の姉妹のように仲良くしていること。 彼女の影響でロックに興味を持ったこと。 最近エレキギターを始めたこと。 「…ねぇ、水銀燈…」 楽しげに話す水銀燈を見ていて、真紅は口を開いた。 「…今、幸せなの?」 真紅は、やはり不安そうな顔のまま聞いた。 水銀燈は優しそうな笑顔で真紅を見る。 「当たり前じゃなぁい。毎日が最高よぉ…だからぁ」 水銀燈の手が真紅の頭に伸びる。 「同情なんかしないでほしいわぁ」 水銀燈がそう言ったことに、真紅は涙ぐんだ。慌てて顔を隠す。 「そ…それは良かったのだわ」 真紅はそう言って、すっかりぬるくなった紅茶を啜る。 そんな真紅の様子を、水銀燈は微笑みながら見ていた。 その日から、再び水銀燈と真紅の交流は始まった。 主に音楽の話で意気投合した二人は、共に同じ高校を受験し合格。 その後蒼星石達に出会い、現在に至るわけである。 「…これで、水銀燈と私の昔話はおしまい」 「…」 真紅の話は終わり、沈黙が病室を包んだ。 「…じゃぁ、私はもう帰るのだわ」 真紅はそう言って帰っていった。 残されたのは、何かを考え込むめぐと、穏やかに眠る水銀燈だけだった。 (以下執筆継続中) (3)へ戻る/長編SS保管庫へ/(5)へ続く
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前ページ次ページローゼンメイデン 小ネタ集 シン「それじゃ、行って来る。大人しくしてるんだぞ」 水銀燈「ふんっ、妹達と一緒にしないで頂戴」 レイ「では、よろしく頼む」 薔薇水晶「わかった」 水銀燈「さて、それじゃ行くわよ」 薔薇水晶「何処に?」 水銀燈「偵察よ。いい加減アリスゲームが動かないのは退屈だわ」 薔薇水晶「……むしろ暇なだけ?」 水銀燈「おだまり! この艦の中も大分解ってきたし そろそろそれぞれのマスターがどんな相手か調べないといけないものぉ」 薔薇水晶「一理ある。解った、付き合う」 水銀燈「え? …ま、まぁそうね。ふん、ついてくると良いわ」 アーサー「おーい、シン。艦長が御呼びだ。すぐに行ってくれ」 シン「あ、はい。解りました」 タリア「シン。哨戒任務よ。今回は北側の方へお願い」 シン「解りました。では、準備します」 ヨウラン「おーい、シン。ちょっとインパルスの右腕の調子が悪いんだ。 少し調べるから上げ下げしてみてくれ」 シン「おう、解った。……之でどうだ?」 ヨウラン「……おっ、ここのコードがイカレてたのか。ありがとう」 メイリン「シン。出発時間が迫ってるわ。急いで」 シン「おぅ、解ったー」 ルナ「シン! 終わったら射撃訓練付き合った約束忘れてないわよね?」 シン「解ってるって」 アビー「初めまして。今回訓練で参加しているアビーです。 拙いオペレーターかもしれませんが宜しくお願いします」 シン「ああ、解った。まぁ、今は哨戒任務だからあまり肩に力入れなくていいから」 アビー「はい! 宜しくお願いします」 薔薇水晶「彼、軍人としても勤勉」 水銀燈「……なによぉ!」 薔薇水晶「?」 水銀燈「私の言う事は一々反対している癖に、ほいほい皆の言う事は聞いてるなんて!」 薔薇水晶「……それは仕事だからじゃない?」 水銀燈「アリスゲームだってちゃんとした使命でしょぉう?」 薔薇水晶「それはそうだけど」 水銀燈「私が人形だから甘く見ているに違いないわぁ」 薔薇水晶「私達は基本日常生活からみれば非現実だし、彼等にだって生活はある」 水銀燈「いえ! 私達は誇り高きローゼンメイデンなのよ! まして第一ドールである私がこんな仕打ちなんて許せないわぁ!」 薔薇水晶「……只の嫉妬」 水銀燈「何か言ったかしらぁ?」 薔薇水晶「(首をふるふる)」 シン「ただいま…って、どうした機嫌悪そうに」 水銀燈「何でもないわ!(ドスゥッ)」 シン「だったら行き成りボディーブローを入れるな……痛いなぁ」 水銀燈「ふんっ。この際だから言っておくわ」 シン「何だよ? 藪から棒に」 水銀燈「貴方は私のマスターなのよ! だから、私の言う事はちゃんと聞いて欲しいの! なのに貴方ときたら私の事は全然聞いてくれないのに(くどくど)」 シン「あーあーー、解った解った。それで?」 水銀燈「……え?」 シン「何を聞いて欲しいんだ? 別に何でもかんでも反対する訳じゃない」 水銀燈「そ、そうなの? ふ、ふん……当たり前よぉ!」 シン「ああ、そうだよ。んで、何をやれば良いんだ?」 水銀燈「へ? ……あ、えーと……それはその」 シン「早く言えよ」 水銀燈「くっ、ま、まだ案を練っているのよぉ!」 シン「はぁ? 考えも無しに言ってたのか?」 水銀燈「おだまり!(ドムッ)」 シン「ぐはっ(鼻を抑えて)」 水銀燈「良い? 考えたらちゃんと聞いてもらうんだから」 シン「はいはい。まぁ、楽しみに待ってるよ」 水銀燈「絶対よぉ?」 シン「絶対だ。何だ、そんなに信用できないのか?」 水銀燈「ち、違うわよぉ!(ゴスッ)」 シン「いつぅっ! だからって一々手を出すな」 水銀燈「さぁってぇ、何にしようかしらぁ(もう聞いてない)」 レイ「今日も激しいな」 薔薇水晶「そうね」 前ページ次ページローゼンメイデン 小ネタ集
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…からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ… その綺麗な歌声で、水銀燈は目覚めた。 「んっ…めぐ?」 「あっ、目が覚めた?水銀燈」 水銀燈の目の前に、ニッコリ笑うめぐの姿があった。 しばらく、ぼ~っとめぐの顔を眺め…一気に目が冴えた。 「めっめぐ!大丈夫!?生きてる!?」 水銀燈はめぐの前に身を乗り出して尋ねる。 めぐはやはり、ニッコリとした笑顔のまま頷く。 「えぇ、残念だけど、そうみたい」 水銀燈はゆっくり椅子に座り直す。 「…ねぇ、めぐ…」 「なに?水銀燈…」 水銀燈は何か声をかけようとしたが、会話は続かなかった。 お互いが沈黙したまま、時間だけが過ぎる。 水銀燈は時が止まった様な錯覚を感じた。 「…さっきね…」 先に口を開いたのは、めぐだった。 「さっきね、真紅ちゃんが来てたの」 「…真紅がぁ?」 水銀燈が顔を上げる。めぐと目があった。」 「水銀燈の昔の話…聞いたわ」 「…そう」 少しの間をおき、再びめぐは話し出す。 「だから、水銀燈は私を気にかけていたのね…自分と同じだから」 「…」 違う…とは言えなかった。どこかめぐが自分に似ていると思って接してきたのだから。 「…でも、水銀燈…私と水銀燈は全然違うわ…」 めぐの目が、本当に悲しい目をしてることに、水銀燈は気づいた。 めぐは悲しいとき、いつも笑顔を作る癖がある。 しかし、今のめぐは本当に悲しそうな顔をしている。 「あなたには、支えてくれる人たちがいっぱいいる…私には…」 そこで、めぐは口を閉じた。そして… 「…私は、生まれつき心臓の病を持っていたの…」 めぐは語った。自分の生い立ちを… 病気のため友人が作れなかったこと。 両親が不仲で別居していること。 入院費などは父親が負担しているが、全然会いに来てくれないこと。 唯一優しくしてくれていた祖母も死んでしまい、本当に孤立してしまったこと。 「…」 「私は…もう、誰にも必用になんてされたない…私は、本当のジャンクなの」 -パン!!- 「えっ?」 軽い音が病室に響いた。めぐは、自分の頬をおさえた。 水銀燈がめぐの頬を叩いたのだ。 水銀燈の表情は、怒りで酷く歪んでいた。めぐが初めて見る表情だった。 「ジャンクなんて………ジャンクなんて自分で言うんじゃない!!」 叫ぶように、水銀燈はめぐに怒鳴る。 「ジャンクなんて!…言わないでよぉ…」 そして、すぐに水銀燈の表情は暗くなる。 「ねぇ、めぐ…私もそう思ってたわぁ」 「…」 水銀燈の目が、少し潤んでいた。 「自分をジャンクだと思ってた…だから、あの日私は飛び降りたの…」 本当の死体(ジャンク)になるために… 「でも、死ななかった…そして、それから私は出会ったのよぉ」 死ななかった彼女に訪れたのは、今までにない程の幸福…そして、それをもたらしてくれる大切な人たち… 「今では後悔してるわぁ…あの時死んでたら、私は何にも出会えなかったんだって…」 水銀燈はジッとめぐを見た。めぐも水銀燈を見返した。 「ねぇ、めぐぅ…生きてよぉ…生きていたら、きっと誰か貴方を見てくれるわぁ」 「…そんなこと…」 分からないと、めぐは言おうとした。 「もし、誰も貴方の元に来なかったとしても…」 水銀燈の目から、綺麗な雫が落ちた。 「私がいるじゃなぁい!」 「!!」 水銀燈の目から涙が溢れ、ボロボロと泣き出した。そして、そのままめぐに抱きつく。 めぐは、しばらく呆然として…気づいた… 目の前で泣いているこの少女は、自分のために泣いてくれているのだと… そう気づいた途端、めぐの目からも涙が溢れてきた。 めぐはただ「ごめん」と言いながら泣きじゃくる。 水銀燈もただ頷きながら泣きじゃくる。 そして、泣き疲れた二人はそのまま夢の世界へと旅立っていった。 …からたちのそばで泣いたよ みんなみんなやさしかったよ… …からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ… おわり (4)へ戻る/長編SS保管庫へ/エピローグ
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音羽の制服(おとわのせいふく) 音羽の制服 アイテムカード 使用代償:青青白 常時このキャラが攻撃しているバトル中、このバトルの攻撃属性と同じ属性の能力値に+300 誘発相手ターンのメインフェイズ開始時、このアイテムを破棄する。破棄した場合、このキャラにHP+200する。 「やっぱり変でしょうか? サイズはだいたいあってるみたいなんですけど」 Version/カード番号 Ver.18.0/1586 レアリティ R コメント コメントの入力。必須ではない。
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蒼星石「一本!それまで!!」 この日、蒼星石は水銀燈に『体育の授業で剣道をやるから、生徒たちに見本を見せてやってくれ』と頼まれていた。 しかし、気がつけば授業の全てを蒼星石が担当する羽目になっていた。当の水銀燈はといえば、隅のほうでコックリコックリと、気持ちよさそうに船をこいでいる。 蒼星石「…水銀燈!君はこんなことをするために、僕を呼んだのかい!?」 水銀燈「!?…なによぉ…せっかくいい気持ちで寝てたのに…。いいじゃなぁい、あなた剣道部の顧問なんだからぁ…。」 「そう言うことじゃなくて…」と蒼星石が反論しようとした時、ある生徒がヒソヒソとこんな話をしだした。 男子A「…なあ、水銀燈先生と蒼星石先生が試合したら、どっちが勝つと思う?」 その問いに、すぐに反応したのはある1人の男子生徒だった。 男子B「絶対銀様だろ!!銀様の運動神経は凄いんだぜ!!」 すかさず1人の女子生徒が反論する。 女子C「はぁ!?蒼星石先生は、剣道部の顧問なのよ!?何言ってるの!?」 白熱する2人の議論。一方の教師たちはといえば、さめた様子でそれを見つめるだけだった。 蒼星石「ははは…どうしよう、困ったな…。」 水銀燈「勝手に言わせておけばいいのよぉ…。面倒くさい。」 だが、蒼星石の心配をよそに、議論はさらに白熱する。 男子B「いや!それでも、銀様が勝つ!だって、あの銀様だぜ!?」 女子C「何よ!銀様銀様って!!蒼星石先生が負けるわけ無いじゃない!だって、昔は水銀燈先生って怖いイメージあったけど、今じゃ薔薇水晶先生や真紅先生にいいように扱われて…」 その言葉に、水銀燈はワナワナと手を震わせる。 この子は今、何を言ったの?この私が、あの蒼星石や薔薇水晶、それに真紅ごときに劣るですって…? 事の重大さに気がついた蒼星石は、すぐに水銀燈をフォローしようとする。 が、その手を払いのけ、水銀燈は静かにこう言った。 水銀燈「…蒼星石、今すぐ私と勝負しなさい。」 その目は、完全に以前の恐ろしい水銀燈の目へと戻っていた。 その後、蒼星石や他の生徒がどんなに説得しようとも、水銀燈は考えを改めることはなかった。 なんてことを言ってしまったんだろう…と、当の女子生徒は頭を抱える。 でも、憧れの蒼星石先生ならきっと…そんな幻想にも似た思いを抱いていた。 しかし、当の蒼星石の表情は、緊張で強張っていた。 自身のプライドを傷つけられたとあっては、水銀燈はおそらく本気で向かってくるだろう…。それに、仮に勝ったとしても… 蒼星石「…巴君、審判のほうやってもらえるかな?」 半ば諦めたように、巴に審判をお願いし試合場へと向かう蒼星石。 蒼星石「水銀燈、やるのなら早く防具を…」 水銀燈「いらないわぁ…。だって、そんな臭いの付けてられないものぉ…。」 蒼星石「で、でも…」 水銀燈「それに…私が負けるなんて、まずありえないわぁ…。」 その言葉に、思わず竹刀を握り直す蒼星石。そんな蒼星石を、水銀燈は手招きしながらこう言った。 「さあ…ゲームをはじめましょう…。」と。 巴「始め!」 その合図と共に、全力で蒼星石に切りかかる水銀燈。それを切り替えし、反撃に転じる蒼星石。 両者の、一進一退の息もつかせぬ攻防戦は、見る者を魅了した。 両者に対し、生徒たちは惜しみない声援を送る。しかし、均衡は一瞬にして破られた。 水銀燈「…ふぅん。ま、確かに少しはやる様だけどぉ…所詮、おままごとなのよねぇ…。」 蒼星石「…それはどういう意味…」 蒼星石の言葉を遮るように、水銀燈は蒼星石の顔に向けて鋭い突きを繰り出した。 それを間一髪でかわし、尻餅をつく蒼星石。 が、あまりのことに、もはや足がすくんで立てないでいる。 蒼星石「あわわわわわ…」 水銀燈「あらぁ…残念。せっかく、もっと可愛い顔にしてあげようと思ったのに…」 「止め!!」と、慌てて巴が2人の間に割って入り、水銀燈に注意を促す。 巴「先生!これは反則です!!」 水銀燈「反則?なぁに、それ?本当の戦いで、そんなのが通用すると思ってるのぉ?だから、おままごとだって言ってるのよぉ…。」 そう言って、水銀燈はもう1度竹刀を構えた。 巴「な、何を!?」 水銀燈「決まってるでしょう?最低でも、気絶するまでやらなきゃ勝ったことにならないものぉ…。邪魔をするなら、あなたも同じ目にあわせてあげるわぁ…」 その時、武道場に1人の生徒の悲鳴がこだました。 水銀燈が、その悲鳴の先に目を向けると、そこには先ほど自分に対して暴言を吐いた生徒がいた。 その生徒の下に近寄ると、水銀燈は優しく声をかけた。 水銀燈「そういえばあなた…さっき、私に面白いことを言ってくれたわよね?」 女子C「い、いや…それは、その…」 水銀燈「ふふふ…ありがとぉ。あなたのおかげで、大切な事を思い出したわぁ…。」 女子C「へ?」 水銀燈「そうよねぇ…。いつまでもやられっ放しなんて、私らしくないわよねぇ…。」 その時、事態を重く見た1人の生徒が、薔薇水晶と雪華綺晶を連れて戻ってきた。 この2人なら、きっと上手く水銀燈の怒りを鎮めてくれる…そう思ったに違いない。 しかし、事態はそんなに簡単に収拾できるほど甘くはなかった。 水銀燈「まぁ…探す手間が省けたわぁ♪さぁ、どっちが相手をしてくれるのかしらぁ?もちろん、2人同時でもかまわないわよぉ…?」 「待って…」と、雪華綺晶は説得を試みる。が、薔薇水晶はそれを制止すると、水銀燈に対し、こう言った。 薔薇水晶「可哀想…。」 水銀燈「…可哀想?この私が!?」 薔薇水晶からの思わぬ言葉に、さらに激しい怒りを燃やす水銀燈。しかし、薔薇水晶もそれは同じだった。 自分の欲望のために、大切な生徒たちを傷つけようとした…。しかも、その凶行に及ぼうとした人物が自分の1番の親友とあっては… それは、薔薇水晶にとって裏切り以外の何物でもなかった。 薔薇水晶「なんて弱い心…。そうやって、いつまでも過去にとらわれ続けるなんて…可哀想…。」 そう言うと、薔薇水晶はその場にあった竹刀を拾い上げ、さらにこう続けた。 薔薇水晶「…だったら、私が正してあげましょう…!」 水銀燈「…上等じゃなぁい…!じゃあ、あなたから先に壊してあげるわ!!」 もはや、激突は不回避かと思われた。 しかし、その時雪華綺晶が、備え付けの防犯用ネットランチャーを2人に向かって、立て続けに発射した。 水銀燈「ちょっと!何よこれ!?」 薔薇水晶「姉さん…何を!?」 その網に絡まり、身動きが取れない2人に対し、雪華綺晶は訴える。 雪華綺晶「だめ…2人ともあんなに仲良しだったのに、そんなの絶対だめ…。」 水銀燈「何を言ってるの!?さあ、今なら許してあげるから、早くこれを外しなさい!!」 薔薇水晶「姉さん、こういう人は1度痛い目見ないと分からないんだから…!さあ、早くこれをはずして!!」 雪華綺晶「だめ…私にとって2人は両方とも大切な人…。だからこそ、喧嘩なんか…だめ…。」 その言葉に、思わずシーンとする場内。 水銀燈「…あーあ、何か白けちゃったわぁ…。」 そう言うと、水銀燈は竹刀を捨て、その場に座り込んだ。 次の日、水銀燈は快適に惰眠をむさぼっていた。 未遂とはいえ、あれだけやらかせば誰も私に逆らうものなど誰もいない… そう、誰も私の邪魔をするものはいない…はずだった。 薔薇水晶「銀ちゃん!!もう8時半だよ!?何で学校に来ないの!?」 何で、こいつが家の中にいるんだろうと布団をかぶり直す水銀燈。そして、不機嫌そうに声を上げた。 水銀燈「…うるさいわねぇ…。この私を誰だと思ってるの…!?」 薔薇水晶「何を馬鹿なことを言ってるの!?さあ、早く来なさい!!」 そう言うと、薔薇水晶は水銀燈の耳を引っ張り、外へ引きずりだした。 これには流石の水銀燈も、たまらず飛び起きる。 おかしい、こんなはずでは…と、水銀燈の頭の中には『?マーク』が無数に飛び交う。 しかし、その思いは痛みによってかき消された。 薔薇水晶「何をボサっとしているの!?もう1時間目が始まってるのに!!」 水銀燈「痛っ!!わ、分かったわよぉ!牛や馬じゃ無いんだから、そんなに引っ張らなくても、ちゃんと行くわよぉ!!」 急いで仕度をし、家を出る2人。こうして、今日もいつもと変わらぬ1日が幕を開けた。 完